モバP「寡黙な兎」 (22)


P「……」

のあ「……」

ちひろ「……お二人とも、何をしてらっしゃるんですか?」

P「……衣装、合わせだ」

ちひろ「……バ、バニーガールですか?」

のあ「……何か、問題でも」

ちひろ「い、いやぁ……のあさんのスタイルなら凄く似合ってますけど……も、もうちょっと他所でやって頂けませんかね……。
    ここは事務する場所なんですけど……」

のあ「私は、どこであろうと私。場所を変えようと、それは変わらない」

ちひろ「すいません、子供組のアイドルがそろそろ帰ってくるので教育上あまり良ろしくないもので仮眠室でやって貰えませんか」

ちひろ(網タイツとか胸あたりが明らかに良くないんですけど)


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P「……なら、仕方がない。のあ」

のあ「……赫奕という存在も、また考え物なのかも知れないわね」

P「……それもまた、お前の魅力だ」

の「ふっ……そうね。貴方が言うなら、そうなのでしょうね」

ちひろ(Pさんよくのあさんの言っている事がわかりますね……。
    まぁPさんもあまり喋らない人ですから何を考えてるのかわからない時ありますけど……)

P「……のあ」

のあ「何」

P「しっぽはどうする。もっと、大きくするか」

ちひろ(滅茶苦茶険しい顔でこの人は何を言っているんだろう……)

のあ「そうね……まだ、足りないわ」

ちひろ(足りないんだ……何をして足りないと思ってるんだろう……)


P「……そうか、すぐに……修正させよう。ステージの衣装は、また後日見せる」

のあ「そう……貴方の事だから、また、私の知らないような私を、見せてくれるのでしょう」

P「……それくらいしか、芸の無い男だ」

ちひろ(しれっとカッコイイ事言った。でも会話の前のくだり聞いてると不思議とそうは思えない)

のあ「ふふ……貴方は、私を未知へと誘う燭光。期待しているわ」

P「……そうか」

ちひろ(日本語ちゃんと勉強しようかなぁ……)

P「その衣装の撮影は、また今度だ。年少組が帰って来る。そろそろ、着替えるんだ」

のあ「えぇ……そうね」



ガチャッ


ちひろ(はぁ、やっと言う事聞いてくれた……ナチュラルにスルーされてたからどうなる事か思っちゃった……)

P「……ちひろ」

ちひろ「な、何ですか?」

P「お前も、着てみるか。案外、似合うかもしれない。耳も、まだある」

ちひろ「え、えぇ? 何言ってるんですか、私はアイドルじゃないですよ!」

P「冗談だ」

ちひろ「あ、あぁ……そうですか……」

P「……」

ちひろ(わからない……この人達がわからない……)



ガチャッ


のあ「……戻ったわ」

ちひろ「ぐふっ」

のあ「……何」

ちひろ「き、着替えたって……こ、この前のメイド服じゃないですかそれ。耳も取ってないですし」

P「何か、問題があるのか」

ちひろ「い、いやぁ……別にそれくらいだったら菜々さんも着てますから大丈夫ですけど、
    ちょっと、何と言うかその……そのぉ……」

のあ「私が奉仕するという事に、何か問題でも」

ちひろ「……いや、やっぱり良いです。私が間違ってました」

P「……そうか」

のあ「……貴方、今喉が渇いているでしょう?」

P「あぁ。一つ、頼む」

のあ「良いわ……入れてあげる」

ちひろ(物おじせずのあさんに何か頼める人ってこの人しかいないだろうなぁ)


P「……のあ、食事はどうする。そろそろ、昼時だ」

のあ「そうね……今日は、ここで食べましょう」

P「外には、出ないのか」

のあ「ふふ、気まぐれでは無いわ……私は今、メイド……ここを出る訳にはいかないわ」

ちひろ(じゃあ着替えればいいのに)

P「そうだったな……無粋な事を、言ったようだ」

のあ「ふふ……でも、この格好で外に出るのも、また一興なのかも知れないわね……

ちひろ(職務質問されますよ?)

のあ「そこに、弁当を用意してあるわ。貴方が、きっと食事の事を言うと思ってね……」

P「そうか。話が、早いな」

ちひろ(あ、ちゃんと二つある……私の分はさすがに無いですか……。
    お外で一人で食べましょう……なんかさびしい……)

のあ「先に座っていなさい……飲み物を、入れてくるわ」

P「あぁ」

ちひろ(……もうちょっとだけ観察しましょう)


のあ「……」コポコポ

P「……」

のあ「……どうぞ、ご主人様……」

P「……あぁ」

のあ「ふふ……満足かしら」

P「あぁ……満足だ」

ちひろ(あの一言で何の動揺もしないから凄いなぁプロデューサーさんは……。
    凄いむずむずするのに……)

P「……食べるか」

のあ「えぇ……」



パキッ


P「……」モグモグ

のあ「……」モグモグ

P「……」ズズッ

のあ「……」ズズッ

P「……」モグモグ

のあ「……」モグモグ

ちひろ(うわぁ……お葬式みたい……)

のあ「……一つ、聞いて良いかしら」

P「何だ」

のあ「あの衣装は……貴方が考え付いたの」

P「そうだ」

のあ「どうして……思い付いたのかしら」

ちひろ(あ、なんかマジメな話してる。というか早くあのウサ耳取ってくれないかな。
    気に入ったのかなあれ)


P「……予感だ」

のあ「予感……」

P「お前の常識を、また狂わせられる予感がした。その可能性を信じて、俺は動いた……それだけだ」

のあ「……そうね。貴方の予感は、当たっていたわ」

P「……可能性を手なづけるのは、まだ容易い。お前を、手なづけるよりはな」

のあ「ふふ……」

ちひろ(多分カッコいい事いってるんだろうなぁ……蘭子ちゃん来ないかしら、通訳頼みたいんだけど)

P「だが、まだこれはプレリュードに過ぎない。お前は……砂に埋もれて流される金のようには、させはしない」

のあ「私も、そのつもりは無いわ……」

P「……お前も、そう望むなら……俺はまだ導こう」

のあ「ええ……私も、同じように、貴方を……」

ちひろ(……難しい言葉使っていちゃついてるのを気取られないようにしてるだけなんじゃないかしら、あれ?)


P「……ごちそうさま、だ」

のあ「……私が、片付けてあげるわ」

P「あぁ、頼む。それが終わったら、仕事に行くぞ」

のあ「えぇ、わかっているわ。すぐに全て済ますから、用意をして待っていなさい」

P「あぁ」

ちひろ(あ、コップ洗ってる。あ、終わった。あ、着替えに行った)

P「……」

ちひろ「……」

P「……お前は」

ちひろ「……あ、わ、私ですか?」

P「いつまで、そこにいる気だ」

ちひろ「え、えっと……ちょっと、お二人の様子を……」

P「……そうか」


ちひろ「……えっと……」

P「俺達二人は……どういう関係に見える?」

ちひろ「え? えっと……その……」

P「そう聞きたかったのだろう……当ててみると良い」

ちひろ「えぇ? その……うーん……」

P「……言えないか?」

ちひろ「えぇ? えっと……まだ、わからないです」

P「ふっ……そうか」

ちひろ「え、えっと……」



ガチャッ


のあ「……行くわよ」

P「あぁ……じゃあなちひろ、行ってくる」

ちひろ「え? あ、えぇと……いって、らっしゃい」

P「その答えは、また今度聞こう。俺からの宿題だ」

ちひろ「……は、はい……」


ガチャッ


ちひろ「はぁ……なんか嵐のような人達だったな……」



ガチャッ


みく「たっだいまだにゃー!」

ちひろ「あ、お帰りなさいみくちゃん。レッスンお疲れさま」

みく「あれ、他には誰もいないのかにゃ?」

ちひろ「え、えぇ……ついさっきまでPさんとのあさんがいたんだけど……。
    階段で会わなかった?」

みく「え? 会ってないにゃ」

ちひろ「そ、そう……」

ちひろ(え、一本道よね? なんで鉢合わせしないの?)

みく「そんなことよりお昼お昼……にゃああああああっ! みくのお弁当がまた無くなってるにゃあああああ!
   お昼と夜に二つも買ったのにいいいっ……」

ちひろ「……やっぱり、わからない」

書けば出るとかいう名言があるらしいから書いた
Pのモデルは言わずもがなだ

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