勇者「超絶美人で有能な魔法使いがいるらしい」 (79)

戦士「それで?」

勇者「当然仲間に誘う!!」

戦士「だめだ」

勇者「え? ええ!? 気になんないの!?」

戦士「興味ないな」

勇者「なんでなんで、魔法使いだよ?? 俺たちのパーティーにはいないだろ?!
   有能で…その上美人だなんて最高じゃん!!」

戦士「お前の場合は後者が目的だろうが。だれがそんな話に乗るか。それに――」

バコ!

勇者「痛っ」

戦士「おい」チラ



賢者「ううう……」グス

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377930403

――――――

――――

――


戦士「まったく、最低だな」

勇者「すまん……」

戦士「俺じゃなく賢者に謝れ」バコ!


勇者「……あ、あのさ賢者」

賢者「…っ!」プイ

勇者「う…」



勇者「ゆる、許してください……、ゴメン本当に悪かったよ」

賢者「」ギロ

勇者「い、いつから聞いてた……?」

賢者「あんなに大きな声で話してたら全部駄々漏れだよ」プイ

勇者「うう、ごめんなさい」

賢者「そんなに女の子が好きなら勇者くん一人で誘いに行けば?
   魔王討伐は私と戦士くんで成し遂げるから」

勇者「そんなあ……」

戦士「そういうことだ。さすがに目に余ったぞ今のは」

勇者「すいません、反省してます……」

賢者「反省?許してほしいなら誠意をみせるんだよ」

――2時間後 酒場


賢者「ゆうしゃふんのばか~!」//

戦士「大馬鹿だ、大馬鹿」ゴクゴク

勇者「ね、ねえ賢者ちゃん、飲みすぎじゃないかな? 
   はは……、戦士くんも、ね?自重しよう?」

賢者「…っ!」ギロ

勇者「いえ、なんでもありません!」チラ

賢者「せんしくん!もっとのもう、もっと!!」グイ

戦士「了解」カーン

勇者(ああ、高級酒を何本も……、俺のナンパ費用が……)ガク


――――――――

――――



――翌日


賢者「勇者くんおはよ~♪」ニコ

勇者「おはようございます賢者様」ゲッソリ

戦士「無様だな」

賢者「戦士くん昨日はありがとうね」

戦士「ああ。勇者の財布も軽くなったし、これでしばらく大人しくなるだろ」

賢者「―いい作戦だったね」ボソ

戦士「―あいつには内緒な」ボソ

勇者「あああ……」ガクー




――街を出て次の都市へ移動中


勇者「あのさ」

戦士・賢者「?」

勇者「昨日の今日だから、あの、怒らないで欲しいんだけどさ」

戦士「魔法使いの件……か?」

勇者「あ、ああ……」

戦士「いい加減にしろ」

勇者「」ビク!

戦士「と言いたい所だが、実はな、反対じゃないんだよ2人とも」

勇者「へ?」

戦士「次の俺達の行く魔法都市にいるんだろ? その魔法使い」

勇者「なんで?」

賢者「だって有能なんでしょ?」

勇者「賢者ちゃん!?」

賢者「うん。だって、強い仲間は多い方がいいでしょ?魔王との戦いも近いし」

勇者「え、ええ!?」

戦士「すまんな。昨日のはわざとだ。お前に灸を据えるためにな」

勇者「なんですと!!?」

賢者「そういうこと」ニコー

勇者「そ、そうだったの……」ガク

賢者「ん。反省できてるようだね。よしよし」ナデナデ

戦士「さて、話は戻るが、その魔法使いは大魔道士の1人だろう?」

勇者「……ああ、そうだ」

賢者「凄いよね大魔道士なんて。若くしてなれるものじゃないよ。
   ううん、というか聞いたことがないな。それに女性だなんて」

戦士「しかし魔法都市だからな。軍の施設も多くある。
   国の命で赴任したのなら誘うのは無理だと思うぞ」

勇者「たとえ勇者でも、無理かな……」


――――――――――――

勇者系のSSが好きで初めて創作しました。

とりあえずプロローグになります。

結構(かなり?)長くなるかもしれません。

初めてなので分からないことだらけです。文編成とかおかしいところはご指摘いただけると助かります。

皆様の意見を参考に書き進めていけたらと思います。御一読いただけると幸いです。

賢者「戦士くーん、ごはんできたよー」

戦士「ああ、わかった」

勇者一行は次の都市へと向かう途中で野営を行っていた。
道中の魔物との戦いで使った剣や防具などを整えていた戦士が振り向いて反応する

勇者「今日も賢者の料理は美味しいなあ」

勇者はみんなが揃う前にすでに食事を食べ始めていた。

戦士「お前また抜け駆けして食べ始めやがったな」

勇者「今日は途中で魔物と戦ったし腹減ってんだよ」

賢者「はい、戦士くんの分」

戦士「ありがとう賢者」

賢者から渡されたシチューからは香ばしい香りが漂い、戦士の食欲をそそる。
食料の限られた旅路の中でよくもまあ美味しそうな料理を作れるものだ。


戦士「いただきます」

賢者「いただきまーす」

戦士と賢者は食前の祈りを行い、食事を始めた。

勇者「聖職者の賢者はともかく、戦士はいつも律儀だねえ」

戦士「女神様の加護を受けた奴の言うセリフとはとても思えんな」

勇者「表に出さなくても心の中で祈ってますとも」

賢者「いけない子だなあ、勇者くんは」

戦士「まったくだ」

3人は談笑しながら食事を進める。

>6さん、>7さん ありがとうございます。
初めてなのでとても励みになります。

すいません、ここから描写が入ります。物語の構成上描写なしだときついです…

苦手な方はここで引き返してくださいm(__)m

描きだめはしてありますが、ゆっくりと投稿していきますね。

戦士「明日は予定通り例の洞窟に行くんだろう?」

戦士が話を変え、勇者に確認する

勇者「ああ、途中で寄れるし、明日中には都市に着くだろ。
   何よりも困ってる人たちを見捨てられない」

賢者「うん、そうだね」

戦士「話に聞くとこの辺りには出ない魔物が住み着いているらしい。次の魔法都市の先では魔王軍も
   動いているらしいし何か関係があるかもしれないな」

賢者「周辺の町の人たちも何人か犠牲になってる、私達が行かなくちゃ」

勇者「国から魔法都市への召集が掛かってるけど、人命第一。1日2日の遅れなんて俺達には関係ない」

勇者「救える命は救うんだ」



――勇者、戦士、賢者の3人は国からの命を受け魔王討伐の旅を続けていた。

この世界には古くから魔王が存在していた。
魔王は邪悪な存在で、過去幾度となく人類を攻撃し大きな犠牲を生んできた。

しかし、この世界には神も存在した。

神は才ある人間に魔法を授け魔王の軍隊に対抗する力を与えた。
そして人類の一人に勇者という力を授け魔王に対抗する力を与えた。

神の力を授かった勇者は魔王を討伐する力を持つ。
強大な力を持ち、如何なる兵器、魔法を以ってしても倒れることのない魔王が唯一苦手とするもの


聖なる雷


勇者の手から発せられる青く光る雷は魔王の体を削ぎ、傷つけることのできる唯一の攻撃手段だった。
歴代の勇者が魔王を倒す度、魔物は大人しくなり世界は平和を取り戻していた。

ふたたび魔王が蘇るその時まで…

神は魔王の存在を赦さない。
神は魔王が蘇ると地上に降り立ち人類に希望を授けた

今から25年前、人類は勇者の誕生を以ってこの世界に再び魔王が復活したことを認知した――

――夜、それぞれが寝静まった頃
音で二人を起こさないよう気をつけながら、戦士は武具の手入れを行っていた。
作業をこなしながら、戦士は洞窟の魔物のことを考える。

1月ほど前に住み着いたと思われるその魔物は近隣の村々を襲い、人間を捕食していた。
しかもその頻度も多く、中には連日襲われた村もあったという。
野生の魔物なら人を1人襲えば数日は腹が満たされるだろう。

大型の魔物?ドラゴンか?しかし、ドラゴンなら村ごとやられているはず…
戦士は今まで出会った魔物と自身の知識を交錯させながら考えを巡らせる――


――くん


――戦士くん


誰かが自分を呼んでいた
意識を集中させていたせいか自身に近づく足音に気づいていなかったらしい

戦士の目の前に賢者が立っていた。

戦士「あ……」

賢者「番をしてるのに気づかないなんてどういうことかな?」

両手を腰に当て、わざとらしくふてくされた態度をとる賢者

戦士「ごめん、考え事してた」

賢者は戦士の答えを聞くと肩の力を抜き、両腕を下げた。

賢者「もう、戦士くんは真面目すぎるんだよ、もっと気を楽にして過ごせばいいのに」

戦士「このパーティーに勇者みたいな奴が2人になってもいいのか?」

今、この場でもっとも場を和ませるであろうセリフを選んで話す。

賢者「それは困るなあ」

予想どおり、賢者は少しだけ硬かった表情を緩ませ笑顔で答えた。

戦士「寝れないのか?」

賢者「うん。戦士くんならまだ起きてると思ってでてきちゃった」

戦士「少し話すか?」

賢者「うん」

戦士「じゃあ、寒いからこっちに来て座って」

賢者「うん」///

そう言うと戦士は賢者を隣に座らせ羽織りを賢者に被せた。
更に枝をくべ火を起こす。月明かりだけでは確認しづらかった賢者の表情がはっきりと浮きだった。

戦士「大丈夫?」

賢者「うん。あったかい」///

焚火に照らされているせいか、賢者の顔が赤く映る。
火にあたりながら2人は他愛もない会話を続けた。
といっても、戦士自身に面白い話は何もないので2人で談笑するときはいつも勇者のことばかりだ。

勇者がいつぞやの街でナンパした話。勇者と信じてもらえず、あげく張り手を食らって玉砕したとか

勇者が賢者に肌の露出の多い装備を選ばせようとした話。その後の戦士のきついお灸とか

それで最近の話が無くなると今度は幼い頃の勇者の話だ。

戦士の幼き頃、父親は王都で兵士長として務めていた。類まれなる剣術を持つ兵士長は勇者に剣を教える立場にあった。
国王の計らいで勇者と同い年の戦士は城の出入りを許可され、ともに勉学を積んだ。
まだ自我の目覚めぬ幼き戦士は勇者の重責を理解しないまま、純粋に接し、友達となりそして親友となった。

今では大人となり、多くの民衆から期待される勇者。
世の人々は知らない、幼い頃の勇者の話をするとき、賢者の表情はいつも以上に和らいでいた。

すいません仕事でした。今日はもうちょっと書けたらと思います。まだ導入部分なのでこのSSは長いです。
そして、悩みましたが、今回は戦士が主人公です。プロローグで非常にわかりずらかったかもしれませんが、
そこは自分の力足らずです。

これから戦士中心の物語が始まります。もう少ししたら投稿します。

戦士「……でさ、こんなことがあって」
 
賢者「ははは。勇者くんらしいや」

戦士「当然ばれて捕まるよね。そしたらあいつ、あろうことか俺に罪を擦り付けてきたんだよ」

賢者「ひどーい」

戦士「まあ、でも普段の行いのおかげか勇者の嘘は見破られ、俺の父にこっぴどく叱られたという顛末」

賢者「ははは。馬鹿だなあ勇者くんは。戦士くんがそんなことするはずないのにね」

戦士「そうかなあ? 昔は俺も馬鹿やってたかもしれないよ?」

賢者「ううん、それはないよ。だって戦士くんだもん」

ちょっと冗談のつもりだったのに、少し強めの口調ではっきりと否定されてしまった

戦士「ごめん、冗談」

謝る必要はないのかもしれないけど、つい口にでてしまう。

賢者「ほら、そういうところだよ。戦士くんのその性格は一長一短じゃならないんだから」

なんだそれ、まるで昔から一緒に過ごしてきたかのような口ぶりじゃないか

戦士「わかりやすいのかな、俺」

賢者「わかりやすすぎるくらいだよ」

思ったとおりの返事だった。でも、その通りだ。

戦士「父の影響もあるんだと思う。王都の兵士長だったから……」

賢者「うん」

賢者が俺の話に耳を傾けてくれた

戦士「勇者とは気づいた頃から一緒にいた。そのときは何も考えなくても、ただ遊んで、学んでればそれでよかった」

戦士「でも次第に気づいたんだよ。俺と勇者の立場の違い、父の職責に」

戦士「勇者と同じでいたらいけないって、子供ながらに思っちゃったのかな。
   いつしか父を真似て行動するようになってた」

戦士「それに国王のいるお城の中だ。立ち振る舞いに関して学ぶのは簡単だったよ」

戦士が今の自己を築いたきっかけは、いかにも子供らしい単純な理由だった。

賢者「面白いなあ、戦士くんが自分のこと話してくれるの」

戦士「そうかな」

賢者「うん。だって戦士くんのお話なかなか聞けないもん」

戦士「大したことないよ。自分の性格で人を傷つけ、後悔したことだってある」

戦士「自分の生き方が正しいかなんて正直わからないよ」


賢者「そうなんだ……」


戦士「でも、誓ったんだ。それでもいいから自分に正しく生きようって」

賢者「……」

戦士「それしかできないってわかってるから」

賢者「戦士くん……」

戦士「ちょっと話すぎちゃたかな。もうそろそろ寝ようか」

賢者「」コク

賢者は頷くも動かない。


戦士「……」




戦士「あのさ」



賢者「?」



戦士「俺は盾だよ。賢者」

賢者「……え?」


弱りかけた焚き火を見つめながら、戦士は続けた。



戦士「俺は強くないから、自分の力を分かってるからさ。いつも俺にできることを考えてた」


戦士「何を優先して動くべきか、いつも考えてたよ」


戦士「そしてわかったんだ。俺にできること、俺に求められている役割が」


戦士「俺にできること……」


戦士「俺にできることは2人を命を賭して守りぬくことだ」


賢者「……ちがう」


戦士「このパーティーに必要なのは自分じゃない。勇者と…キミだ」

戦士「2人がどちらかでも欠けたら魔王には勝てない。勇者だけじゃない、キミの力も必要なんだ」

戦士「俺より力の立つものはたくさんいる。俺の代わりなんていつでも見つけられるから……」



戦士「それなら俺は2人を守る盾であり続ける」







賢者「違うよ、それは」





戦士「え……?」



賢者「私たちのこと、もうちょっと信用してくれてもいいんじゃないのかな?」


戦士「そんなこと……」


賢者「誰もあなたのこと必要じゃないなんて思ってないから」


賢者「少なくても私はそう。勇者くんだって……、ううん、勇者くんがこんな話聞いたらきっと怒ってるよ」


戦士「……」


賢者「逆だよ」


賢者「私も勇者くんも、戦士くんが倒れそうになったらそれこそ全力で守るから」


戦士「あ……」


賢者「……そんなこと考えちゃだめだよ」


賢者「そんなこと……間違ってるよ」



戦士「……ごめん」

すいません。今日はここまでにします。まだ書き溜めはありますが、緊張しすぎて自分の精神がもう持ちそうにありません。


投稿のペースは大丈夫でしょうか?よくわからないので中途半端だったかもしれません。


次回投稿は数日空くかと思います。その間、皆様の評価を創作の反省にしたいと思います。

キリのいい所まで進めたかったのですが、思ったより推敲に時間がかかっているので、とりあえず話しを進めます。

すいません。いろいろと憶測があると思いますが、今後3人の関係がはっきりするように物語を進めます。



戦士「……」


内に秘めておくべきだったと後悔した。

頑なな決意を否定され、心の整理が付かない。

口先だけの反省では心が同調しない。

伏した顔が上がらなかった。


寒い


寒いな


焚き火が消えかかっていた。

火をくべようと手を動かすもそれすらできない。

動揺が体を支配しているのか

重い。まるで何かに掴まれてるかのようだ……


戦士「……え?」

感覚の相違に気づく。

戦士「……あっ!」

戦士の手が賢者の手を握っていた。

戦士「ごめん!」

戦士は慌てて手を引いた。

戦士「こんなことするつもりじゃ、……っ!?」


それは――


賢者「戦士くん」


それは賢者からの告白だった――


賢者「私の話、聞いてくれるかな?」

戦士「あ……」

避けていた事態が起きようとしていた


――――――――――――――――――

「好きな人いるんですか?」


戦士「え?」

賢者「だから、戦士さんには好きな人がいるかって聞いてるんですよ」


賢者と旅を始めてまもなく、聞かれたことがあった。


戦士「え…、いやそれは…」

賢者「いるんですか!?」グイ

勇者「いるわけないじゃん、こいつにそんなの」

勇者がさも当たり前のように良い放った。その口調が少し憎たらしい

戦士「失敬な」

賢者「え…まさかいるんですか……?」

戦士(まいったな……)

勇者「こいつからは面白い話なんかひとつも出てこないよ~。それならほら、俺でしょ俺?」グイ

賢者「勇者さんには聞いてません!そもそもあなたには王女がいるでしょう!?」プイ

勇者「王女はもちろん俺のだ。でも俺は勇者としてみんなに平等に愛を分かち与えたいんだ!!」エヘン

賢者「最低」イラ

勇者「ああ!蔑んだ賢者ちゃんのその冷酷な眼差しもすばらしい!
   キミみたいな可愛い子がどうしてこんなにも―――ぐへがららえddgっ!!」ガッシャーン!

賢者の強烈な一撃を食らい、勇者は吹っ飛んだ

賢者「ああ!もう!!邪魔をしないでください!!」

賢者「すいません、戦士さん」クルッ、ペコ

戦士「――いよ」

賢者「へ?」

戦士「いないよ」

賢者「え? そうなんですか!?」キラキラ

戦士「でも勘違いしないでくれ。俺は勇者と違うから。
   あいつみたいに迫ったりするようなことはしないから。だから安心してくれ」

賢者「え……? あ、そ、そうじゃなくてですね」アセアセ

戦士「色情に現を抜かすようなことはしないよ。俺達には大事な目的があるんだからな」

賢者「う……、わ、わかってますよお。私だって勇者さんごときに掬われるほど尻軽じゃありません」

戦士「そうか、まあ耐えられなくなったらいつでも相談してくれ。あいつの扱いには慣れてるからさ」

賢者「あ、ありがとうございます……。」

戦士「勇者がまだ気絶してるようだから起こしてくるよ」

賢者「はい……」ショボン


戦士(俺はだめだよ賢者)タッタッタ





賢者「かったいなあ……」

賢者「崩せる、かなあ……?」

――――――――――――――――

――――――――――――

――――――――



賢者は、機会を探っていた――


戦士の手が再び賢者に取られる

賢者「これから、わたしたちの戦いは厳しくなってくる」
   だからこうしていられる今、正直に話しておきたいんだ」

何のことか想像できた。彼女が本気だとわかった。

以前から避けていた事。事あるごとに退けてきたのに、今日は自分から傷を広げ、とうとうチャンスを与えてしまった

戦士「あ、あのさ、賢者」

止めに入る

賢者「私ね、戦士くんのことが」

戦士「明日にしよう!明――」

もう遅い

賢者「好き」



戦士「――!!」















ああ――












もう知ってたよ――












わかってたよそんなこと――





でも――――




戦士「ごめん」

賢者「!?」


だめなんだ――


賢者「え……? な、なんで、かなあ……?」グス

いつもと同じように返したのに、今日はその一言が、賢者を大きく揺さぶり、傷つけてしまう。

いよいよ彼女が本気なんだと、理解できた。

賢者「戦士くん……、ひどいよお……」ポロポロ

いつものやり方が、今は最低な返し方だった。

戦士「俺達には……、もっと大事なことが……あるじゃないか……!」

苦し紛れの正論を振りかざす

賢者「……それとこれは関係あるのかなあ?」ポロポロ

痛い

賢者の怒りにも似た反論が、搾り出すように震えた声が俺の胸を突き刺した

戦士「ある……よ」

賢者「また……、逃げるんだね」ポロポロ

戦士「……っ! 違う……」

賢者「何が違うっていうの!?口先だけの正論じゃ、何の説得力もないよ?!」

戦士「違うんだ! 違う……!」


一言喋るたびに、ボロボロと自尊心が地に落ちる。虚栄すら張れなくなってきた。
今日は全てが裏目に出る。


賢者「戦士くんの気持ちを、私への思いを……なんで答えてくれないのかな?」


逃げ場が……もう無くなっていた。


戦士「……っ!!」

賢者「もう、逃げないでよ……?」

戦士「っ! うあ……っああ」


答えるべきだった核心を衝かれ、とうとう戦士は頽れる


戦士「ああ……、うああああ」ポロポロ


涙が止め処なく溢れてくる


賢者「……せて」

賢者「……聞かせてくれるかな?」


賢者は優しく語り掛けてくる。今は俺が泣いていた。

短いですが、今回はここまでにします。次回も3日か4日後に投稿したいと思います。

生存報告です。予告の日にちをオーバーしてしまいました。すいません。忙しすぎて創作活動に集中できず続きが思うように進んでいないのが理由です。次回投稿なるべく早く行います。できれば今週末…

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