サシャ「コニーが死にました」(94)

サシャ「……」

ライナー「……は?」

ミカサ「サシャ…なにを言っているの?」

サシャ「……」

サシャ「104期訓練兵、第4班コニー-スプリンガーは…」

サシャ「廊下で!転びっ…!」

サシャ「壮絶な死を……遂げましたあああ!!」

サシャ「うわあああああ!!コニーイイイイ!」

ベルトルト「な……」

アニ「」

ユミル「は……ははっ……」

ユミル「お、お前も冗談言うようになったのかよ芋女……ははっ」

サシャ「ユミル……」

ユミル「だが爪が甘いぜ?コニーじゃなくてエレンとかなら騙されたかも知れねえが……」

サシャ「……ユミル…」グスッ

ユミル「そんな嘘じゃこのユミル様は……」

サシャ「ユミルッ!!」

ユミル「なっ…」

サシャ「……」

サシャ「こんな……こんな冗談言うと思うんですか!?」

サシャ「コニーは…コニーは……」

サシャ「コニーは死んだんです!!もうこの世にいないんです!ああああああああ!!」

ミカサ「……嘘」ヘナヘナ

エレン「冗談じゃ、ないってのかよ……」

クリスタ「そんな……」

コニースプリンガーの死、そのあまりにも痛ましいニュースは、すぐさまトロスト区中に知れ渡った

〜トロスト区領主邸〜

領主「なぜじゃ!なぜじゃピクシス!」

領主「なぜコニースプリンガーが死なねばならんのじゃ!申してみいいいい!!」

ピクシス「……なんの申し開きも…ございません……」

領主「ピクシス!!わしはお前を友と見込んで!トロスト区を任せておったのじゃぞ!」

領主「お前がいながらなぜこんなことになる!?なぜコニースプリンガーが死なねばならん!?」

ピクシス「申し訳……申し、訳……」

領主「なんとか言うてみろ!ピクシスゥゥゥウ!」

〜訓練兵団宿舎〜

ライナー「……」

ジャン「……」

エレン「……くそっ…なんで……」

ガチャ

アルミン「……みんな…」

ベルトルト「アルミン……」

アルミン「今、上層部から緊急連絡があったよ…」

アルミン「訓練兵は全員訓練を中止し宿舎で待機、だってさ…」

エレン「だろうな…こんな状況で訓練なんかできねえよ……」

アルミン「上層部もてんやわんやだろうね……」

ライナー「畜生…なんでこんなことにっ!」ダンッ

コンコン

ガチャ

アニ「……ライナー、ベルトルト。ちょっといいかい?」

ベルトルト「アニ……」

ライナー「…」

〜宿舎裏〜

ライナー「一体なんだってんだ、アニ。こんな時に……」

ベルトルト「……」

アニ「あのね、私考えたんだけどさ……」

アニ「ほら、私達ってもとから巨人なわけじゃないだろ?だから私達が巨人になったときみたいに……それをコニーにも……」

ベルトルト「…アニ……」

アニ「ね?いい考えでしょ?巨人なら首が折れてようがすぐ治るしさ……」

ライナー「……アニ」

アニ「そうと決まればすぐ故郷に戻って……いやいっそコニーを故郷に「アニッッッ!!」」ビクッ

アニ「な、なんだいライナーそんな大きい声……」

ライナー「アニ……いいか?よく聞くんだ……」

アニ「でも早くコニーを助けないと……」

ライナー「アニ!コニーはな…コニーはなあ!」

ベルトルト「うう……グスッ」

アニ「早く、早く治してあげないと……」

ライナー「コニーは!もう!死んじまってんだ!」

ライナー「もう!助からないんだよ!治せないんだ!」

アニ「やだ……」

アニ「やだよ……ライナー、ベルトルト……」

ベルトルト「……うああ……ヒンッヒンッ」

ライナー「……人間は…生き返らないんだよアニ…」

アニ「やだよ……そんなのやだよ……う、うわあああああ!!」

ベルトルト「う、ああああああああああああ!!」

ライナー「畜生っ!畜生……」

ジャン「大変だ!ライナー、ベルトルト!」

ベルトルト「グスッなんだよ、ジャン……」

ライナー「もう十分大変だろうが……」

ジャン「いいから早く来い!クリスタが……クリスタが!」

ユミル「クリスタ!クリスタやめろ!」

クリスタ「来ないで!」


ライナー「ッハァ、ッハァ…おいこりゃどういうことだ」

アルミン「ライナー…それがクリスタがいきなりナイフを持ち出して……」

ミカサ「クリスタ……今すぐナイフをこっちに渡して……いい子だから……」

クリスタ「いや!いやなのもうほっといてよ!」

サシャ「クリスタ……」

クリスタ「コニーがいない世界なんて……そんなの私耐えられない!」

クリスタ「私もコニーの所へ行くの!邪魔しないでよおおお!!」

ユミル「クリスタ落ち着け!クリスタ!」

クリスタ「うわあああああ!」ザクッ

ミカサ「クリスタ!」

ユミル「クリスタ!馬鹿野郎!」ダッ

ミカサ「アルミン!早く!」

アルミン「ユミル!クリスタを動かしちゃダメだ!…大丈夫、そんなに深くは切れてないよ……」

ミカサ「良かった……サシャ!クリスタを医務室に運ぶ!手伝って!」

サシャ「は、はいっ」

ユミル「クリスタ……馬鹿野郎クリスタ……」グスッグスッ

クリスタ「……コニー…やだようコニー……」

〜調査兵団本部〜

ハンジ「まさか…こんなことになるなんてね……」

オルオ「…畜生……」

ペトラ「グスッ…グスッ……」

リヴァイ「……」

ペトラ「なんで…なんで……」

ハンジ「……」

リヴァイ「……ッチ」

リヴァイ「ったく、どいつもこいつも辛気くせえ……」

ペトラ「っ!兵長そんな言い方……」

リヴァイ「てめえらが泣きゃあ死人が生き返るってのか?馬鹿馬鹿しい」ガタッ

ハンジ「リヴァイあんたねえ!」

リヴァイ「お前らと同じ部屋にいるのはごめんだ」スタスタ

ペトラ「っ!兵長!」バッ

オルオ「やめろ、ペトラ」パシッ

ペトラ「オルオ!だって兵長が……」

オルオ「……」フルフル

ペトラ「オルオ……」

リヴァイ「……フン」

ガチャ、バタン

ペトラ「なんで止めたのよオルオ!離して!」

オルオ「ペトラ……落ち着くんだ」

ペトラ「追っかけて一発殴ってやるんだから!離して!」

オルオ「ペトラ、男にはな…絶対に見せちゃならねえものがあるんだ……」

オルオ「特に兵長みたいな男には、な……わかってくれ」

ペトラ「……オルオ…」

オルオ「……」

リヴァイ「……」スタスタ

リヴァイ「……」スタスタ

リヴァイ「…………っそがああ!!」ガコン!!

リヴァイ「……あの、クソガキが……」

リヴァイ「俺より早く逝っちまって……どうすんだよ馬鹿野郎……」ポロポロ

リヴァイ「畜生……」

その日、トロスト区は悲しみに包まれた
しかし時間は人の涙では止めることはできない
各々が悲しみを胸に抱えたまま、コニーの葬儀の日がやってきた

〜コニースプリンガー式場、ウォール大聖堂〜

アルミン「クリスタ…傷はもう大丈夫?」

クリスタ「うん……迷惑かけて本当にごめんなさい。みんなも……」

ユミル「ったく、肝が冷えたぜ天使様よ」

ライナー「ははは……」

ベルトルト「……あれ、教官は?」

エレン「そう言えば……コニーが死んでから姿が見えないな」

アルミン「ああ、実は教官はコニーの第一発見者なんだけどね……」

アルミン「コニーの死体を見て、気が触れてしまったらしくて……」

〜訓練兵団宿舎、教官室〜

キース「逆だ、コニースプリンガー……逆だ、コニースプリンガー……逆だ、コニースプリンガー」

モブ教官「……シャーディス教官、そろそろ葬儀が始まりますが……」

キース「逆だ、コニースプリンガー。何度言わせればわかる?」

モブ教官「……今日も壁に向かって……」

キース「またブラウス訓練兵と訓練中にふざけよって。死ぬ寸前まで走ってこい……」

モブ教官「ハァ……」

エレン「そうか……」

ミカサ「教官は彼を特に可愛がっていた。きっと現実を受け入れられないんだろう…」

アルミン「無理もないよ……」

ライナー「お前ら……そろそろ始まるぞ……」

アルミン「ああ……」

エレン「……本当に、いっちまうんだな……」

ミカサ「エレン……私達に出来るのは、彼のために祈ることだけ。精一杯気持ちを込めて送り出してあげよう……」

〜同時刻、壁の上〜

モブA「ったく、なんでこんな時に見張りなんか……」

モブB「全くだ……俺も最後に一目会いたかったってのによ…ん?」

モブA「おいどうした?」

モブB「お、おい……あれ……」

巨人の大群「……」ドドドドドド

モブA「な……なんだありゃあ……」

モブB「100や200じゃきかねえぞあの数……一体なんだってんだよおい……」

モブA「畜生こんな日に……俺らだけでどうしろってんだよ……」

モブB「だ、大丈夫……超大型が来ない限りは壁は破られねえよ……」ガタガタ

モブA「んなもんわかんねえだろうが!あんなにいんだぞ!?見てみろよ地平線近くまで巨人で埋め尽くされてやがる!」

モブB「ああ……」ガタガタ

モブA「畜生……コニースプリンガーと一緒に人類は滅びる運命なのか……ん?」

モブB「……なんだこりゃあ」

巨人「……」スッ

巨人「……」スッ

巨人「……」スッ

モブB「巨人共が……一斉に……」

モブA「……壁に向かって、膝まずいてやがる……」

巨人「……」スッ

巨人「……」スッ

巨人「……」スッ

モブA「あれはまさか……祈ってるのか……?」

モブB「巨人共が……コニースプリンガーに……」

巨人の大群「……」

モブB「は、ははは……まじかよ……」

モブA「……俺たちも、祈ろう……」

モブB「ああ……」

巨人の大群「……」

その日、人類は泣いた

エレン「……」

ミカサ「……」

あるものは空に悲しみを叫び

ライナー「……」

ベルトルト「……」

あるものは己の無力さを嘆いた

コニースプリンガーという、かけがえのない友人を失ったことは

ユミル「……」

クリスタ「……」

サシャ「……」

未来永劫、人々を悲しませ続けるだろう

ジャン「……」

領主「……」

例え、いつか巨人を駆逐できても

リヴァイ「……」

ペトラ「……」

オルオ「……」

世界に平和が戻ったとしても

巨人「……」

キース「コニー、スプリンガー……」

そこに彼は、いないのだ

それでも、人類は戦わなければならない

前に進まなければならない

彼が生きた証の残る、この世界を

彼が愛した、この世界を

守らなければならない

〜10年後〜

ミカサ「エレン!早くしないとみんな来てしまう」

エレン「ちょっと待てよミカサ……よし、忘れ物はないなっと」

エレン息子「パパおそーい」

エレン「ははは、悪い悪い」

ミカサ「全く、エレンは昔から変なところで几帳面」

エレン「そういうなよ……」

エレン息子「ねえ、パパ」

エレン「ん?どうした?」

エレン息子「今日はどこにいくの?」

エレン「……ああ、パパの友達に会いに行くんだ」

エレン息子「友達?」

ミカサ「ええ……とても仲の良かった、友達に」

エレン息子「ふーん……」

エレン「それに、お前のことも紹介しなきゃいけないしな」

エレン息子「ぼくを?なんで?」

エレン「なんでってそりゃあ……まあ、着けばわかるさ」

ミカサ「エレン、時間が……」

エレン「おっと、そうだったな」

エレン「じゃあ行くぞ、コニー!」

エレン息子「うん!」


以上です

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