エレン「オレとアルミンの昔話」(99)

844年、エレンがミカサと出会う前の話です
それでは書き溜めてある分だけ投下します

【844年春・シガンシナ区】

カルラ「エレン」

エレン「…(母さんが唐突にオレの名前を呼ぶのはほぼ何か手伝いを頼む時だ、聞こえないふりしとこ)」ゴロゴロ

カルラ「エレン!」

エレン「そんな大声で言われなくてもわかるよ、なんだよ母さん!」ガバッ

カルラ「その割には最初呼んだ時反応がなかったけど?」ニコニコ

エレン「う… それで、何の用だよ」

今更ですが、ゆるほも気味かも

カルラ「パンの小麦粉が切れちゃって、おつかいを頼めない?」

エレン「今は膝が痛いから嫌だよ!」

カルラ「あら、本当に?」

エレン「そうだよ!うわあぁああぁぁぁあ痛い痛い痛い痛い痛い!痛くて死んじまう!」バタバタ

カルラ(耳が真っ赤。エレンの嘘はわかりやすい)

カルラ「わかったから早く行ってきなさい。ほら、お金。お釣りは好きに使っていいから」

エレン「本当!?ありがとう母さん!」パァァ

カルラ「気をつけていってくるのよ」ナデナデ

エレン「おう!」ダッ

――

【街道】

ハンネス「よう、エレンじゃねえか」

エレン「ハンネスさん、またサボりかよ!」

ハンネス「ったく、サボりとは心外だな。こうやって警備してるだろ?」

エレン「嘘つけ!今日も酒くせえぞ!」

ハンネス「あー…まあ仕事に息抜きの一つや二つは必要だろ?エレンも大人になれば分かるさ」

エレン「で、でも仕事サボって酒飲んでる大人になんかなりたかねえよ!」

ハンネス「相変わらず威勢のいいこった。でもよエレン、あまり頑張りすぎても心がクタクタになっちまうぜ?」

ハンネス「だからよ、俺はそうならないようにこうやって息抜きをしているんだ」

エレン「わ、わかったよ(よくわからないけど)」

ハンネス「ハハハ、わかってくれりゃいいんだ!それじゃエレン、お前もお前の仕事をやってこい」

ハンネス「またカルラさんにおつかいを頼まれたんだろ?」

エレン「なんで分かるんだよ」

ハンネス「お前のことはなんでもお見通しってやつだ!ほら、俺みたいになりたくないって言ったんだからサボりはダメだぞ?」ワシャワシャ

エレン「分かったから頭ワシャワシャするな!行ってくる!」バッ

ハンネス「おう、転ぶなよー」

エレン「当たり前だろ!」ダッ

――

店員「やぁエレン、今日もおつかいかい?」

エレン「うん、いつものやつくれよ」

店員「はい。これはおまけだよ、作りすぎちゃったから食べて」

エレン「おお、うまそうな焼き菓子だ!でも、砂糖なんて貴重なのにいいのかよ?」

店員「疲れには甘いものって言うしエレンは食べ盛りだからね」

エレン「じゃあ貰う!ありがとう!」パァァ

店員「喜んで貰えたようで何よりだよ。それじゃ気をつけて帰るんだよ」ナデナデ

エレン「ああ、ありがとうな!」

――

【街道】

エレン「さて、お釣りで何買って帰ろうかな~」

エレン「…ん?」



いじめっ子A「おい、何か言えよこの異端者!」ドカッ

???「…」

いじめっ子A「―の世界だって?偉い王様がダメだって言ってるのにそんなこと言っていいと思ってるのか?」ゲシッ

???「うわ!」ドサ

いじめっ子A「へえ、お前良い物持ってるじゃん。異端者に食われるパンが可哀想だから俺が食ってやるよ」ガツガツムシャムシャ

???「や、やめ…」

エレン「やめろ!」ドカッ

いじめっ子A「なっ!?」

エレン「いじめなんかして何が楽しいんだ!この野郎!」バキッ

いじめっ子A「いてえ!…チッ、今日のところは見逃してやるよ。一人じゃ何も出来ない異端者め」ダッ

エレン「ふぅ」

???「…助けてくれたんですか?」

エレン「当たり前だろ!…でも遅くなって悪かった、オレがもう少し早く動いていれば…」

???「いえ…ありがとうございます」

エレン「礼なんていらねえよ、当たり前のことをしたまでだ」

エレン「でもお前も、あそこまでやられておいてなんでやり返さねえんだよ?」

???「……喧嘩じゃ勝てないだろうし、口で言い返したらもっと酷いことされそうだから」シュン

エレン「でもやりたい放題されて悔しくないのかよ?」

???「…」ショボーン

エレン「ってかお前怪我してるじゃねえか、あいつらにやられたのか?」

???「あ…」ズキズキ

エレン「家で治療してやるよ、父さんは医者だしオレも応急処置ぐらいならわかるから」

???「…だいじょぶ、です」

エレン「ほっといて化膿したら大変だろ!父さんも治療は早さが命って言ってたんだ」

エレン「ほら行くぞ、おぶってやるから」

???「いや、あの…」オドオド

エレン「ほら早く!」

???「は、はい…」

エレン「そういえば自己紹介がまだだったな。オレはエレン・イェーガーだ、よろしくな!」

???「…アルミン・アルレルト、です」

エレン「おう、よろしくなアルミン!」

アルミン「…よろしく」

エレン「しかし酷い奴だな、女相手に一方的に暴力を振るうなんて、なぁ」チラッ

アルミン「…!」フイ

エレン「おいどうした?オレ何か怒らせるようなことでも言ったか?」アセアセ

アルミン「…いえ、別に」ジトー

エレン「そ、そうか。ならいいんだ…」アセアセ

アルミン(…一番言われると嫌なことなんだけど)

エレン「ほら、もうすぐオレの家につくぞ!」テクテク

――
【イェーガー家】

エレン「ただいまー 買ってきたものここに置いておくからな」ガラッ

アルミン「…(あ、会ってすぐの人の家に上がるだなんて)」

カルラ「おかえりエレン、ってその子はどうしたの?」

アルミン「あ…あn エレン「オレの友達だ!」

カルラ「あら、そうなの。どうぞ上がっていって」

カルラ「…その子怪我してるじゃない、ズボンに血が滲んで…先に治療してあげるからこっちに」

アルミン「あ、あの、大丈b…」

エレン「大丈夫じゃねえよ!…母さん、オレにやらせてくれよ。父さんのを見てきたからこれぐらいできるって」

カルラ「じゃあ、エレンに任せる。…そのかわり、分からないことがあったらすぐ母さんに言うんだよ」

エレン「そんなに心配しなくても大丈夫だって!それじゃ行ってくる」トコトコ

カルラ(エレンにも初めての友達が…良かった)

【エレンの部屋】

エレン「よし、ここで待っててくれ。今道具を取ってくるから」ポフ

エレン「あと痛いだろうし寝転がってろ、な?」

アルミン「はい…」ゴロン

アルミン(エレンさんのベッド、柔らかいな…やっぱり医者の家だから良い物使っているのかな?)

アルミン(そしてエレンさんは僕のことを友達と言ってくれた)

アルミン(友達…)

アルミン(それでも、僕の性別を女だと言ったことは嫌だったけど)ムスッ

(数分後)

エレン「待たせたな、何がどこにあるのかよく分からなくて…まあ包帯と消毒液さえあれば十分だろ」

エレン「本当は父さんが看るのがいいんだろうけど、父さん今日は診療に行っててまだ帰って来てないからな」

エレン「ほら、見せてみろ」スルスル

アルミン「じ、自分で捲れます!」スルスル

エレン「どれどれ…ここか、ちょっと染みるが我慢してくれよ」ヌリヌリ

アルミン「…っ」

エレン「あとは包帯を巻いておしまいだ、明後日辺りには解いてもいいぞ」スルスル

アルミン「ありがとう、ございます…」

エレン「しかし大分やられてたな、痛かっただろ?」

アルミン「いつものことなので」

エレン「酷い奴だなおい、あいつ以外にも誰かお前をいじめる奴はいるのか?」

アルミン「…二人」

エレン「合わせて三人もいるのかよ、今度オレにそいつらのこと教えろよ。ぶっ飛ばしてやる!」

アルミン「さ、流石に…やられちゃいますよ…」オドオド

エレン「オレだって毎日鍛えてるんだから大丈夫だ!いじめをするような弱いやつらなんて蹴散らしてやるよ!」

エレン「それにアルミンが加わってくれれば無敵だぜ!」

アルミン「ぼ、僕は弱いから足手まといに…」

エレン「ごちゃごちゃうるせー!お前、少しは自信持てよ!さっきからオドオドしてばっかりだぞ!」

アルミン「ごめんなさい…」

エレン「まあ少しずつ慣れていけばいいさ…ってか、お前今『僕』って言った?」

アルミン「はい」

エレン「…さっき女相手に、て言ったけどもしかして男なの?」

アルミン「…ばか」

エレン「さ、流石にオレが悪かった!ごめんな…」

アルミン「…分かってくれればいいんです」

エレン「そ、そうか…ならいいんだけど ところでアルミン甘いモノとか好きか?」

アルミン「ん、割と好きですよ」

エレン「じゃあさっき焼き菓子貰ったから一緒に食わないか?いや食おう!うん食おう!今持ってくるから待ってろ!」

アルミン「あの、待って」

アルミン(行っちゃった…エレンさんはやると決めたらすぐ動くタイプなのかな)

エレン「ほら持ってきたぞ!美味しそうだろ?」

アルミン「…ええ」

アルミン(いい匂い。前に本で読んだ、クッキーという料理だろうか。小麦粉に油と砂糖を混ぜて焼き上げたもの)

エレン「食わねえのか?さっきあいつにパン食われてたし腹減ってるだろ」

アルミン「僕あまり食べないし、何よりエレンさんのだから食べちゃわr…むがっ!」

エレン「へへっ隙あり!…うまいだろ?」

アルミン「…美味しい」ムシャムシャ

エレン「よしオレも食うか…うめえ!」ムシャムシャ

エレン「アルミンもよ、友達なんだから遠慮無く食えよ」

アルミン「…エレンさんと、友達」

エレン「ああ、オレとお前はもう友達だ!そして友達なんだからもうそんな堅苦しい言葉遣いはやめろ!あとオレのことはエレンって呼べ!」

アルミン「分かりまし…分かった」

エレン「まあその様子だとすぐに変えるのは難しいだろうし、少しずつ慣れていけばいいさ」

アルミン「うん」

エレン「よし、その意気だアルミン!」

アルミン「エレンさん…エレンって、面白い人でs…だね」

エレン「…それは褒めているのか?」

アルミン「うん、きっと褒め言葉」

エレン「むー…まあいいや、これからよろしくな、アルミン!」

アルミン「うん、よろしく」

アルミン「…そろそろ、家族が心配しているから帰らなきゃ」

エレン「ん、もうこんな時間か やっぱり楽しい時間はすぎるのが早いなー」

アルミン「えへへ、僕も楽しかった、です」

エレン「こら、また堅い口調になってるぞ! …じゃあ一緒に行くか、帰りもおぶってやるから後ろで案内頼むぞ」

アルミン「え、もうちゃんと歩けるから…それに一緒に行くって、一人で大丈夫」

エレン「友達になったんだからお前の家族にも顔見せしなきゃだめだろ!それにまたいつお前をいじめた奴が来るかもわからないし」

アルミン「顔見せだなんてそんな結婚したわけでもあるまいし…」

エレン「まあいいだろ、ほら行くぞ!」ヒョイ

アルミン「お、降ろしてよエレンさん」

エレン「さん付けは…」

アルミン「お、降ろしてよエレン!」

エレン「わかったよ。その代わりちゃんと案内頼むぞ」

アルミン「う、うん」ヨロッ

エレン「あぶねえ!…やっぱりちゃんと歩けないじゃねえか、ほら肩貸してやるから」

アルミン「…ありがとう、エレン」

――

エレン「母さん!」

カルラ「あら、エレン お友達と楽しんできた?」

エレン「ああ、こいつアルミンっていうんだけど話してると凄く楽しいんだ!」

アルミン「えへへ…今日はお家に上がらせていただきありがとうございました」

カルラ「アルミン君、エレンの友達になってくれてありがとう。これからもエレンをよろしくね」

カルラ「エレンにもたれかかってるけど、怪我は大丈夫なの?」

アルミン「エレンのおかげで、少し良くなった気がします」

カルラ「そう…なら良かった でもあまり無理はしないでね」

アルミン「はい」

エレン「それじゃアルミン、行くぞ 母さん、オレアルミンを家まで送ってくるよ」

カルラ「気をつけて行くんだよ」

エレン「分かってるって!メシまでには戻る!」ガラッ

アルミン「お邪魔、しました」ペコリ

―――

カルラ(エレンのあんなに嬉しそうな表情、初めて見た)

カルラ(エレンにも初めての友達が…グリシャが帰ったら報告しないとね)

書き溜め分終わり
また書きためたら投下します

感想ありがとうございます。
それでは書きためた分だけ投下開始します。

――

エレン「なぁなぁ」

アルミン「…何?」

エレン「さっきあのいじめっ子に食われたパンってさ」

アルミン「…お爺ちゃんのおつかいで買った」

エレン「おいおい、尚更許せない話じゃねえかよ!」

アルミン「はぁ…お爺ちゃんになんて言おう…」

アルミン「いじめっ子に食べられたなんて…言えないよ」

エレン「…まぁ言えないよな、意地ってもんがあるだろうし」

アルミン「…」(意地、か)

エレン 「なぁ、ちょっと寄り道していっていいか?」

アルミン「…別に、いいけど」

エレン「それじゃ早速出発だ!」グイグイ

アルミン「ひ、引っ張らないで」

エレン「あ、わりいわりい。それじゃゆっくり行くか」

アルミン「うん…」



エレン「よし、着いたぞ。ここでちょっと待っていてくれ」

アルミン「…わかった」

――

エレン「おーい」

店員「あ、エレン。またおつかい?」

エレン「今回は違うぜ!このお金で買えるだけパンくれよ」

店員「丁度焼けたところなんだ、ちょっと待っててね」

店員「はい、どうぞ 少しサービスしておいたよ」

エレン「うひゃあ、すげえいい匂いだ!ありがとう!」

店員「歩き食いはだめだからね、ちゃんとお家で食べるんだよ」

エレン「分かってるって、それじゃまたな!」

エレン(今日のおつかいのお釣り、使わないでおいてよかったぜ)

――

エレン「待たせたな」

アルミン「…そんなこと、ないよ」

エレン「ほら、おみやげだ」

アルミン「…紙袋?」

エレン「中、開けて見てみろ」

アルミン「…美味しそうな、パンだね」

エレン「へへへ…さっき女と間違えたことと引っ張ったことのお詫びと言っちゃなんだけどやるよ」

アルミン「う…」ジワ

エレン「ん、どうした?」

アルミン(こ、堪えるんだ僕…!)

アルミン「」ブンブン

アルミン「…ぇれ…ん…ありが、と」

エレン「いいってこった」ワシャワシャ

エレン(やたらオレの髪をワシャワシャとするハンネスさんの気持ちがちょっとわかった気がする)

アルミン「…やめてよ」ボサボサ

エレン「ははっ、わりいわりい」

――

エレン「なあ、アルミン」

アルミン「んん」

エレン「上見てみろよ。空が綺麗だぞ。青い空に、夕焼けの赤みがかかってさ」

アルミン「…確かに綺麗だね。…この空、トワイライト、っていうらしいよ」

アルミン(綺麗だけど…偽物だ。この壁の外にはもっともっと広大で、綺麗な空が広がっているんだ)

エレン「へえー、アルミンって物知りなんだな!」

アルミン「…いつも家で本ばかり読んでいるから」

エレン「今度オレにもアルミンの持ってる本を見せてくれよ!」

アルミン「…あまり大したものはないけど…機会があったら、ね」

エレン「おう、今度時間があるときに頼むぜ!」ニカッ

アルミン「…うん」

アルミン(あの本をエレンに見せたら、エレンまで異端者扱いされてしまうかもしれない)

アルミン(もしそうなったら、僕は―)

――

アルミン「…そこを右に曲がった先が、僕の家」

エレン「へえ、ここがアルミンの家か。意外と近いんだな、よし覚えたぞ!」

アルミン「…遊びに来てくれるの?」

エレン「当たり前だろ、友達なんだしよ」

アルミン「…そうだね」

エレン「そうだ、一つ言っておくけどパンのことは秘密にしておけよ!なんか恥ずかしいからな」///

アルミン「う、うん…」

エレン「そんじゃ上がるぞ!」ガラッ

アルミン「ただいm… エレン「お邪魔しまーす!」

アルミン「わ、早いよエレン…」

アルミン(は、恥ずかしい…なんでか分からないけど…お爺ちゃん、びっくりするだろうな)

ジジミン「この時間に来客とは珍しい、誰かのう」テクテク

ジジミン「おや、アルミンに…隣にいるのは友達かの?いらっしゃい」

エレン「おう、オレはエレン・イェーガー。さっき友達になったんだ!」

アルミン「…エレンは、転んだ僕のことを助けてくれたんだよ あとこれ、頼まれていたもの」

ジジミン「そんなことが…ありがとう、エレンくん アルミンもありがとうよ」

エレン「へへっ、困ってる奴を助けるのは当たり前だろ!」

ジジミン(また虐められて来たんかのう…わしも腰を痛めていなければ自分で買い出しにいくのじゃが)

ジジミン「まあエレンくん、ちょっと上がっていきなさい」

エレン「そうしたいけど、もう時間も遅いしまた今度にでも―」

アルミン「…もう少しだけ、エレンといたい」ジッ

エレン「」

エレン「…ちょ、ちょっとだけだからな!メシ前には帰るって約束したんだから、破ったら母さんにおしりぺんぺんされちまう!」

ジジミン「ほっほっほ、時間までゆっくりしていきなされ」

アルミン「ありがとうエレン、お爺ちゃん。…エレン、僕の部屋に行こう」

エレン「おう」

エレン(アルミンの部屋…全然想像つかねえな)

――

アルミン「…ここが、僕の部屋」

エレン「すげえ、一面中本って感じじゃねえか!本の壁だな!」

アルミン「…自分で集めた本からお爺ちゃんやお母さん、お父さんが昔読んでた本まであるからね」

エレン「そういえば、お前の両親ってどんなんだ?今日はいないみたいだけど」

アルミン「…研究者をやっていて、家にいないことのほうが多いんだ」

エレン「ふぅん…それで、どんな研究をしているんだ?」

アルミン「誰にも言わない…?」

エレン「オレはこう見えて口が堅いからな、言わねえよ。オレとお前の二人だけの秘密だ!もし言ったら逆立ちしてシガンシナ区を一周してもいいぞ!」キリッ

アルミン「あはは…なら安心だね」

アルミン「…僕の両親は、外の世界に行くために、飛行技術の研究をしているんだ」

エレン「そとのせかい?ひこうぎじゅつ?」

アルミン「うん、外の世界っていうのはこの壁の外のこと。お母さんもお父さんも、帰って来る度に外の世界に行くんだって嬉しそうに話してくれるんだ」

アルミン「この壁の外にはね、炎の水や氷の大地、砂の雪原があるんだって」

エレン「…全然想像つかねえ、そんなものこの世に存在するのかよ?」

アルミン「する!今度時間があるときに、エレンにも外の世界についての本を見せるよ!」

エレン「お、おう!」

エレン(さっきまでまだ少しオドオドしていたのに、こんなにいきいきとしながら外の世界について喋っている)

エレン(オレも、アルミンをそうさせる外の世界に行ってみたい!)


アルミン「それで、飛行技術っていうのはね」

アルミン「気球って言って大きな布を球状にして繋ぎあわせて、それを熱で膨らませて…」カクカクシカジカ

エレン「ふむふむ(何を言ってるかさっぱり分からねえや、アルミンって頭いいんだろうな)」

アルミン「それでこの間、気球…って言っても手で抱えられるぐらい小さなサイズなんだけど」

アルミン「お母さんとお父さんが僕の部屋で浮かせてくれたんだ!」

アルミン「この技術に改良を重ねれば、必ず外の世界に行ける!って二人とも凄く嬉しそうに話してくれた」

アルミン「僕は、きっとこの研究を成功させてくれるって信じてる。そしていつか、一緒に外の世界にいくんだ」

エレン「お前の親なんだから、きっと成功するさ!」

アルミン「うん、ありがとうエレン」

アルミン「…って、ちょっと長く話しすぎちゃったかも。ごめん」

エレン「いや全然問題ねえよ、話してて楽しかったしあっという間だった」

アルミン「他の人に話しても鼻で笑われるか異端者扱いされるかだったから…ありがとう」

エレン「そんな奴らオレがぶっ飛ばしてやるよ。…また、アルミンの知ってるいろんな話をしてくれよ」

アルミン「うん!」

――

エレン「それじゃ、そろそろメシの時間だし帰る」

ジジミン「そろそろ暗くなってくるから気をつけて帰るんじゃぞ」

エレン「おう、またなアルミン!爺ちゃん!」

アルミン「またね、エレン」

エレン「また今度、必ず遊びに来るからなー!」ガラッ

アルミン「や、約束だよ!」

アルミン(行っちゃった…)

ジジミン「ほっほっほ、良い友人を持ったものじゃのう。 さて、わしらも食事にするかのう」

アルミン「うん!」

書き溜め分終わりです。またある程度書き溜め次第投下します。
なんか物凄く長くなりそうな気がする

感想ありがとうございます。
それでは投下します。

――

エレン「ただいまー」

カルラ「おかえり、エレン。楽しんできたかい?」

エレン「もちろん!」

カルラ「よかった、お腹空いたでしょう。丁度ご飯もできたし先に食べてなさい」

エレン「いただきまーす!」ムシャムシャ

ガラッ

グリシャ「ただいま、カルラ、エレン」

カルラ「おかえりなさい」

エレン「おふぁえりー!」ムシャムシャ

カルラ「エレン、挨拶をするのはいいけどちゃんと飲み込んでからになさい。ほら、服に食べかすが…」

エレン「そんなの洗えば取れるからいいって」

カルラ「だーめ」グリグリ

エレン「いでででででで!頭が割れちゃうだろ!」

グリシャ「まあまあカルラ、挨拶は大事だよ」

グリシャ「それよりエレン、何だか嬉しそうな顔をしているが何かいいことでもあったのか?」

エレン「ふぉうふぉう、ふぉれふぁんふぁふぇふぉさ(そうそう、それなんだけどさ)」ムシャムシャ

カルラ「エレン!」

グリシャ「…エレン、私が悪かった。食べ終わってからゆっくり話そう」

エレン「んん」ガツガツ

カルラ「エレンにね、友達ができたみたい」

グリシャ「おお、友達ができたのか」

エレン「ごちそうさま!…ああ、アルミンっていって頭のいいやつなんだ!」

グリシャ「…その子の苗字はアルレルトかい?」

エレン「そうだよ、ってかなんで分かるんだ?」

グリシャ「ご両親が有名な研究者さんでね、私も何度か会ったことがあるんだ」

グリシャ「その時に何度かその子についての話を聞いたよ、自慢の息子だって」

エレン「へえ~…あいつの親、そんなに凄い奴なんだな」

エレン「まあオレの母さんと父さんも負けていないけどな!」ニカッ

カルラ「もう、エレンったら!」ニコニコ

グリシャ「エレン…お前将来絶対出世するぞ」

エレン「なんだよー!本当のことを言っただけなのに!」プンスカ

エレン「それでアルミンのことなんだけどさ、まず髪が綺麗な金髪のボブカットでさ、体はオレよりも一回り以上小さいんだ」

エレン「声も少し高くてさ、ここまで聞くと女だって思うだろ?でも男で最初オレも間違えちゃって怒らせちまった」

エレン「んで、アルミンに初めて会ったのは母さんのおつかいの途中で
    あいつがいじめられてるのを見つけて、オレは見ていられずに思わず飛び出していじめっ子を追い払ったんだ」

エレン「オレが飛び出す直前、アルミンはいじめっ子に突き飛ばされてよろけて転んじゃったみたいで怪我をしていたんだ。
    もう少し早く助けてやればという気持ちと、助けたいという気持ちでいっぱいになってオレはアルミンのことをおぶった。
     その時一番驚いたのはあいつの軽さだな、よく薪を運んでいたのもあるだろうけど、勢い余ってアルミンごと地面に衝突するかと思った」

エレン 「あいつ、凄く怯えたような顔をしていてさ、相当怖かったんだと思うよ。オレのことだって怖かったんだと思う。
    でもオレは医者の息子なんだし、目の前に患者がいて見捨てるなんてできるわけないだろ?だからオレにできることをしたかった」フンス

エレン「んで家に連れてきている途中、いろいろ話しかけたんだけどオレと同じぐらいの歳なのにオレのことはエレンさんって呼んで丁寧な言葉で話してて、
    声も細く震えている感じでとにかくオドオドしている感じでさ、心が弱ってるっていうのか?それでまた守ってやりたいって気持ちになったんだ」

エレン「父さんはいつも治療は早さが命だって言ってたから、できるだけ走った方がいいのかと思ったけど、また怖がらせたら嫌だし、
    たまに何を話そうとしていたか忘れそうになることがあるじゃん?そうなったら嫌だから話をしながら少しゆっくり歩いた。
    本当に少しずつだけど、喋ってくれるようになってきて、オレはその度に嬉しかった」

エレン「それで家に着いた時のことなんだけど、あいつ相当びびってたな、オレに掴まっている手から震えが伝わってきたからな。
    母さんもオレがいきなり知らない子を連れてきたってことで相当驚いていたんじゃないかな?」

エレン「とりあえずアルミンのことはオレの部屋のベッドの上に寝かせておいて、父さんの部屋から包帯と消毒液を探して持ってきたんだけど、
    いろいろとありすぎて探すのにちょっと時間がかかっちゃってさ…」

エレン「戻ってきた時にはアルミンがオレの敷布を掴んでちょっとウトウトしていたんだ。まあオレが近づいたら起きちゃったんだけど。
    そんで傷口を消毒して包帯を巻いてさ、オレは父さんに教えられていたことが役に立ったって本当に嬉しかったよ」

エレン「その時アルミンが自分のことを【僕】って言ってさ、さっきも話したけどその時オレが初めてアルミンの性別を間違えたことに気づいたんだ。
    やっぱ男には意地ってもんがあるだろ?本当に悪いことを言ったなって思って謝ったらアルミンはすぐに許してくれてさ、
    なんというか凄く大らかな性格なんだろうな」

エレン「そういえばおつかい先で小麦粉のおまけに焼き菓子を貰ったのを思い出してさ、甘いものは好きかって聞いたら好きだって答えたからさ、
    あいつに食わせようと思ったんだ。でもやっぱり遠慮がちでさ、だからあいつが喋って口を開けた瞬間無理やり突っ込んだんだ。
    そしたら凄くうまそうに食ってるの。見てたらこっちまで嬉しくなってきてさ、夕飯も少し近かったけど二人で全部食っちまった」

エレン「あれは本当にうまかった…なんだろう、一人で食べてもうまいんだろうけど二人で食べると更にうまくなるのかもしれねえな。
    それでもうオレとアルミンは友達だって思ったんだけど、アルミンはまだオレのことをさん付けで呼んで丁寧な口調のままでさ、
    もう友達なんだから普通に話せみたいなことを言ったんだ」

エレン「そしたら少しずつだけど口調も柔らかくなってきて、呼び捨てにしてくれるようになってきてそれがまた嬉しかったんだ」

エレン「そろそろ暗くなりそうだったからオレはアルミンのことを家まで送っていくことにしたんだけど、
    そういえばいじめっ子にパンを食われていた事を思い出してそのことについて聞いたら凄くしょんぼりした様子で、
    おじいちゃんに頼まれた物だったって言っててさ、オレはアルミンに頼んでちょっと寄り道をしたんだ」

エレン「オレはアルミンは店近くの木陰で休ませて、パンを買えるだけ買った。
    母さん今日のおつかいは好きに使っていいって言ってただろ?だからオレは好きなように使ったんだ。
    戻ってきた時、アルミンの髪が夕焼け前の陽の光に照らされてキラキラしていてさ、凄く綺麗だった」

エレン「それで買ってきたものを手渡したらあいつ凄い泣きそうな顔をしててさ、必死に堪えようとしていたみたいだけど
    なんだかいじらしくなってきてさ、つい頭をワシャワシャやっちまった。ハンネスさんもよくオレの頭をワシャワシャするけど、
    その気持がすごくよくわかったよ。アルミンはボサボサの髪で嫌がってて、悪いことをしちまったけど」

エレン「そうこうしてオレはアルミンの家に到着した。玄関ではアルミンの爺ちゃんが迎えてくれた。
    なんというか、アルミンの爺ちゃんというだけあって凄くいい人って感じがした。
    とりあえず家には届けたから今日はもう帰ろうかと思ったらアルミンがもう少し一緒に話がしたいって言い出してさ」

エレン「もうさ、断れるわけないだろ?オレはそのままアルミンの部屋にいったんだけど、
    辺り一面本棚でさ、一瞬間違えて図書館にきたのかと思ったよ」

エレン「聞きたいことが多すぎて困ったけど、まずはアルミンの両親について気になってさ、そのことについて聞いたんだ
    そしたら 外の世界に行くための飛行技術を研究しているって言ってさ、外の世界も飛行技術も全然分からない言葉だからどんな意味か聞いたんだ」

エレン「そしたらアルミンは目を輝かせて、壁の外には氷の大地や…あとはなんだっけ?とにかく、聞いたこともないようなものがいっぱいあるってことを教えてくれた」

エレン「その次は 飛行技術 について教えてくれた。なんでも気球って言って布を縫い合わせて袋にして?それを膨らませれば空を飛べるらしい
    オレには何を言っているのかさっぱりだったけど、まあとにかくこいつは頭がいいんだってことだけははっきりとわかったよ」

エレン「この前小さな気球をアルミンの両親がアルミンの部屋で浮かせてくれて、この技術に改良を重ねればいつか空も飛べるはずだって
    凄く嬉しそうに話していた。それこそ最初会った時あんな様子だったのが嘘みたいだった。
    そんなアルミンを見てさ、オレもいつか一緒に外の世界を見てみたいって思ったんだ!
    今度、外の世界についての本を見せてくれるって言ってたからすげえ楽しみ!」

エレン「それで、そろそろメシの時間だから帰ることにした。メシに遅れておしりぺんぺんされるのは嫌だからな。
    また遊ぼうっていう約束をして、オレはアルミンの家を出た。明日には外の世界の本が見れるのかな、もう今から興奮するよ」

エレン「へへっ、これが今日あったことだ。初めての友達ができて、そいつといろんなことをして、オレ凄く楽しかったんだぜ!」ニカッ


カルラ「」

グリシャ「」


カルラ『…アルミンくんって、男の子よね』ヒソヒソ

グリシャ『…ああ』ヒソヒソ

カルラ『…外の世界については、エレンの選んだ道だから何も言わない。けど、エレン、そっちの道に進んじゃいそうな…』ヒソヒソ

グリシャ『…初めて友達ができて相当嬉しかったんだろう、エレンなら大丈夫だ…多分』ヒソヒソ

カルラ『そ、そうね…』ヒソヒソ

エレン「ん?二人共なんの話をしているんだ?オレの話ちゃんと聞いてた?」

カルラ「え、ええ。しっかりと聞いていたよ。素敵な友達ができたみたいでよかった」アセアセ

グリシャ「ああ…エレン、友達は大切にするんだよ。私達も、いつかはエレンより先にいなくなってしまうかもしれないのだから」

エレン「…うん」ジワ

カルラ「ちょっとグリシャ、そんなしんみりするような話はしない!」

グリシャ「わ、悪かった…」アセアセ

カルラ「…大丈夫、エレン。私は貴方がお爺ちゃんになるまではずっと一緒にいるから」ナデナデ

エレン「…約束しろよな?母さんも父さんも!」

カルラ「当たり前でしょ、母は強しって言うんだから!」

グリシャ「ああ、私も約束するよ」

エレン「それじゃ、オレは明日に備えてもう寝るよ」

カルラ「エレン…ちゃんと体を拭いてから寝なさいよ?」

エレン「分かってるって!…それじゃ、父さん、母さん、おやすみ」

カルラ&グリシャ「おやすみ、エレン」



エレン「」ゴロン

エレン(今日は、本当に楽しかったな)

エレン(明日の朝から押しかけたら流石に迷惑かなー、昼過ぎに行こうかな?でもそれはそれで時間が勿体無いし)

エレン(うーん…)ゴロゴロ

エレン(いろいろ考えてたら眠くなってきたな…)

エレン(おやすみ…)Zzz

投下終了。
また書き溜め次第投下します。

感想ありがとうございます。
それでは今日も短いですが投下していきます。

――

エレン「母さん、おはよう」

カルラ「おはよう、エレン。今日はいつもより随分と早いね」

エレン「今日はアルミン家に遊びに行くからな早起きしたんだ…」ウトウト

カルラ「すっごく眠そうに見えるけど?」

エレン「だ、大丈夫だって!」カオパンパン

エレン「…」ポヤー

カルラ「はい、朝ごはん」

エレン「いただきまーす…」ムシャムシャ

エレン「ごちそうさま」

カルラ「エレン、食べかすついてるよ」

エレン「わ、わかってるって!」ゴシゴシ

カルラ「もう行くんでしょ?お弁当作ったから持っていきなさい」

エレン「こんなに沢山食いきれねえって!」

カルラ「二人分作ったからね、仲良く食べるんだよ」

エレン「そういうことか、ありがとう母さん!」

エレン「それじゃいってくる!」タタッ

カルラ「いってらっしゃい、エレン」

――

エレン「おーい!」ドンドン

ジジミン「こんな早くに誰かのう…」ガラッ

エレン「遊びにきたぞ!」

ジジミン「ほっほっほ、エレンくんか。昨日、あれからアルミンが君のことを嬉しそうに話してくれたよ」

エレン「オレだって昨日父さんと母さんにアルミンのこと話したぞ!」

ジジミン「まさに相思相愛と言ったところじゃのう」

エレン「そうしそうあい?なんだそれ?」

ジジミン「ほっほっほ、冗談じゃよ。してアルミンのことじゃがまだ寝てるんじゃ、いつもなら起きてくる時間なんだがのう」

ジジミン「せっかくじゃ、エレンくんが起こしてきてくれんかのう」

エレン「分かった!」ダッ

――

アルミン「…」ムニャムニャ

エレン「アルミン(頭まで布団をかぶってて、暑くないのか?)」

アルミン「…ぅ」ムニャムニャ

エレン「アールミン!」ユサユサ

エレン「起きろーっ!」ユッサユッサ

アルミン「ん…」ムクリ

アルミン「うわぁ!」ビクッ

エレン「うおっ!」ドサッ

アルミン「び、びっくりした…起きたら目の前にエレンの顔があるから…」

エレン「ははっわりいわりい、お前のじいちゃんに頼まれたんだよ」

アルミン「まさかこんなに早く来るとは思わなくて、寝溜めしておこうかと思ったんだ」

エレン「まあその分いっぱい遊べるんだしいいだろ、ほら早く行こうぜ!」

アルミン「そだね…あ、エレン」

エレン「ん、なんだ?」

アルミン「…いい忘れてた、おはよ」

エレン「お、おう。おはよう」

アルミン「ちょっと着替えるから待ってて」

エレン「おう」

――

アルミン「おまたせ」

エレン「いや全然待ってないぜ!」

アルミン「そう?ならいいんだけど」

エレン「それでさ、アルミン。一つ聞きたいことがあるんだけどよ」

アルミン「何?」

エレン「そうしそうあい ってどんな意味なんだ?お前の爺ちゃんがオレとアルミンのことをそう言ってたんだけど」

アルミン「」

アルミン(お、お爺ちゃん何言ってるんだよ!)///カァ~

エレン「ん?お前顔赤いぞ、熱でもあるんじゃないのか?大丈夫かよ」

アルミン「だ、大丈夫…それでその言葉の意味だけど」

アルミン「…ぉ、ぉたがぃにぁぃしぁぅってことだよ」ボソボソ

エレン「ん?よく聞こえなかったからもう一回頼む」

アルミン「お、お互いに愛し合うってことだよ!」

エレン「愛しあう?友達同士なら別に悪いことじゃないだろ」

アルミン「普通は男と女で使うんだよ!お爺ちゃん、なんてことを…!」

エレン「冗談って言ってたけどなー」

アルミン「そ、それを先に言ってよ…」ダラダラ

エレン「まあまあ、お前の爺ちゃんが面白い人なんだな」

アルミン「もう…それで、昨日言ってた外の世界についての本なんだけどさ」

エレン「きたきた!」

アルミン「確かここらへんに…」ニョーン

エレン「どれだよ?」

アルミン「この、少し古い感じのやつなんだけど…」グググ

エレン「これか」ヒョイッ

アルミン「そ、それだよありがとう…いつも大事な本はお爺ちゃんに上の方にしまってもらってるんだ」

エレン「早速見せてくれよ」

アルミン「うん、まずこれは炎の水」ペラペラ

エレン「ふむふむ」

アルミン「この壁の外には大きな山があるんだ」

エレン「山?それならシガンシナにもあるだろ」

アルミン「ううん、それよりもずっと大きな山。壁よりもずっと高いんだ」

エレン「あの高い壁よりでけえ山があるのか?」

アルミン「そう、外の世界にはそれが沢山ある」

アルミン「そして山の中には 火山 って種類のものがある。その 火山 の奥底にこの炎の水が沢山溜まっているんだ。
     火山の中にこの炎の水があることによって、人類には様々な恩恵がもたらされるんだ。
     例えば、炎の水の熱により上昇気流が生じて雨を降らせて水源の役割をしたり、大地を形成したりする」

エレン「要するにすごいってことだな!」

アルミン「うん。でも炎の水がもたらすのはいいことばかりじゃなくて、たまに火山から炎の水が吹き出すことがあるんだ。
     そうなると火山からもくもくと凄い煙が出てきて沢山の灰を降らせて麓一面に灰が積もったり、
     最悪の場合炎の水が火山から溢れだしてきて付近の集落を壊滅させることもあるらしい」

エレン「おいおい、大丈夫なのかよ?」


アルミン「そのリスクを差し置いてでもそこで暮らす人がいる…それほどこの炎の水は凄いものなんだ」

アルミン「それに、これ見てみて」キラキラ

エレン「きれいな石だな」

アルミン「黒曜石って言って、まあこれは模造品なんだけど…
      炎の水の活動によってこんな風に色んな種類の石も形成されるんだよ
      手元にはないけど石英っていってもっと綺麗な透明の石とかも炎の水は作り出せるみたい」

エレン「へぇー…透明の石なんて全然想像つかねえ…炎の水ってすげーんだな!」
     
アルミン「うんうん。次は氷の大地についてだよ」ペラペラ

エレン「辺り一面雪で覆われて真っ白だな」

アルミン「雪、というより全部氷でできているのかな。世界の一番北と一番南に存在するみたいなんだ。
     何年も降り積もった雪が溶けずに氷となり厚い層をなしてこの氷の大地を形成しているんだよ。
     その寒さのせいで殆どの植物は生きられないんだけど、代わりに氷の大地でしか見られないような動物もいる。
     例えば、この真っ白な熊とかね」

エレン「真っ白な熊?茶色とか灰色の熊しか見たことねえけど、氷の大地にはそんな熊もいるのか」

アルミン「うん。他には泳げる代わりに飛べない鳥とかヒレが発達した魚みたいな哺乳類とか、
     氷の大地には僕達が今まで想像したこともなかったような生き物が沢山いる。
     あとはこんなものも見れるみたいだ」ペラ

エレン「なんだこれ?光のカーテンか?」

アルミン「そんな感じ。オーロラって言って、この本だと死者の世界と生者の世界が結びついているとされているんだ。
     それで生前の行いが良かった人は死後、オーロラの国に旅立つとされている。
     …でも、それが本当かどうか分かる人なんているわけがない。死んだ人に話を聞けるわけないんだから」

エレン「それなら幽霊に聞いてみりゃいいんだよ!」

アルミン「…エレン、怖いからやめてよ」

エレン「わかったわかった…お前、怖がりなんだな」ニマニマ

アルミン「もう、エレンっ! …それじゃ次は砂の雪原についてだ」ペラ

アルミン「名前の通りあたり一面、全部砂で覆われている。日中は凄く暑いけど、夜になると凍りつくような寒さになる、
     とても過酷な世界。ここも氷の大地と同じく植物は殆ど生きられないんだけど、
     砂の雪原の厳しい環境に適応して刺を生やした珍しい植物もいる。ほら、これがそうだよ」

エレン「丸くて緑で…シガンシナでは全然見たことがないな」

アルミン「シガンシナだと多分適応できなくて枯れちゃうからね…適した環境じゃないと生きられないんだ。
     砂の雪原ならではの珍しい動物もいるよ。例えばこの動物とか」

エレン「背中にでけえコブのある馬って感じだな」

アルミン「うん。このコブの中には沢山の栄養が詰まっていて、それのお陰で何日も食べなくても生きていける。
     このコブのある馬にのって砂の雪原を移動する人もいる。まあ、僕らのよく知る馬と似たようなものだね」

エレン「砂の雪原を移動するって…凄くキツそうな環境なのに大丈夫なのかよ?」    
     
アルミン「過酷な旅になるだろうね…

     でも、砂の中には沢山の宝物があるらしくて、だからこそ人は砂の雪原に行きたくなるんじゃないかな?」

エレン「宝物か…オレも外の世界に行ったら宝探ししてみてえなあ」

アルミン「夢があるもんね…最後に、 海 についてだ」

エレン「海?」

寝る。ので、今日はここまで

このSSまとめへのコメント

1 :  希望   2015年05月15日 (金) 20:59:40   ID: nnpCmQm4

期待

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom