穏乃「勝つんだ、咲に!」 (442)

・キャラ改変、原作否定、超展開、主役補正、意図的な曲解有ります

・点数は状況表示程度の1000の位でご勘弁を(もしかしたら挑戦します)

・咲の回想の金髪少女を「宮永結(みやなが ゆい)」とします

逆行要素入りで阿知賀編をなぞります
主は初SSなので生暖かい目で見てください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378203847

・<インターハイ会場>
咲「お姉ちゃん・・・」

照「咲・・・」

咲「・・・」

咲「・・・あ、あれ(無視されなかった?どうして?)」クラクラ

照「咲、来たんだね」

咲「わ、私はお姉ちゃんと、な、仲直りを・・・」

照「咲」

照「会えて嬉しいよ」

咲「何、言ってる、の?」

咲「だってお姉ちゃんは私を許さな」

照「咲」

照「優しい言葉1つかけてあげられない私は、姉として失格だと思う」

照「だけど、いつまでも過去に囚われてないで未来に進もう」

咲「わ、たし・・・」

照「咲、弱いままじゃダメだよ」

照「逃げるのはやめよう? 私もやめるから」

森林限界を超えた高い山の上
そこに花が咲くこともある
おまえもその花のように強く

<回想>
咲「私が5歳の頃、家族が増えた」

咲「いつも暗い顔をした女性と綺麗な金色の髪をした明るい女の子」

咲「私の、私たちの新しい家族だった」

咲「結、そろそろ行くよー」

結「待ってってば!車椅子大変なんだから」

咲「電動にして貰えばよかったのに」

結「すぐにまた歩けるようになるから良いの」

結「はい、咲。押して」

咲「まったくもう・・・」

咲「すみません、車椅子お願いします」

バス運転手「お出掛けかい?」

結「お母さんに会いに行くんです!」

バス運転手「そう。それは良かったねぇ」

咲「ありがとうございます」

咲「あ、私はバス代が必要なんだっけ」

咲「恨むよ、お姉ちゃん」

結「ハコになった咲が悪いよ」

咲「あれは、結がお姉ちゃんと協力して打つから・・・」

<昨夜・宮永家>

照「え?週末の休み?」

結「うん、どうしても連れて行って欲しい場所があるんだ。ダメかな?」

照「・・・今週じゃないとダメなの?」

結「うん」

照「咲は?」

結「ほら近所の京太郎くんと遊ぶ約束を・・・」

照「ちょっと抹殺してくる」ゴオォォ

結「落ち着こう? 照おねーちゃん」

照「そうだな。冷静に、冷酷に」

結「酷くなる必要はないよ」

結「こういうのはどうかな? 麻雀して飛んだ人が我慢するの」

結「照おねーちゃんか咲が飛んだら、負けた方が私を連れて行ってくれる」

結「私が飛んだら、残念だけど諦めるよ」

結(もちろん負ける訳ないけどね。だって・・・)

照「それって結のワガママじゃあ」

結「咲が負けたら京太郎くんの所へ行かせなくて済むね、照おねーちゃん」メラッ

照「・・・そうだな、結」ゴオォ

咲「ハァ」

結「あ、咲、ボタン押して」

咲「うん」プー

咲「でも良かったのかな。私たちだけで来ちゃって」

結「お母さんに会うことのどこが悪いの?」

咲「そうだけど」

結「さっ、行こう!」

<○○福祉会>

咲(そういえば私たちだけで来るのって初めてだな)

結(お母さんに会うの久しぶり!)

?「あぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

咲「」ビクッ

結「な、なに・・・?」

「抑え付けて!」「鎮静剤を!」「いやああぁぁぁぁ」

咲「ね、ねぇ」

結「窓から様子を見よう。咲、お願い」

咲「え、でも」

結「急いで!」

咲「え、結のお母さん・・・?」

結「・・・!」

結母「放して!放せぇぇぇ!」

職員「落ち着いて、落ち着いてください!宮永さん!」

職員「鎮静剤、準備できました!」

職員「よし、抑えろ!」

咲「どういう、こと?」

咲「あれ? 結?」キョロ

結「やめて!お母さんを放して!!」

照「結!? ・・・・・咲」

咲「あ・・・・・」

咲「これは後で知った話だけれど、お父さんが世界大会へ遠征した時、代理出産として精子を提供したらしい」

咲「その辺りは建前で、麻雀の強い子供が欲しかったのだと思う。だからお父さんに代理父になって貰った」

咲「けれども生まれた子供―――結は虐待され、それは女性にも及ぶようになってお父さんの所へ逃げてきた」

咲「結がうまく歩けないのは虐待のせいで。結のお母さんは精神を病んでいた」

咲「お父さんは結を引き取る事に決めたけど、私のお母さんは複雑な気持ちだったと思う」

咲「---私たちばかりが知らなくて、最初から幸せなんてなかった」

<咲と結の部屋 夜>

結「咲」

咲「・・・」

結「起きてる?」

咲「・・・うん」

結「あのね」

結「私、お母さんを連れ出したい」

咲「え?」

咲「そんな事、できるわけ」

結「一生のお願い」

咲「でも・・・」

咲「お姉ちゃんに相談してみよう? お姉ちゃん、事情を知ってるみたいだったし」

結「知ってて黙ってた」

咲「結・・・」

結「お願い、咲しか居ないの」

結「少しでいい。だから」

咲「・・・・・・わかったよ」

結「ありがとう、咲。やっぱり咲は優しいね」

咲「終わったらお父さんやお姉ちゃんに言うからね」

結「・・・その時は一緒に怒られてね?」

咲「やだよ、全部結のせいに決まってるでしょ」

咲「まだ中学生にもなって間もない私と結では、大人の目を誤魔化すのは難しい」

咲「元々乗り気ではなかったこともあり、結の名案という言葉に任せてしまった」

咲「結は施設の庭で花火に火を点けた」

咲「目立つ行動、目立つ物と短絡的に考えた子供の浅知恵だ」

咲「浅知恵で、終われば良かった」

咲「結は今日行われる夏祭りに、どうしてもお母さんと一緒に行きたかったらしい」

咲「なんでも日本に来る以前からの約束だとか」

咲「私は車椅子を押す係に任命されて一緒に回った」

咲「結のお母さんは落ち着いていて、昨日の様子が嘘のようだった」

咲「そしてその夜」

咲「花火の不始末が、私たちの運命を大きく変えてしまう」

<○○福祉会>

野次馬「凄い炎だな。ここまで熱い」

野次馬「ここってあの施設だろ?いつかやると思ったんだよな」

消防士「近づかないでください!危険です!」

結「・・・咲、裏口」

咲「・・・」

結「咲!」

咲「・・・む、無理だよ、危ないよ」

結「お願い!」

咲「ダメっ!」

結「お母さんが死んじゃう!」

咲「こんな火の中入ったら結が死んじゃうよ!」

結「・・・」

咲「・・・」

結「・・・そうだよね、咲にとって家族はたくさん居るもんね」

咲「え? 結?」

結「私1人で行くから!咲は誰にも言わないで!」

咲「だ、だめ・・・」

咲「・・・結」

咲(結、大丈夫だよね)

咲(そうだよ。車椅子じゃ2階に上がれないし)

咲(きっとすぐに消防士さんに見つかって連れ戻されるに決まってるよね)

咲(結・・・)

野次馬「なんだ、あれ」

野次馬「車椅子?」

咲「結っ!!」ダッ

咲「・・・っ」

消防士A「車椅子だけか。しかも子供用? 施設に子供はいなかったはずだが」

咲「あ・・・ああ・・・」

消防士A「き、君、近づいたらいけない!」

咲「結、結がっ!」

消防士A「子供が取り残されてるのか」

消防士A「・・・心配ない。任せなさい。だから君は下がって」

消防士B「上埜さん!? 何を!」

消防士A「歩けない子供が取り残されているらしい」

消防士B「馬鹿なこと言わないでください!」

消防士A「俺にもあのくらいの子供がいてな」

消防士A「安心しろ。子供1人くらい助けられる」

消防士A(他にも取り残されている人間が居るのは分かっている)

消防士A(みんなすまない)

消防士A(しかし、未来ある子供を必ず助けてみせる)

消防士A(部屋番号を聞くに、火元からは遠い場所だ。間に合う!)

消防士A「・・・な」

結母「今日は暑いわね」

結母「あらあら結も元気なくなっちゃって」

結「」(血溜まりの上で動かない)

消防士A(まさか・・・)

消防士A「お前は・・・母親なんだろう!!」

結母「あなたが。あんたが言い出したんでしょう!!」

消防士A「っ!?」(なんて力だっ・・・い、息がっ)

結母「私だってこんな子と麻雀したくないわ!」

消防士A「かっ・・・(解けない!)」

結母「あなたが言うから。あなたが望んだからあんな、男の、子供を・・・!」

結母「なのに」

結母「こんな化け物を私に押しつけないで!!」

消防士A「・・・・・・・・・・ひ・・・さ」

<病院>

咲父「どうでしょう?」

医師「結ちゃんを迎えに行くと、繰り返しています」

医師「余程ショックだったのでしょう。聞けば、結ちゃんとは四六時中一緒だったとか」

咲父「・・・」

医師「投薬とカウンセリングを定期的に行います」

医師「彼女が成長して大人になるまで、妹さんとの記憶に蓋をしましょう」

医師「しばらくは、記憶を刺激しないようにしてください」

咲父「はい・・・」

咲母「だから嫌だったのよ!あんな女の子供を引き取るなんて」

咲母「ねぇ、あの子がどんなに苦しいか分かる? 身勝手なあなたが咲を―――」

咲父「・・・」

咲「お母さん・・・?」

咲母「咲、照と一緒に部屋にいなさい。今、お父さんと大切な話をしてるから」

咲「お姉ちゃん、泣いてるの。私じゃ何を言っても聞いてくれなくて」

咲「結と一緒ならお姉ちゃんを元気づけられるかも知れないから」

咲母「咲・・・」ダキッ

咲母「あなたの姉妹は照だけよ。あとでお母さんも一緒にお姉ちゃんを慰めてあげるから」

咲父「おい、よさないか」

咲母「あなたは黙ってて!」

咲父「咲にとって結は大切な家族だった」

咲父「遠征や大会で家に居ない俺やお前より、遥かに咲の家族だった」

咲父「結も咲を家族だと思っていた」

咲母「虐待されて歪んだ子供でしょう!?」

咲父「!」パンッ

咲母「・・・」

咲父「・・・」

咲父「・・・すまない」

咲母「お互い、頭を冷やしましょう」

咲父「そうだな」

咲母「照に東京の進学校から推薦の話が来てるの」

咲父「分かった。咲も家族が足りないことを意識せずに済むだろう」

<現代・インターハイ会場>

咲「」ダッ

照「咲!? 待って!」

照「・・・・・・」

照「くそ、見失った」

和「お義姉さん? 咲さんはどうしたんですか!?」

照「誰がお義姉さんだ」

照「お前は確か清澄の副将の」

和「原村和です。咲さん、この雨の中傘もささずに」

和「インターハイに来てから様子がおかしかったのですが」

照「家族には家族の事情がある。あなたも咲を探して。見つけたらこの携帯に連絡を」

和「咲さんを探すなら、お義姉さんに傘を渡しておきます」

照「わかった。ありがとう」

和「咲さんの傘なのですから後で返してください」

和「私が見つけたら相合傘で帰るので、後日で良いです」

照「色々ツッコミたいが、今はそんな場合じゃない」

和「部長にも連絡を入れます。人は多い方が良いでしょう」

照「すまない、頼む」

 ・・・

照「咲・・・どこに」

照「・・・」

照「・・・」

照「私は・・・」

照「!」

照「さ・・・っ!!?」

照(トラックが猛スピードで!青信号なのに!!)

照「咲っ!!」バッ

咲「えっ?」

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

<丘>

咲「あれ・・・ここ・・・」チンマイ

照「・・・?」ミオロシ

咲「お姉ちゃん?」

照「咲?」

咲「私たち・・・たしか事故に」

咲「じゃあ、ここは天国・・・?」

照「ごめん。咲を助けられなかったみたい」

咲「な、なに言ってるの!私こそお姉ちゃんを巻き込んで」

照「事故のことだけじゃない」

照「私は、お母さんに外では咲のことを話すなって言われてた」

咲「・・・」

照「だから、お母さんのせいにして目を瞑った」

照「お父さんたちのことも、・・・結のことも」

照「だから、ごめん」

咲「・・・ううん」

咲「予定とは少し違っちゃったけど、お姉ちゃんと仲直りできたし」

咲「結のことも、思い出せたから」

咲「私も、受け止められないくらい子供じゃないよ」

咲「もう大丈夫」

咲「死んじゃってるのに大丈夫って変だね」アハハ

照「咲」

咲「お姉ちゃん」

照「ぷっ」

咲「えっ、なんで笑われるの?」

照「その姿で子供じゃないとか」

咲「これは、天国だからだよ」

咲「お姉ちゃんと仲良かった頃の姿」

照「そうか」

咲「お姉ちゃん、手を繋いでても良い?」

照「ああ、もちろん」ギュ

<夕方>

咲「くしゅん」

照「・・・」

咲「ねぇ」

照「どうしたの、咲」

咲「寒くなってきたね」

照「そうだね。大丈夫、死人が風邪引いたりはしない」

咲「でも寒くてここに居るの辛くなって来たんだけど・・・」

照「人肌で暖め合う?」

咲「お姉ちゃん、もう熱があるんじゃないかな?」

咲(なんだかお腹も空いて来たし)

咲(天国って思った以上に辛いのかな)

咲(もしかして地獄とか? ちょっとイメージ違うけど)

?「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ」

?「おそーーーーーーい!!」

咲「え?」

照「ゆ、い?」

結「迎えに来てって言ったでしょ!」

結「寒いし誰も来ないし独りで・・・泣きそうだよ!」

咲「そっか、結もいるよね」

照「これで、また家族で麻雀が打てるね」

結「人を何時間も放置して何言ってるの?」

照「久しぶりに結と打ちたいな」

咲「そうだね」

結「はい? 昨日打ったじゃん」

照「・・・昨日?」

咲「・・・・」

照「咲」

照「私の顔をつねって欲しい」

咲「はい」ムギュ

照「痛い」

咲「私もして」

照「ぷにぷに」

咲「あうあう」

結「い、いつにも増して変なことしてる」ハァ

結「もう暗くなるから帰ろうよ」

結「咲、押して」

結「登ってくるのにクタクタ」

結「放置した罰として腕揉んで貰うからねー」

咲「ねぇ、お姉ちゃん」

照「うん」

咲「昔タイムリープって小説あったんだよね」

照「読んだ」

咲「・・・」

照「・・・」

咲「時間が戻った・・・?」

<宮永家>
照(時間が戻った)

照(理由なんかどうでも良い)

照(これはきっと神様がくれたチャンス)

結「・・・照おねーちゃん」

照「なに?」

結「用事があるって言ってなかったっけ?」

照「キャンセルした」

結「へー」

結(やばいやばいやばい、勝手にお母さんに会いたいなんて、照おねーちゃんが許可するわけない!)

結(咲と2人で行くはずだったのに)チラリ

咲「どうしたの?」

結「ううん、なんでも」

結(なんだか分からないけど、咲まで私の側から離れようとしないよ)

結(・・・それはそれで嬉しいけど)

咲「お姉ちゃん」

咲「結、お母さんとお祭りに行く約束してるんだって」

咲「それで結のお母さんに会いたいんだけど、無理かな?」

結(あれれ? 私、咲に話したっけ? 話したような、話してないような・・・)

照「容態が安定していれば許可が取れる」

照「申請はしておくから、もし駄目だったら私と咲で我慢して」

結「あ、うん」

照「今日は麻雀やろう」

結「お父さんも咲のお母さんも居ないから三麻?」

咲「あのさ結」

咲「今の私たち強くなったから、気をつけてね」バチバチ

照「泣かないようにね」ゴオォォ

結(どうしてだろう)

結(今日はすごくワクワクする!)

結「よく分からないけど、受けて立つよ」メラッ

<清澄 宮永照高校1年生>

美穗子「上埜さん!」

久「あら?本当に清澄に来たのね」

久「ここの麻雀部は廃部寸前よ」

久「あなたなら風越から推薦貰えたんじゃないの?」

美穗子「上埜さんこそですよ」

久「ほら私悪待ちだから」

美穗子「それだけが理由だったんですか?」

久「もちろん冗談よ」

久「そうねー、中学の県予選覚えてるかしら?」

美穗子「はいっ、もちろん!」

久「宮永照にボロ負けした記憶を嬉しそうに」

美穗子「あ、そんなつもりでは」

久「ふふ、可愛い反応ね」

久「ま、その宮永照なんだけどね」

美穗子「宮永さんに正面からリベンジしたいってことですか?」

久「その気持ちが無くもないけど、ちょっと違うわ」

久「去年、いきなり声を掛けられたのよ」

美穗子「上埜さんからではなく?」

久「ええ、向こうから」

美穗子「ま、まさか上埜さん以上なんですか?」

久「なんの話よ」

久「ま、あのインターミドルを3年間勝ち続けた宮永照に話しかけられて緊張したことは確かね」

久「何を言うかと思ったら、「清澄で3年間よろしく」って言うのよ」

美穗子「え? 清澄で?」

久「そうよ、思わず呆然としちゃった」

久「でも面白いって思ったわ」

久「名門へ行くって当たり前の選択をするよりも、ずっとね」

美穗子「だから、あの時清澄へ行くって言ったんですね」

久「お父さんも驚いていたわ」

久「お金の事は気にしなくて良い、麻雀やりたいなら風越で良いんだぞ、って」

久「そういうあなたはどうして?」

美穗子「え? わ、私は、その・・・」

久「あら、聞いちゃまずい話題だった? ごめんなさい、今後気をつけるわ」

美穗子「いえ違います!」

美穗子「・・・う、上埜さん・・・と・・・麻雀が・・・・ゴニョゴニョ」

照「久」ガラッ

美穗子「ひ、ひさっ!?」

久「あ、お帰りなさい照」

美穗子「て、てるっ!?」

照「・・・誰?」

久「あら、それはちょっと酷いんじゃないかしら?」

久「去年あなたと県予選決勝卓を囲んだ福路さんよ」

照「ああ、あの片目を閉じていた」

美穗子「あ・・・」

照「光彩異色だったのか」

久「綺麗な瞳でしょ?」

照「・・・そうだな、綺麗な色だ」

照「麻雀部に入ってくれるのか?」

美穗子「は、はい、そのつもりです」

美穗子「まさか宮永さんと一緒とは思いませんでした」

照「下の名前を使ってくれ、再来年困ることになる」

美穗子「再来年・・・?」

久「なら私も久でいいわ、代わりに美穗子って呼ぶから」

美穗子「///」

照「それで久、部長をやってくれ、私には無理」

久「なぁに? それのために清澄で会おうって言ったの?」

照「それもある」

久「冗談のつもりだったんだけどね」

久「でもいいわ。照は苦手そうだもの」

久「それにしても」

照「?」

美穗子「?」

久(全国出場経験者が3人、うち1人は優勝者)

久(頑張れば全国優勝できるかしらね)

清澄高校麻雀部
宮永照の圧倒的な力により全国連覇を成し遂げる
また宮永照はユース世界大会個人戦を無敗で連覇
史上最強の高校生として各媒体で取り上げられた

<宮永咲高校1年生>

優希「のどちゃん、うちの麻雀部について知ってるか?」

和「知ってますよ。世界チャンピオンが居るんですよね。そして全国三連覇も掛かっています」

優希「そうだじぇ、それも私が入ることで盤石鉄板になるじぇ!」

優希「それと、怖い噂もあるんだじぇ」

和「怖い噂? よくある七不思議とかでしょうか」

優希「去年入った新入部員のほとんどが、二度と麻雀ができない身体にされてしまったじぇ!」

和「そんなオカルトありえません」

和「どうせ、ろくに練習もせずに強くなろうとした人たちが、すぐに辞めていっただけでしょう」

和「チャンピオンなんですから近づいて来ようとする人は多く居ます」

優希「さすが経験者は語るじぇ」

和「混雑しない内に部室に行きましょう、優希」

優希「行くじぇ!」

和(どうしてでしょう、早く部室へ行きたい)

和(緊張しているんでしょうか)

和(ドキドキしてきました)

和「あれは・・・」

結「も、もう疲れた・・・咲ぃ、肩、貸してぇ・・・」

咲「車椅子持ってくれば良かったのに」

結「どうせ・・・旧校舎の・・・階段が」

咲「バリアフリーになってないんだっけ」

和「あ・・・・」

咲「え・・・・」ガタッ

結「きゃうっ!?」ドテッ

咲「和ちゃん・・・」

和「さ、き、さん」

優希「のどちゃん知り合いか?」

和「え?」

和「い、いえ、初対面・・・初対面です」

和(こ、こんな可愛い人と会って忘れるはずありません)

和「こんにちは、私は原村和と言います」

咲「・・・」グッ

咲「こんにちは、宮永咲です」ニコッ

和「///」

優希「片岡優希だじぇ」

結「咲に捨てられたのが宮永結です」

和「お二人は姉妹ですか?」

咲「う、うん、そうなんだ」

和「麻雀部の部室へ行くんですよね? お手伝いしますよ」

咲「本当? ありが 結「いや」

結「私を捨てるような咲は知らなーい」

咲「拗ねないでよ、結」

結「拗ねてない」

和「仲の良い姉妹ですね」

咲「まあね、ほとんど一緒にいるんだ。未だに部屋も一緒だし」

照「・・・!・・・・・っ・・・・・!!」シュッシュッシュッ

久「何をやってるのかしら?」

照「素振り」

久「素振りって」アセ

久「今年は何人追い返すつもりなのよ」

照「大丈夫、咲と結さえ入れば誰にも負けない」

久「追い返すって言葉を否定して欲しかったわね」

久「全国二連覇中の麻雀部が部員4名しか居ないのよ。部費が大変なことになってるわ」

まこ「まあ今年は照先輩目当てに強い一年生が入ってくるけ」

まこ「部員の心配をする必要は」

照「だから中途半端な奴を追い返す」

まこ「ほ、本気じゃったんか」

照「勘違いしないで欲しい。これは優しさ」

久「どの辺りが?」

照「部内で打つ時、私と咲と結の卓に誰かが着くことになる」

久「うわっ」

美穗子「私は話でしか聞いてないんですが、そんなに強いんですか?」

久「そうねぇ・・・咲は良い子よ、可愛いしね」

まこ「そん言い方だと、結って子の方は悪い子って言っているように聞こえるの」

久「んー」チラッ

照「他人を気にしないタイプかも知れない」

久「天衣無縫な性格なのよ」

久「そんな子がとてつもない麻雀を打つからね」

久「照が優しさだって言うのは、少し分かる気もするわ」

ガチャ

美穗子「いらっしゃ・・・」ゾクッ

咲「失礼します」

結「お邪魔するよー」

和「失礼します」

優希「入るじぇ!」

久「そっちの2人は初めまして。咲と結は今朝以来かしら」

咲「はい。部長、これ私と結の入部届です」

久「はいどうも」

和「もう持ってきていたんですね」

咲「宮永照ってお姉ちゃんなんだ。だから部長とも面識があって」

久「もう仲良くなったのは良いことね」

久「でも、自己紹介して貰って良いかしら?」

 ・・・

久(原村和、照が居なくなった後のチャンピオンね)

咲「のど・・・原村さん、私と麻雀打たない?」

咲(まずはプラマイゼロで終わらせて、それから麻雀嫌いだって言って、しばらくしたら一緒に全国って約束だったかな?)

咲(うまく出来るか分からないけど、また和ちゃんと仲良くなりたい)

和「わ、私も宮永さんと」///

結「」イラッ

久「コラコラ、確かに咲の強さは知ってるけど、まずは部長である私に確かめさせてよ」

まこ「わしゃあ、部長や照先輩がそこまで言う咲や結の力を見てみたいのぉ」

まこ(もしも話通りの力なら、わしゃあレギュラー落ちでも構わん思うとる)

まこ(大切なんは部長たちが優勝することじゃあ)

優希「入部テストか!なら私がぶっちぎってやるじぇ!」

久「テストって訳じゃないけど、来た人から順番に打って貰うつもりよ」

久「原村和さんと片岡優希さん、卓に着いて貰えるかしら?」

咲「待ってください!どうしても打ちたいんです!」

和「宮永さん・・・」

久「咲と打ってもあんまり意味がないんだけど」

久「じゃあ原村和さんと咲で」

結「待って!私も!」

久「あのねぇ、今日だけって訳じゃないんだから」

美穗子「久さん、そうしている間にどんどん来てます」

京太郎「よう、咲、お前も来たんだな」

咲「あ、京ちゃん!ちょうど良かったよ!」

結「ターゲット変更ぉ!」ドゴオォォ

京太郎「ふごっ!?」

久(収拾がつかないわね)

久「ねぇ咲、あなたはどうして原村和と打ちたいの?」

咲「・・・理由は、言えません」

咲「でも、どうしても打ちたいんです」

咲「私と原村さん、優希ちゃんと京ちゃんで」

久(どう考えても咲が圧勝するけど)

久(この子がこんなに主張するのも珍しいわね)

久「じゃあ、原村さん、片岡さん、あなたは・・・」

京太郎「須賀京太郎です」

久「須賀くんね、それに咲で打っていいわよ」

結「最悪の組み合わせ!?」

咲「ありがとうございます!」

結「咲ぃ」

まこ「お前はワシが相手しちゃるけ」

結「うー」

美穂子「あのね、まこ・・・」

まこ「ん?」

美穂子「気を付けて・・・何か嫌な感じがするの」

美穂子「照さんとは違う何かが」

まこ「安心せぇ」

まこ「わしゃあ、やられ慣れとるよ」ニッ

まこ「結言ったな、わしに飛ばされんようにしてくれよ?」

結「私を・・・飛ばす?」メラッ

 ・・・

結「ツモ、これで全員飛びだね」

まこ(こいつは・・・ホンマモンじゃぁ!!)

入部希望者A「もう、嫌・・・もう帰るぅ・・・」

入部希望者B「」ガタガタガタ

まこ(くそっ、照先輩の話をもう少し真剣に受け止めるべきだったわ)

まこ(この2人はもう入らんな・・・どころか麻雀を続けるかさえ怪しいの)

結「このくらいで諦めちゃうようなら、どの道辞めるよ」

結「私と打った人は大体こうなるからね、見慣れた光景」

まこ(照先輩の『連続和了』並の異常は覚悟しとった)

まこ(こいつは・・・宮永結は『完全試合』とでも言うんかい)

まこ(宮永結から始まって他家が一度も和了れん内に東一局飛び終了)

結「染谷先輩だったっけ?」

結「私にやられてもケロッとしてるよね」

結「強い人と戦い慣れてるとか?」

まこ「よう見んさい、震えとるよ、諦めが悪いだけじゃ」

結「へ?」

結「アハハッ、そういうの好き」

まこ「部長は照先輩の家に、よく遊びに行くらしいの」

結「うちは共働きだから、面子が足りないんだよね」

結「染谷先輩もおいでよ」

まこ「遠慮しとくわ」

結「えー」

まこ「代わりにうちに来んさい」

まこ「あんたを満足させられるような打ち手が来ることもある」

結「・・・染谷先輩ってお人好しだって言われない?」

まこ「言われたことないな」

結(後輩にボッコボコにされて、生意気な口叩かれてるのに)

まこ「まあ、あんたん実力はよぉー分かったわ」

まこ「次は少しは先輩らしいところ見せるからの」

まこ「2年間、よろしく」

結「あ、うん、よろしく・・・」

結(・・・)

結「って!ちがーーーう!!」

まこ「お、おわっ!?」

結「咲ぃ!!」

結「雀卓に突っ込んでゲームをパァにしてやる・・・!」

照「するな」

結「そんな、照おねーちゃんが裏切るなんて・・・」

照「今日は咲にとって大切な戦い」

結「どうして!? いつもはあの憎っくき須賀京太郎を排除するのに賛成してくれるのに!」

結「今ここでダッシュして倒れてやるー!」

まこ「わりゃ思ったことを口にし過ぎじゃあ」ガシッ

咲(あれ? おかしいな、3連続プライマイゼロをしたけど、不機嫌になるどころか嬉しそう)

和(完全に舐められている、連続プライマイゼロはわざと、そんなオカルトありえないはずなのに)

和(懐かしいって感じます、またそれに出会えたことが凄く嬉しい)

和(これが運命というものなら、そんなオカルトなら・・・)

京太郎「・・・咲も原村さんもどうしたんだ?」

優希「よく分からないじぇ」

咲(これなら・・・)

咲「あの、原村さん」

和「ひゃ、ひゃい!なんでひょう!?」

咲「下の名前で呼んでもいいかな?」

和「も、ももももちろん良いです!」

咲「私も咲で呼んで。宮永だと他に2人もいるし」

和「はい・・・咲、さん」///

咲「うん、和ちゃん」ニコッ

結「久」

久「んー?」

結「ちょっと今日は本気で打ちたい気分に」メラメラッ

入部希望者C「うっ・・・すいません、私なんか体調が」

入部希望者D「お、俺も」

入部希望者E「私も・・・」

照「さて、始めるか」ゴオオオオ

入部希望者F「もう麻雀やめるぅー!」

入部希望者G「ひくっ、グス」

久「・・・残るかしらね」

<県予選前>

久「うーん」

美穂子「久さん?」

久「あら美穂子、帰ったんじゃないの?」

美穂子「少し掃除をしていたので」

久「ありがと、うちでそういうことに気付いてくれるのはあなただけよ」

美穂子「そんな」///

美穂子「ところで、何を悩んでいたんですか?」

久「これよ」

美穂子「あ・・・県予選の」

久「そ、メンバー」

久「三連覇を確実にするなら、照に美穂子、私、そして咲と結かしら」

久「でも来年の部のことを考えると、まこにも参加して欲しいのよねー」

美穂子「私なら別に。もう2度も全国優勝を体験したんですから」

久「その時は私が抜けるわよ」

美穂子「久さんが出ないなら・・・!」

久「とまあ一致しないし、それでモチベーションを保つのも難しいでしょう」

美穂子「そうですね・・・」

久「だからどうしようかな、って悩んでたのよ」

久「誰かを落とさなければならないって言うのは、気の重い作業ね」

久「今だけは顧問だけじゃなくて監督も探しておけば良かったって思うわ」

美穂子「照さんに聞いてみるのはどうでしょう?」

久「照に?」

美穂子「私たちが勝って来れたのは、誰がどう見ても照さんのお陰です」

久「そりゃあ、毎回10万点以上稼いでいるもの」

久「照を避けた学校なんて飛び終了しちゃったしね」

美穂子「照さんに希望があれば、それに従うのが良いと思います」

美穂子「それが私も含めて一番納得のできる形かと」

久「ん、確かにそうね、要らないとか言われたらショックで泣いちゃうかも知れないけど」

美穂子「その時は慰めあいましょう」

久「お願いするわ」

久「どうかしら?」

照「個人戦ルールで部内収支で競えば?」

久「強い方から順番って言うのは好きじゃなかったんだけど、やっぱりそれしか無いかぁ」

照「私は3年だからとかの考え方は好きじゃない」

照「努力と才能を結果に結びつけた人が選ばれるべきだと思う」

久「了解」

久「強化合宿をして、その後で部内戦を行いましょう」

久「もちろん、その旨は全員に伝えるわ」

久「平等に勝ち取る権利があるんだから、咲や結が入らなくても怒らないでよ?」

照「有り得ない」

久「・・・言ってからそう思ったわ」

<合宿>

咲「和ちゃん、お菓子食べる?」キャハハ

和「いただきます」ウフフ

結「・・・」

まこ「思ったよりも落ち着いてるの」

結「何が?」

まこ「咲と一緒に座るって駄々こねるかと思うとったよ」

結「まこのこと嫌いじゃないし、心配ないって分かったからね」

まこ「なんのことじゃ?」

結「久が言ってたじゃん」

結「収支でレギュラーが決まって、全国大会へ行けるのは5人」

結「はっきり言って、和は全国どころか県予選でも通用しない」

結「私たちは元より、久と美穂子、あるいはまこが勝つ」

優希「なんだとぉ!!私は眼中に無いってことか!?」

結「えー、私に一度も勝てたことないくせに」

優希「この合宿で絶対お前を倒してやるからなっ!」

まこ「危ないから座りんさい」

結「という訳で、咲と一緒に全国優勝を喜ぶのは私!」

久「元気良いわねぇ」(一番後ろを3人で占拠)

美穂子「私もお菓子持って来たんですが、どうですか?」

久「あら手作り? 嬉しいわ」

美穂子「照さんもどうですか?」

照「貰う」

照「これ、市販だけど食べて」

久「今日は両手に花ね」

照「深い意味はない」ムッ

久「冗談に決まってるでしょ」クスクス

<旅館>

久「じゃあ、早速」

結「特打!?」

久「温泉に入りましょう!」

結「え・・・」

咲・照「!」

咲「あ、あの部長!私、ちょっと酔っちゃったみたいで」

結「か、介抱するよ!」

咲「少し休んでから結と一緒に入ります!」

和「咲さん、本当に大丈夫ですか?」

咲「大丈夫だから!だから和ちゃんはみんなと一緒に行って来て!」

和「はあ」

久「」チラッ

照「」コクリ

久「ほら和、行くわよ」

和「は、はい・・・」

結「ごめん・・・みんなと入りたかったよね」

咲「良いよ、気にしないで」

咲「部長にはお姉ちゃんが上手く伝えてくれると思うから」

結(咲と照おねーちゃんと話し合った時には、夜にこっそり入るつもりだったんだけどな)

結(私1人だと倒れた時に困るし)

結(だからと言って、この身体を見せたらみんな引くよね)

結(傷だらけ・・・)

結(お父さんとお母さんに・・・家族に付けられた、傷)

結(ううん、私の家族は咲と照おねーちゃんだよっ)

咲「熱いから気を付けてね」

結「うん、ありがとう、咲」チャプ

結「あつぅぅ、すぐのぼせそう」

咲「結、上見て」

結「・・・凄い星空」

咲「あ、流れ星!」

結「ほんとだ!」

咲「お願い事した?」

結「もちろん」

結(咲がいつまでも笑顔で居てくれますようにって)

まこ「なぁ、これはちょっと早過ぎじゃあ」

久「そうかも知れない、けど和は知る必要があるわ」

まこ「知る?」

久「運や確立の揺らぎを越えた、超人的な力を持つ人が居るってことをよ」

久「そうじゃなきゃ、この先麻雀を続けられないわ」

和「よろしくお願いいたします」

結「いきなり直接対決とは、久も味なことするね」メラッ

咲「頑張るよ」バチ

照「誰が相手でも勝つ」ゴオォォ

 ・・・

咲「カンッ!嶺上開花、4000オール」

まこ(なっ!? 結のは『完全試合』じゃなかったんか!?)

結「咲、ロンッ!3倍満、24000ね」

照「ツモ、300、500」

照「ツモ、1300オール、一本場」

照「ツモ、4100オール、二本場」

美穂子(だ、打点の上昇幅が異常です)

咲「カンッ!」

照「ロン槍槓、国士無双、咲の飛び」

咲「お、お姉ちゃん」

照「咲、やる気が無いなら休んでて」ゴオォォ

結「何? 咲、そんな事じゃまたすぐ飛んじゃうよ」メラメラ

咲「お姉ちゃん、結・・・後悔しないでね?」バチバチバチ

 ・・・

結「あれれー? なんか置物があるけど? それとも引き出し専用のATM?」

咲(和ちゃん・・)

結「咲、飛びだよ」

咲「あっ」

和「・・・」

久(和、あなたが何荘和了ってないか分かってるかしら?)

久(これを偶然だと思う? ランダムの偏りだと? 一時的だと?)

久(照は公式戦で5年間無敗なのよ)

久(咲と結はあるいは照を越える異常を持ち合わせてる)

久(あなたの常識を超越する最強の雀士たちが、今あなたの目の前に居るわ)

久(和、お願いだから潰れないでね)

久「さぁ、私たちもやるわよ!」

<温泉>

和「はぁ・・・」

和(今日、私が打ったのは本当に麻雀だったのでしょうか)

和(打点を上昇させることで配牌が良くなり必ず有効牌が入る宮永照さんの『連続和了』)

和(詳細は教えてくれませんでしたが、他家に和了らせない宮永結さんの『完全試合』)

和(自在に獲得点数を操作してプラマイゼロさえ実現する咲さんの『点数調整』)

和(そんなオカルトありえません)

和「ありえない、はずなのに・・・私はたったの1度さえ・・・」

和(そういえば昔、玄さんと戦うとドラが・・・)

和「」チャプ

和「・・・」

ガラッ

結「ほら咲早く!」

結「今回は泳いじゃおっかなぁ・・・・っ!」

和「あ、どうも・・・・っ!」

結「」ダッ

咲「結?」

和「咲さん・・・」

咲「和ちゃん!?」

咲「あ、結っ!!!」ダッ

和(全身の無数の傷跡、今日昨日で傷ついたものじゃありません)

和(聞くべきなんでしょうか、それとも放っておくべき?)

和(私は・・・)

結「ゲホッ・・・ゲホッ・・・」

咲「結!今、薬取ってくるから!」

和「咲さん!」

咲「ごめん和ちゃん、結見てて!」

和「救急車は呼ばなくて良いんですね? わかりました」

和(・・・)

結「・・・」

和「今、咲さんが戻って来ます。安心してください」

結「・・・自分の住む世界が、絶対に平和で何も揺るがないものだと思ってるの?」

結「小さな頃からパソコンから好きな服まで何でも買って貰えて」

結「わがまま言えば引っ越しまで思いとどまってくれる」

和「結さん、起き上がっては」

結「私には、咲しかいないの」

結「咲だけが私とずっと家族で居てくれた」

結「・・・咲を、咲を取らないで」

和「結さん・・・」

結「取らないでよぉぉ・・・」ドサッ

和「・・・」

 ・・・

和「本当に救急車は平気なんですか?」

咲「うん」

和「・・・聞いてもよろしいですか?」

咲「・・・ちょっと気管支系が弱くて、激しい運動とか出来ないんだ」

咲「今日は旅行ではしゃいで、それで急に走ったから疲れが出たんだよ」

咲「だから心配しなくて大丈夫だよ、和ちゃん」

和「・・・」

和「部屋に、戻りますね」

咲「うん、また明日」

和「はい・・・」

和「現実は小説よりも奇なり、と言ったのは誰だったでしょうか」

和「こんなにも身近に、あるはず無いと思っていたことはあります」

和「私はこんなにも狭い世界で生きていた・・・」

和「あ、照さん・・・」

照「結が倒れたって聞いた」

和「はい、今は部屋で休んでいます」

照「咲が見てる?」

和「そばに」

照「そう」

和「・・・あ、あの!」

照「? なに?」

和「結さんのこと、私に教えてくれませんか?」

照「どうして?」

和「それは・・・」

照「他人の家族の問題に踏み込むものじゃない」

和「それでも、それでも私は咲さんや結さんと、もっと仲良くなりたいんです!」

照「あれだけ馬鹿にされたのに?」

和「あの程度ではくじけません」

照「ちょっと理解できない」

照「常識的に考えて、あなたは結の弱みでも握ろうと」

和「違います!」

和「・・・同じだからです」

和(私は結さんよりは遙かに恵まれていました)

和(けれど両親は私を見ていなかった)

和(人に関わることのほとんど無い、暗い世界)

和(穏乃が、憧が、玄さんが、私を明るい世界へ連れ出してくれた)

和(今度は、私が)

照「・・・・・・・・・」

照(原村和・・・咲にもう一度麻雀を握らせ、私の元へ連れて来てくれた・・・)

照「わかった」

結「うー、咲-、なんか飲み物」

和「ポカリを買って来ました」

結「んくっんくっ」

結「ぶっ!!」

和「」サッ

和「やると思いました」

結「なに!? なんか用!?」

和「はい、まずは謝ろうと思いまして」

結「お風呂のことだったら私の確認ミスだし」

和「結さんのご両親のことを聞きました」

結「っ」

和「すいませんでした」

結「い、いいよ、この傷見たら気になるでしょ、そりゃ」

和「友達に一言先に言うべきでした。反省しています」

結「友達って」

和「友達です」

和「友達と麻雀をするのは楽しいですよ」

和「まだ私の実力では難しいですが、すぐに結さんも楽しませてあげます」

和「きっとすぐに分かります、友達と打つ麻雀の楽しさが」

結「・・・の、和ってMな上に変態だったとは」

和「違います」

結「・・・でも、友達ねぇ」

和「なんですか、不満そうですね」

和「あ、でも私も最初は不満満載でした」

結「最初ぉ?」

結「じゃあ、本気の私から一度でも和了れたら、友達って認めてあげる」

和「わかりました。では、元気になったらすぐに勝負しましょう」

結「上等だよ!」

和(結さんから和了るには普通の麻雀を打っても無理)

和(信じるべきは、私の狭い世界の常識ではなく目の前にある常識)

結「」メラメラ

和(まったく和了れません・・・)

結「和ってさ、ゲームで麻雀覚えたんじゃないの?」

和「? そうですが?」

結「私はよく出来てる、って思ったけどなぁ」

和(結さんは何が言いたいんでしょう)

和(・・・そう、最初はCPU相手の戦いで、それでもなかなか勝てませんでした)

和(色々やりましたけど、結局ネット対戦へ・・・)

和(色々・・・)

咲「和ちゃん・・・」

久「咲ぃ~あなた集中力ってものがないのかしら?」

咲「す、すいません、今切ります!」

和(咲さん、嶺上が有効牌になる)

和(結さん、他家を和了らせない)

和(部長、人心を見抜くように悪どい罠を仕掛けてくる)

和(・・・無料麻雀ゲームのCPUは酷くて、天和さえ当然でしたね)

和(ああ、そうでした)

和(ゲームというのは現実を模倣して作られたものでした)

和(対CPUとネット対戦を越えた情報量が飛び交うのが、現実の雀卓です)ゴゴゴ

和(嶺上開花で和了り、必ずカン材を持つシステム)

和(他家を和了らせないシステム)

和(筋や最善に頼ると裏をかかれるシステム)

和(それに咲さん、結さん、部長の性格を考慮して・・・)キラキラ

和(必要なのは攻略法です。それさえあれば、どんなシステムでも)キラキラ

結「」ピクッ

和「結さん」

結「なにかな?」

和「勝たせて頂きます」

咲(あれ!? 和ちゃん、打ち方が全然違う!? エトペンも持って無いのに!)

久(あらぁ? 化けたかしら?)

 ・・・

和(さすがに、すぐには無理ですか・・・)

和(でも、都合4度和了れましたし、順位も2位です)

結「ん、やるじゃん、和」ニコッ

和(や、やっぱり姉妹ですね、笑顔が咲さんそっくりで・・・)///

咲「凄いよっ!和ちゃん!結は本気だったのに、もう少しで勝てそうだったよ!」

結「え、いやいや、本気じゃないよ? まだ2度の変身を残してるよ」

咲「嘘ばっかり」

和「結さん、約束ですよ?」

咲「約束?」

結「なんだっけ?」

和「トボけないでください」

結「アハハ、怒んないで」

和「なんですか?」

結「とっくに友達だよ、和」

和「・・・そう、ですね」

結「ライバルでもあるけど」ギラッ

和「そうですね」ギラッ

<県予選会場 記者会見席>

記者A「去年の4人はまだ残ってるんだろ? それにインターミドルチャンピオンの原村和が加わった」

記者B「こりゃ全国優勝確実だな、今の内に枠確保しとくか」

 キタゾ!パシャパシャパシャ!!

記者C「宮永選手!自信のほどはいかがでしょうか!前人未到の世界選手権三連覇がかかった今のお気持ちを!」

結「はーい!」

記者C「え?」

照「結、どう聞いても私のこと」

結「言ってみただけじゃん」

照「テレビが入ってるんだから巫山戯ない」

照(もうお母さんに従って、優等生である必要がないから楽だし)

照「三連覇は意識していません」

照「誰が相手でも必ず勝ちます。これから先もずっと」

記者A「それは世界一になるということですか?」

照「はい」オォー!!

照「ユース大会ではなく、本当の意味で世界一になります」

久「照、それって日本のプロを敵に回してるわよ」

照(確かに・・・さすがに少しフォローするか)

照「もちろん日本のプロの方々もライバルだと思っています」

照「1年後、是非とも戦いましょう」

記者D「原村さん!高校生になっていかがでしょう!」

和「レベルの高さに驚いています。だからこそ私自身強くなることが出来ました」

記者E「あれ? 今回、福路選手が補欠登録なのは」

カメラマン「あの・・・」

記者E(おいカメラマンが口出してんじゃねぇよ)

カメラマン「もしかして、そちらのお二人は宮永選手の妹さんですか?」

結「そうです!おじさん勘が良いね!」

咲「・・・」カチコチ

 ザワザワ!!

結「照おねーちゃんにも出来たんでしょ? インターハイ優勝なんて出来て当然!」マイクニギリ

結「だから私は団体戦で、他家に一度も和了らせずに勝つ!!」

記者一同(な、何言ってんだこいつ!!)

結「そして照おねーちゃん!」

照「マイクを返しなさい」

結「・・・はい」

記者C「いえ、そのままどうぞ!」ワクワク

結「え? そう? じゃあ、改めて照おねーちゃん!」

照「なに?」

結「照おねーちゃんが私に阻まれて達成できない個人戦三連覇は私が達成しておくから、安心してプロへ行っていいよ!」

記者A(こいつは面白くなってきたな)

記者B(宮永照は強すぎた。ただ三連覇じゃ特集記事に限界がくるからな)

記者C(新生・宮永姉妹、いや宮永美人姉妹、こりゃ部数2倍どころか3倍ある・・・!)

記者D(宮永姉妹に原村和、忙しくなってくる!)

記者E(その上、あの子のクラッシュトークは話題性に事欠かなそうだ)

久「いいかしら?」

久「福路さんが補欠登録なのは部内での成績によるものです」

久「でも私たちはみんなの想いを載せて、勝つために来ました」

久「それに今年しか見せられないと思ったのもあります」ニヤ

記者A「と言いますと?」

久「史上どころかおそらく未来を含めたとしても」

久「私たちが最強です!」

<阿知賀>

穏乃「新聞見た!?」

憧「ああ、ネットで見た」

玄「え、なになに?」

穏乃「長野の優勝校」

穏乃・憧「清澄!」

玄「和ちゃんだぁ!」

憧「まさか清澄とはねー」

玄「有名なところなの?」

憧「玄ぉ、何言ってんのよ」

憧「清澄って言ったら、世界最強の高校生宮永照が居る所じゃない」

玄「えええっ!? じゃ、じゃあ和ちゃんと戦うことになったら、世界チャンピオンとも戦うことになるってことなの!?」

憧「ヤバイよねー、あの人は。もう敵無し」

憧「中学の時の先輩が対戦したんだけどさ、翌日には麻雀部辞めちゃったのよね」

玄「そ、それ笑い事じゃないよね」

憧「何言ってんの、玄」

憧「そんな宮永照と、和は毎日対戦してるんだよ?」

憧「1回戦ったくらいで諦めちゃったらダメでしょ」

玄「あ・・・」

穏乃「待ってろよ、和!!うおおおおおおぉ!」

 ガチャ

晴絵「・・・」

憧「あ、ハルエー」

憧「って、どうしたの暗い顔して」

晴絵「あ、ああ・・・」

晴絵(和の行った学校、清澄高校・・・)

<昨日>

晴絵「持つべきものは友達だねぇ」

晴絵「さってと、和たちの学校はっと」ビデオセット

晴絵「宮永照・・・プロの上位ランカーでもここまで打てるかどうか・・・予想はしてたけど何とかしないとね・・・なんとか玄に飛ばされないようにして貰って、後はみんながフォローするしかないか・・・」

晴絵「上埜久、全国大会二連覇の経験者。うん、少しトリッキーだけど上手い。宥の相手になるわけか。このまま宥が成長すれば良い勝負になるかもな」

晴絵「お、和だ。相変わらずのオモチで・・・。自虐はよそう。昔より大分上手いな、当然か。デジタル打ち、なのか? ちょっと違う感じもするけど。更に頑張らないと追いつけないぞー、憧」

晴絵「宮永結、宮永照の妹。あの目茶苦茶な事言った週刊誌の好きそうな子だな」

晴絵「・・・」

晴絵「待て、落ち着け、3回戦を見よう」

晴絵「・・・」

晴絵「全て彼女の親番でどこかが飛び終了・・・本当に・・・他家に一度も和了らせずに・・・勝っているのか?」

晴絵(灼の対戦相手・・・・・・)

晴絵「決勝戦・・・? あからさまに不満顔だな。副将戦では終わらず、流局で大将戦へか。完全試合は崩れていない? どころか、あそこまで柔軟に使いこなせる力だって言うのか」

晴絵「大将はっと」

晴絵「宮永、咲」

晴絵(・・・っ!なんだ、こいつはっ!)

晴絵(記者たちも実況も、気付かなかったのかっ!)

晴絵(パッとしないだの、照が妹を溺愛してるからだの書いてるバカがっ!)

晴絵(小鍛治健夜さんがダブる・・・)

晴絵(この小さな子も風越のエースも最後の1人すら相当な打ち手だ)

晴絵(その中で、半荘2回を2回共プラスマイナスゼロ!しかも風越が飛ばないようにフォローまでして)

晴絵(こいつは宮永照や宮永結以上の打ち手だぞ)ゾワッ

晴絵(宮永結・・・そして決勝戦だけ出てきた宮永咲)

晴絵(私は、この子たちに何をしてやれる?)

憧「ハルエ、目が怖いんだけど」

晴絵「あ、悪い悪い」

晴絵「灼と宥が来たら言おうと思ってたんだが、全国の2位を回って対戦していこうと思う」

穏乃「おおっ!道場破り!」

晴絵「だから親御さんの・・・」

穏乃「赤土さん?」

晴絵(全国2位・・・それも良いとは思う)

晴絵(けど、それであの清澄高校と戦えるのか?)

晴絵(他の高校はともかく、清澄高校の力は高校生レベルを遙かに超越してる)

晴絵(これじゃダメだ・・・これじゃあ小鍛治さんと戦った時の二の舞に)ゾクッ

晴絵「いや、やっぱりまだだ」

憧「え? 全国各地の2位と対戦は」

晴絵「いいか、和の学校は全国優勝して当たり前って言われてるチームだ」

晴絵「全国各地の2位のチームを破った全国各地の1位に、勝って当然のチームなんだ」

晴絵「今から2位のチームに勝ったところで、和の学校とまともに戦えるとは思えない」

憧「そう言われちゃうとそうだけど・・・」

玄「そ、そそ、そんなに強いんですか?」

晴絵「想像以上にな」

穏乃「道場破りをしないってなると、どうするんですか?」

晴絵「ちょっと昔の知り合いに当たってみるよ。やっぱり週末は泊まりになるかも知れないから、親御さんに話しておいてくれ」

<茶屋>

晴絵「すみません、お呼び立てしてしまって」

トシ「良いよ、どうしたんだい?」

晴絵「プロの方で土日に時間を取れる方を紹介して頂けませんか?」

トシ「プロをかい?」

晴絵「正規料金までは出せませんが、多少ならコーチ料も出せます、どうか」

トシ「あんたに教えるレベルのコーチとなると、さすがに難しいねぇ」

晴絵「私の教え子たちと打って頂けるだけで良いんです」

トシ「教え子?」

晴絵「はい。私、今は阿智賀女子麻雀部で顧問をしてるんです」

トシ「そう、あんたが」

晴絵「監督?」

トシ「いや、似るものなのかと思っただけだよ」

トシ「実は私も宮守女子でコーチをしてるんだよ」

晴絵「え!?」

晴絵「じゃ、じゃあ」

トシ「安心して良いよ、紹介はちゃんとするから」

晴絵「い、良いんですか、そんな」

トシ「良いんだよ、実際どこかが健闘してくれないとマズイって思ってるからね」

晴絵「・・・清澄高校」

トシ「あんなのが出てくるなんて想定外も良いところだよ」

トシ「10年、いや100年に1人の逸材だ。初めてさ、教え子を戦わせたくないって思ったのは」

晴絵「けれど、少しでも勝つ確率を上げたいと考えている」

トシ「・・・当然、麻雀は勝利を目指すものだよ」

晴絵「少し安心しました」

トシ「安心?」

晴絵「止めるべきなんじゃないかって、ついつい考えちゃうんですよね」

トシ「そうだね、そういう考え方もあると思うよ」

晴絵「監督でも怖くなることがある」

晴絵「それを越えて、選手たちに見せないように送り出さなければならない」

トシ「前日は自分が選手だった時以上に緊張するから、覚悟しなよ」クスクス

晴絵「はい。既に緊張してますから」アハハ

トシ「じゃあ後日連絡するよ」

晴絵「はい、お願いします。今日はありがとうございました」

トシ「そうだあんた、プロになる気は・・・」

晴絵(今から得意分野を徹底的に磨いて、それをプロ相手の実践で経験に変える)

晴絵(それでようやく一手だけ届く感じか、・・・それだけじゃ)

晴絵(あそこに、行くしかない)

トシ「まるで無さそうだね」クスクス

トシ「私も、本気出さなきゃならないようだ」

<小さなプロチーム>

健夜「お客さん?」

プロA「はい、小鍛治さんに会いたいそうなんですけど、要領を得なくて」

プロB「けどあの人絶対強いですよ、見ただけで分かります!きっと小鍛治さんに弟子入りしに来たんですよ!」

健夜「弟子とか取ってないからね」

健夜(恨みを持った人とかかなぁ、あとはファンとか。あんまり出たくないなぁ)

プロA「赤土晴絵とか言ってたんですが、聞いたことない名前ですよね」

健夜「赤土、晴絵?」

健夜「いいよ、私が出るから」

晴絵(小鍛治さんの居るチーム・・・弱小だけど小鍛治さんは本物だ、それは私が誰よりも知ってる)

晴絵(くそっ、震えるな、あの子たちのためだ)

晴絵(あの子たちを強くするために、自分の事なんか置いておけ!)

健夜「あの・・・」

晴絵「っ!」

晴絵「あ、と、突然の訪問をしゃ、謝罪します」

晴絵(こ、声が震えてる)

健夜「赤土さん、ですよね?」

晴絵「そ、そうです!」ビクッ

健夜「お久しぶりです、覚えてますか? 私たち高校時代に会ったことがあるんですが」

晴絵(忘れるはずない)

晴絵「はい、覚えています・・・。こ、小鍛治さんが私を覚えているとは思いませんでした」

健夜「国内で私に満貫以上を振り込ませたのは、あなただけなんですよ」

健夜「あれを覚えていたからこそ、私は自分の弱点に気づけました」

健夜「私が世界で戦えたのは赤土さんのお陰でもあるんです」

晴絵「きょ、恐縮です」

健夜「今日はどんなご用事ですか? お時間あるなら1局どうでしょう?」

晴絵(無理無理無理、こんな震えた手で牌を持てるわけないっ)

晴絵「あの、お誘いは、嬉しいん、ですが」アカドセンセーハルエアカドサンハルチャン

晴絵(違うだろ)グッ

晴絵「小鍛治さんにお願いがあるんです」

健夜「お願いですか?」

晴絵「お時間の取れる時で良いんです、うちの子たちと麻雀を打ってくれないでしょうか?」

健夜「赤土さんではなくて?」

晴絵(自分は怖くて打てないのに、生徒には打たせようなんて最低の教師もいたもんだ)

晴絵(けど、私が何と言われようと、あの子たちが勝つには必要なことなんだ)

晴絵「出来る限りの時間をあの子たちのために使ってあげたいんです」

健夜(私は教え子とか持ったこと無いから、その気持ちは分からないけど)

健夜(赤土さんの教えた子供たち、か。少し興味はあるかな)

健夜「わかりました、お休みの日でも良いですか?」

晴絵「良いんですか!?」

晴絵「あ、いえ、コーチ料とか必要でしたら」

健夜「それはいいですよ、仕事にしちゃうとちゃんと教えなきゃいけないので・・・」

健夜「私、誰かに教えるとかは出来ません・・・」

晴絵「打って頂けるだけで良いです!ありがとうございます!」

<数週間後 麻雀部部室>

晴絵「みんな聞いて」

灼「どうしたのハルちゃん、少し顔色悪いよ?」

玄(私も少し寒気がするし、風邪が流行ってたりするのかな)

宥「今日は凄い冷えるよぉ」ブルブル

晴絵「今日来て貰えるのは特別な人だ」

穏乃「特別な人?」

憧「ハルエの彼氏だって言ったら怒るよー?」

灼「っ!?」

晴絵「ちゃんと麻雀のプロだよ」

憧「特別に強いってこと?」

晴絵「そうだ、私の知る限り、この人より強い人は居ない」

憧(ハルエがこうも断言するなんて珍しい)

灼(ハルちゃん、まさか・・・)

晴絵「最強の人だ。戦って自信喪失で済めば良い。もしかしたら深く傷つくかも知れない」

晴絵「だけど、お前たちはどんな相手と戦っても立ち上がれるって信じてる」

穏乃「赤土さん・・・?」

晴絵「お願いします」

玄「」ビクゥッ

宥「」ブルブルブルブル

 ガラッ

健夜「そこまで持ち上げられると困るんですが・・・」

一同「」ポカーン

憧「こ、小鍛治健夜ぁ!? え、本物? 本物!?」

穏乃「おおぉ!元世界ランク2位!!」

灼「ハルちゃんでさえ敵わなかった・・・」

晴絵「今日はお願いします」

健夜「はい」

健夜(子供相手に全力で打つのは大人気ないよね・・・どのレベルで打とうかなぁ)

健夜(赤土さんの教え子だし、高校時代のレベルから始めれば良いかな)

 ・・・

穏乃「」ガシャーン!

穏乃「ナニコレ」

健夜(あれ? やりすぎた? どうしよう?)オロオロ

穏乃「ま、まだまだぁ」

穏乃(凄いっ、強い、強すぎるっ・・・)

憧(余りに圧倒的な差がありすぎて・・・これって練習になるのハルエ?)

晴絵「・・・」

灼「ハルちゃん、どうしたの? なんか変だよ?」

晴絵「小鍛治さん」

健夜「はい?」

晴絵「清澄高校の宮永姉妹わかりますか?」

健夜「知ってます。私去年解説してるから。靖子ちゃんからも聞いてるし」

晴絵「もし小鍛治さんが戦ったら、どのくらいの確立で勝てますか?」

健夜「私は負けませんけど・・・」

晴絵「」

晴絵「あ、すいません、もし今打った小鍛治さんがという意味です」

健夜「ああ、あの最強チームだって宣言のことですか?」

健夜「その通りだと思います。高校時代じゃ私も勝てないかと」

健夜「宮永照ちゃんは私と同じくらいの年齢じゃないかな、って思う時ありますし」

健夜「ここだけの話、プロでも詠ちゃんくらいしか勝てないかも」

晴絵「・・・いいか、みんな」

晴絵「和たちと『戦いたい』なら、今日ここで強くなるしかない」

晴絵「もし出来ないようなら」

晴絵「私は全国大会を辞退するつもりだ」

憧「はぁぁぁぁ!? 何言ってんの!?」

穏乃「そ、そうですよ!?」

晴絵「和と『会いたい』のか? それとも『遊びたい』のか?」

晴絵「最初は私から頼んだことだった」

晴絵「けど、今は本気でみんなに・・・」

穏乃「勝ちたい!」

憧「シズ?」

穏乃「和に、和たちに勝ちたいです!」

憧「そ、そうね、どうせ戦うなら勝たなきゃ」

穏乃「小鍛治さん!もう1局お願いします!!」

穏乃「今度は全力で!」

健夜「えーと・・・(さすがに全力は可哀想だけど、この子たちの気持ちを無駄にしないために)」

健夜(国内レベルで相手してあげようかな)ゴゴゴゴゴ ← 国内無敗

<高鴨家>

穏乃「ただいまー」

穏乃母「おかえり、って何だか元気無いわね、具合でも悪いの?」

穏乃「いやぁ、ちょっと疲れちゃってヘトヘトなんだ」

穏乃母「体力バカのあんたがヘトヘトなんて珍しいわね」

穏乃「酷いよっ!? ほんとに母親の言葉!?」

穏乃母「あれだけ山を駈けずり回っても平気だったじゃないの」

穏乃母「もうすぐ夕食できるから、お風呂入ってサッパリしてきな」

穏乃「はーい」

<穏乃の部屋>

穏乃「あー、疲れたー」ドサッ

穏乃「・・・寝ちゃダメだ」

穏乃「和はあれからずっと打ってたんだ」

穏乃「和に勝つには時間はいくら有っても足りない」

穏乃「今日の牌譜を復習しよう」

穏乃「ここ完全に狙われてる、ここは引くべきだったのか、こっちは・・・」

穏乃「ん・・・? 憧から電話?」

憧『シズ?』

穏乃「どうしかした、憧?」

憧『私たちさ、勝てるのかな』

穏乃「勝つために頑張ってんじゃんか!」

憧『うん・・・』

穏乃「晩成に勝って、憧の友達の分も背負ってんだろ」

憧『分かってる』

憧『分かってるけどさ・・・』

穏乃(憧・・・)

穏乃「ねぇ憧、覚えてる? 小学生の時さ、阿知賀の制服を見た和が阿知賀へ行くって言ったじゃん」

憧『覚えてるよ・・・忘れるはず、ないよ』

穏乃「私ね、憧も阿知賀に一緒に行こうって言いたかったよ」

憧『しず・・・』

穏乃「また憧と一緒に麻雀打てるようになって、勝ったり負けたりするようになって、すっごく楽しいんだ」

憧『・・・』

穏乃「憧、私たちの勝ちは別に麻雀で勝つって意味じゃないよ」

穏乃「私、今日赤土さんが言いたかったこと分かった」

穏乃「もし私たちが目茶苦茶負けて、麻雀を見るのも嫌になるくらいになっちゃったら、和を傷つけちゃうよ」

穏乃「私たちもきっと後悔する」

穏乃「だから憧、終わった後にまた打とう今度は勝つからね、って言えれば私たちの勝ちだよ!」

憧『・・・』

憧『プッ・・・アハハハハ、何似合わないこと言ってんの』

穏乃「えぇ!?」

憧『言っとくけど、私は麻雀でも和たちに勝つつもりで練習してるからね』

穏乃「わ、私だって負けるつもりないよっ!」

憧『えー、だって今の負けた後の言葉だったじゃない~?』

穏乃「話の流れとしてそうなっただけ!」

憧『シズ』

穏乃「ん?」

憧『ありがと』

穏乃「どういたしまして!」

憧『じゃあ、おやすみ』

穏乃「おやすみ」

穏乃「・・・よし、やる気出てきたぞ」

穏乃「勝つんだ、和に」

<東京出発前日>

晴絵「灼は部長だから抽選に参加して貰うからね」

灼「分かった」

晴絵「私が緊張しない方法を伝授してあげよう!」

灼「いや要らないし・・・」

晴絵「聞いておいた方が良いって、私なんてカッチコチになって壇上でコケちゃってさぁ」

灼「・・・見てたよ」

 ガラッ

憧「あれ? シズは?」

晴絵「今日は遅れるって連絡あったよ」

憧「遅れるって教室に居なかったんだけど」

灼「用事があるんじゃないの?」

憧「明日から東京なのに?」

灼「私たちに聞かれても・・・」

憧「ああ、そうよね、ごめん」

玄「遅れてすみません!」

宥「ごめんなさーい」

晴絵「いいっていいて。クラスメイトから激励を受けて来たんでしょ」

晴絵「そういうの力になるから受け止めなきゃ」

憧「玄、宥姉、シズ知らない? インターハイ前最後の調整だって言うのに」

宥「さっき、学校から出て行くところ見たけど・・・」

憧「学外っ? 行くなら一言くらいあっても良いじゃない・・・」

穏乃「始まりはこの山」

穏乃「ずっと1人で遊びまわってたっけ」

穏乃「同じクラスで仲良くなった憧を誘って子供麻雀教室へ行った」

穏乃「玄さんに勝てなくて憧と一緒に大泣きしたっけ」テクテク

穏乃「転校生で浮いてた和が歩いてたから声かけて」

穏乃「麻雀出来るって知ったから誘った」

穏乃「あの頃から和は上手かったな」テクテク

穏乃「赤土さんが実業団へ行くことになった、最初の別れ」

穏乃「麻雀教室が無くなったから玄さんとも会わなくなった、次の別れ」

穏乃「憧が別の中学へ行ったから意地張ってほとんど連絡しなくなった、3回目の別れ」

穏乃「そして和の転校、最後の別れ」ピタッ

穏乃「私の世界が変わったのは、4回の別れ」

穏乃「けど和がくれたキッカケが、3度の再会と新しい出会いをくれたよ」

穏乃「だから今最後の再会をしに行くよ、和」ゴゴゴゴゴ

憧「おそーい!」

穏乃「ごめん憧!ちょっと用事があってさ!」

憧「何? 私たちにも話せない用事なの?」

穏乃「話せないって言うか、しばらく行けないから山を走ってきただけだし」

憧「はぁ?」ポカーン

憧「ちょっとシズが分からないわ」ウーン

灼「気持ちを引き締める儀式みたいなものだよ」

灼「私も今朝、1ゲームだけボーリングやってきた」

憧「え? もしかして、みんな何かしてきたの?」

玄「だ、大丈夫なのです。私も何もしてないよ」

晴絵「みんな揃ったようだね。じゃあ最後の仕上げをするよ!」

 「はい!」「はーい!」「おー!」「うん」「は~い」

<東京へ出発日>

憧「シズ、荷物それだけ?」

穏乃「ん? そだよ?」

憧「・・・ちょっと見せなさい」

穏乃「え、なんで?」

憧「いいから!」

憧「・・・って、ジャージだらけ!? いやむしろジャージ以外の服が見つからない!」

灼「制服は?」

穏乃「これ学校指定のジャージだよ?」

憧「そういう問題じゃないでしょ!」

憧「ごめん、ハルエ!シズが制服忘れてきたみたいで、一緒に取りに行ってくるね」

穏乃「え? いいよ別に、遅れちゃうし」

憧「全国中継されるんだからちゃんとするの!」

穏乃「じゃあ出場する時だけ憧の制服貸して」

憧「え」///

灼「無茶苦茶身勝手・・・」

穏乃「やっぱりダメ? じゃあ、一っ走り取りに戻ってくるよ」

憧「い、いいわよ、もう」

憧「貸してあげる。遅れて渋滞に巻き込まれても嫌だし、私は代えのも持ってきてるから大丈夫」

穏乃「いいの? やったー!」

灼「・・・」

玄「あれ? どうしたの?」

灼「邪魔しないようにしようかなって」

晴絵「制服は大丈夫みたいだね(本人たちが良いんだし)」

晴絵「じゃあ、そろそろ行くよー!」

<サービスエリア>

憧「乗ってるだけって言うのも疲れるよねー」

穏乃「じっとしてると身体がウズウズしてくるしね」

憧「ウズウズとまではしないけど、なんか分かる気がするなー」

憧「玄、宥姉は大丈夫?」

玄「うん、後で温かい飲み物持っていくから」

憧「あれ? 制服の女の子が・・・って」

穏乃「倒れたっ!?」ダッ

竜華「怜・・・って!?」

穏乃「今すぐ救急車へっ!」ダキアゲ

怜「おおぉ、竜華・・・やない」

竜華「あ、救急車必要ないよ」

穏乃「そ、そうなんですか?」

怜「そうやな、単に病弱なだけやし」

竜華「初対面の人にまでアピールやめ」

竜華「それにしてもお姫様抱っことは、パワフルやね~」

怜「私の初お姫様抱っこが竜華やないなんて」

竜華「いくら怜が軽い言うても私には無理や」

竜華「ほんまにして欲しいんなら筋トレしよか?」

怜「そ、それはダメや」

竜華「そっちのみんなはどこへ行くん?」

玄「部活の大会で東京へ行くんですよ!」

竜華「へぇー、うちらも一緒や」

憧(いやシズ、玄、どう見ても千里山の制服でしょ)

憧(あれだけビデオで研究したのに、なんで忘れてんのよぉ!)

憧(ここで指摘したら空気読めない奴みたいじゃない)

穏乃「やっぱり大会だって思うと燃えますよね!」

竜華「そうやなー、うちら去年強いとこに徹底的にやられてしもたからな」

竜華「今年は燃えてるで」ゴッ

憧(清澄のことだし。去年個人戦2位の荒川憩が、団体戦では宮永照相手に飛び終了)

セーラ「怜ー、竜華ー、もうすぐバス出んでー」

憩「あら園城寺先輩倒れられたんですか? 介抱しますー」

怜「親切な人がおったから大丈夫や」

憩「念の為ですよ、試合中に倒れたら部長が泣いてしまいます」

竜華「な、泣かんて」

浩子「その親切な人ですが、阿知賀女子ですね」

竜華「ええっ!? 部活って麻雀だったん!?」

玄「ええっ!? じゃあ全国大会に!?」

憧「あのね玄、私たちは仕方ないけど、相手は全国ランキング2位の千里山女子だよ?」

玄「い、言ってよぉ」

憧「見たら分かるでしょ、普通」

穏乃「ど、どうやって?」

憧「制服で!」

竜華「なんやー、そうやったんか、ごめんなー気付けんで」

玄「い、いえ、こちらこそすいませんです」

浩子「こちらとしてはラッキーですね。初出場の阿知賀は情報が少ないので、実際にこうして出会うことでプロファイルをしやすくなります」

竜華「く、空気読もうや」

憧「千里山に研究されるなんて光栄ですけどね」

浩子「どんな相手でも油断はしませんわ」

セーラ「あんまノンビリ話してる暇はないでー、レギュラーが全員遅刻とか洒落にならん」

穏乃「それじゃあ、全国大会で会いましょう」

竜華「そうやな、是非とも対戦したいな」

穏乃「はい!」

晴絵「去年の千里山は優勝できるレベルだった」

憧「清澄さえ居なければ・・・」

晴絵「より正確に言えば少し違う」

晴絵「宮永照さえ居なければ、千里山は確実に優勝しただろう」

晴絵「清澄には数合わせのメンバーも居たし、部員1人1人のレベルは千里山とそう差があるものじゃなかった」

晴絵「私が見るに、むしろ千里山のが一歩リードしていたと思う」

晴絵「副将に配置された宮永照が、千里山の荒川憩を含む3校相手に30万点を稼ぎ、飛び終了だ」

晴絵「荒川憩は個人戦でも宮永照へと挑み、2位にはなったんだから凄いもんだけど」

憧「それって・・・」

灼「まるで他の部員は必要なく、自分だけで勝てるって証明したみたい」

晴絵「さすにが、そこまでは言わないよ」

晴絵「とにかくさ、私が言いたいこと分かる?」

玄「言いたいこと??」

晴絵「千里山の打倒清澄の気持ちは他のチームの比じゃないだろうね」ニッ

穏乃「そんな事ありませんよっ!」

穏乃「ここに!千里山よりも強く清澄に勝ちたいって思ってるチームがある!!」

憧「実績は向こうが上だけど、私たちだって負けないよ」

玄「うんっ!私たちの思いは小学生の頃からずっと繋がってるもん!」

晴絵「その息だよ」

晴絵「もう出るからトイレ済ませちゃってねー」

晴絵(千里山女子か、出来たら逆のブロックだと助かるんだけど・・・)

<会場ロビー>
穏乃「清澄はシードだから抽選には来ないんだっけ」

憧「そうだね、第一シードだもん」

穏乃「うーん、じゃあ和には会えないのかぁ」

憧「あれ? シズなら意地張って向こうが会いに来ないないなら~とか言うと思ったけど」

穏乃「さすがにチャンピオンチームのレギュラーに会いに来てなんて言わないよ!」

穏乃「私だってそこまで図々しくないって」

憧「中三から復帰して全国大会に出ようって考えちゃうくせに何言ってんよ」

穏乃「それは和が!」

晴絵「ほら置いてっちゃうぞー」

晴絵「」ドクン

玄「」ビクッ

 コトン・・・コトン・・・

憧「あの制服、清澄・・・? どうして」

プロA「プロアマ交流戦で1位になったのは、確かに宮永照だよ」

プロA「けど居たんだよ、悪魔が。あいつとは2度と打ちたくない」

トシ「あんたが清澄と戦うことになったら気をつけな」

トシ「清澄の大将にだけは」

晴絵「決勝戦1試合だけ、ビデオで見ただけだ」

晴絵「それだけで、あいつの異常さが分かった」

健夜「靖子ちゃんから聞いたんだけど、清澄の大将は凄く強いらしいよ」

健夜「私を知ってる靖子ちゃんが、2年以内に復帰した方が良いとか言って来るくらいだし」

穏乃(私を指導してくれた人たちが口を揃えて言う)

穏乃(清澄高校の大将、宮永照の妹)

穏乃(同い年、なんて言ったっけ・・・確か)

 咲―――宮永咲

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

穏乃()ガタガタガタ

憧「シズ・・・?」

穏乃(どうして!? 震えが、止まらないっ)ガタガタ

咲「」コトン・・・コトン・・・

穏乃「」グッ

穏乃(宮永咲・・・)

穏乃(私の―――倒すべき相手!!)

憧「なんで清澄高校の生徒が居たんだろうね~」

晴絵「・・・」

玄「・・・」

宥「・・・」ブルブル

穏乃「・・・」

憧(く、暗い、なんで?)

憧(灼が壇上に行っちゃったから、誰もしゃべらない)

憧(シズまで難しい顔しちゃってさ)

憧「ほらシズ、暗いよ」

穏乃「う、うん」

晴絵「」ハッ

晴絵(私まで落ち込んでどうするんだ)

晴絵(選手たちのメンタル面でもサポートするのが・・・そうじゃない、みんなを元気付けるのはインターハイ経験者である私しかいない)

晴絵「さすがに全国大会には強そうな子が集まってるね」

晴絵「もちろん、私たちもその中の1つだけど」

憧「そ、そうよねっ、あの晩成を倒して出場して来たんだもん」

晴絵「そうそう、あそこの9年連続記録を途絶えさせたダークホース」

憧「ちょっと注目されちゃうかもね~」

穏乃「・・・」

晴絵(だ、ダメか)

憧「こうなったら晴絵、ボケて」ボソボソ

晴絵「む、無茶言うな。くそ、灼に壇上でコケて貰らえば良かったな」ボソボソ

憧「それハルエが癒されるだけでしょ!」

穏乃「和・・・」

玄「え・・・?」

憧「え・・・?」

穏乃「どうして・・・」

和「え? 穏乃?」

和「穏乃!」タッタッタッ

穏乃「和!」ダッ

和「久しぶりです、元気にしていましたか!?」

穏乃「和こそ!」

和「もしかして応援に来てくれたんですか?」

穏乃「違うよ!私たち大会に参加しに来たんだよ!」

玄「久しぶり、和ちゃん」

憧「おひさー」

和「玄さんも、・・・その声、もしかして憧ですか?」

憧「そんなに変わったかな?」

和「ええ、すごく」

晴絵「この子たち和に勝つために県予選を勝ち抜いたんだよ」

和「赤土先生、お久しぶりです」

和「それにしても阿知賀に麻雀部があったんですね」

穏乃「和とまた遊ぶために、作ったんだよ!」イエイ

憧「シズの無茶ぶりでね」

和「穏乃らしいですね」クスクス

穏乃「和」

和「はい?」

穏乃「インターミドル優勝おめでとう、ほんとはすぐに連絡したかったけど照れ臭くて」

和「!」

和「いえ、ありがとうございます」

和「また穏乃たちと麻雀を打つことが出来るなんて、嬉しいです」

穏乃「私もだよ、和!」

憧「でも凄いよねー、和ってば清澄で1年からレギュラーになっちゃうんだもん」

和「簡単ではありませんでした」

憧「うわっ、やっぱり?」

和「私以外のお二人は本当に強くて問題無かったのですが、私がレギュラーになれるかどうかはギリギリでした」

晴絵(え・・・? なんだこの違和感)

穏乃「それでもレギュラーになってるんだから、やっぱり和は強いよ」

和「穏乃、憧、玄さん、絶対に勝ち抜いてください」

和「私たちは優勝しますので、どこかで戦いましょう」

晴絵(麻雀は運の要素が強く、玄の力をオカルトだと否定していた和が他人とチーム、そして自分の強さに自信を持っている)

晴絵(成長しているんだ、和だって。それが嬉しいよ)

憧「そうだ 穏乃「その約束はできないよっ!」

和「どうしてですか?」

穏乃「だって、私たちは和のチームに勝つからねっ!」

和「ふふ・・・なら、どっちが優勝するか競争です」

穏乃「うん!」

和「あ、すいません、迷子を探さないといけなかったんです」

憧「迷子って子供? 手伝おうか?」

和「え゛? あ、あいえ、大丈夫です。今日はインタビューしか予定がないので、多少遅れても・・・」

憧「そう?」

和(言えない・・・まさかレギュラー3人がそれぞれ迷子なんて・・・)

 ・・・

照「咲も結も勝手に、一体どこに居るんだ」シーン

咲「ここどこぉ・・・」ガヤガヤ

結「東京なんて嫌いだ・・・」ポツーン

玄「あ、灼ちゃんが抽選を引くよ!」

憧「お、清澄と反対側だったらどうしようかと思ったけど、大丈夫みたい」

穏乃「さすが灼さん!」

玄「あれ? でも灼ちゃん固まってる」

憧「緊張してるんじゃないの?」

穏乃「えっと、和と戦うとしたら・・・」

晴絵「・・・・・・準決勝だ」

穏乃・憧・玄「・・・・・・」

憧(ハルエが麻雀が出来なくなった準決勝に)

玄(最強の清澄高校との・・・世界最強の高校生との試合・・・)

穏乃「2回も和と戦えるね!」

玄「そ、そうだよねっ!私たち2回も和ちゃんと戦えるんだよ!」

憧「そ、そうよね!王道展開だと準決では負けるんだけど、決勝で私たちが勝つって感じ!?」

穏乃「2回とも勝つの!」

晴絵「ああ、そうだな・・・!」

<阿知賀宿泊ホテル>

穏乃「よぉし、明日から頑張るぞ!」

憧「シズぅ?」

穏乃「ん?」

憧「さっきのことで言いたかったんだけど」

穏乃「さっき?」

憧「私がいくら話し掛けても空返事だったくせに、和に会っただけで元気になっちゃうのはどういうことかな~?」

穏乃「えぇ!? あ、あの時はちょっと考え事してただけで」

憧「ああ、つまり和は考え事より大切だけど、私は考え事よりも下ってこと!?」グリグリ

穏乃「違うよぉ~」

憧「まあ、冗談はこれくらいにして」

穏乃「・・・目がマジだったけど」

憧「宮永咲・・・あれって、シズもなんか感じ取ったってことだよね?」

穏乃「・・・うん」

憧「そっか」

穏乃「あ、でも、あれは感覚打ち?にしか分からない感覚で」

憧「悲観してる訳じゃなくてね」

憧「分からないからシズを元気付けられないな、って残念なだけ」

穏乃「あ、憧・・・」

憧「この間のお礼をしようと思ったのに」

穏乃「そんなの、憧が居なかったらここまで来れなかったんだからさ」

憧「・・・」

穏乃「・・・」

憧「よし、屋上の露天風呂行こう!すっごい景色が良いんだって」

穏乃「おおっ!いいねっ!行こう!」

<展望浴場>

憧「うわー綺麗!」

穏乃「良かった、ガラス張りなんだ」

憧「外に出れたら事故起きちゃうでしょ」

穏乃「それもそうだね」

穏乃「うちの山の木でも、この高さからは眺められなかったなぁー」

憧「高校生にもなって木登り~とかしてないよね?」

穏乃「昨日したけど?」

憧「シズは女の子としての自覚が・・・」

憧「って、危険だからやめなっての」

穏乃「大丈夫だよ、得意だし」

穏乃「憧、久しぶりに洗いっこしようよ!昔やったみたいにさ!」

憧「えー、この歳でやるのはちょっと危ない感じが」

穏乃「じゃあ、背中だけでも!」

憧「まあ、それなら」

穏乃「和の泊まってるホテル聞いておけばよかったかな」ゴシゴシ

憧「アドレス交換してあるから後で聞いておこうか?」

穏乃「あー、でも対戦校同士が会うのってよくないかな?」ゴシゴシ

憧「確かに談合とかあるしね~」

穏乃「和の学校が悪く言われたら嫌だし」ゴシゴシ

憧「むしろ私たちが和と友達だから手加減されたとか言われそう」

穏乃「じゃあ、大会終わった後だね」コウタイ

憧「私たちも和も個人戦の代表者じゃないし、団体戦後なら遊べるんじゃない?」ゴシゴシ

穏乃「宮永姉妹は全員個人戦勝ち抜くだろうし」

憧「そういえば・・・ごめんね、シズ」ゴシゴシ

穏乃「へ? なにが?」

憧「私が中堅で和と先に打たせてもらうから」ゴシゴシ

穏乃「それは謝ることじゃないよ、私たちはみんなで和たちに勝つんだから」

憧「うん・・・!」

21世紀、世界の麻雀競技人口は一億人の大台を突破
日本でも大規模な全国大会が毎年開催され
プロに直結する成績を残すべく高校麻雀部員達が覇を競っていた
これはその頂点を目指す少女達の軌跡

<第一試合>

穏乃「がんばれー玄さん!」

憧「全国デビュー!」

灼「落ち着いて」

宥「がんばってぇ、玄ちゃん」

晴絵「行ってきな」

玄「おまかせあれっ!」

晴絵(ま、第一試合の組合せを見るに問題はないな)

宥「玄ちゃん、大丈夫でしょうか?」

晴絵「んー? どうかな~」シレッ

宥「あ、危ないんですか・・・?」

晴絵「いや冗談、この試合で危ぶむようじゃとても打倒清澄なんて言えないよ」

宥「そうですか、良かったぁ」

晴絵(2回戦が強敵だから、焦点はそっちに合わせた)

晴絵(1回戦は余力で勝つ)

晴絵(清澄と戦うにはこの程度は出来なくちゃならない)

晴絵(さぁ玄、蹂躙して来な)

<千里山女子宿泊ホテル>

セーラ「さて、どっから見る?」

竜華「清澄ー!」

浩子「まだ試合やってません」

憩「うちも見たいけど、シード校やからなぁ」

竜華「じゃあ玄ちゃんたちのとこ!」

セーラ「阿知賀やったっけ」

怜「集中力のある内に、トーナメント表で近いところ見るのが筋やろ」

竜華「筋に頼ると痛い目見るよー、だから玄ちゃん見よー!」

怜「いや意味わからんし」

浩子「阿知賀勝ちましたよ、しかも次の対戦相手です」

竜華「え!? そうなん!? って言ったらダメやん!楽しみが減ってしもた」

憩「ええやないですか、勝つん分かってても楽しめるもんですよ部長」

 二回戦進出は阿知賀女子!!

竜華「お~やった―!バンザーイ!」

怜「人生楽しそうやな」

セーラ「ふむ、どう思うゴールデンルーキー?」

憩「そら去年の話ですよ」

憩「そうですねー、弱点をわざと見せたとちゃいますか?」

憩「地区大会の牌譜から、誰がどー見ても弱点目白押しや」

浩子「部内でその弱点が突かれないはずないですね」

浩子「ということは、その弱点をカバーする何かがあるはず」

浩子「無ければウチらの敵じゃないですわ」

セーラ「同意見や」

憩「あれ? 浩子、聞かれたんウチやけど」

怜「力を隠すとか、まるで清澄やな」

憩「あっちは出す必要が無いだけで、こっちはギリギリな感じがしますけど」

怜「となると一番の強敵は阿知賀? 他はうちらの敵や無いんやろ?」

浩子「劔谷のルーキーは火力ありそうでしたが、相手が憩ですからね」

憩「去年、宮永照が副将やったから無理言って副将にしてもろたのに・・・」

セーラ「代わりにあの子おるやん、週刊誌に手の平返された」

浩子「『完全試合』の宮永結、憩を副将に据えて良かったと思いましたわ」

怜「越谷は?」

浩子「素人混じってるんとちゃいますか?」

怜「し、辛辣やな」

怜「阿知賀がウチらと同じように清澄を意識してるなら、2回戦に全て見せることは無いはずやな」

憩「ピンチになったら見せるんちゃいますか?」

怜「ならその前に貯金作っとくわ」

竜華「怜ぃ、玄ちゃんを虐めるん!?」

怜「アホ、勝つためや非情になり!」

竜華「怜が冷たい」ズーン

セーラ「おいおい、大丈夫かいな?」

竜華「アハハハハ」

竜華「楽しく打とう、楽しい麻雀打ちたいんよ」

怜「竜華・・・」

浩子(去年、清水谷部長が大将で宮永照を止めるはずだった)

浩子(けど清澄はまさかの人数不足で宮永照は副将で、大将は数合わせ)

浩子(憩が宮永照に飛ばされたから、清水谷部長は戦わずして敗北した)

浩子(あの明るい憩が部長の前で大泣きした・・・部長はそれを見て慰めとったけど・・・本当は戦いたかったに決まっとる・・・)

浩子(それから誰よりも練習したんや)

浩子(今年の清水谷部長は誰にも負けん)

<阿知賀ホテル>

穏乃「1回戦突破~!!」

一同「かんぱーい!」

憧「いやぁ~、実は私たちって凄い強いんじゃない?」

灼「楽勝だった。晩成のが強かったくらい」

玄「私たちが強くなってるってことだよっ!」

晴絵「晩成は40年で39回出場してる超強豪校だからね、強いに決まってるよ」

憧「晩成に勝って来てる私たちなら、ってことね」

穏乃「次の試合を勝てば、和と戦える!」

晴絵「終わったらミーティングやるから、食べ過ぎないようにね」

憧「大丈夫大丈夫、次が山場だってことくらいみんなちゃんと分かってるって」

灼「あれ? ハルちゃんどこか行くの?」

晴絵「ちょっとシャワーを浴びてくるだけだよ」

晴絵「今日の試合の整理をしてたら遅れちゃってね」

憧「ごゆっくり~」

晴絵「・・・・・・」

晴絵「ふぅ・・・」

晴絵(自分の采配であの子たちが負けるかも知れない)

晴絵(私自身が出場してた頃よりも怖さがあるな・・・)

晴絵(いや、当時はそんなこと考える余裕もなかった)

晴絵(喉元過ぎればってやつかな)

晴絵(千里山女子、特に今年は強敵だ)

晴絵(それだけじゃない。今年は全ての高校が例年以上の力を見せてきてる)

晴絵(宮永照・・・彼女が世界チャンピオンになったことで、何がなんでも彼女に勝ちたいって言う子たちが例年以上の努力をしてきた)

晴絵(日本人初の世界ランク1位が取れるかも知れない。宮永照自身も獲得宣言してるくらいだ)

晴絵(あの歳で日本の麻雀界を牽引するなんて、大したものだよホント)

晴絵(準決勝・・・準決勝でそんな子と戦う)

晴絵(ダメだな・・・すぐ準決勝のことに頭がいく・・・)

晴絵(今は2回戦だ)

<清澄ホテル>

咲「和ちゃん、今日は朝から居なかったけどどうしたの?」

和「はい、実は幼なじみの試合があったので応援へ行ってたんです」

結「私は咲と東京でデート出来たから大満足!」

和「どうして誘ってくれなかったんですか!? ではなく」コホン

和「阿知賀女子という学校で友達が出ているんです」

咲「そうなんだ。勝った?」

和「はい、勝ちました。どちらが優勝するか競争しようって約束もしてますし」

結「競争になると思ってんの?」

和「分かりませんよ? 彼女たちは昔からここぞという時に信じられない力を発揮したりしますから」

結「負けるとしたら和が飛ばされて、私と咲まで回って来ないくらいじゃない?」

和「飛ばされません」

咲「・・・阿知賀、高鴨穏乃ちゃんか」

咲「決勝まで行けば会えるよね」

和「え? いえ、阿知賀女子は準決勝で会えますよ」

咲「え?」

和「はい」

和(あれ? 咲さんに穏乃の名前を伝えたでしょうか・・・)

咲「そっか、私たちが第1シードだから・・・」

結「第1シードなのは当然じゃん。どうしたの咲?」

咲「なんでもないよ」

咲「なんでも・・・・・・」

<第二試合>

えり「インターハイ第2回戦第2試合」

えり「個人戦2位と4位を擁するシード校、全国ランキング2位の千里山女子が姿を現します」

詠「なんで2位なのに第4シード?」

えり「去年のインターハイは4位でしたが、春季大会の成績でランキングを2位に伸ばしました」

えり「それもあり予選開始前まで総合力で千里山女子が清澄高校を上回るのではないか、との声が多かったようですが、いかがでしょうか三尋木プロ」

詠「んー、清澄上回るのは難しいんじゃね、千里山もなかなかだけどねー」

えり「千里山女子が2回戦を勝ち抜くのは確実と見て良いでしょうか?」

詠「わかんねー、千里山より強いとこが参加してるかも知れんし」

えり「そうですね、他の3校もシード校の牙城を切り崩せるか」

<先鋒戦>

玄(サービスエリアで会ったこの人が、千里山女子のエース園城寺さん・・・)

怜「その節はどうも」

玄(よっし)

玄(がんばるよっ!)

えり『先鋒戦、スタートです』

怜(さて、うちの取る作戦は対清澄を見据えとる)

怜(特に体力を温存しておくにこしたことはないから、千里山の理念を曲げてウチだけ稼がんでええことになっとる)

怜(それでも他の3校の力を見ておかな、準決で躓いてもいややし)

怜(ま、常時シングル、要所でダブル使うようにしとこか)ゴォ

怜(それに対応できんようなら、可哀相だけど準決には付いて来れへん)

美幸「」パチ

玄「」パチ

ソフィア「」パチ

怜(船Qの話だと阿智賀が要注意やったな)

怜「ロン、1300」

玄「はい・・・」

晴絵「玄、自分でも分かってると思うがお前のそのドラ体質は対策されやすい」

玄「そうですね・・・」

晴絵「厳しいようだが、今のままじゃ全国で戦えないだろう」

晴絵「私たちが他のチームを研究しているように、他のチームも私たちを研究してくる」

晴絵「1回戦はまだ良い。だが2回戦、準決勝と進む内に注目され、一目で分かるお前の力は他校から付けいられる隙になる」

玄「赤土先生、やっぱり私先鋒は・・・。お姉ちゃんや灼ちゃんの方が」

晴絵「いや私は玄が先鋒を務めるべきだと思ってる」

晴絵「宥や灼はお前が連れてきた仲間だ。それに純粋に麻雀にずっと向き合って来たのはお前しかいない」

玄「そ、それなら憧ちゃんも」

晴絵「憧の才能で麻雀に打ち込んでれば、去年全国で和と再会していたぞ」

晴絵「私も含めて、阿知賀のみんなは一度は麻雀から遠ざかった人間だ」

晴絵「けど、お前だけは違う」

晴絵「だから玄こそ阿知賀のエースとして、先鋒を戦うべきだ」

晴絵「なにより、もう待つのは嫌だろ?」

玄「え?」

晴絵「みんなの道を、お前が切り開け」

玄(いくよ、みんな)

玄「カンっ!」

怜(なっ!自分から捨てられる牌を減らすんか!?)

ソフィア(牌符から考えるなら、下手すりゃドラしか積もらなくなるぞ?)

怜(とりあえず、ずらしとこか)

怜「ポンッ」

美幸(園城寺のポン、これは・・・)

玄「ツモ」

怜(なっ、ずらしても和了るって、チャンピオンやないんやから・・・!)

怜(って、これは・・・)

玄「ツモドラ7、4000・8000です」

怜(なるほどな、改変しても松実玄のドラ積もりは崩せん)

怜(やから待ちをドラにしたわけか)

ソフィア(カンしたところで、防御が薄いことには変わらないな)

 ―――

穏乃「カン材は一種だけだったかー」

憧「でも倍満あがったんだから、上出来でしょ」

晴絵「まあな。でも油断はできない」

晴絵「危険牌を序盤に処理してカンを狙い、後半にはドラだけをツモるようにする作戦」

灼「園城寺怜のズラしも回避できた」

晴絵「ああ。運良く早い段階で見せられたことだし、対戦相手も警戒しただろ」

晴絵「今の玄は、ただ待っているだけじゃないぞ」

怜(ドラ爆体質やけど、その他の打ち筋はまともって話やったんやけどな)

怜(その上改変対策とか、もろにウチ対策やな)

玄「」パチ

怜(松実玄は・・・は? 捨て牌ドラやん!?)

怜(セーラも船Qも、不自然な打ち方を見るにドラ捨てられんて自信満々に言ってたやないか!)

怜(ちょい、様子見とこか)ギュルルル

怜(・・・ウチの手配にドラが入る)

怜(松実玄の支配が崩れた? 船Qたちのプロファイルミス?)

玄(ドラが入らない前提で打てば、少しは聴牌速度が上がるはずなんだけど)

玄(園城寺さん、やっぱり凄いよ。早すぎて全然追いつけない)

怜(うちの未来改変と同じやな。しばらくドラが入らんようになっとるわけか)

怜(ん、劔谷が振り込むな)

玄「ロンです、発ドラ1、2000点!」

怜(和了率を上げて逃げる作戦か?)

怜(平均聴牌速度でウチに勝つんは・・・いや、改変対策をしてきた阿知賀がそんな愚策犯すとは思えんな)

怜(ん・・・ドラ1?)

怜(劔谷が捨てたドラでロン和了やと、まさか)

玄(迎えに来たよっ!)ギャー

怜(支配力が戻ったなぁ・・・ドラが入らんわ)

怜(ドラ捨てで支配力を失っても、ロンやチーで支配力戻せるわけか)

怜(こりゃ認識改めなあかんな)

怜(阿知賀は清澄のために戦法隠してたんやない。今、ウチらを倒しに来てんで)

怜(みんなを信じてへんわけやないけど、念の為少し貯金作っとこか)ギュルルル

えり『先鋒戦終了!』

えり『千里山の園城寺怜は2万点オーバーの1位、続く阿知賀松実玄は失点はあったものの首位との差を4000点と健闘しました』

千里山:122000(+22000)
阿知賀:118000(+18000)
劔谷 :83000(-17000)
越谷 :77000(-23000)

<阿知賀控え室>

穏乃「お疲れです、玄さん!」

玄「ごめんね、1位はダメだった」

憧「18000稼いだんだから十分よ」

晴絵(ドラで打点を上げる玄は迷彩やダマによる稼ぎがやりやすい)

晴絵(それに引っかかることの無い園城寺怜は、玄にとっては相性が悪かったな)

憧「園城寺怜は1巡先だけなのかな?」

玄「え? どういうこと?」

憧「たまに2巡か3巡先くらい見えてるような打ち方してるんだよね」

玄「えっと・・・気づかなかったけど」

憧「モニタで園城寺怜の手配見てたらそう思っただけ」

憧「ハルエ、どう思う?」

晴絵「私もそう思ったよ。準決の課題だな」

晴絵「宥、準備は良い?」

宥「はい」

晴絵(宥は麻雀も精神的にも安定して強いから、安心して見てられるな)

<千里山控え室>

竜華「大丈夫か、怜?」

怜「すまんな竜華、迷惑かけるで」

竜華「それは言わない約束や」

セーラ「いやー、すまん」

浩子「えろうすんません」

怜「いや戦力温存してんのは分かっとったことやし」

怜「まさか見せて来るとは思わんかったけど」

セーラ「よう考えたら、今日勝ったとしたら宮永照やん」

セーラ「どうせ東一局で見られてしまうんやから、隠す意味ないわ」アハハ

竜華「宮永照以外に隠す可能性も否定できんかったんや、しゃーないわ」

セーラ「まあ、マイナスでも良かったんやで?」

怜「わかっとったんやけど、ちょい熱くなってもうたわ」

憩「簡易の検診やっときます?」

怜「竜華の膝枕さえあれば回復するわ」

竜華「大将戦までやで」

浩子「それじゃあ行って来ます」

竜華「頑張ってや」

<次鋒戦>

宥(玄ちゃんがすっごく強いってこと、お姉ちゃんはずっと知ってたよ)

宥(玄ちゃんが頑張って稼いだ点棒、取られないようにしなきゃ)

浩子(先鋒戦を見るに阿知賀は何かを見せてくるかも知れない)

浩子(他の2校はうちらの敵やない。やから、お前のデータをしゃぶり尽くしたるわ)

 ―――

玄「お姉ちゃん、がんばれー!」

灼「ハルちゃん、何見てるの?」

晴絵「先鋒戦の牌譜」

灼「もう作ったの?」

晴絵「園城寺怜は牌譜が少ない。それに今回は玄が切り込んでくれたから、何かしら見つかるかも知れない」

憧「いや、宥姉の応援しようよ」

晴絵「始まったらちゃんと見るよ」

晴絵(ま、見るまでもなく勝つのは宥だけどな)

浩子(なるほどなぁ、萬子やのうて赤い牌、か)

浩子(けど松美玄のように極端やない。赤い牌以外もツモってるし、和了にも含まれとる)

浩子(赤い牌を捨てても問題ないようや)

浩子(柔軟なのかプロファイルが違うのか、まだデータが足りんなぁ)ニタァ

 ―――

竜華「あかん、悪い癖が出とる」

怜「めっちゃ悪い顔しとるわ」

憩「監督に言って作戦変更しますー?」

竜華「ええよ、ウチに任せとき」

セーラ「ま、船Qの分はウチが稼いでやるわ」

竜華「憩ちゃんが安心して出来るよう頼むで」

セーラ「おうよ」

宥「ツモ、1000・2000です」

浩子(良い和了率やんか)

宥「・・・ロンです、1000点」

浩子(ええわ、ええわぁ)

宥(・・・怖い)ガクガクブルブル

浩子(こう打ったらどないするんや?)

宥「」パチ

浩子(松美玄と違い手配縛られんから、降りる時はベタ降りやな)

浩子(じゃあ罠張るで?)

宥「」パチ

浩子「ロンや、2000」

宥「はい・・・」

浩子(なるほどなぁ)ペロリ

えり『次鋒戦終了!』

浩子(・・・はっ!?)

浩子(色々試しとったら終わってしまった)

宥「ありがとうございました」

えり『阿知賀女子松実宥、千里山女子を抜き去り見事首位へ』

詠『千里山の子は勝つための麻雀を打ってなかったからね~。色んな攻め方を試してたみたいだよ』

えり『この中の1校とは準決勝で再戦するわけですから、情報収集に徹したということでしょうか』

詠『楽しかっただけじゃねー、知らんけど』

阿知賀:126000(+8000)
千里山:123000(+1000)
劔谷 :85000(+2000)
越谷 :66000(-11000)

憧「宥姉、お疲れ~!」

宥「うん、みんなの点棒増やせて良かったよ~」

宥「憧ちゃん」

憧「ん? なに宥姉」

宥「大丈夫だから」ニギリシメ

宥「頑張って」ホワァ

憧「・・・ありがと」

 ―――

浩子「・・・」

セーラ「アッハッハ、気にせんとけ」

竜華「プラスやったんやから気にする必要ないで」

浩子「ほんますんません、部長」

セーラ「それじゃ行ってくるわ」

浩子「待ち」

セーラ「ん?」

浩子「それとこれとは話別やわ、着替えて行き」

セーラ「あかんかったか・・・」

<中堅戦>

セーラ「ほなよろしゅう」

憧「よろしく・・・」

憧(江口セーラ、去年は2年生にして千里山のエース。清澄の先鋒福路美穂子に稼ぎ勝ってる)

憧(劔谷の部長も強敵だろうけど)

憧(副将の灼は個人戦2位の荒川憩、シズは個人戦4位の清水谷竜華とやるんだから、ここで負けるわけにはいかない)

憧(まず、1つ和了る)

憧「ポン!」

セーラ「・・・」

憧「チー!」

セーラ「ロン、12000」

憧「なっ!?」

セーラ「おおきに」

セーラ「ツモや、2000・4000」

セーラ「親ヅモ、6000オール!」

憧(早っ!)

憧(江口セーラは火力は大きいけど、速度はそこそこじゃなかったけ!?)

えり「千里山江口セーラ選手、怒涛の連続和了で首位を奪回、2位以下を突き放しました」

詠「良い火力だねー」

セーラ(新子憧、副露センスの光る一年生やったな)

セーラ(お手本のようなスタイルや、それだけに読みやすいわ)

憧「ロンッ!3900!」

セーラ「おおう、引っ掛けかいな。見た目とちごうて性格良さそうやったのに」

憧「麻雀とは関係ないでしょうが」

セーラ「それもそうやな。チャンピオンとか見た目と麻雀正反対やし」ケラケラ

憧「ロンッ!1000点」

梢「ロン、5200です」

史織「ロン、3900ー」

セーラ「なんや狙い撃ちかいなー」

セーラ(1対3とかまるでチャンピオンやん)

セーラ(そりゃ憩と竜華が控えとるからな、なんとか削りたくてしゃーないんやろ)

えり『江口選手への集中砲火ですね。新子選手は副露による和了を得意としているようですので、他校の思惑次第では有利でしょうか』

詠『んーと、んーと、まだわかんねー』

えり『・・・』

詠『でも、取られた分以上に取り返せば良いって発想は好きだよー』アッハッハ

えり『取り返す、ですか』

セーラ「ツモ、4000オール」

セーラ(たしか阿知賀を追い詰めれば、何か出してくるかも言うてたな)

セーラ(ちょい突いてみよか!)

憧「く・・・」

セーラ(えらい焦っとんなー、まだ2位やん)

憧(ああもう、裏目ばっか!)

セーラ(予選とは違う・・・集中力ないやんな)

セーラ(落ち着いてくれんと、実力分からんなぁ)

穏乃「憧、がんばれ!」

玄「憧ちゃん・・・」

晴絵「江口セーラは調子良いな」

穏乃「憧だって負けてないですよね!?」

晴絵「負けてないとは思うけど、緊張しているのか少し固いな。読みのキレが悪い」

玄「次が準決勝だからかな・・・」

晴絵「・・・それで緊張するのは私じゃないか?」

穏乃「あ・・・」

穏乃「そっか、憧」

玄「ここに勝てば、和ちゃんと戦える」

玄「そう思ったら、たぶんそのことで頭の中いっぱいに」

晴絵「・・・なるほど」

晴絵(穏乃、玄、和が同じ中学に通った中、憧だけが別の中学へ行ったって話だっけ)

晴絵(憧が和との戦いに賭ける思い、あの頃に違えた道に戻れたという証明か)

晴絵(チームの中では大人びた方と思ってたけど、そうじゃないんだ。誰よりも中学に入る前で足踏みをしているのが憧・・・)

晴絵(私がインターハイに残して来たように、憧にとっての最後の忘れ物が一歩だけ先にある)

晴絵(もっとフォローしておくべきだったな、でも私が今更言ってもダメだな)

晴絵「シズ、悪いんだけど・・・あれ?」

灼「走っていった」

晴絵「お前たちには負けるよ」フッ

えり「中堅戦終了です。途中3校が江口選手を狙い撃ちする展開になりましたが、それでも制したのは千里山女子江口セーラ選手です」

詠「よくぞ火力を魅せつけた、褒めてあげるよ」

えり「千里山女子が徐々にその力を発揮し始めましたね」

えり「ここから千里山女子は個人戦2位の荒川憩選手、個人戦4位の清水谷竜華選手が控えています」

詠「千里山のドラゴンロードちゃんが楽しみだねー、先輩として阿知賀に見せつけられるか」

えり「2人は去年団体個人共に宮永照選手に敗れていますから、その決意は並々ならぬものでしょう」

詠「意思って意味じゃすげー感じるのが居るんだけどねー、あっついくれーに」パタパタ

えり「冷房強めましょうか?」

詠「あっはっは、大丈夫大丈夫」

千里山:142000(+19000)
阿知賀:113000(-13000)
劔谷 :88000(+3000)
越谷 :57000(-9000)

穏乃「憧!」

憧「あ・・・シズ」

憧「ごめん・・・」

穏乃「何言ってんだよ、まだ2位じゃん!」

憧「ここで稼いでおかなきゃならなかったのに、こんな失点しちゃうなんて」

穏乃「憧、もうすぐだよ」

憧「もうすぐ? なにが?」

穏乃「和と戦えるのが」

憧「シズ・・・」

穏乃「和は強くて夜遅くまで2人で特訓したんだけど結局負けちゃったよね」

穏乃「次、また和と戦うんだよ!帰ったら、もっともっと特訓しないとねっ!」

憧「・・・そうね、シズ」

憧「あーもう、私ほんとダメダメだわ」

穏乃「憧は私よりもちゃんとしてるよ?」

憧「私だってね、すっごい後悔しながら生きてるの」

憧「でも次は後悔しないようにしないとね」

穏乃「そうだね、憧」

憧「シズ・・・」

灼「もう良い?」

憧「きゃあっ!?」

穏乃「灼さん、頑張ってください!」

憧「ごめん、後よろしく」

灼「・・・任された」

憩「お疲れですー」

セーラ「おう」

竜華「途中からセーラらしくなかったな?」

怜「そやなー、もっと稼げそうやったけど」

セーラ「思ったより強くてなー。足踏みしてしまったわ」

浩子「序盤のお陰で点数に余裕ありましたし、あれで良かったと思います」

セーラ「そやろー、いやーあっついわー」パタパタ

竜華「憧ちゃんやったっけ? ちょい微妙やったな。一回戦のが良かったというか」

セーラ「それぞれ事情あんのやろ」

セーラ「憩、準備は良いんか?」

憩「はいですー、待ち疲れてしまいましたわ」キィィィ

竜華「大将戦んことは気にせんでええから、気楽に行って来てや」

憩「監督の作戦きっちりこなして、かつ楽しませて頂きますわ」

<副将戦>

灼「よろしくお願いします」

玉子「よきに」

友香「よろ!」

憩「よろしゅうなー」

灼(全国2位・・・ハルちゃんと何度も牌譜とビデオを見たけど、この人だけはイマイチ分からない)

灼(玄のような異常な力を持っている雰囲気もない、ツモの偏りもない、それなのに全国で2位を取った)

憩「最初に謝っとくわ」

憩「今から色々やるけど、君たち舐めてるんとはちゃうから」キィィィ

友香(よしっ配牌ツモ調子いいのでー!直取りなら阿知賀をまくれるんでー!)

友香「リーチでぇ!」

玉子「一発消してやる、ポン!」

灼(劔谷表情隠してない、私をまくるつもり満々って感じ)

憩「ロン、16000頂きますー」

灼「っ!?」

友香(なっ!? ま、まあ阿知賀が落ちて来たんだから良しとするんでー)

憩「いやぁー、幸先いいわぁ」ニコニコ

灼「・・・」

憩「あ、気に触った?」

憩「なんせウチ、去年ボロボロやん? 全国中継で泣いてしもうて、恥ずかしくて恥ずかしくて」

灼「別に」

憩「千里山が第4シードなんも、去年ウチが飛んだせいや」

灼「いいから早く受け取って」

憩「いけずやなぁ、この気持ち阿知賀なら分かってくれると思ったんやけど」

憩「ウチと心を共有できるんは、赤土晴絵だけなんか」

灼「」ムカッ

灼「今倒してやるから黙って待ってろ!」

憩「は、はいぃ!?」

憩(な、なんで怒ったん?)

灼(よし、行ける。裏乗れば満貫に・・・)

灼「リーチ」

憩「ロンやー、5200」

灼「はい・・・」

憩「あんなー、赤土晴絵バカにしてるつもりは無いんよ?」

灼「・・・」

憩「むしろ尊敬してるくらいや。きっと話も合うと思うし、大会終わったら・・・」

灼「」ムカムカ

憩(おかしい、どんどん不機嫌になってくやん)

憩「親番やでー」

灼(落ち着け・・・今私の頭の中は沸騰してる)

灼(千里山の親番だし、配牌かツモが相当良くない限りはベタ降りにして頭を冷やそう)

灼(・・・流局)

友香「ノーテン」

憩「あちゃー、ノーテンや。せっかくの親番流れたなー」

友香(これは、嫌な予感がしてきたんでー)

灼(劔谷の様子が変わった。どうして?)

灼(ハルちゃんなら気付いたかも知れないけど・・・私には分からない)

憩「ロン、1000点やー」

灼(くっ・・・また和了れなかった)

友香「・・・」

玉子「ふーむ」

憩「さっきん話の続きなんやけどなー」

灼(うるさ)

憩「去年誓ったんよ」

憩「清澄には絶対負けんてな」キィィィィィィィン

灼「!」

友香(これが全国2位・・・!)

憩「前半戦はパーフェクトゲームで終わらすわ」

憩「我慢、してな?」

結「こいつぅー!!」バンバン

咲「結、叩かない」

結「だって私の丸パクリじゃん!!挑発だよ挑発!!」

久「今いち分からないわね。照、荒川憩は何かあるのかしら?」

久(って、いけないわね。照が居ると牌譜見て研究するとか忘れそうになるわ)

和「特殊なシステムだとしたら、聴牌している相手から直撃を取れるように見えますが」

照「近い」

照「まず誰かがリーチを掛けた時に、それと同じ飜数で1巡後に本人からロン和了」

久「ポンでズラされた場合は?」

照「私の『連続和了』と同じで普通じゃズラせない。本人がズラせば別だけど」

和「患者が病気(リーチ)を申告すると、処方箋(当たり牌、ただし憩の)を渡すってことですか」

和「なら次のはウイルス感染でしょうか」

照「センスが分からない」

照「荒川憩が自身の有効牌を捨てると、次の1巡は他家に有効牌が入らない」

久「わかりずらい上に地味ねぇ~」

和「その上穴だらけです」

照「手変わりの間、相手の手の進みが止まるわけだから便利だと思う」

照「何よりもそれらは制約ではなく、荒川憩自身の意思でコントロールできること」

照「他校の情報収集を匠に回避しての打ち回しも相当上手いけど、今日は隠すつもり無いみたい」

久「そこで騒いでる子が答えでしょうね」

照「・・・結、うるさい」

結「最近照おねーちゃんが敵だよ!」

久(もっと正確に言えば・・・)

咲「・・・・・・あ、おトイレ行ってきます」

久「・・・ええ」アセ

えり「副将戦前半、まるで宮永結を連想させる完全試合を見せてくれました千里山女子の圧倒的リードです」

えり「これが全国個人戦2位の実力なのでしょうか。他の3校にとっては厳しい展開ですね、三尋木プロ」

詠「厳しいのは間違いねーんだろうけど、焦ってるのは千里山じゃね? 知らんけど」

えり「はい? 点数の余裕もありますし焦ってるとは思えませんけど」

詠「おいおいアナウンサー、この試合始まる前に自分で言った言葉思いだせよー」

えり「・・・あ!」

えり「千里山は清澄を倒したい。けれど、清澄の大将の情報は少ない。だから引っ張り出したいという訳ですね?」

詠「完全試合ちゃんは熱くなりそうなタイプだったからねぇ~、知らんけど」

えり「つまり、今のパーフェクトゲームは清澄に対する宣戦布告だと。いえしかし、それなら余計に宮永咲選手が出てくる可能性が減るのでは?」

詠「わかんねー、全てがわかんねー」パタパタ

えり「」ピクピク

姫子「千里山のやつらぁ、私らが清澄に手も足も出んと決め付けとりますよ!?」

煌「しかも宮永結と戦うのは部長です。すばらくないですね」

哩「・・・」

姫子「部長?」

哩「構わん。好都合とよ」

姫子「な、なしてですか!?」

哩「知りたいのはこちらも同じと。それにリザベーションを使うチャンスが来るかも知れん」

煌「部長は千里山の作戦が分かるんですか?」

哩「私たちの学年で、打倒世界チャンピオン宮永照を考えなかった者はおらん」

哩「気持ちは同じはずとよ」

友香「ツモッ、8000オールでー!」

灼(確かに「前半戦は」って言った。なら後半戦は?)

友香(千里山は清澄一筋みたいだけど、私ら細かいことを気にしてる余裕ないんでー)

憩「おー、やるやんなー早いでー」ニコニコ

灼(これで劔谷にカウンターが無ければ私も・・・)

灼(ダメだっ、こんな考えじゃ!負けないくらい和了るんだ!)

憩「いやー当たってしもうたかー」ニコニコ

憩「おお、高めやん」ニコニコ

憩「あちゃー、ダメやったかぁ」ニコニコ

灼(他家に振り込みまくってる・・・)

憩「いやー、後半戦は一度も和了れんかったわー」

憩「けど、うちの大将は絶対負けんから問題ないわ!」カメラメセン

咏プロの間違いすいません
あと方言が変でも許してください

阿知賀:135000(+22000)
劔谷 :117000(+29000)
千里山:92000(-50000)
越谷 :57000(-1000)

灼「・・・」

憩「ほんまに」

灼「謝罪なら始まる前に聞いた」

憩「・・・そやなー」

灼「これで清澄と戦えなかったらバカみたいじゃないの?」

憩「有り得んわ」

憩「部長が負けるとでも言いたいんか?」

憩「ま、準決残ったらまた打とうや」

憩「今度は全力でなー」

憧「千里山、正気とは思えないんだけど」

憧「みんな本気でやって来てるのに、あんな。そりゃ、私らは1位になったけどさ!」

穏乃「いいんじゃないの?」

憧「シズが舐められてるんだよ!?」

穏乃「それだけみんな和の学校が怖いんだよ」

憧「・・・」

穏乃「情報収集されないように力を全部見せないとか、どこでもやってることじゃん」

晴絵「チャンピオンだってたぶん世界戦でしか使わないのあるしな」

晴絵「なにより、うちも千里山相手にやったから」

憧「あ、あれはやらなくても勝てるから温存しただけだし、わざと振り込むのとは・・・」

穏乃「みんな本気なんだよ」

穏乃「本気で、和の学校に勝とうって思ってる」

穏乃「それが凄く、嬉しい」ゴゴゴ

晴絵(相手は世界チャンピオンのチームだから負けても良い、そう考えたって不思議じゃない)

晴絵(今の子たちはまったく諦めない。本当にすごいよ)

灼「ただいま」

穏乃「灼さん!お疲れ様です!」

灼「貰った点数だけど1位だから、あとよろしく」

穏乃「トーナメント表で良いところを引いてくれたお陰ですよ!」

灼「あんまり嬉しくない褒め言葉」

憧「どっちにしても取り戻してくれてありがと、灼」

灼「どういたしまして」

怜「ああっ、竜華が居なくなったらウチ生きていけん」

竜華「無茶言わんといて、ほんの少しの辛抱や」

怜「竜華、待っとるで。いつまでも、待っとるからな」

竜華「怜・・・」

セーラ「ええからはよいけ」

怜「セーラ、いつか馬に蹴られて死んでまうで?」

憩「戻りましたー」

浩子「お疲れ。後で監督にぐちぐち文句言うと良いわ」

憩「挑発された宮永結が北九州のエースが居る中でどう戦うのか、ウチも気になりますんで良いですよ」

憩「部長、お願いします」

竜華「任せとき!」

<大将戦>

竜華「穏乃ちゃん、サービスエリアでは世話んなったな」

穏乃「そうですね!約束通り戦えてよかったです!」

竜華「作戦とは言え、副将の子には悪いことしたわ。後で謝っといてくれる?」

穏乃「わかりました。勝った後に、伝えておきます」

竜華「ふふ、手加減せんよ?」

穏乃「望むところです!」

えり『昨年個人戦4位、千里山女子の部長、清水谷竜華選手です。なんとも厚い層です。千里山女子も過去最高レベルのチームと言って良いでしょう』

咏『千里山のドラゴンロードちゃんは、先輩としての意地を見せられるかなー』アハハ

えり『清水谷選手は昨年の団体戦でインターハイの獲得点数記録を塗り替える寸前だったのですが、決勝で大将戦に回らず涙を飲むことになりました』

咏『その上、チャンピオンが塗り替えちゃったからねー。本人はそれよりも後輩の涙が堪えたんじゃね、知らんけど』

えり『しかし、その千里山女子は3位に低迷しています。追い上げられるか』

竜華「ツモや、リーチ一発ツモドラ8、12000オールやな」

えり『さ、3倍満!!東一局、親番清水谷選手が3倍満を和了、首位を奪還しました!』

竜華(ふー、さすがに緊張したなぁ)

竜華(でも東一局でまくれたんはラッキーやったな)

竜華(狙ったわけやないけど劇的に見えたやろ?)

穏乃「・・・」

<回想>

穏乃「配牌が必ずドラ4?」

晴絵「そうだ」

憧「な、なにその反則っぽいの」

晴絵「清水谷竜華の配牌には必ずドラが4枚含まれる」

晴絵「その後、捨てることもあるし、チーで使用もする」

灼「配牌には含まれるけど、その後どう使うかは自由ってことか」

晴絵「カンすると新ドラをツモって来れる特性も同時に持ってる」

憧「玄並のドラ爆体質・・・点数すごいんじゃないの?」

晴絵「最低満貫を和了るって思ってもいいだろうな」

晴絵「厄介なのは弱点がないことだ」

晴絵「能力を失うタイミングも無ければ、特にマイナス要素を持っている様子もない。その上、かなり打ち込んでるらしく素で強い」

晴絵「シズ、勝つにはひたすら打つしかない。しばらく玄を含めてドラが来ない状況で特打をする」

晴絵「これは慣れも重要だ。相手がドラを独占してる時の戦い方を身につけるぞ」

穏乃「はい!わかりました!」

竜華「ロン、12000の1本場で12300」

穏乃(配牌ドラ4のせいで手を高める必要なくなり、面子1つが約束されてるから相当早い)

穏乃(この火力でバンバン和了られたら、あっという間に越谷が飛んじゃうな)

穏乃()ボッ

穏乃「ツモです、700・1300」

竜華「あらら、連荘止められたなー」

景子「ロンッ!11600!」

穏乃(とにかく清水谷さんを)

竜華「ツモ、3000・6000や」

穏乃(どうにかしない・・・と)

景子「ロンッ!7700!」

穏乃「あれー」

憧「シズのアホォォォーーー!」

晴絵「」ボーゼン

玄「が、がんばってシズちゃん!」

晴絵「灼・・・」

灼「なに、ハルちゃん?」

晴絵「私、対戦相手のことばかりで、みんなのこと全然分かってなかったのかも」

灼「え? どうして? ハルちゃんは私たちそれぞれに合った特訓を」

晴絵「うん、そういうことじゃなくてさ」チラリ

憧「なんでそこで振り込むのよぉ!超火力で連荘させて終わりでも良かったくらいなのに!」

晴絵「・・・やばい」

灼「・・・やばい、ね」

穏乃(うわわわわ、どうしようどうしようどうしよう)

穏乃(配牌やばいぃぃぃ)

穏乃(ツモもぉぉぉぉ)

穏乃(こ、ここ、こんな時、どどうすんだっけ?)

穏乃(えっと・・・・・・『前』は・・・・)ゴゴゴゴゴゴ

穏乃(・・・・・・『前』ってナニ?)

 ―――

咲「」ピクッ

結「どうしたの咲、トイレじゃなかったの?」

咲「・・・うん、今行くよ」

 ―――

えり「決着っ!終わってみれば千里山女子は圧倒的な1位、大将清水谷竜華選手が10万オーバーのプラスを獲得しました」

えり「そして見事な逆転劇を見せてくれたのは阿知賀女子、高鴨穏乃選手。最後まで諦めない姿勢に私も感動させられました」

咏「もう決まりとか言っちゃかんねー」アッハッハ

えり「」

えり「千里山女子と阿知賀女子が、2連覇中の清澄高校相手にどのような戦いを見せてくれるのか、今後とも目が離せません」

<清澄2回戦>

アナウンサー「私は、夢でも見ているのでしょうか」

アナウンサー「この目で見ても信じられません」

アナウンサー「一体誰がこのような結果を想像したでしょうか」

アナウンサー「これが、史上最強の清澄高校の力、清澄高校の大将、宮永咲の力だぁぁぁ!!」

清澄  :400000
新道寺 :0
苅安賀 :0
栢山学院:0

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「ありがとうございました」ペコ

咲「」テクテク

結「やったーっ!見たか千里山!これが咲の力だよ!」

照「これ、ルール上どうなるの?」

久「副将戦終了時点の点数で決めるらしいわ。新道寺ね」

照「そう、良かった」ホッ

久「珍しいわね?」

照「別に」

和「咲さん、お疲れ様です」

咲「ありがとう、和ちゃん」

結「さすが咲、私のお願いを聞いてくれてありがと!」

咲「・・・うん」

久「『出来るだけ圧倒的に勝って欲しい』、ほんと圧勝よねぇ」

<阿知賀ホテル>

穏乃「カンパーイ!!」

穏乃「ついについについについにっ!」

穏乃「和と戦えるよっ!!」

憧「それ会場でもやった」

玄「何度もやるくらい嬉しいってことだよ」

憧「危ない場面何度も合ったけどねー」

憧「私とかさ・・・」ズーン

穏乃「それでも勝ったから大丈夫!」

憧「シズも一緒でしょうが!」

穏乃「そうだね!でも次は頑張るよ!」

憧「そ、そうね。和に格好悪いところ見せられないし」

玄「準決勝かぁー・・・・・・」ガクガク

憧「玄が宥姉みたいになってる」

玄「わ、私、世界チャンピオンと戦うんだよね・・・」ブルブル

玄「世界チャンピオンって、日本どころか世界で一番強いんだよね?」ブルブル

憧「ユースではあるけどね」

宥「大丈夫、玄ちゃんなら」ダキッ

玄「うん、お姉ちゃん・・・」

穏乃「うおおおおお、待ってろよぉ、和ぁ」バタバタ

灼「うるさ・・・」

憧「ついに和と・・・」グッ

灼「準決勝・・・千里山も強いけど清澄はもっと強い、負けられない」

灼「あれ? ハルちゃんは?」

憧「え? あれ? さっきまでそこに居たはず・・・」

<晴絵・灼部屋>

晴絵(準決勝)

晴絵「ッ・・・・!」ギュ

晴絵「乗り、越えるんだ・・・」ポツリ

 ガチャ

灼「ハルちゃん・・・」

晴絵「!」

晴絵「あ、灼かー、ちょっとデータ整理しておこうと思ってね」

晴絵「私たちの目標だったわけだし」

灼「・・・電気くらい点けなよ」

晴絵「そ、そうだね」

灼「ハルちゃん」

晴絵「・・・ん?」

灼「準決勝、絶対勝つから」

晴絵「・・・・・・ああ」

<準決勝前日>

憧「ああ、騒ぎすぎた・・・」

憧「片付けしなきゃ・・・シズ起きてー」

穏乃「・・・くかー」

玄「おはようっ!準備できた?」バタン

玄「まだ寝てる!?」

憧「おはよう玄ー、元気だねー」

玄「ボサボサの憧ちゃん久しぶりに見たかも」

憧「いやー、あはは」

玄「赤土さんが明日のためにミーティングしようって」

憧「昨日の清澄の試合も見ておきたいしね」

アナウンサー『これが、史上最強の清澄高校の力、清澄高校の大将、宮永咲の力だぁぁぁ!!』

穏乃「・・・」

憧「い、意味、わかんない・・・」

玄「」

宥「」ブルブル

灼「異常・・・」

晴絵(な、なんだこいつは・・・本当に、小鍛治さんと同等かそれ以上の才能を持ってるって言うのか・・・)

穏乃「宮永咲、私の対戦相手」

憧「ちょ、シズ、大丈夫なの?」

憧(今のを見たら心折れても不思議じゃないわよ)

穏乃「勝てるかどうかまでは分かんないけど、勝つ気で打つよ」

晴絵「シズ」

穏乃「なんか弱点が!?」

晴絵「すまない、何度見なおしても見つからない」

穏乃「そうですか」

晴絵「というよりも、何をしているのかすら分からない。嶺上開花は多いが、私には・・・まるで」

晴絵「点数を自在に操っているように、見える」

憧「そんなの、ただの無敵じゃ・・・」

晴絵「個人戦前半のプラマイゼロ、後半の異常な稼ぎ、そして今回の40万点」

灼「やりたい放題」

穏乃「」ゴクッ

晴絵「もし、もしもだ」

晴絵「もうこれ以上、卓に座って居たくないって思ったら」

晴絵「退出しても構わない。そしりは全部私が受ける」

憧「ハルエ、シズに逃げろって言うの!?」

晴絵「甘かった。想像以上だって分かってたはずなのに、それよりも更に。私が最後に出来るのは・・・」

晴絵「お前たちに傷ついて欲しくない」

穏乃「大丈夫ですよ、赤土さん」

穏乃「勝ちます」

穏乃「絶対勝ちます、和に・・・宮永咲に!」

<千里山ホテル>

雅枝(インタビューや行動の端々から、宮永結は宮永咲に対してシスターコンプレックスのきらいがあると読んだ)

雅枝(やから、頼りにならない宮永咲を宮永結がかばっている。という状況を見せつければ挑発に乗って宮永咲を全国に見せつけてくると思うとった)

雅枝(その結果が・・・これや)

セーラ「確定やな」

浩子「・・・規格外の化け物ですわ」

怜「個人戦の結果だけでも異常やけどな」

浩子「試合終了後チャンピオンや完全試合の宮永結以上に、記者たちに囲まれてましたわ」

憩「そらそうやろ、怪物の凱旋や」

竜華「新道寺の大将は大丈夫やろか、明日来れるん?」

憩「辞退しても責められませんわ」

<ラーメン屋>

穏乃「ああは言ったけど、どうしよう」ズズ

憧「って、何か考えがあって言ったんじゃないの?」

憧「突然、ラーメン食べたいなんて言い出すから何かと思ったら・・・」

穏乃「食べたかったのはあるよ」

憧「何も考えがなかったのなら、あの場で言いなさいよー」

穏乃「これ以上赤土さんに負担かけられないし、灼さんのこともあるし」

憧「相変わらず変なところで気を回すんだから」

憧「それから相談するなら喫茶店とか選んでよ」

穏乃「この後行こうよ」

憧「はいはい。玄も呼ぶ?」

穏乃「玄さんもチャンピオンとの戦いあるから」

憧(そうだよね、宮永照、宮永結、宮永咲、高校レベルを越える超エースが3人)

憧(飛び終了しかねないタイミングが3回もあるんだ・・・)

憧(玄には宥姉、灼にはハルエ、ならシズは私がフォローしてあげなくちゃ)

<喫茶店>

?「うえぇ・・・もう無理ぃ・・・」

?「頼んだのだから食べてください」

?「あと食べていいよぉ」

?「私だってお腹いっぱいです!」

憧「和と・・・宮永結!」

和「憧? 穏乃も」

結「誰?」

和「昨日話しました」

結「聞いたけど忘れた」

和「奈良に居た頃の友達です」

結「誰でもいいから、これあげる」

和「食べかけのケーキを出さないでください!」

穏乃「和、どうしたの?」

和「ちょっとケーキが多くてですね・・・」

憧「もしかして和も特集見たの?」

和「いえ、私ではなく・・・」

結「苦しいよぉーー」

和「まったく真面目な話をする予定でしたのに」

穏乃「私もラーメン食べたばっかりでケーキセットなんて食べれないから、それ貰うよ」

結「ほんとっ!? お願いっ!」

和「ラーメン食べた後にケーキって・・・太りますよ」

穏乃「そう? 私食べても太らないから大丈夫だよ」

和・憧「「そんなオカルトありえません(ありえないから)!」」

憧「明日だね、和」

和「ええ、憧もかなり上手くなっていましたね」

憧「うわー、上から目線で言われちゃったよー」アハハ

和「私の知っている憧は小学生の憧ですから」クス

穏乃「いっぱい練習したからね!」

和「私も負けないくらい練習していますよ」

憧「ハルエも『和、成長したじゃないか』って言ってたよ」

和「そうですか、嬉しいですね」

憧「オモチが」

和「憧~~」

憧「きゃー」アハハ

結「・・・何? もしかして明日の対戦相手なの?」

和「そうですよ、阿知賀女子です」

結「明日は千里山潰すことばっかり考えてて、よく見てなかった」

憧(・・・もしかして新道寺に勝てば自動的に決勝行けるんじゃあ)

憧(いやいや、和に勝つんだって言ってるじゃない)

憧「和の学校と違ってうちは辛勝って感じだけどね」

憧「でも、準決勝では勝たせて貰うから」

結「私は絶対負けないよ? 団体戦は完全試合で終わらせるし」メラ

和「気にしないでください。個人戦では予選で照さんに負けたから言ってるだけです」

結「」プシュー

憧「ところでさ、宮永咲ってやっぱり強い?」

和「咲さん、ですか・・・」

憧「あ、ごめん、今の忘れて」

憧(やばぁ、つい漏れちゃった)

結「強いよ」

和「結さん、友達ですが対戦相手なのですから」

結「咲が本気になれば最強だよ。知ってるからどうって言う問題じゃない」

結「ま、大丈夫大丈夫、咲は頼まれなきゃあんな虐殺しないし」

結「明日は私が直接千里山潰すから、普通に打つと思うし。あ、大将まで回らなかったらごめんねっ」

穏乃「」モグモグ

憧「シズ、ラーメン大盛り食べたんだから無理しなくても」

穏乃「もし」

結「もし?」

穏乃「もし阿知賀が優勝したら」

結「・・・本気で言ってるの?」

穏乃「もちろん」ボッ

結「ふーん」

穏乃「和たちと奈良に遊びに来て欲しい」

結「・・・有り得ない約束だけど、いいよ」

和「では私たちが勝ちましたら、長野に遊びに来てください」

結「あれ? この賭け意味なくない!?」

和「ホストになるかゲストになるかは大違いです」

憧(傲慢な奴かと思ってたけど、マスコミ向けのパフォーマンスなのかな)

憧(むしろ力関係だと和のが上っぽいし・・・)

憧(上辺だけじゃ判断できないなぁ)

憧(・・・いくら背が伸びてお洒落したところで、私はあの頃の私)

憧(想いは同じまま)

和「穏乃」

穏乃「なに和?」

和「実は今、咲さんの様子が少し変なんです」

結「ちょ、和」

和「照さんには分かるみたいなんですが、私にも結さんにも見当が付きません」

和「穏乃が咲さんと戦えば、何か開けるかも知れない」

和「私は少し、それを期待しています」

穏乃「な、なんか和に過大評価されてる?」

結「あーあーあー、聞こえない聞こえない」

憧「な、なに?」

和「結さんはシスコンで咲さんが大好きなんです」

和「咲さんのためになるなら、何でもしそうです」

結「なっ!和なん・・・フガフガ」

和「そんなに元気なら、食べきれないケーキを他人に押し付けないでください」

結「」ムー

和「ではまた明日」

結「手加減しないからね」

穏乃「うん!」

憧「いやー、ちょっとは手加減して欲しいなー」

結「無理ー」バイバイ

穏乃「・・・」

憧「・・・」

憧「結局、対策は考えられなかったね」

穏乃「うん、でも今までの全部を出しきって見るよ」

憧「和も認めてくれてたしね」

穏乃「大会終わったらまた戦うんだし!」

憧「え、あれって観光とかって意味じゃなかったの?」

穏乃「それもあるけど、麻雀もするよ」

憧「ああ、そう・・・」

穏乃「よし、準決頑張るぞぉーー!!」

<準決勝>

恒子「最初に会場入りしたのはミス・インターハイ、いいやインターハイレベルには留まらない、ミス・チャンピオン宮永照ぅ!!」

恒子「玉座に座る王のごとく、悠然と卓についたァ!!」

健夜「宮永照選手、早めに会場入りすると本を読んでいたりするのですが、今日は何も持っていませんね」

恒子「そんな小さな動作まで気になるとは、小鍛治プロでも取れなかった世界一を取った宮永照の若さに嫉妬してます?」

健夜「ユース大会で・・・・って若さ!?」

恒子「さぁ、次々に選手が会場入りしてきます!」

照「」ゴオオォォ

玄(世界チャンピオン・・・い、居るだけで凄いプレッシャーだよ)

怜「1年振りやな宮永照」

照「」コク

怜「ウチは世話にはなったけど、去年やられた後輩の仇、取らせて貰うで」

照「・・・死んだ?」

怜「そうや・・・あんたにやられた傷が元で憩はっ!ってなんでやねん!麻雀で人死ぬかいなっ!二回戦居たやろ!?」

玄(ノリツッコミ?)

照(あなたは実際死にそうになったけど・・・)

怜「チャンピオンが意外とボケキャラやったのは知っとったけど、全国放送でまでボケるとは思わんかったわ」

照「ボケキャラとは失礼な」ムゥ

玄(チャンピオンと園城寺さんって知り合いなのかな?)

煌「お待たせ致しました」

怜「まだ時間になっとらんよ」

煌「先日はチャンピオンたちにボッコボコにやられてしまいました我が校ですが、今日は勝たせて頂きますよ!」

怜(おおっ、まるで闘志が削がれてへん。すごいなー)

玄(私だったらしばらく立ち直れなそう・・・)

照(花田煌、長野から引越しなければ姉妹麻雀の時に呼べたのに)

玄「わ、私もチャンピオンたちの、和ちゃんたちのチームに勝ちます!」

怜「ならウチも宣言するで。勝つんは千里山や」

照「・・・」

照「・・・」

照「・・・」

怜「チャンピオン、何か言ってや恥ずいやろ」

照「私は」

怜(東二局は来ないとか言い出す気か?)

照「宮永照と言う」

怜「・・・」

煌「・・・」

玄「・・・」

怜「・・・知っとるで?」

煌「それをご存知ない方はインターハイに居ないかと」

照「今年はまだチャンピオンじゃないし、出来たら名前で読んで欲しい」

怜「あ、ああ、そうやな。宮永呼ぶと混乱するから照でええか?」

照「いい」

煌「で、では照先輩と」

玄「私も照先輩で・・・」

照「」コク

照「私たちが、勝つ・・・!」

<一年前・大阪>

竜華「優勝した清澄の宮永照な。ユース世界選手権連覇やもんな」

怜「あれでウチらと同じ高2とか、年齢詐称してるんやないのか」

竜華「来年は、ウチらが勝つんや。絶対負けん」

怜「世界の頂点、か・・・」

怜「どんな景色なんやろうな、世界で1番強い奴から見る麻雀って」

竜華「そりゃ楽しくて楽しくて仕方ないんじゃないん?」

怜「無敗なんやろ? それもう作業やん。楽しいんかな」

竜華「そんなん・・・麻雀好きでもない人に蹂躙されたん言うたら・・・うちらが・・・憩が可哀想過ぎるわ」

怜「ああっ、すまん、そういう意味やなくて」

竜華「気持ちは分かるで。麻雀やってる時ニコリともせんしな」

怜「・・・」

竜華「涙とは言わんけど悔しがらせたいわ」

怜「・・・」

竜華「いや、団体戦で負けて悔しがる所も想像できんけどな」

竜華「・・・怜?」

怜「・・・すまん竜華、ウチ疲れてるみたいや」

竜華「は?」

照「」テクテク

怜「幻覚見えるんよ」

竜華「だ、大丈夫か?」

怜「具体的には大阪の観光地でも無い場所に世界チャンピオンが居て、しかもこっちに歩いてくる幻覚が見えるんよ」

照「あの道をお尋ねしたいんですが」

怜「本格的にマズイわ。幻聴始まった」

竜華「・・・ほ、本物やん!?」

照「あ、知ってる人が居てよかった」

竜華「な、ななな、何の用や!?」シュタ

照「千里山に用事があって来た」

竜華「う、ウチが千里山の新部長、清水谷竜華や!相手になるで!」

怜「何故喧嘩腰」

照「・・・もっと言うと園城寺さんに用事があった」

竜華「怜を憩ちゃんみたいにボコボコにする気かいな!? それだけはさせへん!」

照「園城寺さんは私達の領域に届くプレイヤーだから、もっと強くなって欲しい」

怜「・・・は? う、ウチはあんたと一度も戦ったことないわ。そもそも3軍やで」

照「まだ目覚めてないだけ。それに目覚めても今のままじゃ命を削る」

怜「なんの話やねん。竜華、訳して」

竜華「チャンピオンは電波やったんか」

照「とにかく来て。私と戦って倒れるのだけはやめて欲しいから、それだけは無いように私が力の使い方を」

照「久、目標を確保したから・・・・・・」

照「久が迷子になった」

竜華「どう見ても迷子はあんたや!」

怜(チャンピオン・・・いや照、感謝しとるで)

怜(あんたのお陰で、こうして竜華やセーラたちと全国の舞台に立てた)

怜(照にどんな思惑があるかは知らん。けどな、あんたに勝つことをお礼とさせて貰うわ!!)

怜(東一局いくで。枕神・怜ちゃんモードや)コホッ

怜(この局で最大最速の、最適な未来への道筋っ!)ギュルルル

怜「ツモッ!4000・8000!」

照「」照魔鏡発動

照(・・・性懲りもなく負担の掛かる大技を体得して来てる。才能があるのに体力が追いついて無い)

照(懲りてないって思ったけど、『前』の話だから関係ないか)

照(花田煌は『前』よりもかなり練習してる。精神的な強さは変わらず健在)

照(松実玄・・・『前』はただドラを集めるだけで、最後のだって園城寺さんと花田のサポートがあってこそだったのに全然変わってる)

照(私が長野に残ったことが影響してる? それで奈良の松実玄が強くなる意味もよく・・・。なんか原村和が友達だとか言ってたか)

照(だとすると清澄が強いことが、松実玄の精神に何らかの影響を与えた)

照(清澄の強さ、今は私の力で追い詰めると何をしてくるか分からないな)

照(面白いっ)

照「ふっ」

玄(ちゃ、チャンピオンが笑った?)ビクッ

照「ツモ、300・500」

照「ロン、2000」

照「ツモ、1000・2000」

怜(親で連荘なんかさせへんよ、怜ちゃんモードやっ!)シーン

照「ロン、7700。一本場」ゴオォ

怜「ふぅ・・・(う、嘘や、最速最適な道筋でも和了れんの!?)」

照「」ゴオォォ

怜(それって何やっても和了れんってことやん!?)

怜(毎局怜ちゃん使うんは無理や)

怜(けど照の連荘を止めんと)

玄「カンッ!」

照・怜・煌(ドラ以外をカン!?)

照(捨て牌が全てドラ・・・前局から何かを感じ取って早い段階でドラを捨てたか)

怜(次は照にドラが来る。やるならここや)

怜(怜ちゃんモード・バージョン2)コホッ

照「」ピクッ

怜(松実玄に振り込む最適な道筋)パチ

玄「チー!」

怜「」パチ

玄「ポン!」

怜「」パチ

玄「ロン、1000点です!」

照(このわずかな間に進化した)

煌「」パチ

玄「迎えに来たよっ、ポン!」

煌(阿知賀がドラを持てば、照先輩の和了速度は確実に落ちますからね)

照(ドラが入らなくなったが、折込済みだ)

怜(自身の最適な道筋だけじゃ勝てん)

怜(モード1に併用して、トリプルで照の邪魔をする!)ギュルルル

怜「ロン、11600!」

 ―――

憩「さすが、園城寺先輩・・・」

竜華「怜、あんた」

セーラ「かなり無理してるな」

竜華「なら!」

セーラ「なぁ竜華」

セーラ「あんな楽しそうな怜を止められるか?」

 ―――

怜(モード1・・・ダメか)

怜(なら新道寺への振り込み狙いでモード2!)

煌「ロン、3200です」

煌(千里山のエース・・・点数を頂けるのは嬉しいのですが、少し飛ばし過ぎではないでしょうか?)

玄(園城寺さん、すごい汗、全力なんだ)

玄(私だって・・・!)

玄(この手配なら・・・)

玄「カン、もう一個カン」

玄「嶺上開花ツモドラ8、8000オールです!」

玄(運良く上手くいったよっ!)

恒子『まさかまさかまさか、世界チャンピオン宮永照!他家の怒涛の攻勢を前に最下位転落!!』

健夜『これは見れるかも知れません』

恒子『見れる? 何を?』

健夜『宮永照選手が世界を制した力をです』

照(この人たちは、私が『前』を含む6年間で最強の対戦相手だった)

照(自他共に飛ばさず、強い精神力で他者を支える花田煌)

照(ドラを抱え込み、私の『連続和了』と最悪の相性の松実玄)

照(未来を読むという、私や咲にすら出来ない超能力を持つ園城寺怜)

照(家族麻雀以外では1年ぶりかな)

照(本気になるのは)ギギギ


久「やる気ね、照」

結「照おねーちゃんって負けず嫌いだよねー」

咲「そうだね」アハハ

和「勝負事は負けず嫌いな人が強くなるんです」

久「その理論で行くと、世界チャンピオンの照は世界一の負けず嫌いね」クスクス

咲「最初は必死に探したんだと思います」

結「私の『完全試合』と咲の『点数調整』を破る方法をね。それが『照魔鏡』へ進化した」

結「けど、進化はそこで終わらなかった」

結「照おねーちゃんに勝ちたいなら考えなきゃ、個人戦で私が照おねーちゃんに負けた理由をさ」

怜「」ゾクッ

玄「」ビクッ

怜(な、なんや? 宮永照は世界選手権でも戦い方を変えてないはず)

玄(そういえば赤土さんがチャンピオンにはもう一段階上があるって言ってた・・・)

煌(照先輩の全力と打てるとは、すばらです)

怜(よし、とにかく・・・・・・えっ)

玄(あれ?)

照「リーチ」

煌(あの動作は千里山の・・・)

怜(ま、まさか・・・)

玄(あ・・・ああ・・・・・・)ガクガク

怜(阿知賀の怯え方、そういうことなんかっ!?)

照「リーチ一発ツモタンヤオドラ10・・・16000・8000」

恒子『数え役満ー!!群がる群衆を薙ぎ払うが如く!誰もチャンピオンには近づけない、近づかせない!!』

健夜『ちょっと危険かも知れません』

健夜『他の3校もプレイヤーとしてのレベルは高いのですが、高いので危険です』

恒子『なんで? あ、強いからチャンピオンは本気を出して連続和了をやめたってこと?』

健夜『やめてません。今のは、チャンピオン的にはタンヤオです』

健夜『あれは『照魔鏡』なんて生易しいものじゃない。天照大神すら反射させる『八咫鏡』です』

怜(ウチが未来が視えん状況に陥って、代わりに照がリーチ一発)

怜(その上、阿知賀の怯え様と照がドラ爆)

怜(ありえんけど。信じたくないけど。照が他人の力を使い出したってことか!)

照(次巡にドラツモで和了か)

照「16000・8000」

怜(ウチの未来視と阿知賀のドラ爆、本人の連続和了で・・・数え役満連続和了)

怜(あかん、人間や、ない)

玄「わ・・・わたし・・・の」ガクガク

照「?」

煌(まずい兆候です。千里山は挫折しかかっており、阿知賀に至っては発狂寸前です。余程ドラに思い入れがあったのでしょう)

照「16000オール」ゴオオオォォォ

煌(て、照先輩の連続和了を止めなければ)

煌(諦めないでくださいっ!ドラで自動的に点数が高まり、リーチ一発が確実となった照先輩は確かに強敵ですがっ)

怜(諦めないでって顔やな・・・。ちゃうんよ。怜ちゃんモードがあるんや。ドラを抱え込み最適な道筋で役満を和了続ける。そこに連続和了の100%有効牌・・・勝ち目はない・・・)

怜(すなんな新道寺、阿知賀とウチが揃ったせいで、こないなバケモンと戦わせることになってしまって・・・)

憧「な、何よ、これ・・・宮永姉妹ってなんなのっ!?」

晴絵「・・・・・・」

宥「玄ちゃん・・・」

憧「玄、ドラはお母さんとの思い出だって言ってた、それを」

穏乃「玄さん」

晴絵(宮永照はドラも捨てるし、未来改変してなお視えている・・・卓についた他人の能力を条件無しに使う?)

晴絵(・・・なんだ・・・そのバカげた力は)

照(園城寺怜のこの力は便利だな)

照(しかし、怜ちゃんモードというのは面白くない。自分で麻雀打ってる気がしないし)

照(ま、本人が使う時はここぞって時の必殺技なんだろうけど)

照「16100オール」ゴオオオォォォ

玄「う・・・うう・・・」

照(負けそうなくらいで泣かないで欲しい)

怜(このままじゃ飛び終了や。けど、何も思いつかん)

照「16200オール」ゴオオオォォォ

恒子『役満を5連続和了!!誰1人としてその頂きには寄せ付けない!最強!これが世界の頂点、宮永照の力だぁ!!』

健夜『弱点がいくつかありますが、恐るべき力です』

恒子『若い子にはほんとーに厳しい小鍛治プロです』

健夜『違うよぉ!!?』

照「16300オール」ゴオオオォォォ

煌(さすがは照先輩、すばらです)

煌(しかし状況が来ました。やるなら今をおいて他はありません)

照(やはり死んでいない、か)

照(ならば・・・)ピクッ

煌(私は捨て駒として先鋒に配置されました)

煌(もちろん文句などあろうはずがありません。私の力を必要としてくれたのですから)

煌(必要としてくれたみんなのために、私は私の出来ることをします)

照「・・・」

煌(気づきましたか、照先輩)

煌(私の、みんなが必要としてくれた力)

煌(『自分も』飛ばない、『誰も』飛ばさせない!)

煌(私にはオカルトがどうとかの話は分かりません。ですが、私はみんなが信じてくれた私を信じています)

照(今、役満を和了すると新道寺と阿知賀が飛ぶ・・・)

照(だから和了れない・・・最適どころか和了る道筋が無い)

照(他人の能力の制約は破れるけど、自分の能力は破れない・・・だから役満より下を和了れない・・・)

煌「ロンッ!16000の4本場ですので17200頂きます!」

照(上手くいかないものだ。けど、私の勝ちは揺るがない)

照「ロン、3900」

照「私はドラに縛られているわけじゃない。不要ならば捨てればいい」

玄「」ビクッ

煌「何度でもお相手いたします!」

怜「」コオォォ

怜「なら、ウチはそこ一般で受けることにするわ」

怜「1年から1軍とか凄いなー」

怜「いや・・・しばらく出れん。入院せなあかんから・・・」

怜「練習付き合ってくれてありがとなー」

怜「荒川憩? そんなに凄い1年入ったんかー」

怜「頑張って来てや、竜華、セーラ、優勝やで!」

怜「みんな泣いとる・・・竜華もセーラも、元気ない・・・・・・病院いかな」

怜「うちは竜華たちと並べるんかな」

怜(・・・)パチ

怜「ハァ・・・ハァ・・・」パチ

照(あれ? 今回は体力と力の使い方を身につけて貰ったし、倒れるようなこと無いはずだけど)

照(そもそも未来視は、今は私が使ってるし)

怜「やっと、立てたんや」

煌「千里山のエース?」

怜(竜華やセーラと一緒に、インターハイの舞台に)ゴゴゴゴ

照(なんだ・・・?)

照(もう一度『照魔鏡』を出した方がいいか? いや、それだと『八咫鏡』を引っ込めなきゃならない)

怜(もう『視ている』だけのウチやない。みんなと一緒に歩いてるわ)

怜(ここから先は・・・)

怜(みんながくれた―――未来(いま)やっ!!)

照(なんだこれ? 未来が変わっていく? いや、未来が作られていく!?)

怜「照、いやチャンピオン・・・ほんま、あんたは強かったわ」

怜「ロンッ、大三元、32000!」

清澄 :293000(+193000)
千里山:64000(-36000)
新道寺:28000(-72000)
阿知賀:15000(-85000)

恒子『先鋒戦決着ぅぅぅ!半荘2回でいったい何度の役満が炸裂したのか!各校とも力の限りを見せつけました!しかし、やはり勝ったのは清澄高校3年、世界チャンピオン宮永照!!!200000点近い点棒を稼ぎ次鋒へ繋ぎます!!』

結「照おねーちゃんの『八咫鏡』の弱点は2つ」

久「東一局で『照魔鏡』で見たものしか反射できないから、途中で成長されるとって感じかしら?」

結「・・・それ入れると3つ」

和「なら最初から3つと言えば」

結「『八咫鏡』引っ込めて『照魔鏡』出し直せば良いだけだから、やっぱり弱点は2つ!」

久「ここに居る人は照の弱点をベラベラしゃべるような趣味はないけど、それってバラしても良い種類なのかしら?」

結「良いんじゃないの? 照おねーちゃんって良い勝負できれば何でも良いって所あるし」

久「・・・ああ、そう」

結「1つ目は能力の選択してのオンオフが出来ないこと。『連続和了』の制約は残るから競合するとヤバイ」

久「全体効果系だとマイナス面まで請け負ってしまうしね。園城寺さんの力があったから良かったけど、松実さんの力は使い勝手悪そうだし」

結「もう1個は」

和「咲さんですね」

結「・・・そーなんだけど、なんか言い方が嫌」

和「個人戦前半の咲さんの成績はプラマイゼロ。照さんですら止められていない。そこに何かあるとすぐ気付けます。さすが咲さんです」

結「物凄く大きいというか、鏡の大きさ以上のものは反射できない。もちろん、複数人で成り立つ能力もね」

久「だから去年、新道寺のリザベーションは止められなかったのね」

咲「・・・・・・」

玄「」ガタッ

照「おっと」ガシッ

照「大丈夫?」

玄「ひっ・・・!」ダッ

照「・・・・・・」

怜「おー、照、嫌われてしもたなぁ」

照「」ムゥ

竜華「怜!」

怜「ああ竜華、大丈夫や。でもちょい辛いから肩貸して」

煌「お疲れ様でした。照先輩の全力と戦えたこと、すばらでした」

照「2人共良かったら、これ」パラリ

怜「なんや?」

煌「なんでしょう?」

照「私のアドレス、後で空メールでも送って」

竜華「チャンピオン、携帯とか使えるん?」

照「ムッ・・・使える・・・・・・・・・・・・・と思う」

怜「まあ、ボッコボコにされんの覚悟で貰っとくわ」

煌「ありがとうございます。後ほどご連絡差し上げます」

照「1枚余った・・・」

怜「あんだけ泣かせといて受け取って貰おうとか、図太い神経やな」

照「あの程度で泣いてたら咲の相手なんか出来ない」

竜華「・・・・・・」

照「あの子は「お姉ちゃんの点棒スッカラカン!なんで和了らないの?」とか「半荘の最大獲得点数って何点なの?・・・あれ?いつまで経っても終わらないよ?」とか素で言う子」

 ―――

久「・・・」

咲「え!? い、言ってませんよ!? たぶん・・・」

 ―――

怜「怖すぎるわ・・・」

照「まあ残った1枚は仕方ない」ピラピラ

照「2人の内どちらかか松実玄かは分からないけど、決勝でまた会おう」スタスタ

怜「自分たちの敗北、欠片も考えとらんな・・・」

煌「そうですね・・・」

玄「」フラフラ

宥「玄ちゃん」

玄「お、おねぇ・・・ちゃん・・・」

宥「よく頑張ったね、玄ちゃん」ギュ

玄「わ、わた、し・・・み、みんなの・・・夢・・・ヒクッ」

宥「玄ちゃんは世界チャンピオンと戦ったんだよ。世界で一番強い人と」

宥「大丈夫、あとはお姉ちゃんに任せて」

玄「お姉ちゃぁ・・・ん」

晴絵「・・・」

玄「あ、かどさん」

晴絵「宥、これ以上は遅刻しちゃうから、行っといで。ここからだと遠いから走ってな」

晴絵「宥の姿は玄に見せるから」

宥「はい・・・。玄ちゃん、行ってくるね」

玄「お姉ちゃん・・・お願・・・い・・・」

宥「・・・うん」ボッ

晴絵「はい、ミルクティー、飲みな」

玄「・・・ありがとう、ございます」

晴絵(ああ、そうだった・・・)

晴絵「私が失点した時も、こんな感じだったよ」

玄「・・・」

晴絵「とてもじゃないけど控え室に戻れなくてさ。会場の外まで逃げ出した」

晴絵「ほんと、辛いよなぁ・・・」

玄「・・・」

晴絵「宥にはああ言ったけど、私にはお前を励ませる言葉がない」

晴絵「それがあれば・・・私はもっと早く立ち上がれたからな」

晴絵(どんなに大切な人でもどんなに心を許した友人でも、側に居て欲しくない時はある)

晴絵「玄は凄いよ。宮永照は高校生時代の小鍛治プロを越えてる。それと戦い切ったんだ。お疲れ様」

晴絵「あっちに大型モニタが設置してあるだろ? あそこでも中継してるから、あそこで宥の戦いは見てこい」

晴絵「少し落ち着いたら戻って来な」

穏乃「赤土さん、玄さんは・・・」

晴絵「今はそっとしてやって」

憧「宮永照はただ勝つために打っただけ。だから恨むのは筋違いって言うのは分かる」

灼「けど、負けられない理由が1つ増えた」

穏乃「うん・・・!」

晴絵(・・・)

晴絵(宮永照、試合後の行動を見るに悪気どころか玄に友情すら感じてる)

晴絵(麻雀の才能とは裏腹に、不器用なのか・・・?)

<千里山控え室>

怜「もうアカン・・・」パタン

竜華「お疲れ様、怜」

怜「なんやもう・・・憩の言う通り、人やないわ」

憩「去年、よく無事で帰ってきたと自分でも感心しますわー」

セーラ「怜やたら気に入られてんな」ケラケラ

怜「それがよう分からん。なんか初対面ん時からウチを過大評価してん」

竜華「過大評価違うけどな。宮永照が言った通り、千里山のエースになったんやから」

怜「何も出来んかったけどな・・・」

浩子「そんなことありませんよ。宮永照に役満を直撃、世界選手権含めても園城寺先輩が初ですわ」

怜「ああ、それや。みんなにお礼言うとくわ。ありがと、みんなのお陰や」

竜華「なんや急に・・・」

セーラ「まだ終わってないで」

怜「いいんや。言いたかっただけや」

竜華「ま、まあ浩子、次の相手も強敵や、気ぃ付けてな」

浩子「ええ、ですが上埜久は清澄の中では牌符も多くデータは十分です」

浩子「ほな、かましてきます」

<清澄控え室>

久「阿知賀が12000か」

結「今日は次鋒までかなぁ」

和「部長、これは真剣勝負なのですから気にする必要はありません」

久「あら? 気にしてるように聞こえた?」

久「まあ、照のお陰で点数にはかなり余裕があるし? もし可愛い後輩が頼むなら中堅まで回してもいいわよ?」

結「私の経歴に『準決勝は無かったが』とか付くのが嫌なんで、負けて来て!」

久「私、可愛い後輩って言ったつもりだったけどぉ?」

結「咲、お願い!」

久「自分が可愛くないって自覚があるのね・・・」

照「ただいま、お菓子買ってきた」

久「玄ちゃんに振られた傷を癒やすためかしら?」

照「・・・食べたかっただけ」

久「お疲れ様」

照「楽しかったから少しはしゃぎ過ぎた」

久「相手が気の毒だわ」クスクス

久「それじゃ行ってくる」

<次鋒戦>

浩子「ほなよろしくです」

美子「よろしくお願いします」

久「よろしく」

宥「よろしくお願いします・・・」

久(さて、和には自信満々に言ったけど、私は照たちのような力はない)

久(インターハイに出てくるプレイヤーに対して確実に12000削れるかと問われれば、『運次第』と答えることになる)

宥「ロン、3900」

久(あら、いきなり遠のいたわね)クス

久(強い意志を宿した瞳。大切な妹を傷つけた清澄には負けない、ってところかしら)

久(照もそうだけどお姉ちゃんは強いわねー。私は兄弟居ないからちょっと羨ましいわ)

久(ま、可愛い後輩なら居るんだけどね)

宥「ツモ、1000・2000」

久(そうそう、もうすぐ新道寺をまくれるけど、それじゃあ3位。意味ないわ)

久(私を削るよりも千里山を削るって考えも間違いじゃ無い。けど、それは危険な発想よ)

宥「」プルプル

久(この最強チームに弱点があるとしたら私よ。だから、私から削れないようなら清澄には絶対勝てない)

久(そうよ。気づけたわね? あなたが私に勝つしかないの)

浩子(清澄の部長、上埜久。悪待ちを始めとしたトリッキーなスタイル、に見えて手堅い打ち手にも見える)

浩子(独自の感性による勝負所での強さ、そして配牌以上に観察しているものがある)

浩子(それは他人の表情や動作。園城寺先輩の『未来視える』なんて無茶苦茶な事実が無ければ、あんたを解析できんかったよ)

浩子(言ってしまえば、上埜久は対戦相手の『心を読む』。そこまで具体的やなくて『心理を読む』と言い換えた方が良いかも知れん)

浩子(それは本人が気付いてないものまで読み取る。それを利用して心理戦のように攻めてくるんが、本当のスタイルや)ニヤリ

久(わかりやすいわねー・・・)

浩子(どうせ気付かれるんやったら隠す必要ないわ)

浩子(ごっつツモええわ。高い手張ったで!)ニィ

久(読み取るに迷彩、引っ掛けの類はなし。かなり高い手を多面張で聴牌かしら。正面から打ち崩しに来たわね)

久(おり~)

浩子(上埜久の危険回避や悪待ちは強いが、その他はウチでも十分届く)

浩子(勝負どころ間違えんかったら勝てる!)

浩子「ツモ、親ッパネ6000オール!」

久(点差があるのにリーチしないのは、阿知賀への警戒かしら)

美子「ツモ、1000・2000です」

久(新道寺は清澄を捨てて千里山を削るつもりね。あれだけのことをした清澄を倒したくて仕方ないでしょうに。まずは決勝進出が目標ねぇ)

久「ロン、3900」

久(作戦なんだろうけど、勝ちを諦める人って好きじゃないのよね~。ま、元々部員を捨て駒にしちゃう新道寺の方針は嫌いだけど)

宥(玄ちゃん・・・)

久「・・・」

宥「・・・?」

久「あのさ、暑くないの?」

宥「いえ? クーラーが効いてて寒いです」ブルブル

久「そ、そう・・・(私にも読めなかったわ)」

宥(清澄の部長さん、勝たなくちゃ)

宥「リーチ」

久(高めの点数、妹の点棒を取り戻せるって期待を込めたリーチ。潰すのは気が引けるわねー)

久「通らないわ、1000点」

宥「っ・・・はい」

宥(これじゃあダメ・・・)

宥(今日は調子がいいし、いつもの私の打ち方ならプラスで終われると思う)

宥(それじゃあ、玄ちゃんの取られちゃった点棒をほんのちょっとしか取り返せない)

宥「」ボッ

宥「2600オール」

浩子(打ち方変わった? 研鑽も積んでおらん技見せてもウチらには勝てんで)

宥「2600の1本場で2700オールです」

久(すっごい集中ね、無我の境地ってやつかしら?)

宥「2600の2本場で2800オールです」

浩子「ハッ」

久「ハッ」

久・浩子(全く同じ牌で3連続和了!?)

宥「2600の3本場で2900オールです」

浩子(捨て牌も巡目も違っとる・・・けど)

久(全く同じ牌で4連続和了・・・しかも無我の境地で心理が読めない)

久「」ジィ

久「ロン、2600点だけど4本場だから3800ね」

宥「」ビクッ

浩子(あ、あっさり破るやと!?)

久(驚かない驚かない)クスクス

久(単なる赤収集の進化系。妹さんのドラ爆と同じよ)

久「私ね、1年の頃からもう嫌んなるくらい麻雀打ったわ」

浩子「そんなんみんな一緒やろ・・・」

久「そうなんだけどねー。清澄に入って照と友達になってから、いっつも電話掛かってくるのよ」

久「『面子が足りない、来て欲しい』、行くとどうかしら? 照と結と咲の卓が用意されてるのよ」

浩子「」(しょ、処刑台やん)

久「私はそんな卓でも勝ちを諦めたことはないわよ?」

美子「・・・・・・」

浩子(プロファイルミスや・・・)

浩子(清澄の部長は宮永照の力で全国優勝を果たした、1流からは一歩劣るプレイヤーやと思っとたが)

浩子(どんな絶望的な状況でもそれすら楽しむことの出来る、ありえんほど強力な精神力)

宥(私も負けない・・・!)ボォ

浩子(くっ、こっちの松実姉、赤い牌と同じ牌をチャンネルのように切り替えとる)

久(ま、それで勝てるかどうかは別なのよねー)クスクス

宥(上埜久さん・・・勝負所では悪待ち・・・引っかけ・・・)

宥(そして)ジッ

久「あら熱い視線で見つめられると照れるわね」

宥(赤土さんの言ってた通り・・・この人、思った以上に考えが表に出てる)

久(読まれてる・・・?)

宥(余裕や笑みを見せる時はひっかけ)

宥(本当に悪い場合、左頬を引きつらせる)

宥(私、頑張るからね、玄ちゃん)ボオォ

恒子『次鋒戦終了!なんと阿知賀松実宥、清澄と千里山を抑えて圧勝!』

健夜『よく研究していますね。特に清澄は公式戦の記録が多くありますから、狙い撃ちされた感はあります』

恒子『絶体絶命だった阿知賀は3位に浮上、2位争いは分からなくなってきました!』

健夜『新道寺が危険な状況ですね。2回戦でも清澄と戦っている上、2回戦よりもマズイ状況です』

恒子『千里山もここからは公式戦で輝かしい戦績を残しているクリーンナップですからねっ』

健夜『それもありますが、今の高校生で宮永咲選手に勝つのは難しいでしょう』

恒子『すこやんが若い子を認めるなんて珍しいっ!!』

健夜『ねぇ、なんで若さ強調するの? 確かにもうすぐ30だよ? うん、ああ、もうすぐ30なんだなぁ・・・』

清澄 :285000(-8000)
千里山:58000(-6000)
阿知賀:33000(+18000)
新道寺:24000(-4000)

久「ごめんなさい、負けちゃったわ」

照「大丈夫、お菓子食べる?」ポッキー

久「ありがと」

結「マイナス8000とかプラマイゼロと変わらないって」

結「それに久は追い詰められないと、やる気出ないタイプでしょ?」

和「確かに部長は勝つって勢いがありませんでしたね」

結「Mだから虐めて貰わないと気合いが出ないと・・・イタタタ」

久「人をなんだと思ってるのよ」ムギュ

久(ギリギリの緊張感でないと楽しめない・・・)

久(当たらずとも遠からずかも知れないのが怖いわねー)

久(こんな恵まれた環境でも不満があるなんて、私って意外と我儘なのかも?)

久(自分のことって分からないものね)

久「あれ? 咲は?」

結「トイレ行くって」

久「・・・また?」

結「あ、和」

和「はい」

結「がんば」

和「・・・はい、行ってきます」

照「いつの間に仲良くなったの?」

結「私は照おねーちゃんよりも友達多いよ!」

照「・・・」ズーン

久「本気で凹ませてどうするのよ」

宥「・・・」

穏乃「お疲れ様です、宥さん!」

宥「玄ちゃん・・・は?」

晴絵「まだ戻っては来てない。けど、宥の戦いは見たはずだ」

宥「・・・はい」

憧「・・・宥姉ありがと」

穏乃「宥さん、ありがとうございました」

穏乃「・・・赤土さん、玄さんは外のモニタで見てるって言ってましたよね?」

晴絵「ん? そうだけど」

憧「シズ」

穏乃「行こう、憧」

 ―――

玄「・・・」

玄「・・・お姉ちゃん」

玄「お姉ちゃんも、あんなに頑張って・・・る」

玄「なのに・・・」

玄「・・・」

穏乃「玄さーーん!」

玄「」ビクッ

玄「シズ、ちゃん・・・憧ちゃん」

穏乃「行きましょう、玄さん!」ガシッ

玄「え? ど、どこに?」

憧「ほら、せっかく宥姉が届けてくれたんだよ」

玄「お姉ちゃんが?」

穏乃「ダッシュ、急げ!」

玄「わわわわ」

仁美「・・・」

和「・・・」

セーラ「よっす!」

セーラ「なんや、阿知賀はまだかいな」

セーラ(着替えてたからウチが最後や思ってたけど)

 バタン

セーラ(おお、来よった、3人?)

和「」ガタッ

 ―――まーなんかあったら連絡して欲しいな
 ―――今まで、ありがとうございました
 ―――でも、たまには遊ぼうな
 ―――みんなといると楽しいっ
 ―――ちょっと楽しみ増えてきた
 ―――友達になろう、和

穏乃「和」

和「穏乃」

憧「和」

和「憧」

玄「和、ちゃん・・・」

和「玄さん」

和・穏乃・憧・玄「」ギュウゥゥ

玄「えぐっ・・・わ、私・・・私ね」

和「さすが玄さんです、私は照さんと初めて戦った時には何もできませんでした」

玄「・・・」グス

穏乃「玄さんが、阿知賀をずっと守り続けてくれたんだよ」

和「そうなんですか」

憧「私たちがバラバラになった後も、ずっと」

憧「こんなこと、最初に別れを告げた私が言うことじゃないけど」

和「それを言うならば、私も同じです」

穏乃「みんなが願ったんだよ」

穏乃「だから」

和・穏乃・憧・玄「また会えて嬉しいよ(です)!」

セーラ「なんや、お前ら二回戦の時だって話してたやん」

憧「あんたにはわかんないわよ・・・」グス

和「そうですね」

和(ずっとモニタと麻雀を打ち、そして新しい仲間たちと進んだ私)

憧(シズたちの居ない場所に馴染めなくて、麻雀が大切なものじゃなくなってた私)

玄(みんなが居なくなって、1人で待つことしか出来なかった私)

穏乃(楽しい思い出を壊したくなくて、麻雀を打つことをやめた私)

 ―――私たちは今、『同じ場所』で再会できたんだから

晴絵「・・・」

灼「ハルちゃん、大丈夫?」

晴絵「ああ」

晴絵「和と麻雀を打つこと・・・」

晴絵「私は、私はあいつらをここに連れてくることが出来たんだな」

晴絵(子供麻雀教室・・・そこに居た上級生4人)

晴絵(今、あそこに居るんだ)

晴絵「宥、無理させてごめん、お前のお陰も・・・宥?」

宥「」ガクガクガクガク

晴絵「宥?」

宥「あ」ガクガクガクガク

宥「く、玄、ちゃん、元気になって、良かった、です」ガクガクガクガク

晴絵「いや、それよりもどうした? 具合が悪いのか?」

宥「今日、は、凄く、寒くない、ですか?」ガクガクガクガク

晴絵「そうか?・・・・・・」

晴絵「」ブルッ

 ―――

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「」チラリ

咲「良かったね、和ちゃん」

咲「」テクテク

咲「もうすぐ・・・」ゴゴゴゴゴゴ

セーラ「中堅戦が不安で仕方なくなるわ」アハハハ

和「安心してください。麻雀では手加減しませんので」

憧「それはこっちの台詞だからね~」

係員「あの(追い出し辛いな)」

係員「もう始まるから、選手以外は早く退場して」

穏乃「じゃあ、頑張って2人共!」

玄「がんばなのですっ!」

憧「笑ってる場合じゃないからねー、和との差やばいしねー?」

和「以前の憧の実力では1点もあげませんので」

憧「小学生で止まってるって言ったあれ? 今の私は強いよ」

和「受けて立ちましょう」

憧「上等っ!!」

セーラ「ツモ、4000オール」バン

憧「なっ」

和(早い)

セーラ「バラけた道が纏まったんは良かったな」

セーラ「おめでとさん、って言うとくわ」

セーラ「けど、ウチらはずっとやって来た仲間との力や」

セーラ「最後の夏・・・負けられん」

憧「負けられないのはどこも一緒よ!」

和(ああは言いましたが、憧は以前よりも相当上手くなっています)

和(・・・レベル6ですね)キラキラ

和(新道寺レベル4、千里山・・・驚きですがレベル9)キラキラ

和(千里山、江口セーラでしたか。これは部長や福路さん、そして私よりも一歩上、プロの上位ランカーレベルです)

和(レベル7を予想していましたが・・・何かでブースト補正が掛かりましたか)

和(レベル10で特殊プログラム持ちの照さんに比べれば、状況と運次第でしょうか)

セーラ「・・・」

セーラ(原村和は癖の無いデジタル打ち、読み合いに勝てば十分削れるわ)

憧「チー!・・・ポン!・・・ロン、3900!」

セーラ「いきなりザンクで止められてしもたか」

セーラ(けど、勢いまでは止められん)

和「ロン、1000点です」

セーラ「!」

憧(あれ? 和、その手ならもっと高め狙えたんじゃあ・・・)

セーラ(チームは圧勝な上、後に控えてるんが宮永姉妹や。和了率優先で逃げ切る気か?)

セーラ(安手を何度も和了るよりは、デカイの1回のが好きや・・・!)

和「ツモ、700・1300」

セーラ(早過ぎやろ)

憧「3巡目って、なに和、本気で私に1点もあげない!とか考えてるわけ?」

和「いえ、今のところ攻略法がこれしかないだけです」

憧「攻略法? 私たちを倒す方法って意味で?」

和「そうですね」

憧「あ、そう・・・」

憧(和は嘘をつくようなタイプじゃないし、手加減するようなタイプでもないから、本気で言ってるんだろうけど・・・)

セーラ(点の取り合いじゃ分が悪いと見て、和了率でカバーする気かいな)

セーラ「」カッ

セーラ「ロンッ!12000!」

和「!」

和「やりますね」

セーラ「おおきに、あんたもさすがや」

憧「ツモッ!1000・2000!」

憧「あの再会の後に私無視してセーラとやり合うとか、ちょっとは何かないの!?」

和「憧に対しても油断していません」

憧「そ、それはそうなんだろうけどさ」

憧(なんて言うか、緊張してた私が馬鹿みたいじゃない)

憧「」スーハー

憧「行くわよ、和!!」

灼「ハルちゃん、原村和対策は何かあるの?」

晴絵「元々デジタル打ちな子だからなぁ。ちょっとした癖はあるんだけど、憧には何も伝えてない」

晴絵「あいつらには必要ないだろ?」

灼「・・・そっか」

晴絵「・・・」

灼「・・・もうすぐ、私の番だね」

晴絵「・・・ああ」

灼「立ってくるよ、ハルちゃんと同じ場所に」

恒子『中堅戦終了です!インターミドルチャンピオンも江口セーラ選手には一歩及ばず!』

恒子『そして!先鋒戦終わって阿知賀が!中堅戦終わって今度は新道寺女子が絶体絶命の危機へ!しかも!満を持して現れるのは世界チャンピオン宮永照の実妹、予告完全試合の宮永結!!』

健夜『当然ですが、これを破れないのなら清澄に勝つことは出来ません』

清澄 :290000(+5000)
千里山:67000(+9000)
阿知賀:36000(+3000)
新道寺:7000(-17000)

セーラ「お疲れさん」

和「お疲れ様です」

憧「お疲れ。くっそ~~」

和「2人共負けてしまいましたね」

セーラ「いやぁ、こんな稼げなかったんは久々やわ」

セーラ「また機会あったら打とうや。楽しかったで」

和「私も楽しかったです」

憧「楽しかったけど悔しー」

穏乃「お疲れ、憧、和!」

和「穏乃?」

憧「シズ、あんたまさかずっと待ってたわけ?」

穏乃「うん!」

和・憧「無駄体力ね(ですね)」

穏乃「あはは、ステレオスッコミ!」

玄「お疲れ様、2人共」

和「阿知賀は厳しい状況になってしまいましたね」

玄「私のせいで・・・」

穏乃「大丈夫!まだ副将戦と大将戦があるよ!」

和「・・・」

憧「玄のせいとかまだ半荘4回あるとかじゃなくてさ」

和「新道寺がもうすぐ飛んでしまいます。そうしたら」

穏乃「そ、そっか、その時点の点数になるから」

憧「私たち敗退しちゃうんだよ」

憧「しかも2回戦、新道寺のエースは宮永結相手に1度も和了れてない・・・」

和「気持ちとしては、結さんの弱点を教えてしまいたいのですが・・・」

憧「いや和、その言葉自体ギリギリだよ」

玄「『完全試合』に弱点なんかあるの!?」

憧「玄も聞こうとしないの」

和「出来れば、みんなと決勝でも一緒に打ちたいです」

穏乃「・・・そうだね」

憧「かなり消極的な案だけど、勝算もなくはないかなぁ」

玄「え!? あるの!?」

和「あるんですか?」

憧「・・・和のチームには話せないでしょ」

穏乃「和はバラしたりしないよ?」

憧「ちょっと待って、ハードル上げないで。ハルエみたいに弱点を見つけた対策案ってわけじゃないから」

和「・・・それでも決勝でまた戦えたら良いですね」

憧「そうね」

玄「次はこんな失点しないように頑張るよっ」

和「照さんは玄さんのこと褒めていましたよ?」

玄「え、えー」ブルブル

憧「灼?」

灼「楽しそうだけど、もうすぐ始まる」

和「そうですね。私も戻らないと」

憧「そうだ。今日の試合終わったら、夕食でも一緒に食べない?」

和「良いですね。では終わったら連絡します」

穏乃「あれ? 談合があるからとか言ってなかった?」

憧「この点差で何言ってんのよ」

穏乃「手加減とか言ってる場合じゃないね」

和「その点は安心してください。照さんも結さんも手加減を知りませんので」

憧「・・・安心できないわよ」

穏乃「ところで、さっき憧が言ってた勝算って何?」

憧「え? シズまで気にしてたの?」

玄「私も気になるよ。だってチャンピオンの妹さんの『完全試合』は誰も止められないんだよ? それへの勝算って」

憧「違う違う。宮永結への勝算なんかある訳ないでしょ」

玄「な、ないの・・・?」

憧「名だたるエースたちが挑戦して誰も破れないのに、私がいきなり思いつく訳ないでしょ・・・」

穏乃「じゃあ勝算って何?」

憧「シズ、昨日会った時思い出してみてよ」

穏乃「大して多くないケーキセットに苦戦してた・・・」

憧「あれはシズが大食いなだけ・・・。違うでしょ」

憧「宮永結は千里山を潰すって言ってたの」

玄「そうなの?」

憧「どうも挑発されたのが気に食わなかったみたいなんだよね」

憧「だから他力本願で消極的だけど、宮永結が千里山を倒してくれたら、私たちが決勝に出れるかも・・・って思っただけ」

玄「ほ、ほんとに他力本願だね」

憧「だから最初からそう言ってるじゃん」アセ

<清澄控え室>

結「・・・」

久「どうしたの? 何か不満でも?」

結「親倍で新道寺が飛ぶ」

久「そうねー。でも希望通りあなたまで回ったんだから」

結「私を挑発してきた千里山に力を見せつける予定だったんだよね・・・」

結「照おねーちゃんが稼ぎ過ぎるから」

照「人のせいにされても。新道寺の中継ぎが力不足だっただけ」

結「新道寺を飛ばさないように千里山から奪うのかぁ。めんどくさいなー」

照「気にしなければ良い。挑発なんてよくあること」

久(私としては『完全試合』を達成できるのは当然っていう前提がすごいわ)

久(結は楽しそうに麻雀打つんだけど、これだけ『完全試合』連発して本当に楽しいのかしら?)

久(その辺り、照とは真逆なのよね・・・)

久「あれ・・・? 咲は?」

結「トイレ行くって言ってたけど?」

久「・・・また? 何、お腹でも痛いの? そりゃあ、今日は咲まで回りそうもないけど」

<千里山控え室>

セーラ「あー、すまん」

竜華「セーラにしたら手こずったなぁ」

怜「言わんといて。ドデカイ負債を背負ったウチの居る場所がないわ」

憩「世界チャンピオン相手にマイナス36000は十分やと思いますが」

怜「団体戦やなかったら飛びやん」

セーラ「しっかしすまんなぁ、憩と竜華の番までに貯金作りたかったんやけど」

浩子「・・・監督の方針には逆らうことになりますが、ここで新道寺に飛んで貰った方がウチらとしては好都合ですわ」

竜華「・・・さすがのウチも浩子に同意したいわ」

怜「竜華でも怖いん? 竜華、去年個人戦は果敢に向かって行ったやん」

竜華「寒気・・・するんよ」

怜「・・・」

竜華「こんなん、初めてや」

怜「竜華・・・」

竜華「・・・初めて」

竜華「麻雀が怖いと思うとる」

晴絵「灼・・・そのネクタイ、付けてくれるのは嬉しいんだけどさ」

晴絵「縁起、悪くないかな?」

灼「何言ってんのハルちゃん」

灼「私がここに居るのは、このタイのお陰だよ」

灼「だから連れて行く、決勝まで」

 ―――

恒子『去年の雪辱を果たせるか。個人戦2位、千里山女子2年荒川憩』

憩「よろしくですー」

恒子『シード校2校を相手に大健闘を見せる阿知賀女子からは鷺森灼』

灼「よろしくお願いします」

恒子『そして、北九州の王者新道寺から白水哩。絶体絶命の危機にエースは何を思うのか!』

哩「よろしく」

恒子『そして現れました!今大会、皆さんの最大の関心をさらった、予告通り全ての試合を完全試合で終わらせている選手、世界チャンピオン宮永照と同じ最強のDNAを持つ、宮永結ぃぃぃーーー!!』

結「よろしくね」メラッ

灼(始まった・・・)

灼(毎回完全試合なんて無茶苦茶は誰も出来ると思っていなかった)

灼(マスコミだって当初は宮永結を散々扱き下ろしてた)

灼(県予選から始まって全国大会まで完全試合を続けていく内に、評価は入れ替わった)

灼(本人のは普通の麻雀に見える、牌の偏りもない、聴牌すらできないこともある)

灼(けど他家が和了れない)

結「ロン、千里山まずは1000点ね」

憩「点数下げてまで狙い撃ちかー」

灼(北九州の白水哩でもダメだった。個人戦2位の荒川憩はどうだろう・・・)

灼(聴牌気配はあるけど・・・)

結「ロン、2000点」

<回想・阿知賀部室>

晴絵「宮永結の『完全試合』にはいくつか特徴がある」

灼「特徴?」

晴絵「まず1つ目は、有効牌率の激減だ」

晴絵「宮永結と試合をするとツモ牌がズタボロだと思っていい」

灼「それってチャンピオンの有効牌をツモり続ける連続和了の逆?」

晴絵「そうだと思う。『自分が有効牌を掴む』の真逆の『他人に無効牌を掴ませる』力なんだと思う」

晴絵「その力が競合した結果、個人戦では宮永照が勝ってるとも考えられるが・・・まあ、それは予測にすぎないし、宮永照以外には出来ない対策だから意味がない」

晴絵「それでも聴牌まで持っていけた選手が何人か居る。そこで現れるのが」

晴絵「2つ目の特徴、当たり牌が失われることだ」

灼「当たり牌が、ない?」

晴絵「聴牌した後、その当たり牌は誰もツモれないんだ。予選では必死に他人に差し込みに行った選手が居たが、その選手の手配とツモ牌に当たり牌は無かった」

灼「本当に、完全無欠なの?」

晴絵「それが3つ目、宮永結自身は普通に麻雀を打つため裏目もあるし火力も普通。これで宮永照ばりに有効牌をツモり続けるなら完全無欠だろうけど」

灼「それでも他家が和了らないなら」

晴絵「いくつか対策的なものはあるけど、通用するかどうかは分からない」

晴絵「伝えるだけ伝えておくから、灼自身が状況を見て判断して」

灼(ハルちゃんの作戦を実行したいけど、そもそも有効牌が来なさ過ぎて準備も整わない・・・)

結(よしこの一向聴は高く・・・ってダメじゃん)

結(これ和了ったら8000オールで終わりだし! まだ千里山から3000点しか取ってない!)

憩(崩したな)

結「・・・ノーテン」ムー

憩(新道寺には悪いけど、監督の作戦が良い方向に進んだわ)

憩(ウチらから削りたい宮永結は高い手を和了せん)

憩(その上、宮永結の和了率は常識的な範疇でしかない。より手が限られるから和了率どころか聴牌率も落ちるわ)

哩(2回戦、私はこいつ相手に1度も和了ることができなかったと)

哩(そのせいで姫子に鍵を渡すこともできず、あの試合)

哩(恨むつもりはない。認められんのは自身の力の無さ)

哩(千里山は危険を冒してまで清澄との戦いに臨んだ。2回戦、お前たちの想いは私たちにも届いた)

哩(こちらもただやられた訳じゃなかと)

結「んー、なかなか来ないなぁ」パチ

哩「」チラ

憩「?」

哩「ポン!」

憩「!」

哩(気付けたか。さすがだ)

憩「」パチ

哩「チー!」

哩(よし、聴牌)

結「・・・」

哩(お前の『完全試合』は配牌とお前自身には無効)

哩(他家の捨て牌とお前自身の捨て牌は、有効牌になりやすいとよ)

哩(2回戦とは違い、千里山の荒川憩は百戦錬磨。協力し合えば『他人に無効牌を掴ませる』効果を軽減できる!)

哩(問題は・・・)

憩(ええよ。多少の点数は獲得するとええわ。ウチたちも『完全試合』が崩せるのかどうか確認したいかんな)

結「やるねー、諦めてないなんて。私、そういう人って好きだよ」ニコ

哩「勝ちを諦めるなんて有り得んとよ」

結「だよねー」

結「ツモ、300・500」

哩(くっ、間に合わなかった)

憩(新道寺イイ線やな。ならウチも仕掛けて行きましょかー)

憩「」パチ

結「要らないのしか来ないよ・・・」

結(何? この状況で有効牌切ってるの? なんでさ?)

憩(あんたがツモ切りしてるんは、あんたにとって不要な牌。繋ぐこともできない浮いた牌や)

哩(奴のツモ切り牌の周辺でロン和了はなかと)

憩(当然、有効牌が永遠に来ないことなんてない。山が深くなればなるほど、有効牌の確立は上がるんよ)

哩(それだけじゃないな。ツモ切り牌の周辺牌は、奴が持っていない牌・・・配牌までは分からんが、河にも無ければ、山に残っている可能性が高い!)

憩(『完全試合』を100%破れる作戦なんかないわ。けどな、有効無効を切り分けて、確立上げてやれば破れ・・・)

結「ふふふ」メラッ

憩「」ゾクッ

憩(あかん!?)

結「ポン」

結「チー」

結「ロン、3900」

哩(『有効牌が入らない』以外に、まだ何あると?)

憩(今のはパターンにないわ。新道寺は何か気付いたんか?)

結「ますます良い表情だよ。でも私には勝てない」

結「どうせ、私の力を照おねーちゃんの真逆だとか判断したんでしょ? 半分は正解」

結「だけど運命には誰も逆らえない」メラメラメラ

哩(そんなことはなかと。こいつは個人戦では宮永照と宮永咲、原村和にも和了られとる)

憩(弱点はあるはずや、しかしそれが分からん)

結(久じゃなくても読み取れるよ。分かんないって顔してるね)

結(そりゃ分かんないだろうけどねっ)

結「仕方ないから、私を支える第二の能力を教えてあげよう」

灼「は?」

憩「おー、教えて欲しいわ」

哩「聞いてやるとよ」

結「私はね」

結「運が良いんだよ!!」

哩・憩・灼「・・・」

哩「聞いて損したと」

憩「はよサイコロ回してやー」

結「ええっ!? 何それ!? 麻雀で生まれつき運が良いってホントーに超強いからねっ!!」

灼(この子の戯言は、いつも通りのパフォーマンスだから置いておいて)

照「結は有効牌の位置と種類が見える」

久「咲がカン材の位置と嶺上が分かるのと同じね」

和「そうだとしても他家が到達する前に和了れるかズラせるのは、運が良いと表現しても良いと思いますが」

和「もちろん咲さんの常識を超越する超人的な幸運の前には霞みます」

照「そもそも完璧に『有効牌が来ない』だったら、わざわざあんな事する必要ないし」

久「その辺り、結は上手いわよね」

和「照さんが居るので余計に騙されてしまいますね」

灼(ダメだ、後半戦が始まっても状況は変わらない・・・)

灼(千里山も新道寺も、聴牌できるようになって来た)

灼(どうも2人で互いの牌を読み合ってる感じ)

灼(私だけ蚊帳の外・・・?)

灼(・・・)

灼「チー!」

憩(阿知賀、気付いてくれたんか。嬉しいで)

哩(よし!これだけで有効牌率が倍になると言って良いとよ!)

哩・憩・灼(まだいける)

結「・・・」

結(んー? この配牌は)

結「」メラッ

灼「ポン」

憩(阿知賀はボーリングの形やったな。にわか仕込みの知識やけど、筒子を渡すから使ってや)

哩(千里山、筒子が多いな。阿知賀に関係があるのか? 手持ちの筒子から切るか)

灼(よし、聴牌できた!)

灼(宮永結の『完全試合』は、ほとんど聴牌できない。けど、他家が聴牌できる形が生まれる場合)

灼(最初に聴牌できる形の和了牌は、王牌に取り込まれるはず・・・!)

灼(だから最初に聴牌した人はほとんど和了れない)

灼(ただし、王牌に取り込まれるってことは、嶺上牌が高い確立で和了牌になる!)

灼(支配の及ばない王牌に私の特性を組み込めば、嶺上開花で和了れる!)

灼(私が、ハルちゃんの過去を振り払う!)

灼「カン!」

結「」ボッ

 ―――インターハイ準決勝
 ―――赤土さんが大量失点しちゃって、負けちゃったんだ

結「槍槓ロン」メラッ

結「・・・・・・国士無双32000」

灼「っ」

哩(そんなバカなこと・・・)

憩(なっ、ウチを削りたいんやなかったのか!)

灼「あ・・・ああ・・・」ガクガク

哩(こいつ、聴牌し辛いだけじゃなかと。最初に聴牌した者が和了しようとすると叩き落とす、二重で他人を和了らせない支配)

憩(他家の協力が必要、そして二番目に聴牌することが必須。なんちゅう悪どい能力や、インターハイというこの場所じゃあ、極悪やないか・・・)

憩(突破口は見つけた・・・けど)チラリ

阿知賀 :0

結「早く点棒渡してよ」ゴゴゴ

灼「・・・・・・」ブルブル

結「」ムカッ

結「あれだけやられた新道寺もこうして出てきてるのに、恥ずかしくないの!?」

晴絵「あ、あら・・た」サー

憧「そんな・・・」

玄「灼、ちゃん・・・」

穏乃「灼さん・・・」

 ―――

憩(チャンピオンにやられた松実玄をフォローするために追い上げムードだった阿知賀、それにストップを掛けてしまったんや、正気じゃ居られん)

憩(しかも阿知賀は10年前にも同じような状況で準決勝敗退しとる。マズイわ・・・)

憩「深呼吸や」

灼「・・・?」ブルブル

憩「一度、大きく息を吸って吐くといいわ」

憩(その震えた手つきじゃチョンボしてまうで?)

結(千里山、阿知賀が山崩せば罰符飛びで決勝進出なのに・・・)

哩(千里山・・・)

憩(新道寺、悔しいが2人じゃこいつの『完全試合』は破れん)

哩(そうだな、だが戦う意思は失わん)

憩(約束や)

哩・憩(決勝に残った方が、必ずこいつの『完全試合』を破る!)

憩(すいません、部長。部長まで繋げませんでした・・・)

哩(すまん姫子。私の力が及ばんかっとよ)

結「あ、ノーテンだ」

哩・憩「は?」

憩(聴牌を崩して連荘を拒否!?)

結「千里山と新道寺とはまた打ちたいけど、阿知賀とはもう点数のやり取りする気ないから」

灼「」ビクッ

結「二度と麻雀打つな、弱虫」

清澄 :352000(+62000)
千里山:45000(-22000)
新道寺:3000(-4000)
阿知賀:0(-36000)

恒子『パーフェクトゲェェェーーム!!ついに準決勝まで完全試合を達成しました宮永結!大記録達成が目前に迫ってきましたっ!』

健夜『このインターハイのルールで彼女を打倒するのは、少々厳しいかも知れません』

結(麻雀で負けたくらいでうじうじしてるのは大嫌いだよ)

結(帰れば仲間と、暖かい家族が居る癖に・・・)

 ―――お前がクズだからツモられたんだろうがっ!
 ―――1000点取られるごとに一発だ
 ―――なんのための宮永の血だ!

結「」ブルッ

結「あ・・・咲っ!」

咲「結、お疲れ様」ニコ

結「完全試合は達成」ブイ

結「でもごめん、咲にまで回しちゃった」

咲「ううん、気にしなくていいよ」

結「まあ和の友達にも打たせてあげよう、って気持ちもあってさ」

咲「はいはい」

結「じゃあ私戻ってるね、応援してるから!必要ない内に終わっちゃうだろうけど」

咲「結」

結「なになに?」

咲「先に夕食食べてていいよ」

結「え?」

咲「ありがとう結」

結「?? う、うん?」

結「あ、あのさ、咲」

咲「なに?」

結「えっと、調子悪い?」

咲「そんなことないよ」ニコ

咲()ゴゴゴゴゴゴ

<阿知賀控え室>

憧「・・・」

穏乃「・・・」

玄「・・・」

憧「し、シズは次の試合に。あ、灼は私たちで何とかするから」

穏乃「う、うん」

憧「とにかく、まずハルエ・・・ってどうしたの!?」

晴絵「はぁ・・・はぁ・・・」ギュウゥ

憧「ハルエ・・・あんたそこまで・・・」

玄「赤土さん!」

穏乃(どうしよう・・・行くべきなの? こんな、みんな苦しんでるのに)

憧「シズ、遅刻しちゃうでしょ、行って!」

憧「私、諦めてないから・・・シズも諦めないでよねっ!」

穏乃「・・・憧、ごめん、お願い!」ダッ

<清澄控え室>

結「ただいまー」

照「」ガタガタガタガタ

久「もしもし? 私だけどちょっと探して欲しい子が居てね」

和「」ウロウロウロウロ

結「」ポカーン

結「なに?」

和「大変です、結さん、咲さんが・・・」

結「咲が?」

和「迷子になったまま帰って来ません!」

結「・・・さっきすれ違ったよ」

和「え?」

結「もうすぐ会場入りするよ・・・ほらモニタに映った」

照・久・和「・・・」

照「久が大騒ぎするから」

久「照が泣きそうな顔で咲が居ないって言って来たんでしょ」

和「まったく先輩方、落ち着いてください」

結「ていうか、咲ここに戻って来なかったの?」

久「ええ。咲ったら、今日はほとんど居なかったわね」

久「・・・あの子が照や結、和の応援をしないなんて・・・どうしたのかしら」

モニタ内の咲『』ゴゴゴゴゴゴ

<大将戦>

恒子『最強の遺伝子を持つ3人目の雀士、第2試合の40万点で他校を恐怖のどん底に叩き落とした小鍛治プロ2世の魔王、宮永咲ぃ!!』

健夜『大将まで回ってしまいましたが、点数的にすぐ終わるのが救いでしょうか』

恒子『あれれ? すこやんからのツッコミがないよ?』

健夜『あの子は強いです。私もあの子となら麻雀を打てるかも知れません』ウズ

恒子『え? 麻雀を? いつも打ってるんじゃ?』

咲「よろしくお願いします」ゴゴゴゴゴゴ

姫子「よ、よろ、しくとです」ビクビク

竜華「よろしくな」

穏乃「よろしくお願いします」

穏乃(灼さん、赤土さん、大丈夫かな・・・)

穏乃(今は集中しなきゃ)

竜華(長い時間かけるのは危険やんな)

竜華(仕掛ける!)

竜華「カン」

穏乃(ドラをカン!)

竜華(宮永咲は嶺上開花が得意や。まずはそれを潰す)

竜華(そしてウチはドラカンすれば、その後4巡で新ドラ4枚入って来るんよ)

竜華(既に頭はあるで。12巡で四槓子をツモれる!)

竜華(すまんな穏乃ちゃん、ウチらは決勝で必ず清澄を倒すから)

穏乃(信じられないけど、12巡以内に役満を聴牌できる)

穏乃(えっと・・・こ、この人、その気になれば毎局12巡以内に四槓子か数えを聴牌できるってこと!?)

穏乃(そうだよ。去年、準決勝までは宮永照よりも獲得点数多かった人だもん)

竜華「」ゴォ

竜華「ロン!数え、32000!」

咲「はい」

竜華(よし、行けるわ!・・・)ハッ

咲「・・・」ゴゴゴ

咲「ロン、32000です」

穏乃(よし張った、高め倍満!)

咲「」パチ

穏乃「ロン!16000!」

咲「・・・」ゴゴゴ

咲「ロン、16000」

穏乃「!」

姫子「ろ、ロン、5200とです」

咲「・・・」ゴゴゴ

咲「ロン、5200」

竜華(こ、これはあかん・・・)

穏乃(こんなこと、出来るの?)

姫子(部長、やっぱりこいつは・・・こいつは化け物とです)

恒子『ぜ、前半戦終了して各校の点数は・・・点数は動かずっ!』

恒子『・・・ねぇすこやん、何が起こってるの?』

健夜『こーこちゃん、ちょっと覚悟しなきゃダメかも』

恒子『か、覚悟?』

健夜『あんまり大きな声を出し続けると喉が潰れちゃうから、少しトーンを落として』

恒子『な、何を言ってるのかな?』

清澄 :352000(+-0)
千里山:45000(+-0)
新道寺:3000(+-0)
阿知賀:0(+-0)

咲「これじゃあ・・・これじゃあダメだ」

穏乃「え?」

竜華(なにがダメなんや、個人戦前半と同じプラマイゼロ、それも全員に対してやっとるやん)

咲「すいません、靴を脱いでも良いですか?」

審判員「はぁ、どうぞ」

咲「失礼します」

竜華(・・・圧力が増した? 精神的なスイッチの切り替えか?)

咲「もっと・・・もっと」ゴゴゴゴゴゴ

<大将戦前半から4時間後>

灼「・・・ゲホッゲホッ」ポロポロ

灼「・・・私・・・わた、しが・・・」

灼「ハル・・・ちゃ・・・ん」

晴絵「灼?」

晴絵「すまない・・・私の・・・せいだ」

灼「ちが・・・違うよ・・・」

灼「私、小1から麻雀打つの辞めて、それをハルちゃんのせいにして・・・」

灼「もっと、あの頃から、続けてれば・・・」

晴絵「・・・」

灼「・・・ごめん」ポロポロ

灼「ごめんね・・・」

晴絵「戻ろう、灼。みんな待ってるから」

灼「・・・・・・」

<阿知賀控え室>

晴絵「ただいま」

灼「・・・・ただいま」

憧「・・・」

玄「・・・」

宥「・・・」

灼「ごめん・・・みんな、私の・・・せいで」

憧「」ギリッ

晴絵「憧、灼は私の作戦を実行したんだ。だから、私の」

玄「違うんです」

晴絵「違う?」

玄「まだ、大将戦が終わらないんです」

晴絵「は? いや、だって前半終わってから4時間以上経ってるんだよ? どれだけ長考すれば・・・」

憧「20連荘」ボソ

宥「その20回和了ったんじゃないんです。誰も、誰も和了らなくて20連続流局で・・・」

晴絵「」

晴絵(インターハイ準決勝)

晴絵(私は、来てはならない場所に戻って来たばかりか)

晴絵(大切な教え子たちまで連れて来てしまったのか・・・?)

<更に2時間後>

観客A「なぁ、やばくね?」ザワザワ

観客B「止めた方がいいんじゃ」ザワザワ

観客C「日付変わるぜ?」ザワザワ

観客D「」Zzzz

 ―――

哩「お前たちの強さはもう十分と! もう辞めさせろ!」

結「こっちだって何がなんだか分かんないよ!」

和「通してください! 今の咲さんは普通じゃありません!」

警備員「そう言われても・・・」

憧「和・・・」

和「憧」

憧「どういうことなの? 清澄の作戦じゃないんだよね?」

和「あんな作戦はしません! いえ、普段の咲さんなら絶対しないはずです」

結「だから様子がおかしかったって!」

久「騒いだって無駄よ。大会本部に掛け合いましょう」

憧「あ、私も・・・」

憧(あれ? チャンピオン?)

照「・・・」

照「高鴨穏乃」

照「淡の目を覚まさせてくれたその力なら、咲の目も覚まさせてくれる?」

憧(淡? 誰?)

照「私は麻雀以外に出来ないから。それ以外、何も・・・」

照「いつだって、誰かが望んだ私でしかない」

憧「ねぇ、ちょっと」

照「!」

照「何?」

憧(ちょ、ちょっと緊張するな。世界チャンピオン目の前にしてるし)

憧「い、妹さんなんですよね?」

憧「どうしてあんなことを?」

照「わからない・・・」

照「私、しばらく咲と離れて暮らしてて、咲が何を思ったかなんて・・・」

憧「離れたことを後悔してるなら」

憧「やり直せば良いんですよ。やり直せないなんてこと、あるはずないです」

憧(ナニ自分に言ってんのよ、私!)

照「・・・そうか。結局、私はまた麻雀に打ち込んだだけだった」

清澄 :385000
千里山:15000
新道寺:0
阿知賀:0

穏乃(いつ・・・終わるの)

竜華(聴牌すらさせて貰えんわ・・・)

姫子()ボー

穏乃(あはは)

穏乃(また山が終わる)

穏乃(流局か・・・)

穏乃(もう・・・いやだ・・・)

穏乃(こんなの、楽しくない)

穏乃(麻雀?)

穏乃(これの、どこが?)

穏乃(ただツモって)

穏乃(切って)

穏乃(それを流局まで繰り返す)

穏乃(次で31回目か・・・)ボー

穏乃(・・・)

穏乃(・・)

穏乃(・)

竜華(穏乃ちゃん?)

穏乃()ゴゴゴゴゴゴ

咲「」ピクッ

穏乃「海底ツモ、1000・2000の30本場は4000・6000」

清澄 :379000(+27000)
千里山:11000(-34000)
新道寺:-4000(-7000)
阿知賀:14000(+14000)

恒子『』グデー

健夜『こーこちゃん、終わったよ』

恒子『はっ!? 大将戦、決着ぅぅーー!!準決勝を制したのは、やはり最強無敵の清澄高校!他校を寄せ付けない強さを見せつけました!そして0点から諦めずに勝ちを拾ったのは阿知賀女子!』

健夜『清澄高校の力が圧倒的で、2位はどこが勝ち抜けてもおかしくない状態でした。この長い戦いの中でも諦めずに立ち向かったのは、よく頑張ったと思います』

憧「シズ!!」

穏乃「あ、憧ぉ~」ギュウ

憧「宮永咲っ!」キッ

憧「・・・・・・・え」

咲「」ガクガクブルブル

憧(な、なんであんたがこの世の終わりみたいな顔してんのよ!?)

照「咲」

咲「」ダッ

照「・・・」

照「」ズーン

<穏乃憧部屋>

憧「ほらシズ、アイス買って来たから食べよ」

穏乃「うん・・・」

憧「そうだ、ラーメン食べに行く? 雨だけど傘さして行けば大丈夫だし」

穏乃「そうだね・・・」

憧「シズ・・・」

憧「棄権しよっか」

穏乃「え」

憧「ほら、私らの目標だった和と遊ぶってのは達成したわけでしょ?」

憧「千里山の人たちは清澄と戦いたがってたわけだし、譲っても良いんじゃない?」

憧「私たちだって、レジェンド~とか呼ばれちゃうくらい頑張ったんだし」

穏乃「そんなの」

憧「あのね、シズ」

憧「もうシズに傷ついて欲しくないの」

穏乃「き、傷つくなんて大げさな・・・」

憧「麻雀、打ちたい?」

穏乃「」ビクッ

憧「灼も普通の状態じゃないし、ハルエだって・・・」

憧「もう奈良に帰っても」

穏乃「・・・ごめん憧」

憧「なに?」

穏乃「・・・少し、寝かせて」

憧「うん、ゆっくり休んで」

穏乃「」ブルブル

憧「シズ・・・」

<夢?>

晴絵「・・・今年のインターハイは中止になった」

穏乃(まだインターハイは終わってないよ? なんで帰るの? まさか憧?)

玄「・・・」

憧「そりゃ、ね」

穏乃「和、落ち込んでるだろうな」

穏乃(和が? なんで?)

玄「あの、赤土さん、チャンピオンのご葬儀に私も・・・」

穏乃(葬・・・儀?)

晴絵「親御さんが拒否してるらしくてな、葬儀も行われないそうだ」

玄「そうですか・・・」

晴絵「和の状態も気掛かりだろうけど、私たちもいつまでも東京には居られない」

穏乃(ニュース・・・宮永照さんと宮永咲さんが、交通事故!?]

穏乃(え? 何? どうして?)

穏乃「あ、ああ・・・」

憧「嘘・・・」

玄「和ちゃん・・・」

灼「どうしたの?」

憧「和が、自殺したって」

穏乃「」ダッ

憧「シズ!待って!」

 ―――

穏乃(麻雀なんかやらなければよかった)

穏乃(和ともう一度遊ぼうなんて考えなければよかった)

穏乃(なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで)

穏乃(私はただ、みんなでもう一度騒げれば)

穏乃(それで、良かったのに)

穏乃(こんなんだったら、最初から何もかも諦め・・・・・・)

 ―――諦める? 違うでしょ
 ―――諦められるわけが、ない・・・!

<現代・咲>

咲(降って湧いた奇跡は簡単に享受できない)

咲(お姉ちゃん、結、和ちゃん、京ちゃん、部長、染谷先輩、優希ちゃん、福路さん、長野で戦ったみんな)

咲(この夢のような世界は、私にとって幸せすぎて)

咲(無くなるのが怖った)

咲(1秒でも長くこの場所に居たい)

咲(決勝戦が来る)

咲(私とお姉ちゃんが死んだ、あの日が)

咲(どうすれば良いの? どうすれば終わらないの?)

咲(終わらせないようにしなきゃ)

照「どこにも居ない」

久「携帯も繋がらないわね」

結「はぁ・・・はぁ・・・」

和「結さん、これ以上は」

結「咲が、見つかるまでは・・・」

照「咲・・・」

和「照さん?」

照「みんなはここで待ってて。咲を探してくる」

久「この雨の中、外へ出たって言うの?」

照「間違いない」

和「なら私も行きます!」

照「好きにして。久は結を何がなんでも止めて」

結「なっ」

久「了解」ガシッ

結「なんでっ!」

照「結が倒れたら咲が戻った時に泣く」

結「でもっ」

照「たまにはお姉ちゃんらしいことをさせて」

結「・・・・・・うん」

和「コンビニの傘ですが、どうぞ」

照「私は心当たりのある場所へ行ってみる。あなたも思い当たる場所へ」

和「わかりました」

照(『前』もこんな雨だった)

照(私が弱かったから咲を傷つけて)

照(咲に強くなって欲しいって言いながら、私自身は全く強くなれてない)

照(あの子は過去を受け入れて強くなった)

照(運命というものがあるのなら)

照(弱い私だけを連れて行け)

照「・・・」

照「・・・」

照「咲っ!!」

照(トラック!? そんな!! 『今回』は私も間に合わない!)

咲「・・・っ!」

??「おおおおおおおお!!!」ドカッ

照「咲ぃぃぃ!!」

咲「いたぁ」

??「あたたた」

照「高鴨、穏乃・・・!」

咲「生き・・・てる?」

穏乃「」ムク

穏乃「なに、やってるんですか」ポタ

咲「わた、し」

穏乃「約束したんです!和とどっちが勝つか競争しようって!」

穏乃「みんなと、憧と、あなたたちに勝とうって!!」ポタポタ

穏乃「みんながあなたたちを待ってる!それなのに」クラ

憧「し、シズぅ!? 血出てる!救急車!」

咲「あ、あの・・・」

穏乃「決勝戦、絶対負けませんから」

憧「何格好つけてんの!頭打ったかも知れないから動かないで!」

照「咲」パチャ

咲「・・・なに、お姉ちゃん?」

照「必要なのは体力だったみたい。咲を突き飛ばせるパワーとスピードが大事だった」

咲「奇遇だね。私も少し運動しようかなって思った。でもその目標値はどうだろう」

照「咲」

咲「なに、お姉ちゃん?」

照「未来に対して悩むなんてくだらないことだよ」

照「それこそ、少し運動して咲を突き飛ばせるようになれば変えられるくらい」

咲「そうだね」

咲「私も、そう思った」

<少し前・穏乃憧部屋>

穏乃「」ムク

憧「シズ、起きた?」

穏乃「行かなきゃ」ダッシュ

憧「シズ!傘!傘!」

穏乃(インターハイ決勝前日、宮永さん姉妹が交通事故で死んだ)

穏乃(色んな人が涙を流した)

穏乃(色んな人が想いを絶たれた)

 ―――お願いします、咲さんを
 ―――負けたまま終わるのは癪だろ
 ―――勝ち逃げは許しません
 ―――気持ちよく帰れんやないか
 ―――深山幽谷の化身よ、頼む
 ―――ほんま死ぬなんてないで

穏乃(そんな)

穏乃(夢だけど夢じゃない世界)

穏乃(ここに来たのは、あの時の、みんなの想いのお陰だ)

穏乃「はぁはぁ」

穏乃「たしか、こっち」

穏乃「居たっ!」

穏乃「ああああ、大ピンチ!?」

穏乃「間に合えぇぇぇーーー!!」

穏乃「おおおおおおおお!!!」

救急隊「事故ですか!? 怪我人は?」

憧「ほらっ!救急車来たから乗って!」

穏乃「憧、心配しすぎだよ。ちょっと道路にぶつかっただけだし、それに」ダラダラ

穏乃「ああ!むしろ突き飛ばした宮永さんのが大変かも!?」ダラダラ

咲「え? ああ、私なら大丈夫。穏乃ちゃんが楯になってくれたし」

照「2人共乗って。後でみんなを連れて行くから」

憧「ほら、チャンピオンの言う通りにする!」

穏乃「わ、分かったから・・・」

咲「あ」

穏乃「え、あれ、虹? 今、夜だよ!?」

憧「あ、あれって月虹!? え? そんな見えるわけ・・・」

照「虹には別の世界との架け橋って言い伝えがあった」

咲「・・・別の」

穏乃「世界・・・」

穏乃「宮永さん」

咲「咲でいいよ? お姉ちゃんも結も居るし。敬語も使わないで欲しいかな」

穏乃「じゃあ咲」

穏乃「もう一度言うよ」

穏乃「決勝戦、絶対勝つから」

咲「・・・うん」

咲「一緒に麻雀楽しもうね」

<病室>

結「咲! 本当に大丈夫なの!? 本当に!? ほんとのホント!?」

咲「大丈夫だよ。ちょっと検査するだけだし」

久「でも何もなくて良かったわ。元気も出たみたいだし」

咲「はぁ、そうでしょうか?」

和「では今日一日、私が看病を」

久「今日は決勝戦があるでしょ」

結「咲に負担を掛けないように、絶対大将までは回さないから!」

咲「はいはい、でも難しいと思うなぁ」

穏乃「そうだよっ!灼さんは準決のようにはいかないよ!」

結「え~、あいつが? 咲を助けてくれたことにはすっごい感謝してるから、穏乃が相手だったら手が鈍るけどさ」

穏乃「手加減する必要はないよ!そして大将戦で私が咲に勝つから!」

結「ちょ、それは言い過ぎでしょ、無理!」

穏乃「じゃあ決勝全力で来てよ!勝つから!」

結「オーケー乗った!覚悟しといてよねっ!」

咲「空回りしそうだなぁ」クスクス

憧「シズ、みんな連れてきたよ」

玄「穏乃ちゃん大丈夫!?」

宥「包帯、痛そう・・・」

灼「怪我、どんな感じなの?」

晴絵「シズの親には連絡入れておいたから」

穏乃「ちょっとちょっと!みんな大袈裟すぎだよ!こんなの転んだのと一緒だって!」

憧「交通事故と転倒は全然違うでしょ!」

穏乃「でも木から落ちた時より痛くないし」

憧「落ちたぁ~~!?」ギロ

穏乃「い、いや、あはははは!」

憧「誤魔化すな!」

照「あの」

晴絵「あ、ああ、なんだ?」

照「彼女の親はいつ来ますか?」

晴絵「・・・それが」

照「はい」

晴絵「唾付けとけば直るって・・・」

照「・・・」

晴絵「・・・」

照「決勝戦ではよろしくお願いします」

晴絵「切り替え早いなっ!?」

晴絵「ま、まあ、憧の話だと何だかんだ言いつつ飛ばしてくるらしいから、来たら任せるつもりだ」

晴絵「それとな。・・・決勝では負けないよ、この子たちは」

照「・・・」

晴絵「私にとても大切なことを思い出させてくれたから」

<回想・晴絵灼部屋>

晴絵「・・・」

灼「・・・」

晴絵「・・・」

灼「・・・」

 コンコン

玄「あの、赤土さん、灼ちゃん、お客さんが」

晴絵「お客?」

憩「いやー、良いホテル泊ってんなぁ、羨ましいわ」

灼「荒川憩?」

怜「うちらもおるでー」

哩「私たちも居ると」

晴絵「千里山と新道寺のレギュラー陣? どうしてここに?」

憩「清澄の鼻っ柱をへし折って貰いたくてなー」

哩「想いを託すのならばお前しか居ない」

灼「想いを」

竜華「あと玄ちゃんに逢いになー」

怜「竜華が浮気とか泣きそうや」

竜華「ちゃうよ!?」

煌「清澄と決勝を戦うのはあなたたちです」

煌「だから私たちの想いも一緒に決勝へ持って行って欲しいのです」

浩子「まあ実際はあの反則臭い清澄に、3校の力を合わせたところで勝てるかは怪しいですが」

セーラ「ええやん、応援してくれる人の顔思い出すだけで、ほんま力になるで」

哩「これでも3年間宮永照に泣かされて来ている。立ち直り方くらい心得ている」

竜華「いやー、自慢にならんなー」

憩「ウチなんて飛んで負けてしもたくらいやで。おまけ全国放送で泣き顔放送や」

セーラ「おいおい、不幸自慢しても立ち直れんで」

セーラ「ええか、鷺森灼」

灼「は、はい」

セーラ「ウチら1人1人の顔覚えや」

セーラ「強そうやろ!実際強いしな!」ケラケラ

灼「は、はぁ」

竜華「アホ!セーラ意味わからんわ!」

竜華「あんな、あんたはウチらに勝ったんやで」

竜華「もう胸張って帰れるやろ? じゃあ後残ってんのはなんや?」

灼「でも、私は、ハルちゃんの・・・」

竜華「知らん」

灼「それは私たちだけの・・・」

竜華「それでも知らん」

竜華「あんた、一番大切なん抜けとるで」

怜「もう胸張って帰れるんやろ? なら後は楽しむだけやん」

怜「負けたってええんよ。強い奴に向かってくのって燃えるやん」

怜「もう全然勝てなくても、一週間焼き鳥とかでも、楽しいもんやで」

セーラ「昔の怜やなー」

煌「楽しんで来てください。あなた方が笑顔で終わることが、負けた私たちへの最高の餞別になります」

灼「わた、し・・・」

晴絵「灼・・・」

灼「ハル、ちゃん・・・」

晴絵「私は灼に、一番大切なことを教えてなかった」

晴絵「子供麻雀教室でずっと教えて教えられたことを」

晴絵「麻雀を楽しいって気持ちを」

晴絵「よし!」

晴絵「こうなったら、あの宮永結に一泡吹かせて帰ろう!」

憩「ええな!」

哩「気づいたことがあるとよ」

灼「みんな・・・」

竜華「玄ちゃんも頑張ってや」

玄「はいっ!」

怜「熱いっ!この人の膝枕熱いで!?」

宥「すいません、私寒がりで」

竜華「人に浮気言うといてそれか!」

怜「実はウチより体悪いんとちゃう? 大丈夫なんか?」

宥「昔からなので」

竜華「無視はさすがに泣くで?」

怜「竜華にも浮気される気持ちを味わせるしかないやろ」

 ワイワイガヤガヤ

<病室>

晴絵「・・・」

照「・・・」

晴絵「お前は・・・麻雀が楽しくて仕方ないんだな」

照「・・・はい。他のことが何も出来なくなるくらいに」

晴絵「強いはずだ。世界チャンピオンになるほどに」

玄「アワワワ、チャンピオンが居るよぉ」

憧「そりゃ居るでしょ。妹さんだもん」

照「決勝戦、楽しみにしてるから」

玄「は、はいぃ!」

穏乃「そ、そういえば生世界チャンピオンだ!どうしよう、サインとか貰っておいた方がいいかな!?」

照「生・・・」

久「とにかくみんな会場で仮眠室を借りましょう」

久「寝てない人も居るでしょ? 決勝戦なんて視聴率高いわよー、そこで醜態を晒したくないでしょ?」

晴絵「車があるから清澄も乗って行ってくれ」

照「ではお言葉に甘えて」

憧「シズ、大将戦のために力を溜めておきなさいよ!」

玄「絶対、穏乃ちゃんに繋ぐから!」

宥「私たち穏乃ちゃんを待ってるからね」

灼「約束する」

和「咲さん、穏乃、待っていますから」

咲「うん」

穏乃「先に行ってて必ず行くから!」

<会場ロビー>

小蒔「陽に照らされ咲いた花は実を結ぶか」

照「神代小蒔・・・?」

小蒔「神産巣日(カミムスビ)である」

照「神代に降りた神か」

小蒔「人の力も存外に侮れぬ。時に妾の力に匹敵する」

照「・・・?」

小蒔「未踏の幸運を得し人の子よ」

小蒔「世界を繰り返した果てに何かを見たか?」

照「!」

照「お前は、知っているのか、ここが・・・今が何なのか」

照「ここは私と咲の見ている夢の世界だと、そう思っていた。違うのか? 本当に時間が?」

小蒔「夢現(ゆめうつつ)などと人の子にとって無価値に拘る不可思議さよ」

小蒔「そして驕るな。2人の小さき人の子が望んだ程度で創れる世界ではない」

小蒔「この世はお前たち人の願いが結実した―――紛れも無い現実である」

照「なんだか、良く分からなくなってきた・・・」

霞「すみません、通訳しますよ」

照「岩戸霞?」

霞「神の力の源は願いなのです。その願いが集まり、神は神たる力を行使できます」

霞「私は覚えていませんが、あなたたち2人が死んだ後、皆さんはインターハイをもう一度、今度は笑顔で終わりたいと願いました。その願いが神に届き・・・」

霞「神は時間をお戻しになられた」

霞「記憶はなくともその願いと想いは皆が持っている。『前回』よりもほんの少しだけ笑顔が多く、ほんの少しだけ想いに真っ直ぐな世界になりませんでしたか?」

照「それだと私と咲に記憶があるのは」

霞「それは神の力を利用して自身の願いを叶えた者たちが居るのです」

照「利用した?」

霞「宮永照と宮永咲」

照「私たちが望んだ・・・」

霞「あなたたち2人は、他の人たちよりも更に過去の後悔を望んだ」

照「そうか・・・」

照「・・・」

霞「宮永さん?」

照「正直理屈は分からない」

照「本当かどうか確かめる術もない」

照「けど」

照「私は、咲と結の笑顔を取り戻せたんだな」

小蒔「感謝を抱くならば決勝で妾を楽しませるのだな。妾は有象無象の神々と違い甘くないぞ」

霞「空気を読んで頂きたいですね、神産巣日様」

小蒔「む・・・?」

晴絵「監督!」

トシ「あの千里山を破ってくるとはね、驚きだよ」

晴絵「地力では負けていたかも知れません。けど、気持ちは負けていませんでしたから」

トシ「お互い初就任で決勝まで連れて来れるなんてとは思ってたけど」クス

晴絵「はい、あの子たちの気持ちがあったからこそです」

トシ「あれは・・・清澄の子たちじゃないか。仲良くなったのかい?」

晴絵「いえ・・・うちと清澄の子が、交通事故に巻き込まれまして」

トシ「ほんとかい!?」

晴絵「大したことは無いので大丈夫です。今検査中で大将戦までには間に合い・・・いえ、必ず来ます」

トシ「そうかい。あの元気な子か。豊音も楽しみにしてるよ」

トシ「それじゃ、後でね」

晴絵「はい!」

<決勝戦>

恒子「ついに決勝戦を迎えます、インターハイ!勝つのは三連覇の掛かる清澄高校か!!それとも他校が阻むのか!目が離せない展開が始まります!!」

えり(ゲストの紹介でしょうが)

恒子(あ、すいません、先輩、お願いします)グッ

えり「この過去最高と言われるインターハイに、新旧の日本のエースをゲストとしてお迎えしています」

えり「まずは現日本代表の先鋒、三尋木咏プロ」

咏「やほー、テレビ局の垣根越えとかすごくねー? すこやんパワーですか?」

えり「ピクピク・・・そして前世界選手権で日本代表の先鋒を務めた、小鍛治健夜プロです」

健夜「宮永姉妹の誰かが次の日本代表になるだろうし、私たちがインタビューしてる構図を映したいんじゃないかなぁ」

恒子「その中で一番年上な小鍛治プロですね。一回り離れてるんですよね?」

健夜「」ズーーーーーーーーーーン

咏「あの3人にすこやんと私加えたら、ドリームチーム誕生で世界一じゃね!」アッハッハ

健夜「ど、どうでしょうか、他にも強いプロは居ますし(なんで年下ばかりのチームなの!)」

咏「我々にはない小鍛治さんの経験があれば大丈夫ー!伊達に長くは生きていないっすよ」

健夜「30とかすぐだからね? 咏ちゃんも油断してるとすぐだから、本当にすぐだから!」

咏「はぁ、台本読むの疲れた」

健夜「え? 台本なんて無かったよ!?」

咏「んー? 小鍛治プロは渡されなかったんですかい?」パタパタ

恒子「」テヘ

健夜「こーこちゃーーーーん!!」

えり「先鋒戦、やはり注目は世界一にも輝きました宮永照選手です。今年から先鋒戦に配置され、エースポジションとは思えない圧倒的な点を獲得しています。自身の持つ獲得点数記録にも王手をかけており、三連覇と記録更新をもってプロの世界へ入ることが目標でしょう」

<先鋒戦>

えり『清澄高校と阿知賀女子の両大将選手ですが、本日未明に交通事故に巻き込まれ現在病院で検査を受けています』

えり『午後の大将戦には間に合うというお話ですが、両校とりわけ姉である宮永照選手の精神状態が気になります。小鍛治プロ、三尋木プロ、いかがでしょうか?』

健夜『宮永照選手に関しては問題ないと思います。むしろ阿知賀の松実玄選手の方が危ういですね』

えり『それは何故でしょうか?』

健夜『私から見て宮永照選手は、精神的にかなり成熟しており落ち着いています。一方、松実玄選手はまだ歳相応と思われる反応をしています。高校生という年齢からすれば松実玄選手は普通の反応なのですが。今はまだ大丈夫に見えても、準決勝を考えると厳しい状況です』

えり『なるほど。加えて宮永照選手は大量点数を獲得することで妹さんを待つという目に見える結果を出すことが出来ますが、松実玄選手が同じ失点をしてしまった場合のプレッシャーは準決勝の比ではないということですね』

健夜『はい、そうですね』

えり『』ジーン

健夜『どうしました?』

えり『い、いえ、小鍛治プロから見ても厳しいということですね』

咏『いやー、そうじゃ無いんじゃね』パタパタ

健夜『咏ちゃん・・・三尋木プロから見ると違う印象を受けますか?』

咏『チャンピオンちゃんに関しては同意見すわー。あの人私より年上なんじゃねー、知らんけど』

咏『でもドラゴンロードちゃんは違いますね』バッ

咏『人は背負った時に大人になるんですよ』

照「」ゴゴゴゴゴゴ

玄(穏乃ちゃん・・・阿知賀のみんな、千里山と新道寺の皆さん・・・行って来ますっ!)

白望「だる・・・(決勝まで来ちゃったなぁ、まあみんな大喜びしてるしいいかぁ)」

照・玄・白望「」ピクッ

小蒔「待たせた、人の子たちよ」

玄「え・・・?」

白望(神代小蒔、全然印象が違うけど・・・)

照「そいつは神代小蒔じゃない。カミなんとかって神様」

小蒔「神産巣日(カミムスビ)であるぞ」

白望「・・・神代の九面にここまで自我のある神様居たかな」

小蒔「霧島の九面では無い。主らの願いを九面が聞き入れ、それにより妾が降臨した」

白望「・・・なんでもいいや」

小蒔「さて人の王者よ」

照「・・・」

小蒔「妾を楽しませるがよい」ゴゴゴゴゴゴ

玄(何この気配・・・チャンピオンを越えてるんじゃあ・・・?)

小蒔「此度の戦、10の満ちし役を見せよう」

小蒔「始まりを告げる。天和、16000オール」

玄「ええぇぇー!?」

白望「」ポカーン

照「」照魔鏡発動

照(小瀬川白望、咲の話だと『前』は特異な打ち手じゃなかった。けど・・・まさか照魔鏡に映らないなんて。いや違うな。迷うような仕草の後、突如打ち筋が変わるらしい。つまり特異性も含めて『不定』、『不定』こそが本質。照魔鏡には最悪の相性だな)

照(松実玄は準決勝とは別人。彼女の背後に何人もの人が見える。竜の背に乗せて運んできたか。準決勝以上に油断はできない)

照(そして神代小蒔、いやカミムスビ。次元の違う神、全ての律を操り、あらゆるものを生み出す。時さえ戻せるのだから、当然まともにやっても勝ち目はない)

小蒔「安心せよ。人の範囲の力しか使わぬ」

玄(か、開幕天和のどの辺りが人の範囲の力なんでしょうか?)

恒子『て、てて、天和ぉぉーー!!信じられません!インターハイ史上初、究極の役が我々の目の前に姿を現しました!この史上最強のインターハイの決勝に相応しい始まりの鐘が鳴らされたぁー!!』

健夜『あの神代選手に降りた神は・・・』

咏『間違いない。怪物なんておこがましい。文字通り、神様ですよ小鍛治プロ』ブルッ

照「ツモ、300・500」

照「ツモ、700の1本場800オール」

照「ツモ、1000の2本場1200オール」

玄(早いよぉ)

白望(平均5巡って・・・)

小蒔「ロン、清老頭32900」

照・玄・白望「!」

小蒔「王者とは言え、まだ幼き者か」

照「・・・」フッ

玄(笑った。チャンピオン、やっぱりそうなんだ)

玄(麻雀が好きで好きでたまらなくて、でも麻雀を本気でやるには他に3人必要で)

玄(家族以外で、自分の全てを出せる人たちをずっと求めてるって)

照「まだ幼いかどうか、確かめてみたらどうだ?」

白望(こっちも全然印象違うなぁ。点数申告くらいしかしゃべらないイメージだったのに)

白望(ま、あの宮永結の姉だからな。本当はもっと好戦的なのかも)

白望(ダルい・・・)グデー

白望「ツモ、500オール」

白望「ツモ、1000の1本場1100オール」

小蒔「ほー」

照(『連続和了』? でもコピーってわけじゃない、自分の使いやすい形に変化させた?)

白望「ちょいタンマ・・・」

玄(この人・・・)

白望「ん」カッ

白望「ツモ、清老頭16000の2本場は16200オール」

小蒔「足りない部分を上手く組合せたな。次は簡単にはいかぬぞ」

照(やられた分を近い形でカウンターしてくるのか?)

照「思ったよりも、やる」

玄(なんなのこの卓!? うわーん、みんなぁ)グスッ

竜華「あかん、玄ちゃんの心が折れかけとる。泣き顔もけっこう可愛いけど」

セーラ「ありゃあ、折れるで・・・」

怜「もしウチらが残ったら、あの魔界で戦うことになってたんか」

煌「自信喪失は確実ですね」

憩「園城寺先輩だったら戦えそうですが」

怜「うちじゃ無理に決まっとるわ」

憩「ほら、あの準決勝でチャンピオンに役満を直撃させた技を連発すればいけるん違います?」

怜「死ぬわ!」

竜華「あははは。まあでも、うちらの想いを載せた竜は飛んでくれるわ」

玄(ふぅ)

玄(なんでこれで和了れないのかなぁ)

玄(竜華さんの想いを載せた、配牌ドラ独占)

玄(・・・負けない。だってここにあるのは、お母さんとの思い出だけじゃない)

玄(みんなとの約束だからっ!)

玄「ダブルリーチです!」

照(配牌時点でドラを独占するのは分かっている。読みやすい。それは自滅の道だ)

照「っ!」

玄「ダブリー一発ツモドラ12、16000・8000の3本場は16300・8300です!」

白望(2巡で数えって・・・。もしかして配牌時点でドラ独占してるの?)

白望(ダルすぎる・・・)

小蒔「楽しませてくれる。緑一色、16000・8000」

えり『東場が終了し最下位は清澄高校・・・。な、なんなんでしょうか、この戦いは。信じられません』

恒子『チャンピオン宮永照!次に役満を振り込んだら飛び終了だぞ!? どうした!』

えり『い、1位の永水女子神代小蒔、他者を圧倒する役満和了で8万点以上のプラス』

健夜『すごいっ・・・!』

咏『さすが神様だねー』パタパタ

咏『けどさー』

咏『あまり人間舐めないで欲しいぜ?』

照「」ゴゴゴ

照「ポン」

照「チー」

照「ロン、1500」

小蒔「ふむ」

照「ポン」

照「ポン」

照「ロン、2000の1本場2300」

小蒔「ほう」

玄(有効牌が全然入って来ない・・・さっきから副露多いし、もしかしてズラされてるのかな?)

白望(自分の有効牌を他者に掴ませてる? リスキーだなぁ)

照「ロン、3900の2本場4500」

白望(ああ、これ普通に打つとベタ降り以外は当たりそう)

白望(ダルいけど仕方ないか)

白望「」パチ

照「」ピクッ

白望「ロン、2600で3本場だから3500」

照(『不定』は真似るだけじゃない。全体効果系をすり抜ける役目もあるのか)

照「ツモ、400・700」

小蒔「哀れ」

小蒔「人同士で戯れることなど望んでおらんぞ」

小蒔「字一色、16000・8000」

白望(チャンピオンを抑えるとこっちが止まらないなぁ)

白望(でも、この神様に対抗する手段とか無いでしょ・・・)

白望(天和を狙って和了っちゃうような神様なんだし・・・)

玄(花田さん・・・)

玄(・・・)

玄(私も諦めないですよ!)

玄(神様は言っていたのです。10種類の役満を和了るって、そして人の範囲で戦うって)

玄(それってつまり、私のドラやチャンピオンの打点制限のような、弱点って意味のはずだよ)

玄(神様はずっと役満。この半荘2回、神様は役満10回10種以外は和了らない!)

玄(しかも、同じ役満が無いから神様がどんな待ちなのか、何を捨てるのか予測しやすいはず)

小蒔「良き目だ竜よ」

玄「ロンッ!16000です!」

照(神代から直撃!)

白望(ふーん、神様が役満を消費すればするほど、むしろ直撃は取りやすいわけね)

玄(けど神様も予測してる、国士や四暗を残してるはわざと)

玄(せめて、この局のうちにもう一度・・・)

白望「ロン、12000」

小蒔「ふふふ、雲の如く柔軟な子よ」

玄(私の直撃を一瞬で真似した!)

えり『前半戦が終わりまして変わらず永水女子の神代小蒔がトップ、最下位は清澄高校の宮永照です』

恒子『まさかまさかの大番狂わせ、清澄高校宮永照の不敗神話が崩壊する日が来たのかぁ!!』

咲「お姉ちゃん・・・」

咲「お姉ちゃんがあんなに楽しそうなの何年ぶりだろう」

咲「良かったね」

咲「お姉ちゃんは私よりもずっと麻雀を楽しむから」

咲「誰にも負けないよ」

憧「はい、飲み物」

玄「ありがとう、憧ちゃん」ゴクゴク

憧「玄があの中で善戦してるなんてねぇ~。準決じゃ手も足も出なかったのに」

玄「みんなのお陰だよ。私1人の力じゃ、とっくに飛んでると思う」

晴絵「それにしても、またインターハイが怖くなって来たよ」ニガワライ

玄「今の神代さんは神代さんであって神代さんじゃないそうです」

晴絵「神降ろしとか言うのなんでしょ? プロでも居るから知ってるけど、あそこまで強いなんてね」

憧「世界チャンピオンすらボロボロだし・・・」

憧「まさかチャンピオンが飛んで終わりとか無いよね・・・」

玄「・・・チャンピオンはここで終わらない」

憧「玄?」

玄「みんなが憧れた、みんなが勝とうって思ったチャンピオンは、こんなもんじゃないよ」

<決勝前回想>

セーラ「いやぁー、何度見ても怪物やなー」

姫子「こないな人倒す方法あるんですか?」

哩「わからん。けど諦めん」

竜華「うちらの代にとっては、頂点であり目標や」

セーラ「そうやな・・・」

玄「皆さんは・・・どうしてそんなにチャンピオンを倒したいんですか?」

セーラ「ん・・・勝ちたいんは普通のことやろ?」

玄「それはそうなんですけど」

竜華「うちらが高1ん時な、正直言えばなんやコイツ!って思ったわ」

竜華「無表情に淡々とシステムのように打つ、コンピュータと麻雀打つのと変わらない」

セーラ「中学ん時からそうやけどな。こっちが本気で打っとるのに、つまらなそうに麻雀打つ奴だ思うたわ」

玄「それって悔しいんじゃあ・・・」

セーラ「そりゃもー、ごっつムカついたわ!」

竜華「でもな、彼女が世界選手権に出る前のインタビューで言ったんよ」

竜華「『日本のチャンピオンとして、みんなの力を世界に見せてくる。応援して欲しい』ってな」

竜華「それで分かったんよ。この人不器用なだけやって」

竜華「セーラなんかテレビにかじりつく様に応援してな」

セーラ「世界一かかってたんやで? 竜華やって拳握りしめてプルプルしてたやん」

玄「私もその試合見てました。チャンピオンが世界チャンピオンになった試合」

竜華「宮永照は日本の力を世界に見せてくれたんよ」

竜華「だから思ったんや。今度こそ私たちの力を、宮永照に見せたいって」

怜「うちは世界チャンピオンと戦うってだけで燃えるけどな」

竜華「やられるの気持よくなってきたら危ないで・・・」

憩「いきなり中学に来られて「世界チャンピオンを一緒に倒そう」言われた時は驚きましたわ」

竜華「あははは」

哩「理由なんかみんなそれぞれとよ。それでも負けん気持ちだけは一緒と」

玄「・・・チャンピオンがみんなをここに連れて来てくれたんだ」

玄「ありがとうございます・・・私も」

小蒔「ん? 休憩時間に戻らなかったのか?」

白望「歩いて戻るのダルい・・・」

照「この気持ちを沈めたくなかった」ゴオオォォ

小蒔「心地の良い覇気だ」

玄「お待たせしましたっ」

小蒔「よい。席に着くがいい」

照「・・・」

照「ツモ、1300・2600」

玄(いきなり高め・・・?)

照「ロン、7700」

白望(んー、『連続和了』を捨てたのかな? だとしたら有難いけど、違うだろうなぁ)

照「ツモ、2600オール」

小蒔(かような低き手で和了っても追いつけぬが)

照「ツモ、4000の1本場4100オール」

玄(あれ? ちょっと待って)

白望(まさか)

照「あと4回だ」

小蒔「・・・素晴らしい」

玄(もしかしてもしかしてなの?)

玄(『連続和了』を支える、『必ず有効牌』が来るに対して『配牌が良くなる』は抽象的すぎて微妙な効果だったけど)

玄(卓に着いている間、和了した回数分配牌に有効牌が入ってくる?)

玄(チャンピオンが和了った回数は前半戦含めて10回、あと4回で・・・)

玄(あと4回和了られたら全局天和か地和!?)

玄(さ、さささっきは「こんなもんじゃないよ」とか格好つけちゃったけど、それは無いよぉ!!)

玄(だって、まだ南場もあるのにチャンピオンの配牌は10も有効牌で、全部4巡以内にツモ和了、しかも和了るごとに数は上がって巡は少なくなる)

玄(ううん、でもこの点差だもん。チャンピオンだって面子崩して点数取りに来ることもあるよ)

照「ツモ、12000の2本場、12200オール!!」

照「残り3回だ。私は誰にも負けない」ゴゴゴゴゴゴ

白望(これで最後とは言えダル過ぎる・・・)

小蒔「お主の力、既に神の領域へ達しておる」

小蒔(少し譲歩しすぎたか。ここから残りの満ちし役を和了るまでに、奴に3度の和了を許してしまうだろう)

小蒔(それでは後ろの者が哀れだ)

小蒔「ふむ、王と竜と雲よ」

照「?」

玄「はい?」

白望「雲って私?」

小蒔「神もたまには言の葉を返す」

玄「かえす?」

小蒔「初の言は撤回する。全ての満ちし役は見せられぬ」

白望(こいつ、他のシステム的な神とは全く違う。思考が人に近い)

小蒔「この戦は妾の負けだ。ゆえに妾は従者たちへ繋ぐことを考える」

白望(これは運が良いなぁ、少なくてもチャンピオンの天和連荘を止めてくれるってことか)

小蒔「特に王者よ。とても楽しめたぞ」

照「気が早い」ゴゴゴゴゴゴ

小蒔「ふふふ、お主が更に成長を遂げた時、再び相まみえたいものだ」

えり『チャンピオン、配牌の面子を崩すようになりましたね』

健夜『神代選手は簡単に和了らせてくれないでしょうから、配牌には介入されている可能性が高いです。それを回避するためでしょう』

えり『(あれ? これ麻雀ですよね?)』

咏『やべー、おもしろそー、ねぇ小鍛治プロ、終わったらあの子ら誘って打ちません?』

恒子『そ、その中継は是非私に!』

照(最後の親番が邪魔されたか、さすがに天和連荘で終わらせることは出来なかった)

小蒔「させぬよ」

玄(・・・)

竜華「へぇー、親御さんとの思い出なんか」

玄「そうなんです。そうしたらいつの間にかドラが来てくれるように」

玄「竜華さんはそういうの無いんですか?」

竜華「無いよ?」

玄「えぇ!?」

竜華「玄ちゃんさ、麻雀楽しんでるか?」

玄「え? 楽しいですけど」

竜華「んー、そういうんやなくてなー。能力に振り回される言うんかな。もっと自由に、好きなように楽しく打ちたいとかは思わん?」

竜華「ドラ捨てて、入らなくなって、自分で迎えに行って。それもええよ? そこまでやって、そこまでやっても泣いちゃうくらい辛いんやったら・・・」

玄「私は・・・」

竜華「ああ、好きに打ってええんや。玄ちゃんが楽しいように打ち。それが一番やで」

玄(行くよ、みんなっ)

照・小蒔・白望「」ピクッ

玄「カンッ!」(嶺上牌も新ドラだよっ!)

玄「カンッ!」(もちろん新ドラだよっ!)

玄「カンッ!」(やっぱり新ドラだよっ!)

玄「カンッ!」(ドラばっかりだよっ!!)

玄「四槓子だけど、あえてこっちで申告させてください。ドラ18、数え役満ですっ!!」

玄(ドラがいっぱい入ってくるの、とっても楽しいから!)

小蒔「片時さえも油断ならぬ者たちよ」

白望(手配にドラが入った? これって罠じゃん・・・竜の財宝を狙うと食い殺される感じか)

白望(ドラの位置を完全に操ってる。無茶苦茶強力な支配だな・・・)

照(私の配牌にまで紛れ込ませて来たか、奪い切ってやるっ!)

玄(独占するんじゃない。竜のみんなと騒いで、遊んで、勝つよっ!!)

竜華「あかん」

怜「どないした?」

竜華「宮永照・・・やっぱ、凄いわ・・・」

 ―――

照(楽しい)

照(全力で打ち合って、それでも返してくる人たち)

照(けど、勝つのは私だ)

照(私は誰よりも麻雀が大好きだから)

小蒔「これほど牌と相思相愛なる関係を結ぶ者がいるのか」

玄「チャンピオン・・・」

白望「・・・(望んだ牌しか来ないって言うの? それは無理だなぁ)」

照「ツモ、地和、16000・8000!!」

恒子『先鋒戦終了ぉー!!最終的にチャンピオンが1位を奪還しましたが、各校の点数は接戦!かつてこれほどチャンピオンが追い詰められたことはあるでしょうか、いやない!』

健夜『プロでもここまでの戦いが出来る選手はほとんど居ません。非常にレベルの高い試合でした』

えり『正しくエースのぶつかり合いでしたが、こうなるとエース級があと2人控えている清澄が有利でしょうか?』

咏『んーどうだろうねー。準決勝までは清澄で決まりだったんだろうけど』

健夜『そうですね。まだ清澄が一歩リードしていると思うのですが、何があるか分からない差です』

照「お疲れ様でした」

玄「お疲れ様です」

白望「おつかれ・・・ダルい」

小蒔「大義であった」

照「お前はまた出てくるのか?」

小蒔「お主が生きている間には現れぬかもな」

照「・・・そうか」

玄「あ、あの、チャンピオン!」

照「宮永照だと・・・」

玄「私には、私たちにとってはチャンピオンです」

照「・・・」

玄「チャンピオンに、届きましたか? 私たちの想いが」

照「・・・」スッ

玄「・・・」

照「高校3年のインターハイ、私にとって忘れることの出来ない最高の日々になった」

照「開催してくれた人、出場した選手、戦った人、仲間たち」

照「全ての人に感謝したい」

照「ありがとう」

玄「あ」パァ

玄「はいっ!」

清澄 :109000(+9000)
永水 :104000(+4000)
阿知賀:95000(-5000)
宮守 :92000(-8000)

<清澄控え室>

久「まさか照が10000点も稼げないなんてね。永水の切り札にも驚いたけど、宮守と阿知賀にも驚いたわ」

結「照おねーちゃん、もうちょっとで負けるところだったね」

照「強かった。けど、あの戦いは2度と出来ないと思う」

久「インターハイだからってやつかしら?」

照「私の場合はそれもある。他の3校はそれぞれ別の想いを持ってきた。そしてそれを持ち寄ることは2度と無い」

和「それよりも早い巡で終わってしまったため、大将戦大丈夫でしょうか」

照「・・・」シュン

結「大丈夫、私で飛ばすから」

和「本当に大丈夫ですか?」

結「わざと回した以外は大将戦になってないでしょ? 私の『完全試合』は無敵だよ」

久「相変わらず勝てるかどうかは論題に乗らないのね」

照「3校とも何をやってくるか分からない。特に阿知賀は危険かも。油断しないで」

久「決勝に残ったチームは油断ならない。大丈夫、分かってるわ」

<廊下>

エイスリン「シロ!」

白望「ようやく終わった・・・」

エイスリン「オツカレ!」

エイスリン「(良い子良い子してる絵)」

白望「決勝の人ら、ちょっと今までとは違うから・・・気を付けて」

エイスリン「(ガッツポーズの絵)」グッ

豊音「迎えに来たよー!ほら、肩貸すから帰ろう!」

白望「・・・高い」ズルズル

<永水控え室>

初美「あの神様、姫様の身体乗っ取ったりしないですよね?」

霞「大丈夫よ。あの方は人を愛しておられる神だから」

巴「でも帰って来ませんね」

霞「せっかく降りたから人界見物でもしてるんじゃないかしら?」

初美「それなら良いんですが」

霞(宮永照、神の力にこれほど均衡するなんて・・・)

霞(宮永咲・・・どうなるかしら)

<阿知賀控え室>

玄「ごめん、やっぱり勝てなかった」

憧「な、何言ってんのよ!あの人外魔境から-5000で帰って来たって最高の戦果でしょ!」

晴絵「玄もその魔境を作ってた一員だけどな」クスクス

宥「玄ちゃん凄かったよ」

灼「約束は果たせた?」

玄「うん。勝てなかったけど、それでもすっごく楽しかった」

玄「それに・・・チャンピオンが私たちのこと認めてくれて、本当に嬉しかった」

玄「私、竜華さんたちにお礼言ってくるねっ」ダッ

玄「あ・・・すぐ戻って来てお姉ちゃんの応援するから心配しないで!」

憧「まったく、まだ終わってないのにはしゃいじゃって」

晴絵「宥」

宥「はい」

晴絵「お前も全てをぶつけて来い」

宥「はい!」

申し訳ありません
あと少しなのですが本日はここまでで

再開いたします
できるだけ分かりやすくするため
大将戦のみ詳細な点数表示をしますが、
主の麻雀知識は京太郎レベルです

<次鋒戦>

えり『今大会、清澄高校がこの点差で先鋒戦を終えるのは言うまでもなく初です。世界チャンピオンでもあるエースがまさかの苦戦、このような状況でこそ総合力が試される時ですが』

恒子『大会前に宣言したように、今年の清澄高校に弱点はありません!次鋒は宮永照と共に3年間清澄高校を支えた上埜久!』

えり『その上埜選手ですが、今大会は成績が伸び悩んでいる感があります。不調の原因はどう思われますか?』

咏『先鋒がチャンピオンちゃんで大量リードしちゃうからっしょー』

健夜『そうですね。宮永照選手が大量得点してしまうため、次鋒の上埜選手は失点を抑えて次へ繋ぐ役割に徹している感があります』

恒子『それはもちろん後半のクリーンナップも強力だからですよね!』

久「今年も春とだったら楽しかったのに。永水も気が利かないわね」

巴「逆に危険そうなんですよ、あなたは」

エイスリン「ヨロシク」

宥「よろしくお願いします」

久(さってと、何だかんだと油断できない状況になって来たわね)

久(和や結は強いけど、また神代のような隠し球が無いとも限らない)

久(特に宮守は初出場の上、あの熊倉プロが連れて来た5人)

久(負けられないわ)ボゥ

エイスリン「ツモ!2000・3900!」

久「んー」

久(松実宥ちゃんは準決勝ほどの覇気がない。けれど阿知賀の中じゃここまで全試合プラス)

久(狩宿巴ちゃんは『祓い』系統の異能だから私には通用しない)

久(やっぱり宮守のこの子、変な手順ね)

エイスリン「」サイコロ-

久(・・・なかなか可愛いわね)

巴(まさか、神産巣日様が敗北なさるなんて想定外もいいところです)

巴(あんな事を言ったものの正直に言ってしまえば、私の対戦相手が上埜久になってしまったのは作戦ミスです)

巴(麻雀がデジタル指向な私と上埜久の相性は最悪に近いですから・・・)

巴(しかし、上埜久以外の2人は違います。その異なる力、清め祓わせていただきます)パァ

宥「」ピクッ

エイスリン「ナ、ナニ?」

宥(あれ・・・温かい牌が来ない・・・?)

エイスリン(カ、描イタ牌ガ・・・)

巴(先に奉納を済ませておくのは反則っぽいですが、仕方ありません)

久(異能のバランスは凄く良いのよねぇ永水って)

久(その分、配置に気を配らなきゃならないんでしょうけど)

久「ロン、7700」

巴(清澄の独壇場はマズイですが、準決勝のように宮守を暴れさせるわけには・・・)

巴(いや、清澄を稼がせるのは危険でしょうか? しかし先鋒戦が想定外に稼げなかったのは清澄も同じはず)

巴(少なくとも副将までは他家を瞬時に飛ばすような火力は無いはず)

巴(火力と和了率を考えれば、次鋒戦で危険なのは宮守。この方法でいきます!)

久「ツモ、3200オール」

巴(上埜久っ)

久「舐められたものね」

<回想・県予選前清澄>

久「照、咲、結のトップ3独占は予想通りだけど・・・」

久「和、美穂子、私、まこの順ね」

まこ「まさか和が4位につけるとは、予想外だったの」

美穂子「ネット麻雀ではとても強いんですよね?」

久「元々学生レベルに収まらない実力はあったんでしょうけど、咲たちと打つ事で更に強くなったようね」

まこ「去年全国制覇をしたチームをゴボウ抜きとは参るのぉ」

久「まだ終わってないのよ? 負けを認めるのは早いわ」

まこ「そうじゃったな」ニッ

美穂子「・・・」

久「どうしたの美穂子?」

美穂子「久さん」

久「何?」

美穂子「最終日、全力で打って欲しいんです」

久「全力でって・・・いつも本気で打ってるわよ?」

美穂子「す、すいません、言い方がおかしかったです」

美穂子「インターミドルで私と戦った久さんは、もっと強かったはずです」

美穂子「無意識なのかも知れません」

美穂子「けど・・・私にあの時の、あの大会にもう一度挑戦させてくれませんか?」

美穂子「あの時の言葉の―――」

<現在・次鋒戦>

久(青いサファイヤは赤いルビーと同じ素材の宝石なのよ、だったかしらね)

久(まったく、2年間一緒に居て聞けないなんて美穂子も臆病よね)

久(私は状況が悪いとか、ハンデキャップがあるとかを言い訳にして欲しくないって考えなだけ)

久(だから目を閉じて隠している子を見て、そのくらい気にせずにしなさいって説教だったのよ)

久(それは美穂子を落胆させた答えだったかも知れない)

久(けど、もうあなたと私の友情はそんなこと関係ないでしょ?)

久(照は他のチームは様々な想いを持ち寄ったって言った)

久(なら私が決勝へ持ち込むのは、私の一番の親友との約束)キィィン

久(必ず三連覇を果たして帰るわ!)

久「ツモ、4000の一本場、4100オール!」

宥(あれ? 悪待ちじゃない?)

巴(普通に五面張に取った? いえ、ここぞという時以外は普通の待ちのはず・・・しかし決勝で?)

久「この状況ね、もうとっくに悪い待ちなのよ」

久(親友を待たせているのだから)

エイスリン「アノ」カキカキ

久「何かしら?」

エイスリン「(青い炎と赤い炎の絵)」

エイスリン「」カキカキ

エイスリン「(紫の炎の絵)」

久「Excellent ! That's the correct answer.(すごいわね、正解よ)」

エイスリン「ニ、日本語、ワカル」

久「ちょっとからかっただけ。やっぱり可愛い子ね」

エイスリン「///」

宥(どうしよう、私の打ち方が全くさせて貰えない)

宥(永水の狩宿さんが何かしてるみたいだけど分からないし)

宥(でも、上埜さんの連荘を止めないと・・・)

久「ロン、11600は12200」

巴(まずいです。これじゃあ宮守を止めている意味が・・・)

宥(私の、全て)

宥(私は玄ちゃんたちと一緒に遊びたいって思って、ここまで来た)

宥(他のみんなに比べて、勝ちたいって気持ちは少ないと・・・思う)

宥(でも、玄ちゃんが世界チャンピオンと戦って守りきった点棒を)

宥(失いたくない、絶対にっ!!)ゴォ

宥「リーチ」

久(理牌と視点移動から考えて手配は萬子の染め)

久(・・・一発ツモを確信してる? いや信じている?)

巴(妹の松実玄は、宮永照でさえ崩せない圧倒的な異能の持ち主です)

巴(もし姉にも同じレベルの異能があるとしたら・・・?)

宥「ロン、17200」

久(そういうことなのね)

久(どんな相手でも安定してプラス、赤い牌を集めるだけで出来るものじゃない)

久(この子の支配力は『妹の点棒を減らさない』こと。玄ちゃんが先で初めて成立する力)

久(玄ちゃんの後である限り絶対にマイナスにならない。マイナスにならないのだからプラスになる)

久(新道寺の『縛り』も強力だけど、こっちは玄ちゃんと同等の才能の持ち主だから強度が桁外れだわ)アセ

宥「上埜さん」

久「何かしら?」

宥「ありがとう、ございます」

久「あなたが嫌味を言うような子じゃないことは分かるわ」

久「でもごめんなさい、何のお礼かしら?」

宥「宮永さんたちにも伝えてください。あなたたちが清澄をここまで連れて来てくれたから」

宥「私は卒業する前に、玄ちゃんたちと一緒に遊ぶことが、一生の思い出を作ることができました」

久「それはあなたの仲間たちに言いなさい。私たちが貰っていい言葉じゃないわ」

宥「・・・はい」

久「私だって意地があるから稼いで中堅に回すわよ?」

宥「私も、みんなのためにいっぱい点棒を取ります」

清澄 :120000(+11000)
阿知賀:113000(+18000)
永水 :87000(-17000)
宮守 :80000(-12000)

えり「次鋒戦が終わりまして、阿知賀女子松実宥選手の健闘により2位に浮上。1位清澄との差を7000に縮めました」

えり「これで松実宥選手は全ての試合をプラスで終わらせたことになります。今年のインターハイのレベルを考えると快挙だと言っても良いでしょう。更に次鋒戦の区間1位を獲得です」

咏「よく頑張ったけど完全試合ちゃんとチャンピオンちゃんが居るから目立たないねー、かわいそー」

恒子「しかし王者清澄がまさかの2位と4桁差!このままだと王者陥落も有り得るぞ!!」

健夜「点差もないですし、宮永咲選手に回す前に差をつけられれば有り得るかも知れませんね」

えり「小鍛治プロは宮永咲選手を評価しているご様子ですね?」

健夜「今大会最強ですね。もちろん、先ほどの神代選手のような例外もありますが」

咏「あれとは二度と会うことないしね。嶺上開花ちゃんが個人選手としては最強でしょ」アハハ

えり「それでは大将戦まで清澄が1位なら他校に勝ち目はないと?」

健夜「そこまでは・・・。これは個人戦ではありませんので何かが起こるかも知れませんので」

<清澄控え室>

久「結局稼ぎ負けちゃったわ、良いとこ無しね」

和「1万以上のプラスで首位のまま戻って来たのですから、何も問題がないかと・・・」

結「これで和がマイナス10万されても、清澄が勝つから大丈夫だよ」

和「されません」

久「元気付けてるようで、力が抜ける言葉ねぇ」

照「」ポリポリ

久「せめて何か言ってよ」

照「お疲れ様、あとは後輩たちを見守ろう」

久「・・・あら」

久「照からまともな慰めが出るなんて意外すぎ」クスクス

照「私だって成長したいって思ってる」

<宮守控え室>

エイスリン「ゴメンナサイ・・・!」

豊音「気にすることないよー!」

塞「トシさんに徹底的仕込まれたお陰で、あの清澄に喰らい付けてる。まだまだ逆転できる範囲だ」

胡桃「ほらシロだって同じくらいマイナスなのに、ふんぞり返ってるから気にしないで」

白望「・・・慰め合う? ダルいけど」

エイスリン「・・・ダイジョブ」

トシ(エイスの『絵描き』・・・試合前に描いた絵と同じ手配になるようにツモれる)

トシ(宮永照に匹敵する才能と思い、かなり鍛えたつもりだったけど少し時間が足りなかったね)

トシ(それにしても・・・)

トシ(やるじゃないか、あんたの教え子たちは)クス

<永水控え室>

巴「すみません!あんな結果になるなんて!」

霞「罰ゲームは何が良いかしら?」

初美「社の店番を一週間変わって欲しいです!」

春「沖縄まで行ってさとうきび買って来て」

巴「3人共試合まだじゃないですかっ!? それと春、沖縄は厳しいです」

霞「じゃあ、終わったらその時に考えましょう」

初美「もちろん優勝してからですけど!」

<阿知賀控え室>

宥「ただいまー」

玄「お姉ちゃん!お疲れ様!」

宥「うん」

玄「さすがお姉ちゃん、すごいよっ」

憧「いやぁ、宥姉ほんと凄いわ。次鋒戦で区間1位でしょ? 閉会式で表彰されるってことじゃん」

宥「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

玄「お、お姉ちゃんがかつて無いほど震えてる!」

晴絵「じゃあ私が緊張しないおまじないを」

灼「それはもういいから」

憧「さて・・・。もし中堅戦の間にシズが戻って来たら、そこのカバンに代えの制服入ってるから」

灼「分かった」

玄「頑張って、憧ちゃん!」

憧「準決勝じゃ和に負けちゃったからね。決勝は勝つぞぉ!」

<中堅戦>

えり『前年度インターミドルチャンピオン原村和、非常に早い打牌が特徴です。決勝まで安定したプラスの成績は、その実力を証明していると言って良いですか?』

咏『清澄じゃなかったらエース張れる実力でしょー。長期スパンでの収支でやったら、ほとんどのプロ勝てないんじゃね? 知らんけど』

憧「和」

和「憧」

和「先ほども言いましたが、決勝まで戦えるなんて嬉しいです」

憧「和のとこの大将がやってくれたお陰でね」ニガワライ

和「その咲さんに負担を掛けないためにも、準決勝以上に頑張るつもりです」

憧「私だって負けないよ」

和「どちらが大将のために頑張れるか、勝負ですね」

憧「いや、副将戦もあるんだし」

和「結さんは別に稼いでくれなくても良いです」

憧「え? もしかして仲悪いの?」

和「いえ? ただ結さんとはライバルなので、結さんにも負けたくありません」

憧「あ、ああ、同じ1年だしね」

憧(和、宮永結、宮永咲は雑誌で比較されまくってるしね。意識しちゃうよねぇ~)

憧(なんか違う気もするけど、そう思っておいた方が幸せな気がする・・・)

春「清澄と阿知賀は知り合いなの?」

和「幼馴染です」

春「久も?」

和「部長は違います」

春「そう」

憧(去年は決勝で清澄と戦った滝見春。相手の聴牌気配に対する読みが凄い、ってくらいしか特徴なかった。その分振り込みが極端に少ない)

胡桃「5分前ピッタリ、って全員居る。すいません、遅れた?」

憧「決勝だから気が早っただけですから」

胡桃「気持ちは分かるね」

憧(鹿倉胡桃、こっちは初出場だから牌譜も十分じゃないけど、晴絵の先生とも呼べる人が監督してるから油断禁物)

憧(準決勝は和とセーラが戦っていたから私もプラスで終われた感がある)

憧(実際の実力は和よりもかなり下・・・どうやって戦うかが重要)

和「憧? 大丈夫ですか? 始まりますよ」

憧「あ、うん、大丈夫」

憧(私にはセーラのような大火力の麻雀はできない。けど、和にだって負けないものはある!)

憧「ポン!」

和「ロン、2000点」

憧「よ、容赦ないね、和」

和「2位の阿知賀を狙い撃つのは戦略上当然です」

和「ツモ、1000・2000」

春(『のどっち』の雀力は高校生レベルじゃない。素で打ったら勝てない)

春(ずらし)

和「ロン、2600」

春(予想はしてたけど、ダメ)

胡桃(中堅戦だけ異常な打ち手が居ないから、実力差がモロに出てるなぁ)

胡桃(私も相当練習したけど、相手は小学生の頃からネトマにどっぷりつかったジャンキーだし)

胡桃(しかも現実の方は対戦相手によって、打ち方が柔軟に変わるからこっちのが強い)

胡桃(エイスが負けちゃったから、ここで何とか稼ぎたい)

胡桃「リーチ」

和「・・・」

春(原村は親だけどベタ降り。・・・削れるかも知れないからずらさない)

憧「リーチ!」

憧(和が降りたなら、私は行く!)

胡桃「ツモ、2000・3900」

憧(ちぇ、リー棒損した)

憧(・・・今の感じ、昔あったな)

<回想・阿知賀女子子供麻雀クラブ>

憧「あーもう!和が降りたら玄が和了るってなにぃ」

玄「でも、私も収支だと和ちゃんに勝ててないよ」

玄「初めて戦った時なんて1回も和了れなかったし・・・」

穏乃「誰も和に勝てないのかぁー」

和「勝負は時の運です。誰でも私に勝つことは出来ます」

憧「でも、ほとんど和が勝ってるじゃん」

和「確立を上げるように打っているので、私が勝つ可能性が高いだけです」

和「憧は和了率に拘りますね?」

憧「え? うん、まあ」

和「和了率だけでなく、ちゃんと点数も計算した方がいいですよ。期待値を出してから和了るかどうか考えて」

憧「えっと、期待値って何?」

和「期待値というのは」

晴絵「小学生の範囲じゃ習わないし、難しいだろ」

穏乃「さすが、和!まだ習ってないところも勉強してるんだね!」

和「麻雀で強くなるために勉強しただけです」

晴絵(期待値って高校数学じゃなかったっけ・・・)

和「2回に1回和了れる1000点と3回に1回和了れる2000点」

穏乃「2回に2回1000点和了れれば良いってことだねっ!?」

和「それじゃあ確立の意味が・・・」

憧「じゃあ私は3回3000点和了る!」

穏乃「じゃ、じゃあ私は・・・!」

和「何の勝負ですか。意味不明です」

晴絵「和の打ち方も1つの打ち方だよ」

晴絵「けど、いつも最善の手で打つのが良いとは言わない」

和「ですが」

晴絵「和の中ではコンピュータが世界最強の雀士なのか?」

和「え?」

晴絵「ま、勝てないようにプログラムを組まれたら確かに最強だけどな」

晴絵「お前たちはまだ子供なんだ。どれが最強とかどれが最善とか考えないでいいと思うぞ」

晴絵「今は好きに打って、大人になった時どんな麻雀を打ちたいのか考えておく程度でいいんじゃないかな?」

<副将戦>

憧(私、ずっと麻雀続けたいから阿太中に入ったはずなのに・・・)

憧(先のこと何も考えてなかったな)

憧(そりゃ、そうだよね・・・)

憧(続けたかった理由は)

憧(和に勝ちたかったからだもん)

憧(私のスタイルが和にそっくりなのも、それが理由)

憧(和と同じスタイルで、和に勝ちたかった)

憧(麻雀教室に和が来てから、シズの口から出るのは和のことばっかりで)

憧(でも、そのくらい和は強くて)

憧(色んな意味で・・・嫉妬してた)

胡桃「阿知賀、手番だよ」

憧「あ、はい」

憧(うん、そうだよ)

憧(私勝ちたい、和に)

憧「リーチ!」

和「憧・・・?」

胡桃(あれ? 阿知賀中堅は副露での加速が持ち味だったんじゃ)

春(様子見)

憧「リーチ一発タンヤオイーペーコードラ1・・・裏3!4000・8000!」

胡桃(裏のモロ乗りは偶然だろうけど、雀風が変わったのかな?)

和(スタイルは同じですが、読みが鋭い。勘が冴え渡っている状態、でしょうか)

憧(和、あなたは賭けに出るのは極力避けて生きているんだと思う)

憧(シズが声を掛ける前まで、友達も作らずネット麻雀をしていたのもリスクを避ける一環でしょ)

憧(和から見たら色んなことに意地になって、失敗ばっかりな私はおかしいのかも知れない)

憧(けど、挑戦する勇気と失敗してもめげない強さは手に入れたよ!)

憧「ダブルリーチ!」

和(部長の悪待ちのように確立操作ではありません)

和(ランダムの狙い目が、私よりもハイリスクハイリターン)

春(これは止める)

春「ロン、せんてん」

憧(ダメか。打点は良かったんだけど)

胡桃「ツモ、2000・4000」

胡桃(流れを止めてくれてありがと、永水女子の人)

春「・・・」

春(仕方ない、あまりやりたくなかったけど)

咏『んー、あの子ってさぁ。戒能プロの親戚かなんかかい?』

えり『え? ええ、従姉妹だそうです』

咏『なっるほどね~』

恒子『何か気になることでもあったんですか!?』

咏『荒らすつもりじゃね? 知らんけど』

春「ツモ」ゴゴゴゴゴゴ

憧(今度はこっちか)

胡桃(なんか変な感じ)

和(レベル10・・・)

春「大三元、16000・8000」

憧「は?」

胡桃(こんなの牌譜で見たことないけど)

和(そういえば戒能プロにはソロモンの力で役満を和了るオカルト話がありましたね)

和(以前の私なら一笑に付すところですが)

春「親番」

憧(も、もう永水の人たちメチャクチャじゃん・・・)

憧(この永水と戦って副将戦で飛ばす宮永照ってどんだけ・・・)

憧(あー私のバカ!その宮永照(化け物)と戦い切った玄に失礼でしょ!)

照「私は・・・?」

久「照?」

照「いや、なんか失礼なこと言われた気がして」

久「いつもじゃないの?」

照「・・・」

結「もっと表情動かさないと怖がられるばかりだって」

憧(そもそも清澄には、永水以上にメチャクチャやらかす2人が控えてる)

憧(役満でも何でも好きなだけ和了りなさいよ!稼ぎ勝つ!!)

憧「ロン、3900!」

春「流された・・・」

憧「ツモ!3900オール!」

胡桃(すごい勢い。見た目と違ってマナーは良いけど、気迫がこっちまで伝わってくる)

春「」ゴッ

和(おそらく役満を聴牌しましたか)パチ

胡桃(ベタ降り。卓の中じゃ一番固い)

憧「ロン!11600は11900!」

和「憧っ!」

憧「1位まくったよ、和!!」

和(明らかな役満聴牌を回避して、私を直撃ですか!自ら振り込むリスクがあると言うのに・・・!)

恒子『清澄陥落ぅ!!絶対無敵のはずの清澄高校が2位に転落しましたぁ!!』

咏『今の彼女は強いかもねー』

健夜『流れが確実に彼女に向いています。それを恐れずに飛び込み、掴み取っている』

咏『運命の女神に後ろ髪があると思ってると、負けちまうぜデジタルちゃん』

和(そういえば入ってすぐの頃、部長に言われましたね)

和(人生のその瞬間は1度しかないって)

和(ああ、思い出しました、憧)

和(あなたたちが私に教えてくれたこと)

和(計算と論理に従った麻雀。それは勝つことが至上命題であるネット麻雀。勝つこと以外面白くないからこそ生まれた打ち筋)

和(でも、あなたたちが教えてくれました)

和(時にはできもしない役満を狙って、和了れなくても笑い合えた)

和(バレバレの流し満貫を狙ってるのが分かって、最後に邪魔をしたり)

和(とにかく勝ちたかった時、我武者羅に和了を狙いにいきました)

和(計算も論理もない、ただ大好きな友達と楽しく打つ麻雀)

和「」パチ

憧(ここでドラの対子落とし?)

胡桃(永水の異能を回避し、阿知賀の流れを逆に飲み込むつもりかな?)

憧「2000、2本場で2600!」

胡桃(・・・無理でしょ!白望じゃないんだから、こんな暴風みたいな状況で)

和(この先の人生で、もしも私が賭けに出なければならない時)

和(たとえ負けたとしても、悔いのない方に賭けたい)パチ

胡桃「!」

胡桃「・・・ロン、1300」

和「はい」

憧「の、和?」

結「和が、わざと振り込んだ」

久「へぇ」

結「デジタル打ちにそんな選択肢ってあるの?」

久「今までの和には無かったわね」

久「現状で春と憧ちゃんには勝てないと悟った」

久「ネット麻雀だったらそれで終わり。あとは終わりまで削られるだけよ」

久「けど、和は信じたのよ」

結「逆転を?」

久「違うわ」

久「あなたと咲に回せば、必ず勝ってくれるって」ニコ

結「あ、な、あ、あれだけ言ってたくせに情けないね、和!」///

久「ふふふ」

照「豪語してたのは結の方でしょ」

和(この決勝戦、私は負けです)

和(それでも清澄は、結さんと咲さんは絶対に勝ってくれます)

阿知賀:134000(+21000)
清澄 :101000(-19000)
永水 :99000(+12000)
宮守 :66000(-14000)

恒子『ついに清澄が1位の座より陥落!インターミドルチャンピオン原村和がその座を受渡してしまったぁ!!しかも、33000点ビハインド!!』

えり『1位を奪取したのは阿知賀女子、新子憧。去年のインターミドルでは県ベスト16でしたが、ここへ来て大きな成長を見せつけました』

えり『それに対して厳しいのは初出場の宮守女子です。準決勝までは次鋒の活躍がありましたが、決勝では抑えられてしまいました』

恒子『そして副将戦、全試合完全試合が掛かる最強姉妹が1人、宮永結が現れます!おおっ、視聴率が上がるぞぉ!』

健夜『それ言っちゃダメだよぉ!!』

憧「いやー、和がこんな打ち方するとは思わなかったわ」

和「憧、本当に強かったです。私がどうしょうもないって思ったのは、咲さんたち以外では初めてですよ」

憧「アハハ、いけるかも!って思ったところがドンピシャで当たちゃってさ」

和「油断はしていませんでしたが、負けました」

憧「またやろうよ、次も勝っちゃうから」

和「是非。次は負けません」

和「それから」

和「清澄は負けませんよ?」

憧「阿知賀だって負けないから」グッ

<廊下>

春「これ、去年より美味しく出来たから」

久「あらありがと」

初美「そんなことだろーと思いました!」

春「ん」

初美「ポリポリ・・・まったく・・・ポリポリ」

久「頂いていくわね」

春「うん」

初美「負けた後輩を慰める風習は、清澄にはないんですか!?」

久「あるにはあるわよー」ポリポリ

久「相変わらず美味しいわ、春」

春「うん」

久(食って掛かった私が居ると和も困るでしょうし)

久(明らかに和よりも上の照や結の方が、気楽で良いはずでしょ)

<清澄控え室>

和「申し訳ありません」ペコ

照「気にしなくていい。和はまだ1年だし、強い人と打った経験が少なすぎる」

結「そうそう、後は私に任せてゆっくり見ててよ」

和「結さん、どうかお願いします」

結「任せておいて!」

照「結、調子に乗って走らない」

結「分かってるって」ガチャ

照「こっちおいで」

和「照先輩?」

照「」ヨシヨシ

和「あ、あの・・・」

照「和は強くなった。私の知る以前の原村和よりも、遥かに強い」

和「はい・・・。もっと練習して、いつか照先輩よりも強く」

<宮守控え室>

トシ「まさか阿知賀が1位になるとはね」

エイスリン「ジャイアントキリング」

豊音「でもここからは宮永さんたちだよ!ちょー楽しみ!」

トシ「豊音の言う通りだよ。宮永姉妹の力は異常すぎる」

トシ「確かに勝ってるのは阿知賀だけど、危険なのは圧倒的に清澄だ」

塞「それにうちだけヘコんでますからね、そろそろ稼いでおきたいところです」

トシ「塞、モノクルは置いていきな。まさかが有り得る」

塞「・・・いえ、持っていきます」

トシ「けどね」

塞「みんなで来た決勝で、後悔したくないんです」

トシ「・・・本当は止めるべきなんだろうけどねぇ。持って行きな。頑張るんだよ」

塞「はい!」

<阿知賀控え室>

憧「ただいまー!」

玄「すごいよっ!私たちが1位になったよ!」

憧「玄や宥姉のお陰だよ」

晴絵「お疲れ。忘れ物は見つかったか?」ニッ

憧「・・・うん」

憧「これからもずっと麻雀を続けて行こうって気持ちになった」

憧「シズが見てくれなかったのが、ちょっと心残りだけどね~」アハハ

晴絵「さすがにちょっと連絡してみるか」

憧「シズのお母さん来てるんでしょ? いいよ、私が連絡してみる」

憧「晴絵は副将戦見たいでしょ」

晴絵「・・・悪いな」

晴絵「灼」

灼「ハルちゃん」

晴絵「私の想いも託した。頼む」

灼「うん!」

<副将戦>

えり『宮永結選手が1位以外でバトンを受け取るのは初めてです。全試合完全試合は達成されるのか、どんな戦いを見せるのか、注目の一戦です』

結「性懲りもなく来たね。ま、穏乃に免じて相手してあげるよ」

灼「・・・お前の完全試合を倒す」

塞「優勝するには宮永結の完全試合を止めることが絶対条件だからな」

初美「言っておきますが、私も清澄狙いですよー」

結「お前たちが100人集まっても私には勝てないけどね」ゴゴゴゴゴゴ

塞(信じられないほどの圧力・・・私ですら気配が分かる)

初美(負けませんよー、今年は)

灼「・・・」

<回想・阿知賀宿泊ホテル>

哩「宮永結の支配で最も強力なのは、最初に聴牌した者へ高打点で直撃を取ることだろう」

灼「有効牌が来なくなる、じゃなくて?」

哩「そちらも脅威的ではあるが、終盤になればなるほど崩れる」

哩「けどこの高打点直撃した時の牌譜を見っとよ」

晴絵「配牌ツモ共に、まるで灼に役満直撃することが決定付けられてるようだな」

憩「今までウチらも、単に狙い撃っただけだと思ってたんやけどなー」

憩「この子、どう見ても相手の和了牌の種類と位置分かってるしな」

灼「それだけでも反則級・・・」

憩「けど、あんたが嶺上開花狙いとか無茶してくれたお陰で、この不自然に気付けたよ」

哩「奴の『完全試合』はツギハギだらけということが分かったと」

晴絵「最初の1人を叩き潰すために、無茶な配牌とツモになる」

晴絵「残りの2人が更に協力して聴牌すれば、宮永結は対応できないどころか無防備に」

灼「けど誰かが聴牌したら、ほとんどその巡以内に直撃取ってるよ?」

晴絵「そうなんだよなぁ。残りの2人が聴牌する暇もない・・・」

哩「あなたならどうしますか?」

晴絵「・・・昔の私なら誰かを囮にして、宮永結から直取りを狙っただろうね」

憩「この子以上の怪物でも無い限り、直接やり合うんは避けるべきですー」

晴絵「ああ。だから私は大失点した」

灼「ハルちゃん・・・」

晴絵「私は負けた。灼、お前ならどうする?」

灼「私は―――」

<副将戦>

塞「」パチ

初美「カンッ!」

灼「」パチ

初美「さらにカンですよー!」ゴゴゴ

塞(準決でボロボロにされただけあって、合わせてくれたか)

灼(薄墨初美の鬼門は四喜和を集める。宮永結とどちらの支配力が勝つか知っておいた方がいい)

結「ツモ、500オール」メラッ

初美(うーん、ゴミ手で流されちゃいましたかー)

灼(連荘前提だから点数は考慮外)

結「ああ、そうそう」

結「この決勝戦は、副将戦東一局で終わりだよ」ゴゴゴゴゴゴ

塞(出し惜しみをしてる場合じゃないな)

塞(塞ぐ!)

塞「ぁっ・・・!」

結「2100オール」

塞(せめぎ合いすら起きない!瞬時に弾かれた!)

結「それって負担が掛かるんじゃないの?」

塞「・・・」

結「そういうの嫌いじゃないけど、試合終わったら真っ白になって廃人とかはやめてね」

塞「忠告は有難いが、お前ならやめるか?」

結「・・・アハハ」

結「そういうの大好き」

灼(見るだけで種類問わずの異能を止める力だったっけ・・・)

灼(今のやり取りから、宮永結には通用しなかったみたい)

灼(宮永結が親番だと薄墨が北家なのは運がいい)

初美「開きますよー!」

結「」メラッ

初美(字牌が入って来ません・・・)

結「2本場、2800オール」

初美「強いですねー」アセ

灼(・・・誰も聴牌にさえ持っていけないなんて)

結「照おねーちゃんは、決勝に持ち込んだ想いが強くするって言ってたけどさ」

結「お前たちとは賭ける想いが違うんだよ」ゴゴゴゴゴゴ

結「親ッパネ、6300オール!」

灼(つ、強い・・・準決勝よりも、更に・・・!)

結「1位奪還!!」メラメラメラ

恒子『強すぎるぅーー!!これが宮永結!完全試合であっという間に1位を奪還しました!!誰もこの怪物を止められないのか!』

えり『他家は聴牌はおろか、一向聴にも出来ません。これは準決勝までの対戦と比べても異常です』

健夜『配牌以外でも有効牌が混ざってはいます。ただし、その牌が誰かの有効牌として使えるのは1巡か2巡程度。それを見抜くのは彼女たちでは難しいです』

えり『今までの試合すら全力では無かったと?』

咏『さぁねー。けど、スポーツとして麻雀打ってた準決勝までとは違う。まるで殺し合いでも始めたかのようだぜ』バッ

結「あっという間に終わらせてあげるよ!」

結「ダブルリーチ!」

灼(ずらすために、ほとんどリーチ掛けなかったはずだけど)

初美(徐々に点数が高まってますねー)

塞(これじゃまるで)

結「来たぁ!」

結「親倍、8400オール!!」

灼・初美・塞(チャンピオン!)

憩「・・・」

哩「・・・」

竜華「2人が難しい顔で黙ってしまったわ」

怜「宮永姉妹とか化け物すぎやろ・・・」

煌「しかし、あれではどうしようもありません」

怜「さすがにチャンピオンほど高速で連続和了するわけやないみたいやけど」

浩子「まあ、まだ1度なので偶然とも言えますが・・・」

セーラ「偶然・・・ねぇ」

竜華「偶然とは言わんけど、なんか変やな」

<阿知賀控え室>

晴絵「あいつらに限界はないのか・・・」

玄「今回は全部ツモなんですね」

晴絵「・・・なに?」

玄「え?」

晴絵「玄、何か分かるのか?」

玄「えっと私、チャンピオンにたくさんやられましたけど、確かにチャンピオンと戦ってました」

玄「それに対してあの子は、副露もロンも無しでただただツモ和了なのです」

玄「あれじゃあ自分1人でツモって手を作ってるのと同じだなぁって・・・」

玄「ちょっと、部室でみんなを待ってた頃の私を思い出しちゃって」

晴絵「それだ」

玄「は、はい?」

晴絵「灼、気付いてくれ」

灼(これが宮永結の全力・・・)

灼(憩さんや哩さんを相手にした時でも全力じゃなかった)

灼(『完全試合』と『連続和了』を同時に使ってくる怪物に、勝つ方法なんかあるの?)

灼(ダメだ)

灼(私だけ諦める選択肢なんか無い!)

灼(『完全試合』は相変わらずだけど、『連続和了』の方は劣化もいいとこだ)

灼(これって本当に『連続和了』なの?)

灼(宮永照の実妹が打点上昇で連荘を重ねれば、嫌でも宮永照の『連続和了』を連想する)

灼(けど、宮永結はクラッシュトークやマスコミ向けのパフォーマンスも多用する・・・他家を翻弄するタイプだ)

灼(『連続和了』もどきが、その一環だとすれば)

灼(そうか・・・単なる認識違いだった)

灼(宮永結は『他家の有効牌』だけじゃない、『自分の有効牌』も見えてるんだ)

灼(自他の有効牌の位置から、確実に和了れる点数を調整しながら『連続和了』に見せかけた)

灼(運が良いとかの戯言なんかも、全部これを隠すためのブラフ)

結(気付いちゃったかな?)

結(そう。実際のところ、私は照おねーちゃんや咲の劣化品でしかないんだよ)

結(『完全試合』とか言ったところで穴だらけだし、支配力だって強くない・・・あ、もちろん咲たちと比べてだけど)

結(『初回殺し』の方は強いけど、それだって弱点にしかならない)

結(私の異能だけで『完全試合』の達成や東一局で他家を飛ばすのは難しい)

結(けど、私はそれを達成してきた)

<回想・結が宮永家に来る前>

結父「とにかく雀牌以外は触らせるな。役を覚えたらお前が毎日相手をしろ」

結母「・・・分かったわ」

結母「でも物心つくまでは、あと2,3年掛かると思うから」

結父「牌の感触になれさせろ。見て、握って、ツモるくらいなら出来る」

結母「ええ・・・」

 ―――

結父「地元のプロ程度に1万点も取られただとぉ!!」

結父「10万点取り戻して来い!それまで家に入れるな!」

結「でも、予定があるからって」

結父「・・・よかろう」

結父「これからお前が1000点失うごとに、これで一発叩く」

結「そ、そん」ガクガク

結父「1点も取られなければ良いだろう!まずは今日の10発だ!!」

結母「この雀荘で5人飛ばして来なさい」

結「・・・出来なかったら?」

結母「出来ない? 何を言っているの? たった5人飛ばすのに何時間もかかるの?」

結「う、ううん。すぐ、終わらせて帰るね」

結母「ええ、良い子ね」

結「・・・」

 ―――

結父「海?」

結「う、うん、行って来ていいかな?」

結父「麻雀の練習をしろ」

結「でも・・・」

結父「なまじ運動が出来るから練習をしないのか?」

結「ひっ」

 ―――

結父「勝って当然、どう勝つかが問題だ」

結父「負ければゴミ以下だ」

<副将戦>

結(私は物心ついた時から命を賭けて麻雀を鍛えたんだ)

結(お前たちが束になったところで、勝てはしないよ!!)

灼(こいつは麻雀のプロってだけじゃない。異能のプロだ)

灼(とにかくそれを使いこなし、麻雀に勝つことを熟練させた)

灼(・・・・・・)

灼(お前は強い)

灼(準決勝、あんなに泣いたのはハルちゃんが負けた時以来だったよ)

灼(けど、少しだけ感謝してる)

灼(お前のお陰で、ハルちゃんの気持ちが分かったから)

灼(私はみんなのお陰で、こうしてお前と再戦してる)

灼(もしあのまま阿知賀が敗退したら、私は二度と麻雀をしなかったと思う)

灼(私は初めてハルちゃんを理解することが出来たよ)

灼(挫折して、子供麻雀クラブで思い出して、実業団で活躍して、そしてまた向き合いに来た)

灼(本当にすごいハルちゃんが辿ってきた道筋の)

灼(その結果を、見せる)ボゥ

塞(全て手出し? 毎巡有効牌をツモっているとは思えないが)

初美(あの目、諦めた人の目じゃないですねー)

結「・・・」ムー

灼「ポン」

塞(え? ツモ牌が対子になったのか!?)

初美(まさか・・・ということは、ここですね?)

灼「ポン」

初美「それカンですよー!」

結「」ムム

灼(お前の力が、宮永咲のような強固な運命支配だったら勝ち目はなかった)

灼(だけど『完全試合』は異能と技術の半々によって支えられてる)

灼(『完全試合』と戦うと、どうしても配牌と他人の手牌、宮永結の捨て牌に目がいってしまう)

灼(そうじゃなくても配牌から手を作るのは、麻雀として当然のこと)

灼(だから、宮永結は配牌時点から計算して他人がツモれないようにずらし、必要ならば先に和了る)

灼(いくら計算しても他人よりも先に和了れない局が稀にあり、それが流局となる)

灼(フルオープンで開始時に計算してるみたいなもの)

灼(単純な話で、配牌の面子以外は全部落とせば、有効牌が変わって宮永結の計算は大幅に狂う)

灼(それでも有効牌が入りにくいし、配牌時点で計算してしまうのはコンピュータかと疑うレベルだけど)

塞(私には異能にそこまでの理解はない。それでも阿知賀が何かをしようとしているのは分かる)

塞(ここからは全て手配を切る。この局は和了ではなく支援に徹する)

初美(こちらの準備はオーケーですよー!)

初美「さぁ開きます、カン!」

初美「そして、嶺上牌切りでリーチです!」

灼「ポン!」

灼(よし・・・張った!)

塞(2人同時に聴牌した)

塞「ポン!」(同巡での直撃を消す!)

結「」ピタ

結「・・・・・・・・・」

初美「どうしましたー?」

結「やるじゃん」

結「はい」パチ

灼「」キィィーン

灼「ロン、7700の5本場で9200」ガシャァン

恒子『パーフェクトゲーム、破れるぅぅぅーーー!!!』

恒子『阿知賀副将、鷺森灼!ついに!今大会初めて!宮永結のパーフェクトゲームを阻止ぃ!!お聞きくださいこの歓声を!!』

咏『今のはこれ以外の道筋が無いくらいだ。諦めずよくやった』

えり『今朝未明に妹さんが事故に遭ったそうで、落ち着いた気持ちではなかったでしょう。そう考えると少し酷な気もしますが』

健夜『たとえ万全な状態だったとしても、今の一撃は耐え切れなかったと思います。素直に鷺森選手、そして臼沢選手、薄墨選手を讃えましょう』

灼「やった・・・!」グッ

灼「あ、ご、ごめん」

結「別にいいよ」

結「さすがに厳しかったかぁ」

結「準決勝で言ったことは撤回するよ」

灼・初美・塞「・・・」

結「なに?」

初美「気にしないんですかー?」

結「なんで?」

塞「いや、お前これからマスコミにパッシングを受けるだろうし」

結「全然気になんないけど?」

灼「しかも完全に3対1だったし」

結「照おねーちゃんだっていつもそうじゃん」

灼(や、破られたのに全く堪えてない?)

初美(少しも動揺しないとは・・・)

塞(支配が崩れることは期待できない、のか)

結「・・・」

結(くそおおおおおおお!!)

照「やばい」

久「破られちゃったわねー」

久「まあ、まだまだ稼げるから良いんでしょうけど」

照「稼げないかも」

久「今の手順は、そう何度も再現できるものじゃないわよ」

照「・・・結がすごい動揺してる」

久「・・・それはピンチね」

和「ほんとに動揺してる時は顔に出ないんですね」

塞「・・・ロン、12000」

結(お、落ち着け)

初美「ツモ、四喜和16000・8000」

結(えっと、咲は来たんだっけ?)

灼「ツモ、2600・1300」

結(すーはー)

塞(気の毒になるほど動揺してる)

咏『アーハッハハ、ボロボロだねぇ~』パタパタ

えり『先鋒戦で小鍛治プロのおっしゃった状況が、まさか宮永結選手に振りかかるとは思いませんでした』

咏『なまじ完全試合をしてたからねー。この状況で崩されて動揺するなってのは無理だね』

<副将戦・インターバル>

結「変なことなんかしなきゃ良かった・・・」

結「戻っても咲居ないし・・・」

?「結」

結「え・・・」

結「おかあ、さん」

結母「久しぶりね」

結「だって、病院」

咲父「決勝くらいはって、1日だけ許可貰って来たんだ」

結「」フルフル

結母「あなたは、あんなに楽しそうに麻雀を打つのね」

結「べ、別に・・・」

結母「結、このままでいいの?」

結「」ビクッ

結母「あなたの大好きな人に、そのまま渡すなんてできないでしょう?」

<回想・宮永家>

結母「結、この人たちがあなたの新しい家族よ・・・」

結「お母さん?」

咲「よろしく」

結「う、うん・・・」

 ―――

照「結も麻雀できるらしいから、みんなでやろう!すぐ準備するから!」

結「え・・・」

咲「ごめんね、お姉ちゃん麻雀大好きでさ」

結「・・・咲、も?」

咲「私? 私は普通かな? 好きでも嫌いでもないけど。結は?」

結「私は・・・・・・嫌い」

咲「え? そうなんだ。じゃあ、お姉ちゃんにやめようって言ってくるよ」

結「え!?」

咲「ん?」

結「負けても、怒られない?」

咲「誰に?」

結「・・・」

咲「んー、お姉ちゃんとは賭けをしない方がいいよ。何か賭けると強くなるから」

咲「じゃあ、ちょっとだけやろうか。つまらなかったら、体調が悪いとか言ってやめればいいからさ」

咲「何か合図送ってくれたら、私がやめようって言うから」

結「咲・・・」

照「負けたっ!」ガシャーン

咲「すっごい強いね、結!」

結「そ、そうかな?」

照「つ、次は負けないから!!」ダッシュ

咲「ちょ、お姉ちゃん!片付けくらいしてってよ!」

結「・・・」

咲「気にしないで。負けるとああなるの」

咲「やっぱりつまらなかったかな?」

結「え? そ、そんなことないよ・・・」

結「咲と打って、いつもよりも全然上手くいかなくて・・・すっごく、楽しかった」

咲「そう? 嬉しいな」ニコ

結「咲・・・これから、その、よろしくね?」

咲「うん!」

<副将戦・後半>

結「・・・」

結「お母さん、行ってくるね」

結母「ええ」

結母「あなたの好きなように、暴れてらっしゃい」

咲父「優勝したら好きなものを食べさせてあげるから、頑張りな」

結「残ってるのは私と咲だよ? 絶対勝つっ!!」ゴゴゴゴゴゴ

塞(支配力が戻ってる)

初美(動揺が収まりましたかー)

灼(ふふ)

結「むっ、今笑ったね?」

灼「あなたほどのプレイヤーでも、動揺してボロボロになるんだな、って思っただけ」

結「あったりまえでしょ、私まだ高校生だよ!?」

灼「うん、そうなんだよね」

灼(あの小鍛治プロですら世界で挫折を味わってる)

灼(みんな、同じなんだ)

結「もう和了らせないからね!」

恒子『副将戦決着ぅ!!パーフェクトゲームが破れた宮永結!一時は動揺から失点を繰り返しましたが立ち直り、再び『完全試合』によって他家を圧倒!首位を奪い返しました!』

えり『パーフェクトゲームこそ達成されませんでしたが、全試合において宮永結選手以外はマイナス、完全勝利と言って良い戦いを見せてくれました』

えり『鷺森灼選手、薄墨初美選手、臼沢塞選手も、数々のエースたちを追い返した『完全試合』を破る大健闘です』

小鍛治『でも清澄が首位で、大将戦まで来てしまいましたね』

咏『・・・そうですねー、あれが来るってことですか』

清澄 :129000(+28000)
阿知賀:120000(-14000)
永水 :94000(-5000)
宮守 :57000(-9000)

<清澄控え室>

結「あれ? お母さんたちは!?」

照「挨拶して帰った」

結「奢るのが嫌になって逃げたなぁ」

和「そっちですか」

久「優勝の打ち上げくらいなら部費で出してあげるわよ」

結「・・・」照「・・・」和「・・・」久「・・・」

結「咲は?」

久「まずいわね」

和「それは阿知賀もです」

照「今すぐ結の髪を染めて咲として出てもらう?」

久「照ってたまに吹っ飛ぶわね」

和「待つしかありませんね・・・」

久「大会側も事情を考慮して少しくらいは多めに見てくれるでしょうけど・・・」

<永水控え室>

初美「ううう、すいませんー」

巴「お疲れ様」

春「問題は大将戦」

霞「・・・」

霞「それじゃあ行ってくるわね」

巴「大丈夫ですか? おそらく宮永咲の力は、宮永照をも・・・」

霞「私ね」

霞「今、すごくワクワクしてるわ」

<宮守控え室>

塞「あとは頼む、豊音」

エイスリン「ガンバッテ!」

白望「楽しんできて」

胡桃「全力で!」

トシ「教えられることは全て教えた、行ってきな」

豊音「うん!ちょー楽しみだよー!」

胡桃「そういえば、清澄と阿知賀の大将は来るの?」

豊音「どうして?」

白望「交通事故にあったって」

豊音「えええええええええっ!?」ガーン

塞「間に合いそうだって話だったけど」

豊音「大丈夫!きっと来るから!」

豊音「なんだかね」

豊音「この戦いのために、ここへ来た気がするよ!」

<阿知賀控え室>

晴絵「灼、よくやった」

灼「結局、負けちゃったけど」

晴絵「今度は勝とうな」

灼「うん・・・」

晴絵・灼「・・・」フッ

憧「そんな場合じゃないでしょ!」

晴絵「そ、そうだったな!」

灼「連絡は?」

憧「さっきのおばさん・・・シズのお母さんの話だと、もうすぐ終わりそうらしいけど」

灼「まだ、病院にいるの?」

憧「・・・たぶん」

玄「ど、どんなに急いでも間に合わないのです」

憧「ああああ、もっと時間かければ良かったぁぁぁ」

玄「わ、私も」

灼「ごめん、宮永結と戦うことで頭がいっぱいで」

宥「・・・温かい」

憧「いや、宥姉」

宥「大丈夫だよ、こんなに温かいもん」ポカポカ

憧「?」

<決勝卓>

 シーン

えり『ど、どういうことでしょうか。時間になりましたが選手が誰も現れません』

咏『おいおい、空気読もうぜアナウンサー』パタパタ

小鍛治『・・・』

恒子『すこやんすこやん、どうなってるの?』

小鍛治『みんなの望みなんじゃないかな?』

<永水控え室>

巴「か、霞さんなら随分前に向いましたよ!?」

係員「し、しかし」

初美「まさかチャンピオンの迷子体質が伝染したんですかねー」

春「違うでしょ」ポリポリ

<宮守控え室>

トシ「ええ、既に行きましたよ。着いてないとしたら、インターバル時間が短いせいではないですか?」

トシ「それは運営の怠慢ですねぇ」

係員「そ、そんなはずは」

塞「あははははは」アセ

<病院>

穏乃「すっごい施設だね、さすが東京」

咲「穏乃ちゃん、何とも無かった?」

穏乃「全然平気だよ!包帯なんて大袈裟にしなくてもさ」

咲「今朝はけっこう血出てたからしてた方がいいよ」

穏乃「そっかー。咲はどうだった?」

咲「私なんてちょっと擦り剥いただけ」

穏乃「決勝戦、どんな感じ?」

咲「お姉ちゃんが神代さんに苦戦したみたいで、点数は平ら・・・って言っても普段の清澄から比べるとだけど」

穏乃「うーん、お、阿知賀2位!」

咲「新子さんが取り戻そうって奮闘したみたい」

恒子『パーフェクトゲーム、破れるぅぅぅーーー!!!』

恒子『阿知賀副将、鷺森灼!ついに!今大会初めて!宮永結のパーフェクトゲームを阻止ぃ!!お聞きくださいこの歓声を!!』

咏『今のはこれ以外の道筋が無いくらいだ。諦めずよくやった』

えり『今朝未明に妹さんが事故に遭ったそうで、落ち着いた気持ちではなかったでしょう。そう考えると少し酷な気もしますが』

健夜『たとえ万全な状態だったとしても、今の一撃は耐え切れなかったと思います。素直に鷺森選手、そして臼沢選手、薄墨選手を讃えましょう』

穏乃「灼さん・・・!」

咲「結、お疲れ様」

咲「あれ? 私が妹にされてる・・・誕生日私のが一週間くらい早いはずだけど・・・」

穏乃「もう副将戦が終わりそうなのか、急がないと!」

穏乃「行こう!」

咲「うん!」

穏乃母「早く乗りな!」

穏乃「お母さん!」

咲「あの、検査料金とか手続きは」

穏乃母「後に決まってんだろ!」

穏乃「咲も乗って!急いでお母さん!」

穏乃母「任せときなっ!」

穏乃「事故起こさないでよ!」

穏乃母「誰に言ってんだい!」

<会場>

穏乃母「穏乃!どうせなら優勝してきな!」

穏乃「そのつもりだよ!」

穏乃母「あんたも、優勝してきなよ!」

咲「は、はい・・・」

穏乃「同時にとか無理だし!?」

穏乃「私、阿知賀の控え室寄って、憧から制服借りてくるから!」

咲「急いでね。何とかして時間稼ぐから」

穏乃「それじゃ、後で」

咲「うん、負けないよ、穏乃ちゃん」

穏乃「私も!」

<阿知賀控え室>

穏乃「みんな!」

憧「シズ!」

玄「シズちゃん!」

宥「穏乃ちゃん」

晴絵「シズ、大丈夫か?」

穏乃「もちろん!」

穏乃「憧、制服貸して!」

憧「はい、準備してある」

穏乃「急げ急げ」ガサゴソ

晴絵「シズ、ありがとう」

穏乃「どうしたんですか?」

晴絵「私をここまで連れて来てくれて」

穏乃「いいえ!私の方こそ、ありがとうございます!」

宥「穏乃ちゃんのお陰で、すっごくあったい」

穏乃「もっと熱くなりますよ!!」

宥「うん、頑張って」

玄「とうとうここまで来たねっ」

穏乃「うん!玄さんのお陰だよ!」

玄「一番頑張ったのは、シズちゃんだよ」

憧「シズ」

穏乃「憧」

憧「楽しんで来てね」

穏乃「オッケー、任せて!!」

穏乃「灼さん!」

灼「誘ってくれて、本当に、ありがとう」

穏乃「楽しかったですか!?」

灼「・・・うん・・・すごく!」

穏乃「」キュ

穏乃「行ってきますっ!」

<大将戦>

咲「岩戸さん、姉帯さん?」

霞「ちょっと迷っちゃったのよね」クスクス

豊音「トイレが混んでたんだよー!」アハハ

咲「あ」

咲「ありがとうございます」ペコリ

霞「なんのことだか分からないわね」

豊音「そうそう」

穏乃「うおおおおおお」ダッダッダッ

穏乃「あれ!? 誰も居ない!?」

咲「こっちこっち」

穏乃「すいません!お待たせしました!」

豊音「今来たところだよー」

穏乃「え?」

霞「さ、場所決めをしましょうか」

えり『か、各校の大将4名が一斉に姿を見せました』

咏『動揺しすぎだぜー。もっと盛り上げてやれよ』パタパタ

恒子『泣いても笑ってもこれが最後の戦いだ!大将たちの準備は万端か? 清澄が3年連続の記録を達成するのか、それとも他の3校が優勝を手にするのか!ここで!インターハイの王者が決定します!!』

咏『実力的には間違いなく清澄の嶺上開花ちゃん。けど、他の子たちからも並々ならぬ気迫を感じられるぜ』

健夜『そうですね。やはり団体戦は何が起きるか予測がつきません』

恒子『先輩』

えり『』コク

えり・恒子『インターハイ決勝、大将戦、開始です!』

霞「ところで、怪我は大丈夫だったのかしら?」

穏乃「はい、大丈夫です。だから遠慮しないでください」

豊音「最初からするつもりはないよー!」

穏乃(すごい、みんな頑張ってくれたんだ)

穏乃(トップの清澄と9000点ビハインド、これなら逆転できるかも!)

咲(岩戸さんの絶一門はすごいよね。姉帯さんのリーチ封じも強いし)

咲(前回は・・・そっか。『点数調整』して2人共敗退させたんだっけ。テンパッてからなぁ)

咲(神様の力使った絶一門は私たち以外に破れる人居ないだろうから、決勝まで来るのは当然だけど)

咲(姉帯さん、臨海に勝ったんだよね? 前と何かが違うのかも・・・)

豊音「んー、追っかけるよー!」

豊音「ツモ、4000オール」ゴゴゴ

清澄 :125000(-4000)
阿知賀:116000(-4000)
永水 :90000(-4000)
宮守 :69000(+12000)

<宮守控え室>

胡桃「結局、豊音に任せることになっちゃったね」

塞「言い訳するわけじゃないけど、ある意味じゃ良い状態で豊音に回せた」

エイスリン「トヨネ、夢ミルンダッテ」

塞「あれだろ? 宮永咲と戦って負ける夢。夢なら勝てと言いたいが」

胡桃「豊音は、宮守女子に来る前から宮永咲と戦うことを楽しみにしてたみたい」

トシ「ああ、今の豊音は強いよ」

豊音『2600の1本場2700オール』

清澄 :122300(-2700)
阿知賀:113300(-2700)
永水 :87300(-2700)
宮守 :77100(+8100)

豊音『ロン、3900の2本場4500だよー』

清澄 :117800(-4500)
阿知賀:113300(-0)
永水 :87300(-0)
宮守 :81600(+4500)

豊音『ロン、7700の3本場8600』

清澄 :117800(-0)
阿知賀:113300(-0)
宮守 :90200(+8600)
永水 :78700(-8600)

咲(これって)

霞「あらあら」

穏乃(咲が独壇場になるかと思ったのに、宮守の人が和了り続けてる)

穏乃(そりゃ咲は宮永結みたいに完全試合を実現するわけじゃないけど)

豊音「『先んずれば即ち負ける』」ゴゴゴゴゴゴ

豊音「8000、4本場で8400オールだよー」

穏乃(こ、これで宮守が・・・)

宮守 :115400(+25200)
清澄 :109400(-8400)
阿知賀:104900(-8400)
永水 :70300(-8400)

恒子『最下位からの逆転劇ぃ!!宮守女子が一気に1位に踊りでたぞぉ!』

えり『準決勝でも同じく、大将戦開始時に最下位だった宮守女子が東一局で首位を獲得していますね』

咏『先に1位になると負けるんじゃねー、知らんけど』

健夜『凄い選手ですね。このままだと連荘して終了になってしまいます。相手が宮永咲選手でなければ』

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「カン」

穏乃(やっぱり、やられてるだけじゃ終わらない!)

咲「もいっこ、カン」

豊音(ちょーすごいっ!『先負』の支配力を物ともしてないよ!)

咲「嶺上開花、8000の5本場で9500。責任払いのルールなので、姉帯さんお願いします」

豊音「はいっ!」

清澄 :118900(+9500)
宮守 :105900(-9500)
阿知賀:104900(-0)
永水 :70300(-0)

恒子『秒殺!首位を奪われた次の局、鮮やかな和了で首位を奪い返したぞ、宮永咲!!』

霞(準決勝で見せたあれは、やっぱり全体支配系だったみたいね)

霞(かなりの強度があったと思うけど、宮永咲の前じゃ無力だったかしら?)

穏乃「私も行くよ、100速で!」ゴオォ

咲(そういえば衣ちゃんが言ってたっけ)

咲(海底が和了れないって話)

咲(でもごめん)

穏乃「」ブルッ

咲(もう、私が嶺上に咲かせる花には・・・誰も届かない)ゴオッ

咲「嶺上ツモ、2600オール」バチバチ

清澄 :126700(+7800)
宮守 :103300(-2600)
阿知賀:102300(-2600)
永水 :67700(-2600)

穏乃(私の領域で・・・軽々と和了られた・・・)

穏乃(うんうん違う)

穏乃(王牌がいつもの高さにない)

穏乃(森林限界の向こう、前人未踏の地に咲く花)

豊音(やっぱり夢は夢だったんだね)

豊音(本物の宮永さんは夢よりちょー強いよー!)

霞(どんな異能でも効果対象が存在してる)

霞(配牌、ツモ牌、王牌・・・全体を操作するとしても山か河)

霞(けど、彼女のそれはどれにも当てはまらない)

霞(『点数調整』、点数というゲームの根幹そのものを操作する異能)

霞(干渉している支配の次元が文字通り違うのだから)

霞(どんな技術、異能をもってしても無力かも知れないわね)タラ

<大将戦前>

霞「あらお戻りになられましたか?」

小蒔「・・・」

霞「そろそろ姫様の身体を返して頂きたいのですけれど」

小蒔「・・・」

霞「神産巣日様?」

小蒔「霞よ、大将戦は人では勝てぬ」

霞「おっしゃている意味がわかりませんが」

小蒔「こと麻雀という競技では妾ですら勝てるか分からぬ、と言っている」

霞「別天津神の言葉とは思えませんね」

小蒔「それはよい」

小蒔「凶神では相手にならん故、妾が力を貸してやるぞ」

霞「お心遣い感謝いたします」

霞「けれども『私たち』も、今日という日を楽しみにしておりましたので」

<大将戦>

霞「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「」ピクッ

穏乃(永水の人からすごい圧力が)

霞「ロン字一色、32300頂きますね、宮永さん」カッ

咲(字牌による絶一門、その上掴まさちゃったか)

宮守 :103300(-2600)
阿知賀:102300(-2600)
永水 :100000(+32300)
清澄 :94400(-32300)

<清澄控え室>

結「さ、咲が最下位に落ちたぁぁ!!?」

和「しかも永水の点数はプライマイゼロの原点戻し、完全に咲さんを意識しています」

久「んーすごいわねぇ。決勝のチーム、例年だったらどこも優勝できたんじゃない?」

照「今年のインハイは、みんな強い」

結「永水めぇ、また神様降臨とか反則をやりだしたな!」

久「プロの公式大会でだって認められて・・・いえ、認められているというか認識されていないというか、だったわね」

和「大会規約に『神様を降ろしてならない』なんて書けません」

照「それでも咲が負けるとは思えないけど」

結「でも咲は事故にあったばかりなんだよ? あんまり無理させるのは」

久「擦り剥いただけだったって言ってたでしょ。ちゃんと検査もしたんだし」

久「照、仮に神様相手だったら勝率どの程度かしら?」

照「相手が私の戦ったカミムスビ級でも、100%咲が勝つ」

テレビ画面の咲『嶺上ツモ、3000・6000』

清澄 :106400(+12000)
宮守 :100300(-3000)
阿知賀:99300(-3000)
永水 :94000(-6000)

<阿知賀控え室>

玄「すごい・・・」ゴク

憧「そんなに?」

玄「うん・・・どうやったら戦えるのか、まったく分からないよ」

憧「私から見ると、チャンピオンの『連続和了』や宮永結の『完全試合』の方がどうしょうもないように見えるけど」

晴絵「実感しやすいように言うとだ、宮永咲と戦うにはどうしたらいいと思う?」

憧「え? そりゃあ・・・んーと・・・どうしよう・・・」

晴絵「今憧が上げた2人は、まだ戦う方法を考える余地がある」

晴絵「けど宮永咲にはそれがない。なのに自由自在に点数を調節できる」

憧「・・・」

晴絵「憧が前に言った通りだよ・・・宮永咲は無敵だ」

憧「シズ・・・」

テレビ画面の咲『』ゴゴゴゴゴゴ

穏乃(ど、どうしよう)

穏乃(普通の女の子じゃん、って思ってたけど)チラ

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

穏乃(麻雀だと別人だ)タラ

穏乃(・・・咲には『負けた』牌符がない)

穏乃(もしかしたら一度もマイナスになったことがないのかも)

豊音(すっごい楽しみにしてたけど)

豊音(ここまで何もできないとは思わなかったなー・・・)

霞(どれほどの異能や打点をもってしても・・・)

霞(宮永咲の『点数調整』の前には、点棒計算の一部でしかないのね)

えり『1位が幾度も入れ替わります。しかし、清澄高校宮永咲が何度も奪還しています』

咏『・・・』

健夜『・・・』

えり『プロから見て優勝は』

咏『せ、世界大会にもここまでの奴はいねーよ・・・格闘家が素手で最新型ステルス爆撃機と戦っているようなものだぜ』

健夜『こんな天才が生まれていたなんて・・・宮永咲は比喩でも何でもなく麻雀の歴史を変える真の天才です』

恒子『ど、どったの2人共? すっげぇ冷や汗かいてるんだけど・・・』

えり『日本を代表するお2人が、そこまで言う逸材だと・・・?』

咏『日本とか言うレベルじゃないんだよねー』

健夜『歴史上、世界中の雀士たちを集めても彼女を打倒できる人は居ないかも知れません』

穏乃(点数だけ見れば今までの清澄高校と比べれば十分逆転できる範囲)

豊音(『仏滅』使っても無効化できないだろうなぁ。『大安』しても意味ないだろうし)

霞(絶一門はものともしてないわね。神様から聞いた『前回』よりも遙かに強いわ)

穏乃(親番だけど・・・)

咲「嶺上ツモ、500・1000」

清澄 :108400(+2000)
宮守 :99800(-500)
阿知賀:98300(-1000)
永水 :93500(-500)

<永水控え室>

初美「自分はプラマイゼロ、他はマイナスで終わらせるつもりでしょうか」

巴「今までの傾向から、宮永咲の最強パターンはそうだと思います」

春「宮永照と宮永結相手に練習し続けたパターン」

巴「実際には練習ではないと思いますが・・・」

初美「どちらでもいいですが、あの人たち相手にプラマイゼロを実現できるって話でしたよね?」

春「久がそう言ってた」

初美「・・・どの辺りに勝ち目があるんでしょうか?」

巴「・・・・・・」

咲「ロン、2600」

穏乃「うん・・・」

清澄 :111000(+2600)
宮守 :99800(-0)
阿知賀:95700(-2600)
永水 :93500(-0)

穏乃(準決勝で分かってたことだけど・・・)

穏乃(どうしょうもないくらい、本当に強い)

穏乃(そうだよなー)

穏乃(メチャクチャにやられすぎて、正直に言えば麻雀が怖くなったくらいだもん)

穏乃(だけど『みんな』が繋いでくれた想いは無駄にしたくない)ゴオォ

霞(親番ね。宮永照ばりの連荘をされたら敵わないわ)ゴオォ

豊音(ここは止めないとね)ゴオォ

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「嶺上ツモ、1300オール」バチバチバチ

清澄 :114900(+3900)
宮守 :98500(-1300)
阿知賀:94400(-1300)
永水 :92200(-1300)

穏乃(う、嘘・・・今のはみんなが全力で止めにいったのに)

咲「カン」

穏乃(この人は)

咲「嶺上開花、2000の1本場は2100オール」

穏乃(強さの次元が違うよ)

清澄 :121200(+6300)
宮守 :96400(-2100)
阿知賀:92300(-2100)
永水 :90100(-2100)

穏乃(そういえば、小鍛治プロと打った時もこんな感じだったっけ)

穏乃(諦めずに一歩先へ踏み出さなきゃ)

穏乃(たとえそこに森がなくても、駆け上がる大地はある!)

穏乃「ポン!」

豊音(なんか仕掛けるつもりかな?)

穏乃「チー」

霞(助走をつけたわね)

豊音(でもマズイんじゃないかなー)タラ

咲「・・・・・・」

穏乃「ツモ、1000・2000の2本場は1200・2200!」

清澄 :119000(-2200)
阿知賀:96900(+4600)
宮守 :95200(-1200)
永水 :88900(-1200)

穏乃(破った、って喜びたいところだけど)

穏乃(今の和了も咲の掌の上で翻弄されてるしとしか思えない)

咲「リーチ」

豊音(ダブリーってことは)

霞(いけないわね)

穏乃(やばいっ)

咲「カン・・・嶺上開花、2000・4000です」

穏乃(コレで)

霞(前半戦残り1局・・・リーチね)

清澄 :127000(+8000)
阿知賀:94900(-2000)
宮守 :93200(-2000)
永水 :84900(-4000)

穏乃(副将戦終了時、清澄の点数は129000点・・・)

穏乃(今の清澄の点数は127000点、プラマイゼロまで残り2000点)

霞(2000点になるのは60符1翻と30符2翻、どちらもそう難しくない・・・)

豊音(宮永さんの圧倒的な和了率を考えたら、2000点の役なんて簡単だよー)タラ

咲「」ゴゴゴゴゴゴ

咲「カン」

穏乃(これって)

豊音(どうすれば)

霞(いいのかしら?)

咲「嶺上ツモ、500・1000です」

清澄 :129000(+2000)
阿知賀:93900(-1000)
宮守 :92700(-500)
永水 :84400(-500)

清澄 :129000(+-0)
阿知賀:93900(-26100)
宮守 :92700(+35700)
永水 :84400(-9600)

えり『数値のみを見れば宮守女子の圧勝のように見えますが』チラリ

咏『麻雀でプラマイゼロを狙うことが、どれほどの難しいのか考えれば分かるぜ』

えり『宮永咲選手は県予選の個人戦でも1日の全試合をプラマイゼロで終わらせています。これは・・・』

恒子『苛烈な攻撃でもなく!鉄壁の防御でもない!誰も触れられない!視界さえも遮ることはできない!』バッ

恒子『孤高の頂きに咲く花、清澄高校大将、宮永咲っ!この無敵の魔王を相手に、他の3校はどう立ち向かうのか!?』

<清澄控え室>

結「はい、飲み物」

咲「ありがと、喉がカラカラで・・・」

結「あんまり飲み過ぎると、いつものようにトイレ行きたくなるから気を付けてね」

咲「私はいつもトイレ行ってるわけじゃあ・・・」

和「それでも開始前に行っておいた方がいいですね。迷いそうなので私が連れて行きます」

咲「・・・うん」

照「決勝までプラマイゼロにするとは思わなかった」

咲「お姉ちゃんから見ると嫌かも知れないけど、穏乃ちゃんと約束したから」

照「最近は崩せない自分が悪いって思ってる」

結「約束って?」

咲「穏乃ちゃんと全力で戦おうって約束したから」

咲「これがお姉ちゃんや結、お父さんたちにも破られたことのない・・・正真正銘の全力だよ」ゴゴゴゴゴゴ

久(おっそろしい子ねー。麻雀以外は可愛い子なのに)

咲「・・・」

咲「和ちゃん、いっぱい飲んだらトイレ行きたく成っちゃった」ブルッ

和「はぁ、そうなると思ってました」

咲「大丈夫。トイレ行って、すぐ卓へ戻るから」

咲「あと結」

咲「心配かけてごめんね」

結「いいよ。でも今度埋め合わせて」

<決勝卓>

豊音「すっごい強いよー」グデー

白望「傍から見てると稼いでるけど」

豊音「あ、シロ―、来てくれたんだ」

白望「喉が渇いたからついでに」

豊音「ありがとー」

白望「まあ向こうで飲もう」ガシッ

豊音「あ、みんな!」

塞「戻れなかったのか? 珍しいな」

エイスリン「(笑顔のみんなの絵)」バッ

胡桃「あんまり落ち込んではいないね。心地の良い疲れかな?」

豐音「うん、そんな感じ」

豐音「けど、ごめん・・・勝てないかも」シュン

白望「ここまで来たんだから十分 胡桃「水を差さない」

塞「いや本当に十分だよ」

塞「勝っても負けても、ここが私たちの最後の戦いだ」

塞「豐音も全力でやってくれ」

豐音「・・・うん」ニコ

<自動販売機前>

霞「緑茶がないのね」

良子「相変わらず全く堪えていませんね」

霞「あら良子さん」

良子「あのモンスターと戦ってケロッとしてるとか、さすがは姫様に近い血を持っているだけはあります」

霞「今話題のトッププロが高校生の大会に用事かしら?」

良子「姫様の応援」

霞「嘘はいけないわね」

良子「喧嘩売られたので来ました、カムカム相手になってやんよ」

霞「ああ、宮永照さん。けど試合はとっくに終わったわよ?」

良子「春の試合も見ようと座ってたらスリーピングしました。そして、大将戦で起こされた」

霞「クスクス、春にはちゃんと試合見ていたって言っておくわ」

良子「そっちが主題ではなかったのですが」

良子「問題はないんですか? 何か貸しましょうか?」

霞「要らないわ。私はこの子と、彼女と戦うのを楽しみにしていたから」

良子「凶神をこの子とか言っちゃうあなたが怖いです。いいんですね?」

霞「ええ、小蒔ちゃんの言葉を借りるなら、全力以上で当たらせてもらうわ」

<阿知賀控え室>

穏乃「ごめん・・・みんながここまで頑張ってくれたのに!」

憧「バカ」ポカ

穏乃「いたっ、何すんだよ、また血が出るよ!?」

憧「まだ後半あるでしょ、諦めるには早い」

穏乃「あ、諦めたわけじゃないって!」

玄「シズちゃん、手を出して?」

穏乃「玄さん?」

玄「ぐるぐるー、それで結びます」キュ

穏乃「玄さんのリボン? って皺になっちゃうよ?」

玄「私はもうやり切ったから大丈夫だよ」

玄「だから、私もシズちゃんと一緒に戦うよ」

憧「いいね、それ」ニヤ

憧「シズ、私のも結んであげるから手出しなさい」

穏乃「あ、憧には制服も借りてるし」

憧「いいのよ」ガシッ

穏乃「逆に腕が動かしづらいんだけど・・・」

灼「じゃあ制服のリボン外して、このネクタイ付けてって」

穏乃「灼さんまで!?」

晴絵「おおーいいな。私も小鍛治さんがあそこまで言う最強の雀士と戦わせてくれ」ニヤニヤ

穏乃「赤土さんも」

宥「じゃあ、私はマフラーを」

穏乃「暑いですよ!?」

宥「そう・・・」シュン

穏乃「持っていきます!」

穏乃「・・・」腕リボン×2+ネクタイ+マフラー

憧「冷静に考えると、これで全国放送とか罰ゲームね」

穏乃「れ、冷静にさせないで」

玄「か、刀や傘を持ち込む人が居るんだから大丈夫だよ」

玄「だからシズちゃん、いつも私たちが付いてるから」

憧「最後の半荘、私たちの全てをぶつけて来て」

穏乃「みんな・・・」

穏乃「うんっ!」

<ロビー>

穏乃「よし、頑張るぞ」

憧「シズ」

穏乃「憧?」

憧「ごめん、みんなの前じゃ言えなかったこと伝えようと思ってさ」

穏乃「え? そんなことあるの?」

憧「まーねー、みんなの頑張り否定しちゃいそうだし」

憧「シズ言ったよね?」

憧「笑顔で終われれば、私たちの勝ちだって」

穏乃「・・・うん」

憧「だから、どうすれば点数で上回れるとか、優勝とか考えないでさ」

憧「シズらしく打って来て欲しいかな。私はいつものシズが好きだから・・・」

憧「し、シズが始めたことなんだからシズらしく終わらせて良いんだよって意味だから!」

穏乃「憧・・・うん、そうだよね・・・なんか色々あって私らしくなかったかも」

穏乃「ありがと、憧」

穏乃「だから憧の言葉を1つ訂正するよ」

憧「う、うん」

穏乃「終わらせるんじゃなく、これからも続けるために」

穏乃「私たちの全てを出してくるよ!!」

憧「・・・頑張って、シズ」

えり『阿知賀女子高鴨選手、マフラーを持ち込んできました』

咏『マフラーちゃんのマフラーだねー』

恒子『リボンからネクタイに変わってますね。代わりに腕にリボン巻いてるんですが、これは何でしょう?』

健夜『さすがに分かりませんが、阿知賀女子の各選手が持っていたものを大将戦に持ってきたんではないでしょうか』

えり『お守りのようなものでしょうか。確かに阿知賀女子は2回目の出場ながらめざましい活躍をしていますので、ゲン担ぎをしたのかも知れませんね』

健夜『他校の選手もインターバルが終わってから、弱気になっている子は1人としていません』

咏『むしろ前半以上の闘志を感じますね。こいつは一波乱あるかもー、知らんけど』

咲「暑くない?」

穏乃「熱いよ、燃えるように!咲は熱くないの?」ゴオオオオ

咲「暑いけど・・・」タラ

霞(私は寒いくらいだけれど・・・)

豐音「みんな燃えてるね!私も熱くなるよー!」

穏乃(いきなりの親番)

穏乃(ここで流れを掴む!)

穏乃「ポン!」

霞「」ジー

穏乃「どうかしましたか?」

霞「いいえ、ごめんなさい」

霞(松実玄ちゃんが他人の異能を載せていたから、同じことが起きるかと思ったけれど)

霞(ドラ爆や筒子の臭いはしないわね)

穏乃「ロン、3900です」

豐音「んー」

清澄 :129000(-0)
阿知賀:97800(+3900)
宮守 :88800(-3900)
永水 :84400(-0)

豐音(中堅の子がザンク刻むのは異能ってわけじゃないよね)

豐音(じゃあ、やる気だけで向かってるってことかな?)

豐音(それじゃあ宮永さんの力に勝てないよー)

穏乃「ツモ、700オールの1本場800オールです」

清澄 :128200(-800)
阿知賀:100200(+2400)
宮守 :88000(-800)
永水 :83600(-800)

咲「・・・」

霞(宮永さんは反応なしね。高鴨さんは)

穏乃(さすがにマフラーは暑いかも・・・)ダラダラ

霞「肩掛けとか膝掛けにしたらどうかしら?」タラ

穏乃「そ、そうですね」

霞(さて)

霞(3万点差は改善しておきましょうか)ゴゴゴ

霞「ツモ、2200・4200頂きますね」

清澄 :126000(-2200)
阿知賀:96000(-4200)
永水 :92200(+8600)
宮守 :85800(-2200)

霞(親番だし、役満和了っておこうかしら)

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴ

咲「嶺上開花、2000点です」

霞(さすがに前半戦で警戒されたわ)

清澄 :128000(+2000)
阿知賀:96000(-0)
永水 :90200(-2000)
宮守 :85800(-0)

豐音(待ってたよ、私の親番!)

豐音(もう迷う必要はない『赤口』を使うよー!)

豐音(私はみんなのためにも、宮永さんに勝ちたいからね)ゴゴゴ

咲「やめておいた方がいいですよ?」

豐音「」ビクッ

豐音「・・・それでも出さなかった後悔するから」

穏乃「咲は姉帯さんと打ったことがあるの?」

咲「・・・何をやるかまでは分からないよ」

咲(代償が必要そうなことを、やろうとしてたから止めたんだけど・・・)

<清澄控え室>

結「なかなか凄い配牌と、ツモだね」

久「それにしても良すぎるわね?」

照「鏡で見たわけじゃないから予測だけど、六曜の中の『赤口』だと思う」

結「なにそれ?」

和「『赤口』は良くない日だったはずですが、他人の運が悪くなるということですか?」

久「いえ正午の時間帯だけは吉だったはずよ、ということは」

照「自分の力と運気を親番だけに集約させたんだと思う」

久「つまり、親番以外の和了を放棄したってことかしら?」

結「自分がラス親なら分かるけど、ラス親って咲だよ? 馬鹿じゃないの?」

久「だから咲は止めたんでしょ。無駄だからやめろって」

照「一点集中しないと、咲を破れないって考えたんだと思う」

豐音「6000オール!」ゴッ

清澄 :122000(-6000)
宮守 :103800(+18000)
阿知賀:90000(-6000)
永水 :84200(-6000)

霞(あらあら、また転落しちゃったみたい)

霞(この圧力・・・性質は私の凶神に近い、宮守の切り札ね)

豐音「4000の1本場は4100オールだよー!」ゴッ

清澄 :117900(-4100)
宮守 :116100(+12300)
阿知賀:85900(-4100)
永水 :80100(-4100)

穏乃(咲もすごいけど、姉帯さんもホントすごい)

穏乃(さすがインターハイ決勝だ)

穏乃(けどテレビの中の和を見たあの時とは違う)

穏乃(今はそこに私がいる)ゴゴゴゴゴゴ

豐音(そんなっ!鬼神の『赤口』が宮永さん以外に!?)

穏乃「ロン、5200の2本場5800」

霞(どういうこと? たとえ彼女の力が山神級だとしても、これほど簡単に破れるとは思えない)

清澄 :117900(-0)
宮守 :110300(-5800)
阿知賀:91700(+5800)
永水 :80100(-0)

咲「嶺上開花、2300オール」

霞(宮永さんはものともしない)

清澄 :124800(+6900)
宮守 :108000(-2300)
阿知賀:89400(-2300)
永水 :77800(-2300)

穏乃(咲に連荘だけはさせない)

穏乃「ツモ、1本場なので1400・2700」

豐音(宮永さんの親番なのにあっさり和了ったよー)

霞(こっちも認識を改めなきゃマズそうね)

清澄 :122100(-2700)
宮守 :106600(-1400)
阿知賀:94900(+5500)
永水 :76400(-1400)

穏乃(みんなで山へ入って日が沈むまで遊んだあの頃みたいに)ゴゴゴゴゴゴ

豐音(このレベルが2人も卓に着いてるなんて)

霞(私や姉帯さんの使役する神を超えている力、一体どこから)

穏乃「ツモ、8000オールです!!」

阿知賀:118900(+24000)
清澄 :114100(-8000)
宮守 :98600(-8000)
永水 :68400(-8000)

豐音(宮永さんの『点数調整』どうやって破るつもりなんだろう)

豐音(山に干渉する異能を打ち消してるのは間違いなさそうだけど)

豐音(それだけじゃ宮永さんを破れないしなー、何するか分かれば隙を付いてまくれるかも・・・)

咲「カン」

穏乃(これを和了られたら・・・)

咲「ロン、7700の1本場で8000です」

穏乃「うん・・・」

清澄 :122100(+8000)
阿知賀:110900(-8000)
宮守 :98600(-0)
永水 :68400(-0)

霞(凶神ちゃん、最後まで踏ん張ってもらうわよ)ゴゴゴゴゴゴ

霞「ツモ、3900オール」

清澄 :118200(-3900)
阿知賀:107000(-3900)
宮守 :94700(-3900)
永水 :80100(+11700)

穏乃(残りは3局、私の親番はない)

穏乃(勝つには・・・)ゴォ

霞(・・・怯えている)

霞(高鴨穏乃、あなたは一体)

穏乃「ロンです!1300!」

霞(神の力を完全に無効化してる)

清澄 :118200(-0)
阿知賀:108300(+1300)
宮守 :94700(-0)
永水 :78800(-1300)

豐音(宮永さんが2人居るつもりで打つ!)

穏乃「ロンです、2600」

豐音(そんな、ものともしないなんて・・・)

清澄 :118200(-0)
阿知賀:110900(+2600)
宮守 :92100(-2600)
永水 :78800(-0)

霞(点数的には逆転の目は残されているけれど)

豐音(ここまで来たんだから、優勝したいよー)

穏乃(咲)

咲(穏乃ちゃん)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

穏乃(咲との点数差は7300点、優勝は狙える範囲)

穏乃(ここまで全力でいったけど・・・それでも咲にはプラマイゼロの可能性が残ってる)

穏乃(3600オール、放っておいたら咲は絶対に和了る)

穏乃(私はこの山を登れるのかな・・・)チラ

穏乃(憧・・・玄さん・・・宥さん・・・灼さん・・・赤土さん)

<回想・阿知賀女子子供麻雀クラブ>

穏乃「富士山に登りたい!」

憧「いいねー!行こう行こう!」

和「死にますよ。子供が行くような場所じゃありません」

憧「幼稚園児だって登ってる場所だよ」

玄「でも、さすがに子供だけでって言うのは」

穏乃「」ジー

晴絵「行っても良いけど、親御さんの許可を取ってからな」

穏乃「やったぁー!!」

和「止めてくださいっ!」

穏乃「富士山って途中から森がなくなるんですよね?」

晴絵「森林限界のことか? 富士は2500メートルくらいからだったかな?」

和「そのためならば、わざわざ富士山へ行く必要ないじゃないですか」

晴絵「富士と言えばご来光だな。日本一高い場所から見る朝日は絶景だぞ」

穏乃「いいなー!いつか登ろうよ、みんなでさ!」

和「わ、私は遠慮させて・・・」

憧「和は体力つけるところからね」

穏乃「森林限界かぁ」

<大将戦>

穏乃「今、その先へ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

照「これは・・・」

結「咲・・・」

和「咲さん」

晴絵「まさか」

玄「シズちゃん」

憧「シズ」

恒子『とんでもない状況になったぞぉ!!』

えり『インターハイ決勝大将戦、南4局。永水女子岩戸選手が九蓮宝燈、宮守女子姉帯選手が四暗刻、阿知賀女子高鴨選手が最低満貫と3選手が逆転手を聴牌しました!誰が優勝を掴んでもおかしくありません!』

咏『・・・マズそうだねー』

えり『・・・え?』

霞(110符2飜なんて、今年の特殊ルールでもまず和了れないわ)

豊音(宮永さんと高鴨さんが潰し合ってくれるかもしれないしねー)

霞・豊音(逆転を狙う!)

えり『そんな、3選手が聴牌をしてから和了牌が誰1人としてツモできません・・・これは』

健夜『正真正銘、本物の『完全試合』だと思います』

えり『ほ、本物? 宮永結選手もやっていましたが』

健夜『宮永結選手は結果として『完全試合』を達成していました。しかし、宮永咲選手のこれはもっと異質なモノです』

咏『けど、見ぬいた奴は居ますぜ』

穏乃(咲は始まる前、全力で相手してくれるって言ってた)

穏乃(咲の全力って何だろう?)

穏乃(プライマイゼロにすること? 『点数調整』して好きな点数を取れること?)

穏乃(私はどれも違うと思う)

穏乃(どんな場所でも咲き誇れる花)

穏乃(それがきっと咲の全力)

穏乃(なら、それを咲かせるのはいつか)

穏乃(この南4局、普通は咲はプラマイゼロを狙ってると考えるけど)

穏乃(私は咲がプラマイゼロを捨てて優勝を目指してくると思う!)

穏乃(このまま打っても絶対に和了れない!)

穏乃(だからっ!この咲き誇る花を!!)

穏乃「カン!!」

健夜『人は予測を超えてくる』

恒子『小鍛治プロ?』

健夜『私自身が何よりも体験をしたはずでしたが、まだ認識が甘かったようです』

えり『どういうことでしょうか?』

咏『あの子はすげぇよ。宮永咲の思惑を読んだ・・・途中までは』

えり『途中、まで?』

咲(穏乃ちゃん)

咲(友達と一緒なら、どこまでも登っていけるんだね)

咲(そこがインターハイの全国決勝でも)

咲(世界が変わった先だとしても)

咲(仲間と一緒にどんな『高さ』でも登ってくる)

咲(だからきっと、ここまで来てくれるって思ったよ)

咲(けど)

咲(あなたとまた麻雀がしたいから)

咲(今日は私の全力を見せるね)フワァ

霞(これが彼女の本当の・・・!)

豊音(怖いを通り越して、綺麗だよー・・・)

穏乃(そんな、届か・・ない・・!)

咲「ロン」

咲「槍槓のみ、1500点です」

清澄 :119700(+1500)
阿知賀:109400(-1500)
宮守 :92100(-0)
永水 :78800(-0)

恒子『け、けっちゃあああぁぁぁーーーく!』

恒子『全国高校生麻雀大会、制したのは三連覇を達成した無敗の王者、清澄高校ぉぉぉーー!』

健夜『岩戸選手と姉帯はプラマイゼロと考え、高鴨選手は嶺上開花で和了ると判断した』

健夜『けど宮永咲選手は『点数調整』も嶺上開花も捨てて和了を目指したんです』

咏『宮永咲にとって『点数調整』や嶺上開花は、練習して身につけた技術でしかないんじゃね』

健夜『あの子の技術と麻雀の技術は違いそうですが』ニガワライ

えり『では最後に見せた3校の逆転手をすり抜けた和了こそが、彼女の真の打ち方ということですか? それってデジタル打ちじゃあ・・・?』

咏『わかんねー全てがわかんねー』アハハ

結母「あれがそうですか?」

咲父「ああ」

咲父「僕や照と打って、『勝ちすぎてしまう』咲の真の力だ」

咲父「昔、照が泣きついてきたよ。咲と打つと一度も和了れないって」

結母「『点数調整』なんて出来るので、本気はどれほどかと思いましたが」

結母「名前をつけるならば『絶対勝利』でしょうか」

咲父「間違ってないね。過程を全て無視した、ただ『勝つ』という圧倒的支配」

咲父「彼女たちは逆転手を聴牌した時点で、もう和了る方法はなかった」

咲父「大輪か雑草かなんて問わない。どんな場所でも強く咲き誇る花」

結母「・・・」

咲父「どうかしたかい?」

結母「いえ」

結母「ただ・・・あんな子がずっと側に居れば勝ちに拘ることが馬鹿馬鹿しい」

結母「結が幸せそうで良かったです」テクテク

咲父「優勝の祝福くらいしてあげたらどう?」

結母「私が母親の資格を持っていると?」

咲父「母親に資格が必要とは驚いたよ」

結母「病院へ戻ります」

結母「・・・もしあの子が望んだら、次のお見舞いは連れて来てください」スッ

咲父「ああ、了解した」

咲父「・・・」

咲父「咲、本当にすごいよ、お前は」

咲父「お父さんにできないことも、お前ならできるんだからね」

豊音「わぁぁあぁぁ、ありがとうございましたぁぁぁ」ウワァァン

霞「お疲れ様でした」

穏乃「くそぉぉ!お疲れ様ぁぁ!」

咲「ありがとうございました」

穏乃「あとちょっとだったのに!」

咲「でも、すごくすごく強かったよ、穏乃ちゃん」

咲「姉帯さんも、岩戸さんも」

霞「ありがとう」

豊音「」ガサガサ

豊音「これ、みんなのサイン書いて・・・ください」グス

穏乃「え? わ、私はそんな凄いプレイヤーじゃないし」

豊音「そんなことないよ!」

豊音「それに、私が戦った決勝戦の記念に」

霞「寄せ書きみたいな感じでいいかしら?」

穏乃「じ、字汚くても怒らないでね?」

咲「あはは、やっぱり持ってきてたんだ」

霞「はい、ハンカチ使って」

豐音「ありがとう・・・」

霞「宮永さんはすぐに控え室に戻った方がいいわよ。お姉さんなら慣れてるだろうから」

咲「うわ・・・記者の人たちが・・・」

咲「穏乃ちゃん、またね」

穏乃「・・・うん」

咲「」タッタッタッ・・・キャー!

霞「さて、取材のターゲットは宮永さんだから私たちはゆっくり帰りましょうか」

穏乃「ひ、酷い・・・」

霞「準優勝とは言え、負けた後に質問なんてされても辛いでしょう?」

穏乃「・・・」

霞「高鴨さんも姉帯さんも、本当にお疲れ様。それじゃあまた」

穏乃「はい」

豊音「私も帰るよー・・・」

穏乃「気を付けてください」

穏乃「私も」

穏乃「・・・」チラ

穏乃「」カチャ

穏乃「王牌は」

穏乃「嶺上開花、和了れてた」

穏乃「けど私には」

穏乃「こんな高い場所で花を咲かせる力強さはまだなかった、のかな」

<阿知賀控え室>

憧「おかえり、シズ」

玄「お疲れ様、シズちゃん」

穏乃「あれ? 2人だけ?」

憧「気を利かせてくれたみたい」

穏乃「でも、私、みんなに」

憧「謝りたいとか言ったらグーパンチするからね?」

穏乃「・・・」

玄「あの時、シズちゃんが部室に来てくれてから」

玄「すっごい楽しかったね!」

穏乃「は、はい・・・」

憧「そうだよー。私たちの目的ほとんど果たしたんだよー?」

憧「あと残ってるのって1つだけじゃん」

穏乃「うん」

穏乃「頭では分かってる」

穏乃「あとは笑顔で、和たちに「今度は勝つから」って言えば全部だって」

穏乃「でもさ・・・」

穏乃「悔しい・・・!」

憧「シズ」ギュ

玄「シズちゃん」ギュ

穏乃「わぁぁああぁぁぁ!」

<宮守控え室>

豊音「」ドヨーン

エイスリン「トヨネ、元気ダシテ!」

塞「初出場で全国3位、これ以上望んだらバチが当たるぞー」ナデナテ

トシ「よく頑張った。堂々と胸を張って帰れるよ」

豊音「うん・・・」

胡桃「豊音・・・」

白望「次はインカレ? めんどくさ」

豊音「え?」

白望「・・・私冬は無理だし。勉強しないとみんなと同じ大学行けないから」

豊音「あ」パァ

塞「ふふ、みっちり教えてやらないとな!」

豊音「うん、頑張るよー!」

<永水控え室>

小蒔「大義であった」

霞「いつまで居るんですか神産巣日様」

小蒔「飽きぬ見世物をしていたのでな。妾も楽しませて貰った」

霞「神産巣日様が宣言通り役満を全部和了っていれば勝てたんですが」

小蒔「な、なにぃ? そのような次元では無かっただろう?」

霞「冗談です。私だって少し落ち込んでいるのですから、慰めて頂けないなら静かにして頂けませんか?」

小蒔「・・・」

初美「ほんと、今年の清澄は強かったですよー」

春「生きてるのが不思議なくらい」

巴「笑えないですね」ニガワライ

<清澄控え室>

咲「ううう、記者の人たち夢に出てきそう・・・」

結「やったぁ!全国優勝だよ咲ぃ!!」ギュウゥ

和「お疲れ様です、咲さん。私たちが勝ちましたね!」(結さんに絶好のポジションを取られました)

久「お疲れ様、後の記者会見は私と照が中心になるから大丈夫よ」

久「姉妹を代表してコメント求められるでしょうから、何か考えておいた方がいいわよ?」

照「・・・まだ個人戦がありますので」

久「玄ちゃんに言ってたセリフでいいじゃない」

照「言えるわけない」

結「あ、和、穏乃たちにおめでとう言いに行くなら私も行くよ?」

和「つくづく塩を塗りこむのが好きですね」

結「友達なら遊んだ後に何か言うでしょ?」

和「確かにそうなんですが・・・閉会式までにはまた会いますから、その時にしましょう」

久「あら和、あなたも気遣いができるのね」クスクス

和「私だって中学の団体戦で負けた時、辛かったですから」

久「それより結はこの後を覚悟した方がいいわよー?」

結「記者会見とかすごい行きたくないぃ」

咲「結があんなこと言うから。自業自得でしょ」

<ロビー>

晴絵「はい、灼。宥はホットにしたよ」

灼「ありがと」

宥「ありがとうございます」ハフ

晴絵「全国2位だからなー。いやー、ほんと頑張った」

灼「ハルちゃんは、忘れたものを取り戻せた?」

晴絵「」フッ

晴絵「この笑顔を見て分からないかな!?」

灼「わずらわし」

晴絵「・・・」

晴絵「ふぅ」

晴絵「私が麻雀が好きで、どれだけ楽しかったのか思い出す。それで半分だった」

晴絵「もう半分は、相手も同じ人間で、同じように麻雀を楽しみ、同じように勝とうとして、同じように挫折するってこと」

晴絵「このインターハイでさ」

晴絵「お前たちや、私よりも遥かに才能のある子、努力で結果を出す子、色んな子を見て思い出せた」

晴絵「どれだけボロ負けしても、大泣きしたとしても」

晴絵「次こそ、って言えれば良かったんだ」

灼「ハルちゃん」

晴絵「予定通り、放送席から出てきたか」

晴絵「灼、見ててくれ」

晴絵「小鍛治さん!」

健夜「赤土さん? 準優勝おめでとうございます。私も知っている子たちが頑張っていて、なんだか嬉しくなりました」

晴絵「その節はありがとうございます」

晴絵「しかし、今日は聞いて欲しいことがあります」

健夜「聞いて欲しいことですか? なんでしょう?」

晴絵「この子たちを見届けた後、私はプロになります」

晴絵「だからそれまでにトップリーグに復帰してください」

晴絵「その時、高校時代のリベンジをさせて頂きます」

健夜「・・・ええ、楽しみにしています」

咏「へー、なら一緒に魔王退治しよぜー」パタパタ

健夜「魔王って誰のことかな?」

咏「小鍛治さんから聞いてるよ。そん時はうちにもプロテスト受けに来て欲しいとか思っちゃうんだよなー、これ名刺ね」

晴絵「あ、どうも・・・」

咏「この阿知賀を導いたのはすげーよ。そいじゃね~」ヒラヒラ

健夜「それではまた」

晴絵「今度は雀卓でお会いしましょう」

<清澄控え室前>

結「いやだぁ・・・!」

咲「はいはい、部長とお姉ちゃんがフォローしてくれるから」ズルズル

照「どうしろと・・・?」

和「穏乃、憧、玄さん?」

穏乃「和」

結「」ピタッ

結「なんか用?」

憧「いや取り繕っても見ちゃったから」

和「どうかしましたか?」

玄「うん、私たち和ちゃんたちと約束をしようと思って」

和「ああ、私は個人戦出ませんので暇ですよ」

和「一緒に観光しましょう」

憧「それもしたいんだけどねー、今日はそうじゃないんだな」

玄「チャンピオン」

憧「和」

穏乃「咲」

玄・憧・穏乃「「「次は絶対に勝つ(ちます)から!!」」」

照「何度でも受けて立つ」

和「楽しみです」

咲「うん!」

<インターハイ後>

穏乃「うーん、どうしよう?」

憧「全国準優勝したのに部員が足りないなんて」

玄「阿知賀って生徒数少ないもんね」

穏乃「灼さんだって最後の最後でようやくだったからねー」

灼「5人集まったのが奇跡」

宥「やっぱり、冬も出ようか?」

憧「受験勉強してなさい」

宥「はい・・・」

晴絵「新1年生に期待すればいいんじゃないの?」

穏乃「それじゃ冬に間に合いません!」

晴絵「別に冬に間に合わなくても先週も長野に行ったじゃないか」

玄「チャンピオンはそのままプロになるらしくて、冬も出るらしいんです!」

晴絵「まあ、そうだろうね・・・」

憧「大体、清澄は去年のレギュラーで染谷って人が入るだけで、戦力はほとんどダウンしてないんだよ?」

宥「あ、久さんも推薦貰えたら出ちゃうかもって言ってた」

憧「メンバーそのまんまじゃん!」

玄「リベンジには丁度いいよね!」

憧「晴絵だって咲と打って負けたのに、何とも思わないの!?」

晴絵「最近はプライベートで健夜さんと打ってるから、別に」

穏乃「とにかく!このままじゃ出場できないよ!」

穏乃「和や咲との約束が果たせない!」ウガー

灼「私だって、宮永結にリベンジしたい」

玄「高校時代でチャンピオンと戦える最後のチャンスだよ!」

晴絵「宮永照は結局個人戦併せて世界連覇、有望すぎて泣けてくるな」

穏乃「何とか冬までにもう1人見つけて」

穏乃「今度こそ」

穏乃「勝つんだ、咲に!」

終わりです
ここまで拙作に目を通して頂いた方、感謝いたします
本当にありがとうござました

プロアマ交流戦や個人戦は収支対決っぽかったので、直接対決は咲が勝っても収支だったら照のが上のイメージでした
番外編、私の実力では多数のキャラを同時に動かすのが厳しいかと・・・

キャラの呼称は本当にすいません
咏プロのことも含めて申し訳ありませんでした

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