青年剣士「運命ということ・・」(594)

 
【第一シリーズ】
少年剣士「冒険学校に入学します!」
少年剣士「冒険学校に入学します!」 - SSまとめ速報
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少年剣士「冒険学校で頑張ります!」
少年剣士「冒険学校で頑張ります!」 - SSまとめ速報
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少年剣士「冒険学校の休暇です!」
少年剣士「冒険学校の休暇です!」 - SSまとめ速報
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【第二シリーズ】
幼剣士「待っていて下さい・・僕が・・必ず・・!」
幼剣士「待っていて下さい・・僕が必ず・・!」 - SSまとめ速報
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幼剣士「僕には夢が出来ました」
幼剣士「僕には夢が出来ました」 - SSまとめ速報
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上記作品の少年剣士、幼剣士シリーズの第三作目、続編になります

 
・・・ギュゥゥゥン・・・


・・ぁぁぁ・・・・・

・・・・・・・・あああ・・・・

あああああっ!!!


青年剣士「うわああああっ!!」

 
・・・・・ドサッ

青年剣士「・・・・・いって・・!助かった・・のか?」キョロキョロ



・・・ザワ・・・ザワザワ・・

青年剣士「ここ・・・どこだ・・・・・・?」


・・・ワァァァァッ!!!

アナウンス「おぉぉっと!?こ、これは・・・・・!!!乱入者かぁ!?」



王様「あやつは・・・・まさか・・・・」

 
青年剣士「いってて・・・、ん?」

 
王様「間違いない・・・」


青年剣士「・・・・、凄い人だな・・・ここはコロシアムか?」



格闘家A「なんだぁてめえ!」

格闘家B「人らの戦いジャマしやがって!」


アナウンス「これは面白くなってきた!まさかの乱入者が登場!!」


格闘家A「ぶっころしてやる・・・」ブン!

格闘家B「ここは一回休戦にしようぜ・・・わけわからねーが・・こいつを倒す!」ビュッ!!



青年剣士「うわっ、何するんだ!」ヒュッ

 
格闘家A「人らの試合ジャマしやがって、どうなるかわかってんだろうな!?」クワッ

青年剣士「ち、ちょっと待って!俺にも何がなんだか・・・」


格闘家B「ああん!?うるせえ!」


青年剣士「そ、そうだ、みんなは助かったのか・・・・?ここはどこですか!?」


格闘家A「・・・ここは新都中央国だろうが!寝ぼけてんのか!」

青年剣士「は・・・新都?」

格闘家A「そういってんだろ・・・・オラァ!」ブゥン!


・・・ヒュッ


青年剣士「あぶなっ!」

格闘家A「ほー・・・素早さだけは一人前だな・・・・」スッ

 
王様「・・・」ボソボソ

側近「・・・はっ!」



格闘家A「イラつく野郎だ・・・これでも食ら・・・」

側近「格闘家!攻撃をやめよ!」


格闘家A「なっ・・・」ビタッ

青年剣士「・・・・」


格闘家A「何で止めるんですか!」

側近「王が話を聞きたいというのだ。少し静まれ」

格闘家A「・・・っち」



王様「・・・そこの者」

 
青年剣士「・・・?」

王様「名前は何という?」

青年剣士「・・・青年剣士」


・・・・ザワザワ・・・!!!
セイネンケンシッテ・・・アァ・・・!!キョウカショトカ・・・!!



王様「・・・本物か?」

青年剣士「本物だと・・・思いますよ」

王様「証拠は?」

青年剣士「・・・ここに自分がいることが証明です」


王様「・・・ふむ。では、本物というならそこの2人を殺せ」


青年剣士「・・・・は?」

 
格闘家A「・・・・はっはっは!」

格闘家B「聞いたかよ!こんな青二才が俺らを殺すだと!?」


王様「・・・できぬのか?」


青年剣士「殺める理由がないです」

王様「余は王である。その命令が聞けぬか」

青年剣士「残念ながら、王だとしても・・・命を奪う理由にはなりません」


王様「そうか、では格闘家の2人よ。その剣士を殺せば報酬を弾もう」

青年剣士「なっ・・・!」


格闘家A「・・・・へへ、そういうことだ」ジリッ

格闘家B「わりぃな・・・」ジリッ

 
青年剣士「・・・」


格闘家A「じゃあな、あの世でまた会おうぜ!」ビュッ

格闘家B「死ねぇ!」ビュッ


・・・・スッ
・・・・・・・・ズバシュッ!!!

ドサッ・・・


観客達「おおおお!?」

・・・ハヤクテミエナカッタ!!ナンダイマノ!!!


王様「・・・!」


青年剣士「・・・峰打ちです。俺もこんな場所では死にたくないので」シャキンッ


格闘家A「」
格闘家B「」

 
王様「今の抜刀術・・見事だった。・・・側近!」

側近「はっ!」

王様「あの2人を処刑せよ。弱い傭兵などいらぬ。それにこれからの大会も生き残れぬであろう」

側近「わかりました!」


青年剣士「何・・・ち、ちょっと待ってください!何も処刑しなくても!」


王様「・・・・」ピクッ

青年剣士「自分で言うのも何ですが、どこの馬の骨に分からぬ奴に倒された程度で・・・!」


王様「貴様、自分自身がどういう状況なのか分かっていないのか?」

青年剣士「どういうことですか・・・」


王様「・・・どういうことだ?」

青年剣士「・・・?」

 
王様「お前は、ただの似ている人物なのか・・・?」

青年剣士「どういうことです・・・?」

王様「お前、青年剣士ではないのか?」

青年剣士「そう・・ですが」


王様「・・・意味がわからないな。確かに、ここにいるはずはないのだが・・・」

青年剣士「・・・・」


王様「・・・ちょっと待て、お前はどこから来た?」

青年剣士「塔の暴走に巻き込まれたんです。暴走が起きたでしょう?」

 
王様「暴走・・・?赤い眼のなんちゃらのことか?」

青年剣士「そう・・ですが」

 
王様「確かにそれは・・起きたには・・・・起きた」

青年剣士「ですよね。その塔の暴走の際、頂上で魔力の渦に巻き込まれて、気づいたらココにいたんです」

王様「・・・成るほど、成るほど成るほど・・・」フフ

青年剣士「・・・・?」

王様「ふは・・・ふははははっ!!」


青年剣士「・・・どうしたのです?」


王様「面白い事を教えてやろう、その塔とやらが暴走したというのはな・・・・」




"700年も前の昔のことだ"

 
青年剣士「な・・・700年前!?」

王様「そういうことだ」

青年剣士「そんなバカなことが・・・!」


王様「バカは貴様だ。700年も前からここへ何しにきたというのだ」

青年剣士「・・・」


王様「少しだけ腕の立つ、似ているだけの男だろう?英雄剣士の名を名乗るなど!」

青年剣士(一体どういうことなんだ・・・・まさか、本当に700年後に・・・?)


王様「ウソはいかん。ま、今日の見世物はよかった。褒美をやろう、側近、50万ジェムをくれてやれ」

側近「はっ!そこの男、そこの出口にいろ。50万ジェムを渡そう」


青年剣士(ジェム・・・?)

側近「大事に使え。王様の直々の贈り物だ」

青年剣士「は・・・はぁ・・・」

 
観客A「うおーーー!よかったぞ!」

観客B「久々に楽しめる決闘だったわよー!」

観客C「英雄剣士の再来か・・・こりゃこれから楽しくなるぞ・・・!」



青年剣士「・・・・一体、何がなんだか・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・トコトコ・・


側近「そこから出れば、町にいける。そんな事も知らぬのか?」

青年剣士「はぁ・・・ど、どうも・・・」

側近「不思議な男だな。見た目はそのまま英雄剣士だというのに」

青年剣士「・・・英雄剣士とさっきから言われてるようですが、何のことなんですか?」


側近「それも・・知らぬのか?」


青年剣士「はぁ・・・すいません・・・」

側近「お前、自分が英雄剣士に似ているからココに現れたんだろう?謙遜するな」

青年剣士「・・・・」


側近「それより、外に出たら凄い騒ぎだろうからな。このローブを羽織っていくといい」パサッ

 
青年剣士「・・・?」

側近「決闘大会で顔を知られ、あそこまで盛り上げたからな。大衆にとっては大人気になるだろう」

青年剣士「・・・はぁ」

側近「ましてや伝説の人物、それに損じぬ・・あの強さ、人気にならぬほうがおかしいしな」

青年剣士「そ、そうなんですか」

側近「って、無駄口してる暇はないんだ。さっさといけ!」


青年剣士「あ、ありがとうございました・・・」パサッ


・・・トコトコ・・・


・・・カッ!!

 
青年剣士「うおっ・・・日差しが強いな・・・・って・・・」


・・・ザワザワ・・

野菜屋「いらっしゃいませー、新鮮な野菜いかがですかー」

行商人「何でもありますよー安くしますよー」

男「何でもします・・・・何でもします・・・お金下さい・・・・」


女「一晩1000ジェムでいかがー・・・」

少女「・・・ママァ・・」

女「しっ・・・、あんたも頑張らないといけないんだから・・・・!」

 
 
青年剣士「なんだ・・・こりゃ・・・」

 
町人「・・・・おっと」ドンッ

青年剣士「うわっ、すいません」

町人「あんた、こんな暑い日によくローブなんて被ってるね。大丈夫?」

青年剣士「大丈夫です。それより聞きたいのですが・・・」


町人「なんだい?」

青年剣士「ここはどこなんですか?」

町人「どこって・・・、新都中央国だけど・・・?」

青年剣士「ち、中央国・・・ここが?まるでスラム街じゃないか・・・」


町人「そりゃねえ、ここは貧困区だし」

青年剣士「貧困区・・・?」

町人「そうだよ、決闘大会のおかげで・・・これでも大分マシになったほうだけどね」

 
青年剣士「本当に一体・・・何がなんだかわかりませんよ・・・」ハァ

町人「・・・・?」


野菜屋「いらっしゃー・・・・あっ!」

子供「・・・」サッ

野菜屋「おい!ガキ!待てこらぁ!」


青年剣士「・・・泥棒?」

町人「・・・日常茶飯事さ。ここじゃ悪行をしない限り、食べれない子らも沢山いるんだ」

青年剣士「聖堂などの孤児院はどうなったんですか?」

町人「おいおい、いつの話だよ。300年前に王政が確立して全部廃止されたじゃないか」


青年剣士「は・・・はぁ・・・・」

 
子供「ど、どけええ!」

ダダダダッ!!!


青年剣士「おっと・・・」ドンッ

子供「う、うわっ!」

青年剣士「・・・盗みはよくないな。返してあげるんだ」

子供「うっせえ!」


青年剣士「・・・・」ハァ

子供「い、いてててっ!腕を・・・」


青年剣士「・・・!」ハッ

子供「何だよ!人の顔ジロジロみやがって!」


青年剣士「・・・へ?・・・・・"幼剣士"?」


子供「えっ?何で俺の名前を・・・・・」

 
野菜屋「はぁ・・・はぁ・・・・、ありがとうよ兄さん」

青年剣士「あ、いえ。盗んだものって幾らですか?払いますよ」

野菜屋「いいや、そいつは常習犯でね。王親衛隊に突き出して、罰を受けてもらう」


青年剣士「この子、預からせてください」

野菜屋「だめだ」


青年剣士「1万ジェムじゃ足りませんか」チラッ

野菜屋「・・2万だ」

青年剣士「・・わかりました」ゴソゴソ


・・・スッ


子供「・・・!」

 
野菜屋「へへ・・・1ヶ月分の儲けが一瞬で手に入りやがった、あんがとよ兄さん!」

青年剣士「・・・」

町人「あんたも物好きだね・・・・、じゃ。俺はこれで行くよ」

青年剣士「あ、あぁ・・・ありがとうございます」


子供「・・・いつまで手握ってんだよ・・・」

青年剣士「ん、あぁ・・・ごめんよ」


子供「・・・別に礼は言わないからな」

青年剣士「気にしないでくれ。君の名前は?」

 
幼剣士「・・俺は幼剣士」

青年剣士「・・・まさか・・・・・・、いやしかし・・・顔も・・・似ている・・・」


幼剣士「何ぶつくさ言ってんの?」


青年剣士「すまない、ちょっと・・・色々聞きたいことがあるんだ。家に案内してくれないか?」


幼剣士「・・・いいけど」

青年剣士「ありがとう」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・ガチャッ


幼剣士「ただいまぁ」

青年剣士「お邪魔します」

幼剣士「狭いところだけどね・・・・、おーい!帰ったぞ!今日は野菜が手に入った!」


青年剣士(・・・家の作りが荒い。泥を固めたものか・・・、クエストで見る貧困街にそっくりだ・・・、ん?)


・・・トコトコ・・

子供「ごほっ・・・ごほごほ・・・、あ、お兄ちゃん・・・お帰り・・」

幼剣士「少年剣士・・・ダメだろ!起きてきちゃ!」


青年剣士(し、少年剣士・・・・!?)ゾクゾク

 
少年剣士「あ・・・お客さん・・・・・?」


青年剣士「あ、あぁ・・・お邪魔してるよ。幼剣士、この子は君の・・・弟クンかな?」

幼剣士「そうだけど、血はつながってないよ。元々隣同士に住んでたんだけど、色々あって、成り行きで・・・」


青年剣士「?・・・そ、そうか。親は?」


幼剣士「いないよ。死んじゃった」

青年剣士「死ん・・・・だ?」

幼剣士「うん。王政大会に出場して。お母さんらもお城に連れてかれちゃった」


青年剣士(王政大会?決闘大会・・・?色々理解する必要がありそうだ)

 
少年剣士「お母さんか・・・会いたいなぁ・・・」

幼剣士「そ、それは言いっこなしっていっただろ!俺らだけでも生きていけるんだから!」


青年剣士「・・・この家に、何か歴史がわかる本とかはあるかい?」


幼剣士「歴史?古い本ならあるけど・・・それでもいい?」

青年剣士「あぁかまわない」


幼剣士「それとオジサン、いつまでフード被ってるの?家の中だし、暑いし脱げば?」

青年剣士「ああそうだな・・・・」


・・・・パサッ

 
少年剣士「えっ!?」

幼剣士「ええっ!?」


青年剣士「・・・初めまして」


少年剣士「えええ、英雄剣士さん!?」

幼剣士「きょ、今日の決闘大会に出てたあの人!?なんでここに!?」


青年剣士「・・・落ち着いてくれ」ハハ


幼剣士「落ち着いてって・・・な、なな・・・・」


青年剣士「とりあえず・・・、本を見せてくれるかな」ニコッ

幼剣士「う・・・うん」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・ペラッ


青年剣士「・・・」

幼剣士「どう・・・?読める・・・・・?」

青年剣士(俺の時代の字と、新しい字が混ざってるな。読みにくいが・・・何とかなりそうだ)


幼剣士「俺ら学校にも行ってないから、字とか読めないんだ・・・」

少年剣士「本が読めたら楽しいだろうけどなぁ」


青年剣士「ふむ・・・、分かる範囲で・・・口に出して・・この本を読んでみてあげようっ」


幼剣士「・・・うんっ」ワクワク

少年剣士「わあい!」ワクワク

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

"塔の暴走後、世界を救った7人は名誉賞を受け取り、その中で自らを犠牲にした青年剣士は英雄剣士の称号を授かった"

"その後1年以上、捜索隊が行方を捜索したが見つからず、死亡扱いとして処理された"


青年剣士(俺の事を英雄剣士と呼ぶのはこういうことか・・・ご丁寧に俺の絵まで付いてるのか・・・)


幼剣士「それは俺らも知ってるよなー?」

少年剣士「うんうん!」


・・・・ペラッ
 
"その数年後、太陽の国にてリッチが復活。作業員数名が死亡し、その前後で起きた騒動により大多数の死者を出した"


・・・・ペラッ

"更に20年後、かの名誉賞を受けた一人である幼剣士は、世界の冒険者の先駆けとなる・・・・を・・・し・・・・"


・・・・ペラッ

"僧侶戦士・・・・武道家・・・・英・・・・・、やがて・・・・・・・・・・・"

 
青年剣士「ところどころの文字が俺にも読めないな、すまん」


幼剣士「うーん・・・」

少年剣士「でもいっつも思うんだけど、この歴史に出てくる幼剣士って、幼剣士と一緒の名前だよね」

幼剣士「俺ら、もしかしたら子孫なんじゃねー!?」

少年剣士「あはは!そんなんだったら、こんな所じゃなくて、もっといい場所に住んでるよ!」


青年剣士(ふむ・・・、本当にここは700年後のよう・・だな・・・・)


・・・・ペラッ

"150年後、星屑戦争が再び勃発"
"300年後、軍の方針に逆らう暴動が起きる"
"400年後、軍の壊滅。王政が確立し、初代にかの英雄剣士の子孫である・・・・が・・・"
"600年後、世界経済が崩壊"
"650年後、魔界の扉が開放。奴隷化、侵攻が進む"

 
青年剣士「・・・・え?」

幼剣士「?」


青年剣士「魔界の扉が開いたって・・・どういうことだ?」


幼剣士「そのまんまだよ?俺らが生まれる前に、お父さんたちが魔界への侵攻で魔界を制圧したんだ」

青年剣士「・・・・!」

幼剣士「で、赤竜っていう偉い竜さんがいたんだけど、その竜も敗れて、人間が支配したんだって」


青年剣士「そんな・・・バカな・・・!!」

幼剣士「だから町に出ると魔物とかいっぱいいるよ?」

青年剣士「信じられない・・・」


少年剣士「・・・あ」

 
幼剣士「?」

少年剣士「もしかしたら、このおにいちゃんなら、あれ読めるんじゃない?」

幼剣士「あれって・・・アレ?」

少年剣士「うん」

幼剣士「そっか・・・持ってくる!」


・・・・タタタタタッ


青年剣士「・・・?」


・・・・タタタタッ


幼剣士「はぁはぁ・・・・これっ!」チャリッ


青年剣士「これは・・・・!!」

 
幼剣士「うちに伝わる古いネックレス。ずーっと、俺と少年剣士の家にあるんだって」

少年剣士「うん。2つあるんだけど、そのうち1つに文字が入ってるんだけど読めないんだ」


青年剣士「・・・・」チャリッ


幼剣士「・・・」ドキドキ


青年剣士(やはり・・・これは太陽のネックレス・・・そして・・・俺のと一緒・・・だが、2つ?)チラッ


少年剣士「?」

青年剣士(分からない部分があるが・・・やはりこの2人は・・・・)


幼剣士「やっぱり読めない?」

 
青年剣士「あ・・・いや・・・。んとね・・・これは・・・・封印魔術・・・だ」

幼剣士「・・・・?」


青年剣士(この封印魔術の文字、俺が書いたようにそっくりだ・・・どういうことだ・・・・)

幼剣士「開かない?」

青年剣士「・・・・解除魔法!」


・・・・パァッ!!


少年剣士「わっ・・・眩しい・・」

幼剣士「・・・!」


青年剣士「・・・ん?」パサッ


幼剣士「紙が出てきた・・・?」

 
青年剣士(手紙か・・・・?・・・間違いない、俺の字・・・!)


幼剣士「うーん・・・何て書いてあるか読めないな・・・・」

少年剣士「・・・?」


青年剣士(・・・ふむ・・・・)


幼剣士「?」

少年剣士「読めてるのかな?」


青年剣士「・・・成るほど」

幼剣士「・・・何かわかった!?」

 
青年剣士「・・・俺がここに来たのは偶然なんかじゃなかったってことだ!」

幼剣士「・・・?」

少年剣士「どういう・・こと?」


青年剣士「とりあえず、外に案内してもらおうかなっ!」

幼剣士「何が書いてあるか教えてくれてもいいのにー!」



青年剣士(これから起きるであろう事、過去に戻って幼剣士らを救うこと・・・は分かった。だが重要な部分が抜けている。これは・・・身を任せろということ・・だね)


幼剣士「うーん・・・まあいいよ、そう言うなら・・町を案内するよ・・・」


青年剣士「ありがとう」ニコッ

ここまでです。ありがとうございました。

前スレ > >289を書きこんだものです。
新スレ待っていました!
今後の展開を期待して、ワクワクしっぱなしです

乙。相変わらず面白いな。

1作目から追っかけです。
乙乙乙

皆さんコメント有難うございます(A´ω`)
>>39 >>41 >>42 楽しんでいってくださいね!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・ジリジリ

青年剣士「しかし暑いな・・・・、まるで太陽の国みたいだ・・・」

幼剣士「えっ!?太陽の国に行った事あるの!?」

青年剣士「うん。料理は美味しいし、凄い良い所だよ」


幼剣士「そんな場所もまだあるんだ・・・」


青年剣士「・・・どういうこと?」

幼剣士「太陽の国は、魔界の扉を開けたと同時に、温度が急上昇して生き物が住めなくなったって・・・」


青年剣士「・・・・」

 
幼剣士「こんな暑さだから、少年剣士のやつも外に出れなくて・・・。昔は一緒に遊べたのになぁ」


青年剣士「少年剣士は何かの病気なのかい?」

幼剣士「うん。魔界の瘴気っていうのかな、それにやられて体が衰弱していってるんだ」

青年剣士「・・・なるほどね」


幼剣士「それで、どんな場所を案内すればいいんだろう」


青年剣士「ローブは被ってるし、どこでも行けるから・・・軽く町の中でも・・・・」



・・・・ウォォォォォ!!!


青年剣士「なんだ?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

奴隷商人「さあさ、公認の決闘大会を始めるよ!参加は1万ジェムだ!」

観客「いいぞいいぞー!」

観客「今日も魅せてくれー!」



青年剣士「なんだありゃ?」

幼剣士「王公認の決闘大会。奴隷商人にお金を渡して参加できるんだ」

青年剣士「へえ・・・」

幼剣士「奴隷承認の隣にいる大きいのが傭兵。それを倒せばその更に横にいる奴隷を貰えるってわけ」


青年剣士「・・・横?」チラッ


赤髪少女「・・・」

青年剣士(・・・・・運命ってのは、ここまで残酷なのか・・・)

 
幼剣士「?」

青年剣士「ちょっと待っててくれ、参加する」

幼剣士「え!?だ、ダメだよ!あの傭兵は、戦争でもかなり有名な方だし・・・、いくら強くても・・・・」

青年剣士「はは、大丈夫。俺は・・・英雄剣士なんだろ?」ポン

幼剣士「・・・!」



奴隷商人「さあさ!今日はいないのかな!?」

傭兵「腰抜けどもが!」


・・・・スッ

奴隷商人「・・・お!?」


青年剣士「参加したい。1万ジェムでいいんだな?」

奴隷商人「おおお!きたきた!皆さん!参加者が現れましたよ!!!」

 
観客「うおー!いいぞいいぞぉぉ!」ウオオオ

観客「傭兵!今日も相手を華麗に殺してくれよ!」


青年剣士「・・・」チャリッ

奴隷商人「毎度!ルールはわかるかい?」

青年剣士「いや・・・」


奴隷商人「簡単。相手を潰せばいい。殺しても・・・・殺されてもね・・・・」ニヤッ

青年剣士「なっ・・」


・・・・バキッ!!!!
・・・ドサッ!!


傭兵「くはは!もう試合は始まっているんだぞ!余所見が命取だったな!!」

 
幼剣士「ああああっ、だから言わんこっちゃないのに!!」


観客「あっけねえぞ挑戦者!どうしたー!」

観客「つまんねーぞー!」ブーブー


幼剣士「・・・って・・」


青年剣士「・・・」スタッ


傭兵「・・・む?」

青年剣士「不意打ちとはやるじゃないか。だけど、ダメージって程ではないかな」


奴隷商人「何・・・・」


傭兵「ほう・・・?やるな・・・・・?」

 
青年剣士「ちょっとびっくりしたけどね」アハハ

傭兵「ならば・・・本気でいくぞ!!」

・・・・ビュッ!!


青年剣士「結構早っ・・・・!」バサァッ!!!

幼剣士「あっ、ローブが!」



フヨフヨ・・・・ファサッッ


青年剣士「あ・・・」

奴隷商人「な、ななななな・・・」

傭兵「・・・へぇ」ニヤリ


観客「・・・・!」

 
・・・・・・・ウオォオオオ!!!
キョウノタイカイノ!!
コンナトコロニイルナンテ!!!サインモラワナイト!!!


青年剣士「あらら・・・」

傭兵「・・・今日の大会見てたぜ。まさか手合わせ出来るとはな」ククク

青年剣士「本当は・・・隠したままやりたかったんだけどな・・」


傭兵「・・・本気でこい!」スッ

青年剣士「・・・そのほうが良さそうだね。君は凄い強いって分かる」チャキッ


幼剣士「剣を構えた!」

 
傭兵「うおらあああっ!!」ブゥン!!

青年剣士「踏み込みは早く、打撃も早い。パワーもある・・・」ヒュッ

傭兵「何をぶつぶつと!」ビュッ


青年剣士「だけど、大柄な分・・・・隙が多い!!」ブワッ!!


・・・・ドシュッ!!


傭兵「ぐふっ・・・・・」

青年剣士「勝負あり・・・・かな?」


観客「おおっ!一撃が入った!」

 
傭兵「ごほっ・・・・!てめ・・・」ググッ

青年剣士「げっ、刃を立てなくても急所入れたつもりだったんだけど・・・」

傭兵「・・・俺の事を甘く見るなよ!」ビュッ


青年剣士「わわっ・・・くっ・・・小斬連弾っ!」ヒュッ


・・・バキィ!!バキバキィ!!!


傭兵「ぐ・・・・ぁ・・・・・!」

青年剣士「これなら・・・!」


傭兵「・・・・まだだぁぁ!」ググッ

青年剣士「ちょっ!」

 
傭兵「俺らは傭兵だ・・・・戦いでしか生きられない・・・!手を抜くな・・・!俺はいつまでも立ち上がるぞ!」

青年剣士(戦いでしか、生きられない・・・・。そうか、戦いの信念は・・腐ったこの世にもまだ・・・あるんだ)


傭兵「どうじだぁ!!それで終わりか!」ポタポタ


観客「ち、血がひでぇ・・・」

観客「ど、どっちも頑張りやがれこのやろう!」



青年剣士「ならば・・・それに答えるのが礼儀だね・・・、大斬っっっ!!!」ビュッ


・・・・バキィィィ!!!!


傭兵「ぐ・・・が・・・・」


・・・ドサッ

 
観客「や、やりやがった。傭兵を倒しやがった!」

観客「やっぱあいつ英雄剣士だぜ、本物だよ!!」


・・・・ウオォォォ!!


幼剣士「本当に倒したよ・・・凄いな・・・」


青年剣士「さて、と。奴隷商人」

奴隷商人「ひっ、は、はい!」

青年剣士「そこの少女を貰えるんだろう?」

奴隷商人「あの、その、この子は魔族の子で非常に値段が高くて・・・・せめて50万ジェムを・・・」


青年剣士「・・・」ギロッ

奴隷商人「ひぃぃぃ、ど、どうぞおお!」

ダダダダダッ


青年剣士「あーあ・・・逃げちゃった・・・」

 
・・トコトコ・・・


赤髪少女「・・・」ビクビク

青年剣士(怯えてる・・・か。まるで俺が出会った時のままだ・・・・)


赤髪少女「あの・・・あなたが・・私の新しいご主人様ですか・・・?」ビクビク

青年剣士「・・・」

赤髪少女「何でも言う事を聞きます、何でもします・・・だ、だから・・・殴らないで・・・下さい・・・」グスッ

青年剣士「・・・」

赤髪少女「乱暴はやめてください・・お願いします・・・・」ビクビク

 
青年剣士「・・・」スッ

赤髪少女「ひっ!」ビクッ


・・・ギュッ

赤髪処女「・・・え?」


青年剣士「大丈夫。僕は君の事をいじめたりしない。嫌なことはしない。君を助けてあげるから・・・・」

赤髪少女「助け・・・私・・を・・・・・?」

青年剣士「うん。だから大丈夫・・・、ね?」


赤髪少女「あ・・・?な、なんかお兄ちゃん・・・・、ママの・・・匂いが・・・する・・・・」

青年剣士「・・・俺は君とはちょっとした繋がりがあるんだ・・・、だから大丈夫」


赤髪少女「ママみたいに・・・温かい・・・・」グスッ

 
青年剣士「・・・君の名前は?」

赤髪少女「私は赤髪少女。ママの名前をもらったの・・・・・」


青年剣士「そっか・・・」


赤髪少女「・・・」グスッ



幼剣士「・・・おーい。で、これから俺はどうすればいいんだろうか・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【夜・家の中】


青年剣士「ありがとう、泊めてくれて」

幼剣士「どうせ行く所がなさそうにしてたし・・・・しばらくはいてもいいよ」


少年剣士「・・・」スゥスゥ

赤髪少女「・・・」スゥスゥ


幼剣士「それと・・ありがとう・・色々買ってくれて。久々に美味しいモノ食べさせてあげられた」

青年剣士「何・・・このくらいしか出来ないしね」

 
幼剣士「・・・」

青年剣士「それと、決闘大会や王政大会って何のことだか教えてくれないか?」

幼剣士「決闘大会は1週間に1度やってるイベントみたいなもの。王政大会は年に1度開催される大規模な大会だよ」


青年剣士「何が違うんだ?」

幼剣士「どっちも戦士や傭兵らが出場するんだけど、王政大会で優勝すると、何でも王が願い事を叶えてくれるんだ」

青年剣士「願い事を?」


幼剣士「うん」


青年剣士(つまり王が支配する中で、市民の楽しみや市民の夢の為に大会を開いている、そういうことか)

幼剣士「まあ・・・ど、どっちも殺されるっていうのが隣り合わせで・・・・、お、俺らの親も・・・」

青年剣士「そうか・・・すまない」

幼剣士「・・・いいよ」

 
青年剣士(それにしても、竜族の子がこんな奴隷になるような世界か・・・・)

幼剣士「・・・さっき、あの赤髪少女と知り合いみたいな雰囲気だったけど、知ってる子?」

青年剣士「ん、いやまぁ・・・ね」

幼剣士「そっか」


青年剣士「その王政大会とやらは、出場する資格が必要なのか?」

幼剣士「ううん?あー・・でも、王国側に受理されないとダメってのはあるかな。もうすぐ開催するけど」


青年剣士「ふむ。やはりそれは、観衆も多いのかな?」

幼剣士「多いってもんじゃないよ、全世界で注目されるし、選手は全世界から集まってくるし・・・・」

青年剣士「なるほど・・・」

 
幼剣士「・・・うん」

青年剣士「それと、魔界の扉はどこにあるんだ?」

幼剣士「あー・・・お城。侵略した後、王様が魔界も支配して、色々なことをやってるみたい」


青年剣士(力の均衡が崩れたということなのか・・・)


幼剣士「・・・でも、何だかんだで王様のことは皆・・嫌いなんだ」

青年剣士「だろうな・・・」


幼剣士「俺らの親は、優勝して反乱を促そうとしてたんだけど・・・、それがバレて強い相手にぶつけられて、殺されちゃったんだ・・・」ウルッ

青年剣士「・・・立派な親だ」


幼剣士「うん、でも・・・俺らはまだ一緒にいて・・遊んでほしかった・・・し、もっと一緒に・・・・色々・・・」

青年剣士「・・・」

 
幼剣士「っ・・・」グスッ

青年剣士「だけど、良い事を聞いたよ」

幼剣士「えっ?」


青年剣士「簡単だったんだ。今の現状を打破するには、世界を変えればよかった」

幼剣士「そ、そんな簡単に・・・」


青年剣士「難しいことほど、意外と単純に解決策があるものだよ。逆に簡単なことほど、難しいこともある」

幼剣士「う・・・うーん?」



赤髪少女「・・・ん~・・」モゾモゾ


青年剣士「あ・・・ごめん、起こしちゃった?」

 
赤髪少女「青年剣士ぃ・・・抱っこ・・・・」

青年剣士「・・・おいで」ニコッ


・・・ギュッ


赤髪少女「えへへ・・・やっぱりママの匂いがする・・・」モゾモゾ


青年剣士「・・・君のママは・・今どこに?」

赤髪少女「人間が捕まえて、私は奴隷に売られたの・・・。ママに会いたいよう・・・」グスッ

青年剣士「大丈夫、きっと会わせてみせるよ」


赤髪少女「・・・本当?」

青年剣士「本当だよ」ニコッ


赤髪少女「・・・信じる!」パァァ

 
青年剣士「・・・うん」


赤髪少女「あ・・・・」

青年剣士「?」

赤髪少女「そういえば、ママがいつも言ってた・・・の思い出した・・・・・・・」

青年剣士「なに?」


赤髪少女「もし私に何かあったら、ある人に出会うから・・・そうすれば、すべてが上手くいくから大丈夫って・・・・」

青年剣士「・・・まさか」

赤髪少女「青年剣士が、その人なの?」


青年剣士「他に、何か言ってることはなかった?」


赤髪少女「うーん・・あっ!そういえば・・・ママが捕まるとき・・・」

 
青年剣士「・・何?」

赤髪少女「大声で、私は待ち続けているって伝えてって・・・大声で叫んでたよ・・・」


青年剣士「・・・・!」ドクン!!


赤髪少女「・・・どうしたの?」

青年剣士「ううん?何でも・・・ないよ」ドクンドクン


赤髪少女「・・・でも、胸が・・・ドクンドクンっていってる・・・大丈夫?」

青年剣士「ありがとう、赤髪少女は優しいね・・・」ギュッ

赤髪少女「えへへ・・・青年剣士も優しいよ」


幼剣士「何がなにやら・・・さっぱりわからない」

 
青年剣士「さて、今日も遅いし寝ようか。・・・幼剣士、明日は王政大会の申請を教えてくれるかな」

幼剣士「いいけど、参加できるかどうかは・・・・」

青年剣士「やってみなくちゃわからないだろ?」

幼剣士「そう・・・だね」


青年剣士「よいしょっと」ガタッ


赤髪少女「えへへ・・・抱っこ温かい・・・・眠くなってきた・・・」ギュゥッ

幼剣士「じゃ、眠いし・・・寝よう」フワァァ


青年剣士「そうだね・・・お休み」


赤髪少女「おやすみなさい・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【次の日・コロシアム前】



青年剣士「ここ?」

幼剣士「うん、登録はもう行われてるけど、やっぱり認められないとダメだよ」

青年剣士「ダメで元々、いってみよう!」


・・・ドンッ


青年剣士「おっと、すいませ・・・・あ」

傭兵「・・・ん?」

青年剣士「あ、昨日の傭兵さん」

傭兵「ああ、お前か。昨日は強力なのを貰ったけどな、1日寝たら直ったぜ」

青年剣士「ど、どんだけですか・・・・」

 
傭兵「お前がここにいるって事は、大会にでも出るのか?」

青年剣士「あ・・・はい、王政大会に出ようかなと」


傭兵「無理だな」


青年剣士「はぁ~・・・やっぱり口を揃えて無理・・・か・・」

幼剣士「だから言っただろー!って・・・昨日、あんなに戦いあったのに、何で普通にしゃべってるの!?」


傭兵「昨日は昨日、今日は今日。それが傭兵ってやつだ」

青年剣士「昨日の仲間は今日の敵、昨日の敵は今日の友、ってやつですね」


傭兵「そうだな!」


幼剣士「うーん・・・よくわからない」

 
傭兵「つーかよ、傭兵傭兵って、これでも一応・・・王立兵士団の傭兵なんだ。まあ、王傭兵って呼んでくれ」

青年剣士「王立兵士団・・・」


王傭兵「あぁ・・・、まあ王の下っ端だけどな」

青年剣士(俺らでいう軍みたいなものか)


王傭兵「で・・・お前は確か、王政大会に出たいんだよな?」


青年剣士「だけど無理なんですよね?」

王傭兵「まぁお前だけではな。ついて来い・・・」


青年剣士「え?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・ザワザワ・・

王傭兵「・・・うーっす」


大会受付「あれ、王傭兵じゃん。どしたん?」

王傭兵「ああ、ちょっとな。今って王政大会の受付してるよな?」


大会受付「先週から始まってるぜ。もうすぐ受付終了で、来週にはもう始まるぞ?」


王傭兵「丁度よかった。コイツ入れてくれ」

青年剣士「ど、どうも」ペコッ


大会受付「うおおお!あんたは昨日の!!」

王傭兵「まあコイツだけじゃ無理だけど、俺の名前通せば何とかなるだろ?」


大会受付「そうだな!是非とも出てほしいし、あんたの名前使って出しとくよ!」

王傭兵「ありがとよ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


青年剣士「ど、どうもでした」

王傭兵「なに、気にするな。俺もあんたが大会に出るのを見たくなっただけだ」

青年剣士「そうですか・・・ありがとうございます」


幼剣士「それじゃあ来週から本番かぁ。頑張ってよっ!」


青年剣士「任せてくれよ!」


王傭兵「で、もし優勝できたら何を願いたいんだ?」

青年剣士「王政の反乱を・・・・あっ」

王傭兵「何?」ピクッ

 
青年剣士「ななな、何でもないですよ?」


王傭兵「しっかり話せ。・・・興味がある」

青年剣士「え?」


王傭兵「ここじゃ場所が悪い。俺の行き着けの酒場に来い」


青年剣士「あー・・・」チラッ

幼剣士「・・・あ、ああ!俺は家に戻っておくよ!」


青年剣士「・・ごめんね、ありがとう」


・・・タッタッタッタ・・


王傭兵「・・・こっちだ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


店員「いらっしゃいませー!」

・・・コッチ、エール2ツ!!
・・ツマミタリネーゾーーー!!!


王傭兵「ははは、ガラの悪い人間ばっかだろ」

青年剣士「まー・・・お世辞にも・・」


王傭兵「だからこそ、気兼ねない仲間なんだ。もちろん、さっきの話なんかも日常茶飯事だが・・・」

青年剣士「・・・?」

王傭兵「今までは夢物語だった。だが、お前の強さならやれるかもしれん。詳しく聞かせてくれ」


青年剣士「・・・はい」

 
王傭兵「・・・なるほど、700年前の世界から・・・か」

青年剣士「にわかには信じられないでしょうけど」

王傭兵「いいや、信じるぜ。それじゃないと、あんたがココにいる理由がない」グビグビ

青年剣士「俺が?」


王傭兵「・・・確かに歴史上、英雄剣士が数年間行方不明になってた時期がある。それが今回だとすると、ツジツマが合う」


青年剣士「なるほど、そんな事まで書かれているんですか・・・」ハハ

王傭兵「いやそりゃな。お前の息子とか、弟子だとか、色々なもん知ってるぜ?」

青年剣士「息子・・・弟子・・・・」


王傭兵「ああ。お前の息子はな・・・・」グビグビ


青年剣士「あ、止めてください。あまり、自分関連で・・これからの出来事は知りたくないんです・・・」

王傭兵「・・・そうだな、もっともだ」

 
青年剣士「過去に戻った後の俺からの手紙も、あまり内容がなかったのはそういう事でしょうしね。自分自身でわかっているんです」

王傭兵「過去も未来も自分らしさを突き通すんだな、アンタは。英雄剣士サン」


青年剣士「その呼び方慣れてないんですよね・・・、自分で実際受け取ったわけじゃないですし・・・」


王傭兵「そうか、塔の暴走後に死亡扱いになったってあったしな。その時だったか?」

青年剣士「らしいですね・・・」


王傭兵「まぁ・・・んで、本題。優勝してどうする?」


青年剣士「優勝したら、いきなり叫ぶつもりです。観衆の前で、立ち上がれ、魔物たちよ、民衆たちよ・・・と」

王傭兵「・・・動くと思うか?」


青年剣士「動きませんかね」

 
王傭兵「アンタが魔物なら、数十年もいきなり人間界に落とされて、そこから苦痛の中を過ごしてる中、突然現れた人間に同意するか?」

青年剣士「・・・そうですね」

王傭兵「まぁ、コネでもあるなら別だけどな?」

青年剣士「コネですか?」


王傭兵「ああ。例えば、強力な魔物を知ってるとか、身内にそれに近い力を持つ人がいる、とかな」


青年剣士「なるほど・・・、まぁ、宛がないわけではないのですが・・・」

王傭兵「ほう?」


青年剣士「それと、王傭兵さんは何で俺に親身になるんです?」


王傭兵「親身も何も、今の市民に王政を良いと思ってるやつなんざ一人もいねーよ」

青年剣士「それが、王立兵士団だとしても・・・ですか」


王傭兵「・・・あぁ」

 
青年剣士「・・・今、王政の中央になる戦闘力はやはり王立兵士団なのでしょうか」

王傭兵「間違いないな。だが、昔ほどの統制もなければ実力もない」

青年剣士「昔ほど?」


王傭兵「50年前の魔界の開放をしたメンバーはもう、この世にはいない。いるのは年老いて、実力無しの老害共よ」


青年剣士「では何故立ち上がらないんですかね」

王傭兵「さっきの理由だ。支配されることに慣れすぎたんだ。これが当たり前、これが当然、ってな」


青年剣士「確かに、時代がそうだそうだと言ってるようなものですしね」


王傭兵「そんな中、お前はこの時代に流されてはいない。俺にとっちゃ、希望の星・・・だ」


青年剣士「任せてください・・・俺は、この時代を救うために来たのかもしれませんね」

王傭兵「嬉しいこと・・・言うねぇ」ニカッ

  
青年剣士「それじゃ、俺はこれで失礼します・・・ご馳走様でした。色々お話聞けてよかったです」ガタッ

王傭兵「おう!」


・・・・タッ・・タッ・・・タッ・・・ガチャッ・・



王傭兵「・・・」


「・・・」

「・・・」

「・・・」

ガタッ・・・ガタガタガタッ・・・

 
酒場の戦士「よお、話聞いてたぜ。動くのか・・・」

王傭兵「俺だけじゃ無理だ。あの英雄剣士サンの動きによる」


酒場の魔法使い「そうだな・・・、素性は最早関係ねぇ。あんたが信頼するなら俺らも信頼する」

王傭兵「・・・ありがとよ」


酒場の僧侶「・・ところで伝えたのか?」

王傭兵「何をだ?」


酒場の武道家「ここが、国家反逆のレジスタンス軍の本部だって事を・・・だ」

今日はここで終了です。ありがとうございました。

乙です。凄く面白い!!

ひとつ質問。
この時の青年剣士は何歳かな?
前作を参考にすると、(元の世界の)幼剣士が10歳位なんだっけ?

>>88 23歳くらいですね。 皆様ありがとうございます( ^ω^)お

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・ガチャッ


青年剣士「ただいま~」ヨイショ



赤髪少女「あ、お帰りなさい!」

少年剣士「お帰り・・・なさいゴホゴホ・・・」

幼剣士「お帰り、何か収穫はあった?」


青年剣士「ああ、だいぶあったよ。俺が俺の道を行くってことが、改めて決意になった」


幼剣士「・・・応援してる」


青年剣士「あぁ・・・」

 
幼剣士「ところで・・・その良い匂いのする物は何・・・・?」ジュルリ


青年剣士「帰りに焼き豚とか、飲み物とか、色々買ってきた。保存食もあるし、これでしばらくは大丈夫だろう」

幼剣士「・・・」ジュルリ

赤髪少女「・・・」ジー

少年剣士「・・・」ゴクッ


青年剣士「はは・・・、じゃあ今日も美味しい物作ろうか!」


3人「わぁい!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

赤髪少女「・・・」スゥスゥ

青年剣士「・・・・」スゥスゥ


・・・モゾッ

幼剣士「・・・少年剣士、起きてるか?」

少年剣士「起きてる・・・よ」

幼剣士「なんか、最近楽しいな」

少年剣士「うん・・・」


幼剣士「青年剣士のおかげ・・だよな」

少年剣士「そうだね・・・美味しい物も沢山食べれて・・・、夢みたいだよ」

幼剣士「うん・・・」

 
少年剣士「お母さん・・・お城で大丈夫かな・・・」

幼剣士「心配だよな・・・」

少年剣士「・・・」

幼剣士「・・・」


少年剣士「いつか、また会えるかな?」

幼剣士「きっと会えるさ!」


少年剣士「うん」

幼剣士「それより、青年剣士はこれからどうするんだろう・・・」


少年剣士「世界を変える・・・か、本当に出来るのかな」

幼剣士「わからない。けど、この人の言葉には・・・こう、何かある気がする」

少年剣士「そうだよね・・・僕もそう思う・・・」

 
幼剣士「・・・変に考えると眠れなくなるな、さっさと寝よう」

少年剣士「うん・・・おやすみなさい」

幼剣士「おやすみ・・・」


少年剣士「・・・」

幼剣士「・・・」


青年剣士「・・・・」


・・・モゾッ


青年剣士(きっと、また幸せを見せてやるからな・・・みんな)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・チュンチュン・・


青年剣士「・・・」ガバッ


幼剣士「・・・」スゥスゥ

少年剣士「・・・」クゥクゥ

赤髪少女「・・・」スースー


青年剣士「みんな寝てるか・・・、ちょっと一人で外に出てみるか・・・」



・・・ガチャッ・・・バタン・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


青年剣士「毎日毎日・・・、本当に暑いな・・・」ハァ


野菜屋「あ、泥棒!」

喧嘩屋「やるのかコラァ!!」

娼婦「寄っていかない?お兄さん~・・・」



青年剣士「・・・町は相変わらずだしね」


・・・トコトコ


青年剣士「・・・ん?」


???「よう・・・」

 
青年剣士「・・・あなたたちは・・、確か酒場にいた・・・」


酒場の戦士「よう・・・」

酒場の魔法使い「ちょっくら、着いてきてくれねぇか・・・?」

酒場の僧侶「なぁに・・悪いようにはしねえよ・・」


青年剣士「・・・何が目的だ?」チャキッ

酒場の戦士「だから、悪いようにはしねーから、着いて来いって・・・な?」


青年剣士「・・・」


酒場の僧侶「・・・王傭兵の知り合いだ。安心しなよ」ハァ

青年剣士「王傭兵さんの・・・、わかりました」ホッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・ザワザワ・・


青年剣士「ここは・・・昨日と違う酒場ですね?」


酒場の戦士「まぁな、俺らは色々な場所に・・・」

酒場の僧侶「ば、ばか、まだそれはダメだって言ってただろ」

酒場の戦士「あ・・そうか。すまねぇ」


青年剣士「・・・?」


酒場の戦士「で、あんたに聞きたい事がある」


青年剣士「何でしょうか?」

 
酒場の戦士「700年前の話も昨日ちょっと聞けたが、あんたぁ・・・どんくらいの実力があるんだ」


青年剣士「実力ですか・・・、剣技、魔法だけなら自分でも結構いけるとは思います」

酒場の戦士「ほう・・・?」

青年剣士「魔物の討伐くらいなら1人でも出来くはないですし・・・どのくらいかと言われると・・・」


酒場の戦士「そりゃな、魔獣しか倒せません、とか言われたから俺らはアンタを信用しねえ」

青年剣士「・・・」


・・・ドン!


酒場の僧侶「それと・・単刀直入に言う。あんたの言ってる事が本当なら、あんたは大会で勝つ事は絶対できねぇ」


青年剣士「・・・え?」

 
酒場の僧侶「聞こえなかったか?」

青年剣士「いえ、しっかり聞こえました。どういう事ですか・・・・・・?」


酒場の戦士「・・・」チラッ

酒場の僧侶「・・・」コクリ

酒場の魔法使い「・・・裏通りだと人がいねえ。こい」


青年剣士「は、はい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


酒場の僧侶「いいか、一応俺らも英雄剣士サンの事は勉強で聞いた事がある。技もわかる、あんた使えるんだろ?」

青年剣士「どこの時代までかは知りませんが、自分自身のことなので、使えますよ」

酒場の僧侶「じゃあよ、火炎装から火炎刃までやってくれないか。俺に向かって」


青年剣士「えっ、で・・でも」

酒場の僧侶「やれっつーの!やればわかる!」


青年剣士「は・・・はい!火炎装っ!」ボワッ


酒場の戦士「へえ・・・やっぱり感じる魔力も相当だ・・・、すげぇな・・・」


青年剣士「・・・いいんですね?」

酒場の僧侶「こい!」


青年剣士「火炎刃っ!」ビュッ

 
酒場の僧侶「小水円魔法!」ギュンギュン!!


・・・バシャアッ!!!


青年剣士「え・・・、小魔法にかき消された・・・・!?」

酒場の僧侶「・・・小火炎刃魔法!」ビュッ

青年剣士「!?」


・・・ドゴォォン!!!


酒場の僧侶「・・・・どうだ?」

青年剣士「・・・・いてて・・、し、信じられない。火炎刃を武器なしで出すなんて・・・・」

酒場の僧侶「それだけじゃない、水、風、雷、闇、光属性の全てから出せる」


青年剣士「そ・・・そんな・・・」

 
酒場の戦士「やっぱりな」

酒場の僧侶「思った通りだ・・・」


青年剣士「・・・・」


酒場の僧侶「いいかい、よく聞くんだ。アンタはパワーもある、魔力もある。魔法も使える。だがな・・・」

青年剣士「・・・」ゴクリ

酒場の僧侶「技術がない。700年前で止まったまんまなんだ」


青年剣士「そ・・・そうか・・・・・」

 
酒場の戦士「英雄剣士サンの世界は素晴らしい生活技術と統率力があって、平和だったんだろう?」

青年剣士「は、はい」 
 

酒場の戦士「だがな・・・俺らは戦いの中で生きてきた。戦闘技術は常に形を変え、今がある」

青年剣士「・・・・」

酒場の戦士「この700年の差は・・・大きすぎるんだ」

青年剣士「埋まる事がない・・・差・・」


酒場の僧侶「と、言いたい所だが。そのために俺らがいる」


青年剣士「え?」

酒場の僧侶「俺らはアンタを買ってるんだ。俺らがわかる範囲で技術を教える・・・・な?」

 
青年剣士「い、いいんですか!?」

 
酒場の僧侶「構わねーよ。な?」

酒場の戦士「あぁ」

酒場の魔法使い「任せろ」


青年剣士「み・・・皆さん・・・・」


酒場の僧侶「もう大会まで日数もない。俺らが叩き込んでやるぜ!」

青年剣士「ありがとうございます!」


・・・・トコトコ・・


王傭兵「遅れたが・・・、俺も手伝うぜ・・・」


青年剣士「お、王傭兵さん・・・」

王傭兵「俺のしがない戦い仲間達だ。仲良くしてやってくれよ」


青年剣士「はいっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・ 
―――【数日後】


青年剣士「はぁ・・・はぁ・・・・」

酒場の戦士「やっぱ筋はとんでもなくいいな・・・・、あっという間に抜かされちまった」

青年剣士「いえいえ・・・皆さん本当に強くて・・・」


酒場の僧侶「なぁに、食いっぱぐれがないように日々鍛錬しているだけだ」ニカッ

 
青年剣士「しかし、本当に凄い技術ですね。魔法の合成なんて・・・・」

王傭兵「風刃魔法と火炎魔法で、火炎刃。衝撃波と水流を合わせ、相手を掴める水円魔法・・・・」

酒場の僧侶「その技術のほとんどは・・盗んでいっちまったけどな」


王傭兵「そだな・・・」ハハハ


酒場の戦士「時に・・・王傭兵」ボソボソ

王傭兵「なんだ?」ボソボソ

酒場の戦士「英雄剣士サンには、俺らがレジスタンスだって教えなくていいのか?」

王傭兵「敵を欺くには、まずは味方から・・・だろ?」

酒場の戦士「まぁ・・・そうだな。色々なタイミングは任せるぜ、リーダー」

王傭兵「おう・・・任せてくれ」

 
青年剣士「あと、2日後には大会が始まるんですね」チャキッ

王傭兵「まずは予選だ。人数参加に制限があるからな、1回勝てば本選に出れる」


青年剣士「早いですね」


王傭兵「本当に先鋭された戦士らが出るからな。人型の魔物も出場するんだ」

青年剣士「ま・・マジですか」

王傭兵「4年前から、ずっと連覇してるのは竜族の末裔だぞ」

青年剣士「・・・・」


酒場の戦士「それまでは王傭兵が優勝してたんだぜ!何食らっても倒れねぇ、"不沈艦"って呼ばれてたんだ」

青年剣士「へええ!やっぱり凄いんですね王傭兵さん」

王傭兵「昔の話だろ・・・やめろよ。もう俺はそこまで若くないしな・・・・」


青年剣士「・・・」

 
王傭兵「だからこそ、お前には期待してるってもんだ・・・頼んだぞ」グッ

青年剣士「任せてください」グッ


王傭兵「さ、あまり修行を詰め込みすぎても体に毒だろう。今日は飲もうぜ!」

青年剣士「・・・はいっ」ニコッ

王傭兵(何ていい笑顔だよ・・・)


酒場の戦士「明日の修行は前日になるからな、休みにしよう」

青年剣士「そうですね・・・、世話になってる所の子供らとも・・あまり構えませんでしたし、久々に一緒に外に出ますよ」

酒場の戦士「それがいいな。じゃ、飲みにいくかぁ!」

 
青年剣士「俺はほとんど飲めないんで勘弁してくださいね・・・」

酒場の戦士「あぁ!?樽いっぱい飲んでもらうぜ!」

酒場の僧侶「ハハハ」


「ええ・・・勘弁してくださいよ・・・」


「はははは・・」


「勘弁しn・・」


「・・・」


「・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【次の日】


青年剣士「よしっ・・・今日は遊ぼうか!」


幼剣士「修行は?」

青年剣士「明日から大会だからね、今日は休み!」

赤髪少女「じゃあ遊びに行けるんだ!」

青年剣士「そーいうこと。幼剣士、どっか遊べる場所とかないか?」


少年剣士「いいなぁ・・・僕も行きたかった」

 
青年剣士「っと・・・、少年剣士にも楽しめるお土産とか、一緒に行ける所があればいいんだが・・・」

幼剣士「出かけるのは無理かな・・・、お土産かぁ・・・」

赤髪少女「・・・」ワクワク


青年剣士「うーん・・・」


・・・コンコン


幼剣士「・・・誰だろう。はーい!」


・・・ガチャッ

 
王傭兵「うーっす」

酒場の戦士「おっす」

酒場の僧侶「よう」


ドカドカ・・


幼剣士「な、なんだあんたら!・・・って、王傭兵?」

王傭兵「年上になんつー口の聞き方だ・・・、ここが世話になってる家か?」


青年剣士「王傭兵さん。そうですね、ここで一応今は世話になってます」


少年剣士「わぁ・・・凄い!武器だ・・・かっこいいなぁ・・・ごほっ・・・ごほごほ・・・」

赤髪少女「・・・!」

 
王傭兵「そうかそうか、かっこいいか!」


赤髪少女「・・・おじさん!」

王傭兵「なんだ、俺のこと覚えてたのか?」ウハハ


青年剣士「・・・・?」

赤髪少女「このおじさんはね、私が奴隷商人に捕まってたとき、凄い優しくしてくれたんだ」

王傭兵「よせよせ、当たり前のことだ」

青年剣士「そうなんですか・・・、ありがとうございます」


王傭兵「はっはっは」


幼剣士「見た目はアレだけど、噂より全然やさしくていい人なんだな」

 
王傭兵「見た目はいうな・・・、噂は仕方ないことだ。そうしないと食べていけないからな・・・」


酒場の僧侶「それで・・・こっちの子は・・・魔界の影響だな」

少年剣士「ごほっ・・・ごほごほごほ・・・」

酒場の僧侶「おい、口あけろ」


幼剣士「おい!何する気だ!」

酒場の僧侶「俺は僧侶だ。安心しろ・・・」


少年剣士「?」アーン

 
酒場の僧侶「ちょっと苦いぞ。そのまま飲み込め」ポイッ

少年剣士「うぇっ・・・苦いっ・・・」


幼剣士「・・・」

少年剣士「・・・」


酒場の僧侶「咳、止まったか?」


少年剣士「あ・・・、凄い!苦しくなくなった!」

酒場の僧侶「俺が作った咳止めだ。少し置いていこう。これで大分楽になるはずだ」


青年剣士「い、いいんですか?」


王傭兵「おう、今日来たのは・・そういう色々な事よ。お前に活躍してもらうためにも、俺らが奉仕しねーとな」ハハハ

 
青年剣士「ありがとうございます・・・」


王傭兵「ああ・・・ジャマして悪かったな。今日は皆で遊ぶんだろ?俺らはこれで失礼するぜ」

赤髪少女「・・・」ジー

王傭兵「ん?」

赤髪少女「おじさんも、一緒に遊ぼ?」


王傭兵「はっは、気持ちはうれしいが、さすがにな」


青年剣士「俺はいいですよ」

幼剣士「お、俺もいいぜ?」

少年剣士「皆いってきなよ!」

 
王傭兵「参ったな・・・・」


酒場の僧侶「せっかくだし、町案内がてら行こうか。俺がいれば、この少年も一緒に外に出れるだろう」

少年剣士「えっ!?」

幼剣士「本当か!?」


酒場の僧侶「大体の緊急事態には対処できるしな。安心しろ」


赤髪少女「えへへ、皆で遊ぼ!」


青年剣士「すいません・・・、お世話になっても・・・」

王傭兵「お前らがいいならいいさ、今日は大判振る舞いだ!いくぞ!」


全員「オーーッ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
―――【夜・酒場】


・・ザワザワ・・・・・

青年剣士「今日は本当にお世話になりました。みんな楽しそうでした」ペコッ

王傭兵「気にするな。俺らも楽しかった、なぁ?」

酒場の戦士「全くだ。俺の子供もあんくらいの歳でな・・・」


青年剣士「そうなんですか・・・今は?」


酒場の戦士「・・・病で倒れた。その時は今ほど人にも恵まれず、そのまま・・・な・・・」

青年剣士「・・・すいません・・・」

酒場の戦士「いいってことよ。人の命は輪廻転生、いつか巡りめぐってまた出会う」

青年剣士「いいですね、その考え方」

 
酒場の戦士「だろ?人の命とかかわる仕事をやってる手前、色々と考えることも多いからな・・・」

青年剣士「・・・」


王傭兵「それより、明日だ。明日から予選だ、大丈夫だな?」

青年剣士「えぇ、大丈夫です」グッ

王傭兵「その言葉さえ聞ければ・・・安心だ」


青年剣士「・・・」ニコッ

王傭兵「・・・」ニカッ


酒場の戦士「それより飲もうぜ!」

酒場の僧侶「そうだな!店員!赤ワインと山ぶどうのジュース、適当なつまみ、たくさんもってこい!」


店員「わかりましたァー!」

 
・・・・・・・・・・・・・・

店員「お待たせしました!ワインと、おつまみ、山ぶどうのジュースです!」


王傭兵「ありがとよ・・・それじゃ」


酒場の僧侶「・・・」

酒場の戦士「・・・」

酒場の魔法使い「・・・」

酒場の格闘家「・・・」

青年剣士「・・・」



王傭兵「俺らの明日に向かって・・・・乾杯!!」ビュッ


・・ガシャァァン!!!

「カンパァァァァイ!!!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【そして、大会当日】


大会受付「あ、来た来た!英雄剣士さん!」


青年剣士「すいません、ちょっと遅れました」

大会受付「今日から王政大会の予選なんですから・・・、登録名は英雄剣士にしません?」

青年剣士「あ、すいません、青年剣士でお願いします」


大会受付「いいの?英雄剣士のほうが、インパクトそっちのほうがあるんじゃない?」


青年剣士「あー・・・いえ、青年剣士で・・・」

大会受付「・・・わかりました、それでは中央にお進み下さい。早速予選が始まりますよ」

 
・・・・・コツ・・コツ・・・コツ・・・

・・・ギィィィ・・・



・・・・・ウワァァァァァアアア!!!

アナウンス「さあ本日より予選が開始されます!注目すべきはあの"英雄剣士"の再来!皆さん、ご期待ください!」

観客「うおおおおお!」

観客「早く始まってよおおお!」

 
青年剣士「す、すごい声援だな・・・」


幼剣士「頑張れーーー!」

赤髪少女「青年剣士頑張ってーーー!」

王傭兵「おうおう、こんな所で負けるんじゃねーぞ?」


酒場の魔法使い「いけー!」

酒場の戦士「お前なら出来るぜぇぇ!」

酒場の僧侶「俺らが直々に教えたんだ!いけるぞおおお!」

 
青年剣士「・・・・」チャキッ


アナウンス「それでは予選、第一戦!青年剣士・・対・・・国兵士!」


国兵士「・・・よろしく」

青年剣士「よろしく」



アナウンス「・・・はじめっ!!」



青年剣士「・・・」スッ

国兵士「・・・」スッ


青年剣士「・・・おりゃああっ!」

今日の更新はここまでです。
明日は少し用事があるので、更新できません・・・よろしくお願いします(A´ω`)

遅れながら、皆様多くのコメントありがとうございます!です!(A´ω`)

 
タタタタタ・・・キィン!!キィン!!!

キィン!!キキキィン!!!


青年剣士(しっかりと目で追ってきてる・・・)

国兵士(やはり英雄剣士の名前は伊達じゃない・・・攻撃が重い!)


青年剣士「・・・小水円魔法!」ギュンギュン!!

国兵士「・・・ぬぐっ!体に巻きつけるとは!」ググッ


青年剣士「火炎装っ!」ボワッ

国兵士「ぐ・・・ぐぬぬぬ・・・・!」ギギギ


青年剣士「火炎刃っ!」

 
・・・・・ドゴォォォン!!!


青年剣士「・・・・」


・・・モクモク・・


国兵士「っぶねぇ・・・、反応が遅れてたらやられてた・・・」

青年剣士「・・・あれを防ぐなんて・・」



酒場の戦士「落ち着けー!」

赤髪少女「がんばってぇぇ!」

幼剣士「いけるよーーーー!!!」

 
国兵士「こっちの番だ!大突連撃!!」ビュビュビュビュッ

青年剣士「くっ!ぐっ・・・」ビュッビュッ


・・・キィン!!キキキィン!!


国兵士「そこだ!大爆炎魔法!」


・・・ボゴォォォン!!!

青年剣士「うああっ!」ドサッ!


国兵士「勝機っ!」

・・・・ダダダダッ


幼剣士「あっ!危ない!」

 
国兵士「・・・」チャキッ

青年剣士「く・・・」

国兵士「これ以上動けば、首を落とす。お前の負けだ」



・・・・ウワァァァッ!!!!

アナウンス「おおおっと!?こ、これは・・・・まさか、英雄剣士が敗北かああぁっ!?」

 
幼剣士「せ、青年剣士が負けたの・・・?」

赤髪少女「青年剣士ぃぃ!」



王傭兵「・・・はっは、上手いもんだな」

酒場の戦士「教えた魔法、全部自分の物にしちまいやがって・・・」


幼剣士「え?」



国兵士「・・・・む!?」

青年剣士「・・・へへ」ユラリッ

国兵士「なっ、英雄剣士が霞んで・・・これは!」


・・・・チャキッ

 
青年剣士「本物は後ろでした。これは・・・俺の勝ちですよね?」

国兵士「これでは私が首を跳ねられるな。負けだ・・・・」


・・・カランッ


青年剣士「ありがとう」


アナウンス「うおおおおっ!決着!・・・どうしたことだ!?倒れた青年剣士の姿が消え、気づけば後ろに・・・・!」


幼剣士「今のは・・・?」

酒場の戦士「幻影魔術。水魔法と炎魔法で霞を生ませ、自分の分身を作りだす」

幼剣士「・・・!」

王傭兵「・・・さすがだな、完璧な戦いぶりだった」

 
青年剣士「よしっ!」

国兵士「・・・さすがですな。やはり私は貴方には及ばなかったようだ」

青年剣士「いえいえ・・・」


アナウンス「波乱の予選!英雄剣士はやっぱり・・・強かった!」

・・・・ワァァァァッ!!!



青年剣士「ふう・・・これで一回、戻っても大丈夫なのかな」

王傭兵「おーい、こっちだこっち」

青年剣士「あ、王傭兵さん・・・」


王傭兵「さすがだな。これで本選キップは手に入れた。明日からは王も見学に来る、決勝トーナメントになる」

 
青年剣士「・・・」ゴクリ

王傭兵「期日は1週間で、引き続きこのコロシアムだ」

青年剣士「それなら楽ですね」

王傭兵「一応俺らは明日以降の対戦相手をしっかり見てくる。お前は今日は休んでおけ」


青年剣士「え!?い、いやでも・・・」


王傭兵「体が資本だろ。休むんだ」

青年剣士「そう・・・ですね。お願いします」

王傭兵「それでいい」ニカッ



青年剣士「それじゃ・・・また明日に」

王傭兵「おう、少女と幼剣士はあとで家に送っておくさ。まだ戦いを見たいらしい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・ガチャッ

青年剣士「・・・」キョロキョロ

少年剣士「・・・」スゥスゥ


青年剣士「寝てるか・・・、えっと暇だしな・・・本でも読むか・・・」


・・・ゴソゴソ

青年剣士「・・・・」キョロキョロ


・・・ゴソゴソ・・・ピタッ

青年剣士「・・・!」

 
・・・スッ

青年剣士「"英雄達の軌跡"・・・・これは・・・」


・・・ドクン・・・ドクン・・


青年剣士「知ってはいけないこと・・・分かってる・・・でも・・・・」


・・・ドクン・・ドクン・・・・・・・・


青年剣士「・・・・・・あんな偉そうに"未来を知りたくない"といったけど・・・やっぱり・・・」


・・・パサッ

 
"英雄達の軌跡。英雄とは、国を救い、世界を救った者に与えられた名誉ある称号の1つである"

"英雄と呼ばれた戦士達は、魔王と呼ばれた魔界の住人と功績を残した人間たちから始まった"


英雄剣士、英雄魔法使い、英雄武道家、英雄騎士。

その4人から全てが始まり、かの英雄剣士の・・・・、・・・・・・。・・・、息子・・・・・・、・・・・。


やがて、青年剣士は子供時代に12歳という若さでキングゴブリンを撃破。次々と実績を残していった。



青年剣士「・・・やっぱり・・所々・・・読めないか・・・」

 
"青年剣士が英雄になったのは、赤眼の出現、いわゆる塔の暴走からであった"

"彼は自らを犠牲にし、塔の魔力の渦の中に姿を消した。その犠牲を称え、当時の統率者であった元帥が、英雄の称号を与えたのだ"


だが、それから数年後にその英雄剣士は突如、姿を現した。

どこで何をしていたのか、今となっては知る術はなくなった。


英雄剣士として戻った彼は、その後・・・・・・・や・・・・、・・・・・・・と貢献していった。


彼の弟であるという・・・・、や、息子の・・・・・・・は、成長し・・・。



青年剣士「・・・だめだ、これ以上は読んでは・・・」ハァ


・・・ビュゥゥゥ!!!
・・・ペラペラペラッ・・・・・

青年剣士「うっ・・・・風が・・・・、玄関開けっ放しだったのか・・・・・」

・・・タッタッタ・・

 
・・・・バタン

青年剣士「はぁ・・・ダメだな、やっぱり。変なページ飛んじゃったし・・・戻しておくか・・・ん?」


"驚くべき点は、英雄剣士と呼ばれた・・・・・・"

"全員が1つの血縁関係または身内であった・・・・"

"と、いうことだ・・・・"


青年剣士「・・・・!!」

 
・・・・ガチャッ!!


幼剣士「ただいまー!」

赤髪少女「たっだいまぁ~!」


青年剣士(血縁者・・・、身内?どういうことだ、俺が英雄剣士というなら、最初の英雄剣士・・・は・・・・)ドクン


幼剣士「あれ?本なんか取り出して・・・何の本?」

赤髪少女「字読めないからわかんない・・・」


青年剣士(戦士先生が・・・言ってた・・・のは、英雄剣士と英雄魔法使いは・・・山の中に移り住んだ・・・・)ドクン

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母親「口では『面倒くさい』って言っても、結局最後は来てくれて解決しちゃう」フフ

戦士先生「その時の魔法使いは剣士と結婚してなあ・・・、田舎に隠居暮らしをしてるはずだ」ハァ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
青年剣士(そして血縁・・・つまり・・・重なる・・・全てが・・・・)ドクンドクン


赤髪少女「わっ、青年剣士ぃ・・・・!顔色悪いよ!?大丈夫!?」


青年剣士(ま・・さか・・・・、父さんと母さんは・・・・)


幼剣士「青年剣士ィィィ!!!」

青年剣士「わっ!」ビクッ

幼剣士「どうしたんだよ!大丈夫か!?」


青年剣士「あ・・・あぁ・・・、ごめんごめん。ちょっと考え事しちゃっててさ」

 
赤髪少女「もー・・・」

青年剣士「はは・・・・」


幼剣士「・・・」


青年剣士「ちょっと俺は、明日の準備ためにも寝るよ・・・」

幼剣士「はやっ!まだ昼間なのに!」

青年剣士「あはは・・・ちょっとね」


幼剣士「・・・・?」


・・・バタン・・・

 
・・・ゴロン

青年剣士(まさか、未来で俺の知らなかった真実が分かるなんて・・・思わなかった)

・・・・ゴロゴロ

青年剣士(でも、立派に戦っていたんだ。活躍したんだ。ただの放浪ばっかする父さんじゃなかったんだ・・・・)


そうだな・・・、家に帰ったら父さんの事についてもっと聞こう。

俺も母さんに会いたいな。

最後に会ったのはいつだったかな・・・・・

心配してるかな、悲しませたかな・・


きっと心配してるよね・・・だけど、戻って元気な姿見せてさ・・・


・・・うん・・

・・・・

・・・
・・

本日はここまでです(A´ω`)短めでしたが、ありがとうございましたっ

皆さんありがとうございます`、+。(´ω`)´。+

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――【2日目・コロシアム】


青年剣士「・・・」スタッ


・・・ワァァァァ!!!!!

アナウンス「さあ本日から始まる本選!英雄剣士、白竜人にウルフ、歴代優勝者が揃う・・・今年はまさにオールスターだ!」

・・・ウォォォォ!!!!!!



ウルフ『・・・』

白竜人『・・・』

 
青年剣士「・・・あいつらが、歴代優勝者・・の・・」

王傭兵「あぁ。白竜人のほうが最近連覇しているヤツだ。ウルフのほうは半狼で、相当やり手だな・・・もちろん優勝経験もある」

酒場の戦士「そうッスね・・・それと・・・・・・」チラッ

青年剣士「・・・?」


アナウンス「そして彼も戻ってきた!"不沈艦"と呼ばれた最強の傭兵・・・・王傭兵ぃぃぃっ!!」


・・・オ・・・・・・、ウオオオォォォォッ!!!!!??


青年剣士「・・・え」

王傭兵「ちょっと、お前に教えてたら俺も血がたぎってきてな・・ハハ」

青年剣士「ほ、本気ですか・・・・、トーナメントはどうなるんでしょうか?」

 
王傭兵「一応調べておいた。俺らが当たるのは3回先、5回勝てば優勝。お互い頑張ろうぜ」

酒場の戦士「どっちも応援するぜ」

酒場の僧侶「楽しみだな、どうせ2人とも残るだろうしな」ハハ

青年剣士「俺は明日が1回戦、王傭兵さんは今日なんですね」


王傭兵「そうだな・・・そして、この間の続きだ・・・・俺も本気でやらせてもらうぜ・・・」ニタッ

青年剣士「ふふ・・・負けませんよ・・!」


酒場の戦士「はは、楽しみになってきやがった!」


アナウンス「それではぁ・・・・!!1回戦・・・、王傭兵・・対、エリート魔法使い・・・準備をしてください!」

 
王傭兵「・・・お、早速だな。いってくるぜ」スッ

青年剣士「いってらっしゃい、頑張ってください」

王傭兵「・・・おう!」


・・・タッタッタッタ・・


酒場の戦士「王傭兵のやつ、武器のほとんどを使えるのに、ナックルスタイルなんだよなぁ」

青年剣士「何ででしょうね?」

酒場の戦士「たしか、ぶん殴る時に一番感覚がしっくりくるとかいってたっけ・・・、本当に・・・あいつは・・・」

青年剣士「戦いの中で戦いに生きているっていう・・・俺らと一緒じゃないですか結局」アハハ


酒場の戦士「ははは!確かにそうだったな!」

 
アナウンス「ここで毎年同じ注意ですが、観客席と会場全体には魔石と、陣による強力な抵抗魔法が展開されていますので、ご安心下さい」


観客「毎年ハデだからなー・・・、特に今年は人気だったしなチケット」

観客「あぁ・・・、英雄剣士の影響があるしな。俺らもそれが楽しみできたんだが・・・」

観客「王傭兵さんの復帰もあるみたいだし、今年は凄い楽しみだぜ!」

観客「そうだな!・・・お!」

観客「始まるみたいだな・・・・!」

 
アナウンス「皆さま!お待たせしました・・・、それでは!」

・・・・ウォォォォ!!!!

アナウンス「試合・・・はじめっ!」



王傭兵「・・・」スッ

エリート魔法使い「時代遅れのカタブツが・・・」

王傭兵「あ?」ピクッ

 
エリート魔法使い「4年前の決勝で、白竜人にボロボロにされて再起不能にされた王傭兵・・・」

王傭兵「・・・」

エリート魔法使い「号外ですぐに出されたよな。くっく・・・、全身包帯まみれで・・・なっさけない姿を見せてなぁ・・・」

王傭兵「・・・」

エリート魔法使い「それ以来、ぜんぜん見なくなって。久々に出たと思ったら・・すっかり姿も年老いたなぁ・・・」ハッハッハ


酒場の戦士「・・・」

酒場の僧侶「・・・」

酒場の魔法使い「・・・」


青年剣士「あいつ・・・!」ガタッ

酒場の戦士「まぁ待て」スッ


王傭兵「・・・で?」

 
青年剣士「・・・王傭兵さん」


王傭兵「確かに俺はあの戦いで大怪我を負った。だからこそ、分かった事もある」

エリート魔法使い「ほう?」

王傭兵「俺は怪我がもとで、使えなくなった傭兵として・・・最底辺になる病院に送られた」


エリート魔法使い「・・・」


王傭兵「そこで見たのは最低の光景だった。最強なんて言われて、上流階級しか見なかった俺には衝撃的すぎるほどな」

エリート魔法使い「へぇ?」

王傭兵「お前が思っている以上の体験だった。だから、俺は考え方が変わった。新たな仲間たちとも出会えた」

エリート魔法使い「・・・」


王傭兵「お前も上流階級の人間だろう?・・・一度落ちてみるのもいいかもしれないぞ?本当の仲間が、分かるはずだ」

 
エリート魔法使い「・・・本当の仲間だ?」

王傭兵「あぁ・・・そうだ」

エリート魔法使い「くふっ・・・ぷっ・・・」プルプル

王傭兵「?」


エリート魔法使い「はっはっは・・・あっはっはっはっは!」

王傭兵「・・・」

エリート魔法使い「て、底辺に落ちて・・・くはは・・・、そこで仲間を見つけた?・・・はっはっはっははははは!」

王傭兵「・・・」


エリート魔法使い「ひーっひひひ・・・面白すぎるだろう・・・、底辺で出会った仲間など、底辺のような繋がりしかないだろう!?」

 
王傭兵「・・・」ハァ


酒場の戦士「なんつーか・・・な」

酒場の僧侶「・・・まぁ」

青年剣士「・・・皆さん・・」


エリート魔法使い「どうした?頭にきたか?はっはっは」


王傭兵「なんていうか、昔の俺のまんまだなってな」


エリート魔法使い「・・・」ピクッ


王傭兵「・・・分からせる必要がありそうだ」


エリート魔法使い「・・・やってみろ!魔力攻撃増大魔法!」ピカッ

 
青年剣士(物理的な面だけじゃなく、魔力の増大を行う!?どういう理屈なんだろうか・・・)


エリート魔法使い「・・・・特爆炎魔法っ!!」


・・・カッ・・・ドゴォォォォン!!!

・・グラグラグラ・・・


観客「う、うおおお!会場全体が揺れてる!」

青年剣士「・・・!」


・・・モクモク・・


アナウンス「おぉぉっと!?突如・・・強力な一撃!!!会場全体が震え上がったその威力・・・・、王傭兵は無事なのか!?」

 
・・・・・サァァ・・・


アナウンス「舞い上がった埃が晴れていく!王傭兵は・・・・・!」


王傭兵「げほっ・・・、痛ぇな・・・このやろう!」


観客「!」

青年剣士「!」

酒場の僧侶「っへ」

酒場の戦士「・・・当然」


アナウンス「・・・・立っている!立っているぞ!あの一撃を微動打にしない、その姿!!まさに"不沈艦"だぁぁ!!」

 
・・・・ワァァァッ!!!!! 
 
観客「うおおおおおっ!!!」

観客「すげえええ!」


青年剣士「・・・・さすが!」


エリート魔法使い「そ、そんなバカな・・・」

王傭兵「その程度で・・・俺を倒す・・・・・つもりか・・・・・・・!?」ギラッ

エリート魔法使い「ひっ・・・!だ・・・、大氷波魔法!」キキィン!!


・・・カキン・・・カキンカキンカキンッ!!!!

 
アナウンス「お、襲いかかる氷の波!コロシアム全体に氷の嵐が吹き荒れる!」

観客「さみぃぃ!」

観客「ふ、不沈艦といえども・・・さすがに凍らせられたら・・・」



青年剣士「・・・いや・・」

酒場の戦士「・・・」ニヤッ



王傭兵「・・・くく」

エリート魔法使い「・・・ばかなぁぁ!!」


アナウンス「・・・・これは驚きだ!!あの氷の嵐をどう切り抜けたというのか!?」

 
エリート魔法使い「ど、どうやってだ!?」

王傭兵「・・・その程度の氷で俺を倒すっていうのか?」

エリート魔法使い「そ、その程度・・・・だと、最上級クラスの魔法術だぞ・・・・!?」


王傭兵「・・・元とはいえ、最強の傭兵といわれたこともある男だ。その意味が・・・・分からないのか」


エリート魔法使い「くっ・・・・特雷じ・・!」

王傭兵「・・・・ふっ!」ビュッ


・・・ドスッ!!


エリート魔法使い「ふぐぅっ!」ブシャッ

王傭兵「・・・顔に一撃。鼻血が出てるぜ・・・痛かったか?」

 
アナウンス「な・・・・!なんという速さだ!その図体からは想像出来ない素早さの一撃!!」


エリート魔法使い「・・・な、なな・・・」

・・・・・ポタポタ・・・


王傭兵「本気の一撃だったら、首がなくなってたな。降参しろよ・・・お前じゃ俺には勝てないよ」

青年剣士(あの時は大柄で分かりやすい攻撃だったっていうのに・・・、あんな動きされたんじゃ勝てるかわからなかった・・)


エリート魔法使い「・・・まだだ、負けてたまるか・・・堕ちた傭兵なんかに・・・一流のこの俺がぁぁ!!」


王傭兵「・・・青年剣士!よく聞け!人っていうのは、お前みたく優しさだけでは生きていけないんだ!」

青年剣士「き・・・急に何を・・・?」

 
エリート魔法使い「うあああっ!特風旋・・・・!」


王傭兵「それは時に・・・非情になることも必要ということだ。覚えておくんだ!」

青年剣士「・・・・!」



王傭兵「うらぁ!」グイッ

エリート魔法使い「うっ!俺の服を掴ん・・・・!」

王傭兵「ふん!」ギュッ

エリート魔法使い「う、腕を・・・離せ!!」


王傭兵「・・・お前も一度、堕ちてみるといい。本当の・・・人ってのが分かるさ」ググ゙ッ

エリート魔法使い「や、やめ・・・・!」ブルブル



・・ゴキッ・・・・・・ゴキャッ・・

 
アナウンス「り・・・両腕を・・・・へし折ったぁぁぁ!!!」

・・・・ワァァァ!!!!!!


王傭兵「・・・」

エリート魔法使い「よ・・・よくも・・・・よくも俺の・・・おお、俺の腕を・・・・・!」

王傭兵「悔しかったら這い上がって来い。その過程で・・・お前も変わるかもしれんがな」

エリート魔法使い「・・・くそっ・・」ガクッ



青年剣士「・・・」ゴクッ


王傭兵「・・・みんな、今ここに・・・"不沈艦"が戻ってきたぜ!」ビシッ



・・・・!!!
・・・・・・・・ウオオオオオッ!!!!

 
アナウンス「完・全・復・活!!4年ぶりに現れた王傭兵は、あの頃のままで・・・強かったァ!!!」

王傭兵「・・当然だ!」


・・・・ワァァァ!!!
パチパチパチパチ・・・・



青年剣士「凄い・・・」

酒場の戦士「・・・はは、アイツがあんなに熱くなるの久々に見たな」

青年剣士「そうなんですか?だいぶ静かでしたが・・・」


酒場の戦士「静かなる激昂っていうのかな・・・そういうところがあるんだアイツは」

酒場の僧侶「付き合ってたら分かるさ」ハハ

酒場の戦士「で、どうするか。今日の試合はあいつで終わりだしな・・・、軽く飲みにいくか?」

 
青年剣士「何かとつけて、毎日飲んでるような気がするのは気のせいでしょうか?」アハハ


酒場の僧侶「気のせい気のせい!王傭兵もすぐ戻ってくるだろうし、俺らは酒場で待ってようぜ!」

酒場の戦士「そうだな」

青年剣士「あ、俺は1回戦突破のおめでとうがてら、呼んできますよ」


酒場の僧侶「そうか、じゃあ頼んだ」


青年剣士「はい、行ってきます」


・・・・タッタッタッタッタッタ・・

 
・・・・・トコ・・・トコトコ・・・

青年剣士「えっと、選手控え室がこのへんだったはず・・・・、っといたいた・・」


王傭兵「・・・・だろ?」

白衣の男「・・・だ!」


青年剣士「ん?何しゃべってるんだろ・・・」スッ



王傭兵「大丈夫だって・・・俺は約束があるんだ。それを守るまでは・・・」

白衣の男「ダメだ!」

王傭兵「俺が復帰を決めた決意・・・それがどれほどか分かるだろ・・・?」

白衣の男「レジスタンスから話は聞いてる・・・が・・、それはお前の生命にかかわるんだぞ!?」


青年剣士(・・・・?)

 
王傭兵「・・・」

白衣の男「お前が傭兵に復帰するときだって反対したんだ。確かにお前は素晴らしい。だが・・・」

王傭兵「だったら大丈夫だろ?あそこからリハビリも重ねて復帰できたわけだし」

白衣の男「・・・俺がお前の復帰を手助けしたのは、お前がもう無茶な戦いをしないといったからのはずだ」


王傭兵「・・・」

白衣の男「それを裏切り、王立兵士団に復帰し、前線に赴き、死に掛けたのはどこの誰だよ」

王傭兵「あの時の事は悪かったと思ってるよ・・・」


白衣の男「それだけじゃないだろ。あの時も、あの時も、あの時もだ」

王傭兵「・・・悪かったよ・・・・・、だけどよ・・・、今回で全部終わりにするつもりだ。いや、きっと終わる」

白衣の男「・・・」


 
王傭兵「それほどに信じられるんだ。俺の体は壊れてもいい、だけど・・・あいつとの約束までは持たせてくれ・・・頼む」


白衣の男「・・・脊髄、筋肉、魔力繊維、右腕、右足、左足」

王傭兵「・・・」


白衣の男「お前の体の限界を迎えている部分だ。そして・・・・」

王傭兵「分かってる・・・毎回のことだ・・・」

白衣の男「・・痛み止め、興奮剤、魔力増強剤、魔力安定剤」

王傭兵「・・・」ハァ


白衣の男「一歩間違えればドーピングぎりぎりだ。これでも・・お前の全盛期には及ばないけどな」

 
王傭兵「分かってる、わかってるから言わないでくれ・・・・」

白衣の男「いいや言うさ。俺らはお前を失うわけにはいかないんだ・・・それが分かっていない」

王傭兵「・・・」



・・・ガタン!!


白衣の男「誰だ!?」

青年剣士「・・・・あ・・」


王傭兵「青年剣士・・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【夜・酒場】



王傭兵「・・・」

白衣の男「・・・」


青年剣士「・・・」チラッ


王傭兵「んー・・・あ、あぁ・・・えっとな。こいつは医聖者・・・だ」

医聖者「よろしくね」ギュッ

青年剣士「あ、よろしくお願いします」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【夜・酒場】



王傭兵「・・・」

白衣の男「・・・」


青年剣士「・・・」チラッ


王傭兵「んー・・・あ、あぁ・・・えっとな。こいつは医聖者・・・だ」

医聖者「よろしくね」ギュッ

青年剣士「あ、よろしくお願いします」

 
医聖者「俺は一応こいつの担当医っていうのかな、医者をしてる」


青年剣士「医者・・・医者ですか?」

王傭兵「あー・・・そうか。その時代だとまだ医者っていう概念がないんだ」

医聖者「へえぇ、医者って言うのはね・・・、いわゆる僧侶みたいなものだよ」

青年剣士「・・・?」


医聖者「えーっと・・・」

王傭兵「回復や治癒のみに技術の長けた職のことを指すんだ」


青年剣士「なるほど・・・」

 
酒場の戦士「・・・」

酒場の僧侶「・・・さて、どういうことか説明してもらおうか」


王傭兵「・・・こういうことだろう。こいつがここにいるんだから」

医聖者「・・・」ハァ


酒場の戦士「まぁ・・・俺は大体わかってた。こうなってるんじゃないかってな」

酒場の僧侶「かくいう・・・俺もな」

青年剣士「・・・」



王傭兵「・・・ま、俺の体は限界に近い。いつ壊れてもおかしくないってことだ」

 
医聖者「・・・これ以上は寿命を減らし続けるだけだ。戦いに生きる?そんなもん死んだら意味ねえじゃねえか」

王傭兵「生きるから死ぬ。それだけだろ」

医聖者「・・・」


酒場の戦士「だが、王傭兵の体は1人のもんじゃねえ。今は俺らと運命共同体だろ」

酒場の僧侶「その通りだ。あんたを失うことは、俺ら全体の損失だ」

酒場の魔法使い「体ァ大事にしろよ」


王傭兵「わかってるよ・・・」

 
青年剣士「・・・」

王傭兵「いらねぇ心配かけちまったな。悪かった」

青年剣士「いえ・・・」


酒場の戦士「お前、本当に大丈夫なのか?戦い続けても・・・」

王傭兵「普通に戦う分なら問題ない。今日みたいな大魔法を受け続ける事はもう難しいがな・・・」

酒場の戦士「無理だけはするなよ。医聖者・・・悪いが、ついてやってくれ・・・」


医聖者「文句をいいつつも、やっぱり俺もコイツは心配だ。わかってる・・・任せてくれ」

酒場の戦士「すまない・・・ありがとう」

王傭兵「・・・」

 
青年剣士「ところで・・・4年前に一体何があったんですか?」

酒場の戦士「それは・・・・」

王傭兵「あ、いやいい。俺が言う。いまさら気にすることじゃない」

酒場の戦士「・・・」


王傭兵「俺がまだ現役だった頃、白竜人がエリート家と呼ばれる一族に腕を買われ、コロシアムに乗り込んできたんだ」

青年剣士「エリート家って・・・」

王傭兵「そう、俺が倒した昼間のな」

青年剣士「だからあそこまで・・・お互いのことを言い合ったんですね」


 
王傭兵「正確にいえば、俺が戦争に参加した時に殺した相手がアイツの親父だった。だから、あいつらは俺を全力で殺しに来たんだ・・・雇ってな」

青年剣士「なるほど・・・」

王傭兵「そんなものに負ける訳ないと、"無敵"だの"不沈艦”だと呼ばれ・・思い上がっていた俺は・・・・・完膚なきまでに叩き潰された」

青年剣士「・・・・」


王傭兵「その時に大怪我を負って、俺の存在に変わり、白竜人がのし上がった。数年築いた地位も、名誉も失ってな・・・」

青年剣士「・・・」

王傭兵「この程度の人間だと思い知らされ・・死ぬ事も考えた。だが、そこで出会ったのがこいつらだった」


酒場の人間たち「・・・」


王傭兵「こいつらは、天狗になり、地に堕ちた俺ですら暖かく迎えてくれた。そこで彼らの人生を聞き、世界が腐っているとようやく気づけた」

 
青年剣士「王傭兵さん・・・」

王傭兵「だが、体が限界だった俺は夢をあきらめかけていた。そこに・・・現れたのが・・英雄剣士だった・・・」


青年剣士「・・・」ゴクッ


王傭兵「・・・頼むぞ」

青年剣士「もちろん・・・・精一杯、力の限り尽くします。英雄剣士・・ですからね!」ニコッ


王傭兵「・・・ありがとよ」

医聖者(いい仲間に囲まれて、良かったな王傭兵)

 
酒場の僧侶「・・・まぁまぁ!しょっぱすぎる話はこれまで!不沈艦は沈まない・・・俺らの夢を乗せているからな!」

酒場の戦士「そうとも!」

王傭兵「俺らの!」

医聖者「夢に向かって・・・」


青年剣士「乾杯っ!!」


全員「乾杯っっ!!」ガシャンッ!!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【それから4日目】



幼剣士「・・・やったぁ!!」


・・・ワァァァ!!

アナウンス「大勝利ぃ!青年剣士、千年騎士を破り3回戦進出!!」


青年剣士「はぁ・・・はぁ・・・」

千年騎士「さすが・・・英雄騎士殿だな・・・。我が槍術が見破られるとは・・・・」

青年剣士「いえ・・・俺も危ないところでした。いい試合でした!」

 
アナウンス「次の対戦を発表するぞーーー!!・・・おっと、ここで何か情報が入ったようだ。ちょっとだけ待ってくれ!」


・・・ザワザワ

王傭兵「よくやったな!次の試合は俺だ・・・、確か王国兵士だったはずだな?」

酒場の兵士「王国兵士なら過去に手合わせしてるし、余裕だろ?」

青年剣士「はぁはぁ・・・・、王傭兵さんも頑張って下さい!」


王傭兵「当たり前だろ!」


アナウンス「ここでトラブルがあった模様だ!そこで、急遽トーナメント内容を変更するぞ!」

王傭兵「なに?」

 
アナウンス「本来予定されていた、王傭兵と王国兵士の戦いだったが・・・王国兵士がここで対戦のキャンセルをしたようだ!」

・・・ザワザワ・・・ドウスルンダ・・・?


王傭兵「・・・キャンセル?」

酒場の戦士「何かあったのかね」


アナウンス「・・・予定されていた数人が突如キャンセルをしているようだ!そこで、対戦の繰上げや変動が施される!」


青年剣士「繰上げ・・・変動・・・・」

幼剣士「どうなるんだろう」

赤髪少女「・・・?」


アナウンス「変更され、次の試合は・・・・・、"不沈艦"王傭兵・・・対、"連覇"白竜人だぁぁぁ!!!」


青年剣士「・・・・・!!」

ちょっと面倒と思われるような会話パートも多かったですが、ここで本日は終了です。
ありがとうございました。

皆様ありがとうございます

 
王傭兵「はは・・・、いきなりボスの登場かよ」

青年剣士「お、王傭兵さん!」

王傭兵「どうした?」

青年剣士「そ、その体でその相手は・・・・!」

王傭兵「大丈夫、無理だけはしねえよ」

青年剣士「・・・・」


酒場の戦士「いや・・・本当に気をつけろよ」


王傭兵「俺には医聖者もいる。大丈夫だ」

 
アナウンス「それでは中央に入り、準備をしてくれぇ!」


王傭兵「・・・行ってくる」


酒場の戦士「・・・おう」

青年剣士「気をつけてください」

赤髪少女「おじちゃん頑張れぇぇ!」

幼剣士「いけーー!おっさん!!」


王傭兵「やれやれ・・・モてる男は辛いねぇ」

 
・・・・・ワァァァ!!!

観客「どっちも本気でやりやがれよー!」

観客「いい試合が見れればそれでいいぜーー!」


白竜人『・・・』スタッ

王傭兵「久しぶりだな・・・白竜人」スタッ


白竜人『再起不能になったと聞いていたが・・・、この間の試合、楽しんで見れたぞ』

王傭兵「そいつはどうも。再起不能になったのは誰かさんのせいだけどな」

白竜人『・・・』


王傭兵「こうしてまた、手合わせする日が来るなんて思わなかったぜ」スッ

白竜人『全くだ。お前が相手では、俺も本気を出せるというものだな』スッ

 
青年剣士「・・・」

酒場の戦士「お互い、技量も高く、魔力も高く、精神力がある。ただ・・・体力の差が・・・、大きすぎる・・・」

青年剣士「信じましょう・・・」

酒場の戦士「当たり前だ。俺らがの信じる心も、あいつの力になってるんだ」

青年剣士「はい、もちろんです」



アナウンス「さぁ・・・いくぜ!試合・・・・開始っ!!!」


・・・ワァァァッ!!!

 
王傭兵「・・・」ジリッ

白竜人『・・・』ジリジリ・・


アナウンス「さあどうした!試合は始まっているぞ!お互いの距離を徐々につめあっているのかーっ!」


王傭兵(くそ・・・黙れ・・、一瞬の油断が命取りになるんだ・・・・)


白竜人『・・・』ジリッ・・

王傭兵「・・・」

白竜人『この感じられる覇気・・・、あの頃よりも重い・・・・』


王傭兵「当然だ・・・こちらからいくぞ!」


・・・・ダダダダッ!!!

青年剣士「先に仕掛けた!」

 
王傭兵「でやぁぁっ!」ビュッ

白竜人『何の変哲もない上段蹴り・・・・・』


・・・スッ・・・・・・ビュッ!!


白竜人『・・・を寸止めし、そこからの下段への足払い。相変わらず変わらぬ攻撃だな』ガシッ!


王傭兵「近接だけじゃないな、この距離からの・・・・大炎刃魔法っ!」ボワッ!!


・・・スパッ!!!

白竜人『ぬぅっ!かすったか!』


王傭兵「まずは腕を切り裂き動きを制限させてもらうぞ!連弾!!」ビュビュビュッ!!

白竜人『ぬうぅぅあああ!』

 
アナウンス「おーー!?序盤から王傭兵の連続攻撃が光る!!」


青年剣士「いけええ!」

酒場の戦士「休む暇を与えるな!」



王傭兵「・・・・」キッ

白竜人『ぐぬ・・・・・』

・・・ポタ・・・ポタポタ・・


王傭兵「両腕の腱を切り裂いた、多少だがこれで動きが重くなるだろう」

白竜人『・・・果たしてそう上手くいくかな・・・・?』

王傭兵「何?」


・・・ユラッ・・

 
青年剣士「なっ・・・!」

酒場の戦士「やられた!そいつは分身だ!本物は・・・後ろだ!」


白竜人『・・・もらった!』ビュン!

王傭兵「・・・わかってるっつーの!おらぁっ!」ヒュッ


・・・ガキィィン!!!


白竜人『ぬぅぅぅっ!』ビリビリ

王傭兵「ぐううっ!」ビリビリ


白竜人『前はこの一撃で流れが変わったというのに・・・、腕をあげたな・・・ぐぬっ・・』ググッ

王傭兵「思い上がりがなくなっただけだ・・・ぐぅぅ・・・」ググッ

 
アナウンス「な、なんという試合だ!重く、緊張感の漂う中で、見る者が目を奪われる素晴らしい試合が始まった!」


・・・・ウワアアアアッ!!!

観客「す、すげえ!」

観客「一瞬の流れだったけど、レベルが高いのは分かるぜ!」



白竜人『・・・・』ググッ

王傭兵「・・・くっ、これ以上の力比べは不利だな・・・・悪いが・・・、大火炎刃魔法っ!」ボワッ!!


・・・・ビュッ!!


白竜人『っち!』ヒュッ

王傭兵「大水円魔法っ!」ギュゥゥン!!!

 
アナウンス「観客席を覆うような水が、生き物のように弧を描いていく!」


王傭兵「・・・収束!」ギュッ

白竜人『ぐううっ・・・閉じ込められ・・・・!』ブシャァァッ!!!

王傭兵「水の牢獄だ!いくらお前でも、この大きさでは脱出できないだろう!」

白竜人『・・・・』ブクブク・・


青年剣士「水の中に閉じ込めた!」

酒場の僧侶「あれではさすがの白竜人でも・・・!」

酒場の戦士「いや・・・待て、何か唱えてるぞ!」


白竜人『・・・特火炎魔法・・・、大雷撃魔法・・・・』

 
王傭兵「いっ!?」


カッ・・・・ドッゴォォォォォォン!!!!!
・・・・グラ・・・・グラグラグラ!!!


アナウンス「ど、どうしたぁぁ!?水に閉じ込められていた白竜人が・・・大爆発!!」



青年剣士「な・・・なんだ!?」

酒場の僧侶「分解と合成か・・・・!錬金技術だ・・、原子や元素とか・・そういう事ができるっては聞いたことがある」

酒場の戦士「博学すぎるだろ・・・」



・・・・スタッ

白竜人『・・・』

王傭兵「あそこから無理やり脱出するとはな・・・」

白竜人『知識というものは幾らあっても無駄にはならないものだろう』

王傭兵「ああ・・・まったくだ・・やっぱり強いよお前は・・」

 
???「どうしたんだ!!早くそいつを殺せ!!」


青年剣士「・・・なんだ?」

酒場の戦士「あ・・・、あいつは!」


エリート魔法使い「早くしろ白竜人!何をもたついてんだ!!」


青年剣士「ま・・・また・・」

酒場の僧侶「・・・まさか、今回の大会を裏からイジりやがったのか!?」

青年剣士「え?」

酒場の僧侶「突然の内容変更、どう考えても・・おかしいと思った。おそらくアイツの仕業だ・・」

青年剣士「あいつ・・・!」

 
王傭兵「ご主人様が・・・騒いでるぜ白竜人」

白竜人『ふん・・・』

王傭兵「じゃあ早速・・・ご期待に応えまして、肉体超鉄化!」ビキビキ・・

白竜人「・・・ではこちらもそろそろ・・本気でいくぞ。極魔力増大魔法・・・」



王傭兵「・・・」ググッ

白竜人「・・・」ググッ


・・・ゴゴゴゴゴゴ・・・


観客「・・・!」

青年剣士「・・・来る・・!」

 
王傭兵「極・・・・衝撃波ぁぁぁっ!!」

白竜人「極・・・竜波動っっ!」


・・・ドォォォォォッ・・・!!!!!!

・・ドゴォォォォォォッッッッ!!!!!!!!!

グラグラグラ・・・・・ビリビリビリビリ・・・・



観客「うわああああっ!」

観客「だ、大丈夫なのかこれ!!」

観客「息が・・・できない・・・!!」

 
アナウンス「こ・・コロシアムだけじゃない!この街全体が揺れ動くほどの爆音と衝撃波ぁぁ!」

 
青年剣士「くっ・・・・!」

酒場の戦士「光と音で何も見えない!」

酒場の僧侶「大丈夫なのか、王傭兵っ!!」



・・・ゴォォォッ・・・・・・・


・・ユラッ・・・・


アナウンス「おお!?誰かが立ってるぞ!!どっちだぁぁぁ!!」

青年剣士「お・・・王傭兵さんに決まってる・・・・!」

 
王傭兵「・・・・へ・・」ビキッ・・


青年剣士「王傭兵さんだっ!」

酒場の戦士「や、やりやがったぞあの野郎!!」

酒場の僧侶「マジかよ!!」


アナウンス「こ、これは王傭兵が立っている!白竜人は・・・・・!?」


白竜人『・・・』

アナウンス「・・・倒れている!!白竜人はその場で倒れている!!」


王傭兵「ごほっ・・・当たり前だぜ・・・」

 
アナウンス「ということは・・・、王傭兵のしょう―――・・・」


白竜人『油断・・・したか』

・・・・ドシュッ


王傭兵「・・・がっ・・」

・・・ズルッ・・・ポタッ・・・ポタポタ・・・



アナウンス「―――は?」


青年剣士「なっ・・・・!」

酒場の戦士「お、王傭兵!!」

酒場の僧侶「っっ・・・・!!!」

 
王傭兵「ばかなっ・・・、それじゃそこに倒れ・・・・ている白竜人は・・・・」

白竜人『・・・』パチンッ


・・・サァァッ・・


王傭兵「霧・・・・、分身か・・ここで・・・・・・・・」

白竜人『あの頃よりもずっと腕をあげていた。思い上がりもなかった。だが・・・油断の癖はなくならなかったようだな・・・』

王傭兵「・・・ちっ・・」


・・ドサッ・・・・・

 
アナウンス「・・・・!!こ、今度こそ・・・白竜人の勝利ぃぃぃ!!!」


青年剣士「そんな・・・あと一歩だったのに・・」

酒場の戦士「だめ・・だったか・・・・」

酒場の僧侶「くそっ・・・」


アナウンス「ではこれで本日の第二試合はしゅうりょ・・・」


エリート魔法使い「待てっ!!!!」


アナウンス「・・・?」

 
青年剣士「あいつ・・・、本部の実況の場所に・・・何をする気だ・・・」


エリート魔法使い「白竜人・・・トドメを刺せ」


白竜人『・・・何?』

エリート魔法使い「そいつは俺の両腕を奪った!どれほどの痛みか・・・、そいつに分からせてやれ!!」

白竜人『だがしかし・・・、王傭兵は既に動けない!腹部を貫通させた一撃で・・・これ以上は・・・・』


エリート魔法使い「・・・逆らうのか?」


白竜人『・・・・!』

エリート魔法使い「別にいいんだぜ?逆らっても」

白竜人『・・・』

 
王傭兵「へ・・・へへ・・・、やれよ・・・。それもまた・・・一興だろうよ・・・」


酒場の戦士「ダメだ!やめろ!!」

青年剣士「やめてください!!」

酒場の僧侶「王傭兵も落ち着け!!!」


王傭兵「・・・ごほっ・・、あのなぁ・・・実はな・・、さっきの攻撃の打ち合いで・・・体中のいろんな部分イっちまったみたいなんだよ・・・」


青年剣士「それは!医聖者に頼めば治ります・・・だから!」

酒場の僧侶「・・・・っ!」


王傭兵「それに・・・ここの掟の1つは・・・、死んでも文句をいうな・・・だろ・・・?」

白竜人『お前・・・』

 
観客「・・・さすがにひどすぎないか?」

観客「確かに試合中なら殺しもあるが・・・、トドメを刺せってのは・・・なぁ・・・?」


・・・ザワザワ・・


青年剣士「み、みんなも同意している・・・」

酒場の戦士「よし・・・」


観客「そうだぞー!エリート家がなんだ!それはないだろ!」

観客「引っ込めー!!」

観客「負けた腹いせとか情けなすぎるぞーーー!!」

・・・ブーブー!!


エリート魔法使い「ぐっ・・・・」

 
側近「静まれぇぇぇい!!」

観客「!」

 
青年剣士「あれは・・・・王の側近・・・」

酒場の戦士「やっぱりいたのか・・・あそこの一番上の特等席だ・・・」


王様「・・・みなのもの、静かにしろ!」


観客「・・・・」

・・・シーン


王様「このコロシアムのルール・・・忘れたのか・・・・?」

青年剣士「・・・・!」

王様「敗者は勝者を受け入れなければならぬ。それがいかに辛かろうと。それが・・・この大会のルールであろう!」

 
青年剣士「・・・・だめだ・・・」


王様「白竜人はエリート家の従者。では、エリート家のいうことも頷ける。そうであろう?」ニタリ

エリート魔法使い「はっ!ありがたき・・・お言葉!」

王様「白竜人!・・・殺れ」


白竜人『ぐっ・・・・・』

王傭兵「・・・白竜人、ちょっとだけ屈め。耳を貸すんだ」

白竜人『何を・・・』


・・・ボソボソ・・
・・・・・・・・・・・・・ボソッ・・・


白竜人『・・・っ』

王傭兵「・・・」ニカッ

 
エリート魔法使い「何をしている!さっさとやれぇぇ!」



酒場の戦士「だめだ!止めるぞ!!」

酒場の僧侶「いくぞ!」

青年剣士「はい!赤髪少女らはここで待ってるんだ!」

赤髪少女「うっ、うん!」

幼剣士「わ・・わかった」

・・・ダダダダダッ!!

 
白竜人『・・・わかった。お前の言葉だ・・・信じよう・・』

王傭兵「ありがとよ・・・」


・・・ダダダダッ!!

王傭兵「あいつら・・・来たか・・・」


青年剣士「王傭兵さん!!」


大会兵士「これ以上は通さぬ!」ガシッ

大会兵士「王様のルールを汚すな!従え!!」


青年剣士「離せ・・・・大ざ・・」チャキッ


王傭兵「やめろっ・・・!」

 
青年剣士「・・・王傭兵さん・・」

酒場の戦士「だめだ!お前を失うわけにはいかないんだ!」


王傭兵「もういい・・・もういいんだ。お前らがここで暴れたら・・・全部が・・無駄になる・・・」

青年剣士「・・・」ハッ


王傭兵「・・チャンスを・・逃すな・・・・」

青年剣士「・・・くっ、くそっ・・・」ポロッ・・

王傭兵「泣くのか・・・俺のために・・」


青年剣士「俺の師匠・・・俺を教えてくれる人・・・、目の前で消えていくのは・・・もう・・・」

王傭兵「それを・・・強さに変えろ・・・」

青年剣士「・・・」

 
エリート魔法使い「なぁぁにやってるんだぁぁ!!!早くしろよぉぉ!!!!」ビリビリ


王傭兵「うっせぇなぁ・・・ビリビリと・・・、さっさと白竜人・・・やってくれ・・・」

白竜人『・・・分かった』スッ


王傭兵「・・・一緒にまた戦えなくて悪かったな。みんな、今までありがとうよ・・」



青年剣士「王傭兵さぁぁんっ!!!!」

酒場の戦士「王傭兵っ!!!!」

酒場の僧侶「やめろおおおおっ!」

赤髪少女「おじちゃんっっ!!」

幼剣士「おっちゃぁぁん!!」


白竜人『また・・・会おう・・』


・・・ビュッ・・・・

 
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・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

ここまでで終了です。ありがとうございました(A´ω`)

皆様ありがとうございます。非常に励みになります(ノω`。)ウッ

 
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――――【夜・酒場】


・・・ガチャッ


酒場の戦士「・・・来たか」

青年剣士「はい。子供たちも落ち着けて、寝かせてきました」

酒場の僧侶「・・・うぅっ・・・くそぉ・・・」グスッ


青年剣士「・・・僧侶さん・・」

 
酒場の戦士「・・・俺らは・・、どの道アイツに従うだけさ」

酒場の僧侶「どうやってだ!?リーダーはもういないんだぞ!?」グビグビ

酒場の魔法使い「落ち着きなよ。王傭兵の残したもの・・・しっかりあるだろう」チラッ


青年剣士「・・・」


酒場の僧侶「そうか・・・英雄剣士ぃ・・、英雄剣士・・・、頼む・・・あいつの意思をついでやってくれ・・・・頼む・・・・」

酒場の戦士「それくらいにしておけ・・・青年剣士だって気が気じゃないんだから・・」

青年剣士「いえ・・・大丈夫です・・」


酒場の魔法使い「・・・それで。これからの手筈は大丈夫なのか?」

酒場の戦士「あいつがいつも言ってた事と、今回の計画はこのまま行く」

酒場の魔法使い「王傭兵がいなくなった今・・・あのことは伝えたほうがいいんじゃないか?」

 
酒場の戦士「そうか・・・、青年剣士」

青年剣士「はい・・」

酒場の戦士「・・・伝えることがある。王傭兵は、俺らのことをなんて言ってた?」


青年剣士「反乱を起こす同盟だと・・・、友人だと聞きました」


酒場の戦士「あながち間違いじゃないが・・・それよりももっと大きなもんだ」

青年剣士「・・・?」



酒場の戦士「俺らはな、王傭兵をリーダーとする"国家反逆軍"・・・つまり"レジスタンス軍"だ」

 
青年剣士「レジスタンス・・・?」


酒場の戦士「おい!みんな!」


・・・ガタッ・・ガタガタガタッ・・・・・・・!!



青年剣士「酒場の・・・全員が立ち上がって・・・・まさか・・・」


酒場の戦士「そう。ここだけじゃない。こんな酒場の点々とした場所に、俺たちの仲間がいる」

青年剣士「・・・・っ!」

酒場の戦士「前行った別の酒場もそうだ。町の中に紛れ込んでいるやつもいる。・・・事の重大さも理解してほしい」


青年剣士「・・・はい!」

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

酒場の魔法使い「・・・ん?おい、お前」

???「・・・」

酒場の魔法使い「なぜ立ち上がらないんだ?そのフード・・・ちょっと下ろしてみろ」


青年剣士「・・・?」


???「・・・」

酒場の魔法使い「おい!聞いてるのか!」


???「やれやれ・・・、来てみたら本当にこんな場所があったとはな・・・」

酒場の戦士「・・・誰だ?おい、魔法使い、フードを下ろしてみろ」


酒場の魔法使い「・・・」スッ

・・・・パサッ


酒場の戦士「お前は!!」

 
白竜人『・・・』


酒場の戦士「白竜人!!!貴様ぁぁ!なぜここに!」

酒場の僧侶「殺す・・・」

酒場の魔法使い「・・・この話、聞かれて無事に帰すつもりはないぞ」


白竜人『・・・』


青年剣士「待ってください皆さん!話を聞きましょうよ!」


白竜人『ふん・・・、王傭兵の言った通りだったな』

酒場の戦士「何・・・?」

 
白竜人『今日の最期・・・、あいつが俺に向かって短いながら言ってくれた』

酒場の戦士「何をだ」

白竜人『助けたいならば、この酒場へ行け、それで全てが分かると。青年剣士を頼れとな』


酒場の戦士「そんな戯言が・・・信用できると思うか!?」


青年剣士「いや・・・落ち着いてください。この場所がこうも分かるはずないですし、本当に言ったんでしょう」

酒場の僧侶「何ィ・・・?」

酒場の戦士「だが、あいつがここを教える道理がないだろう」


青年剣士「いえ、今言いましたよね。助けたいならば、と」

白竜人『あぁ』

青年剣士「あなた、人質がいるんじゃないですか」

 
白竜人『・・・』

酒場の戦士「人質だ・・・?」


青年剣士「俺は白竜系と居合わせたことがあります。彼らは確かに暴力的な面もありました。ですが、自分の信念を貫き通す魔物たちだった」

酒場の戦士「・・・」

青年剣士「今日の戦いでも、聞き取りは難しかったですが・・・白竜人はトドメを刺す気がなかった」


白竜人『・・・っ』


青年剣士「それは、彼らが高いプライド、信念があるから。人間に意のままに操られるのが気に食わなかったから・・・そうですよね?」

白竜人『・・・さぁな』

青年剣士「ということは、エリート魔法使いが言った言葉で、"いいのか"というのは・・・おそらく人質がいるということ」


酒場の戦士「・・・」

 
青年剣士「王傭兵さんも、簡単な思いでココを教えたり、白竜人もココに来たりはしないでしょう?」


白竜人『ふん・・・、無駄に推理力がありやがるな・・・』


酒場の僧侶「だからといって!王傭兵の命を奪っていいわけじゃなかっただろう!」

白竜人『・・・』

青年剣士「それは・・・」


・・・ガタッ・・トコトコ・・・・・・・


酒場の僧侶「おい、白竜人・・・・」

白竜人『なんだ』

 
酒場の僧侶「一発、殴らせろ」

白竜人『断る・・・わけにはいかないだろう。やれ』

酒場の僧侶「・・・そうかよ・・・」ビュッ


・・・・バキッ!!!


白竜人『・・・』

酒場の僧侶「いって・・・何て硬いんだよ・・・・」

白竜人『・・・』


酒場の僧侶「・・・王傭兵が信じてお前をここへ引き寄せたんだろう。だったら・・・」

酒場の戦士「俺らも信じる・・・しかないだろうが!悔しいけどよ!!」

酒場の魔法使い「・・・そうだな・・」


白竜人『・・・!』

 
青年剣士「皆さん・・・・」


酒場の戦士「・・・これで、心強い味方ができたな。よろしくな白竜人」

白竜人『あぁ・・・よろしく頼む』


青年剣士「じゃあ、1つ聞いておきたいのですが。あなたの捕られている人質とは・・・」

白竜人『俺の弟だ。エリート魔法使いの部屋に監禁されててな・・・、俺が逆らうと・・・』

青年剣士「・・・そうですか」


酒場の戦士「一応、俺らが考えていた予定も話したほうがいいな。白竜人との手合わせがなくなれば・・・これほど楽なことはない」

 
白竜人『・・・手合わせか。それを作戦に入れていたのか?』

青年剣士「・・・そうですね。それと、エリート家の屋敷から奪い返すのも考慮にいれなければ・・・」

酒場の戦士「改めて作戦を練り直そう」

酒場の僧侶「・・・あぁ」


白竜人『ちなみにだが・・・明日の試合内容が変わった。俺とお前が戦うのは決勝になる』

青年剣士「へ?」

白竜人『どうやら、エリートのやつは決勝の花舞台で俺とお前を当てたいらしい』

青年剣士「ってことは・・」


白竜人『俺が明日、4回戦でウルフと戦う。問題はない。その後に決勝で俺とお前だ』

青年剣士「・・・わかりました。情報ありがとうございます」

 
白竜人『で・・・・、作戦とやらを聞かせてもらおうか・・・」


青年剣士「はい・・・」

酒場の戦士「・・・ええと・・まずは・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【同時刻・王城】 
 

王様「うはは!あの顔、見たか!?」モグモグ

側近「えぇ・・・最期のこちらを睨んだあの顔、印象深かったです」

官僚「確かに愉快でございましたな!」


エリート魔法使い「ははは!ご協力、ありがとうございました」


王様「何、お前らにはワシも世話になってるからな。あの王傭兵とかいうのは、強さばかりで忠誠心がなかったのでな、丁度よかったわ」

エリート魔法使い「そうですねぇ、王様に従わないなど言語道断です!」

 
メイド「・・・お待たせしました。天然の赤ブドウのワインと、ゴルゴン牧場のチーズでございます」カチャカチャ


王様「おうご苦労、まあメイドもワシの膝の上に座れ」ポン

メイド「きゃっ・・・は・・はい・・・」

王様「うはははは!」ナデナデ

メイド「・・・」ギリッ


側近「・・・」


エリート魔法使い「それはそうと、明日は面白い試合を見られますぞ」

王様「ほう?」

官僚「興味深い、教えていただきたい」

 
エリート魔法使い「は!?い、いやしかし・・・」

王様「そろそろあいつの人気も低迷になるだろう。それに、今日の対戦を見てわかった。あいつの実力は落ち始めている」モグモグ

エリート魔法使い「・・・ふむ」


王様「そろそろ魔界のほうからアイツほど・・・とはいわずとも、もう少しマシなやつを引っ張ってこよう」

エリート魔法使い「魔界のほうの調子はいかがですか?」

王様「うはは!サキュバスやら、女性型の魔物がすばらしくてな!!」


エリート魔法使い「さすがですね!」

王様「うはははは!そこまで褒めるでない!」


エリート魔法使い「王様、毎回気になっていたのですが・・・魔界をどうやって未だに制圧してるのですか?」

 
王様「なぁに、あいつらは上下関係がしっかりしていてな。リーダーさえ抑えれば、何の問題もない」

エリート魔法使い「と、いうと・・・」

官僚「赤竜王のことですな」


王様「当時の部隊は非常に強くてな。それに加え、赤竜王が弱りはじめていた時期だったのだ」

エリート魔法使い「単純な相手ですな!」

王様「ははは!そして縛り上げ、あとは近くの魔物から順繰りに人質として捕っていったのだ」


エリート魔法使い「それが今のうちにいる白竜子ですな。どんなに強いやつも、情には弱い!」ハハハ


王様「左様!」

 
・・・コンコン


王様「ん?・・・入れ」


・・・ガチャッ


白竜人『エリート魔法使い様がこちらにいると聞いて。ただいま戻りました』

エリート魔法使い「おせぇ!どこで道草食ってたんだ!」ビュッ


・・ベチャッ!!

白竜人『・・・失礼しました』ドロッ・・


王様「1個2万ジェムもするチーズを投げるとはな!心して食せよ白竜人!」

白竜人『・・・ありがとうございます』


側近「・・・」

 
エリート魔法使い「で、頼んでいた・・のは受け取ってきたんだろうな」

白竜人『はい、こちらに・・』スッ

エリート魔法使い「王様に渡せ」

白竜人『・・・どうぞ』カチャッ


王様「エリート魔法使い、これはもしや・・・・」

エリート魔法使い「えぇ、手に入りました。東方の錬金術一族から買い取った・・・、"ショットガン"と呼ばれる代物です」


白竜人『・・・』


王様「なるほどなるほど!素晴らしいフォルムだ・・・・、ここを・・・こうか・・・」カチャカチャ

官僚「さすがです王様!博学ですなぁ!」

 
エリート魔法使い「そうです・・・そう、よし、それで撃てますよ!」

王様「わはは!よし、白竜人、そこに立て」

白竜人『・・・』

エリート魔法使い「何やってるんだ!早く立てぃ!!」


白竜人『仰せのままに・・』スッ


王様「く・・・くく・・・・」カチッ


・・・ドォン!!!


白竜人『ぐっ・・・!』ブシャッ

 
王様「おぉ・・・竜のうろこにキズがつくとは・・、素晴らしい威力だ!」

エリート魔法使い「お見事です!」パチパチ

官僚「素晴らしい腕前ですな!!」パチパチ


側近「・・・」


白竜人『・・・く』


王様「満足満足。下がってよい」

エリート魔法使い「くく、先に部屋に戻っていろ」


白竜人『・・・失礼します』ペコッ


・・・ガチャッ

 
側近「・・・あ、自分もちょっと仕事をやりのこしたので・・・先に処理してきますね」

王様「そうかそうか、ワシのために精一杯働いてくれ」

側近「失礼します」ペコッ



・・・ガチャッ


・・・・・タッタッタッタ・・


側近「白竜人!」

白竜人『・・・側近』

側近「大丈夫か?血が出てるぞ・・・」

白竜人『どうってことない』

 
側近「はぁ・・・あの肥えた豚どもが・・、あんな生活をしていたら国民から斬られるぞ・・」

白竜人『・・・それも近いかもしれぬ』

側近「何?」

白竜人『・・・』

側近「・・・青年剣士が動いたのか?」


白竜人『明日、だ。お前も青年剣士を知っていたんだったな・・』

側近「・・・"レジスタンス"に所属してるんだぜ?当たり前だろ・・・それとな・・・」

白竜人『なんだ?』


側近「青年剣士"さん"がの事は、まだ子供の頃から俺は知っているぞ?」

白竜人『・・・そうだった・・・俺の親父の時のことか』

 
側近「あぁ・・・。青年剣士さんは、歳をとりすぎた私に気づいてはいないようだったがな」

白竜人『・・・転生術なんてあるほうが間違いだろう』

側近「元々生命力の強い魔族にしか出来ない秘技だからな・・・」

白竜人『赤竜王の様子はどうなんだ』


側近「まだ元気でいる。あとは青年剣士さんが暴れてくれるのを待つだけだ」

白竜人『・・・』


側近「王傭兵のことは残念だった・・・。すまなかった」

白竜人『別に・・・お前のせいじゃない。人は俺らよりもずっと早く死ぬ・・・、友も皆・・な」

側近「・・・」

白竜人『用事は、それだけか?』

 
側近「700年前、いや・・・私らはもう・・数え疲れる月日・・・になるか」

白竜人『・・・』

側近「かの少年剣士が、我らの王女を助けてくれ、彼が竜の血を引いた。そしてまた私たちを助けてくれる。今度は魔界の全てを」


白竜人『・・・あぁ』

側近「運命とは不思議で、皮肉なもの。分かっていても変える事が出来なかった」


白竜人『・・・あぁ』

側近「彼が過去に戻って、過去の私らに未来を託す。だが、結局未来の手は彼自身に託されてしまった」


白竜人『そんなもんだろ。結局、運命を変えるのは難しいってことだ』


側近「逆に言えば、世界は彼に変えられる事を望んでいた・・・そう思う」

白竜人『・・・そうかもな』


竜側近「私が"竜側近"であること、彼に出会えていたこと、これは全て仕組まれていた事だった・・か」

白竜人『・・・あぁ』

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【王政大会・最終日】


アナウンス「さあ!色々なアクシデントもあったが・・・、今日でいよいよ決勝だぁぁ!」

観客「うおおおおっ!!」


アナウンス「熱く心を燃やせ!楽しめ!最後の最後まで!」

観客「早く試合をはじめろおおお!」



青年剣士「凄い声援だな・・・」ビリビリ

酒場の戦士「最終日はこんなもんさ。それより・・・作戦は大丈夫だな?」

青年剣士「はい。白竜人にも聞かせてありますし」

酒場の戦士「決勝はウルフと白竜人の試合後にすぐに行われる」

青年剣士「大丈夫です」

 
アナウンス「それではぁぁ!準備が出来たか!?ウルフ対・・・"連覇"白竜人っ!!」


ウルフ『ふん、今度は負けぬ』

白竜人『貴様は前から気に食わなかった。半狼とはいえ・・魔物でありながら、人に媚を売るなどと』

ウルフ『くく・・・お前とて人の下で命令を聞いている。変わらぬよ』

白竜人『ふっ・・・そうかもしれぬ』

ウルフ『・・・』


 
アナウンス「それでは!!準決勝・・・はじめっ!!」

 
白竜人『・・・』スッ

ウルフ『お前、何があった。前は戦いだけに集中していたが・・・その目は違う』

白竜人『・・・』


ウルフ『俺との戦いだけでない、何か遠くを見ている。何を見ているのだ』


白竜人『・・・』

ウルフ『無視か・・・貴様・・・』ギリッ


・・・ググッ・・

アナウンス「おっと!?ここでウルフがいきなり狼化!!最初から本気だぁぁ!」

 
ウルフ『ならば・・・吐かせるまで!狼爪撃!』グワッ

白竜人『ふん・・・』ビュッ


・・・ガシッ・・・キィン!!キィンキィン!!

ウルフ『この早さについてこれるとはな!』

白竜人『まだまだ遅い。それと・・・少し話に付き合ってもらうぞ』

ウルフ『何っ?』


白竜人『大水円魔法!・・・大火炎魔法!!』


・・・ギュゥゥゥン!!!ボワッ・・・・ブシャァァァ!!!

アナウンス「水と炎が入り乱れるぅぅ!会場が濃い霧に包まれたぁぁ!!」

 
ウルフ『くっ・・・だが、匂いでわか・・・』ガツッ

白竜人『静かにしろ・・・』

ウルフ『貴様・・・首を・・・』ググッ


白竜人『話がある。聞け』

ウルフ『何の戯言を・・・』


白竜人『この王政をぶち壊す算段が整った。手伝え』

ウルフ『・・・なんだと?』

白竜人『まだ詳しくはいえぬ。だが・・・今日、俺らを含め大規模な反乱を起こす』

ウルフ『嘘をつくな!』


白竜人『本当だ。既に魔物の一部も準備している』

ウルフ『・・・』

白竜人『これからの試合、どうしても俺が勝たねばならぬ。手伝ってくれるな?』

 
ウルフ『・・・本当なのか、それは』

白竜人『本当だといっているだろう。竜側近も動いた』

ウルフ『・・・っち・・』

白竜人「俺には分かっている。お前だって生きる為に媚を売ったのだろう・・』

ウルフ『・・・』


王様「どうした!!何も見えぬぞ!!つまらぬ技で客の目をごまかすんじゃない!!!」


白竜人『あの豚が・・・、ウルフ、いいか。決勝では俺が敗北する』

ウルフ『・・お前が?』

 
白竜人『そこからはすぐに分かる。いいか?今こそ立ち上がる時なのだ』

ウルフ『くそっ・・・、分かった・・、だが、嘘だった時、お前たちの言葉を王に告げる。いいな』

白竜人『・・・好きにしろ』

ウルフ『・・・』


白竜人『・・・大雷撃魔法っ!!!』ピカッ!!


・・・ピカッ・・・ガラガラガラ!!


アナウンス「おっと!?ここで急に霧の中に雷がほと走る!!これが作戦だったのか!!」


王様「むおおおっ!」

 
ウルフ『ぐ・・・もうちょい手ぇ抜けよ・・・』

白竜人『ハデじゃないと豚も信用しないからな・・・寝ていろ』

ウルフ『くそ・・・あとで一発殴らせろよ・・・』


・・・ドサッ


アナウンス「霧が晴れ・・・・」


ウルフ『・・・』

白竜人『・・・』スタッ


アナウンス「おおおっ!?こ、これは!ウルフが倒れ、白竜人が立っている!!強力な電撃の前に、ウルフがひれ伏したぁぁ!』

 
エリート魔法使い「くはは!いいぞ、これで決勝も楽しくなる!ま、どーせ白竜人が優勝するだろうがな」

白竜人『・・・』ペコッ


アナウンス「それでは・・・10分後の休憩を挟み、いよいよ決勝です!!皆様はそのままお待ちください!」

観客「うおおおっ!」


 
酒場の戦士「・・・うまくいったみたいだな。これであとはお前たちだけだ」

青年剣士「はい・・・どれくらいの人たちが立ち上がるんでしょうか」

酒場の戦士「まぁ見てのお楽しみだ・・・はは。最初に暴れだすのはお前たちになる。そこから続く」


青年剣士「本当に・・・反乱が始まるんですね」

酒場の戦士「いまさら怖気づいたか?」

青年剣士「いえ・・・、実感というものが沸かなくて」

 
酒場の戦士「まぁ・・そうかもな。だが、ここまで来れた・・」

青年剣士「はい・・・必ず世界を変えてみせます」


酒場の戦士「頼んだ・・・。それと、幼剣士や赤髪少女はどうした?」


青年剣士「大事をとって家に待機させています」

酒場の戦士「それが良い。子供の身にも何が起きるかわからない。全てが始まったら子供の身も案じて一度戻るんだ」

青年剣士「そうですね・・・わかりました」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・ザザ・・

アナウンス「それでは、休憩が終了しますので・・白竜人と青年剣士は準備をして下さい」


酒場の戦士「がんばってこいよ」

酒場の僧侶「いってこい」

酒場の魔法使い「あとの事は・・・俺らに任せてくれ」


青年剣士「・・・はい」

 
 
・・・タッタッタッタ・・・

 
青年剣士「・・・」スタッ

白竜人『・・・』スタッ


青年剣士「・・・」コクリ 

白竜人『・・・』コクッ



アナウンス「それでは!!皆様お待たせしました・・・王政大会決勝・・・開始です!!!」

観客「うおおお!!」

観客「待ってたぜええ!」

観客「白竜人いけえええ!青年剣士も負けるんじゃねえぞ!!!」

 
アナウンス「決勝大会、はじめっ!!!」

 
青年剣士「・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
白竜人『とにかくハデな技を見せる。見切れる程度には出すつもりだ』

青年剣士「お願いします」

白竜人『打ち合いの速度もある程度出すが、大丈夫か』

青年剣士「大丈夫だと思います」

白竜人『わかった。ある程度やったら俺が合図を出す。思い切り技を出して俺を吹き飛ばせ』

青年剣士「・・・わかりました」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

青年剣士(打ち合わせをしてるとはいえ・・・遅れをとらないようにしなければ・・・)

 
白竜人『・・・大火炎刃っ!!』ビュワッ!!

青年剣士「・・・くっ!早い!」


・・・ドゴォォン!!

観客「うおお!観客席ごと吹き飛ばす勢いだ・・・すげえ!!」



白竜人「大雷撃魔法!」ビカッ!!

青年剣士「・・・小氷波魔法っ!」



・・・ゴロゴロゴロ・・ドゴォォン!!!


アナウンス「氷に雷を落とし、上手く攻撃をよけていく!技術同士がぶつかりあう素晴らしい勝負だ!」

 
白竜人『・・・』

・・・ダダダッ!!

青年剣士(打ち合いか・・・!)チャキッ


白竜人『・・・うおおっ!』

ビュッ・・・ビュビュビュビュッ!!!


アナウンス「目にも止まらぬ打撃の連打が青年剣士に襲い掛かる!!」


青年剣士「・・・うあああっ!!」ヒュッ・・・


・・・キィン!!キキキキキキィン!!!!

 
アナウンス「これに対し青年剣士も食らいつくっ!!弾き返す!!なんという打ち合いだぁぁ!」

観客「うおおおおっ!!いけええ!」

観客「アツイぞおお!」


白竜人『ほう、この速度でついてこれるか』

青年剣士「まだまだいけますよ!」


白竜人『それでは・・・』ビュオオオッ!!

青年剣士「うらあああっ!!」ヒュオオオッ!!

キィィィィィィィィン!・・・!キィン!!キィィィィィィン!!!!


アナウンス「打ち合いの音が早すぎて・・・もはや音が1つになっていく!!どこまで行くのか!!」

 
白竜人(こいつ・・本気でやれる・・・、相当な腕前だ・・・)

青年剣士(さすがだ・・!一撃一撃が重い・・・!)


・・・キィィィィン!!!!


白竜人『ふっ!』

・・スタッ


アナウンス「ここで白竜人が一旦離脱!壮絶な打ち合いに逃げ腰か!?」


エリート魔法使い「なにしてるんだ!!さっさと波動でも何でも出して、勝負を決めろ!!」

王様「英雄剣士と謳われた者が、偽者とはいえ死ぬ姿・・・ゾクゾクするのう」ククク

 
白竜人『・・・』ビシッ


アナウンス「おっと!?白竜人が天高く・・・王様の方へ向かい腕を上げる!勝利を確信したのか!?」


青年剣士(腕・・・合図!)


エリート魔法使い「当たり前だ・・・勝たなければ弟の命はないと思え・・・」

王様「どのみち、白竜王は死ぬがな・・・」ウハハ

竜側近「・・・」ギリッ



白竜人『長々とした戦いになる前に、一撃で決着をつける。力のぶつかり合いだ・・・』

青年剣士「いいでしょう!俺も本気でいかせてもらいます!」


白竜人『・・・・』スゥッ

青年剣士「・・・」スゥッ

 
白竜人『・・・竜波動っ!!!』


アナウンス「でたぁぁ!王傭兵、不沈艦を静めた最強の必殺技・・・竜波動っ!」


青年剣士「・・・竜波動っ!!!!」


白竜人『なっ!』


アナウンス「おおおおお!?ど、どうしたことだ!?青年剣士も竜波動を使ってきたぞ!?!?」

観客「どうなってんだ!?!?すげえぞおお!」


青年剣士「未来の・・技術を経て・・・、竜波動を使った感覚を思い出したんです・・・」ググッ

白竜人『ぐぬ・・そうか・・、お前も竜の血を引く者だったな・・・・!』ググッ

 
エリート魔法使い「なっ・・・、聞いていないぞ!あいつが竜波動を操るなんて!」

王様「ばかな!?」


白竜人『・・・ぐ・・・・』ビリビリ

青年剣士「・・・はは、客に"魅せる"にはいい演出でしょう?」ビリビリ


白竜人『ふ・・・それじゃ、あとは頼んだぞ・・・』スッ

青年剣士「・・・任せて・・・ください!」グワッ!!


アナウンス「な、なんとぉ!?白竜人が両手を下ろし・・・あきらめた!?」


エリート魔法使い「ば、ばかやろおおお!」

王様「何をしているんだ!!!戦えぇぇぇ!!」


・・・ドゴォォォォッ・・・・!!!!

 
白竜人『・・・』

ユラッ・・・・・・ドサッ



アナウンス「あ・・・」

観客「・・・っ!」

観客「・・・!」


青年剣士「・・・よしっ!」


エリート魔法使い「なっ・・・・!」

王様「何ぃ・・・・!!」

 
アナウンス「な、なんと!なんとぉぉぉ!白竜人が敗北!!完全敗北!起き上がる気配なし!!」


エリート魔法使い「バカな!そんなわけあるか!そいつは分身だろう!!分かってるんだ!」


白竜人『・・・』


エリート魔法使い「立て!立ち上がらないと・・・貴様の弟を殺すぞぉぉぉ!!」

王様「ば・・ばか者!!」


・・・ザワザワ・・

観客「今・・・何て言った?」

観客「人質をとってるのか・・・?なんだ・・・?」


エリート魔法使い「勝てぇぇ!立てぇぇ!くそぉぉぉ!」

王様「・・・」

 
アナウンス「"連覇"の白竜人、ついに敗れる!!"英雄"の青年剣士が大勝利ぃぃぃ!」

・・・ウォォォォォ!!!!


青年剣士「・・・」ニコッ


酒場の戦士「よしっ・・・よし!!」

酒場の僧侶「全員・・・準備をする合図だ・・・」

酒場の魔法使い「もちろんだ・・・」


アナウンス「勝利者にはその場で王様に、願い事をすることが出来る!さぁ・・・青年剣士!その願いを言うのだ!」


・・・スタッ
 
兵士「青年剣士様、これを。これで言えば世界に貴方の言葉が飛び立ちます」スッ

 
青年剣士「・・・これは?」

兵士「・・・マイクです。あまり大声でしゃべると非常にうるさいので・・・静かに・・・」

青年剣士「・・・わかりました」


・・・スッ


青年剣士「皆さんっ!!!聞こえますかっ!!!」ビリビリ!!!!

 
エリート魔法使い「・・・うるせぇ!」ビリビリ

王様「・・・ぐ」キーン


青年剣士「・・・俺の願いごとは・・・すでに決めてあります!」

観客「うおおおおお!」

観客「なんだ!?言ってみろぉぉ!」


酒場の戦士「・・・」スチャッ

酒場の僧侶「・・・」スッ

酒場の魔法使い「・・・」スッ

酒場の剣士「・・・」チャキッ

 
青年剣士「・・・王政の終結!王の追放!国家の破綻と・・・再生です!!」

 
アナウンス「王政の終結が願いごとだぁぁ!・・・・・は?」


王様「・・・今、何といった?」

青年剣士「・・・」

王様「貴様、今何といった」

青年剣士「もう1度言いましょうか?」

王様「王政の終結だと・・・?そんな戯言、通ると思うか!!」


青年剣士「・・・通しますよ。今こそ、立ち上がる時!!!」

 
・・・スッ

・・・・・スッ

・・・スタッ・・・スッ・・・スッスッ・・・・


王様「な・・・!」

エリート魔法使い「観客たちが・・・立ち上がっていく!?」



青年剣士「さぁ・・反撃の時です」ニコッ

本日はここまでです。皆さんありがとうございました(A´ω`)

 
・・・・ウワアアアアアアッ!!!

レジスタンス「うおおおおおっ!」

レジスタンス「覚悟しろおおおおお!」

レジスタンス「皆のもの!立ち上がれ!今こそ王を倒し、平和と自由を手に入れるんだ!」


酒場の戦士「行け行け!相手は油断している・・・攻めろぉぉ!」

酒場の僧侶「休ませるな!進めぇ!」


・・・ウォォォォ!!!

 
王様「な・・・ななな、兵士たち!ワシを守るのだ!」

エリート魔法使い「そうだ!守れ!!」


兵士A「はっ・・・し、しかしこの人数では・・・!」

兵士B「う、うわぁぁぁ!」

カランッ・・タダダダッ


王様「こらぁ!!逃げるんじゃない・・・この二流兵士どもがあぁ!」

 
兵士B「・・ぎゃぁぁっ!」バスッ・・ドサッ

王様「!」


レジスタンス「王よ・・・今こそ終焉の時が来たんだ・・・」

王様「く、来るな・・・・!」


レジスタンス「俺らの家族返してもらうぞ・・・、俺の友人の死を償ってもらうぞ・・・・」

 
王様「か、金がほしければやる!」

レジスタンス「・・・」

王様「何でもやる!だから、だからぁ・・・命、命だけは助けてくれぇぇ・・・・・!」


レジスタンス「ですって。どうしますか」


・・・スッ


白竜人『・・・ふん、醜い豚が・・・いまさら命乞いか・・・』

王様「き、貴様ぁぁ・・・・、アイツにやられたのではなかったのか!」

白竜人『ふん・・』


・・・スチャッ

 
王様「そ、それはワシのショットガン!か、返せ!!」


白竜人『・・・そういや、昨日は痛かったぜ・・・』チャキッ

王様「わ・・ワシに向けてどうするつもりだ・・・・」

白竜人『ふ・・・』


エリート魔法使い「ま、待て!それ以上やったら・・・お前の弟に容赦はしないぞ!」

白竜人『両腕が使えぬ者が粋がってもな・・・』

エリート魔法使い「いつでも殺せるぞ!逆らうんじゃない!」


白竜人『もう俺らは止められない・・・最初からこうすればよかったのだ』


・・ドォン!!!・・・グシャッ・・・


エリート魔法使い「・・・きさ・・・ま・・・」

・・・ドサッ

 
王様「ひっ・・・・ひぃぃぃ!」

白竜人『・・・さて、次はお前の番か』

王様「やめてくれ・・・やめてくれぇぇ・・・・・・!」


白竜人『地獄で・・・償うんだな・・・・!』


・・・カチッ・・・


白竜人『なんてな。お前には王政の終わりを告げてから・・・って』


王様「・・・」ブクブク・・


レジスタンス「あーらら・・・色々汚いですね」

白竜人『ふん・・・縛り上げて牢にでも入れておくことだ』

レジスタンス「了解しました!」ビシッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

兵士「ひ、ひぃぃ!やめ・・・・ぐはっ・・」

ドシュッ・・・


酒場の戦士「だいぶ周辺は落ち着いたか?」

酒場の僧侶「そうみたいだな。あの声明も良かった・・・、大部分で反乱がおき始めている」

酒場の戦士「上手くいったな・・・」

酒場の僧侶「・・・あぁ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・ガチャッ


幼剣士「あ・・・青年剣士!」

赤髪少女「よかった、無事だった・・・!」ギュッ


青年剣士「心配をかけてごめんよ・・・少年剣士はいるかい?」


少年剣士「うん・・・どうしたの?」

青年剣士「君がよければなんだが・・・、君のネックレスを・・・貰えないか?」

少年剣士「あの手紙が入ってたやつ・・・?」

青年剣士「あぁ・・・必要なんだ」

 
少年剣士「・・・うーん・・わかった・・・」

青年剣士「ありがとう・・・代わりに・・もう少ししたら・・・君たちに最高の幸せをプレゼントするよ」


少年剣士「・・楽しみにしておく!」

幼剣士「・・・・期待しておくよ!」

赤髪少女「・・・」ワクワク


青年剣士「しばらく外は危険だからね・・・出ちゃだめだ。それまでは俺がついてるから・・・大丈夫」


3人「・・・うんっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・
・・

 
――それから数日。王政はあっさりというほどに崩壊した。

わずか7日でレジスタンス軍は勝利し、王政が崩れ、王はやがて処刑された。

落ち着きを取り戻すのにそれから5日。

ずっと"我慢"という溜め込まれた人の蓋が開けた時の暴動は、狂気としかいい様がなかった。


王国の城は陥落し、奴隷として扱われていた女達、子供達が解放された。

人々は家族と再び会い、泣き、笑いあった。


そして―――――・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【幼剣士らの家】


・・・コンコン・・


幼剣士「はーい・・・!」

少年剣士「どうぞ!!」


幼母「ただいま・・・!幼剣士っ・・・!」

少母「少年剣士・・・ごめんね・・・ただいま・・・!」


幼剣士「おかあ・・さんっ・・・!」グスッ

少年剣士「おかあさぁぁぁん!!!」ギュッ

 
青年剣士「よかったね・・・みんな・・」


幼母「本当に何といっていいか・・・」

少母「ありがとうございます・・」

幼剣士「ありがとう・・・青年剣士・・ありがとう・・・・・」

少年剣士「・・・ありがとう・・・」



青年剣士「それと・・・少ないけど・・・これ。今後どうなるか分からないけど、持ってて損はないと思う・・・」ゴソゴソ

・・・ドンッ!!

幼剣士「これは?」

 
青年剣士「500万ジェムが入ってる。これだけあれば今後の生活もしばらく困らないと思う」

幼剣士「ごっ・・・」

青年剣士「俺はもう、このお金もいらなくなる。だから君たちにあげるよ」ニコッ


幼剣士「えっ・・そ、それって・・」


青年剣士「そう・・・今までありがとう2人とも。俺はここでさよなら・・・だよ」


少年剣士「だめっ!いっちゃだめっ!」

幼剣士「そ、そうだよ!別にずっと一緒に住んでてもいいんだよ!?」


青年剣士「はは・・ありがとう。でも・・・俺は俺の帰る場所があるんだ・・・」


少年剣士「・・・今日、もう行っちゃうの・・?」

幼剣士「・・・」

 
青年剣士「あぁ・・・赤髪少女もお母さんに会わせないといけないし、色々・・・とね・・」


幼剣士「また、会えるかな・・・」

少年剣士「・・・」グスッ


青年剣士「会えるさ。離れていても、必ず心はつながってるから・・・ね?」

幼剣士「わかった・・・」

少年剣士「今まで・・ありがとうございました・・・・」


青年剣士「うん、君たちも・・・元気で・・・幸せになってね」


幼剣士「ばいばい・・・青年剣士っ・・・!」

少年剣士「ありがとう・・・!青年剣士ぃぃ・・」グスグス


青年剣士「・・・」ニコッ


・・・・ガチャッ・・・バタン・・・

 
幼剣士「行っちゃった・・・本当に・・・」

少年剣士「寂しいな・・・うう・・」グスッ
 
 
少母「・・・本当に不思議な人だったわね・・・、感謝してもしきれないくらい・・」


・・・カサッ


少母「・・あら?お金の下に何か・・・手紙・・・?」


少年剣士「お母さん・・・よ、読んで!」

少母「あらあら・・・はいはい」ニコッ

 
"短い間だったけど、本当にありがとう"

君たちがいて、俺がいて、仲間がいて、今回の事はすべてが上手くいけた。

感謝しているよ。


そしてね、君たちは・・・・勇気があり、光がある


だから、くじけそうになっても、最後の最後まであきらめず何ごとにも頑張って・・・

 
少年剣士「・・・うん、頑張る・・!」

幼剣士「・・・うん!」


少年剣士「母さん・・・僕らも英雄剣士みたいになる!絶対!強くなってみせる!」

幼剣士「そうだな・・・俺らも頑張って、あの人みたいになるんだ!」

・・・ワァワァ!!


少母「・・・子供たちの目に光が・・。ありがとう、青年剣士さん・・・」

幼母「私たちも頑張りましょうね・・・、あの子たちのためにも・・」

少母「えぇ・・・もちろん・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【王城・魔界の扉前】


・・・トコトコ・・・


赤髪少女「・・・」ギュッ

青年剣士「・・・赤髪少女、幼剣士らに別れは・・・」


赤髪少女「大丈夫・・思い出は沢山作ったの・・・・・寂しかったけど・・・寂しいけど・・・」グスッ

青年剣士「・・・」ギュッ・・・ポンポン

赤髪少女「でもやっぱり・・寂しいよぅ・・・」ウッ・・


青年剣士「これからママに会えるんだ・・・、いっぱい・・お話して・・・ね・・・」ニコッ

 
赤髪少女「ママ・・・うん・・・」ギュッ


・・・トコ・・・トコトコ・・・・
ガチャッ・・・ギィ・・・・


レジスタンス「はっ!青年剣士様!お待ちしておりました!」


酒場の戦士「よう・・・」

酒場の僧侶「やっ」

酒場の魔法使い「来たか」

 
青年剣士「皆さん・・・わざわざ見送りに・・・?」


酒場の戦士「お前と会えるのは・・・これが最後なんだろ?」

酒場の僧侶「戻るんだろ・・・元の世界に」


青年剣士「はい・・・恐らく、そうなると思います」


酒場の戦士「そうか・・・楽しかったぜ。短い間だったけどな」グッ

酒場の僧侶「あとは、この世界は俺たちに任せてくれ」グッ

酒場の魔法使い「俺らがこの世界を引っ張る幹部に選ばれちまった・・・はは・・・」

 
青年剣士「未来の世界、いえ・・・この世界のこと。任せました、頑張ってください」


酒場の戦士「お前もな・・・」

酒場の僧侶「・・・じゃあな」

酒場の魔法使い「また、どこかで会えたら・・・」


青年剣士「はい・・・じゃ、赤髪少女・・・行こうか」

赤髪少女「うん・・・おじちゃんたち・・バイバイ・・・・」


青年剣士「それでは・・・ありがとうございましたっっ!!」ビシッ


酒場の戦士「・・・英雄剣士殿に・・・敬礼っ!」

全員「・・・」

・・・ビシッ!!!


・・・・ギュゥゥゥゥゥ・・・・ゥゥゥゥン・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【魔界・竜王の城】



竜兵士「・・・こちらです」

青年剣士「ありがとう」


・・・ガチャッ・・・ギィィィ・・・・・・・・


 
 
青年剣士「・・・・!!」

赤髪少女「ママァ・・・!!!」グスッ

 
赤竜王「・・・・お待ちしてました。辛い目にあわせましたね・・・2人とも」


青年剣士「・・・」


赤竜王「そんな顔をしないでください・・・私は・・あなたの妹の・・・ままですよ?」

青年剣士「赤髪少女・・・、立派になったね・・・」


赤竜王「今や全魔界を制する王となりました。貴方がここに来るのを・・・ずっと、ずっと待っていました」


青年剣士「・・・ありがとう・・・・ありがとう・・」


赤髪少女「ままぁ・・・やっと会えた・・・ままぁ・・・・!」グスグス・・

赤竜王「ふふ・・・いつまでたっても貴方も私と一緒で・・・甘えん坊さんなんですね・・・」

 
青年剣士「・・・」クスッ

赤竜王「それと・・・お入りなさい」


・・・ガチャッ


側近「・・・」

青年剣士「なっ・・・お前は王の側近!なぜここに!」


竜側近「はぁ・・・全く。私は竜側近です・・・だいぶ歳をとり、転生を重ねたので分からないかもしれませんが」

青年剣士「り、竜側近さん!?」

竜側近「あの時はすいませんでした。まだ色々といえる立場ではなかったのです」


青年剣士「・・・」

 
赤竜王「これで・・・全てが終わりました。平和が戻り、もうじき魔界と人間界の扉は再び閉じられることでしょう」

青年剣士「良かった・・・それと、このネックレス・・・」チャリッ

赤竜王「・・・」


青年剣士「過去の俺から、手紙には"全てが終わり、魔界への道が開いた時に全てが戻る"とある。どういう意味か、教えてくれるかな」


赤竜王「ふふ・・」

青年剣士「?」

赤竜王「竜側近、あれを持ってきてください」


竜側近「はいっ・・・」スッ

 
青年剣士「仮面と・・・、また・・手紙・・・・・?」カサカサ


赤竜王「手紙は過去の貴方から預かったモノです」

青年剣士「・・・」カサッ


"これから起きる出来事について話をしておく・・・"


青年剣士「・・・」

赤流王「・・・」 
 
青年剣士「ふむ・・・なるほど・・」

 
赤竜王「全ての出来事が・・・書いてあったのですか?」 


青年剣士「いや、要所要所だけかな・・・、やっぱり自分で体験しろってことなのかも」アハハ

 
赤竜王「ふふ・・・よっぽど真実を知るよりも、自ら体験しつつ未来を築いていくのが好きなようですね・・・」

青年剣士「はは・・・そうかもしれない」


赤竜王「ですが、これだけは教えなければなりません。恐らく手紙にもあったでしょうが・・あなたが戻った過去で、幼剣士らが惨事に巻き込まれます」

青年剣士「・・・」

 
赤竜王「貴方はそれを助けるべく、再び世界に帰還します・・・」

青年剣士「・・・」


赤竜王「貴方を元の世界に戻す時空の扉。それはこちらの黒い魔石の研究を極秘裏に進め、成功しました」

青年剣士「・・・」

赤竜王「そこで、700年前の世界へ戻すことが出来ます」

青年剣士「・・・頼む」



赤竜王「そこで、その仮面が必要なのです」

青年剣士「・・・・・これは・・・ただの仮面じゃないのか・・?」

 
赤竜王「時空の扉は元々、一般人には耐えられない代物です。貴方は竜の力を持ち、強靭な肉体でそれを防いだ・・・」

青年剣士「・・・」

赤竜王「ですが・・2度目は、貴方の人格・・・記憶・・・意識を奪うことになるでしょう」

青年剣士「なっ・・・」


赤竜王「その仮面には、一時的に人格を裏に沈ませることが出来る"呪い"がかかっています」

青年剣士「・・・」

赤竜王「そうすれば、時空の扉を抜ける時・・・深い眠りについた貴方の意識は守られる」


青年剣士「・・・なるほど」

 
赤竜王「仮面は仮面の人格を持ち、2つの意識で1つの体となりましょう」

青年剣士「それは・・大丈夫なのかな・・・」


赤竜王「深層心理とでもいいましょうか、別の意識を持ちつつも"目的意識"を忘れなければ、貴方の意識が目覚めた時・・・再び体は貴方のものに戻ります」

青年剣士「・・・」

赤竜王「強靭な精神力も必要ということです・・・ですが、あなたなら大丈夫です」


青年剣士「わかった・・・ありがとう。ありがたく受け取るよ」


赤竜王「・・・そう言うと思っておりました。竜側近、時空の扉の準備を・・」


竜側近「はっ・・・」

青年剣士「あ・・・そうだ、その前に・・・それじゃあ紙とペン、いただけませんか?」

竜側近「・・・こちらに」スッ

 
青年剣士「用意がいいんですね・・・よし・・・」カサカサ

赤竜王「・・・」

青年剣士「・・・」スラスラ

赤竜王「・・・」


青年剣士「これでよしっ・・・と。これを仮面の裏の隙間に入れて・・・」カサッ

赤竜王「準備は・・・できましたか?」

青年剣士「・・・いつでも」

 
赤竜王「それと・・・貴方にこの・・・技術を渡しておきます・・・」フゥッ・・・


・・・サァァッ・・・・・

青年剣士「・・・暖かい・・竜のブレスか・・・。記憶と技術が・・・流れ込んでくる・・・」


赤竜王「"命転生の術"・・・。それは必ず貴方が必要になるであろう秘術ですが・・・出来れば使わない事を・・・望みます・・・・・・」

青年剣士「・・・」ギュッ


竜側近「・・・時空の扉、準備が出来ました!」


ギュゥゥゥ・・・・ゴゴゴゴ・・・・

 
青年剣士「皆さん、ありがとうございました。俺は・・・俺の時代へと帰ります」

竜側近「・・お元気で。あちらの私にも宜しくお願いします」


赤竜王「青年剣士・・・、もう1度会えて嬉しかったです・・・・」

青年剣士「・・・はは、そんなに気を使わないでくれよ最後まで。昔みたく・・・ね?」


赤竜王(赤髪少女)「お兄ちゃん・・・また会えて・・・嬉しかった・・」

青年剣士「・・・」ニコッ



ダダダッ・・・・!!

ギュゥゥゥゥン!!!!!

青年剣士「待っていてくれ・・・俺は・・・戻るぞ・・・・!うあああっ!」



・・・・・・ギュゥゥゥゥゥゥン!!!!!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴォォォォォ!!!!!
ゴォォォォォォォォッ!!!!


青年剣士「なんて魔力の渦だ・・・体が・・・引きちぎられそうだ・・・・・!」


グォォォォォォォ・・・・オォォォ!!!!


青年剣士「意識が・・遠のく・・・仮面・・・頼むぞ・・・、もう1人の俺となって・・みんなを助けてくれ・・・!」ゴソゴソ

・・・スチャッ


仮面の男「・・・・!」ギラッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【塔の暴走・全員が去った後】

 
・・・・・・・シーン・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・スゥッ・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・スゥゥゥゥ・・・バリッ・・・・・・バリバリッ・・・・・!!


・・・・・・・ギュゥゥゥゥン!!!!・・・・・・・・・


・・・・・・ドサッ・・・・・

 
仮面の男「・・・」ムクッ


・・・キョロキョロ


仮面の男「成る程。我が肉体の主が、渦に飲み込まれた直後の場所か」


・・・・チャキッ

仮面の男「主が目覚めるまで、体を慣れさせていただこう。主の想い・・・しかと受け止めさせていたく」



・・・・スッ・・・・ギィィィ・・・

・・・・バタン・・・・・・・・・

本日はここまでです。ありがとうございました。
ちょっと風邪を長引かせてしまい、尋常じゃない頭痛に襲われているので・・・明日の更新は見送るかもしれません。
申し訳ないです(;A´ω`)失礼します

みなさまありがとうございます。
一晩寝たら大分よくなったので更新は続行いたします。ご迷惑おかけしました。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【1年半後・墓地区】


仮面の男「ここが主の墓か。立派なものだ・・・この時期にココへ訪れろという主の考え・・・何があるのか」


・・・スッ

仮面の男(意味のないことではないはずだ。この時代、まだ主の存在はいないのだからな・・・)


幼剣士「あの・・・どなたですか?」

仮面の男(この者が・・・幼剣士だな)


幼剣士「あの・・・」

仮面の男「静かに・・・」


幼剣士「あ・・・はい」

仮面の男(この子を守ることが・・主の信念と伝えている・・・)


幼剣士「・・・」

 
仮面の男「よし・・・っと。で、何か用かな?」

幼剣士「あの、えと・・・・、お兄ちゃんの墓に・・挨拶してたんですよね?」

仮面の男「ん・・・あぁそうだね」


幼剣士「あなたは誰でしょうか?仮面を着けて・・・怪しいのですが・・」


仮面の男「・・・・この人は身を挺して世界を救ったのだろう・・・それに挨拶するのが変かい?」


幼剣士「あ・・・確かにそうですね。お名前を伺っても?」


仮面の男「名前はない。好きに呼んでくれ」

幼剣士「・・・・?」

 
仮面の男「で、君はここに何をしに来たんだい?」


幼剣士「あ・・・そうだった。お兄ちゃんに報告することがありまして・・・」


仮面の男「ふむ・・・この方は君のお兄さんなのか?」

幼剣士「はい。実は・・・暴走した魔獣がまた確認されたと報告があったので、僕らを守ってくださいとお願いしにきました」


仮面の男「何・・・・・?暴走した魔獣だと?」


幼剣士「あ・・・言っちゃいけないことでしたぁぁ!忘れてくださいお願いします!」ガーン


仮面の男「・・・、口はあまり滑らせるんじゃない。注意することだ」

幼剣士「う・・・」

 
・・・・ガサッ
 
 
仮面の男「・・・・!」ピクッ

幼剣士「・・・?」

仮面の男「ひとつ聞くが、君は他に誰か連れてきたかな?」

幼剣士「え?いや・・・僕一人ですよ」


仮面の男「・・・ということは・・」


・・・ガサガサガサ!!

・・・・・ザスッ・・・


アラクネ『久しぶりだわぁ・・・・』

 
幼剣士「く・・・蜘蛛!?でかっ!」

仮面の男「ほう、アラクネか」


アラクネ『傷を癒すのに1年以上もかかったけど・・・目の前にご馳走があるじゃない・・・・』


幼剣士「アラクネ!?武道家たちさんが倒したっていう・・・」


アラクネ『ごめんなさいね・・・あなたたち、私の為に食べられてちょーだい』


幼剣士「・・・・くっ!」チャキッ

仮面の男「まぁ、待ちたまえ」スッ

幼剣士「・・・!」

 
仮面の男「ここは私がやろう」チャキッ


アラクネ『あら・・・抵抗するの・・・・?でも、そういう男って・・・大好き!』クワッ

幼剣士「う、うわっ!」


仮面の男「・・・」ヒュッ


・・・・ズバッ!!!
・・ボトッ・・


アラクネ『あらやだ・・・腕が取れちゃったじゃない・・・」


仮面の男「・・・」


アラクネ『でもね・・・まだよ!』ビュッ

 
仮面の男「大火炎魔法っ!」ボワッ

・・・・ドゴォォォン!!


アラクネ『あ・・・熱い・・・熱いィィ!!!』


仮面の男「火炎装っ!・・・・火炎刃っ!」・・ボゥッ!!!


・・・・ドゴォォォォンッ!!!

アラクネ『そ、そんな・・・私がこんな簡単に・・・・・・・・』


仮面の男「病み上がりで悪いが、君はこの世には危険すぎる」



・・・・ドサッ・・・

 
幼剣士(強い・・)

仮面の男「・・・」スチャッ

幼剣士「・・・」ゴクリ


仮面の男「ああ、ケガはないかい?」

幼剣士「あ・・・大丈夫です」


仮面の男「それは何より。それではこれで失礼するよ」スッ

幼剣士「あ、あの!待ってください!」


仮面の男「・・・・なんだい?」ピタッ


幼剣士「あなた・・・本当に何者なんですか?身内にも強い方はいますが・・・、あなたはケタが違う・・・」

 
仮面の男「・・・私は誰でもない。ただ世界を旅する一介の剣士、さ」

幼剣士「・・・・!」

仮面の男「話はそれだけかな?」


幼剣士「・・・・」


仮面の男「それでは今度こそ失礼する。私は急いでいるのでね・・・では」


幼剣士「・・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【9日後・夜】


仮面の男(・・・)

・・・ホーホー


仮面の男(主の声が最近、強くなってきている。完全な目覚めの時も近い・・・)

青年剣士(・・・)


仮面の男(分かっている。ここにいればいいのだろう)

青年剣士(・・・)


仮面の男(・・・むっ)


・・・・タッタッタッタッタ・・・

 
仮面の男「・・・」スッ


童子騎士「っと、うわぁっ!」ピタッ

幼剣士「・・・・うわっ!」ズザザ・・


仮面の男「・・・」


童子騎士「真っ暗な道に、真っ暗な格好で立ってるんじゃねーよ!危ないだろ!」

幼剣士「あ、貴方は・・・」

童子騎士「なんだ、お前知り合いか?」

 
仮面の男「・・・こんな時間に子供がうろつくべきではないな」


童子騎士「う、うっせぇ!勝手だろ!」

幼剣士「・・・」


仮面の男「どこへ行くつもりだ?」


童子騎士「どこでもいいだろ!」

仮面の男「なるほど。最もな答えだ」


幼剣士「それより・・・何であなたもココにいるんですか?」


仮面の男「ただ夜を楽しんでいただけだよ」

童子騎士「・・・?」

 
仮面の男「その格好、その装備。もしやこれから冒険にでも出るつもりか?」

幼剣士「ちょっとした旅ですよ」


仮面の男「なるほどな。まぁいい・・・気をつけていくことだ」


童子騎士「どういうことだよ」


仮面の男「何、ちょっとした忠告だよ」

幼剣士「・・・ありがとうございます」


仮面の男「それでは私はこれで失礼する」バサッ

ザッ・・ザッ・・ザッ・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

仮面の男(成る程な。忠告だったか)

青年剣士(・・・)


仮面の男(・・・ふむ、太陽の国・・か)

青年剣士(・・・)


仮面の男(生まれが未来の国だったからな、太陽の国の情報がないのだ)

青年剣士(・・・)


仮面の男(砂漠か・・・・・楽しみだ)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【数日後・エルフの町】


・・・ジリジリ・・・・

 
仮面の男(ほう、ここが・・・・素晴らしい景観ではないか)

青年剣士(う・・・・)


仮面の男(主・・・目が覚めたのか?)

青年剣士(まだ・・・完全じゃない・・・もう少しだけ、そのまま頼めるだろうか・・・)

仮面の男(主に従うまでだ)

青年剣士(ありがとう・・・いってほしい場所がある・・・)


仮面の男(・・・わかった)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【女エルフの家】


吟遊詩人「行ってきます!」グイッ

幼剣士「わわっ、引っ張らないでまだ装備が・・・・あ~っ!」


・・・・ガチャッ!!


女エルフ「若いって・・・いいなぁ~・・」


・・・コンコン

女エルフ「・・・よく最近はお客が来ますねぇ・・・どうぞ~」

・・・・ガチャッ


仮面の男「・・・・どうも」

女エルフ「・・・あなたは?」

 
青年剣士(仮面、少しだけ外してくれ・・・・)

仮面の男(わかった・・・)


・・・スチャッ


女エルフ「・・・・っ!!!」

青年剣士「ごほっ・・・、お久しぶりですね・・・女エルフさん・・・」


女エルフ「し・・青年剣士っ!!!!」


青年剣士「あまり・・・まだ長くはいれません・・・が、ある理由で・・・仮面をつけてるんです・・・」


女エルフ「なっ、何で!?とにかく無事だったんだ・・・、よ、幼剣士くんたちにも教えないと!!」


青年剣士「そ・・・それはまだ・・早いです・・・、俺の・・体力も・・、まだ・・戻って・・・ない・・・」

 
女エルフ「・・・何がどうなのか分からないっ!!どうしたらいいの・・・!」

青年剣士「だめだ・・・意識が遠のく・・・、仮面をつけた・・・ら、そいつの話を聞いてください・・・」

女エルフ「わかった・・・!」


青年剣士「・・・」ブルブル

・・・スチャッ


仮面の男「・・・」

女エルフ「青年剣士・・・?」

仮面の男「もう青年剣士ではない。彼の意識は奥深くで眠り始めた」

 
女エルフ「仮面さん・・・って呼べばいいですか」

仮面の男「好きなように」

女エルフ「じゃあ仮面さん・・・いったい・・・青年剣士が何でここに?仮面はいったい何?」


仮面の男「それを説明するには・・・少し長くなるがいいか?」


女エルフ「・・・構わない」

仮面の男「・・わかった」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


女エルフ「そんな・・・辛すぎる・・・、何で青年剣士がそんな目に・・・」グスッ

仮面の男「・・・」

女エルフ「ううっ・・・」グスグス

仮面の男「それと、今夜・・・。リッチの復活の兆しとする軍団が街へと襲う。夜、丘の避難所へと逃げるんだ」


女エルフ「えっ・・・」

仮面の男「事実なんだ。そこまでこれば、私がいる。偶然を装い、現われ、君を守る」

女エルフ「それは・・・貴方の意思?」

仮面の男「いいや、青年剣士の意思だ。私は彼の信念を表す人形のようなものだ」

 
女エルフ「そっか・・・青年剣士・・・私のことも・・・覚えててくれたんだ・・・」

仮面の男「・・・」


・・・チャリッ


女エルフ「そのネックレスは・・・」

仮面の男「700年後の未来でも持っていたものだ」

女エルフ「もう・・・色々優しすぎるよ・・・青年剣士・・・・・・」グスッ


仮面の男「・・・そろそろ時間だな。私はまだ行く所がある」

女エルフ「・・・わかった」

仮面の男「それでは、くれぐれも気をつけるのだぞ」

女エルフ「ありがとう・・・」


・・・ガチャッ・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・カァン!!カァン!!!


職人エルフ「こうやって剣を打ち込むだけで、俺は落ち着くんだぜぇ~♪」


・・・カァン!!!・・・カァンカァン!!!


仮面の男「・・・」スッ

職人エルフ「うおわっ!!」ビクッ


仮面の男「・・どうも」

職人エルフ「なな、なんだテメェ!怪しい仮面つけやがって!」

 
仮面の男「今はまだ何もいえぬ。だが・・・、その幼剣士の剣に・・私と一緒の技術を施してほしい」

職人エルフ「・・・属性強化のことか?」

仮面の男「・・・」


職人エルフ「お前、英雄剣士じゃないのか」

仮面の男「・・・」チャリッ

職人エルフ「・・・太陽のネックレスと・・、共鳴の指輪・・・・・・?」

仮面の男「見せられるものは・・これだけだ。判断してくれ・・・すまない」


職人エルフ「・・・わかった」

 
仮面の男「・・・」チャキッ

職人エルフ「な、なんだぁ!?俺を殺す気か!?」

仮面の男「・・・これを」スッ


職人エルフ「剣でも打ってほしいのか・・・て・・・」


仮面の男「・・・」

職人エルフ「こりゃ・・・少年剣士・・いや、英雄剣士に渡した・・・・俺の剣じゃねえか・・・」

仮面の男「・・・」


職人エルフ「・・・まさか・・」

>>380 と >>381が逆です 申し訳ない

 
仮面の男「感謝する。それと・・・忠告だ。今日の夜、この町は災害に襲われる・・・、逃げるんだ」

職人エルフ「何っ!?」

仮面の男「ただ、大事にするとパニックになる。身内などだけに教えてやってくれ」

職人エルフ「・・・お前さんの言うことなんだ、本当なんだろう・・」


仮面の男「くれぐれも私のことは幼剣士らに内密に・・・」


職人エルフ「・・・あ、あぁ・・」


仮面の男「それでは、これで失礼・・・」スッ


職人エルフ「一体・・なんだってんだ・・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
――――【夕方】


職人エルフ「お・・・おう、来たか」


幼剣士「できてたの出来ましたか?」

職人エルフ「出来てるぜ・・・ほら、銀の短剣もな」チャキッ


幼剣士「わぁ・・・剣身が伸びてる」

吟遊詩人「凄い磨きがかかってる!ありがとうございます!」


職人エルフ「おう・・・」


幼剣士「どうしたんですか・・・元気ないですね?」

職人エルフ「あ、いや?そんなことねーぞ!?」

 
吟遊詩人「・・・・?」

幼剣士「本当ですか?」

職人エルフ「あたぼうよ!」

幼剣士「それならいいんですけど・・・」


吟遊詩人「いけない!結構時間たっちゃってた・・・女エルフさんに怒られちゃう!」


幼剣士「あ・・・!職人エルフさん、ありがとうございました!」

職人エルフ「おうよ!またこいよ!」

吟遊詩人「失礼しますっ!」



・・・・タタタタタッ
・・・・・・・・・・・・・・

 
職人エルフ「・・・」ハァ

仮面の男「・・・感謝します」スッ

職人エルフ「・・・いたのか」


仮面の男「・・・」


職人エルフ「もうすぐ災害が始まる・・・のか?」

仮面の男「・・・準備だけはしておくように。一応私も防衛には参加する」

職人エルフ「・・・」


仮面の男「・・・では」スッ


職人エルフ「・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【夜・エルフの丘】


仮面の男「風が騒ぎ出した。魔力の動きが激しい・・・そろそろか」


・・・ワァァ!!!キャァァァ!!!


仮面の男「・・・始まったか。幼剣士らはここに来るはずだ・・・」


職人エルフ「はぁ・・はぁ・・・・・!」

仮面の男「む・・」

職人エルフ「本当だったんだな・・・ありがとよ・・・・俺の家族は助かりそうだ」


仮面の男「ここももうじき戦場になる。ここより西側に逃げるといい」

職人エルフ「あ・・あぁ。ありがとうよ!」


・・・タッタッタッタ・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

仮面の男(・・・来たか)



幼剣士「くっ・・・・!」

童子騎士「女エルフさんを守るんだ!」

女エルフ「み、みんな・・・」


・・・キィン!!
・・ズバッ・・・・キィン!!


幼剣士「女エルフさん、どこか安全な場所はないの!?」

女エルフ「・・・だめ・・、この辺はどこも開拓のときに亡くなってるの・・・安全な場所はないと思う・・・」

 
仮面の男(任せようと思ったが・・・やはりまだ無理だったか・・・)スチャッ

 

童子騎士「それじゃ・・・」

幼剣士「だね・・・朝まで戦い抜く・・それだけ・・・!」

吟遊詩人「女エルフさん・・・お守りします!」

女エルフ「・・・!」


グール『・・・ウアァァ・・!』


幼剣士「・・・!」チャキッ



・・・・ズバァァ!!!!・・・ドサッ

グール『』



幼剣士「へ?僕まだ斬ってない・・・・」

 
・・・・・・スタッ


仮面の男「やれやれ」

幼剣士「仮面の男!」

仮面の男「おや・・・あの時の」


女エルフ「・・・!」


童子騎士「て、てめぇなんでここにいるんだ!」

仮面の男「はてさて、たまたま一緒の行き先だったってことじゃないかな?」

童子騎士「たまたまだと・・・?」


グール『アァァッ!』ガバッ

童子騎士「うわっ、離せ!」


・・・キィン!!グシャッ・・


仮面の男「無駄口を叩く暇があったら、さっさとグール達を倒したほうがいいんじゃないか?」

 
童子騎士「う、うっせーわかってるよ!」

仮面の男「それとも、君たちには荷が重いかな?私が君たちをオンブ抱っこしてもいいぞ?」


幼剣士「不必要です・・・僕たちも戦う!」

吟遊詩人「・・・」コクッ

童子騎士「任せろっつーの・・・」


仮面の男「・・・・それでは、その言葉に甘えさせてもらうとしよう・・・」


女エルフ「・・・」


仮面の男「・・・・朝まで、戦い抜くぞ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


仮面の男「・・・・」ズバッ!


グール『・・・・ァ・・』ドサッ


・・・パァッ・・


幼剣士「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・、朝日だ・・・」

童子騎士「もうこれ以上・・・戦えねえよ・・・」ハァハァ

吟遊詩人「お疲れ様・・・」


仮面の男「数時間、よく持ちこたえたな」

童子騎士「あったり前だろ・・・」ハァハァ


吟遊詩人「・・・あなたは、何者なんですか・・・・、強すぎる・・・」


仮面の男「・・・」

 
女エルフ「・・・」


仮面の男「ただ世界を旅する一介の剣士。それだけさ」スッ


幼剣士「待って・・・どこへ?」

仮面の男「あとは軍に任せることにして、私は用事があるので失礼するよ」

タッ・・・タッ・・・タッ・・・・・・・・・・



童子騎士「何かと嫌な奴だけど、助けてくれた事には変わりないか・・・」

幼剣士「本当に誰なんだろう・・」

吟遊詩人「・・・・まあ、それより一回・・女エルフさんの家に戻って休んだりしても大丈夫かな?女エルフさんの体力も限界だと思うし・・・」


幼剣士「そうだね・・・戻ろう」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【幼剣士らが家で寝始めた頃】


修復員A「あーあー・・・祭壇のそこら中が穴だらけだしよ・・・」

修復員B「最悪だよ、祭壇も相当キズものになってるぞ」

修復員C「どうする?どこから直す?」


修復員A「どこからって・・・、そりゃなあ・・・」

修復員B「うーん・・・」

修復員A「それにしても、昼間だからアンデッドは出ないだろうが・・いくらなんでも怖すぎるぞ・・・」

修復員B「仕方ないだろ、お偉い方が早く祭壇を直せっていうんだから・・・」


・・・・ゴゴ・・・・・

修復員A「うん?地震か?」


・・・ゴゴゴゴ・・・

修復員「お、おい・・・でかいぞ・・・!」

 
・・・・ゴゴゴゴゴゴッ!!!!


修復員B「うわわっ、揺れる!」

修復員C「・・・・!」


・・・ゴゴゴ・・ゴ・・


修復員A「・・・」


・・・ゴ・・・

・・・・・・・・・・・


修復員A「落ち着いた・・・みたいだな。みんな、大丈夫かー!?」


修復員達「ういっす、大丈夫です!」


修復員A「それじゃ、作業はじめっか・・・」

  
・・・・ドゴォォォン!!!!

修復員A「・・・何の音だ?」



・・・・ザスッ!!!

修復員A「何か砂の上に落ちたぞ・・・・って、こりゃ祭壇のテッペンの屋根じゃねーか!」

修復員B「はぁ!?」

修復員C「・・・おい」

修復員A「・・・ん?」

修復員C「あれ、何?」


修復員A「お、おい・・・あそこ・・・・」

 
???『・・・・』


修復員A「祭壇の上に何かフヨフヨ浮いてる・・・?」

修復員B「・・・何だろうか」

修復員C「人か?おーい!誰ですかー!」


???『・・・』


修復員C「そこは入っちゃいけませんよー!」


???『・・・』


修復員C「聞こえねーのか?」

修復員A「そうみたいだな・・・どうする?」

修復員C「面倒だけどちょっくら・・くら・・・」

  
修復員A「あん?」

修復員C「くら・・・くら・・くらくらクら・・・クラ・・・」

修復員A「何ふざけてんだよ・・・早く行くならいってこいよ」


修復員C「ク・・ラ・・・ら・・・・ァ・・・・」ドサッ


修復員A「ちょ、お前!おい!」

修復員B「どうした!?」

修復員A「わからん!突然倒れた!」


???『・・・』

 
修復員C「・・・」

修復員A「・・・おい!しっかりしろ!」


スタッ・・・


仮面の男「・・・無駄だ。その男はもう死んでる」


修復員A「あ・・・?何だお前?」

仮面の男「それより、今は逃げたほうが良い」

修復員A「いや逃げろって・・・何でだよ」


仮面の男「・・・あれだ」スッ


???『・・・』フヨフヨ


仮面の男「・・・」

 
修復員A「あいつがなんだ?」

仮面の男「あいつは・・・・ぐあっ!」ブルブル


修復員A「ど、どうした!?」


仮面の男「昼間・・・から、この・・・・・力か・・・・・・・・!」


修復員A「お、おいあんた大丈夫か!?」

仮面の男「・・・いいから、ここから早く・・逃げろ・・・」

修復員A「なんのことだ!?」

 
仮面の男「くっ・・・・」ブルブル


修復員B「・・・っ!」

修復員A「と、とりあえず逃げればいいんだな!?」


仮面の男「他の場所の修復員らも連れていくんだ・・・・!軍の支部へとこれを報告し・・ろ・・・!」


修復員A「わ、わかった!」

修復員B「修復員Cを担げ!逃げるぞ!」


・・・・ダダダダッ!!!


 
仮面の男「・・・・・はぁっ!」ブワッ!!!


???『・・・何!我が攻撃を弾くとは・・』


仮面の男「びっくりしたか・・・・?」


???『何者だ』

仮面の男「・・・」


???『・・・』


仮面の男「お前は・・・リッチだろう。私は全てを知る者・・・・」


リッチ『・・・』

 
仮面の男「お前はまだそこから動けぬだろう。陽の下ともいえども・・・、完全な復活ではないはずだ」

リッチ『そこまで知っているとはな。全てを知る者・・か』


仮面の男「・・・」スッ


リッチ『どこへ行く?』

仮面の男「貴様を倒す算段は整っている。が、役者が足りぬのだ」

リッチ『ほう・・・』

仮面の男「待っておくことだな」



リッチ『・・・・』フヨフヨ

 
・・・・トコトコ・・


仮面の男(時に主よ・・・主の考えでは・・・主は・・・)

青年剣士(なあに・・仕方ない。あそこで挑んでもやはり・・倒せる相手じゃなかったんだ・・・)

仮面の男(・・・主はほとんどもう目覚めている。もう交代しても問題ないのではないか?)


青年剣士(・・・いや、まだもう少し長く頼む)

仮面の男(・・わかった)

青年剣士(それと・・・ここから、名を名乗ってくれ)

仮面の男(名を?)


青年剣士("時空剣士"だ。全てを知る、未来からの剣士。俺が考えたんだが・・・どうだろうか?)

仮面の男(中々いい名前ではないか)

青年剣士(名を名乗ったほうが、幼剣士も何かと信じてくれるだろうしな・・・)

 
仮面の男(よし・・・それではこれからどうする?)

青年剣士(事の通り進めよう。女エルフさんの家の裏口は開いていると思う。そこから中に入ってくれ)

仮面の男(わかった)


青年剣士(もうすぐ・・・全てが終わる。本当の全てが)


仮面の男(・・・)

青年剣士(ネックレスに、俺の魔力を入れておいてくれ。これも全部使う手筈だからね・・・・)

仮面の男(わかった・・・)


・・・チャリッ・・パァァァッ!!!


仮面の男(よし・・・それでは向かうぞ)

青年剣士(・・・あぁ頼む・・・・ん?何か、向こう側が騒がしいな・・)

 
タッタッタッタッダ・・・


防衛隊「・・・いたか!?」

防衛隊「いません!」

防衛隊「・・・そこら中にこれを貼り付けておけ!」ベシッ

防衛隊「わかりました!それでは向こう側を探します!」

防衛隊「検討を祈る!」

防衛隊「はっ!」


・・・タッタッタ・・


青年剣士(なんだ・・・?張り紙か?)

仮面の男(ふむ・・)


・・トコトコ・・

 
・・・・ピラッ

仮面の男「なっ・・・・」

青年剣士(!!)

仮面の男(主、これはまずいぞ)


青年剣士(わかってる・・・)

仮面の男(急いだほうが良いな)

青年剣士(急ごう・・・)


・・・タッタッタッタ・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・ガチャッ


仮面の男(ふむ、幼剣士だけいないようだが?)

青年剣士(今くるはず・・・)

 
・・・ガチャッ


仮面の男「・・・」

幼剣士「うわあっ!」

仮面の男「戻ってきたか」


幼剣士「なななな、なんで女エルフさんの家の中にアナタがいるんですか!」

仮面の男「・・・まあ気にするな。ちょっと立場がないんだ」

幼剣士「立場?」

仮面の男「軍が、今回の騒動の重要参考人として私を手配した」

幼剣士「そりゃ、今・・話を聞きましたけど、祭壇に入ったとか色々聞きましたよ・・・」

仮面の男「・・・」


幼剣士「っていうかどうやって入ったんですか!みんなまだ寝てるし・・・」

仮面の男「この家には裏口があるんだ。・・・まあいい、寝ているのは私の魔法による睡眠だ」

 
幼剣士「・・・」

仮面の男「本当はもっと少しずつ伝えるつもりだった・・・が、そうもいかなくなった」

幼剣士「何のことです?」

仮面の男「私について来い。見せたいものがある」

幼剣士「・・・?」

仮面の男「・・・着いてきてくれるな?」


幼剣士「・・・わかりました」

非常に長めでしたがココまでです。お疲れ様でした。

皆様ありがとうございます

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――【太陽の祭壇】


幼剣士「・・・祭壇の裏側ですね」

仮面の男「これ以上は近づくな」

幼剣士「?」


仮面の男「屋根の部分を見てみろ」

幼剣士「・・・屋根がない?」

仮面の男「破壊されたんだ」

幼剣士「どういうことです?」


仮面の男「・・・・いいか、よく聞くんだ。もうすぐここで、惨事が起きる」

 
幼剣士「惨事ですか・・・?」

仮面の男「それは私にも止められるか分からない。そして、君は試練を迎えることになる」

幼剣士「・・・・?よく・・・分かりませんよ・・・」


仮面の男「・・・」


幼剣士「・・・?」

仮面の男「詳しくは話せない。が、覚悟だけはしておくことだ」

幼剣士「・・・分かりませんが、わかりました・・・」

仮面の男「・・・」


幼剣士「・・・」

 
仮面の男「それでは、これで失礼する」スッ

幼剣士「ちょっと待ってください!」

仮面の男「・・・」


幼剣士「あの、今日こそ教えてください。あなたの正体を」

仮面の男「だから、私は旅する一介の・・・」

幼剣士「違います!」

仮面の男「・・・」

幼剣士「あなたの、正体です」


仮面の男「・・・」

幼剣士「・・・教えてください」

仮面の男「顔を、見たいのか?それとも真実を知りたいのか?」

 
幼剣士「全てです」

仮面の男「・・・・」

幼剣士「・・・言えないのですか?」


仮面の男「私の名前は・・・」

幼剣士「・・・」


時空剣士「・・・・"時空剣士"。未来から来た一介の剣士だ」


幼剣士「時空・・・剣士?」

時空剣士「そうだ」

幼剣士「未来から来たって・・・」

時空剣士「そうだ」


幼剣士「何で・・・未来から来た人が僕らに関わるんですか・・・?」

 
時空剣士「それは言えない」

幼剣士「・・・」

時空剣士「・・・」


幼剣士「わかりました、ありがとうございました」スッ

時空剣士「・・・」

幼剣士「あなたが話す気がないということが良く分かりました」

時空剣士「そう取るのも、良いだろう」


幼剣士「・・・失礼します」

時空剣士「・・・」

 
青年剣士(ありがとう)

時空剣士(それにしても、まだ素顔を出さなくてよいのか?)

青年剣士(・・・俺がここで顔を出すと、幼剣士らは間違いなく喜ぶ・・・けど。未来が変わる可能性があるからね・・)


時空剣士(主、まさか・・・)


青年剣士(・・・)

時空剣士(あの手紙には、全てが書いてあったのでは・・・)


青年剣士(違う違う!そんな心配しなくてもいいよ!)

時空剣士(それならば・・・いいのだが・・・)


青年剣士(・・・むっ)

時空剣士(囲まれているな・・・?)

 
・・・・ダダダダッ

 
軍人A「・・・」

軍人B「こちら、仮面の男を発見!至急応援を要請する!」

軍人C「覚悟しろ!」


時空剣士「おやおや・・・これは・・、みなさまお揃いで・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・ガチャッ


童子騎士「遅いぞ!どこ行ってたんだ!」

吟遊詩人「起きたらいないんだもん・・・心配したよ」

幼剣士「あ、ごめん・・・ただいま」


女エルフ「朝ご飯・・・じゃなくて、もう昼過ぎだけど、昼ご飯出来てるから食べてね」


幼剣士「いただきます」

 
女エルフ「・・・何か元気ないわね?」

幼剣士「いえ、何でもないです」モグモグ

吟遊詩人「どうしたの?」

幼剣士「んー大丈夫だよ、何でもない」


童子騎士「・・・?」


幼剣士「・・・」モグモグ

吟遊詩人「・・・」


・・・コンコン


女エルフ「はい、どうぞ」

 
・・・ガチャッ

 
隣人エルフ「やあやあ!女エルフさん!」

女エルフ「あら、どうしました?」

隣人エルフ「ちょっと聞いてほしいことがありまして・・・」


全員「?」

 
・・・・・・・・・・・・・・


隣人エルフ「今さっき、昨日の騒動について中央軍の調査が終わったらしいんですよ」

女エルフ「・・・」

隣人エルフ「それで、まだ公表されてないんですが身内のエルフからタレコミがあったらしいんです」

女エルフ「どうしたんですか?」


隣人エルフ「仮面を着けていた男を大陸指名手配して、この状態をひとまず収拾するみたいです」

女エルフ「え・・・?」

隣人エルフ「まー彼が祭壇にいるのを見かけたって人多いし、騒動になってる今はそれが一番収拾図りやすいんでしょうねえ」



吟遊詩人「仮面の男って昨日の?」ボソッ

幼剣士「だと思う」ボソボソ

 
女エルフ「そんなわけ・・・」

隣人エルフ「今回の騒動は一過性のもので、問題もないようですし・・・それに、仮面の男なんて怪しいじゃないですか」アハハ

女エルフ「そんなわけ、ないです!!!」

隣人エルフ「ひっ!」


幼剣士「お、女エルフさん!」


女エルフ「あ・・・ごめんなさい。で、でも・・そんなわけないと思うんです・・・」

隣人エルフ「ま、まあいいですよ。それ伝えたかっただけです、では失礼します」


・・・・ガチャッ・・バタン


女エルフ「・・・そんなわけないのに・・」

 
幼剣士「女エルフさん、仮面の男のことを知ってるんですか?」

女エルフ「あ、あ・・・ううん、ただ・・・そんな気がしただけ」

幼剣士「時空剣士・・・」


女エルフ「!」


幼剣士「・・・ウソだと思ってたけど・・・やっぱり本当なんだ・・」

女エルフ「それをどこで?」

幼剣士「直接・・・さっき聞いて・・」

女エルフ「全部、聞いたの?」

幼剣士「全部?」


女エルフ「彼の正体もってこと」

 
幼剣士「・・・時空剣士、としか」

女エルフ「そう・・・」

幼剣士「女エルフさんは知ってるの・・・?」

女エルフ「・・・それは言えないの。ごめんなさい」

幼剣士「・・・」


童子騎士「時空剣士とか、仮面の男ってなんのことだ?」

吟遊詩人「あの仮面の男の正体が時空剣士っていう人だったの?」


幼剣士「うん、そう聞いた」

 
童子騎士「時空剣士ねえ・・・」

幼剣士「未来から来たとか言ってたけど、ピンとこないし」

吟遊詩人「うーん怪しいね・・・」アハハ・・・

女エルフ「・・・」


童子騎士「でもさ、確かにそうだったりするかもしれないな」

幼剣士「え?」

 
童子騎士「ほら、最初に幼剣士が出会った時もさ」

幼剣士「・・・?」

童子騎士「あの場所に、時空剣士がいなかったらアラクネにやられてたんじゃないか?」

幼剣士「・・・あ」


童子騎士「夜の出会いも、分からなかっただけで今回の騒動の忠告みたいな事言ってた気が・・・する多分」


幼剣士「じゃあ、3度目って・・・」

吟遊詩人「私たちを助けてくれる為に来てくれた、ってことかも」


女エルフ「・・・」

 
幼剣士「・・・・」

童子騎士「偶然を装って、ただ俺らを守ってきただけ?3度も、偶然に?」

吟遊詩人「その話を聞く限り、偶然にしては出来すぎてるね」


幼剣士「・・・もう1度会って、話を聞こうと思う」


吟遊詩人「どこにいるか、知ってるの?」

幼剣士「あ・・・うーん。さっきまで祭壇にいたから、もしかしたらいるかも・・・・?」
 
 

・・・ザワザワ・・

童子騎士「ん?」

女エルフ「外が騒がしいね」

 
・・・・・ガチャッ


幼剣士「・・・」ヒョコッ


エルフ民A「・・・早いな、さすがに軍だ!」

エルフ民B「これで今回の原因も分かるのか?」


幼剣士「・・・?」


エルフ民A「あれ、さっきの子じゃねーか」

エルフ民B「どうした?」


幼剣士「また何か分かったんですか?」


エルフ民A「おおよ、仮面の男が拘束されるらしいぞ」

幼剣士「えっ?」

 
エルフ民B「なんでも、祭壇にいるところを軍に見つかって、今軍人が何人もそいつを捕まえに出動したとこだとさ」

エルフ民A「これで少しは落ち着けばうれしいんだけどな」


幼剣士「・・・!」チャキッ


吟遊詩人「待って、幼剣士!どこに行くの!」

幼剣士「だめだ、まだ何も聞いてないし・・・、見にいってくる!」

女エルフ「あっ・・・待っ・・・」


・・・タタタタタッ


吟遊詩人「私も行く!」

童子騎士「俺も行くぜ!」

女エルフ「・・・行っては・・だめ・・・」


・・・・タッタッタッタッタ・・


女エルフ「・・・あぁ・・・子供たちにエルフの加護を・・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


幼剣士「・・・」スタッ

童子騎士「いたか?」

吟遊詩人「あそこ・・・、囲まれてる」

幼剣士「・・・」ゴクッ



軍人A「大人しく投降しろ!」

軍人B「お前は囲まれている、無駄だ!」


時空剣士「・・・」

 
幼剣士「1、2、3・・・凄い数・・・何人に囲まれてるんだろう・・・」



時空剣士「いいか、命が惜しい者は今すぐここから立ち去るんだ」

軍人A「何?」

軍人B「俺らがお前に殺されるのか?」


時空剣士「・・・いいのか?」

軍人A「軍を甘くみるなよ」

軍人B「大陸指名手配犯を捕まえたとなりゃ、それなりの見返りもあるからな・・・」ジリッ


時空剣士「本当にやめておくんだ、犠牲が増えるだけだ。君たちにも家族がいるのだろう」

軍人A「家族がいるからこそ、こういう仕事をしているんだ」


時空剣士「成る程・・・もっともな理由だな」

軍人B「さっきからぶつぶつと・・・・、いいから大人しく武器を捨てて投降しろ!」

 
時空剣士「生憎だが、あともう少しだけこの武器が必要なんだ」


軍人A「ならばこちらも、やむを得ず・・・か」チャキ

時空剣士「・・・」

軍人A「全員!仮面の男を確保せよ!」


軍人達「うおおおおおっ!」ダダダダッ


時空剣士「・・・」



ミシ・・・・・ミシミシ・・・


軍人A「待て、な、なんだ・・・?」

軍人B「地震・・・?」


時空剣士「・・・来たか」

 
軍人A「ゆ、揺れが・・・・」


ミシミシミシ・・・・!

ドゴォォォン!!!



幼剣士「さ、祭壇が・・・」

吟遊詩人「崩れた・・・!?」



軍人A「た、太陽の祭壇が・・・」

軍人B「貴様、何をした!」

時空剣士「私は何もしていない・・・、それに忠告したはずだ。何があってもいいんだな、と」

軍人A「な、何・・・?」


軍人B「あ、あれはなんだ・・・?」

軍人A「何か、浮いている?」

 
時空剣士「・・・死者の王、リッチ」


軍人A「リリ、リッチ!?」

軍人B「最上位のアンデッド・・・、なんでそんな奴がここに!?」


時空剣士「リッチというのは魔道士が暗黒の道に堕ちた末路の姿。祭壇の地下に封印されていたんだ」


軍人A「やはり・・・お前がそれを仕組んだんだろう!?・・・ごほっ・・」

軍人B「ごほっ・・・」

軍人C「はっ・・・はっ・・・」

軍人A「い・・・息が・・・」


時空剣士「そして、あいつの目覚めは食事の時間でもある」

軍人A「たす・・け・・・」

時空剣士「精神力のない人間は、すぐにあいつの餌になる」


リッチ『・・・』スゥゥゥ

 
幼剣士「・・・僕らは見つかってないから大丈夫みたいだね」

吟遊詩人「ど、どうするの?」

童子騎士「逃げるしかないだろ、俺らあんなヤツ相手にできねえぞ!」

幼剣士「・・・」



軍人A「・・・かはっ・・」ドサッ

軍人B「・・・」


時空剣士「食事は終わったのか?」

リッチ『・・・』

時空剣士「・・・」

リッチ『・・・』


時空剣士「やれやれ、アンデッド族っていうのは何でこうも無口なのかね」

 
リッチ『・・・』クイッ


・・・ボコッ・・ボコボコッ・・


時空剣士「やっぱりか」


スケルトン『・・・』

ワイト『・・・』

グール『・・・』

レイス『・・・』


時空剣士「昨晩の騒動、やはり・・お前の仕業だったのか」

リッチ『・・・』

時空剣士「お前がここに復活するのは知っていた。そして私がここでお前と対峙するのもな」

リッチ『・・・ほう?』ボソッ

 
時空剣士「やっとしゃべってくれたか。さっきと違い口を聞いてくれぬものでな」

リッチ『・・・会った時から思っていたが、貴様、この世界の人間ではないな』


時空剣士「・・・」

リッチ『・・・成る程、2つの意思か」


時空剣士「・・・そこまで分かるとはね」

リッチ『何故だ』


時空剣士「言う、必要があるのか」

リッチ『そうだな・・・』

時空剣士「・・・」


リッチ『これから死ぬ者の話を聞いたところで、何にも・・・ならぬかっ!』クワッ

 
幼剣士「ななな、なんか凄い事に・・・」

童子騎士「完全に俺ら蚊帳の外じゃないか!」

吟遊詩人「戻ってもいいのか、それともいたほうがいいのか・・・」



・・・・キィン!!
・・ドサッ・・・・キィン!!ドシュッ!!


リッチ『ほう、我が軍団を相手にして怯まないとは』

時空剣士「・・・相手にならない」


リッチ『・・・』スッ


時空剣士「おっと、それはちょっと不味い」スッ


・・・ブワッ!!


時空剣士「闇の・・・波動は・・・重いなさすがに・・・・」ビリビリ

リッチ『これを耐えるとはな・・』

 
時空剣士「復活したばかりのお前の攻撃程度じゃ、俺は倒せない」

リッチ『・・・』

時空剣士「光炎装っ!」ボワッ

リッチ『・・・!』


時空剣士「さすがのお前でも、これを食らえばタダではすまないだろ?」


リッチ『・・・くっ』ヒュッ

時空剣士「逃がすか!光炎刃っ!」・・・ビュオッ!!


・・・・ズバァ!!!


リッチ『ぐぁ・・・』フラフラ

時空剣士「・・・」



幼剣士「や、やった?」

吟遊詩人「わからない・・・」

 
時空剣士「・・・もう1度、眠ってくれないか?」


リッチ『・・・くっ、魔力が足りぬ・・』


時空剣士「これで終わりだ!光炎刃っ・・・!」


リッチ『・・・!』ビュッ


時空剣士「待て!逃げるのか!」

リッチ『くっく、見つけた・・・』


幼剣士「・・・え?」

童子騎士「うわっ!」

吟遊詩人「こっちに!」


リッチ『ははは!』

時空剣士「な、幼剣士がなぜそこに!?」

 
リッチ『頂く・・・』

時空剣士「やめろ!」

リッチ『くはは!安心しろ、頂くのはコイツの魔力だけだ・・・・』


・・・・スゥゥゥ
・・・・・・・・・・・・


幼剣士「うわあああ・・・・!?」

童子騎士「あああ・・・?」

幼剣士「・・・あ、あれ?」

童子騎士「な、何でもねえぞ?」


・・・・ドサッ

幼剣士「・・・え?」

 
吟遊詩人「・・・」

幼剣士「ちょっ・・・吟遊詩人・・・」


リッチ『ご馳走様・・・中々の魔力だった』


幼剣士「吟遊詩人、ねえ吟遊詩人」

吟遊詩人「・・・」ユサユサ


リッチ『・・・』ニタッ


時空剣士「・・・・貴様っ!」

 
リッチ『・・・』スッ

時空剣士「くっ!」チャキッ


・・・・ブワッ!!

時空剣士「ぐああっ!」ドォン!!

リッチ『・・・』ニヤッ


時空剣士「ごほっ・・・さっきとは比べ物にならん・・・・!」

リッチ『何という極上の魔力。体の底から熱さがジンジンと溢れて出てくる・・・・』


幼剣士「・・・」ブチッ

 
・・・・チャキッ


幼剣士「ああああっ!」ダダダダッ


時空剣士「・・・いかん!」

リッチ『・・・ふん』スッ


・・・・ブワッ!!


幼剣士「・・・・あああああっ!」ブゥン!!!

・・・スパッ!!


時空剣士「何っ!闇の波動を切り裂いた!?」

リッチ『何だと・・・?』

 
幼剣士「・・・・はぁ・・・はぁ・・・」パァァ


リッチ『あれは・・・太陽のネックレスか・・・・!』

時空剣士「そうか・・・ネックレスか・・・・」


幼剣士「よくも・・・吟遊詩人を・・・・・・・!!」

リッチ『・・・それは少し面倒だな』


幼剣士「光炎装っ!!』ボワッ

時空剣士「だめだ!光炎装は・・・マナを使いすぎる!枯渇状態になるぞ!」

幼剣士「それでも・・・、それでも・・・・・・!」ブルブル


リッチ『・・・・』

 
時空剣士「そうか・・・・幼剣士!これを使うんだ!」ヒュッ


・・・・チャリンッ


幼剣士「えっ・・・・、こ、これは・・・お兄ちゃんと一緒のネックレス・・・?」

時空剣士「・・・・私の魔力と、光を・・・使うんだ!」


幼剣士「・・・・何であなたがこのネックレスを・・・、でも、僕もこれを持っている・・・ど、どういうこと・・・・」

時空剣士「今は・・・あれこれ考えるんじゃない!やるんだ!」


リッチ『面倒な・・・・!』グググッ

 
幼剣士「は、はい!」ボゥワッ!!


リッチ『闇の波動!』・・・・ブワッ!!!

幼剣士「光炎刃っ!」・・・・ブォンッ!!


カァッ・・・・・・・・・ドゴォォォン!!



童子騎士「し、衝撃波が・・・・!」

時空剣士「かち合ったか・・・・!」



リッチ『ぐおおおおっ!』グググッ

幼剣士「ああああっ!」ググッ

 
リッチ『・・・ぐぬ・・・」ブルブル

幼剣士「負けない・・・・吟遊詩人を・・・、よくも・・・・よくも・・・・・!!」グググッ


時空剣士「・・・そのまま抑えていろ!光炎装っ!」ボワッ

リッチ『なっ・・・』


時空剣士「私一人ではお前を倒しきれなかったかもしれないな・・・」

リッチ『やめろ・・!』


幼剣士「ああああっ!」グググッ

リッチ『このガキが・・・!』ググッ・・



時空剣士「・・・光炎刃っ!!」ブワッ!!

 
リッチ『・・・・く、くそ・・・』


・・・スパァン!!


リッチ『ぁ・・・・・』


幼剣士「ああああああっ!!」グググッ

リッチ『・・・』

・・・・ドコォォォン!!! 
・・・ドサッ・・


幼剣士「はぁ・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

時空剣士「よし・・・・やったか・・・」ハァハァ

童子騎士「や、やった!」

 
幼剣士「ぎ、吟遊詩人・・・・」

・・・トコ・・・トコ・・


吟遊詩人「・・・」


童子騎士「だめだ・・・、幼剣士」

幼剣士「まだ、きっと生きてるよ・・・。さっきまであんなに元気だったじゃないか・・・」

童子騎士「幼剣士・・・」


時空剣士「・・・」

 
幼剣士「ほら・・・・」ピトッ

吟遊詩人「・・・」

幼剣士「まだ、頬だって温かいよ?きっと眠ってるだけなんだよ」


童子騎士「・・・」

時空剣士「・・・」

幼剣士「ね?だから大丈夫・・・きっと・・・」


時空剣士「・・・人は、哀しいものだな」

 
リッチ『・・・』ピクッ



幼剣士「・・・」

童子騎士「・・・ん?」

幼剣士「・・・?」

童子騎士「なんか、今リッチが動いたような・・・」


リッチ『最後の・・あ・・・がきを・・・・・!』ビュッ


幼剣士「え・・・?」

 
時空剣士「危ない・・・・!」


ガバッ・・・ブシュッ・・


時空剣士「がはっ!」

幼剣士「・・・!」


リッチ『はは・・・・・は・・・』


時空剣士「ごほっ・・」

リッチ『・・・は・・・・・・』


・・・サラサラ・・


童子騎士「す、砂になった?」

時空剣士「・・・ごほっ・・完全にあいつは・・死んだんだ・・」


幼剣士「そ、それより・・・な、なんで僕をかばって・・・?」

 
時空剣士「・・・はぁ・・はぁ・・」

幼剣士「・・・時空剣士さん・・・!」


時空剣士「最後だけ・・・まずったな・・・・」

青年剣士(いいや・・・君は充分やってくれたよ・・ありがとう)


時空剣士「そ、そうか・・・」

青年剣士(君がいなかったら何があったのか・・・心から感謝しているよ)


時空剣士「そう言ってもらえると・・ありがたいな」

時空剣士(もう・・・休んでくれ。最期は・・・俺がすべてやるから・・・)


時空剣士「そうだな・・・そうするよ・・・」

>>462
青年剣士「もう・・・休んでくれ。最期は・・・俺がすべてやるから・・・)

 
幼剣士「・・・一体何を・・一人で・・・・?」

時空剣士「私の役割は、ここで終わりだ・・・。さっきから頭の奥で、アイツが叫んでいる」

幼剣士「・・・?」

時空剣士「・・・・幼剣士、お前の勇気をしかと見せてもらった」

幼剣士「何を・・・」

時空剣士「・・・」


幼剣士「・・・?」


時空剣士「・・・・さらば・・」カチャカチャ

幼剣士「仮面を・・・」

童子騎士「仮面を外し・・・」

 
・・・・カランッ


幼剣士「・・・・!!!」


青年剣士(時空剣士)「・・・・や、やぁ・・」ゴホッ


童子騎士「ししょ・・」

幼剣士「お・・・・お兄ちゃんっ!!!!」


青年剣士「はは・・・、ごほっごほっ・・、あーあ、腹の真ん中にでっかい穴開いてるよ・・」


幼剣士「お兄ちゃん、何で・・・仮面が・・あれ・・・?仮面の男が・・・時空剣士・・・?」

青年剣士「そ、それはね・・・」

幼剣士「あああ、だめだよしゃべっちゃ・・・!血が・・・回復・・・、えっと・・」

青年剣士「落ち着いて・・・」

 
幼剣士「な、何で・・・とにかく・・・お兄ちゃんが・・・生きて・・・あれ・・・」ドクンドクン

青年剣士「落ち着くんだ・・・。やっぱり運命には・・抗えないのか・・・」

幼剣士「どういうこと・・・どういうことなの・・・・」


青年剣士「いいかい・・・俺は・・・、もう長くない・・・吟遊詩人を・・横に・・・」


幼剣士「えっ・・・えっ・・・・、わかんないよ・・・えっ・・・」

青年剣士「落ち着け!!!」

幼剣士「ひっ・・・」


青年剣士「今は・・・落ち着いてくれ・・・。吟遊詩人を・・連れてくるんだ・・・、俺の横に・・・」

 
幼剣士「・・・・!」

童子騎士「・・・師匠」

幼剣士「わかった・・・つれてくる!」


吟遊詩人「・・・」

幼剣士「吟遊詩人・・・」グイッ

吟遊詩人「・・・」ダラリ

幼剣士「よいしょ・・・」グスッ



ヨロヨロ・・・ドサッ


幼剣士「連れてきた・・・よ・・・」

青年剣士「よし・・・、それでいい・・・それで・・・」

幼剣士「・・・・」


 
青年剣士「いいか、仮面の裏に・・・俺の手紙がある・・、それを・・・・後で・・読むんだ・・」

幼剣士「・・・・」

青年剣士「・・・全ての・・・ことが書いてある・・・」

幼剣士「うん・・・」


青年剣士「・・・俺は・・、俺の予言の事通りだったわけか・・・」

幼剣士「・・・?」

青年剣士「いや・・待て・・よ・・・、だとしたらあの時の・・手紙は・・・誰が・・・・」

幼剣士「・・・」

青年剣士「・・・・なるようになるのか・・?」


幼剣士「あ・・・そうだ、お兄ちゃん、あなたの・・・子供が・・・生まれたんだよ・・・」

 
青年剣士「俺の・・・・、そうか・・・、そうか・・」

幼剣士「だから・・・」

青年剣士「・・・安心しろ・・、吟遊詩人は助ける・・・・・・」

幼剣士「えっ?」


青年剣士「・・命転身の・・・・・術・・・」


・・・パァァァッ!!!
・・バシュゥゥゥッ!!

 
幼剣士「うわ・・・光が・・・!」


青年剣士「・・・・」


幼剣士「・・・!」

童子騎士「なっ・・・・」
 

吟遊詩人「・・・・ぷはっ!」

幼剣士「ぎ、吟遊詩人!!!」

吟遊詩人「あれ・・・、ここは・・・?確か、リッチが・・・」

幼剣士「お兄ちゃんが、助けてくれたんだよ・・・!」


青年剣士「・・・」


吟遊詩人「えっ・・・せ、青年剣士さんが何でここに・・・!」

幼剣士「仮面の男の正体は、お兄ちゃんだった。けど、まだ分からない事がたくさんあって・・・」

 
童子騎士「・・・師匠?」


青年剣士「・・・」


幼剣士「・・・?」

吟遊詩人「・・・?」


童子騎士「おい・・・師匠、息してない・・・・」

幼剣士「えっ?」


青年剣士「・・・」


幼剣士「え、ねえ・・・嘘でしょ?」

青年剣士「・・・」

幼剣士「お兄ちゃん、目を覚まして。折角会えたのに、またさよならなんて嫌だよ・・・ねぇ・・・」

 
吟遊詩人「また・・・また・・・?また私のせい・・・で・・・?」

幼剣士「吟遊詩人のせいじゃない・・・!」

吟遊詩人「でも・・・でも・・・・」

幼剣士「・・・違うから・・・・」


童子騎士「な、なぁ!そういや、師匠、仮面の裏に何かあるっていってなかったか!?」

幼剣士「そうだ・・・手紙・・・・!」


・・・・ゴソゴソ・・

幼剣士「裏に・・・手紙が・・・・・・・あった!」


 
童子騎士「早く・・・読んでくれ!助け出す方法があるかもしれない!」


幼剣士「待って・・・えっと・・・・・・・」

 
"これを見てる時には・・・何て事は書かない。こういうのは俺に合ってないからね"
"吟遊詩人は助かったか?"
"これは全て仕組まれた事だった"

"俺が飛ばされたのは遥か未来の中央国だったんだ"
"そこで知ったのは、俺が消えた後に何があったのかだった・・"

"全てを知る者、時空剣士として俺は再びこの時代へ戻ってきた"

"俺の事は、誰にも言わずあの墓へ埋めてくれ"
"そして、3年後の今日、また俺に会いにきてほしい"

"なぜ3年後かは、俺にも分からない。過去の俺から未来の俺に手紙があった"
"この手紙も、その手紙に乗っ取って書いたものだから・・・"

"俺のもう1つネックレスを、俺の息子に渡してほしい・・・最後のお願いだ"
"そして・・・ありがとう、幼剣士"

 
幼剣士「・・・・」

吟遊詩人「・・・」

童子騎士「・・・」


幼剣士「この事を言わずに・・・・」

童子騎士「3年後の今日に何があるんだ・・・?」

幼剣士「分からない・・・けど、これがお兄ちゃんの願いなら・・・」

吟遊詩人「うん・・・私にも手伝わせて・・・」


幼剣士「・・・うん」


青年剣士「・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

今回は5部の付け足しなどがメインだったので、あまり新鮮味がなかったかもしれません。
次回、明日の朝9時に「最終回」を投稿致します。
今までコメントを下さった方々、ありがとうございました。

乙。いよいよ「最終回」か。お待ちしています。

以前、青年剣士の年齢について聞いてたものだけど、当時は23だったっけ。
あれから1年半後に幼剣士たちとの再会。ということは「3年後」は青年剣士は27~28歳くらいか?
やべっ、俺と同い年くらいになったw

投下開始します。
>>479 お楽しみいただけるようでありがたいですw

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――【魔界・バハムートの城】



赤髪少女「・・・」

竜側近「・・・遅すぎましたね」

赤髪少女「・・・」


・・・ドサッ

青年剣士「・・・」


赤髪少女「・・・もう、どうにもならないの?」

 
竜側近「完全に生命活動が停止しています。竜の血はまだ流れているようですが・・・」

赤髪少女「・・・」

竜側近「・・・」


・・・スッ


大魔道(中級魔道)「・・・」


竜側近「大魔道様・・・」


大魔道「久々にやっとあえたと思ったら・・・何しているんですか・・・少年剣士・・・いえ、英雄剣士・・・」

 
赤髪少女「・・・誰?」

竜側近「魔族との混血の魔道士様です。彼から今回の事を伝えていただきました」


大魔道「・・・青年剣士の魔力を感じ、急いで太陽の国へと足を運んだが・・・遅すぎた」


赤髪少女「・・・」

大魔道「・・・」

竜側近「最後に一目見れて・・・嬉しかったです。これ以上、この方の体を晒すようなマネはやめましょう。あまりにも・・・」

赤髪少女「・・・お兄ちゃん・・・、また、助けられなくて・・本当にごめんね・・・」グスッ

 
大魔道「待ってください・・・命転生の術」ボソッ

竜側近「?」

赤髪少女「命転生の・・術?」


大魔道「私が長年・・研究し、編み出した秘術です。命あるものから、命を絞り出す。また、魔力を生命力へと変える夢のような魔術・・・」


赤髪少女「!!」

竜側近「なんと・・・」

大魔道「魔界に来てから、更に研究は進みました。ですが、まだ完璧といえるほどではなく・・・」


赤髪少女「じゃ、じゃあ!!私の命を使ってよ!!!それで青年剣士が助かるんでしょ!?」

  
竜側近「・・・いけません!貴方は仮にもバハムート様を継ぐ身!何かあってはいけないのです!」

赤髪少女「・・・」ガクッ


大魔道「それに・・・英雄剣士は既に竜の血を受けている。これ以上・・・、彼に竜の力を与えては何が起きるか・・・」

赤髪少女「それじゃ・・・やっぱり無理なの・・・?」

大魔道「いえ・・・実は・・・」


・・・・ガチャッ・・・・バタン!!!


赤髪少女「また・・・誰か来たの・・?」

 
???「あーぁ・・・面倒くせぇ・・・・・」


赤髪少女「・・・・誰なの?」

竜側近「お、おい!ここは神聖なる場所!一介の人間が入っていい場所では・・・・人間?人間がなぜここに?」


大魔道「私がよんだのです」

竜側近「大魔道様が・・・?」


???「面倒くせぇとも・・・言ってられねぇか!ハハハ!我が息子の大ピンチだって聞いたからな!」


竜側近「息子・・・?まさか・・・」

赤髪少女「貴方は・・・」

 
大魔道「詳しく話している暇はありません。さ、こちらへお願いします"初代英雄剣士殿"」


英雄剣士「・・・あーあー。我が息子ながら・・・無理しやがって。本当にこれで生き返るんだろうな?」


・・・カチャッ・・ドスン


大魔道「相変わらず・・大剣は大きいですね・・・。生き返ります・・・ですが、本当に良いのですか?命転生を使えば・・・いくら貴方といえども・・・」


英雄剣士「俺の力を持っていても、どうなるか・・・わからないんだろ?それでも・・仕方ねぇだろ・・・」


大魔道「・・・」


英雄剣士「俺はコイツに何ひとつ親父らしいことをしてやれなかった。まさか、久々に会う姿がお互いこんな場所で・・こんな風だとは思わなかったがな」

 
竜側近「英雄剣士殿・・・」

赤髪少女「・・・」ゴクッ


大魔道「では・・・始めます。命転生・・・・!」パァッ!!


英雄剣士「ぐ・・・ぐぐっ・・・!体のそこから・・・ビキビキと・・・・!」ビキビキ

大魔道「我慢してください・・・!」

英雄剣士「うぬっ・・・・ぬぬ・・・!」


大魔道「・・・」パァァ

英雄剣士「・・・・っ」ビキビキビキ・・・

 
大魔道「・・・・はぁっ!」


・・・パァァァッ!!!!!


英雄剣士「がああああっ!!」


・・・・・・・シュン・・


大魔道「はぁ・・・はぁ・・・・」

赤髪少女「・・・光が消えた・・、術が終わったの?」

 
大魔道「・・・・ふぅ・・終わりましたよ」スッ

英雄剣士「・・・む、終わりか?」

大魔道「終了です。お疲れ様でした」


英雄剣士「えらくアッサリしてるな?本当にこれで終わったのか?俺の体は何も起きてないぞ?」


大魔道「膨大な魔力を持つ貴方だからこそですよ・・・普通なら死んでいると思いますよ・・・」

英雄剣士「ハハハ!やっぱり俺はすげえやつだな!」


赤髪少女「た・・・助かった?生き返ったの・・・?」

竜側近「ど、どうでしょう・・・」


大魔道「・・・」

 
・・・・ピクッ

 
赤髪少女「・・・・動いた!」ビクッ

大魔道「うまく・・・いったようですね。しかしこのような事は本来、神の意思に反すること・・・・・」

竜側近「・・・」


赤髪少女「でも・・・大魔道はなんで・・・こんな秘術を生ませたの?」


大魔道「私はですね・・・・、いえ。僕はですね・・・、昔から人よりも・・・少しだけ先の未来が見えるのですよ」ニコッ


赤髪少女「・・・?」

竜側近「・・・」


・・・ドサッ


英雄剣士「む、むお・・・・」

竜側近「英雄剣士殿!」

 
大魔道「・・・英雄剣士さん、大丈夫ですか」

英雄剣士「平気だ・・・それよりも、世界が俺を呼んでいるのだ。出発せねば・・」


赤髪少女「お兄ちゃんに・・挨拶はしていかないの・・・・?」


英雄剣士「今更・・何が面白くて顔を合わせるんだ。今回のことはコイツには隠しておいてくれ」

竜側近「しかし・・・」


英雄剣士「頼む」スッ


竜側近「あなたが・・・頭を下げるなど・・・!」

英雄剣士「俺はまだまだ・・旅をしたいんだ・・・頼む」


赤髪少女「・・・わかった」

 
青年剣士(・・・)


大魔道「・・・英雄剣士さん、先ほどの倒れこみ、あなたの身体は・・恐らく・・・」

英雄剣士「ああ、いい・・いいよいいよ。気にするな。というか言うな。面白くなくなる」

大魔道「・・・」


英雄剣士「・・・俺だって、こんな冒険バカな親父で心底悪かったと思ってるよ」


青年剣士(・・・)


英雄剣士「だけど、こいつが英雄剣士になったと聞いた時は心底誰よりも喜んだと思う。今すぐ会いにいきたかった」

赤髪少女「・・・」

英雄剣士「だが、いまさら会ったところでかける言葉が見つからなかった」

 
青年剣士(・・・)


英雄剣士「そして久々に会ったら、お前の命を助けたので俺の身体に異変が起きました・・・・だ?そんなので誰が喜ぶんだよ」

大魔道「英雄剣士さん・・・」

英雄剣士「正直、お前が俺に会いに来て、再び息子に会わせてくれたのは感謝するよ。ありがとう」

大魔道「・・・」

英雄剣士「それじゃ、俺はまた放浪の旅にでも出ようかな・・・・!」ノビノビ


青年剣士(・・・)


赤髪少女「ありがとう・・・」

竜側近「ありがとうございました」ペコッ


英雄剣士「おう・・・」


・・・ギィ・・・・・・バタン

 
青年剣士「・・・」

・・・ムクッ


竜側近「!」

大魔道「青年剣士・・・目が・・・」


青年剣士「はい、覚めてました。僕の親父が・・僕を助けてくれたんですね」

大魔道「・・・」


赤髪少女「まだ近くにいるよ!挨拶しにいこうよ!!」

青年剣士「・・・いや、いいよ」

赤髪少女「・・・なんで!!」


青年剣士「・・・」

竜側近「・・・」

 
青年剣士「・・・きっと、お父さんは・・まだ会いたくないんです。じゃなかったら・・・」

赤髪少女「そ、そんなことないよ!!ぜったい!!」

青年剣士「赤髪少女・・・」


竜側近「私も恐縮ながら、赤髪少女様と一緒の考えです。長い間会ってなかった親子同士・・・わだかまりが出来てても不思議じゃありません」


青年剣士「だったら・・・」


竜側近「しかし、親子というのはどこまでいっても親子なのです。一声お互い掛け合うだけで、自然と・・わだかまりも解けるものです」

青年剣士「・・・僕は・・」


大魔道「・・・未来が見える」

青年剣士「え?」

 
大魔道「そこの扉からすぐに追いかけなさい」

青年剣士「・・・?」

大魔道「・・・あなたの人生が変わる何かが、そこにはあります。そう・・見えるのです」

青年剣士「・・・」


大魔道「・・・」ニコッ


青年剣士「そ・・・そんなわけ・・。あ、いえ!・・・わかりました」ガバッ


・・・・タッタッタ・・・・ギィ・・・バタンッ!!



竜側近「・・・本当ですか?」

大魔道「うそです」キッパリ

竜側近「はは・・・きっかけ作りには丁度良かったかもしれませんね」

赤髪少女「・・・?」

 
・・・・タッタッタ・・

青年剣士(・・・騙されてるってのは分かってる。きっかけが欲しかったんだ・・・)


・・・トコトコ・・

英雄剣士「ったく・・・俺としたことが大剣を部屋忘れるとは・・・」ブツブツ


・・・タッタッタ・・

青年剣士(会ったら・・何話そう・・)


トコトコ・・・

英雄剣士「いや・・・もしかしたら息子をもう1度だけ見たかった・・・俺の心の緩みがあったのかもしれんな・・・ハハ」


・・・タッタッタ
・・・トコトコ

英雄剣士「と、あそこを右だったな・・・」

 
・・・・ドン!!!

英雄剣士「うおっ!」

青年剣士「うわっ!」


・・・ドサッ


英雄剣士「とと、悪い悪い・・・ん?」

青年剣士「ごめんなさい・・・え?」


英雄剣士「・・・」

青年剣士「・・・」

 
英雄剣士「・・・」

青年剣士「・・・」


英雄剣士「・・・」

青年剣士「・・・」


青年剣士「・・あの」

英雄剣士「お・・・おう?」


青年剣士「お父・・・さん?」

英雄剣士「・・・おう」

 
青年剣士「・・・あの・・その・・・・・・」

英雄剣士「・・・」

青年剣士「・・・えと・・」


英雄剣士「体ァ・・・大丈夫か?」スッ

青年剣士「あ、は・・はい・・」ギュッ


英雄剣士「・・・」

青年剣士「・・・」


英雄剣士「大きく、なったな」

青年剣士「だいぶ会ってなかったですからね・・・」

 
英雄剣士「・・・」

青年剣士「お父さんは・・・どこに行ってたのですか?」

英雄剣士「俺はな・・・知ってると思うが、冒険が大好きだ。世界を回っていた」


青年剣士「・・・」

英雄剣士「・・・だから情報が遅れていたが、塔の時も、それ以前の話も・・・風の噂で聞いていた」

青年剣士「・・・」

英雄剣士「寂しかった・・だろう。すまなかった」

青年剣士「い・・いえ・・・」


英雄剣士「・・・」

 
青年剣士「・・・」

英雄剣士「あー・・・まぁ・・いいか。・・・冒険といったが、大半は軍の仕事でな。暗躍のほうで活躍していたんだ」

青年剣士「えっ?」

英雄剣士「暗躍部隊のほうの所属でな。戦士先生と一緒だ。階級は中将だ」


青年剣士「・・・!」


英雄剣士「本当は身内にも言うことじゃないんだが・・・、こんな時だ。仕方ないだろう・・・」

青年剣士「じ・・じゃあ、僕が子供のころから・・・家にいなかったのは?」

 
英雄剣士「もちろん仕事だ。俺がいないとはいえ・・・不自由したことはなかっただろう?」

青年剣士「そ・・そういえば・・・」

英雄剣士「きちんと仕送りもしていたからな・・・」

青年剣士「・・・」


英雄剣士「・・・」フッ

青年剣士「・・・お父さん・・」


英雄剣士「っと・・・俺はまだやることがあるんだ」

青年剣士「・・・やること?」

英雄剣士「あぁ。せっかく魔界にこれたんだ・・・仕事を忘れて・・・冒険しない手立てはないと思わないか!?」

 
青年剣士「・・・ぷっ・・」

英雄剣士「・・・・ふ」


青年剣士「あははっ!」

英雄剣士「ははは!」


青年剣士「お父さんは・・・やっぱり僕のお父さんですよ。僕とそっくりだ」

英雄剣士「はは、お前が俺に似ているんだっつーの!」


青年剣士「そうかもしれませんね!」

英雄剣士「はははっ!」

 
・・・ヒョコッ


竜側近「・・・心配する必要もなかったようですね」

赤髪少女「・・うん」

大魔道(よかったですね、青年剣士)



英雄剣士「ふむ・・・、そうだな。さっきの部屋に俺の大剣があっただろう?」

青年剣士「あぁ・・・あのどでかいやつですね」

英雄剣士「・・あれをやろう」

青年剣士「え?」


英雄剣士「ありゃ東方に伝わる大剣で、カタナとかっていうのをモチーフにしてる切れ味抜群の剣だ」

 
青年剣士「・・・カタナ」

英雄剣士「まぁ本物よりも大きくしてくれって俺が頼んだんだが。・・・もらってやってくれ」

青年剣士「・・・でも」


英雄剣士「俺の武器なら心配はいらねーよ。俺は俺自身が武器ってことだ」ハハハ

青年剣士「・・・」

英雄剣士「・・・」


青年剣士「・・・」

英雄剣士「それじゃ、俺は行くかな」

 
青年剣士「・・・あっ・・」

英雄剣士「・・そんな顔すんな。また会えるし、家にも顔を出す。母さんにも宜しく頼む」

青年剣士「・・・わかりました」

英雄剣士「じゃあな!」

青年剣士「・・・はいっ!」


・・・タッタッタッタ・・


青年剣士「・・・行っちゃったか・・」


竜側近「・・・やはり、問題はなかったでしょう?」スッ

 
青年剣士「わっ!い、いたんですか!?」

赤髪少女「仲良しになってたねー!」


青年剣士「あはは・・う、うん・・・」


赤髪少女「あ、そうだ。次の魔界と人間界が繋がるのだけど・・・72年後になるんだ」

青年剣士「えっ・・」

赤髪少女「あの・・・だから・・・その・・私たちは72年なんて何でもないけど・・・人間は・・」


青年剣士「ま・・参ったな・・・・」


竜側近「こればっかりはどうにもなりませぬ。1度あけると72年は封印せねば、またもや・・あの時のようなことが・・」

青年剣士「そ・・・そうですよね・・・」ハァ

 
赤髪少女「前の塔の暴走のときは、黒魔石との共振でなんとかなったけど・・・今回は・・・」

青年剣士「な・・・72年かぁ・・・生きてるかなぁ・・・・」ハハ

赤髪少女「・・・」


大魔道「ははっ・・・やはり準備しておいてよかったですね」


赤髪少女「え?」

青年剣士「・・・?」


大魔道「これです」スッ


・・・キラッ

 
赤髪少女「これは・・・黒魔石」

大魔道「こちらの研究も進め、やや強引ですがゲートを開くことができます」

青年剣士「!」


大魔道「ですが、こちらも中途半端でして。魔界ゲートだけでなく、時空ゲートも開きかねません」

青年剣士「時空ゲート・・・」

大魔道「今これを開放すれば、多少のズレが必ず生じます。それでもよいですか?」


青年剣士「多少のズレ・・・というと?」

大魔道「戻れるには戻れますが、数年の誤差が生じたり・・・」


青年剣士「誤差・・」

 
大魔道「・・・」

青年剣士「・・・」ハッ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
"3年後に来てくれ"
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


青年剣士「そ、そうか!!!」

赤髪少女「わっ」ビクッ


青年剣士「ご、ごめん・・・・大魔道さん!お願いします!たぶん、数年先・・・に送られるはずです!」


赤髪少女「・・・?」

大魔道「何か宛がありそうですね」

青年剣士「一応あります・・・・あっ!・・忘れるところだった・・・・!」


・・・カサッ

 
赤髪少女「紙?」

竜側近「ほう、そのペンは私の使ってるグレードモデルと一緒ですね・・・」

大魔道(・・・)


・・・スラスラスラ・・
スラ・・・・・・ペラッ・・・・・


青年剣士「よし・・・・1つは後でネックレスに封印して・・・・もう1つは・・・大事に持っていて欲しい」

赤髪少女「・・大事に?」


青年剣士「うん。いつか、この手紙が必要になる日が来るはずなんだ。いつか僕がいなくなって・・・長い月日が流れ・・・・」

赤髪少女「・・・」

青年剣士「どうしようもないピンチに陥った時、この手紙をそっと開いてみて。君の助けになるはずだよ」ニコッ

赤髪少女「・・わかった!」

 
竜側近「・・・」


青年剣士「そして・・・命転生の術を作る過程で生まれたであろう・・・"転生術"・・・」

大魔道「・・・っ!」

青年剣士「それが・・・おそらく・・こちら側で確立されると思います。それがキーとなり、歴史が始まる・・・・」


大魔道「なるほどね・・・、青年剣士さんも"見える者"の仲間入りですか」

青年剣士「そうなの・・・かな?」

大魔道「・・・まぁいいでしょう。その後のことは、任せてください」


青年剣士「・・・任せます!」

 
竜側近「よくわかりませんが、あなたがいうなら・・・大丈夫なのでしょう」

青年剣士(・・・全部繋がった)


赤髪少女「・・・うーん、よくわかんないけど、頑張って持ってるよ!」

青年剣士「ありがとう・・」ニコッ


大魔道「・・・それでは、ゲートを開ける準備をします」スッ

青年剣士「・・・はい」

 
大魔道「・・・と。1つ大事なことを忘れてました」

青年剣士「?」

大魔道「扉・・・、ゲートを潜る際ですが、負担は避けられません。時空ゲートの性能も関与するわけですので」

青年剣士「・・・っ」


大魔道「ですが、小規模なものなので・・・恐らく影響は・・・、身体的部分になるでしょう」

青年剣士「身体的・・?」


大魔道「簡単にいえば、加齢です。10年飛べば10年分、20年飛べば20年分の成長・・・衰えになる」


青年剣士「なるほど・・・、ま・・、このまま戻っても皆と年齢離れちゃうだけだろうし・・・丁度いいですよ」

 
大魔道「そうですか・・・では、改めて・・準備はいいですね?」

青年剣士「・・・はい」


大魔道「・・・」ブツブツ


赤髪少女「この手紙・・・大事にするね」

青年剣士「うん、頼んだよ」ニコッ


大魔道「・・・はぁっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大魔道「・・・・っ!」


・・・・ゴォォォォォ!!!

大魔道「開きました!」


青年剣士「・・・飛び込めば大丈夫なんですよね?」

大魔道「えぇ・・・大丈夫です」



赤髪少女「また・・・会いにいくからね・・・」

竜側近「・・・」


青年剣士「うん、また会おう・・・赤髪少女!」

赤髪少女「・・・」


・・・・ギュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!

・・・・・ゥゥゥゥゥン!!!!!!・・・・・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

英雄剣士「この感じ・・・ゲートが開いたのか。またどこかで会おうぜ・・・息子よ」ビシッ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【青年剣士の死から3年後】



僧侶戦士「・・・おーい!いつまで祈ってるんだ!」

少剣士「・・何も起きなかった」

僧侶戦士「何もって?」

少剣士「いえ・・・」


乙女僧侶「?」

幼馴染「あいつも・・・こんなに皆に愛されて幸せものだよね・・・」

乙女僧侶「・・ですね」


武道家「・・・」

 
僧侶戦士「まあ・・・そうだな」

少剣士「・・・」

僧侶戦士「ま、あまり長居しても日暮れになる。早く戻ったほうが良い」

少剣士「そうですね・・・」


武道家「足元・・気をつけてな?」

乙女僧侶「はい・・」


・・・トコトコ・・・


・・・トコトコトコ・・・トコトコ・・・


少剣士「・・・」


・・・トコトコ・・・


・・・・バリッ・・・・・・・・

 
少剣士「・・・・?」


・・・バリッバリバリバリ!!!!


武道家「な、なんだ!?」

僧侶戦士「そ、空から雷が!」

幼馴染「違う・・・この感覚、扉!」


少剣士「扉って・・・どこのです!?」


幼馴染「・・・魔界!」


少剣士「!!」

 
・・・・バリバリバリバリッ!!!

・・・・ギュゥゥゥゥゥゥン!!!


僧侶戦士「な、なんだよ!また何か始まるのか!?」

武道家「乙女僧侶!俺の後ろに!」

乙女僧侶「は、はい!」ギュッ



僧侶戦士「・・・っ」チャキッ

武道家「・・・」スッ

 
・・・・・・ギュゥゥゥゥゥン!!!!!!

・・・・ドサッ・・・


僧侶戦士「な、何が落ちた!?」

少剣士「人みたいです!」

武道家「人型の魔物か!?」

少剣士「わかりません!」


・・・ムクッ


青年剣士「・・・いたた・・、やっぱり扉は慣れないや・・・」

 
武道家「なっ!」

僧侶戦士「っ!」

乙女僧侶「せ・・・・・・」

少剣士「・・・お兄ちゃんっ!!!」


幼馴染「・・・・青年剣士?」

 
青年剣士「おっ、やっぱり大正解!この位置だった!みんな久しぶり!」


僧侶戦士「久しぶりって・・・お前・・・どこから・・・。というか死んだんじゃ・・・」

武道家「・・・青年剣士・・」


青年剣士「いやー・・・話すと長いんだけど・・・・・ん?」


幼馴染「・・・」

青年剣士「幼馴染・・・」

幼馴染「・・・本物、なの?」


青年剣士「・・・あぁ」

幼馴染「・・・」ブルブル

 
青年剣士「・・・幼馴染・・?」

幼馴染「バカッ・・!」


・・・パァン!!!


青年剣士「いって・・・」

幼馴染「・・・何みんなに心配かけて、今頃ひょっこり戻ってきてるの!?」

青年剣士「ごめん・・・」


幼馴染「なんで貴方が謝るのよぉ・・・・、貴方が皆に心配かけない人だって・・・私は知ってるけど・・・」グスッ

青年剣士「・・・」

幼馴染「ずっと会えなくて、心配してて・・・気丈に振舞っても・・・やっぱり上の空で・・・・!」ポロポロ

青年剣士「・・・」


幼馴染「・・・抱きしめて」ジッ

 
青年剣士「・・・」ギュッ

幼馴染「・・・」ポロポロ


・・・トントン

青年剣士「・・・?」

幼子「パパ?」


青年剣士「・・・パパだよ・・」

幼子「・・・パパ・・、パパ・・・・・・」ギュッ

青年剣士「・・・」グスッ


・・・・ギュッ

 
武道家「・・・何がなんだか分からんが、あいつらが幸せそうなら・・・それでいいか」

乙女僧侶「そうですね・・・」クスッ


僧侶戦士「・・・色々と話を聞かせてもらわないとな・・・」

少剣士「お兄ちゃん!僕も、強くなったんですよ!あとで手合わせお願いしますね!」


青年剣士「・・・あぁ!」


僧侶戦士「ずりーぞ!じゃあ俺もだ!」

武道家「なにぃ!?じゃあ俺もだ!」

乙女僧侶「じゃあ私も!」


・・・ナニィ!!

・・・オマエハダメダロ・・!!

・・ナンデェ・・
・・・・
・・・
・・

 
広い空に、広い世界。

彼らが出会ったのは偶然ではなく、運命だったと思う。

幸せが紡ぎ紡がれる・・・それが人生なのだろう。


夢物語のような話かもしれないが、これは偽りのない1つの物語。

なぜなら・・・


僕の傷、僕の想い、皆の想い、世界が・・・そう言っている。

 
幼子「ぱぱぁ!買い物早くしないと行くよ!」

青年剣士「・・・わかった!今行くから!もう終わりそうなんだ!」

幼馴染「早くしてねー!」

青年剣士「はいはーい!」


・・スラスラ・・・・・


・・・最期にこう刻もう。この物語は・・・

"ネバー・エンディング・ストーリー"・・・終わることのない物語であると・・・

  
・・・スタッ

 
青年剣士「それじゃ、今日はどこに買い物に行こうか?」

幼子「僕はね・・・パパと一緒に遊園地がいいな!」

青年剣士「おいおい、買い物じゃなかったのか」アハハ


幼馴染「あ、お母さんも賛成!遊園地いこう!」

青年剣士「あはは、わかったわかった」


・・・ガチャッ・・・ギィ・・

 
幼馴染「それにしても、急に本を書き始めるなんて・・・、どういう風の吹き回し?」

青年剣士「いやー、俺もちょっとは文才あるのかなーとか思ったりしてさ・・・色々と」アハハ

幼馴染「手紙の件で、何か目覚めたのね・・・」ハァ

青年剣士「どこに見せるわけじゃない、見せられるわけじゃないけどね。冒険者の、たった1つのつまらない・・話だから」

幼馴染「・・・」クスッ


幼子「パパァ!!早くっ!」


青年剣士「わかったわかった!」

・・・パタパタ

 
幼馴染「じゃ、鍵閉めといてね♪」

青年剣士「あぁ・・」

幼子「いってきまーす!」


青年剣士「ん~・・?幼子、誰に行ってきますって・・言ったんだ?」


幼子「おうちに・・・かな?」

青年剣士「そっか・・・じゃあ・・・・お父さんも!」

幼馴染「えーずるい!じゃあ、お母さんも!」

 
 
青年剣士「わかったよ、じゃ・・・3人一緒に・・・・・」

 
「行ってきます!」


・・・バタン・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
【E N D】

 
長かった、6部作。今回で本編は終了です。
書き残しや、矛盾点など、最初の作品を書いたころに戻れれば、直したい箇所もたくさんあります。

ですが、それもまたこのシリーズのよさなのかなぁとか思ったりします。

短い間でしたが、このシリーズを楽しみにしてくださった方、お楽しみいただけた方、付き合ってくださった方々、ありがとうございました。
数々の声援、非常にうれしかったです。
もし機会があれば、別の作品や、同じ世界観の中での別のストーリーなども書いてみたいとは思います。


色々と楽しかったです・・・本当にありがとうございました。

P,S あとで後日談を掲載いたします

乙乙乙乙乙乙乙乙乙
      乙乙
     乙乙
   乙乙    
  乙乙     乙
 乙乙     乙乙
乙乙乙乙乙乙乙乙乙


か、書いてくれるのなら書いてほしいなぁって…

超級覇王

青年剣士で魔法のれきしがどうなったのかきになる

とりえあずおつ

乙!
最高に面白かった!

>>540 立派な乙だwありがとうございますw
>>542 電影弾
>>544 気になりますよね・・おつありです
>>547 楽しんでいただけたようで何よりです(A´ω`)

後日談は本日の夜、短めですが投稿しますので、お暇な方は読んでやって下さい

【後日談】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【青年剣士の家(新築)】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

青年剣士「俺さ、副業開こうと思ってるんだ」

幼馴染「副業?」

青年剣士「いつか俺も衰えるだろうし、今は蓄えがあっても将来不安になるでしょ?」

幼馴染(竜の血を受けてる人が、そうそう衰えるとは思わないんだけど・・・)


青年剣士「だから、宿屋とか、武器屋とか、剣術を教える先生になったりとか・・・・」


幼馴染「宿屋さんて・・・、場所はあるの?」

 
青年剣士「お金は幸いあるし、ゼロからのスタートでもいいかなって」

幼馴染「お金があって知識がない、失敗の典型的な例じゃない・・・きゃーっか!」


青年剣士「武器屋は?」

幼馴染「仕入れる身内がいるの?それに、中央国には立派な武器屋が沢山あるじゃない」

青年剣士「む・・・・、あ!職人エルフさんとか!」


幼馴染「・・・・すぐ売れたとしても、14日往復して・・仕入れが数個で・・・・大赤字じゃない・・・」


青年剣士「・・・」

 
幼馴染「・・・」

青年剣士「じゃあ先生は・・・!」

幼馴染「却下。あなたじゃ、今もだけど、フラフラして生徒残してどっかいっちゃいそう」ハァ


青年剣士「だ・・・だめかな・・・」タハハ



幼子「・・・・パパ」トントン

青年剣士「ん?どうした?」


幼子「僕ね、ママの料理大好きなの。お料理屋さんは?」

 
幼馴染「お料理屋さん・・・ね」

青年剣士「・・・うーん・・、俺は料理できないんだけどなぁ・・」


幼馴染「あんたと比べたら、少剣士のほうがまだ料理上手だしね・・・・」アハハ

青年剣士「そうなんだよ・・・、弟のほうが料理・・凄い美味いんだよなぁ・・・」ハァ


・・・コンコン


青年剣士「どうぞーっ」

 
・・・ガチャッ

少剣士「こんにちわー」


幼馴染「あら、噂をするとなんとやら。いらっしゃい!」

少剣士「?」

幼馴染「気にしない気にしない♪」


少剣士「は・・・はぁ」


青年剣士「それで、少剣士はどうした?遊びに来たか?」

 

少剣士「あーううん、ちょっと新鮮な魚が手に入ったから、料理するので食べてもらおうかなって」

青年剣士「おっ!楽しみだっ」


少剣士「じゃあちょっと台所借りますね・・・よいしょっ」


・・・ガサガサ・・・

・・ドンッ・・・トントントン・・・・ジャーッ・・・



幼馴染「少剣士も背おっきくなったよねー」

少剣士「そ、そうですか?」

幼馴染「後姿とか、頼れる背中になったじゃん~・・・んふふ♪」

少剣士「そ、その不適な笑いはなんですか・・・」

 
幼馴染「最近、吟遊詩人ちゃんとはどうなの~?上手くいってるの~?」

少剣士「う、うまくって・・・」アセアセ


幼馴染「お姉さんは何でも知ってるんだからね~?付き合ってることも知ってるんだから・・・」ニヤニヤ


少剣士「・・・うう」


幼馴染「まっ、あの子も凄い可愛い子だし、しっかり守ってあげなさいよ!」

少剣士「も、もちろんです!」


青年剣士「ははは・・・、あ、そうだ。少剣士、俺さ・・・副業しようと思うんだけど・・いい案はないか?」

 
少剣士「・・・副業ですか?」

幼馴染「あ~・・適当でいいよ。どうせ戦い以外の道がないような人だから・・・」

青年剣士「だから探してるんだけどな・・」タハハ


少剣士「う~ん・・・難しいですねえ・・」


青年剣士「だよなぁ・・・」



・・・コンコン

 
青年剣士「はーい?」


・・・ガチャッ

・・・・ガヤガヤ・・・


青年剣士「わわっ!」


僧侶戦士「よおっ・・遊びにきたぜ。これサカナのつまみと酒だ」

武道家「おっ、少剣士もいるじゃん!料理も出してもらえそうだ」


乙女僧侶「あまり迷惑かけないようにしてくださいよっ?」

魔法剣士「そう・・・迷惑かけちゃだめ・・・」


幼馴染「な、なんか・・・沢山きたわね・・・」

 
・・・コンコンッ

青年剣士「は、はーい!?」


・・・ガチャッ


筋肉賢者「遊びに来たぜ!新築だって聞いてな!おおおお、広いじゃねえか!」ムキッ

童子騎士「こ、こんにちわー・・・」

めがね魔道「こんにちわです・・・」チラッ

吟遊詩人「こ、こんにちわ~・・」


・・・ワイワイ


筋肉賢者「こいつらは家の前にいたから、折角だから一緒に連れてきたぜ」


青年剣士「き、筋肉僧侶さん!!お久しぶりです!!」

筋肉賢者「ハッハッハ!元気そうじゃねえか!」

 
・・・バリッ・・・ギュゥゥゥゥゥゥン!!!

・・・ドォォォン!!!・・・グラグラグラ・・


青年剣士「今度はなんだ!?」

幼馴染「に、二階から何か激しい物音が・・・」


・・・・ゴロゴロゴロ!!
・・・ドォン!!!


青年剣士「階段から何か転がってきたーー!?」



赤髪少女「いたた・・・」

竜側近「大丈夫ですかお嬢様・・・・」

大魔道「やれやれ・・・お転婆は変わりませんねえ」


赤髪少女「うっさーい!!」

 
青年剣士「あ・・・赤髪少女!?」


・・・・スッ・・


英雄剣士「・・・・よっ」

青年剣士「お、お父さんまで!?」


英雄剣士「久々に扉が開くから行こう行こういうからな・・・ったく・・・面倒・・・でもねえな。久しぶりだな、息子よ」

青年剣士「・・・は、はいっ!」

 
・・・コンコン

幼馴染「もう色々突っ込みどころが追いつかない!どなたですかーーー!」


・・・ガチャッ


母親「あらあら、なんか人がいっぱいいるわね・・・!」

英雄剣士「げっ!」

母親「あっーーー!!この数年フラフラフラフラ・・・・やっと見つけた!」

英雄剣士「ご、ごめんて!!蹴らないでくれ!!」


・・・ゲシッゲシッ

 
・・・コンコン・・

青年剣士「ど、どうぞーーー!?」


女エルフ「こんにちわ~♪」

姉エルフ「へえ~ここが青年剣士くんの新築かぁ・・・いいにおーい・・・」スゥゥ

職人エルフ「よっ!こっちに来たついでに寄って・・・って、すげえ人だなおい!」 

 
青年剣士「姉エルフさん、女エルフさん!久しぶりです!」


女エルフ「ひさしぶり~♪」

姉エルフ「やっほー♪」

職人エルフ「名前も呼ばれない俺は一体・・・」ズーン



・・・キィン!!
・・キィンキィン!!!キキキィン!!!


幼馴染「ん・・・?何か外から衝突音が・・・」

 
・・・・ドゴォォォンン!!バラバラ!!!!


幼馴染「げ、玄関のドアが壊れたー!!」


戦士先生「だから・・・お前は変わってないというのだ・・・!」ギギギ

剣士教官「ほーう・・・俺のどこが変わっていないと・・・?」グググ


戦士先生「そういう・・・ところがだよ!」

剣士教官「あァ!?」

戦士先生「見ろ!お前のせいで新築のドアが壊れてしまったじゃないか!」

剣士教官「人のせいにすんのか!」


英雄剣士「・・・」ニコッ

戦士先生「え、英雄剣士殿!」

剣士教官「て、てめぇ!何でここに!」

 
英雄剣士「・・・人の息子の家を破壊しといて・・・今更・・弁解はきかねえぞ?」ニコニコ

戦士先生「ももも、申し訳ありませんっ!」

剣士教官「・・・ふん」


ドゴォォォン!!!・・・ギャーーー!!!!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

青年剣士「な、なんだなんだ・・・・!今日に限って凄い集まって・・・」


少剣士「あはは・・・、みんな、青年剣士さんのことが大好きなんですよ」

青年剣士「は・・・はは・・・」


乙女僧侶「それより、人がいっぱい来たし、お料理手伝いますよ♪」

女エルフ「あ、私も手伝うよ~」

姉エルフ「私たちも材料持ってきてるし、お手伝いしますね~」


少剣士「ありがとうございます」ニコッ

 
・・・ガラガラッ!!

 
女錬金師「・・・ど、ドアが壊れてる・・・、新築って聞いてたんだけど・・。それにちょっと出遅れた感・・・」

青年剣士「あ・・・」

女錬金師「あーーーっ!おっひさぁぁ!」

武道家「お・・・お前は!」


女錬金師「ひゃー!いい男になっちゃって皆・・・久しぶりだねぇ!相変わらず武道家は変わってないけど!」

武道家「おい」


青年剣士「これで・・・みんな揃っちゃったようなもんだね」アハハ・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――【1時間後】


青年剣士「えー・・それでは・・・、久々の出会いに・・・乾杯っ!」


全員「かんぱぁぁっい!!」ガシャーン!!



・・・モグモグ・・
カチャカチャ・・・・・・・・


僧侶戦士「うまっ、何だこれ?」

女エルフ「それはバスブーサという伝統料理で・・・」


乙女僧侶「この飲み物はどこのです?結構アルコールが・・・」

筋肉僧侶「それは筋肉プロテイン酒だ」

武道家「なんだその危なそうなモノは!」

 
・・・・キャッキャ・・・

・・・ワイワイ・・・・・ガヤガヤ・・・・・・


青年剣士「・・・」

幼馴染「あなたって、本当に幸せ者だなーって思う。でも、その幸せを手にした人が私の夫っていうのも・・・もっと幸せなのかも」

青年剣士「・・あはは、照れるよ」

幼馴染「・・・」ニコッ


青年剣士「それで、副業のことなんだけど・・・」

少剣士「まだ悩んでたんですか!?」

 
僧侶戦士「なんだなんだ?副業?」

青年剣士「うん、何かしようかなーって思ってる」

僧侶戦士「ふむ・・・」


武道家「俺みたく、子供に教えるのはどうだ?」

幼馴染「それは却下したのよ・・・、何かフラっといなくなっちゃいそうだったから・・・」

武道家「わからなくもないな・・・」


青年剣士「いずれは副業を本業にしていってもいいかなーとかさ・・」アハハ

 
赤髪少女「魔界軍の赤竜軍に所属とかーーっ!今なら大将のポストを用意して・・・」

竜側近「お嬢様・・・それは・・・」


青年剣士「そ、それは俺としても・・・ちょっとダメかなー・・・って」


赤髪少女「ぶーっ」


少剣士「まじめに悩んでるんだったら、酒場とかどうだろ?冒険酒場・・・なんて」

青年剣士「冒険酒場?」

 
少剣士「最近流行ってるみたいです。冒険者が使う酒場で、宿も兼ねて、簡単な武器やクエストを提供する酒場ですよ」

剣士教官「中央国にも最近増えてきたな。初心者や若者の冒険者が気軽に冒険できるのはいいことだ」

青年剣士「ふむ・・・」


僧侶戦士「宿か・・・、クエスト請負とかはどうやってするんだ?」

少剣士「えーと・・・上から下への受け流しで・・・。簡単にいえば、国のクエストを中継する役目ですね」


戦士先生「それは国の許可が必要だったな。オーナーになるにはそれなりの腕と、戦闘経験、実績が必要だ」

青年剣士「それ、面白そうですね」


幼馴染「冒険酒場か・・・それなら私の料理も活躍できるし、ちょっとした稽古、宿、全部できるじゃん!」

 
戦士先生「興味があるなら、上に話を通してお・・・こうってさ。思ったんだが、今の青年剣士の階級ってどこなんだ?」

青年剣士「え、俺ですか?」

僧侶戦士「そういや俺らも知らないな、どこにいるんだ?」


青年剣士「一応今は大佐ですね。復帰してから色々やったので、それも認められたみたいです」


武道家「まじかよ・・・俺らまだ大尉だぜ・・・」

僧侶戦士「追いつけねえなあ・・・」


戦士先生「あぶねー・・・俺と同階級か。ま、いずれは抜かされそうだがな・・・・」

 
少剣士「それで、冒険酒場はどうするの?」


青年剣士「興味はあるし、やってみようか考えてみるさ」

幼馴染「いつも言い出したら聞かないからね・・・いいよ!賛成する」


僧侶戦士「はは、そしたら俺らもお世話にならないとな」

魔法剣士「そうだね・・・、楽しみ」


武道家「毎日行って潤してやるか!」

乙女僧侶「子供のために貯金はしておきますからね・・・」ジロッ


英雄剣士「・・・子供だと思ってたアイツも・・こういう話をするようになったか。立派になりやがって」

母親「本当に・・・」ニコッ

 
女錬金師「・・・いいんじゃないっ?賛成賛成っ!」
  
女エルフ「これでいつでもこっちで遊べるねっ!」

姉エルフ「安くしてね~?」

職人エルフ「・・・俺の・・・存在感・・・」ブツブツ


童子騎士「英雄が経営する冒険酒場かぁ・・・」

めがね魔道「専属冒険者になりまーす!」

筋肉僧侶「世話になってやるぜぇぇ!」ムキムキ


赤髪少女「私らも泊まりにいくねー!」

竜側近「お嬢様・・・もうちょっと王としてのマナーを・・・」

大魔道「はは・・・」

 
少剣士「僕らもこの人たちみたく、尊敬できる人間になりたいな」

吟遊詩人「きっと少剣士ならなれるよ・・・、私も応援する」

少剣士「はは・・・ありがとうっ」

 
幼馴染「・・・これじゃもう、退くに退けないわね」クスクス

青年剣士「仕方ないね・・・」アハハ

幼馴染「・・・そうねっ」


青年剣士「・・・冒険酒場、頑張るかっ!」



 
 
 
【END】



以上で本当に、終了です。ありがとうございました。

新作を書いたりする場合、スレが残っていればこちらに一度ご報告したりするかもしれません!

本当に、楽しかったです。

冒剣士「冒険酒場で働くことになった」
冒剣士「…冒険酒場で働くことになった」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1375843192/l50)

新シリーズスタートしました。
諸事情で本来かけなかったのですが、もう1度時間を得たので書くことになりました。
よろしくお願いします。

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