ジャン「俺はサシャが好きなんだ」(121)



ジャン「(…訓練兵団に入ってから、2年半が過ぎた)」

ジャン「(入団式の夜、俺は見慣れぬ顔立ちをした黒髪の少女に一目惚れした)」

ジャン「(……それがミカサだった)」

ジャン「(だが、ミカサは家族同然に育ったという、エレンにご執心で…)」

ジャン「(俺などはまったく眼中になかったようだ)」

ジャン「(…俺は考え方の違いや嫉妬から、エレンと衝突することが多く)」

ジャン「(それがまた彼女を呆れさせてしまう結果になった)」

ジャン「(……悶々と日々を過ごしてきた俺だったが)」

ジャン「(ついに、『彼女』と呼べる相手ができた)」

ジャン「(無論、ミカサではない)」

ジャン「(……サシャだ)」

期待


ジャン「(入団式で芋を食って周りを仰天させた、あのサシャだ)」

ジャン「(その頃から、特に女として意識したことなどなかったが)」

ジャン「(…どうやらずっと、俺の事を好いていてくれたらしい)」

ジャン「(俺はミカサに対して何も言えない苛立ちを、ただ周囲にぶつけていただけだったのに)」

ジャン「(…サシャは正直に俺に好きだと言ってくれた)」

ジャン「(女の口から言うのは、とても勇気が入る事だったろう)」

ジャン「(…そして当然、ヤッた)」

ジャン「(むしろ、そこから始まったと言っていい)」

ジャン「(まさに体当たりの告白だった)」

ジャン「(…順序は違ってしまったが、サシャが真剣に、一途に俺を想ってくれていることは分かる)」

ジャン「(とても嬉しい)」



ジャン「(そうして俺達は恋人同士として付き合いを始めた。…その事は、他の皆も知ってる)」

ジャン「(…サシャは美人だ)」

ジャン「(以前、アルミンが言っていた事だが…)」

ジャン「(サシャは美人だが、明るく気さくで飾り気がない)」

ジャン「(…普段はそれと感じさせないのに、時折見せる表情はハッとするほど綺麗だ)」

ジャン「(街中で育った俺の目には、それがとても新鮮で野性味溢れたものに映る)

ジャン「(とにかく、サシャは美人で明るく愛嬌もあって料理上手な…)」

ジャン「(それとスタイルが良くて胸もでっかい…何より俺の事を大好きでいてくれる最高の、自慢の彼女なんだ!)」

ジャンサシャキター



サシャ「…ジャン!」

ジャン「どうした?」

サシャ「あの…これ…」オズ…

ジャン「…何だ? これ」

サシャ「て…手作りなんですが、その…///」モジモジ

ジャン「え、くれんの? マジで?」

ジャン「あ…開けていいか?」ドキドキ

サシャ「ハイ!」ニコニコ

ジャン「(可愛い…)」ゴソゴソ

>>2 >>5 一応前作は
ジャン「俺はミカサが好きなんだ」 みたいなやつです



サシャ「あの…お守りなんですけど、一生懸命作ったので…//」

ジャン「…」

ジャン「…お、おぅ。…サンキュ!」

サシャ「…良かった! じゃあまた後で!!」ニコッ

ジャン「ん」

サシャ「」タタタ…




ジャン「(……ウサギの足だった)」

ジャン「(お守り…なのか?)」



―― 夕食


ユミル「…サシャ、向こうで食べなくていいのか?」

サシャ「へ? 向こうって?」ハグハグ

クリスタ「…ジャンの所って事じゃない?」

サシャ「なぜです? マルコと一緒にご飯食べてるじゃないですか」

ユミル「イヤ、でも一応付き合ってんならさ。 …ハンナとフランツ見てみろよ」


ハンナ「…はいフランツ、アーン」

フランツ「フフ…、ハンナと一緒に食べる食事は美味しいなぁ」モグモグ


サシャ「…私にアレをしろと?」

クリスタ「あ…あれは、特別……なのかな?」…アハハ



マルコ「ジャン。 あの…もし僕に気を使ってくれてるなら…僕は別に構わないんだよ?」

ジャン「は? 何がだよ?」

マルコ「…イヤ、サシャと一緒に食事するならさ」

ジャン「気にする必要ねえよ。アイツだってクリスタ達と食ってんだから」

マルコ「でも、フランツ達を見てごらんよ」


ハンナ「…はいフランツ、アーン」

フランツ「フフ…、ハンナと一緒に食べる食事は美味しいなぁ」モグモグ


ジャン「…俺にアレができると思うか?」

マルコ「ハハ…、ジャンには無理なのかな」

ジャン「無理。 絶対」


ジャン「(訓練兵には様々な内容の授業がある)」

ジャン「(馬術…格闘術…兵法講義に技巧…立体機動の他、兵站行進や登山などだ)」

ジャン「(馬術に関しては、サシャは目を見張るものがある)」

ジャン「(馬をまるで自分の手足のように扱う)」

ジャン「(風を切って馬を駆る姿は、ごく自然で美しく、つい目がいってしまう)」

ジャン「(…座学の講義はいつも眠そうにしている)」

ジャン「(以前に比べれば大分マシだが、やはりじっと座っているのは性に合わないようだ)」

ジャン「(手先が器用なせいか、技巧の成績は悪くはないらしい)」

ジャン「(立体機動…これについては何しろ俺以上の者は(ミカサも含め)いないのだが…)」

ジャン「(時々スルッとやってきて、人の獲物を攫っていく)」

ジャン「(サシャに言わせれば、『奪われる方が悪い』とのことだ)」

ジャン「(……狩猟民族の理屈は時々訳が分からない。でもこれはコニーも同じだ)」


ジャン「(…登山や兵站行進の訓練は、そう度々あるものではないが)」

ジャン「(これも山歩きが得意なサシャは割と得意なようだ)」

ジャン「(しかし兵站行進は自分のペースで走れないのでやりにくい、と呟いている)」

ジャン「(…問題は格闘訓練だ)」

ジャン「(時々アニに習っているのだが、アニはエレンにも教えているので毎回組むことはできず、サシャは相手に困ることが多い)」

ジャン「(ミカサにはてんで歯が立たない。 …が、これは他の男子も同様だ)」

ジャン「(クリスタとユミルは大抵一緒にいるため、アテにできない)」

ジャン「(他の女子… 例えばミーナやハンナなどは、これもまたサシャの相手にならない)」

ジャン「(サシャはミカサ、アニに続いて3番か4番目くらいの実力があるからだ)」


ジャン「(そうなるとコニーと組むことになるわけだが…)」

ジャン「(コニーが相手だと、どうしても真面目に訓練できないそうだ)」

ジャン「(ライナーにも時々頼むことがある。 …しかし、正直いい気分はしない)」

ジャン「(訓練とはいえ、サシャが他の男と触れ合うのは嫌だからだ)」

ジャン「(…サシャは俺とは組みたがらない)」

ジャン「(格闘に関して、俺は不真面目だからだそうだ)」

ジャン「(サシャの格闘術は、アニをしてスジが良いと言わしめる程のものだが…)」

ジャン「(俺も男だ、 負ける気はしない。 …今度組んでやろう)」



――― 休日・朝 食堂 ―――


ジャン「(…サシャがいない)」


ユミル「サシャなら朝っぱらから出掛けてったぞ」

ジャン「そっか…」

クリスタ「帰ったら、ジャンが探してたって言っておくね」

ジャン「…おう」



ジャン「…暇だな」スタスタスタ

ジャン「ライナー達の部屋にでも行くか」


―― ライナー達の部屋 ―――


ジャン「…よう、入るぞ」ガチャ

ベルトルト「いらっしゃい、ジャン」

ライナー「何か用か?」

ジャン「いや、暇でよ。…なんだ、マルコもこっちに来てたのか」

ジャン「…アルミンもいるな」ドキ

ジャン「アルミン、エレンは?」

アルミン「ミカサと一緒に自主練してるよ。僕は本を読みたいからって、今日は断ったんだ」

ジャン「ふーん。…ん?何だこれ」…ゴソッ

ジャン「うわ、またエロ本か。しかしすげえな、この量」…パラパラ

ライナー「ハハッ、ジャンにはもう必要ないか?」

ジャン「…んなことねえよ」ペラペラ

>>7 前作もジャンサシャです

待ってた!
前作リアルタイムで読んでたぜ面白かった

>>17 ありがとう 嬉しいです。
ネタバレありですが、 サシャ「ユミルズルイ 私も連れてって」
っていう短いのも書きました。



マルコ「…今ね、どうやったら彼女ができるか話してたんだ」

ライナー「ジャン、お前はどんなきっかけでサシャと付き合い始めたんだ?」

ベルトルト「それは気になる所だね」

ライナー「うむ。 是非とも今後の参考にしたい!」

ジャン「…なこと言われてもよ。 …向こうから言われたようなモンだし」

ライナー「世の中にはそんな都合のいいことが!?」

マルコ「何て?何て告白されたんだい!?」

ジャン「イヤ普通に『好きだ』って……」

ベルトルト「その『普通』っていうのが分からないなぁ」



ライナー「…ところで、2人はその… もうヤッたのか?」

ジャン「バッ! ヤ、ヤッてねえよ!!」アセアセ

ライナー「本当か? …ジャンはもう少し手が早いと思っていたんだがな」

マルコ「でもキスとか… お触りくらいはしたんじゃないの?」

ジャン「さっ、触ってもいねえってば!!」

ベルトルト「怪しいね」

アルミン「…………最高かい?」

ジャン「そりゃもちろん最高さ!! あの…」ハッ

ジャン「……」

アルミン「」ニャリ


ライナー「ハハハ、羨ましい限りだが、深く突っ込むのはやめてやろうじゃないか」

ジャン「う、羨ましいって…ライナー!」

ライナー「何だ何だ? 別にやましい気持ちで言ってるんじゃないぞ?」

ライナー「何たって、人様の彼女だしな。 格闘の時だって…」

ライナー「…そうだ。 格闘といえば、サシャは中々やるな」

マルコ「え、そうなの?」

ライナー「うむ。身のこなしがとにかく素早い。俺は力で押すタイプだからな、ああいうのは非常にやりづらい」

ライナー「普通にやったらまず掠ることもできん。 まぁ多少加減していることもあるが…」

ジャン「へぇ… ライナーにそう言わせるとはな」

ライナー「一度ジャンも手合わせしてみたらどうだ?」

ジャン「…おう」



エレン「……ジャン、いるか?」ガチャ


エレン「おっ、アルミンもいたのか」

ジャン「…何か用か?」

エレン「サシャが帰ってきたって伝えてくれとさ。食堂で待ってるってよ」

ジャン「おう、悪ィな。今行く」スクッ

アルミン「ジャン!」…スッ

ジャン「ん…何だ?握手…か?」スッ

…ニギニギニギ

ジャン「じゃ、俺行くから」

ベルトルト「またね、ジャン」

アルミン「……」



ジャン「(……握手? アルミンが握手してきた)」スタスタ

ジャン「(何だったんだ?)」

ジャン「(…手ェじっと見てたな)」

ジャン「(サシャ…なんかごめん)」

ジャン「(ぼちぼち昼か)」



――― 食堂 ―――


サシャ「ジャン! すみません探してくれてたんですね」

ジャン「…いや。 それよかドコ行ってたんだ?」

サシャ「山ですよ。 今日も大漁です!」ニコニコ

ジャン「そっか、そりゃ良かったな」


サシャ「…もうすぐお昼ですよね。 少し待っててもらってもいいですか?」

ジャン「いいけど、何でだ?」

サシャ「せっかくですから、今日の収穫で何か作ろうかと…」

ジャン「…ん。 待つ」ストン

サシャ「じゃあ厨房借りて支度しちゃいますね」タタタ

ジャン「…ん」

ジャン「(手料理……)」

ジャン「…」ホクホク



   ……ザワ…ザワ…


サシャ「人が集まってきましたね」

ジャン「まあ昼時だからな。…ん、出来たのか?」

サシャ「ハイ! どうぞ!」コト

ジャン「コレ何だ?」

サシャ「ウサギとキノコのシチューです!」

ジャン「…旨そう」

サシャ「いっぱいありますから、沢山食べてくださいね」ニコ


ジャン「…旨い」ズズ

ジャン「すげぇ旨い」

サシャ「ウン、これは我ながら上出来ですね!」

サシャ「いつもの硬いパンも、これに浸して食べればご馳走です!」ニコニコ

ジャン「…お前って、ホント嬉しそうに飯食うよな」

サシャ「だって幸せじゃないですか」

サシャ「ご飯が美味しいと思えるのは、生きてる証です」

ジャン「そりゃそうだが…」

ジャン「しかしお前と結婚したら、太りそうだよな」

サシャ「…ケッ!?」カァッ//

ジャン「……あ」

サシャ「///」

ジャン「…//」

サシャ「…あ、あのっ、お代わりどうですか?」

ジャン「イ…イヤ、もう十分…」



ジャン「(…ウサギのシチューは旨かった)」

ジャン「(絶品だった)」

ジャン「(昼食後…サシャはやる事があるからと寮に戻り、俺も自分の部屋で読書をして過ごした)」

ジャン「(途中、あの後出掛けていたらしいマルコが帰ってきて昼の事を訊かれた)」

ジャン「(サシャが飯を作ってくれたと話すと、『いいなぁ』と呟いて小さく溜息をついた)」

ジャン「(もしかしたらマルコも、誰か想う相手がいるのかもしれない)」


ジャン「(…こうして休日は終わった)」



ジャン「(翌日、ウサギの足をもらった)」

ジャン「(…2つ目だ)」



ジャン「(…休日が終われば、また訓練の日々が始まる)」

ジャン「(週明け早々、座学のレポートの宿題が出た)」

ジャン「(次の休みまでに提出するように、とのことだ)」

ジャン「(…これは中々やっかいだ)」

ジャン「(今期だけでなく、以前の資料まで引っ繰り返さなくてはならない)」

ジャン「(今週の空いた時間は、全てこの宿題に追われてしまいそうだ)」

ジャン「(俺はともかく、サシャは大丈夫だろうか…)」



サシャ「…え、レポート?」

サシャ「さっき提出してきましたよ」

ジャン「マジか!? 誰かの写したんじゃねえだろうな?」

サシャ「失礼ですねぇ。 確かにアルミンに少々助けてはもらいましたけど、後は自分でやりましたよ」プンプン

ジャン「そっか。ならいいんだけどよ」



ジャン「(まだ休日まではいくらか日があるというのに、サシャはレポートの提出を終えたらしい)」

ジャン「(……何だろう?)」

ジャン「(何かが違うような気がする)」

ジャン「(うまく考えを整理できないが、何かがおかしい気がする)」

ジャン「(…と、そんな事を考えている時間の余裕もないので、俺はレポートに専念し… 次の日提出した)」



ジャン「(…そして休日がやってきたが、サシャはまた朝からいなかった)」

ジャン「(昼頃帰ってきたサシャは、遅くなったことを俺に侘び)」

ジャン「(簡単に作れるもの… と、ウサギのソテーを出してくれた)」


ジャン「(…堪能した)」



ジャン「(…そうして俺の枕元に白・黒・茶… 3つのウサギの足が並び、サシャが干し首がどうのと言い出した頃、俺はサシャと同室のクリスタとユミルに相談した)」


ユミル「…ダハハハハハハハ!!」

ジャン「(……笑われた)」

クリスタ「ユ、ユミル…そんなに笑っちゃ…うっく、可哀想よ…プフ」

ユミル「だ、だってさ… 想像してみろって。 ウグ…アイツが、ジャンを想いながらウサギの足ぶった切ってる所をよ… ククク 」

ユミル「し…しかもその上、ほしっ…干しクビって… ブハッ」

クリスタ「…プフッ、アッハハハハ!」

ジャン「(……そりゃクリスタだって大爆笑だ)」

ジャン「(…俺だって笑いてえ)」

…ダハハハ ケタケタ


ユミル「…ハァー、笑った笑った。 こんなに笑ったの久しぶりだぞ」フゥー

ジャン「お前らなぁ… 人事だと思って…」ムス

ユミル「イヤイヤ、こんなに笑かしてくれたジャンさんにはお礼をしないとな」

ユミル「…で? ジャンはどうしたいんだ?」

ジャン「…どうって言われても、俺だってよくは分からねえけどよ…」

ユミル「とりあえず…まだ付き合ったばっかだし、イチャイチャしたいってことじゃないのか?」

ジャン「!!」

ユミル「…アイツ、ド天然だからさ。ハッキリ言ってやらないと分からないと思うぞ」

ユミル「クリスタ、いつまで笑ってんだ。 何か対策ないのか?」

クリスタ「ま、街へ…連れ出してあげればいいじゃない…クックック」プルプル

ユミル「ああ…そうだな。 なら今度の休み、私達と一緒に街に行こう」

ユミル「それで途中で分かれればいいだろ? サシャにはちゃんと声かけとくよ」

ジャン「お、おう…」

なんか怖くなってきたぞ**

あなた様のジャンサシャでジャンサシャにハマった・・・!
新作嬉しい!期待!

>>35>>36 ありがとう。読んでくれてるだけで嬉しいス



ジャン「(…女友達というのも、結構頼りになるものなんだな)」

ジャン「(次の休みはサシャと街へお出掛け…)」

ジャン「(まだ休みまでかなり日があるというのに、楽しみにしている自分に気付いた)」


ジャン「(…しかし訓練は相変わらず過酷だ)」

ジャン「(今日の午後には格闘訓練がある。 …今日こそサシャと組んでやろう)」



――― 格闘訓練 ―――


ジャン「…サシャ!」

サシャ「どうしたんですか? ジャン」

ジャン「今日は俺と組め」

サシャ「…え、前に断ったじゃないですか」

ジャン「一回くらいいいだろ?」

サシャ「……ウーン」

続編来てましたか 乙です
自分もマトモなジャンサシャが書ける様になりたい

嫌な予感しかしない

>>39 是非書いてください。 待ってます


サシャ「…あまり気は進まないんですが」

サシャ「今回だけですよ?」…ハァ

ジャン「よし! じゃあ掛かって来い!」

サシャ「…と言われましてもですねぇ。 私、自分から仕掛けに行くタイプじゃないので…」

サシャ「まぁいいでしょう。 行きますよ!」…ダッ

サシャ「…フンッ」シュッ

ジャン「おっ?」パシ

サシャ「ていっ」…ビュッ

ジャン「…ん」ヒョイ

ジャン「(…ライナーは相当素早いと言っていたが、これは…)」

>>40 …なんか申し訳ない


ジャン「(確かに鋭いけども…)」

サシャ「くっ…」…バッ

ジャン「」ペシ

ジャン「……ッ!」ヒュッ

…ゴス

サシャ「ひゃあ!」コテッ

サシャ「痛いですぅ…」サスリサスリ



ジャン「……オイ」

ジャン「フザケてんのか?」

サシャ「え…?」


ジャン「…手ェ抜けなんて、言ったかよ!?」

サシャ「え…イエ、その…」オロオロ

ジャン「…何だよ! 俺を馬鹿にしてんのか!?」

サシャ「そっ、そんなつもりじゃ……」

ジャン「フザケんなよ! 本気でやんなきゃ意味ねえだろうが!!」

サシャ「あ、あの…違っ」

ジャン「もういい!! 勝手にしろ!!」プイッ…スタスタ

サシャ「…………ふぇ」ジワァ

サシャ「…うぇ…ヒック…ふぐ」ポロポロ



コニー「…何だサシャ、何泣いてンだ? どっか痛いのか? …え、違う?」

コニー「しょうがねえ、俺が相手してやっからよ。 …ホラ泣き止めって」

不穏な声多すぎワロタ

>>48 逆に考えるんだ。 不穏な空気を吹き飛ばしてやる、と考えるんだ



――― 夕食 ―――


……ザワザワザワ


ユミル「…まぁ大体見てたけどな、あれはサシャが悪いだろ」

サシャ「……」ジワッ

ユミル「そりゃマトモにやったらさ、今のお前ならもしかしたらジャンより強いのかも知れんが…」

ユミル「プライドの塊みたいな男だぞ? 手なんか抜いたら怒るに決まってるだろ」

サシャ「…そう…ではなくて…うぇ…ヒック」グスグス

クリスタ「もう、ユミルったら… サシャはジャンに怪我させたくなかったんでしょ」

サシャ「…えぐっ…ふえぇ…」ボロボロ

クリスタ「ね、サシャ泣かないで? 今は怒ってても、きっとすぐ忘れちゃうよ」フキフキ

サシャ「グス…明日…謝ります …先、戻りますね…」ガタッ

サシャ「……」トボトボ



マルコ「昼間見てたけど… あれはちょっと言い過ぎだったんじゃないかな」

ジャン「…う」

マルコ「その後組んだコニーとも、ほとんど訓練にならなかったみたいだし…」

ジャン「……」

マルコ「今もあんなにションボリして… あ、泣き出しちゃった」

ジャン「」バッ

ジャン「……」ソワソワ

マルコ「…行ってあげたら?」

ジャン「お、おう…」ガタ

マルコ「あ、でも出て行っちゃったね …ちょっと遅かった」

ジャン「」ズゥゥン



ユミル「オーーイ、ジャン!」コイコイ


ジャン「…何だ?」

ユミル「何だじゃなくてだな …アイツが相手だから苦労するのも分かるけどよ」

ユミル「泣かせる為にサシャをお前にまかせた訳じゃないんだからな」

ジャン「…分かってるよ。 明日謝る」

クリスタ「サシャも明日謝るって言ってたから、ちゃんと仲直りしてね?」

ジャン「…ああ」

ユミル「マジで頼むぞジャンさん …そんでまた、こないだみたいに笑かしてくれ」

ジャン「俺達はお前の笑いのネタじゃねえ。 …もう行くぞ」スタスタ


ユミル「……ホント世話の焼ける2人だな、クリスタ」

クリスタ「フフフ」


――― 翌日・昼休憩


サシャ「……ジャン、ちょっといいですか?」

ジャン「ん…」


サシャ「あの…昨日は、すみませんでした」

ジャン「いや、俺言い過ぎたし…」

ジャン「…それに、お前が気ィ使ってくれたのも分かるし」

サシャ「イエ…あの、そうではなくてですね」

サシャ「昨日、立ち合ってみて分かったんですけど…」

サシャ「私の闘争心…というか、攻撃的な部分がですね。 一切ジャンに向かないみたいで…」

ジャン「ん? どういうことだ?」

サシャ「多分、私はジャンに暴力を振るえないんじゃないかと…うまく言えないんですが」

ジャン「?」

ユミル「……要するに、アレだろ!」


ジャン「ユミル!?」

ユミル「サシャは他の人間はボコボコにブチのめせても、ジャンには好き過ぎて手が上げられないってこったろ!」

サシャ「!//」

ユミル「何だ、人が心配して覗きに来てみりゃ… アホらしい、帰ろうクリスタ」クルッ

クリスタ「フフッ、そうね。帰りましょ」

ユミル「…あ、良かったなジャン! 結婚しても嫁からの暴力はないらしいぞ!!」スタスタ

ジャン「早く行けっての!!」


ジャン「エット… そうなの?」チラ

サシャ「…ハ…まぁおそらく…そういうことではないかと…///」

ジャン「///」

サシャ「…ですので、今後もジャンとは組めないと思うのですが…//」

ジャン「……ん、分かった」



――― 休日・朝 食堂 ―――


ライナー「おはようジャン、何だ今日はどっか出掛けるのか?」

ジャン「ああ、街へちょっとな。 ん、ライナー達もか?」

ベルトルト「うん、僕らも街へね。 本屋に行こうかと思って…」

ジャン「またエロ本かよ? 好きだなホントに…」

ライナー「ハハ、それだけじゃないがな」

ベルトルト「…ジャンはサシャと?」

ジャン「ああ。 あとクリスタとユミルと4人でな」

ライナー「クリスタだと!? 」

ライナー「…ベルトルト、行き先変更だ。 付いてくぞ」

ジャン「ハァ!? マジかよ、こんなデカイ男2人も付いてきたら鬱陶しいだろ!」

ライナー「何言ってんだ。 お前ひとり女3人に囲まれてイイ思いしようったって、そうはいかんぞ。 なあベルトルト?」

ベルトルト「…僕はまあ、どっちでもいいけどね」



クリスタ「午前中は服を見ようよ。 サシャ最近新しいの買ってないでしょ?」

サシャ「買っても着ていく所がないですからねぇ… 休日は大抵山ですし、どうも機能性を重視しちゃって…」

クリスタ「でも、たまにはいいじゃない! 見よ、ね? 服見よう!?」キラキラ

ユミル「…嬉しそうだな、クリスタ」

クリスタ「だってユミルったら、普段私が選んだ服、試着もしてくれないじゃない!」

クリスタ「私は私の選んだ服を、誰かに着てみて欲しいの!!」

ユミル「わーかったって」

ユミル「…サシャ、お前今日はクリスタの着せ替え人形だからな?」ボソ

サシャ「アハハ… クリスタに任せますよ」

クリスタ「ワァーイ!」



ユミル「…何か、余計なのが2人ほどいないか?」

ライナー「気のせいだろ」

クリスタ「私達これから服を見に行くんだけど、ライナー達も興味あるの?」

ライナー「まぁ、じき冬だからな。 一応は…」

クリスタ「そう! じゃあ一緒に行きましょ!!」

ライナー「(…クリスタに誘われた!)」

ユミル「……おい、いいのかクリスタ? 面倒くさいんじゃないのか?」

クリスタ「だって、観客は多い方がいいじゃない!」ウキウキ

ベルトルト「僕は空気だな…」…ポソッ

前作のジャンサシャ読みたいんですがタイトルできれば教えてください

>>60 ジャン「俺はミカサが好きなんだアァー!!」 ってヤツです。
まだここにも残ってます



クリスタ「ね、サシャ! ちょっとコレ着てみて!!」

サシャ「これは随分フリフリですねぇ… 私にはあまり似合わないのではないかと…」チラッ

ユミル「(着ろ!)」…クイッ

サシャ「アハハ、じゃあ着てみます…」

(試着室)モゾモゾ…

サシャ『あの…クリスタ、胸のボタンが閉まりません…』

クリスタ「エー!? じゃあこっち!!」スッ

サシャ『こ…これはまた体ピッタリしていそうな…』

クリスタ「いいから着てみて!!」

サシャ『ハ…ハイ…』モゾモゾ

サシャ『き、着れましたけど…、でもこれはチョットどうかと…』

クリスタ「……着た? 開けるよ?」

カーテン ザーッ!


サシャ「ひゃあぁ!!」

クリスタ「…スゴイ! サシャ、スタイル良いんだから似合うよ!!」

サシャ「でもコレは…なんか裸でいるようで恥ずかしいですぅ!//」

クリスタ「そんなことないよ! ホラ、観客を見て!!」

サシャ「」チラ…

ライナー「(……鼻血出そう)」

ベルトルト「(……アニに着せたい)」

ジャン「///」カァッ

ジャン「ダ、ダメ! そんなの着ちゃダメ絶対!!//」

サシャ「…ウワァーン! クリスタ…私、私普通の服がいいですぅー!!」



クリスタ「~♪」

ユミル「…少しは私の苦労が分かったか?」ボソ

サシャ「…ハイ」ゲッソリ

ライナー「ん? 向こうを歩いてるのはエレン達じゃないか? おーい、エレン!」

ジャン「(…別に声をかけんでもいいだろ!)」


エレン「ライナーか。 ん?…なんか珍しい面子だな」

ライナー「まぁ今日はたまたまな。 これから昼か? なら皆で昼飯食わないか?」

ジャン「(…勝手に決めんな!)」

サシャ「ミカサ!」…ダキッ

ミカサ「…どうしたのサシャ?」

サシャ「イエ…何かどっと疲れが……」

アルミン「フフッ、サシャ大丈夫?」



ジャン「(…結局、皆でそこら辺の定食屋で昼飯を食うことになった)」

ジャン「(これだけ人数が揃うと、訓練所の食事と変わりないような気がする)」



エレン「…年が明けたら雪山登山訓練てのがあるんだろ?」

ライナー「らしいな」

アルミン「毎年かなりの負傷者と、ひどい時には死者もでるみたいだよ」

アルミン「…なんでも、教官がクジで決めた3人一組の班で2泊3日のコースを回るって」

ミカサ「クジということは、自分達では決められないの?」

アルミン「そうみたいだね。あまりにも下位の人だけのグループだと再選考があるようだけど…」

ユミル「私は大丈夫。 クリスタの班の奴と代わってもらうからな」

ミカサ「…そうか、その手があった」

エレン「いや、それは駄目だろ」



ジャン「(…昼飯を食った後ライナー、エレン達と別行動になった)」


クリスタ「じゃあ、私達はこれから雑貨屋さんに寄って帰るから!」

ユミル「……ゆっくり楽しんで来いよ、ジャン」ボソッ

ジャン「!!」


ジャン「(…そしてユミル達とも別れ、俺とサシャ2人になった)」


ジャン「…何か他に見たい物あるか?」

サシャ「イエ、特にないですねえ…」

ジャン「…じゃ行くか」

今更だけど、転載禁止ってできるんですかね?



サシャ「……普通の服が買えて良かったです」トコトコ

ジャン「お前、何回も着替えさせられてたもんな。 しかもハデなのばっか」テクテク

サシャ「うぅ… クリスタに遊ばれました」

ジャン「でも似合ってたぜ? 着ちゃダメだけど」

サシャ「あんなの恥ずかしくて着れませんよ! …でもナゼです?」

ジャン「皆が見るから」

サシャ「////」

ジャン「…まぁ中まで見える訳じゃねえけどな」

サシャ「そうですけどね …ところでドコに向かって歩いてるんです?」

ジャン「宿」…ピタ

サシャ「?」

ジャン「……見してよ、中身」

>>68
終わらせた後に転載禁止って書き込めばそれでいんじゃね?

>>72 そっかありがと そうする



――― 宿


サシャ「……これは…泊まったりする所ではないんですか?」

ジャン「もちろん普通に宿泊もできるが、それ以外で使ってることがほとんどだろ」

サシャ「あの…随分詳しいようですが、ジャンは使ったことが…?」

ジャン「あるワケねえだろ馬鹿…」ダキ

サシャ「///」

サシャ「…あっ、あの…なんだか、心の準備が…//」

ジャン「そんなモンはいらねえ」ヌガシヌガシ

サシャ「うぅ…//」

ジャン「………」ジー

ジャン「…やっぱ綺麗」

サシャ「せ、せめて窓を…明かりを…」

ジャン「駄目。もっと見たいから」



ジャン「…口でシてよ」

サシャ「…//」…ペロッ

ジャン「」ビク

サシャ「…ん…ふ…ぅ」ジュル

ジャン「…く」

ジャン「(…前にも思ったけどコイツ、ウマイよな)」

サシャ「…んっ…はむ」レロ…チュバッ

ジャン「…ッ…そう…手も使って…っく」

ジャン「(…け、今朝も出してきたのに)」

ジャン「(…ヤバイ)」

ジャン「も、もういい…」



ジャン「…こっちは…と」…ヌルッ

サシャ「!」ビクン

ジャン「…ビショビショじゃん」クチュクチュ

サシャ「ひゃぅ…っ//」

ジャン「…まだ触ってないのに、何でこんな濡れてんの?」

ジャン「俺の舐めてるだけで感じちゃった?」

サシャ「!!」カアァッ///

ジャン「…やらしい体してんな、お前」

サシャ「…あ//」

ジャン「イイじゃんエロいの …最高」ズチャッ

サシャ「んはあぁっ//」



…チュク ヌチャッ クチュ

サシャ「やぁっ…あっ はぁっ// ぁふ」ビクビクッ

ジャン「顔隠すなって …見せろよ」チュク チュ

サシャ「んぁっ…あっ…ひゃぁんっ」

サシャ「…やっ、ジャ…ンッ…あふっ…も、もう挿れ…ンッ」

ジャン「ん? …挿れて欲しいの?」クチュ

ジャン「…ナニを? ドコに?」

サシャ「…あんっ…ジャ…ジャンっの、…あっ」

ジャン「教えてよ」チュクッ

サシャ「はぁッ…んくっ…あ…// ぁぅ…///」…ジワッ

ジャン「ああゴメンゴメン、悪かったって」

ジャン「……ホラ」…ズッ


サシャ「はあぁんっ//」

ジャン「…ンッ」ズチャッ ズッ ズッ

サシャ「ふぁ…はぁっ//…んぁっ」

ジャン「…ん…気持イイっ… サシャは?」

サシャ「…ひゃぅっ…あんッ…きっ、きもちい…ですっ」

ジャン「そッ…か…」パンッパンパン

ジャン「…あっ…俺、もう…イキそう」パンッパンッ

ジャン「…んっ、あ…イクっ!!」



サシャ「…ジャンは…イジワルです」

ジャン「ん? 何で?」

サシャ「だって、あっ…あんなの」

ジャン「…最初に誘ってきたのはお前だったクセに」

サシャ「そっ…それはもう言わないでください///」

ジャン「でもよ…こっちだって、さんざ焦らされたんだ。 意地悪くらいしたくなるだろ」

サシャ「焦らす? 何のことです?」

ジャン「ハァ…ユミルの言った通りだな、こりゃ」

ジャン「…あのな、メシ作ってくれるのも嬉しいけどさ」

ジャン「俺はいつだって、こうしてサシャのこと抱いてたいってこった」グイッ

ジャン「…イヤか?」

サシャ「//」ブンブン



ジャン「…そういやお前、年末の休暇はどうすんだ? 家帰るのか?」

サシャ「イエ、私は長期休暇はいつも居残り組ですよ」

サシャ「ジャンのお家はトロスト区内ですよね。 馬でならほんのチョットですし、帰るんですか?」

ジャン「…うーん、帰ってもババァがうるせえだけだしなぁ…」

サシャ「フフ、でもそういう家庭は微笑ましいですねぇ」

ジャン「ハァ? やかましいだけだぞ」

サシャ「私の家は…その、父親は無口でしたから…」

サシャ「狩りやその他、生きていくための色々な知識は与えられましたけどね」

ジャン「…そっか」



サシャ「……」ナデナデ

ジャン「…なんで俺の頭撫でてんの?」

サシャ「ジャンの髪、いいなぁと思って…」

サシャ「私…自分の髪、キライなんです。 …こんな赤っぽい茶色ですし」

サシャ「昔からアニみたいな金髪や、逆にミカサみたいな真っ黒な髪が羨ましくて…」

サシャ「亜麻色…」ナデナデ

ジャン「お… 俺は別にお前の髪、いいと思うぞ? …フサフサだし、ツヤツヤだし」

サシャ「フサフサなのは当たり前ですよ! この年でスカスカだったら、救い様がないじゃないですか!」

ジャン「エ…いや、まあそうだけど…」

サシャ「私…黒髪だったら良かったのに…そしたら…」ジワッ…

ジャン「うわ! 泣くなって!!」



ジャン「…何か俺…お前の事、泣かせてばっかいる気がするな…」

ジャン「こないだの件もそうだけど… 俺…我侭だし短気だし、独占欲強いし口悪いし…」

ジャン「…よく考えたらいいトコねえぞ?」

ジャン「お前、こんな俺でいいのか?」

サシャ「そんなジャンだから、いいんですよ」

サシャ「私は…」ギュ

甘すぎワロタwwwwwwwwwwwwwwwww




続けて

>>83 続けるお!


――― 男子寮 ―――


マルコ「…お帰り、ジャン!」

ジャン「おう…マルコ、今日どこ行ってたんだ?」

マルコ「ミーナやフランツ達と一緒に、今 流行りの活劇を観に行ってきたよ」


ジャン「(…そう話すマルコは いつもより嬉しそうで、それを見ていたら俺もまた少し嬉しくなった)」


ジャン「(それからまた訓練三昧の日々と休日とを幾度か繰り返し…)

ジャン「(…明日からは4日間の年末休暇だ)」

実家につれて帰ってサシャを紹介するんだジャン

>>85 !!


――― 夕食・食堂


ジャン「…サシャ、明日なんか予定あるか?」

サシャ「いえ… 私は居残りなので、特に何もありませんが?」

ジャン「んじゃ 明日ちょっと出掛けるぞ。 馬、出せるようにしとけ」

サシャ「あ… ハイ、分かりました」


サシャ「…馬? 一体ドコへ?」ウムム…

クリスタ「遠乗りしたいってことじゃない?」

ユミル「私見たって分かるワケないだろ」



――― 年末休暇・朝 食堂


ジャン「…サシャ! 飯食ったらすぐ出るぞ!!」

サシャ「ハ、ハイ!」

ユミル「…何だ? 今日のジャンは随分慌しいな」

クリスタ「サシャ、何も聞いてないの?」

サシャ「ええ。 …あっ、ご馳走様です。 ちょっと支度しますんで、もう行きますね」パタパタ


ユミル「…まあ、サシャにはアレくらい強引な方がいいだろ」

クリスタ「そうねぇ」フフ



パカラッパカラッパカラッ…


ジャン「…ここら辺で降りるか」

ジャン「後は歩くぞ」

サシャ「…はぁ」

サシャ「……あの、まさかと思うんですが その…どちらへ?」

ジャン「俺んチ」

サシャ「ウワアァー! やっぱりぃー!!」

ジャン「…な、何だ どうした?」アセアセ

サシャ「そういうことは! ちゃんと前もって教えてくださいよ!!」

サシャ「こんな普段着で出てきちゃって、どうしてくれんですか!?」ウワアァ

ジャン「イ、イヤ…格好なんて別に何だっていいだろ」

サシャ「…ハッ! てっ、手土産… 急いで手土産を!!」

サシャ「ジャン! 私の馬をお願いします!!」ダダダッ



サシャ「…まったくもう!」プンプン

ジャン「んなの、気にするこたねえのに…」

サシャ「気にしますよ!!」

ジャン「分かった、俺が悪かった。 だからもう怒んないで下さい」

サシャ「……」

サシャ「…フフッ」



ジャン「……ただいま」

ジャン母「…ああ、お帰りー。 今回は随分早かったねぇ」

ジャン「あ、客連れてきたから」

ジャン母「お客さん? 珍しい…」

サシャ「あ、あのっ! …サシャ・ブラウスと申します!!」バッ

サシャ「エート、お…同じ訓練兵で、キルシュタイン君にはお世話になっておりまして…」

ジャン「何だキルシュタイン君て… あと、敬礼すんな」

ジャン母「ああ、訓練兵のお友達ね。 ようこそ、いらっしゃい」ニコリ

サシャ「…こっ、これはツマラナイモノですが、良かったらその…」シュバッ

ジャン「…オイ、もういいだろ。 部屋行くぞ」



――― ジャン実家・ジャンの部屋


サシャ「…ジャンのお家は、本当に街中にあるんですねぇ」

ジャン「んなの、別に珍しくねえだろ」

サシャ「今でこそ、そうですけど…」

サシャ「私の家は森の中でしたし…訓練兵になるまでは外に出たこともなかったので…」

サシャ「同年代の友達もいなかったですし…」

ジャン「……そっか」


ジャン母『…ジャーン! ちょっと来てー!!』

ジャン「…なんだよ、ったく!」



ジャン母「可愛いコだねぇ …彼女?」

ジャン「ハァ? 違ぇっての! そんな事訊く為に呼んだのかよ!?」

ジャン母「違うに決まってんでしょ。 ハイ、お茶持ってって」

ジャン「ん… ああ」

ジャン母「アンタね、可愛いコだからって、イタズラしちゃ駄目だよ!」

ジャン母「人様に顔向けできないようなマネしたら、許さないからね!!」

ジャン「…っせえな! しねえよそんな事!!」


ジャン「」ガチャ

サシャ「…何だったんですか?」ドキドキ

ジャン「…ん、茶ァ持ってけって」



サシャ「…ここは随分、外の声が聞こえてくるんですね」

ジャン「まぁ昼間は騒々しいが、さすがに夜は静かだぞ」

ジャン「でも、お前んトコは違うのか」

サシャ「私の故郷は…森と山と湖があって」

サシャ「…鳥や、虫や獣の鳴き声ばかりが聞こえてきましたね」

サシャ「入団してからは、一度も帰っていませんが…」

ジャン「…見てみたいな」

ジャン「いつか、一緒に行けたらいいな…」

ジャン「……サシャ」スッ…

ジャン母「ジャン! お昼ご飯できたよ!」ガチャッ

ジャン「ノックしろよババァ!!」ガバッ



サシャ「…す、すみません。 お昼までご馳走になっちゃって…」

ジャン母「いいのよー。 どうせ訓練所なんて、マトモな食事出ないんでしょう? 一杯食べてらっしゃい」

サシャ「…うぅ…美味しい…」モリモリ

ジャン母「あら嬉しい! …いつも頑張って作ったって、ジャンは全然食べてくれないから…」

ジャン母「そんなに気持ち良く食べてくれると、こっちまで嬉しくなってくるわねぇ」ニコニコ

ジャン母「…そういえばジャン、荷物は?」

ジャン「持ってきてねえよ。 昼メシ食ってちょっとしたら帰る」

ジャン母「泊まっていかないの?」

ジャン「訓練兵最後の年だし、今年は訓練所の皆と過ごす」

ジャン「…ご馳走さん」


サシャ「あっ、片付け…片付けくらい手伝わせてください是非!!」



サシャ「…では、お邪魔しましたァー!!」

ジャン母「またいつでもいらっしゃいね。 アンタも、もうちょっとマメに帰ってらっしゃいよ、ジャン!」

ジャン「…分かったよ。 そんじゃ」


サシャ「♪」トコトコ

ジャン「…さっき片付けの時、何か話したのか?」

サシャ「ええ。 ジャンは口が悪くて偉そうだから、友達いないんじゃないかと心配してましたよ」

サシャ「それと…」

サシャ「(ジャンをよろしく…って)」

ジャン「フーン …今帰れば夕方前には戻れるな」

サシャ「それなら食材を少し仕入れてから帰ってもいいですか?」

サシャ「せっかくですし、明日は居残り組で新年のお祝いをしましょう」

ジャン「…おう」

東洋には姫初めという風習が年始にあるって首席が言ってた



パカ パカ…


サシャ「…あの丘を越えたら、すぐ訓練所ですね。 もう夕方です」

…ブチッ

サシャ「あっ、髪ゴムが切れた!」…ファサ

ジャン「さっきついでに買ってくりゃ良かったな」

サシャ「いえ、どうせ寮に戻れば替えがありますから…」

ジャン「…そういや夜、残ってる連中で年越ししようってライナーが言ってたぞ。 女子は誰がいるんだ?」

サシャ「えっと… クリスタとユミルに、ミカサにアニ… くらいでしょうか」

ジャン「フーン、じゃ声掛けといてよ」

サシャ「分かりました。 …どこでやるんです?」

ジャン「…多分俺の部屋じゃねえか? ライナーやアルミン達の部屋は物が多いからな」



サシャ「…少し駆けましょうか」

ジャン「おう」

パカラッ パカラッ…


サシャ「うわぁ…見てください! すごい夕焼けですよ!」

ジャン「……すげえな」

サシャ「ジャン… また、今日みたいに私を連れ出してくださいね」

サシャ「私、どこへだって付いて行きますから」

サシャ「…もし、ジャンが私を呼んだなら、…私、どこにいても必ず駆け付けますから!」

ジャン「そりゃお前……!」

ジャン「…………」

サシャ「どうかしましたか?」

ジャン「…いや、何でもない」

サシャ「行きましょう!」

ジャン「……ん」

>>99 アルミン「」ニヤリ



サシャ「…ただ今戻りましたァ!」ガチャッ

クリスタ「お帰りサシャ、随分ゆっくりしてきたのね」

ユミル「…結局、今日はドコ行ってたんだ?」

サシャ「それが………」



ユミル「…ハッハハ、いきなり親に紹介とはジャンもやるもんだ!」

ユミル「もう嫁も同然だな」

サシャ「そっ、そういう感じでは全然なかったですけど…//」

クリスタ「…ジャンのお母さんはどんな人だったの?」

サシャ「いい人でしたよ! …目元とかジャンに似てましたね」

ユミル「凶悪ヅラってことか」

サシャ「何てことを言うんですか、もう!」



――― アニの部屋 ―――


サシャ「…アニ、すみません。 ちょっと入りますよー」ガチャ

アニ「……何?」

サシャ「あの、今日の夕食後なんですけど、皆で年越ししないかって…」

アニ「皆って?」

サシャ「男子の居残り組と… あとクリスタとユミルは来ませんが、ミカサは来るそうです」

サシャ「ミーナは帰っちゃいましたし、部屋に1人では寂しいでしょう? ね、行きましょう!」

アニ「…別に寂しくはないけど… 私がいた方がいいの?」

サシャ「もちろんですよ! 沢山お話ししましょう!」ニコッ

アニ「…なら、行く」



――― 夕食後・ジャンの部屋 ―――


ミカサ「…何故ジャンの部屋? どうしてエレン達の部屋ではないの?」

ジャン「なこと言ったってエレンはヤダって言うし、ライナーんトコは本が一杯でこの人数入れねえしよ」

ミカサ「エレンはまた部屋を片付けていないの?」

エレン「休みの間にやるってば」

アルミン「僕の私物も結構あるからね。 ここが一番、空きスペースがあるんじゃないかな」

ミカサ「…なら仕方ない」

ジャン「オイ、そこ! 何 引き出し開けようとしてんだ!?」

サシャ「アハハ …ちょっと気になってですね」

ライナー「…昼間に酒を仕入れてきたぞ。 厨房からコップも持ってきたし、皆で飲もうじゃないか」

ベルトルト「アニ、お酒飲めるの?」

アニ「…飲んだことないけど、飲んでみたい」



アルミン「……それでね。 この世界の大半は『海』という水で覆われていて、しかもそれは全部塩水なんだそうだよ」

アルミン「他にも『炎の水』『氷の大地』『砂の雪原』 …外の世界は、とても広いんだって!」

サシャ「お菓子の山もあるんでしょうか!?」

アニ「…バカ」

アルミン「フフッ、お菓子の山は分からないけどね」

サシャ「美味しい物がたくさんありそうですねえ…」フフ

ライナー「ハハッ、サシャは食うものに困ったら、本当に壁の外に飛び出して行きそうだな」

エレン「俺とは目的が全く違う」

ハハハハハハ



エレン「…休みが明けたらすぐ、雪山訓練の班が発表されるんだろ?」

ライナー「そのようだな」

ミカサ「…でもクジ引きでは、エレンと一緒になれないかもしれない」

アニ「私は別に誰とでも構わないけど…」

ベルトルト「(…アニと同じ班になりますように)」

エレン「そもそも何でクジで決めるんだ?」

アルミン「班ごとの偏りをなくすためだと思うよ」

アルミン「いつものように自分達で決めたら、毎回同じようなメンバーになっちゃうし…」

ライナー「それに上位者だけのグループや、その反対のグループができてしまったりするからだろう」

アルミン「訓練よりかなり前に班が発表されるのも、班員と交流を図らせる為なんじゃないかな」



サシャ「……」スー

ジャン「あ、コイツ! 妙に静かだと思ったら、寝てやがる!」

アルミン「…お酒飲んだしね。 酔っ払っちゃったのかな?」フフ

ライナー「何にせよ、叩き起こして部屋に返すという訳にもいかないだろ。 このままここで寝かせてやったらどうだ?」

ジャン「お…おう」

エレン「…何か俺も眠くなってきたなぁ。 戻るかアルミン?」フアァ…

アルミン「そうだね、そろそろ…」

ミカサ「エレン私… ハンナが帰ってしまったので部屋に一人ぼっちで寂しい。 ので、エレン達の部屋で…」

エレン「え? やだよ。 1人が寂しいならアニと寝ればいいだろ」

ミカサ「」ショボーン

アニ「……」チラ

アニ「…一緒に寝る?」

ミカサ「」…コクリ


ライナー「俺達も、もうちょっと飲んだら部屋に戻る」

ベルトルト「みんなお休み」


――― エレン達の部屋 ―――


アルミン「…エレンは明日もミカサと自主練だよね?」

エレン「そのつもりだけど…」

アルミン「それならもう遅いし、早く寝ないといけないね。 エレン、ベッド代わってあげるよ」

エレン「何で?」

アルミン「そっち側はジャンの部屋だし、まだライナー達がいるから うるさくて眠れないかもしれないだろう?」

エレン「ああ、そうか。 悪いなアルミン」ゴソゴソ

アルミン「…お休みエレン」



エレン「……雪山訓練の」

アルミン「…エレン、エレン …君は眠ったほうがいい。 これはとても大事な事だと思うんだ」

エレン「そ、そうか …お休みアルミン」



ライナー「…じゃあ、ぼちぼち俺達も部屋に戻るが」

ライナー「床は冷えるし、サシャはベッドに移動してやった方がいいだろう」

ライナー「…ただし、変なコトはするなよ? 途中で覗きに来るからな?」

ジャン「しねえよ!!」

ライナー「ハハッ、じゃあな」

ベルトルト「お休みジャン、また明日」ガチャ


ジャン「サシャを移動…か」

ジャン「…オイ、ちょっとベッドに移るぞ」ペチペチ

サシャ「……んむ?」

ジャン「ヨッコラセ…っと」ドサッ

サシャ「…」スヤスヤ

ジャン「やれやれ… 全然起きねえな」



ジャン「(…エット、一緒に寝ていいのかな?)」

ジャン「(そういや… 一緒に横になった事はあっても、眠った事はねえな)」

ジャン「お…お邪魔します(俺のベッドだけど)」

ジャン「う、うわ…」

ジャン「(…暖けえし、柔らかいし… イイ匂いがする)」

ジャン「(何より…寝息が顔にかかる…)」

ジャン「(触っちゃダメかな…?)」サワ…

サシャ「…ん…っ」ピクッ

ジャン「(ダ、ダメだダメだ、これは俺がダメだ。 覗きに来られちまう)」



ジャン「(…雪山訓練)」

ジャン「(同じ班になれればいいが…)」

ジャン「(サシャは図太いようで、妙に危うい所があるからな…)」



ジャン「(『氷の大地』に『砂の雪原』…か)」

ジャン「(外の世界……)」

ジャン「(…2人で行けるなら、それもいいかも知れない)」

ジャン「(2人でどこまでも馬を駆って…)」


ジャン「…ハハッ」

ジャン「(俺らしくねえな)」


ジャン「(…なぁ、サシャ)」

ジャン「(俺はお前が好きだぞ)」



ジャン「(…お前は俺の頭を撫でながら、自分の髪が嫌いだと言ったが)」

サシャ『…私、どこにいても必ず駆け付けますから』

ジャン「(今日、そう言った時のお前は…)」

ジャン「(…馬に跨り、髪をなびかせて)」

ジャン「(夕陽を受けて舞う髪が、まるで炎みたいで)」

ジャン「(本当に…泣きそうなくらい、綺麗だと思ったんだ…)」


ジャン「(…もうすぐ夜が明ける)」

ジャン「(新しい年が始まる)」

ジャン「(…次の年も、またその次の年もずっと)」

ジャン「(この安らかな寝顔を見ていられることができますように、と)」

ジャン「(…俺は願わずにはいられない)」



おしまい


転載禁止でお願いします。
読んでくれた人、ありがとうございました。
途中レスくれた人もすごく嬉しかったです。
今回淡々と進みましたが、言い回し等、おかしかった所はサラッと流してください。
次の雪山訓練で一旦終わりにしたいと思います。

>>99が言ってた 姫はじめみたいのも書いてみたいけど、エロって難しいすね

このSSまとめへのコメント

1 :  みーみーです!   2014年08月18日 (月) 17:54:51   ID: Pg2atlii

面白かったにゃー

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