エレン「ブラック兵団に勤めてるんだがもうオレは限界かもしれない」(26)

キース「オイ、貴様」

アルミン「ハッ!」

キース「貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」

キース「そうか!ゆとりみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」

アルミン「祖父がつけてくれました!」

キース「アルレルト!貴様は何しにここに来た!?」

アルミン「御社の発展の役に立つためです!!」

キース「それは素晴らしいな!!貴様は使い捨ての手駒にでもなってもらおう」

「やってるな…お前も新入生の時は初っ端からあれだったろ?」

「懐かしいです。でも…あの恫喝には何の意味が…?」

「通過儀礼だ。それまでの自分を否定して真っさらな状態から社畜に適した人材を育てるためには必要な過程だ」

「?…何も言われてない子がいるようですが」

「あぁ…すでに通過儀礼を終えた者には必要ない」

「おそらく2年前の就職氷河期の地獄を見てきた者達だ。面構えが違う」

似たようなのが多過ぎる…ので、名作になることを期待する

キース「貴様は何者だ!」

ジャン「トロスト区出身!ジャン・キルシュタインです!」

キース「何のためにここに来た!?」

ジャン「……」

ジャン「人事兵団で安寧に暮らすためです」

キース「そうか!貴様は人事兵団に行きたいのか?」

ジャン「はい!」

キース「ふん!」ゴッ

ジャン「!!」ヨロッ

キース「オイ!誰が座って良いと言った!!こんな所でへこたれるやつが人事になどなれるものか!!」

ジャン「………」

キース「人事畑はお前が思うほど、そう甘くないぞ!お前にはお花畑がお似合いだな!!」

キース「貴様は何だ!!」

マルコ「ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身!マルコ・ボットです!」

キース「何しにここに来た!」

マルコ「人事兵団に入り!社長にこの身を捧げるためです!」

キース「……そうか…それは結構なことだ。目指すといい」

キース「だが」

キース「社長はきっとお前の体なんぞ欲しくない。何度でも言おう!社員は使い捨てだ!!」

キース「次!!貴様だ!!貴様は何者だ」

コニー「ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身!コニー・スプリンガーです!」

キース「逆だ…コニー・スプリンガー」ミシミシ

コニー「………!!」

キース「最初に教わったハズだ。この敬礼の意味は『社に365日24時間を捧げる』決意…つまり心臓の動いている時間は全て社に捧げることを示すものだと…貴様の心臓は右にあるのか。コニー?」ミシミシ

コニー「………」




キース「………!!」




サシャ「」カチカチ

キース「…………」

サシャ「」ピピッ

キース「オ……イ….貴様は何をやってる?」

サシャ「!?」ピピッ

サシャ「?」ピッ

サシャ「??」ピピッピピッ

キース「なっ!?」

サシャ「……?」ピピピピッ

キース「貴様だ!貴様に言ってる!!貴様…何者なんだ!?」

サシャ「…………!?」ピピピピピピピピッピピッ

サシャ「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」

キース「サシャ・ブラウス…貴様が右手に持っている物は何だ?」

サシャ「『タイムカード』です!打刻漏れの物がたくさんあったので!つい!」

キース「貴様…なぜだ…なぜ勝手にタイムカードを打刻した?」

サシャ「…出勤した時間に打刻しなくては元も子もないので…今打刻するべきだと判断しました」

キース「…!?イヤ…わからないな。なぜ上司の許可もなくタイムカードを打刻した?」

サシャ「…?それは『何故人は出退勤時にタイムカードを打刻するのか?』という話でしょうか?」

一同「…………」

サシャ「…?」

キース「……」

サシャ「あ!」

キース「!」

サシャ「……」チッ

サシャ「タイムカードの打刻、したかったんですか…?半分…どうぞ…」

キース「半…分…?」

サシャ「ピピッっていうの、楽しいですからね」フーッ




コニー「オイ…あの打刻女まだ残業させられてるぞ」

マルコ「かわいそうに…僕たちにはタイムカードの打刻が出来ないことを知らなかったんだね」

ジャン「タイムカードの打刻は上司のみに許された権限だからな」

エレン「!お前は確か…人事兵団に入って楽したいんだったっけ?」

ジャン「オレは正直者なんでね…。営業兵団に入りたいっていきがってる奴らよりよっぽどさわやかだと思うがな」

エレン「なんだと!」

ミカサ「………エレン、今日はオリエンテーションだけだから早く帰れる。明日からはそうは行かない。…だから今日は早く帰って兵団理念を覚えよう」

アルミン「そうだよ、エレン。明日兵団理念を言えるかどうかのテストがあるんだからね」

コニー「マジかよ!兵団理念どころか社訓すら覚えてねぇぞ!」




サシャ「」ゼエ…ゼエ

サシャ「やっと…終わった…」

サシャ(本当に死ぬ寸前まで残業させられた…うちの村じゃ兵団はホワイトだって噂だったのに……)

サシャ(なのに…)

サシャ(初日から明け方まで残業…超絶なるブラック…ホワイトなんてまるっきり嘘やんけ)

サシャ(ああ………もっと…わたしに合っている職に…つきたかっ…た……)

サシャ(もう…5時だ…)

サシャ(今寝たら…絶対明日の始業時間には起きられない…………でも……)


サシャ(眠いんよ…パトラッシュ…)スゥ…


サシャ(…!)




ドォッ

クリスタ「ぎゃああああああああ」ドサッ

サシャ「ハッ!!」

サシャ(これは!?)






サシャ「眠眠打破!!」ギンギン

クリスタ「…いっそもう寝ないで出勤したほうがいいかと思って…」

サシャ「…」ギンギン

クリスタ「イヤ…でも…お腹空いてるでしょ?まずは先に10秒チャージしないと…」

サシャ(え!?)ギンギン

クリスタ「?」

サシャ(神様?)

サシャ「神様ですか!?あなたが!?」

クリスタ「え?し、静かにしないと…」

ユミル「オイ!?」

クリスタ「ひっ!!」

サシャ「神ぃいいいいいいい」チューーーーゴクゴク

ユミル「何やってんだ?」

クリスタ「えっと、この子は今までずっと残業させられてて…」

サシャ「」ヂューーーー

ユミル「打刻女じゃない、お前だ。お前何やってんだ?」

クリスタ「私?」

ユミル「眠眠打破を隠してる時からイラついてた…親に内緒で飼ってるペットにエサやるやてぇな…」

ユミル「それこそ社に飼われてるやつが、飼い主気取りか、ってな」

クリスタ「………」

ユミル「なあ…お前…。「いいこと」しようとしてるだろ?」

ユミル「それは打刻女のためにやったのか?お前の得た達成感や高揚感はその労力に見合ったか?」

クリスタ「え…」

クリスタ「私は…私が…こうしたかったのは…役に立つ人間だと思われたいから…」

クリスタ「なのかな…?」

ユミル「は!?知るかよ…とにかくこの打刻女をベッドまで運ぶぞ。お前じゃこいつを担ぐのはしんどいはずだ」

サシャ「私起きてますよ」ギンギン

ユミル「!?」

クリスタ「あ、眠眠打破飲んでるからね」

一旦中断します

夜中に再開予定



キース「まずは貴様らの適性を見る!」

キース「配られた紙の質問に答え、自分に当てはまると思ったところにマークをしろ!考えるな、直感で選べ!」

ミカサ「………」カリカリ

コニー「………」カリ……カリ

サシャ「………」カリカリ

ジャン「………」カリカリ

エレン「………うーん」…カリカリ

キース「よし、全員書き終わったか!?それではマークシートを集める!」



エレン「なあ、今のってなんだったんだ?」

アルミン「んん?…エレン知らなかったの?今のは適性検査っていうやつで、様々な質問に当てはまる答えを選んでマークすることでその人の思考傾向やストレス耐性とかを調べるものだよ」

エレン「…そうなのか」



数時間後

キース「集計が終わった。…エレン・イェーガー、貴様の適性検査の結果が思わしくなかった明日内容の違うものでもう一度適性検査を行うからそのつもりでいるように」

エレン「なっ…!!?」

ジャン「ざまあ、ねぇなエレン」ぷすす

エレン「くそ、なんでオレが…」

アルミン「今回の適性検査ではもっぱらストレス耐性が重要視されているって噂だよ。…もしかしたらエレンの結果そこに問題があったのかも」

エレン「そんな………」

アルミン「でも意外だなあ、エレンのほうが僕よりストレス耐性ありそうなのに」

エレン「…マークシートなんか信用できないだろ」

アルミン「まあ、でも明日の再検査でなにか変わるかもしれないしあんまり根を詰め過ぎないようにね?」

ミカサ「でも、エレン」

エレン「なんだよ、ミカサ」

ミカサ「向いてないのなら仕方ない。ようやくできる程度では無駄に鬱になるだけ。きっと夢も努力も徒労に終わる」

エレン「……な、何だって…?」

ミカサ「ここで正社員を目指すべきじゃないと言っている。フリーターとして社会を支える選択もある」

ミカサ「何も正社員になることだけが働くことじゃない。フリーターでも派遣でも働くことには変わりない」

エレン「お…お前なあ…」

エレン「オレは…あの日あの超大型派遣切りを見ちまったんだぞ…?そんな理屈で納得できると思うのか?」

ミカサ「………」

エレン「………」

アルミン「………」

ミカサ「……でも、その覚悟の程は関係ない」

エレン「は?何でだよ。言ってみろよ」

ミカサ「正社員になれるかどうか判断するのはエレンじゃないから…」

エレン(このヤロー。そんなことはわかってんだよ…。ただ、まず名刺交換が出来なきゃお話にならねぇのは事実だ…。正論だ…オレは今何も言う資格がねぇ…。バカ言ってんじゃねぇよって感じなんだろうな…何でも簡単にこなしちまうお前にとっちゃよ!)

ミカサ「…!」

ミカサ「私は…エレンだけに辞めろと言ってるんじゃない…」

エレン「行こうぜアルミン」ガタッ

アルミン「う、うん…」ガタッ

ミカサ「その時は私も一緒にハローワークに行くので」

ミカサ「だから…」

ミカサ「心配しなくていい」






サシャ「ん?」

サシャ「えーと?つまり?…そのパァンもらってもいいってことですか?」

ミカサ「」

サシャ「あっ」

ミサカ「」もぐもぐ

サシャ「あっあっ」

ミカサ「」ごっくん

サシャ「」

超大型派遣切りワロタ

なぜだろう、本編のほうが殺伐とした世界観のはずなのに、この世界のほうが妙に生々しさがある……

これどこのワタミ?

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