シャルル「で、マナは誰と愛を育むシャル?」マナ「えっ?」 (90)



マナ「と、突然どうしたのシャルル?」

シャルル「あ、わかりにくかったシャルね。ちゃんと一から説明するシャル。最近エースのおかげでマナたちはとても強くなったシャル」

マナ「うん。私も六花たちも愛に目覚めて強くなったし」

シャルル「で、シャルルは思ったシャル。愛に目覚めて強くなれるなら、その愛を育てればもっと強くなれるシャル!と」






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マナ「まぁ、そうなるのかな?」

シャルル「そこでシャルルは勉強したシャル。愛を育てるのはどういうことか。
     愛と言っても博愛・家族愛・兄弟愛から果ては自己愛・略奪愛までいろいろあるシャル。
     その中でどんな愛を強めていけばプリキュアとして強くなれるのか。一生懸命探したシャル!」

マナ「あ、だから最近夜遅くまで起きてパソコンにかじりついてたんだ」

シャルル「そうシャル。シャルルはいつもマナに頼ってばかりシャル。
     トランプ王国のためにジコチューと戦ってもらってごめんシャル、マナ」

マナ「そんなことないよ。トランプ王国を蘇らせたいのは私も同じだし。
   それにシャルルがいつもそばに居てくれるから私も頑張れるんだよ?」

シャルル「ありがとうシャル。でも、マナの頑張りに比べたらシャルルはまだまだ出来ることがあると思うシャル。
     だから、こんな時くらい役に立ちたいシャルよ」


マナ「シャルル……」

シャルル「こほん、話が逸れたシャル。シャルルは一生懸命愛を強める方法を探したシャル。
     そこでマナにはその方法を実践してもらって、さらなるパワーアップを遂げてほしいのシャル!」

マナ「うん! わかった。シャルルの探してくれた方法だもん。きっと上手くいくよ!」

シャルル「でもこれは茨の道シャル。もしかしたらマナに辛い思いをさせてしまうかもしれないシャル。
     だから覚悟を決めてほしいのシャル」

マナ「大丈夫! あたしは大貝第一中学の生徒会長だもの。生徒会長は皆のためなら、どこまでも頑張れるんだから!」

シャルル「で、マナ」

マナ「はい」

シャルル「誰か恋人を作るシャル」

マナ「えー……」


シャルル「あ、取り消しは聞かないシャルよ。シャルルとの約束にクーリングオフは効かないシャル」

マナ「約束は破らないけど……。何で恋人?」

シャルル「愛と言えば恋! 恋といえば愛シャル! しかもマナは花の中学生! 愛を強めるのにこれ以上の方法はないシャル!」

マナ「いやー、そんなことはないんじゃないかなー……。
   そもそもあたしってまだ恋とかよくわからないし」

シャルル「……無自覚に落としまくっててホントに性質悪いシャル」ボソ

マナ「え?」

シャルル「何でもないシャル」


マナ「とにかくあたしに恋人なんて無理だってシャルル。生徒会やプリキュアで忙しいし、デートとかしている暇はないんじゃないかな。
   相手も思い浮かばないし」

シャルル「あ、そこは大丈夫シャル。シャルルがマナにふさわしい相手を選んできてあるシャル。
     厳選に厳選を重ねて、マナの毎日にも完璧に合わせられる素晴らしい相手を見つけてきてあるシャル! きっとマナも気に入るシャル!」

マナ「いやでもプリキュアってことは知られちゃいけないんじゃ……」

シャルル「はい、この5人シャル」ドン



六花 ありす 真琴 レジーナ アイちゃん



マナ「」



マナ「ちょちょちょ、ちょっとまって!」

シャルル「気心も知れてて秘密も共有している最高のお相手シャル! 
     これなら恋人になってもシャルル的には何の問題もないシャル!」

マナ「いやいや問題ありありだって! 六花たちは女の子だよ?!」

シャルル「それが何の問題シャル?」

マナ「えっ?」

シャルル「女の子同士で恋愛しちゃいけないなんて誰が決めたシャル?」

マナ「いやでも、あ、ほら! 同性同士の結婚て日本じゃ認められてないし!」

シャルル「結婚とかそこまでハードル高いことはシャルルも望まないシャル! 
     普通に恋愛して愛を育ててくれればそれでいいシャル!」



マナ「いやそうじゃなくて! そもそも何で女の子なの!?」

シャルル「逆に何で女の子じゃダメシャル?」

マナ「何でそこを質問で返すの?!」

シャルル「もしかして、マナは六花たちのこと嫌いシャル?」

マナ「よくわからないけどそういう『好き』と、あたしの六花たちへの『好き』は違うんじゃないかなぁ」

シャルル「マナ、好きに区別なんてないシャル! どれも同じ愛シャル! 
     愛に優劣をつけるなんてマナらしくないシャル!」

マナ「いや別に優劣をつけたいわけじゃあ……」



シャルル「とにかく! 今のマナに必要なのは誰かと育む大きな愛シャル! 
     愛は一人でも育てられるシャルが、誰かと力を合わせることによって2倍3倍に膨れていくものなのシャル! 
     そうすれば、プリキュアとしても大きな力を発揮することができるシャル!」


マナ「でも女の子同士で恋愛なんて変だと思うけどなぁ」

シャルル「何を言っているシャル! 恋とは障害が多いほど燃え上がるものなのシャル! 
      その点世間一般で認められてないという大きな壁は、恋を極限まで燃えあがらせるのシャル! 
      女の子同士という背徳感。世間からは迫害視される悲しみ。でもこの思いは止められない。
      むしろ背徳感と迫害はその気持ちを世界でただ一つの特別なものとして燃え上がらせ、より大きな愛を実らせるのシャル!」

マナ(なんかシャルルが怖い)

シャルル「はい。これでこの提案がプリキュアとしてどれだけ有用なのかは証明されたシャル。
      これで愛を育てて打倒キングジコチューシャル!」

マナ「でも一人を選ぶなんて出来ないよ。みんなのこと大好きだし…」



シャルル「はい。そこでそんな優柔不断であと一歩が踏み出せない恋愛ヘタレなマナのために、各人の相手としての良い所をシャルルがまとめてきたシャル」

マナ「なんか今さらっと酷い事言われたよね」

シャルル「ラケル・ランス・ダビィ達にも協力してもらって可能な限り正確な情報を集めたプレゼンを作ったシャル。
     レジーナに関しては四人でプレゼンを話し合って決めたシャル。
     どれもこれも渾身のプレゼンシャル!」

マナ「シャルルだけじゃなくダビィ達まで……」

シャルル「これから一人ずつシャルルが紹介するシャル! 
     マナはこの中から一番自分にふさわしい相手を判断するシャル!」

マナ「いやちょっと! まだあたし恋人作るなんて一言もいってないんですけど!」

シャルル「問答無用シャル! 黙ってみんなの愛を聞くシャル!」

マナ「あたしの話を聞いてよー」

シャルル「はい、まずは最高の相棒こと菱川六花シャル!」



シャルル「六花のことはシャルルよりもマナが一番よく知っているシャル。
     が、ここはあえて第三者のシャルルが語ることでマナに六花のパートナーとしての魅力を感じてもらうシャル」

マナ「はぁ……」

シャルル「六花はマナとは幼なじみでまごうことなき親友シャル。
     テストでは毎回一位で成績優秀。将来の夢はお医者さんの才女シャル」

マナ(あ、意外と普通な紹介)

シャルル「性格は真面目シャル。集中しだすと止まらなくなるらしいシャルが、そこは高い集中力を維持できると言うことシャルね。
     基本的な一般常識も弁えていて、みんなどこかズレてる非常識なマナ達にとっては、貴重な存在シャル」

マナ「どうしよう。何も言い返せない」


シャルル「変身後のキュアダイヤモンドとしては主に後衛で参謀役をしているシャル。
     戦局を見渡してメンバーに的確な指示を出すのは頭脳明晰な六花だからできる役シャル」

マナ「指示はいつも的確だしね、六花」

シャルル「トゥインクルダイヤモンド・ダイヤモンドシャワーによるジコチューの行動の制限も大きな仕事シャルね。
     以前は運動が苦手だから前線にはあまり参加しなかったシャルが、エースの修行を終えてある程度前衛にも出れるようになってきたシャル。
     前衛後衛どちらもいける、まさにオールマイティーなプリキュアとしてダイヤモンドは完成しつつあるシャル。
     成長の伸びしろは一番大きいと言えるシャル」

マナ「うーむ」

シ「どうしたシャル?」

マナ「改めて聞かされると、やっぱり六花って凄いって思って。
   あたしも負けないように頑張らないと」

シャルル「シャルルは一人で頑張るより、二人で支え合ってほしいのシャル」

マナ「友達としてならぜひそうしたいんですが……」

シャルル「はい、六花の大まかな説明はこれで終わりシャル。
     ここからはマナとの相性については熱弁を奮わせてもらうシャル!」

マナ「ああ、はい……」

※今更ながら、ドキプリSSです。



シャルル「で、肝心のマナとの相性シャルが」

マナ「うん」

シャルル「ぶっちゃけた話、良すぎて今更話すことがないシャル」

マナ「え、そうなの?」

シャルル「はぁ……。マナはホントにダメダメシャルね。
     六花がどれだけお相手として破格の高相性なのか気づいていないんシャルから」

マナ「何かよくわからないけど、ゴメンナサイ」

シャルル「いいシャル!? 破天荒なマナと常識人の六花。
     その他にも猪突猛進と冷静沈着。運動系と文化系。能動と受動。ホット&クール。前衛と後衛。刀と鞘。攻めと受け。
     マナと六花は基本正反対な人間シャル!」

マナ「えっと、攻めと受けってな――」

シャルル「そんな正反対の人間同士が幼い頃から友情で結ばれ、時には引っ張り、時にはブレーキ役となって高めていくのでシャル! 
     互いに互いを補い大きな力となっていく。こんな理想的な関係はめったに無いシャル! 
     どこまでも高く飛んでいく、まさに王道中の王道! 鉄板中の鉄板のカップリングシャル!」


マナ「え、いやカップリング何?」



シャルル「長い付き合いで、互いの良い所や悪い所を理解しているのも、鉄板に拍車をかけているシャルね。
     特に、六花のマナへの釘の刺し方や絶妙なフォローは、もはや長年連れ添った夫婦の貫禄シャル。
     後先考えずに皆のために動くマナ王子が擦り切れないのは、六花というツバメのお陰シャル。
     ラケルがマナの奥さんと称したのもうなずける話シャル。
     マナはもっと六花に感謝した方がいいシャルね」

マナ(六花に何か申し訳ない気分になってきた……)

シャルル「そんなわけで、六花のマナに対する好感度が高いことは一目瞭然シャル。
     あとはマナのほうから積極的にアプローチすれば、すぐにでも愛は深まるシャルね。
     ちょっと耳元で囁けば一発でプシュケーを抜き取れるシャル」

マナ「あたしジコチューじゃないよ?!」

シャルル「ただ、あんまりにもいつも一緒にいるのは好ましくないシャル。
     互いのことが解りすぎて刺激の無いマンネリな関係は、倦怠期を招く場合があるシャルね。
     特にああいうタイプは慣れない刺激に触れると、コロッとそっちに行ってしまう場合が在るシャル。
     好きだった幼なじみが、突然現れた第三の人物にトンビの油揚げのごとくかっさらわれるなんてことは、古今東西枚挙に暇がないシャル」

マナ(なんだろう。妙に心に刺さる)


シャルル「先日、ジコチューのイーラと妙なフラグを立てたことにも注意を払うべきシャル。
     六花に限って男になびくことはないと思うシャルが、気をつけるに越したことはないシャル」

マナ「そういえば記憶が無い間は悪い人じゃなかったもんね。
   もしかしたら頑張って説得してみれば、レジーナみたいに六花と仲良くできるかも――」

シャルル「何を言っているシャルか! 敵に塩を送ってどうするシャル! 
     幼なじみだからってその関係に甘えてちゃダメシャル!」

マナ「ゴメンナサイ」

シャルル「幼なじみキャラが負ける最大の要因は、その関係性への甘えと慢心シャル! 
     確かに幼なじみは安定した関係シャルが、逆に言えばどちらかが何がしなければ何も変わらない関係と言えるシャル! 
     いくら長い付き合いだろうと、それで何も言わずに想いが通じるなんて考えは大間違いシャル! 
     何もしてないくせに、恋人気取りなんて勘違いも甚だしいシャル。

     寧ろその関係を悪い流れと考えて、積極的に思いを伝える努力を心がけるのが幼なじみの真の形と言うものシャルよ!」

マナ「……」

シャルル「と、ちょっと熱くなりすぎたシャル。
     ここであんまり熱弁振るいすぎたら他の四人にフェアじゃないシャル。
     六花の魅力はここまでにして、次にいくシャル」

マナ(一人目でこれかぁ……。先は長そうだなぁ)



シャルル「二人目は四葉家のお嬢様こと、四葉ありすシャル。
     名家の中の名家、四葉財閥のご令嬢にて、若くして財閥への発言権も持つスーパーお嬢様シャル!」

マナ「あ、次はありすなんだ」

シャルル「はい、静かに聞くシャル。性格はおしとやかで、異世界に飛ばされようがピンチになろうがどんなときでも自分のペースを崩さないシャル。
     ここら辺の肝の太さは若くして財閥を率いていることに由来するシャル。
     マナとはまた違った意味で大物シャルね」

マナ「いやぁ、大物だなんて……」

シャルル「はいはいシャル。シャルルが褒めたのはありすの方シャル」

マナ「……」シュン


シャルル「話を続けるシャル。あまり前に出たがらない傾向があるシャルが、これは力を持つ者として暴走することがないよう常に自制していることが原因シャルね。
     ありすは次期財閥当主として色んな物事に関わっているから、物凄く精神年齢が高いシャル。
     それとなくフォローを入れたり、みんなのために間を取り持ったり、そういう気配りがとても上手シャル。
     マナたちがケンカしても尾を引かないのは、ありすがしっかりと支えているからシャルよ」

マナ「はい、ありすには感謝してもしきれないです……」

シャルル「お嬢様だから教養や各種礼儀作法、様々なお稽古ごとにも通じているシャル! 自分に慢心せず人知れず鍛錬しているのも奥ゆかしさの表れシャルね。
     少々世間ずれしている部分もあるシャルが、六花とはまた違った形で常識人かつ文化人シャル。
     といっても、武道にも通じているシャルから、身体能力はバリバリの武闘派シャル」

マナ「武闘派ってそんな物騒な」

シャルル「でも腕っぷしの強さはメンバーで一番シャルよ?」

マナ「まあ、確かにそうなんだけど」


シャルル「変身後のキュアロゼッタは主に後衛で防御を担当しているシャル。
     ロゼッタウォール・ロゼッタリフレクションで、味方の行動の邪魔をせずフォローに入る技術は流石ありすシャル。
     攻撃技は残念ながらもたないシャルが、武道で磨いた格闘センスを生かした肉弾戦は、間違いなくメンバー1の強さを誇るシャル!」

マナ(こんど武道を教えてもらおうかなぁ……。ありすの家に道場もあることだし)

シャルル「高い身体能力を、敢えて防御に生かしてメンバー自分の役割に徹する土台を作る。
     まさに縁の下の力持ちシャル。いつもみんなを見守っているありすらしい役割シャルね」

マナ「ありすがいると、どんな時でも安心できるもんねー」

シャルル「はい、ではお楽しみの相性診断に入るシャル!」

マナ「テンション高いねシャルル……」


シャルル「ありすとの相性も、もちろん六花に勝るとも劣らない高相性シャル! 
     マナを支える、良妻ポジションというのは六花と同じシャルが、一味違った醍醐味がありすにはあるシャル!」

マナ「あのー、あたしも一応乙女なんですが……」

シャルル「幸せの王子は黙ってるシャル。マナとありすの場合は、破天荒なマナとそれを奥ゆかしく支えるありすの日本古来の大和撫子的な美しさが魅力シャル!」

マナ(話を聞いてくれない……)

シャルル「一人我が道を突き進んでいくマナを、一歩後ろから付き添うように、それでも決して離れず着いていって支えるありす……。ああ、なんていじましいシャルか! 
     そしてマナは唐突に後ろを振り返ってお礼をいうのシャル!『いつもありがとう』と! 
     そしたら、顔を少し赤くしてありすは『どういたしまして』ときっと答えるのシャル!」


マナ「あ、あのー……」

シャルル「ああああ! ありすー!もっと積極的になってもいいのシャルよー! 
     でもそんな奥ゆかしさを持っているのが、ありすの魅力なのシャルー! 
     マナがどんなに苦労をかけても感謝の言葉一つで、吹き飛んでしまうのでシャル!」


マナ「ちょ、ちょっとちょっと! あたしそこまでありすにひどいことしてないよ?!」

シャルル「仮定の話シャル! それほどありすはマナのことを信用しているのシャル! 
     どんなときもマナなら間違ったことはしないと! 
     ありすはそれを信じているからどんな苦労も背負い込めるのシャル! 
     ああ、なんという奥ゆかしさ! これぞ古き良き大和撫子の鏡シャル!」


マナ「だからありすには苦労はかけないってば!」



シャルル「王子と姫の関係でもイケるシャルね。六花がツバメなら、ありすはお姫様シャル。
     華やかなお城で暮らすお姫様。華やかで不自由のない暮らしシャルが、上級階級特有の息苦しさを感じるのも、また事実。

     そんなありすを広い世界へ連れ出すのが、マナ王子シャル! 
     王子は姫を破天荒な行動の数々で、外の世界へ連れ出していくのでシャル! 
     姫は王子の見せる世界に驚き感動し、やがてそんな王子に得も言えぬ感情を抱いていくのでシャル!」


マナ(ダメだ。完全に別の世界に入っている……)

シャルル「どんなときでも信じてしっかりと支えてくれる。それがありすの魅力シャル! 
     マナがどんなに無茶しても、いつもしっとりと微笑んでついてきてくれる。それがありすシャルよ! 
     マナが上から引っ張って、ありすが下から押し上げる! そんな二重螺旋がマナとありすの可能性シャル!」


マナ「うん。よくわからないけど、何か凄いのは分かった」

シャルル「ただ、六花とは違ってありすと愛を育むにはまだフラグが足りないシャル! 
     そこを改善しないかぎり、ありすとの仲は進展しないシャルよ! 
     今からそこを伝授するシャル!」


マナ「だから、まだわたしは何も……」

シャルル「話は最後まで聞くシャル!」

マナ「はい」



シャルル「マナとの相性は、説明したように悪くないシャル。
     ただ六花と違って、本格的に落とすにはまだまだフラグが溜まっていない感じがするシャルね」

マナ「落とすって、そんな。男の人じゃあるまいし」

シャルル「マナは、乙女よりも男役が似合うシャル」

マナ「酷い」

シャルル「同じ幼なじみでも、六花とありすには大きな違いがあるシャル。
     はいマナ、答えるシャル!」

マナ「えーと……。通っている学校が違うとか?」

シャルル「まぁ、七割がた正解シャル。
     ありすはいつも一緒にいる六花とは違って、マナとは距離が離れているシャル。
     仲の良い友達と離れている、もどかしさ。寂しい思いをしていたのは明白シャル」

マナ「え? でも月1回お茶会やってたし、別に仲が悪くなってたわけじゃぁ……」


シャルル「まあ、違う学校にいくと決めたのはありすシャルし、本人もそのことは重々承知してるシャル。
     でも寂しかったのも、また本当のことだったと思うシャル」

マナ「……」

シャルル「そういうわけで、ありすはマナたちからは一歩引いた位置から関わろうとする傾向があるシャル。
     きっとあれは、そうすることで寂しさを和らげようとしているのシャルね。
     どんなに仲良くても住む世界が違うとか、ありすは考えているのシャル。
     それを自分から線引きすることで、寂しさを少しでも耐えられるようにしているのシャル。
     周りから不意打ちのようにそのことを知らされるよりも、予め心得ておけばダメージは少ないシャルよ」

マナ「あの、それって全部シャルルの分析?」

シャルル「残念ながら違うシャル。ランスの受け売りシャル」

マナ(おそるべし、ランス)


シャルル「そんなわけで、ありすと愛を深めるには、待ちの態度じゃ上手くいかないシャル。
     向こうは意図的に付かず離れずの距離を置いていて、待っていても絶対に進展しないシャルよ。
     中途半端なアプローチもすぐに距離を離されて終わりシャルね」

マナ「じゃあどうするの?」

シャルル「そんなの、もちろん逃げられないくらいの猛烈なアタックをするに決まっているシャル! 
     距離を取ろうとするなら、それを上回る速さで近づけばいいのシャル! 
     それだけ熱心な態度を見せれば、きっとありすも観念してもっと大きな愛を育んでくれるシャル!」


マナ「いや、だから……」

シャルル「ただし、そこまでいったらもう後戻りできないシャル。
     そこまで近づいた相手と何かあったら、相当深い傷が残るシャル。
     下手をすれば、一生人を信用しなくなるシャルね」

マナ「あ、そこは大丈夫。ありすは大事な友達だもん、大切にするよ」

シャルル「まあ、マナなら大丈夫シャルね。一本筋を通すことには定評がありシャル。
     その調子で、ありすの体にもマナの一本筋を通して離れられないようにするシャル!」

マナ「なんか卑猥」

シャルル「さーて、これまでは危なっかしいマナを男性的立ち位置に見立てたカップリングだったシャル。
     ここからは、マナが相手を優しさで落としていく、女性的攻め方のカップリングを紹介していくシャル!」

マナ「ああ、やっと女の子扱いしてくれるのね……」

シャルル「マナは天然ジゴロシャルからねー。ここからは、更に攻め攻めでいくシャルよ!」

マナ「だから別にそんなことしてないってばー」



シャルル「三人目は現役スーパーアイドル、かつ我がトランプ王国最後のプリキュア・キュアソードこと剣崎真琴シャル!」

マナ「わー」パチパチ

シャルル「何か、テンション低いシャルね。マナの大好きなまこぴーシャルよ?」

マナ「いや、なんかもう疲れちゃって……」

シャルル「突然ぶっちゃけるとトランプ王国が存亡の危機なんで、シャルル的にはマナが真琴とくっついて子供五・六人産んでくれれば理想的なのシャル。
     が、そんな私情は挟まずこれまでと同じようにフェアーに紹介していくシャルよ!」

マナ「女の子扱いってそういう事なの?! 
   というか女の子同士じゃ赤ちゃんできないってば!」

シャルル「まあ、その方法は追々必要になったら教えるシャル。今は真琴の紹介を進めるシャル!」

マナ(ごめんまこぴー。ファンだけど好きになりすぎると色々マズイようです)



シャルル「マナも知っている通り、真琴は今をときめく、現役スーパーアイドルシャル。
     路上の弾き語りから始めてここまで成り上がった、正に現場叩き上げの実力派シャルね。
     いまやTVでは引っ張りだこ。ライブや映画出演で知名度はうなぎ昇り。多数のファンを持つ期待の新星シャル。
     って、ここら辺はマナの方が詳しいシャルね」

マナ「モチのロン! ファンですから!」

シャルル「その正体はトランプ王国の歌姫にして戦士、そして最後のプリキュア・キュアソードシャル。
     キングジコチューのトランプ王国侵攻の際、最後まで戦い続けたキュアソードは王女様と脱出を試みたシャル。
     でも、人間界に来る途中ではぐれてしまったのでシャル。
     アイドルをしていた理由は、この世界にいるはずの王女様に歌声を届けて、自分の居場所の知らせるためだったのシャルね」

マナ「そういえば、まこぴーってキュアソードが本名なの? 剣崎真琴が本名なの?」

シャルル「シャルルも知らないので、そういうのはしっぽりした時に本人に聞いてほしいシャル」

マナ「え、なに? しっぽりってどういう意味?」


シャルル「話を進めるシャル。真琴の性格は、生真面目で頑張り屋さんシャル。
     使命や仕事のためなら、どんなハードスケジュールでもこなすのはさすがのプロ根性シャル。
     努力も怠らず、プリキュアとしての使命を果たす意気込みに関しては、きっと真琴は誰にも負けないシャルね。
     仕事も一生懸命で、周囲の評判もいいみたいシャル」

マナ「まこぴー、凄いよねー。アイドルに学校にプリキュアって、全部こなしているんだもん」

シャルル「ただ、ダビィの話によるととっても不器用らしいシャル。
     昔から固くて、王女様に頼まれても名前を呼び捨てに出来なかったらしいシャル。
     責任感も強くて、トランプ王国の件もあって一時期は本当に余裕がなかったらしいシャル」

マナ「そういえば最初にソードに会った時もトゲトゲしかったしね」

シャルル「ダビィも、少し余裕を持ってほしいと嘆いていたシャル。
     不器用だから、自分の気持ちとかを話すのも苦手らしいシャル。
     一時期、ダビィが真琴の本音を勝手に代弁していたのも、そのためだったみたいシャルね。
     マナたちと打ち解けて、ここ最近はだいぶ丸くなったみたいにシャルルは感じるシャル」

マナ「あ、シャルルもそう思う? 色々話すようになってくれてもうキュンキュンだよー!」

シャルル「そんな真琴シャルが、トランプ王国出身だから微妙に非常識なのが玉に瑕シャルね。
     クールに見えて、たまにとんでもないボケをかますところがインパクト大シャル。
     まぁ、そのギャップも魅力の一つといえるシャルね」

マナ「あー、そういえばウチに料理番組の取材に来たときとか、転校してきたときとか大変だったもんね……」

シャルル「なんか、ダビィの教育方針には一抹の不安を感じるシャル。ちょっと、過保護すぎる気がするシャル。
     たぶん、家事とかは全部ダビィがやっているシャル」

マナ「まぁ、まこぴーは仕事や学校・プリキュアで忙しいから……」


シャルル「変身後のキュアソードとしては、マナと同じく前衛を務めているシャル。
     素早い動きと戦闘経験が豊富なのを生かして、戦闘では率先して危険な一番手を務めているシャル。
     ジコチューの意識を仲間から逸らすために囮役をやるのも多いシャルね」

マナ「あたしと一緒に突撃することも多いけどね」

シャルル「必殺技のホーリーソード・スパークルソードは、剣の弾幕による遠距離攻撃・牽制・ヘイト集め・切断が可能な万能技シャル! 
     マナのマイスイートハート・ハートシュートと違って出も速いから、真琴の役割ともよくかみ合ってるシャルね。
     これらと高い身体能力でジコチューに一番槍を務めるのが、ソードの大きな役目シャル!」

マナ「で、ロゼッタが攻撃を防御。ダイヤモンドが凍らせて、あたしことキュアハートで止め! 
   これぞドキドキプリキュア!」

シャルル「はいはいはい! じゃあ興が乗ってきたところでお楽しみの時間シャル!」

マナ(しまった、勢いに乗ってしまった)




シャルル「マナと真琴の関係はこれまでの二人とは大きく異なるシャル! 
     はいマナ! 答えるシャル!」

マナ「はいはい。えっと、幼馴染じゃないこと?」

シャルル「それもあるシャルが、それは愛の前では些細なことシャル。
     もっと根本的な違いは他にあるシャル!」

マナ「それって何?」

シャルル「六花とありすが基本マナを支える側なのに対して、真琴はそうじゃないシャル。
     むしろ危なっかしくて逆に支えないといけないタイプなのシャル。
     真琴の関係では、マナがいかにして真琴を助けられるかカギになるのシャルよ!」

マナ(関係って多分仲間とか友達とかそういうのじゃないんだろうなぁ……)



シャルル「真琴はいわば猫みたいな女の子なのシャル。

     猫と言ってもわがままとかそういうのじゃなく、孤独で素直になれないそんな子なのシャル! 
     そのくせ理想が高くて、何でも一人でやろうとするからすぐボロボロになってしまうのシャルよ! 
     幸せの王子はこんな子にこそ手を差し伸べてあげるべきなのシャル!」


マナ「……」

シャルル「……どうしたシャル?」

マナ「……やっぱりまだ力になれてないのかな。あたし」

シャルル「ごめんシャル。そこまでテンション下がるとは思わなかったシャル。
     マナ達が仲間になって真琴は元気なったと思うシャルよ。これもマナ達が真琴の使命を一緒に背負ったおかげシャル」

マナ「そ、そうかな?」

シャルル「こほん、気を取り直していくシャル。そんな素直になれない真琴には、支えてあげられる人物が必要なのシャル! 
     そこでマナが必要となるのシャル!」

マナ「いや、そこはあたしだけじゃなくてみんなで支えてあげればいいんじゃないかな」

シャルル「今はマナが誰と愛を育むかの話シャル! その前提を忘れちゃいけないシャル!」

マナ「あのー、そもそもそのことに同意した覚えは……」



シャルル「真琴はなかなか素直に慣れないシャル! そこを少しづつ解きほぐしていくのがいいのシャルよ! 
     最初はツンツンだった態度が次第に柔らかくなっていって、最後にはでろ~んとさせるのが目標シャル!」

マナ「えーと、それって『つんでれ』ってやつ?」

シャルル「そんな枠にはめるんじゃないシャル! 間違った先入観は非常に危険シャル! 
     真琴はツンデレじゃなくて、ツンツンなのシャル! 『デレ』なんて考えて真琴が自分に好意を持っていると高をくくれば今に大火傷するシャル! 
     真琴は基本ツンツンで自発的なデレは無いと考えるシャル! あくまで解きほぐすのはマナの役目シャル!」


マナ「ほぐす……、うーん」

シャルル「最初はツンツンだった真琴もみんなに心を開き始めているし、そのきっかけを作ってくれたマナには一目置いているシャル! 
     チャンスは十二分にあるシャルよ。急がずゆっくりと固い花の蕾を開かせるように解きほぐしていけば、真琴は一匹狼からわんこに早変わりシャル!」

シャルル(猫なのか犬なのかはっきりしないなぁ……)



シャルル「ああいうタイプは完全に心を開くと凄いシャルよ。

     普段見せないような表情とか振る舞いとか無防備にさらしたりして、きっとマナはドキドキしっぱなしシャル! 
     数少ない心を許せる相手にはとことん自分をさらけ出してしまうのシャルよ! 
     それをマナはしっかりと受け止めて、一緒に愛を育んでいくのでシャル!」


マナ「それなんだけど、芸能人のまこぴーとあんまり深い仲になるとマスコミとかファンとか大騒ぎになっちゃうんじゃ。
   そんなことになったらダビィだって許してくれないだろうし」

シャルル「そこは大丈夫シャル。ダビィにちゃんと話は通してあるシャル。
     もしそうなったら全力でマスコミ対策等バックアップしてくれると約束したシャル!」

マナ「あー、大丈夫なんだ……」

シャルル「『貰い手が出来てよかった』って言って涙ぐんでたシャル。
     あと新しい箪笥の準備をするとかも言ってたシャルね」

マナ(何か知らないところで話がものすごく進んでいる気がする)

シャルル「とはいえ! そんなバックアップもマナが動かなくちゃ何にも始まらないシャル! 
     真琴を相手に選ぶなら、さっき言った通り固い部分を解きほぐすようにスキンシップを取るシャル! 
     最初はどんなに小さくても地道に揉んでいけば大きく成長するものなのシャル!」


マナ「友情の話だよね? ね?」

シャルル「ただ、過剰なスキンシップを図るのは信用を無くすので禁物シャル。
     まだマナは六花とありすほど真琴と関係を築いていないシャル。
     気持ちは分かるシャルが、一時の欲望に負けて事を急いでは元も子もなくなるシャルよ」

マナ「欲望に負けるも何も、あたしはまこぴーに何かいかがわしいことを気はないんですけど……」



シャルル「あとそれ! まこぴーって呼び方も止めるシャル!」

マナ「え、なんで?」

シャルル「『まこぴー』はあくまで『ファン』としての真琴の愛称シャル! 
     親しくなってつけたあだ名じゃないシャル! そんなんじゃ何時までたってもマナと真琴はアイドルとファンの関係から抜け出せないシャル! 
     真琴を助けたいと思うなら、まずそこから変えるシャル! 真琴と同じ目線に立つシャルよ!」


マナ「で、でも今更まこぴーのことなんて呼べばいいかわからないし……」

シャルル「普通に『真琴』でいいと思うシャル。六花もありすもそう呼んでいるシャル。
     とにかくそこからまずは改善するシャル! そうしないと何も始まらないシャルよ!」

マナ「あのー、何度も言うように誰かと恋人付き合いを始める気は」

シャルル「はい! じゃあ次はレジーナに行くシャル!」

マナ「そろそろあたしの話も聞いてよ~……」




シャルル「マナのお相手候補四人目は、意外や意外。
     キングジコチューの一人娘ことレジーナシャル!」

マナ「それなんだけど、シャルルたちはもうレジーナのことは許してくれたの?」

シャルル「当然シャル! 彼女は敵にしておくには惜しすぎる人材だったシャル! 
     実の所は未だに少々複雑な気持ちシャルが、ここは個人の感情を捨ててマナの幸せを応援するシャル!」

マナ(……これまでの流れを知らなかったら、キュンキュンしたんだろうなぁ)

シャルル「では改めて紹介に入るシャル! レジーナはトランプ王国を滅ぼしたキングジコチューの娘シャル。
     キングジコチューにも愛を育むお相手がいたのシャルね。突然シャルルたちの前に姿を現して好き放題遊び始めた、まさにジコチューな娘だったシャル」

マナ「まぁ、あれは本人に悪気はなかったわけだし……。大変だったけど」

シャルル「そうなのシャル。レジーナは良くも悪くも子供なのシャル。だから他のジコチューと違って改心できたのシャル」



マナ「……うん」

シャルル「気を取り直すシャル。キングジコチューの娘なだけあって、その能力は他のジコチューとは桁違いだったシャル。
     特に心の闇の無い人間でも、強制的に真っ黒く塗りつぶしてジコチューに出来るほどの力を持っているシャルね。
     しかもレジーナの作るジコチューはとてつもなく強いシャル。ラブリーフォースアローを習得して何とかなったシャルが」

マナ「生み出そうと思えば誰からでもジコチュー作れるから大変だったよね……」

シャルル「力を持った子供ほど厄介なものはないシャル。このように性格はワガママ、偉そうで独占欲も強いシャル。
     マナを独り占めしようと六花たちにジコチューをけしかけたこともあったシャル」

マナ「あたしのことが気にいったのはいいんだけど、あれはね……」

シャルル「ただそれ以外はあんまり普通の人間とは変わりないシャル。
     他のジコチューみたいに人の心の闇に付け込むとかそういったことはしてないシャル。
     アイちゃんとも仲が良かったし、アイスも好きだったりで感性も普通シャル。ジコチューじゃなければ人間とほぼ変わらないシャルね」

マナ「……」

シ「最初はマナが気に入って一人占めするために行動していたシャルが、最終的にはマナの頑張りのおかげでキングジコチューの下から去って、マナ達と一緒に居る決心をしたシャル。
  愛の事も理解して、これからというところだったのシャルが……」

マナ「……」

シャルル「……」



シャルル「プリキュア5つの誓い!」

マナ「?!」

シャルル「一つ、プリキュアたる者、いつも前を向いて歩き続けることシャル!」

マナ「シャ、シャルル?」

シャルル「レジーナが連れ戻されて落ち込む気持ちはよくわかるシャル! 
     でも立ち止まってちゃいけないシャル! 
     元気をだしてここはレジーナの事を考えるシャルよ!」


マナ「……うん。そうだよね! いつまでもくよくよしててもしかたないし!」

シャルル「その意気シャル!」

マナ「うん!」

シャルル「と、いうわけでレジーナとの愛の可能性を伝授するシャル!」

マナ「いや、それはおかしい」



シャルル「レジーナはマナのお相手の中では一番手のかかる相手シャル。

     しっかし! レジーナは良くも悪くも純真無垢な子供シャル! 
     これからの成長次第で黒白どちらにでもなる可能性があるのシャル! 
     すなわちマナが上手くリードしていけば、大きな愛を育むことのできるお相手になるのも可能なのシャル!」


マナ「いやいやいやいや」

シャルル「マナはリードするのは嫌いシャル?」

マナ「というか今って、トランプ王国やレジーナを助けるためにパワーアップするために愛を強くするって話なんだよね?」

シャルル「そうシャル」

マナ「レジーナを助けるためににレジーナと愛を育むって、矛盾しているようなしないような」

シャルル「いいや、矛盾などしてないシャル! 愛というものは離れていても育つものなのシャル! 
     あの子は今何をしているんだろう、自分のことを考えてくれているんだろうか。

     そういった気持ちが燃料となって、愛を燃え上がらせていくのシャル! 
     さらにレジーナなとの愛は苦難の連続シャル! 
     プリキュアとジコチュー。自分たちは敵同士。それでも重なる二人の蜜月。ようやく本当の友達になれたと思ったら、キングジコチューによる無慈悲な洗脳! 再び引き離される二人! 
     レジーナと愛を育むにはあまりにも苦難が多いシャル!」


マナ「いやあの、レジーナとはそんな如何わしい関係じゃ……」



シャルル「レジーナは我慢が出来ないワガママな子シャル。
     その代わり自分の気持ちを押さえないから嘘も言わないのシャル。
     よってレジーナはいつも嘘偽りの無い本当の気持ちを言っているのシャル! 
     マナが好きなのも本当シャルよ!」

マナ「レジーナは恋愛の『好き』はまだわからないんじゃないかなぁ。
   あたしもよくわかってないけど」

シャルル「立場が違う、敵同士とのロマンスは古来より何度も描かれてきたラブストーリーの王道シャル! 
     苦難が多ければ多いほど愛というものは燃え上がっていくのでシャル! 
     それを考えればマナとレジーナの今の状況は逆にメリット! 
     愛を育てるのにうってつけの環境なのシャル!」


マナ(気持ちの一方通行ってツラいなぁ。シャルル気づいてくれないかな)



シャルル「愛を育む土台はこのように完璧なのシャル! 
     あとはマナがレジーナのことを思い続けて、キングジコチューからレジーナを取り戻すのシャル! それで完成! 
     これで大きな愛の結晶と共に、マナとレジーナの愛の劇場すなわち愛の巣が誕生するのシャル!」


マナ「ねぇ、意味わかって言ってる? 言ってる?」

シャルル「とはいえ、マナの言う通りレジーナを相手に選んだら現状アプローチの仕方が限られているのも事実シャル。
     残念ながらシャルルのアドバイスは、レジーナのことを思い続けることしか出来ないシャル。
     愛のキューピッド役としては非常に不本意シャル。ごめんシャル、マナ」

マナ「うん、ある意味安心したから大丈夫」

シャルル「さーて、最後のお相手にいくシャルよ。この人はダークホースなのでお楽しみシャル!」

マナ(嫌な予感しかしない)




シャルル「最後のお相手は不思議赤ちゃんこと、アイちゃんシャル!」

マナ「シャルル、さっそくツッコミを入れさせて」

シャルル「何シャル?」

マナ「なんでアイちゃんなの?! まだ六花たちの方が健全だよ!」

シャルル「それにはちゃんと理由があるシャル。
     アイちゃんとはこれまでとは違う、親子愛とか家族愛のような方向で愛を育んで貰いたいと考えて、相手として選んだのシャル」

マナ「え、あ、そ、そうだったんだ」

シャルル「どんなことだと思ってたシャル? 
     ペドフェリアがいいなら、そっち方面でも話を進めるシャルよ?」

マナ「いい! いいから忘れて!」



シャルル「それじゃ話を続けるシャル。アイちゃんは、ジョーさんが拾ってきた不思議な卵から生まれた不思議赤ちゃんシャル! 
     不思議パワーで色んな魔法をかけたり、ラビーズを産み出すことができるのシャル!」

マナ「……こうしてみると、不思議ばかりで結局よくわかってないよね」

シャルル「まぁそうシャル。キュアエースが言うにはアイちゃんはエースの相棒らしいシャル。
     前の戦いでエースが負けたときに力を使い果たして卵に戻ってしまったらしいシャル。
     それをジョーさんがたまたま拾ってきたらしいシャルね」

マナ「今は色々あってウチの子だけどね」

シャルル「マナのことは生まれて最初に見てからとってもなついているシャル。
     マナが落ち込んでいるときとか励ましに来てくれたりくれたシャル。
     もしかしたらママみたいに思っているのかもしれないシャルね」

マナ「そ、そうかな? 一応ママみたいになれるように頑張ってはいたんだけど」

シャルル「その可能性は十分高いシャル! と、いうわけでアイちゃんとは家族愛・親子愛の方向でマナには愛を育んで欲しいシャルよ!」



マナ「うーむ、家族愛かぁ。それだったら引き受けてもいいかなぁ。
   でもそうなると具体的には何をすることになるの?」

シャルル「簡単シャル。これまで通りお世話をしたり、ミルクを上げたりしてくれればいいのシャル!」

マナ「ふむふむ」

シャルル「もうちょっと大きくなったら、叱ったりしてもいいシャルね。
     とにかくお世話しながら、間柄を深めていくシャル!」

マナ「なるほどなるほど」

シャルル「最終的には成長したアイちゃんと恋仲になって極上の愛を育んで欲しいシャル!」

マナ「なんでそうなるの?!」


シャルル「前にもいったシャル! 障害が多いほど恋は燃え上がるものシャル! 
     その点、疑似親子・家族関係は女同士・敵同士以上に大きな壁シャルよ! 
     これはもう燃料としてはガソリン並のポテンシャルシャル!」


マナ「ああ、やっぱりそういう方向に……」

シャルル「あくまで『疑似』なのがミソシャルね。これが本物の親子や家族だったら壁が高すぎて乗り越えられない可能性が高いシャル。
     でも『疑似』だからもしかしたら問題なんて何もないんじゃ……、というほんの小さな希望が生まれるのシャル!」

マナ「いや、そもそもあたしアイちゃんに恋愛感情はありませんし」

シャルル「最初は家族のはずだった。でも徐々に膨れ上がっていくこの気持ち。
     こんな気持ちは抱いちゃいけない、でも抑えれば抑えるほどそのことを意識してしまう。
     家族としてその人のもっとも側にいるはずなのに、家族であるがゆえに恋人という一番にはなれないこのジレンマ! 
     なんという二律背反! ああ、最高の愛の泥沼シャル! ここには真実の愛がありそうシャルよ!」

マナ「あたしにその気がない以上、嘘しかないような気が……」

シャルル「確かにアイちゃんはお相手としては、現在マナとは何の接点もないシャル。

     でも無限の可能性を抱える赤ちゃんらしく、愛の可能性も無限大なのシャル! 
     もし愛を育むことができたのなら、他の誰よりも大きな愛が大爆発するのシャル! その可能性に掛ける価値は十二分にあるシャルよマナ! 
     自分の気持ちに素直になるシャル! わずかな可能性でもアイちゃんを信じて諦めずに頑張るのシャル!」


マナ(何でちょっと恋愛に悩んでて励まされているみたいになっているんだろう……)



シャルル「さて。これでマナの愛を育む候補五人が出揃ったシャル!」

マナ「……なんか物凄く疲れたんですが」

シャルル「将来を決める相手なのだから当然シャル!」

マナ「なぜか話がそんなことになっているし。というかちゃんとあたしの話も聞いてよシャルル~」

シャルル「鉄板の六花、亭主関白なありす、一匹狼改め一匹子猫の真琴、無邪気なレジーナ、可能性の塊のアイちゃん。どれを選んでもオッケーシャル!」

マナ「オッケーと言われても……」

シャルル「さあ、マナは誰を選ぶシャルか?!」



マナ「え、いや、あの」

シャルル「誰も選べないというハーレムも勿論オッケーシャル! 
     難易度はとても高くなるシャルが、マナのパートナーとしてシャルルは全力でサポートさせてもらうシャル!」

マナ「何?! ハーレムって何?!」

シャルル「さあどうするシャルかマナ! この決断に人間界とトランプ王国の未来がかかっているのシャル! 
     一体、誰と愛を育むのシャル?!」

マナ「あ、あたしまだそんなこと考えても……」

シャルル「さあさあさあ!」







「プリキュア・ドレスアップ!」





マナ「?!」
シャルル「?!」



エース「愛の切り札・キュアエース!」

マナ「キュアエース?!」

エース「美しさは正義の証、ウィンク一つで貴方のハートを射ぬいてさしあげますわ!」

シャルル「……来たシャルね」

エース「マナにシャルル、私がどうしてこの場に現れたか、わかっていますね?」

マナ「ごめんなさい。急展開で訳がわかりません」

シャルル「……」

エース「その反応を見るとシャルルはわかっているようですね。まあ事の元凶なので当然ですが」

マナ「??? で、エースはどうしてここに?」


エース「お答えしましょうマナ。私は貴女達プリキュアを鍛え、次なるステージへと導く存在。
    そして、貴女達が正道から踏み外したのならそれを修正するのもまた私の役目なのです」

マナ「はあ……」

エース「そして今! 貴女が遂に道を踏み外したのを私は察知しました! 
    相田マナ改めキュアハート。女の子同士の恋愛などは外れし道、すなわち外道への道です! 
    進むのを止めていますぐ引き返し、元の場所へ戻るのです!」


マナ「あたしまだ何も決めてないんですけど?! ていうか遂にって何?!」

エース「プリキュア五つの誓い番外編!」

マナ「番外編?!」

エース「一つ! プリキュアたる者、女児のお手本であること! 
    お手本になるどころか、健全な女児を外道に墜とすなど言語道断。見過ごすわけにはいきません!」

マナ「いや、あたしは何も……」

シャルル「ちょっと待つシャル!」



マナ「シャルル?!」

シャルル「女の子同士のどこが外道なのシャル! 納得いかないシャル! 
     マナに変わって意義を申し立てるシャル!」

マナ「あたしそんなこと考えてないよ?!」

エ「―スそんなことは一目瞭然です。恋愛とは異性同士で行うもの。同性での恋愛など不自然極まりないではありませんか」

シャルル「そんなことないシャル! それに愛はプリキュアにとって力の源シャル! 
     だれかと恋愛をすることで、マナはプリキュアとして次のステージに行くことが出来るのシャル!」

マナ「いや別に愛を育てるのは恋愛だけじゃないんじゃないかな~。それこそ家族愛とか友情とかでも……」

エース「確かに愛を育むのはプリキュアにとって重要なこと。そこは認めましょう。
    しかしプリキュアたる者一流のレディであり、皆のお手本でなければならないのです! 
    そんなプリキュアが同性同士で恋愛などしたらどうなりますか。
    幼い頃から女の子同士を刷り込まれた子供たちによって、この世は同性カップルであふれかえり、衰退への道を辿っていくことでしょう。
    私たちはあくまでノーマルの道を進まなければいけないのです」

マナ「あのー、そんなに物事は単純じゃないと思うんですが……」



エース「大体、どうして候補者の中に私の名前が入っていないのですか!」

マナ「へ?」

エース「愛に関しては私に一日の長がありますのに。
    頼まれれば愛に関して軽く手解きをしてあげますわよ?」

マナ(ま、まさかエースも……)

シャルル「エースは年長か年下か、どっちで接すればいいのか解らないので除外したシャル」

エース「私のことでしたらマナの好みに合わせますが。小さいほうが好みですか?」

マナ「なんでそっち系みたいに思われているんですかあたし」

シャルル「というかマナと愛を育むにはエースはフラグが溜まっていないシャル。
     エースに手取り足取り教えてもらうルートも考えたシャルが、正直上下関係ばかり育って大きな愛は育ちそうになかったシャル」

エース「まあ、そうですわね。愛とは他人に教えられるものではなく、自分で感じるもの。
    口で教えただけではその本質は掴めませんもの」

マナ(よかった。エースは普通みたい)


シャルル「それには同意するシャル。だからマナには実践で愛を掴んでほしいのシャル!
     そのためのお相手探しシャル!」

マナ「だからあたしは……」

エース「シャルル、それは間違いです。先ほども言った通り愛は自分で感じるもの。
    形から入るのも大事ですが、まずは一般常識と照らし合わせつつ、自分どの感情が愛なのかを知ることが重要なのです。
    そうすればおのずと自分の持つ愛が、どれでどこに向けられているか解るはずですわ」

マナ「そ、そうですよね。あたしまだ恋の好きとかよくわからないし……」








エース「というわけでキュアハートのお相手は私が用意してきました」

マナ「えっ?」




エース「愛を育てるという貴方の決断は尊重したいと思います。
    しかし私たちはプリキュア。有象無象の殿方では受け止めることの出来ない存在です。
    ですのでこちらで有望なお相手をピックアップしておきました。
    この中から気に入った方を選んで愛を育むのです!」

マナ「ちょっ、ちょっとエース?! さっきの言葉は?」

エース「だからこうして形か入ろうと」

マナ「そうじゃなくて! 自発的な愛の話は?!」

エース「ハート。世の中にはお見合いというものがあります。
    ここで出会う男女大抵互いのことは知りませんし、もちろん最初は頃は愛はありません。
    しかしまず愛を形から始めることで徐々に愛に近づき、愛を手に入れることができるのです。
    愛のことをよく知らないハートは、先ずは形から入ることが重要なのです!」

シャルル「ちょっと待つシャル! それならシャルルのやり方でも良いはずシャル!」

エース「先ほどもいった通りプリキュアにおいて外道は言語道断。
    それに愛を知らないハートに外道から入らせるのは基準が歪む恐れがあります。
    形から入るなら最初は、とことん男女の恋愛という正道から入るべきなのです!」

シャルル「そんなの無理シャル! マナは女の子は落とすけど男に対してのガードは固いのシャル! 
     それにマナに釣り合う男なんてこの世界には存在しないシャル!」



エース「それを決めるのは私たちではなくキュアハートです。
    さあこの中から気に入った殿方を一人選んでくださいな」

マナ「いや、だからあたし恋愛は……」

エース「とりあえず形から入るのです! 用意したのはこの五人ですわ!」



早乙女純 二階堂 十条 ジョー岡田 ベール



マナ「」

シャルル「ハッ、シャル!」



シャルル「なんなんシャルか、この華の無い面子は! 
     まるでメンバー集めるのに失敗した合コンシャル!」

エース「失礼な! 少なくとも同性同士のカップリングより遥かに健全なお相手ですわ。
    さあ、キュアハート。この中から一人お選びなさい」

マナ「え、えーと」

シャルル「大体名前も分からないのが二人もいる時点でおかしいシャル! 
     まとも釣り合う相手がいなくて無理矢理輩出したのが見え見えシャル!」

エース「そんなことはありません! 
    キュアハートは破天荒な性格をしています。彼女を支えるのは彼らのような有象無象に埋もれるくらい普通な感性を持つ人間がブレーキ役として適しているのです!」

シャルル「それを言うなら六花の方が適任シャル! この二人は下位互換に過ぎないシャル! 
     それに何シャルか後の人選は! 純君はまだいいとして、後のオッサン二人はどういうことシャル!」

エース「オッサンとは何ですかオッサンとは! 少なくとも一人はまだお兄さんです!」



シャルル「どっちにしろ大問題シャル! 岡田はマリー王女のフィアンセシャルよ?! 
     こんなの略奪愛シャル! 女の子同士は禁止したはずなのにこっちはいいのシャルか!」

エース「それは貴女が先ほど言っていたではありませんか。愛とは障害が多いほど燃え上がるものだと。
    好きになることは誰にも邪魔はできません。好きになってはいけない人を好きになってしまった。
    そんな己との葛藤など最高の障害ではありませんか!」

マナ(あ、ダメだ。エースもあっち側の人間だ)

シャルル「同性は否定して略奪愛は肯定するシャルか! エースはジコチューシャル!」

エース「私は略奪愛など肯定などしていませんよ。ただ好きになってしまったのなら仕方がない、と言っているのです。
    それに恋をするのと、それが実るかどうかは別問題ですから」

シャルル「マナが失恋しても構わないのシャルね……! 聞いていたシャル、マナ?! 
     エースはマナのことを何も考えていないジコチューシャル!」

マナ「いやこっちの話を聞いてくれないシャルルも似たようなものかと」



シャルル「それになんで最後はベールシャルか! 親子を通り越してもはや祖父と孫くらいの年の差シャルよ! 
     イーラの方がまだ納得できるシャル!」

エース「イーラにはダイヤモンドがいますし、敵同士&親友との三角関係は刺激が強すぎるので却下です。
    それにハートともっとも因縁が深い相手はベール。大人の貫禄もあって器の大きいハートも受け止められます。
    中々の好相性ではありませんか」

シャルル「あのオッサンのどこにそんな器量があるシャルか! いつもマナの器の大きさに敗北して小物化しているシャル! 
     マナの相手には全然相応しくないシャル!」

マナ「あのー、それってもし器量があったらあたしとあのオジサンってお似合いってことなんでしょうか」

エース「年の差も問題ありません。むしろ開いた年の差は感情を肉欲から解き放ち、真実の愛をこの世界に具現化させるのです。
    ジコチューを愛に導くことが出来るのならこれほど素晴らしいことはありません!」

シャルル「純君はちょっと脈があったでシャルが、他には全く脈はないシャル! 
     こんなんじゃ恋愛なんてする以前の問題シャル!」

マナ「いやその前にもあたしの気持ちは……」

エース「古いですねシャルル! 女が受け身の時代などとうに終わりを迎えているのです。脈など関係ありません。
    好きになってしまったのなら、積極的になって成就させるのが今の時代なのですよ!」

シャルル「そんなの知っているシャル! 女が肉食系なんてとっくの昔に当たり前になっているシャル!
     そんなことをドヤ顔で語るエースこそ時代遅れシャルよ! 
     今はもう性別を超えた新たなるステージへと移行しているのシャル!」

マナ「あ、あの、二人ともちょっと落ち着こう?ね?」



エース「愛とは生命を生み出す神聖な行為。それは男女間に発生する特別な感情なのです!」

シャルル「はっ! 肉体と遺伝子に支配された愛に何の価値があるシャル! 
     そういった性別を超えた先にある愛こそ、真実の愛があるのシャル!」

エース「人類の根源たる愛を否定するとは何事ですか! 愛の切り札としてその言葉、見過ごすわけには行きません」

シャルル「エースこそ何時までそんな動物の時代からの愛に縛られているシャル! 
     原始的な衝動から解き放たれた新しい愛を認めるシャル!」

マナ「あ、あの二人ともそもそも誰かと付き合うなんて一言も……」

シャルル「大体男なんて汗臭くて汚いだけシャル! 女を自分の性欲の捌け口にしか考えてないシャル! 
     男との絡みなんて女の子が汚れるだけの芸術品に汚物をぶちまけるに等しいシャル」

エース「男女の神聖な営みなんということを……! 生命の誕生から続く最も尊い行為をあなたは侮辱する気ですか!」

シャルル「ほらそれシャル! 所詮男なんて最初に生まれてから子供を作ることしか考えてないシャル! 
     女の子を道具にしか考えてないシャル! 男なんて要らんシャル!」

エース「男と女は陰陽。世界を更正する二つの要素、いわば天然の中の天然! 
    男には男の役割があり、女には女の役割があります! 男と女の関わりは次の世代へ命を繋ぐ万物の流れに沿った自然そのものです! 
    女同士など不自然と知りなさい!」




シャルル「エースはIPS細胞も知らんシャルか! 世代を残すのにもはや男と女という括りは不要シャル! 
     いまや愛は叡知となって自然の摂理を超えたシャル! 
     何時までも過去の形に囚われていないで、新しい次世代型の愛を認めるシャル!」


エース「そのような不自然な愛はただ自然の摂理を狂わせ破滅させるだけです! 
    この世界を守るため、そのような不自然な文化は認めません! 
     それらを否定し、もと在る自然な愛を再生させましょう!」


シャルル「エースのいう不自然な愛もまた自然の中で生まれた自然な愛の一部シャル! 
     それを認めずして何が自然な愛の再生シャル! 愛を否定する理想郷など愚の骨頂シャル!」



ギャーギャー



マナ「……あのー、あたしもう寝るからね。エースは窓から帰ってね。シャルルは窓の戸締りちゃんとしてね……」




――翌日――



マナ(朝は大変だったなぁ……。起きたらエースは変身解けて部屋で寝てるし。
   起こしたらまたシャルルと討論始めるし)

マナ(帰ったらまた恋愛進められるんだろうなぁ……。はぁ……)



六花「おはよう、マナ」

マナ「あ、おはよう六花」

六花「? なんか元気ないけど、大丈夫?」

マナ「いやまぁ、色々ありまして……」

六花「アイちゃんが夜泣きでもしたの?」

マナ「いや、むしろ夜泣きして会話を遮ってくれた方がよかったというか……」

六花「?」

マ「ああ、ごめん。こっちの話。まぁそんなに深刻なことじゃないから心配しなくて大丈夫!」



六花「本当に大丈夫なんでしょうね? 
   マナってばいっっっつもとんでもないこと抱えていたりするし」

マナ「あはは……すみません」

六花「大変ならちゃんと言ってよ? 
   マナがどんなに凄くても何かして疲れるのはみんなと同じなんだから」

マナ「なんかごめん。心配かけちゃって」

六花「いえいえ。王子と同じでツバメも働き者ですから。
   王子の調子が悪そうだと一言言いたくなるんですよ」

マナ「……」



シャルル(いくら長い付き合いだろうとそれで何も言わずに想いが通じるなんて考えは大間違いシャル!)





マナ「ねぇ、六花」

六花「なに?」

マナ「大好き」

六花「うん」

マナ「……」

六花「……」

マナ「六花?」

六花「なに?」

マナ「いや、大好きって」

六花「うん」

マナ「それだけ?!」


六花「いや、そんなこと急に言われても。こっちも反応できないわよ」

マナ「あー、ごめん」

六花「で、どうしたの急に?」

マナ「あたしいつも六花にお世話になってて、ちゃんと自分の気持ちを言ってなかったなって。
   だから言ってみたんだけど……」

六花「それで好き?」

マナ「うん。あたし、やっぱり六花が大好きなんだ。いつも一緒に居てくれるし、頼りになるし」

六花「全く。突然、何事かと思ったわよ……」


マナ「だから、これからもよろしくお願いします。菱川六花様」

六花「いえいえ、こちらこそお願いします。相田マナ様」

マナ「これからも色々迷惑かけちゃうかもしれないけど、あたしも六花の助けになれるよう精一杯頑張るから! 
   だから六花も何かあったらあたしに相談して。どんなことでも力になるよ!」

六花「私の方こそ。マナのおかげで毎日楽しいし、色んな事が体験出来ているからおあいこよ。
   それに……」

マナ「それに?」

六花「……ううん。とにかく、私の方こそこれからもよろしくね、マナ」

マナ「うん!」



六花(……顔紅くなってないかなぁ)





――通学路――



ブロロロロ


ありす「マナちゃん、六花ちゃん。おはようございます」

六花「あ、ありす」

マナ「おはよう、ありす! 今日もどこかへ出かけるの?」

ありす「はい。またちょっとお家の手伝いでして。マナちゃん達は生徒会のお仕事ですか」

マナ「うん。夏休みが明けたらすぐ文化祭だからね。色々と打ち合わせなの」

六花「そっちも夏休みなのに大変ね。
   宿題とか大丈夫なの? ありすの学校って課題とか多そうだし」

ありす「そちらのほうもなんとか。それに忙しいのは私だけではありませんもの。
    このくらいは自分で何とかしないと、エースさんに叱られてしまいますわ」

マナ「あー、キュアエースね……」

ありす「? マナちゃんどうかしましたか?」

マナ「いや、何でもないです」


ありす「それじゃあ、私はそろそろ行きますわ」

六花「うん。何かあったらコミューンで知らせるから」

マナ「いろいろ大変だろうけど、ありすも頑張ってね」

ありす「お気になさらず、こっちも大丈夫ですから。マナちゃん達も生徒会の仕事を頑張ってくださいまし。
    同じ学校だったらそちらのお手伝いも出来るのですが……」

六花「いやいや、マナじゃあるまいし。ただでさえ大変なのにそんなことしたら過労で倒れちゃうわよ」

ありす「これでも体は鍛えてますから。そのくらいじゃヘコたれませんわ」

六花「いやまぁ、ありすはそうだろうけど」

マナ「でもこっちの事はこっちで何とかするから、心配しないで。
   六花と二人で文化祭も成功させて見せるからね!」

ありす「そのときは、ぜひ呼んでくださいね。
    マナちゃんたちの文化祭ならきっととても楽しいでしょうし」

マナ「……」




シャルル(仲の良い友達と離れているもどかしさ。寂しい思いをしていたのは明白シャル)




マナ「ねぇ、ありす」

ありす「はい?」

マナ「今週、ありすの家に泊まりに行って良い?」

ありす「え?!」

六花「どうしたの? マナ急に」

マナ「いやー、最近ジコチューもパワーアップしてきたし。ここら辺で一度修行してみようと思って。
   ありすの家なら道場もあるし、格闘技とかも教えてもらえて修行もはかどるかなって思ったんだけど」

六花「確かに、エースのいう通り力不足は感じるものね……」

マナ「それにありすの家に泊まるのって久々だし。最近のありすの事も沢山聞きたいなって!」

六花「ちょっと! さてはそっちが目当てね」

マナ「でも、このところ忙しくてみんなで学校の事とかお喋りする暇なかったし。
   ここら辺でいっちょ、修行も兼ねた親睦会ってことで! どう?」

六花「まぁ、鍛えることには反対しないし、私もありすの学校の事とか聞いてみたいけど……」

マナ「ねぇ、ありすはどう? ありすのお家がダメなら、ウチでお泊り会でもいいんだけど……」


ありす「いえ、ぜひこちらからもお願いしますわ。
    マナちゃん達が泊まるなんて久々ですし。真琴さんも呼んでみんなでお泊り会をいたしましょう!」

六花「でもありす。一応名目は修行なんだから、そこはちゃんとしないとね」

ありす「もちろん。こちらで四葉一族伝統のトレーニングメニューを用意しておきますわ」

六花「……四葉家のトレーニングメニュー」

マナ「あはは、何かキツそうだね……」

ありす「真琴さんとはこちらで予定を調整して、決まり次第ご連絡します。
    それじゃあ、マナちゃん六花ちゃん。楽しみにしていてください」




ブロロロ



六花「なんだかありす、元気になってたわね」

マナ「久々のお泊り会だからねー」

六花「さて、会長。気分よくお泊り会を過ごすには、仕事を片付けなければいけないんですが。
   覚悟はよろしいですか?」

マナ「もちろん。何でもどーんと来てください!」

六花「その勢いで、部活助っ人とかも何でも引き受けないように」

マナ「う……。努力します」

六花「さ、急がないと。会議に遅れちゃうわよ」

マナ「わ、ホントだ。急がないと!」

マナ(ありす。こっちも頑張るからね!)



――リムジン――


セバスチャン「お嬢様」

ありす「どうかしましたか? セバスチャン」

セバスチャン「いえ。ただ、あまりに嬉しそうだったもので。
       会合の場までには顔を戻しておきませんと」

ありす「大丈夫ですよ。それより準備のほう、お願いしますね」

セバスチャン「はい、お嬢様」





――大貝第一中学校――


真琴「あ、マナ」

マナ「あれ、まこぴー? どうしたの。登校日はまだ先だけど」

真琴「補講のプリント貰いに来たの。
   テストは大丈夫だったけど、出席日数は足りないし、補講も全部出れないから」

マナ「あー、そうだよね。お仕事もあるし、まこぴーも夏休み休みなしかぁ」

真琴「テストのときはありがとう。おかげで何とかなったわ」

マナ「いえいえ。あたしよりも六花にお礼を言ってあげて。教えるのは六花の方が上手だったし」

真琴「そんなことないわ。マナも六花もすごく分かりやすかったし。
   二人に教えてもらえなかったら大変だったもの」

マナ「あはは、そう言ってもらえると嬉しいな」


真琴「マナはどうしたの? 生徒会?」

マナ「うん。六花と一緒に今日も打ち合わせ」

真琴「マナ達も大変ね。私もそろそろ行かないと」

マナ「うん! まこぴーも頑張……」



シャルル(あとそれ! まこぴーって呼び方も止めるシャル!」



マナ「……」


真琴「? どうしたの、マナ?」

マナ「ま、ま、ま」

真琴「ま?」

マナ「ま、真、真こ、まこ、真こっ」

真琴「?」

マナ「ま、真琴も頑張ってね!」

真琴「?!」



マナ「……」カァァァ

真琴「……」

マナ「……」

真琴「……」

マナ「あ、あの~。何か言ってくれないとひじょーにいたたまれないんですが……」


真琴「あ、ごめん。なにかびっくりして……」

マナ「あ、あのね。その、考えてみたらあたしだけまこぴーのこと名前で呼んだことないって思って。
   それで、その、何時までもファンみたいだとよそよそしいかなぁって、それで……」

真琴「……」

マナ「ご、ごめん、まこぴー! 急に呼び捨てなんて嫌だったよね? 忘れて!」

真琴「あ、ううん。私は別に大丈夫。けど」

マナ「けど?」

真琴「なんだか新鮮ね。マナに名前で呼ばれるのって」

マナ「そ、そう?」

真琴「別に嫌じゃないわ。それに何故か嬉しい。
   なんだかうまく言葉に出来ないけど、でも嬉しいわ」

マナ「ほ、本当に!?」

真琴「うん」

マナ「じゃ、じゃあこれからもまこぴーのこと名前で呼んでもいいかな!」


真琴「それは構わないけど……マナ、ちゃんと名前で呼べる?」

マナ「へ? も、もちろん!」

真琴「本当に?」

マナ「本当! 本当!」

真琴「じゃあ、もう一回呼んでみて」

マナ「い、いいよ! ちょ、ちょっとまってね!」

真琴「……」

マナ「……」スーハスーハー

真琴「……」


マナ「ま、ままま、まこ、まこ、真こっ!」

真琴「……言いづらそうね」

マナ「うう、ごめん。何だか、改めて名前で呼ぼうとすると恥ずかしくなっちゃって……」

真琴「呼ぶたびにそれじゃあ、マナも大変でしょう? 
   マナの気持ちは分かったし、今まで通りまこぴーでも構わないけど」

マナ「ごめん、まこぴー……。練習して自然に呼べるようにしておくから……」

真琴「気にしないで。それよりもう行かないと、マナも生徒会の仕事があるんでしょう?」

マナ「あ、そうだった! じゃあ――」

真琴「うん」

マナ「ままままままま、まっまこっ、真琴も仕事頑張ってね!」

真琴「ええ。マナも頑張って」

マナ「うん!」



――車の中――


真琴「ダビィ」

DB「何、真琴?」

真琴「名前を呼んでもらえるのって、嬉しいのね」

DB「やっとマナに呼んでもらえた?」

真琴「な、何でわかるの?!」

DB(それだけニヤニヤしてればわかるビィ)




――マナ部屋――


マナ「ただいまー」

シャルル「お、お帰りシャル……マナ……」

マナ「あれ、エースは?」

シャルル「夏休みの……プールがあるから帰ったシャル……。議論は次に持ち越しシャル……。
     今度はぐうの音も出ないほど、言い負かすシャル……」

マナ「なんか息も絶え絶えだね」

シャルル「ところで……、マナは誰にするか決めたシャルか?」

マナ「まあうん、決めたよ」

シャルル「?! で! で! で! 誰にするのシャルか!」

マナ「急に元気ハツラツだねシャルル……」

シャルル「当たり前シャル! やはりシャルルは間違えてなかったのシャル! 
     で、マナは誰を選んだのシャルか!」




マナ「誰も選べないよ」

シャルル「シャル?」

マナ「今のあたしって、誰かを選べるほどって偉くないもん」

シャルル「ど、どういうことシャル?」

マナ「六花にはいつも迷惑かけてばかりだし。
   ありすにもいざというとき頼ってばかりだし。
   まこぴーもトランプ王国の事でまだ全然力になれてないし。
   レジーナは結局助けることも出来てないし。
   こんなあたしが誰かを選ぶなんていったら、みんな怒っちゃうよ」

シャルル「そんなことないシャル! マナのことはみんなが認めているシャル! 
     お相手として十分釣り合っているシャル!」

マナ「ダメダメ。まだまだ全然だよ。だから、あたしはみんなと一緒にいても恥ずかしくないようにもっと頑張らないと。
   誰かを選ぶとか、そういうのはまず肩を並べることが出来てからにしないとね」

シャルル「で、でもそんなこと悠長にしている時間はないシャル! 
     愛の力が高まらないとキングジコチューには勝てないシャル!」

マナ「うん。でもジコチューを倒すために必要だから誰かを愛する、って考えだと愛って生まれそうにないと思わない?」

シャルル「う、その通りシャル」



マナ「とにかく、あたしにはまだそういうのが出来ないし。
   一人と愛を育てるのも今はできそうにないんだ。
   だから愛はあたしなりの方法で深めていくことにするよ。
   これが恋かどうかはわからないけど六花たちのことは大好きだし!」

シャルル(!)

マナ「シャルルに言われた通り、仲が良いからってそれが当然だと思ってちゃダメだよね。
   今日一日過ごしてみて分かったよ。やっぱり、ちゃんと思っていること伝えたり、相手のことを考えたりしないと。
   親しき仲にも礼儀あり。うーん、ちょっと違うか」

シャルル「……ちなみに六花たちにどんなことをしたのシャル?」

マナ「へ? シャルルに言われた通りのことをしただけだよ。
   いやー、でもまこぴーを真琴って呼ぶのは上手くいかなかったなぁ。
   改めてちゃんと呼ぼうとしたら妙に緊張しちゃった」

シャルル「……」

マナ「シャルル?」


シャルル「それがマナの答えシャルね」

マナ「うん。だめかな?」

シャルル「そんなことないシャル! それならシャルルはそれを応援するシャル! 
     なんてったってシャルルはマナのパートナーなのシャル!」

マナ「シャルル……ありがとう」

シャルル「どういたしましてシャル!」

マナ「あ、そうだ。これから六花の家に行くんだけど、シャルルはどうする?
   疲れているなら、家で休む?」

シャルル「大丈夫シャル! シャルルはどこまでもマナについていくシャル!」

マナ「じゃあ行こっか?」

シャルル「シャル!」




――――


シャルル(流石、マナシャル。無自覚にハーレムルートに進むとは……恐れ入ったシャル)

シャルル(あの様子だと、六花たちに猛アタックをかけているシャルね。
     本人は全く気がついていないみたいシャルが)

シャルル(いやはや、天然攻めは恐ろしいシャル)

シャルル(でも積極的なったから、万事オッケーシャル! これで愛を育む土壌は完璧シャル! 
     あとはラケルたち次第シャルね)

シャルル(さて、誰が最初に愛に目覚めるシャルか……)





――その夜 六花宅――


ラケル「で、六花はマナとイーラとぼく、だれにするケル?」

六花「……え?」




おわり


これで当SSは終わりとなります。

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