カイジ「世界の果てまでイッテQ……だと…?」ざわざわ(15)

立木「なんやかんやで芸能界入りを果たしたカイジ!芸能界という"ドブ"の中をカイジは生き残れるのか!」

マネ「カイジさん…!決まりましたよ…次の仕事…!」

カイジ「ありがたい…!まだぺーぺーの俺にとっては僥倖…!圧倒的僥倖…!感無量…!で、なんなんだ…その、仕事って…!」

マネ「世界の果てまでイッテQ!っていう番組で、いろいろな国を回ってもらいます…!」

カイジ「(な…!よりによってイッテQ…!しかもスタジオで談笑じゃなく旅をする側…!マネの奴、なんて仕事持ってきやがる…!クズ…!圧倒的…空前絶後のクズ…!)」

立木「カイジ!憤慨ぃ!!」

カイジ「無理だ…俺にはとてもじゃないが無理…!俺はイモトじゃない…!他に無いのか…エアコンの効いたスタジオで談笑…そういう仕事…オファーは…!」

マネ「ないですよ…。まだ駆けだしですし、ワガママ言ってられませんよ?」

カイジ「(ぐっ…!クズのくせにもっともなこと言いやがる…!しょうがない…これで手を打つ…!イッテQだってさすがに危険なことはしないはず…!やる…!目指す…!成金…!第二のイモト…!)」

カイジ「やる…!受けよう…!その仕事…!」

マネ「じゃあプロデューサーに伝えときますね!」

立木「カイジ!妥協ぉぉ!だがこの『危険は無い』という考えが既に泥沼!まさに地獄への片道切符!底無し沼への第一歩ぉ!」

立木「あれから一週間…!カイジ達は収録の為インドネシアに来ていた…!」


カイジ「三好、今日はどういうところを撮るんだ?」

三好「僕もあまり知らないんですけど……トカゲと楽しく戯れているところを撮るらしいですよ」

カイジ「トカゲか…。なら心配なさそうだ…!」

黒崎「カイジ君…!遠路はるばるご苦労…!」

カイジ「お前は帝愛の…!なぜこんなところにいる…!返したはずだ…!金は…!」

黒崎「まぁそう怖い顔をするな…!質問に答えてやる…!なぜ俺がここにいるか…だったな…!それはな、俺がこの仕事をお前に斡旋してやったからだ…!」

カイジ「は…?だってあんた…帝愛だろ…?関係ないじゃん…テレビ…日テレ…!」

黒崎「日テレはな、ずいぶん前に帝愛が買収しているんだ…。表沙汰にならないようにはしているがな…」

カイジ「は…?なんだよそれ…?じゃあ、またあんた達の下で働かなきゃいけないのかよ…」ぐにゃあ〜

黒崎「勘違いして貰っては困る…!あくまで呼んだのはこちらの方…いわば客だ…!こちらからは悪いようにはしない…!」

カイジ「そ…そうか…!ならいいんだ…!で…今日は何をするんだ…!」
黒崎「そうだな…!まずはマングローブでも見に行くか…!」

カイジ「観光か…!」


立木「カイジ達一同は現地ガイドを引き連れ束の間の休息をとる為にマングローブ林へ移動!現地に着くやいなや年甲斐もなくはしゃぎだすカイジ達!はしゃぐ!はしゃぐ!!はしゃぐぅ!!!これにはガイドもドン引きぃ!」

カイジ「ふぅ…!なかなかだったな…!」

マネ「楽しかったですね…!マングローブの根って凄いんですね…初めて見ましたよ…僕…!」

黒崎「楽しんでくれてなりより…!では本題に移ろう…!」

カイジ「ああ…!なんでもこい…!」

黒崎「頼もしいな…!では君には…」


黒崎「コモドドラゴンとレースをしてもらう」

立木「別名、コモドオオトカゲ!ノコギリ状の牙から噛み付かれると牙の菅から毒(ヘモトキシン)を流し込まれ、出血によるショックで死ぬぅぅぅ!!!!!」


カイジ「なんだって俺がそんな…!艱難辛苦…そんな地獄を潜らなきゃいけない…!それに俺はまっとうな道を歩んでいる…!底無し沼にわざわざ足を踏み入れるような真似…」

黒崎「まっとうな道を歩んでいるからこそだ…!」

カイジ「は…?」

黒崎「カイジ君は芸能人…!それも人生のどん底を経験した博打師、という触れ込みでテレビに出ている…!ならばこういう企画に挑戦し、命を張るのは至極当然…!当然の流れ…!まっとうな道…!」

カイジ「ぐっ…!だが…」

黒崎「もちろんタダでとは言わない…!5000万だ…!成功したら5000万…!それに日テレのゴールデンタイムのレギュラーをやろう…!」

カイジ「なっ…!5000万……レギュラー…しかもゴールデン…!」ざわ…ざわ…

黒崎「勿論現金で…だ…!どうだ、悪い話ではなかろう…!大金が手に入るうえチャンスまで…!」

カイジ「やる…!やってやる…!逃がしてたまるか…!5000万…!ゴールデンのレギュラー…!千載一遇のチャンス…!成金…成功者への道…!」


立木「カイジィ!決断!決断!!決断〜〜!!!」

黒崎「それでこそカイジ君…!では案内しよう……ギャンブルの舞台へ…!」

立木「カイジ達一行はバスに乗り込み舞台に向かったぁ!」


カイジ「舞台って…闘技場…コロッセオみたいなところを想像していたが……なんだか拍子抜けだな…。石灰で線引いただけなんて…」

黒崎「まぁそういうな…!で、彼が今回の対戦相手の野生のコモドドラゴンだ…!今は檻に入っているがな…」

カイジ「(なんだ…!大したことなさそうじゃないか…!これは貰った…!)」

黒崎「君たちには600mの直線を走ってもらう。ちなみに彼は持久力があり
、18km/時で走る…!」

カイジ「」

カイジ「普通の人間ってたしか時速20km/時くらいじゃなかったか…?ということは…これは前半が勝負…!突き放す…!ぶっちぎり…!」

黒崎「カイジ君がゴールした時点でコモドドラゴンは眠らせるから安心してくれ…!それでは始めるぞ…!位置に着け…!」

カイジ「行くぞ…!俺はやる…!やるぞ…!」

黒崎「よーい…ドン!」

立木「両者、ピストルの音でスタート!まずはカイジが突き放すぅ!」

カイジ「まずは越えた…?胸突き八丁…!苦難苦渋…前半の壁…!このまま……!」

立木「300m地点でコモドドラゴンと50m差でぶっちぎりぃ!だぁがぁ!」

カイジ「ぜはぁ…!ぜひ…!ぐっ…ぅっ!忘れてた…!ペース配分……!」

立木「カイジィ!400m地点で既にバテバテ!だがコモドドラゴンは待ってはくれない!二人の距離は縮まる!縮まる!!縮まるぅ!!!」

コモドドラゴン「」カサカサカサカサ

カイジ「(ひっ…!う、後ろから来てる…!頑張れよ俺…!向こう半年……いや、向こう三年頑張らなくったっていい…!今ここ…!ここだけ頑張れ…!)」

立木「カイジ!疾走〜!余力を振り絞り地獄から逃げ帰るようにゴールへ向かって走る!走る!!走るぅ!!!」

カイジ「ひっ…!あと…ぜぇ…!少し…!………ゴール…!!」

立木「ゴールテープを切ったのはカイジィ!同時に50cm離れたところでコモドドラゴンが麻酔銃で撃たれる!」

カイジ「はっ…!勝った…!ぜひっ…!勝ったぁ…!」

黒崎「congratulations…!カイジ君…!おかげでロケは成功だ…!」

カイジ「見たか…!ぜっ…!寄越せ…!金…!レギュラー権…!」

黒崎「あぁ…!これが約束の金…!5000万だ…!」

カイジ「ひょお…!金…金だ…!億万長者まではいかないけど5000万…!半億万長者…!大金持ち…!」

黒崎「レギュラーの件は必ず俺が通してみせよう…!じゃあ日本に帰るか…!」

〜帰国後…!〜

マネ、カイジ「カンパーイ!」

カイジ「カッ〜!犯罪的…!なんて美味さ…!」

マネ「いや〜良かったですねカイジさん!レギュラーも取れたし、これでしばらく安泰ですね!」

カイジ「ああ…!5000万もあれば向こう5年は遊んで暮らせる…!あ、そうそう…お前も取り分がないとな…!」

マネ「え?500万って…!いいんですか!?こんなに貰っちゃって…!」

カイジ「流れでああなったとはいえ、お前が持ってきてくれた仕事だからな…!これくらいは当然…!」

マネ「あ、ありがとうございます…!俺、一生カイジさんに付いて行きます…!」

カイジ「あぁ…!これからもよろ…しく……あれ、眠くなって…」

マネ「…」

カイジ「あれ…俺、いつの間に寝て……あれ…?トランクは…?5000万は……?!」

カイジ「ん…?机になんか置いてある…」

『妹が病気で死にそうなので5000万必要なんで借りてきます
マネ』


カイジ「忘れていた……!あいつはクズ…!真性のクズ…!自分のことしか考えられない最低最悪の自己中…!」

カイジ「だがまだ道はある…!芸能界でまだ…!ん、事務所からメール…?」

『倒産…!圧倒的倒産…!拾ってくれる事務所も無し…!よって解雇…!』

カイジ「」


その後、カイジの姿を見た物はいない…

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