安価でシークレットゲーム6 (1000)

・このスレは安価(コンマ)でシークレットゲームをクリアすることを目的としています。


・プレイヤー数は14人で、主人公のPDAはJOKERという設定です。
 他の13人は、シークレットゲームに登場するキャラ(御剣、姫萩、等)です。


・基本は安価で選択肢を選ぶことになりますが、場合によってはコンマ下二桁判定を取ります。


・安価の選択肢に挙げられている中に正解のものが絶対含まれているかどうかは分かりません。


・安直な選択は死を招くので、ご注意を。


・今までのスレ

安価でシークレットゲーム

安価でシークレットゲーム2

安価でシークレットゲーム3

安価でシークレットゲーム4

安価でシークレットゲーム5

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363087413

いつの間にか埋まっていたので、また新しくスレを立てました。
専ブラの方が見やすいと思います。

前回の流れ……


871 名前: ◆WNrWKtkPz.[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 00:09:28.72 ID:QjRrywGS0 [1/2]
「それじゃ、私も」

「晶ちゃんも、行っちゃうの~?」

綺堂が悲しげな目で見てくるが、そんなことは知った事ではない。

「待ってください、神崎さん!」

「アンタは、まず頭を冷やすべきね――」

「ちょ――」

私は部屋を出てすぐに手塚を探し回り始める――



「ん……?」

私が歩き始めてすぐの場所に手塚が壁に寄りかかっていた。

「来ると思ってたぜ」

「私が来なかったらどうしたの?」

「俺は来ると確信していたからな、その場合については何も考えていない」

「ふーん……」

まあ、探す手間が無くなったので良しとしよう。

「で、どうするんだ? 組むのか、それとも同行するだけか……」

手塚は、PDAの番号を教えるか教えないか、ということを聞いているようだ。


私は……

1.私からPDAの番号を教える

2.手塚からPDAの番号を教えるように求める

3.教え合う事を拒否する

4.やっぱり単独行動を取る

5.その他

>>872
>>873
>>874

>>874のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>872
34~66 >>873
67~99 >>874



872 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/03/09(土) 00:11:31.76 ID:Bf03v58qo
3

873 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2013/03/09(土) 00:13:26.78 ID:OPQ+V3DW0


874 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/03/09(土) 00:16:36.92 ID:vOsZbycy0 [1/2]
2

――――
――

ここから進めていきます。

「PDAの番号を教えて」

私は手塚からPDAの番号を明かす事を求めた。

JOKERの立場であるため、手塚が嘘のPDAを教える事は出来ないというのは有りがたい事である。

生憎私はまだ偽装機能を使用していないため、手塚が2であるかどうかを確認出来ていない――

「俺は加藤から教えて貰いたいわけだが?」

「私はあなたの方から教えて貰いたいの――」


どっちも引けを取らないため、話が一向に進まない。

手塚も少なからず私のことを警戒しているのだから、先に教えたくないというのは分かるのだが――

「…………」

正直にJOKERというのは自滅行為に近い。

そのため偽装した番号を手塚に教えることになるわけだが……。

(万が一被った時……)

その教えた番号が手塚と一致してしまうと、非常に不味い事になってしまう。

確率は10%を切っているのだが、可能性がある限りそのリスクを無視する事は出来ない。


私は……

1.敢えてJOKERだということを教えよう

2.偽装した番号を先に教えよう(要記載:偽装番号)

3.意地でも手塚に先に言わせよう

4.一旦この話は終わりにして、後で教え合うことを提案する

5.手塚と別れる

6.その他

>>11
>>12
>>13

※>13>のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>11
34~66 >>12
67~99 >>13

4

「このままだと埒が明かないし、この話は一旦止めて、後で教え合うべきね」

「……そうだな。ま、取りあえず協力関係って形で行くか」

「そうね――」

結局、私たちは番号を教え合わないまま一緒に行動する事になった。

と言っても、また後になってこのようなやり取りをしなくてはならないのだが――

(次の節目はゲーム開始から6時間目か……)

戦闘解禁ということもあって、そこで教え合えなければ別れる可能性は高くなるだろう。

まあ、手塚と組むことにそこまで終着する必要性は無いと思うのだが……。



私たちはこのあと……

コンマ判定

>>20

00~40 私がGPSを見つける

41~80 手塚がGPSを見つける

81~99 何も見つからない

>>21

00~40 私がGPSを見つける

41~80 手塚がGPSを見つける

81~99 何も見つからない


GPSかもん

みつけろ

【06:00】

ゲームは開始から6時間……ようやくゲームが本格的に始まったといったところだろうか。

私たちはお互いに1個ずつGPSを見つけて、それぞれのPDAに導入した。

「で、戦闘解禁となったわけなんだが……どうする?」

「そうね……」

言わずもがな、ここからは表面上だけでも信頼関係とやらが必要となってくる。

それ無しに一緒に行動するというのは、精神的に難しいだろう。

それに、私たちはお互いに先に教えるのを拒んでいるために更に疑心が沸いているといったとこだろうか――


私は……

1.JOKERだということを打ち明ける

2.偽装した番号を先に教える(要記載:偽装番号)

3.手塚から教えないのであれば一緒に行動しないという

4.手塚は先に教える気が無さそうなので、何も言わずに別れる

5.手塚を殴り倒してPDAを奪い取る

6.その他

>>25
>>26
>>27

>>27のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>25
34~66 >>26
67~99 >>27

6 埒が明かないから同時に教え合う

3

「……私から言うから、あなたも教えなさい?」

性分じゃないが、ここは折れて私から言ったほうが良さそうである。

それも、本当の番号を――


「私のPDAは……JOKER」

「なッ……加藤、お前――!?」

画面を見た瞬間に、手塚は目を見開いて少し私と距離を置いた。

「ほら、教えたんだから早くそっちのPDAも教えなさい」

私は冷静なままで手塚にPDAを取り出させる。

「俺のPDAは……6だ」

6と言えば、JOKERの偽装機能を5回以上使用だったか――

「あら、運が良かったわね。お目当てのPDAが目の前にあるじゃない」

「まさかこんなにも早く見つかるとはとは、俺も思って無かったぜ」

お互いにPDAを明かしたことで、微妙な空気が流れ始める。

「それで、どうするの? 私は最低でも2人殺害しないといけないわけだけど」

JOKERの正体を暴露するという暴挙に出たのだが、手塚が6であることによって良い展開に持ち込めたかもしれない――

「……JOKERの偽装機能は、いま何回使っているんだ?」


私は……

1.もう5回使用したという

2.適当に嘘の回数を言う

3.まだ使っていないと正直に言う

4.教えない

5.その他

>>32
>>33
>>34

>>34のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>32
34~66 >>33
67~99 >>34

3

「残念、まだ1回も使用していないわ」

「そうか……」

私が正直に言った事に対して、手塚は少し考える素振りを見せる。

まあ、実際に見ていないのだからそう簡単には信じられないだろう。

「このまま私について来れば、偽装回数をカウントできるけど?」

若干ではあるが立場的には私が優勢になってきているように思える。

私は別に手塚と絶対に同行したいとは思っていないので、彼の返答次第で取る行動を選択すればいいだけの事であって――

「仮に俺がついていくとするなら、お前は1時間ごとに偽装してくれるのか?」


この質問に対して私は……

1.そうだ、という

2.気分次第だ、という

3.それは答えられない、という

4.条件を呑むならやる、という(要記載:条件)

5.その他

>>43
>>44
>>45

>>45のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>43
34~66 >>44
67~99 >>45

1

1

5.代わりに首輪とPDAをくれるならOKよ。

「ええ、そうよ?」

「……だったら、ついていく以外に選択肢が無いな」

手塚は少し間を置いてから返答をした。

無条件で協力するという奇怪さに戸惑ったのか、はたまた別の事を考えていたのか――

「そう、だったら早速偽装するわ」

私はJOKERを2に偽装して手塚にその画面を見せる。

「確かに、1回目だな」

「いまからだと、半日も経たない間に首輪が外れるんじゃない?」

「それはそれで何も面白みが無いゲームだな……」

取りあえず手塚と一緒に行動する事になったが、彼は首輪を外した後にどういう行動を取るのだろうか。

私だったら外した直後に、戦闘禁止エリアに駆けこんでゲーム終了までのんびり過ごすだろう。

(……無条件は不味かったか――)

こんなぬるい行動をとっていて、この先のゲームをやっていけるのだろうか――


私たちはこのあと……どうする?


>>50
>>51
>>52

>>52のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>50
34~66 >>51
67~99 >>52



武器を確保優先、他の参加者も隙があれば襲撃する

ひとまず、上を目指しましょう。

ところで、貴方が首輪を外したら首輪とPDAが欲しいのだけれど。

>>51

【07:00】

私たちはあれから武器を探すことにした――

1階なので見つかったものはフルーツナイフやコンバットナイフだった。

また、道中で地図拡張機能も見つけたのでようやく部屋の種類が地図上で確認できるようになった。

「それじゃ、2回目――」

私はJOKERを4に偽装して手塚に見せた。

「あと3回か」

「3時間なんてあっという間に経過するから、慌てなくても大丈夫よ」

「慌ててねぇよ……ただ、上手く行き過ぎていると思っているだけだ」

「確かに、そう疑ってしまうのも無理ないわね」

まあ、このままで終わるとは私は微塵たりとも思って無いが――


私たちはこのあと……

コンマ判定1個下

00~30 麗佳たちと出会う

31~60 北条たちと出会う

61~90 長沢たちと出会う

91~99 誰とも出会わない

【08:00】

時はあっという間に過ぎて行き――

「それじゃ、3回目――」

私が3回目の偽装を行おうとした時、真っ直ぐ向こうに人の姿を捉えた。

「ん、どうした?」

見えたのは3人で、向こうもこちらに気が付いたのか近寄ってきている。

「なんで…………」

私は目に映っている1人の姿が信じられなかった。

「どう、して――――」

「晶!?」

これは、主催者による私への試練だというのだろうか――

【08:30】

私たちが遭遇したのは葉月、高山、そして……麗佳の3人である。

「なんで麗佳がここにいるの!?」

「それはこっちの台詞よ! 向こうに居るのが晶だって分かった瞬間に、驚き過ぎて躓きかけたんだから!」

私と麗佳はお互いに興奮して言葉を交わしていた。

「お友達同士の会話は後にして、先にこっちの話を進めようぜ」

手塚達の方を見ると男性陣の困惑した顔が見えた。

「……そうね。麗佳、また後で話そう」

「ええ」

色々頭が混乱しているので、麗佳と話すのに少し時間を置いた方が良いだろう。

「それで、これからどうするかって話なんだが2人の意見はどうなんだ?」


私は……

1.このまま全員で行動することを提案する

2.この中で一緒に行動したい人を選択する(要記載:人物)

3.特に意見を言わない

4.引き続き手塚と行動する

5.その他

>>64
>>65
>>66

>>66のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>64
34~66 >>65
67~99 >>66

4

5手塚と2人で襲撃する

4

「私はこのまま手塚と行動するわ」

これ以上人数が増えるのは、私にとってあまり嬉しくない事である。

「私は……晶と一緒に行くことにします」

こうなることは予想できていたので私は何も言わなかった。

麗佳と比べて葉月と高山は信用できないので、このまま割れてくれればいいのだが――

「矢幡さん……」

葉月が何と無く感づいていたような顔をして麗佳を見ていた。

「それならば俺は単独行動を取る――」

「え……た、高山君!?」

ここが潮時だと思ったのか、高山はそれ以上何も言わずに部屋から出て行ってしまった。

「手塚、麗佳を連れて行っても良いよね?」

「……好きにすればいいさ」

手塚には殆ど権限が無いので、これは最初から決定事項である。

「ぼ、僕も連れて行ってくれないか!?」

高山に捨てられた葉月が顔を青ざめさせながら申し出てくる。


私は……

1.ついでに連れて行く

2.連れていかない

3.無視して部屋から出る

4.その他

>>73
>>74
>>75

>>75のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>73
34~66 >>74
67~99 >>75

1

チーム組んでるということは高山さんはおそらく殺人系じゃないので相手にしないのが無難
葉月は隙があったら殺人対象、麗佳は・・お前ら次第か

4はずきを襲う

「そうね…………」

私は目を細めながら葉月にゆっくり近づいて行く。

「お願いだ、頼む……!」

「それじゃ、葉月さんが私たちと同行するのに相応しいかどうか、試してあげる」

「試す、とは……どうやって……」

「こういう、ことよ――」

私はファイティングポーズを取り、佇む葉月に向かって拳を放った――

「ぐッ――――ッッッ!? …………ぅぁ――」

葉月は動くこともできずに、そのまま後方へ吹き飛んで倒れた。

「あき、ら……? な、何やってんのよ!?」

現状をいち早く察知した麗佳が、私にしがみ付いてきた

麗佳の目を見た瞬間に、私の頭は真白になった。



どうして、私は麗佳の目の前で人を殴ったりしたのか――

いや、そもそも標的でもない相手を唐突に殴ること自体意味が分からない――

私は、どうして――

「晶!!」

「………………」

私は……

1.麗佳を振り払い、葉月を殺害する

2.そのまま麗佳に体重を預ける

3.麗佳を殴る

4.その他

>>83
>>84
>>85

>>85のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>83
34~66 >>84
67~99 >>85


2

4.葉月に謝罪して治療を施す。怖がるなら麗佳にお願いする。
色々あって気が動転していたと誤魔化しつつ、手塚にあとでPDAと首輪を外したらもらうよう言い含める。

4、私はこんな風にこれから人を襲うけど邪魔しないのならついてきてもいい

今日はここまでです。

【現状】

死者:漆山

【体調】

体 健康

心 動揺(大)

【武器】

加藤:ナイフ

手塚:ナイフ

矢幡:???

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能

手塚:GPS

矢幡:???

【PDA情報】




5 北条
6 手塚



10



JOKER 加藤

男子1番・和泉直正(いずみ・なおまさ)

男子バスケットボール部キャプテン。
しっかりした性格。
西智美(女子14番)との口喧嘩が絶えない。

 

支給武器:シグ・ザウエル P230 9ミリショート
kill:なし
killed:斎藍(女子2番)
凶器:カマ
 

実は智美に恋心を抱いていた。
G=08エリアで智美と再会。喜んだのもつかの間、藍に発見される。智美を先に逃がして自分も逃げようとしたが、カマで手首を切られ出血多量死。

男子2番・井上稔(いのうえ・みのる)

部活は無所属。不良ペアの片割れ。
ケンカ好きでがさつ、大雑把だが、優しい部分もある。
麻生咲(女子1番)に恋心を抱いている。

 

支給武器:クマデ
kill:美祢達哉(男子17番)
能勢杏奈(女子15番)
killed:なし
凶器:なし
 

出発後、担任を殺されたことにより、坂出慎(男子5番)と共に政府に復讐しようとする。また、普通に接してくれていた皆川玉樹(男子16番)・咲に会おうと決心する。
F=01・02エリアの境目で和田純直(男子20番)・原田千秋(女子16番)が自殺したことを知りショックを受ける。火炎瓶の作り方の紙を入手。
F=08エリアで尾花哲也(男子3番)の死体を発見。銃を入手するが、G=08エリアで出会った土井雫(女子10番)に渡してしまう。
E=06エリアで中野尋代(女子13番)を看取る。
F=09エリアで着々と脱出の作戦の準備をしていたが、杏奈に襲われる。両足を負傷するが、慎の道連れ作戦(?)でその場から逃げ出す。政府・杏奈への復讐を誓って移動開始。銃を入手。
D=07エリアで咲が達哉に殺されかけているのを見つけ、咲に声を掛ける。咲が駆け寄ろうとしたが咲を殺害された。達哉を無言で銃殺。
その後合流した雫と移動。D=08エリアで休憩中に杏奈に襲われる。全身に被弾するが、致命傷にはならなかった。フリッサで杏奈の全身を刺して殺害。優勝。

男子3番・尾花哲也(おばな・てつや)

卓球部。クラス1大柄。
性格は大らかで面倒見も良い。
吉井英(男子19番)と最も仲が良い。

 

支給武器:S&W M29 44マグナム
kill:なし
killed:中野尋代(女子13番)
凶器:ベレッタM84
 

狂う。F=08エリアで尋代・武藤萌(女子19番)を発見。襲いかかるが、逆に尋代に左胸・腹を撃たれ死亡。

男子4番・門脇吉孝(かどわき・よしたか)

テニス部。自慢癖がある。
閑谷邦康(男子6番)が聞き役。
その他に親しい人物は特にいない。

 
支給武器:ポケットティッシュ5個
kill:なし
killed:美祢達哉(男子17番)
凶器:裁ちばさみ
 

G=02エリアで、石を投げながら慎重に移動していたが、その1つが達哉に当たってしまう。追いかけられ必死に逃げるがこけてしまい、腹をメッタ刺しにされ死亡。

男子一番 相葉優人(あいば・ゆうと)

身長 168cm
体重 51kg
誕生日 9月9日
血液型 B
部活動 バスケットボール
友人 雨宮悠希
川原龍輝
田中顕昌
内藤恒祐
春川英隆
日比野迅
望月卓也
(男子主流派グループ)
愛称 優人
出身小 帝東学院初等部
親の職業 デザイナー(父)

いつもへらへらとしたお茶らけた性格で、グループの盛り上げ役。
優しくて争いごとを嫌っており、人との衝突を避けるためなら濡れ衣を着せられることも厭わない。
グループ内では春川英隆・日比野迅・望月卓也と行動を共にすることが特に多い。
集団で行動している時には女子にも平気で声を掛けるが、1対1ではなかなか話すことができない照れ屋。しかし片想い中の小石川葉瑠に対しては積極的にアプローチしている。
バスケットボールをしている時の集中力は凄まじく、この時だけは周りから「かっこいい」と騒がれる。



 チーム: 第1班 
支給武器: 偽銃6個セット
kill: 荻野千世(女子三番)
killed: 室町古都美(女子十八番)
凶器: グロック19
 
F=03エリアにて潜伏。チームでの話し合いの結果、やる気でない且つ脱出手段を考えていそうな城ヶ崎麗(男子十番)のグループを探すことを決めたが突如襲撃を受けチームの宍貝雄大(男子八番)を失う。逃げ出したものの、襲撃者の中の1人が望月卓也(男子十六番)であることにショックを受ける。↓
潜伏していたが突如音がして逃げようとするが、現れた日比野迅(男子十五番)と水田早稀(女子十七番)がやる気でないことに安堵。話をして別れた。

B=06エリアにて潜伏。徐々に元気を取り戻していた。友人の状況を掴めていない荻野千世(女子三番)と小石川葉瑠(女子五番)に友人を探すことを提案し移動しようとしたが、突如リーダーである千世が春川英隆(男子十四番)らに狙撃される。リーダーの死亡により巻き添えになることを防ぐため、千世を射殺、罪悪感に慟哭。財前永佳(女子六番)に殺されそうになるが、偽銃セット“閃光銃”を葉瑠が使用し逃げ出すことに成功。下剋上ルール適用により、第1班リーダーとなる。↓
C=05エリアにて潜伏。雄大や千世を失ったこと、葉瑠に苦労をかけていることの全てを自分のせいだと思い涙していた。原裕一郎(男子十三番)・室町古都美(女子十八番)が現れ、雄大と千世が2人の親友であることに気付き泣きながら謝罪。しかし、葉瑠が狙われると、葉瑠を護るために2人に立ち向かう。一時優勢だったが、古都美に背後から撃たれた。葉瑠に自分を殺して生き残るように請うが拒否され、自分のせいで葉瑠を死に至らしめる結果になったことを悔い悲しみながら息絶えた。



これまで色々な子を書いてきましたが、トップクラスで書きにくいというか、書いてるこっちの気持ちもどんどん落ちていくほどに、プログラムに苦しみ悲しみ悩み続けた子でした。ここまでなる予定ではなかったのに←
ちゃらんぽらんなところを一切書けなかったなぁ…

女子五番 小石川葉瑠(こいしかわ・はる)

身長 157cm
体重 50kg
誕生日 1月15日
血液型 AB
部活動 吹奏楽部
友人 阪本遼子
蓮井未久
平野南海
広瀬邑子
山本真子
(女子主流派グループ)
愛称 葉瑠
出身小 帝東学院初等部
親の職業 大学教授(父)


場を盛り上げることが大好きで、冗談を言っては周りを笑わせている。
頭の回転が速く、何事にも動じない度胸がある。
趣味はイケメン探しで、“スポーツができて笑顔が爽やかでちょっと可愛さがある男子”を眺めて声をかけるのが好きだが、アイドルを追いかける感覚に近く、そこに恋愛感情はない。
何故か学校指定ジャージを常に上に着ている。



 チーム: 第1班 
支給武器: 双眼鏡
kill: なし
killed: なし(規定により首輪爆発)
凶器: 首輪
 
F=03エリアにて潜伏。チームでの話し合いの結果、やる気でない且つ脱出手段を考えていそうな城ヶ崎麗(男子十番)のグループを探すことを決めたが突如襲撃を受けチームの宍貝雄大(男子八番)を失う。逃げ出したものの、襲撃者の中の1人が望月卓也(男子十六番)であることにショックを受ける。

潜伏していたが突如音がして逃げようとするが、現れた日比野迅(男子十五番)と水田早稀(女子十七番)がやる気でないことに安堵。話をして別れた。

B=06エリアにて潜伏していたが、相葉優人(男子一番)の提案により、荻野千世(女子三番)と共に友人を探すことに。しかしリーダーである千世が突如春川英隆(男子十四番)に狙撃され、千世の死に巻き込まれないために優人が千世を殺害するさまを目の当たりにし、現況となった英隆を責める。財前永佳(女子六番)に撃たれ左腕を負傷するが、偽銃セット“閃光銃”を使用し優人と共にその場を離脱した。

C=05エリアにて、原裕一郎(男子十三番)・室町古都美(女子十八番)が現れる。葉瑠に対して殺意を向けた2人に狙われ、葉瑠を護った優人が眼前で撃たれる。古都美と、古都美のために命を捨てようとしている裕一郎の背中を見送る。優人の傷が致命傷だと悟り、生を諦める。現れた芳野利央(男子十九番)・阪本遼子(女子八番)・蓮井未久(女子十三番)に持っている全ての情報と武器を託した後、首輪の爆発により死亡。

口が達者な葉瑠は書いてて楽しかったです、もっと色々言わせて言葉で色んな人を追いつめる役割とかでもよかったな←
6話で早稀が言っていますが、もしプログラムに選ばれていなければ、そして優人が諦めていなければ、葉瑠は優人とくっついてたんだろうなぁと思います。

こんなにも、自分が何もできない人間だったなんて、思わなかった。

島の北側にある港からプログラム本部である小中学校を通り、島の南側にある漁港までを繋いでいる舗装された道路の脇のブッシュの陰――相葉優人(男子一番)と小石川葉瑠(女子五番)は並んで膝を抱えて座っていた。
4時間半程前に春川英隆(男子十四番)・財前永佳(女子六番)らの襲撃から何とか逃げ遂せたものの、リーダーだった荻野千世(女子三番)を失った。
それも、千世にとって味方であるはずの優人が命を奪う、という最悪の形で。
護身のために今も手にしているコルト・パイソンが、とても重く感じる。
千世の命の重みが加わったかのようだ。

優人は隣にいる葉瑠をちらりと見た。
そばかすの散らばる頬が、少しこけたのではないかと思う。
プログラムが始まって以来ろくな物を食べていないこともあるが、それ以上に何度もクラスメイトに襲われ目の前で仲間を失ってきたことが響いているのだろう。
縁無し眼鏡の銀色のつるが少し汚れているのは、拭き取り損ねた宍貝雄大(男子八番)の血や脳漿だろうか。

好きな子にこんな苦労させてる俺って、一体何なんだろう…

優人は膝に顔を埋めた。
視界が真っ暗になると、今までの出来事が次々と脳裏を過っていく。

チームメイトの雄大の突然の死。
突然の襲撃で、雄大は凶弾に倒れた。
あの時、優人は開いていた鞄から零れ落ちた荷物を拾うためにしゃがみ、千世と葉瑠もそれを手伝ってくれていた。
誰かの気配を察した様子だった雄大だけが立ったまま辺りを見回しており、そして標的となってしまったのだ。
あの時、どうして人の気配に気付くことができなかったのだろう。
いや、その前に、どうしてもっと辺りを警戒していなかったのだろう。
優人がもっと辺りに気を配っていれば、雄大は今も優人の隣にいたかもしれない。
あの時の優人は、親友の田中顕昌(男子十一番)が教室で殺害されたのを目の当たりにしたショックで周りに気を配る余裕が無く、葉瑠に心配を掛けまいと元気に振舞っていたが、頭の中には顕昌の亡骸が何度もちらついていた。
だが、そんなことは言い訳にならない。
言い訳して責任逃れできる程、雄大の死が軽いわけがない。
リーダーとしてのプレッシャーが圧し掛かっていた千世や、優人のことを気に掛けてくれていた葉瑠が気付かないのは仕方がないと思っている。
やはり、自分がもう少し周りの音に気を配ってさえいれば、結果は変わっていた。

そして、リーダーだった千世の死。
場面は違えど、雄大の時に犯した過ちを繰り返したようなものだった。
少しでも場を明るくしたいという思いが伝わってきた千世の振る舞いに感謝し、自分も元気でいなければと思って騒いだ。
それが命取りになることはわかっていたのに、少しでもいつも通りの自分たちでいることができれば何かが変わるかもしれない、プログラムなんてドッキリだったんだということになるかもしれないと、ほぼ100%あり得ない望みに縋り付きたかったのだ。
その結果、英隆たちに見つかり、千世が撃たれた。
千世の死により、優人と葉瑠の命を縛る首輪が爆発してしまう――弱っていく千世と、千世に必死に声を掛ける葉瑠を見、せめて葉瑠だけは助けなければならないと、死にたくないからと、千世に向けてコルト・パイソンの引き金を絞った。
千世を見殺しにするどころか、直接手を下してしまった。
英隆たちがすぐ近くにいたことに気付いてさえいれば、あの時騒いでいなければ、あの場所に隠れてさえいなければ――どうすることもできない仮定は次から次へと溢れ出し、優人の頭の中は後悔で一杯だった。

そもそも、この班にちゃらんぽらんな自分がいなければ、雄大や千世が命を落とすことなく、うまくチームとして機能していたのではないだろうか。
強烈なリーダーシップのある城ヶ崎麗(男子十番)だったなら、麗ほどではないがリーダーシップがあり冷静に物事を見ることができる芳野利央(男子十九番)だったなら、どこまでも真っ直ぐで普段は麗の下にいるけれども周りを引っ張っていけそうな木戸健太(男子六番)だったなら、本当に周りの人のために率先して動くことができる日比野迅(男子十五番)だったなら――優人ではなく彼らがこの班にいてくれたのなら良かったのに。

ユータも荻野ちゃんも、俺がいなければきっと死ななかった…
2人共、俺が殺したようなもんじゃないか…いや荻野ちゃんはまさしく俺が撃ったんだけど、ユータだって俺がもっとしっかりしていれば…

何で、どうして、2人が死んでしまって、俺なんかがここにいるんだろう――

「…優人、アンタ大丈夫…?」

葉瑠に呼ばれ、優人は顔を上げた。
目前には、スポーツドリンク(これは食料調達のために入った商店で戴いてきたものだ。ああ、あの時はまだ千世もいた)のペットボトルがあり、思わず少しだけ仰け反り、それからそれを差し出していた葉瑠に目を遣った。
葉瑠は眉間に皺を寄せていつもは吊り上がり気味の眉をハの字に下げ、優人を見つめていた。

「葉瑠…」

「ほら、飲みなって。
 水分と塩分は取っといた方がいいっしょ?
 一口でもいいからさ、ね?」

ああ、葉瑠はなんて優しいんだろう。
こんな俺のことを、心配してくれている。

葉瑠はとてもしっかりした女の子だ。
クラスの中心で騒ぐのが大好きで、周りを盛り上げようとふざけることも多いのだが、実際には非常に頭の回転が速く冷静に周りを見ている。
泣いてばかりの優人とは違い、喚きはしても冷静に追い込まれた状況を打破するための策を練っているのだ。
もしかすると、その冷静さが恐ろしいと思う人もいるかもしれないが、優人にはその落ち着きが羨ましく、美しく、恰好良く見えた。

優人は、そんな葉瑠のことが大好きだ。
決して容姿に恵まれているわけではないし、(一重瞼の眼は鋭く小さい、そばかすもある、特別スタイルが良いわけでもないし、おまけに何故か常に学校指定ジャージを着用している)、運動が得意なわけでもない、周りから「小石川のどこが良いのか」と訊かれたことも一度や二度ではなかった。
正直、良いところを挙げろと言われれば、優人でも言葉に詰まる。
だが、優人にとってそんなことはちっとも重要ではなかった。
男子相手なら人見知りもせず話ができる優人だが、女の子の前では緊張してしまい上手く喋ることができなかった。
しかし、葉瑠だけは違った。
初等部で一度同じクラスになった時から、葉瑠とだけは普通に話をすることができ、可笑しい話をしては笑い合うことができた。
それがとても心地良く、時が経つにつれて、自然と「ああ、きっと俺はじーさんになるまで葉瑠とずっと一緒にいるんだろうな」と思うようになっていた。
つまり、葉瑠に“生涯を共にする運命”を感じてきたのだ。

今となっては、葉瑠にとっては迷惑な話だろう。
こんな情けない男に、勝手に“運命”などというものを一方的に感じられ、ずっと離れようとしないのだから。

じわりと涙が滲み、視界が潤んだ。
プログラムが始まってからもう何度目になるかわからないけれど、優人は泣いた。
どうしてプログラム対象クラスに選ばれてしまったのか。
どうして英隆たちはクラスメイトを襲うことができるのか。
雄大と千世がここにいないのか。
どうして葉瑠は優しくしてくれるのか。
どうして自分はのうのうと生きているのか。
何を思っての涙なのか、もう、優人自身にもわからなかった。

「ごめん…ごめん、ごめんね、葉瑠…
 俺……泣いてばっかで…いっこも役に立たないし……」

「何で謝るのさ、優人は何も悪いことしてないのに」

葉瑠は優人が受け取らなかったペットボトルを地面に置くと、代わりにタオルハンカチをポケットから取り出し、優人の顔に押し付けた。

「泣けば良いじゃん、泣く程悲しいこと悔しいことだらけだったんだからさ。
 あたしはね、アンタが泣いてるのを見て、思うんだわ。
 『プログラムなんておかしい』とか『クラスメイトを傷つけるのが赦せない』とか…
 どんどんみんなが傷付けて傷付いていってる状態で、まだそんなことを思ってる
 あたしだけど、間違ってるわけじゃないんだなぁ…ってさ。
 だって、優人も同じ気持ちなんでしょう?」

青縁の伊達眼鏡がずれるのもお構いなしで、葉瑠は優人の涙を拭った。
擦れるタオル地が少し痛かったが、そんなことなどどうでもいいと思える程に、葉瑠の言葉はとても温かく嬉しいものだった。
プログラムなんておかしいと思い、クラスメイトを傷付けるのは嫌だし間違っていると思い、誰にも傷付いてほしくないと思っているのは、優人だけではない。
葉瑠も同じ思いを抱え、優人の隣にいる――それが、とてもありがたかった。

「葉瑠…やっぱ、俺、葉瑠大好きだなぁ…」

「はいはい。
 ほらこれもあげるから、垂れてる鼻水もとっとと拭きなっ」

愛を告げたというのに相変わらず素っ気ない反応を見せた葉瑠は、ハンカチを取り出したポケットから今度はポケットティッシュ(パチンコ屋の宣伝の紙が中に入れられていた、駅前かどこかで貰ったものだろう)を出し、袋ごと優人に差し出してきた。
涙と鼻水で顔を汚していた優人は、厚意に甘えてそれを受け取り、顔面を流れる液体たちを拭い取った。
素っ気なくても構わない、こんな情けない姿ばかり見せている自分の傍にいて優しく接してくれる葉瑠を愛しく想う気持ちに変わりはない。


がさっ


優人の耳に、これまでなかった異音が届いた。
普段なら何ということはないただの葉の擦れる音なのだが、葉を揺らすような風は吹いていないので、自然の力で突然音が鳴ることはありえない。
優人ははっとして葉瑠を見ると、葉瑠も唇を真一文字に結び眉間に皺を寄せ、先程までとは違う睨むような鋭い目つきで音のする方を睨んでいた。

そう、きっと、誰かがいる。
優人の身体は自然と震えだしていた。
また、誰かに襲われたら。
また、誰かに撃たれたら。
また、仲間を失ったら――

「あ…は、葉瑠…さ、下がってて…!!
 お、俺が、葉瑠を、ま、護る、から…!!」

優人は声を潜め、しかしそれでも届くように葉瑠に訴えた。
雄大も、千世も、死なせてしまった。
しかし、葉瑠は、葉瑠だけは失うわけにはいかない、失いたくない。

葉瑠は優人の方に顔を向け、表情を綻ばせた。

「あーらら、勇ましいこと言ってくれるじゃん、ヘタレなのに。
 …アンタが下がるんだよ、アンタ、今リーダーなんだから」

優人ははっとした。
リーダーである千世を殺害したのは優人であり、それはチームメイトの命を握るリーダーの座が優人に引き継がれたことを意味していることを、優人は思い出したのだ。
これまで誰も護ることはできていないのでせめて葉瑠は、好きだと想う女の子は護りたいのだが、優人が無茶をすると葉瑠の命を危険に晒すことになりかねない。
優人がジレンマに陥っているうちに、茂みから人影が現れた。

「…相葉…小石川……」

男子の中でも低い声に、隣にいた葉瑠の表情が僅かに晴れやかになった。
優人の胸が、ちくりと痛む。
葉瑠の趣味がイケメン探しだということも知っているし、様々な男子に声を掛けるがそこには恋愛感情が伴っていないことも知っているのだが、それでもやはり好きな子が自分ではない異性を見ていることに何も感じないはずがない。
そして、今目の前に現れたのは葉瑠の1番のお気に入りなのだから尚更だ。

「裕一郎くん…!! それに、古都美も…!!ほら、圭くんが放送で……だからさ、心配してたんだよ、大丈夫だった?あと、南海は一緒じゃないの?」

男子の中では健太に次いで小柄で無愛想な原裕一郎(男子十三番)は、葉瑠の姿を認めると一歩後ずさった。
葉瑠は裕一郎のことがいたくお気に召しているらしいが、裕一郎は優人すらも女好きに見えてしまうのではないかと思えるほどに女子と絡むことを苦手としているので、自分に積極的に関わってくる葉瑠のことはやや苦手のようだ。
しかし、女子を苦手とする裕一郎の脇には、2本の太い三つ編みと眼鏡が特徴の小柄で地味で大人しい室町古都美(女子十八番)が寄り添っている。
彼らと同じ班として教室を出発した、裕一郎とはライバル関係だった横山圭(男子十九番)は最初の放送で既に名前を呼ばれた。
そして、葉瑠とはいつも教室で一緒に騒いでいた平野南海(女子十四番)も同じ班だったはずだが、今ここに姿を見せていない。

「平野とは…はぐれた」

裕一郎が短く答えた。
その隣では、古都美が顔を青ざめさせて震えていた。
優人たちと同じように、古都美もチームメイトを失ったのだから、きっと相当に怖い思いをしたのだろう。

…あ……それに、そうだ…
ことちゃんは、確か、荻野ちゃんと仲良かった…
俺は、ことちゃんの親友を、殺したんだ…!!
それに、ユウはユータと仲良しで…

俺は…この2人から、親友を奪ったんだ…ッ!!

「ああ…ああああああっぁぁぁああッ!!!」

優人は頭を抱え、土下座のように平伏して地面に頭を何度も打ちつけた。
雄大と千世の最期が、優人の脳裏に何度も繰り返し浮かぶ。
裕一郎と古都美から親友を奪ってしまった罪悪感に押しつぶされそうだった。

「あ、相葉…!?」

裕一郎が驚きの声を上げた。
当然だ、突然奇声を発して頭を地面に打ちつけてるのだから。

「俺のせいで、ユータも荻野ちゃんも死んじゃったんだッ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいッ!!!」
「ち…ちーちゃん……あ、ああ…相葉くんが……?どうして…ちーちゃん…あんなに良い子なのに……ッ!ちーちゃん……ちーちゃあん……ッ」

消え入りそうな震えた声を発した古都美は、へなへなと地面にへたり込んだ。
小さな双眸から、ぼろぼろと涙を零しているのを見、優人はまた地面に頭を打ちつけ、何度も何度も謝罪した。
謝っても赦されないのはわかっているが、これ以外にどうすればいいのかわからなかった。

「古都美…裕一郎くんも、ごめん…雄大くんも千世も同じ班だったんだけど…あたしたちが不甲斐なくて…護れなかったんだ…ほんと、ごめん……」

葉瑠が頭を下げ、小さな声で謝罪を述べた。
葉瑠に謝罪させてしまっていることが情けなくて、優人は一層泣いた。

「…相葉、土下座とかやめてくれ。小石川も、謝らなくてもいい」

裕一郎の低く静かで落ち着いた声に、優人は顔を上げた。
見上げた先、裕一郎の表情は、恐ろしい程に落ち着いていた。

「でも…ユータが……」
「宍貝のことは…辛い。けど、今がプログラムで宍貝は敵だったんだから…会えなくてよかったとも思う。大事なダチと、戦わずに、済んだんだから」

確かに、裕一郎の言うこともわかる。
お互い生きて会えたとしても、英隆や望月卓也(男子十七番)のように襲ってくるのなら、いっそ会わない方が良かったのかもしれないと思える。

…でも、あれ…?
今のユウの言葉…まさか…まさか…ッ!!

「ユウ、お前……プログラムに乗ったのか…っ!?」

戦わずに済んだ、つまり、裕一郎は雄大と出会っていれば戦うことになっていたと言ったに等しい。
雄大はプログラムに乗るようなヤツではないということは、雄大と仲が良くいつも面倒を見てもらっていた裕一郎の方がわかっているはずだ。
それでも戦うことになっていたと考えているということは、裕一郎がプログラムに乗ると決めているからではないのか。

裕一郎は優人の問いには答えず、へたり込み泣きじゃくる古都美の腕を掴み引っ張り上げて古都美を立ち上がらせた。
青ざめ泣きじゃくる女の子を無理に立ち上がらせるだなんて、ストイックな性格をした裕一郎らしいといえばらしいのだが、少し意外な気もした。
そして、次の言葉に、優人は言葉を失った。

「リーダーは、どっちだ?」

これは、決定的だ。
裕一郎は、プログラムに乗っている。
リーダーを聞いたということは、効率よくリーダーを狙って殺害し、リーダーでない方の首輪を爆発させてしまおうとしているということに違いない。
裕一郎の刺すような視線に、優人は目を逸らしてしまった。

「…相葉は俺から目を逸らした、小石川は一瞬相葉を見た。
 …リーダーは、相葉だな?」

優人と葉瑠が言葉を発するよりも早く、裕一郎が動いた。
やられるわけにはいかないのに、逃げなければならないのに、全身がブルブルと震えて動くことができない。
金縛りに遭ったかのように身動きが取れない優人の眼前まで迫った裕一郎は、右手を振り上げた。
優人は、そこで初めて裕一郎が右手に持っていたものを視認した。
未成年である優人たちには縁のないガラス製の灰皿を、裕一郎は優人の頭目掛けて振り下ろした(サスペンスドラマじゃあるまいし!)。
優人は左側頭部に衝撃を受け、勢いのまま地面に倒れた。

「優人ッ!!」

葉瑠が優人の傍に駆け寄ったのがわかった。
左側頭部はずんずんと痛むが意識ははっきりとしているため、どうやら命に関わるような攻撃ではなかったらしい。
ああ、葉瑠、葉瑠のためにここは逃げなければ――そう思っているのに、身体が全く言うことを聞いてくれない。

「室町」

裕一郎の声は、クラスメイトを殴った後のものとは思えない程に落ち着いていた。

「小石川を、撃つんだ」

優人は目を見開いた。
何故、リーダーが優人であると確認しておきながら、葉瑠を狙うのか。
何故、古都美に殺人を強要するのか。
まさか、嫌がる古都美に無理やり殺人を犯させるのでは――そう考えたが、古都美は泣きじゃくりながらも嫌がる素振りを見せることなく、小さな両手でしっかりと握り締めていた自動拳銃グロック19を構え、銃口をこちらに、正確には葉瑠に向けた。

「小石川さん…ごめんなさい…
 でも、こうするって…決めてるから…あたしが決めたから…ッ!!」

『あたしが決めた』…って…まさか、ことちゃんまで自分からやる気に…!?
どうして、何で、何で何で何で…!!!
と、とにかく、嫌だ、…葉瑠がいなくなるなんて、絶対駄目だ…!!
ユータも護れなかった、荻野ちゃんも護れなかった、せめて、せめて葉瑠だけは護らないと、葉瑠だけでも生きてくれないと…ッ!!

裕一郎や古都美がプログラムに乗る理由、そんなものは関係ない。
身体が震える、それが何だ。
殴られた頭が痛い、そんなことに構っていられるか。
葉瑠が狙われる理由、そんなものわからなくても問題ない。
葉瑠に生きてほしい、その望みが全てだ。

誰の傷付く姿だって見たくない、自分がヘタレだという自覚もある、強くなんてないし、頭脳だってテストではいつもクラスの平均点を下げる側、部活でやってきたバスケットボール以外に周りに誇れるようなことは何もない。
だけど、それでも、ここでやらなければ――せめて、好きな女の子一人だけでも護れないと、男じゃない。

「うううぅああああぁぁああああああああッ!!!」

優人は身体の震えを吹き飛ばすかのように雄叫びを上げ、立ち上がった。
驚愕の表情を浮かべた古都美に全力で突っ込み、体当たりを食らわせた。
小柄な古都美が衝撃に耐えられるはずもなく、バランスを崩し仰け反たった。
古都美が倒れる頃には優人は既に踵を返し、灰皿で再び優人に殴り掛かろうとしていた裕一郎の胴体に抱き付きそのまま押し倒した。
馬乗りになって裕一郎の手から灰皿をもぎ取り、茂みの方へ放り投げた。
そして、裕一郎に、コルト・パイソンの銃口を向けた。

「は、葉瑠を…護るんだ……ッ!!
 ごめん、ユウ、俺、俺……ッ!!」

コルト・パイソンを握る手が震える。
葉瑠を護りたい。
そのためには、葉瑠に対して殺意を抱く裕一郎と古都美を止めなければならない。
やらなければならないとわかっているのに、引き金に掛けた指に力が入らない。
裕一郎とはそこまで親しくしていたわけではなかったけれども、初等部で何度か同じクラスになった時のことや、2年生で同じクラスになってからの体育祭や文化祭といった学校行事での思い出や、席替えで席が前後になったある日の授業中に裕一郎の背中に指で文字を書いて遊んでいたら後で怒られたことなどの何気ない日常の一コマが、走馬灯のように次々と脳裏を過り、そうやって関わってきた相手を今から射殺しようとしていることへの罪悪感に飲まれてしまいそうだった。

「古都美、やめてぇッ!!」

葉瑠の叫びが聞こえ、優人はばっと振り返った。
優人が逡巡している間に身体を起こしていた古都美が、グロック19の銃口を優人に向けている――そう認識した次の瞬間、一瞬目の前が白み、同時に耳を劈くような破裂音が響き、数瞬遅れて優人は右胸部に衝撃を受けた。
裕一郎に殴られた時とは比べ物にならない激痛が優人を襲う。
撃たれたとわかった時には、優人は地面に仰向けに倒れていた。

「ああ…優人、優人ッ!!」

葉瑠が駆け寄ってくる足音が聞こえる。
駄目だ、裕一郎と古都美は葉瑠を狙っているというのに。
早く起き上がって、葉瑠を護らなければ。
そう思っているのに、今まで以上に身体が言うことをきかない。
喉の奥から何かがせり上がり、たまらず口を開くと生温かく色の濃い液体がごぼっと溢れ出した。
口の中一杯に鉄を舐めたような味が広がる――これは、血なのか。

「は……る……ッ!!」

ああ、本当に何一つ役に立てない、何もできない、情けない。
まだ葉瑠の命が危ないのに、動くことができないなんて。

誰か…お願い、誰か…誰か助けて…葉瑠を、助けて…ッ!!!

祈ることしか、できないなんて。

相葉優人(男子一番)とは初等部からの付き合いだ。
勉強はあまり好きではなく、特に数学とは相性が最悪らしい。
青縁の眼鏡を掛けているけれど、レンズに度は全く入っておらず、裸眼での視力は両目共に1.5と優秀な結果を叩き出している。
運動能力に恵まれており、所属するバスケットボール部内で身長は低い方だが、上級生が引退して以降はレギュラーの座を一度も譲っていない。
バスケットボールをしている時だけは、周りから歓声を受ける程に人気がある、正直、まあ、カッコイイとか思ったこともある。
でも、基本はちゃらんぽらんで、教室で喋ってることの殆どは特に意味のない馬鹿な話題ばかり、まあ聞いていて楽しいけれど。
交友関係は広いようだがそれは男子限定で、女子には結構奥手。
女子の名前を“ちゃん”付けで呼ぶことが多いのに、実は一人で女子を前にすると緊張してしまうと言っていた。
これが、小石川葉瑠(女子五番)の中における、優人の基本情報。

特記事項として、優人の好きな女子のタイプは、正直理解できない。
帝東学院中等部、殊3年A組には、可愛らしい女の子はたくさんいる。
その人気は中等部のみに留まらない帝東学院のマドンナ上野原咲良(女子二番)をはじめ、性格はかなりキツいが大和撫子という言葉が似合う和的美人の高須撫子(女子十番)、いつもにこにこと笑みを浮かべ人当たりの良い蓮井未久(女子十三番)、ムードメーカーで一緒にいると元気になれる平野南海(女子十四番)、元気いっぱいで誰とでも交友関係を築くことができる朝比奈紗羅(女子一番)、つい世話を焼きたくなる妹のような鳴神もみじ(女子十二番)や広瀬邑子(女子十五番)――挙げればきりがない。
それなのに、優人が選んだのは、可愛いだなんて異性から言われたことなど一度もない、むしろ煩いと疎まれることすらある葉瑠――この自分。
可愛い女子を前にすると照れてしまうからと、妥協でもしているのか。

何度突っ撥ねても、優人は葉瑠のことを好きだと言う。
優人のことが嫌いなわけではないけれど(むしろ、一緒に話をしていると楽しいので、近付いてくること自体が嫌だと思ったことはない)、優人がどうしてそこまで自分に執着しているのかがわからなくて、わからないからこそ不気味で、不気味と思ってしまうからこそその想いを受け入れることはできなかった。
優人の感情には何の裏もないことは、わかっていたのだけれど。

いつもはヘラヘラしていて。
ここぞという時に尻込みしてしまうヘタレで。
争い事が嫌いで怖がりで泣き虫で。
人が傷付くことが嫌いで。
何もかもを自分のせいだと思い込んで。
それでも自分がやらなければとずっと思っている頑張り屋で。
そのくせ無理しているのを隠すのが下手くそで。
正当防衛すらできない程に優しくて。

きっと、このクラスの誰よりも、プログラムに不向き。

そんな優人が、どうして、傷付かなければならないのか。


室町古都美(女子十八番)がその手に握るグロック19から放たれた弾丸は、優人の右胸部を抉った。
優人は目を大きく見開き、仰け反って倒れた。

「ああ…優人、優人ッ!!」

葉瑠は優人に駆け寄った。
優人は苦悶の表情を浮かべ、次の瞬間吐血した。
口の周りが真っ赤に汚れ、カッターシャツは半分以上が赤く変色していた。
医学の知識がなくてもわかる、これは、素人の応急処置ではどうにもならない。

「は……る……ッ!!」

優人が口の端に血のあぶくを吹きながら、懸命に葉瑠の名を呼んだ。
どうして、優人がこんな怪我を負わなければならないのか。
そもそも、原裕一郎(男子十三番)は葉瑠のことを狙えと言ったし、古都美も葉瑠のことを狙っていたはずなのに。
どうして、葉瑠ではなく優人が倒れているのか。

「あ、相葉くん…ご、ごめ…ッ」

「謝るなら…何でこんなことするわけ…?
 古都美も…裕一郎くんも…みんな、みんな、どうして…!!」

葉瑠は胸の内に渦巻く疑問や怒りや悲しみ、全てを綯い交ぜた靄を吐き出すかのように呻くように叫びながら、謝罪する古都美を見上げ――目を見開いた。
古都美は口では謝っているのに、その手に握るグロック19の銃口は、未だ葉瑠に向けられていた。

何なの…もう、どいつもこいつも…
あたしたちはプログラムなんてやりたくないのに、どうして、あたしたちのことを襲ってくるのさ…やりたいヤツはやりたいヤツ同士でやってればいいのに…!!

「古都美…アンタ、何なの。
 口先だけで謝ってんじゃないよ、偽善者…そんな『ごめんなさい』、いらない。
 何を言っても、あたし、アンタのこともう大嫌い、赦さない」

葉瑠が睨みを利かせると、古都美はびくっと身体を震わせた。
泣きじゃくり、グロック19を構える腕がガタガタと震えていた。
古都美は日頃星崎かれん(女子十六番)や湯浅季莉(女子二十番)にからかわれていたので、責められる言葉には身体が勝手に構えてしまうのかもしれない。
そんなの、どうでもいいことだけれど。

「…室町、もういい、行こう」

これまで黙っていた裕一郎が、古都美の隣に立ち、グロック19に手を添えてその銃口を下げさせた。
古都美は小さく頷くと踵を返し、覚束ない足取りで少しずつ遠ざかって行った。
裕一郎もその後を追おうと葉瑠に背中を向け――ばっと振り返った。
当然だ、葉瑠がコルト・パイソンの銃口を裕一郎に向けていたのだから。

「もういい…って、何さ。優人がもうすぐ死ぬから、あたしも死ぬから、放っておけばいいってこと?」
「……そうだ」
葉瑠は唇を噛みしめた。
今力を緩めると、嗚咽が零れてしまいそうだった。
無愛想でストイック、だけど本当はちょっと怖がりで甘いものが大好き――そんな二面性があり、自分の甘い部分を必死に隠す裕一郎の姿が愛らしくて愛しくて、見ていて飽きなくて、毎日毎日声を掛け続けた。
別に、裕一郎の彼女になりたいと思ったことはない。
ただ、仲良くなりたかっただけだ。
そんな裕一郎のたった3文字の無慈悲な言葉が、葉瑠の胸に突き刺さった。
「…小石川」
裕一郎は葉瑠に向き直り、真っ直ぐ葉瑠を見下ろした。
「いつも、こんな俺に声を掛けてくれて、ありがとう。ちゃんと返せなくて、ごめん」
葉瑠は思わずコルト・パイソンを下ろした。
葉瑠のことを撃てと言っておいて、優人のことを傷付けておいて、葉瑠たちの命を見限っておいて、どうして今更そんなことを言うのか。
そんなの、反則じゃないか。
「ずるい…そんなの、今言うなんて…ずるいよ…ずるすぎるから…化けて出てやる…裕一郎くんの枕元に立ってやる…」
実は怪談話が苦手な裕一郎のこと、普段このような話をすれば、強がって「ふざけるな」とか言ってその場を去った後、一人になってから怖がっていたと思う。
しかし、裕一郎は、無表情で、怖がっているのを隠した様子もなく、首を横に振った。
「…それは、無理だ。俺も、きっと…絶対、もうすぐ死ぬから。俺は、室町に、殺されるから」
葉瑠は眉を顰めた。
『もうすぐ死ぬ』とは一体――裕一郎の言葉の意図に考えを巡らせた。
裕一郎は古都美の手によって命を落とすつもりらしいこと、古都美は自らの意志でプログラムに乗っていること、あの時リーダーの優人ではなく葉瑠を狙ったこと――言葉数の少ない裕一郎と古都美から得た手掛かりは、ここにきていつになく冴え渡った葉瑠の頭の中に一つの結論を導き出した。
裕一郎と古都美の狙いは、班としての優勝ではなく、もう一つの生き残りルールである“リーダーのみが生き残った場合に試合終了となる”という状況を作ること。
そして、古都美がリーダーである、もしくは今後古都美がリーダーになるということ。
裕一郎が、自らの命を捨ててまで、古都美を生かそうとしているということ。
「…裕一郎くん。もしかして、古都美のこと…」
裕一郎は、僅かに表情を綻ばせた。
それは、初めて見る、葉瑠に向けた照れの混ざった笑み。
童顔である裕一郎のそれは、とても可愛らしいものだった。
そんな表情をここにきて初めて見せるだなんて、反則にも程がある。
優人をこんなに痛めつけて、葉瑠共々死に追いやろうとした相手だというのに、叶うことのない恋に縋るいじらしさを見せつけられてしまうと、嫌いになんてなれない。
恋心はなくとも、裕一郎にそこまで想われている古都美に嫉妬してしまいそうだ。
「そっか…わかったよ、やっぱあたしの目に狂いはなかったなぁ…あたし的イケメンランキング堂々の殿堂入りだわ。…バイバイ、裕一郎くん」
「ごめん……」
葉瑠が眉をハの字に下げて笑みを浮かべると、裕一郎は深々と頭を下げ、くるっと背中を向けると古都美を追いかけて行った
「は…る……」
裕一郎の背中が見えなくなった頃、優人の掠れた声が耳に届いた。
息に、ひゅーひゅーという異音が混じっている。
とても、苦しそうな呼吸だ。
「はる……おれを……ころ…して……い…きて……はる……はる……ッ」
優人はうわ言のように葉瑠の名前を呼び続けていた。
優人の言わんとしていることはわかる。
リーダーである優人が、今死の淵に瀕しているのだから、葉瑠が生き残る道はたった一つ――優人をこの手で殺害する他にない。
そんな、馬鹿馬鹿しい話があるもんか。
葉瑠は、小さく笑った。
「何、アンタ、あたしに人殺しになれっての?やだね、お断りだよ」
それも、よりにもよって、この世でただ一人自分のことを慕ってくれていた男の子をこの手で殺めるだなんて、できるわけがない。
優人の自らの血で汚れた手を、葉瑠は優しく、しかししっかりと握った。
「大体さぁ、アンタみたいな泣き虫ヘタレ、一人で放っておけるわけないじゃん」
「ごめ……ごめん……ごめんね……はる……」
優人が啜り泣く。
傷が痛むだろうし、呼吸は辛いだろうに、優人は泣き止まなかった。
お疲れ様、優人…
もう、良いんだよ…これでもう、泣くような辛いこと、ないんだよ…
がさがさっ
葉の擦れる音が聞こえた。
こんな時に、またも来客か――葉瑠は盛大に溜息を吐いた。
誰が近付いてきているのか、やる気なのか否か――頭を働かせるのもだるい。
全て、葉瑠にとってはもうどうでもいいことだ。
まあ、春川英隆(男子十四番)や財前永佳(女子六番)が来たら鼻で笑ってやろう、アンタたちはどれだけあたしらの死に様に興味があるんだ、と。

「あ……葉瑠…葉瑠じゃない…っ!!」
葉瑠の眼前に現れたのは、残念ながらというか何というか、英隆たちではなかった。
駆け寄ってきたのは、葉瑠とはいつも一緒にいた親友の阪本遼子(女子八番)と蓮井未久、そして2人の後ろに立っているのは委員長の芳野利央(男子十九番)――確か、3番目に教室を出発した班のメンバーだ。
「相葉くん…?相葉くん、大丈夫、しっかりして…!!」
未久が優人の許に駆け寄りその身体に触れ、息を呑んだ。
触れたカッターシャツがぐっしょりと濡れていることもあるし、その身体が酷く冷えているのもあるだろう――葉瑠が握っている手も、冷たくなってきているのがわかる。
「小石川……その……リーダーは誰――」
利央が訊きかけたが、葉瑠が答える必要はなかった。
代わりに、葉瑠の首輪から、ピッ、という電子音が鳴り始めたので。
そう、それは、優人が今まさに息を引き取ったという証。
そして、葉瑠の死へのカウントダウンが始まったことも意味していた。
優人…やっと、痛いのから解放されたんだね…
痛いのも嫌いだろうに、随分頑張ったね…お疲れさん。
「え…やだ、やだ、葉瑠ッ!!」
遼子が今までに見たことがないような焦りと悲しみを織り交ぜた泣き出しそうな逼迫した表情を浮かべ、葉瑠に縋った。
未久は目に涙を浮かべ口許を両手で覆い、利央を見上げた。
ポーカーフェイスのイメージが強い利央も、未久の視線から「何とかできないのか」という思いを汲み取ったのだろうが、どうすることもできるはずがなく悲痛な面持ちで葉瑠のことを見下ろしていた。
ああ、この3人は、今はやる気になってない側なんだ――少しだけ、安心した。
最期に会えたのがやる気でなさそうな人で、本当に良かった。
「心配いらないよ、遼子、未久…利央くんも。もう、いいんだ…疲れたよ。襲われたり誰かの死ぬところを見たり、疑ったり逃げたり…もう懲り懲り」
首輪から発せられる電子音は、少しずつその感覚を狭めていく。
残り時間が着実に減っていることを示していた。
「あたしたちの荷物、好きに使っていいよ。特に、優人の…あっちに落ちてるデイパックの中身、ちょっと変わっててさ。頭の良い利央くんなら、上手く使い分けられるんじゃないかな?」
「……ありがとう…って言うのも…何かおかしい気がするけど…」
申し訳なさそうな表情を浮かべる利央。
どうすることもできずに泣いている未久。
嫌だと駄々をこねて縋っている遼子。
麗くんたちのグループ、早稀や迅くん、多分智子と芥川くん、それに利央くんたち…
なんだ、まだ、捨てたもんじゃないのかもね…
やる気じゃない人が、まだこんなにもいるんだね…
「まだ、時間あるかな…遼子、未久、利央くん…あたしの持ってるありったけの情報をあげる。だから、やる気じゃないみんなを、助けてあげてくれる…?」
もう、時間が無い。
返事を待っている暇なんてなかった。
利央たちに情報を渡すことで、やる気でない皆のことを少しでも助けることができれば――葉瑠は大きく息を吸った。
「9班は原、室町、平野、あたしらは裕一郎くんと古都美にやられた。10班、春川、望月、財前、広瀬、班で優勝する気。1班はあたしら。あとは日比野、水田、芥川、奈良橋、ここはやる気じゃない。恐らく、真壁、上野原、高須…会ってないけど多分大丈夫じゃないかな。古都美も、英隆くんや永佳も銃を持ってるよ。これで全部の班構成がわかったかな?」
早口言葉のように息継ぐ間も惜しんで言い切った。
なんて可愛げのない遺言。
女の色気というものに縁がない自分らしいといえばらしいけれど。
「ありがとう、小石川…」
利央の声が、少し震えているような気がする。
おっとこれは意外な一面、もっと違う時に違う場所で知ることができていれば、利央のことももっとチェックしていたかもしれない。
しかし、今はあまりにも時間が無さ過ぎる。
やけに時間が長く感じるが、そろそろ1分程になるのだろうか。
電子音の鳴る間隔は、今にも繋がってしまいそうな程に狭まっている。
「…ほら、遼子、離れなって、危ないよ。…ありがとね、未久、遼子、利央くんも。負けないで、めげないで、頑張ってね…バイバイ」
「いや…嫌だ、嫌だぁ…葉瑠ッ!!」
泣きじゃくる遼子を、利央が無理やり引き剥がした。
遼子が酷く暴れたために、利央は顔面に一発拳を食らっていた、ご愁傷さま。
葉瑠は目を伏せた。
身体の震えを少しでも止めようと、優人の手をぎゅっと握り締めた。
首輪が爆発するって、痛いのか、それとも痛みを感じる間もないのか、死んだ後の自分の姿はどうなっているのか――考えると、怖くてたまらない。
そういう意味では、遼子たちが来てくれてよかった。
言葉を遺すことに意識を向けることができたので。
雄大くん、千世、ごめんね、今から謝りに行くからね。
優人も、あたしのこと護ろうとしてくれてたのに、ごめん。
でもさ、もう、いいでしょ?
あたしたちには不向きだったんだよ、プログラムなんてふざけたゲームは。
ロングトーンの機械音が耳に届いた。
ほんの一瞬、首元がかあっと熱を帯びたような気がした。
それが、葉瑠にとって、最期の知覚となった。
利央の呻き声も、未久の泣きじゃくる声も、遼子の悲鳴も、葉瑠には届かなかった。

女子十八番 室町古都美(むろまち・ことみ)

身長 154cm
体重 44kg
誕生日 2月23日
血液型 A
部活動 合唱部
友人 荻野千世
佐伯華那
鷹城雪美
(女子文化部グループ)
愛称 古都美・ことちゃん
出身小 小金井西小学校(東京)
親の職業 市議(父)

通常入試で合格し、帝東学院中等部に入学した。
大人しく真面目な性格。
内気で人見知りをするので、グループの人と部活の人としか話をしない。
星崎かれん・湯浅季莉にたまに苛められるため、2人のことが苦手で嫌い。
風紀委員。



 チーム: 9班(リーダー)
支給武器: グロック19
kill: 横山圭(男子十八番)
相葉優人(男子一番)
killed: NO DETA
凶器: NO DETA
 
教室を出発後、チームメイトの横山圭(男子十八番)に向けて発砲。その後平野南海(女子十四番)を狙った弾が圭に当たり、圭を殺害。南海には逃げられる。友人たちと生き残るためには“リーダーのみが生き残りプログラムが終わる”状況を作らなければならないと考え、メンバーを襲ったことを原裕一郎(男子十三番)に告げる。裕一郎に「友人たちに会うまでは生かしてほしい」と頼まれる。

C=05エリアにて、相葉優人(男子一番)・小石川葉瑠(女子五番)を発見。親友の荻野千世(女子三番)の死因を知り号泣するが、リーダーではない葉瑠へ殺意を向ける。葉瑠を護るために裕一郎ともみ合いになっていた優人を背後から狙撃、射殺。

女子一番 朝比奈紗羅(あさひな・さら)

身長 147cm
体重 39kg
誕生日 8月2日
血液型 B
部活動 新体操部
友人 池ノ坊奨
木戸健太
城ヶ崎麗
真壁瑠衣斗
上野原咲良
高須撫子
鳴神もみじ
(城ヶ崎グループ)
愛称 紗羅
出身小 月が丘小学校(東京)
親の
職業 会社員(父・母)

体操の一芸入試で合格し、帝東学院中等部に入学した。
やや気が短くストレートな物言いをするキツい性格である一方、非常に世話焼き。
誰とでも気軽に話すため交友関係は非常に広く、特に男女主流派グループやギャルグループとも仲が良い。
木戸健太・鳴神もみじとは幼馴染。
中学1年生の頃約2ヶ月だけ真壁瑠衣斗と付き合っていた。
体育委員。



チーム: 5班
支給武器: 救急箱
kill: NO DETA
killed: NO DETA
凶器: NO DETA
 
最初の出発。チームリーダーの城ヶ崎麗(男子十番)の、仲間たちを待つ意見に同意する。その後何者かの襲撃を受けて逃げる。

B=04エリアにて、池ノ坊奨(男子四番)・真壁瑠衣斗(男子十六番)・上野原咲良(女子二番)・高須撫子(女子十番)を探索するが発見できず、次の場所へ移動。

G=02エリアの民家にて潜伏。放送を聞き奨の死を知る。その後移動し、G=03エリアにて芳野利央(男子十九番)・阪本遼子(女子八番)・蓮井未久(女子十三番)と遭遇。情報交換後、別れる。

キルスコア




加害者 人数 被害者
1位 榊原賢吾(M7) 3人 川原龍輝(M5)
佐伯華那(F7)
池ノ坊奨(M4)

2位 室町古都美(F18) 2人 横山圭(M18)
相葉優人(M1)
2位 相葉優人(M1) 1人 荻野千世(F3)
松栄錬(M9) 1人 山本真子(F19)
真壁瑠衣斗(M16) 1人 如月梨杏(F4)
財前永佳(F6) 1人 宍貝雄大(M8)
湯浅季莉(F20) 1人 雨宮悠希(M3)

女子二番 上野原咲良(うえのはら・さくら)

身長 168cm
体重 52kg
誕生日 3月30日
血液型 O
部活動 美術部
友人 池ノ坊奨
木戸健太
城ヶ崎麗
真壁瑠衣斗
朝比奈紗羅
上野原咲良
高須撫子
鳴神もみじ
(城ヶ崎グループ)
愛称 咲良
出身小 帝東学院初等部
親の
職業 会社役員(父)

柔らかな物腰と愛らしい容姿により帝東学院のマドンナ的存在だが、本人は無自覚。
ピアノや絵画などを好む芸術肌だが、祖父が総合武術“葉鳥神道流”の師範をしており幼い頃から道場に通っていたため武術全般も嗜んでいる。
高須撫子とは共に武術を学んだ幼馴染。
代々城ヶ崎麗の家に仕えてきた家柄で、『有事の際には城ヶ崎家を守ること』が家訓だが、実際は幼い頃から麗の傍にいて、周りと揉める麗を池ノ坊奨と共に窘めてきた。
木戸健太と付き合っている。


チーム: 第4班 
支給武器: 特殊警棒
kill: NO DETA
killed: NO DETA
凶器: NO DETA
 
ルール説明中、アキヒロ(軍人)の向けた銃口の先にいた城ヶ崎麗(男子十番)を庇い、左腕を負傷。

G=03エリアにて池ノ坊奨(男子四番)と共に真壁瑠衣斗(男子十六番)・高須撫子(女子十番)の帰りを待っていたが、如月梨杏(女子四番)率いる第8班の襲撃を受ける。内藤恒祐(男子十二番)に撃たれそうになるが撫子に助けられる。やる気の人を放っておくと麗らに危害が及ぶ可能性を撫子に示唆され、戦う決意をして星崎かれん(女子十六番)を昏倒させる。瑠衣斗が梨杏を殺害したことにより、第4班全員の首輪が爆発する様を目の当たりにする。

麗たちを探すために御神山を登る途中、松栄錬(男子九番)・湯浅季莉(女子二十番)の襲撃を受ける。撫子が2人を足止めし、奨・瑠衣斗と共に逃げるが、途中錬らと同じ班の鷹城雪美(女子九番)が現れ、泣きながら助けを求められる。雪美の痛ましい姿に胸を痛めて雪美を信じ護とうとしたが、雪美の命を狙うという榊原賢吾(男子七番)が現れる。攻撃を受け止めようとしたが突然雪美に動きを封じられ、死を覚悟するが、奨に身体を張って護られた。奨の死に泣き叫ぶ。その様子を見て笑う雪美の姿に、騙されていたことを知る。何故か雪美に酷く嫌われており、その事実に涙する。“咲良の悲しむ様を見たい”という理由で狙われた瑠衣斗を庇い左手を負傷。仲間たちが自分の所為で死ぬかもしれないことにショックを受けており、死を望む発言までした。

女子十四番 平野南海(ひらの・みなみ)

身長 159cm
体重 51kg
誕生日 8月30日
血液型 A
部活動 ソフトボール部
友人 小石川葉瑠
阪本遼子
蓮井未久
広瀬邑子
山本真子
(女子主流派グループ)
愛称 南海
出身小 帝東学院初等部
親の職業 整体師(父)
ソフトボールコーチ(母)

クラス内の女子の中で1番のムードメーカーで、盛り上がることが大好きで誰とでも打ち解けて巻き込もうとする、少々お騒がせな性格。
冷静さにやや欠け、それはソフトボールの試合中でも垣間見られる。
父母共に元スポーツ選手で、その血を継ぎ女子学年トップクラスの運動能力を誇る。
現在は恋愛には無関心。
横山圭とは家が近く、阪本遼子と3人で寄り道をすることもある仲。



チーム: 9班
支給武器: NO DETA
kill: NO DETA
killed: NO DETA
凶器: NO DETA
 
小学校時代からの仲である田中顕昌(男子十一番)の死を目の当たりにし、呆然自失状態。チームメイトの横山圭(男子十八番)に支えられながら教室を出発。圭と原裕一郎(男子十三番)が今後の方針を話し合っている時、突如室町古都美(女子十八番)が圭に発砲。南海も狙われるが、圭に庇われる。圭に逃げろと言われ、何も持たず逃げ出した。

H=04エリアを歩いているところを阪本遼子(女子八番)・蓮井未久(女子十三番)に見つかる。声を掛けられるが拒絶し逃げ出した。

男子1番 相葉優人
(あいば・ゆうと) 女子1番 朝比奈紗羅
(あさひな・さら)
男子2番 芥川雅哉
(あくたがわ・まさや) 女子2番 上野原咲良
(うえのはら・さくら)
男子3番 雨宮悠希
(あまみや・ゆうき) 女子3番 荻野千世
(おぎの・ちせ)
男子4番 池ノ坊奨
(いけのぼう・しょう) 女子4番 如月梨杏
(きさらぎ・りあん)
男子5番 川原龍輝
(かわはら・りゅうき) 女子5番 小石川葉瑠
(こいしかわ・はる)
男子6番 木戸健太
(きど・けんた) 女子6番 財前永佳
(ざいぜん・ひさか)
男子7番 榊原賢吾
(さかきばら・けんご) 女子7番 佐伯華那
(さえき・かな)
男子8番 宍貝雄大
(ししがい・ゆうた) 女子8番 阪本遼子
(さかもと・りょうこ)
男子9番 松栄錬
(しょうえい・れん) 女子9番 鷹城雪美
(たかしろ・ゆきみ)
男子10番 城ヶ崎麗
(じょうがさき・れい) 女子10番 高須撫子
(たかす・なでしこ)
男子11番 田中顕昌
(たなか・あきまさ) 女子11番 奈良橋智子
(ならはし・ともこ)
男子12番 内藤恒祐
(ないとう・こうゆう) 女子12番 鳴神もみじ
(なるかみ・もみじ)
男子13番 原裕一郎
(はら・ゆういちろう) 女子13番 蓮井未久
(はすい・みく)
男子14番 春川英隆
(はるかわ・ひでたか) 女子14番 平野南海
(ひらの・みなみ)
男子15番 日比野迅
(ひびの・じん) 女子15番 広瀬邑子
(ひろせ・ゆうこ)
男子16番 真壁瑠衣斗
(まかべ・るいと) 女子16番 星崎かれん
(ほしざき・かれん)
男子17番 望月卓也
(もちづき・たくや) 女子17番 水田早稀
(みずた・さき)
男子18番 横山圭
(よこやま・けい) 女子18番 室町古都美
(むろまち・ことみ)
男子19番 芳野利央
(よしの・りお) 女子19番 山本真子
(やまもと・まこ)
男子20番 林崎洋海
(りんざき・ひろみ) 女子20番 湯浅季莉
(ゆあさ・きり)

戦闘記録

1 ○ アキヒロ(軍人) v.s.  田中顕昌(男子11番) ×
(5/31 2:29a.m. 田中顕昌 退場)

2 ○ 榊原賢吾(男子7番)
  湯浅季莉(女子20番) v.s.  木戸健太(男子6番) ×
 城ヶ崎麗(男子10番)
 朝比奈紗羅(女子1番)
 鳴神もみじ(女子12番)
(木戸健太・城ヶ崎麗・朝比奈紗羅・鳴神もみじ 撤退)

3 ○ 室町古都美(女子18番) v.s.  横山圭(男子18番) ×
(5/31 3:45a.m. 横山圭 退場)

4 ○ 財前永佳(女子6番) v.s.  相葉優人(男子1番) ×
 宍貝雄大(男子8番)
 荻野千世(女子3番)
 小石川葉瑠(女子5番)
(5/31 4:21a.m. 宍貝雄大 退場)
(相葉優人・荻野千世・小石川葉瑠 撤退)

5 ○ 池ノ坊奨(男子4番)
  真壁瑠衣斗(男子16番)
  上野原咲良(女子2番)
  高須撫子(女子10番) v.s.  内藤恒祐(男子12番) ×
 林崎洋海(男子20番)
 如月梨杏(女子4番)
 星崎かれん(女子16番)
(5/31 5:27a.m. 如月梨杏 退場)
(5/31 5:28a.m. 内藤恒祐 退場)
(5/31 5:28a.m. 林崎洋海 退場)
(5/31 5:28a.m. 星崎かれん 退場)

『残りは3人、頑張ってくださいね』
 

放送が切れた。

新しいクラスに変わった次の日から始まったプログラム。
恐らく今年度の第1号だ。
教室にいると、突然眠気に襲われ、気がつけばこの会場にいた。

試合の進行は遅かった。
恐らく、2日と20時間は戦い続けている。
この会場が、少し広すぎると思う。

 

“自分”はマシンガンを見つめる。
これは確か最初に殺した男子生徒が持っていた。
名前は知らない。
茶髪で肌が浅黒かった、恐らく運動部所属だろう、身のこなしが軽かった。

続いて、自動拳銃の弾数を確認する。
これは昨日の夕方に殺した女子生徒が持っていた。
1度だけ同じクラスになったことのある人。
大人しそうで、分厚いレンズをはめ込んだ眼鏡が印象的だった。

そして、地面に置かれていた探知機を手に取った。
これは、少し前に殺した男子生徒が持っていた。
名前は知らない。
血で汚れている“自分”に停戦を求めてきた彼は、恐らくクラスを束ねる委員長タイプだ。

“自分”は全身が赤黒く染まっていた。
自分の血は、ほとんどない。
大方殺した時に浴びた返り血だ。

キモチワルイ。

早く、終わらせたい。

 

残りは3人。

“自分”を入れて3人。

そして、残りの2人は、今こちらに向かって移動中だ。

誰かはわからない。

名簿にいちいち印などつけていないから。

知る必要もない。

どうせもうじき死ぬのだから。

女子五番/総合九番 久瀬ゆかり(くぜ・ゆかり)

身長 161cm
体重 51kg
誕生日 4月21日
血液型 A
部活動 テニス部
友人 宗和歩・辻莉津子
寺内紅緒・時岡千波
藤原奈央・堀内尚子
前川染香・水無瀬繭子
山崎雛子
(女子主流派グループ)
愛称 ゆかり

女子保健委員。
穏やかで優しい性格の持ち主。いつも穏やかな笑顔で友だちを見守っている、グループの母親的存在。
大人しく、クラス内やグループ内ではあまり目立たない。物事がはっきり言えない優柔不断な面もある。
 

支給武器:なし
kill:なし
killed:芝崎務(担任)
凶器:銃
 

芝崎務(担任)が東海林至(男子十番)に発砲したことにより、植本邦幸(男子三番)が錯乱。芝崎が、逃げ出そうとした邦幸に向けて発砲したが、その弾が頭部を直撃。死亡した。

 

というわけで、一度もセリフのないままに退場してしまったゆかりさん。
芝崎の酷さを出そうとした結果の犠牲になってしまいました。ごめんね、ゆかりさん。

女子十番/総合二十二番 寺内紅緒(てらうち・べにお)

身長 166cm
体重 54kg
誕生日 11月29日
血液型 O
部活動 バスケットボール部
友人 久瀬ゆかり・宗和歩
辻莉津子・時岡千波
藤原奈央・堀内尚子
前川染香・水無瀬繭子
山崎雛子
(女子主流派グループ)
愛称 紅緒・紅サマ・紅ちゃん

女子体育委員。
女子の中では最も背が高い。
粘り強い性格のグループのリーダー格。頼られることが多い。
熱くなると前しか見えなくなる熱血っ子で、我を通そうする。
左膝を痛めている。
 

支給武器:鉢巻き
kill:なし
killed:堀内尚子(女子十五番)
凶器:S

女子八番/総合十九番 宗和歩(そうわ・あゆみ)

身長 154cm
体重 46kg
誕生日 5月14日
血液型 A
部活動 バドミントン部
友人 久瀬ゆかり・辻莉津子
寺内紅緒・時岡千波
藤原奈央・堀内尚子
前川染香・水無瀬繭子
山崎雛子
(女子主流派グループ)
愛称 歩・あーちゃん

女子文化委員。
マイペースでおっとりとしている。ほんわかとした癒し系。
運動部員ながら、運動能力はそれほど高くない。自分で何かを考えるのは苦手で、誰かに頼りたがる。
秋庭俊人と付き合っている。
 

支給武器:ロープ
kill:なし
killed:酒井真澄(男子六番)
凶器:コルト・ガバメント

出発後、学校の外で隠れているところを田村光貴(男子十一番)に発見される。より安全な場所へ誘導される。

秋庭俊人(男子一番)と合流。I=09エリアにて潜伏。酒井真澄(男子六番)に発見される。俊人を庇って胸部に被弾。俊人に遺言を告げるが、再び真澄が発砲。俊人を貫通した弾を胸部に受け死亡。



出番が少ないわ、直前まで掘り下げないわで申し訳なかったあーちゃん。
活発じゃないけど運動部員ってあまり書かないなぁと思って書いた子でした。
もっとトシとのあれこれを書きたかったな。

中学3年生の交換日記

日向春人@Grand Guignol

栄、交換日記どうもありがとう。彼氏候補リスト…?何だそれは?

まずは自己紹介だな。
Grand Guignolの日向春人、鎌倉市立八幡中学校3年B組男子14番だ。部活は特に入っていないが、光利と同じ先生について日本舞踊を習っている。
…あぁ、これは本編では非公開だったネタだな、そういえば。まぁ本編に大きい支障がある訳じゃないし、ナルの書き忘れだと思って許してやってくれ。
以前に日記を書いた三村司閣と深井都、小峰桜の友人で日向光利の従兄弟だ。本編では向日悠二とも割と仲が良いな。
まぁ…こんな所か。

それじゃあお題は…「夏の思い出」だな。
思い出…思い出か…うーん、そういえば去年の夏に司閣、悠二、都、桜、後は俺と光利の6人で花火大会に行った時にみんなで浴衣を着ていくという事になって、司閣と悠二、都と桜の4人がうちに着て着付けをやる事になったのを覚えているな。
光利が都と桜を着付けて、俺が司閣と悠二の着付けを俺がやる事になった。男浴衣は人形仕立てでつい丈だし、女浴衣のようにお端折がないから、着付けるのはわりと楽だったんだが…帯を結ぶのに二人が思ったよりも手こずっていて、面白かった。
伊達締めまでは見よう見まねで何とか着付けてたんだが、帯はやっぱり説明しないと結べないみたいだったな。
しかも司閣は割と器用だから説明すれば何とか結べたのに悠二はなかなか結べなくて、結局光利たちと同じくらい時間がかかったんだ。
悠二に説明したのは基本の『貝の口』だったんだけどな(笑)ちなみに司閣はどうせ帰っても浴衣のまま寝るだろうから(都にそう聞いた。朝風呂が好きらしいな、アイツ)緩みにくくて結んでもコブが出来ない『片挟み』を教えた。俺は俺の好みで『神田結び』だったな、確か。
都も桜も光利も、みんな自分たちの持ち寄った浴衣を着てて髪もちゃんとセットしてて、ガラにもなく司閣や悠二が見とれてるのが面白かった。あぁいう所はやっぱり女子の方が凝り性だな。
光利も…普段は着物姿ばかりだから浴衣も案外似合ってて俺が驚かされたな…。

まぁ夏の思い出と言えばこんな所か?ナルは今年も花火大会に(行ければ)浴衣を着ていくつもりらしいな。ユニクロの安物らしいが。
…ちゃんと買うと浴衣も結構高いしな。仕方ないか。

それじゃあそろそろ次の人に回すか。
…そうだな…それじゃ俺の偏見だが、夏が好きそうな八尋幸太郎にお願いするか。
お題は引き続き「夏の思い出」と、少し気が早いかも知れないが「夏への抱負」を書いて貰うか。
ちなみにナルの夏の抱負は「オリバトをフィニッシュまで持っていく」と「バイトがんばる」だそうだ。
とりあえず終盤戦も進んで来たし、という事らしい。バイトも始めたし、夏はいっぱい稼いでいっぱい遊ぶそうだ。勉強もちゃんとやれよ。
それじゃあ後は…八尋、頼んだぞ。



生活バトン?俺もやるのか?
生活バトン

□学校用□
■学校のある日は何時に起きる?
 6時だな。家の門を開けるのが俺の役目だから、あまり寝坊は出来ないんだ。

■授業中爆睡した事ある?
 ぼーっとする事はあるが寝るまでには…

■部活に積極的に行ってる?
 悪いが帰宅部だ。

■寧ろ学校好き?嫌い?
 …わりと好きかも知れない。

■学校で怪我した事ある?
 美術の授業中に彫刻刀で指を切ったな。あまり器用じゃないんだ。
え、舞踊?それは関係ないだろう…

■給食は沢山食べる?すくなめ?
 弁当だが…まぁ普通じゃないか?悠二の多さに比べれば。

■好きな授業は?
 国語だな。特に古典は読んでて飽きない。

■逆に嫌いな授業は?
 英語。発音問題は本当に苦手なんだ。

■学校で人殴ったことある?
 あー…光利を苛めてた女子生徒を殴りかけた事はあるな。司閣に止められた。

■どこ掃除?
 今週は俺は掃除当番じゃないな。

■ブッチャケ授業聞いてないでしょ?
 …そんな事はない筈。

■ノートにラクガキが・・・・。
 ないだろう?

■体育祭(運動会)は活躍する方?しない方?
 普通だと思うが…球技大会は割と活躍するけどな。背も高い方だし(バスケとかバレーとか)

■回す人ー
 八尋、頼んだぞ。

女子一番/総合三番 磯田匡子(いそだ・きょうこ)

身長 159cm
体重 44kg
誕生日 6月1日
血液型 B
部活動 陸上部
友人 三枝妃・相模夕姫
(妃グループ)
愛称 匡子・キョーちゃん

弱い者イジメが嫌いで、そういう人には厳しく接する。陸上部で長距離選手をしているからか、精神的にタフ。
一方で、物の考え方はネガティブ。過去にイジメを受けていた経験があり、やや人間不信。
池埜多丞とは一応付き合っている。
 

支給武器:制汗スプレー
kill:なし
killed:政井威光(男子十六番)
凶器:USSR マカロフ
 

池埜多丞(男子二番)と合流。疎遠になっていたが、和解。

木下亘(特別参加者)・相模夕姫(女子七番)に遭遇。一触即発の雰囲気になるが、和解。夕姫に別れを告げた。

多丞との出会いは1年生の頃、イジメから助けてくれた。
休憩していたところに、政井威光(男子十六番)が現れる。威光の表情から異常を察知、発砲。それが威光の逆鱗に触れ暴力を奮われるが、多丞に救われる。多丞を「弱い」と言う威光に対し反論、多丞を抱きしめたところを威光に撃たれ、頭部に被弾し死亡した。


キャラを掴み切れなかった匡子ちゃんでした、ごめんよぅ。
人間不信なところは少し表わせたかな、ということにしておきます。
でも、多丞のことはなんだかんだで信じ続けてたんです、だって匡子のヒーローだから。


男子1番 秋庭俊人
(あきば・としひと) 女子1番 磯田匡子
(いそだ・きょうこ)
男子2番 池埜多丞
(いけの・たすけ) 女子2番 浦原舞
(うらはら・まい)
男子3番 植本邦幸
(うえもと・くにゆき) 女子3番 江南佳菜彩
(えなみ・かなせ)
男子4番 北修司
(きた・しゅうじ) 女子4番 川西亜由子
(かわにし・あゆこ)
男子5番 来栖生馬
(くるす・いくま) 女子5番 久瀬ゆかり
(くぜ・ゆかり)
男子6番 酒井真澄
(さかい・ますみ) 女子6番 三枝妃
(さえぐさ・きさき)
男子7番 佐藤史季
(さとう・ふみき) 女子7番 相模夕姫
(さがみ・ゆうき)
男子8番 紫垣靖隆
(しがき・やすたか) 女子8番 宗和歩
(そうわ・あゆみ)
男子9番 城龍慶
(じょう・りゅうけい) 女子9番 辻莉津子
(つじ・りつこ)
男子10番 東海林至
(しょうじ・いたる) 女子10番 寺内紅緒
(てらうち・べにお)
男子11番 関本春海
(せきもと・はるみ) 女子11番 時岡千波
(ときおか・ちなみ)
男子12番 田村光貴
(たむら・みつたか) 女子12番 中垣芽衣子
(なかがき・めいこ)
男子13番 二階堂哉多
(にかいどう・かなた) 女子13番 二階堂悠
(にかいどう・はるか)
男子14番 橋川新
(はしかわ・あらた) 女子14番 藤原奈央
(ふじわら・なお)
男子15番 林一紀
(はやし・かずのり) 女子15番 堀内尚子
(ほりうち・なおこ)
男子16番 政井威光
(まさい・たけみつ) 女子16番 前川染香
(まえかわ・そめか)
男子17番 道下未来
(みちした・みらい) 女子17番 水無瀬繭子
(みなせ・まゆこ)
男子18番 八尋幸太郎
(やひろ・こうたろう) 女子18番 宮嵜八千代
(みやざき・やちよ)
男子19番 楪静眞
(ゆずりは・しずま) 女子19番 柳田裕華
(やなぎだ・ひろか)
男子20番 米村直
(よねむら・すなお) 女子20番 山崎雛子
(やまさき・ひなこ)
特別参加者 木下亘
(きのした・わたる) 特別参加者 篠宮未琴
(しのみや・みこと)

【生存報告及び、更新予定日について】

最近忙しかったために更新ができないでいました。

今日明日も予定があるので、更新が再開できそうなのは21日の夕方辺りだと思います。

それでは。

「……麗佳――」

私は抵抗することなく、そのまま麗佳に体重を預けた。

「葉月のおっさん、大丈夫か?」

「…………ぁ、ぁぁ――」

葉月は今起きたことが信じられない、といった顔をしながらゆっくりと立ち上がる。

「晶、本当にどうしたのよ!? ……このゲームで気が狂ったっていうの!?」

麗佳が酷く興奮しながら怒声を上げる。

「…………」


私はどう言いわけする……?

1.なんとなく殴ったという

2.葉月の身体能力を量ろうとしたという

3.少しおかしくなっていたという

4.何も言わない

5.その他

>>153
>>154
>>155

>>155のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>153
34~66 >>154
67~99 >>155


3 混乱していたという

5葉月に謝罪し
混乱していてなにをするか解らないから一緒にこない方がいいと警告

「……少し、混乱してたみたい」

私は麗佳の話に合わせて言いわけする事にした。

「俺には混乱って言う割に、終始冷静に見えたがな?」

手塚が痛いところをついてきたため、私は何も言えなくなった。

「それより……あのパンチの早さと強さは何なんだ? 普通の女が出せるものじゃないと思うんだが?」

「それは、私が“元”プロボクサーだからよ」

「……成程な」

手塚は表情を変えないまま私のほうを見てくる。

「晶、葉月さんに謝って」

「……うん」

私は麗佳に解放されて、ゆっくりと葉月のほうへ近づいていく――

「ひっ――!? く、来るな!!」

放心状態だった葉月が、私の存在に気がついた瞬間にナイフを構えてきた。

「葉月さん、落ち着いて! 晶は少し混乱していただけで――」

「う、嘘だ! い、いきなり殴ってくるなんて、正気の沙汰じゃない!!」

葉月は血眼になりながらナイフを強く握りしめている。

これ以上近づくと特攻してきそうだ。


私は……

1.葉月に謝って離れる

2.葉月に謝って近づく

3.何も言わずに部屋から出る

4.葉月を殴り倒す

5.その他

>>158
>>159
>>160

>>160のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>158
34~66 >>159
67~99 >>160

3

5 こんな調子じゃ生き残れないかもしれないと葉月に忠告をして部屋を出る

「…………」

これ以上葉月に刺激を与えるのは不味いと判断した私は、何も言わずに部屋から出た――

【08:30】

部屋から出て少し時間が経過した後、姿を現したのは麗佳と手塚だった。

葉月は酷く錯乱していて、2人が何を言っても聞き入れずに走り去ってしまったらしい。

私は3回目のJOKERの偽装機能を使用し、手塚の条件を満たすまであと2回となっていた。

「さて、色々あったが新たに矢幡が加わったわけだが……PDAの番号はどうするんだ? 俺は教え合うことに賛成だがな」

「私も賛成よ。一緒に行動していくんだから、お互いの信頼関係は大切だと思うし」

手塚は勿論の事、麗佳もPDAの番号を教え合う事に賛成のようだ。


私は……

1.賛成する

2.反対する

3.その他


>>162
>>163
>>164

>>164のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>162
34~66 >>163
67~99 >>164

1

1

「私も賛成」

特に反対する理由も無かったので、私は賛成することにした。

「よし、それじゃあ俺から――」

手塚からPDAを取り出して、番号の確認が始まった――

「次は私ね。私のPDAは“J”よ――」

2や9だったらどうしようかと考えていたが、麗佳の解除条件は平和的なものだった。

「晶のPDAは?」

そうこうしている内に私の番が来ていた。

私は……


1.JOKERだと言う

2.偽装した番号を見せる(要記載:偽装した番号)

3.その他

>>166
>>167
>>168

>>168のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>166
34~66 >>167
67~99 >>168


1

「私のPDAは…………JOKERよ」

手塚と同行していた為、麗佳は私のPDAも平和的なものだと思っていたのだろう。

JOKERという単語を聞いた瞬間に、麗佳は固まってしまった。

「JOKER、って……それって――」

「いまは5に偽装してあるけど、1時間後にはJOKERの画面に戻るから。その時に分かるわね」

「そんな事を聞いてるんじゃないの!! JOKERって、人を殺さないといけないのよ!?」

「ええ、分かってるわ」

「分かってるって……。そんな軽いものじゃないでしょう!?」

「麗佳、落ち着いて」

取り乱した麗佳を私はなんとか静かにさせようとする。

「落ち着いて居られるわけないじゃない! どうして晶が殺人――」

「落ち着きなさい!!」

麗佳はスッと動きを止めて一度大きく深呼吸をした。

「……ごめんなさい。衝撃的過ぎて、頭が付いて行って無かったわ」

麗佳の前では久し振りに大きな声を出したような気がする。

「ま、お友達同士、仲良くやっていく方がいいんじゃねえか?」

「私は少なくとも麗佳を殺そうだなんて微塵も考えてないから」

「そこに俺が含まれてないのが怖いな……」

「寝首を掻かれないように気を付けた方が良いかもしれないわね?」

「クク……起きてる時も気を付けるぜ」

葉月の件があってから、手塚の私に対する警戒度が以上に増しているのは気が付いている。

まあ、そうなってしまうのはしょうがないが――

「取りあえず、これからどうするかを考えましょう――」


私たちはこの後……どうする?


>>170
>>171
>>172

>>172のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>170
34~66 >>171
67~99 >>172



麗佳を連れて逃げる

武器を確保に上の階にあがりましょう

一先ず武器を探しながら階段を目指す

一旦休憩します

【09:30】

私たちは上の階を目指すことにして、ようやく階段まで辿り着いた。

階段付近には誰も居なかったので、そのまま階段を上ることにした。

「残り1回か」

階段を上る前にJOKERの4回目の偽装を使用し、手塚の首輪解除まで残り1回となった。

「手塚は首輪を解除したらどうするつもり?」

「ん……それはその時の気分次第で変わるだろうよ」

「降りるんだったらせめて首輪は渡して頂戴?」

「ああ、いいぜ。PDAは無理だけどな――」

こういった白黒つけたがるのは、やはり麗佳らしいところと言った感じだろうか。

「身ぐるみ剥がそうとかは考えないから――」


麗佳が言葉を言い終わる前に、天井から何かが降ってきたのが見えた。

私は考える前に麗佳を引っ張ってそれを避けるように大きく踏み込んだ――

「な、何!?」

麗佳は私に突然引っ張られた事と、轟音が響いた事と二重に驚いていた。

「罠か!?」

私たちと手塚の間には鉄格子が現れており、それは分断を意味していた。

(やっぱり仕掛けてきたみたいね……)

運営側もそう易々と首輪を解除して貰ったら困るので、こうなることは予想できていた。

「全員怪我は無いみたいね」

「晶、ありがとう……」

私は膝を付いていた麗佳を立ち上がらせて鉄格子を動かしてみる。

「チッ、ビクともしねぇ……」

「完全に張り付いているみたいね」

なんて白々しい事を言いつつ私はPDAの地図を確認した。

「合流するにはかなり大回りしないといけないみたいね」

「タイミングが悪いったらないぜ、全く……」

「どうするの?」



私たちは……

1.手塚の首輪解除を優先するために1時間経過するのをここで待ち続ける

2.合流地点を決めて合流する

3.その他

>>178
>>179
>>180

>>180のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>178
34~66 >>179
67~99 >>180




2

「それじゃ、この中間地点辺りで合流しましょう」

「分かった。JOKERの偽装は合流した時にやってくれればいい」

私たちは一番距離が近そうな場所を選んで、合流する事にした。

まあ、ゲームの事を考えると合流できるとは思えないが――


【10:00】

手塚と別れた後、私たちは適当に部屋で武器やツールボックスを探しながら合流地点まで進んでいた。

途中で刃渡りが長いナイフとスタンガンを手に入れ、スタンガンは麗佳に持たせることにした。

「……こうやって晶と長く2人でいるのは久しぶりね」

「そうだね。麗佳は、大学の方頑張ってるの?」

「それなりにね。晶は……ボクシング、やめちゃったの?」

そういえば、麗佳には止めたことを言っていなかった気がする。

「うん。今は普通の会社員だよ」

このゲームで得た賞金で、のうのうと暮らしているとは言えなかった。

「そう、なんだ……」

麗佳は複雑そうな顔をしていたが、それ以上何も聞いてくる様子は見せなかった。

「でも、麗佳を守るくらいの動きなら、全然いけると思うよ?」

「もう、晶はいつまで私を弱者扱いしてるのよ!」

「ふふ……私から見れば麗佳は泣き虫のお姫様だよ」

「…………馬鹿」

久し振りに感じる人の温かさに、私の心は毒されてしまいそうだった。

麗佳だけは私にとって大切な友人で、失われたらいけない存在である――

「彼氏はできた?」

「……分かってて言ってるでしょ?」

「麗佳に彼氏が出来ないなんておかしいじゃん。周りの男たちはどうなってんの?」

「も、もう良いじゃない! 晶はどうなのよ!?」

「私は……いるよ」

「ぇ…………?」

「嘘だよ。私にできるわけないじゃん……」

「お、驚かさないでよ!」

「あれ? もしかして嫉妬しちゃった?」

「してない! 晶の馬鹿!」

麗佳は不機嫌になってそっぽを向いてしまう。

こんな繊細で可愛い存在を守りたくない者などいるのだろうか。

(麗佳……私が絶対に守って見せる――)

こんなゲームに麗佳を殺させてたまるものか――





今日はここまでです。

【現状】

死者:漆山

【体調】

体 健康

心 決意(小)

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ

矢幡:ナイフ、スタンガン

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能

矢幡:GPS

【PDA情報】




5 北条
6 手塚



10
J 矢幡


JOKER 加藤

【10:30】

あれから30分、私たちは他愛もない話をしながら進んでいた。

もう少しすれば手塚との合流地点に辿り着くわけだが、恐らく彼はやって来ないと私は想定している。

「……ねぇ、晶は自分の解除条件についてどう思っているの?」

ふと、麗佳がそんな話を切り出した。

やはり殺害が含まれているため、私のことを心配しているのだろう。

「ん……そうね…………」

「私は……晶の為だったら、協力するから。役に立てるか分からないけれど……」

麗佳がそっと私の手を掴んで見つめてくる。



ここで私は……何と言う?

1.麗佳には殺人に関わって欲しくない

2.私は過去に人を殺したことがあるから大丈夫

3.気持ちだけ受け取っておく

4.私のことより自分の心配をして

5.その他

>>187
>>188
>>189

>>189のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>187
34~66 >>188
67~99 >>189



1

5ありがとう、たよりにしてるわ

「……麗佳には、殺人に関わって欲しくない」

私は軽く麗佳を突き放すような返答をした。

私は既に経験しているから良いのだが、麗佳には微塵たりとも関与してもらいたくない。

殺人は、簡単に人の心を蝕むと分かっているから、純粋な麗佳には尚更駄目だろう。

「私だけ逃げるなんて嫌よ……! 晶だけに背負わせるわけにはいかないわ!」

「これは私の解除条件なんだ。それに、私はボクシングで人を傷つける事に慣れてるから、大丈夫」

「ボクシングと殺人が一緒なわけ無いじゃない! お願いだから、1人で抱え込もうとしないで……!」

麗佳が私の腕を引きずるように強く掴む――

「……麗佳は優しすぎるんだ。まずは、自分の条件を満たす事を考えるべきだよ」

私は麗佳の手を握り返してサッと離した。

「晶……」

「取りあえず、いまは合流地点に急ごう。手塚が待ってるかもしれないし」

「……そうね」

麗佳を半ば強制的に納得させる形になってしまったが、こればかりは譲れなかった。

彼女の悲しげな目を見ていると気持ちが揺らぎそうだったため、私は彼女が視界に入らないように少し前を歩くことにした――



私たちはこのあと……

コンマ判定1個下

00~20 北条たちと出会う

21~40 郷田たちと出会う

41~60 長沢たちと出会う

61~80 御剣たちと出会う

81~99 誰とも出会わない

【11:00】

合流地点に到着してから少し時間が経過した時に、私たちは偶然御剣、姫萩、綺堂の3人と出会った。

3人とも攻撃性は無いというか、平和ボケしているように見えた。

「――それで、やっぱり協力していくにはお互いのPDAを教え合った方がいいと思うんです」

御剣は早速と言わんばかりにPDAの情報の共有を求めてきた。

JOKERは私であるから嘘は付けないということは分かっているのだが……。

「…………」

麗佳が“どうする?”というような視線を送って来ている。

これは、私がPDAの番号を教えるかどうか。

そして教えるとなれば、JOKERを教えるのか偽装番号を教えるのか……ということだろう。



私は……

1.まだお互いの事が分からないので教え合わないという

2.向こうの番号を聞いてからJOKERだということを教える

3.向こうの番号を聞いてから偽装番号を教える(要記載:偽装番号)

4.こちらから先にJOKERだということを教える

5.こちらから先に偽装番号を教える(要記載:偽装番号)

6.その他

>>193
>>194
>>195

>>195のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>193
34~66 >>194
67~99 >>195

3

2

1

「まだお互いの事が分からない事だし、教え合うのは後にしましょう?」

まだこの段階で教えるべきではないと判断した私は、御剣の提案をやんわりと断った。

「そう、ですか……。それじゃあ、俺のPDAを先に教えておきます」

「……どういうつもり?」

突然耳を疑うような事を言い出したため、私は目を細めて御剣を見た。

何かを企んでいるようには見えないが、そう易々と自分のPDAを勝手に明かすというのは疑わしい。

「加藤さんと矢幡さんに信用してもらいたいからです。……良いよね、姫萩さん、渚さん?」

2人に確認を取ったということは、明かすには少し躊躇うべき要素がある番号なのだろうか。

(……となると、Aや9――)

「俺のPDAは“3”です――」

3――PDAの3――3人以上の殺害――

そう理解したと同時に私は御剣と距離を離して腰に刺してあるナイフに手をかけた。

「大丈夫です、俺は人を殺そうと思ってません。というよりも、殺すことが出来ません」

「……それは、命を諦めたということ?」

「いや、そういうわけでもありません」

「じゃあ、どういうことかしら?」

「俺は解除条件以外の方法で首輪を解除する方法を探そうと思ってるんです」

(……何言ってんの、コイツ――)

正気なのか、と私は思わず黙り込んでしまった。

「その方法がある可能性は?」

麗佳が横から顔を出して御剣に問いかけた。

「……分かりません。でも、絶対無いとは言い切れないと思います」

「そう」

御剣の言っている事が出任せだと悟った麗佳は、即座に興味を無くしたようだった。

「総一君の言っていることは~本当だよ~? だって~総一君、優しいし~頼りになるもん~!」

甘ったるい声をした綺堂が御剣のフォローに入って来るが、私は特に反応をしなかった。

「晶……どうするの?」

麗佳が背後から小声で話しかけてくる。

御剣が3である以上、気が変わって殺しにかかってくる可能性は大いにある。

そのような人物と一緒に行動するべきか、否か――

いや、この平和ボケした3人ならば私の解除条件を満たすための的になりやすいとも考えられる――


私は……

1.御剣たちと行動する

2.御剣たちとは行動しない

3.その他

>>197
>>198
>>199

>>199のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>197
34~66 >>198
67~99 >>199

1

渚さんが怖いけど1で

とりあえず今は1かな

休憩します

予定が入ったので今日は更新しません。

「お互いの事を知るためにも、一緒に行動しましょう?」

「はい、よろしくお願いします」

私は御剣たちと同行する事にした。

見たところ3人とも的にするには申し分無いくらいに油断しているからである。

「……それで加藤さんたちは手塚さん、を待っているんですよね?」

「えぇ、そろそろ来てもおかしくない時間だけど」

分断された地点から丁度半分くらいの距離の場所を合流地点にしたのだから、手塚の方が少しより道をしていた私たちよりも先に着いていてもおかしくない。

まあ、なにかしらここへ辿り着けないアクシデントが起きたに違いないだろう。

「手塚さんはきっと来ると思います。だからもうしばらく待ちましょう?」

合った事も無い人物を信用しているような体で話しているのが滑稽だが、何も言わないでおこう。


私は……


1.手塚を待つ必要は無いという

2.御剣の言うとおり、手塚をしばらく待つ

3.麗佳に意見を求める

4.その他

>>211
>>212
>>213

>>213のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>211
34~66 >>212
67~99 >>213

2

3

「麗佳はどうするべきだと思う?」

私は取りあえず麗佳に意見を求めることにした。

主観的だけでは見えてない部分もあるだろう。

「私も待つべきだと思うわ。ただ、手塚が来るまでじゃなくて、ある程度時間を制限するべきよ」

御剣たちには分からないと思うが、麗佳は手塚から交渉材料となる首輪を手に入れたい、ということを言っている。

制限時間を設けるべきだ、ということはそこまで優先的ではないということだろう。

「麗佳がそう言うんだったら、私もそれに賛成よ」

「待つ時間は~どうするの~?」


制限時間は……

1.1時間

2.2時間

3.3時間

4.その他

>>215
>>216
>>217

>>217のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>215
34~66 >>216
67~99 >>217



2

【14:00】

私たちは3時間手塚を待ち続けたが、彼が姿を現すことは無かった。

「……来ないわね」

その場をずっと動かなかったため、かなり長く感じた。

結局のところ私の予想はあっていたようで、やはり手塚は何かしらの事情でここに来れないでいるらしい。

「時間ね。そろそろ出発しましょう?」

麗佳はPDAをポケットにしまって、支度を始めている。

「……御剣、どうしたの?」

私もそれに続いて荷物をまとめていると、1人動かないでいる御剣が視界に入った。

「……もう少し、待つべきだと思います」

「御剣……自分の言っている事が分かっている?」

全員で3時間まで待つと決めた事を、こういう風に破るべきではない。

もう来る可能性が限りなくゼロに近い人物を長々と待ち続けるのは、効率も悪い上にチームとしての雰囲気も悪くなる。

「もしかしたら、手塚さんは怪我をしていて移動するのに時間が掛かっているかもしれません」

「これだけ待っても来なかったんだから、もう来ないと考えて良いはずよ。それに君の言っている事は完全に妄想よね……?」

どういう思考回路を持てばこのような考えに至るのだろうか、と若干苛立ちが込み上げてくる。

「でも、完全に手塚さんが来ないとも言い切れないじゃないですか」

「…………」

また、この言い回しか――

自然と拳に力が入り始めているのが分かる。

このお花畑野郎を一発殴って目を覚まさせたい、と拳が言っている。


私は……

1.御剣を殴る

2.御剣を殺す

3.御剣の言うとおり、もう少し手塚の事を待ってみる

4.御剣たちを放っていく

5.その他

>>220
>>221
>>222

>>222のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>220
34~66 >>221
67~99 >>222

3

1ビンタして周りを見ろと説教する

すみませんが、今日はここまでです。

【現状】

死者:漆山

【体調】

体 健康

心 苛立(小)

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ
矢幡:ナイフ、スタンガン
御剣:???
姫萩:???
綺堂:???

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能
矢幡:GPS
御剣:???
姫萩:???
綺堂:???

【PDA情報】


3 御剣

5 北条
6 手塚



10
J 矢幡


JOKER 加藤

リベリオンズをプレイしていてずっと更新できていませんでした。

いまから更新再開しようと思います。

「…………っ」

私は拳を振り上げようとしたが、直前でそれを止めた。

殴ったところで何も解決しないだろうし、何より麗佳がまた心配すると思ったからだ。

それに、葉月の時の様にここで3人と同行できなくなってしまったら的が減ってしまうだろう――

「そうね。もう少し待つわ……」

「加藤さん、ありがとうございます!」

「…………」

私は何故か感謝する御剣に見ようともせずに、壁にもたれかかった……。

【15:00】

――来た。

結論を言うと、手塚は御剣の言うとおり私たちの元へ来た。

私が痺れを切らしそうになろうとした直前に、足を引きずりながらやってる彼の姿が見えたのだ。

「――葉月さんに、ですって!?」

「あぁ……背後から銃弾を乱射してきやがったんだ……」

渚に治療を施されつつ、手塚は半笑いしながらそんな事を言う。

分断された直後、手塚は葉月に襲撃されたらしい。

話によると葉月は目の色を変えていたらしく、非常に危ない人間に成り果ててしまっていたようだ。

葉月と私の件をしっている3人には、どうして彼がそのようになってしまったのかは容易に想像がつく……。

それは、私が葉月に対して理由も根拠もない暴力を振るってしまったことだろう。

それが引き金となり、彼の心には他者に対しての尋常ではない疑心暗鬼が生まれてしまったのだ。

「……手塚、話があるからこっちに来なさい」

私は特に罪悪感を示す事も無く、治療したての手塚を呼び寄せて2人っきりになった。

「約束通り、5回目の偽装を使用するわ」

「あぁ、早いところ頼むぜ……」

複数個所から血の色が滲みだしている手塚にはもはやいつもの余裕の笑みは見られなかった。

(…………)

私はポケットに手を入れたところである思惑が生まれた。

このままだと恐らく手塚は首輪が外れた途端にこのゲームを降りるに違いない。

それならば、このまま素直に5回目の偽装を使用しても良いのだろうか。

幸い、御剣たちに加えて今は麗佳もここには居ない――

手塚は怪我により明らかに動きが鈍っているため、ここで早い内に手を打っておくことができる――

加えて、麗佳には比較的安全そうな御剣たちがいるためそのまま一旦彼女を任せるという手もあるだろう。

「ん……どうした? 早くしてくれ!」

「えぇ……」

私は……
1.手塚を殺す
2.素直に5回目の偽装を使用する
3.その他

>>232
>>233
>>234
>>234のコンマ下二桁によって安価を決定 
00~33 >>232
34~66 >>233
67~99 >>234

2

3 解除後、PDAと首輪を貰う

いや、ここで手塚を殺せば麗佳に幻滅されるだろう……。

私はPDAを取り出して、手塚の目の前で偽装して見せた――

「……よし、これで確かに5回目、だな――」

手塚は少し安堵した表情を見せて首輪のコネクターにPDAを接続した――


『おめでとうございます、あなたは首輪の解除条件を達成しました――』


粗末な電子音と共に手塚の首輪がスルリと外れた。

「こうも簡単に外れてくれるとはな」

「何? 自分だけもうゲームに参加できなくて寂しいのかしら……?」

私は手塚を試すような質問をしてみた。

「……いや、葉月のおっさんみたいなやつが今後増えるくらいなら、仲間外れにされたほうがましだってんだ」

なるほど、やはり手塚はもうこのゲームには乗り気ではないらしい。

一方的に銃弾を食らえば、いくら強靭な精神でも抉り取られてしまうのも無理はないと思うが――

「だったら、麗佳と約束した通り首輪を渡しなさい?」

「ああ、俺にはこんなもん必要ないしな――」

私は床に落ちている首輪を拾って、ポケットにしまう。

「……それと、PDAもよ」

「あ……?」

肩を掴んで、その場から動きだそうとしていた手塚を止めた。

「首輪を解除した今、もうPDAも必要ないでしょう?」

「何言ってんだてめぇは……。地図がなけりゃ居場所が分からなくなるだろうが。それに、お前はPDAを渡すという条件を言って無いだろ?」

「…………」

手塚の言っている事は至極正論で、現状は私の浅薄な行動から引き起こされたので、何も言えなくなる。

私は……

1.手塚からPDAを奪い取る

2.そのまま手塚を行かせる

3.手塚をナイフで脅す

4.手塚に頼み込む

5.その他

>>236
>>237
>>238

>>238のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>236
34~66 >>237
67~99 >>238


5 1階でも葉月のような人間と鉢合わせするかもしれないから2階の戦闘禁止エリアまで同行するほうがいいと説得


戦闘禁止エリアまで護衛しその報酬としてPDAをもらう

>>237

「これから1人で行動して、葉月さんは勿論の事、他のプレイヤーに襲撃されたら危ないわ。だから、戦闘禁止エリアまでは私たちと同行したほうがいいわ」

私は最もらしい理由をつけて手塚からPDAを受け取る流れを作った。

「……そりゃ、嬉しい限りだが。お前、自分が言った事がどういうことなのか分かっているのかよ?」

「……? どういうこと?」

手塚が意味深な言葉を言ってきたが、私は分からなかった。

「クク……いや、なんでもねぇよ――。それより、俺を戦闘禁止エリアまえ連れて行ってくれるんだろ?」

「えぇ、そうだけど……」


手塚は鼻で笑いながら麗佳たちがいる方へ向きを変える。

(何が……何がおかしいんだ――)

単に手塚が私をからかう為に冗談を言っているのか、それとも私が何かを見落としているのか――

(私は手塚を麗佳、そして御剣たちと共に戦闘禁止エリアまで連れて行く……。そして、PDAを受け取る――)

その一連の動きに何もおかしい点は無いはずだ――


私が見落としている事は……?

>>241
>>242
>>243

>>243のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>241
34~66 >>242
67~99 >>243

自分たちの装備の強化

戦闘禁止エリアで、首輪のない手塚に抵抗できないということに思い至る

ようなサムシング。

手塚の首輪が外れていることから御剣達にジョーカーだとバレる

「――――ッ!!」

手塚が一歩踏み出そうとした瞬間に、私は閃いた――

私のPDAがJOKERだと知っているのは手塚と麗佳だけであって、御剣たちは知らない。

そのため、このまま手塚が彼らの元へ行くのは不味いのだ。

手塚をわざわざ呼び寄せて2人きりになり、そして戻ったら彼の首輪が外れていた――

そうなると必然的に疑問が沸き、手塚のPDAの番号を御剣たちに教えることになって――

ここまでくれば言わなくても分かるだろう……。

このままだと私がJOKERだということが御剣たちにばれてしまう――

「待って、手塚!」

「ん……どうしたよ、加藤サン?」

手塚はいやらしい笑みでこちらに振り返った。

「……やっぱりさっきの話は無しよ」

手塚はやれやれと言った表情でこちらを見てきた。

「俺様の寛大な慈悲が無かったら、どうなったんだろうなァ……クク」

「……礼は言っておくわ」

あと少し気が付くのが遅れれば、私の立場は非常に危ういものになっていたかもしれない。

遠まわしではあったが、警告をくれた手塚には素直に感謝せざるを得なかった。

「そんな間抜けな事してると、命がいくつあっても足りねぇぜ?」

手塚は麗佳たちとは逆方向に歩き始めた。

そんな背中を見ながら私は……


1.手塚を無言で見送る

2.手塚を殺しに行く

3.その他

>>248
>>249
>>250

>>250のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>248
34~66 >>249
67~99 >>250

1

3.礼を言って分かれる。

おかしい。手塚の命を助けた筈なのに借りを作った感じだ。納得いかないwwwwww

「…………」

私は去っていく手塚をただ見送ることしかできなかった――


「……あれ、手塚さんはどうしたんですか?」

私が戻ると、御剣がすぐに手塚が付いてきていない事に気が付いた。

「手塚は1人で行くと言って、もう去ったわ」

「え!? そんな、手塚さん1人だと危険ですよ!!」

「大丈夫よ。怪我してるって言っても普通に歩けるようだし、放っておくべきよ」

私には御剣がどうしてそこまで他人に干渉したがるのかが分からなかった。

普通、他人よりも自分の身の事を第一に考えるべきだろう。

命がかかっているデスゲームともなれば、尚更――

「俺、手塚さんを探してきます!」

「あ、御剣さん、ま、待ってください!」

御剣が手塚を追って走り出したのに続いて、姫萩と綺堂が付いて行く――

(手塚が見つかると面倒か……)

いまの御剣を止める事は出来ないため、彼が手塚を見つけないよう祈るしかないか――

いや、彼は意地でも探そうとする上に手塚はそんなに早く移動していないため、時間の問題か――

「晶……どうするの?」

私がいま置かれている状況を察した麗佳が、私に意見を求めてきた。

選択の余地はあまり残されていないため、早く決めなければ――


私は……

1.御剣たちの後を追う

2.御剣たちを放っていく

3.麗佳を残してい御剣たちの後を追う

4.その他

>>252
>>253
>>254

>>254のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>252
34~66 >>253
67~99 >>254

3

2

2

「放って置こう」

私にはこれ以上御剣たちに構うメリットが無いと判断した。

彼らの後を追って手塚が見つかれば、私がJOKERだということに気が付かれる。

逆に見つからなかったとしても時間と体力の無駄だろう。

そうなると、ここで切るのが最善の策だと私は思ったのだ。

「えぇ、分かったわ」

麗佳も特に迷いを見せることなく御剣たちを切った。

「大丈夫だよ、手塚の首輪はちゃんと受け取ったから」

私は麗佳に首輪を手渡した。

「PDAは……無理よね」

「御剣たちがいなければ可能性があったけど……しょうがないよ」

「……そうね」

まあ、最初からPDAは手に入らないと思っていたので、良しとしよう。

「それで、これからどうするの?」

「そうだな……」

私たちは……どうする?

>>256
>>257
>>258

>>258のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>256
34~66 >>257
67~99 >>258


上の階へ。葉月が銃を持ってるという話だし。早めに良い武器を手に入れよう

>>256

武器を探しつつ上の階を目指す

「上の階へ行こう。上へ行けば、拳銃が手に入るかもしれないから」

葉月が既に拳銃を手に入れているため、私たちも早めに武装を強化しておきたいところだろう。

恐らく葉月は私を見たら獣の如く攻撃してくるに違いない。

私自身の武器である拳は、ゲーム序盤であるほんの少しの時間でしか効果は無いのだ。

ほぼ全てのプレイヤーが拳銃を手にした時点で、私のアドバンテージは一気に消え去る――

「近くに階段があるわ! ……×印があるけれど」

「そっちは恐らく行き止まりだよ。だからもう1つの階段を目指そう」

「どうして行き止まりだと思うの?」

「それは……なんとなくだけど?」

私は咄嗟に口から零れてしまった前回の経験を適当に誤魔化す。

「……まあ、印がある時点で良いことがあるとは思えないわね」

「うん、きっとそうだよ――」

私たちは上の階を目指して歩き始めた……。


私たちは移動途中に……

コンマ判定1個下

00~20 葉月たちと出会う

21~40 高山たちと出会う

41~60 北条たちと出会う

61~80 郷田たちと出会う

81~99 ツールボックス:同階数での他プレイヤーの接触情報を表示する を手に入れる

【16:00】

階段を目指して1時間ほどが経ち――

「ん……誰かいる」

かなり遠くにだが、人影があることに気が付いた。

「どうするの?」

見たところ向こうも2人で、両者は身長差があるように思える。

遠すぎて相手が危害ある人物かどうか分からないが、接触しないに越したことは無いだろう。


ここは……どう接触する?

1.こちらから話しかける

2.向こうが気が付くまで待ってみる

3.尾行して相手の人柄を確認した上で接触するかを考える

4.接触しない

5.その他

>>265
>>266
>>267

>>267のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>265
34~66 >>266
67~99 >>267


2

「……止めておこう」

「え……どうして?」

「何だが、あの2人には嫌な予感がする。それに、早めに3階へ行きたいからね」

「……晶の予想って、あんまり当たらないと思うんだけど?」

「確かに……」

私の予想は結構な確率で見当違いなことが多い反面、麗佳の予想はかなり当たるというジンクスがある。

いや、単純に考察力の差があるだけかもしれないが――

「でも、あの2人と話してたら時間が無駄になるかもしれないし、今回は晶の予想に乗る事にするわね」

「私の予想だって当たる事があるさ……」

「あぁ、ごめんね。別に悪気があって言ったわけじゃないの……」

事実だから、という言葉が裏に隠されていることについては私は敢えて言及しなかった。

麗佳はいつだって現実と向き合おうとするから、私よりもずっと正しい判断を下せるだろう。

私の身体に麗佳の頭脳――

これが組み合わされれば、最強の人間が出来るに違いない――

「ん……どうかした?」

「いや、麗佳は相変わらずだなって思ってさ」

「何よ、それ」

「何でもないよ。……よし、このまま一気に3階へ行こう」

「えぇ――」

私と麗佳が一致団結すれば、このゲームをクリアできる――

そんな根拠のない自信が、私の心から溢れ出していた……。

今日はここまでです。

【現状】

死者:漆山

【体調】

体 健康

心 普通

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ

矢幡:ナイフ、スタンガン

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能

矢幡:GPS

【PDA情報】


3 御剣

5 北条
6 手塚



10
J 矢幡


JOKER 加藤


それでは。

【17:00】

私たちは2人のプレイヤーと接触せずにそのまま階段付近までやって来ていた。

その道中であった事は、死亡者数を表示するソフトウェアを手に入れ、私のPDAに導入したことくらいである。

死亡者数は1名であり、それは漆山以外はまだ死亡してい無いことを示していた。

「ん……誰かいるみたい」

音を立てずに階段前のホールを覗くと、3人のプレイヤーが視界に入った――

3人の特徴は受付嬢のような女性、中学生くらいの少女、そして――

「あ…………」

もう1人は見覚えがある人物だった――

確か私と手塚が行動して間もない頃に、寝ている状態で見つけた少女である。

「晶、どうかした?」

「いや、何でもないよ」

3人は見たところ他のプレイヤーを待っているように思えた。

少女二人はともかくとして、受付嬢のような女性は常に警戒しているように思える――

「どうするの……?」


私たちは……

1.3人の様子をしばらく見てみる

2.そのまま3人に接触する

3.引き返して2階で少し時間を潰す

4.その他

>>276
>>277
>>278

>>278のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>276
34~66 >>277
67~99 >>278


3

2

「少し、様子を見てみよう」

「えぇ、分かったわ」

私たちは3人がどのようなプレイヤーなのかを見定めるために、しばらく様子を見てみることにした。

『大丈夫よ――ちゃん。きっと――PDA――――から』

どうやら受付嬢が、寝ていた少女を慰めているようである。

所々聞こえない部分があったが、少女のPDAについて話しているようだった。

(……PDAは5だったから、条件的には特に心配することはないはずだけど――)

そうなると、解除条件以外で何かPDAについての問題があるということか。

PDAが破損した、とか……PDAを無くした、とか――

『――誰も、来ないね……』

もう1人の少女が、退屈そうな素振りを見せる。

「好戦的って感じではなさそうね」

「うん、そうだね……」

3人は単純に他のプレイヤーを待っているみたいである。

私は……

1.3人に襲撃を仕掛ける

2.3人に接触する

3.その他

>>280
>>281
>>282

>>282のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>280
34~66 >>281
67~99 >>282


2

2

【17:30】

私たちは階段前で待っていた3人――陸島文香、色条優希、北条かりんと接触した。

最初こそは陸島が警戒していたが、私たちに敵意が無い事が分かるとすぐに受け入れてくれた。

「北条のPDAが……」

「えぇ。恐らくだけど、誰かが寝ている間に奪って行ったと思うの」

陸島の話によると、北条のPDAが何者かによって盗られているらしい。

私は彼女のPDAが5だと知っているが、あの時奪わずに彼女の耳元に置いて行ったはずだが……。

(まさか……手塚が――)

そういえばあの時、私の後に手塚が部屋を出て行ったような気がする。

そうなると、私が背を向けた隙に手塚が北条のPDAを奪ったのかもしれない……。

「晶さん、何かかりんちゃんのPDAについて知らないかしら?」

「そうですね……」


私は……

1.知らない、と言う

2.手塚が奪って行ったのかもしれない、と言う

3.彼女のPDAが5だったということだけ言う

4.その他

>>284
>>285
>>286

>>286のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>284
34~66 >>285
67~99 >>286

1

「知らないです」

正直に答えると色々と不味いことになるため、私は嘘をつくことにした。

「そう……」

陸島はまるで自分のことであるかのように落ち込んでいた。

お人好しなのか、それとも良い人を演じていかは知らないが――

「……っ、文香さん、もう、無理だよ。私は、ここで死ぬしかないんだ……っ!」

北条の瞳が潤み始め、嗚咽し始める。

まあ、誰だってこの状況になれば絶望するしかないだろう。

「大丈夫よ、かりんちゃん。お姉さんが絶対にPDAを見つけてみせるから――」

陸島が泣いている北条を強く抱きしめて慰めていた。

「……陸島さんたちは、これからどうするつもりですか?」

私は泣いている北条を尻目に、陸島に話しかけた。

「私たちは、ここで他のプレイヤーを待ち続けるつもりよ」

「そうですか……」

あくまで北条のPDAを探すことを優先するということか。

待ち続けても、恐らく見つからないと思われるが――

(どうするか……)

私は……

1.陸島たちと共にここにいる

2.陸島たちと別れて3階へ上がる

3.陸島たちとPDAの番号を交換し合う事を提案する

4.手塚が持っていったかもしれない、という情報を与える

5.その他

>>288
>>289
>>290

>>290のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>288
34~66 >>289
67~99 >>290





4

2

相手から教えるという条件付きで3

「……それじゃ、私たちは3階へ上がります」

ここで待ち続けても私たちにとってはメリットが無いので、3階へ上がることにした。

「待って、晶さん。上がる前に、PDAの番号を交換し合わない? お互いに知っていた方が協力しやすいと思うから」

歩き出そうとしていた私たちを止めるように、陸島が前に来た。


私は……

1.陸島たちから教えるように求める(教えるのが偽装番号の場合はその番号を記載)

2.こちらから教える(同上)

3.拒否する

4.その他

>>292
>>293
>>294

>>294のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>292
34~66 >>293
67~99 >>294

2 ただし自分の偽造番号のみで偽造番号は6


御剣達に知られてるかもだし正直に教えて油断させよう


今のところ人を[ピーーー]つもりはないという

今日はここまでです。

【現状】

死者:漆山

【体調】

体 健康

心 普通

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ

矢幡:ナイフ、スタンガン

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能、死亡者数表示

矢幡:GPS

【PDA情報】


3 御剣

5 北条
6 手塚 CLEAR



10
J 矢幡


JOKER 加藤

「……いいですよ。でも、そちらからお願いします」

PDAの番号を把握しておくことは条件上必要な事なので、私は提案に乗ることにした。

「分かったわ。優希ちゃんも、良いわよね?」

「うん、良いよ!」

特に渋る表情を見せることなく、陸島と色条はPDAを取り出した――

「それじゃ、私からね。私のPDAは……“A”よ」

Aの解除条件を思い出した直後に、私は少しだけ陸島から距離を置いた。

「でも、私はQを殺害しようだなんて思ってないわ」

「……そうですか。でも、それだと文香さんの首輪は解除されませんよ?」

御剣と同じような事を陸島は言っていた。

今回のゲームは善人が多いのか、それとも……。

「私のことはいいのよ。……私は、できるだけこのゲームで生存者の数を多くしたいと思っているから」

「自分の命より、他人の命、ですか」

「えぇ、そうよ」

「…………」

御剣、陸島と立て続けに他者の命を優先する人物と出会うと、私がおかしいのではないかと錯覚してしまいそうだった。

(いや、私が正しい……)

自分が生き残らなければ何も意味が無い、と私は前回のゲームで嫌と言うほど学んだのだ。

彼らがおかしいのであって、私は至って正常だ――

「私のことは良いとして……次は優希ちゃんの番よ」

「うん! 私のPDAは、“7”だよ!」

7と言えば6時間以降に死者を除く全員との遭遇である。

今回のゲームの中では難易度的には1位2位を争う易しさだろう。

「次は私の番ね。私のPDAはJよ」

麗佳が私に偽装する時間を与えてくれたのか、先に答えてくれた。

しかし、私はその思いを裏切ることになる――

「晶さんは?」

「私のPDAは…………JOKERです」

麗佳が驚嘆した目でこちらを見てくるが、私は冷静な目でそれを制した。

「JOKERですけど、今のところ誰かを殺そうだとかは考えていません」

「……今のところ、ね。私としてはできれば……いや、絶対に殺してほしくないわね」

陸島の視線が少し鋭くなったのを私は感じ取った。

「それは、私に死ねということですか?」

「ううん、そうじゃないわ。……私は、解除条件以外で首輪が外す方法を探そうと思っているの」

「……それは、難しいと思いますけど」

御剣なら喜んで賛同しそうな話だが、一度ゲームを経験している私からしたら馬鹿な妄想にしか聞こえなかった。

「俄かに分かってくれるとは思ってないわ。でも、殺人はして欲しくないの」

人に強制しないだけ、御剣とは違って現実は見えているということか――

「考えておきます――」

私は適当に答えて陸島たちと別れようとした――

「――ッ!?」

しかし、その動きはホール中に広がる轟音で止められた。

「な、何!?」

この場に居る全員が周りを見渡す中、私は階段がシャッターで塞がれた瞬間を見ていた。

~♪~♪

複数のPDAが騒がしく鳴り響き、その音が不安を煽っていた。

(……何か、仕掛けてきたか――)

全員が急いでPDAを取り出しているのに対して、私は冷静にPDAの画面をタップして音を消した――

PDAの画面を押すと現れたのは、スミスという不気味な南瓜のキャラクターだった。

どうやらシークレットゲームのマスコットキャラらしく、彼はエクストラゲームというものを提案してきた。

『――PDAが最初から無くなっていた、って可哀想だよね? そう思うよね?』

『うんうん……皆の憐れむ声が聞こえるよ』

どうやらPDAを所持していない北条に対してチャンスを与えようとしているらしい。

『だから、僕はそのプレイヤーにチャンスを与えようと思うんだ!』

「チャンス……!」

陸島のPDAを覗いていた北条の目が大きく見開かれる。

『そのチャンスっていうのは、誰かを殺害した場合に、その殺害されたプレイヤーのPDAの解除条件をそのまま使えるようになる、っていうものさ! あ、これはPDAを持ってないプレイヤーだけのものだから、注意してね』

「殺害って……ッ!!」

陸島が主催者の外道なやり方に怒りをあらわにしていた。

『あと、3階へ上がる階段と、1階へ降りる階段はシャッターで締まってるから、必然的に皆2階でしか行動できなくなっているよ!』

ということは、いまプレイヤーの全員が2階にいるということを意味しているのだろうか。

『ゲームの終了条件は、誰かが1人が殺害するまで! PDAを持ってないプレイヤーに殺されないように気を付けてね! もちろん、他の人が誰かを殺して終わらせても良いよ!』

『え? それだと全員に平等じゃない? 確かにそうだね。だから、殺害に成功したプレイヤーには今後の戦いで役に立つ強力な武器セットをプレゼントするよ! 中身については秘密だから、お楽しみにね!』

(……強力な武器、か)

それを誰かに手にいれられるのは不味いため、回収しておきたいところである。

『ゲーム開始は30分後! それまでは全面戦闘禁止エリアにしておくよ! あ、あと、開始後は全面戦闘許可だから、戦闘禁止エリアでも戦えるから、安心してねー!』

(本格的に潰し合いをさせようってことか)

まあ、これは私にとってもチャンスだろう。

このゲームを理由にして誰かを殺害すれば、麗佳も納得してくれるに違いない――

『それじゃ……エクストラゲーム開始まで、戦いの準備をしておいてねー』

一方的に話を進ませて、スミスは画面から消えてしまった。








「……こんなふざけた事に乗っては駄目よ!」

陸島が悔しそうな顔をして声を上げる。

「チャンス……生き残れるかもしれない、チャンス――」

「かりんちゃん、駄目よ! これは主催者が仕掛けてきた罠よ!」

絶望しかない地獄の果てに降りてきた救いの手に、北条は今にも掴み出そうとしていた。

「……死にたくない。死にたく……ない……。私は、生きたい――」

「かりんちゃん!! 待って!!」

陸島の手を振りほどいて、北条が走り出した。

こうなってしまえば、彼女を止める術は何も残されていないだろう――

北条のあとを陸島が追い、その後に色条も続いて行った。


私たちは……

1.陸島たちのあとを追う

2.エクストラゲームに向けて武器を整える

3.階段前に居る

4.その他

>>304
>>305
>>306

>>306のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>304
34~66 >>305
67~99 >>306

2 

2

「晶……」

麗佳が不安な顔をしてこちらを見てきた。

「エクストラゲームに向けて、武器を整えよう。葉月さんは拳銃を持っているみたいだからね」

私は、このエクストラゲームに乗らない人物はあまりいないと思っている。

そのため、武装を怠ってはいけないと判断している。

戦闘禁止エリアも使用できないため、完全に逃げ場がないというのもなかなか厳しいだろう――



私たちはエクストラゲームが始まるまでに……

コンマ判定1個下

00~05 拳銃を見つける

06~10 ボウガンを見つける

11~70 ナイフを見つける

71~80 スモークグレネードを見つける

81~99 何も見つけない

【18:00】

『エクストラゲ~~~ム! スタ~~ト~~~~~~!!』

不気味な声の掛け声とともに、エクストラゲームが始まった――

やはり2階ということもあってか、私たちは結局飛び道具を見つける事は出来なかった。

(まあ、それは他の人も一緒の条件だから……)

メインとなる武器がナイフであるため、私の拳も十分な武器となるだろう。

「……ねぇ。晶はこのゲームに乗る気なの?」

麗佳が歩みを止めて私に問う。

まあ、殺害ということに対して拒絶があるのは仕方ないか――


私は……

1.そうだ、と言う

2.乗らない、と言う

3.もし麗佳が私の状況ならどうするか、と聞く

4.分からない、と言う

5.何も言わない

6.その他

>>310
>>311
>>312

>>312のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>310
34~66 >>311
67~99 >>312

3+自分や友人の命が掛っているのならば綺麗事は言えないと言う

>>310

>>310

私は答え方をいろいろ考えた末に、麗佳に少し意地の悪い質問をすることにした。

「……もし麗佳が私の状況なら、どうする?」

「え……?」

「麗佳がJOKERだったら、このエクストラゲームに乗る? それとも乗らない?」

「それは……」

麗佳なら確実に“乗る”と答えるのを分かった上で聞いている私は、かなり性格が悪いだろう。

「私の命は勿論のことだけど、麗佳の命もかかってるんだ。だから、綺麗事なんて言ってられないよ」

私は麗佳が答えを出す前に続けざまに言葉を放つ。

「……そうね」

現実が分かっていながらも私には人を殺して欲しくない、という葛藤がその言葉に込められていた。

でも、大丈夫だ――

麗佳は私のことなど心配しなくても良い――











私の手はもう、血で赤く染まりきっているのだから――

だから、麗佳をこちら側に引き込ませてやるものか――



私たちはこのあと……

00~30 襲撃される

31~60 御剣たちと出会う

61~90 陸島たちと出会う

91~99 ???

【18:30】

私たちは周囲を警戒しながら他のプレイヤーを探していた。

「取りあえず、相手が1人で襲撃しやすそうだったら私1人で行くから」

「……分かったわ」

複数人居ると襲撃しにくい上に反撃を食らうかもしれないので、ここで狙うべきなのは1人で行動している人物だと私は考えている。

できれば北条や色条の様な子供をターゲットにしたいところだが……。

「あと、危険が生じたり万が一私が危機的状況になっても、麗佳は逃げるんだ」

「……! そんなの、できるわけないじゃない……!」

私は機敏に動けると思うが、恐らく麗佳はそう上手くいくとは思えない。

そのため、麗佳には自分の命を優先に動いて貰いたかった。

「何かが起きて2人とも助かろうとして、共倒れしたら元も子も無いんだよ。だから、自分の命を常に優先するんだ」

他のプレイヤーにはこんなことを言わない。

麗佳だからこそ、私は何としてでも生き残って欲しかった。

「変よ…………やっぱり、変よ! こんなの、いつもの晶じゃない……!」

麗佳は声を震わせながら私の前に立ちはだかる。

「私は麗佳に死んでほしくないんだよ。こんなゲームだからこそ、尚更ね……」

麗佳を傷つけているのが分かっていても、これだけは譲れない――

「私だって! 私だって……晶に死んでほしくないわよ……! 自分の命を優先しろって言ってるけど、晶はそうしようとしてないじゃない!」

「麗佳……分かってく――」

どうにか麗佳を説得しようとしていた時、私の視線の延長線上に光が反射する何かが見えた。

「――ッ!!」

それが襲撃を意味すると察知した私は……

1.麗佳を横に突き飛ばす

2.その場から動かない

3.麗佳に伏せろ、と言う

4.その他

>>318
>>319
>>320

>>320のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>318
34~66 >>319
67~99 >>320







麗佳を抱え床に伏せる

>>318

3

携帯から報告
明日の夜あたりから更新したいと思ってます

「――麗佳!」

私は咄嗟に床を蹴り、麗佳を庇うように抱えながら床に伏せた。

床に着く前に私の目には長細い金属が目に入り、それがボウガンの矢だと気が付く――



何者かによって撃ちだされた矢は……

コンマ判定1個下

00~05 肩に刺さっていた

06~15 背中に刺さっていた

16~25 脚に刺さっていた

26~55 腕を掠めた

56~98 外れた

  99 頭部に刺さっていた

「――ッ!!」

床に叩きつけられた衝撃で息が止まりそうになる。

どうやらボウガンの矢は私たちの上を通り抜けたようで、どちらも怪我はしていないようだった。

「な、なに……?」

「麗佳! 逃げるよ!」

まだ状況が理解できていない麗佳を私は引っ張って立ち上がらせた。

(ボウガンの矢の装填にはまだ時間がかかるはず……)

私は麗佳の手を引っ張ってできるだけ相手との距離を離していく。

「あ、晶……こ、転んじゃうわ!」

「もう少しだけ我慢して! ……次の角を右に曲がるよ」

「え、えぇ!」

躓きそうになる麗佳を引き上げながら私は廊下の角を曲がり終えた――

それと同時に、矢がまるで私たちの後を追っていたかのようにして通り過ぎて行った。

「はぁ……はぁ……晶、あ、ありがとう……」

「相手はボウガンを持っていて、こっちが明らかに不利だから逃げよう」

「分かったわ!」

向こうに遠距離武器がある以上、対抗するという手段は考えられなかった。

敵がこちらに近づいてくる足音が聞こえてきたため、私たちもその場をすぐに走り始めた……。


私たちはどうやって相手を撒く……?

1.常に本気で走り、相手に見失わせる

2.相手との距離を一定に保ちながら向こうに諦めさせる

3.いや、少しずつ距離を縮めてチャンスがあれば反撃しよう

4.私を囮にして麗佳を先に逃がす

5.その他

>>330
>>331
>>332

>>332のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>330
34~66 >>331
67~99 >>332

2

2 ただしこまめに曲がってボウガンの射線に入らないように

【19:00】

私たちは相手との距離を一定に保つようにしながら移動し続けた。

「……諦めたみたいだね」

しばらく耳を澄ませてみても、後を追いかけている足音は聞こえなくなっていた。

「はぁ……良かった…………」

緊張の糸が解けたのか、麗佳は壁に寄りかかりながら大きく息を吐く。

「少し休憩しよう」

「そうね……」

疲れた状態でまた襲撃されるのは不味いので、私たちは一旦休憩する事にした。


私たちはこのあと……

1.武器を探す

2.ターゲットを探す

3.このままエクストラゲームが終わるのを待つ

4.階段前に戻る

5.その他

>>334
>>335
>>336

>>336のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>334
34~66 >>335
67~99 >>336



襲撃と罠に警戒しながら1

3

【20:00】

私たちは他のプレイヤーがエクストラゲームを終わらせるまで待機することにした。

そして、部屋に留まって1時間ほど経過したころ――

~♪~♪

麗佳の淹れたコーヒーを飲んでいると、PDAが鳴りはじめた。

『やあ、僕スミス――』

南瓜のキャラクターが表情をしきりにかえながら伝えてきたのは、エクストラゲームが終了したことについてだった。

『と、言うわけで今からルールは通常のものに戻されるから、注意してね~!』

『え、また会いたい? そうだね~僕もまた出番が来ることを祈ってるよ! それじゃ~バイバ~イ!』

スミスは一方的に話し終わると、PDAの画面から消え去った。

(北条が殺したのか……それとも他の誰かが……)

スミスは、単に誰かが殺害されてエクストラゲームが終了したということしか教えてくれなかった。

それは別にいいとして、強力な武器セットが他のプレイヤーに渡ってしまったのは不味いだろう。

こうならないように積極的に殺害しに行くべきだったかどうかは分からないが、取りあえず起きてしまった事はどうしようもない――

(私たちも早く拳銃を手に入れないと……)

いまの武装状態では、その相手にとっては良い的でしかない。

早い内に武装を強化しなくてはならないだろう。

私たちはこの後……

1.階段へ向かう

2.早めに戦闘禁止エリアに向かって睡眠を取る

3.2階を徘徊する

4.その他

>>340
>>341
>>342

>>342のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>340
34~66 >>341
67~99 >>342







警戒しながら1

【21:00】

私たちは特に誰と出会う事も無く階段まで戻ってきた。

出会うことは無かったが、出発して間もない頃にもう1人死亡したという通知が来ていた。

(今のところ死者は3人か……)

今後死者が次々と出てくるはずなため、私も早いところ動かなければ……。

私たちは3階で……

コンマ判定

00~30 誰かと出会う

31~60 武器・ツールボックスを見つける

61~90 銃声を耳にする

91~99 襲撃される 

休憩挟みます

【21:00】

私は部屋にあったダンボール箱の中から、換気ダクトの見取り図のツールボックスを見つけた。

そして――

(やっと、見つけた――)

手に伝わる冷たさと黒光りした形容――

私の手には拳銃が確かに握られていた。

手にした瞬間に懐かしさと、哀しさを感じてしまう。

「晶、何か見つかった?」

「……うん、見つかったよ」

私が拳銃を麗佳に見せると、目を見開いて固まってしまった。

「そ、それって……ホンモノ、なの?」

「ここに玩具があるほうが珍しいんじゃないかな?」

私は麗佳にそれを手渡してやると、彼女はその重さでこれが本物であるということを悟った。

「どうするの、これ……?」

「私が持っておくよ。これがあれば……十分に戦える」

私は銃弾を詰めて腰に拳銃をさした。

「素人の私たちに扱えるのかしら……?」

「多分、大丈夫だよ。海外だと、子供だって普通に使っているでしょ?」

「……そうね」

本当は……前回のゲームで人を襲撃したり、殺したりしているうちにすぐに慣れたからであるが――

「早いところ、麗佳の分も見つけておこう。持っているだけでも、護身に役立つだろうし」


私たちはこのあと……どうする?

>>350
>>351
>>352

>>352のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>350
34~66 >>351
67~99 >>352

参加者みつけてコロシに行く

無防備そうな参加者を探しつつ階段を目指す

>>351

【22:30】

(また、か……)

私たちは更に武装を強化するために4階の階段を目指して移動している。

そんな私たちに通達されたのは、更に1人死亡者が出たということだった。

死亡者はこれで合計4人となり、条件を達成した手塚を除くとゲームの参加者は残り9人である。

いつまでも麗佳の事を気に掛けて殺害できないでいると、積んでしまうかもしれない。

この拳銃を手にしたいま、躊躇していてはいけない――

「麗佳……次に誰かと会ったら、私は殺しに行くつもりだから」

だから私は、改めて麗佳に忠告しておくことにした。

「……分かったわ。でも、無茶はしないで」

「うん」

麗佳は十中八九納得したという顔をして、私に殺人の許可を出した。

(……陸島たちか御剣たちが殺りやすいか)

彼らならば襲撃は勿論の事、一度近づいてからの奇襲も容易に可能だろう。

ただ条件上、まとめて2人を殺すことができないのが問題であるが――

私たちはこのあと……

コンマ判定1個下

00~30 ?と出会う

31~60 ?と出会う

60~90 誰とも出会わない

91~99 襲撃される

【23:00】

「…………」

私たちは複数の足音を聞きつけて、気づかれないように接近していた――

「あれは……」

私の目に映ったのは3人――

御剣、姫萩、綺堂が横一列に並んで歩いていた。

(当たりを引いたな――)

幸運にも向こうはこちらに気が付いていないようだった。

「晶……」

麗佳は息を殺しながら私の方を見ている。

向こうとはまだ100メートルほど離れており、銃弾を当てるには遠いかもしれない。

私は頷きながら……

1.狙いを定めて引き金を引く(要記載:狙う人物)

2.命中率を上げるためにもう少し距離を詰める

3.確実に当てるためにかなり距離を詰める

4.接触して油断したところに奇襲をかける

5.襲撃は見送るって4階へ向かう

6.その他

>>356
>>357
>>358

>>358のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>356
34~66 >>357
67~99 >>358

1 綺堂

1 サクミン

(いや……ここは外せないか……)

私は構えかけた拳銃を下ろして、距離を詰めることを麗佳に伝えた。

少しずつ近寄っていくと的が大きくなっていき、細やかな動きも次第に見えてくるようになってきた。

「…………」

御剣と姫萩は真っ直ぐ歩いているみたいであるが、綺堂は2人と会話をしながらも周囲を警戒しているみたいだった。

もしかしたら、見かけに寄らず綺堂はやり手なのかもしれない――

(まあ、ここで気が付けてない時点で――)

距離は最初の時の半分ほどとなり、相手が横一列に並んでいる事もあってかなり当てやすくなっている。

(ここで決めるか……)


私は拳銃の安全放置を外し……

1.引き金を引く(要記載:狙う人物)

2.もう少し距離を詰める

3.接触して油断したところに奇襲をかける

4.襲撃を見送って4階へ向かう

5.その他

>>361
>>362
>>363

>>363のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>361
34~66 >>362
67~99 >>363

1 綺堂

>>361

>>361

ここまで来て狙う人物など、言うまでもないだろう――

(綺堂さん……私のために、死んでもらうよ――)

私はゴスロリを着た人物に照準を定め、そして引き金に手をかけた――

「――伏せてッ!!」

私が引き金を引き終わる直前に、照星越しに綺堂と目が合った――

しかし、私はそれに臆することなくそのまま引き金を引き切り――


私の放った銃弾は……

コンマ判定

>>365

00~60 綺堂に向かう

61~75 御剣に向かう

76~99 姫萩に向かう

>>366

00~05 背中に命中する

06~10 腹部に命中する

11~30 肩に命中する

31~50 腕に命中する

50~61 脚に命中する

61~98 外れる

  99 頭部に命中する

いけっ

今日はここまでです。

【現状】

死者(4人):漆山、???、???、???

【体調】

体 健康

心 高揚

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ、拳銃

矢幡:ナイフ×2、スタンガン

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能、死亡者数表示

矢幡:GPS、換気ダクト見取り図

【PDA情報】
A 陸島

3 御剣

5 北条
6 手塚
7 色条


10
J 矢幡


JOKER 加藤

乙~
なにげに「心 高翌揚」ってのが凡ミスとか足救われたりとかで怖そうだな



>>365-366
コンマ逆だったらなぁ
当たらないよりはずっといいけど

片方だけだから渚さんが何してくるか……
銃持ってたらヤバそうだな。ゼロ距離ガンナーもいるし

「――痛ッ!!」

銃口から真っ直ぐに飛んだ弾丸は、綺堂の肩に突き刺さった。

「チッ……」

あともう少し撃つのが早ければ急所に当たっていたが、命中しただけましと考えるべきだろう。

「な、渚さん!!」

御剣がすぐに綺堂の肩を組んで移動しようとする。

ここで逃すわけにはいかない、と私はすぐに追撃をするために再び照準を定めた――

私は……

1.綺堂を狙う

2.御剣を狙う

3.姫萩を狙う

4.いや、ここは一息入れて追跡しよう

5.追撃をやめる

6.その他

>>376
>>377
>>378

>>378のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>376
34~66 >>377
67~99 >>378

2

1.綺堂を狙う

1

私は銃口を御剣の方へ向けた。

綺堂の動きを止めるのも必要ではあるが、先に御剣の動きを止めておいた方が始末するには楽になるはずだ――

私はこちらを見ている御剣の背中目掛けて引き金を引く――

「……ッ!」

確実に当てるつもりだった弾丸は、3人の間をすり抜けて通り過ぎてしまった。

(御剣……ッ!)

御剣の動きは私の予想の遥か上をいくものだった。

普通ならば引き金を引かれるのを見ているのなら、伏せて避けようとするだろう。

しかし、御剣は避けなかった。

避けずに綺堂を庇うようにして横に動いていたのだ。

会って間もない他人のために自分の命を賭けるなど、私には想像できなかったのだ――

「――――晶ッ!!」

一瞬止まっていた私の体が、麗佳の声によって再び動かされた。

見ると綺堂が御剣の横から拳銃を取り出してこちらに銃口を向けていた――

「――――ッ!!」

私は咄嗟の判断で床を蹴って後ろに移動する――

それと同時に銃口から銀の塊が襲いかかる――


綺堂の放った銃弾は……

コンマ判定1個下

00~50 外れる

51~55 腹部

56~65 肩

66~85 腕

86~95 脚

96~98 胸部

  99 頭部

弾丸は私のすぐ横を通り抜けて、結果的に回避に成功した。

「総一君、今のうちに……!」

「は、はい!」

肩を抑えている綺堂に続いて御剣たちが逃げ始めた。

(……逃がすか!)

ここで獲物を逃してしまえば、他のプレイヤーに横取りされてしまう可能性がある。

それに、私の的は麗佳を除くと7人と意外に少なくなっているため、ここで殺しておきたいのだ――


私たちは……

1.追跡して綺堂を狙う

2.追跡して御剣を狙う

3.追跡して姫萩を狙う

4.追跡しない

5.その他

>>382
>>383
>>384

>>384のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>382
34~66 >>383
67~99 >>384

「麗佳、行くよ!」

「えぇ!」

私たちはすぐさま御剣たちの後を追うことにした――

【23:30】

追跡をしてからは、私と綺堂が着かず離れずで撃ち合っていた。

(弾も残り少ないか……)

弾倉が残すところ1個となったが、ここで補充をすれば彼らを逃してしまうだろう。

「加藤さん、銃を撃つのを止めてください! 俺たちは争うつもりは無いんです!」

廊下越しに御剣の声が聞こえるが、私はそれを遮るようにして銃弾を浴びせる――

「殺し合いなんてダメです! 主催者の思う壺じゃないですか!」

肩へ突き刺さった銃弾が効いてきたのか、綺堂たちの動きが徐々に遅くなっていく。

「綺堂さん、そろそろ限界のようね?」

「はぁ……はぁ……くっ……!」

片方の肩をぶらりとさせながら、綺堂は歯を食いしばって動き続けているようだった。

「加藤さん、気づいてください……。今あなたのやってることが……間違いだということを!」

「黙りなさい。間違ってるのは御剣、あなたよ――」

綺堂が床に膝を付け、拳銃も手から落ちたのを確認した私は銃口を彼らに向けながらゆっくり近づいて行った。

「加藤さんは主催者の思惑に操られているだけです……。人を殺して生き残っても――」

「総一、くん……逃げて」

「渚、さん……?」

「私を置いて……逃げ、て。咲実ちゃんと、はや、く……!」

綺堂は床に倒れながら、御剣たちに逃げるように促していた。

「渚さんを置いていくことなんてできるわけ無いじゃないですか!」

「いいから……私のことは、いいから! 行きなさい!」

綺堂の痛烈な怒声が廊下中に響き渡り、一瞬無の空間が創られた。

その瞬間に、御剣は何も言うことなく姫萩の手を引いてその場を走り出した。


私は……

1.動けない綺堂を殺す

2.綺堂のことは麗佳に任せておいて、御剣たちを狙いに行く

3.その他

>>386
>>387
>>388

>>388のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>386
34~66 >>387
67~99 >>388

1

今日はここまでです。

【現状】

死者(4人):漆山、???、???、???

【体調】

体 健康

心 昂揚

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ、拳銃

矢幡:ナイフ×2、スタンガン

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能、死亡者数表示

矢幡:GPS、換気ダクト見取り図

【PDA情報】
A 陸島

3 御剣

5 北条
6 手塚
7 色条


10
J 矢幡


JOKER 加藤

私は御剣と姫萩の姿が見えなくなったのを確認し終わると、綺堂に向けて引き金を引いた。

「ぐッ……!!」

綺堂の顔に苦しみが浮かぶのを見ながら私は綺堂に近づく――

「悪いわね、綺堂さん……。でも、すぐ楽にしてあげるわ」

私は銃口を綺堂に向けて、確かに狙いを定めた。







「あなた……リピーター、ね…………」

「な……!?」

“リピーター”という単語を耳にした瞬間に、私の心は酷く動揺した。

「リピーター……?」

後ろに居た麗佳の不可解な声が、私の背筋を凍らせた。

「私もリピーター、だから、いまの、あなたの目を、見た瞬間に分かった、のよ……」

無意識のうちに私は引き金を引いていた――

「……手塚君よりも、冷徹で、人殺しに対して、躊躇いの無い、慣れた……目――」

「黙れ……ッ!」

連発して撃つが、銃弾は殆ど綺堂に当たらなかった。

「私には、誤魔化せないわ……。私と同じ、だから――」

「黙れ!」

引き金を何度も引くが、銃口からは虚しい金属音だけが流れた。

「晶……リピーターって……」

「麗佳、出鱈目だこんな事!」

私は大声を上げながら、麗佳の方へ振り向く――

「麗佳ちゃん……どうして、晶ちゃんがこんなにも殺人に躊躇が無くて、しかも銃の扱いに慣れているか、わかる……?」

「そ、それは…………」

麗佳は綺堂に対しての反論を考えているが、何も言えないでいた。

「それはね……晶ちゃんが、このゲームに参加したことが、あるからよ……。今までに、そうだと考えられるような、行動は無かった……?」

「黙れッ!!」

私は綺堂の胸倉を掴み、顔面を思いっきり殴った。

「…………麗佳ちゃんの、知っている、晶ちゃんは――」

私は腰からナイフを取り出して綺堂の胸に突き刺した。

返り血など気にする事も無く、奥深くに刺し込んだ――

「…………」

“居ない”――

綺堂は最期にそう呟いて、息を引き取った――

【24:30】

気が付けばゲーム開始から1日が経過していた――

綺堂を殺害した後、PDAを確認すると彼女のPDAは“K”であるということが分かった。

ようやく1人目の殺害に成功して、少しだけ余裕が出来た――と、言う気にはなれなかった。

「…………」

いつものように麗佳の淹れたコーヒーの飲んで休憩をしているというのに、いつものような居心地の良さは感じらない。

それどころか、緊張と不安が入り交ざったような、張り詰めた空気が部屋の中を支配していた――

「…………」

私は綺堂が死に際に零した言葉を、頭の中で一言一句何度も再生していた。


“リピーター”、“人殺し”、“居ない”――


誰にそのことを言われようが、気にはしないだろう。

しかし、それを麗佳に聞かれるのだけは――

「……ねぇ、晶」

「ぁ…………れい、か…………」

気が付くと麗佳の心配そうな顔が私の目の前にあった。

「大丈夫? 顔色が悪そうだけど……」

「う、うん……大丈夫…………」

私は麗佳の目を直視することが出来なかった。

いまの私は、化けの皮を剥がれた醜い獣だから。

そんな獣が、清純な麗佳の近くに居てはならないだろう――

「……渚さんが、言っていた事。本当、なの……?」

麗佳が言葉を詰まらせながら、そのような問いをかけてくる――

私は……

1.無言のまま何も言わない

2.あれは全部出鱈目だ、と言う

3.話題をすり替える

4.答えられない、と言う

5.その他

>>396
>>397
>>398

>>398のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>396
34~66 >>397
67~99 >>398


3

肯定する

5ごめんなさい今は言えないは、でも今は私を信じて欲しい

「そうだよ」

暫くの沈黙の後、私の口から出たのは肯定の言葉だった。

「……じゃあ、リピーターっていうのも……その、殺人も――」

「うん、本当……」

私はぽつりぽつりと前回のゲームについて麗佳に話し始めた――

【25:00】

「――それで、また今回のゲームに参加させられたんだ」

私は麗佳に何一つ隠すことなく話した。

何度か心が折れそうになったが、どうにか踏ん張って最後まで言い切ることが出来た。

「……私は麗佳に軽蔑されても良い。でも、麗佳だけは守りたいんだ」

私は理由がどうであれ、2人の人間……そして今回のゲームで3人を殺めた殺人者であることに間違いはないだろう。

それをどう受け止めるかは麗佳次第だ――

「…………」

麗佳の目に雫が浮かび始め、それが重力によって彼女の頬を伝っていく――

やはり麗佳にはショックが大きすぎたか、と私は目を瞑って俯く。

「綺堂さんが言った通り、もう麗佳の知っている私は――」

そんな私の体に突然何かがぶつかってきた。

「……麗佳――」

「そんな事……言わないでよ……! 晶は、晶なの! 何があっても、晶は私の知っている晶よ……っ!」

麗佳が私の胸の中で泣きじゃくる。

「麗佳……っ――」

私は麗佳を抱き返そうと手を後ろに回したが、それから進むことが出来なかった。

いまの私の手では彼女の白いワンピースを“血”で染めてしまうだろうから――

「私、気づいてあげられなかった……! 晶が苦しい思いをしてるのに、何も知らないで……っ」

「麗佳は悪くないよ……。悪いのは、言わなかった私の方だから――」

麗佳に嫌われたくないから、縁を切られたくないから――

親友のことを信用しきることができなかった私が、全て悪いのだ――

「……これから、私が居るから。晶のこと、絶対に1人にしないから。だから、2人でこのゲームをクリアしましょう?」

「うん……そうだね。……ありがとう、麗佳――」

私は麗佳に悟られないよう、息を殺して泣いた――


私たちはこのあと……どうする?

>>404
>>405
>>406

>>406のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>404
34~66 >>405
67~99 >>406


戦闘禁止エリアへ向かう

麗佳にお礼言ってから、渚さんの首輪とPDAを奪う

武器を探す

今日はここまでです。

【現状】

死者(5人):漆山、、綺堂、???、???、???

【体調】

体 健康

心 安心・罪悪

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ、拳銃

矢幡:ナイフ×2、スタンガン、拳銃

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能、死亡者数表示

矢幡:GPS、換気ダクト見取り図

【PDA情報】
A 陸島

3 御剣

5 北条
6 手塚
7 色条


10
J 矢幡

K 綺堂
JOKER 加藤

【26:00】

麗佳との絆を再度感じ終わった後、私たちは新たな武器を探し回っていた。

綺堂のPDAはKなので、私は奇数のプレイヤーをもう1人殺害する必要がある。

いま分かっているPDAが奇数のプレイヤーは……Aの陸島、3の御剣、5の北条、7の色条、そしてJの麗佳――

(実質、5人か……)

まだ不明な9はともかくとして、他の4人は狙いやすいだろう。

前回のゲームと比べて死者が出るスピードが速いため、あまり呑気にしているとターゲットがいなくなってしまう可能性がある。

(いや、北条が5とか限らない、か……)

エクストラゲームで北条が殺害に成功していた場合、PDAが5から他のPDAに変化しているため迂闊には手を出せないだろう。

そうなると、確実に狙うことが出来るのは陸島、御剣、色条の3人となる。

(厳しくなってきたな)

死者は5人で、その内分かっているのは漆山と綺堂の2人。

残りの3人に陸島や色条が含まれているとしたら、的はどんどん絞られていくことになる。

何はともあれ、奇数のプレイヤーを見つけたら意地でも殺害するべきだろう――


私たちが手に入れた武器は……?

※階数にそぐわない物にはペナルティー

>>
>>

>>413
>>414

ドアの開閉や施錠が出来るツール

拳銃

私たちが手に入れたのはドアのリモートコントローラーと拳銃だった。

リモートコントローラは私のPDAに導入し、拳銃は麗佳の持っていた綺堂の拳銃よりも扱いやすいものだったので、交換する事にした。

「晶、そろそろ睡眠を取るべきじゃない?」

麗佳が少し眠そうな顔をしながらそう言う。

「そういえば……もう1日以上経過していたんだっけ……」

色々と有り過ぎて時間の感覚が狂っていたが、既に時間はゲーム開始から26時間を過ぎていた。

1日のほとんどを移動に費やし、何度か戦闘もあった。

そう考え始めると、一気に疲れが押し寄せてくるような感じがした――


私たちは……

1.ここで睡眠を取る

2.戦闘禁止エリアで睡眠を取る

3.睡眠は先送りにする

4.その他

>>416
>>417
>>418

>>418のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>416
34~66 >>417
67~99 >>418

禁止エリアが近ければ2
遠いようであれば1

2

「戦闘禁止エリアに行こう。ここで寝るのは危険だろうし」

「えぇ、分かったわ」

私たちは体に振りかかる疲れを押しのけて歩き始めた……。


私たちは移動途中に……。

コンマ判定1個下

00~30 死体を見つける

31~40 ?と出会う

41~60 ?と出会う

61~99 誰とも出会わない

すみません、早いですが今日はここまでにします。

携帯から報告します。
今日から土曜日まで予定が詰まっているので、更新は早くて日曜日の夕方からになると思います。

【27:30】

私たちは移動途中で誰とも出会うことなく戦闘禁止エリアまで辿り着いた。

「……麗佳、お疲れ様」

「ありがとう……」

私は椅子に座っている麗佳に熱いお茶を渡す。

今日一日でかなりの距離を歩いたため、足の裏に痛みを感じる――

「ここは一応安全だから、気を緩ませても大丈夫だよ」

「えぇ、分かっているわ。でも、全然実感が沸かないから……」

確かにここは他の部屋と比べて生活設備が整っているだけであって、ゲームの建物の一部である。

だから、たった扉一枚を境にして本当にここが安全なのか、と疑ってしまうのは無理もないだろう。

「2人で寝るというのは不味いだろうから、どっちが先か決めようか。あと、睡眠時間もね」

「そうね……」


寝る順番と睡眠時間は……

※睡眠時間も要記載

1.麗佳が先

2.私が先

3.二人で寝る

4.その他

>>435
>>436
>>437

>>437のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>435
34~66 >>436
67~99 >>437

1

4、入り口にバリケード もしくは音が鳴るよう仕掛けをしてレイカが先。

>>436

【28:00】

話し合いの末、麗佳が先に寝る事にした。

また、睡眠時間は取りあえず3時間交代で様子を見ることにした。


戦闘禁止エリアの扉の前に家具のバリケードを築き終わり、その後私はシャワーを浴びて汗を流している。

「…………」

プロボクサーを辞めて1年以上が経っているからであろう、前回のゲームと比べて体に疲れがかなり溜まっている。

正直、綺堂の銃弾が外れたのは運が良かっただけであって、本来なら食らっていたはずだろう。

麗佳には大きな口をきいてしまったが、今後もしっかりと麗佳を守ることが出来るだろうか――

(もし、私が死んだら――)

きっと、麗佳はきっと悲しむだろう。

いや、今考えるのはそのようなことではない――

(……麗佳も、死ぬ可能性が高い)

麗佳のPDAはJであり、24時間以上行動を一緒にしたプレイヤーが72時間生存しなければならない。

そうなると、いま麗佳と長時間行動しているのは私一人であり、その私が死亡すれば麗佳の条件を満たすプレイヤーがいなくなってしまうのだ。

(どうするか……)

私は……どうするべき?

1.他に仲間を増やしたほうがいいかもしれない

2.私が生き残れば良いだけなので、他に仲間は必要ない

3.まずは自分の条件を満たすことに集中する

4.このことについては考えない事にする

5.その他

>>439
>>440
>>441

>>441のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>439
34~66 >>440
67~99 >>441




2

3

(……仲間は必要ない、か)

私がヘマをして死ななければ良いだけであるし、何より麗佳が他のプレイヤーと一緒に行動したがらない可能性が高い。

それに、かなり加速しているこのゲームの中で新たに手を組もうとするプレイヤーがいるとも考えられなかった。

「……麗佳――」

彼女は一件平静を装っているが、心の中は不安と恐怖で埋め尽くされているはずだ。

そんな彼女を私は守り通して、何事も無かったかのように元の世界へ連れて帰らなければならない。

きっとそれが、私に与えられた使命だろう――



あの時――絶望の世界にいた――私を麗佳が救ってくれた時の様に――



「やっと、ちゃんとした恩返しができそうだよ――」



今後は私が麗佳を――この血まみれた地獄から――救って見せる――



【34:00】

私たちは約束通り3時間交代で睡眠を取った。

戦闘禁止エリアに来たプレイヤーは居らず、特に問題は何も無かった。

私が寝ている間に1階が侵入禁止エリアになっていたが、ここ3階は16時間後なので気にすることは無いだろう。


私たちはこのあとどうする?

>>443
>>444
>>445

>>445のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>443
34~66 >>444
67~99 >>445

探索

探索しつつレイカに前回のことについて、ある程度を話す。

>>444

【37:00】

私たちは3階をしばらく探索する事にした。

私たちが手に入れたものは……?

>>447
>>448
>>449

同じ階数に何人が存在するか判るツール(生存者のみ判明、死者は数えない)

スモークグレネード

サブマシンガン

私たちが手に入れたのは同階の生存者数表示のツールボックスとスモークグレネード、そしてサブマシンガンだった。

ただ、サブマシンガンは音だけが立派なだけであって銃口から放出されるものは遊技銃の弾丸だった。

つまりは、リアリティのあるエアガン――玩具というわけである。

「……脅しに少しくらい使えそうね」

麗佳は軽いそれを困惑した顔で見ながらそんな事を言う。

「まあ、一応持って行こう。素肌に当たればそれなりに痛いだろうし」

手に入れたツールボックスは私のPDAに導入して人数を確認すると、画面に表示された数字は“3”だった。

つまり、3階には私たち以外のプレイヤーが1人いるということになる。

「ねぇ、晶」

「うん、どうしたの?」

「……前回のゲームのことについて、教えて貰えない? 無理だったら、いいけれど」

麗佳にはゲームのことについて大まかに話しているが、詳細を知りたくなったのだろうか――

「……いいよ」

どんな私でも麗佳は認めてくれる。

だから、私は躊躇うことなく前回の事について話し始めた――

「――だから、前回の解除条件は平和的なものだったんだ」

「今回と比べると少し殺害系の解除条件が多かったから、私は協力者を作ることにしたんだ」

「そして、ゲーム開始6時間までに集めたのは2人だった。でも、他に孤立しているプレイヤーたちに比べると私たちのほうが有利だ、と思っていた」

「2人とも人柄が良い男で、私も当時はボクシングをしていたし、少しだけ安心していたんだ……」

「でも、戦闘が解禁されるな否や、1人の男が血相を変えて私に襲いかかってきた。ボクシングをしていることを言っていなかったから、向こうには格好の的に見えたんだと思うよ」

「……私は反射的に男に反撃したんだ。本気だったから、男は葉月さんの時よりも吹っ飛んで床に倒れていたけど、気絶していると思った」

「……もうひとりの男が確認しに行くと、その男は死んでいたんだ。倒れた時に頭を打って、その打ち所が悪かったんだよ」

「私はその瞬間に異常な喪失感に襲われたんだ。殺してしまった、意図していないと言っても……私はもう、殺人者なんだって――」

「――その後はもう1人の男と一緒に行動し続けたんだ。殺人を犯してしまった私のことを励そうとしてくれたよ」

「……でもね、そいつも所詮は最初の男と一緒だった。私が少し気を抜いた瞬間を狙って、下衆な事をしようとしてきたんだ」

「私はそいつをボコボコにした。一瞬でも、他人を信じてしまった私自身に対しての怒りも込めて、ね」

「――それからはもう誰も信じることが出来なくなって、独りで黙々と行動し続けていたよ。何度も襲撃をされたり、逆にし返したり……」

「そして、ゲーム終盤に逆恨みしてきたその男に再開して……私は容赦無く彼を殺した。今度は、私の“意志”で殺したんだ。このゲーム、主催者、襲撃してきたプレイヤー、そして彼への怒りを全部ぶつけた――」

「……ゲームが終わった瞬間に私は自分に恐怖した。私も、殺した2人と“同類”なんだってね」

「……違うわ。晶は何も悪くないし、その2人と同類でもないわよ……!」

麗佳が唇を噛みながら私の手を握ってきた。

「ううん、私はどうしようもない人間だよ。結局、私はこの“世界”を利用して、私利私欲に行動したんだ。もう、この世界に私は汚染されてしまっているんだ――」

だから、綺堂のことも躊躇い無く襲撃して、殺害もできた――

「そうやって自分の事を傷つけるのは止めてよ……っ! 悪いのは全部このゲームの主催者なんだから!」

泣き虫の麗佳は、また私の胸に顔を埋めて抱き着いてくる。

「……それは言い訳だよ。私の解除条件は殺人が必要なかったんだから、本来なら誰も殺さないで居られたはずだよ」

「それでも、晶は悪くない……! 悪くないの! お願いだから、これ以上自分を責めないでよ……!」

「…………っ――」

こちらを見上げる麗佳を見て、私の心から少しずつ感情が漏れ始めていた。

「晶……ッ!」

「私は、駄目なんだ。こんな血塗られた手で、麗佳を……」

抱きしめる事は許されない――

「麗佳を…………っ」

抱きしめる、事は――

「……れい、か。麗佳――ッ!」

「晶……」

もう、私の感情を理性で抑え切れることができなかった。

華奢な体を、私は強く抱きしめていた――

「麗佳……どうして、こんな、私を……っ」

「晶は私の親友だから、かけがえのない存在だからよ。私から見れば……晶は“泣き虫な王子様”、ね。ふふふ……」

見事に言い返されてしまって、私は泣きながら笑ってしまった。

「ふふ……私の負けだよ」

「たまには私が勝っても良いじゃない?」

「うん、そうだね。……麗佳――」

「ん……何――」

私は麗佳の頬に手を当ててサッと顔を近づけて――

「ん――っ! ん、んん…………」

最初こそは驚いた表情を見せたものの、麗佳は次第に肩の力を抜いて身を委ねてくる。

「い、いきなりなんて、ず、ズルよ……」

名残惜しそうに離された舌は、まだ求めているようだった。

「……私は麗佳の事が好きだよ」

「馬鹿……言葉と行動が逆じゃない…………」

私たちはしばらくの間、お互いに抱き続けた……。

今日はここまでです。

【現状】

死者(5人):漆山、、綺堂、???、???、???

【体調】

体 健康、疲労(小)

心 解放

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ、拳銃

矢幡:ナイフ×2、スタンガン、拳銃、サブマシンガン(玩具)

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能、死亡者数表示、同階の生存者数表示

矢幡:GPS、換気ダクト見取り図

【PDA情報】
A 陸島

3 御剣

5 北条
6 手塚
7 色条


10
J 矢幡

K 綺堂
JOKER 加藤

【連絡】
しばらく更新が出来なくなると思います。いつ更新再開するかどうかも不明です。

いまから更新していこうと思います。

【38:00】

あと2時間もすれば2階が戦闘禁止エリアになる――

こうして徐々にフィールドが狭くなっていくにつれて、ゲームが着々と終焉へ進んでいるということがひしひしと感じられる。

私はあと1人――PDAが奇数のプレイヤーを殺害しなければならない。

早いところ手を打たなければならないが、ツール無しでプレイヤーと遭遇するのはかなり難しい。

それに加えて3階には私たちの他にプレイヤーがいないため、ジャマー機能を使用しない以外にこの階でプレイヤーと接触することはないだろう。

私たちはこのあと……どうする?

>>467
>>468
>>469

>>469のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>467
34~66 >>468
67~99 >>469

上に向かう

>>467

>>467

博士「ようやくできたワイ。 わしが研究に研究を積み重ねて作った
最高の作品!! くっくっく、さぁ、起動せよ。アトゥム!!」


ブゥゥゥゥン プシュー



アトゥム「こんにちは 博士。」

博士「よしっ!  起動成功じゃ!! わしの性欲処理を手伝うのじゃ。アトゥム!!」

【40:00】

2階が侵入禁止エリアになったと同時に私たちは4階へ到着した。

同階には私たちの他に4人のプレイヤーがいるみたいである。

「探知系のソフトウェアがそろそろ使われてくるだろうから、注意していこう」

「探知系、って?」

「画面にPDAの位置や首輪の位置を表示するものだよ。逆にそれを防ぐジャマーソフトもあるし」

「厳しくなってくるのね……」

探知系のソフトウェアをもっていない私たちは、持っているプレイヤーにとってすれば格好の的である。

どれだけ注意していても奇襲をすべて免れるのは難しいだろう……。

私たちはこのあと……

コンマ判定1個下

00~30 武器・ツールボックスを見つける

31~40 ???と出会う

41~50 ???と出会う

51~60 ???と出会う

61~90 死体を見つける

91~99 奇襲される

【42:00】

私たちは4階を探索することにした。

今まで以上に警戒度を高めているため、あまり早く進むことが出来なかった。

私たちが手に入れた物は?

※階数にそぐわないものはペナルティーが課されます。

>>474

>>475

催涙ガス

手榴弾

6月11日(1日目)、AM4:36――

金城玲奈(女子3番)は、学校で――いや、市内でもトップクラスの金持ちを両親に持つ子供だった。
父親は政府の役人、母親は人気デザイナー。
何一つ不自由なく、1人娘として甘やかされて育ってきた。
そんな環境が、玲奈を高飛車な性格にしたと言っても過言ではない。
誰よりも、自分が素晴らしい。
他の人間は、ただのクズ。
玲奈の高慢な性格が、他の人から嫌われようが関係無い。
所詮、恵まれない負け犬の遠吠えだ。
そんな玲奈が、プログラムに選ばれてしまった。
予想外の出来事だった。
まさか、この自分にそんな不幸が巡ってこようとは。
例え選ばれたとしても、父親の力で何とかしてくれると思っていた。
しかし、何ともしてくれなかった。
…ふざけるんじゃないわよ、どうしてこのあたしがこんな茶番に付き合わされなければならない訳?
あたしを誰だと思ってるの?
そこらのクズとは違うのよ!?
政府の連中に言ってやりたかった。
しかし、敢えて口には出さなかった。
だってそうでしょ?
思ったままに口にするなんて、バカのすることよ。
栗原もバカよね、わざわざ自分から死ぬような真似して…
死にたくない。
死ぬわけにはいかない。
こんなクズたちの為に、自分が死ぬなんて嫌だ。
そんな玲奈の出した結論は、たった1つ。
あたしが、優勝すればいい。
そうだ、自分が死なないなら、他のクズが[ピーーー]ばいい。
生きるべきは、あたし――

 

玲奈は支給されたデイパックの中に入っていた武器、サバイバルナイフを自分のスカートの腰の部分に挟んでいる。
鞘から抜けば、すぐに使える状態だ。

目の前にいる、獲物に向かって――

「玲奈、何か考え事?」
「何でもないわ」

玲奈は冷めた表情の獲物――桐島伊吹(女子4番)に向かって微笑んだ。

伊吹との付き合いは中学生になってからだ。

傍から見れば、伊吹を中心として玲奈・中原朝子(女子13番)・三河睦(女子17番)が周りを取り巻いているように見えるかもしれない。
事実、何かあったときには伊吹が中心だが。

しかし、実際はそんなに深い関係があるわけではない。
『互いに干渉しない』がモットーだ。
学校では一緒にいるだけ、4人はそんな関係だ。

表向きはそれなりに仲が良いが、裏ではそれぞれ何を考えているのかわからない。
もちろん、玲奈は朝子も睦も、伊吹さえも見下していた。
伊吹は何も考えていないだろう、他人には興味を持たない人間なので。

「ありがとうね、待っててくれて。心細かったのよ、こんな状況になっちゃって…」
「いいのよ、あたしも同じよ、伊吹」

嘘だ、別に心細くなんかない。
別に誰でも良かったが、どうせなら比較的能力の高そうな伊吹から殺そうと考えた。
最初が良ければ、調子に乗っていけそうなので。

フフ、前々から気に入らなかったのよ。
すました顔して、わけわからないんだもの。
その顔、もうすぐ恐怖で歪ませてあげるわ。
でも、その前に――

「ねえ、伊吹?」

玲奈が呼びかけると、伊吹は振り返った。

「何?」
「あのね、あなたの武器は何だったのかしら、と思って」

伊吹が怪訝そうな表情を浮かべる。
危ない、伊吹は勘がいい。
武器を知らなければならない理由は簡単だ、殺そうと襲ったはいいが、返り討ちにされてはたまらない。
仮に銃(いわゆる当たり武器は、この手の飛び道具だろう。一応サバイバルナイフも当たりの部類か?)を持っているなら、作戦を考えなければならない。
もちろん、そんな事を言えるはずがない。

「そんな顔しないで。ほら、急に誰かが出てきた時とか…危ないじゃない?念のためよ、ね?」
「あ…あぁ、そうよね」

伊吹がデイパックの中を漁った。
外れなら文句なし、ナイフの類もまあいいだろう。
とにかく、銃のような物でなければ、何でもいい。

「…これなのよ」

玲奈は伊吹の手にあるものを見た。
思わず口許が緩みそうになる。

「傷の手当てには一役買ってくれそうよね」

伊吹が苦笑する。
玲奈も笑った。
伊吹が笑うなら、隠す必要もないだろう。
伊吹の手にあるもの、それは何の変哲もないポケットティッシュだった。
外れ武器だ、どう考えても。
ふふ、所詮クズはクズらしい武器を貰っておけばいいのよ!
お似合いじゃないの!

「…で、玲奈は何なのよ?」

玲奈はにっこり微笑んだ。
風が吹き、玲奈の茶色のウェーブのかかった髪が揺れる。
作戦、決行。

「あたし? あたしは――」

すっと背中に右手を回し、サバイバルナイフの柄を持つと、鞘から引き抜く。
その勢いで、それを伊吹に向かって振る。
伊吹の前髪が数本、宙を舞う。

「れ…玲奈?」
「あたしの武器、これよ?中々の当たり武器だと思わない?」

玲奈はサバイバルナイフを振り回す。
伊吹はそれを間一髪で避ける。
さすが、運動神経はいいものね、伊吹。
でも…時間の問題でしょ?
伊吹の背中が1本の木の幹に付いた。
追い込んだ。

「玲奈…やめて…お願い…っ!」

伊吹が哀願している。
玲奈はくつくつと笑った。

「やめるわけないじゃない、あたしは死にたくないんだもの。そうよ、何であたしが死ななければならないの?あたしこそが生きるべき人間なのよ?あなたたちクズなんか、いらないのよ!」

「玲奈…っ」

伊吹の目には涙はない。
まあ、伊吹が泣く方が驚きだ。
とても想像はできない。
玲奈は極上の笑みを浮かべた。
街中の男が振り返るような、妖艶な笑みだった。

「あたしの為に[ピーーー]るなんて、光栄でしょう?」

玲奈はサバイバルナイフを振り上げた。
案外楽勝ね、この調子なら優勝だって余裕で――
バンッ
この会場に響いた初めての銃声が、玲奈の思考を止めた。
振り下ろしたサバイバルナイフは空を切り、玲奈は仰向けに倒れた。
その表情は、驚愕に満ちていた。
玲奈は一瞬、見た。自分に向いた、銃口を。そして、その先には――

「『あたしの為に[ピーーー]るなんて、光栄でしょう?』…か。バッカじゃないの? 自意識過剰」

伊吹は玲奈を見下ろした。玲奈の額には、1つの穴が開いていた。
そして、伊吹の手には、小型自動拳銃(FN ブローニング・ベビー)が握られ、銃口からは煙が出ていた。

「あたしの迫真の演技、中々だったでしょ?」

もう動かない玲奈に向かって、そっと囁いた。伊吹の支給武器は、ポケットティッシュなどではなかった。あれは、修学旅行の為に持ってきていたものだ。
デイパックに入れられていたものは、小型の拳銃だった。生き残る気だった伊吹は、1つの作戦を立てた。銃を持っていることを隠し、相手を騙し、[ピーーー]。心細くなどないし、仲間もいらない。偶然玲奈が支給武器を腰に仕込んでいるのを見つけたので、飛び道具でないなら大丈夫だろう、と誘っただけだ。そして、玲奈なら騙せるだろう、そう考えた。

プログラム本部となる中学校と、その南にあるアスレチック公園、その中間であるE=04を、2人の少年が歩いていた。
「おい、待てよ!」

後ろを歩く少年が声を上げる。
しかし、前を歩く少年は振り返らない。

「おい、待てって!わからなくもないけどよ、人の話を聞けっての!!おい、ケースケ!!」

ぐいっと腕を掴まれ、前を歩く少年――池田圭祐(男子3番)は振り返った。
その表情は、今にも泣き出しそうだったが無理に笑みを作っている、そんな感じだった。

「す…すんません、付き合ってもらったのに… 勝さん…」

圭祐の腕を掴んでいた真田勝(男子9番)は、手を離した。

「いや、気にすんなよ。 そんな他人な仲じゃねーんだし」

勝はその場に圭祐を座らせ、自分もその前に座った。
勝は煙草を咥え、火を点けようとしたが、止めた。
煙草の煙の臭いが嫌いな圭祐を気遣ったのだろう。

「なあ、マジでいいのか?ずっと…言いたかったんだろ?」
「…だって…あの状況を見た後に、とてもじゃないっスけど言えませんよ…」

圭祐が俯いた。
勝は溜息を吐き、煙草を箱に戻した。

「まあ、わからなくもないけどな…曽根崎…ね。 あんなチビのどこがいいんだか…」
「凪紗さんはいい子っスよ?可愛いし、優しいし、強いし…何より…」

圭祐は目を閉じた。

「こんなオレに普通に声を掛けてくれた、初めての女の子っスから…」

圭祐は曽根崎凪紗(女子10番)に恋心を抱いていた。
そのきっかけは、凪紗たちのグループと勝たちのグループが停戦協定を結んだ事だろう。
小学生の頃から、圭祐は自分にコンプレックスを感じていた。
細く小さな目つきの悪い目、中々治らなかった上に跡が残った頬のできもの、ぽっちゃりした体格――他にも色々とあるが、親譲りのものが多いので仕方がないとはいえ、嫌だった。
更に頭は悪く、運動能力は人並み。
おまけに声は元々低く、そこまで愛想も良くなかった。
お陰で、女子から話し掛けられたことはほとんどなかった。
中学生になり、勝たちと出会った。
お使いに行かされたり、面倒ごとを引き受けたりと、パシリ的存在だったが、不良は不良。
一層声を掛けてくれる者はいなくなった。
しかし、勝・新島恒彰(男子15番)・脇連太郎(男子20番)との付き合いは楽しかったので、そんな事を気にするのは止めた。
気にしていても仕方がない、今を楽しもう、と。

 「あ、ケースケ、隣だね、嬉しいな!」

停戦協定を結んだ中2の3学期の最初の席替えの時、初めてまともに凪紗と会話を交わした。
嬉しかった。
自分が横にいることが『嬉しい』と言ってくれた。
色々な話をしてくれた。

 「え? 女子が話し掛けてくれない?皆見る目ないなぁ… ケースケ、絶対いい男なのにね!人間外見じゃないよ、中身!!」

慰められたのかけなされたのかよくわからなかったが、たとえお世辞でも『いい男だ』と言ってくれたのは嬉しかった。
自分の中身を見てくれる女の子が、目の前にいる。
恋に落ちるのに、時間は掛からなかった。
だからこそ、こんなプログラムという最悪の状況になってしまったからこそ、自分の思いを伝えるつもりだった。
途中で偶然出会った勝に、ついて来てもらった。

そして――凪紗を見つけた。

体が、動かなかった。

凪紗は、凪紗といつも一緒にいた男3人組の1人、設楽海斗(男子10番)に抱きしめられ、泣いていた。

「ケースケ… どうするんだ…?」

少し気を遣ったような勝の声に我に返り、圭祐は急いでその場から離れた。
見たくなかった。
涙が出そうだった。
後ろから走って追いかけてくる勝の声にも反応せず、圭祐は凪紗たちから離れた。


どうしよう…!?
何でこんな事になっちゃったんだろう!?
濱中薫(女子14番)は泣きながら校舎を出、一目散に校門を駆け抜けた。
小柄な体ながらも、薫が所属するソフトボール部では誰にも負けない俊足を誇る薫は、20秒足らずで茂みの中に入った。

 

ぱらららっ

 

比較的近い所で、タイプライターのような音が聞こえた。
銃声だろうか?
薫は小さく悲鳴を上げ、その場にしゃがみ込んだ。
ぼろぼろと涙が溢れた。

「もう…やだぁ…っ薫、こんな所いたくないよぉ…っ!お父さん…お母さぁん…助けてぇ…っ!!」

怖い…怖い…怖い!!

普段はクラス1明るいムードメーカーである薫の姿は、どこにもなかった。
クラスメイトが殺し合わなければならない状況なので、仕方ないが。

怖い…怖い…怖い!!
助けて…誰か…助けて…

佑ちゃん…っ!!

薫の脳裏に先程起こった出来事が蘇る。
首が吹き飛んだ栗原佑(男子7番)の姿が、目に焼きついている。
完全に離れた頭と胴体。
少し前までくっついていた部分から噴き出す血。

「佑…ちゃ…ぁん…っ!」

『後輩相手に変な言い掛かりつけてんじゃねーよ、バーカ!!』

中2の初め、よそ見をしていてぶつかってしまった3年生の不良連中に絡まれた時、通りがかった佑が助けてくれた。
全身の至る所に痣を作りながらも、追い払ってくれた。

『女の子の顔殴るなんて、男の風上にも置けねぇヤツらだな!!』

連中の1人に殴られて腫れた薫の頬を見て、佑が怒っていた。
痛かったが、それ以上に嬉しかった。
助けてくれた事が。

『お礼なんていいって、男として当然の事だろ、女の子守るのは!』

傷だらけになりながら、そう笑っていた。
王子様みたい、そう思った。
大好きだった。
男気のある佑が。
小さな子のような元気な笑顔を浮かべる佑が。

『オレ…楽しかった!オレさ、このクラスになれて本当によかった!皆、大好きだぜ!だから…当分会いたくない、お別れだ!!』

最期の薫たちに向けられた言葉。
今も耳の奥に残っている。
きっと、消える事はないだろう。
大好きだった。
佑が曽根崎凪紗(女子10番)の事を好きだったのは、何となく知っていたが、そんな事は関係無い。
ただ好きでいるだけなら、本人の自由でしょ?
当分会いたくないってことは…皆に生きてって言いたかったってことだよね…?
でも…怖いよぉ…
皆を疑いたくなんかないけど…でも…でもぉ…っ

「佑ちゃん…佑ちゃん…!」

名前を呼んでも、返事があるはずはないが、薫は名前を呼び続けた。

「濱中さん…ですよね?」

D=04エリアにある中学校。
今はプログラムの会場本部となり、様々な機械などがあちこちの教室に置かれており、中学生の学び舎だとは思えない様相になっているが。
「先生!」

コンピューターと向かい合い、ヘッドホンで盗聴をしていた軍人の1人、足立(軍人)が叫んだ。
コンピューターのボタンを押すと、教室に設置されたスピーカーから声が流れた。

『オレはこのプログラムをぶっ潰す。
 でも、まさか今オレの首輪を爆破させるなんて野暮な事しないだろ?
 子供1人の戯言に弱気になるようなヤツらじゃない。そんな腰抜けなら、オレじゃなくても誰かが潰せるさ。そうだろ、筋肉男とその他諸々の野郎共』

教室内がざわめいた。
その中で、落ち着いた様子の進藤幹也(担当教官)がスポーツ刈りの頭を掻きながら足立の横に立った。

「これ、誰だい?」
「えっと…男子17番・不破千尋っスね!コイツ、ただの中坊じゃないっスよ!首輪の盗聴にも気付いて、あえてこんな事ぬかしやがったんスよ!!先生どうします、爆発させますかね!?」

進藤は頭を掻きながら、手元の資料をパラパラと捲った。
そして、爽やかな笑みを浮かべた。

「いや、しばし保留、要注意人物って事で」
「危なくないですかね?」

足立の横に座っていた田中(軍人)が口を挟んだ。
しかし、進藤は首を横に振った。

「どうせ具体案はまだないんだろ?こんな事言うやつ、クラスに1人2人はいるもんだ!それに――」

進藤は持っていた資料を2人に見せた。

「これは…トトカルチョのオッズ表?」

田中が訊いた。
進藤は頷き、千尋の部分を指差した。

「不破君、お偉いさんに大人気なんだよなぁ…成績優秀・スポーツ万能・喧嘩もできる、いい素質を持ってるしな!おまけに周りの評判もいい。 『曲者』、『悪魔』…」

「凄いっスね」

田中が思わず感嘆の声を上げた。
足立も口笛を吹いた。

「“普通の生徒”の中では1番人気だからな!首輪飛ばした日には、オレらの首も吹っ飛びかねない!」

進藤が自分の首を斬るジェスチャーをした。
「ゲッ」と足立が顔をしかめた。

「あと、他の人気は… “特別参加者”と“戦闘実験体”はもちろん大人気だな!」
「そりゃあそうっスよね!正直、オレはその2人で票が二分されると思ってたんスけど…そうでもないっスよね」

足立が進藤の手からオッズ表を取った。
進藤は頷いた。

「そうだな、正直オレもそう思ってたんだがなぁ…このクラスはいいのが揃ってるからな!でもやはり優勝はあの2人のどちらかだろうな!!」
「…そうだ!」

田中がポンッと手を合わせた。
足立と進藤が同時に田中に目を向けた。

「忘れてた、恒例のオレらのトトカルチョしません?もちろん、勝った人間が宴会費タダ!」
「お、そうだ、すっかり忘れてたなぁ!」

進藤の表情がぱあっと輝いた。
足立も「やるぞぉ!」と意気込んでいる。

「あ、トトカルチョっスか?オレも入れてくださいよ!」

教室に入ってきた西尾(軍人)が話に乗ってきた。
この4人は、何度も経験したプログラムの担当の時に、いつも宴会費を賭けてトトカルチョをしていた。

4人はソファーに腰掛けた。

「今回は、特別ルールにしません?」

田中が資料を漁った。

「“特別参加者”と“戦闘実験体”を入れるとつまらないでしょ?
 だから、この2人を除いて、誰が最後まで残るか…とか」

「…よっし、採用!!」

進藤が親指を立てて、爽やかに笑った。
歯が白く光りそうだ。

「じゃあ、オレはっと…やっぱり不破千尋だな!!
 プログラムを破壊する作戦が立てられようが立てられまいが、
 何だかんだで最後の方まで生き残りそうだ!!」

「お、さすが先生、1番人気!!」

足立が声を上げた。
自分も賭けるつもりだったのか、いささか不満げだったが。

田中は資料をまじまじと見つめ、ゆっくりと口を開けた。

「オレは…女子10番・曽根崎凪紗ですかねぇ…
 戦闘能力なら並の男子より優れてるみたいですし…
 今一緒にいる男子10番・設楽海斗も良いんですけど…」

「田中はそう来たか…じゃあ、オレは…」

足立が田中の手から資料をもぎ取った。

「やっぱ女子4番・桐島伊吹っスね!!
 なんか頭脳プレーで生き残れるタイプだし!!
 ダチを平然と殺してる事がポイントっスよね!!
 男子9番・真田勝も捨てがたいんスけど…
 いまいち情を捨てきれてなさそうっつーか…」

「そうだなぁ、上の人気も高いし、とっとと情を捨ててほしいもんだな!!」

「そうっすよねぇ!」

進藤と足立が高笑いをした。
この2人は性格が似ている、田中はあまりの騒がしさに溜息を吐いた。
そして、足立の手から資料を取り返し、西尾に渡した。

「お前は?」

「オレっスか?
 そりゃあもう、一目見た時から決まっていますとも!!」

田中は顔をしかめた。

西尾には、ある好みがある。
名付けるなら少女少年趣味、要は可愛らしい中性的な顔をした少年が好みだ。
それを知ったのは、初めて西尾と一緒にこの仕事をした時だ。
あの時は、気に入った男子生徒の写真を持って帰っていた。

「おい、どうするんだよ…」
「どうするって…言わなくてもいつかはバレるし…」

C=07エリアにあるデパートの中では男子たちの忍んだ声が聞こえた。
他に何の音もしない為、それが懐中電灯の明かりしかない暗闇の中で響くように聞こえ、それを気にしてか、その声は更に小さくなる。

「でも…言えるか?」

稲田藤馬(男子4番)が幾分沈んだ声で訊いた。

「…オレは……ちょっと……」

藤馬の相棒である斎藤穂高(男子8番)の声も、藤馬のそれに劣らず沈んでいた。
藤馬はそうだよな、と呟き、俯いた。

「なぁ…どうする、不破…」

穂高が見た先、不破千尋(男子17番)は無言でぼんやりと外を眺めていた。
脱出する為の準備作業は、今は中断されている。
それどころではなかったのだ。
つい先程あった、放送のせいで。

つい先程、進藤幹也(担当教官)の相変わらずうるさい声で放送があった。
今奥で仮眠を取っている濱中薫(女子14番)が起きなかったのが不思議なくらいだ。

次に禁止エリアになるのは、1時からは東の方にある畑の一部が入っているE=10エリア、3時からはアスレチック公園の西の一部が入っているF=2エリア、そして5時からは南側の住宅地が入っているI=06エリア。

しかし、そんな事は今はどうでもいい。
問題は、この放送で呼ばれた死者だ。
今回呼ばれたのは、「このプログラムで最多だ」と進藤が喜んでいた、6人だ。
サッカー少年だった笠井咲也(男子5番)。
真面目な姿が印象的だった津田彰臣(男子13番)。
グループは違うが千尋とは気があった不良少年の脇連太郎(男子20番)。
文学少女で将来は小説家になると豪語していた小南香澄(女子6番)。
彰臣の幼馴染で薫とは部活仲間だった高山淳(女子11番)。
――そして、12時間ほど前まではここにいた、姫川奈都希(女子15番)。

薫は寝ているのでまだ知らないだろう。
部活仲間もだが、幼馴染がもうこの世にいない事など。

「なぁ、不破ぁ…」

「…ヤな天気」

千尋がぽつりと呟いた。
全く関係のない事だったので、藤馬は文句を言おうとした。
しかし、懐中電灯の明かりで僅かに見える千尋の表情は、今までとは違う悲しげな笑みを浮かべていたので、何も言えなかった。

「今日は晴れてたら満月に近かったのにね…
 まあ、気持ちが晴れ晴れしてる人なんていないだろうし…
 丁度いい天気なのかもね…」

それだけ言い、再び千尋は黙ってしまった。
藤馬と穂高は顔を見合わせ、外を眺めた。
確かに月は確認できない。
そういえば、千尋が夕方にぼやいていた。
「明日は雨かな」、と。
皆の気持ちに天気が同調するかのように。

千尋もショックを受けているのだろう。
連太郎とは気が合っていたようだったし、帰ってくると約束していた奈都希ももういない。

朝っぱらからご苦労さんwww
マジキメエwwww

女子10番・曽根崎凪紗(そねざき・なぎさ)

部活は無所属。不良グループ1リーダー。クラス1低身長。
父親は反政府組織の人間。
父親に教え込まれ、銃の扱い・武術は得意。



外で設楽海斗(男子10番)と合流。話し掛けてきた周防悠哉(男子11番)から逃げ出す。
E=04エリアに潜伏。父親からの手紙を読み、全員を探す事を決意。麻酔銃入手。 真中那緒美(女子16番)の呼びかけ後、全員を探すために移動開始。
F=05エリアで真田勝(男子9番)に襲われるが、引き分ける。
G=06エリアで岩見智子(女子2番)・三河睦(女子17番)の死体を発見、その凄惨な光景に衝撃を受ける。 民家で矢田美晴(女子18番)と会い、仲間に誘うが拒否された為別れる。 海斗を守る事を誓う。
F=03エリアで長門悟也(男子14番)に会う。 悟也が死を受け入れている事に衝撃を受ける。
F=06エリアで悠哉から結城緋鶴(女子19番)の事を聞く。
G=06エリアで緋鶴に襲われる。負傷した海斗から緋鶴を離す為に奮闘し、麻酔弾を撃ち込むが、自身も負傷。意識を失う。ファイブセブン入手。
G=06エリアで覚醒。悠哉と羽山柾人(男子16番)に助けられていた。柾人と別れ、静養。その後悠哉と共に移動。
G=08エリアで海斗と再会。 放送後、移動。
倒れた不破千尋(男子17番)と勝を発見、2人を看取る。千尋のピアスを貰い、プログラム本部へ向かう。
本部で父の死を目の当たりにし、衝撃を受ける。爆発予定の校舎内にADGIメンバーが取り残されている事を知り、救出に向かう。竹原(元戦闘実験体)に襲われ窮地に陥るも、結城緋鷹に救われる。井上稔(ADGI)・柳瀬伊織(ADGI)を救出し、脱出の為にヘリに向かう。
ヘリ内で海斗を看取った。
失ったものの大きさに一時は抜け殻のようになるが、父からの手紙を読み、父の遺志を継ぐ為にADGIに入ることを決めた。

2年後、プログラムの妨害作戦に参戦。

 

FC2で暴れた凪紗ちゃんの2年前でした。
好き勝手に暴れてくれる凪紗ちゃんは書きやすくて好きな子です。
平穏な日は似合いません、日々喧嘩に明け暮れていた子ですからね(^_^;)

『残りは3人、頑張ってくださいね』
 

放送が切れた。

新しいクラスに変わった次の日から始まったプログラム。
恐らく今年度の第1号だ。
教室にいると、突然眠気に襲われ、気がつけばこの会場にいた。

試合の進行は遅かった。
恐らく、2日と20時間は戦い続けている。
この会場が、少し広すぎると思う。

 

“自分”はマシンガンを見つめる。
これは確か最初に殺した男子生徒が持っていた。
名前は知らない。
茶髪で肌が浅黒かった、恐らく運動部所属だろう、身のこなしが軽かった。

続いて、自動拳銃の弾数を確認する。
これは昨日の夕方に殺した女子生徒が持っていた。
1度だけ同じクラスになったことのある人。
大人しそうで、分厚いレンズをはめ込んだ眼鏡が印象的だった。

そして、地面に置かれていた探知機を手に取った。
これは、少し前に殺した男子生徒が持っていた。
名前は知らない。
血で汚れている“自分”に停戦を求めてきた彼は、恐らくクラスを束ねる委員長タイプだ。

 

“自分”は全身が赤黒く染まっていた。
自分の血は、ほとんどない。
大方殺した時に浴びた返り血だ。

キモチワルイ。

早く、終わらせたい。

 

残りは3人。

“自分”を入れて3人。

そして、残りの2人は、今こちらに向かって移動中だ。

誰かはわからない。

名簿にいちいち印などつけていないから。

知る必要もない。

どうせもうじき死ぬのだから。

姿が見えた。
向こうはこちらに気付いていない。

1人は、利発そうな男子。
自動拳銃を握り締めながら、慎重に辺りを見回している。
しかし、“自分”に気付いていないのはどうかと思う。

もう1人は、可愛らしい女子。
こちらは怪我をしているらしく、歩き方がおかしい。
持っているものは、刀だろうか。

彼女は知っている。

“自分”の、恋人の、双子の、妹。
恋人は、クラスが違うので、無事だろう。
妹の参加に反対して政府に何かをされていない限り。

2人でいるということは、“やる気”ではないのだろう。
しかし、たった2人しか生き残れないというこの状況で、残り3人しか居ない、どうする気なのだろう?

まあ、どうでもいいことだ。

殺してしまうのだから。

 

“自分”はマシンガンを構えた。
大丈夫、苦しませたりはしない。
銃の扱いには自信がある。
一思いに、殺してやる。

男子がようやく“自分”の存在に気付いた。

しかし、もう遅い。

“自分”のマシンガンが火を噴く。
同時に、2人の頭に数箇所穴が開き、2人はそのまま倒れた。

 

 

『おめでとうございます。
 禁止エリアを解除するので、本部に戻ってきてください』

 

 

まずは終わった。

長かった。

早く戻ろう。

こんな所に長居はしたくない。

早く帰りたい。

政府内部連絡文書二〇〇〇年度第〇〇〇〇四九号
総統府監房特殊企画部防衛担当官並専守防衛陸軍幕僚監部戦闘実験担当官発

共和国戦闘実験第六十八番プログラム二〇〇〇年度第一三号担当官宛

 

 次回ノ戦闘実験第六十八番プログラム対象クラス

 神奈川県四宮市立篠山中学校三年四組

 男子十九名

 女子二十名

 計三十九名

 コノクラスニハ戦闘実験体十六号ガ在籍シテイルトノコト

 

追加

 

 志願者一名

 兵庫県神戸市立春日第二中学校三年二組男子九番

 周防悠哉(スオウ・ユウヤ)

 志願理由不詳

 過去ノ戦闘経験等ナシ

 念ノタメ、動向ニハ注意スルコト

 尚、出席番号ハ男子十一番ニ入ル

神奈川県四宮市立四宮中学校3年4組について。
担任・関本美香

半数以上のクラスが学級崩壊をしている学校内では、異例のクラス。
問題児の数は他のクラスとは変わらないが、クラス内での問題は少ない。
3つに別れた問題児グループ間での問題は起きていない。
本人たち曰く、停戦状態らしい。
全体的にグループ間に隔てが少なく仲が良い。
唯一の問題は、いじめ問題だろう。
解決には、時間がかかりそうだ。

 

生徒たちに、クラスについて聞いてみた。

 

『今のクラスについて、どう思いますか?』

 

青山豪(あおやま・ごう/男子1番)

「好きだよ、仲良しなクラスだと思うしね。
 でも正直言うと、一緒にいたくない人もいるかも… 浅原は?」

浅原誠(あさはら・まこと/男子2番)

「普通だね。 レベルの高い連中もいるから。
 ただ、レベルの低いヤツに合わせるのは不満だね、ねぇ、池田」

池田圭祐(いけだ・けいすけ/男子3番)

「…それってオレの事じゃないっスかね?
 オレは結構気に入ってるっスよ、勝サンがいるっスから。 稲田は?」

稲田藤馬(いなだ・とうま/男子4番)

「オレも好き! 楽しいもんな、このクラス!
 あー早く修学旅行行きてぇな! 咲也はどうだ?」

笠井咲也(かさい・さくや/男子5番)

「オレも好きだなー、なんか落ち着ける感じ。
 怖い人もいるけど、実は結構いい人たちだしな! 次は尚!」

工藤久尚(くどう・ひさなお/男子6番)

「オレも好き、毎日楽しいし!
 休み時間が待ち遠しいよな、イエイ! 栗原どうよ?」

栗原佑(くりはら・たすく/男子7番)

「気に入ってるぜ、でもオレはケンカしてぇな…
 あと、オレをからかうのやめろ、千尋!! 斎藤もそう思わねぇ?」

斎藤穂高(さいとう・ほだか/男子8番)

「その様子は見てると楽しいんだけどねぇ…
 あ、このクラスは大好きだぜ!! 真田は?」

真田勝(さなだ・まさる/男子9番)
「見てて楽しいのは同感だな。 オレはからかわれねぇし?オレも嫌いじゃないぜ、このクラスは。 設楽もそうだろ?」

設楽海斗(したら・かいと/男子10番)
「そうか? 十分からかわれてるだろ。
 このクラスはちょっとほのぼのしすぎかもしれないな。 伊達は?」

伊達功一(だて・こういち/男子12番)
「オレは大好きだぜ、このクラス!なんせ女の子が皆可愛いのなんのって… なぁ、アキ?」

津田彰臣(つだ・あきおみ/男子13番)
「コウ、お前その軟派な性格どうにかしろよ。このクラスが好きなのは同感だけどな。 長門はどうだ?」

長門悟也(ながと・さとや/男子14番)
「いいクラスですよ、恐らく今までで最高ですね。願わくば、皆無事に卒業したいものです… ねぇ、新島君?」

新島恒彰(にいじま・つねあき/男子15番)
「あぁ? どーでもいいし、別に好きでも嫌いでもねぇよ。ケンカしてぇのは栗原のチビと同じだ。 羽山にパスだ」

羽山柾人(はやま・まさと/男子16番)

「えっと…その…ケンカは…やめた方が…あ、いや…
 僕もこのクラスは好き…多分… 不破君は?」

不破千尋(ふわ・ちひろ/男子17番)

「大好きさっ、からかい甲斐のある子が多くて多くて…
 でもさ、君はちょっとからかい辛いなぁ、由樹クン」

美作由樹(みまさか・ゆうき/男子18番)

「千尋君さぁ、かなり歪んでるよね、性格が。
 でも、僕も好きだなぁ、このクラスは楽しいしね。 康介君は?」

柚木康介(ゆのき・こうすけ/男子19番)

「ユキ君毒舌… あ、オレも好きかな。
 平和でいいよね、争い事はいけないよ。 ねぇ、脇?」

脇連太郎(わき・れんたろう/男子20番)

「平和ねぇ…オレはケンカはするからなぁ…ちょっと物足りないな。
 あ、伊達の言う事はわかるよ、すっごく。 な、梢サン?」

今岡梢(いまおか・こずえ/女子1番)

「あたしに聞かれても困るっての。
 でもこのクラスは好きだな、あ、でも…岩見さんは…」

岩見智子(いわみ・ともこ/女子2番)

「あたしは嫌い。 大っ嫌いよ、こんなクラスなんか。
 …ううん、学校が嫌いなの。 …次は誰? 金城さん?」

金城玲奈(かねしろ・れな/女子3番)

「ウジウジしてムカつくわねぇ、あなた。
 クラス? 別に好きとかじゃないわ、あたしは。 伊吹はどう?」

桐島伊吹(きりしま・いぶき/女子4番)

「別にどうでもいいわ、そんなの。
 誰が一緒だろうと、あたしは干渉しないしされないし。 はい、黒川」

黒川梨紗(くろかわ・りさ/女子5番)

「えっと…あたしは好き…かも。 楽しいもん。
 いい子がいっぱいいるし… ねぇ、香澄ちゃん?」

小南香澄(こみなみ・かすみ/女子6番)

「うん、大好き、いいクラスよ、ネタになるし!
 いつかこのクラスをモデルにした小説書くんだ! どう思う、陽子?」

坂本陽子(さかもと・ようこ/女子7番)

「それいいんじゃない? 書いたら絶対読むよ!
 友達いっぱいいるから、大好きだなぁ… 貴音サンは?」

椎名貴音(しいな・たかね/女子8番)

「いいんじゃない? 退屈しないもの。
 まあ、嫌いなタイプもいるけどね。 透子は好きでしょ?」

駿河透子(するが・とうこ/女子9番)

「うん、大好き! 全員いい子だもんね!
 副委員長やっててよかった、って思えるの! 凪紗ちゃんは?」

曽根崎凪紗(そねざき・なぎさ/女子10番)

「さすが副委員長、立派なこと言うねぇ!
 あたしも大好き、最近は勝たちとも仲良くできて… 淳は?」

高山淳(たかやま・じゅん/女子11番)

「おれも好きかな、男子もいいヤツばっかだしね。
 遊んでて楽しいよ、運動能力高いし! 敬子姐さんも遊ばないかい?」

遠江敬子(とおとうみ・けいこ/女子12番)

「皆で遊ぶのも楽しいかもしれないですね。
 私も好きですよ、毎日が充実しています。 中原さんはいかがです?」

中原朝子(なかはら・あさこ/女子13番)

「んー別に好きとか嫌いとかないなぁ、普通かな。
 ツネ君が一緒ならそれでいいの! 濱中さんは?」

濱中薫(はまなか・かおる/女子14番)

「うわ、朝子ちゃんノロケ? 暑い暑い…
 薫、このクラス大好き! 楽しい! ナッちゃんも一緒だしね!」

姫川奈都希(ひめかわ・なつき/女子15番)

「はいはい、あたしも一緒で嬉しいよ、薫。
 珍しいよね、こんなに仲の良いクラスも。 ねぇ、那緒美?」

真中那緒美(まなか・なおみ/女子16番)

「うん、珍しいねぇ…でも楽しいから良し!
 薫、絶対漫才デビューしようね! はい、三河さん!」

三河睦(みかわ・むつみ/女子17番)

「あたしは好きじゃないね、馴れ合いは嫌いなんだ。
 正直、少しウザいかも。 矢田さんは?」

矢田美晴(やだ・みはる/女子18番)

「あたしは好きよ、楽しいし…仲良い子もいるし…
 不破君さえいなけりゃもっと楽しいわよ! 緋鶴、わかってくれる?」

結城緋鶴(ゆうき・ひづる/女子19番)

「何言うとんねん、実は不破君に相手してもらえてうれしいんやろ?
 ウチも好き、転校生のウチを皆受け入れてくれて… 遼サンもね」

吉原遼(よしはら・りょう/女子20番)

「それは緋鶴ちゃんに魅力があるからじゃない?
 あたしも好きよ、一緒にいてくれる子がいるんだもの」

 

私もこのクラスが大好きだ。
担任になれてよかったと思っている。

2000年6月2日――

「稔、起きて? 稔ってば!!」
井上稔(いのうえ・みのる/ADGI)は部屋の外でドアを激しく叩く音で目を覚ました。1つ大きな欠伸をし、眠い目を擦った。

「ぁんだよ…こんな朝っぱらから…今日はバイトねぇし…寝かせてくれよぉ…」
「朝っぱらじゃない、もう11時だよ!!アンタももうすぐ二十歳なんだよ、しっかりしなさい!!それより電話だよ、電話!!」

部屋の外で母親が叫んでいる。

「あぁ…? オレいねーよ、只今外出中…」
「…いいんだね? 大槻さんって方から…急ぎの用って言ってるけど?」
「…あぁ… あぁ!? おっさん!?」

稔は慌てて飛び起きた。

今日はオレは組織には呼ばれてなかったはずだぞ?しかも急ぎの用って… 何かあったのか?

「もしもし、おっさん?」
『稔…まさかまだ寝ていたのか?』

電話の向こうでは今、大槻正樹(おおつき・まさき/ADGI)が呆れた顔をしているだろう。

「…んなことどうでもいいんだよ、それより用って何?」

『そうだった、稔、今から来れるか?』

「そりゃあ…飯食ったら…」
『それからでいい、来てくれないか。次のプログラム対象クラスがわかったんだ。それが…私たちと無関係というわけでもないんだ』

稔は顔をしかめた。
無関係じゃない…ってどういうことだろう?

稔は食事を素早く済ませ、家を出た。

車を走らせて大槻の家に着いた。

中には既に数人のメンバーがいた。

「あ、こんにちは、稔ちゃんv」

にっこりと微笑んでいる小柄な黒髪のショートカットの女性は、この中では最も歳が近い柳瀬伊織(やなせ・いおり/ADGI)。
稔の1つ上の伊織も稔と同じ、プログラムの優勝者だ。
伊織は普通に中学・高校を卒業し、看護専門学校生だ。
とても年上には見えないが。

「おそよー稔。 11時起きだって?」

爽やかな笑顔を浮かべているのは、稔より5つ上の高谷祐樹(たかや・ゆうき/ADGI)。
とても気さくで優しい、いい人だ。
高谷が何故ADGIに所属しているのかはわからないが、プログラムの優勝者ではないらしい。

「えっと…おっさんは?」

稔は辺りを見回した。
この部屋には大槻はいない。

「買い物」

不意に静かな声が聞こえ、稔は奥の部屋を覗き込んだ。
そこには長い茶髪を適当に束ねている園山シホ(そのやま・しほ/ADGI)がおり、稔と目が合うとふいっと顔を逸らした。
まだ17歳という彼女は、すべてが謎だ。
今までに何があったのか、今どこに住んでいるのか、稔は全く知らない。

「伊織姉が来た時には、もうおっさんいなかったのか?」
「うん。 でも人を呼んどいて買い物ってねぇ…」

伊織は溜息を吐いた。
そして、稔にそっと耳打ちした。

「ねぇねぇ、稔ちゃん。稔ちゃんは…シホのことどう思う?」

どうして年上の稔が“ちゃん”付けで、年下のシホが呼び捨てなのかは謎だが、それは今はどうでもいい。

「…オレ、アイツ怖い。 苦手なタイプかな。そういう伊織姉は?」
「うーん… あたしも苦手なんだよねぇ…得体の知れない子よねぇ…リーダーに聞いたら『本人が言うまで待ちなさい』って言われたし…」

2人はシホの方をちらっと見た。
シホは長細い黒のケースを大事そうに抱えている。
あの中には、シホが愛用している突撃銃(USSR AK74)が入っている。
何故そんな物騒な物を後生大事に持っているのか、それも謎だ。

因みに、伊織の言う“リーダー”とは大槻の事だ。
大槻はADGI神奈川県支部のトップなので、皆にはリーダーと呼ばれている。
稔を除いて。

「ただいま、待たせてすまなかったね」

ドアが開き、大槻が入ってきた。

「おっせーよ、おっさん! …あ、チワっす、匠サン」

稔は大槻に悪態づいたが、その後ろにいた曽根崎匠(そねざき・たくみ/ADGI)に気付き、ぺこりと頭を下げた。匠は稔が最も尊敬している人物だ。古株というわけではないが、頭も良く、銃や格闘技の腕前も卓越している。匠には1人娘がいる。稔は何度か会ったことがあるが、彼女も銃や格闘技の腕前は凄い。身長がとても低いが(“チビっこ”と呼ぶたびに怒られた)、中学3年生らしい。

「リーダー、それで、あたしたちを呼んだ用って…」

伊織が大槻を見つめた。稔と高谷も大槻を見、シホも奥の部屋から出てきた。大槻は大きく息を吐いた。

「落ち着いて聞いてくれるかな?」

それは全員に問い掛けているようだったが、視線はずっと匠の方に注がれていたような気がした。

「…ハッキングで次のプログラム対象クラスがわかったよ。日にちは不明だが。で、それが…」

匠が大槻の視線に気付いた。ゆっくりと、口を開いた。

「ま…まさか…そんな…っ」

大槻が視線を下に逸らした。匠がその場にへなへなっと力無く座り込んだ。稔を含め、全員が理解した。次の対象クラスは匠の愛娘が所属するクラスだ、と。

「くそ…っ!!」

匠が床を殴った。肩が小さく震えているのがわかった。

「どうして…アイツらは…どこまでオレの家族を…っ!!」
「…アタシらはそのプログラムを破壊するために呼ばれたんだね?」

シホが落ち着いた口調で訊いた。大槻は頷いた。そして、匠の側にしゃがみ、肩を軽く叩きながら、全員に向かって静かに言った。

「匠君、祐樹君、伊織、稔、シホ…あと、“タカ”と“ヨーヘイ”…7人でパーティーを組んでもらう。匠君、君がリーダーだ」
「オレ…ですか?」
「そうだ、今回のパーティーの最年長だからね。それに、私は君の能力を買ってるんだよ?」

大槻は立ち上がり、稔と伊織の前に来た。稔は暫く口をぱくぱくとさせていたが、ようやく声を出した。

「おっさん… オレ、パーティーに参加したことねぇよ…」
「あ、あたしも… あたしなんかが参加してもいいんですか…?」

伊織も震える声で言った。稔は今までは大槻にハッキング技術を学んできたし、伊織は専門学校や大槻から救護の技術を学んできた。2人共銃を撃つ練習はしてきたが、実際にその技術を活用させた事は無かった。主に裏方の仕事を手伝ってきたので。大槻はにっこりと微笑んだ。

「大丈夫、自信を持ちなさい。君らの技術は、十分にパーティーに役立つよ」

稔は伊織と顔を見合わせた。
やるしかない、お互いの表情はそう語っていた。

「このことは…娘には…」
「黙ってた方がいいんじゃないですか?」

匠の声を遮って、高谷が言った。

「知ったからといって、逃げられるわけじゃない…その日が来るまでは、学校生活を楽しませてあげた方が…」

大槻は低く唸った。

「祐樹の言う事も一理ある…けど、全く何も知らないままというのも…」
「手紙でも書けば?」

シホがぶっきらぼうに言った。

「何かあった時は開けろ、とか言っといてさ」
「…そうですね…そうします」

匠が引きつった笑顔を浮かべた。

やるしかない。
最低限、足を引っ張らないように、やるしかない――

6月10日、PM3:00――

「そこ座れ!! 今から予定の確認するよ!!ほら後ろ、ちゃんと聞け!!」
中学生活最大のイベント、修学旅行を迎えていた神奈川県四宮市立篠山中学校3年生。
コースは奈良・京都と定番だったが。
そんな修学旅行も、とうとう最終日を迎え、最後の予定である京都観光も終え、クラスに1台のバスに乗り込んだ。
そのなかの1台、4組の生徒39名が乗る4号車の中では、担任である新米教師、関本美香が声を張り上げていた。
さすが毎日のようにグラウンドで声を張り上げる体育教師、その声にバスガイドも目をぱちくりとさせている。

関本の怒鳴り声も止み、バスが発車した。今まで大人しくしていた生徒たちが、徐々に騒ぎ出す。

「なあなあ、八橋喰おーぜ!」

頭の上から声が聞こえ、曽根崎凪紗(神奈川県四宮市立篠山中学校3年4組女子10番)は顔を上げた。そこには、八橋の入った小さな袋を持った、男子にしては小柄で目元の傷が印象的な栗原佑(男子7番)がにっと笑顔を浮かべていた。
佑はその小柄な体からは想像できないが、空手はお世辞抜きで強い。凪紗と佑は小学生の頃からつるんでいた仲で、凪紗が最も信頼している仲間だ。

「…それ、家への土産じゃなかったのか?」

凪紗の横に座っていた、こちらは佑とは対照的にクラス1大柄な設楽海斗(男子10番)が眉をひそめた。その目は、PK戦でボールを蹴る相手を睨みつけているようだ、いつものことだが(海斗はクラブサッカーでGKを勤めている)。
海斗は笑顔を滅多に見せる事はない、今も明らかに呆れた表情を浮かべている。

「いーの、オレ我慢できねぇもん! 母さんダイエット中だし!ほれ、凪紗、海斗も喰え喰え!」
「いいの? じゃあ…」
「あ、そう? じゃあいただきますかねぇ」

凪紗の手よりも先に、佑の横から手がぬっと伸びた。明るい茶色に髪を染め、端正な顔に眼鏡を掛けた不破千尋(男子17番)が、並の女子なら悩殺されてしまいそうな笑顔を浮かべ、八橋を口に入れていた。そんな千尋は、実は学年でも常にトップの成績を取り続けている天才児だ。

因みに、凪紗・佑・海斗・千尋の4人が、このクラスに所属する不良問題児グループの1つだ。不良、とは言っても、たまに授業をサボったり(千尋は滅多にサボらないが)ケンカをしたりする程度の、比較的大人しめの集団だが。一見接点のない4人がつるんでいる理由は色々あるが、それは今はおいておこう。そんな4人の唯一とも言える共通点――喧嘩の腕は逸品だ。

「だぁ!! 千尋こんにゃろテメェ!!
 1人1個だ、テメェ、今いくつ取りやがった!?」
「佑クンってば見てなかったのかい? 2つじゃないか」
「1人1つだっつってんだろうが!!」

千尋は怒鳴り声を上げる佑の手から八橋の袋をひょいっと取り上げ、後ろを向いた。

「勝クン、お一ついかが?」
「こら千尋テメェ!!さも『オレのなんだけど』みたいな言い方すんな!!」

千尋の視線の先には、もう1つの不良グループのリーダーである真田勝(男子9番)が眉間にしわを寄せていた。
勝は視線を千尋から佑に移した。

「…不破はそう言ってるけど? 栗原、貰っていいのか?」
「…いいけどさ、1人1つだからな」

千尋の手の中にある袋に、ごつい手が伸びた。

「ケチくせぇこと言ってんなよ、チビ。
 おらよ、もーらい、レンも喰うか?」
「あ、ツネ、取って取って、オレは1つでいいからさっ」

勝の後ろの席から手を伸ばしてきたのは、茶髪を逆立てた人相があまりよろしくない新島恒彰(男子15番)。
その横でニマニマとした笑顔を浮かべているのは、分かれた前髪の間から広い額が覗く髪形をした脇連太郎(男子20番)。

「あ、ツネさん、取り過ぎっスよ! 佑さんに悪いって…」

恒彰を控えめながら制しているのは、佑より少しだけ背が高く、容姿が少々落ち目の池田圭祐(男子3番)。

勝・恒彰・連太郎・圭祐の4人が、もう1つの不良グループだ。
こちらは近郊でも名前の売れた不良問題児たちだ。
何度か警察にお世話になったこともある。
もっとも、圭祐はパシリ的存在だが。
喧嘩の腕で言えば、凪紗たちと同等くらいだろう。

篠山中学校はいわゆる“荒れた中学校”だ。
不良少年少女の数はとても多く、毎日のようにあちこちで問題が起こる。
ケンカ・煙草は当たり前、いじめなどによる不登校児の率も高い。

そんな学校の中、この3年4組は異例のクラスだ。
不良少年少女が多い割には、平和なクラスである。
その大きな理由の1つに、凪紗率いるグループと勝率いるグループの停戦協定が挙げられる。
近郊の学校全部が荒れているこの地域では、不良たちの勢力争いが激しい。
そこで、凪紗と勝が話し合い、いがみ合っても仕方がない、という結論に達した。
今では1つのグループになりつつある。

しかし、この2つのグループの中の喧嘩好き、佑と恒彰の争いは絶えない。
絶えないが、レベルは極めて低い。

「そうだぞ、このバカ男!! ケースケの言う通りだ!!とっとと返せ、このバカバカバカバーカ!!」
「…何だと? 誰がバカだ、このチビチビチビチビ!!」
「バカはバカじゃねーか!!この前の中間考査、5教科合計100点切ってたくせに!!」

「ケッ、テメェも似たようなモンだろうがよぉ!!」
「バーカ、おれは102点だったもんねっ!!」

因みに、恒彰と佑はいつでもクラス内成績最下位を争っている。
このような口喧嘩は日常茶飯事であり、凪紗たちはいつも勝手にやらせている。

「あーあ、こういうのを『目くそ鼻くそを笑う』って言うんだよねぇ」

千尋が溜息を吐き、くるっと向きを変えた。

「はい、凪紗チャン、海斗クン、お一つどうぞ」
「オレはいい、甘いのは好きじゃない」
「あたしはもーらおっ」

凪紗は八橋を1つ口の中に入れ、周りを見渡した。

横では、女子の中では比較的大人しいグループが楽しそうに佑と恒彰の口喧嘩を観戦していた。
前の席で苦笑しながら見ているのは、肩までの黒髪と大きな目が可愛らしい黒川梨紗(女子5番)。
その奥の席で大笑いしているのは、丸い眼鏡と癖のあるショートカットの、自称小説家の卵である小南香澄(女子6番)。
香澄の後ろで呆れた表情を浮かべているのは、長い黒髪を1つに束ね、ボストンタイプの眼鏡がその聡明さを物語っているような優等生の矢田美晴(女子18番)。
その手前で楽しそうに微笑んでいるのは、凪紗と変わらず小柄で可愛らしい、関西からの転校生である結城緋鶴(女子19番)。

「…今日は何回目やっけ?」
「んー…5回目かな、知ってるだけで」

緋鶴と香澄が話しているのを聞き、凪紗は首を横に振った。

「香澄、違うよ、これで8回目」
「自由行動の半分はこれで消えたからねぇ」

千尋も溜息混じりに苦笑した。
可哀想に、と香澄が呟いた。

 

「そこ、いい加減にくだらない喧嘩はやめな!!」

 

関本がマイク越しに叫ぶ。
思わず凪紗は耳を塞いだ。

「恒彰、佑、アンタたち引き分けだ、この2大バカ!!」

関本がつかつかと歩いてきて、佑と恒彰の頭に拳骨を喰らわせた。
それを見たクラスメイトが一斉に笑い出す。

「美香ちゃんセンセー、止めないでよぉ!!」
「これからがいいトコだってのに!!」

笑い混じりに叫んでいたのは、クラスのお調子者の真中那緒美(女子16番)と、爽やか少年の工藤久尚(男子6番)。

「佑ちゃん、ドンマイだよっ!!」

佑にエールを送っていたのは、同じくお調子者の濱中薫(女子14番)だ。
佑が“ちゃん”を付けるな、と怒鳴る。

「センセー、これ以上叩くと2人の頭が悪化すると思いまーす!」

爽やかな笑顔を浮かべてそう言い放ったのは、久尚の幼馴染の笠井咲也(男子5番)。
それを聞いて、バス中に更に笑いの渦が巻き起こる。
佑と恒彰は暫くヒクヒクと顔の筋肉を引きつらせていたが、やがて「ケッ」と悪態づいてシートに座った。
それが同時だったので、収まりかけた笑い声が再び湧き上がる。

このクラスが異例だというもう1つの理由は、問題児グループがそうでないグループと仲が良いことだろう。
このクラス内では、グループ間の壁が比較的低く、全体的に仲良しだ。

そんな中で浮いている存在なのが、通称女子ギャルグループの4人だ。
リーダー格の桐島伊吹(女子4番)は無関心そうに窓の外を眺めている。
その横ではクラス1のお嬢様である金城玲奈(女子3番)がつまらなさそうに欠伸をしている。
いかにも馬鹿馬鹿しいという顔をしているのは、グループ内で唯一暴力的な三河睦(女子17番)。
恒彰の彼女である中原朝子(女子13番)だけが、『ツネ君落ち込まないで!』と叫んでいる。
伊吹のモットーが『干渉しないから干渉するな』だからか、繋がりの薄そうなグループだ。

その中の玲奈と睦から執拗ないじめを受けているのが、岩見智子(女子2番)だ。
智子は中2の途中から学校に来なくなったが(この学校では2年から3年に上がる時のクラス替えがない)、修学旅行だけは、と皆で半ば強制的に連れてきた。
今は何を考えているのか、ぼんやりと前を見つめていた。

 

 

空の色が暗くなっているのに、凪紗は気付いた。

あれ? おかしいな… いつの間に…
うとうとしてたかな…?

横を見ると、海斗が通路に落ちそうになりながら、眠っていた。
前の席を覗くと、千尋の肩に佑が頭を預け、やはり眠っていた。
シートの上に膝を付き、後ろを見回したが、全員が眠っていた。
凪紗自身、今にも眠ってしまいそうだ。

これは…異常だ!!

 

ガンッ

 

眠くもなく、元気な時なら、普通に避ける事ができただろう。
しかし、できなかった。
突然背後から後頭部を殴られ、凪紗は海斗の膝の上に崩れ落ちた。

恐らく、このクラスの大方の人間は『このクラスが大好きだ』と言うだろう。
もちろん、凪紗もこのクラスが大好きだ。

幸せだった。

その幸せが、徐々に崩れていく。

全てを、奪いながら。

5つ並んだバスの1つだけが、ルートを外れた。
地獄へ向かって、走り出した。

あぁ、頬がなんか冷たいな…うん、これは、机の感触…授業だ、起きなきゃ、起きなきゃ――
 

濱中薫(女子14番)はがばっと身を起こした。癖で外に跳ねた茶髪のショートカットの頭を掻き、辺りを見回した。
全員が机に突っ伏して寝ている、とても奇妙な状況だった。席順はいつもと同じだ、前には教卓もある、しかし違和感がある。
――そうだ、うちの教室は、もっと新しい。こんな古びた部屋じゃない。

えっと…おかしいなぁ…確か、修学旅行に来てたはずで…

薫は無意識に手を首へやった。少し、苦しい感じがしたので。その理由が、わかった。薫の首には、何かが巻きついていた。

な、なんじゃこりゃあ!!薫、犬じゃないぞ、猿に似てるとは言われるけど…ってそんな場合じゃない!!

薫だけではない、銀色に輝くそれは、全員の首に巻きついていた。

「アキちゃん、アキちゃん、起きて!!凪紗ちゃんも起きてよ、ねぇ!!」

両隣に座っている津田彰臣(男子13番)と曽根崎凪紗(女子10番)の体を揺すった。

「佑ちゃん!! コウちゃん!!」

前後に座っている栗原佑(男子7番)と伊達功一(男子12番)の体も揺する。

「ん…っ」

右側に座る彰臣がゆっくりとその大柄な体を起こした。眠そうに目を擦り、そして薫の姿を確認した。

「…あ、濱中、おはよ……ここは…?」
「なんか変なの、おかしいの!!ここ、学校じゃないし、薫たち皆、変な首輪してるし!!」
「首輪ァ…?」

大きく欠伸をしながら、佑が後ろを向き、薫の方を見た。
そして、何度か瞬きをし、首を傾げた。

「…濱中、趣味悪いモンしてるなぁ……津田も、伊達も…何してんだ?」
「栗原もしてるじゃねーか…」

功一も起き、佑の首輪を見た後、自分の首輪に触れた。

「…何だよ…おい、淳、起きろよ! 梢も起きろ!!」

功一が自分の近くにいる幼馴染の高山淳(女子11番)と、元彼女の今岡梢(女子1番)を起こし始める。
徐々に教室内が騒がしくなっていく。

「痛っ!!」

突然凪紗が悲鳴を上げた。
凪紗の横に座っている不破千尋(男子17番)が凪紗の後頭部を撫でていた。

「んー…たんこぶできてるよ、凪紗チャン。何したの、まさか海斗クンに殴られた?やっだぁ、ひっどーい!」
「んなことしてねぇよ!!」

茶化す千尋に、凪紗の前で心配そうにしていた設楽海斗(男子10番)が怒鳴った。
凪紗が頭を摩りながら呟いた。

「なんかさぁ、気がついたら皆眠ってて…おかしいな、って思ってたら、突然後ろから殴られて…」
「ってことは、冗談じゃないわよね…人を殴ってまで、あたしたちをここに連れてこないといけない理由って…?」

千尋の後ろにいた優等生の矢田美晴(女子18番)が首を傾げた。

薫は右の方を見た。
薫の幼馴染である姫川奈都希(女子15番)は、席の近い仲の良いメンバーである青山豪(男子1番)・工藤久尚(男子6番)・真中那緒美(女子16番)と不安げな表情で喋っていた。
その後方では長門悟也(男子14番)と柚木康介(男子19番)が話している。
悟也の悲しげな表情が、少し気に掛かった。

「ねぇ、透子?」

後ろの方から、凛とした声が聞こえた。
お姉様グループのリーダー的存在であろう椎名貴音(女子8番)だった。

「センセーから何か聞いてないの?」
「副委員長さんなら、何か先生から聞いてるんじゃないですか?」

貴音の後ろから、遠江敬子(女子12番)がおっとりとした口調で付け足した。
視線が最前列にいる副委員長、駿河透子(女子9番)に集まる。
しかし、透子は首を横に振った。

「ううん、あたし何も聞いてない!
 浅原君、浅原君は何か聞いてる?」

「いや、僕は何も知らない」

今度は最後列にいる委員長、浅原誠(男子2番)に視線が集まる。
誠は眼鏡を中指でくいっと押し上げ、横にいる羽山柾人(男子16番)と何かを話し始めた。

「おい、不破!
 テメェは1番前に座ってたろ、何か聞いたんじゃねぇの?」

不良グループの片割れのリーダー、真田勝(男子9番)が千尋に呼びかけた。

「さあ、何も聞いてないねぇ。 香澄チャンは?」

「んー…あたしも知らない、気がついたら寝てたんだもん」

誠の前の席の小南香澄(女子6番)も首を横に振った。

「もう、一体何がどうなってるのよ!!」

透子の横で坂本陽子(女子7番)が裏返った声で叫んだ。

「落ち着いたら? 耳がキンキンしちゃう」

陽子の斜め後ろから美作由樹(男子18番)が溜息混じりに言った。
その言葉の端々には、刺がある気がする。
しかし、いつもと変わらず可愛らしい笑顔を浮かべている。
陽子もその笑顔を見て落ち着いたようだ。

突然透子が立ち上がった。

「よし、あたしちょっと外見てくるね。
 浅原君も行こ、クラス代表として」

「…そうだね、見てこようか」

誠も立ち上がる。

透子は誠を引き連れ、教室の前のドアを開けようとした。

しかし、透子が手を掛ける前に、ドアが勢いよく開かれた。
中に入ってきた、軍服を着た人物が、透子と誠を突き飛ばし、2人は小さく悲鳴を上げてしりもちを付いた。

「着席!!」

2人を突き飛ばした人物が、叫んだ。
しかし、2人はわけがわからず、ただその人物を見上げていた。

「着席と言っているだろ!!」

その人物は、懐から何かを取り出し、2人に向けた。

「きゃあああ!!」
「うわああぁあ!!」

2人は悲鳴を上げ、一目散に自分の席へ向かった。
当然だろう、それはどこから見ても拳銃だったので。

軍服を着た3人が同じタイミングで止まり、一斉に敬礼をした。
その前を、ランニングシャツを着た浅黒い肌の筋肉質な男が堂々と通り、教卓に持っていた紙の束をバンッと置いた。

「はい、静かに!!」

筋肉質な男は叫んだが、既に喋っている者は1人もいない。
静かにしている事が少ない薫でさえ、何も言えなかった。
本能的に感じた、喋ってはいけない、と。
筋肉質な男は、にかっと笑みを浮かべた。

「はじめまして、オレの名前は進藤幹也!!今日から君たちの担任になりました!!幹也先生と呼んでくれたまえ!!」

進藤幹也? 担任?
何だそれ、何言ってんの…?

薫を含め、全員がそう思ったことだろう。

進藤と名乗る男は、大きく息を吸い込み、そして机を叩いた。

「君たちは、今回のプログラム対象クラスに選ばれたんだ!!光栄な事だ、おめでとう!!」

誰かが、「え?」と声を洩らした。

2012年5月31日(1日目)、10:50p.m.――


「あ、猫ちゃんだ」

プログラム本部である小中学校から見て真東に位置するE=05エリア、茂みの下からひょっこり顔を覗かせた暗がりの中で光る2つの瞳に、広瀬邑子(女子十五番)はたたっと駆け寄ってしゃがみ、小さな手を差し伸べた。
警戒しているのだろうか、猫は近寄らずに耳をピクピクと動かしていた。

「…誰かの飼い猫だったのかもね、首輪が付いてる」

邑子の隣に財前永佳(女子六番)が腰を下ろし、じっと猫を見下ろしていた。
永佳とは物心ついた頃からの幼馴染なので、彼女が猫が好きなことも、しかし父親が猫アレルギーのため飼うことを許されなかったことも知っている。
今も、猫をじっと見つめる永佳の横顔は穏やかだ。

「猫ちゃん、お腹空いてないのかなぁ…」

「そりゃあ、空いてるんじゃない?
 飼い主はここにはいないし、誰も世話してないだろうし」

あ、そうか。
今はプログラム会場になっている御神島は有人島で、民家があるのだから当然人が住んでいて、猫に首輪が付いているということはこれも当然だが誰かに飼われていて、飼われていたのだから食糧は飼い主に恵んでもらっていたはずだ。
しかし、現在、ここには住人は一人もいない。
プログラムが開始されてまだ一日は経っていないけれど、昨日住人をここから追い出したわけではないだろうから、この猫は数日何も食べていないこともあり得る。

可哀想だなぁ…
人間の都合で飼い主に置き去りにされちゃって…

邑子は鞄の中を漁るが、出てきた食糧は支給されたパンのみ。
邑子は暫くじっとパンを見つめた後、永佳を見上げた。

「猫ちゃんって、パン食べるのかなぁ?」

「…あんま聞かないけど…良くないんじゃない?」

永佳は眉間に皺を寄せて答えると、持参の鞄のポケットを探っていたが、飴しか出て来なかったらしく、「早稀が勝手に鞄に入れてくることもあったんだけど、もう全部食べちゃったか」と呟いて溜息を吐いていた。
永佳の表情が曇ったように見えたのは、いつも一緒につるんでいた水田早稀(女子十七番)との何気ない日常風景と、今朝撃って傷付け揉み合いになった時のことを思い出したからではないだろうか。
あの時、邑子は、早稀の恋人である日比野迅(男子十五番)に拳銃を突き付けられ人質に取られた。
怪我を負うことはなかったけれど、あの時の迅の険しい表情と低い声、首が締め付けられる感覚を思い出し、邑子は身震いした。

「パンはやめときなさい、猫は一応肉食なんだから。
 残念だけど俺たちが持っていてあげられるものは、水くらいしかないよ」

邑子と永佳の間から、すっと腕が現れた。
邑子たちの幼馴染、春川英隆(男子十四番)が、水を満たした丸みを帯びた長方形のプラスチックケースを猫の前に置いた。
猫は暫く警戒していたようだったが、やがてぺろぺろと水を舐め始めた。

「…何、この入れ物」

「ああ、眼鏡ケースの半分だよ、カッターで切り離したの。
 こんな状況だし、眼鏡ケースの一つや二つ、惜しくなんてないでしょ?」

永佳の訝しんだ問いに、英隆は右手に持った縁無し眼鏡と、蓋を切り離した水色のプラスチック製の眼鏡ケースの片割れを見せて笑んだ。
英隆は日常生活に支障が出る程ではないがやや視力が悪いため、授業中に限って眼鏡を掛けており、修学旅行にも念のため持参していたらしい。

「可哀想になー、にゃんこ。
 俺ん家のわんこは元気なのかなー」

「え、卓也はわんちゃん飼ってるの?」

邑子を挟んで永佳と反対側にしゃがんでいた望月卓也(男子十七番)に訊くと、元気は足りないけれど人懐こい笑みを返してくれた。

「おう、チワワの“いぬ丸”と、最近拾って飼い始めた“ワン太”!
 すっげー可愛いの!」

「ほんっと卓也さんってネーミングセンスない」

「同感、それ自分の子供に“人太郎”とか“人子”って付けてるのと同じだよね」

「あっ、永佳もヒデも酷い…俺可哀想!!」

「可哀想なのは卓也さんの家のペットたちでしょ」

可愛いペットに付けた名前を永佳と英隆から辛辣に批判された卓也は、しゅんとして猫の背中をそろりと撫でていた。
3人のやり取りが、まるで普段の生活の中から切り取ってきたような穏やかなものだったので、邑子は表情が自然と緩むのを感じた。

卓也は外見だけを見ると、茶髪にピアスといった派手な身なりをしているので取っつき難そうなのだが、人当たりが良くて人懐こい。
イベント事になればクラスを盛り上げていた人たちの一人で、所属するテニス部でもムードメーカーだ。
男子テニス部は全国大会での上位を争う常連校なので、邑子が所属する女子テニス部も含めて学校を上げて応援に行く機会も何度かあったのだが、団体戦ではレギュラーでありながらも応援している部員たちを盛り上げる応援団長でもあった。
初等部の頃から何度か同じクラスになっていたことや男女テニス部でテニスコートを共有していることもあったため、卓也と話をする機会は非常に多く、邑子自身が自覚できる程に卓也には可愛がってもらってきた。

永佳とは物心ついた時には既に仲が良かった。
昔は卓也と同じようにクラスの中心でクラスメイトたちを盛り上げることが多かったのだが、今では無表情であることが多く言葉もぶっきらぼうで、両耳には痛くはないのかと心配してしまう程のピアスを付け、付き合う友人も少し崩れた感じの派手な容姿をした面々が多い。
しかし、あまり表には見せないが周りのことを良く見る優しさは昔から変わっておらず、邑子には昔から変わらず優しいお姉さんのように接してくれる。
卓也と付き合い始めた時は、卓也に永佳を取られたようで悔しかったけれど、永佳が変わらず邑子に気を配ってくれていることが嬉しかった。

英隆も、邑子の中にある一番古い記憶の中には既に存在している程に長い付き合いで、邑子と永佳にとってはお兄さんのような存在だった。
一般庶民である邑子や永佳とは違って、ゆくゆくは祖父が経営する商社を継いでいく御曹司というやつなのだが(邑子たちよりも、城ヶ崎麗(男子十番)に近い人種なのだ、本当は)、そのような育ちを鼻に掛けることはない。
仲の良い男子たちとは一緒に騒ぎつつも気を配って世話を焼き(しばしば相葉優人(男子一番)や川原龍輝(男子五番)あたりには“オカン”と言われていた)、親しくなくとも柔らかな物腰で接するので、周りから好感を持たれやすい。
一部女子の中には英隆のファンクラブができている程だ。
ある時を境に、永佳とはどこか余所余所しくなっていたが、邑子に対しては昔から変わらず親しくしてくれて「邑ちゃん」と呼んでくれる。

みんな、邑子にとって大切な人たち。
プログラムなんてとんでもないことだし、誰かと戦うのは嫌だし、怪我をするのも死ぬのも想像するだけでも怖い。
しかし、邑子の心の端には安心している部分があった。
英隆も卓也も永佳も、きっと自分を助けてくれるから大丈夫、と。
背丈は邑子と似ているのに邑子と違ってしっかりしていて気の強い阪本遼子(女子八番)の、「アンタ、永佳とか春川とかに甘えてばっかじゃ駄目なんじゃないの?」という声が聞こえてきそうだが。

いつまでも猫を相手にしているわけにもいかないので、邑子たちは猫に別れを告げ、再び歩き出した。
はっきりとした目的地はないのだが、クラスメイトを探すために。
クラスメイトを探し、殺めるために。

英隆と永佳はこれまでクラスメイトを発見すれば積極的に攻撃し、宍貝雄大(男子八番)を殺害し、荻野千世(女子三番)を死に至らしめる原因となった。
邑子と卓也は何もしなくて良い――2人からはそう言われていた。
2人に任せて自分は何もしないなんて良いのだろうかと疑問に思う反面、クラスメイトを傷付けなくても許される現状に安堵している自分もいた。
小石川葉瑠(女子五番)に“共犯”と責められた時にはショックを受けたが、涙が枯れる程泣いた後に改めて考えると、英隆たちを止めない自分は確かに“共犯”なのだろうと思った。

いいんだ、ゆーこは“共犯”で。
だって、死ぬなんて怖いもん。
でも、誰かを撃ったり刺したりするのも怖い。
どっちもしなくて済むなら、ゆーこは“共犯”って言われた方がずっとずっと良いもん。


がさっ


不意に、右側から葉の擦れる音がし、邑子は足を止めた。

「邑ちゃん…?」

英隆の声色からは、気を付けろという思いが伝わってきたのだが、邑子はさして気にも留めず、茂みの方へ足を向けた。

「さっきの猫ちゃんかも」

先程水を与えた猫が、ついて来てしまったのかもしれない。
どこかに、先程見たものと同じ光る瞳があるはずだ――邑子は茂みの傍にしゃがみ、枝の隙間を覗き込んで猫の姿を探した。
しかし、光る瞳はどこにも見当たらない。

代わりに邑子が目を留めたのは、枝の色とは少し違う、ブラウン地のチェック模様――そう、邑子にとって見慣れた、帝東学院中等部の男女の制服のズボンやスカートの布地の模様。
そこまで思考が及ぶと同時に邑子は丸い目を大きく見開き、ばっと顔を上げた。
何かが自分目掛けて近付いており、邑子は「わっ」と声を上げながら咄嗟に上半身を後ろに倒しつつ、反射的に両腕を顔の前に出して防御の構えを取った。
次の瞬間、左腕を鋭い激痛が襲った。

「あああぁぁぁぁあぁっぁあッ!!!」

邑子は絶叫し、痛みの突き上げる左腕を右手で押さえた。
右手が生温い液体で濡れた。
左掌から肘の裏側に掛けてすっぱりと皮膚が裂けていたのだが、ただ痛くてたまらないということ以外、今の邑子にはわからなかった。

「邑ちゃんッ!!」

英隆が邑子に駆け寄った。
邑子を抱えようとする英隆に、襲撃者が再び襲い掛かった。

「春川、前ッ!!」

永佳がデイパックをぶんっと振るうと、それは襲撃者に当たり、「ぐっ」という短い悲鳴が聞こえ、襲撃者の身体がよろけた。
永佳は目の端で別の人物を捉え、もう一度デイパックを振るったが、今度は空を切るに終わり、相手はお返しとばかりに何かを持った手を振り下ろしてきた。
永佳はデイパックを捨ててその手を押さえようとしたが、伸ばした手は空を切り、何かが緑色のカーディガンの左肩部分を掠めて繊維を裂いた。
永佳は一瞬怯んだが、すぐに襲撃者に飛びつき、2人はもんどり打って倒れた。

「財ぜ――……ッ!!」

英隆の叫びを掻き消すように、ばんっという破裂音が響いた。
次の瞬間、卓也が何かに弾かれたように仰け反り、尻餅をついた。

「卓也ッ!!」
「びびびびっくりしたぁ!!」

英隆の切羽詰まった叫びを掻き消すように卓也は大声を上げた、どうやら深刻な怪我は負っていないらしい。英隆が邑子を抱えて卓也に駆け寄ろうと腰を浮かしたが、邑子を斬り付けた襲撃者が刃物を振り翳したのを目の端で捉えると、邑子を庇うように覆い被さった。振り下ろされた刃物が、英隆の背中に突き刺さった。英隆の唸るような呻き声が、抱き締められた邑子の耳にも届いた。

「ハルカワ…ハルカワぁッ!!」
「だい…じょうぶ、平気…ッ」

英隆はそう答えるが、本当は大丈夫ではないことは、苦しげな声が物語っていた。そして、英隆の後ろ、邑子と英隆の血で汚れた刃が、三度襲い掛かろうとしているのを見、邑子はぎゅっと目を閉じた。

しかし、新たな痛みは来なかった。代わりに銃声が響き、邑子が目を開けた時には、襲撃者は表情を歪めながらぐらりと身体を傾けていた。
邑子は顔を少し右に向けた。視線の先、永佳が、大型自動拳銃コルト・ガバメントを両手でしっかりと構えているのが見えた。永佳が、邑子と英隆を助けるために発砲したのだ。

やっぱりひぃはゆーこを助けてくれた…ハルカワもゆーこを助けてくれる…ゆーこ、ひぃもハルカワもだーい好き…

「あらあら、容赦ないのね、財前さん」

おっとりとした、けれどもどこか冷たい声が聞こえ、邑子は視線をそちらに向けた。木の陰から現れたのは、クラスの中ではあまり目立たないタイプで、邑子はほとんど関わったことのない女の子――つい先程まで銃声が響き負傷者が出ている状況だというのに笑みを浮かべている鷹城雪美(女子九番)だった。いつも穏やかに笑顔を浮かべている人ではあったけれども、何かが違う。何が違うのか具体的に言葉にできないが、今の雪美の笑みを見ていると、何故か背筋を何かがぞわりと這い上がるのだ。

「…鷹城さん…そこから動かないで…動いたら…撃つから、季莉のこと」

永佳は鋭い視線を雪美に向けたまま、コルト・ガバメントの銃口を、永佳が馬乗り状態になっているために動けずにいる湯浅季莉(女子二十番)の額へ向けた。
銃弾を放ったばかりの熱せられた銃口が額に当たり、季莉は「ひッ!」と短く声を上げ、永佳を睨んだ。

「ひ…永佳…アンタ…ッ!!」
「何。 先に襲ってきたのは季莉でしょ。大体しょうがないじゃん、これ、プログラムなんだから」

永佳の冷たい声――いや、冷たく振舞う声は、邑子の耳にも届いていた。永佳が本当に心から“しょうがない”と思っているわけがない、なぜなら、永佳は昔からとても優しい人だから。
それでも、永佳は邑子たちと生き残ることを何よりも優先し、これまで親しくしてきた季莉に銃口を向けている。邑子たちのことを一番に考えてくれることが嬉しくて、けれども申し訳ない。

くつくつと上品な笑い声が聞こえ、邑子は身震いした。
雪美が笑っていたのだ、この状況で!

「そう…そうなの、財前さんたちは、やる気になっているのね」
「…だったら、何。これだけこっちのこと襲っといて怪我させといて、批難でもする気?」

今では殆ど表情を変えなくなってしまった永佳だったが、雪美の笑みも落ち着き払った声も不気味に思ったのだろう、眉間に皺を寄せて険しい表情を浮かべていた。むしろここまで表情を変えていないのは、笑顔を浮かべている雪美の方だった。雪美は笑みを浮かべたまま、首を横に振った。

「ううん、むしろ好感が持てるくらいよ?この状況で『戦うなんておかしい』とか言っている偽善者より、よっぽど信用できる」
「…信用とかされても、嬉しくない」
「やだ、つれないこと言わないで。せっかく、ここは引き分けにしてお互い引きましょうって、言おうと思ったのに」

邑子も、邑子の視線の先にいる永佳も、目を見開いた。邑子を護るように四つん這いになっている英隆も、肩越しに振り返り雪美を見た。
ここで、引き分け。ここで、この戦いが終わるのなら、みんなの手当てができる。みんな、死ななくて済む。すぐに雪美の言うことを受け入れるべきだ――邑子はそう思ったのだけれど、どうやら事態はそう単純なことではないようで、英隆が身体を起こして雪美に向き直った。邑子に向けた背中、カッターシャツがほぼ真っ赤に染まっていた。
心臓を握り潰されそうな感覚が、邑子を襲った。

「…わからないな、鷹城さん…その、真意は?」
「わからなくはないと思うけど…春川くんは馬鹿じゃなさそうだし。簡単な話よ、やる気になっている人同士がここで潰し合うより、お互い頑張って人数を減らした方が、早く終わらせることができるでしょ?だから、人数が減るまでは、お互いには手を出さずにいましょう、そういうことよ。悪い話じゃないと思わない?」

英隆の首が、少し右へ動いた。季莉の動きを拘束している永佳と、視線を交わしたのだ。
プログラムを生き抜くために、邑子や卓也を護りながら戦うことを決めた2人が、雪美の提案を受け入れるか否かを視線のみで相談したのだろう。その様子に雪美は一つ溜息を吐いた。

「わからない?見逃してあげる、そう言っているのよ?」

涼やかな声には迫力があるわけではないのだけれど、邑子の身体は硬直した。言うことを聞かなければいけない、邑子の中の生存本能が、そう叫んでいた。

「見逃す…随分上から言うね、ムカつく。あたしが季莉を撃てないとでも、思ってるの?」
「思ってないわ、あたし、財前さんのやる気を“信用”してるもの。信用してるからちゃんと忠告してあげる、今どっちが上なのかを。…賢吾、松栄くん」

雪美のやんわりとした呼びかけに、永佳の発砲で倒れていた、邑子と英隆を傷付けた犯人である榊原賢吾(男子七番)が中学3年生にしては少々老けている顔をしかめて右肩を押さえながら立ち上がり刀を英隆と邑子に向け、これまで姿を潜めていた松栄錬(男子九番)は気の弱そうな苦悶の表情を浮かべながらも卓也に向けて銃弾を放った回転式拳銃S&W M36“チーフスペシャル”の銃口を永佳に向けた。
英隆の「成程ね…」という引き攣った声も、離れた所にいる永佳の舌打ちも、邑子の耳にまで届いた。

「…わかった…退くよ、引き分け…というよりこっちの負けみたいなものだけど。
 財前、湯浅さんから離れなさい」

永佳が季莉にコルト・ガバメントの銃口を向けたまま立ち上がった。
雪美を睨み付けたが、雪美がいつもと変わらない垂れ気味の瞳でじっと永佳を見つめると、永佳は溜息を吐いて季莉から銃口を外した。

「ふふっ、話が早くて助かるわ。
 大丈夫よ、貴方たちが背中を向けた瞬間に『パーン!』ってことはしないから。
 ねえ、賢吾?」

「…あっそ、それは助かるわ。
 邑ちゃん、春川、立てる?
 それから卓也さん、腰抜かしてないで手伝って」

永佳は邑子と英隆の傍に駆け寄り、離れた場所で尻餅をついたまま固まっていた卓也に声を掛けた。
卓也は「だ、大丈夫、手伝う手伝う!」と騒がしく声を上げて駆け寄ってきた。
卓也は英隆の脇の下に腕を通し、立ち上がらせた。

「…馬鹿ヒデ、お前…大丈夫だよな?」

「うん、大丈夫…死なせたりしないから、安心して」

「おう、頼むよ…命大事にしてくれないと」

2人が囁き声でやり取りをしたのは、英隆がリーダーであることを雪美たちに知らせたくないからだろう。
「ほら、わっせ、ほいせっ」、「ちょ、卓也速い、響くから…」、「あ、ごめん」と言葉を交わしながら、2人の背中がゆっくりと離れていった。

「邑ちゃん、立てる? 抱っこしようか?」

永佳が邑子の背中と地面の間に腕を入れ、邑子の身体を起こした。
酷くふわふわとするこの感覚は何だろう――ああ、貧血だ、邑子は頭の中ですぐに自分を襲っている症状の答えを導き出した。
まずは永佳に「大丈夫だよ」と言わなければ――そう思い、口を開いたのだが、喉の奥から絞り出した声は、自分のものとは思えない程に弱々しく、微かな声すら永佳に届けることを邪魔するかのように、上下の歯がガチガチと小刻みにぶつかり合った。
身体が、震える――寒い。
幾ら日が暮れたとはいえ5月末、邑子は学校指定のブレザーは着用していないもののパーカーを身に付けているのだから、こんなにも寒いはずがないのに。

「…邑ちゃんどうしたの、寒いの…?」

邑子は、知らなかった。
賢吾に斬られた腕の傷は掌から裏肘に掛けて一文字に裂けていたのだが、手首の動脈も切り裂かれていたということを。
今が明るければ、地面に紅い水溜りができていることがはっきり見て取れることを。
クラスで最も小さなその身体からは、命に関わる量の血液が失われていたことを。

「…少し頑張って邑ちゃん、抱えて運ぶから」

永佳は邑子を所謂“お姫様だっこ”をして運ぼうと、邑子の膝の下に腕を入れた。
されるがままになっていた邑子は、視界にぼんやりと永佳を入れていたのだが、永佳の背後で賢吾が動き、反射的にそちらに焦点を合わせた。
賢吾が、刀を構えた。

ひぃが、危ない…!!

邑子は身体に残る力を振り絞り、永佳の手を振り払った。
永佳が驚愕で見開かれた瞳で邑子を追った時には、邑子は永佳と賢吾の間に立ちはだかっていた。


誰かを傷付けたり殺したりするのは怖い。
自分が死ぬのだって怖い。

でもね、ゆーこ、もっと怖いこと、わかったんだ。
ハルカワもひぃも、いつもゆーこを助けてくれる。
それは嬉しいよ、いつも甘えていたいって思ってきたよ。
でもね、でもね。
ハルカワの真っ赤な背中と、ひぃが錬にピストル向けられたの見て、わかったの。

ハルカワとひぃがいなくなる方が、もっと怖いの、嫌なの。


賢吾の一撃が、邑子の細い首を貫いた。
倒れる時、永佳の驚愕した表情が見え、英隆の叫び声が聞こえた。

ハルカワもひぃも、いなくなってない。
よかった、よかったよ、2人共いなくなってなくて、本当に――

邑子の意識は、深く深く潜り込んだ。
二度と戻ってくることができない、深い深い場所へ。

長く時間が開いたので、一先ず現在状況を載せます。

【現状】

死者(5人):漆山、、綺堂、???、???、???

【体調】

体 健康

心 普通

【武器】

加藤:コンバットナイフ、サバイバルナイフ、拳銃、スモークグレネード、手りゅう弾

矢幡:ナイフ×2、スタンガン、拳銃、サブマシンガン(玩具)、催涙ガス

【ツールボックス】

加藤:GPS、地図拡張機能、死亡者数表示、同階の生存者数表示

矢幡:GPS、換気ダクト見取り図

【PDA情報】
A 陸島

3 御剣

5 北条
6 手塚
7 色条


10
J 矢幡

K 綺堂
JOKER 加藤

私たちが手に入れたのは催涙ガスと手榴弾だった。

催涙ガスは麗佳に、手榴弾は私が持つことになった。

やはり階数が上がっていく度に緊張感が増してくるのは、前回と同じようである。

ここ、自分自身への罪悪感すらも全て無くしてくれるかのような、そんな狂った空間だ。

気が付けば綺堂を殺した感触すら、忘れかけている――

「……ねぇ、晶」

「ん、何?」

「晶はあと奇数のプレイヤーを1人殺害しないといけないのよね?」

「うん、そうだけど」

「もし、いま死亡しているプレイヤー全員……ううん、大半が奇数のプレイヤーだったら、条件を満たすのがかなり難しくなると思うけわ。だから、早い内に探知系のソフトウェアを手に入れるべきじゃないかしら……?」

「そう、だね……」

麗佳の言いたい事は分かっている。

死亡者5人全員が奇数だった場合、生き残っている奇数のプレイヤーは麗佳ともう1人の誰かである。しかし、エクストラゲームで北条が偶数のプレイヤーを殺害していたとしたら――


私は“麗佳”を殺さなければ解除条件を満たすことが出来ない。


それだけは有ってはならないことであり、だからこそ少しずつ焦りが出てきているのだ。

死亡者5人全員に偶数のプレイヤーが1人も含まれていない確率はかなり低いと言っても良い。

しかし、可能性は0ではないのだ。少しでも可能性があるからこそ、心が落ち着かないのだ。

「……晶」

私は不安な顔をしている麗佳の手を握った。

「考える前に行動しよう。それが、私たちにとって最善の策だからね」

「……ええ、そうね」

もたもたしている間にどんどん奇数のプレイヤーが減るかもしれない。

そうなる前に私が殺害すればいいのだ――

私たちはこのあとどうする?

>>525
>>526
>>527

>>527のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>525
34~66 >>526
67~99 >>527

参加者探し出す

探索する

探索する

「取りあえず、プレイヤーを探そう」

「ええ」

4階には私たちを除く4人がいるため、比較的出会いやすいだろう。

私たちはいつもより速く進み始めた……。


私たちが出会ったのは?

コンマ判定1個下


00~30 御剣たち

31~60 ???

61~90 ???

90~99 出会わない

【43:00】

歩き始めて1時間ほど経過した――

「……誰もいないみたいね」

奇襲を防ぐために前方を麗佳が、後方を私が見ながら進んでいるのだが、なかなか精神的に疲れてくるものがあった。

私は偶数のプレイヤーを殺害してはいけないため、奇襲されたら反撃すれば良いという軽い気持ちで行く事も出来ない、という要因もあるからであろう。

「麗佳、少し休憩しない? そろそろ集中力が切れてしまいそうだから」

「えぇ、そうね。それじゃ、そこの通りを曲がってすぐにある部屋に――ッ!!」

角を曲がりかけた麗佳が口を閉じて後ろへ下がった。

「麗佳!?」

「いま、葉月さんらしき人が居たわ……!」

小声で麗佳と会話をしていると、廊下を挟んで声がこちらに届いた。

「れ、麗佳さん! 無事だったんだね……!」

葉月の泣きそう声がこちらに聞こえてきた。

まさか彼がここまで生き残っているとは、驚きである。

「葉月さんも、よく御無事で……。ずっと1人で行動していたんですか?」

「あぁ、そうなんだ……。その、加藤さんは、無事なのかい……?」

彼は突拍子も無く殴りかかった私についても心がけているようだった。

麗佳は無言でどう答えるか、ということを訴えてくる。


ここは……

1.無事だ、と麗佳に答えさせる

2.無事だ、と私が答える

3.はぐれた、と嘘をつく

4.死亡した、と嘘をつく

5.その他

>>531
>>532
>>533

>>533のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>531
34~66 >>532
67~99 >>533

2

1

「私も無事よ」

少し迷ったが、あまり時間を置き過ぎると向こうに不信感を与えてしまうため、私は咄嗟に口を開いた。

「……そうか。2人とも無事でなによりだよ」

葉月は少し時間を置いてからそう答えた。

やはり私の声を聞いて、あの時のことを思い出したのだろうか。

「取りあえず、近くの部屋で話をしないかい? もしかしたら、お互いに協力し合えるかもしれないからね」

「晶、どうする……?」

「…………」


私たちは、葉月の提案に……

1.乗る

2.乗らない

3.条件付きで乗る(要記載:条件)

4.このまま襲撃する

5.提案に乗る振りをして襲撃する

6.走り去る

7.その他

>>536
>>537
>>538

>>538のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>536
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67~99 >>538


7,まず、いきなり殴ったことを謝罪。理由を聞かれたら1回目の参加時のトラウマと答える。
話には自分とレイカの安全を確保した上でなら乗る。

4 絶対罠だ

4 ブラック葉月だろこれは

「罠だ。葉月はきっと私たちを殺しに来るはず……。だから、こっちから襲撃しよう」

一度ゲームを経験している私だからこそ分かる。

恐らく葉月は私のことが殺したくて仕方ないだろう。

だからこそ、平然を装ってこちらが油断した隙を突こうという魂胆だ。

仮に殺す気が無いとしても、もはやここまでゲームが進んでしまえば同行者以外は“全員”敵である。

「確かに、そうですね……。私たちも色々話したいことが――」

麗佳が葉月と会話をして時間を稼いでくれているが、襲撃までにあまり時間は残されていない。

(いま私が持っている武器は……)



コンバットナイフ、サバイバルナイフ、拳銃、スモークグレネード、手りゅう弾



これが、私の持っている武器全てである。戦闘に使えそうなソフトウェアは無いため、これらを用いて襲撃するわけだが……。

(葉月のPDAの番号が分からないのは、厳しい――)

もし襲撃した際に、葉月を誤って殺害してしまった場合のリスクはかなり大きいだろう。

それにもし私のPDAの番号を向こうが知っているならば、かなり厳しい状況になってくる。

しかし、私は奇数のPDAを持つ生存者を麗佳以外知らないのだから、ここで引いてはならない。


私は……どう襲撃する?

>>542
>>543
>>544

>>544のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>542
34~66 >>543
67~99 >>544

スモックを先に使って、ナイフを使って葉月押し倒す

八幡のスタンガン 自分は丸腰を装い、安心させたところに

銃で足を撃ち麗佳に催眠ガスをなげてもらう

「――それじゃ、間の部屋で話しましょう」

私たちは、葉月の思惑を利用して逆に襲撃する形を取ることにした。

麗佳にはスタンガンをいつでも作動できるようにさせ、私は丸腰であるかのように振る舞うことにした。

私が戦闘で廊下に出ると葉月の姿が見え、お互いに距離を少しずつ縮めていく――

(……どうでるか)

一歩進むごとに空気が張り詰めていくのが、じわじわと感じられる。

普段と変わりない様子の葉月がいつ豹変するか、と私は瞬きをせずにじっと見つめていた。

(くっ……!)

あと10歩も満たない距離に近づいても、葉月は不審な動作を見せることが無かった。

逆に襲撃してこないことが不審である――

「加藤さん、大丈夫かい? 随分と顔色が悪いようだが……」

「……大丈夫よ」

葉月の“戯言”が私の精神に追い打ちをかける。

どういうタイミングで彼は襲撃してくるのか、ということが全く読めない――

「先に入らせてもらうよ――」

扉の前に先に辿り着いた葉月が部屋に入っていく。


私は……

1.ここで襲撃する

2.いや、取りあえず部屋に入ろう

3.このまま葉月を置いて引き返す

4.その他

>>546
>>547
>>548

>>548のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>546
34~66 >>547
67~99 >>548

2かな








――撃たれた

私が部屋に入ろうと扉を開けた瞬間に、銃声が響き渡った。

麗佳の叫び声が遠くから聞こえてくるような、そのような感じがする。


銃弾は……?

コンマ判定1個下

00~05 頭

06~15 胸

16~25 腹

26~45 脚

46~70 腕

71~99 外れる

「か、は…………っ――」

私は突如襲われた激痛に倒れそうになる。

「は、はは…………ハハハハハ! こうも簡単に騙されるとはね!」

葉月は続けざまに銃弾を放ち、私は気が付けば片膝を付いていた。

「晶!!」

麗佳が拳銃で葉月に銃弾を連発する。

「は、はは…………やった、僕はやり遂げたんだ……!」

葉月はそれを避ける事も無く全て受け止めて、そのまま床に倒れた。

「あぁ……もう、疲れたよ――」

麗佳が泣きながら葉月に銃弾を撃ち込み、気が付けば彼は動かなくなっていた。

「あぁ……れい、か…………」

「少し待って、いま救急セットを用意しているから!」

私は膝に力が入らなくなり、その場に横に倒れ込んだ。

「良かっ、た、傷は浅いみた、いね……っ! これなら、助かるわ……っ!」

「そう、なんだ……よかった、よ……」

私は痛みに堪えながら麗佳に笑みを送るが、彼女の瞳からは涙が止まっていなかった。

「ほら、少しずつ血が止まって……止まって…………ッ!」

「うん……ありがとう、麗佳……」

それは、体内からかなり流血してしまったからであろう。だが、その現実を麗佳は認めたく無いようだ。

「晶…………あき、ら……ッ!!」

麗佳の泣きじゃくった顔が、少しずつ淀んでいく。

「れいか……ごめん、ね……」

瞳から水が沸いて、麗佳の顔がぼやけて見える。

「大丈夫……大丈夫、だから……っ! 私たちは……一緒に、このゲームをクリアするんでしょ……?」

無理矢理に作られていると分かっていても、麗佳の笑顔が眩しい――

「そう、だったね……約束、守らなきゃ。私が、麗佳を……まも、るから……」

「約束よ……? ずっと……ずっと、私と一緒よ……っ?」

「うん……。麗佳……」

「うん。なに……?」

「好き、だよ……。いや……あい、してる――」

私は弱々しく麗佳の頬に手を当てる。

そして、軽くキスをした――

「私も、晶の事……っ! ずっと、愛してる“から”――」

【DEAD END】

【進展】

02:00  目を覚ます

02:30  御剣と姫萩が出会う 
       陸島と郷田、色条、高山、長沢が出会う……郷田、高山、長沢が去る

03:00  手塚と出会う
       矢幡と葉月が出会う
       綺堂と漆山が出会う
       
03:30  寝ている北条を見つける……PDAが“5”と判明 結果的に手塚がPDAを奪う

04:00 ■漆山が綺堂に暴行し、ルール違反で死亡
       綺堂/御剣/姫萩と出会う

04:30  ルールが全て揃う

05:30  矢幡/葉月が高山と出会う

06:00  GPSを入手
       手塚のPDAが“6”と判明
       北条と陸島/色条が出会う

07:00  コンバットナイフ、地図拡張機能を入手

08:00  矢幡/高山/葉月と出会う……手塚/矢幡と同行する事になる 葉月と高山が別れる
      ★加藤が葉月を襲撃……麗佳によって止められる
       葉月が去る

08:30  矢幡のPDAが“J”と判明

09:30  2階へ到着
       加藤/矢幡、手塚に分断される

10:00  サバイバルナイフ、スタンガンを入手
      ★葉月が手塚を襲撃……手塚が軽傷を負う 葉月が逃げ出す

10:30  長沢と高山が出会う

11:00  御剣/姫萩/綺堂と出会う
       御剣のPDAが“3”と判明

14:00

15:00  手塚と再会する
       手塚が解除条件を満たす……首輪を受け取る

16:00  高山/長沢を見つける……接触せず

17:30  陸島/色条/北条と出会う
       陸島のPDAが“A”、色条のPDAが“7”と判明
       階段がシャッターで閉じられる……エクストラゲームが提供

18:00  エクストラゲーム開始

18:30 ★高山/長沢が加藤/矢幡を襲撃……上手く回避

20:00 ■陸島が北条に殺害される……エクストラゲームによって北条のPDAがAとなる

20:10 ■色条が北条に殺害される

21:00  3階へ到着

22:00  換気ダクト見取り図、拳銃を入手

22:30 ■郷田が葉月に殺害される

23:00 ★加藤が御剣/姫萩/綺堂を襲撃……銃弾が綺堂の肩に命中

23:30 ■綺堂が加藤に殺害される

24:30  麗佳に過去のことを話す

26:00  ドアのリモートコントローラー、拳銃を入手

27:30  戦闘禁止エリアに到着

37:00  同階の生存者数表示、スモークグレネード、サブマシンガン(玩具)を入手
       麗佳と接吻

40:00  4階へ到着

42:00  催涙ガス、手りゅう弾を入手

43:00  葉月と出会う
      ■加藤が葉月に殺害される……DEAD END

【PDA情報】
A 陸島(北条) Q殺し 
2 葉月 JOKER破壊
3 御剣 3名以上殺害
4 郷田 首輪3つ
5 北条 チェックポイント
6 手塚 偽装機能5回 
7 色条 全員遭遇
8 高山 PDA5個破壊
9 漆山 殲滅
10 長沢 首輪5個爆破
J 矢幡 24時間以上共に過ごしたプレイヤーの生存
Q 姫萩 生存
K 綺堂 PDA5個回収
JOKER 加藤

【死者】
漆山、陸島、色条、郷田、綺堂、加藤


今回のゲームは主人公の死亡により、終了となります。

次回のゲームはいつになるか分かりませんが、続行すると思います。

次回からのゲームに対する要望や意見等があれば、お願いします。

それでは。

間が空いたからルールの確認とかしたいな。
連投の禁止とか、

>>562

ルールは考えられる限りでは……


・安価に明らかに関係ないレスは無効となる。

・安価時の連投は止むを得ない場合を除いて無効となる。

・安価が無効となった場合、1個下を採用する。

・ゲームやそれに関係すること以外で不必要にレスする事は控える。


ぐらいだと思います。

ご返答ありがとうございます。

>>1かWikiに書いてあれば参加しやすくなるんじゃないかな、とも。
明文化されてれば毎回、聞き直す必要もないですしね。

質問なんですが、リベリオンズが出たので2ndステージの方をやる予定はありますか?需要があるかはわかりませんが

>>564
確かにそうですね。次スレからは>>1に記載するようにします。

原作キャラとの知り合いが2回続いたけど、二人とも死んでしまったなあ・・・。
次回は知り合いじゃない普通?のキャラに回帰するんだろうか。

今回は、復讐のハヅキングにしてやられたなあ。

>>565
キラークイーンよりも需要があるのであれば、やるかもしれません。
ただ、1回しかプレイしていないのであやふやな部分が多々あります……。

>>567
他プレイヤーと知り合い関係となると、行動制限がかかってしまう点が難しいところだと思います。
また、次回からはリピーターに対してはある程度ペナルティーを加えようと思います。

リピーターが本気で行動すると真っ先にエレベーターで最上階行くんだろうなあ。

>>568 個人的にはキラークイーンの方がいいです。逆に同人版とか需要次第でありですか?

あぁ、せっかくレズカップルが…
8回終わって未だに生存描写がないのはNGSWと葉月さんだけか
そして死んでも生きてても印象の薄い郷田…

リベリオンズの方も面白そうやけど既に14人いるからPDA関係が難しそう

>>570
言って無かったのですが、建物にエレベーターは設置されていないという設定になっています。

>>571
有りです。ただ、現在のゲームから変更されるとしたら色条の性格くらいです。

>>572
コンマ判定で彼らと出会う確率が何故か低いという事と、彼らの人柄や性格上生き残り辛いのはしょうがないかと思います。

>>573
リベリオンズは割と人間関係に縛りがあるので、ゲームの進展が同じ感じになるかもしれません。
ですので、キラークイーンのキャラとリベリオンズのキャラをランダムに混ぜてやる、というのも一つの手かもしれません。

麻生咲(女子1番)は、一人ずつ教室を出始めてから24分後、デイパックをもらい部屋を出た。
時計を見ると、3時24分を指していた。かなりの時間、寝ていたらしい。

生まれて初めてだ。 人間の死体を見たのは。 それも身近な人間の。

中岡先生…あの人の死に方はひどかった…
あの兵士は狂ってる…普通、死んだ人を人に向かって投げつける?
そのせいで、近くで見てしまった…
頭が半分なくなっていた。顔についてたもの――あれは血と脳味噌だろうか? とにかく、それも見てしまった。

そして、閑谷邦康(男子6番)。 あまり親しくはなかったものの、ショックだった。
教室を出るとき、その死体を見てしまった。 見ないつもりだったのに。 胴から外れた頭。 うつろな瞳は、天井を睨んでいた。 怖かった。

 

外へ出た。

ここが、このふざけたゲームの会場になる。 ゲームと呼ぶこと自体がふざけているけれど。 緑あふれるこの場所で、クラスのほぼ全員が死ぬ。 考えただけで恐ろしかった。

みんな死ぬ…

そう、中岡や邦康のような死体がゴロゴロ転がる。
頭が半分なくなった死体、腕がもげた死体、首が胴から離れた死体…

胃の中のものが突き上げてきた。

咲は茂みの方へ入った。

「うぇ…かは…っ」

ダメ…あの2人の死体が目に焼きついている…

咲は、胃の中の物を出した。 目に涙が滲んでいた。
デイパックのジッパーを開け、ペットボトルを手探りで探した。 ペットボトルのふたを開け、水を口に含み、口を濯いで吐き出した。 まだ口の中に酸の味が残っている。

「もう…ヤだよぉ…」

どうしてこんな目に会わないといけないの?
どうしてウチのクラスなの?
どうして…?

そうだ…こうやっていつも私が泣いているときは…絶対に駆けつけてきてくれて…優しく抱きしめてくれた…
クラスのみんなは知らないだろうけど、一応付き合ってるんだよね、あたしたち。
本当に大好きだから…あたしは…会いたい…会いたいなぁ…

「咲!」

咲は慌てて振り返った。 聞き覚えのある、男子にしては高めの声…

「た…まき…?」

そこにはきゃしゃな体つき、そこらの女子よりも可愛らしい、いつもの皆川玉樹(男子16番)の姿があった。 月の光で白い顔と手がぼんやりと浮かんで見えた。

「咲、よかった…」

玉樹は優しく咲を抱きしめた。咲の茶色の髪を優しく撫でた。

「玉樹…玉樹…会いたかったよぉ…怖かったよぉ…うわあぁぁぁぁ!!」

咲は玉樹の胸の中で、泣いた。
きっとこれは危険行為だ。
それでも玉樹は何も言わず抱きしめていた。 さっきまでの一人きりの恐怖はどこかへ行ってしまっていた。 今あるのは、幼馴染であり恋人でもある、玉樹に会えた事による安堵感、それでいっぱいだった。

 

咲は大分落ち着いてきた。フウ、と一つ小さなため息をついた。

「咲、気分は大丈夫?」

「あ…うん、ゴメンね。 こんなところで…こんな場合じゃないのに…」

そうだ、ついさっき吐いちゃったんだ。そんなトコで…

玉樹は首を横に振った。

「いいよ。出しちゃった方がすっきりするでしょ?
 僕もホント…吐きそうだよ。こんな事になって…」

咲は「そうだ」と呟き、自分のデイパックを引っ張り、ジッパーを開けて中を漁り始めた。中には色々入っていた。食料、水、コンパス、懐中電灯…そして、果物ナイフ。そんなものが入っているとは聞いていないから、これが支給武器、というものだろう。

咲は玉樹の方を見た。ズボンのベルトにはベレッタM92Fが差し込まれていた。

これが銃…初めて見た…

ゴクッと唾を飲み込んだ。

玉樹は立ち上がった。

「とにかくここから離れよう?禁止エリアっていうのになっちゃうし…」

「でも…誰かに会うかも…」

「大丈夫だよ」

玉樹が座って自分の方を見ている咲に手を差し伸べた。そしてにっこり笑った。

「大丈夫。咲は僕が守るから」

咲は自分の顔が真っ赤になっているのがわかった。夜だから玉樹には見えてないよね、よかった。

何とか立ち上がり、デイパックとショルダーバッグを持った咲は、玉樹に手を引かれ、移動を始めた。

本当に、かっこいいな、玉樹は。こんな状況でも冷静だし…

ずっと…ずっと一緒にいたい…

やっぱり、あたしはあなたが大好き、大好きだよ…

坂出慎(男子5番)は、デイパックとショルダーバッグを担ぎ、部屋から出た。
逆立てた金髪を生やした頭を掻きながら、外の緑いっぱいの空気を吸って、吐いた。
やっぱ外っていいよな?…あの部屋、血の匂いが充満していやがった…

慎は唇を噛んだ。

ふざけんな、あの進藤とかいうマッチョ野郎…

「慎!」

聞き覚えのある声を聞き、その方向を向いた。 不良仲間で短めの茶髪にパーマをあてている、井上稔(男子2番)が茂みから顔を出して、こっちにこい、と合図をしていた。 慎は稔の方に駆け寄り、再会の喜びを表して、右手同士をパンッと合わせた。

「良かったぜ。待っててくれないと思ってたよ、稔」

「何いってんだバーカ。 お前は信用してるぜ?」

2人はハハッと笑い声を上げた。

  

少し移動し、I=07エリアを抜け、森林公園の入り口付近まで来た。 そこで腰を下ろした。

「慎…どう思うよ?」

稔が口を開いた。

「あの進藤とかいうふざけた野郎…」

慎は拳を強く握り、地面を思いっきり殴った。

「オレはあいつをブッ[ピーーー]!
 許さねぇ…あのマッチョ…中岡殺しやがって…」

ニッと稔が笑った。

「オレも同意見だ。さっすが、同じこと考えてたか」

担任の中岡は、パッと見はさえないおじさんだったが、慎にとっても稔にとっても大切な人だった。 小学生時代から荒れていた2人は、親にも見離され、先生達からも呆れられていた。 どの大人も、自分達を構わなかった。 むしろ、存在していないかのように扱った。 そのくせ、何か悪いことがあったらすべてを2人に押し付けた。 そのため、2人は’大人’という存在が大嫌いだった。

しかし、中岡は、そんな2人に他の生徒と同じように接してくれた。 時には叱ったりもするが、何かが出来たときは褒めてくれ、悩んでいるときは相談に乗ってくれた。 これは他の生徒達から見たら何の変哲もない事だったと思うが、2人にとってはそれがとても嬉しかった。

そんな中岡を、政府はあっさり殺した。

許せなかった。

「ブッ[ピーーー]…のはいいけどよ、どうやって…?」

慎は訊いた。許せない、だけど報復の仕方がさっぱりわからない。

「とりあえず…武器、見ようぜ。」

2人はデイパックのファスナーを開けた。

稔のデイパックから出てきたのは、クマデ(あの潮干狩り、とかいうくだらない遊びで使うやつだな)だった。 慎の支給武器は、スコップ(こっちは芋ほりで使うような鉄製の物)が出てきた。

「おいおい…オレらに砂遊びでもやれってのか?」

「いや…宝探しじゃねぇの?」

プログラムに参加した男子生徒2人が会場で金銀財宝を発見! 新聞のトップ記事はもらったぜ、イエイ! …おいコラちょっと待てよ? これでは復讐なんて出来るわけがない。 返り討ちだ。

「どーするよぉ…」

慎が頭を抱え込んだ。稔はしばらく考えた後、口を開いた。

「仲間…探すか?」

「仲間…かぁ…
 でも、オレらみたいなヤツ信用してくれそうなのって…誰だよ?」

そう、2人はケンカもする、カツアゲもする、タバコも吸う、根っからの不良だった。 クラスでも浮いた存在だった。 そんな2人に、しかもこの状況で、誰が信用してくれるだろうか? おそらく、ほとんどの生徒は、この2人はやる気だ、と思っていることだろう。 ちくしょう。 こんなことになるんだったらボランティア活動でもやっとくべきだったぜ。

「やっぱ…委員長ペアとか?」

稔が言った。

正義感の強い、男子委員長の高橋良太(男子9番)と女子委員長の津川麻保(女子9番)なら、きっとこの状況でも戦おうとはしないだろう。 それに、差別とかは嫌いだから、きっと受け入れてくれるはずだ。 しかし、逆に危険因子だからとかいって殺される可能性がないわけではない。 正当防衛だから仕方がない、とか? まともなヤツほど狂うんだよな、こういう場合。 まぁ、簡単にやられたりなんざしないけど。

「それか…あのへんどうだ?ほのぼのカップル」

今度は慎が言った。

ほのぼのカップル、和田純直(男子20番)と原田千秋(女子16番)は争いごとは嫌いな人間だ。 千秋は、デイパックを進藤に投げつけるほど、このゲームに乗らないと主張していた。 しかし、この2人が自分達を受け入れてくれるかはわからない。

まあ、あとはごくプレーンな堤良樹(男子10番)とか富田宗(男子11番)あたりだろうか。 でも、サービスエリアで少し脅したからな…無理か。

「…やっぱ、咲と玉樹くらいだな…」

「だよな、あの2人なら…」

皆川玉樹(男子16番)と麻生咲(女子1番)は、クラスで唯一自分達に自然に接してくれていた。

 

中2の校外学習の班決めの時だったような気がする。

8人グループを作る、という事になったが、クラスで浮いていた存在の稔と慎には誰も声をかけてこなかった。 どうせさぼるつもりだったから、誰でもよかった。 余ったところにでも適当に入ろうと思っていた。

「ねぇ、井上君、坂出君。 一緒の班にならない?」

教室中が静まり返った。 担任の中岡もこっちの方を見つめていた。

2人に声をかける人間なんていないと思っていたので、驚いて振り返ると、咲が笑顔で立っていた。 外見はいささか派手だけど、誰にでも優しく、よく知らないがクラスメイトにはとても好かれているらしい。

「は?お前バッカじゃねーの?」

稔が咲を鼻で笑った。 すると横から幼馴染とかなんとかいう玉樹が咲の後ろから出てきた。 女みたいなヤツだ、と陰で笑ったことがある。

「バカじゃないよ。
 僕たち今、6人グループで、男子2人足りないの。
 だから、ダメかな?」

慎が玉樹の後ろを見ると、美祢達哉(男子17番)、川上理映子(女子3番)、黒沢星子(女子5番)、仙道桜子(女子7番)が震えているような感じで立っていた。 なんだよ? オレらは妖怪かってんだよ。

稔がため息をつき、立ち上がった。 稔は平均身長よりもやや低いが、玉樹や咲よりは高いので、2人は稔を見上げていた。

「オレらしか余ってねーから、仕方なく…か? ざけんなよ」

玉樹と咲が不思議そうな顔をして、お互いに顔を見合わせた。

「違うよ。 僕たちは仕方なくとか思ってないよ?」

「じゃあ、やっぱテメーらバカじゃん。
 オレらがどんな奴か知ってるんだろ?」

今まで黙っていた慎が口を開いた。 玉樹を思いっきり睨みつけた。

咲が慎と玉樹の間に入った。

「知ってるよ。
 ケンカ好きだし、タバコは吸うし、授業はさぼってるし……。
 でもね、あたしは2人とも本当はいい人だと思うよ?
 本当に悪い人なんて、このクラスにはいないと思うの。
 だから、みんなは2人のこと怖がってるけど、あたしは全然怖くないの。
 それじゃあダメなの?
 そんな考え方をするあたしとか玉樹とかはバカなのかな?」

大人しく咲の演説を聞いていた慎がククッと笑った。

「…わかったよ、オレの負けだわ。 一緒の班になるぜ、麻生」

稔も『降参』というように両手を顔の横の辺りまで挙げた。 咲と玉樹がにっこり笑った。

  

実際に校外学習に行ってわかった。 あの2人は本当に自分達に普通に接してくれていた。 本当にこのクラスには悪い人はいない、と思っている。 それ以来、玉樹と咲には普通に会話もするようになった。 時々、玉樹に『ちゃん』を付けてからかったりもした。 玉樹はそのたびに怒っていた。 どれもこれも懐かしい思い出だ。

「あの2人ならオレらを信用してくれるはずだ!」

「…でもさ、あの2人生きてるのか…?」

「稔…どういう事だ?」

稔は真剣な顔で慎を見つめた。

「あの2人は、このクラスに悪い奴はいない、と思ってるんだぜ?
 だったら、もしもこんなクソゲームに乗った奴に出くわしても…
 全く疑ったりしない…って事だろ?」

慎は目を見開いた。

そうだ! ヤバイ! あの2人ならどんな奴にでもだまされて殺されるかもしれない! 例えば…あの不良ギャル女の日生吹雪(女子17番)とかはやる気になるかもしれない。 そんな奴らに会ったとしても絶対に疑わないだろう。 しかも仲間にしようとするかもしれない。 ヤバイ…マジでヤバイ…

「稔、行くぞ」

慎が立ち上がった。

「行くって…どこにだよ?」

「バカかテメェ! 咲と玉樹を探しに行くに決まってるだろ!」

しばらく慎を見つめていた稔も、頷いて立ち上がった。 どこにいるかはわからないけど、まだそんなに遠くには行っていないはずだ。 まだこの辺にいるかもしれない。

  

絶対に殺させはしない。

土井雫(女子10番)はその小さな手にボウガンを持っていた。教室を出て、雫はすぐにデイパックのジッパーを開けた。怖い…怖いよ…誰かが襲ってきたらどうしよう…?その時、丸腰だったら危険だから、とにかく何か武器を…中から何かゴツい感じの弓に銃とかの引き金がついたような物が出てきた。 最初はよくわからなかったが、少し明かりがついている廊下で説明書を読むと、なかなか扱いやすそうなものだった。 扱いたくはなかったけれど。

「早く行け!」

見張りの兵隊が雫にマシンガンの銃口を向けた。

「ひ…っ!」

雫は慌てて荷物をまとめて、立ち上がった。この武器を使う機会がありませんように…雫は必死に祈った。祈りながらゆっくりと廊下を進んだ。出口が近づいてきたあたりで、雫は足を止めた。誰かがいる…誰…?ボウガンを握った手がガタガタ震えた。

「だ…誰?誰なの…?」

雫は震える声で訊いた。女の子、女の子ならいい…。女の子なら大丈夫だ、きっとやる気じゃない…

「その声…お前、土井か…?」

雫は目を見開いた。女の子ではなかった。 男の子だ。しかも、幼馴染の堤良樹(男子10番)ではない。良樹より6分前に、震えながら慌てて出て行った、勢多翼(男子8番)だ。

「おい…お前、何持ってるんだよ…?」

翼がゆっくり近づいてきた。雫はゆっくりと下がった。

「嫌だよ…来ないでぇ…」

震える手でしっかりと握ったボウガンを翼の方に向けた。 翼が足の動きを止めた。

「土井…オレを…[ピーーー]…のか…?やる気なんだな…?」

翼の右手に握られたカッターナイフの刃が月の光に反射して、鈍く光った。

「ち…違う! やだ…! 違うよぉ…!」

どんなに言っても翼の耳には届いていなかった。

「やる気なんだろ? そうなんだろ…?
 う…うわあぁぁぁぁぁぁ!!」

翼がカッターを振り上げ、雫に向かってきた。

「きゃあああああ!!」

雫は泣き叫び、翼の横を抜けて外へ出た。 その時にカッターの刃が雫の頬をかすめた。 翼が振り返り、再び雫の方へ向かってきた。

「オレは死にたくない! 死んでたまるかあぁぁぁぁ!!」

カッターを振り上げ、走ってくる。 さすがサッカー部FW、速い。距離がだんだん狭くなる。襲ってくる。あたしを[ピーーー]ために…

「やだあぁぁぁぁぁぁ!!」

雫は無我夢中でボウガンの引き金を引いた。 その反動でしりもちをついた。

勢多君は…?

ゆっくり視線を翼の方へ向けた。翼の首に何かが刺さっている。あれは…あたしが撃ったボウガンの矢!?

「土…井……や…っぱ…り…」

それだけ言うと、翼は前のめりに倒れた。雫は恐る恐る翼に近づき、そして目を見開いた。 首にはしっかり矢が刺さっていて、地面にはゆるゆると血が流れ出していた。

「いやああああああ!!」

雫の目から涙がぼろぼろ流れた。あたしは…あたしは人を殺した…!あたしは人殺し!人殺し!人殺し!ヒトゴロシ!!

「雫!」

茂みから幼馴染の堤良樹が出てきた。良樹君は見たんだ!あたしが勢多君を殺したところを!どうしよう!どうしよう!まさかあたしを[ピーーー]気なんじゃ…

良樹は雫の手を掴んだ。

「いやあぁぁぁ!! 離して! 離してぇ!!」
「落ち着け! 落ち着け雫!!」

手を振り解こうと暴れる雫を良樹は必死になだめた。

「やだよぉ! あたし、殺したんだ! 殺したんだよぉ! 人を殺したの!人殺しなのよぉ!!」

良樹は泣き叫ぶ雫を思いっきり引っ叩いた。雫は泣き叫ぶのをやめ、良樹をゆっくり見上げた。

「落ち着け、これは事故だったんだ! しょうがなかったんだ!」

強く雫の肩を揺すり、良樹が叫んだ。

「事…故…?」

「そうだ、事故だ。忘れるんだ。
 雫、オレと一緒にいよう?
 オレは絶対にお前を殺さないよ。だから、怯える必要もないんだ。
 わかるか?」

雫は涙でくしゃくしゃになった顔で、ゆっくり頷いた。

「よし、行こう。 ここにいたら危ないから…」

「…うん…」

2人はその場から走り去った。

  

雫の次に出てきた富田宗(男子11番)は言葉を失った。

翼の首に何か刺さっていた。

自分が出てくる直前に、翼らしいの叫び声と共に雫らしい泣き声が聞こえた。 あたりを見回したが、雫の姿はない。

「まさか…土井が…?」

しばらく考えたが、フウ、とため息をつき首を横に振った。

何かの間違いだ。 あの叫び声は土井じゃなかったんだ。 あんな大人しい子が人殺しなんてするはずがない。 でも、どっちにしても、これは一体誰が…?

宗は唇を噛んだ。

そして、翼のデイパックを持ち、そばに落ちていたカッターを拾うと、その場から立ち去った。

F=09とF=10の境目にある、廃れた工場の物だったらしい倉庫に、仲山行人(男子12番)とそのとりまきがいた。 
「どうして…こんな事に…?」

内藤真依子(女子12番)がため息混じりに呟いた。 真依子の横では佐久間佳江(女子6番)が泣きじゃくっている。 鈴木明也(男子7番)は冷や汗でずれたメガネを中指で押し上げ、ため息をついた。

「ねぇ、行人君…どうしよう…ねぇ…何か言ってよぉ…」

野口素明(男子13番)が倉庫に入ってからずっと黙って座っている行人の肩を揺すった。

「やめろ、素明。
 行人だって何か考えているかもしれない。
 お前だって少しは考えたらどうなんだ?」

優等生に似合った、少しきつめの口調で明也が注意した。

「だって…オレ…そんなの何も思いつかないしさぁ…」

消えそうな声で、素明が呟いた。 それを見て、明也がため息をついた。

「思いつかない、じゃないだろ?考える努力をしろよ」

「何よ、明也…あなただって口先だけじゃないの。
 頭いいんだから、何か案でも出しなさいよ。
 こういう時のための優等生じゃないの」

真依子がいささかきつめの口調で言った。

「バーカ。
 こんな時にどうすればいいですか、
 とかいう問題なんて問題集には載ってないんだよ」

「バカですって?
 何よ、役に立たなかったら天才だって無意味だわ!」

「じゃあ真依子、お前だって何か考えろよ」

「あたしだってねぇ、さっきから考えてるの!」

口げんかが始まった。 これはいつものことだった。 2人は気が合わないのか、何かと言いがかりをつけてはもめている。 この口げんかで昼休みをすべてつぶした事だってある。

「もうやめてよ!!」

佳江が持っていた、涙で濡れて丸まっているハンカチを2人の方に投げつけた。

「もうやめて! 今はそれどころじゃないじゃない!
 ケンカなんかやってもどうにもならないじゃない!」

泣き叫ぶ佳江を見て、明也と真依子はケンカをやめた。 たしかにどうにもならない。 むしろ、ケンカがきっかけで殺しあってしまうかもしれない。 そんな状況なのだ。

「ケンカはいけないよ、2人とも」

行人が静かに口を開いた。倉庫に入って行人は初めて口を開いた。とりまき4人は静かになった。

明也がメガネを中指で上げた。

「何か思いついたのか、行人…?
 こんなくだらない戦いに参加しないでもいい方法…」

「ああ」

行人がにっこり笑った。

「何何!? どうすればいいの!?」

素明が嬉しそうに飛び跳ねた。 佳江と真依子は抱き合ってはしゃいだ。

F=09とF=10の境目にある、廃れた工場の物だったらしい倉庫に、仲山行人(男子12番)とそのとりまきがいた。 
「どうして…こんな事に…?」

内藤真依子(女子12番)がため息混じりに呟いた。 真依子の横では佐久間佳江(女子6番)が泣きじゃくっている。 鈴木明也(男子7番)は冷や汗でずれたメガネを中指で押し上げ、ため息をついた。

「ねぇ、行人君…どうしよう…ねぇ…何か言ってよぉ…」

野口素明(男子13番)が倉庫に入ってからずっと黙って座っている行人の肩を揺すった。

「やめろ、素明。
 行人だって何か考えているかもしれない。
 お前だって少しは考えたらどうなんだ?」

優等生に似合った、少しきつめの口調で明也が注意した。

「だって…オレ…そんなの何も思いつかないしさぁ…」

消えそうな声で、素明が呟いた。 それを見て、明也がため息をついた。

「思いつかない、じゃないだろ?考える努力をしろよ」

「何よ、明也…あなただって口先だけじゃないの。
 頭いいんだから、何か案でも出しなさいよ。
 こういう時のための優等生じゃないの」

真依子がいささかきつめの口調で言った。

「バーカ。
 こんな時にどうすればいいですか、
 とかいう問題なんて問題集には載ってないんだよ」

「バカですって?
 何よ、役に立たなかったら天才だって無意味だわ!」

「じゃあ真依子、お前だって何か考えろよ」

「あたしだってねぇ、さっきから考えてるの!」

口げんかが始まった。 これはいつものことだった。 2人は気が合わないのか、何かと言いがかりをつけてはもめている。 この口げんかで昼休みをすべてつぶした事だってある。

「もうやめてよ!!」

佳江が持っていた、涙で濡れて丸まっているハンカチを2人の方に投げつけた。

「もうやめて! 今はそれどころじゃないじゃない!
 ケンカなんかやってもどうにもならないじゃない!」

泣き叫ぶ佳江を見て、明也と真依子はケンカをやめた。 たしかにどうにもならない。 むしろ、ケンカがきっかけで殺しあってしまうかもしれない。 そんな状況なのだ。

「ケンカはいけないよ、2人とも」

行人が静かに口を開いた。倉庫に入って行人は初めて口を開いた。とりまき4人は静かになった。

明也がメガネを中指で上げた。

「何か思いついたのか、行人…?こんなくだらない戦いに参加しないでもいい方法…」
「ああ」

行人がにっこり笑った。

「何何!? どうすればいいの!?」

素明が嬉しそうに飛び跳ねた。 佳江と真依子は抱き合ってはしゃいだ。

「それじゃあ、まずは…」

行人の視線が全員の荷物の方に向いた。

「みんなの武器をここに出してくれないか?」

「わかった!」

素明と佳江と真依子は、急いでデイパックを開け、武器を探した。 明也は行人を凝視していた。 行人もその視線に気づき、「ほら、早く」というようにあごで荷物の方を指した。

行人…お前…まさか…いや、そんなハズない、行人に限って、そんな…

  

倉庫の中にあった木箱の上に全員の武器を置いた。

佳江のデイパックからは自動拳銃(トカレフTT?33)、素明のデイパックからはシンプルなデザインのマシンガン(トンプソン SMG)が出てきた。 この辺はアタリの部類だろう。 真依子のデイパックからはキリ(ほら、図工とかで木に穴を開けるやつね)が出てきた。 可もなく不可もなく…まあ、どちらかといえば不可か? そして、明也のデイパックから出てきたのはセロハンテープ、行人のデイパックからは瞬間接着剤だった。 なんだ、これは。 オレたちに図工でもしろというのか? くっつけることしか出来ないな。 美術評価1。

「へぇ…これがマシンガンねー…」

行人が珍しそうに(いや、本当に珍しいはずだ。普通の人なら)トンプソンを手に取った。

「それで?どうするの?ねぇ…」

真依子が行人の側に寄った。 行人が爽やかな笑顔を浮かべた。

「まあ、見てなって」

ぱぱぱぱぱ、というタイプライターのような銃声と同時に、真依子の体に沢山の穴が開き、後ろに吹っ飛んだ。 仰向けになった真依子の体から流れ出した大量の血が床を濡らしていった。

倉庫中に銃声の余韻が響き渡り、その後一瞬静かになった。新しい血の匂いが充満し始めていた。

「きゃあああああああ!!」

「うわあああああああ!!」

佳江と素明が同時に叫んだ。 明也は呆然と行人を見ていた。

「うるさいよ、お前ら」

再びぱぱぱぱぱ、という銃声が響き、行人の側から走って逃げていく素明の背骨に沿って、十数個の穴が開いた。 素明はそのままうつ伏せに倒れた。 もちろん、絶命していた。

明也は下に置いてあったもう1つの銃器であるトカレフをとっさに拾い上げ、行人の側から離れた。 そして、5mほど離れたところ、恐怖で腰が抜けた佳江の前で振り返ってトカレフを構えた。

「どういうことだ、行人…」

声が震えた。 ちくしょう、震えてる場合じゃないのに。

行人が笑った。その笑顔がかえって恐ろしかった。

「だって、お前らこのゲームに参加したくなんだろ?
 だから、参加しないでもいいように殺したんだよ。
 賢明なお前ならわかるだろ?」

「行人…やっぱりそうだったのか…」

予感が当たってしまった。 行人が人殺しをする、という予感が。 明也は行人を呆然としながらも見続けた。
明也は決してバカでも愚かでもない。
素明・真依子・佳江が行人のある種のカリスマ性に惹かれて行動を共にしているのとは違い、明也は行人に見初められてグループに入った。 察しの良さも、行人が気に入っている明也の能力の1つだ。

「そ…そんなぁ…」

佳江が震える声で言った。目には涙が溢れていた。

「行人君…やめてよぉ…あ…あたし…そんな行人君、嫌だよ…
 元の…普通のかっこいい行人君に戻ってよぉ…
 あたし、いつもの行人君が大好きなのに…」

「ふー…ん。 いいよ、好きじゃなくてもさ。
 はっきり言って、ウザかったんだよね、佳江。
 いっつも側ではしゃいでさ…」

トンプソンの銃口を佳江に向けた。 佳江は目を閉じた。

ぱぱぱぱぱ、と3度目の銃声が鳴り響いた。 死を覚悟して、目を閉じていた佳江が違和感を感じ、目をゆっくり開いた。

「どうして…あたし生きてる…?」

そして目の前を見て、「ひ…っ」と声にならない声を上げた。 前にいた明也の体がゆっくりと傾き、倒れた。 佳江をかばったのだ。

「あ…明也…明也!!」

明也はその声に反応して苦しそうにゆっくり目を開いた。 ゲホッと咳き込み、血を吐き出した。 メガネのレンズは、おそらく倒れたときの衝撃で割れていた。

「か…佳江…逃げ…ろ…」

震える手でトカレフを佳江の手に預けた。

「どうして!? 何でかばってくれたの!? どうして!?」

佳江が泣きながら明也の肩を揺らした。 明也が苦しそうに笑った。

「当たり前…だろ…?
 好きな…子…守るのって…男の常識…だろ?」

好き? 好きだった? あたしのことを?

「だから――」

それだけ言って、明也は目を閉じた。 もう、息はしていなかった。

しばらく固まっていた佳江は、ようやく言葉の意味を理解した。

「好き…? あたしを…?
 だって、あたしずっと行人君が好きだって言ってたじゃない…
 その度に怒った顔してさぁ…バカみたいとか言ってけなしてたくせに…
 それなのに…どうして…どうして…?」

涙が後から後から溢れ出していた。

明也の気持ちなんて、一度も考えたことはなかった。 明也の目の前で「行人君が好きなの」と何度も言った。 そのたびに明也はどんな思いをしていたのだろう? どんな思いであたしを見ていたのだろう? どんな思いで…

「あーあ…明也死んじゃった。
 オレのお気に入りだったから最後まで残しておこうと思ってたのにさ…
 佳江、お前気づいてなかったんだ。
 優等生で、そこそこかっこよくて、それなりに運動もできて…
 こんなヤツがお前なんかのコト好きだったんだぜ?
 それなのにお前はずっとオレのことばっか…かわいそうになぁ…明也…
 オレは知ってたぜ。
 だって明らかに真依子に対する態度と違ってたもんな」

ククッと行人が笑った。 佳江は行人を睨みつけた。 トカレフを握り、立ち上がってゆっくりと下がった。 入り口の方に向かって。

「あたし…あなたのこと誤解してたのね。
 もっといい人だと思ってたのに…」

「それはお前の人を見る目がなかったってことだな。 残念無念…ってか?」

「あたし、あなたなんかに殺されない!
 殺されてたまるもんか! 逃げてやる!
 行人君なんか、誰かに殺されちゃえばいいんだ! バカぁぁぁ!!」

それだけ叫ぶと、佳江は倉庫の扉を開いて外に出た。 走った。 トカレフだけはしっかり握って。

「他力本願って嫌いだな。 殺したきゃ自分でやりな…オレみたいにな!」

ぱぱぱぱぱ、という銃声と共に佳江の体にいくつもの衝撃が走り、そのままスライディングをするように倒れた。 腹から左胸にかけて穴が開き、草むらに血溜まりを作った。

  

行人は佳江に近づき、絶命していることを確認してから、側に落ちているトカレフを拾い上げた。 再び倉庫にもどり、2つのデイパックに自分の修学旅行用の荷物で必要そうなものと全員分の食料と水を入れ、立ち上がった。

初めてだ、人殺しなんて。 楽しい、楽しいじゃねーか! ナイスだ政府! あの素明の怯えきった時の行動、明也の震えた声、佳江の人に裏切られたという絶望に染まった顔…楽しい! すっげー楽しい! もっと見たい! 恐怖にゆがんだ顔! もっと聞きたい! 恐怖にゆがんだ声! いいぜ、やってやる! 優勝してやるよ! こんな楽しいこと、途中で止められるか!

 

こうして、仲山行人は殺人鬼と化した。

 

男子7番・鈴木明也
男子13番・野口素明
女子6番・佐久間佳江
女子12番・内藤真依子  死亡

【残り34人】

『残りは3人、頑張ってくださいね』

放送が切れた。新しいクラスに変わった次の日から始まったプログラム。恐らく今年度の第1号だ。教室にいると、突然眠気に襲われ、気がつけばこの会場にいた。試合の進行は遅かった。恐らく、2日と20時間は戦い続けている。この会場が、少し広すぎると思う。“自分”はマシンガンを見つめる。これは確か最初に殺した男子生徒が持っていた。名前は知らない。茶髪で肌が浅黒かった、恐らく運動部所属だろう、身のこなしが軽かった。続いて、自動拳銃の弾数を確認する。これは昨日の夕方に殺した女子生徒が持っていた。1度だけ同じクラスになったことのある人。大人しそうで、分厚いレンズをはめ込んだ眼鏡が印象的だった。そして、地面に置かれていた探知機を手に取った。これは、少し前に殺した男子生徒が持っていた。
名前は知らない。血で汚れている“自分”に停戦を求めてきた彼は、恐らくクラスを束ねる委員長タイプだ。

“自分”は全身が赤黒く染まっていた。
自分の血は、ほとんどない。
大方殺した時に浴びた返り血だ。

キモチワルイ。

早く、終わらせたい。

 

残りは3人。

“自分”を入れて3人。

そして、残りの2人は、今こちらに向かって移動中だ。

誰かはわからない。

名簿にいちいち印などつけていないから。

知る必要もない。

どうせもうじき死ぬのだから。

 

姿が見えた。向こうはこちらに気付いていない。

1人は、利発そうな男子。自動拳銃を握り締めながら、慎重に辺りを見回している。しかし、“自分”に気付いていないのはどうかと思う。

もう1人は、可愛らしい女子。
こちらは怪我をしているらしく、歩き方がおかしい。持っているものは、刀だろうか。

彼女は知っている。

“自分”の、恋人の、双子の、妹。
恋人は、クラスが違うので、無事だろう。
妹の参加に反対して政府に何かをされていない限り。

2人でいるということは、“やる気”ではないのだろう。
しかし、たった2人しか生き残れないというこの状況で、残り3人しか居ない、どうする気なのだろう?

まあ、どうでもいいことだ。

殺してしまうのだから。

 

“自分”はマシンガンを構えた。
大丈夫、苦しませたりはしない。
銃の扱いには自信がある。
一思いに、殺してやる。

男子がようやく“自分”の存在に気付いた。

しかし、もう遅い。

“自分”のマシンガンが火を噴く。
同時に、2人の頭に数箇所穴が開き、2人はそのまま倒れた。

『おめでとうございます。
 禁止エリアを解除するので、本部に戻ってきてください』

 

 

まずは終わった。

長かった。

早く戻ろう。

こんな所に長居はしたくない。

早く帰りたい。
 

ごめんなさい。

巻き込んで、ごめんなさい。

政府内部連絡文書二〇〇〇年度第〇〇〇〇四九号
総統府監房特殊企画部防衛担当官並専守防衛陸軍幕僚監部戦闘実験担当官発

共和国戦闘実験第六十八番プログラム二〇〇〇年度第一三号担当官宛

 

 次回ノ戦闘実験第六十八番プログラム対象クラス

 神奈川県四宮市立篠山中学校三年四組

 男子十九名

 女子二十名

 計三十九名

 コノクラスニハ戦闘実験体十六号ガ在籍シテイルトノコト

 

追加

 

 志願者一名

 兵庫県神戸市立春日第二中学校三年二組男子九番

 周防悠哉(スオウ・ユウヤ)

 志願理由不詳

 過去ノ戦闘経験等ナシ

 念ノタメ、動向ニハ注意スルコト

 尚、出席番号ハ男子十一番ニ入ル

神奈川県四宮市立四宮中学校3年4組について。
担任・関本美香

半数以上のクラスが学級崩壊をしている学校内では、異例のクラス。
問題児の数は他のクラスとは変わらないが、クラス内での問題は少ない。
3つに別れた問題児グループ間での問題は起きていない。
本人たち曰く、停戦状態らしい。
全体的にグループ間に隔てが少なく仲が良い。
唯一の問題は、いじめ問題だろう。
解決には、時間がかかりそうだ。

 

生徒たちに、クラスについて聞いてみた。

 

『今のクラスについて、どう思いますか?』

 

青山豪(あおやま・ごう/男子1番)

「好きだよ、仲良しなクラスだと思うしね。
 でも正直言うと、一緒にいたくない人もいるかも… 浅原は?」

浅原誠(あさはら・まこと/男子2番)

「普通だね。 レベルの高い連中もいるから。
 ただ、レベルの低いヤツに合わせるのは不満だね、ねぇ、池田」

池田圭祐(いけだ・けいすけ/男子3番)

「…それってオレの事じゃないっスかね?
 オレは結構気に入ってるっスよ、勝サンがいるっスから。 稲田は?」

稲田藤馬(いなだ・とうま/男子4番)

「オレも好き! 楽しいもんな、このクラス!
 あー早く修学旅行行きてぇな! 咲也はどうだ?」

笠井咲也(かさい・さくや/男子5番)

「オレも好きだなー、なんか落ち着ける感じ。
 怖い人もいるけど、実は結構いい人たちだしな! 次は尚!」

工藤久尚(くどう・ひさなお/男子6番)

「オレも好き、毎日楽しいし!
 休み時間が待ち遠しいよな、イエイ! 栗原どうよ?」

栗原佑(くりはら・たすく/男子7番)

「気に入ってるぜ、でもオレはケンカしてぇな…
 あと、オレをからかうのやめろ、千尋!! 斎藤もそう思わねぇ?」

斎藤穂高(さいとう・ほだか/男子8番)

「その様子は見てると楽しいんだけどねぇ…
 あ、このクラスは大好きだぜ!! 真田は?」

真田勝(さなだ・まさる/男子9番)

「見てて楽しいのは同感だな。 オレはからかわれねぇし?
 オレも嫌いじゃないぜ、このクラスは。 設楽もそうだろ?」

設楽海斗(したら・かいと/男子10番)

「そうか? 十分からかわれてるだろ。
 このクラスはちょっとほのぼのしすぎかもしれないな。 伊達は?」

伊達功一(だて・こういち/男子12番)

「オレは大好きだぜ、このクラス!
 なんせ女の子が皆可愛いのなんのって… なぁ、アキ?」

津田彰臣(つだ・あきおみ/男子13番)

「コウ、お前その軟派な性格どうにかしろよ。
 このクラスが好きなのは同感だけどな。 長門はどうだ?」

長門悟也(ながと・さとや/男子14番)

「いいクラスですよ、恐らく今までで最高ですね。
 願わくば、皆無事に卒業したいものです… ねぇ、新島君?」

新島恒彰(にいじま・つねあき/男子15番)

「あぁ? どーでもいいし、別に好きでも嫌いでもねぇよ。
 ケンカしてぇのは栗原のチビと同じだ。 羽山にパスだ」

羽山柾人(はやま・まさと/男子16番)

「えっと…その…ケンカは…やめた方が…あ、いや…
 僕もこのクラスは好き…多分… 不破君は?」

不破千尋(ふわ・ちひろ/男子17番)

「大好きさっ、からかい甲斐のある子が多くて多くて…
 でもさ、君はちょっとからかい辛いなぁ、由樹クン」

美作由樹(みまさか・ゆうき/男子18番)

「千尋君さぁ、かなり歪んでるよね、性格が。
 でも、僕も好きだなぁ、このクラスは楽しいしね。 康介君は?」

柚木康介(ゆのき・こうすけ/男子19番)

「ユキ君毒舌… あ、オレも好きかな。
 平和でいいよね、争い事はいけないよ。 ねぇ、脇?」

脇連太郎(わき・れんたろう/男子20番)

「平和ねぇ…オレはケンカはするからなぁ…ちょっと物足りないな。
 あ、伊達の言う事はわかるよ、すっごく。 な、梢サン?」

今岡梢(いまおか・こずえ/女子1番)

「あたしに聞かれても困るっての。
 でもこのクラスは好きだな、あ、でも…岩見さんは…」

岩見智子(いわみ・ともこ/女子2番)

「あたしは嫌い。 大っ嫌いよ、こんなクラスなんか。
 …ううん、学校が嫌いなの。 …次は誰? 金城さん?」

金城玲奈(かねしろ・れな/女子3番)

「ウジウジしてムカつくわねぇ、あなた。
 クラス? 別に好きとかじゃないわ、あたしは。 伊吹はどう?」

桐島伊吹(きりしま・いぶき/女子4番)

「別にどうでもいいわ、そんなの。
 誰が一緒だろうと、あたしは干渉しないしされないし。 はい、黒川」

黒川梨紗(くろかわ・りさ/女子5番)

「えっと…あたしは好き…かも。 楽しいもん。
 いい子がいっぱいいるし… ねぇ、香澄ちゃん?」

小南香澄(こみなみ・かすみ/女子6番)

「うん、大好き、いいクラスよ、ネタになるし!いつかこのクラスをモデルにした小説書くんだ! どう思う、陽子?」

坂本陽子(さかもと・ようこ/女子7番)

「それいいんじゃない? 書いたら絶対読むよ!友達いっぱいいるから、大好きだなぁ… 貴音サンは?」

椎名貴音(しいな・たかね/女子8番)

「いいんじゃない? 退屈しないもの。
 まあ、嫌いなタイプもいるけどね。 透子は好きでしょ?」

駿河透子(するが・とうこ/女子9番)

「うん、大好き! 全員いい子だもんね!副委員長やっててよかった、って思えるの! 凪紗ちゃんは?」

曽根崎凪紗(そねざき・なぎさ/女子10番)

「さすが副委員長、立派なこと言うねぇ!あたしも大好き、最近は勝たちとも仲良くできて… 淳は?」

高山淳(たかやま・じゅん/女子11番)

「おれも好きかな、男子もいいヤツばっかだしね。
 遊んでて楽しいよ、運動能力高いし! 敬子姐さんも遊ばないかい?」

遠江敬子(とおとうみ・けいこ/女子12番)

「皆で遊ぶのも楽しいかもしれないですね。
 私も好きですよ、毎日が充実しています。 中原さんはいかがです?」

中原朝子(なかはら・あさこ/女子13番)

「んー別に好きとか嫌いとかないなぁ、普通かな。
 ツネ君が一緒ならそれでいいの! 濱中さんは?」

濱中薫(はまなか・かおる/女子14番)

「うわ、朝子ちゃんノロケ? 暑い暑い…
 薫、このクラス大好き! 楽しい! ナッちゃんも一緒だしね!」

姫川奈都希(ひめかわ・なつき/女子15番)

「はいはい、あたしも一緒で嬉しいよ、薫。
 珍しいよね、こんなに仲の良いクラスも。 ねぇ、那緒美?」

真中那緒美(まなか・なおみ/女子16番)

「うん、珍しいねぇ…でも楽しいから良し!
 薫、絶対漫才デビューしようね! はい、三河さん!」

三河睦(みかわ・むつみ/女子17番)

「あたしは好きじゃないね、馴れ合いは嫌いなんだ。
 正直、少しウザいかも。 矢田さんは?」

矢田美晴(やだ・みはる/女子18番)

「あたしは好きよ、楽しいし…仲良い子もいるし…
 不破君さえいなけりゃもっと楽しいわよ! 緋鶴、わかってくれる?」

結城緋鶴(ゆうき・ひづる/女子19番)

「何言うとんねん、実は不破君に相手してもらえてうれしいんやろ?
 ウチも好き、転校生のウチを皆受け入れてくれて… 遼サンもね」

吉原遼(よしはら・りょう/女子20番)

「それは緋鶴ちゃんに魅力があるからじゃない?
 あたしも好きよ、一緒にいてくれる子がいるんだもの」

男子1番 青山豪
(あおやま・ごう) 女子1番 今岡梢
(いまおか・こずえ)
男子2番 浅原誠
(あさはら・まこと) 女子2番 岩見智子
(いわみ・ともこ)
男子3番 池田圭祐
(いけだ・けいすけ) 女子3番 金城玲奈
(かねしろ・れな)
男子4番 稲田藤馬
(いなだ・とうま) 女子4番 桐島伊吹
(きりしま・いぶき)
男子5番 笠井咲也
(かさい・さくや) 女子5番 黒川梨紗
(くろかわ・りさ)
男子6番 工藤久尚
(くどう・ひさなお) 女子6番 小南香澄
(こみなみ・かすみ)
男子7番 栗原佑
(くりはら・たすく) 女子7番 坂本陽子
(さかもと・ようこ)
男子8番 斎藤穂高
(さいとう・ほだか) 女子8番 椎名貴音
(しいな・たかね)
男子9番 真田勝
(さなだ・まさる) 女子9番 駿河透子
(するが・とうこ)
男子10番 設楽海斗
(したら・かいと) 女子10番 曽根崎凪紗
(そねざき・なぎさ)
男子11番 周防悠哉
(すおう・ゆうや) 女子11番 高山淳
(たかやま・じゅん)
男子12番 伊達功一
(だて・こういち) 女子12番 遠江敬子
(とおとうみ・けいこ)
男子13番 津田彰臣
(つだ・あきおみ) 女子13番 中原朝子
(なかはら・あさこ)
男子14番 長門悟也
(ながと・さとや) 女子14番 濱中薫
(はまなか・かおる)
男子15番 新島恒彰
(にいじま・つねあき) 女子15番 姫川奈都希
(ひめがわ・なつき)
男子16番 羽山柾人
(はやま・まさと) 女子16番 真中那緒美
(まなか・なおみ)
男子17番 不破千尋
(ふわ・ちひろ) 女子17番 三河睦
(みかわ・むつみ)
男子18番 美作由樹
(みまさか・ゆうき) 女子18番 矢田美晴
(やだ・みはる)
男子19番 柚木康介
(ゆのき・こうすけ) 女子19番 結城緋鶴
(ゆうき・ひづる)
男子20番 脇連太郎
(わき・れんたろう) 女子20番 吉原遼
(よしはら・りょう)

「稔、起きて? 稔ってば!!」
井上稔(いのうえ・みのる/ADGI)は部屋の外でドアを激しく叩く音で目を覚ました。
1つ大きな欠伸をし、眠い目を擦った。

「ぁんだよ…こんな朝っぱらから…
 今日はバイトねぇし…寝かせてくれよぉ…」

「朝っぱらじゃない、もう11時だよ!!
 アンタももうすぐ二十歳なんだよ、しっかりしなさい!!
 それより電話だよ、電話!!」

部屋の外で母親が叫んでいる。

「あぁ…? オレいねーよ、只今外出中…」

「…いいんだね? 大槻さんって方から…
 急ぎの用って言ってるけど?」

「…あぁ… あぁ!? おっさん!?」

稔は慌てて飛び起きた。

今日はオレは組織には呼ばれてなかったはずだぞ?
しかも急ぎの用って… 何かあったのか?

 

「もしもし、おっさん?」

『稔…まさかまだ寝ていたのか?』

電話の向こうでは今、大槻正樹(おおつき・まさき/ADGI)が呆れた顔をしているだろう。

「…んなことどうでもいいんだよ、それより用って何?」

『そうだった、稔、今から来れるか?』

「そりゃあ…飯食ったら…」

『それからでいい、来てくれないか。
 次のプログラム対象クラスがわかったんだ。
 それが…私たちと無関係というわけでもないんだ』

稔は顔をしかめた。
無関係じゃない…ってどういうことだろう?

稔は食事を素早く済ませ、家を出た。

車を走らせて大槻の家に着いた。

中には既に数人のメンバーがいた。

「あ、こんにちは、稔ちゃんv」

にっこりと微笑んでいる小柄な黒髪のショートカットの女性は、この中では最も歳が近い柳瀬伊織(やなせ・いおり/ADGI)。
稔の1つ上の伊織も稔と同じ、プログラムの優勝者だ。
伊織は普通に中学・高校を卒業し、看護専門学校生だ。
とても年上には見えないが。

「おそよー稔。 11時起きだって?」

爽やかな笑顔を浮かべているのは、稔より5つ上の高谷祐樹(たかや・ゆうき/ADGI)。
とても気さくで優しい、いい人だ。
高谷が何故ADGIに所属しているのかはわからないが、プログラムの優勝者ではないらしい。

「えっと…おっさんは?」

稔は辺りを見回した。
この部屋には大槻はいない。

「買い物」

不意に静かな声が聞こえ、稔は奥の部屋を覗き込んだ。
そこには長い茶髪を適当に束ねている園山シホ(そのやま・しほ/ADGI)がおり、稔と目が合うとふいっと顔を逸らした。
まだ17歳という彼女は、すべてが謎だ。
今までに何があったのか、今どこに住んでいるのか、稔は全く知らない。

「伊織姉が来た時には、もうおっさんいなかったのか?」

「うん。 でも人を呼んどいて買い物ってねぇ…」

伊織は溜息を吐いた。
そして、稔にそっと耳打ちした。

「ねぇねぇ、稔ちゃん。
 稔ちゃんは…シホのことどう思う?」

どうして年上の稔が“ちゃん”付けで、年下のシホが呼び捨てなのかは謎だが、それは今はどうでもいい。

「…オレ、アイツ怖い。 苦手なタイプかな。
 そういう伊織姉は?」

「うーん… あたしも苦手なんだよねぇ…
 得体の知れない子よねぇ…
 リーダーに聞いたら『本人が言うまで待ちなさい』って言われたし…」

2人はシホの方をちらっと見た。
シホは長細い黒のケースを大事そうに抱えている。
あの中には、シホが愛用している突撃銃(USSR AK74)が入っている。
何故そんな物騒な物を後生大事に持っているのか、それも謎だ。

因みに、伊織の言う“リーダー”とは大槻の事だ。
大槻はADGI神奈川県支部のトップなので、皆にはリーダーと呼ばれている。
稔を除いて。

 

「ただいま、待たせてすまなかったね」

 

ドアが開き、大槻が入ってきた。

「おっせーよ、おっさん! …あ、チワっす、匠サン」

稔は大槻に悪態づいたが、その後ろにいた曽根崎匠(そねざき・たくみ/ADGI)に気付き、ぺこりと頭を下げた。
匠は稔が最も尊敬している人物だ。
古株というわけではないが、頭も良く、銃や格闘技の腕前も卓越している。

匠には1人娘がいる。
稔は何度か会ったことがあるが、彼女も銃や格闘技の腕前は凄い。
身長がとても低いが(“チビっこ”と呼ぶたびに怒られた)、中学3年生らしい。

「リーダー、それで、あたしたちを呼んだ用って…」

伊織が大槻を見つめた。
稔と高谷も大槻を見、シホも奥の部屋から出てきた。
大槻は大きく息を吐いた。

「落ち着いて聞いてくれるかな?」

それは全員に問い掛けているようだったが、視線はずっと匠の方に注がれていたような気がした。

「…ハッキングで次のプログラム対象クラスがわかったよ。
 日にちは不明だが。 で、それが…」

匠が大槻の視線に気付いた。
ゆっくりと、口を開いた。

「ま…まさか…そんな…っ」

大槻が視線を下に逸らした。
匠がその場にへなへなっと力無く座り込んだ。
稔を含め、全員が理解した。
次の対象クラスは匠の愛娘が所属するクラスだ、と。

「くそ…っ!!」

匠が床を殴った。
肩が小さく震えているのがわかった。

「どうして…アイツらは…どこまでオレの家族を…っ!!」

「…アタシらはそのプログラムを破壊するために呼ばれたんだね?」

シホが落ち着いた口調で訊いた。
大槻は頷いた。
そして、匠の側にしゃがみ、肩を軽く叩きながら、全員に向かって静かに言った。

「匠君、祐樹君、伊織、稔、シホ…
 あと、“タカ”と“ヨーヘイ”…7人でパーティーを組んでもらう。
 匠君、君がリーダーだ」

「オレ…ですか?」

「そうだ、今回のパーティーの最年長だからね。
 それに、私は君の能力を買ってるんだよ?」

大槻は立ち上がり、稔と伊織の前に来た。
稔は暫く口をぱくぱくとさせていたが、ようやく声を出した。

「おっさん… オレ、パーティーに参加したことねぇよ…」

「あ、あたしも… あたしなんかが参加してもいいんですか…?」

伊織も震える声で言った。
稔は今までは大槻にハッキング技術を学んできたし、伊織は専門学校や大槻から救護の技術を学んできた。
2人共銃を撃つ練習はしてきたが、実際にその技術を活用させた事は無かった。
主に裏方の仕事を手伝ってきたので。

大槻はにっこりと微笑んだ。

「大丈夫、自信を持ちなさい。
 君らの技術は、十分にパーティーに役立つよ」

稔は伊織と顔を見合わせた。
やるしかない、お互いの表情はそう語っていた。

「このことは…娘には…」

「黙ってた方がいいんじゃないですか?」

匠の声を遮って、高谷が言った。

「知ったからといって、逃げられるわけじゃない…
 その日が来るまでは、学校生活を楽しませてあげた方が…」

大槻は低く唸った。

「祐樹の言う事も一理ある…
 けど、全く何も知らないままというのも…」

「手紙でも書けば?」

シホがぶっきらぼうに言った。

「何かあった時は開けろ、とか言っといてさ」

「…そうですね…そうします」

匠が引きつった笑顔を浮かべた。
やるしかない。
最低限、足を引っ張らないように、やるしかない――

匠の声を遮って、高谷が言った。

「知ったからといって、逃げられるわけじゃない…
 その日が来るまでは、学校生活を楽しませてあげた方が…」

大槻は低く唸った。

「祐樹の言う事も一理ある…
 けど、全く何も知らないままというのも…」

「手紙でも書けば?」

シホがぶっきらぼうに言った。

「何かあった時は開けろ、とか言っといてさ」

「…そうですね…そうします」

匠が引きつった笑顔を浮かべた。
やるしかない。
最低限、足を引っ張らないように、やるしかない――

「そこ座れ!! 今から予定の確認するよ!!
 ほら後ろ、ちゃんと聞け!!」
中学生活最大のイベント、修学旅行を迎えていた神奈川県四宮市立篠山中学校3年生。
コースは奈良・京都と定番だったが。
そんな修学旅行も、とうとう最終日を迎え、最後の予定である京都観光も終え、クラスに1台のバスに乗り込んだ。
そのなかの1台、4組の生徒39名が乗る4号車の中では、担任である新米教師、関本美香が声を張り上げていた。
さすが毎日のようにグラウンドで声を張り上げる体育教師、その声にバスガイドも目をぱちくりとさせている。

 

関本の怒鳴り声も止み、バスが発車した。
今まで大人しくしていた生徒たちが、徐々に騒ぎ出す。

「なあなあ、八橋喰おーぜ!」

頭の上から声が聞こえ、曽根崎凪紗(神奈川県四宮市立篠山中学校3年4組女子10番)は顔を上げた。
そこには、八橋の入った小さな袋を持った、男子にしては小柄で目元の傷が印象的な栗原佑(男子7番)がにっと笑顔を浮かべていた。
佑はその小柄な体からは想像できないが、空手はお世辞抜きで強い。
凪紗と佑は小学生の頃からつるんでいた仲で、凪紗が最も信頼している仲間だ。

「…それ、家への土産じゃなかったのか?」

凪紗の横に座っていた、こちらは佑とは対照的にクラス1大柄な設楽海斗(男子10番)が眉をひそめた。
その目は、PK戦でボールを蹴る相手を睨みつけているようだ、いつものことだが(海斗はクラブサッカーでGKを勤めている)。
海斗は笑顔を滅多に見せる事はない、今も明らかに呆れた表情を浮かべている。

「いーの、オレ我慢できねぇもん! 母さんダイエット中だし!
 ほれ、凪紗、海斗も喰え喰え!」

「いいの? じゃあ…」

「あ、そう? じゃあいただきますかねぇ」

凪紗の手よりも先に、佑の横から手がぬっと伸びた。
明るい茶色に髪を染め、端正な顔に眼鏡を掛けた不破千尋(男子17番)が、並の女子なら悩殺されてしまいそうな笑顔を浮かべ、八橋を口に入れていた。
そんな千尋は、実は学年でも常にトップの成績を取り続けている天才児だ。

因みに、凪紗・佑・海斗・千尋の4人が、このクラスに所属する不良問題児グループの1つだ。
不良、とは言っても、たまに授業をサボったり(千尋は滅多にサボらないが)ケンカをしたりする程度の、比較的大人しめの集団だが。
一見接点のない4人がつるんでいる理由は色々あるが、それは今はおいておこう。
そんな4人の唯一とも言える共通点――喧嘩の腕は逸品だ。

「だぁ!! 千尋こんにゃろテメェ!!
 1人1個だ、テメェ、今いくつ取りやがった!?」

「佑クンってば見てなかったのかい? 2つじゃないか」

「1人1つだっつってんだろうが!!」

千尋は怒鳴り声を上げる佑の手から八橋の袋をひょいっと取り上げ、後ろを向いた。

「勝クン、お一ついかが?」

「こら千尋テメェ!!
 さも『オレのなんだけど』みたいな言い方すんな!!」

千尋の視線の先には、もう1つの不良グループのリーダーである真田勝(男子9番)が眉間にしわを寄せていた。
勝は視線を千尋から佑に移した。

「…不破はそう言ってるけど? 栗原、貰っていいのか?」

「…いいけどさ、1人1つだからな」

千尋の手の中にある袋に、ごつい手が伸びた。

「ケチくせぇこと言ってんなよ、チビ。
 おらよ、もーらい、レンも喰うか?」

「あ、ツネ、取って取って、オレは1つでいいからさっ」

勝の後ろの席から手を伸ばしてきたのは、茶髪を逆立てた人相があまりよろしくない新島恒彰(男子15番)。
その横でニマニマとした笑顔を浮かべているのは、分かれた前髪の間から広い額が覗く髪形をした脇連太郎(男子20番)。

「あ、ツネさん、取り過ぎっスよ! 佑さんに悪いって…」

恒彰を控えめながら制しているのは、佑より少しだけ背が高く、容姿が少々落ち目の池田圭祐(男子3番)。

勝・恒彰・連太郎・圭祐の4人が、もう1つの不良グループだ。
こちらは近郊でも名前の売れた不良問題児たちだ。
何度か警察にお世話になったこともある。
もっとも、圭祐はパシリ的存在だが。
喧嘩の腕で言えば、凪紗たちと同等くらいだろう。

篠山中学校はいわゆる“荒れた中学校”だ。
不良少年少女の数はとても多く、毎日のようにあちこちで問題が起こる。
ケンカ・煙草は当たり前、いじめなどによる不登校児の率も高い。

そんな学校の中、この3年4組は異例のクラスだ。
不良少年少女が多い割には、平和なクラスである。
その大きな理由の1つに、凪紗率いるグループと勝率いるグループの停戦協定が挙げられる。
近郊の学校全部が荒れているこの地域では、不良たちの勢力争いが激しい。
そこで、凪紗と勝が話し合い、いがみ合っても仕方がない、という結論に達した。
今では1つのグループになりつつある。

しかし、この2つのグループの中の喧嘩好き、佑と恒彰の争いは絶えない。
絶えないが、レベルは極めて低い。

「そうだぞ、このバカ男!! ケースケの言う通りだ!!
 とっとと返せ、このバカバカバカバーカ!!」

「…何だと? 誰がバカだ、このチビチビチビチビ!!」

「バカはバカじゃねーか!!
 この前の中間考査、5教科合計100点切ってたくせに!!」

「ケッ、テメェも似たようなモンだろうがよぉ!!」

「バーカ、おれは102点だったもんねっ!!」

因みに、恒彰と佑はいつでもクラス内成績最下位を争っている。
このような口喧嘩は日常茶飯事であり、凪紗たちはいつも勝手にやらせている。

「あーあ、こういうのを『目くそ鼻くそを笑う』って言うんだよねぇ」

千尋が溜息を吐き、くるっと向きを変えた。

「はい、凪紗チャン、海斗クン、お一つどうぞ」

「オレはいい、甘いのは好きじゃない」

「あたしはもーらおっ」

凪紗は八橋を1つ口の中に入れ、周りを見渡した。

横では、女子の中では比較的大人しいグループが楽しそうに佑と恒彰の口喧嘩を観戦していた。
前の席で苦笑しながら見ているのは、肩までの黒髪と大きな目が可愛らしい黒川梨紗(女子5番)。
その奥の席で大笑いしているのは、丸い眼鏡と癖のあるショートカットの、自称小説家の卵である小南香澄(女子6番)。
香澄の後ろで呆れた表情を浮かべているのは、長い黒髪を1つに束ね、ボストンタイプの眼鏡がその聡明さを物語っているような優等生の矢田美晴(女子18番)。
その手前で楽しそうに微笑んでいるのは、凪紗と変わらず小柄で可愛らしい、関西からの転校生である結城緋鶴(女子19番)。

「…今日は何回目やっけ?」

「んー…5回目かな、知ってるだけで」

緋鶴と香澄が話しているのを聞き、凪紗は首を横に振った。

「香澄、違うよ、これで8回目」

「自由行動の半分はこれで消えたからねぇ」

千尋も溜息混じりに苦笑した。
可哀想に、と香澄が呟いた。

 

「そこ、いい加減にくだらない喧嘩はやめな!!」

 

関本がマイク越しに叫ぶ。
思わず凪紗は耳を塞いだ。

「恒彰、佑、アンタたち引き分けだ、この2大バカ!!」

関本がつかつかと歩いてきて、佑と恒彰の頭に拳骨を喰らわせた。
それを見たクラスメイトが一斉に笑い出す。

「美香ちゃんセンセー、止めないでよぉ!!」

「これからがいいトコだってのに!!」

笑い混じりに叫んでいたのは、クラスのお調子者の真中那緒美(女子16番)と、爽やか少年の工藤久尚(男子6番)。

「佑ちゃん、ドンマイだよっ!!」

佑にエールを送っていたのは、同じくお調子者の濱中薫(女子14番)だ。
佑が“ちゃん”を付けるな、と怒鳴る。

「センセー、これ以上叩くと2人の頭が悪化すると思いまーす!」

爽やかな笑顔を浮かべてそう言い放ったのは、久尚の幼馴染の笠井咲也(男子5番)。
それを聞いて、バス中に更に笑いの渦が巻き起こる。
佑と恒彰は暫くヒクヒクと顔の筋肉を引きつらせていたが、やがて「ケッ」と悪態づいてシートに座った。
それが同時だったので、収まりかけた笑い声が再び湧き上がる。

このクラスが異例だというもう1つの理由は、問題児グループがそうでないグループと仲が良いことだろう。
このクラス内では、グループ間の壁が比較的低く、全体的に仲良しだ。

そんな中で浮いている存在なのが、通称女子ギャルグループの4人だ。
リーダー格の桐島伊吹(女子4番)は無関心そうに窓の外を眺めている。
その横ではクラス1のお嬢様である金城玲奈(女子3番)がつまらなさそうに欠伸をしている。
いかにも馬鹿馬鹿しいという顔をしているのは、グループ内で唯一暴力的な三河睦(女子17番)。
恒彰の彼女である中原朝子(女子13番)だけが、『ツネ君落ち込まないで!』と叫んでいる。
伊吹のモットーが『干渉しないから干渉するな』だからか、繋がりの薄そうなグループだ。

その中の玲奈と睦から執拗ないじめを受けているのが、岩見智子(女子2番)だ。
智子は中2の途中から学校に来なくなったが(この学校では2年から3年に上がる時のクラス替えがない)、修学旅行だけは、と皆で半ば強制的に連れてきた。
今は何を考えているのか、ぼんやりと前を見つめていた。

 

 

空の色が暗くなっているのに、凪紗は気付いた。

あれ? おかしいな… いつの間に…
うとうとしてたかな…?

横を見ると、海斗が通路に落ちそうになりながら、眠っていた。
前の席を覗くと、千尋の肩に佑が頭を預け、やはり眠っていた。
シートの上に膝を付き、後ろを見回したが、全員が眠っていた。
凪紗自身、今にも眠ってしまいそうだ。

これは…異常だ!!

ガンッ

 

眠くもなく、元気な時なら、普通に避ける事ができただろう。
しかし、できなかった。
突然背後から後頭部を殴られ、凪紗は海斗の膝の上に崩れ落ちた。

 

恐らく、このクラスの大方の人間は『このクラスが大好きだ』と言うだろう。
もちろん、凪紗もこのクラスが大好きだ。

幸せだった。

その幸せが、徐々に崩れていく。

全てを、奪いながら。

 

5つ並んだバスの1つだけが、ルートを外れた。
地獄へ向かって、走り出した。

あぁ、頬がなんか冷たいな…
うん、これは、机の感触…
授業だ、起きなきゃ、起きなきゃ――
 

濱中薫(女子14番)はがばっと身を起こした。
癖で外に跳ねた茶髪のショートカットの頭を掻き、辺りを見回した。
全員が机に突っ伏して寝ている、とても奇妙な状況だった。
席順はいつもと同じだ、前には教卓もある、しかし違和感がある。
――そうだ、うちの教室は、もっと新しい。
こんな古びた部屋じゃない。

えっと…おかしいなぁ…
確か、修学旅行に来てたはずで…

薫は無意識に手を首へやった。
少し、苦しい感じがしたので。
その理由が、わかった。
薫の首には、何かが巻きついていた。

な、なんじゃこりゃあ!!
薫、犬じゃないぞ、猿に似てるとは言われるけど…ってそんな場合じゃない!!

薫だけではない、銀色に輝くそれは、全員の首に巻きついていた。

「アキちゃん、アキちゃん、起きて!!
 凪紗ちゃんも起きてよ、ねぇ!!」

両隣に座っている津田彰臣(男子13番)と曽根崎凪紗(女子10番)の体を揺すった。

「佑ちゃん!! コウちゃん!!」

前後に座っている栗原佑(男子7番)と伊達功一(男子12番)の体も揺する。

「ん…っ」

右側に座る彰臣がゆっくりとその大柄な体を起こした。
眠そうに目を擦り、そして薫の姿を確認した。

「…あ、濱中、おはよ……ここは…?」

「なんか変なの、おかしいの!!
 ここ、学校じゃないし、薫たち皆、変な首輪してるし!!」

「首輪ァ…?」

大きく欠伸をしながら、佑が後ろを向き、薫の方を見た。
そして、何度か瞬きをし、首を傾げた。

「…濱中、趣味悪いモンしてるなぁ…
 …津田も、伊達も…何してんだ?」

「栗原もしてるじゃねーか…」

功一も起き、佑の首輪を見た後、自分の首輪に触れた。

「…何だよ…おい、淳、起きろよ! 梢も起きろ!!」

功一が自分の近くにいる幼馴染の高山淳(女子11番)と、元彼女の今岡梢(女子1番)を起こし始める。
徐々に教室内が騒がしくなっていく。

「痛っ!!」

突然凪紗が悲鳴を上げた。
凪紗の横に座っている不破千尋(男子17番)が凪紗の後頭部を撫でていた。

「んー…たんこぶできてるよ、凪紗チャン。
 何したの、まさか海斗クンに殴られた?
 やっだぁ、ひっどーい!」

「んなことしてねぇよ!!」

茶化す千尋に、凪紗の前で心配そうにしていた設楽海斗(男子10番)が怒鳴った。
凪紗が頭を摩りながら呟いた。

「なんかさぁ、気がついたら皆眠ってて…
 おかしいな、って思ってたら、突然後ろから殴られて…」

「ってことは、冗談じゃないわよね…
 人を殴ってまで、あたしたちをここに連れてこないといけない理由って…?」

千尋の後ろにいた優等生の矢田美晴(女子18番)が首を傾げた。

薫は右の方を見た。
薫の幼馴染である姫川奈都希(女子15番)は、席の近い仲の良いメンバーである青山豪(男子1番)・工藤久尚(男子6番)・真中那緒美(女子16番)と不安げな表情で喋っていた。
その後方では長門悟也(男子14番)と柚木康介(男子19番)が話している。
悟也の悲しげな表情が、少し気に掛かった。

「ねぇ、透子?」

後ろの方から、凛とした声が聞こえた。
お姉様グループのリーダー的存在であろう椎名貴音(女子8番)だった。

「センセーから何か聞いてないの?」

「副委員長さんなら、何か先生から聞いてるんじゃないですか?」

貴音の後ろから、遠江敬子(女子12番)がおっとりとした口調で付け足した。
視線が最前列にいる副委員長、駿河透子(女子9番)に集まる。
しかし、透子は首を横に振った。

「ううん、あたし何も聞いてない!
 浅原君、浅原君は何か聞いてる?」

「いや、僕は何も知らない」

今度は最後列にいる委員長、浅原誠(男子2番)に視線が集まる。
誠は眼鏡を中指でくいっと押し上げ、横にいる羽山柾人(男子16番)と何かを話し始めた。

「おい、不破!
 テメェは1番前に座ってたろ、何か聞いたんじゃねぇの?」

不良グループの片割れのリーダー、真田勝(男子9番)が千尋に呼びかけた。

「さあ、何も聞いてないねぇ。 香澄チャンは?」

「んー…あたしも知らない、気がついたら寝てたんだもん」

誠の前の席の小南香澄(女子6番)も首を横に振った。

「もう、一体何がどうなってるのよ!!」

透子の横で坂本陽子(女子7番)が裏返った声で叫んだ。

「落ち着いたら? 耳がキンキンしちゃう」

陽子の斜め後ろから美作由樹(男子18番)が溜息混じりに言った。
その言葉の端々には、刺がある気がする。
しかし、いつもと変わらず可愛らしい笑顔を浮かべている。
陽子もその笑顔を見て落ち着いたようだ。

突然透子が立ち上がった。

「よし、あたしちょっと外見てくるね。
 浅原君も行こ、クラス代表として」

「…そうだね、見てこようか」

誠も立ち上がる。

透子は誠を引き連れ、教室の前のドアを開けようとした。

しかし、透子が手を掛ける前に、ドアが勢いよく開かれた。
中に入ってきた、軍服を着た人物が、透子と誠を突き飛ばし、2人は小さく悲鳴を上げてしりもちを付いた。

「着席!!」

2人を突き飛ばした人物が、叫んだ。
しかし、2人はわけがわからず、ただその人物を見上げていた。

「着席と言っているだろ!!」

その人物は、懐から何かを取り出し、2人に向けた。

「きゃあああ!!」

「うわああぁあ!!」

2人は悲鳴を上げ、一目散に自分の席へ向かった。
当然だろう、それはどこから見ても拳銃だったので。

軍服を着た3人が同じタイミングで止まり、一斉に敬礼をした。
その前を、ランニングシャツを着た浅黒い肌の筋肉質な男が堂々と通り、教卓に持っていた紙の束をバンッと置いた。

「はい、静かに!!」

筋肉質な男は叫んだが、既に喋っている者は1人もいない。
静かにしている事が少ない薫でさえ、何も言えなかった。
本能的に感じた、喋ってはいけない、と。
筋肉質な男は、にかっと笑みを浮かべた。

「はじめまして、オレの名前は進藤幹也!!
 今日から君たちの担任になりました!!
 幹也先生と呼んでくれたまえ!!」

進藤幹也? 担任?
何だそれ、何言ってんの…?

薫を含め、全員がそう思ったことだろう。

進藤と名乗る男は、大きく息を吸い込み、そして机を叩いた。

「君たちは、今回のプログラム対象クラスに選ばれたんだ!!光栄な事だ、おめでとう!!」

誰かが、「え?」と声を洩らした。

プログラム…
ああ、この前の中間考査で出たなぁ…
黒川梨紗(女子5番)は暢気にそんなことを考えた。

まだ記憶に残っている。

プログラム、正式名称、戦闘実験第六十八番プログラム。全国の中学校から任意に選出した三年生の学級内で、生徒同士を戦わせ、生き残った一人のみが、家に帰ることができる、わが大東亜共和国専守防衛陸軍が防衛上の必要から行っている戦闘シミュレーション。
全国の中学3年生が、最も恐れていることだ。

それに、選ばれた…?
あたしたちのクラスが…?
そんなバカな…

 

「…じょ…冗談キツいよ、お兄さん…?」

 

前方で弱々しい声が聞こえた。
クラスのムードメーカーペアの片割れ、真中那緒美(女子16番)が立ち上がって、やや震えた声で呟いた。

「ジョークは、人を笑わせるモンだよ? ねぇ、薫…」

「う、うん、そうだよ!
 薫笑えなかった、つまんない冗談っ!!」

ペアの片割れ、濱中薫(女子14番)も立ち上がる。

「そうだよな、冗談だよな…」

「うちらが選ばれるわけないじゃん」

「何なんだよ、あの筋肉男!」

徐々に教室が騒がしくなる。

しかし、すぐに静まり返った。
1発の銃声が響いたので。
弾は、那緒美の横を通り、那緒美の後ろの桐島伊吹(女子4番)の横にあった壁にめり込んだ。
伊吹が小さく悲鳴を上げ、その壁を凝視していた。

「冗談ではないぞ、オレはいつでも本気だ!!
 この銃も、もちろん本物だぞ!!
 えっと…真中さん、濱中さん、着席するんだ!!」

進藤幹也(担当教官)が、爽やかな笑顔を浮かべた。
那緒美と薫は無言でぺたんと椅子に座った。

あれ…本物のピストルなの…?
冗談じゃないの…?

梨紗の体がガクガクと震えた。

進藤は静まり返った教室を見回し、満足げに何度か頷いた。

「よしよし、静かになったな!
 じゃあ、今回サポートしてくれる先生の補佐の紹介だ!!
 右から田中、西尾、足立だ!!
 モヤシのような連中だが、まあよろしく頼むよ!!
 3人纏めて“モヤシ”と呼んでやりたまえ!!」

ハッハッハ、と大きく口を開けて笑う進藤に、モヤシ3兄弟の1人である田中が『やめてくださいよ』と訴えている。
いや、そんなことはどうでもいい。
先ほどから引っかかっている点が、ある。

「先生って…どういうことなんスか?
 オレらの担任は美香ちゃ…いえ、関本先生なんスけど?」

学校内でバンドを組み、恐らくその中で人気ナンバー1である斎藤穂高(男子8番)が、梨紗の疑問をそのまま口に出した。
何人かが同調するように頷く。
進藤は手をポンッと叩いた。

「ああ、あの美人の先生だな!
 あの人は、君たちがプログラムに参加するのに反対したんだ!」

進藤が目配せすると、入り口に近かった田中と西尾が外に出、担架を持って再び入ってきた。
その上には何かが乗っており、上に青いシートが被せられていた。
田中が、そのシートをめくった。

「うわあああぁああ!!」

「うわ、わあああああ!!」

「いやああああああ!!」

「きゃああああああ!!」

最前列の特等席で見た青山豪(男子1番)・池田圭祐(男子3番)・坂本陽子(女子7番)・駿河透子(女子9番)が悲鳴を上げ、それぞれ席を立ち、後ろに走って逃げた。
何、何なの?、と見た生徒が、次々と悲鳴を上げた。

「嘘…あれって…美香ちゃんセンセ…?」

梨紗の横で小南香澄(女子6番)が涙を浮かべながら呟いた。
梨紗は、その場に固まっていた。

担架の上に乗ったモノ、それは担任の関本美香――いや、関本美香だったものだった。
全身にいくつもの穴を開けていた。
服は大部分が赤黒く染まっていた。
頭の一部分が欠けていた。
そこから出たであろう赤黒いものと灰色のものが、残った顔の部分を汚していた。

生まれて初めて見た、人の亡骸だった。

「はいはい、着席!!
 田中、西尾、それ片付けるんだ、レディーが怖がっているぞ!」

田中と西尾は担架を担いで出て行き、しばらくすると戻ってきた。
床には、関本の血が小さな池を作っていた。

進藤に促され、徐々に生徒たちは自分の席に着いた。

「はい、これが冗談じゃない事はわかってくれたかな?
 濱中さん、どうかな?」

先ほど進藤に文句を言った薫は、小さく何度も頷いた。
その小さな肩は、小刻みに震えていた。

「よし、えっと…まずは…と。
 そうだそうだ、まずは転校生の紹介をしようか!!」

転校生…?
この状況で、このクラスに転校…?

梨紗は先ほど見た関本だったモノを忘れようと、必死に考えた。
思い出すだけで、胃の中の物が突き上がってくる感じがした。

「さあ、入ってきたまえ!!」

進藤が叫んだ。
奇妙な空気の流れる教室の中へ、1人の少年が入ってきた。
茶髪が肩まで伸びて女性のようにも見えたが、直感的に違うと感じた。
獲物を怯ませるようなその目つきが、怖かった。

「はじめまして、周防悠哉って言います」

少しおかしなイントネーションで、少年が喋った。
これは、関西弁だろう。

「神戸から来ました、仲良くしたってください。よろしくお願いします」

少年はにかっと笑んだ。
神戸… あ、そういえば…

梨紗は自分の親友である結城緋鶴(女子19番)の方を見た。彼女も確か神戸出身だったはずだ、3年の4月の中頃に転校してきたが。緋鶴は、無表情で少年の方を見ていた。視界に入っているだけ、かもしれないが。偶然だよね、神戸に中学校なんて一杯あるだろうし…少年は進藤に席を指示された。梨紗から見て、怖い方の不良グループの喧嘩好き、新島恒彰(男子15番)の後ろだ。その前に座るリーダー、真田勝(男子9番)は、少年を睨みつけていた。

「うおっと!!」

少年が声を上げた。崩れかけた態勢を立て直し、恒彰を睨んだ。

「お前…今足掛けたやろ…」
「知るか、そっちが勝手に躓いたんだろうが」

恒彰が少年を睨み返す。異様な空気が2人を包んでいるようだった。

「やめろ、ツネ」

勝が恒彰を制した。
恒彰はふいっと少年から視線を逸らした。
場合が場合だけに、やめた方が無難だと察したのだろうか。
少年も恒彰から目を逸らし、自分の席に着いた。

ふう、と一呼吸置き、進藤は数回手を叩いた。

「では、今からルールの説明を始めるぞ!!」

栗原佑(男子7番)は進藤幹也(担当教官)らが入ってきた時から、ずっと進藤を睨みつけていた。
プログラムに選ばれた、だと?
ふざけるな、冗談じゃない。
何でそんなことをしなけりゃならないんだ?
やってられるか、まっぴらごめんだ。

「では、今からルールの説明を始めるぞ!!」

進藤は数回手を叩いた。

「要は、最後の1人になるまで殺し合ってくれればいい!!
 最後の1人になった時点で、試合は終了!!
 仲間を作って騙すも良し、殺し歩くも良し!!建物の中に入るのも良し、物を拝借するも良し!!」

佑の口が、少しだけ笑みの形を作った。
このクラスでやる気になるヤツなんて、いるはずない。自分ももちろん乗らない。自分が好きなのは喧嘩であり、殺しではない。自分と同類である新島恒彰(男子15番)でさえ、乗らないだろう。恒彰は馬鹿だけれど、人を[ピーーー]ほど愚かではないと思う。だからこそ、転校生とかいうふざけたあの周防悠哉(男子11番)に喧嘩を売ったのだろう。

「あの、すいません」

進藤は首を傾げた。佑も我に返り、後ろを見た。声の主、クラスの委員長である浅原誠(男子2番)が手を挙げていた。

「…何だい、浅原君?」
「もし…最後の1人に残れたら…帰れるんですよね?」

佑は眉間にしわを寄せた。

最後の1人に残れたら、だと?あの野郎、やる気か!?

進藤は大きく頷いた。

「当然、家に帰れるぞ!!そして、生活保障が貰え、総統様のサイン色紙も貰えるぞ!!これはかなりのレア物だぞ!! 欲しいだろ!?」

誰がいるか、この筋肉男!!

佑は再び進藤を睨みつけた。睨み殺してやりたい、できることなら。進藤は続ける。

「当然、素手のファイトというわけにもいかないから、武器を配る!!武器以外にも、必要な物を配るからな!!田中、西尾」

田中(軍人)と西尾(軍人)が廊下に出、今度は鞄が沢山乗った大きな台車を押して入ってきた。進藤はその中の1つを手に取った。

「これを、皆に配るからな!!水、食料、地図にコンパス、懐中電灯、そして武器が1つずつ入っている!!当たりもあれば外れもあるだろう!!しかしこれは一種の不確定要素で…ま、いっか。とにかく、どんな武器を誰にを配るかは決まっていない!!君らの運次第だな!!」

進藤は教卓の中から模造紙を取り出した。それを開いて磁石で黒板に貼った。
地図が描かれていた。

「はい、注目、君らは今ここにいるんだ!!」

そう言って、進藤は“中学校”と書かれた部分を指差した。

「君らにはこの地図に描いてある範囲の中で戦ってもらう!!逃げられないぞ、有刺鉄線と高圧電流が回りに張り巡らせてある!!しかし、ずっと一箇所に固まってもらわれると困る!!そこで、その首輪だ!!」

佑ははっとして自分の首輪に触れた。存在自体が息苦しい、今すぐ外してしまいたい首輪。

「この首輪は防水、耐ショック性で絶対に外れないぞ!!あ、そこ、引っ張らないように!!無理して外そうとすると、そこ、私語は禁止だ!!」
「うわ…っ」

佑の斜め後ろに座っている曽根崎凪紗(女子10番)が小さく悲鳴を上げた。

進藤は突然何かを投げていた。
チョーク…などという平和な物ではない。
投げられた物、それは凪紗の前の席に座る設楽海斗(男子10番)の手によって、凪紗の目の前で止められた物――ナイフだった。

「な…凪紗チャンを[ピーーー]気!?」

凪紗の横にいた不破千尋(男子17番)が口をパクパクさせながら言った。
進藤は、溜息混じりに言った。

「いや、先生が[ピーーー]のは反則だろうなぁ…
 でも、私語は禁止だからな。
 ついつい勢いで投げてしまったよ、ごめんな!!」

佑の中で、何かが切れた。

千尋が立ち上がるよりも、海斗が掴みかかるよりも早く、佑は立ち上がって進藤の胸倉を掴んだ。

「テメェ、ふざけんじゃねぇよ!!
 人の命を何だと思ってやがるんだ!!
 このクソ政府、ブッ飛ばしてやらぁ!!」

3人の軍人が、一斉に銃を構えた。
しかし進藤はそれを下げさせ、佑を突き飛ばした。
あまりの力の強さに佑は吹っ飛ばされ、後ろにいた池田圭祐(男子3番)の机に突っ込んだ。

進藤が、何かリモコンのような物を取り出した。
佑の方に向けた。

「…何だよ、それ…」

佑は引きつった笑みを浮かべた。

進藤はにっこりと微笑んだ。

「君の発言は反政府的発言だ、罰しないといけない!!
 君に残された時間は、あと1分!!
 あと1分で、君の首輪は…ボンッ!!
 あ、皆、危ないから近づくなよ!!」

スイッチを、押した。
佑の首から、電子音が聞こえた。

佑は目を見開いた。

あと、1分…
マジかよ… ふざけんじゃねぇよ…!!

「佑!?」

凪紗が悲鳴を上げ、立ち上がった。

「く…来るんじゃねぇ!!」

佑は両手を前に突き出し、凪紗を止めた。
凪紗はビクッと反応し、止まる。

ちくしょう… オレ… 死んじまうのか…?
まだ、言いたい事、やりたい事、一杯あるってのに…

せめて――

「凪紗!!」

佑は叫んだ。
今できる精一杯の笑顔を浮かべた。

「オレ、ずっと…ずっと好きだったぞ!!大好きだ、凪紗!!」

凪紗が目を見開く。

何だよ、気付いてくれてなかったのか、まあ、鈍感そうだもんな――

「千尋、海斗…凪紗の事、任せた!!」
「いや…っ 佑…っ 佑!!」

佑に近づこうとする凪紗を、海斗と千尋が抑える。そうだ、それでいい… 近づいちゃダメなんだ…海斗、無口だけどさ、何か気が合ったよな…千尋、やたらからかわれたけどさ、楽しかったぜ…凪紗、凪紗…ダチでいてくれて…ありがとう…少しずつ、電子音の鳴る速度が上がっている。

クラスメイトたちを見回した。クラスメイトたちが、様々な表情で自分を見ている。驚愕している者、心配げに見る者、泣きそうになっている者――きっと、今までで、1番楽しいクラスだった。

「オレ…楽しかった!オレさ、このクラスになれて本当によかった!皆、大好きだっ!だから…当分会いたくない、お別れだ!!」

視界がぼやける。あちこちから、嗚咽が漏れているのが聞こえる。

皆、皆、大好きだった。
学校が、初めて楽しく思えた。

皆、ありがと――

佑は進藤を睨んだ。

「こんなの…絶対に間違ってる…!!
 ちくしょう、ただでやられてたまるか!!
 テメェも道連れに――」

 

ピー―――ッ

 

爆発音が響き、佑の首が、胴から離れた。
頭が、ごろんと床に落ち、少しだけ転がり、止まった。
頭があった部分から噴水のように血を吹き出した胴体は、それを待っていたかのように、ゆっくりと前に倒れた。

 

あぁ… 佑…

 

目の前で血の海に転がる仲間を、凪紗はただ呆然と見ていた。

男子1番・青山豪(あおやま・ごう)

サッカー部FW。男子運動部グループ。
いつでも努力を怠らない。
笠井咲也(男子5番)・工藤久尚(男子6番)と特に仲がいい。


支給武器:Cz75
kill:なし
killed:結城緋鶴(女子19番)
凶器:アイスピック
 

咲也・久尚・設楽海斗(男子10番)に嫉妬心を感じていた。

サッカー選手になるために優勝する事を決意するが、突然緋鶴に首を刺され死亡。

 

努力家、無念の退場でした。。
やろうとした事はともかく、1つの事に全てを捧げられる人ってかっこいいですよね。
彼のイメージ、『ホイッスル!』の主人公が元だったりします。

男子2番・浅原誠(あさはら・まこと)

囲碁部。男子文化系グループ。
成績は学年3位で、常に勝てない不破千尋(男子17番)を嫌っている。
愛国主義者で、将来の夢は政府官僚。


支給武器:フランキ スパス12
kill:濱中薫(女子14番)
矢田美晴(女子18番)
killed:不破千尋(男子17番)
凶器:フランキ スパス12
 

千尋を憎み、探し出して殺害しようとしている。

D=06エリアで薫と遭遇。 偶然千尋の居場所を聞き出せた上、千尋とも遭遇。 薫を銃[ピーーー]るが、千尋には逃げられる。
千尋と美晴を発見し、トラックを炎上させる。 千尋を庇い続ける美晴に苦戦するが、銃殺。 それに激怒した千尋も倒そうとしたが、腕と頭を撃たれ死亡。

 

プチオフ会でも見事に人気の無かった(苦笑)浅原君。「誠」の字が泣くよ。
結局最期まで勝てなかったのは、実力の差。
そして、奪う為の強さと護る為の強さ、2つの力の差。

男子3番・池田圭祐(いけだ・けいすけ)

部活は無所属。不良グループ2。
容姿は落ち目。グループのパシリ的存在。
真田勝(男子9番)のことを尊敬している。


支給武器:キャリコM950(マシンガン)
kill:なし
killed:真田勝(男子9番)
凶器:キャリコM950
 

曽根崎凪紗(女子10番)に恋心を抱いていた。

凪紗に告白しようと勝と共に探していたが、断念。勝に銃を向けられ驚くが、目的を聞いて納得し銃殺された。

 

最初考えていたより好きになった子でした。
自分の大好きな人の幸せが自分の幸せ、そんな考え方ができる人になりたいです。
他人の不幸は自分の幸福ですから(こら

男子4番・稲田藤馬(いなだ・とうま)

軽音楽部。クラスのバンドコンビの片割れ。ギター担当。
斎藤穂高(男子8番)らと一緒にバンドを組んでいる。
他のクラスに彼女がいる。


支給武器:ウージー9ミリサブマシンガン
kill:なし
killed:結城緋鶴(女子19番)
凶器:ファイブセブン
 

穂高と共に不破千尋(男子17番)に誘われ手伝いをする。
C=07エリアで濱中薫(女子14番)・姫川奈都希(女子15番)に会う。千尋の誘いに乗り、プログラム破壊作戦を手伝う事を決める。想い人を探す為に出て行く奈都希を見送った。
放送で奈都希の死を知り探しに行った薫の死にショックを受ける。B=08エリアに移動し、作戦準備再開。
放送で矢田美晴(女子18番)の危機を知り、作戦決行へ。「自分のやりたい事をやれ」と千尋に言われ、別れる。
E=07エリアで吉原遼(女子20番)に襲われる遠江敬子(女子12番)を救い、遼を追い払った。
G=06エリアで放心状態の千尋と再会、励ます。緋鶴に襲われ、穂高を殺される。怒りで緋鶴を倒そうとするが、隙を突かれ左胸部に被弾し死亡。

 

役割としては千尋のサポートでした。少しあっさりとしてしまったかな、と思います。
元は出番がほぼなかったのに、いつのまにかサブメインに昇進。
穂高に比べて突進キャラというか・・・そんな感じで書きました。

男子4番・稲田藤馬(いなだ・とうま)

軽音楽部。クラスのバンドコンビの片割れ。ギター担当。
斎藤穂高(男子8番)らと一緒にバンドを組んでいる。
他のクラスに彼女がいる。


支給武器:ウージー9ミリサブマシンガン
kill:なし
killed:結城緋鶴(女子19番)
凶器:ファイブセブン
 

穂高と共に不破千尋(男子17番)に誘われ手伝いをする。
C=07エリアで濱中薫(女子14番)・姫川奈都希(女子15番)に会う。千尋の誘いに乗り、プログラム破壊作戦を手伝う事を決める。想い人を探す為に出て行く奈都希を見送った。
放送で奈都希の死を知り探しに行った薫の死にショックを受ける。B=08エリアに移動し、作戦準備再開。
放送で矢田美晴(女子18番)の危機を知り、作戦決行へ。「自分のやりたい事をやれ」と千尋に言われ、別れる。
E=07エリアで吉原遼(女子20番)に襲われる遠江敬子(女子12番)を救い、遼を追い払った。
G=06エリアで放心状態の千尋と再会、励ます。緋鶴に襲われ、穂高を殺される。怒りで緋鶴を倒そうとするが、隙を突かれ左胸部に被弾し死亡。

 

役割としては千尋のサポートでした。少しあっさりとしてしまったかな、と思います。
元は出番がほぼなかったのに、いつのまにかサブメインに昇進。
穂高に比べて突進キャラというか・・・そんな感じで書きました。

男子5番・笠井咲也(かさい・さくや)

サッカー部FW。男子運動部グループ。
サッカーでは地域選抜にも選ばれる実力者。
幼馴染の工藤久尚(男子6番)と共に“爽やかペア”として人気がある。


支給武器:サッカーボール
kill:なし
killed:結城緋鶴(女子19番)
凶器:包丁
 

緋鶴に恋心を抱いている。

F=07エリアに久尚と共にいたが、周防悠哉(男子11番)と遭遇。久尚に逃がされる。
D=03エリアに潜伏していたが、久尚が悠哉に殺害された事を知り、復讐を誓う。 包丁を入手。 復讐に向かおうとしたが、緋鶴に会う。 緋鶴に想いを告げるが包丁で左胸部を刺され死亡。

 

復讐は叶いませんでしたが、想いは告げられただけ・・・良かったのかどうなのか。
もっと爽やかにしてあげたかったんですが、そういうわけにもいかなかったので。
サクちゃんも好きでした?v

男子12番・伊達功一(だて・こういち)

バスケ部。男子運動部グループ。
軟派な性格で、今岡梢(女子1番)の元彼氏だが、別れた原因は功一にある。
津田彰臣(男子13番)・高山淳(女子11番)とは幼馴染。


支給武器:カッターナイフ
kill:なし
killed:なし(事故死?)
凶器:なし(転落死)
 

H=02エリアの建物の屋上に彰臣と共に潜伏していたが、些細な事から争いに発展してしまう。 彰臣に両目を傷つけられ錯乱。 目が見えないまま誤って屋上から転落。

 

もう・・・何といいますか、口は災いの元ですね。
彰臣君もやり過ぎかもしれませんが、やっぱり自業自得かと。

男子11番・周防悠哉(すおう・ゆうや)

関西弁を話す特別参加者。
通っている学校ではバスケ部(幽霊部員)。
志願した理由などは明らかにされていない。


支給武器:コルト・ガバメント
kill:工藤久尚(男子6番)
killed:結城孝博
凶器:グロック19
 

反政府組織ADGIと関わりを持っている。
プログラムに参加した目的は、結城緋鶴(女子19番)の父、孝博を殺害し、緋鶴を自由にすること。

出発後すぐに見つけた設楽海斗(男子10番)・曽根崎凪紗(女子10番)に攻撃を受け、逃げられる。 その後緋鶴が青山豪(男子1番)を殺害するところを発見する。
F=07エリアで笠井咲也(男子5番)・工藤久尚(男子6番)と遭遇。久尚を銃殺。ベレッタM93R入手。
C=07エリアで不破千尋(男子16番)と対決するが和解。 CD?ROMを渡す。
F=06エリアで緋鶴を再発見。 悠哉がプログラムに参加した目的は、元彼女であり“戦闘実験体”としてクラスメイトを殺害し続ける緋鶴を止める事だった。 緋鶴を止めようとするが、脇腹を刺され、逃走される。 その後海斗・凪紗と再び会い、緋鶴の事を話す。 緋鶴を止める為、再び追う。
H=02エリアで羽山柾人(男子16番)と遭遇。緋鶴の事を頼み、別れるが、その後傷ついた凪紗と一緒にいるのを見つける。G=06エリアに連れて行く。柾人と別れ、静養中の凪紗と共に行動することに。
G=08エリアで海斗・黒川梨紗(女子5番)と合流。 放送後、移動。
E=07エリアで千尋・真田勝(男子9番)の最期を看取り、プログラム本部へ向かう。ウージー9ミリサブマシンガン、キャリコM950、S&W M36、S&W M10、シグ・ザウエル P220入手。
本部で結城の言動に激怒、向かっていくが側近・結城に撃たれ死亡。目的を達成する事はできなかった。

 

関西弁を書きたいがために関西からやってきた転校生でした。
ちなみに言葉はほぼ私の話し言葉なため、神戸弁に若干色々混ざっております(笑)
目的を達成させる事はできなかったけれど、[ピーーー]事をやめた緋鶴を見れた事がせめてもの救いかな、と思います。

女子6番・小南香澄(こみなみ・かすみ)

読書部。女子文化部グループ。
好奇心旺盛で何事にも興味を持つ。
将来の夢は小説家。


支給武器:ファイブセブン
kill:柚木康介(男子19番)
killed:結城緋鶴(女子19番)
凶器:Cz75
 

G=06エリアに潜んでいた。岩見智子(女子2番)と三河睦(女子17番)の死体を前に、好奇心を掻き立てられる。ジェリコ941入手。
D=05エリアで狂った康介に襲われ、驚いて発砲、殺害。『プログラム完全攻略本』入手。
F=04エリアで緋鶴に会う。 緋鶴に脇腹を撃たれ、ショックを受ける。何がなんだかわからないまま頭部に被弾し死亡。

 

小説家になりたくて好奇心旺盛だった女の子でした。
でも自分に危険が及ぶとそういう事は全部吹っ飛んでましたね、きっとそうだと思います、死の際にたたされると全て頭から消えてると思います。

男子13番・津田彰臣(つだ・あきおみ)

野球部エース。男子運動部グループ。
硬派。曲がった事が嫌いな性格。
伊達功一(男子12番)と高山淳(女子11番)とは幼馴染。


支給武器:アーミーナイフ
kill:なし
killed:桐島伊吹(女子4番)
凶器:ブローニング・ベビー
 

淳に恋心を抱いている。

H=02エリアの建物の屋上に功一と共に潜伏していたが、些細な事から争う。 威嚇のつもりで振ったナイフが功一の目を傷つける。 錯乱した功一が屋上から転落するのを助けられなかった。 淳と合流。
B=02エリアで淳に励まされ、生きている仲間を探す。 錯乱した伊吹を見つけ近づくが、伊吹に頭部を撃たれた。

 

曲がった事は嫌い、自分で責任を負ってしまう、真面目な感じを目指しました。
淳ちゃんからの告白に照れて何も言えないあたりが純情です(笑
良いですね、こういうタイプ・・・

「はい、着席、ちゃくせーき!!」
進藤幹也(担当教官)が大声で叫んだ。
後ろの方ではガタガタと席に着く音が聞こえるが、前の方ではほとんどが立ち尽くしていた。

設楽海斗(男子10番)は曽根崎凪紗(女子10番)を抑えたまま、呆然と栗原佑(男子7番)の死体を見つめていた。

信じられない。
佑が、死んでいる。
目の前で。

海斗は一緒に凪紗を抑えていた不破千尋(男子17番)の方を見た。
千尋は瞬きもせず、佑の方を凝視していた。
涙はないが、ショックを隠せないでいる。

いつも、4人一緒だった。
互いの足りない部分を補い合っているような、そんな関係だった。
そのピースが、1つ欠けた。

「…凪紗、座ろう。 千尋も、大丈夫か…?」

海斗は2人に声を掛けた。
千尋は今までに見せた事のないような呆然とした顔で、海斗を見た。

「…千尋?」

「あぁ…うん、大丈夫…」

千尋はずれかけた眼鏡の位置を直し、自分の席に腰掛けた。
海斗は、もう一度凪紗に声を掛けた。
しかし、凪紗は何も言わない。
聞こえてすらいないようだった。
海斗は凪紗に腰を下ろさせ、自分もその前に座った。
佑の顔が、よく見える。
怒りに満ちたその目は、天井を睨んでいた。

全員が、座った。
机の大部分が佑の血で汚れた池田圭祐(男子3番)の顔は青ざめていた。

進藤は佑の死体には目もくれず、話し始めた。

「わかったかな? 首輪はこうなってしまうんだ!!
 えっと…地図の話だったかな?
 君たちに配る地図は、100マスに分けられているんだ!!
 例えばここ、中学校はD=04エリア、という風になっている!!
 そして、6時間ごとに定時放送を行う!!
 その時に、禁止エリアというものを言うからな!!
 時間になってもそこにいる死んだ者はそのまま…
 だが、生きている者は、電波を送って…ボン!!
 栗原君のようになってしまうから、注意しような!!
 あと、怪しい行動を起こしても、こっちから電波を送る!!
 首を飛ばされたくなければ、頑張って殺し合おうな!!」

突然、後ろの方で誰かが呻き声を上げた。
吐瀉物が床にぶちまけられる音がした。
それを聞いて、またどこかで誰かが呻き声を上げた。
それの臭いと佑の血の臭いが、教室を満たしていた。

気分が悪い。
最悪だ、すべて最悪だ。

「さあ、何か質問はあるかな!?」

「…どうしても、しないといけないんですか?」

後方から聞こえた声は、稲田藤馬(男子4番)のものだった。
何人かが頷いた。
しかし、進藤は希望を打ち砕いた。

「しないといけないぞ、もう決まった事だ!!」

予想通りの返事だ、捻りも何もない。

「どうして…何でオレらなんですか…?」

いつも穏やかな柚木康介(男子19番)が、泣きそうな声で言った。

「これは、厳正な抽選の結果だ、君らの運が良かったんだな!!」

悪かった、の間違いだろうが。
こんなもの、嬉しがるヤツなんかいるはずがないだろう。

 

「よし、そろそろ出発だ!!
 あ、私物は自由に持っていっていいぞ!!

 その前に、皆机の中から紙と鉛筆を出したまえ!!」

海斗は机の中を漁った。
中からは新品らしい鉛筆と小さな紙が出てきた。

「はい、それに次のことを3回ずつ書こう!!
 『私たちは殺し合いをする』、はい!!
 『殺らなきゃ殺られる』、はい!!」

ふざけるな、誰が書くか。

海斗はささやかな反抗として、全く逆の事を書いた。
殺し合いなんかしない、殺さないし殺されない、誰が殺し合いなんかするか。

「最後に1つ、アドバイスをしてあげよう!!」

進藤が叫ぶ。
いい加減耳が痛くなってきた。

「いいかい、諸君?
 [ピーーー]か殺されるか、生きるか死ぬか…選ぶのは君自身だ――
 武運を祈る!!

 では出発だ!! 出席番号順だからな!!」

進藤は茶色の封筒を取り出し、封を手で切った。

「最初の出発者は…
 おお、何たる偶然!!
 男子1番、青山豪君!!」

ほぼ全員が、一斉に豪の方を見た。

「お…オレ…?」

豪がゆっくりと立ち上がった。

豪は震える手で自分の荷物を持ち、デイパックを受け取った。
ちらっと教室の中を見た。

「あ、そうだそうだ。
 この中学校があるエリアは、最後の人が出た20分後に禁止エリアだ!!
 注意するようにな!!

 あと、転校生の周防君は、出席番号11番に入るぞ!!

 さあ、青山君、出発だ!!」

豪はゆっくりと後ずさり、廊下に出るとダダダダッと足音を立て、走っていった。

「2分後に、女子1番、今岡梢さんだ!!」

 

6月11日、AM4:05、試合開始――

 

 

千尋は豪の出て行った入り口をぼんやり眺めていた。

千尋は気まぐれな人間だった。
好きなことはするが、嫌なことはしない。

千尋にとって、頭に知識を詰め込む事は、好きな事だった。
運動する事は、楽しい事だった。
喧嘩をする事は、ストレスを発散させられる事だった。
そして、凪紗・佑・海斗といる事は、何よりも幸せな事だった。

凪紗といると、癒されている自分がいた。
佑といると、楽しんでいる自分がいた。
海斗といると、落ち着ける自分がいた。
最高の、居場所だった。

特に、凪紗といる時は特別だった。
仲間として以上に、異性として、女性として大好きだった。
それは千尋だけでなく、佑もそうであったし、海斗もそうだろう。
過去に一度、3人で互いの気持ちを確認したことがある。
しかし、誰も告白したりはしなかった。
しばらくは仲の良い4人組でいたかった。

しかし――壊された。
いとも簡単に。
ピースが、欠けた。

「次、男子10番、設楽海斗君!!」

 

進藤の大声で、千尋は我に返った。
海斗の方を見た。
海斗はちらっと千尋の方を見た。
その目は、静かに怒りに燃えているようだった。
海斗は凪紗の方に視線を移し、すぐに千尋に戻した。

…うん、わかっているよ――

千尋は頷いた。
海斗はそれを確認し、デイパックを受け取ると、部屋を出て行った。

『千尋、海斗…凪紗の事、任せた!!』

大事な仲間が残した、遺言。
千尋と海斗には、それを守る義務がある。

海斗は絶対に外で凪紗を待っている。
放心状態の凪紗を出迎えるのが、先に出る海斗の役目。そんな凪紗を送り出すのが、後に出る千尋の役目。

「次、女子10番、曽根崎凪紗さん!!」

呼ばれたが、凪紗は気付いていない。進藤がもう一度名前を呼ぼうとしたのを制し、千尋は立ち上がり、凪紗の肩を叩いた。

「凪紗チャン…凪紗チャン?」

凪紗がようやく気付き、ゆっくりと千尋の顔を見た。

「ち…ひろ…?」
「凪紗チャンの番だよ、行かないと」
「あ…うん…」

凪紗は虚ろな目のまま、自分の鞄を手に取った。千尋は凪紗の耳にそっと自分の口を近づけた。

「外で、海斗クンが待ってるよ。海斗クンを見つけたら、すぐにここから離れるんだ、いいね?オレを待とうだなんて、思っちゃいけないよ?次は、あの得体の知れない転校生だから、危険だからね」

凪紗が驚いた表情で千尋を見た。

「でも、千尋…――」

パンッ

外で、1発の銃声が響いた。凪紗の肩がビクッと震えた。

「おーおー、始まったなぁ!!」

進藤が爽やかに笑みを浮かべた。今すぐ殴ってやりたいほど、爽やかに。

「まさか…海斗…っ」

凪紗が不安げな表情を浮かべた。千尋はにっこりと微笑んだ。

「大丈夫、多分… でもほら、行ってあげな、早く。オレのことは心配しないで、大丈夫だからさ」
「早くしろ!!」

田中(軍人)が銃を構えた。凪紗は田中をキッと睨んだが、すぐに視線を千尋に戻した。

「…千尋、絶対、会おうね…?」

千尋は頷いた。凪紗はデイパックを受け取り、教室を出ようとしたが、くるっと向きを変え、佑の亡骸の側にしゃがんだ。

「何している!!」
「…形見くらい、持って行ったっていいじゃない」

田中の方には目もくれずに言い、凪紗は佑の腕からリストバンドを外した。血を含んでいたが、それを自分の腕にはめ、凪紗は出て行った。

千尋は自分を睨んでいる進藤の視線に気付き、そちらを見た。
にっと笑って見せた。

海斗クンに任せれば、凪紗チャンは大丈夫…
ごめんね、できればオレも2人と一緒にいたかった…
でも、いられない…
オレが今からしようとすることは、きっと危険な事だから…

大丈夫、今生の別れになんか、なったりしない…
信じてる、生きてまた会えるって、信じてる…

絶対にまた会える…会えた、その時には…

オレの気持ち、聞いてもらうからね――

曽根崎凪紗(女子10番)は急いで外へ出た。
先ほどの銃声は、何だったのだろう?
海斗…海斗じゃないよね…?

凪紗の前に教室を出た設楽海斗(男子10番)は無事だろうか?

校舎の出口に着いた。
外はまだ暗いが、周りが見えないほどではない。
外はグラウンド、その向こうには校門が見え、その奥には森が広がっているようだ。

まずは、ここから出ないと…

凪紗は周りを見回し、誰もいない事を確認し、一気にグラウンドを駆け抜けた。
ああ、こうやって周りを警戒する自分が情けない。
皆を疑う気などないのに。
しかし、事実戦いは始まっているはずだ。
そうでなければ、銃声など聞こえるはずがない。

 

一気に茂みの中に駆け込んだ。
辺りを見回す。

「海斗…海斗…?」

小さな声で海斗の名を呼んだ。

死んで、ないよね?
嫌だよ、海斗もいなくなっちゃったら、あたしは――

「うわっ!!」

突然腕を掴まれ、凪紗は叫び声を上げた。

「バカ、オレだ」

抑揚の少ない、低い声が聞こえた。
聞き慣れた、落ち着く声。
凪紗はばっと振り向いた。

「か…海斗…無事だったんだね!!」

「まあな」

ぶっきらぼうで、短い言葉。
いつもと変わらない、海斗のままだ。

「銃声…海斗じゃないよね?」

「…いや、違う」

海斗は首を横に振った。

そっか… じゃあ、さっきのは一体…

 

 

「よぉ、ご両人!」

 

突然後ろから声を掛けられ、凪紗と海斗は同時に振り向いた。
自然と、喧嘩の前のように構えてしまう。

当然だろう、この声は、聞き覚えがない。

「…転校生…」

海斗が低く呟いた。

目の前にいるのは、茶髪に鋭い目、謎の転校生周防悠哉(男子11番)だった。
凪紗の次に出たであろう悠哉に、追いつかれてしまった。
笑顔を浮かべているが、正直言って怖い。

「…武器は?」

凪紗は悠哉には聞こえないように小声で訊いた。
海斗は首を横に振った。
まだ見ていないか、外れ武器かのどちらかだろう。

「そんな険しい顔せんといてぇな」

悠哉がカラカラと笑う。
笑ってはいるが、隙はあまりなさそうだ。

「千尋は、待つか?」

今度は海斗が呟き訊いた。

『海斗クンを見つけたら、すぐにここから離れるんだ、いいね?
 オレを待とうだなんて、思っちゃいけないよ?
 次は、あの得体の知れない転校生だから、危険だからね』

凪紗は不破千尋(男子17番)の言葉を思い出した。
本当は待っていたい。
しかし、ここで死ぬわけにはいかない。

「海斗、逃げよう…
 千尋は大丈夫、絶対会える、あたしは信じてる」

「…そうだな。
 あいつは曲者だ、易々とやられはしない」

目の前で悠哉が首をコキッと鳴らした。

「話は終わったんか?
 ちょっと色々と訊きたい事が――うわっ!!」

凪紗と海斗は思いっきり地を蹴り、悠哉にまっすぐに突っ込んだ。
海斗が足を振り上げる。
悠哉はすっと屈んでそれを交わす。

「危な――ゲッ!!」

ちょっと甘いよ、転校生!!
手加減した海斗の蹴りは、屈んでもらうための、ただの囮だよ!!

凪紗は、海斗が足を振り上げたと同時に悠哉の懐に潜り込んでいた。
悠哉が屈んでくれれば、小柄な凪紗でも楽に胸倉を掴める。

「…転校生…」

海斗が低く呟いた。

目の前にいるのは、茶髪に鋭い目、謎の転校生周防悠哉(男子11番)だった。
凪紗の次に出たであろう悠哉に、追いつかれてしまった。
笑顔を浮かべているが、正直言って怖い。

「…武器は?」

凪紗は悠哉には聞こえないように小声で訊いた。
海斗は首を横に振った。
まだ見ていないか、外れ武器かのどちらかだろう。

「そんな険しい顔せんといてぇな」

悠哉がカラカラと笑う。
笑ってはいるが、隙はあまりなさそうだ。

「千尋は、待つか?」

今度は海斗が呟き訊いた。

『海斗クンを見つけたら、すぐにここから離れるんだ、いいね?
 オレを待とうだなんて、思っちゃいけないよ?
 次は、あの得体の知れない転校生だから、危険だからね』

凪紗は不破千尋(男子17番)の言葉を思い出した。
本当は待っていたい。
しかし、ここで死ぬわけにはいかない。

「海斗、逃げよう…
 千尋は大丈夫、絶対会える、あたしは信じてる」

「…そうだな。
 あいつは曲者だ、易々とやられはしない」

目の前で悠哉が首をコキッと鳴らした。

「話は終わったんか?
 ちょっと色々と訊きたい事が――うわっ!!」

凪紗と海斗は思いっきり地を蹴り、悠哉にまっすぐに突っ込んだ。
海斗が足を振り上げる。
悠哉はすっと屈んでそれを交わす。

「危な――ゲッ!!」

ちょっと甘いよ、転校生!!
手加減した海斗の蹴りは、屈んでもらうための、ただの囮だよ!!

凪紗は、海斗が足を振り上げたと同時に悠哉の懐に潜り込んでいた。
悠哉が屈んでくれれば、小柄な凪紗でも楽に胸倉を掴める。

「はああぁっ!!」

悠哉の胸倉をぐいっと掴み、凪紗はその体を力の限り投げ飛ばした。
幼い頃から武道を嗜んでいた凪紗には、普通の体格の男子くらいなら楽に投げ飛ばせる。
勢いよく叩きつけられ、悠哉が咳き込む。
それを見ると同時に、2人は一目散に駆け出した。
薄暗い森の中、悠哉の視界から消える事は、容易い事だ。

「いってぇ… 少しナメとったわ…」

そんな悠哉の呟きなど、当然聞こえていない。

 

 

2人は5分ほど走ったところで足を止めた。

「こ…ここまで来れば…大丈夫、だよね?」

「ああ… お見事」

2人は辺りに人がいないのを確認し、腰を下ろした。

これで、千尋には会いにくくなっちゃったな…
仕方ない…か…

凪紗はふと目の前の海斗に目をやった。
正確には、その右手に。
海斗の右手は、進藤幹也(担当教官)が凪紗に投げたナイフを止めたせいで、血まみれになっていた。

「海斗…手当てしなきゃ…」

デイパックの中からペットボトルを出し、傷口を洗った。
手のひらがすっぱりと割れており、絶えず血が滲んでいた。

「…海斗、ごめんね… あたしが話し掛けたから…」

ハンカチを縛りながら、凪紗は俯いた。

「いや、気にするな」

「気にするよ!!」

凪紗が叫び声を上げたので、海斗が思わずビクッと震えた。

2人は5分ほど走ったところで足を止めた。

「こ…ここまで来れば…大丈夫、だよね?」

「ああ… お見事」

2人は辺りに人がいないのを確認し、腰を下ろした。

これで、千尋には会いにくくなっちゃったな…
仕方ない…か…

凪紗はふと目の前の海斗に目をやった。
正確には、その右手に。
海斗の右手は、進藤幹也(担当教官)が凪紗に投げたナイフを止めたせいで、血まみれになっていた。

「海斗…手当てしなきゃ…」

デイパックの中からペットボトルを出し、傷口を洗った。
手のひらがすっぱりと割れており、絶えず血が滲んでいた。

「…海斗、ごめんね… あたしが話し掛けたから…」

ハンカチを縛りながら、凪紗は俯いた。

「いや、気にするな」

「気にするよ!!」

凪紗が叫び声を上げたので、海斗が思わずビクッと震えた。

「気にするに決まってるよ…
 あたしが話し掛けなければ、海斗は怪我しなかった…
 それに…それに…佑は…っ」

凪紗は下唇を噛んだ。
そうだ、自分が話し掛けたりしなければ、栗原佑(男子7番)は首を飛ばされずに済んだはずだ。
どう考えても、自分に非がある。

「ごめん……っ」

これ以上言葉が出ない。
代わりに涙が出そうになる。
凪紗は必死に堪えた。
今は、泣いている場合じゃない。

「…痛い」

海斗の声に、凪紗は顔を上げた。

「傷が…?」

凪紗の少し震えた声に、海斗は首を横に振った。

「いや…なんっつーか…見てて痛い」

海斗はまっすぐに凪紗を見た。

海斗はまっすぐに凪紗を見た。
所属するクラブサッカーの試合の時のような、真剣な目だ。

「泣けよ」

凪紗が思わず「え?」と声を上げた。

「泣きたきゃ泣けよ。
 泣きたい時は、泣けばいいだろ」

海斗が凪紗の顔を自分の胸に押し付けた。
汗の臭いがする。
海斗の心臓の鼓動が聞こえる。

「だって…今はそんな場合じゃ…っ」

「オレより、千尋より、佑との付き合いは長かったんだ。
 …泣いてやれよ。
 自分の為に泣いてくれるヤツがいるって…嬉しい事と思わないか?
 少なくとも、オレは、嬉しい」

海斗がこんなに長く話をする事は、そう何度もあることではない。
たまに長く話す時は、大抵人を諭すような時だ。
その話に、佑も、千尋も、もちろん凪紗も心を打たれた。

塞き止めていた物が、壊れた。
凪紗の目から、涙が一気に溢れ出した。
それは、海斗のカッターシャツを濡らしていった。

海斗はそっと凪紗の頭を撫でていた。
凪紗の涙が、止まるまで。

金城玲奈(女子3番)は、学校で――いや、市内でもトップクラスの金持ちを両親に持つ子供だった。
父親は政府の役人、母親は人気デザイナー。
何一つ不自由なく、1人娘として甘やかされて育ってきた。

そんな環境が、玲奈を高飛車な性格にしたと言っても過言ではない。
誰よりも、自分が素晴らしい。
他の人間は、ただのクズ。
玲奈の高慢な性格が、他の人から嫌われようが関係無い。
所詮、恵まれない負け犬の遠吠えだ。

そんな玲奈が、プログラムに選ばれてしまった。

予想外の出来事だった。
まさか、この自分にそんな不幸が巡ってこようとは。
例え選ばれたとしても、父親の力で何とかしてくれると思っていた。
しかし、何ともしてくれなかった。

…ふざけるんじゃないわよ、どうしてこのあたしがこんな茶番に付き合わされなければならない訳?
あたしを誰だと思ってるの?
そこらのクズとは違うのよ!?

政府の連中に言ってやりたかった。
しかし、敢えて口には出さなかった。

だってそうでしょ?
思ったままに口にするなんて、バカのすることよ。
栗原もバカよね、わざわざ自分から死ぬような真似して…

 

死にたくない。
死ぬわけにはいかない。
こんなクズたちの為に、自分が死ぬなんて嫌だ。

そんな玲奈の出した結論は、たった1つ。

あたしが、優勝すればいい。

そうだ、自分が死なないなら、他のクズが[ピーーー]ばいい。
生きるべきは、あたし――

 

玲奈は支給されたデイパックの中に入っていた武器、サバイバルナイフを自分のスカートの腰の部分に挟んでいる。
鞘から抜けば、すぐに使える状態だ。

目の前にいる、獲物に向かって――

「玲奈、何か考え事?」

「何でもないわ」

玲奈は冷めた表情の獲物――桐島伊吹(女子4番)に向かって微笑んだ。

伊吹との付き合いは中学生になってからだ。

傍から見れば、伊吹を中心として玲奈・中原朝子(女子13番)・三河睦(女子17番)が周りを取り巻いているように見えるかもしれない。事実、何かあったときには伊吹が中心だが。

しかし、実際はそんなに深い関係があるわけではない。
『互いに干渉しない』がモットーだ。
学校では一緒にいるだけ、4人はそんな関係だ。

表向きはそれなりに仲が良いが、裏ではそれぞれ何を考えているのかわからない。
もちろん、玲奈は朝子も睦も、伊吹さえも見下していた。
伊吹は何も考えていないだろう、他人には興味を持たない人間なので。

「ありがとうね、待っててくれて。心細かったのよ、こんな状況になっちゃって…」

「いいのよ、あたしも同じよ、伊吹」

嘘だ、別に心細くなんかない。
別に誰でも良かったが、どうせなら比較的能力の高そうな伊吹から殺そうと考えた。
最初が良ければ、調子に乗っていけそうなので。

フフ、前々から気に入らなかったのよ。
すました顔して、わけわからないんだもの。
その顔、もうすぐ恐怖で歪ませてあげるわ。
でも、その前に――

「ねえ、伊吹?」

玲奈が呼びかけると、伊吹は振り返った。

「何?」

「あのね、あなたの武器は何だったのかしら、と思って」

伊吹が怪訝そうな表情を浮かべる。
危ない、伊吹は勘がいい。
武器を知らなければならない理由は簡単だ、殺そうと襲ったはいいが、返り討ちにされてはたまらない。
仮に銃(いわゆる当たり武器は、この手の飛び道具だろう。一応サバイバルナイフも当たりの部類か?)を持っているなら、作戦を考えなければならない。
もちろん、そんな事を言えるはずがない。

「そんな顔しないで。
 ほら、急に誰かが出てきた時とか…危ないじゃない?
 念のためよ、ね?」

「あ…あぁ、そうよね」

伊吹がデイパックの中を漁った。
外れなら文句なし、ナイフの類もまあいいだろう。
とにかく、銃のような物でなければ、何でもいい。

「…これなのよ」

玲奈は伊吹の手にあるものを見た。
思わず口許が緩みそうになる。

「傷の手当てには一役買ってくれそうよね」

伊吹が苦笑する。
玲奈も笑った。
伊吹が笑うなら、隠す必要もないだろう。

伊吹の手にあるもの、それは何の変哲もないポケットティッシュだった。
外れ武器だ、どう考えても。

ふふ、所詮クズはクズらしい武器を貰っておけばいいのよ!
お似合いじゃないの!

「…で、玲奈は何なのよ?」

玲奈はにっこり微笑んだ。
風が吹き、玲奈の茶色のウェーブのかかった髪が揺れる。

作戦、決行。

「あたし? あたしは――」

すっと背中に右手を回し、サバイバルナイフの柄を持つと、鞘から引き抜く。
その勢いで、それを伊吹に向かって振る。
伊吹の前髪が数本、宙を舞う。

「れ…玲奈?」

「あたしの武器、これよ?
 中々の当たり武器だと思わない?」

玲奈はサバイバルナイフを振り回す。
伊吹はそれを間一髪で避ける。

さすが、運動神経はいいものね、伊吹。
でも…時間の問題でしょ?

伊吹の背中が1本の木の幹に付いた。
追い込んだ。

「玲奈…やめて…お願い…っ!」

伊吹が哀願している。
玲奈はくつくつと笑った。

「やめるわけないじゃない、あたしは死にたくないんだもの。
 そうよ、何であたしが死ななければならないの?
 あたしこそが生きるべき人間なのよ?
 あなたたちクズなんか、いらないのよ!」

「玲奈…っ」

伊吹の目には涙はない。
まあ、伊吹が泣く方が驚きだ。
とても想像はできない。

玲奈は極上の笑みを浮かべた。
街中の男が振り返るような、妖艶な笑みだった。

「あたしの為に[ピーーー]るなんて、光栄でしょう?」

玲奈はサバイバルナイフを振り上げた。

案外楽勝ね、この調子なら優勝だって余裕で――

 

バンッ

 

この会場に響いた初めての銃声が、玲奈の思考を止めた。
振り下ろしたサバイバルナイフは空を切り、玲奈は仰向けに倒れた。
その表情は、驚愕に満ちていた。

玲奈は一瞬、見た。

自分に向いた、銃口を。

そして、その先には――

 

「『あたしの為に[ピーーー]るなんて、光栄でしょう?』…か。
 バッカじゃないの? 自意識過剰」

伊吹は玲奈を見下ろした。

玲奈の額には、1つの穴が開いていた。

そして、伊吹の手には、小型自動拳銃(FN ブローニング・ベビー)が握られ、銃口からは煙が出ていた。

「あたしの迫真の演技、中々だったでしょ?」

もう動かない玲奈に向かって、そっと囁いた。

伊吹の支給武器は、ポケットティッシュなどではなかった。
あれは、修学旅行の為に持ってきていたものだ。
デイパックに入れられていたものは、小型の拳銃だった。

生き残る気だった伊吹は、1つの作戦を立てた。
銃を持っていることを隠し、相手を騙し、[ピーーー]。

心細くなどないし、仲間もいらない。
偶然玲奈が支給武器を腰に仕込んでいるのを見つけたので、飛び道具でないなら大丈夫だろう、と誘っただけだ。
そして、玲奈なら騙せるだろう、そう考えた。

作戦通りだったわね…
いけないわよ、玲奈、あたしみたいな人間の言う事を信じたら…

圭祐は曽根崎凪紗(女子10番)に恋心を抱いていた。
そのきっかけは、凪紗たちのグループと勝たちのグループが停戦協定を結んだ事だろう。

小学生の頃から、圭祐は自分にコンプレックスを感じていた。
細く小さな目つきの悪い目、中々治らなかった上に跡が残った頬のできもの、ぽっちゃりした体格――他にも色々とあるが、親譲りのものが多いので仕方がないとはいえ、嫌だった。
更に頭は悪く、運動能力は人並み。
おまけに声は元々低く、そこまで愛想も良くなかった。

お陰で、女子から話し掛けられたことはほとんどなかった。

中学生になり、勝たちと出会った。
お使いに行かされたり、面倒ごとを引き受けたりと、パシリ的存在だったが、不良は不良。
一層声を掛けてくれる者はいなくなった。
しかし、勝・新島恒彰(男子15番)・脇連太郎(男子20番)との付き合いは楽しかったので、そんな事を気にするのは止めた。
気にしていても仕方がない、今を楽しもう、と。

 「あ、ケースケ、隣だね、嬉しいな!」

停戦協定を結んだ中2の3学期の最初の席替えの時、初めてまともに凪紗と会話を交わした。

嬉しかった。
自分が横にいることが『嬉しい』と言ってくれた。
色々な話をしてくれた。

 「え? 女子が話し掛けてくれない?
  皆見る目ないなぁ… ケースケ、絶対いい男なのにね!
  人間外見じゃないよ、中身!!」

慰められたのかけなされたのかよくわからなかったが、たとえお世辞でも『いい男だ』と言ってくれたのは嬉しかった。

自分の中身を見てくれる女の子が、目の前にいる。

恋に落ちるのに、時間は掛からなかった。

 

だからこそ、こんなプログラムという最悪の状況になってしまったからこそ、自分の思いを伝えるつもりだった。
途中で偶然出会った勝に、ついて来てもらった。

そして――凪紗を見つけた。

体が、動かなかった。

凪紗は、凪紗といつも一緒にいた男3人組の1人、設楽海斗(男子10番)に抱きしめられ、泣いていた。

「ケースケ… どうするんだ…?」

少し気を遣ったような勝の声に我に返り、圭祐は急いでその場から離れた。
見たくなかった。
涙が出そうだった。
後ろから走って追いかけてくる勝の声にも反応せず、圭祐は凪紗たちから離れた。

 

 

「ケースケ… 後悔しねぇのか?」

心配げな勝の言葉に、圭祐は首を横に振った。

「仕方ないっスよ… 相手が海斗さんじゃ…勝ち目ゼロっスから…」

「そうかァ?
 テメェは良い男だぞ、オレが保障してやる。
 中身は文句なしでテメェの勝ちだ」

またもけなされているような気がしたが、圭祐は笑顔を見せた。

凪紗さんにも同じ事言われたっスね…
少しは…本当だって信じても…いいんスよね…?

どうしよう…!?
何でこんな事になっちゃったんだろう!?
濱中薫(女子14番)は泣きながら校舎を出、一目散に校門を駆け抜けた。
小柄な体ながらも、薫が所属するソフトボール部では誰にも負けない俊足を誇る薫は、20秒足らずで茂みの中に入った。

 

ぱらららっ

 

比較的近い所で、タイプライターのような音が聞こえた。
銃声だろうか?
薫は小さく悲鳴を上げ、その場にしゃがみ込んだ。
ぼろぼろと涙が溢れた。

「もう…やだぁ…っ
 薫、こんな所いたくないよぉ…っ!
 お父さん…お母さぁん…助けてぇ…っ!!」

怖い…怖い…怖い!!

普段はクラス1明るいムードメーカーである薫の姿は、どこにもなかった。
クラスメイトが殺し合わなければならない状況なので、仕方ないが。

怖い…怖い…怖い!!
助けて…誰か…助けて…

佑ちゃん…っ!!

薫の脳裏に先程起こった出来事が蘇る。
首が吹き飛んだ栗原佑(男子7番)の姿が、目に焼きついている。
完全に離れた頭と胴体。
少し前までくっついていた部分から噴き出す血。

「佑…ちゃ…ぁん…っ!」

 

『後輩相手に変な言い掛かりつけてんじゃねーよ、バーカ!!』

中2の初め、よそ見をしていてぶつかってしまった3年生の不良連中に絡まれた時、通りがかった佑が助けてくれた。
全身の至る所に痣を作りながらも、追い払ってくれた。

『女の子の顔殴るなんて、男の風上にも置けねぇヤツらだな!!』

連中の1人に殴られて腫れた薫の頬を見て、佑が怒っていた。
痛かったが、それ以上に嬉しかった。
助けてくれた事が。

『お礼なんていいって、男として当然の事だろ、女の子守るのは!』

傷だらけになりながら、そう笑っていた。
王子様みたい、そう思った。

大好きだった。
男気のある佑が。
小さな子のような元気な笑顔を浮かべる佑が。

 

『オレ…楽しかった!
 オレさ、このクラスになれて本当によかった!
 皆、大好きだぜ!
 だから…当分会いたくない、お別れだ!!』

 

最期の薫たちに向けられた言葉。
今も耳の奥に残っている。
きっと、消える事はないだろう。

大好きだった。
佑が曽根崎凪紗(女子10番)の事を好きだったのは、何となく知っていたが、そんな事は関係無い。
ただ好きでいるだけなら、本人の自由でしょ?

大好きだった。
佑が曽根崎凪紗(女子10番)の事を好きだったのは、何となく知っていたが、そんな事は関係無い。
ただ好きでいるだけなら、本人の自由でしょ?

当分会いたくないってことは…皆に生きてって言いたかったってことだよね…?
でも…怖いよぉ…
皆を疑いたくなんかないけど…でも…でもぉ…っ

「佑ちゃん…佑ちゃん…!」

名前を呼んでも、返事があるはずはないが、薫は名前を呼び続けた。

 

「濱中さん…ですよね?」

 

突然上から穏やかな声が聞こえ、薫はビクッと顔を上げた。

逃げなきゃ…逃げなきゃ!!

薫は立ち上がり逃げようとしたが、少し出っ張った石に躓いた。
声の主がくつくつと笑う。

「大丈夫ですよ、僕は貴女に危害を加える気はありません」

その言葉に、薫の眼からぶわっと涙が溢れた。

「うぅ…っ 悟ちゃぁん…っ」

ぼろぼろと涙を流す薫を見て、声の主――長門悟也(男子14番)は苦笑いを浮かべた。

「座ってください、膝、怪我してますよ?」

薫はその場に腰を下ろした。
悟也は自分のデイパックから水を出し、丁寧に薫の膝を手当てしてくれている。

長門悟也、薫にとっては謎の人物だった。
何故か誰に対してでも敬語を遣う(クラスのお姉様的存在、遠江敬子(女子12番)もそうだが)、ミステリアスな雰囲気に包まれた少年。
長めの綺麗な黒髪が、それを強調しているように見える。
四角い縁の眼鏡の奥に見える眼は、いつも穏やかだ。
今も、何一つ変わらない。

「はい、できましたよ? 足元には気をつけてくださいね」

「うん…ありがと…」

 

薫は目の前に座る悟也を見た。
悟也はその視線には気付かず、自分の左手首についている数珠のようなブレスレットを弄んでいた。

「…ねぇ、悟ちゃん…」

悟也は顔を上げた。

「悟ちゃんは…どう思う…?」

「…何がですか?」

「皆を…信じられる…?」

悟也はブレスレットから手を離した。
薫の眼をじっと見つめた。
何かを見透かされそうな気がした。

「濱中さんは、どう思うんですか?」

薫は悟也から目を逸らし、抱え込んだ膝の上に顎を乗せた。

「…薫は…信じてるよ…信じたいよ…
 皆、殺し合いなんて…しないって…信じたい…
 でも…怖い…怖くて怖くて仕方がないんだぁ…
 心の奥底では、誰も信じられてないんだ、多分…
 そんな自分が…すっごい嫌…」

どうして信じられないんだろう?
信じたいのに。
でも、銃声も聞こえた。
もしかしたら誰かの命が消えたかもしれない。
自分もいつか誰かに殺されるかもしれない。
そう考えると――怖い。

「貴女らしくないですよ?」

薫は悟也の顔を見た。
悟也がにっこりと微笑んだ。

「いつもの貴女でいればいいじゃないですか」

「いつもの…薫…?」

薫はきょとんとし、首を傾げた。

「そうやって疑心暗鬼になるから、プログラムは進むんです、多分。
 クラスの大部分は、きっと貴女と同じ気持ちですよ。

 貴女は、クラスの皆さんが好きなんですよね?
 皆さんを信じていたいんでしょう?
 だったら、その気持ちを貫き通しなさい。
 それがいつもの貴女でしょう?
 他愛もない事かもしれないですが、1番大切な事ですよ」

「いつもの…」

相変わらず不思議な人間だ、悟也は。
この歳で何かを悟っているのだろうか?
ただ、その言葉は薫の心に響いた。
心のもやが、晴れた気がした。

「そう――あ…」

悟也が突然横を向いた。
薫がその視線を追い――立ち上がった。
ぱあっと表情が輝いた。

「ナッちゃん!!」

「薫!!」

勢い良く走ってきて薫を抱きしめたのは、薫にとって誰よりも大好きで、誰よりも信頼できる、大切な幼馴染、姫川奈都希(女子15番)だった。
悟也は穏やかな笑顔でその様子を見ていた。

「薫…無事でよかった…
 部屋の中で銃声が聞こえたから…心配して…っ」

奈都希が泣き出した。
薫の眼にも再び涙が溜まった。
それを手の甲で拭い、奈都希を自分から離し、その手を握った。

「ナッちゃん、行こっ!
 ここのエリア、禁止エリアになっちゃうよ!」

「あ…うん、そうね」

奈都希も涙を拭った。

男子14番・長門悟也(ながと・さとや)

部活は無所属。男子文化系グループ。
ミステリアスな雰囲気に包まれている。
実家は寺。予知夢を見ることができるらしい。


支給武器:ボウガン
kill:吉原遼(女子20番)
killed:真田勝(男子9番)
凶器:キャリコM950
 

偶然出会った濱中薫(女子14番)を諭す。薫と別れ、移動。
F=03エリアで羽山柾人(男子16番)と会う。励まし、別れる。
設楽海斗(男子10番)・曽根崎凪紗(女子10番)と会う。 悟也は予知夢で自分がここで死ぬ事を覚悟していた。 それを聞いた凪紗に殴られる。 そのまま別れる。
夢の通り、遼を発見し殺害。 勝を目にして初めて予知夢に逆らい、勝から逃げようとするが、全身に被弾し死亡。

 

遼ちゃんも書きにくいですが悟也君も書きにくかったです。(*_*)
結果は一緒でしたが、最後まで頑張っただけ何か得たものがあったかもしれません。
書きにくいですが好きな子でした。

男子15番・新島恒彰(にいじま・つねあき)

部活は無所属。不良グループ2。
喧嘩好きで粗雑で乱暴。好きな言葉は下剋上。
中原朝子(女子13番)の彼氏。


支給武器:毒薬
kill:中原朝子(女子13番)
駿河透子(女子9番)
killed:真田勝(男子9番)
凶器:キャリコM950
 

頂点に立つ為に優勝を目指す。

E=08エリアで朝子を発見、毒殺。
F=01エリアで勝と透子を襲い、透子を銃殺。下剋上を成し遂げる為に勝も殺害しようとするが、怒った勝に敵わず銃殺される。

 

真田君とは反対のタイプといいますかなんと言いますか。
真田君にとっては「友達」以上にはなれない人でした。
こんな人は彼氏にしたくないです、私は。

男子20番・脇連太郎(わき・れんたろう)

部活は無所属。不良グループ2。
将来の夢も希望もなく、ただ何となく生きている。
趣味はナンパ。


支給武器:小刀
kill:なし
killed:椎名貴音(女子8番)
凶器:小刀
 

J=01エリアで貴音と遭遇。恐怖で錯乱していた為、貴音に襲い掛かる。もみ合いの末、首に小刀が刺さり失血死。

 

FC3書いていて初めて主観の話がなかったレン君。いいとこなし(汗
別に嫌いなわけじゃないんですけどね、スランプ・・・

女子19番・結城緋鶴(ゆうき・ひづる)

部活は無所属。女子文化部グループ。
神戸からの転校生で、前の学校では吹奏楽部だった。
クラスでは2番目に小柄だが、運動神経は良い。


支給武器:アイスピック
kill:青山豪(男子1番)
真中那緒美(女子16番)
笠井咲也(男子5番)
小南香澄(女子6番)
桐島伊吹(女子4番)
斎藤穂高(男子8番)
稲田藤馬(男子4番)
killed:なし
凶器:なし
 

D=05エリアで豪を発見、背後から一撃で殺害。Cz75入手。
E=06エリアで皆に呼びかける那緒美を発見、銃殺。
D=03エリアで咲也に告白されるが、咲也の持っていた包丁で殺害。
F=06エリアで周防悠哉(男子11番)と遭遇。神戸の中学校で悠哉と付き合っていたが、プログラムで悠哉の妹を殺害しており、別れた。 “戦闘実験体”であり、今回が4度目のプログラムになる。 悠哉に殺しを止められるが、悠哉の腹を刺してその場を去った。
F=04エリアで香澄を発見。頭部を撃ち殺害。ファイブセブン入手。
D=05エリアで伊吹を発見、頭部を打ち抜き殺害。ブローニング・ベビー入手。
G=06エリアで曽根崎凪紗(女子10番)と戦闘。重傷を負わせるものの、麻酔弾を撃ち込まれる。
D=06エリアで穂高・藤馬を銃殺。不破千尋(男子17番)も殺害しようとするが、逃げられる。
F=03エリアで羽山柾人(男子16番)を発見、急襲。しかし、柾人から弟・結城緋鷹が保護された事を聞く。プログラム中止の放送でもう殺害しなくてもいい事を知り、泣く。プログラム本部に着いたが、そこにいたのは父、結城孝博だった。悠哉を殺害されショックを受ける。柾人を護る為に戦う。危ないところを緋鷹に助けられ、共に父に銃を向けた。結城の死亡により自由の身となった。
今までの罪滅ぼしなどの為にADGIの仕事を緋鷹と共に手伝う事を決意、渡米。

2年後、米帝にあるADGIの支部で裏方作業。
柾人との関係は恐らく進展している。

 

私の中ではFC3のもう1人の主人公でした、ひぃちゃんです。
外見とのギャップとか、強い女の子とか大好きなので、ひぃちゃんは書いていて辛かったですが同時に楽しかったです。

青山豪(男子1番)は努力を怠らない少年だった。
所属するサッカー部では、誰よりも早く朝練に行き、誰よりも遅くまで残って放課後は練習した。
それ以外にも、朝練の前と夜には近所の公園でランニングをし、昼休みも軽くボールを蹴る。

将来の夢は、プロのサッカー選手になる事。
その為になら、努力は怠らない。
その為になら、何を犠牲にしても構わない。
友達と遊ぶ事も、テレビゲームも、何もいらない。

そんな豪には、許せない人間がいる。

才能のある、人間。

豪にはそれがなかった。
始めてボールに触ったのは小学校2年生の頃だった。
放課後に近くの広場で毎日遊んでいたが、全く上達しなかった。
リフティングすらできない状態だった。

なので、サッカー選手を夢に見始めてからは、必死に練習をした。
リフティングも、ドリブルも、パスも、できるようになっていった。

豪の努力はそれなりに実り、部活の中では常にレギュラーの座を得た。

そんな折、豪は地域選抜を選ぶ合宿に呼ばれた。
他にも同じサッカー部からは、豪と仲の良い笠井咲也(男子5番)と工藤久尚(男子6番)、そして部活には入っていないものの、地元のクラブサッカーに所属しているという不良少年、設楽海斗(男子10番)もいた。

咲也と久尚、そして海斗――彼らは正に“才能のある”人間だった。

初めて会った時から、咲也と久尚の上手さは知っていた。
教えられた事も瞬時にこなす、合宿中で最も有名になったペアだろう。

海斗の反射能力は、他に呼ばれたGK候補の中で群を抜いていた。
あれは天性の能力だろう。
訓練をしてどうにかなるというレベルの話ではなかった。

結果、咲也・久尚・海斗は合格した。
学校内で、豪だけが落ちた。
地域選抜に選ばれる事は、プロへの第一歩だったのに。

――気に入らない。

あんなに努力したのに。
どうして選ばれなかった?
自分だけ。

結果の出た後も、表向きは咲也と久尚と仲良くしていたが、心の中では嫉妬心が渦巻いていた。

 

 

豪は自分のデイパックを開けた。

水、食料(不味そうなパンだ、端が乾いている)、地図、懐中電灯――色々と入っていて、中はごちゃごちゃしていた。
その底にあった金属に指が触れた。
豪はそれを慌てて引き出した。
一緒に出てきた説明書に目を通す。

Cz75――自動拳銃。
命中精度が高いらしい。
初心者の自分に扱えるかは謎だが。

扱う。

人に、向ける。

豪のCz75を持つ手が震えた。

これって…当たりの部類だよな?
でも…これを、使うのか? オレが?
こんなもんで攻撃したら、相手が死んじゃうじゃないか!!

更にデイパックの中を探る。
箱が出てきた。
弾が入っているのだろうか。
予備のマガジンも出てきた。

そして――

「…名簿?」

何でこんな物が入っている?
死んだ人間のチェックでもしろと?
悪趣味な…

豪の眼に、彼らの名前の文字が止まった。
咲也、久尚、海斗。

――待てよ、チャンスじゃないか!
ここであの3人がいなくなれば、地域選抜に穴ができる!
そうすれば、またオレにだってチャンスが回ってくる!
プロへの、第一歩が踏み出せる!!

Cz75を握る手に力が入る。

ここで死ぬわけにはいかない、プロになりたい。
プロになる階段を上がる方法はたった1つ。

優勝する、プログラムで。

全員殺してしまえばいい。
プロになりたいんだ。
サッカーをし続けていたいんだ。
大丈夫、努力さえすれば報われる。
今までもその為に全てを犠牲にしてきた。
今回だって、同じ事じゃないか。
クラスメイトを犠牲にして、サッカー選手になる!!

 

「青山君?」

 

声が聞こえた。
可愛らしい、少女の声だ。

同時に、首の後ろに痛みが走った。

「あ…っ」

嘘だろ?
君も、優勝する気なのか…?

待てよ…オレは…サッカー選手に…

豪は、そのままうつ伏せになって倒れた。
既に、事切れていた。

「ふーん…これは外れってわけやないって事かぁ…意外にも…」

地に伏した豪を見ながら、関西弁を話す少女――結城緋鶴(女子19番)は数回頷き、豪から武器を引き抜いた。

アイスピック、これが出てきた時には少しショックだったが、意外と使える。

「…でもやっぱ、うちにはこっちの方がえぇよな、使いやすい」

緋鶴は豪の手からCz75を抜き取り、豪のデイパックから素早く食料と水、予備マガジンと銃弾の入った箱を取り出し、自分のデイパックに突っ込んだ。

後方を一瞥し、緋鶴は森の奥に姿を消した。

 

 

 

「うっわー…今絶対こっち見たよなぁ…
 おっそろしい女やのぅ…」

緋鶴の見た方向にいた周防悠哉(男子11番)が茶髪の頭を掻いた。
明らかに目が合った。
僅かに笑んだ気がした。

悠哉は緋鶴がいなくなったのを見て、豪の元へ駆け寄った。
穴が開き、血が溢れ出している部分にそっと触れた。

「延髄を一突き…即死やなぁ…
 あれって氷とかかち割るヤツやんなぁ…
 あんなモンでも人殺せるんかいな…

 ま、ご愁傷様、アオヤマ君…やっけ?」

前に会った男女ペアといい、このクラスは中々ハイレベルな戦いをしそうだ。

『このクラスは全体的に能力が高いんだ!!
 楽しみだとは思わないかい、特別参加者君!!』

教室に行く前に、進藤幹也(担当教官)に言われた。
確かにその通りだろう。

ただ…ちょいと厄介やなぁ…

BGM「レクイエム」――

 

不破千尋「いやー…何か気分出るねぇ♪」

設楽海斗「そりゃあ、バトロワのテーマ曲みたいなモンだからな」

曽根崎凪紗「管理人、これ目覚ましにした事あるんだよ?」

栗原佑「恐ろしい目覚めの曲だな、オレならヤだね!」

 

 

凪紗「というわけで、FC3初の座談会!」

千尋「今回は、ラジオ形式でいこうと思うんだ、見てコレ」

海斗「…葉書?」

佑 「これの質問に答えるんだな!」

千尋「要は、管理人が自問自答するって寸法さ♪」

凪紗「後は、BBSのカキコを見て言いたい事も言おうかな、ってさ」

 

 

凪紗「じゃあ、最初の葉書を!」

『何で最初の犠牲者が佑君なんですか!?
 ふざけんじゃねーよこんにゃろう!!』

佑 「それ、オレが1番聞きたいっての!! 何でオレ!?」

真田勝「愛がねーから?」

佑 「うお、勝!? つーか何だよそれはぁ!!」

濱中薫「そんな事ないよ、ドンマイだよ佑ちゃん!!」

佑 「濱中…頼むから“ちゃん”付けるなっての!!」

海斗「話が進まないぞ」

千尋「んー…あ、これは管理人の脳内ノート! どれどれ…『凪紗がプログラム経験者で、取り巻き3人いたって決めた時に、1人は教室の中で死なせるって決めてた』…だって」

佑 「だからって…何でオレ!? 千尋は!? 海斗は!?」

千尋「やだなぁ、オレがいなかったらつまらないじゃないか♪」

佑 「んな事あるか、オレだってつまんないだろうが!!」

千尋「さあ、次行ってみよう!(無視)」

佑 「話を逸らすなぁ!!」

凪紗「『キレて政府に無鉄砲に突っ込んでいくのは佑以外には考えられなかったから』だってさ」

海斗「じゃあ、2つ目」

『千尋君ってオカマ?』

間。

薫 「うそっ!? そうだったの!?」

佑 「だっはーっはははははっ!!オカマ!!カマ!!」

凪紗「これ、管理人のオフ友に言われたんだって」

佑 「どわっはーっはははは!!ナイス!!ナイスオフ友!!」

千尋「…何がそんなに面白いんだい、佑クン? あの秘密…バラしちゃおうっかな??」

佑 「ヒーッヒヒ… って秘密って何だ、どれだ!?」

勝 「不破のその喋り方がカマ臭いって言ってるんじゃないのか?」

海斗「同感だな」

池田圭祐「2人共、酷いっスよ!!」

佑 「ケースケ!! 聞いたか、カマ!!ここにカマがいるぞ!!」

圭祐「ひぃっ!!」

圭祐が指差す先、物凄い恐ろしい表情を浮かべる千尋。

佑 「ギャー――――!!!」

千尋「あのね、オレの喋り方はただの癖。 オレの1つの特徴。 だって、オレも佑クンも海斗クンも同じだったらつまらないじゃない?」

海斗「そうか?」

 

 

千尋「ほら、これだって一緒でしょ?」

『ケースケ君は何で敬語なんですか?』

圭祐「そうっスよね、つーか敬語とは少し違うっスけど…」

勝 「そーいや、何でだ? 人にも“さん”付けるし…」

圭祐「癖っスかねぇ…あと、オレは下っ端っスから…」

凪紗「下っ端ぁ? そう思ってるのってツネ(新島恒彰)とレン(脇連太郎)だけじゃないの?」

佑 「だよなぁ、勝は思ってねーだろ?」

勝 「ああ、オレにとってケースケは仲間だからな、下も上もない」

圭祐「ま…勝さん…っ!」

凪紗「あ、そーいえば、何で“圭祐”じゃなくて“ケースケ”なの?」

夏至が近づく6月11日、午前6時前だが既に辺りは明るくなっていた。
曽根崎凪紗(女子10番)は泣き疲れたのか、設楽海斗(男子10番)の肩に頭を預け、眠っていた。
海斗は何も言わず、ずっと凪紗の背中を優しく叩いていた。

海斗は自分の腕時計に目を遣った。

「…凪紗、起きろ。 もうすぐ6時だ」

凪紗はうっすらと眼を開けた。

「ああ…うん、おはよー…」

凪紗はぼんやりとしていたが、やがて状況を理解したのか、慌てて頭を起こした。

「うわ、海斗ゴメン!!
 あたしバカみたいに眠っちゃってたよ!!」

海斗は凪紗の大声に驚いていたが、少しだけ笑みを浮かべた。

「気にするな、眠りたいなら眠ればいい」

「…ありがと」

凪紗は微笑んだ。
海斗が一緒にいてくれて、本当に良かった。
こんなに落ち着いていられるのは、海斗が一緒にいてくれるからだろう。

「凪紗…その、腕のは…」

海斗が凪紗の右腕にはめられたリストバンドに初めて気付いた。
黒のベースに銀色の糸で十字架が刺繍された物。
しかし、今はその十字架の大部分が黒ずんでいた。

「うん…佑の。 貰ってきたんだ。
 ほら、佑、あたしの事…好きだって…言ってくれたでしょ?
 嬉しかったけど…その気持ちに、あたしは答えられないから…
 せめて…ね、一緒にいたいなって…」

凪紗は俯いた。
海斗はじっと栗原佑(男子7番)のリストバンドを見つめていた。
首が胴から離れ、その時に飛び散った血が十字架の模様をほぼ消している。
あの時の状況は、眼に焼きついている。

佑の気持ちに答えられない…ということは、凪紗は佑の事を好き、というわけではないということか?

不意に、昔の出来事が頭をよぎった。

 

「オレ、凪紗の事、好きなんだ」

修学旅行の1週間ほど前、突然佑が言った。

唯一男女別の授業である体育の授業中、内容はバスケットボールだったが、一度にコートに入ることのできるチーム数が限られているので、海斗・佑・不破千尋(男子17番)は体育館の隅で試合を眺めていた。

ボールを抱えていた千尋が、思わずそれを落とした。
そして、笑顔を浮かべた。

「…それ、オレらに言ってどうするのさ?」

佑が千尋と海斗の前に立った。

「オレ、本気だぞ」

「だから、どうした?」

海斗は佑の考えが全く読めず、首を傾げた。
佑は2人を交互に見た。

「…お前らは、アイツの事どう思ってる?
 ただのダチか? それともそれ以上か?」

千尋の顔から、笑顔が消えた。

「聞いてどうするわけ?」

佑の表情は、いつになく真剣だった。

「オレ、修学旅行で告る。
 でも、2人が好きだって言うなら、多分しない。
 抜け駆けみたいで嫌だからさ」

「ふーん…なるほどね」

千尋は落としたボールを拾い上げ、それを指の上で回した。
それを止め、再び笑顔を浮かべた。

「本当の事言っていい?
 オレも凪紗チャンの事好きだよ。
 それは、佑クンや海斗クンが好きっていうのとは、絶対違う。

 海斗クンだって、そうなんでしょ?」

突然話を振られ、海斗は視線を下に向けた。
顔が火照る感じがした。

海斗も凪紗の事が好きだった。
初めて出会った時はむしろ嫌いな人間の部類だったが、一緒にいるうちに惹かれていった。
残りの2人も似たような感じだろうが。

「やっぱそうかぁ…」

佑が溜息を吐き、その場に座った。
そして2人を見上げた。

「じゃあ、オレはしばらく言わない。
 時が来るまでは、絶対に言わない。
 抜け駆け禁止な、絶対!!」

「何でさ?」

千尋が頬を少し膨らませた。
男がやるのはどうかと思うが。

「…だって、抜け駆けとかしたら、グループの雰囲気が悪くなりそう。
 オレ、それだけは絶対嫌だからな!
 暫くは仲良し4人組でいたいんだ、オレこのグループ好きだし!」

「なるほどねぇ… だってさ、海斗クン?」

「わかった」

この4人組が好きなのは佑だけではない。
もちろん、海斗も気に入っていた。
誰かが抜け駆けをして壊れてしまうのは、絶対に嫌だと思う。

ここに、3人だけしか知らない同盟が組まれた。

 

多分、このクラスがプログラムに選ばれてしまった今こそが、その『時』なのだろう。
事実、佑は最期に言った。

海斗は凪紗の横顔を見た。

まだ、言わない。
千尋が何処にいるかわからない状況で言うのは、卑怯な気がする。

「…海斗、どうしたの?」

いつの間にか凪紗はこちらを向いていた。
海斗は何でもない、と首を横に振った。

千尋とオレが凪紗に気持ちを伝えられるように、その時が来るまで、凪紗を守る――それがオレの今の役目だな…
千尋のヤツは…何をしているんだろう…?

 

ブツッ

 

上の方からスイッチを入れるような音がした。
海斗は上を見上げた。
木にスピーカーのような物がくくり付けられていた。

「…放送だね」

凪紗が腕時計を見ながら呟いた。

『グッモーニング、エブリワン!! おっと米帝語はいかんな!!
 皆元気に殺し合いしているかなぁ!?
 では、早速戦いに散った友達の名前を言おう、死んだ順番だ!!
 地図の入ったファイルに名簿も入っているから、チェックしたまえ!!』

海斗はあまりに大きな声に顔をしかめながら、デイパックを初めて開けた。
1番上に食料が入っており、その下に地図らしき物が見えた。

『男子7番、栗原佑君…は知っているか。
 女子3番、金城玲奈さん!!
 男子3番、池田圭祐君!!
 男子1番、青山豪君!!
 ぼちぼちのペースだな、まあ最初だからオーケイか!!』

「け…ケースケ…っ そんな…!」

凪紗が小さく悲鳴を上げた。

圭祐は海斗もそれなりに仲良くしていた。
佑と新島恒彰(男子15番)のくだらない口喧嘩を最終的に止めるのは、海斗と圭祐の役目になる事が多かったので。
とても謙虚な、いい奴だった。

金城玲奈はよく知らない。
ただ、何となく見下されている気がしていたので、好きなタイプではなかった。

青山豪とは地域選抜を選ぶ合宿で一緒になった。
特に会話を交わしたというわけではなかったが、一生懸命頑張る奴だと感じた。

頭の中にそれぞれの顔が浮かび、そして消えた。
佑は別として、3人がこの会場で生を終えた。
3人が自殺をしたとはとても考えられない(特に玲奈は)。誰かが、手を下したのだろう。転校生が全員を殺した、というのも違う気がする。このクラスの誰かが、このくだらないゲームに乗ったのだろうか?

『続いて禁止エリア!! よく聞くようにな!!今から1時間後、7時からC=04エリア!!9時からはH=10エリア、11時からはB=07エリアだ!!』

海斗は必死に書き留めた。
本部である中学校の北のエリアと、南の方にある住宅地の端と、北の方にあるデパートの側のエリアには、入れなくなる。
自分たちが今いるE=04エリアとは関係がない。

『先生からのアドバイスだ!
 転校生はまだ1人も殺していないぞ、そして3人は自殺じゃない!!
 この意味を、よーく考えるようにな!!』

ブツッと放送が切れた。

クソッ、やっぱり乗った人間がいたか…

海斗は凪紗の方を見た。
凪紗は自分が修学旅行に持って行った鞄を漁っていた。

「どうした?」

「なんか、政府がくれたパンが不味そうだから…
 修学旅行のお菓子とか残ってないかなって…
 土産はあるけど、海斗は甘い物苦手でしょ?」

ああ、また無理して笑っている。

素直に泣きたい時に泣けないのは、凪紗の癖なんだろうか?
圭祐が放送を名前で呼ばれたショックは大きいだろうに。

まいったな、オレは色々喋るのは苦手なんだけどな…
饒舌な千尋ならこういうのは平気なんだろうけど…
でも、元気付けてやらないと…

「あのな、凪紗…」

「何…これ…」

慰めようとした海斗の声を遮り、凪紗が声を上げた。

「何…これ…」
曽根崎凪紗(女子10番)の手の上には、20cm四方ほどの箱が乗っていた。
鞄の1番奥底に入っていた。

気付かなかった…でも、あたしこんなの入れたっけ?

「お前が入れたんじゃないのか?」

その箱を怪訝そうに眺めていた設楽海斗(男子10番)が訊いた。
凪紗は首を横に振った。

あたしじゃなかったら…お父さん?

ひらっと何かが落ちた。
凪紗はそれを拾った。
そこには、見慣れた父親の字で、こう書かれていた。

『非常事態の時以外は開けないこと』

「…今って非常事態かな?」

「今以上に非常な事態があると思うか?」

「だよねぇ」

凪紗は箱を開けることにした。
箱を床に置き、蓋をそっと持ち上げた。

え…!?

凪紗は目を見開いた。
海斗も息を呑んだ。

箱の中には、1丁の拳銃が入っていた。

「これ…何で!?」

「凪紗、これって手紙か?」

海斗が箱の蓋に付いていた封筒を剥がした。
それを渡され、凪紗は慌てて封を切った。
そこにも、見慣れた字が並んでいた。
最初の1文に、2人は顔を見合わせた。

『注意・首輪には盗聴器が付いているので怪しい言動は避ける事』

「と…とうち…ムグッ」

「バカ、駄目だ!」

海斗に口を塞がれ、凪紗は危うく窒息死するところだった。
しかし、それがなければ言ってはいけない事を口にするところだった。

危ない危ない…
読んだ後の1発目の言葉が、正に怪しい言葉になるところだった!!

続きに目を遣った。

『凪紗へ。

 この手紙を見ているという事は、プログラムに選ばれてしまったのかな?
 そうなら、この後を読み進めなさい。
 実は、お父さんはこの事を事前に知っていたんだ。
 だけど、それを敢えて伝えなかった。
 毎日を不安に駆られたまま学校生活を送ってほしくなかったんだ。
 だから、こうして手紙を書きます。
 絶対にお父さんが何とかしてあげるから、生き延びなさい。
 時間はかかるかもしれないけど、プログラムを壊してあげるから。
 だから、何があっても絶対に友達を殺してはいけないよ?
 友達にも停戦を呼びかけなさい。
 少しでも犠牲者を減らすのが、凪紗の役目。
 凪紗ならできると信じているよ。

 無事を祈っています。

 お父さんより。

 P.S.銃は麻酔の薬を塗った弾の出る改造エアガンだよ。
 万が一の時には使いなさい』

凪紗の、手紙を持つ手に力が入った。
眼に涙が滲んだ。

お父さん…わかった…
あたし、絶対に、殺し合いをしている人たちを止める…

「海斗、付き合ってくれない?
 あたし、皆を止めたい。
 だって…もうこれ以上、大事な人たちを失いたくないよ――」

海斗が頷いた。

「オレも、同感だ」

凪紗は涙を拭い、麻酔銃を手に取った。
5mほど離れた所に生えた木に照準を定め、引き金を引いた。
ピュッと小さな弾が飛び出し、その木にめり込んだ。

「実弾じゃないよね、よかった…
 でも、ちょっと威力ありそうだなぁ…」

「な…凪紗…?」

海斗が驚いた表情で凪紗と木を交互に見ていた。

「あ、これ?
 あたし、よくお父さんと射撃翌練習場行ってたから、結構上手いよ?」

今思えば、それもこのプログラムを想定しての事だったのだろうか?

 

凪紗の母親は、今はもうこの世にはいない。
凪紗が小学4年生の頃に、この世を去った。
表向きの死因は交通事故だ。
しかし、凪紗も父親も本当の死因を知っている。
母親は、政府の人間に殺された。

母親は、反政府組織に所属していたので。

その反政府組織は今も存在している。
父親は後を継いで、その反政府組織に所属している。
母親は自分の命に代えても組織の秘密を守り通した、と聞いた。

 「凪紗ちゃん、これやってみようか?
  ほら、いつかは、役に立つかもしれないじゃない?」

そう言って凪紗に射撃翌練習を勧めたのは、亡き母親だった。

よくよく考えてみれば、普通に生活していれば絶対に要らない技術だ。
要るとすれば、母親と同じ道に進んで反政府組織に所属するか、逆の道に進んで政府の軍人になるか――万が一の可能性として、銃などを使わざるを得ない状況、即ちプログラムの対象クラスに選ばれるかだ。

お母さんだって、まさかあたしがプログラムの対象に選ばれるなんて思いもしなかっただろうな、万が一の可能性ってくらいで…
こんな所で技術が役に立つなんて…

「凪紗、見てみろ」

不意に声を掛けられ、凪紗は我に返った。
海斗の手には、1本の文化包丁が握られていた。

「支給武器」

海斗は華麗にそれをくるくると手で回した。
プロの料理人も真っ青。

「へぇ…こんなモンも配られるんだ…
 武器っつーか…料理道具だよねぇ…」

凪紗は苦笑した。
ただ、ドラマなどでは包丁は立派な凶器になっている。
当たりの方なのだろうか?

そうだ、あたしは…

凪紗は自分のデイパックを漁った。
底の方に、掌より僅かに大きいサイズの四角い物が出てきた。

「ゲームか?」

海斗は不思議そうにそれを覗く。
凪紗はデイパックの奥底でくしゃくしゃになった説明書を取り出した。

「えーっと… 探知機…ガダ…ルカナル…対応…?
 ガダル…カナルの電波を受信し表示します…
 誰がどこにいるのかバッチリ☆…だって。
 ガダル…カナルって何?」

「…さぁ… でも、要は探知機なんだろ?
 今オレらにとって最高に役立つ武器じゃないか」

「そっか、そうだよね!」

確かに、クラスメイトを見つけて停戦を呼びかけなければならない2人にとっては、銃なんかよりも当たりになる武器だ。

凪紗は説明書を広げた。
そして探知機の電源を入れた。
液晶画面に2つの点が現れた。
凪紗と海斗の反応だろう。
脇にあるスイッチを押すと、地図がどんどん縮小されていく。
最も広範囲に見られる地図で、エリア1つ分だ。

「よし、これで千尋とか勝とか…皆探そっ!」

「そうだな」

「もちろん、梨紗も探そうね!」

梨紗――黒川梨紗(女子5番)の名前を出され、海斗が首を傾げた。

「何で黒川?」

「何でって…幼馴染が心配じゃないわけ!?
 あんな見るからに弱そうな子、乗った人の格好の獲物じゃない!!」

「獲物って…」

ああ、可哀想に、梨紗。
恋愛沙汰に何故か敏感な千尋の情報だと、梨紗は海斗が好きなんだよ?
なのに…まあ、海斗らしいけど…
とにかく探してあげないと…何かちょっと会ってほしくない気もするけど…
やきもち? わからないけど…

青山豪(男子1番)が結城緋鶴(女子19番)に殺害された後になる。

真中那緒美(女子16番)はE=06エリアにある小学校の、3年2組と書かれた教室の中の、机の1つに腰掛けていた。
ぼんやりと後ろの掲示板に貼られた絵を見ていた。
恐らくテーマは『友達を描こう』か何かだろう。
その中に、2つの三つ編みにそばかすの女の子の絵があった。
自分に似ていたが、微妙に子供らしい下手な絵なので、思わず吹き出した。

那緒美はクラスに必ず1人はいる、ムードメーカー的存在だった。
クラス1のおてんば娘、濱中薫(女子14番)と共にクラスを盛り上げた。
全く意識していないが、2人の会話は漫才のようらしく、2人の会話を聞く周りの友達によく笑われていた。

全くもう、薫のヤツ、あたしの事忘れてたんじゃない?
酷いなぁ、置いてけぼりかぁ…
まあ、薫らしいかもしれないけどね…

那緒美は溜息を吐いた。
教室内での薫の様子から、何となく行動は予想できた。
怯えて外に出て、次の次に出てくる幼馴染の姫川奈都希(女子15番)にどうにかして会い、あまりの嬉しさに那緒美の事を忘れていた、というような事だろう。

薫、大丈夫かなぁ…
栗原君があんなことになって、結構こたえてたからなぁ…
凪紗ちゃんとか不破君とかも、心配だなぁ…

栗原佑(男子7番)の首が飛ぶ瞬間が脳裏によぎった。
関本美香(担任)の穴だらけになった死体も、死ぬまで頭から離れないだろう。

「…まったく、冗談じゃないよねぇ…」

那緒美は溜息を吐いた。

あの筋肉男ともやし軍団…
人に平気で銃向けたり、楽しそうに人の首を飛ばしたり…
神経イカれてるんじゃないの!?

大体、あたしたちが殺し合い?
バッカじゃないの、するわけないじゃない。
あんなに仲の良いクラスなんだよ、できるはずない!
2回聞こえた銃声だって、きっと誰かのデイパックの中に入ってて、興味本位で木とかを撃ったとか、怖がって動けなかった子に政府の人が威嚇で撃ったとか、そんなのだよね!

那緒美の頭には、クラスメイトが殺し合いをする姿は想像もつかなかった。
誰も、怖くない。

例えば片方の不良グループのリーダー、真田勝(男子9番)も怖くない。
見た目は少し怖いが、話してみれば意外と柔らかい印象を受けた。
無気力な感じだが、仲間の事になると少し熱くなるような、そんな人だ。

同じグループの新島恒彰(男子15番)も怖くない。
話をした事はあまりないが、友達を[ピーーー]ほど落ちてはいないはずだ。

那緒美からすると女子の中で最も近寄りがたい三河睦(女子17番)も怖くない。
怖がって震えているとは思えないけれど、殺しまわっているはずがない。
根拠は何もないけれど。

睦と同じグループの桐島伊吹(女子4番)も怖くない。
人に興味は持たなさそうな彼女も、今ならきっと友達を心配しているだろう。

大丈夫、誰も死んでいない。
自ら命を絶っていない限り。

大丈夫、皆が集まれば何とかなる。
このクラスには頭の良い人が沢山いる。

ここまでの前向きな考えは、常にプラス思考である那緒美だからこそ成せる業だろう。

ただ、注意が必要なのは、転校生の周防悠哉(男子11番)だ。
いくら那緒美でも、得体の知れない人間は怖い。

ま、あの人だけ注意しとけばどうにかなるでしょっ!

那緒美はデイパックを見下ろした。
注意する、つまりは会わないようにする事。
那緒美に支給された物では、例えば会ったとして、絶対に太刀打ちできない。
お世辞にも武器とは言えないので。

 

『グッモーニング、エブリワン!!おっと米帝語はいかんな!!
 皆元気に殺し合いしているかなぁ!?』

放送が鳴った。
進藤幹也(担当教官)が言っていた定時放送だ。

『では、早速戦いに散った友達の名前を言おう、死んだ順番だ!!
 地図の入ったファイルに名簿も入っているから、チェックしたまえ!!』

まあ、誰もいないだろうけど…

そう、思っていた。
放送が進んだ。
驚愕した。

クラスメイトが、3人も、死んでいた。

そして、最後の言葉。

クラスの誰かが、人を殺している。
しばらく、動く事ができなかった。

 

「何で…どうして殺し合いなんか…っ
 …あ、そうか、きっと疑心暗鬼になってるんだ!」

殺し合いなんて、絶対にしちゃ駄目!!

那緒美は座っていた机から飛び降り、デイパックを担ぐと、教室を飛び出した。
1段飛ばしで階段を上り、屋上に出た。
3階建てなので、そこまで高くはないが、景色はそれなりに良い。
下には、グラウンドが広がっている。

皆、本当は殺し合いなんかしたくないんだよね!?
そうでしょ!?
大丈夫、皆で集まればきっとどうにかなるから!!

那緒美はデイパックから、政府に支給された物を取り出した。
ハンドマイク、これが出てきた時にはどうしようかと思ったが、それなりに役に立ってくれそうだ。

脇に付いていた音量調整のねじを最大まで回し、大きく、息を吸った。

『皆ぁ!! 戦っちゃ駄目ー!!』

腹の底から声を出した。
恐らく、今まで生きてきた人生の中で、最も大きな声だ。

『皆、わかってるんでしょ!?
 殺し合いなんて、しちゃ駄目なのぉ!!
 誰も怖くないよ、皆、皆、友達じゃない!!』

皆、お願い、聞いて!

『あたし、真中那緒美は、絶対に戦わないよ!!
 皆も、武器を捨てて!!』

武器なんか、必要ない。
そんな物がなければ、誰も死なないで済む。

『皆で集まって考えれば、絶対どうにか、なるよ!!
 皆で、考えよう!?
 お願い、小学校まで、来て!!
 皆で、ここから出よう!?
 皆で――』

那緒美はふと下に目を向けた。
1人の少女が、笑顔を浮かべながら、手を振っていた。

やった…来てくれた!!
あなたなら絶対来てくれるって思ってた!!

那緒美は笑顔で手を振り返した。
しかし、その表情はすぐに豹変した。
驚愕の、表情に。

少女は、何かをこちらに向けていた。
それが銃だとわかるのに、時間は掛からなかった。

『お願い、そんなの下ろして!!
 怖くないよ、大丈夫だってばぁ!!
 お願い、やめて…やめて!! ひ――』

 

タァン

 

1発の銃声が響いた。

ハンドマイクが手から落ち、地面に落ちて壊れた。

那緒美の体がぐらっと揺らぎ、そのまま仰向けに倒れた。
その額には、ぽつんと1つ、穴が開いていた。

那緒美はデイパックから、政府に支給された物を取り出した。
ハンドマイク、これが出てきた時にはどうしようかと思ったが、それなりに役に立ってくれそうだ。

脇に付いていた音量調整のねじを最大まで回し、大きく、息を吸った。

『皆ぁ!! 戦っちゃ駄目ー!!』

腹の底から声を出した。
恐らく、今まで生きてきた人生の中で、最も大きな声だ。

『皆、わかってるんでしょ!?
 殺し合いなんて、しちゃ駄目なのぉ!!
 誰も怖くないよ、皆、皆、友達じゃない!!』

皆、お願い、聞いて!

『あたし、真中那緒美は、絶対に戦わないよ!!
 皆も、武器を捨てて!!』

武器なんか、必要ない。
そんな物がなければ、誰も死なないで済む。

『皆で集まって考えれば、絶対どうにか、なるよ!!
 皆で、考えよう!?
 お願い、小学校まで、来て!!
 皆で、ここから出よう!?
 皆で――』

那緒美はふと下に目を向けた。
1人の少女が、笑顔を浮かべながら、手を振っていた。

やった…来てくれた!!
あなたなら絶対来てくれるって思ってた!!

那緒美は笑顔で手を振り返した。
しかし、その表情はすぐに豹変した。
驚愕の、表情に。

少女は、何かをこちらに向けていた。
それが銃だとわかるのに、時間は掛からなかった。

『お願い、そんなの下ろして!!
 怖くないよ、大丈夫だってばぁ!!
 お願い、やめて…やめて!! ひ――』

 

タァン

 

1発の銃声が響いた。

ハンドマイクが手から落ち、地面に落ちて壊れた。

那緒美の体がぐらっと揺らぎ、そのまま仰向けに倒れた。
その額には、ぽつんと1つ、穴が開いていた。

曽根崎凪紗(女子10番)は小学校のある方角を呆然と見ていた。
設楽海斗(男子10番)も同じく。誰かが必死に停戦を訴えていた。それが、真中那緒美(女子16番)だと気付いたのは、彼女が自分の名前を口に出した時だった。那緒美なら大丈夫、嘘をついているとは思えない。そう思い、2人で小学校へ向かおうとした、その矢先だった。那緒美の様子が変わった。恐らく誰かを見つけたのだろう。武器を向けられたのだろうか、必死に訴えていた。そして――銃声が響いた。

がしゃんという音が僅かに聞こえた。那緒美の声は、もう、しなかった。

「那緒美…死ん…じゃった…?」

凪紗は錆びたブリキ人形のように、海斗の方を向いた。海斗はゆっくりと、ビデオをスロー再生させているかのように、首を縦に1度振った。

「だろうな…」
「あの言い方…相手は転校生じゃ…ないよねぇ…?」

那緒美は『怖くないよ、大丈夫』と言っていた。つまり、相手は怖がっていそうな――恐らく女子だろう。或いは、怖がりそうな(例えば羽山柾人(男子16番)のようなひ弱そうな)男子か。とにかく、転校生ではない事は確かだ。

「ヤバい…な」

海斗が呟いた。ギリッと歯を食いしばった。

「何で…?」
「真中の事で、やる気がなくても殺される可能性がある事がわかった」
「…怖がる人が増えて、プログラムに乗る人が増えるかもって事?」

海斗は頷いた。凪紗は拳で地面を殴りつけた。許せない。誰がやったのかはわからないが、絶対に許せない。

「ねぇ、海斗…たとえこの後怖がって乗る人が増えたとしても…那緒美のやった事は、間違いじゃないよね…?正しい事、やってたんだよね…?」

海斗は頷いた。

「真中は凄い。あんな事、よっぽど皆を信じていないとできないだろ」
「そうだよね!?」

凪紗は立ち上がった。那緒美、アンタ偉いよ…!後は任せて、絶対に皆を止めてあげるんだから!

「行こう!怖がってる子を安心させてあげなきゃ、それが役目だよね!」
「そうだな」

海斗もどっこらせ、と立ち上がり、荷物を肩に掛けた。とりあえず、探知機によるとこのエリアには今は誰もいない。他のエリアへ行こう。

絶対に、犠牲者を減らしてみせる――

「おい、まだかよーっ」

反政府組織、ADGI神奈川県支部の建物(表向きには大槻正樹(ADGI)の経営する小さな会社、ということになっている)の一室で、井上稔(ADGI)は不満そうな声を上げた。パソコンのディスプレイを見ると(もちろんハッキング中だ)、既にプログラムは始まっている。犠牲者は既に5人。少しでも犠牲者を減らすためには、早く行かなければならない。しかし、まだ出発していなかった。

「仕方ないわよ、武器もまだないんだもの…」

柳瀬伊織(ADGI)が手櫛で黒髪のショートカットを整えつつ言った。伊織の言うとおり、武器――主に銃器だ――はまだ手元にはない。本当なら既にあるはずだった。しかし、正樹が言うには、普段武器を手に入れるルートが警察に摘発されたため、他のルートを取ったらしい。連携がいまいち上手くいっていないため、まだ武器は届いていない。武器がなければ、どうすることもできない。そして、もう1つ理由がある。メンバーが揃っていない。今ここにいるのは、稔と伊織、高谷祐樹(ADGI)と園山シホ(ADGI)だけだ。大槻は武器の到着を待つために待ち合わせ場所に行っており、曽根崎匠(ADGI)は残りのメンバーのもとへ行っている。

トゥルルルルッ

『もしもプログラムに選ばれたらどうしますか?』

 

 


朝倉伸行(あさくら・のぶゆき/男子1番)
「あー…うわーってなっちゃったりするんじゃないの?委員長は?」

 

宇津晴明(うづ・はるあき/男子2番)

「俺は絶対に殺さない、それだけはわかるよ。江原…お前は?」

 

江原清二(えばら・せいじ/男子3番)

「知らねぇよ、そんなこと。遠藤は…優勝できねぇだろ?」

 

遠藤圭一(えんどう・けいいち/男子4番)

「うん…死んじゃうな…1人しか残れないんでしょ?無理だよ…そんなの。笠原君は?」

笠原飛夕(かさはら・ひゆう/男子5番)

「どうだろうな、でも、[ピーーー]とか…無理だろ。 陸は?」

陸社(くが・やしろ/男子6番)

「わからない、その時の状況によるだろうな。 お前はどうだ、楠本」

楠本章宏(くすもと・あきひろ/男子7番)

「俺、優勝するぜ、死にたくねーもん! でも新藤は違うんだろ?」

新藤鷹臣(しんどう・たかおみ/男子8番)

「絶対戦わない…とか言っていられないのかな、実際は。 義弘は?」

宝田義弘(たからだ・よしひろ/男子9番)

「みんなで脱出とか出来ない? 昔香川でいたろ、脱出した人。 和は?」

土谷和(つちや・かず/男子10番)

「超人にでもなって会場壊すよ! ドッカーンってね! 航は?」

都竹航(つづき・わたる/男子11番)

「わからない…西野は嫌か?」

西野葵(にしの・あおい/男子12番)

「嫌だよ、それ以前に何で僕が死なないといけないわけ?ねぇ、土方ぁ?」

土方涼太(ひじかた・りょうた/男子13番)

「知らねぇよ、とにかく俺は絶対逃げ出してやる! そん時は翼も一緒だ!」

日向翼(ひゅうが・つばさ/男子14番)

「ありがとな! でも嫌だな、本当にそんなことになったらさ…なぁ、福屋」

福屋和行(ふくや・かずゆき/男子15番)

「まぁな、でも選ばれたら宝田に勝つ! 蓮はどうだ?」

水城蓮(みずき・れん/男子16番)

「僕は…凛ちゃんと家に帰りたいな…水原君はどうしたい?」

水原翔(みずはら・しょう/男子17番)

「政府のやつらにキレるな、どうしてこんな目に…ってな。 実月裕太は?」

段々と寒くなってきた12月半ば、茨城県北浦市立桜崎中学校の校門前に黒いセダンが止まった。
中からスーツに桃印の記章を付けた政府の役人が3人出てきた。
その3人は校長室に入っていった。
校長室には校長・教頭・そして30代の男性がいた。
3人の男は会釈をし、書類を校長の机に置いた。
「厳正なる抽選の結果、こちらの3年1組がプログラム対象クラスに選ばれた」

校長は頷いた。
とても悲しそうに。

「はい…連絡を受けております。
 こちらは3年1組の担任です」

校長に紹介され、30代の男――東田晴樹(ひだしだ・はるき)は会釈した。
黒渕の眼鏡がよく似合う、数学教師だ。

「僕の担任しているクラスが選ばれるなんて…」

「厳正なる抽選の結果だ。
 抵抗するなら始末してもいいんだぞ」

「い、いや…そんなつもりは…」

「ならいい」

そう言うと、役人の1人が別の書類を差し出した。

「実は、今回もいつもの六十八番プログラムをする予定だったんだが…
 会議の結果、七十番プログラムを施行することになった」

「な…七十…?
 何ですか、それ…」

「今年施行される、通称“ペアバトル”だ。
 優勝者は2名になる。
 少子化になっていることを考慮して決められたルールだ」

「はぁ…」

役人の話を、校長たちは不安そうに聞いていた。
優勝者が増えたとはいえ、38人は確実に死んでしまうのだ。

「そこでだ、とりあえず3年1組の名簿と、その担任を借りたいのだが…」

東田は目を見開いた。

「ぼ、僕が…何ででしょう…?」

「生徒の詳しい情報について聞いておきたいと上が言っている。反抗すれば容赦はしない」
「は…はぁ……」

3人の役人と東田は学校を後にした。
校長・教頭はその様子を見ていることしかできなかった。セダンに乗り込んだあと、東田は考えた。どうしてこのクラスなんだろう…みんないい子たちなのに…まあ、少し悪い子もいたけど、根はいい子だと信じている…

僕がみんなにできる事、それは…

「あ、あの…」

東田が口を開くと、横に座っていた役人が「何だ?」と睨みつけた。

「あの、あの子たちのプログラムの担任…僕にやらせていただけないでしょうか!?」

「は?」

役人たちは一斉に東田を見た。

「何を言っている?」
「あの子たちを最後まで見守ることが…
 担任としての僕の役目だと思うんです」

助手席に座っていた役人が、携帯電話を取り出した。

「お前の意見は、オレは正しいと思う。
 上部に聞いてやろう」

そういうと、その電話で話を始めた。
時々「はぁ」、「そうです」、「わかってます」などと言っていたが、10分ほどして電話を切った。

茨城県の北浦市営地下鉄の桜崎駅を降りて徒歩5分、そこに茨城県北浦市立桜崎中学校はある。
築20年にしてはそこそこきれいな校舎。
グランドはここら一帯の中学校の中では最も広い。
在校生は約600人、決して少なくないが多くもない。
2学期の終業式も終わり、普通なら受験前の最期の追い込みの時期でもあり、クリスマスやお正月といったイベントのある楽しい冬休み、のはずだった。
しかし、ここ3年1組は全員教室にいた。
担任の東田晴樹(ひがしだ・はるき)の担当、数学の授業がある。
どうやら授業が遅れているらしい。

「めんどくせーなぁ…数学なんて」

「そっかぁ? 俺は数学は好きだぞ」

水原翔(茨城県北浦市立桜崎中学校3年1組男子17番)が数学の教科書をパラパラとめくっている横で、土方涼太(男子13番)は私立の数学の入試問題を解いていた。
涼太とは元同じサッカー部員で、最も気の合う親友だ。

「けっ! テメェと違ってな、俺は数学はできねぇんだよっ!」

「何言ってんだ、お前は体育以外できないじゃん!」

翔が上を向くと、おそらくクラス1のお調子者の土谷和(男子10番)が悪戯っぽくケケッと笑っていた。

「うるっせぇ!
 いいんだよ、俺、公立行かねぇもん!」

「あぁ、そりゃ高校から願い下げだろ?」

「ほっとけ!!」

ふう、と翔は息を吐いた。
同時に、翔の後ろで結んでいる髪が突然解かれた。

「ダメだぞ?
 そんな口の悪さじゃ私立高校からも願い下げがくるぞ、翔チャン?」

「黙ってたらすっごいかわいいんだけどなぁ…」

テメェ、と叫びながら後ろを見ると、宝田義弘(男子9番)と日向翼(男子14番)が笑っていた。
翼の言うとおり、翔は黙っていれば女に間違えられるほど可愛らしい。
正確には『小生意気で可愛らしい』少女に間違えられる。

「いちいち解くな!
 ゴム返せ、ちくしょう!」

義弘から取り上げたゴムで再び肩まで伸びた髪を結んだ。

ちっくしょう!
そろいもそろってバカにしやがって!

 

「あ、そうだ、凛!
 昨日ウチに消しゴム忘れただろ?」

突然前にいた涼太が叫んだ。
前の席で友達と喋っていた水城凛(女子13番)がパタパタと翔たちのいる後ろの方に走ってきた。
身なりは左の薬指の指輪に金色のコインのネックレス、短くしたスカートと派手だし、元・不良ということも手伝って、翔から見れば少し怖い女子だ。
しかし、そんな怖い女子と涼太は付き合っている。
かく言う翔も、休み時間には一緒に遊ぶこともあるが。

「ほれ、間違えて少し使っちまったけど…」

「あ? ああ、いいよ別に。
 たかが消しゴムだろ?
 わたし、そんな消しゴム貸すの拒否するほどケチじゃないよ」

凛はにかっと笑うとまたパタパタと戻っていった。

「なぁ…涼太さ、凛サンのこと怖くないのか?」

翔が尋ねると、涼太はいつも笑う。

「外見は派手だけどね、弟思いの優しい子だぞ」なんだそうだ。
実際、一緒に遊んでみると、全然怖くないが、それはあくまでも遊んでいる時の話だ。

「おい、涼太…また蓮が睨んでるぞ?」

義弘が苦笑いをしながら言った。凛の弟である水城蓮(男子16番)はかなりのシスコンだ。凛に近づく男には特に敵意を払っている。可愛らしい顔(翔とは違ってか弱い女子みたいな感じだ)をしているが、睨まれると本当に怖い。涼太も蓮は苦手らしい(本人曰く「噛みつかれそう」、さすが凛サンの番犬!)。しかし蓮は凛に近づく女子には敵意は払っていない。現に凛と一緒にいる睦月麻(女子14番)や依羅ゆた(女子18番)とは普通に喋っている。

双子で同じクラスになっているのは、蓮は体が弱いからだ。
もしもの時に、傍に姉がいた方が安心できるということで許可されたらしい。

怖いといえば、うちのクラスの不良たちもかなり怖い。
凛が抜けて6人になったが、それでもやはり怖いものは怖い。
翔は不良グループがたまっている廊下側の後ろの席を見た。
只の数学の授業だというのに、全員学校に来ている。
明日は大雪警報だな、或いは地球滅亡かも?

中心に座っているのが彼らのリーダー、江原清二(男子3番)だ。
ケンカは強いわ、イジメはするわ、授業はサボるわで教師たちも手におえない。

清二の横の席の机に腰掛けているのは副リーダー的存在の今村草子(女子4番)。
派手な装飾品に身を包み、常にポケットにはナイフを入れているらしい。
銃刀法違反じゃないのか?

清二の前に立っている見るからに不良のあまり顔はよろしくない(おっと失礼、でも思うのは勝手だろ?)少年は楠本章宏(男子7番)。
その横にいる口の左下のほくろが特徴の黒髪の少女は平馬美和子(女子11番)。
この2人は清二たちには劣るがケンカは強い。
あの2人とトラブルをおこした生徒は、次の日は必ず生傷をこさえてくる。
近づく何とかに祟りなし、とはよく言ったものだ。

草子の横にいるウェーブのかかった茶髪の少女は高原椎音(女子8番)。
その横にいる無表情で黒髪で前髪の長い少年は都竹航(男子11番)。
この2人はかなり美男美女だし、ケンカをするわけでもないのでまだマシだ。
しかし、噂では盗みのプロらしい。
特に航は喜怒哀楽を見たことがないので、得体の知れない感じが怖い。

というわけで、このグループには誰も近寄らない。

近寄りづらい人物はまだいる。
真ん中の列の1番後ろに座っている金坂葵(女子5番)だ。
無口で何を考えているかよくわからない。
親しい生徒がいないのか、1人でいる事が多い。
グループ行動をしないといけない時は凛・麻・ゆたと一緒にいるが。

翔はあたりを見回すのをやめ、数学の教科書に視線を戻した。
空間図形とかいう、3次元で考えないといけないややこしい分野だ。
考えるだけで頭がクラクラしてくる。

それにしても、東田遅いな…

時計を見ると、午前9時。
開始予定時刻から10分ほど過ぎていた。

 

バタンッ

 

突然何かが倒れる音がした。
翔が見ると、前でお嬢様の鈴原架乃(女子7番)や、大人しいメガネっ娘の鳥江葉月(女子9番)が倒れていた。
周りにいる女子も床に座り込んだり、机に突っ伏していた。
教室を見回すと、前の方にいる生徒全員が眠っていた。

どうなってるんだ!?

「ふあぁ…眠…っ」

横にいた和や義弘、翼も床に座り込んでしまった。
翔もだんだん頭が重くなってきた。

ちくしょう…眠い……

「り…涼太……これは……?」

涼太を見ると、涼太は皮肉っぽく笑っていた。

「来やがった……
 まさか今日とはな……
 翔、覚悟しとけ……
 これは……プログラム……」

そこまで言って、涼太も机に身を任せ眠ってしまった。

「プ…プログラム……?」

プログラムってアレか…?
クラスで殺しあう…
何で俺たちが…?
それ以前に何で涼太が知ってるんだ…?

翔の眠気もピークに来ていた。
これ以上何も考える事が出来なかった。
そのまま深い眠りに落ちた。

 

クラス全員が眠った頃、教室にマスクをした担任の東田が入ってきた。
後ろには数十人の軍人がいた。

「…運んでください」

東田の合図で軍人たちは生徒たちと彼らの荷物を運び出した。

「みんな…ごめんな……」

目から涙が落ちたが、軍人たちは誰も気付かなかった。

眠い…あれ、俺…寝てたのか…?机の感触…何で…?あ、そっか…今日は数学の補習授業で…そうだ、起きないと…センセに怒られちまうぞ…むくっと起き上がった藁路文雄(男子22番)は周りを見回した。周りにいる全員が寝ている。前の席の土谷和(男子10番)も、横の席の陸社(男子6番)も、宇津晴明(男子2番)も。あら…?授業はどうしたんだ?

文雄は自分の短い黒髪が生えた頭を掻いた。
何がどうなっているのかがわからない。

ふと違和感を感じた。
首に何かが巻き付いている。
触ると冷たい金属の感触がした。

なんだこれ…俺にこんな趣味ねぇぞ?

取ろうと思ったが、どうすればいいのかわからない。引っ張ろうと手に力を入れかけた。これでも空手は全国3位の実力だ。力なら自信がある。

「ワラ、やめとけ」

文雄は首輪から手を放し、声のした方を見た。窓側(いつもの教室なら)の1番後ろの席に座っている土方涼太(男子13番)が文雄の方を見ていた。涼太かっこいいからな、照れるぜ…なんていってる場合じゃないな。

「涼太、何なんだこの首輪…」

訊くと、涼太は困った顔をしたが、言った。

「どうせ後から知ることだもんな。これは…プログラムだ」

プ…プログラム!?それってあの運動会のプログラムとかじゃなく!?あの中3のヤツが年50クラス選ばれて殺し合いするアレか!?

「何を冗談…」
「冗談じゃないぜ、この首輪が証拠だよ。これ、引っ張ると…ボンッ!なんだってよ」

文雄の背筋に悪寒が走った。何で涼太がそんなことを知っているのかはわからない。だけど、とりあえず命を救われた…みたいだ。

「マジで?マジで…プログラムかよ?」

涼太の前の席、可愛らしい顔した(オレのタイプかも?)水原翔(男子17番)が起きた。

「マジだ、俺の知り合いが教えてくれたんだ…」

涼太の言葉で翔が涼太の胸倉を掴んだ。

「知ってたのか!?知ってて何で教えてくれなかった!?みんなで逃げられたかも知れないじゃんか!!」

翔の怒鳴り声で周りのヤツらも起きだした。

「逃げられないよ…逃げたら…きっと殺される、政府のヤツらに…政府の連中は俺たちの命なんかカスみたいなモンとか思ってるんだ」
「……ックソ…っ!」

翔は手を放した。ゴメン、と呟いていた。

「プログラムに選ばれたって…今そんな事言ってたよね?」

女子委員長の藤村優(女子10番)が前の席の赤木明子(女子2番)に話し掛けたのをきっかけとして、皆が騒ぎ出した。その騒ぎでクラス全員が目を覚ましたようだ。

「嫌だ…嫌だあぁぁぁ!!何で僕がこんな目にあわないといけないんだぁ!?」

1番取り乱していたのはこちらも翔に負けず劣らず可愛らしい西野葵(男子12番)。まあ、普段から自分に都合が悪くなったりするといつもああなるから仕方ないか。

「プログラムって…アレだよね?」
「うん、あの最後の1人になるまで殺し合うっていう…」

文雄より後ろの席では鳥江葉月(女子9番)と朝霧楓(女子3番)が会話をしている。

「そんなぁ…金坂さんもそう思う?」
「…まあね、そうなんじゃないの?」

葉月の前の席、結木紗奈(女子15番)は、文雄の斜め後ろの金坂葵(女子5番)に声をかけている。そう言えば、金坂の声ってめったに聞かないな。友達いないらしいからな。女子って心配事とかあると、仲良くないヤツにも話し掛けたりするもんなんだな。

「嫌です、どうしてそんな…!嘘ですよね!?」

クラス1育ちの良いお嬢様、鈴原架乃(女子7番)が前方で叫んでいる。

「もしかして、この変な首輪みたいなの…これが証拠なのか!?」
「やだ、あたしこんな所で死にたくなんかないわよ!香枝、どうしよう!?」

男らしくクラス1背の高い女子睦月麻(女子14番)と、いつも明るい湯中天利(女子17番)も一緒にパニックになっている。

「そんなのあたしに言われたって…」

元文化委員長、相原香枝(女子1番)は困り果てていた。

男子22番・藁路文雄(わらじ・ふみお)

空手部。実力は全国3位。快活・豪胆で正義感が強い。
政府に両親を殺され、養護施設に住んでいる。
森川達志(男子20番)とは幼馴染。


ペア:森川達志(男子20番)
支給武器:イングラムM11
kill:なし
killed:金坂葵(女子5番)
凶器:文化包丁
 

D=07エリアで達志と共に陸社(男子6番)・依羅ゆた(女子18番)に会うが別れる。脱出を計画している。
D=10エリアで土谷和(男子10番)・朝霧楓(女子3番)ペアと合流。
楓と材料探しへ。楓に過去を打ち明ける。
D=08エリアで水原翔(男子17番)を救出。
禁止エリア指定のため、移動開始。
達志を笠原飛夕(男子5番)に殺されたこと、飛夕がやる気だったこと、和が飛夕を殺したと勘違いしたこと、葵に襲われたことにより逆上。葵に襲い掛かるが、腹を包丁で刺され、失血死。

 

快活・豪胆・・・おっかしいなぁ、微妙だった(泣
好きだったんですけどね、彼。落ち着いてさえいれば、まだ生きていたはずです。
因みに、別に朝霧サンには惚れてません。ただ、「ちょっと良い子だな」程度で。
朝霧サンにアタックっぽいことをしてたのは、おちゃらけです。

男子20番・森川達志(もりかわ・たつし)

部活は無所属。超小柄で大人しく優しい性格。
趣味は小説を書くこと、将来の夢は小説家。
藁路文雄(男子22番)とは幼馴染。


ペア:藁路文雄(男子22番)
支給武器:ガソリン1リットル
kill:なし
killed:笠原飛夕(男子5番)
凶器:Vz61スコーピオン
 

D=07エリアで文雄と共に陸社(男子6番)・依羅ゆた(女子18番)に会うが別れる。
D=10エリアで土谷和(男子10番)・朝霧楓(女子3番)ペアと合流。
C=09エリアで鳥江葉月(女子9番)を救う。
禁止エリア指定のため、移動開始。移動途中で飛夕に襲われ、失血死。

 

脱出作戦グループの初の死者です。。
立ち位置が悪かった、要は運がなかったと(をい
長身の飛夕君にしがみつくクラス1の低身長のタツ君を想像してかわいいかも、と思ったのは私だけですか。

男子18番・実月裕太(みづき・ゆうた)

科学部。ガリ勉で友達が少ない。
相原香枝(女子1番)とは幼馴染。
科学で証明できないことは間違っていると考えている。


ペア:相原香枝(女子1番)
支給武器:スタンガン
kill:なし
killed:相原香枝(女子1番)
凶器:釣り糸
 

E=07エリアで香枝と潜伏していたが、自分の無愛想さに香枝が激怒。本人はそのつもりはなかったが、香枝は自分が殺されると考える。逃げ出した香枝を必死に追うが、いつの間にか後ろに回りこまれ絞殺される。

決して悪い子ではないです。
ただ、普段から人付き合いが少なかったせいか、無愛想だっただけです。
きっと逃げ出す方法とかを考えていたんじゃないでしょうか・・・?
哀れな子です・・・
 (by あいすくろー様)

男子15番・福屋和行(ふくや・かずゆき)

バスケットボール部。常に控え。
頭は中の下、何事も中途半端。
宝田義弘(男子9番)にコンプレックスを持っている。


ペア:宝田義弘(男子9番)
支給武器:サバイバルナイフ
kill:宝田義弘(男子9番)
killed:江原清二(男子3番)
凶器:ミニウージー
 

義弘と別れたが、義弘に勝つために殺そうと考える。非常食・文化包丁入手。
C=06エリアで義弘と再会。油断させた隙に腹・腕・首を刺して殺害。喜んだのもつかの間、義弘に痺れ薬を撃たれた傷が原因で、動けなくなる。そこに清二が来、ゲームに破れ全身を撃たれ死亡。

常に劣等感を感じていた彼、結構好きでした。
もっと別の方法で勝てればよかったんですけどね・・・
そういえば、平馬ちゃんと髪型かぶってしまいました(汗
 (by kai様)

男子1番 朝倉伸行
(あさくら・のぶゆき) 女子1番 相原香枝
(あいはら・かえ)
男子2番 宇津晴明
(うづ・はるあき) 女子2番 赤木明子
(あかぎ・めいこ)
男子3番 江原清二
(えばら・せいじ) 女子3番 朝霧楓
(あさぎり・かえで)
男子4番 遠藤圭一
(えんどう・けいいち) 女子4番 今村草子
(いまむら・そうこ)
男子5番 笠原飛夕
(かさはら・ひゆう) 女子5番 金坂葵
(かねさか・あおい)
男子6番 陸社
(くが・やしろ) 女子6番 小泉洋子
(こいずみ・ようこ)
男子7番 楠本章宏
(くすもと・あきひろ) 女子7番 鈴原架乃
(すずはら・かの)
男子8番 新藤鷹臣
(しんどう・たかおみ) 女子8番 高原椎音
(たかはら・しいね)
男子9番 宝田義弘
(たからだ・よしひろ) 女子9番 鳥江葉月
(とりえ・はづき)
男子10番 土谷和
(つちや・かず) 女子10番 藤村優
(ふじむら・ゆう)
男子11番 都竹航
(つづき・わたる) 女子11番 平馬美和子
(へいま・みわこ)
男子12番 西野葵
(にしの・あおい) 女子12番 牧山久美
(まきやま・くみ)
男子13番 土方涼太
(ひじかた・りょうた) 女子13番 水城凛
(みずき・りん)
男子14番 日向翼
(ひゅうが・つばさ) 女子14番 睦月麻
(むつき・あさ)
男子15番 福屋和行
(ふくや・かずゆき) 女子15番 結木紗奈
(ゆいき・さな)
男子16番 水城蓮
(みずき・れん) 女子16番 雪倉早苗
(ゆきくら・さなえ)
男子17番 水原翔
(みずはら・しょう) 女子17番 湯中天利
(ゆなか・あまり)
男子18番 実月裕太
(みづき・ゆうた) 女子18番 依羅ゆた
(よさみ・ゆた)
男子19番 宮脇一希
(みやわき・かずき)
男子20番 森川達志
(もりかわ・たつし)
男子21番 矢口宗樹
(やぐち・しゅうき)
男子22番 藁路文雄
(わらじ・ふみお)

2番目に出発したのは、朝倉伸行(男子1番)と牧山久美(女子12番)。
伸行と久美に接点があったかというと、全くない。
伸行はカードゲームでずっと他のクラスの友達と遊んでいたし、彼女もいない。
関係無いが、身長は160cmに満たない、男子にしては小柄だった。

一方久美は上の方で2つに分けて結んだ髪がとても可愛らしい小柄な女の子で、確か2組に付き合ってる男子がいる、と聞いたことがある。
伸行はその男子とは1年で同じクラスになったが、運動神経抜群で、いかにも人気があります、という感じだった。
しかも、久美の父親は県長(と言っても、名前だけの職業だったが)の娘、すなわちお嬢様だ。

はっきり言って、何でペアになったのかわからない。
久美なら、同じお嬢様の鈴原架乃(女子7番)や、いつも一緒にいる藤村優(女子10番)やその友達など、一緒に組める人間はいっぱいいるはずだ。
確か、ここに連れて来られる前はやたら騒がしい赤木明子(女子2番)や、負けず嫌いで有名な同じバドミントン部の湯中天利(女子17番)などと一緒に騒いでいた。
何で彼女らとではないのだろうか。

伸行はそんなにクラスで親しくしている友達はいないので、同じように孤立してる生徒と一緒になってもおかしくないはずだ。
いじめられっ子の遠藤圭一(男子4番)や、中性的な顔の西野葵(男子12番)や、現実主義者の実月裕太(男子18番)など。

しかし、圭一のネガティブな思想は、一緒にいると苛立たしい。
楠本章宏(男子7番)や平馬美和子(女子11番)が苛める気持ちもわからなくはない。
葵は有事の時にパニックになるのをよく見かけた。
あれはとても手に負えないが、葵は笠原飛夕(男子5番)と仲が良いらしいので、飛夕とペアになるのかもしれない。
真面目な裕太ちは気が合いそうにない。
そう考えると、久美と出られたのはマシなのかもしれない。

何より、バスケットボール部の人間と一緒の出発でなくて良かった。
バスケットボール部には、中学に入学して、バスケットボールってかっこいいかな、という軽い気持ちで入部したが、最悪だった。
何といっても練習がキツい。
合宿で燃えるほどバスケットボールには人生を賭けていないし、放課後の練習の終了時間の遅さにもうんざりした。

そのようなことを言っていると、今度は部の連中が嫌がらせをしてきた。
バッシュにマヨネーズを入れてみたり、ロッカーを荒らされたり、ボール磨きをやらされたり、挙げればきりがない。
明らかに『早く辞めろ』と言われてるみたいで気に食わなかった。
バスケ部員で人の良さそうだった、宇津晴明(男子2番)や新藤鷹臣(男子8番)や宝田義弘(男子9番)にそのことを打ち明けたが、苦笑いしていた。
だから、辞めてやった、望みどおりに。

辞めてからマネージャーだった結木紗奈(女子15番)が謝りに来た。
可愛い顔をして、紗奈も共犯だったということだ。
謝りに来るだけ、他よりはマシかもしれないが。

まあ、昔の事はどうでもいい。
はっきり言って、プログラムとは驚いた。
しかも東田晴樹(担任)が試合進行役。
東田も最悪の教師だったというわけか。

伸行と久美は外に出た。
4時過ぎだが12月なので、日が傾きかけている。
目の前には親切に標識が立っている。
このまままっすぐ歩くと道路にでるようだ。

そうだ、支給武器とかいうのが入ってるんだっけ?
あ、牧山が歩いて行っちまう!

「牧山! ちょっと待てよ、武器の確認しとこうぜ」

久美が立ち止まってそこにしゃがんだ。

俺とのこの距離は何?
あ、そうですか、俺は信用できないわけね。

伸行はデイパックのジッパーを開けた。
色々と入っている。
その奥底に、小さいケースが入っていた。
蓋を開けると、針と小さな鋏と糸。

「マジかよ…っ」

伸行は愕然とした。
なにしろ唯一の武器が裁縫セット。
傷の縫合くらいなら出来るだろうが、戦闘になれば役には立たない。

しかし、相方の武器によっては戦いようもある。
気を取り直し、久美を見た。

「牧山、お前何が入ってた?」

久美はゆっくりと顔を上げた。
その目が、少しおかしいと思った。
どこか虚ろで、伸行を見ているようで見ていない。
その手には、弓に拳銃をくっつけた物があった。

「それって…ボウガンってヤツか?」

「…うん」

久美はそのボウガンをゆっくり上げた。
説明書を取り出し、それを音読し始めた。

「…矢を装着…こうかな……?
 あとは狙いを定めて引き金を引く…」

おいおい、こっちに向けるなって!
当たったら死んじゃうじゃないかよっ!

「威力はすごいけど、急所を外すと死にません…」

あ、そうなの、死なないの…ってそういう問題じゃないだろ!?

「しっかり狙いを定めて、両足を踏ん張って撃ちましょう…」

そこまで言って、久美は立ち上がった。
相変わらずボウガンは伸行の方を向いている。

伸行はあまり勘が鋭い方ではない。
だが、この状況はどんな馬鹿でも理解できるだろう。
自分は狙われている、ということが。

「ちくしょう、何なんだ!?」

伸行は叫んで立ち上がると、一目散に逃げ出した。
荷物なんていらない、命の方が大事だ。

しかし、伸行は突然自分の脚に激痛が走って倒れた。脚を見ると、久美の撃ったボウガンの矢が、伸行の右太腿に刺さっていた。

「ぅぐ…っ!」

伸行はその矢を引き抜いた。肉が裂け、血が噴き出した。その矢を捨てて、上を見上げると、そこには既に久美が立っていた。

「俺が何したってんだよぉ!!俺、別にお前を殺そうとかしてないじゃねぇか!!」
「…あたし帰るの。こんな所でなんか死にたくない…!」

久美がもう1回引き金を引いた。
その顔は、とても恐ろしかった。
さっきの虚ろな目から一変、目が血走っていて、いつもの可愛らしい久美はとても思い出せない。

それが伸行の見た最後の久美の姿。
ボウガンの矢が撃たれた音が最後に聞いた音。
頭に衝撃を受けたが、それも一瞬の出来事。

こうして、伸行は死んだ。

 

 

久美は目の前で倒れた伸行を見下ろした。
急所と言われても、どこのことかわからなかった。
なので、頭なら死ぬかな、そう思って撃った。

だって久美、朝倉くんと行動なんてできないもの!
久美のパートナーはあなたじゃないのよ!

「ミツくん…待ってて…
 久美、絶対あなたの所に帰るから…
 久美のパートナーはあなただけだからね…」

ミツくん――八杉満(3年2組)は久美の彼氏だ。
自分のパートナーは満でないといけない、そう思った。

あなたのためなら、久美は殺人鬼にだってなってやるのよ!
何人殺してでもあなたの所へ帰るのよ!!

「あはは…あはははは!
 みんな[ピーーー]…殺し合いをするの!!
 あははははは!!」

久美は伸行の頭から矢を抜き取り、地面に落ちた矢も拾ってケースに戻した。
伸行の頭に開いた穴からは、血と不気味な灰色の液体がどろどろと流れてた。

気持ち悪いけど、みんなこうならないと、久美がこうなっちゃう!

地図を見て、1人は行きそうな住宅地に行く事にした。

久美はもういつもの優しい久美じゃないのっ!
久美はミツくんのためなら悪魔にだってなってやるんだから…っ!

女子12番・牧山久美(まきやま・くみ)

バドミントン部。県長の娘。
優しい性格・可愛らしい容姿から人気がある。少し臆病。
他クラスに彼氏(八杉満)がいる。


ペア:朝倉伸行(男子1番)
支給武器:ボウガン
kill:朝倉伸行(男子1番)
小泉洋子(女子6番)
宮脇一希(男子19番)
killed:江原清二(男子3番)
凶器:ミニウージー
 

満のもとへ帰るためにやる気になる。
出発直後、伸行を殺害。
C=06エリアで一希と洋子を発見。殺害。手榴弾入手。本人は自覚していないが、狂いかけている。
D=07エリアで清二と会う。清二を殺そうとするが、清二に圧倒され、頭部に被弾し死亡。

 

彼氏のためにやる気になってみました。
狂いかけの状態じゃなく、完全に狂っていれば、江原君相手でも勢いでどうにかなったかもしれないし、ならなかったかもしれないし。
 (by 船木崇史様)

茨城県沖大宮島には、山が2つある。
正式名称を知る島民が少ないので、西にある山は“西の山”、東にある山は“東の山”として慕われている。
西の山は既に禁止エリアに指定されているが、東の山は違う。
その東の山の中腹辺りに1人の少女がいた。
高い所で2つに結んだ綺麗な黒髪と大きな目と優しい性格から、特に男子からの人気が高いその少女の名は、牧山久美(女子12番)。

しかし、今の久美からはそんなことは想像できないだろう。
髪は既にぼさぼさになり、大きな目は真っ赤に充血している。
右手には血で汚れた矢を装着したボウガンを携えている。

この今の様子を見て、声を掛ける男子がいるだろうか?

 

久美は優勝する気だ。
彼氏――八杉満のところへ帰るために。

 

満は、人気の高い男子だ。
サッカー部のFWで、プロ並のプレーをすることから、サッカーの強い私立高校から声を掛けられているらしい。

そんな満と初めて会ったのは、3年になったばかりの頃、満が教室へ来たからだ。

「おーい、翔、辞書貸せ辞書!」

そう言って教室に入ってきた。
翔――水原翔(男子17番)とはサッカー部ではFW同士、ライバルであり親友らしい。

「辞書ぉ? …あぁーっ!! ない! 忘れた!」

「マジ?使えねーヤツだな。 涼太は?」

「使えなくて悪かったな、コラ。 涼太は休みだよっ!」

満は困り果てていた。
久美のクラスもだが、英語の先生は怖い。
辞書を持ってこないと、先生の辞書で頭を殴られる。

「あ、あの…あ、あたしのでよければ…使う?」

翔の横の席にいた久美は、満にすっと辞書を差し出した。
不思議そうに見ていた満は、すぐににぱっと笑顔を浮かべた。

「マジでマジで!?
 サンキュー!
 えっと…牧山サン…だっけ?」

「え…何で名前…」

「俺のダチに人気だぜ、アンタ。
 へぇ…ダチの隠し撮りは見たけど…実物の方がいいじゃん!
 可愛いし優しいし… 翔、牧山サンを見習え!」

「どういう意味だッ!!」

そこでチャイムが鳴り、満は慌てて出て行った。

本気だったのか冗談だったのか、とにかく嬉しかった。
とてもかっこいい人に、可愛い、と言ってもらえた。

久美が恋に落ちた瞬間だった。

この後、満が教室に来る度に会話を交わすようになった。
満はとても面白い人だった。
不思議と会話が弾んだ。

そして、満の方から告白された。
今でもその時の言葉は覚えている。

「あのさ、俺、牧山サンのこと好きっぽい」

あの時、絶対久美の顔は真っ赤になっていたはずだ。
当然「久美も」と返事をし、2人は付き合い始めた。

 

ミツくん…久美、絶対に家に帰るからね…
そしたら、またデートしようね。
今やってる映画、見たいって言ってたでしょ?
久美、割引チケットもらったんだ。
一緒に行こうね…

帰るためなら、友達だって[ピーーー]と決めた。
といっても、仲の良かった女子で残っているのは朝霧楓(女子3番)だけだが。
クラスメイトに嫌われようが関係ない、どうせ皆死んでしまうのだから。

久美は顔を上げた。
気配を感じた、とかそういうわけではない。
ただ、何となく嫌な予感がした。
女の勘というやつか。
とにかく、視線を左に向けた。

目が合った。

久美は咄嗟に木の陰に隠れた。
同時に、銃声が連続して響き、木のくずが舞った。

どうして…何でこんな所にいるの!?
こんな広い島じゃない、こんな所に来ないでもいいじゃない!!

正気をほぼ失っている久美だったが、とてつもない恐怖が襲った。
彼への恐怖が、少しだけ正気を蘇らせたのかもしれない。

江原清二(男子3番)がいた。
清二が撃ってきた。
恐らくマシンガンか何かだろう。

久美はボウガンを握り締めた。
怖い、しかし殺らなければ殺られてしまう。
しかも、相手はあの江原清二だ。
学校――いや、近郊では最強とも言われているらしい、あの江原清二だ。

怖いけど…やってやる!
ミツくん…久美、頑張るから…!

久美はボウガンの引き金に指を掛け、飛び出した。
清二の姿を確認すると、引き金を引いた。
びゅっと矢が飛んだが、清二には当たらなかった。

「久美、頑張る…絶対負けない…」

何度も自分に言い聞かせた。

大丈夫、相手は不良だけど、久美だって3人殺してる。
不良が何よ、所詮みんな人間じゃない、中学3年生じゃない!

清二が再びマシンガン(ミニウージー)の引き金を引いた。
弾が久美の右手に当たり、ボウガンと共に久美の右手人差し指を弾き飛ばした。

「きゃあああ!! 痛い…痛いぃぃぃぃ!!」

久美は右手を抑え、悲鳴を上げながらその場に蹲った。

何してくれるのよ!? 痛いじゃない!!
あの不良…許さない…殺してやる!!

しかし、10mほど先に飛ばされたボウガンは、原型を留めていなかった。
ここまで3人を殺してきた武器が、壊れた。

「いやああああああああ!!」

久美は泣き叫んだ。
武器が壊れた。
勝てる希望が無くなった。

「うるせぇんだよ」

清二の低い声が聞こえ、顔の左側に蹴りが飛んだ。
久美は右側に倒れたが、すぐに起き上がった。
清二の顔を見上げて――背筋が凍った。
これが最強と謳われる男の顔なのか。
表情の無いその顔を見ただけで、死を予感させる。

久美は震える声を振り絞った。

「久美…死なないもん…か…帰るんだもん…く――」

「黙れ」

今度は顔の真正面から蹴られ、久美は仰向けに倒れた。
その腹を清二は思いっきり踏みつけ、久美は咳き込んだ。

ミニウージーの銃口を久美の顔に向けた。

「[ピーーー]や、オジョーサマ」

――ミツくん…!!

銃声が鳴り響き、久美の顔は弾け飛んだ。
綺麗だった黒髪は血に浸り、可愛らしかった顔も原型を留めていなかった。

清二は靴に飛んだ久美の血や脳漿を軽く払い、久美のデイパックから手榴弾(これは宮脇一希(男子19番)の物だった)だけを取ると、自分のデイパックに入れ、山を降り始めた。

清二が偶然久美を見つけ、尾行していたことなど、久美は知る由も無い。

男子3番・江原清二(えばら・せいじ)

部活は無所属。不良グループリーダー。
ケンカが強く、運動神経は抜群。学力は人並。
今村草子(女子4番)とは小学生の頃からの仲。


ペア:今村草子(女子4番)
支給武器:ジェリコ941
kill:遠藤圭一(男子4番)
福屋和行(男子15番)
宇津晴明(男子2番)
結木紗奈(女子15番)
今村草子(女子4番)
牧山久美(女子12番)
陸社(男子6番)
朝霧楓(女子3番)
killed:春野櫻(軍人)
凶器:マシンガン(種類は不明)
 

E=05エリアで圭一・湯中天利(女子17番)を襲撃。圭一を殺害し、天利も殺害しようとしたが、隙を作って形勢逆転されるが、草子に救われた。日本刀・フリッサ入手。
D=05エリアで土方涼太(男子13番)・水城凛(女子13番)と遭遇。涼太を人質に取り草子と凛の戦いを見守った。
E=07エリアで晴明・紗奈・雪倉早苗(女子16番)に会い、ゲームで晴明を刺殺、残った紗奈を銃殺。双眼鏡入手。
F=05エリアで都竹航(男子11番)に襲われ、油断した隙に草子に致命傷を負わせてしまう。草子に頼まれ、草子を射殺。
D=07エリアで久美を発見し尾行。射殺。手榴弾入手。
真剣にプリグラムに乗る。
E=06エリアで社と依羅ゆた(女子18番)を発見。社を銃殺。ベレッタM8000入手。
E=05エリアで楓を襲う。楓にすべてを託され、水原翔(男子17番)たちの後を追うことにした。コルト・ロウマン入手。
E=04エリアで翔たちを発見。井上稔(ADGI)の説得(脅し?)により脱出計画を手伝うことに。
E=05エリアで政府に襲われる。右足骨折。その場に残り応戦。凛たちを守って生きる自信を得るために1人戦うが、櫻によって射殺。最期は手榴弾により相打ちに持ち込んだ。

 

最初は楽しんで、途中から本気になって、最期は守るために戦って…心境の変化の激しい子でした(汗
誰よりも人を殺し、そのことに悩み、守るために散った子でした。好きでした。

男子1番・朝倉伸行(あさくら・のぶゆき)

元バスケ部。カードゲームおたく。
休み時間は他クラスの仲間とカードゲームをしている。


ペア:牧山久美(女子12番)
支給武器:裁縫セット
kill:なし
killed:牧山久美(女子12番)
凶器:ボウガン
 

出発直後、久美に襲われる。逃げようとするが、右足負傷。矢が頭部に刺さり死亡。

最初の犠牲者となりました。
殺され役ということで送っていただいたので、活用させていただきました。
う…ん…DDRが得意という設定は全く出てきませんでした。
バスケ部のイジメの印象がすごいキツかったんで。
 (by 船木由美子様)

水原翔(男子17番)は過去にないほど知恵を振り絞った。
笠原飛夕(男子5番)をどうにか説得して仲間にしたい。
しかし、飛夕には今冷静に考えるということが抜けている、と思う。
そして、今、翔を殺そうとしている。

話し合うためには、まず飛夕に武器を捨てさせなければいけない。
しかし、体格も力も圧倒的に負けている。
今唯一勝っている点は、武器の強さだけだ。
飛夕の小型なリボルバー(コルト ロウマン)に対し、翔の武器は小型ながらもマシンガン(Vz61 スコーピオン)。

マシンガンで飛夕の銃を落とさせるか――ってことができればいいんだけどな…
銃に当たる前に飛夕に穴が開きそうだしなぁ…無理だな。

考えている間にも、銃声が聞こえ、弾が横を通り抜けている。

弾切れまで待つか?
いやいや、弾切れになるまで見えない相手に撃ち続けるほどバカじゃないよな、いくら飛夕でも…

その予想は当たっていた。
飛夕は翔が見えないので発砲を止め、木の陰から飛び出した。

足音が聞こえ、翔はばっと上を見上げた。
そこには飛夕がコルト ロウマンの銃口を翔に向けて立っていた。

「くそっ!!」

翔は咄嗟に立ち上がり、飛夕の右手に飛び掛った。

「何するんだ、放せよ!!」

飛夕が必死に翔の手を引き剥がそうとしている。
誰が放すかってんだよ!

「飛夕、落ち着けよ!!
 よく考えたらわかるだろ!?
 殺して家に帰るより、みんなで脱出した方がいいに決まってる!!」

「だから言っただろ!?
 俺は確実に早く帰れる道を選ぶ!!」

飛夕が翔の腹を思い切り蹴った。
痛みはそんなになかったものの、翔は飛夕の手を放し、仰向けに倒れた。

そっと目を開け、飛夕を見た。
こちらに向く銃口、逃げようとすればすぐに引き金を引くだろう。

逃げられない…
マジで…?俺、死ぬのか…?
いや、待てよ…運がよければ……

 

「じゃあな、翔――」

 

飛夕の悲痛な声に少し遅れて、銃声が響いた。
激痛が走り、意識が遠のいていった。

 

弾切れを起こすまで翔の上半身に弾を撃ち込んだ飛夕は、じわじわとコートが変色していく様子を見て、黙祷を捧げた。
スコーピオンを拾い、辺りを見回した。

「…鳥江は…こっちか?」

コルト ロウマンに弾を込め、飛夕は立ち去った。

C=05エリアの民家の中では、5人の男女がテーブルを囲んで座っていた。
土方涼太(男子13番)は頭を抱えて俯いていた。
テーブルには、小さな水溜りができている。

どうして…どうして死んじまったんだ…
助かるかもしれなかったのに…どうして…

日向翼(男子14番)が目の前で死んだ。
しかも、自らの手首を切って。

馬鹿だと思った。
クラスの半分以上が、恐らく生きたかったはずなのに生きられなかった。
それなのに、自ら命を絶つなんて、おかしい。
生きられなかった人たちに恨まれるぞ、絶対。

しかし、翼の気持ちは理解できる気がした。

翼は、とても優しい人間だった。

「日向…一緒に帰れると思ってたのにな…」

睦月麻(女子14番)が小さく呟いた。
麻は涙は見せないものの、ずっと放心状態でどこか遠くを見つめていた。

「翼は…優しすぎたんだ…本当に、悲しいくらいに…」

涼太はそれだけ呟き、再び俯いた。

何食わぬ顔で、学年でも5本の指に入る成績を取る翼。
笑顔を浮かべながら、サッカーで涼太からゴールを奪う翼。
下手なんだと言いつつ、宝田義弘(男子9番)とのバスケットボールのシュート対決で勝ってしまう翼。
苦手なんだと言いつつ、土谷和(男子10番)にマラソンで勝ってしまう翼。
それでも絶対に嫌いになれないのは、彼の性格・人の良さのなせる業だ。

優しさ――これが翼の最大の長所だろう。
しかし、この状況ではそれが最大の欠点となってしまった。

翼が水城蓮(男子16番)を殺害してしまったことは、絶対に許されることではない。
恐らく翼は悩みながらも割り切ったのだろう、『生きるためには仕方がない』、と。
しかし、実際に人を殺してしまい、その過ちに気がついたはずだ。

もしあそこで涼太が翼を咎めもせず、水城凛(女子13番)も怒ったりせずに(これは無理なことだとは思うが)、麻・井上稔(ADGI)・曽根崎凪紗(ADGI)に会っていれば、自殺をせざるを得なくなるまでならなかったかもしれない。

俺が、凛が、翼をあんなにも追い詰めてしまった。

凛も同じように考えているらしい。
涼太の横で、『わたしのせいだ』と呟きながら、ずっと嗚咽を漏らしながら下を向いていた。

「ねえ、落ち込むのは後にしない?
 いつまでもこうしてるわけにもいかないじゃん」

 

凪紗の声が聞こえた。
気のせいだろうか、幾分苛立っているようだった。

…何だよ、それ…

「そんな言い方ないじゃないか!!」

凛が叫んだ。
涙で濡れたその目は、凪紗を睨みつけていた。
凪紗も凛を睨み返す。
正に、一触即発の雰囲気だ。

「でも、本当のことでしょ?
 こうしている間にも、プログラムは進行してるんだからさ」

凪紗の言葉は、涼太の勘に触った。
しかし、涼太が言い返そうとする前に、凛がテーブルに乗り上げて凪紗の胸倉を掴んだ。

「アンタなんかに、わたしらの気持ちなんかわかんない!!
 仲良しの人を失ったことなんてないんでしょ!?」

凛が拳を振り上げようとしたので、涼太はそれを押さえた。
凪紗は凛の腕を捻って放させ、凛がいた部屋に入っていった。
一瞬だけ、凪紗が悲しげな表情を見せた気がした。

「凪紗、ちょっと待て!!」

稔が凪紗の後を追って部屋に入っていった。

 

「…何か話してるのかな?」

麻がそっと席を立ち、2人のいる部屋に耳を当てた。

「おい…立ち聞きなんて…」

涼太が咎めようとするのを、凛が制止した。
凛も麻の横で同じようにしたので、仕方なく涼太も耳を当てた。

もしかしたら、凪紗の悲しげだった表情の理由がわかるかもしれないので。

小さい声だったが、何とか声は聞き取れた。

「凪紗、さっきのは言い方が悪かったんじゃねぇの?」

「でも事実じゃないですか」

凛が怒りの表情を浮かべていた。

怒るのもわかる…あんなに淡々としなくったっていいじゃないか――

「みんなの気持ちがわからないわけじゃない…」

凪紗の声が幾分沈んだ。

「わかるから…痛いほどわかるから…
 今動かないと、今残っている他の子も危ないかもしれない…
 そうなると、更に傷つくのは目に見えてるじゃないですか…」

「そりゃそうだけどな…」

凛はきつく握り締めていた拳を緩めた。
確かに、まだ生きているクラスメイトはいる――その中には、やる気になっているヤツもいるだろう。

「稔さん、あたしたちの役目はみんなを助けること…
 同時に、あたしたちと同じ目に合うのを防ぐこと、そうでしょ?
 みんなにはこれ以上友達を失ってほしくない…」

…“あたしたち”?
井上サンは優勝者だって聞いてたけど…“たち”って…

水原翔(男子17番)たちはE=05エリアにある集会所に来た。
『集会室壱』と書かれた部屋にはまだ西野葵(男子12番)の死体が転がっているので、翔と鳥江葉月(女子9番)が入るのを拒否した。
よって、今はその向かいの『集会室弐』にいる。
「…マジでたった6人だけ…なのかよ?」

土方涼太(男子13番)が頭を抱え込んだ。

「40人…いたのにね、このクラス…」

「最悪だよな、2日前にはみんな元気にしてたのにさ…」

水城凛(女子13番)と睦月麻(女子14番)が沈んだ声で呟いた。

 

江原清二(男子3番)が仲間に加わった後、まだ生きているであろう生徒たちを探そうとした。
井上稔(ADGI)と曽根崎凪紗(ADGI)がまだ放送で呼ばれていない生徒の名前を挙げ終わった後、清二が首を傾げた。

「…日向は?」

それは翔も違和感を覚えていた。
日向翼(男子14番)も名前を呼ばれていないはずだが、稔たちの口からは翼の名前は出ていなかった。

清二の質問に、涼太・凛・麻の表情が暗くなった。
涼太の目には涙が浮かんでいた。

「…涼太 もしかして、翼は…」

翔の言葉に涼太は反応を示さなかったが、この3人の様子から見て取れた。

翼は、もうこの世にはいない、ということが。

「くそっ!!」

翔は地面に思い切り拳をぶつけた。
翼まで死んでしまった。
また1人、減ってしまった。

「…じゃあ、この6人で全部じゃねーか」

清二が呟いた。
翔たちは一斉に清二を見た。

「…どういうことだ?」

稔が聞いた。
清二は頭を掻き、溜息を一つ吐いた。

「日向は死んだんだろ?
 で、金坂はそこで死んでる。
 そっちの兄貴、土谷が死んでるのも見つけたんだろ?」

そうだった。
“そっちの兄貴”――稔が探知機で見つけた反応は、既に事切れた土谷和(男子10番)のものだったようだ(容姿云々を聞くと、和以外には考えられなかった)。
本当に、金坂葵(女子5番)に殺されてしまったのだろう。

清二は続けようとしたが、一度大きく深呼吸をした。
少し、言いにくそうに見えた。

「……陸…アイツは俺が殺した…
 朝霧は…いや、朝霧も多分俺が殺した…
 朝霧を見つけた時に、依羅が横で死んでるのを見た…

 これで全員、だろ?」

翔は目を見開いた。
陸社(男子6番)と朝霧楓(女子3番)を清二が殺した、そうはっきりと聞いた。
依羅ゆた(女子18番)については、本人の言い方では別の人間が殺した、ということらしかった。

誰もが、衝撃を受けた。

『どうして人を[ピーーー]んだ?』とは言えなかった。
翔には言える資格などないので(数はあっちの方が上だけど、そういう問題じゃないだろ?)。

 

もう他に誰もいないなら作戦を立てる、稔がそう言ったので、今は集会所にいる。

社と楓を殺した、と言っていた清二は、今はやや沈んでいるようだった。
後悔しているのかどうかは知らないが、多分ここに来る途中に稔が清二に言った一言が効いているのだろう。

『土方の彼女、テメェのこと、ずっと信じてたぞ』

それを聞いた時、清二の表情が一瞬悲しげに歪んだ。
「何でだよ…」と言ったのが聞こえたのは、恐らく稔と、その時偶然清二の横にいた翔だけだろう。

江原にも、何か事情があったのか…?
例えば今村サンを守っていた、とか…
俺が葉月を守るために金坂を殺してしまったように…

 

「テメェら、今からこれからどうするか説明するぞ」

 

稔の声で、翔は我に返った。

先ほどまで何故か涼太が持っていたパソコンをいじっていた稔が、今度は持っている武器をすべて机の上に出した。
凪紗も同じようにする。
2人の武器だけで凄い量だった。

「とりあえず、武器出せ。
 ちゃんと分けるから」

翔は和のものだったベレッタM1934を机の上に出した。
机の上には涼太が出したベレッタM92F、凛が出したジェリコ941とバタフライナイフ、清二が出したミニウージー、日本刀、フリッサ、手榴弾、ベレッタM8000、コルト・ロウマン、そして葵が持っていたVz61スコーピオン(弾は翔が持っていた)とブローニング・ベビーがばらばらに置かれていた。

「おーおー、よくもまあこんなに…」

稔は苦笑した。
こんなに多くの武器があるということは、それだけ人から奪ってきたということになる。
清二は一体何人を襲ったのか。

「ま、とにかく分けるか…」

 

稔の仕分けの結果、翔はベレッタM8000(清二が持っていた物と稔が持ってきていた物)を2丁、葉月はベレッタM92Fを、涼太はミニウージーとコルト・ロウマンを、凛はジェリコ941を、麻は凪紗から受け取ったワルサーPPKを、清二は稔から受け取ったキャリコM950を持つことになり、残りは稔と凪紗が分担していた。

稔の仕分けの結果、翔はベレッタM8000(清二が持っていた物と稔が持ってきていた物)を2丁、葉月はベレッタM92Fを、涼太はミニウージーとコルト・ロウマンを、凛はジェリコ941を、麻は凪紗から受け取ったワルサーPPKを、清二は稔から受け取ったキャリコM950を持つことになり、残りは稔と凪紗が分担していた。
予備マガジンもそれぞれ受け取り、デイパックの中を武器と万が一の止血用のタオルなどだけにした。
刃物類は元通り凛と清二が持つことになった。

「いい、みんな…弾は無駄遣いしちゃ駄目だからね」

凪紗が念を押して何度も言った。

稔はキャリコM950を手に持ち、全員の前に立った。

「…いいか?
 ここからは、戦争って言っても過言じゃない。
 マジで『殺らなきゃ殺られる』の世界だ。
 政府のヤツらには情けは掛けるな。
 そもそもテメェらをこんなモンに巻き込んだのは、アイツら政府だ。
 ダチが死んだり何なりしたのも、全部アイツらのせいだ。

 …覚悟、できてるか?」

翔たちは互いに顔を見合わせた。
相手が誰にせよ、今からしようとしているのは人殺しであり、立派な犯罪行為だ。

急に覚悟と言われても…

しばらくし、最初に声を挙げたのは、涼太だった。

「…俺は、できてる。
 井上サンが助けに来てくれるって知った時から、予想はしてた」

「要は政府を全部倒せば、生きて帰れるんだろ?
 上等だ、やってやんぜ!」

清二は拳を握った。
そして、横にいた涼太と顔を見合わせ、拳同士をぶつけ合った。

凛と麻も顔を見合わせて頷き、翔も目が合ったので頷いた。

やってやる…もう、後には退けない…
俺が人を殺した責任を全部押し付けるわけじゃないけど、やっぱり悪いのは高みの見物をしている政府の連中だ…
俺らをこんなモンに巻き込んだこと、後悔させてやる!!

翔は葉月を見た。
葉月は小刻みに体を震わせていた。
翔は震える葉月の手を握った。
葉月が驚いてこちらを見たので、翔はにっと笑って見せた。

「俺、今度こそ守るから、絶対」

葉月は少し安心したのか、にっこりと微笑み返してくれた。

大丈夫、絶対に守るから。
絶対に死なせやしない…!

 

その時だった。
物凄い轟音が聞こえたのは。

 

 

 

 

一方プログラム本部は、慌しく動いていた。
生き残っている6人が全員一箇所に集まっているにも拘らず、何も盗聴ができない。
畠案山子(担当補佐)の判断で、“不穏な動きを見せている”として首輪を爆発させようと信号を送ったが、何故か誰も死んでいない。

「…やっぱり侵入者が細工したか…」

畠は肩を落とした。
上に報告すれば自分の首が飛びそうなので、ここは内密に処理しなければならない。
大丈夫だ、全員殺してしまい、後でデータを書き換えて時間切れにでもしてしまえば問題ないだろう。

「畠先生!!」

軍人が敬礼をした。

「ただいま、A班・B班が6人のいる建物付近に到着したそうです!
 内刃と春野が“M2”の発射準備ができたと…」

畠は薄笑いを浮かべ、軍人からトランシーバーを受け取った。
“M2”――万が一に備えて用意された無反動砲だ。
本来は500m離れた位置からでも戦車を撃破できるほどの威力を持つが、ここにある物は少々改造され、威力はやや落とされている。
それでも、建物を吹き飛ばすことくらいなら容易にできるだろう。

「あ、そうなの?
 あれ1発しか弾がないから、上手く狙って撃つように、と伝えて。
 瓦礫で埋もれて死んでくれることを祈って…発射!」

残念だったね、生徒諸君。
せめてもの情けで、即死してくれることを祈るよ…

突然大きな爆発音が聞こえ、壁の一部が破壊され、集会所の天井に穴が開いた。
滅茶苦茶になった集会所の瓦礫を押しのけて出てきたのは、井上稔(ADGI)だった。
稔は運良く瓦礫の間にいたため、落ちてきた瓦礫が直撃して右手の小指が使い物にならなくなったのと、無数の擦り傷だけで済んだ。

その稔の下から、曽根崎凪紗(ADGI)が這い出してきた。
稔が咄嗟に側にいた凪紗を守ったため、凪紗は奇跡的にほぼ無傷だった。

「みんな、無事!?」

凪紗が叫んだ。

「ちくしょう、政府の対応が良かったな…
 俺らだけ生き残って残り全滅なんて、冗談じゃねぇぞ…」

稔は右手を押さえながら呻いた。

 

「うらぁ!!」

 

突然声が聞こえ、稔と凪紗はその方向を見た。
瓦礫が音を立てて崩れ、下から睦月麻(女子14番)が出てきた。
麻の頭からは血が流れていたが、どうやら切っただけのようだった。

「麻ちゃん!!」

凪紗は麻を手伝い、瓦礫を除けた。

「ふぅ…一体何なんだい!?
 潜った机も壊れちまったよ!!
 でもその隙間にいて助かったけどね…
 大丈夫か? 水原、鳥江さん?」

瓦礫の中から水原翔(男子17番)と鳥江葉月(女子9番)も出てきた。
翔は苦しそうに咳き込んでは胸部を押さえていたが、葉月はほぼ無事なようだった。

「睦月は…無事か?」

稔が訊くと、麻は両手を稔に見せた。

「これ除けるために手がボロボロ。
 あと…骨は大丈夫っぽいけどさ、右腕がズキズキする。

 …凛は?」

麻が辺りを見回した。
確かに、江原清二(男子3番)、土方涼太(男子13番)、水城凛(女子13番)の姿はない。
まだ、この瓦礫の下にいる。

「凛…凛!?
 どこだい!?
 土方、江原ぁ!!」

麻は腕の痛みも気に留めず、辺りの瓦礫を除け始めた。
凪紗もそれを手伝う。

 「まだ生きているらしいぞ、突入!!」

遠くで声が聞こえた。
ちくしょう、首輪の反応があるからだな。

稔は急いで凪紗と共に死守した武器を入れたカバンを下から引っ張り上げ、キャリコM950を取り出した。
そしてヘリの中で高谷祐樹(ADGI)から貰った高性能暗視スコープを装着した。
もう1つのカバンを取り、凪紗に渡した。

「凪紗、連中が来るぞ、応戦準備だ!
 凪紗はそっちの壊れた壁から、俺はドアの方だ!!
 睦月たちは3人を探せ!!」

稔は瓦礫の上を軽々と走り、ドアの方から外を見た。
軍人たちが来るのを見つけると、キャリコM950の引き金を引いた。
連続した銃声に、軍人たちも撃ち返してくる。
後ろからも銃声が聞こえ、瓦礫を除ける音も聞こえる。

ちくしょう、何人いやがるんだ…

稔は舌打ちをした。
状況は良くない。
3人の生徒の無事を確認できていない、相手はどれくらいなのかわからない――下手すればここで全滅だ。

麻と翔が同時に叫んだのが聞こえた。
稔が一瞥すると、除けた瓦礫の間から頭を押さえる涼太と、怪我をしたのだろう、顔を歪めた凛の姿が見えた。

「清二が… 清二がまだ…っ」

凛の搾り出すような声が聞こえた。
そして葉月の悲鳴が聞こえた。
清二に何かあったことは明白だ。

「睦月、こっち来て代われ!!」

稔は麻に一通り撃ち方を教え、暗視スコープを渡した。
腕が痛いと言っていたが、麻以外に頼める人がいなかった。
翔はずっと胸部が痛いと言っており、涼太は今瓦礫の下から這い出したばかりなので頼めない、凛は表情からして無理だ、そして葉月にはマシンガンの反動に耐えられる腕力はないだろう。

「悪いな」

「…いいよ、できる限り頑張るから。
 それより、他の子を助けてやってよ…」

稔は頷き、再び瓦礫の上を走って清二たちの方へ向かった。
涼太の頭を押さえる手の指の間からは、ゆるゆると血が流れており、どこか虚ろな目をしていた。

「…土方、大丈夫か?」

「…あんまり……まだ頭がクラクラしてるっす…
 でも、俺が…1番マシ…だから…」

とりあえず涼太を瓦礫の上だがともかく寝かせた。
あちこちに打撲を負っているようだが、それ以外は大丈夫だろう。

次に凛に目を遣った。
凛の左腕は、あらぬ方向に曲がっていた。
明らかに折れていた。
痛みに耐えるように、涙を目に溜めながら歯を食いしばっていた。

「彼女、腕以外は…?」

凛は短く息を漏らした。

「いいから…清二を助けて…脚が…っ」

脚…?

稔はようやく清二に目を向けた。
清二は呻き声を上げながら、必死に自分の足の上にある瓦礫を除けようとしていた。

「あぁ…イテェ……くそったれ……政府の野郎…ブッ[ピーーー]…」

悪態を吐く清二の声には覇気がない。

「待ってろ、今除けるから!!」

稔は瓦礫の端に手を掛け、力を込めた。
折れた指に激痛が走ったが、弱音を吐いている場合ではない。

瓦礫を除けると、清二の左足は見たところ大丈夫なようだったが、右足は凛の左腕同様折れ曲がっており、下には血溜まりができていた。

「うわっ、思ったよりヒデェな、これは…」

清二が自分の足を見て引き攣った笑いを見せた。
しかし、どう見ても笑っていられる傷ではない。

「…外に出るにも、この状況じゃ無理、か…」

どうすればいい?
できるなら本部を襲撃したいが、この怪我人たちを連れてはいけないし、だからといって置いていくわけにもいかない。

突然清二は瓦礫の隙間に手を突っ込み、デイパックを3つ引きずり出した。
その中の1つの中身を確認し、ほっと息を吐いた。

「隅っこにやってよかったぜ、無事だ…」

中からキャリコM950を取り出し、右手に持った。
そして、稔を見た。

「今の、状況は…?」

「…外に政府の連中がいやがる。
 何人かは倒したけどな」

清二はキャリコM950を握る手に力を入れた。

「兄貴、他のヤツら連れて、本部に行けよ…俺が…片付けてやる…っ」

稔は目を見開いた。

「な…テメェ自分の怪我わかってんのか!?その脚で…」
「この脚じゃ、そんなに動けないんだよ。だから、ここでじゃないと戦えないから…」

確かに、あの脚での移動は無理だろう。
しかし、いくら動かないといっても分が悪すぎる。

「そんなこと、許せるはずが…」
「わたしも、残る…」

凛の声が聞こえた。

「おい、彼女…っ」
「足引っ張りたくないから、ここにいる…それに、清二を1人で置いていけないじゃん…」

清二はニッと笑い、凛にデイパックを投げた。それを右手で受け取り、中からジェリコ941を出した。

「凛が残るなら、俺も残る…俺は頭がちょっとクラクラするだけだし」

涼太は頭の血を拭いながら立ち上がった。清二の側からデイパックを取り、ミニウージーを出した。

…言っても聞かないだろうな、どいつもこいつも…

稔は笑みを浮かべた。とりあえず清二を引っ張り上げた。

「凪紗、こっちのこと、頼むぞ」

凪紗はマガジンを変えながら、大きく頷いた。それを確認し、稔は自分のカバンから予備の暗視スコープを無事な涼太に渡した。

「こっちで死人出したら承知しねぇからな」
「…わかってますって」

涼太は暗視スコープを装着して立ち上がり、入り口側で応戦を続ける麻のもとへ向かった。
二言三言交わした後、麻が戻ってきた。

井上稔(ADGI)は水原翔(男子17番)・鳥江葉月(女子9番)・睦月麻(女子14番)を率いて出て行った。
土方涼太(男子13番)が援護射撃をし、稔も同じようにして3人を奥に行かせ――そこから後は知らない。
江原清二(男子3番)が見たのはそこまでだったので。

「…清二、これ飲みなよ」

横から水城凛(女子13番)が無事な右手を差し出した。
その上には、錠剤が1錠乗っていた。

「…なんだよこれ」

「痛み止め。 わたしの支給武器の1つ。
 気休めくらいにはなるんじゃない?
 あたしも飲んだし、水原にも渡したから、これで最後。
 飲んで」

清二は眉間にしわを寄せた。
『飲んで』だと?
最後の1錠だろ?
テメェの腕だって、痛むだろ?

「…凛が飲めよ、凛の持ち物だろ?」

凛が首を横に振った。

「清二の方が痛そうだから、あげる」

凛はそう言うと、無理やり清二の口の中に錠剤を入れた。
苦い味が広がる。
水はなかったが、なんとかそれを飲み込んだ。

『清二の方が痛そう』、だと?
どこがだよ。
テメェの方が痛そうだぞ、そんな顔して。
どうして、そんなに人を心配するんだよ…

 

清二の両親は、清二が生まれてすぐに離婚した。
母親に引き取られたが、清二が小学生になった頃から、家に滅多に帰ってこなくなった。
男でもできたのだろうか。

家では誰も相手をしてくれる人はいなかった。
学校では誰かに相手をしてほしい、と色々な事をやった。
ケンカをした、備品を壊した、万引きをした。
しかし、最初は相手にしていた教師たちも、次第に見放していった。
『悪い子』の清二には、誰も近寄らなくなった。
誰も、相手をしてくれなくなった。

もう、諦めた。

時々自分にケンカを売ってくる不良たちとケンカをする毎日になった。
『学校1の問題児』と言われるようになった。
ますます独りになっていったが、別に相手をしてもらわなくても気にしなくなった。

そんな清二に、転機が訪れた。

小4の頃、今村草子(女子4番)と出会った。
同じように相手にされなくなった問題児だった草子とは、次第に仲良くなっていった。
互いの奥深くまで踏み込むような仲ではなかったが、多少は心を開ける存在となった。

中学に入り、楠本章宏(男子7番)・都竹航(男子11番)・高原椎音(女子8番)・平馬美和子(女子11番)・凛と出会った。
『最強の男』として敬われた(航はよくわからなかったが)。

個性的な面々に囲まれる中、凛は特別だった。
少なくとも小学生の頃は『良い子』に分類された凛との付き合いは、草子たちとはまた違い、とても新鮮だった。

自分のことよりもまずは他人のこと。
凛はそういう人間だった。
水城蓮(男子16番)のことをずっと第一に考えてきたことが影響しているのだろう。
自分のことを後回しにする人間に、初めて出会った。

良い子だと思った。
本当なら、自分と友達になることがおかしいような。

それでも、凛はこんな自分を信じてくれていた。
一度襲ったのにも拘らず、笑顔で迎えてくれた。

それがどんなに救いになったか、気付いていないだろ?
こんなに嬉しかったことも、凛からすれば当たり前のことなんだろ?
でも、兄貴にそれを聞いた時、嬉しかったと同時に罪悪感が募ったことも、知らないだろ?凛の笑顔を見たときに、『自分のしたことは何だったんだろう』と思ったんだ…

男子16番・水城蓮(みずき・れん)

吹奏楽部。病弱で運動は不得意。
水城凛(女子13番)の双子の弟。
可愛らしい容姿から、女子に見間違えられることが多い。


ペア:赤木明子(女子2番)
支給武器:シグ・ザウエル P230
kill:赤木明子(女子2番)
高原椎音(女子8番)
藤村優(女子10番)
killed:日向翼(男子14番)
凶器:シグ・ザウエル P220
 

出発直後に明子を銃殺。
姉・凛と生き残るためにやる気になるが、病気になり診療所で睡眠をとる。
診療所を椎音が訪れ、油断させて銃殺。ワルサーP99入手。
C=06エリアで優を殺害。その後凛と再会。喜んでいたが、その時翼が発砲。凛をかばい死亡。

 

弟思いの姉思いな子。個人的には好きでした。
姉と生きるために殺し回ったことに罪悪感を少しも感じてなかった蓮君。
それはいきすぎですけど家族への愛のなせる業。悪くはないんじゃないですか?

いまから新しいゲームを始めたいと思います。

取りあえず今回もキラークイーンで行きます。

リベリオンズや同人版などは需要がありそうであれば次回からという事で。

まずは恒例の主人公設定から


性別

>>710
>>711
>>712

>>712のコンマ下二桁によって安価を決定
 
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年齢

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>>714
>>715

>>715のコンマ下二桁によって安価を決定
 
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性別 男 

年齢 39



性格
>>724
>>725
>>726

>>726のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>724
34~66 >>725
67~99 >>726


特徴
>>727
>>728
>>729

>>729のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>727
34~66 >>728
67~99 >>729

どこか抜けているようで意外としっかりしている

真面目で実直だが天然

年齢より若々しい容姿

童顔で見た目は20代半ば

老け顔で白髪が多い

え?特徴まだじゃね?

性格 男

年齢 39

性格 真面目で実直だが天然

特徴 若干オカマ


職業
>>733
>>734
>>735

>>735のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>733
34~66 >>734
67~99 >>735

名前
>>736
>>737
>>738

>>738のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>736
34~66 >>737
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警察官

パン屋さん

医者

朝田良男

木ノ下薫(きのしたかおる)

美川憲一

性格 男

年齢 39

性格 真面目で実直だが天然

特徴 若干オカマ

職業 パン屋

名前 美川憲一



家族

>>741
>>742
>>743

>>743のコンマ下二桁によって安価を決定
 
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趣味

>>744
>>745
>>746

>>746のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>744
34~66 >>745
67~99 >>746

自分1人他は他界している

養子の高校生の息子が一人で妻は死別

>>742

独り身

美味しいパンを作る為に日夜研究している、

レース編み

性格 男

年齢 39

性格 真面目で実直だが天然

特徴 若干オカマ

職業 パン屋

名前 美川憲一

家族 養子の高校生の息子(既婚)

趣味 レース編み




好きなこと(もの)
>>
>>
>>

※>>のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>
34~66 >>
67~99 >>



嫌いなこと(もの)
>>
>>
>>

※>>のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>
34~66 >>
67~99 >>

性格 男

年齢 39

性格 真面目で実直だが天然

特徴 若干オカマ

職業 パン屋

名前 美川憲一

家族 養子の高校生の息子(既婚)

趣味 レース編み

好きなこと(もの) 酒

嫌いなこと(もの) 自己中心的な人


長所
>>756
>>757
>>758

>>758のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>756
34~66 >>757
67~99 >>758

短所
>>759
>>760
>>761

>>761のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>759
34~66 >>760
67~99 >>761

温和で人の信頼を得やすい

相手を信用すると決めたら、けして裏切らない事

人望があり初対面で好印象を持たれやすい

細かいことに興味がもてない

ちょとエッチな事

派手好き

性格 男

年齢 39

性格 真面目で実直だが天然

特徴 若干オカマ

職業 パン屋

名前 美川憲一

家族 養子の高校生の息子(既婚)

趣味 レース編み

好きなこと(もの) 酒

嫌いなこと(もの) 自己中心的な人

長所 信用した相手は裏切らない

短所 大雑把



原作キャラとの接点(無しも可)
>>763
>>764
>>765

>>765のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>763
34~66 >>764
67~99 >>765

ゲームとの関連性(無しも可)
>>766
>>767
>>768

>>768のコンマ下二桁によって安価を決定
 
00~33 >>766
34~66 >>767
67~99 >>768

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