朝倉「貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見る」キョン「ほう」(45)

朝倉「...随分と余裕だこと」

キョン「お前に殺されるほどヤワじゃ無いんでね」

朝倉「自信家ね」

キョン「事実だ」

朝倉「じゃあ確かめてみよっか!」ヒュン


俺は今危機的状況に陥っていた。というのも、

ただのクラスメイトだと思っていたヤツが

いきなり貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見るとか言い出したのだ

正直どこで建ったのかも解らないフラグで死ぬほど、

俺は死に急いでいる訳じゃない

それに……

キョン「まず謝っておくよ朝倉。すまんな」

朝倉「なに言ってるの?」

朝倉がナイフを俺に突き刺そうとし、

当然、俺はかわそうとする。その結果

俺は倒れ込んでそれをかわすことに成功した

キョン「あ、白」

いや、別に意図してではなくあくまで偶然だ


たまたま、偶然

俺は無駄な滑り止め作用のある上履きのせいで、

後ずさった際に転んだだけだ

そしてその際に上を通りすぎた朝倉のスカートの中を見ただけだ

いや、見ただと語弊が生じるだろうから見えたに訂正しておこう

朝倉「ちょ、ちょっと!?」

起き上がると、朝倉は普通の女子の反応のようにスカートを抑えて睨んできた

キョン「だから言っただろ?」

朝倉「偶然でしょ? 次はもうないわ」

朝倉の不適な笑みを見た瞬間、

体が動かなくなってしまった

さらには足裏が冷たくなってきた


朝倉「フフッ初めからこうしておけば……見られることもなかった」

じみに根に持っているんだろうか、

朝倉はナイフを構え、俺へと狙いを定めた

朝倉「じゃぁ……死んでぶっ」

朝倉が踏み込み、最初のように突撃しようとした瞬間、

俺の視界から朝倉が消えた

キョン「朝倉……?」

金縛りが解け足元を見ると、

鼻を抑える朝倉が視界に戻ってきた

キョン「すまん……」

朝倉「上履きくらいちゃんと履いててよ!」


後退り、転んだときに脱げたのだろう上履きを朝倉は踏み、

そのせいで顔から床に突っ込んでしまったのだ

キョン「だから止めた方がいい。俺に関わるともれなく不幸になるぞ」

朝倉「でも、この至近距離なら!」

キョン「うおっ」

突き出した朝倉のナイフは俺の頬を掠め、

一緒に近付いてきた朝倉の顔は、

俺が僅かに顔を動かした正にその場所へと近づき、

そしてーー柔らかい感触が口から全身に伝わってきた


朝倉「ぁ……ぇ?」

暫くはそのままだった

俺はすぐに状況を理解出来ていたが、

ほら、男子特有のアレがあるだろ?

そういうわけで俺は動かず、

朝倉は殺意の溢れ出ていた瞳を、

パチパチとカメラのシャッターのように繰り返し

やがて顔面蒼白ではなく真っ赤に染め上げていく

朝倉「な、なななんで!」

勢いよく朝倉は離れ、そのままに怒鳴った


なんでと言われても、

俺はただナイフを避けただけであって、

朝倉とキスをする予定などこれっぽっちもなかった

だけど俺のある意味で不幸体質な体は避ける代償に朝倉とキスをさせ、

見事に死亡フラグを立ててくれたわけだ

あー嬉しい……わけないだろ!

なんで死亡フラグ建てなくちゃいけないんだよ!

そんな悶絶をしている間も、

朝倉は自分の唇に指をあてながら頬を紅くし、ぼーっとしていた


そして朝倉が殺す変わりにと出してきた提案は驚くべきものだった

朝倉「私と付き合わない?」

キョン「なんだ? 文化祭はまだ先だぞ?」

古典的なボケに対し、

朝倉は苦笑いを浮かべ続けた

朝倉「そうじゃなくて、交際よ。男女交際」

キョン「断ったら?」

朝倉「死んでもらうわよ?」

なんか物騒なことをさも当然のように言ってるんですが!?


キョン「オーケイ落ち着け朝倉」

朝倉「私は至って真面目だけど?」

いやいや、殺害対象と突然交際しようなんておかしいだろうに

どういう頭してるんだ一体

キョン「とりあえず、なぜそういう判断になったんだ?」

朝倉「そ、それは……」

朝倉は急に顔を紅くしながら、

閉鎖空間? とか言う場所にも関わらず辺りを伺い、

小声で呟いた

朝倉「わ、私達キスをしちゃったじゃない? それってほら、その……」

キョン「なんだ?」

朝倉「け、結婚するってことでしょ!?」

その時、世界が崩れる音がした


キョン「……え?」

朝倉は今なんて言った? 結婚?

訂正するべきなのだろうが、

訂正すると即殺されてしまう気がするし、

このまま勘違いさせておけばただの彼女になるだろう

キョン「二者択一とかそういうレベルじゃないな」

朝倉みたいな女の子と付き合える上に、死の危険を回避できる

……選ばないわけがない

キョン「わかった、付き合おう。朝倉」

朝倉「……本当に良いの?」

キョン「拒否したら殺すんだろ?」

朝倉は指をひとつ立てると、不適な笑みを浮かべた

朝倉「貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見るか、」

2つ目を立て、続けた

朝倉「貴方と付き合って涼宮ハルヒの出方を見るかのどちらかだから」

朝倉「死ねばいいのよ」

長門「助けて、ドラえもん」

乗っ取っていいですか?

自信ないけど行っちまうぞ?

いいのか>>1



次の日、朝倉と俺の恋人ごっこは始まった

勿論、こんなことを言えばナイフが飛んでくるので口には出さない

助かった命を投げ捨てるほど、俺も馬鹿ではない

朝起きたら朝倉が家の前にいたのは予想外であったが

朝倉「・・・ちょっと聞いてる?」

キョン「すまん、考え事をしてた」

朝倉「へぇ・・・恋人より考え事の方が大事なのね」

キョン「非は認めるからそのナイフをしまってくれ」

朝倉「あなた、付き合ってる自覚ないでしょ」

キョン「分からん」

正直、これが日常化したら変な方向に目覚めてしまいそうだ

よく考えれば、女の子と一緒に登校するというのは全男子の夢であり、

他人からは、いわゆる勝ち組として見られるわけである

特に谷口みたいな奴に知れ渡ると・・・

谷口「おいキョン!なんで朝倉と仲良く登校してんだ!?」

・・・と、なるわけだ

キョン「偶然会っただけだ、いらん勘違いを・・・」

あれー?なんか殺気が・・・

朝倉「付 き 合 っ て る の よ」

気持ちいいくらいど真ん中に入ってしまった

キョン「い、いや、谷口、その…あのだな…」

谷口「wawa…ご、ごゆっくりぃ!!!」ダッ

キョン「お、おい谷口!」

朝倉「…」

その時俺は見てしまった…

朝倉が谷口をゴミを見るような目つきで見ていたことを…

何故威嚇する必要があるのか…俺には分からない

朝倉「なに固まってるの?早く行きましょ?」

…どうなる、俺の青春…

ハルヒ「」

キョン「...」

朝倉「...」スリスリ

状況がうまく飲み込めない人のために説明しよう

校門で一番面倒な奴と会ってしまった

ハルヒさーん?なんで今日はちょっと遅いんですかー?

...と、ここまでならなんとかなったかもしれない

確信犯だ...

ハルヒに見せつけてきっとからかわせるのだろう

SOS団は恋愛禁止だ!なんて勘違いされかねない

いや、確実にされる

...いい加減スリスリするのやめてくれないか?正直危ない

主に俺の命が

ハルヒ「...」ダッ

キョン「お、おい、ハルヒ!」

朝倉「...」スリスリ

...ん?珍しく食いついてこなかった

...これはラッキーか?ラッキーなのか?

喜んでいいのか?面倒事にならないのはありがたい

朝倉「ふふっ...」

キョン「っていうかハルヒの出方を見て何になるんだ?」

朝倉「...ハア...鈍すぎて頭が痛いわ...」

キョン「鈍い?」

朝倉「ええ、だからいやでも分からせてあげる」

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