斎藤「マーくんの連勝記録を僕が止める……?」 (43)

二刀流大谷!!

マーくん開幕から負けなし連勝!!

パリーグが開幕から盛り上がる中

かつての甲子園優勝投手はひっそりと姿を消していた

パワプロ「斎藤、さっさとグラウンド整備しろ」

斎藤「はい…」

5つ年下のパワプロに命令をされ整備を始める斎藤

高卒ドラフト5位で入団したパワプロ

パワプロ「それ終わったら俺のトスバッティング手伝え」

斎藤「ッス…」

パワプロ「あおいちゃん、今シーズンから開幕一軍か」

矢部「そうでやんすよ!開幕ローテーションの一角でやんす!」

パワプロ「…クソ…なんで俺は2軍なんだよ」

矢部「し、仕方ないでやんす…今の成績じゃ…」

パワプロ「まぁ、俺らなんかよりひどい選手はいるけどな」

斎藤「…ヴィックッ」

パワプロ「あの国内最強の投手田中に投げ勝った斎藤が」

パワプロ「今じゃこんな姿だもんなぁ~」

矢部「ぱ、パワプロくん!言い過ぎでやんす!」

パワプロ「ホントのことだろ?コイツ、マジで何しにプロに入ったんだよ」

斎藤「…自分走ってくるッス…」

タッタッタ

パワプロ「ワハハハ、なんだあいつ」

矢部「パワプロくん…あそこまで言う必要は…」

パワプロ「仕方ないだろ?ファンもそう思ってるし」

矢部(2軍で1勝も出来ないパワプロくんがよく言えたでやんすね…)

パワプロ「じゃ、俺練習切り上げてパチンコ行ってくるよ」

矢部(このギャンブル癖も…)

4月後半…

スパンッ

審判「ストライクーー!バッターアウッ!」

あおい「…よし!」

大野「ナイスボール、あおいちゃん!」

実況「早川あおい!今日の勝利で4月はこれで4勝目!!」

実況「今、マウンドでナインたちと喜び合っています!」

大谷「早川さん、ナイスピッチングです」

あおい「大谷くんの5回の勝ち越しホームランのお陰だよ」

大谷「コンパクトに振ろうとしたらたまたま入りました」

実況「大谷は今日!4打数2安打3打点の活躍!!今年の日ハムは何かが違います!!」

2軍試合

西「パワプロ、今日お前が先発やれ」

パワプロ「え?俺ッスか」

西「斎藤は途中で怪我の様子を見ながらリリーフで登板してもらう」

斎藤「は、はい!」

西「矢部はセンターでスタートから出場だ」

矢部「ガッテンでやんす!」

パワプロ(昨日の酒抜けてないしやばいな)


パワプロ「おらよ!」

シュッ

120kmにも満たないパワプロの速球は

ヤクルトのユウイチに簡単に弾き返された

パコーン

パワプロ「…!!」

3回7失点でマウンドを斎藤に譲るパワプロ

パワプロ「クッソ~、今日は変化球のキレがいまいちだな」

ガッガッ

スパイクの裏側でマウンドの砂を蹴り上げる

斎藤「お疲れです、パワプロさん」

パワプロ「けっ、俺の後ろはお前かよ」

大崎「おいパワプロ、チームの雰囲気を乱すような事は言うな」

パワプロ「はいはい」

パワプロは斎藤にボールを手渡しベンチに歩きながら戻った

西「パワプロ、お前はしばらく走り込みだけしていろ」

パワプロ「走り込みッスか?」

続く斎藤は4、5回と三者凡退でヤクルト打線を抑える

しかし、6回のヤクルトの攻撃に斎藤が捕まった

カーンッ

パワプロ「おぉー、さすがヒヤネちゃん」

ヤクルト打線に攻め続けられ気づくと4失点をしていた斎藤

西(限界だな…)

結局、斎藤は不甲斐ないピッチングを晒したままマウンドを降りる事に

西「斎藤、球の調子時代は悪くなかった。次回の登板まで調整していてくれ。」

斎藤「…はい」

パワプロ「4失点ってやばいぞお前」

同じ甲子園で投げ合った田中は

既に開幕から負け知らずの8連勝

現時点での日本国内最強投手とも呼び声高い

斎藤(僕は何をしているんだ、こんなはずじゃなかった)

斎藤(大卒でプロに入って開幕1軍で勝利数重ねてチームのエースになるはずだった…)

斎藤(なのに今の僕は2軍ですらまともなピッチングが出来ない…)

もう1度、田中と投げ合いたいと強く思う斎藤だったが

次の日…西監督からとんでもない告げられる

西「斎藤、パワプロ、矢部」

斎藤「はい」

パワプロ「ふあ~あ、早朝から何スか」

西「お前達は明日から1軍に上がれ」

斎藤「…!?」

早速、3人は1軍に合流し練習に参加する

栗山「…」

矢部「く、栗山監督でやんす…!」

斎藤「僕は気にせず自分の練習にだけ集中するよ」

矢部「そうでやんすね…オイラは初めての1軍で緊張してるでやんす…」


栗山(センターは矢部を使ってみるか)

栗山(開幕から早川を酷使し過ぎた所為で最近、疲労が出ている)

栗山(先発で斎藤かパワプロを使ってみたいものだが…)

ビシュッ ビシュッ

栗山「ん…?」

ブルペンで勢いよく投げ込むパワプロの姿があった

パワプロ「ッシャーーーース!もう1球イキマーーース!!!」

鶴岡「お、おう」

ビシュッ ビシュッ

ブルペン場の真ん中に立ち猛アピールをするパワプロ

栗山「よし…今日はパワプロ先発で腹を括ろう…!」

そして、試合開始の時間となった

マウンド上にはパワプロが立っている

実況「さぁ、今日は昨日1軍登録されたばかりのパワプロが先発です」

実況「未知の20歳投手です!果たして今日はどんなピッチングを見せてくれるんでしょうか!」

パワプロ「今日の対戦相手は西武か…楽しみだぜ…」

浅村を中心とする打線に思わず舌なめずりをするパワプロ

パワプロは勢いよく振りかぶりミットに向かって投げ込んだ

ビシュッ

ズバンッ

審判「ストラァーーック」

電光掲示板には146kmと表示されていた

審判「注目の一球目!!いきなり146kmのストレートをアウトローに叩き込んだパワプロ!」

矢部「ひゃ…ひゃくよんじゅうろく…」

斎藤「パワプロさん…あんなに速い球を投げれたのか…」

パワプロ「さぁて、1番のヘルマンを軽く料理してやるか」

ビシュッ

ヘルマン「…!」

スパンッ

審判「ストライクッ!!」

実況「今度は内角をえぐりカットボールでストライクを奪います!!」

実況「さぁ第3球目を投げた…!」

パワプロ「これで三振だ……!!!!」

ビシュッ

ヘルマン「グッバイ」

パコーン

パワプロ「…!」

パワプロの渾身のストレートをセンター前に弾き返した

矢部「う、打たれたでやんす!」

あおい(パワプロくんコントロールの良さが仇になってる…)

序盤でノーヒットノーランを崩されたパワプロはやる気を失い

1回の攻撃で西武打線に捕まり5失点を喫した

ようやく3アウトを取りベンチに戻ったパワプロはグラブを叩き付けた

バンッ

パワプロ「クソがぁ…!!なんじゃゴラァ!!!」

あおい「パワプロくん…落ち着いて…」

パワプロ「やかましぃぁ!」

栗山「パワプロ」

パワプロ「はい」

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