ショタ「もういっそ男でもいい、にーちゃん大好き!」 兄「マジか」 (64)

去年の夏祭りからの帰りに、
当時、小学校6年生だったオレは、同級生でカノジョである「妹」のマンションに来ていた
「妹」の家は20階で、1階にはコンビニが付いているような、高級マンションだ

妹「ショタ君、好き」

ショタ「オレも、大好き」

ちゅっ

妹「えへへ」

ショタ「へへっ」

ショタ「(もしかして、ヤれるかも……?)」

ショタ「あ、あのさ」

妹「あ、エロいこと考えてるでしょ」

ショタ「考えてない!」

妹「おっぱい見過ぎ」

ショタ「う、うるさい」

妹「シたい?」

ショタ「え!?」

妹「あ、キョドった。やっぱエロいことシたいんじゃん」

ショタ「だ、だって」

妹「ダメだよ、来年は、私達13歳になるから、そうしたら……しよ?」

ショタ「お、おう」

妹「(うわ、余裕ですみたいな顔して。すごーく残念そう)」

妹「見てみて!あっ」

ショタ「い、妹……!」

目の前で、「妹」は死んだ
落下する「妹」を見なければよかったと思っている
人体が地面に叩きつけられると、澄んだ、爆竹の様な音がするんだと思った
小さな黒の点になった「妹」の身体が、ぬるぬると広がっていくように見えた
あとで聞いたら、割れた頭から色々なものが流れだしていたらしい

今日は「妹」の一周忌
家族ぐるみでの付き合いだったから、カレシだったオレも参加させてもらえることになった
お坊さんが経を読み金を取って帰っていく

ショタ「……妹……妹ぉ……」

兄「ショタ。ありがとう」

ショタ「何がだよ。オレ、目の前にいたのに、守れなかった」

兄「いいんだよ。仕方なかった」

ショタ「うぅっ……」

兄「あのさ、妹との話を聞かせてもらいたいんだ」

ショタ「え?」

兄「妹が何を考えていたのかとか、妹がどんな風に君のことを見ていたのか、とか」

ショタ「でもオレ、語る資格ないと思う」

兄「そんなことない」

ショタ「でも」

兄「知ってると思うけど、妹はいじめられていた」

ショタ「……」

兄「ショタ。お前からなら、幸せだった話をたくさん聞けると思ったんだ」

ショタ「……」

ショタ「……わかった」

それからオレは、毎日のように「妹」の家に通った。
引っ込み思案で引きこもりがちだった「妹」を無理矢理、外に連れ出して怒られたこととか。
初めてのデートで「妹」がアイスクリームを落としたこととか、
一緒にホラー映画を見て、オレのほうが「妹」の手を握って頼ってしまったこととか。
そんな些細な話の全てを、兄ちゃんは目を細めて聞いていた。

ショタ「……それでね、妹は」

兄「ショタ」

ショタ「なに?」

兄「ショタは、妹のどんなところが好きだった?」

ショタ「え? うーん」

好きになるのって、部分とかじゃないような気がする
一緒にいると幸せで、一緒にいなくても幸せで
その人とのつながりの全てが、自分の中でとても大きな存在になってる
そういうことをいうんじゃないのかな

ショタ「……全部」

兄「月並みだなぁ」

ショタ「つきなみ?」

兄「あー、えー、月のように見事な言葉って意味だよ」

そう言うと、兄ちゃんは右の口角をわずかに上げる

ショタ「ウソ、つい……てる」

兄「はは、バレたか。 ……? どうした」

ショタ「……なんでもない」

「妹」と同じだ
「妹」もウソを付いた時に、右の口角がちょっと上がるのだ

兄「ふーん。 本当はフツウの感想だなって意味だ」

ショタ「フツウってなんだよ! 本当に全部好きだったんだよ!」

兄「分かったから分かったから、そんなにムキになんなよ」

ショタ「あっ」

兄「どうした?」

兄ちゃんが笑った顔が、目の細め方が、似ていた

ショタ「……ヒッグ」

兄「泣いてんのか? ごめん、思い出させちまったか」

ショタ「……ヒッグ」

兄「大丈夫だから、大丈夫だから」

頭を、ぽんぽんとされる
これだって、妹と同じ

それからも毎日、兄ちゃんの家に通った
そのうち、兄ちゃんもオレの家に来ては、オレと時々遊んでくれたりした
もう妹の話は尽きていた 兄ちゃんも、遊ぶだけのオレを受け入れてくれていた
兄ちゃんに会う度に、ひどく悲しくなり、ひどくうれしくなった
手の動かし方が、目の配り方が、話の切り出し方が、
上の空になりがちなところが、人の話を遮るところが、
声の出し方が、しゃべりかたが、全部、全部、全部
「妹」が生きていて、そばに居てくれるようだった

ショタ「あのさ」

兄「ん? どうした?」

ショタ「カノジョ、居るのか?」

兄「んなこと聞いてどうするんだよ」

ショタ「いいから答えろよ」

兄「……ほれ」

兄ちゃんはiPhoneを、オレの横にある座布団に放った
画面には、兄ちゃんに並んで、見知った女性が並んで居る

ショタ「ふーん……で、ホンモノは?」

兄「は? ホンモノだから」

ショタ「いやいや……マジ?」

兄「結婚前提」

ショタ「……マジ? 姉ちゃんと? なんで?」

兄「なんでって、顔がすごくキレイだから?」

ショタ「なんで兄ちゃんみたいな最低な男とくっついてんの? 信じられないんだけど」

兄「ひでえなお前」

兄ちゃんはいつの間にかオレを「お前」と呼ぶようになっていた
兄ちゃんとの距離が急に縮まったと思ったら、そういうことだったのか
付き合ってるなんて気づかなかった

ショタ「平気なの?」

兄「何が?」

ショタ「姉ちゃん、キレると怖いじゃん」

兄「そうか? キレたことないからわかんないな」

ショタ「すげー怖いよ」

兄「覚悟しとくわ」

ショタ「うん」

―――半年後

夏は、嫌いだ
大嫌いだ
通夜の席には、沢山の人が参加していた
活発で人付き合いの好きな姉ちゃんらしい、賑やかな通夜だった

姉ちゃんが、自殺をした
あてつけのように、「妹」と同じ日に、同じ場所からの飛び降り自殺だった
あの男との別れ話が原因らしいけど、詳しいことは聞いていなかった
姉ちゃんが、大好きだった
弟の俺だけじゃなくて、本当にたくさんの人に好かれていた
そんな姉ちゃんを殺すようなクズは、兄ちゃんとは呼びたくなかった

ショタ「てめぇ、よく顔だせんな。 お前が死ねや」

兄「……」

ショタ「おい、きいてんのかよ」

兄「……」

ショタ「人殺し」

兄「……」

小さな声で責める
やっちゃいけない、人として最低なことだとはわかっていたが
オレの中での、優しくて明るい姉の笑顔が
家を毎日のように笑いで包んでくれた姉の声が
反響する度に、この男への憎悪として口からでてきて、止まらなかった

ショタ「おいクズ、こっち見ろって、顔、見せろよ」

兄「……もうしわけ……ありませんでした」

ショタ「……っ!」

男が、真摯にじっと見つめてくる
透き通った茶色の瞳までもが、とても「妹」によく似ていることに、今更気づいた

一週間前、「妹」の二周忌を控えて、スマホで思い出の写真を見ていたのだ
恥ずかしくて目を見つめたことがなかったから、
「妹」の瞳があんなにも美しい茶色をしているとは思わなかった
生きている時にもっと見ておけばと、後悔していたのだ

ショタ「クソが」

それからは一切、アイツはおろか、誰とも話をせずに姉ちゃんの葬儀は終わった

一週間後、アイツが家に訪ねてきた
母さんが、呼んだらしい
オレは自分の部屋から、リビングに居る二人の会話を聞いていた

兄「本当に申し訳なく……」

母「いいのよ。 あの子は直情型で情熱的だったから。 悲しいけれど、あの子らしいわ」

兄「……」

母「あなたのことは、小さな頃から知ってるのよ。 良い子だってことは知ってるわ」

兄「すみません」

母「こちらこそ、ごめんなさい。 あの子がお宅で死んで、迷惑してるのはそちらでしょう」

兄「……!! そんな、そんな、ことは……っ」

アイツが、泣き崩れた

それから、30分は泣き続けていた
幼い少年のような嗚咽が、痛々しく部屋まで届いていた

母「あのね、お願いがあるの」

兄「……なんでしょうか」

母「ショタにあの娘の話をしてやって欲しいの」

兄「ショタは、許してくれません。 許されることでもないことは、わかっているつもりです」

母「いいかげんにしなさい」

母さんが、強く言った

母「姉が死んで、私は悲しいのよ。 息子同然のあなたまで苦しんだら、私はもっと苦しいのよ」

兄「……」

母「もう苦しめないでちょうだい。 あなたは何があっても前に向かって、強く生きればいいの」

母「それが娘を失った私への、償いだから。 だから、しゃきっとしなさい」

兄「……ありがとう、ございます」

母「……ええ。 大きくなったわね」

アイツ……兄ちゃんは、許されるべきではない
母さんが許しても、オレは許すつもりはない

母「2階にいるんだけど、お願いできるかしら」

こっちへくるのかな

兄「ちょっと話してきます」

階段をのぼる音が聴こえる
ゆっくりと部屋に近づいてくる

コンコン

兄「……」

コンコン

兄「……ショタ?」

ショタ「……」

兄「いるん、だよな」

ショタ「……」

兄「開けてもいいか?」

ショタ「……来んなよ」

兄「ごめん」

ショタ「……そこにいるのもウザいから」

兄「ごめん」

兄が立ち去る音が聞こえる
このままだと、きっともう二度と話せなくなる
なんだか胸が疼いて、気がついたらドアを開けて話しかけていた

ショタ「ちょっと待てよ」

兄「……」

ショタ「姉ちゃんの話、聞かせろよ」

兄「……いいのか?」

ショタ「許したわけじゃねえからな」

兄「……わかってるさ」

兄ちゃんが部屋に入ってくる
二週間くらい前に来たばかりなのに、この光景をとても久しく感じる

兄「何から話せばいいかな」

ショタ「なんで死んだのか、聞きたい」

兄「それは……」

とても言いづらそうだった
それでも聞きたかった
多分いうことで兄ちゃんも傷つくかもしれないけど
それでも、納得したかった

兄「それは――」

――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――

――ショタの部屋は、とても重苦しかった
この子の姉を、俺は自殺に追い込んでしまったのだ

幼なじみである「姉」は俺の恋人だった
明るくて、人懐っこくて、優しくて、びっくりするくらいに頭が良くて
月並みな表現だが、太陽のような娘だった

そんなあいつを、俺はどこかで羨ましく思い、
どこかで恐れを抱いていた

―俺は、こいつには似つかわしくない―

付き合い始めてからというもの、
知らない顔を知る度にその思いは強くなっていった
小さな頃から一緒だったから、なんでも知っていると思っていた
全てが同じようなものだと思っていた

でも、気がついたらあいつはずっと先にいた
進路のはおろか、将来のことも全てしっかりとした考えを持っていた

必死に勉強して同じ高校に通うことはできたものの、
アイツは部活やボランティア活動などで目覚ましく活動しながらも
成績は常に上の方だった

友達もびっくりするくらいに多くて、あいつのケータイを見た時には
よくデータがパンクしないなと思ったくらいだ

引っ込み思案で引きこもりがちな俺のケータイには、
中学時代の友達が数件と家族と、あいつのアドレスくらいしかなかった
スマホに変えてからは、ついに家族とあいつだけになったが

だからせめて勉強だけでも負けたくはなかった
アイツが部活をしている間もバイトをしている間も全部、勉強に費やした
そのおかげでなんとか、アイツに順位で勝つことができた

たったひとつの勝利だけで、なんとか同じ程度の人間なんだと思おうとしていた
それでも素晴らしくて、輝いていて、圧倒的で
結局、俺は耐えられなかった

―もう、別れよう
―俺は、お前には似合ってないんだ

学問での文章というのは、当たり前だが、意味が複数に取られるように書くことは無い
机に向かって、毎日そういうトレーニングを積んでいたのに
伝わり方が、歪んでしまった

―は? ……やっぱ、見下してたんだ 自分にはふさわしくない女だって、思ってたんだ
―え?
―アンタさ、言ってたじゃん 「俺と結婚して、いつかはのんびり幸せにくらさせてやる」って
―あれは、お前が好きだって意味で
―見下してたからでしょ
―違う
―アンタは頭がいいからいいけど、アタシだって頑張ってるんだよ
―よくないよ
―親からも結婚して嫁になって、子供産んで……そういう人生送れって、しつこいの
―おい、聞けって
―トップになって見返してやるって、親に約束したの
―おい、下がれって、落ちちまうぞ
―アンタは適当にやって、ぱぱーって点数、取っちゃうんだもん
―違う、俺は
―もう疲れたよ どうやればアンタと対等になれんのよ
―……
―アンタはちっちゃい頃みたいに、アタシの後ろついてくればよかったのよ……
―下がって、こっちこいって
―いつの間にか、遠くに行っちゃうんだもん もう、ついてけないよ
―……!!?


―――話し終える頃には、喉が、からからだった

ショタ「……姉ちゃん、いろいろ悩んでたのか」

ショタ「……兄ちゃん」

兄「ん」

ショタ「ごめん、オレ、むちゃくちゃ傷つけただろ」

兄「お前は「姉」に何かしたわけじゃないだろ」

ショタ「姉ちゃんじゃねえよ! 兄ちゃんを傷つけたって言ってんだよ!」

兄「いや、当然のことを言われただけだから大丈夫だ」

ショタ「当然じゃねえよ 兄ちゃんも悩んでたんだろ?」

ショタ「姉ちゃんのこと考えて、ああなっちゃっただけじゃん」

兄「……」

ショタ「だから、ごめん」

兄「……うん」

ショタ「へへっ。 なんかすげぇ楽になった。 ありがとう」

兄「それなら良かったよ」

ショタ「ぜっこーしようと思ってたけど、やっぱなし」

ショタ「これからも兄ちゃんち、行っていい……よな?」

兄「ああ」

ショタ「兄ちゃんも、オレんち来ていいから!」

けらけらと笑う
この姉弟は昔から、笑い声がよく似ている
声変わりを迎えたばかりの声は、女子高生のそれと同じ高さだった

ショタ「……兄ちゃん?」

また涙が、止まらなくなってしまった

ショタ「なくなよな、オトナだろ?」

兄「……まだガキだよ、いろいろとな」

ショタ「色々って? まさか、チン毛生えてないの?」

兄「うっせえ」

二人で笑う
仲がただ元に戻るだけで、ここまで救われた気持ちになるとは思わなかった

夏が終わりかけてもまだ、暑さがアスファルトから染み出してくるように残っていた
あの話し合いからずっと、俺とショタはお互いの家を行き来している

俺が「姉」の話を聞かせて、ショタから「妹」の話を聞いて
お互いに恋人を失い、家族を失った者同士として、いつの間にか離れがたい理解者になっていた
でも会いに行くのは、それだけが理由じゃなくなっていた

――――――――

――――――――

オレは、わかってはいたが、理解したくはなかった
兄ちゃんといると、とても楽しくて、嬉しくて
この人しか自分を理解してくれる人がいないと思うと、とても心強くて、失いたくないと思った

兄ちゃんの喪失感は、オレの「妹」に対する以上のものだったようだ
目の前で、自分の口論して自殺したからだろうか

兄ちゃんはオレとは違い、口に出してオレを「そういうところ、あいつに似ている」と言ってきた
姉ちゃんと小さいころ遊んだ公園に、オレを連れて行ってくれた
姉ちゃんとデートした遊園地に、オレを連れて行ってくれた
姉ちゃんと話したことを、全部オレにきかせてくれた

逆に、オレが兄ちゃんの家に行ったときは、一緒に「妹」の部屋でゲームをした
「妹」が好きだったゲームを

「妹」が好きだったマンガを一緒に読んで、
「妹」が好きだったパズルを一緒に解いた

お互いに、故人の陰を追っているつもりだった
そうやって、気が付いた事実からずっと逃げてきていた

兄「なあ」

ショタ「ん?」

兄「もういっそ、付き合わねえ? 俺たち」

ショタ「男同士で何いってんの キモいわ―」

兄「冗談だよ まじめに返すなよ さてはホンモノか?」

ショタ「うっせーよっ!」

同性という抵抗を、かつて惹かれ合った者同士の血が流していく

兄「俺、お前ならいいと思ってるよ」

ショタ「……」

兄「ホンキだぜ?」

ショタ「男、でも、か?」

兄「ああ。 なんていうか、男っぽさゼロだし、可愛いからな。 性格以外は」

ショタ「んだよ、真剣なんだよ、オレ」

兄「オレも真剣だって」

ショタ「じゃあ、付き合う」

兄「そっか」

ショタ「そっけねーな」

兄「そんなもんだよ、付き合い始めはな」

ショタ「……姉ちゃんの代わりになれるよう、頑張るから」

兄「は? んなことしなくていいよ」

ショタ「なんで?」

兄「アイツの代わりにつきあうわけじゃねえから」

ショタ「……」

兄「お前だって、妹の代わりにってわけじゃ、ないだろ?」

ショタ「……うん」

兄「もうさ、二人であいつらのカゲ、追いかけんのやめようぜ」

ショタ「……うん」

兄「ずっと、一緒に居ような」

ショタ「ずぅぅぅっと、な」

END

連投したのにお前ら読むの早いな

うわあああああもう一個のショタスレ今終わるのか
あっちに投下するつもりで書いたのに残念だ

セックス描写のうまいやり方がわからない

兄「電気消すぞ」

ショタ「ん」

カチン、と心地よい音を立てて、明かりが消える
残暑が終わったのに未だに窓が開いているから、外から静かな虫の声が聞こえてくる
涼しい風が、入ってくる

ショタ「さみー」

それとなく近づいて、体温を感じる
オレも中学2年生の男子で、付き合うとなると、当然欲しくなる
兄ちゃんから告ってきたけど、そういうことをしたいかどうかまでは分からない
未だに手探りで、兄ちゃんのキモチを探っている

兄「くっつきすぎだから」

ショタ「へへっ」

兄「……」

ショタ「兄ちゃんって、いつシコってんの」

とにかくエロい話題を出していく
もしオレのことを欲しがってくれるなら、いつかちゃんと反応してくれるはずだ
オレはえっちしたいとは思うが、兄ちゃんを襲いたいとは思わなかった
オレが甘やかされて育ったからか、オレをほしがって欲しい、と思っていた

兄「夜」

ショタ「いま、夜だけど」

兄「ん~。 はいシコった。 おやすみ」

ショタ「は? 抜くまでがシコったの範囲内だから」

兄「……お前は?」

ショタ「え、オレ? オレは……溜まったら」

兄「は? 何も行ってないようなもんだな」

ショタ「にへへ」

兄「あざとい笑い方すんな。 オカズは何だよ」

ショタ「は? んなこと聞くなよ」

兄「なんでだよ。 お前はむっちり派?スレンダー派?」

ショタ「……女の好みの話?」

兄「そりゃそうだ。 むっちりな男とかスレンダーな男の話してどうすんだよ」

ショタ「オレは、オカズはもう決まってんの。 おやすみ」

もしかして、俺が兄ちゃんに興味ないって思ってんのかな。
ただ子供の遊びで付き合ってるだけって、思ってんのかな。

ショタ「兄ちゃんだよ」

兄「何がだよ」

ショタ「オレのオカズ」

兄「……」

ショタ「兄ちゃん」

兄「……なんだよ」

ショタ「オレ、男は嫌い。 正直、ムリ」

兄「うん」

ショタ「でも、兄ちゃんのことは好きだから、その……」

兄「……」

ショタ「男だから好きなんじゃないからな、相手が兄ちゃんだから、もういっそ男でもいいって思えるんだからな」

兄「……」

ショタ「にーちゃん」

精一杯の、甘えた、子供っぽい声
出そうとして出たものじゃなかった
まだ子供の身体が大人にわがままを聞いてもらうために、つい出てしまった、と思う

ショタ「大好き」

兄「マジか」

ショタ「え?」

兄「いいのか、でも、あー、うーん」

ショタ「何悩んでんだよ。 付き合ってる、ベッドの上で二人きり、エロトーク、ってきたら次はセッk……だろ?」

兄「あ?」

ショタ「だから、s……ks……だろ?」

兄「はっきり言えよ」

ショタ「セ、クス……」

兄「セックス」

いきなり言われて、どきりとする

ショタ「うん」

ずっと、見つめ合う
5分くらい
ただ見つめ合うだけなのに、幸せな時間だった

オレの中で「妹に似ている茶色の瞳」だったものは、
今では「兄ちゃんのキレイな茶色の瞳」になっていた

兄「……男は、はじめると怖いぞ」

ショタ「オレ男だし、それくらい知ってるって」

兄「いや、お前は知らないな」

ショタ「なんでだよ」

兄「ほら」

がっしりとオレの両腕をベッドに押さえつけてくる

ショタ「……?」

兄「どう?」

ショタ「どう、って、何が?」

兄「まあ待ってれば分かる」

よくわかんないけど、待ってれば分かるらしい

なんだろう
ずっと腕を押さえつけられたまま、兄ちゃんは暇そうにしている

なんだか目がかゆい

ショタ「兄ちゃん、目、かゆいわ」

兄「……」

ショタ「兄ちゃん」

思い切って振り払おうとしてみるも、うまくいかない
痒みに耐え切れなくなってきて、腕にどんどん力がはいる

ショタ「離せって……おい!

もう限界だというくらいの力を込める
その時に、急に怖くなった

同じ男だから、本気になったらなんとかできると思っていた

それなのに、本気になっても、勝てない
赤ちゃんの頃からずっと止まらずに成長してきて、
確かに華奢で背が低いほうだが、それでも自分はとても強くなったと思っていた

ショタ「離せ、離せよ!」

びくともしない
それなのに兄ちゃんは、とても涼しい顔をしている
これだけ強い力なのに、まだ本気じゃないんだろうか

兄「わりぃわりぃ、離すから」

パッと手が自由になって、腕が勝手に動くような変な感じがした
ものすごいスピードで目の周辺をこすると、とても心地よくてぞわぞわした

兄「な? ちょっと怖くなった?」

ショタ「……うん」

兄「それでも、したい? 止めろって言っても、やめられないかも」

ショタ「……したい」

兄「お前が嫌になっても、簡単に押さえつけられるけど、いいのか?」

ショタ「……いいよ」

兄ちゃんはそんなことしない
オレがちょっとでも嫌だと言ったら、すぐにやめてくれるだろう
どれだけ脅されても、信頼は揺るがなかった

兄「そうか、わかったよ」

わかった、ということは
オレは今夜、初めてできるということだ
身体の奥から、ふわふわとした喜びが沸き上がってきた

でも同時に、味わったことのない興奮も覚えていた
これは「妹」と付き合っていた時に味わった雄としての欲望とは、異なっていた

ショタ「……?」

兄「なーに神妙な顔してんだよ。 似合わねえぞ」

ショタ「いや、なんか、うれしくて」

兄「まだ子供なのに、将来が楽しみだな、お前」

急に唇に柔らかい感触を覚えた
びっくりして、頭で理解するのに、少し時間がかかった
キスは、存在を知ってはいても、感触は知らなかった
想像とは全然違って、もっと欲しくなるような、不思議な感覚だった

兄「おー可愛い顔してんな、おい。 もしかして妹より、上手かったか?」

ふざけてからかってくるが、兄ちゃんもどこか顔を赤くしている気がする。
電気が消えているので、顔色まではわからないが。

ショタ「……初だし」

兄「じゃあ俺、いいもんもらっちまったな」

ショタ「……きょうは、ぜんぶ、あげるから」

また甘えた子供っぽい声が出てしまう
情けないような切ないような、ヘンな気持ちだ

兄「お前があげたくないものまで奪ってやるよ」

ショタ「んふぁっ」

もういちど、キス
今度はずっと密着している
唇の温度が首筋を通って、局部へと流れていくようだ
オレのカラダが、勝手に準備を始めてしまう

兄「元気いっぱいだな」

ショタ「あっ」

兄ちゃんが確かめるように、大事なところに軽く触れた
ボクサーパンツのなかで、痛みを伴うくらいに硬くなっていた

兄「……」

無言で、上着を脱がされていく
心臓がトクン、トクン、と言っているのが、聞こえる
鼓を打つ度に、視界もくらくらと揺らぐ

兄「……」

また、キス
今度はすごく優しく、滑らかなキスだった
オレの顔を大きな両手で包むようにして、次第にむさぼるような感じになっていった

ショタ「ん、ふぅ、んぅ」

兄「腰、浮かせて」

言われるままに動く
くいっと、下着がひっぱられて行く

ショタ「いでっ」

兄「悪ぃ」

オレのモノが下着の布に引っ張られて、無理矢理、皮を剥かれるような感じになってしまった
そういえばまだ剥けていない
急に兄ちゃんに見せるのが、恥ずかしくなってしまった

ショタ「オレ、まだ……あの……」

兄「うん。 まだ年齢的にも普通だから、気にすんな」

それからは、優しく脱がしてくれた
一糸もまとわずにベッドの上にいると、なんだか全身が敏感になってしまう

兄「じゃ、俺、脱ぐから」

ベッドから降りると、するすると服を脱いでしまう
なんだか、自分だけかっこよくいて、ずるい
からかってみたくなった

ショタ「なあ、男でどーてい卒業するって、どんな感じだよ」

さすがにキョドると思っていた

兄「童貞じゃないぞ。 ま、経験人数は一人だけどさ」

ふざけた話なのに、悲しげに言ったのは、そういうことだろう
姉ちゃんが相手なら、悔しくない気がする
……生きていたら、ケンカしたかもしれないけど

兄「挿れるぞ」

ショタ「え、いきなり!?」

兄「冗談だよ。 まずはゴム……」

ショタ「ゴムは、いらない」

兄「でも、いろいろ後で大変だぞ」

ショタ「お願いだから」

生でして欲しいのは、兄ちゃんを少しでも気持ちよくするためだった
兄ちゃんが俺のお尻に入れて気持ちいいとは、全く思わなかったから

兄「本当か? 俺だってまだ高校生だからそういわれちゃうと我慢できないぞ。 お前は妊娠しないしな。 生でやっちゃうけど、いいのか?」

ショタ「うん」

兄「嫌になったら、すぐに言えよ。 いつでもな」

そういってオレの耳の後ろあたりから後頭部にかけての部分を、さわさわと撫でてくれた
緊張で固まっていた身体がほぐれていく

兄「俺さ、カウパーすごいから、それでお尻に入れやすくしてもいい?」

ショタ「いいよ。 どうせ最後は精液を中に出すんだし、そんくらい」

兄「あー、身も蓋もねえな、その言い方」

苦笑いしながら、ゆっくりを顔を近づけてきた
そっともう一度キスをされる
今度は、AVでみたようなやつだった
えっちをするときの、欲しがるような、いらやしいキスだ

抱きしめられたまま、ずっとキスをし続ける
兄ちゃんが先っぽを押し付けてくる
もうぬるぬるとした感触がある
本当に、かうぱー?が多いのかも

兄「入っちゃうぞ、ほら」

ショタ「変態くせー、その言い方」

兄「変態はどっちだよ。 ゴムいらない君が何言ってんだ」

ショタ「うっせーよ」

一つ一つの悪態が、お互いの愛を確かめ合う
何度も入りかけては出て行く兄ちゃんの動きに、身体がむずむずしてきた

兄「そろそろ入りそうだな」

ショタ「い、いいよ、入れても」

兄「んー。 そうだな」

ぬるりと妙な感触で入ってくる
あっけないな、と思ったら、次にはものすごい痛みが襲ってきた

ショタ「あ、いぐっ、がっ、痛、痛い、痛い」

兄「ごめん。 やめようか」

ショタ「あ、だめ!」

身体を引こうとする兄ちゃんを、両手両足で引き止めた
必死になってやってしまったため、勢いがついてもっと深く入り込んでしまった

ショタ「―っ!!」

もう声にならないくらい痛くて

ショタ「……ヒッグ、ヒッグ」

泣いてしまった
情けなくて、恥ずかしくて、それがまた涙になって

兄「バカ。 少しの間このままでじっとしてみよっか」

じんじんとする部分が勝手に収縮を繰り返して、その度に痛みが襲ってきた

ショタ「痛いけど……ヒッグ……嬉しい」

兄「AV見過ぎだな」

それから10分くらいして
窓から冷たい風が入ってくる

ショタ「寒いからさ、もっとくっつこ」

兄「ん」

ぎゅうっと抱きしめてくれる
だんだんと、痛みはなくなってきていた

ショタ「もう大丈夫」

兄「じゃあ動いてみるぞ」

ショタ「うん」

す、っと動いた最初は激痛が走ったが、歯を食いしばって我慢した
次第に痛みは収まり、妙な感覚がお腹の奥のほうに感じられた
もしかして、オレ、感じてきてるのかもしてない

ショタ「ふ、ふぅ、ふぁ、ぁ」

兄「お前、細っこい割に、ケツに肉があるんだな」

ショタ「ぁぅ、ぁ、ふぁ、ぅぅぁ」

兄「もう感じてんのか。 生粋の……はぁ……変態……だな」

だんだんとピストンの速度が早くなってくる
兄ちゃんの見たことのないような表情に、ゾクゾクとする

兄「いいか、中で……出しても……」

ショタ「い、いぅ、い」

顎にうまく力が入らない
初めてなのに、奥からくる快感に全身が反応していた
身体の大きな兄ちゃんは、小さなオレの全身を包み込むように抱きしめることができた
それも手伝って、尋常ではない快楽が波のように襲ってきた

ショタ「う、ぐ、ぁ、ぁ」

ショタ「あ……ぁ……」

一瞬、何も感じなくなった
小さな波が、さらっと来て、
ちょっとずつ、どくん、どくんと波が大きくなっていく
あまりの快感の大きさに、怖い、と伝えようとした時には、もう遅かった
快感のあまり、身体が何もいうことを効かなくなっていた

兄「……っ!!」

大きな波が脳ではじけとんでいるときに、体の奥がすごく暖かくなるのを感じた
きっと、兄ちゃんが中に出してくれたんだろう

朝の陽の光が、まぶたを通り抜けてオレを起こした
背中に、体温を感じる
兄ちゃんをベッドにして、寝てたんだっけ

こういうことができるのも、オレが子供のうちだけなのかな
仰向けからうつ伏せになって、兄ちゃんの頼れる胸板の上に頬を置く

兄「ん……ん……」

兄ちゃんはまだ寝ているようだ
オレも、とても眠たい

そういえば今日は登校日だ
きっと兄ちゃんも、高校があるだろう

でも母さんは実家に帰ってていない
兄ちゃんがうちに泊まっているのは、母さんにオレの子守を頼まれたからだ

ということは、今日は休日だ
もうちょっと寝てよう

そう思ったけど、うつ伏せだとなんだか寝にくい
朝立ちしてしまっていて、それが邪魔になってしまっている
だんだんと目も覚めてきて、昨日のことを思い出す

目の前に、大好きな人
オレはまだ中学生だから、朝っぱらから欲しがったって、可愛がってもらえるよね
腕を兄ちゃんの首に巻き付けるように抱きしめて、そっとキスをしてみる
兄ちゃんの腕が、オレを抱きしめる
起きているなら、目くらい開けろよな

after END

やったー

お前らいるんだな……
24時間、まんべんなくショタコン仲間が居て嬉しい
ショタ時代にお兄さんに甘えたかったなぁ
今はショタを可愛がりたいけど

おやすみ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月15日 (木) 19:54:55   ID: XG7V2ytD

あぁ^〜たまらねぇぜ。

2 :  SS好きの774さん   2015年04月04日 (土) 01:42:08   ID: I7hYSwcb

くだらねぇなぁ…姉が死んだのは勝手に合わないとか
思い込んだ男が確実に悪いってのに。むしろくだらないエゴで突き放してるんだからこのまま男が勝手に鬱になって無気力になって、適当にオチ付けりゃ良かったのに

3 :  SS好きの774さん   2016年10月11日 (火) 19:45:16   ID: k2EdHwxi

↑ショタネタなのに何言ってんだ?

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