ダイジョーブ博士「マタ巨人化人体実験ニ失敗シテシマイマシタ」(76)

ダイジョーブ博士「科学ノ発展ニ犠牲ハツキモノデース」

ダイジョーブ博士「シカシ中々意識ヲ持タセタママ巨人化サセルノハ難シイデスネ」

ユミル「なんだ、あいつ。見慣れない格好してやがるな……」


後は任せた

>>1
おまえが書かないで誰が書く?

>>1はこれをどう盛り上げてほしかったんだ??
まるで展望が見えんぞ

パワプロ「どうしたのユミルちゃん?なんか目を細めてるけど」

ユミル「ああパワプロか。あそこになんか変な白髪のドイツ人がいるからさ」

パワプロ「へんなドイツ人? どこにもいないよ」

ユミル「あれ? さっきまで居たんだか‥‥」

パワプロ「ま、そんなことよりさ。早く行こうよ 」

パワプロ「みんな待ってるよ」

ユミル「ああ、そうだな」

矢部「やっと来たでやんす。 遅いでやんすよ」

パワプロ「いやーごめんごめん。 ユミルちゃんを探しててさ」

ユミル「すまない」

矢部「まあいいでやんす。 今日は祭りでやんすからね、怒る気持ちも消し飛ぶでやんす」

ユミル「それにしても県大会優勝とはね、驚いたよ」

矢部「パワプロ君が覚醒してすごいピッチャーに変貌したでやんすからね」

矢部「バッターを翻弄して、とにかくすごかったでやんす」

パワプロ「いや俺だけの力じゃないよ。 矢部くんや他のチームのみんな、それにユミルちゃんかマネージャーとして頑張ってくれたからだよ」

矢部「やっぱりパワプロくんはいい男でやんす」

ユミル「私達が入った時は弱小チームだったのにな」

パワプロ「努力の結果だね。今日は楽しんで甲子園に向かってまた頑張ろう! 」

チームメイト「オーッ!」

ユミル「結構遅くまで騒いじまったな」

パワプロ「ま、たまには良いんじゃないかな」

矢部「そうでやんすね」

パワプロ「コンビニにでも寄ってから帰ろうかな」

ユミル「じゃあ私も寄って行くよ」

パワプロ「矢部くんは?」

矢部「ムフフ、二人の仲を邪魔しにもとい良くするためについついくでやんす」

ユミル「別にパワプロとはなにもないぞ」

矢部「隠しても無駄でやんすよ‥‥あれ? 今何時でやんすか?」

パワプロ「時間? 今は9時だけど」

矢部「しまったでやんす! 録画をし忘れてたのを今思い出したでやんす!」

矢部「行きたいのはやまやまでやんすけど、オイラは帰るでやんす!」

矢部「また明日でやんす」

パワプロ「あっ矢部君! もうあんなところまで行っちゃった」

ユミル「ホントに矢部は落ち着きが無いな」

パワプロ「じゃあ俺たちも行こうか」

ユミル「コンビニってホントに便利だよな、なんでも揃ってるし」

パワプロ「野菜を売ってる所もあるみたいだよ」

ユミル「野菜まで売ってるのか‥‥必要か?」

パワプロ「どうなんだろうね‥‥」

ユミル「私は買い物終わったし外に出てるから」

パワプロ「うん」

ユミル「‥‥」

ユミル「肉まんうまいな‥‥」

パワプロ「おまたせ、おっ美味しそうだね」

ユミル「うん」

パワプロ「俺はピザまん買ってきたよ」

ユミル「ピザもうまそうだな」

パワプロ「‥‥!」

パワプロ「そうだユミルちゃん、半分こしない?」

ユミル「はあ?」

パワプロ「ほら俺のピザまんとユミルちゃん肉まんをさ」

ユミル「いいよ別に、それに私食べかけだし」

パワプロ「いや気にしない、絶対に気にしないから」

パワプロ「それに丁度半分くらいしか食べてないし」

パワプロ「それにほらみてよこのピザまん!ホカホカでチーズがトロリ。トマトソースの酸味がなんとも言えない。」

ユミル「‥‥」

パワプロ「ダメ?」

ユミル「そこまでして食べたいんなら‥‥ほら」

パワプロ「ありがとう。 はい、じゃあピザまんの半分ね」

ユミル「これはなかなか」

パワプロ(作戦成功! 自然にできてよかった。)

ユミル「なかなかうまかった、ありがとうな」

ユミル「じゃあ私も帰るよ。 それじゃまた明日」

パワプロ「ちょっと待って」

ユミル「ん? どうした?」

パワプロ「夜道は危ないし家まで送って行くよ」

ユミル「いや、いいよ。 いつも通いなれてる道だしさ」

パワプロ「ダメダメ。それが一番危ないんだよ、ほら油断大敵って言葉もあるし」

ユミル「だから大丈夫だって。 心配してくれんのは嬉しいけどさ」

パワプロ「‥‥」

パワプロ「いや、やっぱり送って行くよ。さっき言ってたこともあるし」

パワプロ「俺は見ていないけど、その変なドイツ人がうろついているかもしれない」

ユミル「ああ、あれか。 覚えてたんだな」

パワプロ「うん。万一のこともあるし、送っていくよ」

ユミル「パワプロは一旦決めたら一直線だしな。 ありがたくお願いするよ」

パワプロ「それじゃあ行こうか」

パワプロ「家はたしかこっちの方だったよね」

ユミル「ああ」

パワプロ「それにしても白髪頭のドイツ人か。 聞いたこともないな」

ユミル「ここら辺は外人があんまり住んでいないし、居たら目立つよな」

パワプロ「噂のひとつもないという事は、最近越してきたっていうことかな?」

ユミル「それかなんかヤバゲの奴かだな」

パワプロ「そんなこんなで家までついてしまった」

ユミル「わざわざ送ってくれてありがとう。パワプロも気をつけて帰れよ」

ユミル「お礼は今度するから」

パワプロ「じゃあまた明日ね」

ユミル「ああ、それじゃあ」ガチャ

パワプロ(‥‥)

パワプロ(ユミルちゃん、クールでかわいいよな‥‥)

パワプロ(この思い甲子園が終わったら必ず‥‥)

次の日

パワプロ「おはよーユミルちゃん」

ユミル「おはよう。 矢部がまだ来てないみたいなんだが」

パワプロ「矢部君が? 珍しいね。 限定グッズを買うために学校休むことはあるけど、遅刻はしない矢部君がね」

ユミル「後で電話して聞いてみるか。たぶん風邪だろうとは思うが」

パワプロ「次の休み時間に俺が聞いてみるよ」

ユミル「あぁ頼む‥‥っと先生が来たな」

パワプロ「席につかないと」

先生「んー今日も全員来とるか? おっ矢部がおらんな」

先生「休む連絡は入っとらんで。パワプロはなんか聞いとらんか?」

パワプロ「いや、俺もなにも聞いていません」

先生「ホンマか? まーたなんか並びに仮病使っとるんちゃうか?」

パワプロ「えー、それもたぶん違います」

先生「そうか。ユミルはなんか聞いとるやろ、マネやし」

ユミル「私もなにも聞いてません」

先生「そうか? 矢部が遅刻するなんて、めづらしいな」

先生「まあええわ、そのうち来るやろ。 早速授業始めるで〜」



先生「まぁそれで無制限潜水艦作戦を決行したわけやな。 でもなドイツにとってはこれがあかんやったんや」

先生「これをしたせいでMPBの参戦をまねいたっちゅーわけや。 もうこれがな‥‥」

キーンコーンカーンコーン

先生「おっチャイムか」

先生「今日の授業はここまでや。 しっかり復習しとくんやで」

パワプロ「‥‥」コクリコクリ

ユミル「おいパワプロ」

パワプロ「ん? もう休み?」

ユミル「まだ矢部は来てないぞ」

パワプロ「あっ、そうだ電話」

ユミル「忘れてたのか?」

パワプロ「う、ううん。じゃあトイレに行って電話してくるよ」

ユミル「たのむ‥‥プッ‥‥顔に跡がついてるぞ」

パワプロ「えっホント?」

ユミル「鏡で見てきな」

パワプロ「参ったなぁ」


prrrrrrrrrr‥‥‥‥‥

Prrrrrrrrr‥‥‥‥‥‥

Prrrrrrrrrr‥‥‥‥‥‥

パワプロ「うーん出ないな」

Prrrrrrrrr‥‥‥‥‥‥‥ガチャ

パワプロ「お! 矢部君?」

只今電波の届かない場所にあるか、バッテリーが‥‥‥‥ピッ

パワプロ「やっぱり出ないや、どうかしたのかな?」

パワプロ「学校にも連絡しないなんて‥‥」

パワプロ「あっホントに跡ついてる‥‥とれないかなあ」

パワプロ「矢部君電話にでなかったよ」

ユミル「私も職員室に行って聞いてみたが同じだった」

パワプロ「帰りに家に寄ってみるかな」

ユミル「それがいいだろうな。 私もついていくから」

キーンコーンカーンコーン

パワプロ「もう授業か」

先生「はい皆席についてー! 今日はp160からよー」

パワプロ「‥‥」

パワプロ「‥‥」コクリコクリ

ユミル「‥‥」チラッ

ユミル(最近の練習ハードだから疲れてるんだな。 それにしても寝つきがよすぎるけど)

ユミル(それにしても矢部はどうしたんだろうな‥‥休むのはいいけど連絡がつかないなんて)

ユミル(どっかで倒れてたり? はないか)

先生「それでね、いい? ここが重要なのよ! 」

ユミル(相変わらずテンション高いなこの教師。普通な先生いないんだよなこの学校)

ユミル(担任で野球部の顧問は所々野球入ってくるし‥‥)

ユミル(ま、案外悪くはないんだけどな‥‥)

女生徒「キ‥キャーーーーーバッ、ばっバッ‥バッ」

ユミル(うおっ、ビックリした。 いきなり大声をあげるなよ‥‥てかなに叫んでる‥‥)

ユミル「え‥‥あっ‥‥っなんだっ」

教室の窓の外には大きな人間の顔があった。枠に丁度収まるほどの顔。普通の人間の頭ほどある目は大きく見開かれ、クラスメイトを一人一人観察する。
そして半月状に開かれて歯茎がむき出しになっている口からは息が漏れだし、窓ガラスを曇らせた。
その窓の前の席の生徒達は恐怖で固まって動けないでいる。廊下側の生徒は唖然としながらもことの顛末を見守っている。
この固まった空気は、震えていながらも元気なあの声で崩された。

先生「み、みなさん。 静かに落ち着いて、身を屈めて静かに廊下へ出てください」

先生のこの判断はとても冷静であった。校舎の入り口は全てこいつより小さい。見るからにこの大きなモノは学内に侵入する事は出来そうになかったからである。
だから身を伏せて廊下に出れば取り敢えず助かるだろう。間違っていないはずた。

先生「ま、ま、まどっ、窓の生徒は静かに、ホントに静かに移動してください」

ユミル「‥‥」チラッ

パワプロ「‥‥」コクリコクリ

ユミル(まだ寝てるよ‥‥起こさないとな)

ユミル「おいパワプロ」ボソッ

パワプロ「うーん‥‥んーなに?」

ユミル「何をみても声をたてるなよ」

パワプロ「えっ?」

ユミル「窓の方見てみろ」

パワプロ「ナンダコレーッ!」ムグッ

ユミル「おいバカ! 声は立てるなって」

大きなモノはこちらを一瞥する。どこから見ても人間の顔だ。
大きなモノは視線を外し、また教室内をぐるりと見回す。先生は三度窓際の生徒に避難を促す。
しかし窓際の生徒達は身じろぎひとつできない。
恐怖に追い詰められた人間はなにかを要求されると、それが更に重みとなりのし掛かる。
重圧に耐えきれなくなった生徒が一人、叫びながら駆け出した。

先生「みなさん早く!」

。走り出した生徒に目を止めた大きなモノは右腕を振り上げた。教室内の生徒は
一人を除き全員が伏せの体制をとる。次の瞬間奴の巨大な拳がけたたましいガラスの破裂音とともに教室内へ入れ込まれた。
腕は一直線に目標へと向かっていった。
。生徒の悲鳴が聞こえる。その隙にほかの生徒達は廊下へと逃げ込む。窓の外は目も当てられない状態で、女生徒の大半は泣き崩れた。
男子生徒は窓の外を眺め顔を青くしていた。犠牲になった生徒の親友は膝を折り泣きわめき、嘆いていた。

ユミル「ひどい‥‥こんなことって‥‥」

。夢かと思うような惨劇は夢ではなく、私達は絶望の底に追いやられた。
大きなモノは私達のクラスの前を離れると別のクラスの方へと行ってしまった。
。そうだ。他のクラスにも伝えないと。他の教室の行って避難させないと。今ごろになってそのような考えが浮かぶ。

ユミル「先生!」

パワプロ「先生は職員室へ行ったよ。他のクラスへは僕が伝えてきた」

ユミル「パワプロ‥‥」

訂正

>>19

MPB → MLB

パワプロ「信じてもらえるかわからないけど、一応警察にも連絡しておいたよ」

私達が恐怖で動けなくなっている中、パワプロだけは冷静な判断を下していた。
状況を判断する力‥‥やはりあいつはどこか私達とはかけ離れている。

ユミル「それにしてもなんなんだあいつは」

パワプロ「——人間なのかな?」

ユミル「さあ、どうだろう。 一つだけ確かなのは理性はないってことだな」

パワプロ「‥‥」チラッ

パワプロは教室越しの窓に目を向ける。教室の床には奴に捕まった生徒の鮮血が滴っていた。
窓の外の空は輝く程の眩しい青空で、教室内の悲惨さを強調している。

パワプロ「‥‥なんでこんなことに」

ユミル「‥‥」

先生「おいお前ら大丈夫か!?」

ユミル「一人‥‥死ん‥‥連れていかれました」

先生「つれていかれたってなぁ‥‥でもなぁホンマにそんな巨人ちゅうのはおったんか?」

ユミル「教室みれば大体わかると思いますよ‥‥」

先生「って‥‥なぁなんやこれ!?」

先生「ガラスがメチャクチャになっとる」

生徒「あのっ」

先生「おっなんや?」

生徒「心痛んだんですが‥‥状況証拠が必要だと思って動画を撮っておいたんです」

ユミル(パワプロの他にも‥‥)

先生「ホンマか? 早速見せてみ」

生徒「‥‥」サッ

先生「うーん‥‥は?なんやこいつ?」

ユミル「そいつがさっきまで居たんです‥‥」

先生「‥‥あっ!‥‥」

先生「‥‥‥‥」プルプル

先生「こんのやろー‥‥ ワイの‥‥ワイの生徒に手ぇ出しやがって」プルプル

ユミル「あっ、あの先生?」

先生「こいつは今どこにおるんやっ!? ユミルっ」

ユミル「どこに居るかまではちょっと‥‥ただ校舎の周りに‥‥」

先生「絶対に許さへんで!」ダッ

パワプロ「あっ、先生!」

ユミル「まずい‥‥今頭に血が上っているから、なにしでかすかわかんないぞ」

パワプロ「俺、止めてくるよ」ダッ

ユミル「あぁ」

ユミル「はぁ‥‥なんなんだよ」

ウォーンウォーン

ユミル「あっ‥‥警察‥‥やっときたのか」

パワプロ「先生! 待ってください!」

先生「なんやパワプロか? 止めとも無駄やで」

パワプロ「丸腰で向かっていってもどうにもできませんよ!」

先生「そんなことはわかっとるわ! ただな、1発ガツンとやっとかんと腹の虫が収まらないんや」

パワプロ「大人しく警察の到着を待つべきだと思います」

先生「教師の気持ちっちゅうのがわかっとらんな‥‥まぁええわ」

パワプロ「死ぬかもしれませんよ!?」

先生「‥‥それでもええ‥‥あいつが憎いんや」

パワプロ「先生‥‥」

先生「おっ!」丁度下駄箱前におるやないか‥‥バットはここにあったな‥‥」ゴソゴソ

先生「パワプロ‥‥みんなによろしくな‥‥」


先生「この化け物巨人! 覚悟しーや! 虎のちから見せてやるで!」

先生「うぉぉぉぉ」バッ

パワプロ「先生っ!」

校庭に3発の銃声が鳴り響く。そして何かが倒れる音が跡に続く。
私は校庭の様子を見るために屋上へとかけがった。

大きなモノが地面にうつ伏せに伏せているのが目をに入った。その傍には先生の死体が横たわっており、パワプロがその死体の前で泣いている。

拳銃を構えた二人の警官はそろりそろりと二人の元へと近寄る。太った方は大きなモノに照準を合わせたまま見張り、
ひょろ長いもう一人が泣いているパワプロと話を始めた。

警官「それでこの巨大な生物について何かしってることは?」

パワプロ「いえ……何も知りません。 授業中いきなり現れたんです」

警官「いきなりねぇ……一体なんなんだろうなこいつは。 被害者は二人か」

警官「君のクラスの担任なのか?」

パワプロ「そうです。 まずこいつはクラスメイトを一人襲いました」

パワプロ「それを知った先生は敵討ちにこいつに向かっていったんです」

警官「うんうん……なるほど。それから?」

パワプロ「それから……うちのクラスの一人が動画を撮影してました」

パワプロ「それを見てもらえば大体わかると思います」

警官「そうか……大変だったな。 協力ありがとう」

パワプロ「はい……」

警官「俺は校舎内にいってくる。こいつとこの子を見ていてくれ」

警官「はい、わかりました」

パワプロ「……せんせい」

ヒョロ長い警官はパワプロとの話が終わると校舎へ向けて歩きだした。太った警官はあいつの監視をなお続けている。
あいつは死んだのだろうか。大きな図体はゴロリ土の上に横たわっている。動きそうには思えない。
 見れば見るほどますます不安感があおられるその姿。一見すると波打ち際に鯨が打ち上げられたという風にも見える。
近くにいる警官によってその大きさがより強調された。

ユミル「これから一体どうなるんだ......」

 学校の存続。あいつの存在。仲間の有無。
 あいつの存在一つで私達の生活は脅かされるのか。

 校庭で音がする。私は落としていた目を再び校庭のへと向ける。
見ると鯨の体からは蒸気が勢いよく噴射されていた。その蒸気が顔にかかって不安になったのか、
太った警官はあわてふためいている。
 蒸気を噴き出す物体は、噴出の勢いを増すにつれて小さく萎んでいく。そしてあっという間に
一人の人間ほどの大きさまで縮んでしまった。煙の中には見覚えのある姿が浮かび上がってきた。

ユミル「おいおい......うそだろ......」

煙の中の姿を確認した私は一目散に校庭へとむかってかけだした。
階段の降りている最中に校舎前に数台の車が停車する音が聞こえた。


パワプロ「ゲホッゲホッ......いきなりなんだ」

警官「くそっ、変な蒸気が顔にかかりやがった」

警官「一体なんなんだ。 いきなり蒸気なんか出しやがって」

パワプロ「煙が晴れてきた......えっ、矢部君!?」

警官「おいおいなんだなんだ、さっきまででかい図体があったのに、なくなってるぞ」

パワプロ「矢部君!」ダッ

警官「おいちょっと待て」

警官「危ないぞ、近寄るな」

パワプロ「でも......矢部君は俺の親友なんです」

パワプロ「学校にも連絡を入れずに休んで、それに電話にもでなくて」

パワプロ「なんでこんなところに倒れているんだ」

警官「君の友達なんだな......あいつに連れ回されてたのか。ひどい奴だ」

警官「それにあいつは蒸気にくらませて逃げたみたいだな......まずいことになっちまった」

パワプロ「矢部君......かわいそうに。 あいつに捕まっていたんだね」

ユミル「パワプロ! 矢部から離れろ!」

パワプロ「ユミルちゃん。 矢部君があの怪物に......」

ユミル「だからその怪物がそこにいる矢部なんだ」

パワプロ「え? それってどういう」

警官「この生徒があの怪物って訳なのか」

ユミル「ああ、そうだ。二人とも地上にいたから蒸気のせいで見えなかったんだと思う」

ユミル「私は屋上から見ていたんだ。音がするから校庭を見てみた、すると怪物から蒸気がでてたんだ」

警官「それでどうなった」

ユミル「蒸気は勢いを強くしていき、それに伴って怪物の体が萎んでいった。 コホッ......そしてそれは
最終的に矢部になったんです」

警官「つまり私は蒸気にくらまして逃げてたと思っていたが、実際はそうじゃないと」

ユミル「はい、そうです。 私のこの瞳がそれをみました」

警官「にわかには信じられんが......いやあの存在からして異常だから、あながち嘘でもないかもしれんな」

警官「むっ他の人々もやってきたぞ」

救護「ご苦労様です。 けが人はどこにいますか」

警官「死亡者が二名。 けが人が数名校舎内にいます」

警官「ご苦労様。で、巨人はどうにいるんだね」

警官「ご苦労様です。 実は先ほどまではいたんですが......蒸発したそうです」

警官「蒸発した? 逃げられたということか......まったくなにをやっとるんだね。
   しかしおかしいな、巨人を見たなどどこでも騒がれてはおらんかったがのう」

警官「ですから蒸発して、この倒れている生徒に変わったそうです」

警官「倒れてる生徒に変わった! なにをいっとるんだね君は」

警官「ですから......」


パワプロ「ねぇユミルちゃん......さっきの話ほんとなの?」ボソッ

ユミル「矢部があの巨人だってことだろ......確かにこの目で見た」

パワプロ「矢部君があんな怪物に......」

ユミル「信じれないとは思うけれど、私はそうだと信じる」

パワプロ「うん......でも仮に矢部君だとしたら、どうしてこんなことになったんだろう」

ユミル「そこまではわからないな......想像の余地を越えるけど,可能性としてあるのは人体実験とか」

パワプロ「人体実験......俺らが知らないところで何かが起こってるのかもしれない」

ユミル「......」

パワプロ「.......」

警官「伝わらないなぁ......ちょっとそこの二人きてくれ」

ユミル「はい」

 その後私達は警官たちにいろいろ質問されて、見たこと思うことをすべて答えた。訝しげに聞いていた警官たちも
教室を進撃するやつの姿を動画で確認してからは信じるようになったようだ。
 事の真相はまだつかめていない。どうしてあんな怪物がいきなり現れ強襲してきたのか。あの怪物の正体は何なのか。
矢部が本当に怪物だったのか。また現れることはあるのか。謎はかなり多く残った。
 ただ一つだけ言える事は、人は儚く死んでしまうということ。

 警察や救護の人々の仕事が一通り終わり、すぐに全校集会が開かれた。校長は壇上にあがり、事の顛末やこれは現実であるという事、
事件について何かわかるまで学校は休みであるという事の旨を説明した。休みなどといって浮かれる者は誰一人としておらず、あの怪物の
姿を思い出して青く堅くなっている生徒がほとんどである。
 話は死んだ生徒のこと、勇敢に向かっていった担任についておよぶ。生徒の友達はやはりまた泣きだし、慕っていた生徒もちらほらと
嗚咽をあげながら泣いていた。
 自宅からはなるべく出ないようにすること。こう注意をして集会は終わった。ニュースでもこの事件は大きく取り上げられ、この町は
怪物の存在は町を恐怖に包んだ。多くの会社が休みになったので、各々の親が自分の子供たちを車で迎えにやってきた。

「本日○○高校で何か巨大な怪物が出現しました。怪物は窓の外から窓を突き破り生徒たちを襲った後
 それに立ち向かったクラスの担任までも襲ったそうです。こちら映像が届いております、一部の映像
 をお送りしたいと思います。」ピッ

パワプロ「また映像だけのニュース......まだなんにもわかってないのか」

パワプロ(矢部君はかろうじてまだ息があったから、あのあと医療施設につれていかれた)

パワプロ(面会は今はまだできないだろうな)

パワプロ「怪物が矢部君に......矢部君が怪物に......蒸気がでる......変身」

パワプロ「あーっもうよくわかんないなぁ! 頭から煙がでるよ」 ゴソゴソ

パワプロ「うーっ一体どういうことなんだろうな」ガチャ

パワプロ「人体実験......変身......蒸気......怪物......マンガのキャラみたいだよな」タッタッタッ



パワプロ......ふーっ、やっぱり夜風のもとでの走り込みはいいな」

パワプロ「でも何だろうこの違和感......一人も歩行者に会わないなんて」

パワプロ「......」

パワプロ「......」

パワプロ「あっ! しまったいつもの癖で走り込みにきてしまった」

パワプロ「まずい、早く家に帰ろう」

ダイジョーブ博士「コンナ時マデ走リ込ミヲスルナンテ感心デース」

パワプロ「うわっ」ビクッ

パワプロ「あ、怪しい奴!」

ダイジョーブ博士「全然怪シイ者ジャアリマセーン」

ダイジョーブ博士「タダノ一科学者デース」

パワプロ「いや何から何まで怪しいですよ」

ダイジョーブ博士「ソンナコトヨリ何カ悩ンデイルヨーデスネ」

パワプロ「まぁあんな怪物に目の前であったんですよ.....そりゃ悩むこともありますよ」

パワプロ「ホントにひどい有様でした」

ダイジョーブ博士「アナタ巨人ヲ目ノ前デミタノデスカ」

パワプロ「はい......見ましたけど。 じゃなくてアナタは誰なんですか」

ダイジョーブ博士「ワタシハタダノダイジョーブ博士デース」

パワプロ「白髪......ドイツ人っぽい......あっ! もしかしてユミルちゃんのいってた怪しい外国人!」

ダイジョーブ博士「イカニモワタシハドイツ人科学者デース」

ダイジョーブ博士「シカシ怪シクハアリマセーン」

ダージョーブ博士「タダアノ巨人ノ事ヲ憎ムダケノ科学者ナノデース」

パワプロ「その口振り......なにかあいつについて知っているんですか」

ダイジョーブ博士「知ルモナニモ巨人ノルーツハ私ナノデス」

パワプロ「何だって! じゃああの怪物を学校に送り込んだのもアナタなのか」

ダイジョーブ博士「ソレハ話ヲ飛躍サセスギデース」

ダイジョーブ博士「......ココハ夜道デマタイツアノ怪物ガアラワレルカワカリマセーン」

ダイジョーブ博士「アナタガ私ヲ信用シテクレルナラ、ワタシノ研究所マデツイテキテクダサーイ」

パワプロ「......」

パワプロ(かなり怪しい......でもここで動かないと真相は闇に埋もれたままになるかもしれない)

パワプロ「,,,,,,ついていきます」

ダイジョーブ博士「ソウクルト思ッテイマシタ、ソレジャサッソク車デイキマショウ」

パワプロ「その場所までの道は見られても大丈夫なんですか?」

ダイジョーブ博士「怪シイコトヲスルンジャナイシ、ソンナコトハ絶対ニシマセーン」

ダイジョーブ博士「シートベルトハシマシタカ? クルマノ中デモスコシハナシマショウ」

研究室

パワプロ「つまりアナタには兄がいて自分の研究を悪用されたというわけですね」

ダイジョーブ博士「ソウナノデス......元々ハ球児タチノ筋力ヲ増大サセル為ノ研究ダッタノデス」

パワプロ「それでアノ巨人は人体改造をした人間で何かを拍子に巨人に変身する」

パワプロ「それに変身する際は蒸気があがるのが特徴だと」

ダイジョーブ博士「ソノトウリデース......兄ノコノ研究ハ非常ニキケンナノデ止メヨウトシタノデスガ......」

ダイジョーブ博士「......申シ訳ナイデース。 間ニ合ワナカッタヨーデスネ......」

パワプロ「矢部君はそのお兄さんに連れ去られて人体実験された結果、ああなったという訳ですね」

ダイジョーブ博士「オソラクソーデス。身体能力ガ高ケレバ高イホド巨人ニナリヤスイノデス」

パワプロ「......大体の事情はわかりました。でも......ホントはお兄さんなんかいなくって」
     
パワプロ「全部あなたがやったんじゃないですか」

ダイジョーブ博士「スイブント直球ニ言ッテキマスネ」

パワプロ「なんとなく話には納得しましたが、アナタが巨人を作る側にいないという点はわかりませんから」

ダイジョーブ博士「ワタシハ兄ヲ軽蔑シマス。アンナ方法デ人間ヲ改造シテ、倫理モ何モアリマセン」

パワプロ「......神に誓ってもですか」

ダイジョーブ博士「神ニ誓イマス。兄ハ生カシテオケマセン。 巨人モ駆逐シナケレバイケマセン」

パワプロ「まぁ......そこまで言うのなら。 それで何か対処法はあるんですか」

パワプロ「矢部君と思われる巨人は拳銃で撃たれても死んでないようでしたけど」

ダイジョーブ博士「良イ所ニ気ガツキマシタ。 ソウ巨人ハ普通ニシテイテハ倒セナイノデス」

パワプロ「じゃあどうやったら倒せるんですか」

ダイジョーブ博士「首ノ裏ヲ刃物デ削リ落トスト殺スコトガデキマース」

パワプロ「首の裏を削り落とす......うーん、それって難しくないですか」

パワプロ「相手が四つん這いになってる時にしかチャンスがないし......それよりもまず近寄るのが厳しいし」

ダイジョーブ博士「ソウナノデス、弱点ハアルケレドソコマデガムズカシノデース」

ダイジョーブ博士「シカシココニ秘密兵器ガアリマース」

パワプロ「秘密兵器?」

ダイジョーブ博士「コレガソノ秘密兵器デス」

パワプロ「何ですかこれ......大きいカッターと樽、それにバットかな」

ダイジョーブ博士「コレハ私ガ巨人ヲ退治スルタメニ作ッテミタ立体軌道装置デース」

ダイジョーブ博士「巨人ヲ倒ス為ニハ上カラノ攻撃ガ必要、シカシ普通ノ人間デハ無理デス」

ダイジョーブ博士「コレハワイヤート噴出機構ヲ組ミ合ワセテイテ、コレヲ駆使シタラ空中意ノママ二移動デキマス」

パワプロ「なるほど、それで頭上に行ってこの大きなカッターで切りつけるわけですね」

ダイジョーブ博士「ソノ通リデース、飲ミ込ミガ早イデスネ」

ダイジョーブ博士「デスガ私ハ老骨ノ身、コレヲ扱ウコトハデキマセン」

ダイジョーブ博士「ソコデコレヲ扱ウコトノデキル人ヲ探シマワッテイタワケデス」

パワプロ「俺がコレを使って巨人を倒す......そういうわけですね」

ダイジョーブ博士「ソウデース、オソラク兄ノコトダカラ実験サレテイル人間ハカナリイルト思イマス」

ダイジョーブ博士「ズバリ世界ヲ救エルノハアナタシカイマセン」

パワプロ(俺が巨人を......父さんと母さんを守れる......そしてユミルちゃんも)

パワプロ「これの使い方を是非教えてください!」

ダイジョーブ博士「アリガトウ......君ナラ引キ受ケテクレルト思ッテイマシタ」 

ダイジョーブ博士「動作ハ保証済サレテマス、アチラノ実験室デ練習ヲシマショウ」

パワプロ「はい!」

一週間後

「先週の怪物の高校襲撃事件は未だ解決の糸口は見えていません。怪物は現在まだ現れていません。
 町では警戒態勢は解かれず公共施設や会社、学校は休みのままとなっております。
 そして本日は未確認生物の権威である△△大学の教授をお呼びしております。よろしくお......」ピッ

パワプロ(テレビでは未だに巨人の正体をつかめずにいる)

パワプロ(そして俺は一週間みっちりと操作と戦い方を仕込まれた)

パワプロ(来るならいつでも待ってるぞ! きっと負けないはず!)

パワプロ(,,,,,,でも矢部君は)

prrrrrrrrrrr

パワプロ「はい......えっ本当ですか」

矢部「......パワプロ君」

パワプロ「やっと目が覚めたんだね!矢部君」

矢部「いったい何があったんでやんすか。 おいらは一週間寝込んでるでやんすし」

パワプロ「何にも覚えていないの」

矢部「祝宴の後にパワプロクンとユミルちゃんと少し話をして別れた後、気がついたらここで寝てたでやんす」

パワプロ(やっぱり......拉致されて記憶を......)

パワプロ「学校のことは聞いてるの」

矢部「学校でやんすか。何かあったんでやんすか」

パワプロ「ううん.....何でもないんだ。それより体の具合はどう」

矢部「うーんどこも悪いような所はないでやんすね。元気ピンピンでやんす」

パワプロ「元気そうでよかったよ......あっ、そろそろ面会時間が終わるみたいだから帰るね」

矢部「そうでやんすか。もっとゆっくりしていくといいでやんすのに......」

パワプロ「また来るよ。それじゃあね」ガラッ

パワプロ(やっぱりいつもの矢部君だ......巨人か......信じたくないな......)

prrrrrrrr

パワプロ「今度は誰からだ......あっ博士からか」

パワプロ「もしもし、パワプロですけど」

ダイジョーブ博士「今スグ研究所ニ来テ下サイ。話シタイコトガアリマース」ガチャ

パワプロ「話したいこと......一体なんだろう」

prrrrrrrr

パワプロ「今度は誰からだ......あっ博士からか」

パワプロ「もしもし、パワプロですけど」

ダイジョーブ博士「今スグ研究所ニ来テ下サイ。話シタイコトガアリマース」ガチャ

パワプロ「話したいこと......一体なんだろう」

研究所

パワプロ「話って一体何ですか」

ダイジョーブ博士「アナタノ友達ハ巨人ニ改造サレテイマシタネ」

ダイジョーブ博士「今ノアナタニモ迷イガ見エマース」

パワプロ「......そうなんですよ。実は矢部君がまた巨人になったとき......その巨人を倒せるかどうか自信がないんです」

パワプロ「巨人は倒さなくてはいけない、それはわかっているんですけど......」

パワプロ「後一歩の所で躊躇してしまうんじゃないかと思って」

パワプロ「......やっぱり直す薬はないんですかっ」

ダイジョーブ博士「残念ナガラ今ノ所ハアリマセン」

ダイジョーブ博士「友達ノコト思ウナラ次ニ巨人化シタトキニ殺シテアゲタ方ガイイトオモイマス」

ダイジョーブ博士「ツライトハ思イマス。デモ戦場デハ一瞬ノ判断ガ命取リデス、覚悟ヲ決メテイタ方ガイイデース」

パワプロ「矢部君のためにも......そうですよね。覚悟を決めました」

ダイジョーブ博士「ソノ意気デース」

パワプロ「また明日ここへきます」

ダイジョーブ博士「明日待ッテイマス」

その日の夜

prrrrrrrrr ガチャ

ダイジョーブ博士「大変デス!巨人ガ出現シマシタ。場所ハ商店街デス」

パワプロ「はい!わかりましたすぐに向かいます!」

パワプロ(......初めての仕事だ。商店街か、あそこならいい感じに動き回れそうだな)

パワプロ(あれ、商店街......ユミルちゃんの家も商店街の中にあったな。まずい急がないと)ダッ

ユミル「1週間も家に閉じこもってると体がなまってくるな」

ユミル「あの怪物はあれっきりでてこないし......なんか夢を見てたみたいなんだよなぁ」

 怪物がいつ現れるかわからないという理由で、外出をなるべくするなという勧告が発表されていた。
私はその勧告に従って家の中で怪物におびえながら生活をしていた。
 父も母も仕事を休み、家の中に避難をしている。他の店も同じように仕事を休んでいるから商店街は
シャッター街となってしまった。1週間前までは人が通っていた通りも今はがらんとしている。
 
 陰鬱な雰囲気を持ちだした商店街にいきなり轟音が起こった。その音は私の家から少し離れたところで作り出されている。
どうやら何者かがシャッターを破壊しようとしているようだ。
 その音に驚いた両親は私の部屋へやってきて、私の安否を尋ねた。二人とも少し青ざめている。もしかしたら
あの怪物が再びやってきたのかもしれない。
 ガシャァン、ガシャァン、ガヤシャァン。轟音は三度響くと鳴りやんだ。もしかしたらシャッターが破壊されてしまったのかもしれない。
私のシャッターに対する信頼度が下がったところで、先ほどとは異なった鋭い音が生じた。
 鋭利なものが空を切る際のヒュルヒュルといった音、壁に突き刺さる時の心地よい音。何度かそれらが続き、
何かが切り取られるようなザクッという音を最後に、何かが倒れる音が聞こえた。

ユミル「一体何だったんだ......ちょっと見てくる」

 父と一緒にシャッターを少しだけ開け、屈んで音のした方向をのぞいてみる。
やはりあの怪物がいた。しかしどうも様子がおかしい。動こうとしないのである。
 私はもう少しだけ開き、頭だけをヒョイと出して元の方向を見た。そこには高校を
襲ってきて、私が矢部が変身したと推測した怪物が横たわっていた。そしてその傍には
ひざを突いて、巨人の顔に手を添えている男の姿があった。
 腰にごちゃごちゃと何かを装備しているその男は、肩をふるわせて泣いているようにも見える。
状況から判断するとこの男が怪物を倒したということになるのだろうが、なぜ泣いているかがわからない。
 
 その男は立ち上がり去っていこうとする。私はそれを追おうとしたが、父がそれを許さなかった。
私は渋々と家のなかへ戻った。一体あの男は何者なのだろう。その一つの疑問が私を悩ませはじめた。

研究所

ダイジョーブ博士「ゴ苦労様デス。実際ニ巨人ト対峙シテミテノ印象ハドウデシタカ」

パワプロ「想定していたよりも巨人のスピードが遅かったですね」

パワプロ「装置もかなり実践で使えました。ただもう少し剣にしなりを加えた方がいいと思います」

ダイジョーブ博士「的確ナ意見ヲアリガトウゴザイマス」

ダイジョーブ博士「......昼ニ話シテタ通リ、友達ガ巨人化シテシマッタソウデスネ」

パワプロ「......はい。躊躇しそうになりましたが、覚悟を決めておいてよかったです」

パワプロ「これで矢部君が巨人の呪縛から解放されるなら......」

ダイジョーブ博士「オソラク敵ノ攻撃ハコレヲ皮切リニ激シクナルト思イマス」

ダイジョーブ博士「兄ハ私ガ探シ出シテ処置シマス。君ハ巨人ニ対処スル。気持チヲ切ラサナイヨーニ」

パワプロ「......はい」

次の日の朝

ユミル「......まだかな」

 昨日の夜、商店街に怪物がやってきた。死体は警察が持ち帰って調べているらしい。
そして昨日の事件でシャッターは簡単に壊されてしまうとわかったので、商店街の人
は定められた避難場所に移動することになったのである。
 避難場所というのはなんでも、絶対安全で怪物は進入することのできない場所らしく。
商店街の会長が知り合いに頼んでそこを避難場所にしてくれるようにたのんだそうだ。
 時間になると商店街の中にシャトルバスがやってきて、私たちを乗せることになっているので
今はそのバスを待っている状況なのだ。

父「TVで見たんだが、昨日の死体は首もとの肉が切り落とされていたらしいな」

ユミル「へぇ、なんでなんだろう」

父「専門家がいうにはそこが弱点なのかもしれないらしいよ」

父「でも難しいだろうなぁ、どうやって首もと間でたどり着けばいいのか」

ユミル「首もとねぇ」

ユミル(あの風を切るような音に何か秘密が......)

父「おっバスがきたみたいだぞ」

 商店街のアーケードに送迎用のバスがやってきた。商店街の人々は順々にそのバスの中に乗り込む。
全員が乗り終わるとバスは以南場所に向けて動き出した。
 席の上で揺られながら昨日のことを思い起こしてみた。傍で泣いていた男性は一体何者なのか。
なぜか知っている人のような気がする等々の考えが次々と浮かびあがる。

 
 それからしばらくしてバスは街を抜けた。久々通る道なので外の景色をボケッと眺めていると、
何かが視界の橋で動くのに気がついた。窓の向こうに見える山の麓の方だ。黒い姿が不気味に動いている。
 山の陰になっている部分から光の射す場所へ、その姿が移動した。それを確認するとバスの中の人々は
言葉を失ってしまった。
 あの怪物たちが三体横並びになって、バスの方へ走ってきているのだ。
 私は身の毛がよだつ思いがした。感情がないようなのにうすらと笑っているような怪物の口元が徐々に
近寄ってくる。その中の一体が体などお構いなしといわんばかりにバスに突進する。

 バスは横転した。....................

「郊外でバスが横転しているのが発見されました。血痕は残るも乗客が一人も発見されません。
 なおバスの外傷から見て怪物の仕業だとの見解が発表されています」ピッ

パワプロ「昨日巨人が出現してたのに......なんで電話してこなかったんだろう」

prrrrrrrrrr

パワプロ「.......出ないかな」

ガチャ

パワプロ「もしもし。昨日の事件ニュースでみました。なんで教えてくれなかったんですか」

ダイジョーブ博士「レーダーガ故障シテイテ感知デキナカッタノデス」

パワプロ「そのレーダーはもう直ったんですか」

ダイジョーブ博士「昨日一日カケテ必死ニ直シマシタ。ムッ早速レーダーガ感知シテマスヨ」

パワプロ「.......どこですか」

ダイジョーブ博士「国道上ニ反応ガ出テイマス......デモ気ヲツケナケレバ......敵ハ5体デスヨ」

パワプロ「......大丈夫です」ダッ

ダイジョーブ博士「ホントニ気ヲツケテ下サイ」ピッ

パワプロ「......五体か。一体ずつ、いやニ体同時までなら何とかなるだろう」

パワプロ「この建物の陰から一歩先は国道だ......」チラッ

パワプロ「道路上に一体確認」

 パワプロは立体軌道装置を使い空中に舞い上がった。巨人はその気配に気づいていない。
大きなカッターで首筋を切り取る。一体目は難なく駆逐に成功した。

パワプロ「二体がこちらに走ってきてる......」

 自分の側の三階建てのビルの屋上に飛び上がる。二体の巨人はビルの下まで走ってきたが目標を見失ったので
あたりをキョロキョロ見回している。この機を逃さず、ビルから飛び降りながら一体目の首をかききった。
そして地面に足を着けると素早く次の動作に移る。向かいのビルに上昇する動作の利用し、刃を滑らすように
ニ体目の首に押し当てて肉を切り取った。

パワプロ「これであと2体か......」

 安心したのもつかの間。背後からこちらへ向かってかけてくる足音が聞こえる。
振り返ってみると、今までとは少し違うタイプの巨人が駆け寄ってきていた。
 髪が他のに比べて長い。それだけでもパワプロにとっては大きな違いとして目に映った。
先ほどの襲来とは違い一体だ、落ち着いて対処しよう。こう考えたパワプロは落ち着き払って
装置を作動させようとした。しかし次の瞬間に手を止め作動はさせなかった。
 目の前まできた巨人は急にもがき始め、頭を押さえながら何か言葉を発しようとしていた。
これまで巨人のしゃべるところなど聞いたことがなかったので、なにをいうのかと内心興味
を示しながら少しの間待った。すると巨人は口を開き

「パワ......プロ」

と、掠れるような声でこう発した。
 自分の名前を呼ばれたので驚いたパワプロは改めて巨人の顔を凝視する。
胸に一つの考えが浮かび上がる。しかし頑なにそれを認めようとはしない。
 もう一度今度ははっきりした声で

「意識がもう持たない......ユミルだ......ワタシを......殺してくれ」

巨人の口から告げられた。

パワプロ「う......嘘だ......そんな」

 剣がコンクリートに甲高い音を立てる。パワプロは膝を突きうなだれ、この現状を嘆き悲しむ。
巨人は意識を失い、また元の凶暴な怪物へと変貌した。
 

 
ダイジョーブ博士「......王国建設ノタメノイイ実験ノデータガ取レマシタ」

ダイジョーブ博士「シカシ時ニ運命ハ残酷デース」

ダイジョーブ博士「アソコデ意識ヲ取リモドサナケレバ、避難場ガ違ウ場所ダッタラコンナ事ニハナラナカッタハズデス」

ゲドー「ギョギョ」

ダイジョーブ博士「ソウデスネ、モウ場所コノバショハ去ル事ニシマス」

ダイジョーブ博士「科学ノ発展ニ犠牲ハツキモノデース」

終了

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