苗木「超高校級の」 モノクマ「フラグブレイカーだよね……」 (196)

苗木「まずはそのふざけた動機をぶち[ピーーー]!!」

モノクマ「はいはい、じゃあ君もみんなと一緒に2年間の記憶失ってね~」

クチュ……クチュクチュ


二周目以降だけど間違って記憶消される前に戻っちゃったんで、アドバンテージ全くないです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378235265

ボクの名前は苗木誠。
超高校級のフラグブレイカー兼幸運だ。
そのフラグブレイカーっぷりたるや、恋愛フラグだろうが死亡フラグだろうが、
そう、殺人フラグだろうが――ボクの前ではすべてが成立しない、らしい。
今ボクは、有り得ない状況に立たされている……。


葉隠「ぬいぐるみが喋ったべ!?」

モノクマ「もう、ぬいぐるみじゃないってばーボクは学園長なんだよ?偉いんだぞー!ガオー!!」

モノクマ「おっほん、そんなことよりね、お前らにはこれからここで一生暮らしてもらうからね!」

モノクマ「どーしてもそれが嫌だったらね」

モノクマ「人を殺してもらいまーす」

モノクマ「この中の誰がを、誰にも知られずに殺した先着一名様のみ!外に出してあげるよ!!」

「は??」

江ノ島「ジョーダンでしょ?人を殺せなんて」

大和田「ふざっけんなよてめぇ……」

モノクマ「ふざけてないよ、大真面目だよ~」

モノクマ「それじゃ、がんばってね!まったねー」

桑田「はぁ……なんなんだこりゃ」

葉隠「きっとレクリエーションだべ!さすが、一流私学は金掛かってるべ~」

朝日奈「そうなのかな?うん、そうだよね!そうじゃなかったらひ、人を殺せだなんて……」

セレス「まだなんとも言えませんわね。ここは様子を見ましょう」

江ノ島「んじゃ適当にこの中見て回ろっか~」

ゾロゾロとみな、思い思いに散っていく。

そんな中、
「あの……苗木君、ですよね?」

自己紹介はしただろうか?
あの、スーパーアイドルの舞園さやかがボクにそうして話し掛けてきた。

苗木「そうだけど……舞園さん、だよね。どうしてボクの名前を」

舞園「やだなぁ、中学の時同級生だったじゃないですか!忘れちゃったんですか?」

苗木「もちろんボクは覚えているけど、舞園さん。良くボクの事も覚えてたね?」

舞園「エス
苗木「さすがアイドルだ!記憶力もいいんだね!!」

舞園「あ、はい。そうですね」


体育館を出ると、江ノ島さんが賞状や盾、カップ等を興味深く見ている。

苗木「江ノ島さん、そういうの珍しい?」

江ノ島「おーっす苗木ー。んー珍しいってほどじゃないけど、なんか知ってる名前でもないかなーと思ってね」

苗木「?知り合いにスポーツ選手でもいるの?」

江ノ島「スポーツ選手では……ない、かな」

苗木「……あれ?江ノ島さんって――雑誌とかで見るのとちょっとイメージ違うね?」

江ノ島「えーそっかなー?軽く傷つくんですけどぉー」

苗木「あ、ごめん。ボクもそういう雑誌なんてあんまり見ないから、気のせいかもしれないや」

江ノ島「なーんてねー。あんなの盛ってるんだってー。フォトショとか知ってるっしょ?この業界では常識よー?」

苗木「そうなんだ、でも舞園さんは実物も綺麗で可愛かったなぁ……」

江ノ島「な、なにそれー?それってあたしは綺麗でも可愛くもないってことー?」

苗木「あ、いや、そういうわけじゃ……」

江ノ島「あはは、まったく苗木のくせにー!じゃーね~」

目はちょっと笑ってなかったかも知れない。

1はsageない方がいいんじゃない?

その後、お腹がすいたので食堂らしき場所に行ってみると、すでに何人か集まっていた。

残りのみんなも後から来て、全員揃ったので石丸クンの発案で自己紹介をした。

ボクは事前にネットで調べてだいたいみんなの事を知っていたけど。
そうでなくてもみんなは有名人だからなぁ。
あの、霧切と名乗った彼女以外は。
彼女は自己紹介でも言葉少なで、いったい何の超高校級なのかもわからなかった。

それはみんなの、ボクに対するものも同じだろう。
ボクは自己紹介の時、ちゃんと抽選で選ばれた『超高校級の幸運』であると明かした。
みんなも納得したようだ。
フラグブレイカーとかなんとかいうのは言わなくてもいいよね。
そもそもよくわからないし。聞いた話によると、幸運より強い力、らしいけど。

>>7
そうなんですか?書きためてもいないし安価もたぶんないからsageとこうかと。

>>9
更新してるのがわかるから出来ればと

夕食は大和田クン、桑田クン、石丸クン、葉隠クン、山田クンと一緒のテーブルで食べた。

だいたい男女で分かれたが、十神クンと腐川さんはそれぞれ一人で食べているようだ。

十神クンをこっちのテーブルに誘ってみた。

「十神クン……だよね?良かったら一緒に食べない?」

フン、俺はなれ合う気はない。
取り付く島もなし、で断られてしまった。

しょうがないので戻って大人しく食べよう。
あーあいつはオレも誘ったんだけどよぉ、なんかよくわかんねぇ横文字並び立てられて断られちまったぜ。
と、大和田クン。
たぶんそれ……すっごい馬鹿にされたんだと思うけど、黙っておこう。

その後食べ終わったが、桑田クンが女子の話をしたがった。
オレはやっぱさやかちゃん一筋だなー、なんて風に。
すぐ近くにまだみんないるんだから、聞かれるんじゃないだろうか……と思っていたら矛先がボクに向いてきた。
苗木は誰か気になる子、いたか?

「え?えーと……腐川さん、かな」
一人で食べていたし、気にはなった。

一瞬腐川さんの肩がびくっと動いた気がしたが、気のせいだろうか。
げっ!ゲテモノ趣味か……ま、まぁ人の趣味をどうこうは言わないがよ。
言ってる、言ってるよ桑田クン。


ふぅ、や っと解放された……まだ話してない人と話そう。

>>10
うい。迷惑じゃなさそうならsagaとく。

大神さん、朝日奈さん、不二咲さんが楽しそうに話している。
あそこに加わらせて貰おう!

朝日奈「あ、苗木ー」

朝日奈「今ね、不二咲ちゃんに色々聞いてたんだけど、不二咲ちゃん照れ屋でねー」

不二咲「あ、苗木君!よかったぁ」

不二咲さんは助けを求めるような顔でそう言った。

苗木「朝日奈さん、あんまり不二咲さんを困らせちゃダメだよ……」

朝日奈「えーそんなことしてないよー。ちょっと日用品の事とか、聞いてただけだよ」

不二咲「と、とにかく、話題変えよぉ?ね?」

大神「うむ、我もそれに賛成だ」

というわけで、ドーナツの話になった。
なんでだろう?まぁ、ボクも嫌いじゃないけど。
適度な当分補給は大事だからな。と大神さん。
こんなこと話してたら食べたくなっちゃったよー。ね、お茶にしない?
それに賛成だ!と、お茶の用意をしていると……

舞園さんとセレスさん
「あら、お茶ですか?宜しいですわね、わたくし達もご一緒させていただけませんか?」

「あ、舞園ちゃんにセレスちゃん!もちろんいいよ~」

なかなかに大人数でのお茶会になったようだ。

ボクの隣には舞園さんと不二咲さん。
不二咲さんはずっとボクに話し掛けてくる。
そして何故かそれに割って入ってくる舞園さん。
なんか微妙な構図だ……。

お茶会も進んだ頃、桑田クンが食堂に入ってきた。
みんなおしゃべりに夢中で気づいてなかったみたいだけど。
桑田クンはこっちをガン見してた。
え?何?口をパクパクさせて……あ・と・で・へ・や・に・こ・い?
なんだろう、何か用かな?行ってみよう。

「おう、来たな苗木」

苗木「どうしたの?桑田クン」

桑田「なんっだよあのハーレムはよ!!とうしたのじゃねーよ!」

桑田「それにさやかちゃん……お前、さやかちゃんとは仲いいのか?」

苗木「うーん、普通じゃないかな?中学の時ずっと同級生だったけど、それだけで」

桑田「なんだと!?そんなリア充が……本当に存在するとは…………」

苗木「喋った事もなかったんだってば、でもここに来て唯一知ってる顔だったから、安心したって」

桑田「ふーん、確かに苗木って安心顔ではあるよなぁ」

安心顔って何さ……。

桑田「じゃあさ、ぶっちゃけお前はさやかちゃんの事どう思ってるんだ??」

えっ!
苗木「どうもこうも、綺麗だなーとかさすがアイドルだなーとか。あ、あと話してみて、すごくいい子だなとは思ったかな」

桑田「そうだろう!?ってそうじゃなくてよー。お前、さやかちゃんと付き合いたいか?」


苗木「そそ、そ、そんなこと、付き合いたいだなんて、全然思ってないよ!」

桑田「んーそっかぁ?まぁいいや。俺はな、本気でさやかちゃんと付き合いたいんだ!!」

だから協力してくれよ、な!な!
半ば強引に約束させられたが、まぁそういうのもいいかな。

次の日の朝。

今日は何しようかなー、って出口を見つける以外ないんだけど。
寄宿舎の廊下を歩いてると、江ノ島さんが前を歩いていた。
「おーっす苗木ー」

挨拶するより先に、江ノ島さんにされてしまった。
今日は江ノ島さんと一緒に探索しよう。

「別にいいけど……」


探索の最中、江ノ島さんにフォトショップの事について聞いた。
「……なんでそこに興味津々なの?」
なんだかちょっと、本気で嫌そうな感じだな。
話題を変えよう。

苗木「そういえば、江ノ島さんは最初からボクの事知ってたんだね」

江ノ島「へ?なんで??」

苗木「だって自己紹介の前から名前を知ってたでしょ?」

江ノ島「!!あ~たぶん、なんかの資料で見た、んじゃないかなぁ?」

苗木「そうなんだ、他の超高校級のみんなならまだしも、ボクの顔と名前まで載ってるなんて、すごいね」

江ノ島「たぶん学校側の資料かなんかじゃないかな~?」

江ノ島さんとの探索は特に成果は無かった。

江ノ島「(盾子ちゃーん……)」

江ノ島「助けて……ヘマしちゃった……」

「全くキミは本当に残念だなぁ」

「あんな初歩的なミスを……まぁ、あれくらい大丈夫でしょ」

江ノ島「そうかな?そうかなぁ?」

江ノ島「しばらく大人しくしとくね……ごめんね盾子ちゃん……」

「(これは、思ったよりアテにならねーな!!)」

「(うぷぷぷぷ、唯一の手駒がこんなのなんて、なんて絶望的……!!)」

「(ああ、もう一人いましたっけ、”裏切り者”が……)」

「(キミにも期待してるよ☆きゃるーん♪)」

あんま進まないっすねー。
それでは、また。

三日目

桑田「なあなあ!オレがさやかちゃんと付き合うにはどうしたらいいと思う!?」

桑田「やっぱまずはお友達から……颯爽とピンチを救うなんてのもいいんじゃね??」

苗木「ピンチを救うっていうなら、今のこの状況から助け出して欲しいよ……」

桑田「んーまぁなー、この状況はなー……確かにここから助け出したら一発だろうが、人には出来る事と出来ない事があんだよ」

桑田「ハァ……地道にいくかな」

作戦会議?も終わり、ボクが舞園さんと誰か女の子一人を誘って四人で昼食を食べる事になった。

と言われても、誰を誘ったらいいか……今一番仲がいいのは不二咲さんかな?
舞園さんとはちょっと相性が悪かった気がするけど、大丈夫だろうか。
そもそも舞園さんも誘いに乗ってくれるかはわからない。
ここはまず不二咲さんを誘って、一緒に舞園さんを誘いに行こう。
なんて、予防線を張っておく。

「不二咲さん、良かったら一緒にご飯食べない?桑田クンも一緒なんだけど」

「あ、苗木君。お誘いありがとぉ。みんなでご飯?うれしいなぁ~」
すごく喜んでくれたみたいだ。

「舞園さんも誘おうと思うんだけど、いいかな?」

「うん、大丈夫だよぉ」

さあ、次は本丸の舞園さんだ。
ここは慎重に……。

「あ、舞園さ~ん。ご飯食べよぉ」
あっ……不二咲さん……。
「いいですよ」
二人して、にこにこ。
……あれ?随分あっさりだったな。
ボクの思い過ごしだったようだ。


席順としては、四人がけのテーブルでボクの隣に不二咲さん。
向かい側に桑田クン、舞園さんが並んで座っている。
もちろんこれも桑田クンの指示だ。
不二咲さんと話してると、なんというか、和むからいいけどね。
女の子とろくに喋ったことのなかったボクでも、不二咲さんはすごく話しやすかった。
まるで男友達と話してるような感覚、っていうのかな?

あっちもあっちで結構盛り上がっているようだ。
桑田クン頑張ってるなぁ。

こうも上手く行くならボクも協力した甲斐があるよね。

四日目

そろそろシャワーでも浴びようかな……なんて思ってたら、
朝っぱらからモノクマの放送があった。
なんだろう、体育館に集まれって?
どうせろくな事じゃないんだろ……行きたくないな。

「だが、行かないわけにもいくまい」


モノクマ「はい、ここにDVDあるから、視聴覚室で見てね」

DVD?そういうの苦手なんだよなぁ……。
とりあえず行くだけ行ってみるか。
……案の定、壊しちゃったよ……。
ああ、どうしよう、これ高いのかなぁ。
ダメだ、一人でやったらまた壊しちゃう。舞園さんにやり方を聞こう。

「舞園さーん、これなんだけ」
バキッ
……あッ!
舞園さんがDVDを落としてしまった直後、その上にボクの足が。

「ご、ごめん舞園さん!ほんとにごめん!」

「いいですよ、別に私のじゃないですし……でも、困りましたね」

「これ見なかったらモノクマさんに何されるか……うーん、じゃあ見たことにしちゃいましょっか!」

「ふふ、二人だけの秘密ですよ」

「あ、うん。ボクもその、機械が苦手で見られなかったから」

「そうなんですか?男の子なのにー」
舞園さんはいたずらっぽく笑った。
でもこれ、モノクマに監視されてるんじゃないのかな?
大丈夫かな?

まぁ、バレたらきっとすぐ飛んで来るよね。
モノクマも万能じゃないってことか、運が良かったのかな?

五日目

「えー、なんでまだ殺人起きないわけー?」

「あの動機なら一人や二人は行動を起こすと思ったんですけど……」

「本命の舞園!アレは苦労したんだぜぇー?」

「こんな世界になってもアイドルだからね、拉致してくるの大変だったし……」

「家族で妥協しそうになったけど、そこはほら一流の絶望としてね?」

「妥協は許せないっていうか……より強く絶望して欲しいじゃない?」

「……その努力が報われないなんて」

「なんて絶望的……!!アアッ…………」


「……動機だけじゃ足りないのかな?」

「舞台装置を用意してあげましょう」


また、朝からモノクマに呼び出されて嫌々向かったら、
施設をいくつか開放してくれるらしい。
具体的には寄宿舎エリアの大浴場、倉庫。
学校エリアの保健室と二階。
二階にはプールと書庫があるらしい。

プールに朝日奈さんが大はしゃぎしていた。
大神さんと早速泳ぎに行くらしい。
大神さんの水着姿……ゴクリ。

書庫は落ち着けそうでいいな、と言っていたら
十神クンが真っ先に向かってしまった。
十神クンがずっといるんじゃ落ち着けなさそうだ……。
はぁ……屋上とか開放されないかなぁ。
無理か、閉じ込めてるんだもんなボクらのこと。

ずっと保健室で寝ていたい。

六日目

大浴場で大和田クンに会った。

「ここはサウナも付いてるんだねー本格的だ」

「おう、苗木。サウナといやぁ我慢比べよ。オレは誰にも負けねーぜ」

「ボクもサウナは好きなんだ、結構得意だよ」

「お?なんだぁ、勝負するかー?まぁオレとじゃ勝負にならないと思うがよ!」

むっ。
「自信ないけど、いいよ。勝負だ大和田クン!」

「いい度胸だ!その度胸に免じてハンデをやる、俺は服を着たまま入るぜ」


自信満々だな。
よし、ボクも本気で勝負するぞ……!

「どうしたんだ君たち、争いごとは駄目だぞ!」
あ、石丸クン。

「お、石丸いいところに来たな」

「今から苗木とサウナ対決するんだ、おめぇ立会人になってくれよ」

「ふっ、根性ナシの君がサウナ対決か」

「あ?今なんつったこらぁ!?」

「オレぃが根性ナシっつったかよ?おお?」

「ああ、君は根性ナシだ。だからすぐ暴力を振るうのだろう?」

「上等だてめぇ!!オレが根性ナシかどうか、てめぇもサウナで勝負しろ!」


なんでこうなったんだろう……。

どうしてこんな険悪なムードに……
ああ、帰りたい。

でもサウナ勝負でボクが負けるわけにはいかないんだ!サウナだけは!


「お、おひテメー体中真っ赤だぞ?もう限界なんじゃなーのか」

「き、君こそろれつが回ってないではないか。ギブアップしてもいいのだよ」

「へっ、ばかいえ。やっと体があったまってきたところよ」

「そうかね、まだぼ、僕は少し寒いがな」

ふはは、は……
ハッハハ、ハ……

あれ?二人とももう苦しそうだな。
いやいや、そんなはずはないよね。
あれは演技、かな?



「な、苗木くん、君はどうだね?」

「君が辛いのなら、仕方ないがお開きにしても……」

「そうだぞ苗木!おめぇは貧弱なんだから、あんまり無理すんなよ!」

「え?ボクはまだ平気だけど」

…………

「オレはよ……」

「わかる、わかるよ大和田クン!」

「ああ、君も大変だったのだな!!僕も……」

「わかってくれるのか、お前ら……!」

…………

「いや、兄弟!!」

「ああ、僕らは今日から兄弟だ!」

「うん、兄弟だね!」

「それにしてもよー兄弟はすげぇな。あんなに根性あるなんて思ってなかったぜ!」

「ああ、ボクもだ!本当に見直したぞ!」

流れで大和田クン、石丸クンと兄弟になってしまった。
しかも一番長く、というかボクはもっと入っていたかったんだけど
二人が気を失ってしまったので仕方なく
引きずって出てきたところ、一目置かれてしまったようだ。

まぁ、仲良くなったのは、いいことかな?

七日目

「ハッハッハ、そうだな兄弟!」

「ああ、兄弟の言う通りだぜ!」

ボクらは朝からハイテンションだった。
いや、ボク以外の二人はハイテンションだった。
昨日はつい乗っちゃったけど、正直ちょっと着いて行けないかも……。

あ、不二咲さん!

「不二咲さん、ボクらと一緒に朝ごはん食べない?」

「いいのぉ?」

「兄弟は不二咲くんと仲がいいのか!ハッハッハ、なかなか隅に置けないな!」

「おう不二咲、もちろんいいぜ」

「ありがとぉ、じゃあ一緒させてもらうね」

大和田クンと石丸クンは終始ハイテンションで、漢の道やら漢の生き様やらを語っている。
ボクにも同じような感じで話し掛けてくる……あ、いた、いたい!
そんな背中叩かないでよ。

「いいなぁ……」

ふ、不二咲さん?

「あ、そういえば不二咲さん。書庫にノートPCがあったんだ」

「古い型で電源も入らなかったけど、不二咲さんなら何かわかるかな?」

「うーん?どうかなぁ、あとで見てみるねぇ」

「不二咲はすげーよな!あんな子難しいもんが得意なんてよ」

「ああ!僕もあまり良くはわからないが、不二咲くんの作ったものは人々の役に立っていると聞いた。素晴らしい事だ!」

「へぇ~やっぱすげーんだな」

「そ、そんなこと、ないよぉ」

「内に篭る事しか出来なかったから……自分の弱さの結果なんだ、それがたまたまちょっといい方に向いただけで……」

「だから、本当はみんなの強さが羨ましい!だからみんなみたいに強く、強くなりたいんだ……!」

「……」

「不二咲よぉ、強さってのは何も腕っぷしの強さだけの事じゃないんだせ?」

「ああ、その通りだ!」

「腕っぷしがいくら強くても、いや強いからこそ、弱くなることもあるんだ……」

「兄弟……?」

「いや、なんでもねぇ。それで不二咲よ、オレはこん中じゃ苗木が一番強いと思ってるんだ」

!?え、ボク?
いきなり矛先が自分に来て、びっくりして噴き出しそうになる。

「えっ、そうなの~?」
すごーい、と尊敬の眼差しを向けられる。

「いやいやいや……」
「兄弟はよ、心(ここ)がめっぽうつえぇ」

「きっと、どんな事があっても挫けない、そんな”希望”の塊みてーな奴だと思うんだよ」

「そっか……そういう強さの方が、確かに強いかも……」

「ああ。オレもまだまだだからよ、兄弟の事は心底尊敬してるぜ」

「ま、でもよ。体を鍛えるのはいいことだ。肉体が強くなれば心も少しは強くなれるかもしれねぇ」

「オレもここに来てちっとばかしなまっちまってるし、今度一緒にトレーニングしようぜ」

「ほんと!?ありがとぉ、大和田君!」

「……もちろん兄弟、オメーもだぜ」

ぎくっ
またこっちに来た……。
「え、な、なんで?」

「オメーはハートは強いが、やっぱり体が貧弱過ぎんだよ!ちったぁマシにしてやるから、いいから来い!」

「ハッハッハ、違いないな兄弟!」

「ふふふ」

またモノクマに呼び出された。
今度はなんだってんだいったい。

「えーホントオマエラいい加減にしてよ」

モノクマ「なんで殺し合わないの?ゆとりなの?ばかなの?」

……なんか言ってる事が幼稚になってるなぁ。

モノクマ「じゃーもうわかった、動機だね動機!」

モノクマ「はいこれ!みんな読んで読んで」

それぞれ自分の名前が書かれた封筒を渡された。
開けてみると――
「苗木クンは5歳までおねしょしていた」

……は?

モノクマ「はい、それには誰にも知られたくない恥ずかしい秘密が書かれていまーす」

モノクマ「これから24時間以内に誰も人を殺さなかった場合、この秘密を全世界にばらしまーす!」

モノクマ「街宣カーとか使っちゃうよ?そりゃもう張り切っちゃうよ?」

モノクマ「まぁ、そんなことする必要ないんだけどね……うぷぷぷぷ」

じゃ、がんばってねー。と言い残してモノクマは消えた。

恥ずかしい秘密、か……確かにおねしょの事をばらされるぐらいなら……。

一旦中断します。

さて、原作にない他の人の秘密どうしようか……なんかありませんか?

舞園さん第二の動機でもコロシアイ待ったなしだなんて……どうやってフラグ折ろう……

周りを見てみると、余裕がなさそうなのは――

「くっ、くそがぁぁ!!」

「そんなぁ……どうして?」

「ひ、ひぃぃぃ!!なんで……なんでよ…………」

「……え?そんな、違うよ……」

ボク、大和田クン、不二咲さん、腐川さん、江ノ島さんのようだ。
セレスさんは態度にも出さないし、表情が読めないのでわからない。


「ね、ねぇ、ちょっと苗木」
廊下で腐川さんに呼び止められた。

「あ、あんた、あたしの事が好きなんでしょう?そうなんでしょう??」

「へ?い、いや……」

「ちょっと話があるから、来て」


人のいないところまで引っ張られて、
「あの、あのね、あたしの秘密なんだけど……」

彼女から告げられた秘密は、衝撃的なものだった。
なんでも、巷を騒がせているジェノサイダー翔という殺人鬼の正体は自分である、と。
いや、自分であって自分じゃない。彼女の多重人格の中にジェノサイダーはいるらしい。
にわかには信じられないが、嘘を言っているようにも見えない。

「こ、これがばらされたら……あたし、どうなっちゃうのよ!?」

「いい?いい考えが浮かぶまで誰にも言わないでよ!それと、あんたも考えてよね!」

「あ、あたしの事が好きならあたしを守ってよね……」

その夜

不二咲さんがボクの部屋にやって来た。
「苗木君……相談があるんだけど、いいかなぁ」

「あ、うん。じゃあ食堂にでも……ってこの時間はまずいかな」

「ここで大丈夫だよぉ」

「え、そ、そう?」
自分の部屋に、こんな時間にこんな可愛い子を招き入れて、いいのだろうか?
いろいろと。

…………

その心配は杞憂だった。
え?不二咲さんは、今なんて?
ちょっと理解が追い付かなかったので呆然としていると。

「僕……こんな格好をしてるけど、男なんだぁ……」
恥ずかしげに俯き、頬を赤らめている。
か、かわいい……。

「いや!いやいやいやいや!!」

「本当に!?」

「う、うん……」

「軽蔑した、かな。やっぱり気持ち悪い……?」
今にも泣き出しそうな、でも、ぐっと堪えている。

「……」

「うっ……」

何か言わなくては
「そんな事無いよ、可愛いよ!!」
……は?
意味がわからない。我ながら何を言ったんだ今。

「え?え??」

二人して混乱する。
「え、その、ありがとう……?」

「ぷっ、ははははは!」

「ふふ、ふふふふふ」

なんだか笑えてきた。笑えたら、自然に話せるようになっていた。

「ちょっと、いやかなりびっくりしたけど」

「女でも男でも、不二咲さんは不二咲さんだよ。いや、不二咲クン、かな?」

「……いいの?僕の事を気持ち悪いとか、思わないの?」

「んーよくわかんないけど、そんなのは全然ないなぁ」

「それはみんなも同じだと思うよ」

「そう……なのかな。みんなにも、言いたいんだけど、でも、まだちょっと……」

「じゃあ、とりあえず大和田クンと石丸クンは?あの二人なら大丈夫でしょう?」

「う、うん……言える、と思う」
彼女……いや、彼の目には、弱々しいが確かな意志が点ったように見えた。

男子更衣室

「不二咲が用があるって?」

「うん、ここで待ち合わせしてるんだ」

「しかし兄弟よ!ここでは不二咲くんは入れないのではない……か…………?」
ちょうど不二咲クンが入ってきた。
青いジャージを着ている。

「これが不二咲クンの話したかった事なんだ。あとは――」
促すように不二咲クンの方を見た。

「うん、僕から自分で話すよ」

「大和田君、石丸君!」

「僕、あんな格好をしてたけど、本当は男なんだ!」

「僕は弱くて……いっつも、男のくせに、男のくせにって言われてきてね」

「なら、弱くても許されると思って、あんな格好をして性別を偽っていたんだ」

「でも、もう弱いままは嫌なんだ!」

「変えたい、変わりたい、変えるんだ」

「だから……こんな僕だけど、僕を男にしてください!」


…………


しばらくの静寂。
大和田クンは何か考え込んでいる。
石丸クンはまだ自体が飲み込めていないようだ。

「あ、あの……ごめ」
「不二咲よ」

「おめぇはつえーよ、俺なんかよりよっぽどな」

「おめぇといい苗木といいよ……どうしてオレはこんなに弱えーんだ……」

「大和田君……?」

「はぁ、ったくよ……嫉妬しちまうぜ……。なぁ、オレの話も聞いてくれるか?」

みんな無言で促す。

「つまんねー昔話だ。だが、オレはそれに囚われて人を殺しちまうかもしんねぇ……」

「オレはな、兄貴を殺したんだ」

「それは絶対に知られちゃならねぇ、どんな事をしてもだ」

「知られりゃ、オレと、兄貴の守って来たもんが壊れちまうんだ」

「オレはな、未熟だったんだよ。ただイキがってるだけのガキだったんだよ」

「今もそうかもしんねーがよ……」

ふっ、と自嘲して
「あの頃はもっとでな、兄貴が引退するって言ったある日だ」

「オレに、後は頼んだぞって言ってくれたんだけどよ。兄貴はでっかくてなぁ……」

「このままオレが跡を継いでも、オレには兄貴のようにはなれねーって思ったんだ」

「そこでオレは兄貴にバイクで勝負を挑んだ。そうでもしねーと誰も着いて来ないんじゃないかと不安でよ」

「そして勝負の最中……やっぱり兄貴には勝てねぇって思った」

「でもよ、負けるわけにはいかなかったんだ。ここで負けたら、オレは……」

「そう思って、無茶苦茶な走りをして、オレは反対側の道路に投げ出された……」

「ああ、これで後は兄貴がやってくれる、って思った」

「でもよ……そしたら兄貴はよ、気付いたらオレの身代わりになって……」

「オレを助けて、そのまま轢かれたんだ…………」

「駆け寄って、なんで……?って聞いたらよ、こう言ったんだ」

「バカヤロー。弟を守らない兄なんていねーよ……って、笑いながら」

「オレとオマエの、このチームを、頼んだぞ、ってよ……」

「この事が知られたらチームはおしまいだ!幸い誰も見ていなかった、はずだった」

「どうしてモノクマは……知ってやがるんだ……!!」



…………

「これがオレの弱さだ……」

「兄弟……」

「でも、でもさ……」

「不二咲?」

「大和田君が今話してくれたのは、大和田君の強さじゃないの……?」

「僕は、秘密を話してみんなが離れて行くのが怖かった」

「でもね、秘密を話さないでいる方がもっと怖くなっちゃったんだ」

「大和田君もそうなんじゃないの?」

「僕が大和田君の秘密を聞いても、仲間だって思えるように」

「大和田君も、僕の秘密を聞いても仲間だって思ってくれる……?」
不二咲クンは震えている。
はっきりと、残酷な答えが帰ってくるかもしれないのに。
聞いたのだ。
大和田君に勇気を与えるために。

「不二咲…………」

「無論僕もだ!兄弟!!」

「ボクも同じ気持ちだよ、大和田クン」

「おめーら……ありがとよ」

「やっぱおめぇはつえーよ、不二咲」

「最低で弱い自分を知られても、仲間だって思える、か」

「昔のオレがそう考えられたらな……」

「いや、今からでも遅くはないのか。そうだろ不二咲?」

「……うん!もちろんだよ」

「ああ……オレは、強くなる。おめーらみてぇに強くなってみせるぜ!」

「もう何も、誰も失わねぇ、誰にも負けねーからな!!文句あっか!?」

なんかボクの秘密、おねしょって……。
逆にばらされた時あまりのしょぼさに恥ずかしく思えてきたな。


次の日

「えーオマエラ、24時間経ちました」

「え?いいの?ほんとにいいの?誰か殺さなくて」

「どんだけメンタル強いんだよキミら……これボク勝てるの?」

「あ~あ、絶望だなぁ……うぷぷぷぷ!!」


「まぁ、秘密はばらすけどね」

「ボクはやると言ったらやるクマなんだよ!」

「じゃあまずは葉隠クン!」

「げげっ!なんでいきなりオレなんだべ!?」

「葉隠クンの秘密は……なにこれ、しょぼ」

「ばかにされたべ!?」

「えーなになに、結婚詐欺2回美人局15回デート商法23回……振り込め詐欺5回、に引っ掛かった、だって」

「二十歳でそれだけ経験してるって逆にすごいと思うよ……」

「しまいには同情されたべ~!?」

「じゃあ次、桑田クン」

「ウッ」

「野球をやりたくない理由は、実はチームメイトにいじめられるから」

「あ~そうなんだぁ~」

「サクサク行きます、次は山田クン」

「ひぃぃぃナンマンダブナンマンダブ~!!」

「実は三次元にも興味あるけど、相手にされないので興味ないと言っている」

「で?」

「し、死活問題ですぞ!アイデンティティの崩壊であります!!」

「あ、いえ、そのような事実は決して……」

「んー十神クンはね」

「実は伊達メガネ」

「え?それだけ?」

「くっ……俺のアイデンティティが……!」

「オマエラアイデンティティを大事にしすぎだよ!」

「確かに十神クンがメガネ掛けてなかったら、え?誰?ってなるかもしれないけど」

「そんなんで人殺さないでしょ……あー動機選び失敗しちゃったかなぁ……」

シリアスフラグもぶち殺すのかこれ……?


「はい、石丸ク~ン」

「叔父を殺した」

「……え?なにこれ急にでかい爆弾投下されたんだけど」

「いいの?これ、ばらされちゃって良かったわけ?」

「うむ!色々あって、仕方のないことだったのだ!」

「散々迷ったが、兄弟達の強さを目の当たりにして、吹っ切れた!!」

「やはり僕はこれからも風紀を守るんだ、と!」
石丸クンの目が赤黒くグルクルしている……。

「なんかちょっと引いちゃったけど……みんなも引いてない?大丈夫?」

「えーと、じゃあ次苗木クン~」

「苗木クンはなんと、5歳までおねしょをしてました~!!」

「(くっ……モノクマぁぁぁあああ!!絶対に許さないぞぉ!!!!)」

「あらあらまあまあ」

「うふふ」

「さてお待ちかね、男子の大トリだよー」

「この大和田クンは、なんと!実の」
「知ってる」
「え」
「知ってる」
「……」

「大和田君なら先ほど食堂で全員に打ち明けていましたわ」

「『この秘密のせいでオレは人を殺すところだった!すまねぇ!!』とまで言ってな……」

「ちっ、つまんねぇモロコシヘッドだな……」

「なんでオマエラはこんなに絶望的につまんないの?もう一人の本命の不二咲クンもうざいことに絶望しないし」

「ちなみに不二咲クンの秘密も、もう全員が知ってるよモノクマ」

「あーはいはい、そうでしょうよ」

「じゃ次は女子の部行ってみようか、一応ね」

トラウマ煽って絶望させ

希望に絶望塗りたくり

絶望させたなら

私様の勝ちぃ♪

~江ノ島の部屋~

江ノ島「そんな……どうして…………」


江ノ島「盾子ちゃんが苗木くんの事を好きだったなんて……」

江ノ島「どうしよう、どうしたら……」


「…………」

「……は?」

「こ、コイツは……今自分が誰か忘れてやがるのかッ!?」

「本当に残念で絶望的ですね」

「まぁ、面白そうだから黙って見てよーっと!うぷぷぷ!!」


江ノ島「(そうだ!!苗木くんと他の女の子をくっ付けたら盾子ちゃんを絶望させてあげられるかもしれない!)」

江ノ島「(それが、私にとってもいいような気が、する……)」

~???~

モノクマ「ねぇ、なにコレ」

モノクマ「どうしてこれだけ条件を揃えて……」

モノクマ「場所も、人も、環境も、動機も揃えてやったっていうのに」

モノクマ「どうしてコロシアイが起きないのさ!」

モノクマ「8日だよ8日!動機も二つも用意してやったってのに!!」

モノクマ「なんか知らないけど、あのクソアンテナ頭がことごとく阻止してる気がするんだよね……」

モノクマ「このままだと、キミに動いてもらう事になるかもね……内通者さん?」

モノクマ「え?聞きたい事があるって?16人人目の高校生とは何か、だって?」

モノクマ「そんな質問、鬼却下だよ!!」

モノクマ「まったくもう、オマエは言われたことだけしていればいいんだよ。わかったね?」

モノクマ「でないと、オマエの大事なモノがどうなるかは……わかってるよね?」

九日目


苗木誠は起床時間の少し前に目が覚めていた。
考えるのは、昨日の出来事。

苗木「なんとかモノクマの用意する動機、二つ目も無事やり過ごす事が出来たな……」

苗木「一部、とんでもない秘密があった気がするけど、皆が気にしてないならいい、かな?」

苗木「最後の、江ノ島さんのは何かの間違いだよね?」


「ぴんぽんぱんぽーん」

モノクマ「えーオマエラにお知らせがあります」

モノクマ「今日から、特別に校舎の3階を開放しまーす!」

モノクマ「これでコロシアイに使えるモノが増えたと思いますので、」

モノクマ「ジャンジャンバリバリ殺っちゃってくださいね~」


苗木「くっ……モノクマめ、まだコロシアイをしろだなんて言うのか……ッ!」

苗木「ボクたちは仲間同士でコロシアイなんてしないぞ!絶対に!!」

そのすぐ後、いつものモノクマによる朝の放送があった。
ボクはこれが録画なことにやっと気付いた。そういえばいつも同じ文句だったな。

身支度を軽く済ませて食堂に行くと、何人かが集まっていた。
珍しく葉隠クンがこんな時間からいるな、と思って話しかけてみる。

苗木「おはよう、葉隠クン。こんな朝早くから起きてるなんて珍しいね」

葉隠「お、苗木っち。俺だって早起きすることもあるべ、早起きは三割の得って言うしな!」

三文だよね……。

苗木「そんなに早くはないと思うけど……。ねぇ、もしかして葉隠クン、3ダブの原因って」

葉隠「だっはっは、まぁその事はどうでもいいべ!」

図星か……。
10日に1回ぐらいしか普通の時間に起きれないんじゃ、ダブっても仕方ないよね……。

葉隠「実を言うとな、今日早起きしたのは理由があるんだべ」

葉隠「昨日なんの気なしに占ってみたんだけどよ、なんと今日からこの学園内に俺の憩いスペースが出来るらしいんだべ」

葉隠「占いで見た光景は、草木が生い茂ってて、なんと飼育小屋があるんだべ!そん中にな、ニワトリがいるんだべ」

苗木「外に出られないのに……本当にそんなところがあるのかな?」

葉隠「間違いないべ!俺の占いは三割当たる!」

葉隠「あーいいよなぁ、ニワトリ。可愛いよなぁ~……」

苗木「そ、そうだね。見つけたらぜひボクにも教えてよ」

ちょっとボクには信じられなかったけど、夢は壊さないでおいてあげよう……。
こうも自然が無い状況だと、確かに息が詰まる。黒幕だってそうなんじゃないかな?

朝食の後、各自新たに開放された3階の探索を行うということで、そろぞれ散って行った。

「苗木くーん」

苗木「あ、不二咲さ……クン、どうしたの?」

不二咲「えへへ、まだ慣れない?ごめんねぇ、紛らわしいことしてて」

苗木「い、いや、なんていうか不二咲クンだと……わかってても、さんって呼びそうになるっていうか……」

男でもいいかな……なんて気持ちに……いやいやいや!!少し、ほんとにほんの少しだけだから!!

不二咲「?」

不二咲クンがキョトンとしてしまったので、話題を戻す。

苗木「と、ところで何かあったの?」

不二咲「あ、そうそう~こないだ預かったパソコンなんだけど、途中経過を報告しておくねぇ」

不二咲「まず電源が付く状態にするのは簡単だったんだけど、中身にはほとんど厳重なプロテクトが掛けられててね」

不二咲「ちょっと骨が折れそうだから、パソコン内にアルターエゴを構築して解析に当たらせてるよぉ」

苗木「アルターエゴ?」

不二咲「あ、ごめんねぇ。アルターエゴっていうのはね、簡単に言うとAI――人工知能なんだ」

不二咲「まだ開発中なんだけど、プログラムやアプリケーションの管理・解析に特化したAIなんだよぉ」

苗木「あ、この前話してくれたやつだね」

不二咲「うん!まだ実用化は早いと思ってたんだけど、あのパソコンのプロテクトを破るにはボクだけでやるとすごい時間が掛かっちゃいそうで……」

不二咲「試しに構築してみたら、今までの問題点や課題点が不思議なくらいクリア出来る方法を思いついてね」

不二咲「うーん、本当は一年ぐらい掛けてじっくり作ろうと思ってたんだけど」

不二咲「プログラムとかって、ひらめいちゃえば結構そういうとこあるからね」

不二咲「それで、そこからはもう驚くぐらいスルスル行けたんだぁ」

なんて、興奮気味の顔で語る。
パソコン関係の話をしている時の不二咲クンはまた違った印象を受けるなぁ。

不二咲「そ、それでね?アルターエゴがね?苗木君と話してみたいって言うんだ……」

苗木「え、ボクと?どうして?」

不二咲「アルターエゴには学習の為にみんなのパーソナルデータをインプットしてあるんだけど、」

不二咲「それで苗木君の事が気になったみたいなんだぁ。だからどうかな?今から僕の部屋に来ない、かな?」

苗木「そうだね。あのパソコンには何か重要な情報が入ってるかもしれないし」

苗木「みんなを呼んで見てみよう!」

不二咲「あ、うん、そうだねぇ……」

ボクらは不二咲クンの部屋に集まっていた。
十神クンと腐川さんを除いて。

山田「ほぉーここが不二咲千尋殿のお部屋ですかー。なんだかいい匂いがしますなぁ」

朝日奈「山田……不二咲ちゃんは男の子だよ……」

朝日奈「あっ!ご、ごめん、どうしてもちゃん付けが直らなくて……」

不二咲「あはは、呼びやすい呼び方でいいよぉ。紛らわしいことしてた僕がいけないんだしねー」

朝日奈「ううん!不二咲……ってちゃんと呼ぶようにがんばるよっ!」

そう言いつつ不二咲クンはパソコンのキーを叩く。
ボクも不二咲さん、って呼び方のままでもいいかな……?今度聞いてみようかな。

「こんにちは、ご主人タマ」

朝日奈「わわっ、不二咲ちゃんが二人!?」

不二咲「この子はアルターエゴだよぉ。このパソコンの解析を手伝って貰ってるんだ」

霧切「人口知能、というやつね」

不二咲「うん。人の手でやると膨大な時間が掛かったり、非効率的な事を任せてるよ」

不二咲「人口知能としての性能を高める為に、みんなのパーソナルデータを打ち込んでみたんだけど」

不二咲「まだちょっと足りないみたいだから、会話して色々教えてあげてくれないかなぁ?」

山田「むっほぉー!電子の妖精というやつですな。萌えるぅぅ!これなんてエロゲ?」

山田「ささっ、わたくしめがたーっぷりイロイロ教えてあげますぞー!」

不二咲「あ、う、うん、よ、よろしくねぇ」

霧切「ねぇ、ちょっといいかしら」

そう言いつつ、霧切さんは場所を移動する。
少し小声で、ギリギリみんなに聞こえるぐらいに。

霧切「こっちは向かないで聞いて」

霧切「このパソコンの中身。モノクマ――黒幕にとって不都合なものである可能性があるわ……」

霧切「大っぴらに解析しているというのはまずいんじゃないかしら」

霧切「話が一段落したら一旦解散して、時間差で大浴場の脱衣所に集まりましょう」

「……」

そうか。確かにその通りだ。
ボクが不二咲クンの部屋にみんなを集めてしまったけど、考えが足りなかったかもしれない。
さすがは霧切さんだ。今もカメラの死角になる場所にさりげなく移動したんだ。

不二咲「うん、そうだねぇ。僕もみんなといっぱいお話して欲しいから、そう思ってたんだぁ」

と、自然な流れに繋ぐ不二咲クン。

朝日奈さんがアルターエゴに話しかける。

朝日奈「こんにちは、アルターちゃん」

それを不二咲クンがカタカタカタッとキーボードで打ち込んで行く。

アルター「朝日奈さんだね、こんにちはぁ」

朝日奈「みてみて!喋れたよ!」

大和田「お、オレもやってみてもいいか?」

不二咲「うん、もちろん!」

大和田「お、押忍」

アルター「あ、大和田君おっす!」

大和田「げ、元気か?」

アルター「あはは、何それぇ。うん、元気だよ!」

山田「僕は山田と申します。すべての始まりにして終わりなる者……と呼んで貰っても構いませんぞ」

アルター「うん。山田君だよね、わかるよ。すべての始まりにして~……って、なぁに?」

山田「これはですな、大昔に星間戦争が――」

朝日奈「はいはい、そういうのはいいから。アルターちゃんを独占しない」

各々好き勝手にアルターエゴとひとしきり話して、一旦解散となった。
まぁ、不二咲クンもアルターエゴも楽しそうだったし、良かったかな。

たぶん今日はこれくらいで。

アルターエゴからのお風呂イベントより先に、探索だったかな。


「おーい苗木っち!風呂行こうぜ風呂!背中流しっこするべ」

そう言いながらボクの部屋に入って来た葉隠クンは監視カメラの死角になるように、
『脱衣所に全員集合』と書かれたメモを見せてきた。

葉隠「お、そうだ。他の男共も誘ってみねーべか?」

苗木「そうだね。せっかく大きなお風呂があるしね!」

葉隠クンなかなか演技派だなぁ、なんて関心する。
男子の伝達役に葉隠クンを推したセレスさんは、さすが見る目があるというかなんというか。
霧切さんはボクを推してくれたけど、正直演技なんて絶対ぼろが出そうだしね。

各部屋を回って桑田クン、山田クンを誘い、

桑田「男全員で風呂だァ?オレはそういう暑苦しいのはあんま好きじゃねーけどよ」

桑田「ま、断る理由も無いわな」


山田「むむむッ!大ヨクジョウ……ですと……?」

山田「ち、ちーたんは、ちーたんは来るのですかな!?」

山田「わからないですと?これは、自分の目で確かめなくてはなりませんな……」

他の人は部屋にはいなかったので、まず食堂に行ってみた。


食堂には石丸クン、大和田クン、不二咲クンがいた。

大和田「おう、そりゃいいな。なんつっても風呂は男の社交場だからな!」

石丸「うむ、兄弟の言う通りだ!僕たちの絆も風呂で生まれたものだからな!!」

不二咲「あ、で、でも……僕どうしよぉ……」

そうか。いくらみんなに秘密を話したって言っても、いきなり裸の付き合いっていうのも……。
何よりボクの心の準備がまだ出来てないっていうか。

大和田「ふ、不二咲は別に無理しなくてもいいんじゃねーか?」

石丸「そ、そうだな!」

不二咲「う……ん、そう、だね」


「(社交場だと……?)」

苗木「あ、十神クン。十神クンも一緒にどうかな?」

十神「フン……」

苗木「あ、行っちゃった」

大和田「ほっとけ苗木。あいつはそういう奴だからよぉ」

うーん、全員は無理なのかな……。ともかく行けるメンバーで脱衣所に行こう。


脱衣所に行くと、すでに女子全員が集まっていた。
腐川さんも来ているのは意外だなと思って、じっと見てしまった。

腐川「な、なによ……なんなのよ……!?あ、あたしにはもう心に決めた」

「そいつには俺が行けと言った」

苗木「え、十神クン?」

十神「臭くてかなわんからな」

石丸「十神くん!来てくれたのだな!僕は嬉しいぞ!!」

十神「フン、社交場と聞いては黙ってはおれん」

十神「どのような社交場であれ、主役はこの俺十神白夜と決まっている!」

腐川「びゃ、白夜様……素敵です……」


間が空いたところで、セレスさんが少し大きな声で喋りだした。

セレス「なんなのですか、貴方がたは?これから女同士で親睦を深めようと思っていましたのに!」

そう言うと、今度は少し抑え目の声で、

セレス「モノクマに断片的に情報を与えましょう、すべて覆い隠してしまうと疑念を生みますわ」


葉隠「セレスっちたちもそうだったんだべか!俺らもな、予想外に十神っちまで来てテンション上がってきたべ!」

朝日奈「ちょっと葉隠……なに考えてんのよ!」

セレスさんは小声で、
セレス「フフ。やはり葉隠君はすこーし理解力には乏しいですが、理解さえさせてあげればなかなかの働きをする方ですわね」

葉隠「褒められたべ」

苗木「い、いや、どうだろう……?そうなの、かな」

セレス「しかし困りましたわね。いくらなんでも混浴というわけにはまいりませんし」

舞園「あ、当たり前ですよ!」

腐川「あ、あたしは白夜様とだったら……むふ、むふふふふふ」

十神「貴様はその臭い口を閉じていろ」

腐川「……!」
こくこく、と頷く腐川さん。

また小声で、
セレス「さ、不二咲君。アレを」

不二咲「あ、うん」

葉隠クンと朝日奈さんを筆頭に言い争いが起きたところで、セレスさんは不二咲クンを促した。
今回またここに集まりなおした本題である、アルターエゴだ。


霧切「あそこがいいわ。構造的に一番声が外に漏れにくいから」

十神「ふむ。何やら面白そうな事を企んでいたのだな」

言い争いをしている葉隠クン達以外が、脱衣所の端に集まる。

十神「これはなんだ?」

不二咲「あ、これはね、書庫で見つけたパソコンだよぉ」

不二咲「電源は復旧出来たけど、中身のほとんどにかなり強固なプロテクトが施されてたから」

不二咲「それを解析する為にこの中にアルターエゴって解析用AIを構築したんだぁ」

十神「人工知能……か。そのような技術、うちの開発部でも聞いた事がなかったが……」

十神「さすがは超高校級のプログラマーと言ったところか?」

不二咲「えへへ、出来たのはほとんど偶然みたいなものだけどねぇ」

十神「フン。それで?解析の方はどこまで進んでいるんだ」

不二咲「まだ成果が出るにはもう少し掛かりそうなんだ、ごめんねぇ」

大神「気にする事は無い。我にはよくはわからないが、」

大神「不二咲以上にそれが出来る者など、他にはいない事だけはわかる」

不二咲「大神さん……ありがとぉ。でもね、これに関して僕が出来ることって、実はもうないんだ」

不二咲「あとはアルターエゴ、この子のがんばり次第なんだぁ」

不二咲「それでね、この子の力をもっともっと発揮出来るように、」

不二咲「みんなにはこの子にいっぱい話しかけて、色々教えてあげて欲しいんだ」

不二咲「ボクだけだと偏っちゃうから……十神君も、お願い出来ないかな?」

十神「そんなもの、愚民共にさせておけばいいだろう」

不二咲「うぅ……」

十神「と言いたいところだが、」

十神「……まぁ暇潰しぐらいには使ってやる」

不二咲「あ、ありがとう十神君!」

一度曇った表情からの笑顔が、とても眩しかった。
心なしか、十神クンですら少したじろいでいるように見えた。

十神「フン。それほどのプロテクトで守られたモノ、というのにも興味があるしな」

不二咲「じゃあ、そういうわけだから、この子はここに置いておこうと思うんだ」

不二咲「それがいいんだよね?霧切さん」

霧切「ええ。監視カメラもマイクも無く、今までの経験上お風呂やトイレにモノクマは現れない」

霧切「そして、誰が利用してもおかしく無い場所。バレさえしなければここが一番安全だわ」


霧切「ただし、不自然な行動はしないこと」

霧切「具体的には、あくまで常識的な範囲で大浴場を使用する時だけ、」

霧切「そして長時間の使用は避けること。いいわね?山田君」

山田「ドキィ!な、なんで僕を名指ししたのですかな!?」

霧切「……不二咲君、しつこい男の好感度が下がるようにプログラムしておいてくれるかしら?」

不二咲「あ、うん。わかったよぉ……?」

山田「くっ……!!」


セレス「さて、アルターエゴについては宜しいようですわね」

ちらっと葉隠クンたちの方を見て、
セレス「あちらの方は、どう落とし所を付けましょうか?」

葉隠「じゃんけんだべ!じゃんけんで決めるべ!」

朝日奈「望むところよ!!」

葉隠「そっちが勝ったら先に入ればいいべ。でも、俺らが勝ったら混浴だからな!」


「……は?」

書いたとこまで。

考える時間長いと、内容間延びしてぐだぐだになるなぁ。

あ、男のロマン所持判定をコンマでしたいかも。

と思ったがマイナス要素無いから当然所持でいいかー。


桑田「ま、待て葉隠、ここは超高校級の幸運の苗木に」

十神「どけ愚民が。葉隠、なにを自分が代表の様な事を言っている?」

十神「ここは世界のリーダーたる十神の、次期当主である俺しか考えられないだろう」

十神「この俺が貴様らを導いてやる!十神の名に懸けて、だ」

苗木「……スケールの大きいこと言ってるけど、いま何の話だったっけ……?」

隣の不二咲に小声で確認する。

大和田「おお!そこまで言うなら任せたぜ十神!」

桑田「十神さん付いて行きます!」

葉隠「なんだかわからんがそういう事なら任せたべ、十神っち!」

不二咲クンは答えてはくれなかった。
十神クンは何故か、ここに来て無駄なリーダーリップを発揮している……。

朝日奈「よーし!じゃあいっくよー十神!!」

セレス「ちょ、ちょっとお待ちなさい。先ほど何か不穏な単語が……」

舞園「とが……は……を出……」
舞園さんが何かささやいた様に見えた。

「じゃーんけーん……」


十神「ば……馬鹿な!この、勝利を宿命付けられた十神白夜が……ッ!」

脱衣所から追い出された男子の面々。

桑田「はー、がっかりだなぁ。あれだけでかいこと言っておいて」

山田「まさか普通に負けるなんて……ぷぷっ」

葉隠「十神っちのじゃんけんは三割負けるべ!」

「……かませ眼鏡」
ぼそっとどこからか聞こえて来た。

十神「なんだと……?」

「……負け犬が」

十神「くっ!」

苗木「ま、まぁまぁ、これで良かったんじゃないかな。混浴なんて……その、ダメだよ」

桑田「くっそぉ!このオレの盛り上がったパトスはどこに放てばいいんだ!」

苗木「白球にでもぶつければいいんじゃないかな……」

山田「盛り上がった……放つ……ですと」

「ナニを放つって?」


――!!
「モノクマ……!」

モノクマ「脱衣所で何かコソコソコソコソやっちゃってさ、よからぬことでも企んでるんじゃないだろーね?」

苗木「お、お前には関係ないことだよ!」

山田「そうですぞ、これは男のロマンの話ですからな!」

葉隠「山田っち、もう三次元にも興味津々なの隠す気ないべ……」

男のロマン……?そういえばそんなモノを持っていた気がするぞ。

モノクマ「なになに?ハレンチなこと?オマエラなぁ……先生は悲しいぞ」

くっ、何か罰でも与えられるのか?
でも校則にはそんな事載ってなかったはずだ。罰と言ってもおしおきまではいかないだろう。
それでアルターエゴの秘密が守れるなら……。

モノクマ「どうして先生に相談しない!……風呂場ってことは覗きか?覗きなんだな?」

桑田「お、おお!その手があったか!」

モノクマ「へ?」

桑田「いやよ、もうちょっとで混浴の……」

苗木「く、桑田クン!」

モノクマ「……さすがにそれやってたらおしおきだったけどね……」

モノクマ「まったくもー!なんてこと考えるんだい、このクソエロヒゲ!!」

桑田「お、オレが考えたわけじゃねーって」

苗木「まぁ、勝ってたとしてもたぶん実現はしなかったよ……」

モノクマ「よし!じゃあ覗きだね、いいかい!」

なんでモノクマがこんなに乗り気なんだ……線引きもよくわからないし……。

モノクマ「実はあの脱衣所の……の部分に、隙間があるんだよね」

モノクマ「ボクが言えるのはこれだけ。あとはどうするかはオマエラ次第だよ」

そう言い残して、現れた時と同じ様に唐突に姿を消した。

「モ、モノクマのやろう……これはワナか!?」

なんて、ボクも考えていた。

桑田「おいどうするよ」

葉隠「どうするもこうするも……苗木っちに任せるべ!」

前振りも無くこちらに矛先が向いてきた。
「ええっ、ボク?」

どうしよう――

いや……もう答えは決まってるはずだ。
そう、ボクには男のロマンがある!!

苗木「よし、行こう!行こうよみんな!」

脱衣所にそっと侵入するボク達。

十神「おい俺はこんなものに興味は無い、興味があるのは勝ち続ける事だけだ」

風呂の時間になったら呼べ、と言いながら歩いて行く。

葉隠「そんなこと言って十神っち、ここまで来といてそれはないべ~?」

大和田「……ほ、ほんとに帰りやがった」

山田「馬鹿なっ!?十神家の嫡男は化け物か……ッ!!」

桑田「ありえねー……あいつ本当は女なんじゃねーか?」

不二咲「……」

大和田「不二咲ですら見たいってのになぁ?」

ぽんぽん、と不二咲クンの頭を叩く。

不二咲「え、や、ぼ、僕はその……」

大和田「いーんだよ不二咲!漢になりてぇんだろ?ドンと行こうぜ!」

山田「そうですぞ!女性の裸に興味津々だけど恥ずかしがるちーたんも、いい!!」


石丸「ちょ、ちょっと待ってくれ!!あまりの事に気が遠くなっていたが、」

石丸「そんな不純な事、許されないぞ!今すぐやめるんだ!」

大和田「お?なんだいたのか兄弟。かってーこと言うなよ、これも男同士の交流ってやつだぜ」

大和田「儀式みたいなもんだ、避けては通れねぇ」

葉隠「あ、それにモノクマがむしろ推奨してたべ!学園長の意向に風紀委員が背いていいんか?」

石丸「ぐ……ぬぬぬぬぬ!!」

さすが葉隠クン、屁理屈だけは頭が働くんだね……。
他の事じゃモノクマの言う事なんて聞かないくせに。
まぁそれはみんなそうだけど。

桑田「おし、じゃあもういいな?行くぞ?イっちまうぞ?」

山田「早漏乙ですな」

ここまで全部ひそひそ声、石丸クン以外は。
さすが空気読めてる、石丸クン以外は。

苗木「ここだな……」

桑田「お、おいオメーが一番乗りかよ!一番ノリノリだったのかよ!!」

ゴクリ。
ボクはモノクマに教えられた隙間を覗き込んだ――

――そこは桃源郷か理想郷か。

最初に目に付いたのは、一番手前で頭を洗っていた大神さん。

苗木「(くっ……大きなバスタオルを巻いていて、惜しい!)」

こんな事なら水着で混浴という流れに持って行った方が良かったか……?
いや!あのタオルの下は一糸まとわぬ姿だという事が重要だ。
それに水着だった場合おそらく大神さんは競泳水着だろう。
どちらにしろ露出してくれはしない。
確かにボディラインは競泳水着の方が堪能は出来るが――
おっと、今はそれより他を堪能するべきだ。
健康的な脚線美、綺麗な肩甲骨、鎖骨、大きなバスタオルでも隠し切れない、む、む…………

「――!」
殺気を感じ取り、慌てて隙間から目を外した。

朝日奈「どうしたのー?さくらちゃん」

大神「む……いや、何やら視線を感じたのでな。だが我の気のせいであろう」

大神「我の体を見たい物好きな輩など、居はしないだろうからな」

朝日奈「えーそんな事ないよー!さくらちゃんとってもかわいいし」

朝日奈「それにほら、彼氏さんがいたんじゃないー?いいなぁ」

大神「あ、あれは彼氏などでは……からかうのはよせ、朝日奈よ!」

朝日奈「あはは、やっぱりさくらちゃんかわいいー!」

……危うく一発目でバレるところだった。
危ない危ない、大神さんは鋭いからこれ以上見続けるのは危険かな。
それに朝日奈さんも今はほとんど大神さんの近くにいるので、後にしよう。
そうすると次は――

「腐川さん、髪の洗い方教えましょうか?」

隙間に目を近づけた瞬間、白と肌色が前を通ってドキッっとした。
舞園さんが横切ったようだ。
と、いうことは……い、今のはお尻!?
舞園さんもバスタオルを使ってはいるけど、軽く前を隠しているだけだからか、
濡れたタオルが体に張り付いて、なんというか、その、艶っぽい。
アイドルって温泉番組とかあるのかな?
ボクは、これぞ放送出来る限界のエロスだ!と感じた。
そういうの観たこと無かったけど、舞園さんが出てるなら今度見てみたいな……。

隣の腐川さんにも目が行く。
髪をわしゃわしゃと洗っている。ああ、せっかくの素材が台無しだよ。
体は、バスタオルを二重に巻いてがっちりガードといった感じだ。
うーん、これも惜しいなぁ。でも腐川さんの脚は一番ほっそりしてて一番綺麗かもしれない。
彼女のキャラからは意外にも、適度な筋肉が付いていて、まさにカモシカのような脚と言える。
実際にカモシカを見たことはないけど。

舞園「腐川さん髪綺麗なんですから、ちゃんとお手入れしないともったいないですよ」

腐川「あ、あんたに言われると嫌みにしかき、聞こえないわよ……」

舞園「そんな事ないですよ。いいから貸してください、ほら」

腐川「や、やめなさいよ……」

あー和むわー。めっさ和むわー。
女の子同士っていいよね。
それに地上波ギリギリのエロス!今も舞園さんの横乳が……。
中学のボクだったらこの番組、間違いなく録画して永久保存版にしてるね!
純白と白い肌とのコントラストはどうしてこんなにもいいものなんだろうか。

さて次は――
あの髪の色は江ノ島さんだな。
化粧を落とすと更に……ギャルっぽくないなぁ。なんだか素朴な感じ。
体も何か貧……ゾクッ!?
な、なんだ今、物凄い寒気を覚えたぞ。
……でもスタイルはすらっとしてて、キュッと引き締まっててカッコいいな。
海外のモデルでもこういうタイプの人いるよね。
あの腹筋はなかなか……。
女の子で腹筋が割れてると大抵恥ずかしがるけど、彼女は身体を惜し気もなく見せてくれるのもポイント高いよ。
うーん、ボクのギャルのイメージが間違ってたのかな。これは新境地だ。

江ノ島「(あ……タオル忘れた……恥ずかしい……)」

江ノ島「(で、でもギャルはこんな事じゃ恥ずかしがらないよね……ど、堂々としてなきゃ)」


ん?誰だあれは。
あんなボブカットの子なんて、いたっけ?
肌も真っ白で綺麗だな。
あ、あの赤い瞳は……まさかセレスさん!?
服と髪が違うとずいぶん印象変わるなぁ。でもボクはこっちも……いいかも。
少しばつが悪そうに端の方でお湯に浸かっている。
これだとうなじぐらいしか見えないけど、それでも何か引き寄せられるモノがある。
いつもと違って和服が似合いそうな和風美人、って感じだね。

あ、少し離れたところに霧切さんもいたんだ。
会話は……ないなぁ。
霧切さんも肌の白さではセレスさんに勝るとも劣らない。
お湯に浸かってる後ろ姿が、今のセレスさんより少し大人っぽく見える。
というよりなんだか今のセレスさんが幼く見えるのかな。
霧切さん、胸も……その、結構あるし。無頓着なのか隠そうともしない、背後の上から覗き込むようなこの視点もいいなぁ。
もしくは意外と拘りがあって、あえて隠していないのかも。
彼女も和服が似合うと思うけど、凛としたイメージが良さそうだ。

霧切「……」

セレス「……」

会話はないけど、少し近くにいる。
なんだかセレスさんも、今はそれが居心地がいいみたいだ。
でもボクは不満だね!あー都合良く二人がお湯から出ないかなぁ。
ボクの幸運よ!二人に届け!!

ちゃぷんっ
――!
び、びっくりした、急に横から朝日奈さんが来て、二人のあのちょっとした隙間に入ったみたいだ。
あの空気で臆面もなく間に入れるなんてさすが朝日奈さんだなぁ。全く隠してなかったし。
……いきなりで見そびれちゃったけど。ボクの幸運ってなんなんだろう……。
大きいのが特別好きってわけじゃないけど、やっぱり一度は見てみたい。
お、おお!すごい!後ろからでも、浮いてる!!
いやあ浮力万歳だね、こりゃあ朝日奈さん泳ぐ時邪魔そうだなぁ。
ん?二言三言会話を交わして、いよいよ霧切さんが出るみたいだね。
さぁバッチこーい!ボクの網膜はいつでも心のシャッターを切る準備を……

えっ……今、こっちをチラッと見……た……?

こんなんで

覗きバレた方がフラグブレイク出来ますかねぇ……(ゲス顔)


これ以上は危ない!
ボクの幸運が警笛を鳴らす。
でも、どうしても……霧切さんの白い肌から目が離せなかったんだ。

霧切さんは浴槽の縁に座り、ボクにはちょうど背中を向けた格好になる。
頭に手拭いなんかを乗せている。江戸っ子なんだろうか?
何も隠す物がなくて、お尻の半分から上がバッチリ見えてしまってる状態だ。
また、霧切さんがこっちをチラッと見た気がした。
でもこんなの、ますます目が離せるわけないよ!

霧切「……ふぅ。仕方ないわね」

霧切「大神さん、何かあそこから視線を感じるのだけど」

大神「む、霧切よ、お主もか……あれは我の勘違いではなかったようだな」

言うが早いか、一陣の風が吹いた……と思ったら、ボクは脱衣所に引き倒されていた。

大神「意外だな。苗木であったか」

大神「だが、後ろのお主達も共犯と見ていいのだろうな?」

「ヒッ」

誰かが短く悲鳴を上げた。

大和田「チッ、バレちまったら仕方がねェ。似るなり焼くなり好きにしな!」

石丸「すまない!最初は止めたのだが、止めきれずに……!僕もどんな罰でも受けよう!」

葉隠「え、も、もう諦めるんか?俺全く見てないべ!?」

山田「葉隠康比呂殿、諦めが肝心ですぞ。大神さくら殿に見つかっては、もう……」

不二咲「うう……ごめんなさい」

朝日奈「え?なになに覗きッ!?サイッテー……」

霧切「苗木君……あなた、忠告はしたはずよ?」

腐川「い、いやああああ汚らわしい!!白夜様以外にあたしの身体が……ぜ、絶対に許さないわよ……」

江ノ島「っ、ったくしょーがないねー。お、男ってやつはー……ぅぅ……」

舞園「皆さん、見損ないました……」

桑田「は、はは……健全な男子としては、その、ごめんなさい!」

葉隠「理不尽だべ!苗木っちばっかりいい思いして!」

確かにすごくいいものを見させてもらったけど、首謀者扱いされてる上に、
大神さんの技が決まっ……てるんだ……よね……。
首謀者はモノクマなんだ、ボクたちの敵はモノクマだけなんだ!

苗木「う……ぐえっ…………」
そこでボクの意識は途絶えてしまった。

苗木「がっ、かはッ!!」

活を入れられて目が覚めた。どうやらしばらく気絶してたようだ。

大神「二度とこの様な事をするでないぞ、いいな」

そう言って大神さんは去って行った。
残された男子の面々は一様に暗い雰囲気で、大神さんによるナニかがあった事は想像に難くない。

葉隠「……はぁ、ひどい目にあったべ」

それでも一番懲りて無さそうな声が上がる。

桑田「ま、まぁ気を取り直して風呂でも入るか」

大和田「いててて、こりゃ体に沁みそうだぜ」

「何の騒ぎだ?」

不二咲「あ、十神君……」

大和田「テメェいーいタイミングで来るじゃねーかよ」

葉隠「まったくだべ!俺の占いでもこうはいかないべ、見てたんじゃねーか?」

十神「フン、あれだけ騒いでれば嫌でも耳に付く」

十神「それで?もう風呂の時間か?」

大和田「あァ、そうだな」


十神「ではとっとと入るぞ、俺の貴重な時間を無駄にするな愚民ども」

大和田「こいつァいちいちよぉ……」

石丸「兄弟!暴力はダメだぞ!ともかく、さぁ入ろうじゃないか!」

不二咲「う、うん。僕もがんばるよぉ!」

苗木「あ、不二咲クンこれ」

ボクは不二咲クンに大きなバスタオルを渡す。

不二咲「え?これは?」

苗木「これを巻いて入ったらいいよ」

にっこりと笑って言った。

不二咲「え……えっ?」

大和田「ああ、それがいいぜ不二咲」

石丸「うむ!それで何の問題もないな!」

不二咲「う、うう……こんなの巻いてたら余計恥ずかしいよぉ……」

苗木「仕方ないよ、不二咲クンなんだし」


大和田「兄弟!サウナ行こうぜサウナ!」

石丸「お、行くかね!もちろん苗木くんも行くだろう?」

苗木「うーん、まぁ嫌いじゃないし……」

十神「フン、社交場などと言うから気まぐれに来て見れば、くだらんな」

大和田「……あァ、軟弱なテメーじゃ男の勝負は無理だろうな」

十神「なんだと?今勝負と言ったのかトウモロコシ。いいだろう、詳しく話してみろ」

大和田「てんめェ……ッ!!」

……

十神「なるほどな。やはりくだらん、要するにただの我慢くらべか。愚民の考えそうな事だ」

十神「だが……勝負と名の付くもので、この俺が負ける事など有り得ないな」

苗木「(あれ?ついさっきじゃんけんで……)」

十神「いいだろう、戯れにやってやろう。お前達の矮小な自尊心を軽く手折ってやるのも、暇潰しぐらいにはなる」

石丸「おお!十神くんも一緒に行きたいのかね!いいだろういいだろう」

不二咲「あ、僕も……」

大和田「ふ、不二咲!お、応援しててくれよな!」


―サウナ―

相変わらずみんな辛そうにしてるなぁ、サウナって楽しいものなのに。

大和田「不二咲、見ててくれよなァ! オレは強ェんだ!」

大和田「強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い……」

不二咲「う、うん……がんばって……」

石丸「はっはっはっ、なんのボクも負けないぞ!不二咲くんエールを頼む!!」

不二咲「え、えぇ?ふ、フレー!フレーッ!石丸君……?」

十神「暑苦しい奴らだ……不二咲、お前は勝者であるこの俺だけを見てい」

「キーンコーンカーンコーン」

「午後10時になりました。ただいまより夜時間になります。」

「ではでは、よい夢を……」

不二咲「あ、夜時間だって。どうしよぉ……」

苗木「不二咲クンはもう部屋に戻ってるといいよ。後は任せて」

大和田「あァ、そうだな」

石丸「うむッ!こんな時間まで付き合わせてすまなかった!気を付けて帰ってくれたまえ」


不二咲クンが部屋に戻ってからもうだいぶ経った。
みんな見るからに限界そうだけど、まだやるのかなぁ。

大和田「おう十神ィ、もう限界じゃないのか? お前のアオッチロイ肌が真っ赤だぞ?」

十神「……この程度どうという事はない」

石丸「どうしてそこまで頑張るのかね? 才能に恵まれた君が、この様な事に執着するとはいささか疑問だ」

十神「フン、才能に恵まれただと? もちろんその通りだ、天は俺にすべてを与えた」

十神「だが、才能に選ばれた程度で満足しているようでは真に選ばれた者とは言えん」

十神「戦い勝ち取ってこそ、俺は超高校級の完璧・十神白夜となるんだ!」

石丸「……君は努力とは一番程遠いと思っていたが、どうやら認識を改めた方がいいようだな」

十神「努力だと? そんな物俺には必要無いな。才能は元々完璧なんだ、後は必要な知識と技術を積み上げ、どう勝利するかのみだ」

石丸「それを努力と言うのでは無いのかね!」

大和田「……方向は極端だけどな。勝つ事にこだわる、それがお前の強さなのかもしんねぇな」

十神「……フン、知らんな」

大和田「けどよぉ、俺も族の頭やってんだ。根性じゃ誰にも負けるつもりはねぇぜ? もちろん兄弟にもな!」

石丸「ああ!!」


苗木「ふぅ、ふぅ。重っ……」

――結局、前の時と同じようにサウナ内でぶっ倒れた3人を、ボクが外に引き摺り出す事になった。

苗木「あとは十神クン、か」

大和田クンよりはマシだけど、やっぱりボクの体格じゃ3人とも運ぶのはきつい。
一人ずつでも足を持って、引き摺って行くのがやっとだ。

苗木「ごめんね十神クン、タオルはだけちゃってるけどそんな余裕な、ッ」

腐川「ッ!?」

突然入って来た腐川さんとボクは、十神クンを凝視したままフリーズしてしまう。

……

腐川「びゃ……」

腐川「白夜様の10神様があああああああぁぁぁぁぁ!!」

と、腐川さんは走って行ってしまった。
ごめん、ホントにごめん十神クン……。



十日目


―食堂―

大和田「だっはっはっ、オメェなかなかやるもんだなァ!」

石丸「ああ! 君はどうにも一本筋が通っている。見直したぞ!」

十神「フン、結局勝負はうやむやになってしまったんだ、この俺にとっては屈辱でしかない」

十神「それより……」

チラッ、とこっちを見た。

十神「苗木だ。お前が最後まで残り、俺達を外に運び出したんだろう?」

苗木「う、うん。一応、そうだけど」

十神「……なんの才能も可能性もない人間かと思っていたが。どうやらそうとも言い切れないかもしれないな」

苗木「い、いやそんな、たまたまそういうの得意だっただけで……ボクは……」


苗木「人より少しだけサウナが好きな、普通の高校生だよ」



桑田「そういやよ、昨日から3階が開放されてるんだよな?」

桑田「昨日はその覗……ふ、風呂の事でいっぱいいっぱいだったけどよ」

葉隠「そんなもんより重要な事があったべ!アルターエ」

山田「ウオッホン!ゴホッゴホッ!!あーなんだか喉の調子が悪いですな……」

セレス「チッ」

霧切「……そうね、今日こそは探索をしましょう」

霧切「3階と、他の階でもまだ入れなかった場所が入れるようになってるかも知れないわ」



―娯楽室―

セレス「あら苗木君、この部屋に興味がおありですか?」

苗木「ううん、とりあえず一通り全部回っておこうと思って」

セレス「そうですか……」

セレス「ここはなかなか良さそうですわね。ダーツにオセロに将棋、ビリヤード……暇を潰せそうですわ」

セレス「……ギャンブルの定番でもあります」

苗木「うーん、ゲームとかは人並みには好きだけど、ギャンブルには全く興味ないなぁ」


セレス「……ギャンブルと言っても遊びみたいなものですわ。例えば負けた方が勝った方の軽い命令を聞く、だとか」

苗木「それでも、絶対ヒドイ目に合うって目に見えてるから……」

セレス「あら、苗木君は超高校級の幸運ではなくて? 人並み外れた運があれば、ギャンブルなど容易いのでは?」

苗木「それが、少なくともそういう事には一切効かないみたいなんだよね……」

苗木「そういうわけだから、もう行くね。それじゃあ!」

セレス「でしたら別に何も賭けなくても……ああ、つまりませんわね」


―廊下―

「苗木君」

苗木「あ、霧切さん。どう? 探索の方は」

霧切「1階の保健室が入れるようになっていたわ。でも、そこでは特に手掛かりになるような物はなかった」

霧切「これで1階の閉鎖されている場所はもうないようね。後は、上の階に何かあるといいのだけど」

苗木「うん、そうだね。この階であと気になるのは物理室と美術室かな」


―物理室―

苗木「うわっ、なんだこの大きな機械は!」

「あっぶなーい! 触っちゃダメダメ!!」

苗木「も、モノクマ!?」

モノクマ「それね、大型ハドロン衝突型加速器だから。むやみに触るとまじヤバイよ?」

苗木「お、大型ハド……? な、なんだよそれ!」

モノクマ「えー簡単に言うとだね、人をゼリー状にしたり時をかけちゃったり出来る装置でーす」

苗木「なッ、なんでそんな物がここに……」

モノクマ「まぁ嘘だけどね」

苗木「嘘ッ!?」

モノクマ「本当は空気清浄機です。ま、むやみに触っちゃいけないのは変わらないからね。最悪死ぬよ?」

モノクマ「じゃ、気を付けてねー」

ぼよよよよーん


苗木「……空気清浄機がなんでこんな大きいんだよ……それも嘘、か?」


ん? これはなんだ……?
あ、これは! 「外道天使☆もちもちプリンセス」の……ッ!
アニメ化記念イベント限定のデジカメ、超レアグッズじゃないか!!!!

……妹が昔好きで試しに見てみたら、ハマっちゃったんだよなぁ。
こ、ここにずっと置いてあるって事は、いらないのかなー?

苗木「えっと、これどなたのですかー? いらないんですかー?」

小声で聞いてみる。

苗木「いらないなら……い、いや、とりあえずボクが預かっておきますねー?」

よ、よし、とりあえず預かるだけだから。預かるだけ。


ふぅ……あの扉は、物理準備室か。
あそこはいいや、こんなに大きな収穫があったんだからもう何もないよね。
さーて、実りある探索も済んだ事だし、戻ろうかな。


―食堂―

食堂に戻ると、みんなもう集まっていた。
お互い探索の結果を報告しあう。
大神さんによると、3階からも脱出は難しいらしい。
また、特に手掛かりになる様な物も見つからなかったようだ。


探索、報告会と終わってちょっと時間が空いてしまった。
ボクはどうしようかな――と思っていると、

「ねー苗木! ちょっと付き合わない?」

苗木「江ノ島さん、どうしたの?」

江ノ島「んーなんかちょっと溜まっちゃってさー」

江ノ島「今度開放された3階には、娯楽室があるみたいだから。ちょっと気晴らしでもしようかと、さ」

苗木「そうだね、こんな状況だし……気晴らしもいいかもね」

江ノ島「おっ、話わかんじゃーん。じゃ行こっ!」


―娯楽室―

江ノ島「さーて何をやりますかねー!」

苗木「江ノ島さんは何が得意?」

江ノ島「ダーツとビリヤードはそこそこ自信あるよー? なんたって今時のギャルだからね」

苗木「そうなんだ……ボクはどっちもやったことないなぁ」

江ノ島「なんなら教えてあげよっかー? 手取り足取りぃー、ね? にっしっしっ」

苗木「お、お願いしようかな……実は、興味はあったんだよね」


江ノ島「あーそこはもっとこう、脇を締めた方がい、いいよ」

苗木「あ、うん……え、江ノ島さん……体、近いよ……」

江ノ島「て、手取り足取りって言ったじゃん? それにこれくらい、大したことないってぇ」

苗木「う、その……背中に当たって」

江ノ島「ッ!? も、もう苗木ったらむっつりなんだー」

江ノ島「じゃあちょっと離」

苗木「そ、そりゃあギャルの江ノ島さんなら何てことないかもしれないけどさ……」

江ノ島「あ、あはは……まぁこれくらいは、ねぇ?」

そう言うと、江ノ島さんはより強く密着させて来る。

江ノ島「あーえーと、あ、で、でも、雑誌とかで見るより貧相でつまんなくない? その、当たっても、さ?」

苗木「ど、どうだろう。こんな事初めてだから……修正した後のを体感出来るわけでもないしね。はは」

あんまり気にしてないみたいだし、ボクも精一杯冗談っぽく返す。

江ノ島「貧相なの否定はしない、んだ……」

苗木「え?」

江ノ島「な、なんでもないっ」



苗木「…………ギャルってすごい」

なんかいい匂いもしたし……。

江ノ島「ん?どしたの苗木、ぼーっとしちゃって」

苗木「い、いや。江ノ島さんは結構やってたの? ダーツとかビリヤードとか、かなり慣れてるみたいだけど」

江ノ島「んーっていうか、昔いたところではこれぐらいしか娯楽がなかったからー」

苗木「なんかオシャレな感じ、さすが超高校級のギャルだね」

江ノ島「そ、そう? その代わり頭使うゲームとかはからっきしなんだけどね。あはは」

それは……まぁ、むしろギャルっぽい、なんて言ったら失礼だろうな。


江ノ島「ふーでもちょっとスッキリしたよ、ありがとね苗木」

苗木「あ、ううん。これくらい、いつでも付き合うよ。ボクも楽しかったしね」

江ノ島「そー? じゃまたサボりたい時に声掛けんね!」

苗木「うん。超高校級のギャルを満足させる自信はないけど……」

江ノ島「ま、満足って……いやいやいや、けっこー楽しかったよ? また遊んであげるっ」

にかっ、と笑って江ノ島さんは去って行った。

着地点はあるんですけど、経由が考え込んじゃいますね。うろ覚えだから原作見直してみたり。
あと、次の次ぐらいにでっかいハードルが……。

ではでは。

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