森久保乃々「闇のおじさん」 (27)


おじさん「……そこの……女の子さん……なにやってるの?」

乃々「も、もりくぼのことは……ほっといて欲しいんですけど……」


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モバP「あ……清掃のおじさん! 乃々、見ませんでした?」

おじさん「いや……知りませんが……」

モバP「そ、そうですか……乃々ー! どこいったんだ、乃々ー!!」ダダダ……

おじさん「……元気な、人だなあ……」

乃々「あ、あの……助けてくれて、ありがとうございました……」

おじさん「あ、思い出した。森久保乃々ちゃんだ、君」

乃々「し、知らなかっただけ……ですか」

乃々「! プ、プロデューサーさんに、言わないでほしいんですけど……!」


おじさん「……さっきの人か。ケンカでもしたんですか?」

乃々「そうです……もりくぼいぢめです……嫌だって言ってるのに……」

おじさん(まさか……ハンザーイ的な事を……!?)

乃々「お仕事させようと……するんです」

おじさん「いや、それはやりなさいよ」


乃々「うぅ……こ、ここにも、もりくぼの敵が一人……私は……静かに暮らしたいだけなのに……」

おじさん「……どうでもいいですが、ちょっとそこどいてくれませんか? 掃除ができないので」

乃々「あ、はい。すみません……」


おじさん(森久保乃々さんか……なんというか、シャイなのかな。仕事したくないとは……)

おじさん(……まあ、気持ちはわからなくもないけどね。俺も出来れば仕事したくない……)

おじさん(でも……そんなこと言ってたら食えなくなるしなァ……)

おじさん(それにあの子は、逃げ腰的な意味で仕事したくないって言ってるけど……)

おじさん(俺は、めんどくさいって理由、怠惰なもんだよ……はあ、なんだかなぁ……)


おじさん「また君か……そこ、気に入ったんですか?」

乃々「あ……おじさん。お久しぶりです」

おじさん「……また、お仕事から逃げてきたんですか?」

乃々「うぅ……私にはむーりぃー……他に、もっと可愛い娘、いっぱいいるのに……」


乃々「だのに……プロデューサーさん、いっぱいお仕事取ってくるんです……」

おじさん「……そりゃ、君に期待してるんでしょう」

乃々「うぅ……しゃべるのも……苦手なのに……」

おじさん「……まあ、その気持ちもわからんでもないですけど……」

乃々「おぉ……! も、もりくぼの仲間が……ここで一人……!?」

おじさん「……で、ちょっとそこどいてくれませんか? 掃除ができないので」

乃々「あ、はい。すみません……」


おじさん(あの子は……確か、14歳だったか……)

おじさん(弟の子供が確かそれくらいだったな……今、どんな感じだろう?)

おじさん(……俺も、結婚とかしてたら、あのくらいの子供がいてもおかしくないんだよな……)

おじさん「はぁ……最近疲れやすいや……もう寝るか……」


おじさん「……で、また君ですか……」

乃々「あ……どうも、仕事熱心なお掃除のおじさん……仕事から逃げたいもりくぼです……」

おじさん「……はぁ……森久保さん、何か飲みますか?」

乃々「え……?」

おじさん「俺も言うほど仕事熱心じゃありません。一緒に何か飲んで、少しサボりましょう」

乃々「あ、はい……じゃあ、りんごジュース、おねがいします……」


おじさん「へぇ……森久保さんは、親戚に誘われてアイドルを……」

乃々「はい……それも一回だけって話だったのに……なんだか、人気が出ちゃって……」

おじさん「ははは……聞いてる分には、うらやましい限りです」

乃々「うぅ……でも、ほんとむーりぃー……あそこに立つのは……命の火が消えそうになります……」

おじさん「……まあ、外野の意見ですよね。スポットライトの光を浴びてるのを、ただ見ている……」

おじさん「こんな風に、裏方の……闇の中にいるとね……誇りを持ってやってる人もいるのかもだけど……私は違う……」


乃々「私としては……うらやましいです……静かな仕事です……おじさんも、静かなのが好きで、清掃やってるんですか……?」

おじさん「いや……俺は、これくらいしか、仕事の面接に受からなかったんです。もう……年齢的にも、厳しいから……」

乃々「うぅ……世知辛いです……」

おじさん「ははは……だから、森久保さん。貴方に期待して、貴方に仕事があるなら……頑張ってみるべきだと思いますよ」

乃々「うぅ……で、でもぉー……」

おじさん「……まあ、気持ちはわからないでもないです。闇の中は、居心地がいいから」

乃々「……闇の、中……ですか?」


おじさん「そう。闇の中は涼しくて静かで、ゆっくりとできる。でも……そこにずっといるのは、どうも人間にはよくないことらしいです……」

おじさん「光を浴びずに、ずっと闇の中にいると……淀んでくる、腐ってくる」

おじさん「やがて、生き抜こうとすら思わなくなる……死人も同然になる」

乃々「お……おじさん……!?」

おじさん「森久保さん……貴方は、そんな場所にずっと居たいですか? 自分が生まれなければよかったという感覚を……知りたいですか?」

乃々「ヒッ……!!」ダダッ!

おじさん「怖がらせちゃったか……悪い事をしたかな」

おっさんの思考が重すぎだろwwww


おじさん(森久保さんはアレ以来、ここには来ない……プロデューサーさんとやらが、相変わらず机の下に隠れたりしてるって事を言っていたけど……)

おじさん(でも……この数ヶ月間、あれから頑張ってるみたいだ……前に、ライブに出ているのをテレビで見た)

おじさん(どうにも涙目だったが……うん、光の元に出れたなら、なによりだ)

おじさん「……おや、電話か……」ヨルハージコケンオデ……

おじさん「……はい、社長、何か……?」

おじさん「え……解雇……ですか……」

おじさん「……そうですか……わかりました……」


おじさん「……解雇……か。はあ……これでまた、無職か……」

おじさん「新しい働き先……見つかるかな……下手すりゃ、こんどこそホームレスだな……」

おじさん「……とにかく……寝よう……考えることに、疲れた……」

おじさん「……もう、ああすれば良かった、こうすれば良かったと考えることすら……面倒くさい……」

おじさん「……やっぱ……闇だけじゃ、良くないな……最低な考えしか、浮かんでこない……」

おじさん「……俺は、生まれてこなければよかったかな……そうすれば、もっと平和なままだったのに……」


弟「まったく……兄さん、結局迷惑かけてんじゃん……俺に迷惑はかけられないって、家を出たくせにさ……」

弟嫁「まあ……仕方ないわ。死人に文句を言ってもしょうがないもの」

弟「……自殺も疑われたらしいけど……不養生からくる病死ってことがわかって良かった。自殺だったら、世間体が悪すぎる」

弟嫁「まあ、お葬式、さっさとすませちゃいましょ……あら、どうしたのお嬢ちゃん? え、手紙? あ、ちょっと……!」

弟「ん? どうしたの?」

弟嫁「いや……なんか、女の子が、手紙をあなたのお兄さんに渡してくれって……」

弟「へえ? おばさんのとこの●●ちゃん?」

弟嫁「いや……親戚の子じゃなかったみたい。でも……どこかでみたような……」

(´;ω;`)ウッ


闇のおじさんへ


 こんにちは、もりくぼです。

 あの時は、いきなり逃げちゃってごめんなさい。その、怖くなっちゃって……。

 あの言葉を聞いて……私は、少しだけ、光の元に出てみようと思いました。

 こんな私だけど……闇の中にいる人に、光の中でもなんとかなるよって、伝えてみようかなって……。

 でも……闇の居心地の良さからは、完璧には抜け出せそうにはないです。


 おじさん……本当の本当に、闇の底に逝ってしまったおじさん。

 もりくばは、静かな闇の中で時々休みながら……もう少しだけ、光の中で踊ったり歌ったりしようと思います。

 おじさんのいる、闇の中に届くかどうか、わからないけど……もし良かったら、応援して下さい。

 小梅ちゃんが喜びます……たぶん、私も喜びます。それでは……さようなら。


                                   もりくぼより

終わりです。これで、本当に終わりです。

ありがとうございました。
さようなら、さようなら。

(´;ω;`)おつ



文字通り闇に飲まれたのか……

おっちゃんの事を救ってあげてもよかったんじゃよ?

おじさん……

乙でした……

まさか>>1は自殺願望者じゃないよな?

乙。

おじさんは救われません。

めんどくさいとおもてる人は、救われたいとすら思わなくなるからです。
そうなったら、もう、無駄です。

おつ

乙。

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