モバP「ありふれた君の名前」 (36)

『希星』

P「……はぁぁぁぁぁぁ」

P「読めねーよ……」

P「正解は……『きらぼし』なんだへー……綺羅星!」ビシッ

P「次いこ」

『心愛』

P「あ、 これならわかるわ! 『ここあ』だろ!」

『ここなつ』

P「残念不正解! 『つ』がどこから来たのかさっぱりわからん……」

P「……最近の子どもの名前はほんと佐々木のフォークなみによくキレるよなあ」

P「こういう名前の子たちが事務所に入ってきて、プロデュースする機会も……これからは増えるのかなあ」

P「……すんなり呼べる気がしないわ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378123716

ガチャ

??「おはようございまーす!」

P「お」

??「あっ! Pさん! おはようございます!」ペコ

P「おお……響子か……このタイミングで響子か……」

響子「Pさん……? なんだかいつになく疲れてません?」

P「響子……おお響子……」

響子「ど、どうしたんですか? 体調が悪いとか……」タタタ

P「あ、いや別に体調は……おい響子!」

響子「熱は……なさそうかー」ピト

P(あ、響子の手ひんやりしてきもち)

響子「あ、さてはPさん! また水分取らずにお仕事してましたね!」

P「あ、ああ。まあそういやそうだけど。でも

響子「もー! 毎日暑いんだからちゃんとお水飲まなきゃだめですっ」プンプン

P「あ、いや……あのね

響子「仕方ないんだからもう。ちょうど私ものど渇いてましたから、お水持ってきますね♪」トコトコ

P「あ、響子話聞いて……行っちゃった。あねさんだなあ響子は」

タカタカ

響子「Pさん持ってきましたよっ。はいどうぞ!」スッ

P「ああうん。ありがとな」ゴクゴク

響子「いえいえ♪ あれ? Pさんそれなんですか?」

P「ん? あ、これか? 次のオーディションの書類選考用資料だよ」

P「……これ見てたら頭痛くなってきてさ」ヤレヤレ

響子「そ、そんなに頭を痛めるほどレベルが高いってことですか?」

P「ああいや、レベルとか以前の問題っつうか……名前が読めない子が多くてさ」

響子「? 名前、ですか?」キョトン

P「『希星』で『きらぼし』、『心愛』で『ここなつ』、威頼沙で『いらいざ』」

P「この国はどこへ向かおうとしているのか……おじさんは心配でならないよ」

響子「あー、そういうことかー」クス

P「響子の学校にも結構いるのか? こういう名前の子」

響子「んー……そうですね。そこまで変わってなくても、ちょっと変わった読み方するんだなって子は結構いますよ」

P「そっかあ……そういう子ってやっぱりさ、その……ハジけてる感じなの?」

響子「ハジけて、るかどうかはわからないけど……でも、別にみんな普通ですよ?」

P「そうなの? ピアスズドンズドン開けてたり、髪の毛が玉虫色だったり、目の周りが真っ黒だったりしないの?」

響子「んー……そういう子もいないわけじゃないけど、でも……別に名前は関係ないですよ」

響子「別にありふれた名前だけど、ピアスズドンズドン開けてて目の周りが真っ黒な子だっていますし」

P「そっかあ。そうだよな。偏見だとはわかってるんだけどさ」

響子「……まあ、今はいいとして、おじさんおばさんおじいさんおばあさんになった時には」

響子「ちょっと恥ずかしいかもな、とは思いますけどね。大きなお世話かな」

P「いや、正しいと思うよ」

響子「……でもね。ちょっとうらやましかったりもしたりして」

P「うらやましい? 威頼沙が?」

響子「そ、それはちょっと極端ですけどっ。ほら、私の名前……『響子』って、すごく普通じゃないですか」

P「そうだな!」

響子「な、なんだか力強いですよPさん……」

P「気のせいだ。続けて」

響子「……『子』がつく名前って、なんか古い感じがしちゃって」

P「……」

響子「「女の子だしとりあえず『子』つけとけ」みたいな、そんな感じでつけちゃうような」

響子「学校でも、『子』がつく名前のほうが珍しいし……」

P「……響子」(低音)

響子「は、はい!」ドキ

P「はっきり言う。大切なことだからはっきりと言う」

響子「は、はい?」キョトン

P「お前は、間違っている」

響子「え……」

P「古いことの何が悪い。伝統。定石。王道。様式美。こういう言葉を」

P「なんでもかんでも「ベタ」なんてマイナスの言葉に変換して全否定する風潮、俺は嫌いだね」

響子「Pさん……」

P「例えばだ。響子の名前が『響子』じゃなく『威頼沙』だったとする。お前は今から五十嵐威頼沙だ」

響子「い、五十嵐威頼沙……」

P「なあい、いら、いらいら、いらい、ざダメだこれ笑いをこらえきれん」

響子「語感は悪くないんですけどね……五十嵐威頼沙」

P「めちゃくちゃ強そうだよな。1周回ってかっこいいかもしれん」

響子「猪とか受け止めちゃいそうですよねっ」ワクワク

P「まあとりあえず五十嵐威頼沙はボツだな。話を戻そう」

響子「Pさんが言いだしたんですけど……」

P「なあ、響子」(低音)

響子「は、はい」ドキ

P「……うんやっぱり」

響子「な、何が!?」

P「響子」

響子「は、はい!」

P「『きょうこ』っていい響きだな。字の通りさ」

響子「そ、そうですかね」

P「響子」

響子「は、はい」ドキドキ

P「呼んでみただけ♪」テヘ

響子「……」シラー

P「結構冷たいよね響子さんは……」

響子「不気味なほどぶりぶりしてましたもん……」

P「演技の参考になっただろー?」

響子「なりませんっ。でも……」

P「うん?」

響子「名前がいいって言ってもらえたの、初めてだから……嬉しいです」テレ

P「そうか。初めて名前を褒めてくれた男としてしっかり記憶に刻んでおくように」

響子「もちろんですっ」ニコ

P(ああ眩しっ)

P「それにな。確かに『子』のつく名前は古いのかもしれないけど、最近逆に珍しくなってるだろう?」

響子「んー、それはそうかもしれません」

P「つまりだ。天然記念物みたいなもんなんだよ。オオサンショウウオみたいなもんだ」

響子「あ、あののっそりしてるちょっとヒョウくんに似てるヤツですか……?」

P「似て……ないけどな」

響子「そ、そうでしたっけ。ヒョウくんに失礼だったかな……」

P「どっちに失礼とかじゃないけどな。オオサンショウウオを引き合いに出した俺が悪かったな」

響子「それで、続きどうぞっ」

P「あうん。つまり響子はレアなんだよ」

響子「れあ……」

P「そう。歴史と伝統に裏付けられた妙なる響き『響子』。その安心感が」

響子「安心感が?」

P「男心もわっしわっしと鷲づかむッ!」ワッシワッシ

響子「お、男心っ!?」カァァ

P「そうとも。女性に求めるものの筆頭に安心感を挙げる男は数多い。そしてさらに」

響子「さ、さらに……?」ドキドキ

P「響子は15歳にして家事万能。炊事洗濯なんでもござれ」

響子「か、家事は自信ありますよっ」フンス

P「こりゃもう。男がほっとかない」

響子「へ」

P「名前を呼ぶごとに湧き立つ安心感」

P「響子、仕事行ってくるよ」

響子「あ、えと……い、行ってらっしゃい」

P「ただいまー響子。残業疲れたー」

響子「お、お帰りなさい。お夕飯食べずに待ってたから……一緒に食べよう?」

P「あー……響子は何作っても美味いなー」ングング

響子「おかわりあるから、たくさん食べてね♪」

P「……響子。久しぶりに風呂、一緒に入ろうか」

響子「え、は、はい//// ってこらー! Pさんたら!////」プンプン

P「こりゃもう。男がほっとかない。『響子』+家事万能=弱点はない。選び放題ッ」

響子「そ、それは飛躍しすぎ……」

P「……まあ、今は恋愛は、な。気の早い話だけどな」

響子「別に、選び放題なんて嬉しくないです」

P「ん?」

響子「私にはもう、心に決めてる人がいますからっ」

P「響子……そうか」

響子「はい////」

P「その後、「それは! ファンのみなさんでーす!」って続くんだな」

響子「え」

P「響子もすっかり一流のアイドルになったなあ……おじさん感動した」

響子「え、あの……はあ、いいですもう、それで」ブー

P「今度のライブで言ってみよう! みんな泣いて喜ぶぞ」

響子「はい、言ってみます言ってみます。ところでPさん」

P「どうした」

響子「もう一回呼んでください。響子って」

P「響子!」(高音)

響子「そんな声じゃやです! た○た社長みたいっ」

P「うわ酷い。声の指定はなかったしー」

響子「低い声で! 渋い声でお願いします!」

P「わかったー。おほん」

P「響子」

響子「はい!」

P「響子」

響子「えへへ……いい響きです!」

短いけどおっしまーい。李衣菜はそれ以外読みようがないからなんも問題ない

じゃあ松坂桃李って「ももすもも」って名前なのか……

俺が「~子」って名前好きだからこれ書いたんだけど、
きらりとかありすとかはひらがな書きだし特におかしな名前でもないと思ってる
このへんを下げてると感じたら申し訳ない

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom