声優「んギモッヂイィ〜///」(アタシ…何やってんだろ…)(461)

高校卒業後、声優になることを夢見て上京しはや四年…

理想と現実の狭間で思い悩みながらも、日々をたくましく生き…

自身が下宿するボロアパートの怪しい住人達との心暖まるほのぼの(時々エロエロ)なお話しを…

…誰か書いていただけませんか?お願いします

俺からも頼む

TDN「 んギモッヂイィ~///」

ああいうのってだいたい既婚者の声優じゃなかったっけ

>>3
NSD「(二軍に)イったね(ニッコリ」

スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」

     オツカレー

声優「お疲れ様でした」

―――――――――――

声優「……はあ」

声優(今週のお仕事はこれでおしまい……か)

声優(…………)

声優(アタシはまだマシな方なのかな)

声優(新しい娘や新人君も大勢見てきたけど……)

声優(残るのはほんの一部)

声優(4年のアタシは、どちらかといえば古株の方ね)

声優(仕事があるだけ幸せなのかもしれないけど……)

声優(4年もエロばかりなのは、正直、精神的にきつい)

声優(もちろん、作品を馬鹿にするつもりはないけど)

声優(たまにはエロ以外の作品にも出演したい……)


後輩「先輩~」

声優「あ、後輩ちゃん」

後輩「お疲れ様です。 良かったらこの後、ご飯でもどうですか?」

声優「そうね……うん! 食べよっか!」

後輩「やったぁ!」

声優(後輩ちゃん……ついこの前、と言っても3ヶ月前だけど)

声優(アタシみたいに高卒でこの業界に入ってきた娘)

声優(入る前から内情を知っていたみたいで、エロの仕事も)

声優(それ程抵抗はなかった感じだった)

声優(同じ高卒者、という事もあって、アタシは何かと面倒を見る様になっている)

声優(可愛らしい娘だし……夢であるアイドル声優になれるかもしれない)


後輩「どうしたんですか? 先輩?」

声優「ん? ううん、何でも無い」

声優「どこに行こっか?」

後輩「やっぱり庶民の味方! ヨシギューでしょ!」

     ラッシャイ

後輩「いただきまーす!」

声優「いただきます」

     モグモグ

後輩「くう~! 美味しい!」

声優「そうね」 クス

後輩「あ! 先輩、聞いてください」

声優「ん?」

後輩「私、来週からもう一本仕事が入ったんですよ!」

声優「へえ! よかったじゃない」

後輩「もう少し仕事が増えたら、アルバイトともおさらばです!」

後輩「頑張りますよ~私は!」

声優「ふふふ」

声優(……懐かしいな、アタシもそうだった)

声優(エロでも仕事が増えて、着実に自分は一歩一歩成長してるって)

声優(実感できていた)

声優(……アタシの方は、そこから長い足踏み状態)


後輩「ごちそうさま! あ~美味しかった」

声優「うん。 お腹いっぱいね」

後輩「これで明日も頑張れそうです!」

声優「アタシも負けないわよ~?」

後輩「あははは!」

声優「それじゃ後輩ちゃん、また来週にね」

後輩「はい! また来週です!」

     タッ タッ タッ

声優「…………」

声優「さ、アタシも帰らなくちゃ」

―――――――――――

声優「ふう……ついた」

声優「交通費でないから歩いて帰ってるけど」

声優「バス5停留所分の距離は辛いわね……」

     カン カン カン

声優「え~っと……カギは、と……」 ゴソゴソ…

??「あ……」

声優「あ……」

声優「こ、今晩は……」

??「今晩は、です」


声優(……この人、苦手だわ)

声優(隣の部屋の住人なんだけど……太ってて見るからにキモヲタっぽくて)

声優(アタシの出演してるエロゲーで抜いてそう)

声優(いつも部屋にいるみたいだし……得体が知れないのよね)


声優「じゃ、じゃあ……」

デブ「あ、はい」


デブ「…………」

デブ「…………」

デブ(いつもながら綺麗な人だ)

デブ(OLかなんかやっているんだろうな……)

デブ(……身だしなみ、少しは気を付けた方がいいんだろうけど)

デブ(面倒くさいんだよなぁ)

デブ(ま……こんな高卒の三流エロ漫画家なんかに言い寄られても)

デブ(嫌な顔されるだけだろうけど……)

デブ(はあ……)

     イラッシャイマセー

デブ(今日は何を食うかな)

デブ(……って言ってもビニ弁、食い飽きたけどな)

デブ(…………) ウ~ン…

デブ「……あ」

デブ(…………)

デブ(今日、週刊少年・飛翔の発売日か……)

デブ(…………)

デブ(……普通の漫画、描かなくなって)

デブ(どれくらいになっただろう)

デブ(…………)

デブ(止めよう、こんな事考えるの)

     アリガトウゴザイマシター

デブ(…………)

     テク テク テク…

??「あ、今晩は」

デブ「え?」

デブ「……ああ、お隣さんの歌手さん」

デブ「今晩は」

歌手「またコンビニ弁当っスか~?」

歌手「体に悪いっスよ?」

デブ(……うるせーよ)

歌手「ははは、と言いつつ、俺もコンビニ弁当ですけどね!」

デブ「はあ……」

歌手「っと、引き止めてすんません」

歌手「じゃ!」

デブ「あ、はい」

     テク テク テク

デブ(…………)

デブ(相変わらず、無駄に元気な人だ)


歌手「ふう~」

歌手「隣人とのコミュニケーション、OK!」

歌手「これから、俺のファンになってくれる人かもしれないからな」

歌手「愛想は、常に良くしておかないと」

歌手「さて、弁当、冷めない内に食わないとな」

     バタン…

こんな感じでどうでしょ?
ちなみにどの業界も上辺だけしか知らないです。

自信をもって続けたまへ

いつの間にめっちゃ支援

僕はかなりいいと思う
ぜひやってほしい

デブの活躍に期待

いいよ!

是非続けて欲しいです④

これは面白そうだ、支援

うわ、こんなにレスつくとは……緊張するなあ。
申し訳ないんですけど、週一くらいの投下でよろしくです。

翌日


     ♪~♪~♪~

声優「……ん」

声優「ふあ……」

声優「…………」

声優「八時、か……」


声優(今日もいつも通り目が覚めた)

声優(この声は、二つ隣の部屋の住人の発声練習の声)

声優(少し前、問題になったが……本人は毎朝決まった時間にこれをやらないと)

声優(調子が出ない、とかで、話し合いの結果)

声優(10分程度なら許す、という事で折り合いがついた)

声優(いつもきっかり朝八時にやるので、今じゃ ちょっと変わった目覚ましになってる)

デブ(……今日も始まったか)

デブ(徹夜仕事しても、これのおかげで何時かわかるんだが)

デブ(あんまりありがたくない……)

デブ(話し合いの時に強く言えなかった自分が恨めしい)

デブ(…………)

デブ(とりあえず、朝飯食うか……)


歌手「あーあーあーあーあー」

歌手(うし! 今日もいい調子だ!)

歌手(みなさん、聞いてますか~?)

歌集(未来の超有名ミュージシャンの声ですよ~?)

声優(さて)

声優(顔を洗って、歯を磨いて、ご飯食べて……)

声優(準備が出来たら、出かけよう)

―――――――――――

     イラッシャイマセー

声優(…………)

声優(発声練習……アタシも家で出来たらいいのになぁ)

声優(近所迷惑を考えてないけど、正直、ちょっと羨ましい)

声優(スタジオを借りるよりずっと安いし近いから)

声優(仕方なくカラオケボックスでやってるけど……)

声優(それでもけっこう馬鹿にならないのよねぇ……)

声優(…………)

声優(ううん、これは必要な事よ)

声優(いつか、必ず、この努力が報われる日が来る)

声優(アタシの演技力が評価される時が来る)

声優(その時まで……アタシは……)

声優(…………)

声優(さて、始めますか)


声優「あーあーあーあーあー」

声優「らーらーらーらーらー」

―――――――――――

声優「ふう……」

声優「こんなものかしらね」

     アリガトウゴザイマシター

声優「いえ、こちらこそ」

声優「それじゃ、また明日……」

     テク テク テク…

店員「テンチョー」

テンチョー「ん?」

店員「今のお客さん、よく見ますね」

テンチョー「ああ、何でも売れない女優さん?みたいで」

テンチョー「ここで発声練習しているんだよ」

店員「へー」

店員「でも売れないって、テンチョー、酷過ぎー」

テンチョー「おいおい、人聞きの悪い事を言わないでくれ、店員ちゃん」

テンチョー「本人がそう言っていたんだよ」

店員「そーなんですかー」

テンチョー「まあ……深くは聞かなかったよ」

テンチョー「どの業界もキビシイところは、あるだろうからね」

テンチョー「こっちとしては、売上が落ちる時間帯だし……いいお得意様だよ」

店員「ですねー」

テンチョー「そんな訳で店員ちゃん、普通に接してあげてね」

店員「了解ですー」


店員(…………)

店員(何だか、私の彼氏みたいー)

デブ「…………」

デブ「ふう……」

デブ「ええと……63番……63番……」

     ゴソ ゴソ

デブ「…………」

デブ「あれ?」

     ゴソ ゴソ

デブ「……無い」

デブ「63番トーン、そんなに使ってたか」

デブ「仕方ない、買ってこないとな」

デブ「ついでに他のトーンも補充しとかないと……」

     ガチャ…

デブ「あ……」

声優「あ……」

デブ「こ、こんにちは……」

声優「こんにちは……」

声優「じゃ……」

デブ「あ、はい」

     パタン

デブ「ふー ……」

デブ「さ、行かないと」

デブ(ついでに昼飯も買ってこよう)

画材店


デブ(63番に62番……と)

デブ(柄物もいくつか……)

デブ(お?……新作の柄が結構出てるな)

デブ(…………)

デブ(……うん、これ、使えるかも)

デブ(犯される女の子の恐怖感、表現するのにいい感じだ)

デブ(…………)

デブ(とか思って実際貼ってみると、微妙に違ってたりするんだけどな) クス

デブ(さて、こんなものか)

デブ「すみませーん」

     アリガトウゴザイマシター

デブ「ふー ……」

デブ「暑い……日差しが厳しいなぁ」

デブ(太ってる人間には辛い季節だ……)

デブ(エアコン、調子を見ておかないと)

デブ(去年、八月に突然壊れて、真面目に死ぬかと思ったからなぁ)

デブ(描いている内容が内容だけに、ファミレスとかで作業出来ないのが悲しい……)

デブ(今やってる原稿が終わったら、業者に頼んでメンテナンスしてもらおう)

デブ(…………)

デブ(それじゃ、昼飯を買いに行くか)

     イラッシャイマセー

デブ(今日もコンビニ……)

デブ(食い飽きてるのに、どうしてここに来るんだろう……)

デブ(…………)

デブ(まあ、雑誌とか置いてあるし)

デブ(ついつい寄っちゃうんだよな)

デブ(…………)

デブ(あ……)

デブ(これ、今月で廃刊……休刊するのか)

デブ(…………)

デブ(1年くらい描いてたエロ雑誌だったけど……正直、あまり待遇は良くなかったな)

デブ(……でも、少し悲しい)

     アリガトウゴザイマシター

デブ(買ってしまった……)

デブ(まあ、これも何かの記念だ)

デブ(…………)

デブ(……そ、それにしても、大荷物になってしまった)

デブ(画材に昼飯と、ついでに買った夕飯用のサンドイッチと飲み物)

デブ(さらにこのエロ雑誌……)

デブ(両手が荷物でいっぱいだ)

デブ(おまけに重い……)

デブ「ふう……ふう……」

デブ「さて……カギを……」

     ゴソ ゴソ…

デブ(荷物のせいで、めちゃくちゃ取りづらい……)

デブ(よっ……このっ……!)

     ガチャ

声優「あ……」

デブ「あ……」

デブ「ど、どうも……」

     ドサドサッ!

デブ「」

デブ(に、荷物のエロ雑誌がああああっ!)

声優「」

デブ「あわっ、あわわわわっ……!」///

     バババッ!

デブ(カ、カギ! 早くカギを!)///

     ガチャガチャ! キィ、バタン!

声優「…………」

声優(……み)

声優(見てない)

声優(見てないから)

声優(ドッピュン☆天国!なんて……)///

声優(見てないから!)///

歌手「シェキナベイベ~♪」

歌手「お?」

歌手「どうしたんですか? 声優さん」

歌手「そんなところで突っ立って?」

声優「!」///

声優「な、何でも無いですから!」///

     タッ タッ タッ

歌手「…………」

歌手「おやおや~? 顔を赤くして……あの慌て様」

歌手「もしかして、フラグってやつ~?」

歌手「まいったなぁ……俺、すでに彼女持ちなのに♪」

デブ(…………)

デブ(……なんて言うか)

デブ(終わった……)

デブ(始まってもいないけど、終わった……)

デブ(…………)

デブ(通報……されないといいけど)

デブ(はあ……)

デブ(…………)

デブ(……よし、気持ちを切り替えて飯を食おう)

     ゴソ ゴソ

デブ(中身……ぐちゃぐちゃだし……)

デブ(はいはい、わかってますよ……さっき落とした時ですよね)

デブ(……惨めだ)

夕方


声優(さて、今日の夕飯は)

声優(ちょっと奮発して牛肉のピーマン肉詰め!)

声優(ぬふふ~)

声優(こうやって、たまには贅沢しないとやっていけないわよね~)

―――――――――――

声優「完成!」

声優「ヘルシーにキャベツの微塵切りも山盛り!」

声優「美味しそう~」

声優「汁物の味噌スープを添えて……出来上がり!」

声優「いただきまーす!」

デブ「…………」

デブ「……いい匂いだ」

デブ「肉を焼いたのかな?」

デブ「…………」

デブ「原稿、もう少しで終わるし」

デブ「このまま続けるかな」

デブ(その方が効率上がりそうだし)

デブ(あー腹減った)

デブ(…………)

歌手「くう~! たまらねえ! この匂い!」

歌手「腹減ったぜ!」

     ガチャ

店員「やっほー生きてるかー?」

歌手「待ってたぜ、ハニー! 愛しのご飯エンジェル!」

店員「その言い方はありがたくないー」

歌手「俺も手伝うから、飯作ろうぜ!」

店員「たまには、ご飯で出迎えてくれると嬉しいんだけどー」

歌手「すまねえ……俺の才能は、ほとんどが音楽に行っちまっているんだ」

店員「料理に才能が無いのはわかってるー」

店員「んじゃ、じゃがいもの皮を剥けー」

歌手「任せとけ!」

店員「いただきますー」

歌手「いただきます!」

     モグモグ…

歌手「んまいっ!」

歌手「カレーは最高の夕飯だ!」

店員「大げさー」

歌手「もちろん、お前が作ってくれたからだとも!」

店員「はいはい、お世辞もらいましたー」

歌手「素直になれって」

店員「私はいつでも素直ー」

歌手「悪い悪い、感謝してるって!」

店員「…………」

店員「今日、私の働いてるお店の常連さんなんだけどー」

店員「気になる人が居たー」

歌手「なぬぅ!?」

店員「その人は女の人ー」

歌手「驚かすなよ……」

店員「大丈夫ー。 私は、あんたしか見えてないー」

歌手(そのイントネーションのせいで、そう聞こえない事は内緒だ)

店員「で、その人ー、発声練習でカラオケルーム使ってたー」

歌手「…………」

店員「歌手、あんたは、ここで揉めたって聞いたー」

店員「余計なお世話、と言うかもしんないー。 でもー」

店員「費用も安く済むしー、気を使わずに練習も……」

歌手「いや……それは出来無い」

店員「…………」

歌手「金は、なるべくスタジオで使いたい……これは曲げられないんだ」

店員「…………」

店員「……そう」

店員「あんたがそうしたいなら、私はもう何も言わないー」

店員「自分で稼いでいるお金だしねー」

歌手「……まあ、カツカツなのは事実だけどな」

歌手「すまねえ……心配かけて」

店員「いいって事ー」

歌手「ははは」

―――――――――――


声優(…………)

声優(……さて、今週のお仕事は)

声優(エロゲ2本と、エロアニメが一つ、それにオーディション……と)

声優(収録の曜日と場所、時間を間違えないようにしないとね)

声優(…………)

声優(出来たら、セリフの練習もしておきたいところだけど……)

声優(さすがに……それは恥ずかしいのよね)

声優(カラオケボックス側は気にしないと思う……でも)

声優(たまに来るお客さんは……アタシの声を知っているかもしれない)

声優(…………)

声優(止めよう……こんな事考えるの)

声優(もう寝なきゃ)

―――――――――――


デブ(…………)

デブ(……畜生)

デブ(今度はカレーの匂いがしてきた……)

デブ(…………)

デブ(何で、こんな拷問プレイを一人でやってんだよ)

デブ(さっさと飯を食おう)

―――――――――――

デブ「ふう……」

デブ「…………」

デブ「いかん……」

デブ「眠くなってきた……」

―――――――――――


店員「じゃあねー、歌手ー」

歌手「ああ、いつもありがとうな」

店員「気にするなー私が好きでやってる事ー」

店員「あんたが喜んでいるなら、嬉しいのじゃー」

歌手「おう!待ってろよ!」

歌手「一流ミュージシャンになって、必ず、恩返しするぜ!」

店員「期待してるぞよー」

―――――――――――


歌手「…………」

歌手(必ず……必ず、なってみせるぜ、店員!)

歌手(その時、お前に言ってやる……)

歌手(結婚しよう、って……!)

歌手(…………)

歌手(ぬふふ……)

歌手(俺、超カッケー♪)

歌手(…………)

歌手(……さて、明日のバイト、棚おろしがあるんだっけ)

歌手(めんどくさいんだよなぁ……あれ)

歌手(音楽関係のバイトがあればいいのに……)

歌手(…………)

歌手(さっさと風呂入って休むか)

     パタン…

今回は、声優以外のキャラの匂い付けを少々してみました。
次回から色々と起こるかも?です。

ぱんつぬいだ

パンツあげた

うん、すきですねえ

期待しちゃうからね、ちゃんと最後まで書いてくれればうれしい
楽しみにしてます

数日後


声優「いやああああああああああっ!!」

声優「痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ! 痛い――!」

声優「抜いてぇっ! オチン○ン、抜いてぇ――!!」

声優「ひぎっ! …いだっ、いがっ……!」

声優「あぎっ、ぎっ、ぎいっ! ひあっ! あああああああっ……!」

声優「ひいっ!?」

声優「い、今、オチ○チン、ビクンッ、って……!?」

声優「嫌あっ! それだけはっ……! それだけは、止めてぇっ!!」

声優「中は、中は止めてえぇぇぇっ!!」

声優「だめっ! いやっ! いや、いやっ、いやいやいやっ!!」

声優「いやあああああああああああああああああああああああっ!!」

声優「出てるっ……出てる、のっ……いっぱい……中に……!」

声優「ううっ……ぐすっ……いやぁ……!」

スタッフ「…………」

スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」


声優「お疲れ様でした」

―――――――――――

声優「ふう……」

後輩「あ、先輩、お疲れ様です」

声優「ん? ああ、後輩ちゃん。 お疲れ様」

声優「次はあなた?」

後輩「そうみたいです」

声優「そっか。 頑張ってね」

後輩「はい!」

声優(エロゲやエロアニメのアフレコ)

声優(普通のアフレコみたいに数人でやる訳じゃない)

声優(大抵、男女とも一人ずつ収録する)

声優(会話シーンもあるけど、それも単独でやる事が多い)

声優(……まあ理由としては、演者同士、気まずくなるからそうしていると思う)

声優(…………)

声優(今日は、あともう一本あるけど……)

声優(時間がちょっと空く感じね)

声優(ご飯には少し早いし……どうしようかな?)


スタッフ「すみませーん、休憩中の皆さん」

スタッフ「ガヤ、頼めますか?」

声優「!」

声優「あ、はい。 アタシやれます」

     コッチモデキマス ワタシモ

スタッフ「お手数おかけします」

スタッフ「じゃあ、Bスタジオでよろしくお願いします」

     ハーイ

声優「…………」

声優(ガヤ……街中や場面展開での雑踏の音の事)

声優(普通は、そのアニメなりゲームなりの演者や、スタッフなんかがやる事が多いけど)

声優(たまに、微妙に人数が足らなくなったりする事がある)

声優(そういう時は、こうやって臨時に募集したりする)

声優(ボランティアだけど時間にして数秒だし、アタシにとっては密かな楽しみだ)

スタッフ「それじゃあ始めます」

スタッフ「5秒前……4……3……」


声優「…………」

声優「ガヤガヤ」

声優「ガヤガヤ」

―――――――――――

スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「ありがとうございます、お疲れ様でした」

     オツカレサマー

声優「お疲れ様でした」

声優(ふふふ、ガヤならアタシ、結構深夜帯アニメに出演してるのよね♪)

声優(さて、ちょうどいい暇つぶしも終わったところで)

声優(昼食を取るのにいい時間帯になったわ)

声優(…………)

声優(後輩ちゃん、待とうかな?)

声優(う~ん……)

声優(いつ終わるか聞いいてないし、約束をしているわけでもないからいっか……)

声優(うどん屋さんにでも行こう)

―――――――――――

声優(ふう……)

声優(さて、そろそろ午後の収録の準備をしないと)

声優(台本、台本、っと……)

声優(……あら?)

声優(後輩ちゃん、何だか元気がないわね?)

声優(どうしたんだろう?)


声優「後輩ちゃん」

後輩「あ……先輩」

声優「収録、終わったの?」

後輩「はい、ついさっき」

声優「そっか……結構かかったわね。 お昼もまだ?」

後輩「はい」

声優「それで元気がないのかな?」

後輩「…………」

後輩「いえ、そういう訳じゃないです」

声優「そうなの?」

後輩「まあ……なんて言うか……」

後輩「声を当てた絵がグロくて……気持ち悪くなっちゃって……」

声優「ああ……触手系?」

後輩「プラス、スプラッター系です」

声優「ダブルパンチね」 クス

後輩「覚悟はしていたんですよ? でも……」

後輩「いざ目の前に、しかも血とか カラーで出されると、さすがに……」

声優「わかるわ~」

声優「世の男どもは、こんな残酷な絵で抜いているのか、と思うのよね~」

後輩「あははは……」

声優「こっちとしては、お仕事もらっている立場だし」

声優「需要があれば、答えないといけないのが辛いところよね」

後輩「……ですよね」

声優「アタシもそうだったけど、誰でもぶつかる問題だし、その内に慣れちゃうよ」

声優「怖い事にね」

後輩「…………」

後輩「怖い事……ですか?」

後輩「プロなら、出来て当たり前の事だと思っていたんですけど……」

声優「うーん……今は、まだ知らなくてもいい事だと思う」

後輩「はあ……」

声優「とにかく、全力で頑張ったんだから」

声優「自分に何か、ご褒美をあげてみたらどうかな?」

後輩「ああ、いいですね、それ!」

後輩「何だか少し元気が出てきました!」

声優「そう。 良かった」 クス

声優「おっと……そろそろ時間ね」

後輩「あ……すみません、手間を取らせて」

声優「ううん、いいのよ。 アタシから話しかけたんだし」

声優「それじゃあね」

後輩「はい! 頑張ってください!」

声優「ありがとう」

―――――――――――

声優(…………)

声優(慣れ、か……)

声優(…………)

声優(仕事上いい事なんだろうけど……)

声優(アタシは……苦もなく喘ぎ声を当てる事に)

声優(慣れてしまっている自分に気がついて……怖かった)

声優(いつの間にか そうなっている事に……)

声優(…………)

声優(そんな現状を打破したい、と思うようになったきっかけでもあるけど)

声優(…………)

声優(さて、気持ちを切り替えないと)

声優(だからと言って、仕事で手を抜いたりしない)

声優(アタシ自身の為に)




声優「ふう……疲れた」

後輩「お疲れ様です、先輩」

声優「あら? 後輩ちゃん?」

声優「どうしたの? まさか……待っててくれたの?」

後輩「め、迷惑でしたか?」

声優「ううん、そんな事ない」

声優「でも後輩ちゃんもアルバイトとか、自分の予定があるんじゃないのかな?って」

後輩「大丈夫です」

声優「本当に?」

後輩「…………」

後輩「すみません……アルバイト、ずる休みしちゃいました」

声優「…………」

声優「……そっか」

後輩「…………」

声優「ま……アタシが言うのも変だけど」

声優「そういうのは、今回だけよ?」

後輩「……はい」

声優「じゃ、少し遅い晩御飯にしよっか!」

後輩「! は、はい!」

声優「どこに行く?」

後輩「それはもちろん……」

声優・後輩「ヨシギュー!」

     アハハハ……

デブ「うーん……」 セノビー

デブ(よし、完成)

デブ(後はこれをコピーして、投函して……)

デブ(……って、もうこんな時間か)

デブ(コピーはともかく、郵便局はもう閉まってるな)

デブ(仕方ない……)

デブ(明日、速達で出すか)

デブ(とりあえず、コピーを取らないとな)

デブ(…………)

デブ(コンビニ……人があまり居ないといいけど)

コンビニ


デブ(…………)

デブ(……いつもながら緊張する)

デブ(ちょっと遠くの、しかもランダムに選んだコンビニでやってるけど)

デブ(誰かに見られるんじゃないかと……ビクビクする)

デブ(…………)

デブ(さっさと済ませよう)

     ピー カサッ  ピー カサッ

デブ(後2ページ……)

     イラッシャイマセー

デブ(くっ……)

デブ(落ち着け……)

デブ(俺の事なんて、誰も気にしてなんていない)

デブ(普通だ。 普通に作業を続けるんだ……)

     ピー カサッ  ピー カサッ

デブ(……よし! 終わった……)

??「あれー? もしかして、デブさん?」

デブ「!?」

歌手「やっぱりデブさんだ」

デブ「か、歌手さん……」

歌手「珍しいっすね、こんな場所のコンビニで会うなんて」

デブ「そ、そうですね……」

歌手「ん? なんスか? それ?」

デブ「!! い、いや、その……」

歌手「? 漫画っスか?」

デブ「え、ええ……まあ……しゅ、趣味で……」

歌手「そうなんスか」

歌手「今度、良かったら見せてくださいよ」

デブ「!! そ、それは、は、恥ずかしい、ので……」

歌手「それは残念」

歌手「でも、気が変わったら読ませてくださいね」

歌手「じゃ!」

デブ「は、はあ……」

     アリガトウゴザイマシター

デブ「…………」

デブ(…………)

デブ(し、死ぬほど焦った……)

デブ「ふうううう……」

デブ(…………)

デブ(……無駄に疲れたなぁ)

デブ(…………)

デブ(さっさとビニ弁買って帰ろう……)

デブ(…………)

―――――――――――

デブ「……ふう」

デブ(家に着いた)

声優「あ……」

デブ「あ……」

デブ「こ、今晩は……」

声優「ど、どうも。 今晩は」

デブ「じゃ……」

     ソソクサ……

声優「…………」

―――――――――――

デブ「……はあ」

デブ「ここのところ、よく顔を合わせてしまうな」

デブ「…………」

デブ(そういえば……声優さん)

デブ(こんな時間に帰ってくるなんて珍しいな?)

デブ(…………)

デブ(ま……俺には関係ない事、か)

デブ(さて、食い飽きたビニ弁食って、風呂に入って)

デブ(もう寝よう)

デブ(明日原稿投函したら、別の出版社のをやらないと……)

デブ(スケジュール、少し押してるからな)

デブ(はあ……)

デブ(貧乏暇なし、だな)

歌手「ふふ~ん、ふんふん……」

     ♪~♪~♪~

歌手「うんうん、こんな感じで」

歌手「サビの部分は、と……」

歌手「…………」

歌手「どうもいいのが浮かばないな……」

歌手「うーん……」

     ♪~……♪~♪~

歌手「……違うな」

歌手「う~ん」

店員「いいの出来そうー?」

歌手「思いついた時、いいかな、と思ったんだけど……」

店員「産みの苦しみだねー」

歌手「どうもサビの部分が降りてこない……」

歌手「ふふ~ん、ふんふ~ん……」

店員「明るい曲ー」

歌手「そうなんだけど……う~ん」

歌手「……ダメだ、どうもしっくりこない!」

店員「そっかー」

歌手「……あ」

歌手「店員、もうこんな時間だぞ?」

店員「おおう、本当だー」

店員「それじゃ……そろそろおいとましますかー」

歌手「いつも悪いな、店員」

歌手「今日の飯も美味かったぜ!」

店員「礼には及ばぬー」

歌手「ここのところ毎日だしな。 何か、お礼を考えとくよ」

店員「だから気にするなー。 私が好きでやっている事ー」

歌手「送っていかなくて、本当に大丈夫か?」

店員「何度も言ってるー。 私は空手の有段者ー」

歌手「わかってるんだけどな……」

店員「気持ちだけもらっとくー」

店員「さらばじゃー」

     パタン

歌手「…………」

店員「…………」

     テク テク テク

店員「…………」

店員「歌手……そう思うのならー」

店員「『今日、泊まっていくか?』くらい」

店員「言ってくれてもいいんだぞー」

店員「……っと」

店員「…………」

店員「私、とっくに、心の準備は済ませているんだぞー」

店員「……っと」

     テク テク テク…

―――――――――――

数日後・午後


店員「いらっしゃいませー」

店員「あ……」

????「やあ、店員ちゃん」

店員「…………」

店員「イケメン……」

イケメン「久しぶり、高校卒業以来だね」

イケメン「突然訪ねてごめん」

店員「……今は仕事中ー」

イケメン「わかってるよ」

店員「どうしたのー? 今頃ー?」

店員「もう……答えは出てるけどー」

イケメン「…………」

イケメン「いやだ」

店員「……!?」

イケメン「悪いけど、こっちにも事情があってね」

イケメン「どうしても話がしたい」

店員「…………」

店員「……変な事したら、地獄を見るよー」

イケメン「そんな事はしないし、君が空手の有段者なのも知ってるよ」

店員「…………」

店員「……わかった」

イケメン「済まないね……そこの喫茶店で仕事が終わるのを待ってるから」

喫茶店


店員「それで? 何の用ー?」

イケメン「まあまあ。 まずはコーヒーでも」

店員「こっちにも予定があるー」

店員「手短に済ませて欲しいー」

イケメン「変わらないね、君は」 クスッ

店員「…………」

イケメン「……あれからもう6年になるんだね」

イケメン「君をめぐって、歌手と争ったのは……」

店員「…………」

イケメン「あいつは、ミュージシャンになる事以外考えてなくて」

イケメン「将来設計も何も考えていなかった」

店員「人の彼氏、ディスるなー」

イケメン「ごめん」

イケメン「だけど……事実だ」

店員「さっさと本題に入れー」

イケメン「…………」

イケメン「……改めて言うけど」

イケメン「俺は、君の事が好きだ」

店員「……その気持ちには答えられないって、返答してるけどー?」

イケメン「わかってる」

イケメン「で、だ」

イケメン「聞いておきたい事がある」

店員「何ー?」

イケメン「あの時はショックだったし、君が選んだ道だから」

イケメン「それでいいと思った」

店員「…………」

イケメン「でも……ずっとくすぶっていてね」

イケメン「突然で悪いと思ったけど」

イケメン「あいつを……歌手を選んだ理由を聞かせて欲しいんだ」

店員「…………」

店員「そんなのは、私の勝手ー」

店員「あんたに聞かせる話じゃないー」

イケメン「どうしてさ?」

イケメン「君が振った男に止めを刺せ、と、言ってるだけだぞ?」

店員「…………」

イケメン「…………」

イケメン「……俺さ」

イケメン「親から、見合いをする様に言われた」

店員「……!」

イケメン「皮肉な事に……それがキッカケで」

イケメン「ずっとくすぶってた気持ちに火が付いた」

店員「…………」

イケメン「俺は、今でも君の事が好きだ」

イケメン「……随分時間が経っているのにね」

店員「…………」

店員「話はそれで終わり?」

イケメン「……言いたい事は言ったかな」

店員「そう」

店員「なら、もう話す事はない」

イケメン「答えをもらわないと、また会いに来るけどいいかい?」

店員「それは御免被(こうむ)りたい」

イケメン「だけど、それでも会いに行く。 俺は」

店員「それストーカー」

イケメン「それだけ本気って事なんだよ」

店員「…………」

店員「ともかく、今日はこれで終わり」

イケメン「…………」

イケメン「……わかった」

イケメン「じゃあ、いずれまた」

店員「…………」

     アリガトウゴザイマシター

イケメン「…………」

イケメン(店員ちゃん……相変わらずポーカーフェイスだね)

イケメン(けど)

イケメン(途中から口調が変わっていた)

イケメン(……動揺した証拠だよね)

イケメン(…………)

イケメン(自信がないんだろ?)

イケメン(歌手を選んだ事に)

店員「…………」

店員(……早く、歌手の所に行かないと)

店員(…………)


アパート


     ガチャ ガチャ…

店員「…………」

店員(今日も居ないのか……)

店員(カギはもらってるけど)

店員(最近)

店員(待つ事が多くなってる気がする)

デブ「…………」

     プルルルルル… プルルルルル…

デブ「……お、電話だ」

     ガチャ…

デブ「はい、もしもし」

デブ「……ああ、A編集者さん」

デブ「締切はまだ先ですけど……?」

デブ「……はい……はい」

デブ「…………」

デブ「…………え」

デブ「そ、それって……」

デブ「……はい……はい」

デブ「…………」

デブ「そう……ですか……」

デブ「わかりました」

デブ「また……機会があれば、よろしくお願いします」

     プッ……ツーツー

デブ「…………」

デブ「打ち切り……か」

デブ「…………」

デブ「気にするなよ、俺」

デブ「こんな事は、前にもあったじゃないか」

デブ「前にも……」

デブ「…………」

後輩「先輩、明日はいよいよオーディションですね!」

声優「そうだね」

後輩「今度こそ、表舞台に立って見せるんだから!」

声優「頑張らないとね」

後輩「…………」

後輩「……どうしたんですか? 先輩?」

声優「え?」

後輩「何だか元気がありませんけど?」

声優「そんな事無いよ」

声優「ただ……緊張してるだけ」

後輩「そうなんですか……先輩でも落ち着かないモノなんですね」

声優「…………」

声優(違う)

声優(不安に思っているだけ……)

声優(…………)

声優(アタシだけで受けるのなら、こんなに不安には思わない)

声優(あなたと……二人で一緒に受けるから)

声優(……とても怖い)

声優(…………)

声優(もし)

声優(アタシが落ちて、あなただけが受かったら……)

声優(アタシは……後輩ちゃんを祝福できるのかな……?)

声優(…………)




声優(……ううん、余計な事は考えるな)



デブ(きっと、大丈夫)



店員(きっと……)




     これからも、日常は続いていく――




本日はここまでです。

久々の更新乙!
続きが気になるなあ…

乙んギモッヂイィー!

いいね!早く続きを読みたい

ゆっくりでも構わないから

楽しみに舞ってる

翌日


声優「3番、声優です。 よろしくお願いします」

選定員「はい、よろしくお願いします」

選定員「それでは、お渡ししたセリフを言ってみてください」

声優「はい」

声優「わたくしは、誉れ高き名門の――」


声優(オーディションが始まった)

声優(アタシが希望したアニメキャラは脇役だけど)

声優(お嬢様口調で特長がはっきりしている)

声優(もちろん自分に合っていると判断して応募した)

選定員「……はい、声優さん、ありがとうございました」

声優「ありがとうございました」

選定員「それでは次の方」

モブ美「4番、モブ美です」


声優(……実は、主役級の役は、原作者の希望であらかた決まっていたりする)

声優(ビックネームはずるいなぁ……とか思う)

声優(誰だって上手な演者に演じて欲しいだろうけど……)

声優(どうにかならないものか、と)

声優(つい、いつも考えてしまう……)

―――――――――――

選定員「みなさん、ご苦労様でした」

選定員「結果は後日、各プロダクションの方へ連絡いたしますので」

一同「お疲れ様でした」

     ガヤ ガヤ…

声優「ふう……」

後輩「先輩、お疲れ様でした!」

声優「あら、後輩ちゃん。 お疲れ」

声優「そっちも終わったの?」

後輩「はい、10分くらい前に」

声優「そう……手応えはあった?」

後輩「ううっ……正直、微妙です」

後輩「緊張で2回くらい噛んじゃったし……」

声優「あらら」

後輩「で、でも! 貴重な場数を踏めました!」

後輩「次は、もっと頑張ります!」

声優「うんうん」

後輩「先輩はどうでした?」

声優「……どうかな」

声優「自分としては、全力で演技したと思うけど……」

声優「判断する人が、どう捉えるか、よね」

後輩「そう……ですか」

声優「後から後から、ここはもうちょっとこうしとけば……みたいなのに落ち入るし」

後輩「うう~……今の私、そんな感じです」

声優「ふふふ」

声優「……」


声優(後輩ちゃんが自信無さげで)

声優(安心している自分がいる……)

声優(…………)

声優(情けないけど……正直な気持ちだわ)

声優(…………)

声優(……結果を知るのが)

声優(怖い……)


―――――――――――

デブ「…………」

デブ「……ふう」

デブ(いまいちはかどらない……)

デブ(…………)

デブ(まあ……これで終わりだし)

デブ(突然の話だったから、まだ動揺しているんだろう)

デブ(……豆腐メンタルだなぁ)

デブ(…………)

デブ(……あ)

デブ(もう午後2時か……)

デブ(昼飯、どうするかな)

     アリガトウゴザイマシター

デブ(結局ビニ弁かよ……)

デブ(いい加減、この食生活から脱出したい)

デブ(…………)

デブ(でも自炊は面倒だし)

デブ(料理なんてした事がない……)

デブ(…………)

デブ(誰かの手料理なんて望めそうもないし)

デブ(はあ……)

     テク テク テク…

夕方

スーパー


歌手「お疲れ様っス」

     オツカレサマー

歌手「さて、と」

歌手「運良く炊き込みご飯の余りをもらえた」

歌手「いくら明日に使えないからって廃棄するのは、もったいなよな~」

歌手「……まあ業務違反だから、いつももらえるわけじゃないけど」

歌手「タダ飯、ゲットだぜ!」 ニシシ♪


????「……よう、歌手」


歌手「あん?」

歌手「! ……イケメン」

イケメン「久しぶり」

歌手「お、おう……」

イケメン「元気そうだな」

歌手「……お、お前も、な」

イケメン「久しぶりに会ったんだし、少し話さないか?」

歌手「え……」

イケメン「コーヒー奢るぜ?」

歌手「い、いや、俺は」

イケメン「ほら、行こうぜ」

歌手「…………」

喫茶店


     イラッシャイマセー

イケメン「コーヒー。 ブレンドを二つ」

     カシコマリマシター

歌手「…………」


歌手(イケメン……スーツ姿、かっけぇ……)

歌手(バリバリ仕事してそうだ……)

歌手(…………)

歌手(ただの偶然……なんだろうか……)


イケメン「最近、店員ちゃんとどう?」

歌手「!」

歌手「……上手くやってるけど」

イケメン「そう」

イケメン「それは良かった」

歌手「…………」

イケメン「彼女の事だから」

イケメン「あの独特のイントネーションで笑ったりしてるんだろうな」 クス

歌手「まあな」

イケメン「こっちは、来る日も 来る日も 仕事で死にそうだよ」

イケメン「おかげでまだ独り身さ」

歌手「…………」

歌手「お前なら引き手あまただろ?」

イケメン「まあ会社の女の子達、良く食事に誘ってくれるけど」

歌手「イヤミかよ」

イケメン「ハハハ……時間がなくて、一度も行ってないけどね」

歌手「さよけ」

イケメン「……お前はどうなんだ? 仕事とか」

歌手「……!」

イケメン「…………」

     オマタセシマシター

イケメン「ありがとう」

イケメン「…………」 ズズッ…

イケメン「……うん、ここのブレンドはいい味だ」

歌手「…………」

イケメン「最近、夏らしくなったな」

歌手「…………」

歌手「……そうだな」

歌手「毎日クソ暑い」

イケメン「…………」

イケメン「そうだな、クソ暑い」

歌手「…………」 ズズッ…

歌手「……アイスの方が良かったな」

イケメン「悪い」

歌手「……別にいいさ」

歌手「ところで、よ」

イケメン「うん」

歌手「仕事で忙しく、時間がなくて女の子の誘いを断ってるお前が」

歌手「わざわざ何の用だ?」

イケメン「ハハ、本当にただの偶然だよ」

歌手「…………」

イケメン「偶然、時間が出来ただけさ」

イケメン「この後すぐ、社に戻らないといけないしね」

歌手「…………」

イケメン「……おっと、そろそろ時間だな」

イケメン「伝票持っていくよ」

歌手「……ああ」

イケメン「じゃ、またな」

歌手「…………」

歌手(……くそ)

歌手(なんも言い返せねぇ……)

歌手(…………)

歌手(あいつだけじゃない)

歌手(みんな……社会人になって、それぞれで働いている)

歌手(結婚して、子供のいる奴だって……)

歌手(…………)

歌手(俺は……)

歌手(俺は、あいつを……)

歌手(店員を巻き込んでいいのか……?)

歌手(…………)


―――――――――――

     ガチャ

店員「おかえりー」

歌手「ただいま」

店員「夕飯出来ているぞー」

歌手「ああ、美味そうだな」

店員「……?」

店員「どうしたー? 歌手ー?」

歌手「何でも無いって」

歌手「さて、食おうぜ!」

店員「う、うんー」

店員「…………」

店員「ごちそうさまー」

歌手「ごちそうさまでした」

     カチャ カチャ…

店員「洗い物、やっとくー」

歌手「おう、すまんな」

店員「いいって事ー」

店員「…………」

     ジャー… キュッ

店員「洗い物、終わったー」

歌手「そうか」

店員「…………」

店員「歌手ー」

歌手「ん?」

店員「何か、隠してないー?」

歌手「…………」

歌手「いいや?」

店員「…………」

店員「……そう」

店員「なら、いい」

店員「…………」

店員「……そろそろ帰るー」

歌手「そっか」

歌手「じゃ……」

     パタン…

歌手「…………」

歌手「あ……」

歌手「そういやもらった炊き込みご飯……」

歌手「すっかり忘れてた。 ……どうしよう」

歌手(…………)

歌手(……って)

歌手(俺……何、残飯もらって喜んでたんだよ)

歌手(こんなもの……店員に食わせるつもりだったのかよ)

歌手(…………)

歌手(何が、『礼をする』だよ……)

歌手(まともな飯すら用意できねーじゃねーかよ……俺)

歌手(…………)

店員「…………」

店員(どうしたんだろ……)

店員(今までは、どんな事でも話してくれたのに)

店員(…………)

店員(……やっぱり)

店員(音楽の事を良く分かっていない私は)

店員(あんたを……支えてあげられないのかな)

店員(…………)

店員(私は……歌手と一緒に居られれば)

店員(それだけで幸せ)

店員(でも……)

     トボ トボ トボ…

数日後


M「あー後輩ちゃん、声優さん」

後輩「マネージャーさん」

声優「何でしょうか?」

M「この前のオーディションの結果が送られてきました」

声優「!」

後輩「!」

M「えー、その結果ですが……」

M「ちょっと、言いにくいんだけど」

声優(……ま)

声優(まさか……)

後輩「…………」 ドキドキ

M「残念ながら……二人共落選です」

声優「!」

後輩「」 ガーン…

M「……また次、頑張りましょう」

声優「はい」

後輩「はい……」

―――――――――――

後輩「はあ……」

声優「元気だしなよ、後輩ちゃん」

声優「マネージャーさんもまた頑張ろうって、言ってくれたじゃない」

後輩「そうなんですけど……悔しいです」

後輩「それに……先輩、何だか嬉しそうじゃありません?」

声優「! ……そんな事ないわ」

声優「ただ……こういうのも慣れちゃってるだけ」

後輩「…………」

後輩「それも”怖い”ですか?」

声優「ええ。 とっても、ね……」

後輩「…………」


声優(…………)

声優(……今回はいろんな意味で)

声優(嫌な感じ……)

声優(…………)

声優(仕事に集中しないと)

デブ「……ふあっ」

デブ「むにゃむにゃ……」

デブ「…………」

デブ「……!?」

デブ「もう10時を回っている!?」

デブ「…………」

デブ(今日もお隣さん……歌手目覚まし、鳴らなかったのか)

デブ(……風邪でもひいたのか?)

デブ(まあ、いっか)

デブ(仕事しないと……)

夕方


     ガチャ……キィ……パタン

デブ(さて)

デブ(今日も食い飽きたビニ弁買って……)


歌手「あ……」

デブ「あ……」

デブ「どうも」

歌手「どうも、です」


デブ(……?)

デブ(心なしか……元気がない様な……?)

デブ(まあ、関係ないけど)

歌手「…………」

歌手「あ、あの!」

デブ「え?」

歌手「この前、漫画描いてるって、聞きましたけど……」

デブ「は、はあ……」

歌手「もしかしたら……漫画家さん、ですか?」

デブ「!?」

デブ「い、いや、その……」

歌手「だとしたら、お願いがあるんです!」

デブ「だ、だから……」

歌手「漫画を、ぜひ! 読ませてください!」

歌手「お願いします!」 ペコリ

デブ「!?」

歌手「…………」

デブ「…………」

デブ「……何だか解りませんけど」

デブ「そんなに見たいのなら……」

歌手「ありがとうございます!」

デブ「…………」

デブ「でもね……」

デブ「あらかじめ言っておくけど……エロ漫画だよ?」

歌手「……薄々、そんな気はしてました」

歌手「あの日……コンビニでコピーを取ってた時に」

デブ「え」

デブ「…………」

歌手「…………」

デブ「じゃあ……ちょっと待ってて。 今、いくつか持ってくるから」

歌手「はい」

―――――――――――

デブ「はいこれ……2~3日くらいで返してくれ」

歌手「ありがとうございます」

デブ「なるべく汚さないでね……ああ、それから」

デブ「感想とか、言わなくてもいいから」

歌手「……え?」

デブ「じゃ……」

歌手「…………」

デブ「……ふう」

デブ(引越しとか……考えた方がいいかもしれないな)

デブ(…………)

デブ(しかし)

デブ(何だって俺のエロ漫画を読みたい、なんて思ったんだろう?)

デブ(…………)

デブ(考えても解るわけないか……)

デブ(さっさと買い物済ませよう)

     テク テク テク…

―――――――――――

歌手「…………」

歌手「…………」 パラ…

歌手「…………」

歌手「…………」 パラ…

歌手「…………」

歌手(……ある程度は予想してた)

歌手(けど……)

歌手(無修正だとは思わなかった……!)///

歌手(女の子のマ○コや チ○コや……結合部がっ)///

歌手(…………)///

     ガチャガチャ

歌手(!!)

歌手(やべぇ! 店員が来た!)

     カチリ☆(開錠) ……ガチャ

店員「おっ? 今日は居たねー」

歌手「お、おう……」

歌手(間一髪、隠すの間に合った……)

店員「……どうしたー?」

歌手「な、なんでもない」///

店員「……?」

歌手「さ、さあ、飯を作ろうぜ!」

店員「…………」

店員「わかったー」

店員「…………」

     トントントン パラパラ… グツグツグツ

歌手「…………」

歌手(やばい……)

歌手(店員に……めちゃくちゃムラムラする……)

歌手(…………)

歌手(こうして見ると)

歌手(黒髪のボブカットにスッとした顔立ち)

歌手(胸は控えめだけど、くびれた腰に柔らかそうなヒップ……)

歌手(そして、スラリと伸びた足……)

歌手(……こうして改めて見ると、本当に可愛いよな)///

店員「……歌手ー?」

歌手「!」

歌手「な、なんだ?」

店員「手が止まってるー」

歌手「す、すまん……」///

店員「…………」

店員(……やっぱり、変)

店員(歌手、どうしたの?)


―――――――――――

歌手「ごちそうさま」

店員「……ごちそうさまー」

歌手「…………」

店員「…………」

歌手「え、えと……」

店員「うんー」

歌手「今日も飯、ありがとうな」

店員「何度も言ってるー気にするなー」

歌手「ハハハ……」

歌手「…………」

店員「…………」

店員「歌手」

歌手「ん?」

店員「…………」

店員「私は……歌手に必要?」

歌手「…………」

歌手「え?」

店員「…………」

店員「私は」

店員「音楽の事は、全くと言っていいくらい」

店員「分かっていない」

店員「……私に出来る事は、歌手の食事を作るぐらいが精一杯」

歌手「…………」

店員「私は……」

店員「歌手の『夢』の手伝いが出来無い……」

歌手「…………」

歌手「そんな事ねーよ」

店員「!」

歌手「店員が傍に居てくれるだけで……」

歌手「どれだけ助けになったか、わかんねーよ」

店員「でも……」

歌手「もし、さ」

歌手「店員が居なかったら……俺、たぶん」

歌手「こんな貧乏ミュージシャン活動なんて、とっくに廃業してる」

店員「!」

歌手「……もしかしたら、たった一人かもしんねーけど」

歌手「俺の歌を楽しみにしている奴が、ここに居るって事が」

歌手「どれだけ力になってくれたか……」

店員「歌手……」

歌手「へへ……ちょっと恥ずかしい事、言ったな」///

店員「ううん」

店員「っていうか、もっと言って欲しいー」

歌手「調子に乗んなよ」

     ハハハ…

歌手「……あー、でも、な」

店員「んー?」

歌手「こんな事、言った後で言うのも何だが……」

歌手「今日は、これで帰ってくれないか?」

店員「…………」

店員「……は?」

歌手「頼む……何も聞かずに従ってくれ」

店員「……これだけ上げといて叩き落とすのは」

店員「温厚な私でもさすがにカチンとくる……」

店員「納得のいく説明をするまで帰らない」


歌手(……やべぇ)

歌手(地雷踏んだ……)

歌手「そ、その……割と最低系な理由、とだけ、言っとく」

店員「……余計に情報の開示を求めたい」

歌手(火に油だった……)

歌手「と、ともかく! 帰ってくれ!」

店員「私の空手の腕、見たいのー?」

歌手「白状します……」 クスン…

店員「最初からそう言えー」

店員「でー? どんな理由ー?」

歌手「お、おう……」

歌手「そ、その……な」

店員「はっきりしろー」


歌手「……お前に、ものすごくムラムラしてるからです」///

店員「…………」

店員「は!?」///

歌手「な、何度も言わねーからな!?」///

店員「い、いきなりすぎ……」///

店員「というか、何で今頃!?」///

歌手「…………」///

歌手「これを読んだから……」///

―――――――――――

店員「」///

歌手「…………」///

店員「……お、女の子に、な、なんて物、見せるー」///

歌手「手っ取り早く、理解してもらうためだよ……」///

歌手「……これで分かっただろ」

歌手「今の俺は、ただのケダモノだ……」

歌手「まあ、お前の空手で撃退されるだろうけど、そんな目に会いたくもないし」

店員「…………」

歌手「さ……帰ってくれ」

店員「……ちょっと待ってー」

店員「確かに、ムードもへったくれも無くなるのは嫌だけど」

店員「私は……それを……受け入れる覚悟があるー」///

歌手「」

店員「……歌手」

店員「どうして、今まで、私に手を出さなかった?」

歌手「……!」

歌手「…………」

歌手「……将来が」

歌手「将来がどうなるのか、不安だったし」

歌手「もし……諦めた時」

歌手「店員には、綺麗な体でいてもらいたかったから……」

店員「…………」

店員「そうだったの……」

歌手「…………」

店員「歌手」

歌手「……うん」

店員「私、久しぶりに怒った」

歌手「え」

店員「ここであなたに選択肢を与えます」

歌手「は?」

店員「ひとつは」

店員「ダブルブリザードからの 烈風正拳突きを喰らって貰うこと」

歌手「……なんで闘将ダ○モス知ってるんだよ」

店員「もう一つは」

店員「……その、私と……する事」///

歌手「」///

店員「さあ、選んで」

歌手「で、でも……」

店員「歌手」

店員「私を大切に思ってくれてるのは分かったー」

店員「だけど……」

店員「それは、ある意味で『拒絶』とも取れるー」

歌手「!」

店員「私は……」

店員「不安で不安で……怖かった」

店員「どうしようもなく、恐ろしかった……」

歌手「…………」

歌手「……店員」

     ギュッ…

店員「!」

歌手「悪い……」

歌手「俺」

歌手「逃げて……いや、覚悟が足りてなかったんだな」

店員「……歌手」

歌手「……なんて言うか、ホント、ムードもへったくれもないけど」///

店員「それは、しょうがないー」

店員「けど」

店員「今、私は、最高に幸せー」///

歌手「ハハ……俺も」///

店員「じゃ……準備するー」

歌手「……へ?」

店員「こんな事もあろうかと」

歌手「真○さんか、お前……」

     ゴソゴソ…

店員「お泊まりセットを歌手の部屋に忍ばせておいたー」

歌手「…………」

店員「歌手は童貞?」

歌手「どどどど童貞ちゃうわ!」///

店員「気にするなー。 私も初めてー」

歌手「だから俺h」

店員「ダブルブリザー……」

歌手「童貞です」

店員「じゃ、お湯を沸かすー」

歌手「……? 何に使うんだ?」

店員「これ。 ローションを作るー」

歌手「…………」

歌手「なあ」

店員「何ー?」

歌手「もしかして、経験者?」

店員「ファイヤーブリザー……」

歌手「な、何でもないです!」

店員「まあ、疑うのも分からんではないー」

歌手「さよけ」

店員「私の先輩にあたる人から、いろいろと経験談を聞いたー」

歌手「へえ」

店員「初めて同士は、失敗が多いー」

店員「特に女の子は、個人差があるとは言え、最初の痛みでトラウマになり」

店員「行為はおろか、相手とも気まずくなって別れにつながる事も……」

歌手「…………」

店員「私……」

店員「歌手とそうなりたくないー」///

歌手「お、おう……」///

歌手「他にどんな注意点が?」

店員「避妊具のつけ方とかー、オギノ式の数え方とかー」

歌手(……どんな先輩だよ)

店員「後、○ナルには絶対手を出すな、とかー」

歌手「やらないから。 俺そこまで探求しないから」

店員「実際、かなり危険らしいー」

店員「大腸菌感染でえらい事にな」

歌手「その辺で止めてくれ……萎える」

店員「それは困るー」

歌手「もっと初心者レベルの注意点を、だな……」///

店員「心得たー」

―――――――――――

デブ「…………」

デブ「……ん?」

     アン……アン……ア……

デブ「」

デブ「え」

デブ「ええ!?」

     歌手……モットォ………

デブ(ちょ……)

デブ(ちょっと待ってくれ……)

     アア……スゲェ………店員ッ……

デブ(…………)

デブ(……これってアレか?)

     ヤ……ハゲシイ………ユックリ……

デブ(倦怠期で、刺激が欲しくて)

デブ(俺の漫画を使った……?)

     ソウイワレテモ……ガマン………デキナ……

デブ(…………)

デブ(……まあ)

デブ(役に立ったみたいだけど)

     店員……オレ………モウッ……アアッ………

デブ(出来れば、雑誌を買ってやってくれよな……)

     歌手……歌手ゥ…………

デブ(…………)

デブ(一発抜いておくか……) ハア…

翌日


声優「おはようございます」

M「ああ、おはようございます、声優さん」

後輩「おはようございます、先輩、マネージャーさん」

M「お、来たね、後輩ちゃん」

後輩「?」

後輩「私に何か用ですか? 新しいお仕事、とか?」

M「うん、ある意味ではそうだね」

後輩「はあ……」

M「実は、この前のオーディション」

M「選定員の一人が、ぜひ君にやってもらいたいキャラがあるって」

M「さっき連絡があったんだ」

声優「……!」

後輩「え……?」

後輩「エロですか?」

M「いいや」

声優「!」

後輩「ええ!?」

M「深夜枠だけどね」

M「最近流行りの魔法少女もので、準主役級の役をお願いしたいってさ」

後輩「ほ、本当ですか!?」

後輩「やった! やりましたよ! 先輩!」

声優「……っ」










     アタシの時間が、止まる――







本日はここまでです。エロはこんな感じかなぁ……。


いいよいいよ。エロ過ぎなくて良いよ
今、深夜で続きが気になるSSナンバー1です

次の更新が楽しみだー!!
乙です
待ってるからな!!


それぞれのキャラの雰囲気がたまらんね
みんな幸せになってほしいなぁ

続き楽しみに待ってます!

いい!凄くいい!
乙乙

続き待ってるよー

うん

のんびり舞ってる

>>160
想像したらなかなか優雅だった

後輩「それで、収録はいつなんですか!?」

M「ハハハ、まだちょっと先だよ」

M「先方(せんぽう)の話じゃ来月下旬くらいになるって」



     …………



後輩「他のキャラの配役は決まっているんですか!?」

M「主要キャラはね」

後輩「有名な人とか、居るんだろうなぁ……」



     ……どうして


後輩「うう~、い、今から緊張してきました……」

M「まあまあ。 とりあえず、目の前の仕事に集中してくれよ?」

後輩「もちろんです!」



     どうして、なの……?



M「それじゃあ、詳しいスケジュールが分かり次第、連絡するから」

後輩「はい!」



     アタシは――

     アタシのしてた、努力は――


後輩「……?」

後輩「先輩?」

声優「…………」

後輩「どうしたんですか? 先輩?」

声優「…………」

後輩「先輩!」

声優「!!」

声優「あ、う、うん、ごめんなさい、後輩ちゃん……」

声優「ちょっと……寝不足で、ボーっとしちゃってた」

後輩「そうなんですか」

声優「う、うん……そう、なの」

声優「じゃ、仕事に行かないと……」

     ソソクサ…

後輩「あ……」

後輩「…………」

後輩「どうしちゃったんだろう……先輩」


―――――――――――


銀行


     ピ……ピピ……ピ

デブ「…………」

デブ(まだ入金されてない)

デブ(B出版……先月も3日遅れてたし)

デブ(今月もなのか……?)

デブ(しっかりしてくれよ……ったく)

     アリガトウ ゴザイマシタ

デブ(さて……どうするかな)

デブ(…………)

デブ(暑ぅ……)

デブ(とりあえず、喫茶店にでも入って考えよう)

     テク テク テク…

歌手「……う」

歌手「ふああああああっ……」

歌手「…………」 ボー…

店員「おはよー」

歌手「……!?」

歌手「え!? て、店員!?」

店員「何で驚くー?」

歌手「……」

歌手「あ……そ、そうだった……俺達、昨夜……」///

店員「……」///

歌手「って!? もう10時じゃねーか!?」

店員「そうだねー」

歌手「なんで起こしてくれなかったんだよ!? 完全に遅刻だ、遅刻!」

店員「そうだねー」

歌手「そうだねって……お前も遅刻なんじゃね?」

店員「……昨夜」

店員「誰かさんのハッスルで私の一部分が悲鳴を上げておりますー」

歌手「す、すまん」///

店員「そんな訳で、さっき電話して、私は今日休みを取ったー」

歌手「ああ……」

店員「…………」

店員「そういえば、聞きたい事、あるー」

歌手「おう?」

店員「昨日の……その、えっちぃ漫画ー」

店員「あれ、コピーだったけど、無修正だったー」

歌手「ああ……」

店員「あんなの、どうやって手に入れたのー?」

歌手「手に入れた訳じゃねーよ。 借りたんだ」

歌手「お隣のデブさんに」

店員「へー」

店員「やっぱり、そういう雑誌に描いている人ー?」

歌手「まあ、はっきり言わなかったけど……たぶん」

店員「そっかー」

店員「お礼、言うべきかなー?」

歌手「……どうして?」

店員「私と歌手のキューピッドになったー」

歌手「心情的に受け入れたくない事実だ……」

店員「事実は小説よりも奇なりー」

歌手「まあ、真面目な話……デブさん、お礼言われても困ると思う」

店員「……やっぱりそうかなー」

歌手「って、そんな話ししている場合じゃない!」

歌手「電話! 電話入れとかないと!」

店員「歌手も休んだらー?」

歌手「そうしたいのは山々だが……」

店員「?」

歌手「絶対、お前に手を出す……つーか、空手技食らってもヤリ倒そうとする」

歌手「情けないが……我慢できる自信がねえ」///

店員「……歌手のスケベー」///

歌手「う、うるせー」///

歌手「ど、童貞には、過剰すぎる快感だったんだよっ」///

店員「バ、バカ……そ、それ以上言うなー」///

歌手「だあもう! 思い出しちまったじゃねーか!」///

歌手「静まれっ! 俺の情熱マイクッ!」///

店員(……男って、ちょっと可哀想な生き物ー)///

収録スタジオ


声優「ああんっ、あんっあんっ……」

声優「もっとぉ……もっとかき回してぇ……」

声優「子宮の奥ぅ……いいのぉ……あひぃぃぃっ」


スタッフ「…………」

スタッフ「すみません、もう一度お願いします」


声優「……はい」

声優「ああんっ、あんあん……」

声優「もっと……もっとかきき回し……」

声優「……すみません」


スタッフ「……はい」

声優(……ダメ)

声優(もっと……もっと集中しなさいっ!)

声優(こんなの……いつもやっている事でしょ!?)

声優(こんなのっ……!)

     ――やった! やりましたよ! 先輩!――

声優「ああんっ、あん、あんっ……」

声優「もっとぉ……もっと、かき、回して……」

声優「子宮、の、お…く…………っ」

     ――それで、収録はいつなんですか!?――

声優「……っ……うっ……」 ポロッ

声優「うくっ……うっ……ううっ」 ポロポロ……


スタッフ「…………」


―――――――――――

午後


M「……どうしたの、声優さん」

声優「…………」

M「後輩ちゃんくらいの新人ならともかく、君みたいなベテランが……」

声優「……すみません」

M「…………」

M「……まあ、先方(せんぽう)さんにも まだ余裕があったから良かったものの」

M「こういう事が続くと、こっちとしても、ね……」

声優「…………」

M「…………」

M「スケジュールの調整はしておくから、2~3日休んだ方がいい」

声優「!?」

声優「ま、待ってください!」

声優「アタシは……アタシはやれます!」

M「ダメだよ……今の君は使えない」

声優「……っ」

M「……僕としても、心苦しいけど」

M「今は、休む事を考えなさい」

M「わかったかい?」

声優「………………はい」

夕方


     コン コン

デブ「? は~い、どなたですか?」

歌手「あ、どうも……隣の歌手です」

デブ「ああ……今 開けます」

     ガチャ

歌手「昨日は突然すみませんでした」

デブ「いえ……」

歌手「これ……漫画です」

デブ「あ、はい」

デブ「じゃ……」

歌手「凄いですね……デブさんは」

デブ「……は?」

歌手「怒るかもしれませんけど……」

歌手「俺……ちょっと、馬鹿にしてたっス」

歌手「デブさんも……エロ漫画の事も」

デブ「…………」

歌手「情けない事に……自分の無くしたやる気を取り戻したくて」

歌手「俺は、この人よりマシなんだって、思い込みたくて漫画を借りたっス……」

デブ「…………」

歌手「でも」

歌手「全然違った」

デブ「……違わないよ。 その通りさ」

歌手「いいえ」

歌手「俺、羨ましいっス」

歌手「デブさんは、立派に『漫画』で食って行けてるじゃないですか」

デブ「…………」

歌手「……俺、今だにスーパーの惣菜売り場でバイトしてるっス」

歌手「もし……ミュージックに『エロ』ってジャンルがあったら」

歌手「是非それで稼いで、少しでも音楽のそばにいたいっス」

デブ「……!」

歌手「それに、このエロ漫画だって凄いっスよ」

歌手「めちゃくちゃムラムラしましたし」

デブ(……それは知ってる)

歌手「ぜひ……大事にしてやってください」

デブ「は?」

歌手「俺は……自分が作った曲は、全部大事にとっているっス」

歌手「中には、こんなダセー曲って言われたものもあります」

歌手「でも……自分で生み出した……言ってみれば子供みたいなものなんです」

歌手「俺、捨てられないっス」

デブ「…………」

歌手「そんな訳で、いろいろ言っちゃったスけど」

歌手「全部ひっくるめて、ありがとうございましたっス!」

歌手「それじゃ!」

デブ「……はあ」

     パタン…

デブ「…………」

デブ(……ったく)

デブ(相変わらず、無駄に熱い人だ)

デブ(…………)

デブ(子供……か)

デブ(悪いなぁ……こんな情けない親で)

デブ(…………)

デブ(……でも)

デブ(やる気は出てきたな)

デブ(………ふふ)

デブ(さ、仕事を続けるか)

翌日


店員「いらっしゃいませー」

店員「……あ」

イケメン「やあ、店員ちゃん」

店員「待っていたぞよー」

イケメン「嬉しい事言ってくれるね」

店員「覚悟しておけー」

店員「特大の引導を渡してやるー」

イケメン「お、お手柔らかに頼むよ……」

喫茶店


     イラッシャイマセー

イケメン「コーヒーを……あ」

イケメン「やっぱり、アイスコーヒーを2つ」

イケメン「それでいいかい?」

店員「何でもいいー」

     カシコマリマシタ

イケメン「さて……聞かせてもらえるかい?」

店員「わかってるー」

店員「…………」

店員「……そうねー」

店員「二人だけだったー」

店員「私の喋り方をバカにしなかったのはー」

イケメン「…………」

店員「もっとも、馬鹿にした奴は片っ端から叩きのめしたけどー」

イケメン「男が相手でも容赦なかったよね……」

店員「でも、そのせいもあってー」

店員「私に話しかけてくる人は、稀だったー」

イケメン「……うん」

店員「……楽しかったよねー」

イケメン「ああ……俺と君と歌手の三人で、よくつるんだもんだ」

店員「…………」

店員「決定的だったのは、学祭の時だったー」

イケメン「…………」

店員「クラス別の出し物で」

店員「初めて、あなたと歌手が対立したー」

イケメン「…………」

店員「あなたは堅実に喫茶店」

店員「歌手は、リクエスト・コンサート」

店員「歌手が、客のリクエストで一曲歌う、という誰が見ても無謀な企画だったー」

イケメン「…………」

店員「結局」

店員「クラスの取り決めで、あなたの案が採用されたー」

イケメン「……そこから、あいつは凄かったね」

イケメン「じゃあ自分だけでもやる!って言い出して」

イケメン「たった一人で実行委員会に企画エントリーした」

店員「……私も無謀だと思ったー」

店員「意地を張らずにみんなで頑張ろう、と、説得もしてみたりもしたー」

イケメン「…………」

イケメン「たかだか高校の文化祭に、自腹を切ってまでステージを作っていたっけ……」

店員「そう」

店員「私もついて行けないって思ったー」

店員「しかも校舎裏……いったい誰が近寄るの?っていう場所ー」

イケメン「……そして当日」

イケメン「追い討ちをかけるような無常の雨が降ってきた」

店員「…………」

イケメン「…………」

     オマタセシマシター

イケメン「ありがとう」

店員「ありがとうー」

     ズズッ…

店員「……私は、心配になって様子を見に行ったー」

店員「案の定、歌手はたった一人で歌っていたー」

イケメン「…………」

店員「歌手はずぶ濡れで、ギター持って……」

店員「でも……ずっと笑いながら歌ってたー」

イケメン「…………」

店員「私……どうしてかわからないけど」

店員「『明るい曲』をエントリーしたー」

イケメン「…………」

店員「……本当にバカだよねー」

店員「だけど……」

イケメン「…………」

店員「私は、文化祭が終わって、片付けを手伝いながら」

店員「いろいろ最悪だったねって言ったー」

店員「そしたら……歌手はなんて言ったと思うー?」

イケメン「……疲れた、とか?」

店員「…………」

店員「笑いながら『そんな中なのに3人も客が来てくれたぞ!』だった……」

イケメン「……あいつらしいな」

店員「その時、私……」

店員「歌手に恋をしたー」

イケメン「…………」

店員「この人は、どんな失敗も苦境も『楽しむ事』ができるー」

店員「どんなに馬鹿にされようとも、どんなに愚かだと言われても」

店員「笑い飛ばして、楽しんでしまえる人なんだって……」

イケメン「…………」

店員「今もそう……」

店員「歌手といると、それだけで私は楽しいー」

店員「経済的には苦しいけど、それを笑い飛ばしてるー」

店員「きっと……これからも」

イケメン「…………」

イケメン「……そうか」

店員「イケメン」

イケメン「ん?」

店員「私は、イケメンの生き方を否定したいわけじゃないー」

店員「多分、私の選択の方が、世間から見たらおかしいと思われるー」

店員「でも」

店員「それでも、合う合わないは、人それぞれー」

イケメン「…………」

イケメン「……もし」

イケメン「もし、歌手がいなかっ――」

店員「…………」

イケメン「……いや」

イケメン「何でも無い」

店員「……そう」

店員「最後に」

イケメン「ん?」

店員「最大にして最強の止めを刺すー」

イケメン「うん」

店員「私は」

店員「歌手に『女』にしてもらったー」

イケメン「ぶふぉっ!?」

店員「まいったかー」 ドヤッ!

イケメン「ハ、ハハハ……」

イケメン「そ、そう……かい。 二重に驚いたよ」

店員「二重ー?」

イケメン「一つは君の思う通り」

イケメン「もう一つは、まだ”シテ”なかったのか、と思ってな」

店員「悪かったなー」

イケメン「ハハハ……」

イケメン「…………」

イケメン「ありがとう、店員ちゃん」

イケメン「おかげで……いい踏ん切りがついたよ」

店員「…………」

イケメン「じゃ、俺はこれで……伝票、持っていくね?」

店員「うん」


―――――――――――

イケメン(…………)

イケメン(……予想はしてた)

イケメン(彼女の心に入り込むのは難しいって)

イケメン(…………)

イケメン(……だけど)

イケメン(結構くるものだな……)

イケメン(…………)

イケメン(世の中の半分は女なのに)

イケメン(どうして、君なんだろうね……)

イケメン(…………)

イケメン(…………)

イケメン(俺は、君を支えたいって、ずっと思ってきた)

イケメン(その為に、堅実に生きてきた)

イケメン(将来を……ずっとずっと先を考えて、見据えて)

イケメン(頑張ってきた……)

    ――私は、イケメンの生き方を否定したいわけじゃない――

イケメン(…………)

イケメン(……君が俺の傍に居ないだけで)

イケメン(十分否定されてるよ……)

イケメン(…………)

イケメン(俺は……)

イケメン(店員ちゃん以外の誰かを)

イケメン(好きになれるのだろうか……)

イケメン「…………」

イケメン「…………」 ピッ

イケメン「ああ、母さん? ……うん、そう」

イケメン「突然なんだけど、お見合いの話、進めておいてくれる?」

イケメン「…………」

イケメン「うん……うん……」

イケメン「うーん……それは約束できないな」

イケメン「何しろ初めての事だし……それに」



イケメン「その人が俺に合うか、合わないか、は、解らないからね……」


数日後

銀行


デブ(……おかしい)

デブ(まだ入金されていない)

デブ(もう5日目だ……)

デブ(…………)

デブ(仕方ない)

デブ(B出版に電話してみよう)

     テク テク テク

デブ「…………」 ピッポッパッ

     お掛けになった電話番号は、現在使われておりません

     もう一度……

デブ「……いけね、間違えたか」 ブッ… 

デブ「…………」 ピッポッパッ

     お掛けになった電話番号は、現在使われておりません

デブ「……あれ?」

デブ「…………」 ブッ

デブ「ええと……○■○ー●○△■と」

デブ「…………」 ピッポッパッ

     お掛けになった電話番号は、現在使われておりません

デブ「…………」

デブ(…………)

デブ(……まさか)

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……プルルルルル……

     ガチャ

デブ「あ……A出版さんですか?」

デブ「すみませんが、A編集者さんをお願いします」

デブ「はい……」

デブ「…………」

デブ「……あ、A編集者さん、すみません」

デブ「……は?」

デブ「ああ……そ、それは確かにお願いしたいですが……別件で」

デブ「……ええ、そうです」

デブ「A編集者さんは、B出版ってご存知ですか?」

デブ「…………」

デブ「ええ、それです」

デブ「その出版社の……」

デブ「え?」

デブ「…………」









デブ「2週間くらい前に不渡りを出した……?」






本日はここまでです。レス、ありがとうございます。

乙ですー
期待して待っておりますので
今後ともよろしくお願いします、はい

声優さんだけキッツいなーと思ったらデブも悲惨な事に……

乙です。
デブは結婚してるか離婚したのかな?

乙!

このSS見てると何故か絢香のツヨク想うが頭の中に響いてくるッス

みんな色々あるけど頑張ってんだよなって気持ちになるっス!

あっ勘違いしてた。子供って自分の作品の事か
続きが気になるなー次の更新が楽しみです。

歌手&店員+イケメンの方は何とか先が見えてきたけど…
肝心の声優が…
とにかく続き気になります!
次の投下待ってます!

これ普通に面白くて続き気になる
今後も期待して待ってます

カラオケボックス


店員「…………」

店員「テンチョー」

テンチョー「ん?」

店員「売れてない女優さん、ここんとこ見ませんねー?」

テンチョー「……そうだね」

テンチョー「風邪でもひいたのかな……?」

店員「なるほどー」

店員「ちょっと心配ですねー」

テンチョー「だね」

事務所


後輩「……マネージャーさん、先輩、今日もお休みなんですか?」

M「うん……」

M「体の方は問題ないんだけどね」

M「念のため、もう少し休むってさ」

後輩「そう……ですか」

M「じゃ、今日も収録、頑張ってね」

M「場所、いつもと違うから、気をつけてね」

後輩「はい……わかりました」

     テク テク テク…

M「…………」

収録スタジオ


後輩「ああんっ! しゅごいっ……! しゅごいのぉぉっ!」

後輩「あたしの子宮ぅっ……! 全部っ……ギモヂいいのぉほぉっ……!!」

後輩「んはぁっ……! らめぇぇぇっ! れんぶっ……れんぶギモヂ……いいのほぉっ!!」

後輩「らしてぇっ……! 触手ち○ぽミルクぅ、らしてぇっ!」

後輩「触手ち○ぽミルク、いっぱい子宮にらしてぇぇぇぇっ!!」

後輩「ンはぁっ! きたぁ……! 触手ち○ぽっ、どくどくらしてぇ……」

後輩「ンあヒィィィィィィィッ!!」

後輩「あらしのひきゅう、イグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


スタッフ「……はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」


後輩「お疲れ様でした」

後輩「ふう……」

後輩「…………」

後輩(先輩、どうしちゃったのかな……)


スタッフ「…………声優さん、まだダメなのかな」


後輩「……?」

後輩(……スタッフマイク、入ったままだ)


スタッフ「こっちとしては、そろそろ録りたいんだけどね~」

すたっふ「声優って……この前、収録中泣いちゃった娘?」


後輩「!?」

スタッフ「そうなんだよ……」

スタッフ「長い事やってるし、そのへんは割り切ってると思ってたんだけどね~」

すたっふ「まあ……逆に、今まで溜まってたものが一気に吹き出したのかもな」

すたっふ「俺、あの娘がエロ以外で(声を)当ててるの、ガヤ以外で見た事ねえし」

スタッフ「あー……そりゃいろいろクルわなー」

スタッフ「俺がその立場なら……とっとと辞めて他の仕事するわ」

すたっふ「アイドル声優がもてはやされて、その夢を捨てきれないのかもな」

すたっふ「実際、成れるのは ほんのひと握りなのに……」

スタッフ「それはさすがに理解してると思うが……どうなんだろうな」

すたっふ「……まあ、俺たちがボヤいたってしょうがないんだけど」

すたっふ「おっと……マイク、入れっぱなしだった」

     ブツンッ

後輩「…………」

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……

デブ「あ、C出版さんですか?」

デブ「私、以前そちらで漫画を描かかせてもらっていたデブ、という者なんですが……」

デブ「C編集者さんは居られますでしょうか?」

デブ「…………」

デブ「あ、C編集者さん、お久しぶりです」

デブ「はい……はい……」

デブ「そうですね、懐かしいですね」

デブ「それで、ですね……」

デブ「できたら、そちらでまた、漫画を描かせてもらえな……」

デブ「い、いえ、仕事ができるなら、イラストのカットでも何でもいいんです」

デブ「…………」

デブ「は、はい……無理は承知しています」

デブ「ですが……」

デブ「はい……はい……」

デブ「…………そう……ですか」

デブ「…………」

デブ「わかりました……お手間を取らせて申し訳ありません」

デブ「でも御用があれば、いつでも……」

     ブッ……

デブ「…………」

デブ「ええと……次は……」

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……

デブ「あ、D出版さんですか?」

デブ「私、以前そちらで漫画を描かせてもらっていたデブ、という者なんですが……」

デブ「D編集者さんは居られるでしょうか?」

デブ「…………」

デブ「……え? 辞めた?」

デブ「そ、そうですか……」

デブ「あ、あの……でしたら、ですね」

デブ「そちらで是非、仕事を……」

     ブッ……

デブ「…………」

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……

デブ「あ、E出版さんですか?」

デブ「私、以前そちらで漫画を描かかせてもらっていたデブ、という者なんですが……」


―――――――――――


デブ「…………」

デブ(……全滅、か)

デブ(…………)

デブ(…………)

デブ(……どうしたら)

デブ(…………)

エーライヤッチャ
  エーライヤッチャ
     ヨイヨイヨイヨイ

 ♪ /|  /|  /|
♪ ∠_ノ ∠_ノ ∠_ノ
〈(・∀・)ノ・∀・)ノ・∀・)ノ
`└|==|┘|==|┘|==|┘
 〈 〈 〈 〈 〈 〈
   ̄   ̄   ̄

舞ってた

デブ(……今やってる仕事が終わったら)

デブ(俺……完全に無職……)

デブ(原稿料は3ヶ月遅れで入ってくるけど……お先真っ暗だ)

デブ(B出版の仕事で何とかなると思ってたのに)

デブ(ここは既に倒産してて、3ヶ月分の原稿料は、丸まるおシャカ……)

デブ(かつてのツテを当たってみたけど……結果は全滅)

デブ(…………)

デブ(……詰んだ……かも、な)

デブ(…………)

デブ(まいった……)


―――――――――――

声優「…………」

声優「……あれ?」

声優「もう無い……ヒック」

声優「…………」

声優「ちょっと、買ってくるか……ヒック」

声優「…………」

声優「んー……んはははは……ヒック」

声優「いーきもちー」

声優「……ヒック」

     フラ フラ…


―――――――――――

声優「んへへへー」

声優「コンビニって便利ぃー……ヒック」

声優「んはははは、声優様のお帰りー」

声優「ヒック」

     ガチャガチャ…

声優「……んあ?」

―――――――――――

デブ「……!?」

デブ(誰?)

     コラァー ダレダァー アタシノ部屋ノカギシメタノー!

デブ「」

デブ「え? 声優さん?」

     ガチャ…

デブ「あのー……あなたの部屋は隣なんですけ」

     ドササッ

声優「んはー……」

デブ「酒臭っ!?」

デブ「って! こんな昼間からどうしたんですか!?」

声優「……うっせー!」

声優「なに人の部屋に入ってんだよ、キモヲタ!」

デブ「」

声優「出て行くのはあんただっつーの……キャハハハハッ!」

デブ(アカン……そうとう酔ってる……)

声優「はははは……はあー……」

デブ(……どうしよう)

声優「……ぐすっ」

デブ「」

声優「なによう……アタシの何がいけないのよう……ヒック」

声優「後輩ちゃんが……えぐっ……どうして……えらばれりゅのよぉ……」

声優「なにが違うってのよぉ……! ぐすっ……えぐっ……」

デブ(…………)

デブ(恋愛のもつれ……かな……?)

声優「……それもこれも」

声優「全部あんたのせいよ! ……ヒック」

デブ「…………」

声優「あんたみたいなキモヲタのブタ野郎が居るから」

声優「アタシが成るのよ!!」

デブ「…………」

声優「訴えてやるんだからぁ……ぐすっ……」

声優「全部……全部……」

声優「恨んでやるんだからぁっ!」

デブ「…………」

声優「う……あああああああああああっ……」

声優「えぐっ……ひぐっ……もう……やだああああああああっ……」

声優「ああああああああっ……」

デブ(……泣きたいのはこっちです) クスン…

夕方

事務所


後輩「お疲れ様でした」

M「ああ、お疲れ様、後輩ちゃん」

後輩「…………」

後輩「あの、マネージャーさん」

M「ん?」

後輩「声優先輩、収録で泣いたって……本当ですか?」

M「…………」

M「君が気にする事じゃないよ」

M「彼女もこの業界、長いんだ……割り切って仕事するのがプロだと」

M「わかっている」

後輩「…………」

M「……でも、人間なんだもの」

M「時々、立ち止まったり、転んだりしちゃうものだよ」

後輩「…………」

後輩「先輩……慣れるのが怖いって、言ってました」

M「…………」

後輩「割り切るって、何なんですか?」

後輩「先輩は、ずっとずっと……我慢してただけなんじゃないですか!?」

M「こ、後輩ちゃん……」

後輩「……私だって、我慢している状態です」

後輩「だからこそ、エロじゃない仕事が入って、嬉しかった!」

M「…………」

M「わかっているよ……そんな事」

後輩「…………」

M「でもね……マネジメントしてる側から言わせてもらうけど」

M「彼女が頑張れば頑張るほど、エロ関連の仕事が増えるんだ……」

後輩「……!」

M「皮肉だよね……」

M「彼女の努力は、確かに認められているんだよ」

M「でも……それが表舞台の仕事を遠ざけていたりするんだ」

後輩「……っ」

M「…………」

M「こっちとしても……できるだけ偏らないようにしたいんだけど」

M「結局……」

後輩「…………」

後輩「……帰ります」

     テク テク テク…

M「あ……」

M「…………」

M(彼女も……)

M(……ヤバイかもしれないな)

M「はあ……」


―――――――――――

後輩「…………」

後輩(……どうして)

後輩(こんな事になったの……?)

後輩(…………)

後輩(私は、この業界の事を調べて、覚悟を決めて入ってきた)

後輩(有名な声の人も アイドル声優で活躍している人も)

後輩(エロをやった事が無い人は皆無……)

後輩(中には、エロができない奴は二流以下、なんて言ってる人も居る)

後輩(…………)

後輩(……私は、このチャンスを無駄にしたくない)

後輩(でも………でも……!)


―――――――――――




声優「…………」zzz

声優「……ん」

声優「ふあああっ……」

     ズキズキッ!

声優「ぐっ……!」

声優「……ったま痛ぁ」

声優「…………」

声優「……さすがに、飲みすぎたみたいね」

声優「…………」

声優(……あれ?)

声優(なに? この汚い部屋……それにあれって)

声優(描きかけの漫画……?)

     ガチャ

デブ「ふう……」

声優「」

デブ「あ」

デブ「目が覚めましたか、声優さん」

声優「…………」 唖然…

デブ「……その、とりあえず話を聞いてください」

デブ「やましい事はしてないし、玄関の鍵は空いてますから……」

声優「……はい」

デブ「――という訳です」

声優「」

声優「す、すみませんでした!!」

デブ「いえ……」

デブ(心に何発かクリティカルヒットもらいましたけどね……)

デブ「ご気分が治られたのなら、どうぞ帰ってください」

声優「はい……重ねてすみません」

声優「すぐにでも……」 ヨロ……

デブ「ああ、無理はしないで……これ、二日酔いの薬です。 どうぞ」

声優「…………」

声優「……本当にすみません」

デブ「じゃ……俺、仕事しますんで……」

声優「あ、はい……」

デブ「…………」

声優「…………」

声優「……あの」

デブ「はい?」

声優「漫画家さん……なんですか?」

デブ「……ええ」

デブ「エロ漫画ですけどね」

声優「! そ、そうなんですか……」

デブ「はは……お恥ずかしい事ですが」

声優「そんな事は……」

デブ「……どうあがいたって、おおっぴらに言えるジャンルじゃないですよ」

声優「…………」

声優「そんな言い方は良くないと思います」

デブ「…………」

デブ「いいんです」

デブ「もうすぐ廃業するかもしれませんし」

声優「え……?」

デブ「……いろいろあって、今書いている原稿仕上げたら」

デブ「次の仕事がないんですよ」

声優「……!」

声優「そう……なんですか」

デブ「愚痴ってしまってすみません……」

声優「……いえ」

デブ「…………」

デブ「皮肉なもんです」

デブ「変な話なんですが、ちょっとやる気になっていたところだったのに……」

デブ「とたんにこのザマです……笑ってしまいますよ」

声優「…………」

声優(……複雑な気分)

声優(この人は……今、どんな気持ちで仕事をしているんだろう)

声優(…………)

声優(アタシは……まだ幸せな方なんだろうか……)

声優(……けど)

声優(…………)

声優(……あれ?)

声優(でも待って……どうしてこの人は……?)

声優(…………)


デブ「…………」


声優(何か、訳があるのかな……?)

声優(…………)

声優(……かもしれない)

声優(聞いたら失礼なんだろうか……)

声優(…………)

声優「……あの」

デブ「はい?」

声優「もしかしたら、何か理由があるのかもしれませんが」

声優「質問してもいいですか?」

デブ「どうぞ」

声優「答えたくなかったら、答えなくてもいいです」

デブ「はあ……」

声優「…………」

声優「デブさんは」



声優「普通の漫画は描かないんですか?」



デブ「……!!」

デブ「…………」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「……進撃の○人、って、知っていますか?」

声優「え? は、はい」

声優「今、深夜帯でアニメもやっていますよね」

デブ「そうですね……」

デブ「…………」

デブ「あの作品、連載開始当時、十代のデビュー仕立ての新人が描いてるんですよ」

声優「……!」

デブ「…………」

デブ「俺……」

デブ「普通の作品も書いていました」

声優「…………」

デブ「高校卒業後すぐ、何本も書いて」

デブ「週刊少年・飛翔に投稿し続けてました」

声優「…………」

デブ「結局……佳作にすら選ばれず」

デブ「ずっと無職のまま……」

デブ「親から就職しろ、就職しろ、と、うるさく言われて」

デブ「金を稼げば問題ないだろうと、エロ漫画雑誌に投稿したら」

デブ「割とすぐにデビューできました」

声優「…………」

デブ「でも……」

デブ「親はそんな俺を……」

デブ「……って、どうでもいいですね、こんな話」

声優「……いえ」

デブ「話を戻しますけど」

デブ「俺は家を飛び出して、ここに入居してエロ漫画を描きながらも」

デブ「普通の漫画も描いて投稿していました」

声優「…………」

デブ「そして……3~4年くらい前に進撃の○人を知ります」

声優「…………」

デブ「その頃は、人気が出始めていた程度の作品扱いでした」

デブ「手にとって見た時、絵もそんなに上手くないし、なんだこれ?と思いました」

声優「…………」

デブ「……でも」

デブ「気がついたら、あっという間に読み終えていたんです」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「どう……言えばいいんでしょうね……」

デブ「なんて言うか……生まれて初めて『才能』というものに衝撃を受けた」

デブ「と、でも言うんですかね……」

声優「…………」

デブ「エロ漫画の仕事が忙しくなっていた事もあって」

デブ「だんだんと普通の漫画の事は、考えなくなって……」

デブ「いつの間にか……描かなくなりました」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「……情けないですよね」

デブ「会った事もない人に勝手に負けたと思って、逃げ出しているんですから」

声優「…………」


声優(……なんなの)

声優(この胸のモヤモヤは……)

声優(…………)

声優(……アタシは)

声優(この人と同じなの?)

声優(こんな――)

声優「…………」

声優「……デブさん、アタシ帰ります」

デブ「もう大丈夫ですか?」

声優「ええ」

デブ「そうですか」

デブ「お気を付けて」

声優「どうも……」

     ……パタン

デブ「…………」

デブ「……さ、頑張ろう」

デブ「締切は待ってくれないからな」

デブ「…………」

声優「…………」



デブ「なんて言うか……生まれて初めて『才能』というものに衝撃を受けた」



声優(……違う)

声優(そうじゃない)



デブ「……情けないですよね」

デブ「会った事もない人に勝手に負けたと思って、逃げ出しているんですから」



声優(それもちょっと違う……)

声優(…………)

声優(……ただ)

声優(諦めてしまったのよ……)

声優(もう”無駄”なんだって)

声優(どうやったって、こうなれないんだって……)

声優(…………)

声優(アタシは……?)

声優(アタシはあの娘に……後輩ちゃんに何か負けているの?)

声優(…………)

声優(違う)

声優(アタシも逃げているだけ……)

声優(ベクトルは違うけど……現状から目をそらしたいだけ)

声優(…………)

声優(アタシは――)

声優(――負けない)

声優(負けたくない……!)

声優(こんな現状にも、後輩ちゃんにも)

声優(そして……自分にも!!)


―――――――――――


翌日


     あ~あ~あ~あ~あ~♪

デブ「……ん」

デブ「8時……か」

デブ「……ふう、一息入れるか」

     コポ コポ コポ…

デブ「…………」 ズズッ

デブ「うん……コーヒー美味い」

デブ「インスタントだけど」

デブ「…………」

デブ(……さて、ベタが乾いたら修正して、トーン貼って)

デブ(最終チェック終えたら)

デブ(投函しておしまい……だな)

デブ(…………)

     コン コン

デブ「ん?」

デブ(誰だろう……こんな時間に)

デブ「は~い」

     ガチャ

デブ「! ……声優さん」

声優「おはようございます、デブさん」

声優「これ……ご迷惑をおかけした、せめてものお詫びです」

声優「急ごしらえですけど、サンドイッチを作ってみました」

声優「良かったら、お昼にでも食べてください」

デブ「これはどうも……ありがたくいただきます」

声優「…………」

声優「あの……」

デブ「はい?」

声優「差し出がましい事を言いますが……」

声優「今、チャンスなんじゃないですか?」

デブ「……え」

声優「時間……少し出来るんですし」

声優「やってみても、いいんじゃないですか?」

声優「普通の漫画、描くのを」

デブ「……!」

声優「…………」

声優「もし、作品が出来たら」

声優「アタシ、是非読んでみたいです」

デブ「…………」

声優「じゃ……」

     パタン……

デブ「…………」

デブ「……チャンス」

デブ「…………」


―――――――――――


事務所


声優「おはようございます」

M「……!」

M「お、おはよう、声優さん」

声優「ご迷惑をおかけしました……」 ペコリ

声優「仕事……また貰えるでしょうか?」

M「…………」

後輩「!!」

後輩「せ、先輩!」

声優「後輩ちゃん……久しぶりね」

後輩「い、いえ……それより、あのっ……!」

声優「後輩ちゃん」

後輩「は、はい」

声優「…………」

声優「おめでとう、表舞台に立てて」

後輩「!!」

後輩「先輩……」

声優「ふふふ……この一言言うのに」

声優「だいぶかかっちゃったな……」

後輩「…………」

後輩「先輩、わ、私……!」

声優「気にする必用は無いわよ」

声優「それに、後輩ちゃんが居るところはアタシ未経験だから」

声優「もう教えられる事が無いわ……」

後輩「…………」

声優「だから」

声優「これからは、アタシにいろいろ教えてくれると嬉しいな♪」

後輩「!!」

後輩「は、はい!」

後輩「私でいいのならっ!」

声優「お願いね、後輩先輩」

後輩「ふ、普通に呼んでください……」///

声優「あはは、ごめん」

後輩「あはは」

M「…………」

M「……さぁ~て」

M「それじゃ声優さん」

声優「はい」

M「サボった分、厳しくなるよ~?」

声優「覚悟してます」

M「それだけ聞けば十分だ」

M「じゃ、今日は、Aスタジオへ行ってくれ」

M「当分、帰りが遅くなると思うから、そのつもりで、ね」

声優「はい!」

後輩「私も頑張ります!」

M「うん。 期待してるよ」

M「今日も一日頑張ろう!」

声優・後輩「はい!」

     ハハハ……


―――――――――――

デブ(…………)



声優「今、チャンスなんじゃないですか?」



デブ(…………)

デブ(63番……63番……)

デブ(…………)



声優「もし、作品が出来たら」

声優「アタシ、ぜひ、読んでみたいです」



デブ(…………)

デブ(……次は、62番……と)







     早く仕事を終わらせたい……そして――

     俺は、そんな気持ちで一杯だった





遅い投下ですみません。本日は以上です。
したらばメンテの前に何とか間に合った……


まだ途中だけど最後まで頑張って下さい

乙!!!
待ってたよ!
みんな希望が見えてきた!
続きまってるよ!

乙!こんな雰囲気大好きだ


いいね

何か、こう、上手く言えないケド……心に来る物があるな……

いいな 乙

夢に向かって努力するも結果が出ない
他方周囲の人間が先を行く
さくら荘的な面白さがあるな

ぜひとも完結させてくれ

考えさせられるモノがある…

落ちないよう支援あげで

申し訳ありません……もう少し時間をください。
明日か、明後日には何とか……保守、ありがとうございます。

おkおk
のんびり舞ってる

>>268
ソイヤッ

エーライヤッチャ
  エーライヤッチャ
     ヨイヨイヨイヨイ

 ♪ /|  /|  /|
♪ ∠_ノ ∠_ノ ∠_ノ
〈(・∀・)ノ・∀・)ノ・∀・)ノ
`└|==|┘|==|┘|==|┘
 〈 〈 〈 〈 〈 〈
   ̄   ̄   ̄

阿波踊りです

数日後

スーパー 惣菜売り場


歌手「えー本日は、北海道産じゃがいもコロッケが」

歌手「2割引になっています!」

歌手「お買い得ですよー!」

マダム「あら、威勢のいいお兄さん。 いい声ね」

マダム「5つもらえるかしら?」

歌手「ありがとうございます!」

歌手「じゃがいもコロッケ5つですね……」 セッセッ セッセッ

歌手「おまたせしました。 お会計は、レジでお願いします」

マダム「ありがとう」

     テク テク テク…

歌手「本日は、北海道産じゃがいもコロッケが、2割引でお買い得ですよー!」

歌手「ふう……」

部門長「ああ、歌手くん。 お疲れさん」

歌手「お疲れっス、部門長」

部門長「今日もご苦労様。 明日も頼むよ」

歌手「はい」

部門長「さて……明日は、と……」

歌手「……?」

歌手「なんスか? そのラジカセ?」

部門長「はは……上からの指示で、明日から流せって音楽だよ」

歌手「! ……どんな曲っスか?」

部門長「聞いてみるかい?」

―――――――――――

キタ━(゚∀゚)━!

歌手「…………」

部門長「どうかな?」

歌手「……偉そうな事、言えないっスけど」

歌手「何だかテンポの悪い曲っスね……」

部門長「ははは……私もそう思う」

歌手「いつも有線から引っ張ってきてるのに……どうして?」

部門長「……さあ」

部門長「私も雇われている身だからね」

部門長「従わない訳には、いかない、としか言えないな」

歌手「…………」

―――――――――――

歌手「…………」

歌手(惣菜コーナーで流す曲か……)

歌手(…………)

歌手(俺だったら……アップテンポで)

歌手(……いや)

歌手(あそこの客層は主婦がメインだし……)

歌手(アップテンポだけど、少し緩めに……だけど、遅すぎない)

歌手(そんな感じで……もし、歌詞を付けるなら……)

歌手(うーん……)

歌手(…………)

     ガチャ

歌手「ただいま」

店員「お帰りー」

店員「?」

店員「どうしたー? 何か嬉しそうだけどー?」

歌手「いや、少し思いついた事があってな」

店員「インスピレーションってやつー?」

歌手「そう、それ」

歌手「少し書き留めておきたいから、飯、ちょっと待っててくれるか?」

店員「了解ー」

店員「と言っても、そうめんだけどねー」

歌手「暑いし、ぴったりだな」

デブ「…………」

デブ「お」

デブ「終わった……」

デブ(思ったよりかかってしまったな……)

デブ(……色々あったからしょうがないか)

デブ(さて)

デブ(いつも通りコピーして投函しないと)

デブ(…………)

デブ(……もう、こんな時間か)

デブ(この前みたいにコピーだけとってくるか)

デブ(ついでにビニ弁も買ってこよう)

     ガチャ

デブ「あ……」

声優「あ……」

デブ「今晩は、です」

声優「今晩は、デブさん」

デブ「この前の……サンドイッチ旨かったです。 ありがとうございました」

声優「いえ……アタシこそ、ご迷惑をおかけしたんですし」

声優「お礼なんていいですよ」

デブ「はは……それじゃ」

声優「はい」

     テク テク テク…

デブ「…………」

デブ(…………)

デブ(……身だしなみ)

デブ(少しは気を付けた方がいいな)

デブ(せめて無精髭くらいは、何とかするよう心がけよう……)


―――――――――――


声優「ふう……」

声優「あー……疲れた」

声優(身から出たサビ、とはいえ……)

声優(さすがに一日で三本録りは……キツかった)

声優(…………)

声優(取り敢えず)

声優(シャワーを浴びて……何か軽く食事を取って)

声優(早く寝よう……)

声優(…………)

声優(……ふふ)

声優(でも……この疲労感、嫌いじゃない)

声優(全力で仕事ができるって……)

声優(幸せな事なのかもしれないわね)

声優(…………)

声優(さ、シャワーを浴びよう!)

翌日の朝


     あ~あ~あ~あ~あ~♪

声優「8時か……」

声優「そろそろ起きないと……う~ん」

声優「……ふう」

声優「ちょっと疲れが取れてない感じね……」

声優(温泉とか行きたいなぁ……)

声優(…………)

声優(ま、愚痴ってもしょうがないわね)

声優(さ、朝の支度を済ませて)

声優(今日も頑張ろう!)

事務所


声優「おはようございます」

M「おはよう、声優さん」

後輩「おはようございます! 先輩!」

声優「おはよう、後輩ちゃん。 今日も元気ね」

後輩「はい! それが取り柄ですから!」

声優「あはは」

M「それじゃ、声優さん。 今日はBスタジオでお願いします」

声優「はい」

M「それと……」

声優「はい?」

M「締切は来週になるけど、またアニメ選考オーディション募集してるから」

M「配役に目を通して、応募したいキャラを決めておいてくれ」

声優「はい、わかりました」

M「そうそう、今回はメインキャラも含めての募集だから」

声優「!」

後輩「!」

M「ふふ、二人共、受かるといいね」

声優「そうですね……頑張らないと!」

後輩「私も頑張ります!」

M「それじゃ、今日も頑張ってくれ」

声優・後輩「はい!」

デブ「…………」

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……プルルルルル……

     ガチャ…

デブ「あ、もしもし」

デブ「A出版さんですか? 私、デブ、という者ですけど」

デブ「A編集者さんをお願いします」

デブ「…………」

デブ「ああ、A編集者さん。 おはようございます」

デブ「……いえ、締切の延長じゃありませんよ」

デブ「さっき、完成した原稿、速達便で投函しましたので……」

デブ「…………」

デブ「そうですね……」

デブ「正直、その気持ちはあります」

デブ「でも今日は、一言お礼を言っておこうと思って」

デブ「……ええ」

デブ「俺……そちらで仕事が出来て良かったです」

デブ「今まで、ありがとうございました」

デブ「…………」

デブ「……はい、それだけです」

デブ「はい……はい……」

デブ「それでは……」

     チンッ

デブ「…………」

デブ「……これで」

デブ「無職、か……」

デブ「ふふ……」

デブ(…………)

デブ(不思議と……なってみれば)

デブ(なんて事ないな)

デブ(…………)

デブ(さて)

デブ(普通の漫画……)

デブ(描いてみるか!)

スーパー

惣菜売り場


歌手「…………」

     ♪ー♪・・・♪~☆

歌手(い……いまいち……)

歌手(いや、いま3くらい、イけてねえ……この曲)

歌手「きょ、今日はエビフライ……エビフライがお得ですよ~」

     ♪ー♪・・・♪~☆

歌手「揚げたて、アツア、ツで美味しいです……よー」

歌手(やべぇ……この曲の妙なテンポで調子狂う……)

―――――――――――

パート「部門長さん……」

パート「あの曲、何とかなりませんか?」

パート「耳障りでしょうがないんですけど……」

部門長「す、すまんね……上からの指示なんで」

パート「…………」

パート「心なしか、お客さんも寄ってきませんし……」

パート「どうなっても知りませよ?」

部門長「……あ、ああ」

歌手「…………」

―――――――――――

夕方


歌手「ただいま……」

店員「おかえりー」

店員「……? どうかしたー?」

歌手「いや……ちょっと疲れて……」

店員「そうなのー? 力仕事が多かった、とかー?」

歌手「そうじゃない……明日から耳栓がいるかも」

店員「????」

―――――――――――

店員「なるほどー」

店員「そういう事かー」

歌手「まあ、誰が作った曲か知らねえけど」

歌手「さすがに受け付けない曲だった……」

店員(事、音楽に関しては、悪口を言わない歌手が)

店員(ここまで言うなんて……)

歌手「ふう……ようやっとマシになってきた」

店員「ご飯食べるー?」

歌手「おう!」

歌手「……で、その後」

歌手「一緒に風呂に入らね?」///

店員「……うん」///

デブ「…………」

デブ(……やべぇ)

デブ(全然まとまらない……)

デブ(…………)

デブ(エロが長かったせい、か……)

デブ(…………)

デブ(昔は……ファンタジー物しか描いてなかったな)

デブ(いわゆる剣と魔法の世界……)

デブ(ダイ大やウィズ、ドラ○ンボールの影響受けまくってたな)

デブ(小説もロー○ス島戦記やフォー○ュン・クエストみたいなのしか)

デブ(読んでなかったっけ……)

デブ(うーん……)

デブ(でも、声優さんに見せるつもりだしなぁ)

デブ(ほのぼの日常系が流行りみたいだし……そっちの方が無難か)

デブ(…………)

デブ(そうだ)

デブ(ここに……このアパートに来て描いたやつ……)

デブ(久しぶりに読み返してみよう)

デブ(……えーっと)

デブ(どこにやったっかな……)

     ゴソゴソ…

デブ(あった)

デブ(1……2……3………)

デブ(ありゃ? 全部で7本か……思ったより描いてなかったんだな)

デブ(……高校卒業後に描いてたやつは、両親の元に置いてきたし)

デブ(その辺でごっちゃになってたか)

デブ(……たぶん、捨てられただろうな、あれ……)

デブ(…………)

デブ(…………) パラ……

デブ(…………)

デブ(…………) パラ……

デブ(…………)

デブ(…………) パラ……

―――――――――――



事務所


後輩「お疲れ様です、先輩」

声優「お疲れ様、後輩ちゃん」

後輩「お腹すきました……」

声優「ふふ、じゃあいつもの、行っとく?」

後輩「はい! こういう時は……」

声優・後輩「ヨシギュー!」

     アハハハ…

―――――――――――

後輩「美味しい~!」

後輩「やっぱり、ヨシギューは最強です!」

声優「ホントよね~」

声優「値段が安く、ボリューム満点」

声優「おまけに注文したら、すぐ出てくるし!」

後輩「全くです!」

     アハハハ…

声優「…………」

声優「ところで、後輩ちゃん」

後輩「はい?」

声優「例の仕事の台本……そろそろ来たんじゃないの?」

後輩「!!」

声優「良かったら、アタシに見せて欲しいんだけどな」

後輩「は、はあ……」

声優「……?」

声優「どうかしたの?」

後輩「う~……その」

後輩「文句を言いたい、という訳じゃないんですが」

後輩「考えてたのとは少し違っていて……」

声優「??」

後輩「……どうぞ」

声優「ありがとう」

声優「…………」 パラパラ

声優「……ああ」

後輩「…………」

後輩「マネージャーさん、『準主役級』なんて言うから」

後輩「敵方の役か、ライバル的な女の子の役だと思っていました……」

声優「要所、要所で入る、『語り部』みたいな役ね」

後輩「おかげで頭の中にあるイメージを、全部、変えなきゃいけません」

声優「あはは……」

声優「でもこの役、毎回必ず登場するみたいだし」

声優「確かに『準主役級』と言ってもいいと思うな」

後輩「それは……まあ……」

声優「ふわぁ……やっぱりメインは豪華ね」

声優「日笠○子さんに 小清○亜美さん」

声優「下○麻美さんに 沢城○ゆきさん……」

声優「沢城さん……いつ寝てるの?ってくらい最近よく見るわよね……」

声優「わ! ゲストに ゆ○なさんが来てる!」

声優「いいなぁ……後輩ちゃん……」

後輩「先輩、ファンなんですか?」

声優「うん……アタシ、この世界に入ったのは

声優「彼女の演技を目の当たりにしたからなの」

後輩「そうなんですか」

声優「すごい人なんだよ? この人」

声優「声の質を変えたり、口調を変えたりするのが上手くて」

声優「アタシが知る限り、(声を)当ててきたキャラにどれもマッチしてるんだ」

後輩「へえ~」

声優「後輩ちゃんもそういう人、居るんでしょ?」

後輩「林原○ぐみさんは、神ですね!」

声優(……年代的にあってないような)

声優「そ、そうなんだ……」

声優「でも、確かにすごい人よね」

後輩「私の永遠の目標です!」

声優(でっかい目標だなぁ……)

声優「……そうだ。 後輩ちゃん」

後輩「はい?」

声優「わかってたら謝るけど……現場でサインとか、求めたりしない様にね?」

後輩「せ、先輩! ……酷いです」

声優「ごめんごめん……分かってるなら、いいの」

後輩「いくら私でも、それが失礼な事だってわかりますよー」

声優「だからごめんって……ふふ」

後輩「あはは」

声優「…………」

後輩「…………」

声優「後輩ちゃん」

後輩「はい」

声優「頑張ってね」

後輩「はい!」

デブ「…………」

デブ「はは……ひでぇ……」

デブ「ヘッタクソな絵だな……」

デブ「…………」

デブ「…………」

デブ「……でも」

デブ「すげぇ熱いな……」

デブ「…………」

デブ「俺……」

デブ「こんなの描いてたんだ……」

デブ「…………」

デブ(…………)

デブ(そうだよ……)

デブ(俺は……こういう漫画が読みたくて、描きたくて)

デブ(ずっとやってきたんじゃないか)

デブ(…………)

デブ(この漫画……進撃の○人に負けてるのか?)

デブ(…………)

デブ(いや……勝ってる部分だってあるし)

デブ(総合的に負けててもいいじゃないか)

デブ(…………)

デブ(俺は……俺の漫画は)

デブ(”これ”なんだから……!)

翌日の朝


     あ~あ~あ~あ~あ~♪

声優「ふう……もう朝8時かぁ。 歌手さん、今日も元気ね」

声優(今日は久しぶりの休日……)

声優(正直、もう少し寝ていたいけど)

声優(例のカラオケボックスに行って、発声練習しないとね)

声優(最近、これもサボってたからなぁ……)

声優(…………)

声優「よし! 起きるぞっと!」 ガバッ!


―――――――――――

カラオケボックス


店員「いらっしゃいませー」

声優「どうもー」

店員「あ……お久しぶりですねー」

声優「あはは……ちょっと体調を崩してまして」

店員「それは災難でしたー」

店員「では、これにご記入をお願いしますー」

声優「はい」

     サラサラ…

店員「ドリンクは、何になさいますかー?」

声優「烏龍茶で」

店員「わかりましたー」

店員「それでは、23番のお部屋へどうぞー」

声優「はい」

店員「それでは、ごゆっくりー」

     スタ スタ スタ

店員「…………」 テキパキ

テンチョー「店員ちゃん、今のお客って……」

店員「テンチョー。 はい、売れない女優さん、来ましたー」

テンチョー「そうか……」

店員「ちょっと、体調を崩してたそうですー」

テンチョー「そうだったんだ。 元気になってよかった」

店員「大事なお得意様ですしねーテンチョー」

テンチョー「おいおい……酷いな、店員ちゃん」

店員「冗談ですー」 クスッ

店員「…………」

     コン コン ガチャ

店員「失礼しますー。 ドリンク、お持ちしましたー」

声優「どうも」

店員(……?)

店員(台本?)

店員「それでは、ごゆっくりー」

声優「はい」

     パタン

店員「…………」

店員(何か、役をもらえたのかなー?)

店員(頑張ってください)

声優「さて……今度のオーディション」

声優「どの役に応募しようかしら……」

声優「…………」

声優「ふふん! このアタシに勝とうなんて、200年早いのよ!」

声優「べ、別に、あんたの事なんて、好きじゃないんだから!」

声優(コッテコテのツンデレキャラね)

声優「…………」

声優「ご、ごめんなさい……頑張ります」

声優「私だって、や、やる時はやるんです!」

声優(弱虫タイプ? こんな感じ……かなぁ)

声優「…………」

音楽スタジオ


歌手「♪~♪~♪~」

歌手「…………」

歌手「……ふう」

歌手「こんな感じだな」

歌手「…………」

歌手(まだ少し、時間があるな)

歌手(あれもついでにレコーディングしておこう)

歌手「…………」

歌手「そ、そ、そ、惣菜~、惣菜売り場の売り子さん~」

歌手「今日はコロッケ、明日(あす)は春巻き、特売日~」

午後


     テク テク テク

声優「う、う~ん……」 セノビー

声優「ふう……」

声優(なんか、久しぶりにテンション上がっちゃったな)

声優(普通にカラオケで2時間も歌ってしまった……)

声優(…………)

声優(でも、すっきりしたかも)

声優(ふふふ)

声優(後で、うがいをしておかないと)

声優「さて、鍵、鍵、っと」

     ガチャ ガチャ… カチリ☆

声優「ただいまー」

声優「……と、言っても誰もいないけど」

声優「てか、居たら怖い」

声優「あはは」

声優「…………」

声優「夕御飯作るには、ちょっと早いかな」

声優「…………」

声優「とりあえず、うがいして、テレビでも見よう」

     コン コン

声優「あら? はーい、どなたですか?」

デブ「あ、どうも……隣のデブです」

声優「デブさん?」

声優(漫画……もう描きあがったのかしら?)

声優「今、開けますね」

     ガチャ

声優「どうしたんですか?」

デブ「そ、その……漫画、なんですが」

声優「はい」

デブ「ここに来てから、描いたやつ……あるんですけど」

デブ「良かったら読んでみますか?」

声優「あ、そういえば……ええ、読んでみたいです!」

デブ「そうですか」 ホッ

デブ「じゃ、これがそうです」

声優「わ、ずいぶん描いてたんですね」

デブ「と言っても、7本ですし……」

デブ「正直、今見ると、どれも拙いところが多いんですけど……」

??「あれ? デブさん?」

デブ「あ……歌手さん」

歌手「!? それ、エロ漫画っスか!?」

デブ・声優「ち、違います!!」///

―――――――――――

歌手「へえ! それなら、俺も読んでみたいっス!」

デブ「いいですよ」 クス

歌手「うわぁ、楽しみだな!」

デブ「き、期待しすぎると、がっかりも多いかと思いますが……」

歌手「謙遜は無しっス!」

歌手「超、楽しみにしてますから!」

デブ(相変わらず無駄に熱い人だ……)

声優「じゃあ、アタシが読み終わったら」

声優「そっちに持っていきますね?」

歌手「はい! 待ってるっス!」

デブ「ぞれじゃ、俺はこれで……」

声優「新作も期待してますから」

デブ「は、はい……」///

―――――――――――

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優(こういうの……なんて言うのかな?)

声優(勧善懲悪……少年漫画?)

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優(あはは……この主人公、面白い)

声優(……でも、熱血で、今時珍しい感じがするわね)

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優(えー……結局ヒロインとくっついちゃうのか)

声優(この主人公に惚れる女の子って、そんなに居ないと思うけどなぁ)

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

―――――――――――

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「ふう……読み終わった」

声優(…………)

声優(正直、わかりやすいんだけど)

声優(くどい感じがする……説明ゼリフが余計かな……)

声優(7本全部、同じ様なストーリーだし)

声優(…………)

声優(こういうのが好きなんだろうな、デブさん)

声優(でも、アタシにもわかるくらい、後の作品ほど絵は上手くなってたわね)

声優(特に女の子が)

声優(…………)

声優(……う~ん)

声優(正直に言うべき、なんだろうか……)

声優「…………」

     コン コン

デブ「はい?」

     ガチャ

デブ「あ……声優さん」

声優「どうも」

声優「漫画、全部、拝見させてもらいました」

声優「ええと、今、歌手さんに渡してきたところです」

デブ「そ、そうですか」

声優「…………」

声優「その、感想、なんですけど」

デブ「は、はい」

声優「アタシ、ど素人ですし……あんまり気にしないで欲しいんですけど」

デブ「……ごくっ」

声優「その……正直、面白い、と、言える程ではありませんでした……」

デブ「そ、そうですか……」

声優「説明文とかが、ちょっと邪魔してる印象があって」

声優「読みやすいんですけど、それがくどくしてると思います」

デブ「…………」

声優「主人公はいいんですけど……ヒロインと、いきなりくっついちゃってるみたいで」

声優「今ひとつリアリティがありませんでした」

デブ「……そう、ですか」

声優「だけど」

デブ「……え」

声優「戦闘シーンは、とっても臨場感がありました!」

デブ「!」

声優「そこだけは、自信を持っていいと思います!」

声優「それに、女の子、とっても上手に描ける様になっていますよ?」

デブ「はは……それは、まあ。 仕事で描いていましたし」

声優「…………」

声優「えと……こんな感じです」

デブ「ありがとうございます」

デブ「すごく参考になりました」

声優「そう言ってもらえると、ありがたいです」

声優「……失礼かな、と、思ったんですけど」

デブ「いえ」

デブ「正直な意見は、ありがたいです」

デブ「自分でもそうだと思っていたところや」

デブ「なる程、と思えるところがあって、いろいろ気づかせてもらえました」

声優「そうですか」

デブ「…………」

デブ「ありがとうございました」

声優「そんな……こちらこそ、ありがとうございます」

声優「新作、頑張ってください」

デブ「もちろんです」

歌手「…………」

歌手「…………」 パラ…

     ガチャ ガチャ… キィ

店員「ただいまー」

店員「んー?」

歌手「お、店員。 来たか」

店員「またエロ漫画借りたのー?」

歌手「違うよ」

歌手「普通の漫画。 デブさんが昔、描いてたやつらしい」

店員「へー」

歌手「店員も読んでみるか?」

店員「もちろんー」

歌手「くうっ……!」

歌手「熱い、熱すぎるぜ! この主人公!」

店員「…………」

店員(……まるで、歌手みたい)

歌手「こういう漫画、久しぶりに見た!」

歌手「悪役もいい味出してるし、こう……漢と漢の戦いって感じで」

歌手「すげぇ好きだ!」

店員「……そのへん、私にはわからないー」

店員「でも、確かに最近こういう漫画、見なくなったねー」

歌手「そうそう! 無駄に女の子出してハーレムにしたり」

歌手「パンチラ……というより、パンモロばかりで媚び媚びだしな!」

店員「でもー」

店員「ストーリーは、良く言えば王道」

店員「悪く言えば、短調な感じがするー」

歌手「そうか?」

歌手「俺は丁寧にまとめてある感じがして、好感もてるけどな」

歌手「下手に伏線張るより、いいと思う」

店員「一理あるー」

歌手「それに、話とは関係ないけど」

歌手「どんどん上手くなっているよな?」

店員「そうだねー。 特に女の子ー」

歌手「あはは! 俺も思った!」

―――――――――――

歌手「――って感じっス!」

歌手「いやもう、ホント、面白かったっスよ!」

デブ「そ、そうですか……」

デブ(嬉しいんだけど……相変わらず無駄に熱い人だ)

デブ「そんなに言ってもらえるなんて、正直、嬉しいです」

歌手「そういや、聞いた話っスけど、進撃の○人っていう漫画の作者さん」

デブ「……!」

歌手「少年・飛翔に投稿してたけど、音沙汰ないから少年・弾倉に送り先変えて」

歌手「今の大成功につながったって噂があるっス」

デブ「そ、そうなんですか?」

歌手「本当かどうか、知らないですけどね」

歌手「デブさんのいちファンとしては」

歌手「フットワークを軽くして、いろんな出版社を試してみるのも」

歌手「一つの手じゃないかと思うっスよ!」

デブ「…………」

歌手「俺、デブさんの漫画」

歌手「もっとたくさんの人に読んで欲しいっス!」

デブ「…………」

デブ「は、はは……」

歌手「ははは!」

歌手「それじゃ、俺はこれで!」

歌手「次回作も出来たら、絶対読ませてください!」

     パタン

デブ「…………」

デブ「……本当に」

デブ「無駄に熱い人、だな……」

デブ「…………」

デブ「……っ」

デブ「うく……ぐっ……く……」

デブ「良かったなぁ……お前ら……ちゃんと読んでもらえて……」

デブ「ひぐっ……親にだって……ちゃんと……手にとってもらえなかったのに……」

デブ「ぐっ……くっ……俺の……漫画…………ひぎっ……」

デブ「やっと……誰かに……あぐっ……読んでもらったよ……ぐっ……」

デブ「うあっ……ぐっ……く……ひぐっ…………くっ……」







     今、俺はたぶん、経済的に どん底に居ると思う。

     だけど……今だかつてなかった喜びを、噛み締めていた――





本日はここまでです。投下、遅れてすみませんでした……
次回、最終回になります。

おおおお乙!
最終回っすか!
超楽しみっス!

乙ですー
楽しみに待ってる

今のところ救いがないのはイケメンのみ

めっちゃ楽しみ

めっちゃ楽しみ

いやだ!終らないでくれぇ!

乙、面白いです!

糞楽しみ

まとめからきますたが
次、最終回楽しみです!

まさかこのスレタイからこんな名作とは思わんかった

デブがこれで満足しちゃいそうな雰囲気が……
超おんもしれぇ

確かにスレタイはなあ

書いてるの1でも2でもなく6だもんな。スレタイでみる人限られるのはもったいないよな

わっくわくですな

まだか


数日後

スーパー 惣菜売り場


歌手「おはようございまーす」

歌手「あれ?」

歌手「部門長、ラジカセ、片付けるんですか?」

部門長「ん? ああ、そうなんだよ歌手くん」

部門長「例の曲……他の店舗でも評判悪くてね」

部門長「ようやく使用中止になったんだ」

歌手「そうなんスか……」

部門長「え? あの曲、気に入ってたのかい?」

歌手「まさか!」

歌手「実は……俺、音楽やってて」

歌手「良かったら、俺の曲も流したら少しはマシかな……なんて思ったんで」


部門長「へえ。 歌手くん、音楽が作れるのか」

歌手「はは……」

歌手(鳴かず飛ばずの貧乏ミュージシャンだとは言えねえ……)

部門長「曲は持ってきたの?」

歌手「ええ、このCDがそうっス」

部門長「聞いてもいいかい?」

歌手「どうぞ」

部門長「どれどれ……」

―――――――――――

部門長「……ちょっと子供っぽい歌詞だね」

歌手「あえてそうしたっス」


歌手「来てくれたお客さんが、楽しくなる様に」

歌手「子供でもわかる様な、わかりやすい歌詞の曲にしたっスよ」

部門長「なるほどねぇ」

パート「……部門長?」

部門長「おや、パートさん」

パート「今日は、いつものあの曲じゃないんですか?」

部門長「ああ。 これは歌手くんが作ってくれた曲だよ」

パート「へえ! すごいわねぇ、歌手くん」

歌手「ははは、結構テキトーっス!」

パート「私は悪くないと思うわよ?」

パート「ウチの子とか、喜びそうだわ~」

部門長「…………」


部門長「ふむ。 じゃあ、試しに流してみるかな?」

歌手「すんません」

部門長「今日一日だけなら、上も文句は言わないだろう」

部門長「じゃ、仕事を始めようか?」

歌手「うーっス!」

パート「はーい」


―――――――――――


声優「マネージャーさん」

M「はい?」

声優「例のオーディションなんですが」

M「ああ……応募したい役、決まったのかな?」


声優「はい」

声優「ライバルキャラと ツンデレキャラで 迷ったんですが……」

声優「ライバルキャラの女の子でお願いします」

M「はいはい……声優さんはライバルキャラね」

後輩「おはようございます」

声優「おはよう、後輩ちゃん」

M「おはよう」

後輩「あ、先輩も応募キャラ、決めたんですか?」

声優「うん。 ライバルキャラの女の子で……」

後輩「え?」

声優「ん?」

声優「何か……おかしいかな?」

声優「あ! もしかして、かぶっちゃったとか?」

後輩「いえ、そうじゃないです」

後輩「ただ……」

声優「ただ?」

後輩「私、先輩は、このメインヒロインの役にぴったりかな、と思っていたので」

声優「そう? アタシの声、こういう弱虫キャラに合ってないと思うんだけど」

後輩「うーん……うまく言えませんが」

後輩「時々、力強いモノの言い方をしてるし、そういったギャップを」

後輩「先輩の声は、力強く表現できると思ったんです」

声優「…………」

M「一理あるね」

M「どうする? 声優さん?」

M「もう少し考えてみる?」

声優「…………」

声優「そうですね……もう少し考えてみます」

M「わかった。 なるべく早く頼むよ」

声優「はい」

後輩「じゃあ、マネージャーさん」

後輩「私は、このツインテールのロリっ子でお願いします」

M「うん。 わかった」

M「それじゃ、今日も一日頑張ろう」

声優・後輩「はい」

スーパー 惣菜コーナー


     ♪~♪~♪~

子供「そーざい、そーざい ういばの ういこさーん♪」

歌手「はい、ありがとうございます!」

歌手「え? はい、トンカツと チキンカツっスね!」

部門長「お待たせしました、えび天5つになります」

部門長「お支払いはレジで……はい! トンカツを3つですね?」

歌手「パートさん! トンカツ、無くなりそうっスよ!」

パート「はーい、ちょっと待ってねー!」


歌手・部門長・パート(な、なんか、めちゃくちゃ忙しい……)

デブ「…………」

デブ「……よし」

デブ「ストーリーはこんな感じで……いつも通りだけど」

デブ(まあ……あの漫画見せた後だから、『またか』と思われるかもしれないが)

デブ(今回は、描きたい物を描く)

デブ(…………)

デブ(でも、声優さんの言う通り)

デブ(主人公とヒロイン、いきなりくっつきすぎだよなぁ……)

デブ(恋愛経験放棄してたから、その辺りが影響してるのは間違いない)

デブ(どうしたものか、な……)

デブ(う~ん……)

収録スタジオ


声優「イクっ……!イっちゃう……!んんっ!」

声優「くっさいチ○ポ汁、んっ、中に出されて、んはっ……!イっちゃうっ……ああっ!」

声優「もう、イクっ……! イクのっ……! イっちゃうのっ! ああんっ!あんっ!んんっ……!」

声優「ひゃあ!? 出てるっ出てるよぉ……!」

声優「くっさいチ○ポ汁、中にっ!んはっ!」

声優「熱いっ熱いのぉ……くっさいチ○ポ汁、熱いのぉ……どくどく来るのぉ……」

声優「!? 来る、来ちゃう……! ひあっ……!」

声優「熱くて、くっさいチ○ポ汁で……! 種付けされて……あああっ!」

声優「あたしっ……! イグウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」


スタッフ「……はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」


声優「お疲れ様でした」

声優「ふう……」

声優「…………」

声優(弱虫キャラか……)

声優(アタシに出来るのかな……?)

声優(…………)

声優(ゆ○なさんだったら……)

声優(きっと苦もなくやるんだろうな……すごい人だし)

声優(……アタシなんて)

声優(…………)

声優(……!)

声優(ちょっと待って……)

声優(アタシ……何、勝手に決め付けてるの?)

声優(どうして……最初から『出来無い』って思ってるの?)

声優(…………)

声優(同じだ……)

声優(あの時のデブさんと同じ……)

声優(やる前から、何、諦めてるの!?)

声優(…………)

声優(……そうよ)

声優(ゆ○なさんだって……同じ人間じゃない)

声優(そりゃ出来る事と、やれる事は、差があるかもしれない……)

声優(でも、アタシにだって、アタシにしか無いモノが)

声優(ある!)

事務所


声優「お疲れ様です、マネージャーさん」

M「ああ、声優さん。 お疲れ様」

声優「……後輩ちゃんは、まだですか?」

M「うん? もうそろそろだと思うけど……」

     ガチャ

後輩「ただいま戻りました~」

M「はは、噂をすれば影、だね」

M「お疲れ様、後輩ちゃん」

後輩「お疲れ様です、マネージャーさん、先輩」

声優「お疲れ様、後輩ちゃん」 クス

声優「マネージャーさん」

M「ん?」

声優「例のオーディションの件ですが……」

M「うん」

声優「アタシ……メインヒロインの役に、応募したいと思います」

後輩「!」

M「そうかい。 わかった」

M「じゃ、その応募で出しておくから」

声優「はい」


―――――――――――

     テク テク テク…

声優「後輩ちゃん」

後輩「はい?」

声優「この後……予定あるかな?」

後輩「すみません……バイトに行かないと」

声優「そっか。 ああ、気にしないで」

声優「実は、ちょっと頼みたい事があって」

後輩「ええ!? 私に、ですか!?」

声優「うん」

声優「アタシ、休日はいつも発声練習で、カラオケに行ってるんだけど……」

声優「良かったら、練習に付き合ってくれないかな?と思って」

後輩「!!」

後輩「は、はい! もちろん、いいですよ!」

声優「ふふ、良かった」

声優「じゃあ今度の休みにでも、どうかな?」

後輩「はい! 全然オッケーです!」

声優「ありがとう、後輩ちゃん」

声優「じゃあ、今度の休み……朝の9時くらいに」

声優「駅前の噴水の所で待ち合わせ、で、いいかな?」

後輩「わかりました!」

後輩「楽しみにしてます!」

声優「……遊びじゃないんだけど?」

後輩「あ……そうでした」

     アハハハ……




     ガチャ

歌手「……ただいま」

店員「歌手ーお帰りー」

店員「遅かったねー?」

歌手「おう……めちゃくちゃ忙しかった……」

店員「?」

店員「今日、何かイベントでもあったのー?」

歌手「いや……」

歌手「普段通りだった……はず」

店員「???」

歌手「ともかく……さっぱりした物が食いたい」

歌手「そういうメニューかな?」

店員「……奮発してステーキー」

歌手「すまん……無理だ」

歌手「お茶漬けか何かにしてくれ……梅干付きの」

店員「了解したー」


店員(……今夜も頑張ってもらおうと思ったのにー)

店員(ちょっと欲求不満ー)


歌手「……風呂、入ってくるわ」

店員「わかったー」


店員(でも、歌手の体調が一番大事ー)

デブ「…………」

デブ「……うん」

デブ「これ、行けるかも」

デブ(…………)

デブ(けど……少し重い展開かな)

デブ(…………)

デブ(描く方としても、キツイ内容だし……)

デブ(……いや)

デブ(現実の神様も理不尽が大好きだし)

デブ(俺も、このくらい残酷にならないと……)

デブ(いつもハッピーエンドばかりだったしな)

デブ(…………)

デブ(どんな反応してくれるだろう……声優さん達)

デブ(…………)

デブ(怒ってくれると、嬉しいな)

デブ(それだけ感情移入してくれたって、事だから)

デブ(…………)

デブ(よし)

デブ(ストーリーは、だいたいこんな感じ)

デブ(40ページくらいで……と)

デブ(ネームを描くかな)


―――――――――――

数日後 駅前


声優「…………」

     タッ タッ タッ

後輩「先輩~! すみません、遅れちゃいました……」

声優「ううん、後輩ちゃん。 アタシもそんなに待ってないから」

後輩「それじゃ、行きますか?」

声優「うん!」

     アハハハ……


―――――――――――

カラオケボックス


店員「いらっしゃいませー」

声優「どうもー」

店員「あ、いつもご利用、ありがとうございますー」

店員「それでは、ご記入をー」

声優「はい」

後輩(……何か変わった喋り方の人)

店員「サービスのドリンクは、何になさいますかー?」

声優「烏龍茶で」

後輩「私も烏龍茶で」

店員「はい、わかりましたー」

店員「では、23番のお部屋へどうぞー」

声優「はい」

テンチョー「……珍しいね」

店員「そうですねー」

テンチョー「っていうか、売れない女優さん」

テンチョー「初めてじゃない? 誰か連れてきたの」

店員「私も少し驚きましたー」

店員「でも、詮索は止めましょう、テンチョー?」

テンチョー「わ、わかってるよ……」

テンチョー「……店員ちゃん、最近、僕の扱い酷くない?」

店員「気のせいですよー」

テンチョー(そうなのかなー……)

     コン コン

店員「失礼しますー」

     ガチャ

店員「お飲み物、お持ちしましたー」

声優「ありがとう」

後輩「ありがとうございます」

店員(……姉妹?って似てない)

店員「それでは、どうぞごゆっくりー」

     パタン

店員(…………)

店員(友達って言うには、年が離れてるし……先輩後輩?かな?)

店員(雰囲気は、よさげだったなー)

店員(女優さん仲間かもねー) クス

声優「さて……と」 ゴソゴソ…

後輩「何ですか?」

声優「はいこれ」

後輩「漫画……あ」

後輩「例のオーディションアニメの原作漫画ですね?」

声優「うん、そう」

声優「今日は、これを使って練習しようと思って」

後輩「…………」 パラパラ…

後輩「そういえば……私、今度の仕事の原作漫画、知らないです……」

声優「後輩ちゃん。 それはそれでいいと思うよ?」

後輩「え?」

声優「先入観のない方が、かえって演じる役に馴染みやすかったりするし」

後輩「じゃあ……どうしてですか?」

声優「あはは……単純に台本の代わりとして使いたいだけなの」

後輩「あ、そういう事ですか」

後輩「納得しました」

声優「本当は、普通の台本みたいに」

声優「セリフだけ抜粋しようとも思ったんだけど……」

声優「10ページで心が折れたわ」

後輩「あはは」

声優「もう、酷いな。 後輩ちゃん」

後輩「す、すみません」

声優「冗談よ」 クス

声優「それじゃ……アタシ、メインヒロインをやるから」

声優「後輩ちゃん、悪いけど、それ以外をやってくれるかな?」

後輩「はい。 分かりました」

声優「後でアタシも逆をやるから」


―――――――――――


後輩「お、思ったより大変ですね……」

声優「メインヒロイン以外、全部やらせちゃてるしね……」

後輩「でも、こうやって漫画を参考にすると、わかりやすくていいかも」

声優「まあ、アフレコで演出家の思う通りにしないといけないから」

声優「結局は無駄かもしれないけどね」

声優「で、どうかな? アタシのメインヒロイン」

後輩「はい。 思ってたイメージとは違ってました」

声優「あら……」

後輩「もっとずっと、良かったです!」

声優「あはは、ありがとう。 お世辞でも嬉しい」

後輩「お世辞なんかじゃないですよ!」

後輩「きっとハマリ役になると思います!」

声優(それはそれで複雑だなぁ……キャラ的には、あんまり好きじゃないし)

声優「そ、そう。 ……じゃ、次はアタシが他のキャラ全部やるね?」

後輩「はい! お願いします!」

声優「肩の力は抜いてね?」 クス

スーパー 惣菜売り場


     ♪~♪~♪~

歌手「今日はお寿司フェアですよー!」

歌手「とってもお買い得ですよー!」

     ガヤ ガヤ

部門長「はい、サラダ巻き3人前ですね?」

部門長「お待たせしました」

歌手「お得パック2つに、いなり寿司を2人前っスね?」

歌手「ありがとうございます!」

     ガヤ ガヤ

―――――――――――

部門長「みなさん、今日もご苦労様」

歌手「お疲れ様っス」

パート「お疲れ様」

部門長「ああ、歌手くん」

歌手「はい?」

部門長「悪いんだけど……あのCD」

部門長「もう少し借りててもいいかな?」

歌手「いいっスよ」

部門長「ありがとう」

部門長「気のせいかと思ったけど」

部門長「あの曲を流してから売上が良くてね」

歌手「そうなんスか」

部門長「信じられないけど、数字に現れてるんだ……」

歌手「へえ……それはこっちも嬉しくなるっス!」

部門長「ああ、引き止めてごめん」

部門長「明日もよろしく頼むよ」

歌手「はい。 それじゃまた明日っス!」

     スタ スタ スタ…

部門長「…………」

部門長(……思い切って)

部門長(上に言ってみようかな?)

歌手「ただいまー」

店員「お帰りー」

店員「ここのところ、遅いねー?」

歌手「ああ」

歌手「なんか、売上が伸びてるんだって」

店員「へえー」

歌手「どうも、俺が作った曲を流してかららしい」

店員「それって……惣菜ソングー?」

歌手「そう」

店員「今度、あれを音楽会社に持っていったらー?」

歌手「いや……他の曲と一緒に持っていったんだけど」

歌手「『幼稚すぎる』って散々な評価だった……」

店員「……ごめんー」

歌手「いいって……元々そんなに期待してたわけじゃないし」

歌手(他のもボロクソ言われたけど……)

歌手「ああー腹減った。 今日のメニューは?」

店員「お肉ー」

歌手「うし! そういうのガッツリ食いたかった!」

店員「それは良かったー」

歌手「…………」

店員「歌手ー?」

歌手「店員、明日休みだっけ?」

店員「うん」

歌手「そっか! 俺もなんだ」

歌手「明日さ、二人で遊びに行かね?」

店員「おおー」

店員「ゼー○ガン○ムで踊りたい気分ー」

歌手「お前はジュ○ーかよ……てか、何でそんなネタ知ってんの?」

店員「明日、何着て行こうかなー♪」

歌手「…………」

歌手(……まあ、いっか)

歌手「今日、どうする? 泊まっていくか?」

店員「もちろんー」

歌手「はは、それじゃメシ作るの手伝うぜ!」

店員「良い心がけー。 じゃ、きゅうりの皮を剥いてー」

歌手「おう!」

デブ「……ふう」

デブ「あ……もうこんな時間か」

デブ(いかんなぁ……不摂生な生活してるから太るんだし……)

デブ(とは言え、腹減った)

     アン……アン……歌手……ヤ……

デブ「……」

     アアッ……店員……キョウモ……イイゼ……

     スゲェ……シメツケテ……ウアッ…………

     バカァ……イキナリ……ハゲシスギ……アッ……

     店員ッ……店員ッ……トマンネェ……ッ……

デブ(コンビニ行こ)

―――――――――――

デブ(まだやってるし……)

     歌手ゥ……歌手ゥ……ヤッ……アン……

     店員ッ……オレ、マタ……アアッ……ウッ!……

     ハアッ……ハアッ……ハアッ…………

デブ(……ようやく終わりましたか)

     歌手ノバカ……ワタシ……コワレルカトオモッタ……

     スマネェ……ナンカ、ヒサシブリダッタカラ……ツイ……

     店員モ、カワイカッタシ…………

     ……ダカラッテ、3レンゾクハ……ヤリスギ……

デブ「」

     ハアッ……ハアッ……店員ッ……

     ヤッ……バカ……歌手のバカッ……スコシ、ヤスマセ……アアッ……

デブ(一発抜こう……)

――1ヶ月後

オーディション会場


選定員「ありがとうございました」

選定員「では……次の方、お願いします」

声優「はい。5番、声優です」

選定員「それでは、お渡ししたセリフを言ってみてください」

声優「はい」

声優「……ううっ、怖い……怖いよう……」

声優「こんな事……どうして起こるの……?」

選定員「…………」

声優「いいえ! それでも私は……私は!」

声優「あの人を信じる!!」

選定員「…………」

選定員「声優さん」

声優「こんなこt……!?」

声優「は、はい?」

選定員「ああ、すみません。 途中だったのに」

声優「いえ……」

選定員「ええと……気弱なセリフを アドリブで言ってもらえますか?」

声優「! はい」

声優「…………」

声優「私に……何ができるの……?」

声優「普通の人間なのよ……? 私は……!」

選定員「…………」

―――――――――――

選定員「……はい、声優さん、ありがとうございました」

声優「ありがとうございました」

選定員「では、次の方。 お願いします」

モブ美「はい。 6番、モブ美です」


声優「…………」

声優(……びっくりした)

声優(今まで、アドリブを要求された事なんて無かったのに)

声優(…………)

声優(いい事……なのかな?)

声優(そうだったら嬉しいんだけど)

―――――――――――

後輩「先輩」

声優「あ、後輩ちゃん」

後輩「手応えはどうでした?」

声優「うん! 何て言うか……出し切った!って思うな♪」

後輩「そうですか、良かったです!」

声優「うふふ」

声優「後輩ちゃんは?」

後輩「私も出し切ったと思います!」

声優「そっか♪」

声優「二人共、受かるといいなぁ」

後輩「そうですね……」

声優「例の収録は、どんな感じかな?」

後輩「うう~もの凄く緊張してます……」

後輩「恥ずかしながら、NG出してるの」

後輩「今のところ私だけです……」

声優「あらら」

後輩「エロと違って、数人で収録するし……」

後輩「なんか、雰囲気そのものが違いすぎです」

声優「なるほどなるほど」

後輩「……真面目に聞いてます?」

声優「もちろん!」

声優「それじゃ……そろそろ事務所に戻ろっか?」

後輩「はい!」

デブ「…………」

デブ「お」

デブ「終わった……」

デブ「ふううう……」

デブ「…………」

デブ「コピーをとってこよう」

―――――――――――

デブ「…………」

デブ「……久しぶりにやり遂げたって気がするな」

デブ(……でも、漫画の神様、手塚○虫さんは)

デブ(月に100ページを超える連載を抱えてたって聞くけど……)

デブ(案外、本当に(人間じゃないという意味で)神様だったのかもなぁ)

デブ(…………)

デブ(自分は、まだまだ甘いのかな……)

デブ(…………)

デブ(……ったく)

デブ(悪い癖だ……)

デブ(俺は、やれる事を全部、この漫画に入れたんだ)

デブ(もっと、自分に自信を持てよ)

デブ(…………)

デブ(声優さん、今日は遅いのかな?)

     ガチャ ガチャ……カチリ☆

歌手「たーだいまー」

歌手「今日は俺が早かったか」

歌手「…………」

歌手「今日のメシ、何かな?」

     コン コン

歌手「ん? はーい」

デブ「あ……どうも。 デブです」

歌手「デブさん? 今開けますね」

     ガチャ

歌手「どうしたんスか?」

デブ「ははは……漫画、やっと出来上がりました」

歌手「おお!」

歌手「そうなんスか、待ってたっス!」

デブ「これがそうです」

歌手「楽しみだな~!」

デブ「はは……面白いといいんですけど」

歌手「それじゃ、さっそく読ませていただきます!」

デブ「それじゃこれで……」

     パタン

歌手「どれどれ~?」

     ガチャ

店員「ただいまー」

店員「んー? 歌手、また漫画借りたのー?」

歌手「…………」

店員「……? 歌手ー?」

歌手「うっ……うっうっ……うっ……」 ボロボロ…

店員「」

―――――――――――

店員「……うわー」

店員「これは……切ないストーリー」

歌手「こんなの、あんまりだ!」

歌手「どうしたんだよ、デブさん!……こんな救いのないストーリー、酷すぎる!」

店員「…………」

店員「でも……私、このヒロインの気持ち」

店員「わからなくは無いー」

店員「もし……私がこのヒロインの立場だったら……」

店員「同じこと、するかもー」

歌手「冗談じゃねぇ!!」

店員「!?」

歌手「例え、世界が救えても……店員が居ないんじゃ全然足りねえ!!」

歌手「それなら俺は、店員と一緒に世界の滅びを迎える!!」

店員「」///

店員「バ、バカ……感情移入しすぎー」///

店員「……嬉しいけど」///

続き来てた

歌手「――という訳で」

歌手「正直、がっかりっスよ!」

デブ「は、はあ……」

歌手「あんなに惹かれあってた二人なのに……」

歌手「世界が救えても、納得できないっス!」

デブ「す、すみません」

声優「……どうしたんですか?」

歌手「あ、声優さん」

デブ「今晩は、です」

歌手「聞いてくださいよ~声優さん」

声優「?」

歌手「……ってネタバレになるっスね」

声優「ああ、デブさん、漫画が出来たんですか」

デブ「はい」

歌手「これがそうっス」

声優「ありがとう、歌手さん」

歌手「…………」

歌手「……なんか、冷静に考えたら」

歌手「俺、文句言える立場じゃないっスね」

歌手「すんませんした、デブさん」

デブ「いえ……正直な意見を聞けて良かったです」

歌手「はは、そう言われると、余計恐縮するっスね」

歌手「ありがとうございましたっス!」

     スタ スタ スタ…

デブ(やっぱり無駄に熱い人だ……)

声優「それじゃデブさん」

声優「さっそく読ませてもらいますね?」

デブ「ええ、どうぞ」

―――――――――――

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「はあ……」

声優「…………」

声優「悲しい話……でも」

声優(すごく引き込まれた)

声優(…………)

声優(主人公は、これまでのデブさんの作品には無かった)

声優(クールキャラ)

声優(…………)

声優(これまで通り主人公とヒロイン、くっつく感じだけど……)

声優(その過程がしっかり描かれていて、それだけに)

声優(ラストの別れが悲しく思える……思わされる)

声優(歌手さん、これを怒ってたのかな?)

声優(確かに、少し理不尽よね) クス

声優「…………」

声優(アタシ……結構好きかも)

声優(この漫画)

声優(…………)

声優(だって――)

―――――――――――

デブ「ああ、声優さん」

声優「漫画、読ませていただきました」

デブ「ず、ずいぶん早いですね」

声優「なんか……この漫画好きみたいで」

声優「早く感想、言いたくて」

デブ「ははは……ちょっと照れますね」///

声優「ストーリーは、これまで通り……と思いきや」

声優「最後の別れは、不意打ちでした」

デブ「…………」

声優「それは、前半で描かれている、主人公とヒロインの交流がとても丁寧で」

声優「きっとこの二人は幸せになる……ううん」

声優「幸せになって欲しい、と思わせるキャラだからでした」

デブ「…………」

声優「……アタシ」

声優「実は、俗に言う、”中の人”をやっているんです」

デブ「え? ……と言うと、CVってやつですか?」

声優「そうです」

声優「しかも……ほとんどエロ関係の仕事ばかりを」

デブ「……!」

声優「軽蔑……しました?」

デブ「まさか」 ニコ

声優「ありがとうございます」 クス

声優「……そんなアタシが言うと、失礼かもしれませんが」

声優「もし、このマンガがアニメ化されたら」

声優「ぜひ、このヒロイン役をやりたいです!」

デブ「!!」

声優「それくらい……この作品、いいと思いました」

デブ「…………」

デブ「そんなに言ってもらえるなんて……嬉しいです」

声優「ふふ、お世辞じゃないですからね?」

デブ「ははは」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「明日、さっそくどこかの出版社に投稿したいと思います」

声優「そうですか」

声優「入選……ううん」

声優「大賞とか、取れるといいですね」

デブ「賞金も出ますしね」

     アハハハ……

―――――――――――




     ……その後すぐ、デブさんはアルバイトを始めていた。

     送った漫画が何かの賞を取るとしても、ずっと先だし

     先立つモノは、どうしてもいるから、と……ちょっと切ない。



     けど、デブさん本人は、少しも苦にしてない感じだった。

     漫画を描く時間は減ってしまったが、これからも描き続けるつもりだと

     笑いながら言っていた。 アタシも次回作を楽しみにしている。





     そういえば、思わぬ出世をした人がいる。 それは歌手さん。

     本人は、割と適当に作った『惣菜ソング』が

     歌手さんの勤めているスーパーのテーマソング?として採用したい、と

     正式に依頼があった、というのだ。



     そしてこれが思わぬヒットとなり、音楽会社が数社

     ぜひ、ウチからCDを出してくれ、と、頼み込んできたという。

     歌手さんは戸惑いつつも その内の一社からCDデビューした。

     ふふ、そういえばジャケ絵、歌手さんが頼んでデブさんが描いたんだっけ。





     どのくらいか知らないけど……結構売れたみたいで

     著作権料に驚いたそうだ。 ……いくら位なのかなぁ。





     いちやく時の人、となった歌手さんだけど

     何故か、スーパーのアルバイトは辞めなかった。

     本人言わく、スーパーで働く事も重要なリズムらしい……。



     でも、不安定な職業だし、それもありかな?とも思う。

     そうそう! 歌手さんに彼女が居たんだけど

     行きつけのカラオケボックスの受付の人で、びっくりしたっけ。

     とっても幸せそうで、かなり羨ましく思った……いいなぁ。





     アタシの方は……と言えば、オーディションの結果は

     またしても落選……。

     今回も後輩ちゃんと二人揃って残念な結果に終わっていた。



     だけど……気持ちとしては、そんなに落ち込んでいない。

     アタシは、この仕事が好きだと改めて認識したから。

     役に成りきる事、演じる事が、楽しいと知っているから。


数ヵ月後――

事務所


M「おはよう、声優さん」

声優「おはようございます、マネージャーさん」

後輩「おはようございます! 先輩、マネージャーさん」

M「今日も一日頑張ってね」

声優「はい」

後輩「はい!」

M「後輩ちゃんは、レッスンも忘れずにね」

後輩「わかってます!」

声優「そっか、今日レッスンの日だったっけ」

後輩「はい……遅くなるので、先輩と一緒に帰れませんね」

M(この娘は本当に声優さんが好きだなぁ……)

声優「待っててあげよっか?」

後輩「い、いいえ! そこまで図々しくなれませんよ!」

声優「あはは」

声優「冗談はさておき、大事な歌唱力のレッスンだから頑張ってね」

後輩「もちろんです!」

後輩「絶対にアイドル声優になってみせますとも!」

声優「それじゃ、行ってきます。 マネージャーさん」

M「ああ、道中気をつけてね」

―――――――――――

収録スタジオ


スタッフ「それじゃ声優さん。 今日もお願いします」

声優「はい」


     ――今日も仕事が始まる――


スタッフ「それでは……5秒前……4……3……」

声優「…………」


     ――これからも悩む事があると思う――


声優「んはぁっ!!」

声優「いいのおっ……! オチ○ポ、いいのおっ!!」



     ――でも、きっと――

     ――アタシは、やれるだけ続けていく――



声優「んギモッヂイィ~!!」






     ――自分の選んだ道だから――









―――――――――――







     数年後






デブ「…………」

     プルルルルル… プルルルルル…

デブ「……お、電話だ」

     ガチャ…

デブ「はい、もしもし」

デブ「……ああ、Z編集者さん」

デブ「締切はまだ先ですけど……?」

デブ「……はい……はい」

デブ「…………」

デブ「……え?」

デブ「アニメ化……ですか?」

デブ「しかし……まだ単行本二冊しか出てないし」

デブ「こんな日常漫画のアニメに需要があるんですか?」

デブ「…………」

デブ「そ、そうですか……」

デブ「それならいいんですけど……」

デブ「…………」

デブ「はい……はい……」

デブ「……希望する中の人?」

デブ「俺が選んでいいんですか?」

デブ「…………」

デブ「そうですか……それなら」

デブ「ヒロインは、声優って人をお願いします」

デブ「それ以外はそちらに……は?」

デブ「ああ、その人、その……エロ関係では有名なんですが」

デブ「……ええ、俺は気にしませんので」

デブ「…………」

デブ「はは……実は個人的な付き合いがあって……」

デブ「こういうのはダメですか?」

デブ「…………」

デブ「良かった。 では、ぜひ、ヒロインは彼女でお願いします」

デブ「そうだ、OPとかはもう決まっているんですか?」

デブ「…………」

デブ「なら、歌手って人をお願いしたいんですが」

デブ「…………」

デブ「ああ……『惣菜ソング』って知ってますか?」

デブ「…………」

デブ「そうです、その人です」

デブ「これも個人的な付き合いで……はい」

デブ「…………」

デブ「そうですか……それなら選考に入れてもらえれば」

デブ「……はい……はい」

デブ「お願いします」

デブ「では……」

     チン…

デブ「…………」

デブ(余計な事……かな?)

デブ(…………)

デブ(……いや)

デブ(そりゃ……全く えこひいきじゃない、と言えば嘘になる)

デブ(でも……)

デブ(彼女たちが、俺の作品に関わってくれたら)

デブ(すごく嬉しい)

デブ(それが……正直な気持ちだ)

デブ(…………)

デブ(さ、仕事を続けるか!)



     おしまい

おおお終わりか!
盛大に乙なんだけど
その後輩ちゃんと店員ちゃんは?
まさか番外編があるの?

皆さん、投下遅れてすみませんでした……これで終了です。
お付き合いありがとうございました。
最後、なんか巻が入っちゃった感、否めませんけど
こんな感じにまとめました。 気に入っていただけたら、幸いです。

イケメンは、経済的に幸せなので、それでバランスをとっていると思ってくださいw

レス、ものすごく励みになりました。 ありがとうございます。

乙です
連休明けたら自分も頑張ろうと思いました
面白かったです!

乙!物凄くよかった

>>415
ご想像におまかせします。

乙!
まさかここまでいい話になるとは…

良い意味でタイトル詐欺だったよ!
超乙!!

スレタイからでは想像もつかないような素晴らしい話だった!
盛大に乙!!


カンケツ
  オメデトウ
     イワイオドリ

 ♪ /|  /|  /|
♪ ∠_ノ ∠_ノ ∠_ノ
〈(・∀・)ノ・∀・)ノ・∀・)ノ
`└|==|┘|==|┘|==|┘
 〈 〈 〈 〈 〈 〈
   ̄   ̄   ̄

乙~! 久しぶりに良いスレだった

いい感じにバランスがとれてて良かった!!
乙乙乙!!!
次回作にも期待!!

楽しかった!
でも…
エピローグを…
もう少し…
みんなで、リビングに集まって一緒にオンエア見るとかも読みたかったなぁ…

乙!すごいよかった!

大変乙である
名作と言わざるを得ない

おっつおっつ

まじでよかった

乙…!
俺も頑張ろうって思えたよ

よかった 乙

面白かった!
乙です!

いやーすごいよかった
乙です


なんというかうまくいきすぎないところが良いよね、こういうの好き

面白かったです。
ありがとうございました。

面白かったよ

乙!
ただただ乙!

乙!よかったーすごくよかったよ!

背伸びせず無難にまとまってて良かったな
デブさんの作品をアフレコする声優さんとか見てみたいわ
じっくり楽しませてもらいました。乙

乙!

厳しい現実を前にしてもみんなが必死に頑張る姿に泣いた

乙~


良かったよ

軽く泣きました…乙です!

GJだった。乙

大変乙であった。


泣いた。グスッ

大変乙であった。


泣いた。グスッ

稀に見る名作だった
こんなSS書いてみたい
乙~!

乙ー!
番外編希望!

乙!全員が頑張っている姿がよかった!

なんつうか、心に来るなぁ…

すげえ面白かったよ

何度も何度も上げすぎでしょ

褒めてるのです

>>453
どういうつもりだろうとやりすぎればウザがられるだけだぞ

遅くなったけど乙です
クリックするところがずれて間違えてこのスレを開けてよかった
偶然に感謝

稀に見る素晴らしい作品でとても感動しました(ノД`)・゜・。
またこういう作品を書いてくれると嬉しいです!
本当にお疲れ様でした^^

スゴくよかった。
この話、もっとたくさんの人に四でもらいたいね。

ageすぎ•••

久しぶりに良い小説に出会えた気分
最後、物凄い感動した

どうでもいいが今時電話切るときチンってどうよw

話はすごく感動しました面白かったです!

乙!
なんかスッキリしたぜ

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