勇者「魔王が復活した」(253)



勇者(それが例え嘘だとしても……)

勇者(王にそう言われてしまえば、旅立たない訳にも行かない)


勇者(そしてやはりと言うべきか)

勇者(数ヶ月は旅を続けたが、起きるのは野生化した魔物による小さな被害のみ……)


勇者(私はただひたすら、それだけを解決して回っていた)





   海岸沿いの洞窟



勇者「……」タッ タッ

勇者(今もこうして、町の以来で海賊のアジトだと言われた場所に来ては居るが)


勇者「勇者なのか、ただの便利屋なのか……」タッ タッ

勇者「むっ!?」



髭海賊「ヒャッハー、今日もたんまり稼いだぜ!!」ジャラ

禿海賊「お頭もこれだけ持ってけば喜びなさるはず!!」ジャラ



勇者「先に見えるのは……」

勇者「アレが、海賊か?」



勇者「フッ!!」ダッ

勇者「……」スタッ


髭海賊「ひぃっ!?」ビクッ

禿海賊「なんだぁコイツは? 急に俺達の前へ出て来やがって!!」


勇者「お前達が引きずっている袋は、随分と重そうだな?」

髭海賊「あったりめぇよ!! どれだけの金貨が詰まってると思ってんだ」



勇者「……」

勇者「置いて行け……」


禿海賊「はっ? 頭が沸いてんのかオメェ?」

髭海賊「今日は気分が良いんだ、見逃してやるからこの洞窟から去りやがれ!!」


勇者「もう二度は言わぬ……」

勇者「置いて行け」スッ




髭海賊「ぐっ」

禿海賊「どうする? コイツ強そうだぜ?」チラッ


勇者「……」

髭海賊「ガメつい奴だなテメェ……」


髭海賊「わかったよ、半分やりゃあ良いんだろ!?」

勇者「全部だ。袋ごと、全て置いて行け」



禿海賊「なんだとぉ~!?」ギリッ

髭海賊「下手に出てりゃ調子に乗りやがってぇぇっ!!」


髭海賊「行くぞ禿!!」チラッ

禿海賊「よし来たっ!!」コクリ



髭海賊「俺達の超絶コンビネーションを見せてやるぜぇ!!」バッ

禿海賊「喰らえいっ、海賊人間砲弾ッ!!」バッ



勇者「……」

勇者「ほぉぉっ……」





「待ちなっ!!!」



髭海賊「えっ!!?」ピタァッ

禿海賊「こっ、この声はっ!?」ピタァッ


勇者「むっ……」

髭海賊「ヒヒッ、終わりだぜオメェ?」


禿海賊「この方は、俺達のお頭……」

禿海賊「戦士様よっ!!」



戦士「……」ザッ



,




髭海賊「見ろっ!! 戦士様の佇まいを!!」

禿海賊「全身を覆う分厚い鉄の甲冑!! 例え大砲だろうと通さねぇ!!」



戦士「……」ガシャン ガシャン

戦士「……」タッ


勇者「お前がここの海賊を率いているのか?」

戦士「だと言ったら、どうするんだ?」ニヤッ



勇者「海賊を解散し、奪った物を人々に返すのだ」

戦士「……」


戦士「へへっ」

戦士「こっちにも目的が有ってね……それはできねぇな」


勇者「……」

戦士「……」


勇者「どうしても、引かぬか?」

戦士「だから、引けねぇっつったら……どうなんだよ?」



勇者「構えなさい……」

戦士「あん?」


勇者「お前が引くと言うまで」

勇者「何度でも叩き直してやろう!!」スッ


戦士「チッ……バカがっ!!」ジャキン ジャキン

戦士「オレは、ハヤブサの剣の二刀流……てめぇも剣を抜きやがれ!!」スッ


勇者「……」

勇者「このままでいい……」



戦士「フッ」

戦士「おいおいおいおい……」


戦士「オレの装備が見えてんのか?」

戦士「頭の天辺から足の爪先まで全てを覆う甲冑に、ハヤブサの剣……」


戦士「それでもっ、てめぇは剣を抜かねぇっつーのか!?」ギリッ

勇者「……」


勇者「私は……女子供に剣を抜いたりはしない」

戦士「ッ!!?」ビクッ




髭海賊「こんなに男らしい戦士様を前にぃ、何ぬかしてんだぁっ!?」

禿海賊「女の色気なんか微塵も感じるか? 戦士様こそ男の中の男よぉ!!」


戦士「……」

勇者「……」


戦士「髭!! 禿!!」

髭海賊「へいっ!!」

禿海賊「なんでしょうお頭?」



戦士「オレにブッ飛ばされんのと、船の甲板にブラシ掛けんの……」

戦士「どっちがいい? 選びなっ」


髭海賊「えっ?」

禿海賊「どうしたんです突然!?」


戦士「……」

戦士「え、ら、べ!!」


髭海賊「じゃ、じゃあ……」チラッ

禿海賊「ブラシ掛けで」チラッ



戦士「ならさっさと行け!!」

戦士「後一時間で水の神殿に出るぞ!!」


髭海賊「が、がんばりますぅ!!」ダダッ

禿海賊「しばらくお待ちをッ!!」ダダッ


戦士「……」

戦士「ふふっ」


戦士「さて、ここからが本題だが……」

勇者「……」



戦士「これからオレらは、水の神殿へ向かう」

勇者「水の神殿?」


戦士「ああ、世界を守護すると言われている巨大なクリスタルが奉って有る場所だ」

戦士「そこへ、アンタにも着いて来て貰いたい」


勇者「……」

勇者「理由を、教えてくれるか?」



戦士「アンタは……」

戦士「オレらが罪の無い人々から金を巻き上げてる!!」


戦士「って、思ってんだろどうせ?」

戦士「だから、着いて来ればそれは違うと証明してやる」


戦士「……」

勇者「……」


戦士「着いて、来るか?」

勇者「うむ。真実はこの目で見届けよう……」コクリ





 海へと繋がる洞窟の奥 海賊船の甲板上




戦士「準備はできたかオメェラ!!」

海賊達「おーーーーーっ!!」



髭海賊「お頭っ!?」ダッ

禿海賊「そっ、そいつも乗せるんですかい?」



勇者「……」

戦士「そうだ……コイツも神殿まで連れて行く」



戦士「オレが決めたんだ」

戦士「文句、無いだろ?」


髭海賊「まぁ……」チラッ

禿海賊「お頭がそう言うなら……」チラッ


勇者「……」タッ

勇者「……」キョロキョロ



戦士「なんだ、落ち着かないな?」

戦士「船は初めてかい?」


勇者「いや……」

勇者「これから出航するのに、誰も帆を張ろうとしないのでな」


戦士「……」

戦士「この辺の海は、風が無いんだ」


戦士「だから、帆なんか張ったって意味がねぇのさ……」

勇者「風も無く、ではどうやって船を進める?」



戦士「やっぱ」

戦士「そう」


戦士「思うよな?」ニヤリ

勇者「……」


戦士「オレには友が居る」

勇者「友?」


戦士「ああ、見せてやるぜオレの友を!!」


戦士「出て来い、カイドラッ!!!」ピューーイッ

なにこれ続きものなの?

>>32
続きでは無いよ

じゃそれっぽいこと書いてるやつとここは関係なし?

>>34

こないだまで深夜で、パロをいっぱい使ったファンタジー話を書いてたので、それを見た方のコメントで有ります。

その話とこの話は、ストーリー上は全く繋がっておりませんので、これだけ読んで頂いても大丈夫ですm(__)m



カイドラ「グラァァァウッ!!」ザッパァーッ

勇者「おお……」


戦士「へへっ」

戦士「この水面から出て来た奴がカイドラ」


戦士「海竜の子供でな、オレの友だ」

戦士「カイドラ!! 神殿まで船を引っ張ってくれ!!」



カイドラ「ボギャアアアアア!!」ブクブクブク




 ゴゴォォォッ!!



戦士「そらっ、船が動いたぜ? 早いからしっかり手すりに掴まってな!!」

勇者「うむ、心得た」



戦士「行くぞヤローどもォッ、出航だっ!!!」バッ

海賊達「おーーーーーっ!!!」





   数十分後 船の前部先端




戦士「そら、見えて来たぜ?」

戦士「あの島にデケェ建物が在るのが分かるか?」


勇者「……」コクリ

勇者「この方向からだと、上陸してすぐの位置だな」


戦士「ああ、あれが巨大なクリスタルが奉られている神殿の一つ……水の神殿」



勇者「だが……」

戦士「おう、それを説明するよ」


戦士「神殿を取り囲むように作られた」

戦士「あの、『檻』は何だ……って、言いてぇんだろ?」


勇者「……」

戦士「デケェ建物を、これまたデケェ特殊金属の棒を地面に刺して、囲む」



戦士「アレはそのまんま、檻なのさ」

戦士「神殿にはクリスタルが在ると同時に、火を吐く獅子の化け物が居る」


戦士「そいつの力を弱め、神殿に閉じ込めてるのが、あの特殊金属の檻って訳さ」

勇者「なるほど……そう言う事か」


戦士「火を吐く獅子の化け物……こっちの地方の言葉で、イノガシラゴロウ」

戦士「ゴロウは、御狼……だな」



勇者「その御狼は……」

戦士「人を喰う。しかもかなりの食欲旺盛で、オマケにつえぇと来てる」


戦士「となりゃあ、檻で隔離するしかねぇ」

戦士「だが、檻は定期的な交換が必要。それも莫大な金が掛かる……」


戦士「この海賊団の意味、理解できたかい?」

勇者「……」


勇者「分からんな……」

勇者「何故、人々から巻き上げる行為で金を集める?」



戦士「はっ……」

戦士「国はこの怪物を軽視して軍を送らねぇし」


戦士「じゃあ近くに済む有志達を集めてったって、金が足りねぇ」

戦士「そしたらよ、奪うしかないよな?」


戦士「理不尽な税金を掛けられてる弱い市民から……じゃなく」

戦士「違法な手段でブクブクと私腹を肥やしてる……王族や貴族からよ!!」



戦士「どうだっ!?」

戦士「オレらは間違ってるか?」


勇者「……」

勇者「今、その答えを言うのは止そう」


戦士「はいぃ?」

戦士「オレに語るだけ語らせといて、なんだそ……」


海賊「お頭ぁっ!! 着航に入ります!!」

戦士「おっ!?」クルッ


戦士「よしっ、オールを動かせ!! 横付けするぞ!!」

戦士「カイドラァァッ!! カイドラはスピードを落としつつ船から離れろっ!!」ピューーイッ


カイドラ「ギャアアアァァス!!」ザッパァーッ





  巨大な離島 水の神殿前 停船所




痔海賊「お勤めご苦労様ですお頭!!」バッ

戦士「うんっ、状況は?」スタッ


痔海賊「そっ、それが……」

戦士「なんだ、何か有ったのか?」


痔海賊「あちらを……」スッ



戦士「んっ、人だかり? 行ってみるか」

戦士「アンタも着いて来な!!」ダッ


勇者「……」コクリ

勇者「ここは、なんと邪気に満ちた場所だ」ダッ




戦士「おうオメェラ、どけっ、道を開けなっ!!」タッタッタ

幼女「ふぇぇっ、おかしらなんだよぉっ……」



 ガヤガヤッ

戦士「ッ!!?」ザッ

戦士「コイツは……」


食べられ海賊「あっ、お頭!? ご苦労様です!!」バッ

戦士「挨拶はいい、説明しなっ」


食べられ海賊「檻の前にですね、今朝がた、急にこのガキが現れて……」

勇者「……」



謎の少女「私はガキでは無い。訂正を所望する」

食べられ海賊「だったら、黙ってねぇで教えろって」


謎の少女「……」

謎の少女「私の名は『商人』。訳有ってここへ来た」


戦士「商人、なぁ……」

戦士「で、来た理由は?」


商人「それは言えない」フルフル

戦士「なっ!? このっ!!」



勇者「待ちなさい」ガシッ

戦士「あ、んだよっ? チッ……分かったから離せ」バッ


商人「……」

商人「貴方は優しい」


商人「ので」

商人「来た理由は言えないけど、これからする事は教える」


商人「ここで勇者と言う人物を待ち、共に協力して中のモンスターを倒す」

商人「そして、クリスタルを必ず守る」



勇者「っ……」

勇者「勇者は、私だが?」


戦士「えっ!?」クルッ

商人「……」


商人「貴方が、勇者?」

商人「ずいぶん痩せてる。弱っちそう」ペタペタ


勇者「ふっ……確かに」

勇者「私は、それほど強い人間では無い」ニコリ



商人「……」

商人「……」


商人「やっぱり強そう」

商人「さぁ、二人で協力して中のモンスターを倒す」グイグイ


勇者「謎は残るが」

勇者「人を喰らうと言う怪物……倒さねばなるまい」ザッ



戦士「あ」

戦士「行っちまった……何なんだよアイツら?」


髭海賊「お、お頭っ!!」

禿「お頭、俺達は行かなくて良いんですかい!?」


戦士「そっ、そうだな!!」

戦士「勝手に話が進んでたから、取り残されちまったよ」



戦士「よしっ!! 髭、禿、痔、幼女、食べられは、オレに着いて来い!!」

戦士「他の奴はここで待機!! 二時間してオレらが出て来なかったら、船で全員逃げろ!!」バッ


戦士「そしてオレが選んだお前らは、海賊団の精鋭だ……」

戦士「だが、もしこの中の誰かが喰われたとしても、例えオレが喰われても、助けるなっ」


戦士「助ける暇が有るんなら、怪物に一撃でも多く叩き込め!!」



戦士「……」

戦士「わかったな?」


髭海賊「わかりやした」コクリ

禿海賊「必ずや怪物を倒しやしょう!!」コクリ


幼女「はい」

痔海賊「ははっ、俺達は餌……かよ」


食べられ海賊「いったい、誰が怪物に食べられるんだ……」ゴクリ





   水の神殿 内部



 ザァーッ

商人「擬似的な滝を作るオブジェクトが沢山在る」キョロキョロ

商人「実に興味深い」


勇者「……」タッタッ


勇者(常に新たな水が流れるように、そこかしこに水路が作られている)

勇者(果たして……これは何を意味しているのか)


戦士「テメェラ、ちょっと待てぇっ!!」カシャンカシャン

幼女「ふぇぇっ、またないとじごくをみせるんだよぉっ」トテトテ



商人「……」

商人「来なくて良いのに」ボソッ


勇者「来たのか?」

戦士「当たり前だろ? 今まで誰が守ってたと思ってんだ!?」カシャンカシャン


戦士「ったく……じゃあ説明するぜ?」

戦士「このまま進むと、大広間が二つ在る」


髭海賊「最初は御狼の居る広間……」

禿海賊「そしてその奥に、クリスタルが奉られてる広間だ」



戦士「御狼は、必ず最初の広間で倒す!!」

戦士「奥の広間に逃げられて、何かの拍子にクリスタルが砕けた……とかなったら意味がねぇからな」


勇者「承知した」コクリ

商人「……」


戦士「それと、アンタらにも言っとくが、この中の誰が犠牲になろうと、御狼の討伐を優先してくれ」

戦士「檻だっていつまで効いてるかわからねぇ、だから絶対にここで倒す!! いいなっ!?」グッ



食べられ海賊「……」

食べられ海賊「男を、見せる時が来たようだな……」グッ


痔海賊「食べられっ?」

食べられ海賊「お頭っ!! 最初に俺を御狼と戦わせてくだせぇ!!」ザッ


戦士「ッ!?」

戦士「食べられ……お前、まさか?」


食べられ海賊「へっ、勘違いしないでくださいよお頭?」

食べられ海賊「俺の兄貴は御狼に喰われた……その仇を討ちたいんでさぁ」ニヤリ



食べられ海賊「それに、俺の投擲術はお頭だって知ってるはずですぜ?」

食べられ海賊「頼んますお頭ッ!! 俺を最初に!!」ペコリ



髭海賊「食べられ……」

禿海賊「食べられ……」


幼女「たべられは、たべられないよね?」

食べられ海賊「ふっ」ニコリ


食べられ海賊「俺は、あんな化け物に食べられねぇよ幼女ちゃん」ナデナデ

幼女「うんっ!!」ニコニコ



食べられ海賊「まぁ、倒しちまうと思いますがね」

食べられ海賊「倒しちまうと思いますが……万が一の時は、代わりに御狼をお願いしやすお頭っ!!」ペコリ


戦士「食べられ……お前そこまでっ」グッ

戦士「……」


戦士「分かった。先陣は任せるぞ? ブッ殺して来い食べられっ!!」

食べられ海賊「へっ、へいぃっ!!」



食べられ海賊「食べられ、行きまーす!!」ダッ


戦士「……」

戦士「行っちまったか……」


髭海賊「お頭、どうするんで?」

戦士「ああ。五分……いや、三分経ったら、オレ経ちも突っ込む」


禿海賊「アイアイサー!!」バッ

痔海賊「アイアイサー!!」バッ



勇者「……」

商人「勇者は、どうするの?」


勇者「愚問だな」

勇者「救える命を見捨てて、何が勇者か!?」


勇者「すぐに向かう。着いて来るならば来なさい」ザッ

商人「一緒に着いてイク」タタッ


戦士「ッ!?」

戦士「おいっ、ちょっ、待てよっ!!!」

落ち着け、俺は腹が減っているだけなんだ…

俺は焦っているのか…

俺に尻尾があったら、今ちぎれんばかりに振っているところだ

どうやら、俺の少年時代の血を呼び覚ましたらしい…
攻撃をかろうじてかわした俺は、そのまま彼の腕を取るとアームロックを決めていた。

モノを食べる時はね。誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。 
独りで静かで豊かで…当然それはつくった側に対する礼儀と感謝も含まれる…

>>68は無しで…orz

コピペしたのを編集する前に投稿してしまった…

書き直します




  水の神殿 最初の広間




食べられ海賊「ッ……」ザッ

食べられ海賊(バカでけぇライオン!? そうとしか言えねぇ)


食べられ海賊(アイツが……)

食べられ海賊(御狼ッ!!!)ゴクリ



御狼「グオォォッ、グオォォッ……」スヤスヤ



食べられ海賊(だが、眠ってやがるぜ)

食べられ海賊(チャンスだっ!!)ジャキ



食べられ海賊「兄貴の仇だ……」

食べられ海賊「御狼ッ、死ねぇぇぇっ!!」ダンッ



御狼「グオォォッ、グオォォッ……」スヤスヤ

御狼(俺が犬だったら、今ちぎれんばかりに尻尾を振っているところだ)


御狼(俺は焦っているのか……いかんいかん)

御狼(こちらの寝たフリに気付かず、せっかく相手から飛び込んで来てくれるって言うじゃあないか……)


御狼(落ち着け、俺は腹が減っているだけなんだ…)



食べられ海賊「鉞殺界平等術悶絶究極最大最強最終超必殺秘奥義ッ、一刃擲刺刺死嚥翔殺円陣ッ!!!」バッ

御狼「グオォォッ、グオォォッ……」スヤスヤ


御狼「……」

御狼「ガウゥッ!!」バッ


食べられ海賊「何ッ!? コイツ、起きて!!?」

御狼「ソゥイュゥノモアルノカァ!!」ガシィッ



食べられ海賊「ぐわぁぁぁぁぁっ!!?」メキメキッ



食べられ海賊「コイツ、俺の腕にアームロックをッ!!?」

御狼(どうやら、彼の鋭い攻撃が、俺の少年時代の血を呼び覚ましたらしい……)


御狼(攻撃を辛うじて避けた俺は、そのまま彼の腕を取ると関節をガッチリと決めていた)

御狼「デバナヲクジカレタァッ!!」ググッ


食べられ海賊「なっ、なんて恐ろしい咆哮なんだっ……まるで、悪魔の雄叫び!!」メキメキッ




御狼「グワアァウッ!!」ガッパァッ

食べられ海賊「ダメだ動けねぇっ、食べられるっ!?」グッ




勇者「ハイヤァァァァッ!!」シュッ




御狼「グギャッ!?」ドゴォッ

御狼「グギャギャッ!?」メリメリメリッ


御狼「アンギャアァァァッ!!!」ズサァァッ

御狼「アゥン……」ドサッ



勇者「ほぉぉぉっ……」スッ

御狼「グッ、グルゥッ」ヨロヨロッ




戦士「食べられっ、大丈夫か?」カシャン カシャン

幼女「ふぇぇっ、だいじょうぶなの~っ」タタタッ


食べられ海賊「お、お頭!? 何で……」

食べられ海賊「それに皆もっ!?」キョロキョロ



禿海賊「止血する所は無いようだな」

髭海賊「立てるか?」スッ


食べられ海賊「ああ、痺れが残るが何とか……」ガシッ

痔海賊「アイツに感謝しろよ食べられ?」ニコリ


食べられ海賊「え……アイツ?」

戦士「……」


戦士「御狼と一人で対峙してるアイツ……」

戦士「勇者に、だよ!!」グッ



勇者「……」ジリッ

御狼「ウゥッ……」


御狼「キャインキャイン!!」ダッ

勇者「むっ!?」



戦士「御狼がっ!?」

商人「奥の広間に逃げた……」



勇者「ぐっ……追うぞっ!! 走れ商人!!」ダッ

商人「追う……」ダッ


戦士「……」

戦士「ちっ」


戦士「なんで、いつもいつも悪い方に悪い方にってよぉっ……」グッ

戦士「オレ達も追うぞっ!! 全員着いて来い!!」





「そうは、いかんなぁ……」




戦士「ッ!?」

戦士「誰だっ!!?」クルッ



髭海賊「おかしっ、ら……」ドサァッ

禿海賊「すい、やせん……」ドサァッ



ジャンク「貴様ら海賊は、この毒のスカルミリョーネ様の右腕、ジャンクマンによって倒されるのだ!!」ザッ

戦士「ジャンクマン、だとっ!!?」



痔海賊「ケツ、が……」ドサァッ

幼女「ふぇぇっ、る、ワカ、メ」ドサァッ


戦士「お前らっ!?」

食べられ海賊「食べられなくて、よかっ、た……」ドサァッ



ジャンク「さぁ、次は貴様の番だ」ガキン

ジャンク「この両腕のスパイクアームから繰り出すジャンククラッシュで、他の奴らのように破壊してやるぞ?」ニヤリ

話の流れはシリアス



戦士「ッ……」ギリッ

戦士「テメェ、よくもオレの仲間をっ……」


ジャンク「心配するな。貴様もジャンククラッシュの餌食にしてやる」

ジャンク「その鎧ごと、体を粉々にしてやるぜ!!」スッ


戦士「オレを粉々に?」

戦士「やってみろよ……」スッ



ジャンク「ならっ、お望み通りにしてやる!!」バッ

ジャンク「ジャンククラァァァシュッ!!」ブォン


戦士「……」

戦士「ッ!!?」




 バキバキッ、バキィィィン!!




ジャンク「ヒャッハー!! 口ほどにもねぇ!! バラバラにしてやったぜ!!」ニタリ



 バラバラバラッ

ジャンク「……」

ジャンク「いや違うっ!? これはっ……」ガタッ



戦士「ふっ」スタッ

戦士「甘いなジャンクマン、お前が壊したのは甲冑だけだ」ニヤリ


ジャンク「ッ!?」

ジャンク「貴様ァァァァッ!!」クルッ



戦士「遅せぇっ!!」ガシィッ

ジャンク「コイツ!? 俺の体を持ち上げっ……」



戦士「タワーブリッジッ!!」ググッ

ジャンク「うぎゃあぁぁぁぁっ!!」メキメキメキッ


戦士「ふんっ!!」ブォン

ジャンク「ぐえぇっ……」ドサッ



戦士「待っててやる、早く立ちな」クイッ

ジャンク「うぅっ……」フラフラ


ジャンク「……」

ジャンク「お前はッ!!?」ビクッ


ジャンク「甲冑に身を包んでいたから分からなかったが、知っているぞお前を!!」

戦士「ふぅん……」



ジャンク「前魔王ザガートを倒したと言われる勇者の末裔……」

ジャンク「長い青髪と胸元のタトゥー、そして露出度の高い変態ビキニアーマー!!」


ジャンク「間違いない!!」

ジャンク「お前はアバロン国の双子姉妹、その姉……戦士!!!」


戦士「はいはい」

戦士「長々と説明ありがとよ……」スッ




ジャンク「……」

ジャンク「フッ、だがちょうどいい……」


ジャンク「貴様らを殺す事も任の一つだ、ここで殺してやるぜ戦士!!」

ジャンク「最後まで抵抗した……あの海竜のようになぁ!!!」ニヤリ



戦士「ッ!!?」ビクッ

戦士「お前……まさか、カイドラ、を?」



ジャンク「ミンチにしてサメの餌にしてやったぜぇぇっ!!」

戦士「絶対に……許さねぇ」ギリッ


ジャンク「貴様も同じにしてやるっ!!」

ジャンク「死ねい!! ジャンククラァァァシュッ!!」バッ



戦士「カイドラ……オレに、力を貸してくれっ」

戦士「はぁぁぁぁぁっ!!」ゴゴゴゴゴゴッ



戦士「水のぉぉぉぉぉぉっ……」ググッ

ジャンク「何だッ!? 神殿中の水が集まって、形を変えて行くっ!!?」



戦士「リュゥゥゥゥゥゥウウ!!」バッ
カイドラ『グラァァァァウ!!』




 ズドォォォォォォォォォォッ!!!




ジャンク「水の、竜……だとっ!!」

ジャンク「ぐひゃああああああああ!!?」ザッバァーッ



ジャンク「……」ドサァッ

戦士「……」


戦士「覚悟をしてたとは言え……」

戦士「みんなっ、すまねぇ!!」グッ


戦士「……」

戦士「そっ、そうだ、勇者はどうなった!?」





   水の神殿 奥の広間




御狼「ガルルゥッ!!」

商人「追い詰めたっ」ザッ


勇者「……」ザッ

勇者「ここで決めるぞ……」



御狼「オォォォッ……」ググッ

勇者「んっ?」


商人「勇者、アイツは何かを溜めてるっ」

御狼「……」ニヤリ


御狼「おおぉぉぉォォン!!!」ゴパァッ



 ゴォォォォォォォォォッ!!



勇者「くっ!?」バッ

商人「口から、火を吐いた!?」バッ



御狼「おぉォン!!」ボォォッ

御狼「おぉォン!!」ボォォッ


御狼(あちちちちっ、これは熱いぞ!! でも、火を吐くのが止まらない!!)

御狼(おぉォン!! 俺はまるで、火力発電所だ!!)



商人「勇者、どうするの?」

勇者「どうする……か?」スッ


勇者「どうするもこうするも無い……」

勇者「懐に飛び込むだけだっ!!」ダンッ



商人「ッ!?」

商人「せめて補助……フバーハ!!」ポワワッ



御狼「グラァァァァウ!!」バッ

勇者「掛かって来るか、餓えた獅子よ……」


勇者「ならば、迎え迎え撃とう!!」

勇者「ほぉぉぉっ……」ググッ



御狼「グルアァァッ!!」

勇者「……」


勇者「……」

勇者「ッ……」カッ


勇者「ぅわぁたぁぁっ!!」シュッ


御狼「グギャアッ!!?」ズドンッ

御狼「ギ、ガガッ……」メリメリメリッ

勇者「響心ッ、断絶拳ッ!!」



勇者「外部から心拍を停止させる拳を放った」

御狼「……」ドサァッ


勇者「痛みは感じぬ……」

御狼「……」


勇者「このまま、静かに逝くがいい」

商人「っ……」


商人「凄い。とても、強い」



戦士「勇者ぁぁぁぁぁぁっ!!」タッ タッ

勇者「んっ?」


商人「火ならすぎに消える、心配ない」クルッ

戦士「ちげぇ、火じゃなく水だっ、水はどうなってる!?」


商人「……」

商人「貴女だれ?」



戦士「あっ? 戦士だよっ、甲冑をブッ壊された戦士だ!!」

戦士「それより水はっ……」キョロキョロ


戦士「……」

戦士「ああっ……」ガクン


商人「戦士は、女」

勇者「どうしたのだ戦士?」



戦士「回り、見てくれ……」

戦士「神殿に通ってる水路の水が、濁って来たんだ」


商人「濁ったと言うレベルでは無い。水が紫色」キョロキョロ

商人「さっき見た時は透明だったはず」


勇者「……」

勇者「これはっ……」




 ピシッ、ビキビキッ!!



勇者「ッ!?」クルッ

商人「ッ!?」


戦士「くっ、クリスタルがっ!?」



 バキィィィィィィィィィン!!



戦士「粉々に……」

戦士「割れ、た……」




勇者「どう言う事だ!?」

勇者「クリスタルへの攻撃や衝撃は、無かった筈だが……」


商人「それは確か」コクリ

商人「御狼は暴れる間も与えられず、勇者に瞬殺された」


戦士「……」グッ

戦士「テメェらが御狼を追って奥の広間へ行った後、謎の敵が現れてさ」


戦士「多分、なんらかの方法でソイツがやったんだよ」

戦士「毒のスカルミリョーネ、だかの部下とか言ってたしな……」



勇者「……」
商人「……」


戦士「で」

戦士「だ」


戦士「どっちか、ルーラは使えるか?」

戦士「キメラのつばさでもいいぜ?」


勇者「生憎と、修得していないな」

商人「キメラのつばさ? アイテム? 持ってない」フルフル



戦士「じゃあ仕方ねぇ、ここは離島だしな」

戦士「オレのキメラのつばさで、アバロン国までは連れてってやるよ……後は好きにしなっ」


勇者「船は……」

戦士「……」


勇者「動かぬのか?」

戦士「ああ」


戦士「二度と動かねぇ……」グッ




戦士「その前に……」

戦士「重りを着けて、死体を海へ沈める」


戦士「手伝って、くれっかな?」

勇者「……」コクッ


勇者「出来る限り手伝おう、何なりと言いなさい」ニコリ

商人「勇者が手伝うなら、私も手伝う」コクッ


戦士「へへっ……」

戦士「二人ともありがとよっ」ニコリ



戦士「最初はこっちだ、来てくれっ!!」ダッ

商人「……」ダッ


勇者「……」

勇者(クリスタルの破片は、幾つか拾って持って行くか)スッ


勇者(もしかしたら、何かわかるかも知れん……しかし)

勇者「これが、魔王復活の予兆だと言うのか?」



 水の神殿 クリスタル崩壊


  ↓


 軍事国家 大国アバロンへ


,





 大国アバロンの近く ウォッチマンの巣入り口



皇帝「重剣士、ランサー、アチャ子、武道家……」

皇帝「これから我々は、インペリアルクロスと言う陣形を組んで戦う!!」


皇帝「先頭に重剣士」

重剣士「ジャッジ!!」ビシッ


皇帝「その後ろに俺が付く」

皇帝「そして……」



皇帝「俺の右翼にランサー」

ランサー「ジャッジ!!」ビシッ


皇帝「俺の左翼にアチャ子」

アチャ子「ジャッジメントですの!!」ビシッ


皇帝「最後、俺の後ろに……」

皇帝「武道家」


武道家「……」

皇帝「返事は?」



武道家「……」グッ

武道家「ジャッジ!!」ビシッ


皇帝「よし。この十字の陣形……インペリアルクロスで最後まで行く」

皇帝「だが……重剣士、ランサー、アチャ子、お前達は武道家の身を守るのが最優先事項だ」


皇帝「いいな? 武道家は絶対に守れ」

重剣士「ジャッジ!!」


ランサー「ジャッジ!!」

アチャ子「ジャッジ!!」



武道家「……」

武道家「っ……」


武道家「待ってよ父さんっ!!」

皇帝「武道家……俺の事は皇帝と呼べ」


皇帝「そう、教えていたな?」

武道家「ぐっ」


武道家「皇帝……」

武道家「ボクは、こんな過保護に守って貰わなくてもっ、戦えます!!」



武道家「それに、ボクの力を試してくれると言ったでは有りませんか!?」

武道家「こんな後方に居ては戦えません!!」


皇帝「……」

皇帝「俺はな武道家?」


皇帝「他の部下や民への威厳の為に、お前をここへ連れて来たに過ぎない」

皇帝「王族の人間は皆、勇敢だと……知らしめる為だけにお前を連れて来たのだ」



皇帝「よって、ここを制圧したらお前のごっこ遊びも終わり……」

皇帝「姫としての公務だけに集中して貰う」


武道家「っ……」

武道家「そんなだから、戦士は出て行っちゃったんだよ……」ボソッ


皇帝「お前は、姉と違って俺を裏切らないよな?」

皇帝「なぁ、武道家?」


武道家「……」

武道家「ジャッジ……」



皇帝「よしっ、では行くぞっ!!」ダッ

武道家「……」


重剣士「……」タタッ

重剣士「姫……」ボソッ


武道家「なに?」

重剣士「ランサーとアチャ子との三人で、何とか姫のアピールする場を作ります」


重剣士「そして、貴女の力を皇帝に見せるのです。皇帝はまだ貴女を赤子と同じだと思っていらっしゃる」

重剣士「成長した貴女の事は、皆が知っております。ですから、是非その力を皇帝に……」ニコリ


武道家「う、うん!! ボクがんばるよっ」コクッ





 大国アバロン 城下町の中央広場




亀男「ギョロロロロロッ♪」ザッ

亀男「貴様では、この亀のカイナッツォ様の相手にはならねぇ!!」


亀男「人間どもに剣聖と呼ばれている、アバロン皇帝の長男……」

亀男「どんな者かと思ったが、所詮は人間……恐れるに足らず、だ」ニヤリ



長男「ぐっ……あの甲羅さえ何とかなればっ!?」ジャキ

次男「兄貴ッ、民の避難は完了したよ!!」タッ タッ



長男「……」

長男「そうか」グッ


長男「なら、お前も逃げろっ!!」

次男「いやだっ、僕も攻撃魔法でアシストするよ!!」


亀男「ギョロロロロロッ♪」

長男「アイツに……攻撃魔法は効かぬようだ」


長男「引け次男、引く事も勇気だ!! 戦いは俺に任せろ!!」

次男「くっ……」ギリッ



次男「分かった……」

次男「必ず戻って来て!!」ダッ


長男「……」

長男「時期皇帝は、お前だ次男」ニコリ


長男「こんな戦うしか能の無い俺では無く、人々に愛され、知略に優れた、次男こそが時期皇帝に相応しい」

亀男「どうしたぁ? 俺に殺されるか、貴様の妹達を差し出すか、選べっ!!」



長男「そのどちらでも無い……」

長男「この大剣クロスクレイモアで、お前を斬り伏せるッ!!」スッ


亀男「頭の悪い奴よ……」ニヤリ

亀男「物理攻撃は俺の甲羅に弾かれ」


亀男「魔法攻撃は俺の左手、幻想破壊(イマジンキラー)によって無効化されると……」

亀男「このカイナッツォ様には勝てぬとぉっ、まだ分からんかこのビチグソがぁっ!!!」



長男「破って見せるさ……」

長男「この俺がっ、完成させた剣技でなぁ!!」バッ


亀男「無駄な足掻きを……」ニヤリ

長男「喰らえカイナッツォ!!」


長男「巻き打ち!!」ブォン

亀男「無駄だッ!!」ガキィン



長男「チィッ……」スタッ

長男「それならこの最強剣技、流し斬りを受けてみろっ!!」バッ

長男「流し斬りぃっ!!」ブォン

亀男「無駄無駄ァッ!!」ガキィン

長男「ならば今一度だ」

長男「流し斬りぃっ!!」ブォン


亀男「……」



亀男「フッ……」ガキィィン

長男「バカなっ!? 大剣が折れるなんて!!」バキンッ



亀男「オリハルコンの甲羅……」ザッ

亀男「ラファエロの右腕」


亀男「ミケランジェロの左足」

亀男「ドナテルロの右足」



亀男「そして」

亀男「左手の幻想破壊(イマジンキラー)」


亀男「究極の合成亀男カイナッツォに……」

亀男「流し斬りなどと言う、そのような児戯は通用しない!!」ニヤリ


長男「ぐっ、くぅっ!?」ジリッ

長男「まだだっ、まだ体術が有る!!」バッ



亀男「そろそろ、こちらも攻撃させて貰うぞっ!!」バッ

亀男「喰らえいッ、スプリンター先生直伝っ……」


長男「カポエラキック!!」シュッ
亀男「亀甲羅回転アタァァァク!!!」グルグルグルッ


長男「ッ!!?」

長男「ぐわあああああああっ!!」ドゴォォッ


長男「うぅっ……」ドサァッ

亀男「フフッ、他愛ない」スタッ



次男「兄貴っ!?」タッタッタ

長男「次男……なぜ来た?」


亀男「そいつは直に死ぬ。盛大に葬儀でもしてやるんだなぁ!!」

亀男「皇帝にも伝えて置けっ、この国を救いたくば……皇帝の娘、双子の姉妹を風の塔へ連れて来いと!!」


亀男「七日、時間をくれてやる」

亀男「父と娘の、最後の思い出づくりでもしておけぃ!!」



長男「ゲホッ!!」ダラダラ

次男「口から血が!? 喋っちゃダメだよ!!」



亀男「そいつも中々の剣の使い手だった……」

亀男「だが、まだ若い」ニヤリ



長男「流し斬りがっ……」

長男「流し斬りが完全にはいった……」


長男「の、にっ……」ガクッ

次男「ッ!!?」ギュッ





 数時間後 アバロン白 長男寝室




 バダンッ

皇帝「長男ッ!!」ダッ

武道家「長男あにぃ!!」ダッ


次男「父さん、武道家……戻って、来たんだね?」

皇帝「当たり前だろ、あんな伝令が入れば!? 途中で切り上げ、急ぎ戻って来た」



武道家「長男あにぃ、ウソだよね……長男あにぃぃぃぃっ!!」ギュゥッ

長男「……」


次男「穏やかな顔してるだろ武道家?」

次男「でも、死んでるんだぜコレ?」


武道家「うわぁぁぁぁぁぁん!!」ポロポロッ

皇帝「……」グッ



皇帝「次男、少し話が有る。部屋を出なさい」

次男「っ……ジャッジ!!」



 バダンッ

皇帝「……」タッ タッ

次男「……」タッ タッ


皇帝「ここまで来れば良いか」

次男「なんでしょう皇帝?」



皇帝「伝令から聞いた話では、カイナッツォとか言う化け物は俺の娘達を……」

皇帝「戦士と武道家の姉妹を寄越せと、そう言って来たんだな?」


次男「その通りです」コクリ

次男「間違いなく、意志(レイアース)の力を持つと気付いている様子でした」


皇帝「……」

皇帝「まだ本人達は、その力を自覚していない」



皇帝「しかし、目覚めの時は近い……」

皇帝「その力を利用したいのか、それともその力は邪魔だと殺すのか……」


皇帝「どちらにしてもっ」

皇帝「俺の可愛い娘を、渡す訳にはいかん!! それも、長男を殺した奴にはッ!!」ギリッ


次男「父さん……」

皇帝「重剣士、ランサー、アチャ子、出でませい!!」パチンッ



重剣士「はっ!!」スタッ

ランサー「ここにっ!!」スタッ

アチャ子「登場ですわ!!」スタッ


皇帝「うむっ」

皇帝「お前達は、俺が最も信頼を置く部下……」


皇帝「だが、だからこそ問いたい」

皇帝「これから俺は風の塔に向かう!! お前達は……」

>>132

× アバロン白
○ アバロン城 ですぅ



重剣士「皇帝陛下!!」

重剣士「我ら三名は、子供の頃に他国のスラム街で拾われ、貴方に育てられた身です」ニコリ


ランサー「間違った事を成そうとするなら、こちらから進言いたしますが……」ニコリ

アチャ子「そうではないのなら、いつものように命令下さいませ」ニコリ


皇帝「ッ!?」

皇帝「お前達……」グッ



皇帝「これより風の塔へ向かい、長男の仇、カイナッツォを討つ!!」

皇帝「重剣士!! ランサー!! アチャ子!! 我が忠実なる仲間達よ……着いて参れ!!」バッ


重剣士「ジャッジ!!」ビシッ

ランサー「ジャッジ!!」ビシッ


アチャ子「ジャッジメントですの!!」ビシッ

次男「えっ……」



次男「お待ちください!! 皇帝にもしもの事があったらこのアバロンは!!」

皇帝「……」


皇帝「次男よ……」ニコリ

皇帝「俺は行動を感情に任せ過ぎている」


皇帝「長男にしても、娘の二人にしてもそうだ」

皇帝「剣の腕は立つだろう、力は有るだろう」



皇帝「しかし、それだけだ……」

皇帝「俺には元々、皇帝としての器は無い」


皇帝「従わせるのでは無く、民から愛され、慕われる……」

皇帝「次男、お前のような者が相応しい」ニコリ


皇帝「俺に何かが有ったら、このアバロンを頼むぞ次男!!」ポンッ

次男「父さん……」グッ


次男「ジャッジ!! 行ってらっしゃいませ皇帝陛下!!」ビシッ

皇帝「うむっ。戦果を期待しておれ」ニコリ



皇帝「……」

皇帝「では、出発だ!! ハイヤードラゴンで、一気に塔の最上階へ乗り込むぞ!!」ダッ



重剣士 ランサー アチャ子
「「「ジャッジ!!!」」」ダッ


次男「父さん……」

次男「どうか、どうかご無事でっ」





 大国アバロン 城下町の入り口手前



 ギュワーン

戦士「っと、到着」スタッ

戦士「わりぃが、すぐに妹の所へ行かせて貰うぜ?」


勇者「了解した……」スタッ

商人「アバロン、千年以上の歴史を持つ巨大国」スタッ



戦士「アンタらは、まぁ……」

戦士「ここでお別れだな」


戦士「何か目的が有って旅をしてたんだろ?」

戦士「がんばれよ勇者っ♪」ニコリ


勇者「……」コクリ

商人「勇者、次の目的地だけど」


勇者「いや、我々もここで別れよう」

勇者「私は、誰かを連れて旅するつもりは無いよ」





「待てっ!! お前が行ってどうなるんだ!?」


「離して!! 帰って来るのを、ただ待つなんて出来ないよ!!」



勇者「むっ?」

戦士「なんだ? 入り口の所からデカイ声が……って、アレは!?」



次男「父さんは、お前を守ろうとしているんだぞ!?」キッ

武道家「自分の身ぐらい、自分で守れるよっ!! なんだよ皆してっ」キッ




戦士「おい、次男!! 武道家!! どうしたんだよ、街の中で騒ぐなんて……」タッタッ

戦士「二人とも、らしくねぇぞ?」


次男「戦士ッ!?」ビクッ

武道家「……」


武道家「今さら、何しに戻って来たのさ……」ボソッ

戦士「あっ?」



武道家「姫の立場から、勝手に逃げ出したクセにっ!!」キッ

戦士「オレは逃げたんじゃねぇ、何も出来ない王族の立場を捨ててやったんだよ!!」キッ


次男「ケンカは止めろ二人とも!!」

次男「回りを見ろっ、民が見ているんだぞ!?」


武道家「……」

戦士「……」


武道家「ふんっ」プイッ

戦士「チッ」プイッ



戦士「……」

戦士「武道家……」


武道家「……」

武道家「なに?」


戦士「お前、命を狙われてっから……気を付けろよ?」

次男「ッ!?」


武道家「ッ!?」

武道家「なんで? なんで、その事を知ってるの?」



戦士「オレら双子を殺そうとしてるっつぅ、スカルミリョーネの部下と戦ったからだよ」

武道家「スカル、ミリョーネ……」


戦士「オレはな武道家?」

戦士「お前にも、アバロンを出ろって言いに来たのさ」


戦士「そうしねぇと、その内……このアバロンに、刺客とか送り込まれかねねぇからな」

武道家「……」


次男「……」

次男「来たよ戦士……さっき、来た」



次男「亀男カイナッツォに兄貴は殺され……」

次男「父さんは、仇を討ちにハイヤードラゴンで風の塔へ向かったよ」


戦士「ッ!!?」

戦士「アニキほどの剣の達人が……嘘、だろ?」




勇者「……」

商人「勇者」クイクイ


勇者「どうした?」

商人「私が成すべき事には、どうしても勇者が必要」



商人「勇者が仲間を必要としていないのなら、貴方に教えを請う弟子の立場で良い」

商人「どうか、私を連れて行って欲しい」ペコリ


勇者「……」

勇者「私は、とある出来事を経て以来、仲間を取らぬようにしていた……」


勇者「だが、弟子だと言うのなら取ろう。よろしく頼む」ニコリ

商人「こちらこそ、宜しく師匠」ニコリ



商人「早速、一つお願いがある」

勇者「言ってみなさい」


商人「風の塔へ向かって欲しい」

商人「そこに在る、風のクリスタルの状況を知りたい」


勇者「……」

勇者「よかろう。ではまず、この近くのリーザと言う町へ行こう」


勇者「そこに住む青年ビューから、飛竜サラマンダーを借りて風の塔へ飛ぶ」

商人「……」コクリ

も、もうキン肉マンネタはでませんか?

>>156

で ま す こ ー ほ ー



武道家「ッ!?」

武道家「ちょっ、ちょっと待ってそこの人!!」タタッ


勇者「私か?」

武道家「そうそう!!」タッ


武道家「飛竜を使えるなら、ボクも連れてってよ!!」

武道家「城に配備されてるのは、全て使われてて居ないんだ」


武道家「ねっ? お願いっ!!」ペコリ

勇者「……」



勇者「断る」

武道家「ありがとう連れてってくれる……」


武道家「……」

武道家「って、えっ!? 断るのっ!!」ビクッ


勇者「弱き者……」

勇者「国の民が殺されたと言うのならば、協力もしよう」


勇者「しかし、散ったのは強者……」

勇者「きちんと民を守り、立派に責を果たした」



武道家「……」

勇者「個人的な怨恨晴らしを止める気は無いが、やるのなら己の力のみで果たすのだ」


勇者「それに、風の塔には私と弟子が行く」

勇者「そこで出会った時に、更なる害をもたらすと判断できれば、私がカイナッツォとやらを打ち倒す」


武道家「っ……」グッ

武道家「こっちは家族が殺されたんだ!! ボクの手で、ボクの手で復讐したいんだよっ!!」



勇者「……」

勇者「死んだらどうする?」


武道家「……」

武道家「えっ……」


武道家「ボっ、ボクは負けないよ!!」

戦士「武道家……」


勇者「カイナッツォに殺された者と、お前と、どちらが強いのだ?」

武道家「っ……」ピタッ



次男「武道家……その者の言う通りだ。ここは堪えろ!!」

次男「贔屓目に見ても、お前は兄貴より弱い。まず返り討ちにされるぞっ」


次男「だがっ、潜在能力なら兄貴を超えている」

次男「このまま訓練を続けていればいづれ……」


武道家「……」

武道家「いづれって、いつさ?」ボソッ



戦士「やれやれ」

戦士「……」ポンッ


武道家「……」

武道家「なに戦士?」クルッ


戦士「すぅぅっ……」

戦士「勇者ぁぁぁぁッ!!」



勇者「……」

勇者「なんだ?」


次男「ッ!?」

武道家「ッ!?」ビクッ


次男「この方が……勇者?」

武道家「勇者っ……」グッ



武道家「勇者ッ!! 貴方ならカイナッツォに勝てるのか!?」

勇者「恐らく……な」


武道家「それならっ、ボクが貴方に勝てたら、一緒に連れてって!!」スッ

戦士「と、ここでオレも混ざるぜ? その為にけしかけたんだしな」スッ


武道家「戦士? 一人で充分だよあんなヒョロヒョロ!!」

戦士「バカ、ここで負けたら終わりだろうが!?」



勇者「……」

勇者「私は、その勝負を受ける気など無い」


武道家「へぇっ!?」

戦士「ちょっ、普通は受ける流れだろっ!!」


勇者「この身は普通などとうに捨てた……分からぬ」

勇者「しかし、納得は行った……お前たちは、良くも悪くも王族らしいとな」




勇者「行こう商人……急がねば日が暮れる」タッ

商人「……」トテテッ


戦士「まっ」

戦士「だから、待てよコノヤロウ!!」


戦士「オレだって武道家と同じだ、カイナッツォって奴をブッ殺してぇんだよ!!」ギリッ

戦士「これはアバロンの姫としての命令だ、オレを……連れて行け勇者!!」



勇者「……」

勇者「次男よ」


次男「あっ……」

次男「な、なんでしょう勇者?」


勇者「この者達と戦っても、構わぬだろうか?」

次男「ッ……」


次男「……」

次男「はいっ、この愚かな双子の姉妹に、お灸を据えてやってください!!」



勇者「商人……」

商人「なに師匠?」


勇者「……」ボソッ

商人「分かった」コクリ


勇者「では……」

勇者「武道家!! 戦士!! お前達と戦おう!!」


戦士「おっ?」

武道家「よしっ!!」グッ



勇者「この私の弟子、商人に……」

勇者「指一本でも触れれたら、お前達の勝ちだ」


商人「貴女たちは、師匠が出るまでも無い」

商人「私で充分……」クイッ



戦士「は? なんだそりゃ?」

戦士「けどっ!!」スッ


武道家「ボクらを……」

武道家「甘く見ないでよねっ!!」スッ



戦士「行くぜ武道家?」チラッ

武道家「うんっ!!」コクッ



勇者「……」

商人「……」スッ



武道家「炎のぉっ……」ググッ

武道家「矢ぁぁァァァッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォッ!!



 モクモク モクモク

戦士「へへっ、地面は焦がしたけど、これが煙幕代わりだ」

戦士「そっちはオレの姿が分かんねぇだろうが、オレはそっちの姿が丸分かりだぜ!!」


商人「ッ!?」キョロキョロ

商人「……」オロオロ


戦士「……」

戦士「みぃ~~っけ」ニヤァ




戦士「んじゃま、軽ぅく」タッ

戦士「タッチして終わ……」




勇者「フンッ!!」シュッ

戦士「ッぐ、があぁっ!!?」ドゴォッ


戦士「うえぇっ、ガハッ、ゲホッ!!」フラフラッ

戦士「あ゙、あ゙っ……うぅっ」ドサァッ



武道家「えっ、戦士ッ!?」

武道家「いったいどうなって……」


勇者「……」スタッ

武道家「ッ!!?」クルッ



勇者「ハァッ!!」シュッ

武道家「ふん゙ん゙ッ!?」ドゴォッ



武道家「ぐえ……ぇぇっ、うぐっ」フラフラ

武道家「ゲホッ、ゲホッ、うあ゙あ゙っ……」ドサァッ



勇者「……」

勇者「私が手を出さないとは、一言も言っていない」


次男「勇者!? 幾ら何でもこれではっ」

商人「腹パン腹パン♪ 師匠は鬼畜」


戦士「ざっけん、な……」ピクピク

商人「ずる、いぃっ……」ピクピク

>>175

× 商人「ずる、いぃっ……」
○ 武道家「ずる、いぃっ……」



勇者「ふざけてなどいない……」

勇者「今のが命のやり取りをする実践だったとしても、お前達はズルいと言って駄々をこねるのか?」


戦士「ふぅっ、ふぅっ……」

武道家「ふぅっ、ふぅっ……」


勇者「今のは、私が手加減したから生きているが」

勇者「私の攻撃が拳では無く、剣だったらどうなっていた?」



戦士「……」

武道家「……」


勇者「もしここでお前たちを連れて行ったら、今と同じ事が起きていただろう」

勇者「例えば行動を共にしていて、分かれ道が現れた時、私が右だと言えば右に行けるか?」


勇者「もしくは、理由を組み立てて私に左へ行くべきだと説き伏せられるか?」

勇者「私の言う事を聞きたくない……そんな反発心から別行動をされたのでは、話にならない」



次男「勇者、僕がこんな事を言うのも何だが、妹達が必ず反発するとは……」

勇者「……」


勇者「それでも、私に着いて来たいのなら……」

勇者「王族を捨てなさい」


次男「ゆ、勇者!?」

商人「まぁまぁ」グイッ



勇者「戦士も、武道家も、見下ろすだけ。上からしか物事を見れていない……」

勇者「ちょうど今、地面に寝そべっているのだ。そこから……上を、空を見上げてみなさい」ニコリ


戦士「……」

武道家「……」


戦士「下から……」ゴロン

武道家「見上げる……」ゴロン



勇者「……」

勇者「それが、王族を見る民の目線だ」


勇者「民からすれば、王族は空のように大きい……」

勇者「だが逆に、空からすれば民は小さい」


勇者「その小さな民の言葉を、空に居たまま聞けるか?」

勇者「民が何を言ってるんだと、聞き流さないか?」



戦士「……」

武道家「……」


次男「……」

商人「……」


勇者「視野を広げなさい。見下ろすばかりで無く、たまには下から見上げ、同じ目線に立って民を見渡しなさい」

勇者「そうすれば、お前たちはまだまだ強くなれる……」ニコリ



勇者「今の段階ではまだそちらの……」

次男「あっ、次男です」ペコリ


勇者「……」ペコリ

勇者「次男の方が、私には強く見える」


勇者「貴方は、民の為に何を?」

次男「い、一応……定期的に農作業を手伝い、民の話を聞いて、更に効率の良い方法などを話し合っていますが」



勇者「民の目線を知る者は強い」

勇者「将来、必ずや良き王になられるでしょう」


次男「そんなっ……ははっ」

次男「まだまだ、先の話しですよ」ポリポリ


勇者「……」

勇者「姫達には失礼を働きました。では、これにて」ペコリ



勇者「行くぞ商人?」

商人「はい師匠」タタッ



戦士「ぐっ……」ポロポロ

武道家「うぅっ……」ポロポロ



次男「……」

次男「戦士、武道家……」グッ



次男「待ってくれ……」ボソッ

次男「待てっ、勇者ッ!!」


勇者「むっ……」

勇者「なんだろうか?」クルッ



次男「見えるか勇者?」

次男「遠巻きにだが、この光景をアバロンの民達が見ている!!」


次男「その前で王族の姫を、しかも二人も這いつくばらせた」

次男「更に!! お灸をとは言ったが、これはやり過ぎ!!」



次男「今は皇帝も長男も居ない。実質のトップは僕……アバロンで起こった事の判断は僕に任されている!!」

武道家「次男あにぃ、なに、を……」


次男「勇者よ? 僕の裁量で君には王族への侮辱罪と暴行罪を適応しよう」

勇者「……」


次男「助かりたければ……」

次男「助かりたければっ!!」



次男「勇者ぁぁぁぁっ!!」バッ

勇者「ッ!?」


商人「どげざ、した……」

次男「頼む勇者!! 妹達もっ、弟子として連れて行ってやってくれっ!!」


戦士「ア、ニキ……なに、やって」

次男「可愛い妹達が這いつくばっているのに、僕が立ったままでいる訳にはいかないだろ?」ニコリ



商人「師匠、弟子は私だけで良い。早く出発するべき」グイグイ

商人「それに、女はダメ」グイグイ


勇者「……」

勇者「二人が、私の弟子になる気があるのなら……」


勇者「その願い、喜んで聞き入れよう」

商人「しっ、しょぉっ……ダ、メ」グイーッ



次男「戦士、武道家、アバロンは僕に任せろ」

次男「行って来い、妹達!!」


戦士「くっ……」ヨロヨロ

武道家「んっ……」タッ タッ


勇者「……」

勇者「どうする?」



戦士「はぁっ、はぁっ……」タッ

武道家「ふぅっ、ふぅっ……」タッ


戦士「……」

武道家「……」


戦士「オレを」

武道家「ボクを」



戦士 武道家
「「弟子にしてください!!」」ペコリ


,




   大国アバロン 出発



    湖の町ヨヨ へ



,

これは湖でお風呂タイムきたわー(^ω^)
てかさっきの空と地面の話の元ネタなんだっけ?

>>196

その場で、ト○なら何て言うかな~っと思って適当に考えたので、そこの元ネタは無いでする





 湖の町ヨヨ ビュー宅の前




商人「師匠、裏庭にサラマンダーは居なかった」タタッ

勇者「扉をノックしても出んと言う事は、やはり留守か……」


戦士「はぁ? どうすんだよ勇……あー、っと、師匠?」

武道家「やっぱり、数日かけて歩くしか無いのかな?」ガクッ





「勇者か?」




勇者「んっ?」クルッ

勇者「ッ!?」


勇者「……」

勇者「ふっ」ニコリ



戦士「えっ?」

武道家「だれだれっ?」


勇者「随分と体調が回復したと見える」

勇者「久し振りだな、兄さん……」


兄「グハハハハハハッ!!」

兄「数年振りの再開か……弟よ」ニコリ



兄「この家の前に居ると言う事は、ビューに用が有るのか?」

勇者「ああ、だが……」


兄「ビューは女と教会巡りを見に行った、明日にならんと戻らんぞ?」

勇者「……」


勇者「明日か、では宿を……」

兄「この兄の家に泊まって行けい勇者」


勇者「しかし」

兄「いつまでも避けては居られぬぞ? サオトメ老師は、何もお前を怒っておらん……」



兄「ミチルの事は事故だ。誰にも防ぎようが無かった……」

勇者「……」


勇者「私の弟子を含めて四人だが、まだ部屋は空いているだろうか?」

兄「フッ」


兄「安心しろ。部屋数だけは無駄に有るからな、今でも道場の生徒を泊めておる」ニコリ

勇者「それでは、久し振りに、飲み交わすとしよう」ニコリ

一応前作のスレタイ教えろください

>>203
繋がっては無いけど…

勇者「見守る愛もある…」

勇者「言ったはずだ…あなたの全てを目指したと!!」

で、まだ二つとも深夜VIPにスレ残ってます。
見守る~が前編で、言ったはずだ~が後編





   風の塔 最上階




皇帝「ライトボール!!」ピカァッ

亀男「ククッ、幻想破壊(イマジンキラー)」スッ



亀男「魔法だろが、特殊能力だろうがっ……」

亀男「その幻想をぶち殺すッ!!」プシュゥッ


皇帝「バカなっ!? 俺の天魔法ライトボールが……掻き消された!!」ガタッ



皇帝「ぐっ……」チラッ


アチャ子「うぅっ」ドサァッ

ランサー「っ……」

重剣士「……」


亀男「安心しろっ、お前らは人質だ。すぐには殺さん」ニヤリ

皇帝(この敵に、斬激は有効では無い……)



皇帝(ならば、背中に隠し持っているミスリルメイスの打撃でっ!!)スッ

亀男「んっ?」


皇帝「その甲羅を叩き割ってやるぞカイナッツォ!!」ダッ

皇帝「秘技ッ、亀の甲羅割りぃぃっ!!」ブォン


亀男「……」

亀男「無駄だ」スッ


亀男「このカイナッツォに」

亀男「弱点は」


亀男「無いっ……」ニヤァ




亀男「サイバー、アップ!!」ゴゴゴゴゴッ

皇帝(まだ力が上昇すると言うのかっ!?)


亀男「亀甲ッ、シィィィィルド!!」バッ

皇帝「なにぃっ!!?」ガキィィン


皇帝「ぐおおおおおおおおお!!」ズサァァッ

亀男「クククッ……」


亀男「俺の甲羅は二段構え」

亀男「背後を守るオリハルコンの甲羅に、前面を守る魔力の壁、亀甲シールド」



亀男「最強の防御を持つこの俺に……」

亀男「勝てる人間など居ないのだぁっ!!」


皇帝「っ……」フラフラッ

皇帝(まさかここまで、ここまで力の差が有るとはっ!!?)


亀男「……」タッ タッ

亀男「殺しはしないが、暴れられるのも面倒だ。片腕は折らせて貰うぞ?」





 湖の町ヨヨ 闘技道場




 ガラッ

兄「みんな揃っておるか?」

少女生徒「あっ、先生!!」ペコリ


男生徒「今日は14名です!!」ペコリ

幼生徒「ふぇぇっ、先生こんにちは~っ」タタッ



勇者「なんとっ……」

兄「フフッ……俺はここで、護身術や武道を教えている」



勇者「回復したように見えたが……まさか?」

兄「うむ」コクリ


兄「食う為にこうやって講師の真似事をしてるに過ぎん、日常生活をおくれるようになったのは、つい最近なのだ」

兄「以前の力は、もう戻らぬ……病に効くと言うヨヨの水を浴び、飲み、ようやく数年でここまで回復した」


勇者「そうか……」

兄「それに、これで良かったのかも知れぬ」



兄「病に掛からねば……己の野望を突き進んでいただろう」

兄「天を握ると言う、たった一人しか叶わぬ男の野望をな」グッ


勇者「私も、そうだったなら、勇者として兄さんと闘わなくてはならなかった……」

兄「……」


兄「弟よ、お前はまだ国の犬をやっておるのか?」

兄「居るかどうかも分からない魔王を探させられ、その名目で各地の便利屋扱い……虚しくはならぬか?」



勇者「……」

勇者「実を言うと、そうだった……」


勇者「だが、魔王復活の可能性を見付けてしまった」

勇者「その答えを知るまで……私は、勇者で居ようと思う」


兄「……」

兄「いつまでも、自己犠牲の過ぎる奴よ」


兄「今晩は、その土産話でもして貰おうか?」ニコリ

勇者「ふっ……長くなるぞ?」ニコリ





 湖の町ヨヨ 回復の湖 入浴所




戦士「ふぅーっ、冷たくて、気持ちいいな……」チャプチャプ

武道家「でも、お腹にちょっと染みるね?」


戦士「まぁ、な」

商人「……」チャプン



戦士「アザにはなってねぇけどよ」サスサス

武道家「あははっ……ボク、ノドの近くまで込み上げてたのを、無理やり飲んだよ」サスサス


戦士「オレも……多分、誰も見てなかったら、余裕でリバースしてたぜ」

商人「……」チャプチャプ


商人「貴女達は」

商人「なぜ弟子になったの?」



武道家「えっ?」

戦士「……」


戦士「別に、好きでなったんじゃねぇよ」

戦士「勇者に着いて行きゃ、早くカイナッツォと戦えるって思っただけさ……」


武道家「ボクも、そうかな」

武道家「他の誰でもない、自分の手で仇を討ちたい!!」グッ



商人「……」チャポン

商人「そう。よかった……」


商人「それなら、カイナッツォを倒したら貴女達とはお別れ」

商人「お城のお姫様として国の為に頑張ってちょんまげ」ペコリ


戦士「あ」

武道家「あ」



戦士「そっ、そう言や、何か命を狙われてるっぽいんだよなオレ達……」

武道家「うんうん、城に居たら皆に迷惑を掛けちゃうよ!!」


商人「……」

商人「そう。お城の皆と何とかしてちょんまげ」チャププ


戦士「オレ達を狙ってる奴らを倒すまでは、城に戻りたくねぇなーって」

武道家「ししょーに、商人からもお願いして欲しいなーって」



商人「ちょんまげ」チャププ

戦士「はっ?」

武道家「へっ?」


商人「ちょんまげ!!」チャププッ

戦士「あっ」

武道家「はい」



商人「貴女達がどれだけ強いか分からないけれど、師匠は魔王を倒す旅をしている」

商人「さっき見たのが貴女達の力なら、凄く弱い。足手まとい」


戦士「ぐっ……言い返せねぇ」

武道家「あははっ、情けない所、見せちゃったしね」


商人「だから……」

商人「着いて来たいなら、貴女達の本当の実力を見せるべき」



戦士「実力を見せるったって……」チラッ

武道家「ししょーと、戦えばいいの?」


商人「……」

商人「ちがう」フルフル


商人「カイナッツォは今、風の塔を住みかとしている」

商人「そして、三人の部下もいる……」



戦士「三人の」

武道家「部下?」


商人「……」コクリ

商人「暗黒武術の使い手、邪メハラ……」


商人「時を止める男、フラッシュマン……」

商人「雷神拳を極めし者、朱雀……」


商人「恐らくカイナッツォの前に、私たちが戦う事になる相手」



商人「この中の誰でも良い。師匠の前で倒して見せて……」

商人「彼らは相当に強い。それを倒したらなら、師匠も不安なく共に旅を続けてくれるはず」


戦士「……」

武道家「……」


戦士「まぁ、やるしか……」チラッ

武道家「ないよねっ?」コクッ



戦士「……」

戦士「で、一つ質問いいか?」


商人「……」

商人「なに、ちょんまげ姉」


武道家「あっ、さっきから言ってるちょんまげって……語尾じゃなくて、ボクらの事なんだ?」

戦士「えーっと……戦う人だから武士で、王族だから殿で、ちょんまげ、って事?」


戦士「遠すぎてわかんねって……」

商人「……」ブクブク



商人「……」

商人「質問、早くして」


戦士「おっ、おうっ!!」

戦士「……」


戦士「アレ? なんだっけ……っと、思い出した!!」

戦士「聞きたいのはカイナッツォの事だよ!!」


戦士「なんでオメェは、カイナッツォの部下まで詳しく知ってんだ!?」

武道家「そう言えば、そうだよねっ」ポンッ



商人「……」

商人「知りたい?」


戦士「ああっ、勿論だろっ」コクリ

武道家「知りたい知りたい♪」コクコク


商人「……」

商人「本当に知りたい?」


戦士「もったい付けねーで教えろって!!」

武道家「早く早くぅっ!!」ワクワク



商人「……」

商人「どうしても?」


戦士「うんうん!!」コクコク

武道家「し、り、た、い、よー!!」コクコク


商人「……」

商人「……」




商人「だぁぁめ」ニヤリ

商人「まだ教えられない……」



戦士「うぜぇぇぇっ!!」バシャバシャ

武道家「むきぃぃぃっ!!」バシャバシャ


商人「……」

商人「先に上がるから」ザバァッ



商人「……」

商人「知りたいなら、貴女達の本当の力を、私にも見せて」タッ





 夜 湖の町ヨヨ 兄が暮らす家




兄「お前の弟子達はどうした?」

勇者「夕飯を食べた後、三人仲良く眠りに着いたようだ」


兄「フッ、まだガキか?」

勇者「どうやら、そのようだ……」ニコリ



兄「酒は、地酒だが構わんか?」コトッ

勇者「うむ、頂こう」


兄「肴はお前の話だ……酒はこの兄が注いでやろう」トクトクトクッ

勇者「いや、兄さんの分は私に次がせてくれ」スッ


勇者「久し振りに酌み交わす酒……」トクトクトクッ

兄「どちらが上も無し」ニコリ



勇者「そう言えば、サオトメ老師の姿が見えないが」

兄「勇者が来た事は伝えたが、最近は地下の研究所に籠りっきりだな。あのジジイだ、何か良からぬ事を……」



「ワシの研究をくだらぬと申すか、兄よ?」タッ



勇者「ッ!?」

兄「噂をすれば、来たか……」ニヤリ


勇者「……」

勇者「お久しゅうございます、老師!!」ペコリ



老師「……」

老師「久し振りじゃな、勇者」ニコリ


老師「それでは」スッ

老師「ワシにも、土産話を聞かせて貰おうかのぉ」コトッ


勇者「老師、私が注ぎましょう」トクトクトクッ

老師「おっ、すまんな。ちょびっとで良いぞ?」



勇者「……」

勇者「……」ゴクゴクッ


勇者「私が世界を転々としていた話など、恐らくツマらないだろう」

勇者「よって……」ゴソゴソ


勇者「つい最近だが」

勇者「このクリスタルについて、話そうと思う」ゴトッ



老師「ッ!?」

兄「これは……」


勇者「この世界を守護すると言う、クリスタルの一つ……」

勇者「風のクリスタル、その破片」


兄「破片……か?」

勇者「うむ。クリスタル自体は、何者かにより砕かれたのだ」



兄「触れても構わぬか?」

勇者「……」コクリ


兄「これが……」スッ

兄「クリスタル……」



 ピカァァァッ

兄「ぬぅっ!?」

老師「兄が触れた瞬間に、クリスタルが光輝いたぞ!!」ガタッ



兄「……」

兄「これはッ!?」ガタッ


勇者「どうした兄さん?」

兄「……」


兄「クリスタルは、ここに置く……」ゴトッ

兄「少し、夜風に当たって来る」タッ



老師「……」

老師「ふむっ」スッ


老師「……」

老師「ワシが触れても、どうにも光らぬようだな」


老師(クリスタルが兄を選んだのか……)

老師(それとも、兄がクリスタルの力を……)



老師(どちらにしても、これは重大なヒントになりそうじゃな)

老師(ワシの研究……『進化の光』の完成も近い)ニヤリ


老師「のう、勇者?」

勇者「なんでしょう?」


老師「このクリスタルを、ワシに預けてはくれぬか?」

老師「ずっととは言わん、今日だけ……今晩だけで良い。明日には必ず返す」



勇者「……」

老師「ワシは将来の為、医学の研究をしておる」


老師「もしかすると、このクリスタルの力は、大きな役割を果たすかも知れんのじゃ……」

老師「お前を責めるつもりは無いが、孫娘のミチルも、医学がもう少し進歩していれば助かったはず!!」


老師「頼む勇者、どうか一晩!!」ペコリ

勇者「顔をお上げください老師……」



勇者「私腹を肥やそうと言う訳では無いのでしょう?」

老師「当然じゃ、この歳、この老体で私腹を肥やしてどうする?」


勇者「……」

勇者「ならば一晩と言わず、研究が終わるまでお預けします。どうかお役立てください」ニコリ


老師「おおっ……勇者!! すまぬっ、すまぬぅっ!!」ペコッ

老師(……)ニヤリ





 湖の町ヨヨ 闘技道場




 シーン

兄「……」

兄「……」スッ


兄「ハァッ!!」シュッ

兄「ぬんっ!!」シュッ


兄「フッ!!」ピタァッ

兄「……」



兄「ふむ」ニギニギ

兄(全快、とは言わぬが……八割方は回復しておる)


兄(間違い無くこれは、クリスタルの力によるものだろう)

兄(クリスタルに治癒の力が有ったのか……)


兄「それとも」

兄(クリスタルの力を、俺が吸収したのか……)




兄「ククッ」

兄(どちらにせよ……)


兄「ガァッハッハッハッハァッ!!」

兄(これは、神からの啓示だ)



兄「この俺の伝説は、今日から始まる!!」グッ

兄「まさか……再び、最強の二文字を目指す事になろうとはな」ニヤリ





  深夜 太陽の国 街の路地裏




少女「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」タッタッタッ

少女「きゃっ!?」ドサァッ


少女「っ……」

少女「うぅっ……来ないでぇっ」


蜘蛛男「フシュルー!!」タッ

蜘蛛男「どうした、追い駆けっこはもうおしまいか?」ニヤリ



蜘蛛男「俺の消化糸で、お前もドロドロに溶かしてやるぞっ……」

蜘蛛男「お前の父親のようになぁっ!!」



少女「ひっ!!?」ズリズリ

少女「たっ、たすけてぇっ!! 誰かぁぁぁぁっ!!」



蜘蛛男「けけっ」

蜘蛛男「泣いたって、叫んだって、誰も来やしねぇよ!!」





「待てぇい!!!」




少女「ッ!!?」


蜘蛛男「んっ!?」キョロキョロ

蜘蛛男「こ、この声は……あそこの建物の上か!?」




「どんな夜にも、必ず終わりは来る」


「闇が解け、朝日が世界に満つる時……」


「人、それを黎明と言う!!」




蜘蛛男「誰だッ!?」



ブレイダー「俺は太陽の子……」

ブレイダー「ブレイダー、ブラックッ!! RX!!」


ブレイダー「この光射す世界に、貴様ら悪党……住まう場所無し!!」

ブレイダー「とうっ!!!」バッ



蜘蛛男「全身を覆う、黒曜石のフォルムスーツ……」

蜘蛛男「我らゴルドラン帝国に仇なす裏切り者、お前がブレイダーかっ!?」ザッ


ブレイダー「裏切る? 仲間になった覚えは無いな」スタッ

ブレイダー「さぁ、ここは俺に任せて、早く逃げるんだ少女!!」スッ


少女「はっ、はいっ!!」

少女「ありがとうブレイダー!!」タッ タッ



蜘蛛男「フッフッフッ……」

蜘蛛男「シャドウ様から、お前を見付けたら殺すように言われている」スッ


蜘蛛男「この怪人蜘蛛男が、お前の息の根を止めてやるぞブレイダー!!」ダッ

蜘蛛男「スパイダーネットを喰らえっ、フシュルゥゥゥッ!!」ブワァァッ


ブレイダー「かつては運命を共にした戦友……そして今は、人々を恐怖させる悪の化身」

ブレイダー「せめて華と散れ、シャドウッ!!!」



ブレイダー「ボルティックブレード!!」ジャキン

ブレイダー「フンッ!!」ズバァァッ


蜘蛛男「ッ!!?」

蜘蛛男「俺のスパイダーネットを切り裂きやがった!!」ビクッ


蜘蛛男「くそっ、一時退却だっ!!」ダッ

ブレイダー「に゙が゙ざん゙!!!」ダンッ

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