「最弱魔王様」(995)

初投降です。
※このssはいわゆる魔王勇者系ですが、勇者一行はあまり出てきません。バトルシーンを好まれる方や、魔王は絶対悪である、という考えの方にはどこまでもつまらない内容だと思います。


どこかの森


村人1「ほら、さっさと歩け」

村人2「全く、これで穀潰しが一人減ると思うとせいせいするぜ」

幼女「ふえっ……ごめんなさい、もうしないから捨てないでぇ……」ズルズル

村人1「うるせえ! じゃあなんで倉庫から蓄えていた食料をちょろまかしやがったんだ! 今年は去年と比べて作物があまり採れなかったのは知ってただろうが!?」

幼女「ごめんなさい……ごめんなさい……」

村人2「ちっ、これだからみなしごの餓鬼は嫌なんだ。ろくに躾もされちゃいねえ」

村人1「お情けで置いてやっていたのに、恩を仇で返しやがって……」

幼女「グスッ……ごめんなさい」


村人1「おい、この辺でいいだろう」

村人2「そうだな。おい、その木の根元に座れ」

幼女「え……」

村人1「ぼやっとすんな餓鬼!」ドンッ

幼女「ひっ」ペタン

村人2「たく、手間掛けさせやがって……おい、縄を出せ」

村人1「ああ……これでいいか」

幼女「お願いします、もうしないから……」

村人2「うるせえっ! 一度やったんならまたやらかすだろうが!」

村人1「てめえみたいな役立たずは、そこで魔物に喰われるのが似合いの最期だ」

村人2「そろそろ行くぞ、これ以上いたらこっちまで巻き添えを食う」スタスタ

村人1「そうだな。じゃあな糞餓鬼」スタスタ

幼女「ま、待ってよぉ……置いてかないでぇ……!!」


――――
――

幼女「グスッ……ひっく……こわいよう……おなか、すいたよう……」グウ……

ガサガサ……ガサガサ……

幼女「ひっ!!」

「そこに誰かいるのか?」

幼女「あ……た、たすけ……ひいっ!」ガクリ

「……人間の幼子か。何故、このような場所で木に縛り付けられている」


「大方、何かヘマをやらかして罰を受けているか、口減らしといったところでしょう……もっとも、魔物の多いこの森でこの状況、ほぼ後者で間違いないかと。……いかがなさいますか、魔王様」

魔王「……側近、縄を切って我が城まで連れて行け」

側近「御意」ブチブチ

幼女「」スゥスゥ

側近「こんなに泣き腫らして……お前は、運がいい」


魔王城

――――
――

「やーいみなしご」

「むらのごくつぶしー」

「むらからでていけよー」

「でていけ」

「出ていけ」

「 出 て い け  」


幼女「――ッ!!」バッ

側近「気がついたか」

幼女「! ひいっ……た、食べないで……」ブルブル

側近「落ち着け。ここにいる者は、誰もお前を取って食ったりなどしない」

幼女「で、でも……」

側近「とりあえず、まずは腹ごしらえだ……食べられるか?」スッ

幼女「! パン……おにく……た、たべていいの?」ゴクリ

側近「そのために用意した。食欲がないならせめてスープだけでもn」

幼女「」ガツガツ

側近「……心配は無用だったようだな」


幼女「……グスッ……おいしい、おいしいよう……」ムシャムシャ

側近「……」

幼女「……ごちそう、さまでした」

側近「落ち着いたか?」

幼女「」コクリ

側近「では、ここで自己紹介をしておこう。私は側近、そしてここは魔王様の住まう城だ」

幼女「ま、魔王……?」ブルブル

側近「そう怯えるのも無理はないか。多くの異形なる配下を使って人間を苦しめ、死に追いやった諸悪の根源……お前達から見れば我らはそういう存在だ」


幼女「あの……どうして、わたしを助けてくれたの?」

側近「それは……」

魔王「側近、子供は気がついたか?」バタン

幼女「きゃあッ!」ガタガタ

魔王「落ち着け、我は何もs」

幼女「いやああああっ!!」ブンッ

魔王「痛っ、やめろ、食器を投げるな……!」


側近「魔王様、少々タイミングが悪かったようですね」

魔王「そうだな……」

側近「おい、大丈夫だ、大丈夫だから今手に持っているものを置け」

幼女「……」スッ

側近「よし、良い子だな……先程も言っただろう? この城にいる者は誰もお前を傷つけはしないと。我らはこのような姿をしている故、信用ができないというのはわかるが……」

幼女「だって、角も、牙も……こわい、から」


魔王「そうだろうな。だが、考えてみるがいい」

幼女「?」

魔王「もし、我らがお前を襲おうと考えているならば、お前はとっくにこの世にはいないだろう」

幼女「……!」

側近「まずは、こちらの話を聞いてはくれないか? とても長い話になるが……その上で、お前がどう判断するかは自由だ」

幼女「……わかった」


側近「よし、では続けよう……ここにおられる魔王様は本来、人間の敵であり、彼らの世界を我がものとするために存在している」

魔王「そして、それと対をなすのが勇者。魔王を滅ぼし、人の世に平和をもたらすのが目的である、いわば人間の希望といったところだな」

幼女「でも、大人たちが言ってた……わたしたちが生まれる少し前に、勇者様が……」

魔王「ふむ、確かに先代の魔王は……勇者に討たれた」


幼女「じゃあ、どうしてわたしの目の前には魔王がいるの……? なんでそんなに落ち着いて話せるの?」

側近「……魔王という存在は、その子孫に受け継がれていくのだ。魔王の子供は魔王。それ故、一族が全滅でもしない限り、この世からいなくなることはない」

魔王「だから、魔王が倒されるとその子供が即座に次の魔王となり、その力に釣りあう上級の魔物との間に子をできるだけ多く作り、最も己の力を濃く継いでいる者を筆頭とした子供たちに魔王のなんたるかを徹底的に教育する。
時に人間を蹂躙する様を傍らで見せることもある。その際、人間に子供の姿を見られぬよう注意は怠ってはならない」


幼女「あの……じゃあ、新しい魔王になれなかった他の子供たちはどうなるの?」

側近「魔王に喰われ、その力の一部となるか……魔王に忠誠を誓って僕として魔王を一生補佐することとなる。力は劣れど魔王の子供。取り込めば魔王にとって何よりも力の源になる」

幼女「!!」ビクッ

側近「すまない、恐がらせてしまったようだな……魔物の世界は本当に血生臭いものだ」

幼女「じゃあ、あなたも……たべ、たの……?」ガクガク


魔王「……いいや、我にはできなかった」

幼女「え? どうして……」

魔王「我は……おそらく歴代で最も弱い魔王だ」


側近「……確かにこのお方は当代の魔王様であらせられるが、元々は子供たちの中でも力が弱い方だった」

幼女「じゃあ、なんで……?」

魔王「……魔王の子供たちが、必ずしも仲が良いわけではない。むしろ、他の兄弟を追い落とす機会を常に窺っていると言っていいだろう。

魔王になれなければ死ぬか、下僕として兄弟に仕えなければならない。魔王の子供としての誇りも何もないからな」


側近「先代の魔王様が御存命の時もそうだった。力の強い兄弟達はこぞって互いを潰し合い、次期魔王の座を掛けて醜く争った」

魔王「我と、我よりも力の弱い弟は、魔王の子供にしては本当に脆弱だった。魔王候補としての自覚も薄く、争い事も嫌っていた」

魔王「それ故よく、争う兄弟達を隠れて怯えながら見つめていた。2人で有能な下僕として魔王に仕えるために陰で魔術の勉強もした。

……糧として喰われぬ保証はどこにもなかったというのに」

側近「そして、運命の日――」


――――
――

魔王城(数年前)

側近(先代)「魔王様が……魔王様が勇者に討たれました!!」

魔王候補(兄)「はあ!? 嘘だろ?」

魔王候補(姉1)「母上弱過ぎぃ」

魔王候補(姉2)「まだこっちはちゃんと次期魔王も決まってないんだけど?」

側近(先代)「そう申されましても……」


魔王候補(現魔王)「……母上」

魔王候補(弟)「ぐすっ……ひっく」

魔王候補(姉1)「……そおだ、良い事思いついた。側近、あんたあたしの糧になりなさい」

側近(先代)「は!? 何を仰って……」

魔王候補(兄)「ああ、そういや側近は母上の兄弟の中では母上の次に強かったんだってな」


魔王候補(姉2)「確かに良いアイデアね。でも、あんたの一人占めは許さないわよ?」

側近(先代)「お、おやめ下さ……」

魔王候補(兄、姉1、2)「「「じゃあ、早いもん勝ちだ(ね)」」」

側近(先代)「やめ、やめろ……ぎゃあああああああァァッッッッ!!!!」メキメキメキッ


魔王候補(弟)「あ、兄上……僕達も、食べられちゃうの?」

魔王候補(現魔王)「大丈夫だ、ちゃんとこっちが忠誠を誓えばきっと生かしてくれる」

魔王候補(弟)「そうかな……」

魔王候補(現魔王)「ああ、俺がちゃんと頼んでやるから」

魔王候補(弟)「……僕、魔王の子供になんて生まれたくなかったよ」


魔王候補(現魔王)「……俺もだ。母上の傍について外に出た時、見るものすべてが新鮮だった。

だけどみんな、母上が血の色に染めた」

魔王候補(弟)「母上が人間の町を襲った時、珍しいものがたくさんあったね。

……全部、壊されちゃったけど」

魔王候補(現魔王)「普通の魔物か、もしくは人間だったら……もっと自由に生きられたのかもしれないな……」

魔王候補(姉1)「なあに情けないことごちゃごちゃ言ってんの? あんたそれでも魔王候補?」

魔王候補(弟)「っ、姉、上……」ビクッ


魔王候補(兄)「今度はお前らの番だぜ?」

魔王候補(姉2)「こっちが決着つけるまでにどっちが先に食べられるか順番決めときなさいねー」

魔王候補(現魔王)「ま、待ってくれ、俺達は次期魔王に忠誠を……」

魔王候補(兄)「何言ってんだ? 弱っちいお前らなんか下僕にしても足手まといになるだけだろ?」


魔王候補(姉2)「だったら、少しでも力の足しになるように食べちゃった方が得よね。こいつみたいに」ブンッ ゴトッ

側近(先代)「」

魔王候補(弟)「ひいっ……」

魔王候補(現魔王)「そんな……!」

魔王候補(姉1)「ねえ、そろそろ始めようよ、早くしないとこっちにまで勇者が乗り込んでくるよぉ」ダッ


魔王候補(兄)「そうだな……おい、城から出るんじゃねえぞ? まあ別の部屋で震えてるのは構わねえがな、ぎゃははははは!!」タタタッ

魔王候補(姉2)「ふふっ、あたしが魔王になったら2人ともひと飲みしてあげるわね~」シュタッ

魔王候補(弟)「うう……」

魔王候補(現魔王)「……弟、こっちの部屋へ来い」


バシッ! グシャッ!!

魔王候補(現魔王)「こんなもんか……弟、兄上か姉上がこっちに来る前にお前は逃げろ」

魔王候補(弟)「え? でも……」

魔王候補(現魔王)「お前、城の外へ行きたいんだろ? 俺がほんの少しでも足止めするから、お前だけでも自由になってくれ」

魔王候補(弟)「そんなのやだ! 僕だけ自由になっても寂しいだけだよ!! 兄上も一緒がいい!!」


魔王候補(現魔王)「無茶を言うな!! このままでは2人とも魔王の胃袋へ一直線だぞ!? 

そうなるくらいならせめて、お前だけでもこの宿命から……」

ドゴッ!!!!

魔王候補(現魔王、弟)「ッ!!」ビクッ

魔王候補(兄)「あーあー……あいつら随分と手こずらせてくれたな」ズル……

魔王候補(現魔王)「あ、兄上……姉上達は……?」

魔王候補(兄)「はあ? そんなのぶっ殺して喰ってやったに決まってんだろ? どんだけ馬鹿なんだ」ズルッ……ズルッ……


魔王候補(弟)「うう、いやだ……」

魔王候補(兄)「逃げんなよ? 俺は今こんな体だから……抵抗されたら綺麗に食えねえ」

魔王候補(現魔王)「……」

魔王候補(兄)「くそっ、死ぬ直前までしぶとい奴らだったな……お陰でこっちは腕も足もちぎれかけだ。

まあ……次期魔王の座に比べれば安いもんか」


魔王候補(現魔王)「……う」

魔王候補(兄)「てなわけで、俺が次の魔王だ……あ?」

魔王候補(現魔王)「うわああああああッッッ!!」ダダダッ!

魔王候補(兄)「馬鹿が、こっちが満身創痍なら勝てると思ったか?」ザシュッ

魔王候補(現魔王)「ぐあっ……!」ドサッ


魔王候補(弟)「兄上ッ……わああああ!!」タタタッ

魔王候補(現魔王)「馬鹿っ、来るな!!」

魔王候補(兄)「ふん」ドスッ

魔王候補(弟)「ぐはっ……」ズルリ

魔王候補(現魔王)「弟ッ!!!!」

魔王候補(兄)「本っ当にどうしようもねえ奴らだな、お前ら……そんなに苦しんで死にたいなら望み通りにしてやるよ」ゴオオ……


魔王候補(現魔王)「……ははっ」

魔王候補(兄)「……なんだ? 遂に本格的におかしくなったか」

魔王候補(現魔王)「俺達の方しか見えない程、弱っているのか? らしくないな……魔王サマ」

魔王候補(兄)「? ……ッ! こいつ、は……!!」ザアアアア……


魔王候補(弟)「兄上が……さっき床に書いた魔法陣が光ってる……」

魔王候補(兄)「ぐ、あ……くそ……まさか……!!」ズズ……ズズズ……

魔王候補(現魔王)「あんたが、考えている通りだ……この魔法は、魔王候補の血が流れることによって発動する……下剋上魔法」

魔王候補(兄)「小賢しい真似をッ!! てめえも、やっぱり狙ってやがったか……魔王の座を!!!!」ゴゴゴ……


魔王候補(現魔王)「まさか。俺も成功するとは、思っていなかった……ただの弱者の悪あがきだ。

陣の中に入らず、一足飛びにこちらにくる可能性もあったし……お前が、無傷であっても、駄目だった」

魔王候補(弟)「下剋上魔法……陣に落ちる魔王候補の血の人数によって効果が変わる……」

魔王候補(現魔王)「俺も、そして弟もあんたたちみたいな強大な力は持っていない……だが、弱いながらも魔王の役に立てる僕になる努力はしてたんだ。

その時に、偶然見つけた」


魔王候補(兄)「ぐおおおおおおお!!!!!! てめえ、絶対八つ裂きにしてやる……ぐちゃぐちゃにして……」ジャララッ……ギシッギシッ

魔王候補(弟)「魔王候補1人分なら、その場で最も強い魔王候補に致命的な傷を負わせるだけだけど……血を流したのが2人以上なら」

魔王候補(現魔王)「そいつを半永久的に封印する」

魔王候補(兄)「ォ……ア……――ッ!!!!」シュウウウウ……



――――
――

魔王候補(現魔王)「……弟、何故あの時逃げなかった。もし術が失敗していたら、間違いなく2人とも死んでいたぞ」

魔王候補(弟)「言ったじゃないか……ゴホッ、1人で自由になっても、僕には意味がないんだ。兄上も一緒じゃなきゃ……」

魔王候補(現魔王)「……馬鹿だな。これで俺は自動的に魔王となることが決まったんだぞ?

それがあいつの封印の絶対条件でもあるしな……お前は、このままでは俺に喰われるか……」

魔王候補(弟)「いいよ。兄上になら……兄上の力の一部になれるなら、僕は死んでも構わない」


魔王候補(現魔王)「ッ、で……い……」

魔王候補(弟)「え?」

魔王候補(現魔王)「……できるわけ、ないだろう……! お前は……俺の、大事な弟なんだ……たった、1人の……」ポロッ……ポタッ……

魔王候補(弟)「兄上……」


魔王候補(現魔王)「ははっ……俺は……ちっとも魔王らしくないな。あの術は……こんな弱い奴が魔王になるために生み出されたわけではないだろうに……」ポロポロ

魔王候補(弟)「……良いじゃないか、弱くて」

魔王候補(現魔王)「……」

魔王候補(弟)「たとえ世界中の誰1人として、兄上が魔王だと認めなくても……僕だけは、僕を守ろうとしてくれた魔王に忠誠を誓い続けるよ」スッ

魔王候補(現魔王)「……弟……」

魔王候補(現側近)「力は誰より最弱でも……兄上、いや、貴方は私にとって偉大なる魔王様です」


――――
――

魔王「……というわけで、我はやむなく魔王としてここにいる」

幼女「……」

側近「術は魔王様が死ぬか、魔王であることを放棄することで解除される。あれが解放されれば、すぐにでも魔王様と弟は殺されるだろう。

だから、魔王様は待っておられるのだ……自分や、あれを倒せる程強い力を持つ、勇者の訪れを」


幼女「(だから……魔王のひどい噂は全然聞かないんだ。たまに魔物が襲ってくるだけで)」

魔王「我は、一生子供は作らないつもりだ……歴代魔王が聞いたらさぞ腹を立てるだろう。

だが、我らのような思いをする魔王の子が過去にいたかもしれない。そしてこれからも出てくるかもしれない。

そう考えてみると……どうしても、その気にはなれんのだ」

幼女「(それよりも、わたしにとって恐かったのは……冷たかった村の人達)」

側近「私も、魔王様と同じ気持ちだ。そして最期まで運命を共にする」

幼女「……それで、わたしを助けてくれたことと、どう繋がるの?」

書き溜めていた分が終わったので、今日はここまでです。

需要あるかなこれ……。

見てるよー

しえーん


こんにちは。
うわああ④ありがとうございます!!
昼ご飯食べる前に少し進めようと思います。


側近「お前には、勇者に関する情報を集めるために協力してほしい」

幼女「協力?」

魔王「ああ。側近が集めてきた情報によれば、都では未だに魔物の討伐や、新たなる魔王の出現に備えて常に勇者の素質ある若者を求めているとのことだ。

今この城に兵士1人攻めてくる気配がないのは、我は昼間は滅多に城から出ない故、この存在を知る者がいないためだろう……ましてや、魔王の城へ寄りつこうとするもの好きもそうはいまい」

側近「都では姿を変えているとはいえ、私がこの姿で集められる情報には限りがある……そこで、人間であるお前の力が必要なのだ。

強い力を秘めた勇者の出現に少しでも早く気付き、それを迎え入れる準備をするために」

幼女「……」


魔王「幼いお前にこのようなことを頼むのは酷だと思う……だが、今までそれを頼もうとした人間にはことごとく逃げられてきた。

我らにとって、お前が頼みの綱なのだ」

側近「子供にこのようなことを頼む我らを、情けないと嘲笑っても良い。だが何を言われようとも、我らは引くわけにはいかぬのだ」

魔王「ここにいる間は、お前の衣食住は保障しよう。どうか……我らの望みを叶えてはくれぬか……!!」

幼女「……1つ聞いてもいい?」

側近「1つと言わず、我らに答えられることなら何でも」


幼女「……勇者様がここに来たら、あなた達はどうするの? やっぱり戦うの?」

魔王「さあな……それは勇者がここに来た時にでも考える。だが多分我も側近も……積極的に戦おうとはしないだろうな」

幼女「なんで……なんでそんなこと言うの? あなたは魔王なのに。魔王は勇者様と戦うものじゃないの!?」

側近「確かに今までの魔王はそうしてきた。だが、生憎こちらの魔王様は好き好んで魔王となられたわけではないからな」


魔王「勇者を前にして剣を取れば、我はそれで初めて真の意味で魔王になったと言えるだろう。

だが……生憎この手は誰かを傷つけることに慣れてはいない」

側近「傷つけられる痛みも、悲しみも……我らはよく知り過ぎているからな」

幼女「……(魔王なのに、その側近なのに、弱い)」

幼女(こんな人(?)達でも、やっぱり勇者様に倒されるべきなのかな……?)

幼女(わたしにはわからないよ……でも)


魔王「やはり駄目だろうか……」

幼女「……協力する代わりに、お願いがあるの」

側近「……!」

幼女(わたしが2人に協力することで、何かを変えること出来るなら……助けてくれた恩を返せるなら……)

魔王「それは本当か?! ……何でも望みを言うがいい」

幼女「……わたしの、家族になって。わたしを1人にしないで」

幼女(これでもう、わたしは役立たずじゃないよね……?)

側近「!? そんなことで良いのか……?」

幼女「」コクリ

魔王「……わかった。その願い、聞き入れよう」


側近「私からも異存はない。これからよろしく頼む。と……」

幼女「幼女ですっ! えっと、こっちもよろしくお願いしますっ!!」ニコッ

魔王「ああ、よろしく幼女」

幼女「……あの」モジモジ

側近「ん? どうかしたか?」

幼女「魔王、様……さっきは、食器を投げつけちゃってごめんなさい」ペコリ……

魔王「! ……そのことなら気にするな。それに、わざわざ様をつけなくとも良い」ナデナデ

幼女「……はいっ」ニコニコ


――――
――

幼女(それから、わたしの魔王城での生活は始まった)

幼女(魔王様も側近さんも、村の人達の何倍も優しくしてくれる)

幼女(とても、魔王の一族とは思えない位……)


魔王「幼女、おはよう。今日も早いな」

幼女「あ、魔王様、おはよう」

魔王「む、別に様などつけなくて良いのだぞ?」

幼女「ううん、わたしが好きでそう呼んでるんだから気にしないで」

魔王「そうか……」

幼女「そうだよ」


魔王「……なんだか」

幼女「?」

魔王「側近以外からそう呼ばれるのは、変な気持ちだ」

幼女「あれ? そういえばこのお城には、魔王様と側近さん以外に魔物はいないの?」

魔王「いるにはいたが……人を襲えぬ我の弱さと情けなさに皆出ていった」

幼女「……そうなんだ」


側近「おや、魔王様に幼女、おはようございます」

魔王「うむ、おはよう」

幼女「側近さん、おはよー」

側近「もうすぐ朝食の準備ができますので、お早めに広間へおいでください」

魔王「ああ、わかった」

幼女「今日の朝ご飯は何かな~」

側近「……そんなに楽しみにする程の変化はないぞ」


幼女「それでもいいの。毎日ちゃんとご飯が食べられるのが嬉しいの」

魔王「……」

側近「……それより幼女、今日は初めて私の都行きへの同行だが……体の調子などは大丈夫か?」

幼女「うん。都は初めてだからとっても楽しみだなー」


魔王「お前の生まれ育った村はこの近くか?」

幼女「多分ー。でもあの時、抵抗するのに夢中で……よく覚えてないの」

魔王「……すまん、いささか軽率な質問だったようだな」

幼女「んーん。気にしないでー。ご飯~ご飯~」ルンルン


側近「……魔王様」

魔王「ああ、近いうちに行ってもらえるか」

側近「御意」

――――
――

朝食後

幼女「ねえねえ側近さん。都では情報を集めるだけ?」

側近「いや、他にも食料を買ったり、人間に協力を求める声をかけたりするな……まあ、それはもうお前がいるから必要ないか」

幼女「ふうん……お金はどうしてるの? 物々交換?」

側近「宝物庫に集めている、歴代の魔王が人間から奪ってきた金銀財宝を不本意ながら換金している」


幼女「そっか……」

側近「ああ。人間のやり方で金を稼ごうにも、この姿では難しいからな」

幼女「……側近さん。わたし頑張るよ」

側近「? ありがとう。ああ、そうだ、お前のちゃんとした衣服も買わなくてはな」

幼女「服……」

側近「ずっとそのボロ服を着ているわけにもいくまい」


しばらく抜けます。
今日中に半分くらいはいけたらいいな……。


晩御飯前に進めます。
これからエロを入れるべきかどうか……。


幼女「側近さんは、いつもどんな格好で行くの? その鎧じゃ目立つよね」

側近「私は鎧を脱いでこのローブを纏って行く」バサッ

幼女(そういえば、側近さんのお顔、まだ見たことないな……)

側近「その格好では色々とあらぬ誤解を受ける故、すまないがお前も今日だけはこれを纏ってくれ」バサッ


幼女「小さなローブ……わたしのためにわざわざ作ってくれたの?」

側近「即席だがな。サイズが合っているか自信はないが」

幼女「ううん、ありがとー」ローブギュッ

側近「……」ナデナデ

幼女「?」

側近「そろそろ出発の準備をするぞ。早く着換えろ」兜ヌギ

幼女「……あ」


側近「? 私の顔に何かついているか」

幼女「違うの、あのね、魔王様ととってもお顔が似てるなって」

側近「……そうだろうな」

幼女「魔王様は髪は紫で長いけど、側近さんは青で短いんだね」

側近「長いと鎧を着けるのに邪魔だからな」


幼女「あ、確かにそうだねー」

側近「……幼女は、怖くないのか」

幼女「何が?」

側近「……我らは多少人間に似ているとはいえ、魔物だ。

額には角を隠し持ち、皮膚にはところどころ鱗があり、瞳も人間のものとは異なる。

……お前達から見ればさぞ恐ろしいはずだが」


幼女「……確かに、初めて見たときは怖かったよ」

側近「……」

幼女「でもね、今は魔王様と側近さんなら怖くないよ。だって全然魔物らしくないもん!」ニパッ

側近「……そうか(少し複雑だな)」

幼女「じゃあ、わたしも着換えてくるねー」パタパタ


側近「……」

側近「服は脱がずにそのままローブを被るんだぞ!?」


――――
――

側近「では、行って参ります」

魔王「ああ、いつも通り顔を見られぬよう気をつけてな」

幼女「魔王様、お土産楽しみにしててねー」ニコニコ

側近「幼女、遊びに行くわけではないんだぞ」

魔王「よい、側近。……ああ、お前も楽しんでくるのだぞ」ナデナデ

幼女「はーい。行ってきまーす」


ご飯食べに抜けます。
少しは書き込みに慣れてきたかな(笑)


戻りました、続けます。
ほのぼのな魔王様に需要があると信じながらッ……!

後今更ながら幼女に魔王さまと呼ばせるつもりが魔王様になってたのに気づいた……orz
これからは気をつけます。


側近「あ、まて幼女」ペコリ シュタタタ

魔王「……」ズキッ

魔王「しぶといな、兄上も……我も、早く自由になりたいものだ」

――――
――

幼女「ここから都までどれくらい?」

側近「普通に歩いて行くなら途方もなく時間がかかるだろうな」

幼女「えー」

側近「だが、曲がりなりとも私は魔族だ」ヒョイッ

幼女「?」


側近「これくらいの距離など造作もない」シュタタタタ

幼女「うわあ……」

側近「どうだ?」

幼女「すごいすごい! 周りの景色がびゅんびゅん変わってく!!」

側近「しっかり掴まっているんだぞ」

幼女「うんっ。……すごいんだね側近さん」

側近「……まあな」チョットウレシイ


――――
――



側近「着いたぞ」

幼女「ぷはっ……あっという間だったね~」

側近「そうか? ……帰りはもう少しゆっくり進むか」

幼女「うんっ」


ワイワイ ガヤガヤ

幼女「わあ……人もお店もいっぱい……」


側近「都だからな」

幼女「ねえ、あれはなに? これは?」

側近「少し落ち着け。時間はたっぷりあるからゆっくり回るぞ」

幼女「はーい」

側近「まずはお前の服から見るぞ」

幼女「服っ!」キョロキョロ


側近「どんな服が良い? あの店はやや派手目のものを取り扱っているし、この店の服は落ち着いたデザインが中心だ。

好きなものを選べ」

幼女「そうだなー、じゃあ、まずこのお店に入ろー」

側近「いや、私はi」

幼女「側近さんに、どれが1番似合うか見てほしいな」ニコニコ

側近「……はあ、仕方ないな」一緒ニ入ル


――――
――

店内

イラッシャイマ……ヒッ!?

側近(居心地が悪い……)

幼女「わあ、可愛い~。側近さん、これどうかな?」

側近「ん? あ、ああ良いんじゃないか」

幼女「じゃあこれとこれと一緒に試着してくるねー」タタタッ

見てるよ
ガンガレ

>>73ありがとうございます。

側近「……」

店員「」ヒソヒソ……ナニアレ……

側近「」ジロリ

店員「!」ギクッ

側近「……疲れるな」


幼女「側近さーん! どう? 似合う?」

側近「! ……ああ、よく似合っている」

幼女「本当? じゃあこれ買っていい?」

側近「ああ、勿論だ。他のも着てみるといい」

幼女「はーい」タタタッ


側近「……楽しそうで何よりだ」


――――
――

幼女「側近さんどうもありがとう」ホクホク

側近「礼には及ばん」

幼女「わたし、こんな綺麗なお洋服着たの初めてー」ヒラッ

側近「……そうか」

幼女「次は何を見るの?」

側近「生活に必要な日用品だな。食料は大量だから最後だ」


幼女「はーい……あ」

オトーサンアレカッテー ハハハショウガナイナー

幼女「……」ジーッ

側近「……」スッ

幼女「……?」キョトン

側近「こんな醜い魔物の手では、不満だろうが……ないよりはマシだろう」


幼女「!」パアアッ

側近「……もう少しお前の好きそうなものを見てみるか」

幼女「うんっ」ギュッ

――――
――

書物市場

幼女「ねえ、これは何て書いてあるの?」

側近「? お前、まさか字が読めないのか?」

幼女「うん……村では教えてくれる人がいなかったから」


側近「……店主、ここからここまで全部包んでくれ」

店主「へっ? あんた何言って」

側近「これで頼む。釣りはいらん」ジャラリ

店主「毎度ありっ! おいおめえらさっさとお包みしろ!!」ドタバタ


幼女「……側近さん?」

側近「……明日から文字の勉強をするぞ。それまでは表紙や挿絵を見て楽しみにしておけ」

幼女「……ありがとう。でも側近さん」

側近「だから、礼には及ばn」

幼女「こんなにたくさん、かさばっちゃうよ? いいの?」

側近「……私が持つから心配はいらん」


――――
――

幼女「大丈夫?」

側近「ああ。魔物の腕力は人間より遥かに強いからな……」ズシンズシン

幼女「早く走れるし、力持ちだし、側近さんてやっぱりすごいんだね!!」ニコッ

側近「……魔王様の方がずっとすごいぞ。これから共に生活していればわかる」

幼女「そうかなー」


側近「さあ、次の店で最後だな……」

幼女「あっ、側近さんちょっと待って!」

側近「ん?」

幼女「ほら、魔王さまへのお土産!!」

側近「……ああ。そうだったな」

幼女「わたし考えたんだけど、わたしたちがこうしてお外に出てる時、きっと魔王さまは寂しくしてると思うの……」


側近「……」

幼女「だからね、ここで魔王さまのお友達になれるような子を探したいな……」

側近「ほう、人間に馴れている小動物、小型魔獣を売っている店か……わかった、少し覗いてみよう」


イラッシャイマセー

側近「私はこういうものには疎い……幼女、お前が選ぶといい」

幼女「いいの?」


側近「と言いながら、既に気に入ったものを見つけたようだな」

中型魔鳥「」ジーッ

幼女「この子も良いんだけどね。こっちの子も可愛いんだ~」

愛玩用兎「」ジーッ

側近「……説明を読む限り、どちらも初心者に飼いやすいようだな」

幼女「そうなんだ」


側近「どうする?」

幼女「うーん……側近さんはどっちがいいと思う?」

側近「言っただろう。私はこういうものの良し悪しは知らん」

幼女「でも、わたしには選べないよ~」両手ブンブン

側近「む……」2匹ジロジロ

側近「……兎はどうだ。鳥なら飼わずとも周囲の森に掃いて捨てるほどいる。

それに我らの居城には広い庭があるから、兎の運動には最適だろう……あくまで私の意見だが」


幼女「そっか……じゃあ兎にするね。すいませんこの子くださーい♪」

<ヘイ毎度~

側近「お前……そんなにあっさり決めてしまって良かったのか」

幼女「うん。側近さんがそう言うんならそれでいいよ」ニコニコ

側近「……」

幼女「魔王さま喜んでくれるといいなー」


側近「……お前が、一生懸命魔王様のために考えたんだ。お喜びにならないはずがない」

幼女「もー違うよ。側近さんも考えてくれたでしょ~? それならもっと喜んでくれるね」クスクス

側近「む……そうなのだろうか」

幼女「そうだよ~。だからこの子は、わたしたち2人からのお土産」


――――
――

側近「……少々、長居し過ぎてしまったな」

幼女「たくさん買ったねー」兎ナデナデ

側近「待っていろ」ブツブツ……

幼女「?」

側近「転移魔法を使う。お前とこの大量の荷物は目立ち過ぎるからな」シュウウ……

幼女「……わかった」

側近「……ゆっくり行き来するのは、また次の機会だ。荷物が少なく、日が明るい時に」ナデナデ

幼女「うん……きっと魔王さまも心配してるしね」シュウウ……


――――
――

魔王城

魔王「」ソワソワ

側近「只今戻りました。遅くなってしまい申し訳ありません」シュウッ スタッ

幼女「ただいま、魔王さまっ……あうっ」シュウウ…… ペタンッ

魔王「! おお2人ともよく帰ってきたな。幼女、都は楽しかったか?」ナデナデ

幼女「うんっ」ニコニコ


魔王「そうかそうか、それは良かったな」

側近「すぐに夕飯の準備をいたしますので、どうか彼女とお待ちください」

幼女「あ、待って側近さんっ、わたしもお手伝いするよ」袖クイクイ

魔王「!? ま、待て。お前は初めての都行きで疲れておろう? 夕飯までゆっくり休め」

幼女「それは側近さんもおんなじでしょ~? ……あ、そうだこれ、わたしと側近さんから魔王さまにお土産っ」兎渡ス

魔王「おお、ありがとう……なんと愛らしい。まるで幼女のよう……いや、別に他意はないのだぞ?

あくまで幼女に似て小さくて目が離せないという……おや?」ポツン

幼女「側近さん待ってー」テテテッ

魔王「……」

魔王「……別に、悔しくはないぞ」


――――
――

夕飯時

幼女「それでね、むぐむぐ都は色んな建物がいっぱいあってねっ、はむっ、人もいっぱいいてねっ」モグモグ

魔王「こら幼女、物を口に含みながら話すでない」

幼女「あ、ごめんなさい……」ゴクン

側近「……急がすとも、話す時間も食べ物も逃げぬ」

幼女「だって、だってね、早く話さないとこの気持ちが伝わらないから……」アタフタ


側近(……魔王様)

魔王(ああ……)

側王((人間の子供は、皆このように愛らしいのだろうか……!?

それとも、幼女が特別なのか? わからん、わからんぞ……ッ))

幼女「? どうしたの2人とも、変なお顔ー」ケラケラ

側王「「(ハッ)……いや、何でもない」」キリッ


――――
――

幼女(魔王さまと側近さん。この2人と過ごす時間が増えるほど、わたしは2人がどんどん好きになっていった)

幼女(時々、もしかしたら2人は呪いで魔物に変えられた人間なんじゃないかって思うこともあった)

幼女(……でも、やっぱり違うんだよね)

幼女(2人を見ていれば、当然少なからず魔物らしい部分も目にする)

幼女(それでも……そんなところを含めた2人が好きなことに変わりはない)


ここまででやっと半分……じゃなくて三分の一くらいですかね←
幼女は魔王たちに育てられている以外はごく普通の女の子……のはずなんですが。
ちゃんとそうなってますかね?(笑)

さて、ちょっとここから次の展開(笑)へ突入する前に、いくつか彼らの日常風景の小話を挿んでおこうと思います。

とりあえず考えている小話は以下の通り。
・城での生活に慣れてきた幼女のお散歩、もとい探検。
・側近のお手伝いを頑張る幼女。
・幼女と戯れる魔王or側近(いかがわしい意味ではない←)
・魔王と兎。
・幼女と側近の勉強風景。
・幼女と風呂に入る魔王or側近(笑)←
・夜眠れなくて2人のどちらかの寝室へ行く幼女(勿論いかがわしい意味ではない)←
・3人の夜のお散歩。

いくつかおかしいのが混じってるけど気にしない←
これらすべてを書くかも知れないし、気が向いたものしか書かないかもしれません。
もしもこの中で読みたい小話があれば早い者勝ちで優先的に書かせていただきます。
なければ、作者がフリーダムに選んで書きます←


とりあえず今日の更新はここまでです。
おやすみなさい。

↑のリクエストはとりあえず朝7時で〆切にします。

おつおつ!
魔王さまと兎のやつがちょっと気になるな

探検と側近のお手伝いかな?


こんにちは。
少し遅くなりましたが再開します。

お二方、小話のリクエストありがとうございます!
正直なしも覚悟しておりましたが、ご希望をいただいた以上全力でこの3つを書かせていただきますので、しばらくお待ちください~。
それぞれ出来次第うpいたします。

小話「魔王と兎」

魔王(……幼女と側近の仲がやたらと良いのが気になる)

魔王(元はと言えば我が側近に連れて帰るように言ったのが始まりなのに……!)

魔王「……この何とも言えない気持ちをどうすればいいと思う? 兎」

兎「?」

魔王「……物言わぬお前に言っても一緒か」


魔王「お前は何も悩みがなさそうで良いな」ナデナデモフモフ

兎「」スピスピ

魔王「奴らのことや、封印している兄上のこと……我の前には問題が山積みだ」

兎「」モフモフ

魔王「……うむ。お前を見ていると幼女と共にいるようで癒される」ホクホク

兎「」ケージカジカジ

魔王「勿論、本物の幼女には敵わんがなっ」ドヤァ

兎「」イラッ


魔王「……さて、そろそろ運動の時間だな。さあ出てこい」ケージ開放

兎「」ノソノソ

魔王「やはり、こうして直に抱くのが1番良いな。フワフワして気持ちが良い」フワッ

兎「」ジタバタ

魔王「元気で何より。では外へ行くぞ」ザッザッ


魔王城外

魔王「今日も天気が良いな。絶好の散歩日和だろう」ナデナデ

兎「」ウトウト

魔王(城の入り口から門までの範囲に結界を……よし)ブツブツ

魔王「ほら、好きなだけ遊んで来い」ソッ……

兎「」ヨタヨタ

魔王「あまり慌てるなよー」


幼女「あ、魔王さま」

魔王「おお幼女。側近との勉強は終わったのか?」

幼女「うん。あのね、今日教えてもらった文字まででね、読めた本が1冊あったのー」ニコニコ

魔王「そうかそうか。良かったな」ナデナデ

幼女「今度魔王さまに読み聞かせしてあげるね~」

魔王「ありがとう。楽しみにしているぞ」

兎「」ポテポテ


幼女「あー、兎さん」抱キ上ゲ

魔王「幼女は兎が大好きなんだな」

幼女「だってふわふわしてて可愛いもん。はい、葉っぱあげるー」

兎「」モシャモシャ

魔王「幼女から葉を貰えて兎も嬉しそうだな」

幼女「えへへ、そうかな」モフモフ

魔王「この兎のお陰で、我もお前達がいなくても退屈しない」ナデナデ

幼女「それは選んだ甲斐があったねー」ニコッ


兎「」ウトウト

幼女「あれ? 兎さん、おねむ?」

魔物「満腹になって、おまけにこの天気だ……眠くなるのも頷ける」

兎「」スヤスヤ

幼女「そっかー……おやすみなさい兎さん」ナデナデ

<幼女ー!

幼女「あ、側近さんが呼んでるからもう行くね」


魔王「そうか……」

幼女「魔王さま、またあとでね~」タタタッ

魔王「あまり無理はするなよー……はあ」ストン

魔王「どれ、我も少し眠る……か……」フワァ……

魔王「……平和だ……な……」スウスウ

兎「」スピスピ


もうちょい早くチェックしてたらリクエストも間に合ったのに残念だ

エロをどうするか?ってコメントあったけど新キャラを考慮しなければ
・今の幼女とあれやこれや
・幼女が成長したので
・や ら な い か
上2つなら見たい気もするがラストはご勘弁願いたいw
でも正直この作風ならエロ抜きが一番かもね

>>108貴重なご意見をありがとうございます。
〆切は初投稿であったのと、あんまり募集期限を長くしてもだれてしまうかと思ったのでああなりました。
もし間に合われていたら、どの話選択されていたか知りたかったですね。

新キャラの考慮……そうですね、ぶっちゃけエロはなくても話を進めることはできるので、このままの方がいいかもしれませんね。
というか上2つならともかくやらないかの選択肢はなかったw


――――
――

<カア~カア~

魔王「……む、少々寝過ぎてしまったか」パチパチ

魔王「兎は……何時の間にあんな結界ギリギリの場所へ」

兎「」コロコロ

魔王「結界を解除して……兎、中へ入るぞ」ヒョイッ

兎「」ジタバタ

魔王「本当に元気だな……」


魔王の部屋

魔王「よし。お前も家に入れたな」ナデナデ

兎「」コテン

魔王「……」ピーン

魔王「夕食ができるまでの暇つぶしだ。兎に魔法をかけてみよう」

魔王(ほんの少しの間だけ、兎の言葉がわかるように……)ブツブツ

兎「……ア」

魔王「お」

兎「……疲レタ。オナカスイタ」

魔王「……おおお」キラキラ

絶対にBADにするなよ!絶対だぞ!

コメント貰ってた。ありがとうございます
リクエストですが正直特に拘りがないので作者任せってのが本音ですが
魔王が一人寂しそうなので「魔王と兎(もう出てますが)」か幼女と魔王(側近抜き)のやり取りですね
後はBADにならなければ何も言うことはありません
でもこれ現状だと絶対深夜向きの内容じゃないよね?ww


やっと書き込めると思ったらもうこんな時間……!

>>112はい、頑張ります。とは言っても結末はほぼ決まっているのですが(笑)
この先何が起ころうとも、どうか彼らの行く末を温かく見守ってやってください。

>>113わかりました。では他のリクエストを消化した後に幼女と魔王を書かせていただきますので、しばらくお待ちください。

まとめサイトなどをちょくちょく覗いていて、自分もssを投稿したくなったのでそういう系のサイトを探していたら、たまたまここに行きついたのでおっかなびっくり書き始めました。
このサイトにはちょっと合いませんかね?(笑)


兎「魔王。チョットウザイ」

魔王「え」

兎「幼女。好キ。魔王。ウットオシイ」

魔王「……」


食堂

幼女「魔王さま、遅いな~」

側近「先程呼びに行ったが、頑なに部屋に閉じこもっておられる。我らで先に食べておくようにとのことだ」


幼女「心配だな~。どこか具合が悪いのかな」

側近「……とりあえず、我らは食べよう。料理が冷めてしまう」

幼女「はーい」

側近(もしや、あれの封印に何かしら良くない変化が……?)


魔王「」ズーン

兎「?」モシャモシャ


終わり

小話「幼女の冒険in魔王城」

幼女(魔王さまのお城で生活するようになって、毎日が本当にあっという間)

幼女(でもお城の中は広いから、まだまだ知らないお部屋もたくさんある)

幼女「今日のお勉強は終わったし……ちょっと探検してみよう」ワクワク

最初のダンジョンが魔王城wwwwww


幼女「どこに行こうかなー」テクテク

ブォン! ブォン!!

幼女「!?」ビクッ

幼女「あ……もしかして」近クノ窓チラッ

側近「……」ブォン ブォン

幼女「やっぱり、側近さんが大剣で素振りしてるー」


側近「……」ブォン ブォン

幼女(すごいなー。丈夫にできてるお城が少し震えてるよ)

幼女(周りに結界を張っててもこれだもんね……)

側近「……」ブォン ブォン

幼女「……邪魔しないようにしよう」ヌキアシサシアシ


幼女「よーし。この部屋だ」

幼女「側近さん、あんまりお掃除のお手伝いさせてくれないからなー」

幼女「……ここはなんのお部屋かな」


幼女「プレートには……しょ、こ。書庫?」

幼女「えへへ、字が読めるって嬉しいな~。側近さんといっぱい勉強して良かった♪」

幼女「れっつごー」ギイイ……バタン


幼女「わあ……本棚にも壁にも本がいっぱい」

幼女「さすが書庫だねー」テクテク

幼女「んっと……魔法や魔術に関する本がほとんどみたいだね」ジー

幼女「どう違うのか、わたしにはわかんないや……」


幼女「んー。どれも難しそうだな~」パラパラ

幼女「……あれ? これって絵本かなー。表紙に動物の絵が描いてある」

幼女「……召喚、術?」

幼女「面白そう!」パアアッ


幼女「えーっと……むう、絵もあるけどやっぱりよくわかんないことばっかり」パラパラ

幼女「ん? ……最下級、妖精? この絵がそうなのかな」ペラッ スッ

幼女「可愛いー。えっと何々、この呪文を唱えて……?」ブツブツ

幼女「最後に、汝の血を、捧げるべし……?」

幼女「なんだか痛そうだな……あっ」ピ……ッ

幼女「あう、紙で切っちゃった……え?」ポタリ……パアアッ


妖精「……?」パタパタ


幼女「えっえっ、この子……」バッ

幼女「やっぱりこの絵の……召喚って、絵の動物を出すこと?」

妖精「」ジーッ

幼女「えっと……こんにちは」

妖精「」

妖精「」ニコッ

幼女「!」パアッ


幼女「わたし幼女っていうの! 妖精さん……わたしとお友達になってくれる?」

妖精「」スーッ

妖精「……♪」幼女ノ肩ニチョコン

幼女「! よろしくね、妖精さん!」ニコッ

妖精「」ニコニコパタパタ


幼女「召喚ってすごいな~。初めてのお友達ができちゃった♪」

幼女「妖精さん、これから一緒に探検しよう」トコトコ

妖精「」ニコーッ

幼女「本を戻して……と。次のお部屋は何があるかな~」

ギイイ……バタン

宝箱、魔王の書云々「」出番ナシ


幼女「次はここだね。えっと……物置部屋?」

幼女「何があるんだろー。妖精さん、行くよ」

妖精「」コク

幼女「れっつごー」

妖精「」オー

ギイイ……バタン


幼女「……本当に、色んなものがあるね」

妖精「」パタパタ

幼女「わあ、空っぽの宝箱が積んである! こっちにはお金がいっぱい……良いのかな?」

幼女「あ、お金の傍に書置きが……」

幼女「何々、ゴーレムは○○ゴールド、グリフォンは○○ゴールド……ガーゴイルは○○ゴールド」

幼女「倒される瞬間に経験値と一緒に床にばらまくこと? お金をそんな粗末に扱っちゃダメだよ~」プンプン


妖精「」クイクイ

幼女「どうしたの妖精さん……わあ、強そうな武器がいっぱい!」

幼女「これは……火薬注意、もしもの時以外は防火箱の術を解かないこと、だって」

幼女「この箱は薬関係か……回復薬、毒消し、強化薬、他にもいっぱいある」

幼女「……これ以上はあんまりいじらないでおこう。次行こう妖精さん」クルッ

妖精「」パタパタ

ギッ……バタン


幼女「次は……この階段を上って……」パタパタ

妖精「!」ブルブル

幼女「どうしたの? 妖精さん」ヨシヨシ

妖精「」ギュウウ

幼女「ああ、あっちはね……魔王さまが頑張ってる部屋だね」トコトコ

妖精「」ブルブル

幼女「魔王さまはね、とっても頑張ってるの……自分に結界を張って、封印を補強してるんだ」

妖精「」フルフル

幼女「大丈夫。魔王さまが頑張っているときはあまり近づくなって言われてるから、こっちには行かないよ」

妖精「」ピタッ

幼女「……落ち着いた?」

妖精「……」コク

幼女「じゃあ、行こうか」スタスタ


幼女「このお部屋は……宝物庫だ」

妖精「」パタパタ

幼女「側近さんにここのことを教わってから、どんな場所か気になってたんだ」ワクワク

幼女「れっつごー」ガチャッ

妖精「」スーッ

今日はこの辺で。
明日までにリク小話を消化しきれたらいいなーという願望(笑)

おやすみなさい。

こんにちは(こんばんは?)
かなり下がってしまいましたが続けます。


幼女「わあ……見てきた部屋の中で1番明るい」パチクリ

妖精「」パタパタ

幼女「宝石って、目の前で見るとこんなにキラキラしてるんだ」キラキラ

幼女「この真っ白い玉も綺麗……」ツルン

幼女「宝箱もたくさんあるけど、こっちは空っぽのがないなー」

妖精「!」ピクッ

幼女「……妖精さん、どうしたの?」


妖精「」ジーッ

幼女「その宝箱……他のと違って鎖でぐるぐる巻きにされてるね」

謎の宝箱「」シーン

幼女「……何が入ってるのかな」ウズウズ

幼女「ちょっとだけ、開けてみてもいいよね」ソーッ

謎箱「」


幼女「んー……この鎖外れないな~」ガチャガチャ

妖精「」グイグイ

幼女「よっぽど大事なものなのかな……」ガチャガチャ

謎箱「……ァ」

幼女「……え? いまこの箱何か言っt」

謎箱「いやああああああだぁれかあああああああーーーーーー!!!!!!」キイイイイーーン

幼女、妖精「「!?」」


謎箱「だれかきてええええええ!!! アタシあけられちゃうっあけられちゃうのおおおおおおお!!!!!」キンキン

幼女、妖精「」耳フサグ

謎箱「ダメなのにっこれは魔王さましかあけちゃダメなのにっ!!!!!! あーん魔王さまたすけてええええ!!!!!!!」※野太イ声ダヨ

幼女「ふえ……どうしよう、このままだと見つかっちゃう……」フラフラ

妖精「」クイクイ

幼女「妖精さん……うん、とりあえず部屋から出よう」ガチャリ……バタン

謎箱「……ふふん、ざまあみなさい」


――――
――

幼女「はあ、はあ……びっくりした」

妖精「」ペタン

幼女「でも、これでばれちゃったよね……うう、お仕置き決定か~……」ショボン

妖精「」オロオロ

幼女「せめてお仕置きするのは魔王さまでありますように……そういえば慌てて中に入っちゃったけど、この部屋は何だろう」キョロキョロ


妖精「!」ピタリ

幼女「ものは何もないけど、床に何か書かれてる……これって、血……?」

妖精「」ガクガク

幼女「妖精さん?」

――「……誰だ」

幼女「へ?」

見てるからね

>>141ありがとうございます!


――「人間の餓鬼か……? ゴミのような下級妖精をつれているな」

幼女(誰……? どこから声が……)ガタガタ

――「! ……そうか、愚弟どもの愛玩用というわけか」クックッ

幼女(何……なんか、こわい……)ゾワゾワ

――「どれ……ちょっとこっちに来い。少し可愛がってやる」

幼女「や、やだ……助けて側近さんっ! 魔王さま!!」ポロポロ

側近「幼女! ここにいるのか!?」バタンッ


幼女「ッ! そ……側近さん……うわあああああん!」ギュッ

側近「お前……何故この部屋にいる!? 早く出るぞ!」ヒョイッ ガチャッ

魔王「側近! 幼女はそこにいるのか!?」バタバタ

側近「はい、おりました!」バタンッ

幼女「グスッ……魔王、さま……」グスグス

魔王「この馬鹿者ッ! 勝手に城内をうろうろするんじゃない!! 只の人間にとって危険極まりない部屋もあるのだぞ!?」

幼女「ひいっ! ご、ごめんなさい……ごめんなさい……!!」ビクビク

側近「魔王さま、その辺で……幼女が怯えております」

魔王「ッ!……まあ、お前が無事でよかった」ナデナデ


幼女「魔王さま……心配掛けてごめんなさい……」グス……

側近「全くだ……後で尻叩きの刑だからな……覚悟しておけ」ジロリ

幼女「ひうっ!」ビクッ

妖精「」パタタ……

魔王「!? 何故妖精がここに……」

幼女「あ……紹介するね、わたしのお友達の妖精さん」

妖精「」空中クルンッ


側王「「なッ……!?」」

幼女「?」コテン

側近「お前……まさか書庫へも入ったのか!?」

幼女「う、うん……そこで動物の絵が描いてある本を読んだの……」

魔王「そ、それで……この妖精があるページを見たか!?」

幼女「うん。書いてある呪文? を読んだ後に……紙で指を切っちゃったら、この子が目の前にいたの」

側王「」


側近(魔王様……)ヒソヒソ

魔王(ああ……)ヒソヒソ

側近(これは思いがけない発見……でしょうね)

魔王(まさか、幼女が偶然が重なったとはいえ、小妖精を召喚するとはな……)

側近(ええ、大変驚くべきことです……とんでもない逸材だと思います)

幼女、妖精「?」


側近「……行くぞ。一刻も早くここから離れねば」スタスタ

幼女「うん……」ヒシッ

――「……情けない奴らだ」ククク

魔王「……」ギロリ

魔王「うむ、行こう。もう夕食の時間だしな」クルッ スタスタスタ

――「……」


――――
――

幼女(あの後、わたしは魔王さまと側近さんからこっぴどく叱られ、側近さんからお尻を何十回も叩かれた)

幼女(たくさん泣いちゃったけど、悪いのはわたしだから仕方ないよね……)

幼女(2人を、たくさんたくさん心配させてしまった。その分、ちゃんと反省しなくちゃ)

幼女(でも……妖精さんを取り上げられてしまったのは悲しかった)

幼女(元いた場所に帰すだけだって魔王さまは言ってたけど……)

幼女(……また、いつか会えるといいな)

幼女「……きっと会えるよね?」

終わり

小話2が予想以上に長くなってしまった……。


小話「幼女、側近の手伝いをする之巻」

側近「……幼女、本当に大丈夫か?」

幼女「うんっ、まかせて!」ブンッ

側近「危ないから箒を振り回すな。……では、この部屋の床を掃いた後、雑巾できっちり拭くんだぞ」

幼女「はいっ」ピシッ


幼女「」ザッザッ

側近「……」ジーッ

幼女「んしょ……んしょ……」ガタガタ

側近(……任せても大丈夫そうだな)スッ……パタン

幼女「♪~」クズ入レニポイ

――――
――

幼女「あとはここを拭いて……」キュッキュッ

幼女「……おわったーっ」ピカーッ

幼女「ふう……」ストン

小話2がそれなりに長かったから>>148の「終わり」を見て
「え?いきなり完結!?」と番外なのを忘れて素で驚きましたwww
マスコット的な意味でも妖精はレギュラー入りして欲しかったかも?

>>151あ、すいません! 紛らわしかったですよね(笑)
妖精はとりあえず一時退場させました。でも、そう言っていただけて嬉しいです。
一応、後から再登場する予定はありますよ~。


幼女「側近さん、いつもこれを1人でやってるんだよね……」

幼女「お料理もとってもおいしいし……。すごいなあ」

幼女「よし、お水を流して側近さんに報告に行こっと!」ヨッコイショ

――――
――

幼女「側近さーん、あのお部屋のお掃除終わったよ~」トテトテ

幼女「どこにいるのかな~……」キョロキョロ

幼女「……あ。このお部屋の扉がちょっと開いてる」


幼女「側近さん、お掃除終わっt」ガチャッ

側近「……」バババババ

幼女「」

側近「……」 一 心 不 乱

幼女「す、すごい……まるで手が何本もあるみたい」パチクリ

側近「……」ゴゴゴゴゴ

幼女「……今は邪魔しちゃいけないかも。廊下で待っていよう」テテテテッ


――――
――

側近「……ああ幼女。いたのか」ガチャ

幼女「側近さん、お疲れ様」ニコッ

側近「その様子だと、あの部屋の掃除は無事に終わったようだな。御苦労」ナデナデ

幼女「えへへ~」テレッ

側近「お前はこれからどうする?」ガシャガシャ

幼女「勿論、まだお手伝いするっ」グッ

側近「……生憎、掃除は残り一部屋で終わりだが?」

幼女「へ? あんなにたくさんあるお部屋をもうやっちゃったの?」

側近「ああ」

幼女「……」ボーゼン


側近「……最後の部屋は特別広い」

側近「ともにやるか、幼女」スッ

幼女「! やるっ」パアッ

――――
――

謁見の間

幼女「ここって……」

側近「ああ。魔王である者の本来の定位置、といったところだ」ザッザッ

幼女「ほえ~……」

側近「……そのガーゴイルの像に迂闊に触るなよ。目から殺人光線が出るからな」

幼女「ひえっ!?」バッ

側近「……冗談だ」

幼女「……もうっ、びっくりしたよ」プクーッ


側近「それは悪かったな。では、幼女はそちら側からやってくれるか」

幼女「はーい」

――――
――

幼女「……よし、終わった」フゥ……

幼女(側近さんは……あ)

側近「……」キュッキュッ

幼女(玉座を丁寧に磨いてる……)


側近「……幼女。終わったのか」キュッキュッ

幼女「! あ、うん終わったよ」

側近「なら後はゆっくりしているといい。残りはこの玉座だけだからな」キュッキュッ

幼女「うん」

幼女「……」ジーッ

側近「……何か言いたいことがあるようだな」キュッキュッ

幼女「んー……他の場所と比べると、特に丁寧にやってるなって思って」

側近「……それは認める。ここはいつか来る運命の日まで、一点の汚れがあることも許されないからな」キュッキュッ

幼女「運命の日って……勇者様が、魔王さまを倒しに来る日のこと?」


側近「……そうとも言えるな。それがあの御方の望みだ」キュッキュッ

幼女「わたしは、その時どうなるのかな……」

側近「運命の日が何時になるかわからぬ以上、それも知りようがないな」キュッキュッ

幼女「……わたしね、実はいつまでもその日が来なければいいなって思ってるの」

側近「……」キュッキュッ

幼女「こうして側近さんのお手伝いをしたり、魔王さまとお話したりする楽しい生活が……ずっと続けばいいのにって思う」

側近「……何事にも、必ず終わりは来る」キュッ……

幼女「……」

側近「我らはそれまで、精一杯毎日を生きるだけだ」ザッザッ

今日はここまで。
結局小話終わらなかった遅筆の馬鹿野郎……!
明日こそは、明日こそは次の展開までいけるよう願います……っ。

おやすみなさい。

みんな可愛いくてキュンキュンする

乙です
遅筆と言ってもこれだけ進んでたら言うほど遅くないような?
寝る時間も削り取れる時間全てを使った結果なら同意しますが……
日付またいだとこで「明日こそ」だと今日なのか明日なのか悩むとこだなw

>>161計画通り(笑)←

>>162自分の中では既に完結後の妄想までいっているので……脳内と現実の進み具合に大きく差が出ているという意味でこう表現しました。
今は体のリズムを整えるために早寝(と言っても深夜ですが)早起きを心がけているので、その分微妙に進みが遅く……。

あ、それも紛らわしかったですね。今度からは「次回」にします(笑)

てなわけで、また少しずつ続けます。


幼女「……ねえ、側近さん」トコトコ

側近「なんだ」

幼女「……怒ってる? わたしがあんなこといったから……」オズオズ

側近「……いいや」

側近(むしろ驚いているよ。お前の考えに同意しかけた自分に)

側近「……もう昼か。すぐに食事の支度をしなければな」

幼女「じゃあ、今度はお料理のお手伝いをするよ~」ニコーッ


側近「……大丈夫なのか? 掃除とはまたわけが違うのだぞ」

幼女「だいじょーぶっ! 側近さんに教えてもらえばいいもん」

側近「……仕方ないな。怪我には十分注意するのだぞ?」

幼女「はーい」ニコニコ

――――
――

昼食時

魔王「……側近よ」

側近「はい。魔王様」

魔王「テーブルの上に幾つか、見慣れぬ黒い物体があるのだが」

側近「気のせいでしょう。もしくは封印に根を詰め過ぎて幻覚をご覧になっているのでは」

魔王「……」


幼女「魔王さま……あのね、それわたしが作ったの」

魔王「えっ」

側近「幼女が私を手伝いたいと申したので、一部の料理を任せました」

魔王「そうだったのか……」

幼女「やっぱり……食べたくないよね、こんなの」シュン

魔王「なあにを言っておるのだ幼女よ! 幼女が我のために一生懸命作ってくれた料理を食べたくないわけがなかろう!!」

幼女「ほんとっ?」パアアッ

側近「では魔王様、お先にどうぞ」スッ

魔王「えっ」

側近「自信作だそうです」

魔王「……」


幼女「……」ウルッ

魔王「よおおおおおしでは遠慮なくいただくとするかな!!!!」モグモグ

側近「……」ジーッ

幼女「……どう?」ワクワク

魔王「……う、うむ。とても個性的な味だと思うぞ」ゴクン

幼女「そっかあ……」ホッ

側近「幼女、冷めるから私達もそろそろ食べるぞ」

幼女「うんっ、いただきます」モグモグ


魔王「……」モグ……モグ……

側近「……食が進みませんか、魔王様」

魔王「い、いや……そんなわけでは」ガツガツ

魔王(側近……涼しい顔であの料理を……! さては味見で舌が麻痺したな!!)

幼女「んー……やっぱり側近さんの味には遠いなー」パクッ

側近「これから頑張って覚えていけばいい。初めてにしては悪くないぞ」モグモグ

魔王(良く言う……ん?)

幼女「もっともっと頑張らなきゃねー」パクパク

魔王(幼女の手……傷だらけではないか……!)


側近「ああ、お気づきになりましたか。怪我には注意しろと口を酸っぱくして言ったんですが……結局この有様ですよ」ハァ

幼女「ごめんなさい……」

魔王「ま、まあ最初だからな。そんなに気に病むこともあるまい」ナデナデ

幼女「魔王さま……わたし、もっと頑張っておいしいもの作るからねっ!」

魔王「ああ、楽しみにしているぞ」


――――
――

幼女「次は食器洗いだねっ」

側近「……では、私が洗い終わった皿を拭いてくれ」ジャー

幼女「わかった。……ねえ、側近さん」フキフキ

側近「なんだ」ゴシゴシ

幼女「わたしは側近さんと魔王さまのお役に立ててるかな?」フキフキ

側近「……」


幼女「2人はわたしのお願いを聞いてくれたんだから、わたしもそれに合ったことをしたいの」フキフキ

側近「……その際の我らの望みが、結果的にお前の願いを壊してしまうことは理解してるか?」バシャッ

幼女「……」

側近「その点に関して言えば、現状ではお前が役に立てているところはほぼないと言っていい」

幼女「……!」ビクッ

側近「だが……少なくとも、私も魔王様もお前が不要であると考えたことはない」ジャー

幼女「側近、さん……」ジワッ


側近「……泣いていたら食器がぼやけて見えなくなるだろう」ゴシ……

幼女「あう、ごめんなさい」アタフタ

側近「この皿で最後だな……」キュッ

幼女「……」スッ

側近「ほら、最後まで頼んだぞ」ポン

幼女「……うん」キュッキュッ


――――
――

幼女(その後、お洗濯も残っていたけど、それだけは何を言ってもさせてもらえなかった)

幼女(いつも側近さんと魔王さまで分担してやっているらしい)

幼女(……わたしにも、いつかさせてもらえる日が来るのだろうか)

幼女(とりあえず、次は夕ご飯の時に頑張ろう)


――――
――

魔王「……流石に、この我の血のついた布の山はまだ幼女には洗わせられないな」ゲッソリ

側近「魔王様、お顔の色が優れませんね。何か悪いものでもお食べになりましたか?」ゴシゴシ

魔王「知っておるくせに……」

側近「あれを完食などという無茶をされるからですよ」

魔王「幼女のあの手を見ておいて、料理を無碍などできまいよ。お前も結構食べていたではないか」

側近「……そうですね。否定はしません」

魔王「あれはきっとこれから上達するな。あんな手になってまで頑張っていたのだから」ウンウン

側近「ええ……私もその日が楽しみです」


小話「幼女、側近の手伝いをする之巻」終わり

なんとかリクエスト小話が残り1つというところまで来ました。
悩みに悩んだ結果、このまま次に続けようかと思います。
今までの小話で出したいところはほぼすべて出せましたしね(笑)

てなわけで、今回の更新はここまでです。
おやすみなさい。

梅好きなんですか?
おやすみなさい!

やばいこれはいいスレを見つけた

>>176大好きです! 桜以上に(笑)
毎年時期になると地元にある梅の名所に写メを撮りに行くほど好きですね。
特に紅梅は素晴らs(いい加減黙れ)

>>177そう言っていただけて嬉しいです。
皆さまの温かいお言葉が更新の活力になります!

更新早いね
楽しく読ませてもらってるけど、無理しないでね

>>179お気遣いありがとうございます。
熱しやすく冷めやすい質なので、やる気がなくならないうちにどんどん更新したいと思うのが本音です。
それに加えて今は初めてのPCでの投稿でハイになっている状態です←
それでもマイペースには変わりありませんがね(笑)

とりあえず更新再開です。


小話「魔王と幼女」


幼女(お勉強が終わった後のお散歩って楽しいな~。とってもいい天気だし……)トコトコ

幼女(……あ。魔王さまだ)

魔王「ああ幼女。良い天気だな」ポカポカ

幼女「そうだね、魔王さま。魔王さまは日向ぼっこに?」」ニコッ

魔王「ああ、あまりにも気持ちが良かったのでな……これなら洗濯物も早く乾きそうだな……」

幼女「ねえ魔王さま、わたしもお洗濯のお手伝いしたいんだけど……」

魔王「ぐ、それは……」


幼女「なんでダメなの? 3人でやればもっと早く終わるよ?」

魔王「ぐ……お、おおそうだ。お前の身長では洗濯物を干す時に手が届かぬからだ」ポンッ

幼女「手が……?」

魔王「ああ。幼女だって洗濯をするなら干すところまでやってみたいだろう?」

魔王「我らが竿に届くように抱いてやっても良いが、そうすれば時間がかかってしまうしな」

幼女「むう……それもそうだね」

魔王(なんとか誤魔化せたか)ホッ

魔王「だから、今よりももう少し幼女の背が伸びたら、洗濯をちゃんと教えよう。それで良いか?」

幼女「……わかった。約束だからねっ」スッ

魔王「うむ。約束だ」スッ

幼王「「ゆーびきーりげーんまーん」」


幼王「うーそつーいたーらやーりせーんぼーんのーーますっ」

幼王「ゆーびきーったっ!」パッ

魔王「……幼女」膝ポンポン

幼女「! ……えへへ」ヨイショ

――――
――

幼女「そういえば魔王さま。ずっと前から気になってたんだけどね」ジーッ

魔王「なんだ?」ナデナデ

幼女「……どうして魔王さまも側近さんも笑わないの?」

幼王……?

>>184すいません、幼女と魔王という意味です……。

>>385
わかりますけど……
わかりますけど……wwwwwww


魔王「……何故そのようなことを?」ピタリ

幼女「えっと……もしかしたらわたしが原因なんじゃないかと思って」オロオロ

魔王「いいや。そのようなことはないぞ。我のこの顔も側近の顔も、別に幼女のせいではない」

幼女「ほんと?」

魔王「ああ……。我らは昔から、あまり心から嬉しい、楽しいと感じたことがないのだ」

幼女「え……」


魔王「魔王の子供としての過酷な日々……その中で果たして、本当にそのような感情が芽生えていたのかどうかさえも疑わしい」

幼女「……」

魔王「お陰で2人揃ってこんな顔だ……だが、今ならなんとなく理解することができる」スッ

幼女「……?」キョトン

魔王「……幼女といると、心の奥から温かいものを感じるのだ。しかも不快ではなく、むしろ心地良い」


幼女「!」

魔王「特にお前が幸せそうに笑っているのを見ると、それこそ今の天気のように心が弾む」

幼女「……」ジンワリ

魔王「幼女、もし嫌でなければ……これからも、我らの分まで笑っていてくれないか?」

幼女「魔王さま……」

魔王「お前の笑顔を見ていれば、もしかしたら何時の日か……この魔物の顔にその笑顔が移るかも知れぬ」

幼女「……うん、わかった」

幼女「その代わり、いつか絶対笑ってね? わたし、いつもの魔王さまと側近さんのお顔も嫌いじゃないけど……」

幼女「2人の笑顔は、もっと素敵だと思うからっ」ニパッ

かわええss発見!
完結まで投げ出さず頑張って~

>>184-185
まあ逆にして「魔女」よりは判りやすい気がするw


魔王「!」パチクリ

魔王「……ああ。わかった」ギュッ

幼女「えへへ、魔王さまあったかい……」スリスリ

魔王(幼女、願わくば笑顔と共に……我らの分までその身に幸多からんことを)

――――
――

側近「……おや、珍しいですね」

魔王「おお側近。今日向ぼっこから戻ったぞ」

幼女「」スゥスゥ

魔王「ずっと我の膝の上で話していたら、幼女がウトウトしてきてな……何時の間にかこうなったのだ」


側近「……そうですか」

魔王「なんだ。面白くなさそうだな」

側近「……面白いも何も、私は特に何も感じてはおりませぬが」

魔王「そうか?」

側近「……」

魔王「ああ、そういえばな、幼女から顔のことを訊かれたよ」

側近「顔?」

魔王「我らが何故……笑わぬのかを、な」

側近「……」


魔王「確かに我の顔は普段からあまり変わらぬが……側近」

魔王「お前、心なしか幼女といる時は……僅かに表情が柔らかくなっておるように見えるぞ」

側近「……それを仰るならば魔王様こそ」

側近「幼女を抱いているせいか……お顔が実にだらしなく緩んでおります」

魔王「!? な、何……そんなことはn」ペタペタ

側近「冗談です。いつもとあまり変わりません。と言っても常にだらしないお顔ですが」

魔王「何なのだ側近よ、今日はやけに刺々しいではないか……」アタフタ

側近「気のせいです」シレッ


魔王(側近の言っておることが真実かどうかは定かではない)

魔王(……いや、真実であればそれはそれで情けないが)

魔王(だが、恐らくこれだけは真であろう)

魔王「我も側近も……幼女の存在に救われているということだけは」

幼女「……むにゃ、魔王……さま……側近さん……」ムニャムニャ


小話「魔王と幼女」終わり

これにて、小話はすべて描き終わりました。
執筆中のコメント、大変心に沁みました。本当にありがとうございます。

さて、次の話を書き上げたら新章……のようなものに突入しますが、実はそっちはほのぼのとシリアスの割合が恐らくひっくり返ります←
そして所謂深夜向けと言うべきか、そっち系の表現も入ってくる予定です。
その場合は、このスレッドに続けて書いていいものか、新しくスレ立てするべきか……正直悩み中です。
もしよろしければ、ご意見をお願いします。

乙っす
軽く読めるほのぼのコメディに魅力を感じてただけにシリアス増量は正直ちょっと警戒しますね

スレをどうするか?は外伝とか別キャラメインにならない(別展開でも後に今の話に繋がる)なら
スレを分けるのはよくない(荒らされる元になりやすい)と思いますよ

偉そうにあれこれ言っても個人的には作風変わるなら別スレがありがたいってのが本音ですけどねww
でも分けたらこっちがエタって自然消滅って恐れも出るのか……

>>197ご意見ありがとうございます。
シリアスが増えるといっても、内容量が恐らくこちらの方が長くなるという理由もあって、そういう意味でも書きました。
この告知を書くのは少し怖かったのですが、次に入ってからいきなりシリアスを増やして皆さんを戸惑わせてしまうよりは、一度この辺でお知らせしておいた方が良いかもしれないと思いました。
勿論、次に入ってから最初はほのぼので、後で少しずつシリアスを入れていくので、どう感じられるかは皆さん次第ということになりますが……。

メインは変わりませんがぶっちゃけ新キャラが増えますね。
次を書く時も、一応注意書きは入れる予定です。

エタるという意味はよくわかりませんが、とりあえずもう少し意見を聞いてみてから考えます。


ここから再び本編です。

――――
――

幼女(色々なことがあったけど、魔王さまと側近さんの家族になってもう1年になるのか……)ハーッ

幼女(寒さはまだ残ってる。でも、植物も少しずつ生え出してるから春はもうすぐだね)グッ

側近「幼女、そちらの掃除は終わったか?」ガチャ

幼女「うん。終わったよー」サスサス

側近「……こんなに手を赤くして。痛くはないか?」ハーッ

幼女「だいじょうぶっ。じゃあ側近さん、最後のお部屋に行こう」テクテク

側近「ああ……」

――――
――

謁見の間

側近「」キュッキュッ

幼女「……」ジーッ


側近「……手」

幼女「?」

側近「本当に大丈夫なのか? 幼いうちから手がそうなっているのは……我らは平気だから、この時期くらいは休んで良いのだぞ」キュッキュッ

幼女「平気だよ~」ハーッ

側近「……」キュッ

幼女「……側近さん?」

側近「……我らが出会わなければ、もしくはお前が我らの頼みを断っていたなら……お前は今頃どうなっていたのだろうな」ジッ

幼女「! ど、どうしたのいきなり……」フルフル

今回はここまでにします。
もうじき物語も折り返し、最後まで書き続けられたらいいな……。

先程の書き込みで、戸惑われたら本当にすいません。

おやすみなさい。

こんにちは。
ゆるゆると更新再開です。


側近「幼女。お前は今……幸せか?」

幼女「? うん」

側近「ここに来る前よりか?」

幼女「もちろんそうだよ! ……一体どうしたの側近さん」コテン

側近「……いや、何でもない。行くぞ」ザッザッ

幼女「?」テテテッ


――――
――

夕食時

幼女「~♪」ハフハフ モグモグ

側近「……魔王様。いかがなさいますか」

魔王「そうだな……一応彼女の耳に入れておいた方が良いだろう」

側近「では……幼女」

幼女「むぐっ……なあに側近さん」コトン

側近「実はな、これをお前に言うべきか魔王様と考えていたのだが……」

幼女「?」

側近「……お前が元々いた村が今、酷い飢饉に陥っている」

幼女「!? そ、それって本当? でもなんで側近さんわたしの村を……」ガタンッ


魔王「幼女がこの城に住み始めて間もない頃に、我が側近に命じて密かにお前の村の事を調べさせたのだ」

側近「微かにお前から嗅ぎ取った匂いから、この城周辺で同じような匂いの村を突き止めた」

幼女「」アゼン

魔王「何、年端もいかぬお前にこのような非道なことをする輩がどんな人間か、少し興味が湧いただけだ。他意はない」

側近「最初の印象は、食料の備蓄に不安の残る何の変哲もない村だった」

魔王「もしも、お前にあの村への恨みがあるのなら……こんなことは言いたくないが、村への報復の手助けになると思ったのだ」

幼女「……」ギュウ


側近「その後も何度か、あの村の事を調べていくうちに……今の現状を知った」

魔王「幼女にとって、余計なことであったならすまない。
   だが……先程は興味があっただけだと言ったが、本当は家族となったお前を傷つけた輩を許せなかった我の自己満足だったのかもしれぬ」

幼女「……」

側近「幼女」

幼女「!」ビクッ


側近「お前はこれを聞いてどう思った?」ジッ

幼女「どうって……わかんないよ」

魔王「……お前がこの話を聞いて、どのような答えを出すかは自由だ。このまま何もせず、村の壊滅を待つのも……更に追い打ちをかけるのも」

側近「例えお前が村に何をしようとも……我らは全力でそれを補助をするつもりだ」

幼女「……ごちそうさま」ギイッ バタン

側近「魔王様」

魔王「……今は見守ろう。後は彼女次第だ」

こんにちは。
昨日は更新の途中でまさかの寝落ちとか……orz

こんなグダグダな状態で見てくださっている方がいるかはわかりませんが、今日もぼちぼち更新します。

超亀だけど、魔王と幼女2人同時の発言は、魔幼とか魔・幼で良いんじゃないかなぁ?
あとエタるはエターナル、永遠に終わらない、未完で終わる事ですよ


――――
――

幼女の部屋

幼女(あの村……今、大変なんだ)

幼女(……わたしが倉庫で盗み食いしたせいかな)

幼女(……)


『みなしご』

『きたねえなー』


幼女「……!」ブンブン

側近は魔王弟だっけ?

>>210おお、その手がありましたね! なんで思いつかなかったんだろう……。
なるほど、そのような意味があったのですね。
ご丁寧にありがとうございます。

>>212はい。


――――
――

魔王『お前がこの話を聞いて、どのような答えを出すかは自由だ』

側近『例えお前が村に何をしようとも……我らは全力でそれを補助をするつもりだ』


幼女(……わたし、は)ギュッ


――――
――

翌朝

チュン チュン

幼女「……もう朝か」ゲッソリ


側近「幼女。起きているか?」コンコン

幼女「! ……起きてるよ、側近さん」

ガチャリ

側近「おはよう……っ、お前、まさかずっと起きていたのか?」

幼女「うん……でも、これくらいだいじょうぶだよ~」

側近「そんなわけはないだろう! 子供は夜適度に寝なければ体を壊す」ギュッ

幼女「あはは……心配かけてごめんね」ニコ……

側近「……一晩中夕食の時の事を考えていたのか」

幼女「……」


側近「やはり話さぬ方が良かったか」

幼女「……んーん。そんなことないよ」

側近「あの後、魔王様と心配していた……お前の昔の苦しみが蘇るのではないかと」

幼女「確かに嫌なことは思い出したけど……もうだいじょうぶ」

側近「! では」

幼女「とりあえずお腹空いちゃったから行こう」フラフラ

側近「こら、あまり無理はするな」ヒョイ

幼女「ふにゅ……ありがと」ヒシッ


――――
――

側近「魔王様。幼女を連れてきました」ガチャ

魔王「おおご苦労。いつもの時間に来ないから心配しt……どうした幼女目の下に酷い隈が出ておるぞおおおお!!」ガタン

幼女「おはよう魔王さま……だいじょうぶ、ちょっと寝てないだけだから」

魔王「十分大問題ではないかあああああ!」

側近「魔王様……朝から五月蠅いです」


魔王「うう、すまん……幼女、やはり昨日の夕飯時の事か」

幼女「……」コクリ

魔王「その様子だと、余程辛い思い出を掘り返してしまったようだな……」

幼女「ううん、本当にだいじょうぶ……確かにあの頃は嫌なことばっかりだったけど」

魔王「……」

幼女「今は、魔王さまと側近さんと一緒にいられてとっても幸せだよ!」ニコッ

魔王「幼女……」

側近「……幼女。我らは何があっても……お前の味方だからな」ナデナデ

幼女「……うん」


魔王「で、では、そろそろ朝食にするか」カチャリ

幼女「うん」ガタン

側近「では、これを食べて……今日も1日しっかり生きるぞ」カタン

――――
――

幼女「ごちそうさまでした。やっぱり側近さんのご飯はおいしいなー」

側近「……」

魔王「……うむ、そうだな。では我は部屋に戻ろう」バタン

側近「……幼女」

幼女「側近さん。お片づけが終わったら……お外に行きたいんだけど」

側近「! ……ああ、わかった」


――――
――

幼女のいた村

村人1「村長……これでは次の収穫まで持ちません」

村長「む……どうしたものか」

村人2「これ程の不作は初めてですからね……」

子供1「うう、お腹空いたよう……」

村人3「……まさか、あいつの崇りじゃねえだろうな」

ザワッ……

村人1「お、おい、滅多なことを言うもんじゃねえ!!」

村人4「……そういえば、あの子を森へ捨ててから急に作物の育ちが悪くなったような」

村人2「だから黙れって!!」


村人3「……ああ、そういやあんたらがあの子を捨てに行ったんだったね」

村人5「怖いんだ。あの子の亡霊がいつ自分を呪い殺しに行くか」

村人1、2「「だ、黙れぇ!!!!」」

村人1「大体あれは村中で決めたことだろうが! だれがやろうが一緒だ!!」

村人2「そのうち残りの食料もあいつが化けた鼠にでも食い尽くされるだろうよ!!」

村長「皆やめんか! 過去の事を今更蒸し返してもどうにもならんじゃろう」

村人4「そう言う村長も……あの子を捨てることにかなり乗り気でしたよね」

村長「ッ、そ、それは……」


子供2「……ねえ、村の入り口から誰かが入ってきたよ」

村人3「何……ッうわぁ! 何だあいつは!!」

村人2「ちっこいのとでかいの……ローブでどっちも顔が見えねえが……あんなでかい奴見た事ねえ」ゴクリ

子供1「おっきな荷物だね~。食べ物だといいなあ……」グゥ……

村長「何を言っているんじゃ! とにかく出て行ってもらわんと……」

ローブ(小)「……」

ローブ(大)「……」

村人6「おいあんたら、悪いがこの村は今大変なんだ。泊まるなら別の所を当たって……」

ローブ(小)「」スッ

『……ッッッ!?』

村長「そ、そんな……お前は……」


ローブ(幼女)「……」

村人4「う、嘘でしょ……」ガタガタ

村人2「ひいいい……」ガタガタ

村人1「お前、なんで……そ、そうか、後ろのでかい奴に助けてもらったのか」

幼女「……」

村人1「お、お前みたいな薄汚い餓鬼がどうやって取り入ったのか……」

ローブ(大)「」ジロリ

村人1「――ッ!」ゾクッ

子供3「みなしご……なんだか前より太ってるね」ボーゼン

村長「よ、幼女……お前、よく生きてたなあ」ブルブル


幼女「……」

村長「あ、あれから後悔しておったんじゃ……まだと、年端もいかぬお前を……た、たった1回、の過ちで捨てたことを……」ガクガク

幼女「……」

村長「ゆ、許してくれ……この通りだ……わしらは今、きっとその罰を受けておるんじゃ……」ガタガタ

幼女「……」スッ

ローブ(大)「」ドサッ

村人1「う、うわ、うわああああああああっっ!!!!」ブルブル

村人2「ゆ、許して、許してくれえええええ!!!!」ガクガク

今回の更新は以上です。
次回は多分新章にいけるかと……。

おやすみなさい。


続きはよはよ

乙っす

おつ
ローブ大が村長を殺したってことでいいのか?

こんにちは。
今日もマイペースに続けます。

>>229しまった、書き方が悪かったですね。

ローブ大は何かを落とした(降ろした)
急な行動に村人は驚いた

こう解釈してた俺は間違ってたのか……


ドサ……ドサドサドサッ!

村人1「……ぁ、え?」

村人2「……」ブルブル

村長「こ、これは……」

幼女「……ありがとう、側近さん」

子供1「わあ……ほら、やっぱり食べ物だった!」キラキラ

村人4「こ、これはどういうこと……?」

幼女「……確かにわたしは、捨てられたよ」

村長「ッ!」ビクッ

おお
よく考えたらこの魔王様は人を殺さないか

>>231大丈夫です、それで合っています。


幼女「でも、こうして拾われて、たまたま生きていられている」

ローブ(大)「……」

幼女「ここに来るまでに色々考えたけど……嫌な思い出しかなくても、やっぱりここはわたしの元いた場所」

村人3「……」

幼女「……そのことは、感謝してます」

幼女「そして、この食べ物は……わたしが盗み食いしちゃった分を百倍にして返すだけ。作物の種はおまけ」

村人5「……」

幼女「……あの時はごめんなさい。……さようなら」ペコリ タッタッタッ

ローブ(大)「……」ザッザッザッ


村長「……」

『……』シーン

――――
――

森の中

幼女「……」タッタッタ……ピタッ

ローブ(側近)「……こんなに震えながら、よく頑張ったな」バサッ

幼女「……ねえ側近さん、これで良かったのかな」

側近「それは私にはわからん。だが……お前が選んだのならそれが正解なのだろう」

幼女「そっか……そう、だよ……ね……」ウルッ

側近「……だが、私個人の意見としては」ポン

幼女「ぅ……えっく……」ポロポロ

側近「……最良の選択だったと思う」ナデナデ

幼女「……う、ふえ……うわああああああん……!!」ギュウッ

側近「……」サスサス


――――
――

側近「……少しは落ち着いたか」ポンポン

幼女「……」コクッ

側近「……しかし、まさか初めて都へ行った時の格好で行くとは思わなかったぞ」

幼女「……これは、わたしなりの、えっと……けじめなの」

側近「……そうか」

幼女「側近さん。お城に帰ったらこの服……燃やしてくれる?」ボロッ

側近「それも……けじめか?」

幼女「うん。もうあそこには二度と戻らないから」

側近「……わかった」


側近「ああ、そうだ幼女」ゴソゴソ

幼女「?」

側近「あの村の事を乗り越えた記念だ……これを、お前に」スッ

幼女「……わあ、可愛い……! 髪飾り?」パアアッ

側近「ああ……先程、都へ食物を買い込んだ時に密かに買った。この白い花は、持ち主の成長に合わせて相応の形に変化するらしい」

側近「今は小さいが……お前が将来大きくなれば、ともに美しく咲き誇るだろう」

幼女「すごい……ありがとう側近さんっ! 大切にするね~」ニコーッ

側近「ああ……」


パラパラ……

幼女「あれ? お花が降ってきた……あ」

妖精「」パラパラ

幼女「うそ……妖精さんっ!?」

側近「!?」

妖精「」ニコニコ

幼女「なんで? 2人に連れて行かれたはずなのに……あ、もしかして!」

妖精「」スリスリ

幼女「髪飾りが側近さんからなら、妖精さんは魔王さまが呼び戻してくれたのっ!?」パアッ

側近「……そのようだな」

幼女「わーい! 帰ったら魔王さまにお礼言わなきゃっ」キャッキャッ

妖精「~♪」


側近「では、早く帰らねばな……」スタスタ

幼女「うんっ」パタパタ

妖精「」スーッ

側近(……ありえない)

側近(妖精を異界へ帰したあの時、魔王様は確かに幼女が魔法に触れるのはまだ早いと仰られた……)

側近(なら、何故妖精はここに……?)


側近「っ、まさか……」クルリ

幼女「? 側近さんどうしたの?」キョトン

側近「あ、いや、何でもない」

側近(……とにかく考える事は後でもできる)

側近(今はただ、この子の笑顔を見守ろう……)


「最弱魔王様」 幼女篇 終わり

なんとかここまで書き終わりました……!
この勢いで新章を、と言いたいところなんですが。
実は今から外出の用事がありまして、次の更新は多分夜になると思われます。
大変申し訳ありません!

ここまで読んでくださり、レスをくださった方々には大変感謝してもしきれません。

さて、次からはぶっちゃけ一気に時系列が飛びます(笑)
以前も書きましたが、ここから先はシリアス度や深夜(?)度も増えると思います。
今のところ、このままこのスレッドで続けようと考えていますが、もし何かご意見がありましたら夜までにお聞かせください。
よろしくお願いします。
では行ってきます。

乙っす
次から幼女の子孫の話ですか……髪飾りが大樹くらいになってそうだな
昨夜の分は下手に書くと先読みコメントになりそうだから乙だけにしてたが
さすがにこれは当たることはないと信じたいww

すいません、証明する術はありませんが>>1です。
携帯からちらっと失礼します。

あああまた書き方がおかしかった!
幼女が成長後の話です。

只今戻りました。
気を取り直して進めていきます。

ついでに>>243は本人です(笑)


魔王城


「魔王様、朝御飯ができたから来てねー」

魔王「ああ、今行くぞ」

「側近さーん、どこにいるの?」

側近「……ここだ」

「……あ」

側近「花を供えにな。魔王様に先を越されていたが」

「やっぱり可愛がっていた筆頭だもんね……私よりも早かったよ」

側近「そうか……ああ、朝食の時間か」

側近「すぐに行くからな、少女」

少女(幼女)「うん、ご飯が冷めないうちにねっ」


「最弱魔王様」少女篇


――――
――

朝食時

魔王「うむ、今日の少女の料理も美味いな」

側近「ええ、最初のころに比べると随分上達しましたね」

少女「本当? 頑張ってきた甲斐があったわね~」

妖精「」モグモグ

少女「ああ、妖精さん。そんなに急いで食べないの! こぼしてるわよ」フキフキ

妖精「♪~」

童女→幼女→少女→ピチピチギャル→女→お姉さん→熟女→アラサー
青年はあるけど青女って言わないよね
少女位に成長後かな?

少女だった、乙


魔王「それにしても……その小妖精はいつも少女とともにいるな」

少女「だって友達だもの♪」ギュッ

側近「まるで腰巾着のようだな」

妖精「~~~!」ブンッ

側近「おっと」サッ

少女「こら、危ないからスプーン投げちゃダメでしょ? なんでそんなことするの」プンプン

妖精「」ブスッ

側近「ふん……」

魔王(初めて会ってからもう10年になるが……何故側近と小妖精は仲が悪いのだろう……)モグモグ

魔王(予想はつかぬでもないが……側近よ、大人げないぞ)ウンウン


少女「魔王様も側近さんも……よく朝からそんなにお肉を食べられるよね。胃もたれしないの?」

側・王「「大丈夫だ、問題ない」」肉モキュモキュ

少女「それなら良いんだけど……」

側近(こうでもしないと……)肉ガツガツ

魔王(お前が危ないからな)肉ムッシャモグ

妖精「」ペチッ

少女「妖精さん、ご馳走様? ちょっと待っててね~」モグモグ

――――
――

側近「さて、今日もやるのか少女」スッ

少女「うん。ダメもとだけど、これも頑張れば実を結ぶって信じてるから」スッ


妖精「~~~!」ガタガタ

少女「いつも閉じ込めてごめんね妖精さん……でも剣のお稽古の時は危ないから」

側近(小型魔物用のゲージに入れられるのを嫌うのは、それ以外にも理由がありそうだがな……)ジッ

妖精「~~!!」ギロリ

側近(……ちっとも怖くないな)

側近「では、始めよう」

少女「はいっ。今日もよろしくお願いします」ペコリ

――――
――

少女「きゃあっ」カンッ! ペタン

側近「……やはり駄目だな。そもそもお前からは気迫が感じられん」カラン

少女「うう……」ゼイゼイ

側近「木の枝でやってこれだからな……もし真剣を持てはどうなるか」ハア

少女「側近さんだって誰かを傷つける気もないのに……剣が強いのはなんで?」

側近「……唯一、どうしても切らねばならん者がいるからだ」


少女「それって……例の封印の?」

側近「ああ。私の敵はそれ以外に考えられん」チャキ

少女「それだけのために、剣を……やっぱり側近さんは凄いや」フニャッ

側近「……お前には、やはりこんなものは似合わん」ポイッ

側近「お前に似合うのは……」スッ プチッ

少女「ん……」ピクッ

側近「やはり花だ」ソッ

妖精「~! ~~~ッ!!」キーキー


少女「も、もう、側近さんってば……」カアッ

側近「……思えば、あの髪飾りも随分育ったものだ」

少女「うん……今はお部屋に置いてるけど、いつ見てもとっても綺麗だよ」ニコ

側近「……大事にしてもらえるのは嬉しいが、お前くらいの年の娘はもっと多くの装飾品を持っているものだろう。あれ1つでは寂しくないか?」

少女「他の女の子なんて知らないよ~。たまに都に行く以外はずっと側近さん達と過ごしてきたんだから」ケラケラ

少女「……それに私は、あれがあれば十分だよ」

側近「……だが増える機会が案外近いかもしれんぞ」

少女「え?」ポカン


側近「まあ、これに関しては近々魔王様からも話があるだろう……」ザッザッ

少女「あ、ありがとうございました! ……妖精さん、もう良いよ」カチャッ

妖精「」パタパタパタ

少女「……一体、何があるんだろうね」

――――
――

魔王「では少女。始めよう」

少女「よろしくお願いしますっ」ペコリ

魔王「うむ……その杖も、そろそろ古くなってきたな」

少女「魔法を習い始めた時から使ってるからね~。でも、私は気に入ってるよ?」ギュッ

魔王「そうか?」

少女「うん! 魔王様から貰った大切なものだもの」ニコッ

魔王「少女……」ウルッ

妖精「」ジーッ

魔王(側近のようにあからさまな敵認定はないが……監視されているようで少し居心地が悪いな)

てなわけで今回の更新はここまでです。
こんな感じで新章突入しちゃいましたが、いかがでしょう(笑)
因みに無意味かもしれない補足ですが、魔王と側近共に身長は軽く2mいってます。
魔王の一族ですから……きっとこれくらいはあるだろうという自分の妄想です。

次回は自分の1番書きたかったところまで進められたらいいなあと思います←

おやすみなさい。

こんにちは。
もそもそと更新再開です。


魔王「で、ではいつものように精神統一からだ」

少女「はい……」スウ……

魔王「……次に、その身に大気の流れを意識せよ。無理に流れに逆らうのではなく、共に在ろうとする気持ちを忘れるな」

少女「……」

魔王「準備ができたならば、流れをゆっくりと形にしていけ……そして呪文を」

少女「」ブツブツ

魔王「……発動せよ」

少女「」カッ

――ボフンッ


魔王「……」

少女「うぅ……」ガックリ

魔王「今日も失敗か……」

少女「も、もう1回!」ブツブツ カッ

バフンッ

少女「……」ズーン

妖精「」オロオロ

魔王「実に不思議だ……アレだけができて他の魔法がからっきしだとは」

少女「も、もっと頑張るもん!」

魔王「う、うむ、頑張ろうな」


少女「……そういえば、さっきの側近さんとの剣のお稽古の時に聞いたんだけど」

魔王「ん?」

少女「私の装飾品が増えるかもしれないってどういうこと?」キョトン

魔王「! ……ああ、その件か」

少女「詳しくは魔王様からお話があるって言われたけど……」

魔王「……最初の、我らからお前への頼み」

少女「!」

魔王「今はそれに関係するということだけを言っておこう……今日はここまでだ」ザッザッ バタン

少女「……いよいよ、なの……?」


少女(……私がこのお城に来てから約10年。途中で兎さんが死んでしまったり、この頃2人がよくお肉を食べたりと変化はいくつかあったけど)

少女(あのことに関する動きがないことにすっかり油断してた)

少女(このままずっと、このお城で3人と1匹で暮らしていけるんだと思ってた)

少女「でも……」

妖精「……」パタパタ

少女「妖精さん……ううん、私は大丈夫……だい、じょうぶ」


――――
――

城の外

少女「うう……」トボトボ

妖精「」パタパタ

少女「何があるんだろう……もしかしていきなり勇者様が乗り込んでくるのかなあ……」

少女「ねえ、貴方はどう思う?」

一角獣「」パカパカ

少女「ここにいられなくなったら、貴方達も満足に呼び出せなくなるのかな?」

大蛇「」ズルズル

少女「そんなのやだな……みんな、大事なお友達だもの」ナデナデ

一角獣「♪」

大蛇「」フシュー


魔王の部屋

魔王(……)窓ヲ見ル

魔王(召喚術……いや、これは果たして召喚と言えるのだろうか)

魔王(1度呼び出した召喚獣を、呪文も魔法陣もなしに無制限に呼び出せるなど……)

魔王(とても正気の沙汰とは思えぬ……)

側近「……魔王様」コンコン

魔王「側近か……入れ」


側近「失礼します……今日は一角獣と大蛇ですか」ガチャ チラッ

魔王「そのようだ。あれなら彼女1人で動物の雑技団でも開けそうだ」

側近「冗談でも笑えませんよ……いずれにしろ笑みは作れませんが」

魔王「ああ、すまぬな……」

側近「……今日は如何でしたか」

魔王「いつもと変わらんよ……やはり召喚だけに著しく才が偏っておるようだ」


側近「それは生まれつきとして……あの現象の説明にはなりませぬ」

魔王「……1つ、これは我の勝手な推測だが」

側近「……」

魔王「少女はあの召喚獣らを……戦力ではなく友として呼んでいるからだとしたら?」

側近「……なっ」

魔王「お前の話だと、彼女からは相手への塵ほどの戦意も感じぬのだろう?」

側近「で、ですが、それは……あまりにも突拍子のない」

魔王「……我らがあの子から小妖精を取り上げた時の事は覚えておるか」

側近「……それが何か」


魔王「あの時の彼女の落ち込み様と言ったら……見ていて痛ましく感じるほどだった」

側近「……初めての友だと、嬉しそうに申しておりましたからね」

魔王「ああ……そしてそれを奪われた時の心の傷が、今の少女の状態に繋がっておるとしたら?」

側近「……二度と友を奪われまいとする、彼女の無意識の力というわけですか」

魔王「そう取ってもらって構わん。いずれにせよ、あの娘はただ……友と戯れているつもりなのだろう」

側近「……主従ではなく、敵対でもなく、友好……ですか」

魔王「魔族と人間である我らが家族として共に暮らしておるのだ。それも叶わぬことではあるまい」

側近「……」


魔王「……それに、かような力があるならば我らがいなくても寂しくはあるまいて」

側近「……そうですね」

――――
――

側近「……少女、まだ外にいたのか」

少女「……あ」ボーッ

側近「もうすぐ夕飯の時間だ。この頃はずっとお前に任せきりだった故、久しぶりに私が作った」

少女「ああ、もうそんな時間だったんだ……ごめんなさい、すぐ行くね」スッ


妖精「」ジーッ

側近「(無視)……お前の友は、もう帰ったのか」

少女「やっぱり気づかれちゃってたか……うん、さっきあっちに帰って行ったよ」スタスタ

側近「……確かにお前のその力は凄いが、あまり頻繁に使うのも良くない」

少女「……」

側近「万が一、後でどんな代償が来るか……」

少女「……また、そうやって私からお友達を取るの?」

側近「ッ! 少女……!」

少女「側近さんのことは大好き。でも……そんなことを言う側近さんは、嫌い」

側近「……」

少女「行こう。妖精さん」

妖精「」パタパタ……クルッ ベーッ

側近(……傷は思った以上に深そうだ。どうしたものか……)


――――
――

夕飯時

魔王(なんだ……この言い知れぬ気まずさは)モグモグ

少女「……」パクパク

側近「……」モグモグ

妖精「」モキュモキュ

魔王(あの事を話すのは、どうやらこの空気が消えてからの方が良いみたいだな)

少女「……ご馳走様」ガタン スタスタ

幼女「」ペチンッ パタパタパタ

魔王「……側近よ。何があった」

側近「……少し、彼女の心を慮る事が足りなかっただけです」


魔王「……」

側近「……一体、どのような言葉をかければ良いのでしょうね。こちらの気持ちが伝わるには」

魔王「ありのままを伝えるしか無かろう、と言いたいところだが」

魔王「お前には今、やるべきことがちと多過ぎる……彼女の事はひとまず我に任せ、まずはそちらに専念すると良い」

側近「魔王様、ですが……!」

魔王「しばらく距離を置いて冷静になれ、と言っておるのだ。互いのためにもな」

側近「……御意」


――――
――

魔王(そうしてあれから数日程経ったが……側近は準備を着々と進めている。表面上は)

魔王(少女の方も、気持ちは落ち着いてきているが……奴にうまく切り出せぬようだな)

魔王(……こんな時こそ、お飾り魔王の数少ない出番だ)

魔王「少女は……外にいるようだな。召喚獣はいない」

魔王「近頃では珍しい事だ」スタスタ


城の外

魔王「やあ、少女。今日も良い天気だな」

少女「! 魔王様……封印の様子は大丈夫なの?」

魔王「ああ、今は調子が良い……それより少し話をしないか? 2人きりで」

妖精「」ピクッ

今回はここまで。
行きたかったとこまで行けなかった……。

調子に乗って進めまくっていますが、更新頻度……ちょっと落とした方が良いですかね?
少女篇になってからますますグダグダになってきてますし……書いて良かったんだろうかこれ。

おやすみなさい。

更新頻度を落とすなんてとんでもない!
とは書いたものの、無理ない程度でいいと思うよー
乙乙

乙っす
ペースは個人差なんだし気にしなくて良いかと
内容に不安を感じてるなら投稿しながら進めるんじゃなくキリが付くとこまで書いてみて
それで納得出来なければ別展開にするのも手だと思う

こんばんは。
先程までネットの調子が悪かったので書き込むことができませんでした……!
お二方、自分のうじうじした言葉にご意見をくださってありがとうございます。
こんなssでも楽しみにしてくださっている方々がいるという事を胸に、今後の更新の参考にしていきます。

ネットができない間、久しぶりに少し書き溜めをしていました。
夜には更新できると思いますので、どうか今しばらくお待ちください。


少女「うん、わかった……妖精さん、悪いけど少しの間何処かで遊んでてくれる?」

妖精「」プクーッ

少女「駄目かな~。妖精さんは良い子でしょ?」ニッコリ

妖精「……」パタパタパタ……

魔王「すまんな……」

少女「気にしないで……いつもお友達と一緒にいられるわけではないもの」

魔王「!」

少女「……そう、頭ではわかってるつもりなんだけどね」


魔王「それは、今のお前と側近との間にできた溝に関係が?」

少女「」コクリ

魔王「やはりそうか……あれはお前のその力のことを常に気にしておるからな」

少女「……あの時のことは、正直今でも許せないよ。側近さんも、魔王様も」

魔王「……そう言われても仕方ないだろうな」

少女「引き離される前に、せめて挨拶をしたかった。ほんの少しでも事情を説明してほしかった」

魔王「……」

少女「今では何となく理解はできるけど、それでも……」

魔王「羨ましいな」

少女「?」


魔王「少女にそこまで大切に想われている者達は。そして、そんな存在を持つことができるお前も」

少女「それって……」

魔王「我も側近も、そのような存在にはとんと縁がなかったのでな」

少女「……!」

魔王「それ故、お前の気持ちを心から十分に理解してやれるとは言えない」

少女「……」

魔王「だからな、その分家族である……お前を本当に大切に思っておるのだ」

少女「私を……?」


魔王「ああ。あの時……勇者の訪れを待つだけの生ける屍であった我らを、お前は救ってくれた。
   我らの頼みを聞く見返りに、我らと家族になることを望んだ幼いお前の存在に、時を止めていた我らの心はどれ程癒されただろう」

少女「……」

魔王「封印のために生命を維持する手段でしかなかった食事が、美味しそうに食べるお前を見るだけでこの上なく美味しく感じられた」

魔王「2人で鬱々と我の血で汚れた物を清めていた洗濯が、手伝おうとするお前を見るだけで手の動きが早くなった。幼いお前を魔の血に触れさせないために」

少女「」ポタッ ポタッ

魔王「お前は我らにとって……愛しい宝物だ」


少女「ほん、と……? 私、2人にとって必要?」ポロポロ

魔王「無論だ。だから側近の気持ちもどうかほんの少しはわかってやってほしい。あれはお前から友を再び奪おうとしているわけではないのだ。ただ……それによって大切に育ててきたお前に何かが起きぬか心配なのだ」

少女「でも……今更前みたいに戻れるかなあ……」グスッ

魔王「おや、お前は側近が好きではないのか?」

少女「ううん、大好き! ……でも魔王様も同じくらい好きだよ?」

魔王「それは嬉しいな……なら戻れるとも。この我が保障する」


少女「……ふふっ、それなら安心だね」ゴシゴシ

魔王「だろう?」フワッ

少女「……あ」ポカン

魔王「? 少女、どうかしたのか?」

少女「あの、今ね……ちょっとだけ魔王様が笑ったように見えたの。すぐに戻っちゃったけど」

魔王「な、なにっ! それは真か!?」ペタペタ

少女「うんっ。やったね魔王様!」ニコッ


魔王「ああ……少女のお陰だな」ナデナデ

少女「そんなことないよー。魔王様が自分で笑ったんだよ」

魔王「む、自分ではよくわからんが……まあ、少女がそう言うのならそうなのだろう」

少女「そうそう。じゃあ、魔王様にご褒美ねー」プチプチ

魔王「おお、それは嬉しいな」

少女「ちょっと目を瞑って……私が良いって言うまで開けないでね?」セッセ セッセ

魔王「わかった」スッ


少女「……はい、いいよ」フワリ

魔王「では……おお、花の冠か。可愛らしいな」ポンポン

少女「うん。久しぶりに作ったの……子供っぽいかもしれないけど」テレッ

魔王「いや、我は嬉しいぞ。ありがとう少女」ナデナデ

少女「えへへ……後ね、これはさっきのお礼」チュッ

魔王「!」ポカン

少女「私、頑張って側近さんと仲直りするからね~」タッタッタッ

魔王「……やはりお前は愛おしい。ただ、これを我ら以外にしなければ良いが」ホッペサスサス

今回はここまで。書き溜めなので一部読みにくくてすいません。
PCの調子が本当に悪くて投稿がうまくいかず、書き込むを押すたびに冷や冷やしました。

次回の更新は色々あってちょっと先になるかもしれません。次の夜とか(笑)

おやすみなさい。

乙っす
昨夜は鯖不調もあって総レス数が72&新スレが建てられなかったとか

こんばんは。
今夜も張り切って(?)進めていきます。

>>284そうみたいですね。
まさにダブルパンチです……。


――――
――

側近(……粗方準備は整った。だが問題は少女だな)ザッザッ

側近(魔王様はあのように仰ったが……不安がなくなるわけではない)

側近(どうしたものか……)

側近「ん? あれは……少女?」

少女「……お帰りなさい。側近さん」

側近「……ただいま」

少女「」テクテク

側近「?」

少女「……」ギュウ

側近「なっ……しょ、少女?」

少女「……あったかい」


側近「……」

少女「あの頃から、全然変わらないね」スリスリ

側近「……我らの成長は人間より遅いからな」

少女「ううん、そういうのじゃないの……側近さんが、初めて出会った時から変わらず優しいからだよ」

側近「……」

少女「思えば私、ずっとその優しさに甘えてたね……心配してくれている気持ちも知らずにわがままばっかり」

側近「少女、そんなことは……」

少女「私にとって、1番大事なのは側近さんと魔王様なのに」

側近「……!」


少女「2人を大切にしないで、お友達を大切になんて……できるわけないよね」

側近「……」

少女「こんな私だけど……これからも2人のことが好きでいて、良いのかなあ」

側近「何を……馬鹿な事を」ギュウッ

少女「!」

側近「あたりまえだろう」


少女「側近さん……」ウルッ

側近「私は少女の事をわがままだと思った事は1度もないぞ?」

少女「本当?」

側近「ああ」

少女「……これからも、お友達を呼んで良い?」

側近「……程々にな」

少女「! うんっ」ニコッ


側近「では、そろそろ城の中へ入ろう。もう夕飯の時間だろう?」

少女「あ、そうだった! あのね、側近さんと仲直りしたくて今日の夕ご飯奮発したんだよ!」

側近「ほう、それは楽しみだな。……まあ、お前の作る料理は何でも美味しいが」

少女「っ、もう……先に行くからね!」タタタ……ッ

側近「……本当に、お前は愛おしいな。ただ、あのようなことを我ら以外にしなければ良いが」

側近(体は大きくなろうとも、中身はまだまだ子供だからな……)ザッザッザッ


――――
――

夕飯時

魔王「……その様子では、どうやらうまくいったようだな」

少女「うんっ」ニコニコ

側近「……ええ、まあ」

魔王「うむ、これでいつもの我らに戻った。良いことだ」

妖精「」ムスーッ

側近「……小妖精殿は大層ご立腹のようだな。自分だけ蚊帳の外で」

妖精「~~~!」ムキーッ ガシャンッ

少女「よ、妖精さん、暴れちゃダメー!」オロオロ


魔王「……ところで少女よ。この間言っていた例の事なんだが」

少・妖「……」ピタッ

側近「……いよいよ話されるのですね。魔王様」

魔王「ああ。もう時間があまりないからな」

少女「……」ゴクリ

魔王「少女、お前には我らの願いのために……舞踏会へ出てもらう」

少女「……へ?」ポカン


魔王「お前は見た事がないだろうが……都にある城でもうすぐ舞踏会が開かれるのだ」

魔王「そこに住む王の娘が、丁度お前と同じくらいの年でな……その婿探しが主な開催理由だが、普段ほとんどない平民との交流も兼ねて催されるという」

魔王「お前にはそこで、王の娘である姫君と接触してもらいたい」

側近「無論私も参加するが……彼女に近付くにはお前の方が好都合だろう」

魔王「この日のために側近にはこれまで、参加手続きやらドレスの調達やらを……どうした少女?」

少女「……良かった」

魔・側「?」

少女「良かったー……まだ勇者様は来ないんだね」ヘタッ


妖精「」オロオロ

魔王「少女……まさかずっとそう思って……」

側近「もしも勇者がここに来るのなら、こうして悠長に話してなどおれんだろう」

少女「だって~……」

魔王「まあ、誤解が解けて良かったな。それで……行ってくれるな少女」

少女「……はいっ」


――――
――

少女「わあ……綺麗なドレス」

側近「お前には白が1番合う。そう思ってこれにしたが……構わなかったか?」

少女「良いに決まってるよ! 側近さんが私のために選んでくれたんだもん」

側近「それは良かった。サイズは合っているだろうか」

少女「大丈夫だと思うけど……着てみないとわからないね」

側近「……ではそうするか」

少女「え?」


側近「1人では着られんだろう? 悪いがこちらに背を向けて……服を脱いでくれないか」

少女「う、うん……」プチプチ……

側近「ゆっくりで良い……極力見ないようにするから心配するな」

少女(う……ちょっと恥ずかしいな……)スルッ……パサッ

側近「……」

少女「脱いだ……よ……」モジモジ


側近「……」

少女「……側近さん?」

側近「あ、ああ、すまない。ではドレスを……」スッ

少女「……うん」サッ

側近「あとは背中のファスナーを……」

少女「」プルプル

側近「……」スーッ

少女「っ! ひゃあ、ん」ビクッ


側近「……」ツン ツツーッ

少女「あ……側近さ、ん、やあっ……」ガクガク

側近「ッ! す、すまん」ジーッ

少女「どうしたの? いきなり背中触られてびっくりしたよ……」

側近「いや、少しふざけただけだ」

側近(……あまりにも、お前の背中が綺麗だったのでな)


少女「そう? 変な側近さん」クスッ

側近「……それよりどうだ? それで大丈夫そうか?」

少女「うん。ぴったりだよー。腰がいつもよりキュッてなるのが気になるけど……」

側近「なら良い、後は慣れだ。次にこれに合わせる髪形や装飾だが……」

少女「それならあの髪飾りだけで十分だよ」

側近「つけるのは構わんがそういうわけにはいかん。せめて首飾りはどうにかせねば」

少女「うう……舞踏会って大変だね」


側近「貴族だろうが平民だろうが、とにかく着飾らねばならんからな」

少女「……そういえば、側近さんは参加して大丈夫なの?」

側近「流石にあの格好では駄目だな。こちらも礼装し、魔法で姿を今より人間に近く変える」

少女「そんなことできるの?」

側近「1人でその術を長時間持続させるのは困難だが……魔王様の魔力をお借りすれば問題ない」

少女「へえ……」

側近「この舞踏会が、我らの願いへの第一歩だからな。互いに力を出し渋るわけにはいかんよ」

少女「どうして、舞踏会が?」


側近「都で勇者を募っているのが王だからだ。勇者となり得る者は、必ず王へ謁見する」

少女「……あ」

側近「わかったようだな。有力な勇者が現れれば、王の娘にそれが伝わるのは容易い。それ故……」

少女「お姫様と仲良くなっておけば、いつでもすぐにそれを教えてもらえるってことだね!」

側近「そういうことだ。伝達手段は幾らでもあるしな。物資の補給以外にこちらが都に赴くのはなるべく避けたい。来る日のために、こちらも無駄な時間を割きたくはないのだ」

少女「……」

側近「……勿論、その分お前と共にいたいという理由もある」ナデナデ

今回の更新は以上です。
最後の方が無駄に説明っぽくなってしまった……。

今日は書きたかった場面の一歩手前までいけて良かったです。
ドレス着換えのシーンは正直自分でも予想外でした(笑)
手伝いを魔王様にさせるという手もありましたが……。

おやすみなさい。

乙っす
ドレス着替えってさぁ……おっさんの2択じゃなく妖精に頼むとかあっただろwww

こんにちは。
今日ものんべんだらりと更新です。

>>303妖精はまあ……ちょっと非力すぎるかなって理由で(笑)
ちょ、おっさんw側近にはモデルとなったキャラがいるので、もう少し若いイメージで書いていますね。
まあ中身は年食ってるってのは変わりませんが(笑)


少女「……そっか」フニャッ

側近「……できることならいつまでも皆でこの城で暮らせれば良いのだがな」ボソッ

少女「え?」

側近「なんでもない。さあ、後はこの靴を履いてみてくれ」スッ

少女「はーい」

――――
――

その頃の妖精

妖精「」ムスッ

魔王「そうむくれるな。少女は今頃いつもの何倍も綺麗になっておろう」ツン

妖精「」ペチッ


魔王「……その調子だと、舞踏会当日も大変だぞ」

妖精「?」

魔王「お前は、我とこの城で留守番だからな」

妖精「!?」

魔王「ここと違って都の方は人の出入りが激しいからな。ましてや舞踏会の日はそれ以上……」

妖精「……」

魔王「小妖精を連れている人間など、あの場では目立つ……それによって少女に危害が及ばないとも限らん」

妖精「!」

魔王「無論、側近はそれを黙って見てはいないだろう。だが下手に騒ぎを起こして計画が失敗しては本末転倒だ」

妖精「……」

魔王「側近はともかく、お前も少女の悲しい顔は見たくないだろう?」

妖精「……」コクコク

ちょっと修正

魔王「側近はともかく、お前も少女の悲しい顔は見たくないだろう?」

魔王「……お前も少女の悲しい顔は見たくないだろう?」


魔王「ならば、舞踏会の時はここで大人しくできるか? もしそれが約束できるなら」

妖精「?」

魔王「当日は、舞踏会での2人の様子を逐一見せてやろう」

妖精「!!」

魔王「この鏡に魔力を籠めればな、特定の者の様子を見ることができるのだ。これで計画の進行具合を直に見られる」スッ

妖精「」ジーッ

魔王「この事は側近は了承済みだ。少女には後で話す……どうだ?」

妖精「……」渋々コックリ

魔王「うむ。わかってもらえて何よりだ」

側近wwwwww


――――
――

少女「むう……じゃあ、これにしようかな」

側近「やっと決まったか。ではさっそく着けてみよう。髪をあげるんだ」ジャラッ

少女「はーい」スッ

側近「……」シャラッ

少女「どうかな?」クルリ

側近「……ああ、とても似合っている。ドレスとも合っているしな」

少女「ダイヤの首飾りなんて初めて着けたよ……あの髪飾り以外にこういうの着けた事ないから変な感じ」


側近「全く、お前はもう少しお洒落というものをだな……」

少女「だって興味ないんだもの。それよりお友達と遊んでた方がずっと良いよ」

側近「……では私は他の装飾品を宝物庫へ入れてくるから、お前は今のうちに着替えると良い。ファスナーは自分で脱げる所まで下げておくから」ジィーッ

少女「ありがとう……ふう、やっと動きにくいのから解放される~」

側近「……この調子では先が思いやられるな」パタン

少女「よいしょ……それにしてもお姫様って毎日こんな服を着てるのかな。何だか大変そう」ヌギヌギ


宝物庫

側近「……」バタン

側近「……くそっ」

側近「何故……俺は魔族なんだ」ギリッ……

側近「……すまん、少女」ギュッ ジワリ

魔王「……そこまで追い詰められていたか」バタン

側近「! 魔王様……」ササッ

魔王「手を隠しても、お前の血の匂いは消せぬぞ」

側近「……」


魔王「本当に、何故我らは魔族なのだろうな」

側近「……魔族でなければ、このような気持ちも抱かなかったのに」

魔王「だが、魔族でなければ少女に出会えなかった」

側近「……そうですね」

魔王「数奇なものだな。我らの生は」

側近「……ええ」ジャラジャラ


魔王「……せっかく少女のために選んだのが、無駄になってしまったな」

側近「いつか気が変わってくれれば良いのですがね」

魔王「どうだろうな」

側近「……魔王様」

魔王「わかっておる。もしもの時のためにちゃんと手は打ってあるから心配するな」

側近「……ありがとうございます」

魔王「だがな、これだけは言っておく……私はお前を信じておるからな、弟よ」

側近「……ありがとう、兄上」バタン


魔王「……」

魔王「……あれを今すぐ壊せればどれ程気が楽か」

魔王「弱い兄で……すまない……」

――――
――

側近「……」ザッザッザッ

少女「あ、側近さん」

妖精「」パタパタ

側近「……少女」

少女「ドレスとか首飾りとか、そのままにしておいて良かった?」

側近「……ああ」

少女「って側近さん、手に怪我してるじゃない! 魔王様の血はよく見るけど、側近さんは珍しいね」スッ

側近「! 触るなっ!!」

少女「!」ビクッ

妖精「」キッ


側近「あ……す、すまん。この程度の傷はすぐに治る」

少女「ううん、気にしないで……そうだったね、2人の血に触るのは注意しなきゃ」

側近「ああ……洗濯の時もできれば触らせたくはないが」

少女「魔王様の血はある程度時間が経っているから大丈夫なんでしょ?」

側近「……まあな」

少女「ふふ……側近さんって本当に心配性だね~」

側近「我らと違ってお前はか弱い人間だからな。多少過保護にもなるさ」

少女「……ねえ側近さん」

側近「何だ」

少女「……そのか弱い人間なりに、私頑張るから。舞踏会……2人のために」

側近「……ああ。期待している」

妖精「」パタタ……


少女(それから舞踏会までの数日間は大変だった)

少女(側近さんから簡単なダンスの手解きを受けたり、あっちのお城での振る舞いの注意などを聞いたり……ドレスにも慣れなきゃいけなかったし)

少女(でも、このお城以外のお城を見るのは初めてなので、とてもわくわくした)

少女(妖精さんが一緒に行けないのは少し残念だけど、久しぶりの側近さんとの都行き)

少女(大切な目的があるとはいえ……やっぱり楽しみだな)


――――
――

舞踏会当日

側近「少女、準備はできたか?」

少女「うん」ドキドキ

魔王「では2人とも、どうか頼んだぞ」

少女「はい……妖精さん、魔王様と良い子で待っててね」ナデナデ

妖精「」コクコク

側近「では、行って参ります」ブツブツ カッ

少女「行ってきまーす」キィィ……ン

魔王「くれぐれも、無茶はしてくれるなよ?」


少女「わかってるよー」フッ……

側近「……」ペコリ フッ

魔王「……行ってしまった」

妖精「」パタパタ

魔王「どうか何事もなく、帰ってきてくれよ……」

妖精「」クイクイ

魔王「……おお、そうであったな。早速鏡の術を発動するか」ザッザッ

妖精「」パタパタ

魔王(……それにしても、少女のドレス姿はとても美しかったな)

魔王(悪い虫がつかなければ良いが……ううむ心配だ)

魔王(まあ、あの髪飾りがあるなら大丈夫だろうが……)

てなわけで今回の更新はここまでです。
よっしゃやっと舞踏会や! 余談ですがなんとなく逆シンデレラなイメージで書きました(笑)
次回も荒ぶれキーボードよ!!(黙れ)

では、おやすみなさい。

……外見三十代(前半)ってやっぱりおっさんですかね?←

おっさん萌えもあるで!!

乙っす
>>318の側近って、やっぱ変装の魔法を使ったとかだよね?
何か怪しい行動をしたようにしか見えんぞwww

20台前半の頃、バイトで訪ねた家に居た
小学生くらいの子供におっさんおっさん言われましたが何か?

こんにちは。さて、今日もひっそり行きますぞ~(笑)

>>321せやな!(笑)
もうとりあえずカッコ良ければ良いかなって思えてきました←

>>322これから書きますが、一応転移魔法を使っているというところです。
会話だけで表現って本当に難しいですね……。

そ、それは何とも……おっさんの定義って、何でしょうね……。


――――
――

都の前

シュウウ……

側近「……着いたな」スタッ

少女「わあ……夜の都ってこんなにキラキラしてるのね。おまけに昼間よりもずっと賑やか」スタッ

側近「舞踏会が催されるという理由もあるだろうがな……」

少女「あーあ、もしドレスじゃなかったら側近さんに抱っこしてもらってダダーッて走ってもらえたのに。夜の景色も素敵なんだろうなあ……」

側近「できなくはないが、もうそのような年でもなかろう……だが確かに少々味気なかったな、転移魔法では」


少女「あ、いっそのことお友達に頼んでも」

側近「それだけは駄目だ」キッパリ

少女「えー」

側近「第一、こんな遅くに呼びだされては迷惑だろう?」

少女「それもそうか……」

側近(なんとか誤魔化せたか)

少女「ところで側近さん、その黒いお面はいつ取るの?」

側近「都に入ったらすぐに取る。今のうちに顔全体にまんべんなく魔力を張り巡らせねば、すぐにでも術は解けてしまうからな」


少女「そう……」ギュッ

側近「?」

少女「……いつもと全然違う手。でも、この暖かさはやっぱり側近さんのだね」

側近「……そうなのか?」

少女「うん。だから安心するの」

側近「では、そのまま離さずに……行くぞ」ザッザッ

少女「はーい」タッタッ


都の城

少女「」ポカーン

側近「……魔王城とはまた違った風情があるだろう」

少女「すごい……魔王城と同じくらいかそれ以上か……とにかくおっきいね!」キラキラ

側近「ああ。どちらが先に建てられたのかは知らないが」

少女「魔王城は黒いけど、こっちは真っ白だね~」

側近「我らの城は禍々しさを表しているからな……」

少女「でも、私は魔王城の方が好きだよ?」ニコニコ

側近「そうか……私は入り口で受付を済ませるから、お前は先に中へ入っていても良いぞ」

少女「え、いいの?」


側近「ああ。ここで待っていても構わんが、その格好では冷えるだろう?」

少女「じゃあ……お言葉に甘えて」テクテク

側近「あまり遠くへは行くなよ?」

少女「うん」

――――
――

少女「人がいっぱい……お城の中にたくさん人が入るとこんなに賑やかになるんだ」

少女「壁の方にはご馳走があんなに! 確か立食っていうんだっけ……」


男1「ね、ねえ君」

少女「へ? あの……私?」

男1「今日踊る相手は決まってるの? フリーなら俺と……」

男2「おいお前、がっつくなよー」

男3「よく見ろよ、その子の髪。あの花がついてるって事は……わかるだろ?」

男1「……あ。ご、ごめん」シュン

少女「?」


男2「ごめんねー。ほらいくぞ」グイッ

男1「ああ……」トボトボ

男3「大丈夫だって、女の子はまだ他にもいるんだから……」スタスタ

少女「……この髪飾りが何なんだろう?」キョトン

『ざわざわ』

『見かけない子だな……』

『スタイルが良くて……おまけにかなり可愛いだと!?』

『くそっ! 誰だよ彼女にあの花を贈ったのは!!』

『落ち着けよ、もしかしたら親からかも知れないだろ?』

少女「? 何だか妙に見られてる気がする……側近さん早く来ないかな」ソワソワ


女1、2「こんばんは」ススッ

少女「あ、こ、こんばんは……」ペコリ

女1「あなたこの辺じゃ見ない顔ね。どこから来たの?」

少女「えっと……ちょっと遠い方の村から」

女2「そお……通りで田舎くさいわけね」ジロジロ

女1「よくドレスを買うお金があったものだわ」ジロジロ

少女「?」

少女(わあ、この人達すごくキラキラしてる……あ、この2人に訊いてみよう)

少女「あの、ちょっといいかな?」


女1「なにかしら」クスクス

少女「この髪飾りって、一体どんな意味があるの?」

女2「!? ……ぷ、ふふふふ」

女1「ほほほ、あなたその意味も知らずに着けていたの?」

少女「え、ええ……」

女2「全く、おめでたいことだわ。送り主の気も知らずに」

少女「???」

女1「いいわ。無知なあなたに教えて差し上げるわ」


少女「!」パアアッ

女1「っ、ご、ごほん、その髪飾りはね、値段としては安くも高くもないけれど」

女2「それを送るのは相当な覚悟がいるのよ」

少女「どういうこと?」

女1「何があろうともその人の事を慈しみ、愛おしみ、守り続けるという永遠の誓いを籠めるから」

女2「本当に心から大切に想っている人にしか送らない決まりなのよ」

少女「!」


女1「花が成長するのは、その想いが変わることなく積もり続けている証で……」

女2「送り主が死ぬか、想いが消えてしまうと一緒に散ってしまうのよ」

少女「散っ、て……」

女1「そう。だから送られた方は、送り主の気持ちを大切にしなければいけないわ」

女2「送る相手は子供や親だったりと様々。でもやっぱり恋人が一番多いわね」

女1「髪飾りを売っている教会の聖書に記された伝説が元になっているのだけど……この分じゃあなた伝説の方も知らないわね」


少女「……」ポロポロ

女1「仕方ないからそっちも教えて……ってちょ、あなた何で泣いてるの!?」

女2「やめてよ、何だか私達が泣かせたみたいじゃない!」

少女「ごめんなさい。そんな意味があったなんて知らなくて……私、何にも知らなかった」ゴシゴシ

女1「ああそんなに擦らない! ほら、このハンカチでそっと拭いなさい」スッ

女2「そんなに真剣に泣かれると、何だか毒気を抜かれてしまうわね……」

少女「あう、ありがとう……お姉さん達とっても良い人だね」フキフキ ニコッ

女1「えっ……べ、別にそんなことないわよ!」プイッ

女2「これだから世間知らずの田舎娘は……」カアッ


少女「えへへ……じゃあ、この髪飾りはお守りみたいなものだね」ナデナデ

女1「そうね。こんなに成長した髪飾りをしている娘を狙う程、酷い人間はここにはいないと思うわ」

女2「あの教会の教えが……私達の主な信仰だから。あなたも今度行ってみれば?」

少女「うんっ、そうするね。色々と教えてくれてありがとう」ペコリ

女1「うっ……別に感謝されるほどの事ではないわ!」

女2「そ、そうよ! ……あ、じゃああなたからも1つ教えなさい!!」ビシッ

少女「へ? 何を?」キョトン


女1「とぼけないで! その髪飾りをあなたに送った人の事よ!!」

女2「どんな人? ここまで来て親からでしたーとかだったら承知しないわよ!」

女1「あなた田舎娘にしては可愛いんだから、お相手もそれなりに良いんでしょうね」

少女「う……えっと……」オロオロ

『まあ……素敵』

『きゃあー!』

女2「もしかして一緒にこの舞踏会に来てる? きっとそうねそうに違いないわ!」

女1「特徴は? ていうか何処にいるのよー」

『すげ、なんだあのガタイの良さ』

『てかでけえ!』


少女「その、くれたのは……あ」

女2「……ていうか、何だかやけに騒がしいわね? やっとお姫様のご登場かしら」

女1「え? それにしちゃ何だか反応に違和感が……えっ!!」

女2「? 何よ、私の後ろがどうかしたの?」

少女「……あのね、あなたの後ろにいる人がくれたの」

女2「……~~~ッッ!!」クルリ

側近「待たせたな、少女……会話の邪魔だったか?」

女1、2「……なっ」

女1、2(何なの……何なのよこの美丈夫はッッ!!!!)


少女「側近さん! あのね、このお姉さん達が首飾りの事を教えてくれたの」ニコニコ

側近「何だ、先に知られてしまったか……少し残念だ。もう少ししたら私から教えようと思ったのに」

少女「そうなの? 何だか悪いことしちゃったかな……」

側近「いや、良い。まあそういうわけで、この髪飾りには私の想いの他に、一応あの御方の分の想いも籠めたつもりだ。だからこれからも大切にな」

少女「はーい」

女1、2「」ボーゼン

側近「……ああ、そこのお嬢さん方」

女1、2「! は、はいっ」ビクッ


側近「うちの少女が世話になったな。礼を言う」ペコリ

女1「い、いいいいいえそんな!!」ブンブン

女2「私達は大したことはしておりませぬうううう!!!!」ブンブン

少女「……あ、そうだ、さっき使っちゃったハンカチ」

女1「あ、ああ良いのよ気にしないでそれくらいあげるわ」

少女「でも……」

女1「遠慮なんていらないわほら行きましょう」ソソクサ

女2「そうよではごきげんようおほほほほ」タタタ……

女1、2(……このリア充めっ)ダーッ


少女「……行っちゃった」ポカン

側近「随分と親しげだったが……もう仲良くなったのか?」

少女「そうみたい。側近さん達以外の人と話すのってすごく久しぶりだよ。いつかハンカチ返せたら良いなあ……」ギュッ

側近「……いつも寂しい思いをさせているな」ナデナデ

少女「ううん、そんなことないよ? お友達もいるしね。そんなことより側近さん、遅かったね」

側近「ああ、それについてだが……実は少々不味い事になった」

少女「何……?」

側近「城の中にいた近衛兵達の話によると……どうやら肝心の姫君がいなくなったらしい」

今回の更新はここまで。
いやー、城のザワザワ感むずいな~(笑)
多分舞踏会の人達には側近はワイルド系イケメンに見えている……筈←
伝説の話もいつか書きたいと思います。

おやすみなさい。

乙っす
例えば側近が近づいてきたとことか会話の内容が変わるとこで「ザワ……ザワ……」みたいに入れてみるとか?

こんにちは。
今回は更新がいつもより少なめになるかも知れません。

>>343おお……使わせていただきますね!


――――
――

その頃の魔王城

魔王「うむ、やはりこうして見ていても少女が1番美しいな。小妖精もそう思わんか?」

妖精「」コクン

魔王「おお……少女が同性の娘達とあんなに親しげに。魔王様は嬉しいぞ」

妖精「」ベシベシ

魔王「こらこら、少女が我のために作ってくれた兎のぬいぐるみに八つ当たりをするでない」

妖精「」プウッ

魔王「心配せずとも、少女にとっての1番の友はお前だ。どんと構えておれば良い」

妖精「……」

魔王「さて、側近の方は……何かあったのか? 兵達の話にさり気なく耳を……」

魔王「……計画に支障が出なければ良いが」


――――
――

都の城

少女「え……? それって」

側近「何でもこの城の姫君は、こういった催し物があまり好きではないらしい。中々に自由奔放なようだ」

少女「じゃあ、どこかに隠れちゃったのかな?」

側近「誘拐でもなければそう考えるのが妥当だな。だが、このまま接触できぬのは不味い」

少女「そうだね……どうする?」

側近「とりあえず、舞踏会の客として怪しまれぬ程度に姫君を探すとしよう」

少女「うん、わかった……ねえ側近さん」

側近「なんだ?」


少女「私達、気のせいかすごい見られているような……側近さんが他の人より大きいからかな?」

ザワ……ザワ……

『身長差のある美男美女……』

『いや、でもあれは男の方がデカ過ぎるだろ。女の子も高い方だし』

『とりあえずリア充爆発しろ』

側近「……これは難しそうだな」ハア……

側近(恐らく、男共は少女の飾らない美しさに惹かれているのだろう……そんなに彼女が物珍しいか。忌々しいことだ)

側近(……と、少し考えが乱暴過ぎたか)

少女(私達と同じようなお顔の側近さん……やっぱりかっこいいんだ)

少女(……いつものお顔も素敵だって、わかってもらえたら良いのにな)


側近「……まあ、まずは腹ごしらえをするか」ザッザッ

少女「うん!」パタパタ

――――
――

側近「ほら、好きなものを食べられる分だけ取るんだ」スッ

少女「ありがとう。どれにしようかな~」ウロウロ

側近「……あまり悩むことはないぞ」

少女「んー、でも美味しそうなものがたくさんあって迷っちゃうよ」

側近「……では、2人で別々のものを少しずつ取って互いに交換するか」

少女「あ、それいいね! じゃあ私こっち~」タタッ


側近「あまり慌て過ぎて転ぶなよ」

少女「大丈夫だって……あっ!」グイッ ズルンッ

『あっ……!』

ザワワッ……!

側近「……ったく、言った傍から」ササッ ギュッ パシッ

少女「……あ」

『おお~……』パチパチ

側近「いくら何度か着たとはいえ、完全に慣れたわけではないのだぞ?」フゥ

少女「ごめんなさい~……」


側近「……私が料理を持ってくるから、お前は飲み物を頼む。ゆっくりな」スタスタ

少女「うん、わかった」

側近「」ザザザザザッ

少女「すいません、飲み物くださいなー」

給仕「はい、こちらをどうぞー」スッ

少女「ありがとう」ニコッ

側近「少女、こちらは粗方盛ったからな」ズオオオ……

少女「はーい」

『あの料理の盛り方……』

『ただ者じゃねえ……てか動きがヤバかったぞ』ヒソヒソ


少女「あ、これね、葡萄酒だって。綺麗な色だねー」

側近「……少女のは別の物に換えよう。これはお前には少し早い」スッ

少女「えー。私も飲みたいー」

側近「……私のグラスからほんの少しだけなら飲ませてやる」

少女「むー……わかった」テクテク

側近「……ふむ、良い香りだ」ホウ……

少女「換えてきたよー。林檎の果汁に炭酸を混ぜたジュースだって」

側近「ああ、それなら良いだろう」

初めての作品にしては悪くない

が、会話のテンポが悪いな

それから登場人物一人一人のキャラをもっとたたせないと盛り上がる場面でも話が短調になってしまう

あと酉つけるのはいいけど、コテつけると嫌うヤツは嫌うから、できれば、コテはやめた方が無難かと思われる

初めての作品にしては悪くない(キリッ


少女「あ、じゃあその葡萄酒飲ませてー」

側近「少しだけだからな」

少女「わかってるよ~……んく、不思議な味だね……これくらい?」

側近「ああ。その辺で止めておけ」

少女「じゃあ、お料理を食べようっと……いただきます」モグモグ

側近「どうだ?」

少女「ふわ……すっごくおいひい!」ムグムグ

側近「それは良かったな。流石は王のお抱え料理人といったところか……」

>>352おお、ご指摘ありがとうございます。
自分の書きたい事をとにかく詰め込んでいたらこのようになってしまいました……。
もっと精進していきたいです。

コテはこのお話が終わったらやめる予定ですが……やはり目障りでしたかね。


少女「ジュースもおいしいなー」ゴクッ

側近「……口についておるぞ」ツン

少女「え? あーほんとだ。気をつけるね」キュッ

『……何だか』

『色気はないがほっこりするな』

『うん』

側近(……そろそろ姫君が来ないことに疑問を覚える者も出てきそうだな)

少女「側近さん、これおいしいよ。あーん」

側近「……うむ、美味いな」モグモグ


――――
――

その頃の魔王城

魔王「……羨ましい奴め。少女からのあーんとは」モグモグ

妖精「」ムーッ

魔王「ふん、こちらは少女の料理が食べられているから別に良いがなっ」

妖精「」コクコク モグモグ

魔王「それにしても……何故姫の姿が映らぬのか」

魔王「……まあ、焦ってはいかんな。とりあえず様子見だ」ジッ

妖精「」ジッ


――――
――

都の城

王の側近「えー皆さま、舞踏会は楽しんでおられていますか?」

側・少「!」

王の側近「姫様は只今準備に手間取っておりまして、もう少しお時間がかかられるとのことです。
     つきましては、予定を早めて先に皆さんにメインのダンスを楽しんでいただきます」ペコリ

側近(……そう来たか。時間がかかるということは、見つからなければ最終的に影武者でも立てるつもりか)フキフキ

少女「あ、側近さん音楽が変わったよ……! 緊張するな~」ドキドキ

側近「そうだな、まあ練習通りにやれば良い……ごほん。ではお嬢さん、一曲踊っていただけますか?」スッ

少女「! ……はい、喜んで」ソッ

今回の更新は以上です。
あまり進まなかった……。

ここまで進めましたが、コテは消した方が良いですかね?
少し悩んでいます。

おやすみなさい。

駄目だよ消しちゃ
会話も減らさなくていい

これだけ続けてるのに>>352で初めてダメ出しで他に何人コテ使ってる?
これだけでこいつが文句言いたいだけと分かるだろ
この程度で悩むなら長続きしないんだろうな

こんにちは。今日も少しずつ更新していきます。

>>360ありがとうございます。

>>361そうなんですか?
馬鹿みたいに考え込んでしまう質なので……ちゃんと見分けられなきゃ駄目ですね。

完結までは本当に頑張りたいと思います。


オオ……

『中々様になっているな』

『まだ王女にお目にかかれないのは残念だが、代わりに良い物が見れた』

『私達も負けてはいられないわね!』

側近(……そうだ、その調子だ)

少女(うう、足がもつれそう……落ち着いて、落ち着いて……)

側近(もう少しで終わる……頑張れ、少女)

少女「……あっ」ガクンッ

側近(っ、と)グイッ

少女「あう、ごめんなさい」ヒソヒソ

側近「問題ない。あと少しの辛抱だ」ヒソッ

少女(側近さんのお顔……近い。何だか恥ずかしいな)カアッ


――――
――

側近「……終わりのようだな。大丈夫か?」

少女「な、何とか……踊るのってこんなに体力使うんだね」ハァハァ……

側近「ただクルクルと回る事だけなら誰でもできる。楽しむのは大事だが遊びではないのだ」

少女「う~……」

側近「まあ、なにはともあれよく頑張った」ナデナデ

少女「……えへへ」フニャッ

パチパチパチパチ

『少しぎこちないけど良かったぞー!』

『お疲れ様ー』

少女「えっ、そ、側近さん……」チラッ

側近「……やれやれ」ハア


王の側近「皆さま、楽しんでいただけているようで何よりでございます。まもなく姫様のご登場ですので今しばらくお待ちください」

少女「側近さん、もうすぐお姫様出るんだって!」クイクイ

側近「……いや、十中八九偽物だろう」

少女「え? 何で?」キョトン

側近「よく見なければわからんが、あちこちにいる近衛兵の表情が僅かに強張っている。恐らく動揺を必死に隠そうとしているのだろう」

少女「すごい、よくわかるね」

側近「お前がよそ見をし過ぎているだけだと思うが」

少女「むう、そんなことないもん」


側近「どうだか。お前はまだまだ子供だからな」

少女「……暑いからちょっと外の風にあたってくる」テクテク

側近「あまり遠くには行くなよ」

少女「……」プイッ

側近「……しばらく自由にさせるか」ザッザッ

少女「喉乾いたからこれ貰うね」パッ ゴクゴク

給仕「あっ、それは葡萄酒……」

少女「あ……まあいいや」


――――
――

城の外

少女「はあ……風が気持ちいい」フラフラ

少女「踊るだけでこんなに疲れるなんて……うう」ヨロッ

少女「……側近さんの馬鹿」ヒック

少女「私もうあの時みたいな子供じゃないもん……背だって伸びたし」グスッ

少女「馬鹿、バカ、ばかっ……私だって頑張ってるのにっ!!」ワシャワシャ

スルリ……カランッ

少女「ヒック……風が涼しいのに、まだ熱いよう……」グタッ


――――
――

その頃の魔王城

魔王「しょ、少女……なんということだ。完全に酔っておるではないか! これでは計画どころでは……」ワナワナ

妖精「」パタパタパタッ

魔王「ま、待て小妖精! 行ってはいかん!! そういう約束だろう!?」ガシッ

妖精「」ムーッ

魔王「我らは2人を信じて待つ……それが家族というものだ」

妖精「……」

魔王「だが……やはり心配だな。側近は一体何をしておるのだ……!!」ハラハラ

こっちもハラハラ!


――――
――

都の城

ワイワイ ガヤガヤ

側近(姫君はやはり偽物、か……他の招待客は気づいていないようだが)

側近(……さて、本物は一体何処だ?)キョロキョロ

側近(……少女は)ピタリ

側近(まだまだ子供……一体どの口がそう言っているのだ)

側近(少女はもう、恋人がいてもおかしくはない年頃……少々子供っぽいが、あの容姿なら引く手数多だろう)

側近(……身勝手な願望で、彼女を縛ってはいけない)

側近(そう、わかってはいるのだがな)フゥ


給仕「……あ、ああ、そこの方!」タタタッ

側近「? 私か?」

給仕「確か、あの白いドレスの……お嬢さんの、お連れの方でしたよね!?」ハアハア

側近「そうだが」

給仕「お聞きしたい事がありまして……お食事の時偶然目にしたのですが、あのお嬢さんはお酒は……」

側近「今日口にしたのが初めてだが……それが何か?」

給仕「実は先程お嬢さんがお外に出られる前、偶然葡萄酒を1杯お飲みに……」

側近「なっ……それは本当か!?」ガシッ


給仕「本当に申し訳ございません! あまりに咄嗟の事で対処が……至らなかった私の責任です!!」ガバッ

側近「何ということだ……いや、あなたは悪くない。知らせてくれて感謝する」クルッ

側近「あなたはあなたの仕事に戻ってほしい……後は私の役目だ」ザッザッザッザッ

給仕「うう……」

――――
――

城の外

「……これは」スッ ジーッ

「何と立派な……持ち主は何処へ?」キョロキョロ


少女「ふにゅ、頭がふわふわする……」ヨロヨロ

チャラ男「はあ、遅くなっちまったな……お、可愛い子発見」

少女「はあ、体が熱いよう……」

チャラ男「そんなに熱いなら、そのドレス脱がせてあげようか?」

少女「ふえ? だあれ……?」トロン……

チャラ男(ッ、やべ……髪は乱れてるけど中々の上玉じゃん……言葉もギャップ萌え)ゴクリ

チャラ男「どうしたんだい? 恋人と喧嘩でもした?」ニコッ

少女「んとね……そっきんしゃんにまだまだ子供だっていわれたのぉ……」ウルッ


チャラ男「そうなんだ。それは酷いな……こんなに可愛くて綺麗なのに」ジッ

少女「ありがとー。おにぃしゃんはひとりできたの……?」ボンヤリ

チャラ男「まあね。君みたいな子との出会いを求めて」ギュッ

少女「そうなの~」ニヘラッ

チャラ男「……ねえ、そっきんさんを見返したいと思わない?」ボソッ

少女「んー……?」

チャラ男「もう子供じゃないって胸を張って言えるようになりたいでしょ?」

少女「あ……うんうん! 私もう子供じゃないもんっ」フラッ


チャラ男「おっと……じゃあ、手っ取り早く大人になれる方法を教えてあげえるよ」ガシッ

少女「ほんとお? 教えて~おにいさん」ギュッ

チャラ男「ふふ……わかった。まずは人目に付かないところへ行こうか」スタスタ

少女「うん……」フワフワ

――――
――

側近「少女……何処におるのだ!?」ダダダッ

側近「くそっ、やはり目を離すべきではなかった……!!」

側近「少女に何かあったらあの御方に顔向けできん!!」

側近「何より……」

側近(私ガ正気デイラレルダロウカ……?)ドクンッ


――――
――

その頃の魔王j(パリーンッ)

魔王「糞があああッ!!! あんの男おおおおおおおお!!!!!!」ゴゴゴゴゴ

魔王「少女に何か変な事をしてみろおおおおおおお……!!!!!!!」

魔王「八つ裂きにするだけでは飽き足らん……生きたままその粗末なモノを完膚なきまでに叩き潰してくれるわああああ!!!!!!」ビキビキビキ

妖精「」パタ……パタ……

魔王「どうした小妖精……よもや止めようなどとは思っておらんだろうな」ジロリ

妖精「」スッ

魔王「……ああ、いかん。怒りのあまり我の魔力で鏡が割れてしまったな。我ながららしくない」パキッ

魔王「修復するまでにちと時間がかかる……それまでのことは側近からきっちり聞くとしよう」シュウウ……


――――
――

城の外

側近「少女……何処だ……」

「あっ……ふぁ……っ」

側近「! こっちかっ!!」ガサガサ

「……ね……こうすると……もっと……」

側近「ッ、少女!!!!」ガサッ

少女「んあっ……しょこらめえ……」ビクッビクッ

チャラ男「ふふ、すごく柔らかいね……大きさも申し分ない」フニフニ

少女「あっ、あ……変な感じぃ……」

側近「……」――ドクンッ


チャラ男「……あ? あんた何? 一緒にヤりた――ヒイッ!」ゾクッ

側近「……」ザッ……ザッ……ドクン ドクン

チャラ男「何なんだよ……っ、まさかこの子のぶフォアッッ!!」ベキィッ

側近「汚い声ヲあげルな……少女の耳が汚レるだろウ……」ザッ……

チャラ男「ひ、ひゃいぃ……」ガクガク ジュワッ……

側近「……失セロ……俺が正気のウチにな……」ド ク ン

チャラ男「あ、ひゃ、あぁあああぁあ……」ガクンッ ヒョコッ ベチャッ ヒョコッ 

側近「……」チラッ

少女「はあ……はあ……」クテッ……


側近「……少女」スッ

少女「んっ……側近、さん……?」トロン

側近「あの男に何をされた」

少女「ふえ……?」

側近「答えろ」ギロッ

少女「っ! ……頬っぺたと、首にちゅうされて……」ビクビク

側近「……」

少女「おっぱいを……ふにふにされたの」

側近「……本当にそれだけか」

少女「」コクコク


側近「そうか……」

少女「ねえ、側近さん……私、これで大人になれたかなあ?」

側近「!?」

少女「もう子供だって、言わない……?」ヘラッ

側近「……それだけのためにあの男に汚されようとしたのか?」

少女「っ……」ビクッ

側近「……そんな風にお前を育てた覚えはないぞ」グイッ

少女「あ、っ……」トサッ

側近「……仕置きだ」ペロリ


少女「……あ」ゾクッ

側近「あの男にはどのようにされたのだ……こうか?」チュッ

少女「っん……!」

側近「首の方は……こうか」チュッ カプッ

少女「ひゃ、っ……」ビクッ

側近「ちゃんと言わんとわからんぞ? ほら、ここは……?」フニッ

少女「やっ、側近、さ……っ」ハアッ……

側近「どうした、お前はもう大人なのだろう……? これ位で恥ずかしがってどうする」フニュン

少女「あ……ごめんな、さ……」ポロポロ

側近「こんなに無防備にしておるから……あのような輩に良いように……」クイッ

少女「う、あ……っ」イヤイヤ

?「はい、そこまでー」バシャンッ

今回の更新は以上です。
何とか夜のうちにヤバいシーンは終わった……!

おやすみなさい。

こんにちは。
偏頭痛と寝違えが酷いですが更新再開です←


側近「っ!!」ビッショリ

?「いちゃつくのは勝手ですけど、どうか場所を弁えてくださいね~」ニッコリ

側近「……私は何を」ボーゼン

側近(そしてこの娘は……服装的に招待客、ではないが……まさか)マジマジ

?「あら? もしかして自覚がおありでないと?」

側近「! そうだ、少女!」バッ

少女「」グッタリ

側近「……気を失っておるのか」

?「そうみたいですね~……あ、いけない、咄嗟の事とはいえ貴方の綺麗な服が台無しに」

側近「いや、むしろ感謝する。あのままでは私はとんでもないことを……」ペコリ


?「なら良かった」ホッ

側近「少女……すまない」ギュッ

?「……貴方、余程そのお嬢さんの事を大切にされているのですね」

?「ではもしかして……あ! いけない!!」バッ

側近「どうした?」

?「近衛兵がこちらに近付いてきます! 見つかりたくないならついてきてください!!」ガサッ

側近「わかった」ガサッ


――――
――

?「ここまで来れば大丈夫です」フウッ

側近「助かったよ、お嬢さん……いや、姫君」

?「! ……何故そうお思いに?」

側近「まず、あなたは兵の事を近衛兵とさも当然のように言った。一般人は兵と略する事が多い。
   次に最初はわからなかったが、その服装にしては顔立ちやしぐさに気品がある。それに……」ジッ

?「それに?」

側近「……その帽子から一房、輝く金髪が出ている。余程大切にされているのだろうな、月光で光っているぞ」

姫「……あら、逃げるのに夢中で気がつきませんでしたわ」ニッコリ


側近「都で姫君の美しさは嫌でも耳に入るからな……その金髪の事も」

姫「はあ……嫌ですわね、頼んでもいないのに自分の噂ばかりが独り歩きするのは」

側近「仮にも一国の王の娘だ。やむおえんことだと思うが」

姫「私は好きで王女として生まれたわけではありませんわ!」

側近「気持ちはわかる。だが誰だって己の出生を決めることはできん」

姫「……そうですわね。これ以上言い合っていても仕方のない事……それに私も私で目的があることですし」

側近「目的?」

姫「ええ。先程あちらの方でこれを拾いまして」スッ


側近「!」バッ

少女「」ボサボサ

姫「その持ち主を探してお渡ししたいのですが……そのお顔だともう探すのは不要みたいですわね」

側近「ああ。恐らくそれは少女の物だ」

姫「良かった、こんなに綺麗に成長しているんですもの。なくしてしまうのはあまりに残念でしょう」スッ

側近「何から何まですまないな……今更ながら見苦しいところをお見せした」スッ

姫「いえいえ、どういたしまして。その代わり私の事はお城の方には黙っててくださいね?」

側近「勿論だ。まあいずれにせよ、我らはもうすぐ帰るつもりだがな」


姫「あら、そうなんですか」

側近「ああ。こちらにも目的があってな……」

姫「どのような?」

側近「あなたと接触する事だ、姫君」

姫「! ……まあ、彼女の前で堂々と浮気ですか?」クスクス

側近「からかわないで頂きたい。こちらは至って真剣な話をしたいのだ」

姫「へえ……それは失礼いたしました。それではその真剣なお話、詳しくお聞かせ願えますか?」

側近「ああ。本当はこの子の役目だったのだが、この際仕方がない」


姫「まあ……確かにこの状態ではお話できそうにもないですわね」

側近「初めて酒を飲んでこの有様だ……普段は決してこんな娘ではない」

姫「ふふっ、とても可愛らしい寝顔ですこと……今度は起きている時にお会いしたいわ」

側近「きっと喜ぶだろう。彼女は……少女は今まで同年代の娘と話した事がほとんどないのでな」

姫「まあ……それは本当ですの?」

側近「ああ。今日の舞踏会で話したのが初めてと言っていいだろう」

姫「……」

側近「話が逸れてしまったな。では早速だが、これは我らの素性を含めて長い話になる……構わぬか?」

姫「ええ……それと、父ではなく直接私へ話すという事は」

側近「ああ。この話はくれぐれも他言無用としていただきたいのだ。あなたの父の耳にでも入れば、恐らく大変な事になる」

姫「それ程までに大切な話を……わかりました、決して誰にも洩らしません。私の名に誓って」グッ

側近「有難い。ではまず、これは信じていただけるかはわからんが……」


――――
――

その頃の魔王城

魔王「よし。少々手こずってしまったが再び繋がったぞ」キィンッ

妖精「」ジイッ

魔王「おお、少女よ無事であったか……良かった。髪飾りもついておる」ホッ

魔王「でなければ側近があのように平然としている筈が……ん?」

魔王「側近と話している娘は……もしや」ハッ

魔王「……やれやれ、やり方は随分変わってしまったが、どうやら計画はうまくいきそうだな」

魔王「それにしても……ほう、鏡越しでも見事な黄金の髪だ。さすが姫」マジマジ

魔王「……勿論1番美しいのは少女だが、あれは帰ったら髪を整えてやらねばな……」


――――
――

少女(ん……)ウッスラ

少女(あれ? 私……何時の間に寝ちゃってたんだろう……)

少女(確か、葡萄酒を飲んでから、外に出て……どうなったんだっけ?)

少女「……あ」

側近『仕置きだ』

側近『どうした、お前はもう大人なのだろう……?』

側近『こんなに無防備にしておるから……』

少女「……っ!」カァァ……

少女(確か、私が何か悪い事をして……側近さんから罰としてあんな……っ)ドキドキ

少女(でも……なんでかな)

少女(あんまり、嫌じゃなかった……むしろもっと……って何? 私どうしちゃったの!?)アセアセ

少女(あ、側近さん……誰かと、話してる……?)

Mだな


少女(綺麗……髪がキラキラ光ってる……)

少女(もしかして、私がお話するはずだったお姫様……?)

少女(ごめんなさい……側近さん……全然お役に立てなくて)ウルッ

少女(起き上がりたい……けど、体がうまく動かない……)

側近「……では……今度……迎えに……」

少女(え? 何の話をしているの? 迎えにって……魔王城に来るの?)

姫「ええ……楽しみ……」

少女(お姫様が来るなら……私、もういらない子?)ドクンッ

『役立たず』

『お前なんて誰からも必要となどされていないよ』

少女(うあ、あああ……やだ……やだ……)ドクッ……ドクンッ……

『てめえみたいな役立たずは、魔物に喰われるのが……』

少女(……そうだ、食べられたら良いんだ。側近さんか魔王様に)


少女(こんな私でも、2人ならきっと……)

少女(おいしく、食べて……くれる、かな……?)スウッ

側近「……では、我らは失礼する。このような話を信じていただけて感謝している」

姫「いえいえ。こちらこそとても面白いお話を聞かせてもらって楽しかったですわ」

側近「少女が起きたらすぐに、あなたの事を話しておこう」

姫「お願いします。ああ、もう魔王城へ行く日が待ち遠しく感じますわ」

側近「では明日にでも特殊な魔鳥をこちらに寄越すから、来れる日が決まったらそれで知らせてほしい」

姫「わかりました。どうかお気をつけて……魔王様によろしくお願いしますね」

側近「ああ。では……」ペコリ ザッザッザッ

姫「……魔王様……一体どんな方なのかしら」ワクワク


――――
――

側近「……ん?」

側近(少女の頬に……新しい涙の痕が)ソッ

側近(怖い夢でも見ているのか……?)

側近「大丈夫だ……お前には私も、魔王様も、小妖精もいる」ナデナデ

側近「……悪い夢など、覚めてしまえばなんということはない」額コツン

少女「ん……役立たずで……ごめんなさい……」ムニャムニャ

側近「お前は役立たずなどではない、絶対にな……」ザッザッ


――――
――

魔王城

側近「只今戻りました」ペコリ

魔王「おお、2人とも……待ちわびたぞ」

妖精「」パタパタ

側近「少女はまだ眠っております。如何いたしましょう?」

魔王「そうだな……とりあえずドレスを着換えさせて部屋で寝かせてやると良い」

側近「御意」

妖精「」ジーッ

側近「……小妖精、お前も手伝ってくれるか?」

妖精「!」コクコク

魔王「おや、珍しい事もあるものだな」

側近「舞踏会での計画実行により、少々疲れております故……」

おつー


魔王「そうか……とにかく2人とも、御苦労であった」

側近「……は」ペコリ ザッザッザッ……

魔王(……気のせいか? 僅かだが奴の気配が……)

――――
――

少女の部屋

側近「私は少女を固定しつつ極力見ないようにする。お前はファスナーを開け、脱げたドレスの端を持たせてくれぬか」

妖精「」コクッ

側近「では……頼んだぞ」スッ

――――
――

側近「……何とか終わったな。協力感謝するぞ」

妖精「」ジーッ

側近「……何だその目は」

妖精「」プイッ

側近「やはり可愛げがないな。少女とは大違いだ」


妖精「」パタパタパタ……ピトッ

側近「まあ、離れていた分そうして寄り添っていると良い。私はもう行く……良い夢を」バタン

妖精「」ベーッ

――――
――

魔王の部屋

側近「魔王様」コンコン

魔王「入れ」

側近「失礼します」ガチャ

魔王「では、早速聞かせて貰おうか……計画の進行具合と」

側近「映し鏡が破損している間の、都の城での状況ですね」

魔王「……やはり気づいておったか」

側近「ええ。途中で僅かながら違和感がありましたからね……少女は気づいていないと思いますが」


魔王「そうか……では改めて」

側近「ええ……まずは計画の方ですが、姫君への接触は思わぬ偶然が重なり……」

――――
――

側近「――というわけです」

魔王「ほう……では我とこの城に興味を持ち、後日行く事への許可と引き換えに承諾した、と」

側近「はい。それと少女にも……恐らく彼女も少女と似たような立場であったからだと考えられます」

魔王「成程な。まあ、順調である事はよくわかった。本当にご苦労であった」

側近「……勿体なきお言葉」

魔王「では次だ……あの時、何があった」


側近「っ……何処まで、ご覧に?」

魔王「少女が下等な男に肩を抱かれて何処かへ連れ立って歩いて行くところまでだ」

側近「そうですか……あれは私の監督不届きでした。大変申し訳ございません」ガバッ

魔王「よい。お前の様子から最悪の事態にはならなかったようだからな……続けよ」

側近「……私が、駆け付けた時には」

魔王「……」

側近「胸を……触られておりましt」パリンッ

魔王「……と、すまんな。また先程の怒りがぶり返してきおったわ……」

側近「いえ……」ゾクッ


魔王「で、そ奴はどうなった?」

側近「それ相応の報いを受けさせました。恐らく歯の半分近くは粉々でしょう」

魔王「そうか……まあ、あの下種もその程度で済んで運が良かったな。やったのが我であればもっと重かったであろう」

側近「……ご冗談を」

魔王「そう捉えるのは勝手だがな……嗚呼、少女の事となると本当に我を忘れていかん」

側近「……お気持ちはわかります」

魔王「うむ……ところで少女の被害はそれだけだったのか?」

側近「いえ……後は頬と首に接吻を」ボギンッ

魔王「いや、すまん。壊れた物は寝る前に治しておくから心配するな」

側近「……は」


魔王「それで、彼女をその後どうした?」

側近「……消毒しました。奴に触れられたと思われる所を」

魔王「そうか……まあ、何をしたのかは聞かないでおこう」

側近「……それが終わった後、姫君に遭遇し、先程の話に至ります」

魔王「ふむ、よくわかった。重ね重ねご苦労であったな。今夜はもう休め」

側近「……は」ペコリ ザッザッ

魔王「……何処の馬の骨ともわからん男にやるより」

側近「……」

魔王「いっそお前が娶ってやった方が、とこの頃よく思うのだ。お前にならば安心して任せられる」

側近「……本当に笑えぬ冗談です」バタン

魔王「……すまぬ、酷な事を……言ってしまったな」


――――
――

少女の部屋

少女「うう……」パチッ

少女「ここは……そっか、帰ってきたんだ」ギシッ

少女「服も、着換えてある……また迷惑かけちゃったんだ」

妖精「」スウスウ

少女「妖精さん……ごめんね、こんな私で」キュッ

少女「……」スッ

少女「杖……あった。あ、髪飾りは机の上か……」カタン

少女「これも、着けていこう……」フラフラ

少女「……」ガチャ……バタン


――――
――

魔王の部屋

魔王「これで粗方、壊れた物は修復した」

魔王「魔力をあまり使わぬようにせねばいかんというのに……全く何をやっているのやら」

魔王「……ん? あれは少女か? こんな時間に外へ何を……」タタタッ バタンッ

――――
――

城の外

少女「……」フラフラ

少女「……ここなら良いか」ピタッ

少女「」ブツブツ

魔王(杖に呪文……少女、何かを召喚する気か?)コソッ

ザワッ……

魔王「!?」

ゴゴゴゴゴ……


少女「うふふ……来てくれたあ……」

魔王(何なのだ、この禍々しい気配はッ……!?)

ズズズズズ……

魔王(少女……一体何を……)

ズ ン

?「は~ああ~~~~~い♪ 呼ばれて来ちゃった死神さんDEATH☆」鎌キランッ

少女「うふふ……こんばんは、そして初めまして死神さん」ニコッ

魔王(し、死神……だと!? 何を考えておるのだ!!)

死神「あら? あららららら~~ん? お嬢ちゃんがオイラを呼びだしちゃったカンジ?」

少女「うん」


死神「ちょっとちょっとちょっと~? わかってる? ぼくちん死神なのよ? この綺麗な鎌でお嬢ちゃんの首なんかスパーッと刎ねれちゃうのよ?」ギラッ

少女「うん、わかってる。だからお願い死神さん、私を殺して」

魔王(!?)

死神「おんやおやあ~~~~? お嬢ちゃん、あんたそのために俺っち呼びだしちゃったわけ?」

少女「うん」ニコニコ

魔王(くっ……あれに喧嘩を売るのは気が進まぬが……!! 鎌さえどうにかできれば!!!!)ゴオ……

死神「ぬふふふふ~君い~いカンジにクレイジーね♪ 気に入っちゃったよ~」ニカッ

少女「じゃあ……!」

死神「でもダーメーェェェェェ!! 残念無念また来世♪」腕デバツ

少女「えっ……どうして?」

魔王(……!)ピタッ


死神「死神さんはね~、死を司ってるから見るだけで相手が何時死ぬかわかっちゃうんDEATHよぉ~」チラッチラッ

死神「で、見たところお嬢ちゃんの寿命はまだまだ先」

死神「もしそれを無視して君の命を刈り取っちゃったらぼくちん、上からキツーイお仕置きを受けちゃうのよ~ん」ジトッ

死神「よってその願いは聞き届けられましぇんっ!!」ドンッ

少女「……なんで? こんな役立たずがこれ以上生きてる意味なんてないのに……」ウルッ

死神「あ……あ~あ~あ~泣かないでよベイビー。ほら、アメちゃんあげるから」スッ

少女「うう……ありがとう」スッ

魔王(な……何なのだあれは)プルプル

魔王(だが、聞き捨てならない言葉があったな……役立たず、だと?)


死神「ってお嬢ちゃん……そんな簡単に死神からのプレゼントを受け取っちゃだぁめだよ~」チッチッ

少女「え? だってせっかくくれるんだから……それにお友達の事信じてるもん」

死神「……フレンド? オトモダチ? それわっちにいってんの? 本気で?」ジロジロ

少女「うんっ。召喚した子は皆お友達だよ!」ニコッ

死神「……う、うぉろろろ~~~~~ん!!!! そう言ってくれたのは君が初めてだよぅ」グスグス

死神「ぼくちんを召喚した奴はみんなみんな怖がるか命令するか……そればっかり」シクシク

死神「あちしはこん~な性格だから、他の死神からも敬遠されちゃってるのよ~ん」ビローン

死神「でもお嬢ちゃんは違った! 怖がらずにやつかれを受け入れてくれた!! そればかりか友達とも!!!!」キラキラ

死神「だから死神さんお礼にもれなく君の相談に乗っちゃうよっひょおおおい!!!」パンパカパーン

少女「あ……ありがとう」

魔王(……骸骨がやたら嬉しそうに少女と話しておる)ドン引キ

魔王(突っ込みたいのは山々だが……まずは様子を見てみよう)

魔王(……あの子の能力は折り紙つきだからな)


――――
――

死神「なあるほど~。その舞踏会で側近さんとやらに迷惑をかけて、自分がやるはずだった事も彼にやってもらっちゃったわけでちか~」

少女「今度はっ……お役にたてると思ったのに……私、子供みたいに迷惑を……」グスッ

死神「それでお姫様がこのお城に来るから、自分は用済みだと~?」

少女「」コクッ

死神「……か」

少女「?」

死神「ばぁかやろおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」キィィィィィィン

少・魔(ッッッッッ!!!!)耳オサエ

死神「あんたねえ、たったそれっぽっちの失敗で何よ!!」キンキン

死神「死神はねえ、そうやって命を大切にしない奴が大っキライなの!!」ガミガミ

死神「ぼくちんがこれまで刈ってきた魂はねぇ、老若男女本っ当に様々だったわよ!!」ゴニョゴニョ

死神「でもね! みんなみんな1つだけ同じ事が言えるんだぜ!!!」ウガーッ

死神「それはね、何があろうと最期まで精一杯生きたってことなのさっ」ビシッ


死神「同僚にはあんたみたいに下らない理由であっさり死んだ奴を刈ったのが腐るほどいるさ!」

死神「正直迷惑なんだよこっちは! 転生に値しない矮小な魂刈らせるなってんだ!!」

死神「あんたはまだまだ若いんだからッッ! どんどん失敗してガンガン立ち上がりなさい!! こんの幸せ者がッ!!!」カッ

死神「天寿を全うするって言葉は……そうやって魂を極めた者のためにあるのだから!!!!」ドンッ

少女「……」ポカーン

魔王(死神……)

死神「……それとも、なあに」ズイッ

死神「お嬢ちゃんの大切な家族は、たったそれだけで君を見捨てるような薄情な奴なのかい?」

少女「!」


死神「どうなんじゃ?」

少女「……ううん、そんなことない」

少女「私の家族は、そんな酷い事しない!!」

魔王(少女……)

死神「そうかい……お嬢ちゃんは本当に幸せ者だ」ポンポン

死神「ああ、夜が明けてきたね……ぼくちゃんはそろそろ消える時間だ。朝は生の時間だからね」スゥ……

少女「死神さん……」

死神「わっちが敬遠されているのはね~、この性格だけじゃないんだよ」

死神「召喚主が無駄に死にたいって言ったら、こうやってついつい説教しちまう」

死神「刈れりゃ誰でもいいって奴が多いからね、近頃は……」ハハ


少女「死神さん……私ね、こう言ったらいけないけど、今までお友達は会話できない子がほとんどだったの」

少女「だからね、家族に言えない事があっても、ただ1人で抱え込んじゃうばかりだった」

少女「でも、でも死神さんは、私のお友達の中で初めて相談に乗ってくれた! 叱ってくれた!!」

少女「だから……ありがとう」ニコッ

死神「! ……今までで1番良い笑顔いっただき~♪」ニヤッ

少女「!」

死神「また何かあったら呼びなっさーい! あ、もしそれが頑張った末の今際の際だったら……」

少女「?」

死神「苦しまないように逝かせちゃる!」キュピーン


少女「死神さん……」

死神「ばーいびー♪」スゥゥゥゥ……

少女「……」

魔王(……少女が気づかぬうちに戻るか)クルッ

魔王(体力を回復させつつ……やらねばならんことがある)ザッザッ

少女「死神さん……またね」杖ト飴ギュウッ

少女(召喚した死神があなたで良かった)ニコッ

今回の更新はここまでです……どうしてこうなった←
正直死神は「苦しまないように逝かせちゃる!」と言わせたいがために作ったようなキャラです(笑)
ついでに、少女が2人に食べられようと思ったのに死神召喚したのは……それで死ねるか突発的に試しただけだったりする。
病み少女(笑)

おやすみなさい。

おい…………

こんにちは。
よくよく考えてみたら昨日の死神パート、小話として差別化した方が良いような気がしてきたorz
タイトルは「死神と少女ときどき魔王」みたいな(笑)
いきなりぶっとんだカオスな展開になって戸惑われた方も多いかと思われます。
本当にすいません、でも後悔はしていません←
妖精も小話から登場したキャラですしね。

今回も少しずつ投稿していきます。


――――
――

少女の部屋

妖精「」パチッ

妖精「」キョロキョロ

妖精「!!!!」パタパタパタパタ

妖精「~~~~~」扉グイグイ

少女「! あ、妖精さん」ガチャッ

妖精「!」ピューッ ピトッ

少女「ごめんね、心配させたみたいだね。今日からまた一緒だよ」ナデナデ

妖精「」スリスリ


少女「さて、身支度しないと……」スッ カチャッ コロン……

妖精「!」ジーッ

少女「あ、それはね、新しいお友達から貰ったの」

妖精「?」

少女「命を刈り取る死神さんなんだけどね……」ヒソヒソ

妖精「!?」オロオロ

少女「ううん、安心して、別に何ともないから」ニコッ

妖精「」ホッ

少女「とっても面白い死神さんだったよ。悩みの相談に乗ってくれたり、私のために叱ってくれたり」

妖精「」ムッ

少女「そんな事が出来たのは、今まで魔王様と側近さんだけだったから……」

妖精「」プクーッ


少女「ああ妖精さん、そんなに拗ねないで! 1番のお友達が妖精さんなのは変わらないよ」ヨシヨシ

妖精「」ポフッ

少女「あはは、くすぐったいよ~」

少女(でも……ちょっとおかしいんだよね)

少女(今まで私が見てきた召喚の本の中で)

少女(死神さんって載ってたかな……?)

少女(何であの時、死神さんを呼び出せたんだろう……?)


――――
――

城の外 兎の墓前

側近「……」スッ ザッザッザッ

側近「」ピィーッ

魔鳥「」バサバサバサッ

側近「……予定より少し早めの活躍になるな」

側近「……行け」サッ

魔鳥「キュエッ!」バッサバッサ

側近「……」


魔王「側近……今日も早いな」フラフラ

側近「……魔王様! どうなさったのですその目の隈は!?」

魔王「我の事など気にするな。わけは後で話す……それよりも、ちと面倒な事になったようだ」

側近「! どういうことです」

魔王「奴め……我らの痛いところを突いてきおる」

側近「……まさか」

魔王「まだ推測の域だが……恐らく間違いないだろう」

側近「……」

魔王「話は後だ、とりあえず朝食に行くぞ。」ザッザッ

側近「……は」ザッザッ


――――
――

魔王「少女、昨日の舞踏会はどうであった」モグモグ

少女「すっごく楽しかったよ! とても広間がとってもキラキラしててね、お料理もおいしくてね、たくさんの人がいたの」

魔王「そうか、それは良かったな」

側近「……はしゃぎ過ぎてヘマをやらかしたのは関心せんがな」モグモグ

少女「う……本当にごめんなさい」シュン

側近「まあいい。何はともあれ計画は順調だからな」

少女「本当?」

側近「ああ。お前が寝ている間に姫君と話す事ができてな。お前にいたく興味を示しているようだったぞ」

少女「そうなんだ……」

側近「ああ、それと彼女を計画の進行上、今度こちらに連れてくる事になっていてな」


少女「……」

側近「うまくいけば初の人間の友となろう……お前の、否、互いにとって」

少女「?」

側近「お前とは少々違うが……姫君の立場でも対等な友などほぼ望まれなかったのだろう。
   王族としての厳しい教育の日々に辟易し、度々城を抜け出してはその孤独を埋めていたと彼女は言っていた」

少女「……そんなに、お姫様って大変なの?」

側近「お前の何倍も大変だろうな。礼儀作法や語学など、教養として様々な事を覚えねばならんからな」

少女「そっか……そんな人と仲良くなれるかなあ、私」

側近「なれる。お前ならきっとな」ポンポン


少女「……えへへ」ニコッ

妖精「」ガツガツ

魔王「……2人とも、話に入れずに小妖精がむくれておるぞ」ツン

少女「妖精さん……そうだ! 妖精さんも紹介してあげたら喜んでくれるかな?」

側近「どうだろうな……嫉妬深く扱いの面倒な者を紹介してもな」

妖精「~~~!!」プンプン

少女「もう、側近さんたら!」

魔王「やれやれ、やはりこの2人はいつも通りだな」


少女(……うん、本当に何もかもいつも通り)

少女(魔王様も……側近さんも優しい)

少女(なのになんで、あんなこと思っちゃったんだろう……?)

少女(……そういえば、2人は人を食べた事があるのかな?)

少女(って、食事中に何考えてるんだろう私……馬鹿みたい)

少女(でも、2人は一応魔族だし……もしかしたら)

魔王「どうした少女、手が止まっておるぞ? 食欲がないのか?」

少女「え? あ、何でもないよ魔王様、気にしないで~」モグモグ

側近「……」

妖精「」モキュモキュ……ペチンッ


――――
――

書庫

少女「うーん……やっぱり載ってないなあ、死神さん」パラパラ

妖精「」ジーッ

少女「うう~……私、一体何処で知ったんだろう?」

妖精「」クイクイ

少女「え? ……あ、それは確か見たことない本だ」

少女「ここは本当に沢山本があるからね~……」パラパラ

少女「……ん? この子は……へえ、2体で1体なんだ」

妖精「」ジーッ

少女「妖精さんも気になるの? じゃあ一緒に読もうか!」

妖精「」コクコク

少女「えーっと何々……」ジーッ

妖精「」ジーッ


――――
――

魔王の部屋

側近「私が寝ている間にそのような事が……」

魔王「ああ。我も目の前の出来事が信じられなかった。そして少女の言っていた事もな……」

側近「……我らは何があっても、少女の家族だというのに」

魔王「そうだな。だが、あの時のような短い時間にあのような事を彼女が思いつめるとはどうにも信じられん」

側近「ええ……それに死神の事が記載された書物も、少女の目の届くところへ置いてはいない筈です」

魔王「うむ。その書物があるのは……」

側近「奴の部屋……ですね」

魔王「……ああ」ギリッ


側近「……このような事は考えたくはありませぬが」

魔王「我もだ。口にするのも厭わしい」

側近「……奴の魔力が……貴方様の支配下を逃れ、少女へ手を出した、と……?」ギリッ

魔王「それ以外に考えられん。昨夜、映し鏡の術を我が破損させた時」

魔王「ほんの少し、我の魔力の残り香がお前達の方へ残った」

魔王「……我は封印の影響により、常に奴の魔力も背負っておる状態だ」

側近「一時的とはいえ、貴方様の監視から逃れた奴の僅かな魔力が、何らかの形で少女を精神的に急激に追い詰めた……」


魔王「同時に死神の事も、彼女の無意識下に刷り込んだのだろう」

側近「……しかし、その刷り込まれた召喚さえもいとも簡単に成してしまう少女もまた、普通ではありませぬ」

魔王「ああ……その点は彼女の出自が本当に気になるところだ……ところで側近よ」

側近「何でしょう?」

魔王「一応訊いておくが……お前の方にはあの時何か変わりはなかったか?」

側近「……私ですか? いえ、特には」

魔王「うむ、なら良い。我とお前は奴の魔力にはとうに慣れきっておるからな。抵抗など造作もないだろう」

側近「ええ」


魔王「何れにせよ、このような事があった以上警戒を強めねばならぬな」

側近「はい。あの部屋へ少女を近付かせないのは勿論……奴の気配にも気をつけましょう」

魔王「我の封印と魔力の管理もより一層慎重に行く。何かあるのは我らだけで十分だ」

側近「そうですね……魔族の問題にこれ以上少女を巻き込むわけにはいきませぬ」

――――
――

側近(……あのように言ったものの)

側近(自分が少女にあんな事をしてどうする……!)

側近(……いっそのこと、彼女にした事も奴が惑わせた事にできれば良いのにな)ギュッ


側近「……」窓チラッ

少女「あははーくすぐったいよ~」ナデナデ

グリフォン「♪」スリスリ

妖精「」パタパタ

側近「……あの笑顔を、失いたくはない」

――――
――

少女「妖精さんの他に、誰かお友達紹介できないかな~」

少女「あんまり怖くない子が良いと思うけど……」チラッ

グリフォン「」グルルル

大蛇「」フシュー

一角獣「」ブルルル

少女「……もっと小さい子が良いかな」

早いですが今回の更新は以上です。
少しずつ終わりに近付いている……筈。

ここからはちょっとしたお知らせです。
次の更新についてですが、実はこちらの都合により、明日からの本編の更新はほぼ土日中心になります。
もしかしたら夜に少し更新できるかもしれませんが、それも不確定事項です。
覗く事は携帯からでもできますが……。
代わりに、あるかはわかりませんが、もし何か質問やリクエストなどがありましたら、できる範囲でちょこちょこ応えていきたいと思います。

おやすみなさい。


こんばんは。上げるのも兼ねてほんの少しだけ顔だしです。
帰宅するまで脳内に少女のエロ構想ばっかり浮かんでた……何故にorz

作品的にがっつり書いちゃうのはやっぱり不味いですよね……。
失礼しました。

エロ書いてくれてもいいのよ?
てかむしろ書いてくださいお願いいたします


こんばんは。
もそっと顔だしです。
では、平日限定でその……エロの方を書いてみたいと思います←
ただし更新は本編ほど早くはありません(笑)
完全な番外編として読んでいただければ幸いです。
丁度帰宅途中でうまくまとまったネタがあるので、それを……。

小話「……と少女」


???

少女「……ん」パチッ

少女「ここは……?」キョロキョロ

少女「私……確かお部屋のベッドで眠っていたはずなのに……」コテン

少女「妖精さんもいないみたい……じゃあやっぱり夢、なのかな……」

少女「真っ暗で何も見えないけれど……私以外にだれもいないの?」

シュルル……

少女「!? 何かいるの……?」


少女「……もしかして、お友達になれるかな?」

少女「夢の中でお友達ができるのは初めてだなあ……」ワクワク

少女「こっちに行けばいいの?」テクテク

シュル……シュルル……

少女「……わあ、これって……植物? こんなの見た事無いけど……」マジマジ

植物(?)「」ウネウネ

少女「蔓だけ? 花の方は見当たらないけど……」キョロキョロ


植物(?)「」スッ

少女「こんにちは! ……じゃなくてこんばんは、かな? あ、握手?」ギュッ

植物(?)「」フワッ

少女「ん……何だか甘いにおいがしてきた。もしかして植物さんが出してるこれ?」ツンツン

植物(?)「」スリスリ

少女「あ、やだもう、くすぐったいよう……顔がべたべたになっちゃうじゃない」

少女「んん、口に入っちゃった」ペロッ

少女「……何だか蜂蜜みたいだね」ゴクッ

植物(?)「」スリスリ ヌチャッ

少女「もう、だからやめてよ~。服までべとべとになっちゃう」

植物(?)「」スッ


少女「え、これを舐めてほしいの? 友好の証かな……?」

植物「」ズイッ

少女「あ、わ、わかった。だから髪に擦りつけるのは止めて~」オロオロ

少女「じゃ、じゃあ……いただきます」パクリ

少女「はむ……ん、ぐ……ちゅ、んむ」ピチャピチャ

少女「んぅ……舐めても舐めても溢れてくるね」ネトッ……

植物(?)「」スリスリ

少女「あう……わかったよう。全部舐めれば良いんだね?」ギュッ

少女「んっ……ぺちゃっ、ふむっ、あ……ふっ」ゴクゴク


少女「どんどん出てくるから……唇からも零れちゃうよ」ヌトッ

植物(?)「」グイッ

少女「え? これも? じゃあ指で掬って……」ネトッ……

少女「んっ……ふう。何だかお行儀が悪いな、私」クスクス

少女「側近さんが見たら怒るかも」

植物(?)グイグイ

少女「はいはい。ちゃんと舐めるよ……んぶっ、ふ、あ……っ」ペロペロ

少女「むふっ……それにしても、こんなに甘いものをいっぱい食べたのは初めてかも」

少女「いつも側近さんからあまり食べるなって言われてるからね~」クスクス

植物(?)「」ナデナデ

少女「まあ、夢の中なら平気だよね」ニコッ

とりあえずここまで。
おやすみなさい。

うわぁ……


こんばんは。
見ている人がいるかはわかりませんが再開です。
明日には終わると良いな。

終らせない

完結後を引き継ぐ宣言した>>447が居ると聞いて


少女「んー……そろそろ飽きてきたな。ねえ植物さん、まだ舐めなきゃ駄目?」

植物(?)「」シュルリ

少女「気のせいかな……なんだか少しずつ体に力が入らなくなってきたよ」クテッ

少女「夢の中で横になるのもおかしな話だけどね~……」

植物(?)「」シュルッ……

少女「そろそろ起きる時間かな……ってきゃあっ!」

植物(?)「」ヌチャリ……

少女「な、なにするの植物さん……あ、や、やだ、腕が……」グイグイ


植物(?)「」ビチャ

少女「な、何で? 私ちゃんと舐めたよ? なのに……うああっ!」ヌルリ

植物「」(?)グニュッ

少女「やっ、おっぱいやだぁ……そんなとこ触らないでよ……」グスッ

植物「」(?)チュッチュッ

少女「ふああっ……吸っちゃダメ、だよぅ……ひっ……!」ビクッ


植物(?)「」チュルッ

少女「う、あ……な、舐めるのも、やあ……っ」ハァッハァッ

植物(?)「」ジュウウッ……

少女「ひあああっ! そんっ、なに……強く吸っちゃ……」ゾワゾワ

植物(?)「」スリスリ

少女「ひいっ! ふ、あ……なん、か……変な気持ち……んっ」ビクッ


植物(?)「」スルッ……

少女「へ? ……ひゃあっ! なんで、スカートの……下に行くの……?」ガクガク

植物(?)「」スリスリ

少女「うああっ……や、擦らないで……っ、あんっ」ビクッ

植物(?)「」スルスル……

少女「よ、良かった……出てってくれた……」ホッ

植物(?)「」スッ ヌルッ……

少女「え? これ、蜜じゃない……?」

植物(?)「」スリッ……

少女「んんっ……ま、まさか私、の……」ガタガタ


植物(?)「」ヌト……

少女「ど、どうしよう……こんな汁でベッドも汚してたら……側近さんに叱られちゃう」ブルブル

植物(?)「」ズルッ

少女「っっ!? やだ……ッ、またスカートに……あああっ!」ビクンッ

少女「やめてっ……側近さんに……ぐすっ、悪い子だって思われちゃうよ……っ」ポロポロ

植物(?)「」ペロペロ

少女「んぅあ……っ、そ、そんなところ舐めちゃダメ……ひゃうんっ!」ビクッビクッ


明日も早いので、今回はここまで。
どうでもいい事ですが、少女篇の裏テーマは「子供のままではいられない」だったりします←
どうやら需要があったようで何よりです。
あくまでメインは本編ですが、平日限定で良ければこちらももう少し続けようかな……。

おやすみなさい。

後で側近にお仕置きされるんですね
待ってます

この間のレイプ未遂も中途半端だし今の流れもわざわざ言い訳までしながら書くようなことか?
最初からの流れを考えたらレイプも事後でやっと助かるとかなら外の厳しさを体験したとか理由がつくが
どっちも完全な蛇足にしか見えんけどなぁ……

こんばんは。
やっとこさ明日からお休みに……!
頭の中の容量はパンクしそうだけど妄想は別の部分に(笑)

>>456今までのように自由に書けなくなってしまったので、この小話はそんな自分の鬱憤を晴らしているようなものですね。
不快にさせてしまったのなら申し訳ありません。
それ系のネタは孕むリスクや姫登場のタイミング、後正直書くのに抵抗があったなどの理由でできませんでした。
第一事後だったら側近恐らく殺ってまう……!←
初投稿で常に試行錯誤しながら書いているので、変な部分はやはり多いですよね。
次回作を書く時はもう少しすっきりさせたいと思います。


植物(?)「」ニュルニュル

少女「またおっばいに……あ、あ、やだぁ……っ!」ブンブン

植物(?)「」シュルリ

少女「お願いだから……ひうっ! ……腕、はなしてよ……どうして、んあっ、こんなことするの……?」ジワッ……

植物(?)「」ヌリュヌリュ

少女「ふえっ……私が、悪い子だから……? 甘いものをいっぱい食べたから……?」

植物(?)「」ベトベト

少女「うう……こんな状態で頭をなでられても嬉しくないよ……」ジトッ


植物(?)「」グイッ

少女「……ふんだ、もう舐めてあげないもん」プイッ

植物(?)「」ズブブッ!

少女「!? ん、んぶっ、んーっ! んううーっ!」

植物(?)「」グチャグチャ

少女「ふあぁっ、なに、ひゅるのっ……あ、ああああああっ……!!」ガクガク

植物(?)「」ジュプッ ビチャッ ジュウウウウウッ……

少女「んぐっ……うああ……っ!」

少女(な、何……植物さんが擦ってるあの場所が……熱い……っ)ハアハア


植物(?)「」ジュルッ

少女「ぐっ……! ふあ、あうう……っ」ビチャッグチャッ

少女(口の中、苦ひいお……)

少女「ひょっきん、ひゃ……ごめんなひゃい……」フーッフーッ……

植物(?)「」チュルルッ

少女「ふあうっ……ゆ、ゆるひて……もう……」ゼエゼエ

植物(?)「……ぷっ」

少女「!?」ビクッ

植物(?)「あはははは! 可愛いなあ、もう」シュルルルッ

少女「ひょ、ひょくぶひゅひゃんが……ひゃべった……?」


今週はここまで。
人と人でないエロって難しいな……。
明日からは本編を更新します。

おやすみなさい。


こんにちは。更新再開です。
ここから>>434の続きとなります。


少女「ねえ、妖精さんはどう思う?」チラッ

妖精「」ウーン

少女「……あ、そうだ、妖精さんの妖精友達とか連れてこれないかなあ?」キラキラ

妖精「! ……~~」シュン

少女「妖精さん?」

妖精「」フルフル

少女「もしかして……いないの?」

妖精「……」


少女「ごめんね……私、知らなかったよ。お友達なのに」ギュッ

妖精「!」ブンブン

少女「だからいつも一緒にいてくれてたんだね……ありがとう」ナデナデ

妖精「」スリスリ

少女「……お互い、お姫様と仲良くなれると良いね~」

妖精「」コクン……

少女「それにしても、お姫様ってどんな人なんだろう……?」ワクワク

ヤベェ続きが見てぇ

つまんね


魔王「……少女、何をしておるのだ?」ザッザッ

少女「魔王様! あの、これは……」ササッ

魔王「そんな顔をするな。我は側近のようにお前の友の事をとやかく言いはせん」

少女「あ……あのね、お姫様に私のお友達を紹介したくて……でも、あんまり大きな子だとびっくりしちゃうでしょ?」

魔王「確かにそうであろうな……姫は都の城へ無事に返さねばならぬ。万が一の事があれば……」

少女「うん……だから、どんな子が良いか悩んでたの」

魔王「……小妖精だけでは駄目なのか?」


少女「妖精さんだけ?」

魔王「ああ。姫と1番仲良くしたいのは少女であろう? ならばそれで良いではないか」

少女「そうかなあ……」

魔王「小妖精はお前の1番の友。ならばそれを胸を張って紹介すれば良い。そして姫が望めば、他の友も紹介する」

少女「……わかった、そうしてみる。ありがとう魔王様」ニコッ

魔王「我は何もしておらぬ。お前のためにちと知恵を絞っただけだ」

少女「ううん。そんなことないよ……魔王様は、いつも私の悩みを解決してくれるね」

魔王「……大事な家族だからな」


魔王「我はこれくらいしかお前にしてやる事ができぬ。それでお前が喜ぶなら容易い事だ」

少女「魔王様……じゃあ、ちょっと質問しても良い?」

魔王「ああ、我に答えられる事なら何でも答えよう」

少女「……じゃあ、訊くね」







少女「――魔王様は、人を食べた事はある?」


ザアア……ッ……――――

魔王「……少、女。それは」

少女「勿論、2人の事は信じてるよ。でも……何となく、気になっちゃって」

少女「魔王様のお兄さんとお姉さんは、2人の事を食べようとしたんでしょ?」

少女「それに抵抗がないなら、人間を食べるのもそうなんじゃないかって……」

魔王「……」

少女「……ごめんね、こんなこと訊いて。答えたくないなら無理には……」

魔王「いや……良い。我もいつかは話さねばならぬと思っていたからな」


少女「でも……」

魔王「とりあえず、中に入って話そう。お前の友を元の場所へ帰してやれ」

少女「う、うん」クルリ

妖精「」パタパタ

――――
――

魔王の部屋

魔王「……お前が我らと初めて出会った時の事を覚えているか?」

少女「うん……忘れられるわけないよ」

魔王「あの頃のお前は今よりもずっと幼かった……故に、どうしてもそれを言い出す事ができなかったのだ」

少女「……じゃあ、やっぱり」

魔王「ああ……我と側近は、人間を食べた事がある」


少女「! ……そっか」

魔王「……我らが、怖くなったか?」ジッ

少女「ううん。そんなことないよ……言ったでしょ? 私は2人の事を信じてるって」

魔王「……なら良かった」ホッ

少女「それに、私を食べるつもりなら……太らせはしても優しくする必要はないでしょ?」

魔王「! ……それもそうだ」

少女「まあ、それでも……やっぱり魔族なんだな、ってはちょっぴり思っちゃうけどね」

魔王「……否定はしない。だが、見苦しいが弁解はさせてくれないか?」

少女「……うん。何か理由があったんでしょう?」


魔王「ああ……我も側近もな、好きで食べたわけではないのだ」

少女「……」

妖精「」ジーッ

魔王「……昔話をしようか。我と側近がまだ幼かった頃の……お前に過去を話すのはこれで2度目になるな」

――――
――

魔王城(数十年前)

魔王(先代)「今帰ったぞ、お前達」

魔王候補(姉1)「ただいまぁ~」

魔王候補(姉2)「お帰り! ねえ母上、どうだった? 今日は」キラキラ

魔王(先代)「ふっ、いつもとさして変わらん。人間共の抵抗があまりなかったからいささか拍子抜けしたわ」


魔王候補(兄)「母上、今度の侵略の時は俺を連れてってくれよ!」

魔王(先代)「わかったわかった。ほら、土産をやるから少し落ち着け」スッ

魔王候補(姉2)「わあ……綺麗……」

魔王(先代)「どこぞの人間の娘が着けていた髪飾りだ。気に入ったか?」

魔王候補(姉2)「うんっ! ありがとう母上っ」ガバッ

魔王候補(兄)「こいつはすげえ……丁度前の剣が壊れちまったとこだったんだ。ありがとう母上!」

魔王(先代)「ふふっ、それの持ち主くらいだったな。抵抗らしい抵抗をしてきたのは」クスクス

魔王候補(姉1)「でも、母上あっという間に首をスパンってやっちゃったもんね~」

魔王候補(兄)「あっはははは! なっさけね~」ゲラゲラ

魔王(先代)「……む、そういえばお前達、弟達はどうしたのだ?」


魔王候補(姉2)「……ああ、あいつら?」

魔王候補(兄)「あいつらなら……ちょっと小突いてやっただけなのに」

――――
――

魔王候補(弟)「ひっく……ぐすっ……」

魔王候補(現魔王)「大丈夫か? くそっ、兄上の奴め……!」ギリッ

魔王候補(弟)「い、良いんだ兄上……僕が、弱いから……ふぐっ……!」ヒックヒック

魔王候補(現魔王)「だからって……こんなに刺す理由にはならないだろう!!」

魔王候補(弟)「うう……僕、別に魔王になる気なんかないのに」

魔王候補(現魔王)「それは俺もだ。毎日こんな調子ではやってられないな」

魔王(先代)「全く……だらしない愚息達だな」

魔王候補(現魔王、弟)「「は、母上!」」


魔王(先代)「何をだらしない顔をしておるのだ。ほら、もうすぐ食事だぞ。早く来い」スタスタ

魔王候補(現魔王)「母上! 今の話……」

魔王(先代)「……私は別に、お前達に魔王の道を強制するつもりはない」

魔王(先代)「だが、我が息子として生まれた以上は強くなってもらわねばならん!」

魔王(先代)「どの道強さを手に入れなければ、お前達は自由にはなれんぞ……それを忘れるな」

魔王候補(弟)「母上……」

魔王(先代)「……ああ、そうだ。今日の侵略先で少々拾いものをしてな。興味があれば後で地下牢へ行ってみるがいい」ボソッ

魔王候補(現魔王、弟)「「!」」


――――
――

地下牢

魔王候補(現魔王)「……あ、いた」カツンカツン

魔王候補(弟)「兄上、本当に行くの? 僕達魔王の子供だよ?」カツンカツン

魔王候補(現魔王)「大丈夫だって、ばれなければ。弟だって気になってたんだろ?」

魔王候補(弟)「でも……」

少年「! 誰かいるの? ここから出して!」

魔王候補(現魔王)「……あー、気付かれたか」

男「君達は……?」

魔王候補(現魔王)「俺達は……魔王城に住んでるしがない魔物さ」


男「そうなのか……なあ、俺達はどうなるんだ?」

魔王候補(弟)「あ……へ、変な事をしなければ開放されると思う」

少年「本当?」

魔王候補(現魔王)「あ、ああ……俺達が魔王に頼んでやるよ」

少年「ありがとう! 僕ね、父さんと一緒にあの町に来たんだけど、いきなり魔王達が攻めてきてびっくりしたよ」

男「こら、あまりこいつらにそんな事を話すんじゃない!」

魔王候補(弟)「大丈夫、魔王の耳には入れないから……」オロオロ

男「ふん……どうだかな」


魔王候補(現魔王)「あ、あのさ……お前達はどんなところに住んでるんだ?」

少年「え? ……んーっとね……ゴツゴツした岩場があってね」

男「おい息子よ! お前何を話しているんだ!」

少年「でも父さん、この魔物たちは僕と同じくらいだし……悪い奴には見えないよ」

男「だ、だがな……」

魔王候補(弟)「僕達はただ、城の外の世界に興味があるだけなんだ。あまり外には出た事が無いから……」

魔王候補(現魔王)「ここに閉じ込められてたら退屈だろ? 色々話してた方が気が紛れると思うけど」

少年「ねっ、父さん! この2人きっと良い魔物だよ! お話して良いでしょ?」

男「む……う」

魔王候補(現魔王)「あ、くすねてきた食べ物もあるけど。どうせ碌なモノ食わせてもらってないだろ?」ゴソゴソ


少年「わあ、ありがとう! あれぐらいじゃ足りなかったから丁度よかったよ!」グウ……

男「やめろ、毒が入っているかも……」グウ……

魔王候補(現魔王)「そんなに疑うなら食べてみせるよ」モグモグ

魔王候補(弟)「ほら、大丈夫だから……」ムグムグ

男「……はあ、わかったよ。好きにしろ。どうせ出られないんだ」ゴロン

少年「やったー! ねえ、明日も来てくれる?」

魔王候補(現魔王)「ああ。食べ物と一緒にな」

魔王候補(弟)「その代わり、外の事を色々と話してくれるかな?」

少年「うんっ」ニコニコ


――――
――

魔王候補(弟)「本当に……大丈夫かなあ」ハラハラ

魔王候補(現魔王)「別に悪い事をしているわけじゃないだろう? お前だって楽しそうだったじゃないか」

魔王候補(弟)「でも……」

魔王候補(兄)「おい、何だよ随分と楽しそうじゃないか。俺も混ぜてくれよ」ニヤニヤ

魔王候補(現魔王)「ッ……別に、あんたには関係ない」

魔王候補(兄)「あ? 弱っちい癖に生意気じゃねえか」ドンッ

魔王候補(弟)「あ、兄上……!」

魔王候補(現魔王)「大丈夫だ……気にするな。行くぞ」ザッザッ

魔王候補(兄)「……フン」ジロリ


――――
――

数日後の地下牢

少年「2人とも、いつもありがとう!」

魔王候補(弟)「いやいや、こっちだって色々と面白い話を聞かせて貰ってるからお互い様だよ」

少年「あ、そう言えばさ、魔王は僕達をいつになったら出してくれるのかなあ……?」

魔王候補(現魔王、弟)「「!!」」

魔王候補(弟)「あ……一応交渉はしてるんだけどね。あともう少しってとこまできてるんだ」

魔王候補(現魔王)「そ、そうそう! だから心配するなって!」

少年「そっか……でも、そしたら2人とはお別れになっちゃうね。ちょっとさびしいなあ」


魔王候補(弟)「僕達もだよ……でも、家に帰れるのは嬉しいでしょ?」

少年「そりゃあ、そうだけど」

男「おい、そろそろ戻ったほうがいいんじゃないのか?」

魔王候補(現魔王)「そうだな……じゃあ、また来るから」タタタッ

魔王候補(弟)「また明日ね! 魔王にも交渉しとくから!」タタタッ

少年「ばいばーい!」フリフリ

男「……」フリフリ



魔王候補(兄)「……成程な。そういうことか」ニヤッ


――――
――

魔王候補(現魔王)「はあ……はあ……」ボロボロ

魔王候補(姉1)「どうしたのぉ愚弟? そんなザマじゃあ魔王になんてとてもなれないわねぇ」クスクス

魔王候補(現魔王)「べ、別に、良い……魔王になんて、なりたくもない……っ」

魔王候補(姉2)「あはは、本当に口だけは元気なんだから~。じゃあもう少しやれるよね?」ケラケラ

魔王候補(弟)「兄……上……」フラフラ

魔王候補(兄)「おらお前もよそ見してんじゃねえよ」ドゴッ

魔王候補(弟)「がはっ……!」ドサッ

魔王候補(兄)「あーあー……母上の子供が俺だけだったらってマジで思うぜ」ハア

魔王候補(姉1)「はあ?」ギラッ

魔王候補(姉2)「それはこっちのセリフなんだけど?」ビキビキ


魔王候補(兄)「あ? やるのかお前ら」ゴォ……ッ

側近(先代)「皆様、どうかその辺になさってください。夕食のお時間です」ユラッ

魔王候補(姉2)「え? 側近、もうそんな時間?」

魔王候補(姉1)「そういやお腹空いてきたかも……あ、あんた邪魔ぁ」スタスタ ドゴッ

魔王候補(現魔王)「ぐふっ」ゴロッ

魔王候補(弟)「うう……兄上……」ヨロヨロ

側近(先代)「全く……魔王様のご子息なのに情けない……なるべく早くお出でくださいね」チラッ スタスタ


魔王候補(現魔王)「……くそっ」スッ

魔王候補(弟)「兄上、あまり無理に動かない方が……あうっ」ズキンッ

魔王候補(現魔王)「……それはお互い様だな」

魔王候補(弟)「……みたいだね。早く治癒しないかな」

魔王候補(兄)「……」ニヤニヤ

――――
――

魔王候補(姉2)「うわ……今日はまた豪勢だね。肉がこんなに」ゴクリ

魔王候補(兄)「いつもより良い肉を捌いたんだ。ご馳走だぜ」ニッ

魔王候補(姉1)「何ぃ? まるであんたが料理したみたいじゃない」

魔王(先代)「これで全員揃ったようだな。待ちわびたぞ……では、いただくとしようか」スッ


魔王候補(姉1、姉2、兄)「」ガツガツ ムシャムシャ

魔王(先代)「お前達……肉はいくらでもある。そんなにがっつくな」モグモグ

魔王候補(現魔王、弟)「いただきます……」モグモグ

魔王候補(兄)「……んぐ、おい、お前ら」バクバク

魔王候補(現魔王)「……何だよ」

魔王候補(兄)「今日の肉は格別に美味いだろう?」ニタッ

魔王候補(弟)「……? そんなに今日の肉はすごいのかな。美味しいけど」モグモグ

魔王候補(現魔王)「ああ……確かに美味なのは認めるがな」ムグムグ

――――
――

地下牢

魔王候補(弟)「おーい、来たよー」カツカツ

魔王候補(現魔王)「!? ……お、弟、牢の中に2人がいないぞ!!」キョロキョロ


魔王候補(弟)「嘘……どうして!?」バッ

魔王候補(現魔王)「母上に訊きに行こう!!」クルリ

魔王候補(兄)「よお」ニヤニヤ

魔王候補(現魔王)「! ……今はあんたに構っている暇はない。後にしてもらおうか」

魔王候補(兄)「良いのか? そうやって兄上を邪険にして……せっかく良い事を教えに来てやったのによ」

魔王候補(弟)「……な、何が言いたいの?」ビクビク

魔王候補(兄)「そこに入っていた人間共の居場所を俺は知っている」

魔王候補(現魔王)「ほ、本当か!? 一体何処にいるんだ!?」バッ

魔王候補(兄)「まあ待て……それよりお前達、今日の肉は美味かっただろう?」

魔王候補(現魔王)「またそれか……それがどうしたんだ!? 今の話とどう関係がある!?」


魔王候補(兄)「く、くくくく……あはははははは!!!!」ゲラゲラ

魔王候補(現魔王)「!? 何がおかしい!!」ギリッ

魔王候補(兄)「お前達……くく、まだわからないのか。そこまで愚かか?」

魔王候補(弟)「え……どういうこと?」

魔王候補(兄)「だったら教えてやるよ。そこの奴らは今日別の場所へ移されたんだ」バサッ

魔王候補(弟)「……え?」

魔王候補(兄)「……お前達の腹の中へなぁ」ニタァ……


魔王候補(現魔王)「何を……何を言っているんだあんたは……?」パチパチ

魔王候補(弟)「どうして、兄上があの人達の服を……」カタカタ

魔王候補(兄)「そりゃあ、この俺がそいつらの身ぐるみひん剥いてしめてやったからだよ」グッ

魔王候補(現魔王)「お、俺には……あんたが……何を言っているのかわからない」ガタガタ

魔王候補(兄)「やれやれ、しょうがない愚弟達だな……ならついでだから教えてやるよ」

魔王候補(弟)「や、やめて……兄上」フルフル

魔王候補(兄)「これが初めてじゃないんだぜ? 俺達が人間を食うのは」

魔王候補(兄)「ていうか何度も食ってる。牛や豚と頻度はそう変わらない」

魔王候補(現魔王)「あ……え……?」


魔王候補(兄)「いつもは侵略先でごろごろ落ちてる死体から、美味そうなのを調達してるけどな」

魔王候補(兄)「今回は気が変わったんだと。たまには新鮮なものも良いだろうってな」

魔王候補(現魔王)「……あ……嘘、嘘だ……」ガクガク

魔王候補(弟)「うう……おええ……ッ」ビチャッ

魔王候補(兄)「……そうだろう? 母上」クルリ

魔王(先代)「別に隠しているつもりはなかったがな……お前達もてっきり知っていると思っていたぞ?」キョトン

魔王候補(弟)「そん、な……はは……うええ……」ゲエゲエ

魔王候補(現魔王)「げほっ……うげええええ……っ」ボタボタ

魔王(先代)「今回、私は実はお前達に感心していたよ。誰に教わるでもなく肉を美味しくする方法を会得していたのかと」

魔王候補(現魔王)「おい、しくする……方法……?」ゼエゼエ


魔王(先代)「ああ。人間の肉はな……仲良くなればなる程美味になるのだ」

魔王候補(現魔王、弟)「「!?」」

魔王(先代)「特に一時の気の迷いで愛情などが湧いてみると凄いぞ……他の食物が味気なく思える程な」トロン

魔王候補(兄)「へえ、そこまでは知らなかったな」クックッ

魔王候補(現魔王)「どうして……そんな事ができる……?」

魔王(先代)「?」

魔王候補(弟)「僕達と……似た姿を、しているのに……」ゲホゲホ

魔王(先代)「何を寝ぼけた事を……お前達だっていずれ共食いはするだろう? ましてや他種族である人間など……家畜と何ら変わらん」


魔王候補(現魔王)「ッ……うああああああああッッッ!!!!!!」ダダダダッ

魔王(先代)「……」バシッ

魔王候補(現魔王)「がっ……げえええ……」ゴホッゴホッ

魔王(先代)「息子よ……お前がどんな幻想を人間に抱いているのかは知らんが」グッ

魔王(先代)「人間だって時に同族を食う事はあるのだぞ? 我らと似たようなものだ……」

魔王候補(現魔王)「ち、ちが……」ブンブン

魔王(先代)「……まあ、いずれ世間知らずのお前達にもわかる時が来る」パッ

魔王(先代)「これからは今以上に励め……魔族としてな」ザッザッ

魔王候補(兄)「……次の食卓が楽しみだなあ? 弟達よ。ぎゃはははっ!」ザッザッ

魔王候補(現魔王)「違う……違うぅ……!」

魔王候補(弟)「うええ……うああああああ……っ!」ボロボロ


――――
――

魔王「――それから我らは一時期、物を思うように食えなくなった」

魔王「特に肉は……見るだけで吐き気が止まらなかったよ」

魔王「だが……周囲がそれを許さなかった」

魔王「元のわからぬ肉を……体を押さえつけられながら無理やり口に入れられ、飲み込むまで許されぬ」

魔王「毎日の数少ない安らぎの時間が一気に地獄と化した瞬間だった……」

少女「……」

魔王「そのうち我らは……慣れてしまった。どうせ今までとしてきた事は変わらぬと」

魔王「自由への望みが薄れ……ただ醜く生にしがみつく手段として、我らはそれを受け入れた」

魔王「……あの日々が終わり、こうして食べる肉を選べるようになってからも……しばらくその実感がなかった」

魔王「今でも知らず知らずのうちに人間を食っているのではないかと……時々怖くなることがある」

少女「……2人が最近、お肉をたくさん食べるのは」

魔王「魔族としての我らが、大切なお前を……万が一にも手にかけてしまう事を防ぐためだ」

今回はここまで。
キャラの書き分けって難しい……。
嫌な部分はすぐに書き終えるに限ります、はい←

おやすみなさい。

こんにちは。
今日もフリーダムに更新です。
やっぱり一日中書けるのは良いですね……。

……でも、ちょっと話の方向性間違ったかな←


少女「でも、今まで食べてきたお肉の中で、人のだって見わけがついた事はないんでしょ?」

魔王「ああ。だがそれでも心配なのだ……今のお前は正直、幼女の時よりも肉付きが良いからな」

少女「そうかな~……」マジマジ

魔王「……少女、これで我らが怖くなったか?」

少女「へ?」

魔王「いつかお前を……思い余って食べてしまうかもしれない我らが」

少女「ううん、全然」ピトッ

妖精「」オロオロ

魔王「! 少女……」

少女「それでも魔王様は魔王様、側近さんは側近さんだよ。私の居場所は2人のところだけ……何も変わらない」

少女「それが終わる時が来たら……食べられるのも、嫌じゃない……かな」


魔王「少女……そのような悲しい事を言うでない」ギュッ

少女「だって、私は今まで人といる時間より2人といる時間の方が長かったんだよ?」

魔王「それはそうだが……」

少女「それに私は、2人の事誰よりも信じてるから」ニコッ

魔王「……ありがとう」

妖精「」ジーッ

少女「妖精さん……大丈夫だから、そんな心配そうな顔しないで」ツンツン

魔王「いや、今の内容的にそれは仕方がないと思うぞ……」


少女「えー? 私はむしろ嬉しいんだけどな」

魔王「な……何がだ?」

少女「魔王様が私に、思い切ってそんな苦しい過去を打ち明けてくれた事が」

魔王「……お前を脅かすための嘘かもしれぬぞ」

少女「魔王様はそんなこと言わないよ。今まで、ずっと苦しかったんだね……」ポンポン

魔王「……」ジワッ

少女「打ち明けてくれてありがとう……大丈夫、私は絶対に2人から離れていかないからね」ナデナデ

魔王「少女……ッ……愛おしい、我らが家族よ……」ギュウウッ……

妖精「……」チョットフクザツ


――――
――

少女「……落ち着いた?」ナデナデ

魔王「う、む……すまぬな、情けない姿を晒した」スッ

少女「んーん、気にしないよ。家族だもん」ニコニコ

魔王「……そうだな。これからもずっと」

少女「うん」

魔王「……そんな大事な家族を、想いが続く限りは食べるわけにはいかぬな」ポンポン

少女「そう?」

魔王「むしろ、注意するべきは……側近の方かもしれぬ」ボソッ

少女「え……? どうして?」キョトン

魔王「他者に抱く愛情には種類がある。家族愛、親子愛、兄弟愛、親愛、恋愛……などというようにな」

魔王「我はその中で、家族愛をお前に抱いておるということはわかるな。」

少女「うん……側近さんも同じじゃないの?」キョトン


魔王「むう……昔はそうであったと思うが、今は……」

少女「?」

魔王「我が見る限り、家族愛とはちと異なると思う」

少女「それが、何で危ないの?」

魔王「……その情が、最も食欲に近いものかもしれぬからだ」

少女「ふうん……よくわからないや」

魔王「まあ、とにかく奴の動向には少しばかり注意しておいた方が良い」

少女「側近さんと……今まで通りに一緒にいちゃ駄目なの?」

魔王「いや、それは変えずとも良い。だが……やはり万が一のためだ」

少女「うーん……とりあえず気をつけるよ」


魔王「一応、小妖精にも言って……まあ、お前は言われずとも理解していそうだがな」

妖精「」グッ

魔王「なんと頼もしい事だ……流石は少女の1番の友。まあ、口実が見つかれば良いのだろうが……」

少女「?」

少女(とりあえず、私が食べられる事があるとすれば……側近さんの可能性が高い、って事になるのかな)

少女(側近さんは……どれくらい辛いんだろう? 一体どんな気持ちで私の事を……)

少女(……本当に、色んな事で迷惑をかけちゃうな)シュン

妖精「?」ジッ

少女「妖精さん……何でもないよ? そろそろご飯の支度しに行こうか」スッ

魔王「少女……このような話をしたが、結局の所は」

少女「ご飯のお肉がたくさんあれば、とりあえずは大丈夫……でしょ?」

魔王「! ああ……頼む」

少女「任せて~」ギュッ

せ………
性欲ッ!


――――
――

少女(――その夜、夢を見た)

少女(側近さんがギラギラした目で私を見下ろしながら、腕や首に噛みついてくる)

少女(ピチャピチャと、すぐ近くで血や肉を啜る音がして……とても生々しい夢だった)

少女(夢の中だからか、痛みは感じなかったし……怖いとも思わなかった)

少女(側近さんの顔が……とても悲しそうだったから。これは私の願望かもしれないけれど)

少女(魔王様や妖精さんも、こうなった私を見てきっと悲しんでくれる)

少女(でも……これで側近さんが苦しまなくなるなら、この優しい魔物の糧になるのも良いと思えた)

少女(だから私は夢の中で……あまり力の入らない腕で側近さんに縋りついた)

少女(その瞳に映った私の顔は――うっすらと唇に笑みを浮かべていた)


――――
――

チュン……チュン……

少女「……朝?」パチリ

妖精「」パタパタ

少女「妖精さん……おはよう」

妖精「」ビシッ

少女「ふふっ。今日も1日頑張ろうね……」ムクリ

妖精「!」ビクッ

少女「? どうしたの妖精さん……あ」ジワッ……

少女「……あれからもう1か月か。早く洗わなきゃ……」ノソノソ

――――
――

少女「今日の朝御飯は……何が良いかな……?」フラフラ

妖精「」オロオロ

少女「大丈夫だよ、病気じゃないんだし。舞踏会の日じゃなくて良かった……」ヨロヨロ


側近「……少女か、おはよう」ザッザッ

少女「おはよう側近さん……」トロン……

側近「っ、……どうした? 随分とふらついているが……寝不足か?」

少女「ううん、始まっちゃっただけだよ……」ソッ……ナデナデ

側近「! そう、か……だから匂いが……」ボソリ

妖精「」キッ

側近「……今日の朝食は私も手伝おう。先に行っているぞ」ザッザッ

少女「あ……ありがとう」ニコ……


側近「……」ギリッ

側近(何故……血の匂いまでがこうも薫るのだ)

側近(先代魔王……忌々しくも貴女が仰った意味が今更になって……)

――――
――

朝食時

魔王「そうか……都に送った魔鳥が今朝早くに戻ったか」モグモグ

側近「はい。脚に羊皮紙を1枚括りつけられていた以外は特に変わりはありませぬ」ムグムグ

少女「何て書いてあったの?」ムシャムシャ

側近「……簡単に言えば、支度を整えて都の前まで待っているから、明日の早朝に迎えに来てほしいと」

魔王「他には?」

側近「父が遠方に行っていて不在である事に加え、影武者に上手い具合に入れ替わってもらう故、心配はないとの事です」

魔王「そうか……どちらもご苦労。魔鳥は後で少女に労わせるか?」

側近「……きっとあれも喜びましょう」


妖精「」ハムハム

少女「魔鳥さんは今、何処にいるの?」

側近「森で羽を休めていると思う。後で呼んでやろう」

少女「わあ、ありがとう! 念入りに毛繕いしてあげよー」ニコニコ

側近「っ……早く食べろ。手が止まっているぞ」ガツガツ

少女「うん」モグモグ

魔・妖「……」

――――
――

城の外

側近「……」ピィィッ

魔鳥「」バッサバッサ

少女「魔鳥さん! 久しぶり~」


魔鳥「キュアッ♪」スリスリ

少女「元気にしてた? あっちのお城ではちゃんとお世話してもらってた?」

側近「……魔鳥に余計な世話などいらん。特にそいつは本来人間には懐かん筈なのだがな」

少女「えー? こんなに可愛いのに?」

魔鳥「」クルルル……

側近「……もう何も言わん」ハア

少女「魔鳥さん、本当にご苦労さま♪ 今から毛繕いしてあげるからじっとしててね~」ストン

魔鳥「♪」バサッ

側近(魔鳥としての威厳も何も感じられんな……)

妖精「」プクーッ


側近「小妖精。お前の友は本当に不思議な存在だな」チラッ

妖精「」プイッ

側近「……仮に、だが。我らがこの魔王城から解放される未来があれば」

妖精「……」

側近「少女の出自を探る事も兼ねて……皆で旅に出てみるのも良いかもしれん」

妖精「」パタパタ

側近「……その時は勿論、お前も来るだろう?」

妖精「」……コクン

最近「あまり外を知らぬ者ばかりの奇妙な旅路……さぞかし愉快だろうな」

妖精「」パタパタ……

少女「……はい、終わったよ。ちゃんと大人しくできたね~良い子良い子」ナデナデ

魔鳥「ギュエ~ッ♪」バサバサバサッ

少女「! きゃっ……」ペタン


側近「!? どうした少女!」

妖精「!」パタパタパタッ

少女「あはは……魔鳥さんの鉤爪でちょっと手を切っちゃった」タラッ……

側近「馬鹿者……! そいつの扱いには気をつけろ! 普通の鳥とはわけが違うのだぞ!?」

魔鳥「」シュン……

少女「ごめんなさい……魔鳥さん、そんな顔しないで。私の不注意なんだから」ナデナデ

側近「全く……ッ!」ドクッ

少女「早く手当てしなきゃ……側近さん?」キョトン

側近「……あまり、傷ををこっちに近付けるな」ドクンッ

少女「?」

側近「早く手当てに……くっ」ガクン……ッ

少女「そ、側近さん!? どうしたの?」


側近「……」

少女「大丈夫? どこか痛いの……え?」グイッ

側近「……」ジーッ

少女「そ、側近さ……ひゃんっ」ビクンッ

側近「……」ペロリ

少女「……あ」

側近「……」スッ ピチャッ……

少女「んっ……や、側近さん……っ」フルフル

側近「……」チュルッ……ズズッ

少女「ふあっ、い、痛い……っ」ジワッ

妖精「~~~ッッッ!」グイグイッ

魔鳥「キュアッ!」ツンツンツンッ


側近「はっ……少女!」バッ

少女「はあっ……はあっ……」クタッ

側近「す、すまん……これは……」

少女「……そんなに」ギュッ

側近「?」

少女「私の血って、美味しいの? ……側近さんにとって」コテン

側近「ッ……!」ザッ……ダダダッ

少女「……」ムクリ

『奴の動向には少しばかり注意しておいた方が良い』

少女「魔王様……こういうことなの?」ジッ……

妖精「」オロオロ

魔鳥「クエエ……」バサッバサッ


――――
――

側近(……甘かった。舞踏会で飲んだ葡萄酒の何倍も)ザッザッザッ

側近(血だけであれなら……肉の方は)ゴクリ

側近「!? う、あぁ……」ブルブル

側近「俺は、一体何を……少女ぉ……こんな家族で」

魔王「あまり自分を責め過ぎるな、側近」

側近「っ、魔王様、ですが……」

魔王「間が悪かったな……少女のあの日と重なって」

側近「……」

魔王「案ずるな。彼女には既に警告をしてある……お前には悪いがあの事を話した」

側近「! そう、でしたか……いえ、ありがとうございます」


魔王「礼には及ばぬよ。後は少女と……お前次第だ」

側近「……はい」

魔王「少女はな、あの話をしても我らを怖がる事はなかった……本心はどうかわからぬが」

魔王「だが、我らから離れていったりしないと確かに言った」

側近「! それは真に……?」

魔王「ああ。家族としてこれ以上にない程に信頼しているようだ」

側近「……」

魔王「まあ、あまり考え込み過ぎるな。そうだ、明日は姫を迎えに行くのだろう?」

側近「それが……何か?」


魔王「その段取りの事でも考えていれば、多少は気も紛れよう」

側近「そちらの準備は既に整っておりますが」

魔王「……そうか。有能過ぎるのもたまには困るものだな」

――――
――

少女「よし、これで手当ては終わり」キュッ

妖精「」パタパタ……

少女「平気だよ、怪我自体は大したことなかったし。ただ……」

少女「さっきの側近さんには、ちょっとびっくりしたな」ソッ……

少女(側近さんのあったかい息が、舌が……この手に)

少女(びっくりしたし、ほんのちょっぴりだけ怖かったけど……)

少女(……もっと、って思ったのは……何でだろう?)ドキドキ


少女(そう言えば、舞踏会の時も似たような事を……)

少女(魔王様にくっついている時は、そんな事思わないのに……何かの病気?)

少女「うぐう……こんな調子で明日、大丈夫かな?」ズーン

妖精「」オロオロ

――――
――

都の城

姫「ふんふ~ん」スタスタ

給仕「姫様、随分とご機嫌でございますね」

姫「あら、わかります?」クスッ

給仕「ええ。姫様が幼少の頃からお仕えしている身ですからね」

姫「ふふっ、そうですわね……ちょっとこの間の舞踏会の事を思い出していたの」


給仕「まあ……確か気になる方がいたと仰っておりましたね」

姫「ええ。生憎殿方ではないけれど……全く、お父様は気が早過ぎるわ」

給仕「陛下にとって、姫様はたった1人の愛娘ですもの……その分、幸せになってもらいたいとお思いになるのは当然ですよ」

姫「それでも、私にだって選ぶ権利はあります。でなければ本当の意味で幸せになどなれないわ」

給仕「姫様……ああ、そう言えば私もあの日気になる方が」

姫「え? 給仕、それって……」

給仕「い、いえいえ滅相もない! ただ、一介の給仕である身の上に過ぎない私にとても丁寧に接してくださったというだけで」


姫「それでも、印象に残ったのでしょう?」

給仕「ええ……あの時、私はとんでもない過ちを犯してしまって」

姫「なんだか大袈裟ね……」

給仕「いいえ! その方の……お酒を飲むのが初めてのお連れのお嬢さんが葡萄酒を煽るのを止められなかったのです!」

姫「!」ピクッ

給仕「とんでもない事です……嗚呼、今一度あの方にお詫びを言う事ができたら」

姫「……それってもしかして、とっても背が高い殿方ではなくって?」

給仕「ええ、確かに……それも相まって印象に残りましたが、何故それを?」

姫「簡単な事よ、私が気になったうちの1人ですもの。良かったら詳しく聞かせてくれない?」ニッ

給仕「は、はあ……」


――――
――

早朝 魔王城前

側近「では、行って参ります」ペコリ

魔王「うむ、頼んだぞ。転移魔法を使うとはいえ、くれぐれも慎重にな」

少女「側近さん……ご馳走もう少しでできるからね!」ドキドキ

側近「あ、ああ……楽しみにしているぞ」ナデナデ

少女「うんっ」

側近「……では」キィ……ン

魔王「……行ったか。さて、出迎えの準備だ。少女、頼んだぞ」クルリ

少女「は、はいっ……!」グッ

今回はここまで。
先生っ! 仄かなカニバリズムはサービスシーンに入りますかっ?
……みたいな感じでした(笑)

それにしてもレスがあると、やはり励まされますね。
こんなカオスな展開満載な作品にいただけて……本当に有難い事です。

さて、次回はいよいよ姫が魔王城へご入城です(笑)
なんか友達の家へ行くかのようなノリです、はい。

おやすみなさい。

面白いよ
でもレスで埋めるのはイヤだからROMってるだけだからね
ややこしいのが湧いたら困るからageたくないし

こんにちは。
三連休最終日ですが、今回もがつがつ進めていきます。

>>523ありがとうございます、お心遣い痛み入ります。
自分でも変な展開にしてしまったり、唐突なエロ小話を挿んだりしている手前、どうしてももう誰も見ていないのでは、と思えてしまいまして(笑)
文字だけのやり取りはこういったところが難しいですね。
できればこれからも、完結まで見守っていただけたら幸いです。


――――
――

都の前

側近「……」スタッ ザッザッ……

姫「側近さん、こちらですわー!」フリフリ

側近「! ああ、今行く」ザッザッザッ

姫「おはようございます。朝早くのお迎え感謝します」ペコリ

側近「別に大したことではない。最初に頼み事をしたのは我らだからな」

姫「そう仰っていただけると助かりますわ」ニコッ

側近「……では、早速参ろうか。今から貴女を転移魔法により魔王城へと送り届ける」スッ

姫「はい、よろしくお願いします」ペコッ


すいません、少し訂正です。

側近「……では、早速参ろうか。今から貴女を転移魔法により魔王城へと送り届ける」スッ

側近「……では、早速参ろうか。今から貴女を転移魔法により魔王城へお連れする」スッ


側近「……私の傍へ。良いと言うまで離れずに」スゥゥ……

姫「……あのお嬢さん……少女さんでしたよね? あれからお変わりありません?」ススッ

側近「ああ。お陰様でな……朝から貴女を迎えるために張り切る程度には元気だ」キィ……ン

姫「まあ、そうなんですか! それは朝から良い事を聞きました」フッ……

――――
――

魔王城の外

側近「……よし。姫、もう離れていただいて構わない」スタッ

姫「んっ、はい……」ストッ ジーッ……

側近「姫?」

姫「これが魔王城……古めかしいですが、立派な建物ですわね。私のお城にも引けを取りませんわ」

側近「お褒めにあずかり光栄だ。では中へ……魔王様達がお待ちだ」ギイイ……


姫「……はい」ドキドキ

――――
――

謁見の間

魔王「ようこそ、姫君……我が城へ。不本意ながらこの城の仮の主をしている魔王だ」スッ

姫「お初にお目にかかりますわ、魔王様。姫です……ここへ来る事をお許しいただき感謝します」ペコリ ギュッ

魔王「いやいや、このようなみすぼらしい城で良ければ大歓迎だ。我らの頼みを受けてくれるのなら」

姫「ええ、それは勿論。有力な勇者様の情報が入った暁にはすぐにお知らせいたしますわ」ニコッ

魔王「有難い……ああ、では遅れながら我らのもう1人の家族を……ほら、少女。出てくるのだ」

少女「……」コソッ


魔王「少女……何をしておるのだ。早くこちらへ」

少女「は、はいっ……きゃんっ!」ズルッ コテンッ

魔王「……」

側近「……お前と言う奴は。姫、お見苦しい所を」ハア

姫「いいえ、構いませんわ」スタスタ

少女「! ……あう、は、初めまして……お姫様」

姫「ふふ、確かに起きている時にお会いするのは初めてですわね、少女さん。姫です」ニッコリ

少女「……しょ、少女、です」カアッ……

姫「そう硬くなさらず……どうか仲良くしてくださいね」スッ

少女「! は、はいっ」ギュッ

魔・側「「……やれやれ」」ホッ


魔王「そういえば姫よ、朝食はまだではないか? 今から貴女の歓迎会も兼ねた食事は如何であろうか」

姫「まあ! 喜んでお受けいたしますわ……行きましょう? 少女さん」ソッ

少女「あ、うん……じゃなくてはい!」ヨイショ

姫「ふふ、無理に言葉を改めなくて構いません。何時もの通りで」

少女「……あり、がとう。お姫様」

側近「……緊張してはおりますが、どうやら上手くやっていけそうですな」ヒソヒソ

魔王「ああ。ここで我ら以外の誰かを迎えるのが初めて故の事だろう……いずれ慣れる」ヒソヒソ

少女「魔王様、側近さん、早く行こう! せっかく作ったお料理が冷めちゃうよー」

姫「まあ、少女さんの手作りですの? それはさぞかし美味しいのでしょうね」パアアッ

少女「そ、それ程でも……えへへ」テレテレ


魔王「ああ、すぐに行く」

側近「少女、だからと言ってあまり姫君を急かすなよ」

少女「はーい」

姫「ふふ、ここは朝から賑やかですわね」ニコニコ

――――
――

朝食時

姫「美味しい……とても暖かみのある味ですわね」モグモグ

少女「本当? それ自信作なんだ~」ニコニコ

姫「私はこんなお料理は作れないから……羨ましい。少女さんは良いお嫁さんになれますわ、きっと」

少女「そんな~……じゃあほら、これも食べて!」

側近「少女、幾らなんでもはしゃぎ過ぎだ」

魔王「同じ年頃の娘がいて嬉しいのはわかるが、それでは姫がゆっくり食べられないだろう?」

姫「あら、構いませんわ。こんなに賑やかで楽しいお食事の時間は初めてですもの」ニコニコ


少女「え? お姫様は毎日すっごいご馳走を食べてるんでしょ? 楽しくないの?」

姫「どうでしょう……確かに上等な食材が使われているとは思いますが、食べる時は1人が多いので味をあまり感じられませんの」

少女「ふうん……」

姫「私はそれよりも……」ツン

妖精「!」ピクッ

姫「こうして誰かと食べる方がずっと楽しいと思いますわ。可愛らしい妖精さんもいますしね」ニッコリ

妖精「~~~ッ!」プイッ

姫「あらら……嫌われちゃいましたか?」

少女「ううん、違うよ。これは照れてるの……さっきの私みたいに」クスクス

姫「少女さんはこの子の事をよく知っているんですね」

少女「小さな頃から一緒にいる、1番のお友達だからね~」

妖精「」コクコク


姫「まあ……素敵ですわね」

少女「お姫様もきっと仲良くなれるよ……私も、良かったら仲良くしたいけど」

姫「!」

少女「駄目……かな?」

姫「……そんな、そんなわけありません! 寧ろ願ったりですわ」ギュッ

少女「ほ、本当?」

姫「ええ! そう言ってくれたのは貴女が初めてです……ああ、この素晴らしいご縁に乾杯したい位ですわ……!」

少女「そんな、大袈裟だよ~」

姫「いいえ! うふふ、やはりあの時の私の直感は当たっていた……」

少女「?」


魔王「えー、お嬢さん方、話に夢中になるのは結構なことだが……」ゴホン

側近「ゆっくり食べていたつもりの我らよりも遅いとは……料理ももう冷めていよう」

少・姫「「……あっ!」」

妖精「」モキュモキュ……ペチン

――――
――

少女「ごめんなさい……お姫様には1番美味しいうちにお料理を食べて貰いたかったのに」シュン

姫「いえ、私の方こそお話に夢中になってしまいましたし……お互い様ですわ」

少女「お姫様……」

姫「……そうだ、よろしければ後で昼食のお手伝いをさせていただけません事?」

少女「え? でも、お姫様にそんなこと……」オロオロ

姫「私がやりたくて言っているんですわ。何が起きても自己責任ですし……ね? お願い」

少女「んー……ちょっと考えさせて……」

魔王「……あの調子なら心配あるまい」

側近「……そのようですね」ホッ


少女「じゃあ、お姫様……これからどうする? とりあえず魔王城の中を見て回る?」

姫「そうですわね……魔王様、よろしいですか?」

魔王「ああ、構わない。ただし、立ち入り禁止の場所もあるので心得ておいていただきたい」

姫「わかりましたわ」

側近「少女、それも含めて姫君を案内できるな?」

少女「任せてっ! 行こうお姫様」テクテク

姫「ええ! とても楽しみですわ~」テクテク

妖精「」パタパタ

魔王「……珍しいな。見ろ、小妖精があんなに大人しくなっておる」

側近「緊張半分、興味半分と言ったところでしょうか……悪い事ではありますまい」

魔王「それはそうだが……我らには中々手厳しいだけに複雑だな」

側近「……少女と同姓か異性かの違いにもよるでしょう。それに我らは1度あれを……」

魔王「……ああ、それならば仕方がないな」


――――
――

少女「案内するって言っても、同じようなお部屋が多いんだけどね。何もないお部屋とか」

姫「私の所とは大違いですわね……まあ、使用人部屋が大半ですからね」

少女「……都の城と比べてどう思う? 魔王城」

姫「そうですね、最初はもっとおどろおどろしい所を想像していたんですけど……暗めの配色である以外は、綺麗で住み心地の良さそうな場所だと思いますよ」

少女「そう? 側近さんとちょくちょくお掃除してる甲斐があったよ」

姫「え、この広いお城をたった2人で!?」

少女「うん。ほとんど側近さんがあっという間に終わらせちゃうけどね」

姫「まあ……本当に凄い方なんですね」


少女「そうだよっ。それにカッコイイし、厳しいけど優しいし、物知りだし……」

姫「ふふ、少女さんったら……自分の事のように彼の事を話すのね」

少女「大切な家族だからね。あ、でも魔王様も凄いんだよ? 魔術にとっても詳しいし、悩みをあっという間に解決してくれるし……」

姫「そう……ねえ、少女さん」

少女「なあに? お姫様」

姫「貴女は、もしその2人のうちどちらかを選べと言われたら……どうします?」

少女「……え?」キョトン

今回の更新は以上です。
思ったよりも進まなかった……。
初っ端からグイグイきている姫君です(笑)

明日からはアレを進めますが、その後……またちょっとした小話(?)を考え中です。
ささやかだけれど、エロよりむしろこっちの方が書き易いかも。

おやすみなさい。

こんばんは。
>>460の続きです。


植物(?)「違う違う。ほら、よく見て?」シュルルル……ポンッ

少女「! 女の、人……?」

淫魔「ん~、ちょっと違うわね。あたしはサキュバス。夢魔とか淫魔でも良いわよ」

少女「じゃあ、淫魔さん……?」

淫魔「もう誰も住んでないと思ってた魔王城から良い男の気配がすると思ったら……こんな可愛いお嬢さんまでいるなんてね」スッ

少女「ふえ……?」

淫魔「ごめんね~、あんまりあたし好みだったからちょっとからかっちゃった。あたし両刀だしね♪」クスッ

少女「?」キョトン


淫魔「ふふっ……あんなにイヤらしくて可愛い反応するのに何にも知らないなんて……ますますあたし好みだわ」ペロリ

少女「あ……さっきの、は」

淫魔「あれは幻覚。まさかあんな簡単にかかっちゃうとはね~。でも、初めてにしては中々の舌使いだったわよ?」

少女「うう……あんな意地悪するなんて酷いよ」

淫魔「淫魔ってのはこういう生き物なんだから仕方ないじゃない。あれでも手加減したのよ? それとも貴女が言ってた側近さん? にやった方が良かった?」

少女「! それは……嫌」

淫魔「……まあ、これは冗談よ。男相手だったら生身で勝負するしね」

少女「生身……?」


淫魔「ええ。こんな夢の中でも良いけれど……やっぱり現実が1番だわ。あの生々しい肉の感触が……」ウットリ

少女「……よくわかんないや」

淫魔「そう? じゃあ少しだけ教えてあげるわ……さっきのお詫びも兼ねてね」ジリッ……

少女「え? ……淫魔さん、何を」ジリジリ

淫魔「大丈夫よ、さっきよりは手加減するから……多分ね」スッ ドサッ

少女「! や、やだっ……怖い……」フルフル

淫魔「でも、貴女さっきのでまだ絶頂までいってないでしょ? せめて1回はイって貰わなきゃ淫魔の名が廃れちゃうわ」

少女「な、何それ……そんなの知らないよ! お願い離して!」グイグイ

淫魔「あはは、可愛らしい抵抗だこと……ますます気にいったわ」ペロッ

少女「ッ……!」ゾクッ


淫魔「まあ、唇とあっちの初めてを貰うのは勘弁してあげるとして……まずはここね」ムニュッ

少女「ひあっ!」ビクンッ

淫魔「うん、やっぱり小細工なんか使わずに直接触るのが1番ね。やーらかくて気持ち良いわ~」フニフニ

少女「や、うっ……淫魔さ、やめっ……」

淫魔「あたしのより小さいとはいえ、こんな良いモノ使わなきゃ勿体ないわよ」カリッ

少女「ふああん……っ」ヒクッ

淫魔「感度も中々……んもう、どんだけハイスペックなの貴女」ペロペロ

少女「な、舐めちゃやだッ……あんっ!」

淫魔「こっちはとっても喜んでるみたいだけど?」ムニムニ

少女「ふっんん……っ」


淫魔「そろそろ……こっちはどうかしら」スルッ

少女「! やっ……!」カアッ

淫魔「……あらあら、もうこんなにして」クスクス

少女「うう……もう嫌……側近さん、助けて……」グスッ

淫魔「ふふっ、貴女その側近さんがよっぽど好きなのね。じゃあ、彼の前でこんな事されたら……一体どうなってしまうのかしら?」ツーッ

少女「はぁうっ!? な、そんな……っ」ガクガク

淫魔「おやおやあ? 想像しちゃった? 溢れる蜜が多くなったような……いけない子ねえ」クチッ……

少女「あ、ああ……違うっ……」ブルブル

淫魔「何が違うの? ああ、もうトロトロじゃない……」ペロッ


とりあえずここまで。
やはり人同士(?)の方が進めやすいですね←
百合が駄目な方には本当に申し訳ない……でも書き易い!!(ちょ)

おやすみなさい。

こんばんは。
昨日は疲れのあまり更新できなかったのが悔やまれます。
それにしても下に落ちる速度半端ないですね……。


少女「あっあっ……そんな場所、舐めないで……ッ」

淫魔「ねえ、いっそのこと本当に彼の前でこうしてあげましょうか?」ニチャッ……

少女「ッ!?」

淫魔「貴女のこんな表情を……一体どんな顔で見るのかしらね?」クスクス

少女「うあ、あ……そんなの、やだぁ……っ!」ブンブン

淫魔「処女の癖に、こおんなにイヤらしくて可愛らしい顔をする貴女を……側近さんは知らないでしょうね」クイッ

少女「はあっ……はあっ……どうして……?」

淫魔「?」

少女「どうして、こんな酷い事するの……?」ボロボロ


淫魔「どうしてって……それが淫魔だからよ。それに……貴女が可愛いから」ピチャッ……ジュルルルッ

少女「! やああああああっ、あ、あああああああああ……っ」ビクッビクッ

淫魔「ふぉら、はひゃくいっひゃったほうが……んっ楽になるわお?」チュッ ゴクッゴクッ

少女「んやああっ……あそこの、奥が……びりびしゅ、る……っ」ガクガク

淫魔「さあ、早く堕ちちゃいなさい……理性なんて邪魔なだけよ……?」レロッ

少女「はあんっ……わ、たしは……ふあっ……お友達が……増えると思って……」

淫魔「んっ……貴女」

少女「嬉しいと、思ったのに……っ」ポタッ……ポタッ……


淫魔「……聞いた事ないわよ。淫魔と友達になりたいなんていう子は」ピタッ

少女「ふっ……はあっ……」

淫魔「こんなことする相手に向かって……よくそんな事が言えるものだわ」クチッ

少女「んうっ……!」ビクンッ

淫魔「インキュバスが相手だったら、貴女……とっくに孕まされていたでしょうね」

少女「はら、む……?」パチパチ

淫魔「こういう事はね、本来は愛し合っている男と女がする事……そうやって、子供が生まれるのよ」サスサス

少女「赤ちゃんが……?」

淫魔「……少し貴女には早かったかもね。そろそろ終わらせてあげるわ」グチャッ ヂュルッ……


少女「ッッッ! ひ、ふっあっ……んにゃあああああっ!」

淫魔「貴女……調教すれば凄そうね。まあ、それはまた次の機会にしましょう」グチュグチュ……

少女「ああんっ……な、何か、くるっ……や、だ……」ガクッガクッ

淫魔「……また会いましょう? 可愛いお嬢さん」ズプッ グチャッ……!

少女「ふあっ……やああああああっ!!!!」ビクッビクッ……クタッ……

淫魔「んんっ……初めてにしては刺激が強過ぎたかしら?」ペロペロ

淫魔「それにしても……変わった子ね、本当。淫乱なのか無垢なのか……まあどっちもなんでしょうけど」

少女「……」スゥスゥ


淫魔「ふふっ……おやすみなさい」

――――
――

翌日

側近「……」

少女「うう……ごめんなさい。この年でこんな……みっともないよね」グスッ

側近(……明らかに幼児のそれではない、が)

側近「……喉が渇いたからと言って、無闇やたらに水を飲むからこんなことになる」

少女「……」シュン

側近「仕置きだ。今日の都行きはなしにする」

少女「ふあっ、そ、そんな……!」

側近「嫌なら2度とこのような事がないようにするのだな。年頃の娘がみっともない」

少女「うっ……! は、い……」ショボン


側近「……土産くらいは買ってくる。良い子で待っていろ」ナデナデ

少女「……うん。あ、そうだ側近さん」

側近「何だ?」

少女「……赤ちゃんって、どうやって作るの?」コテン

側近「……ファッ!?」ブフッ

少女「さっき魔王様にも訊いたら、コウノトリとかキャベツ畑とか言いながらお部屋に引き籠っちゃったの……そんなに変な質問だった?」

側近「……」

側近(魔王様……ご愁傷様です。心中お察しします)

――――
――

魔王の部屋

魔王「少女が……少女がもうそのような事を……時の流れとはかくも残酷なものなのか……」ブツブツ


小話「……と少女」終わり

今回は以上です。何とかまとまった……!
進めているうちに幼女を書いているような気分になりました(笑)
少女にとって人語が話せるお友達2人目(?)です。
どっちも碌な奴じゃありませんねどうしてこうなった←

おやすみなさい。

お、乙

こんばんは。
金曜日の夜&乙をいただいたおかげかでやけにテンションが高いですひゃっほおおおおおおい!←
土日でどれだけ更新できるかわからないので、今日のうちに少し進めようかと思います。
嗚呼、夜ふかしできるのって幸せだ……。

>>537の続きです。


姫「……これから先も、少女さん達がずっと一緒にいられるとは限りません」

姫「いえ、お話を聞く限りむしろその可能性は極めて高いでしょう」

少女「お、お姫様、何を言って……」

姫「その過程で、魔王様と側近さんのどちらかとしかいられなくなるとしたら、貴女は……どちらを選びます?」

少女「……何で、そんな悲しい事言うの……? 私、その日の事を考えないようにしていたのに」ジワッ……

姫「……」

少女「酷いよ……」

姫「……少女さんには、後悔をしてほしくないのです……私のように」


少女「後、悔……?」

姫「ええ……これを、見ていただけますか?」スッ……

少女「その金の首飾りが、どうかしたの?」

姫「これはただの首飾りではありませんわ。ここを押すと……」パカッ

少女「あ……男の子の絵」

姫「……私の、弟です」

少女「! お姫様、弟がいたんだ」

姫「……もうこの世にはいませんけどね」

少女「……!」

姫「これを人に話すのは初めてですが……聞いて頂けますか?」

少女「お姫様……」

姫「貴女の幼い頃の辛さには劣るかもしれませんが……これが私の傷です」


少女「……わかった」


――――
――

姫「私の弟は、生まれつき体があまり強くはありませんでした」

姫「ですが、それでも王家にとっては大切な後継ぎ……弟はお城の中で大切に大切に育てられました」

姫「そんな弟はいつも、外に出る事を強く望んでいました。豪華で快適な部屋もご馳走も、決してあの子の気を紛らわせましませんでした」

姫「幼かった私は、弟のために毎日外の話を聞かせました。この子の分まで色々なモノを見て、聞いて、知っていこうと思っていました」

姫「弟は私の話をいつも嬉しそうに聞いていました。だから私は、次第に調子に乗るようになってしまったのです」

姫「最初は弟を喜ばせるためにそうしていたはずなのに……何時の間にか、自分の優越感に浸りたいがために外へ出歩くようになりました」

少女「……」


姫「……ある日、私はいつものように外へ出かけました……弟よりも、自分が楽しむ事の方を優先して」

姫「その日はどういうわけか普段より私の興味を引くものを多く見かけて、ついつい帰りが遅くなってしまいました」

姫「さぞこっ酷く叱られるだろう……そう思いながら私は恐る恐るお城へ帰りました」

姫「……ですが、城に入っても……誰ひとりとして私を叱る者はいませんでした」

姫「代わりに私を出迎えたのは……城の人間達の啜り泣く声でした」

姫「……帰って来るほんの少し前に弟の体調が急変し……そのままあっけなく亡くなってしまっていたのです」

少女「……!」

姫「……ベッドに横たわった弟の体には、何処にも変わった所などありませんでした」

姫「眠っているだけのように見えました。今にも寝惚けながら目を覚ましそうでした」

姫「……ですが……ですが私の前で弟は2度と目を開けなかった!」


姫「愚かな私は、その時になって初めて後悔したのです……!」

姫「何故、弟の事をもっと見てあげなかったのか! 何故、弟の話をもっと聞いてあげなかったのか!」

姫「何故! ……弟の事をもっと知ろうとしなかったのか」ポロッ

姫「……弟の事なんて途中から考えてもいなかった、馬鹿な自分の身をどれ程呪ったか……こんな私が何故のうのうと生きているのかとも、ね」

少女「お姫、様……」

姫「……それからは流石に、外に出られずにお城に引き籠って泣き暮らす日々が続きました」

姫「ご飯もほとんど喉を通らなくなり、贅沢に慣れきった体は数日後にはあっさりと衰弱して動けなくなりました」

姫「曖昧な意識でぼんやりと天井を見上げながら、弟はいつもこんな狭い所しか見られなかったんだ……と、ますます後悔しました」


姫「……それから間もなくの事です、私の元へ弟の遺書が届けられたのは」

姫「正確には、死ぬ直前まで弟が綴っていた日記にも等しい文章ですが」

姫「さぞ、私への恨み事で溢れているのだろう……そう思いながら、無気力に羊皮紙へ目を走らせました」

姫「……様々な事が書いてありました。外への憧れ、毎日の窓の天気、興味深かった本の話……弟は外に出られない代わりに多くの本を読んでいました」

姫「ですが中でも、1番印象に残っていた言葉は2つ……」

少女「……それは?」

姫「……『王子としての身分よりも、外を走り回れる自由な体が欲しかった』」

姫「それから……『いつか姉さまと一緒に外へ出たい』」

少女「! ……そっか」


姫「……その後、単純な私は吐くのも構わずに無理やり食べ物を口に入れました」

姫「とにかく一刻も早く回復したいという一心で、馬鹿の1つ覚えのように口に詰め込みました」

姫「それから……この首飾りを両親に頼んで作っていただきました」シャラッ……

姫「私が外へ出る時は、いつも着けています……弟へ、外を見せているつもりでいるのです。愚かにも」

姫「今更このような事をしても、罪滅ぼしになどなりはしないのに……」

少女「……」

姫「それでも……例え仮初でも、弟のあの言葉を叶えたく思ったのです……」

姫「馬鹿な姉に、あんな言葉を遺して逝った哀れなあの子のために……!」パタタッ……


少女「お姫様……」

姫「……あら、いけない。みっともない所を」フキフキ

少女「無理、しなくて良いんだよ……よっぽど悲しかったんだね」ギュッ

姫「少女さん……」

少女「何で……私にこの話を?」

姫「言ったでしょう? 私のようにこれから先後悔してほしくないと……ほら、備えあれば憂いなしと言うではありませんか」

少女「……そんな備えは、ちょっとやだな」

姫「……そうですわね、ごめんなさい。少女さん達があまりに楽しそうだからつい意地悪したくなったんです」

少女「お姫様ったら……」

姫「……それに」ジッ


少女「?」

姫「少女さんなら、今のお城の者達のように弟の事などなかったかのように振舞わずに」

姫「ただ純粋に、悲しんでくれると思ったんでしょう、きっと……友達として」ニコ……

少女「お姫様……」

妖精「」パタパタパタ……ピトッ

少女「! 妖精さん……」

姫「あら、ごめんなさいね。すっかりあなたを置いてけぼりにして」ナデナデ

妖精「」フルフル

少女「初めて見た……妖精さんが私以外の人にくっつくの。きっと慰めてくれてるんだね……友達として」ニコッ

姫「まあ……そうなんですか?」

妖精「」コクン


姫「! ……ふふ、ありがとうございます。あなたみたいな素敵なお友達に慰められるなんて、私は幸せ者です」

妖精「!」スリスリ

少女「うーん、何だか妬けちゃうな~……お姫様の気持ちがちょっとだけわかったかも」

姫「そうでしょうそうでしょう」ニコニコ

少女「むう……あ! もうお日様があんなに高く……お昼ご飯の準備しなきゃ!!」

姫「まあ……ごめんなさいね、せっかく案内してくださろうとしたのに」

少女「ううん、良いの! お城の案内は午後からで良いかな?」

姫「勿論構いませんわ……あ、先程も言いましたけれど、お昼を作るのを手伝わせてくださいね」

少女「……じゃあ、簡単なものにしようかな。お姫様には物足りないかもしれないけれど」


姫「いえいえ、一緒に作らせていただくだけで十分満足ですわ」

少女「それなら良かった……じゃあ、行こうか」

姫「ええ」

少女「……あ、そう言えばさっきの質問だけどね」

姫「?」

少女「……やっぱり、私には魔王様と側近さんのどちらかを選ぶ事なんてできないよ」

姫「! ……そうですか」

少女「みなしごの私にとっては、どっちも同じ位大切な家族だからね!!」ニコッ

姫「……そうですわね。意地の悪い事を訊いてしまいましたね」

少女「気にしてないよ~。さ、急ごうっ」タタタッ

姫「ふふっ……ええ」タッタッタッ

妖精「」パタパタパタッ

今回はここまで。
気の赴くままに書いたので違和感があるかも……。
でも悲しい部分は過ぎたし彼らの交流(?)も思いっきり書けて満足です(笑)

おやすみなさい。

こんにちは。
今日もわしわし進めていきます。
外出するから何処まで進められるのかわかりませんが……。


――――
――

昼食時

姫「あの……どうですか?」ドキドキ

魔王「うむ、美味い……これは姫と少女が?」

少女「うん。簡単で初めてでも作りやすいもので咄嗟に浮かんだの」

側近「それでサンドイッチか……確かにな」モグモグ

少女「私が材料を切って、お姫様がパンにはさんで味付けしたの」

妖精「」クイクイ

少女「! そうそう、妖精さんは味見をしてくれたんだよ~」ニコニコ

魔王「そうかそうか、とても楽しそうで何よりだ……姫はどうであろうか」

姫「ええ、本当に楽しい時間を過ごさせていただいております。まさか、自分で作った物がこんなに美味しいと感じられるなんて……」

少女「良かった~」


側近「……こうしてサンドイッチを食べていると、昔のピクニックの事を思い出すな」

少女「うふふ、そうだね~」モグモグ

姫「ピクニック……」

魔王「ああ、あの時か……姫、かつて少女が幼女であった頃にな、夜の森に1度だけ3人と1匹でピクニックへ行った事があるのだ」

少女「あの時はね、側近さんが材料を切って、私がそれをはさんで味付けして……」

魔王「そしてやはり小妖精が味見をしたのだったな……いやはや、懐かしい」

少女「妖精さんったらね、私が間違えて味付けを濃くしちゃったのを側近さんの分に混ぜてたの」

魔王「あれを食べた時の側近の顔は実に見物であった……」ウンウン

側近「止めてください……あれは私にとって屈辱でした」

姫「そのような事が……ですが、夜にピクニックなんて珍しいですわね」

魔王「我は封印の影響故、昼間は城の周辺から先には行けぬからな……それを幼女が気遣って提案してくれたのだ」


姫「……そう、でしたか。知らなかったとはいえ、私……」

魔王「何、貴女が気に病む事はない。それ以外は特に不便は感じぬしな」

姫「魔王様……」

少女「……あ、そうだ、今度はお姫様も一緒に行かない?」

姫「! 私も、ですか?」

少女「うん! また夜になっちゃうけど……ねえ魔王様、側近さん、良いでしょ?」

魔王「我は構わぬが……」チラッ

側近「少女、少しは姫君の立場も考えろ。本来ならばこのような所にいるのも……」

姫「あ……いえ! お誘いとても嬉しく思います。その時の夜もまたこうして抜け出してきますわ」

少女「本当? じゃあ、絶対行こうね!」

姫「ええ。ピクニックも初めてなので楽しみですわ~」


側近「だが姫……」

少女「駄目かな? 側近さん……」ジッ

側近「っ……1晩だけだ。それ以上は許さん」

少女「やったー! ありがとう側近さんっ」ニコッ

側近「……目先の楽しみばかりではなく、姫君の都合も少しは考えられんものか……」

魔王「まあ良いではないか。我ら以外で初めて親しくする人間なのだ、浮かれもしよう……小妖精も異存なかろう?」

妖精「」コクン


側近「それはそうなんでしょうが……」

魔王「それとも側近、お前はピクニックへ行くのは嫌か?」

側近「何故そうなるんですか! 勿論行きたいに決まっていま……あ」

魔王「ならそれで良いではないか。ほら、早く食べるぞ」モグモグ

側近「っ……はい」モグモグ

少女「その森はね、悲しい事もあったけど、私と2人が出会った記念すべき場所でもあるのー」

姫「まあ、そうなんですか……」

妖精「」モグモグ……ペチンッ

――――
――

少女「さて、お片づけも終わったし、そろそろ行こうか」

姫「ええ。改めてよろしくお願いしますね」ペコリ

少女「お姫様のお城と似ているとは思うけど……どこか希望はある?」

しばらく抜けます。
最初に姫を何処に案内しようかな……。
大まかにしか考えていないので本当に行き当たりばったりです(笑)

もみ

遅くなりましたが、再開します。


姫「そうですね……では、書庫があれば行ってみたいですわ」

少女「あ、それはもちろんあるよ~。行こう行こう」テクテク

妖精「」パタパタ

――――
――

書庫

姫「まあ……すごい量の書物ですわね。皆さんの勉強熱心さが窺われますわ」

少女「ほとんど魔王様と側近さんが集めた本だけどね。私のは部屋に置いてる絵本とか、娯楽用のばっかり」

姫「でも、少女さんも少なからず読んでいるのでしょう? それだけでも凄いと思います」

少女「そんな……お姫様のお城にはどれくらいの本があるの?」

姫「ここよりは多いと思いますが……あまり面白いものはありませんね。王族としての心得や礼儀作法に関する内容がほとんどです」

少女「ふうん……じゃあ、少し見ていく?」


姫「! 良いんですか?」

少女「うん、どうぞ~」ニコニコ

姫「で、では、この魔王城の歴史の本から……」ワクワク


――――
――

姫「ああ……時間を忘れてしまいますわ。何時までも読んでいたい……」

少女「本当に時間を忘れていたね……分厚いのを5冊くらいは読んだんじゃない?」

姫「ここにある本が興味深いものばかりだからですわ……! 許されるなら都へ持ち帰りたい位」

少女「流石にそれは駄目かもだけど……それならまた読みに来れば良いよ」

姫「! ではまた抜け出して来ますわ!! 寧ろお泊まりしたいです……!!」キラキラ

少女「そ、そう……?」


姫「……はっ! す、すいません少女さん!! 私のせいでまた案内を中断させてしまって……」ガバッ

少女「あはは、気にしてないから頭を下げて? そんなにここが気に行ったなら案内して良かったよ」

姫「それでもやはり……申し訳ありませんわ」

少女「どうせ他に案内できる程面白そうな場所って思いつかなかったもん。倉庫とかは多分行っちゃいけないし……」

姫「そうですか……」

少女「それでも良いなら、案内だけはしたかったけど……」

姫「……ごめんなさい」

少女「あああだから気にしてないから! ほら、夕ご飯は確か側近さんが作ってくれてると思うから行こう?」

姫「はい……」

訂正です。これじゃ全く逆の意味になるorz

少女「あはは、気にしてないから頭を下げて? そんなにここが気に行ったなら案内して良かったよ」

少女「ううん、気にしてないから頭を上げて? そんなにここが気に行ったなら案内して良かったよ」

わろすwwwwwww


妖精「」ピトッ

姫「! 妖精さん……」

少女「ほら、妖精さんも元気出してって」

妖精「」ジーッ

姫「……ありがとう、ございます」ナデナデ

妖精「」ニコッ

少女「……とりあえず、2人にお願いしてみようかな」

――――
――

夕食時

魔王「どうだろうか、側近の料理は」

姫「はい、とても美味しいですわ……朝からこのような数々の素敵なおもてなし、本当に嬉しいです」

魔王「いやいや、こちらはあまり構う事ができなくて申し訳ない……が、喜んでもらえて良かった」

少女「側近さんは私のお料理の先生だからね~。美味しいのは当たり前だよ」エッヘン

側近「お前が得意になってどうする……姫君にそのような言葉をいただけて光栄なのは確かだが」


姫「……私は、そのような言葉をいただける程の人間ではありませんわ」

少女「そんな事ないと思うけどな~。ねえ、妖精さん」モグモグ

妖精「」コクコク

魔王「うむ、少女の言う通りだ。我らはこのような暮らし方故、他の誰かに感謝されるのが新鮮なのだ。お前もそうだろう?」

側近「ええ。ましてやそれが高貴な身分の人間相手なら新鮮どころの話ではない……」

姫「もう、買い被り過ぎですわ……このようなお転婆を」カアア

少女「私は素敵な人だと思うよ? お姫様は。仲良くなれて嬉しいし」

魔王「ああ。正直な話、我はもっと気位が高い娘を想像していたからな……だが、こうして会ってみれば案外親しみやすいではないか」

側近「何より城に閉じこもらず、常に外に目を向けている柔軟な部分が良い。こちらはそれで助かっているしな」

姫「……今までそう言ってくださったのは、皆さんの前に……2人だけでした」


少女「! それって……」

姫「ええ、そのうちの1人は少女さんは既にご存じです」

魔・側「……?」

姫「少女さん、後でお2人にも教えてあげてくださいね?」ヒソッ

少女「お姫様がそう言うなら……わかった」ヒソッ

姫「そしてもう1人は……少女と側近さんが会った事のある者ですわ」

側近「……舞踏会の時か?」

姫「ええ……葡萄酒、と言えば恐らくお分かりですよね」

少女「あ、もしかして私が間違えて飲んじゃった葡萄酒を持っていた女の人?」

姫「ご名答!」

側近「……あの時の給仕の者か」


姫「彼女は私にとっては特別な人間なんです。昔から私に献身的に仕えてくれていて、ある意味姉のような存在です」

少女「そうだったんだ……そう言えば、何だか優しそうな人だったね」

姫「幼い頃の、私が無理やり物を食べようとした時にも……彼女は励ましながらすぐに食べやすい物を用意して私を支えてくれました」

少女「……」

側近「……あの者の進言がなければ、恐らく取り返しのつかない事になっていた。本当に感謝している」

姫「ふふ、その言葉やんわりと伝えておきますね……実は彼女ったら、あの時の事をまだ気に病んでいるみたいなんです」

少女「え?」

姫「私がちゃんと止められていたら……とね。彼女は少々気が弱くて、1度思いつめると中々抜け出せない質なので」


少女「でも……あれは私が勝手に間違えて飲んだんだよ?」

側近「そうだ。貴女の給仕は何も悪くない」

姫「ええ、ですがそれでも……どうにかしてあげたいのです」

側近「……私が直接会って話せれば良いのだが……この姿ではそうもいかん。感謝の意をしたためた文を書こう」

少女「あ、じゃあ私も!」

側近「姫、それで伝わるだろうか?」

姫「恐らくは……魔鳥である事は伏せていますが、鳥を使って文のやり取りをしている事は知っていますので」

側近「なら良かった。都の城に戻ったらすぐに渡してもらえるか?」

姫「あ……ええ、勿論ですわ! ありがとうございます」ペコリ

側近「礼には及ばん。我らの事でずっと悩まれるのも気分が良くないしな」

少女「ねー。じゃあ、そうと決まればご飯が終わったらすぐに書こう!」

側近「ああ。姫はその間、帰り支度をして待っていてもらえるか? なるべく早く済ませるつもりだが……」

姫「わかりましたわ……あの、その間魔王様とお話ししていても構いませんか?」


魔王「! 我と……良いのか? 怖がらずにいてくれるのは有難いが……」

姫「ええ。今日ここで過ごして皆さんの無害さは十分にわかりましたし、同時にもっと知りたいとも思いましたので」ニコッ

魔王「……だが、こちらは少女以外の人間の娘と2人きりになるのは初めてだ。正直居心地が……な」

少女「魔王様、それなら妖精さんにもいて貰ったら? お姫様、妖精さん、良いかな?」

妖精「!」コクン

姫「ふふ、構いませんわ」

魔王「ふむ……良い考えだ。では2人とも、食後文を書くのは丁寧に、かつ迅速に終わらせるのだぞ。姫の帰りが遅くなり過ぎるといけないからな」

少女「はいっ!」ビシッ

側近「……御意」スッ

今回はここまで。そろそろ次の展開へ……!
書いている間、キャラに魅力を持たせる事が出来ているのだろうか……とふと思いました。
今更ですね(笑)

おやすみなさい。

こんにちは。
うわああ油断して寝過ごした……!
遅くなりましたが更新再開です。


――――
――

少女「……側近さん」テクテク

側近「何だ」ザッザッ

少女「あの時は……本当にごめんなさい。あんなことになるなんて思ってなかったから……」

側近「……あれは本当に胆を冷やしたぞ」ピタッ

少女「……」シュン

側近「だが、後々冷静になって考えてみれば、お前がはしゃぐ気持ちを理解できなかった私にも非があった。お前だけが悪いわけではない」

少女「でも……それでも私のやった事で計画が失敗する所だったのは変わらないよ」

側近「……」

少女「私……駄目な人間だね、本当n」ギュッ

側近「……」スッ……サラッ……

少女「んっ……側近さん?」


側近「お前は駄目な人間などではない」ナデナデ

少女「……」

側近「お前は我らにとって必要不可欠な人間だ。お前の代わりなど、この世の何処を探してもおらん」

少女「側近、さん……」

側近「望むなら、お前に笑顔が戻るまで何度でも言おう」

少女「……ありがとう、側近さん」グスッ

側近「少し失敗したからと言って、あまり自分を追い詰めるな……我らは何があってもお前を見捨てはしない」

少女「うん……うん……」ギュウッ

側近「お前は我らの家族なのだからな……少女」

少女「……ふふ、そうだね。家族だよね」

側近「ああ……お前がかつて幼女であった頃に望んだものと何一つ変わらん」


少女「! そう言えば、それが始まりだったんだよね……」

側近「ああ。あの時はただ、お前の望みを叶えた形だったが……私も魔王様も、何時の間にかそんな事はどうでもよくなっていた」

少女「……そっか。じゃあ、側近さんも私の事を愛してくれてるってこと?」

側近「……ん?」

少女「魔王様がね、よく私の事を愛しているとか、愛おしい家族だって言ってくれるんだ。側近さんもそう?」

側近「……あ、ああ、そうだな。私はお前の事を……」

少女「うん」

側近「家族として、あ、愛……」カアアッ……

少女「? 側近さん……?」


側近「っ……と、とにかく大切に思っている」ギュッ

少女「むー……愛してないの?」

側近「意味としては同じようなものだ。あまり深く拘るな」パッ

少女「そうかな……私は愛してるけどな、側近さんも魔王様も。勿論妖精さんも」ニコッ

側近「~~~ッ! しょ、少々話し込み過ぎたな。姫君をこれ以上待たせるわけにはいかんから早く文の作成を終わらせるぞ」ザッザッザッ

少女「え? あ、待ってよ側近さーん!」パタパタパタ……

見てるから


――――
――

魔王城の外

姫「今日は本当にありがとうございました。都へ戻るのが名残惜しい位素敵な時間でしたわ……」ペコリ

魔王「いやいや、そう言ってもらえて何よりだ。良ければ今度は宿泊も視野に入れて……」

側近「魔王様」ジロリ

魔王「あっ、す、すまぬ側近……」シュン

少女「魔王様、それ良いね! お姫様ここの書庫を気に入ったみたいだから」

側近「少女まで何を言っている! さっきも言っただろう、もう少し姫の立場というものをk」

姫「まあ、良いんですか? 実は私も御迷惑でなければまたお伺いしたいと考えておりましたの……ピクニック以外で」

側近「姫君……しかし」

魔王「うむ、我らの頼みを果たしてくれるなら大歓迎だ。少女もそれを望んでおるようだしな……また都合の良い日に側近に迎えに来させよう」

側近「おいこら魔王様、何さり気なく話を進めてやがるのですか」

>>594ありがとうございますっ!


少女「側近さん……私も魔王様も別に無理強いはしてないよ? それにお姫様もこんなに乗り気だし……こっちのお願いも聞いてくれるって言ってるよ?」

側近「ぐ……だがな……」

少女「それとも側近さんは、お姫様がここに来るの、嫌……?」ジッ……

側近「……そうではない。姫君がここに長く滞在する事によって不測の事態が起きる事を危惧しているだけだ」

姫「その点ならご安心を! 今日のように影武者と……給仕にもきっちり話を通しておきますから。彼女はある意味私よりもお父様から信頼されていますし、貴方と少女さんが書いてくださった文を見せればイチコロですわ!」グッ

側近「給仕以下の信用で良いのか貴女は……」

魔王「良いぞ2人とも! もっと言ってやれ!」グッ

側近「頼むから貴方は少し黙っていてくださいませんか!」キッ

妖精「」パタパタ ワーワー

側近「貴様も引っ込め!」ビシッ

妖精「……」ムスーッ


少女「側近さん……」ジーッ

側近「う……とにかく、少し考えさせてくれないか。仮にここに泊まるとして、まだ次回の日取りも決まってはおらんのだ」

姫「ええ、勿論です。気が急いてしまってすいません……ですが、こちらに来る際は絶対に皆さんにご迷惑をかけるような事はいたしませんわ」

側近「……そろそろ都へ送ろう。行ってくる」クルリ

少女「うん。お姫様、またね~」フリフリ

姫「ええ……ぜひまた近いうちにお会いしたいものです」ニッコリ

魔王「2人とも、気をつけてな」


妖精「」パタパタ フリフリ

姫「はい……それでは、失礼します」ペコリ

側近「……」スッ パアア……

少女「待ってるからねー!」フリフリ

姫「」ニコッ フッ……

少女「……行っちゃったね」

魔王「そうだな……今日は楽しかったか? 少女」

少女「うん……もっとお話ししたかったな」

魔王「そうか……我もだ。この魔王城に初めて招いた客人であると同時に、お前達以外で久しぶりに我が話をした存在だからかもしれぬな」

少女「だからあんな事を言ったんだね……また来てくれるよね、お姫様」

魔王「ああ……ピクニックの事もあるしな。さて、そろそろ城の中へ入ろうか」ナデナデ


少女「……側近さん待ってちゃ、駄目かな」

魔王「! ……いいや。だがこのままでは風邪をひいてしまうぞ」フワッ

少女「あ……ありがとう」ギュッ

魔王「今日は特に冷え込むからな……側近が戻ったらすぐに風呂に入ってゆっくり休むのだぞ?」

少女「うん。あ、何なら久しぶりに一緒に入る?」

魔王「……流石にそれは駄目だ。小妖精がいるであろう?」

少女「そうだけど……また前みたいに魔王様の背中を流してあげたいよ」

魔王「気持ちだけ受け取っておこう……側近に殺されるしな」ボソッ

少女「え? 何か言った?」コテン

魔王「いいや」

妖精「!」ピクッ

魔王「……側近が戻ってきたようだな」

少女「本当?」パアッ


側近「……ただいま戻りました」スウッ……

少女「側近さん、お帰りなさい!」ギュッ

側近「っ……ただいま。わざわざ外で待っていたのか?」ナデナデ

少女「うん! だってこんなに暗いから、側近さんが1人でお城に入るのはきっと寂しいと思ったの」スリスリ

側近「そうか……気にしなくて良かったものを。頬が冷たくなっているぞ」スッ

魔王「側近、ご苦労であった。何事もなかったか?」

側近「はい……とりあえず明日、姫君の元へ再び魔鳥を送っておきます」

魔王「ああ、頼んだ……さあ、今度こそ皆で中へ入ろう」ザッザッ


妖精「」パタパタ

少女「あ、そうだ側近さんっ」ピトッ

側近「どうした?」

少女「後で一緒にお風呂入らない? 久しぶりに」ニコニコ

側近「」フリーズ

魔王「少女よ、まだ諦めていなかったのか……」

少女「だって、魔王様は駄目って言うから~」ムーッ

側近「……魔王様にも同じ事を言ったのか?」プルプル

少女「うん。ねえ、良いでしょ……?」ジイッ……

魔王「そ、側近よ……少女に他意はないのだ」オロオロ

側近「ええわかっております。わかって、おりますが……!」


少女「ねえ、やっぱり駄目?」

側近「……良いだろう」

魔王「ファッ!?」ビクッ

妖精「!?」

少女「ホントにっ?」パアアッ

側近「ああ。この際背中だけではなく全身くまなく洗ってやろう……力一杯な」

少女「え……」サーッ

側近「お前の白い肌が真っ赤になってしまうかもしれんが、構わんな? それ程までに私と入りたいのだから……」

少女「そ、それは……うぅ」

側近「ああそうだ、完璧に洗い終わるまで浴場からは出さんからそのつもりでな……?」ジロッ

少女「……ごめんなさい。やっぱり妖精さんと2人で入るよ」

側近「そうか? ……残念だ」シレッ

魔・妖「「……」」ホッ

今回はここまで。

多分これからはブレない……筈←
またそういうシーンは入れるとは思いますが、必要最低限に止めるように努力します(笑)
きっと無理やり毎日更新しようとしたからああなったんだ、うん。
明日からの平日は更新なしか、小話……姫が帰る前の魔王との会話とか、幼女と出会う前の魔王と側近の過去話や彼らの未公開の日々、とかをもしかしたら書くかもしれません。需要があれば。
そうする位なら素直に本編更新しろって話ですよね……でもやはりそっちはがっつりかける時に書きたいです!!
まあ、とりあえず未定ということで←

おやすみなさい。

期待

こんばんは。
宣言通りちょっとした小話を投下します。
>>587の後の魔王達サイドです。


小話「魔王と姫 時々妖精」


夕食後

魔王「……」

姫「……」

妖精「」パタパタ

魔王(……気まずい)

魔王(少女以外の異性と話すのは本当に久しぶりだからな……)

魔王(側近と少女がいない今、一体どのような話題を出せば良いのやら)ウーン


姫「……あの」

魔王(そもそも、姫は本当に我らを怖がってはいないのだろうか? 内心どう思っているのかはわからぬ……)

姫「あの、魔王様!」

妖精「」クイクイ

魔王「!? ……あ、ああ、すまぬな。反応が遅れた……どうした姫よ」ドキドキ

姫「魔王様は……普段はどのようにお過ごしに?」

魔王「……どのように、とは?」

姫「そのままの意味ですわ。封印の負荷に耐えられる日々はさぞかしお辛いでしょう……魔王様は普段それをどのようにして紛らわせていらっしゃるんです?」

魔王「……特に、そなたにとって興味を引かれるような事はしておらぬ。側近や少女と話し、本を読み、ぬいぐるみに語りかけ……」

姫「ぬいぐるみ、ですか?」


魔王「少女が我のために作ってくれた兎のぬいぐるみだ。我にとって1番の宝物でもある」

姫「そうなんですか……」

魔王「我は数年前まで兎を飼っておってな……その兎も、2人が我のために都で買ってきてくれた土産だった。病気で死んでしまった時は本当に悲しかったよ」

姫「まあ……」

魔王「そうして落ち込む我を見かねた少女は……睡眠時間を削ってまで、拙いなりに一生懸命ぬいぐるみを作って我にくれた。本当に優しい子だ」

魔王「『あの子だと思って可愛がってね』と言ったあの時の少女の顔は、今でも脳裏に浮かぶ……傷だらけの手もな」

姫「やはり魔王様にとっても、少女さんはとても大切な人なのですね……」

魔王「無論だ……おっと、すまぬな。つまらない話を……」

姫「そんなことありませんわ! 今度、是非そのぬいぐるみを見せていただけません事?」キラキラ

魔王「う、うむ……考えておこう」


姫「ふふ、こうしてお話していると……貴方が魔王である事が信じられなくなりますね」ジッ

魔王「……魔王らしくないのは、自分でも十分過ぎる程自覚している」

姫「ですが……貴方が身に纏っているものは紛れもなく、上に立つ者の風格ですわ」

魔王「それこそ買い被り過ぎだ。そもそも我はなりたくて魔王になったわけではないしな……相応の力も持ってはおらぬ」

姫「そんなことありません……力だけが王たる条件ではありませんもの」

魔王「姫……」

姫「他者の声に耳を傾け、それを大切にできるのも王として必要不可欠なもの……無闇やたらと力を振るうだけではただの暴君ですわ」

魔王「……」

姫「貴方に仕える側近さんのお気持ちが……私には理解できます。貴方を慕う少女さんのそれも同様に」


魔王「……そんな事を言われたのは初めてだ。世辞でも嬉しく思うぞ」

姫「お世辞などではありませんのに~……まあ、それはそれとして。魔王様……?」ジリッ

魔王「な、何かな?」

姫「実は私、初めてお目にかかった時から密かに気になっていましたの……」ジリジリ……

魔王「な、何をだ?」ズリズリ

姫「その……ご立派な角ですわ!!」ビシッ

魔王「!?」ビクッ

妖精「」ジッ

姫「何処か蛇に似たお顔と不思議な調和を保つ2本の角……山羊のそれに近いですが、そこの所はどうなんですの!?」キラキラ

魔王「ひ、姫、少々落ち着け……!」アタフタ


姫「これが落ち着いてなどいられますか! 魔族の方をこんなに近くで見るのは初めてなんですよ!?」

魔王「だからと言って、そんな不用心な……」

姫「ね、お願いします、どうかその角触らせてくださいな……!」

魔王「そ、それは構わぬから……!」

妖精「」ニヤニヤ

姫「本当に!? では失礼して……うふふふふ」スッ

魔王「……どうだ?」

姫「……硬いですね」ツンツン

魔王「角だからな」

中途半端ですがとりあえずここまで。
短いので多分次回で完結するかと。

おやすみなさい。

もう終わりか…
おつ

こんばんは。
更新再開します。


姫「……」ピョンッ ツンッ ピョンッ ツンッ

魔王「……その触り方ではきつかろう」屈ム

姫「あ、ありがとうございます」サワサワ

魔王「……姫よ、代わりと言っては何だが」

姫「はい、何でしょう?」ナデナデ

魔王「もし嫌でなければ……姫のその黄金の髪も触らせてもらえぬだろうか」

姫「ふふ、良いですよ。お安いご用です」スッ

魔王「で、では……失礼」スッ

姫「……んっ」ピクッ


魔王「あ、ああ済まぬ。やはり嫌だったか」パッ

姫「い、いいえ。どうぞ続けてくださいな」カアアッ……

姫(そう言えば……お父様以外の殿方に髪を触られるのは初めてでしたわ)

魔王「そ、そうか? では……」サラッ……

姫「……どう、ですか?」モジモジ

魔王「うむ……とても良い手触りだ。いつまでも触っていたくなる」ナデナデ

姫「あ、ありがとうございます……」

魔王「少女の紅茶色の髪とはまた違った趣があるな……こちらはまるで日の光のようだ」マジマジ

姫「そうですか……? 噂はされても、面と向かって感想を言われる事は少ないので……新鮮です」

魔王「まあ、我の個人的な感想だがな……日中はあまり外には出られぬ我にとっては、恋焦がれる太陽が目の前にあるようで嬉しくなる」

姫「! そ、それは良かった……銀よりも金の方がお好きですの?」

魔王「そうだな……銀髪には良い思い出がない。我らの姉達の色だからか……」ズーン

姫「ああ、すいません! 知らなかったとはいえ……」アワアワ

魔王「いや、気にしなくて良い……」


姫「ですが……」

魔王「我らにとってはもう過去の話だからな……」

姫「魔王様……」

魔王「……さて、それより姫よ。我の角には満足していただけただろうか?」

姫「あ……え、ええ! ありがとうございました」ペコリ

魔王「いやいや。どうだ、希望するなら我から頼んで今度は側近のものにも……」

姫「い、いえ、お気持ちは有難いですがそちらは大丈夫ですわ!」ブンブン

魔王「そうか? あの額の1本角も中々立派だと思うがな……」

姫「もう十分堪能させていただきましたから……!」

妖精「!」パタパタッ


魔王「! おお、どうやら2人が戻ってきたようだな」

姫「……あの、魔王様」

魔王「うん?」

姫「今度、もしこちらに来る時があれば……もっとお話を聞かせてくださいませんか?」

魔王「! ああ、それは大歓迎だ。ではその時は、そなたの都での話も聞かせてもらえるか?」

姫「……ええ!」ニコッ

魔王「今日はそなたに会えて本当に嬉しく思う」

姫「……こちらこそ、魔王様にお会いできて嬉しく思います」

魔王(……そう言えば、何時の間にか姫と普通に話ができていた)

魔王(それも嬉しい事だ……少女以外の人間とまともに話ができたのだから)

魔王(他の人間相手では、恐らくこうも上手くは行かぬだろうな……姫の柔軟な人間性があってこそだ)

魔王(……今日は本当に、良い日だった)


小話「魔王と姫 時々妖精」 終わり


少し早いですが、今回はここまで。正直体調が少し悪いので……季節の変わり目って怖い(笑)
皆さんもどうかお気を付けください。

もう1つ、過去の番外編を書こうかとも思いましたが、テンポを考えたら本編を進行した方が良いですよね。

おやすみなさい。

乙!お大事にー


こんばんは。
病院に行ったり買い物してたらこんな時間に……!
久しぶりの注射は痛かった(笑)
ゆっくりですが更新再開です。

>>618お気遣いありがとうございます。主にアレルギー系なので徐々に落ち着いてくるかと思います。

>>602の続きからです。


魔王「さあ、そうと決まれば少女よ、早く風呂へ行くと良い。こんなに長く外にいたのだから尚更しっかり温まるのだぞ?」

少女「はーい。行こう、妖精さん」タタタッ

妖精「」パタパタ

魔王「……行ったようだな」

側近「……魔王様」

魔王「何だ」

側近「……もし、今の少女と風呂に入る事があれば……正直、自分を抑えられる自信がありませぬ」

魔王「……そうか」

側近「私は家族失格ですね……このような想いを彼女に対して抱いてしまっているのですから」ギュッ


魔王「……そんな事はないぞ」

側近「ですが、このままでは私は……!」

魔王「お前がそうやって気を引き締めているうちは心配なかろうよ。それに……少なくともあれよりは何倍も信頼できる」ツウッ……ポタッ

側近「っ、魔王様! 目と口から……っ」

魔王「やれやれ、夜に発作が出るのは久々だな……少女や姫に見られなくて良かった」ジッ

側近「何故……そのように平気でいられるのですか!」

魔王「我が死んでも、お前達が孤独ではない事に安心しておるからだ」

側近「っ……申した筈です。貴方様が死ぬ時は私も共に……」

魔王「駄目だ。お前は少女と共に生きろ」

側近「魔王様……!」

魔王「そして、我の分まで少女を幸せにしてやれ。魔族としてではなく……家族としてな」

魔王様にも春が来たか....!


側近「そのような事を……軽々しく仰らないでいただきたい!」

魔王「我だってな、できる事ならずっとお前達と暮らしていきたい……だが、あれがおる限りそれは夢のまた夢」

側近「私が……あの時犠牲となっていれば……!」ツウッ

魔王「お前こそ、そんな悲しい事を言うでない。我は大切な弟を守れて満足なのだから、それで良いではないか」

側近「……私にとって、大切な兄である事も……事実で、す……」ポタッ……ポタッ……

魔王「なら、その大切な兄のたった1つの願いを聞いてはくれないか。お前にしか頼めぬのだ」

側近「……い、嫌だ……逝か、ないで……兄上……」ギュッ…… ボロボロ

魔王「どうした? すっかり昔のように泣き虫に戻ってしまったな」ナデナデ

側近「誰の……せいだと……!」

追い付いた
見ているぞ

>>622ふふふ、どうでしょうね~。

>>624ありがとうございます!


魔王「だが、あの頃に比べてお前は本当に成長した……我にできない家事ができるし、剣術も強い」

側近「……魔術は、きっと貴方に劣るでしょう」

魔王「そうだろうか……まあ、何にせよ、お前は我がいなくともやっていけるという事だ」

側近「そのような事は……ありませぬ……!」

魔王「……おお、そうだ側近よ。我の顔を良く見ていてくれ」

側近「? ……何でしょう」ゴシゴシ ジッ……

魔王「……」……ニコッ

側近「! その顔は……」


魔王「どうだ? 我はちゃんと笑えているか?」

側近「……ええ」

魔王「お前達という家族がいてくれたからできるようになった表情だ……我は、これとお前達との思い出、そしてあの兎のぬいぐるみがあれば満足なのだよ」

側近「……貴方は無欲過ぎます。それらを抱いてもっと生きたいとは、思われぬのですか……?」

魔王「正直、できる事ならそうしたいが、弱いなりに下剋上の魔王としての責任は果たさねばならぬ」

側近「……それが少女を、悲しませてしまう事だとしても?」

魔王「少女との関係は、元々は契約の上で始まった事だ。それにどの道あれが完全に消えぬ限り、彼女の平穏もまた訪れはしない」

側近「ですが……他に方法がきっと……!」

魔王「お前達が心から愛おしいと思うからこそ、我はあれと共に死出の道を歩む事を躊躇わずにいられるのだ」

側近「……」

ぬいぐるみが好きなおっさん魔王こそが至高の萌えキャラ

>>1
どうでもいいがSS宝庫あたりにまとめ依頼出して下さい


魔王「頼む側近、いや……弟よ。どうかお前だけでも魔王の一族としての宿命から解放されてくれ」

側近「ぐっ……うう……ッ!」

魔王「優しいお前には、その資格があるのだから」

側近「兄、上……」

魔王「何、運命の日までまだ時間はある。それまでは封印を続けながら変わりなく過ごさせてもらおう」

側近「……」

魔王「少々話し込み過ぎたな……先に中へ戻っておるぞ」ザッザッ

側近(あの時のように……再びこの御方にすべてを背負わせるなど……ッ)

側近(何か、必ず何か手がある筈……!)

側近(何としても、運命の日までにそれを見つけ出さねば……あの御方と、少女のためにも……!)ギリッ

>>627何……ですと……?←

>>628了解です、まだまだ先ですが完結したら。


――――
――

大浴場

少女「はあ……あったかい」チャポン……

妖精「♪~」プカプカ

少女「お姫様がここにお泊まりすれば、一緒に入れるかな?」

妖精「」コテン

少女「私達だけで入るには広過ぎるからねー。かと言って他のお友達を呼んだら怒られるし」ブクブク

妖精「」コクコク

少女「……楽しみだな。その時はお姫様の背中を流してあげよう♪」パシャリ


――――
――

少女「ふう、さっぱりした~」

妖精「♪」パタパタ

少女「何だか悪いな、あの日なのに私が先に入っちゃって……とりあえずお湯は換えたけど」

魔王「……おお、少女。風呂から上がったのか」ザッザッ

少女「魔王様。うん、今上がったところ。お湯は換えたけどもしかしたら何処か汚れてるかも……」

魔王「構わんよ。寧ろお前がその状態だからこそ、何時も以上にきちんと体は清めておくべきだ」

少女「そう?」

魔王「ああ。まあ、お前の体の事を完全に理解できるわけではないがな」

少女「ううん、温まるとお腹の痛みとかも和らぐし、体には良いと思うよ」

魔王「それは良かった。では、次は我が入るとしようか。お前はもう寝ると良い」


少女「はーい……あ、そうだ魔王様」

魔王「ん?」

少女「お姫様の事で、2人に言わなきゃいけない事が……」

魔王「そうか……それは明日ゆっくり聞いても構わぬか?」

少女「うん。軽々しく話せる事じゃないしね……」

魔王「……姫にも、何か抱えているものがあるのだろうな」

少女「まあ、そんな感じだね……じゃあ、おやすみなさい魔王様」

魔王「ああ……ん、そうだ少女」

少女「何?」

魔王「……今日は朝からご苦労であったな」ナデナデ

少女「! えへへ」ニコニコ

魔王「よし、では改めておやすみ、少女」

少女「おやすみなさいっ」ニコッ


魔王「……」ザッザッ

魔王「……」……ツウッ

魔王(……あのような事を側近と話したせいであろうか。少女を部屋に返すのが惜しくなるとは)

魔王(一体後どれ程……こうして共に過ごす事が出来るのだろうな)ポタッ……ポタッ……

――――
――

少女「あ、側近さん」

側近「……」

少女「お風呂、今魔王様が入って……」

側近「少女」ガシッ

少女「? なあに?」

妖精「!」ピクッ


側近「お前は以前言っていたな……この日常が終わる事なく続いて欲しいと」ジッ

少女「う、うん……」

側近「それは今も変わらんか?」

少女「! 勿論、だよ……!」

側近「ならば……私に協力してくれんか」

少女「へ?」

側近「運命の日が過ぎるのををただ指をくわえて見ているだけではなく……その日まで足掻く気はないかと言っている」

少女「それって……」

側近「気が変わったのだ。我らの変わらぬ未来への道を……共に探すぞ、少女」グッ

少女「側近、さん……」

今回はここまで。
着実に近づいてきている終わりに少し寂しく思う自分がいます。一応このスレ内で完結させる予定なので。
とは言ってもまだ当分先ですがね←

まさか喘息までぶり返すとは……家に帰ってから3回も発作が来るって何なのorz

様々なコメントに執筆意欲を掻き立てられたためか、短時間でゆっくりなりに予想以上進める事が出来ました。
ありがとうございます。

魔王様結構人気ですね……! 怖がられず、寧ろ親しみの持てる魔王を目指してはいましたが、やはりびっくりです。
良ければ側近達にも目を向けていただければ、と密かに思います(笑)

おやすみなさい。

乙!

身体弱過ぎワロタ…ワロ…
本当にお大事に!

こんにちは。
今回は昨日進まなかった分まで頑張る事を目標に更新していきます。

>>636あわわ……では寝る時にもう1回発作が出た事は内緒にしておこう←
普段は丈夫な方なんですけどね……きっと昨日注射やら吸入やら薬やらを色々取り入れて体がびっくりしたんじゃないかと思うんです。


側近「あの御方は自分1人で死ぬおつもりだ……だが、封印だけをどうにかする事ができればその必要はなくなる筈」

少女「……」

側近「魔王様に気取られぬ程度に、その方法を探っていきたい。どうか協力してはくれんか?」

少女「……わかった。私もやる」

側近「お前なら、そう言ってくれると思っていたぞ。できる範囲で互いに調べ、何か進展があったらさり気なく報告し合おう」

少女「うん……魔王様も側近さんも、大事な家族。できる事なら失いたくはないからね。頑張ろう、側近さん!」グッ

側近「ああ……話はそれだけだ。おやすみ」ザッザッ

少女「あ……おやすみ、なさい」

側近(……巻き込んですまん、少女)

側近(だが何があろうとも、魔王様だけは死なせはしないからな……)



少女(側近さん……どうして突然気が変わっちゃったんだろう?)

少女(そりゃあ、2人にはこれからも生きていてもらいたいと思うけど……)

少女(変な事、考えてないよね……?)

――――
――

翌日 朝食後

魔王「……成程な。姫にそのような過去があったとは」

側近「死んだ弟のために見聞を広げるとは……志は立派だが、それで危険に巻き込まれては元も子もないというのに」

少女「これを話している時のお姫様、とっても必死な目をしてた。よっぽど弟君の事が大事なんだね」

魔王「うむ……その姉弟愛に敬意を表して、何とかまた近いうちにこちらへ来れるよう取り計らってやりたいものだが」

側近「魔王様、それは……」


少女「側近さん、私もお姫様に来て欲しいよ……給仕さんを味方につけられたら良いんでしょ?」

側近「……言うだけなら簡単だがな」

魔王「何、きっと大丈夫だ。少女と側近が心を籠めて書いた文があるのだから。きっと協力してくれよう」

少女「だと良いな~」

側近「……」

妖精「」パタパタ

魔王「弟を想う気持ちは我にも良く分かる。うむ、姫とは気が合いそうだ」ウンウン

少女「魔王様、嬉しい?」

魔王「ああ、嬉しいな。もっと話ができたらどんなに良いか……少女の作ってくれたぬいぐるみを見せる約束もしたしな」


少女「え!? ま、魔王様、そんなの初耳だよ……」オロオロ

魔王「お前達が文を書きに行っている間にな、そう決まったのだ」

少女「うう……初めてであんまり上手にできなかったのに……恥ずかしいよ」カアア……

魔王「そんな事はない。少女の優しい気遣いが籠っている立派なものだ。我にとっては大事な宝物……」

少女「……ありがとう」

側近「……とにかく、姫からの連絡がなければ何とも言えんからな」

少女「そうだね……魔鳥さん、早く戻ってこないかな」

魔王「少女よ、今にも都へ飛んで行きたそうな顔をしておるな」

少女「そう? ……いっそのこと、本当にお友達に乗って行ってみようかな」


側近「それはいかん」

少女「えっ。何で?」

側近「変に目立ってしまうからだ。下手をすれば舞踏会の時以上の騒ぎになる」

少女「でも……」

魔王「ああ、我も側近に賛成だ。何より危ないしな」

少女「魔王様まで……」

妖精「」ブンブン

少女「妖精さんも、駄目って言うの?」

妖精「」コクン

魔王「皆、少女の事を思って言っておるのだ。わかってはくれまいか」

少女「……わかった。でも、せめてお城に行けたらなあ……」


側近「……少女、待てば待つ程、再び会えた時の嬉しさは増すだろう」

少女「!」

側近「ここは大人しく、待ってみる気はないか?」

少女「……んー」

側近「待って待って、どうしても待ちきれなくなった時は……私が都へ連れて行ってやr」

バサバサバサッ……!

魔王「……側近、窓を見よ。魔鳥が戻ってきておる」

少女「あ、ほんとだ!」

側近「……」

妖精「」プッ


――――
――

城の外

少女「随分早かったね~」

側近「ただ単に戯れに文を送って来たという可能性もある……寧ろそうであってほしいものだ」スッ

魔王「まあまあ……して、姫は何と?」

側近「……これは姫ではありませぬ」

少女「え?」

側近「文面から察するに……どうやら、差出人は給仕の者らしい。姫に頼んだのだろうな」

魔王「……ほう」

側近「溢れんばかりの感謝の念が、紙面からひしひしと伝わってくる……悪い気はせんな」

少女「そうなんだ! 私にも見せてー!」ピトッ

側近「待て、もう少しで読み終わる……何、だと?」ジッ

魔王「どうかしたのか?」


側近「この文末……要約すると、姫君がこれ程信頼しておられる方々ならばこちらも信頼できる」

側近「今まであの方は、そのような存在を外でお作りになる事はほとんどなかったので、大変嬉しく思う」

側近「今度、再び姫君がそちらへ向かわれる際は何時でも全力で協力させてもらうので、どうかあの方をよろしく頼む……との事です」

魔王「ほう……余程、舞踏会でのお前達の印象が良かったのか」

少女「私達の文が給仕さんの心を動かしたんだねっ」ニコッ

側近「そうなのだろうか……それにしても、何故こんなにあっさりと……」ズーン

魔王「まあ、良い事ではないか。どの道他に協力者がいて困る事はない……あの日のためにもな」

側・少「!」ピクッ

魔王「いやはや、それにしても最近は本当に良い事が多いな……我ながら少し怖い位だ」

今回はここまで。
あんな事を言っておきながら、大して話が進まなかった事を申し訳なく思います。
どうやら今日は調子が悪かったようです。

さて、今週の平日ですが、せっかくなので最近と、舞踏会の時も少しだけ登場した魔王のぬいぐるみ誕生の話か、魔王の封印の実態についての過去話を書こうかと考えました。
ですが同時に、余計な話を挿まずに次の休日に本編を進めた方が良いのかとも思い、どうするか決めかねています。
……まあ、とりあえず先に体調を整えた方が良いかもしれませんね←
グダグダな>>1ですいません……。

おやすみなさい。

他のSS読んでると、本編一区切り→番外編→本編一区切り、みたいなのが読み易かった

待ってるからお大事に!

まずは体調第一でね!

こんばんは、数日ぶりです。
ご心配をおかけしましたが、お陰様で順調に回復中です。

アドバイスに従って、本編を一段落させた後に小話を少し投下します。


少女「そ、そう? でも悪い事じゃないでしょ?」

魔王「ああ」

側近「……もう1枚重なっておりました。こちらは姫君からのようです」ペラッ

少女「本当!? 何て書いてあるの?」

側近「……給仕をこちら側に引き込む事に成功した。よって数日後に再び来るのでその許可をいただきたい」

魔王「! そうか……」

側近「しかも今度は……宿泊を希望する、との事」ガックリ

少女「お姫様がお泊まりに来る……!」パアアッ

魔王「……うむ、また1つ良い事があったな」

側近「……私は胃が痛いですがね」


少女「ね、側近さん、良いよね? お姫様がお泊まりに来ても」ワクワク

側近「……好きにするがいい。その代わり返事はお前が書くんだぞ」グッタリ

少女「やったー! じゃあすぐにお返事書くねっ」タタタッ

魔王「良かったな。少女……」

側近「……魔王様も嬉しそうですね」

魔王「そうか? 少女が嬉しそうだからだろう。それに再び外の話が聞けるからな」

側近「果たしてそれだけでしょうか」

魔王「?」

側近「……まあ、今はそういう事にしておきましょう」

魔王「変な側近だな……」

少女(お姫様……早く会いたいな。ね、妖精さん?)チラッ

妖精「♪」パタパタ

というわけで、ここから少し小話です。


小話「魔王城日記 魔王篇」

―月―日(曇り、時々雨)

封印には特に変化なし。
だが、幼女と弟が都で買ってきてくれた兎が病気にかかった。
昨日からなんとなく食欲がなさそうだったが、今朝ゲージの隅でぐったりしているのを発見し、異変に気付く。何故もっと早く気付いてやれなかったのだろう。
水と餌を与えるも、水を僅かに飲むだけで動かない。
治癒魔法をかけるも効果なし。

2人に知らせるとすぐに部屋へ飛んできた。泣きそうな顔でゲージを見つめる少女を見ていると、こちらも胸が痛む。小妖精は間近で兎を観察し、顔を曇らせた。
私も内心泣きたい気持ちだったが、少女の手前、堪える。
弟は一見いつもと変わらない様子だったが、部屋へ来る前に書庫から持ってきた、大量の治癒と動物に関する書物の頁をめくる手は微かに震えていた。
3人と1匹でしばらくゲージを見守っていたが、おもむろに弟が都へ兎用の薬を買いに行くと言い出した。少女も行くと言ったが、ここで兎を看ているように説得され、渋々頷いていた。
出発前に、弟は私達のために軽食を作ってくれた。サンドイッチなど久しぶりに食べた。昔を思い出し、思わず目頭が熱くなる。
恐らく寝食を忘れて兎に付きっきりになるのを見越しての事だろう。本当にしっかりした奴だ。
少女はほとんど食べなかった。

私も少女も、トイレに行く時以外は自室から出なかった。小妖精は時折兎の体を撫でてやっていた。毛布で体を包んでやったり、水を与えたりするが、一向に様子は変わらない。
弟は昼過ぎに帰ってきた。売ってある中で1番上等な薬を買ってきたという。よくやった。すぐに兎に与え、様子を見る。時折弱々しく体を動かすのが痛々しい。
少女は夜中近くまで頑張っていたが、何時の間にか私にもたれかかって眠ってしまっていた。後は私達に任せ、そのまま朝までゆっくり休むと良い。
後は朝まで弟と交代で眠りながら看病する事にする。今は仮眠をとる彼の隣でこれを書いている。

兎よ、頼むから早く元気になってほしい。

早いですが、明日も早いので今回はここまで。
この日記の時系列としては少女篇の約3年前、少女は14、5歳ぐらいといったところです。

おやすみなさい。


ゲージ ×
ケージ ○

こんにちは。
昨日は日記部分の書き溜めをしていました。
本編は普通に書けるのに何故かこっちはさくさく書けないという……orz
連休中は、ゆっくりですが今まで更新できなかった分を取り戻す気持ちで進めていきたいと思います。

>>655ご指摘ありがとうございます。次からは気をつけます。


―月―日(曇り)

兎は相変わらず元気がない。もう1度治癒魔法をかけてみるが、やはり何も変わらない。少し吐血してしまったが、兎の味わっている苦しみに比べればこんなものは微々たるものだ。
兎のために全力を使ってやれない自分の身が呪わしい。

弟が私達にちゃんとした食事を摂れと言ってきた。自分達が倒れてしまっては元も子もないという言葉は正論以外の何物でもない。
それでも少女がケージにしがみ付いて離れようとしなかったので、仕方なく料理は自室へ運んだ。少女はいらないと言ったが、弟が半ば強制的に口の中へ押し込んだ。
その間小妖精は彼を睨んでいたが、心なしか視線にはいつもより力がなかった。
兎さんは食べれないのに、と少女が涙目で文句を言ったが、兎の分までお前が食べてやれば良かろう、と言う弟の言葉に渋々納得したようだった。

薬は説明書通りに適量与えている筈だが、効力が表れた様子はない。もしや偽物を掴まされたのか? と弟が静かに怒っていたが、恐らくそういう事ではないだろう。
目を凝らして見れば、微かに兎の体から生命の力が抜け出ていくのがわかるからだ。弟も多分気付いている筈だが、現実から目を背けているのかもしれない。
こんな事は口が裂けても少女には言えまい。

それよりも、泣きながら私にしがみ付いてくる彼女を慰める方法を誰か教えてほしい。

夕方、突如兎の容体が急変した。全身を苦しげに痙攣させ、口からは泡を吹いていた。
ケージの前で「いやだ」と「死なないで」を繰り返す少女を尻目に、できる事を思いつくまま試してみる。
弟も顔には出にくいが、動作の端々から焦っている事がわかった。
今夜が山だろうか。


―月―日(雨)

激しい雨の音と、それに混じった少女のすすり泣く声で目が覚めた。
何時の間にか眠ってしまっていたらしい。
大きな目から涙を流しながら、彼女は兎を胸に抱いていた。
私に気がつくと、兎さんが動かないの、冷たいのと呟いた。昨日まであんなに温かかったのに、とも。
少し遠くから時折聞こえてくる打撃音は、弟が自分の力不足を悔やんでいるのだろうか。
小妖精はケージに座って項垂れていた。皆、憔悴しきっていた。
呑気に眠りこけていた自分が憎らしい。実質的な飼い主だったというのに。

どんな命も、死ぬ時は案外呆気ない。
だからこそ尊いと思えるのかもしれない。
こう思う私は、本当に魔王らしくないと自分でも痛い程理解している。先代の母はあんなにも多くの罪なき命を踏み躙ってきたというのに。
だが、こんな自分でなければ恐らく少女達に出会うことはなかっただろう。
神に感謝をしたいと願う魔王も、傍から見ればきっと滑稽だ。

午後から雨足が弱くなったので、城の裏で兎の埋葬を行った。
打撃音は棺を作っていたからだと弟は言ったが、真偽の程はわからない。
だが、棺を持って自室へ戻ってきた彼の目元が微かに赤くなっていたのは、恐らく気のせいではないだろう。
弟が穴を掘り、棺を埋めている間、少女は顔を覆って泣いていた。
小妖精はふらふらと何処からか花を持ってきて、墓の上から落としていた。
私も、心の中にぽっかりと穴が開いてしまったかのような気分だ。
自分の頬から零れ落ちる物が、雨粒なのか涙なのかもわからなかった。

こうして私達は今日、かけがえのない家族を静かに見送った。


――――
――

兎の墓前

少女「ごめんね……ごめんね兎さん……助けてあげられなくて……」ボロボロ

妖精「……」パタ……パタ……

側近「……動物を飼うというのはこういう事だ。彼らは人間や魔族よりも遥かに寿命が短いからな」

少女「うう……ぐすっ……」

魔王「……我が……もっと早く異変に気づいておれば……兎は助かっただろうか」

側近「魔王様……あまり御自分を責めてはなりませぬ。力不足であったのは私も同様です」

魔王「側近……」

側近「ですが、足りないなりに私達は手を尽くした……違いますか?」

魔王「……そう、だな」

側近「……これ以上外にいてはお体に障ります。名残惜しいですがそろそろ中へ入りましょう。少女、行くぞ」

少女「やだ……まだ兎さんの傍にいる……!」


魔王「少女……これ以上いては風邪を引いてしまうぞ。また明日来れば良いではないか」ポンッ

少女「やだっ……家族だから一緒にいる……!」

側近「……少女、あまり聞き分けのない事を言うな」

少女「でも……!」

側近「少しは魔王様のお気持ちを考えろ……恐らくお前以上に悲しんでおられる」

少女「ッ……!」ハッ

魔王「良い、側近。少女も悲しんでおる……その気持ちに優劣などなかろう?」

側近「……そうですね。軽率な発言でした、申し訳ありません」

魔王「わかれば良い。少女……お前が風邪を引いたら兎だって悲しむと思うぞ」ナデナデ

少女「……それは、やだな」


魔王「だろう? 今のお前はしっかりした休養が必要だ。その後に改めて、ここに来よう」

少女「……うん……っ。兎さん、また来るからね」ナデナデ

妖精「」パタパタ

少女「側近さん。困らせて……ごめんなさい」

側近「……いや。私こそ配慮が足りなかったな」

少女「ううん……それとね、兎さんを埋めてくれてありがとう」

魔王「うむ、我からも礼を言うぞ」

側近「……私は大した事はしておりませぬ」

魔王「そんな事はないぞ」

少女「そうだよ。私は泣いてばっかりで何もできなかったし」

側近「……とにかく、中へ入るぞ」クルッ ザッザッ

少女「うん……魔王様」スッ

魔王「! ……ああ」ギュッ

妖精「」パタパタ……


――――
――

夕食時

魔王「……ご馳走様」スッ

少女「魔王様、もう良いの? まだ結構残ってるよ?」

魔王「ああ、今日は何だか食欲がないのだ。せっかく作ってくれたのにすまぬな」

側近「……いえ、お気になさらず」

魔王「ではな」ガタッ……バタン

少女「魔王様……」

側近「……少女、もし良ければ、食後に魔王様のご様子を見に行っては貰えないだろうか」

少女「わかった」

妖精「……」モグモグ……ペチン


――――
――

魔王の部屋前

少女「! 魔王様……」

魔王「ううっ……す、すまぬ、兎……私が……不甲斐ないばっかりに……ッ」ガンッ

魔王「お前のお陰で……私は寂しさから救われたというのに……私は何も返してやれなかった」ギュッ

魔王「兎よ……せめて、安らかに……眠っておくれよ……!」ポタッポタッ

少女「……」クルッ……トボトボ……


側近「! 少女、魔王様のご様子は……」

少女「側近さん。明日都へ連れてってくれる? 急ぎで欲しい物があるの」ジッ

側近「……良いだろう」

少女「私じゃ、力になれるかわからないけど……魔王様が元気になってくれるなら」ギュッ

側近「お前のその気持ちがあれば大丈夫だ。明日は晴れると良いな」ナデナデ

少女「……うん」

側近「私もできる限り協力するからな」

少女「ありがとう、側近さん」ニコッ


――――
――

翌日の夕方

少女「ふう……思ったよりも大分時間がかかっちゃったね」

側近「ああ。だが何時ものあの御方の出迎えがない所を見ると、やはり昨日の事が……」

少女「……」

側近「少女、お前は今すぐ部屋で、買った物を使うと良い。夕食は私が用意しておくから」

少女「本当? ありがとう……じゃあ、悪いけどお願いするね」タタタッ

側近「ああ。こっちは任せておけ」


少女の部屋

少女「妖精さん、ただいま!」

妖精「!」パタタッ ピトッ

少女「ふふ、お留守番ご苦労様。さて、夕ご飯まで頑張ろうっと」ナデナデ

妖精「?」コテン

少女「初めて作るけど……上手くできると良いな」ドサドサドサッ

妖精「」ポカン

少女「ごめんね妖精さん、しばらく一緒に遊べないけど……我慢してね? 魔王様のためだから」ナデナデ

妖精「!」

少女「さて、まずは……」ペラッ


――――
――

少女「あうっ……いたた、また刺しちゃった」ジワッ……

側近「少女、入るぞ」コンコン

少女「あ、もうそんな時間か。ちょっと待ってね……どうぞー」ササッ

側近「……どうだ、調子は」ガチャッ

少女「寸法を測って、布を切って……今やっと縫えるようになった所~……」

側近「そうか。あまり無理はするn……おい、その指は何だ」グイッ

少女「あっ……見つかっちゃった」

側近「こんなに刺し傷が……針の扱いには気をつけろといっただろう!」

少女「ごめんなさい……つい焦っちゃって」シュン……

側近「それでお前が怪我をしたら元も子もないだろう……ほら、手当てをしたら夕飯だ」

少女「はーい」

側近「……その手、あまり魔王様に見られないようにな」

少女「……うん」

半透明の兎さんが魔王城の方に向かっていったんですけど

今回はここまで。
心理状態の描写って難しい……。
次回の更新で本編を再開できるようにしたいです。

おやすみなさい。

こんにちは。
今回ものんびり更新いたしますので、よろしくお願いします。

>>668ファッ!? あわわわあばばばばb(黙れ)
御報告ありがとうございまーす!(笑)←


――――
――

夕食時

魔王「……ご馳走様」ガタンッ……ガチャッ

側近「また残されておいでか……少女の手の心配は無用だったようだな」

少女「うん……心ここにあらずって感じだったしね」

側近「しかし、このままでは不味いな……魔王様の優し過ぎる心が仇になっている。下手をすれば封印の崩壊にも繋がりかねん」

少女「! そんな……」

側近「今まで辛うじて封印は維持されてきたが……あの日以来、これ程精神の均衡を崩されたのは初めてだからな」

少女「……」

側近「まさかこのような形で運命の日が早まるとは……勿論、あの御方の強さを信頼していないわけではないが」

少女「……ご、ご馳走様っ」ガタンッ

どうした……


側近「!」

妖精「……!」ムグムグッ ペチンッ

少女「ごめんなさい側近さん! お片付けお願いねっ」ガチャッ バタバタ……

側近「少女……お前もあまり無茶はするなよ」

――――
――

少女の部屋

少女「えっと、次はここをこう縫って……」チクチク

妖精「」ワーワー

少女「妖精さん……もしかして応援してくれてるの?」

妖精「」ニコッ

少女「……ありがとう。私頑張るねっ」

>>672ごめんなさい、少々取り乱してしまいました。


――――
――

少女「うう……糸を白にしたのは失敗だったかな。生地も白だからわかりにくいや」

少女「……あ、端がずれてる……! うう、またやり直しだ……」

側近「……」パタン……

少女「あと……ちょっと……で、足が……うぅ……」コックリコックリ

側近「……今日はもう止めておけ」パシッ

少女「側近さ……まだ……だいじょ……ぶ……くう」ガクリ


側近「……」カチャカチャ……スッ フワッ

妖精「」ジーッ

側近「……お前も少女が大切ならこうなる前に止めろ。それでも1番の友か?」ソッ……ファサッ

妖精「!」ムッ

側近「……甘やかすだけが友ではないぞ」ガチャッ……ザッザッザッ

妖精「……」

――――
――

少女「……よし、後は胴体と顔……妖精さん?」

妖精「」ブンブン

少女「それがなきゃ続きが作れないよ……どうしてそんな事するの?」

妖精「」ビシッ

少女「……もう休めって事?」

妖精「……」コクコク


少女「うう……本当はもっとやりたいけど、仕方ないね」カチャカチャ

妖精「」ホッ

少女「良く考えてみれば、針とか危ないもんね……これからはちゃんと時間を決めてやろうかな。その分早く作れるようにしよう」ウンウン

妖精「!」パタパタ……スッ

少女「お手伝いしてくれるの? ありがとう」ニコッ

――――
――

少女「中の綿は……これ位かな。あんまり入れ過ぎてもフワフワ感がなくなっちゃうからね」グイグイ

妖精「」グイグイ

側近「少女、良いか?」コンコン

少女「どうぞ~」ギュッギュッ


側近「ほう……随分進んだな」ガチャッ

少女「えへへ……早く魔王様に元気になってほしいからね。妖精さんも少し手伝ってくれてるんだよ~」ニコニコ

妖精「」エッヘン

側近「そうか……それは良かったな」

少女「うんっ。中身を入れ終わったら後は体を繋げるだけだよ」グイグイ

側近「……」ソッ

少女「側近さん……?」

側近「すまんな……お前の白い手がこんなに傷だらけになっているのに、私は……」サスサス

少女「側近さんだって、少ない量で栄養がたくさんとれる献立を考えてくれてるでしょ? 十分だよ~」

側近「少女……ありがとう。では、私は魔王様のご様子を見てくるとしようか」スッ

少女「うん、行ってらっしゃい……魔王様、大丈夫だよね?」

側近「……ああ」ガチャッ……

少女「……お願い兎さん、どうか魔王様を守って……」ギュッ


――――
――

魔王の部屋前

側近「魔王様、お茶をお持ちしました」コンコン

魔王「……」

側近「? ……失礼します」ガチャッ

魔王「」ユラリ…… ブツブツ

側近「ッ! 魔王様……どうかお気を確かに」コトッ

魔王「」ゴオオ……ッ

側近「……チッ」スウッ……チャキッ スパッ

魔王「」バリバリバリ

側近「……このように作っておいて良かったな」タタタッ ザクッ

魔王「!」バタッ……

側近「全く……しぶとい奴だ」スウッ グイッ……ドサッ


魔王「……兎よ……すまぬ……」

側近「……奴を封印して間もない頃を思い出すな。今は吐血をされていないだけマシか」ギュッ

魔王「……」グッタリ

側近「本当に……私達は弱い。魔族の癖にな」

側近「……頑張れ、少女。こっちは私が抑えるから心配するな」

――――
――

少女「……で、できた……!」バッ

妖精「!」パチパチパチ……

少女「さっそく魔王様に届けに……!」ガタッ

妖精「!」ブンブン

少女「……あ、そうだね。針とかはちゃんと片付けておかないと……」ゴソゴソ カチャカチャ

妖精「」スッ ササッ

少女「これでよし。じゃあ気を取り直して行こうか」ガタッ

妖精「」コクン


――――
――

魔王の部屋

少女「魔王様~。入って良い?」コンコン

側近「……魔王様は眠っておられる。静かにな」

少女「! はーい」カチャッ……

側近「その様子だと、完成したようだな」

少女「うん……どうかな? 兎さんに見えるかな」スッ

側近「……ああ。初めて作ったにしては上出来だ」ナデナデ

少女「良かった~。魔王様も喜んでくれれば良いな」

魔王「……うぅ……っ」ピクッ

側近「! 魔王様」バッ

少女「目が覚めたの?」

魔王「……側近か。それに……少女もいるではないか……」ボンヤリ


少女「……今までお部屋に引き籠っててごめんなさい。魔王様を元気づけたくて頑張ってたの」

魔王「そうか……もっと良く顔を見せておくれ」スッ

少女「うん……」ギュッ

魔王「……心配をかけてすまぬな、本当に……お前達も、心の中ではさぞ呆れている事だろう」

側近「そんな事はありませぬ。自分はただ、以前の魔王様に戻っていただける事を願います」

少女「そうだよ……早く元気になって、魔王様」ウルッ

魔王「少女……その傍らにあるのは」

少女「あ……これね、兎さんにそっくりに作ったつもりなんだけど……」スッ

魔王「! これを……お前が1人で?」

少女「うん。妖精さんにも少しだけ手伝ってもらったけどね……魔王様のために作ったんだよ」

魔王「我の、ために……良く見ればお前の手……傷だらけではないか」

少女「魔王様が元気になってくれるなら、これ位平気だよ」ニコッ


魔王「少女……」ツウッ……

少女「本物には負けちゃうかもしれないけど……あの子だと思って可愛がってね」フワッ

魔王「! ……ありがとう……お前が頑張って作ってくれた物だ……一生大切にするからな」ナデナデ

少女「うんっ。喜んでくれて良かった」

魔王「……我は幸せ者だ……こんなに素晴らしい物を愛しいお前から送られるなんてな……」ポロポロ

少女「ま、魔王様……!」オロオロ

側近「狼狽えるな。好きなだけ泣いたら気持ちも落ち着かれるだろう……今はそっとしておいて差し上げろ」

少女「わ、わかった……」

魔王「うう……兎よ……情けない飼い主で……すまぬ……」ギュウッ ポタッポタッ……

少女「……」


妖精「……!」パタパタ……クゥ

少女「! 妖精さん、お腹空いたの?」

妖精「~~~ッ!」カアアッ

側近「仕方のない奴だ……まあ、そろそろ夕食の時間か。少女、今日は久しぶりに共に作らないか?」スッ

少女「うんっ! 一緒に作ろ~」ギュッ

側近「では、先程と同様に静かにな……」カチャッ

少女「はーい」テクテク……パタン

魔王「……」ギュッ……ポロポロ


――――
――

少女「魔王様、今日はちゃんと食べてくれるかな……」グツグツ

側近「……」シャッシャッ

少女「……側近さん、どうしたの? さっきからずっと黙ってるけど」コテン

側近「……笑わずに、聞いてくれるか?」クルッ

少女「? うん」

側近「その……何だ」カアッ……

少女「え?」

側近「……お前からぬいぐるみを貰った魔王様が……ほんの少しだけ羨ましいと思っていたんだ」ポリポリ

少女「……!」

側近「今までああいった物を、持った事がないからかもしれんがな……」

妖精「!」プークスクス

側近「笑うな小妖精! ……私が子供っぽくて、幻滅しただろう?」

少女「ううん、そんな事ないよ! ……じゃあ、今度は側近さんに作ってあげるね」ニコッ

さっき見たいにネタレスすると本編に反映されるのか気になる

>>685基本的には自分の書きたいように書いていますね……被る事はあるかもしれませんが(笑)


側近「! それは本当か……?」

少女「うん! 時間はかかるかもしれないけど、大丈夫?」

側近「勿論だ。幾らでも待とう」ウキウキ

少女(無表情だけど……側近さん、何だか嬉しそうだな)

少女「どんなのが良い? やっぱり兎?」

側近「少女が作ってくれるなら何でも構わん」

少女「ふふ、じゃあ楽しみにしててね」

側近「ああ……む、その鍋はそろそろ良いのではないか?」スッ

少女「! 本当だ、じゃあ火を止めて……」バタバタ


――――
――

少女「! 魔王様」

魔王「待ち切れずに来てしまったよ。良い匂いだな……」

少女「もう大丈夫なの?」コトッ

魔王「ああ、まだ完全にとはいかぬが大分落ち着いたよ……先程はみっともない所を見せてしまったな」

少女「ううん、気にしてないよ! 魔王様が元気になってくれて良かった」ギュッ

魔王「お前が作ってくれたぬいぐるみのお陰だ……本当にありがとうな」チュッ

少女「えへへ~……あ、側近さん! 魔王様が元気になったよー!」

側近「……」ワナワナ ……ゴトンッ

魔王「そ、側近……どうしたのだその顔は……?」

側近「……何時もと変わりませんが何か?」ジロッ

魔王「なな、何でもない! さあて我も運ぶのを手伝おう!」ガタッ

魔王(何この側近怖い)ブルブル

側近……


夕食時


魔王「少女、これのおかわりはあるか?」

少女「! うん、勿論っ」

側近「……少し前とは見違える食欲ですな」

魔王「今まで採れなかった分の栄養も摂らねばな……何より、お前達の作ってくれた料理が美味いのだ」モグモグ

側近「突然そんなに召し上がっても、体は受け付けませんよ。どうか程々になさってください」

魔王「何、これ位平気だ。少女、これも頼む」スッ

少女「はーい」ニコニコ

側近「……どうなっても知りませんよ」ハア


妖精「」モグモグ

少女(良かった。魔王様本当に大丈夫そう)

少女(兎さん……こんな私達を、どうか最後まで見守っていてね)スッ


小話「魔王城日記 魔王篇」 終わり?



魔王「うっぷ……気持ち悪い……」グッタリ

側近(……言わんこっちゃない)ハア

少女「ま、魔王様~!」サスサス

妖精「」パタパタ


本当に終わり

ここから>>652の続きです。


拝啓 お姫様

こうしてお姫様宛に文を送るのは初めてだね。うまく書けているか少しだけ不安です。
側近さんから許可をもらう事が出来ました。だから、心配せずに来てください。
多分、側近さんがまた迎えに来てくれると思う。

お姫様に会える日を、とっても楽しみにしています!

少女

――――
――

数日後 都の前

姫「……というわけで、またお世話になりますわ」ペコリ

側近「……展開が早過ぎてついていけん」ガックリ

姫「ですが、貴方は許可してくださったんでしょう?」ニコニコ

側近「……とにかく時間が惜しい。行こう」スッ

姫「……ええ♪」タタッ


――――
――

魔王城

少女「お姫様久しぶりー! 会いたかったよ~」タタタッ

妖精「~♪」パタタッ

姫「ふふ、最後に別れてから1週間も経っていませんよ? ……ですが、私もお会いしたかったです」

魔王「側近、ご苦労だった……姫、また会えて嬉しいぞ」

姫「魔王様……それに側近さんも、宿泊の許可を下さって感謝します」ペコリ

側近「……本当に大丈夫なのだろうな?」

姫「ええ。給仕は本当に信用できます……皆さんにご迷惑はおかけしませんわ」

少女「お姫様がそう言うなら、大丈夫だよ。さあ、ご飯食べよう?」グイグイ

魔王「こら少女、あまり姫を引っ張るでない」

姫「いえ、構いませんわ……もう慣れましたしね」ニコニコ


――――
――

朝食時

少女「そう言えば、お姫様が寝る場所の事だけどね……私の部屋の隣で良かった?」

姫「ええ、構いませんわ……でも、できれば少女さんと一緒が良かったです」

少女「え? でも……2人じゃ少し狭いかもよ?」パチクリ

姫「良いんです。実は私、昔から夜遅くまで友人と語り合いながら眠るという事に憧れていまして……寝る時は、何時も1人ですから」

少女「お姫様……」

姫「……すいません、私の我儘に無理に付き合っていただかなくても……」

少女「ううん、私も……お姫様とたくさんお話したいし、良いよ!」

姫「まあ、本当ですの? ありがとうございます」ニコニコ

少女「どういたしまして~」ニコーッ

姫「……ああ、そうだわ。妖精さん、お部屋はご一緒して構いませんか?」

妖精「♪~」モグモグ コクコク

姫「ふふ、ありがとうございます」ナデナデ


少・姫・妖「」ワーワー キャーキャー

魔王「……何だろうな、この可愛らしい空気は」

側近「……私にもわかりませぬ」

魔王「ほう、お前にもわからん事があったか……新鮮だな」

側近「からかわないでください……」

魔王「だが、少女の顔を見よ。とても楽しそうではないか」

側近「……ええ。それだけは私にもわかります」

魔王「この顔を見られただけでも、我らの選択は間違っていなかったと言えるのではないか?」

側近「……そうかも、しれませんね」

魔王「うむ。ただ手元の料理がほとんど減っていないのは気になるが……」チラッ

側近「もうこの際、放っておきましょう。今更話に水を差すのも無粋ですし」

魔王「……だな」


側近「ですが、あまり遅くなり過ぎれば……声をかけざるを得ません」

魔王「まあ、消化にも悪いしな……それにしても側近よ」

側近「何でしょう」

魔王「もし、ここにいるのが姫ではなく……王子であったらどうすr」

側近「あり得ません。その前に舞踏会になど行かせない……そうする位なら私が1人で行って脅してでも協力させます」ギンッ

魔王「……ちと物騒だが、我も似たような考えだ。だが、たかが戯言にそこまで殺気を飛ばさずとも良かろう?」

側近「貴方様が妙な事を仰るからです」

魔王「や、すまんすまん……まあ、とりあえず落ち着け。食事をしよう」モグモグ

側近「……そうですね」モグモグ

魔・側「……」黙々

今回の更新はここまでです。予想以上に小話が長くなってしまったorz
いっそこのまま本編を完結まで突っ走るべきか……? 
でも良い息抜きになるしなー。
だがこのままばんばん小話書けばスレ内で終わらない可能性も……!

それにしても少女の「お友達」が他に思いつかない……幻獣本何処行ったし←

……以上、ダラダラと失礼しました。

おやすみなさい。

お友達……

いっかくとかひとつめとか

こんにちは。
今回は何処まで進められるか……。

>>697一角獣はもういるので、サイクロプスのアイデアいだたきますね!←
ありがとうございます。


――――
――

少女「さて、これからどうする? 書庫に行く?」

姫「そうですね……とりあえずお部屋に荷物を置いてきても?」

少女「あ、そうだった! ごめんね、ご飯よりも先にそっちだったね……」オロオロ

姫「いえいえ。お腹も空いていましたし、構いませんわ」ニコニコ

側近「全く、だからはしゃぎ過ぎるなとあれ程……」

魔王「まあまあ……少女よ、そんなに姫がここに泊まるのが嬉しいか? まあ、我も嬉しいがな」

姫「! そ、そうですか……」ポッ

少女「?」キョトン

側近「……」

妖精「」パタパタ


少女「じゃあ、お姫様のお部屋に案内するね」

姫「ええ、よろしくお願いします」ペコリ

魔王「うむ、頼んだぞ……また後で」ザッザッ

側近「あまり姫を振り回すなよ」ザッザッ

少女「はーい。お姫様、こっちだよ~」スタスタ

妖精「」パタパタ クイクイ

姫「! ふふ、そんなに急かさずとも、すぐに行きますわ……」スタスタ


――――
――

姫の部屋

少女「適当な所に荷物を置いてね~」ガチャッ

姫「はい……まあ、とても過ごしやすそうなお部屋ですわね」キョロキョロ

少女「ありがとう。お姫様のために何時もより念入りにお掃除した甲斐があったよ」ニコニコ

姫「ふふ……この窓から、魔王城のお庭が良く見えますわね」ドサッ ガチャッ

少女「日当たりも良いよ~。あ、後ね、書庫からお姫様が好きそうな本も何冊か持ってきておいたの」スッ

姫「! ありがとうございます……!」

少女「暇な時にでも、本棚から自由に読んでね。じゃあ、隣だし私の部屋に行く?」

姫「ええ」

妖精「」パタパタパタ……



少女の部屋

少女「ようこそ、私の部屋へ」ガチャッ

姫「ふふ、お招きいただきありがとうございます」ペコリ

妖精「~♪」パタパタ

少女「お姫様のお城の部屋に比べたら、狭いかもしれないけど……」

姫「そんな事ありませんわ。私の部屋はただ広いだけですもの……こんなに素敵な品々もありませんし」

少女「大袈裟だな~。ただぬいぐるみとか絵本とかが置いてあるだけなのに」

姫「私にとっては羨ましいですわ……これ、少し見てみても?」

少女「どうぞ~」


姫「では失礼して……」スッ パラッ……

少女「……私ね、魔王城に来て間もない頃は読み書きが全然できなかったから、側近さんに教えて貰ってたの」

姫「そうだったんですか? ではこの絵本はその後に……?」パラッ

少女「ううん、それもあるけど……ほとんどは初めて都に連れて行ってくれた時に買ってくれたの。読めるようになるまでは、絵を見て楽しみにしておけって」

姫「ふふっ、出会って間もない頃から、側近さんは少女さんを大切にしていらっしゃったんですね」

少女「そうみたい。魔王様も、その頃からとっても優しかったよ」

妖精「……」パタタタッ……ポフポフ

姫「あら、妖精さんは何時もそこで眠っているんですか?」

妖精「」コクコク

今回はここまで。
退屈かもしれませんが暫くこんな感じです(笑)
もっと進めたかった……!

それにしてもなんで咳が止まらんし←

おやすみなさい。

台風来てると喘息出やすいよね

完結させてから幸せな人生送って死ね!

お大事に!

こんばんは。
明日も早いですが、もし今夜更新できたら後から少しやります。

>>705そうらしいですね。
幸いこちらは今回の台風が逸れていったので、次第に咳は少なくなりました。
今はほぼ落ち着いています。

>>706おお……不思議な激励をありがとうございます!
今は色々と激動の日々ですが、その中でもここで書けるというささやかな幸せを噛みしめています←
絶対完結させるぞー!


少女「簡単に作った寝床だけどね……妖精さんが気に入ってくれて良かったよ」

姫「ふふふ、寝心地が良さそうですわね」

妖精「♪」コテン

姫「……お話は変わりますけど、少女さんは、都へはどの位の頻度で行かれるのですか?」

少女「うーん……昔は数日から1週間に1回は連れて行ってもらってたんだけど、今は10日とか、長い時には1カ月に1度行けたら良い方になってるね」

姫「そうなんですか……もっと行きたいとは思わないんですか?」

少女「昔は何でも珍しかったからそうだったけど、今はそうでもないかな。必要な物は大体揃っているし、魔王様達と過ごす方が楽しいからね」

姫「……」

少女「まあ、お料理関係で好きな食材を選びたい時とかは行くけど」

姫「そう言えば、野菜を育てたりなどはされないのですか? せっかく広いお庭があるのですから、ある程度の自給自足も出来そうなものですが」

少女「!」ビクッ


姫「? どうかされましたか?」

少女「畑は……駄目……」ガクガク

姫「え?」

少女「あの時の……暗黒野菜事件の再来だけは……」ブルブル

姫「い、一体何があったんですの……!?」

少女「お庭で畑を作ろうとした時に……ちょっとね……」

姫「あ、む、無理に話されなくて結構です! 気にはなりますけれど!」

少女「あはは、まあ何時か必ず話すよ……そんな訳だから食料は都で買わないと駄目なんだよね。魔王様も側近さんもたくさん食べるしね」

姫「ちょっと不便ですわね……私も何かご協力できれば良いんですけれど」

少女「そんなの良いよ! お姫様は大事なお客様なんだし!」

姫「客ではなく、少女さんのお友達として力になりたいのです」ジッ

少女「お姫様……」ジーン


姫「とりあえず……給仕に頼んで裏ルートから大量の食料をy」

少女「気持ちだけで十分だよお姫様! もしもこっちの事がばれちゃったら困るし……」

姫「ああ、それはいけませんわね。ですが……何かできないものでしょうか」ウーン

少女「……じゃあ、1つだけお願いできるかな」

姫「! ええ、何でも仰ってくださいな!」ドン

少女「えっと……側近さんみたいな人でも、気軽にお買い物できるようにならないかな」

姫「……それ、は」

少女「側近さん、都に行く時は何時もあの格好だから、凄く窮屈な思いをしていると思うの。ずっと一緒に行ってるから良く分かる……」

姫「……」

少女「魔力の消費が激しいから、舞踏会の時みたいに外見を変える訳にもいかないし……何とかならない?」ジッ


姫「少女さん……」

少女「側近さんね、見かけは怖いかもしれないけれど何もしないよ? お買い物で嫌な事があっても文句1つ言わないし……でも、悲しそうな顔はするの」

姫「っ……ごめんなさい、少女さん。お気持ちは本当に良くわかりますが、それは難しいでしょう」

少女「!」

姫「……実は私も、最初にお城を訪問した日に迎えに来てくださった側近さんの姿を見て……正直、少し怖いと思ってしまいました」

少女「……そっか」

姫「勿論、舞踏会でそのお人柄は良く知っていますから、すぐにそのような気持ちもなくなりましたが……初対面の方は中々そうはいかないでしょう」

少女「……」

姫「人間と魔族の確執は深く……ちょっとやそっとで解消できるものではありません。ましてや側近さんは魔王の身内、理解を得られるのは並大抵ではないでしょう」

少女「……ただ、そう生まれただけなのに……」

姫「ええ……生まれとは時に残酷なものです……私にとっても」

少女「……」

姫「お力になれなくてすいません……」ペコリ


少女「……ううん、良いの。言ってみただけ。本当に気持ちだけで十分だから」

姫「少女さん……」

少女「少なくとも、お姫様は魔王様も側近さんも好きでいてくれるでしょう? 今は……それだけで良いよ」ニコッ

姫「……ええ! 何があっても私は絶対に皆さんを嫌ったりなどしません……この名に誓って」スッ

少女「……ありがとう」

姫「どちらも、本当に素敵な方ですもの……特に魔王様は、ここに来てみたいと言った図々しい私にも良くしてくださって……また会えて嬉しいとまで」ポッ

少女「魔王様は、久しぶりに私達以外とお話ができるのが嬉しいんだよ。私だって嬉しいし、側近さんも多分……」

姫「ええ、それはわかっております。わかってはいるのですが……あんな風に髪を……」モジモジ

少女「?」

姫「少女さんだから言えますけど、私……魔王様の事が、好きになってしまったかもしれませんわ」カアア……ッ

今回はここまで。
この流れは少し強引だったかも知れませんね(笑)

おやすみなさい。

お願い魔王様幸せになってええええ

こんにちは。
今日ももそもそと進めていきます。

>>714幸せに……なるといいなあ←
書いているうちにキャラが勝手に動きまくって構想にないネタがどんどん出てきているので、最終的にどう転ぶか自分でもわかりません(笑)


少女「? 知ってるよ?」

姫「本当はこの気持ちを、胸にずっとしまっておくべきか悩んでいたのですが……ってご存知でしたの!?」

少女「改めて言う程の事ではないと思うけどなあ……だってお姫様は、私達の事を好きでいてくれているんでしょ?」

姫「……あの、少女さん? 私が言っている『好き』はそれとは恐らく別種のものですわ」

少女「どう違うの? ……もしかして親愛とか、恋愛とか、そういう違いなのかな?」

姫「そう! 私のはまさにそれですわ!」ビシッ

少女「魔王様から聞いた事はあるけど……私には正直違いがよくわからないな~。好きな事には変わりないんでしょ?」

姫「……もしかして少女さん、恋をご存じないのですか?」

少女「うーん……多分、知らないなあ」

姫「恋愛小説を読んだり、魔王様方以外の殿方と交流された経験は?」

少女「本は実用系とか、勉強関係とか……童話位しか読まないよ。男の人とは、舞踏会の時と……村にいた時位かな。まともに話したのは」

姫「で、ですが童話でも、物語の中でそういうシーンはあったりしますよね? 憧れたりはしないんですか?」

少女「そうだけど、あんまり現実味が持てないからね~。こっちは色々と大変だし、物語と現実は違うでしょ?」

姫「それはそうですけど……」


少女「それに、私には魔王様達がいてくれれば良いから……正直、他の人と関わるのに少し抵抗もあるしね」

姫「少女さん……」

少女「あ、お姫様は違うからね? 大切なお友達だからね?」

姫「わかっております……考えてみれば、少女さんと私達を同じ物差しで見る事が間違っていましたわね。生き方が全く違うというのに」

少女「……私、何処かおかしいのかな?」

姫「そんな事はありませんわ。ただ、都では私達位の年頃の女の子は、皆誰かしらに恋をしている事が多いですからね……」

少女「そうなんだ……ねえお姫様、恋ってどんな感じなんだろうね」

姫「うーん、言葉で表すのは難しいですわね……好きな人が近くにいると、とにかくどきどきしたり、幸せな気分になったり……」

少女「魔王様達といると、とっても幸せな気持ちになるよ? 抱き締められたり、頭を撫でられたりすると嬉しいし……胸が温かくなるよ」

姫「……多分それは家族としての気持ち、ですかね」

少女「そっか……あ、でもそう言えば」


姫「?」

少女「舞踏会の準備で、側近さんに初めてドレスを着せて貰った時とか……」

姫「!」ピクッ

少女「舞踏会の日に一緒に踊った時……どきどきした、かも」

姫「……そ」

少女「そ?」

姫「 そ れ で す わ 」カッ

少女「!?」ビクッ

姫「やっぱり少女さんも乙女なんですね~♪ 私とっても嬉しく思います」

少女「え? え? でも側近さんは家族だし、普段はそんな事ないし……」

姫「見ている限り、魔王様とより側近さんといる時間の方が長いようですね……そう言えば、初めて見た時の少女さんは心なしか……うふふふふ」

少女「お姫様~!」オロオロ


姫「! あらいけない、あんまり嬉しかったものでつい……」クスクス

少女「もうっ……大体、この気持ちがお姫様の言う恋なのかどうかもわからないのに」

姫「ですが、魔王様にどきどきした事はないのでしょう?」

少女「それはそうだけど……」

姫「なら、きっと恋ですわ。私が保証します」ドンッ

少女「えー……? そう、なのかな……」

姫「そこまで疑うなら、そうですね……側近さんが少女さん以外の女の子と一緒にいる時、何だか嫌な気持ちになった事はありませんか?」

少女「うーん……あ」

姫「ありましたか?」

少女「そう言えば、舞踏会の時……お姫様が側近さんとお話してた時だったかな」

姫「! 起きていたんですか?」


少女「ちょっとだけね……2人がお話ししてるのを聞いて、何でか知らないけどすごく悲しくなったの」

姫「それは……!」

少女「昔の事を思い出す位、気持ちが落ち込んじゃって……目的が果たせたから、私の事、もう要らないのかなって……」ジワッ

姫「ああ、どうか泣かないでくださいな……! そんな事、ある筈がないでしょう?」ギュッ ヨシヨシ

少女「うん……でも、とにかく凄く嫌な気分になったんだよ」

姫「きっと、初めての事ばかりの1日で、疲れていたのでしょうね……」ポンポン

少女「そうなのかな」

姫「そうですわ。だから、あまり気に病んではいけませんよ」

少女「うん……」ゴシゴシ

姫「ああ、そんなに擦ってはいけませんわ。良かったら、これを使ってくださいな」ゴソゴソ スッ

少女「ありがとう……あ」


姫「? このハンカチがどうかしましたか?」

少女「そうだ、私舞踏会で知り合ったお姉さんからハンカチを借りっぱなしにしてたんだった!」

姫「お姉さん?」

少女「うん。私の髪飾りの事を教えてくれた人でね。何時か返せれば良いんだけど……ああ、あの時伝説の事も聞きたかったなあ」

姫「伝説……教会の聖書に記されたあのお話ですね」

少女「お姫様は知ってるの?」

姫「勿論。教会にはよく行きますしね」

少女「どんなお話なの?」

姫「それは……もしかしたら、側近さんに訊いた方が良いかもしれませんね」

少女「え?」

姫「髪飾りを買ってくださったのはあの方でしょう? なら、きっとご存じの筈ですわ」

少女「そっか……」


姫「もしかしたら、ご自分の聖書をお持ちかも知れませんね。教会は来る者は誰であろうと拒みませんから」

少女「私も行ってみたいなー」

姫「ふふ……もし今の状況が落ち着いたら行ってみると良いでしょう。ご案内しますわ」

少女「! そう、だね……」

姫「それと……もう1つ、少女さんのお力になれる事を思いつきました」

少女「?」

姫「先程お聞きした……ハンカチの持ち主の方を探す事です。お返ししたい時は仰ってくださいね」ニコッ

少女「あ……ありがとう!」パアッ

姫「どういたしまして……まあ! もうこんなに太陽が上に」バッ

少女「ほ、ほんとだ! お昼ご飯また作るの遅くなっちゃう……側近さん怒ってるだろうなあ」

姫「……怒られる時は、私もご一緒しますわ」

少女「え!? で、でも……」


姫「これは少女さんだけのせいではありませんもの……それに、1人よりも2人の方が心強いものですわ」ニコッ

少女「お姫様……」

妖精「……」ムニャムニャ……パチッ

姫「ほら、丁度眠り込んでいた妖精さんも起きたみたいですし、急いで行きましょう?」

少女「……うんっ」

妖精「」ムクリ パタ……パタ……

少女「妖精さん、大丈夫? あんまりふらふらするなら肩に乗せるよ?」

妖精「」コクン……ストン

少女「よし、じゃあ行こうかお姫様」クルッ

姫「ええ」テクテク

姫(……そう言えば、何故今まで気がつかなかったのでしょう?)


少女「何が良いかな……お姫様、何か希望はある?」テクテク ガチャッ

姫「そうですね……良ければまたご一緒にサンドイッチを作りたいですわ」テクテク

少女「そんな事で良いの?」

姫「ええ。あんな風に自分で作るのはとても楽しかったですから」

少女「それなら、今回はあのメニューの他にスープを作ろうかな……それも一緒にやる?」パタン

姫「勿論! ぜひお手伝いさせてくださいな」

少女「じゃあ決まりだね。中身はどうしようかな~……」

妖精「」ウトウト

姫「楽しみですわ~♪」

姫(この方達の……伝説との共通点に。勿論、伝説は伝説ですが……果たしてこれは偶然なんでしょうか?)

眠いしキリが良いので今回はここまで←
やっと少女達を部屋から出せました……!

おやすみなさい。

こんにちは。
今日も更新頑張ります。

ところで台風が再び近付いているようですね……どうか咳が再発しませんように←


――――
――

少女「え……」

姫「あ……」

妖精「」ウトウト

魔王「どうしたのだ2人とも? そんな顔をして」

側近「今日の昼食は私が用意したが……何か不都合だったか?」

少女「ううん、そんな事はないけど……助かった、けど……」シュン

姫「ええ、有難いのですけれど……」

側近「では、早く席に着くと良い。料理が冷めてしまうぞ」

少女「……はーい」ストン

姫「ええ……」ストン

魔王「少女……姫も、何故そんなに元気がないのだ?」オロオロ


少・姫「……」

側近「……少女」ガタッ スタスタ

少女「?」

側近「……夕飯は任せる。だから遅れるなよ?」ボソッ

少女「! うんっ」パアアッ

魔王「おお……側近よ、何を言ったのだ?」

側近「……今の少女に効くと思った、魔法の言葉ですよ」ストン

魔王「?」

姫「……まあ、本当ですか!」ニコニコ

少女「うん! だから、今度はもっと時間に気をつけよー」

魔王「少女だけではなく、姫まで元気に……凄いな」

側近「……大した事ではありませぬ」


魔王「そう謙遜するな。まあ、それはそれとして……早速いただこうか」スッ

少・姫「「いただきます」」スッ

妖精「」ウツラウツラ……ペチン

側近「……」スッ

――――
――

昼食後

少女「ご馳走様でした……ふう、美味しかったー」

姫「ええ、本当に……これに負けないように、夕ご飯は頑張りますよ」グッ

少女「張り切ってるね、お姫様」

姫「私の城ではできない事ですからね。とは言ってもまだ2回目ですから、何処までできるかわかりませんが……」

少女「まあ、あまり難しく考えなくても良いよ。でも夕食となると、あんまり軽過ぎるのもちょっとなあ……」ウーン


姫「メニューを考え直しますか?」

少女「そうだね……あ、その前に食器を洗わなきゃ」スッ

魔王「少女、これは我と側近で洗うからお前は姫とゆっくり過ごしていてほしい」

少女「え? でも……」

側近「お前が食器洗いをやるなら、恐らく……姫君も手伝おうとするだろう」チラッ

姫「勿論ですわ!」グッ

側近「簡単な料理は辛うじて許したが……流石に、そこまではさせられん」

姫「私は構いませんのに……」

少女「……わかった、お姫様の手を荒れさせるわけにはいかないもんね。じゃあお姫様、行こうか」

姫「……ええ」渋々


少女「……その代わりに、天気が良いからお茶会の準備をしない? お菓子も作って」ニカッ

姫「! それは素敵ですわね!」キラキラ

魔王「え? ちょ、少女……」

少女「もう決めちゃったもん♪ そっちの食器は洗うからね~」タタタッ

姫「ふふふ、ではごきげんよう魔王様、側近さん」タタタッ

妖精「♪~」パタパタパタッ

側近「こら、勝手に決めるな! ……行ってしまったか」ガクリ

魔王「本当に変わっておるな、あの姫は……」

側近「……全くです」


魔王「だが、ここが賑やかなのは良い事だ……少女も喜んでおるし」

側近「そうですね、少々はしゃぎ過ぎではありますが」

魔王「あの調子ならば……我が死んでも、あの子は大丈夫だろう」

側近「っ……!」

魔王「さて、我は部屋へ戻っておるよ。姫が泊まるのだから何時も以上に封印を念入りにせねば」ザッザッ

側近「……」

――――
――

少女「お姫様は、お茶会は好き?」

姫「ええ。私の城でも外出していない時はよく給仕と一緒に楽しみますわ」

少女「そっか~。ここでもお掃除がなくて天気が良い日はよくやるんだよ」

姫「ここは自然も多いし、景色も綺麗ですからね……さぞ楽しいでしょう」

少女「でも、それと魔王様の調子も良くないとできないけどね……」


姫「そうなんですか……表にこそ出されませんが、魔王様は毎日お辛いのでしょうね」

少女「うん……私も側近さんも、毎日それを紛らわせる方法を考えているんだけどね……中々新しい事は思いつかないよ」

姫「……では少女さん、せめてお茶会は何時もの何倍も楽しくできるように頑張りましょう」ギュッ

少女「! うん……!」

妖精「」パタパタ……

姫「そうと決まれば、まずお菓子は何を作りましょうか?」

少女「うーん……よく作るのはスコーンだね。たまにプチケーキとかタルトとか、クッキーにもなるよ」

姫「ふむふむ。やはり定番を行きますわね……因みに1番最近作った物は?」

少女「木の実入りのタルトだよ」


姫「では、次はフルーツを添えるか、中に入れて作ってみませんか?」

少女「そうだね……そうしよう!」

姫「後はどんなお菓子にするかですが……少女さん」

少女「何?」

姫「たまには少し趣向を変えてみませんか? 私に考えがあるのですが」ニッコリ

――――
――

城の外

側近「少女……姫君に無茶をさせてはいないだろうな」ガタッ

魔王「何、そんなに心配する事はなかろう。菓子作りは混ぜて焼く事が主だからな」ヨイショ

側近「果物を切ったりする事はあります。万が一姫にやらせて怪我でもさせたら……」

魔王「心配性だな、側近……」


側近「準備の際に姫君に何かあって、茶会が台無しになっては元も子もありませんからね」

魔王「まあ、茶会が楽しめなくなるのはいけないな……それにしても」

側近「はい?」

魔王「思えば我が魔王になる前は……楽しい茶会などした事がなかったな」

側近「……ここに2人きりだった頃も、似たようなものでしたよ」

魔王「……そうだな。あの頃は確か茶だけで、菓子は作る気にもならなかった」

側近「ええ。それに魔王様の封印がまだ不安定で……よくテーブルの上が真っ赤になりましたね」

魔王「あれは洗うのに苦労したな。今は大分安定したのが救いだ」

側近「本当に良い事です……と、昔を振り返るのは一先ずここまでですな」

魔王「ああ、少女達が来たようだな……甘くて良い香りがする」


側近「こちらの準備も終わりましたし、手伝いに行きましょうか」スッ

魔王「そうだな……ん? 小妖精?」

妖精「」パタパタパタ……キュルルルル

側近「どうした? お前の胃袋の準備は整っているようだが……」

妖精「」サッ ブンブン

魔王「……これ程効果がなさそうな通せんぼも初めてだな」

側近「ええ。精々少女位でしょうね、これで止められるのは」

魔王「うむ……小妖精よ、お前はその少女に頼まれて来たのか? 我らをここに留めるように」

妖精「」コクコク


側近「また体よく使われたようだな……だが、少女がここに留まれと言うならそれに従おう」ストン

魔王「一応姫もいるしな……多分大丈夫だろう」ストン

側近「……余程、自信作でもできたのでしょうか。茶請けの菓子が」

魔王「うむ、そうかもしれぬな。楽しみだ」ワクワク

妖精「♪」ルンルン

側近「おい小妖精。作ったのは一体どんな菓子だ」

妖精「」プイッ

側近「……ふん、答えは最初から期待していない」

魔王「ああ、少女が姫と共に一生懸命菓子を作る姿を想像するだけで……何だか嬉しくなるな」ホワン

側近「魔王様……まあ、否定はしませんがね」


少女「魔王様ー、側近さーん! お外の準備ありがとー」トコトコ

姫「お待たせしました~」トコトコ

魔王「おお2人とも。待ち侘びたぞ」

側近「あの時の不意打ちの提案には驚いた……楽しかったか?」

少女「うんっ。あ、今日のお菓子はね、何時もとちょっと違うの」

魔王「ほう」

姫「あの……どうぞ」スッ

魔王「ありがとう。これは……パンケーキか? ……ふぉっ!」ジッ

側近「茶会でこれを食べるのは久しぶりだな……添えてあるのは柑橘類か」

姫「ええ……お気に召していただけましたか?」

魔王「表面に……生クリームで兎が描いてあるではないか……!」キラキラ

側近「……私のは、ブルーベリーソースの猫か」ジッ


少女「うん。2人にあげたぬいぐるみと、同じ……」テレッ

姫「魔王様の兎は私が、側近さんの猫は少女さんがそれぞれ描きました。似ているかはわかりませんが……」オズオズ

魔王「そうか……いや、嬉しいよ。ありがとう」フワッ……

姫「! い、いえ……そんな、大した事では……」カァッ

少女「魔王様が笑うなんて……それ程気に入ってくれたんだね」

側近」「よく見ろ、うっすらとだが涙まで浮かべておられる」

少女「あ……ほんとだ。ねえ、私が描いた猫さんはどうかな?」

側近「……ああ、勿論嬉しい。ありがとうな」ナデナデ

少女「えへへ(むー……笑ってはくれないか)」

魔王「……そう言えば、『兎の分』もあるのか?」

姫「あ、はい……ここに。こちらは小さな兎を描きました」コトッ

魔王「うむ、こちらも可愛いな……本当にありがとう」

今回はここまで。
やっと姫のお泊まりの半分行きました……!
日常がバタバタしているせいかこの頃上手く書けないな……。

さて、次の更新についてですが、今度の土日はこちらの都合で何時も以上に進められないと思います。
申し訳ありません。
もし時間があれば平日でも進めたいです……!

おやすみなさい。

こんばんは。
現実逃避も兼ねて少しだけ更新しに参上しました←
このままじゃまた迷走するんじゃないかと自分でも不安になってきましたよ(笑)
うう、気をつけなければ……。


少女「これなら、兎さんも喜んでくれるよー」ニコニコ

姫「それは良かったです。目には見えませんが、こうして兎さんもお茶会に参加するんですね……」

魔王「この庭は我が兎とよく散歩した場所であると同時に……兎が眠る場所でもあるからな。ささやかな供養にもなろう」

姫「だから、こうして兎さんの分までお菓子を?」

側近「ああ……発案したのは少女だがな」

少女「それにしても、お菓子にこうやって絵を描いたのは初めてだな……今までは上手くできる自信がなかったし。お姫様のお陰だね」

姫「ふふ、以前の昼食の時のお返しですわ。給仕に教えて貰った甲斐がありました」

側近「中々に器用なのだな、貴女も給仕も」

姫「それ程でもありませんわ。ただ、給仕の教え方が上手なのです」

妖精「」クイクイ

少女「! ああごめんね、早く食べたいよね……じゃあ、お茶を注ぐね」トポポ……


魔王「うむ、良い香りだ……」スッ

側近「ええ、本当に……食すのが勿体ないが、こっちもいただこうか」カチャッ

少女「うふふ、どうぞ召し上がれ~」

姫「今度はまた別のお菓子も一緒に作りたいですね」

少女「うんっ……えへへ、パンケーキ美味しいな」モグモグ

妖精「」ムグムグ

魔王「ああ、本当に美味いな……また作ってほしい位だ」モグモグ

姫「……本当に、作った甲斐がありましたわ」

少女「ね~」

妖精「」兎ノパンケーキムシャムシャ

側近「……小妖精。もう自分の分を食べ終えたのか。本当に食い意地が張っているな」

妖精「!」ムーッ


魔王「側近よ、何時もの事ではないか……供養後の兎の分を小妖精が食べるのは」

側近「それはそうですが……毎度毎度、これの食い意地には本当に呆れますよ」チラッ

妖精「~~~!」サッ モグモグ

側近「! 貴様、自分が今何をしたのかわかっているか……?」ユラリ

妖精「」ベーッ

側近「よくも……私がとっておいた最後の一口を……覚悟はできているのだろうな」

妖精「!」シュッシュッ ビシッ

少女「ふ、2人ともやめてよ~」オロオロ

姫「あらら……もっと作ればよかったかしら?」コテン

魔王「……やれやれ、これも何時もの事だな」ムグムグ

とりあえずここまで。
彼らのお茶会は何時もちょっぴり騒がしいです(笑)

おやすみなさい。

乙!
楽しく読んでるよー!
側近と妖精のケンカがなにげに好き(笑)

こんにちは。
なんだかんだあってとりあえず今日は更新に費やせる事になりました(笑)
明日の分まで進めるつもりで書いていきます。

>>747その言葉に救われます、大袈裟ですが(笑)
喧嘩は彼らの生活の中でのささやかなネタのつもりでしたが、好きだと言ってくれる人がいて嬉しいです。


――――
――

魔王「うむ、とても楽しい茶会であった。少女も姫も本当にありがとうな」ナデナデ

少女「えへへ、どういたしましてっ」

妖精「」クイクイ

魔王「! ああ、勿論小妖精も頑張ったな」ツン

妖精「」ドヤッ

姫「大した事では……ありませんわ」ジーッ

少女「……魔王様。お姫様の頭も撫でてあげたら?」

魔王「う、だがな少女よ、姫は高貴な出の者だからな……我のような者がおいそれと頭を撫でる訳には」

少女「大丈夫! お姫様はそんな事気にしないと思うよ? それにあのパンケーキはお姫様の案だし……」

魔王「……確かにそうだな。姫……良いか?」チラッ


姫「! え、ええ、勿論ですわ……!」スッ

姫(感謝しますわ少女さん!)グッ

魔王「では……」――サラッ ナデナデ

姫「ん……」カアッ

魔王「……うむ、やはり美しいな。貴女の髪は」

姫「あ、そそ、それ程でも……!」モジモジ

少女(お姫様顔真っ赤~)ニコニコ

側近「……少女、では片付けは私達がやろう」スッ

少女「あ、ううん、ティーセットとかは私達がやる! その代わりまた椅子とかを運んでくれる?」

側近「……わかった。姫君に力仕事をさせるよりはマシだしな。この際仕方がない」

妖精「」パタパタ……グイグイ


少女「あ、じゃあ妖精さんにはティースプーンを持ってもらおうかな」スッ

妖精「」コクン パタパタ……

少女「……ねえ側近さん」

側近「なんだ」

少女「魔王様がね、ああしてお姫様とお話する事で……自分の命を捨てるのを止めてくれないかな」

側近「! ……まさか少女、それを狙って姫君をここへ呼びたいと?」

少女「そりゃあ、私自信が会いたかったのも本当だよ? でも、お姫様といる時の魔王様はとっても楽しそうだから……」

側近「だから、姫君を通して外の世界をもっと知りたいと思わせ、自滅を思いとどまらせようという事か」

少女「うん……駄目、かな?」

側近「……いや、私は姫君に危害が及ぶのを恐れるあまり、そのような考えには至らなかった」

側近「お前らしい、良い考えだと思うぞ」ナデナデ

少女「側近さん……」

誤字ありました、すいません。

私自信 → 私自身



姫「……少女さん」ジーッ

少女「わわっ! お姫様何時の間に……!」ビクッ

姫「ふふふ、側近さんが少女さんの頭を撫でてあげている所からいましたわ」

側近「では、今来たばかりか……」ホッ

少女「んじゃあお片づけしようか。お姫様はお皿を運んでくれる?」ヒョイッ

姫「わかりました」ヨイショ


側近「2人とも、気をつけて運ぶんだぞ」ヒョイッ

少女「はーい」テクテク

姫「ええ」テクテク

側近「……では魔王様。私達も行きましょうか……魔王様?」

魔王「ん、あ、ああ……」ジッ

側近「どうなされたのです? 手など眺めて」

魔王「いや……姫の黄金の髪があまりに良い手触りだったからな。その余韻に浸っておったのだ」ワキワキ

側近「! ……そうですか」

魔王「我の髪も、もう少し手入れに気をつけた方が良いな……」スッ

側近「貴方様の髪も、特に目立つ痛みは見受けられませんが」

魔王「そうか? 自分ではよくわからぬからな……」ウーン


側近「……先代も」

魔王「うん?」

側近「何時も燃えるような紅い髪を靡かせておられましたね」

魔王「……そうだな」

側近「思えば、貴方様が髪を伸ばされるようになったのは……魔王となってからですね」

魔王「まあ、な……外見と言葉遣いだけでもそれらしくしようと足掻いているに過ぎないが」ポリポリ

側近「どのようなお姿であろうと、貴方様が魔王である事に変わりはありません。無理に変わる必要はないかと思います」

魔王「む……そうだろうか」

側近「と言うわけで、よろしければそのうっとおしい髪を切って差し上げますが」

魔王「いや待て唐突に何をいっておるのだお前は!? というか今まで我の髪をうっとおしいと思っておったのか!?」

側近「……冗談です」

魔王「冗談なら今の間は何だ……まあ、ここで何時までもだらだらと話している訳にもいかぬし、とりあえず中へ入ろう」スッ


側近「……ええ」ザッザッ

魔王「側近」ザッザッ

側近「はい」

魔王「……外の世界に興味はあるが、我にとってお前たち以上に大切なものはないからな」

側近「ッ……!!」

魔王「それだけだ」ザッザッ

側近「……」グッ

――――
――

台所

少女「落とさないように気をつけてね~」バシャバシャ

姫「はい」キュッキュッ


妖精「」ウツラウツラ

姫「ふふ、妖精さんはまたまた眠そうですわね」ツン

少女「時々こうなるんだよね~。妖精さんってみんなこうなのかな?」ゴシゴシ

姫「どうでしょうね……」フキフキ

少女「……よし、これで終わり」キュッ

姫「お疲れ様です」キュキュッ

少女「お姫様もお疲れ様……っ」ズキッ

姫「少女さんどうされました!?」ガバッ

少女「あはは、気にしないで……今日、あの……女の子の……」

姫「! ああ、成程……何時もこのように痛むのですか?」サスサス

少女「時々ね……お風呂に入ったりして体を温かくすれば結構楽にはなるかな」

姫「確かにそれはわかります。私はあまり痛みはありませんが、やたらと眠くなるんですよね~」


少女「そうなんだ……やっぱり痛みって個人差があるんだね」

姫「ええ。あんまり痛みが酷い時は薬を飲んだりするのも手ですわ」ポンポン

少女「んー……そこまではないかな。今も大分落ち着いてきたし……ありがとう、お姫様」

姫「いえいえ。こればかりは女である以上どうしようもありませんからね」

少女「……そう言えばお姫様は、子供をどうやって作るか知ってる?」

姫「へっ!? な、少女さん何を……!」

少女「子供を産むためにこうなるってのはわかるんだけど……その過程がわからなくて。魔王様と側近さんに訊いても教えてくれないし」

姫「そ、それは……」

少女「良かったら教えてくれない?」

姫「……と、とりあえず私から言える事は」

少女「うんうん」

姫「……と、殿方と不用意に寝所を共にしないことですわ……そうすれば子供はできません」カアアッ……


少女「? えっと、つまり男の人と寝れば子供ができるって事?」キョトン

姫「ひ、平たく言えばそうですわね……」冷汗ダラダラ

少女「じゃあ、魔王様や側近さんと寝れb」

姫「駄目ですっ! 魔王様はともかく側近さんは危険ですわ! もっとご自愛ください!!」ビシッ

少女「!? う、うん……」

姫「子供を産むという事は、体に大変負担がかかるんですよ? お母様が大変な思いをして、私達は生まれてきたのです」

少女「……私も、そうやって?」

姫「ええ」

少女「じゃあ、何で……私はあの村に置いて行かれたんだろう」

姫「! しょ、少女さんそれは……」

少女「私を産んだ人達にとって、私は……いらない子だったのかな?」ポロポロ


姫「そんな事はありません! ……きっと、何か事情があったのです」

少女「事情……?」

姫「ええ、貴女を育てるためのお金が足りなかったとか……」

少女「……お姫様がそう言うんなら、そうなのかな……」

姫「そうですとも! それに……今の少女さんには必要としてくれる方々がいらっしゃるではありませんか」

少女「!」

姫「あの村に捨てられたから、魔王様や側近さんに会えた……そんな風に前向きにお考えになってみては?」ニコッ

少女「お姫様……」

姫「勿論、私にとっても貴女は必要不可欠な人です。初めてのお友達ですもの!」

少女「……うう、ありがとう……」ヒシッ

姫「いいえ~」ナデナデ

少女「……もし、何時の日か私を産んだ人に再会できたら」


姫「……」

少女「……どうして私を産んだのかを訊いてみたいな」

姫「……そうですか」

少女「うん」

姫「会えると、良いですね」

少女「うん……」

姫「……では、気を取り直して夕食の献立を考えましょう!」グッ

少女「!」

姫「側近さんに任されたのでしょう? 今は目先の事を頑張りましょう……その日が来るまで」

少女「……うんっ。じゃあ、どんなお料理を作ろうか……」

姫「そうですね……」


――――
――

夕食時

側近「ローストチキンにグラタンか……これならあまり危険はなかったろう、良い判断だ」

少女「えへへ」

姫「具を乗せたり、詰めたりするのを手伝っただけですが……」

魔王「いや、それでも一緒に作った事には変わりなかろう? 美味しそうだ」

姫「……ありがとうございます」テレッ

側近「グラタンの表面が何時もより鮮やかだが……南瓜を入れたのか」

少女「うん。今日の昼食で南瓜のポタージュを作る予定だったからその代わりにね」ニコニコ

側近「そうだったのか……」マジマジ

魔王「では、せっかく2人が作ってくれた料理だ。冷めないうちにいただこうか」スッ


少女「うんっ、召し上がれ~」ニコニコ

姫「味見はしましたが……緊張しますね」ドキドキ

妖精「」ショボン

側近「こいつは今回は手伝っていないのか?」チラッ

少女「妖精さんは眠かったみたいだから、夕食ができるまで寝かせておいたの」

側近「ふっ、情けないな……まあ、変なものを盛られる心配がないのは結構だが」

妖精「~~~ッ!」ムキーッ

魔王「まあ、たまにはそんな日もあろう……改めて、いただくぞ」

姫「はい……」

側近「……いただきます」スッ

少女「♪」ニコニコ


魔王「では、まずはグラタンから……うむ、やはり美味しいな。チーズと南瓜が絶妙に合っている」モグモグ

少女「本当? やったねお姫様っ!」パチンッ

姫「ええ……!」パチンッ

妖精「」ションボリ

少女「妖精さん、私達は気にしてないから大丈夫だよ……今日は本当に眠そうだったしね。それより妖精さんにも食べてほしいな」ナデナデ

妖精「」コクン……モキュモキュ

側近「チキンも香ばしいな……ハーブの香りが食欲をそそる」ガブッ

姫「まあ……豪快ですわね」

側近「ああ、失礼。気を悪くされたなら謝る」

姫「いいえ、そのような事は……側近さんには、寧ろそちらの方が合っていると思いますわ」

側近「そうか? まあ確かにそうかもしれんな……この狼に近い顔には」


姫「ですが、本当の狼よりもずっと品があって穏やかですわ……ねえ少女さん?」チラッ

少女「むぐっ……お、お姫様、食べてる途中でいきなり話しかけないで……」ムグムグ ゴクン

姫「ああ、すいません……つい」

少女「ん……確かに、側近さんはお顔は少し怖いかもしれないけど、とっても素敵な人だと思うよ」

側近「! ……そ、そうか」

少女「うん。こういうお料理だって、側近さんに教えて貰ったからできるようになったしね」

側近「今やお前に教える事は何もなくなってしまったがな……寧ろ、いつ追い抜かれてもおかしくない位だ」

少女「そんな事ないよ~」

姫「ふふ、先程のお礼ですわ……」ニコニコ

妖精「」ムスーッ

姫「ああ妖精さん……このチキンを一切れ差し上げますから、どうか拗ねないでくださいな」スッ

妖精「!」スッ ペコリ


姫「ふふ、どういたしまして」

魔王「姫と小妖精はすっかり仲良しだな」

姫「へっ? そ、そうですか?」

魔王「ああ。我らに対するよりもずっと気を許しておるようだし……」

姫「す、素直に喜んで良いのでしょうか……」

魔王「勿論だ。我も側近も、貴女がこうして小妖精や少女と仲良くしてくれている事を嬉しく思っているのだから」

姫「魔王様……」

魔王「これからも、ぜひ仲良くしてやってはくれないか?」

姫「……喜んで!」パアッ

妖精「」モキュモキュ……ペチンッ

今回はここまで。明日に備えて早めに寝ます。
南瓜はひっそりハロウィン……とは関係なくもないです(笑)
書いているうちになんかどんどん姫が恋する乙女になっていってるような……。
もっと自由奔放にするつもりだったのに!←

おやすみなさい。

おつおつ!
1から一気読みしたけど面白かった
魔王様と姫様のコンビが可愛くてニヤニヤしちゃうな
どうかハッピーエンドになりますように

こんばんは。
意外と早く帰宅できたので少し更新します。

>>767あんな膨大かつ迷走もあった内容を……ありがとうございます!!
案外異色のコンビです、はい(笑)
最後は怒濤の展開になると思いますが、どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。


――――
――

台所

少女「夕ご飯は大成功だったね、お姫様」ゴシゴシ

姫「ええ! お陰様で僅かながら自信がつきました……次回はもう少し難易度の高いお料理を作ってみたいですわ~」キュッキュッ

少女「そう? でも慎重にね……? 慢心は怪我の元って側近さんも言ってたし」

姫「わかっておりますわ。ですがゆくゆくは魔王様に……私が1人で作ったお料理を……」ポッ

少女「ふふ、目標があるのは良い事だよ~。一緒に頑張ろう?」

姫「はいっ」ニコニコ

妖精「」パタパタ

少女「あ、妖精さんお帰りなさい。もう良い感じ?」バシャバシャ

妖精「」コクン


姫「妖精さんは何をしに行っていたんですの?」コテン

少女「ちょっとお風呂の湯加減を見にね。魔王様が先にお姫様と入りなさいって言ってたから……てな訳でこれを洗い終わったら入りに行こう?」

姫「まあ! そう言えば魔王城のお風呂に入るのは初めてですわ……とても楽しみです」ウキウキ

少女「結構広いよ~。何時も妖精さんと入っているんだけどちょっと寂しい位」

姫「そうなんですか……私は入浴時は何時も給仕や他の召使達にもみくちゃにされていますから、そのような事はありませんね」

少女「ひえ~……何だか大変そうだね」

姫「大変なんてものではありません。こっちは1人でゆっくり入りたいのに……本当にうんざりしますわ」ハア……

少女「でも、今日は違うでしょ?」

姫「ええ! それが本当に嬉しく思います……! 自分のペースで入浴できるのですから」

少女「あ……あのね、もし嫌じゃないなら背中の流しっことかもしない?」

姫「!」

少女「駄目かな?」


姫「面白そう……是非やりましょう!」キラキラ

少女「本当? やったー! 小さい頃よく魔王様や側近さんとやってたんだ~」

姫「! ……あのお2人と……」ゴクリ

少女「うん、少しだけ覚えているけど、側近さんの体は確か凄く筋肉がついててがっちりしてた」

姫「……ま、魔王様は……?」

少女「んー……側近さん程じゃないけど、それなりに筋肉はあったよ」

姫「……!」ボンッ

少女「でも、封印の紋様が痛々しかったな……それがなくても2人とも傷だらけだったし……ってお姫様!?」

姫「」プシュー……フラッ

少女「あわわわ……! 食器ごと倒れちゃ危ないよ~!」ガシッ

妖精「ッ~~~!」オロオロ

姫「す、すみません……つい想像してしまったので」ムクリ


少女「びっくりした……今度からは気をつけてね?」

姫「ええ……」

妖精「」ホッ

少女「じゃあ、気を取り直してラストスパート行くよー!」

姫「ええ! 頑張りましょう!」グッ

妖精「」オー

――――
――

大浴場

姫「まあ……広いですわね……」ホウッ……

少女「でしょ~。あの大きな噴水からお湯が出てるんだよ」スッ

姫「お湯の水量や温度などの調整はどうやって?」

少女「詳しくはわからないんだけど……作られる際にそれ用に凝縮した魔力が散りばめられたんだって」


少女「噴水の周りに幾つか光っている球が浮いているのはわかる? あれに秘密があるらしいんだけど……」スッ

姫「魔王城の技術は凄いですわね……」

少女「入りたての頃は、魔物用の凄く熱いお湯しか出なかったんだけど……魔王様が私のために温度を下げられるようにしてくれたの」

姫「この程良い温度になるように……魔王様が大浴場に手を加えたんですの!?」チャプン……

少女「そうみたい。凄いよね~」

姫「凄いなんてものではありませんわ……」

少女「とりあえず、このままじゃ風邪ひいちゃうから入ろう? かけ湯して大分経つし」ソッ……

姫「ええ、そうですね……では」チャプ……

少女「ふう……気持ち良いね」パシャッ

妖精「」フー

姫「ええ……疲れが癒されますわ……」チャプン

今回はここまで。
以前は大量の魔族がいっぺんに入っていたかと。
幼女のためなら何とやら~な魔王です(笑)

おやすみなさい。

次のプチ喧嘩はいつくるのー?
そわそわするー!

こんにちは。
何気にこんなに間を開けたのは初めてですね(笑)
その分3連休で更新していきたいと思います。

>>775今の所はお楽しみとしか言えませんね……。
何時始まるのか自分でも予測不可能なので(笑)


妖精「」チャプチャプ

少女「お姫様、お肌がとっても白くて綺麗だね~。羨ましいよ」

姫「そうですか? ありがとうございます。でも少女さんも……」フニッ

少女「ふえっ!」

姫「こんなに立派なものをお持ちではありませんか~」フニフニ

少女「や、やだお姫様くすぐったいよ~! それにお姫様の胸だって大きいじゃない」ケラケラ

姫「いえいえ、少女さんには敵いませんわ。背もお高いし、本当に羨ましいです」

少女「そうかな? 側近さん達が大きいから、私も大きくなりたいなって思ってたらこれぐらいになったんだよ。まだ全然足りないけどね」

姫「まあ確かに……あのお2人に並んだら小さく見えますわね」

少女「でしょー? でも、これでも来たばっかりの頃に比べたらマシな方だよ」

妖精「♪~」プカプカ


姫「そうでしょうね。もしかしたら、魔族に張り合う方がどうかしているのかもしれませんが」

少女「そうかな? 大きくならないとお洗濯のお手伝いをさせないっていうから頑張ってご飯を食べたんだけどね」

姫「お洗濯ですか?」

少女「うん。今は、魔王様の血がついてて危ないからっていうのがわかってるんだけど、あの頃はそうやって誤魔化されてたの」

姫「魔族の血とは……そんなに恐ろしい物なんですか」

少女「んー……少なくとも、人の血とは全然違うっていうのはわかるよ。暗黒野菜事件で嫌という程それを知ったからね……」ブルッ

姫「だから何ですかその暗黒野菜事件とは!」

少女「えへへ……今度話すよ。とりあえず今はあったまろー」ブクブク

姫「うう……気になりますわ……」ブクブク


少女「ふう……それにしても、こんなに楽しくお風呂に入るのは久しぶりだな~」ニコニコ

妖精「」プク……

姫「少女さん……」

少女「何時からだろう、魔王様や側近さんと一緒に入らなくなったのは……それでお風呂場が前より広く感じるようになったのは」

姫「……仕方のない事だと思いますわ。少女さんはどんどん大人に近づいていくのですから……何時までも殿方と一緒に入るわけには」

少女「魔王様も側近さんも同じ事を言ってたけど、なんで駄目なの? ただ体が大きくなるだけなのに」

姫「それは……」

少女「こうなるなら、大きくなんてならなければ良かった……!」

姫「少女さん! そんな事を言ってはいけません!」

少女「!」ビクッ


姫「魔王様も側近さんも、貴女に成長してほしいと願っている筈です……!」

少女「でも……」

姫「不変な人間は……最早心なき人形に等しいでしょう。生きとし生けるものはすべて、心であれ体であれ変化するのが世の理ですわ」

少女「……」

姫「例えば少女さんが舞踏会に行った日……着飾った姿を見て魔王様は喜んでくださらなかったですか? 側近さんは?」

少女「それは……」

姫「貴女の成長を、家族であるお2人は嬉しく思っている筈……だから、そんな悲しい事を仰ってはいけません……!」

少女「お姫様……」

妖精「」パタタ……

姫「……つい熱くなってしまいましたね。そろそろ体を洗いましょうか」バシャッ

少女「……」ギュッ


姫「! 少女さん……?」

少女「……あのね、今日だけじゃなくて、また一緒にお風呂に入ってくれる? ……子供っぽいかもしれないけど」モジモジ

姫「……勿論ですわ。またこうしてお話しましょう」ギュッ

少女「うんっ」

妖精「……!」ファッ……クチュンッ

少・姫「! ぷっ……あはははは!」ケラケラ

妖精「!」プンスカ

姫「ごめんなさい妖精さん。あなたのくしゃみがあんまり可愛かったものですから」ツンツン

少女「洗うの、待っててくれたんだよね……ありがとう。今行くからね」バシャッ

姫「ええ。早くしないと妖精さんが風邪を引いてしまいますからね」


――――
――

魔王の部屋

魔王「そろそろ少女達が上がる頃だろうか……なあ兎よ」

兎(ぬいぐるみ)「……」

魔王「何時も風呂上がりは少し寂しそうな顔をしていたからな……姫との話に夢中になるあまりのぼせてはいないだろうか」ウーン

魔王「後で冷たい水を用意してやらねばな……ついでに我と側近の分も」

魔王「……我もたまにはあいつと一緒に入るかな。体が温まれば普段とは違った本音が聞けるやもしれぬし」

魔王「あ、そう言えば側近、久々に夜の大剣素振りに行ってくると言っていたな」ポン

魔王「そろそろ戻ってくる頃か……って」

魔王「あああああああーーーッッッッッ!!!!!」ガタンッ


魔王「不味い……側近には少女達が風呂に入っている事を言っていない……」ガタガタ

魔王「素振りが終わった後の奴の行動パターンを考えると……こうしてはおれぬ!」ダダダッ……ガチャッ バタンッ

兎(ぬいぐるみ)「……」

――――
――

脱衣所

姫「気持ち良かったですわ~」ホカホカ

少女「そう? それは良かったよ」ホカホカ

妖精「」クテッ……

少女「あはは、妖精さんちょっとのぼせちゃったみたいだね」フキフキ

姫「私達も早く拭き終わりましょう。特に少女さんは早く服を着なければ」フキフキ


少女「そうだね……よし、そろそろ下着を」スッ

ガチャッ

側近「……」

少・姫「……へ?」パチクリ

側近「」フリーズ

少女「……ぁ」姫ノ体隠ス

姫「しょ、少女さんお気持ちは嬉しいですがまずは自分の心配を」カアアッ

側近「! す、すまん」ペコリガチャザザザザッ

少女「……側近さん、もしかして素振りしてたのかな」キョトン

姫「少女さんちょっとは慌てましょう! 恥じらいましょう! 殿方に裸を見られたんですよ!?」

少女「でも、突然だったし……」


姫「でもも何もありません! 殿方の、それも好きな方に見られたんですよ? 何とも思いませんの!?」

少女「……」ウーン

姫「少女さん!」

少女「……そ、そう言われると……」ボンッ……フラリ

姫「ちょ、倒れるのはせめて服を着てからにしてくださいな!」アタフタ

――――
――

魔王「奴は素振り後は必ず風呂場へ直行する……急がねば!」ダダダッ

側近「! 魔王、様……」ザザザザザッ

魔王「側近……そちらにいたという事はまさか……!」


側近「どうか煩悩を粉砕するために再び外へ行く許可をどうか」ザザザザッ

魔王「う、うむわかったすぐに行って来い!(お そ か っ た !)」

側近「ありがとうございます有難き幸せ」ザザザザザッ

魔王「あの超高速早歩きと言葉……余程衝撃を受けてしまったのだな……すまぬ、弟よ……」ウルッ

側近「……」ザザザザザザッ……プシュープシュー……

――――
――

厨房

姫「……落ち着かれましたか?」

少女「うん、何とか~」

妖精「」コクコク……プハーッ

今回はここまで。
このハプニングを書きたかった!(ぇ)
余計な設定ですが、少女の胸は作中2番目に大きかったりします←
因みに1番は淫魔(笑)
後、よく考えてみたら魔王城ってどちらかというと台所より厨房ってイメージですね……。
今更ですが、これまでの台所もすべて厨房ということで。

おやすみなさい。

こんにちは。
のっそりと更新再開です。
今回は何処まで進められるか……。


姫「あの時はついあんな事を言ってしまいました……ごめんなさい」シュン

少女「いいよ、気にしないで……私、やっぱり他の女の子とは色々と違ってるんだね。お洒落にもあんまり興味ないし、世間知らずだし」

姫「今までほとんどの時間を、この魔王城で過ごしてきたんですもの……無理もありませんわ」ポンポン

少女「そうかな……」

妖精「」ヨシヨシ

少女「妖精さん……」

姫「でも、私はそんな少女さんが大好きですよ? 妖精さんだってそうでしょう」

妖精「」コクコク

少女「……ありがとう、私もお姫様が大好きだよ。妖精さんもね?」

妖精「」ニコッ


魔王「しょ、少女……姫……」バタンッ……ヨロヨロ

少女「魔王様! どうしたの……!?」

魔王「すまぬ……我が側近にお前達が風呂へ入っている事を伝え忘れたばっかりに……」ズーン

姫「! ああ……その事ですか。確かにあれはびっくりしました」

魔王「本当にすまぬ……姫にも迷惑を……」

姫「い、いいえ、私は意外とそんなには……寧ろ少女さんの方が」チラッ

少女「え? 私も大丈夫だよ?」

魔王「本当か? てっきりショックを受けているかと……」

少女「本当に大丈夫だから……そう言えば、側近さんは?」

魔王「奴なら……今頃森の奥中を全力疾走だ」

少女「?」

姫「あらら……」

すいません誤字です……。

魔王「奴なら……今頃森の奥中を全力疾走だ」



魔王「奴なら……今頃森の中を全力疾走している」


魔王「煩悩を振り切るのに必死だよ。側近には本当に悪い事をした……」

姫「魔王様、あまりご自分を責めないでくださいな……あれは不慮の事故ですわ」

魔王「姫……」

妖精「?」キョトン

少女「妖精さんは何があったか知らないんだっけ? 実h」

魔・姫「黙っているのだ(いるのです)少女(さん)!」クワッ

少女「!? う、うん……」コクコク


魔王(もし今の側近に妖精が何か仕掛ければ……)

姫(まさに泣きっ面に蜂ですわ……!)

少女「側近さん……幾ら体力があるとはいえ、心配だなあ」

妖精「……」パタパタ

――――
――

森の中

側近「……うああああああああああ!」ダダダダダダッ

ギャアギャア バサバサバサッ

始まってたぁあ!
妖精に事実を知られ、
おちょくられる側近パターン!
を、妄想しとく(ぇ


――――
――

少女の部屋

姫「色んな事がありましたが、とても楽しい1日でしたわ」ポフンッ

少女「本当?」

姫「ええ。明日にはもう帰らないといけないというのが信じられません……」フウ……

少女「もう少しいられたら良いのにね~」ギシッ

姫「でも、仕方ありませんわ。あまり少女さん達にご迷惑をおかけするわけにはいきませんし」

少女「お姫様……また絶対お泊まりに来てね? 何時でも歓迎するから!」ギュッ

姫「ええ……! ありがとうございます」ギュウッ

妖精「」クイクイ

姫「! ふふ、妖精さんもありがとうございます」スッ

妖精「♪」ヒシッ

>>793果たしてどうなりますかねふはははは!←



少女「……お姫様、眠い?」

姫「いえ、全然!」キラキラ

妖精「」グッ

少女「妖精さんは昼間いっぱい寝たもんね~」クスクス

姫「ふふ、夜はまだまだ始まったばかりですわ……!」

妖精「♪」パタパタパタッ

少女「じゃあお姫様、都のお城の事をもっと教えてくれる?」

姫「お安いご用ですわ……では少女さんもここでの日々を聞かせてくださいな♪」


少女「勿論だよ! 魔王様の事とか色々教えちゃうね~」

姫「まあ、それはとても眠ってなどいられませんわね……!」

妖精「」ニコニコ

少女「妖精さんも楽しそうだけど、せっかくこうしてお話するんだから何かできたらな……」

姫「それなら、机に紙と墨を置いて羽ペンを渡してみては? 簡単な絵ならもしかして……」

少女「あ……妖精さん、大丈夫?」

妖精「!」コクンッ

少女「じゃあ、ちょっと待ってね……」ゴソゴソ

姫「ふふ……妖精さんの事も、たくさん聞かせてくださいね」

妖精「」コクコクッ

少女「お待たせ、これなら妖精さんでも持てるかな?」スッ


妖精「!」パアアッ

姫「良かったですわね、妖精さん」ツンツン

少女「妖精さんが描く絵……楽しみだな~」ワクワク

姫「少女さんはこのようなやり取りは普段はしませんの?」

少女「うん。大体こっちが妖精さんの身振り手振りで伝えたい事を酌んであげれば足りるから」

姫「お付き合いに年季が入っているからこそできる芸当ですわね……」

少女「まあねっ」ドヤッ

妖精「♪~」ニコーッ

姫「では、改めて……女の子だけのお話会といきましょう♪」フワッ

少女「うんっ」

妖精「」カキカキ……


――――
――

チュン……チュン……

少女「ん……朝? 何時の間にか寝ちゃってたんだ……」パチッ ゴシゴシ

姫「むにゃ……魔王様ぁ……」スヤスヤ

妖精「……」スピスピ

少女「昨日は楽しかったな~……って今何時!?」ガバッ

姫「んん……」パチリ

少女「た、大変……! 何時もよりかなり遅いよ!」バタバタ

姫「少女、さん……?」ムクリ

少女「あ、お姫様おはよう!」

姫「おはようございます……」ボンヤリ


少女「急いで支度しよう! 何時もの時間より大分遅いよ!」

姫「んぅ~……はいい……」ノソノソ

少女「ほら、妖精さんも!」ツンツン

妖精「……」パチッ

姫「うー……もう朝ですか……」ゴシゴシ

少女「そうだよ! きっと魔王様達先に食道に行ってるよ!」ゴソゴソ

姫「……魔王様……そうですわ、聞いてくださいな少女さん夢の中で……!」キラキラ

少女「と、とりあえず後で聞くから準備してー!」

姫「はい……うふふ……」ポーッ

妖精「」パタパタ……

またまた誤字すみません!

食道 → 食堂


――――
――

魔王「……おはよう。随分と遅かったな」

少女「おはよう……うう、ごめんなさい」ショボン

姫「おはようございます……」

妖精「」パタパタ

魔王「はしゃぐ気持ちはわかるが、夜はちゃんと睡眠を取らねばな? なあ側近」

側近「そうですね」

少女「あ、側近さんおはよう」

側近「! ……お、おはよう」プイッ


少女「?」

姫「おはようございます。ご迷惑をおかけしてすいません……私のせいですわ」ペコリ

側近「……いや、もう良い。すぐに朝食にするぞ」スッ

姫「! は、はい(もしかして、昨日の事をまだ……)」

妖精「……」パタパタ

少女「妖精さん? どうしたの側近さんの方に飛んでって」ガタッ

妖精「」ジッ

側近「……」プイッ

妖精「」ジーッ……

側近「……」冷汗ダラダラ


魔王(小妖精の奴……もしや疑っておるのか!? 自分が知らないうちに側近が少女達に何かしたのを)

側近「くっ……小妖精、何をしている……早くあっちへ戻れ」

魔王(そっぽを向いて言っても説得力がないぞ側近よ……! せめてもっと自然に!)ハラハラ

妖精「……」ニヤー

側近(くそっ……やましい事がなければこ奴など……ッ!)ギリッ

少女「何してるの妖精さん、早く食べるよ~!」

妖精「」チッ パタパタパタ……

側近(危なかった……それにしても少女、昨日あんな事があったというのになんと気丈な……)

姫(妖精さんって案外勘が鋭いんですね……あの時見られていなくて本当に良かったです)ホッ


魔王(こんな時、何時もならば側近も注意をするからな……姫がいるというのもあると思うが、やはり妙に映るか)

少女「じゃあ、食べようか。側近さん、今日の朝食作ってくれて本当にありがとう。助かったよ!」ニコッ

側近「! い、いや……大した事ではない」

魔・姫(少女(さん)はあんまり気にしてない……のか?(のでしょうか?))

妖精「」ギリギリギリ……

少女「? どうしたの皆、食べないの?」キョトン

魔王「! おおそうだな、いただこうか」スッ

姫「え、ええ、いただきましょう!」

側近「……」スッ

少女「えへへ、いただきますっ」ニコニコ

妖精「」ムー……ペチンッ


――――
――

魔王城前

姫「本当にお世話になりました。こんな私の我儘を聞いてくださり心から感謝します……」ペコリ

魔王「いやいや、こちらこそ楽しかったしな……お互い様だ」

少女「お姫様、もう行っちゃうんだ……今度は何時会えるかな?」

側近「少女。協力者がいるとはいえあまり頻繁に会うのは……」

姫「そうですね、私も心ではそれをわかっているつもりですが……ここでの時間が本当に楽しくて……」ジワッ

少女「お姫様~!」ギュッ

側近「……料理などであまり無茶をしないと約束できるなら、また来る事に目を瞑らんでもない」ボソッ

少女「え、本当!?」パアアッ

姫「まあ、ありがとうございます!」ニコニコ


側近「なっ……!?」

魔王「ほう、お前が娘達の涙に騙されるとは……見物だな」

側近「魔王様……!」

妖精「~~~!」ケラケラ

側近「くっ……!」ギロッ

妖精「♪~」ツーン

側近「……と、とにかく行くぞ!」

姫「はい……では皆さん、ごきげんよう」ペコリ

少女「またねー!」ブンブン

魔王「給仕殿によろしくなー」ヒラヒラ

妖精「」ブンブン

姫「……」フワッ……フッ


少女「……」スッ

妖精「」パタパタ……ストン

魔王「……今回も、楽しかったか?」

少女「うん……あのね魔王様、お姫様と会うたびにね……」

魔王「ん?」

少女「会えて嬉しいって気持ちがどんどん大きくなっていくの。それと同じ位……こうしてお別れするのも悲しくなる」

魔王「そうか……実は我もだ。我らはいつも共に住んでおるからな……常に会えぬ者と親しくなるのはこれが初めての事だ」ナデナデ

少女「うん……何だか、胸の奥が苦しくなるね」ポテッ

魔王「ああ。このような気持ちは新鮮だ……本当にな」

妖精「」クスン

少女「妖精さんも初めてみたいだね。皆初めて仲間だ~」ニコッ

魔王「そうだな」


側近「……ただいま戻りました」フッ……スタッ

少女「お帰りなさい側近さん」

魔王「おお、ご苦労。何時もすまぬな側近」

側近「いえ。それよりも如何されましたか? 揃ってしんみりして……」

少女「……初めて仲間なの」

側近「?」

魔王「そうだ、初めて仲間だ。勿論側近もな」ウンウン

側近「?? 仰る意味がわかりませぬが……」

少女「ふふっ。中に入ったらちゃんと教えるよ♪」

側近「そうか?」

少女「うんっ」


――――
――

少女(こうして私達は、お姫様と出会ってから少しだけ変わった)

少女(それはちょっぴり苦しいけれど……決して嫌なものじゃない)

少女(魔王城の中がほぼ世界のすべてだった私達が……ほんの少しだけ外へと顔を出した瞬間だった)

少女(これからも、こんな変化が私達に起こるのかもしれないと思うと、少し怖くもあったけど……楽しみでもあった)

少女(……それなのに)

少女(運命って……どうしてこんなに残酷なの?)

少女(せっかく変わろうとした矢先に……どうしてこの喜びを奪っていくの……?)

今回の更新はここまでです。
妖精には絶対に付け入る隙を見せたくない側近(笑)←

それにしても、最近思うように更新が進まなくて本当に申し訳なく思います。
日常が忙しいからか、それとも幼女篇の終盤を書いていた時と似たような心境だからか……?
いや、あの時はまだ書けていた筈……!

ぼそぼそと失礼しました。
おやすみなさい。

乙だ。頑張ってくれ

妖精を側近に近づけてくれてありがと!www
リアルが忙しいなら仕方ないさ。
ゆっくり書いてくれたら良いよ!
いつも楽しみに待ってるからね!

妖精さんと友達になりたいなぁ……。

こんにちは。
連休最終日ですが、今回も粛粛と進めていきます……少し大袈裟ですかね(笑)
ここから先は練り直す度に何故か細かい所が変わり続けているので、それをまとめるために更に進行が遅くなるかと思います。
どうかご了承ください。

>>810ありがとうございます! 頑張りますっ!

>>811こいつらはそういう関係ですからね(笑)常に互いの痛い所を探り合っているという……。
ありがとうございます。平日が更新困難な分、今のような休日に少しずつ進めていきたく思います。

掴みが大丈夫ならきっと仲良くできますよ! 扱いはやや難しいですが←


――――
――

数週間後の魔王城 厨房

少女「今日は久しぶりのおっ茶会~♪」ランラン

妖精「♪~」ルンルン

少女「お外は晴れだし、魔王様の調子は良いし、良い事ずくめだねっ」コポポ……

妖精「」コクコク

少女「ただ、お姫様がいないのがちょっと残念だけど……」

妖精「……」ポンポン

少女「妖精さん……そうだね、あんまり贅沢は言っちゃ駄目だよね」

妖精「……!」ピクッ

少女「あ、もうそろそろかな? 久しぶりに作ったからちゃんと焼けてると良いけど……」テクテク


妖精「」パタパタ

少女「よいしょ……わあ、良い匂い!」

妖精「!」クンクン

少女「見た目は大丈夫……ナッツも焦げてない。後は……」スッ

妖精「」ドキドキ

少女「少し冷ましてから味見をしなきゃね」

妖精「」コクン

少女「喜んでもらえると良いな~」


――――
――

魔王城の外

少女「魔王様、側近さん、お待たせー」テクテク

妖精「」パタパタ

少女「今回のお茶菓子はクッキーだよ~……ってあれ?」キョロキョロ

妖精「?」キョロキョロ

少女「椅子とテーブルはあるけど……2人がいないねえ」カタン

少女「……あ、いたー!」

妖精「!」パタパタ

少女「よし、せっかくだからクッキーを先に食べて貰おうっと」テクテク

魔・側「……」

少女「どうしたんだろう……何を見てるのかな?」テクテク


魔鳥「」バサバサッ

少女「魔鳥さんだ! ……もしかしてお姫様からのお手紙!?」タタタッ

妖精「」パタタタ……

少女「あ、待ってよ妖精さーん!」

魔・側「……」

少女「2人とも、準備ができたよ! これ、今日のお茶菓子の……何を見てるの?」ピタッ

魔王「! ……あ、ああ、少女か」クルリ

側近「……」

少女「どうしたの? 魔鳥さんがいるって事はお姫様からでしょ? あっちに戻ってからで良いから私にも見せて~」

側近「……少女、茶会は中止だ」

少女「……え?」


妖精「!?」ムッ

少女「ど、どうして!? ほら、クッキーも焼いたんだよ?」スッ

魔王「すまん、少女……せっかく焼いてくれたのに」ザッザッ

少女「あ、魔王様……!」

側近「少女、確かにこれは姫君からの文だが……内容は何時もと全く違う」カサリ

少女「え……?」

側近「……彼女が、本来の役目を果たしたのだ」

少女「……まさか」

側近「この日々は終わりだ……身の回りを整えておくと良い」クルリ ザッザッ

少女「あ……ああ……」カタカタ

グラッ……ガシャンッ バララッ……

妖精「……」ペタン


――――
――

少女の部屋

少女「……あれ?」ハッ

妖精「」オロオロ

少女「私……お茶会の準備をしていたはずなのに何で部屋に? ……夢だったのかな?」

少女「そうでなきゃ、あんな質の悪い冗談……!」

妖精「……」

少女「あれ……妖精さん、何でそんな顔をしてるの?」 

妖精「……」シュン

少女「ねえ、嘘だよね……? だってあんな、突然……」ジワッ

妖精「……」パタタ……


少女「だって、私も、側近さんも……まだ見つけてないよ?」ツウッ……

少女「魔王様を、救う方法……」ポタッ……ポタッ……

妖精「……」

少女「ねえ、妖精さん。お願いだから嘘だって……悪い夢だって言って?」

少女「言ってよ……!」バンッ

妖精「……」フルフル

少女「やだ……こんな、の……」ボロボロ

少女「う、あ……ああああああああ……っ」

妖精「……」


――――
――

夕食時

魔王「……少女はまだ部屋か。無理もないだろうな……」

側近「あの後脇目も振らずに城の中へ入って行きましたからね……」

魔王「……我らがおかしいのかもしれぬな。自分の命がかかっておるというのにこうして何時ものように食卓についておるのだから」

側近「……ええ」

魔・側「……」

――――
――

少女の部屋

側近「少女……いるか?」コンコン

少女「……」


側近「(気配はするな……)入るぞ」ガチャッ

少女「……」スウスウ

妖精「!」キッ

側近「泣き疲れて眠ってしまったのか……こんなに目の周りを腫らして」スッ

妖精「」ペチッ

側近「……小妖精。これはお前が我らと出会う前から決まっていた事だ。お前にどうこうできる問題ではない」ジロッ

妖精「……!」ギリッ……

側近「ただ、これだけは言っておく……我らも少女を泣かせたいわけではない」スッ フワッ……

妖精「」ジッ

側近「お前は精々、そのちっぽけな頭で今の少女をどうすれば支えてやれるかを考えるんだな」スッ ファサッ……

妖精「!」キーッ

側近「ふん……少女と共に憔悴しきっていると思ったが、そうやって怒る元気は残っていたのか」ピンッ


妖精「ッ!!!!」サスサス ムキーッ

側近「こちらの用は終わった。お前と話していても時間の無駄にしかならん……もう行くぞ」スタスタ

妖精「……」キッ

側近「……最後に1つ。お前だけは何があろうとも少女の傍にいてやれ」ガチャッ

妖精「!」

側近「こんな事をお前に頼むのは癪だがな」バタン……

妖精「……」

少女「んぅ……2人とも……何処にもいっちゃやだ……」ムニャムニャ


――――
――

魔王の部屋

魔王「どうであった? 少女の様子は……」

側近「……泣き疲れて眠っておりました」バタン……

魔王「そうか……だが、それでも準備は進めねばならぬ……勇者を迎え入れるためにな」

側近「……ええ」

魔王「……そんな顔をするな側近よ。この10年、我は今まで生きてきた中で1番楽しかったぞ」

側近「! 魔王様……そんな事を仰るのはまだ」

魔王「酷な事を言うが、我の最期の時まで……しっかり頼むぞ」ジッ

側近「……」ギリッ


魔王「ただ、やはり少女の事が気がかりだな……まあそこは忘却の魔法でもかけてどうにかするか」

側近「!? 少女に……ここでの日々を忘れさせると……?」

魔王「ああ。その方が都合が良いだろう? ついでにお前に拾われてここに住んでいたとでも改竄すれば良い」

側近「それは……あまりにも……」ワナワナ

魔王「何、発動させるのは我が死んだ直後にするから心配するな。それ位なら今の魔力でも十分できるだろう。姫にはお前から言っておいてくれ」

側近「そういう問題ではありません……! 大体彼女の意志はどうなるんですか!」

魔王「確かに少女に黙ってこんな事をするのは心が痛む……だが、それで少女が悲しまずに済むなら良いではないか」

側近「あ……貴方という方は……何故そこまで……!」

魔王「どの道犠牲がなくては未来はない。それを嫌という程理解しておるだけだ」

側近「……ッ」グッ


魔王「まあ、後は……私がお前の兄だからか」ポン

側近「!」バッ

魔王「本でしか見た事はないが、本来兄弟とはそういうものだろう? 私は姉上達や……こいつとは違う」グッ

側近「……兄上」

魔王「それを、行動で示したい……本当はそれだけなのかもしれぬな」

側近「……どっちなんだ、一体」

魔王「さあな。とりあえず今のは戯言として聞き流して……今日は休め」

側近「! だが……」

魔王「1度に多くの事を詰め込み過ぎただろう。それをゆっくり整理すると良い……『側近』よ」

側近「ッ……御意」ペコリ ガチャッ……バタン


魔王「……我は酷い奴だな。兎よ」ポンポン

兎(ぬいぐるみ)「……」

魔王「だが、まあ……これぐらい非道な方が少しは魔王らしいかもしれぬ」

魔王「……嫌だと思うが、お前を道連れにして逝く事を許してくれないか?」

兎(ぬいぐるみ)「……」

魔王「でなければ……正直、挫けそうだ。この10年間は本当に幸せだったからな」モフッ……

兎(ぬいぐるみ)「……」

魔王「さて、我もそろそろ寝るか……体力を温存してできる限り最期までこいつを抑えておかねばならぬからな」

魔王「おやすみ……兎」ギュッ

兎(ぬいぐるみ)「……」


――――
――

少女「はあっ……はあっ……!」タタタタッ……

少女「来ないで……お願い、来ないでっ……!」ゼエゼエ

『お前の願いを聞いてやる筋合いはない』ズズズ……

少女「い、いや……」

『ぎゃははははは! ほら、捕まえたぞ』ズルッ

少女「いやああああ! た、助けて側近さん……魔王様ぁ!!」ジタバタ

『んん~? 何をふざけた事を……そいつらなら』


『アソコデ首ダケニナッテ転ガッテイルダロウ?』


少女「……!」パチッ

側近「ッ!」ギシッ

少女「え? そ、側近さん? ……良かった、生きてる……」ギュウッ

側近「しょ、少女……!」

少女「……あれ? 私寝惚けて……ってどうして側近さんがここにむぐっ!」

側近「すまんが少し静かにしてくれ……小妖精の奴が起きてしまう」グッ

妖精「」クゥクゥ……

側近「……」ホッ

少女「ん、んん~」ジタバタ

側近「! す、すまん」パッ


少女「ぷはっ! はあっ……はあっ……」ウルッ

側近「……っ」ゾクッ

少女「く、苦しかった……それで、どうして側近さんが私の部屋に……?」ムクッ

側近「あ、ああ……そうだった。少女……」ジッ

少女「! な、何……?」ドキドキ

側近「今宵、お前にこれからの事について3つの選択肢を示しに来た……昼間のお前の状態を見て、早い方が良いと判断しこんな時間に……すまん」スッ

少女「あ……ううん、良いの。私の事を考えてくれたんでしょ? ありがとう……それで、その選択肢って?」

側近「ああ、まず1つは……このまま運命の日まで泣いて過ごして魔王様に記憶を消されるか」

少女「……え? な、何それ……記憶を消される?」パチパチ

側近「就寝前に魔王様がそう仰られたのだ……死ぬ自分の事を忘れればお前は悲しまずに済むという、何とも愚かな考えをな」

少女「そ、そんな……!」


側近「私も最初に聞いた時は驚いた……そうされるのは、嫌だろう?」

少女「やだ……魔王様の事を忘れるなんて絶対に……!」フルフル

側近「っ、そ、そして次に、とにかくすぐにでも立ち直って私と共に足掻くか」

少女「あ……でも」

側近「有力な勇者が見つかったからと言って、すぐにこちらへ誘導するわけではない……実は意外と猶予はある」

少女「え? そうなの……?」

側近「ああ。あの時すぐにお前にそれを伝えられなくてすまなかった」

少女「ううん、あの時の私に言ってもきっと耳に入ってこなかったよ……それを聞いてちょっと安心した」

側近「そうか……なら良かった」

少女「うん。私、できればそれを選びたいな……でも一応最後の1つも教えてくれる?」コテン

側近「……最後は、な。最も手っ取り早い」ドサッ


少女「え? そ、側近さん……?」キョトン

側近「……今この場で私に喰われ、運命の日の苦しみから解放される事だ」ジッ

少女「側近さんに……食べられる……?」ドクン……ッ

側近「ああ。魔王様があのような事を仰った以上……私も覚悟を決めた」

少女(まるであの時の……夢の中みたい)

側近「怯えてくれても、嫌ってくれても構わん。だがお前が魔王様に記憶を捻じ曲げられる様を見る位なら、いっその事……」スッ

少女「ん……っ」ビクッ

側近「今の状態のお前を……私の一部にしてしまった方がマシだと思うのだ、私は」グルル……

少女「側近さんの……一部に?」

側近「魔王様から話は聞いているだろう? ……私がお前を食べたいと思っているけだものであるという事を」ペロッ……

少女「あ……」ゾクッ

側近「嫌なら拒め。そうすれば私は潔く身を引く……金輪際お前の近くにも行かん。お前にはそれを望む権利がある」

今回はここまで。
というか今頃気づいたけど墨って何だ墨って……インクだよ馬鹿野郎orz

とりあえず一気にこんな展開になりましたが……進めるうちに実は1つ問題が。

こ の ま ま で は 多 分 こ の ス レ 内 で 完 結 し な い ←

調子に乗って小話をバンバン入れまくった結果がこれです、本当に阿呆ですね……。
それで、もし本当に終わらなそうだったらキリが良い所で一先ず完結させ、完結篇として新たにスレ立てして続きを書こうかとか考えたんですが。
そうなっても大丈夫でしょうか?(訊くな)
自分の不足な部分が招いた結果とはいえ、読む側からしたら面倒ではないか心配です……本当に申し訳ありません!
因みに自分としては、次スレを立てた方が書き易いかもと正直思いました←

下らない事を長々と失礼しました。
おやすみなさい。

終わらないなら次スレを立てればいいじゃない

次スレ立てて埋めちゃうぐらい書いてくれてもいいのよ?

むしろ終わらない方が私は嬉しいぞ?ニヤニヤ


こんにちは。
今回もちょこちょこと進めていきます。

お三方、嬉しいお言葉を本当にありがとうございます!
お陰様でなにか吹っ切れました(笑)
自分としてもまだまだ書きたい話はあるので、こうなったら脳内のネタをすべて出し切る勢いで続けていきたいと思います。
とりあえず今は、このスレにきちんと区切りをつけて次スレに繋げる事に徹するつもりです。


少女「……」

側近「……恐怖のために声も出ないk」グイッ

少女「……側近さん」ギュッ

側近「!? 少女、お前……!」

少女「……私が魔王城に来てから10年。色んな事を貴方から教えられた」

側近「……」

少女「読み書き、お料理、お裁縫にお掃除……村にいた頃には考えられなかった生きる喜び」

少女「だからね、側近さんと魔王様に出逢えて……私は本当に幸せだったよ」

側近「少女……何を考えて」

少女「ねえ側近さん。貴方が食べたいと思っている私を目の前にして……何か辛い事はないの?」

側近「それは……」

少女「隠さないで言って? お願いだから……」ジッ


側近「……ここが」スッ

少女(胸……?)ソッ

側近「お前が視界に入る度に酷く痛むのだ……お前を大切にしたいと思う気持ちと、食べたいという気持ちが相まってな」

少女「そっか……」ピトッ

側近「!」

ドクン……ドクン……

少女「えへへ、すごくどきどきしてるね……私とおんなじ」

側近「少女……」

少女「これは苦しいから? ……私を食べたら、側近さんの胸の痛みはなくなるの?」

側近「……」

少女「じゃあ……いいよ。側近さんになら、食べられてもいい。それで貴方の役に立てるなら」

側近「!」


少女「今まで、側近さんが私に与えてくれたものには程遠いかもしれないけれど……私があげられるのはこの体位しかないから」

側近「少、女……」

少女「あ、できればあんまり痛くない方が嬉しいな……ひと思いにガブッてやって?」スッ

側近「何故……お前はそう簡単に自分の命を投げ出すのだ……!」

少女「違うよ……私は側近さんの中で生きていくの。側近さんの血になって、肉になって……一緒に生きるの」

側近「……!」

少女「だから、側近さんに私を捧げる事は、命を粗末にする事じゃないの」ニコッ

側近「あ……ああ……」ブルブル

側近(俺は……ずっと昔、同じような事を……ただ、あの時は一方的にこちらが……)

少女「……側近さん?」


側近(あの時の貴方も……このような気持ちだったのか? いや、恐らくあの方はこんな醜い自分と違って純粋に……)

少女「側近さん……どうして泣いているの?」

側近「! あ……」ツウッ……

少女「そんなに胸が痛いの? じゃあ早く食べなくちゃ……! あ、食べやすいように脱ごうか?」グイッ

側近「……や、やめろ!」ガッ

少女「!」

側近「私が悪かった……だから、もうそんな事は言わないでくれ……!」ブルブル

少女「側近さん……でも……」オロオロ

側近(俺はなんて愚かなんだ。自分の欲ばかりが先走って……考えてみればすぐわかる事じゃないか)

側近(もし彼女を食べてしまえば……この愛らしい声も、笑顔も永遠に……)

側近「失われてしまうではないか……」ギュウッ……


少女「?」キョトン

側近「少女」ジッ

少女「! は、はいっ」

側近「……すまんが、お前の血を少し飲んでも構わんか」

少女「血を?」

側近「ああ。拒んでも良い。だが、今湧き上がるこの醜い衝動を抑えるためには必要なのだ……」

少女「私を食べなくても良いの?」ズイッ

側近「もうそれは言うな……頼むから。このままでは別の意味で食べてしまいそうだ」

少女「? よくわからないけど、いいよ。でもどこから飲むの?」

側近「……手首だ」

少女「手首?」

側近「ああ。そこから貰う……本当に良いんだな?」

少女「う、うん……」ドキドキ


側近「……では、いただこう」スッ

少女「ど、どうぞ……」

側近「……」カプッ……ブツンッ

少女「ッ……!」ビクッ

側近「ん……」ジュルッ……ゴクッゴクッ……

少女「ぅ、あ……」ゾワゾワ

側近「……」ピチャッ ゴクン……ッ

少女「そ、きんさ……ふああっ……」ガクガク

側近「……! す、すまん、飲み過ぎたか」ペロリ

少女「あ、ううん、大丈夫……どう? 痛みは楽になった?」クテッ……

側近「……ああ、お陰様でな」ナデナデ


少女「良かった~……ねえ、私の血はどんな味なの?」フワッ

側近「……ノーコメントだ。それよりも痛かっただろう? すぐに手当てをしよう……お前の綺麗な肌に傷が残ってはいかん」

少女「そんなに、急がなくても大丈夫だよ……酷い噛み傷じゃないし」

側近「……お前は怖くないのか? お前を食べたいと思う私が」

少女「そりゃあ、最初はびっくりしたけど……側近さんだから、怖くないよ?」

側近「なっ……! ま、また何時お前を食べようとするかわからんのだぞ!? それでもか!?」

少女「うん、私は別に構わないよ……それで側近さんに恩返しができるなら。血だって……何度でもあげる」ニコッ

側近「……く、薬類を持ってくる。大人しくしていろ」ガチャッ……バタン

少女「あっ……行っちゃった」

少女「もう、大袈裟なんだから……もうほとんど血も止まりかけているのに」

少女「きっと手加減してくれたんだよね……やっぱり側近さんは優しいや」ヘラッ

少女「……」ジッ


少女「ここから側近さんが……私の血を」ドキドキ

少女「なんでかな? 今更ながらどきどきしてきた……うう」カアアッ

少女「……」チュッ

少女「!? わ、私、何やってるの……!!? 側近さんがつけた傷跡に……!」アワアワ

少女「こんな所見られたらきっと変な子だって思われちゃう……!」ブンブン

少女「うう~……そんなのやだよ……」

少女「……側近さん。こんな子でごめんなさい……お願い、嫌いにならないで……っ」グスッ

側近「……遅くなったな、では手当てを……どうした少女! 傷が痛むのか!?」ガチャッ

少女「あ、そ、側近さん……私の事嫌いにならないで~」ウルッ

側近「!? な、何を言っている……そんな事ある筈がなかろう!」

少女「ふええっ……本当?」ギュウッ

側近「本当だ! だ、だから少女、とりあえず落ち着け! このままでは再びお前の血を飲まねば……!」オロオロ


今回はここまで。
進まない……本当に進まない……!
どうやら側近と魔王は彼女の育て方を色々と間違えたようです(笑)
同じ人間よりも魔族の方が好きな人間……表現が難しいなー。

おやすみなさい。


こんにちは。
ぼんやりしながら更新再開です←


少女「あうう……はい」スッ

側近「こら、手当てしたばかりの手首を私の鼻先へ持っていくな! ……はっ」バッ

妖精「」ジトーッ

側近「しまった……」サーッ

少女「あ、妖精さん。起こしちゃってごめんね?」

妖精「」ワナワナ

側近「くっ……私はもう行く、おやすみ少女」バッ

少女「あ、う、うん……おやすみなさい。手当てありがとう」

妖精「……!」パタパタパタッ ガブッ

側近「痛っ、しょ、小妖精よ、やめろ……!」

少女「妖精さんっ、駄目だよ噛みついちゃー!」アワアワ

妖精「~~~!」キーキー


側近「だからこいつを起こしたくなかったんだ! ぐ、離れろ小妖精!」

妖精「……! ……!!」ガブッガブッ

少女「よ、妖精さーん!」オロオロ

――――
――

翌朝 朝食時

魔王「少女……もう、大丈夫なのか? 気持ちの整理は……」

少女「うん、大丈夫。まだ時間があるって事は側近さんに教えて貰ったし……」

魔王「なら良いが……それにしても側近よ、その目の隈はどうした?」

側近「お気になさらず」

魔王「だが……」

側近「お 気 に な さ ら ず」ギンッ

魔王「う、わ、わかった……」


側近(あの後、一晩中小妖精に追い回されながら噛まれていたと知られたら……)

妖精「♪~」モグモグ

少女「そういえば魔王様、勇者様が来るまでどうするの?」

魔王「うむ、それだがな……まずどうすれば彼らを上手い具合にこの城へ向かわせる事ができるかを考える」

少女「そっか……そこからなんだ」

魔王「ああ。今はまだ都からそう遠くは離れていまい。だが、ぐずぐずしていれば魔物が猛威を振るう地へと足早に去ってしまうだろうからな」

側近「勇者一行の動向がわかりやすい今のうちに……その問題をどうにかせねばならん」

少女「うう……ね、ねえ、また別の勇者様じゃ駄目なの? そんなに急がなくても……」

魔王「何を言っている」ジロッ

少女「っ!」ビクッ

魔王「我らは少女が生まれる前から待っていた……本当に強き者の出現を。これを逃せばまた何時になるかわからんのだぞ?」

少女「あ……(普段はあんまり怒らない魔王様が……こんな怖い顔を)」カタカタ

魔王「悪いが、こればかりは少女の意見を聞いてやるわけにはいかぬ」モグモグ


側近「……」モグモグ チラッ

少女「……!」

側近「……」コクッ

少女「!」コクコク モグモグ

魔・妖「?」

少女(そうだよ……私も側近さんも、まだ諦めたわけじゃない)

少女(勇者様達が来る前に、絶対魔王様を助ける方法を見つけるんだ!)グッ

魔王「ご馳走様……おや?」チラッ

側近「どうかなさいましたか、魔王様……! あれは魔鳥?」

少女「魔鳥さん? お姫様からまた何か情報かな?」ガタッ

側近「少女。気が急くのはわかるが行くのは食べ終わってからだ」スッ

魔王「先に行っているぞ」ガタッ スタスタ……


少女「あ、わ、私も……」ムグムグ

側近「あまり急ぐと喉に詰まらせるぞ? 待っているからゆっくり食べるんだ」

少女「んぐ……あ、ありがとう側近さん」

妖精「」ムーッ モキュモキュ……ペチンッ

――――
――

城の外

魔王「」フリーズ

側近「!? ま、魔王様……!」ザザザッ

少女「どうしたの!?」タタタッ

妖精「」パタパタ

魔王「……ああ、来たか。ちょっとこれを見てほしい……そして書かれている事を確かめてくれ」スッ


側近「勿論です……拝見いたします」ジッ

少女「魔鳥さん、ありがとう」ナデナデ

魔鳥「♪」スリスリ

少女「あはは、くすぐったい~」クスクス

妖精「」パタパタ……ピトッ

少女「妖精さんも? ……ふふ」ナデナデ

妖精「……♪」スリスリ

側近「なっ……一体何を考えているんだあの姫君は」ワナワナ

少女「!? そ、側近さん、お姫様からは何て……?」

側近「……近いうちに自分を迎えに来てほしい、さもなくばもう勇者一行の情報は流さない。更に父……王に我らの事を暴露する、と」クシャッ……

少女「え……そ、そんな、どうして?」

魔王「……やはりそう書いてあったか」ハア……


少女「何かの間違いじゃ……私にも読ませて!」バッ

側近「……そうだな、自分で見た方が納得するだろう」スッ

少女「……嘘……なんで……これ、確かにお姫様の字だよ」ペタン

魔王「本当に何を考えているんだ……姫」

側近「何時までも呆けていても仕方ありません……如何なさいますか」

魔王「くっ……やむを得ん、明後日に迎えに行くと返事をしておけ」

側近「……御意」ザッザッ

少女「お姫様……」

妖精「」オロオロ

魔鳥「クエェ……」ショボン


――――
――

二日後 都前

姫「……お久しぶりです」ペコリ

側近「まさか、貴女があのような事を書いて寄越してくるとはな……」ジロリ

姫「返す言葉もございません……ですがどうか、申し開きをさせてください」

側近「我らがどんな思いで貴女にすべてを打ち明けたのか……理解していただけていると思っていたのだが」

姫「……それは痛い程承知しております」

側近「では何故あのような事を!? 事と次第によっては……」ギリッ

姫「覚悟はできております。下手をすれば、あなた方の信頼を踏み躙ってしまうような事を書いたのですからね」スッ

側近(……僅かとはいえ、殺気を飛ばしているにも関わらず……物怖じせずこちらを見返してくるか)


姫「ですが……私も後悔はしたくないのです」

側近(変わり者であろうと……やはり姫だな)

側近「……続きは我らの城で聞こうか」クルリ

姫「……ええ、お願いします」スタスタ

――――
――

魔王城 謁見の間

魔王「姫……」

少女「お姫様……どうして……」

姫「……流石に、今回はお出迎えはなしですよね。わかっておりました」

魔王「……我は悲しみよりも、怒りよりも……驚きが大きい。正直、今でも信じられぬ」

姫「ごめんなさい……ですが、あなた方にそんな顔をしてほしくて文を送ったわけではありませんの」


少女「じゃあ、なんで? 何か理由があるんでしょ!?」

魔王「こんな事は言いたくはないのだが……我らはもう、貴女に付き合っている余裕はない。それは姫、貴女が1番良く分かっている筈だ」

姫「ええ。わかっております……これは私の我儘ですわ」

側近「……聞こう」

姫「……あなた方のお役に立ちたいのです。私の……かけがえのない親愛なる友人達」

魔王「姫……まさか」

姫「単刀直入に言いますわ。どうか私に……勇者様ご一行をこちらへ誘導する手助けをさせてください」


今回はここまで。治療描写ほとんどすっ飛ばしてた……!
魔王は何気に1番怒らせてはいけない……温厚な人程何とやらな法則で(笑)

できれば次回かその次辺りで、次スレに行ければ良いんですが……このペースでは危ういですね。
とりあえず展開をちゃんと固めないと……!

おやすみなさい。

乙!
面白すぎて夜更かししてしまった…

ちゃんと側近が妖精にやられててワロタwww
いいぞー!もっとやれ!

ちゃんと側近が妖精にやられててワロタwww
いいぞー!もっとやれ!

連投ごめんなさい

紫煙

こんばんは。
本当はもっと早くから更新する予定でしたが、スランプに陥ったり外出したりでそれもままならず……!
応援してくださり、本当にありがとうございます!

>>859そのようなお言葉をいただけるとは、書き手冥利に尽きます……!

>>860側近の弱点、罪悪感(笑)
自分も更新時によく重複しそうになりますね……あれは怖い。


少女「!? 何を……何を言っているのお姫様!」

側近「貴女は奴の恐ろしさを知らない……こうしている今も魔力を通して貴女の事を値踏みしているやもしれんのだぞ!?」

魔王「……姫。我らは貴女をこれ以上巻き込みたくはない。これは貴女の立場を気にしているだけではなく……貴女と同じ様な気持ちを抱いているからだ。どうかそれを……わかってほしい」

姫「……ありがとうございます。ですが、だからこそ私は皆さんに協力したいと思うのです」

少女「協力って……お姫様はもう十分……!」

姫「こんな事を言って、あなた方を困らせているのは自分でもよくわかります」

姫「ですが、私はもう……これ以上目の前で大切な人を失いたくない。弟の時のような思いは2度としたくないのです……!」ツウッ……ポタッ

側近「姫……」

姫「私の業を良く知っているあなた方なら……わかって、くださると……」ボロボロ

魔王「……」


姫「姫の癖にみっともないと……呆れてくださっても、笑ってくださっても構いません」

姫「ですが、どうか……ほんの少しでも良いから……わた、くしの……きもちも……」ポタッ……ポタッ……

魔王「……姫、もう良い」

姫「!」

魔王「正直、我も……貴女を利用するという手を、考えた事がないと言えば嘘になる」

側・少「「!」」

魔王「このような外道を……貴女はそれでも親愛なる友人と胸を張って言えるか? まだ助力したいとお思いか?」ジッ

姫「! ……はい。貴方が何の迷いも躊躇いもなく、そんな事を考えるような方ではない事は良く知っておりますから」ゴシゴシ キッ


側近「……姫はこう言っておりますが、如何なさいますか」

少女「魔王様……」

魔王「……貴女が」

姫「え?」

魔王「貴女が城のみならず都そのものからいなくなった事を知っている者は?」

少女「!」

姫「……今の所は給仕のみです。彼女には……私から3日間何の音沙汰もない時は、周囲にさらわれたと知らせるよう言いつけております」

魔王「誰に」

姫「っ……魔王、様に」

魔王「……成程」

姫「ごめんなさい……幾ら事が一刻を争うとはいえ、このような事を勝手に……」

魔王「……やはりそれしかないか」


側近「! では……」

魔王「ああ。正直気は進まぬが、だからと言ってここまで我らのために腹を括ってくれている姫の気持ちを無碍にしては……悔いが残る」

側近「……貴方様がそう仰るなら、私はそれに従いましょう。同じく気は進みませんが」

少女「で、でも魔王様……!」

姫「魔王様……ありがとうございます」ペコリ

魔王「姫、本当に良いのだな? ここまで来ればもう後戻りはできぬ……下手をすれば命を落とすかも知れんのだぞ」

姫「何と言われようと、私の意志は変わりません。私は姫ではなく……友人として最後まであなた方と共に在りたいと思うのですから」

少女「お姫様……」

魔王「それにしても側近よ、我もお前の事は言えぬな。少女以外の娘の涙に負けるとは……女の涙は恐ろしいな」

側近「……理解していただきありがたく思います」


――――
――

少女の部屋

姫「少女さん、まだ……怒っていますか?」

少女「……」プイッ

妖精「」オロオロ

姫「あなた方の事に深入りし過ぎてしまい、本当に申し訳なく思っています。足手まといにはならないようにしますから……」

少女「……には」

姫「え?」

少女「私は……お姫様には待っていてほしかった!」クルッ

姫「!」

少女「思えば唐突に……本当に唐突に勇者様の事をお姫様は知らせてきたよね?」

姫「少女さん……」


少女「わかってる、ちゃんとわかってるんだよ!? お姫様にそれを頼んだのは私達なんだから……!」

少女「でも私は……こんな日が来なければいいって、ずっと思ってた!」

姫「……そうですわね、本当に」

少女「その後、側近さんと改めて魔王様のために頑張るって決めて……やっと少しずつ落ち着いてきたんだよ? 私」

少女「魔王様の封印の問題をちゃんと解決して、完全に自由になれて……その後に改めて、お姫様と会いたかった」

少女「それなのに……どうして!」キッ

姫「……貴女の心中も知らず、勝手な事をしてごめんなさい。ですが」ギュッ

少女「!」

姫「やっぱり、待つのは私の性に合いませんわ」


少女「お姫様……」

姫「肝心な時に指をくわえて見ているだけだなんて、そんなのお友達失格ですしね」ナデナデ

少女「……うう」

姫「それに、今のうちからそんなに気を張っていては勇者様が来た時に何か失敗してしまうかも……」

少女「! それは駄目!」

姫「でしょう? ならその日までできるだけ何時も通りに近い気持ちでいましょうよ。リラックスして」

少女「……お姫様はあの怖さを知らないから、そんな事が言えるんだよ」

姫「あら、どれだけ怖い存在でも、勇者様と魔王様、それに側近さんがいれば無敵ですわ」

少女「そうかな?」

姫「ええ、きっとそうです!」ニコッ

少女「……だと良いな」ギュッ

少し変えます。

姫「あら、どれだけ怖い存在でも、勇者様と魔王様、それに側近さんがいれば無敵ですわ」



姫「あら、どんなに恐ろしい存在でも、魔王様と側近さん、それに勇者様がいれば負けませんわ」


姫「! 許してくれるんですの?」

少女「……完全にじゃないけど」

姫「それでも構いません」

少女「……本当はね」

姫「はい」

少女「お姫様が来た時……少しだけ嬉しかったんだ。おかしいよね? こんな時なのに」

姫「! いいえ、そんな事はありません。そう思っていただけて私こそ嬉しいです」

少女「お姫様……」ジワッ

姫「一緒に運命の日を乗り切りましょう……ね?」ニコッ

少女「……うん……!」ポロポロ……

妖精「」ホッ

今回は以上です。
ほぼ勢いで書いているので矛盾点がないか心配……。
次回はもっと更新できますように。

おやすみなさい。

乙乙

こんにちは。
ゆるりと更新再開です。


姫「妖精さんも」クルッ

妖精「!」

姫「……私がここにいる事をどうか許してはくださいませんか?」

妖精「」パタパタ……ピトッ

少女「……妖精さんは元から大歓迎みたいだね。何だか妬けちゃうよ」

姫「妖精さん……ありがとうございます」ナデナデ

妖精「♪」スリスリ

少女「あ……そろそろお昼の時間だから、行こうか」チラッ スッ

姫「ええ、もうお腹ペコペコですわ~」スッ

少女「ほ、本当にのんきだねお姫様」

姫「せめて強かと仰ってくださいな。腹が減っては戦はできぬ、と言いますでしょう?」ニコッ

少女「それはそうだけど……」

姫「さあさあ、行きましょう!」グイグイ


少女「ちょ、行くからそんなに押さないで……!」アワアワ

妖精「」パタパタ……ニコッ

――――
――

昼食時

魔王「……食べ終えたら、今後の事について少し話したいと思う」モグモグ

少女「! もう決まったの?」

側近「元々、さっきも魔王様が仰ったように姫君を使うという手を考えていなかったわけでもないからな。ただ、叶わぬ事を前提としていたが」

魔王「そういう事だ。姫、こうなったら遠慮なく貴女の身を使わせて貰うぞ」

姫「望むところです。あなた方のためになるのなら、この身など全く惜しくなどありません。とことん利用してくださいませ!」ドンッ

魔王「……どうかそのような事は言わないでくれ。我はできれば貴女にはこれからも生きていて欲しい」

姫「勿論、生への希望も捨ててはいませんわ! 皆さんの分もね」ニコッ

少女「お姫様……」

魔・側「……」


姫「それにしても、側近さんの作るご飯は本当に美味しいですね……少女さんのもそうですが」モグモグ

側近「……そうか」

姫「ええ。できることなら、これからも食べたいものですわ……」

妖精「……」モグモグ ゴクンッ……ペチン

――――
――

魔王「まず、すぐにでも姫がここにいる事を勇者達に知らせる必要がある。そこで側近、お前には明日にでも都に行ってもらう」

側近「……御意」

魔王「到着後はすぐに……姫の情報を酒場なり市場なり、とにかく人の多い場所へ流すのだ……まあ、お前がその場でローブを剥ぎ取ってしまえば話は早いかもしれんな」

少女「! 魔王様、それは流石に……」

側近「そうですね。騒ぎになって更に情報の広がりが早くなりましょう」

少女「側近さん……!」


魔王「うむ、後は駄目押しでその場で転移魔法でも使えば完璧だな……その間、我は城内の準備をしておこう」

姫「準備とは……どのような事を?」

魔王「奴が封印されている部屋の術を、更に強固なものにし……それに並行してこの魔王城全体を覆う結界を展開する」

少女「やっぱり……そんなに大きな戦いになるの?」

魔王「恐らくな。だが、それ以外の理由もある」

少女「?」

魔王「本命の勇者一行以外の者達をな、間違っても中へ入れないようにするのだ」

少女「! それって……」

魔王「犠牲はやはり少ない方が良いだろう? 故に我らと、一定以上の力を持つ者以外は入れぬように設定しておく」

姫「魔王様……貴方はそこまで考えて……」


魔王「我の今ある魔力でできる精一杯の配慮だ……ないよりはマシだろう」

姫「十分過ぎる程ですわ……嗚呼、貴方の真実を人々に伝えられればどんなに良いか」

魔王「それは無理だ。先代を含め、これまでの魔王が悉く人間を虐げてきた事は紛れもない事実。まず信用されぬだろう」

側近「……故に、こうして行動で示さねばならない。本当に難儀な事です」

魔王「ああ。骨が折れる作業だが、今やらねばこれまでやってきた事が水の泡となるからな」

少女「あの……その間私達はどうするの?」

側近「お前達にやらせる事は、今の所これといってないが……せいぜい、姫に危険な場所を把握させる事位か」

少女「……なら、私側近さんの都行きに着いていきたい」

側近「なっ……!」

魔王「何を言っておるのだ少女! そうすればお前まで悪目立ちしてしまうぞ!?」


少女「でも、もしかしたらそれが役に立つかもしれないでしょ? 都では私をどう使っても良いから! それに、これを逃したらもう2度と一緒には……」

姫「少女さん……」

少女「……我儘言ってごめんなさい。やっぱり駄目だよね」

側近「……良いだろう」

魔王「側近!?」

妖精「!?」

側近「魔王様、お気持ちはわかりますが少女の申す事にも一理あります……どうか許可を」

魔王「だが……!」

姫「……要は今日のうちに危険な場所を覚えてしまえば良いんですよね? 少女さん」

少女「お姫様……!」

魔王「ひ、姫まで何を言い出すのだ……!」


姫「魔王様……貴方はご自分に悔いが残るのは嫌で、少女さんは良しとなさるのですか?」

魔王「ッ……!」

姫「そうでないなら……私が言えた義理ではございませんが、彼女の可愛い我儘を聞いてやってはどうですか」

魔王「くっ……少女」

少女「は、はいっ……」ビクッ

魔王「……都へ行っても、側近の許可なく勝手な行動をしないと約束できるか?」

少女「! ……はい! 魔王様ありがとうっ!」

妖精「~~~!」ブンブン

少女「妖精さん。心配してくれるのはわかるけど……私も後悔したくないの」

妖精「……」

少女「ごめんね……」ギュッ……

妖精「」パタタ……ギロッ

側近「……ふん。お前にそんな顔をされずともわかっている」


――――
――

少女「側近さん、無理を言ってごめんなさい……でもありがとう」パタパタ

側近「いや……それよりも少女、先程の言葉に嘘偽りはないか?」ザッザッ……ピタッ

少女「え?」

側近「お前を……どう使っても良いと」ジッ

少女「あ……う、うん」コクン

側近「では、私が都でお前に何をしようと……例えそれを不快に感じても」スッ……トン

少女「……っ」ビクッ

側近「……文句は言わんな?」

少女「……言わ、ない……私が、言いだした事だから」フルフル

側近「なら良い。そうと決まればすぐに姫君に教え終えるんだぞ?」スッ……ザッザッザッ

少女「うん……」ドキドキ


――――
――

姫「まあ、側近さんが……部屋の確認の途中でそんな事を?」テクテク

少女「うん……いきなり壁に追い詰められちゃって、少しびっくりしたよ」テクテク

姫「それで改めて都行きに関する確認をされた……と言う事は」

少女「と言う事は?」

姫「……側近さんは都で、余程少女さんにとってとんでもない事をするのでは」

少女「! そ、そうなのかな……?」

姫「そうとしか考えられませんわ。そうやって追い詰めて、これ以上の事をすると言外に……嗚呼っ」カアッ……

少女「な、なんでお姫様が赤くなるの……!」

姫「し、仕方ないじゃありませんか! 寧ろ少女さんが鈍過ぎるんですよ!」

少女「そうかなー」


姫「そうですよ! もしも妖精さんがその場にいたらどうなっていた事か……」

少女「……前にもあったけど、お姫様に改めてそう言われると」

姫「?」

少女「今更ながら……は、恥ずかしくなっちゃうよ……! どうしようお姫様!」アワアワ

姫「お、落ち着いてください少女さん! ほ、ほら、もうすぐ少女さんのご案内はおしまいでしょう?」ギュッ

少女「あうぅ……うん」モジモジ

姫「とにかく早く済ませてしまいませんと……お部屋でお昼寝している妖精さんが起きてしまいますわ!」スタスタスタ……

少女「そ、そうだね」パタパタパタ……

少女(これじゃあどっちが案内されているのかわかんないや……もっとしっかりしないと)キッ


姫「……それで、あの扉が」スタスタ……ピタッ

少女「うん……封印のお部屋だよ。ずっと昔に妖精さんと入って以来1度も入ってないけど」ピタッ スッ

姫「気のせいでしょうか……いるだけでじわじわと怖気がこみ上げてきますわ」ブルッ

少女「扉からこれだけ離れていてもこうだからね……どう? 少しは危機感を持ってもらえたかな」

姫「はい……正直、甘くみておりました。この扉を開けた先に、何が待っているのかを考えただけで……」クラッ

少女「お姫様、しっかり!」ギュッ

姫「す、すいません……とにかくここには絶対に近付きませんわ」

少女「それが賢明な判断だよ。じゃあ、戻ろう」クルッ

姫「ええ」クルッ

――「ククク……玩具が2つに増えたな」

少・姫「!」ビクッ


――「この忌々しい拘束から……解放される日が楽しみだ……」クスクス

少・姫「――ッ!!」ダダダッ……

――――
――

少女の部屋

ガチャッ……バタンッ

少女「はあっ……はあっ……」

姫「はーっ……はーっ……あ、あの声……!」ブルブル

少女「うん……」

姫「少女さん……貴方達は一体どれ程のものを背負っているんですか……!」

少女「あはは……1番辛いのは魔王様だけどね」

姫「! そうでした……あんなものを長い間ずっと……」


少女「うん……そのせいで私なんかじゃ全然想像つかない位長い間、魔王様はこのお城に縛り付けられてる」

姫「……」

少女「側近さんも、それを支えるために……同じようにここに囚われてる」

姫「……ええ」

少女「私は、そんな2人に自由になってほしい。お姫様もそう思うでしょ?」

姫「それは……言うまでもない事です」

少女「……じゃあ、改めてお願い。あの扉を見せた後で悪いけど……そのために一緒に戦って。最後まで」ジッ

姫「少女さん……」

少女「こんな事を頼めるのは……お姫様しかいないの……!」ジワッ

姫「……」ギュッ

少女「!」

姫「言った筈です。友人として最後まで貴女方と共にありたいと。その気持ちは変わりません」

少女「お……ひめ、さ……」ポタッ……


姫「今まで、この城の唯一の人の身であれと共に10年も……よく頑張りましたね」ナデナデ

少女「――ッ!」ボロボロボロッ……

姫「……ごめんなさい、また泣かせてしまって」ポンポン

少女「~~~!」ブンブン

妖精「……!」パチッ……パタパタパタッ

姫「あら妖精さん、丁度良いタイミングで……どうか少女さんを落ち着かせるのを手伝ってくださいな」

妖精「!」コクンッ

――――
――

夕食時

魔王「少女」

少女「なあに? 魔王様」モグモグ

魔王「……昼よりも少し表情が穏やかになったな」


少女「そうかな?」

魔王「ああ。お前もそう思うだろう? 側近」

側近「ええ……何かあったのか?」

少女「んーと……」チラッ

姫「ふふ、ただ単に気持ちがすっきりしただけですわよね、少女さん?」ニコッ

少女「! うん、そうだね」

魔・側「?」

妖精「♪」

少女「さて、明日のためにしっかり食べなくちゃ!」ムグムグ

姫「ええ!」モグモグ


魔王「……まあ、何にせよ少女が元気な事は良い事だ」

側近「本当に……そうですね」

魔・側((もしや姫の存在が、一種の安定剤になっているのやもしれんな……))

妖精「」ハムハム……ペチン

――――
――

少女の部屋

少女「そういえばお姫様、今日もここで寝るの?」

姫「ええ、できればそうしたいのですが……いけませんか?」

少女「ううん、そんな事ないよ。寧ろ大歓迎!」

姫「それは良かった」

妖精「♪」ルンルン

少女「ほら、妖精さんも喜んでるしね」


姫「では、今夜も……嗚呼、程々にしなければいけませんね。明日のためにも」クスクス

少女「そうだね……あ、そう言えばお姫様」

姫「何ですか?」

少女「……私が都に行きたいって言った時、加勢してくれてありがとう」ペコッ

姫「そんな、私は大したことはしておりませんわ。下心だってありましたし」

少女「下心?」

姫「ええ。だって少女さんが側近さんと都に行けば、その間私はほぼ魔王様とお城で……ふふっ」

少女「! あ、そっか」

姫「そういう事です。もしかしたらお話する暇もないかもしれませんが……」

少女「うん……きっと大量に魔力を消費するから疲れちゃうと思う。だから、私達がいない間、もしそうなったらできる範囲で支えてあげてくれる?」

姫「お任せください!」グッ


妖精「」クイクイ

少女「! うん、勿論妖精さんも忘れてないよ」ナデナデ

姫「思えば何時も置いてけぼりでごめんなさいね……」ツンツン

妖精「」フルフル

姫「良く考えてみたら、妖精さんはずっとお友達として少女さんを支えてきたんですよね……感服しますわ」

少女「うん。初めて会った日から何度も助けて貰ってるよ」

妖精「……」テレテレ

少女「離れ離れになってた時もあったけど、ほとんどずっと一緒だもんねー」ニコニコ

姫「そういえば、たまには元いた場所へ帰らなくて良いんですの? 今更ですが」

妖精「」コクン……クイクイ


少女「! はいはい、インクと羽ペンと紙ね」ゴソゴソ

姫「ふふ、今回はどんな事を教えていただけるんでしょうね?」

妖精「♪~」

少女「はい、どうぞ」スッ

妖精「!」ペコッ スッ カキカキ……

姫「焦らず、ゆっくり書いて良いですからね~」ワクワク

少女「そうそう」ニコニコ

妖精「」カキカキ……ニコッ


早いですが今回はここまで。
最後の最後で「描く」を「書く」にするという痛恨のミス……!
量の割にはあんまり話が進んでいなくてすいませんorz

次回はようやく都組&魔王城組に……ってか側近脳内ではっちゃけ過ぎや←

おやすみなさい。


オヤスミーオツカレサマー

こんにちは。
大分冷え込んできましたね……そのせいか4人と1匹が炬燵で鍋をつついているイメージが頭から離れません←
なんなんだこれは……!!
そんなわけでコツコツと更新再開です。


――――
――

翌日


側近「……それでは、行って参ります」ペコリ

魔王「うむ……頼んだぞ」

姫「お2人とも、どうかお気をつけて」

妖精「」パタパタ……

少女「魔王様も、あまり無理はしないようにね」

魔王「わかっておる……少女もな」ナデナデ

少女「うん……じゃあ、行ってきます」ペコッ

側近「……」シュウッ……――

少女「」フワッ……スッ

魔・姫「……」

妖精「」ハラハラ

名前欄、お見苦しい所を失礼しました。


――――
――

都の前

少女「……」ドキドキ

側近「……緊張するか」

少女「う、うん……久しぶりの都だし、それに……」

少女(人の目を引きつけるために……側近さんにどんな事をされるのかも……)

側近「……とにかく、私から絶対に離れるなよ?」ザッザッ

少女「は、はい……っ」テクテク

側近「……」




ザワ……ザワ……

少女「ま、待って側近さん……」

側近「……」

チラッ……ヒソヒソ……

少女(変だな……まだ何もしていない筈なのに、やたらと見られている気がする)

側近「……そろそろか」スッ

少女「え?(まだ人通りはそんなに多くないのに……?)」

側近「」バサッ

少女「!」

『!?』

『な、なんだあいつ……人間じゃねえ! 魔物だ!!』

『ば、化け物!!』

『キャーッ!』


側近「ククク……愚かな人間共よ……たった数十年間の平和の味はどうであった?」

少女(そ、側近さん……)

側近「今や偉大なる我らが魔王様は復活を遂げられ、その景気づけに昨日……ここの姫をさらわせてもらったぞ」

『何だと!?』

『そう言えば昨日から全然お姿を……』

『姫様あ……!』

側近「お前達がそうやって間抜け面を晒している間にも、姫は魔王様から絶え間なく辱めを受けているぞ」クックッ

側近「こんな風にな」クイッ

少女(!? 体が勝手に……側近さんの方へ)トンッ

側近「んっ……」カプ……ブツンッ

少女「ッ、うあ、あああ……!」ズキンッ


『ひ、ひでえ……あの子の首から血を啜ってやがる……っ』

『このけだもの! その子を放しなさいよ!!』

『姫様を返しやがれ!!』

側近「はあ……やはり処女の生き血は美味いな。だが魔王様はこの程度では済まさんぞ?」ジュルルッ……ペロッ

少女「うう、い、痛い……」ポロポロ

側近「口先だけで何もできない愚かな豚共よ……薄っぺらい正義感で姫とこいつを開放したければ見苦しく泣きつくがいい」

側近「王に、兵士に、勇者に……これは魔王城からの宣戦布告だと伝えるが良い。魔王様は目覚めたばかりで退屈しておられる……精々足掻いて我を楽しませろとの仰せだ」

側近「本当はお前達も皆殺しにしてやるところだが……今回ばかりはそれを広めるための駒として特別に生かしておいてやろう」フワッ

少女「あ……ああ……」グッタリ

側近「今再び、我ら魔族の時代が始まるのだ……!」キィィン……フッ

『た、大変だ……』

『王に知らせなければ……!』

『都の近くにいる猛者達にも……これは一大事だ!!』


――――
――

森の中

側近「……」スタッ

少女「う……」ドクドク……

側近「少女……すまない。さぞ痛かっただろう……不快だっただろう」ギュウッ

少女「側近……さん……」

側近「本当はあんなに飲むつもりはなかった……だが、お前の血は……俺を……っ」ブルブル

少女「……」ギュ……

側近「!」

少女「い……やじゃ、ないよ……ちょっと、痛かったけど」ニコ……

側近「少女……」

少女「あの時、側近さんが……苦しそうな顔をしてたの、知ってるから……」

側近「……!」スッ……ポゥッ……


少女「! あった、かい……」トロン

側近「……そういえば治癒魔法をかけたのは初めてか」

少女「うん……思えば何時も、怪我や病気になった時は包帯やお薬を使ってくれてるよね」

側近「何でも魔術に頼り過ぎるのはよくないからな……もしも使えない状態に陥った時に大変な事になる」

少女「だからお料理もお掃除も自分でやるんだね……」

側近「ああ……お前もだろう?」

少女「うん、側近さんが教えてくれたから」ニコッ

側近「……」カアッ……

少女「そう言えば、さっきも何か術を使ったの? すぐにあんなに注目されたのは」

側近「そうだ。あの時のお前は傍目から……ボロボロの服を纏い、首と手足が鎖で繋がれた状態に見えていた。幻術でな」

少女「なるほど……それは気付かなかったよ」


側近「……不快だろう」

少女「え?」

側近「知らなかったとはいえ、自分が他人からそのように見えていたのは」

少女「ううん、大丈夫! 私がついてくるって言いだしたんだしね。それに……これで側近さんの役に立てたんだし」

側近「本当にそう思っているか?」

少女「うん。それでも、少しでも私のそんな姿を見られる時間を減らすために、側近さんは……早めにあんな事をして、都から出てくれたんでしょ?」

側近「……」

少女「流石に、首から血を飲まれたのはびっくりしたけど……」

側近「まだ、痛むか?」

少女「もう平気だよ。側近さん、ありがとう」フワッ

側近「……私がつけた傷に責任を取っただけだ。大した事はしていない」


少女「それでも嬉しいよ。お陰ですっかり傷も治ったしね」

側近「そうか」

少女「あ、でも側近さん。もっと飲まなくて大丈b」

側近「大丈夫だ、問題ない」

少女「そう? なら良いけど……」

側近「はあ……お前はよくそんな余裕があるな。考えても見ろ」

少女「?」

側近「……今この場には、お前の血を啜るけだものとお前しかいないんだぞ?」

少女「側近さん……私はそんな風には」

側近「いや、血だけではない……こうやって」ドサッ

少女「!」

側近「下手をすれば、お前のすべてを奪いつくしてしまいかねん」


少女「……前も言ったでしょ? 私は側近さんになら食べられても良いし……何をされても構わないよ?」

側近「! 本当に、お前と言う奴は……」スッ……

少女「? 何で隣の木に……」

側近「……」ゴンッ!

バキッ、メリメリメリ……バササッ、バサバサバサッ!!

少女「! あ、あわわ……側近さん、木が……それに頭……!」オロオロ

側近「落ち着け、自分へのちょっとした戒めだ」

少女「でも……」ソッ……ナデナデ

側近「……」

少女「痛いでしょ?」ウルッ

側近「~~~ッ! こ、これでは意味が……!」

少女「?」

側近「……はあ、もう良い」ポスンッ


少女「!」

側近「お前の気持ちに付け込んで悪いが……気力が回復するまで少しの間だけ肩を貸してくれ。体重はなるべくかけないよう努める故」

少女「……えっと」スッ

側近「?」

少女「よいしょ……こっちの方が楽じゃない?」ナデナデ

側近(!? 膝枕……だと……)

少女「やっぱり嫌……?」

側近「そんな事を言ったら罰が当たる」

少女「そう?」

側近「ああ。では……遠慮なく」スッ

少女「ふふ、どうぞ~」ニコニコ


側近「……」ボーッ

少女「♪~」ナデナデ

側近「……魔王様が大変な時にこうしているとは……私は側近失格だな」

少女「魔王様は優しいから、きっと許してくれるよ。何より側近さんは何時も頑張っているし……これ位大丈夫だよ」ナデナデ

側近「だと良いが……少女、注文をつけて悪いが……」

少女「なあに?」

側近「……良ければそのまま、頭を撫で続けていてくれないか」ウツラウツラ

少女「! お安い御用だよ」ナデナデ……

側近「ありがとう……思えば、こうされるのも……こんなに安らいだ気持ちになるのも……」

側近「初めて……だ……」スウッ……


少女「……側近さん、寝ちゃったの?」コテン

側近「……」

少女「余程気を張っていたんだね……何時もお疲れ様」ナデナデ

少女(……そう言えば、こうして側近さんの寝顔を間近で見るのは初めてだな)ジッ

少女(短くて硬めの青い髪……額に角がある少し狼に似た顔……人とは似ても似つかないけれど、私は大好き)

少女(それでも魔王様と似通っているんだから、兄弟って凄いな~)マジマジ

少女(……あれ? な、何だかどきどきしてきた……お姫様もいないのに)カアッ……

少女(考えてみたら、こうして誰かに膝枕するのは初めてかも……)

少女(というか、どうしてあんなに普通の流れでこうなったの……?)

少女(帰ったら、お、お姫様に……相談、しなきゃ……!)アワアワ ナデナデ

少女(……そう言えば、魔王様達は大丈夫かな?)

早いですが、キリが良いので今回はここまで。
そろそろ次スレへ移行する準備をしなければ……!

おやすみなさい。

こんにちは。
最近ますますPCの調子がおかしな事に……名前欄もすぐ真っ白になるし。

とりあえず今回も進めていきます。


――――
――

同時刻 魔王城

魔王「……」ザッザッ

姫「……」テクテク

妖精「」パタパタ

魔王「……そなたにはここでしばし待っていてもらう」ピタッ

姫「ここは……確か宝物庫、でしたか」

魔王「そうだ。よく覚えていてくれたな」

姫「少女さんが一生懸命教えてくださいましたからね。それで、ここに何が?」

魔王「……そなたと少女に今のうちに渡しておきたい物がある」

姫「渡しておきたい物……ですか」

魔王「ああ。所謂万が一の時の備えというものだ……では」ガチャッ……バタン


姫「……」

妖精「」ピトッ

姫「妖精さん……少女さんも、側近さんも……本当に大丈夫でしょうか」ツンツン

妖精「!」

姫「勿論、信じていないわけではありませんが……」

魔王「ぐ、あぁ……っ」

姫「!? 魔王様、如何なさいました!?」ギュッ

魔王「あ、開けるな姫! 心配ない……」

姫「魔王様……ですが」

魔王「頼む……」

姫「っ……わかり、ました……」グッ

妖精「」オロオロ


魔王「……待たせてしまったな」ガチャッ……

姫「いえ、そんな事は……魔王様、その手っ……!」

魔王「大した事はない……むしろ効力が保たれていて安心した」

姫「効力って……」

魔王「さあ、これを……」シャラッ

姫「これは……首飾り?」

魔王「ああ。あらゆる『魔』を時に退け、時に排除する効力を持つ……聖なる首飾りだ」

姫「そんな貴重な品を……私に?」

魔王「幸い2つあってな……ずっと昔、先代が原形を留めぬ両手で辛うじて持って帰って来たのだ」

姫「ッ……!」

魔王「……このような血生臭い物でも、そなたや少女の助けにはなろう。どうか……受け取ってはもらえぬだろうか」


姫「……貴方から頂く物を、拒む道理が何処にありましょう? ましてや、そんなにお手を傷だらけにされてまで私にくださるのに……」スッ

魔王「姫……」

姫「ありがとうございます。大切にします……」ギュウッ……

魔王「大袈裟だな……それが奴に何処まで通用するかはわからぬというのに。魔王の一族の者が、こうして触れた部分にダメージを受ける程度の効力だからな……」

姫「それでも心強く思いますわ。嗚呼、それよりも早く手当てを……!」

魔王「平気だ、これ位……少し治りは遅くなるがじきに癒える。魔族の回復力を侮らないでいただきたい」

姫「ですが、痛むのでしょう……?」ウルッ

魔王「う……まあな。ああそうだ、良ければ少女の分まで預かって……」シャラッ……

姫「まだお持ちでしたの!? 早くお渡しくださいませ!!」サッ

魔王「あ、す、すまぬ……どちらも念入りに拭ったが、我の血は付着してはいないだろうか?」ハラハラ

姫「大丈夫ですわ! それよりも魔王様は御自分の身を案じてくださいな!!」ビシッ

魔王「う、うむ……」タジタジ


妖精「」ジーッ

姫「はっ……! ご、ごめんなさい私ったら……つい」カアッ……

魔王「い、いや……寧ろ悪い気はしない。そんなに我の事を気遣って貰えるのは」

姫「魔王様……」

魔王「そなたと、少女位だろうな……人の身で我の事を案じてくれるのは」

姫「そんな事はありません……貴方の事情と内面を知れば、きっと……」

魔王「だが何れにせよ、皆我の前からいなくなるのだ……そういった事は無意味というもの」

姫「ッ! ……それは……魔王様が少女さんの記憶を消されるからですか?」キッ

魔王「なっ……!」

姫「……もしかして、私の記憶も同様になさるおつもりでしたか?」


魔王「いや、そのような事は……」

魔王(側近……話すのが少々早過ぎだ……!)

姫「何にせよ、幾ら魔王様でもそのような横暴は許せませんわ! 少女さんの気持ちも知らないで……!」

魔王「……少女のためなのだ。何時までもあの子をここへ縛り付けたくはない」

姫「そうやって、自分以外を遠ざけて……貴方は、何もかも1人で抱え込み過ぎです。どうか私にもそれを共有させてください……!」

魔王「……何故そうする必要がある。そなたは元々部外者だろう? ……あまり調子に乗るな」ジロッ

姫「! ……そう、でしたわね……出過ぎた真似をして申し訳ありません。部屋に戻っております」ペコリ……タタタッ ポタッ……ポタッ……

妖精「……」ワナワナ……ギロッ パタパタパタッ……

魔王「……」

魔王(これで、良い。私だけが悪者になり……消えてしまえば)

魔王(だが、この胸の苦しみは堪えるな……姫を見送った時の苦しさとは違い、不快だ)

魔王(このような苦痛を味わう位ならば……やはり姫と必要以上に関わるべきではなかったか?)


魔王(いや、少女は人間の友人ができたと喜んでいた。小妖精も同様に)

魔王(側近も……最初は姫がここに来る事に抵抗があったが、今はもう……)

魔王(……では、私はどうなのだ? あの黄金の髪に触れた時の私の気持ちは……)ズキッ

魔王「! ……そうだ、私にそのような無駄な事を考えている暇はない」グッ

魔王「さあ、早い所結界を張り……封印を強化しなければ」ザッザッ……

――――
――

姫の部屋

姫「……」ポロポロ

妖精「」オロオロ

姫「嗚呼、妖精さん……大丈夫。魔王様が本心であのような事を仰る筈がありません」ニコ……

妖精「……」


姫「それでもやはり……お慕いする方からあのような事を言われるのは悲しい」

姫「……このような気持ちは初めてですわ」

妖精「……」

姫「……ですが、何時までもめそめそしている訳にはいきません!」スッ フキフキ

妖精「!」

姫「少女さんからあんな事を聞いた以上、私はそれを阻止したい……」ギュッ……

姫「妖精さん、どうか協力していただけませんか?」

妖精「……」……コクン

姫「……ありがとうございます」ナデナデ

妖精「」ポンポン

姫「ふふ、お返しですか? 嬉しいですわ」ニコッ


――――
――

魔王の部屋

魔王「……」グッタリ

魔王(流石に2つを続けてやるのは無理があったか……体が動かん)

魔王(先にやった封印強化はともかく、結界の方は不安が残る)

魔王(後でもう1度確認をせねばな……)

姫「……魔王様、いらっしゃいますか。入ってもよろしいですか?」コンコン

魔王「!? 姫……?」

姫「失礼します」ガチャッ……

魔王「姫……何故」


姫「あのお2人から、魔王様の事は任されていますからね」ニコッ

魔王「……我はそなたにあのような事を言ったのだぞ。嫌にならないのか」

姫「確かに悲しくはなりましたが……嫌いになど、なりません。あれが魔王様の本心ではない事はお見通しですから」

魔王「……」

姫「それに今だって、私がここに来るのを拒まずにいてくださるではありませんか」

魔王「! ……そなたには敵わぬな」

姫「ふふ」スタスタ……ストン

魔王「……姫は本当に変わっておる。仮にも魔王の部屋に来て平然としておるなど……」

姫「きっと魔王ではなく、友人として見ているからでしょうか(本当はとても緊張しておりますわ……!)」

魔王「そういうものか?」

姫「そういうものですわ」


魔王「……人間が」

姫「はい」

魔王「皆少なからず姫のような心を持っていれば、側近は……弟はあのような思いをしなくて済むのだろうか」

姫「……」

魔王「ローブのフードを目深に被らなければ満足に買い物ができず、うっかり見られてしまえば……考えたくもない」

姫「魔王様……」

魔王「……このような生活を始めて間もない頃、あ奴は都へ行った日は必ずと言っていい程泣きそうな顔で帰ってきていた」

姫「!」

魔王「そしてやがて……外へ出ても何の表情も出さなくなった。あんなに外の世界を求めていたというのに」

姫「……」

魔王「忘却の魔法で人間の記憶は消せても、こちらの心の傷は消せない……難儀な事だ」


姫「……私達が、至らないばかりに……!」

魔王「姫のせいではない。寧ろそなたには感謝しているしな……」

姫「ですが……」

魔王「それに、姫にそんな顔をさせたくてこのような事を話したわけではない」

姫「!」

魔王「先程、そなたが言った事を思い出してな……」

姫「あ……」

魔王「これはまだ、ほんの一部でしかないが……やはり酷であったか」

姫「いえ……そんな事はありません! 話してくださり、ありがとうございます……!」ペコッ

魔王「礼など、大袈裟だ……それにしても、やはり姫には」

姫「?」

魔王「そのような明るい表情が1番相応しい。少女と同じくな」フッ


姫「ッ……! そ、そそ、そんな、そんな事……!」カアアッ……

魔王「?」

姫(不意打ちですわ……! これは少女さんがお戻りになったら報告しなければ!)ドキドキ

姫(と、とりあえず今は話題を換えないと……そうですわ!)

姫「そう言えば魔王様! 以前した約束を覚えていらっしゃいますか?」

魔王「約束?」

姫「ええ。何時か少女さんが作られたぬいぐるみを見せてくださるという……」

魔王「! ああ……」

姫「このような時に言うのは、緊張感が足りないのかも知れませんが……」

魔王「……いや、丁度良い機会だ。少し待っていてくれ」スッ……

姫「ええ……」ホッ


魔王「……姫、これがその兎のぬいぐるみだ」

姫「まあ、これが……とっても可愛らしいですわね」モフッ ナデナデ

魔王「少々古ぼけてしまっているがな……可笑しいだろう? 仮にも魔王がこのような物を宝物にしているのだから」

姫「いいえ! それが魔王様、貴方らしいと思いますわ……」ニコッ

魔王「! ……ありがとう」

姫「……これで、魔王様との約束は皆でピクニック以外、なくなってしまいましたわね」

魔王「それは……いや、そうだな」

姫「……嗚呼、そう言えば私、魔王様にお伝えしたい事が」

魔王「?」

姫「それは……ふふっ、今度お話しましょう。ぬいぐるみお返しします」スッ

魔王「……え?」ポカン


姫「次の約束ですわ。運命の日が終わった後……貴方に大切な言葉を伝えます」

魔王「! 姫、それは……」

姫「だから、どうか……生きてください。これからも」スッ

魔王「姫……」

姫「……そろそろ、お2人がお戻りになる頃でしょうか。先にお迎えに行きますね」スタスタ……ガチャッ パタン

魔王「……」

姫(あああ、少々強引でしたでしょうか……! 一生の不覚ですわ……!)パタパタパタ……

姫(これは一刻も早く少女さんにお伝えしなければ……ああ、それにしても思い出すだけで恥ずかしい……っ!)カアアッ

今回はここまで。
何だかんだ言って結構前向きな姫です(笑)

それにしても、ここまでダラダラと引っ張ってしまい申し訳ありません……!
進めたいのにいざ書こうとすると進まないというジレンマ……情けない。

おやすみなさい。

乙。頑張ってくれ


こんばんは。
遅くなりましたが更新再開します。
現在終盤の構成に頭を抱えている状態です。
番外編などのネタはどんどん浮かぶのに……!


――――
――

森の中


側近「ん……」パチッ

少女「あ、側近さん目が覚めた?」ナデナデ

側近「! ……少女、まさかずっと撫でていてくれたのか?」カアッ……

少女「うん。少しは楽になった?」

側近「お陰様でな……だが、お前こそ腕や膝が疲れただろう」ムクッ

少女「平気だよ。そんなに時間は経ってないしね……側近さんは、もう大丈夫?」

側近「大丈夫も何も、これ以上魔王様達を待たせる訳にはいかん……行くぞ」スッ

少女「……無理、しないでね?」ギュッ

側近「! ……ああ」ギュッ


――――
――

魔王城前


少女「……あ、お姫様だ! お姫様~!」フリフリ

側近「どうやら魔王様は相当お疲れのようだな……」

姫「~~~!」フリフリ

少女「? お姫様の声が聞こえない……」

側近「ふむ、結界が正常に働いている証拠だな……この分ではこちらの声もあちらには届いていないだろう」

少女「そうなんだ。じゃあ、気をつけて中に入らないとね……」

側近「ああ……私の手を離すなよ」ザッザッ

少女「う、うん……」テクテク


側近「……」ブツブツ

少女「?」

側近「……」ザッザッ……スウッ

少女「!」スタスタ……スウッ

側近「ふう……初めてにしては上手くいったな」

少女「側近さん、今の呪文は?」

側近「結界に少しの間1人分の隙間を開ける……簡単に言うなら、結界という名の扉を開ける鍵のようなものだな。少し前に魔王様と私で独自に編み出したんだ」

少女「へえ……じゃあ、その呪文がなくても入れる勇者様って、何だか私達の生活を盗む泥棒みたいだね」

側近「……例えとしてはあんまりだが、確かにそれ以外思いつかんな」

少女「でしょ?」クスクス


姫「少女さん! 側近さん!」パタパタパタ……

少女「お姫様、ただいまー!」

姫「お帰りなさいませ! 本当にお疲れさまでした……お2人ともご無事で何よりですわ!」ギュッ……

少女「あはは、大袈裟だな~」

側近「姫君、我らの留守中に何か異変はなかったか?」

姫「ええ……魔王様も、何時も以上にお疲れでいらっしゃる以外は特にお変わりありませんわ」

側近「そうか……良かった」

少女「お姫様もお疲れ様~。本当に大丈夫だった?」

姫「ええ、大丈夫ですわ。ところで私、少女さんにお伝えしたい事が……」ニコッ

少女「奇遇だね、私もだよ!」ニコッ

側近「全く……これでは緊張感があるのかないのかわからんな」


姫「すぐにでもお話したいですが……まずはお2人とも魔王様の所へ向かわれた方がよろしいですわね」

少女「そうだね……行こう、側近さん」

側近「ああ」

姫「私は仮の自室へと戻っていますね。妖精さんをお待たせしていますから」スタスタ

少女「うん、わかった。また後でね~」パタパタ

側近「……」ザッザッ

――――
――

魔王の部屋


魔王「……2人とも、よく無事に戻ってきてくれた」

少女「もう、魔王様ったらお姫様とおんなじ事言ってる」クスクス

魔王「! そ、そうなのか……」

少女「?」


魔王「と、ところで側近よ、そちらの首尾はどうだ?」

側近「は……慣れない言動をしたのでやや不安がありますが……多くの人間の恐怖を煽る事ができたのは、確かです」ギュッ……

魔王「そうか……何はともあれご苦労であった。お前がそこまで頑張ったんだ、きっと上手くいく」

側近「……魔王様も、我らがいない間無事に術を施されたようで何よりです」

魔王「うむ、その事なのだが……実は少し結界の調子に不安があってな」

側近「! 我らが先程通り抜けた際は何の異常も見受けられませんでしたが……念のためもう1度確認して参ります」

魔王「そうか? ではすまぬがよろしく頼む……勇者達以外は何人たりとも入れてはならぬからな」

少女「魔王様……体、大丈夫? 動けない位辛いの?」ギュッ

魔王「いや、平気だ……これでも大分回復してきたしな。お前が心配する事は何もない」ナデナデ

側近「……」


今回はここまで。
とりあえず何とか流れを整理しなくては……。

おやすみなさい。


番外編だろうが好きに書いたらいいと思うよ

番外編読みたいって思ってる


こんばんは。
頂いたお言葉があまりに嬉しかったからか、ネタが更に分裂しました(ぇ)
書くとしたらどれを書こうか……。

因みに今の流れ的に書けそうなのは、

・衣装を取り換えてみた
・暗黒野菜事件(幼女時代のトラウマ←)
・髪形変えてみた
・思い切って姫に友達を紹介する少女
・妖精の画力
・膝枕
・花占い

と言った所ですかね。
新旧入り混じり、かつ暗黒野菜事件以外はほとんど短い&小ネタ的な話です。
話のキリが良い所で、気が向いたらどれかを投下するかもしれません。
もしもこの中で優先的に読みたいものがあればお知らせください←
残りレス数の都合上、次スレに持ち越しになるかもしれませんが……変則的な書き方ですいません。

とりあえず本編を進めていきます。


――――
――

姫の部屋


妖精「」スリスリ

少女「妖精さん、ただいま。こっちに来るのが遅くなっちゃったね」ギュッ

姫「少女さん達が魔王様のお部屋へ行っている間、心配のあまり部屋中を飛び回っていたんですよ?」クスクス

少女「そうなの?」

妖精「」ピトーッ

姫「大方、側近さんに何をされたのか不安だったんでしょうね……」

少女「何をされたか……あ」カアッ

姫・妖「!」


少女「その事なんだけど……」ドキドキ

姫「何ですか? 一体何がおありになったんですか? 大変気になりますわ……!」

妖精「」ゴゴゴゴゴ……

少女「そ、そんな期待するほどの事でもないかもしれないよ?」

姫「少女さんのそのお顔を見ればわかります……ただならぬ事があったのだと」

少女「うう……思い出すだけで恥ずかしくなってきた。ねえ、良かったらお姫様から話してくれない?」

姫「! ……わかりました。私こそ、あまり面白い進展はありませんが」

少女「ううん、そんな事ないよ! 是非聞きたいな~」

姫「で、では……」ドキドキ

妖精「」パタパタ


――――
――

姫「……と、こんな所でしょうか」ポッ

少女「……」プルプル

姫「? 少女さん?」

少女「私の初めて作ったぬいぐるみ……ついにお姫様に見られちゃったんだね」

姫「あの、本当に良くできていると思いましたわ」オロオロ

少女「うう……ありがとう。それにしてもお姫様」

姫「はい?」

少女「……魔王様との距離、少し近付いたみたいで良かったね」ニコッ

姫「! そ、そうでしょうか……」ドキドキ

少女「うん。だって魔王様ったら普段あんまり私達の前で弱音を吐かないからね~。側近さん以上に」


妖精「」コクコク

少女「私にもたまにしかそういう事言わないし、お姫様はもっと自信持っていいと思うよ」

姫「少女さん……ありがとうございます。この調子で魔王様の苦しみを少しずつ軽くできたら良いのですが……」

少女「きっと大丈夫だよ~」

妖精「」グッ

姫「……そうだわ、すっかり遅くなってしまいましたが魔王様からの預かり物をお渡ししなければ」ゴソゴソ

少女「ああ、さっき言ってた魔除けの首飾り?」

姫「ええ。少女さんがこちらに来た時にすぐに渡すつもりが……ごめんなさいね。ああ、これですわ」スッ

少女「わあ……綺麗だね」キラキラ

姫「運命の日、これを肌身離さず持っておくようにとの仰せですわ……私も」シャラッ……


少女「ふふ、お揃いだね」ニコッ

姫「ええ、お揃いですわ」ニコーッ

少女「じゃあ、確かに受け取ったからね」シャラッ

姫「はい……では次は、いよいよ少女さんの番ですわね」

少女「あ……」

姫「何があったのか、じっくり聞かせてくださいね~」ズイッ

妖精「」ジーッ

少女「あ、あはは……うん」タジタジ


――――
――

少女「……ってな感じだったんだけど……」

姫「……」

妖精「」プルプルプル……

少女「あ、あの……お姫様?」

姫「……はうっ」ボンッ

少女「!?」

姫「公開吸血に……膝枕……お2人とも幾らなんでも飛ばし過ぎですわ……」プスプスプス……

少女「あの、血を吸われたのは作戦のうちだからね……?」

妖精「……~~~~!!」ウガーッ

少女「!? よ、妖精さん!?」


妖精「」ガチンガチンッ……パタタタタッ

少女「ちょ、そんな歯を鳴らしながら何処に行くつもりなの妖精さんっ!」ガシッ

妖精「~~! ~~~~ッ!!」ジタバタ

姫「ああもう、本当にご馳走様ですわ……うふふふふ……!」ポワーン

少女「お姫様も止めてよ~!」

――――
――

夕食時

側近「ッ!?」ブファッ

魔・少・姫「!?」ビクッ

側近「げほっ……しょ、少女……このスープに何を入れた……?」ゴホゴホ


少女「何をって……特別な物は入れてないよ?」オロオロ

側近「……! 底の方に砂糖の塊が……」ジャリジャリ

少女「え……? このスープはお砂糖は使わないのに……」

妖精「」ニヤニヤ

側近「ッ……貴様か」ジロリ

魔王「大丈夫か側近……ほら、水を飲んで落ち着くのだ」スッ

側近「は、はい……」ゴクゴク

姫「妖精さん、駄目でしょうそんな事をしては」

少女「そうだよ! ほら、側近さんに謝って!」

妖精「」プイッ

側近「……陰険な奴だな、全く」ガブッ……ガチンッ

魔王「!?」


側近「! ……今度はパンの中にヘアピンか」

妖精「」プークスクス

側近「これ以上……少女の料理を粗末にするのは許さんぞ」ユラリ……

魔王「怒る所はそこなのか側近よ……!」

姫「伊達に妖精さんと対立してはいませんわね……」ゴクリ

少女「ふ、2人とも止めてよ~」オロオロ

妖精「」ベーッ

側近「少女、止めるな……お前の作った物をこのようにされて黙っているわけにはいかん」

少女「で、でも……」

妖精「!」ゴゴゴ……

側近「来い、小妖精……貴様に屈辱の2文字を教えてやる……」ゴゴゴゴ……


キリが良いので今回はここまで。
シリアス展開の筈なのに何故こうなった……!←

おやすみなさい。

四円

こんにちは。
支援ありがとうございます。
ゆるりと更新再開です。


――――
――

少女の部屋

少女「妖精さんも、側近さんも、本当にいい加減にしてよね! 勇者様が何時来るかわからないのに……」

姫「まあまあ、少女さん。妖精さんも反省しているようですし、その辺で勘弁して差し上げたら如何ですか?」

妖精「……」ショボン……

少女「そう言われても、あれは絶対やり過ぎだよ!」

姫「妖精さんなりに、きっとこの緊張した状態を和らげようと頑張ったんですよ。そうでしょう?(本当の事は伏せておきましょう)」

妖精「」コクン……

少女「でも……」

姫「もうしませんよね? 妖精さん」ニコッ

妖精「」コクコク

姫「ほら、1番のお友達を信じてあげましょうよ。ね?」


少女「……わかった、お姫様に免じて許してあげる。でももうあんな事しちゃ駄目だよ?」

妖精「!」コクンッ

姫「……」ホッ

少女「じゃあ、そろそろ寝よう。色々あって疲れたしね」ポフンッ

姫「ええ、そうですわね。体力もつけておかなければいけませんし」ポフッ

妖精「」パタパタパタ……モフッ

少・姫「おやすみなさい」

――――
――

少女「……」パチッ……ムクッ チラッ

姫・妖「」スヤスヤ

少女「……よし」スッ……ガチャッ パタン


――――
――

側近の部屋

側近「……」カリカリ

側近(そろそろ寝るか……)パタン ゴソゴソ

少女「側近さん……今、大丈夫?」コンコン

側近「!? 少女……」

少女「遅くにごめんね。お姫様と妖精さんが眠るのを待ってたらこんな時間になっちゃった」

側近「……とりあえず入れ」

少女「……」ガチャッ……パタン

側近「どうした? 家族とはいえ、うら若き娘が夜遅くに男の部屋に来るのは感心できるものではないな……ましてや私はお前にあんな事をしたというのに」

少女「ごめんなさい……どうしても知りたい事があったから。勇者様が来る前に」テクテク


側近「そうか……」

少女「……あ、この猫さん」

側近「ああ。お前が私のために作ってくれたものだ」

少女「大切にしてくれてるんだね……嬉しいな」ナデナデモフモフ

側近「お前が作った物を無碍に扱うわけがなかろう?」

少女「えへへ……そっかー」フニャッ

側近「それにしても、魔王様の兎に対して碧眼の黒猫とはな……」

少女「目の色は側近さんとお揃いだから、良いと思ったの」

側近「……もう、傷は癒えたか?」

少女「うん……あんな事は、側近さんも魔王様もしないってわかってるしね」

側近「ほんの少しとはいえ、泣きながらあれを贈られた時は驚いたぞ」

少女「そうだよね……ごめんね。縫いながらついあの時の事を思い出しちゃったから」


側近「……思えば、お前と出会ってから」

少女「ん?」

側近「本当の意味で『人間』を知る事が出来たような気がする。お前達も、本質は我らと変わらんのだな」

少女「……そうだね。でも、私は今でも人が少し怖いよ。これって変かな?」

側近「いや……変ではない。あのような目に遭っていたのだから尚更だ」ナデナデ

少女「側近さん……」ギュッ

側近「……それで、どのような要件でここへ来た? こうして昔話をするためではないだろう?」

少女「あ……そうだった。まずは謝らないと!」パッ

側近「謝る?」

少女「ほら、以前側近さんが、魔王様が自由になるために協力してくれって私に言ったでしょ? なのに私、何も……っ」ウルッ

側近「! その事か……」


少女「本当に、ごめんなさ……っ!」

側近「良いんだ。あまり気に病むな」ギュッ……ナデナデ

少女「側近さん、でも……」

側近「良く考えてみれば、魔王様と2人で過ごすようになってからの数十年間見つからなかったそれが、今更あっさり見つかる筈がない」

少女「数十年……そういえば都でも言ってたけど、2人だけでここで過ごした年月ってどれ位?」

側近「ふむ……そうだな。ざっと30年程か」

少女「30年!? えええっ!」マジマジ

側近「それ程意識した事はなかったがな。魔族は特定の成長期以外はほとんど外見が変わらんからな」

少女「……知らなかった。10年も一緒にいたのに」シュン……

側近「話す必要がないと思ったからだ。別に秘密にしていたわけではない」


少女「うー……それでも、何だか悔しいな」

側近「そうか。それは悪かったな……では詫びの印に今なら何でも答えてやろう」

少女「! 本当に?」キラキラ

側近「ああ。勿論ある程度の限界はあるがな」

少女「じゃあ……ここに来た目的のメインについて訊こうかな」

側近「……話してみると良い。遠慮せずに」

少女「うん。あのね……私の髪飾りを売ってた教会の伝説が知りたいの」

側近「!」

少女「舞踏会では聞きそびれちゃったし、お姫様は知ってるけど、買った側近さんに訊くのが良いって言ったから……」

側近「……そう来たか」


少女「ずっと気になってたんだ……教えてくれる?」ジッ

側近「……」スッ ゴソゴソ

少女「?」

側近「……これを」

少女「随分と年季が入ってる感じの本だね……」マジマジ

側近「その教会の聖書だ。主な伝説の部分は冒頭にあるからわかりやすいだろう……貸してやるから自分で読むと良い」

少女「えっ……私は側近さんから訊きたいんだよ!」

側近「私の口から語るには、これは……酷だ。お前が怖がるかもしれん」

少女「大丈夫だよ。お願い、聞かせて?」ジーッ

側近「……後悔しても知らんぞ」


少女「しないよ。きっと」ニコッ

側近「……わかった。ではそこへ座れ」ペラッ……

少女「あ、できれば側近さんの膝に座りたいな。昔みたいに」

側近「! な……」

少女「何度かそうやって読み聞かせしてくれた事があったでしょ? お願いっ!」ギュッ

側近「お前……一体いくつになったt」

少女「……」ウルッ

側近「……仕方ないな。これっきりだぞ」ポンポン

少女「!」パアッ

側近「そんなお子様なお前には……語る伝説も子供向けの簡単な記述の方で良いな」ペラッ

少女「うん♪」ストンッ ワクワク


側近「では、始めるぞ……(理性よ、堪えてくれ……!)」スッ

少女「」ドキドキ

側近「……『むかしむかしあるところに、いったいのまものがおりました。』」

――――
――

側近「……どうだった?」パタン……

少女「……」ポロポロ

側近「! 少女……」

少女「……側近、さん……ぐすっ、私……これからも大切にするから……髪飾り……」

側近「……ああ」ナデナデ

少女「だから……これからも、ずっと一緒にいてね?」ギュッ

側近「……勿論だ」ギュッ


少女「」ホッ

側近「……少女。この話を聞いた後で悪いが」

少女「何?」

側近「……今、お前の血を飲んでも構わんか? できれば……首からが良い。都でやったようには絶対にしない……頼む」サラッ……ペロリ

少女「んっ……勿論、良いよ」

側近「すまん……っ」ガッ……ブツリ

少女「っ……あ」ビクンッ

側近(嗚呼、俺は……本当にけだものだな)ゴクッ……ジュルリ

側近(痛そうな少女の声を聞いて……密かに喜んでいるのだから)ズルルッ……ペロッ

側近(……その上嘘吐きだ)ゴクン……ッ


少女「はあっ……落ち着いた?」クタッ……

側近「ああ……何度も本当にすまない」ポウッ

少女「大丈夫だよ……えへへ、治癒魔法2回目だね」

側近「……そうだな」

少女「側近さん……私は、絶対に貴方を嫌いにはならないからね?」スッ……チュッ

側近「!」

少女「ふふっ……あ、もう治ったみたいだから行くね。色々とありがとう、おやすみなさい」

側近「……あ、ああ、おやすみ」

少女「♪」ニコッ テクテク……ガチャッ パタン

側近(少女……何があってもお前だけは……)ギュッ……


今回はここまで。
自分の考える魔族の成長は遅くて早いです(笑)

終盤、どうにか少しずつまとまりつつあります。
後は次スレに移行するタイミングが……!
できれば今週中には立てたいですね。

おやすみなさい。

乙。

なんとか幸せな結末を迎えて欲しいが……


こんにちは、何時も読んでくださりありがとうございます。
熟考の末、急ですが本スレの今の部分で本編を切り上げ、次スレへ移行する事にしました。
その前にレス数が残っているので、ここからは以前から言っていた番外編を投下します。

>>967ありがとうございます。
自分の思い描く結末に上手く舵を切れるよう、より一層慎重に進めていきたいと思います。


小話「2人の花占い」


少女「お姫様あー! 何処~?」タタタッ キョロキョロ

妖精「」パタパタ

少女「もう、この大変な時に……何処行っちゃったんだろう。ねえ、妖精さん?」

妖精「」コクコク

少女(もし、この事が魔王様と側近さんにばれたら……考えたくもないなー……)ブルッ

少女「城内の心当たりのある場所は粗方探したし……後はお庭かな。流石に敷地内にはいるよね」

妖精「」パタパタ

少女「そうと決まれば、行こう妖精さん!」タタタッ

妖精「!」コクンッ パタタタ……

妖精ちゃんカワユス(・∀・)
>>1がんばれー!

>>970ありがとうございます!


――――
――

城の庭

少女「……あ、いたー!」タタタッ

姫「! 少女さん、妖精さん」

少女「探したよー。このまま見つからなかったらどうしようって思ったよ~」フウッ

姫「ごめんなさい、ご心配をおかけしました」ペコリ

少女「魔王様と側近さんには気付かれなかったから良かったけど、今度からは気をつけてね……そう言えば、どうしてここに?」

姫「お茶会の時に拝見してから、改めてこのお庭をゆっくり眺めてみたいと思っていたんです」

少女「そうなの? お姫様のお城にもあるでしょ?」

姫「私の所は、庭師が定期的に整えてくれますからあの状態を保っていますが……このあるがままの風景もとても美しいと思うのです」

少女「ふうん……こっちはたまに側近さんと手入れをする位だからなー」


姫「ふむふむ、完全にそのままにしているというわけでもないんですね」

少女「うん。少しは草むしりをしたりするよ。魔王様も調子が良い時に手伝ってくれるし……」

妖精「」クイクイ

少女「あ、勿論妖精さんもだよ!」ツンツン

姫「ふふ……思い浮かべると微笑ましい光景ですわね。これらの植物の中で、改めて自分達で植えた物はありますか?」

少女「ううん、特にないかな……迂闊に種を植える事も出来ないしね」ズーン

姫「……嗚呼、あの事件でですね」

少女「うん……栽培はこりごりだよ。村にいた頃は毎日のようにやってたけどね」

妖精「」パタパタ クイクイ

姫「! 妖精さん、どうしました?」

少女「あ、そうだね。せっかくだから行こうか……私達のもう1人の家族の所に」


――――
――

兎の墓

少女「ここだよ」

姫「この下に……兎さんが」

妖精「」パタパタ スッ……パラパラッ

姫「! 妖精さん、何時の間にお花を……」

少女「そこが妖精さんの不思議な所なんだよね~」プチプチッ……スッ

姫「あ、私も……」プチッ スッ

少女「兎さん、紹介するのが遅くなっちゃってごめんね……私にとって、初めての人間のお友達だよ」

姫「初めまして……姫と申します」ペコッ


妖精「」パラパラ……

少女「私達、もうすぐ大きな転機を迎えるよ……勇者様が来るから」

姫「……」

少女「魔王様は、その事ですべてを背負いこもうとしているの。酷いよね、私達にも少しは持たせてくれても良いのに」

妖精「」パタパタ

少女「……だからお願い、魔王様の事をどうか守って……私達も頑張るから、まだそっちに連れて行かないで……っ」ジワッ……

姫「少女さん……」ギュッ

少女「あ、ご、ごめんね。お姫様の紹介なのにこんな……」ゴシゴシ

姫「構いませんわ……兎さん、私も少女さんの友として精一杯協力しますので、どうかよろしくお願いします」ペコッ

妖精「」パタパタ……ペコリ

今回はここまで。
兎は妖精が何気に唯一敬意を払っている相手です(笑)

おやすみなさい。


こんばんは。
現在本編の内容が上手く文章にならず、書き溜めに少し難儀している状態です……。
移行に時間がかかっていて本当に申し訳ありません!
もういっその事、次スレは番外編から始めようかとか考えている自分がいます←

とりあえず更新再開です。


少女「お姫様はね、魔王様の事が好きなんだよー」ニコニコ

姫「しょ、少女さん、幾ら私達しかいないとはいえ恥ずかしいですわ……!」カアッ

少女「そう? でもこの事も兎さんに報告した方が良いと思って」

妖精「」ウンウン

姫「うう……と、と言うわけですから兎さん、改めてお願いします……どうか魔王様をお守りください」ペコリ

少女「お姫様は本当に良い人なんだよ。魔王様の事も、側近さんの事も受け入れてくれたの……この前のパンケーキだって……」

――――
――

姫「す、すっかり……兎さんの墓前での報告に夢中になってしまいましたわね」

少女「そうだね……2人共私達の事探しているかも……」ズーン

妖精「」オロオロ

姫「と、とりあえずあのお2人には正直にお伝えしましょう! きっと許してくださいますわ」ギュッ

少女「だと良いけどね……」


姫「じゃあ、お城の中に入る前に……少し気持ちを落ち着けましょうか」スッ……プチッ

少女「? お花でどうやって……花輪でも作るの?」

姫「それも良いですが、今回はもう少し乙女なやり方でいきましょう」

少女「?」

姫「花占いをご存知ですか? 好きな相手の事を思い浮かべながら、こうやって花弁を1枚1枚ちぎります」プチップチッ

少女「へえ……」

姫「1枚ちぎるごとに『好き』『嫌い』と交互に唱え、最後に残った1枚で『好き』が出たら……両想いになれるというおまじないですわ」

少女「成程ね~。でも、それで『嫌い』が出たら何だか悲しいね……」

姫「……そ、その時は別のお花でもう1回ですわ!」ビシッ

少女「も、もう1回?」


姫「とりあえず1回やってみましょう! はいっ」スッ

少女「う、うん……ありがとう」

姫「好き、嫌い、好き……」プチッ プチッ……

少女「す、好き……嫌い……」プチッ……プチッ……

姫「……好き! やりましたわ!」プチッ

少女「……嫌い」プチッ……

姫「あ……」

少女「……」ウルッ

姫「あああ少女さん泣かないでくださいな~!」オロオロ

妖精「」オロオロ

姫「さ、さあもう1度!」スッ


少女「うん……好き、嫌い……」プチップチッ

姫「今度こそ……」

少女「……嫌い」プチッ

姫「……!」

少女「……」

姫「あ……諦めてはなりません! さあ、もう1度!」スッ

少女「でも……」

姫「大丈夫、どうか私を信じてください!」

少女「う……わかった」

妖精「」フレーフレー ワーワー


――――
――

少女「好き……嫌い……好き……嫌い……」プチップチッ

姫・妖「……」ドキドキ

少女「好き……嫌い……好き! やったー!」ピョンッ

姫「ついにやりましたわね!」

妖精「!」キャッキャッ

少女「うんっ! 諦めずにやった甲斐があったね!」

姫「でしょう? さあ、中へ入りましょう! この調子ならきっと大丈夫です」

側近「ほう、何が大丈夫なんだ? 姫君」

少・姫・妖「」

側近「是非教えて頂きたいものだ」ゴゴゴゴゴ……

今回はここまで。
多分次回で終わらせられるかと思います。

おやすみなさい。


こんにちは。
更新が大幅に遅れてしまい、本当にすいません!

再開します。


――――
――

側近「花占い、か……確かにお前達にとって楽しいものかもしれんが、だからといって今の状況で勝手に城から出るのは感心できんな……」

少女「うう……」

姫「ごめんなさい側近さん。ですが、勝手に外へ出たのは私です。少女さんは探しに来てくださっただけですわ」

側近「……とにかく、今後はこのような事がないように」

少女「はーい……戻ろう、お姫様」

姫「ええ……」

妖精「」ベーッ パタタタ……

少女「……お姫様」ヒソッ

姫「?」

少女「……楽しかったよ。またやろうね?」

姫「! ……はい」ニコッ


側近「……」

側近「……」スッ……プチッ

側近「……」プチッ……プチッ……

側近「……」……プチッ

側近「……何をやっているんだ俺は」ハアッ……

側近「兎よ、お前の周りを花弁だらけにしてしまってすまんな」サッサッ

側近「あの方はまだお前の元へは行かせん……どんな手を使ってでもな」

側近「……お前だって、それを望んではいないだろう?」スッ

フワッ……ザアアッ……

小話「2人の花占い」終わり

乙。


これにて本スレは終了です。以下が次スレとなります。

「最弱魔王の決戦」
「最弱魔王の決戦」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1387874448/)

乙乙

おつ

宇目

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