理樹「来ヶ谷の寝顔が見たい?」恭介「ああ」 (162)

理樹・真人の部屋

真人「なんだ、いきなり」

謙吾「暑さで頭でもやられたか?」

恭介「なんだよお前ら、乗り気じゃないな」 ヤレヤレ

理樹「いきなり女子の寝顔が見たいなんて……鈴がいたら蹴り飛ばされてるよ?」

謙吾「だな。さすがにそんな茶番には付き合いきれん」

真人「俺もパスだな。らいらいだにはこえぇし」

恭介「はぁ……お前ら全くわかっちゃいないな」

3人「?」

恭介「理樹、お前はバスターズメンバーで誰の寝顔を見たことがある?」

理樹「え?えぇと……鈴に小毬さんに西園さんに葉留佳さんにクドに……」

真人「それに俺だな!」ムキッ

謙吾「お前はどうでも良い。しかし常識的に考えて同じ学年の女子の寝顔をこんなに見てるの男子生徒はいないだろうな」フッ

恭介「まぁ理樹は一度パジャマパーティに招待されてるからな」

恭介「がしかし!」

恭介「そんな理樹でさえも来ヶ谷の寝顔は見ていないわけだろ!?」

理樹「う、うん……まぁね」

理樹(確かに言われてみれば……僕が寝る前は起きていたし、僕が起きた時も起きていたし……)

真人「まぁ来ヶ谷の寝顔の貴重さはわかったけどよぉ」

謙吾「だからと言って別段見たいかと言われればそんなことも無いな」

恭介「フッ、じゃあこれを見てもらおうか!」スッ

【三枝葉留佳の寝顔の写真】

真人「おーさすが三枝、起きてるときに負けず劣らずアホ面だな」

謙吾「お前が言うな。そもそもなぜ恭介はこんなものを持っている?」

恭介「二木から撮ってくるように頼まれてな。まぁそれは置いておいて」

理樹「なんか僕らの学校の風紀に物凄い不安を感じさせることをサラっと言ったよね」

恭介「見ろ!この三枝の顔を!幸せそうに眠る無防備な顔を!」

恭介「三枝までとはいかないでも来ヶ谷もこんな顔をして寝ているかもしれないんだぞ!?」

謙吾「ふむ……」

真人「らいらいだにの…」

理樹「寝顔……」

3人(気になる!!!!!)

真人「ま、まぁ?恭介がどーーーしてもってたなら付き合ってやっても良いぜ?」

謙吾「まぁ幼馴染の頼みを無碍にするのもいかんだろう。しょうがない、俺も付き合ってやろう」

理樹(うわぁ……二人ともノリノリだ)

恭介「で!」


三人「理樹はどうするんだ?」キラキラ


理樹「……ううぅ、やるよ。僕も協力する」

理樹(三人にそんなきらきらした目で見られたら断れないよ……)

理樹(それに来ヶ谷さんの寝顔も気になるし……)




真人「だけどよ、具体的にどうするんだ?」

謙吾「まさか何の作戦も無く言いだしたんじゃないだろうな?」

恭介「焦るな、焦るな。そうだな……寝顔を見るチャンスは大きく分けて二つだ」

理樹「二つ?」

恭介「ああ。つっても単純に終身時とそれ以外、だな」

真人「理樹は就寝時の俺の寝顔も授業中の俺の寝顔も見てるよなっ!!」フンスッ

理樹「いやいや得意になることじゃないから……確かに見せられてはいるけど」

謙吾「しかし来ヶ谷がそこの馬鹿と同じように授業中に寝るとは思えんが」

理樹「クドや小毬さんが野球の後に疲れて寝ちゃうことがあるけど……来ヶ谷さんは無いよね」

真人「むしろクー公を寮まで背負っていくよな、アイツ」

恭介「まぁ、お前達が言ってくれたように学校生活での来ヶ谷の寝顔は期待できないな」

理樹「……じゃあ就寝時?」

謙吾「……さすがに寝ている女子の部屋に忍び込む、というのはな」

真人「風紀委員に……てか本人に殺されそうじゃねぇか?」ブルッ

謙吾「有り得るな。アイツなら誰かが部屋に入った瞬間にどんな深い眠りからも目覚めそうだ」ブルッ

理樹「そしてあの模造刀で不法侵入者を一刀両断しどうだよね……」ブルッ

恭介「そうだな。就寝時も期待できいない」

真人「おいおいなんだ?手詰まりじゃねぇか」

恭介「フッ、そんな事は無いさ」

謙吾「さっきからやけに余裕だが……いい加減にお前の計画とやらを話してみろ」

恭介「よし、いいだろう」

理樹・謙吾・真人「…」ゴクッ

恭介「まず最終的に来ヶ谷が寝るのは、俺達リトルバス―ズの部室だ」

謙吾「ほう……」

恭介「そしてその為に必要な事……それはアイツをとことん疲れさせ尚且つ寮で寝させない事だっ!」バーン

恭介「まずは明日の練習、いつもよりハードに行くぜ!」

恭介「そしてその日の夜はバスターズメンバーで何かイベントを行う!疲れるやつ!」

恭介「でもまぁ学校側の目もあるから遅くても夜10時までが限界だろう!」

恭介「そこで来ヶ谷の部屋に理樹投入!俺ら三人で風紀委員の足止めをする!」

理樹「!?」

恭介「理樹は事前に眠○打破を呑み決して眠らないようにしておく」

恭介「そして朝まで来ヶ谷とお喋りだ!」

恭介「次の日、来ヶ谷が練習とイベントの疲れから極度の眠気に襲われるだろう!」

恭介「そして奴はおそらく授業をポイコットしてコーヒーを飲みに行く!」

恭介「だが残念!すでに学校中の自販機のコーヒーは俺が買い尽くした!さらば諭吉ぃぃぃ!」

真人「すげぇ。本モンの馬鹿だ」

恭介「極度の眠気を振り払えぬまま、来ヶ谷は再び野球の練習に!」

恭介「満身創痍の中、練習を終えた来ヶ谷が部室に入るとそこには人っ子一人なし!」

恭介「そして…余りも眠くなったので……来ヶ谷は起きているのを辞めた……」フッ

理樹(えぇー……)

恭介「どうだお前ら、この完璧な作戦は」

謙吾「ふむ、完璧だな。さすが恭介だ」フッ

真人「おう。穴が全く見当たらねェぜ」

理樹「えぇ―…」

恭介「どうした理樹。不満そうじゃないか」

理樹「いやいや僕が朝まで来ヶ谷さんとお喋り、って無茶だよそんなの!」

恭介「?」キョトン

理樹「なに『何言ってんだお前』みたいな顔してるのさっ!二人からもなんか言ってやってよ!」

謙吾「いや……お前なら平気じゃないのか?」

真人「来ヶ谷もなんだかんだで仲いいし」

理樹「いくら仲良いって言ったって……ああもう!」

理樹(一晩中来ヶ谷さんと一緒だなんて……//)

恭介「良く分からんが頼むぜ、理樹」

次の日・放課後


恭介「次!ショートいくぞ!!!」カッキーン

来ヶ谷「っ!」バシュ ヒュッ

謙吾「ナイスボール!!」バシッ


葉留佳「なんか今日の恭介サン、気合い入りまくりですネ」

クド「その恭介さんのノックを一球も逃さない来ヶ谷さんもさすがです~」

恭介「次!バッティング練習! ……来ヶ谷、少しいいか?」

来ヶ谷「どうした?」

恭介「たまにはお前がピッチャーをやってくれ。鈴に打撃練習もさせたいし、全国いった時にピッチャー一人では心もとないからな」

来ヶ谷「(全国?)ふふ、クローザーと言う奴か。承知した」クスッ

真人「しゃあぁ!来いや、らいらいだにぃ!!!」

来ヶ谷「黙れ筋肉達磨!!!」ビュッ


小毬「ひゃ~……ゆいちゃん球速い……」

鈴「あ、あたしのほうが速いぞこまりちゃん。ま、まぁくるがやもなかなかやるみたいだな」

美魚「鈴さん、動揺しすぎです」

練習後・部室


クド「わふ~……今日の練習は疲れました……」

小毬「確かにいつもよりハードだったねぇ……」ヌギッ

来ヶ谷「ほほう……また少し胸が大きくなったのではないかね?コマリマックス」ニヤリ

小毬「ゆゆゆゆいちゃん!?///」バッ

来ヶ谷「ふふふ、そんな邪魔な布で隠すことは無いぞ?どれ、おねーさんが直々に大きさを測定しt」

鈴「やめろぼけー!!小毬ちゃんが怖がってるだろうが!」

来ヶ谷「はーはっは、鈴くんも一緒に可愛がってやろう」

葉留佳「いやはや……あの練習の中で一番動いてたはずなのに姉御は元気っすな~」

美魚「ですね」

部室の外


恭介「ふむ。中の喧騒を聞く限りまだまだ来ヶ谷に余力あり、だな」

謙吾「剣道部の練習以上とは言わないが、かなりきつかった筈だが」

真人「へっ。さすが俺を倒した女だぜ!」

理樹「あはは……そうだね」

理樹(正直僕もかなり疲れたんだけど……この3人も来ヶ谷さんに負けず劣らずの体力だよなぁ……)

謙吾「ところで恭介、一ついいか?」

恭介「ん?」

謙吾「今日の練習で能美や神北、おそらく三枝もかなり疲れている」

謙吾「来ヶ谷の寝顔のためとはいえ、さすがに夜に疲れる系のイベントはまずいんじゃないか?」

恭介「ん、確かにそうだな」

恭介「となると……!」

恭介「よし、じゃあこうしよう!」ニヤリッ

三人「?」

お風呂行ってご飯食べてきます。残ってたら書きます。すいません。

その日の夜


あーちゃん先輩「第一回リトルバスターズ夜更かし王決定戦開幕~」パフパフ

恭介「はい拍手~」

謙吾「いぇーい!」パチパチ

真人「やっふ~!!」パチパチ

理樹「はは……」パチパチ

鈴「なんだ?何が始まるんだ?」

クド「なんで寮長さんがいるですー?」

来ヶ谷「いきなり食堂に集められたと思ったら……なんだこれは?」

恭介「なんだお前にしては察しが悪いな、来ヶ谷」

恭介「バスターズの中で誰が一番最後まで起きていられるかを競う遊びさ」フッ

恭介「それじゃあ寮長、説明を頼む」

保守ありがとうございました

あーちゃん先輩「OK、棗くん」グッ

あーちゃん先輩「ルールは簡単、さっき棗君が言ったように誰が最後まで起きていられるかを競って貰うわ」

あーちゃん先輩「勿論、ここに寝た状態でね!!」バーン

【綺麗に並べられたベッド×9】

小毬「食堂の机が片付けられてベッドが並んでる~!?」

鈴「ん?9じゃ数が少なくないか?」

恭介「ああ、俺はお前らを眠らせる側に回るからな」

あーちゃん先輩「そう!あなた達はただベッドに寝ているわけではないわ!」

あーちゃん先輩「私や棗くんやその他諸々の妨害を受けながら!」

あーちゃん先輩「部活で疲れた体とその布団の寝心地の良さに苦しみつつ!!」

あーちゃん先輩「夜更かしをしなければならないのよっ!」バーン

美魚「確かにこの布団はふかふかで寝心地が良いですね」

あーちゃん先輩「あ、寝ちゃった子はその後一度起きて部屋に戻ってもらいます。さすがに男女混じって食堂に寝させるわけにはいかないし」

来ヶ谷「眠気に耐えつつ、もし寝たら起こされるのか。どっちにしろ地獄ではないか?」

あーちゃん先輩「よ~し、それじゃ皆、ベッドに入ったわね?」

葉留佳「むふふ、大人数で寝るというのはワクワクしますね♪」

小毬「修学旅行を思い出すよ~」

鈴「なんか恥ずかしい……」


真人「…俺さ」

理樹「ん?」

真人「枕が変わると寝られないタチなんだ……」

謙吾「だからなんだ?」

真人「この勝負、もらったぜ」


美魚「さて来ヶ谷さん」

来ヶ谷「どうかしたか、西園くん」

美魚「この勝負、誰が勝つと思いますか?ご自身を除いて」

来ヶ谷「そうだな……私を除外するのであれば、西園くんか理樹くんだろう」クスッ

美魚「大層な自身ですね」フフッ

クド「……っ」カク

葉留佳「おやおや、クー公はもう寝そうですヨ」

クド「ま、まだ寝ませんっ」

キーンコーンカーンコーン

理樹「チャイム?」

鈴「??なんだ?」

ガラッ

あーちゃん先輩(教師)「はい、授業を始めます」

小毬「りょ、寮長さんですよね?」

あーちゃん先輩(教師)「そこ、私語は慎みなさい」ビシッ

小毬「は、はいっ!」

理樹「あれ……就活で使ってるスーツかな」ヒソヒソ

謙吾「おそらくな。というかあの人ノリノリすぎじゃないか」ヒソヒソ

あーちゃん先輩「はい、それでは教科書のP64を開けてください」

葉留佳「せんせーい、教科書を持って来ていませーん」

あーちゃん先輩(教師)「そうですか。では本日は特別に教科書無しでベッドで横になったまま授業を聞いて構いません」

あーちゃん先輩(数学教師)「では数学の授業を始めます」ニコッ

あーちゃん先輩(数学)「皆さん、良く頑張りましたね。それでは」

バタンッ

葉留佳「あ、危なかった……途中で何コンマか意識がびましたヨ…」

理樹「ベッドに寝たままで数学、しかも自分が全く知らない3年の範囲だからね……」

来ヶ谷「私は面白かったよ」クスッ

美魚「井ノ原さんは開始2秒で寝ましたね」

謙吾「能美も気付いたら寝ていたな」

葉留佳「でもちょっと気になるのはさ、さっきクー公を部屋に誘導していったのて風紀委員の一人だったような…?」

ガラッ

佳奈多(音楽教師)「はい、きり―――はしなくていいわ」

葉留佳「お姉ちゃん!?」

来ヶ谷「ほう、この下らん遊びに寮会に続き風紀委員まで巻き込んだのか、恭介氏は」

佳奈多(音楽教師)「それでは今日は皆さんに」

葉留佳「無視!?なんでお姉ちゃんそっちサイドなのさ!?」

~回想~

数時間前


佳奈多「夜に食堂を貸し切って男女混じって夜更かし大会!?」

佳奈多「そんなの許可できませんっ!」

恭介「……そういえばな二木。俺はこんな生徒の噂を聞いたんだ」

佳奈多「何ですかいきなり」

恭介「何でも風紀委員という権力を使って自分の妹の寝顔を盗撮している奴がいるらしい」

佳奈多「あ、あなたその話は……」

恭介「いやいや、誰とは言わないが……ただもし「リトルバスターズ第一回夜更かし王」を出来なかったら口が滑ってしまうかも…」

佳奈多「そんな……これは恐迫よ!」

恭介「それにな二木……」

佳奈多「な、何よ?」

恭介「お前がその場で三枝を眠らせられれば寝顔見放題だぞ?」

佳奈多「食堂の使用を許可します」キリッ

~回想終わり~

佳奈多(ごめんなさい葉留佳)

佳奈多(いいえ、元はと言えば最近一緒に寝てくれないあなたが悪いの)

佳奈多(だから今日は―――ゆっくり眠りなさい)

佳奈多(音楽教師)「では今日は皆さんに音楽鑑賞をしてもらいます」

葉留佳「お!音楽鑑賞?ノリノリな奴?はるちんタンバリンで参戦していい?」

理樹「いやこの計画の趣旨で音楽鑑賞ってことは……」

佳奈多(音楽教師)「楽器の演奏は認めませんよ、はる――三枝さん。それに根神皆さんに鑑賞してもらうのは」

佳奈多(音楽教師)「クラッシクです」ニッコリ


葉留佳「」

小毬「う、絶対寝ちゃうよ~」

来ヶ谷「ふむ……」

♪♪~~~


佳奈多「それでは終わります!」

バタンッ

謙吾「二木の奴、物凄いスピードで去っていったな」

来ヶ谷「愛しの妹のところに行ったんだろう」クスッ

美魚「三枝さんが寝てしまった時も、チェックと称して穴があくほど見つめていましたしね」

鈴「こまりちゃんも寝ちゃったか……」

理樹「あとはこの5人だね……」

ガラッ

恭介「お、まだ5人も残ってるのか」

理樹「あれ?恭介は教師じゃないんだ」

恭介「ああ、俺はお前らに読み聞かせをするだけだからな」

謙吾「なるほど。だが数学やクラッシクに打ち勝った俺たちが絵本ごと気で寝ると思っているのか?」

恭介「ん?誰が絵本なんて言った?」

恭介「じゃあ読み聞かせ始めるぞー」

恭介「養老孟司・著『バカの壁』」

謙吾「」

美魚「これを読み聞かせ、ですか……」

理樹「はは……」

クラッシク

恭介「……っとそろそろ時間か」

美魚「…」

来ヶ谷「これは中々強烈だな。一回読んだことがある本だから内容も知っているし、恭介氏の良い声が余計に眠気を引きたてたよ」

美魚「…」

恭介「……」ジーッ

美魚「……zzz」スースー

恭介「はい、西園アウト―」

西園「zzz…」

恭介「ん?起きないな」

来ヶ谷「私が部屋に連れて行こう。どのみち私の優勝だろう」

恭介「まぁな。まさか鈴、理樹、謙吾が揃って寝るとはな」

来ヶ谷「存外彼らにとって脅威であったのは本の内容より君の声かもな。慣れ親しんだ君の声で落ち着くというか安心するというか」

恭介「まさか。それじゃあ西園を頼むぞ」

来ヶ谷「ああ、任された」クスッ

>>115
orz
☓クラッシク
○クラシック

理樹・真人の部屋


真人・謙吾・理樹「…」ボーッ

恭介「っと現状来ヶ谷はまだまだ寝そうにない……ん?どうしたお前ら」

真人「普通に眠い」

謙吾「真人に同じく」

理樹「僕も……」

恭介「おいおいマジかよ……いいか、思い出せ!」

恭介「俺たちは来ヶ谷の寝顔を見るんだろ!」

恭介「さっき神北や能美や三枝が見せた顔来ヶ谷verが見たくないのか!!」

謙吾「くっ……見たい!」

真人「え?俺、神北や能美や三枝のも見てないんだけど」

理樹「まぁ真人は一番最初に寝たからね……」ハハ・・・

恭介「そういうわけだ理樹。いっちょ頼むぜ!」つ 眠○打破

理樹「……わかったよ、行ってくる!」

来ヶ谷の部屋の前


理樹(はぁ普通にここまで来れちゃったよ……)

理樹(本当なら3人が足止めするはずだったけど風紀委員長がどっかいっちゃたしね……)

ガチャ

来ヶ谷「ん?理樹くん?何をしているんだ、こんな時間に」

理樹「あ、えーと……ちょっと来ヶ谷さんに話があって……。ところで何で今ドア開けたの?なんか音、聞こえた?」

来ヶ谷「いや?音はしなかったがドアの外から気配がしたから開けただけだよ。入りたまえ」クスッ

理樹「あ、失礼します……(やっぱ来ヶ谷さんの就寝時に来なくて良かった……)」


来ヶ谷「数学を教えてほしい?」

理樹「うん。さっきの夜更かし王の時に寮長が言っていたところとか教えて欲しくてさ。ほら恭介に3年の教科書も借りてきたし」

来ヶ谷「まぁ教えるのは構わないが別に今日じゃなくても良いんじゃないか?ほら、明日の数学をサボって二人でお茶でも飲みながら」

理樹「きょ、今日が良いんだ!!ううん、今日じゃなきゃダメなんだ!!明日恭介と小テスト対決するから」

来ヶ谷「1学年下と自分の学年の内容で勝負とか……そこまで落ちたか棗兄よ……」

来ヶ谷「まぁそういうことなら付き合おう」クスッ

理樹「あ、ありがとう来ヶ谷さんっ!」パァァ

来ヶ谷「…っ// 礼には及ばないよ。それ範囲は?」

理樹「え~とね……から……かな」

来ヶ谷「ふむ。まぁ頑張れば一晩でどうにかなるな」


~~~

来ヶ谷「まずはこの公式を頭にたたき込め。いいな?」

理樹「なるほど……」カキカキ

~~~

来ヶ谷「そこはそうじゃなくて、こっちの式を使うんだ。落ち着いてもう一度解き直してみたまえ」

理樹「う、うん」カキカキ

~~~

来ヶ谷「……っし。OKだよ」マルッ

理樹「良かった…」ホッ

来ヶ谷「最後が少し違うな。いいか?」

理樹(来ヶ谷さん、教えるの上手いな)

来ヶ谷「―――――――!――――?」

理樹(それに僕の嘘の為にこんなに必死になってくれてる)

来ヶ谷「―――?」

理樹(ああ、悪いことしちゃった、な……zzz)

理樹「zzz……」スースー

理樹「!」バッ

来ヶ谷「おや、お目覚めかい?理樹くん」クスッ

理樹「僕、寝てたのか……えと今何時?」キョロキョロ

来ヶ谷「君が寝たのが4時頃で今が6時半過ぎだ。早く男子寮に帰った方が良いぞ?」

理樹「(2時間半も……!)その間来ヶ谷さんも寝ていたの?」

来ヶ谷「ふふっ、プレゼントだ」スッ

理樹「これはプリント……?」

理樹(!!今日、恭介とテストするって言った部分のポイントや覚えるべき公式が凄い丁寧にまとめられてる)

来ヶ谷「いつテストするか聞いていなかったが今日のどこでそれに目を通しておきたまえ」

理樹「あ、ありがとう!!それじゃあ!!」

理樹(ごめん!来ヶ谷さん)

バタンッ

来ヶ谷「さて着替えて朝食に行く準備をするか」

理樹・真人の部屋


理樹「というわけなんだ……僕、罪悪感で潰れそうなんだけど」

恭介「このプリントすげぇぞ。普通に売れるレベルだ」

謙吾「理樹の罪悪感もわからなくはないが、ここまで来たら退けないだろう?」

真人「それもそうだな。なんだかんだ計画は上手くいって、来ヶ谷は24時間以上寝てないしな」

恭介「そして俺は既に学校中のコーヒーを買い占めた」

恭介「これより計画は最終フェイズに入るぞ」

理樹「……うぅ。あ、恭介一つ頼まれてくれないかな?」

恭介「ん?」

理樹「あのね―――」

その日の数学の授業


理樹(来ヶ谷さん、珍しく授業受けてる)

理樹(そういえばさっき小毬さんにコーヒーが売り切れでお茶出来ないって愚痴ってたし……)

理樹(やっぱり恭介のコーヒー買い占め作戦も効いてるなぁ……)

理樹(それにしても)チラッ

来ヶ谷「……」カキカキカキカキ

理樹(全然眠そうにみえないや。それに引き換え……)チラッ

真人「zzz……き、きんにくさん、、いかっがすかぁぁ…zzz」

理樹(どんな寝言だよ、真人!)

放課後・野球練習


恭介「よし今日も張り切っていくぜ!」

恭介「まずはランニングからだ。声出してけー!」

バスターズメンバー「おー!」


恭介「いくぞ、ショート!」カキーン

来ヶ谷「ふっ!」パス ビュッ

謙吾「ナイスボール!」バシッ

恭介(あれ…?)

謙吾(動きが全く落ちていない、だと)


真人「おいおい、昨日と動きが全く変わってないぞ」ヒソヒソ

理樹「う、うん。まるで寝てないとは思えないね」ヒソヒソ

練習後


恭介「さて諸君。ついにこの時がやってきたわけだ」

謙吾「一日半ぐらいか。長かったな」

恭介「今あの部室の中には来ヶ谷一人」

恭介「おそらく爆睡中だろう」

真人「え?さっきの練習見てたらなくね?」

理樹「言わないであげて真人。恭介は自分の計画が破綻していることを認めたくないんだよ」

真人「あー…なるほど」

恭介「うるせぇ!!このドアの向こうで来ヶ谷がn」

ガシャン

恭介「ひでぶっ」

来ヶ谷「うるさい……と思って思いっきりドアを開けてしまったが何かにぶつかったかな?」

真人「あーただの馬鹿だから放っておいてやってくれ」

その日の夜
理樹・真人の部屋


恭介「ったく結局来ヶ谷は寝なかったな」

謙吾「おしいところまではいった気がすがな」

真人「アイツ寝なくても平気なんじゃね?」

理樹「それは無いと思うけど。ところで恭介、例の件良いかな?」

恭介「俺は構わないが……マジでやるのか?」

真人「? ん? お前らなんかするのか。俺も混ぜろよ!」

理樹「いいの?数学の小テスト対決だけど」

真人「……いや、いいです」ショボン

食堂


恭介「まさかバスターズメンバー立ち合いのもとでテストをするとはな」

来ヶ谷「なに、みんな君と同じで面白いことが好きなのさ」クスッ

鈴「お前、3年のくせに2年の理樹と対決なんて……アホだったのか!」

恭介「」ガーン

理樹「……鈴、別に恭介がアホってわけじゃないから」ハハハ・・・

来ヶ谷「問題は5問10点満点の小テスト。公平を期すために学校側から拝借した。無論棗兄が受けていないものを、だ」

来ヶ谷「では……はじめ!」


恭介(確かにあのプリントは凄かったが、それでも学年の差は埋まらないぜ?理樹)カキカキ

理樹(せめて……自分勝手だけど……ここで恭介に勝つことで来ヶ谷さんに恩返しと償いを!)カキカキ

来ヶ谷「そこまで!」

来ヶ谷「採点は私がしよう。勿論公平に行うよ」

来ヶ谷「ふむ……ほう」ニヤッ

来ヶ谷「結果を発表する」

理樹「」ゴクッ

恭介「ゴクッ

バスターズメンバー「」ゴク

来ヶ谷「理樹君くん点!恭介氏8点!!よって理樹くんの勝ち!!」

恭介「」

鈴「こいつあほだ!」

小毬「そ、そんなこと言っちゃダメだよ~」アセアセ

来ヶ谷「よくやったな、理樹くん」クスッ

理樹「ありがとう、来ヶ谷さん」

来ヶ谷「だが、1点の落としたのはいただけないな。あとでその復習をやるから私の部屋に来い」ヒソヒソ

来ヶ谷「あと勝利のご褒美もやろう」ヒソヒソ

理樹「え?」

来ヶ谷の部屋の前


理樹(で言われたままに来たけど)

理樹(そういえば今日も佳奈多さんいなかったな……)

理樹(昨日見たいに待ってたら出て来てくれるかな)

理樹(……)

理樹(……出てこない)

コンコン

理樹「来ヶ谷さん?入るよ?」

ガチャッ

来ヶ谷「zzz……」スースー

理樹「!?」

理樹(ね、寝てる!?来ヶ谷さんが普通に寝てる!?)

来ヶ谷「んにゃ……zzz」スースー

理樹(今、「にゃ」って言った!?来ヶ谷さんが「にゃ」って言った?!)

理樹(てゆうかこれが来ヶ谷さんの寝顔か……やば、可愛いすぎ……///)

理樹(なんか思い外幼いって言うか普段とのギャップがすごい)

タカクトベータクソラヘー♪

理樹「!?」ビクッ

理樹「携帯の目覚まし?」

来ヶ谷「あぁ、そうだよ。おはよう、理樹くん」ゴシゴシ

理樹(来ヶ谷さんが寝起きで目をこすってる!これも貴重なシーンのような)

来ヶ谷「で、どうだった?棗兄に買ったご褒美は?」

理樹「え?」

来ヶ谷「見たかったのだろう?私の寝顔」クスッ

理樹「き、気付いてたの?」

来ヶ谷「最初の違和感は昨日の練習」

来ヶ谷「私狙いのノックはまだしも私にピッチャーをやらせた時点で何か引っかかってな」

来ヶ谷「自分で言うのもなんだが、運動神経抜群の私を順当に二番手ピッチャーにするなどあの棗恭介が考えるとは思えない」

来ヶ谷「そして昨日の夜のイベント」

来ヶ谷「あれは逆に直球すぎてわかりにくかった……が」

来ヶ谷「佳奈多くんの葉留佳くんの寝顔への執着を見てな、もしかしたらと」

来ヶ谷「そして君の真夜中の数学特訓に、今日のコーヒー買い占め。これはもう気付かない方がおかしいよ」クスッ

理樹「な、なるほど……それで怒ってる?」

来ヶ谷「当然だ……と言いたいところだが、野球練習も数学の勉強も皆や君の力になったし」

来ヶ谷「昨日の夜のイベントは滅多に見られない美魚くんの寝顔も見れたからな。そんなに怒ってはいないよ」

来ヶ谷「あぁ、コーヒーを買い占めたあげく2年生に小テストで負けた馬鹿は許さんが」

理樹「はは、ありがと……(ドンマイ、恭介…)」

来ヶ谷「まぁ棗兄は後日刑に処すとして……」

来ヶ谷「君も一つ罰を受けてもらおう」

理樹「な、なんなりと……」

来ヶ谷「これから私は寝る」

来ヶ谷「正直なところかなり眠いからな。君たちのせいで」

理樹「う……だからゴメンって……」

来ヶ谷「だから一晩中側にいろ」

理樹「え?」

理樹「でもそれじゃあ寝顔見れちゃうから、さっきのご褒美と同じじゃ」

来ヶ谷「ええい黙れ、このファッキン特殊性癖小僧!」

理樹「えぇ!?酷いよ!」

来ヶ谷「とにかく!一晩中誰もこの部屋に近づけるな」

理樹「う、うん」

来ヶ谷「zzz…」スースー

理樹(ホントにすぐ寝ちゃった……無理させてたんだぁ)

理樹(ゴメンね?来ヶ谷さん)

来ヶ谷「zzz……」スースー

理樹「……」

理樹(ちょっとぐらい……うん)ナデナデ

来ヶ谷「んっ……zzz」スースー

理樹(来ヶ谷さんが可愛すぎて地球がやばい)

理樹(てゆうか来ヶ谷さんの髪さらさらしすぎでしょ……)

理樹(……ん?)

理樹(そういえば来ヶ谷さんって嘘だとわかってて僕の勉強に付き合ってくれてたんだよね)

理樹(もしかして……って来ヶ谷さんに限って無いか)

理樹(でもそうだったら嬉しいな……)チラッ

来ヶ谷「zzz……」スースー

そして月日は流れ


~~~~

生徒A「聞いたか?風紀委員に風紀委員が捕まったって話」

生徒B「何でも捕まった風紀委員は元委員長で妹の部屋に盗撮にいったところを捕まったらしいぜ」

生徒A「大丈夫かよ、うちの学校」

~~~~

生徒C「先生!3年○組の棗くんが!」

先生「また棗恭介か。今度は何をやらかしたんだ?」

生徒C「コーヒーで満たした寮の浴槽の中で犬神家のごとく逆立ち状態で気絶しているのが見つかりました!」

先生「」

~~~~

~~~~

「好きなんだ」

「えっ?」

「うん、恋してるってほうの……好きだ」

~~~~

終わり

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