妹「お兄ちゃんが死んじゃったよぉぉぉ!!!うわぁぁぁん!!」 (12)

兄「……」

そこには、血塗れの兄が居た
頭から血を流し、ついには命の鼓動を止めた兄
そしてそれを悲しむ、彼の妹と見られる少女が一人

妹「ど、どうして…!?どうしてなの…!?」

妹「お兄ちゃん…!お兄ちゃぁん…!!うぅぅぅ……ひどいよ…ひどいよ…」

妹「こんなのって…こんなのってないよぉ……うぅぅぅぅ……」

母「う…うぅ…い、妹…!!…辛いのはアンタだけじゃないのよ…妹…」

父「そうだな…まだ悲しむのは早い…まずはコイツを天国へちゃんと送り届けてやらないと、な…」

妹「うぅ…やだよ…やだよ……お兄ちゃん…うぅ……お兄ちゃん…」

野次馬達は群がり、彼女達、彼女を見つめる…
言葉にならない思いを全員が抱き、哀れみの目でそっと彼女達を見つめる…

いつか乗り越えるであろう…一時の悲しみの中で…







兄「いやいやいや!!なんだよこれ!なんだよこれ!なんだよこれ!」

天使「あれ、気に入りませんでした?」

兄「…てか、これ何…?」

天使「あなたの死亡PVでっす☆」

兄「…は?」

天使「いやー、久々に良い出来ですよ!これ!最高の出来と言っても過言ではない!」

兄「あぁ…っと…?ん…?」

天使「どうなされたんですか?」

兄「あぁ、いや…」

兄「そもそもなんで俺ここにいんのかなーっと思ってさ…俺、さっきまで」

天使「死んだからですよ」

兄「は?」

天使「死んだからですってば」

兄「は?は?は?」

天使「…死ね」

兄「生きる」

兄「てかなにこれ!?は?」

兄「俺さっきまでめちゃくちゃ元気だったぞ!」

兄「さっきまで愛猫と遊んでたからな!おい!!!」

天使「んな事言われても知りませんよ、死んでるんですから」

兄「だから死んでないってば」

天使「じゃあこの、血だらけで倒れてるむさい男は誰ですか?」

兄「……」

兄「この血も滴る良い男なクールフェイスは…間違いなく俺だ…」

天使「でしょ?この頭かち割れてる素人映画のゾンビA見たいな顔付きは間違いなくあなたですよね?」

兄「そうだな、軽く見て福山雅治以上ジョニーデップ以上のこのビューティボーイは世界に俺しか居ないな」

天使「世界中に25億は居ると思いますよ」

兄「っで、俺はこれからどうしたらいいの?」

天使「どうしたらいい、とは?」

兄「俺死んでるんだろ?じゃあもうどうあがいても仕方ねえよ」

兄「さっさと天国にでも地獄にでも連れてってくれ…」

天使「お、案外飲み込みがいいですねー、少しだけ好感度上がりました」

兄「ってか、背中に羽が生えてて、頭の上に輪っかが見えるって、お前が天使じゃない限り信じれないないからな」

天使「おっ!そこに目を付けるとは!流石私が担当してるだけはあります!」

兄「最初はダサいコスプレかと思ったけど、こんなダサいコスプレしてても利点がないような気が」

天使「…死ね」

兄「…あ、気にしてたのか、ごめん」

天使「気にしてねえよ」

兄「気遣えなくてごめん」

天使「だから気にしてねえよ」

兄「で、どうすりゃいいの、なるべく簡潔に頼む」

天使「いや、むしろ話を複雑にしてんのお前だろ、マジお前見た目通りで役に立たねえな、どうせ生きてる時も録に…」

天使(あ…はーい♪無駄話してすいませーん、じゃあ簡潔に説明させて頂きますねー♪)

兄「なんか…ごめん……」

兄「さっきの話…大分気にしてたんだな…」

天使「だから気にしてねえつってんだろ」



天使「つまりですねー、あなたが死人No,10兆目の人間な訳です」

天使「私達としては、10兆人目記念としてですねー、特別にあなたにプレミアムな体験をさせてあげたい、という事でしてー」

兄「つまり…?」

天使「…チッ」

天使「タララッラー♪第二の人生、引き換え券~!つまり~死者蘇生プレゼント!って事なんですねー!」

兄「さり気なく舌打ちしてんじゃねえ、泣くぞ、こら、泣くぞ」

天使「いらないとは思うんですけど、このチケット、最大3回まで蘇生が可能となっている優れ物です!」

天使「使うも使わないもあなた次第ですけどー、私的にはー」

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