垣根「えっ何?俺とセックスしたいって?」 (770)

ホモスレ注意!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378218400

垣根「今日の仕事終了、っと。さ、行くか」

心理定規「どこに?」

垣根「塾だよ。塾」

心理定規「!? あなたにそんなの必要無いでしょ」

垣根「いやあるんだよ。後々俺はメインプランにならなきゃならねえわけだが、その時に邪魔になるのがあの第一位だ」

心理定規「それが塾と何の関係が?」

垣根「関係大有りだっつの。
    なんせ俺の行く塾は『木原式☆クソでも分かる一方通行のぶっ殺し方講座』をやっているからな」

心理定規「なにそれ!? あなたそれ絶対なんかの罠よ!」

垣根「安心しろ、罠だったとしても俺が窮地な陥るような事はねえ。
    俺はこの学園都市の第二位だからな」

心理定規「第一位の殺し方教えてる所に行くのにその発想は無いわ」

垣根「俺に常識は通用しねえ」

心理定規「ただのバカじゃないの!」

垣根「心配してるのか?あっ わかった。
    お前俺の事好きなんだろ」

心理定規「逝ってらっしゃい」

垣根「ひっど!一方通行の殺し方講座の講師は一方通行の開発者だ。
    一方通行の殺し方には精通してても俺を[ピーーー]力はねえ。ってわけだから行ってくる」

心理定規「ええ。さよなら」

垣根「……」

―――――――――
 ☆木原のアジト☆
―――――――――


垣根「さてと、ここで合ってるな」


垣根が『あまたくんの講義室』というプレートの下がったドアを開けると、そこには10人程の人間が集まっていた。


垣根「どいつもこいつも柄の悪い。
    ま、人を殺そうと考える人間だしな。ゲスな面構えで当然か」

垣根「俺はイケメンだからそれもまた味になるが、そこらの雑魚メンじゃモテ力がゼロどころかマイナスになるだけだな。哀れなもんだ」

垣根「それにしても、学園都市内に年中暗雲立ち込める地域があるとは知っていたが、それがここだったとはな。

    まさか紫色の雲が立ち上ってるとは、メルヘンすぎるぜ。さすが天才マッド一族木原の巣窟。正に伏魔殿。
    だがこれこそがこの俺様、垣根帝督の求める答えを示すに値す」

木原数多「おい、さっきからテメェは何を一人でベラベラとほざいてやがる?」

垣根「!? いつから……」

数多「テメェが俺はイケメンだからとかほざいてた辺りからいたぜぇ、バ垣根君よぉ」

垣根「チッ 盗み聞きとは流石木原だ。汚い野」

数多「よーし、バカ共喜べ。この木原数多様がありがたい抗議を始めるぞー」

不良「わーい!」

アホな学生「あまたん結婚してー」

浜面「う、嬉しいなー」

垣根「きゃーッ!!あまたん抱いてぇー(はぁと)」

数多「さて、この抗議ではあのガキ、一方通行をいかにして残虐に哀れ極まりない醜い屍に変えるかを学んでいく」

不良「待ってましたぁ!!あの第一位には苦しめられてんすよ!」

垣根「俺もー(会った事無いけど)」

浜面(ノリで物騒な所に来ちまった)

女学生(木原教授×第一位本のネタのために来たけど、あの第一位さんのリョナってのはかなりありですね)

数多「さて、あのガキには反射膜ってのがある。これがある限りあいつには誰一人触れられない」

アホな学生「なんで?無敵バリアなの?」

ギャル「男の癖に膜とか第一位キモーイ」

垣根「第一位の能力はベクトル操作でその応用として自分に向かって来たベクトルを跳ね返す膜を張ってるんですよね先生!」

数多「見た目よりは賢いじゃねぇかバ垣根。その通りだ。あいつはその膜で反射する対象を自分に有害なもの全てとしている」

ざわ……

ソンナンカテルワケナイ
  マジムリゲー
 ダイイチイシネ
チンポコポン

     ざわ……

垣根「先生!僕は能力で一方通行が受け入れてる酸素や重力を有害な物に変える事が出来ます!
    僕なら一方通行に余裕で勝てますよね!」

数多「甘い。あいつの反射の設定は即座に変更可能だ」

垣根「えっ」

数多「そんなんじゃ冷蔵庫になるのがオチだ。

    つーわけで、俺が一方通行を確実にブチ[ピーーー]方法をクズ以下の脳しかねえテメェらに伝授してやろうってんだよ。
    入って来い」

木原数多はドアの外に向かって指を鳴らした。すぐに、大量の冊子をワゴンに載せた白衣の男が入ってきた。
白衣の男は木原数多の指示を受けて受講者に分厚い冊子を配る。

垣根(な!? これは……!)

数多「そこにあるのは一方通行の演算パターンだ」

浜面「おいぃ!?そんな重要な事を開発者が公表していいのかよ!」

数多「開発者だからいいんだよ、バカ面ァ」

浜面「そういう問題なの?」

数多「まずはその演算パターンを頭にねじ込め。あのクソガキの能力の使用パターンを理解するってことだ。

数多「あいつの反射は鉄壁だが、反射をするタイミングに逆のベクトルに力を移動させりゃ、
    ベクトルが反射の内側に反転してダメージを与えられる。ブン殴る時は反射膜に触れた瞬間即座に腕を引くんだ」

ざわ……

ナニカガオカシイ
ムジュンシテネエ?
キハラシンケン
ツカムリダロ

   ざわ……

不良「せんせーい」

数多「なんだ?やられ役のモブ」

不良「演算パターンを覚えろってのはこの際置いておくにしても、その理論通りにやるなら電子顕微鏡クラスの精密な動作ができなきゃいけないと思うんですが」

数多「おう。その通りだ」

ギャル「ちょーありえない!無理に決まってんだろ!」

数多「おいおい、第一位をぶっ[ピーーー]んだ、そのくらい出来なくてどうすんだ?」

不良「チッ やっぱり詐欺じゃねえか!簡単に一方通行を肉塊に出来るってんで来たのに見当違いだ!
    帰るぞ、ヤス!」

アホな学生「じゃーねノブ」

不良「薄情!」ガビーン

不良は怒って帰って行った。(途中でトラックに撥ねられた)


数多「さ、続けるぞ。次に精神面での問題だ」

女学生「すいません質問なんですけど!第一位はホモですか!?」

数多「その気はあるな」

女学生「ぶっはほかみあまはやらたかみいち」バターン

浜面(このオッサンの発言どこまで信じていいのかわかんねえ……)

垣根「下の口は双方通行。侵入はご自由に、ってか」

数多「一方通行は幼少期から人の悪意にばかり触れて来た。つまり、純粋な好意を向けられるとすぐに落ちる!
    要するに、チョロいんだよあのガキは」

ざわ……

ヤダカワイイー
セロリモエー
イッポータンレイプシテー
ケツマンツウコウ

       ざわ……

数多「特に幼女に弱い」

数多「とにかく、ヤツの信頼を勝ち得て反射を切らせればイチコロよ。
    つーわけで、講座は終了」

受講者「ありがとうございましたー」

浜面(イチコロって古いなぁー。まあオッサンだから仕方ないよな)

垣根「……くっくっく」

木原「あ?何笑ってんだテメェ。[ピーーー]気色悪ぃ」



―――



垣根「ってことがあったんだよ」

心理定規「そう……」

心理定規「さっき飛行船で報道されてたわ。謎の爆発で13人が全治3ヶ月の重傷だってね。
       責任とって死んだら?」

垣根「なんなの?なんでお前俺を殺したがるの?
    いいじゃねぇかよ。殺してないんだから」

心理定規「あなたにしては上出来かしら」

垣根「もっと褒めろ」

心理定規「そんなことより第一位はいいの?パソコンでエロゲーやってる場合じゃないでしょ」

垣根「エロゲーなんてやっとらんわハゲ!もってすらいねえぞ!」

心理定規「休眠室のベッドの下にいっぱいあったわよ」

垣根「は!?全部持ち帰ったはず……」

心理定規「やっぱり持ってるのね。[ピーーー]ばいいのに」

垣根「ハメやがったなテメェ!ハメ返すぞコラ」

垣根「とにかく今はゲームなんかやってねえっつの。

    学園都市中の監視カメラハックして一方通行の居場所探ってんだよ。
    ほーら、見てみろ。嘘じゃない」

心理定規「あなたこんなことも出来たのね」

垣根「俺は天才だからな」ドヤッ

心理定規「変態部門の天才」

垣根「変態と天才は紙一重、ってな。メインプランになるためなら変態にでもなってやるぜ」

心理定規(あれ?ちょっとかっこいいかも)

垣根「よし、一方通行発見。普通に街中ほっつき歩いてるな。
    アナニーでもしてたら面白かったんだが」

心理定規(気の迷いだったわ)

垣根「場所は第七学区の―――……大して遠くねえし、行ってくるわ」

心理定規「行ってらっしゃい。帰ってこなくていいわよ」

垣根「ねえ、なんでそんなに辛辣なの?
    あとパソコン勝手に触るなよ!?」

心理定規「触らないわよ。間接的にあなたの……に触るようなものじゃない」

垣根「俺の、って俺のなんだ?」ニヤニヤ

心理定規「あなたの穢らわしさかしら」

垣根「どこまでも可愛げがねえな、テメェは」



――― 街中

垣根「よしよし、一方通行発見。つーか誰かに絡まれてね?
    チャンスだな」



研究者「たしかに君は最強だ。だが、その先を目指したくはないか?」

一方通行「……」

研究者「『最強』止まりでは君を取り巻く環境はずっと変わらない。
     君だってうんざりしているのだろう?今の生活に……」

一方通行の脳裏に浮かぶのは身の程も理解せずに殺しにかかってきては反射膜により破滅していく不良の姿だった。
最強であるだけで奴らは襲ってくる。
最強であるがゆえに敵は増え続ける。
最強であるばかりに誰かを傷つけ続ける。
ならば最強の先の無敵になれば―――。

一方通行が研究者の言葉に頷きかけたその時だった。

垣根「俺のツレに何してんだゴルァ!!」

研究者「ひでぶ――――――!!!」

一方通行「!?」

突然に現れた茶髪の男が研究者の男を勢いよく蹴り飛ばした。
研究者の鍛えられていない身体がゴミ屑のように宙を舞い、バキバキと音を立てて5メートル先の植え込みに墜落する。

一方「え、ちょ……何、」

一方通行は顔を引きつらせている。

垣根「危ないところだったな、一方通行。お前が不良に絡まれてるのを見て放っておけなかったんだ」

一方「はァ!?どォ見ても不良はオマエだろォが!
    つーかオマエは誰だ」

垣根「通りすがりのジョニーです」

一方「なンだコイツ……」

垣根(絡んでいた不良もぶっ飛ばしたことだし、掴みはオッケーだな。
    さて、コイツとの関係をより密接にしていこう)

垣根は逡巡する。
手早く関係―――フラグが立てられる行動は何か。

垣根(よし、キスでもするか)

キスやラッキースケベをすればフラグは立つものなのだ。
垣根はそれを学んでいた。エロゲーで。

垣根「一方通行……」

一方「なンだよ、……!?」

一方通行は常時反射膜に覆われており、大抵の危険は脅威とはならない。
いかに感知能力自体が高くとも、眼前にいる相手の行動への反応は決して早くはない。
というのにプラスして、垣根の動きはあまりに突飛だった。
ゆえに、身動きすらできなかった。

一方通行の背に垣根の腕が回される。
一方通行に垣根の反射膜により体温が伝わることはない。
抱きつかれたと一方通行が状況に気付いたときには既に垣根の吐息が自身の唇に触れるほどに、
垣根の顔が一方通行に迫っていた。

一方(あ、変態だわコイツ)

あまりに異常な展開に気付き、却って一方通行の頭は冷える。
一方通行は年中様々な連中に狙われていた。
それは最強の座を狙い一方通行を打倒しようとする不良であったり、一方通行を研究材料として付け狙う研究者であったり。
だが、一方通行本人を性的な意味で狙ってくる存在など無かった。
その上で、垣根の行動には興味深さすら覚えた。

一方(反射してんだし何の脅威でもねェわな)

せいぜい狂った言動で楽しませてみろ、と余裕の姿勢であった。




それが災いした。

柔らかい感触が唇に『触れた』。

一方「……?」

何が起こったのか理解できなかった。

一方通行の歯列を垣根の舌がなぞる。
舌先で歯茎を撫でられ、くすぐったさに一方通行がつい口を開けてしまった隙に、垣根の舌が差し込まれた。

一方「―――!?」

舌を絡められ、口内を蹂躙される。
咄嗟に逃げ出そうとした一方通行の頭部をを垣根の左腕が固定する。

反射膜に覆われた一方通行を拘束することは不可能だ。
いかに豪腕の男であれ細腕一本掴むこともできない。

その常識を垣根は覆す。

異常な状況で異物が内側に入り込んでくる。
茫洋とした一方通行の思考が白んだのは驚愕によってだけではない。

一方「は、ァ……」

吐息が一方通行の口から漏れる。
垣根に舌を舐られる感触と流し込まれる唾液に酔った、熱を帯びた吐息。
未体験のとろけるような感覚に、抵抗の意思が溶かされていく。

垣根は一方通行の口内から舌を抜き、唇から顔を離す。
それから一方通行の口の端からだらしなく伝った唾液に気付き、ぺろりと舐めた。

一方通行は荒い息を吐き、肩を上下させている。
白い肌は赤らんでいて、目は媚びるように潤んでいた。

垣根「……気持ちよかったか?」

垣根の勝ち誇ったような笑みに一方通行は我に返り、羞恥と怒りに顔をより一層赤らめ―――

一方「[ピーーー]ェェェ――――――――――――!!!!!!」

垣根に襲いかかった!

垣根「うお!死んだらどうする」

一方「元より[ピーーー]気しかねェよクソがァ!!
    いきなりナニをしやがる!?」

垣根「なに、お前キスも知らねえの? 今のがキスだよ、ディープキス。
    別名がフレンチキス。フランスではイングリッシュキスと呼び……」

一方「そンなン心底どォでもいいわァ!! 大体なンで反射出来てねェンだ、アァ!?」


学園都市最強と謳われる一方通行の猛攻。
しかし垣根が焦ることはない。
木原数多の一方通行の行動パターンを執拗に描いたレポートが垣根の脳内には叩き込まれていたからだ。


垣根(さて、どうしようか)

1、木原神拳でフルボッコ
2、レイプして[ピーーー]
3、逃げる


垣根「耳寄りな情報をありがとうございます、先生ェ。だが、一方通行を殺すのはこの俺だ。
    そのために邪魔なテメェら全員ここで潰れな」バサァ

浜面「何言ってんだこいつ……って、


その瞬間。

不良少年、浜面仕上の目に映ったのは真っ白な翼。

垣根という男の背から映える三対の翼。

科学の街にあまりに似合わない異様な姿。
それを中核に、閃光が放たれる。
全てを染める白。
全てを散らす白。
この世の不浄の全てを討ち滅ぼすような光。

―――ああ、俺、死ぬんだ。

本能的に浜面はそう悟る。



そして、大地を揺るがす破滅の音が轟いた。

>>16
把握

一方「オラァ!死ねや変態ホモ野郎!!」

垣根「カスが 効かねえんだよ!」

一方「なにィ!?」

垣根は一方通行の攻撃をやすやすと捌く。
能力により強化された身体能力、暗部で培われた戦闘経験、それに加えて一方通行の行動の全てが予測できる知識が垣根にはそろっていた。
戦闘経験に乏しい一方通行に成すすべはなく―――

垣根「オラァ!」

一方「がァァ!!」

木原数多の生み出した一方通行の反射膜を利用した特殊な攻撃法、人呼んで『木原神拳』が垣根により振るわれる。

一方通行の矮躯が無残に宙に舞い、地に落ちる。

垣根「……ははっ」

一方「ぐ……何をしやがったんだ、オマエ」

反射で受け入れてこなかった痛みに震えそうになりながらも一方通行は垣根を睨みつける。
その様子は垣根にとってはもはや滑稽なものでしかなかった。

垣根「弱い、弱すぎる。お前みてーな雑魚が第一位とは笑えるぜ」

一方「なンだとこの三下がァ!!」

怒りに身を任せた一方通行の特攻。
音速を超える動きでもひたすらに単純、対処の容易な単調な攻撃。

垣根「ゲイのない攻撃だ」

垣根は容赦なく先ほど同様に拳を振るう。
笑えるほどにあっけなく一方通行にその攻撃は届く。

誰にも貫けない絶対の防御があっけなく貫かれる。
貫けてしまう。

先ほど突き飛ばした戦力もクソもない研究員となんら変わりなくすら思えた。

たったの二撃でろくに動けなくなってしまった一方通行のもとへと垣根は歩み寄り、一方通行の顎をぞんざいに掴む。


垣根「あーあ、さすがにここまで順調だと興ざめだ。
    フラグでも立ててあわよくば篭絡して肉便器にでも仕立て上げようと思ってたんだが……」

一方「ゥ、く……!ナニ意味のわかンねェことを……、ぐァ!!」

殴られて青くなった一方通行の頬を容赦なく垣根の平手が襲う。

垣根「誰が喋っていいって言ったよ。

    もっと体力使うと思ってスッポンの血まで飲んできたってのにホントやってらんねえ。
    有り余った体力はここで発散するかね」

垣根はぼやきながら一方通行の服を掴み、容赦なく、余すところなく、全てを引き裂いた。

一方「なァ!?」

おぉー!?というざわめきが響き、一方通行はようやく周囲に多くの人間が集まっていることに気付いた。

ギャラリー「セックス!セックス!はよセックス!」

垣根「ギャラリーの皆さんもこう仰られてるわけだし、覚悟決めろ」

一方「おい!?どうしてそォなった!? ひぎィ!」

ズブリと容赦なく一方通行の肛門に垣根の指が突き立てられる。
未知の感触と痛みに一方通行は悲鳴を上げた。

一方「痛ェってンだろうが!」

垣根「はいもう一本追加ぁー」

一方「うがァァァ!!」

ぐちゅぐちゅと肛門をまさぐられ、視界がぐらぐらと揺らいでいく。

一方「嘘だろ……なンで……俺……」

一方「数分前まで普通に過ごしてたのにこンなことに……っ」

垣根「現実逃避してんじゃねえよクソボケ」

その容赦のない一言と同時にかつてない衝撃が一方通行を襲った。

一方「いっ、ぎ、ァあああああああああああああああ!!!」

垣根「おーおー、締まる締まる」

ありえない痛みが肛門からじくじくとせり上がってきている。
何をされたのかは脳の回らなくなった一方通行にも理解できた。

肛門に性器をねじ込まれたのだ。

はくはくと酸欠の金魚のように息を吐く一方通行の視界に映るのは好奇の目を持つ人々とカメラのフラッシュだった。

女学生S「お尻から生理みたいに血が出てるよ初春!」

女学生U「うひょおおおおおおお生レイプぅぅぅぅぅ」カシャカシャカシャカシャ

至近距離でフラッシュをたかれながらも垣根は一切気にせず、血を潤滑剤にしながら一方通行に腰を打ち付ける。

がくがくと揺さぶられながら一方通行の脳内で面白くもない苦しみばかりの人生が巡り巡る。

そして、軽薄そうな「飽きた」という声が浴びせられると共に一方通行の意識はぶっつりと永遠に途切れた。




    Bad End

えっ終わり?
ホモスレ歓喜だったのに

えっ終わり?
ホモスレ歓喜だったのに

>>15の選択肢から再開

垣根(さて、どうしようか)

1、木原神拳でフルボッコ
2、逃げる

安価↓

2

>>27
把握
死ななかったら明日投下する

俺得なスレを見つけてしまったようだ
一方通行にスレタイ言わせるまで好感度上げればハッピーエンドなのか?

>>29
あ^~いいっすね^~
夜の悪ノリテンションだけで書き始めたんで着地点とか一切考えてなかったので助かります

>>27

垣根「おっと、学園都市最強の第一位さんとやり合う気はないぜ?」

一方「はァ?この期に及ンでオマエは何を言ってるンですかァ!?」

反射を貫き不貞を働かれたのだ。
それも公道の一般人の目のある場所で。
当然一方通行は思いっきり怒っている。

ビキビキと青筋を立てる一方通行の様子は、一方通行が何者か知っているのならば誰もが恐れるものだったが、今の垣根にとっては恐るるに足らない。
垣根は一方通行にいくらでも対応できるだけの知識を木原数多から得ていたのだから。

垣根「じゃーなセロリたん。また会おうぜ」

一方通行が何かを言う前に垣根を中心に真っ白い何かが吹き出し、異常な速度で周囲を覆う。
決して放屁の類ではない。

一方(煙幕か?)

一方「逃げてンじゃねェぞホモ野郎がァ!!」

叫んでも垣根は既にいない。
一方通行はその場に唾を吐き捨てた。
吐き捨てても奪われた初めてのチューは戻ってこないのにね(笑)

―――
 

垣根「強烈なインパクトも残したことだし今回はオールオッケーだな」

心理定規「第一位……会ったことないけど可哀想に」

垣根「あ?何が可哀想だよ。
    俺みたいなイケメン長身ハイスペック超人にかまわれる時点で可哀想という単語からは極めて遠い場所に位置してるぜ、あいつは」

心理定規「気持ち悪いわね、本当に」

垣根「一方通行が?」

心理定規「貴方が」

垣根「ヤツの反応から見るに恐らく俺が初めて反射膜を貫いたんだろう。
    だからもうヤツが俺に堕ちるのは時間の問題だ」

心理定規「ごめんなさい。何を言ってるのか理解できない」

垣根「ほら、女って初めての相手には特別な情を持つもんだろ。
    俺はあいつの反射膜を貫いた。つまり処女を奪ったも同然だ。つまり―――」

心理定規「貴方がやったことはそれになぞらえるならレイプ同然よ」

垣根「俺はイケメンだ。だから問題ない」キリッ

心理定規「そろそろ本気で通報したくなってきたわ……。

       それよりなんで一方通行にフラグを立てようとしてるのよ。
       本当にホモなの?」

垣根「だーれがホモだ。どうせいつでも殺せるんだから籠絡して利用できるようにしたほうがいいだろ?」

心理定規「まあ、それもそうね」

メインプランをいつでも殺せて好きに利用できるようになるのなら、垣根自身がメインプランになる必要も無いだろう。

垣根「それにしてもまいったなー。俺が一方通行にチューした写真が既にネット中に大拡散されてんだけど、これどうすればいいんだ?」

心理定規「完全に自業自得じゃないの……。第一位は被害者だけど」

垣根がパソコンを操作するのを心理定規は後ろから眺める。
匿名掲示板やSNS等、かなり多くの場所に写真が広まっているのが分かった。
検索エンジンで一方通行と入れると「一方通行 ホモ」と候補が出てくる有様だ。
当然画像検索にもズラズラと並んでいる。
暗部で働いているために情報が秘匿されている垣根も、この勢いでは写真から特定されてしまいかねない。
どこぞの女子中学生に激写されたのかもしれない。

垣根「やべぇ……。こんなんじゃ月曜になっても学校に行けねえ」

心理定規「貴方学校なんて最初から行ってないじゃない」

垣根「まあな。はぁ……学校でラブコメしたかった」

心理定規「あなたの口からそんな単語が出ると反吐が出そうになるわ」

垣根「傷つくからそういうこと言うのやめろ」

垣根「おっと、もう六時じゃねえか。そろそろまた行くか」

心理定規「どこによ、まさか一方通行のところ?もう少しほとぼりが冷めてからにしたら?」

垣根「鉄は熱いうちに打てって言うだろ。気をつけて行ってくるぜ」

心理定規「むしろ死んでも構わないわよ」

垣根「……」

――――――――――――
 ☆一方通行の家の前☆
――――――――――――


研究者「やれやれ、昼間は酷い目に遭った」

研究者「わけのわからんガキに蹴られた挙句に濃厚なホモシーン見せつけられて……。
     だが一方通行自体は絶対能力進化実験に乗り気な様子だった。
     もう一度邪魔が入らない場所で勧誘すればいいだけのことだ」

研究者は深く息をつく。本当にロクな一日ではなかったと。
そこでふと、足音に気付く。一方通行が帰ってきたのかと顔を向け、そして絶望する。

垣根「あ?昼間の不良じゃねーか。なんでこんな場所にいやがる?」

研究者「そのセリフそっくりそのまま返したいんだがね」

垣根「まさか……お前も俺と同じ考えを持ってやがるのか」

研究者「ごめんねおじさん人の心読めないから君の言ってることの意味がわからない」

垣根「問答無用だコラ。俺の障害物になろうとしてる時点でテメェの死は確定してんだよ!」

研究者「いやなに言ってるの。ちょっ、服つかまないで!お前みたいなガキの着る服とは値段が違―――」

――― 一方通行のマンション近くのコンビニ

<ギャー
グチャ

一方(あン?今俺のマンションから誰か飛び降りたのが見えたぞ……)

一方「つーか投げ落とされてたような」

嫌な予感がした。
というか嫌な予感しかしない。

コンビニのビニール袋いっぱいの缶コーヒーを右手に抱え、一方通行はベクトルを操り一足に自身の住むマンションへと飛び込んだ。


垣根「よ、一方通行」

一方「オマエは!!」

垣根「お前の部屋やべえな。世紀末じゃねえか。どうやって暮らしてんだよ。」

一方「オマエの頭ン中よりは遥かにマシだと思うがなァ……」


垣根(やっぱキレてる。ここはどうやって対処するかね)

1、「昼間は悪かったな」
2、「今日のパンツ何色?」

安価↓

2

>>36
垣根「なあ、一方通行。昼間聞きそびれたことがある。
    これだけ答えてくれれば今日はもうお前に干渉しない」

一方「……聞くだけ聞いてやる。聞くだけな」

垣根「今日のパンツ何色?」

瞬間、マンションの通路にヒビが入った。

垣根「おいやめろ。他の住人の皆様のご迷惑になるだろうが」

一方「俺に迷惑かけまくってるオマエに言われたくねェンですけど?」

垣根「で、何色?まあ黒のボクサータイプなのは知ってるが一応聞いてやる」

一方「なンで知ってンだよォォォ!!」

垣根「マジだったの?」

一方「がァァァァァァ!!」ダンダンダンダンッ

垣根「やめろって。他の住人の皆様の」

一方「オマエのせいだろうがァ!」

垣根「イライラすんなよ」

一方「オマエ見てイラつかない方がどうかしてると思うぜ」

垣根「ふぅん。俺はお前を見てるとムラムラするぞ」

一方「聞きたくないわァ!」ガー

垣根「あっ、分かった」ピコーン

垣根「腹減ってるからイラつくんだろ」

一方「いい加減にしろよ……。マジで」

垣根「わかったわかった、悪かった。
    もうしないから(嘘)」

一方「既に余裕で死刑確定クラスだってンだよォ!」

垣根「最高級と名高い飛騨牛の更に最高クラスのヤツ奢るからそろそろ許せって。
    俺がどうやってお前の反射を貫いたかのからくりも教えるからよ」

一方「……」

一方(反射……。そうだ、コイツのイカレっぷりで忘れてたがそっちが重要だった)

一方「チッ、場所はどこだ」

垣根「この食いしん坊め」

一方「殺すぞ」

―――――――
 ☆焼肉屋☆
―――――――

垣根「飛騨牛スペシャルダイナミックデリシャスメタボリックシンドロームコース二人前お願いしますぅ」

店員「かしこまりましたぁー」

一方「……おい」

垣根「なんだ、もう待てないのかよ。お子様」

一方「違ェ!!」バンッ

垣根「テーブル叩くな。水が溢れる」

一方「オマエは一体どォやって俺の反射を貫きやがった?」

垣根「リビドーの力に決まってるだろ」

一方「本当は?」

垣根「性欲の力に決まってるだろ」

一方「言い方変えンな!」

垣根「一方通行、お前は何もわかっちゃいねえ」

垣根「愛欲の力ってのに常識は通用しねえんだよ。
    起こり得るはずがない、そんな非常識を常識に変えちまうんだ」

一方「馬鹿な話はいいから事実を言え」

垣根「肉食ってからでいいだろーそんな真面目な話は。
    ってわけでウンコしてくる。今にも漏れそうなんだよ」

一方「黙っていけクソ野郎が!!」




垣根「さて……俺が抜け出したのはクソをするためでもなんでもねえ」

垣根「ヤツに食わせるスペシャル飛騨牛に危険物を混ぜるためだ」

垣根「何を突っ込んでくれよう」

1、媚薬
2、利尿剤
3、下剤

3

>>41把握

店員1「高位能力者ってのはいいねぇ~こんな肉を軽い気持ちで食えるんだからよ」

店員2「盗めばいいんじゃね?」

店員1「ちょっとくらい盗んでもバレねーわなHAHAHA」

垣根(さーて、未元物質によるステルスモードで厨房に忍び込んだわけだが……。店員が囲んでるのが俺達の肉かね)

店員1「ま、運んでくるべ」

店員2「いってら」

垣根(今だ!)シュバッ

目にも止まらぬ速さで垣根は肉に下剤をねじ込んだ。

下剤といってもただの下剤ではない。

未元物質で生み出した強烈な威力の下剤だ。

単なる劇物を一方通行の肉体に打ち込んでも能力で即座に排出されてしまうのが関の山だが、
未元物質で出来ているのなら垣根の制御の下にあり、垣根は一方通行の能力の使用パターンを熟知している。

つまり一方通行の脱糞待ったなしの状況となったのだ!

垣根(くっくっく……。おっと、あまりに早く戻っても怪しまれるな。便所に数分間引きこもるか)

―――数分後。

垣根と一方通行の席は、和室のような小部屋となっている。
小部屋内には既に肉の焼ける匂いが充満していたのか、垣根が襖を引いた瞬間香りが鼻腔に飛び込んできた。

垣根「戻ったぜマイラバー」

一方「死ね」

垣根「つかもう食ってるし。いやしんぼ」

一方「帰らなかっただけありがたく思えや」

もごもごと肉を咀嚼する一方通行の表情は先ほどより明らかに険が取れている。
食の力とは偉大だ。

中に何が混入されているとも知らず呑気なものである。

垣根(やっべ。笑いそう)

笑ったら悪行がバレる。
暗部の任務で鍛えた垣根のポーカーフェイスが光る。

垣根「よし、俺も食うか」

一方「俺が焼いた分は食うな」

垣根「あれ?耳の調子がおかしくなっちゃったゾ」ヒョイパクッ

一方(心底ウゼェ殺してェ……)

垣根「味の宝石箱やー」

一方「……おい」

垣根「なに?」

一方「いい加減教えろ。どうやって俺の反射を突破したのかを」

垣根「企業秘密……と言いたいが教えてやろう」

一方「……」


垣根(どう答えようか)

1、大ボラを吹く
2、事実を暴露

安価↓

1

>>45
把握

垣根「俺の能力はAIM干渉系なんだ」

一方「あァ?」

垣根「触れた能力による現象の根源的な部分―――AIMに干渉ができる。
    だからお前の反射も余裕で貫けんの」

一方「……なるほどな」

垣根(しっかり騙されてるwwwwwww純粋wwwwwwwwww)

一方「……。
    もう一つ聞きてェ事がある」

垣根「なんだ?勃起時のチンポのサイズか?」

一方「なンでオマエは俺にキ……あンなことしやがった。嫌がらせか?」

垣根「あんなことってどれだよはっきり言えよ~あぁ~?」

一方「なンで公道でキスなンかしたかってンだよ!オマエどォ見ても男だよなァ、俺も男だぞ!?」

一方通行のその声に、騒がしかった隣の部屋が水を打ったように静まり返ったが一方通行は気付かない。

垣根はきっぱりとした口調で言い放った。

垣根「なんでってそりゃもちろんお前が好きだからだよ、一方通行」

一方「……っ、にを、気色悪い事言いやがる!?」

垣根「さっきから言ってんだろ。ムラムラするって」

一方「冗談じゃなかったンかよ……」

垣根「冗談であんなことしねえよ。
    お前の存在を知った時からお前以外見えない」

垣根「だから、俺のものになれ」イケメンフェイス

一方「おい待てなンでそうなる」

突然真剣な目で口説き始めた垣根に一方通行は大いに狼狽している。

垣根(チャンスだな)

悪たるもの敵が弱った隙に攻めるべし。

先に仕込んでいた兵器がついに起動する。

一方「うっ……!?」

垣根「お?どうしたいきなり。射精でもしたか?」

一方「違……、ぐ、がァ……」

突然に一方通行は腹部を押さえて苦しみだした。

超強力な下剤が一方通行の体内で暴れ狂っているのだ。

一方「あ、ァ、ぐァあああ……クソ、がァ」

垣根「クソが出そうなのか?」

謎の激痛に視界がどんどん狭まっていく。
脂汗を流しながら一方通行は思考する。

一方(なンだいきなり?毒でも盛られてたってのか……?そンなもン反射で防げるってのに―――まさか)

一方「オマ……エ、何を、盛りやがった……」

垣根「ああ、気付いたのか。特別な下剤を仕込んだ」

一方「!!」

垣根「あ^~楽しみだな^~。一方通行の脱糞シーン(恍惚)」

一方「この野郎……!想像以上の変態だなァ……!」

痛みと怒りに顔を歪めながら一方通行は演算能力を振り絞り腹部に打撃を与える原因を抽出しようとする。
だが。

一方「ァぐ、ぐ、が、ァァァああああ!!」

垣根「やめとけって。逆効果だぜ」

一方通行を嘲笑うように痛みは増すばかりだ。

一方(ヤベェ……マジで漏れる……!)

一方通行の肉体がガクガクと震えだす。
恐怖ではない。生理的な震えだ。

垣根「いいことを教えてやろう、一方通行」

一方「っ、黙、」

垣根「この部屋の壁には極小サイズの監視カメラが無数に仕込まれてる。

    そしてそれらの撮影記録は外部のコンピュータに転送される仕組みになってる。
    お前が脱糞すれば……どうなるだろうな」

一方「ゥ、そ、だろ……」

垣根「俺の意思一つで世界中のネットワークにお前の粗相が送信され、拡散される。
    嫌だよなぁ、プライドの高いお前には耐えられないよなぁ」

第一位の脱糞wktk

マダー?

一方「ふざけンなァ!! はゥ、あっ、あァ……」

垣根「俺も鬼じゃねえ。俺の言う条件を飲めばこの地獄から救い出してやるぜ」

一方「……く、言えよ、さっさと……!」

垣根「俺を受け入れるとこの場で誓え」

一方「だ、れ、が……ふ、くゥう!!」

一方通行の震えがより一層強くなる。
じんじんとした痛みが腹部全体に広がる。
全力で締める括約筋すらも痛む。
もう耐えられる気がしなかった。
その先に何が起こるかなど想像する力も残っていない。

一方「わか、った……お前の、要求、飲む……」

垣根「よく言った」

垣根は菩薩のような微笑みを浮かべる。実態は悪魔そのものだが。

垣根「よし、便所行くぞ。掴まれ」

一方「おい何か薬とかあるンじゃないンか……よ……」







ぶちゅ

垣根「あ?」

一方「」

最初の一音を皮切りに、じゅ、ぶ、ばぱ、じゅぼぼぼぼ……という、半液体状のものが吹き出す音が続いた。
同時に、一方通行の白いズボンが茶色に汚れていく。

垣根「あーあ。もうちょっと耐えろよ」

一方「」

一方通行の頭の中が真っ白になる。

ウンコが漏れた。

ギャグのような展開だが、まったくもってシャレにならない。

学園都市の能力者で、しかもその序列第一位となれば大変な地位である。
そんな一方通行の脱糞映像が流出したとなれば一大事だ。
世界中のネットワークに拡散されあらゆる動画投稿サイトに投稿され、あらゆるSMSで晒され、外を出歩くたびに指を刺されて笑われるのだ。
学園都市の外部に出てもこの目立つ風貌ゆえに永遠に笑われ続けるのだ。
脱糞通行(クソマミレータ)として。

一方「ゥ、あ……うおあああァァァ!!」

一方通行の視界が真っ黒に染まる。
怒り、悲しみ、絶望。
なぜこんな理不尽に見舞われているのか……。
世界が歪む。
一方通行の左右の脳の間に何か尖ったものが生じ

垣根「どっせい!上段正拳!!」ベッキョォォ

一方「ぐォォ!!」バターン

損ねた。

垣根「あ。なんかヤバイ予感がしたから全力で殴っちまった」

一方「」死ーん

垣根(さて……脱糞シーン撮影なうなんて大ボラでしかなかったがこのくらいグレードの高い店ならどこかしらで監視してやがるんだろう)

垣根(その映像を盗んでおくか)

垣根「肉の代金とクソの清掃代……は何万くらいだろ」

一方「」死ーん

垣根「おっと、こいつも回収しねーとな」




 

???「・・・絶対能力進化を通じたプランは失敗してしまったが、垣根帝督が随分と愉快なことをしているようだな・・・。これはこれで面白い成長が見れそうだ」

クソマミレータ可哀想ですね

――――――――
―――――
――


一方「ン……?」

濡れた床にぞんざいに放られた状態で、真っ白い少年は目を覚ました。
なにか温かいものが下半身に降りかかってきている。
その空間には忌々しいほどに聞き覚えのある声が響いていた。

垣根「マジ演算めんどくさ。意識無くても反射とか、こっちの身にもなれよクソボケ死ねカス肉便器」

垣根「実のところ俺は未元物質で物質の運動の方向を操作し、無理やり反射を突き破り一方通行と物質の接触を実現させているわけだ……これが猛烈にメンドイ」

垣根「いい加減一方通行の脳漿をブチ撒けて演算不能にしてやろうと思うのだが、どう思う。テレビの前の諸君」

一方「……一人でナニをぶつくさ言ってやがる?」

垣根「うわ、起きやがった」

一方「シャワーなンて浴びせられたら誰でも起きるわ」

一方「って、あァ!?なンで俺もオマエ全裸なン……!?」

自分で言って初めて一方通行は自分が風呂に入れられていることに気付く。
つーか最初に気付けよ。

垣根「テメェがクソ漏らした瞬間正気失ったから気絶させたんだが
    クソ臭さがヤバイんで近場のラブホ借りて洗ってやってたんだよ」

一方「っ!!」

先ほどの自分の粗相を思い出し一方通行は真っ赤になり、次にそのシーンが撮影されていたということを思い出し真っ青になった。

垣根「信号機かテメェは」

一方「全部オマエのせいだろォが!!」

垣根「悪いな一方通行。お前がクソ塗れになるのを見たかったんだ」イケメンフェイス

一方「悪いで済めば法律はいらねェンだよォォォ!!」

垣根「お、いいのか?そんな態度で。お前の社会的生殺与奪権は俺にあるんだぜ」

一方「なら、今すぐここでオマエを殺せばイイだけだよなァ」

殺る気イッパイ。
獰猛な笑みを湛える一方通行に対し、言い放つ。

垣根「第一位を相手取るってのに殺される可能性を危惧しないわけがねえだろ」

一方「どォいう意味だ」

垣根「俺が定期的にいじらなきゃ勝手に世界中に映像データが拡散されるようにプログラムを組んでる。
    俺が死んだらお前も社会的に死ぬ。道連れだ」

一方「そンなハッタリ、」

垣根「だったら試してみるか?」

一方「……」

嘘かもしれない。
嘘かもしれないが仮に事実であったら。

垣根「はい先に目ぇ反らしたー。一方通行の負けー」

一方「チッ、汚ェ手を使った輩のほざく勝ちなンざクソ以下の値打ちしかねェ」

垣根「勝ちの価値なんてどうでもいいんだよ。俺の望む成果が得られればな」

垣根「と。クソは流したがこれじゃ衛生的に問題があるし、ちゃんと石鹸で洗ってやるぜ」

薬用ボディソープを手のひらに出し、泡立ててから垣根はシャワーを止めた。
素手で洗ってやろうということなのだろうとすぐに一方通行は理解する。

一方「付き合ってられるかボケ」

垣根「待てやコラ!」

立ち上がって風呂場から抜け出そうとする一方通行の足に垣根が容赦なく蹴りを打ち込む。
呆気なく一方通行は膝を折り風呂の床に崩れ落ちかける。
垣根は素早く一方通行の頭を掴み壁に押し付けた。

垣根「逃げんな」

一方「クソがァ!ソープごっこなら他の奴とやれェ!!」

垣根「お前以外とやりたくない(一途)」

一方「嬉しくないっつかキモイ。迷惑。速やかに死ね」

垣根「やだよん」

垣根はボディソープでヌルついた手を一方通行の尻で、太ももで滑らせる。
反射という最高の防御に刺激を遮られてきた身体は、それだけで過敏に反応した。

一方「うァ、……く……ふゥ……」

垣根「きもちいだろ?」

一方「違ェ!」

垣根「なら、変な声出すなよ」

意地の悪い笑みを浮かべながら垣根が更に一方通行の肌を撫で回してやると、一方通行は顔を赤らめて垣根を睨みつける。
嘲笑うように、垣根は一方通行の双丘の間をなぞった。

一方「や、めろォ、あ、ン、うゥっ」

垣根「わ、ケツの穴ヒクついてる。体は正直ってか」

一方「違う!!やめろ、もういい加減に……っ」

垣根「だーめ。すっげー量漏らしてたんだからよ。ついでに前も洗っとくかね」

再度ボディソープを泡立て、垣根は左手で一方通行の秘孔に指を這わせつつ、

一方「ふざけンのも大概にしろって、―――!」

右の手では小ぶりな男性器を片手で包み込んだ。
子供のそれがそのまま少しばかり成長したような性器だが、硬度を増し、身をもたげている。

一方「触るなってンだろうがァ!!そンなとこ汚れてねェ!!」

垣根「はぁ、汚れてない?おかしーなぁ」

親指の腹で一方通行の鈴口をグリグリと押さえつけながら言う。

垣根「すげーヌルついてんじゃねーか。腸液か何かだろ、このヌルつきようはさ。
    ちゃんと擦って綺麗にしてやるよ」シコシコ

一方「ンなわけ、ァ、くァああっ」

垣根「おかしいな。擦っても擦っても全然落ちないゾ(棒)」シコシコ

一方「や、ゥあ……っ」

一方通行は大きく背を反らす。そして一度びくりと身を震わせると、自然の欲求のままに精液を吐き出した。
白い液体が風呂の壁に飛散する。

一方「ァあっ……く、は、ァ……」

脱力してしなだれかかる一方通行を支えながら垣根は驚き混じりに呟く。

垣根「もう射精しやがった。いくらなんでも早漏すぎるだろ」

一方「黙れ……」

上目遣いに垣根を睨む一方通行の目は既に快楽に蕩けている。

垣根「そんなに良かったの?」

一方「良くねェよ、クソ。ド変態が。気持ち悪ィ」

罵倒する声も先ほどよりも弱々しい。


垣根(よし、次は何しよう)

1、キスする
2、フェラする
3、アナル開発

安価↓

1

1の書く文好き

>>63
把握
近々投下します

>>64
ありがたき幸せでござる

この一方通行はデレたら破壊力ヤバそう

垣根が程よくゲスでいいね!

>>1は守護神

元々何書こうと思って書き始めたかわからない。
書いてるうちにいつの間にかホモSSになってた。
おちんぽカーニバルできればもうなんでもええんや、と今は思ってる。
投下

垣根は目先の掴めば折れてしまいそうな首筋を見つめた。

白磁の肌とは使い古された表現だが、こいつの場合は比喩抜きにそんな色をしている。
穢されるためにあるような白さだ。

一方「ひ、何を……」

うなじに突然唇を這わされ、一方通行は身をよじった。
それを垣根が抱き込んで押さえつける。

垣根「動くなっつの」

一方「やめろ、気持ち悪ィしくすぐってェ」

口とは裏腹に一方通行の抵抗は弱い。

垣根「お前ってやっぱ快楽に弱いタイプなんだな」

そう言って愛撫に小さく震える柔らかな肌に吸い付いてみた。

垣根「あは、痕が付いた」

一方「……! ふざけやがって」

赤い班は白い肌の中でやけに目立っている。
首筋の出る服などを着れば悪目立ちして仕方がない。
それをもっとたくさん刻んでやりたいという欲望が垣根の中に広がり、二度三度と同じ事を繰り返す。

一方「もォやめろ!」

垣根「えー。やだ」

一方「ヤダじゃねェよ!微塵も可愛くねェっつかキメェ!」

垣根「そんなにやめて欲しいってんなら、考えてやってもいいぜ?」

何をさせるか、と一瞬だけ逡巡して言う。

垣根「テメェから俺にキスするならやめる」

一方「ンな……!?」

垣根「じゃ、諦めるんだな。体中にキスマーク付けてやる」

特に残念そうでもなく、垣根は再び首筋に意識を戻しかけた。

一方「チッ、……待て。やってやるよクソ野郎が」

垣根「え、マジ?」

十中八九死ねと言われるだけだと思っていたのだが。
体中にマーキングされるのはさすがに勘弁して欲しかったのだろうか。

一方「今更キスくらいなンでもねェ」

オマエなンて犬と変わらねェンだよ、と一方通行はボヤく。

垣根「光栄だな。第一位様にキスしてもらえるとは」

一方「黙って目ェ閉じろ」

やけに聞き分けがいい。何を考えているのやら。
そんな疑問を感じながらも、垣根は目を閉じた。

数秒が経っても何もない。
しかし、逃げた気配は無い。
何をやってるんだか、と垣根が薄っすらと目を開けたのと同時に、頬に暖かいものがとても軽く触れる。
それは一方通行の唇だった。

垣根「……あ?」

一方「どこにやれとか言われてねェから苦情は受け付けないからな」

鼻明かしでもしたつもりなのだろうか、一方通行は妙に得意げだ。

一方「おい、ナニ赤くなってやがる」

垣根「うるせえ、クソ。余計に恥ずかしい真似しやがって」

一方「意味わかンねェな。街中で舌まで絡めてきやがったくせに」

一方「……あァ、なるほど。オマエ、人にされると照れちゃう純情くンだったのか」

主導権を奪ってやったと言わんばかりの表情で一方通行は垣根を見つめる。
垣根の方が背が高いために上目遣いだが、そのニヤついた目は見下すものだ。

垣根「何を勝手に決め付けてやがる、早漏が。
    口にキスする度胸もねえくせに偉ぶってんじゃねえ」

一方「出来ねェンじゃねェ。オマエ相手じゃ気持ち悪ィだけだからしねェだけだ」

垣根「気持ち悪いだぁ? 街ん中でのお前のトロ顔が忘れられねーぜ」

一方「勝手に記憶捏造してンじゃねェ!」

垣根「どっちが。そんなに気持ち悪かったってんなら今試してみるか?」

一方「試す?」

垣根「俺がお前にキスしてお前が勃起したら俺の勝ち。しなかったらお前の勝ち、どうだ?」

一方「どうせオマエがまた汚い手ェ使うのが目に見えてる」

垣根「わかった。俺が他にエロいことしたら俺の反則負けでいい」

しばらくの間、一方通行は押し黙る。

ここで勝負に乗るのは目の前の男に踊らされることでしかない。
だが回避しようとしても何かしら鬱陶しく屁理屈をこねてくるのは間違いないだろうし、
これからも幾度となく唇を狙ってくるに違いない。
今度は例の映像を使って強請ってくるかもしれない。
どうせ最終的にはほとんど同じ結果にしかならない。
ならばこの勝負で敗北させ、僅かにでもこの男のプライドを傷つけてやるのがせめてもの反抗になるんじゃないか。

そんなことを考えていた。

一方「いいぜ。受けてやるよ、そのこの上なく下らねェ勝負をよ」

垣根「さすが、度量も第一位だな」

用意周到に監視カメラを仕掛けるような人間とはいえ、抜け目無い男と言うほどでもないようだと一方通行は垣根に評価を下す。

人間の場合、陰茎内の海綿体という組織に血液が溜まり、内圧が上がることで勃起が生じる。
一方通行の能力はベクトル操作であり、当然自身の体内の血流操作も自在だ。
そして、今回の勝負において、一方通行が能力を使ってはならないというルールは無い。

一方(って、なンで俺は勃起すンの前提で考えてンだよ……アホらし)

こんな男の口付けなどで断じて興奮などしない、してたまるか。
絶対こんな男になんて負けない、と脳内でフラグを立てる一方通行の頬に垣根の手が当てられた。

一方通行は正面を睨んだ。
腹立たしい程に整った顔の男の目はやけに真剣だ。
何がこの男を駆り立てるのかは全く理解できない。

睨まれているのも全く意に介さず、垣根は一方通行の唇に、自身のものを重ねる。

初めに触れるだけのキスをし、次に軽く押し付けるキスをした。
市街でのキスでは意識しなかった唇の感触がはっきりとわかった。
男の唇は硬いと聞いていたが、そうでもないようだとどちらともなく他人事のように考える。

先に唇を離した垣根が舌先で一方通行の上唇を舐る。
ほとんど条件反射のように口を開いてから一方通行は後悔したが、それでは遅い。

一方「ン、……っ」

一方通行の口内に差し込まれた垣根の舌が、一方通行の舌を舐め上げる。
舌の上から裏側まで、余すところなく。
くすぐったさに一方通行が唇と舌を動かせば、より両者の口付けは深くなり、舌は絡み合う。
こんなつもりじゃない、と抗うほど元の状態に戻るのが困難になる。

ぬるついた舌の感触など本来気持ちが悪いだけのはずだろうに、垣根の舌が蛇のように這い回る度に、体の芯がじくじくと疼くのを覚え、一方通行は身を震わせる。
内側から溶けていくような感覚は不快なものではなく、むしろ全く逆だ。

垣根も一方通行も衣服など一切着ていないために衣擦れの音一つ無い。
シャワーはとっくに止められていた浴室に響くのは口付けの音と呼吸音だけだ。
 

垣根の舌が一方通行の口内から抜かれる。
その際に唾液が一筋、とろりと垂れた。

垣根「……俺の勝ち」

一方「あ……?」

熱に浮かされたような顔で呆然としていた一方通行は垣根の視線の先に目を落とす。

小ぶりで、色素がないゆえに桃色だった陰茎は赤く充血し、屹立していた。
その先端からは透明な液体が溢れ出ている。

一方「クソ!見るンじゃねェ!!」

垣根「もう遅ぇよ。……意外と呆気なかったな。
    お前のことだから能力使って抑えると思ったんだが」

垣根の予想では、一方通行は自身の能力を使って勝負に勝とうとするはずだった。
寝ながらにして反射が行える一方通行にとっては、さほど難しい操作でもなさそうに垣根には思えた。
それに対抗するための演算式を垣根は数パターン組み上げていたというのに、結局用途は失われる。

垣根「もしかして、そんな余裕も無かったのか?」

一方「違、……」

違う。出来たはずだ。やろうと思えば。
垣根の口付けに意図的に集中しなければ。

一方「……っ」

一方通行はじわじわと顔を赤らめていく。
いつの間にやら耳まで真っ赤だ。

垣根「おい、どうした?」

一方「うるせェ黙れ死ね!」

子供のように怒声を上げながら浴室の扉を乱雑に開き、一方通行は逃げ出すように脱出した。
今度は垣根も止めなかった。その代わりに言う。

垣根「お前の服全部業者に渡したから帰りたきゃ全裸で帰れ」

その瞬間、何かが破壊される音が響いた。
従業員の人の迷惑なのでおやめください。

能力を使って光学操作をすれば周囲に見つからずに全裸で家に帰ることも可能だろうが、そんな発想は沸かないらしい。

垣根「そういや、ここはラブホだった。次は何するかな」


けふはここまで。安価↓

浣腸して産卵プレイ


キスからいきなりプレイのレベルが飛んだなww

垣根は常識が通用しないイケメンだから何やっても許されるのだ


たまんねーな
もう浣腸はしなくていいんじゃ…よくわからんが


>>1の文章に惚れた

>>77
ID変わってるけど1でございます
把握しました
近々投下したい(願望)

>>81
大変勿体のうございます
漫画と禁書しか読めない病に犯されてるので日本語がおかしかったとしても
自覚できなくて怖い
茫洋とした思考とか用法間違ってるかもわからんねとかもう考えないゾ

かけた。
投下

垣根の借りたラブホテルの部屋は一見すると高級ホテルの一室とさほど変わりはない。
大きなダブルベッドがあり、その正面に大きな鏡がある。鏡の横に配置されるのは広い薄型テレビだ。
しかし、そんな部屋に思い切り異物が発生していた。
床のクレーターがそれである。

垣根「お前すぐ床に当たるのやめろ」

ダブルベッドの上の塊―――布団にくるまった一方通行からの返事は無い。
垣根はベッドの淵に座って声を掛ける。

垣根「まだ9時だってのに、もう寝るつもりかよ。健康優良児かコラ。
    最高に不健康そうなツラしやがって何が健康優良児だ」

やはり一方通行からの返事は無い。

垣根「やーい腐れモヤシの脱糞通行ー子供チンコの早漏野郎」

それでも一方通行からの返事は無い。
本当に寝入っているのだろうか。

ベッドの横のリモコンで垣根はテレビの電源をつけた。

デブのおっさん『ンア―――ッ!!イグ、イグ、イグゥゥ――――――ッ!!』

ガチムチ『オラッさっさと産めゴラァ!!』

テレビに映し出されたのはゲイビデオであった。
タイトルは『淫乱ウミガメとガチムチ漁師の三ヶ月~楽しい出産編~』だ。
垣根の操作により、AVの音声が大ボリュームで部屋中に広がる。

デブのおっさん『卵ぉ大きしゅぎるのぉっ!こんなの出産れきなひっ』

ガチムチ『グルァァァァァ!!そのデカイ腹蹴って腹ン中の卵全部割るぞ!』

デブのおっさん『りゃめぇぇえええ!りゃめらのぉおぉおおお!!ぽくの赤ちゃん死んじゃうよぉおおお!!』

ガチムチ『ならさっさと産まんかボケ!!』ペチンペチン

デブのおっさん『ヒギィィィ―――!!』ブリュブリュ

ガチムチの男優に性器によるビンタを食らいながら、腹の肉を揺らして肛門からウミガメの卵のようなものをひり出す太った男。
その嬌声が轟き、次々に白いものが男の肛門から零れ落ちていった。
カメラマンにより、男に生み出された卵に焦点が移される。
何かぬめった液体がついており、テカテカと光っていた。

そんなものが放映されているにも関わらず、一方通行は相変わらず静かに布団にくるまっている。
身じろぎもしない。
そこで気づいた。

垣根(もしかしてこいつ音反射してね?)

その通りであった。

テレビの電源を切ってから、呟く。

垣根「反射が破れる奴の前で音までシャットアウトして寝るとは。誘ってるとしか思えねえな。
    なら、その期待に沿ってやるよ」

とはいえ、犯すのではない。
今の垣根は下手に快感を得るわけにいかないのだ。
垣根が一方通行の反射を破れているのは、木原数多から入手した一方通行の反射を含む能力の使用パターンへの対抗策となる膨大な演算式を用いて物質の運動を制御していることにある。
一方通行を前に、精密な演算が出来ない状況に自らを追い込むのは自殺行為となりかねなかった。
どこかの世界線で一方通行を犯していたのは気のせいだろう。

垣根はテレビの下の引き出しを開けてみた。
バイブやローションなどのお馴染みの大人のおもちゃが並んでいる。
その中に目を引くものがあった。
AVに出てくるようなやたらと大きな注射器だ。
その横に立てられた容器の中の液体は。

垣根「グリセリンを薄めたもんかね。SM系のAVなんかで使う浣腸道具だな」

垣根「くくく……さっき下剤ブチこまれておいて今度は浣腸までされるとはヤツも思わねえだろ」

注射器に液体を注ぎながら、悪意に満ちた目で一方通行の方を見やった。
相変わらず、スマキ妖怪のような体であった。呑気なものだ。

更に下の引き出しを開けると、鞭、蝋燭、拡張器等がひしめき合っていた。
その中から垣根はガラスの器を取り出し、悠々と一方通行に近づき、一気に布団を剥ぎ取った。

一方「なにしやがる!!」

垣根「なんだよ、起きてたのか。だが遅ぇ」

一方通行が垣根の手元に何かがあるのに気付くのは一瞬後のことだ。
その一瞬が致命的な遅延になる。

一方「ひ、―――!」

冷たいものが尻に宛てがわれ、一方通行は驚愕に目を見開く。

垣根「下手に動くと腸に傷がつくぜ」

一方「何をする気だおい!クソ!」

垣根「それは後のお楽しみ。死ぬわけじゃねえから安心しろよ」

一方「出来るかァ!!うァ、」

冷たい液体が腸内に注入されていく。
気持ちが悪いようないいような、何とも言えない感覚だが、本能的に理解できる。
ろくでもない作用があるだろうということは。

垣根「コラ、まだ出そうとすんじゃねえ」

一方(なンで排出できねェ! こいつの能力なのか!?)

一方通行は垣根を睨みつけた。

一方「マジでなンなンだよ、オマエ……!俺になンの恨みがあるンだ」

垣根「恨みじゃねえよ。これが俺の愛だ」

一方「意味分かンね……あ、?!」

グルグルグル、と下腹から嫌な音がした。
この感覚は。

一方「オ、マエ……また」

垣根「はい、浣腸です」

絶望と怒りに歪む一方通行の顔を見つめがら、垣根は菩薩の微笑みを浮かべていた。

垣根「俺さ、重要なことに気が付いたんだよ。

    さっきお前の脱糞シーン撮影したはいいけど、肝心の肛門から排泄されるところは服で見えなかったんだ。
    つーわけでさ」

真顔も真顔、超真顔で言い放つ。



垣根「出せよ。全裸で。全部俺に見せろ」



一方「ふ、ざ、け、ン、なァァァァァ!!」

垣根「っと、布団の上でぶちまけるなよ? これに出せ」

垣根が指し示した先にあったのはボウルのようなガラスの器だった。
引きつった顔で一方通行は再度声を張り上げる。

一方「いい加減にしやがれェ!!誰がそンなもンに出すかァ!!」

垣根「お前が出すに決まってんだろ。馬鹿か」

一方「出さねェ、……っふ、……」

垣根「どうだ? 今度は即効性だったんだが」

先ほど思い切り吐き出したために、先ほどよりも効きが薄いのはわかっていた。
そのため、念のために未元物質を混ぜて効き目を強化していた。
こんなことに使われる未元物質も不憫なものである。

一方「変態もほどほどにしやがれ!離せよ、クソ。便所の前でマス掻いてンのがオマエには似合いだ……!」

垣根「どうせならお前に見せつけたいね」

一方「ンなもン誰が見るか。目が腐っちまうだろォが」

垣根「ひでぇひでぇ。俺くらいになると一発オナニー見せるだけで大金稼げんだぜ。
    それをタダで見せてやろーってんだから喜べよ」

一方「俺をそンな変態と一緒にすンじゃ、……っ」

ズン、と一段と便意が重くなった。
いや、便意というより、排泄欲というべきだ。
金どころか時間を稼がれたようだと一方通行は奥歯を噛み締めた。

一方「クソッ」

荒立ちながら一方通行が垣根の拘束を解いて逃げ出そうとしたが、垣根が素早く片腕で抱き込む。
それと同時に、ガラスの器を一方通行の股下に寄せ、返し刀に白い太ももを掴んだ。

垣根「はい、セット。いつでも出せ」

一方「ぐっ……! バカ野郎が。この姿勢じゃオマエのとこからよく見えねェじゃねェか」

ざまあみろ、と言わんばかりの声を出した一方通行は正面を見て唖然する。

垣根「なんだ、お前今まで気付かなかったの? ベッドの前のデカイ鏡にさ」

精一杯の強がりが無駄になって本当に残念だったな、と垣根の意地の悪い笑みが鏡を通して一方通行に向けられる。

一方「離せ、クソ、クソォ……」

一方通行が身をよじっても胴回りを垣根の右腕が拘束し、もう片腕が膝を立てた状態に固定していて逃れられない。
力づくで振りほどいてしまおうかとする一方通行だが、

一方「や、ゥあっ」

外耳をちろりと舐められ、力が抜けてしまう。

垣根「どこもかしこも敏感で大変だな」

耳元で囁かれるのにさえ反応している。

垣根「つーか、また勃起してる。俺にクソ漏らすの見られたいのか?
    人のことどうこう言えない立派な変態だよ、お前」

一方「嘘……だろ」

立てた片膝と投げ出されたもう片足の間から覗く一方通行の性器は再び天を仰いでいる。
自分のものがそんな状態になっているのが信じられない。

羞恥のあまり一方通行の顔は真っ赤だ。

垣根「俺もちょっと驚いてるぜ。お前が思ってた以上に変態でさ」

一方「違う、俺はそンなじゃない、そンな、……っ」

びくん、と一方通行の体が跳ねる。
そろそろ限界が近いようだ。

一方「俺は違う、こン、なの」

一方通行の声と、白い体は小刻みに震えていた。
吐かれる息は長く、吸われる息は短い。

垣根「いいじゃねえか。俺はお前がどんな野郎だろうが全部受け止めるし、丸のまま愛してやるよ」

一方「っ、」

垣根が右手の拘束を解き、一方通行の下腹部をゆるゆると撫でた。その直後だった。

一方「ゥ、あ、嫌だ、ァあっ、……く、―――!!」

汚濁が勢いよく噴き出した。
ガラスの器の中に、液体が音を立てて溜まっていく。

垣根は鏡に映る一方通行を眺める。
恥辱と屈辱に歪めながらも、一方通行の顔には明らかな快感の色が浮かんでいた。
排泄の快感か、汚辱の快感なのか。

垣根「ほんと、変態すぎる。マゾ太郎にもほどがあるぜ」

一方通行は荒い息を吐きながら、鏡越しに垣根を睨みつけた。

一方「……ぜってェ地獄に堕としてやる」

垣根「ひでぇな。俺はお前を天国に導いてやろうとしてんのに」

ぶっ殺してェ、と低い声で呟く一方通行に適当に相槌を打ちつつ、垣根はベッド脇の箱から数枚のティッシュを引き抜く。

垣根「ほら、股開け。拭いてやるよ」

一方「触ンな!自分でや、無理やり手ェつっこンでくンじゃねェ!」

垣根「暴れるなって。お前のクソがひっくり返ったら大変だ」

ガラスの器の中身が揺れ、音を立てていた。
引きつった顔で抵抗をやめる一方通行に少しばかりいたずらしたくなる。

一方「っ、……」

肛門付近にティッシュを押し当てて水分を拭き取りながら、蟻の門渡を指で軽く刺激する。
ついでにもう片手で屹立したままの性器を握ろうとして。

垣根「痛。抓るな」

一方「調子に乗るのも大概にしやがれ!溢れちまうだろォが」

垣根「堪えろよ。拭き終わったからさっさとそのクソ処理しとけ」

一方「なンで俺が」

垣根「出したのお前。処理しねーなら寝てる間に口に流し込んでやる」

へらへらと笑っている垣根を見て、コイツなら本当にやりかねないと脅威を覚える一方通行だった。
一方通行は舌打ちをして仕方なしにガラスの器を持ち、便所へと向かう。

器の中身を極力見ないようにしながら進んでいるうちに、臭いが一切感じられないことに気付く。
先ほど注入されたものに何か入っていたのだろうか。
あの液体に関してはまだ謎がある。
能力で排出できなかったのはなぜかということだ。

茶髪の男は自分の能力をAIM干渉系だと言っていたが、明らかに液体の運動を制御していた。
AIMを操って他人の能力を使う能力者の噂を聞いたことがあったが、ひょっとするとあの男がそうなんだろうか。

汚物を処理した一方通行の脳裏に渦巻いていた思考は次の瞬間弾け飛ぶ。

垣根「鞭に蝋燭……悪くねえな。だが折角腸内洗浄したんだしアナル開発をだな」

全裸でテレビの下の引き出しから性具を出しては散らかしている垣根の姿があった。
赤い縄やゴム製の鞭や男性器を模したものなどが目眩がするほど床に並んでいる。

一方「いい加減にしろ! 俺はもォ寝る。オマエみたいな変態に付き合ってらンねェンだよ!」

垣根「いいぜ、寝るならそれで。俺が勝手にやるだけだからな。
    ま、クソ漏らしながら悦に浸ってたようなお前が寝てられるとも思えないけど」

一方「浸ってねェ!!」

垣根「お前がどう喚こうが事実は変わらねえ」

一方「何を言おうが無駄なよォだな」

垣根「気付くのが遅ぇよ。……お、これは」

垣根は引き出しの中の箱を手に取る。
開けてみると白いピンポン玉のようなものがみっちりと入っていた。
大きさは1パターンではない。
弾力を確認してみると一般的なピンポン玉とゆで卵の中間といった具合の硬さだった。

垣根(そういやさっきのAVで産卵プレイしてたっけ)

垣根「……クソをひり出してヨがる変態野郎にはうってつけか」

一方「しつけェぞ!! オマエ、何を見てやがる」

垣根「それはお楽しみ。

    ・・…いきなりこんなの出させたらケツが裂けるかもしれねえな。
    先に解してやるか」

垣根は箱とローション入った瓶を手に、ベッドの上から睨みつけ続けている一方通行に近寄った。

一方「今度は何をする気だ変態」

垣根「イイコト。黙って四つん這いになれよ」

一方「誰がンなの聞くか死ね」

垣根「お願い」

一方「駄目だ。あとキメェ」

垣根「お前が頷かないなら無理やりお前の尻の穴に何かすごく大きいものをねじ込んで肛門を裂いて
    人工肛門デビューさせるかもしれないけど、駄目か?」

一方「脅迫じゃねェかクソ」

この上なく忌々しそうに吐き捨て、一方通行は非常に緩慢な動きで体勢を変える。
命じられたことには意外と素直な奴である。

垣根「ローションいきまーす」

一方「っ」

ローションが一方通行の尻に垂らされ、双丘の谷を伝う。
冷たい粘性の液が滑り落ちる感覚に身震いする一方通行の後腔に、垣根の指が触れ、ゆっくりと内側に沈められていく。

一方「く……。オマエ頭イカれてるぜ。汚ェとか思わねェのかよ」

垣根「安心しろ、二回もケツ洗いはしてる。ついでに言やさっきの浣腸は特別性だ。
    腸壁の汚れくらい簡単に流れるようになってる」

一方「はン、オマエみてェな変態がいるンだな」

垣根「人のこと言えるタチかよ。おい、もっと力抜け。裂けるぞ」

垣根に言われて渋々従う一方通行だが、あまりうまくは出来ていない。
力ずくで指を押し込むことは可能だ。
だが、快楽で篭絡させるのが目的である以上、ここで肛門に傷をつけるのは垣根としても避けたいところだった。

垣根(しかしまいったねこりゃ。思ったより硬い。ちょっとチート使うか)

垣根の能力により、一方通行の肛門は締めつけを緩める。
肛門付近の伝達神経の一部の働きが阻害されたからだった。
それから間髪入れずに、垣根の指が肉壁に深く沈んだ。

一方「うぐ……!」

一方通行には何が起こったのかわからない。
ただ唐突に付きこまれた質量に声を上げた。

垣根「はは、上手いじゃないか一方通行。才能あるぜ」

白々しい台詞を吐きつつ、垣根は無遠慮に腸内を掻き回す。
体温の低い一方通行だが、内側はとても熱い。
そして、吸い付いてくるような腸壁の感触が気持ちいい。

垣根(……やべえな、マジで突っ込みたくなってきちまった)

もっとも、そうするわけにもいかないのだが。

一方「クソッ 早く抜け!」

屈辱に顔を歪めながら一方通行は自分の尻の後ろに座る垣根をきつく睨みつけた。
そんな顔をされると余計に嗜虐心を煽るだけだといつ理解するのだろう。

垣根「ほら、もう一本入れるぞ」

一方「や、ゥあ……っ」

先ほどの倍の質量が突き込まれた苦しさに一方通行が声を上げた。

垣根の指は一般的な男子高校生のものよりも細くしなやかだ。
しかし、余計なものが一切無い、骨と内臓だけが詰まっているような肉体の一方通行にはそれが二本挿入されただけで息苦しく感じられた。

わずかに呻きながら両腕を折ってベッドに伏す一方通行を見やりながら、垣根は二本の指をまとめて、次にばらばらと動かす。
その時、指がしこりのようなものにわずかに触れた。一方通行がびくりと腰を震わせる。
しこりが前立腺だと垣根が理解するのに時間はいらなかった。
指で強く刺激しようとして、考えを改める。

もっと他に、楽しむ方法はあるのだから。

垣根は一方通行から指を抜き、箱からピンポンを思わせる玉を取り出した。
息苦しさから解放された一方通行が後ろを振り返って抗議の声をあげようとするのと、ローションが塗りたくられた玉が垣根によって一方通行の中に押し込まれるのは同時だった。

一方「っ!? オマエ、今何を入れやがった……?」

垣根「ピンポン玉」

一方「―――」

あっけらかんとした垣根の態度に一方通行は声を失う。
垣根の行動の理由が全く理解できないようだ。

垣根「産卵プレイってのがあんだよ。ゆで卵とかピンポン玉とかを膣や肛門に入れて出す、擬似的に産卵を楽しむプレイだ」

呆然としたままの一方通行に構うことなく、垣根は更にぬめった玉を挿入する。
先ほどよりも大きめの玉だった。
大きくて入れられそうもないものは、垣根が一時的に柔らかく加工をして入れるだけだ。
玉を入れられる度に一方通行はひくひくと身を震わせている。

一方「こ、ンなことして何が、面白いンだ……」

垣根「面白くないわけがない」

本当に面白くなるのはこれからだが。

 
玉をいくつも入れられるうちに、一方通行の薄い腹は見て分かるほどに膨れてしまった。
垣根に腹を撫でられながら苦しげな息を吐く一方通行はまるで、

垣根「妊婦?」

一方「黙りやがれ……」

垣根が指で内部の玉を抑えていないと溢れ出してしまいそうだった。

一方「バカが。入れすぎだ」

垣根「心配するな、自覚はある」

呆れきった顔で見つめる一方通行にドヤ顔を向ける垣根は、ひそかに一方通行の内部に細工を施す。
最後の仕上げだった。

垣根「俺が指抜いたら出していいぜ。つーか出せ」

一方「……」

一方通行としてはこんな男に従いたくはなかったのだが、腹部の苦しみは一刻も早く出してしまいたかった。

それじゃあ抜くぞ、と垣根は一方通行に声をかけ、その指を引き抜いた。
屈辱的な感情を押し殺しながら、一方通行が胎内のものを吐き出した瞬間。

一方「っ、う、あァっ!?」

強い快感が電撃のように全身を駆け巡る。

一方「な、にが、ァ、あっ、く、ふァ、」

垣根「ほら、転がってねえでしゃがめ。お前が大好きなクソ出す要領でさっさと産めよ」

ぶるぶると震える一方通行を強引に起こすが、一方通行は後ろに倒れかける。
垣根が肩を支えて半身を起こそうとするあいだにも、一方通行はビクビクと痙攣し、おとがいを反らす。
やや遅れて、股下から濡れ光る白い玉が零れおちた。

前立腺付近を刺激しながら玉は外部へと吐き出されている。
体外に排出するだけで快感が生じる理由だった。
だが、単にそれだけではない。

一方「なン、で、くっ、は、―――っ」

先ほどの垣根の施した『仕上げ』は、一方通行の前立腺と腸を隔てる薄壁に突起を作ることだった。
ただでさえごりごりと腸壁を圧迫しながら出て行く玉が突起を強く押し付けていくのだ。
一方通行は断続的に刺激を受け続け、声を上げて快感に身を震わせる。
加えて、下剤と浣腸による二度の排便で一方通行の腸内は普段よりも活発に蠕動していた。

腹部に溜め込まれた玉の数が減れば、自力で玉の排出を止めることはできる。
むしろ、意識的に排出しなければ快楽から抜け出すことは出来る。
だが。

今の一方通行にそれが可能だとは到底思えなかった。

一方「あっ、あっ、あァあ、はァっ、」

口の端からだらしなく涎を垂らす一方通行の目は完全に快楽にとらわれている。
中性的な風貌に反して、一方通行の声は低い。
だがこの瞬間、上がる声は、もはや女の悦ぶ声となんら相違無い。

垣根「はっ。エロいことなんて全然興味ねえですってツラしてこれか。だが、悪くない」

この淫乱め、という垣根が呟いた瞬間。一方通行の性器から何かが溢れ出た。
勢いよく飛び出したのではなく、本当に溢れたというべきだった。
一方通行の股下に溢れた液体は、ベッドに染みを広げていく。
尿道球腺液にしては多すぎるそれは、特有の臭いを持っていた。

垣根「……こいつ、小便漏らしてやがる」

薬剤を使ったのでもないし、能力で何かをしたわけでもない。
ただ純粋に、快感のあまり括約筋が緩んでしまったようだ。
締め忘れた水道から水が流れ出るように、長々と尿が漏れ続ける。
快楽に溺れたままの一方通行は己の痴態に気付けないようだった。
一方通行の作り出した水たまりの中に、白い玉がぽとぽとと落ち続けた。



 

マジキチ

投下終わり☆
次回に続く


第一位の大も小も見れるとは
イイネ

パネェ……

実はこれ全て>>1の趣味なんじゃね?

いいネ!

再開

>>106
違いますよぉ
プライドが高い奴の精神を屈服させるには排泄系の責めが有効だって
お兄ちゃんが言ってたから……っ

ウンコしたら小便出したくなるやないですか

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    一方通行ケツマンコ化計画二日目

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


一方「ン……」

人口の光でない明るさに満ちた部屋で一方通行は目を覚ました。

夜が明けたらしい。
それを理解した瞬間、昨夜の出来事を思い出す。

茶髪の男に下剤を飲まされた挙句に弱みを握られ、性器も握られ、何度もキスをされ、
浣腸をされて二度目の屈辱、尻の穴を弄られて玉を好き放題に詰め込まれ―――。

普段は血圧が低く、寝起きがあまりよくない一方通行も一瞬で眠気を飛ばして顔を真っ赤にした。

一方「クッソがァ……」

頭を抱えて悶えるうちに、一方通行は異臭に気付く。

一方(なンだよ、これ……)

嫌な予感がして、布団の中を覗く。
自分の股あたりに、見事な染みが広がっていた。

これは自分が出したものなのか?

愕然として一方通行は自分の股の下に広がる薄ピンク色のシーツの中で一際目立つ、濃いピンク色の染みを見つめる。

特有の臭いがするそれは、ただの水が零れた痕ではない。

仮にこれが尿であったとして、出した覚えなど無い。まさか、寝ている間に。
いや、そんなはずが無い。あってはいけない。
大体、これを自分が出した確証などどこにもない。
茶髪の男が何かの細工をしたのだ、そうに決まっている。
呆然とする一方通行に、男が声をかけた。

垣根「おはよ、失禁通行(ションベンモレータ)」

一方「」

垣根「いやー、すごかったなー 昨日のお前。

    イキ狂いすぎて最後にばったり気絶してたぜ。
    産卵プレイに夢中になりすぎてすげえ高い声上げながら小便漏らしたのは驚いたわ」

一方「な」

垣根「さすがの俺もたまげたなあ。薬なんて全く使ってないのに小便だだ漏れ。

    だだ漏れてたんだよ。壊れた水道とも、湧水とも言えるような感じに。
    あとからあとからジョロジョロ漏れてんの。
    ベッドの染みが広がっていくのは圧巻だったな」

一方「だ、」

垣根「産卵プレイに必死も必死。あそこまで乗るとは思わなかったね。
あれさ、腹に玉が詰まってんならともかくとしてそうでもなきゃ自分で一生懸命ひり出さなきゃならねえんだぜ。
それを全力でひり出しては快感で悶えてんの。キャンキャンアンアンでかい声上げて。
あの様相を漢字二文字で表すなら『雌犬』だな。
もう我慢する気とか全く無いってか、快楽への飽くなき探求みたいなものすら感じたよ。
やっぱ淫乱の素質ありすぎだよ、お前。超能力者の第一位が淫乱とか大変だよなぁ、学園都市もさ。
学園都市の学生が目指すものの頂点が発情期の犬みたいな奴だもん。
この事実が公になろうもんなら来年度から学園都市に入ってくる奴が減るの間違い無いぜ。
長期的に見れば学園都市を衰退させかねないぞ。その程度で世の中ってのは激変しちまうんだよなあ。
地位のある存在の影響ってのは計り知れないもんがある。
お前の開発者もこっち方面まで開発されてんの見たら驚愕すんじゃねーの?
いやむしろ、開発するまでもなくもとから完成してたのかもしれねえがな。
お前が淫乱に目覚めた記念にちゃんと処理しないで残しといてやったの感謝しろよ?
その、お も ら し シーツをさ」

一方「だァァまァれェェェェェェ!!」

首まで真っ赤にして一方通行は吼える。
あまりの羞恥に泣きそうな顔だ。

垣根「快感に狂っちまうお前も好きだぜ?
    次は俺の身体でよがらせてやる。楽しみに待ってな」

一方「っ! ふざけンな。あンなのもォ御免だ」

垣根「なんで?気持ちよかっただろ」

一方「思い出したくねェ。いい加減黙れよ……」

恥ずかしそうに垣根から目を逸らして一方通行は染みの上から逃れ、布団で隠す。

垣根「ま、早くシャワーでも浴びてその小便臭さ落とせ。なんなら洗ってやろうか」

一方「いらねェよ。反射の設定変えりゃこンなの一瞬で弾ける」

垣根「えー、マジかよ」

嗅いでみれば、確かに何の臭いもしない。
つまらん。

一方「嗅ぐンじゃねェこのド変態が!」

猛速で飛んでくる鉄拳を紙一重で垣根は躱す。
風圧で皮膚が裂ける程の能力で強化された殺人拳であった。

垣根「俺が常人なら今の一撃で死んでるぞ」

一方「俺みてェな化物に好き好んで近づいてきた挙句に強請をかけてくるよォなヤツが常人なわけがねェ」

垣根「愛は人を狂人に変えるのさ」

一方「ほざきやがれ」

垣根(もっと暴れると思ってたが意外と大人しい……)

既に40%くらい堕ちてる気がする。
エロの力はやはり偉大だった。

垣根(ここから俺への依存度を強めていくかね。そのためにはデートだ)



デート先はどこ?

1、繁華街
2、学舎の園
3、海

安価↓

1

(O゚・∀・)

把握


計画名ついててワロタ


いっつーさん可愛い

間違えて犯罪組織と戦いそうな展開にしてしまって書き直してたら遅くなったゾ☆
投下

垣根「デートならまあ無難に繁華街だ。

    繁華街の観覧車の頂上で世界一ロマンチックなチューでもすれば
    心も括約筋もチョロい一方通行なんてイチコロだな」

垣根「おい一方通行! デートするぞデート」

そう宣言しながら、垣根は一方通行がいるはずのベッドを見た。
だが。

垣根「いねえし。おい一方通行ァー!逃げたら犯すぞコラ」

全裸の一方通行が外に出るはずはない。
と、耳をすませば水を流す音がした。
それからすぐに、洗面所から一方通行が姿を現した。

一方「いちいち騒ぐンじゃねェ。歯ァ磨いてただけだっつの。
    視界内に親がいなきゃ泣く幼児並だな、オマエ」

垣根「はァ――ッ?歯ァ――ッ??
    チッ 俺が磨いてやろうと思ってたのに」

一方「迅速に動いた自分を褒めてやりてェ気分だ」

呆れた表情の一方通行は鏡の前で(全裸で)仁王立ちした垣根の正面のベッドに腰を下ろした。

一方「で、なンですかァ? デートって」

垣根「恋愛関係にある二人が共に仲睦まじく外出すること」

垣根「あれ?反対しねえの?」

一方「聞くだけ聞いてやンだよ。つゥか、嫌だって行っても強請るンだろ。

    どうせろくでもねェ事考えてンだろォな。
    女装させて学舎の園を練り歩いたり学園都市外に飛び出したりなァ……。死ねよ、変態」

垣根「ナニ妄想してんだお前。普通に繁華街巡り。俺がまともな服見繕ってやるよ」

一方「予想してたよりはまともで驚いたわ。だがなンだ、まともな服って」

垣根「お前の服のセンスは壊滅的だ。レベルで言うなら0……いやそれ未満の何かだ」

一方「あ? 本気で言ってンのか?哀れなセンスだな」

垣根「そのふざけた戯言を反射する」

一方「そのふざけた戯言を、―――アホくせェ。
    一つ言わせろ、オマエは全裸で繁華街に行く気か?」

この男はそのくらいやりかねない。

垣根「んなワケねえだろ。ま、お前に首輪つけて裸体で外を歩かせるってのも考えたが、警備員に捕まるしな。

    昨日話したろ?服はクリーニング業者に渡した。
    それを朝のうちに持ってくるように依頼してたからそろそろ来ると思うぜ」

一方「ちょっと待て。オマエ全裸で業者に応対する気かよ」

垣根「昨日はクリーニング業者の前でストリップしたが、今は反省してる。

    あのバイトの女の子すごい顔してたな。
    今日はバスローブ着て対応するさ」

一方「バスローブ……? そンなもンあったのかよ、この部屋に」

昨日の垣根の口ぶりで衣服の類は部屋のどこにもないのだと思っていた一方通行は顔を引きつらせる。

垣根「あったぞ。ベッドに隠してたけど」

わなわなと一方通行の体が震えだした。

その事実を知っていれば浴室を出てすぐにこの部屋を脱出できたというのに。

垣根「今更だな。バスローブで外に出るってのも普通じゃねえよ。
    お前もおもらしするほど気持ちいい思いできたんだし、結果的に出ていけなくてよかったじゃねえか」

一方「しつけェぞ!思い出させンなってンだろ」

垣根「ふとした拍子に思い出してムラムラして毎日毎晩アナニーしろ。むしろ手伝ってやる」

一方「いい加減にしろよ……」

白い肌を赤く染め、一方通行は顔を俯かせた。
このネタで三日は苛められそうだ。

ほくそ笑みながら垣根は一方通行に近づき、その赤らんだ頬に手を伸ばし、優しく撫でる。
一方通行がわずかにぴくりと身を震わせたのが伝わってきたが、一方通行は垣根の手を跳ね除けようとはしない。
垣根と目を合わせようとしない一方通行に垣根が顔を寄せた。

垣根「……キスしていい?」

一方「っ……」

もごもごと口を動かして一方通行は垣根を睨みつけるが、言葉がうまく出てこなかったのか反論の声はない。
つまりは肯定。
垣根はより笑みを深め、一方通行の唇に軽く触れるだけの口付けを落とし、
低い体温を感じてすぐに唇を離した。

垣根「全然抵抗しねえな。キスされるの好きか?」

一方「違ェ、これは……」

しどろもどろと柄にもなく狼狽する一方通行の姿は、垣根にとっては非常に愉快だった。
ならばもっと揺さぶってやろう。

垣根「なあ、もっとキスしていいか? 今度はもっと深く。
    けど、お前が嫌だってんならやめる。どうする?」

いたずらをする子供のような笑みを浮かべた垣根を一方通行が見つめる。
その赤い瞳は僅かに揺れていた。
嫌だと言ってやりたいという衝動と、もう片方の衝動に揺れるように。

そこに、呼び鈴が響いた。

垣根「あ、クリーニング屋来たっぽい」

未練もなく垣根は一方通行から身を離し、ベッドの中からバスローブを引きずり出して羽織った。

垣根が部屋の鍵を開けようとするのを見てふと我に返った一方通行はクリーニング屋に見つからないようにベッドに這い上がり、洗面所の壁で身を隠す。


青髪の少年「24時間営業でお馴染み、白洗屋ですぅ。ご依頼の商品お持ちしましたぁ。
        毎度ご利用ありがとうございます」

垣根「悪いな。こんな場所に運ばせちまってよ」

青髪「いやいや、滅相もない。ホンマ羨ましいわぁ。
    ボクもいつか彼女作ってこんなとこ泊まりたいですよ」

垣根「俺の場合は彼氏だけどな」

青髪「ファッ!?」

垣根「男同士ってのも悪くないぜ?」

青髪「おと、!?、」

垣根「唇も柔らかいし、中も熱くて、ずっとそこにいたくなる……」

青髪「な、中!?」

垣根「おっと、さっさと続きやんないとあいつが拗ねちまう。
    ……あ、それとも」

引きつった顔で唖然とする青髪と耳のピアスが特徴的な少年に垣根は身を寄せ、耳元で囁く。


「あんたも混ざる?」

 


青髪「え、えん、え、遠慮しますうううううううう!!!!」

縺れそうになる足を必死に動かして部屋から一目散に逃げ出す青紙の少年。
爽やかな微笑みでその様子を見届けてから垣根は部屋の扉を閉じて鍵を閉め、一方通行のもとへと戻る。

そして、垣根をものすごい顔で睨みつける一方通行がそこにいた。

一方「オマエさあ、マジでもう死ねよ。
    重ねて言う。死ね」

垣根「悪意のない軽やかなおふざけだっつの。さ、一方通行。早く着替えて繁華街行こうぜ」

一方通行「悪意しか感じねェよクソ色魔」

ぼやきを無視して垣根は自分の衣服を抜いた袋を一方通行に衣服を投げ渡す。
取り落とすことなくキャッチした一方通行は綺麗になった自身の衣服を取り出した。

衣服には一切の染みがなく、前日の事件など最初から無かったかのようだった。
ついで、一方通行は垣根の顔をちらりと見やる。
垣根は何事もなかったような表情で淡々と衣類に身を通していく。
モヤついたよく分からない感情が沸くのを覚え、一方通行は舌打ちをした。




 

―――


垣根「ほーら一方通行。ここが十五学区だぞー」

一方「言われンでも分かるわ。俺が何年この街に住んでると思ってやがる」

第十五学区。学園都市最大の繁華街を有し、流行の発信地である。
ナウなヤングが一日中遊び狂い、うっかり食費まで溶かしてしまうリスクの高い危険な土地でもある。
だが、腐る程金を持っている垣根や一方通行にとってはなんら恐ろしい場所でもない。
『表側』を見る分ならば。

垣根「友達のいない一方通行はこんなところ来たことねえだろ?」

一方「変態ヤリチン男狂いガチホモさンはさぞかし沢山のホモダチといらっしゃったのでしょォね」

垣根「そんなんじゃねーって言ってるだろ?俺はホモじゃねえ。元々女が好きだ。
    だが、お前の存在を知った時からお前以外が見えなくなっただけだ」

どこまでも澄み切った青空のもと、恥ずかしげもなくびぃえる宣言。
周囲を歩く人々は垣根と一方通行をチラチラと盗み見ていたが、垣根は全く意に介さず、一方通行は気付きもしない。

一方「オマエ以外見えない、ねェ。どうだかな」

垣根「もしかして妬いてんの?さっきの悪ふざけをまだ引きずってるとはな」

一方「自惚れるのも大概にしろよ。変態ヤリチン男狂いガチホモ」

垣根「変なあだ名で何度も呼ぶんじゃねえ。俺には垣根帝督って名前があんだよ」

かきねていとく。
いつまで経っても名乗らなかったために自分と同じく名前を捨てた人間なのかと思っていたが、信じられない程どうでもいいタイミングで名を明かしたことに一方通行は軽く驚愕した。

一方「垣根提督ねえ。
    ……ガチ根ゲイ督?」

垣根「おいコラ。次その呼び方したらぶっ潰……いや、白昼堂々往来でケツ掘ってやる」

一方「提督、ってすげェ名前だな。オマエの親、オマエが生まれた時期に艦隊こ○くしょんにでもハマってたのかァ?」

垣根「俺がいくつに見えてんだテメェ。つーか字が違う。督はその字で合ってるが「てい」はミカドって書くんだよ」

天子の位、皇居とその門、朝廷、天子の収める国を現す『帝』。
それに見張ること、取り締まることを意味する『督』。
なんと驕りきった名前だと一方通行は垣根の親のセンスを疑ったが、傲岸不遜を絵に書いたような垣根の姿を見るに、名は体を表すとはよく言ったものだとも思った。

垣根「腐りきった生魚以下のセンスしかねえ一方通行のためにまずはまともな服屋に行くか。
    そこらの安物ブティック漁っただけで遥かにまともになると思うがね」

一方「誰が腐りきった生魚以下のセンスだゲイ督」

他人に理解しがたいセンスを持つ一方通行だが、これでも矜持というものはある。
というか、自分ではセンスがあると思っている。
ファッションの玄人には『自分にしか着こなせない服を選べる素晴らしいセンス』と言う者もいる。
だが、素人にとってははっきり言って奇妙奇天烈なものでしかない。
そして世の中の人間の九割以上は素人だ。
一方通行が奇異の目で見られることは必然だった。

垣根「お前顔は悪くねえんだから、まともな服着ればかなり見栄え良くなると思うぜ。
    俺に任せとけ」

一方「シャツとセーター着る順番間違えるやつに任せられるか」

垣根「は?わざとだっつの。似合ってんだろ?」

一方「いかにもゲイファッションだな」

垣根「なんでもゲイゲイ言ってもアメリカ人みてえなビッグコックにはなれねえぞ。子供チンコが」

一方「俺だって血流量操作すりゃそれなりのサイズにできンだよクソが」

垣根「おーおーマジかよ。能力に頼ってようやく人並みになれるかね。
    もっとも、どんだけ立派なもんおっ勃てようが使う機会はやらねえけどな」

一方「オーケェ、いつか犯すわオマエ」

垣根「その場合お前の脱糞映像が世界に飛び立つけどな」

一方通行は口の端をひくつかせて押し黙る。
社会的な意味での一方通行の生殺与奪権は未だ垣根が握りしめていた。

垣根「ところでよ、腹減らねえ? よく考えると今日何も食ってなかったな」

一方「よく考えるまでもねェだろォが」

垣根「腹減ってたんなら早く言えよ。何が食いたい?
    フランクフルト?ホットドッグ?チョコバナナ?」

一方「なぜそのチョイスなのかはツっ込まねェぞ」

垣根「そりゃそうだろう。お前は突っ込まれる側だからな。
    お、あのカフェはどうだ?ホワイトウィンナーが格別に美味かったぜ」

一方「……」

 

垣根が一方通行を連れて入ったのは、少し高級なカフェであった。
通りには多くの学生が歩いているが、一般的な学生には敷居が高いために、店内にいるのは大人が大半であった。

垣根「ほら、早くメニュー見てなんでも好きなもん頼め。遠慮はいらねえぞ」

一方「ハナから遠慮する気はねェから安心しろ」

前日の最高級焼肉の代金―――に部屋の清掃代が入るのだが―――とホテルの宿泊代、床の穴の修理費用を垣根に全額支払わせたことに関して、一方通行は微塵も何も感じていないわけでもなかった。
しかし垣根の羽振りの良さを見るに、相当金を持っていることは明白であったため、気にすることはないと判断していた。

一通りメニューを見てからステーキ定食に決めた一方通行に垣根が呆れたような顔を向けた。

垣根「朝からそんなもん食うのか? 別にいいけどよ」

一方「いいってンならいちいち言うな」

へいへい、と肩をすくめる垣根の方も注文は決まっていたので、洒落たデザインの電子呼び鈴に指を伸ばす。
本物のベルさながらの子気味良い音がして、すぐに無表情な店員がオーダーを取りにやってきた。

店員「ご注文はいかがなさいますか?とミサ……ゲフンゲフン、は確認を取ります」

垣根「Aコースの朝食セット一つ。俺の分ね。この白いヤツには水を。いや、水もいいです」

一方「おい。ステーキセット一つ」

店員「かしこまりました。お飲み物はいかがなさいますか?」

垣根「エロい気分になる飲み物を」

店員「かしこまりました」

垣根「えっ」

一方「バ垣根は黙ってろ。コーヒー二つだ。どっちもホットでイイ」

店員「かしこまりました」

軽くお辞儀をして、無表情な店員は無表情なまま去っていった。

垣根(第三位に似てたな……つーか本人にしか見えねえ)

だが、ネームプレートにはAMAIと書かれていた。

垣根「可愛いけど変わった店員だったな」

一方「オマエが妙なこと言うからだろ」

垣根「そうかもな。でよ、ここの正面のデパートあんだろ?

    あのガラス窓ビッチリの円筒型のやつ。
    あそこ色んなモンあるから面白いぜ」

一方「へェ、そうかよ」


垣根「特に最上階の淫具売り場は凄かった。最近のダッチワイフはすげえと思ったわ。
    店員やってんだもん、ダッチワイフが」

一方「ダッチワイフっつかセクサロイドだろそれ。それ買って満足しろよ」

垣根「無理。あ、でもお前そっくりのセクサロイドならちょっと欲しいかも」

一方「それ作って消えろ変態」

垣根「……作る、ねえ」

破壊に特化した性質の一方通行と対をなす生産の力がある、とかつて評された事を垣根は思い出していた。

垣根は未元物質というその世に存在しない素粒子を生み出す、もしくは何処より引き出している。
存在しないはずの異物が存在するということは、それだけであらゆる物質に変化を起こす。
整然とした数式に本来は無かった数を入れれば数式が成り立たなくなるのと同じように、未元物質は既存の法則を歪める。

未元物質に触れた物質は本来とは異なった動きをし、特殊な性質を持つ。
その運動や変質を観測し、目的に見合った操作することで、この世のあらゆるものを意のままに操れると言って良い。
未元物質の運動の制御方法によっては大気中の素粒子をかき集めてその場で人間の細胞を構築することも不可能ではない。
厳密には本物の人間の細胞ではないが、限りなく本物に近い、人間のものを同じ働きをするものが作れるだろう。

ふと、垣根の脳裏に、科学者にして脳波調律のエキスパートである木原幻生の名が浮かんだ。
一方通行の開発をした木原数多を同じ姓を冠すその男は、複数の人間の脳波を調律し、同調させることで脳波のネットワークを創り、それぞれの脳を用いて代理演算をさせることで演算処理能力を向上させることに成功したのだという。
しかしこの手法は他人の脳波を強要する。ゆえに、脳へのダメージは決して少なくはない。
被験者が長く意識を保っていることができないことから、実用性の低い能力の強化方法だった。
かつて任務を受けて垣根が潰しに行った研究所の一つで盗み読んだ資料に、そうあった。

垣根(代理演算か……)

自分の脳を複製し、自分と同じ脳波を持たせて代理演算をさせることができれば、
一方通行の反射の突破も遥かに容易になるだろう。
脳波の調整が少しばかり面倒かもしれないが、これは学習装置を使うのが楽そうだ。
脳の複製には本来は時間がかかるだろうが、垣根自身が能力で作り出せるのであればここもクリアだ。

垣根(俺は無意識下のうちにも能力が暴発しないように眠っている時にさえ演算を行ってる。
    その程度の演算でも代理演算の指令を出すことが俺には可能だ)

つまり、代理演算脳を使えばアヘりながらさえ一方通行の反射を突破できるようになるわけである。

垣根(うん、いずれチンポで調教しようと思ってたわけだし、この手を使わずしてどうするって感じだな)

まずは、脳の複製のための知識を増やすのが最良の行動だろう。

一方「おい、何をニヤけてやがる」

垣根「べっつに。なあ、どこか行きたいところあるか?」

一方「ねェよ。強いて言うなら、オマエのいねェ場所か」

垣根「無理な注文だ。ま、せっかく正面にあるんだし、あのデパート行こうぜ。
    ごん太アナルバイブとか買ってやるよ」

一方「いらねェよ、バカが」

垣根「あんま太いもん突っ込んで括約筋切れたら洒落にならねえな。
    その場合は治してやるけどよ」

デートの後は脳の複製にかかるとしよう。
そう決心する垣根と、何も知りようもない一方通行のもとへ、再び先ほどの店員が現れた。
その両手に注文したメニューを抱えて。

店員「お待たせしました。朝食セットAとステーキ定食です」

垣根「早っ。どっちも俺ので」

一方「ステーキ定食はこっちだァ!」

店員「かしこまりました」

相変わらず無表情なままに、店員は淡々とメニューを置いていく。

店員「他にご注文ございましたらすぐにお呼びください」

垣根「あ、追加注文。こいつにエロい気分になる飲み物を」

一方「店員さン今のナシで。ていとくンよォ、オマエそろそろ首絞めていいか?」ギリギリ

垣根「一方通行やめてもう締まって……っ」グエー

静かにキレながら垣根の首を締め上げる一方通行を見て、店員は僅かに口を動かす。
一方通行、と。
悶絶しながらも、垣根はその様子に気付いていた。
店員の顔を見るに、単に学園都市第一位の能力者の名前だからというよりもっと深い何かの事情があるような―――垣根にはそう思えた。
色恋のようなものではない、もっと別の何かが。



――― 数分後、どこかの研究所にて。


手入れのされていない黒い髪の研究者は、自身の携帯が鳴っていることに気付く。
携帯を開き、画面を確認すると、00801という文字列が浮かんでいた。
それは、先ほど垣根と一方通行の会った学園都市の能力者序列第三位の少女とそっくりな顔をした店員を示すものだった。

『一方通行の姿を確認しました、とミサカは報告します』

「お前の仕事先でか?

『はい。茶髪の少年と一緒に』

「あの一方通行に友人がいるとは思えないが」

黒い髪の研究者は、一方通行の姿を思い返す。
一点の穢れも知らない美しい白と表すよりは、白濁に染まり切ったと表現したほうが的確な印象を持たせる少年。
その赤い瞳は周囲の全てに関心がないようでありながら、一度気分を害せば猛獣のようにギラついた獰猛なものに変貌する。
寄らば斬る、といった立ち振舞いのあの男に友人が出来るなどとは到底思えない。

『なかなか酷い言われようですね、一方通行も。ですが、茶髪の少年とは親しげな様子でした』

「本当か。それは不味い事態だな。計画に支障が出る」

一方通行が他人に対して愛着を持つようになれば、実験に参加することを渋る可能性は極めて高くなる。

『支障なら既に出ているではありませんか。
あなたがろくに考えずにミサカ達を生産したために関連機関はミサカ達の維持費捻出に手間取っている、
とミサカはミサカネットワークで知った事実を無能のドクター天井に突きつけます』

「だから、それでお前たちを絶対能力進化実験に使うことになったんだよ」

『実験が失敗すれば責任はあなたに押し付けられ、莫大な借金に追い立てられることになるでしょう。
とミサカは未来を予見し天井を憐れみます』

「既に呼び捨て!? だがいかにもありそうな事態だ……。
その茶髪の男は一体何という名前だ?」

『一方通行はバカキネ、テイトクンと呼んでいましたが』

「バカキネ=バカ+垣根、テイトクン=ていとく+君……だな。垣根テイトクか。
よくやった。引き続き労務に励め』

『お言葉ですが、なぜミサカはここで働かねばならないのでしょうか』

「お前たちの維持費の捻出で困ってると先ほど自分で言っただろう」

『だからといって、わざわざ表のバイトで稼ぐ必要があるのでしょうか。
ミサカ達の知識、演算スキルを用いれば行動心理学及び統計学の観点から対戦相手の心理を読み
カジノでボロ儲けすることも可能です、とミサカは自己の優秀性をアピールします』

「カジノか。だが、この街にそんなものはほとんど無いぞ。
そこにお前達が詰めかけたらどんな騒ぎになるか……。
いや、そんなものよりも株をやったほうがいいんじゃないか?」

『いえ、カジノに行かなくてはミサカの真価は発揮されません。
インターネットの画面からは見えない情報こそが』

「お前カジノ行きたいだけだろ。切るぞ」

『ちょ、待てよ!とミサカは―――』

黒髪の研究者、天井亜雄は通話を切り、嘆息する。
実験―――絶対能力進化実験は早くも破綻しかねない状況にあるらしい、と。


上層部がなんとしてでもと一方通行に参加させたがっている絶対能力進化実験の内容は、二万人のクローンをあらゆる状況で一方通行に殺害させるというものだ。
『表』で言うところの正常な価値観を持っていればまず参加しないだろうことは、実験を推進している天井にも理解できる。
幸運なことに、一方通行は『表』の感覚を程度はあれど完全に持っているとは言い難かった。

一方通行は正常な環境で育っていないし、他人とまともな関係を築いたこともない。
ゆえに世間一般的な道徳観が未熟であり、優秀な頭脳を持つにもかかわらず判断力が稚拙で周囲に流されやすい。
そのため、交渉人によって誘導された一方通行が実験に参加することは確実と見込まれていた。

だが状況は変わりつつある。
ごく普通の人間があの能力ばかりが肥大した子供に近づき、外界を学ばせようとしているのだ。
これは実験に関して悪影響を出すことはまず間違いない。

天井はもともと、レベル5のクローンを製造してレベル5を量産する計画を推進していた。
しかし計画は失敗に終わり、借金だけが残ったという状況にあった。
どうにもならなくなったところをクローン体を用いる絶対能力進化実験に拾われ、命拾いした身である。
なんとしてでも実験を失敗させるわけには行かない身だった。
なんとしてでも―――。

「そうだ、」

ふと天井の脳裏に浮かぶ。

初めて出来たであろう友人。
一方通行にとってそれはどれほどの価値のある存在か。
それがもし失われたとしたら一方通行はどうするだろうか。
自分の力をもってしても成し得ない事態に直面した人間は、
より力が欲しいと思うだろう。

「悪報だと思ったがこれは思わぬ朗報だったかもしれないな」

天井の顔に浮かぶのは歪な笑みだった。
天井は開きっぱなしだったパソコンを操作する。
キーボードを打つ指が描くのは悪意。
呼び寄せるのは絶望か。



~~~~~次回に続く!~~~~~

 


面白かったよ、一方さんかわいいな



>自分の力をもってしても成し得ない事態に直面した人間
現在進行形なんだよなぁ……


尻アスになっただと…
一方さんかわいい

垣根はホモ(確信)

学舎の園だと女装ルートだったのか、そっちも見たかったぜ

垣根と一方の女装…私、気になります!

期待

まだかなわくわく

ただいま
色々あって遅れました
投下

―――

垣根「ほら、これとか似合うんじゃねえの?」

一方「ケッ 趣味悪ィ」

垣根「デザイナーと俺に謝れコラ」

垣根と一方通行は円筒形のデパートの三階の一角にいた。
カジュアル系の衣服が並んでおり、そこそこの値が張るだけに品質は良い。
デザインに関しても、気取らないシンプルさの中にもどこか品を感じさせるものだった。

しかし、一方通行には無難すぎて個性のないつまらないものに見える。
学園都市で最高クラスに強固な自分だけの現実を誇るその片鱗はこんな場所にまで現れていた。
とはいえ、他の超能力者は一方通行程とがった服飾センスは持っていないのだが。

一方「オマエやっぱ駄目だわ。全然なってねェ。服ってのは心を映す鏡だ。
    それを無難なもンで纏めよォって時点でオマエは小物なンだよ」

垣根「うっわ、これはウザい。ウザすぎる。数年後黒歴史化するぜ、そのセリフ。

    当時のファッションと一緒に思い出してうわァァァ!!とか言いながら
    クッションに顔うずめて手足バタバタさせろ」

一方「黒歴史ってンならオマエのその意味不明な着こなしも確実にそうなるぜ。
    そンな格好で自信満々にファッションについて語り胸張って街を跋扈したの思い出して喚け」

垣根「しねえな。俺は後悔しねえ」

一方「俺はこの服装に美学を持ってる。だが、オマエにはそれがねェ。
    ただなんとなく格好良いとか勘違いして着てるだけだろォが。いずれ必ず後悔する

垣根「美学wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwまた黒歴史更新したぞお前」

一方「は、笑いたきゃ勝手にしろ。小物にゃ理解できねェ価値観だろうしな」

垣根「そこまでブレねえと逆に清々しい。これからも邁進していけ、ファッションモンスター」

一方「オマエに言われるまでもねェよ」

垣根「服飾センスのベクトル変換不能なイケイケオシャレータ、次どっか行きたいとこある?」

一方「家に帰りてェ」

垣根「本屋に行きたいって?エロ本でも買うの?」

一方「家に帰りたいって言ってンだけど」

垣根「本屋は八階だ。行くぞ」

一方「オマエが行きてェだけだろォが」

垣根「LO買ってやるから落ち着けよ」

一方「そンな趣味はねェ」

垣根「えっ」

一方「あァ!?」

 

 

垣根「えーと、これだっけ」

長身の垣根であればようやく届く程の高さにあった本を手に取り、パラパラとページをめくる。
垣根の手にあったのは『絶対に諦めない!生存戦略(著・木原病理)』という本だ。
学園都市においては要人は眼球や臓器が破壊された際のスペアを作っている場合が多い。
その本には臓器精法や臓器の保管法についてが異様に詳しく書かれていた。

垣根は本に書かれた情報一つ一つを脳に刻み込んでいく。
わずかな情報も逃さないように。

垣根「よし、覚えた。さすが木原病理先生の本は素晴らしい。まあ立ち読みで済ますけど。

    未元物質での細胞生成実験はどこでやるかなー。
    迂闊な場所でやるとバイオハザードが発生するかも……」

一方「おい、何言ってンだ?」

垣根「うお!? お前さっきまでBL本コーナー見てなかったか?」

一方「それはたまたま近くを歩いてただけだァ!」

垣根「あるある。俺も女性下着コーナー横で一時間くらい携帯いじってたら通報されたことあるし」

一方「なンでよりによってそこに一時間もいるンだよ」

垣根「で、何か欲しい本あったか?」

一方「ねェよ。あったら自分で買う」

垣根「LOは?」

一方「しつけェ!! いるなら自分で買うってンだろ!」

垣根「買うのが恥ずかしいんだろ?」

一方「不要だから買わねェンだよ、バカが」

垣根「そーいや、LOって今はAmazonで買えないんだっけ。

    店でエロ本買えないヤツにはたまんねーよな、そういうの。
    俺はエロ本買う時は必ず女の店員のレジに並んで表紙見せつけながら買うけどな」

一方「セクハラじゃねェか」

垣根「店員が可愛い時はなるだけえげつない表紙のヤツ買うことにしてる」

一方「下らねェ……死ぬ程下らねェ。童貞だろ、オマエ」

垣根「俺の技巧力体感してその感想が出てくるとは驚きだ」

一方「他のヤツのなンて知らねェから上手いかどォかなンざ分かるかよ」

垣根「そうか。じゃ、一生分からなくていいぜ」

一方「……、」

何か言いたげな顔をして一方通行は垣根を見つめる。

垣根「どうかしたのか?」

一方「なンでもねェ」

垣根「俺に見蕩れてた?」

一方「よくそこまで自惚れられるもンだ」

垣根「俺の顔カッコイーからな。お前もそう思うだろ。
    カッキーの顔カックィー。なんつって」

一方「……。
    今日はいい天気だなァ。寒気がするほどいい天気だ」

垣根「そうだな、こんなに天気がいいと青姦したくなる。屋上行こうか」

一方「残念だったな、このビルは屋上に上がれねェよォになってンだ」

垣根「関係者専用の出入り口はあるんだし関係ねえよ」

一方「オマエに常識の二文字はねェのか」

垣根「俺に常識は通用しねえって前も言っただろ」

一方「本当にその通りだな。それ、微塵も威張れることじゃねェって教えといてやるよ」

垣根「常識に囚われてちゃお前の体にも触れねえだろうが。
    そんなに青姦を回避してえならまた勝負でもするか?」

一方「……なンのだよ」

勝負、と聞いて一方通行は身を僅かに固くする。
前日の夜の『勝負』を思い出したのだ。
キスをされて勃起したら負け、という極めて馬鹿馬鹿しいが果てしなく恥ずかしい勝負の内容など一方通行は思い返したくもないのに勝手に脳が再生する。

垣根「何、昨日のこと思い出した?」

一方「ちっげェよ、クソ。黙れ変態。勝負ってどンなだよ。
    どォせまたろくでもねェ提案だろォがな」

垣根「爽やかな日曜日にあんまエロいこと考えんなよムッツリスケベ」

一方「あァ!?」

垣根「あっちにゲーセンあるだろ?
    あそこのクレーンの商品を時間内により多く落としたほうが勝ちってのでどうだ?」

一方「……は?」

思っていた以上に普通の提案だ。
余計に何かとんでもないことを企んでいる気がしてならない、と一方通行は垣根を睨む。

垣根「おい、何だよその目は。高校生らしい健全なデートには最適じゃねえか。
    何か不満か?」

一方「健全すぎて胡散臭ェ……」

もっとも、男同士でデートをする時点で健全とは程遠いのだが。

垣根「エロいことなんて家でも出来る。だがクレーンゲームはそうじゃねえ。
    折角のデートなんだからそれらしいことしようぜ」

訝しげな目をやめない一方通行に反して、垣根は無邪気に笑う。
実際、垣根の言葉に裏などない。
勝とうが負けようが、垣根としては問題ないことだったからだ。

―――

子供がなけなしの小遣いでプレイしても、まともに中の商品を掴むことすら出来ない超ゆるゆるアームのクレーンゲームは日本全国、どこにでもある。
学園都市第十五学区の某ビル、某ゲームセンターもまた、例に漏れずそのような姑息な調整を受けていた。
まともに商品が掴めないと客がキレるまではそんな状態で放置されているクレーン機には、その日その時、異常が起こっていた。

「三個一気取りだオラァ!! って、入口に詰まりやがった!!
オラ!落とせコラ!」

「ギャハハハハハハ!! 詰めが甘ェンだよ、三下が。
見やがれ、こっちはそっちの人形よりデケェのに一つも詰まっちゃいねェ」

「嘗めてんじゃねええええええ!! 楽勝なんだよ、そのくらい!
―――はい四つ一気に取った!」

「その程度で勝ち誇ってンじゃ所詮バ垣根くンだなァ、おい」

店員が半口を開けて見守る中、大騒ぎをしながらクレーンからの戦利品の山を築いていく二人の人物。
腕で持ちきれないから箱くれ、とほとんど恐喝するように大きなダンボールをいくつも奪い取っていった茶髪の少年垣根と白髪の少年一方通行がそれであった。

ろくに中のぬいぐるみなど掴めないはずのアームが二つどころか三つ、四つと絶妙な状態で連なり、引っかかった状態で一気に商品を掬い取っていくのは異様な光景だった。
見る間にクレーン内の商品は姿を消し、その代わりにダンボール箱の中の商品の山が大きくなっていく。

垣根と一方通行は、能力など一切使っていない。
しかし、持ち前の頭脳をフル活用して商品の形状、重量やアームの形状、動きの癖、ゆるみ方などの要素を即座に理解し、最も合理的な操作を行って店員が決して意図していなかった結果をたちまちに創りだす。

垣根の内にあった勝負などどうでもいいという意識はクレーンのボタンを押した瞬間に雲散霧消した。

開始から数分のうちに四台のクレーンが空になり、その頃には既にギャラリーが集まっていた。

店員A「どうします、大宮先輩」

店員B「どうするもこうするも……止めるしかないだろ」

このままでは店内の全クレーンを空にされかねない。
それは止めなくてはならない。

店員B「すみません、取りすぎです、お客さん。正直在庫あんまないんでもう……っ」

しがない高校生の大宮は「わースゲー!」等と騒ぐ見物人の間から二人の強敵(あるいは害獣)に声をかけた。
だが。

垣根「あー?お前何か聞こえたか?」

一方「聞こえねェな。なァンにも聞こえねェ」

完全に眼中にないと言わんばかりの態度である。
なんだか心が折れそうになる大宮。
そして更にギャラリーからのウゼーと言わんばかりの視線にダメージを受ける。
と、同時に二台のクレーンが更に空になったのを目にした。
これで計八台のクレーンが空になったことになる。

ワッ、と歓声が上がる。
大宮含む店員一同の表情は曇る。

神も仏もない。そんな意識に精神が蝕まれだした矢先、救いの天使が舞い降りる。


「ちょろっと。やりすぎじゃないの、アンタら」

代赭色の髪を肩に触れる程度に揃え、前髪を左分けにした、整った顔立ちの少女の凛とした声が響く。
その身を包むのは学園都市で五本の指に入る名門校、常盤台中学の制服だった。

ギャラリーの視線が集まってもなお、少女の顔つきは精悍なままだ。

無視しようと思ったが、一応顔は見ておこうと振り返った垣根は、あ、と小さく声を漏らす。

垣根「やっぱさっきの超電磁砲か。バイトお疲れ」

美琴「バイト? 何の事言ってんのよ」

超電磁砲、と聞いて先ほどとは違う意味でギャラリーはざわつきだす。

常盤台の超電磁砲―――御坂美琴。学園都市に君臨する七人の超能力者の序列三位にして最高の電撃使い。
学園都市の広告塔として有名な少女の存在は、その場の空気を変える。

美琴は山のような戦利品と、空になったクレーンゲームを眺めて一割の感心と九割の呆れの入り混じった顔をした。

美琴「うっわ、すご……。他のお客さんが取れる分くらい残しててもいいじゃない」

美琴に同調し、先程まで物珍しいものを見て楽しんでいた野次馬の中に、
確かに。確かにそうだ。という声が湧き始める。
人というのはなんて勝手なものだろう。

(なンか面倒なことになってきたな)

(超電磁砲意外とめんどい娘だな。絶対影で悪口言われてるわーコレは。可愛いけど)

(オマエが超電磁砲とか迂闊に言うからこォなった)

垣根と一方通行は顔を見合わせ、目だけで会話する。
そしてすぐに決断した。

((ズラかるぞ))

垣根は端正な顔に爽やかな微笑みを浮かべて言い放つ。

垣根「悪い悪い。ゲームの戦利品の数で競って敗者が勝者にケツ掘られるっていう

    一世一代の大勝負してたもんだから夢中になっちまった。
    愛しいこいつのケツを掘るために必死だったんだ。大目に見てくれよ、お嬢さん」

美琴「ファッ!?」

一方「ちょ」

女子校に通うお嬢様には相当に衝撃の強い言葉に狼狽する美琴。
ざわつく聴衆に目もくれず、間髪入れずに垣根はダンボールから適当なぬいぐるみを抜き出し、美琴に押し付ける。

垣根「これやるから許してくれ。ゲコ次郎ってキャラだっけ」

美琴「えっ、ありが……ってゲコ太よ、ゲコ太!」

垣根「ド根性ガエルな。把握した」

美琴「一文字も合ってないっ!?」

垣根「ほらセロリ来い。勝負に勝ったこの俺にカラダで奉仕しやがれ」

一方「あ? 何を勝手に勝利宣言してやがる。勝ったのは俺だ」

垣根「いや俺だ。チンポで勝ってるから」

一方「勝利条件と関係ねェ話引き合いに出す小物ぶりでオマエの負けだ」

垣根「だがチンポは大物―――いや、大業物だぜ。
    な、俺が勝ってるよな。ミコっちゃん」

美琴「~~~!! もうさっさとどっか行け!」

 


第三位に追い払われた第一位と第二位は人通りの少ない自販機コーナーに移動していた。

垣根「いや、まさか超電磁砲が来るとはな」

一方「……しかも一人で」

垣根「言ってやるな。バイト後の息抜きで来ただけだろ。
    常盤台の超能力者のお嬢様がバイトなんてする理由が分からないがな」

一方「さっきのカフェの店員、本当に第三位だったか?」

垣根「全く同じ顔にしか見えなかったが」

一方「身内か、熱心なファンが整形して同じ顔にしたかのどっちかかもしれねェぞ」

垣根「そんなファンちょっと、いやかなりキモいな」

あの感情の希薄そうなカフェ店員がそんなことをするとは思えない。
かと言って、第三位の身内ということもないだろう。
そんな存在がこの学園都市にいないことを垣根は知っていた。
他人の空似なのだろうか……。
一方通行への反応を併せて、なんとなく臭うものを感じる。
―――少し調べてみるべきなのかもしれない。

というのはさておいて、垣根は近くの自販機に手を伸ばす。

垣根「何か飲むか? 喉渇いただろ」

一方「Bossの無糖コーヒーアイス……は自分で買うからいい」

垣根「残念、もう押した。Bossのブラックって飲んではいけない飲みものって本でも飲んでもいいものとして扱われてたな」

一方「あの手の本の情報なンてアテになるのかよ。
    飲ンではいけない飲みものの情報を飲ンではいけないって本が出るかもな」

垣根「そして更に飲んではいけない飲みものの情報を飲んではいけないという本の情報を飲んではいけないという本が……」

一方「長ェよ。イタチごっこだな」

垣根に手渡されたコーヒーを受け取り、一方通行はベンチに座ってプルタブに指をかける。
プシュ、と子気味良い音と共に蓋は開いた。

垣根は一方通行に買い与えたものの横に並んでいた砂糖とミルクが大目に入ったコーヒーを買い、一方通行の隣に腰を下ろす。

一方「オマエ、ブラックも飲めねェのか?」

垣根「は? ちっげぇよ、多少甘い方が旨いだろ」

一方通行はカフェでの垣根の様子を思い返す。
かなりの量のミルクを入れられ、コーヒー牛乳のようになっていたコーヒーに、さらに三袋も砂糖を投入していた。

一方「いや、やっぱり飲めないンだろ。ガキだな」

垣根「飲めるし。飲めまくるし」

一方「なら、飲ンでみろ」

意地悪い笑みを浮かべて飲みかけのブラックコーヒーを突き出す一方通行を多少忌々しげに見て、垣根は缶を受け取った。
ちくしょう、と内心で呟いてから一気に飲む。
冷たい液体が舌や喉を伝い、苦味を残していく。

垣根「ほ、ほら見ろ、ちゃんと飲んだぞ」

一方「顔が引きつってるぞ。大丈夫かァ?」

垣根「引きつってねえし。あーマジブラック旨え。けどやっぱ砂糖とミルク入ってる方がいい」

一方通行にブラックコーヒーを返してから速やかに垣根は自分の持つ缶の蓋を開け、甘いコーヒーを口に入れる。
残った苦味を消すように。

一方「おこちゃまていとくンはブラックが飲めないっつゥ結論が出たな」

垣根「いや、飲んだから」

一方「アレは飲めると言っちゃならねェ」

勝ち誇った顔で旨そうにブラックコーヒーを飲む一方通行の味覚が垣根には理解できない。

垣根「……ブラック飲める奴が偉いのか?あぁ?
    この厨二が」

一方「ンな事一言も言ってねェ。被害モーソーやめて下さァい」

垣根「絶対甘いほうが旨い。俺のヤツ飲んでみろ、価値観が変わるから」

一方「いらねェよ。甘いコーヒーってのは豆の本来の味と香りを壊してるからコーヒーじゃねェってのが持論だ」

垣根「何が豆の味と香りだ。缶コーヒーなんて香料だらけだろうが」

一方「おー、頑張れ頑張れおこちゃま」

垣根「……」

完全に小馬鹿にした顔の一方通行に垣根は苛立ちを募らせる。
それを流す余裕など無いのが垣根帝督だ。

(仕返ししてやろ)

缶を傾け、一気に口内に甘いコーヒーを含み、一方通行の耳をひっぱってやる。
何をしやがる、と半口を開けて垣根に顔を向けた一方通行の唇に垣根の唇が押し当てられた。

一方「ン、―――!!」

甘い液体が口の中に無理やり流しこまれてくるのに、一方通行は目を見開く。
前からは垣根の顔に、後ろからは垣根の手に後頭部を強く押さえられて逃げられない。
息苦しさに耐えかねて液体を喉に落としてから、ようやく前後からの圧迫から解放された。

一方「ゲホッ、ゲホッ……」

苦しげに噎せ込む一方通行に満足気な目を向ける垣根。
呼吸が落ち着いてから一方通行は垣根を睨みつけた。

一方「……こンな場所でふざけやがって」

垣根「ちょうど人通りが無かったんだし、いいだろ?」

一方「よかねェよ、ボケ」

垣根「で、どうだ? 甘いコーヒーの方が旨かっただろ」

一方「旨くねェ。甘すぎだ」

垣根「んだとコラ」

味の好みは合致しそうにないらしい。
苦党と甘党。
破壊と創造を司る学園都市の頂点の双璧はそんなところまで対になっていた。

垣根「おかしいな、BLじゃ掘られる方は甘党が主流だって聞いたのに」

一方「ならオマエが受けなンじゃねェ?」

垣根「味覚でそんなんが決まるかボケ」

人、これをダブスタと呼ぶ。

呆れながら一方通行は窓の外を見やる。
既にわずかに日が傾いていた。
いつの間にそれほど時間が経ったのだろう。

垣根「ん、外に出たいのか?」

一方「別に」

垣根「屋上で青姦しようか」

一方「もォいいわ、その話は」

大体の店は回った。そろそろ別の場所に行くか。と思ったあたりで垣根は気付く。
重要な場所にまだ行っていない。

垣根「淫具コーナーに行ってねえじゃねえか!」

一方「外に出よォ、な?」

即座に声を上げる一方通行であった。


デパートの外に出た後の行き先など決めてはいない。
午前中よりも人通りの増えた歩道を二人で並んで歩くうちに、あるものが視界に入った。

先ほどよりも遥かに大きなビルの上に建つ大きな観覧車。

垣根「あ、そーだった。観覧車の頂上で世界一ロマンチックなキスして一方通行を恋に落とす計画だったわ」

一方「……なぜ口に出した」

垣根は携帯で時刻を確認する。
三時半だった。
ロマンチックなキスといえば、夜景をバックにするのが主流だ。
だが、この街は学生が八割を占めている。
完全下校時刻というものが定められていて、午後六時にはバスが止まり店が閉まる。
市街地の観覧車もまたその時刻には止まってしまうのだ。

垣根「ちょっと早いけど、観覧車乗ろうぜ。そして頂上でセックスしよう」

一方「おい何か計画が変わってンぞ」

垣根「キスならいいのか?」

一方「嫌だって言ったらやめるのか?」

垣根「いや、犯す」

一方「おい」

観覧車のあるビルとは離れてはいない。
徒歩で進んでも時間はかからない距離だ。

垣根「結局さっきのビルじゃ飲み物くらいしか買ってねーな。
    お前が妙な拘り方すっから服も買えねえ。つーか、どこでそんな服買うんだよ」

一方「適当に入った店でイイと思ったら買ってる時もありゃ通販使う時もある」

垣根「通販なんか使うのかよ。意外だ。あれ? そういや……」

思い返してみれば木原数多も一方通行と同系統の中着が見えていた。
湾曲した縞模様の変なシャツ。

一方「なンだよ」

垣根「いや……センスって育つ環境で決まるんだろうな、とちょっと思っただけ」

一方「オマエも妙な環境で育ったンだろォな」

垣根「環境は悪かったが俺のセンスに狂いはねえ」

一方「いや、ある。着る順番がおかしい。
    地肌にセーターって気持ち悪くねェのかよ」

垣根「そんなチープなものとは質が違うんでね。
    お前にも一着やろうか……と思ったけどチビガリモヤシのお前にはサイズオーバーだな」

一方「うるせェな。他人の身体バカにすンなって教わらなかったのか?」

垣根「教わってねえな。俺、お前のそのモヤシっぷり好きだぜ。
    肉がなさすぎて抱き心地がいいわけでもねえがなんつーか、小さくて可愛い」

一方「……ガキにでも手ェだして捕まれロリコン」

垣根「何だろう、お前にロリコン呼ばわりされたら俺の自分だけの現実壊れそう」

一方「そりゃめでてェ。ホモの上にロリコン変態ペド野郎とか終わりすぎてンぞ、マジで。
    社会に解き放っちゃならねェな」

垣根「やっべ、本気でムカついてきた」

一方「ほらロリコン。あっちでガキが泣いてンぞ。点数稼いでみろよ、ペド」

垣根「グーで殴るぞテメェ」

実際のところ、垣根は子供などに興味はない。
必要とあらば情け容赦なく殺戮できるし、泣く子供など視界にも入れない。
だが、現在は少々事情が違う。

垣根(ここでガキに優しい人間を演出した方が好感度上がるかもな)

そんなわけで内心メンドクセーなと思いながら幼女に接近する。

垣根「おい、ガ……お嬢さん、どうかしたのかな?」

幼女「お、おにいちゃん誰……?」

垣根「通りすがりのジョニィ・ジョースターって言うんだよ。この白いのはセロリと言う。どうして泣いてたの?」

一方「(通りすがりのジョジョ……)バ垣根ていとくンってンだよ、そいつは」

幼女「ていとくんとセロリさん? あのね、男の子にけろっぴのマスコットが取られたの。
    その子、いつも私だけに意地悪するの……」

垣根「それはその男の子との間にフラグが立ってるってことだよ」

一方「妙なこと言うンじゃねェ。けろっぴってなンだよ」

垣根「けろっぴwwwwwwwwセロリがけろっぴって言ったwwwwwwwwwww」

一方「……」

垣根「痛ってぇ!抓るなっつの!」

幼女「け、喧嘩しないで……。けろっぴはカエルのキャラで、頭の上に目玉が飛び出してるの」

一方「!?」

垣根「(間違っちゃいねえけどよ……)
    そいや、一方……セロリのズボンからはみ出てる緑のやつ、それけろっぴじゃないか?」

一方「あァ……?」

先ほどのゲームセンターで取った景品は、小さめのものは最初はポケットなどにねじ込んでいた。
垣根はダンボールにすぐに詰め替えていたが、一方通行はどうやら忘れていたらしく、わずかに緑の物体がズボンのポケットからはみ出ている。
今の今まで忘れていた、というような顔をする一方通行は、ポケットからその緑の物体を引きずり出す。
それは確かにカエルの人形だった。が。

垣根「あー。これさっき超電磁砲に渡したヤツと同じのだわ。ニョロトノだっけ?」

幼女「ゲコ太!」

ゲコ太のマスコットを見た幼女は先程まで泣いていたというのに目を輝かせている。

一方「……好きなのか?」

幼女「うん!けろっぴも好きだけどゲコ太も好き!」

一方通行が無表情のままゲコ太のマスコットを突き出すと、幼女は目をぱちくりとさせた。

一方「……やる」

幼女「いいの? だって、」

一方「俺が持ってても始末に困るだけだ」

幼女「ありがとう! 大事にするね!」

無愛想なままの一方通行に対し無邪気な満面の笑みを向ける幼女に、一方通行が僅かに目を細めたのに垣根は気付く。
その目は眩しいものを見るようにも、慈悲の感情にも見えた。おそらく両方だろう。

幼女「もう行かなきゃ。ありがとう、セロリさんとていとくん」

幼女はマスコットを大切そうに胸に抱える。
誰にも奪わせないというように。

垣根「こんな街中に一人じゃ危ないよ。どこかで友達と待ち合わせてるの?」

幼女「ううん、でも大丈夫。13学区までのバスに乗ればすぐだから」

垣根「そっか。気をつけてね」

幼女「うん。ありがとう。あ、そうだ。気をつけるって言えば、あの、
    ……セロリさんの首の赤いのって大丈夫? 何かの虫に刺されたの?」

一方「……!?」

幼女の言葉にギョッとした一方通行はショーウィンドウに映る自分の姿を見て愕然とした。
正面からは分かりにくいが、横から後ろにかけて、首に点々と赤い斑が浮かんでいた。
恐らく、確認できないだけで後ろにも同様のものがあるのだろう。
真っ白な一方通行の肌の中ではやたらと目立っている。なぜ今まで気付かなかったのか。
赤い班がなんなのかは考えるまでもなく分かっていた。昨夜垣根が付けたキスマークだ。

幼女「ど、どうしたのセロリさん。急に青くなって……」

一方「どうもしねェよ……。ただ、ちっとばっか悪質な虫に刺されただけだ」

垣根「へぇ、大変だな、セロリ」

無言で垣根の足を踏みつける一方通行を見て、幼女は『この世には触れてはならないものがある』と言外に悟るのだった


幼女がバス乗り場へと去った後に一方通行がタコ殴りにしようと垣根を追いかけ、垣根がそれから逃げるという愉快な鬼ごっこがあったのはこの際省略する。



 

―――

垣根と一方通行が走りまわるうちにたどり着いたデパートの屋上の観覧車の前にはさほど多くの客は待っていなかった。
そのため、すぐに乗り込むことができた。

客の大半は男女のカップルか女友達同士、幼い兄弟姉妹を連れた者だ。
同年代の男二人で乗り込む客は垣根と一方通行以外にはいなかったのだが、一方通行が中性的な風貌だったのが幸をなし、さほどおかしな目で見られることはなかった。
白髪赤目の時点で目を引く風貌なのはさておいて。

観覧車というのは、一周回るその間、誰にも邪魔されない密室となる。
一度入ったが最後、地上へ戻るまでは逃亡不能の完全な密室だ。
とはいえ、垣根と一方通行の両者とも逃げ出したくなったらどんなに高い位置にいたとしても緊急脱出出来る能力があるのだが。

ラブホテルで一晩過ごし、様々な不貞を働かれているにしても、一方通行は少しばかり居心地が悪そうな顔をしている。
真正面から垣根が凝視しているのが原因だった。

一方「なンでずっと俺を見てるンですかねェ……」

垣根「他に何を見ろと?」

一方「風景でも見てろや」

垣根「もう見飽きてんだよ、この街なんてさ。マジで観覧車って中で何すればいいんだ?」

一方「オマエが連れてきたンだろォが」

垣根「イチャイチャするために来たわけだが、地上に近いところじゃ常識的に考えてイチャイチャ出来ねえじゃん」

一方「常識は通用しねえって言ってたのは誰だっけか。
    茶髪で学生服っぽい格好の奴だったが」

垣根「超電磁砲ってそういうこと言うんだ」ワァー

一方「オマエの事だ」

垣根「つまりお前は俺とイチャイチャしたいって誘ってるんだな」

一方「断じて違ェ」

垣根「だがそれは駄目だ。イチャるのは頂上でって決めてる。
    覚悟してろ」

一方「この観覧車の回転速度上げてやろうか。瞬く間に地上に戻れるように」

垣根「お前クラスに友達一人もいないだろ。はっきりわかんだね」

一方「俺は元々一人学級だ」

垣根「……そういや、そうだったな」

一方通行は長点上機学園に在籍しているのだが、学園都市第一位という特別な地位にあるため、他の学生と隔離されたたった一人きりのクラスに在籍している。

垣根「酷なことをするな、ナガテンは……。
    ただでさえコミュ力皆無の人格破綻者の代名詞一方通行をこれ以上社会から隔絶させてどうしようってんだ」

一方「そォいうオマエはどォなンだよ人格破綻者」

垣根「リア充の権化だよ。学校中の女にチンポ狙われまくりだ。
    毎日違う女とセックスしまくり」

一方「で、本当は?」

垣根「男子校で枯れた青春送ってる」

一方「男子校? どこに在籍してンだよ」

垣根「叡智高校」

一方「なるほどな、そこでホモに目覚めたのか」

垣根「男子校=ホモの巣窟みたいな風潮はいけないと思います。99割はノンケだからマジで。

    そして俺はホモじゃねえ。俺が好きなのはお前だけだ。お前以外どうでもいい。
    特に共学に通ってる男は全員死ねばいいと思ってる」

一方「……解せねェな」

垣根「共学の男に死んでほしい理由か。そりゃもちろん男子校の学生の嫉妬だ。
    テニス部の練習風景でスコートからのパンチラも見れない程のクソ環境だぜ、男子校ってのは」

一方「そっちじゃねェよドエロ。俺なンかに執着する理由だ。

    心底から理解できねェ。女好きのくせに。
    やっぱり能力か? 第一位とか言われてるが、こンな力何の役にも立ちゃしねェ。
    何も生産性のない下らない力だ。使えるとすりゃ……人殺しくらいだな」

垣根「生産性ね。そんなんあっても大差無いっつの。って、能力に惚れたんじゃねえよ。
    しかしまあ態度は悪いし口も悪いしすぐ能力使うし、実際ろくでもねえ奴だなテメェは」

一方「それ丸々全部オマエ自身に降りかかってくる自覚はあるか?」

垣根「無いな。これからも自覚しないし省みる気もねえ。
    で、お前を好きになった理由、なぁ……」

垣根「まあアレだな。一目惚れ。お前見てるとムラムラする」

一方「は?」

垣根「髪も肌も綺麗で顔立ちもいいし。あとは目つきさえ悪くなきゃもっといいんだが。
    寝顔はマジでやばいな。寝てるお前の顔にチンポ擦り付けようかと本気で思ったくらいだ」

一方「ああ、そォ……見た目ねェ」

垣根「不満か?」

一方「あ? なンで不満を覚えなきゃならねェ」

垣根「全部が好き、とでも言って欲しかったのか?
    俺なら『全部好きっ』とか言われたら俺の全てを知ったつもりか。神様気取りかコラ。とか言いたくなるね」

一方「捻くれすぎだろ」

一方通行はそっぽを向いたままボヤく横顔は不貞腐れたような表情だ。
それを見るうちに、垣根はなんだか無性に笑いたくなってきた。というか笑った。

垣根「おいコラこっち向け、……おこちゃま」

一方「あァ!?」

垣根「お前って想像以上に愛されたがりの寂しがり屋さんだったんだな」

一方「どォいう意味だ」

垣根「あ、やべえ。頂上つくわ。キスしようぜ」

一方「やめろ。触ンな」

元の席を離れてどかりと横に座り、身を寄せてくる垣根から逃れるように一方通行は座席の端に動くが、それでは余計に逃げ場を無くすだけだ。
白い頬を包むように垣根が優しく触れてやると、一方通行は身を小さく捩る。

一方「おい、触るなって……」

垣根の体を押しのけようとする割には、一方通行の手にはあまり力がこもっていない。
強引に侵攻されるのを暗に望んでいるとしか思えなかった。

それなら望み通りに動いてやろうじゃないか。

垣根は一方通行の腰に腕を回し、弱い抵抗の手ごと力づくで抱き寄せる。
そして、観覧車のゴンドラが頂上へ到達したと同時に垣根の唇が一方通行の唇と重なり合った。

一方「ン、……」

最初のうちはキスをされる間は拙い呼吸しか出来ていなかった一方通行も、回数を重ねるうちにコツを掴んだのか苦しげではない。

――― 一方通行にそんな変化を与えたのが自分だと思えば悪い気はしない。
垣根が笑っていたのに気付いた一方通行は悔しげな顔で唇を離す。

一方「何を笑ってやがる」

垣根「別に? お前が可愛いと思っただけ」

一方「カワイイ、って言われても微塵も嬉しくねェっつゥか馬鹿にしてるとしか思えねェンだがな」

赤らんだ顔でむすくれた表情を浮かべる一方通行はどこにでもいるただの少年にしか見えない。
それどころか実年齢以上に幼く見える。

垣根「やっぱ可愛いよ、お前。ガキっぽくて」

一方「コーヒーもブラックで飲めないオマエに言われたかねェよ」

……その反論自体が子供じみてるという自覚はないらしい。

「じゃ、アダルトな一方センセ。俺に大人の階段登らせろよ」

一方「何を、」

垣根は一方通行のシャツの裾をまくり上げる。
途端、陽の光を知らない真っ白な肌が露わになった。

一方「こンな場所で何考えてやがる!?」

垣根「や、観覧車ってそういう場所じゃん。幸せなキスをして終了と思ってたのか?」

そう言いながら、さらけ出された腹部から胸までを眺める。
今朝までは一方通行の裸体などいくらでも見れたが、こうしてまじまじと胴体を眺めたのは初めてだった。
細身でありながらもそれなりに筋肉はある垣根とは異なり、一方通行の体には全くといって言いほど筋肉がついていない。
貧弱な子供がそのまま成長したようなもので、本当に男なのか女なのかが判別できない。
何の起伏もない平坦な身体は色素が欠乏しているだけに真っ白い雪原のようだ。
しかし、その中で胸の頂だけが桜の花弁のように色付いている。
垣根はほとんど反射的にその桃色の部位に触れた。

一方「っ……!」

垣根「お前の乳首マジ綺麗。アルビノってすげえな」

感心したままの顔で、垣根は小さな突起を指の腹で軽く押さえて輪を描くように小さく回した。

一方「……ッ、やめろ……」

垣根「やっぱ気持ちいいんだ」

嫌がりながらも快感に身を震わせている一方通行の姿はひどく嗜虐心を煽る。
垣根は口角を吊り上げ、一方通行の乳首を摘み、ぐりぐりと押しつぶしてやった。

一方「ふ、……! 嫌だ、って、」

垣根「乳首弄られて女みたいにヨガって恥ずかしくねえの?」

意地悪い笑みを浮かべて乳首を責めたてる垣根を恨めしげに睨む一方通行だが、その目は快楽の色が浮かんでいる。
指先で嬲るうちに、桜色の突起は赤みを強めていく。小さく鎮座していた乳頭は既に隆起していた。

垣根「ほら見ろ一方通行。お前の乳首、なんかエロくなってきたぜ」

一方「うるせェ、黙れ……っ」

そんなものは見たくもないと言わんばかりに頭を振る一方通行。
いかに中性的な体つきとはいえ、一方通行は男だ。
乳頭で感じるのは恥と思う程度には男としての意識があった。
それが分かるからこそ、その矜持を折ってやりたくなるのが垣根という男である。

あくせらの衣服の裾を首元に引っ掛けて丸めて状態を固定させると、垣根は姿勢を変えて一方通行の胸の前に顔をやる。
上目遣いに一方通行の表情を確認してみれば、息を詰めて見下ろす一方通行の目と視線がかち合う。
一方通行がやめろ、というように唇を動かそうとしたのと同時に、一方通行の胸に赤い舌が這わされた。

一方「っく―――、や、……ァ」

垣根が唇で乳頭を挟み舌先で先端を舐めると、ひくひくと体を震わせて一方通行は小さく喘ぎ声を漏らす。
狭い空間に響く上ずった声が嫌で口を手で抑えて耐えようとする一方通行だが、そうすれば荒くなった息を余計に意識してしまう。

舌で右の乳首を転がしながらも、垣根は片手で一方通行の左胸を愛撫する。
膨らみの無い、ごく薄い肉しかないが、スベスベとした肌の手触りと荒くなった鼓動を感じられるのは心地良い。
それから、空いた方の手で一方通行の下腹部を撫で、ズボンの掛ボタンを外し、チャックをそっと下ろした。
下着越しに触れた未成熟な性器は勃起している。
胸への愛撫をやめないままに性器にも刺激を与えようと下着の前立てに手を差し込むと、嫌がって一方通行が垣根の手を振り払おうとしてきた。

垣根「今更ちんこ触るなってのか?」

一方「あ、当たり前だろォが……! こンな場所で出しちまったら、」

臭いが残る、と言いたいのだろう。
だったら我慢しろ、と言いたいところだが。

垣根「お前早漏だもんな」

一方「黙れ、クソ」

舌打ちしながらも早漏は否定しないところが微妙に素直である。
そしてまた拗ねたような顔をしているのに、垣根は笑う。

一方「いちいち笑うンじゃねェ」

一方通行が気恥かしさを誤魔化すように睨みつけたのがなんだかいじらしい。
つい垣根は手を伸ばし、華奢な背に腕を回して抱きしめる。

一方「……離れろよ」

垣根「んー、なんとなく嫌だ」

なんとなくかよ、と呆れたように呟く一方通行を見つめて、垣根は言う。

垣根「俺さ、お前に顔と体が好きだって言ったが、それだけじゃないぜ」

一方「……」

垣根「思ったより普通の反応するとか、クソ塗れの映像バラまくって言っただけでビビって従う小心ぶりとか意外と素直な事とか」

一方「オイ」

垣根「気持ちいいことに弱いとか、案外話好きで本当に簡単に人にほだされる程チョロい事とか、幼女に弱いところとかも好きだ」

一方「バカにしてるのかオイ」

口の端をヒクつかせる一方通行の頭を撫でて、垣根は甘い声で続ける。ホストのように。

垣根「直接会って触れなきゃ分からなかった。お前を知るほどお前を好きになる。
    俺は、お前をもっと好きになりたい。……これからも一緒にいていいか?」

一方通行は垣根の真剣な眼差しを一度じっと見つめ返して、すぐに目を逸らす。
そして、消え入りそうな小さな声で呟いた。
「勝手にしろ」、と。

一方「どうせ、これからもずっと脅しに来ンだろ。だったら最初から諦めたほォがマシって意味だ。
    分かってンだろォな?」

 
垣根「えっ何?俺とセックスしたいって?」

一方「言ってねェ!」

垣根「勝手にしろって言ったじゃねえか。それもう『ていとくのおちンぽあくせられーたのけつおまンこにつっこンで!』って言ってるも同然だろ」

一方「違う違う違う違ェェェェェェ!!」

垣根「!?」

一方「びっくりした顔してンじゃねェ!」

垣根「何だ……違うのか」

信じられない程わざとらしい悲壮な表情を浮かべ、がっくりと頭を垂れる垣根。
―――を見て、一方通行はなんとなく、満身の力を込めてチョップをかましておいた。

そうこうするうちに観覧車は一周を終え、垣根と一方通行は地上へと戻るのだった。

 

垣根「あーあ、セックスしそこねたな。まあこの程度の観覧車じゃ俺がイく前に地上に到達しちまうか」

一方「早漏臭ハンパねェオマエなら余裕じゃねェの」

垣根「ガチ早漏のテメェに言われたくねえ。でよ、どうだった? 観覧車。
    お前初めて乗っただろ」

一方「……初めてじゃねェ」

垣根「マジかよ。意外」

遠い昔に、顔も思い出せない『誰か』と乗った気がする。
学園都市に来る前の、本当に幼い頃の朧げな記憶の中に沈んだ思い出だ。
『誰か』について思い出したいとは露程も考えない一方通行にとってはそんな思い出などどうでもいいのだが。

一方「つーか、観覧車に乗った意味あったのか?」

垣根「……無いな」

その気になれば垣根は観覧車よりも遥かに高い場所へ単身で飛翔することができるし、観覧車程度の密室とは段違いの隔絶された空間に行くことも作ることも可能だ。
はっきり言って、観覧車に乗る必要は全くなかった。
だが。

垣根「観覧車の頂上でキスできたし万事良し」

一方「そォかよ……」

さて、まだ時刻は四時を回った程度だ。
もっと色々なものを見て回りたい―――。垣根がそう思った矢先だった。

無機質な電子音が響く。

垣根「……俺の携帯だ。ちょっと待っててくれ。逃げたら許さねえ」

面倒臭そうに頷いた一方通行をその場に待たせ、垣根はトイレの裏へと回る。
それから通話ボタンを押した。

垣根「何の用件だ」

飾り気のない電子音が示すのは暗部からの伝令と決まっていた。

『第十学区の研究施設で実験動物が逃亡した。すぐに向かえ』

垣根「おい、何で俺にそんな依頼が来るんだよ。動物園にでも連絡しとけ」

『少々厄介な存在であり特殊な能力があるんだ。下手な人員を裂くにも難があってね。
どこまで生体の形状を変えても人の脳は機能を保てるかの実験に使われていたもので、』

垣根「大体分かった。クソだな」

『今更だ。それで、行き先は第十学区の―――』

電話の男の告げる座標を覚え、垣根はすぐに通話を切った。
任務遂行自体にはさほど時間がかからないようにも思えたが、断定はできない。
一方通行とはここで別れたほうがいいだろう。

邪魔しやがって、と垣根は舌を打つ。
それが計画の一次中断だけが理由だったのかは誰にもわからない。

 

垣根「どる~ん、待ったぁ~? ……なんつって」

一方「……何言ってンだコイツ」

垣根「悪い、一方通行。バイト先から緊急の連絡が入っちまった」

一方「バイト? へェ……」

垣根「何だよ、その『コイツにもそんなもん務まるのか』みてえな目は」

一方「ご苦労なこって。早く行けよ。時間ねェンだろ」

垣根「もうちょっと寂しがれよ」

一方「強請かけてくるヤツから解放されてスッキリ爽快だ。じゃァな」

はよ行け。とも言い出しそうな口調と顔つきである。

垣根「可愛くねえ奴。まあ、可愛いけど。じゃ、またな」

軽く一方通行の頭を撫で、垣根は去っていった。
子供扱いしやがって。
と垣根を睨みつけたあとで、荒れ果てた部屋に一人で戻ることを思い返し、一方通行は小さくため息をついた。

投下終わり☆彡

あと垣根の叡智高校所属はこのSSのオリジナル設定です。
超電磁砲OVAによると長点にはレベル5が2人以上いないっぽかったんで
多分垣根は別の学校所属とみなしたものの他にどんな学校があるか謎。
一方通行の放り込まれた研究所に霧ケ丘付属だの叡智研だのがあり
霧ケ丘が女子校なら叡智は男子校として存在してんねんやろと勝手に決めつけ
垣根はそこの所属ってことにしときました。
今後も何か都合の悪いことがあったらオリジナル設定でゴリ押すことにします。

そんなわけで次回に続く。


相変わらずエロいな
ちなみに今日10月9日は暗部抗争、つまり垣一の日らしいぞ

乙!
やっぱが垣一はいいなー


素晴らしすぎ
1が一回で沢山投下してくれるから嬉しい

乙、もし他にもss書いてたらスレタイ教えて欲しい

光あれば影あり、サドにマゾが寄り添うのと同様、
破壊と生産が合体するのは自然の摂理なのです
垣根と一方通行の以心伝心ぶり見るに明らかにホモの赤い糸で繋がってる

>>184
これが初めてのSSでかつ他に何も書いてません
書き方が分からないゆえに常に暗中模索で明日も見えない


とりあえず投下

群青の絵の具が溶かされたような空気が外を覆う時間帯。
灯一つない真っ暗な部屋のソファーで白い少年が身をもたげた。
少年は液晶にヒビが入った時計を床から拾って時間を確認する。

「チッ……四時か」

妙な時間に起きてしまったものだ、と一方通行は舌打ちをする。
疲れていたためか、寝るのが早すぎたのが原因だった。

一方通行は、普段は音ごと反射して眠っているために、誰かが入ってきたとしても気付かない。
しかし、コンビニで適当に買った弁当とコーヒーの空き缶は自分が飲み食いした時と状態が何ら変わっていないので、襲撃があったようには思えなかった。
変形した鉄の扉を無理やり出入り口に嵌めておいたのだから、無理に侵入するにもそう簡単には行かないのだが。

少しばかり喉が渇いているのを感じ、一方通行は水道に向かい、蛇口の栓を捻った。
スキルアウトの攻撃により曲がった蛇口は見当違いな場所からも噴水のように水を散らしていたが、構わずに蛇口から直接水を飲んだ。
水を止めて一息つき、前日は忙しかったものだと思い返す。
研究所に監禁されたような状態から脱却した後も、あらゆる場所から能力や肉体を調べ上げられ、さもなければ目的もなく街をうろついては不良に絡まれるという生活をしていた退屈な日々とは全く違う時間だった。
何の感慨もなく過ぎた日々よりも遥かに濃い時間だったにもかかわらず、いつもよりも時間が経つのが早く思えたのはなぜだろうか。

「……」

恐らく、楽しいと思っていたのだろう。
誰かとあれほど話をしたことも無かった。
垣根は『案外話好き』と一方通行を評していたが、本当にそうなのかもしれない。

そうだ、―――垣根。

あの男は自分の何にあれほど惚れ込んだのだろうか。
姑息な手を使ってまで自分に接触するほどに。

垣根が最初に惚れたと言う、自分の顔や体つきに魅力があるとは一方通行には到底思えなかった。
ただでさえ異常に白い肌は血色が悪い。
死人のような顔色で、赤い瞳は獣を思わせる風貌が本当に怪物のようだ、と研究員に不気味がられていた。
その上、肉付きの悪い棒のような体だ。付け加えれば姿勢も悪い。
一目惚れされるような風貌ではないだろう。

やはり、何か裏があるとしか思えない。

そう考えるとなぜだかどこかがじくりと痛む気がした。

「……どォでもいいじゃねェか」

それが普通だ。
なんの裏もなく自分に近づく人間などいるはずがない。
あんな笑顔を向ける人間などいるわけがない。

能力を使って無理やり反射を破り、肌に触れてきたのは何が狙いだろうか。
そうすることで自分が快感を得られるわけでもないというのに、快感を与えようとする理由は。
何度も唇を重ねてくる意味は。

「……、クソ」

垣根に与えられた快感の記憶が克明に脳裏に浮かび上がってきてしまった。
こんなことを考えるつもりなどなかったのに。

体の芯に血が集まってくる感覚にぞくりと震えた一方通行は、ほぼ無意識にズボンのチャックを下ろした。
そして、ホルモンバランスが崩れた一方通行の発育不良の現れと言える小さな性器を取り出す。
半ば勃ち上がったそれへの対処法はずっと前から知っていたが、自分で行ったことなどなかった。
研究のために機械に搾り取られた関係で一年以上前に精通はしていたが、精液を流すのは眠っている間だけで、性器で快感を得たのは垣根に触れられた時が初めてだった。

一方通行は拙い手つきで自分の性器を握ると、垣根がそうしたように上下に手を動かす。
垣根に触れられたとき程の快感はない。
あの時垣根はどんな風に触れてきたかと必死に思い返すうちに、より性器は硬度を増し、透明の粘液が先端から溢れる。

「っく、」

一方通行の能力を使えば刺激を強めることは可能だが、演算に問題が出かねない状態で自身の肉体に精密な操作を行うのはリスクがある。
あまりに強力な力を持つがゆえに、危険がないように力を収める必要があった。
そんな操作を行うくらいなら自身の手で扱く方が合理的だ。

溢れたカウパー液を絡めた性器への刺激を強めていくうちに、意識が白んでいく。
ぐ、と一瞬詰まったような感覚を覚えた次の瞬間、一方通行の性器は精液を外に吐き出した。

「は、……はァ」

流しの下の扉に散った精液を見下ろし、壁に背を預けて息を整える。

―――やってしまった。
それもあんな男で。

なんだかどっと疲れた気がした。
一方通行は雫の垂れた性器の水気を能力を用いて集約し、散った精液と同じ場所に弾き飛ばす。

いかに部屋が荒れ放題とはいえ、この液体を放置するわけにはいかない。
しかし家具がめちゃくちゃに引き倒された場所からティッシュを探すのは億劫だ。
そう思ってトイレットペーパーを使うべく、一方通行は便所へと入っていった。

 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    一方通行ケツマンコ化計画三日目

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 

垣根「どうよ、心理定規」

心理定規「何が?」

垣根「一方通行ケツマンコ化計画は順調。そう思わねえ?」

心理定規「そんな下劣な計画名ついてたのね。死ねば?」

垣根「泣くぞ」

心理定規「どうぞ。……ところで、何なのよその肉の塊の山は」

垣根「ああ、ちょっと未元物質使った臓器精製の実験中」

心理定規「!?」

時刻は午前十時。
予想以上に長引いた任務の遂行の後、自宅に戻るのを億劫がった垣根はアジトで一晩を過ごした。
目を覚ましてから未元物質による臓器の精製の実験を行っていたところ、『バイト』までの時間潰しにアジトへと寄った心理定規と出会い、前日までの報告をしたのである。

心理定規「そんなもの作って生物災害とか起こさないでよ?」

垣根「バイオハザードとならお前がスヤスヤしてる間に戦ったぜ。俺一人でな」

心理定規「第十学区の実験動物の件だっけ。それなら私が出来ることなんて無いわ」

垣根「あったら上が何を言おうが俺が自宅までお迎えに行ってやるところだ」

心理定規「鬱陶しい男ね。……あなた一人ってことは、彼は?」

暗部組織、スクールを構成するのは垣根と心理定規だけでなく、もう一人いた。
土星の輪のようなゴーグル、あるいはヘッドギアを付けた少年である。

垣根「土星ならまだダウン中」

心理定規「そう言えば、彼に何があったの?」

垣根「んー、なんだろうな」

垣根「俺が一方通行をらめェさせるための訓練に付き合わせたのは原因じゃないはず」

心理定規「確実にそれよ。何をしたのかは聞かないわ」

垣根「口の中いじったり尻の穴開発したり尿道いじったり」

心理定規「聞きたくないって言ってるでしょうが!」

垣根「今メンタルケア受けてるらしい。俺の何が悪いってんだよ」

心理定規「頭じゃないかしら」

垣根「ハードなプレイなんてしてねえんだけどな。
    これだからガチガチのノンケは面倒だ」

心理定規「あなたノンケを自称してなかったかしら」

垣根「俺は柔軟性のあるノンケだからな」

心理定規(それバイセクシャルって言うんじゃ……)

心理定規「って、それよりなんで臓器なんか作ってるのよ」

垣根「木原幻生っているだろ。そいつが脳波調整による能力者のネットワーク作って各々の脳での代理演算を可能にした実験は知ってるな?」

心理定規「まあね。それがどうかしたの?」

垣根「俺は一方通行に触れるために膨大な演算を行って一方通行の反射なんかの演算パターンに対応してるわけだ」

心理定規「ええ」

垣根「これはちょっと演算が妨害されるだけで崩れる手法だ。
    例えば、あいつとセックスしたら快感で俺は反射が突破できなくなってしまう」

心理定規「そうね」

垣根「計画が進行すれば一方通行とセックスするのは必然。
    代理演算システムを早急に作らなきゃならねえ」

心理定規「はあ」

垣根「結局、セックスするために代理演算用の自分の脳の複製の製造を目指してるって訳よ」

心理定規「あなたらしいわね、その動機」

垣根「セックスって言ってんだから赤面くらいしろよ」

心理定規「私がそんなキャラに見える?」

垣根「可愛げがねえよ、お前。つくづく可愛げがねえ」

垣根「とにかく、臓器精製の資料として逃げた被検体の脳や臓器を解剖してたら深夜まで任務終わらなかったし散々だよ」

心理定規「あなたに依頼した上層部が聞いたら怒るんじゃないかしら」

垣根「任務自体は完璧にこなしてんだから何の問題もねえな」

心理定規「……その臓器生成能力、今酷い目に遭ってる子達を救う力になると思うんだけど
       そういう方面に活かそうとか思わないの?」

垣根「無駄だ。未元物質で複製体を作ってもそいつの自分だけの現実が俺の力に影響されて歪んじまう。

    本物の人間使う実験と同じとはいかねえよ。クローンすらそこらの実験に使われてちゃいねえんだぜ。
    第一、そんなことが出来るってんなら俺は今頃―――」

こんな場所にいるはずがない。
メインプランを付け狙う必要も無かったはずだ。

暗い表情になる垣根に心理定規はため息をついた。

心理定規「珍しく弱気ね。俺の未元物質に不可能は無いって言ってるくせに」

垣根「……うるせえな。殺すぞ」

心理定規「急にキレるのやめた方がいいわよ。第一位の前でボロが出たら終わり」

垣根「俺が他に見せない素を見せてるんだぜ。なんでか分かるか?
    お前が……特別だからだ」

心理定規「今の録音しといたわ。第一位にデータ送付しようかなって」

垣根「ちょっ ごめんなさい気をつけますんで勘弁してください」

心理定規「あら、本当に第一位に惚れた?」

垣根「……いやいや、ねえよ。俺ホモじゃないし」

どうだか、と呟く心理定規の目は全く垣根の発言を信頼していないと言わんばかりだ。

心理定規「第一位に触れてる間、何も思わなかった?」

垣根「エロい反応されるとちょっと可愛いなと思った」

心理定規「それがホモなんじゃないかしら」

垣根「しょうがねえだろ。

    一方通行ってどんだけクソな奴かなと思ってたけど意外とそうでもなかったし、
    俺が触ったらいい反応するし、悪い気はしねえさ」

心理定規「へえ。そうなの」

垣根「あいつは人の接触に飢えてる。そこを突けば簡単だ」

心理定規「それが広まろうものなら一大事ね。他にも第一位に接触してくる奴が出るかも」

垣根「そんな奴は全員潰す。俺の物に手出しする時点で死刑確定なんだよ」

心理定規「……無意識って怖いわね。

       それと一つ。代理演算装置なんか作らなくっても情事に及ぶくらいの関係になってるなら
       第一位自ら反射を解くんじゃないかしら?」

垣根「なんかそれじゃ手抜きっぽくて嫌だ」

心理定規「やっぱりホモよ、あなた」

垣根「あぁ!?」

心理定規「100人中95人は私と同意見よ。掲示板で試しに聞いてみたらいいわ」

垣根「誰がゲイ督だコラ」

心理定規「あ。掲示板で思い出したんだけど、貴方と第一位のスレ結構まずいことになってたわよ」

垣根「まだ情報操作されてねえのかよ。俺が直々にハックするしかないか?」

心理定規「下手を打つと余計に状況が悪化するのがこの界隈の怖いところなのよね」

心理定規は手元のスマートフォンを操作し、垣根に渡した。
画面に表示されていたのは電子掲示板のスレッド郡だ。



市内速報@学園ちゃんねる
1:街で見かけた変なファッション(168)
2:バレーボール世界選手権スレ(180)
3:【超能力者】超電磁砲と思われる常盤台生が自販機蹴ってた【第三位】(161)
    :
    :
    :
21:学園都市第一位がガチホモだった件(666)



垣根「……」

21番目のスレッドが心理定規の言うものなのだろう。
少々嫌な予感を覚えながら垣根はスレを開いた。

学園都市第一位がガチホモだった件

1 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:12:51.16 ID:afrN3kid0[1/22]
  白い方が第一位こと一方通行
  ttp://hhh.datnp.org/uholodo/hhh.datup.org7163791.jpg
  ※野郎同士のキス注意

2 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:13:22.89 ID:8h/uoAxj0[1/15]
  >>1が撮ったのかこれ

3 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:13:48.43 ID:afrN3kid0[2/22]
  >>2
  はい。

4 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:15:22.72 ID:YY654nvci[1/4]

  \   / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::   )  く   ホ  す
    \ l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::: く   れ  モ  ま
       Y           ,!ミ::::::: ヽ  な  以  な
  `ヽ、  |           くミ:::::::: ノ   い  外  い
       |、__  ャー--_ニゞ `i::::,rく   か  は
  ``''ー- ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;! ,ヘ.)  !  帰
        ゙ソ   """"´`     〉 L_      っ
        /          i  ,  /|    て    r
  ≡=- 〈´ ,,.._        i  't-'゙ | ,へ     ,r┘
  ,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l   レ'  ヽr、⌒ヽ'

          ゙、`--─゙      /!         `、
    _,,、-     ゙、 ー''    / ;           `、
  -''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /         、\
  -''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ
     //    /     ヾ_、=ニ゙


垣根「この写真……あの自販機コーナーの時のヤツじゃねえか。
    周りに誰もいなかったのにどうやって」

心理定規「監視カメラの映像を盗める人間が犯人かもしれないわね」

垣根「監視社会ってこえーな」

5 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:16:52.01 ID:ba4ph1o70[1/1]
  これと同じ話題のスレ昨日何スレも勃ってたけどどれもすぐ落ちたっけ
  スレ終わってないのも含めて

6 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:17:09.77 ID:WiiHaL80i[1/34]
  既に出回った画像とは別ですね
  GJです>>1

7 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:18:01.06 ID:afrN3kid0[3/22]
  >>6
  kwsk

  >>5
  え、このスレも消されるの?
  もしかして俺も消されるの?
  コワイヨー

8 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:18:42.32 ID:WiiHaL80i[2/34]
  >>7
  ありましたよ
  超濃厚なディープキスの画像が
  相手は同じです
  街中で生撮りして私がアップロードしたんですが個人情報保護の点で問題があるとして
  インターネット上から全て削除されてしまいました
  画像のアップロードの際のチェックで同データ及び一定以上の範囲で近いデータが抹消されるように
  細工されてしまったみたいで今はアップできなくなってます
  わずか数時間のうちに迅速に事が進んだあたり第一位のスキャンダルは
  この学園都市にとってそれなりに重大な事態のようですね

9 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:19:05.11 ID:8h/uoAxj0[2/15]
  >>8
  おい生撮りってどういうことだ
  その時の状況を詳しく粘着質に臨場感たっぷりにお聞かせ願いたい

10 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:19:29.67 ID:afrN3kid0[4/22]
  >>8
  お前がアップしたのかよwww

11 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:20:00.00 ID:WiiHaL80i[3/34]
  >>9-10
  第七学区の公園近くを歩いてたら偶然濃厚なホモシーンを激写出来たんですよ
  そんなに近くから見れなかったのが残念でした
  キスされたあとに第一位さんがキレて怒鳴ってたんですけど茶髪のイケメンさんは飄々としてましたね
  すぐに煙幕みたいなものを放って逃亡してました

12 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:20:14.84 ID:hBTcbzss0[1/6]
  >>1
  ホモとかマジキモい(鬼勃起中)

13 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:21:03.95 ID:8h/uoAxj0[3/15]
  >>11
  茶髪×第一位か
  何者なんだ・・・茶髪の男

14 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:21:22.58 ID:Rac16a4dP[1/8]
  茶髪の男命知らずすぎワロタ
  と思ったけどその後もイチャラブしてるあたり第一位もまんざらでもなかったわけだ
  一組のゲイカップルの誕生に惜しみない拍手を!

15 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:21:23.19 ID:afrN3kid0[5/22]
  マジで何者なんだよ茶髪男
  もしかしてこいつ第二位?

第一位に不貞を働いて平然としているのは第二位だからだの、安直すぎんじゃね、だの様々な意見が飛び出し。
第一位可愛いとか茶髪のホモ兄ちゃんに掘られたいだの散々好き放題に書き込まれているのを読み進める。

垣根「情報操作部隊ちゃんと動いてたんだな。
    Good Jobですとカキネは情報操作部隊に惜しみない賞賛を送ります」

心理定規(コイツ暗部に一方通行との関係がバレたことはどうでもいいのかしら)

垣根「まあ昨日のスレと大体同じ流れだったし、気にしなくていいだろ」

心理定規「いいえ、ここからよ……貴方にとってまずいことになるのは」

垣根「え」



154 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 01:32:52.99 ID:Hgken17d0[1/29]
  っちょwwwwwwww
  この茶髪の奴うちの高校のやつだはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

155 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 01:33:14.04 ID:Rac16a4dP[3/8]
  >>154
  嘘乙
  証拠出せよ~あぁ~?

156 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 01:33:44.84 ID:hUj/homo0[2/16]
  >>154
  オラッ証拠とケツ出せ

157 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:33:52.84 ID:cia/3/56i[4/9]
  >>154
  証拠出すまで帰れまテン

158 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:34:03.55 ID:WiiHaL80i[8/34]
  >>154
  IDとチンポ付きの証拠画像うp

垣根「……」

心理定規「当然こうなるってわかってたわよね?」

垣根「だ、だって暗部のみんながなんとかしてくれるって……ぉもって……」オド…オド…

心理定規「学園都市に反旗を翻すって言ってた奴の台詞とは思いたくないわ」


166 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:35:26.93 ID:vuq43tskO[4/13]
  >>154
  おう証拠画像あくしろよ

166 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:35:49.62 ID:8h/uoAxj0[7/15]
  >>154
  早くしてくれちんぽが風邪引くだろ

167 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:35:57.17 ID:Hgken17d0[2/29]
  ttp://hhh.datnp.org/uholodo/hhh.datup.org7166831.jpg
  はいこれうちの学校の写真付き名簿

  >>158
  逮捕されたくないからおちんぽヤだ><

168 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:36:05.00 ID:oraGYH7l0[3/8]
  >>154の人気に嫉妬

169 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:36:18.88 ID:WiiHaL80i[9/34]
  >>167
  乙です
  垣根帝督さんかー
  改めて正面から見るとやっぱりイケメンですね
  第一位さん受け妄想が捗ります

170 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:36:34.60 ID:afrN3kid0[12/22]
  叡智高校1-B垣根帝督wwwwwwwwwwww

171 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:36:52.84 ID:seXfh/a80[3/9]
  えっガチ根ゲイ督だって?(難聴)

172 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:37:03.19 ID:ksmmroyji[1/5]
  >>167
  ていとくんやっぱイケメンやなー
  川原で糞塗れのセックスしようやていとくん

173 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:37:03.19 ID:aheahe69O[2/7]
  垣根君のファンになりました!
  今すぐ濃厚なホモセックスしましょう!


垣根「しねーよバカ! 一方通行としかセックスしません!」

心理定規「うわっ」


192 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:39:14.35 ID:310snRoji[3/7]
  実名まで晒すのはどうかと思うんだけどなあ
  詳しいこと知らないけど名誉毀損とかで訴えられたりしないの?

193 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:39:38.84 ID:8h/uoAxj0[9/15]
  いいかお前ら
  絶対に叡智高校に電話するなよ



  絶 対 だ ぞ

  お宅の学生さんが学園都市第一位の超能力者一方通行と
  いやらしいシックスナインに昼夜問わず励んでいるそうですが
  その件についてどうお考えですかとか聞くんじゃないぞ

194 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:39:57.61 ID:afrN3kid0[13/22]
  街中でキスしただけでおもちゃにされるなんて酷い世の中だよな

195 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:40:10.30 ID:vuq43tskO[6/13]
  このスキャンダルがみことたんのだったら俺は発狂してた
  ガチ根さんがゲイ督で本当に良かった

196 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:40:10.30 ID:erorinko0[1/12]
  白状すると俺垣根と同じクラスだけど垣根が学校に来てるの見たことないわ
  名簿で顔だけ知ってるんだけど声すら知らん
  病弱だって先生に聞いたけどここの話見るに嘘くせーな
  ちな証拠の名簿画像
  ttp://hhh.datnp.org/uholodo/hhh.datup.org7167998.jpg
  前に撮ったやつだからID無くて悪い

197 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:40:42.73 ID:YY654nvci[3/4]

  \   / /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: )  く   一 . す
    \ l /:::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::く  れ  方   ま
       /::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  な  通  な
  `ヽ、  |::::::::::::::::::/:::/ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ノ  い  行 . い
       |、:_y::/::/ー-_}:::::::`i::::,::::::::::::く   か  以
  ``''ー- /、'l::::/ ゙̄´彑,ヾ}:::/ }::;::::::::::::::::)  !  外
        ゙ソ   """"´`/  }::::/::::::::::::::〉      帰
        /          //}:::::::::::::::|      っ    r
  ≡=- 〈´ ,,.._        i  't::::::::::::| ,へ   て   ,r┘
  ,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l::::}::::::}:レ':::::::ヽr、⌒ヽ'

          ゙、`--─゙      /!::ノ::::::ヘ::::::::y::ヾ:::::ヾ
    _,,、-     ゙、 ー''    / ;::/ y  \::::ヾヾ::::::ヾ
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  -''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ
     //    /     ヾ_、=ニ゙

198 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:41:01.67 ID:hauy1ck90[4/9]
  叡智高校「たまげたなあ」

199 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:41:09.67 ID:Fvy3UI15O[2/5]
  一方通行が掘られたら双方通行になるの?
  アナルの出入り的な意味で

200 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:41:18.86 ID:seXfh/a80[4/9]
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   | ちょ、ちょーとまって!!!今>>196が何か言ったから静かにして!!
       , ,-;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:,.  ヽ─y──────────────   ,-v-、
      /;:;:;:;:;:;:ミミ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`、                          / _ノ_ノ:^)

      /;:;:;:;:彡―ー-、_;:;:;:;:;:;:;:;|                           / _ノ_ノ_ノ /)
      |;:;:;:ノ、     `、;;:;:;:;:;:i                        / ノ ノノ//
      |;:/_ヽ ,,,,,,,,,,  |;:;:;:;:;:;!                      ____/  ______ ノ
      | ' ゚ ''/ ┌。-、  |;:;:;:;:/                     _.. r("  `ー" 、 ノ
      |` ノ(  ヽ  ソ  |ノ|/               _. -‐ '"´  l l-、    ゙ ノ
  ._,-ー| /_` ”'  \  ノ   __        -‐ ' "´        l ヽ`ー''"ー'"
   | :  | )ヾ三ニヽ   /ヽ ' "´/`゙ ーァ' "´  ‐'"´         ヽ、`ー /ノ
   ヽ  `、___,.-ー' |   /   /                __.. -'-'"
    |    | \   / |   l   /            . -‐ '"´
    \   |___>< / ヽ

201 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:41:30.41 ID:mos77xva0[4/9]
  >>196同級生wwwwww
  世間は狭いなー
  ていとくんの能力ってどんなん?
  第一位に手が出せるほどなんだしやっぱすごいんだろ

213 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:41:52.71 ID:erorinko0[2/12]
  垣根の能力はレベル4の念動能力者らしい
  それ以上のことは知らん

214 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:42:00.00 ID:WiiHaL80i[13/34]
  念動能力ですかー
  応用が効くからいいですよね
  大体どんなプレイにも使えますし

215 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:42:28.68 ID:hUj/homo0[9/16]
  うちの中学校にも念動能力者の男子いるんだけどホースで他の男子緊縛してたなあ

216 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:42:51.89 ID:vuq43tskO[8/13]
  大能力者か…
  まあすげえっちゃそうなんだけど第一位に手が出せるかっつーとんなことねえよな
  何か裏があるだろ、病弱設定で学校来ないのと併せて





途中まで読んで、垣根は心理定規にスマートフォンを返した。

垣根「悪いな。もういいぞ」

心理定規「AAデビューおめでとう。表向けの設定に疑惑まで持たれちゃってるし、結構まずいかもね」

垣根「名前流れた時点で何があっても大差ねえ……。

    一方通行がこのスレを見ない事を祈りたいが。
    ま、このスレ見てた奴全員嬲り殺せば俺の日常生活は守られるだろう」

心理定規「落ち着きなさい」

垣根「とりあえず今夜にでも俺の情報漏らした叡智高校のヤツとスレ立て主の過去書き込みと実名を紐付けして晒し上げるとするか……」

心理定規「暗い復讐だわ……」

さて、と垣根はソファから立ち上がり、首をコキリと鳴らした。
その視線の先は部屋の扉だった。

心理定規「どこか行くの?」

垣根「ああ。脳波調節のための学習装置の利用交渉」

心理定規「交渉という名の脅迫かしら。そんなの使わなくても脳波くらいどうにか出来そう気もするけど」

垣根「簡単に言うな。俺の脳を寸分違わず複製するのはちょっと面倒なんだよ。
    手抜き出来る場所は極力手抜きしねえと」

心理定規「そう。行ってらっしゃい。もう外で第一位にいかがわしいことしないのよ?」

垣根「半ば手遅れ感があるけどな。
    俺とあいつの件でごちゃごちゃ口出してくるクソがいたら一匹ずつ消していけばいい」

心理定規「そういう犠牲者を減らすためにも外でしないの!」

垣根「はいはい分かったよ、メジャーオカン」

心理定規「せめて姉さんで頼むわ。それとこの生臭い臓物のなり損ないもどうにかして」



 

―――


四月下旬のうららかな空の下、垣根は川に沿って悠々と歩いていた。
第七学区の研究機関の帰り道だった。
学習装置の利用交渉は余計な口出しをしてくるものも無く、特に問題もなかった。
予想以上に迅速に話がまとまり、垣根の足取りも軽い。

川べりに植えられた桜は既に葉桜となっているが、僅かに花が残った場所もある。
インターネットの狭い世界で話題になっていようが世界はそんなものとは全く関係なく回っていた。

一般的な学生たちは今現在各々の学校で授業を受けているところだろう。
本日は祝日でもない月曜の昼なのだから。

あまり他人に見られたくはない姿になるため、飛行するのは普段は避けている垣根であるが、ゆったりと雲が流れる青空を見上げればなんだか地面を這っているのが馬鹿らしく思えてくる。
目撃者も少ない今のうちに飛んでみようか―――。
等と思い始めた時、ふとある人物が視界に入った。


そこにいたのは?

1、一方通行
2、ミサカ
3、木原君

安価↓

1

把握


ネタが細かく仕込まれててほんと面白い
土星くんとばっちり受けててワロタ

真っ白な髪に真っ白い肌が特徴的な人物は見間違うはずがなく。

垣根「よ、一方通行」

一方「あ……?」

一方通行は特に目的もなさげにぼーっと川を眺めていた。
前日に来ていたものとはまた違う奇天烈な服を着ているが、その色の柄は白と灰色だ。

一方「またオマエかよ。どンだけ頻繁に……」

垣根「そういうお前はまた変な格好だな。ウルトラマンかよ」

一方「……うるせェ。オマエ授業はどォした」

垣根「サボタージュった。俺は優秀だから授業なんて受けなくてもいいんだよ」

そういう問題なのかと言いたげな顔をしていた一方通行だが、自身も同じようなものなので特に何も言わなかった。

垣根「お前、なんか今日大人しくね? 低血圧か」

一方「……いつもと変わらねェよ」

どうにも昨日よりもテンションが低い気がする。
それなりに仲良くなった気がしたのだが。風邪でもひいたのだろうか。
そう考えて、垣根は一方通行の額に手を伸ばし、

一方「っ! 触るな!!」

怒声と共にバチンと音が響くほどの勢いで右手を弾かれた。

垣根「? 何キレてんの」

一方「……、」

しまった、というような顔で一方通行は顔を背けている。
どことなく顔が赤い。
垣根は一方通行を怒らせるようなことは今日はしていないのに、と疑問に思ったあとですぐに思い当たった。

垣根「もしかして、……見たのか?」

電子掲示板等、インターネット上でのスキャンダル。
垣根との接触が目撃されるのを恐れているのか。
だが、垣根が近づいた瞬間に周囲を警戒しているようには見えなかった。

一方「……なンの事だ」

垣根「違うのかよ。ならいいや」

どうせすぐにでも情報は裏の機関に抹消される。
情報のソースが跡形もなく消去されるのであれば根拠のない噂としてネットの外部でも処理されるようになるのだ。
が、ならばなぜ一方通行はあんな態度をとったのか。

苛立ちを覚えながら垣根が一方通行に再度触れようとすれば、再び一方通行は逃げるように身を捩らせた。

垣根「傷つくんでやめろその態度」

一方「……今日はちっとばっか具合が悪ィンでな。じゃ」

やはり一方通行の顔は薄らと赤らんでいる。
熱があるのかもしれない。
看病してポイントを稼ぐチャンスだろうか、と垣根が考えてる間に、一方通行は軽くトン、と地面を踏みつける。
瞬間、目視できない膨大なエネルギーが集約された。

垣根「ちょ、待てよ!」

という声に耳も貸さず、一方通行は空を切って高々と隣のビルに飛び上がった。

垣根「具合悪いって嘘じゃん! 平然と能力使ってんじゃん!
    ……って聞いてねえな」

一方通行は垣根の手を恐れるような目で見ていたような気がした。
そりゃ確かに尻の穴をほじくったけれども痛めつけたりはしていない。
昨日までは普通に接していたというのに何なんだあの態度は。
苛立ちが沸き立ってくる。

垣根「なんかムカついちゃったなー……」

1、追いかけて便所に連れ込む
2、追いかけて膀胱に暴行を加える
3、自宅に先回り

安価↓

2

把握
なるだけ早く投下したいなぁとぼくはおもった。


土星くん可哀想っス!
垣根は一方さんの排泄が好きなんだなぁ(悦)


俺ホモじゃないけど、このスレは好きだから頑張って欲しい
自分で慰めちゃう一方さんかわいい

俺ホモじゃないけど


なるべく痛くない暴行でありますように



一方さんの放尿楽しみです

まだかーな

まだかーな

最近 忙しくて 辛い
学校のグランドが爆発して三週間くらい休校になりますように
投下

「はァ……なンであいつと会っちまうかねェ……」

青空の元、一方通行はため息をつく。
明け方に自らの衝動、自らの意思で垣根を使った自慰行為にふけったばかりなのだ。
ただでさえ自己嫌悪に陥っているというのに、垣根当人に会いたくはないというのが本音だった。

垣根の能力の詳細などわからないが、ビルの上まではさすがに追ってこれないだろう。
そんな油断をしながらビルからビルへと軽々と飛び移っていた。

その時だった。

垣根「待てやボケ!」

一方「にちゃッ!?」

『何もいなかった』場所から突然現れた垣根に一方通行は顔面を殴り飛ばされる。
単純なパンチではない、木原数多直伝、人呼んで木原神拳を用いた特別なパンチ―――骨や脳に重大なダメージが行かないよう能力で調整された程度に半端な優しさのある容赦ない一撃だった。
ビルの屋上にゴロゴロと転がる一方通行の衣服を垣根は膝で踏み、両手で一方通行の頬を引っ張った。
白い頬が餅のようにぐにー と引き伸ばされる。

一方「はにゃせェ!! どこから湧きやがった!」

垣根「ちょっと光を捻じ曲げながら近づいただけだ。
    お前も出来るだろ。光学操作の能力者なら強能力者程度でも出来る芸当だな」

一方「汚ェぞ、小物が」

垣根を睨む一方通行だが、引き伸ばされた頬のせいで全く迫力はない。

垣根「んなことより、なんで逃げやがった? 」

一方「……オマエにゃ関係ねェ」

垣根「いやあるだろ。そうとしか見えない」

一方「無いってンだろォが!」

このままでは絶対に口を割るまい。
適当に嘘をつかないところが実に不器用だ。
そんな抵抗をされるほど虐めたくなるのが人のサガである。

垣根「よし、わかった。そのつもりなら仕方ねえな」

する、と垣根は一方通行の服の裾から手を入れ、下腹部を撫でる。
単なる愛撫ではない。

一方「何を……」

垣根「さあ、何だろうな?」

そう言いながら、不安げな顔をする一方通行から垣根は一度身を離した。
疑念に眉を顰めながら状態を起こす一方通行は、腹部に違和感を覚えた。
尿意だ。
それは強いものではない。
少しばかりコーヒーを飲みすぎていたためかと一瞬思ったが、すぐに理解する。
先ほどの垣根の行為の結果であると。

まずい。
一方通行が直感した時ところで手遅れだ。

垣根「逃がすか」

一方「!」

駆け出そうとした一方通行の首を垣根が拘束する。
空いた腕では下腹部を緩やかに撫でてやった。

一方「この変態野郎が……」

垣根「なんで逃げたのか口割るまで離さないぞ。
    4回目の排泄ショーを演じてもらおうじゃねえか」

一方「ふざけンじゃねェ!」

そうこうしている間に膀胱内部には少しずつ水分が溜まっていっている。

人間の体内では一日に180リットル程度の原尿が精製される。
その99%は再吸収され、残りの1%が尿として排出されている。
再吸収の働きが狂わされたらしいことは一方通行にはすぐに分かった。
ならばすぐさまその異常を自身の力で直せばいいだけなのだ。
だが。

一方「―――っ!」

やはり、下剤を使われた時同様全くもって事態は改善されない。
直したそばから狂わされているような感覚だ。

一方「俺に何をしてやがる!?」

垣根「楽しいことだ。さて、お前の失禁までの時間はあと何分だ?」

一方通行の耳元で囁かれる声はどこまでも意地が悪い。
外道、正に外道である。

焼肉屋での失態のように。
大鏡の前での失態のように。
またもあえなく決壊させてしまうのだろう。

だが。
抵抗したところでどうせ排泄させられるのならば口を割らない方が懸命なのは確実だ。

一方通行の内に、諦観すら広がってくる。

馬鹿正直に語ったところでどうせ結果は変わらないのだろう。
この変態のやることなら―――。

垣根「とでも思っているんだろうが」

一方「あァ!?」

垣根「お前もさ、俺の前で出すのには慣れつつあるだろ?
    そんなんじゃ駄目だよなあ。ここに居るのは俺達だけだ。だから他の場所に行こうか、な?」

一方「やめろ……!」

今現在、どの学校も授業中で人通りは少ない。
どうせ一方通行を追い詰めるのであれば体育の授業でも行なっている学校のグランドにでも引きずって行ってみようか。
外道極まりない垣根の視界に入ったのはとある高校。
たしかあの高校は。

垣根(雲川芹亜って女のいる学校だっけ)

学校自体は能力開発に長けているわけでもなく学力が秀でているでもないのだが、統括理事会メンバーの一人、貝積継敏のブレインである天才少女雲川芹亜の他、裏の世界で名の通る人物が複数所属する謎の高校。
常盤台のお嬢様達の前で一方通行に大失態を演じさせるのも愉悦に思えたが、少々距離があるので気乗りしない。
まずはあの高校にこの状態の一方通行を連れて行ってみようか。

垣根「さあ、一方通行。学校に行こうぜ」

言いながらも既に垣根は一方通行をひょいと横抱きにし、高校へ向かって動き出していた。

一方「放せ、放しやがれええええェェェェェェェ!!」

垣根「だったらさっさと吐けよ。なんで俺から逃げたのかってのをさ」

一方「……くっ、」

口を割って助かる可能性は皆無ではないかもしれない。
このままだんまりを決め込んでいれば高校に引きずっていかれて大失態を晒す可能性は100%だ。
口を割る方がまだ賢明に思えた。

一方「……ォ、」

垣根「何ー?」

一方「俺、オマエ、で……」

顔が熱くなって続けられない。
膀胱が膨れていく感覚と屈辱に言葉を詰まらせる一方通行を、垣根はニヤニヤと笑いながら見下ろす。

一方「、……。
    もォいい加減にしろよ……」

垣根「俺で、何なんだ? 最後まで言ってみろよ」

一方「嫌だ」

一方通行の顔は真っ赤だ。
一方通行にとってはそれほど恥ずかしいことなのだろう。

垣根「……俺をオカズにでもしたか?」

一方「! 違う、してねェ、ンなこと、」

睨みつけてくる一方通行の赤い瞳は動揺に揺らいでいる。
図星を突かれたのは明白だった。

垣根「へえ。俺で、ね。俺のこと好きになった?」

一方「ンなのしてねェって言ってるだろ!」

ぷるぷると震えながらしていないと訴えられてももちろん説得力などない。

垣根「ほら、どんな風にオカズにしたのか語ってみろよ。次はちゃんとお前の口からさ。
    じゃなきゃ、体育の授業中の学生達の前でお漏らしさせてやる」

一方「ふざけるな、っ……!」

膀胱には既に尿がかなり溜まっている。
垣根がその気になればすぐにでも一方通行は派手に失禁させられるだろう。

その時、ぶわ、と浮遊感を覚える。
一方通行を抱えた状態で垣根が高々と飛び上がったのだ。
そして、そのままの勢いで高校の敷地内に侵入した。

垣根はやはり本気である。

一方「オマエ本当に、調子に乗ンじゃねェ!!」

垣根「俺は既にお前に逃げ道を用意してる。
    だから正直に吐けって」

朗らかな垣根の笑みはやはり一見して優しげだ。
だが容赦はない。
躊躇もない。
正しく悪魔の笑みだ。

運動場では学生たちが青春真っ盛りに体育に興じている。
あの爽やかな場に一方通行を放り込んで公開排泄させるくらいのことは垣根は言葉通りに実行する。
それは最悪の道だ。
もし、一方通行がこの場で自ら出してしまったとしても垣根は何度でも同じことを繰り返すだろう。
一方通行が自慰行為の詳細を自白するまでは。
両膝をしきりにすり合わせる一方通行の膀胱は限界に近づいていた。

一方「……し、仕方ねェだろォが、オマエが妙な事ばっかすっから……」

垣根「するから、なんなんだ?」

一方「思い出しちまってそのまま抜いただけだってンだよ!! 満足したかよ、変態が!」

ヤケになって大声で怒鳴る一方通行。
うっかり聞いてしまった用務員のおじさんがドン引き顔で見つめていたことなどに気付きはしない。

垣根「ちっちゃいチンコいじっただけ?」

一方「うるせェクソ! そォだって言ってるだろ!」

垣根「乳首いじったり、ピンポン玉を尻に入れたりしたか?」

一方「してねェ!」

垣根「クソや小便垂らしながら、」

一方「してねェってンだろォが!!
    いいからさっさと俺の体に妙な事してンのをやめろ!」

垣根「ん……」

怒りと尿意に顔を歪めて怒鳴る一方通行をまだ虐めてやりたいとも思えたが、あまりやるとそろそろ本気で嫌われそうなのでやめてやるか、と垣根は思い直す。
それに、公開排泄に慣れさせすぎて例の脱糞映像流出を恐れなくなられたら少しばかり面倒だった。

垣根「わかったわかった、もうなんもしねえから便所でも行ってこい」

ほい、と垣根は一方通行を地面に下ろしてやる。
痛いぐらいに張り詰めている膀胱を抱えて便所を求めてうろつく程一方通行には余裕がない。
だが、一方通行の演算能力は狂ってはいない。
万一括約筋が緩まないように、自身の括約筋を操ることにした。
だがその次の瞬間。

じわり、と一方通行の灰色のジーンズに染みが生じた。

一方「……?」

何が起こったのか分からなかった。
演算に失敗したとは思えなかった。

起こりえないはずの現象が起こってしまったのは垣根が始末し忘れた体内に残ったままの未元物質によるものだと、一方通行は未だ気付かない。
締めたはずの括約筋が緩んだ、というだけの現象だが、一方通行本人としてはたまったものではない。
理解不能の事態に追い込まれた一方通行は猛速で広がる染みを止めることもできない。
染みの元になった水分は瞬く間にその量を増大させ、大半はジーンズで受け止められず、地面へと落ちていった。

急に途中で立ち止まった一方通行を不審に思った垣根は一方通行の方に目を向ける。
一方通行を中心に、見る間に水溜りが広がっていくのが見えた。
棒立ちになっていた一方通行は呆然としたままガクガクと震え、脱力して膝を折る。

垣根「……我慢出来なかったのか?」

一方通行の正面に回り、しげしげと一方通行の痴態を観察しながら呟く垣根。
その一言で我に返る一方通行だが、もはやどうにもならない。

一方「見ン、じゃねェクソ……ッ」

垣根を見上げて睨む一方通行はもはや泣きそうだ。
顔は真っ赤で、耳まで赤い。目にはうっすらと涙まで浮かべている。

垣根「お前の括約筋ホントに大丈夫かよ。
    この時間ならまだ漏らさない計算だったんだけどな」

一方「っ―――」

呆れ切った顔の垣根を睨んだまま一方通行はぶるりと震えた。
その赤い顔は排泄の快感と恥辱と怒りにぐちゃぐちゃになっている。

一分弱にも及ぶ野外放尿は一方通行には悪夢のような時間であった。
可哀想に(神妙)

垣根「なんつーか……誰も通らなくて良かったな?」

一方「……」

水溜りの上に座り込む一方通行は顔を上げない。
誰一人通るものがなかったのが不幸中の幸いだった。

この世の絶望を全て背負い込んだような状態の一方通行を起こしてやろうと垣根は手を伸ばす。
叩かれるかと思ったが、意外にも一方通行は抵抗しなかった。
尿の上に座り込んでしまったばかりに一方通行の手は汚れていたが、垣根はそんなものは特に気にしない。
元々、未元物質で汚れなど弾いているのだから何ら気にすることでもなかった。

垣根「この状態で着替え買いに行くわけにも行かねえし」

一方「……俺の能力を使えば水分くらいすぐに弾ける」

死にきった目のまま呟く通りに、一方通行のズボンからは見る間に水分が流し出されていった。
だが黒い靴に付着した水滴にまでは気が回らないようだ。

周囲に漂う空気はアンモニア臭よりも、コーヒーのような匂いがする。
恐らく一方通行が飲んだコーヒーの香料が尿に混じっているのだろう。

垣根「飲んではいけない飲み物に載ってるコーヒー飲んだなお前」

一方「……見たいもン見れて満足だろ。もォ消えろド変態死ね」

垣根「やだ。まだ一方通行と遊ぶもん」

一方「死ねよ……マジで」

垣根「まあとっととここから離れようぜ。
    不幸にも災難に巻き込まれて登校が遅くなった男子高校生とかに目撃されかねないし」

一方「オマエのいない場所に行きたい。永遠にだ」

垣根「無理だな。俺が逃がさねえ。永遠にだ」

一方「メンド臭ェ……」

垣根「お前は小便臭ぇぞ、放尿通行(ニョウモレータ)め」

一方「誰のせいだと思ってやがる!? 全面的にオマエが悪ィンだろォが!!」

垣根「お前の括約筋が緩いのが悪い。

    薄々は思ってたんだが、お前普段から便所我慢するとき能力使ってんじゃねえの?
    だから堪え性が無いとか」

一方「……うるせェ。ンなことオマエにどォこォ言われる筋合いはねェ」

垣根「どうすんだよ、お前。いきなり脳味噌爆発して能力使えなくなったら洒落にならねえぞ」

一方「どンなシチュエーションだ」

垣根「反射が使えない時に発砲されて演算能力が無くなったりもするかもしれねえだろ。

    まあそうなったら俺が代理演算用の脳でも作……エフンエフンッ
    これからどうしようかな」

一方「ふざけンな! 俺はもォ帰る!」


垣根(一方通行をどうしよう?)

1、垣根宅に持ち帰る
2、さすがに可哀想だから家に帰らせる
3、替えの服を買いに行く

安価↓

さん

把握と共にDIE学に再び逝ってきます
次は早く投下したい


確実に調教されていってる一方さんを見るのが楽しすぎる

乙です
涙目いっつー可愛いよ

乙、初ssでこのクオリティとかすげぇ



一方さん可愛いすぎィ!
もっとお漏らしさせたい


なんか一方さんが可哀そうになってきた

街の一角で殺し方講座を開かれてる時点でもう可哀想
着衣脱糞、全裸脱糞、全裸放尿、着衣放尿の4パターンをフルコンプした一方通行は
これからどうなってイくのか―――全ては安価神の御心のままに

短いけど投下

垣根「よし、替えの服でも買いに行くぞ一方通行」

一方「!?」

垣根「小便漏らした服のままじゃ気持ち悪いだろ?
    いくら水分飛ばせてもよ」

一方「うるせェ! 帰るって言ってるだろォが!
    オマエの耳はまともに機能してンのか!?」

垣根「あんまりガタガタ言うとウンコの映像が」

一方「もォいいってンだろそのネタはァァァ!!」

垣根「ネタじゃねえ。いつだって本気で俺はお前を脅してる」

一方「殺してェ……出来うる限り最も残虐な方法で」

垣根「ほらさっさと行くぞ」

コーヒーの香りのする水溜りをその場に放置し、能力者の頂点の二人は街へと繰り出していくのだった。
不幸にも災難に巻き込まれて登校が遅くなった男子高校生が水溜りに足を取られて転んだりするが、それは別の話である。

―――なんかの服屋


垣根「お前ボクサータイプが好きなんだっけ。ならこれでいいや」

一方「とか言いながらなンだその白ブリーフは!」

垣根「ビリー兄貴のと同一モデルの―――」

一方「俺はブリーフ派じゃねェ!!」

垣根「これでパンツレスリングをだな」

一方「ンな事しねェ!」

垣根「えっ」

一方「あァ!?」

心なしかどこかで見たことがあるような服装がわんさかと置いてある店に垣根と一方通行はやってきていた。
ここなんとなく怪しいから嫌だ、という一方通行の意見などもちろん尊重されない。

垣根「じゃあこの縞パンはどうだ?
    お前ちんちん小さいから女物でも大して問題ねえだろ」

一方「殺すぞ」

垣根「文句ばっかりだな。これだから最近の子供は」

一方「文句つけらねェと思ってる方がおかしいわァ!」

さんざん揉めた挙句ようやく一般的なボクサーパンツを一枚発見し、それを購入に漕ぎ着けたのだが、この調子ではいつ買い物が終わるかわかったものではない。
一式セットになってる服が買えれば楽なのだが。
と、思っていた垣根はあるものに目をつける。
そんな垣根の様子に気付かず、一方通行は店内を見回す。

一方(超機動少女ナントカって奴のコスチュームがあるぞ……
    よく見りゃどっかの学校の制服がやたら多いし)

垣根「何か欲しいもんあったか?」

一方「ねェよ……。もォ帰らせろ」

垣根「駄目だ。ちょっと着て欲しいもんがあるんで着ろ。
    あ、小便の汚れはちゃんと飛ばしてんだろうな?」

一方「デケェ声で言うな! そォだからもォ服なンていらねェって言ってるだろ!」

垣根「お前の方がよっぽど声がでかいぞ。
    早く着替えてみ。似合うから」

一方「絶対ロクなもンじゃねェと断言できる。絶対着ねェ」

垣根「そんなに脱糞映像を配信されたいのか……淫乱マゾ豚肉便器が」

一方「しつけェってンだよ……」

疲れきった顔の一方通行は例によって垣根に押し切られ、試着室へ連行されるのだった。

垣根「試着室に男二人は狭いな」

一方「じゃあ消えろ」

垣根「お前一人でお着替え出来るのか!?」ビックリ!

一方「殺すぞ」

口元をヒクつかせながら垣根を試着室から追い出し、一方通行はひとまず垣根が持ってきた服をカゴから出してみる。

一方「……予想通りだな」

一着目はオーソドックスなセーラー服だ。
ただし、やたらとスカート丈が短い。
おまけに花飾り付きだ。

呆れきってカゴに戻し、その下から他の服を引き出す。

一方「……」

二着目は常盤台の制服。
お嬢様学校のくせにけしからん丈のスカートのいやらしい制服と評判だ。
なぜかルーズソックスがセットになっている。

無言でカゴに戻し、さらに下から衣服を出す。

一方「っ……これは」

思わず声を漏らす三着目は『まじんのふく』という商品名の極めて怪しい―――衣服と呼んでいいのかすら怪しい衣装であった。
ばっくりと前部分が開いており、Vラインの際どい部分までの布地がほとんど無い。
乳房が申し訳程度に隠れるのがギリギリの良心だ。
背面もろくでもない有様で、背中や尻もほぼ丸見えになってる。
マントがセットになっているが、左右に分かれており、尻を隠すには至らない。
パンツを履かないでご着用ください☆という注釈が商品名の下に書かれていた。
これ試着してええのか。
魔女のような三角帽子と眼帯もセットになっている。

一方「どこの痴女のコスプレ衣装なンだよ……」

仮にこんな服でうろつこうものならこの変人だらけの学園都市であっても即座に警備員や風紀委員にとっ捕まえられることは間違いない。
裸よりいやらしい服である。

引きつり顔で痴女の服を戻し、さらに下から衣装を取り出す。

少々丈が合わない気もするが、一般的な学ランだ。
唯一女装ではない。

一瞬、まともだしこれでいいか、と思えたが一方通行は思いとどまる。

買ってどうするんだ、これ。

我に返ったところで試着室の前に待っていた垣根が声をかけてきた。

垣根「もう何か着たか? おすすめは『まじんのふく』だ」

一方「バレーボールにすンぞド変態が」

垣根「バレー……? 魔神……? くっ、どこかの世界線の忌まわしい記憶が―――」

一方「つゥか、なンでコスプレしかねェンだよ」

垣根「俺は冷蔵庫でもカブトムシでもクーラーボックスでもバレーボールでもねえ……」ハア...ハア...

一方「おい電波。なンでコスプレしかねェンだ」

垣根「俺は、僕は、私は、未元……を操る学……垣根帝督です……」ハア...ハア...

一方「おい!」

垣根「ハッ……。いやまあ、ここそういう店だから」

一方「何でそンな店に連れてきた……」

垣根「面白いから。はい論破」

一方「そォいうのは論破とは言わねェ」

垣根「いいから早く選べ。どれか着ないと家に帰さねえぞ。絶対ニダ」

一方「死ね。学ラン以外選択肢ねェじゃねェか」

垣根「似合うと思うぜ。お前が着てんの見たら便所とかでレイプしたくなると思う。する。
    それにするのか?」

一方(どれ選ンでもロクな事にならねェと確信した。俺はどォすればイイ……)

1、セーラー服を着る
2、常盤台の制服を着る
3、痴女……魔神の服を着る
4、学ランを着る
5、垣根の服を強奪
6、全力で逃亡

安価↓

>>247
把握
早く投下出来るように善処します


セーラー百合子(♂)か……


本当面白い
セーラーくるか テンション上がってきた

百合子(♂)おおおぉぉ

美琴ねんどろいどをいじり倒しながら投下

一方(……無心になれ、俺。ガキの頃の苦痛と屈辱の日々に比べたらこンなもン屁でもねェ)

一方(木原にベビー服を着せられて市中引き回しを食らったのは11の秋か……。
    しかもその後ショタコンの変態女に哺乳瓶で飯を与えられ便所は……)

辛かった幼少期をうっかり思い出して余計に自身の精神に余計にダメージを与える一方通行は思い切って目をつぶりカゴの中から服を取り出す。
勘で取ったものを着ようという極めて投げやりな心境だったのだ。

カゴから一方通行が取り出したのは、セーラー服であった。

一方(はは、……泣きてェ)


―――試着室の前

垣根「男のくせに着替えが遅いな、一方通行。やっぱり一人で着替えもできねえのか?」

一方「黙れ。ちょっと待ってろクソ野郎が」

垣根「ウンワカッタ」シャッ

一方「とか言いながら開けンなクソ!」

垣根「!?」

勢いよく試着室のカーテンを全開にする垣根の目に映ったもの―――それは。

華奢な体を覆うのはオーソドックスなセーラー服だ。
短い丈のスカートの下からは細い脚が太ももまで顕になっている。
もみあげの長い、曇り一つない白髪のショートヘアーには見慣れない桃色の花飾りが取り付けられていた。

一方通行の肉体は非常に肉薄で、骨ごと細い。
紫外線や有害物質を反射している関係上、その肌はくまなく白く、幼い子供のように瑞々しく繊細だ。
ホルモンバランスが崩れているために体毛の類は元より薄く、そもそも色素がないため余計に目立たない。

もとより性別の今ひとつ分からない風貌の一方通行の女装とくれば、違和感など無かった。

「……」

垣根は無言で一方通行を見つめた。
爆笑されるとばかり思っていたその神妙な眼差しに動揺する一方通行。

普段の一方通行は非常に目つきが悪い。
無気力そうな顔か、さもなくば周囲を威圧する飢えた肉食獣のような形相でいることが大半だ。
ゆえにその顔を凝視する者などいないのだが、整った顔をしている。
浮世離れした肌や髪や瞳の色と合わさり、どこか創造物めいた印象を持たせていた。
しかしその身を包むのはセーラー服という非常に俗物的なもので、アンバランスな組み合わせが不思議な色香を放っている。

垣根「……なあ、百合子」

一方「百合子って誰だオイ」

垣根「結婚しよ」

一方「意味分かンねェ」

垣根「俺さ、ノリで渡したんだよ。セーラー服とかさ。
    絶対着るわけないって思いながらウケ狙いで渡したの」

一方「ケッ、予想が外れてざまあ見ろってンだよ」

垣根「いや、想像以上の成果だったわ……」

頭の上から足先までをじっくりと鑑賞する垣根に居心地の悪さと恥ずかしさに一方通行は顔を俯かせる。
頬は僅かに紅潮していた。

その様子に、垣根もまた動揺する。

(こいつこんなに可愛かったっけ……)

垣根帝督は、ノンケである。
少なくとも当人はそう自覚していた。
見た目がそこそこ良ければ男でも掘れるしヤれればそれでいいんじゃね、と思う程度に柔軟すぎるノンケではあるが。
だが、掘れることと惚れることは別問題だった。
垣根が一方通行に接触したのはあくまで利用するためだ。
性的な接触は手段であり、目的ではない。
セックスはホモじゃないけど精神的に愛するのはホモ、という他者から見れば不可思議とも言える価値観を持っているのだが。

男でもいいかもしれない。

そんなパラダイムシフトが垣根帝督の内心の世界で起こりかける。

(いや待て、女装したこいつにときめいたわけだ。女を模した男に。
俺の愛の対象はあくまで女だ。―――つまり俺はノンケ)

……垣根はいつだって往生際が悪い。

一方「……もォ帰っていいだろ。脱ぐからそこから失せろ」

垣根「は? 何言ってんだお前」

一方「何言ってンだはオマエだろォが。どれか着たら帰っていいンだろ」

垣根「んなこと言ってない」

一方「はァ!?どれか着るまで帰さないってそォいう意味じゃ、」

垣根「着ただけで帰すとは言ってねえ」

酷い理屈である。
だが間違ってはいない。

垣根「青筋浮かんでんぞ百合子」

一方「……そろそろ我慢の限界が来そォだ」

垣根「なに、さっき出したのにまた漏れそうなのか?
    この数日の間に三回目の」

一方「違ェェェ!!」

垣根「セーラー服でお漏らしとかまたマニアが喜びそうな……」

一方「違ェってンだろォォォォォォォォォォォ!!!!」ウギャー

垣根「人前で漏らすのが好きな変態百合子、そのセーラーの代金払うから一旦脱……

    いや、脱がなくても買えたっけ。
    ここのバーコードリーダーって商品に向かって翳すだけで商品情報読み取れるから」

一方「ンな設定どォでもいいから脱がせろ!!」

垣根「俺が一緒に帰ってやるから家に帰るまでは待てよ。
    ベッドの上で脱がせてやるからさ」

まだ一方通行は何事かを喚いていたが垣根は気にせずセーラー服着用のままの一方通行をレジまで引き連れていった。
喚くほどに周囲に好奇の目を向けられるのにようやく気付き、一方通行は押し黙る。


―――街中


一方「……」

なぜ俺はこんな場所でセーラー服を着ているのだろう。
なぜ俺はこんな男の言いなりになっているのだろう。
なぜ俺は―――。

垣根「大丈夫か? 一方……いや、百合子」

一方「大丈夫なわけねェだろォがァ!」

やたらに短いスカートは非常に風の通りがよく、太ももを4月下旬の空気が撫でる。
一方通行の抵抗により下着はさすがに男物のままだが、ミニスカートという未知の衣類の感覚は慣れない。

垣根「お前その低い声で騒がないほうがいいぜ。
    折角見た目じゃ男だってわからねえんだから、無駄に目立つことしないほうがいい」

一方「ご忠告どォも……。
    誰のせいでこンな格好になってると思ってやがるンですかねェ?」

垣根「いや、それを着たのはお前だろ」

一方「……。この格好で外に出るとは聞いてねェ」

現在もまだ一般の学校は授業中であるために、街中でも人通りは少ない。
セーラー服を着た一方通行と学生服もどきを着た垣根は不良学生にしか見えない。
スキルアウトなる存在と同一視されるのも無理からぬことだった。
通行人の大半である大人は二人の姿をあまりじっくりと見ようとはしない。
そのため、一方通行が女装した男だと気付くことはまずありえなかった。

垣根「安心しろ。その格好でも俺が楽しいってメリットしかねえ」

一方「俺は男の尊厳が傷つけられてるンだが」

垣根「わかってねえな。女装ほど男らしい行為なんてそうそう無いんだぜ。
    女が女の格好しても女装にはならねえからな」

一方「ならオマエがやれや変態」

垣根「俺は顔は合格としても体格の問題があんだよ。俺よりデカくていかつい女も知人にいるが……」

暗部組織『ブロック』に所属し、表では警備員にも所属している女―――手塩恵未の姿を垣根は思い浮かべる。
なかなかの美人ではあるが、180センチの垣根以上の長身かつ筋肉質であり、能力抜き戦えば瞬時にボコボコにされることはまず間違いないだろう。

垣根「つーか俺、女装して興奮する性癖無いし。お前が女装してるの見たら興奮するけど」

一方「黙れ変態。変態。ド変態が」

垣根「俺さ、元々女が好きだって言っただろ。つまり女と一方通行のコラボ……百合子こそ最強なんだよ」

一方「何言ってンのかさっぱり分からねェっつかキモイ」

垣根「何でわかんねえんだよ!! 俺のこと全部わかれよッ!

    お前は俺の物だろうが! ならわかれ! 言われなくても理解しろよ!!
    俺はお前以外の奴なんてどうでもいいのになんでお前はわかってくれねえんだよ!!」

一方「唐突にヤンデレるな」

垣根「悪い。お前が可愛すぎてつい、不安になっちまった(いい声)」

一方「なにオマエ、普段以上におかし……いや平常運行だな」

垣根「普段はイケメン科王子属クール系男子だろうが。いい加減にしろ」

一方「かませ科チンピラ属ジャイアン系男子の間違いだろ」

垣根「残念だが今のお前、何言っても可愛いぞ。
    そうだ、折角女装してんだからカップル限定メニュー頼もうぜ」

垣根が指していたのは一件の喫茶店だ。
木枠の窓がこの街においては印象的で、窓枠に色とりどりの花の咲いた鉢植えが飾られている。
出入り口には蔦が絡んでおり、メルヘンチックな雰囲気を醸し出していた。
入口付近の看板にカップル限定スペシャルパフェ、と書かれている。

一方「……似合わないにも程があンだろ。キモいわオマエ」

垣根「似合う似合わないじゃねえ、メニューが旨いかどうかだ。

    前に同僚……同じバイト先のって意味な、の男と行ったらご友人同士はちょっと、とか断られたんだよ。
    俺達は男同士で愛し合ってるんだ! って言ったら同僚に逃げられた」

一方「オマエの同僚可哀想にな」

垣根「女の同僚に頼んだら『死ね』の一言で斬られたし、一度も食ったことないんだよな」

一方「俺がパフェとか食うタマに見えるか?」

垣根「実は意外と甘党ってギャップ萌え要素ねえの?」

一方「無い。コーヒーにシロップやらミルクを入れることはあるが、好き好んでパフェみてェなクソ甘ェもンは食わねェよ」

垣根「お前人生損してるわー。甘い物嫌いな俺格好良いとか思ってんのかよ。
    痛ましいわー。胸も板ましい」

一方「膨れてたら気持ち悪ィだろ」

垣根「ふたなりってのもいいんじゃねえ?
    気付いたら何かの物質によって膨れてるかもな……お前の胸」

一方「……」

一方通行は垣根の能力の恐ろしさの詳細はまだ知らない。
だがその時、言い知れぬ恐怖が一方通行を襲った。

垣根「ま、パフェは俺一人で食うからお前はコーヒーでも飲みまくってな。
    けどコーヒーには利尿作用があるから節度を持たないと、」

一方「うるっせェクソボケ黙れェ! 行くならさっさとしやがれ!
    どォせ俺に拒否権なンざねェだろォが!!」

垣根「その通りだ。百合子は賢いなー」

一方通行の頭を撫で、片手では一方通行の手を握っては両方弾き飛ばされても気にせず、意気揚々と垣根は喫茶店に入るのだった。


 

 
喫茶店の中はやはり人が少ない。
数人の客もゆっくりと午後のひとときを楽しんでおり、店内は全体的に静かな雰囲気だった。

垣根「おい百合子。低い声出して騒ぐなよ。それか声変えろ」

一方「じゃあ話しかけるな」

垣根「声で話しかける代わりに肉体言語という名のセクハラがお前を襲うがいいか?」

店員「あの……お二人さまでよろしいですか?」

垣根「はい。いちゃいちゃラブカップル用の席で」

店員「そんなん無いです。お好きな席へどうぞ」

垣根「じゃあ既に誰か座ってる席強奪していいんですか?」

一方「おい黙れや」

垣根「引っ張るなって」

一方通行に引きずられて店の奥の方の席へと座らされる垣根はまず適当にメニューを眺める。
注文の品は既に決まっていたが、一応のチェックだ。

特に気になるメニューはなかったが、ふと口にする。

垣根「なあ、百合子たン」

一方「絶命しろ。なンだよ」

垣根「カップル限定メニューって何でカップル限定なんだ?」

一方「小学生並みの質問だな」

垣根「やっぱアレか?

    カップル限定っつっとけばクソアベック共が優越感覚えながら注文するから売上が上がるのか?
    死ねばいいのに」

一方「……くっだらねェ」

呆れ切った声を出しながらも一方通行は僅かに笑っている。
下らなすぎて逆に笑えたのだろうか。

垣根「お前が笑ってんの今日初めて見たかも」

一方「笑えねェ状況に追い込ンだのは誰だ?」

垣根「運命の神じゃないかな」

一方「オマエだァ!」

垣根「俺が神だと? いくら俺が眉目秀麗にして博学多才な完璧超人だからってそこまで」

一方「そっちじゃねェ。俺を笑えねェ状況に追い込ンだ輩がオマエだってンだよ」

垣根「え?何?聞こえない。
    注文どうする?」

一方「普通のコーヒーでイイっつの」

垣根「たまには違うもん飲め。スピリタスとか」

一方「酔い潰してどォするつもりだ?」

垣根「犯す」

一方「殺す」

物騒な発言をしながら店員を呼び出すための呼び鈴を鳴らす。
すぐに店員が来て、オーダーをとっていった。
もちろんスピリタスなどは注文せず、一方通行の注文はコーヒーのみだ。

垣根「そういやお前、昼食は食べてんのかよ」

一方「コンビニで肉買ったからいいだろ」

垣根「店員さーん、セロリたっぷり自家製サンドイッチ一つお願いしますぅー」

厨房の方から『かしこまり!』という声が返ってきたので多分問題あるまい。

一方「別に食わなくてもいいっつの。俺はその気になれば土から栄養分抽出することすら出来るンだぞ」

垣根「出来てもやらなきゃ意味ねえだろ。
    やっぱお前の食生活心配だな。なんなら俺と同居するか?」

一方「あァ……」

一方「いや、なンでだよ」

垣根「お前監視しとかなきゃろくなもん食べそうにないし。
    同居、……いいかもな、コレ。お前の家めちゃくちゃだったし」

一方通行の家は幾度とないスキルアウトからの襲撃により世紀末と化している。
家具もめちゃくちゃになっていた。
ヒャッハー系のモヒカンが潜んでいそうな部屋でまともな生活など送れそうもない。
垣根としても一方通行を手元に置いておく方が計画にとって有益なのは まず考えるまでもない。
一方通行に見られて困るようなものもアジトにしか置いていない。
学園都市の各地に点在する垣根の自宅の一つに一方通行と同居するのは悪くない選択肢だ。

一方「なァ、本気じゃねェよな?」

垣根「俺はいつでも本気に生きてる。なあ、一緒に暮らそうぜ。
    この学区にある俺の家はセキュリティちゃんとしてるからもう襲撃なんてされねえよ」

一方「いいっつの。気の休まる場がねェ」

垣根「安心しろ、俺は普段そんなに暇じゃねえ。
    仕事して帰った家に愛しい妻が手料理並べて待ってるなんて素晴らしいな……」

一方「おい、妻ってなンだ」

垣根「『フロかメシか、それとも俺かァ?』って玄関で出迎えてくれよ。
    男の夢を叶えてくれるだろ? お前なら」

話が勝手に進められていく。
あまりの速さに一方通行の頭がついていかない。

一方「……恐ろしい程の妄想力にドン引きするのは置いとくにしても、オマエの中の俺はどンな奴なンだ?」

垣根「淫乱」

一方「殺すぞ」

垣根「同居しても別にデメリットねえだろ。
    名前が鈴科百合子から垣根百合子になる程度の変化だ。受け入れろ」

一方「入籍前提!? つゥか鈴科百合子って誰だ!」

垣根「お前のこと。なんかそれっぽいじゃん。

    で、同居だな。空き部屋は三つくらいあんだけどベッドなんかはねえし、買いに行くか。
    俺と一緒に寝るってんなら問題ねえがさすがに毎晩ってのは身体がキツイだろ」

一方(何から何までまるで意味が分からねェ……本当に分からねェ……)

呆然としていた一方通行だが、ふと耳にしたのは、拍手の音だった。
その音のした方に目を向ければ、祝福するような顔で手を叩く幼女だった。
他の客の連れ子らしい。

一方「え、なン、……え、」

幼女「お兄ちゃんとお姉ちゃん、一緒に暮らすってことは結婚するんでしょ?
    おめでとー」

垣根「そうだよー幼女ちゃん。お兄ちゃんとこのセーラー戦士百合子ちゃんは結婚するんだよー」

一方「待て待て待て待て待て……適当こくンじゃねェぞ垣根ェ!!」

色々な意味で顔を赤くして怒鳴る一方通行の耳をグイ、と引っ張り、テーブル越しに垣根は耳打ちする。

垣根(幼女の顔を見ろ。もう夢見る乙女の顔してるぞ。あのガキの夢を守ってやれよ)

一方(オマエがホラ吹いたのが悪ィンだろォが……)

不穏な空気に気付いた幼女は不安げな顔をする。

幼女「結婚、しないの?」

しないと言いたい。
言いたいが、

一方通行は、本当に幼女に弱かった。

一方「あ、ァ……す、るかも……しれねェ……」

顔面筋を硬直させそうになりながら喉から声を搾り出す。
だがそれは軽い口調で言うよりも遥かに信憑性があった。

へぇー、本当にするんだ。
そんな顔で見やってくる幼女の他の客。

急激に一方通行の頭部に血がせり上がってくる。
垣根も一方通行も男だ。結婚なんて少なくともこの国ではできない。
結婚などと言うのは当然にふざけた冗談に過ぎない。
しかしそれにつけてもなぜか無性に恥ずかしくなった。

逃げたい。
そんな今すぐここから逃げ出したい衝動に駆られる一方通行。

なおも幼女の攻撃は続く。

幼女「結婚したら何するの?」

結婚ってったらそりゃナニだろ……とは一方通行は言えない。
だが、垣根ははっきりと通る声で言い放つ。

垣根「子作りかな」

一方「ゲホッゲホッ」

コーヒーが噎せて涙目になった一方通行はちらりと他の客の様子を伺う。
学生同士の下世話な話に興味津々といった顔である。
このガキの保護者いるんだろ、止めろよ……。
一方通行は既に祈るような気持ちだった。
さっきまでの静かで穏やかな雰囲気はどこへ行った。

幼女「子供ってどうやってできるの?」

垣根「赤ちゃんの部屋に赤ちゃんの元を注入する感じ」

幼女「赤ちゃんの部屋? 注入ってことは、お注射するの?」

垣根「女の子のお腹には子宮っていう器官があるんだよ。
    そこに男の子の股間の注射器で精子っていうお薬を」

一方「垣根ェェェ!!」

幼女「??
    お兄ちゃんと百合子ちゃんはもう『子作り』した?」

垣根「うん、毎日し」

一方「まだしてねェ!! 垣根オマエもォマジで殺すぞ!!」

垣根「『まだ』ってことはやっぱなんだかんだでお前も乗り気なんだな。
    いっぱい気持ちよくしてやるから期待してろよ」

一方「……! く……」

まだしてないんだ。
まだなんだー。

そんな幻聴が一方通行を襲う。
一方通行は本日垣根にあってからというものほとんど続けざまに自慰告白、尿失禁、女装と羞恥心を激しく刺激する事態の主体となっていた。
そろそろ限界だ。

混沌とした空間に、店員が注文メニューを一気に持ってやってくる。
それで少しばかり心の平静を取り戻す一方通行だが、淡々とメニューを置き終え、

「避妊は……大事ですよ」

店員は小声で呟いた。
俺は男だァ!等と一方通行に言う気力は既に無かった。
そもそもそうすることで事態が好転するとも思えなかった。

このように人は諦め、挫折し、腐った大人に育っていくのである。

次回に続くェ

乙乙、百合子はカワイイなぁまったく!


二人の掛け合いにニヤケが止まりません
百合子たん可愛い


面白すぎるww


すごく楽しい
幼女に弱い百合子かわいい


今回百合子(♂)の可愛さよりも逆攻略されとる垣根に笑うww
利用だノンケだ宣っても着実に自分で外堀埋めてるよていとくん!

胃腸炎や嘔吐下痢症に注意
投下

―――外

垣根「はぁ……パフェ美味かった。次は運動がしたくなるなぁ百合子」

一方「俺は寝たい」

ボヤく一方通行の顔には疲労の色が濃い。身体的なものではなく、精神的な疲労だ。
垣根が目の前で呑気にパフェを食い、平然と愛の言葉や下ネタを飛ばしてくる間にも一方通行の精神は蝕まれていた。
羞恥という感情に。
そんな一方通行を慮る気はない垣根だった。

垣根「寝たい?ちょうどいいな。
    運動と寝るのをちょうど一挙に可能な双方得する行為があるわけだが―――」

一方「永眠しろ」

垣根「死ぬなら腹上死一択だ。セックスしすぎのテクノブレイクで死ぬのが目標。

    でよ、今日から俺の家で暮らすんだし何か欲しいもんあるか?
    お前の家に何かあるなら取りに行くぞ」

一方「……誰がオマエと暮らすかっつの」

垣根「お前さっき幼女に俺と結婚するって言っただろ。
    同居を前提とした結婚をするのかという幼女の質問にはいと言ったわけだから……」

一方「面倒臭すぎンだろコイツ……。」

垣根の前で迂闊な言動を取るのは要注意。改めてそう思う一方通行だった。
とはいえ、どうせこうなるのだろうとは思っていたのだが。

垣根「家具はもう携帯で注文しといたから安心しろ。
    黒を基調としたシックなデザインのやつ」

一方「いつの間に……?」

しばらくの間携帯で何かを操作していたのは一方通行も見ていたが、メールを多少やりとりしているのだとばかり思っていた。
そこで、一方通行は悔しさに呻く。

一方「ありえねェ勘違いだった……。
    こいつにメールの相手なンざいねェってことくらい容易に想像がつくってのに」

垣根「怒るぞコラ。いるし……メールの相手くらい」

一方「出会い系で会ったオッサンか? もしくはオンラインゲームでネナベやってるオッサンか」

垣根「どんだけオッサン推しなんだお前。

    そういや自称何かの『なり損ない』のオッさんってハンドルネームの奴とオンゲで狩りに行ったことがある。
    平日昼間から狩りに勤しむオッサンって何なんだろうな……超強かった」

一方「社会人の『なり損ない』ってンじゃねェか?」

垣根「お前にオッさんの何がわかるんだ!? 夜勤なだけかもしれねえじゃん!
    時差がある場所にいるだけかもしれねえし!」

一方「オマエこそ何を知ってるンだよ」

垣根「博愛的で頭がキレて三角木馬に乗るのが趣味ってことは知ってる」

ガチでヤバイ奴なのかもしれねェ……
と、一方通行が垣根の交友関係への疑惑を深めたあたりで、垣根は足を止める。

垣根「百合子、CDショップ寄ろうぜ」

一方「は? なンでだよ」

垣根「お前の部屋に割れたCDが落ちてたの見たから。買い直したいだろ?」

一方「……いい」

垣根「なんでだ? 金の心配はいらねえぞ」

一方「部屋にバカ共が襲撃が来るの知った上で買ってたからな。
    いちいち頓着してねェンだよ」

諦め切った顔でなんでもないことのように一方通行は言う。
なぜコイツは自分の状況に何の対処もしないのだろうか、と垣根の頭には疑問しか湧かない。

垣根「めんどくさいのか?」

一方「何がだ」

垣根「自分を取り巻く環境を変えるのがだよ。
    何もしなきゃ何も変わらねえぞ」

一方「あいつら俺の反射で勝手に自滅していくってのに一向に減らねェバカなンだから仕方ねェだろ」

垣根「自分で動くのが面倒なら警備員に相談すりゃいいだろ」

一方「うるせェ。オマエに何が分かる」

垣根「まさか襲撃なんて形でも構ってもらえて喜んでんの? マゾかテメェは」

一方「変態のオマエと一緒にすンなや」

垣根「しかしあながち……」

人間は元来他者との接触を求める生物だ。
他人に忌避され続けた一方通行はひょっとすると本当に、襲撃などという形でも他人が自らの意思で接触を計りに来るのに内心のどこかで喜んでいたのでは。
半ば本気で考える垣根であった。
だが、仮にそうであったとしてもそれはもう終わりだ。

垣根「これからは俺が胸焼けするほどお前に過干渉してやる。
    だからそんな歪な満たされ方は出来ねえぞ。ざまあ見ろ」

一方「……鬱陶しい事この上ねェってのには相違ねェな」

垣根「ツンばっかだなお前。デレはまだかよ」

うんざりしたような表情を浮かべる一方通行の手を握り、垣根はCDショップへと足を踏み入れた。

CDショップ内はやはり人影はまばらだ。
というか、垣根と一方通行以外には二人ほどしかいないように見えた。

垣根「このCDショップ、全曲視聴可なんだよ。
    去年は半日入り浸ってただけでつまみ出されたけどな」

一方「まァ限度ってもンがあンだろ」

垣根「つーかアレか。

    お菓子と飲み物持ち込んで曲聴いてたせいかね。
    床にシェイクこぼした時に店員にバレた」

一方「……店員に顔見られただけでまたつまみ出されンじゃねェ?」

垣根「そん時はCD買い占めてやったから大丈夫だ。
    半分くらいはヤフオクで転売したけど、メンドくなってあと半分はアジトに保管してる」

一方「アジト?」

垣根「あっ! いや、部室のことだ。俺高校でSOS団って部で活動してるから」

一方「思いっきりパクリじゃねェか」

垣根「たまたま似ただけだ。
    こっちは世界を大いに盛り上げるためのスクールの団の略だ」

一方「完全にパクリじゃねェか」

垣根「いやあっちがパクったから。万物万事は俺が起源だよ」

そんな馬鹿らしいことを言いながら適当に目に付いたCDをカゴに入れる垣根。
気がつけばカゴの中にはいくつものCDが積み上げられていた。

一方「俺はそンなCD持ってなかった」

垣根「割られたCDは3枚くらいしか見てないし、どれをもともと持ってたかをお前が言うとは思えないからその3枚と似た雰囲気のやつ選んどいた」

一方「想像以上にアバウトだなオイ」

垣根「あとはアジトに置いてるCD数千枚持ってくるんでそこからほじれ」

一方「面倒すぎンだろ……マジで」

商品が整然と並べられたこの店で失った分を探したほうが遥かに楽だろう。
そもそも、その数千枚の中にかつて一方通行が買った分が入っている確証などない。

一方「昔買った分はここで探す。だから数千枚も持ってくンな」

垣根「あ、買うの? そりゃよかった。けど一応持ってきとくわ。
    生きる楽しみの無さそうな哀れな一方通行の趣味の幅を広げるためにもな」

持ってくるのはともかくとしてどこにどのように保管する気なのだろう、とは一方通行は思っても言わなかった。
迂闊に発言すれば保管用の棚を買われた挙句に順に並べろ、あるいは一緒に並べよ(はあと)等と面倒なことを言われかねない。

……そんな一方通行の不安は結局口に出すかどうかは関係無しに後に実現するのだった。

十数枚のCDを買い、店を出た頃には既に15時を15分ほど過ぎていた。

一方「おい……とっとと着替えさせろ」

垣根の持つ服屋―――というかコスプレショップの袋を一方通行はジッと見つめる。
その紙袋の中には一方通行が元々来ていた服が入っていたのだ。

垣根「似合ってんだからそのままでいいじゃん」

一方「そォいう問題じゃねェだろォが!
    常識のねェオマエにゃ理解できねェだろォが、男が女の格好すンのは非常識なンだよ」

垣根「だからこそ背徳的でそそるんだろうが。馬鹿か」

一方「……。冷静に考えろ。たまに女装するからいいと思うンだよ。
    日常的に女の格好させてもありがたみが薄れると思わねェか?」

垣根「その格好がデフォルトになっても俺は嬉しいぞ」

一方(搦手でも駄目か……)

舌打ちをする一方通行は、早めに授業を終了させた一部の学校に通う学生を睨むような目を向けた。

序列第三位こと超電磁砲の御坂美琴とは違い、他の超能力者は一般人にさほどその姿を知られているわけではない。
序列第一位の一方通行とてスキルアウト等にはそれなりに知られているものの、そこらの学生が顔を見てすぐに第一位だとはわからない。
そもそも、有名人である御坂美琴でさえも通りを普通に歩いている限りには特別注目されるわけではない。
実際のところ人間というのは他人にそれほどの関心を持つ生き物ではないのだ。
が、やはり一方通行は周囲の目を気にしている。
『最強の超能力者一方通行は女装をして興奮するド変態のメスホモ』
等と噂にされるかもしれないのは恐怖以外の何物でもなかった。

そんな一方通行の様子を眺めてほくそ笑む垣根に気付き、一方通行は思い切り垣根の足を踏みつけた。
能力を使わないならば単なるモヤシの申し子、一方通行の攻撃などさして痛くはない。

垣根「暴力ヒロインは最近バッシング受けやすいからやめとけ」

一方「俺は男だクソが」

垣根「黙っときゃ変な目で見られないのに男主張するのは明らかに自爆行為だよってカキネはカキネは指摘してみる」

一方「オマエがその口調使うと本気の殺意が胸の内からこんこんと湧き出してくるのはなンでだろォな……」

垣根「ごめんねだぜ! ってカキネはカキネは嬉々として火に油を注いでみたり!」

苛立ちながら再度垣根に攻撃を加える一方通行。
白髪ショートのセーラー服の人物と明るい茶髪の制服もどきの人物の戯れは傍から見ればバカップルのように周囲には見えていたのだった。
そんな男女のバカップルと見せかけて実態はホモガキ共のうちの一人はあることを思い出す。

垣根「あー、そうだ。今から行く家、食い物一つ置いてないから買いに行くか。
    冷蔵庫には目薬とカラシしか入ってない」

一方「目薬とカラシは入ってンのかよ……」

電力の無駄である。

垣根「今日の夕飯は何がいい?」

一方「オマエ料理なンか出来ンのかよ」

垣根「出来るぜ。殆どやったことねえけど、一回適当に作ったカレーは凄かったぞ。
    食わせた同僚共々気がついたら病院にいたからな」

一方「作れねェンじゃねェか!」

垣根「あれは悪ふざけでダークな物質的なものを入れたせいだ。
    普通に作れば超美味かったぜ。卵かけご飯」

一方「それは料理じゃねェだろ」

垣根「クックパッドにみかん積み上げたものが料理として載る時代だぜ。卵かけご飯はれっきとした料理だ。

    つーのは冗談だが普通の料理なら多分それなりに作れる。一応レシピ覚えてるからな。
    だが、今日調理すんのはお前だ。何の心配もいらねえよ」

一方「ならい……よくねェ!」

一方「料理なンざしたことねェし今後ともやる気は無い。
    食い物なンざ出来合いのもンで十分だろォが」

垣根「バッカ、お前の能力使えば調理くらい余裕だろ。したことないなら手伝うからやれ」

一方「イヤだ」

垣根「やれ」

一方「イヤだ」

垣根「やれ」

一方「イヤだ」

垣根「やれ」

一方「イヤだ」

垣根「やれ」

一方「イヤだ」

垣根「やれ」

一方「イヤだ。……いいえループかよ!?」

垣根「テメェがはいと言うまでループする。
    選べ。長い時間をかけてゆっくりと干からびていくか、ここで折れるか……」

一方「……オマエならガチで永遠にループさせそうで嫌気が差すな」

垣根「はい折れたー。さあ買い出しに行こう。ちょうど近くにスーパーあんだし」

垣根はごく一般的なスーパーを見る。
高級食材、ゲテモノ料理、ダークな物質、そんなものからは縁遠いだろう健全にして庶民的な食品スーパー。

一方「オマエにスーパーとか超似合わねェな」

垣根「スーパーだけに超、ってか。意外と下らないこと言うよなお前。
    じゃ、行こうぜ。ギャグセンスはレベル0の超下らない超能力者の百合子っち」



スーパーとは、正式名称をスーパーマーケットという。
従来の伝統的市場を超える店、といった意味合いの造語である通り、幅広い種類の商品を取り扱うのがスーパーだ。
学園都市においてもまた例に違わず様々な商品を取り扱っているのだが、学園都市の外部から見れば一風変わった商品もまた数多く並んでいるのだった。

垣根「見ろ、百合にゃん」

一方「張っ倒すぞ。なンだよ」

垣根「人肉っぽいものが売られてる」

一方「……」

科学が倫理の壁を突き崩す! リアルな人肉の味をご家庭に!
人肉と近い風味の豚肉を品種改良でさらに本物に近づけました!
科学的検証によるとシンクロ率99.89%―――

などというポップアップが『人肉もどき』という極めて怪しい商品名の上に貼り付けられていた。

垣根「買う? お前肉好きだから人肉の味とか気になるだろ」

一方「気にならねェことも無いが怪しすぎンだろ……」

誰が買うんだよこんなもん。
一方通行がそう思いながら商品を見ていると、ごく一般的な学生が『人肉もどき』をなんでもない事のように平然と買い物かごに入れていった。

一方「深いな……この街の闇は」

こんな街中の表の世界まで狂気は静かに侵食していたらしい。
目を細める一方通行だった。

垣根「献立どうするよ。猿脳とか虎の陰茎のスープとかはさすがに駄目だぞ。そこらに食材売ってないから。
    ……猿なら研究所に忍び込めば捉えられそうだが」

一方「ンなもン食うか。俺を何だと思ってやがる」

垣根「淫乱発情メス猫チンポ……あっ ケツマンコだったな失敬」

一方「オーケェ、今からオマエの家瓦礫の山に変えてくるわ」

垣根「待て。虎の陰茎のスープは精力増強効果があるって話だ。飲んでみたいだろ?
    猿脳はなんと生きた猿の頭蓋を割り脳をスプーンで」

一方「分かった。瓦礫にする」

垣根「どちらも中国の伝統料理だ。
    それを食したいと思うのは普通だろうに、何をカッカしてやがる」

一方「明らかに普通じゃねェからな?」

垣根「じゃあ何作るんだ?」

一方「肉」

垣根「肉を作る? 太るってことか? それとも子作りしてその赤子を……。

    誘ってるんだな、分かった。だが、自分の子供を食うのはさすがに引くな。サトゥルヌスかテメェは。
    んなことしても神にはなれねーぞ。まったく、末恐ろしい奴だよお前は」

一方「お前の発想が恐ろしいわ」

自分だけの現実がどこに宿るかを調べるために人の脳をクリスマスケーキのように切り分ける実験等が学園都市の裏では平然と行われているのは知っている。
垣根のみならず一方通行も今更エグい料理程度でどうこう言える程清らかな人間ではないのだが、それでもあえて食べようとは思わない。

垣根「じゃ、カレーでも作るか?」

一方「突然まともになったな」

垣根「カレーのスパイスによく使われてるカルダモンには精力増進効果が」

一方「食欲がなくなる事を付け加えるな」

他に候補もないので本日はカレーということでひとまず決まる。
さて、カレーの材料だ。
一般的にはカレー粉、牛肉もしくは豚肉、あるいは鶏肉、人参、じゃがいも、玉ねぎといったところだが。

垣根「肉はどうすっかなー。さっきの人肉もどき使ってヒトカレーでも作るか」

一方「やめろ。普通でいい」

垣根「普通ってどんなだよ。いいか、普通ってのは限りなく曖昧な言葉なんだ」

一方(また下らねェことほざきだした)

垣根「世間一般的な普通や常識ってもんの基準は個人の意識の集合体の中でより多数にとって納得のいく物や理屈かどうかだ。

    しかし個人という単位で見るには結局のところ普通かどうかを決めるのは事象の観測者本人に過ぎねえ。
    赤信号で前進するのは普通じゃない、と世間一般的には思われている。
    それに対し、赤信号で前進しないのが異常だと思う奴がいるとする。
    そいつに赤信号を前にした際の普通の反応は何だと聞いてみればそいつの答えは前に進む、となるわけだ。
    一言でまとめるとテメェがどんなカレーを食いてえのかをはっきり言えっつーことだよ」

一方「お前のその無意味な口数の多さはいつか災いを招くだろォな。
    世間一般の基準で言う普通のカレーって意味で言ってンだよ理解しろ人格破綻者」

垣根「人格破綻者の代名詞のお前の言う普通ってんなら何かとてつもなく禍々しいものかと思ったわ」

一方「オマエと一緒にすンじゃねェ!」

垣根「世間一般的なカレーか。刻んだレタス、ピーマン、生姜、アスパラ、レーズン、オージービーフを鍋の中で炒め、

    材料にある程度火が通ったら水を投入、沸騰したらヤドクガエルの干物と高野豆腐を加え
    とろ火で10分熱した後にシチュールウとフグ刺しを入れて完成、ってやつだな」

一方「シチューのルウ入れた時点でシチューだろ」

垣根「お前のシチューにはヤドクガエルが入ってんのかよ……引くわぁ」

一方「入れねェのか?」キョトーン

垣根「!?

    まあシチューには何入れてもいいと思うが少なくともこの国で言う普通からはかけ離れてるぜ。
    お前頭おかしいわ、やっぱり」

一方「何本気で狼狽してンだ? 冗談に決まってンだろバカが」

垣根「お前が言うと冗談に聞こえなくて怖えんだよ」

一方「……」


ぐゆ、という鈍い音が垣根の腹部から発生したのはその一瞬後のことだった。


―――

カレーの材料である牛肉、人参、玉ねぎ、じゃがいも、カレールウ、牛乳の他にも様々な食品を買い、スーパーを後にしたホモガキ二人組が次に向かったのは垣根の家だった。
抵抗したところでどうにもならないとその時には既に一方通行は理解していた。
意外と順応性が高いのが一方通行の長所である。

垣根が今回一方通行を連れ込むと決めた部屋は高級住宅街の一室だ。
マンションは入口から既にどこか高級感が漂っている。

垣根「強能力者クラスでも破れないセキュリティシステムが導入されたマンションはそれなりにあるが、

    ここはセキュリティの硬さが売りなんで大能力者でも結構な上位じゃなきゃ突破不能だ。
    ベランダから侵入しない限りそこらのバカはまず入ってこれねえようになってんだよ。
    窓やそこの自動ドアみたいなガラスも強化ガラスだしな」

一方「本気で侵入しようと思えば出来ねェ事も無さそうだが」

垣根「お前に絡んでくるスキルアウト風情には十分だと思うぞ。
    妙な道具や手法で侵入、突破しようとする輩がいれば警備員に通報が行くシステムになってるし」

一方通行を付け狙ってくる連中は見かけ次第恫喝、暴行して二度と馬鹿な気が起こらないようにしてやればいいだろう。
というか、学園都市最強の能力者と銘打たれるやつになぜここまで尽くしてやらねばならないのかと若干疑問に思い始める垣根だった。

垣根「まあその分は体で尽くせよ、百合子」

一方「意味が分からねェ。勝手に自己完結してンじゃねェよ」

垣根「で、鍵だな。アナログ式の鍵は無い。

    そこの部屋番号打つためのボタン横の液晶に手のひらをかざして静脈認証に成功したらマンション内部に入れるんだ。
    各部屋の前には網膜認証システムがあってそれが部屋の鍵になってる。中からは自由に開けられるけどな」

一方通行はまだ登録をしていないので一人で出入りすることはできないのだが、すぐにそれは解決することだ。

一方「……オマエ慎重すぎンだろ。ただの学生が暮らすにゃ過ぎる」

垣根「適当に借りた部屋がこんなシステムだっただけだ。
    こんないたいけな女の子に乱暴しようとする狼どもが弾けるんだし、結果的に良かった」

そう言いながら垣根は静脈認証システムに向かって手をかざす。
すぐに機械的な音を立て、ガラスの扉が開いた。
その様子を見つめていた一方通行は遅れてつっこんだ。

一方「誰が女だ!?」

垣根「ああ、そういやお前男だったな。俺の中のお前、だんだん性別が曖昧になってきたわ」

一方「だったらさっさとこれ脱がせろや!」

シワになるのなど構わず一方通行は自身の身を包むセーラー服を掴む。

垣根「俺は別にお前の性別が曖昧になっても問題ない。どっちだろうがヤることは変わらないからな。

    まあ女だったら中出し三昧で三日と経たずに受精させてやることも出来るわけだが。
    いや、男でもこの街においてはそれも不可能では―――」

一方「俺やっぱ元の場所に帰」

垣根「可哀想に。このままでは一方通行が糞塗れな映像が北は北海道超えて北極圏。
    南は沖縄どころか南極に至るまでの世界中にばら撒かれてしまう」

一方「バラ撒くのはオマエだろうがァ!」

ここまで自分の足で歩いてきた時点で一方通行に逃げ場などとっくに無くなっていた。
人生はいつだって一方通行。引き返しは禁止とな。
とかく、喚きながらも一方通行はマンションの最上階である10階の垣根の部屋へとホイホイと連れ込まれるに至る。

網膜認証をパスした垣根に誘われ、悪魔の巣穴―――否、垣根の部屋へと一方通行は入った。

垣根「廊下の突き当たりの正面が俺の部屋、左の扉がリビング行きな。
    夜這いするとき間違えんなよ」

一方「しねェから安心しやがれ」

垣根「でリビングの逆……右に曲がって突き当りの正面が便所、左右の扉は空き部屋に繋がってんだよ。
   便所までの通路横の扉が洗面所や風呂への入口だ」

リビング行きの扉を開くと、使っている形跡のないキッチンがあった。
垣根が先に進み、ベランダへと繋がる大窓を覆う茶色のカーテンを開ける。
薄暗かった部屋に光が満ちた。
大きな薄型テレビとソファは黒く、テーブルと椅子、ディスプレイラックはダークブラウンだ。
家具はどれも黒系統のものでまとめられている。
白い壁には染み一つなく、麦色のフローリングには埃一つ落ちてはいない。
綺麗に並べられた家具と清潔さ、部屋の広さが合わさり、まるで生活感が無い。
モデルルームといった風情だ。

垣根「んー、久々にここに来たけどやっぱ殺風景だな。
    壁にアニメキャラのタペストリーでも掛けるか」

一方「久々に来たって割には埃すら落ちてねェが」

言いながら一方通行はソファにどかりと大股開きに腰を下ろす。
ミニスカートであるため、座る瞬間男物の下着がちらりとその姿を見せた。

垣根「ゆりりんのパンチラゲーット。

    埃が無いのは自動空調システムで勝手に空気清浄されるからだな。
    あとまだ説明してないのは―――そうそう、キッチンの後ろのドアの無効も空き部屋だ」

一方「マジで無駄な部屋多いな」

垣根「友達とか泊めてもいいぞ。おっと悪い、無理なこと言って」アチャー

一方「クッソウゼェ。ならオマエはあんのかよ」

垣根「この家は滅多に来ないし……」

一方「ほォ。なら他の家にならあンのか?」

無い。
と言いそうになり、垣根は思い返す。
垣根は帰宅が面倒になってアジトに泊まることがそれなりに多い。
風呂や仮眠室といった設備があるのだからそれでも何ら問題はないのだ。
ならばアジトが自宅の一種といってもいいはずだ。
そして、その家に他の仲間が泊まることも時折あるのだ。つまり、

垣根「ある。普通に何度もあるって。俺はリア充なんだからよ」

一方「オマエの友人ってのがどンな奴なのか本気で気になるわ。
    海よりも広大な心を持ってンだろォな」

垣根「喜びやがれ哀れな一方通行。
    俺はお前の恋人であると共に家族であり友人でもある。だからお前の友達は0じゃない。1だ」

一方「どれにも該当してねェ気がするがな」

いずれにも該当しないとすればどんな関係なのかすら言い表しにくい関係であるが。
強いて言えばいじめっ子といじめられっ子かもしれない。

垣根「エロい事したし同居も始めたし一緒に遊びに行った。なら一応全部要件満たしてるだろ」

恋人、家族、友人。
恋人はともかく、後の二つは覚えがあるはずの物だがどちらもとっくに失っている。
その穴を埋めるのがこんな男か、と自嘲気味に垣根を見やる一方通行だった。

垣根「何、まだ足りないのか?
    同級生になりたいってんならお前のところに無理やり転入してみるか、お前が俺のところに入るかのどっちかだな」

一方「元々学校に行ってねェし行く気もねェって言ったろ」

通うメリットがないのに規則に縛られるのはごめんだと言わんばかりに一方通行はソファに寄りかかり、目を閉じた。
大窓から降り注ぐ光が一方通行を照らしている。
その様子を垣根が見つめた。
真っ白な睫毛がきらきらと光っている。霜雪が日差しを照り返す様を思わせた。
脱力して座っていると本当に作り物のように見える。
しかしゆっくりと上下する胸、少しばかり赤らんでいる頬、僅かに開いた瑞々しい唇が生物であることを証明し。

ごく近い距離で赤い瞳が開かれる。

一方「……離れろ」

垣根「あれ? お前いつの間に俺に近づいたんだよ。
    チューしたくなったのか?」

一方「近づいたのはオマエだ!」

一方通行の言うとおり、動いていたのは垣根だった。
不思議不可思議摩訶不思議。

一方通行は油断も隙も無い、とにじにじと垣根から距離を取る。

一方「俺はこンな所で暮らさなきゃならねェのか……恐ろしい程に貞操の危機を感じる」

垣根「予言する。お前は三日……いや二日以内に貞操を失う」

一方「それは俺が童貞を」

垣根「処女を奪われるって意味だ」

一方通行の反射への対抗に特化した代理演算システムであれば、さほどかからずに完成する。
そうなれば一方通行の反射は貫き放題、下の口の突貫工事もめでたく終了だ。

垣根はぼすりと音を立ててソファに座り、端正な顔に優しげな笑みを貼り付けたまま馴れ馴れしく一方通行の腰に手を回す。
密着した状態でさらさらとした柔らかい白髪に頬ずりをすると、垣根を引き剥がすべく一方通行が抵抗したが、受け入れとも諦めとも言える力のない抵抗だった。
引き剥がしたところでどうせ何度も張り付いてくるのだとっくに理解しているのだ。
溜息を吐き、ソファの縁に置かれていたリモコンを使い、一方通行は正面のテレビを付けるのだった。




 

大して面白くもないテレビを漫然と眺めたり、うっかり体に馴染みだしていたセーラー服を一方通行がいそいそと脱いだり、それを垣根が阻んでみたりとしている間に、二時間以上経過していた。

垣根「なあ、一方通行」

一方「ンだよ」

垣根「お腹すいた」

ぐぅー、とわざとらしく垣根は腹を鳴らす。
能力でも使っているのか妙にアニメっぽい腹の鳴り方だ。

一方「自分の指でも食ってろ」

垣根「お前と一緒にすんじゃねえ」

一方「食うかクソが。腹減ったンなら自分で作ればいいだろォが。俺に訴えンな」

垣根「一緒にカレー作ろうねって材料買ったのにそれはないわー。
    エプロン装備の家庭的一方通行推進大作戦の第一歩をさあ踏み出そう」

一方「怠い。……まァこのブレーキ壊れた暴走特急みてェな変態が聞くわきゃねェな」

おお煩わしい。
この上なく気怠げに呟く一方通行だが、仕方なしに、本当に仕方なしにといった具合に立ち上がり、垣根に引っ張られるがままにキッチンへと向かった。

垣根「ほい、エプロン」

一方「……」

買い物袋から取り出したエプロンを一方通行に渡す垣根。
そんなもんいつの間に買ったんだよと思いながら一方通行は白いエプロンを広げ、見つめる。
しげしげと見つめる。

そのエプロンは、淵には白いレースがあしらわれ、「LOVE」という赤い丸っこい文字と赤いハートマークのデカい刺繍が中央に踊っていた。

一方通行はぺいっ、と垣根に愛らしいエプロンを投げつける。

一方「俺が何を言いてェかわかるな?」

垣根「平仮名で『らぶ』って書いてあるやつと悩んだんだが、やっぱそっちが良かったか?

    不思議だよな。平仮名で書いてあるだけで急にあざとくなる。
    お前はそういうのあんまり好きじゃなさそうだったから硬派な方選んだんだが……」

一方「どこが硬派だ!? 軟派の極みじゃねェか!」

垣根「コスプレショップでこっそり買ったもんのどこが軟派だ?」

一方「ンなところで買った時点でもう軟派だ。
    そもそも俺にエプロンなンざいらねェのに馬鹿か」

エプロンとは、体や衣服の前面の保護に使われる衣類を指す。
常時危険物を反射している一方通行には全く必要のないものだ。

垣根「わかってねえな。テメェにとっては無駄なもんでも俺にとっては意義がある。
    なぜかって? そこにロマンがあるからだ」

一方「いや意味が分からねェ」

垣根「お前のエプロン姿が見たい。ただそれだけだ」

一方「冷静に考えろ。男がこンなものを装着してたら気持ち悪ィンだよ」

垣根「ああ、セーラー服が似合う男の台詞はなんて重いんだ」ハーヤレヤレ

一方「うっせェ!」

垣根「まあこのエプロンはプレイ用だから今回はいいや。
    こっちは普通のエプロンだから安心して使え」

ちなみにプレイ用のふりふりエプロンは濡れると軽く透ける素材で出来ている。
そんなことは今回は特に口にせず垣根はごく普通のエプロンを取り出す。
オーソドックスな無地のデザインだ。
ただしピンクである。

一方「色が嫌だ」

垣根「ほんっとに文句ばっかりだね、この子は。
    じゃ、これならいいだろ」

肩をすくめると、垣根は一応自分用に所持していた黒いエプロンを取り出し、一方通行に渡す。

垣根「彼シャツならぬ彼エプロン……これもまた良し、か」

一方「……オマエこンなの持ってたのかよ」

料理なんてろくにしない人間が持っていたとは意外だ。

垣根「ゴキブリが湧いた時にスリッパで叩き潰すとして……

    潰れたゴキブリの体液や肉片が体に掛かるかもしれないだろ?
    そんな時の防具として買ってた」

一方「使ったことは?」

垣根「無いな。このマンション自体にほとんど来ないし」

あったと言われたらエプロンを投げ捨てるところだ。
それなりに安堵して装着する一方通行であった。

一方「……」

ふと一方通行は垣根の方を見る。
いそいそとピンクのエプロンを身につける垣根の姿があった。

一方「オマエそのピンクの着るのか……?」

垣根「俺に似合わない服はないからな」

思春期の少年というのはやたらとピンクのものを避けるが実際に使ってみると意外と違和感がないものである。
そんなどうでもいい事実に薄らと気付きつつ、楽しいクッキングの開始だ。
まず最初に、ピーラーで材料となる人参とジャガイモの皮を向く。

垣根「んで、ズル剥けになったじゃがいもを適当に切る」ザクザク

一方「さいの目切りとかそういう切り方すンじゃ」

垣根「さすがチンポの小さい男は細けえな」ザクザク

一方「見事にサイズがバラバラだな。適当すぎンぞ」

じゃがいもを二等分した程度のサイズのものもあれば1センチ四方程度のものもある。

垣根「そういう細かい事は誰も気にしねえ」ザクザク

一方「包丁貸せ。俺の方がまだマシに切れる」

垣根「いいよん」

垣根は強盗が脅すような塩梅で包丁を突き出して渡し、一方通行を見守ることにする。
一方通行はまだ無事なじゃがいもを手に取る。
最初にじゃがいもを二等分しようとまな板に置き、力いっぱいに分断しようと一方通行が包丁を振り下ろす。
だが次の瞬間真っ二つになるはずだったじゃがいも、包丁に身を掠められつつもヌルリと逃げる。
そのままごとんと音を立てて流しに落ち、ごろごろ……と転がる。

垣根「超どんまい(笑)」

一方「うるせェ!!」

転がったじゃがいもを拾い、再挑戦する一方通行。
全てを均等なサイズにすべくその頭脳をフル回転させる。
どこに切り込み、どういったサイズにすべきかを見定め、一気に包丁に力を入れる。

トントン、と子気味いい音が連続して響く。

おお、と感嘆の声を上げる垣根。
得意げになる一方通行だが―――。

垣根「ポテトチップスでも作る気かテメェは」

一方「……!?」

ぴらぴらに薄っぺらく輪切りにされたじゃがいもがそこにあった。
熱すれば即効で溶けて消えるであろう。

敗因は明確だった。
サイズを均等にする。
その目的以外を一方通行が度外視したことだった。

垣根「頭に血が上ったら一直線なお前の脳筋ぶりが現れてるわぁ」

一方「うるっせェクソが! 溶ければどンな切り方でも変わらねェだろォが!」

垣根「いや普通は溶かすもんじゃねーから。
    何のためにカレーにはメークイン使えって言われてると思ってんだ」

一方「消化すりゃ一緒だってンだよ」

垣根「それもそうだな」

とりあえず規定量のじゃがいもは切った。
次の人参、玉ねぎも垣根が雑に切り、あっという間に材料の切り分けは終了。
熱の通り方に差が出るので同じぐらいのサイズに切るのが正しいが、そんなことは世の大きな流れの中では些末事に過ぎない。

次は鍋に油を引き、切った材料を入れ、炒める。

垣根「油は一本10万円する超高級オリーブオイルだ」

一方「無駄金だな。毒物の塊みたいなそこらの食用油と味は大差ねェ」

垣根「毒物の塊みたいなもん食って毒素だけ排出できる奴はそうそういないって忘れんなよ。
    俺が鍋回すからお前は牛肉切っとけ」

一方「無能は大変だなァ」

垣根「21学区のダムに沈めんぞコラ」

もっとも、毒素の排出は垣根も出来ることではあるが、余計な手間は省きたいところだった。

材料の一部ばかりを熱して焦げ付くのを防ぐべく鍋の材料をかき混ぜる垣根の傍ら、一方通行はそれなりに均等になるように意識しつつ、牛肉を切り分ける。
ひき肉状態にするという愉快な事態も起こさず、真っ当なサイズに切り分け、鍋に放り込んだ。


……その後は牛乳を入れるかどうかで揉めた以外は順調に行き、見事にカレーと思える食品が出来上がった。

垣根「やっと出来たな。よし、食うぞ」

一方「あァ。ところでだが……オマエ米は炊いたのか?」

垣根「お前が炊いたんじゃねえのか? そういや買った覚えもねえな……米」

一方「……」

垣根と一方通行は互いに目を合わせる。両者の目には既に真理が映っていた。
カレーがあるのに米が無い。
どうしようもない現実を前に、超能力者の頂の双璧はため息をつく他なかった。
―――宅配弁当屋に米だけ届けさせよう。
そう結論づけるのには数瞬もかからなかった。

投下終わり
またの


ここの垣根は頭オカシイ(褒め言葉

乙、常識が通用しないていとくん素敵

オッさんで噴いたわ
>>119のみさきちネタといい、細かいとこでもちょいちょい笑わせにきやがって……乙!

垣根の頭がおかしいのは冒頭の方でノリで頭おかしいキャラにしたせいで軌道修正不能になったからです
これからもギャグなのかホモエロなのか書いてる本人にも微塵もわからないノリで突き進む他道はない
過去は未来を拘束する茨の蔓なのです(ロマンチスト)

前回更新分にぶち込んどきゃよかったと後悔しつつ3レスだけ投下し後の展開決めを
不幸にも安価を踏んでしまった方に丸投げして今日はバックレます

一方「このジャガイモ思いっきり芯が残ってるンだが」

半分ほど囓られたやたらと大きく切られたジャガイモをスプーンに乗せ、一方通行は垣根に見せつける。

垣根「気のせいだろ」

一方「いや明らかに気のせいじゃねェ。オマエが適当な切り方すっから悪ィンだと認めやがれ」

垣根「超意味わかんないです。お前が薄っぺらに切ったジャガイモなんて溶けて消えてんじゃねえか。それよりゃマシ」

一方「いやオマエの方が悪い」

第一回目の共同調理は客観的にも主観的にも失敗であった。
とはいえ、さすが学園都市製のカレー粉だけあって多少失敗した程度で不味くなるようなことはない。
肉以外の食材は切り方に問題があったにしても、素材自体は良かった。
よって、味に関してはそこそこのレベルはキープしていた。

垣根「まあ文句は言ったけど不味くはねえし、上出来じゃねえの」

皿の上のカレーライスを食べ尽くし、垣根はスプーンから手を離して言う。
一方通行も、まァこンなもンか、ととりあえず納得しておいた。
一方通行にとって、家で作った暖かい出来たてのカレーを食べるのは初めての事だった。
初めてやることが完璧に出来るとは限らない。
今でこそ学園都市最強の能力者である一方通行であっても、最初はまともに能力を扱えなかった。大体そんなもんなのである。
ただし、『出来ない』を放置しなかったからこそ今のベクトルを自在に操る一方通行がある。
料理に関しても失敗の原因を正すように心掛けねば進歩はしない。

次やる時は垣根の適当ぶりをどうにかして止めなくては。
一方通行がそう考えた時、はたと気付く。

一方(次があるみてェじゃねェか)

自分はまた垣根と調理をする気でいたようだ、と自覚すれば何とも言えない気分になる。
むず痒いような感覚だった。

一方(……つーか、何かおかしくねェ?)

いつの間にやらかなり垣根に気を許してしまっている。
冷静に考えれば、垣根は一方通行に下剤を飲ませて恥辱に陥れ、その映像を基に強請りを行う外道どころがド外道なのだ。
そいつの家に連れ込まれている時点で一瞬たりとも警戒を怠ってはならないというのに。

一方「どォしてこォなったンだよ……」

幼い頃から研究所で体を弄り回され、ろくに他人と触れ合ってこなかった一方通行は基本的に受け身であり、流されやすい部分があった。
そこを怒涛の勢いで突きまくった垣根にいつしか完全に流されていたのだ。

打算のかけらも感じさせない垣根の顔をじとりと睨み、一方通行は目を逸らす。
妙に好意的に馴れ馴れしく、何一つ恐れることも媚びることもなく近づき、それどころか反射まで貫いて触れてくる相手をどこか憎からず思ってしまっていたのかもしれない。
だからこそ肌に触れられ、思い返すも恥ずかしい反応を強いられつつも強く手を出さなかったのだろう。
自分の事ながら、いや自分がそうであるからこそ少々苛立った一方通行は、垣根にちょっとこいと手招きをした。

垣根「? どうかしたのか」

一方「ン」

そして、警戒心なく近付いてきた垣根の頬を思い切り引っ張り、ついでに強かにチョップする。
痛いと呻く垣根に追撃のデコピンを喰らわせれば少しばかり気が晴れた一方通行だった。

 


時は勝手に過ぎ去るもの。
垣根は夕食を終えたテーブルを片付けた後、自身の所持するノートパソコンで『ある作業』……
包み隠さず言えば垣根の個人情報を晒した特命掲示板の住人達の特定作業を行っていた垣根は時計を見る。
既に午後十時過ぎだった。

垣根(風呂でも入るかな)

そう思いつつ、黙ってソファに座ってテレビを見ている一方通行に目を向けた。
一方通行はソファに首を預け、脱力しているようだ。
というよりも。

垣根「あいつ寝てね? おーい、一方通行」

返事はない。ただの睡眠中のモヤシのようだ。
テレビを見ていると眠くなることはよくある事だが、一方通行もまたその状態になったのだろう。

垣根「……」

いっそ罠かと思えるほどに無防備すぎると思う垣根だが、都合が悪いことなど一つもない。
さて、どうするか。
別にこのまましばらく寝かせていても問題は無い。無いのだが。


1、起こして一緒に風呂に入る
2、寝室に運ぶ
3、いたずらする(内容も頼みます)
4、このまま寝かせておく

安価↓

3 頬コキする

>>310
把握
明日の夜には投下出来るはず、いや死なない限りはやります

頬コキ期待してます!

頬コキwww
何とマニアックな、と思ったけど常軌を逸脱した垣根さんなら妙に納得してしまう

やべえ
どっちがどっちのおちんぽをほっぺに擦り付けるかが不明確なまま書いてしまったのに今気付いた
間違ってたら後日逆バージョン書きますすんません

平日の昼間にホモ投下

あの普段の態度とは結び付けられないような素直な寝顔がまた見たい、そしてあわよくばいたずらしてやろうと思い、垣根は一方通行の正面に回る。
前に見た時と変わらない、邪気のない寝顔だ。
すぴーすぴー、と間抜けな寝息まで聞こえる。

「……ふっ」

思わず笑ってしまう垣根だった。
規則正しく上下する胸も、腹も、幅が狭くて子供のようだ。
あの第一位がソファに身を預けて口を半開きにして寝息を立てて寝ている。
滑稽であるが単に笑えるというより、愛らしささえ覚えてしまう。

天井の電灯は眩しくないのだろうか。
ひょっとして寝たふりをしているんじゃないかとも思える。
だが、能力を使えば可能だとしても、性格を考えれば一方通行がこんな無防備な顔を意識的に作るとは思えなかった。

垣根は能力を一切使わずに一方通行の頬に触れようとする。
……やはり反射は健在だ。

一方通行の反射の仕組み自体はさほど複雑なものではない。
向かってきた力の向きを反転させるだけだ。
だがシンプルゆえに極めて強力だ。
眠っている時さえも己の生み出す力を特定の効果で発動させ続ける強靭な脳の演算性能にも目を見張るものがある。
垣根も未元物質を身に纏い、向かってきたベクトルを変質させることで強力な防御性能を得ることはできるが、無意識下でのそれには限度がある。
未元物質を操れば、単純な破壊にかけては第一位さえも上回る第四位の力、原子崩しの威力を皆無に変質させることも可能なのだが、それには意識的な複雑な演算が必要不可欠だ。
その場に存在しているだけであらゆる既存の物質に影響を及ぼす物質を操作出来るというのは、無限の可能性を得ると言っていい事だ。
しかしその反面、制御が極めて困難なのだ。

ベクトルそのものを直接操る一方通行と異なり、未元物質の複雑な操作により副次的にベクトルを捻じ曲げるのでは、ベクトルを操ることにかけては使い勝手の点で絶対的な壁がある。

「……」

その事実を思い返し、垣根は少しばかり苛立つ。

垣根は自分の能力が一方通行に劣るとは思っていない。
一方通行はあらゆる力の向きを操ることができる反面、何かを生み出すことはできない。
破壊は新たな可能性を導くが、破壊そのものが可能性を生み出すことはできないのだから。

だが。それにしても苛立つものは苛立つのである。

悪夢のような実験や学園都市の闇などとまったくもって無関係そうに平和に居眠りをしているこの瞬間にも、一方通行の反射は健在だ。

代理演算システムの構築が終了すれば、特段意識を集中させて一方通行の反射を貫く必要は無くなる。
しかしそれでは反射膜を本当の意味で克服したとは言えないのではないか。
代理演算システムという外部装置を使わずとも、どんな状況であっても己を保ち一方通行に触れることが出来てこそ本当の意味で、完璧に反射という壁を越えたことになるのではないか。

唐突にそんな意識が垣根の中に湧き上がる。
それは平常より負けず嫌いである垣根の中で、めらめらと燃え上がった。

「やってやるよ、第一位――― 一方通行。俺はテメェという壁を、垣根を越えてみせる」

そのための第一歩。
何をすべきかの選択肢が垣根の優秀な頭脳の中に無数に描かれ、そのうちの一つが選ばれた。

「まずはこの可愛……白い頬にチンポを擦り付けて射精する!」

垣根は威勢のいい声で宣言する。
この一声を勝利宣言にすると決意を込めて。

 

垣根はソファの上に直立し、隣に座る一方通行を見下ろす。
未だ目を覚ましてはいない。
次に、自らの股間を見下ろす。
帝督Jr.は既に臨戦体勢だ。
ある程度ゆとりのある臙脂色のズボン越しにも分かるほどだった。
それは闘気のためであり、断じて一方通行の半口開きの無防備な寝姿に欲情したからではない。

「ヤってやる……ヤって犯るよ」

I'll be FUCK!!
スラングではない。直訳だ。

ジ……とチャックを下ろす。
手は汗ばんでいた。
だがそれは恐怖からではない。男として負けられぬ戦いへの緊張感からだ。
これから眠っている一方通行の顔にペニスを擦り付けることに興奮しているからなどではない。

全開にした前開きに手を入れてペニスを取り出す。
赤く充血しているそれは、硬く、熱を帯びていた。
元よりサイズは人並み以上であるという自信があった。
形状も整っていると自負している。
自慢の名刀を携える垣根は正に誇り高き騎士そのものだ。
気高き騎士は腰を下ろし、一方通行の太ももを挟む形で膝立ちする。
垣根は長身かつ脚が長い。一方通行は垣根よりも背が低い。また、後ろに寄りかかる形で眠る一方通行の顔の位置は普段座るよりも低い位置にあった。
膝立ちするだけで垣根が自身のペニスを一方通行の頬に擦り付ける事は余裕であった。

垣根はペニスを一方通行の顔に近づける。
息を落ち着けながら、ゆっくりとその距離を狭めていく。
ドクドクと脈打つペニスの先端からは先走りの液が滲んでいた。
一方通行の寝息と自分の吐息の音しか聞こえない。
テレビは既に消している。男の戦いをそんな浮ついたものの音声が邪魔してはならないからだ。

ふー、と深い息を吐く垣根。
一度目を瞑り、見開く。
垣根の愛棒と一方通行の頬の距離は5センチ、4センチ、3センチ、着実に近づいていき。
ついに、その距離は0となる。

「―――っ」

滑らかな頬に触れた。
垣根のペニスが。
ただそれだけなのに垣根の体に痺れるような感覚が走る。
痛い刺激ではない。甘い波が。
ただペニスを頬に触れさせただけだというのにそれだけで身震いする。
それほど興奮していた。
このようなことをされているというのに、一方通行はまだ眠っている。
規則正しい寝息を立てて。

まだ一方通行の頬に触れただけだ。
唾を飲み込み、垣根はゆっくりとペニスを動かす。

頬に擦り付けた刺激が体中に駆け抜けた。
血液が集約して硬くなったペニスは敏感で、僅かに擦れるだけでも快感を覚えずにはいられない。

「ぁ―――は……」

ペニスを基点とした熱が体中に流れていくようだ。
熱量を外に排出するように、ゆっくりと熱い息を吐く。

滑らかで柔らかい白い頬は吸い付くような感触で、緊張に張り詰めた垣根のペニスを確実に追い詰める。

思考がぼやけていく。
演算が乱れてしまう。
まだだ。こんな場所で負けてはいけない。

「く、……」

元々は打倒せねばならないはずだった男を慰み者にする事も、
眠る相手に無理やり性器を擦り付ける背徳感も、
思考を蕩けさせてはならないという制約も―――全てが興奮の材料だ。

だが、そこで自分を失ってどうする。
快感と思考力の両立。
不可能ではないはずだ。

代理演算システムの完成までに一方通行の体で快感を得ることは適わないはずだった。
快感に演算を乱されてしまえばその時点で一方通行の反射を突き破ることは出来なくなる。
それどころか垣根が一方通行に抵抗できなくなるリスクがあった。
だが、快感を得ることと反射を破ることが両立出来ないと誰が決めたか。
垣根が自分で限界を決めたに過ぎないことだ。
―――汝の欲する所を為せ、それが汝の法とならん―――
ならば為してやる。自身の見る現実を組み直し新たな可能性を取得しろ。


「っ……、はぁ……」

自分の出した先走りが一方通行の頬を濡らしているのに垣根は気付く。
淫靡な有様により一層欲望が掻き立てられた。
その頬に、より強く性器を擦り付ける。

熱に浮かされるような快感と知性の狭間にあってなお、一方通行の反射は辛うじて破れている。
溶けて崩れた演算式のうち有効なものはまだ生きていた。
垣根はぼやけた思考の中で必死にそれらをつないでいく。
揺蕩う意識の中で組み上げられていく演算式は、最も合理的な一本の芯へと発展を遂げつつあった。
学園都市の能力者の頂点―――その真核へ至るための道が編み込まれていく。
それは、アレイスター=クロウリーに生み出された箱庭の真理へと到達するための道筋でもあった。

「やっべ……」

垣根は射精の予感に身を震わせた。
堰が切れる。

その瞬間だった。


「何やってンだオマエ」


赤い瞳が開かれる。それと同時に、

「え、ちょ、待……っ」

切羽詰った声と共に、垣根自身の先端から熱い体液が吐き出された。
その白い液が宙を舞い、一方通行の真横に降りかかりソファを汚した。

「……」

「……」

栗の花と一般に評される特有の匂いの中で漆黒の瞳と真紅の瞳が出会う。
見下ろすは黒。見上げるは赤。
見下ろしているはずの黒は戸惑いに揺れていて、見上げている赤は一点のブレもない。

「……なァ」

その声は深淵より響くものでもなく、天上より降り注ぐものでもない。
あくまでこの世に存在する一人の少年の声でしかない。

だがその声が限りなく恐ろしいもののように垣根には思えた。

「オマエ、何をしてやがった?」

濡れ光る液体を頬につけたまま、垣根とその息子を見比べる。
一方通行の脳裏に既に答えが出ているのは明白だった。
ならば誤魔化すのは無駄だ。

「……お前の顔で扱いた」

「だよなァ」

一方通行の声はやけに落ち着いている。
それがかえって恐ろしい。



垣根はどうする?
1、逃げる
2、むしろ一方通行にのしかかる
3、先手必勝、プロレス技をかける

安価↓

もちろん2で


垣根Jr.は人並み以下だと思ってたのに……!

>>322
遅ればせながら把握
エロが書ける書けるぞ~エロが書けるぞ~

>>323
教師が「このガキは優秀な学生になる」と期待して生徒に接することで
生徒が本当に優秀な学生に育つことをピグマリオン効果と言いますが、
逆に「このガキはダメだ」と思って接すると本当にダメな学生になるのを
負のピグマリオン効果(正式にはゴーレム効果)と言います。
仮に垣根が一方通行と同様に短小であった場合、「高位能力者ほど短小の傾向が強まる」という意識が研究者や
教師側に生まれます。
高位能力者に育つ可能性が高い生徒に「こいつは短小になる」と思いながら接する事で結果本当に短小になり、
高位能力者=短小という事実が生まれてしまうのです。
これが有名な説となった場合、学園都市への入学希望者が激減するだろうことは免れられません。
そうなっては学園都市の制度も立ち行かなくなるでしょう。
そういった事態を恐れた研究員達が一方通行の短小包茎による「高位能力者=短小」のイメージを打ち消すために
こぞって丹精込めて垣根のおちんぽをイケチンに育てました。

やばい ちょう楽しみ

ホモスレだからサラッと読み流したいのに
じっくり読んだ方が面白い文章だから熟読せざるを得ないww
なにこの吸引力

まだかな

すんません最近マジでウンコする暇もないくらい忙しくてSSが遅々として進みません
せめてパソコンが常時持ち運べればいいのにと思った先ほど気付きました
出先でも携帯で書き溜めればいいじゃないかという事実に

出来たとこまで投下

殺られる。

見る者にそう思わせる薄い笑みを浮かべる一方通行。
だが、そこで恐怖に竦む垣根ではない。

恐らく今ここで制裁を免れたところでいずれ必ずどこかで復讐される。
主に寝てる間なんかに。逃れる術など無いのだ。
どうせ変わらないのなら選んだ道を突き進めばいい。

100分の1秒という瞬きよりも短い時間にそう即決する。

一方通行の拳が振りぬかれるよりも早く垣根が動いた。

―――何ィ!?

一方通行の顔に驚愕の表情が浮かんだ。
後ろに回避するのだとばかり思っていた男が目にも留まらないような速さでしがみついてきた。
それでとどまらず、ぐい、と一方通行を掴んだまま体をよじった垣根は一方通行をソファに押し倒す。

「クッソ、離れろ変態!」

「一発出したくらいじゃ収まんねえんだよ。うっかり目ぇ覚ましたのがテメェの運の尽きだ

マウントポジションを取られ、顔を青ざめさせる一方通行が垣根の体を突き飛ばそうとする前に、左頬にヌルついた温かいものが這う感触が一方通行を襲った。

「ひ……!」

「汚しちまって悪い。すぐ綺麗にしてやる」

一方通行を押さえつけながら、垣根は自分が捻りつけたカウパー液を舌全体を使って舐め取る。
すべすべとした弾力がある頬に粘液が濡れ光っているのは、マシュマロに蜂蜜でも塗っているようだった。
実際は甘くもなく、ただ塩のような味がするだけなのだが。

「く……、あり得ねェ、自分が出したもンを」

「お前が俺のチンポ舐めたとしても俺は平気でお前にベロチュー出来るぜ」

「気っ色悪ィ……。
オマエのなンざ絶対一生舐めねェから無駄な気概だがな」

「挑発してんの? そんなに誘惑するなよ淫乱」

「意味分かンね……っつか、離れろ変態野郎!」

「やだ」

垣根は一方通行をより強く抱きしめる。
一方通行は抱きしめられると抵抗の力を弱める。それにとっくに気付いていた。
一方通行本人が自覚しているとは思えないが、

(こいつチョロいなホント……)

ニヤけずにはいられない。

唾液に濡れた頬から垣根は舌を離した。
次の標的は、と逡巡し、赤らんでいる耳に狙いを定める。
以前は少し舐められただけ、どころか至近距離で囁かれただけで過敏に反応していた。

垣根は一方通行の柔らかな耳朶にそっと口付ける。
抱きしめた細い身体がぴくりと動いたのが垣根の体に伝わってきた。
一方通行の耳垂から耳輪の頂上にかけてを、垣根の舌が触れるかどうかというほどの接触を保ちながらゆっくりと滑る。

「ァ、―――!」

一方通行は声を上げそうになって慌てて堪えた。
ほんの小さな声の漏れや息を詰める音もこうも密着していれば誤魔化しようはない。
余計に赤く、熱くなりだした耳を見て表情を緩めずにはいられない垣根だったが、責めを緩める気はなかった。

舐め上げた耳輪を、今度は逆に舐め降ろしてやる。
先ほどよりも舌を強く接触させて。

「ひァ……っ やめろ、って……く、」

一方通行が喘ぎ声を漏らすのを聞きながら、垣根はがぷりと口を大きく開ける。
そのまま一方通行の薄く柔らかい耳全体を咥え込み、窪みに沿って舌で舐め回した。
独りよがりに急いたものではない、ゆっくりとした愛撫は確実に一方通行に快感を与える。

「もォ、い、……あ、っあァ……」

押し寄せてくるぞくぞくとした悦の波にたまらず甘い声を漏らす一方通行は、既に抵抗するのも忘れてしまっている。
垣根を押しのけようとしていたはずの腕からは完全に力が抜けていた。
普段は異常に目つきも口も態度も悪い不遜にして最強の超能力者が無力になっている。
またたびを与えられた猫のようだ。

(……もっと虐めてやろ)

垣根は舌を窄め、一方通行の耳孔にそれを差し込んだ。耳孔全体を満遍なく刺激するように。

「ァァあああ……!」

溶けてしまいそうな声を上げる一方通行を更に容赦なく責めたてる。
耳穴の中で舌をぐりぐりと動かし、ピストンのように抜き差しする度に一方通行が声を上げて体をびくつかせるのが面白くて、垣根は何度も繰り返してやった。
平常では生意気事ばかり放つ口がだらしなく嬌声を漏らすのはいつだろうが愉快でたまらない。

ふと、垣根のむき出しのままの性器に何か硬いものが触れる。
一方通行を抱き締めていた腕を片方解放し、一方通行のジーンズのチャックをそっと開き、手を入れた。

「すげ、パンツぐっしょりじゃねえか。……もしかして、射精した?」

「っ!」

荒い息を吐く一方通行の耳元で垣根が囁くと、またびくりと細い身体が震えた。
事実を指摘されたからなのか、敏感な耳に囁かれたのに感じてしまったからなのかはわからない。
耳元から唇を離し、一方通行の様子を伺うことにする。

「……」

血色の悪かった白い顔は真っ赤だ。紅色の目は焦点が定まっていない。
目の端から涙が伝った跡があり、今も涙が目の端から溢れそうになっていた。

「一方通行」

「……ンだよ、さっさとのけよ変態野郎」

優しげに聞こえるように呼びかけた垣根に赤い瞳が向けられるが、その意思はあまり強いものではない。
見つめ返す目はどこか依存的だ。

(……エロいな)

一方通行本人がわざとやっているのではないのだろうが、体の真下で潤んだ目でじっと見つめてこられてはたまらない。
脈が早まる。
先ほどのいたずらをするのとはまた違う興奮だった。

その衝動に突き動かされるままに顔を寄せ、垣根は一方通行の唇に自分の唇を重ねる。

一方通行の目は僅かに反抗の意思を滲ませたのだが、すぐに瞼を閉じた。
受容、受け入れ。そういうことだ。
それがなんだか嬉しくて、か細い身体を包み込むように抱きしめる。

一方通行はキスをされるのが好きなようだとは接触二日目に垣根は気付いていた。
キスをすると脳からオキシトシンが分泌されると言われている。
オキシトシンはストレスの軽減、精神の安定や他者への信頼感を促進する効果があるのだが、単にそれだけが理由ではないように思えた。

学園都市の第一位とあって、一方通行は非常に多くの実験に参加していた。
垣根が調べた限りにはかなり真面目に、蹴っても何の問題もなさそうなものにさえ取り組んでいたようだった。
それは誰かに求められたいという思いの表れだったのだろうか。
求められるのが能力のみであっても、自分の存在を肯定されたかったのだろう。
そんな中で、馴れ馴れしく厚かましく接触してきた垣根は一方通行本人が見る限りには自分という人間を求めていた。
だからこそ接触される事にも本当に強い抵抗はなかったし、キスという分かりやすい形で愛情を注がれるのが心地よかったのかもしれない、

どこまでも哀れで痛々しい。
ならばもっと一方通行が求めるように、一方通行を求めてやろう。

「一方通行」

垣根はキスを中断して囁く。

「お前が好きだ」

「……、」

一方通行が何かを言う前に、より強く抱きしめて再度口付けた。

感触を確かめるように唇を摺りつける。
水気を帯びた一方通行の唇は決して厚くはないが、柔らかくて触れているのが気持ちいい。
ふにふにと弾力を楽しんだ後、少しだけ開いていた口に舌を滑り込ませる。
そして、抵抗もなく鎮座していた舌に絡ませる前に、べろりと上顎を舐めた。

「ン、っ」

くすぐったさに唇を重ねたままの状態で一方通行は目を開き、至近距離の垣根を睨む。
それに気付いて垣根も目を開け、にやりと笑って返した。

―――ずっと主導権を握られっぱなしだ。
それが一方通行のプライドを傷つけないわけはなく、密かに不満が蓄積していた。

む、と拗ねたような顔をする一方通行は垣根の拘束から無理やり自分の手を引き抜き垣根の頭部に手を伸ばす。

(やべ、頭蓋骨割られるかも)

そう焦って対策のための演算を始めた垣根だが、意に反してそんなことは起こらず、一方通行はグイ、と自分の顔の方に垣根の頭を寄せ、

「んぐ!?」

先ほどよりもより強く互いの唇が押し当たる形にする。
双方の口の隙間が無くなった状態で、開いたままの垣根の口に一方通行の舌が差し込まれた。

自分からはほとんど性行動を取ることのなかった一方通行の突然の行動に困惑する垣根の上顎を、先ほど垣根がそうしたのを真似るように一方通行が舐める。

「っ!」

背筋を電流が走るような感覚にびくりと身震いさせた垣根に気を良くした一方通行は、ぺろぺろと垣根の口内を舐め回した。

(うっそだろ……
マグロ野郎の一方通行が自ら率先して動くとか、)

弾力の強い舌が口内を這い回る感触と、くちゅくちゅと粘液の絡む淫靡な音に頭がくらりとする。
巧みとは言い難い不慣れな愛撫だったが、悪くない感覚だ。
垣根の胸にじわりと熱くなるような充足感が広がる。

(さては俺に惚れたな? 一方通行。だから奉仕したくなったんだな?)

―――少年(童貞)はそう判断する。
誰が彼を責められただろうか。

(この調子で好意を強い依存にまで高めるか)

自分の口の中に入ったままの一方通行の舌を垣根は舌で器用に捕まえ、弄ぶそうに舐る。
なぜは悔しげな目で一方通行が睨んできた。
理由はよく分からなかったのだが、いつものツンデレと考えて垣根は気にしない。

(こいつのチンコ舐めるのもこれと大差無さそうだな)

一方通行の舌を弄びながら、一方通行の幼いままの性器を思い浮かべ、次いで、まだ一度もフェラチオをしてやったことがない事を思い返す。

次はフェラでもしてやるか。
垣根は口を軽く開けて、一方通行から顔を離す。
唾液がとろりと一方通行の口元に垂れた。

「ン、あ……?」

もう気が済んだのだろうか、と垣根を見つめる一方通行。
……の口元は唾液がかなり付着している。
最強の超能力者にして最高の演算能力を誇る人物にあるまじき姿だった。

「はは、お前ホント幼児みたいだな」

「!」

垣根に笑われて初めて一方通行は自分の口元の惨状に気付き、屈辱と言わんばかりの顔で、垣根を睨む。

「……誰のせいだと思ってンだ」

「俺のせいだな」

得意げな顔をする垣根にクソと毒づき、唾液を拭おうとする一方通行だが、その手はすぐに止められる。

「放せ」

「赤ちゃんみたいで可愛い」

「……」

不服に顔を歪める一方通行だが、涎に濡れ、涙が伝った後のある顔のせいで余計に拗ねた赤ん坊らしさを強めていた。

「……なんか変な趣味に目覚めるかも」

「オマエやっぱとンでもねェ変態だな。
俺ン中でのオマエの変態ぶりの加速は留まるところを知らねェ」

「加速させてんのはお前だ。
正に加速器……アクセラレータって名前はそこから来てんのか?」

一方通行は特段童顔というわけではない。
だが、男性的な筋肉は無く、女性的な柔らかさも無い細い肢体は子供のようで、何処と無くアグネスが保護を訴えそうな雰囲気(ペド感)を醸している。
抱き締めればそれが余計に強く実感できた。
そんな一方通行が涎や涙で顔を汚していればなおのこと危険な魅力(ペド力)を高めてしまうのだ。
その危険な魅力がありながらも、実際の一方通行は幼子などではなく15、16歳の高校生の年代だからこそ手を出したくなるいかがわしさを感じさせる。

(今度哺乳瓶でも買ってきて咥えさせてみようかな)

そんな危険な遊び(ペドプレイ)を画策しつつ、垣根は一方通行の口元に唇を這わせた。

「おい……まだやンのかよ……!」

「唾液でベタベタしてんの気持ち悪いだろ?」

ちゅ、と軽い音を立てて、一方通行の唾液が吸い上げられる。

「ゃ、めろって……」

くすぐったさやら気恥ずかしさやらで垣根の体を押しのけようとする一方通行だが、単純な腕力に関しては貧弱そのものな一方通行にはどうすることも出来ない。
どうすることも出来ないのだから、この状況に甘んじるしかない。
そう自分に言い聞かせて、一方通行は耐える。耐え忍んでみせる。
身に宿る力を振るえばいかようにもなる状況だとしても、どうにもならないと一方通行が思うのだからその通りに違いない。

べたべただった口元があらかた綺麗になったのを見計らい、垣根は一方通行の肌への愛撫をやめる。
一方通行は頬を朱に染めてかっちりと目を閉じていた。
やっぱり受け入れ態勢ばっちりである。

「まだして欲しい?」

「な、ワケねェだろ!」

「ふぅん……?」

以前、キスマークを付けられるのをかなり嫌がっていたのだが、唇以外の場所にもキスをされるの自体は嫌でも無いらしい。
そもそも、人から愛情を与えられるのに飢えている故にキスをされるのが好ましいと思っているのなら当たり前だ。
機会を見てあちらこちらにキスをして悦ばせてやろう。

(その方が一方通行の依存心を強化出来そうだからな……他意はねえぞ)

単純に一方通行にいい思いをさせたいとかそんなじゃないから。
垣根はそう内心で呟きながら、

「お前がキスされるのが好きだってんなら、いつでも好きなだけしてやるよ」

「……好きじゃ、ねェ」

赤らめた顔で視線を合わせずにボヤく一方通行の頬をぷにぷにとつつき、素直じゃねえの、と思う垣根だった。

投下終わり

地の文式の方が書きやすいと思ったときは地の文で書く事を決め込みました
眠すぎるので続きは明日なんとかします

寒いから変態力が落ちてんのでこれやれってのがあったらネタ下さい(乞食発言)

野外脱糞


地の文でこれだけ書けるなんて恐れ入るわ
一方通行はやはり可愛い
いつか垣根Jr.がお尻に入るように優しくアナル調教してあげてくだちい
玩具とか使ってさ


地の文さんイイヨイイヨー
垣根が一方さんにフェラして欲しいな


ウンコすら出せない多忙の中このクオリティをありがとう
赤ちゃんみたいな一方さんたまらないんだよ
いつか猫可愛がりした後に哺乳瓶でミルク飲ませてやってほしいですね
垣根ミルク直飲みでもいいけど

玩具でたくさん焦らしてあげたい

寝落ちしてもうて昨日書き損ねましたすまぬ……すまぬ……
頂いた意見は後のプレイに使わせていただきますですの
投下

「さーてと」

垣根は一方通行の体から一旦退き、ソファの前に膝立ちになる。

「終わりか。失せろ変態」

「さっきから変態変態ってなんだコラ。帝督様と呼べ。
好きな奴に気持ちよくなって欲しいのが変態だってんなら人類の大半は変態だ」

「男のくせに男に惚れてる時点で変態だっつの」

「その男をズリネタにしたお前は流石第一位様だな」

「……黙れ」

ソファに寝転がったまま睨む一方通行を宥めるように頭を撫でてくる垣根の手を、一方通行は懐かない猫のように振り払おうとする。
雌犬とかつて評したことがあったが、やはりどちらかと言えば猫の方が一方通行を表すにはふさわしいだろう。
性格といい生態といい。

「役割もネコだし」

「あァ? 誰が猫だ」

「お前。
チンコはタチっぱみたいだけどな」

「!」

垣根の視線の先―――
一方通行の股間部分はファスナーが全開のままで、体液に濡れて変色したボクサータイプの下着が丸見えだ。
その下着の不自然な膨らみはその中のものが立ち上がったままなことをはっきりと示している。

「クソッ」

なぜこんな事になっている。
素早く上体を起こし、垣根の目に入らないように股間を抑える一方通行だが、手遅れな自覚はあった。

「お前のチンコ、小学生並みなのに機能は悪くねえよな。
見た目は小学生並みなのに」

恐らく、ホルモンバランスが崩れてさえいなければ優秀なモノに育ったのだろう。
垣根はそんなことを考えながら、悔しそうな顔で股間を隠そうとする一方通行の手を握る。

「放せ」

「お前が放せよ。チンコを。
そのポーズ、小便我慢してる女みたいだぞ」

「まだ何かするつもりかよ」

「そっちはまだ弄ってないしな。お前だってそんな風にしたままじゃキツイだろ。
気持ちよくなってスッキリしたくない?」

「……勝手に決めンな」

これ以上恥ずかしい思いはしたくないというのがプライドの高い一方通行の本音だ。
コンプレックスである未熟な性器をジロジロと見られるのは屈辱以外の何物でもない。
ましてやそれを触られるのはどうしようもなく恥ずかしいのだ。

そんな心情と肉体的な欲求が同調するというわけでもないのだが。

(……)

一方通行は自分のものよりも大きく、高い体温を伝える手を見る。
性器に長い指を絡め、弄んできたあの手を見るだけで、優秀な頭脳は明瞭に快感の記憶を再生した。
それだけでぞわりと鳥肌が立つような感覚に襲われてしまう。

恥ずかしい思いは御免だった。
だが一方で、弄ばれることを望んでいる。

ろくな人生は歩んでおらず、娯楽と思うこともあまりしてこなかった一方通行には、垣根の与えた初めての強い快感はどうしようもなく甘美なものだった。
それは砂漠で見つけた清水のようなものだった。

甘露の味を一度知ってしまえば何度でもその味を堪能したくなるのが人間という生物だ。
核兵器を打ち込まれても死ぬことはなく、単身で世界を壊すことも出来る一方通行であっても、中身は人間の少年に過ぎない。

(こいつに従いたくなンてねェ……のに、)

気持ちよくなりたい。
そんな思いは消し飛ばせない。

ただでさえ耳と口内を触られて興奮している。
普段以上に敏感な状態になっている性器など、指先で表面をなぞられればそれだけで痺れるような甘い快感に蕩けてしまうかもしれない。

「……一方通行?」

急に押し黙った一方通行を心配するように垣根が声をかける。
どういうわけだかわざわざソファから降りて、床なんかに膝立ちになっている垣根が上目遣いに話しかけてくる。
無視をしたかったのに反射的に垣根に目を合わせてしまう一方通行の脳裏に浮かぶ。

この姿勢なら耳や口を蹂躙したあの舌で性器を弄ぶのに苦労しないだろうな、と。

(何考えてンだよ……俺)

湧き上がった思いを振り払おうとしても、そんなことが器用に出来るほど一方通行は自分の欲望への対処に慣れていない。
一方通行の顔を見上げている垣根の唇から目を離せないままだ。

それに気付いた垣根の口角が釣り上がった。
三日月のような口元は無邪気さと淫靡さが共同している。

するり、とソファから投げ出された一方通行の両足を開き、その間に垣根が割り込む。
まずいと思ったのに、一方通行は行動できずに黙って見ている他なかった。

「やっぱ、して欲しいんだろ? お望み通りにやってやるよ。……口で」

「っ……、勝手に決めつけンなってンだろォが……」

口先だけは気丈で体は正直なものだ、とは垣根は口に出さない。
それより先に、一方通行の股間部分に顔を寄せる。
一方通行の脚がぴくりと動いたのを横目で見ながら呼吸をすれば、青臭い独特の匂いがした。
先程までは自分が先ほど出した精液の匂いなのか、一方通行から匂っているのか今ひとつ判断できなかったことが明確に分かった。
それをわざとスン、と音を立てて吸って見せる。

「やっぱ射精してたんだな。耳舐められただけで射精ねぇ……」

「うるせェ黙れ息すンな」

「死ねってか? 死ねって言ってんのかテメェ」

軽口を叩きながらも未だ性器を抑えたままの一方通行の手をその場からどかそうとする垣根を、一方通行は突き飛ばそうとはしなかった。

(なンで気付くンだコイツ?)

見透かされているようで気に食わない。
気に食わないが、一方通行の望むことに垣根が気付いたのはあまり悪い気はしないとも同時に思えていた。

頑なだった―――というよりそう見せていた性器を覆い隠す手指を解くと、垣根の鼻腔により強い匂いが飛び込んでくる。

「あー、やっぱ男なんだよな、お前。
うっかり性別:一方通行っていうカテゴリに入れそうになってたけど、やっぱ雄だわ。この匂い」

「臭ェなら嗅ぐな」

「安心しろ、臭くねえから。
チンポってのは不潔にしてると恥垢やらアンモニアで臭くなるんだが、お前はそんなことねえだろ。
単純に精液の匂いくらいしか感じないし、……それもお前のなら好きかも」

「……同性のフェロモンにあてられるってどォなンだよ」

いや、ホモなら普通なのかもしれない。
一般的なホモの性事情など一方通行には分からないのでなんとも言えないのだが。
そんなどうでもいい事を考えて緊張を紛らわそうとする一方通行だが、前開きに手を入れてきた垣根の指が一方通行のペニスを軽く擦ったばかりに思考が途切れる。

「……!」

「あ? もう感じちゃってんの?」

「黙れ変態」

この時点で反応してるものを舐めればどうなるのか楽しみなものだ。
垣根は焦らすようにゆっくりと、下着から一方通行の性器の全体を取り出す。
鈴口は特にびっしょりと濡れている。

「……ドクドクしてんのが伝わってくるぞ」

普段はピンク色だが、今は赤く屹立したペニスを軽く指で挟んで呟く。
顔では押し隠そうとしているが、かなり興奮しているようだ。

「黙れって、さっさと、」

「早く咥えてくれってか? 分かったよ淫乱ホモ」

一方通行が言い返す前に、垣根の唇が一方通行のペニスの先端に触れる。

(小便出るとこにするとか……)

今更ながら一方通行はそう思う。
なぜ平然とそんな場所に口を付けれるのか。

「あれ。どうかしたの?」

「オマエ、汚ェとか思わねェのか」

「全然。そこらのオッサンのなら大金積まれても勘弁だが。
なんならケツの穴も舐めてやろうか?」

「……」

あっけらかんと答える垣根は無理に嘘をついているようには見えない。
垣根の言う『好き』という言葉はずっと胡散臭いと思っていたのだが、存外本気なのかもしれないと思えてくる。

「ンだよ、クソ……」

悪い気はしない。
まだ信じてはならないのに信じたいと思ってしまう。

「どうしたんだよ、本当に」

なぜか分からないが泣きそうな顔をする一方通行の顔を垣根が覗き込む。
と、こっち見んなというように垣根の顔をぐいぐいとあらぬ方向に向けようと押してくる一方通行。

(まあなんだ。思春期だからよくわかんねー事で情緒不安定になんだろ)

自分もまた思春期だがそう思って納得すると、垣根はぺろ、と見せつけるように舌を出し、一方通行のペニスに押し付けた。

「あ、っ」

白く細い身体が小さくはねる。

垣根が愛でるように一方通行のものを舐めてやると、小刻みに細い膝が震えた。
幼い性器が気のせいか少しばかり膨張したように思える。

焦らすように舌先で軽く舐めた後に舌全体で情熱的に舐め、再び軽く舐める、というのを垣根は繰り返す。
性器を舐めれば苦味を感じたが、なるだけ気にしないように心がけていた。
緩急をつけた愛撫に一方通行の息は荒く、水気を帯びていく。

堕落を誘う蛇のような赤い舌が充血した性器を這っている。
視覚からの刺激もまた、一方通行の頭を痺れさせた。

元よりカウパー液や精液でベタついていたというのに、さらに垣根の唾液がつき、一方通行のペニス全体はびっしょりと濡れている。
液体を舌に絡めるように愛撫すれば、唾液とは違う、さらに新たな液が屹立の先端から滲み伝っていった。

「お前のチンコの先っぽからすげえ沢山カウパー出てきてる。気持ちいいんだな」

「っは、……き、持ち、よくなンか……!」

「じゃ、やめてやろうか?」

意地の悪い笑みを浮かべた垣根を睨もうとする一方通行だが、その目に力はない。
やめてやろうかという言葉にも何の返答もしないで押し黙る。
続けてくれと暗に言っているようなものだ。そうでなければやめろと喚くに違いないのだから。

「ならもっとよくしてやるよ」

「!!」

あーん、と垣根の口が大きく開かれて、今度はペニス全体を咥え込む。
垣根にとっては、ソーセージでも食べている気分だった。
だが口の中全体に広がるのは香ばしい肉のものとは全く異なる青臭い精液の風味だ。

(これ口ん中に出されたらえずいてこいつの噛みそう)

苦いものは好きではない。
そう言えば、コーヒーやビールなどを常飲している人間の精液は苦くなるのだとか―――。

(果物類食ってるやつのは甘くなるんだっけ)

日常的にそれらを食べさせることにしよう、と馬鹿らしいことを考える垣根に対し、一方通行の方は呆然としていた。

自分の性器を人間、しかも男が咥えているというだけでもとんでもない光景なのだが、垣根の口の中は熱く、咥えられているだけで蕩けそうな感覚だった。
くらつく感覚がして、脳の奥に膜が張ったように思考がぼやける。

じ、と上目遣いに一方通行のその様子を眺めた後、垣根は行動を開始した。
唇で一方通行のペニスを弱く刺激しながら、口内のものをじゅ、と吸い上げてみる。
塩っぽい味と苦い味を感じながらも、次に小ぶりなものに舌を絡めた。

「お、い……やめ……――!」

熱を持った口内で吸い付くような、浸食するような性器への刺激に悶え、自分の腕を抓る一方通行だが、そんなものでは耐えられないようだ。

「っふ、ゥ、あァ……っ、ン……」

固く目を閉じる一方通行がなんだかいじらしく思えて、垣根は一方通行の細い腰に腕を回し、抱きしめる。
たらたらと口の中で垂れ流される液を飲み込みながらも一方通行への刺激はやめない。
そうしているうちに、ビクビクと大きく一方通行のペニスが脈打つ。射精の前兆だ。

(口ん中に出されちゃまずいな)

少しばかり焦った垣根は、急いで一方通行の性器を口から出そうとする。
が、遅かったようだ。

「―――!」

「うぉ!?」

ぴゅっ、と水鉄砲のように精液が吐き出される。
……垣根の顔に。

自分の性器を人間、しかも男が咥えているというだけでもとんでもない光景なのだが、垣根の口の中は熱く、咥えられているだけで蕩けそうな感覚だった。
くらつく感覚がして、脳の奥に膜が張ったように思考がぼやける。

じ、と上目遣いに一方通行のその様子を眺めた後、垣根は行動を開始した。
唇で一方通行のペニスを弱く刺激しながら、口内のものをじゅ、と吸い上げてみる。
塩っぽい味と苦い味を感じながらも、次に小ぶりなものに舌を絡めた。

「お、い……やめ……――!」

熱を持った口内で吸い付くような、浸食するような性器への刺激に悶え、自分の腕を抓る一方通行だが、そんなものでは耐えられないようだ。

「っふ、ゥ、あァ……っ、ン……」

固く目を閉じる一方通行がなんだかいじらしく思えて、垣根は一方通行の細い腰に腕を回し、抱きしめる。
たらたらと口の中で垂れ流される液を飲み込みながらも一方通行への刺激はやめない。
そうしているうちに、ビクビクと大きく一方通行のペニスが脈打つ。射精の前兆だ。

(口ん中に出されちゃまずいな)

少しばかり焦った垣根は、急いで一方通行の性器を口から出そうとする。
が、遅かったようだ。

「―――!」

「うぉ!?」

ぴゅっ、と水鉄砲のように精液が吐き出される。
……垣根の顔に。

「……」

左頬を中心にべったりと精液をぶっかけられて呆然とする垣根。
まさか自分が顔射されようとは。する方でしかないと思っていたのに。
というか、一方通行が射精する場所については考えていなかった。
事前にティッシュでも手元に置いてくべきだったようだ。
口に伝い落ちてきた搾りたての精液をなんとなげに舐めてみると、やはり苦い。
ダイレクトに口に出されて飲み込めるものとは思えない。

失敗シッチャッタ☆

そんな心境だったのだが、ふと一方通行の視線に気付く。
一方通行は、欲情したようにぼうっとした目で垣根の顔を見つめていた。

「……顔射フェチ?」

首をかしげる垣根に我に返ったのか、一方通行は顔を真っ赤にする。

「オ、オマエが途中で口から出したからだ」

「俺苦いのあんま好きじゃないし。やっぱ飲んで欲しかったのか?」

「ンな事言ってねェ!」

「俺に直飲みさせたいならコーヒー中毒脱して果物食いまくってまろやかちんぽみるくにすることだな」

「言ってねェってンだろォが!」

下らない言い合いをしながら垣根は内心ガッツポーズをする。
一方通行は完全に先ほどの垣根の悪ふざけに関しては忘れたらしい。
それに、一方通行から顔にぶっかけてきたのなら仕返しはそれで済んだはずだ。
いや、それよりも前に、糞塗れにした件やら小便塗れにしたという悪事も水洗便所のように水に流してくれる一方通行は正に肉便器の鏡なのだ―――。
清々しい気分であった。

だが、一方通行はそうではない。
『一発出したくらいじゃ収まんねえ』と言った割には垣根は自分の快感は求めず、一方通行に手を出すばかりだった。

(やっぱ何かあるンじゃねェか……?)

二発出し、思考のクリアになった一方通行は、どうにも納得できずにいた。
それから、ふと思った。

(あいつ、さっきの件誤魔化すために手ェ出してきたンじゃねェだろォな?)

だとしたらなんとなくぶっ飛ばしたくなる。
仕返ししてやりたくなる。

(……あの変態は俺がとっくに忘れたと思って油断してやがるンだろう。
だったらその愉快な幻想をぶち殺してやンよ)


一方通行の仕返しの内容
安価↓  ※場合によっては返り討ちにされます

お返しにフェラ

.>>358
把握
近いうちに投下できますように!


エロいぜエロいぜ
もう69で舐め合えばいいんじゃないですかねぇ?(ゲス顔

まっちょる

週に一度は投下せな(使命感)と思ってたけど一方通行がチンペロするってのが
ワイの頭で浮かばなくて遅くなったんやすまん
チンペロとかマヂありえなぁいなセロリを肉便所にし隊
投下

垣根が顔にかかった精液を拭いている間に一方通行は思索する。

(どォにもあの変態は快感を避けてるよォな気がする。
そォでもなきゃ、俺に手ェ出すときにもっと何か……するだろ)

(去勢したってンでも、インポでもねェみてェだし)

同年代の男の性器というのをあまり見たことがない一方通行だが、
垣根はかつて見た研究員達のものよりも立派なモノを持っていたのは分かる。
射精する瞬間を見れば正常に働いていることも確かだ。

(俺が寝てる時は顔に擦り付けてきやがるってのに、起きてりゃしねェ。
    そォいや、奴は何かの能力で俺の反射を破ってやがったな。ということは)

快感で思考力が落ちて演算が崩れるのを避けている、とか。

(……ありえそうだな)

一方通行。
その力の本質は、自身が観測した現象から逆算して限りなく本物に近い推論を導き出すことにある。
というのとはあまり関係なしに彼は真理へとたどり着いた。

(演算が乱れれば奴は俺の反射を突破出来ねェ訳だ。
つまり一度切り崩せば俺に抵抗できなくなる)

自慰行為程度でならまだ突破可能なようだが、一方通行が寝ている間だけ手を出すのを見るに、
能動的に能力を使われてはさすがに不味いのだろう。
そして、普段の状態では垣根は何らかの手段によって一方通行の能力の使用を先読み出来るようであるが、
そのスキルには強い集中力を必要とするのかもしれない。

(油断させて初撃で思考力を奪えば余裕か。……こりゃ愉快な事になるぜ)

声を出して笑いたいのを抑え、一方通行はいずこかへ撤収しようとする垣根に話しかける。

「おい、待てよ」

「ん? まだして欲しいのか?」

「違ェ」

何と言えばいい。
普段であれば決して言わないことを言われたらどう思うか?
何か裏があると思うのが普通だ。
さも言いにくいというように沈黙する一方通行。

「ほら、言ってみろよ。正直に言えたらもっとよくしてやるぜ……?」

誘うような声で語りながら垣根は膝を折り、座ったままの一方通行に視線を合わせ、白い頬にそっと触れる。

「……」

優しげな視線に流されてはいけない。

(もォこれ以上、こンなホモ野郎に流されてたまるか)

今こそ主導権を握ってやるべきだ。

(そのためにはまずコイツに警戒心を持たせねェよォにするべきだ。
俺がコイツに堕ちた風に見せるのがイイ)

一方通行は言葉による駆け引きは不得手だと自覚している。
よって、下手に口を開くより先に動くべきだと判断した。

ぎゅ、と一方通行の手が垣根のセーターを握り締める。

「!?」

垣根が急になんだコイツという顔をするのを確認し、一方通行は胸元に顔を摺り寄せる。

「ど、どうしたんだよ、一方通行。デレ期到来?」

「……ンだよ、それ。ちっとばっかサービスしてやってもいいと思っただけだ」

こんなもので上手く行く確証など無いのだが、失敗したとしても現状よりも事態が悪化することもあるまい。

「うっそ。マジで……」

騙されンのかよ。
素面でツッコミそうになったがなんとか堪える。

「明日はグングニルが降りそうだ」

「ブッ飛ばすぞオマエ」

割と本気でイラッとする一方通行を宥めるように垣根が白い頭を柔らかに抱き締めた。

「お前素直だとすげー可愛いな」

「ただのサービスだってンだろ」
なァ、これだけでいいのか?」

垣根の胸元に顔を当てたままややくぐもった声で囁く。
心なしか額を当てた場所の奥の心臓が一際大きく跳ねた気がした。

「へえ……もっとサービスしてくれんの?」

「オマエにやられっぱなしなのが気に食わねェだけだ」

誰かを騙す、陥れる言葉には本音を交える事が重要だ。リアリティのために。
人知れずニヤニヤと笑う一方通行。

(唐突にデレるとか不覚にも萌……絶対裏があるな。
俺の弱点に勘付きやがったか―――。
エロいことして油断させ、集中力を乱し抵抗不能に追い込もうって魂胆だろう)

だが焦りは無い。
垣根もまた笑う。

(俺はさっきの頬コキ大作戦の成功で一方通行の反射なんざもはや恐るるに足りねえんだよ。
やべえと思ったら感覚神経阻害するように能力使やいいしな……。
精々ご奉仕するんだな一方通行ぁ!)

顔を緩める両者はまるで恋人同士のようであり―――その実腹にはどす黒い、いやむしろ白濁した思いが渦巻いていた。
実に嫌らしい関係である。

「サービスって、具体的には何をしてくれんだよ」

「何って……」

垣根がやってきたことをやり返すべきだろう。
そして直前にされていた事は。

(あいつのを舐める、とか)

先程真近で見た男性器。

(アレを舐めるなンざ……)

のしかかって来られた時に感じた硬い物が今こうしている間にも屹立しているのかもしれない。
触ってくれと言うように。

「……」

一方通行はゴクリと生唾を飲み込む。
垣根はいずれあんなものを自分の肛門に無理矢理に突き入れる気なのだろう。
あれが入るのだろうか。
あのカリ首で中を何度も擦られたら、肉壁を掻き出されるように動かれたら、
再び快楽のあまり失禁してしまうのでは。

「クソ……」

「おい、どうした?」

「どうもしねェよ、変態野郎」

ペニスを想像して欲情するなんて丸っきり男色家だ。
余計な事を考えるな。
これから性行動を取るのは単なる復讐への手段だ。

「おい、のけ」

「ん? 怒ってんのか」

「違うから、のけ」

一方通行に胸を押されて垣根が後ろへ退くのと同時に一方通行が立ち上がる。
何故一方通行が立ったのかと見つめてくる垣根の視線はやはり高く、
僅かばかりに劣等感めいたものを感じた一方通行は垣根を思い切りソファに突き飛ばした。

「おっと、危ねえ。舌噛みそうになったんだけど」

「そのまま噛みちぎって死ンどけ」

憎まれ口を叩きつつも膝を折る一方通行。
互いの体制は先程と真逆だと垣根は気付く。

「まさかお前」

「おォ、その通りだ。精々喜び死ね」

「……ついさっき『オマエのなンざ絶対一生舐めねェ』って言ってたのに手のひら返すの早ぇよ。
即堕ち2コマみてえな……」

「毎度うるせェ奴だな」

驚き顔で何かしら呟く垣根に、一方通行は上目遣いで妖しげに笑い、むき出しのままの垣根のペニスに視線を移す。

「……」

やはり屹立している。
テラテラと光る先端がどうしようもなくいかがわしい。青臭い匂いがよりいやらしさを助長している。
不覚にも鼓動が早くなってしまうのを抑えられない。

他人の性器など頻繁に見ることも凝視することも無い一方通行だが、やはり女に快楽を与えるのに最適なサイズと形状だと見える。
これが、女にではなくこんな怪物と恐れられる自分のような男に使われようとしているなんて馬鹿げている。

(……いや、ンな事はどォでもイイだろ)

「俺のチンポに見惚れてたのか? マジで淫乱ホモだな。
ま、苦労して育てた自慢の息子だから仕方ないかね」

「自惚れもそこまで行きゃ幸せだろォな」

変態ナルシストが、と付け加えて再度目先の性器を眺める。
これを咥えるのは顎が疲れそうだ。うっかり噛み付いてしまうかもしれない。
噛んだら大ダメージを与えられるのは確実だ。

「一方通行……もしわざと噛み付いたらさすがの俺もキレるからな?」

「……。ンな事するかクソ」

「おいコラなんでちょっと間が空いたんだ」

今は大人しく垣根の様子を伺い、隙を生み出すべきだろう。
そう結論付けて、一方通行は垣根のペニスに顔を寄せた。
特有の匂いがより一層強く感じられる。だが嫌いな匂いではない。
これほど近くで性器を見たことは自分のものを含めて一度も無かった。
好奇心をそそられないと言えば嘘になる。

その好奇心のままに、亀頭の裏側より伸びる筋に舌先を押し付けて舐め下ろしてやると、
垣根はビクリと股を跳ねさせて頓狂な声を上げた。

「ああんっ」

「……きめェ」

「いやいきなりスジ攻められるとは思わなくて……。
つーかお前がチンポ舐めてる時点でドッカンドッカン来るわ。股間に」

「は、そォかよ」

性といった俗物からかけ離れたような風貌かつ常時上から目線のふてぶてしい態度の小憎らしい一方通行が自らペニスに奉仕しにくる、
そうなれば興奮するなという方が不可能だ。

そんな状態で敏感な箇所を刺激されるのは堪らない。
うっかり射精でもすれば早漏と馬鹿にされかねないのだから耐えるとするが。

そんな垣根の心情を知ってか知らずか、一方通行は更に屹立した性器を舐る。
今度は裏スジの周辺を擽るように。陰茎を、亀頭の裏側を、カリの段差を。

「っ……」

「気持ひいいかよ」

ドクドクとした脈を舌に感じながら滲み出てくるカウパー液を唾液と絡めて性器を舐め回すと、垣根は上ずり気味の吐息を漏らした。

「あぁ、たまんねぇ……。なあ、もっとしてくれよ」

(こいつ既にかなり気ィ緩めてねェ?)

快感に揺蕩うような目の今の垣根に打撃を与えるのは難しくないだろうと思える。
口角を釣り上げる一方通行だが、まだその時期でない……と思うことにして愛撫を続ける。
だが、未だ要領は得ない。

(こいつがさっきやりやがったのは、)

湧き上がる羞恥心に耐えながら先程垣根にされたフェラチオを思い返してみる。
一方通行のペニスと垣根のものではサイズが違いすぎるので同じようにはいかないかもしれない。
だが、大半は変わらないはずだ。
同じ男なのだからどうすれば気持ちがいいのかは大差ない。

一方通行の口が大きく開き、垣根の亀頭が咥え込まれる。

「ぅ、わ。そこまでしてくれんのかよ」

「ン……」

自分が尿道口を舐められる時は汚いと思わないのか、と驚愕したような顔で言っていたのに一方通行は躊躇なく垣根の亀頭を咥え込んでしまった。

「お前やっぱり俺の事好きなんだろ」

「ン、ゥう」

「……」

一方通行が否定の言葉を吐こうとしているのは垣根にも分かるが、嫌がりもせずに性器を口に入れ、
歯を立てないようにしながら息苦しそうに愛撫してくるのは悪い気がしない。
内心で何かしらの策を講じていそうだと思っていても。

ぺろ、と一方通行の舌が垣根の亀頭を形状に沿って緩やかに撫でる。

「は、……ぅ」

(こンなでいいのか……?)

出来ればもっと気持ち良くさせたい、と思うのは幾度となく快感を与えてきた男へのある種の復讐だ。

(コイツがイカされたくらいで屈服するわきゃねェがな)

むしろ喜ぶだけだろうとも思っているのだが。

「っあ、一方通行」

「……?」

性器を咥えたまま、一方通行が上目遣いに垣根を見つめ返した。

「下手だな、お前」

「っあ、ンだと」

気持ち良さそうにしてたじゃないかよ、と文句ありげに睨み付ける一方通行に垣根は笑いかける。

「舌を亀頭につけたまま前後に顔動かしてみ。カリ首んとこから根元の方までを往復させてさ」

「快感が欲しいなら能力でイキ狂わせてやるぜ」

「俺はお前にご奉仕して欲しいんだよ。
もっと言えば淫らにチンポじゅぽじゅぽするテメェが見たいんだよ。
お願い」

「メンドくせェ……」

ネッ、と子供のような目を向ける垣根に可愛こぶンなと怒鳴りたい衝動を抑え、一方通行はどうすべきか考える。

ここで従った方が垣根の警戒心はより薄くなるのではないか。

ため息を付き、覚悟を決める。

「……今だけだからな」

「さすが俺の嫁は淫乱天使だわ」

「殺すぞ」

垣根の視線を振り切るように目を逸らし、一方通行は唾液や我慢汁に濡れた性器をもう一度、先ほどよりも深く咥える。

(やっぱ、しょっぺェ)

僅かに苦味のある塩の味を感じながら、垣根の言った通りに動いてみる。

「く…ゥ・・…」

ゆっくりと頭を前後させようにも、なかなか上手くいかない。
気を抜けば歯を立てそうになるし、顎も痛む。
息苦しくて酸素が足りなくなりそうだ。

内心文句たらたらながらも、苦しげな息を吐きつつ賢明に快感を与えようとしている一方通行の様は健気だった。

「お前ホント可愛いな」

自然にそう呟き、垣根は一方通行の頭を撫でる。
さらさらとした髪は幼い子供のもののように柔らかい。

「ン……」

一方通行は反抗的な目を下から向けてくるが、髪と頭皮を撫でられるのは心地いいのか目に力は無く、どこか安堵するような色さえ浮かんでいた。
垣根はさらに頭を優しく撫で続けてやることにする。

「気持いいぞ、一方通行……」

上手いとは到底言い難い愛撫だが、視覚からくる興奮はかなりのものだ。
拙い愛撫を続けられるうちにじりじりと快感は電流のように流れ続け、切羽詰ったような射精感がせり上がってくる。

「あ、一方通行……射精しそうなんだが」

「ふ、?」

口から抜け、と垣根は暗に行ったつもりだったのだが、どうも一方通行は理解していないようだ。

(何そのキョトンとした顔)

なぜにそんなに無邪気な顔をしているのだろうか。それどころかトロンとした目をしている。
苦しさや軽い酸欠状態のためなのか、それとも欲情してしまったのか……。
垣根の喉を生唾が音を立てて流れ込んでいく。

このまま出していいのか? 出すぞ? 決めた、出す。そんなに飲みたいってんならじっくり味わえ淫乱め。

葛藤はほぼ無く、後で殴られるかもしれないと思いながら垣根は決める。
口内射精を。と同時に、いよいよもって堰が切れるのを感じた。

「ぁ、イく……――!」

身を固くした一瞬のあとに、敏感な場所を勢いよく精液が流れ、吐き出される。

「ンうっ!?」

一方通行が目を見開くも既に遅い。
精液の何割かは勢いそのまま一方通行の喉に飛び込んでいき、残りは舌、頬肉、喉と余すところなく口内を犯していく。
口中に広がったのは濃厚なタンパク質らしい苦味だ。

「はぁ、……お前がなんもしねえからそのまま出しちまっただろ。
早く吐けよ」

息を荒げながら垣根は呆然としたような顔の一方通行に声をかける。
一方通行は無言のままだ。

「一方通行?」

「……」

殴りかかってくるかと身構える垣根だが、不気味なほど一方通行は何も言いも動きもしない。
と観察していると、もご、と一方通行の頬が動き、しばらくの後で僅かに頭が動き、低い声の呟きが聞こえた。

「苦ェな」

「な、」

まさか咀嚼でもしていたのか。
口に入ったらなんでも飲み食いする赤ん坊かお前は。

「……食いしん坊」

「あァ!?」

「え、そっちは怒るの?」

「飲ンだらおかしいのか?」

「いやおかしくないけどさ、あんなクッソ苦いもんよく平然と飲めるな」

ほぁー、と感心したような嬉しいような呆れるような感情の入り混じった声で言う垣根に、なぜか勝ち誇ったような顔を向ける一方通行。

「俺はおこちゃまていとくンと違ェンだよ」

「俺の精液はコーヒーと同じかコラ。
……にしても、意外だったな」

「あ?」

「お前が俺を油断させて襲ってくるんじゃねえかと身構えてたんだが」

「……」

いつやるかいつやるかとタイミングを図っているうちにやり損ねていた。
いや、隙には確かに気付いていた。
蕩けたような愛おしむような目を向けられて情が湧いてしまっていたのか―――攻撃をする気が削がれていた。

「ん。黙りこくるってことは、やっぱそうだったのかよ」

「だったらオマエはどォする。ちっとは絶望したかよ」

「安心しろ。最初っからそんな気はしてた。
……そんなんでいいからこれからもご奉仕ヨロシクな?」

正に余裕といった表情で言い切り、愛でるように一方通行の頭を撫でる垣根。
なんだかそれが憎らしいような、その逆のような複雑な心境になる一方通行だったが。

――― 内心、垣根は大いに焦っていた。

(射精する瞬間襲われたら死んでたぞ、俺)

今にして思うとかなり危険だった。対策など立てていなかったのだ。
一方通行がご奉仕、というあまりにも似つかわしくない行動に浮かれていたのだろう。
危ない橋は渡らないほうがいい、と思う程度には用心深さのある垣根であるが、ふとした瞬間とてつもなく慢心する癖がある。
学園都市第一位、一方通行を前にしてのそれは致命傷だ。

死なないまでも屎尿を撒き散らしてイキ狂う状態にでもされたら堪ったものではない。

一方通行の弱みとなる映像は手にしているが、冷静に考えれば一方通行の能力は使い方次第では洗脳も可能なのだ。
油断していたところを一撃食らわされ、ダウンしている間に洗脳されればあの弱みも使えなくなる。

(……やっぱさっさと代理演算装置作らねえと。
反射に限らずあいつのヤバげな能力を即座察知可能かつ迎撃機能も付けて……)

これほどまでに一方通行を警戒するのに僅かに罪悪感を覚えつつ、そう決意を新たにするのであった。

だがそれより先にしなければならないことがある。

(個人情報流しやがったクソの特定と過去書き込みとの紐付け―――だな)

垣根の目に炎が宿る。
これを終えるまでは他の作業を成すわけにいかない。

投下終わり。
次の投下は次の土日あたり


乙ゥ
花畑さん逃げて超逃げて


次も楽しみに待ってる


もう恋人同士じゃん

使徒ハハエルの襲来に怯えつつ投下


―――


垣根「あのスレ立てやがったクソは擦立一、痰壺高校の17歳。
    最初に名簿晒したのは更詞鳴帆18歳。俺の同級生が道木雨生15歳」

垣根「どいつもこいつも役割で付けられたような名前だ」

垣根「で、こいつらの実名を匿名掲示板の過去書き込みと紐付け、っと」

ここまでは順調だ。
だが、一つ問題がある。

垣根「俺と一方通行のチュー画像を最初にアップロードした奴の身元がわからねえ……」

何らかの細工をしているのか、学園ちゃんねるサーバをハッキングしても接続先が不明確だ。
通常はその場合においても僅かな痕跡から情報を探り出す事は不可能ではない。
だが、垣根の腕をもってしてもその痕跡を探り当てることも出来ない。
そうなれば過去書き込みの特定も出来ない。
根気よく探り続ければいずれは可能かもしれないが、骨の折れる作業だ。

垣根「つまり……ID:WiiHaL80iは俺以上の技術を持っているわけだ」

第二位の頭脳、ネット上でムカついた相手の個人特定作業で身につけた技術力―――これらで太刀打ち不能。
相手は間違いなく強敵だ。
だがそれは、この学園都市にそう多くはないレベルの人材がアップロード主であることの証明である。

垣根「……」

思考する。

書き込みを見るに腐女子であろう。
ネナベをやっている腐男子である可能性も否定できないが、腐女子の方が圧倒的に人口が多い以上前者の確率の方が当然高い。
第七学区の公園を歩いていた際に撮影したとのことだが、主な生活区域もその周辺だろうか。

垣根「第七学区在住と仮定してみるか。っても、どんな奴が住んでるかなんて知らねえし。
    そういや、風紀委員第一七七支部のセキュリティは異様に強固って話だが……」

まさか風紀委員だろうか。

垣根「守護神って奴がいるんだっけ。あそこ」

敵は守護神か。
いや、発想が安直すぎる。

垣根(他にあの辺りで電脳世界において俺以上に強そうな奴で知ってるのか超電磁砲くらいか)

実際にあったのは一度きりだが、彼女がそんなことをするとは思えない。

垣根「いやでも人間二面性があるからなー」

日夜ホモ本を買いあさりに奔走する超能力者序列第三位にして学園都市の広告塔。

垣根「……アカン」

だがもしそうだったら面白いかもしれない。超電磁砲自身もからかいがいのありそうな娘だったのだし。
そこでふと思い出す。
超電磁砲と思われる常盤台生が自販機蹴ってた、というスレッドが今朝にも立っていた。
彼女の素行はそれなりに注目されている。
ネット中を探れば情報はいくらでも見つかるだろう。
仮に彼女が腐女子であったらその断片でも探れるかもしれない。

垣根「解析作業疲れたし、休憩がてら超電磁砲の個人情報探って遊ぼっと」

本人が聞いたら憤怒しそうな事を言いながら電子掲示板群、学園ちゃんねるを漁る。


市内速報@学園ちゃんねる

1:二日前に天使に殺されかけたんだが(802)
2:クソ映画を超淡々と紹介していくスレ(311)
3:今年度に入って50回職務質問されたけど質問ある?(101)
4:【脳天】同僚が腐女子と発覚【花畑】(965)
5:ガチ根さんがカブトムシだった頃の画像下さい!(643)
    :
    :
    :


垣根「おーおー今日も糞スレばっかじゃねえか。
    誰か『御坂美琴の個人情報を晒しあげていくわぁ』とかいうスレ立てろよ」

垣根「まとめサイトとかあるか調べてみるか。有名人だしあんだろ。御坂美琴で検索、っと」カチカチ


能力者Wiki(仮) - 御坂美琴の個人情報だゾ☆
────────────――――――――
wochiINgakuentosui/paages/3.html


垣根「うわ、本当にあった。表も裏もクズばっかだなこの街は」カチカチ

御坂 美琴
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
性別:女     /所属:常盤台中学校
能力:電撃使い(強度5 - 超能力者序列三位)
身長:161センチ/体重:44.5~45.4キロを推移、平均45キロ
血液型:AB   /誕生日:5月2日(4/20現在13才)
住所:常盤台中学女子寮208号室(凸した者は死す)
異名:超電磁砲、第三位、常盤台の電撃姫、トキワのピカチュウ
一日の摂取カロリー:2000~2300Kcalを推移、平均2100Kcal
休日の過ごし方:街の徘徊、本屋で立ち読み、自販機キック(常盤台の伝統芸)
トレードマーク:常盤台制服(学校指定で休日にも着用義務あり。夏冬各7着所持)
         短パン(常盤台中学売店にて税込5000円で販売)※パンチラ不可
好きな書籍ジャンル:少年漫画(4/20現在は『私のガマゲロ様』がお気に入りの模様)


垣根「……これ場合によっちゃ訴えられるぞ。
    一日の摂取カロリーとか体重の推移とか誰がデータ探ってんだ」

ストーカーの記録とすら思えるものを軽く引きながら読み進めるうちに、『超電磁砲の噂』というコーナーを目にする。

曰く、カッとなると雷を落とす。
曰く、ゲコ太マニアである。
曰く、子供趣味疑惑濃厚。衣類の買い物の際は店員に選んでもらう場合が多い。……等々

様々な噂の中に、一つ目を引くものがあった。

『御坂美琴の軍用クローンが大量生産されている』―――というもの。

垣根「……」

垣根の脳裏に浮かぶのは15学区にて見た御坂美琴そっくりのウェイトレスだった。

この街ならば国際法に反する人間のクローンなど平然と造りだす。
超能力者である超電磁砲のものならばさもありそうな話だ。
それに関しては今更驚きもしないが、一つ引っかかることがある。

なぜあの御坂美琴と瓜二つの少女は一方通行の名前を聞いて意味有りげな反応をしていたのか。

液晶を前に思う垣根に、一方通行が声をかけた。

一方「オマエさっきから何やってンだ?」

垣根「お、一方通行。お前どこ行ってたんだ? 便所?」

一方「風呂」

垣根「はぁ? 誰の許可得て勝手に風呂入ってんの?
    一緒に入りたかったのに」

一方「そォいう展開を避けるためにオマエがパソコンで遊んでるうちに入った」

垣根「ムカついた。お前一生うちの便所無許可で使うの禁止な。
    俺の気まぐれによってテメェの排泄場所は決まります」

一方「じゃあ出て行くわ」

垣根「冗談だよ……。お前が出て行ったら全てを破壊し尽くすから。
    そこには当然お前の人生も含まれる。ある一つの映像によっ、」

一方「そォなったらこの地球ごと爆砕してオマエを殺す」

垣根「お前も死ぬがな。死ぬときは一緒。
    世界を滅ぼす恋―――いいね、最高じゃねえの」

垣根「つーかお前着替えは?」

一方「オマエに連行されたせいで替えの服取りに行けなかったンだよ!」

垣根「なら俺の服着ろよ。パンツも含めてな。
    俺が穿いてたパンツをお前が穿くってのは間接的に一体化してると同義だ」

垣根「つまりセックスしてるようなもんじゃん? さあ穿け。なんなら今直脱ぎしてやろうか」ゴソゴソ

一方「意味分かンねェうぜェいらねェ黙れ」

ベストを外しチャックを下ろす垣根に構わず、一方通行はパソコンの画面を覗き込んだ。

一方「超電磁砲の噂、ねェ。オマエやっぱ超電磁砲好きなのか?」

垣根「俺が中学生に欲情する変態に見えるか?」

一方「小学生……いや幼稚園児……いやそれ未満にも欲情するだろオマエは。
    穴があればなんでもいいとか言いそうなツラしてやがる」

垣根「小学生以下の女児でさえあれば胎児にすら欲情する一方通行にそんな偏見持たれるとか心外だわー。
    俺はお前以外に惚れません。はい論破」

一方「欲情するわけねェだろクソが」

一方通行がボヤくのを聞きながら垣根はパソコンの電源を切る。
なんとなくクローン疑惑の少女の話は一方通行に伏せておきたいような気がしたからだった。

垣根「俺も今から風呂入る。お前のベッドまだ来てないし、俺のベッドに先に寝てな」

一方「誰がオマエなンかと寝るか。俺はソファで寝る」

垣根「そうか。お前がそこで寝てたら運んどいてやるから安心しろよ」

一方「……チッ」

盛大な舌打ちはそれ以上何も言わないことを表しているも同じだ。
一方通行と同衾するのは遅くなるだろうと少々口惜しい気分になる垣根だった。

保険としての代理演算装置製造さえ終了すれば何事もヤり放題なのだからしばしの我慢だ。




 


――― 同時刻、学園都市内某所の住宅地にて。

『垣根帝督という人物についての報告。
能力は念動能力。強度は大能力者クラス、所属は叡智高校。
能力の詳細は―――』

スタンドライトとノートパソコンの放つ光だけが浮かび上がる薄暗い陰鬱な雰囲気に満ちる部屋にて、
手入れのされていない黒い髪の男が、パソコンの液晶に表示されたメールの文面を眺めていた。
陰気な男がそこにいることでより場の空気は暗く、ねっとりとしている。

「念動能力の大能力者、か。
万一超能力者であったら排除にも手がかかるところだったが、その程度ならばさほどでもないだろう」

安堵したように男、天井は呟く。

大能力者は相当の力の持ち主であり、単身にて軍事においての戦略的価値を持つ。
しかしあくまで人間である以上、不意に狙撃されて防御できる者など一握りである。
最悪の場合、天井自らが少年を銃殺することさえ可能だ。

絶対能力進化実験を推し進めるための障害。
絶対能力者になれるとされる唯一の能力者、一方通行の実験参加の拒否の要因となりうる存在の排除は、天井の人生の障害の排除でもある。

天井は更にメールを読み進める。

『貴方の進言通り、本計画において かの人物の排除は適切と判断されました。
こちらから始末人に依頼し、明日にでもしかるべき処置を施します。』

メールはそこで終わっている。

「……はぁ」

これで何事もなく実験は開始されるだろう。
だが、天井の中には安堵だけが広がるのではない。
罪もない一人の少年を殺害、あるいは学園都市の暗部へと追いやるのには何の感傷も抱かない事も無かった。

あの少年は、いくらでも量産可能な存在ではないのだから。

(……私が排除を要請したし、最悪の場合は自ら動こうとさえ考えていたのに今更だな)

善人ぶるのは性に合わない。
この街の研究者になってあらゆる汚らしい実験を見てきた。
自分のような弱い人間は自分の身を守ることだけを考え、卑怯に生きる事でしかこの街では生き抜けない。

もう一度天井は溜息をつく。

「また溜息ですか? あなたは常にハァハァハァハァ言ってますね、とミサカは誤解を招くような物言いをします」

「そんなに言ってないだろ……まだ動悸息切れ気付けを起こす年では―――
って、なぜお前がここにいる!?」

いつの間にやらやってきた少女は天井にとってこれ以上ないほどに見覚えのある、セミロングの茶髪の、無表情な少女だった。
無表情な少女が、驚愕する天井を前に呆れたような顔をする。

「研究所から逃亡してきただけです。とミサカは考えなくても分かるだろうことをいちいち説明する面倒くささに耐えて答えます」

「なんで逃亡してきたのかが聞きたい。検体番号は何だ?」

「00801号です。通称がヤオイ号です」

「やおいはどうでもいいわ!」

「やおいがどうでもいいとは……聞き捨てなりませんね。逃亡してきた理由は、そうですね。
油ギッシュのロリコンオッサン研究者共に幾度となく猥褻行為を働かれそうになり逃亡しました」

「猥せ……、そうか。帰れ」

「!? あなたには人の心がないのですか!?」

「……」

天井は人の心がないというのはお前だろうという言葉を飲み込む。
そんなものは人格データに組み込んでいない。

だが、現にミサカ00801号は猥褻行為を働かれる事を恐れて逃亡してきている。
いや、単に生物的に不快だったのか。

「困ったものだな。絶対能力進化実験の際にもお前は逃げるんじゃないか?」

「いえ、そこは心配に及びません。
元々殺されるために生まれてきたことは理解の上ですし―――。
ただ 短い人生をキモイオッサンに蹂躙されながら生きる義務は無いし、勘弁して欲しいと思いました。
とミサカはボサボサ髪のだらしないオッサンに説明します」

「……ここにお前達の調整機具は無いぞ」

妹達は定期的に肉体を専用の機械で調整しなくてはすぐに死んでしまう。
短期間に一気に肉体を成長させた代償だった。

「あなたの所属する研究所にはあるじゃないですか。金が」

「わざわざ買えと言いたいのか。研究所になら調整機具程度有る。
……なぜわざわざ私の家に来た。そもそも鍵はどうした」

「鍵は電子ハックとピッキングで余裕の突破です。
ここに来たのは家を知っている相手があなただけだったからです。
ついでにカイツ氏がミサカのいる研究施設を訪問した際セクハラの相談をすると
『ドクター天井は御し易いから面倒事の押し付けにはお勧めデス』、と言ってましたので」

「カイツ……ってあいつそんなことを言っていたのか。
なぜ一方通行が垣根帝督とやらと親しげという報告をお前が私にするのか疑問だったが……そういうことか」

舐められている気はしてた。
ふざくんな。

次会ったら睨んでやろうというみみっちい考えの天井にさらにミサカ00801号は追撃する。

「ちなみにミサカがバイトで使った偽名も天井に設定されてます。
『天井やお、って偽名はどうだイ』ってカイツに言われて」

「なぜだ……」

本当になぜだ。

「カイツ×天井―――誰が得するのでしょうね」

「誰も得しない」

「ああ、ホモと言えば一方通行と垣根帝督も……」

「『も』って何だ。訂正しろ。少なくとも私はノンケ……、
え、一方通行、と、……?」

何と言ったか、と引きつり顔をする天井に、再び小馬鹿にするような顔をする00801号。

「情弱ですね。これだから天井は頭のネジまで甘いと馬鹿にされるのです、とミサカは嘲笑います」

「……おい。どういうことだ」

「サーバ上にはもう残ってないしデータのアップロードも不可能になってると思いますが―――
ミサカがこっそり保管したスレのデータが入ったUSBがここにあります」

00801号は無表情さとニヨニヨとした笑いが同居したような顔でUSBを手の平に乗せて天井に差し出す。
それを天井が受け取ろうとすると、パッと手を握り締めた。

「おい。早く渡せ」

「このデータが見たいのですね?」

「ああ」

一方通行と垣根帝督の関係に関する情報を得ることは無駄なことではなかった。
それによって垣根帝督への対応も変わるかもしれない。

「このデータが欲しいのなら……この家の部屋を一つくれませんか?」

「確かに空き部屋はあるが、何のためだ」

「頂けるのですね。では、このデータを与えましょう」

いや やるなんて言ってないだろ。天井はそう思いながらもUSBを受け取り、点けっぱなしのパソコンに差し込む。
USBの中に入っていたのはテキストファイルと画像ファイルだった。

「……」

ごくり、と唾を飲み込み、テキストファイルを開く。すると。




学園都市第一位がガチホモだった件

1 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:12:51.16 ID:afrN3kid0[1/22]
  白い方が第一位こと一方通行
  ttp://hhh.datnp.org/uholodo/hhh.datup.org7163791.jpg
  ※野郎同士のキス注意

2 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:13:22.89 ID:8h/uoAxj0[1/15]
  >>1が撮ったのかこれ

3 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:13:48.43 ID:afrN3kid0[2/22]
  >>2
  はい。

4 名前:名も無き学園都市民774号 投稿日:20XX/04/20(月) 00:15:22.72 ID:YY654nvci[1/4]

  \   / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::   )  く   ホ  す
    \ l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::: く   れ  モ  ま
       Y           ,!ミ::::::: ヽ  な  以  な
  `ヽ、  |           くミ:::::::: ノ   い  外  い
       |、__  ャー--_ニゞ `i::::,rく   か  は
  ``''ー- ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;! ,ヘ.)  !  帰
        ゙ソ   """"´`     〉 L_      っ
        /          i  ,  /|    て    r
  ≡=- 〈´ ,,.._        i  't-'゙ | ,へ     ,r┘
  ,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l   レ'  ヽr、⌒ヽ'

          ゙、`--─゙      /!         `、
    _,,、-     ゙、 ー''    / ;           `、
  -''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /         、\
  -''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ
     //    /     ヾ_、=ニ゙

「な、なんだこれは!」

「電子掲示板群、学園ちゃんねるのスレッドをオフラインで見れるように丸ごと保存したものです」

天井の目はスレッドタイトル部分に釘付けになる。

『学園都市第一位がガチホモだった件』
ガチホモ。ホンマもんのホモ。一方通行が。

「いや待て、別にあの白いのがホモガキだったとしても計画には何の問題も無い」

「そこの画像へのリンクはもう死んでるので、ファイル内の左上の画像を開いてください」

「あ、ああ」

困惑しつつ画像を開く。
一方通行と思しき白髪の少年と茶髪の男のキスシーンが液晶に踊った。

「っぐ、……これは」

一方通行がホモというのは事実だったらしい。
いや、それよりもこの男は誰だ。

「その画像の茶髪の男性が垣根帝督です。まあ、スレを読み進めて下さい。
スレに貼られた画像の順にファイル内のものも並んでいますし」

「そ、そうだな」

読み進める。
進める。
……茶髪の男の本名が垣根帝督と特定されている。
顔写真まで晒し上げられている。
所属や能力も。

「……もういい」

呼んでみた割にはスレタイにある以上の情報は新たに得られなかった。
いや、垣根帝督の顔が分かっただけだ。

しかし、一方通行がホモ―――というのはこの際置いておくにして。
友情関係と思われていた一方通行と垣根帝督の両者が恋愛関係にあったというのは衝撃的だ。

だからといって、対処法が変わるかといえばそうでもないのだが。

垣根という大切な存在を失われることで一方通行が絶対的な力を強く欲するようになるという天井の描く筋書きは変わらない。
思っていた以上に親密な関係であったのならば、よりその効果が大きくなるだけだ。

濁った算段をする天井に、00801号が声をかける。

「どうですか?」

「……何がだ」

「萌えませんか。華奢で中性的な一方通行と長身イケメンな垣根帝督―――眼福ですよね」

「意味がわからん……」

というか、分かったら自分の中の何かが終わる。

「ホモはいいですね。ホモは心を潤してくれます」

「……」

いつの間にそんなものにハマっていたんだこいつは。検体番号通りになってどうする。
人格データにこんな趣味を組み込んだ覚えは当然に、確実に無い。
まさか、御坂美琴のDNAがこうしたのか……?

呆然とする天井に、00801号は淡々と呟く。

「やおいはミサカの短い人生に色をつけてくれました。
やおいに出会ってから初めてミサカは幸せというものを知った気がします。
学習装置で得られない実感として」

「そんなもんで知るのはどうかと思うぞ」

「何の問題もないでしょう。ですが、ミサカ以外の妹達は大半がやおいに否定的なのが不思議です」

「……そ、そうか」

全妹達がホモ好きという事はないのか。
軽く安堵する天井だが、ふと思う。

組み込んだはずのない感情を持ち、他の個体と異なる独自の価値観を持っている。
目の前の少女は、果たして単なる人形として見ていいものなのか。
他の妹達にこういった変化が出ているのかは知らないが―――。
人の形、人の機能をもって生まれたからには人の精神性までもが芽生えてしまうのかもしれない。

彼女たちの持つ可能性を2万回も摘み取る事は、果たして。

「……」

―――いや、今更この実験を止める訳にもいかない。
実験が開始、進行するために尽力することだけを考えるべきだ。

天井は先ほどよりも深い溜息を吐く。
00801号に何かしら指摘されそうだと思いながら。



 

 



――― 一方通行ケツマンコ化計画四日目



 



「……ん、朝……か?」

誰に対してでもなく、寝起きのやや掠れた声がカーテンの隙間から光が差し込む部屋で発せられる。

「俺……ベッドなんかに寝たっけか」

明け方近くまでハッキングや演算代用機の精製に関する作業及び理論作りをしていたのは覚えているが、その後の記憶はない。
鳩のように帰巣本能で自室に戻るほどこの家に長く暮らしているわけでもないのだが、寝ぼけながらベッドに入ったのだろうか。

ぼやけた頭のまま寝ぼけ眼で天井を見つめる垣根の耳に、小さな寝息が聞こえてきた。

「……」

寝息の聞こえる方に目をやる。
キングサイズの寝台の端の方でこちらに背を向けて一方通行が眠っていた。

「まさか……あいつか?」

ソファで寝ていた一方通行をこの部屋に運んだのは覚えているが、明け方辺りにでも目が覚めた一方通行が
お返しとばかりに垣根をベッドに運び込んだのかもしれない。
仮にそうだとすれば、目が覚めた時点でソファに戻らなかったのは相当なデレっぷりだ。
一方通行に追求しても真実は語りそうにない。

「おーい、寝てるか? 一方通行」

声をかけても当然返事はない。

垣根はいそいそと一方通行に近付き、細い体に抱きついてみた。
一方通行は何の抵抗もせず寝息を立て続けている。
体温が低いとは言え、一方通行とて人である以上温かい。

今この瞬間にもどこかで悲惨な実験や利害対立による抗争が起こっているかもしれない。
自分が片鱗を掴むことさえも出来ない陰惨な計画もまた推し進められているだろう。
理解しつつもこの心地よさがいつまでも続けばいいと思ってしまう。

―――とっくの昔にそんな資格など失っているのだが。

「……やめよ。暗いこと考えんのは」

現状を変えることなど出来ないのにわざわざ不快なことを考える必要などない。
ていうか眠いから余計なことを考えたくない。

「おやすみ一方通行。
俺二度寝するから12時より早く起こすなよ……」

くしゃ、と一方通行の頭を撫でて再び瞼を閉じる。

寝ている間に何か復讐でもされるかもしれないという危機感など忘却し、呑気に眠りにつこうとしたその時、
無機質な電子音が鳴り響く。

「……チッ」

携帯が鳴っている。
茶金色の携帯が鳴るのは暗部の仕事に関する時だけだ。

垣根は眉間に皺を寄せ、一方通行から身を離しベッドの脇に置いた携帯を取る。

「んだコラ。人の安眠妨害してんじゃねえぞ」

『今まで寝てたの? 今日は定期集会の日だってのに』

「心理定規か。集会とかどうでも良すぎて忘れてたわ」

今後の暗部仕事の確認や作戦会議を行う定期集会。
上層部同士で利害対立がある以上、重要な会議の場合は内容を傍受されるのを防ぐために
わざわざアジトに身を寄せる必要があるのだ。
アナログの手段を用いねばならないのは不便だが仕方のない事だった。

「今日の議題はなんだっけ? きのたけ論争? 俺はすぎのこ派」

『マイナー厨は常にウザいわね。いやそんなことより早く来なさい。十分以内に』

「あー、うん。今から嫌々ながらそっち向かう」

適当に返事をして電話を切る。
心理定規がそれ程うるさく言わないのは垣根が従うのを知っているからだった。

(まあいつ着くとは行ってねえけど。
あんま遅くなると電話のオッサンに何されるかわかんねえし、一時間後あたりに着けばいいかね)

ともかく、嫌々ながら身を起こし、外出の支度をする。

垣根は特に急ぎもせずに身支度を終えてから、テーブルの上に現金を置いておいた。
メシはこれで買ってね(はあと)というメモとともに。

「金持ってない一方通行が空腹のあまり発狂して割腹自殺したら大変だからな」

気配りの出来る男、垣根帝督。
独り言を呟いてからもう一度寝室に戻る。

目的は一方通行だ。
いつの間にか寝返りをうったのか仰向けで眠っていたが、先ほど同様安らかに眠っている。
ほんの僅かに開いた一方通行の口に、垣根は自身の唇を重ねた。

「行ってきますのチュー……なんてな」

なんとなくやってみたかっただけの行為だ。が、妙に恥ずかしい。
意識のない相手に好きだと好きだとアピールする必要などないのにわざわざそんなことをしたからだろうか。

「何やってんだ、俺。はよ行こっと」

ふう、と一息履いてから垣根は足早に自室から立ち去った。

……
玄関の扉が閉ざされる音からやや遅れて、もぞりと一方通行が身動ぎする。

「……自分からしといて赤くなってンじゃねェよ、クソ」

寝言のように呟かれた声を受ける者はその場にいない。
目の上に手の甲を当てても赤くなった頬が隠れることはないが、誰にも見られていないのだから問題はなかった。



―――

午前九時三十分。
登校・通勤時刻はとうに過ぎていて、既に人通りは少ない。
急いでアジトに行く必要があるとすれば、翼を出して飛んでもあまり問題はなさそうが、今現在急ぐ必要は無い。
むしろ寄り道でもしようと思っている。

「一方通行に使う大人のオモチャでも買いに行くか……」

この近隣にも隠れた名店というのがあるのだ。


────────────────────────────────────────

(今日はここまで。以下安価よろしくなのー)

垣根を抹殺に来る始末人
このレスの↓

垣根が買う大人の玩具
(※2個まで頼んます。ファラリスの雄牛とかノコギリみたいな猟奇的なの以外で……)
このレスの↓↓と↓↓↓

────────────────────────────────────────
 

エイワス

媚薬ですの

ブラジャー


エイワスて……

行ってきますのチューのあたりだけを見ると純愛ものと言えなくも無いな!

エイワスwwwこりゃとんでもないもんが来たなぁ

>>408-410
把握なのですー
垣/根とブラジャー男子一方通行誕生までまで秒読み段階でござるな

投下します

店へ向かう前に考える。
何を買おうかということを。

垣根「んー、媚薬でも買うか。
    そういやセーラー服もあったことだし、ブラジャーでも装着させてクヤビク女装プレイと行くかね」

垣根「狙われた女子○学生系のシチュエーションでイこう」

ただでさえ敏感な一方通行に媚薬なんかを使えばどうなるものか見ものだ。
ニヤニヤと笑う垣根。
一方通行を狙われた女子○学生に扮させようと考える一方で垣根もまた狙われていた。


「―――垣根帝督か」

そう呟いたのは垣根を狙う存在だった。

風貌だけなら女性的な印象を持たせる、光り輝く長身の肉体。
頭上に煌く輪を頂くその姿は正に天使というべきものだ。
科学の街に似合わない異質な風体といえば、能力を本気で奮う際の垣根もまた同様であるが、
垣根を狙う彼はその異質さとはまた別の違和感を抱かせる。

絶対的な異物が現出しているというのに、周囲の人間も、垣根さえも彼の存在に気付きはしない。

「……まさかこの時点で私が舞台に上がる事になろうとはな」

そう呟く『天使』にとってはイレギュラー要素は好ましい事でしかなく、その口元には笑みさえ浮かぶ。


なぜ彼がこの場に現れたのか。
その理由は前日に遡る。


―――窓のないビルにて

☆「……今回は以上のように頼む」

土御門「ふん……。オレにこんなことをさせて、本当は何を企んでいるんだ?」

☆「な・い・しょ」ウフフ

土御門「ないわー」

結標「キモい」

☆「最近の子供は辛辣で困る。―――おや、何か報告が来ているようだ」

☆「っちょwwwwww暗部に垣根の始末依頼出てっしwwwwwwwwww」プフーッ

土御門「こいつこんなキャラだっけ」

結標「ネットやってるときは大体こんな感じよ」

☆「垣根が第二位ってこと伏せて登録したバンクの情報真に受けてやんのwwwwwwwwww」プゲラッチョ

土御門「……第二位に始末依頼?
     暗部に所属するヤツにはそんな物が出されるような行動は事前に上から抑えられているはずだが」

☆「私があえて泳がせておいたからだ」

土御門「急に落ち着くな。なぜ放っておいた?」

☆「面白いからに決まっている。
  野望のためとは言えまさか一方通行のホモダチになるとはな」

土御門「ホ……? おい、どういう事だ」

結標「……ムサイ男達の絡みの話なんか聞きたくなかったわ」

☆「垣根帝督は以前から私との直接交渉権を欲していた。
  交渉に必要なのはメインプランの立ち位置と思っていた彼は一方通行を篭絡し、
  一方通行を傀儡にすることで私と交渉を行おうとしたのが今回の彼の行動の全てだ」

☆「垣根帝督の予想外の行動と予定より早い彼の能力の成長を私はニラニラとヲチしていたのだが、
  一方通行が行う実験の進展には障害となり得る行動でもあった」

土御門「絶対能力進化実験―――か」

☆「傍目には垣根帝督は一方通行の唯一の友人。
  一方通行が他者を愛する心を得て絶対能力進化実験の参加に否定的になるリスクを高める存在が現れたと
  実験の推進派が知れば垣根帝督を消そうとする動きが出るのは当然だ」

☆「そんなわけで始末依頼が出たのだろう」

土御門「大変だにゃー(棒)」

☆「ちなみに今現在も垣根帝督が一方通行にフェラチオを行っているぞ」

土御門「それは知りたくなかった」

☆「で、だ」

☆「どうすればいいと思う。
  折角垣根を擁する部に情報が流れてつまらんもみ消しがなされる前に私の手で受理しておいたのだが」

土御門「知るか」

結標「暗殺者に依頼して例の薬―――APTX4869を垣根帝督に飲ませればいいんじゃないかしら」

土御門「黙れショタコン」

結標「私はただ単純に毒殺すればいいって進言しただけで他意は無いわよ……ホントに」

☆「私的には最大戦力を起動させて撃墜してみたいところだ」ワクワク

土御門「もうそれでいいんじゃないか(適当)」

☆「ふむ……。
  科学と魔術両方のスパイであり陰陽博士の称号を持つ元春が殺れと言うのなら仕方ない」

土御門「お前に元春とか呼ばれたくない」

☆「気乗りはしないがやらねば元春が殺すぞと脅しに来るから渋々やってやろう。
  出よ、神の御元を離れし混沌の天使エイワス!」

結標「厨二臭っ。て、なんか眩し―――」

瞬間、巨大なビーカーを中心に眩い光が炸裂する。
白より白く、虹より煌く光。
生や死、破壊や再生という枠組みさえ塗りつぶす閃光。
土御門と結標がその現象が起こったのを理解するのと同時に、痕跡一つ残さず光は消え、
代わりに圧倒的な異物がビーカーの手前に生じた。

☆「久しぶりだな、エイワス」

エイワス「……君か」

結標「な、なによ、あれ」

土御門(天使……? いや、)

その枠に留まらない何かだ、と魔術師である土御門は直感的に判断する。

こんなものを平然と何処から呼び出すアレイスターは一体―――。

土御門(これはイギリスに報告しなくては……)

☆「元春」

土御門「」ビクッ

☆「余計なことをしたら去勢するぞ。妹もろとも」

土御門「せめて舞夏にだけはやめろ卑怯者おおおおお!」ワーン

エイワス「君はここでもシスコンなのだな。
      大方の事情は把握したが、垣根帝督は君にとってもそれなりの存在なのでは? アレイスター」

☆「能力の噴出点として機能出来る程度であればどうしてくれても構わない。
  あなたの裁量に任せよう」

エイワス「随分と思い切ったことをするのだな。
      やはりこの世界の君は他所の君とは大きく異なるようだ」

結標「あれ並行世界とかから来たの?」ボソボソ

土御門「オレにも分からん」ボソボソ

エイワス「では垣根帝督に適当に暴行を加えてくるとしよう。
     三重県の真珠養殖場の見学のついでにな」スゥ…

☆「真珠養殖はそこらのビル内でも行っているが……行ってしまったか」

結標「なんか透明になって消えたんだけど」ボソボソ

土御門「オバケか何かなんだろう」ボソボソ

☆「ふふっ、イケメンに制裁を与えるのは気持ちがいいな」

土御門(そんな理由で第二位を!?)


―――そして舞台は現在へと戻る。


垣根「あんな事いいなヤれたらいいな あんなエロこんなエロいっぱいある~けど~」

垣根「みんなみんなみんな ヤらせてくれる 不思議なオケツで包んでく~れ~る~」

垣根「中にたくさん 出~した~いな~ はい!けつまンこォ~
    あンあンあン♪とっても大好きセェロリ~もン~」

エイワス(中学一年生並みの歌詞だな)

生温かい目で見守っているエイワスの存在に気付かぬまま、垣根は路地を進む。
学園都市には路地が無数にある。
人の目のない場所はいくらでもあり、大人の玩具のように他者に購入を悟られたくない物を売る店は
そういった場所に存在していることはよくあることだった。

大人の玩具屋へ向かう狭い路地を進むうちに、少しばかり開けた場所に着く。
数人の不良学生がいて、あるものは立ったまま、あるものは座り込んでいたが、一様にタバコを咥えていた。

垣根「確か、ここから北に200メートルくらいだったかな」

一度だけ見た地図も脳内には正確に刻まれている。
いつか誰かとエロい事をするときのためにと記憶していたのだ。

さて、いざゆかん憧れの大人の玩具屋。

そう新たな一歩を踏みしめた時、ゴトンという鈍い音がすぐ近くで聞こえた。

人が倒れるような音だ。

(なんだ?)

垣根はその音の方に目をやった。
さきほど目に付いた学生の一人が倒れていた。
狙撃等を受けたにしては外傷の類は無いが、意識を失ってるらしい。

病気等には見えず、苦しんでいるふうでもなく、糸が切れたように死んだように気絶していた。
手からこぼれ落ちたタバコの火も消えている。

何らかの能力か、と思ううちに、さらに連続して鈍い音が響く。

「……」

気がつけばその場に意識を保ったままなのは垣根一人となっていた。

AIMに関連する能力は様々な種類がある。
AIMを記憶しどこまでも追跡する力や他者の能力を乗っ取る力がある、とも噂で聞く。
その噂の中には、AIMを介して生命を断ち切る者がいるというものさえあった。
何の前兆もなく突然に学生達が倒れだしたのを見ればその噂が事実ではないかと一瞬思えたが。

「―――!」

ぞわりと内側を撫でるような気味の悪い物の感触が襲う。
まるで、そこに異物が現れたような。

異物の放つ歪みに誘い込まれるように後方に目を向ける垣根の目に映ったのは、
人の形をした『何か』だった。

黄金よりもなお金の髪。文字通り光り輝いている長身。
ゆったりとした白い布のような装束と皮膚はひと繋がりだ。

「……何だ、テメェは」

喜怒哀楽の全てを内包したようであり、人の持つ感情と異なるものを持つフラットな顔つきの人型の者は垣根に言う。

「『エイワス』とでも名乗っておこうか。この場での今の私の存在意義はそちらではない。
君の刺客であるとここでは言っておこう」

「……刺客、ね。誰に相対してんのか理解してんだろうな?」

学園都市に七人のみの超能力者の序列二位。二位と三位の壁は圧倒的。
第一位と第二位に比肩する能力者など存在せず、通常の兵器では傷を付けることさえ不可能。

しかし目の前に存在する浮世離れした存在はそういった物とは異なる何かのように思える。

(その何かがどういうものなのか知らねえが、第一位すら克服したこの俺に今更なんだっつーんだ?)

未知に物怖じする垣根ではない。
強靭な自分だけの現実を備えるに相応しい強靭な自信支えられる精神は、異常な存在と対峙してもなお屈することはない。

ず、とその場に圧が発生する。
既存のあらゆる法則を歪める未元物質を有する垣根のAIMの濃度の急激な上昇による産物だ。

「テメェがどこ製の何かなんざどうでもいい。そんなもんは他の奴らが勝手に調べる事だ。
けどな、俺は自分の刺客を見逃すほど甘ったれちゃいねえんだよ」

言い切ると同時に垣根は一際強く地面を踏みつけた。
回避行動を取ろうとするでもないエイワスに、爆音を置き去りにしながら真正面から飛び込む。
それはその場のベクトルを掻き集めても得られないだけの質量を伴う一撃だ。
目先の存在は第二位の刺客。適当な存在がぶつけられるはずはない。
対応できれば強敵。そうでなければその場で終了。
手抜きではないが技巧に欠ける、相手の力の見極めのための攻撃だった。

その試験的な特攻が仇となる。

ドバッ!
という何かが噴出すような音と共に衝撃が垣根の上半身を斜め一直線に貫いた。

原因不明、解析不能。完全な未知。
未曾有の力に裂かれたという事実を理解すると同時に、垣根の身体が地面に叩きつけられた。
そのまま二転、三転、転がるうちにも骨肉の裂け目からおびただしい鮮血が噴き上がる。

「ぁ、……!!」

喉元をせり上がる血で呼吸さえままならない。声を上げる事も出来ない。
激痛のあまり脳の芯が麻痺し、身体が上下に分断されたような感覚に目の前が白む。
体中の力が抜ける感覚は、死に向かう感覚と同義だった。

ただの一撃。その場から動くこともなく第二位の肉体を引き裂いた者は、何をするでもなくただ垣根を見ている。
その背に煌々と輝くのは、翼だ。
輝きすぎるほどの輝きを放つ翼は白色の芯を持ち、青ざめたプラチナを思わせた。
その輝きが先ほどの衝撃の正体なのだろうか。

ここで死ぬわけにいかない。まだ何も成していない。
あの白い孤独な少年を置いてなど、

「……っ、」

激痛で崩壊寸前の思考のまま垣根は損壊した肉体の修復のための演算式を組み上げる。
本当に一時的な最低限の生命の維持にのみしか使えないが、無いよりは遥かにマシな処置だ。

「ふむ。彼がかつて私に施した防衛機能の再現といったところだが、過ぎる事も無いようで安心したよ」

のんびりとした口調でエイワスは語る。

エイワスが何を言っているのかは垣根には理解が出来ない。
だが、目の前の異物の語る『彼』が誰なのかは直感的に分かった。

「……アレイスター、か……?」

こんな得体の知れない、第一位や第二位などというレベルを遥か超越した文字通り別次元のものを
手中に収められる存在など他に思い当たらない。
口の中で絡みついてくる血を吐き捨てながら絞り出された声に、エイワスは躊躇う事もなく肯定する。

「その通りだ」

「あのクソにとって俺は必要な存在じゃないのか。サブプランなど不要と、」

「仮にそうであれば君は今頃焼却炉内にこびり付く煤になっているだろう。
今回私が現れたのはアレイスターが君がイケgtngtkだからと……おっと、ヘッダが足りなくて表現できない」

(イケ……? 池袋…池辺氷田…池上彰…惟賢比丘筆記…夷険一節……
無限にあるじゃねえか。搾り込めるかよ)

「さてと、どうしたものか」


エイワスはどうする?
【安価】↓

用も済んだし退散…
が、興味深いから観察

>>426
把握
明日投下したいです
その明日を生きるために寝ますノシ


シスコンショタコンと☆にワロタ
いえーい☆さん見てるー?


結局発端の始末依頼はどうなるんだこれ

思ってたよりだいぶ長くなって昨日投下できひんかった
でも「明日投下したい」の明日が12月13日の夜とは言っていないわけだから
12月13日午前3時の翌日である12月14日の夜に投下しても良いわけッスよ投下

「用は済んだ。退散といこう。他にも行くべき場があるのでな」

エイワスは踵を返し両の足を使い立ち去ろうとする。
消失も飛行もせずに、ただの人のように。

だが垣根は命拾いしたとばかりに黙っている程大人しくはない。

「待ちやがれ」

自身の流した血溜りの上にゆっくりと立ち上がりエイワスを制止した。

「俺はまだ潰れちゃいねえ……。
刺客を名乗るくせに見逃すたぁ、随分とナメてやがんじゃねえか。
意味の分からねえ事ほざくだけほざいて消えようなんざムシが良すぎんだよ!」

あまりの出血に体の調子は最悪だ。足に力さえ入らない。
だがそんなものはどうでもいい。どうだっていい事だ。
アレイスターと直接的に繋がりのある異形の存在。
自らの目指すものに直結しうる存在をやすやすと見逃す程飼い慣らされたつもりはなかった。

「私と戦おうというのなら無駄だと伝えておこう。君の力は私の生きる時代のものとは異なる。
旧時代の力をどれだけ奮おうと私には効かないよ」

「言いてえ事があんならまともな言語で語れ!」

怒鳴り声に呼応するように垣根の背から三対の白翼が飛び出す。
青ざめたプラチナのような輝きすぎる光のエイワスの翼とは異なる、鳥類のようなはっきりとした造形の、
それでいてどこまでも無機質な翼が。

「君自身無駄だと分かっているのだろう。だが、それもまた君が人である所以か」

天使は迫り来る垣根の翼を自らの翼をもって迎撃する。
結果は見るまでもなく明らかで、無機質な三対の翼はあっけなく空中に霧散した。

「クソが……!」

質が違う。次元が違う。時代が違う。
圧倒的。そんなことは理解している。

だが。
なぜ時代の違うそれがここに存在する。

(あの存在の維持のために何らかのラインがあるはずだ)

夜闇を晴らす電灯は電気がなければ場を照らさない。
異物が現出するためには確実にどこかにからくりがあるはずだ。
本来この世に存在しない未元物質を現出させるには垣根のAIMが無ければならないように。
この世界の何らかの存在がエイワスという怪物の存在を支えているはずなのだ。

身に受けた翼は未元物質の強度や精度を遥かに上回る物だ。
圧倒的に異質。絶対的な存在。完全なる未知に彩られた解析不能。
元の運動、性質に対し能力をぶつけて生じた変化から逆算して実態を解析する手法は使えない。
ならばより原始的で単純に常識的に現象を観測する他ない。
あの翼と近しいものを上げるのであれば、それは電流。
本質的な部分では絶対的に異なっている。
だが、外観的に近しいものは往々にして縁があるものだ。
出鱈目な理屈のようだがそれだけが糸口だった。

撒き散らした未元物質の動きから大気の流れを算出する。
そこから現状必要な運動をさらに演算―――

「……終了だ」

瞬間、爆風が吹き荒れる。
真空を作り出しながら周囲を抉る風は路地全体を侵すように駆けた。
コンクリートの壁を削り剥き出しのパイプを歪にする暴風の中でも天使は髪の一筋さえも揺らさない。

「この世界の物理現象では無駄なのだが、」

言いかけて静止する。
バキリ、とエイワスの体の中心で何かが砕けるような音がした。

―――存在の核が抜き取られている。
エイワスはそう自覚し、垣根に目を向ける。

金粉を散らすように毛先から形象崩壊を始める天使をあざ笑うような顔で垣根は言った。

「死ね、腐れ天使」

三対の翼が垣根の背に再度現出し、天へ向かい肥大化する。
その翼は天使が何かを言うより早く、ギロチンのように振り下ろされた。

天使の体を両断する瞬間、水晶が砕けるような音がした。

真っ二つに裂けた天使の体は砂塵のように分解し、消える。
金色の片鱗は風に溶け込んでしまった。

「……。終わったか」

爆風に未元物質を乗せて周囲に拡散し、一帯にあらゆる電波を弾く環境を作り出した。
エイワスの存在のラインとなっているのは電波の類でないかという仮定は正しかったらしい。

垣根は息をついてその場に腰を下ろす。
体に力が入らない。血を流しすぎた。
痛覚神経の操作をしていなければ激痛で座ることもままならないだろう。

この場の驚異は除かれた。
だが、本当に倒せたのだろうか。

電波のある場所に出ようものならまたあの怪物が出現する可能性はある。

「……」

さきほど天使の空虚な肉体を引き裂く瞬間、ある一点で確かな手応えがあった。
あれが核だったのであれば二度と出現しない可能性はある。
その確証はない。

そもそもあの存在はなんだったのかさえ全くもって分からない。
分からないまま消してしまった。

「……速攻潰したのは失敗だったな」

崩れる瞬間にでも尋問しておくべきだった。
成功するかはともかくとして。
ひょっとすればアレイスターに関して重大な情報を得ることもできたかもしれなかった。
短気は損気という言葉の通りだ。

いや、情報なら得られた。
あんな怪物を作り出すことが可能であること、それの存在の核は電波に関するものであること。
それに加え、垣根帝督の存在がアレイスターにとって依然必要ということ。それだけだ。

(そういや、なんで俺はアレイスターにあんなもん差し向けられたんだ……?)

警告なのかもしれない。
仕事はこなしている。学園都市に対する反逆行為など、今後はともかく今現在は行っていない。
だがこの数日間で大きな変化はあった。

「一方通行、か」

一方通行への接触に対してなのか。

「いや、あいつに近づくなってんなら先に通達されるだろ。
今更引き離そうってんなら……」

「今更引き離されるのは不満か」

「―――!?」

いつの間にか、天使が戻っていた。
それも垣根の正面に。

そこに現れたタイミング。回復した要因。
電波の妨害効果はまだ消えていないはずだ。
あの崩壊は幻か。

驚愕に絶句する垣根に先ほど同様表情を変えぬままエイワスは淡々と言葉を紡ぐ。

「電波に目をつけたのは良かった。本来であれば先ほどの破損で私はダウンしていた。
死とはいかなくとも数年は出てこれず、アレイスターの計画にも大打撃を与えられたぞ」

エイワスは語り続ける。

「だが、あのアレイスターであってもそれなりに慎重には違いないようだ。
この時点で私が消されていれば大きな変化が生じていただろう」

気軽な、それどころか自分が消されなかったことを惜しいとさえ思っていそうな調子で語る。
垣根はそれが気に食わない。外枠から俯瞰でのぞき見ている口ぶりも。

「言いてえ事があるなら相手に理解できる言語で語れってんだろうが。
……テメェは何だ。アレイスターとテメェは一体どういう繋がりだ」

「おや、私がどこ製の何かはどうでもいい、他の誰かが調べると言っていたのに訊くのか?」

からかうように返すエイワスに垣根は顔を引きつらせる。
天使の反応はあたかも人間のようでいて、その人らしさはより違和感を喚起させた。

「私の持つ記号。私の放つ言葉から探るがいい。君はいずれ答えを見つけられるだろう」

真理への道筋はとっくに出ている。それ以上を示す必要などない。そういうことだった。
だが垣根は未だに敵愾心に満ちた顔で睨み続ける。
そこで、ふとエイワスは忘れていたと言わんばかりに呟いた。

「そう言えば私は君を始末に来ていたのだったな。その上で軽傷で見逃すのは些か問題があるだろう。
殺したつもりだったが実は生きていた、という程度に演出すべきかな?」

うっすらと笑うような天使の頭上の輪が、秘めた青ざめた輝きのプラチナ内部に白い芯を持ち、一際輝く。

「汝の欲する所を成せ。それが汝の法とならん」

歌うような声のあとに続ける。それを最後とするように。

「君がここで死ななければ思い出すといい」

そして垣根が動くよりも早く。
奇妙な爆音が響き、容赦なく垣根の意識を断絶した。

 


―――


 

「なァ、こンな格好……本気で気色悪くねェのかよ」

垣根の目の前にあったのはセーラー服姿の一方通行だ。
通称百合子。彼はベッドの上で、頬を赤らめて見つめてくる。

「いや、似合ってるぞ。すげえエロい」

短いスタートから覗く腿、すらりとした肢体は男のものと思えない滑らかさと艶めかしさがある。
恋人である垣根でなくとも、魅惑的で妖しいいやらしさを覚えずにはいられないものだった。

床に投げ出された一方通行の白い両脚の間に垣根は身を降ろした。
至近距離に詰められ、一方通行は緊張に身を強ばらせる。
だが垣根が笑いかけるとその表情を少しばかり緩めた。

「一方通行」

「なンだよ」

「おっぱい見して」

「な、」

かぁ、と一方通行はより顔を赤らめる。

「男の胸に妙な呼び方使うンじゃねェ……」

「胸触られたら女みたいにヨガるのに?」

「……っ、オマエのせいだ」

不服そうな表情をしつつも、満更嫌でもないような顔で垣根から目をそらす一方通行の手はセーラー服の上着の裾に手をかける。
それからおずおずと、羞恥心に耐えて衣服をまくりあげていく。
垣根の視線を感じながらも健気に。
白い、薄い腹が現れ、軽く肋骨の浮いているのが見えて、次に現れたのは、

「へえ、本当につけてくれたんだ。もしかして下も?」

「うるせェ……。オマエがどうしてもっつーから仕方なく……」

桃色のブラジャーだった。
非常に薄手の生地のそれは本来女性の付けるべきもので、男である一方通行のためのものではない。
だが、最小サイズかつフィット型のそれは違和感の無く胸を覆っていた。
透けているのが特徴のために、一方通行の乳首が既に見えている。
垣根に何度も触れられてきた乳輪は触られる前から尖り始めているのが伺えた。

「あンま見るなよ……」

「じゃ、触るわ」

薄生地の上から指先で撫で上げてやる。

「あっ」

びくりと体をびくつかせた一方通行の口から甘い声が漏れた。
顔を真っ赤にして与えられる快感に体を震わせ、声を抑える一方通行が可愛くてたまらない。
垣根はちゅ、と軽く赤らんだ頬に口付けてやった。

「ン、ンゥ……、ふ、ゥ……ー……っ」

「もっと声出していいんだぜ。聞かせろよ、声」

いやいやをするように頭を振る一方通行を見ていると、もっといじめてやりたくなる。

「なら、ずっと我慢してろよ。出来るもんならな」

そう言いながらスカートの中に手を入れる。
垣根に言い渡されて着用させられた女性用の下着―――その下のものをなぞった。

「っひ、ァ……!」

びくんと体を震えさせて声を上げる一方通行の下着は興奮に濡れていた。

「湿ってる。女みたいだな、本当に。これのサイズも小さいし」

笑いながら一方通行の屹立した性器を人差し指と中指で掴み、先端を親指の腹でぐりぐりと刺激した。
その途端、一方通行の震えは大きくなる。

「おちんちん……いや、もうほぼクリトリスだよなこれ。
クリちゃん気持ちいいでちゅかぁ、百合子たん」

「うァ、やめ、嫌だァ……あっ、あ、ああっ……!」

一方通行は体をよじって快感から逃れようとするが、そんなことで逃れられるはずはない。
息は余計に荒くなり、額には汗が滲み、目は潤んでいる。

……あまり我慢できそうにない。

「一方通行、入れていいか……?」

「っ……しょォがねェ、な……」

呆れたような言い方だが、許容し、それどころか求められるのを喜んでいる様な顔を向けてきた。
そんな一方通行に垣根はもう一度キスをした。

それから、一方通行の下着に手をかけた。
垣根がそれを下ろそうとしているのをわかっている一方通行は、自分から腰を上げて、片足をそこから抜いた。
もう何度も性交しているのだが、下着を脱ぐときは何度やっても一方通行は恥ずかしそうな顔をするのだ。
それがまた愛おしい。

ペニスを挿入する前に、すべきことがある。

「百合子ちゃん、おまんこくぱぁしましょうねー」

「黙れ変態」

潤んだ赤い瞳で睨む一方通行だが、既に両足を垣根の前に開いている。
両足の間で、物欲しそうに秘孔がヒクついていた。
上を向くペニスから伝い流れた我慢汁で濡れ光っており、本当に女性のもののように思える。

そこにためらいなく、垣根は指で触れた。

「ンっ……」

挿入口の筋肉をほぐすために、ゆるゆると肛門を刺激する。
触ってすぐは固く緊張していたそこは、何度も刺激するうちに柔らかくほぐれていった。
本来何かを挿入されるべき場所ではないが、ここは何度も垣根の性器を受け入れている。
そのため、挿れられる体勢へと移行するのは早い。
垣根はさらに、肛門に入れる指を増やす。
一本、二本、三本と。

ゆっくりと入れては抜くというのを繰り返し、指の数が増えれば中でバラバラに動かして刺激してみる。

「はァ……ン、」

だがそれは強すぎる刺激にならないように調整している。
肉の擦れる感覚はあくまで予行練習程度のものだ。

「ァ、も、しつけェ……早くしろよ……!」

「おちんぽ入れてほしい? 百合子ちゃん」

「黙れ、は、早く、」

垣根の焦らすための愛撫により切羽詰った顔で一方通行は懇願する。

「挿れて、くれ……!」

膝を垣根の体に擦り付け、泣き出しそうな声を出されては、そろそろ垣根の方も理性が持たない。

「しょうがねえな、……しっかり味わえよ、淫乱」

「うるせェ……」

ゆっくりと一方通行をベッドに押し倒す。
そして垣根は自身の性器をズボンから取り出した。

「ァ、……」

既に硬化し、屹立したペニスを見て一方通行は喉を鳴らす。
何度もそのペニスで中を蹂躙され、絶頂を経験していた。
一方通行は垣根の性器を見るだけで心身の両方が反応してしまう状態になっていた。

「挿れるぞ、一方通行」

垣根が笑いかけてやると、一方通行はそれに応じるような目をした。
そして垣根は、一方通行の秘孔に性器を押し当て、一気に腰を沈めた。

「ゥ、ああっ、―――!」

一方通行はびくりと大きく体を跳ねさせた。
それまでに弄ばれていたのとは全く違う圧倒的な質量と熱が入り込んできたのに悶絶する一方通行を垣根が抱きしめる。

「一方通行」

その名前を呼び、口付ける。それまでにしていたよりも深く。

「ンン……っ」

後腔を貫かれながら、口内は舌で犯されている。
だが一方通行はそれを受け入れ、自分からも舌を絡めた。
悦んでいるように、愛おしむように。

それに合わせて、垣根は腰を動かし出す。

「ふ、―――っ!」

一方通行の中はキュウキュウと垣根のペニス締め付けてくる。
抱きつくように健気に。それは蠕動し、精液を絞り出そうとしてくる。
体に電流が流れるような感覚が脳の奥を痺れさせていく。

性交と同時に、垣根と一方通行は最もよい場所を探るように口づけを繰り返した。
キスの間に何度も互いに名前を呼び合い、言い合った。

「好きだ、一方通行……」

「お、れも……好きだ、帝督……」

相手の姿以外もう見えていない。
愛しい恋人と肉体、精神の両方からつながっているのはなんて心地の良い瞬間だろうか。

同性同士であることも、自分たちの身分や取り巻く環境などどうでもよかった。
相手の存在がそこにあり触れ合えるのならばそれ以外の事はなんでもいい。

蕩けそうになる快感に抗えず、垣根は声を上げた。

「一方通行ぁ!膣内(なか)で出すぞ! !」

垣根の声が部屋中に響き渡る。

「……」

「あれ?」

気が付けば正面にあったはずの一方通行の顔が横側に映っていた。
たった今まで垣根の至近距離で顔を赤くして荒い息と喘ぎ声を上げていたのとは全く違う表情だ。
衣服も変わっている。

「ど、どういう……」

垣根は周りの様子を身回そうとする。
だが首さえ動かない。固定されてしまっているからだ。

呆然とする垣根に、はぁぁ、と深い溜息をついて一方通行が呆れきった声を出した。

「なンつー事叫んでやがる……」

「ついさっきまでノリノリだったくせに何その冷めっぷり?」

「バカが。それは夢だ。どンな夢見てやがったのか丸分かりだ変態野郎」

「ゆ、め……?」

垣根は半口を開けて呆然とする。

思い返す。確かにさっきまでの一方通行は妙に素直でしおらしく、可愛げのある奴だった。
普段の一方通行とは似て非なる態度の。

思い返す。一方通行とは何度も性交をしている、と反芻していたが、実際には一度もそんな事は出来ていない。
挿入は未体験ゾーンだ。

思い返す。一方通行とは恋人同士などではない。
脳内の設定で作られた夢の世界だったのだ。あれは。

「……なんだ、夢か」

はぁぁぁぁ、と溜息を吐く。一方通行のものよりもずっと深い溜息だ。

「俺もいよいよもってやべえな」

夢に見るほど深層心理で一方通行とのセックスを渇望していたのだろうか。
それも恋人同士というシチュエーションで。男同士だというのに。
あれは性欲の解消というには情愛の要素が強すぎた。
あの関係は心地良かったとさえ夢から覚めた今にしても思っている。

「いやいやいや」

俺はノンケだ、落ち着け。一方通行に惚れてなどいない。
ちょっと情が移りかけているがそれはここしばらく人と繋がりがなさ過ぎたからであって距離が掴めなくて困惑してるだけ。
別に一方通行なんて嫌いじゃないし触りたいし一緒にいて言葉を交わしたいだけ。
あれなんか途中からおかしい。

混乱する垣根に、もう一度一方通行は息をつく。溜息ではない。

「全然平気そうじゃねェか。その丈夫さだけは認めてやるよ」

「おい、俺は能力、容姿、性格、頭脳、財力、チンポもパーフェクトだろうがいい加減にしろ」

垣根は半分本気の口調におちゃらけた口調を混ぜて返し、一方通行に目を向ける。
そこで、しばし停止する。
目尻と眉尻を少しばかり下げ、安堵したような緩やかな笑みが一方通行の顔にあった。
それは安堵と慈愛の表情だ。無邪気な、自然に浮かんだ少年らしい微笑み。

垣根が一方通行に初めて見る顔だった。

「……」

緩やかな笑みは不思議そうな顔に変わる。

「おい、どうかしたのかよ」

常にどうかしてやがるが、とそこに付け加えられる。

「なんでもねえよ。淫乱野郎」

「誰が淫乱だ変態クソ野郎」

視線を逸らした垣根に放つ声もいつもよりも棘が無い。

「えらく優しいじゃねえの、今日はよ」

「あ? 変わンねェだろ」

「いや、変わってる。俺が怪我してるからか。今なら好き放題出来るってのにな」

そこで垣根ははたと思う。
なぜ俺はこんな重傷なんだと。

その時部屋の扉を開く音がし、

「おや、気が付いたようだね?」

ふざけた語尾上がりの言葉遣いの誰かが入ってきた。
全身の固定された垣根には容姿を見ることさえ出来なかったが、
声の主の方から垣根に近づいてきたためにすぐにその姿が分かった。

「……カエル?」

「似てる自覚はあるよ」

第一声に失礼な発言をする垣根に気分を害することもなく、その医者は垣根の近くの椅子の一つに腰をかけた。
それと入れ替わるように一方通行が席を立った。

「垣根。……俺は外で待ってる」

「あ、ああ。つか、いてもいいんじゃね?」

そのまま何も言わず、一方通行は垣根の病室から去って行った。
一方通行の意思を組むように、カエルのような顔をした医者は一方通行が出て行ってから垣根に話しかけた。

「さて。垣根帝督君、だね?」

「ああ」

「何があった?
君が路地に血だらけで倒れていたのを学生君たちがここまで運んで来てくれたんだが、
なぜこんな事になったのかは彼らもわからなかったみたいだね?」

路地。
自分を運んだのはあのタバコを吸っていた不良学生たちだろうか。
そこで垣根は思い返す。
自分の前に現れた物の存在を。

「……あっ、の野郎……」

なぜ今まで忘れていたのだろうか。
天使。エイワス。
突然に現れ、意味不明の言葉を吐き、未知の翼で貫いて行ったアレイスターと何らかの繋がりのある存在。

「原因ははっきりしてる。どうしても話さなきゃならない事か?」

「君が話したくないのならそれでもいい」

ただ、とカエル顔の医者は続ける。

「肋骨の全てが折れていたし、肺も裂けていた。心臓にも傷がついていた。
他にも各臓器、筋肉のあちらこちらが傷だらけだ。
全身が切り傷と衝撃によるダメージでズタズタで、大部分の骨が折れていた。
君のその能力が無ければ間違い無くここに来る前に死んでいたね?」

「……」

殺る気ありまくりじゃねえかあのクソ天使。

「そうだ、カエルセンセは俺の能力知ってるのか?」

「未元物質だね? 知っていたけど実際にその力と物質を見たのは初めてだよ。
傷を塞ぐように結晶を作り、その中では血液の循環経路を無理やり作っていた。
それを無意識のうちに行使出来るとは流石だね?」

「……俺が、そんなことをか」

無意識下のまま演算を行える一方通行のようだ。

一方通行の演算パターンの知識。
意識外での反射の突破の経験が役に立ったのかもしれない。

「あまりに大きな衝撃を受けたショック状態で君は丸一日眠っていた。
それと彼……一方通行君は随分と君を心配していたね?」

「一方通行が?」

「連絡が行ってから一瞬で駆け付けたみたいだよ。
面会謝絶状態では君のいる部屋の前でずっと待っていたし、ここに移ってからはずっとこの部屋で待っていたね?
君が目を覚ますのを」

「……」

あの一方通行がそんな事を。
それじゃまるで。

「あいつ本当に俺が好きなのか……?」

「思っても他人の前で口に出さない方がいいね?」

好きでもない相手にそこまでするだろうか。いやしない。
そうでなくともあと一押し。

「カーミット先生、一方通行と話したいんですけどいいですか?」

「セサミストリートには詳しくないよ? 一方通行君か、読んでこよう。
君の処置に関してはまた後で話すよ」

カエル顔の医者は席を立つ。
彼が出て行ってから、病室内は静寂が戻った。
数分とせず、垣根の病室の扉が開かれ、一方通行が戻ってきた。

「おかえり」

「ここは俺の家でもオマエの家でもねェ」

「お前の家は俺の家だから二例と扱うのは間違ってるぜ。
……なあ、一方通行」

単刀直入に言おう。

「お前、俺が好きか?」

「またそれかよ」

「俺が死ぬかどうかってのを過ぎた後もずっと待っててくれたんだろ。
俺が起きるのをさ。好きでもなきゃしねえだろ」

復讐などいくらでも可能だったというのに、何もせずにわざわざ待っていた。
一方通行という人間の性格を鑑みるにそこに何の情もなければあり得ない行動だと思えた。

「……知らねェ」

「知らないってなんだよ」

「俺がずっと待ってたのは、悩ンでたからだ」

「悩む?」

「オマエを洗脳しちまえばもォ縛られなくて済む。あンな恥辱も二度と味わわないで済む。
オマエから意思を奪うかどォか決めかねてたら、勝手に時間が経ってオマエが目ェ覚ました。
……ただそれだけだ」

一方通行の言葉は嘘偽りのないものだ。
聞いていて分かる。

「なんで悩んだ。どちらを選択すれば楽になれるかは明白なのに」

「だから、知らねェってンだろ」

「気付いてるくせに誤魔化すな。
俺が自分の意思だけでお前を愛してるのが嬉しかったから、その状況を変えたくなかったんだろ?」

垣根の言葉に、一方通行は眉根を潜めた。

「勝手に決め付けンじゃねェぞクソ野郎。オマエ今の状況理解してンのかよ。
この俺を前にして抵抗不可能な状態なンだぞ」

嗜虐的な笑みが一方通行の顔に描き出される。
だが、その顔は表面的なものだと垣根は見てすぐにわかった。

「カテーテル突き刺さってて現在進行形で尿道開発されてるような状況なのは理解してる。
暴力チラつかせて誤魔化したくなるくらいお前が照れ臭いと思ってるのも含めてな」

一方通行が恨めしいような苛立ったような、図星をつかれて恥ずかしいといったような顔をするのに愉快な気分になる。
それから垣根は言う。

「俺に好きでいてほしいって事は、やっぱり俺が好きなんだよ、お前は」

「うるせェ。そればっかうるせェンだよ。精神まで縛られてたまるか。オマエなンか嫌いだ変態」

早口でブツブツとボヤいても墓穴を広げることにしかならないのだが。

「一方通行」

垣根が名前を読んでみても一方通行はこちらを向かずにそっぽを向いたままだ。
こちらに顔を向けさせようにも薬のために体はピクリとも動かない。

(あ、そうだ)

いい事を思いついた。

あらぬ方向を向いたままの一方通行の手をきゅ、と垣根の手が包む。

「あ?」

体が動かせないんじゃなかったのかという顔を向けてきた一方通行に笑みを向けて、
ベッドから体を起こして一方通行の体を抱き締める。

「なンで、」

「能力で外から体動かしてんだよ。内部機関で動かせないなら外から力加えて動かしゃいいだけだ」

セルフマリオネット。大体そんな感覚だ。

「……なンのために体動かないようにしてあったか考えろよ」

骨が軋み内臓にダメージがいく。それは分かっている。
垣根はそれを気に掛けずに一方通行の耳元に唇を寄せ、言葉を紡ぐ。

「俺はお前が好きだ。お前は俺の物だ」

「何を、……」

馬鹿な事を。そう言いかけて止めた。垣根の言葉の続きを待つように。

「……お前も俺が好きだ。だから俺は、お前の物だ」

ピクリと小さく一方通行の体が震えたのが分かった。

なぜ震えたのか明確に読み取る能力は所持していない。
だがそれが不快からくるものではないのは感じ取れる。
一方通行は何も言わない。
何を言えばいいのかも分からないのかもしれない。
抱き締められたまま抵抗もしない。

「一方通行」

名を呼びながら、垣根は一方通行の耳元から顔を離す。
垣根の目に映ったのはぼうっとしたような、少しだけ泣きそうなようにも見える一方通行の顔だった。

「一方通行」

もう一度名前を呼び、垣根は顔を寄せる。一方通行の唇へと。
垣根の唇が近付くのを感じて、一方通行は目が閉じた。

互いの唇が重なる。温度を確かめるような口付けだった。
両者に伝わる体温が相手の存在をより意識させる。
さらに繋がりたいというように、より互いの唇が密着するようにどちらとなく唇をスライドさせる。
その途中で、僅かに開いた口の隙間から吐息が漏れた。

より強く抱き締める形に、垣根は自分の体を操作する。
一方通行の体温も骨張った硬い感触も分からないのが残念だと思いながら。
一方通行はそれに抵抗しない。どころか、おずおずと垣根の病院着を握り締める。
恐らく無意識での行動だった。

互いの呼吸音しか聞こえない。
しばらくの間、ずっとその状況が続いた。

バタバタと忙しく誰かが垣根の病室の前を走って行く音に一方通行が我に返るまで。

垣根から唇を離し、一方通行は短く息を吐いた。

「……、離れろ」

「ヤだ」

「バカ野郎が。身体中ズタボロだってあの医者に聞いてンだろ。大人しく寝ろ、変態」

不服に唇をわざとらしく尖らせる垣根に呆れたような目を向けた一方通行は、とん、と軽く垣根の胸の中心を押した。

「うわ」

強い力が加えられたのでもないのに、垣根の体がベッドに引き倒される。
だが、垣根が倒れてきた瞬間にベッドは軋む音さえ立てない。
衝撃が0になるように操作されていた。
垣根はそれを察し、頬を緩める。

だが他方一方通行は、表情を固くしている。
どうした、と垣根が言うより先に、一方通行が口火を切った。

「なァ」

「ん?」

言いにくいというように一度言葉を飲み込み、だがそれでも続けた。

「どォしてオマエはそンな怪我してやがるンだ」

やはり聞かれるか。

「そりゃまあ12階建てのビルの屋上から紐なしバンジーしたからかな。
なんであんなことしたんだろうな、俺」

「トぼけンじゃねェぞ」

一方通行は何かを恐れるような表情だ。
そのままの顔で彼は呟く。

「俺と、関係があるのか?」

「あ?」

なぜそう思った。
聞く前に一方通行が答えた。

「俺は頭の足りねェバカ共に常に狙われてる。
……オマエ、そいつらにやられたのか?」

一方通行と一緒にいるのを知られ、スキルアウトに狙われたんじゃないだろうか。
そう思ったのだろう。
垣根はそれに失笑する。

スキルアウトにやられる。
この俺が?
そんなありえない事を心配しているのか。この白い男は。

「は、バカじゃねえの。この俺がそんな奴らにやられるか。
スキルアウトなんざ何百何千何万といようが俺に敵うわけねえっての」

学園都市の第二位。
それ以下とは隔絶された存在。
銃を持ったただの人間程度ならばどれだけ束になろうが敵うはずのない存在。

「……そォかよ。嘘じゃねェだろォな」

「嘘のわけがねえ。俺がこうなったのはテメェとは何ら関係無い」

あるのかもしれないが、確証は無いのだから無いと言い張っておきたい。

「俺さ、前にちょっと面倒な身になった事あるからその関係だよ。お前は気にするな」

その面倒な身でいたというのは過去でなく今も続いているのだが、それも伏せておく。
これを一方通行に知らせても利益などない。

「……適当なホラだったらぶっ飛ばすからな」

「ああ。好きにしろ」

ようやく緊張を緩めた顔をした一方通行の手を垣根が握る。
本当なら頭をナデナデしてやりたいところだが、さすがに寝たままではそこまで手が届かない。

「もォ体動かすな。絶対安静なンだぞ。マジで」

「やだ。な、俺の退院っていつなわけ?」

「あのカエルは二週間は入院させるってったぞ」

「はァ――ッ?? 二週間!!!? 二週間セックス禁止!?????」

「おい」

二日以内に一方通行のアナルバージンを突き破ると宣言していたのに。
あんまりだ。あんまりすぎる。
一方通行との女装スケベプレイも行っていない。
媚薬でいやらしい調教を行おうと思っていたのに。
あのスケベな夢を現実にしなくてはならないというのに。


――― 二週間もお預けなんて冗談じゃねえ。

垣根の目に焔が宿る。

「チマチマ待つのも面倒臭え。今日中に退院するわ」

「無茶苦茶言ってンじゃねェぞボケが!」

「俺に常識は通用しねえ。なあ、あのニョロトノから骨とか内臓に関する本借りてきてくれよ」

「それでどォすンだよ」

「見てからのお楽しみ」

自分の能力を使えば即効でこんな病院脱出できるはずだ。

実際、あの天使に身を裂かれた時にもある程度なんとかなっていた。
代理演算装置の精製の過程である程度基盤は出来ている。
脳以外の器官の精製はあれが初の試みだったが、それでもどうにか出来たのだ。

不可能を可能に。
非現実を現実に再定義する。

そうしなければ一方通行とセックスができないのならその垣根を乗り越えるまでだ。


―――そんな垣根を人知れず見ていた者があった。


☆「エイワスやりすぎワロタンゴwwwwwwww」

エイワス「能力の噴出点になる程度あれば問題ないのだろう?
      あれでも手緩すぎたのだとも思えたが」

☆「いやgj……さすがだ。プランの大幅な短縮になり得るだろう」

アレイスターとエイワスはホームシアター程度のサイズのスクリーンを見つめながら論議する。
辛うじて人という枠組みに在る存在と、世界の枠を外れた異物には相応しくない極めて俗な鑑賞法だった。

彼らが見ていたのは滞空回線から送られてくる映像。
カエル顔の医者の経営する病院の盗撮映像だった。

土御門「お前ら……悪趣味が過ぎるんじゃないか?」

☆「何を言っている。今まで黙って見ていた君も既にこちら側の人間だ」

結標「これだから偽善者って気持ち悪いのよね」

土御門「おい結標お前までそちら側に付くのか。やめろ。オレを独りにするな」

結標「他人のプライベートを暴くのって気持ちがいいじゃない。それも第一位と第二位のなんてね」

土御門(ああ……結標が闇に取り込まれていく。いや、元からこんなものか?)

エイワス「ふむ。映像が終わるまで一言も口を出さなかったのを見るに君には男色趣味があるかもしれないな」

土御門「それお前ら……いや天使は性別が分からんがアレイスターもホモということになる理屈だ」

☆「真夏の夜の淫夢を見る層の大半はネタで見ているものだ。私もそういう感覚だ」

☆「だが本来そういったネタを楽しまないだろう君が大人しく私達の悪ふざけを止めずに共に映像を鑑賞していた。
  ―――それはつまり君が映像に見入っていたということ。ホモである証明なのだ」

土御門「断じて違う。オレには舞夏という存在がある」

☆「とあるゲイは君を『ぜったいにホモ』と称していたからな。君はホモだ」

土御門「だから舞夏が」

☆「ガチ御門ホモ春(魔法名:尻を挿す刃)はこの際置いておくとして―――」

☆「エイワス、一度垣根帝督に消されかけたというのは本当か?
  その瞬間は滞空回線が吹き飛ばされていて私は見損ねてしまったからな」

エイワス「そんなものに頼らずとも君なら見ることが可能だったろう。
      私が垣根帝督に接触する瞬間から見ていたのでは?」

☆「いや、その時はHN:秘密の花園という少女とネットで煽り合いをしていたから無理だった。
  秘密の花園……一体何者なんだ」

エイワス「消されかけたというのは本当だ。電波妨害程度で消える可能性があるというのはやはり問題だな。
      君の防壁が私の消失を阻んだが、本当に消えてしまって慌てふためく君が見れればそれも愉快だったろう」

だが、と続ける。

エイワス「おかげで彼に興味が湧いた。観察に値するものだろう」

☆「確かに、ホモの行動というのは愉快なものだからな」

土御門「人権団体に訴えられてしまえ」

結標「そいつに法や倫理は通用しない。そんなことより滞空回線ってなんなのかしら?」

土御門「恐らく監視網の類だろう」

結標「第十三学区の小学校に通う弟、未だにトイレトレーニングも済んでないから心配だわ。
    ちゃんとトイレが使えてるか、ちょっと見せてくれないかしら」

土御門「へ、変態だー(棒)」

土御門「……そうだ。垣根帝督を始末しろという依頼はどうするんだ。
     しっかりと生き延びているぞ」

☆「死んだことにしておけばいいんじゃないか?」

土御門「いや無理だろ」

☆「ならば、そうだな。
  垣根帝督は英国の王族の隠し子と判明、他国との関係悪化を防ぐために手出し禁止ということにしておこう」

エイワス「英国にバレたら問題になりそうだが」

☆「あのババアなら笑い飛ばすだけだ。問題ない。
  大体、バレなければ何をしてもいいのだよ」

土御門「この理事長ほんとクソだな」

結標「今更ね」

投下終わりですの


百合子ちゃん可愛い

おつ
今日もおもしろかったわ

乙ですわ


知らないところでキャーリサとかと血縁関係扱いになっている垣根(大嘘だけど)
伏線になったら面白いけどさすがにないか

>>466
安価で展開が決まるこのスレに伏線というものは存在しません
あるのは後付けとこじつけと屁理屈のみなのです
場合によっては垣根が本当にイギリス王家の血を引いてることになりかねません
そうなったらどうやって処理すりゃいいんだオーマイゴッド
ほんとにどうにもならんかったらバッドエンド直行すりゃ丸く収まるんすKEDONE☆ミ


安価のとこまで投下してみるテスト


―――垣根が目覚めてから数時間後のとある場所にて。


天井「……あの少年の始末依頼が遂行されたって話だったが、作業でもするか」

携帯<猫耳モード~

天井「おや、メールか」

天井「……どれどれ」


from アホのカイツ
to 俺
垣根帝督はイギリス王家の隠し子と判明。
国際問題を避けるために手出し禁止と決断されました。情報拡散も禁止で。
参ったねこりゃ(´Д`;)


天井「……」

天井「……」

天井「えええええええええええええええええええええええ!?」ドガッターンッ

天井「イギリス王家ってなんだそれは!?」

天井「あからさまに嘘じゃないか!! 日本人だろどう見ても!」ピッピッピッ トゥルルルル

カイツ『何ですカ、ドクターチョロイ』

天井「天井だ天井! テンジョウでもテンドンでもない! なんだあのメールは!?
    あと顔文字やめろ」

カイツ『仕方ないでしょう、それが上からの通達なんですかラ』

天井「この街の上層部は狂ってる……」

天井「それは知っているが、こんな悪ふざけがイギリスに知られたら
    それこそ国際問題に発展するんじゃないか?」

カイツ『1/1000000000000000000の確率で事実かも知れなイ』

天井「刹那の可能性に賭けんな!」

カイツ『今ここで話しているこの一瞬の刹那を忘れないで下さイ』

天井「忘れたいわもう! あばよクソ野郎もうお前の全てを信じない」

カイツ『キャラ壊れてまスよチョロイ』

携帯<ピッ

天井「……」フゥ...

天井「狂ってるな、この世界は……」

801号「荒ぶってますね、とミサカはリビングで煎餅とエロ同人を堪能しつつ呟きます」バリバリ

天井「お前もなんでうちに入り浸ってんだよ!?」

801号「ここの空き部屋に18禁~65禁のエロ同人を保管してるからです」

天井「65禁ってなんだそれは! お前0歳児だろうが!」

801号「テンション高ぇなこのオッサン」

801号「とミサカは煎餅よりクッキーが食べたいですとついでに要求します」バリバリ

天井「厚かましい! あと床に煎餅の欠片こぼすな」

天井(……このままでは実験が。私は、どうすれば……)


――― 同時刻。


垣根「セロリのケツマンっ ズプズプー スケベの国から舞い降りたー」ルンルーン

垣根「淫乱ステッキっ ドピュピュピュー 一方通行 御美尻置きをー」フンフーン

垣根「包茎 早漏~ メスイキ ケツアク~メ~」ホヤヤン

垣根「優しい愛撫もいいファックも 大好~物~」オホホン

垣根「リーリカルー セクロース……」

一方「何を歌ってやがる!?」

垣根「大○法峠の替え歌」

一方「原曲レイプも大概にしやがれェ!! 訴えられンぞ!」

垣根「自分を歌詞の題材にされてる件には触れないのか」

一方「もォ触れたくもねェわボケカス」

垣根「でも俺のチンポには触りてえんだろ?」

一方「もォ一つ言いてェ事がある」

垣根「なんだ?」

一方「オマエ……なンで点滅してやがる……?」

垣根「……ん?これか」ピカピカ

一方「あのカエルの薬のせい……なワケねェよな」

一方通行は目を細めて垣根を観察する。
垣根の体のあちこちが薄明るい光を放ち、時折星のように瞬いていた。
滑稽な光景だがそこでゲラゲラ笑うほど何も考えずに生きているわけではない一方通行だった。

垣根「ああ、そりゃ俺の能力のせいだ。二週間もセックス断ちとか冗談じゃねえからよ。
    そろそろ歩けるようになる」

一方「おいふざけンな。真面目に聞いてンだよこっちは!」

垣根「エロパワーは世界を変える。
    常識、理屈。既存の法則は通用しねえ」

一方「オマエの能力ってなァAIMに関与するもンだろォが。
    何したらこンな意味不明な現象が起こるンだ」

垣根「あー、まだそうだったんだっけ」

一方「あァ?」

AIM関係の能力の持ち主と一方通行には大ボラを吹いていた。
いい加減事実を教えてもいいかもしれない。

その場合垣根が第二位であることも自動的にバレるわけだが。
バレたとしても問題もあるのか無いのか……。

垣根(どうするかな)



─────────────────────────
【安価】天井の次の作戦(このレスの↓)

【安価】垣根の身バレさせるか否か(このレスの↓の↓)
─────────────────────────

対垣根対策としてホモップルへの知識を手に入れるため
801号のBL同人誌を一緒に読みまくる

嘘を混ぜつつバラす

>>474-475
把握しましたの
天井君が壁の向こうに行ってしまったらどうしたらいいんだ

今日投下出来んかなと思ったけどムリポ
近々投下してえなあとワイは思たんやで

おちゅ

性なるクリスマスだな

遅くなりしんした。
兄貴とケツを掘り愛、白に染まったホワイトクリスマスでした。
兄貴の絡みつくようなケツ穴の感触、腹ン中を食い荒らすようなあのデカマラ……。
忘れられないクリスマス。
嘘です。
飲んだくれて強敵と潰し合いして内物吐瀉(オウトリバース)しとっただけやで。
クリ○○スってのはホントとんでもねえなあ。


垣根「……AIM関係と言ったな。あれは嘘だ」

一方「やっぱりな。オマエが俺に触れる度に物の運動のベクトルがねじ曲がってる気はしてた」

垣根「ああ、バレてたのかよ。流石」

余裕そうに笑って見せるが、第二位ってのがバレたらやっぱ問題あるんじゃねえか、と垣根は考え直す。

仮に垣根が第二位であると一方通行に知られたとして、垣根の存在が秘匿されているのに一方通行が気付けば
垣根を取り巻くものの存在を嗅ぎつけてしまうかもしれない。

一方通行は学園都市の能力者では最強の存在だ。

だが、垣根が一方通行の反射を貫きダメージを与えられるように、一方通行は無敵ではない。
また能力者である以上、AIMジャマーを食らえば当然に能力はまともに使えなくなる。
一方通行への対抗手段をとなるものは皆無ではないのだ。

一方通行が必要以上に学園都市の闇を知ってしまったとすれば、暗部の者が黙っていないだろう。
あわよくば自分の傘下に最強の超能力者を取り込もうとする輩が上層部でも現れるに違いない。
第一位と第二位の提携を恐れて引き離しにかかるリスクもある。
暗部に引き込まれて殺戮を繰り返すうちに、自分は表に戻れないと自虐的になり
幸せを得ることにさえ苦痛を感じるようになるかもしれない。
これは暗部に落ちた人間にはありがちな思考だ。
一方通行の精神は存外脆い。さもありえそうな話だ。

垣根(……あのクソ共のことだ。いずれの日かそんな事になりかねないが)

だが今は無駄なリスクは負うべきでないと思えた。
ならばやはり誤魔化し続けるべきだ。

垣根「俺の能力は念動能力、強度は4。だが単純にそこらの物を動かすってだけじゃねえ。
    分子間の距離を操り、物質の合成、傷の治療も可能だ」

一方「……」

垣根「治療時に光ってんのは物質の不自然な運動で光がねじ曲がってるからだな」

一方「……俺の能力に対応できるのは、」

垣根「前の反射に対応可能なのはお前へのストーク行為の一環で暗闇の五月計画で使用された
    演算パターンを入手し、お前の能力に対応出来るように物質を操作したからだよ」

一方「はァァ!? 何をしてやがる……!」

垣根「愛してる奴の全てを知りたいって思うのは罪じゃないはず」

一方「明らかにアウトだわそれ。オマエはほンっとにバカだな。
    ンな事してンのバレたらどうなったことか」

多分暗部に落とされるだろうな。
と思いながらも口に出さずに垣根は続ける。

垣根「お前の反射は万全じゃねえ。

    反射をするときに運動の方向が反転するとその衝撃が反射膜内のお前に伝わるようになってる。
    その場その場での演算パターンに物質の運動方法を対応させりゃ望んだ成果が得られるってわけだよ」

一方「なンだその理屈」

垣根「お前にシャワー浴びせたいとするだろ。

    肌を流れるはずの水の運動方向を一方通行の反射の瞬間に逆方向に動きを反転させることで、
    体の表面の汚れが流せて反射無しの状態にシャワーを浴びせたのと同じ結果が作り出せる」

反射の貫き方に関してはほぼ事実だ。
演算能力次第では念動能力でも垣根がやったのと同様の効果を得るのは実際のところ、不可能ではない。
書庫に登録された情報と明らかに食い違うほどでもないだろう。

一方「……オマエの能力の強度、本当に4なのか?」

垣根「強度4って一口に言ってもピンキリだ。
    下手に超能力者認定されても面倒だから検査ん時はそれなりに手ぇ抜いてるしな」

演算パターンを知っているとは言え学園都市第一位の反射に正確に対応し、接触している時点でそこらの大能力者とは一線を画す。
こと演算能力に関して言えば超能力者でもトップクラスに位置するだろう。

一方「……マジで、なンでオマエみたいな奴がわざわざ俺なンかに近付くンだか」

垣根「バーカ。好きだからって言ってるだろ、最初っからよ」

第二位である事実の隠蔽には成功したようだ。
垣根は人知れず安堵の息をつき、肉体の再構築を再開する。

セックスのために。


垣根「……」

垣根「うん、体は大体治ったみたいだ。つーわけでちょっと売店行ってくる」

一方「おい嘘だろ。待て」

冗談のようなノリで言い放つが冗談では済まさないのが垣根帝督という能力者。
それに見合った力が未元物質という能力だった。

安静のため、体を動かせないように打たれた薬品の効果を煩わしく思いながら立ち上がった垣根の足取りは、
平常通りと言わないまでもそれなりにしっかりとしていた。

一方「……マジでまともじゃねェな、オマエ」

垣根「ああ、普通じゃねえんだよ。……でさ、」

気になることがあった。

垣根「俺の身体、搬送されてきたときはメタクソだったって蛙男が言ってた割にはそんなでもなかったんだ」

一方「……そォかよ」

垣根「不自然なくらい再生してたんだよ。壊れたはずの部分がさ。
    そこを軸にして俺の能力で残りを再生させたからすぐ治せたんだよな」

脳以外の部分の正確な構築は初の試みで、現在よりも難航するはずだった。
しかし導のように、再生のための軸が先に作られていたためにその難度は大きく下がっていた。
         、 、 、 、 、、 、
垣根「お前さ、何か知らねえの?」

一方「知るか。あのカエルだろ」

そっぽを向く一方通行だが、耳までは隠せていない。
白すぎる肌はつくづく不便だ。
ただでさえ嘘が下手だというのに、それに拍車をかけている。

垣根「……なあ、売店行きてえから付き添ってくれね?
    一人で歩くのやっぱしんどい」

一方「なら寝てろ」

垣根「駄目だ。今売店に行かねえとじきにフラストレーションが溜まりすぎて鬼神と化し
    お前を鬼レイプするかもしれない」

垣根「いや、すると断言する」

一方「何をしようがどうせそのうち同じことすンだろォが……」

垣根「いや、鬼畜レイプとほのぼのレイプには天地の差がある」

一方通行が了承するのなど聞かず、垣根は一方通行の肩に自分の腕を回した。
生来貧弱なためにほんの一瞬ふらつく一方通行だが、持ちこたえる。
やたらと大きなため息をついても体重を預けてくる垣根を弾き飛ばすことはなかった。

一方「売店なンかで何を買うンだよ」

垣根「お菓子」

一方「幼児か」



―――売店

垣根「うわ、この店すごい」

一方「」

垣根「ゴム、ローション、媚薬、バイブ、ペニバン、ニプルキャップ、オナホール、
    クスコ、アナルビーズにアナルバイブ、エネマグラ……」

垣根「勝負下着も売ってある」

一方「おかしい、俺は病院の売店に来たはずなンだが……
    いつの間に空間移動してたンだ?」

垣根「何もおかしくねえだろ」

垣根「病院の売店に淫具があった。それだけのことだ」

一方「それがおかしいンだよ! まさか最近の病院はこれが普通……なのか……?」

垣根「マジな話、患者の性欲処理の問題って結構重大だからな。
    だから売ってあるんだろ」

一方「この世界の常識が分からねェ……」

垣根「一方通行。社会の流れってのは需要によって変動する。
    需要が高まればそれが普通になるんだ。常識は一定不変ってもんじゃねえ」

一方「なンて時代に生まれてきたンだ俺は」

垣根「媚薬とブラジャー買っておくか。お前に使うために」

一方「買うなァァ!! ……ブラジャー?」

垣根「女装セックスしようぜ。せっかくセーラー服買ってんだからよ。パンツも買っとくか」

一方「この変態野郎……!
    買うのは勝手だが俺は着ねェ。オマエが勝手に使ってアヘってろ!」

垣根「一生のお願い」

一方「これほどまでに下らねェところで一生の願い使うンかよ」

垣根「一生に一度のお願いとは言ってねえ」

一方「オマエ……」

垣根「店員さーんこれとこれとこれいくら?」

店員「17万5000円です」

垣根「高っ。まぁ買うけど」

一方(あの薄布と胡散臭い薬が17万5000……あのカエルとンでもねェ商売してンな)ウワア

垣根「いい買い物したなぁ」ホクホク

一方「その買い物の品は無駄になるわけだがな」

垣根「……? え? え?」

一方「心底理解できないみたいな顔すンな」

垣根「俺死にかけたんだよ? もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃないの?」

一方「甘えンなクソうぜェ」

垣根「従わなきゃ例の映像が牙を剥くぜ」

一方「やっぱ洗脳しときゃよかったわ」

垣根「それじゃ、行くぞ」

一方「どこにだ」

垣根「カエルんとこだよ。今から退院するって言ってくる。もう治したからな」

一方「」

 

        

 

―――

天井「……奴らをどうすれば……」

801号「『やめろよカイ! 俺たち男同士じゃないか!』」

801号「『構うものか。俺はお前が好きなんだ……アオイ』」

801号「『くっ、ぁあっ! そんなところ触るな……!』

     身を捩り抵抗するアオイだがその力は弱く、殆ど誘っているようなものだった。
     アオイの消極的な誘惑にカイのものはより怒張を」

天井「おい、ホモ本朗読すんのやめろ」

801号「おっとすみません、無意識でした。とミサカは己の非を認め謝罪します」

天井「あの茶髪と第一位……うーん」

801号「次は何を読みましょう……。悲恋ものにしましょうか。
     いちゃラブ甘甘セックスばかりでも胃もたれしますし」

801号「衝撃のレイプ!! 兄貴達により誘われた快楽地獄の果て。堕ちるカイ―――」

天井「いやだから声に出すんじゃない。……ん?」

801号が読んでいるのはホモ本。
同性同士の恋愛について書かれた書物であることには違いがない。

天井は恋愛に関しては同性愛に限らず疎い。
学生時代から勉強ばかりでそういった浮ついたものとは縁が浅く、今ひとつ理解が難しいものだった。
同僚である芳川女史に多少魅力を覚えたことはあるが、それが世間一般に言う恋愛感情かどうかさえ曖昧だ。

ならば資料が必要だ。
あのゲイカップルへの対処法を描くだけの資料が。

天井「おい、ちょっとそれ見せてみろ」

801号「……? え、これ、ですか?」

天井「ああ」

801号「ちょっ、お前が腐男子とかねーよ、とミサカはドン引きします」

天井「そんなんじゃないからな。まったくもって。
    ただ少し参考になるかもしれない……」

801号(何の……?)

引きつり顔の801号に構わず、天井は積まれた本の中の一冊を手に取る。
表紙からもう肌色だらけだ。
R18を示すマークが貼られているが、そんなものを見なくてもヤバい内容であることは明らかだ。

天井「……」

いややっぱ見るのやめようか。
そんな心を押し殺してページをめくる。

『イクイクイグイグイグググ――――――ッッッ!』ビュルビュルビュルルルッ アヘアヘー

『ドゥルアァ!! とっととケツ動かさんかワレ!』パンッパンッ ズバババババパァァンッ

天井「」

これはハードすぎる。閉じよう。

次に新たな本を開く。

『僕はとっくに狂っていた。
君という時計じかけの天使が僕の止まった灰色の心をかき乱していく。
蠱惑的な瞳と濡れた唇
クスリみたいに僕の灰色をサイケデリックに染め』

天井「中学二年生のポエムかよ」

意味不明な上になぜか恥ずかしい。閉じよう。

次に開いた本に出てきたキャラクターは異様に顎が尖っていた。
この顎で何をする気なのだろうか。
心臓を一突きする気か。と思っていたら本当に顎で殺人事件を起こしていた。

次に開いた本は男女のカップルものかと思ったらどっちも男だった。
低身長、童顔、やや長い髪、デフォルメされた大きな瞳とそれを彩る長い睫毛。
女性キャラの描き方にしか見えない。
体つきまで女性のそれだ。そこにいる00801号と大差ない肉体だと言ったらおそらく殴られるだろう。
口調まで女っぽい。これが男だったら立派なカマ野郎である。

天井「これはもう男同士で描く意味はあるのか……?」

801号「男同士ってだけで価値があるんですよ」

天井「理解できない世界だ」

801号「受けがメスっぽく描かれるのはありがちなデフォルメです、とミサカは補足します」

天井「なぜだ」

801号「いかつい男同士だと抵抗を覚える女性が多いからではありませんか、とミサカは憶測で答えます」

天井「ガチムチ同士で白濁し白熱し白狂(意味深)してる方が受け付けるのはなぜだろうな」

801号「男性向けに作られたか女性向けに作られたかの違いでは?」

天井「よりターゲット層に受け入れられるように出来ているということか……」フーム

801号「そんなことよりなぜあなたは突然にホモ本を……」

天井「何、……恨みのあるホモカップルがいてな。
    復讐のために破局させてやろうと思っている」

801号「つまりそのカップルの片割れを寝取ろう、と」

天井「絶対に違う」

801号「愛し合う二人の男を引き離すなんてソドムとゴモラを滅ぼすより重い罪です、とミサカは私見を述べます」

天井「ソドムが滅ぼされた理由を思い出せ」

801号「ソドムが滅ぼされたのは豊かな資源を独占し貧者を救わないという思想、
     客人冷遇が原因というのが最近のポピュラーな見解のようですよ」

天井「昔から科学の街に住んでたから知らなかった。
    つーか神が滅ぼしたんだから罪の重さの例にするのは不適正だ」

801号「さてホモカップルクラッシュですか。なんだか面白そうですね、とミサカはほくそ笑みます」

天井「お前さっきと言ってることが違う」

801号「それに、真の愛というのは障害を乗り越えてこそ……。
    そしてミサカはいつでも愉悦を求めている、それだけです」

天井「どうやら私の人格プログラムに重大なミスがあったようだ。謝罪しよう」

801号「ホモカップルをクラッシュしたいなら先にホモについてよく知るべきです。
    さあ、ミサカの本を読むのです。この世界にハマりなさい。まあそれもキモイんですが。
    そしてもっとたくさんの薄い本を貢ぐがいい」

天井「心配すんな、ハマらねえから。けど研究材料には……」

801号「さあ覚悟しろ、とミサカはスパルタモードに移行します」シュバッ

天井「なんだこのR36~R50指定という本は……」


―――三十分後

天井「あばばばばばば」ピポポー

801号「おや、原典の毒にやられてしまいましたか」

801号「攻めの反対は?」

天井「受け」

801号「挿入口と言えば?」

天井「アヌス」

801号「王様の命令は?」

天井「絶対」

801号「よし。知識を得たあなたが導き出すカップルクラッシュ法とは?」

天井「攻めのケツマンコをレイプしてアヘらせて受けにジョブチェンさせるー」ホケケー

801号(垣根帝督が攻めかは知らないのですが、まあいいでしょう)

801号「体の相性が悪いのが一番悪いですし、いい案だと思います。とミサカは褒めてみます」ナデナデ

天井「ウレシイナー(白目)
    さっそく街のチンピラ共を裏から糸引き己の手を汚さずして垣根の尻を犯すように手配するぞお~」ピッポッポー



かくしてKKN'sケツマンレイプ作戦が水面下で動くこととなった……

そんなことが起こっているとも知らず。
垣根はとある場所―――スクールの隠れ家の一角に立ち寄り、ある作業をしていた。

垣根「脳の複製は完了。これを専用の機械にぶち込んでコードを接続、っと」

垣根「……代理演算装置、多分完成!」

垣根の前にあったのはネバネバした液体に満たされた容器だ。
中に入っているのは垣根の脳の複製品。
事前に研究所にて脳波を調整されている。完璧なコピー品だった。
それには無数のコードが接続されていて、脳単体では不足する機能を機械で補っている。

垣根「思えば長い道のりだった。
    代理演算装置を作ろうと試みてから四日目にしてようやく……思ったより短いな」

複製品の脳は現時点では一方通行への対策用の器官としてしか使う予定はない。
だが、脳をさらに大量に複製することでいくらでも演算能力を底上げできるだろう。

とかく、これの完成により全ての要素が整えられた。

垣根「待ってろよ、一方通行」

そのアナルバージンという名の幻想をぶち犯す。

ニヤニヤと笑いながら垣根はその場所を立ち去った。

カエル顔の医者を驚愕させながら退院した後、垣根と一方通行は一旦別れていた。
垣根は複製した脳の脳波調節と諸々の機材入手のために研究所や他の施設へと立ち寄り、
一方通行は衣類等を自宅から回収してくるためだった。

脳の複製や、学習装置借用手続き、諸々の機材の運搬等で時間がかかった垣根の方が帰宅には時間がかかり、
先に一方通行が家に到着していた。

家に招き入れた初日のうちにセキュリティシステムにも同居者情報として一方通行を登録していたので
マンション入口で一方通行が家に入れずメソメソしていたという愉快な光景が作られることもない。

ソファに座り、あまり興味もなさそうに漫然とテレビを眺めていた一方通行に、垣根が声をかける。

垣根「一方通行。エロい事しようぜ」

一方「直球すぎンだろオマエ」

垣根「退院祝いだと思って」

一方「療養のためにご遠慮くださァい」

垣根「ほら速やかにセーラー服に着替えろ。そしてヤらせろ」

一方「人の話を聞けェェェ!!」


ある悩みがありけるので今日はここまで。
その悩みというのですが一方通行のケツバージンをブチ抜くか否か……ということ。
この件でかれこれ256時間程眠れないまま悩んでます。
ぶち抜けって人はブチ抜けと、アカン人はアカンと言うて下さいまし


もう相思相愛だろ
ぶち抜いちまえよ

ぶち抜きましょう乙

唐突に出てきた学園ハンサムネタに大草原不可避

むしろブチ抜いてからどう調教していくかが大事なんやで(ニッコリ


むしろブチ抜く以外の選択肢がない



一方さんはアナルぶち抜くために存在するから

乙!
楽しみはとっておきたいからまずは尿道とかからイこうぜ!

意見ありがとうございますの
つまり意見をまとめると尿道開発して焦らしてケツ掘り調教、とな
一方通行なのにケツは双方通行、これ大宇宙の真理
正月のうちに投下したいです
皆様良いお年をお迎えください
年明け最初の投下でアナルバージン喪失話とかめでてえwwwwww

謹賀新年今年も一方さんがいろんな人に犯されますように

>>1です
色んな事情あって正月内に投下出来ない可能性が非常に高くなりました
突然死しない限りは何があろうと無理やり完結させますのでしばしお待ちになられて下さい

がんばれ
そうか、一方たん突かれたら物語終わってしまうのね

>>509
んにゃ、身内があれなため数日単位でネット断ちしなきゃいけない状況に明日にでもなりかねないだけです
本来一方通行の尻掘ったら終了のつもりだったのにノリでミサカたん出したばっかりに
例の実験破綻させなきゃ終われないような流れになってしまい未だ終わり時が見えない
けど最悪の場合無駄にシリアスエンド、40年後エンド、ぼくらの春はこれからエンド、
世界崩壊エンドなどの打ち切り案はいくらでもあるから何の問題も無いです☆

のんびり待ってる

すごく……久々です
正直すまんかった
挿入の前置きが冗長になりすぎてやべえ
ケツマンセックス本番はあと二日内に投下出来るように全力で頑張る
この罪は我が命をもって精算する
いや今死んだら垣根(本物)の行く末が見れないから死ねない
垣根(本物)が原作で死亡したら自害することにします
事件も借金も失恋も時間割もストレスも無い堕落の世界につれてってオティえもん!!
たとえ五分後に気まぐれな神の手で世界が滅ぼうとも一時の堕落に身を委ねたい(ポエマー)


――― 4月22日、PM20:00

セーラー服を着ろと詰め寄る垣根と絶対に嫌だと拒否する一方通行の攻防は
その時は結局垣根が折れる形となった。
それから数時間。
ファミレスで適当に食事を済ませ、あとは風呂にでも入れば他にすることも無い自由な時間となっていた。

一方通行は例によってだらだらとやる気もなさげに漫然とテレビを見ている。

「……」

こんな定年退職後のオッサンのような奴が第一位かよ、と僅かに思わないこともない垣根だった。

ふと垣根はジャケットのポケットに忍ばせた媚薬の存在を確認する。
即座に水に溶ける性質の媚薬。
例によって未元物質で多少加工はしている。

(うーん、いつ使おう?)

食事に混ぜ込むのが正しい手だったのだろうが、時すでに遅し。
湯を張った風呂に溶かしておけば全身に薬が浸透したりはしないだろうか。
そういう設定のAVって実在しそうな気がする。

そんなどうでもいいことを考えたところに、一方通行が独り言のように呟く。

「喉渇いたな……」

―――これは明らかにチャンスだ。
そんな表情を出さずに垣根が応じる。

「コーヒーでも飲むか?」

「あァ」

一昨日スーパーに寄った際にコーヒーを買っていた。
この瞬間のためにあの製品を買ったのかもしれない。
世界や因果は常に繋がっている。

「ホットでいいのか?」

「いい。つーか、自分でやる」

「いや、俺もどうせやることねえし、お前はテレビでも見てろ」

一方通行は垣根の心中に気付かないまま、垣根の提案を飲んだ。
にやりと笑い、さっそく垣根はコーヒーを淹れるべく準備を始めた。
湯沸かし器の音に紛れて、垣根はこっそりと部屋を出てセーラー服や下着等の回収と諸々の準備に向かうのだった。

天は垣根に味方していた。
一方通行にバレることなく全ての準備を終えることに成功する。
コーヒー豆の入ったフィルターへ熱い湯を注ぎ込む時に、垣根は一方通行に問う。

「やっぱ一方通行はブラックコーヒーがいい?」

「……ン」

「了解」

垣根は自分の分にのみミルクや砂糖を投入し、マドラーでかき混ぜる。
もう片方にはコーヒーを注ぐ前に媚薬を投入済みだ。
こんなものを飲もうものなら即座にアヘアヘ、あくせられーたのおしりおまンこていとくのおちンぽでつらぬいてェ状態化間違いなし。

「クックック……」

天使のような三対の白翼を具現させる少年は悪魔のように笑った。
どこまでも邪悪に。

「できたぞ、一方通行」

「あァ」

テレビの前から動かない一方通行に垣根がコーヒーを渡しに行き―――

「……気が変わったわ」

唐突に一方通行が声を上げる。

「オマエのコーヒー飲ませろよ。ブラックばっかじゃ飽きるしな」

「……え?」

ニヤ、と一方通行は笑う。

まさか、この俺の考えが読まれていた、だと。
顔を引きつらせる垣根が差し出していた方とは逆のコーヒーを一方通行はひったくるようにむしり取った。

「古典的すぎンぞ、オマエ」

「もうあの薬のこと忘れたと思ってたわ……」

「ンなわけねェだろォがァ!!」

媚薬を買っていた相手の目論見を察するなと言う方が無理である。
コーヒーの中に妙な物は入っていないらしい。
能力でそれを感知し、一方通行は甘すぎるコーヒーを一気に飲む。

「……これもォコーヒーじゃねェな……」

ほとんどコーヒー牛乳だと感想を漏らし、カップを置いて一方通行は悔しげな垣根に得意そうに続けた。

「ほら、さっさとそのコーヒー飲めよ。
ブラックが駄目ならミルクでも入れろ、お子ちゃま」

「……」

ニヤニヤ。
口角を釣り上げて笑う一方通行はチェシャ猫のようだと実にメルヘンなことを考え、
垣根はコーヒーを始末しようとしょんぼりとした顔で流しへと向かおうとし。

「おい捨てンなよ。コーヒー豆の農家さンに悪ィだろォが」

「ヤだよこんなの飲んだら即効頭パーの猿になっちゃうもん」

「ほォ……そンなもン俺に飲まそォとしてたのか」

嗜虐的な笑みのままに、一方通行は垣根の腕を掴む。
そして一気に垣根を引き寄せ、もう一つのカップを奪い取り、垣根に無理やり飲ませようとする。

「やめろォ!」

「これでイーブンてとこかなァ、垣根くン」

「俺病み上がりなんだよ! 優しくしろよ!」

「あのカエルも驚いてやがったな。マジで傷が完治してたからよ」

「ほらアレ、俺いっぱい血が出たから頭に血ぃ回ってなかったんだよ。
だから大目に見ろ!」

「ならいっぱい血が回るよォに血行が良くなる薬飲まなきゃな」

ぐいぐいともみ合ううちに、垣根はコーヒーの入ったカップを振り投げ中身を床に投げ飛ばそうとする。
だがそれをチャンスに変えてしまうのが一方通行だ。
飛び出したコーヒーに素早く手をつけ、ベクトル操作。
一瞬の逡巡の後、一方通行は自分の手の上で揺らぐ球状にまとめられた液体を自分の口に流し込む。
異物の存在を感じながらも一方通行は 驚いたような顔をしている垣根の後頭部を掴みその頭を自身に寄せて。

「ん、む―――!?」

垣根の口に自分の口を重ねて一気にコーヒーを能力を用いて流し込む。
むせるより前にその液体は垣根の体の中に押し込まれる。

「ギャハ、飲ンじまったな」

垣根もまた無理やり飲まされた液体など自在に排出できる。
ベクトル操作にも対応可能だと一方通行は知っている。
だが、垣根曰く『飲んだら即効頭パーの猿になる』とのこと。
ならば垣根の肉体に薬品が取り込まれるまで、一方通行が垣根の体内に劇物を抑えておけばいい。

「あああああああああああ、クソ!!」

恨めしげに叫ぶがもう遅い。
垣根の顔は徐々に熱を持ち、赤らんでいく。
息も荒く、熱くなっていく。

「本当にすぐ効いちまうンだな」

その薬の効果に感心したように呟く一方通行は、余裕なさげな垣根の首をつい、となぞる。

「ぅあっ……! や、めろって……」

「今までオマエが俺に好き勝手やってンだろォが」

これまでとは逆に、一方通行が垣根を悶絶に落としてやることが今は自在だ。
心底楽しげに一方通行は垣根の耳に触れる。ただそれだけで垣根は体全体を震わせた。
あまり体に力の入らない様子の垣根の耳に一方通行は唇を寄せて囁く。

「オマエにこれまでやられたこと全部やり返してやる。
気持ちよすぎて何度も色んなもン漏らしちまうだろォが、ちゃァンと記録してやるから安心しろよ」

それは絶望的な台詞。
これまでの力関係を逆転させるような発言。
そんな囁きにさえ今の垣根は快感に震えるしかない。

だが。

「あ、あくせら、れーた、」

垣根は呂律の回らない調子で呼びかける。
それが制止の声なら一方通行に聞く気はない。

「おまえ、は、……」

荒い息を吐き、続けた。

「重大な、勘違い、してんぞ」

「あ?」

どういうことだ。

「薬が、入ってたのは……両方だ」

「あァ……?」

馬鹿な。
能力で異物が入っていないかを調べて甘ったるいコーヒーを飲んだというのに。
そう思いつつも、両方に薬が入っていたというのは垣根のホラである可能性を考える。

直後。

とくん、と一方通行の心臓が不自然に脈打った。

「!?」

体内に異物の存在は見つからない―――いや、ある。
だが排出しようにもなぜか意思を持ったようにそれは逃げ回る。

いつからそこに存在していたかさえわからない。

「お前が飲んだ方が本命だ」

いつの間にかケロッと回復した垣根がへらへらと笑いながら言い放つ。
どこまでも軽率に。

「お前に異物検出出来ないように頑張って能力で偽装したんだぜ」

「なン……だと……」

自分に飲まされる可能性があることも事前に予測し中和剤も腹の中にセットしていた。
幾重にも連なった工作。いかなるルートをたどっても狙い通りの効果を得るための策略。

「ははははは! これが悪党のやり方なんだよ!!」

「つくづく汚ェなオマエは……!」

悪に一流などいらない。三流で上等。
それで望みの成果が得られるのならば。

「大人しく俺に襲われてアヘりやがれ」

一方通行に垣根が手を伸ばした。
あらゆる意味で危険を感じた一方通行は慌ててそれから逃れようとするが、
薬のために体の動きが鈍くなっていて上手く躱せない。

「クッソ……何が狙いだ」

「ナニに決まってんだろクソボケ。つーか、あんまり効果出てないなー……」

もともとあのカエルが製造した人体に悪影響のない繊細かつ高い効果を誇る媚薬が
あらゆるものを捻じ曲げる未元物質に触れてしまっては効果が落ちてしまうのも仕方がない。
とはいえ、本来の効果通りであったら強力すぎる快感で一方通行が逝去する恐れもあるのだからこの程度でいいのかもしれない。

「ま、これでいい。さぁ、お着替えしようね百合子ちゃん」

好青年のような爽やかな笑みを浮かべて垣根は一方通行の衣服に手をかける。
見た目は天使のようでも中身はやはり邪悪な悪魔なのだ。
悪魔のようだと恐れられてきた一方通行でさえ顔を引きつらせるしかない。

「つくづく変態すぎンだろオマエ……!」

「屈辱を与えながら好きな奴を蹂躙するのって普通興奮するだろ」

「知るかァァァ!!」

怒鳴る一方通行だがもはや成すすべがないのは理解していた。
迅速に上を素っ裸にされた一方通行に垣根がいい笑顔と共にあるものを見せつける。

「これをつけてやろう」

垣根の手にあるのはピンクの布製品だ。
それは数時間前に病院で見たもの―――

「ふ、ふ、ふざけンなァ!」

「おいおい、貧乳とは言え百合子は女の子だろ?
ならちゃんとおっぱい保護するためにブラジャー着けねえと」

「俺は男だって何度―――」

「ええー?」

わざとらしいキョトーンとした表情のままジタバタと抵抗する一方通行に無理やり垣根がエロ下着を装着にかかる。
垣根を止められるものなどここにはいない。
ぱち、と小さく音を立てて留め金がかけられる。

「……く、」

一方通行は顔を真っ赤にして胸元にあるものに目をやる。
透けているために乳首が見えている極めて薄い布で作られたブラジャーがそこにあった。

死にたい。

そんな絶望感が屈辱とともに一方通行に襲ってくるが、これで終わりのはずなどない。
始まってさえいない。

しゅ、と布の擦れる音がした。
既に死にたい気分でいっぱいな一方通行の前に現れたのは例のミニスカセーラー服だ。

「もォ二度と着ねェってンだろ!!」

「けど下着姿じゃ恥ずかしいだろ? 女の子なんだから恥じらいを持たなきゃ駄目だ」

にこにこと無邪気に笑う邪気の塊は更に容赦なく一方通行にセーラー服を装着させていく。
一方通行に拒否権など用意されない。されてはならない。
ブラジャー、セーラー服とくれば次は決まっていた。

「次はパンツをだな」

「やめろォ!!」

とてもいい笑顔で迫り来る垣根の手を振り払うには今の一方通行はあまりに脆弱。
薬物でぼやける思考、弛緩する手足。
女物の80%程が透けている上に女物の下着が両足に通されるのを止めることはやはり不可能だった。

さて。

「うーん、百合子はやっぱり可愛いなあ」

「頼むから今すぐ舌噛ンで死ンでくれねェかな……」

引きつり顔の一方通行は垣根が病院で見た夢に出てきた一方通行と寸分の違いも無い格好だった。
だが一方通行が垣根に向けてくる目は全くもって違う。
愛しげな、どこか媚びたような弱々しい目ではなく、呆れと不信と小馬鹿にしたような目だ。
だが、それでこそだと思える。
これでこそ今日まで触れてきた一方通行だ。
仮にこれからあの夢の中の素直でしおらしい人格になるとしても、少なくともその段階を踏んではいない。

「よし、セックスすんぞ。ケツバージン奪われる時に女として蹂躙される気分はどうだ?
一方通行」

「オマエを殺してェ」

「安心しろ、その屈辱なんか忘れるくらい幸せにしてやる」

垣根は一方通行の頭を優しく撫でる。
その手指が一方通行の耳に触れると、一方通行はびくりと身を震わせた。

「あれ、これだけで感じるんだ」

「オマエが妙なもン飲ませたせいだろうが!!」

媚薬の効果は減退している。それでもやはり感覚は普段以上に敏感になっているには違いないようだ。

(速攻でケツ貫くんじゃ勿体無いな……)

折角なら、今までと違う場所を開発するのもいいかもしれない。
その場所は。

「尿道とか?」

「……あ?」

赤らんだままの一方通行の顔から若干血の気が引く。

「なァ、今なンつった」

「いや、ちょっと尿道開発でもしてやろうと思ってよ」

にこやかに答える垣根。

尿道開発。
それは尿道に棒などを突っ込み中で動かして前立腺に直接刺激を与えるプレイ。

「何使おうかな……。あ、さっきコーヒーに媚薬混ぜるのに使ったマドラーがあったな。
細いし、ちょうどいいだろ」

何食わぬ顔で立ち上がる垣根。その彼のジャケットを青い顔の少年の手が掴む。

「やめろ。絶対にやめろ」

「は? なんで。もう尻も前立腺も弄られ放題弄られて今更尿道くらい怖くないだろ」

「やめろってンだろ!」

大腸と違い、尿道は液体専用の管なのだ。
それにマドラーなんて物を挿入するとは、あまりにも恐ろしい。
さすがの一方通行とて脅威を覚えるには十分だ。
だが垣根はそんな心情を理解しない。

「すっげえ気持ちいいらしいぜ。
まあ、往々にして尿道括約筋が緩みやすくなって失禁しやすくなるらしいけど」

「……!」

硬直する一方通行ににやにやと垣根が笑う。

「あとさ、股間の筋肉って繋がってるから尻の方緩むとまた尿道の方も緩むんだよ。
どっちも拡張する予定だし、ただでさえ緩いお前がどうなるかは想像に難くないわな。
けど安心しろよ。日常生活に支障が出そうになったら俺が能力で何とでもしてやる」

極めて便利な力があるゆえの倫理観、躊躇の欠如。
高位の能力者にありがちな精神。
それが如実に現れた言動。

学園都市の闇は、やはり深い。

「絶対気持ちいいから。な? どんなに抵抗しても、どんなに絶望してもヒーローは来ねえ。
最後には悦楽の世界が待ってるから俺に身を任せてろ」

お前に身を任せるのほど恐ろしいことはそうはないと一方通行が怒鳴ろうが
綺麗に洗浄されたマドラーを右手に、左手にローションを装備した垣根の出現は阻めない。
この世界は残酷なのだ。
悲しいほど残酷で美し―――くはない。

「……」

一方通行はマドラーを見つめてごくりを喉を流す。
欲情しているのではなく単純に脅威を覚えているのだ。
あんなものが、人体の穴のうちでも特に敏感な場所に挿入されるなど。

「本気なのかよ……」

「俺が冗談でこんなことすると思うか……?」

100%マジだー!等とギャグマンガ的に叫ぶ気力はない。
生理的な恐怖に顔を俯かせる一方通行は、もはやこの進行を止められはしないと思っている。
垣根の手が一方通行のスカートをめくり、下着をまさぐり、取り出したペニスに指を絡める。
子供のもののような小さなペニスに、ローションが垂らされた。
一方通行はその冷たい感触に身震いする。
どうせならそのまま普通に刺激してくれと一方通行が素直に言えば何かが変わったかもしれない。
そして。
そして。
そして。

つぷ、と小さな音を立てて、マドラーは一方通行の鈴口から尿道内へと侵入を始めた。

「!!!」

一方通行のつま先が攣ったように引き伸ばされる。
体に突き入れられた物のあまりの異物感にだ。

「一方通行、動いたら中に傷が付くぞ」

一方通行の性器にマドラーを突き立てたまま垣根が笑いかける。
端正な顔立ちの浮かべる笑みは女性であれば誰もが幸福感に包まれるようなものなのかもしれないが、
この状況においての一方通行にとってはただただ殴り飛ばしたい顔でしかない。
だが暴れるとどうなるかわかったものではない。主に尿道が。

「気持ち悪ィ―――! とっとと抜きやがれッ」

「まだ入れたばっか。もうちょっと進めば気持ちよくなるって、媚薬も使ってんだし」

ほーら、と見せつけるように垣根がマドラーを奥から手前へと、ゆっくりと出し入れする。
こんな場所を弄られた経験など無い一方通行にとっては気持ちが悪いだけの感触のはずだ。
だが、

「ふ、く、……」

固形物の這うはずのない場所への強烈な違和感に一方通行が声を上げたのは不快ゆえではない。
電撃のような刺激が尿道内部で発生したためだ。

「気持ちいいんだな?」

「よくねェ!! 早く、とっとと抜け!」

「了解」

と言いつつ垣根はさらに奥にマドラーをねじ込んだ。

柔らかな尿道管の壁を刺激しながら銀色の棒が走り、

「く、あっ……」

一方通行が声を上げる。それは快感の色を帯びた声だ。
今現在攻め立てられている脆弱な管の内部のことを考えれば暴れるわけにも行かず、
体を跳ねさせないように堪えながらも。

「おーおー、嫌だ嫌だァもいっぱいしてのうちだな」

そんな軽薄な垣根の声と共に、より不覚に挿入されたマドラーがじりじりと一方通行の尿道をこする。
非常に鋭敏なそこを。

「やァ、―――やめろ、も、……!!」

「もっと?」

「ち、が」

違うと示す様に一方通行が首を左右に降ってみせる。
幼児退行したような動作は余計に垣根の嗜虐心を煽るのみだ。

「そんなに懇願されちゃ堪んねーよなあ」

あくまで一方通行の内部を損壊させない程度に、先ほどよりも強くマドラーの先を押しつけてやる。
決してつい力で当てたのでもないのに、それは神経そのものを突くようなものだった。

「あ、あァァっ」

普段姿勢の悪い一方通行には珍しく背筋をピンと立て声を上げる。
スカートの生地が波を打っているのがよりいかがわしさを助長していた。
荒い息と高い声に煽られて、好奇心と嗜虐心のままに垣根がマドラーを動かす。
指に伝わる僅かな手応えに反し、一方通行の反応は大きい。
自分にとってはごく僅かな力で、自分の上に立っていたはずの男がおとがいを反らして嬌声を漏らすのは愉快でならない。

「ひっ、も、もう、や、だ……、」

涙に濡れた目で懇願してくる一方通行の頬を垣根が緩やかに撫でる。
愛おしむ動作なのに、その愛撫は「まだやめてやらない」という意味しか持っていない。

一方通行のペニスはとっくにびっしょりと濡れていた。
マドラーと尿道の間をカウパーがせり上がり、そのぬめりは一方通行の性器全体に広がっていた。
垣根はその液体透明の滑る粘液を指につけて一方通行に見せつける。

「ほら、これ見てみ。こんな棒突っ込まれてんのに浅ましいよなぁ、
隙間から唾液みたいなたらたら垂れ流しっぱなしだ」

「……っ」

屈辱に震える一方通行だが、もはや反論さえしない。

急いたようなものでないじっくりとした刺激を、垣根は与え続ける。
延々と冷めない熱が性器から脳の奥を焦がすように走り続けていた。

しばらくの後に、垣根が呟く。

「……うん、ここもいい具合になってきたかな?」

楽しげな垣根と、疲労しきった一方通行の目が合う。

(ぶン殴りてェ……)

全力でそう思う一方通行。それに対し、まだ何かロクでもないことを考えていそうな垣根。
その時、垣根は一方通行の尿道への責めをやめる。

「そうだ、そうだ、そーうだ。大事なことしなきゃならなかったんだよ」

「ァ……?」

垣根は再度、一方通行の下着に触れる。

「もォ触ンな……」

「うっそだ。触って欲しいくせに」

下着は既にびっしょりと濡れていて、常時の際の女のもののようでさえあった。

「百合子はさ、やっぱ女の子なわけじゃん」

「まだそのごっこ遊びすンのかよ。しつけェ。死ね」

中指を立てる一方通行に構わず垣根は喋る。喋り続ける。

「セーラー服までちゃっかり着こなしちゃってる女の子なわけだから……。
入れる前にはちゃんとしてあげなきゃ、壊れちゃうかもしれないな?」

「は」

「うーん、こんな場所じゃしんどいし、寝室に行こうぜ」

寝室、と言われて一方通行は僅かに表情を固くする。
やはり突っ込むのか。
ケツに。アレを。
……いや、今更何なんだ。垣根と出会った日のうちにラブホテルで産卵してるんだぞ。
何を恐れることがある―――なぜか少し泣きたい気がしてきた。
そんな心中の一方通行を垣根は強引に自分の寝室に引き込む。


―――

「……」

高級感のあるベッドの上に鎮座しているのは一方通行だ。
硬い面持ちの一方通行は露骨に垣根と視線を合わせようとしない。

「何、緊張してんの?」

一方通行のすぐ前で垣根が声をかける。

「オマエみてーな変態に着せ替え人形にされた挙句にうかうかとベッドまで連れ込まれるたァ、
俺の人生マジでどォなンのかと思ってただけだ」

「お前の人生ねー。俺のものになるに決まってんだろ」

ぎしり、とベッドが音を立てる。
垣根がベッドに半身の体重をかけた片膝を乗せたからだった。

「一方通行」

「……ンだよ」

一方通行の問いに答えることなく垣根はそっと一方通行の肩に体重をかけ、ベッドに押し付ける。
見上げるのは赤、見下ろすのは黒の瞳だ。
絡んだ視線の距離は徐々に狭まり、互の唇が重ねられた。
一旦唇を話してから垣根が囁く。

「……続きするか」

どの? と言いたげな一方通行に垣根は装備品を見せる。

「これ」

……銀の槍と聖なる水がそこにあった。
それは吸血鬼退治のための装備品ではない。ただのマドラーとローションである。

「もォそれはいいから。ほンともういいやめやがれってンだろ!!」

「待て待て。ただ尿道だけほじくるんじゃねーから今度は」

「より嫌な予感しかしねェンだよォ!!」

バタバタと抵抗する一方通行だが、垣根が少しばかり強く性器を擦り上げれば体をこわばらせて脱力してしまう。
マタタビを与えられた猫のごとし。
脱力した一方通行の下着をずらし、濡れそぼる一方通行の性器にもう一度ローションを垂らしてマドラーをあてがう。

「再挿入、っと」

「ひ……」

先ほどよりも簡単に、一方通行の尿管はマドラーを受け入れた。
次に垣根は一方通行の肛門にもローションを垂らす。
冷たい感触に白い肢体がびくりと震えた。

「なンでそっちまで、」

「二穴責めするために決まってんだろ」

そう言い切るやいなや、垣根の指が一方通行のアヌスに触れた。

「二穴責め、この場合は尿道とアナルの両方を同時に責めることだな」

「マジで何が面白いンだかな……」

「征服欲とかプライドが満たされんだよなー。お前が悶絶してんの見ると」

「オマエ」

「……冗談。いや、冗談じゃないけど。そんだけじゃないからな。
気持ちいいのは誰だって好きだし、よがってる時は幸せだろ」

幸せそうなお前を見てるのが楽しい、と微笑む垣根に一方通行は言葉を詰まらせる。
そんな言葉をかけられては何を返せばいいのか頭に浮かばなくなってしまう。

「さぁてと。続き、やるぞ」

垣根の指が、一方通行の尿道に沈められた棒と、一方通行のアナルの両方を滑る。

「っ」

「ケツとチンコの両方がピクッてしたわ、今」

屈辱と言わんばかりの顔の一方通行にからかうような笑みを向け、垣根は弄ぶようにマドラーを動かした。
その一方で、ぐにぐにと一方通行の後孔を指でまさぐる。

「……っ」

ほんの軽く弄っているだけだが一方通行は既に奥歯を噛みしめるような顔をしている。
快感から逃れようとしているのは非常によく伝わる。赤らんだ顔に似合う扇情的な表情だ。

垣根が一方通行の尿道とアナルを同時に責めようとしたのには理由があった。
一方通行はこれまでに何度か肛門を弄られ、快感を得ている。
だがそれはあくまで前立腺への刺激によるもの。肛門の筋肉や腸内自体への刺激による快感には至っていない。
理由は単純に、開発の回数を重ねていないからだ。
尿道からの前立腺への責めとアナルの入り口への同時調教を行うのは、前立腺への責めの快感を
あたかも後者への快感であると一方通行の体に錯覚させることでより効果的に開発を行うためだった。
今現在であれば媚薬の効果も手伝い、更にその効果は向上する。
また、快感に弛緩した肛門筋ならば柔らかくほぐすのも容易になるのだ。
本日のうちに一方通行の後孔に性器を挿入する腹づもりの垣根としては、
一方通行がより強い快感を享受出来るために必要な土台作りとして欠かせない行為だった。

「っあ、ゥ、ン……っ」

「一方通行、どっち弄られんのが気持ちいい?」

「……知る、か」

「へえ、自分の体なのにわかんねえの」

実際のところ、現時点では明確に尿道の責めで快感を受けているといった状態と理解しているのだろうが
じきにその感覚は溶け合っていくのだろう。
きゅうきゅうと締め付けてくる肛門をマッサージするように、垣根は指の腹でゆっくりと刺激する。
垣根が触れた場所からじりじりと全身をかけていく熱に一方通行は息を漏らした。

―――くちゅくちゅ、という音。熱の籠った吐息の音がしばらくの間続く。

強くなりすぎないように繊細に調整された持続的な快感による控えめな喘ぎ声が室内に充満する。
どこまでもいかがわしい空気に満ちていた。

「……クソ」

わずかに垣根はボヤく。
垣根はこの状態の一方通行にも多少足りないような、わざと焦らすような快感を与えているつもりだった。
一方通行が射精してしまわないようにゆっくりと、だが確実に。
だが垣根も焦らされているような感覚を覚えていた。
誰かにそうさせられたのではなく、自身の行動によってそうなっているのだが。

「ふ、ゥう……」

額に汗を滲ませて、口元を抑えるように手の甲を当てている一方通行の顔は蒸気している。
その上、中性的な顔立ちや体型で少女の格好とある。
ドノーマルの男でも目にすれば道を踏み外さずにはいられない艶かしい一方通行を襲わずにいるのは垣根の精神力ゆえだ。

一方通行の後孔は十分に解れている。
人並みを上回るサイズの垣根のペニスも受け入れられるかもしれない。

「……」

生唾を飲み込み、垣根は一方通行の性器から銀色の棒をゆっくりと引き抜いた。
濡れた棒が粘液をひいて出ていくのを見て、頃合いかと一方通行は思う。

「……気は、済ンだか」

息を上げながら、極力憮然と言う。いつもと変わらないような態度だ。
次に「なワケねーだろ」と垣根は言って襲いかかって来るのだろうと予想しつつ。
だがその予想に反して垣根は何も言わない。

「……」

一方通行との体の繋がりなど手段であって目的ではない。
そこに何の感慨も持つべきではないし、精々が性欲の処理程度の意味にしかならないのだ。
そのはずなのに、この先へ進めば後にはひけないのだと垣根はどこかで感じていた。
すんごいムラムラする、でもこのまま突き進んでいいのか。
土俵上での尻込みだった。
それを見ていて、一方通行は察する。

「……怖気付いたのか?」

「あ? なワケねーだろ。ヤり殺すぞ売女が」

こめかみをひきつかせて反論するのは図星を突かれたのを告白するようなものだ。
その垣根に挑発的な笑みをもって更に一方通行が追撃をかける。

「いざセックスするってときゃビビリやがるとはなァ。やっぱ童貞だったンだな」

「この期に及んで挑発するとはいい度胸じゃねえか」

怒りのままに、いや本当は怒っているわけでもないのだが、
そのように見せて垣根は力任せに一方通行の体をベッドに押さえつける。
そしてそのまま強引に一方通行の口を自分の唇で塞ぎ、ややあってからそれを離した。

「こんな愉快な格好でよく減らず口なんか叩けるもんだな」

「誰がこンな服着せたかよく思い出しやがれ」

「テメェに似合いの格好だよ。本当にな。他の女みてえに犯してやるよ」

「嘘つけ。オマエが女と事に及べるわけがねェ。天地が逆になろォがな」

「……テメェ」

馬鹿にしきった顔の一方通行はそれはもう憎たらしく、ぶっ叩いてやりたいと普段の垣根であれば思うところだ。
だが、気付いている。
一方通行は普段通りに、いつも通り気楽になれるように挑発しているのだということに。
一方通行が人に対してそんな気回しをすること自体が驚くべき事だ。
ならば普段通りの態度でスキンシップの延長のように事に及んでしまうのがいいのだろう。
童貞だからといって初体験で硬くなる必要は無いのだから。

もう一度、垣根は一方通行に口付ける。
しっとりとした柔らかい一方通行の唇の感触を軽く唇を動かしつつ楽しむうちに、僅かに一方通行の口が開かれた。
それは普段の蕪村な態度に見合わない控えめな誘惑。
誘いを断る理由などなく、垣根はその唇と歯列を舌先で舐りながら口内へと侵入した。
くすぐったそうに身を震わせる一方通行の体を抱き締めながら。

熱い口内に居座る舌を絡めとり軽く吸ってやると、一方通行は少し息苦しそうに、それでも不快そうでない息を吐いた。
緩やかに一方通行の舌全体を舐めまわすうちに、ほんの少しだけ一方通行の舌に力がこもったのに垣根は気付く。
その力を誘導するように、誘惑するように舐めてやれば、おずおずとその舌は垣根の舌へと絡めるように動いていく。
能動的に動こうとも覚束ないその動きがなんともいじらしく、垣根は更にその舌を舐る。
ちゅぷちゅぷ、といやらしい音が互いの口元で響き、耳小骨を揺らした。

脳の奥がとろけていくような音に酔いそうになりながら、垣根は右手を一方通行の服の中に差し込んだ。
人並みより低くとも暖かい体温を感じながら、一方通行の腰から背を手のひら全体を使って撫でてやる。

「はァ……」

一方通行の背よりもやや冷たい垣根の手の感触を一方通行が声を上げる。
体全体を撫でられるのも嫌いではないらしい。
一方通行のすべすべとした子供のようなこの柔らかい肌の感触を知っている者はどれほどいるのだろうか。
優越感や満足感が垣根の内に広がっていく。
背を撫でるうちに、無理やり着用させたブラジャーのホックを片手でそっと外そうと試みた。

が。

(外れねえ、だと……?)

着ける時は簡単だったのにどういうことだ。
こればかりは女性経験のなさを呪うしかない。

「……一方通行」

一方通行の口から舌を抜き去り、呼びかける。
潤んだ目の一方通行がなんだよ、と言わんばかりの顔をした。
ブラジャーのホックの構造がわからない限りには太刀打ち出来ない。
そのため、一旦一方通行に背を向けさせて確認するしかないのだ。

「ンだよ、クソでもしたくなったのか?」

「お前じゃあるまいし……。ちょっと一旦、」

そこで垣根は口を閉ざした。
一方通行に背を向けさせれば下着の構造はすぐにわかるだろう。
だがはっきりと言えば垣根に女性経験が無い事が一方通行にバレるのを避けられない。
何と言えばいいのか。

いや、逆に考えろ。

そもそも外す必要などないのではないか。

「いや、なんでもねえよ。でよ、百合子のおっぱい触っていい?」

「触るな」

口では嫌がる一方通行に構わずに一度身を離して一方通行の上着をべろりと首元まで引き上げた。
一方通行の胸を覆う桃色の生地が露わになる。その中で目を引く乳頭は桃色の生地の中に静かにあった。

「……あンま見ンな……」

「ブラジャーを?それとも乳首?まあどっちもだろうけど」

「……くっ」

屈辱と言うように目を背ける一方通行を見れば、やはりこの下着を付けっ放しにしていた方が愉快に思えた。
垣根は下着越しについ、と一方通行の胸をなぞる。

「っ」

一方通行の胸がはねる。
軽い媚薬の効果が普段以上の感度にしているのはわかる。
さらには屈辱がそのスパイスになっているかもしれない。

「布地ごしでも気持ちいいのか。へえ」

わざとらしく思った事を声に出して羞恥心を煽ってやりながら、更に垣根は一方通行の胸を指先で刺激する。
何の厚みもない胸の上を乳頭の周辺をするすると踊るように乳頭の周囲を滑らせる。
そのうちに薄布越しにほんのりと隆起しだす乳首は物欲しげで、だけどわざと触れてやらない。

「く、そ」

殆ど無意識に一方通行はぼやく。

「物足りない? お前が触ってくれって素直に言うなら触ってやるよ」

笑いながら煽る垣根に心底悔しげな目を向ける一方通行。

「チッ……まったく気持ち良くねェよ、ヘタクソ」

「あ、そう。乳首立てて期待してるから触って欲しいのかと思った」

そう言いながらもくりくりと一方通行の乳首の周囲を刺激し続ける。
最も敏感な乳頭だけを置き去りにして。

憎らしそうに睨んでくる一方通行に、垣根か微笑みかけてブラジャーを上に引き上げて見せた。
ブラジャーの淵が乳頭を擦っていく感触に一方通行が震えるのを観察しながら言い放つ。

「物足りないなら自分で触って気持ちよくなれ。
女の子みたいに好きな男の事でも考えてクリトリスと乳首を指先で握って、抑えて、こねくり回してさ……
あ、女の子みたいじゃなくて本当に女の子だったね、百合子は」

「うるせェ!!」

本来の性、いわばアイデンティティを思い切り否定してやりながら卑猥な単語を強調し言葉で苛めてみるというのもやはり楽しい。
そんな垣根のサドな性癖に振り回される一方通行は大変に苛立ちながらも快感は欲しいと生理的に思わずにはいられない。

自分で胸を触る。
そんな事をしたらますます馬鹿にされる。
けれど一方通行の体は疼いている。
硬直する一方通行を見てニヤニヤと笑う垣根だが、あまり苛めるのもかわいそうだとも可愛いとも思って許してやることにした。

「じょーだんじょーだん。苛めてごめんな」

「っ、うっぜェ……」

チュッ、と音を立てて一方通行の額にキスをして、垣根はその顔を一方通行の胸に寄せる。
そして赤らんだ乳首に舌を伸ばしてべろりと舐め上げてやった。

「ひゥ!」

頓狂な声を上げてからじわじわと顔を赤くするも手遅れだ。
そんな一方通行を見上げながら、可愛いな、と垣根は素直に感想を漏らす。
目つきは悪く姿勢も態度も悪く、ふてぶてしい上から目線野郎も体は正直とあればギャップ萌えというのか、
愛らしいとうっかり感じても仕方が無いのだ。
可愛いと言われるのは一方通行としては不服なのだが。
だが、唇で包みながら ちゅ、ちゅ、とわざと音を立てながら乳首を吸う垣根の様子を見ていればそんな不服も溶けて消えていく。

(こいつ前に俺を赤ン坊呼ばわりしやがったが、今のこいつこそそォじゃねェか)

母親の胸を吸う赤子のような様に一方通行はそんな思いを抱く。
男である一方通行に母性などあるはずもない。それでもどういうわけだか愛しく思えてくるのが不思議だった。

胸への愛撫を続けるうちに、そろりと垣根の片腕が一方通行の尻へと回される。
それはスカートの中へと忍び込み、下着の中の地肌に触れた。
肉付きの悪い薄い尻の肌を弄ぶうちに、しなやかな長い指は一方通行の秘所へと伸ばされる。
先ほど散々弄んだ場所に。

「ンく……、」

胸への愛撫と肛門への愛撫に震える一方通行の下着はびっしょりと湿りきっている。
これを穿いたままで気持ちが悪くないのだろうか。
そう思いながら垣根は一方通行の下着の紐を解いてスカートの中から下着を抜き取る。
カウパー液とローションで濃い桃色に変色した下着が電灯の光の元に置かれた。

一方通行の胸への愛撫をやめて、囁く。

「入れていいか? 一方通行」

「……俺が嫌だっつったらやめるのか?」

「もちろんやめない」

得意げに笑う垣根はズボンのチャックを開き、自らの性器を取り出す。
赤く、膨張しきったそれは先走りに濡れている。
下手に刺激すればすぐにでも射精してしまいそうだ。
垣根のペニスを見つめ、一方通行は顔を固くする。

「ンなの、入るのかよ……」

「入るさ。俺がそんな風にしてやったからさ」

一方通行の薄い体を見れば、男性器が受け入れられるようには見えない。
狭い鍵穴に太い釘を打ち込むような無茶に思える。
だが、それを可能にするために筋を柔らかく解したのだ。

「……入れるぞ」

「もォ好きにしろ」

その言葉を皮切りに、垣根の性器は一方通行の体への侵入を始めた。

今日の投下終わり
年明け最初の投下が処女喪失って守れなかったよ……
いやまあ半分嘘じゃないからホント
若干入ってますんでコレ

乙ですの


キメェ、何がキモイって読んでる間ニヤニヤしっぱなしの俺が凄いキモイ


垣一が好きすぎて辛い
一方たん可愛い


一方さんエロすぎィ!
中性的な身体にブラジャーとか最高や

二日内にクルーをマジにするために舞い戻ってきました
ほぼ書き溜める時間などなかったので十中ファック寝落ちするけどリアルタイム更新を試みる投下☆ミ

「く、……」

「痛いのか?」

苦悶の声を漏らす一方通行を抱きしめながら垣根が頭を撫でる。

「……痛くねェよ」

閉ざしていた目を開けて、こんなものは平気だと言わんばかりの表情を作ってみせる一方通行だが、
その顔はやはり苦しげだ。
無理やり垣根が性器を挿入することは可能だが、確実に一方通行を痛めつけることになる。
それは垣根にとっても好ましくないことだ。
一方通行の様子を伺いつつ緩やかに腰を押し付けるも、なかなか入れることができない。
受け入れられる状態になるのに十分な愛撫はしていたのだが、恐らく一方通行がうまく力を抜けないのだろう。

「ン、……くゥ、」

「気ぃ張らないで力抜けって」

「さっきからそうしてンだよ!
……小物の癖に無駄にデカいもンぶら下げやがって」

忌々しそうに一方通行が自身の秘孔を垣根の性器に押し付けるが、性器が一定以上まで進行することができない。
カリ首さえ通ってしまえばいいのだが、それに至るのが困難だ。

この体勢では特に難しいように思えた。
とあれば。

「……退け、バ垣根」

苦しそうな表情のまま一方通行が呟く。

「えぇー……今更やめろとか言われても抑えられねえぞ」

「そういう意味じゃねえェから安心しやがれ。だから退け」

だったらどういう意味だ。そんな表情のまま垣根は一方通行の体から身を離す。
それに応じて、一方通行が半身を起こして垣根の襟首を掴み、

「うおっ」

能力を併用させて一気に押し倒し、その身の上に一方通行が跨る。

「……えっ。俺を襲うの?」

垣根が呟く。

「犯すっつったらどォする」

「お前のポークビッツじゃ俺の前立腺まで届かないと思うぜ。……いてえよ」

余裕そうにへらへらと笑う垣根の頬を抓り、一方通行はある一点に重心を据える。
垣根の性器の真上に。
一方通行が垣根のペニスを掴み、自分の後孔にあてがうと垣根は目を丸くした。

「嘘だろ、マグロ野郎の癖にどうしたんだ」

「もォ黙れや」

ケッ、と吐き捨てて屹立の上に一方通行が重心を落とす。
この体勢ならば、挿入も比較的容易に思えた。

「ゥ、ぐ……ッ、」

息を吐きながら、少しずつ垣根の性器を体の中に沈めていこうとする。
性器の先端で、一方通行の体が強ばっているのはとてもよく分かる。
こうも強ばっていては挿入は難しいし、受け入れようにも痛くないはずがない。
いざセックスとあれば一方通行でも緊張するのだろう。
それ以前にとんでもない目にあっていても。
だがそれでも。

「一方通行……」

自然に垣根がその名を呟く。
息苦しいだろうに、なぜそこまでするのか。
それほど垣根と性行為がしたかったのか、それとも垣根が何度も入れたいと訴えたからそれに応じようとしたのか。
いずれにしても、どうしようもなく一方通行が愛しく思えた。

「―――ふ、……っく、」

なぜ自分がこんなことをしているのかは一方通行自身にもよくわからない。
閉ざされるべき場所を太いものがこじ開けていく感触が痛い上に苦しくて額に汗が滲む。
顔の側面を汗が流れ落ちていくとき、垣根の指がそれに触れた。

「そんなに苦しんでんのになんでやめねえんだ?」

「いいのかよ、やめても……」

「いや、続けてくれ」

軽く笑い、垣根は上体を起こして一方通行を視線を合わせる。
ちょうどその体勢は対面座位と呼ばれる姿勢になっていた。

この体勢なら、一方通行にも触れやすい。

一方通行の背に垣根の腕が回され、垣根の体に一方通行が抱き寄せられる。
互いの心音さえ聞こえそうな距離だ。

「……」

垣根は文字通り目と鼻のすぐ先にある一方通行の少しばかり赤らんだ首筋に唇を寄せた。

「……っ、なにすンだよ」

「チュー。この体位いいな、キスしやすくて」

「俺は嫌だ」

「なんでだよ。恥ずかしいからか?」

問いかけに対して一方通行は少しばかり顔を赤くする。
図星らしい。

「意味分かんねーところで照れるな。人前で粗相するよりゃ恥ずかしくねえだろ?」

「黙れ、―――!」

余計に顔を赤くする一方通行の口を間髪いれずに垣根が自らの唇で塞いだ。

「む、……ぐ……」

何か反論したげな一方通行に構わずに、垣根はさらに口付けを深くしていく。
一方通行の舌全体を垣根の舌が這いずる。
口内に止められなかった唾液が一方通行の口の端からとろりと下に落ちていった。
垣根を跨ぎ軽く膝で立った状態でいた一方通行の両足が小刻みに震えて、脱力していく。
それに合わせて垣根が腰を突き上げて一方通行の内部へと滑り込もうとする。
口内に舌を入れるよりは難度が高いと僅かに思いながら、一方通行の体を抱きしめた腕で下方へとゆっくりと力をかけていく。

「……っ」

並行して、一方通行の髪の間に潜らされた垣根の手指が、白い頭皮ごと宥めるように優しく撫でた。

「ンン、……は……」

睫毛が触れそうな距離にある一方通行の顔の熱が垣根の肌に伝わってくる。
揺蕩う熱は緩やかに、一方通行の強張りを拭っていく。
固く閉じていた後孔の力は緩んでいき、垣根のペニスの最も太い場所を受け入れられるほどにこじ開けられていく。

「っあ、!」

それが飲み込まれたのと一方通行が短く声を上げたのは同時だった。


……入った、やっと。

ペニスを包む熱と蠕動する腸内の感触で、その事実を垣根は噛み締める。
きゅうきゅうと締め付けてくる一方通行のアナルは否応なしにその場―――
一方通行の内部への射精を促してくる。

ちゅ、と音を立てて一方通行の口内から舌を抜いて呼びかけた。

「一方通行、……気分はどうだ?」

この場で何を言えばいいのかは垣根にはわからない。
もしも経験豊富だったならもっと上手い言葉がかけられただろうか。

呆然とした顔でいた一方通行が緩慢に垣根と視線を合わせて答えた。

「最悪だ、バ垣根が」

自嘲気味に緩んだ諦観とも言えるような表情。
だが悲しさや不快さといったものの色はない。

「……痛くないのか?」

「痛ェに決まってるだろォが」

「さっきまで痛くないっつってた癖に」

「いちいちうるせェ奴だな」

肛門付近は熱を持ち、じんじんと、じわじわと体を侵食していっているような感覚がある。
腹の中には本来あるはずのないものが沈み込んでいて強烈な異物感がある。
しかしそれよりも、熱く内部に広がる心地いい感覚の方が上回っていた。
その感覚がどういうものなのか、本質的な意味は一方通行にはわからない。

「……」

少しばかり脱力した薄い笑みを浮かべる一方通行を垣根が見つめる。

―――布越しに伝わる体温は一方通行のもので、生殖器を囲う熱も一方通行のものだ。
この場にある個体はただの二つ。二つだけの個が今は一つに結合している。
視界に映るのは一方通行だけだ。脳を揺らす情報を与えるものは一方通行だけだ。
世界には自分と一方通行しかいないような錯覚さえ覚える。
その他の全ては二人だけのためにあるようにさえ。


それはとても気持ちのいい感覚だった。

―――学園都市という街が欲しいと思っていた。
世界で一番進んだ技術と外部にない特別な力がある街。
そして自分から大切なものを奪った街。
それを手中に入れれば世界のすべての価値あるものが手に入ると思っていた。
だからこの街の統率者と対等な身が欲しかった。
そのために目の前の白い少年に接触した。

それがどうやらこの瞬間、世界と一人の少年の価値の比重がすり替わってしまったようだ。

この瞬間よりももっと前から一方通行を前に感じていた。
鼓動が早まり、鉛玉が沈んだような重みと焼けてしまいそうな、それでも心地のいい熱が脳を覆うその感覚。
その意味を垣根はもはや認めざるを得ない。

じっと見つめてられて狼狽する一方通行を抱きしめていた垣根の腕に力がこもる。
誰にも奪われたくないというように。
ポツリと垣根が呟く。

「……お前が好きだ」

「あ?」

一方通行にとってはそれは何度も告げられてきた今更の言葉だった。
しかしそれは、垣根にとっては初めての言葉だった。

「お前以外もうどうだっていい。お前は俺のものだ。
お前が俺から離れられないようにしてやるから覚悟しろよ?」

どこまでも不遜に、果てしなく傲慢に言い放つ。
戯言でもなく空言でもなく、確実な事実にする宣言を。

オキトラレン
ネル
マタネノシ

乙!


晴れて恋人同士になるねこりゃあ
よかったよかった

二人とも幸せになりやがれ


一垣のターンかと思ったらそんなことはなかった
お幸せに

待ってる

待ってるよ

がんばれー姦通!

魔に貪られし円環の針は安寧の刻を刻まずにして断たれし戯の二句を許さず
されど浄き時来れば途は再び末へと続こう
(試験終わったら再開しますのことよm(_)mすまぬBy>>1

まってる

待ってる

>>1です
明日家に戻ったら再開しますたい
三月始まりまでにSS速報が復活しなかったら板が死んだと思うべしと
シコシコと過去の誤ちを抹消改竄しつつ移住を試みてたら
結構前に復活してたようですみません
今後万一SS速報が死んだらこのスレと同じタイトルでpixivに移住予定です

おかえりなさい

ただいま戻りましたよん
ここへの過去投下内容なんとか改竄したいわホンマとか思うけど
もはや引っ込みがつかないからヤり遂げるしか無いっすね
投下

「……はぁ、」

きゅうきゅうと自身の半身を締め付けてくる一方通行の筋肉の動きに熱い息をつく。
額に滲む汗をそのままに、垣根は一方通行の名を呼ぶ。

「一方通行……大丈夫か?」

華奢な体躯を愛おしむように、回した腕に力を込める。

垣根もまた、少々締め付けられすぎというか強張った感触が存外痛いのだが、
それでも受け入れる側の痛みよりは遥かに軽いものだと思っているため口には出さない。
その垣根に少しばかり惚けたような目で、それでも自我は決して失ってはいない一方通行が睨んで見せた。

「痛ェしキツい。動きやがったら[ピーーー]」

気丈な態度とは裏腹に一方通行の赤らんだ頬はどこか幸せそうであり、
それが垣根にとっては満ち足りた気分を喚起させる。
とはいえ。

「そろそろキッツいんだけど」

思うがままに強く突き上げたくなる衝動を抑えるように呟く。

愛しい相手と一体となりつつ本格的な快感を得られない状態で耐えられるほど、垣根は忍耐強くない。
内部から湧き上がる充足感と幸福感にあっても、肉体的な充足に至るとは言えないのだ。
健全とは程遠い場で生きていようとも男子高校生という年代であれば当然である。

「耐えられねェンならとっとと出して満足して抜けや」

「嫌だっつの。あんま生意気ほざくなら犯すぞお前」

物騒な発言にそぐわぬ優しげな視線から目を背けて一方通行はボヤく。

「もォ犯してンじゃねェか……」

「これは合意だろ。……え、違うのか?」

「ま最初に脅して、妙な薬まで使って合意主張たァ流石下衆だわ。
俺も大概外道だとは自覚してたが、オマエにゃ到底及ばねェ」

そして及びたくない。そうつけ加える。
……やっぱり生意気だ。

「おーおー、そうかよ。どうせ下衆呼ばわりされんならその通りに動いてやるか」

嗜虐的に眉を寄せて笑う垣根に嫌な予感を覚える一方通行だがもはや遅い。

垣根から逃げようとも下は貫かれ体は抱き締められ逃れようがない。
退路など元から無い一方通行をあざ笑うように垣根が腰を軽く突き上げる。

「やめ、―――!」

肛門が無理に押し開かれる痛みに声をあげそうになり唇を噛みしめる一方通行を愉しそうに見つめる垣根は、
さらにもう一度座位の状態から腰を動かす。

「ン、っく、……痛ェって……!」

「心配すんな。ほら、言うだろ? 痛みはいつしか快感に、ってさ」

「ならねェよ!」

「どうだか」

他人の目の前で排泄を強いられるのは本来トラウマ化するような事態だ。
しかしその数時間後には排泄を見られる局面で勃起するようになっているくらいには
変態マゾヒストの気のある一方通行の事だ。
痛みに悦びを見出したとして何の不思議も無い。

そんな鬼畜な心持ちでやや粗く動く垣根を憎たらしげに睨む一方通行だが。

「クソ、やめろ、馬鹿野郎!」

「とか言いながらなんで抱きついてんの?」

口に反して一方通行は垣根にしがみつく。
赤ん坊が親に抱きつくような頼りなげに。
痛みから反射的にそうしたのだろうが、弱々しくてひどく可愛らしいものだった。

「……! 」

自分の反応に驚きつつ手を窄めようとする一方通行を止めるように、垣根が余計に強く腰を打ち付ける。

「い、痛、ェ……ってンだろ!」

「ならずっと抱きついてろよ。ガキみたいにさ。それなら優しくしてやるぜ?」

「……」

あからさまな脅しである。
脅しで高校生にもなる男に子供返りを強いあたり垣根はかなりの変態なのかもしれない
……と思う一方通行だが、既に押しも押されぬ変態だったと思い直す。

脅されるのだからと指示通り抱きつきつつ、いかにも嫌がっていますという顔を作って一方通行は垣根を睨み付けた。

「この、変態が」

「んだよ。俺はお前が好きなだけだっての」

女であれば誰もが胸をときめかせる微笑みを端正な顔に浮かべる垣根。
その横っ面を張りたい一方通行だが、今は堪える。今は。

抱きついているなら優しくする、と言っただけに、今度は垣根はゆっくりと優しく腰を動かす。
先程のものが強引に穿つものなら、こちらは内側から侵食していくようなものだ。

「……、ゥ、」

ぶる、と小さく一方通行が震えた。
一般に、女は擦り付けられるような刺激を好み男は激しく突き動かされるのを好むと言う。
しかし現状、一方通行の好みは女の方に近いらしい。
もっとも、今後の経験次第だが。
格好からしても男のそれとは程遠い上に、性交においても同じなのは男として難がありすぎかもしれない。
そう思いながら、世の男が女にするように甘い声で垣根は耳元で囁く。

「好きだよ、一方通行。本当に好き」

何度も愛の言葉を囁いてやる。
黙ったまま、それでもちゃんと言葉を享受している白い華奢な体に浸透していくように何度でも。


 


―――


「ふ……、ゥ」

肉壁に性器が擦り付けられることによる痺れるような感覚は痛みなのか快感なのか、
一方通行には徐々に判別がつかなくなってきていた。
それでも内側に満ちるドロついたような、柔らかいような不可思議な感覚は嫌いではないと感じていた。
密着する体温と嫌でも感じる垣根の匂いに自我がふやける感覚と共にそれは一方通行を侵していく。
無彩色の濡れた紙に絵の具が滲む情景が脳内に浮かんでは消えていった。

「お、よかった。気持ちよさそうだな」

緊張感もロマンも無い声で垣根が一方通行に言う。
ハナっから空気感やらロマンなどとは無縁な一方通行がそれに対し気分を害すことは無い。
それでも気持ちいいかと言われると否定したくなるのが反抗的な気分になるのだ。

「……、うるせェ、とっととイけ」

「もっと懇願するような顔で切羽詰まった声出してみ。それなら興奮してうっかりイっちまうかも」

軽い調子で笑いながら、一方通行の頬に滲む汗を舐めとるように垣根が口付ける。
それと同時に。

「……あ」

「ンだよ……」

「チューしたらお前のケツがきゅーんって締まった」

「……! 気のせいだ……」

一方通行の上気した顔が余計に赤くなる。
羞恥に震えるように更に後腔は垣根の性器を強く刺激した。
それに自然と垣根の頬が緩み、愛しげに一方通行を見つめる。
その視線は打算無く純粋な愛情感じさせるものだった。

「っ……」

垣根に出会うより前には一度も向けられた事のなかった眼差しに一方通行はより気恥ずかしさに狼狽する。
常時どこかで垣根に感じていた胡散臭さの抜けている真っ直ぐな視線に耐えられないのだ。
耐えられないあまり一方通行は垣根の頬を摘み、いつかの垣根がそうしたように餅のように引っ張ってやった。

「何すんだバカ」

「こっち見ンな」

「テレてんの? 俺がイケメンすぎて至近距離で見ると目が焼けそうになんのは仕方ねえが……」

「焼けるか馬鹿が……オマエほど自分だけの現実が凶悪な奴、ほンと見たことねェ」

「この街で一番自分だけの現実が強いお前にそう言われんのは光栄だよなぁ」

一方通行に抱きついたまま笑う垣根は、しばらくして呟く。

「だいぶ楽になってきたみたいだし、もう少しペース上げるか」

「あ……?」

頼りなげな目を向けてくる一方通行に優しげな笑みを返すと、非常にゆっくりとした運動で
一方通行に刺激を与え続けていたものの動きがにわかにその速度を上げる。
それと同期してより強い刺激が一方通行の内部を強く刺激しだした。

「ィ、ひァっ」

頓狂な声を上げる一方通行に満足気な目を向けながら垣根が息をつく。

「ふ……、やっぱ早く動いた方が気持ちい
……お前もそうだろ?」

「俺、は、ァ、嫌だ……は、早くやめろ……」

「なんでだ? やっぱキツいのか」

「……」

「黙んなよ。
……気持ちよすぎて変になりそォとかそういうの?」

「……」

露骨に視線を逸らしている。
図星だったようだ。
黙って唇を噛み締めているのは声を上げるのを防ぐためなのかもしれない。
趣味特技:嗜虐心を煽ることとでも履歴書に書けばいいんじゃないかとニヤケ混じりに思いながら、
垣根はこれまでのピストンで意図的に刺激を与えないよう上手く避けていた一方通行の最も弱い箇所を
カリでかき乱す。
途端、華奢な少年が悲鳴にも似た声を上げる。

「っあ、っァああァ……!!」

「我慢しないで声出した方が気持ちいいだろ?」

弓なりに背をしならせ、快感から逃れようとするようにもがく一方通行を押さえつけて耳元で呟く。
洗脳するようなその声音は垣根が暗部にて培ったテクニックの一つだ。

「っあ、~! い、やァ……っ」

「『いやぁ』ってお前……。かぁーわい。マジで女の子みたい」

「も、ほンと、やめろ……お、かしくなる!!」

「はっ……んなこと言われてやめる奴がいるかよ」

普段聞いているよりも数段高い声と無理やり着せたセーラー服を により、
今の一方通行は少女にしか見えない。
その細やかで触りのいい体は、最初から男を受け入れるためのものであったような気さえしてくる。

「ンく、ゥあ、あっあっ、あァ……!」

だらしなく声を上げる一方通行の口元から涎が垂れるのを舐めとりながら、
垣根はそっとセーラー服の中に手を忍ばせ、張り詰めた胸の頂きを指の腹で弾くように刺激した。
震える体が一層大きく震え、白い肌が泡立った。
涙すら流して快感を享受する一方通行が愛しくて、その唇へ何度目かという口付けを落とす。


口付けの隙間から喘ぐ声を漏らしながら快感にビクビクと跳ねる一方通行を捕らえ、
その存在を味わってからどれくらい経ったのか。

垣根はふと気付く。
じっとりとした感触と独特の、そう、独特の匂いを。

「……あ」

そこにはじんわりとした暖かさがあった。
一方通行との結合部よりも手前側、すなわち一方通行のペニスあたりから暖かい液体が零れていた。
と言うか、一方通行が出したものが。

「おい……お前また小便垂らしやがったな」

着衣状態での性交であったために垣根の衣服まで尿がかかってしまっている。
そんな呆れた声さえ聞かず、一方通行は垣根の体にしなだれかかるのみだ。

前立腺を刺激され続けていたのにはやはり耐えられなかったらしい。
例の産卵プレイを鑑みるに納得の結果と言えた。
今更汚いとも腹立たしいと思わないのだが、自分の体で失禁するほど相手に感じさせたというのは
男としてつい満足感を覚えずにはいられない。
それでも垣根は一応詰っておくことにする。

「おいコラ、一方通行ぁ?」

「ンむ……」

完全にマグロ状態だ。
蕩けきった目は焦点が定まっていない。

「ったく、こいつは……」

溜息をつき、一度逡巡する。この格好のまま続けるかどうか。
一方通行の体力も少々限界らしい。
小休止がてら互いの衣類を引き剥がすことにする。
一方通行の体を軽く抱え、結合部からペニスを抜きさる。

「ァ……」

「お、どうした?」

僅かに目に光が戻った一方通行が垣根に惚けた顔のまま呟く。

「も、ォ、やめちまう、のか……?」

「……」

子供のように無垢な声で、熱に浮かされた顔のままに上目遣いで呟く。
脱力しきっている華奢な躯を優しく愛しげに垣根が抱き締めた。

……可愛い。
可愛すぎるだろこいつ。

筋肉の未熟な赤ん坊のようにぐんにゃりと手足を投げ出したままの一方通行に
無言で抱きついたまま悶える垣根であった。
ひとしきり悶えたのちに答える。

「まだやめねえしやめてやらねえ。俺はまだ満足してないんだからよ」

先に垣根が自身の快感よりも一方通行への奉仕を優先していた。
ならば今度は一方通行が垣根に奉仕するのが筋というものだ。

書き置いてた分が半端で切れてたんで今日はここまで
チンピラの抗争とかに巻き込まれない限り明後日までに戻ります恐らく
これ書き始めた当初は男色連結詳細記録書く事になるとは思ってなかったっつーか
何も考えてなかったけどどこで道を誤ったのだろうか


素晴らしい
一方ちゃん可愛い
>>1ありがとっ

乙!
一方さん可愛い可愛い可愛い

乙!
垣根も一方ちゃんも可愛い
一方さんセーラー服のまんまなんだよな…エロいな


どうしてもニヤニヤしてしまう、素晴らしい
いや俺ホモじゃないけどね、BLとか好きじゃないけどね

どこかで道を誤ったのだとすれば、それは最初からなんじゃないだろうか

なんとか今日中に戻ってきたので投下


―――


持ってきたペットボトル飲料を一気飲みしてから垣根が言う。

「少しは体力回復したか?
それとももう体力持たねえか……その場合勝手に外道に犯す。一片の容赦も無く」

「オマエ基準の外道がどれほどやべェのか想像したくもねェ……」

強い快感に疲労しきった一方通行は息を切らしながらボヤく。

「ほら、これ飲んで回復しろ。FFに出てくる即回復に定評があるポーションを実売した製品だ。
学園都市製だから本当に即座に回復出来るからすげえよな」

「何が入ってンだよ……気持ち悪ィ」

とは言いつつも渡された通りに飲む一方通行。
モルモット精神が染み付いている。

一方通行の華奢な身に纏うものは何も無い。
垣根もまた同様の姿だ。
尿に濡れた衣服を脱ぐ際に脱いでしまったのだ。
全裸の一方通行の細やかな体を見て、垣根がなんとなく抱きつく。

「……お前ほんとちっちぇえな。チンコも」

「うるせェンだよ!」

出会った初日に裸体など互いに見ている。
しかし同じ細身というグループに属すとはいえ、男性相応の体つきの垣根と
性別さえ曖昧なひ弱な身体の一方通行の差は、裸体同士で密に触れ合えば余計に大きく感じられた。

(こいつの筋肉量、そこらの女子中学生より少なそうだな……)

素人童貞ならぬ女性童貞なる垣根だが、その予想は間違っていない。

「……いつまで抱きついてンだよ」

「嬉しいくせに」

「はァ? 自惚れンな」

恥ずかしそうに顔を背ける一方通行をなおのこと愛しく思えてさらに抱きついていたく思いながらも、一方通行もいくぶん体力の戻ったのを確認する。

「元気になったみたいだし、第二ラウンド行こうぜ。今度はお前が動け」

「俺がオマエを掘るンだな?」

「俺の前立腺にお前のミニマムチンコが届くとは思えないから却下ぁ。
さっき出来なかった騎乗位やってくれよ。きじょーい」

「……俺に拒否権は?」

「常に無い」

「おい」

即答する垣根を小突く一方通行に垣根が思い出したように言う。

「つーか、お前また小便漏らすなよ?」

その言葉に一方通行の顔が一気に赤くなる。
三度も垣根の目の前で漏らそうがやはり慣れないらしい。

「さっきのはオマエが俺の尿道に変なもン突っ込ンだからだろ!」

「それもあるかもしれねえけど、お前と初めて会った日も利尿剤ぶち込んだ日もあっさり決壊し」

「全部オマエの策略だろォが!」

「いや全部イレギュラーって言うかやっぱりお前に元からそういう癖があったとしか……」

「黙れェェェ!!」

「まあ、そうだな……こんな悪癖があっちゃヤる度に掃除が大変になっちまうし、
治療のためにもお前が粗相する度にお仕置きするからな」

「……!」

挑戦的な目を送る垣根の言う「お仕置き」というものの内容に想像を巡らし、ぞくりと背を震わせる一方通行。
そのマゾ的とも淫乱とも思える反応に垣根が目を細める。

「ほら、さっきの小便ぶっかけた詫びにさっさと騎乗位で奉仕しやがれ淫乱」

「……」

一方通行はこめかみをひくつかせてイラついたような顔をしつつ垣根を乱暴にベッドに突き飛ばしてその上に跨る。

「こォすりゃ満足なンだろ……ホモが」

「これから満足させろよ」

垣根を一睨みし、一方通行は屹立したペニスを自身の体に入れようと試みる。
先程は非常に困難だったが、和らいだアナルと持ち前の高い学習能力から掴んだ要領から比較的簡単に成功した。

「……っ、やっぱ、慣れねェ……」

腹部を圧迫する大質量のものが入った異物感は抜けない。
そう零す一方通行に反して、垣根は気持ち良さげに一方通行の腰のあたりを撫でる。

「俺は気持ちいいからずっと突っ込んどきたいぞ」

「ンな事したらケツ緩むだろ……」

「永遠に緩まないように俺が肉体改造してやるから安心しろ」

垣根の力をもってすれば一方通行のアナルが緩んだパンツのゴムのようになることはありえない。
常に万全の状態にも、ショタのアナルのようにギチギチアナルにするのも容易だ。

「つまりお前のケツマンコは俺とセックスするためにあるっつーわけだ」

「……文が繋がってねェし意味がわからねェ。死ね」

「行間を読むという謎の行為でなんとか理解しろ赤んぼ」

メタクソな理屈に対しまだ口答えする一方通行の体はわずかに強張っていた。
垣根がその白い股を指先でくすぐるようになぞると、華奢な体全体がビクリと震えた。

「ほら、減らず口叩くより早く動けよ」

「うるせェって……」.

垣根の指が一方通行の股へと動き、張り詰めたままのペニスを焦らすように這う。
淫靡な様に自身の性器の方に目をやる一方通行の目は早くも潤みだしている。
気付けば、自然に腰が揺れだしていた。
それは戸惑いが色濃くとても控えめな動きだ。

「おいおい、そんなんじゃ足りねえだろ。もっとガンガン動け。
カリんとこで前立腺引っ掻く感じに」

「……、嫌だ……」

自分から淫らに快感を求めるのは恥ずかしいのだろう。
だが、これはもとより一方通行の勝手な自慰行為などではない。

「忘れんなよ? これはお仕置きだ。俺の服汚したお前へのな。
テメェが俺を気持ち良くすんだよ。真面目に動け」

「ふざけンな! 元はと言えばオマエのせいで」

口答えをするな、というように垣根の日本の指が一方通行の小ぶりな性器を擦り上げる。
同時に、それに反応した一方通行の腰が跳ねた。

「ァっ……!」

「ほら、腹ん中で動かすのはお前も気持ちいいだろ? 今みたいに動けってんだよ」

「……」

赤い瞳には反抗心が浮かんでいる。それに混じって抗いようのない欲求に濡れている。
快楽への衝動が一方通行の精神も侵していた。
舌打ちも忘れて、腰が動き出す。

「……その調子」

笑みに浮かべて、褒めるように垣根が一方通行の下腹部を撫でた。



―――

「は、……っンう……ァっ、」

(えっろ……)

自分の上で柔らかい白い髪を乱しながら涙目で腰を揺らす一方通行を垣根はつい見入ってしまう。
少ない体力を振り絞りながら垣根の性器を自らの内部に擦り付け快楽を追う姿はどこまでも愛しくも、
いやらしくもあった。

「……淫乱が」

そう呟く垣根に、切羽詰まったような目を向ける一方通行。

「オマエが……させてるクセに……!」

「は、ご奉仕にしちゃ、自分の気持ちいいの優先してねえ?」

「……!」

アナルで締め付けてくる感覚と一方通行の姿に本当は頭をくらくらさせていることなど表には出さずに、
一方通行に奉仕の精神を植え込んでおくために垣根は小言を吐いておく。

「ならどォすりゃいいンだ……」

「……もっとこう、ずっぽずっぽとだな」

「……」

アホさ満開な言い方だが一応一方通行には伝わったらしい。
しかし行為に慣れておらず、要領も掴めていない一方通行には

「まぁ、まだわかんねーだろ。俺がどうすりゃ感じるかはな。
それも何度もやってりゃ自然と理解出来るさ」

「……そォ、か」

「……」

妙に素直に答える一方通行が可愛くてなんだかまた嗜虐心が煽られる。

「なあ、ヘタクソ」

「うるせェ!」

「お前さ、俺にご奉仕してくれる気があんだろ? ならさ、俺の上でオナニーしろよ」

「な、!?」

驚愕した顔をする一方通行に、意地の悪い笑みで垣根が言う。

「動くのヘタクソなんだからせめて目で楽しませろよなぁ」

「……ンなの見て楽しいわけ、」

「楽しくないわけないだろ」

いやらしい笑いを向けた後、垣根はもう一度ねだるように言う。

「してくれないのか……?」

「っ!」

捨てられた子犬のような目と口調だ。
だが一方通行はそれを見てむしろ恐怖に似たものを覚える。
言う事を聞かなかったら不味いことが起こる予感がしたのだ。

「……どォすりゃいいってンだよ変態野郎!」

「観覧車んとこで別れた後自宅で帝督様の事を考えると切なくて
一晩中オナニーしてましたって言ってたじゃねえか」

「言ってねェよ!」

「でもシコっただろ?」

「……」

「そん時みたいにやれ」

「嫌だ」

「やらなかったら超強力な媚薬ブチ込んでイキ狂わせるかもな?」

不浄全てを包み込む菩薩の微笑みを浮かべる垣根。
一方通行は知っていた。
垣根がこの顔をする時は本気であることを。

「あぁ^~一方通行が目、鼻、口、尿道、肛門からあらゆるものを流してイキ狂うの見たくなってきたわぁ(恍惚)」

「やりゃいいンだろォが!」

「お、するのか? イキ狂いながらクソに塗れるセックスを」

「そっちじゃねェよ! シコりゃいいンだろホモ野郎……」

「よしよし。よく言った、淫乱野郎」

一方通行の頭を撫でる代わりに小さな亀頭を撫でる垣根の頭をパンと一方通行が引っ叩いた。



「……」

やる、と言ったはいいが実際に人前で自慰行為など普通はそう簡単に出来るものではない。
ましてやプライドの高い一方通行はそんな行為をするだけでも抵抗を感じていた。

おずおずと自身のそそり立つものに手を伸ばす一方通行はつい垣根の方を見てしまう。
その満足げな瞳と視線があって頭に血が上っていくのを覚えた。

「……クソ。ほンとにしなきゃ駄目なのか……?」

「ったりめーだろ。オシオキとして俺を楽しませろって言っただろうが」

「言ってねェ……」

似たようなことは言っていたのだが。
ぼやいていても、状況がわずかにも改善されるとは思い難くて一方通行は観念して自慰を始める。

「……」

赤く充血した小ぶりなペニスに自身の指を絡め、控えめに上下に擦った。
本来ならば足りないはずの刺激が垣根に見られているというだけで強く感じて身震いする。
単に触るだけでも、勝手に垣根の手の感触を思い出してしまい、自然とその痕跡をなぞるように手を動かす。
目を開けていれば勝手に垣根の体や顔が見えてしまい、余計に興奮が煽られて体が熱くなるのを一方通行は止められない。
だが目をつぶっても垣根に貫かれていて、熱い肉の感触から逃れられない。

「っく……!」

羞恥に染まる顔で自身のペニスを擦り続ける一方通行は、もう嫌だと言うように垣根に視線を送る。
垣根は頬を赤らめてぼうっとしたように一方通行を見つめていたが、
視線が合えば本来一方通行に求めていたことを思い出して言葉にした。

「誰が腰止めていいっつったよ。ほら、ちゃんと動け」

「こンな状態でできるかよ……」

「……第一位のくせに?」

「ンなの関係ねェだろ」

(根性無えなあ)

どこぞの超能力者のようなことを腹の中で思いつつ垣根は自ら腰を突き動かす。
突然動かれて、自慰に勤しんでいた一方通行が体を大きく跳ねさせて声を上げた。

「あァっ……!?」

「しょうがねえな」

「!!」

自慰の快感に、垣根からの責めが加わり二重の衝撃が一方通行の白い体の内部を駆ける。
その衝撃に赤い瞳は焦点を揺るがせ、半開きの口からだらしない声が漏れた。

「あ……! や、やめろ……っ」

「気持ちいいだろ? ほら、続けろよ」

「無理だ……って、ァ、あ」

アナルを貫く性器からの刺激は強すぎて、自慰が出来る余裕などあるはずがない。

「オナニーも満足に出来ねえのかよ、このモヤシは」

詰る言葉につい一方通行は口走る。

「うるっせェンだよ!
なンでオマエがいる場所でまでンな事しなきゃなンねェンだ」

自分でやるよりも遥かに心地いいのを知っているのに。

その言葉は、この局面では誘い以外の物には到底聞こえない。

「……へえ、俺に触って欲しいの?」

「ンなこと言ってねェ!」

「言ってるも同然」

苦笑とは言えない笑みが自然に溢れる。
一方通行がやりたくないと思うことを強いたくはないが、
仕置仕置として一応こなしてもらおうと思い直す。

「なあ、一方通行。オナニーなんかするより俺に触って欲しいんならそう言えよ。
はっきり言えたら今日のお仕置きは終わり」

「な……ンだよ、変態」

どう言えばこいつは満足するんだ。
逡巡する一方通行にいたずらをする子供のように垣根が答えた。

「単に『いっぱい触ってください』って言えばいいんだよ」

「っ……誰がンなこと言うか」

ある意味自慰行為よりも恥ずかしい。
そんな面持ちの一方通行が何かを言うより先に、垣根が白い腕を引いて自分の側に倒れ込ませ、
体を動かして一方通行の上にのしかかる。

「ちゃんと言えるまで寝かさねえぞ」

「はァ!?」

今夜は寝かさない、などベタな台詞を吐く垣根はどこまでも満足げだ。
なおかつ垣根は付け加える。

「まあ、言えたら言えたでまたいっぱい気持ちよくしてやるけど」

「おい!?」

オナニーしなかったら超強力な媚薬ブチ込んでイキ狂わせる、と先ほど言っていた垣根だったが、
どうもさほど変わらない結末になりそうだ。
体にのしかかる重みに息苦しさと心地よさを同時に覚えつつ一方通行はそのまま身を預ける。

どうやら今夜はとてつもなく長くなりそうだと思いながら。

投下する直前にちょっとコンビニ出たら本当にチンピラっていうかチンピラみたいな知人に絡まれた
言霊って怖い><

それと連結シーン終わり!
昔某SSでクソ塗れのホモセックス書いた作者があとがきで僕を死刑にしてください!
って言ってたんですがその気持ち今はすごくわかるのだなあ

あ、今回投下終了です
次回のこと何も思いつかないけどなるだけ早く来たいと思った(こなみ)


一方さん可愛すぎるだろう……


マーヴェラス


お仕置きされる一方さんがもっと見たい(迫真)


素直になれない一方たんきゃわわ

シメまでのプロットというほどでもないブツは一応作ったけど
忙しすぎて書けねえやべえよやべえよって呻きつつ投下

―――


垣根「……というお話だったんだよ」

心理定規「へえ、良かったわね。妄想オチかしら」

垣根「妄想じゃねえよ!! 確固とした現実だ!」

心理定規「自分だけの現実ね」

垣根「現実だ!! ホントにセックスしたんだよ!! セックス!
    一方通行とホモセックスしたんだよ!! セックス!セックス!!!」

 ざわ・・

ガキΩ<ママーセックスッテ何?

母親β<ペニスヲバギナニ入レルコトヨ。ホモセックスッテノハ男同士ノセックス…コノ場合ハペニスヲアヌスニ入レルノヨ

女子高生J<イケメンガホモセックストカ言ッテル

女子高生K<マヂヤバーイ

          ざわ・・

心理定規「ファミレスで騒ぐ内容じゃないわ。まあ、童貞卒業おめでとう」

垣根「えっ? 3年前から童貞じゃなかったし? 行きずりのOLのお姉さん(Fカップ)に誘われて」

心理定規「嘘なのはとっくに知ってる」

垣根「チッ」

垣根「で、土星よー、お前からは何もないわけ」

土星「!」ビクッ

心理定規(怯えてる……可哀想に)

垣根「なぁ、土星」

土星「は、はい?」ビクビク

垣根「お前のおかげで一方通行との性交に成功したんだ。ありがとな」

土星「!???」

土星(垣根さんが俺に礼を……? バカな!絶対に裏があるに決まってる!

    油断させたところで何をする気だ!?
    俺を白昼堂々犯して俺の実家にハメ撮り映像送り付ける気か!
    腐れ外道ホモが……! どうにかしてこいつを暗殺しなくちゃ! でもどうやって!?
    既に第一位はこいつのド変態外道調教に籠絡されている!
    つまりこのホモを敵に回すということは第一位も敵に回すということ……!
    クッソがァァァァァァ!! 助けて……誰が助けてよ……」

垣根「途中から心の声がダダ漏れなんだよっ!!
    怒りのスリーパーホールドを喰らいやがれ!」グギグギグギギギ

土星「あ゛あ゛あ゛あ゛すんませんすんません!!」グァァァ

心理定規「だから騒がないでってば。会議なんて出来やしない」

垣根「冷静に考えろよ。このファミレスは学生共の溜まり場だ。

    他の奴らに俺らは村人ABC程度にしか見えねえ。
    機密情報喋ったしたところで誰も聞いちゃいねえよ」

心理定規「安心しなさい、貴方既に注目度MAXよ」

垣根「やっぱり? 隠してても分かっちまうんだろうな……。
    俺の天性のカリスマってのがどうしても人を魅了しちまう。やれやれだぜ」

心理定規「死ねばいいと思うわ」

垣根「俺は一方通行より先には死なねえから」キリッ

心理定規「死ねばいいのに」

土星「死ねばいいのに」ボソッ

垣根「土星、お前背後には気をつけておけよ。
    瞬きと同時にそいつはお前の純潔を攫うだろう」

土星「すんませんすんません!」

垣根「つーかよ、お前らなんかつれなくね?」

土星「そうっスかね」

心理定規「だってキモいんだもの貴方」

垣根「しゃーねーだろ昨日の一方通行めっちゃ可愛かったんだもん。

    スベッスベの肌……震える体……ガキみたいなピンクのチンコ……最高。
    腰動かす度に気持ち良さそうな声出して抱きついてきたんだぜあいつ」

垣根「あーあー、もうヤバイセロリ超可愛い~~~」ヒャァー クネクネ

土星「オカマ……って言うかタコみたいだ」

心理定規「むしろイカかしら」

垣根「なに? 嫉妬? 嫉妬してんだな、お前ら。どっちに? 俺か一方通行、どっちに?」

心理定規「ないない」

垣根「一方通行に害を与えないならまあチンポで慰めてやってもいいわけだが……

    俺に嫉妬してんなら許さねえぞ。俺から一方通行を取ろうってんなら、
    そんな考え二度と持てないように受けにジョブチェンさせっから。俺のチンポで」

心理定規「やっぱり第一位が受け固定なのね。
       モノが粗末そうだから納得だわ」

土星(納得の仕方ひどっ!)

垣根「ま、いい加減スクールの極秘会議始めようぜ。そのために来たんだからよ」キリッ

心理定規「誰のせいで遅れたと思ってるのかしら。

       数日前に謎の襲撃者に襲われた上に今日に至っては貴方が浮かれてアジトで暴れたせいで
       こんな場所で緊急集会する羽目になったのよ。悔い改めて」

垣根「ホテルとか借りて会議すりゃいいんじゃねえか?」

心理定規「どんな目的があっても貴方とホテルの門を潜るのは御免なのよ」

土星「禿げ上がるほど同意」

垣根「ムカついた。テメェらの未開の地を今ここで暴くことにするわ」

心理定規「いやぁぁあ!! そこの風紀委員さんこの変態をなんとかして!犯される!」

土星「こいつ最近路地裏を荒らし回ってるレイパーなんです! 助けて下さい!」

黒子「はっ! 風紀委員ですの! 先程から不審とは思っておりましたがやはり……」

垣根「おい待てコラ! レイプなんてまだやったことねーよ!」

黒子「『まだ』!? これはお仕置きが必要なようですわね」

心理定規「今のうちに逃げるわよ土星君」ダッ

土星「そうですね!」ダッ


土星と呼ばれる少年は内心(会議は?)と思ったが口に出すと面倒なので黙って逃げる。
テメェら覚えてろよぉぉぉ!! と悔しそうに叫びながら中指を立てる垣根を尻目に……。



――― 一方通行ケツマンコ化計画六日目


 

―――


「ン……」

時計の短針と長針が同時に天を指すのとほぼ同刻、白い少年が目を覚ます。
隣には既に誰もいない。

「……」

思い返す。
学校に行ってくる、と言って自分の頭を優しく撫でていった手の感触を。
名残惜しむように額に落とされた唇の感触と共に。
泥のような眠気と気怠さに飲まれてすぐに二度寝してしまったのだが、その記憶はしっかりと残っていた。

一方通行が自身とその周囲を見回してみれば、垣根が何らかの処置を行ったのか、
布団にもシーツにも行為の跡は残っておらず、体にも体液やその痕跡は一切付着していない。

だが、確かに前夜の出来事は夢ではない。

「……クソ」

一方通行は思わずそう呟く。
勝手に脳内に描き出される快感と羞恥の記憶に体中の血が沸騰しそうになる。
垣根の感触も熱も重みも克明に思い出してしまった。

とんでもないことをした……というよりも、されたものだ。

喉が涸れるほど声を上げさせられ、……何やらとんでもないことを口走り、
意識が何度も遠のくほどの快感を与えられた。
鈍いだるさが全身を覆っている。
今日は一日ベッドで眠っていたいくらいだった。

こんな場所にいてはいつまでも昨夜の記憶が勝手に脳に描かれ続け、精神によくない影響を与えるように思えた。

「ン?」

気付けばまた己の半身が熱を持っていた。
昨夜は空になるほど吐き出したはずなのに、15という年の彼は回復が早く、それは浅ましく身をもたげている。

「チッ、あの変態のせいで……」

涸れた声で恨み言を漏らして、その手を性器に伸ばす。
こんな場所でやってしまっては垣根にバレるのは間違いないのに、白い少年は止められない。
脳裏に浮かび上がる昨夜の記憶がそれを阻む。

「あいつ、いつか殺す」

ベッドに寝転がったまま性器を擦り上げる一方通行の鼻腔をくすぐるのは枕に残った垣根の匂いだった。
麻薬に脳を侵されるようなその感覚に悪態をつきながら、そのまま果てる。

彼が寝台を這い出すまでに、あと三十分ほどはかかった。

洗濯されていた服を着てリビングに向かった一方通行はテーブルの上に残っていた
万札とメモ書きの存在を見つけた。

―――俺の一方通行(淫乱)へ

今日もヤりまくろうぜ。
どこかの学校に忍び込んで制服ファックしようかと画策してんだが、希望校があったら言え。
昨日のお前の乱れっぷりは思い返すだけ股間が熱くなる。
俺の優秀すぎる頭脳はお前の匂い、感触、体温、体重、息遣い、締め付けの力、ひくつき、全部鮮明に記憶してる。
やべえ、思い出すだけで勃起してきた。
だがちんぽミルクが空にならないように今はオナニーはやめておく。
お前の中に出すために。ケツで妊娠しろ(≧∇≦)
お前も昨日やそれ以前の俺とのエロ行為を思い出したり俺の服をクンカクンカしてオナニーするなよ?


絶対にするなよ?


ちんぽミルクの貯蔵のために。
お前の体は俺のもの。お前の心もお前のもの。お前のちんぽミルクも俺のもの。
あと括約筋の方は大丈夫か?
お前だだ漏れだったじゃん。マジで。
そこをあえて治療しないのはお前自身の努力を求めてるからであって、
ふとした拍子にお前が粗相して恥辱に打ち震えれば愉悦とかは全然考えてねえから!勘違いすんな!
あとそーだ、お前の涙と涎と精液とカウパーと小便に塗れた体やシーツや布団を綺麗にしたのはこの俺だから感謝しろ。
いっぱい気持ち良くしてやったのも俺なわけだし、お前もう俺に全力で奉仕しなきゃ許されねえよなあ。
部屋とYシャツと俺のちんぽはお前が毎日綺麗にしろよ!
関白宣言してやった。

あ、メシはこの金で食っとけ。
くれぐれも風俗に使い込まないようにな。
俺も未体験なんだし。
中坊ん時一回行ったら追い出された。年齢詐称しなかったせいかな。

お前の帝督(イケメン)より―――

「バカ野郎が……」

小さなメモにはありえないほどびっしりと文字が書かれていて、わずかな隙間にはハートが散らされている。
浮き足立っているのがありありと伝わるフリーダムなサイズの文字、その歪み方。

……人間とはこれほどまでに知性の欠片も無いメモが書けるのか。
一方通行は反射的にそのメモ書きを破りたくなったが、なんとなく垣根がバカそうな顔で書いているのを
脳裏に浮かべるとその力は失せてしまった。
その代わりに、垣根が戻ってきたらどついておこうと頭に刻んでおく。

何を買いに行くか逡巡し、なんとなげにテレビをつけると料理番組が放映されていた。
某芸能人が料理にオリーブオイルをぶっかけている。
調理手順は簡単だが、美味そうな料理だ。

「……」

この程度なら難しくもなく、さほど面倒でもない。
作ってやれば垣根も喜ぶのではないか―――
そう考えてから一方通行は頭を振り払う。

料理というのは、一人分を作るのでは食材があまりやすくコストがかかる。
多めに作っておく方が経済的だ。

「……暇つぶしにゃ悪くねェだろ」

料理番組が終わって一方通行は言い訳のようにぼやき、
万札を手に外に出ていくのだった。


―――風紀委員177支部にて


初春「ただいま戻りましたー」

固法「お帰り」

初春「白井さんは……」

固法「あっちでちょっと」

初春「あれ? もめてるんですかね……あ、あの人!?」



黒子「ではあなたはハメられた、と」

垣根「そう言ってんだろ! なんであんなホステス崩れ女と没個性男の戯言のせいで
    二時間も事情聴取されなきゃなんねーんだ、クソ」

黒子「あなたもチンピラホスト崩れにしか見えませんわよ」

垣根「うるっせーんだよ! 何? お前その白井黒子って名前。白黒とか……。
    シャチでも目指してんの? そんな小さいのに? 胸も」

黒子「まー! 失礼な!」ムキーッ

垣根「やーい貧乳貧乳」ケラケラ

黒子「下品な方ですわね! なんなんですのその変な服の着こなしは!
    地肌にセーターなど……ひょっとして男色の方ですの?」

垣根「はぁ!? 俺が好きなのは一方通行だけ! 原則女好きだ!」

黒子「えっ」

固法「えっ」

初春「えぇっ」キュピーン

初春「一方通行……って、学園都市第一位の男性ですよねっ!?」キラキラー

垣根「あ、うん(一方通行のファンか?)」

黒子(初春の花が異様にイキイキしてますの)

初春「ってことはやっぱりあなたはあの画ぞ……」

携帯<やァ、あっ、きもち、ィ……もっ、と……キスして……ァあっ、ふ、ゥ……あンっ ハァハァ ジュプレロ...

垣根「おっと、俺の携帯だ。……どこからだ? これ」

初春「ぅああぅえぁぁい!!?」

固法(今の着メロ……どう考えても)

黒子「」

垣根「もしもし俺俺ー」

電話の相手『垣根帝督君だね?』

垣根「あ? グレッグルか」

冥土帰し『僕はポケモンにはちょっと自信があるんだよ?
      それより用があるんだ』

垣根「! まさか一方通行が妊娠したのか!?」

冥土帰し『君なら妊娠させかねないね?
      そんなことじゃなくて、未元物質……君の能力についてなんだけど』

垣根「……前から思ってたけどなんで知ってんだ? 俺の力は暗部が秘匿してるはずだ」

黒子(聞いてはならない事を聞いた気が)

固法(中二病かしら?)

初春(奴もまた悪龍に呪われし漆黒の薔薇十字の徒……か)

冥土帰し『僕だってそれなりに暗部は見てきてるんだ。君についても色々と知ってる』

垣根「……」

冥土帰し『緊張しなくてもいい。君の能力はやっぱり素晴らしいね?
      彼に君の秘密を隠す代わりに僕に協力してくれないかい?』

垣根「テメェ、俺を脅迫してるつもりか。単なる医者風情が……」

冥土帰し『頼むよ。君の力で救える人が沢山いるんだ。
      ……そこには君にとって誰より大事な彼も含むよ』

垣根「なんだと?」

冥土帰し『出来るだけ早くに病院に来て欲しい。それじゃあ、また』

垣根「おい、待てコラ! ……切りやがった」

垣根「チッ、着信拒否してやがる。一方的に話してこれかよ。
    悪いが急用ができた。つーわけで行っていいか?」

固法「特に問題はないようだし、いいわよ」

垣根「流石ミニパンダとは胸囲が違う」

黒子「この期に及んでまだ……!」

初春「垣根さん! また今度一方通行さんとの熱烈ファックのお話聞かせてくださいね!!!???」

垣根「いいぜ。ベッドの中で話してやるよ
    (なんでこいつも俺の名前知ってんだろ……?)」

今回の投下終わり
ちゃっちゃと書き進める時間が欲しい
精神と時の部屋ってkonozamaで買えないかなと毎日思ってる

乙!


相変わらず垣根の頭の中がハッピーで安心した


一方さんのデレを見るとすげぇニヤニヤする

乙!
初春さん厨二病なんだな…薔薇十字…
垣根さんその着メロ下さい
どうせハメ撮りもしてるんだろ?

ハメ撮りも欲しいです

言うまでもなく48方向からハメ撮り映像を撮影しています

エロシーン書くのホント難しいわマジで
ホモだからまだノリで書けるがノンケは難しい
ベロベロ舐めてこねくり回して入れて腰振ってどっぴゅん中出し妊娠確定くらいで終わっちまうもの
脳漿を搾り出すがごとく苦労してこれも書いてるが果たしてこれでいいのやら
エロ小説で食ってる人は神という事実を理解した
レベル上げてその域に達したいもんですたいってわけで投下(エロがあるとは言ってない)




―――第二位の生み出す物質を基に作られた細胞、本文書ではこれをDM細胞と仮称する。

この細胞は通常自然界に存在する生体細胞とは桁違いの性能を持つ。

破損以前の形状を記憶・再生する性質があり、またテロメアの短縮が極めて遅く、
肉質の差は僅かだが弾力性が強く衝撃を受け流し、強度自体も高い。

特筆すべきは他の生物との親和性の高さである。

ヒト、またそれ以外への組み込み実験においても物理的拒絶反応は見られなかった。

DM細胞は元の性質を保持したまま増殖した細胞間での情報伝達を行い移植先の細胞の機能を再現する。

ただし、人体への組み込みにはリスクがある。

肉体の所持者本来のAIM拡散力場が未元物質の影響を受け変質する。

第二位の強固な自分だけの現実による自我の浸食が懸念される。


 

「……いきなり呼びつけてこんなファイル俺に見せてどうすんだ? オタマジャクシめ」

「君の中の僕は退化してるんだね?」

とある病院の一室にて、ふざけたような語尾上がりの口調でカエル顔の医者は言った。
のほほんとしたカエル顔の医者に対し、垣根は眉間に皺を寄せる。

「俺が作ったもんの特性を俺が把握してねえわけが無いだろ」

「慢心癖のある君ならありえるね?」

「馬鹿にしてんのかテメェ。
いや、それよりここに呼び出した要件だ。もったいぶらねえでさっさと言え。
……あいつと関係してるんだろ」

肩を竦めるカエル顔の医者は重々しくと言うには簡単に、だが軽々しくと言うには真剣に口を開く。

「君の力を医療の分野に使わせて欲しい。その中でも切迫した事がある。
君は、妹達について聞いたことはあるかい?」

「はぁ、シスターズ?」

シスターズ。sisters。
姉妹。修道女。映画のタイトル。崩壊したタマゴ回廊のボス。

そのどれでもなく、なんらかのものの通称なのだろう。

「うん、知らないようだね。
妹達とは超能力者第三位、御坂美琴の2万人のクローン達のことだ」

「へえ、第三位のクローン……」

学園都市の第三位のクローンが軍用に生産されている。
数日前に見た能力者の個人情報がまとめられた合法とは思い難い怪しげなインターネットのページに
そんな噂が書かれていた。

国際法で禁じられている人間のクローンの製造が行われているのは事実だったと聞けば普通の学生は驚くだろうが、
この街であらゆる非合法な行為を目の当たりにしてきた垣根にとっては今更驚くような事実でもない。

御坂美琴の能力は実に有用だ。
超能力者は単独で軍隊と戦える戦力がある。
だが彼女の力は単純に強い事以上にその汎用性の高さに価値があった。
現代社会において電子を自在に操る力というのは世界を手玉に取ることさえ不可能ではない。
それは一人の少女にこなせる量の作業ではないだろうが、複製出来るのならば話は別だ。
あらゆるベクトルを操る一方通行やあらゆる物を生み出せる垣根帝督とは違い、
あくまで既存科学の力の頂点であるために多数の個体を生み出した場合の管理もそれほど困難ではないのだろう。

いや待て。

「……2万っていくらなんでも多すぎんだろ。
超能力者級がそんな数集まってるのによく俺に情報が流れなかったもんだな」

そんな数の超能力者が一体どこに集まっているのだろう。
外部機関の施設にでも預けられているのか。

しかしカエル顔の医者は首を横に振る。

「妹達は超能力者じゃない。
妹達は開発をしても低能力から強能力程度の出力にしかならなかったんだ」

「ふうん……」

良くて強能力者程度。
それならば銃を扱う方が強いくらいだ。
オリジナルの御坂美琴との出力の差は言及するほどもなく圧倒的な壁がある。
能力単体で見て、学園都市にとって量産に値するものでないのは明確だった。

「無計画に最初から二万人作った、なんてことはねえよなぁ」

必ず裏がある。
垣根の視線に応じるようにカエル顔の医者は頷き、口を開く。

「元々妹達は軍事目的で生み出されたが、そのための基準に満たなかった。
だが彼女達は更に量産された。絶対能力進化実験のためにね」

カエル顔の医者は悪魔のような実験内容を語る。

「その実験は―――」


―――


「下条刀麻は総受けでFAとミサカは主張します」

「総受けなど売春婦も同義です。元御門土春一人に決めなさい、とミサカは1801号に反論します」

「いや対面通行と結婚して幸せな家庭を築き二人の子供を産み三匹の犬を飼い
赤い屋根の大きなおうちで一生を終えるのです、とミサ」

「男が妊娠するかバーカ! とミサカ3801号を馬鹿にしながらミサカは壁根皇督×下条刀麻を推します」

「捏造じゃねーかシネとミサカはミサカ4801号を罵倒します」

……。

なんでこんなことになったんだろう。

手入れのされていない黒い髪の研究者は果てしなく馬鹿馬鹿しい論をぶつけ合う
同じ顔の少女たちを遠い目で見つめつつ思った。
そこへ更に一人の同じ顔の少女が天井に声をかける。
ミサカ801号、この場で最も天井と馴染みのある少女だ。

「麗しきミサカ達を見てナニを考えているのですか。いやらしい。
とミサカはキモイ天井にドン引きします。
ちなみにミサカは下条刀麻×兵面仕下派です」

「いかがわしいことを考えているのはお前達だろう……」

疲れきった顔で801号に応じつつ、本当になぜこんなことになったかを思い返す。

今朝のことだ。
天井亜雄の自宅に4人の少女が唐突に襲来した。

「うわ天井です。邪魔するぜとミサカ1801号は家主の許可を得る前に勝手に入ります」

「直接お会いするのは初めてですね。というわけでお邪魔させていただきます。
とミサカ2801号は礼儀正しく天井の家に入ります」

「天井マジ天井とミサカ3801号は我が家のごとく平然とお邪魔します」

「入るぜ枯れたオッサン、とミサカ4801号は強引に侵入します」

ばらばらにやってきてはそんなことを言いながら家に入り込んできた
ミサカ1801号。ミサカ2801号。ミサカ3801号。ミサカ4801号。
個体番号の下三桁に801を持つ彼女達は番号に共通性があるというだけの理由で
ミサカネットワークを介して801号に洗脳されてしまったのか……
彼女と同じ趣味やふてぶてしさを植え込まれてしまっているようだった。

そして今現在、どこからか入手してきた菓子類やジュース、ライトノベルを床に並べてどうでもいい会話を弾ませていた。

「あれだな。不幸だ」

どんどん自分の家が侵されていっている。
女子力……
否、腐の力に。

「ここはファミレスじゃない。研究の邪魔になるからもう少し静かにしてくれないか」

「無理ですね。女が3人、姦しい。5人もいれば文殊も素足で逃げ出しますよ。
とミサカは我らの恐ろしさ思い知ったかと胸を張ります」

「意味がわからん……」

5人もいればガンジーも助走つけて殴りたくなるレベルというのなら分かる。

それにしても、なぜ彼女達は突然ここに集まったのだろうか。
なにか大事なことを忘れている気がする。

その天井の疑問はすぐに解消される。

ジリリリリリリ!! とけたたましく何かのベルが鳴った。

「な、何だ?」

「何を言っているのですか。あなたが作り出した『垣根帝督センサー』が反応しているのです。
彼が目的地に近づいたようですね」

「なにそれ知らない」

全くもって記憶にない。なんなんだその胡散臭さ2000%のブツは。

「昨日あなたが作っていたじゃないですか。
あれを瞬時に作るとは、誰にでも取り柄はあるのだとミサカは思いました」

ミサカ801号が感心するような顔でそう言って、他の4人の少女たちも同意する。

「垣根帝督のAIMに反応し、無意識にAIMに働きかけ目的地へ誘う垣根帝督センサー」

「誘われた先にいるのはあなたの情報操作ソフトで拡散された断片的情報に踊らされたアナルファッカー達」

「各地から窃盗、恐喝、交渉で得たパーツでアジトにAIMジャマーを組み込んだスキルアウト」

「本来であれば電力供給の問題でまともに稼働させることもままならない状態であったそれのために
周辺環境を調整したのもあなたです」

「まさかあれほどの改良が可能だったとは、科学技術に限界はないのだとミサカは感動しました」

口々に語る少女達。

「わ、私はそんなことはしていない! 大体なんのためにそんなことを!?」

アナルファッカーとは一体なんなんだ。
一体何が起こっているんだ。
テンパる天井に呆れたような顔をする801号。

「原典の副作用で記憶が飛んでしまったようですね」

「おい原典ってのはなんだ」

「精神汚染する代わりに何かを与える魔の書物です。
では、昨日までのおさらいです。いいですか。
あなたは絶対能力進化実験を成功させたい。
しかし被験者一方通行が実験を拒否する原因が現れました。
垣根帝督です。彼は一方通行に対し愛情を与え彼を満たしました」

覚えている、と天井は頷く。

「一方通行の実験参加意欲を強めるためには彼を満たされない状態にしたい。
それには垣根帝督を奪うのが一番とあなたは考えました。
かと言って無関係な人間を害するのも問題で、そして彼に手出しは禁止と上からの命令もありました」

覚えている、と天井は頷く。

「ならば自分の手を汚さずして垣根帝督が一方通行から別れる展開にすべきとなります。
どうやったらそんな流れになるか?
あなたは考えました」

一旦言葉を止める801号。
この先は、天井の覚えていないことだ。
801号は口を開く。彼女の紡ぐ言葉に呼応して、他の4人の少女も言葉を重ねた。

「彼らの体の相性を悪くするために垣根帝督を受けにジョブチェンさせればいいと……!!」

「ちょーーーーーーっと待てえええええええええええええええ!!!」

全力で突っ込む天井。対して無表情な少女達。

「なんでそんな……そんな発想になったんだ昨日の私は!」

天井はわなわなと体を震わせる。
額に冷や汗が浮かび、口内が乾く。

とんでもないことをした。
学園都市上層部から手出しに圧力を受ける存在にとんでもないことを。
何の策も打たずに。
昨日の記憶は801号にホモ本を読まされたあたりで途切れている。
それから何が起こったのか覚えていない。

覚えていない?

「そうだ! 冗談なんだろ!? 私をおちょくってるんだろ!」

ミサカ801号はノートパソコンをカタカタと操作した後、テレビと接続する。
テレビに映し出されるのは見慣れた街の風景だ。

「いいえ、本当です。さあ、垣根帝督がどうなるか見守りましょう。
そのために同志を呼んだのです。感覚共有では共有できない真の臨場感を楽しみましょう」

「ちなみに垣根帝督誘導ポイント周辺に監視カメラを設置したのはミサカ達です」

「大丈夫ですよ天井。原典の力で覚醒したあなたの技術力に常識は通用しません」

「誰にもあなたの悪事はバレませんよ。多分」

無表情な顔に、好奇と期待を色濃く宿す少女達。
ガラス玉のような純粋な瞳には愉悦の二文字が踊っていた。

「仮にこの馬鹿な計画が成功すれば第一位に殺害される。
お前達はそれに、何も思わないのか?」

天井の言葉に、少女達は答える。

「ええ。ミサカ達はそのために生まれてきたのですから」

「……!」

なんでもないように彼女達は答える。

いかに問題のある行為とは言え純粋に楽しんでいるのに、
それなのにそれに執着しないのか。

そしてそんな風にしたのは、誰だったか。

より一層頭から血が引いたように感じて天井は脱力して椅子に腰を下ろす。

万一この計画が成功し絶対能力進化実験が開始され、実験が完遂すれば安定した生活が約束される。
それで本望なはずなのに吐き気がした。

いや、成功するはずがない。……こんな馬鹿げた計画は必ず失敗する。

脳内でそう何度も繰り返す。

そんな天井に対し妹達はどこまでも無垢に液晶を覗き込み、ふと声を上げる。

「おや、この白髪の人物は―――」

―――


絶対能力進化計画。
樹形図の設計者の出した絶対能力者の生産方法の遂行。
超能力者序列第一位 一方通行が序列第三位である超電磁砲 御坂美琴を
128回殺害する事で一方通行の絶対能力者化が可能と判明。
一人の人間の複数回の殺害は不可能。
よってこれによる一方通行の絶対能力者への進化は実現不能。

ただし、量産型能力者計画にて生み出された御坂美琴のクローン
―――妹達との2万回の戦闘・殺害によりその代用となることが判明。


気の触れた人間の戯言と思えるような話だ。
カエル顔の医者が垣根に語った内容はそんな荒唐無稽で、どうしようもなく学園都市らしい話だった。

絶対能力者という存在を生み出せれば、二万人でも百万人でも何億人でも、
それより遥かに上回る犠牲があろうと気にする場所ではない。
ここはそういう場所だった。
そんな事はとっくにわかっていた。

狙いの結果一つのためなら、どれだけの犠牲があっても構わない。
そんな街の暗部で生きているうちに、垣根もまたそんな思考を持っていた。

「クソ」

一方通行はまだこの話を知らない。
一方通行とデートに行ったあの日見た同じ顔の二人の少女。
ファミレスの店員が御坂美琴のクローンだったのだ。
彼女と御坂美琴の両方を見た一方通行が特段変わった反応はしていない。
演技下手な一方通行がそんな上手い演技をしているとは思えない。
こんな馬鹿げた実験など、何一つとして知らないのだ。

一方通行を探すために垣根は街を駆ける。
外出中なのか家の電話は使えず、携帯も所持していないようだったからだ。
空中に散布した未元物質から一方通行の足取りを探るが、見つからない。
今この瞬間にも、一方通行を実験に参加させるべく誰かが接触しているかもしれない。

他人の能力を羨むことのない垣根さえ、AIMの追跡が可能な能力が欲しいとこの時ばかりは思う。

――― 一方通行は自分の力も弁えず歯向かってくる雑魚に嫌気がさしていた。
最強の力を持ってなお、それを知った上で歯向かってくる馬鹿な連中に。

邪魔なら徹底的に潰せばいいだけだろ。

垣根であればそう思う。
一方通行にとってはそれさえも億劫というだけの話ではない。

本当はどこかでもう誰も傷付けたくないとでも感じているのだと直感的に思えた。
一方通行なら、誰も寄せ付けない最強を超えた無敵を目指す。
そうする気がした。

誰も傷つけたくないのに二万人を殺すなんてありえない矛盾した話だ。
ならば一方通行が実験に参加することはないはずだ。

しかし垣根はとっくに知っている。
この街が一体どうやって欲しいものを手に入れようとするかなど。

先に望む成果が得られると語り、詳細は過ちを犯させてから語る。
あとに引けない状況を作り、弱った精神に漬け込んだ言葉で洗脳する。

吐き気がするほどに覚えのあるパターンだ。

一方通行が妹達を殺してから、そいつらはお前に殺されるためだけに作られた人形だとでも言って、
殺しを正当化する。
きっとあの脆い少年は、自分が罪の無い少女を殺した事実から逃れたくて甘い言葉を盾に殺戮を続ける。
自身の精神までも破壊しながら。

そんなことはどうあっても阻止したかった。

今の一方通行は自ら進んで実験に参加する事はないだろうが、彼が実験への参加を拒否し、
それが受け入れられたとすれば妹達は殺されるだけだ。
カエル顔の医者はそう言った。
元より国際法に違反した存在である彼女らを生かすほどのメリットなど、この街には無いのだ。

自分のためだけに生かされる2万の罪のない人間が自分の意思一つで殺される。
一方通行が知れば、参加しなくても結局自分が殺すようなものだと考えるのだろう。

このままでは無意味に生み出され、殺されてしまうことになる妹達の処理に
反論を試みたカエル顔の医者は生かしたければ自己責任でやれと返されたのだという。

そこで、垣根がカエル顔の医者から頼まれたのは妹達の延命に関してだった。
未元物質を扱った延命―――。

妹達一人の生産にかかるコストは18万円。
だが二週間で中学二年生である御坂美琴と同じ肉体年齢に肉体に成長させられた
彼女らの延命には、それより遥かに手間も金もかかる。
それが2万人ともあれば莫大な資金が必要で、いくら名医であるカエル顔の医者にさえ不可能だ。
圧倒的な性能を誇るのに反して、未元物質の生産および加工は垣根が行う限りコストはかからない。
未元物質による浸食も垣根が調整すればどうともなる。

2万人の少女の肉体の調整など、優秀な超能力者であれ無理に決まっている。
人間の体は一つしかないのだから。
だが、垣根にそんな限界などない。
自身の脳を複製したように、垣根が自身の力で自分の肉体全てを複製してしまえばいい。
そのために不足しているのは知識のみ。それさえ足りれば滞りなく実行可能だ。

垣根は善人でもヒーローでもない。
他人の命などどうでもいいと思っている。
無数の人間の死を見てきた。無数の死を作り出してきた。
今更自分となんの縁もない実験体が死のうが生きようが関係ないと考えるところだが、
その少女達の死が一方通行の傷になるのなら、それをどうあっても回避させたかった。

それに、妹達というのは一方通行の力の向上のための役割のためだけに生きる。
一方通行のためだけに生きる。そんな役を負っているらしい。

それには少々不快感を覚えた。

(あなたのために生きて死ぬ、か)

その生の全てが、その死があいつの中に刻み付けられる。

そんな役割は許さない。
そんな役割を与えない。
腹の内で宣戦布告する。

―――テメェらの役割なんか俺がぶっ潰してやる。



 

一方通行を探しながら、周辺を歩く人々に白髪細身の少年を見なかったかと何度も聞く。
だが誰もが知らないと答えるだけだ。
あんな目立つ風貌の人間、一度見れば忘れないだろう。

この周辺には来ていないのだろうか。

そう考えながら走る。
ふと、人通りの少ない道に入った時、ちょうどそこにいた人物に同じように尋ねた。

「おい そこのガキ、じゃねえお嬢さん。白髪で変な服着た男見なかった?」

「え? ……あ」

小学四年生といったところの少女。
焦げ茶色の髪を頭の両サイドで結んだ少女は、何かに思い当たったような顔をする。

「知ってるのか?」

「うん。あっちのお店の前で見たよ」

少女は無邪気な顔をして路地の向こうを指す。
路地は複雑に入り組んでいるように見えて、あっちと言われてもわからない。

垣根とて、この周辺の全てを知っているわけではない。
店と言われても、ピンと来るはずがなかった。

「どんなお店だったの?」

「んん……ごめんなさい、わかんない。代わりに案内してもいい?」

無垢な表情のまま言う少女。
これを突っぱねる理由はない。

「ごめん、助かるよ」

「それじゃ、ついてきて」

少女は実に純粋な笑みを浮かべて、垣根の手を取る。

一方通行に見られたらロリコンと馬鹿にされそうだ。

垣根の中に多少そんな考えが浮かんだが、警戒することもなく少女に手を引かれるままについていく。

非常に小型の、無音の監視カメラが見つめていることにも気付かないままに。


 

―――


「チッ、なァンで牛フィレ肉も置いてねェンですかねェ……」

ぶつくさと文句を言って店を出た白い少年は猫背気味に歩いていた。

彼の見ていた番組では、普通のスーパーなどでは手に入りにくい食材が使われる事が少なくない。
しかし今回はそういったものは使われていなかった。
だが運の悪いことに、ポピュラーな食材である牛フィレ肉がどこにも売っていなかったのである。
今回のメニューはこれがなければ何も始まらない。

食材を求めてスーパーを回るなど、かつての一方通行を知るものが見ればありえないと驚くだろう。

(適当に肉屋にでも電話すりゃ配達くらいはするか?)

徐々に持ち前の面倒臭がりが表れる一方通行だが、あと一軒くらいはとさらに進む。

近道に、と入った道は狭く、一日中日の当たらない冷たい風の通り道となっている。
スキルアウトが好んで使うような場所だが、そんな連中に絡まれた所で脅威など無い。

暗い路地の空気は僅かに湿っているが、明るく澄み渡った表通りよりもどこか落ち着いた。

迷うこともなく進むうちに、ふと何かを察する。
どこかのバカが派手に喧嘩でもしているのかもしれない。
このあたりには空きビルもそれなりにある。
不良の溜まり場になっているのだろう。

そんな事を考えてその場を去ろうとしたが、なんとなく胸騒ぎを覚えた。

理由はわからない。

だが、なんとなく……不快で仕方のない何かを感じた。

「……」

焦る必要は無い。
そしてこの先に何があろうと、最強の超能力者である一方通行の脅威では無い。
そんなものになりうるはずがない。

そう考えて不快な感覚のした方に一方通行は歩を進める。

 

―――


「おい、どこまで行くんだよ」

「遠くてごめん。白髪のお兄ちゃんはこの先で見たんだけどー」

「この先ねえ……?
コンビニくらいしか知らねえが、わざわざこんな場所に来なくても家の近くにあるってのに」

どこか他に行き先があったのか?
考えてみれば、一方通行が普段どんな生活をしていたかは今もあまり知らないままだ。
自分が知らない趣味があるのかもしれない。

こんな路地を子供がなぜ詳しく知っているか不審だが、今は従っておくしかない。
それに、何かが起こったとしても脅威になるものなど無い。
学園都市の第二位、未元物質を害せるはずがない。
そう考えて黙って付いて行く。

しばらく歩いて行くと、突然少し前を歩いていた幼い少女が垣根に振り返って笑った。

「へへ、そーだ、お兄ちゃん」

「なんだよ」

「騙してごめんね」

無邪気な笑顔と共にそんな事を言ったと同時に、不快な感覚に襲われた。

「……!?」

この不快な感覚は覚えがあった。

これはまるで。

「AIMジャマー、効いてるみたいだな」

誰かの声がした。

その声の方に咄嗟に顔を向ける。
空きビルからずらずらと現れる不良達がそこにいた。
その手にあるのは金属バットや、金属製の鎖だ。

「……」

なるほど、ハメられたらしい。
それを理解するには十分すぎた。

「チッ……」

舌打ち一つ、即座に駆け出す。
本来圧倒的な強者である垣根が弱者の群れから逃げるなどありえない。
しかしそれは能力が自在に使えればの話だ。
AIMジャマーは能力の発動を抑えるものではない。
AIM拡散力場を乱反射させ、自分で自分の能力に干渉させる装置だ。
下手に能力を発動させれば自爆行為にしかならない状況下で使うのは馬鹿げていた。
垣根ほどの強大な力の持ち主であれば、その暴発は自他に尋常でない被害を与える。
能力が無ければあくまでただの人間である垣根に単純に数が多い人間を相手取ることはできない。

(馬鹿な、なんでこんな場所にAIMジャマーなんかが存在する……!)

膨大な電力を消耗するため少年院のように限られた場所にしか存在しないAIMジャマー。
能力者に対する最悪の敵であるがゆえに、暗部の仕事人はそれの設置場所を熟知している。
AIMジャマーのような能力者への兵器は他にも諸々あるが通常、消費電力が極めて多い。
よって、それらの稼働が可能な膨大な電力供給の可能な場所も含めて頭に叩き込んでいた。
そのポイントはこんな場所には存在しないと断言出来る。
なのに。

「オラァッ」

その考えをまとめるより先に、潜んでいた男が物陰から鉄パイプを振り下ろしてきた。

「っ!」

不意打ちであれ大した素早さではない。
視界に僅かに入った肉体の部位から素早く相手の動きを算出して男の横に潜り込むように躱す。
ブレザーの先を掠める事も出来ずに垣根を取り逃がした男が追撃のために大勢を整えようとするが、
それより先に垣根の靴先が腹部にめり込んだ。
呻き声を上げて崩れ落ちる男に目もやらず離れようとすれば、視界に入ったのは
狭い道いっぱいにズラリと並ぶ男達の姿だった。

「クソ」

吐き捨てても遅い。
垣根を追い込む作戦はすでに万端だったらしい。

銃は携帯しておくべきだった。
今更手遅れな思想が頭に浮かんだ。

垣根が打開策を考えるよりも先に、数の暴力が襲う。


 

―――


「うほっ……いい男」

そこにいた一人が、一際目立つ屈強な体つきの二人組の男に両肩を押さえられた垣根に言う。

「気持ち悪ぃんだよ豚が! こっち見んじゃねえ!」

軽蔑に顔を歪める垣根に、より愉悦を感じた顔をする男。
見渡せば、他の男達も同じような顔をしていた。

―――最悪だ。それもこんな時に。

プライドの高い垣根には耐え難い状況だった。
身体中を殴られていて、押さえつけられているだけで痛くて仕方が無い。
だがその反面、顔は傷一つ付けられていない。
それが余計に気持ちが悪かった。

「何が目的なんだよ、テメェら」

暗部の敵対組織の下部の者だろうか。
そう思っても、確証はない。

男達は言う。

「俺達はただのスキルアウトで……ホモなだけだ」

「は」

今なんと言った。

「え、なんて……ほも?」

「ホモ、ゲイ、ソドム、そのどれでもいい」

つまりガチホモ。
垣根はガチホモに囲まれているというわけだ。

それの意味するところは。

「お、ぁ、……離せ! 離しやがれえええええええええ!!」

犯される。
犯される。
間違いなく犯される。

ジタバタと暴れるが、細身の垣根がガチムキに単純な力で勝てるはずがない。柱に縛られている錯覚さえ思える。
そんな垣根に対し、どう見てもオネェな付けまつ毛の凄まじいスキルアウトが言う。

「あらぁ、アナタだってホモでしょ?」

「一緒にすんじゃねえ!!」

好きなのは男じゃない。
一方通行だけだ。

「垣根ていとくん。あなた最近うちらの世界で有名よお。学園都市第一位と街頭でキスしたり、」

「路地裏で童貞100人斬りしたり」

「これまで12人の男性教師と性的関係を持って全員を退職させたり」

「一晩に5億稼いだ伝説のウリセンとか」

「ちっげえええええ!!」

どこからそんな嘘が飛び出したんだ。
一方通行とキスしたのは事実だが。

必死にもがくが、拘束の手はやはりビクともしない。
万時急須。

「街を荒らす悪しきホモへの制裁は……
あたし達みたいなマイノリティーに課された使命なのよ。
さーぁ、楽しもうねぇ、ていとくん」

「触んなぁぁ!!
テメェら制裁とか大義名分掲げて集団レイプしてーだけだろうがよおおおおおおお!!!」

恐ろしかった。
銃弾が飛び交い爆音轟く暗部での戦いよりも。
ズボンのチャックに伸ばされる手は毒手のよう、胸に伸ばされる手は死神を思わせた。

このままでは確実に処女が奪われる。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この後どうなる?

1、さよなら垣根先生の処女
2、さよならなんかは言わせないよ垣根先生の処女
3、ホイホイ寄ってきた一方通行とダブルで肉便器化

今日はここまで。

安価↓

2

2

把握
AIMジャマーが狭い屋内でしか使えないというのに書いた後で気付いたけど
能力者レイプするためだけに存在するエロ同人的ブツに原作は通用しねえと言い張る

ふぇええ……3もみたかったけどここの垣根は処女でいてほしい

すっごい読み応えある文章書くなあと改めて思ったけど
ホモなんだよなあ…

何故垣根の処女喪失にならぬ(真顔)

1

2で
ここの垣根は処女キープがいい

体の内外問わずザーメン塗りつけてくるチンポを全身であじわいながら
アヘ顔ダブルピースする垣根とセロリを書こうとしたけどどう考えても
垣根の処女が守られないので諦めたのであった
投下

ベルトに手がかけられ、チャックが開かれる。
同時に他の手が上着を剥ぎ取っていく。

一枚一枚衣服が剥がれるたびに歓声が上がった。

いつしか垣根はトランクス一枚にされていた。

「へえ~、とんだ腐れケツビッチと思ってたが綺麗な体じゃん」

「あっ、でも傷が残ってる……そそるな」

「乳首吸い付き隊☆」

口々に好き放題に言うスキルアウトに凶悪な目を送る。

「クソッ……テメェら覚えてやがれ……」

垣根の正体など知らない男達は余計にそれに興奮するだけだ。

大人しく黙って犯された方がマシかもしれない。
そうすれば早くに終わるだろう。
終わってしまってから、あの忌まわしい装置が止まればもはや誰も止められない。
この世に生まれてきたことを後悔するほど痛めつけてやる。

理性的な部分がそう結論を出す。

一刻も早くに一方通行を探さねばならないのにとんだ事態になった。
もう面倒だ。犯されたところで失われるものなど、精々がケツ童貞だけだ。
とっとと犯されて終わろう。

……と思えるわけがない。

多すぎる。あまりに多すぎる。数える程に絶望する人数に囲まれている。
この一人一人に犯されたとして、何時間が経っているのか。
それまでに一方通行がどうなってしまうのか。
それに、いくらなんでも体が持たない。
気を失っても襲われ続けるし、どこかへ連れ去られる予感しかしない。

自滅覚悟で能力を振りかざすか。
いや、自分の生死に関わらないようにこの場を打開する手がないわけではないはずだ。

AIMジャマーは能力の発動を抑えるのではなく、能力者のAIM拡散力場を乱反射して暴発を誘導させる。
ならばその乱反射に対策を取ればいいだけの話だ。

垣根の作り出す未元物質には垣根自身の影が残る。
彼のAIMの片鱗の結晶なのだから当然だ。
それを無数にばら撒き、AIMジャマーの効果をさらに捻じ曲げ、歪められた力同士を干渉させる。
うまく調整しあえば意識通りの効果を作ることは可能と言える。
最も、狙い通りの効果を生み出すためにはとてつもなく難解な演算が不可欠なのだが。

AIMジャマーの効果は膨大な演算能力により支えられていて、一人の超能力者が抗えるような程度では無い。
演算能力の強化に特化した開発を受けた一方通行でさえとても太刀打ち出来ない。
能力を暴発させるのみ。そういう機械だ。

正規のAIMジャマーであれば。

この場のものはオリジナルよりも精度が劣るらしい事を密かに実感していた。
本来閉ざされた空間に据え置くべきAIMジャマーを改造して外部で使えるようにしているらしいが、
無理な改造をしているだけにその性能は落ちている。
その上、垣根の作り出した代理演算脳との接続までは断ち切られていない。
非正規のAIMジャマーの癖を算出することも不可能ではないはずだ。

ここでこんな雑魚に蹂躙されていては、一方通行の運命を変えることさえできない。
今必要なのはこの場を打開する演算式を組み立てる時間だ。

そうこう考えるうちに男達の手が垣根の下着を掴んだ。

「よーし、チンポとケツの解体新書すんぞお」

「カイボウってことだな。小学生んときよくやった」

「あ、おい……」

自分に時間はあとどれだけあるのだろうか。

「ちょ、待」

反射的に静止するが、体を拘束されたまま情けも容赦も微塵も無く下着がずり降ろされる。
外気に曝け出された垣根のペニスに視線が集まり、一際大きな歓喜の声が上がった。
褒められるのは悪い気はしないが時と場所というものがある。
今は正に最悪だ。
気味の悪い喉を鳴らす音が聞こえ、口々に何かを喋っていたがもう何も聞きたくなかった。
垣根の体が地面に押さえつけられたままの状態で全身を隈なく観察される。
その体のあちらこちらに手が伸ばされていく。それを、

「待って!」

無邪気な声が阻んだ。

それは先程垣根をここまで連れてきた幼い少女だった。

「どうした? チビ」

「垣根お兄ちゃん連れてきたのはボクだよ? なんでみんなで勝手な事するの?
ボクが最初に楽しんでいいでしょ?」

「ええー」

少女のその発言に、落胆の声が上がる。
それは否定というより妥協を思わせる声だった。

「仕方ないな。お前が最初でいい」

「やった!」

少女が嬉しそうに笑った。
荒くれ者たるスキルアウトも案外無邪気な子供には弱いのだろう。

(つーか、こんなガキが自ら……やべえな)

いくらなんでも擦れすぎだと素で引く。
だがチャンスだ。
男に尻を犯されるよりも幼女を抱いた方がまだ楽だし、その間に演算が可能
……かもしれない。

そんな幻想はブチ殺される。

スカートの下から下着を脱いだ幼女は垣根の前でクスクスと笑いながらスカートをたくし上げる。

そして。

ぼろろん、と効果音が付きそうなほど見事なイチモツが現れた。

「は、あぁあああ!?」

「えへへー、ボク本当は男なんだぁ」

彼女、否、彼は幼女ではなく巨根のショタだったのである。
何も変わっていないどころか事態は悪化の一途を辿っていた。

「おいコラ待て待て待て待て待て!! 嘘だろ? なんで? どういうことだ!
どういうことなんだよッ!」

「どういうことって、僕が女装癖のある小学五年生男子ってだけのことだよ?」

「それがどういう事だってんだよおおおおおおおおお!!!
俺が言うのもなんだけど何食って生きてたらその年でそこまで目覚めるんだ!?」

いくら暗部を見てきていても、これほどの重症例は見たことが無い。
今手が自由に使えたなら、思い切り頭を掻き毟りたい所だ。

しかし巨根ショタは何も気にせず、天使のように微笑みながら垣根の胸と性器に
二次性徴を迎える前の白い繊細な指を伸ばした。
少女と相違ないそれは、一方通行の指も長さは違えど近いものだったと漠然と垣根は思う。

いやそんな事でムラッとしている場合ではない。

胸など自分で触った事も触られた事もろくに無いので快感を享受出来るわけでもないが、
性器を触られては流石に堪らない。
歯を噛み締めて睨みつける垣根だが、容赦ない責めを加えるショタは微笑んでいるだけだ。

「思ったよりスイッチ入らないね。もっと声出してよ。慣れてんでしょ。
やっぱり先に後ろ触ってあげた方がいいかな」

「慣れてねえってんだろうが!!」

「嘘ばっかり」

性器からは手を離さずに、胸から肛門の方へと手を伸ばす幼い少年。
キッチリと閉ざされたそこに。

「マジでやめろクソガキ、おい……おいコラ!」

頭を振って拒絶したその時、突然声がした。

「そこで何してやがンだ、オマエら」

(!?)

独特のイントネーションのその声を違えるはずが無い。
一方通行だ。
先ほどの幼女改め少年の発言は嘘だったはずなのに、なぜこんな場所に来たのか。
突然の学園都市第一位の登場に、周囲が一斉にざわめく。

この能力の使えない空間で、一方通行を幾度となく狙ってきたという
スキルアウトの一派の群れに飛び込む事は自殺行為以外の何物でもない。
血の気が引くのを感じた。

「逃げ、―――!!」

今すぐに逃げろと反射的に叫ぼうとすれば、体を押さえつけていた男に後ろから口を塞がれた。
力の限り抵抗しようともがくが、やはり二人組の筋骨隆々な男に敵うはずがない。
どんなに叫ぼうとしても言葉にならない呻き声が漏れるだけだ。

「おー、細いのにすげえ力で抵抗するんだな、ていとくん。
第一位とキスしてたって話だが、まさか本気で惚れてんのか?」

密着している男の一人が野太い声で囁く。
肯定しても否定しても、状況が良い方向に転がるとは到底思えない。
これほどどうしようもなく無力を痛感したのはいつぶりだっただろう。

他方、一方通行と言えば。

(あいつの声だった、よな)

ほんの一瞬だけ聞こえた声は、どうにも垣根のもののような気がして仕方が無い。
仮に垣根がいるとすれば、なぜこんな場所にいるのか。
AIMジャマーと思しきものがある場所で、高位能力者である垣根が、わざわざ。
垣根にとって、明らかにまずい状況だ。
喉の奥が乾く感触がした。
スキルアウトが能力者を集団で襲う事件が起こったと報道されていたのを思い出し、一気にその不安が加速する。

「これはこれは第一位様ではありませんか」

スキルアウトの一人が一方通行にいやらしい笑いを浮かべて話し掛けた。
パサついた金髪の男はわざとらしい口調のまま続ける。

「第一位様ともあろうお方が、どうしてそんなに焦った顔をなさるのです。
……だーいすきな垣根君が捕まった、とか思ってたり?」

「!!」

その瞬間、一方通行の頭に一気に血が上る。
いやらしい顔のままの男の首を掴むために手を伸ばし、

「おっと」

あっさりと弾かれる。
能力がなければ人並みの身体能力すらない一方通行の動きなど、
喧嘩に慣れたスキルアウトには造作も無く弾けてしまう。
常日頃能力を使い続けていた一方通行はその事実にようやく気付き、
自身の置かれた状況を本気で理解した。

目を見開く一方通行に、金髪の男の腕が伸ばされ―――。



―――


「一方通行が来るなんてとんでもない展開になってきましたね、とミサカは感動に打ち震えます」

「どこから嗅ぎつけたのでしょう? やっぱり運命なんですかね、とミサカは非科学的な存在に胸を躍らせます」

「どちらも掘られて肉便器になってしまうのでしょうか。とミサカは手に汗を握ります」

「こんな事して大丈夫なのかあらゆる意味で不安になってきました、とミサカは焦ります」

垣根強姦作戦の監視映像を前に、口々に感想を述べる少女達だが、唯一何も言わずに黙っている少女がいた。

「……」

この事態を引き起こした最初のきっかけである801号。

(なんでしょう、この感覚は)

自ら望んでこんな展開にしたのに、いざ目にすればなぜか胸が苦しくなる。
とても痛い。なのに体を動かしたくて仕方のない衝動。
なぜこんな気分になるのか、わからない。

液晶に垣根と一方通行が映る。
体を掴まれ、身動きの取れなくなった一方通行は垣根が捕まった場所のすぐ隣に押し込まれた。
垣根と一方通行が互いの姿を見ては周囲に怒声を浴びせるが、
スキルアウトはあるものは笑い、ある者は興奮を強めていた。
衣類を剥がされるにつれ、一方通行の体にキスマークがいくつも付けられているのが明かされて行く。
冷やかしの声がドッと上がった。

自分がこんな事態を引き起こしたのに、この光景を見ているととても不快に感じる。

「どうしたのですか。とミサカは急に無言になったミサカ801号に声をかけます」

2801号が声をかける。

「わかりません、とミサカは困惑します」

「呼吸乱れ、心拍数の増加を感知しました。ミサカ801号はストレス状態にあるとミサカは判断します」

2081号がなぜそんな状態なのか不思議そうな顔をする。
801号自身にも分からないのだからどうしようもない。

愉しむために始めたことなのに、なぜ苦痛を感じているのか理解が出来なくて青ざめたままの天井に訴える。

「ミサカの状態に異常が生じているようです。息苦しさと動悸の症状を感じます。
調整をお願いしてよろしいですか、とミサカは天井に尋ねます」

「……」

黙ったまま天井がミサカ801号を見つめる。
焦りと不安感が浮かぶその顔を。

「ああ、確かに異常だな」

そう答えるしかない。
そんな感情をデータに入れた覚えなど無いのだから本当に異常なのだ。
罪悪感などという、生理的な快不快を超えた高次の感情など打ち込む筈が無い。なのに。

目の前の少女は紛れもなく、人間という生物だった。

「ここにいてはその症状を治せない」

ぼそぼそと呟く天井の顔を801号が覗き込む。

「では、どこに行こうと言うのですか?」

「……このカメラを設置した場所へのナビを頼む。
それと、お前が前に持ってきたものも積んでいこう」

この先に進めば引き返すことは出来ない。
だが自ら馬鹿な行動に出た責任は取るべきなのだろう。

 

―――


「やるなら俺をやれクソ野郎共がぁ!!」

「これ以上妙な真似しやがったらオマエらマジで殺すぞ……!」

学園都市の頂点に君臨する二人の男は取り押さえられたまま怒鳴る。
二人とも衣服などとっくに奪い取られていた。
実力で言えば圧倒的な強者なのに、この場では多勢に蹂躙される凡人でしかない。

「うわぁ、ラブラブで羨ましい限りッスねー」

「第一位はていとくんの本当の姿を知らないから仕方ないのかしらねぇ」

いやらしい笑い声が飛び交う。
舐め回すような目が裸体の一方通行に絡み付いては、

「思ってた以上に細いな」「小柄で可愛い」
「ガキみたいだな」「チンポもな」「ミニチュアおちんちん」
「一方たんぺろぺろ」「レイプ決行」

などと好き放題に評されていた。

普段は反射で自由に触れることさえ出来ない体に触れたいとギラついた顔をした男に
囲まれているのはさしもの一方通行さえ脅威を感じた。

そこに そっと近づき、一方通行の頬に触れる男が一人出る。

ぞわりと全身に不快感を走らせる一方通行に反して、灰緑色の髪の男は
ミーハー根性丸出しの顔で「触っちゃった!」と叫んだ。

「柔らかくてもっちもちしてる! 赤ん坊みたいだ」

「マジかよ」「俺も触る」「おいらも!」

ワイワイと一方通行の周囲に男が駆け寄り、その体を無遠慮に触って行く。

「くっ……」

そいつに触るなと叫びそうになる自分を垣根は必死に抑える。
今この場で叫べば行為を助長することにしかならない。

悔しさに体を震わせる垣根だが、混乱が起こるのを避けるべく、一人の男が声を上げる。

「お前らその辺でやめろ。キリがねえ」

その冷静な言葉で周囲の混乱が静まってから、パサパサの金髪の男が垣根に目をやりながら一方通行に話し掛ける。

「よお、第一位。お前そいつが好きなんだろ」

「……」

男を射殺さんばかりに一方通行が睨み付けたが金髪の男は意に介さず続ける。

「そいつに手出しされたくないなら俺らのチンポきれーに舐めてご奉仕してくれよ。
俺らの苛立ちを慰めてくれなきゃ、何するかわかんねぇーぞ」

どこまでもいやらしい顔で笑う男。
今度は垣根の前にいる幼い少年が可愛らしい顔で笑った。

「わあ、一方通行お兄ちゃんかわいそう。面白いからこっちでも同じ事しよ?
ていとくんが頑張れば一方通行お兄ちゃんが傷付かなくて済むよ。ねー、みんなもそれでいいよね」

少年の声に、今はそれで勘弁してやんぞー、と当てにならない言葉が返される。

当てにならないのに、それに応じる他無い。
チラリと一方通行の方を見る。
目が合った。気にするなと言わんばかりの顔だ。

今更他人の性器を舐めるくらい、本当はどうでもいい。
こんな奴らの言いなりになるのは吐きそうなくらいに不快だが、
一方通行に手を出されるのに比べればまだ耐えられる。
本当は噛みちぎってやりたいところだが。

今も天を穿たんばかりに屹立したままの、幼い少年に見合わない大きな物を見据える。
他に選択肢などあるはずもなく。

嘆息と共に、その男性器に舌を伸ばす。

うおー! という歓声が上がる。それから幼い少年の満足げな顔を見てすぐに目を伏せた。
今はこの不快な奴らに従うしかない。

「……クソが……」

傲岸不遜な垣根が格下の言いなりになっているのは一方通行にとっても耐え難い事だった。
自分の存在が余計に垣根を陥れる事に繋がってしまった事にどうしようもなく息苦しさを覚える。

垣根がなぜこんなことになったのかは全くもって分からない。
だがそれを追求するのは後でいい。
垣根に手を出されるのを防ぐために、一方通行もまた目の前の男のズボンのチャックを口で開き、その奥の物を咥える。

青臭さとあまりの不快感に吐き気がする。
興奮に濡れた先端に顔を近づける事さえ気持ちが悪くて堪らない。
それでも反抗するよりは垣根の安全が保たれる可能性が高かった。

取り囲まれた二人の超能力者を、家庭用のビデオカメラを抱える男数人がわざとらしく撮影している。
携帯やiPhoneで撮影する人数など数える気もしない。

じゅぼじゅぼと大袈裟な程の音を立てて少年の巨根を懸命に舐める垣根と、
怒りをあらわにした顔で拙い奉仕をする一方通行では大きく差があった。

一方通行に奉仕をさせていた男が乱雑に一方通行の髪を掴み、顔を引き上げさせる。

「ィ、……!」

「オメーもっとやる気出せや。お前、自分は単に巻き込まれただけだとか思ってんだろ」

実際にそうとしか思えない。
巻き込まれた挙句に垣根を服従させる道具にまでされたのだ。

「そりゃ誤解だクソ野郎。
元々垣根を拉致した後でお前も誘き寄せる予定だったからな」

金髪の男に他の男も追随した。

「最強の第一位様は覚えてらっしゃらないだろうが、俺のダチも結構お前に痛めつけられてんだよな。
お前が嘗めた行動した分責任取れや。一生俺らに尽くすって形で」

痛めつけられた?
自ら進んで圧倒的に弱い存在に絡みに行った覚えなどない。

「そいつらの方から襲ってきて反射で自滅しやがったのに責任たァな。
嘗めてやがンのはどっちだってン、―――がァ!」

一方通行の頬が強く張られる。

「この状況でまだそんな口が叩けんのかよ。お前ら聞いたか?」

ざわめきを聞いてからしまったと思ってももう遅い。
周囲に広がっていた男が一斉に集まってきては、ベルトを開ける音、チャックを開く音がし。

「はーい、リミットオーバーです。お前らどっちも肉便器エンドけってーい」

軽薄なその声に賛同する声が上がる。
垣根の耳にも嫌というほどそれが聞こえた。

……決断の時がやってきたらしい。

「悪い、一方通行」

垣根のよく通る声が一方通行の耳に届く。

「しばらく目ぇ瞑っててくれ」

奉仕に勤しむふりをしながら、ずっと演算を繰り返していた。
この場に吐き出される不愉快な機械の効果の打開策の算出のために。
多少は自分の意志で能力を振りかざすことも不可能でないだろう位置に来ている。
それでも精密な操作は出来ない。
ろくに防衛能力も無い人間の体など簡単に壊れしまう威力になると思われた。

それがどうした。

一方通行に手を出す馬鹿な人間を一斉に粉砕できるのなら好都合じゃないか。

垣根は一方通行を巻き込んでしまわないように演算式をより精密に組む。
一方通行の前では殺人などしたくなかった。
妹達の死が傷になるのならそれを防ごうと思った矢先にこんなことになるとは。
どこまで行っても人を殺すことでしか何かを変えられないらしい。
それでも躊躇すればそれ以上に悪い状況に進むだけだ。

一撃でクソ共全てを必ず殺す。
この世にヒーローなどいない。
困っている時に助けてくれる都合のいい奴など存在しない事はとっくに理解している。
気に食わない奴は引き裂き、邪魔な奴を潰す。
これまでと同じように、そうする以外の道なんかない。

短く息を吐き、周囲の声も体に触れる他人の肌の感触も脳から消し去り、暴力を振りかざすための頭に切り替える。
まさにその瞬間、一帯に撒き散らした未元物質がイレギュラーを感知した。

次の瞬間、
ブオオオオオン! と派手な排気音と共に黒塗りのバイクがその場に突っ込んできた。

「おい止まれテメーおい! ぎゃー!!」

鈍い音がして人が派手に撥ね飛ばされた。見事な撥ねっぷりだ。
人を撥ね飛ばしながらもそのバイクは止まることはない。
多少開けた場所ではあるが、大型バイクで自在に走れるほどのスペースはないはずだ。
なのに、巧みな運転技術でバイクの主はその無理を通す。

バイクを操縦しているのは常盤台中学校の制服とよく似た衣服を着ていて、
頭部を真っ黒のフルフェイスメットで覆い隠している。
その後ろには、なぜか白衣の人物が何やら物騒な黒いものを抱えて座っていた。

「ちょ、なんだ? 首無しライダーか!?」

「警備員にバレたんだよ!」

「バカかオメー、故意に学生をキュイラッシェで撥ねる警備員がいるか!
ぜってー頭やべー奴だよ逃げろ!」

「俺らまだ第一位と垣根に手ぇ出してないから無罪だよな!」

わー! と蜘蛛を散らすようにスキルアウトが逃亡していく。
この場にいては大型バイクで撥ねられるのだから英断だ。
我先にと逃げる者も、撥ねられてビックンビックンと解剖されたカエルのように
引きつけを起こす仲間を引きずって逃げる者もあった。

あれほど集まっていた男の群れが見る間に疎らになり、いつしかその場に残るのは
垣根と一方通行、そして彼らに直接手を出していた者のみとなっていた。
それを見計らって、暴れ馬のようなバイクは走行をやめてその場に止まる。
垣根達とは、距離にして3メートル程の場所に。

「お、お前ら、なんなんだよ」

バイクに乗ったままのフルフェイスメットの人物に、一方通行を奉仕を強制していた男が問い掛ける。
だが制服姿の人物は少女の声で適当さ満載に言葉を発するのみだ。

「なんだかんだと聞かれたら……いや、やっぱりここじゃあれなんで天井、例のもので撃って下さい」

「おい、名前……。いや、それより私はこんなものを使った事など無いぞ」

「目標をセンターに入れてスイッチです」

「意味がわからん!」

と言いつつも白衣の人物は手に持っていた黒いマシンガンのようなものを覚束ない手で掲げ、

「ちょっ、待っ」

本当にその引き金を引いた。

学園都市製だけに軽く弾ける程度の音を立てて吐かれた銃弾は容赦無く不良男を襲い、
男の体が一方通行の体の真横に鈍い音を立てて倒れる。

「っ!?」

さすがの垣根も驚きと困惑を禁じ得ない。

お前が呼んだのか?
と垣根が目配せすれば、一方通行は知らないと言わんばかりの顔を返した。

とりあえず、倒された男の体から流血していないのを見るに、ゴム弾だったようだと確認する。

「う、う……なんなの?」

末恐ろしい子供こと巨根ショタが恐怖に呻く。
常盤台の制服の人物は

「……男の娘って本当にいるのですね。
あなたはハンドルネーム:超機動少女アワキン☆に引き渡すことにします。
逃げたら撃ちますよ」

と脅して子供をその場に留めておく。
子供がビクビクと震えているが良心を痛める者などこの場にはいない。

「お前らの目的は何だ。こいつらを回収しにきたのか!?」

垣根がヘルメットの二人組に声を掛けるより先に、垣根を押さえていた男の一人が声を上げた。

「そうだと言ったらどうするのですか?」

「どう、って」

仲間は逃げたし、自分達の悪行は学園都市の第一位に知られていて、
今更逃げられたとしても地獄しか待っていない。

「こちらの目的はともかくとして……
集団レイプが行われていると既に警備員に通報しています。
学園都市の第一位を敵に回したシャバで生きるのと、少年院で平和に暮らすのの
いずれかを選んでいただくことになるのですが……」

後者しか選択肢が無いじゃないか。

男は隣で垣根を押さえるもう一人の無口な男と目を合わせて、互いに諦めた顔をした。
それを、一方通行を押さえつけていた一人の男が切羽詰まった顔で怒鳴る、

「お前ら諦めるのか!? こんな上玉を拾っておいて……まだチンポも突っ込んでねえのに!
俺達Fuck'n japはレイプでノンケをホモに覚醒させながらメンバーを増やし、
この辺りで一大勢力を持つチームになったんだぞ! なのにこんなところで諦めるのか?!
この街の男全員をホモにするって言ってたのにこんなに呆気なく終わるのかよ!」

その場の空気が静まり返る。
宴が終わった後のような悲しみがそこにあった。
垣根と一方通行としては苦笑いするしかないのだが。

「なあ! 第一位! お前もセックスしたら俺達の仲間になれんだぜ!?
能力も地位も関係無い、本物のセックスファミリーになれんだよ!
チームのモットーは自由! 好きな時に好きな相手とセックスするんだ! いいだろ!?」

「良くねェよクソが! 殺すぞ!」

取りつく島も無い一方通行に、なおも男は言い募る。

「なんだよ、お前垣根とはセックスするんだろ! だったらいいじゃねえか!
垣根だけじゃなく、色んな奴ともセックス出来んならそっちが得だろうが!」

「な、にを……」

なんつーことを言うんだこいつ。
わなわなと一方通行が体を震わせて、一旦唾液を飲み込んで、小さな声で何かをボヤく。

あまりに小さな、至近距離で取り押さえる赤みがかった髪の男にしか聞こえないその声を聞き、男は溜息をつく。

「んなの、幻想だ。どんな相手だろうが一人じゃ足りなくなる。必ずな。ホモってのはそういうもんだ」

「俺はオマエらとは違ェンだよ、三……いや、八下のオマエらとはな」

バカにするのと哀れむのとが入り混じる顔をした一方通行に、もうその男は何も返さない。
価値観を受け入れない相手に強制するだけの力など残っていなかった。

そこでふと、フルフェイスメットの少女が思い出したように言った。

「……忘れるところでした。超機動少女アワキンがそろそろ空間移動で到着する頃です。
このAIMジャマーを止めておかないと彼女が能力を暴発させて地面にめり込んでしまいます」

「そういう事は早く言えよ! 空間移動能力者の暴走は洒落にならん」

迂闊に使用すれば周囲の全ての人間を殺しかねない力だ。
白衣の人物はいそいそと走ってビルの一つに入っていった。

白衣の男がそこから抜けてから数十秒でAIMジャマーの停止を垣根は察知する。

「はは、自由だ」

一方通行に手を出した奴から料理してやる。

一方通行もまた笑った。

「随分と嘗めた真似してくれたもンなァ」

嗜虐的な笑いを浮かべる彼らに震え上がるスキルアウト達だが、フルフェイスメットの少女が静止する。

「待って下さい。お願いします。……彼らは踊らされただけなんです」

「あぁ? バイクで撥ねまくった奴が何を善人ぶってやがる」

「あれは通りすがりの浜……なんでしたっけ、アバズレ下着と似た響きの名前の不良に借りた
新型の特攻用バイクなので弾力性の強いゴムで加工されています。
よって、あれで撥ねても死にません。希望的観測ですが」

「おい。希望かよ」

アバズレ下着と似た名前とは一体どんな名前なのだか、
バイクを貸した挙句にこんな不名誉な呼ばれ方をする男も不憫である。

「バイクの傷が心配ですが、その男も河原で拾ったと言っていたのであまり問題は無いでしょう」

絶対に問題がある。

あまりにもマイペースな少女のツッコミどころしかない発言のすぐ後に、
空間に異物が生じる兆候を二人の超能力者が観測した。

次の瞬間、ヒュンッという大気を引き裂く音と共に赤毛の少女がその場に現れる。

「女装ショタはどこかしら?」

開口一番にそんな発言をした少女の姿を、垣根は知っていた。

「座標移動……!」

座標移動こと、結標淡希。
アレイスター=クロウリーの窓の無いビルの案内人。
実力で言えば余裕で超能力者に認定される空間移動能力者。
なぜ彼女がここに現れる。
それにもう一つ、足を負傷したトラウマから自身の体の転移に問題があるという理由で
超能力者になっていないという話だったが、難無く彼女はこの場に能力で現れた。
どういうことなんだ。

……リビドーが人の限界を破壊するのだろうか。

頭を捻る垣根に対し、結標は顔を向けて叫んだ。

「や、やだもう、なんで全裸なの!?」

「色々あってな。ま……お前美人だし、いくらでも見ていいぜ」

「何言ってるのよ!? 変態ね、あなた……」

至極当然な反応をされてはなかなかそそられる物がある。

狼狽える彼女が視線をそらした先にあったのは、

「あ、一方……通行……?」

最強の超能力者。
の裸体。

太陽の光の害など知らない柔らかく白い肌は赤子のようで、幼さの残る顔立ち、
二次性徴前の筋肉の薄い肢体、そして小さな男性器。
まさか。

「もしかして女装ショタって一方通行の事!?」

「ンなわけねェだろォがァ!! 女装以前になンも着てねェだろ!」

「あ、それもそうね……」

全裸のまま一方通行が指を指す。

「オマエが求めてンのはあっちだ」

結標の視界に映ったのは少女の姿をした幼い人物。彼はオドオドと恐怖に震えていた。
彼女のショタコンレーダーが言っている。
あれはショタだと。
その時、疾風迅雷もまさにそのこと、能力を使ったとしか思えない速度で結標は移動し、
素早く少年を抱きしめる。

「ひっ! なんなの、お姉ちゃん」

「かわいい!! ねえ、ボク、年と身長は?」

「じ、十才……138センチ」

「黄金期ね……」

恍惚の表情の結標に体を凍り付かせるショタ。
フルフェイスメットの少女は「お気に召されたようですね」と淡々と呟いて、続けた。

「超機動少女アワキン、ここに呼んだのは単にショタを与えるためではないのです。
見て下さい、全裸男二人とフルフェイスメットの美少女。
パトカーの音が聞こえるでしょう、この一帯は完全に包囲されています。
じきにここにも警備員がやってきますし、こんな不審者が集まっているのが
警備員に見つかったら厄介ですから、指定の場所まで飛ばしてくれませんか?」

フルフェイスメットの少女の言葉に、結標は確かにと納得し、頷く。

「私もいいショタを見付けた事だし、そのくらい安いわね。そう言えば、白衣の男もいるって話だったけど」

「まだ機械を弄ってるんですかね? あ、戻って来ました」

「そ。それじゃ、全員いっぺんに飛ばすわ。
あなたたち、反射とか防御能力は切った方がいいわよ。演算が狂うと危険だから」

一度に四人とはいくらなんでも適当な気がしたし、そもそも。

「おい、どこに連れて行く気だテメェら」

フルフェイスメットの少女と結標に垣根が問い掛けるが、その疑問に誰かが答えるより先に座標移動が発動する。

その場で視界に最後に映ったのは女装少年を恍惚の表情で抱き締めながら自身と少年の体も転送する結標。
あの少年の尻と巨根はさぞかし弄ばれるのだろうと直感したがもはやどうでもいい。


 

そして気が付けば、天井も壁も真っ白な場所に送られていた。

「ここはなンなンだよ」

「研究所みたいだが……」

病院のような印象を持たせるが、ただっ広い空間は何も入っていない空っぽの場所だ。
能力者の実験のために、こういったただ広いだけの空間を用意する施設はそれなりに多い。

「先ほどの場所から距離にして1キロ程度です。ここには誰も入って来ません」

「ふぅん……」

フルフェイスメットを被ったままの少女は続けた。

「……あなた方にはお伝えしなければならない事があります」

無機質な口調だが、少しばかり震えるような声だ。
今更超能力者に恐れを抱き始めたのとはわけが違うような色を帯びている。
言いにくそうに言葉を詰まらせるフルフェイスメットの少女の隣に立つ白衣の男は少女同様、
いやそれ以上に固まっている。

なんだか長い話になりそうな気がして、ふと垣根は思い出した。

「先ほどの」

「ちょっと待った」

決意を遮られたフルフェイスメットの少女だが、気分を害した様子も無く何かと尋ねる。
垣根は言う。

「俺らの服はどこに行った?」

スキルアウトに襲われかけたあの場所で回収した覚えなど無い。

垣根と一方通行は揃いも揃って丸裸のままだ。
性器含めて、その体の一切を隠すものがない。

……。

静まり返った空気が、二度とあれらの服が戻ってこないであろうことを示していた。

投下終わりナリ
あと新約10が出る前に完結予定


アワキンww


小5で女装とホモに目覚めるって自分だけの現実が凄そうだな…

あわきんが格好良く見える…

あわきんが通常運転で安心しました

完結なんて嘘だよね…


二人のアヘ顔ダブルピースも見てみたかったな…

それは見れなくてよかった

乙 どっちも掘られなかったか……( ´・ω・`)

元々はね、上条さんと土御門と愉快な仲間たちがホモの儀式上に迷い込んで
犯されるあのSSみたいなノリで書こうとしてたんだ
でもなんかうまくイかなかったんだ……次はうまくヤりたい♂
あと完結しなきゃならんのは次の巻で垣根の死臭が濃厚で垣根死亡時にショックで
1が死ぬ可能性が高いからです
バレが来るのは5月5日の夜か5月7日の夜と予想してるのでそれ以前に完結させねばならん
最後から二番目の投下


白衣の男からそれぞれ白衣とズボンを追い剥ぎし事無きを得た二人の少年に、フルフェイスメットの少女は語った。

自分が事件を引き起こしたという事、ずっとカメラで見ていたのですぐに来れた事。
呆然とした後、顔に青筋を浮かべて顔面筋をひくつかせる二人の超能力者だったが、どうにか堪えた。

「―――なんでそんな事しやがった? 返答によっては殺す」

暗部の殺し屋のオーラを全開にして垣根が問い掛けた。
少女は白衣を着ていた男、現在はワイシャツにパンツ剥き出しの男に顔を向けた。男は頷く。
少女はそれに応じて、自らの被ったヘルメットを外した。
その下から現れた顔は、御坂美琴と同じ顔。

「超電磁砲……?」

「テメェは!!」

驚愕する二人の脳裏に浮かんだ人物の顔は同じだが、別人だ。
垣根には気付けた。これは妹達の一人だ。
妹達になぜこんなことをされたのか。一方通行の実験と関係があるのか。

「ミサカは、超電磁砲ではなく欠陥電気。御坂美琴お姉様のクローンです」

正体を明かした彼女に続けて、隣に立っていた男もヘルメットを外して言った。

「こいつが存在する理由にはお前の受ける予定だった実験が密接に関わってる」

「実験だァ? 俺がホモに犯されることとどンな繋がりがあるってンだよ……」

「いやホモは直接関係無いからな」

天井は語る。
妹達が量産型能力者計画にて生み出されるも当初の超能力者量産の目標に到達しなかったこと、
しかし量産された妹達が絶対能力進化実験に流用されることになったことを、残忍なその実験の内容と共に。
そして、一方通行が絶対能力者を目指す精神状態を阻害し得る存在である垣根帝督の存在を危惧し、
引き離すために先ほどの事件を裏から手引きしたことを。

ここまで天井が語った後、一方通行が口を挟む。

「……つまり自分の手を汚さずこいつを能力者狩りの不良共を殺させようとしたってわけか」

「違う。殺すためじゃない。……お前達の関係が壊れるようにするために、だ」

黒髪の男、天井は一呼吸置いて言った。

「垣根帝督を不良に強姦された快感から受けに目覚めさせ―――
すなわちお前たちを受け同士にしてお前達の体の相性を悪くさせようとしたんだ」

「えっ」

「えっ」

幾度もの洗濯機の攻撃で萎びたトランクスを剥き出しにした中年男は深刻な表情をしている。
一方通行は目を白黒させ、垣根は空いた口を塞がらなくする。

だが垣根は我に返って天井の襟首に掴みかかる。

「いい加減にしろ!! これ以上ふざけた冗談垂れやがるならマジで殺すぞ!!」

「あばばばばばば」

前後に頭をガクガクを揺さぶって天井を嬲る垣根の腕を少女が握り止める。

「待って下さい! それが事実なんです、とミサカは」

「なおさらタチ悪ぃんだよおおおおおおお!」

そんなバカな話に一方通行まで巻き込まれたのか。
単にあの場で強姦されるどころか拉致されて一生犯され続ける羽目になっていたかもしれないのに。
全力で暴れ狂いたい気分だ。
この施設一帯を瓦礫の山に出来るだけの演算式が脳内に自然に組み上がって行く。

「つーかよォ……なンでそンな発想が出るンだ。狂ってやがる」

怒りを通り越して脱力した顔の一方通行が呟く。

「この男は悪くありません。ミサカが洗脳したのが原因なんです。
……愛し合う恋人同士に愛の試練を与えたくてですね。
だけど実際にあなた方が襲われるのを見ていると胸が苦しくていても立ってもいられなくなったのです。
凌辱はフィクションに限ります、とミサカは学びました」

「オーケェ、何もかも意味が分からねェが実験以前にオマエを殺した方がいいンじゃねェかという事だけは理解した」

引き攣り笑いを浮かべた一方通行が少女に手を伸ばす。
触れただけで人を殺せるその腕で、それはもう慢心の力を込めて彼は全力で拳骨を振り下ろし、鈍い音がその場に響いた。


―――


「でよ、一方通行。絶対能力者とかお前なりたいわけ?」

「興味ねェよ、ンなもン」

「それなら何も問題ねえか。もしお前がそれになりたいなら多少色々と考えるところだが、杞憂だったな」

うんうん、と頭を上下させる垣根になんだか訝しげな目を送る一方通行。
彼らの後ろには、一方通行と垣根から一発ずつ渾身の拳骨を食らって悶絶する中年男と少女の姿があった。

「漫画的に表現すればクマ耳みたいなタンコブが出来てます。とミサカは床の上で冷静な分析をします」

「……」

一方の天井は、垣根の拳骨の上から一方通行の拳骨を食らっており、
漫画的に表現すれば多分二段アイスのようになっている事だろうと激痛にのたうちながら思う。

そこへ垣根が話しかける。

「おい、腐ったオッサンとガキ。テメェらどうすんだよ。一方通行は実験なんてやる気ねえって言ってんぞ」

未遂であるうちに気が変わって救助に来たのだから今回はギリギリ拳骨で見逃してやらないことも無いが、
ついでにこれ以降も何かしら厄介事を押し付けてやろうと思うのだが、次にまだ何かやろうというのなら容赦はしない。

「そうだな。この実験計画は破綻する。どうしようもない」

床に倒れたまま、天井が答える。ミサカ801号がそれに反応した。

「では、ミサカ達はどうなるのでしょう? それに、ミサカ達の生産によるあなたの借金問題も」

「……どうなるのだろうな」

恐らくではなく確実に妹達は破棄される。
無理を重ねて生み出した彼女達の肉体の維持にはコストがかかる。それが2万人。
天井が調整することは出来ても、そんな資金は無いし、天井自身にも莫大な借金がのしかかってくる。
それを理解した上で、ミサカ801号の望むようにこの二人の能力者を助けてしまった。
何から何まで自業自得だが、とんでもない事をした。
得る物など無かった。

しかし実験が成功したとして、自分は何を得るのだろう。
名声とこの街での安泰を得るだろうが、それが何になるのかさえ、今はもう分からない。

押し黙る天井に反して、垣根は軽率なまでにはっきりと言い放った。

「死ぬだろうな。テメェも他の妹達も」

その言葉に僅かにでも反応するのは一方通行だけだ。

「この街は簡単に切り捨てる街だ。用途が無くなれば捨てるし、邪魔になれば消す」

単純な話だ。
一旦息をついて、垣根は言った。

「なあ、オッサン。お前本当はそのガキに死んで欲しくないんだろ」

今度は天井が反応した。

「なぜそう思った」

「俺がここにいるのがその証明だ。
こんなバカなことするからには、俺達にはテメェらの仕業と簡単にはバレねえようにしてたはずだ。
なのにこんな場所に連れ込んでわざわざ謝罪なんかしやがる。
そのガキの意思を汲んでやったって事は、テメェはもうそいつを単なる実験動物と見れねえんだろうが」

「……」

全くもって、その通りだった。だかそれを認めさせてどうする。
切り捨てられる側にどんな事情があろうが何の考慮もしないのがこの街だ。

「私がどんな思想だろうがそれが何になる」

「何も。俺がやることは変わらねえからよ。……製造の手間は多少省けるが」

周囲の誰にも理解出来ない事を呟き、

「また後で連絡する。テメェの住居くらいすぐに調べがつくしな。じゃあな」

と締めて垣根は首を鳴らして一方通行に振り返る。

「一方通行。お前はこいつらと話す事はあるか?」

「ねェよ」

「ならいいや。さっさと帰ろうぜ。道なんてすぐ分かるだろ」

「この格好でか……? 捕まるンじゃねェの」

「お前と違って貧相な肉体じゃないからいいだろ、別に。
露出狂みたいな格好の奴なんていくらでもいるから気にするな。
さっきのショタコン女とか、夏場になると人目も気にせず下着姿になる研究者もいるしな」

「……いや捕まるだろ」

一方通行は白衣の下が裸体である事はあまり分からないのでギリギリ許されるとしても、
上半身剥き出しの垣根はお天道様が許そうと警備員は許すまい。

「まあ、なら突っかかってきた警備員から追い剥ぎすれば解決だ」

「根本的な部分が悪化してンぞ!」


……遅々としてなかなかその場から出発しない二人の超能力者であった。


 

―――


「ふぅ……やっと帰ってきたな」

「オマエらのせいで余計に時間がかかったンだがな」

垣根の住む一室へと戻った時には、午後四時となっていた。
研究所から出る前にグダグダと揉めているとミサカ801号が研究所の一室に衣服が置いてあると
伝えてくれたのでそれを着用しに行ったところ、白衣やシャツ、手術着といった衣服が保管されていた。
下着の類も最低限置いてあったので助かったのだが。

途中からミサカ801号が折角ならイケないお医者さんゴッコやってみて下さいと調子に乗り出し、
垣根が悪ノリしたばかりに無駄に時間がかかったのである。

「つーかさ、イケない○○とか銘打ってるものって大抵イってるよな。
その確率は俺の知ってる中じゃ98%にも上る」

「知らねェよ」

あまりにもどうでもいい。
ソファにもたれかかる一方通行。
その細い体を包むのは先程の白衣のみ……ではなく、ちゃんとズボンも下着も装着していた。
ただでさえ白髪に白い肌なのだから、全身が白過ぎて目が痛くなりそうだが、よく似合っている。

昨夜に続いて、今日もコスチュームプレイというのもいいかもしれない。

(欲を言えばナース服も欲しかったってとこか)

カエル顔の医者に交渉してみようかと思い始める垣根を、何見てやがる、と一方通行が睨みつける。

「お前のその格好にムラムラしてただけだって」

「……バカか」

「で、俺は似合ってるか?」

にやけた顔のまま聞く垣根もまた上下の揃った白衣を着用していた。
それに一方通行の視線が注ぐが、すぐに目を逸らす。

「オマエが着るとAV男優がそォいうプレイに使ってるよォにしか見えねェ」

「おいコラどういう意味だ」

似合ってないと断言しないあたり、本音では格好いいとも、今すぐ抱いて! とでも思っているに違いない。
ニヤニヤと笑う垣根だが、聞かねばならなかったことを思い出す。

「そういや お前なんで俺が襲われかけてるところに来たわけ?」

「何で、っても偶然としか言いようがねェな。
近く通ってたら妙な雰囲気がして見に行ったら後はオマエの見た通りだ」

「おいおい、マジかよ」

なんという出来過ぎた流れだ。
ありえるのか、こんな事が。

「……やっぱり運命とか、お前と俺は前世からの因縁で懇ろな関係になる宿命だったのかね」

「オマエそォいうスピリチュアルなもン本気で信じてるのかよ。メルヘン野郎が」

「そういうわけでもないが……
俺のAIM拡散力場を無意識下で観測したってんならまだ現実的か」

能力者は何かをしなくとも無自覚のうちに能力の片鱗を流している。
例えば電撃使いであれば、微弱な電磁波を常時放っているように。
常時放たれている垣根のAIM拡散力場が非正規のAIMジャマーにより乱反射され、
その一部が遠方まで流れていたのをどこかで一方通行が感知したのか―――。

その時、一方通行は重要な事を思い出す。
あの時垣根の近隣を歩いていた理由を。

未だに牛フィレ肉を入手していない。
この近隣の店には無かったのだから再度探しに行くのも無駄な手間になるだろう。
肉屋に確認してから行くか、あるいは無理にでも配達させるか。

いや、今日はもういいだろう。どう考えても。
昼間は空腹で、どうせ自炊を試みるのであればあまりの分を作り置いてもいいと思っただけで別にそれほど、

「……クソ。面倒臭ェな」

一度やると決めた事をやめるのも癪に障り、部屋から出ようとする。

「ん、どこかに行くのか?」

「どォでもいいだろ」

「よくねえよ。お前が襲われるのが心配だから一緒に行くわ」

「……うぜェ。俺が窮地に陥るよォな状況ならオマエも同様って都合良く忘れンな、バ垣根が」

ボヤいた一方通行が振り返りもせず先に外に出て行こうとするのを見て垣根が苦笑した。

「今度は慢心しねーって。
……つか、お前財布も持たずに出て行くあたりちゃっかり俺の金当てにしてるな?」

ひょっとすると遠回しなデレなのかもしれない。
そう思っておくことにする。

「なぁ、一方通行」

「なンだよ」

もはや何度目とも言えないやりとりの後に、垣根は言う。

「あの実験のガキ共は俺が死なせない。だから安心しろよな」

「……はァ?」

突然の謎の宣言をする垣根に目を丸くする一方通行だが、垣根はこれ以上の詳細を語りはしない。

「どォいう意味だ」

「そうだな。いつかこの街が俺のものになったら全部教えてやるよ」

不敵に笑う垣根の言葉の真意は一方通行には分からないのだから、信頼も安心も出来るはずが無い。
なのに、垣根の有言実行ぶりを見ていると本当にそうしてしまいそうな気がした。

「つーか……クローンのガキがどォなろォが俺の知ったことじゃねェンだが」

「お前メンタル強くねえからあいつらが死んだら引きずるんじゃないの?」

「オマエ、俺のどこを見てそンな戯言ほざきやがる」

不満げな真っ白い少年。
自身の能力名を名乗り、本来の名前を捨てた彼。
自分の名前を常に自信を持って名乗る垣根とはまさに対極にある。

「……一方通行。名前ってのはアイデンティティだ。周囲と区分する個の象徴。
お前は持って生まれた人間としての名前を捨てて能力名なんか名乗ってやがる」

自分は超能力者という人の枠から外れた化け物だとでも思っているのだろう。
目の前にいる一方通行という呼び名を持つ少年が、その名前を使い始めたのは彼が街中で
能力を暴発させた後だという情報を見たことがあった。

世界の全てを敵に回せるかもしれないその力を持つ自分は、人間の名前を使っていい存在ですらないとでも思ったのだろう。

「自分という『人間』を否定して名前を捨てた奴の精神が強いとはとても思えねえな」

「何を、勝手に決め付けンな」

弱い声での反論だ。

「最強の超能力者だってのに、こんなに脆い精神じゃ世話無いよなぁ」

「黙れ」

苛立った顔の一方通行を垣根が引き寄せ、白髪に覆われた頭を撫でた。

「貧弱な精神とチンコしかねえチビセロリ」

「うぜェ調子に乗ンな」

「乗りまくるわ。なおかつ夜はお前に乗る」

子供のように頭を振って抵抗する一方通行が余計に小さく見えて、さらに撫でてやる垣根。

柔らかい感触が気持ちよくて癖になりそうだ。
その幸せを実感しながらも、先ほどの緊迫感を振り返る。

……油断していては先ほどのあんな格下の集団にさえやられてしまう。
この最強でありながらも脆い少年を守るためには、油断や隙など作ってはならない。

垣根は新たにそう覚悟を決め、一方通行の背に腕をまわした。

「おい、もォサカってンのかよ」

呆れたようにボヤく一方通行に、垣根は呟く。

「お前は俺がずっと守ってやる」

どこまでもありふれた陳腐な台詞と分かっていても、どうしても伝えておきたい言葉を。

「……」

表面から垣根の思想全てが一方通行に伝わることなど無い。
今をもってしても、垣根が本気で近づいてきた理由は不可解で、どこまで本気なのか今でも信じがたいものがある。
素性は怪しく、能力もどうも誤魔化しているようにしか思えない。
それでも、そんな垣根の言葉に縋りたいような思いが一方通行の内部に広がる。
なぜか少し息が詰まるような感覚がした。

もしかしたら、それはずっと欲しかった言葉だったのかもしれない。

「……チッ」

白い少年は舌打ちをする。
こんな言葉に充足を覚えているのを認めたくはない。
それを認めては他の事まで認めるようなものなのだから。
それにもう一つ不満があるのだ。

「離れろバカ」

「嫌だっつったらどうすんの?」

「ならせめて顔上げろ」

「あ?」

一方通行の言葉になんだかよくわからなそうな表情のまま垣根が従う。
その垣根の額に向かって一方通行が手を伸ばし、
バチーン! という派手な音を立ててデコピンを食らわせた。

「ぃいってぇえ!」

涙目になった垣根に、勝ち誇った顔をする一方通行。

「何が守るだ、バ垣根が」

どこまでもふてぶてしい顔のまま、最強の超能力者が言い放つ。

「俺を誰だと思ってやがる。この街で最強の超能力者だ。
ちっとばっか人の演算パターン知ったくらいの小細工野郎が偉そォな口を叩くな。
俺を守るだァ? ふざけンな。傲慢も大概にしろってンだよ」

三日月のように口を左右に引き裂いて彼は笑った。

「いいか、格下。俺はオマエに守られるよォな存在じゃねェ。
俺は無敵じゃねェし弱点くれェある。だがな、学園都市の頂点にいるのは誰だ。
この俺、一方通行だ。
守るとか、支えるとか、バカみてェな言葉で上に立ったつもりになってンじゃねェぞ。
必死こいて人の情報回収した上汚ない手段で脅して対等になろうとしたオマエとは
元々覆しよォのねェ絶対的な差があンだよ。オマエ、その辺ちゃァンと分かってンのかァ?」

狂ったような笑いを浮かべたまま一息に言い切り、迷いも躊躇いも無く最後に素っ気なく付け加える。

「ま、オマエなンかがどォしても俺に飼われてェってンなら、
……好きにすりゃいいンじゃねェの」

どこまでも傲岸不遜、上に存在するものなどこの世に一つとて無いと言わんばかりの奢りきった態度の男。

「テメェ」

垣根の口角がひくひくと動く。
全力で殴り飛ばしたい衝動の片鱗だ。

垣根の視線の先にあるのは、低い位置から見上げているのに見下している赤い目。
こんなにも華奢で、密着するほどに細やかさを実感する小柄な少年のくせに、あまりに憎たらしい。
本気で傷めつけて泣かせたくなる、神経にさわり苛立たせるその男。
だがその憎らしさが、どうしようもなく愛おしい。

垣根は一度、深い息を吐く。

「ムカついた。今のは本気でムカついた。流石第一位だ。
まったく、大したムカつきっぷりだぜ、テメェは」

「そりゃ結構だ。好きなだけキレてろチンピラ野郎」

小馬鹿にするというより完全に馬鹿にした顔の一方通行の顎を垣根が強引に掴み、
勢いに任せて唇を奪う。
何度も行ってきた、相手に奉仕するキスよりはるかに乱暴で
独りよがりなそれはほとんど噛みつくようなものだ。

乱雑な口付けを終えて、垣根も負けじと言いきった。

「その立ち位置がいつまでも絶対だと思ってんじゃねえぞ。
テメェが気付いた時はとっくに手遅れになってるぜ」

「はっ、威勢だけは立派なこって。出来るもンならやってみな」

「すぐに奪い取ってやるから待ってやがれ」

第一位という立ち位置も、メインプランという役割も一方通行から奪ってやる。
宣戦布告だ。

ある時垣根は一方通行に「俺はお前の恋人であると共に家族であり友人でもある」と言った。
それだけでは足りない。
ライバルという関係も得たのなら、あとは同僚ともなれば一方通行と持ちうる関係を制覇したと言えるだろう。
とは言え、暗部に一方通行を引き込むのは御免だ。ならば。

(そのうちどっかの学校にこいつと編入してみるか?)

複製体が作れれば暗部の仕事はそちらに丸投げも可能なのだし。

そんなことを考えながら、垣根はもう一度、憎たらしい顔のままの一方通行に口付けた。

投下終わり
次回で多分終了でありける
2~3日で来なければならない


なんか凄い純愛っぽく見えないこともないような気がしないでもない
ニヤける


垣根は死なないよ
我々の心の中で永遠に生き続けるよ!


あと少しで終わるのか…初めて最初からリアルタイムで追ってたssだからさびしいな

今まで見てくれた皆さんありがとうございます
ついでに僕を死刑にしてください
元々なんも考えず立てたこのスレがなぜこれほどホモになったのか本当に分からないです
だけどよくよく思い起こせばある時に糞と少年を迂闊にも見た関係で精神が汚染されていたせいなのかもしれません
深淵を覗き込むとき深淵もまたこちら側を覗き込んでいるとかそういうことなんだと思います
あれを興味本位で見ると死にますのでご注意ください
なにはともあれ完結だうきゃきゃきゃかけかいあjl:いEAH:いwhsyCHINPO
投下


―――五月初旬、オーストリアのザルツブルク一角にて、一組の男女の姿があった。

そのうちの一人は肩までの長さの茶髪の少女。
もう一人は、全身が真っ白な長身の少年。

少女が言う。

「果てしなく遠くに流されてしまったものですね、とミサカは嘆息します」

少年が答える。

「あまり多くの人数が一つの場所に集まるわけにも行きませんから……。
住めば都と言いますし、すぐに慣れますよ」

絶対能力進化実験の停止後、妹達は世界中に散らばることになった。
彼女らを一部の個所で一斉に肉体を調整していては、同じ姿である彼女らが外で迂闊に出ようものなら
大量生産されたクローンであることがさすがに誤魔化せない。
彼女たちには各々専用の調整役がついているのだから、極力世界中に散らばっているべきというのが上の意見だった。

少女こと、ミサカ10501号は白髪碧眼の少年に何とも言えない顔を向ける。

「ミサカは本来であれば実験で死んでいたはずでした。ですが、ミサカの運命は変えられてしまいました。
これからミサカはどうすればいいのでしょうか。とミサカは垣根帝督の能力の10497番目の端末であるあなたに問います」

色調と整った造形により、無機質な造形物という印象を持たせる少年―――
少女の肉体のサポートのために生み出された彼は有機的な微笑で返した。

「それはこれから見つければ良いんです。
あなたにはいくらでも時間がある。不足があれば私が対応しますよ」

幸いにして世界中に点在する学園都市の外部機関に協力すればそれなりの金銭は得られるし、
それ以前にあらゆるものを生み出す少年が隣につく限り生活上の心配など不要だ。

「それにしても……なぜここまで垣根帝督は動いたのでしょう?
あなた方を生み出すのはかなりの手間だったのでしょうし」

不思議そうな顔で少女は呟く。

「それはやはり、惚れた相手に殺しをさせたくなかったからでしょうね。
垣根帝督は幼少期よりいわゆる浮きこぼれで対等な存在がいませんでしたから、
知る限り唯一自分以上の存在である一方通行への執着は並ならぬものがあるかと」

「そうですか。……ところで、垣根帝督と一方通行は男性同士なのでは? とミサカは困惑します」

「真性のホモだから仕方ないんですよ、彼らは」

「ああ、801号達が大好きなアレですか……。
生ホモ劇場と称して垣根帝督と一方通行の映像が時折ミサカネットワークに流されていますが、
あれは本物だったのですね、とミサカは納得します」

「映像を見た時点で気付いて下さい。
……いえ、やっぱりそれに気付かない純粋なあなたのままでいて下さい」

微妙な空気が漂い始めた。
白い垣根がそろそろホモの話から離れたくなったあたりでミサカ10501号が問う。

「あなたもホモなのですか? とミサカは」

「断じて違います」

大変よく通る声で一刀両断する白い垣根は、別の話題に切り替える。

「そんな事よりも何かやりたい事はありませんか? 折角の美しい街並みですし……」

「やりたい事、ですか。強いて言えば、野生のコアラを見たいですね、とミサカは
露骨に話題をそらしたあなたに訝しげな視線を送りつつ答えます」

「ここはオーストリアなのでいませんよ」

「えっ? ここはオーストラリアではなかったのですか?」

「……。
まあ、動物園にならいると思いますよ。コアラ」

衝撃を受けているミサカ10501号の手を取り、白い垣根は動物園を求めて歩き出す。


 

―――同日、学園都市にて。


「不公平です。とミサカは文句を垂れます」

「突然何を言ってるんだ?」

不貞腐れたような顔をするミサカ801号に天井が問い掛けた。

「垣根帝督の生み出した白髪碧眼ぐう聖イケメンを連れた個体と
こんなオッサンしかいないミサカ達とでは待遇に天地の差があります、
とミサカも文句を垂れます」

ミサカ801号に同調したのはミサカ1801号であった。
呆れまくった顔をする天井。

「お前達がホモ祭と称して垣根をホモ集団に襲わせたのが原因だろう」

「ミサカ801号がミサカ達を誘惑したのが原因なのです。ミサカ達はとばっちりです。
とミサカはこれでもかと責任の所在をミサカ801号に押し付けます」

「お前もほぼ同罪だろうが。やんのかコラ。とミサカはミサカ4801号にメンチを切ります」

「やっちまえ! とミサカは囃し立てます。
ついでにミサカ4801号の勝利に150ジンバブエドルを賭けます」

「ではミサカはミサカ801号に200ジンバブエドルを賭けます」

ワイワイと騒ぐ少女達。
あまり騒げば人に見られるかもしれないと天井は危惧する。

「病院では静かにしろと言ってるだろう、お前達」

……天井の声に耳を貸す者は無い。
いつも通りである。

そこへ、カエル顔の医者が現れる。

「元気そうだね?」

「あ、お疲れ様です」

恭しく礼をする天井にとって、現在のカエル顔の医者は恩師だった。

絶対能力進化実験の中止により、妹達の処分や莫大な借金問題に打ち震える天井であったが、
垣根と繋がりのあったカエル顔の医者が行き場を失った天井やミサカ801号達を拾い上げたのである。

事の次第はこうだった。
垣根帝督の未元物質により2万人の妹達の延命が可能になったとのことを、カエル顔の医者が天井に伝えた。
しかし垣根帝督の支援は妹達のみで、また強姦事件の罰だコラとばかりに事件の裏にいた4人の妹達は
天井の自己負担で養えと頑として聞かなかったという。
肝心の天井と言えば、借金が全て降りかかってきて自らの生活すら危うい状況。
万時急須といったところだったが、そこを自身の病院で天井や妹達に働いてもらう代わりに生活の保障をし、
妹達の調整器具も貸すとカエル顔の医者が申し出たのだった。

カエル顔の医者の前でも相変わらず四人の少女は好き放題である。

「オラオラオラオラオラオラとミサカはミサカ801号にオラオララッシュをかまします」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄とミサカはミサカ4801号の攻撃を無駄無駄ラッシュで迎え撃ちます」

平和の表れなんだろうと思えば微笑ましくも思えるのだが、この戯れは延々と続きそうだ。
こんな階段の踊り場で寄り集まってこんな事をしているのは部外者に見られるわけにもいかないので、
そろそろ止めようと天井は動き、ミサカ801号とミサカ4801号の仲介をし損ねてダブルパンチを食らうのだった。
女の細腕とはいえ軍用クローンのパンチ力、推して知るべしである。

そんな天井をさして心配することも無い喧嘩の部外者であるミサカ1801号は思い出したように呟く。

「そう言えば、現在の一方通行と垣根帝督はどうしているのでしょう?」

これに答えたのはカエル顔の医者だった。

「ああ、彼らは今は学生らしく学校に行っているよ」

「なん……だと……?」

動揺の波がその場の全員に広がった。


 

―――


一方、妹達が騒いでいる病院からしばらくの場所にて。

「よ、一方通行。久々に一緒に飯食おうぜ。まあ今日の朝も同じベッドでウィダーインゼリー吸ったけど。全裸で」

「……」

ごく普通の生徒の集まる教室がざわめく。
無駄に目を引く風貌の垣根が、無駄に目を引く風貌な上に学園都市第一位と全校生徒に
大々的にバレている一方通行に爆弾発言をするのだから当たり前であった。

「あ、冗談だ冗談。マジにしないでくれ。それより早く屋上に行こうぜ」

無言のままの一方通行を更に垣根が誘った。
無駄に嬉しそうな顔の垣根だったが、次の瞬間その笑顔は歪なものとなる。
音もなく、視認が困難な程の速さで一方通行の手のひらが垣根の顔を掴んだからだった。

「ぎゃ」

「妙な発言すンのは大概にしろってンだろォが」

底冷えするようなその声だが、垣根は一切気にすることはなく、その手を引き剥がした。

「そんな事より早く屋上行くぞ。
一昨日バカが打ち上げ花火してくれたおかげで折角立ち入り禁止になってんだし、
二人っきりの屋上ランチと洒落込もうじゃねえか」

「嫌だっつったらどォする」

「犯す。お前を。ここで」

「……」

本気の目をする垣根。
脅威を覚えた一方通行は渋々従ってやることにする。

教室中の視線が刺さるが、もう気にしてはいけないのだろうと一方通行は考えて音を反射することにした。

屋上へ向かう途中の、人気のない場所で垣根が一方通行に話しかける。

「もう学校は慣れたか?」

「……保護者気取りか」

「いやだってお前真性のコミュ障だし」

その言葉をそっくりそのまま反射したい―――と思う一方通行だが、現状、垣根は外面はそこそこまともにしているので
そういうわけにもいかない。
この事実を思い返した一方通行はため息交じりにボヤく。

「……何が悲しくて今さらこンな場所に来なきゃならねェンだ?」

学園都市第一位。その開発された頭脳に相応しい知識などとっくの昔に収められている。
学園都市内でもごく中流であるこの高校に今さら編入するべき学力などではない。

そんな不服の色をあらわにする一方通行に嘲るような顔を向ける垣根。

「俺がお前と学園ラブコメするために決まってんだろ」

「それ本気だったンかよ……」

先ほどよりも更に、遥かに深いため息をつきながらがっくりと肩を落とす一方通行。

ほんの一週間前のことだった。
垣根が唐突に一方通行と共にとある高校へ編入手続きを済ませてしまったのだ。
ふざけンじゃねェいい加減にしろと散々抵抗した一方通行だったが、結局弱みを握られている以上抵抗しきれず
渋々この学校へと毎朝足を運ぶことになった。
よりにもよって、あの屈辱的な忌まわしい思い出の染みついた学校に。

能力について知られてしまえばかつてそうだったように、周囲に畏怖されてしまうのだろうと一方通行は考えていた。
全てを伏せておきたいところだったのだが、転入したその日にはどこからか情報が漏れていたようで、
一方通行の力と地位はとっくに知れ渡っていた。
だが、どういうわけかこの学校ではかつてと同様の状況にはならなかったのだ。
一方通行は問題を起こすでもなく、ただ優秀な力を持っている程度の存在と認識されるにとどまった。

かくして、「学園都市第一位だけど以外と普通の人」という地位を確立出来た一方通行だったわけだが、
結局持ち前の素晴らしいコミュニケーション能力によりあまり友人が作れないままであった。
それなりに話しかけてくる変わった人間もいるのだが。

こういった状況を思い返す一方通行だが、今も腑に落ちない部分はあった。

「くっっっだらねェ理由で学校なンか入れたくせにめでたく別クラスになって残念だったなァ、バ垣根」

垣根のことだから無理をして同じクラスに入りたがるように思えたのだが、どういうわけか垣根は
一方通行の所属するクラスの隣に入ったのである。
一方通行の言葉を受けて、垣根はにやにやと笑う。

「へー、寂しいのか? 家でも一緒なのに」

「なわけねェだろォが」

不機嫌そうな顔を作る一方通行の頬をつつき、次の瞬間手を叩かれてから垣根は言う。

「本当はお前と同じクラスで前後の席に座って授業中に紙くずみたいな手紙のやり取りしたかったんだけど、
同級生ラブってのもありきたりだしあえて別クラスにしたんだよな。
授業中にグランドで体育を受けるお前の観察とかしたかったし」

よく分からない理由である。

「その観察ってなァ窓際の席でしか出来ねェだろォが」

「毎回窓際になるように細工すりゃいいだけ」

その方法については言及しないことにする一方通行だが、まだ言っておきたいことがあった。

「つーかよ、寂しいのはオマエだろォが。毎日毎日昼休みン度に来やがって。
オマエ、うちのクラスで既にゲイ疑惑が浮上してンぞ」

「ええー? 俺は一方通行が好きなだけなのに」

「だから外でその態度を取るなってンだろ!」

通学に関しては死ぬほど譲歩して従った一方通行だが、実際肉体関係がある点だけは隠せと
最低限の交換条件は突き出していた。
しょうがねえな、と頷いた割に垣根は先ほどの教室に現れた態度の表す通りの言動はやめない。

だが垣根は悪びれない。

「問題ねえよ。パーソナルスペースが狭いと認識されるだけだ。
ノリのいいイケメン気取ってるから俺は」

「ああ、そォ……」

「少なくとも学校じゃまだエロいことしてねえし、いいだろ?」

含みのある声を出す垣根。
遠からずセックス・イン・ザ・スクールするぞと言外に言われているのを感じて固まる一方通行なのだった。

さて、そこからさらに歩けば屋上への入り口に到着した。
「立ち入り禁止! 勝手に入ったら100叩きなのですよー」
という張り紙が扉にあったが垣根は無視してそれを開く。

鍵はかかっていない。

「チッ、先客か」

ルールを進んで破る不届き者などいくらでもいる。ただそれだけのことだった。

「二人っきりの屋上ランチからのしっぽり屋上アオカン計画失敗だな。
まあいい。今日までは健全な昼休みにするか……」

「先客に感謝するわァ、マジで」

「お前に他人に感謝する感情があるなんて驚きだ」

「……」

一方通行は本当に目を丸くして見せる垣根の脛を蹴りながら無理やり進ませて屋上に入る。
広々とした青空の下の屋上には三人の男子生徒がいた。

「ン、あいつらは……」

やたらと目立つ青い髪の少年。
金髪とサングラスが特徴的な少年。
黒髪のツンツン頭の少年。

通称:デルタフォース。一方通行の所属する1-7の3バカ達である。

「上条当麻と土御門元春、青髪ピアスか」

目を細める垣根。

ツンツン頭の少年は上条当麻。他の生徒に比べ、不自然なまでに情報が伏せられている謎の少年。
その右手は能力を打ち消すという噂がある。近々調べようと垣根が思っていた人物。
金髪の少年は土御門元春。暗部においては敏腕スパイと有名な男。
学校では猫かぶりらしく にゃーにゃー言っている変人だが、その実垣根の正体もとっくに気付いているのだろう。
そして青髪の―――なんだろう?

とかく、なかなかにきな臭いメンツが集まっている。
ここで食事をしていいものかと僅かに逡巡する垣根だが、その思考はあっさりと途切れさせられる。

「お、一方通行と垣根じゃねーか。お前らも今からメシか?」

人のよさそうな笑みを浮かべた上条に手を振られたからだ。

反応しない一方通行だが、代わりに垣根が答えておく。

「ああ。これからラブラブランチタイムだよ」

「やっぱ屋上で食うと旨いよな」

特に含みもなく上条は応じる。
頻繁に一方通行のクラスに訪れるだけに、垣根はとっくに1-7の面々とは顔なじみだった。

「色々と怪しくなるくらいに仲いいよにゃー」

「……そ、そうやね」

とっくに色々なことを知っているであろう土御門。なぜか顔をひきつらせる青髪ピアス。

(そういや、この青い髪の奴ラブホで会ったっけ)

今の今までコロッと忘れていた事実を思い出す垣根だが、現状青髪はホテルで垣根と会ったことを吹聴していない。
青髪にとっても忘れたいであろう記憶なのであまり気にしなくてもいいだろうと判断する。
それどころかむしろ弄んでやろうかと意地の悪い事すら考える垣根。

「……」

他方、一方通行はとっとと食事してしまおうとさっさと歩みを進めてしまう。
そこに、さらに上条が話しかけた。

「折角だから一緒に食わねえ?」

「!」

面食らったような顔をする一方通行。
一方通行が断りを入れる前に土御門が口をはさむ。

「おいおいカミやん。そいつらはデキてんだから邪魔はいかんぜよ」

「つっちーの言うとおりやな……」

余裕の態度の土御門、軽く怯える青髪のその言葉に一方通行が小刻みに震える。
そして耳が赤らんできていた。

(そんな態度取ったらガチだってバレんだろ)

それは口に出さない垣根がなんとか誤魔化しておく。

「お前らが良ければぜひとも」

イケメンフェイスをフル活用したこの上なく爽やかな笑顔を作る。
土御門が爆笑をこらえていた。後で腹パンしてやろうか。
そんな垣根の淀んだ内情に気付かないまま上条が笑った。

「良かった。お前らともっと話してみたかったんだよなぁ」


―――

「へえ、お前ら部屋が隣なのか。俺と土御門もそうなんだ」

「家が近いと自然と仲良くなるよな」

上条に平然と嘘をつく垣根だが、万一を期して隣の部屋の住人を「あくまで合法的に」追い出して
一方通行の家という風にしておこうかと考える。
その横では、一方通行が弄られていた。

「やっぱ第一位ともなれば女の子にモテモテなんやろ?」

「……ンなことねェよ」

「どっちかと言えば男にモテそうだしにゃー。垣根や垣根、垣根とかに」

「……」

冗談で流すというのが出来ない一方通行は土御門にとってはいい玩具である。

「学校ってのはいいシチュエーションが揃ってるしにゃー。保健室、放課後の教室、体育館倉庫と。
あ、案外既に制覇してるのかにゃー?」

「ンなの、するかクソ」

「ナニを誰と想像したのか実に気になるぜい」

……そのサングラス粉々にしてやろうか。
土御門のニヤケ面に全力でパンチをしたいのを堪える一方通行の顔は既にかなり赤い。
健全な会話をする垣根は弄られる一方通行を横目で楽しんでいたが、ふと気付く。

「飲み物持ってくるの忘れちまった」

垣根の言葉にすぐさま反応する3バカ。

「俺はウーロン茶」「コーラでいいにゃー」「メロンソーダが飲みたいわぁ」

「おいコラ。誰が奢るっつったよ。
あ、ここの自販機の一つにミカンワサビとか梅焼き芋サイダーとか
アロエざざむしとかいうジュースあったからそれ買ってくるわ」

カワンデイイ!
一斉に大合唱するデルタフォースだが垣根は気にせず一方通行に聞く。

「お前は何がいい? 塩辛オリーブってのがあったが」

「コーヒー」

「納豆パインってのも、」

「コーヒー!」

「味噌風トカゲブレインは?」

「コーヒー!!」

「好き嫌い激しすぎんぞお前。おかしな奴だ」

「おかしいのはオマエだァ!!」

頭を振って観念する垣根は、周囲の面々に軽く断りを入れてからジュースを買いに向かった。

「……」

そして取り残される一方通行。

「垣根がいなくなって寂しそうだにゃー」

「違ェっつかうぜェいい加減にしやがれ。生き埋めにすンぞ」

「ごっつ怖いわぁ。さすが第一位やね」

軽薄な笑いを浮かべる土御門と青髪。
学園都市第一位に対応するにしてはあまりにも軽い態度じゃなかろうか。
一方通行が気紛れに腕を振るうだけで人間などあっけなく殺せるのに。

(……この学校の人間はよっぽど馬鹿なンだろうな)

と一度考えて、思い直す。
過干渉してくる垣根を相手にさほどの暴力を振っていないのを周囲に観察されていたからこそ、
多少気安く接しても問題のない存在だと判断されたのかもしれない。

「……」

ため息をつく。
他人に絡まれるなど疎ましいだけだというのに、またあの男のせいで面倒な事になったようだ。

そんな一方通行に上条が声をかけた。

「そう言えば、一方通行ってどんな能力なんだ?」

「あァ?」

「その名前と同じ能力。どんな力なのかちょっと思いつかないよ」

確かに一方通行とだけ聞いてその中身を理解できる者がいるとは思えない。

「俺の能力はベクトル操作。
力の向きを変換するだけ……人殺しにしか活かしよォのねェ力だ」

「清々しいまでの中二発言だにゃー」

「オマエ血液逆流させンぞ」

このグラサン男は必ずシめよう、そうしよう。
一方通行の心に「土御門 放課後 呼びだし」というメモが書き足された。

「ベクトル操作なんてすごく便利そうだけどな。料理も風呂掃除も楽になるし……。
無能力者の上条さん的には羨ましいですのことよ」

「カミやんの羨ましがり方みみっちいわぁ。けど、カミやんもけったいな能力あるやん?」

「?」

青髪の言葉に一方通行が反応した。
その視線に気付いた上条が応じる。

「ああ、俺にはさ、能力を打ち消す力があるんだ。って言っても、右手の先だけなんだけど。
俺は『幻想殺し』って呼んでる」

「……あァ?」

「この右手があるおかげで身体検査の結果は永久に無能力者認定なんだよなー」

なんでもないことのように上条は続けた。

能力を打ち消す力。そんな力など聞いたことがない。
それが事実ならこんなごく普通の学校に通わせてもわえるなどありえるのだろうか。
この街に見逃されているなど―――。

「その幻想殺しってなァ本当なのか」

「おう。なんならちょっと試してみるか?」

上条の態度を見るに嘘偽りがあるとは到底思えない。

「言っておくが俺は本物の学園都市第一位の超能力者だ。
その俺の力が打ち消せる、なンて事は」

「ある。俺の右手は神様のシステムさえ打ち消せるんだぜ?」

上条は自信満々である。
この鼻を明かしてやりたいと一方通行はつい嗜虐的な思いを持つ。

「なら、やろォぜ。立てよ」

「いいぜ」

その場から立ち上がり、土御門と青髪の見守る前で二人の少年が対峙する。
真っ白なさらさらとした髪の少年。ツンツンとした黒い髪の少年。

こい! とばかりに上条は右手を突き出している。

「……」

ひとまず一方通行は躊躇いもなく屋上を踏み、その床を砕く。
「あ」と上条が声を出す。
それにかまわず石ころとなった床の断片を軽くベクトル操作で蹴りあげてその右手に飛ばし―――

「いったーっ!」

「!!?」

悲痛な声を上げて上条が右手を上に突きあげてその場でピョンピョンと飛び跳ねた。

「ンだよ、嘘じゃねェか」

はぁ、とため息をついて呆れ顔になる一方通行。
神の奇跡すら打ち消せると豪語していたのになんという体たらくだ。

「違うって! 俺が消せるのは能力そのもの!
能力の二次的な物理現象までは打ち消せないの!」

「それを先に言え!」

爆笑する土御門を青髪の声をBGMに、今度はどうやってその力を証明させるか考える。
そこで、うってつけの方法があるのに気付く。

「そォだ。言い忘れてたな。俺は能力の応用で常時反射してる。
自分に向かってくるベクトルを音みてェなもンを例外として基本的にほとんどのもンをな」

「なんだそれ!? チート臭ぇ!」

「つまりオマエが本当に能力を打ち消せるってンなら、俺を殴ることも可能だ。
そうでもなきゃ、オマエの拳が潰れるだけだからなァ」

不敵に笑う一方通行は挑発する。

「俺を思いっきり殴ってみろよ。それが出来たらオマエの力を信じてやる。
幻想殺しってヤツをこの最強の超能力者様のお墨付きにしてやンよ」

「別にして欲しくは……いやなんでもないです。はい」

上条は少しばかり悩む。
こんな細身の少年を殴っていいのだろうか?
ほんの少し軽く触れる程度でも事足りるはずなのだが。
いや、これまでに不意に現れた垣根が接触した時に反射されていないのを見るに、
多少の衝撃程度は反射しないようにしているのかも……

ここまで考えて、ほどほどの勢いで力を使うことを決める。

「よし、分かった。じゃあ行くぜ」

「さっさと来やがれ」

てい、とばかりに上条が一方通行めがけて拳を寄せる。
途中でその手を開いて肩をつかむ形になるようにし、

「!!」

本当にその肩に触れる。
見た目以上に細いその肩は子供のようで同世代の男と感じられない―――
そんな感想を抱いた上条。
だがその肩は力が抜けたようにがくりとバランスを崩し、そちらに体重を預けていた上条もまたそれに引き寄せられて。

「ぐあっ!」

「がァァ!」

見事に音を立てて転倒した。


―――


「コーヒー売り切れてたから色が似てるコーラにしたけど、まあなんだかんだであいつは飲むだろ」

屋上階段にて垣根が独りごちる。
その手にあるのはコーラ2つ、メロンソーダ、ウーロン茶とアイスティーであった。
なんだかんだ言いつつもリクエストされたものは買っておいたのだ。

「……この俺も丸くなったもんだな」

そう自嘲しながら、垣根は屋上行きの扉を開けた。

その彼の目に映った光景。

地面に仰向けに倒れた一方通行。
の上に四つん這いになっている上条。
その二人の顔の距離は果てしなく近い。キスでもしたのかというくらいに。
それを至近距離から観察する二人の男子高校生。

「ファッ!?」

頓狂な声を上げる垣根。

何があった。何があった。ナニがあった?
不純同性交友? セックス・イン・ザ・スクール? セックス・アンダー・ザ・スカイ?
あるいはそれの直前?

アカンフラグが

深呼吸する。
もう一度二人の少年を見る。光景は変わっていない。

垣根はその方向へと無言で、滑るような速足で駆け寄った。

「何してんだ? お前ら」

色は無く、抑揚はなく、温度もない。
無機物的な声でその場の全員に向かい問いかける垣根。

不可視にして確かな恐怖がその場の空気を無色に淀ませていく。

異常な雰囲気を感じた上条は弾かれたように一方通行からその身を離す。

「い、いや、ちょっと試してみろって一方通行に言われたから」

「へぇ。試す、ねえ。何を?」

「それは、その」

世界の法則が歪んでいくような威圧感に上条は言い淀む。

「おいおい、言いにくいことなのか?」

「いやそんなことは」

なんでこいつこんなに怒ってるの? 何を考えているの?
よく分からないが本能的な危機感に圧倒される上条。

垣根は上条と、どこか狼狽した表情の一方通行を見比べる。

なんにせよ、いい機会かもしれないと考えた。

この上条なる男、一見して無害だが侮れない人物なのだ。
そのフラグ構築力は並みから遠く離れた絶大なもので、5月頭の現在でも既に彼のクラスの女子の大半が
彼にフラグを立てられているのである。
風の噂によればホモにも人気があるのだとか。
そんな人物が一方通行に接触するのであれば、牽制をかけておくのが賢明と思えた。

「上条」

「は、はい?」

困惑する上条に微笑み交じりに話しかける垣根。
上条と視線を合わせるための彼は膝立ちになり、馴れ馴れしく上条の背に腕をまわして

「~~~~~~!!????」

ズッキュゥゥゥゥン!! とばかりに上条の唇に自身のそれを重ねた。
それは情愛などと言うものではなく、どちらかと言えばコウモリが血を吸うのを思い起こさせる光景だった。

「さすがゲイ督だぜい……オレ達に出来ないことを平然とやってのける」
顔面筋を強張らせた土御門はこうコメントしたのである。

隙間のない唇同士の接触に意識を吹き飛ばしかける上条の脳内にはこれまでの人生が走馬灯の如く再生された。
その映像は夜空の星が瞬くような、きらきらとした燐粉に彩られていて、まるでこれから死に向かっているのではと
どこかで感じさせるものだった。
ノンケの世界で生きてきた上条にはそれほどに衝撃的な事件であり―――

「ふう」

息をついて垣根が上条から顔を離す。
上条は目を見開いて硬直したままだ。
一方通行、土御門、青髪の全員が一様に呆然としたままだ。

それに構うことなく垣根は言い放つ。

「なあ、上条。お前がどんな意思を持ってるか、ってのはこの際どうでもいい。
だが……今度一方通行に手ぇ出しやがったらテメェのケツ犯すからな?」

中指を天に向かって突き立て、素晴らしく淀んだ笑顔を作りながら。

「出さねえし今も出してねえ……」

呆然としたまま上条が声を絞り出す。
ミイラに声があるのならこんなものだろうという声を。
土御門が噴き出すのと、青髪が顔まで青く染めるのと、一方通行が垣根に殴りかかるのは全くの同時であった。

「痛い痛い!」

「オマエ学校終わったら覚えてろよォォ!?」

「あっ、嫉妬してやんの。可愛い奴め」

HAHAHAと笑う垣根の顔面に容赦のない拳がブチこまれる。
垣根の顔から鈍い音が上がり、その一方では人生初めてのキスが容赦なく奪われた上条が眼に涙を浮かべて
「穢された……上条さんの純情が……」と呻いた。

屋上に侵入した不届き者への制裁のために吹寄が巨乳を揺らしながら走ってくるまで、
そんな馬鹿馬鹿しい昼休みが続く。


―――他人にとってはどうでもいい時間で、どうでもいい経験。どうでもいい日常。
その空間にいる感覚は、紛れもなく幸福というものだ。
それをしみじみと垣根は感じる。

暗部という闇の側の住人がこんな日の下にいるのは、本来おこがましい事は理解している。
それでも一方通行と過ごすこの日常は、何があっても壊れてほしくない。

垣根が世界中にばら撒いた端末から送られる情報の中には、未知の法則の観測例がいくつもあった。
この街で生きる上で見つけることの出来なかったオカルトめいた現象。
この世界にはまだまだ知らない事実が大量にあるのだ。

一方通行はこれからも何度でもこの街の上層部にいいように扱われるのだろう。
当然、自分も。
だが自己の端末を介して得られる新たな知識。新たな思考。
それら全てを十全に扱えば、無限の可能性が開けるはずだ。
あらゆる悲劇も絶望も全て己の持つ無限の力で捻じ曲げる。
日の光の降り注ぐその場所で、とある超能力者はそんな思いを胸に言葉にして誓う。

「お前は誰にも穢させねえ。俺以外にはな」

「こ、ンのバカ野郎が!」

この場においてのこの発言は下半身的な意味でしか捉えられず、
さらにグーで殴られたのは自業自得であったわけだが。

  \   / /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: )  し  俺. え

    \ l /:::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::く  た. と   っ
       /::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  い セ . 何
  `ヽ、  |::::::::::::::::::/:::/ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ノ  っ  ッ . ?
       |、:_y::/::/ー-_}:::::::`i::::,::::::::::::く   て  ク
  ``''ー- /、'l::::/ ゙̄´彑,ヾ}:::/ }::;::::::::::::::::)  ? ス

        ゙ソ   """"´`/  }::::/::::::::::::::〉     
        /          //}:::::::::::::::|          r
  ≡=- 〈´ ,,.._        i  't::::::::::::| ,へ      ,r┘
  ,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l::::}::::::}:レ':::::::ヽr、⌒ヽ'

          ゙、`--─゙      /!::ノ::::::ヘ::::::::y::ヾ:::::ヾ
    _,,、-     ゙、 ー''    / ;::/ y  \::::ヾヾ::::::ヾ
  -''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /     ヾ  ヾ 、\
  -''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ
     //    /     ヾ_、=ニ゙
                           ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                            d⌒) ./| _ノ  __ノ



それとありえないとは思いますが万一こんな変態スレをまとめようというサイトがありましたら勘弁して下さい
既存分の納められたSSまとめ速報とホモスレだけ収集したような個所だけはもうまんたいなんですが
すいませんマジで許して下さい!なんでもしますから!

ん?


なんでもするってんなら垣根先生の処女くれ

乙!

なんでもするか
よしでは続きを書きたまえ


ん?
今なんでもするって言ったよね?
次スレも期待してるぜ


乙!面白かった!
ゲイ督と一方さんのイチャイチャ萌えるわ

なんでもするって言ったよね?ん?

乙!
面白かったわ

何でもするんだろ?さぁ続きをかくのだ


面白かった、本当に面白かった
あの上条さんの唇をあっさり奪うとはさすが垣根だぜ……!

本当に乙ですわ、二人の学園生活もっと見てみたくなるね

例のバレ師は最後まで来ず
新刊で垣根死ぬと思って縄買ってたんですが出番無くて一安心の1です
縄は数ヶ月は御蔵入り
一方通行が安定のホモだったりビリビリしたりあの人がfigma化したりなんかもう色々な巻でしたが
とりあえず生き残れたのでまた不健全なSSをそのうち書きたいです
これの番外編的な学生らしい青春スペクタクルでも書こうと思ったこともありますが
無駄に長くなりそうになったので別のSSに転用することにしました
今は目、鼻、口の全てから血を流しそうなほど時間が無いのですがいつか書きたいです
そういうわけでうっかり忘れていたhtml化依頼を出してきます
また会う日まで☆

乙かれー

楽しみにしてる!



待ってます!

楽しみにしてるぜ!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月11日 (木) 03:33:43   ID: JRoygK-H

素晴らしい

2 :  SS好きの774さん   2015年02月12日 (木) 15:28:45   ID: JZWFDnfo

非の打ち所がない

3 :  SS好きの774さん   2017年03月26日 (日) 11:03:25   ID: 8gklppdx

神はここにいた

4 :  SS好きの774さん   2020年01月18日 (土) 23:05:28   ID: f39AkbJd

普通に面白くて草

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