アニ「エレンの奪取に成功した」(61)

※エレン「アニ」 の>>17で思いついたネタ

エレアニのイチャラブかもしれない

コミック8~10巻未読の人はネタバレ注意な!

エレン「アニ」

アニ「なんだい?」

エレン「はらへった」

アニ「そっか。じゃあご飯にしよう」

エレン「おう!」

アニ「何が食べたい?」

エレン「うみのさかな!」

アニ「魚か。気に入ったの?」

エレン「うん。めちゃくちゃうまい」

アニ「ならそうしようか。確かまだ、備蓄があったはずだし」

エレン「なあ、アニ」

アニ「ん?」

エレン「そとのせかいって、きれいだな!」

アニ「ああ、そうだね」

アニ「ほら、焼けたよ。食べよう」

エレン「いただきます!」

アニ「うん」

エレン「うめー! これなんていうんだ!?」

アニ「さあね。私もあんまり魚は詳しくないんだよ」

エレン「そうなのか……アルミンだったらわかるかな?」

アニ「……さすがのあいつでも、外の世界のことはわからないさ」

エレン「そっか」

アニ「ほら、口の周りにいっぱいついてるじゃないか」

エレン「ありがとうな、ミカサ!」

アニ「……いいんだよ。それから、私はアニだよ」

エレン「?? あたりまえだろ、そんなの」

アニ「そうだね。さあ、魚が冷めちゃう前に食べよう」

エレン「アニ! うみだぞ、うみ!」

アニ「ああ、海だよ」

エレン「すっげー! でっけー! しおかれー!」

アニ「あ、こら! 服のままで海に入るな!」

エレン「えー、いいじゃん」

アニ「はぁ……まあ入っちゃったなら仕方ないか。念のため着替えを持ってきておいてよかったよ」

エレン「なんだ、きがえあるんじゃん。ならいっしょにあそぼうぜ、アニ!」

アニ「えっ」

バシャーン

アニ「…………」

エレン「…………」

アニ「シッ!」

グルーン バシャーン

女型の巨人「…………」スッ

女型の巨人「………!」ケリ

バッシャーン!

魚A「なんぞwwwwwwwwwww空飛んだったwwwwwwwwwwあいきゃんふらーいwwwwwwwwwww」

魚B「うはwwwwwwwww息できねぇwwwwwwwwwwwテラくるしすwwwwwwwwwwwwww」

魚C「蹴り上げ漁法とかwwwwwwwwwwwwざwwwwwwんwwwwwwしwwwwwwwんwwwwwww」

エレン「さかなってこうやってとるのかー」ヒョイヒョイ

アニ「普通は網とか釣竿で獲るんだよ。道具も何もないから、手っ取り早くやってるだけさ」ヒョイヒョイ

エレン「アニ、これたべごろか?」

アニ「それはまだ小さいから駄目。その横になってる奴ならいいよ」

エレン「うまそーだな! これなんなんだ?」

アニ「スイカだよ。壁の中にはなかったね。甘くて美味しい」

エレン「マジか! たのしみだな!」

アニ「そうかい。ほら、もうちょっと頑張って野菜の収穫手伝ってくれたら、おやつにそれ切ってあげるから」

エレン「!? おれがんばるよ!」

アニ「ああ、頑張って」

エレン「アニ、これはなんなんだ?」

アニ「蹴りの訓練用の道具だよ。もう何年も使ってないから、大分ボロボロだけど」

アニ「シッ!」バシン!

アニ「まだ使えそうだね」

エレン「なあ! おれにもそれ、おしえてくれよ」

アニ「……いいよ。でも、まずはご飯の支度してからね」

エレン「えー、いまおしえてほしい!」

アニ「ご飯抜きでもいいなら教えてやるよ」

エレン「それはこまる!」

アニ「焦らなくてもいいよ、時間はまだ余裕があるんだから」

アニ(エレンの世話して、家事をこなして、野菜を作って、時間があれば海に行ったり、エレンに格闘技教えたり)

アニ(二人きりの生活)

アニ(なかなか有意義な時間じゃないか)

アニ(……いつまで続くだろうね、こんなおままごとは)

アニ(いつまでなら、続けても許されるんだろう、ね)

アニ「エレン……? エレン!?」

アニ(家の中に居ない!? 勝手に出て行った? まさか!)ガチャ

エレン「お? どうした、アニ」

アニ「……あんたね! 勝手に外に出たら駄目だろ!?」

エレン「ご、ごめん。でもさ、そとでひるねしたらきもちいいんだぞ?」

アニ「それだけの理由か、よかった……家から見える範囲に居るんだよ?」

エレン「わかってるよ」

アニ(エレン見ておかないといけないし、洗濯物干しちゃおうか)ゴソゴソ

エレン「なー、アニー」

アニ「なんだい?」

エレン「かべってどこにあるんだ?」

アニ「……そんなこと、知ってどうするの?」

エレン「だって、みんなむかえにいかないとだめだろ?」

アニ「いいんだよ。あんたがここにいれば、みんな何時かは壁の外に出れるんだから」

エレン「そっかー」

アニ「だからさ、ちょっと窮屈かもしれないけど、私とあんた二人で暮らしていかなきゃ駄目なんだよ」

エレン「そっかー」

アニ「……嫌、かな?」

エレン「そんなことないぞ?」

アニ「……本当?」

エレン「おう! あ、でも、やっぱりみんなにあいたいな」

アニ「……今は、我慢してよ、エレン。お願いだから」

ライナー「よお、エレン」

エレン「ライナー? ライナー! ひさしぶりだな!」

ライナー「ああ、元気だったか?」

エレン「おう! おれもアニもげんきだぞ!」

ライナー「ははは、そりゃよかった。で、アニは?」

アニ「居るよ。いつも悪いね」

ライナー「いいさ。俺が好きでこっちまで来てるんだからな」

エレン「にくもってきてくれたか!?」

ライナー「もちろんあるぞ? ただ、普段よりちょっと少ない」

エレン「そっか……」

アニ「何かあった?」

ライナー「あー……」チラッ

アニ「エレン、ライナーが持ってきた荷物を貯蔵庫に入れてきてよ」

エレン「わかった!」

アニ「……で、何があったの?」

ライナー「想像はついてるだろ? あっち派がちょいと出しゃばってきて、手間取っただけだ」

アニ「そっか。ならしょうがないね」

ライナー「なあ、アニ。エレンの様子はどうだ?」

アニ「一週間前と同じさ、変化無しだよ」

ライナー「変化無し、ね……。これで二ヶ月か。まったく、あいつの嫌味な顔が浮かぶぜ」

アニ「ベルトルト?」

ライナー「ああ。ま、仕方ないことなんだけどな?」

アニ「前から言ってるけど、その仕方ない理由ってのはなんなんだい?」

ライナー「秘密だ」

アニ「……思わせぶりに言う割には、いつも口を割らないんだね、あんた」

ライナー「男の約束って奴さ」

エレン「アニ! きょうはにくがいい!」

アニ「そうだね。ちょっと贅沢しようか、今日は」

エレン「なんで?」

アニ「……なんとなく、そうしたい気分だから、かな」

エレン「そっか。なにつくるんだ?」

アニ「挽肉がある。それからチーズもライナーが持ってきた新しいのがあるから、古いほうを使っちゃおうか」

エレン「……あ、もしかして!」

アニ「そ。チーズハンバーグ」

エレン「マジで! アニ、ありがとう!」

アニ「ふふ、ほんと好きなんだね」

エレン「ああ! ここにきて、アニにはじめてつくってもらったりょうりだからな!」

アニ「……そっか///」

エレン「きょうのばんめしもうまかったぞ」

アニ「それはよかった。さ、もう寝るよ」

エレン「なあ、なんでアニはいつもゆかでねるんだ?」

アニ「ベットが一つしかないなら、あんたが使うべきなんだよ」

エレン「おんなのこがつかうべきじゃないか?」

アニ「……あんたに初めて女扱いされた気がするね、二ヶ月経った後だけど」

エレン「はじめてってことはないだろ?」

アニ「さて、ね。とりあえず私のことは気にしないでいいから、もう寝なよ」

エレン「でも、ゆかはかたくないか?」

アニ「もう慣れたよ」

エレン「……そうだ! いっしょにねればいいんじゃないか?」

アニ「」

アニ「……それは、駄目」

エレン「でもゆかでばっかねてたらしんどいだろ」

アニ「だから、慣れたって!」

エレン「な、なにおこってんだよ……」

アニ「怒ってない」

エレン「おこってるだろ!?」

アニ「あんたがしつこいからだ」

エレン「ほら! おこってるじゃないか!」

アニ「っ! ……はぁ、もういいから、寝よう」

エレン「……じゃあおれもゆかでねる」

アニ「はぁ?」

アニ「ベッドがあるだろ? 使いなよ」

エレン「アニがベッドつかうならつかう。つかわないならおれもつかわない」

アニ「なんでそうなる……わがまま言わないで、ベッド使いな」

エレン「いやだ」

アニ「あのね、男と女が同じベッドで寝るわけにはいかないだろ!」

エレン「え? おれミカサとねてたぞ、むかし」

アニ「……子供の頃でしょ」

エレン「いまもこどもじゃないか」

アニ「はぁ?」

エレン「15さいって、こどもだろ」

アニ「……そのへんの線引きは人によるんじゃないか? よくわからないけどさ」

アニ「……何もしないだろうね?」

エレン「? ねるいがいなにをするんだよ」

アニ「……意識してた私が馬鹿みたいじゃないか///」ボソッ

アニ「わかったよ、私もベッドを使う、あんたも使いな。ただし、変なことしたら蹴り飛ばすからね?」

エレン「だからへんなことってなんだよ!」

アニ「う、うるさい/// さあ、寝るよ」

エレン「おう」

アニ「ちょ、もうちょっと端に寄りなよ///」

エレン「むりいうな。もうかべにせなかくっついてるんだよ」

アニ「こっちだってギリギリだ」

エレン「いや、おまえがもうちょっとこっちによればいいだけじゃね?」

アニ「……かっ、身体が当たっちゃうじゃない///」

エレン「いいだろ。ミカサなんかむきあってだきついてきてたぞ」

アニ「…………」イラッ

アニ「ほ、本当に変なことするなよ!?」

エレン「わかんねーことできるわけないだろ」

アニ「……っ!///」ダキッ

エレン「べつにだきつけ、とはいってないけど」

アニ「ミカサはしてたんだろ!? なら私がしちゃ駄目なのか!?」

エレン「だめとはいってないだろ! おこるなよ!」

アニ「くっ……///」

アニ(……こいつ、本当はわかってるんじゃないだろうね///)

エレン「アニ」

アニ「なんだい」

エレン「そとのせかいって、すごいな」

アニ「そうかな? 私はこっち出身だから、よくわからない」

エレン「ぜんぜんすげーよ。うみがほんとうにある。どうぶつがたくさんいて、たべものにこまらない」

アニ「まあそのあたりは、壁の中が不便過ぎるだけだよ」

エレン「おれ、かざんにのぼってみたいな」

アニ「火山は危ないから、うかつには近寄れないよ。遠くから見るだけなら出来るけど」

エレン「なんだ、ざんねんだな」

アニ「ねえ、エレン。慌てなくてもいいよ。ゆっくり、二人で、いろいろ見て回ろうよ」

エレン「……みんな、じゃないのか?」

アニ「……今は、無理だね。でもいつかは、みんなでいけるさ」

エレン「そっか。じゃあ、おれとアニでさきにしたみってことだな」

アニ「そういうことだね。ま、それももうちょっと先の話だ。しばらくはこの生活だよ」

エレン「いつになったら、このせいかつがおわるんだ?」

アニ「……さあね」

アニ(ねえ、エレン)

アニ(もしこの生活が終わってしまう日が来たら)

アニ(そのときあんたは、私の側に居てくれるかい?)

アニ(それとも……)

アニ「ねえ、エレン」

エレン「Zzz……」

アニ「……おやすみ」

アニ「でも、私が賭けたのは、ここからだから」

アニ(あの日、アルミンの策に嵌ったフリをし、エレンを奪取したあの日)

アニ『なんとか巨人化は出来た……けど、このままじゃエレンに逃げられる!』

アニ『内地で巨人化したんだ。もう後戻りは出来ない。絶対にやり遂げてみせる、その為には!』

ドガンッ!

アニ『……どうだ!?』

エレン「う、うわああああああああああああああ!」

アニ『よし、エレンは生きてる。あとは……!?』

アニ『エレンが動かない? 泣いてる?』

アニ『……腕だけを、握り締めてる? 誰の?』

アニ(幸か不幸か、私の一か八かの賭けは、成功した)

アニ(エレンの行く手を阻む為の一撃が、アルミンとミカサを巻き込んで)

アニ(絶望のどん底に落とされたエレンは、私に捕まったまま、最後まで抵抗しなかった)

アニ(ウォール・シーナの突破に成功し、ウォール・ローゼで女型の巨人追撃任務で接近してきたライナー、ベルトルトと合流)

アニ(二人にエレンの奪取が成功したことを伝え、私たち三人は巨人になり、ウォール・ローゼを突破)

アニ(そのままシガンシナ地区を通過し、ついに私たちは、故郷への帰路へと着いた)

アニ(意気揚々と故郷へ辿り着いた私たちを出迎えたのは、凱旋パレードだった)

アニ(あのときの興奮は今でも覚えている)

アニ(だが、ひとつだけ、大きな誤算があった)

アニ(エレンの心が、壊れてしまっていた)

アニ(エレンの巨人化能力。これを解明することが出来れば、人類を抹殺する必要はなかった)

アニ(しかし肝心のエレンは、受け答えは出来るものの、知能が著しく低下し、まるで子供のような会話しか出来なかった)

アニ(外傷は見受けられないため、心因性のものだと医者は言った)

アニ(無理もない、唯一残った家族であるミカサと、唯一無二の親友であるアルミンを目の前で、私が、奪ったのだから)

アニ(ここで、私たちの意見は二つに分かれてしまう)

アニ(希望は潰えたとして、今までどおり人類を抹殺すべきだとする意見と)

アニ(エレンの回復に一縷の望みを繋ぐべきだとする意見)

アニ(そして現在は後者の意見が採用されている状態であり)

アニ(エレンの世話係として、私が立候補した)

アニ「ん……もう朝か」

アニ(結局何もされなかったってのは、結構複雑な気分になるもんだね)

アニ(って、それじゃあいつとそういう関係になりたいって言ってるようなもんじゃないか!///)

アニ(……いや、そうなんだろうね。きっと)

アニ(私は、エレンが巨人化した事実を知り、任務をエレンの奪取に変更したとき、踊りだしたい気分になったじゃないか)

アニ(あいつの世話係を申し出たのだって、責任を感じていたこと以上に、そういう気持ちがあったじゃないか)

アニ(今更、取り繕う必要もない、か)

アニ「……?」

アニ「エレン!?」バッ

アニ「……いない」

アニ「家の中にも、庭のほうにも居ない」

アニ(ああもう、自分の甘さが嫌になるね)

アニ(床で寝てたのは、エレンが逃げ出さないように扉を塞ぐ目的もあったじゃないか)

アニ(それを忘れて、一緒にベッドで寝るだなんて……本当に、馬鹿か、私は)

ミーナ『アニ、恋は盲目って言葉知ってる?』

アニ『なにそれ』

ミーナ『女の子ってね、恋しちゃうと周りが見えなくなるくらい、その人のこと考えて夢中になっちゃうんだよ!』

アニ『あっそ』

ミーナ『むー、つれないなー。アニはそういう経験ないの?』

アニ『ないよ。今までも、これからも、ないだろうね』

アニ(……あぁ、そんなことも、あったね。なんでこのタイミングで思い出しちゃったんだろう)

アニ(あんたは死んでも意地悪だ、ミーナ。あのときちゃんと、ごめんなさいって謝ったじゃないか)

アニ「……巨人化でもして逃げたなら、足跡がわかりやすいんだけどね」

アニ(逃げた方角もわからないんじゃ、追いようがないけど)

アニ(仮にエレンが正気を取り戻し、壁の中へ戻ろうとしたのなら、行き止まりの海とは反対方向を目指すんじゃないか?)スッ

アニ「よし、探そう」ガリッ

カッ!

女型の巨人(エレン、あんまり遠くに行ってなければいいけど)

ズシンズシン

女型の巨人(でも、どうする? 仮に正気を取り戻したのだとしたら、私はどうすればいい?)

女型の巨人(エレンは、私を許してくれるだろうか?)

女型の巨人(……そんなわけ、ないよ。私はあいつの家族を奪ったんだ。殺されても文句言えない)

女型の巨人(殺される、か。エレンになら、殺されてもいいかもしれないね)

女型の巨人(前言撤回するよ、ミーナ。恋って奴は厄介だ、まったく)

女型の巨人「……!?」

女型の巨人(大型……!? ベルトルトか!)

超大型巨人「…………」

女型の巨人(あいつが手に持ってるのって……!?)

エレンゲリオン「があああああああああああああ!」

女型の巨人「エベン! ヴェルヴォルオオオオオオオオオオ!」

超大型巨人「…………」グググ ブチッ

エレンゲリオン「!?」シュウウウウ

女型の巨人(!? いや、大丈夫。巨人状態の胴体を引き裂いたくらいなら、エレンは死なない!)シュウウウウ

エレン「」

アニ「エレン、エレン!」

超大型巨人「…………」シュウウウウウ

ベルトルト「やあ、アニ。久しぶり」

アニ「ベルトルト! どういうことだ!?」

ベルトルト「それはこちらの台詞だよ。エレンが逃げていた。それを捕まえてあげたんだ。感謝されてもいいくらいじゃないか?」

アニ「はっ! 監視なんて、趣味が悪いね」

ベルトルト「違うよ。偶然だ。僕は偶然、逃げているエレンを見つけただけだ」

アニ「偶然? そんな偶然あるわけ……!?」

ベルトルト「そうだよ、アニ。僕は違う目的で来た」

ベルトルト「エレンは希望に成りえない、やはり人類は滅ぼすしかない、そう決定した」

アニ「……そうかい」

ベルトルト「そして、エレンの処分も」

アニ(だろうね、そうなりゃエレンは用済みだ。その上、下手に生き長らえさせても、人類抹殺反対派の抵抗の火種になりかねない)

アニ「わかったよ。エレンは私が処分しておく」

ベルトルト「それは僕の役目だ」

アニ「なんでだい? 私がやろうと、あんたがやろうと、結果は変わらないだろ?」

ベルトルト「結果が変わってしまうから、言ってるんだよ」

ベルトルト「アニ、君はエレンに仲間意識を……いや、それ以上の感情を持ってるんじゃないかい?」

アニ「……そんなわけ、ないだろ」

ベルトルト「君はエレンを処分すると言いながら処分はせず、あわよくば二人で逃げてしまうつもりなんだろ?」

アニ「そんなことする必要がない」

ベルトルト「なら、君がエレンを処分する必要もないじゃないか」

アニ「……チッ」

アニ(よく頭が回るじゃないか、ベルトルト。いや、こいつは元々私たちの中でも指令役だったね)

ベルトルト「冷たい目だね。僕と、戦う気なのか?」

アニ「……ねえ、ベルトルト。恋は盲目って言葉、知ってるかい?」スッ

ベルトルト「……知ってるさ、嫌と言うほどね」スッ

ライナー「うおおおおおおおおおおお!」

アニ「!?」

ベルトルト「!?……ぐぁ!」

アニ「ライナー!?」

ライナー「とっととエレンを連れて逃げろ、アニ!」

ベルトルト「ら、ライナー! 君はどういうつもりだ!」

ライナー「悪いな、ベルトルト! お前の恋を応援したかったが、そのために昔の仲間が殺されるのは納得がいかねえんだよ!」

ベルトルト「君は……っ!」

アニ「ライナー! あんた……!」

ライナー「いいからいけ! そんで、エレンと幸せになりやがれ!」

アニ「馬鹿だよ、ほんと……。ありがとう、もう二度と会うこともないだろうけど!」

ライナー「ああ、それでいい!」

アニ「」ガリッ

女型の巨人「……!」ズシンズシン

ベルトルト「くっ……アニ! 僕は、ずっと君のことが……!」

ベルトルト「……離してくれよ、ライナー」

ライナー「俺だって男を羽交い絞めにする趣味はねえが、一応アニが見えなくなるまでは、な」

ベルトルト「裏切り者」

ライナー「悪いな」

ベルトルト「……でもありがとう。多分きっと僕はエレンを殺していた」

ベルトルト「そうなったら、アニには一生口を聞いてもらえなかっただろうね」

ライナー「んなわけないだろ」

ベルトルト「え?」

ライナー「エレンを殺すだけなら、エレンを捕まえたときに出来たはずだ」

ライナー「それをしなかったってことは、お前はエレンを殺すより優先したいことがあった」

ライナー「アニの気持ち、確かめたかったんだろ。で、結果アニはエレンを選んだ。ならお前がエレンを殺すことなんて出来ないはずだろ?」

ベルトルト「はは……お見通しか」

ライナー「ほら、立てよ」

ベルトルト「ありがとう……ねえ、ライナー。恋って奴は、辛いもんだね」

ライナー「恋をした相手が、すでに自分以外に恋をしちまってたんだ。逆転すんのは難しいな」

ベルトルト「僕は、盲目にはなりきれなかったからね」

アニ「はぁ、はぁ……」シュウウウウ

エレン「」

アニ(なんとか、逃げれたか? 追っ手がない以上、大丈夫だと思いたいけど)

アニ(さて、どこに潜伏しようか。エレンが海好きだから、海沿いがいいと思うけど)

アニ(見つかりにくさを考えたら、森のほうがいいね。エレンには悪いけど、しばらくはどこかの森で暮らそう)

エレン「うぅ……」

アニ「……エレン? 大丈夫かい?」

エレン「ア、アニ……?」

アニ「よかった。わりと乱暴に運んじゃったからね。でももう大丈夫だよ。あいつら追ってこないし、ひとまずは安心だ」

エレン「アニ……」

アニ「で、とりあえずもう少し移動して、山のほうに潜伏しようと思う。海沿いは諦めて……」

エレン「お前のせいで…ミカサが、アルミンが!」

アニ「えっ?」

アニ「がっ!?(首を……!)」

エレン「お前だ! お前が、ミカサとアルミンを殺して! お前らが、母さんとみんなをたくさん殺した!」ギリギリギリ

アニ(……ああ、そうか。忘れてたよ。こいつ、正気を取り戻したんだっけ)

エレン「お前らが……お前が、いなけりゃ誰も死ななかった!」

アニ(そうだよね。私は憎まれて当然。はっ、馬鹿みたいじゃないか)

アニ(これからあんたと二人で、どうやって暮らそうか、なんて恥ずかしいこと考えてたなんてさ)

エレン「死ねよ! お前なんか、死んじまえよ!」ギリギリギリ

アニ「い……いよ、ころし、て」

エレン「……はぁ!?」ギリ

アニ「ごほっ! はぁ……はぁ……殺す理由が、あんたにはある。殺される理由が私にはある」

アニ「だからあんたが私を殺すなら、私は黙って殺される」

エレン「今更命乞いかよ!」

アニ「そんなのじゃないさ。私は、本当にそれでいいと思ってる」

アニ「それだけの罪を犯した。あんたに許されようとも思わない」

アニ「憎いなら殺していいよ。ただ最後に、これだけは言わしてくれ」

アニ「私は、あんたのことが、好きだ」

アニ「いつからだろうね。わからないけど、あんたに心底惚れてた」

アニ「だからいいんだ。惚れた人間に殺されるなら、死に方としては最上級の幸福だ」

アニ(……願わくば、このままエレンと二人で暮らしたかったけどね)

エレン「俺は……」

エレン「俺は、みんなが好きだった」

エレン「ミカサも、アルミンも、ライナーも、ベルトルトも、ジャンの野郎も……アニも」

エレン「でもな、それを壊しやがったのは、お前らだろ?」

エレン「俺の全部ぶっ壊しといて、あんたが好きだなんて言われた俺は、どうすりゃいいんだ?」

エレン「わかんねえよ、アニ! 俺はどうすりゃいいんだ!? 憎いんだよ、お前が!」

アニ「そっか。ならさ……」スッ

アニ「この首に触れてる手のひらに、力をこめればいいんだよ」ニコッ

エレン「……お前の笑顔、初めて見たよ」ギュウ

アニ「ぐっ……!」

エレン「俺はお前を殺して、残りの奴ら全員も駆逐してやる」ギリギリ

アニ「そ……か…なら……北に、私た…ちの、故郷が……ある…」

エレン「ありがとよ、アニ。じゃあもう、死んでくれ」ギリギリ

アニ(ごめんね、ライナー。身体張って逃がしてくれたのに、こんな結末になったよ)

アニ(でもね、ベルトルト。後悔はしてないよ。あの場でエレンを殺されてたら、今度は私があんたらを駆逐してた)

アニ(エレンの顔を、こんなに間近で見ながら、死ぬのも……悪くないから、ね)

エレン「聞こえてるか、アニ」

アニ(なに、さ)

エレン「お前の作ってくれたチーズハンバーグ。めちゃくちゃうまかったよ」

アニ(そっか。最後に、それが聞けて、よかっ

許されるわけないよね、ってことでおわりです

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