勇者「結界魔法『カクゲー』」(976)

―とある小さな里

師匠「ダメじゃ。ならぬものはどうあってもならぬ」

男「お願いです師匠!私をどうか…どうかこの里の…」

師匠「………」

男「勇者に志願させて下さい!」

師匠「ならぬ」

男「何故ですか師匠!」

師匠「…お主はまだ未熟じゃ」

男「しかしこの里で私を倒せる者はもうおりません!」

師匠「確かにお主はこの里で一番強い。儂とてお主を抑えるのはもう無理じゃろうて」

男「ならばッ!」

師匠「強さだけで物事を計るその考えこそが…未熟だと儂は言っておるのだ」

男「くっ…!」

師匠「そもそも儂はお主を里から出す許可も出しておらん」

男「外界との関わりを断つ不自然な掟など…守る道理がありませぬ」

師匠「やれやれじゃのぅ…」

男「師匠。今王国では魔族に立ち向かう為の兵…即ち勇者を募っております」

師匠「…知っておる」

男「!?」

師匠「王国からの特使も何度かこの里に来ておる」

師匠「無論魔王討伐の暁には莫大な恩賞がいただけることものう」

男「では何故里で勇者を募らないのですか!」

師匠「…お主の持つ…いや我らの持つ力は世に知られてはならぬものだ」

男「我らの里を復興する為であってもですか!」

師匠「…ならぬものはならぬ」

男「ここに住む者達の命を奪った魔族を討つ為であってもですか!」

師匠「……あきらめよ。下がりなさい」

男「しかし…ッ!……分かりました…」

ギィィィィィィ ガコォン


師匠「……血は争えんのう…」

格ゲーとRPGが混ざったようなゲームを知ってるような知らないような…
主人公の候補に爺さんとかもいたんだよな

―――

…パシパシパシパシパシパシパシパシパシパシ!

男「9998…9999…10000!」

男「ふぅ…」

妹「あ、お兄ちゃん。しゃがみパンチ10000回終わった?」

男「ああ。今しがたな」

妹「お疲れ様。はいタオル」

男「ありがとう」フキフキ

妹「お風呂沸いてるからどーぞ」

男「いつもすまないな」

妹「いえいえ。お風呂上がったら晩御飯にするからね」

男「分かった」

―――

男「ごちそうさま」

妹「お粗末さまでした」

男「………」

妹「………」

男「…師匠は私が勇者に志願する事を認めてくださらなかった」

妹「…やっぱり」

男「何故師匠は私に機会を与えてくれぬのか…」

妹「お兄ちゃん…」

男「この里が貧しく、苦しい生活を強いられているのも…全ては魔族に襲われてから」

妹「………」

男「その魔族を討つ機会を何故与えてくれないのだ…」

妹「………」

男「…すまない。お前にそんな事を言っても仕方がない事だな」

妹「…ううん。お兄ちゃんの気持ちは痛い程分かるから」

―――

妹「それじゃおやすみなさいお兄ちゃん」

男「ああ。お休み」

バタンッ

男「………」

男「…妹よ…すまない」

―――

妹「むにゃ…」スースー

男「………」

男「魔王を倒して必ずここへ帰ってくる」

男「それまでしばしのお別れだ」

男「…元気でな」ナデ

…キー…パタン

妹「………」

妹「…いってらっしゃいお兄ちゃん」

―――

ワイワイ ガヤガヤ

男「…ここが王都か」

行商人「おうそこの兄ちゃん!薬草はいらないか?今ならまとめ買いでうんと安く…」

男「勇者の登録所を探しているのだが場所を知らないか?」

行商人「おお!兄ちゃん勇者志願者かい!登録所なら突き当りの噴水を左だよ!」

男「ありがとう」ナギッ

行商人「ハハハ!いや礼なんかいいよ!それよりこの薬草の…ってアレ?」

キョロキョロ

行商人「もう行っちまったか…おお!そこのやたら強そうな姉ちゃん!薬草はいらんかい?」

男「噴水を左…と。…む?」


金髪「な?いいだろ?俺すっげぇイケてるからさーパーティー組も?ね?ね?」グイグイ

僧侶「い、いいです。わ、私は自分で勇者を探してパーティーを組みますから!」ズリズリ

金髪「いやほら俺も登録したからさ、俺も勇者なわけよ。ね?問題ないよね?」グイグイ

僧侶「や、やめっ…離して…くださ…」

男「………」

金髪「こう見えて?ってか見たままだけど?俺かなり腕に自信あるわけよ」

男「…もし」

金髪「もちろん夜の方も、ってか夜の方が自信あるかなぁ?あんたを満足させて…」

男「もし」

金髪「…んだよっぜぇな。なんだテメェはよ」

男「私の見間違いでなければ」

金髪「あ?」

男「その方は嫌がっているように見えるのだが」

僧侶「…ッ」コクコク

金髪「あぁ!?んな事テメェには関係ねぇだろがよ!」グイッ

男「…」

僧侶「!」ダッ

金髪「あ!ちょっ、待てクラァ!」

タッタッタッタッ…

金髪「………」

金髪「あーあ…」

金髪「あーあーあー…」

男「…」

金髪「テメェのせいで俺の仲間集めが台無しなんですけどぉ…」

男「…」

金髪「オレのハーレムパーティー計画が台無しなんですけどぉ!?」

男「…それはすまない事をした」

金髪「はぁ?謝って済む問題かよ?誠意示せよ誠意をよぉ!」

男「すまない」ペコリ

金髪「っかんねぇ野郎だな!金だよ金!ゴールド出しゃ許すっつってんだよ!」

男「持ち合わせがなくてな。金は払えない」

金髪「はぁ!?なめてんのかテメェ!!」

男「…そうだな。ではこうしよう」

金髪「あ?」

男「あんたが納得いくまで私を殴っていい…これでどうだ?」

金髪「…はぁ?」

男「私からは何もしない。約束する」

金髪「…言ったなテメェ…へっへぇ、言ったなテメェよぉ…」パキポキッ

ザワザワ… ドヨドヨ…

僧侶「た、大変…!どうしようわたしのせいで…」オロオロ

僧侶「だ、誰かあの人を助けてください…」

町人A「…」ササッ

僧侶「お、お願いです!誰かあの人を…」

町人B「…」ササッ

僧侶「う…」

僧侶「だ、誰か強そうな人を連れてこないと…!」ダッ

タッタッタッタッ

―――

行商人「ええい!強情な人だね!これ以上はどうやったってまかんないよ!」

女戦士「そこを何とか!まとめ買いするからさー頼むよおっちゃん!な!」

行商人「…ったくエラい人姉ちゃんに声かけちまったなぁもう…」ハァ

タッタッタッタッ 

僧侶「す、すみませーーん!あのっ あのっ」

ズシャァ

僧侶「痛たたた…あの…はぁはぁ…あのすいませんが!」

行商人「どうしたい嬢ちゃん?そんなに焦って」

僧侶「えと…おじちゃんではなくて…」チラッ

女戦士「…ん?あたし?」

僧侶「つ、強いですか!」

女戦士「は?」

僧侶「あなた強いですか!」

女戦士「…まぁ一応。用心棒が出来る程度だけど」

僧侶「じゃ、じゃぁ来てください!」グイグイ

女戦士「な、何々!?ちょ、ちょっと!」



行商人「…よく分からないけど迷惑な客が去って良かった」ホッ

オッチャーン! アトデマタクルカラナー!

行商人「…」

―――

ザワザワ… ドヨドヨ…

僧侶「す、すみません!と、通してください!」

女戦士「ねぇねぇいい加減あたしを連れて来た理由をさぁ…」

ゲシッ ドカッ バキッ

野次馬A「…うわーひでぇな…一方的じゃねぇかよ」

野次馬B「あっちの兄ちゃんはやり返したりしないのかい?」

野次馬C「何でも反撃しないって兄ちゃんの方から約束したらしいぜ」

野次馬B「何だいそりゃ?殴られ屋って奴か?」

女戦士「…ふーん」

ガード中は通常攻撃はノーダメージだ!

ドゴッ 

金髪「へっへー、こいつぁ、悪くねぇ…な!」

ゲシッ

金髪「いくら、殴ったって!騎士団にもしょっぴかれねぇ!」

ガスッ

金髪「何しろよぉ…本人がいいって言ってるんだから…なぁ!」

ドガッ

金髪「ああ?どうだ?効くだろ俺のケンカ殺法はよ」

男「…」

金髪「はっ!後悔したって遅いぜ!おらよ!」

バキャッ

僧侶「そ、そんな……わたしのせいで…こんな…」

女戦士「………」

僧侶「お願いします!あの人を助けてください!」

女戦士「………」

僧侶「お、お金は少ないですけど…足りない分は後で何とかしますから!」

女戦士「…え?何?」

僧侶「え、えとだからあなたをわたしが用心棒として雇いますからあの人を…」

女戦士「…いや、その必要はないかも」

僧侶「…え?」

ガスッ…

金髪「へっ…これ位にしといてやるよ」

男「…」

金髪「二度と俺の前に面見せるんじゃねぇぞクソが」ペッ

男「…」

ザワザワ… ドヨドヨ…

僧侶「ッ!」ダッ

僧侶「ご、ごめんなさい!」

男「君はさっきの…」

僧侶「わ、わたしのせいで…こんな…ひどい…」ウルッ

男「ひどい…とは?」

僧侶「だ、だってあの怖い人にたくさん殴られて…」

男「ああ。それなら心配ない」

僧侶「う、嘘言わないでください!あなたの体は現に…ボロボロ…に…?」

男「この通り無傷だ」ピカー

僧侶「ええっ!?な、何で!?」

女戦士「…ふむ」

僧侶「で、でもでもさっきまであんなにたくさん…痛そうな音だってしてましたよ!」

男「多少の心得はある。それよりさっきの男に見つかると君が…」

ザッ

女戦士「…あんた何者だ」

男「……君の知り合いかな?」

僧侶「あ、えと…この人にあなたを助けてもらおうと思ってその…わたしが…」

女戦士「まぁ助けはいらなかったみたいだけどな」

僧侶「あ…ああっ!ご、ごめんなさい!折角頼んだのに…その…」

女戦士「いやいいよ。…おかげで面白いもんが見れた」

僧侶「え?」

女戦士「殴られてる間ずっとあんたを観察してた」

男「…」

女戦士「チャラい見た目の男だったが…あのパンチ力は相当なもんだったよな」

男「…何、生来頑丈なだけが取り柄でな。私が殴られて事が収まるならそれで良かった」

女戦士「プッ…ハッハッハッ!とんだお人好しだなあんた!」

男「…用がないなら私はこれで…」

ガッ

男「!」

女戦士「…頑丈にしたって限度があるよ。受けてた腕に擦り傷1つないってのは妙な話だ」

僧侶「ほ、本当だ!痣とかも見当たらないです!」

男「…」

女戦士「風体からして僧侶って訳でもないだろ?」

男「…」

女戦士「ましてや殴られている間あんたはずっとしゃがんだままだった」

僧侶「回復呪文を唱えているようには見えなかったですけど…」

男「…」

女戦士「呪文も唱えずに傷ついた体を治せるとしたら…」

僧侶「そんな人いるんですか?」

女戦士「…あたしには魔物くらいしか思いつかないね」

僧侶「ええー!?あなた魔物さんだったんですか!?」

男「…」

僧侶「でもでも魔物さんだったらわたしを助けてくれるはずが…」オロオロ

男「…剣を」

女戦士「あ?」

男「あなたの剣を貸して欲しい」

女戦士「…」

男「…そうだな。ではその腰に挿している短刀でいい。貸してくれないか?」

女戦士「…」スッ

男「…ありがとう。…フッ!」

ザクッ

僧侶「な、何を!」

女戦士「…」

男「この通り血はちゃんと出る。私は人間だ」

僧侶「血ぃ、血がぁだ、だらだらとぉ…」クラクラ

女戦士「…」

男「私は王都の勇者志願をしにここへ来た。むしろ魔物を討つ側の者だ」

女戦士「…」

男「さっきも当たりどころが良かっただけの話だ。この通り傷もつく」

僧侶「ハッ!な、何考えてるんですか!自分で自分を傷つけるなんて愚かにも程がありますよ!」

男「…あ、いや…すまない」

僧侶「ほら!その手を出してください!」

男「いや私は…」

僧侶「駄目です!出しなさい!傷口からバイ菌が入ったら大変な事になるんですよ!ほらっ!」

男「…」スッ

―――

男「…登録所の場所を教えてくれるだけでいいのだが」

僧侶「わたしもそこに用があるからいいんです!あともう一度包帯を取り替えるまで意地でも離れませんから!」プンプン

男「…」チラッ

女戦士「…あたしかい?あたしもそこに用があるし…後はまぁ…」

男「…後は?」

女戦士「…あんたが魔物じゃないってのも分かった。悪い奴じゃないってのも分かった」

僧侶「悪い人です!自分を傷つけるとんでもない悪人です!」

女戦士「ハハッ…まぁそんなのは眼を見りゃ分かるさ。でもな…」

男「…」

女戦士「あんたが本当の事をまだ言ってないってのは良く分かる。だからついてく」

男「…そうか」

僧侶「あ!看板があります!あそこですあそこ!」

これは…

>>21のレスが当たってるのか?

―――

兵士「勇者志願なら奥のカウンターで受付を済ませてください」

僧侶「あ、あの…その…パ、パーティーへの登録はどこで…」

兵士「はい?」

僧侶「…あの…その…」

女戦士「あたしらは勇者志願じゃなくてパーティー登録なんだ。どこで受付できる?」

兵士「…」ジロジロ

僧侶「…うぅ」

兵士「…同じカウンターで受付できます」

―――

役人「はい次の方どうぞー…ハァ…」

男「勇者志願の登録をお願いしたい」

役人「はい勇者志願ねー…はいはい。はいそれじゃぁ職業は?」

男「職業?」

役人「剣士とか武闘家とか魔法使いとか…まぁ自分の戦うスタイルに近いもので結構です」

男「…武術を少し」

役人「あー…えー…っと武器…は持ってないからまぁ武闘家と…あ、流派とかあります?」カキカキ

男「流派?」

役人「まぁ大きい道場とかだと強いパーティーに。それなりの道場だとそれなりのパーティーと組みますので」

男「…カクゲー」

役人「…はい?」

男「私の学んだ武に流派、名があるとするなら…カクゲーだ」

役人「…カクゲー」

男「…カクゲーだ」

役人「…少々お待ちくださいねー」

ボソボソ

(あのさー、カクゲー流って誰か聞いた事ある?)

(何それ?)

(いや習った武術がそういう名前らしいんだけど…)

(いやー…聞いた事ないなー。…自分でそう名付けてるとか…そのラインじゃ…)

(…あー…やっぱそういうアレ…)

役人「…はいお待たせしました」

男「…何か問題が?」

役人「いえいえ、大丈夫ですよー…無手勝流と…小さくカッコしてカ・ク・ゲー」カキカキ

男「…」

役人「はい。それじゃぁ名前をお願いしますね」

男「私の名は…お…」

役人「…お?」

男「いや…」


男「私は…勇者。私の名は勇者だ」

役人「…勇・者・と。…勇者?」

勇者「…ああ」

役人「…随分と両親に期待されたんですねぇ…」

勇者「…」

役人「オホン…すみません余計な事を」

勇者「…いや」

役人「…じゃぁ最後にその赤いインクに親指を…はい押していただいて…はい結構です」

役人「…コホン」

役人「これであなたは勇者として登録されました」

役人「この勇者証をお渡しします。再発行はできませんので大事に持っていてください」

役人「主な役割は迅速かつスムーズにパーティーを組む為のものですが…」

役人「勇者証を見せればあなたが行く街の先々で様々なサービスを受ける事ができます」

役人「宿屋の割引なんかがポピュラーな例でしょうか。詳しい事は取説がついていますのでそれで確認してください」

役人「…以上かな。…あ、あとあなた御健闘をお祈りします、はい」

―――

役人「はい次の方ー…ハァ…」

僧侶「…あの…わたっ…わたし…」

役人「…えーと…教会関係でしたらこちらの窓口ではなくて奥から2番目のですね」

僧侶「あのあのっ!ち、違うんです!」

役人「…と申しますと?」

僧侶「そのゆ、勇者パーティーへの…と、登録を…」

役人「………」

僧侶「し、したくてここに…」

役人「…登録」

僧侶「は、はい」

役人「…あー、はい分かりました。…職業は僧侶でよろしいですか?」

僧侶「で、です」

役人「はい。僧侶、と。それで大変失礼なんですがね。これも決まりでして…」

僧侶「?」

役人「魔法職・僧侶職の方にはですね、使える呪文の数とあと得意な呪文なんかをご記入頂いているんですよ」

僧侶「こ、ここに書けばいいですか?」

役人「はい、そちらで結構です」

僧侶「はい。ええっと…『生命湧き』…と」カキカキ

役人「…」

僧侶「…ふぅ」

役人「…」

僧侶「…」

役人「…」

僧侶「…あ、か、書き終わりました」

役人「…へ?」

僧侶「あ!ひょっとして書く場所間違えちゃいましたか!?」

役人「…あ、いえそうではなくてですね。そうですか…1つですか」

僧侶「?」

役人「…あとですね。これどんな呪文ですかね?あまり聞かない名前というか何というか…」

僧侶「あ、た、体力を…こう…徐々に回復する呪文です」

役人「おお…それはなかなかに素晴らしいものをお持ちですね」

僧侶「わ、わたしのお祖母ちゃんからも肩凝りに効くって言われてました!」

役人「…肩凝り」

僧侶「はい、何かジワァ~って効くみたいです」

役人「………」

―――

役人「はいこれがパーティー証です」

僧侶「…わぁ」キラキラ

役人「勇者を中心としたパーティーにスムーズに加わる事ができます」

僧侶「…これがあれば…」

役人「ご自分で直接交渉されてもいいのですが…よくトラブルが発生するようでして」

僧侶「わたしも…」

役人「できればこちらのマークの付いた酒場か役所にですね…あの…聞いてます?」

僧侶「! あっ、はい!き、聞いてます!」

役人「…詳しくは取説が付いてますのでそちらでご確認ください」

―――

役人「はい次の方どうぞー…ハァ…」

女戦士「パーティー登録を頼む」

役人「はい、えーと職業を…」

女戦士「剣士だ。…それと」ゴソッ

ゴトッ ゴトッゴトン

役人「…これは…」

女戦士「ドラゴンの牙。右の2つはつい最近狩った奴だ」

役人「! じゃ、じゃぁあなたが噂の…」

女戦士「一応真贋の確認を…」

役人「いっ、いえ!結構です!少々お待ちくださいっ!」ガタッ

ボソボソ

(例の竜狩りの…そう!だからこれじゃなくてもっといい紙の奴)

(お、女じゃねぇかよ…それもえらく美人の…)

(見物は後にしろって!お前の列つかえてんぞ!)

(上のランクの紙…紙…)

(これ…これだ!…これだよな?)

役人「はい!大変お待たせしましたーっ!」

女戦士「…本当に確認しなくていいのか?」

役人「いえいえそんな滅相もない。…女戦士様、あなたのお噂はかねがね」

女戦士「…これでいいか?」

役人「はい、はい結構です。ああそれとですね、こちらが旅立ちの心づけになります」

ジャラァッ

女戦士「…随分と景気いいな。まぁ貰えるもんは貰っとくよ」

役人「あぁ…それとこちらが取説になります」

女戦士「どうも。…それと宿なんだが」

役人「それでしたら噴水を挟んで向かい側の宿が王都で一番の…」

女戦士「いやそういうのはいい。うまい酒が飲める宿はないか?」

役人「ははぁなるほど。それでしたら大通りの端に―」

―――
――

なんというお役所仕事

―――

女戦士「よっ。お待たせ」

僧侶「いえいえ、そんなに待ってないですよ」

勇者「…」

女戦士「ハハッ…あんたは待ってないって顔だな」

僧侶「包帯を取り替えて、治療をするまでは絶対に離れませんから!」フンス

勇者「…」

女戦士「…ん、そうだ。まだお互い自己紹介もしてなかったな」

女戦士「あたしは女戦士。あちこちを旅しながら武者修行してる」

僧侶「…すごい…。あ!わ、わたしは僧侶って言います!勇者パーティーに加わる為に王都へ来ました!」

勇者「私は…勇者。魔王を倒す為に里から出てきた」


女戦士「………」

僧侶「………」

勇者「ん?」

女戦士「…あんた本気で言ってるのか?」

僧侶「す、すごいです勇者さん…。そんな高い目標を掲げるなんて…」

勇者「…僧侶達もそのつもりで登録をしたのでは?」

女戦士「…あたしは魔物を狩るのに便利だから登録しただけだよ」

僧侶「わ、わたしはえと…魔物を倒すお手伝いが出来たら…いいなって思って…その…」

勇者「…そうか。皆それぞれ戦う理由があるんだな。失礼した」

女戦士「しかし益々もって怪しいな」

勇者「何がだ?」

女戦士「魔王を倒すなんて冗談じゃなければ」

勇者「私は本気だ」

女戦士「いやまぁ冗談じゃないとすればだ。勇者は相当腕に自信がある闘士か、トンデモないドアホってことになる」

勇者「………」

女戦士「勇者、あんたはどっちだ?」

勇者「…頑丈なドアホだな」

女戦士「…っへぇ…」ニヤニヤ

女戦士「…よし!決めたッ!」パシッ

僧侶「?何がですか?」

女戦士「あたしは勇者とパーティーを組む!」

勇者「なっ…」

僧侶「…」

勇者「勝手に決めるな!」

女戦士「いいや決めたね。例え弱っちぃ頑丈なドアホだろうと…」

勇者「…」

女戦士「真顔で魔王倒すと言ってのけた勇者が面白い奴な事には変わりはない!」

僧侶「女戦士さん…」

女戦士「ってな訳でよろしく頼む。あぁ逃げようったってそうはいかないよ。地の果てまで追いかけてやるから」ニカッ

勇者「~~ッ!」

僧侶「…~~~~ッ!あのッ!」

女戦士「ん?」

僧侶「わ!わたしもご一緒させくだしゃ…くださいッ!」

勇者「そ、僧侶さんまで何を…」

僧侶「…わたし…弱いけど…でも誰かの役に立ちたくて…田舎から出てきたんです…」

女戦士「…」

僧侶「でも…あの金色の髪の人に無理矢理連れていかれそうになって…勇者さんに助けてもらっちゃって…」

勇者「いやあれは別に気にすることは…」

僧侶「だから…役に立つ事をするなら…まずは…その…勇者さんにしたいです…わたし…」モジモジ

勇者「………」

勇者「…私は魔王を倒す為に戦う。危険な旅路だ。死をも覚悟しなければいけない」

僧侶「…うぅ」

勇者「それでも私とパーティーを組むつもりか?」

僧侶「…は、はい!」

勇者「…分かった」

僧侶「え…い、いいんですか!?」パァァ

勇者「ただし身の危険を感じたらパーティーをすぐに離脱して逃げること。私の目的の為に無理強いをしたくない」

僧侶「はい…や、約束します!」

女戦士「話は決まったみたいだな!これでめでたく3人のパーティー結成、と!」

勇者「いやまだ話は終わってな」

女戦士「か~たい話は抜き抜き。あたしもちったぁ腕に覚えがあるから僧侶ちゃんを守ってやるよ」

勇者「だが命のやり取りを」

女戦士「そんな事より腹減ったからさー。飯にしよう飯。食いながらでも話できんだろ?」

勇者「………」

僧侶「…わたしもその、お腹減っちゃいました」///

勇者「…勝手にしてくれ」ハァ

女戦士「おーし飯だ飯ー♪」

―――

―――

ギリィッ

金髪「…んだよ」

金髪「…なんなんだよアイツはよォッ!」

金髪「俺がもう少しで口説き落とせた僧侶を仲間にしたばかりか…」

金髪「ムチムチボディの女戦士も一緒だとぉ…?」ワナワナ

金髪「両手に花かよッ…クソがッ…クソがッ…!」

金髪「しかもあんなに殴ったのにピンピンしてやがるだと…」

金髪「手加減して俺を心の中で雑魚扱いしてたって訳かよ…」

金髪「ああ…そうかよ…そうかよっ!オレをコケにしやがって…」

金髪「許さねぇ…!オレをコケにした奴は絶対に許さねぇ…!」

金髪「テメェだけハーレムパーティー作って愉しもうなんてのは更に許されねぇ…!」

金髪「……へへっ」カキンッ

金髪「昼間は素手だったから無事で済んだかもしれねぇけどよ…」

金髪「今度は違ぇ…このオレの相棒でっ!アイツをボコボコにして…奪ってやる…」

金髪「金も…女戦士も僧侶も…全部よォ…」ヒククッ

正統派のクズ野郎だな

金髪の外見が俺の中でケンになっちゃってる

自動回復と援護射撃持ちとか厨キャラかよ修正されるね

どっかに自動回復と援護射撃の要素あった?

―――

女戦士「う”ー…飲び過ぎたがも…」

僧侶「かもじゃないですよ!飲み過ぎです!」

勇者「何回お替りしたんだ…」

女戦士「…覚えでない…あ”ー頭がガンガンするー」ヨロヨロ

僧侶「わっ…っとっと。しっかりしてくださいよ」

勇者「…しょうがない。ほら、肩を貸すから真っ直ぐ歩け」

女戦士「おお勇者よ…何と優しい…ウップ…」

僧侶「わーっ!ここじゃなくてトイレまで我慢してくださーい!」

―――

ドサッ

女戦士「あ”ー…ベッドが冷たくてきぼちいいー…」グター

僧侶「女戦士さん靴くらい脱いで…」

女戦士「…むにゃ」グォー

僧侶「………」

勇者「………」

女戦士「うひひ…もう一杯♪」グゴー

勇者・僧侶「はぁ…」

攻撃が通じないなら投げればいいのに金髪は何を考えているんだ?

―――

ギィッ

勇者「じゃぁ私は自分の部屋に戻る」

僧侶「あ、はい。おやすみなさい勇者さん」

勇者「…おやすみ僧侶さん」

バタンッ

僧侶「…じゃぁわたしもそろそろ」

女戦士「さ・て・と」コキコキッ

僧侶「わぁあああああああああ!?」

女戦士「…っと大きい声出さないでよ僧侶ちゃん。まだ頭に響くから…」

僧侶「お、お、起きてたんですか!?」

女戦士「んーん。寝てたよ今まで」

僧侶「? じゃぁ何で起きたんですか?あ!トイレですか?トイレなら廊下の突き当りの」

女戦士「違う違う」

僧侶「じゃぁ何で…」

女戦士「勇者だよ。勇者」

僧侶「?」

僧侶「勇者さんならもう寝ちゃいましたよ?」

女戦士「寝てないよ。勇者の部屋はあたしらの右隣だろ?足音は左の方へ消えて行ったからな」

僧侶「…ホントに寝てたんですか?」

女戦士「寝てたよ。でもこれでも一端の戦士だからね。寝てても酔っ払っててもある程度分かるもんなの」

僧侶「そ、それはすごいです…」

女戦士「アッハッハ!じゃなきゃおちおちお酒も飲めやしない」

僧侶「…でもお酒は控えてください」

女戦士「さて、寝る訳でもなくこんな夜更けに勇者はどこへ行くんでしょうねぇ」

僧侶「…トイレ?」

女戦士「…少しはトイレから離れなよ僧侶ちゃん」

僧侶「でもでもこんな夜更けにお店はやってませんし…」

女戦士「…まぁやってる店もあるが…勇者はそっちに強そうには見えねぇしな…」ボソボソ

僧侶「はい?」

女戦士「…いやいや何でもない。あたしは恐らく特訓と見た!」

僧侶「と、特訓…」

>>64
戦ってたわけじゃないし一方的に殴っていいってだけの状況だっただろ

女戦士「あたし酔っ払って勇者の肩を借りただろ?」

僧侶「それはもう女戦士さんが大変なへべれけでしたから…」

女戦士「そん時にあいつの肩から胸にかけて触ったんだけど…」

僧侶「さ、触っ!?」///

女戦士「…間違いなく何か武術をやっている体つきだった。それも尋常じゃない鍛え方だ」

僧侶「尋常じゃない筋肉…」///

女戦士「あのダボついた服装で隠れちゃいるが…あの分だと全身そうだろうな」

僧侶「ぜっ…全身がっ…」///

女戦士「それほど鍛えている男が鍛錬を欠かすはずがない」

僧侶「ハッ!…だから今勇者さんが特訓をしに外へ出たと?」

女戦士「そっ。だからそれをこっそり覗こうって訳」

僧侶「………でもそれっていい事なんでしょうか…」

女戦士「?何が?」

僧侶「勇者さんはその事をあまり知られたくないからこっそり…」

女戦士「なぁに言ってんの!あたしら仲間になったんだよ?」

僧侶「?つ、つまり?」

女戦士「だったら遅かれ早かれあいつが戦う姿はあたし達が見ることになるじゃないか」

僧侶「あ…確かに…」

女戦士「それに仲間内で隠し事する方がよっぽど悪いことさ!」

僧侶「そ、そうなのでしょうか…?」

女戦士「だから僧侶ちゃんも一緒に見に行こう」

僧侶「はい!?わたしもですか!?」

女戦士「はい決まり。じゃぁ行こう」グイグイ

僧侶「わたしはもう眠いですし勇者さんが嫌がることはしたくな…って引っ張らないでくださっ…!」ズルズル

バタンッ

―――

―――

僧侶「…わたし強くなる前にちゃんとNOと言える人間になりたいです…」

女戦士(シーッ!僧侶ちゃん声が大きい!)ボソボソ


勇者「………」テクテク

勇者「………」ピタッ


女戦士(ほうほう…町はずれのゴミ捨て場とはいかにも特訓向きな…)ボソボソ


勇者「…そこの」


女戦士「!?」
僧侶「!?」

勇者「そこの物陰にいるのは分かっている」


僧侶(バ、バ、バレてますよ女戦士さん!)

女戦士(っかしいな…相当距離を取ったから流石に大丈夫だと思ったんだけどな…)ポリポリ

僧侶(しかも勇者さん相当怖い声出してますよ!)

女戦士(まぁバレたら仕方ないか…。まぁ僧侶ちゃんも同罪ってことで)ゴメンネッ

僧侶(ええーーーっ!?わたし無理矢理連れてこられたのに…女戦士さんひどすぎです!)


勇者「………」ユラァ

金髪「…へへっ…ドーモ、こんばんわ、と」


女戦士(…!)

僧侶(あぁ…良かった…あたし達じゃなく…って昼間の怖い人じゃないですか!)

女戦士(…勇者が外に出た理由はこれか…)


金髪「あんた実は相当強いだろ?…猫被ってやがったな」

勇者「…用件はなんだ」

金髪「ああ…昼間さ…自由に殴らせてくれただろ?」

勇者「………」

金髪「あれ思ったより楽しくてさー…またやらしてくんねぇかなってさー」

勇者「………」

金髪「そう思ってアンタを尾けてたってワケよ」

勇者「………」

金髪「そしたらさ?何?人のパーティー編成邪魔しておいてさぁ…あの娘でようやく枠が埋まったっつーのにさぁ…」

勇者「………」

金髪「自分が結局僧侶の可愛い子ちゃんとちゃっかり組んじゃって……なぁ?」

ペッ

金髪「…テメェ何様のつもりだよ!あ”あ”っ!?」


僧侶(ひっ…)

女戦士(クズめ…)

金髪「結局テメェがあの娘と組みてぇから邪魔したんだろうがよ!」

金髪「人様の邪魔しといてテメェだけいい思いするたぁとんだゲス野郎だなぁオイ!」

金髪「挙げ句の果てに女戦士も連れて宿にシケ込みやがってよォ!」


金髪「…ふー」

金髪「…まぁオレ心広いから?それは水に流してやってもいいワケ…」

金髪「なぁ兄ちゃん…もっかい自由に殴らせてくれたら綺麗サッパリ忘れてやんよ」

勇者「………」

金髪「…ただし今度は素手じゃねぇ…」カキン

勇者「………」

金髪「このオレの…『カギ爪』付きで1つ頼むわ…」


僧侶(あ、あんなのに刺されたら勇者さんでも…!)ブルブル

女戦士(………)


金髪「…なぁ?怖ぇだろ?刃物だぜ刃物。アンタもこれは受けらんないよなぁ…死んじゃうから」ヒヒッ

勇者「………」

金髪「…命が惜しかったらオレに謝れや。『調子こいてすみませんでした金髪様サマ』ってよォ!」

金髪「そしたら皮膚を裂くだけで許してやるから…」

勇者「…それで」

金髪「…あ?」

勇者「それで自由に殴らせたらお前は満足するのか?」

金髪「はぁ?」


僧侶(え……)

女戦士(!)

金髪「…恐怖で頭がイっちまったのかテメェ…こんなので串刺しにされたら」

勇者「自由にやっていいからもう私につきまとうな。勿論あの娘達にもだ」

金髪「………」

勇者「それにパーティーを組んだのは本意ではない。許せ」


金髪「………」

金髪「…ここまでコケにされたのは初めてだぜ…あぁ人生初と言っても差し支えねぇな…」

金髪「…そしてオレをコケにした奴は絶対に許さねぇ…」

金髪「半殺しの予定だったが気が変わったぜェ!テメェは完膚なきまでに全殺しだよクソ野郎!」ダッ

僧侶(お、女戦士さん!勇者さんに助太刀を…!)

女戦士(………)

僧侶(あのあの!あの人本気ですよ!?早くしないと…)

女戦士(…ここで終わるような奴が…)

僧侶(え?)

女戦士(魔王を倒すなんて言える訳がない)

僧侶(でもわたし達仲間なんですよっ!?)

女戦士(それに勇者をよく見てみろ)

僧侶(勇者…さん…を?)

女戦士(あれは負ける男の顔じゃないよ)

僧侶(…勇者さん…)

金髪「テメェさんざ余裕ぶっこいたんだ!避けるんじゃねぇぞ!まぁハズす気もねぇがなァ!」

勇者「………」スッ

金髪「!」

金髪(こいつマジで気でも違ってんのか…また昼間と同じことしやがって…)

金髪(…オレがマジでやる気がねぇと思ってるなら大きな間違いだぜクソが…)

金髪「そぉら…よッ!」

フォンッ

ガッ

金髪「ハッハー!まともにくらいやがった!マジでバカだなテメェ!」

僧侶(勇者さん…!)ギュッ

女戦士(…おい)

僧侶(………)

女戦士(…目ぇ開けなって)

僧侶(ゆ、勇者さんは…?)

女戦士(…無事だよ。無事は無事だが…どうなってんだありゃぁ…)

僧侶(え…?)

金髪「血ぃ撒き散らして地面に這いつくば……り………ハァ!?」

勇者「………」

金髪「…ど、どうなってやがんだ…テメェ……」

勇者「………」

金髪「…意味分かんねぇ…今まともにオレのカギ爪くらっただろうが…」

勇者「………」


金髪「…なんでテメェは傷1つついてねぇんだよォォォ!」

勇者「………」バァーン

勇者「どうした」

金髪「あ…ああァ!?」

勇者「…一発でいいのか」

金髪「テ、テメェ…!」

勇者「好きなだけやるんじゃなかったのか」

プツーン

金髪「…ぶっ…殺す!!」シャッ

シャッ ガッ シャッ ガッ

勇者「お前の攻撃は単調だ」

勇者「タイミングも同じ。攻撃ルートも同じ」

勇者「中段、下段も絡めることなく」

勇者「密着しているのに投げすらしない」

勇者「全て通常技だから削りもない」

勇者「…力はあっても使い方がまるでなっていない」

シャッ ガドッ

ヘタリ

金髪「…なんなんだよ……ッなんなんだよテメェは!?」ゼェハァ

勇者「…気が済んだか?」

金髪「…ば、バケモノめ…」

勇者「…終わったなら帰るぞ。約束は守れ」

金髪「…守るかよ…守るかよクソがァ!」

バッ

金髪「もうテメェを凹ます為だったら何だって構わねぇ!」

勇者「………」

金髪「…あの宿にいた女共を滅茶苦茶にしてやる…」

勇者「…何?」

金髪「ハッ!知った顔がひどい目に合ったら流石にテメェでも寝覚めが悪いか!」

勇者「…あの娘達は関係ない」

金髪「オレには大有りなんだよ!このカギ爪で!脅しながら2人とも犯し」

勇者「…黙れ」

フッ

金髪「!? き 消えっ…」

僧侶(あれ!?勇者さんが消えて…)

女戦士(! 違う!上だ!)

僧侶(あ、あそこまでジャンプしたんですか!?)

女戦士(構えてもない状態からあそこまで跳躍を…!)

金髪(! 上か!こいつやっぱりバケモンだ…!)

金髪(空中からの蹴り…受けが間に合わねぇ…!)

バキィッ

金髪「ゲハァッ!」

金髪(何て重てぇ蹴りだ…これじゃ吹き飛ば…)

グラァ

金髪(…されねぇ!?つうかなんだ体が急に重たく…)

ストッ

金髪(目の前に着地して…アッパー!?)

金髪(だ、駄目だ体が動かねぇ…これじゃぁまともに…ッ!)

グシャァッ

J大K→屈大P→
竜巻辺りか?

金髪(あぁ…顎が…痛ぇ………)

金髪(鉄の塊みてぇな…拳だな…)

金髪(頭が吹っ飛びそうだ…)

グラァ

金髪(…あれ…?)

金髪(あいつの拳どこ行った…?)

金髪(今確か顎にぶち当たって…それで…あれ…?)

―――

―――

勇者「…ッ!」ググッ

ショーリューケン!







ズシャァァ

K.O.

ダルシムとかザンギ辺りまで使えたら最強だな

金髪はバルログだったか

サマソからソニブ~だと思ったのに…

ザンギュラのスーパーウリアッ上

幹部がダルシムとかガイルとかなのか?

魔王がベガかそれとも待ちガイルか
それが問題だ

ペットショップインストールしよう

アークゲーとかまでいけたら完全に壊れだな

北斗とBASARAはスポーツアクションだろ!

カイザーナックルをインストールしてはいけない(戒め)

ボス版真豪鬼とか金ジョニーとかも使えるんだろうか?

勇者「…」ウデクミッ


ダダッ

僧侶「ゆ、勇者さぁぁぁぁぁん!!!」

ビクッ

勇者「そ…僧侶さん!?どうしてここに…」

僧侶「な、何ともないですか!?ケ、ケガは!?あんなにたくさん斬られたらどこかが…!」ウルウル

勇者「それは大丈夫。大丈夫だから」

僧侶「でもわたし心配で心配で…いくら勇者さんが強くてもその…心配…だったんです…」ヒシッ

勇者「…心配してくれてありがとう」ナデリ

ザッ

女戦士「…色々聞きたい事がある。昼間以上にだ」

勇者「…当然女戦士もいるだろうな」

女戦士「…ただまぁ」チラッ

勇者「ああ、こっちを片付けるのが先決だ」

金髪「」ビクンッ ビクビクッ

女戦士「…騎士団の詰所まで運んでいくしかないか」

勇者「今夜中に意識が戻ることは恐らくない」

女戦士「…そうか」ガッ

僧侶「…女戦士さん。それ持ってるところが足ですけど…」

女戦士「運ぶのに丁度いいだろ?」ズリズリ

ゾリゾリゾリゾリ
金髪「」ビクンビクンッ ビクンビクンッ ビクンビクンッ

僧侶「…丁度いいですね」

勇者「…!?」ゾクッ

―――

僧侶「あの人やっぱりお尋ね者だったんですね…」

女戦士「気の弱そうな女の子集めて好き放題やってたらしい。…正真正銘のクズだ」

勇者「…これ以上被害が出ずに済む。良しとしよう」

女戦士「賞金も貰ったしな。ありがたく使わせてもらおう」

勇者「…さぁ夜も遅い。明日の事もあるしもう寝よう」

僧侶「あ、そうですね!わたしも今とっても眠いですし」

勇者「さて、私は自分の部屋に」

ガシッ

女戦士「…」ニコニコ

勇者「…はぁ」

―――

勇者「これから話す事は他言無用でお願いしたい」

僧侶「は、はい!」

女戦士「モチのロンだ」

勇者「…」

女戦士「…はいよ」

勇者「私は『カクゲー』という闘法の使い手だ」

僧侶「…カクゲー」

女戦士「…カクゲー」

勇者「カクゲーは先祖から代々門外不出の武術として我が里に伝わってきた」

僧侶「な、何かそれだけでもう強そうな感じがします…」

勇者「…カクゲーだけでなく、里に住む全ての人間も外に出てはいけない。これが私が教わった掟だ」

僧侶「あれ?それじゃぁ勇者さんはどうしてここに…?」

勇者「…私は里を抜けた。魔王を倒す為に」

女戦士「で、そのカクゲーを用いてあのチャラい男と戦ったと」

勇者「その通りだ」

女戦士「昼間のはまだ分かる」

勇者「………」

女戦士「だがさっきの戦いはまったくもって何が何だか、だ」

勇者「…だろうな」

女戦士「鋭い刃が付いた武器を…あんたはいわば裸同然の体で受け続けた」

勇者「………」

女戦士「だがその体には傷1つない。更に着ていた衣服にも傷やほつれもない」

勇者「………」

女戦士「…答えてくれ。それを、そんな不可能を可能にする武術が…『カクゲー』なのか?」

勇者「…そうだ」

まあ格ゲーの範囲に収めることは不可能な能力とか収めちまったらバランスが崩れる能力があること
一般人でも作中の最強キャラと戦うことは出来ちまうと考えたら封印せざるをえないよな

勇者「さっきの技術はカクゲーの防御の基本、【ガード】だ」

女戦士・僧侶「…がぁど」

勇者「【ガード】で体を固めている最中は普通の攻撃は全て受け止める事が出来る」

僧侶「ぜ、全部ですか!?」

勇者「ああ。勿論それが刃物のような危険なものであってもだ」

僧侶「勇者さんは法術の結界や神の加護を受けている訳じゃない…んですよね」

勇者「ホウジュツ?…よく分からないがそれも攻撃を受け止めることが出来るのか?」

僧侶「わ、わたしは当然できないんですけど…高位の僧侶が纏っていたり、あるいは宝具、神具の力を借りて…」

勇者「?その…ホーグとかシングを食べると防御できるのか?」

僧侶「た、食べちゃ駄目ですよ!きっと歯がボロボロになっちゃいます!」

女戦士「…想像していた以上にトンデモねぇな話だなこりゃ…」ゴクリ

女戦士「分かった。…まぁあまりに突拍子もない話で分かっちゃいないんだが…」

勇者「何年か前に里の外に出るまでは…私も自覚していなかった。元より他流試合などないも同然だからな」

女戦士「ふむ。それでだ。最後あのいけ好かない金髪野郎をぶっ倒しただろ?」

勇者「ああ」

女戦士「その時の一部始終をあたしは見てた」

勇者「………」

女戦士「構えのない姿勢からあの高さまでの跳躍。そして蹴りをくらった後の金髪の不自然な姿」

勇者「…流石女戦士。いい目を持っているな」

女戦士「まぁそれなりの修羅場はくぐってるからな」

勇者「察しの通り、カクゲーの攻撃の技術だ」

女戦士「…やっぱりか」

勇者「一瞬で相手の頭上まで移動する跳躍は【ジャンプ】と呼ばれているものだ」

女戦士「助走も溜めもなしにあの高さか…」

勇者「次に空中から威力の高い蹴りを浴びせることによって、相手を【のけぞらせる】」

女戦士「…あの蹴りのインパクトの強さだったら金髪が吹き飛んでも良さそうなもんだったが…それも?」

勇者「カクゲーは己の体のみならず、相手の体をも支配下に入れる事が可能だ」

女戦士「…聞けば聞くほど恐ろしいな、カクゲーってのは」

勇者「最も、その領域に辿り着くのは容易ではない」

女戦士「あんたの体つきと面構えを見ればそんなのは分かるさ。それで?」

勇者「蹴りによって相手の【のけぞり】が続く間にアッパーカットを決め」

女戦士「………」

勇者「そして最後に必殺の技、『昇竜拳』を放った」

女戦士「そこだ」

僧侶「え?」

勇者「………」

女戦士「さっきの戦いで一番奇妙なところがそれだ」

勇者「…本当に大した目を持っているな」

僧侶「ど、どういうことでしょうか?」

女戦士「勇者はアッパーカットを渾身の力を込めて放っていた」

僧侶「はい。とっても痛そうでした」

女戦士「アッパーを放った後は体が上に向かって伸びきるんだ。…こんな感じにな」グッ

僧侶「勇者さんもそんな風になってましたね」

女戦士「その直後勇者は『昇竜拳』という技を放ったんだが…」

僧侶「…勇者さんカッコ良かったですねー」キラキラ

女戦士「どういう訳か一瞬で…いや恐らくもっと短い時間でだろう。拳がこの位置まで移動したんだよ」ススッ

僧侶「???」

女戦士「誓ってもいい。あたしはその瞬間は瞬きだってしてないし余所見もしちゃいない」

勇者「………」

女戦士「どういう訳かこのアッパーと」グッ

女戦士「その『昇竜拳』の間がまったく存在してないんだ」ヒュッ

僧侶「!…そ、そう言われてみれば不思議です!」


勇者「…それがカクゲーの中核を極意の1つ、【キャンセル】だ」

つまり挑発から必殺技を決めることは極意だった…?

僧侶「きゃんせる?」

勇者「ある体術から上位の体術へと技を繋ぐ時…」ヒュッ

勇者「一つ前の体術の硬直を…まるごとなかった事にする技だ」パシュッ

僧侶「な、なかった事にする…?」

勇者「ああ。なかった事にする。そして―」

女戦士「そんなバカなことがッ!」ガタッ

僧侶「ひっ」

勇者「………」

女戦士「…いや、すまない。続けてくれ」

勇者「…この初撃から始まる一連の流れ…相手が行動不能に陥る時間の中で攻撃を当て続けることを―」

勇者「―【コンボ】と呼ぶ。」

勇者「いかに多く、威力のある【コンボ】を相手に叩きこむか」

勇者「その目的の為、ご先祖様達がひたすら研鑚に研鑚を重ねた武術…それが『カクゲー』だ」


僧侶「ほぁー…」

女戦士「…ここまで聞いておいてなんなんだが、そこまで喋っても良かったのか?」

勇者「…無論、里からすればたまったものではないだろう」

勇者「だがこれから魔王を討伐する旅路で、自分の力を押し隠したまま進むのは到底無理な話だ」

勇者「これからの戦いの中で2人は必ずカクゲーを目の当たりにすることになる」

勇者「なら今隠すことは何の得にもならない。故に話したまでだ」

女戦士「…話してくれてありがとう勇者。おかげでスッキリしたぜ」

勇者「そうか」

女戦士「あとさっきは声を荒げてすまなかった」

僧侶「びっくりしましたよ…。突然立ち上がったりして…」

女戦士「あまりにあたし知っている技の常識とかけ離れすぎていてな…つい我を忘れた」

女戦士「ま、それもあたしの未熟さから出た嫉妬ってこったな」

勇者「…気にするな。それじゃぁ私は―」

女戦士「いやまだだ。まだ勇者には用がある」

勇者「?まだ何かあるのか?」


女戦士「ああ。このあたしに…その『カクゲー』を教えて欲しい」

門外不出って言ってんのにアホなのかこの女は

戦士やから…ほら…

フッダーイ

ノウキンー

僧侶「女戦士さん本気ですか!?」

女戦士「本気も本気。超本気だ」

勇者「………」

女戦士「あたしがそもそも各地を旅するのも、危ない思いをしながらドラゴンを狩るのも―」

女戦士「全ては強くなる為だ」

僧侶「武者修行でしたっけ」

女戦士「そしてあたしは出会っちまった」

勇者「………」

女戦士「あたしが見てきた中で間違いなく一番強い武術を修めた勇者にだ」

バッ

女戦士「この通りだ。頼む。あたしにカクゲーを教えてくれないか」

勇者「…顔を上げてくれ女戦士」

女戦士「どんなにつらい修行でも必ず耐えてみせる!頼む!」

勇者「…里を出、カクゲーとは何かを話した。これ以上禁を犯すことは―」

女戦士「そこを何とか頼む勇者!!」

勇者「…しかし」

女戦士「それにこれは勇者の目的の為でもある」

勇者「私の…?」

女戦士「勇者は魔王を倒すんだろ?だったら仲間は強ければ強いほどいいはずだ」

僧侶「う……なにか…ごめんなさい…」ショゲ

女戦士「いくら勇者が強いとしても、これから先どんな強敵が現れるか分からないんだ」

勇者「…むぅ」

女戦士「だったらあたしが強くなっておけばその窮地を軽々と突破できるかもしれないだろ?」

勇者「………」

サムスピの極意を教えよう(提案)

勇者「…確かに一理ある」

女戦士「! じゃ、じゃあ!」

勇者「だが駄目だ」

ズコー

女戦士「だ、駄目なのかよ!」

勇者「言った通り門外不出の武術だ。あきらめてくれ」

女戦士「あたしの持ってる希少な鉱石とかを全部やる!そうだドラゴンの牙でもいい!」

戦いを見て学ぶなら不可抗力♪

金はともかく武器やらほぼ必要ないよね
格ゲーの種類によるだろうけど

ソウルキャリバーならフォースまで使えるぞ

勇者「対価の問題ではない」

女戦士「それなら…他に何かええと…」

勇者「…駄目だ。ならぬものは…… ッ!」ハッ

僧侶「?」

勇者「…いや、ならぬものはならん」

女戦士「くっ…」

勇者「さて、話はこれまでだ。私は自分の部屋に戻る」

僧侶「あ、はい。おやすみなさい勇者さん」

勇者「おやすみ僧侶さん、おやすみ女戦士」

女戦士「………」ブスー

勇者「…おやすみ」

バタン

僧侶「ふぁぁ…女戦士さんも寝ましょうよ」

女戦士「……て……る」ブツブツ

僧侶「…何ですか?」

女戦士「絶対勇者の弟子になってやる!」ブツブツ

僧侶「も、毛布掛けておきますね」

―――

―――

女戦士「ふぁふ…おふぁよう勇者」

勇者「おはよう女戦士」ジャブジャブ

女戦士「………」ジーッ

勇者「………」ゴシゴシ

女戦士「………」ジーッ

勇者「…何か用ですか?」フキフキ

女戦士「いや、ひょっとして特殊な顔の洗い方でもしてるのかなと…」

勇者「………」

―――

僧侶「このパンとっても美味しいですね」モクモク

勇者「ああ」モクモク

女戦士「………」ジーッ

勇者「………」モクモク

女戦士「………」ジーッ

勇者「………」ゴクゴク

僧侶「…あの、女戦士さんは何故勇者さんを見ているんですか?」

女戦士「ん?強さの秘訣は食べ方の中にもあるかもしれないからな」ジーッ

勇者「………」

―――

ザワザワ

勇者「………」テクテク

女戦士「………」ジーッ

僧侶(…女戦士さん女戦士さん!)ボソ

女戦士「んー?」

勇者「………」テクテク

僧侶(ま、周りの人がすっごい見てます!勇者さんに近すぎですよ!)ボソ

女戦士「周りの視線なにか気にしてる場合じゃないんだ」

僧侶(そうじゃなくてわたしが恥ずかしいんですよ!)

勇者「すぐに戻る」

僧侶「あ、はいです」

女戦士「………」

僧侶「…女戦士さん…まさか…」

女戦士「…ひょっとしてトイレで特殊な用のたし方とかが…」フラフラ

僧侶「だ、駄目です!流石にそれはアウトですよ!」ガシッ ズルズル

―――

僧侶「ってことがあったんです!勇者さんからも注意してくださいよ!」

女戦士「勇者が教えてくれないからさー。見て覚えるしかないじゃん?」ブー

勇者「…むぅ」

女戦士「あ!教えてくれる気になった?」

勇者「いや駄目だ。観察するなら公序良俗に反しない程度で頼む」

女戦士「ちぇー…分かった。反しない限り全力で観察させてもらうわ」

僧侶「す、凄まじい執念です…」

―――

僧侶「やくそうに毒消しに軟膏と包帯、水と携帯食料にえーとえーと…」

女戦士「ほほう、この兜いいな。前より視界が大分広いぞ」

勇者「みんな準備できたか?」

僧侶「あとちょっとでできますー!」

女戦士「あたしはもう終わったよ」

勇者「そうか。僧侶の荷造りが終わり次第出発だ」

女戦士「勇者も準備してきなって」

勇者「?私は特に準備するものなどないが…」

女戦士「大有りだよ。ほら、これで防具買ってきな」ヒョイッ

勇者「?防具を?」ジャラッ

女戦士「そ。あんた自身は別にどうでもいいだろうけどさ」

女戦士「ほぼ生身で剣とか受けて無傷だとさ…あたしが最初誤解したみたいに面倒くさい事になるだろ?」

勇者「…なるほど。装備しておけば防具のせいにできるわけだな」

女戦士「そそ、そゆこと。斜向かいが武器屋だからそこでテキトーに買ってきな」

勇者「気遣い感謝する。…しかしやけに金の量が多い気がするのだが…」

女戦士「あの金髪野郎の懸賞金全部だよ。だから元々勇者の分」

勇者「なら遠慮はいらないな。買いに行ってくる」

女戦士「はいはいいってらっさい」

―――

勇者「では出発だ」

僧侶「い、いよいよですか。すっごい緊張してきました…」

女戦士「出発はいいがどこを目指すんだ?」

勇者「最初に西の砂漠の街を目指す」

僧侶「いきなり砂漠の街ですか!?」

女戦士「よく旅人が使う道は北の峠から迂回していくルートだが…いいのか?」

勇者「昨日寝る前に地図を確認した」ガサガサ

勇者「ここが私達のいる王都で…ここが魔王城」スッ スッ

勇者「この2つを線で結ぶと…こうなる」カキカキ

女戦士「…直線だから最短距離ってことか」

僧侶「き、気のせいかもしれませんけど…その線がたくさんのドクロマークを通過してるような…」ダラダラ

勇者「その線上の最初の街が、砂漠の街だ。他に何か質問は?」

女戦士「ハハッ!…事によると勇者はあたしよりバカかもな。いいぜ。そのルートで行こう」

僧侶「わ、わたしは2人がいるからへっちゃらです!」ブルブル

勇者「異論はないようだ。では行こう」ザッ

僧侶「王都…色々あったけれど、おかげで勇者さんに会う事ができました。いつかまたきっと…」ボソボソ

女戦士「僧侶ちゃん何ブツブツ黄昏れてるのー?置いてくよー?」

僧侶「わー!待ってくださいよぉ!置いてかないでくださー…あっ!」

ズシャァァ

僧侶「あ痛たたたた…」

勇者「焦らなくても大丈夫。ほら、手」スッ

僧侶「あ、ありがとうございます。置いてかれるかと思ってつい…」

魔法使い「そうね。危うくこっちも置いて行かれるところだったわ」

魔法使いキター(・∀・)ー!!

魔法使いは格ゲーと言う名のシューティングでもやりそう

なんだハーレムか

勇者「………」

女戦士「………」

僧侶「………」

魔法使い「………」

僧侶「えと…女戦士さんの知り合いですか?」ボソボソ

女戦士「いんや。勇者の知り合いか?」ボソボソ

勇者「私も知らないな」ボソボソ

勇者「…すまないが、人違いでは?」

魔法使い「えーっとね…ごっくんボディのムチムチ女戦士でしょ」ビッ

女戦士「…あたしかよ」

魔法使い「将来性なさそうな胸元の僧侶でしょー」ビッ

僧侶「………わ、わたし!?」

魔法使い「それとツンツン頭のみすぼらしい勇者。…うん、間違いないわ」

女戦士「…初対面で随分なこと言ってくれるじゃねぇか」

僧侶「そうですよ!将来性ないって勝手に決めつけないでください!」プンプン

魔法使い「文句ならあんた達の人相答えた奴らに言ってよ。私が言ったんじゃないし」

勇者「…何の用だろうか?」

魔法使い「一応名乗っておくわ。私は魔法使い。こう見えて賞金稼ぎよ」

女戦士「そんなヤワな体で賞金稼ぎねぇ…」ヘッ

魔法使い「そんな風に油断してくれるバカがいるから私の商売成り立ってるのよ」

女戦士「…あ?」ピキ

僧侶「ど、どーどー!落ち着いて女戦士さん!」

女戦士「…あたしらの中にお尋ね者なんかいねぇよ。とんだ見当違いだな」

魔法使い「知ってるわ」

勇者「では何故私たちを?」

魔法使い「あんた達に用はないけど…あんた達が捕まえた男に用があったの」

僧侶「ひょっとして昨日捕まえた…」

女戦士「あの金髪のクソ野郎か」

女戦士「…お前まさか仲間か?仇討ちってんなら相手になるぞ」チキッ

魔法使い「違うわ」

僧侶「あ!魔法使いさんもあの人に何かひどい事されたんですか!?」

魔法使い「それも違うわね」

勇者「! …賞金」

魔法使い「…当たりよ勇者さん」

魔法使い「そう、私は賞金稼ぎ。どんな賞金首だって逃したことはないわ」

魔法使い「王都でも勿論鮮やかに犯罪者を捉えてLet's左団扇!」♪

魔法使い「…のハズだったのに…」ワナワナ

魔法使い「ぬわぁんてことしてくれたのよあんた達はァァァァァァァァァ!」クワッ

僧侶「わわっ」

女戦士「おわっ!」

勇者「………」

魔法使い「大した犯罪犯してもないけど被害件数が相まってかなりの賞金額!」

魔法使い「つまりあんまし強くない小物なのに高額ゴールド持ってる優良物件!」

魔法使い「そんな美味しい奴が王都で女食い物にして遊んでるって聞いたから!」

魔法使い「女の子のサクラ雇ってわざとパーティー組ませて私自らしなかけて!」

魔法使い「総員色仕掛けで宿へ釘付けにして!騎士団へ連絡!」

魔法使い「肉体労働なしで賞金ゲット!『今夜は祝杯よ』ばかりにとサクラの女の子達と盛り上がって朝まで飲み明かしてたら…」

魔法使い「宿はもぬけの殻で騎士団は空振り!二日酔いで街中走り回って見つけたのが牢屋の中!」

勇者・僧侶・女戦士「………」

魔法使い「聞けば夜更けに女連れの勇者がわざわざ詰所に気絶した金髪を連れて来たって言うじゃない!」

女戦士「…まぁ引きずってたのはあたしだけど」

魔法使い「いーい!?金髪の居所を掴む為の情報料!金髪の女の好みを知る為の酒場のマスターへの情報料!」

魔法使い「サクラの女の子を雇う為の契約金!宿で面倒事が起きた際のもしもの時の袖の下!」

魔法使い「ガセネタで通報した違反料!ボッタクリと見紛うほどの飲み代の請求!」

魔法使い「諸々全部経費合わせて大赤字なのよ!大・赤・字!」

魔法使い「それもこれも、ぜ~~~んぶ最後の最後で私の獲物をかっさらって行ったあなた達のせいよ!」ビシィ

女戦士「ハァ…で、あたし達にどうして欲しいんだよお前は」

魔法使い「ふぅ…別に多くは望まないわ。賞金を全額渡してくれればいいだけ」

女戦士「めちゃくちゃ望んでるじゃねぇか!」

魔法使い「だって今現在赤字なのよ。違反金と飲み代で全額貰っても微かに黒字になるだけだし」

女戦士「赤字なのはこっちに関係ねぇ話だろ。あと後半2つはお前の責任だろうが」

魔法使い「大有りよ。人が慎重に無血捕物の計画進めてる最中に獲物を横取りしたのはそっちでしょうが」

女戦士「大体そーいうのは早いもん勝ちだろ?だったらお前が遅かっただけだ」

魔法使い「同業だったらそれ位空気読みなさいよ!」

女戦士「同業じゃねぇ!あたしはただの戦士だ!」

魔法使い「同業じゃないなら賞金首返しなさいよ!」

女戦士「あぁ!?」ビキビキ

女戦士「…久々にキレちまったよ…路地裏へ行こうぜ」ゴゴゴゴ

僧侶「お、女戦士さん!気を鎮めてください!」

女戦士「この分からず屋のピーピー五月蝿い魔法オタクをなます斬りにしてやる…」ゴゴゴゴ

僧侶「全然聞いてくれない…ど、どうしましょう勇者さん」

勇者「…ふむ。賞金を支払えば丸く収まる。…そうだな?」

僧侶「確かにそれはそうですけど…」

勇者「女戦士もこの賞金は私のものと認めてくれたしな。…よし、私が交渉に行ってくる」

女戦士「…久々にキレちまったよ…路地裏へ行こうぜ」ゴゴゴゴ

僧侶「お、女戦士さん!気を鎮めてください!」

女戦士「この分からず屋のピーピー五月蝿い魔法オタクをなます斬りにしてやる…」ゴゴゴゴ

僧侶「全然聞いてくれない…ど、どうしましょう勇者さん」

勇者「…ふむ。賞金を支払えば丸く収まる。…そうだな?」

僧侶「確かにそれはそうですけど…」

勇者「女戦士もこの賞金は私のものと認めてくれたしな。…よし、私が交渉に行ってくる」

勇者「2人共」

女戦士・魔法使い「「あ”あ”っ!?」」

勇者「争いはよしてくれ。女戦士、私が払うから問題ない」

女戦士「はぁ!?こんな奴にビタ一文も払うことは…」

勇者「いいか?これは女戦士の金ではなく私の金だ。私が金の使い道を決める」

女戦士「ぐッ…まぁそうだな」

魔法使い「まぁ!払ってくださるなら私は何の問題もありませんよ」ニコニコ

女戦士「…ケッ!」イライラ

勇者「…では」ガキン ガキン ゴ…トッ

魔法使い「これは…ガントレット?」

勇者「武器屋の主人は腕甲と呼んでいたな。さぁどうぞ」

魔法使い「なるほど。用心深いわね。腕甲の中にお金を隠すなんて…」ゴソゴソ

勇者「? お金を隠す?」

魔法使い「そ。鎧の内側、武器の柄とかなら分かるけど腕甲は盲点よ。中々いい着眼点ね」ゴソゴソ

勇者「…お金など隠していないが」

魔法使い「…隠してない?」ピタ

魔法使い「じゃぁお金は一体どこに…」

勇者「それだ」

魔法使い「ど、どこよ!だから!」

勇者「今持ってるじゃないか」

魔法使い「………」

勇者「…それ」

魔法使い「ま、まさか…」

勇者「そうだ」

魔法使い「この腕甲…ガントレットだって言うの!?」

勇者「ああ。今朝方に武器屋に寄った時にな」

勇者「防具を探していると告げたらご主人がわざわざ掘り出し物を出してきてくれたのだ」

勇者「家に代々伝わる名品で、売っても高すぎて買い手がつかずに困っていたらしい」

勇者「俺の手持ちの賞金より丁度2倍高くてな。あきらめようと思っていたらご主人が値を半分に負けてくれたのだ」

勇者「だからこの腕甲には賞金の2倍の価値がある」

勇者「それを売れば魔法使いも損失を取り戻せるだろう」

女戦士・魔法使い「………」

この勇者が可愛く見えてきた

勇者「どうだ?これならお互いに―」

女戦士・魔法使い「「アホかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

女戦士「そりゃ詐欺だ!典型的すぎて誰も引っかからないようなそんな化石みたいな詐欺だ!」

魔法使い「あなただけはまともだと思っていたのに!まともだと思っていたのに!ハッ…!そうだお店に返品に行けば―」

勇者「店の主人ならば腕甲を売った後『親戚が死んだような気がする』と言って大急ぎで店を閉めていたが…」

女戦士「クソ!逃がすかよ詐欺親父めぇ!」ダッ

魔法使い「お金!私のお金!金カネかね金カネかね!」ダッ

―――

《長らくご愛顧いただきました武器防具専門店 まんなか屋は》
《まことに勝手ながら本日をもって閉店致しました。うへへ》

女戦士「」

魔法使い「」

勇者「やはり親戚が心配で店を畳まざるを得なかったか…」フム

僧侶「わたしも僧侶の端くれ。亡くなった方が神の御下にゆけるようにお祈りしてしておきますね」ナムナム

すてきやん?
おつ!

うへへ

女戦士「あのなぁ…勇者ぁ…」ユラァ

勇者「?どうした?」

女戦士「どうした? じゃないわぁぁ!あんたはッ!騙されたのッ!」

僧侶「?誰にですか?」

女戦士「武器屋の親父に決まってるだろ!」

勇者「はは。まさか」

女戦士「普通に考えて!全身防具フルセット揃えてもお釣り来る位の金で腕甲のみっておっかしいだろうが!」

勇者「…む。すると私はこの腕甲を高い値段で買わされてしまったのか…」

女戦士「『高い』で済まない程の値段でなッ!」

魔法使い「え、ちょ、ど、どーすんのよ!これじゃ私お金回収できないじゃない!」

勇者「申し訳ない魔法使いさん…」

魔法使い「う…あ、謝ったって1Gにもならないわよ!」

勇者「ではこの腕甲を」ゴトッ

魔法使い「今までの経緯を見ていた私がそれを受け取るはずないでしょう!」

勇者「…後は私の着ている服くらいしか」ヌギッ

魔法使い「おもむろに脱ごうとしないで!というかそもそも服もいらないッ!」

勇者「むぅ。どうしたものか…」

魔法使い「………」

勇者「女戦士、立て替えてもらえないだろうか」

女戦士「アイツに払う為に立て替えるのは死んでも御免だね」

勇者「僧侶さん…」

僧侶「わたしは雀の涙ほどしかお金がないので勇者さんに協力できないです…」

魔法使い「…決めたわ」キュピーン

勇者「おお。腕甲で手を打ってくれるか」サッ

魔法使い「違う!それはもうとっとと装備しちゃいなさいよ!」

勇者「…というと何を決めたんだ?」ガチン ガチン

魔法使い「勇者から賞金額分払ってもらえるまで…あんた達について行くわ」ビッ

女戦士「…なにィ?」

僧侶「わぁ…今度は魔法使いさんが仲間になるんですね!」

魔法使い「あんたこれから旅に出るんでしょ?」

勇者「その通りだ」

魔法使い「だからもし全滅したら取りっぱぐれちゃうじゃない?」

僧侶「え、縁起でもない事言わないでくださいよぅ…」

魔法使い「だからそれまで仮のパーティーを組みましょう」

女戦士「あたしは反t…モガガ」ジタバタ

勇者「ああ、こちらとしても魔法使いがパーティーに加わってくれるのはありがたい」ガッチリ
モガガッ!ムームー!

魔法使い「じゃぁ契約成立ね。後方支援ならお任せの魔法使いよ。改めてよろしくね」

女戦士(もが…ぷはっ!何すんだ勇者!)ボソボソ

勇者(すまない。ここは私の意見を飲んでくれないか)ボソボソ

女戦士(やだね!あいつとはとことんウマが合わない気がするんだよ!)

勇者(魔法使いが加われば旅もかなり安全になるはずだ)

女戦士(あんな性悪魔女加えたら安全どころか危険になるぞ!主にあたしが!)

勇者(……代わりにもう少しカクゲーの事を教えてもいい)

女戦士(……本当か)

勇者(…少し、だが)

女戦士(………)

勇者(………)

女戦士(分かった。手を打とう)

僧侶「わたしは僧侶って言います!肩凝りなら任せてください」

勇者「私は勇者。それなりに頑丈だ」

女戦士「…あたしは女戦士。金にがめつくて態度のデカい奴が大っ嫌いだ。…よろしくゥ」ゴゴゴゴ

魔法使い「私は何でもかんでも力だけで解決しようとする脳ミソ筋肉な人が大っ嫌いなの。…よろしくねェ」ゴゴゴゴ

バチバチバチバチ

僧侶「…あの、勇者さん?2人の間に…火花が…」

勇者「……さて、大分押してしまったが…そろそろ行こうか」フイッ

期待

―――

女戦士「でぇやぁぁぁぁっ!」タッ

ズバシュッ

魔法使い「――『火球』!」

ボゥッ

僧侶「しぇ……『生命湧き』!」

ホワァ…

勇者「………」ウデクミッ

―――

女戦士「うおりゃぁぁぁぁ!」ダンッ

ドスッ

魔法使い「――『ソウルの矢』!」

ヒィィィン ズドッ

僧侶「ダブル『生命湧き』!」

ホワワァ…

勇者「………」ウデクミッ

―――

女戦士「へぇ。口だけかと思ってたけど結構やるなお前」

魔法使い「そういうあなたも。甲羅が斬れるものだとは知らなかったわ」

女戦士「まぁドラゴンの皮膚に比べればなんてこたないさ」

僧侶「お二人ともすごいです!わたし尊敬しちゃいます!」

勇者「ああ。…女戦士の迷いのない太刀筋に」

女戦士「へへっ」

勇者「魔法使いの状況に応じた呪文の選択」

魔法使い「それ程でもあるかしら」

勇者「僧侶の細やかな回復の気配り」

僧侶「きょ、恐縮です!」

勇者「実に見事だ」

魔法使い「…って違う!」

勇者「む?」

魔法使い「『実に見事だ』キリッ じゃないわよ!」

僧侶「急にどうしたんですか魔法使いさん」

魔法使い「どうしたもこうしたも!あんた達も勇者に言う事あるでしょう!?」

女戦士「…何を?」

魔法使い「だってこの男と来たら戦ってる間ずーーーっと腕組みして立ってるだけじゃない!」

僧侶「あ」

女戦士「あー…」

勇者「………」ウデクミッ

格ゲーは基本パーティーバトルじゃなくタイマンだもんな…

僧侶「それはですね、その、何というかですね」

女戦士「忘れてた…。こいつは何も知らないんだった…」

魔法使い「曲がりなりにも勇者でしょ!ちゃんとパーティーに貢献しなさいよ!」ビッ

僧侶「魔法使いさん、それには止むに止まれぬ事情があって…」

女戦士「そ、そーなんだよ。うん」

魔法使い「…アンタ達弱みでも握られてるの?」

僧侶「違いますよ!勇者さんはとってもいい人ですよ!」

女戦士「弱みを握るような顔じゃないだろ?大体見たまんまの奴だから」

魔法使い「…もしかして…ヒモなの?」ボソッ

僧侶「…ヒモ?」

女戦士「違う違う」

勇者「………」ウデクミッ

格ゲーって事はもし倒されたとしても次のラウンドには……

続きに期待

世の中には絶命演出というものがあってだな…

ダークソウルwwwwww

女戦士「勇者。ちょっと」クイクイ

勇者「む?」テコテコ

女戦士(流石に何もしないと不自然だぜ)ボソボソ

勇者(そうか。だがいざ戦うと体の癖でいろいろやってしまいそうでな…)ボソボソ

女戦士(だよな…。じゃぁあれだ。頑丈さを活かした盾役に努めるってのはどうだ?)

勇者(…そうか。今なら防具もあるから【ガード】しても不自然には見えない)

女戦士(あたし達も勇者を攻めて脇がお留守な敵を討ち取る方が楽だしな)

勇者(すまない。助言に感謝する)

女戦士(ままいいってことよ)

魔法使い「何?二人でコソコソ相談したりして」

女戦士「いや今後の方針について話し合ってた」

魔法使い「そう。それで彼は何が出来るのかしら?…まさか本当に何も出来ないってことは…」

女戦士「いやいや。まぁ前衛の盾ってとこかな。後衛まで攻撃が届かない為のブロッカー、みたいな」

魔法使い「…みたいって随分曖昧ね」

勇者「生まれ付き体は頑丈なんだ。任せてくれ」キランッ

僧侶「み、皆さーーーん!そうこうしてる内に魔物がこっちに来ますー!」

女戦士「腕が鳴るぜ~」グルングルン

魔法使い「で、僧侶さん。敵の姿は分かる?」

僧侶「えっと…すっごく大きい猪さんです!真っ直ぐこっちに向かってきてるんです!」

女戦士「距離はと…結構あるけどこっち来るまではあっと言う間だな」

魔法使い「作戦はどうするの?」

女戦士「まともにやり合うのはアホだ。まぁそれも嫌いじゃないが」

魔法使い「私が嫌いだから却下。で、まともにやり合わない方法は?」

女戦士「後ろの岩棚に突撃させて横から総攻撃」

魔法使い「…文句のないプランね」

女戦士「だろ?」

女戦士「囮役は俺が引き受ける。うろちょろして岩棚まで誘導するぜ」

魔法使い「私と僧侶さんは森の中で待機。僧侶さんは私の側から決して離れないでね」

僧侶「は、はい!」

魔法使い「三人それぞれに『生命湧き』を詠唱して欲しいのだけれど…できるかしら?」

僧侶「な、なんとか!はい!」

魔法使い「いい返事ね。呪文の範囲から外れそうになったら言ってね。可能な限り調節するから」

僧侶「全力を尽くしますです!」

女戦士「で、勇者もこれまた重要なポジションだ」

女戦士「岩棚に頭を打ち付けて混乱している猪は暴れまわるからな」

女戦士「その暴れまわる範囲を狭めるように前に出てくれ」

女戦士「具体的には後方支援チームが標的にならないよう、相手に猛アピールしろ」

女戦士「魔法使いの不審感をぶっ飛ばすような鉄壁っぷりを見せつけてやれッ!」

女戦士「…………」

女戦士「…あれ?勇者は?」

僧侶「いえ、見てないです」

魔法使い「さっきそこら辺に…」

王都に来たあたりでナギッ使ってたからアーク系列もあるかもしれんな

戻り0Fの小技とかとアークゲーとか併用できたら負けようがないよね

そのうちライン変えて攻撃届かなくしたりしそう

物理的に見えない中下段

―――

大猪「プギィィィッ!」

ドドドドドドドドドド

勇者「来いッ!」

―――

女戦士「あのバカッ!」

僧侶「勇者さん!?いつの間にあんなところにっ」

魔法使い「何考えてんのあの男は!?」

女戦士「…くそっ。予定が大分変わっちまったけどしゃーない」

僧侶「どどどどーしましょう!?」

女戦士「魔法使い、僧侶に加えてあたしもサイドから攻撃を仕掛ける」タッ

魔法使い「こ、攻撃とかそういう問題じゃないでしょ!」

女戦士「ん…いやまぁ言いたい事はよく分かるんだけどな」

魔法使い「あのスピードで、かつサイズの猪に体当たりされたらケガどころじゃ済まないわよ!?」

女戦士「その…なんだ。頑丈なんだよアイツ」ポリポリ

魔法使い「頑丈って…ッ!…もういいわ!」ダッ

女戦士「あっ。魔法使い待てコラ!」

魔法使い(あのままじゃ激突は必至)

魔法使い(私の呪文で邪魔しようにもあの大きさじゃ大して影響なさそうだし…)

魔法使い(…止むを得ないわ。勇者には悪いけど…)

魔法使い(彼自身を吹き飛ばして直撃を避けるしか方法はない!)

魔法使い(少なくとも猪に突き飛ばされるよりマシよ!)

魔法使い「―――」ゴニョゴニョ

女戦士「いい判断だ。だけどちょいタンマ!」バッ

魔法使い「ちょッ!?急に飛び出して来ないでよ!」

女戦士「まぁ待て。魔法使いのやろうとしてる事は分かるさ」

魔法使い「だったらどきなさいよ!」

女戦士「でもそれは多分、必要ない」

魔法使い「必要ないって…だってあのままじゃ彼ミンチよりひどいことに…ッ!」

女戦士「…っあー!勇者すまん。もうフォローしきれん!」

魔法使い「あなたさっきから何を…」

ドドドドドドドドドド

魔法使い「駄目!間に合わな―」


大猪「プギィッ!」ガッ

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


勇者「む!多段ヒットか!大した野生だ!」ハッハッハ




魔法使い「」

多段はうぜぇ

見切ったっ!→なん…だと?

ってなる

女戦士「な。必要なかっただろ?」

魔法使い「」

女戦士「さぁ勇者が突進を食い止めてる内に…」

魔法使い「ちょっと!ア、アレ!アレなんなのッ!?」ワタワタ

女戦士「…分かる!痛い程気持ちは分かるがそれは後回しだ!」

魔法使い「くっ…後できっちり説明してもらうからね!」

女戦士「おう。じゃぁさっさと片付けちまおうぜ!」チキッ


女戦士「っせぇぇぇぇりゃぁぁぁぁっ!!」

魔法使い「―『大火球』!」

ドッボボゥッ ズシュゥゥ

やだ面白い
期待期待

―――

…ズッ ズズゥゥゥン

女戦士「っしゃぁ!」

魔法使い「結構手こずったわね…」フゥ

パチパチパチ

僧侶「わー…こんな大きな焼き豚見たことないです」

勇者「女戦士は猪の腱を狙っていたのか。いやはや2人とも流石だ」

勇者「私はただガー…防ぐので精一杯だったからな」

女戦士「………」

勇者「突進を受けた瞬間はどうなることかと思ったが…」

魔法使い「………」

勇者「たまたま王都で買った防具のおかげで事無きを得た」

僧侶「役に立って良かったですねー勇者さん」

勇者「ああ。この腕甲がなければ即死だった」

不覚にも噴いた

テクテク

女戦士「…ぬんっ!」

スパァァァン!

勇者「…む。何故はたく」サスサス

女戦士「当たり前だ!」

勇者「…というと?」

女戦士「あの巨大な猪の突進を!そんなちんまい箇所に防具つけただけで防げるようになる訳ないだろうが!」

勇者「…マズかったか」

女戦士「…隠すなら隠すでちったぁうまくやれよ」ハァ

勇者「…そうなると魔法使いには…」チラ

魔法使い「………」ジーーーーーーッ

女戦士「モロバレだ。お前がガードした瞬間ここらへんまで口が開いてたよ」

勇者「ぬぅ…」ションボリ

女戦士「根堀り葉掘り聞かれるのは覚悟しときな」ポン


僧侶「えーとここからここまでを干し肉にして、この部位は今夜のメニューに…」~♪

―――

パチッ…パチンッ

女戦士「…うンめーッ!僧侶この肉料理超うまいぞ!」ガツガツ

僧侶「近くに生えていた香草と一緒に煮込んでみました。おかわりまだありますからね」

カクカクシカジカ

勇者「―というのがカクゲーだ」

魔法使い「…よく分かったわ」

勇者「そうか」

魔法使い「ええ。よく分からないという事がよく分かったわ」

勇者「………」

女戦士「ハフッ…どうだ?説明終わったか?」ムシャムシャ

勇者「…まぁな」

僧侶「じゃぁ勇者さん達もどうぞ」

ホカホカ

勇者「ありがとう」

魔法使い「ありがとう僧侶さん。…いい香りだわ」

僧侶「刻んだ香草と王都で手に入れた香辛料をまぶした猪肉を、遠火で焼いたものです」

魔法使い「私あまり肉は好きじゃないのだけれど…これなら食べれそう」

女戦士「それで?」ムシャムシャ

魔法使い「何が?」モクモク

女戦士「聞いた感想さ」

魔法使い「…勇者の話す内容が荒唐無稽すぎて…唖然としたわ」

女戦士「っだよなぁ!」ハハッ

魔法使い「…でも本当のことなんでしょうね…。私がこうして見てしまったのだから…」チラ

勇者「む?」ムッシムッシ

魔法使い「…少し質問をしてもいいかしら?」

勇者「答えられるものであれば」

魔法使い「あなた…エルフだったりする?」

勇者「えるふ…?」

魔法使い「大陸の森林部に隠れ住んでいる種族よ。“耳長”と呼ばれているわ」

勇者「…少なくとも私の耳は長くないな」

魔法使い「あなた自身じゃなくてもいい。自分の両親、もしくは祖父母がエルフとか」

勇者「…いや覚えがないな。里の人間は皆普通の耳だった」

魔法使い「…そう」

僧侶「魔法使いさんは何故勇者さんをエルフだと?」

魔法使い「…守りの結界や、魔法は短時間ならかける事ができるわ」

魔法使い「でも長時間…それも強力なものとなると術式や必要な魔力は膨大なものになり…」

魔法使い「とても人間じゃまともに扱えない代物になっちゃうのよ」

魔法使い「でも生まれ付き高い魔力と、魔法を主とする教育で育ったエルフは違う」

魔法使い「人間には扱えない代物でも長時間使えたり、もっと強力なものも扱えたりする」

魔法使い「…だから『突進を受け止めた勇者は、高度な結界を維持しながら移動していた』」

魔法使い「つまり『勇者はエルフだった』という仮説を立ててみたのだけれど…」

勇者「ケッ…カイ?マッポー?ジツ=シキ?」???

魔法使い「………結界も魔法も使えるどころか…知らないみたいだしね」

魔法使い「僧侶や魔法使いでもなければエルフでもない」

女戦士「んでもって魔物でもない」ムシャ

僧侶「でも勇者さんはとってもいい人ですよ。わたしが保証します!」ケプッ

魔法使い「あなた一体何者なの?」

勇者「…私が何者であるかの答えになるかは分からないが…。ごちそうさま僧侶さん」ペコリ

僧侶「お粗末さまです」ペコリ

勇者「私の生まれた里の事を話すのが一番近い答えになるかもしれないな」

勇者「…ただ退屈で少々長い話になるぞ?」

魔法使い「別に構わないわ」

女戦士「あたしも聞きてぇな」

僧侶「わたしも興味あります!」

勇者「…ふむ」

パチ… パチンッ…

勇者「…里にはある伝承が先祖から代々伝えられてきた」

女戦士「そりゃカクゲーのことか?」

勇者「いや。…自分達が『伝説の勇者の末裔』だと言う伝承だ」

僧侶「で、伝説の勇者ですか!?」

僧侶「…珍しくもない話だわ。地方…特に田舎の方は勇者の末裔でごった返してるもの」

勇者「そう。よくある話だ。…だがご先祖様はそれを信じて止まなかった」

勇者「自分達が勇者の末裔であることを何とかして証明したかったようだ」

勇者「そしてその証明の為に、勇者の『剣』を探し始めた」

僧侶「魔王を封印したという剣ですよね。絵本で読んだことあります」コクコク

女戦士「…でもなぁ。大抵そういうのは…」

魔法使い「見つからないわ。大抵が根も葉もないヨタ話だから」

僧侶「…そうなんですか…。がっかりです…」シュン

魔法使い「…でもあなたの里は違ったのね?」

勇者「その通りだ」

勇者「ご先祖様達はついに古いほこらを探し当てた」

女戦士「マジかよ…」

魔法使い「………」

勇者「そのほこらには光り輝く…」

僧侶「ひ、光り輝く…ッ!」

女戦士「………」ゴクリ

勇者「…『円盤』があった」

あ、これ闘劇のDVDだ

女戦士「……は?」

僧侶「…え、円盤?」

勇者「ちょうど手の平に乗る大きさの円盤だ」

僧侶「これくらいですか?」

勇者「ああ。光を当てると虹色に輝き、また顔が映るほどに美しく磨かれていたらしい」

魔法使い「…でもそれは剣ではなさそうね」

勇者「当然ご先祖様達は落胆した。自分たちはこんな小さな鏡の為に力を費やしたのかと」

勇者「だが私の祖先、今ではカクゲーの始祖とも呼ばれている男が円盤にある秘密を見出した」

僧侶「それは一体…」

勇者「円盤には肉眼では見えない程に小さい傷が規則正しくつけられていたのだ」

魔法使い「…!」

勇者「ご先祖様達はこれが即ち剣の在り処、つまり地図だと確信し円盤を研究し続けた」

女戦士「おお!」

勇者「そして長い時の末…ついに円盤に刻まれた『絵』を『映し出す』ことに成功したのだ」

僧侶「あれ…?映し出すってつまり…」

魔法使い「…間違いなく魔法ね。…それもとてつもなく高度な」

僧侶「そこに剣の場所を示す地図があったんですね!」

勇者「…いや、そこに地図などはなかった」

女戦士「じゃぁ何があったんだ?」

勇者「…『景色』」

魔法使い「…景色?」

勇者「伝承では『動く絵』。つまり『景色』がその円盤に入っていたと伝わっている」

魔法使い「う、動く絵ですって!?」

勇者「にわかには信じ難いが…まるで生きているかのように絵が動いたらしい」

魔法使い「待って!その絵を映し出した方法は!?あなたのご先祖様はどうやってそれを…ッ!」グワッ

勇者「…残念だがその絵を映す方法までは伝わっていないのだ」

魔法使い「ぐぬぬ……」

僧侶「それも気になりますけど…そもそも中にどんな景色が入っていたんですか!」

『そにぃ』か『せが』の魔法ですね(^ω^)

女戦士「…そうか。ようやく話が見えてきたぜ」

僧侶「え…女戦士さん分かるんですか?」

女戦士「勇者。その景色ってのは『戦い』じゃねぇのか?」

勇者「…いかにも。そこには古代の人々が戦う姿が映し出されていた」

魔法使い「! そうか…そういうことね…」フム

僧侶「え?え?何がですか?」

勇者「たった一太刀で勝負を決する東の国の戦士」

勇者「無限に炎の塊を撃ち続ける男」

勇者「目では追えない連撃を全て防ぎ続ける女性」

勇者「どんなに体力があろうと一撃で命を奪う事のできる男達」

勇者「…そこにはありとあらゆる戦いの景色が収められていた」

勇者「戦う者は老人から女性…老若男女を問わない」

勇者「絵に映る全ての人達は圧倒的な武力を持ち、かつ互角の戦いを繰り広げていた」

勇者「そしてその『戦う者達の景色』…」

勇者「それを元にご先祖様が生み出した武術。それが『カクゲー』なのだ」

女戦士「勇者の人知を超えた動きや防御は…古代人の武術がルーツだったんだな」

僧侶「勇者さんのご先祖様すごいです!すごすぎます!」

魔法使い「…円盤の絵を読み取り、そこから武術を生み出した。確かにすごいわ」

女戦士「…その割には何か言いたげだな」

魔法使い「ええ。円盤にあったのは地図でもなく戦う者の景色だった」テクテク…

クルッ

魔法使い「だとするなら『剣』の行方は一体どうなったの?」

こりゃストリートファイター以外も使えるか
壊れすぎww

勇者「…『剣』は確かに『在った』」

女戦士「あったのか」

勇者「ああ。伝承は伝えている。この『景色』こそが『剣』だと」

僧侶「…景色が…『剣』?」

勇者「この戦いの景色が収められた円盤は、いわば最高の技術、武術の結晶だ」

勇者「そしてそれを会得したならば…自らの内に『剣』を備える事と同じなのだ、と」

僧侶「…えーと?」

魔法使い「伝説の勇者は子孫の為に剣とかそういう武器ではなく、武術をほこらに残してくれた…ってことよ」

女戦士「武術そのものが『剣』ね…。大したご先祖様だぜ…」

勇者「里に伝わる伝承の最後はこう結んでいる」


― 全ての戦いを見終えた後、始祖は円盤を眺めた

― そこには鏡のように自らの顔が映りこんでいた

― そして始祖は悟った

― 『剣』とは自分自身であり、この円盤は自らが剣になる為のものだと


女戦士「…自らが剣」グッ

僧侶「……ッ!」ウルウル

魔法使い「………」

勇者「伝説の勇者は己の外に力を求めることの愚かさを教えてくれたのだ」

勇者「『勇者の剣』などと言う己の外の力を求める限り、勇者の末裔たりえないと」

勇者「自らを鍛え、磨き上げ、内に剣を備えた者こそが、勇者の末裔たる証なのだと」

女戦士「…最高だな。伝説の勇者って奴はよ」ヘヘッ

僧侶「わたし…感動しちゃいましたよ…グス」ウルウル

魔法使い「………」

勇者「その伝説の勇者の精神と、始祖によって編み出された武術は世代を超えて受け継がれ続け…」

勇者「そして今の私にまで至る訳だ」

パチンッ……パチッ……

こりゃ最強だ
誰にも勝てん…

>>1が格ゲー好きなのが良くわかる

伝説の剣、ソ〇ルエッジ~~~じゃなかった…

連撃を防ぎ続ける女性、が分かんねぇ・・・

魔法使い「…結局武器としての『勇者の剣』そのものは存在しなかったのね」

僧侶「それはちょっと残念ですよね」

勇者「フフ…」

女戦士「お。勇者が笑うとは珍しい」

勇者「いや何。その剣については面白い話があってな」

魔法使い「面白い話?」

勇者「実際ほこらの中に剣はあったのだ」

僧侶「あ、あったんですか!?」

勇者「が、刀身は錆び付いてあちこち欠け放題のみすぼらしい剣だった」

女戦士「あちゃー。そりゃ勇者の剣なはずねぇやな」

勇者「ご先祖様より更に前の祖先が見栄でも張って置いたのかもしれん。恥ずかしい話だ」ハッハッハ

魔法使い「ねぇ…」

勇者「む?」

魔法使い「ひょっとしてその剣、地面に刺さってなかった?」

勇者「ああ。こんな感じに柄を上にして刺さっていたぞ」

魔法使い「!」

勇者「後は子供のラクガキみたいな模様が刻まれていたな」

女戦士「アッハッハ!どこにでもいるんだな悪ガキってのは!」

魔法使い「そ、それってまさかこんな模様じゃ…」

ガリガリ

勇者「おお!まさにそんな感じのラクガキだ!」

魔法使い「」

勇者「しかしこうも似ていると懐かしくなるな」

魔法使い「………」

勇者「む?どうした魔法使い?」

魔法使い「その…わ、私勇者の里に行ってみたいのだけれど…」モジモジ

僧侶「え」

女戦士「ちょ」

勇者「いやそう言われてもだな…」

女戦士「急に何なんだよお前は!」

魔法使い「な、何となくよ!何となく!」

女戦士「だったらあたしも行きたいぞ!きっと強くなる為の秘密がたくさんあるに違いないからな!」

僧侶「わたしも行きたいです!と、特に深い意味はないけど勇者さんの里へ行きたいです!」///

勇者「しかし掟が…」

魔法使い「それなら問題ないでしょ。あなたの話を聞く限り、里を出る事は禁じられていても入る事は禁じてないみたいだから」

勇者「…言われてみれば確かに」

魔法使い「だから場所さえ教えてくれれば私一人でも行くわ」

勇者「…それは無理だな」

最低限でも上・中・下段の概念知らなきゃ誰も勝てねぇぞこれ…

それを理解したとて、ガードが使えなきゃジリ貧になるし、ガードを覚えても次は投げが…

KOF式じゃんけんとテッレッテーを併せ持つ勇者・・・

無限に炎の塊を放ち続ける男はクラエー!クラエー!クラエー!なのかタイラァン!タイラァン!なのか

ていうかこの男に画面端という概念はあるのだろうか
もしあるならとんでもないことになるぞ

スレタイが結界魔法『カクゲー』
結界ってことは当然境界が存在するわけで…

勇者がぁ!!!
捕まえてぇぇ!!!
勇者がぁ!
画面端ぃぃっ!!!!
バースト読んでえぇっ!!!
まだ入るぅぅ!!
勇者がぁっ!!!!
・・・つっ近づいてぇっ!!!
勇者がぁ決めたぁぁーっ!!!!

画面端は魔境

VFなら勝手に拡大するから問題ない

結界魔法が使える奴を雇えばコンボ的に都合がいいとこに壁配置できて便利そうだなと思った

行き当たりばったりで書いてるからあんまり期待しないでくれよ。
ガークラしそうになる。

夜続き落とします。

キャーシャベッター!!

続き期待してる

勇者「里は四方を高い山と深い森に囲まれている。山に慣れた猟師でも避けるような秘境だ」

魔法使い「ぐ…」

勇者「加えて辺り一帯は鉄鉱石を多く含んだ土壌だ。日も地面まで届かず方角を見失いやすい」

女戦士「むむ、方位磁石も太陽もアテにならないって訳か…」

魔法使い「ぐぬ…」

勇者「故に場所だけ教えるという無責任な事はできない」

魔法使い「ぐぬぬ…」

魔法使い(伝説の勇者の剣に伝説の勇者の末裔…)

魔法使い(香ってくる…香ってくるわお宝の匂いがプンプンと!)ムフー

魔法使い(これが酒場で聞いた酔っぱらいのホラ話ならハイそーですかと聞き流すところだけど)

魔法使い(あの勇者の能力と話を聞いた限りではこれがガチネタなのは確定的に明らか!)

魔法使い(その謎の円盤も私の知識欲をすごいそそられるし…)

魔法使い(しかもしかも私の予想が正しければ…)

魔法使い(あの!勇者の剣が!無防備にほこらに放置されてる可・能・性・大!)

魔法使い(なにしろ私が描いた模様は古代文字)

魔法使い(意味するところはズバリ『剣』)

魔法使い(…是が非でも欲しい。何としても欲しい)

魔法使い(仮に本物じゃなかったとしても…古代文字が刻んである時点で超ド級のお宝確定!)

魔法使い(そんなお宝が!人目に触れず!資産活用もされず!埃をかぶってる!)

魔法使い(最早これは犯罪だわ。…私が何とかしてあげなくちゃ。人類の遺産的な意味で!)ゲヘヘ

魔法使い(…でも勇者無しに里へ辿り着くのは無理そうだし…一体どうしたらいいのかしら…)ムー

女戦士「あ。別にあたしは今すぐじゃなくてもいいんだ」

勇者「む?」

女戦士「この旅が終わったら勇者が連れてってくれよ」

魔法使い「!」ペコポン
    (それだぁぁぁぁぁぁ!)

勇者「…そうだな。それなら別に構わない」

僧侶「わたしもお願いします!ふ、深い意味はないですけど!」

魔法使い「コホン。そうね。私もお願いしようかしら」

女戦士「ん?魔法使いは勇者がお金返し終わったらパーティー抜けるんだろ?」

魔法使い「その話なんだけど…なかった事にするわ」

女戦士「は?」

魔法使い「だからもうチャラにしていいって言ってるのよ」

勇者「魔法使い、それはどういう…」

魔法使い「ここまで来たら乗りかかった船、袖触れ合うも他生の縁ってね。あんた達の旅に最後まで付き合うわ」

僧侶「魔法使いさん…!」ジーン

勇者「…かたじけない」

女戦士「あんだけカネカネ言ってたのにどういう心境の変化だよ…気持ち悪いな」

魔法使い「人を金の亡者みたいに言わないで。私も人並みの情くらい持ち合わせてるんだから」

勇者「しかしタダと言うのは心苦しいな。やはりこの腕甲を…」ゴトッ

魔法使い「だからそれはいらないの!前衛でもないのに何でそんなごっついの私が付けなきゃいけないのよ!」

勇者「そうか…」ガチン ガチン

魔法使い「その代わり私をちゃんと里へ連れて行くのよ」

勇者「勿論だ。皆歓迎しよう」

魔法使い「…そう言えばあんた達の旅の目的を聞いてなかったわ」

女戦士「元々短い付き合いの予定だったからな」ヘッ

魔法使い「お生憎様。で、何が目的なの?パパっと終わらせちゃいましょ」

勇者「魔王を倒すことだ」






魔法使い「…ごめん。もう一回言ってくれない?…誰を倒すって?」

勇者「魔王」

魔法使い「…………魔王を…」

勇者「倒す」グッ

魔法使い「…魔王って、封印から解かれて再びこちらを侵略しようとしているあの魔王?」

勇者「その魔王だ」

魔法使い「……そう………」








魔法使い「短い付き合いだったけど楽しかったわ。じゃあね」

僧侶「ま、魔法使いさん!?」

魔法使い「冗談じゃない!魔王を倒すパーティーになんていられるか!私は自分の縄張りへ帰らしてもらう!」

僧侶「魔法使いさん落ち着いて!」

魔法使い「…ごめんなさい。取り乱したわ」

勇者「大丈夫か」

魔法使い「ええ大丈…あなたは大丈夫じゃないわ!正気なの!?」

勇者「正気だ」

魔法使い「ああ正気なの…。いえ正気の方が遥かに問題だわ」

女戦士「怖いならついてこなくてもいいんだぞ別に」

魔法使い「怖いとかそういう次元の問題じゃないでしょうが!」

魔法使い「皆そもそも魔王の事を詳しく知ってるの!?」

女戦士「強そう」

魔法使い「………」

僧侶「たぶん強いんじゃないでしょうか…」

魔法使い「………」

勇者「理不尽な判定とかありそうだ」

魔法使い「…あんただけ何を言ってるかさっぱり分からない」

理不尽な判定…

格ゲーじゃないが、MH2Gの亜空間タックル思い出した

魔法使い「…じゃぁ女戦士も、僧侶さんも…納得してこの旅に参加しているのね…」

女戦士「おうともさ」

僧侶「はい。勇者さんならきっとできるはずですから!」

魔法使い「………」

魔法使い「…分かった。パーティーには加わるわ」

魔法使い「でも条件付きでね」

勇者「条件?」

魔法使い「自分の命が危ないと感じたらすぐに逃げるって条件よ」

女戦士「…おい。そいつはあまりに」

魔法使い「私だけじゃないわ。このパーティーにいるメンバー全員への条件付けよ」

僧侶「わたしも…?」

魔法使い「恐らく普通の旅に比べてとても困難な試練が私達を待ち受けているはずよ」

魔法使い「それは強敵だったり…あるいは味方の誰かかもしれないけど」

魔法使い「もしそういう命の危機が訪れたらさっさと逃げること」

魔法使い「命あっての物種よ。対策なんて逃げてから考えればいいんだから」

魔法使い「とにかく逃げる!それを皆に守って欲しいの」

勇者「…ああ」

僧侶「…はい」

女戦士「……おう」

魔法使い「分かってもらえたみたいで何よりだわ。『いのちだいじに』で行きましょう」


魔法使い(これで私が敵前逃亡しても後ろ指さされない、と)

魔法使い(それから勇者が危ない時の為に私の立ち位置は常に勇者の隣でないと駄目ね)

魔法使い(最悪勇者が死にかけた時に里の場所を聞けないとマズいもの)

なるほど、さすが魔法使い汚い

でもそれってつまり格ゲー状態に巻き込まれるってことでは...
大乱闘くるで

大乱闘ということはスマブラか…
一応格ゲーだし

そういえば格ゲーのTKOはどうすんだろ…
RPGの魔法回復も考えると相手倒しきれなくても最悪、HP調整すりゃ勝利条件満たせんだよな…


勇者が闘気を出した瞬間にカクゲーが展開されるイメージ

時間:無限
フィールド:無限
体力:どちらかが死ぬまで

そういう設定ならなんら問題ない

自然回復系のボス相手だとRPG勢のほうが強いかもしれない

魔王はきっとパラセ(3)並の強さ

倒した瞬間時が歪むがそこらへんどうなってるのかな……

―――

魔法使い「…いきなり砂漠の街へ?」

僧侶「ですよねですよね!魔法使いさんもやっぱりそう思いますよね!」

女戦士「我らが勇者の提案だ。一直線に魔王城へってな」

魔法使い「…意外と悪くない案かもしれないわ」

僧侶「へ?どういうことでしょう?」

魔法使い「いい?魔王軍と数で勝るはずの連合軍が拮抗しているのには大きな理由があるの」

女戦士「やっぱり人と魔物の根本的な闘争能力の差じゃないのか?」

魔法使い「それも勿論だけれど…決定的に違うのは『情報力』よ」

女戦士「『情報力』?」

魔法使い「具体的には空を飛ぶ魔物を中心とした情報のネットワークね」

僧侶「ねっとわーく?」

魔法使い「…簡単に言うと超早い郵便屋さん部隊ってこと」

女戦士「!…なるほど。空か」

魔法使い「そう。こっちは馬で山や谷や川や森、更に危険な地域を避けて地道に情報を届けるしかないのに…」

女戦士「あっちはそれを全部避けて空を一直線って訳か」

魔法使い「大規模な兵の移動、守りが薄くなっている街、力のあるパーティーの有無…」

魔法使い「早く知れば知るほど事に備え、手を打つことが容易になる」

女戦士「…でもそれとあたし達が進むルートとどう関係してくるんだ?」

魔法使い「大きな都市や街道…一般的に安全だと言われている都市は魔王が目を光らせているからよ」

魔法使い「私達の最終的な目標は魔王を倒すこと。…そんな大それた考えのパーティーを見過ごすはずがないわ」

女戦士「…バレたら囲まれて棒で叩かれて終わり、か」

魔法使い「その点このルートは誰も立ち寄らないような場所を突き抜けて行くから好都合ってわけ」

魔法使い「…でもそれもこれも私達が難所の数々を走破できるって前提での話だからね」

女戦士「ま、何とかなるだろ」

僧侶「きっと勇者さんがいるから何とかなりますよ」

勇者「Zzz…」コックリコックリ…

魔法使い「…駄目だこのパーティー…早く何とかしないと…」

―――

―――

テクテク

女戦士「お。そうだ勇者。今日からカクゲー解禁だぞ」

勇者「そうか。もう力を隠す必要もないからな」

魔法使い「お手並み拝見ってところね」

僧侶「わたし頑張って応援しますね!」ソレ ソレ

勇者「…正直腕がウズウズしていたところだ。しばらく1人で戦ってもいいだろうか?」

魔法使い「…1人で?」

女戦士「まぁまぁ見とけって。いいぞー!じゃんじゃん蹴散らしちまいな!」

勇者「…かたじけない。…では」

ザッ

――魔法使いの『観察眼』が発動!攻撃の表現の簡略化が許された!――

テレテテッテッテテッテー♪

―トロルが現れた!▽

トロル「グシシシ!」デップリ

勇者「戦いの中に、答えはある!」ゴゴゴゴ

ファイッ!

勇者「ハァッ!!」

J大K→屈弱P→(目押し)屈強P…

タツマキセンプーキャク!

トロル「グフッグヒィ!?」ボコボコ



女戦士「おほー!すげぇな!あんなに繋がるのか!」

僧侶「勇者さーん!ガンバですー!!」フレ フレ

魔法使い「」

勇者「まだまだァッ!」トッ

J中K(めくり)→屈弱K→屈弱P…強―

ショーリューケン!

トロル「グボッ…ゴフッ…」

ズシャァ…

女戦士「トロルを飛び越して蹴ったからスカったように見えたんだけどな…」

僧侶「でものけぞってたからやっぱりどこかに当たってたんじゃないでしょうか?」

魔法使い「」

未だリュウだけか

ブレイブルーは無いんですかッ!?

もうやめてっ! 魔法使いのMP(マインドポイント)はとっくにゼロよっ!

勇者強えww

上下左右二択とか出るのかな

パワーアップはマグニートか鳥かトキですね

当て投げ地獄

つアンクアヴ、ムテキング

体に当たらなくても「当たり判定」部分に当たればそれが命中になるのがACTや格ゲーの恐ろしいところです

装甲無視してぶんなぐれるとかキチガイじみた性能

空中ジャスガ搭載

屈弱K→屈弱K→屈弱K→屈弱K…

ガ ガ ガ ガ

トロル「グシシ…」ガッチリ

女戦士「お?トロルに防がれたぞ」

僧侶「【ガード】ってカクゲーじゃないと防げないんじゃないんですか!?た、大変です!」ワタワタ

女戦士「野生の勘って奴が最適な行動を選ばせたんだろうよ」

魔法使い「…ね、ねぇ」

女戦士「さぁさぁどうする勇者!」ワクワク

魔法使い「…ねぇってはば」

女戦士「!」ハッ

魔法使い「やっと気付いた…。勇者のアレは」

女戦士「トロルに出来たって事はあたしにもできるって事じゃねぇかよ!」

魔法使い「………」

女戦士「こりゃ戦闘終わったら試してみるしかないな!」

魔法使い「――『発火』」ボッ

女戦士「アツゥイ!何々!?何でお尻が急に何で!?」バタバタ

魔法使い「ねぇ。今余所見してたら色々損ないんじゃない?」

女戦士「そうだ!それどころじゃねぇ!瞬きだって勿体ない位だからな!」

魔法使い「ところで勇者のカクゲーの事ついて聞きたいのだけれど…」

女戦士「アチチ…見ながらだったら別に構わないぜ」

魔法使い「あの技の繋がりとか名前を叫んだ時の硬直の喪失とかもう訳分からないのよ…。どうなってるの?」

女戦士「ちゃんと聞いてなかったのか?」

魔法使い「最初から勇者の話を全部信用して聞いてる訳ないでしょ」

女戦士「そりゃまぁ…そうか。えっとなー、あたしの覚えている限りだと…」

女戦士「相手にダメージを与えた時に【のけぞり】を与えて、その【のけぞり】が続く内に攻撃を加える。」

女戦士「その繰り返しが【コンボ】って言うらしい」

僧侶「そして下位の技から上位の技へ繋ぐ時に、下位の技の硬直をなかった事にする…」

魔法使い「え…僧侶さんまで把握してるの!?」

僧侶「それが【キャンセル】ですよ!」ドヤァ

魔法使い(…これは……どう考えても…体術とか拳法とか格闘技ではない…)

屈弱K x n... →歩き ―

女戦士「お!ついに勇者が動いた!」

僧侶「どうするんでしょう…防がれたらダメージが通らないのに…」

女戦士「うーん…。トロルは攻撃をあきらめてくれるまで鉄壁の守りを通したい」

僧侶「ええ。まだガッチガッチに固まってます…」

女戦士「勇者はその守りを崩す為に前に出た。――ってことは…」

魔法使い(魔法でも奇跡ですらない…もっと何かが…何かが根本的に違うような…)

―― 巴投げ

勇者「むん!」ブンッ

トロル「グシ!?」ヒュォォォ…

女戦士「…あの巨体を…投げ…た…?」

僧侶「…とっても高い所まで上がってますねー…」ホエー

魔法使い(勇者が変えられないものを変えている…?だとしたら何を…?)

ヒューーーーー…… ドズゥゥン

トロル「グホッ………」ピヨピヨ

ガクリ

女戦士「…スンゲェ」

僧侶「…痛そうです」

勇者「………」スッ

女戦士「おーい勇者ぁぁぁ!」

僧侶「お疲れ様ですーーー!」

勇者「!?」バッ

女戦士「いやすごかったな。それ」

勇者「まだだ!」

僧侶「ほぇ?今さっきトロルさんを」

勇者「まだ終わってない!離れろ!」

ノソッ…

トロル「グ…シ……」

バッ

トロル「グシッ!」ダッ

ダダダダッ

女戦士「あ!やべぇ!あいつまだあんな逃げ足残してたのかよ!」

僧侶「ごめんなさい勇者さん…わたし達が邪魔したせいで…」グス

勇者「…いや、心配ない。倒してくる」

テクテク…

女戦士「…?勇者!歩いてちゃ追いつけねぇぞ!森に入られたら完全にアウトだ!走れ!」

勇者「………」テクテク…

僧侶「勇者さん…?」

―――

魔法使い「根本的…理…法則性?…論理的?数理的?」ブツブツ


トロル「グシシシッ!」ダダダッ


魔法使い「…逃げたか。まぁ無理もないわね。さて、私は勇者に色々と聞きたい事ができたし―」


トロル「グシ!グシシッ!」ダダダッ

ダダダダ…  ピタッ

トロル「グシ!?」


魔法使い「!?」

トロル「グシ…!?」ダダダダッ

ピタッ


魔法使い「………」


女戦士「魔法使い!こっちにトロルが来なかったか?」

魔法使い「………」スッ

女戦士「いた!………ってあいつ……何やってんだ?」

僧侶「…はぁ…ひぃ…ふぅ…へぇ…」ゼェゼェ

魔法使い「…その場で走ってるわね」

女戦士「…ふざけてるのか?」

魔法使い「顔を見て。鼻水や涙や鼻血にまみれながら必死の表情を浮かべてるわ。おふざけじゃないでしょ」

女戦士「死ぬ気でその場で走ってる……?わっけわかんね…」

魔法使い「…信じたくはないけど、これも『カクゲー』ってことなんでしょうね…多分…」フゥ

女戦士「…今トロルを直接操ってるってことか?」

魔法使い「いいえ。私が言ってるのは、トロルの目の前にある――」


トロル「グヒッ…ギヒッ…」ゼェゼェ

ダッダッダッダッダッ

ピタァ

魔法使い「見えない【壁】のことよ」

出た!ステージの限界

3Dは未対応か?

餓狼伝説みたいな場外KOあるんかな

でもトロルからしたら堪ったもんじゃないな

知らなかったのか?格ゲーでは逃げられない

自分から場外に飛び出して負けられる格ゲーなら……

女戦士「か、【壁】!?」

魔法使い「ええ。まぁ…【壁】としか言いようがないわ。…今のところは」

女戦士「今何もないように見えるあそこに…【壁】があるってのか?」

魔法使い「…その様子だとあなたも知らなかったみたいね」

女戦士「勇者からカクゲーについて教えてもらったのは攻めと守りくらいだ。…なんつーか…こんな…」

魔法使い「『こんな魔法じみたことは知らない』?」

女戦士「ッ……まぁ、そうだ…」

魔法使い「…そう」


僧侶「み…水…」ゼェハァ

―――

トロル「ギヒッ…ヒッ…ヒィッ…!」ゼェゼェ

テク…

トロル「グシ…?」クルッ

テクテク…

勇者「………」スッ スッ



トロル「グシィッ!?ギヒッ…ヒヒッ…ッ!」バタバタ

テクテクテク…

トロル「ヒィッ…ブシッ…ヒ……ヒッ……」ダダダダッ

テクテクテクテク…


テクテクテクテクテク…

トロル「ヒッ…グシッ……ヒィ……ヒィ……ッッ!」ダダダダッ

テク…

トロル「ヒッ……」




トロル「………」




トロル「………」クルッ
勇者「………」



トロル「グギィィィィィィェェェェッ!?」ヘナッ…

いや、周りの風景で気づけよトロル…

逃げるのに必死だったんだろ…

トロルかわい……い?

トロルさんちょっと頭弱いから...

トロいって元々の由来はトロルからきてるらしい

開国後、当初イギリスで鈍臭い人を話に出てくるトロルに合わせてトロルって呼んでたんだけど、それが日本に伝わった際に、トロル→トロイ→トロいになったと
だから、トロい人とトロルってなんとなく似てる










嘘だけどね!

勇者「…画面端は地獄ぞ」

トッ

トロル「グシッ…!グシィッ…!」グニャァ…

J強K→屈弱P→屈強P→弱・タツマキセンプーキャク!→強 ―

トロル「ゴブッ…」

勇者「…ぬぅっ!」グッ

― ショーリューケン!




ズシャァァ

K.O.

トロル「」


勇者「………」ウデクミッ

女戦士「………」

魔法使い「………」


僧侶「み、水を…」グッタリ

―――

勇者「…ふぅ。目押しの鍛錬はやはり実戦に限るな」ハレバレー

女戦士「…おい」

勇者「む?ああさっきは失礼した。あの時はまだピヨらせただけでトドメを刺していなくてな」

女戦士「違う違う」ブンブン

魔法使い「…私達が聞きたいのは【壁】のことよ」

勇者「壁?」

女戦士「そうそう!さっきトロルが逃げられなかったアレだよアレ!」

魔法使い「…まぁ厳密に【壁】と言っていいのか分からないけれど」

魔法使い「見えない何かが邪魔して進めない…と言うよりは――」

魔法使い「ある一定のラインより先には移動『できない』ように見えたわね」

勇者「……ああ!」ポンッ

勇者「【画面端】のことか」

女戦士「が、がめんはし?」

勇者「【画面端】から先には行けないぞ。当然だ」

魔法使い「…当然ってあなた…」

勇者「?」

女戦士「………」

魔法使い「………」

勇者「……もしかして」


勇者「女戦士や魔法使いが戦うエリアに【画面端】はないのか?」

女戦士「ねぇよそんなもんッ!!!」グォッ
魔法使い「ある訳ないでしょうがぁぁぁっ!!」ゴァッ

勇者「…驚いたぞ」

女戦士「驚いてるのはこっちだよ!」

魔法使い「…あなたの暮らしていた里が、閉鎖社会だったことがよく分かったわ」ハァ

勇者「しかし【端】がないのによく戦えるな」

女戦士「普通そうなの。端なんてないの。あたしが立ってる大地全部が戦う場所なんだよ!」

勇者「…『いかに【端】を背負わないか。いかに【端】を背負わせるか』」

女戦士「…それは?」

勇者「ご先祖様のありがたい教えだ。カクゲーはこの考えを中心に戦略を組み立てるのだ」

魔法使い「………」ゴソゴソ

女戦士「あたしは【端】があって戦えてるお前の方が異常だと思うぞ」

勇者「むぅ…」

勇者「しかし【画面端】に追い詰めたなら好機なんだ」フンス

勇者「普段繋がらないコンボも選択肢に入るからな」

勇者「【画面中央】だとノックバックの関係でどうしても追撃できないんだが」

女戦士「のっくばっく?のっくばっくってのはその…」

勇者「【画面端】を背負わせたから端【状況限定】の弱『竜巻旋風脚』から強『昇竜拳』へと繋ぐことができた」

女戦士「はし…じょう……きょう…げんて…い…?」プスプス

勇者「トロルの戦意は折れていたように見えたが、油断はできない。咄嗟に【中段】を【ガード】する可能性があるからな」

女戦士「のっくばっくはしじょうきょうげんていちゅうだん?」プスプス

勇者「だから屈弱P→屈強Pと【目押し】で繋げて【ヒット確認】を取り、弱『竜巻旋風脚』まで繋げたのだ」

女戦士「メザシ=ヒットカク煮ヲ取リ若タコヤキ旋風客ヲ繋ゲル…」プスプス

勇者「もし屈弱Pで【ヒット確認】をし、【ガード】されていたら屈強Pまで打たずに別の選択肢を取る。屈強P後は出来ることが少なくて…」ペラペラ

女戦士「カ、カ、カクゲー…コワイ……」プシュープスプス ガクリ

このテンパり具合、格ゲー始めたてのころを思い出す
避け?投げ抜け?ナニソレおいしいの?だったなぁ・・・

魔法覚えたら闇に食われろ!とかしそうで怖い
銃を持ったらバーミリ音頭とか

お前ニンジャスレイヤー好きだろ

2012仕様か
スパ4リュウだけか

多分この人初代ストリートファイターから今現在のコンボゲーまで全部使えると思うの

>>332
実際奥ゆかしい

魔法使い「勇者、専門用語が多すぎて女戦士が思考停止してるわよ」イソイソ

勇者「…ハッ!」

女戦士「コワイ…カクゲー…コワイ…」プスプス

勇者「すまん。久し振りに戦えて昂ってしまったようだ」ポリポリ

魔法使い「…まぁ私も全然分からないんだけど」ジリジリ

勇者「…魔法使い。何故近づいてくる」

魔法使い「…何が?」ジリジリ

勇者「…何がじゃない。その手に持ってる袋はなんだ」

魔法使い「これ?これは…粉よ」

勇者「粉?」

勇者「何の粉だ?」

魔法使い「白い…粉よ」

勇者「…だから何の粉だ」

魔法使い「………」

勇者「………」

魔法使い「……大丈夫だから」

勇者「…え」

魔法使い「…副作用とかはないから。…多分」

勇者「…ふ、副作用?一体何を…」

魔法使い「問答無用!とりゃー!」バサァ

モワモワ

勇者「わっ……ゲッホゲッホ!」

魔法使い「…ふむ。反応無しと」カキカキ

勇者「突然何をする!ゲホッ!」

魔法使い「あんたの意味不明な体術の謎を解く為よ」カキカキ

勇者「それとこの粉と何の関係が…ゴホ」

魔法使い「この粉はね、魔力に反応して発光するの」

勇者「ま、魔力?ゴホッ…」

魔法使い「妖精の羽の鱗粉とか後は……」

勇者「…後は?」

魔法使い「オホン。色々入ってるけど心配ないわ。…多分」

勇者「……ゴホッ」

魔法使い「あなた呪文、もしくは奇跡の手解きを誰かから受けた事ある?」

勇者「…ないな。カクゲーの手解きは師匠から受けたが」ゴホッ

魔法使い「…そう」カキカキ

勇者「…何故そんな事を聞く?」ケホッ

魔法使い「…自分じゃ分かってないみたいだから率直に言うわ」

勇者「………」ケホッ

魔法使い「…あなたが格闘技だと思っているその『カクゲー』はね」



魔法使い「『魔法』なの」

勇者「」

マジで魔法なのか恐ろしい…

きっと初代遊戯王の、あのモヤモヤ空間みたいなもんだね!
わかる人居るかな

闇のゲームか?

コンボはバイキルトやピオリム、
ガードはスカラ、
画面端はマホカンタの応用とかなのかな
昂るわ

空間を格ゲー準拠にする魔法なんだろ
時間止めたりするのと同じ位高難度な魔法なきがする

ヒント:スレタイ

基本的にストリートファイターなのね

魔法使い「………」カキカキ

勇者「私のカクゲーが魔法…?」

魔法使い「………」カキカキ

勇者「…いやまさかな」ハハハ

魔法使い「………」チラッ …カキカキ

勇者「…ほ、本気で言ってるのか?」

魔法使い「本気も本気。超本気よ」

勇者「…しかし私は魔法を学んだ事はない」

魔法使い「みたいね」

勇者「それどころか呪文や奇跡を初めて目にしたのがついこの前だ」

魔法使い「…私や僧侶さんのってことか。益々もって興味深いわ」カキカキ

勇者「そんな私に魔法が」

魔法使い「それは後で聞くから。…そうね、試しに【ガード】してみてくれる?」

勇者「?今か?」

魔法使い「勿論」

勇者「…しかし【ガード】しようにも攻撃がなければ【ガード】できない」

魔法使い「…条件付けがあるのね…。分かったわ」

魔法使い「じゃぁ女戦士」

女戦士「…コワイ」プスプス

魔法使い「…は駄目そうだから…」キョロキョロ

僧侶「ぷはーっ!お水美味しいです!」クピクピ

魔法使い「僧侶さん、ちょっと」チョイチョイ

僧侶「はい、何でしょう?」

魔法使い「今からちょっと勇者に殴りかかってくれる?」

僧侶「はい分かりました!勇者さんを殴っ……ってええーーー!?」

勇者「……ッ」クシュン

僧侶「な、何で勇者さんを…って勇者さんいつの間にか真っ白になってます!?」

魔法使い「詳しい事は後で話すから。勇者の承諾も得てるし」

勇者「…え?」

僧侶「そ、そうなんですか…じゃ、じゃぁ…」オズオズ

勇者「む」

僧侶「や、やぁぁぁぁぁ!」グルグルグルグル

勇者「!」グッ



ボワ……

魔法使い「!」

僧侶「あれ?何だか勇者さんの周りが光って…」

魔法使い「僧侶さん!手を休めないで!」

僧侶「あ、はい!えいえーい!」ポコポコ

勇者「………」ガ ガ

魔法使い「私の予想通りだわ…。体の表面全体に魔力の反応が…」カキカキ

僧侶「えいえいえーい!」ポコポコ

魔法使い「それもあんな攻撃とも言えないようなグルグルパンチで反応してる…」カキカキ

勇者「………」ガ ガ

魔法使い「…何が引き金に…敵意?いや違うわね…。攻撃と勇者が見なせば反応するの…?」カキカキ

僧侶「えいえい…ま、魔法使いさん…私もう疲れてきちゃいましたよ…」ポフ… ポフ…

魔法使い「ええ、もういいわ。ありがとう」

僧侶「それでこれは一体何を」

魔法使い「次はこの粉を持ってくれる?」

僧侶「こ、粉をですか?…はい」

魔法使い「そしたらできるだけ勇者と距離を取って欲しいの」

僧侶「???」

魔法使い「後で説明するから。今はとりあえず私が言った通りにしてみて」

僧侶「…距離を取ればいいんですね?」

魔法使い「ええ。お願いするわ」

僧侶「どこまで離れればいいんですかー?」トコトコ

魔法使い「その内『進めなくなる』はずだからそこまでお願い」

僧侶「…進めなくなる?それってどういう意味ですかー?」トコトコ

魔法使い「今まさにそんな状態ね。足元を見てちょうだい」

僧侶「足元?」トコトコ

チラッ

僧侶「………」トコトコ

ピタァ

僧侶「!?」

僧侶「ままままままま魔法使いさん大変です!歩いてるのに前に進めないです!」ワタワタ

魔法使い「安心して。直接あなたに害がある訳じゃないわ。…多分」

僧侶「な、何が一体どうなって…はわわわわ」ワタワタ

魔法使い「僧侶さん、そこに壁はある?」カキカキ

僧侶「か、壁はないですよ!でも前に進めないんですよー!」アワワ

魔法使い「トロルの時と同じね。ある程度状況を再現できたし…」

僧侶「な、な、何でですか!?歩いても前に進めないです…」グスッ

魔法使い「僧侶さん、そこでその粉を撒いてくれる?」

僧侶「こ、粉をですか?」

魔法使い「…それで大体説明がつくはずだから」

僧侶「は、はい!」バッ

モワモワ

僧侶「わっぷ…ゲホゴホゲホ!」ケホケホ

モワモワ

僧侶「口とか目にいっぱい入っちゃいました…ケホッ」

僧侶「魔法使いさん…何で粉なんかを…ゴホッ」



ボワ…

僧侶「…え?」

ボワァ……

僧侶「粉が…光ってる……?」

ボワ ――――

僧侶「…わぁー…すごく綺麗…。……これは……光の…壁……?」

―――

魔法使い「やっぱりあの位置にも…」

勇者「…なぁ魔法使い」

魔法使い「何?今私取り込み中なんだけど」カキカキ

勇者「…もう構えを解いても」

魔法使い「駄目ッ!」

勇者「………」

魔法使い「…ごめんなさい。私がいいって言うまで続けてて欲しいの」

勇者「…分かった」

魔法使い「全てメモし終えたら説明するわ」カキカキ

勇者「…何を?」

魔法使い「『カクゲー』の正体。…まぁほんのちょっぴりだけど」

勇者「………」

カクゲーの正体とは?

・カプコンの遺産
・ナムコの伝承
・SNKの魔法

さぁ、どれだ

未来への遺産とな?

鉄拳だったら吉光とか左手回ったら関節バッキバキやな

くにお君やジョイメカはカクゲーに入りますか?

古代格闘術カラテカ

――――――

パチッ……パチンッ…パチチッ……

女戦士「さて、あたしが目覚めたら野宿の準備は終わっていて…」

魔法使い「ほとんど私がやったのよ。感謝しなさい」

女戦士「おう。ありがとな。…それでだ」

女戦士「…この二人は何で真っ白けっけなんだ?」

勇者「………」ケホッ

僧侶「………」コホッ

魔法使い「二人には私の手伝いをしてもらったのよ」

女戦士「…どんな手伝いしたらそこんな真っ白い物体になるんだ…」

魔法使い「これから説明する事にどうしても必要だったからね」

女戦士「それで説明ってのは何の…」

魔法使い「『カクゲー』よ」

女戦士「マジか!?でかしたぁぁぁ!で!で!聞かしてくれよ早く!」

魔法使い「待って。まず勇者に聞かないとね」

女戦士「へ?」

魔法使い「そもそも説明していいのか、ってこと」

女戦士「……そう、だな。そりゃそうだ」シュン

魔法使い「…勇者。今から私が『カクゲー』を分析し、かつ得た情報を元に『カクゲー』とは何かを皆に説明したいと思う」

勇者「………」コホッ

魔法使い「別に私の知識欲だとかそういうのじゃないわ。…まぁそれもあるけど。…ちゃんと理由があるの」

勇者「………」ケホッ

魔法使い「このまま一緒に旅を続けていけば…『カクゲー』とどう共闘していくか、という問題に必ずぶち当たるわ」

魔法使い「勇者が『カクゲー』している時に女戦士が追い打ちを仕掛けることは可能なのか」

魔法使い「あたしが攻撃呪文をあなたの後ろから撃ったなら、あなたはガードできるのか。あるいはできないのか」

魔法使い「…つまりあたし達が『カクゲー』に対して何も知らないと、勇者自身やあたし達も身を危険に晒すことになるの」

勇者「………」

魔法使い「だからできればあたしは知りたい。『カクゲー』を。出来る限り」

勇者「………」

魔法使い「勇者の里の掟を蔑ろにするつもりはないの。だから判断はあなたに任せる」

パチンッ……パチッ………



勇者「………」

勇者「…私は…」

勇者「…生まれ落ちた日からただひたすらにカクゲーを強いられてきた」

女戦士「…強いられる?」

勇者「…ああ。里に生まれた者は皆幼くしてカクゲー寺に入門する」

勇者「そこでありとあらゆるカクゲーの知識、技術、精神を教えこまれるのだ」

勇者「私も当然入門し、日々修練を重ねた」

勇者「教えは単純明快だ。『強くあれ』。それだけだ」

女戦士「おほぅ。何ともあたし好みだな♪」

勇者「………」

僧侶「…勇者さん?」

勇者「…ああ、すまない」

勇者「父と母がとても優秀なカクゲーの使い手だったから、と言うのもあるが…」

勇者「私は同期の修練生の誰よりも長く、誰よりも深く、己のカクゲーを磨き続けた」

勇者「程なくして私は里で最年少の師範代となった」

僧侶「流石勇者さん!」

勇者「…師範代となってからも私はひたすらカクゲーに打ち込み続けた」

勇者「無数にあるカクゲーの型を習得し、秘伝を学び、強くあろうと修行し続けた」

魔法使い「………」

勇者「…カクゲーは武術だ。いかに早く。いかに効率良く。いかに相手を幻惑するか」

勇者「その全ては相手、即ち敵を倒す為にある」

勇者「私より強い兄弟子達。私より強い師匠。…そして私より強い両親」

勇者「倒すべき敵、目標は山程あった」

勇者「カクゲーの鍛錬と学問の日々…」

勇者「いくつもの春と冬を迎え…時間は矢の様に過ぎ去り…」

勇者「…ある日私は地に伏す師匠の前に立っていた」

女戦士「ついに師匠を倒したってわけか」

勇者「発生【1F】の屈弱K、【裏表中下段+投げ】の5択」

勇者「カクゲーの中でも最高峰と言われる型を使い…師匠を圧倒した」

勇者「…文句のない、綺麗なカクゲーだった」

僧侶「………」

勇者「…里の者は私を讃えた。『カクゲー史上類を見ない天才』だと」

勇者「『これ程まで伝承者に相応しい者はいない』、と」

魔法使い「………」

おいマグニートーw

勇者「歓喜に染まる里とは逆に私は空虚さを味わっていた」

女戦士「ん、何でだ?一番強くなったんだろ?」

僧侶「一番強くなったってことは…里で一番偉くなれるってことですよね?」

魔法使い「………」

勇者「…その頃には私にも里の外の情報や、伏せられていた里の話が耳に入るようになっていた」

勇者「復活した魔王が再び地上を混乱に陥れようとしていること」

勇者「私が幼い頃に襲った魔物の群れはその魔王の軍団だったこと」

勇者「…そして私の母の命を奪ったのも…魔物だということ」

女戦士「!」

僧侶「!」

魔法使い「………」

私が?
勇者が襲撃したのか?

>>371
間違えた…ごめん。チビ勇者の強さはジャギ位です。

>>370※修正

勇者「私が幼い頃に襲ってきた魔物の群れはその魔王の軍団だったこと」

勇者「里は強者の集まりだ」

勇者「『敵』を倒す為に日夜己を研鑚し続けている戦闘集団だ」

勇者「…ならば何故里の外にいる『敵』を倒さないのか」

勇者「魔物に襲われて家族を失った者の仇を討たないのか」

勇者「…疑問を感じていた私は…幾度も幾度も、長老達に掛け合った」

勇者「『次再び里の悲劇が起こる前に、里の強者を集めて魔王を討ちましょう』と」

勇者「だがなんど具申しても返答は変わらなかった」

勇者「『お前はただ伝承の事だけ考えておれば良い』と」

勇者「ただいつも、それだけだった…」

ジャギ程度と言われても使い手によって相当違うんだが、某赤ジャギでいいんだろうか

北斗の拳じゃないのか

ジャギ様はSとかSSとかの中にいるAみたいなもんだろ…

勇者「…里で一番強いことが一体何になる?」

勇者「強くなる為に己を磨くのは一体何のためだ?」

勇者「強くなったとしてそれが誰の役に立つというのだ?」

勇者「………」

勇者「…私の拳は空っぽだ」

勇者「名誉の為でも、生きる為でもない」

勇者「ただカクゲーを拳に宿して…次の世代に伝える、それだけの拳なのだ」

勇者「…だから私は探していた」

勇者「己の拳を活かせる道を」

勇者「…そんな時だ。麓の村で勇者募集の貼り紙を見つけたのは」

勇者「無論、私は飛びついた」

勇者「魔王を倒す事ができれば俺の拳にも意味が生まれる」

勇者「褒章を手に入れれば貧しさに喘ぐ里を救える」

勇者「母や里の者達の仇を討つことができる」

勇者「…そして今魔王に苦しめられている人々を救う事ができる」

…パチ……パチッ…………

勇者「…決心してからは早かった」

勇者「私は掟を破り、里を抜け、王都で勇者になった」

僧侶「………」

女戦士「………」

魔法使い「………」

勇者「…魔法使い」

魔法使い「…何かしら?」

勇者「魔王を倒すには大きな力がいる」

魔法使い「当然ね。何を今更って感じだけど」

勇者「…そして私は魔王を倒したい」

勇者「…ならばなりふりを構っている場合ではない」

勇者「里から持ちだしたこの『カクゲー』を」

勇者「更なる高みに届かせる為にも…」グッ

勇者(…師匠!申し訳ありません!里の禁、再び犯させていただくッ!)


勇者「…魔法使い」

魔法使い「…はい」

勇者「皆…いや私も含めて、君の見たカクゲーとは何かを教えてくれないだろうか?」

女戦士「…おぉ!」

僧侶「…えぇ!?」

僧侶「でも勇者さんの里の掟に…」

勇者「…魔王を倒す為だ。ご先祖様には少し目を瞑っていてもらう」

僧侶「でもでも…!」

勇者「それに…僧侶さんにも力を貸して欲しい」

僧侶「わたし…に…?」

勇者「私には傷を治癒させる事はできない」

僧侶「あ……」

勇者「僧侶さんが回復させてくれるからこそ、私は以前よりずっと前へラインを詰められるんだ」

僧侶「勇者さん…」

勇者「そしてパーティーの回復役である僧侶さんが成長し、より頑強になれば…パーティーの体制は更に盤石になる」

僧侶「こんな…へっぽこ僧侶のわたしに…そんなことが…?」ウリュリュ

勇者「ああ!できるッ!…【ガード】を覚えてしまえば簡単だッ!」

僧侶「勇者さんッ!」ダキツキッ





女戦士「……ん?」
魔法使い「……ん?」

ん?

ん?

小足見てから昇竜とか言わないだけマシか

回復させてくれるはいいけど…

僧侶の回復ってジワジワくるんだよな

女戦士もカクゲー(DOA)やろうぜ!

禿同

この兜をかぶれば一瞬でカクゲーを覚えられるぞ!つ┗|┳|┛

┗|┳|┛<ウオオオォォォ!!!

ギュー…

女戦士「なぁ…」

僧侶「………ハッ」

ババッ

僧侶「ちち違うんですよ!そのっ、抱きついた事に深い意味はなくてですねっ」ワタワタ

魔法使い「そうじゃなくて…」

僧侶「わたし誰かに今までこんなに必要とされたことなくて、嬉しくなっちゃってついですねっ」ワタワタ

女戦士「今勇者が【ガード】って…」

僧侶「はい?」

魔法使い「あなたが【ガード】を覚えてしまえばって…」

僧侶「…誰がですか?」

魔法使い「あなたが」

僧侶「…わたしが」

女戦士「…【ガード】を」

僧侶「…覚える」

女戦士「………」

魔法使い「………」

僧侶「………」


僧侶「ええーーーーーーっ!?」

僧侶「むむむ無理ですよ勇者さん!わたしにカクゲーなんて絶~~~っ対無理ですっ!」

勇者「僧侶さん。可能性を自ら閉ざしてはいけない」ガシッ


僧侶「…はい」///


女戦士「いやはいじゃねぇよ!」グアッ

魔法使い「そうよ!あんな人外めいた魔法を習得できる訳が」

女戦士「教えるならあたしが先だろうがぁぁぁぁぁ!」ゴォォォ

魔法使い「ハァ!?」

女戦士「一番最初に勇者に弟子入りしようとしたのはあたしだっての!だったらあたしが先だろ!」

僧侶「!…で、でもわたしに先に言ったからわたしが先でいいはずですっ!」

女戦士「今さっき無理無理言ったのはどの口だこのっ」グニィ

僧侶「ひふぁふぃ!?ふぇふぉほふぇはへはふひふぃふぁへん!」グニィ

女戦士「ほふぁっ!?ほふゅほほふふぇふぃはふぁひひふぁぁ!」グニニィ

魔法使い「………」

グニィ グニニィ 

魔法使い「…まぁあの二人は放っておいて…」

勇者「む?」

魔法使い「良かったの?」

勇者「…何がだ?」

魔法使い「だって門外不出なんでしょ?」

勇者「…いや、いいんだ」

勇者「魔法使いの言った通り、私たちは協力して戦わなければいけない」

勇者「…私がコンボの最中にうっかり味方を巻き込んでしまったら…洒落にならないからな」

魔法使い「…軽く背筋が凍るわね」

勇者「ならいっそカクゲーを覚えてしまった方が良い」

勇者「何が危険で何が安全なのか、あるいは共闘できるのかすんなり理解できるからな」

勇者「それにもし皆がちゃんとカクゲーを取得できたなら…」

魔法使い「…大きな力を手に入れられる?」

勇者「そうだ。目的は魔王を倒すこと。それ以外は今は気にしなくていい」

勇者「…掟を破った罰も責任もすべてが終わった後で私が受ければいい話だ」

魔法使い「…そう。まぁ私としては勇者がカクゲー教えてくれるならありがたいわ」

魔法使い「私の研究が進むし、生きたサンプルは目の前にいるしで、いたせりつくせりだもの」

勇者「ならいっそカクゲーを覚えてしまった方が良い」

勇者「何が危険で何が安全なのか、あるいは共闘できるのかすんなり理解できるからな」

勇者「それにもし皆がちゃんとカクゲーを取得できたなら…」

魔法使い「…大きな力を手に入れられる?」

勇者「そうだ。目的は魔王を倒すこと。それ以外は今は気にしなくていい」

勇者「…掟を破った罰も責任もすべてが終わった後で私が受ければいい話だ」

魔法使い「…そう。まぁ私としては勇者がカクゲー教えてくれるならありがたいわ」

魔法使い「私の研究が進むし、生きたサンプルは目の前にいるしで、いたせりつくせりだもの」

>>396 ミス

勇者「あの二人が一段落したら説明を初めてくれないか?」

魔法使い「分かったわ」

勇者「魔法使いが分析したカクゲー。…私も非常に興味があるんだ」

魔法使い「…あなたから見れば既知のものばかりかも」

勇者「まず『魔法』であることすら知らなかった私がか?」

魔法使い「説明するのは性質や規則性の類の話になるからよ」

勇者「それでも頼む」

魔法使い「…向上心の塊なのね。勇者って」フフッ

勇者「…それ位しか取り柄がないからな」

魔法使い「そういう人、嫌いじゃないわ。…ううん、むしろ好きかもね」

勇者「……む。そうか」

魔法使い「そうよ」フフッ


僧侶・女戦士『ふぃひはへんふぃはふぃはへほぉぉ!』グニニニッ

現状だとストライカーになるくらいか

―――

魔法使い「はい。それじゃカクゲーの説明会を始めましょう」

勇者「ああ、頼む」

僧侶「……はい」ヒリヒリ

女戦士「……はい」ヒリヒリ

魔法使い「ぐだぐだ言っても分からないだろうから単刀直入に言うと…」

勇者「………」

僧侶「………」ゴクリ

女戦士「………」ゴクリ

魔法使い「カクゲーは『魔法』」

魔法使い「それも失われた魔法を元に構築された『結界魔法』よ」

女戦士「…失われた魔法?」

魔法使い「結界魔法…ですか?」

勇者「…ふむ」グッ パッ

魔法使い「先に結界魔法について説明するわ」

魔法使い「勇者と僧侶さんの協力で分かったのだけど…」

女戦士「あの真っ白になった奴な」

僧侶「口の中とかに入って大変だったんですよ!」

ガリガリ

魔法使い「勇者がカクゲーを使用した瞬間」

魔法使い「勇者と敵となる対象を中心に結界が展開されるの」

女戦士「???」

僧侶「結界って言うのはですね、空間を区切って作る領域のことです」

勇者「…区切る」

僧侶「弱い魔物が入ってこないように村の周りに作ったりするんですよ」

僧侶「聖なる領域と俗なる領域を分けて秩序を保つ。…まぁ神父さんの受け売りですけど」エヘヘ

女戦士「っへぇ」

魔法使い「その結界を勇者は張ることができるのよ」

僧侶「勇者さんって魔法使いだったんですねぇ」

勇者(魔)「…そうか。私は魔法使いだったのか…」

女戦士「その勇者の使う結界ってのはどんな効果なんだ?やっぱりあの見えない壁だよな?」

魔法使い「…それも色々あるのだけれど…まぁそれで合ってるわ」

魔法使い「白い粉で範囲を調べてみたら…これ位ね」

ガリガリ

女戦士「…四方を見えない壁で囲んでる訳か」

魔法使い「流石に高さまでは分からなかったわ」

女戦士「…そしてこの範囲から外に出れない、と」

僧侶「不思議なんですよ!何かに当たってる訳じゃないのにそこから先に進めないんですから!」

魔法使い「だから壁と言うよりも、『規則』の結界だと私は思うのよ」

女戦士「規則?」

魔法使い「『それ以上先に行ってはいけない』と言う『規則』で囲ってある…とでも言うのかしら」

女戦士「???」

魔法使い「…まぁあなたは見えない壁でいいわ」

女戦士「…その方が分かりやすいな」

僧侶「でもそんな事ができるなんて一体どれだけ高度な術なのでしょうか…」

魔法使い「僧侶さんの言う通り、こんな事ができるのは大魔導師か賢者レベルよね」

魔法使い「そこで最初の話に戻ってくるの」

僧侶「失われた魔法…」

魔法使い「そう。…今は名前さえ分からないものも多い、途絶えてしまった魔法」

魔法使い「そもそも私が使ってる呪文の『発火』や『大火球』」

魔法使い「僧侶さんの使う奇跡の『生命湧き』は…すごく歴史が浅いものなのよ」

僧侶「え?でも神父さんは昔から伝わる由緒正しい奇跡だと…」

魔法使い「そう言った方が箔がつくでしょ?実際は半世紀も経ってない代物よ」

僧侶「そ、そうなんですか…」

魔法使い「そもそも昔は『呪文』や『奇跡』と言った括りさえなかった」

女戦士「?そりゃどういうこった?」

魔法使い「今ある呪文や奇跡はどうしても必要だから生み出された…いわば急造の魔法なの」

魔法使い「だからどこか効果にむらがあったり、洗練されてない粗野なものが多い」

勇者(魔)「…失われた魔法はそうではない、と?」

魔法使い「その通り。非常に洗練され、かつ強力なものだった」

魔法使い「失われた魔法を今に蘇らせ、行使する…それこそが私の生涯の研究テーマよ」

(魔)www

女戦士「なんだ。金を集めるのが研究テーマじゃなかったのかよ」

魔法使い「ッ!あのねぇ!金がなきゃ何にもできないのよ!」

魔法使い「アホみたいに高い古文書も買えなければ!一般人が入れない図書館にも入れない!」

魔法使い「情報を仕入れるのもぜ~~んぶお金!金=力!マネーイズパワー!」ゴァッ

魔法使い「大体賞金稼ぎだって効率良く稼げるからであって…」ブツブツ

女戦士「はいはい。それで?」

魔法使い「ッ…。…勇者の使う結界魔法はそれらを複雑に組み込んだものってこと」

ガサガサ

魔法使い「これを見て」

僧侶「?何ですかこれ?」

魔法使い「私の研究成果の1つ。各地を練り歩いて集めた古の魔法の資料よ」

魔法使い「勇者は主に身体を強化する魔法を使っていると見て間違いないわ」

女戦士「は!?魔法って燃やしたりするだけじゃないのか!?」

魔法使い「…今はね。記述によれば相手の行動を封じたり、相手の呪文をそのまま返したり」

魔法使い「一瞬で目的地に移動できるなんてものもあったみたいだから」

僧侶「て、転送魔法ですか!?」

魔法使い「一度行ったことがあるって条件が必要みたいだけど…それにしても強力すぎよね」

魔法使い「…あと女戦士。燃やしたりするだけって言ったけれど」

女戦士「…まぁな。魔法使いと言えば炎ってイメージがあるし」

魔法使い「その燃えるレベルだって今と段違いよ」

女戦士「…そう言われてもな」

魔法使い「…確かに見た方が早いわね」

僧侶「?…見た方が…?」

ザッ

魔法使い「まず…」

魔法使い「――『発火』!」ボッ

女戦士「おお!」

魔法使い「次に…」

魔法使い「――『大発火』!」ボアッ

僧侶「大きい炎ですねー…」ワー

魔法使い「そして…っ!」グッ



魔法使い「―――『メラ』!」

ゴォッ…バオンッ!

女戦士「くっ…!」

僧侶「ひっ!?」

勇者「!」


魔法使い「…ふぅ」

魔法使い「今のが古の魔法の炎の呪文、『メラ』」

魔法使い「私が復元できた数少ない魔法の1つよ」



僧侶「すっ、すごいです魔法使いさんっ!」

女戦士「くっ…!すごいのは分かるがっ…!」

魔法使い「ふふっ…」ドヤァァァ

女戦士「魔法使いのドヤ顔がひたすら腹立たしい…!」

今のはメラではない、メラゾーマだ

この魔法使いがダイ大に行ったら気絶しそうだな

鉄拳勢の俺としてはどうしても鉄拳技でてほしい。それがたとえDr.ボスコノビッチでもおれは構わないww

このSS終わったら次は結界魔法『オトゲー』だな

オトゲーってどうやって戦うんだ・・・?

PS3にそんなゲームがあったような

それか、オーシャンまなぶみたいな感じか

戦うんじゃなくて 音楽を奏でるんじゃない?

夜投下します。

解説ばっかりで話進まなくてごめんなさい。

魔法使い「このように古の魔法は今とは比べものにならない位強力ってわけ」ドヤァ

僧侶「炎の魔法でこれだけの差が出るなら、他もすごいことになりそうです」ペラ

女戦士「ん?僧侶、ページめくるのたんま」

僧侶「はい?何でですか?」

魔法使い「あっ!そこは見ちゃ駄目!」

ヒョイッ

女戦士「何々…『メラミ』に『メラゾーマ』」

魔法使い「か、返しなさいっ!」ピョンピョン

女戦士「『メラ』はページの一番上、しかも下に行けば行くほど強そうな名前と…」

魔法使い「返せーっ!」バシィッ

女戦士「ってことはだ。…魔法使いは下級呪文でドヤ顔してたってことだよなぁ」ニヤニヤ

魔法使い「そ、それでもすごい事には変わりないでしょっ!」

女戦士「…『メラ』!」キリッ

魔法使い「…ッ!」ムッカァ

ボコスカボコスカ

僧侶「喧嘩は駄目です二人共!」

僧侶「魔法使いさんのノートが地面に落ちちゃったじゃないですか…」ペラリ

僧侶「!」

僧侶「………」

僧侶「…『ホイミ』」

魔法使い「…ん?そうそう、勿論回復もあるわ」

魔法使い「ホイミが最初に覚える回復の基本呪文だったみたいね」

僧侶「…ホイミ……」


魔法使い「コホン。脱線してしまったから話を元に戻すと…」

魔法使い「勇者が使っていた身体強化の呪文は恐らくこれだわ」ペラ

勇者(魔)「『ピオリム』と…」

女戦士「…『スカラ』」

魔法使い「前者は素早さを上げる呪文、後者は防御力を上げる呪文ね」

勇者(魔)・女戦士「!」

勇者(魔)「…なるほど」

女戦士「【キャンセル】と【ガード】か!」

魔法使い「断定はできないけどね」

魔法使い「多分カクゲーのあらゆる部分に呪文を応用した箇所が出てくるはずよ」

勇者(魔)「…素晴らしい」

魔法使い「ん?」

勇者(魔)「カクゲーが魔法だったと分かれば!」グッ

勇者(魔)「鍛錬方法を変えることで更にカクゲーを発展させられるはず!」

勇者(魔)「魔法使いがいなければ到達しえなかった領域だっ!」ガシッ

魔法使い「ちょ!手ぇ…じゃなくて勇者顔近い!顔近すぎ!」

勇者(魔)「改めて礼を言うぞ魔法使い!」

魔法使い「…わ、分かったから手を離しなさいよ…」///

僧侶「むー…」プクー

女戦士「むー…」

魔法使い「?何唸ってるの?」

女戦士「カクゲーの謎が解明されたのは良かったんだが…」

女戦士「良く考えたら魔法だろ?僧侶とかだったらまだしも…」

女戦士「あたしなんか扱えないような気がするのさ。」

魔法使い「…私は女戦士でも使える可能性はあると思う」

女戦士「…根拠あるのか?」

魔法使い「勇者自身が根拠よ」

勇者(魔)「…私が?」

魔法使い「魔法を使うにはマジックポイント…MPが不可欠よ」

女戦士「まぁ当然だわな」

魔法使い「道具も何もないから正確な数値とまでいかないけど」

ビッ

魔法使い「僧侶さんは90ほど」

僧侶「わたしそんなにあったんですか。驚きです」

魔法使い「私は250」

勇者(魔)「流石だな」

魔法使い「そして女戦士は…」

女戦士「………」ゴクリ

魔法使い「…おまけして10くらいね」

女戦士「少なっ!」

女戦士「やっぱりあたし魔法向いてねーじゃん!」

魔法使い「ええ。とりあえず『魔法使い』には向いてないわ。絶望的なMPよ」

女戦士「…自分でも分かっちゃいるが…お前に言われると殊更腹が立つな」プルプル

魔法使い「私は『魔法使い』って言ったのよ?」

女戦士「…ん?」

魔法使い「じゃぁ肝心の勇者のMPいってみましょうか」

勇者(魔)「………」ドキドキ

魔法使い「勇者のMPは…」

女戦士「………」ゴクリ

僧侶「………」ゴクリ

ビッ

魔法使い「 1 」

勇者( )「!?」

女戦士「い、いち…?」

僧侶「1って…1ですか!?」

魔法使い「ええ。本当は1あるかすら怪しいから1未満ってところね」

勇者( )「み、未満…」ガクリ

魔法使い「魔法学的に言えばほぼ0と言って差し支えないMPよ」

女戦士「でもそれじゃおかしいじゃねぇか!」

僧侶「そ、そうですよ!勇者さんがカクゲーで色々魔法を使うならMPがたくさんあるはずです!」

魔法使い「本来ならね。MPがないのに魔法が使えるはずはないから」

魔法使い「…でも勇者は使える」

魔法使い「たとえMPがなくても、魔法を使える」

魔法使い「それは魔法使いである私にはできない。…悔しいけれどね」

勇者( )「…つまり私は魔法使いではないと…」

魔法使い「そうね。魔法使いではないけれど魔法を使えるよくわからない男よ」

勇者(?)「む、むぅ…」

素直に格闘家と名乗れば良い物を…

この先も勇者の( )内は変わっていくのだろうか?

つまり(覇)になるのか・・・

勇者(滅)もあるんかな

勇者(童貞)

勇者(修羅)

勇者(ファミチキください)

勇者(盗賊)

>>434
魔法使い(ミグミグ族)
ですね

魔法使い「でもね。無から有が生じることはありえないのよ」

女戦士「…勇者が無限に魔法を使えるってことじゃないと」

魔法使い「ええ。この世の大原則。何もせずにお金は空から降ってこないわ」

僧侶「じゃぁ勇者さんはMP以外を使って魔法を使っているんでしょうか?」

魔法使い「未知の力という事も一考に値するけれど…私はこう考えるわ」

魔法使い「勇者の祖先が洗練に洗練を重ねたカクゲーの魔法は…」

魔法使い「MP1未満で使用できる程に無駄を削りきったのではないかとね」

女戦士「…あたし魔法関係はさっぱり分からないんだけどさ」

女戦士「そんな事実際に可能なのか?」

魔法使い「断定はできないけど…それ位しか説明がつかないって感じね」

魔法使い「MP以外の何かを代替するとして、まずHP…そう、体力ね」

魔法使い「自分の体力を犠牲にして魔法を使っているとする」

魔法使い「カクゲーを使用して戦った後は消耗し、僧侶さんのお世話になるはずよね。例え無傷でも」チラッ

女戦士「………」チラッ

僧侶「………」チラッ

勇者(?)「?」ペカー!

魔法使い「…まずどう見ても疲弊、消耗してるようには見えない」

魔法使い「あるいは神の力を借りるような強力な加護によって補っているとする」

魔法使い「大規模な教会のコネがあったり国お抱えの祈祷師だったり…まぁ何でもいいわ」

魔法使い「勇者そういうの受けたことある?」

勇者(?)「ない」

魔法使い「…その線もない。次に宝具、神具から力を供給していると仮定しましょうか」

勇者(?)「ホーグ?シング?」

魔法使い「…簡単に言うと超強力な装備よ」

勇者(?)「!」

女戦士「お!勇者まさか!」

僧侶「勇者さんその表情はあるって感じですねっ」

魔法使い「僧侶さん説…未知の力の可能性濃厚ってところね。確かにあんたの里は宝具神具まみれだっておかしくないしね」

勇者(?)「それならこの…」

僧侶・女戦士・魔法使い「………」ゴクリ

勇者(?)「王都の店主から譲り受けた腕甲が…!」ピカピカピカーン!

女戦士・魔法使い「どっせい!」スパァァァン!

勇者(?)「む?これが強力な装備とかそういう話じゃ…」

女戦士「そういう話じゃねぇ!つか何度も混ぜっ返すなお前は!」

魔法使い「話の流れを察しなさいよ!あんたのカクゲーの力の源の話をしているのに…?
     何で王都で買ったその忌まわしい腕甲が出てくるのよっ!ありえないでしょうが!」

勇者(?)「す、すまん…」シュン

そうくると思ったwwww

魔法使い「というか…」ジーッ

勇者(?)「?」

――魔法使いの『観察眼』が発動!――

勇者
▽装備

E なし
E 布の服
E なし
E ハチマキ
E 王都で法外な値段で売りつけられたクソ忌々しい腕甲

魔法使い「………」

魔法使い「強力な装備の線なんて最初からないわよね…」ハァ

魔法使い「とまぁ勇者は諸々の理由で他から力を得ている様子はなさそうだからね」

魔法使い「それに詠唱すらなしで発動する点から見ても…あたし達が知る魔法と一線を画するわ」

女戦士「言われてみれば最初に勇者に会った時もそうだったな」

僧侶「【ガード】でわたし達度肝を抜かれましたからね」

魔法使い「古の魔法の術式を更に進歩させたか…あるいはまったく違う概念から構築し直したのか…」

魔法使い「いずれにせよ、何らかの方法で人の持つMPの自然回復力の中でやりとりできるようにした」

魔法使い「そしてそれをカクゲーという枠に組み込んだ。…とても精力的にね」

女戦士「ふむ。つまりまとめていくと…」

女戦士「勇者の祖先は謎の円盤でカクゲーの極意を見た」

僧侶「それが『剣』…教えだと思ったご先祖様はそれを武術とするべく方法を探しまわった」

勇者(?)「そして当時あちこちで使われていた古の魔法に目をつけ、カクゲーに使用できるように改良を施した」

魔法使い「その努力は実り、時は流れ、格闘技でもなく魔法でもない…まったく持って新しい武術家があたし達の前に現れた」

僧侶・女戦士・魔法使い「それが…勇者」さん」
                  
勇者(?)「…うむ」

魔法使い「勇者のカクゲーを魔法と呼ぶか、という問題もある」

僧侶「魔法でも別にいいような気がしますけど…」

魔法使い「詠唱なし+ごく僅かのMPで使える…これってそもそも魔法なの?って話よ」

女戦士「ああ魔法ですらない何かってことか」

魔法使い「魔法ではないけど魔法っぽい何かを使える魔法みたいなものってことだからね。現状は」

女戦士「うー…あったま痛くなってくるな…」

魔法使い(それに…あくまでミクロの視点でこの結界魔法に迫っただけ)

魔法使い(スカラやピオリムとかがどうとかではなく、それを構成しているカクゲーという土台そのものには…)

魔法使い(まだ予測すら立てられない。情報も材料も足りないから、止むを得ないかもしれないけれど…)

魔法使い(…ただ違和感は感じている。それが何かまでは分からないが…カクゲーに違和感を)

僧侶「じゃぁ何て呼べばいいんでしょうね」

女戦士「…魔法ではないけど魔法っぽい何かを使える魔法みたいなもの使い」

僧侶「な、長すぎですよね…。魔法使いさん」

魔法使い「………」ウーン

僧侶「魔法使いさんは何て呼べばいいと思います?」

魔法使い「んー…ん?」

僧侶「勇者さんの役職ですよ」

魔法使い「そうね。結局魔法っぽい何かってのはカクゲーによって作られてるから…」

魔法使い「魔法っぽいものは『カクゲー』って呼んで」

魔法使い「勇者自身はカクゲーを自在に操る者ってことで…『カクゲーマスター』とかでいいんじゃない?」

勇者(?)「マ、マスター?」

もう勇者(梅)で良いんじゃないかな

この勇者にブーメランとか持たせたらどうなるんだろうな、後は石でガードしてから目潰しとか辺り……待てよ、カクゲーならちょっとペルソナって言ってくれないか

……シューターもヤバそうだな

とりあえずは検証も終わったし

勇者(済)でいんじゃね?

>>447
風雲拳…それは!!

魔法と武術を組み合わせたまったく新しい魔法・・・!

魔闘拳っ!

風神拳っ!!

魔法使い「それに…あなたは私のマスターになる訳だから意味も通るわ」

女戦士「な」

僧侶「え」

勇者(?)「む」

魔法使い「よろしくマスター。今日から私はあなたの忠実な弟子よ」

勇者(?)「で、弟子?」

魔法使い「カクゲー、教えてくれるんでしょ?何だったら雑用でも何でもやるわよ」

勇者(?)「いやまぁ教えるとは言ったがわざわざ師弟関係でなくとも…」

ザンッ

女戦士「だまらっしゃい!何度も言わせるなぁ!弟子入り志願トップバッターは…この…」ググッ

女戦士「あたしだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!よってあたしが一番だ!」

僧侶「最初に直接勇者さんが私に言ってくれたから…私が最初ですよ!」

魔法使い「言った言わないなんて物的証拠にならないのよ。一番を主張するなら権利書の一つでも出してみなさい」

女戦士「そんなもん勇者が出すはずないだろ!」

魔法使い「じゃぁないってことね。無効よ無効」

僧侶「うぅ~~~…皆さぁぁぁん!」

キィィィィン

女戦士「」

魔法使い「」

僧侶「…そこまで言うなら勝負して順番を決めようじゃないですかっ!」

女戦士「勝負…?」ギラリ

魔法使い「ですって…?」ギラリ

僧侶「恨みっこなしの一発勝負ですっ」

女戦士「…上等だ」

魔法使い「いいわ。白黒つけようじゃない」

僧侶「じゃぁいきますよーっ!」

女戦士「あ!?勝負の種目もまだ決めて…」

僧侶「じゃーーーんけーーーん」フリフリ

魔法使い「なっ!?」

僧侶「ポンッ!」

ババッ

―――

僧侶「やりましたーっ。わたしが一番ですっ」

魔法使い「何か納得いかないけど…勝負を受けた手前仕方ないわね…」

女戦士「納得いかないのはあたしだぁぁぁぁ!魔法使いはちゃっかり二番目になってるじゃねぇか!」

勇者(?)「…誰かを贔屓して教えるつもりはないぞ?だから順番は別にどうでも…」

僧侶「いえっ。順番は大切ですよ。これでわたしは勇者さんの一番弟子ってことですからっ!」

女戦士「ぐっ…!一番目の弟子だから一番弟子って余りにも卑怯な…!」

魔法使い「ぐぬぬ……間違ってない…間違ってないけれど…っ!」

勇者(?)「………」

女戦士「ええい!実力で一番弟子になればいいまでだ!師匠!」

勇者(師匠)「…それは私か?」

魔法使い「師匠ってどことなく汗臭いから嫌。マスターでいいじゃない」

勇者(マスター)「……いや、私は人に師扱いされる程」

僧侶「何言ってるんですか皆さんっ」

女戦士・魔法使い「?」

僧侶「勇者さんは…勇者さんですよ!」


勇者(?)「………」

勇者()「………」

勇者「…そうだな。私はただの勇者だ。それがいい」ニコリ

おめでとう

おめでとう

女戦士「…勇者がそれでいいならいいけどよ」

魔法使い「折角のイニシアチブを取る機会を放るなんて勿体ないことするわね」

僧侶「でも勇者さんはわたしにとってやっぱり勇者さんですし…」

女戦士「まぁそんな事はどうでもいいんだよ。とにかく修行だ修行!」

魔法使い「…ご教授の程、お願いするわ勇者」ペコリ

僧侶「わたしもよろしくお願いします」ペコッ

勇者「…分かった」

―――

勇者「では僭越ながらカクゲーの授業を始めさせてもらう」

僧侶「わたしこういうの修道院以来です!」ワクワク

勇者「まずは座学からだ」

女戦士「げぇっ」

魔法使い「…意外。てっきり実戦から始まると思ってたわ」

女戦士「その座学っての必要なのか…?」ゲッソリ

勇者「必要だな。…まぁ多少の実戦を交えるが」

女戦士「…全部実戦でいいよ勇者…」

よしそれなら画面端でガードの仕方でも覚えようか、めくり交えてな

勇者「…女戦士、里にはカクゲー寺に入門する大人はいない」

勇者「皆幼い内に入門し、修行に明け暮れる」

勇者「早期に体を作り、武を学ぶ下地を作るのは勿論だが…」

勇者「一番重要なのは…子供には先入観がないということだ」

女戦士「先入観?」

勇者「人は幼ければ幼いほど、固定概念を持たない」

勇者「故に可能なこと、不可能なことの線を引くことが出来ない」

勇者「…カクゲーを教えるのに最も適した時期が、まさにその未熟な状態なのだ」

魔法使い「へぇ…」

勇者「カクゲーに置いて最も重要なもの。…それは『イメージ』だ」

女戦士「イメージねぇ…」

僧侶「イメージですか…」

魔法使い「…ふむ」カキカキ

勇者「これは実戦を見せた方が早いな。女戦士、ちょっとこっちに」

女戦士「ほいほい」

勇者「振りでいいから私を投げ飛ばそうしてくれ」

女戦士「…分かった。…こうでいいか?」グッ

勇者「では聞くが女戦士。何故その位置に構えを取った?」

女戦士「そりゃ投げるのに腰を入れる必要があるだろ?だったらこの位置が丁度いい」

勇者「確かにそうだな。ではその距離を広げることはできるか?」

女戦士「まぁ多少はな。…こうでいいか?」ズズッ

勇者「…それ以上は伸ばせないか?」

女戦士「ハハッ。そりゃ無理な話だろ。それ以上離れたら組み付きすら出来ねぇもの」

勇者「…それが固定概念だ」

女戦士「…む?」

勇者「女戦士は今までの経験、自分の体格や技の有無からそれを判断してないか?」

女戦士「…それ以外にやり方知らねぇもの」

勇者「…まずそれを取り除くことが…カクゲーへの入門となる」

勇者「今から私は女戦士を軽く投げる。受け身は取れるか?」

女戦士「お、おう」

勇者「そんなに固くならなくてもいい。豪快に投げ飛ばしたりはしない」

ザッ ザッ ザッ

女戦士「…あれどこ行くんだ勇者?組まないのか?」

クルッ

勇者「皆が考えている投げがどうあれ…」

勇者「私のイメージし、実行する【投げ】は違う」

女戦士「?」

勇者「…距離にして女戦士の位置まで約私一人分」

勇者「…いくぞ」





ガシッ
女戦士「うわっ!?」

僧侶・魔法使い「!?」

吸い込んだ!!

移動投げか

おもしろい

弱スクリューか

吸い込みですね分かります

ハイ タツマキオトシ!

吸い込み怖いです

ジャンプキャンセル弱スクリューの恐怖

勇者「…投げるぞ」ググッ!

女戦士「ちょ、まっ、今どうやって…!?」

――『天地返し』

クンッ

勇者「受け身だッ!」

女戦士「くっ…!」ヒュオッ

ズダァァァン! グイッ

勇者「おうりゃっ!」ブンッッッ

女戦士「わっ ――」ブゥゥゥーンッ

勇者「高めに投げたから後はうまく着地すれば大丈夫だ!」

女戦士「ッ…勇者の野郎無茶苦茶言いやがって…!ふんっ!」

ズズゥゥゥゥゥン…

スタスタスタスタ

女戦士「っおいコラァ!勇者ぁ!豪快に投げ飛ばさねぇとか言っといて何なんだ今のはコルァ!」ゴォォォ

勇者「いや、すまない。真剣に例を示そうとしてつい力が入ってしまった」

勇者「…ただ女戦士だったら受け身が取れると信頼して投げたのも事実だ。…申し訳ない」ペコリ

女戦士「………」ポリポリ

女戦士「ま、まぁそれならいいけどよ、おう」///

―――

勇者「見ての通りだ」

勇者「距離は問題ではない。【投げ間合い】なら投げれる。私はそうイメージしているから投げれる」

勇者「女戦士が距離を離して相手を投げられないのは――」

魔法使い「――できる訳がないと女戦士がイメージしているから」

勇者「…その通りだ。だから最初はイメージの訓練から始めるんだ」

女戦士「イメージ…」

――――
――

――――

勇者「手の届く場所…より先に自分の手が届く、そうイメージするんだ」

僧侶(遠くへ…遠くへ……)

勇者「最初は掴める距離の伸びは微々たるものだが…」

魔法使い(意識を、常識を捨てる…そして遠くへ)

勇者「繰り返すことによって【投げ間合い】は着実に伸びていくはずだ」

女戦士(             )

ガシッ

僧侶「で…出来ましたーーー!」

スライム「ピー!ピー!」ムニムニ

勇者「僧侶さん上出来だ。そしたら今度はちょっと距離を離してやってみよう」

僧侶「はい!」

スライム「ピー……」クタリ

魔法使い(……一番乗りが取られたからって動揺しない。私はクールな魔法使いクールな魔法使い)

女戦士(          )

――――

勇者「【ガード】の基本もイメージだ。削りと必殺技、ガード不能以外は全て耐えられるはずだ」

ポヨポヨ

スライム「ピィィィ!」ポッヨーン

ブニョン!

僧侶「きゃっ!…うぅ」

ポヨポヨ

スライム「ピッピィィィ!」ポッヨーン

ブニョン!

ガッ!

魔法使い「! や、やったわ!」

勇者「素晴らしいぞ魔法使い。感触を忘れる前にもう一度復習だ」

魔法使い「…そうね!」

スライム「ピィ…ピィ…」ヘタリ

女戦士(     )

わるいスライムじゃないよ……

なんか女戦士がスライムに見えてきた

魔王緑色のベガだったりして

>>481
全く最近の勇者はやんちゃで困る……とかだったら絶望しかないな

もしくは胡座で両手からビーム出したり陸上やってたり

魔王「バスケしようぜ!」

――――

勇者「魔法使い…【屈ガード】は【上段】属性の攻撃も防げて便利だが、【中段】の攻撃は防げない」

魔法使い「でも【屈ガード】楽だし…」

勇者「基本は【屈ガード】で【中段】が見えたら【立ガード】だ」

ゴンッ

魔法使い「痛っ!?本当に加減してるの!?仕留める気で来てない!?」

ゴッ

魔法使い「脛っ…くぅ……」

勇者「中下を絡められると厄介だ。ちゃんと相手を見て対応することが重要だ」

魔法使い「…分かったわよ。さ、もう一度やりましょう!」

女戦士( )

――――

女戦士「…勇者…」

勇者「む?」

女戦士「…頼みが…あるんだ…」

勇者「…どうした。随分と険しい表情だが」

女戦士「イメージが…」

勇者「イメージ?」

女戦士「イメージがまったく分からねぇ…」

勇者「ふむ」

女戦士「まず頭の中にある余計な雑念とか追い払って…」

女戦士「早く実戦をやりたいって言う欲望とかを吹き飛ばして…」

女戦士「イメージするのに綺麗な頭の中にしてるんだが…」

勇者「…いいじゃないか。それなら後は――」

女戦士「…でもそれ以降イメージすらできなくなるんだ…」

勇者「?」

女戦士「何もない…無の空間でな…ただあたしという人の存在を確かめる、みたいな…」

女戦士「最後にはそれすら無くなって……良く分からねぇ境地に行っちまうんだ…」

勇者「………」

女戦士悟りの境地入ってね?

女戦士「ともかく行き詰まってるんだ。他の二人より出遅れてるみたいだし…何らかの」

勇者「特訓を?」

女戦士「そうそれだ!あるならそれを受けたいと思ってよ…勇者、お願いします!」ペコリ

勇者「…確かに特効薬的な効果は認められるが…」

女戦士「やっぱりあるんだなっ!じゃぁそれを是非っ!」

勇者「…ただ…痛いぞ?」

女戦士「痛いぐらいで悲鳴上げるようなやわな鍛え方はしてない!頼む!」

勇者「…いや…すごく痛いぞ?」

女戦士「死ななきゃ何だっていい!頼むよ勇者!」ペコリッ

勇者「………」

勇者「分かった」

――――

勇者「これから女戦士に特別訓練を行う」

女戦士「おう!みっちり頼むぜ勇者!」

僧侶「だ、大丈夫なんでしょうか女戦士さん…」

魔法使い「前衛職でしょ?たかが特訓でどうにかなるような…」

勇者「僧侶さん。手持ちの薬草、手当てに必要な薬品や道具を準備しておいて欲しい」

僧侶「は、はいっ」ババッ

魔法使い「………」

魔法使い「…どうにかなっちゃうのかしら」

女戦士「…ふー」グッ パッ グッ パッ

身体で覚えろ?
それとも腹に小指を突っ込むのか?

体の痛みは数倍になる!

勇者「これから私が女戦士に対し攻撃を仕掛ける」

女戦士「…おう」

勇者「女戦士の意識が失われるか、もしくは女戦士がギブアップするまで…」

勇者「絶えず攻め続ける」

僧侶「………」ゴクリ

魔法使い「………」

女戦士「…それであたしはどうすればいい?」

勇者「守りきれ、自身を」

女戦士「…分かった」

勇者「………」

女戦士「………」

勇者「行くぞっ!」

ナギッナギッ

女戦士「!?勇者が…消えた…?」

魔法使い「真後ろよ!」

ペシペシナギッ

女戦士「痛ぇなこのっ!…アレ?」

僧侶「こ、今度は上ですー!」

バッ

女戦士「クソ!一体どういう…」

ナギッ シュタッ

女戦士「!?一瞬で地面に防」

ナギッ

女戦士「また消え…!?」

―――

女戦士(勇者の奴…型はたくさんあるってのは聞いてたけどよぉ…)

ペシペシハァーン!ナギッハァーンテンショーヒャクレツナギッ

女戦士(こんな人知を超えたスピードの型なんてあったのかよ…)

カクゴォ!ナギッナギッナギッナギッフゥハァ!

女戦士(早すぎて…まるで防御が間に合わねぇや…)

ゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴォ!

女戦士(…防御、そうか、防御じゃ駄目なんだ…なんとか【ガード】…を…)

ハァーテンショウヒャクレツケンナギッカカッテクルガイイハァーー!

女戦士(だ…駄目だ…ダメー…ジをもらい…すぎ…て…意…識……が………)

女戦士(…………………………)

女戦士(…………終わ…って…)

女戦士(…たま……る…かよ…)

女戦士(………護り…き…れ…)

女戦士( あ た し を !)

カクゴォ!

ガッ!

勇者「!」

女戦士「好き…勝手…やりやがって……」ヨロリ

勇者「女戦士、今最大まで溜めたバニシングストライクを…」

女戦士「一発…ぶん殴っ…」パタリ

ダダダダ

僧侶「女戦士さぁぁぁぁん!」

魔法使い「…気絶しただけね。僧侶さん手当てをお願い」

僧侶「合点承知です!」テキパキ

―――

ザッ

勇者「…女戦士」

女戦士「…ん…むぅ…」スゥスゥ

勇者「見事だ。見事な【直ガ】だったぞ」

女戦士「………」スゥスゥ

勇者「これで【ガード】においては確実に二人より上だ」

女戦士「……へへっ」スゥスゥ

勇者「…よく頑張ったな」ナデリ

女戦士「……あさめし…まえ…だぜ」ムニャムニャ

勇者「…ふふ。そうだな。お前なら朝飯前だ」

女戦士「……むにゃ」スゥスゥ

トキ来たか

起きたらナギっててワロタ

世紀末対応してるのかよ……

伝承者クラストキの固め抜けるとかこいつ有望とか言うレベルじゃないぞ

リュウの次トキ・・・白つながりか

ワカンネ……

>>500
溜めバニ起き攻めとか甘えなんでね

僧侶「どうでしたか?女戦士さんの様子は?」

勇者「傷の具合もさほど悪くない。あの分なら2,3日で完治する」

魔法使い「…あれだけメッタ打ちにされてその程度なの?…トロルが裸足で逃げ出すわね」

勇者「普段から鍛えこんでいるのだろうな。それと僧侶さんの治療が的確なおかげだ」

僧侶「お役に立てて何よりです!」

魔法使い「…これで」グッ

勇者「む?」

魔法使い「これで私たち三人、全員カクゲーの世界に入門できたってわけね」

僧侶「わたしなんて運動音痴ですから…出来るとも思ってなかったので…。すごく、嬉しいです」キュ

魔法使い「私は何だか複雑な気分よ。仕組みも何も理解してないのに使えるようになっちゃったし…」

勇者「魔法使い、たまには何も考えずに修練に励むのも――」

魔法使い「それは無理。これは性分よ。私は一刻も早くカクゲーを解明したいんだから」

僧侶「魔法使いさんらしいですね」クス

勇者「…やれやれ。さて、私は周囲を見回ってくるとしよう」

―――

パチッ……パチンッ……パチ……パチ…

魔法使い「………」カキカキ

僧侶「あのー…」

魔法使い「………」カキカキ

僧侶「ま、魔法使いさん…起きてます?」

魔法使い「んー…」カキカキ

僧侶「………」

魔法使い「………」

僧侶「…い、忙しそうなのでまた…」エヘヘ

魔法使い「用があるなら言いなさいよ」カキカキ

僧侶「…あれ?聞いてたんですか?」

魔法使い「聞いてたわよー…」カキカキ

僧侶「でも返事がなくて…」

魔法使い「返事したわよ。口閉じたままだったけど」カキカキ

僧侶「えぇー……」

魔法使い「忙しいと口開けるのすらめんどくなるのよ」カキカキ

僧侶「そ、そうですか…」

魔法使い「…で?何か用?それとも聞きたい事?」カキカキ

僧侶「…えっとですね…魔法使いさん…古の呪文のメモ…持ってましたよね」

魔法使い「………」ピタッ

僧侶「それをもう一度見せて欲しいな、と思いまして…」

魔法使い「………」

僧侶「だ、駄目なら全然いいんです!ちょっと気になっただけで大した用事じゃないんでその」

魔法使い「いいわよ」

僧侶「…いいんですか?」

魔法使い「断る理由もないし、今は私たち仲間だしね」

僧侶「あ、ありがとうございますっ!」ペコリ

魔法使い「それに気になることもあるし」

僧侶「はい?」

魔法使い「何でもないわ…はいどーぞ」

バササァ

僧侶「こ、こんなに…!?」

魔法使い「前見せたのはほんの一部よ。まぁこれも全体から見ればほんの一部なんだけれど」

僧侶「あ…わたしが見たいのは『ホイミ』が載ってる場所を…」

魔法使い「『ホイミ』…『ホイミ』ね」パラパラ

魔法使い「あった。ここね。初級回復呪文『ホイミ』」

僧侶「…… ホ・イ・ミ …『ホイミ』」

魔法使い「………」

僧侶「…魔法使いさん」

魔法使い「ん?」

僧侶「…一つお聞きしてよろしいですか?」

魔法使い「…一つと言わずいくつでもどうぞ」

僧侶「この…『古の呪文』は…」

魔法使い「………」

僧侶「…『汚れた呪文』ではないでしょうか」

魔法使い「………」ピクッ

僧侶「…答えていただけませんか」

魔法使い「……驚いたわ」

僧侶「…では知っているんですね?」

魔法使い「…知っているわ」

僧侶「この『古の呪文』は『魔物』も使うって…魔法使いさんは知っているんですね」

魔法使い「故に『汚れた呪文』と呼ばれていること、私は知ってるわ」

僧侶「……そう、ですか…」

魔法使い「………」

僧侶「ねぇ…魔法使いさん、怖く、ないですか…?」

魔法使い「………」

僧侶「魔物と同じ呪文が使えるってことは…魔物に見られるかもしれないって事ですよ…?」

僧侶「怖く…ないんですか…?」

魔法使い「…そもそも大昔の人は普通に使っていた呪文なのよ?」

魔法使い「後世の怠け者が、自分達に使えない呪文に対して『汚れた呪文』ってレッテル貼っただけよ」

魔法使い「古文書ひっくり返せば魔王側の魔法使いと、人間側の魔法使いの呪文の撃ち合いなんてざらにあるもの」

僧侶「………」

魔法使い「…私はどうしても『古の呪文』を復活させたい。…その為なら恐れられても別に構わないの」

魔法使い「…だから怖くはないわ」

なるほど

僧侶「…強いんですね、魔法使いさんは…」

魔法使い「………」






僧侶「――『ホイミ』」

ポワワワァァァ…

魔法使い「………」

僧侶「…驚かないんですか?」

魔法使い「…ええ」

魔法使い「僧侶さんは顔に出やすいから」

僧侶「…そうですね。最初にメモを見た時、わたしも驚いちゃいましたから」

魔法使い「一体どこで覚えたの?」

僧侶「わたしは母から教わりました。母はお祖母様から」

魔法使い「僧侶さんも先祖代々って感じね」

僧侶「…ただもう人前で使うことはないと思っていました」

魔法使い「…『汚れた呪文』だから?」

僧侶「…ええ。わたしも母も、この力のせいでつらい目に遭いましたから…」

魔法使い「…そう」

僧侶「魔法使いさんっ」ズイッ

魔法使い「な、何よ」

僧侶「どうしたら魔法使いさんみたいに強く心を持てますか!?」

魔法使い「僧侶さん…」

僧侶「わたし…もしそういう目で見られたらと思うと怖くて…っ」フルフル

魔法使い「………」

僧侶「どうしたらっ…どうしたらわたしっ…!」

魔法使い「………」

魔法使い「そうね」

魔法使い「まずはあなたがどうしたいか、よ」ナデ

僧侶「…え?」

魔法使い「私は私のやりたいことを分かってるわ」

魔法使い「私は魔法の全てを学びたい。知的探究心の赴くままにね」

魔法使い「…その為に何をすべきか、それを考えて生きてるだけ」

僧侶「………」

魔法使い「あなたは何をしたいの?何の為に戦うの?」

僧侶「…わ、わたしは…」

僧侶「………」

僧侶「わからない、です…」

良いね良いね!

大王グウィンはかつて勇者ロトと呼ばれていた
なんかいいなこれ

グウィンでダクソ思い出した ちょっと暗月してくる

魔法使い「…一歩前進ね」ポン

僧侶「…え?」

魔法使い「これでようやく僧侶さんはスタートラインに立てたってことよ」

僧侶「え、え?」

魔法使い「今までのあなたは、ただ恐れていただけ」

魔法使い「『わからない』ってことすら自覚してなかったんだから」

僧侶「!」

魔法使い「目的も信念もないなら、怖くてそりゃ当然よ」

魔法使い「何の支えも道もないまま、目隠しして前に進むのと同じだもの」

魔法使い「…まずはあなたの、あなただけの目標を探すといいわ」

僧侶「…はいっ!」

僧侶「……あの、魔法使いさん」

魔法使い「何?」

僧侶「ありがとうございます!」ペコリ

魔法使い「お礼の言葉なんていらないわよ」

僧侶「でもわたしっ」

魔法使い「…『お礼』は欲しいけどね」

ガシッ

僧侶「…へ?」

魔法使い「お礼の気持ちはいらないからっ!『ホイミ』について詳しく教えてっ!」フシュー

僧侶「………」

――――――――
――――


――辺境の村

屈強な戦士「ひっ…腕がぁぁっ…て、手がぁぁぁッッ!!」ズシャー

黒コート「……ふっ」―ヒィンッ

ザンッッ

屈強な戦士「こ、こここ今度は足があぁっ!?熱い…熱いよぉぉぉ!!」ズリズリ

ズチャッ…

ズチャッ…

黒コート「…………」

屈強な戦士「! ひ、ひっ、ひぃいぃぃぃ!頼む!命だけはっ!命だけは助けてくれぇ!」

黒コート「…………」キンッ

屈強な戦士「こ、故郷で俺の帰りを待ってる妻と子どもがいるんだよぉ!子供は三人もいるんだ!待ってるんだよ俺をォ!!」

ズチャッ

黒コート「…………」シュラーーーーッ…

屈強な戦士「だっ、だあっ、た、頼む!この通りだから!もうあんたに反抗しようなんかこれっぽっちも…!」

黒コート「……ふっ」― ヒィンッ

屈強な戦士「ひいいいぃいぃぃぃいいぃぃぃぃッッ!!!」



屈強な戦士「……………………え?」チラッ

―ピタァ

黒コート「……言え」

屈強な戦士「な、何を…?」

グッ

…ツツー

屈強な戦士「ぐっ、うっ……ッ!!」

黒コート「『屈強な戦士』の、場所を、言え」

ググッ

…ツツーー

屈強な戦士「あ…ぐっ…フッ、フッ、そ、それは、お、俺だ、俺、なんだ、よ…ぉ」カタカタ

グイッッ!

ブツッ

屈強な戦士「ぐぎぃっ!?ひっ、ひぃぃい…ぃいぃぃ!」

黒コート「庇い立てするなら、斬る」

屈強な戦士「ぢ、ぢがうんだよお俺がぞうなんだよぉ」ボロボロ

屈強な戦士「ま、魔王領近ぐの村の警備ばがねがよぐっでよぉ…」ボロボロ

屈強な戦士「ぞれで、ぞれでおでがぁ…あぁ…あああぁぁぁぁ!?」ボロボロ

黒コート「…………」

黒コート「……こいつが、屈強な、戦士?」

黒コート「…………」

ポツ ポツ …

ポツポツポツ…

ザアァァァァァ…

黒コート「………ッ!」ギリィ

ドゴァッ!

屈強な戦士「ひっぎっい”ぃぃぃ!!」ビクッ

黒コート「……くだらんッ!くだらんぞォッ!」バッ

――ギンッ――

黒コート「――『イオラ』!!!!」

カッ

ゾンビナイト「………。 ――――」
村人「…!……!――――」
村娘「………――」

ネクロマンサー「…………?――――」
村長「…!!――――――」

ガーゴイル「……!…!――――――」
心折れた僧侶「…………――――」
祝福を受けた騎士「……!………!…………!!――――――」

ヒュオッ!

ドッ ゴォォォォォォォォォォォ―――


パラ…パラ…パラ…

ドシャッ…ズシャッ…

ゴドンッ…

――――
――

なんかえらくシリアスなノリになってきたぞ

これは格ゲー対RPGの戦い的な展開か!?

そろそろ気の要素が出てくる予感

ハドウケン!

メッサツゴウショウリュウ !

ミソギ!

――――

ヒュォォォォォ……

黒コート「…………」

スッ

メイド「……若、こちらにおいででしたか」

黒コート「……メイドか。……ここまで何をしに来た」

メイド「伝令にございます」スッ

カサッ

黒コート「……あの女狐め。何日遅れだと思っているのだ……!」クシャ

メイド「…………」

黒コート「城に帰還する。……騎竜の用意は?」

メイド「あちらに」

黒コート「…………」ザッ

あくましんかん「ああっ、これは魔将軍さま!ご命令通り傷の浅い魔物たちを隊ごとに分け、残党狩――」

黒コート「これより帰還する。お前達もただちに兵舎に戻れ」ザッ

あくましんかん「は、はぁ。……し、しかしまだ人間共を――」

黒コート「……俺に二度も同じ言葉を言わせるつもりか?」

あくましんかん「い、いえっ!滅相もございません!全隊ただちに帰還致しますっ!ではっ!」

ダダダッ……

黒コート「……行くぞ、メイド」

メイド「はい、若」

黒コート「……メイド、戦場で若と呼ぶのはやめろ」

メイド「は。失礼致しました……魔将軍さま」ペコリ

魔将軍「……分かれば良い。急ぐぞ、本来は3日前に終わっているはずの会議だ」

メイド「は。……では私はお先に失礼致します。また後ほど」

フッ

魔将軍「…………」ザッ

――魔王城 謁見の間

「ヒッヒッヒ、相変わらず見目麗しゅうございますな」

「心にもないことを言うでない。虫唾が走るわ」

「これはこれは随分とまた手厳しい。偽らざるワシの本心ですぞ?」

「ふんっ。此方は御主と同じ空気を吸うておるかと思うだけで……ああ不愉快で仕方ないのじゃ!」

「ハッハッハッ!戯れるのは良いがお二方、魔王さまの御前ですぞ。少々控えなされい」

「…………」

――バァンッ

魔将軍「……ただいま討伐任務より帰還しました」

「おぉ!」

魔将軍「…………」

「久方振りじゃのぅ魔将軍。相変わらず惚れ惚れする程のイイ男じゃ♪」

魔将軍「……魔妖女殿、貴女の到着は3日前のはずだが」

魔妖女「ホホ。高貴な者には高貴な者なりの準備が必要なのじゃよ」

魔妖女「それに此方は女子じゃ、何故時間がかかったか聞くのは野暮というものよ」

魔将軍「……それは失礼した」

魔妖女「良い良い。高貴で強いそなたは特別に許すぞ♪」

魔将軍「…………」

「ハッハッハッ!流石の魔将軍殿と云えど、女子の扱いは苦手と見えますな!」

魔将軍「……まったくもって興味がないものでな、魔竜人」

魔竜人「それは実に勿体ない。時に鱗を焦がす程の恋は実にいいものですぞ?」

魔妖女「魔竜人の言う通りじゃ。どうじゃ?そなたさえ良ければ此方が――」

「ヒッヒッヒッ。魔将軍様は何よりも強さを求めるお方ですからな。恋に割く時があれば鍛錬を重ねるでしょう」

魔妖女「此方の話の邪魔をするでないわ魔学者っ!」

魔学者「ああ、これはまた失礼を。申し訳ありませんなぁ。ヒッヒッヒッ」

魔将軍「……まぁ魔学者の言う事は間違っていないがな」

魔妖女「……ふむぅ。そなたがそう言うのであれば仕方ないのう」


魔将軍「…………」チラッ

黒騎士「…………」コクリ

ガコンッ……

ズズズズズズ……


魔将軍「父上、四天王全員揃いましてございます」


魔王『…………』シュー コー

コポ……コポポポッ……

魔王『……会議を……始めよ……』


四天王「「「「はっ!」」」」

――――

魔王『……余の……杞憂であったか……』

魔将軍「は。屈強な戦士とその一味、父上の仰るような『勇者』の強さは持ちあわせておりませんでした」

魔王『……ならば……良い……』

魔将軍「村で捉えた人間は通例通り、魔妖女と魔学者に引き渡す手筈となっております」

魔妖女「ホホ。此方の奴隷がまた増えて何よりじゃ」

魔学者「ヒッヒッヒ。研究がまた捗りますなぁ」

魔将軍「…………」チラッ


魔学者「は。研究は順調に進んでおりますぞ。人間を実験台にした新薬で、魔王軍は更なる力を手に入れるでしょうな」

魔妖女「こちらも勿論順調じゃ。此方の『魅惑《チャーム》』で洗脳した人間を、各地の要所に潜り込ませておる。此方の美貌は罪じゃのぅ』

魔竜人「…………」


魔将軍「……どうした魔竜人」

魔竜人「……皆様にお耳に入れていただきたい事がございます」

魔竜人「我ら『竜の宅急便』ネットワークによる、一番新しい各地の記録が届いたのですが……」

魔将軍「それなら先ほど目を通した。大小失ったものはあれど、別段変わったことはなかったように思うが……」

魔竜人「……何らかの調査の手違いの可能性を鑑み、部下と共に確認をしておりましてな。……ここへ」

ガラガラガラ……


魔竜人「良い。下がれ」

竜兵「はっ!」

魔学者「……はて、この紙の山は何ですかな?」


魔竜人「……全て我が魔王軍の被害記録でございます」

魔将軍「……何?」

魔妖女「……何と」

魔王『…………』シュー コー

魔将軍「……どこぞの将が痺れを切らして戦でも仕掛けたか」ギリッ

魔学者「しかし何ともはや……これだけの被害の量は何百年振りですかな」

魔将軍「…………」ガタッ

魔妖女「そなた、どこへ行くのじゃ?」

魔将軍「……無論、決まっている」

魔竜人「お気持ちは分かりますが魔将軍殿、どこにも戦は起こっておりませぬ」

魔将軍「……どういう事だ」

魔竜人「これだけの被害、戦と勘違いするの無理はありませぬ」

魔竜人「それにもし戦であればこの魔竜人、3日と会議を待たずして特使を飛ばしております」

魔妖女「……戦ではない、それは確かなのかえ?」

魔竜人「我が逆鱗に掛けて。魔妖女殿の密偵からも開戦の知らせは届いておりませぬ」

魔妖女「なるほど。では確かじゃのぅ」

魔学者「しかしそうなるとこの被害の量の説明が付かないですな」

魔竜人「実はこの報告……全て王都付近の街道の被害でしてな」

魔将軍「……馬鹿な!?」

魔学者「……王都の軍隊が動いたということですかな?」

魔妖女「それはありえんのぅ。王都には特に多く密偵を潜らせておるからの」

ガサッ

魔学者「ふむ……スライム1231匹、ホイミスライム794匹、バブルスライム290匹……」

魔妖女「がいこつへい124匹、くさったいしたい92匹、トロル43匹……まだまだあるのぅ」

魔将軍「尋常ではない被害の量だな……これではこの付近の立て直しはかなり難しいか……」

魔竜人「……立て直すこと自体は、それ程難しいことではないかもしれませぬな」

魔将軍「……?」

魔竜人「というのもこれらの被害全て……『負傷』の記録なのです」

魔将軍「負傷……だと?」

魔王『…………』シュー コー

まぁサムスピシリーズでもなければ死ぬような描写ほぼ無いしな

格ゲーすげぇな

魔竜人「大変奇妙な話ではあるのですが……死亡した者は一人もいないとの報告で」

魔学者「……ほほう。それは興味深いですな」

魔妖女「倒した此方らの同胞にトドメも刺さずに、のぅ。……不気味じゃ」

魔竜人「故に立て直し自体は難しい事ではないと存じまする」

魔将軍「……しかし異常な事態には変わりないな。魔竜人、他に情報はないのか?」

魔竜人「は。即席ではありますがこのような物を作成致しましたぞ」

魔学者「これは王都付近の地図ですな。……この円は……察するに被害の範囲ですかな?」

魔竜人「お見事。いやはや、魔学者殿の慧眼には敵いませぬな」ハッハッハッ

魔妖女「そこの狸爺に媚びを売る必要などないわ魔竜人。ほれ、早う説明せい」

魔竜人「魔学者殿の仰る通り、この円は被害の範囲を簡易的に記したもの。これは一番最初の被害の範囲の地図。そして――」

ガサッ

魔竜人「これが数週間の被害の範囲を重ねたものになりますな」

魔将軍「……徐々に西へ向かっているな」

魔妖女「それも少しづつではあるが、円が大きくなっておるの」

魔竜人「急ごしらえ故、いささか精密さには欠けますが……概ねご両人の仰った通りかと」

だめだ魔幼女にしか見えない

魔竜人「ただ先ほど申し上げた通り……大規模な軍、又は騎士団、自警団等が動いた報告は上がっておりませぬ」

魔学者「……襲われた同胞の調書はまだ上がってきてないのですかな?」

魔竜人「ただいま伝令を飛ばし、急ぎ調書を取り作らせている次第で」

魔妖女「……この円、ここでふっつり途切れておるがどうなっておるのじゃ?」

魔竜人「この付近はあまり人間の通らぬ場所ですからな。情報の収集に少々時間がかかっております」

魔将軍「……円の向かう方角の先に……砂漠の街があるな」

魔妖女「……む」

魔学者「ほほう、それはそれは!よりによって魔妖女殿が攻略中の街ではないですか。ヒッヒッヒッ」

魔妖女「……まだ何とも言えぬではないか。この円が消えた位置から北上したら御主も笑ってはいられまいに」

魔学者「ヒヒッ、それはワシとて有難くない話ですなぁ」

魔将軍「……だが用心に越した事はないぞ魔妖女。……我々に敵対する『未知』の力が西に向かっているのは確かだからだ」

魔妖女「分かっておる!油断など毛頭しておらんわ!」

コポ……コポポポッ……

魔王『……魔妖女よ……』

魔妖女「は。魔王さま」

魔王『……砂漠の街の攻略に加え……未知の力を調査し……殲滅する任を与える……』

魔妖女「はっ!」

魔王『……魔妖女を除く四天王も……力を合わせ……之に警戒せよ……』

四天王「「「「ははッ!」」」」

魔王『……余に抵抗する……すべての者は……この世から消し去らねばならぬ……』

ゴポッ……ゴポポッ……

魔王『……グッ……ヌゥ……』

魔学者「……魔王さま、そろそろお休みになられたほうがよろしいかと……」

魔王『……そう……すると……しよう……』

黒騎士「…………」コクリ

ガコンッ

ズズズズズズ……

黒騎士がダクソのあいつにしかもう見えない

>>545
格ゲーで考えたらかなりの雑魚じゃね?

>>546
パリィできるとか強くね?

>>547
上級者が使う肉彦のえげつなさ

>>546
持ってるのが残光でブンブンされたり
女神とかエリザベスモシャモシャされて
しかも銀騎士の盾もってたら恐怖やん
指輪が雷宝石と狼とかだったらもう…

>>549
物理カット率100%とか…

>>550
残光ブンブンされたら出血してHPゴリゴリ削れるしな

アルカプ仕様のリュウだったらどうなるんだ

ライトザライトニング!!

ライドだろ

L>M>H>6H>S>JM>JM>JH>214H(5hit)>236ATKATK

最初これが呪文のように見えた

今のはメラではない、ガンフレイムだ

当身でズェア!するのか
怖ッ
もしくはGETB決めるのか
怖ッ
どっちにしろ大ダメージor即死じゃねぇか 怖ッ

ライドだった

ライトザライドニング!!

――――――――
――――

勇者「……よし、やめ!」

僧侶「へにゃぁ~……」クテン

女戦士「ぶへー……」ドサッ

魔法使い「ふぅ……」ノビッ

勇者「きっちり『しゃがみパンチ』10000回。終わったようだな」

僧侶「も、もうわたじ一歩も動げないでず……」

女戦士「あたしは暇で暇で仕方がなかったよ……」

魔法使い「…………」カキカキ

女戦士「なぁ勇者ぁ、この修業に一体どんな意味があるんだ?延々と丸太殴り続けてさー」

魔法使い「弟子は黙って師匠の言う事を聞くものよ。要は基礎でしょ勇者?」

勇者「その通り。この訓練がやがて己の血となり、肉となるのだ」

女戦士「とは言ってもさ、なんか地味なんだよコレ。あたしが習いたいのはもうなんつーか超ド派手な必殺技みたいなのを……」

勇者「まぁ確かに地味ではある。が、このしゃがみパンチ、中々どうして……侮れない技だぞ?」

シュッ シュッ

女戦士「……こんな重さもない軽いパンチが?」

勇者「試してみるか女戦士」

女戦士「お!いいね!稽古なら大歓迎だ!」グルグル

――――

魔法使い「…………」カキカキ

僧侶「……むにゃ……」スピー

勇者「まずは女戦士、私に思う存分しゃがみパンチしてくれ」

女戦士「おっ、いいのか?」

勇者「最初の一撃『だけ』はガードをしない」

女戦士「へっへー、勇者にはボコボコにされてばっかりだからな。そういう事ならありがたく――」

女戦士「やらせてもらうぜぇ!」シュッ

ペチッ
勇者「く」

女戦士「当たった!続けてぇ……オラオラオラオラオラァ!」シュシュシュシュシュシュシュ

ガガガガガガガ

女戦士「あ……」

勇者「キレのあるいいしゃがみパンチだな」

女戦士「……ここぞとばかりにペチペチ当ててやろうと思ったのに……」

勇者「今度は私の番だ。同じように最初の一撃だけは受けてもらう」

女戦士「おう。まぁあたしも勇者と同じでガードすりゃいいんだろ?楽勝だな」

勇者「…………」スッ

シュッ ペチッ
女戦士「あ痛っ」

ペチペチペチペチペチペチペチ……

女戦士「ちょっ!痛っ!待っ、何っ、でっガーっ、痛い痛いっ!」

ペチペチペチペチペチペチペチ……

女戦士「やめっ……たんっ……うわぁぁぁぁぁ!」

――――

ガクッ

女戦士「む、無限に殴られ続けるかと思った……」ハァハァ

魔法使い「……何故?」

勇者「む?」

魔法使い「あなたのパンチと女戦士のパンチのキレにさほど差はないように見える」

勇者「実際差はないな。威力としては女戦士の方が上かもしれん」

勇者「――が、タイミングは違う」

女戦士「タ、タイミング?」

勇者「女戦士のパンチは確かに早いが……打つタイミングはバラバラなんだ」

勇者「だがそのタイミングを一定間隔で、一定の早さで、一定の威力で放ったなら……」

勇者「今のように相手にくらわせ続けることも可能となる」

魔法使い「!……なるほど」

女戦士「なんだなんだ?分かったのかよ魔法使い」

魔法使い「【のけぞり】」

勇者「……正解だ魔法使い」

魔法使い「しゃがみパンチを出した硬直よりも【のけぞり】の方がほんの少しだけ長いのね」

魔法使い「だから相手がのけぞってる内に次のしゃがみパンチを出せば……ほら」

女戦士「!……当て続けることが出来るってわけか!」

勇者「それをカクゲーでは【目押し】と呼ぶ。単純ながら非常に高度な技術だ」

女戦士「……ようやく分かったぜ。丸太の修行の真意」

魔法使い「結局【目押し】できるかどうかは自分のパンチの早さ、硬直を分かってない限りできやしない」

女戦士「何十、何百、何千、何万と打ち続ける事でそれを体で覚えるってわけか……」

勇者「……こればっかりは、頭で分かっていたところでどうしようもないからな」

シュッ

女戦士「こんなパンチがねぇ……」

勇者「次から魔物と戦う時は意識してみるといい」

魔法使い「ええ。そうするわ」カキカキ


僧侶「もう……食べられないですよぅ、えへへ……」スピー

待ちガイル……!?なんて危険な戦法を(三次元な意味で)

ジョイヤー

攻めガイルほどイヤラシイものも無いと思う

ああ・・・次は小足だ

無印ストⅡの待ちガイルほど嫌なものはなかったぞ(´Д`)

どうした

メッサツゴウショウリュウ

――――

勇者「違う。小足と小パンの役割は全然違うぞ女戦士――」

女戦士「同じ出の早い通常技だろ?だったらどっちでも――」

魔法使い「だからあんたの連携は全部立ちガード安定なのよ――」

僧侶「小パンよりも小足の方が硬直が少ないなら問題は……あ!」

ダダッ

僧侶「勇者さん!勇者さーーーーんっ!」ブンブン

勇者「どうした僧侶さん。急に走りだして……おお」

女戦士「そんなに跳ねたらまたこけ……おおっ!」

魔法使い「……思ったより早く着いたわね」

僧侶「すごいです!見たこともない建物がたくさんありますよ!」

勇者「『砂漠の街』。大きい街だとは聞いていたがこれ程とは……」

――――

「いらっしゃーい!水が安いよー!ウチが一番安いよー!」

「南で採れた珍しいフルーツはいかがかなー!味は領主様のお墨付きだぁ!」

「肉肉肉!肉はいらんかねー!今なら何と一割引きだぁ!お買い得だぜ奥さん!」

「青銅なんて最早時代遅れ!鉄!これからは鉄の時代!同じ重さで防御力が段違いだよ旦那ー!」

「バクシーシ!バクシーシ!なぁ旦那恵んでくれよー!金持ってるんだろ?銅貨一枚くらい恵んでおくれよー!」

「手前それ以上こっちに軒先伸ばしてみろ!腕ごと叩き斬ってウチの居間に飾るぞクソ野郎!」

「へっへっへ。どうです?うちはべっぴんさんたぁくさん抑えてるんで選び放題ですぜぇ?」

「喧嘩だ喧嘩だ!冒険者が親分に喧嘩売りやがった!こいつぁすげぇ見世物になるぜぇ!」

ワイワイガヤガヤ…


勇者「」
僧侶「」

女戦士「あ?どうした二人共?」

魔法使い「ボサッと突っ立ってるとスリにカモられるわよ」

勇者「い、いや……その何というか……」

僧侶「ね、熱気が凄まじいです……」

女戦士「そうか?デッカい街ならこんなもんだと思うが……あぁ」ポン

魔法使い「……二人共王都以外の街は初めて?」

勇者「ああ」

僧侶「お、同じくです」

女戦士「なら驚いてもしゃーないな。あたしにゃ王都は上品すぎる位だから、こっちが普通だ」

魔法使い「ここは大陸の中央に位置していて、交易路が何本も伸びてるから」

勇者「……だからこんなに活気に溢れているのだな」

僧侶「美味しそうな匂いがいっぱいします……」ダラー

魔法使い「まずは宿を押さえましょう、日が傾く前に」

女戦士「宿なんかどこでもいいじゃんよ。飯にしようぜ飯に」

行商人「おおそこの男前なお兄さん!薬草はいらないかい?今ならまとめ買いでうんと安く――」

勇者「ん?」

僧侶「……あれ?」

女戦士「んー?」

行商人「――はて。あんたどこかで見た顔だねぇ……ってああ!」

行商人「勇者志望の兄ちゃん!」
勇者「確か行商の……」
僧侶「行商人のおじさん!」
女戦士「行商人のおっちゃん!」

魔法使い「?」

――――

行商人「そうかいそうかい。あんたら4人パーティーになったのかい」

勇者「その節はどうも。おかげで勇者になれました」

僧侶「わたしも、あの時は商売の邪魔してすみませんでした」

行商人「いやぁ何々、俺としちゃぁ厄介な客を払えて――」

女戦士「おっちゃん!薬草のくくった奴を1ゴールドで売ってくれよぉ!」

行商人「――なかったよトホホ。あんたに説明しただろ!1ゴールドじゃ薬草一つも買えないよ!」

女戦士「そこを何とか!な?」

魔法使い「…………」

魔法使い「……ねぇ、話の腰を折るようで悪いのだけれど」

行商人「っとっと、はいはい何でしょお姉さん!」


女戦士「あたしの話もがぁぁぁ!」ジタバタ

勇者「ちょっとおとなしくしててくれ女戦士」

魔法使い「あなた王都で行商してたんでしょう?」

行商人「へい、まさにその通りで」

魔法使い「どうやってここまで来れたの?北の街を経由してたんじゃこんなに早くは――」

行商人「いえ、まさに仰る通りなんですがね、ちょっと街道で不思議な事が起こっておりまして」

魔法使い「……不思議な事?」

行商人「ほんの数週間前までは、王都から砂漠の街への街道は魔物だらけで、とても俺達みてぇな行商は通れなかったんですが……」

行商人「何の前触れもなく、街道の魔物がごっさりいなくなっちまったんですよ」

魔法使い「……!」

行商人「馬車で駆け抜ければ、何とか無事に通り抜けられるようになったんで、俺もそれに便乗してここまで来たわけです」

行商人「おかげで植物が育ちにくいここの土地柄と合わさって、俺の薬草商売大繁盛!!ってなもんでして、へい」

魔法使い「……ありがとう。薬草の天日干しをいただこうかしら」

行商人「へぇへぇ毎度ありです!量はどれくらいにしましょうか?」

魔法使い「あるだけ全て頂戴」

行商人「へぇ、全部ですね……全部!?へぇ……ま、まぁ全部、と」

魔法使い「後で宿に届けて欲しいの。前金はこれだけ渡しておくわね」

――――

女戦士「なんでぇなんでぇ、結局魔法使いはお客様扱いで、あたしは邪魔者かよ」

勇者「高額な商品を大量に勝ったのだから、扱いが違っても仕方ないだろう」

僧侶「お肉……フルーツ……ソーダ水……どれを……どれから……」ダラー

ザッ

魔法使い「……皆、飯も買い物も全部後回しにして宿探しよ」

女戦士「えー腹ペコだから先に――」

魔法使い「――先に……宿を押さえる必要があるの」

勇者「…………」

勇者「……分かった」

魔法使い「なるべく門に近い場所の、かつ2階の宿屋にして。最悪1部屋でも構わないから」

女戦士「……了解」

僧侶「分かりました!」

魔法使い「……そうね」

魔法使い「30分後にこの場所に集合。各自寄り道はしないようにね」

北か( ゚Д゚)

キャラ選択の時のBGMが流れるな

おいついてしまった

――――

魔法使い「率直に言うと……私たち、修行しすぎたわ」

女戦士「あ?それのどこが悪いんだよ」

僧侶「……女戦士さんお酒臭いでふ」

女戦士「時間あったから、ちょっと一杯」ヘヘッ

勇者「そこまで無理のある指導はしてなかったつもりだが……」

魔法使い「そういう意味じゃなくて……魔物を狩りすぎたってことよ」

僧侶「……狩りすぎですか?」

魔法使い「行商人のおじさんが教えてくれたわ。……前より街道が安全になったからここへ直通で来れたって」

僧侶「……?安全になったのならいいのでは……?」

魔法使い「前も言ったけど、私たちの行動は表立ってするものじゃないわ」

勇者「……修行の結果、目立たないようにとったルートが目立つようになってしまった」

魔法使い「その通り。しかもこの街は更に深刻な問題も抱えてる」

女戦士「……酒場で聞いたな。確か四天王の一角がどうとか」

魔法使い「四天王の紅一点……魔妖女が西の遺跡に陣取ってるらしいわ」

女戦士「げ……酔っぱらいのホラじゃなかったのかよ」

魔法使い「裏は取れてる。実際街の住民がさらわれてるみたいだし」

女戦士「さらわれてるって……侵攻してきてるんじゃないのか?」

魔法使い「違うみたいよ。遺跡に居を構えてから随分経つみたいだけど」

女戦士「かえって不気味だな。……酔いが冷めてきた」

魔法使い「とにかくこの街に長居するメリットはないわ。明日にでもここを発ちましょう」

僧侶「え……?」

勇者「…………」

魔法使い「厄介事を抱え込む前にさっさと――」

コンコン

魔法使い「…………」

僧侶「はーい、どちらさんですかー?」

『領主の使いの者です。女戦士様の部屋はこちらでよろしいでしょうか?』

魔法使い「……女戦士」

女戦士「……あたし?」

お、きてる

魔法使い「まさか無銭飲食とか……」

女戦士「んなことするかよ!普段どんな目であたしを見てるんだお前は!」

僧侶「と、とりあえずお通ししますね」

ガチャッ

使者「夜分遅くに大変申し訳ありません」

女戦士「……で、あたしに用ってのは?」

使者「女戦士様、あなたの武勲を見込んで領主様の使いとして参りました」

女戦士「武勲?」

使者「はい。街道の魔物を根こそぎ討伐なさったのは女戦士様の一行との話が領主様の耳に入りまして」

女戦士「……あ」

魔法使い「…………」

女戦士「え……と、アハハー、酒が入ると、その、なぁ……」

勇者「立ったままでは何ですから、こちらへお掛けください」

使者「ご丁寧にありがとうございます」

――――

使者「この街に貢献した英雄を招待し、晩餐を行いたいとの領主様のお言葉でございます」

僧侶「ば、晩餐って美味しい料理がたくさん出るんですよね!?」

使者「戦時で材料は不足しがちではありますが、当街自慢の料理人が腕を奮って作るものです。味に間違いはないでしょう」

女戦士「……さ、酒は?」

使者「自慢の地酒、それも年代物をいくつか。交易品で得た地方のお酒などもございます」

魔法使い「……それで、狙いは何かしら?」

使者「……狙い、と申しますと?」

魔法使い「晩餐で終わりって事はないでしょう。あんたの領主様が頼みたいことが別にあるんじゃないの?」

使者「……私めでは領主様の考えなど及びもつかない次第で」

魔法使い「……そう」

使者「……仮にこの晩餐に招待されたからと言って、頼みを強制させる程、我が領主は器の小さい人ではありません」

使者「……これだけは確かなことです」

魔法使い「…………」

勇者「……分かりました。招待を受けましょう」

使者「おお!それはそれは!早速伝えて参ります!

使者「外にラクダを4頭とめてありますので、そちらで領主様の館へどうぞ」

バタンッ

魔法使い「……何故受けたの?」

勇者「この街がどれほどの危機に陥っているのか、それを聞くには一番手っ取り早いと思ってな」

魔法使い「まさかあなた、この街助けるつもりなの?」

勇者「……それは――」

女戦士『おーい勇者来てみろよー!ラクダって結構早いんだなー!ヒャッホーゥ!』

僧侶『だ、誰かー!と、止め、止めてください~!』

勇者「……それは後にしよう」

魔法使い「……分かったわ」

ラクダって走ったら4~50km出すんだっけ?

魔法には弾抜け出来れば余裕だよね

アレか 精神に攻撃するときはウロボロスッとかいってチェーン飛ばすのか

――――

領主「ほう、それは素晴らしい」

魔法使い「すべて我々のマスターである勇者殿が優秀であるが故です」

領主「いえいえ、あなたの魔法の強さなど私のお抱えの魔術師と比べ物になりませんぞ」

女戦士「ガツガツ、ゴクゴク、バリバリ、ゴッキュゴッキュ」

僧侶「ムシムシ、パクパク、モクモク、ゴッキュケホッ!ゴッキュ」

領主「なるほど。街道の討伐は女戦士殿ではなく主に勇者殿が」

勇者「いえ、皆で一丸となって倒しました」

勇者「またその時点では討伐ではなく、単なる修行の練習相手を探す内に、ですので……」

領主「どちらにせよ、あなた方が成した事は町を生き返らせた」

領主「領主としてもここに暮らす民としても、非常に感謝しております」

魔法使い「……領主さま」

領主「ハハッ、これは魔法使いさん。何でしょう?」

魔法使い「今日このような豪華な晩餐に呼んでくださった、目的は何でしょう」

領主「…………」

――――

領主「単刀直入に申し上げますと、勇者一行さまに助けて欲しい人々がいるのです」

魔法使い「……やっぱりね」ボソッ

領主「西の魔妖女は定期的にこの街の人間をさらっては拠点に篭る生活を続けています」

領主「目的は不明ですが、殺したりせずに奴隷として我々人間を使役しているらしいのです」

領主「どうかお願いします皆様、我が街の民を救ってはいただけないでしょうか」

勇者「……分かりました。引き受けましょう」

領主「おぉぉ!ありがとうございます!今ここにいない民に代わってお礼申し上げます!」

女戦士「やっぱりな。そーぅこなくっちゃ面白くねぇ……ゲフゥッ!」

僧侶「困った人に手を差し伸べてこそ!ですよね!ケプッ」

魔法使い「…………」

領主「つきましては西の遺跡の詳しい地図、目撃者の情報、など。必要なものがあればすぐ用意させますので」

勇者「ありがたい。ではお願いします」

魔法使い「……ねぇ勇者、ちょっと」クイクイ

勇者「……ちょっと席をはずす」ガタッ

来たか( ゚Д゚)









寝たか( ゚Д゚)?

勇者が帰還なさったぞー!

久しぶりすぎて勇者を女の子だと思い込んでた

乙乙

キターーー!…か?

――――

魔法使い「はっきり言って私は反対よ」

勇者「…………」

魔法使い「ここで四天王と接触するメリットがないわ」

魔法使い「考えてみて。魔王城どころか、魔王領にさえ踏み込んでないのに魔妖女と一戦交えたらどうなるのか」

勇者「…………」

魔法使い「……確かに勇者のカクゲーなら倒せるかもしれない。……むしろ勝算はかなりあるわ」

魔法使い「でも魔妖女を討ち取れば、私たちは警戒され、魔王までの道のりは険しくなる」

魔法使い「そしてこの襲撃がバレているなら、既に他の四天王や魔王軍の増援だってこちらに向かっているかもしれない」

魔法使い「最悪、すべての四天王と魔王軍をまとめて相手にしなきゃいけない」

魔法使い「そうなればいくらあなたでも不利だわ。私や女戦士、僧侶さんが加勢したとしてもね」

勇者「…………」

魔法使い「私たちはどうしても数で劣るわ。力押しに対して力押しができないの」

魔法使い「本気で魔王の首を取るなら……少数故の利を活かして――」

魔法使い「悟られぬように近づいて奇襲するしかない」

魔法使い「……だからここで魔妖女にかまけている暇はないはずよ」

魔法使い「一刻も早くここを発って――」

女戦士「そいつはどうかねぇ」ムシャムシャ

魔法使い「……女戦士」

女戦士「四天王ってのは強いし、頭いいんだろ?」

魔法使い「……当然よ」

女戦士「だったら奇襲ってのが成功するかまず分からないじゃねぇか」ムシッ

女戦士「こっそり近づいたつもりで……魔王と四天王が準備万端で待ち構えてるかもしれねぇ」

魔法使い「そんな事言ったらここで戦う方がリスクが――」

女戦士「むしろあたしは今叩くのが正解だと思うぜ」

女戦士「どうせ倒さなきゃならねぇなら今倒す」

女戦士「そして増援が来るなら来る前にぶっ倒す」ムッシムッシ

魔法使い「はぁ!?そんなの確実性がないでしょうよ!」

女戦士「確実性?それを言うなら魔法使いの奇襲にだって確実性はないだろ?」

魔法使い「…………」

女戦士「魔妖女を倒せば、魔王軍の主力を1人確実に削れる」

女戦士「しかも四天王なんて言われてる連中だ」

女戦士「その力のある将を落とせば士気は落ちる」

女戦士「死にたくないのは魔族も人間も同じ」

女戦士「魔王に心酔してる連中はともかく……保身を考える下っ端はどうよ?」

女戦士「四天王を倒した一行が畏怖の対象になるならどうよ?」

女戦士「それなら知れたとしてもメリット足りうるんじゃねぇのか?」

魔法使い「それで警戒されて、全力で待ち伏せをされることがそもそも――」

勇者「二人とも、そこまでだ」

女戦士・魔法使い「…………」

勇者「女戦士と魔法使い、どちらの言い分も間違ってはいない」

勇者「魔法使い、確かに私の目標はあくまで魔王を倒すことだ」

勇者「そしてその目的に僧侶さん、女戦士、魔法使いを付きあわせている」

勇者「……だからここで魔妖女を倒すことは、最終的に魔王を討つことを困難にする選択かもしれない」

魔法使い「……だったら!」

勇者「だが、この街の人を救わないという選択が私にはできない」

魔法使い「……ッ!」

勇者「故に女戦士の言ったような効果があると信じて……魔妖女をここで討つ」

魔法使い「…………」

魔法使い「……そう」

勇者「…………」

魔法使い「分かったわ。それなら――」


魔法使い「ここであなた達とはお別れよ」

勇者「…………」

女戦士「……あ?」

魔法使い「これ以上一緒に冒険できないと、そう言ったの」

女戦士「てめぇ!」

勇者「よせ女戦士」

女戦士「ッでもな!」

勇者「さっき言った通り、あくまで私の目標に魔法使いを付きあわせているだけだ」

勇者「それに魔法使いは勇者志願した訳じゃない」

女戦士「……ッ」ギリッ

勇者「私は魔王を倒す為の魔法使いの助言を蹴り、個人的な理由で選択をしたんだ」

女戦士「…………」

女戦士「……分かったよ」

魔法使い「…………」

女戦士「ただな。あたしはそういう意味で怒ったんじゃねぇ」

女戦士「魔法使い、お前とは何とかやっていけそうな気がしてたんだ。何となくだけどな」

魔法使い「…………」

女戦士「……どうやらそれはあたしの見込み違いだったらしい」

女戦士「……じゃぁな」

魔法使い「……ええ。さよなら」

女戦士「……ケッ!」

―ガッシャーン!

僧侶「わわわッ!女戦士さんダメですよ!人の家の置物蹴り飛ばしちゃ!」

女戦士「……ああ、悪かったな」

僧侶「……あの、女戦士さん?」

女戦士「……寝る」

僧侶「は、はい?」

女戦士「腹ァ膨れて酒も飲んだ。だから寝る」

僧侶「わ、分かりました」

女戦士「……先に宿に戻ってるぜ」

僧侶「だったらもう皆さん食べ終わってますし、一緒に――」

スタ スタ スタ

僧侶「あれ、行っちゃった……あ!」

ダダダッ

勇者「勇者さん。そろそろ皆さんで宿の方へ戻りませんか」

勇者「ああ。……僧侶さん、少し話があるんだ」

僧侶「私に?」

勇者…

――――

僧侶「そう、ですか……」

魔法使い「ごめんなさい。こういう形でお別れすることになって」

僧侶「あのっ」

魔法使い「なにかしら?」

僧侶「すべてが終わったら、また会いましょうよ!」

魔法使い「……ええ」

僧侶「約束ですよ!まだ魔法使いさんに聞きたいことたくさんあるんですから!」

魔法使い「ええ、そうね。……本当に」

勇者「私たちは朝早く西の遺跡へ発つ。魔法使いはこれからどうするつもりだ?」

魔法使い「砂漠の街ならではの風土に根ざした文化や、魔術がありそうだから――」

魔法使い「ここに調査の為にしばらく留まろうと思うの」

勇者「分かった」

魔法使い「……薬草の天日干し、今日の夜の内にポーションにしておくわ」

魔法使い「だから、持って行って。そのまま使うよりずっと効果が高いはずだから」

勇者「……ありがとう」

魔法使い「……あと宿には後で戻るわ」

僧侶「え?」

魔法使い「女戦士と、ちょっとね」

僧侶「そ、そうですか……」

僧侶「じゃぁ明日早く出発するらしいので!あ、それとわたし魔法使いさん帰ってくるまで起きてられないので!」

僧侶「今言っておきます!」

僧侶「魔法使いさん、今までありがとうございました!」

魔法使い「……私はお礼言われるようなことは――」

僧侶「いいえ。助けてもらったり、考え方を授けてもらったりでお世話になりっぱなしでした」

魔法使い「…………」

僧侶「これからも魔法、極めてください!無理をしない程度に!」

魔法使い「……ええ、分かったわ」

勇者「私からも礼を言う」

魔法使い「……勇者まで何を」

勇者「魔法使いの分析を元に、新たなコンボができそうなんだ」

魔法使い「分析ってフレームのこと?」

勇者「ああ。1秒を60分割して1フレーム。技の発生が何フレームなのか魔法使いが調べてくれたおかげでな」

魔法使い「……自分が分かりやすいように整えただけよ」

勇者「目押しのコンボの作成が捗るようになった。……ありがとう」

魔法使い「……役に立ったなら、いいけど」

勇者「……達者でな」

魔法使い「……勇者こそ死なないでね。死んだら――」

勇者「分かってる。生きて、また会おう」

勇者「では私は宿に戻る」タッ

僧侶「きっと女戦士さんヤケ酒で、へべれけになってるはずですからね」

魔法使い「……あの」

勇者「ハッ!」

ブモー! パカラッ パカラッ パカラッ…

魔法使い「…………」

完結してくれるよな!

>>607
多分。

筆が遅くてすまん。

――――

『おいガキ。俺は面倒が嫌いなんだ』

『だから一度しか言わねぇ。聞き返したら燃やす。死なない程度にな』

少女『…………』コクコク

『今日からお前に俺の知る知識、生きる術を教えてやる』

『魔法だけじゃねぇ。料理、洗濯、狩猟、農業、漁業……そういうのも全部だ』

少女『…………』コクリ

『覚えなきゃならねぇ事はゴマンとあるが……』

『生きる上で大事なのは二つだけだ』

少女『?』

『一つ目は『金』だ』

少女『……お金』

『金は万能だ。何でも買える。食いもんも買える。服も買える。本も買える』

『言い換えりゃ『時間』を買えるってこった』

少女『……?』

『薬草を種から育てるのと買うのはどっちが早い?』

少女『……買う方』

『だろ?魔法は膨大な学問だ。極めようとするなら一分一秒だって惜しいんだ』

『だから金はたくさん持て。そして買えるもんは全部金で買え』

少女『…………』コクリ

『二つ目はもっと大事だ。『借りるな』。まんまだ』

『貸しは山のように作れ。そして後でいいようにこっちで料理すれば儲かる』

『ただな、借りだけは絶対に作るな』

『止むに止まれず借りたとしてたら、目的果たしてすぐ返せ』

『借りは時にお前のチャンスを奪いにやってくる』

『それが嫌なら借りるな。借りたらすぐ返せ。でないと……』

少女『……もやす』ガクガク

『よくわかってるじゃねぇか。んじゃまぁ早速授業を始めよう――』

――――――――
――――
――

――――

チュンチュン

魔法使い「…………」ムクリ

魔法使い「……夢か」

魔法使い「……懐かしい夢だったな」

魔法使い「元気にしておられるだろうかお師匠さま……」

魔法使い「あ、勇者には話したっけ――」

シーン…

魔法使い「……そうか。抜けたんだよね」

魔法使い「……アハハ、いもしない勇者に話しかけるなんて軽くホラー……」

魔法使い「…………」

魔法使い「みんなは今頃遺跡で頑張ってるのか……」

魔法使い「…………」

魔法使い「ダメダメ!切り替え切り替え!」パンパンッ

続きまだかな

レバーを左下に入れながら、じっと待つんだ('-ω-)

魔法使い(そう、いつも通り、1人になっただけ)

魔法使い(……それに勇者との貸し借りだってもうない)

魔法使い(カクゲーを教えてもらった代わりに――)

魔法使い(私が知る限りの魔法の情報、成り立ち、体系に至るまで惜しみなく教えたし……)

魔法使い(型ごとに技の速さに微妙に差が出ることに着目して私が分析、フレームという概念も提供したわ)

魔法使い(……ポーションだってタダであげたしね)

魔法使い(…………)

魔法使い(……無駄に長く一緒に居たせいで感傷的になってるだけ)

魔法使い(そう、それだけよ)

魔法使い(…………)

魔法使い(……顔、洗ってこよう)

ゴソゴソ  カサッ

魔法使い(……手紙?)

《 魔法使いへ 》

魔法使い「……勇者の字だ」

 『魔法使いへ』

 『色々伝えたい事があったのだが、女戦士が暴れたり、予定よりも早く準備が整ったりで、時間が取れなかった』

 『だから手紙に記すことにした。見づらい字ですまない』

 『まずはお礼を』

 『魔法使いの考えてくれた【フレーム】。これによってカクゲーは更なる発展を遂げる事は間違いない』

 『今まで曖昧だった速さの基準を数値化する事によって、技の優劣が容易につけられるようになったからだ』

 『感謝してもしきれない。本当にありがとう』


魔法使い(……フフ。当然でしょ。技術なんて最適化してナンボなんだから)カサッ


 『次に、謝罪を』

 『魔法使いの意見を退けてすまなかった』


魔法使い(…………)


 『最終的に女戦士の案を取ったのは、魔王討伐とは関係なく私がこの街を救おうとしているからだ』

 『――魔法使いにはまだ話していなかったかもしれないが……私の村は過去に魔物の群れに襲われたのだ』

魔法使い(!)


 『幼かった私は、何度も思った。力さえあれば、と』


魔法使い(…………)


 『そして、今の私には力がある』

 『私のような思いをこの街の子供に、住民たちにさせたくはない』

 『……すまない、魔法使い』


魔法使い(……勇者)カサッ

魔法使い(……え?)


 『最後に』

 『賞金首の報酬をいつかどこかで返そうと思っていたのだが、中々ものが見当たらなくてな』

 『金品は持っておらず、何故か魔法使いは腕甲を嫌がるしで正直困り果てていたんだ』


魔法使い(……チャラにしてあげたのに、勇者はマジメだね。……腕甲は死んでもいらないけど)

 『そこで名案を思いついた。魔法使いなら絶対に喜ぶ『お礼』だと思ってな』


魔法使い(……! 勇者、こ、これって……まさか……!)


 『察しのいい魔法使いなら分かったはずだ。そう、これは我が故郷への地図だ。目印や難所についても出来るだけ細かく描いたつもりだ』

 『戦い終わったら渡すつもりでいたのだが……実際、何が起こるか分からないからな』

 『これを持って賞金首の件は手打ちにしてもらいたい』

 『里の人間はよそ者に対して警戒する。だから私の名を出すと良い。名は勇者の方ではなく、本名の男の方でないと通じないから注意してくれ』

 『そうすれば中に入り、師匠の許しが出れば里を見て周ることもできるだろう』

 『魔法使いが学べる、あるいは知りたいものがあるかもしれない』


魔法使い(……ゆう、しゃ……)


 『……もうそろそろ行かねばならないようだ』

 『生きてまた会おう。そして何もかもうまくいったその後、魔法使いさえ良ければまた一緒に旅をしよう』

 『いってきます』

 『勇者より』

男前すぎ泣いた

なんで死ぬみたいな雰囲気だしてんだよ!
魔法使いが追っかけちゃうだろ!

勇者が勇者すぎる

マダカナー。

まだマテル

そろそろサマソ

そろそろターンパンチがファイナルまで溜まる

――――

勇者「…………」

女戦士「ん?どうした勇者」

勇者「いや、何でもない」

女戦士「おいおいしっかりしてくれよ。これから敵の本拠地に乗り込むってのに呆けてたら安心して背中任せられないだろうが」

勇者「そうだな。すまなかった」

僧侶「そそっその時はわわわっ、わたしがたたた盾にななな」ガタガタ

女戦士「……なぁ僧侶。何だったら街に残ってても良かったんだぜ?」

僧侶「いっ、いえ!勇者さんにお供するときっ、決めた以上最後までついていきます!」ガクガク

勇者「無理はしないでくれ僧侶さん。『いのちだいじに』、だ」

僧侶「はっ、はい!」

女戦士「たった1人の回復要員だしな。僧侶が欠けたらバランスが悪いし、あたしと勇者と……あ」

勇者「…………」

僧侶「…………」オロオロ

女戦士「……まぁいいや。んで勇者、乗り込むのに何か作戦とかあるか?」

勇者「領主のくれた情報と地図によると遺跡の西側部分に街の人たちが閉じ込められているらしい」カサッ

女戦士「デッケェ宮殿だったんだな。間取りを見る限り、本来召使いとかが寝泊まりする区画か?」

勇者「東側に王の間とあるから恐らくそうだろうな。見れば分かる通り、建物の周りに何もないから非常に見通しがいい」

女戦士「……見つからずに連れ出すのは困難ってワケか。できれば一戦おっ始める前に救出するのがベストなんだがなぁ……」

勇者「そこで私の作戦はこうだ。……真正面から切り込む」

僧侶「えぇぇぇぇ!?勇者さん何言ってるんですか?」

女戦士「あたしは大歓迎の血の毛たっぷりの作戦だな。……が、街の人たちの安全はどうするんだ軍師さん?」

勇者「まず私たちを救出班と陽動班の二手に分けて襲撃」スッ

勇者「陽動班は逃げ回りつつ出来るだけ敵を打ち倒し、敵に増援を呼ばせるように暴れ回る――救出班はその混乱に乗じて西エリアに乗り込み、手薄になった警備を突破し救出」

勇者「安全な場所まで誘導した後、陽動班合流し、大将に仕掛ける」

勇者「……無茶は承知だ。ただ人命を優先するならこの案しかないだろう」

女戦士「勇者、その案に乗ったぜ。少なくともあたしの作戦より勝ち目がありそうだ」

僧侶「女戦士さんの作戦ってどういうのですか?」

女戦士「片っ端から斬る」

僧侶「…………」

戦士の作戦大好きだ

女戦士「で、どう分けるんだ?」

勇者「救出班は目立たない方がいいだろう。だから陽動班が2人で、救出班が1人だ」

女戦士「よっしゃ!暴れる役目はあたしが――」

勇者「女戦士は救出班だ」

女戦士「――ッなンでだよッ!?」

勇者「すまない。……私の体が隠密目的に向いてないから、としか……」

僧侶「確かに勇者さんが戦う時結構音が出ますよね。この前モンスター倒した時も『パコォォォォォンッ!』って凄い音出てましたし」

女戦士「ぐぬぬぬッ!」

勇者「……頼む」

女戦士「ぐっ……分かったよ。あれだぞ、全部倒したりすんなよ。あたしが暴れる分取っとけよな」

僧侶「って待ってください勇者さん!わたし陽動班なんですか!?」

勇者「ああ」

僧侶「あわわわわ……よく考えたら最初からわたし陽動班確定じゃないですか……」ブルブル

勇者「大丈夫。私の命に変えても守り切る」

僧侶「あ……はい……///」

――――

勇者「――オークマン、ブラウニー、それにスライムナイト」

僧侶「基本は【下段ガード】基本は【下段ガード】……」ブツブツ

女戦士「おーおー。思ってたより数揃えてやがるな」

僧侶「攻撃が来ない事を確認して落ち着いて距離を取る……」ブツブツ

勇者「……女戦士」

女戦士「そんな心配そうな声出すなって。荒事には慣れてるし、忍び込むのもこれが初めてってワケじゃない」

勇者「街の人たちを頼む」

女戦士「任しとけ。あたしが行って10分経ったら始めてくれよ」

勇者「了解した」

女戦士「ほんじゃぁチャチャッと終わらせますか」タンッ

ストッ

僧侶「わー、女戦士さん猫みたいですね」

勇者「頼もしい限りだ。……こちらも準備を整えるとしよう」

僧侶「は、はい!」

――――

オークマン「……二日酔いがひどいブヒ。早番なのすっかり忘れてたでブヒ」

シュトッ

オークマン「……ブヒ?」

勇者「いざ尋常に――」スッ

僧侶「しょ、勝負です!」ガクガク

――――

プギィィィィィ…

女戦士「お?おっ始めやがったか」

ガチャッ

スライムナイト「何だぁ?今の叫び声は……って……」

女戦士「よっ」

スライムナイト「し、侵入――」

ドゴォッ

女戦士「――っと、駆けつけるならあっちにな」

――――

女戦士「ええっと確かこっちの廊下を……」

ガタッ

女戦士「――ッ」チキッ

――ヒュッ

「ひっ……!」

女戦士「ッと……何だ?子ども?」

「こ、ころさないで……」

女戦士「あぁ、悪い悪い。てっきりモンスターかと思ったからよ」

「……おねぇちゃん、だれなの?」

女戦士「あたしは女戦士。お嬢ちゃんは?」

「わたし、幼女っていうの……」

女戦士「幼女ちゃん、あたしは敵じゃない。街の人たちを助けに来たのさ」

幼女「ほっ、ほんとう!?」

女戦士「本当だよ。幼女ちゃんは何でこんなところにいるんだ?」

幼女「……わたし、からだがちいさいから、おりをすりぬけて、それで……」

女戦士「助けを求めようとしたんだな?」

幼女「……うん」

女戦士「偉いな。でも姉ちゃんが来たからにはもう安心だ」ナデナデ

幼女「うん!」

女戦士「幼女ちゃん、街の人たちが捕まってるところまで案内できるか?」

幼女「できるよ。こっち!」タッ

――――

テクテク

女戦士「なぁ幼女ちゃん」

幼女「なぁに?」

女戦士「街の人たちは無事なのか?」

幼女「うん。でもこわいひとたちに、しぬまではたらかされるっていわれてて、みんなかなしいの」

女戦士「……ひどいな。早く助けてあげないとな」

幼女「おねぇちゃんがきてくれてよかった」

テクテク

幼女「おねぇちゃんはひとりできたの?」

女戦士「いんや。仲間と一緒に来たよ」

幼女「……いないよ?」キョロキョロ

女戦士「ここにはな。今幼女ちゃん達を救うのに二手に別れてるのさ」

幼女「いっぱい?たすけてくれるひとたくさんいるの?」

女戦士「あたし含めて3人だよ」

幼女「……すくないね」

女戦士「まぁ多くはないけどな。でもな、強いし頼りになる仲間たちだぜ?……まぁ1人はちょっと頼りないんだけど」

幼女「おねぇちゃんよりつよいの?」

女戦士「……うーん、悔しいけど……あたしより遥かに強いな」

幼女「おねぇちゃんすごくつよそうなのに」

女戦士「ハハッ、こう見えてもドラゴン位なら倒せるんだぜ?」チキンッ

幼女「それはかなりのもさだね。あたまはよわそうだけど」

女戦士「まぁ確かに頭は良く……ん?」

やっぱり…

魔よう女だったか

ほう……

幼女「こっちははずれかぁ……さかばからのほうこくにあったじんぶつぞうとそっくりだったのになぁ」

女戦士「……幼女、ちゃん?」


幼女「……気味が悪い呼び方をするでない。虫唾が走るわ」

シュォォォォン…

魔妖女「久し振りに人間になぞ化けたのぅ。……最も此方の腕はまったく鈍っておらんようじゃが」ホホホ

女戦士「てっ、テメェッ!」

魔妖女「此方を手前呼ばわりとはなんと無礼な……」

魔妖女「此方は魔妖女。魔王さまに仕える高貴でまことに美しい魔の眷属ぞ?ここまで来た褒美じゃ、特別に此方を様付けで呼んでも良い――」

女戦士「へっ!丁度いい!手間が省けたぜ!大将首貰い受ける!」チキッ

魔妖女「――此方がまだ喋っているであろう?」

――ビキッ

女戦士「なッ……か、体が動かない……ッ!?」ギシッ

魔妖女「見た目から期待はしておらんが……まったく知性の低い雌猿よのぅ」フワフワ

女戦士「てンめぇ……!あたしに何しやがった」

魔妖女「会った瞬間からお主には強い『魅惑《チャーム》』をかけておる。もう己の意思じゃ指一本動かせぬ、此方の人形じゃ」ホホホ

魔妖女「此方からの質問じゃ。街道付近で此方らの同胞を傷めつけたのはお主らか?」

女戦士「けっ!誰が敵の親玉なんかに――」

魔妖女『 お 主 ら か え ?』

女戦士「ぐっ……そっ、そうだ。あたし、たちがやっ、た……」ギシッ

魔妖女「ほぅほぅ!では、当たりじゃのぅ。これで手柄は此方が独り占めじゃ!」ホホホ

女戦士「クソッ……!」

魔妖女「さて、問題は別の場所で暴れておる人間かの。はて……どうしたものか」

魔妖女「……!」

魔妖女「ほほ、此方はいい考えを思いついたぞ。聞けぃ雌猿」

女戦士「雌猿じゃねぇ!女戦士だ!」

魔妖女「此方にとっては猿じゃ。故に名前など必要ないわ。……宴じゃ。宴を開くのじゃ」

女戦士「……う、宴だぁ?」

魔妖女「砂以外見るものがなくて退屈しておったからのぅ。良い余興じゃ」

女戦士「……何言ってるんだコイツは……」

魔妖女「そうと決まれば急がなければのぅ……」

はよ

――――

勇者「飛燕疾風脚ッ!」ビシッ―

―パコォォォォォン!

オークマンG「プギィィィィィィッ!?」


僧侶「あわわわわわわ!こ、こっち来ないでくださいー!」タッタッタッ

オークマンI「プギィッ!この小娘め!さっきからチョロチョロと逃げ――」

勇者「暫烈拳ッ!」ドゴゴゴゴゴゴゴッ―

オークマンI「ぶっ!ブキィッ!?あぶっ!ぐぶひはァ!」


―パコォォォォォン!!

オークマンI「ぶ、ぶひぃぃぃぃぃぃっ!?」

勇者「……よし。僧侶さん大丈夫か?」

僧侶「何回か鉄球に当たりましたけど、むっ、無傷です!でもすごい怖かったです……」ガクガク

勇者「ケガがないなら良かった。……そろそろ女戦士がこちらに合流する頃合いだと思うんだが――」

「なんとまぁ……此方の親衛隊がぼっこぼこにされているではないか」

勇者「誰だ!」

魔妖女「此方は魔妖女、と紹介するのも飽きたのぅ。まぁ良い。……お主があの雌猿が言って……おった……」

勇者「……雌猿?」

魔妖女「……ふむぅ……ほぉう……これは……」ジロジロ

魔妖女「お主、イ~イ男じゃのぅ♪」


勇者「…………」

僧侶「……は、はい?」

魔妖女「しかも我に遥かに及ばぬとは言えこれだけの豚を蹴散らす実力、実に見事じゃ」ホホホ

魔妖女「……のぅお主、此方に仕えてみる気はないかの?」

僧侶「なっ、何言ってるんですかあなたッ!?」

魔妖女「もちろん給金はた~んと弾むぞ?召使いも好きなだけつけてやろう。女が欲しければ此方の奴隷をあてがってやっても良いぞ」

勇者「…………」

魔妖女「それにお主が望むならば……畏れ多くも此方が相手をしてやっても構わぬしのぅ♪」クネリ

―ドタプンッ

僧侶「…………」

魔妖女さん人生楽しそうやね(´・ω・`)

魔妖女「どうじゃ?こんな小さな街の用心棒より、此方の方がよっぽど条件が良いじゃろ?ん?」

「――ッバカ野郎ッ!んな条件に乗るワケねぇだろうが!」

勇者「……その声は、女戦士!」

僧侶「女戦士さん!」

魔妖女「……此方の命令に背いて勝手に喋るとは、面倒のかかる雌猿よのぅ」

勇者「女戦士。その鎖は……」

女戦士「……面目ない。捕まっちまった」

魔妖女「まぁそういうワケじゃ。この雌猿は此方にホイホイと騙されてホレ、この通りじゃ」

魔妖女「本当はお主らをボコボコにしてそれを酒の肴にして宴を開き、更にそれを見せつけて奴隷どもの教育を兼ねようと思っておったのじゃがのぅ……」

魔妖女「此方の気が変わった。そこの此方好みの男子よ、名は何という?」

勇者「……勇者だ」

魔妖女「ほほ!勇者とな!此方は益々気に入ったぞ!是非とも此方のものにしたい!」

魔妖女「……そこでじゃ勇者とやら。此方とげぇむをしようではないか」

勇者「ゲーム?」

魔妖女「そうじゃ。げぇむをして勝負し、勇者が勝てば女戦士は返そう。負ければお主らは全員死ぬまで此方の奴隷じゃ。悪くはない条件じゃろぅ?」

勇者「……従わなければ?」

魔妖女「当然今そこにいる雌猿は返さぬぞ。死ぬよりもっとひどい目に合わされるかもしれんしのぅ」ホホホ

勇者「分かった、従おう。……ただ、頼みがある」

魔妖女「頼みとな?」

勇者「私が勝ったら、女戦士と砂漠の街の人たちも解放して欲しい」

魔妖女「ふむぅ、しかしそれだと釣り合いが取れぬのぅ……。此方は譲歩するのに、何もないのじゃ張り合いはないしのぅ……」チラチラ

勇者「……分かった。では私が負けたなら、魔妖女に生涯仕えると誓おう」

女戦士「なッ――」
僧侶「ゆっ、勇者さぁぁぁぁぁんッ!?」

魔妖女「ホホ!確かにそれなら釣り合いは取れるのぅ♪良い良い、頼みを聞いてやるぞ」フワフワ

勇者「ゲームの内容はなんだ?」

魔妖女「単純明快じゃ。1対1で戦い、どちらかが倒れるまでのですまっち。凶器の使用も反則もどんと来いの死合じゃの」

僧侶「バ、バーリ・トゥード……」

魔妖女「血湧き肉踊る最高の見世物になるのぅ♪――おい豚ども!監禁している奴隷どもを連れてくるのじゃ」―ブヒィッ!シャーッス!ヨウジョタンッ!

魔妖女「それとそこのチビども!王の間に即席の闘技場を設けよ。酒と食事の準備も忘れるでないぞ」―カシコマリマシター!メロメロー!マヨージョサマー!

勇者「…………」

羨ましい

幼女なのにドタプン……だと……?
けしからんな

え、幼女にクネリされてもあんまり…

幼女じゃなぁ…出直して参れ

幼女に厳しいなお前ら

俺がもたってくNE!

――――

魔妖女「見れば見るほど良い男じゃのぅ♪引き締まった筋肉に凛々しい顔立ち……是非とも此方のモノにしたいのぅ」

ザワザワ…

「――お、おい何だ?何が始まるんだ?」

「あの若者が俺たちを救いに来てくれたみたいなんだ」

「どうやらあの魔女にあの男が勝てば俺たちは自由の身らしい――」

魔妖女「もう一度聞くが勇者よ、此方のモノになる気はないのかえ?わざわざお主が傷つかぬとも良いのじゃぞ?」

勇者「ない」

魔妖女「ほほ!言い切りおったか!頑固に一途、うぅむ益々お主が欲しくなったぞ!」

女戦士「ごちゃごちゃうるせぇな!さっさと勝負しろデカ乳女!」

魔妖女「ホホ、雌猿の癖にひがみよるか。まぁ此方の美貌とすたいるじゃ無理もないかのぅ」シナッ

魔妖女「見よこの、ぼんっ、きゅっ、ばんっのぱぁふぇくとぼでぃ」クネリ

魔妖女「そこのちんちくりんのまな板や、割れ割れ腹筋の雌猿とは比べものにならぬ」

僧侶「たっ、平じゃないです!少しならわたしだって……!」
女戦士「猿じゃねぇ!このッ……何百年も生きてるクソババァめッ!」

魔妖女「色気がないからと言って喚くのは醜いのぅ。お主らではろくに年上のお姉さんぷれいもままならぬだろうに」ホホホ

魔妖女「我が下僕たちよ!この世で一番美しいのは誰じゃ!」

ブヒブヒィッッ!シャッース!ヨウジョタンガテッペンデブヒィィィ!
ハイハーイ!メロメロー!マヨージョサマガイッチバンデース!

魔妖女「この世で一番スタイルが良くてボンキュッバンなのは誰じゃ!」

ブブブブヒィィィッ!シャーッス!ヨウジョタンノムネモミテーデブヒィィィ!
ハイハーイ!メロメロー!マヨージョサマガボンキュッバンデース!

魔妖女「この世で一番大人の色気溢れるお姉さんは誰じゃ!」

ブヒッヒッヒー!シャーッス!ヨウジョタンシカイナイデブヒィィィィィ!
ハイハーイ!メロメロメローン!マヨージョサマイガイアリエマセーーーーン!

魔妖女「その高貴で美し~い此方が今からげぇむを執り行う!下僕に奴隷どもも目をかっぽじって最後まで見届けるのじゃぁ!」

―ブヒヒヒィィィ!
―オォォォォォォォ!

魔妖女「――ふぅ。それでは第一戦目を始めるとするかの」

女戦士「……何?一戦目?」

魔妖女「そうじゃ。まず手頃な豚を勇者にあてて――」

女戦士「なッ、お前が戦うんじゃねぇのかよ!?」

魔妖女「……はて?いつ此方がそんな事言ったかのぅ?」ホホホ

魔妖女「1対1の死合としか此方は言っておらんぞ。故に勇者は軽く100戦はしてもらう事になるかの」

魔妖女「此方以外戦える者がいなくなったら、勿論此方が相手をするがのぅ。まァ、万に一つもないじゃろうが」ホホホ

女戦士「てン、めぇ……!」ギチィッ

女戦士「…………」

女戦士「勇者なめんじゃねぇぞ乳牛女……」ギロッ

オークマンZ「貴様ッ!さっきから黙って聞いていれば――」

魔妖女「まぁ良い良い。此方が勇者のナニをなめているというのじゃ?」

女戦士「へっ。いくら数がいたところで豚合の衆だ。さっきまでぶっ倒されてた奴が束になってかかっても……勇者には勝てねぇんだよ」

オークマンZ「……ほぅ」ニヤニヤ

魔妖女「それはそれは困るのぅ」フワフワ

女戦士「……何が可笑しい」

魔妖女「ホホ、それは戦いが始まってからのお楽しみじゃ♪」

オークマンZ「そういう事だ雌猿」

女戦士「――あァッ!?」ギロッ

オークマンZ「そ、そういう事なのです女戦士様」ガクガク

そろそろ世紀末始まるか?

世紀末勢なら三桁でも余裕だな
最終ラウンドだと小パンから即死するゲームだし

――――

魔妖女「それでは第一死合を行うぞ」

魔妖女「ルールは単純。1対1で反則無しじゃ。仲間の支援なぞもっての外じゃ」チラッ

勇者「……僧侶さん」

僧侶「は、はい。……あの、わたし、応援しますからっ!勇者さん頑張れーって、応援しますからっ!」タッ

魔妖女「関係者以外はりんぐを下りたようじゃの。それでは死合開始――の・前・に♪」フワフワ

僧侶「へ?」
女戦士「あ?」

魔妖女『オークマンAよ』

オークマンA「ブッブヒッ!?はははははいでブヒィッ!」

魔妖女『お主は此方の為に戦ってくれるのかの?』

オークマンA「そっ、もっ、勿論でブヒッ!命を賭けて戦うでブヒッ!」

魔妖女『 命 を …… そ れ は 本 当 か え ? 』

オークマンA「ブッ……は、はい。命を賭けますで、ぶひ」

魔妖女『 持 て る 力 の す べ て を 使 い 、例 え 手 足 が 千 切 れ よ う と も 、此 方 の 為 に 戦 っ て く れ る か の ? 』

オークマン『ブシュー……チカラ、スベテ使ウ。オデ、ツヨイ。オデ、シンデモ、妖女タンノ為ニ、タタカウ。ブシュルルルッ!』

メーカーがパッチ当ててない、公認バグはよ

格ゲーならば疲労は無いから問題ないな。


サバイバルモードだとキツイが

女戦士「な、なんだありゃ……筋肉が不自然に隆起して目も血走ってやがる……」

オークマンZ「ブヒヒ、あれこそ妖女たんの真骨頂!『魅惑《チャーム》』で強烈な暗示をかけて、俺たちの脳のリミッターを外しているんだブヒ」

女戦士「あァ!?仲間の支援は無しだってアイツが言ったんだぞ!」

魔妖女「支援なぞしておらんわ。コレはただの個人的な応援じゃ。のぅ?」

オークマンA「妖女タンノ応援。オデ、シヌマデ、タタカエル」ブシュー

女戦士「くっ……!」

魔妖女「さて、此方の下僕も準備万端のようじゃ」フワフワ

オークマンA「ブシュー……コロス。勇者コロス。オデモラウ。ホウビモラウ」

―フワリ

魔妖女「此方も正直、もう辛抱堪らぬしのぅ」ホホホ

女戦士「クソッ、勇者!負けるんじゃねぇぞ!」

僧侶「勇者さーん!頑張れー!」フリフリ

勇者「…………」スッ

魔妖女「――死合開始じゃ♪」ヒュッ

―ボワァァァァン!

タンッ

女戦士「――バックステップ!いい判断だ勇者!間合いを取ってフットワークでかき回せ!」

オークマンA「逃ゲルナッ!」ダダッ

勇者「…………」ピタァ

女戦士「あぁ!?あいつ何立ち止まって――」

僧侶「ゆ、勇者さん……!」


勇者「――ッ」グッ―


女戦士「か、構えた……?」


ググッ―

勇者「――波動拳ッ!」


オークマンA「!?」
女戦士「!」
僧侶「!」

魔妖女「……ほぅ」

―ベチィッ!

オークマンA「ブヒュァッ!」

勇者「…………」

女戦士「何なんだよ今の火の玉は……」

僧侶「は、初めて見ました!勇者さん魔法使いさんみたいに火の玉出せたんですね!」

魔妖女「……体つきからして武闘家だと思っておったがのぅ。魔法の心得もあるとは意外じゃ」

女戦士(何だよアレ……超カッコイイじゃねぇか……何であの技あたしに教えなかったんだ勇者の奴……許さねぇ――)

僧侶(ゆ、勇者さん超カッコいいです!こ、こうですかね、腰だめに手をこうやってそれでええと、こう、えいやー!って感じで掌を前に――)

魔妖女(……ふむ、魔力は微弱――此方が気付かない程度ならMPも多くないじゃろう。……牽制に魔法を使う魔法拳士と言ったところかの)

オークマンA「…………」

オークマンA「妖女タンノ前デ、オデ、恥カイタ」

オークマンA「……コロス!勇者コロス!絶対ニ、コロス!ガァァァァァッ!」ダダッ


勇者「波動拳ッ!」

ベチィッ!

オークマンA「ゴブヒュァッ!」

オークマンA「ッガァァァァッ!」ダダッ

勇者「波動拳ッ!」

ベチィッ!

オークマンA「ブベェッ!」

オークマンA「……コ、コロス!」ダダッ

勇者「波動拳ッ!」

ベチィッ!

オークマンA「ドブファッ!?」ヨロッ

オークマンA「オ……オ……ブオォォォォォッ!」ダダッ

勇者「波動拳ッ!」

ベチィッ!

オークマンA「アブババァッ!?」グラリ

女戦士「す、すげぇ。あの豚がまったく近寄れねぇ」

僧侶「でも火の玉をアレだけ受けてもまだ倒れないなんて……あの豚さん怖いです」

魔妖女「痛みなぞ感じてない上に、身体能力も増々じゃ。あの程度で倒れはせぬわ。……ふむ、しかしそれにしても興味深い技じゃのぅ」クネリ

――――

オークマンA「ブシュー……ブシュー……」ジリッ

勇者「…………」


女戦士「もう少しで勝負が付きそうだな」

僧侶「あの『波動拳』だけで、豚さん倒れる寸前ですよ」

女戦士「あぁ。触れさせもしてないのはすごいさ……ただな――」

女戦士「魔法使いみたいにMP切れ起こさないかと心配でな……」

僧侶「ああーっ!?も、もうかなりの回数撃ってますよ!それこそ数えられないくらいに!」

女戦士「……もし一戦目でMP切れになったら、後の強化豚に真正面から挑まなきゃならねぇ」

女戦士「そうなったら流石に勇者も無傷ではいられない。……しかも回復もできないんだしな」

僧侶「……うぅ」ズーン


勇者「波動拳ッ!」

オークマンA「――ブヒッ!」ダンッ!

女戦士「あの豚飛びやがった!」

―ヒュォォ!

オークマンA「勇者ノ首ッ!貰ッタァッ!」

勇者「…………」

――――

女戦士「クソッ!『波動拳』を繰り返したのが裏目に出たのか……!」

僧侶「! 女戦士さん。アレを!」

女戦士「どうした僧侶。何が……あ……!」

僧侶「大丈夫です女戦士さん!勇者さん、豚さんをきっちり見据えてます!」

女戦士「それに全身の力を大地へと溜めるあの構えは――」

僧侶「そうです!わたしたちが何度も見た『アレ』ですよきっと!」

――――

グググッ…!

勇者「――ッ」ダンッッッ

―グンッ

勇者「――昇竜拳ッ!」

―ドゥクシッ!

オークマンA「ブビルボファァッ!?」
―ズシャー!

女戦士「決まったー!理想的な対空だぜ!」

僧侶「豚さんがこっちに跳んだ速さの分、威力がすごいです!」

オークマンA「オ……グ……ブ、ブシュー……」ヨロヨロ

勇者「波動拳ッ!」

ベチィッ
オークマンA「ブファァッ!?」

オークマンA「ア……グ……ガアッ!!」ダンッ

勇者「昇竜拳ッ!」

ドゥクシッ!
オークマンA「ゴボッ!?……ブホッ……」
ズシャー!

勇者「波動拳ッ!」
勇者「波動拳ッ!」
勇者「波動拳ッ!」
―屈弱K x n
勇者「波動拳ッ!」
勇者「昇竜拳ッ!」

鬼や、鬼がおる

カクゲー内の波動拳はやっぱり魔力消耗しないのかね

勇者にmpないし大丈夫なんじゃね?

むしろゲージが溜まるんだろ

殺意に目覚めるのか

トラウマを垣間見た

赤い波動拳ってのもあるんだぜ?

――――

ズシャァァ…

オークマンA「」

K.O.

YOU WIN PERFECT

勇者「…………」ウデクミッ

フワフワ

魔妖女「……勝負続行は不可能……のようじゃのぅ」

魔妖女「…………」

魔妖女「……第一戦は勇者の勝利とする」

女戦士「ぃよっっしゃぁぁぁ!」

僧侶「――ぅうー!頑張れ頑張れ勇者さんっ!頑張れ頑張れ勇者さぁぁぁんっ!」


魔妖女「……ふむぅ。1人目で魔力を使い切るような無計画な男に……最後まで頑張れとはちと酷ではないのかえ?」

僧侶「それでもっ!それでも勇者さんなら何とかしてくれるんです!」キラキラ

魔妖女「………………気に入らぬのぅ。次の豚!此方の前へ来い!」ガジガジ

――4豚目

勇者「虎煌拳ッ!」
ベチィィンッ

オークマンD「ブホッ!?」

勇者「おぅりゃぁっ!」

ボグッ パァァァンッ―

オークマンD「」ドサッ…

魔妖女「……ホホ、思うてたよりずっと魔法よりの拳士だったのぅ。人の癖になかなかやりおるわ」ガジガジ

――27豚目

勇者「クラエー!クラエー!クラエー!クラエー!――」
ボゥッ ボゥッ ボゥッ ボゥッ ―

オークマン2「ロ、クニ、動ケ……ッ」

勇者「ウォルィァッ!」

ボボゥッ…

オークマン2「」ドシャァ…

魔妖女「……ま、まぁまだ1/3程度じゃろぅ?計算の内じゃ。それに此方のものになるには、弱くてはお話にならぬからのぅ。ホ、ホホ」ガジガジ

魔妖女には是非龍子の拳での必殺トドメでおねしゃっす

あっ…(察し)

ウメハラは開店から閉店まで対戦で勝ち続けたなんて逸話あるくらいだし
勇者なら100戦くらい余裕だな

勇者にブレイブルー設定は危なすぎると 今実感した

>>678
大丈夫だ、この勇者もっとヤバいジョインジョイントキィしてたから

そのうちテレッテーはありますか?

その昔ガンダムWのカクゲーがあってだな…

前から思ってたが深夜板にしてはこのスレ書き込み数多いよな
なんか珍しい

そのうちバグって空中を走り出しそうだ

レインボーかよwww

――72豚目

勇者「烈風拳ッ!ダブル烈風拳ッ!」
ビシィ ベシベッシ―

オークマン47「ブヒィッ!?イイ加減ニ――」ダンッ

勇者「ライジングタックルッ!」

ガガガガッ

オークマン47「」ズシャァ…

魔妖女「……此方の強化した下僕を……こうもあっさりと……」

魔妖女「…………」

魔妖女「なんなのじゃ……お主は一体何者なのじゃ……」ワナワナ

魔妖女「魔法を放ち続けても一向に尽きる気配はないし、そもそもお主から感じる魔力も不安定じゃ」

魔妖女「それにお主が展開している結界は何じゃ?此方でも干渉できないソレは何なのじゃ!?」

魔妖女「お主は……お主は一体何者なのじゃぁ!」プルプル

勇者「……私は勇者、通りすがりのただの拳士だ」

魔妖女「お、お主のような拳士がいるわけなかろう!」

勇者「……魔妖女、次の者を頼む」コキコキッ

魔妖女「くっ!……うぬぅぅぅ!」ガジガジ

魔妖女(このままでは確実に此方が勇者と戦うはめになってしまうではないか……!)

魔妖女(こんな意味不明の力と技を持った男子なぞと戦いとうないしのぅ……)

魔妖女(まだ弱っておれば此方もやりようがあるのじゃが……)

チラッ

勇者「シッ!……フッ、フッ」ペカー!

魔妖女(弱っておるどころか生き生きしておるではないか!一体どういう体の構造をしておるんじゃ!そもそも人間なのかぇ!?)

魔妖女(何かいい手はないものかのぅ……)

魔妖女(…………!)

魔妖女(そうじゃ!その手があったのぅ!)

魔妖女「……コホン。雌猿、ちとこちらへ来い」チョイチョイ

女戦士「……あァん?何でテメェの言うことに――」

魔妖女『 こ ち ら へ 来 い 』

女戦士「ガッ……!は、い」ギシッ

魔妖女『 良 い か ? ―― で ―――― し た ら ―― じゃ。 分 か っ た か の ぅ ? 』ボソボソ

女戦士「わ、かり……まし、た……!」ギチッ

魔妖女「ほほ。それでは頼んだぞ」フワフワ

――――

女戦士「よ、よう、勇、者」

勇者「おお、女戦士か。ケガとかしてない――」

女戦士「――す、まん」ギュッ

僧侶「ああああああああああっ!!!」

勇者「おっ、と……?」

女戦士「しば、らく……こ、のままで……」ギュゥッ

勇者「……やっぱりどこかにケガを――」

僧侶「女戦士さん何やってるんですかぁ!それは勝った時にやるハグですよハグ!もしくは抱擁ですよ!それを何の脈絡なくやるなんて――」

女戦士「あ、あた……し、から……!」ギュゥゥゥ

勇者「……?」

女戦士「逃げ、ろ……!あぐっ!?」ギシッ ギュゥゥゥ

勇者「……逃げる?」

スッ

魔妖女「残念時間切れじゃ。もう少し雌猿の忠告が早ければ良かったのにのぅ。……雌猿は後でお仕置きじゃが」

魔妖女「雌猿に押さえられてろくに動けぬじゃろぅ?」

勇者「いっ――」

魔妖女「問答無用じゃ!此方の『魅惑《チャーム》』をとくと食らうが良い!」

―ギンッ!

勇者「…………」ガッ

女戦士「す、すま、ねぇ……勇、者……」ギュゥゥ

魔妖女「…………」ジーッ

勇者「…………」

魔妖女「……充分じゃろ。ほほ、最初からこの手を使っておれば手間が省けたというに……此方はついうっかりしておった」テヘ

魔妖女「さぁ勇者よ、我が下僕となるがよい!」

女戦士「すま、ねぇ……勇者……」ギュゥゥ


勇者「断る」コキコキ

魔妖女「」

格ゲーにピヨりあっても魅了無いもんな、多分

有ったとしてもレバガチャで……
まさか首をコキコキってそういう?

状態異常は自然治癒するからなぁ

レバー方向が上下左右反転するとかはあるけど…DotダメージもRPGと違って時間治癒だしなぁ…w

魔妖女「……な、何故じゃ!?お主、此方の『魅了《チャーム》』が効いておらんのか!?」

勇者「……チャーム?」

魔妖女「くっ……!もう一度!もう一度じゃ!『魅了《チャーム》』が効かぬはずないのじゃ!」

―ギィンッ!

勇者「…………」ガッ

魔妖女「こ、今度こそ――」

勇者「……?」コキコキ

魔妖女「な”っ!?……何故じゃぁぁぁぁ!ありえん!ありえんのじゃ!」

―ギィンッ

勇者「…………」ガッ

魔妖女「うぬぅぅぅぅ!此方の『魅了《チャーム》』にかからない者など――」

―ギィンッ

勇者「……?」ガッ

魔妖女「い・な・い・の・じゃぁぁぁぁ!」
―ギィンッ ギィンッ ギィンッ ギィンッ パチッ♪

勇者「…………」ガッ

魔妖女「き、効かぬ……此方の『魅了《チャーム》』が……勇者にまるで効かぬ……」

勇者「……『ちゃぁむ』と言うのは、先程から繰り出している技の名前か?」コキコキ

魔妖女「そうじゃ!此方のせくしぃさと瞳術を組み合わせた全くもって新しい催眠術に何故お主はかからんのだ!」

勇者「かかるも何も……あれだけ【予備動作】が大きければ【ガード】は簡単に間に合うからな」

魔妖女「……な、なに?がぁど?」

勇者「【ガード不能】でもない技を当てたいなら、相手の意識を散らして狙いにいくべきだろう。【中下段】を執拗に狙った後の【投げ】は通りやすいのと同じだ」

魔妖女「ちゅう、げ?お、お主は一体何の話をしておるのだ!」

勇者「あるいは相手を【ピヨ】らせるか、【有利フレーム】を大きく取って当てるか、私の【牽制】に合わせて技を振るか――やりようは幾らでもある」

魔妖女「つ、つまりどういう事なのじゃ!?」

勇者「……ガードを固めた私に『ちゃぁむ』とやらは効かない」


魔妖女「魔王領随一の魔術師と謳われた此方の術が……お主には、効かぬのか……」

魔妖女「…………」

魔妖女「……ならば」カッ

魔妖女『 …… 女 戦 士 よ 。剣 を 構 え ぃ 』

勇者「!」

女戦士「くっ……!」ギシッ チキッ

勇者「……何をするつもりだ魔妖女」

魔妖女「この雌猿は聞くところによると、剣の名手らしいのぅ」フワフワ

魔妖女「で、あれば己の首を斬り落とすくらい――造作もないはずよのぅ」ホホホ

勇者「くっ……」

僧侶「そっ、そんな!ひどいです!」

女戦士「きっ、たねぇ……真、似、しやがっ、てぇ……!」ギチチッ

魔妖女「そうなるのは嫌じゃろう勇者?此方とてそのような気分の悪くなるものを見とぉはないからのぅ」

魔妖女「……そこで、じゃ。お主が此方のものになるのであれば――この雌猿や奴隷どもを解放してやっても良い」

勇者「……街の人たちもか?」

魔妖女「そうじゃ。此方の親衛隊もこの通り壊滅状態じゃしの。……どうじゃ、痛み分けということで手を打たぬかの?」

勇者「…………」

魔妖女「言うまでもなく、断れば斬首じゃのぅ……」ホホホ

勇者「……私は――」

女戦士「やめ、ろ……ッ!」ギシィッ

あれ これって女戦士一回倒せばリセットされるんじゃね(

負けても2ラウンド目には治ってるもんな

だよなぁ…

今更だけどあんまり先読みして展開潰してやるなよ

まぁ格ゲーだからね、先読みは仕方ないね

……これそういうSSじゃねーから!!

いずれ勇者がどっかのダンディーみたいにHAIKUを読んだり
大事件の人みたいに岩盤ぶん投げて相手ごと砕いたりするんだろうか

DIOとトキはでてくんじゃね?

金バするんかな

僧侶「女戦士さんっ!」

女戦士「こんな人質を盾にっ……交渉するような、クソババアに従うんじゃぁねぇ……!」ギシィッ

勇者「……女戦士」

女戦士「倒せ!そいつをっ、倒せっ勇者っ!あたしは、どうなっても、構わねぇ……だから……ッ!」ギシィィッ

魔妖女「雌猿は何を言っておるのだ!?勇者が条件を飲めばお前は助かるのじゃぞ!?」

女戦士「仲間にっ、迷惑……かけるくらいならっ!あたしはっ!死んだ方がッ……マシだッ!」ギチィッ

―シュラァ

魔妖女「な、何をしておるっ!?」

女戦士「テメェが、あたしを殺るっつーなら、その前にっ、あたしが自分で、ケリつけてやるっ、ってんだよ……」ギシッ カタカタ

僧侶「女戦士さん駄目です!早まっちゃ駄目ですよ!」

女戦士「おぅ勇者、……僧侶のこと、頼んだぜ」ギチチッ カキンッ

勇者「……ああ」

女戦士「……またな」

ヒュッ―


「 ―― 『 火 球 』 !!」

―ボボゥッ!

女戦士「熱ッ!熱ッ!アツゥイッ!!尻がああああぁぁっ!焦げるぅぅぅぅぅ!」ゴロゴロ

勇者「……今の魔法は――」

女戦士「クソッ!あたしの尻に炎魔法叩き込んだカス野郎はどこだ!なます斬りにしてやるぜチクショウめ!」


「……折角『魅了《チャーム》から解放してあげたのに、散々な言われようね」

勇者「その声は、やはり……!」

勇者「魔法使い!」
僧侶「魔法使いさん!」
女戦士「ま、魔法使い!?」

シュトッ

魔法使い「腹を裂く覚悟を決めるくらいなら、最初から捕まらないようにしなさいよね。……まったく」ハァ

女戦士「あァ?子どもに四天王の親玉が化けてたんだよ。見た目そっくりだから分かるワケねーだろが」

魔法使い「厳重警戒されてるエリアに、子どもが1人だけぽつんといたら不自然でしょうが。それを考える脳ミソもないの?」

―プッツゥン

女戦士「……理屈じゃねぇ……きっと生理的にこいつが嫌いなんだ……表で白黒つけようじゃねぇか貧弱黒もやしッ!」パキポキッ

僧侶「今は争ってる場合じゃありません二人とも!敵前ですよ!敵陣ですよ!事態は緊迫しているんですよーッ!!」ブンブン

魔妖女「何という事じゃ此方の『魅了《チャーム》』が……。いや!それよりもお主!勇者のパーティーと別れたはずではなかったのか!?」

魔法使い「……それを知ってるってことは、やっぱり街の中にスパイが常駐してるのね」

魔妖女「ぐっ……!まァ雑魚がいくら増えたとて状況は変わらんわ!此方にはまだたくさんの奴隷が人質としておるのだからのぅッ!」ビッ

魔法使い「……人質?どこにいるのかしら?」

魔妖女「お主の眼は節穴かえ?この通り奴隷がたっ……ぷり……………奴隷どもがいないではないかぁぁぁ!」ブワッ

魔法使い「当然よ。あんた達があーだこーだと、広場の真ん中で暴れている内に……全員避難させちゃったからね」

魔妖女「……なん……じゃと……」

魔法使い「賞金稼ぎの鉄の掟その1《侵入する時は裏口から堂々と》。食堂がザル警備だったから楽勝だったわ」

魔法使い「そうねぇ……今頃街の人たちは街に着いてる頃だわ。あ、勿論ラクダも食料も根こそぎいただいたから。宝物庫はまだこれからだけど」ニッ

魔妖女「」


勇者「……魔法使い」

魔法使い「……何?」プイッ

勇者「……何故、戻ってきてくれたんだ?」

魔法使い「……だって……勝手に押し付けて、勝手に消えて……それで……」ブツブツ

勇者「……?」

魔法使い「――ッうっさい!私の流儀に反したから来ただけ!」

勇者「流儀?」

魔法使い「それも建前だし!本当は、街の人助けたらお金を領主からふんだくれるって思っただけだし!」

魔法使い「遺跡には年代物の書物と宝物があるからどさくさに紛れて私物にしたかっただけだし!」

魔法使い「四天王倒したら魔王倒さなくても一生それだけで暮らせるだけの名誉が手に入られるから来ただけだし!」

勇者「お、おう」

魔法使い「だからあんたたちの為でも!街の人たちの為でも!ましてや勇者!あんたの為でもないの!」

魔法使い「ぜぇ~~~んぶ私の為なの!分かったかしら!?」ダンダンッ

勇者「…………」

勇者「……ああ、でも、それでも――」

勇者「助かった。……ありがとう」ペコリ

魔法使い「くっ……!///」プイッ

魔法使い「お、お礼は後でいいから。それに今回はサービスじゃなくて貸しよ。後でちゃんと返してもらうからね!」

勇者「ああ。ちゃんと返す」

魔法使い「……分かってるならいいけど」

魔法使いはかわいいなぁ

魔法使い「まぁそんなワケで……もうあなたの人質はいないし――」

魔法使い「『魅了《チャーム》』が如何に強力であろうと……【ガード】で防げる以上、あたしたちが操られることもない」

魔法使い「加えてあなたは勇者に魔物の大半をK.O.されて、手駒の数もあとほんの少し豚を残すのみ」

魔法使い「こっちは私も加わって更に隙のないパーティーになっちゃったしね」

魔妖女「…………」

魔法使い「このまま降伏するなら、痛めつけたりしないで無事に捕虜にしてあげるけど――」

魔法使い「――どうする?」


―ビシッ

魔妖女「……此方に向かって……今……何と、言った?」

―ピシッ

魔妖女「……此方が、降伏……じゃと……?」

―ピシッパキッ

魔妖女「高貴な此方を……!高貴な此方に向かって……!」ワナワナ


魔妖女『 舐 め る な 小 娘 ぇ !!!!! 』ゴァッ

―ビリビリッ…

女戦士「おわっ!」

僧侶「ひいっ!?」

―ヒュォォォ…

勇者「風が……」

―ペキッ ピシッ

魔妖女「此方を誰だと思うておる!此方は高貴にして崇高な魔の眷属!」バッ

魔妖女「お主ら人間とは生まれながらにして格が違うのじゃ!能力も!美貌も!寿命も!すべて此方が格上でっ、お主らが格下じゃ!」バッ

魔妖女「その人間風情がっ……!100年ぽっちも生きられぬ小娘如きがっ……!此方に……此方に何を言ったのじゃぁぁぁぁ!!」ゴゴゴゴゴ…

―パキンッ

―ッゴッバォンッ!

勇者「危ない!」
僧侶「わわっ」
女戦士「熱っ……あちちち。な、何だ今のは!?」

魔法使い「……ようやっと正体を現したわね、魔妖女」

「……………」フワリ

女戦士「ありゃ尻尾か?やたらフサフサしたのが……ひぃふぅみぃ――」

僧侶「頭の上に耳がついてます!もふもふのけもみみがついてます!」

勇者「随分と判定が縦に横に膨らんだな……あの尻尾は個別に動かすことは可能なのだろうか」

魔法使い「狐の耳に狐の尻尾……狐妖、もしくは狐仙の類。バカげた魔力とMPも納得だわ……」

狐妖女「お主らは……此方を怒らせた……」ゴォォォォ…

狐妖女「此方を虚仮にした罪は重い……!全身消し炭になるまで……!じっ~~~~~くりと此方の炎で炙ってやるわっ!」ボワッ

―バオッ

女戦士「……おー怖ぇ。口から火ぃ吹いてるぜ。ちょっとしたドラゴンブレスだな」

僧侶「カ、カンカンに怒ってますよ!魔妖女さんすっごいコワイ顔してますよ!」ガタガタ

女戦士「てか何故煽った魔法使い。あのクソババァ本気出しちまったぞ?」

魔法使い「あの手のタイプは冷静な方が厄介よ。直情的になった方が御しやすいってものよ」

勇者「頭に血が昇っては、拾える勝利も容易く落とすからな」

女戦士「ははぁ、なるほどねぇ」

魔法使い「……まぁ、まともに当たって勝てればの話なんだけど」

女戦士「……おい」

判定ってw
やっぱ考えるとこはそこなんだなww

問題は尻尾の判定が先まであるかどうかか

先生ー!MUGENは格ゲーの内にはいりますかー?

入らんだろ

今深夜で読んでる作品の中で一番面白い

魔法使い「冗談よ。勝算はある」

魔法使い「私の鑑定眼――もとい観察眼に間違いがなければ、魔妖女の防御力はとても低いはずだから」

僧侶「ほ、本当ですか?」

魔法使い「値は張りそうだけど、見栄えばかりにこだわった装備品だし……何より私と同じ魔法使いタイプ。叩けたらわりとあっさりじゃないかしら」

狐妖女「……丸聞こえじゃぞ小娘」ボワッ

魔法使い「あら、聞こえてた?お年を召されてるから、耳が遠いと思って油断したわ。聞かなかったことにしてもらえない?」

狐妖女「~~ッ!!」ブチッ


女戦士「……あー。今のクソババァの心境、ちょっとだけ分かるわ。ちょっとだけな」

―ググッ

狐妖女「此方の……!下僕よ……!」ワラァ…

勇者「来るぞ!」

―ギィンッ

勇者「アジる!」カッ
女戦士「来ると分かってりゃぁな!ほっ!」ガッ
僧侶「あわわわわわ!」ガッ
魔法使い「ハッ!」ガッ

ブ、ブヒッ!?

狐妖女『 こ の 小 娘 ど も を …… 血 祭 り に あ げ て や れ ! 』

……

『ブオォォォォォォォォォォォ!!』

女戦士「来るぜ来るぜ豚の大群がよぉ!しかも全員ブチ切れ効果のオマケ付きだぜハッハー!」グルングルン

僧侶「こ、コワイですよー!何で女戦士さんそんなに嬉しそうなんですかー!?」ガタガタ

勇者「私は魔妖女の相手をしよう。みんなには周りを抑えてもらえるとありがたい」

魔法使い「……悪いわね。貧乏くじを引かせてしまって」

勇者「……貧乏くじか。いや、私は自分の未熟さを恥じるよ魔法使い」

魔法使い「え?」

勇者「街を救えるのか、自分たちが負けてしまうか分からない。そんな局面なのにも関わらず――」

勇者「――強敵と拳を合わせられることが……嬉しくて堪らないと感じているのだから」グッ

勇者「恐らくどこまでいっても、私は武人なのだろうな……」

魔法使い「……勇者」

勇者「……さぁ、行こうか」

――――

狐妖女「……勇者か」ボワッ

勇者「ああ」

狐妖女「残念じゃが……もうどんな条件であろうと――」

勇者「いいさ。戦おう」ニカッ

狐妖女「……そうか、いいじゃろう」ボウッ

狐妖女「せめてもの手向けじゃ……!此方の全身全霊最大出力の炎でもって焼き払ってくれよう……!」ゴォォォォ…

勇者(……集中するんだ。型に命を宿らせる為に――)スッ


 (――ジョイン)

狐妖女「……む?何じゃ?今の――」

 (ジョイン ジョイン ジョイン ジョイン レェイ)

 (デデデデ ザタイムオブレトビューション)

 (バトーワン デッサイダッデステニー――)

勇者「――南斗水鳥拳伝承者の名にかけて、貴様を処刑する!」シャオ!

狐妖女「お、お主そんなテンションの男子じゃったか!?」ボウッ

美しい……

ばとーわんだと

そのうちヴァンパイアのチェーンコンボとか、SFの必殺キャンセル→超必殺のコンボが出てくるのかな

女戦士が舞とモリガン辺り身に付けねーかなー

う……美しい……ハッ!?

世紀末でも1、2を争うインチキ性能キャラキタアアアアア

これは空気入れられちゃいますねー

この勇者の故郷が闘劇DVDを参考にしてるならアルカディアのも含めるとBBはCSまでかー
個人製作物のコンボDVDとかだとしたら他にも色々と出てきそうだけどw

もしかしてMUGENなのかな だったらまさに未知数なわけだな

MUGENありにしたら、何でもありになっちゃうからダメだろ
弱パン→即死コンボとか普通にできるキャラとかいるし

というか手を出した方が死ぬとか、力が…勝手に…したりとか、ボッ立ちのまま上下移動した挙句宙を舞うとか本当に何でもありになるから困る

――――

女戦士「へっへー!」―ザシュッ

ブキィィィィ!?

魔法使い「……何よ突然。気持ち悪いわね」―ゴキンッ

ブキュゥゥゥゥ!?

僧侶「ひぃやぁぁぁぁぁ!」ダダダダッ

ブオォォォォォ!! ドドドドッ

女戦士「勇者に会う前のあたしだったらもっと苦戦してたなぁ、と思ったらついな」

魔法使い「というと?」

女戦士「例えば【牽制】だな。何もない空間に剣を……振るッ!」ブンッ

―ザシュッ

ブキィィィィ!?

女戦士「【読み】さえ当たればこの通り。……まぁ今は猪突猛進の豚野郎ばっかりだから【牽制】の【リスク】もクソもないが」

魔法使い「勇者は技を【置く】とか言ってたわね。……私の魔法にも応用が利くと、色々と戦略の幅が広がりそうだけど」

女戦士「んー、できるんじゃねぇか?」

魔法使い「……根拠は?いや、あんたに根拠を効いても――」

女戦士「勇者も火の玉ボンボン撃ってたしな」ザシュッ

魔法使い「なッ!?そ、そんなの私聞いてないわよ!?」

女戦士「見てなかったのか?」

魔法使い「避難最優先で戦闘を眺めてる余裕なんかなかったわよ!」ゴキョッ

女戦士「あー、それなら仕方ないか。撃ってたよ。そりゃもう数え切れないほどに」

魔法使い「……あのMPで数えきれないほど、ですって……」ブツブツ

女戦士「火の玉だったり、地を這う炎だったり色々あったけどな」

魔法使い「……なるほど、つまり私のメラとかも応用すれば何とか……」ブツブツ

女戦士「いいよなー。俺もああいうカッチョいい技使いたいもんだぜ」

魔法使い「……でも私のMPをそのまま使うとなるとあっさりMP切れに……」ブツブツ

女戦士「はどうけんっ!――って言って剣をぶん投げるのはちょっと違うよな……それじゃ一回しか使えないしなぁ」

魔法使い「……女戦士、さっさとこいつら片付けて勇者に加勢するわよ!」ゴキンッ

女戦士「あいよ。大将首はあたしも欲しいから……なッ!」ズバシュッ

僧侶「ひにゃぁぁぁぁぁ!」ダダダダッ

――――

勇者「フッ。どうした?」クイクイ

狐妖女「勇者だけはまともじゃと思うておったのに……!いちいち癇に触る連中じゃ!」ボワッ

ゴォォォォ…

狐妖女「……そう言えば小娘が防御がどうのこうのと言っておったのぅ」

狐妖女「確かに此方の防御やHPは低い。たおやかで儚げな美貌の此方の見た目通りじゃ」

勇者「…………」

狐妖女「じゃがのぅ。HPや防御力に頼ることがどういう意味か、お主も分からないワケではあるまい?」

狐妖女「それは攻撃に『当たってしまう』弱者が気遣うことで、『当たらない』此方には関係のない話なのじゃ」

狐妖女「生まれながらにして高貴な闇の眷属であり、真に強い此方にとって……そもそも構えや備えは無用」


狐妖女「――右手に『メラミ』」ゴゥッ

狐妖女「――左手に『メラミ』」ゴゥッ

狐妖女「ホホ、此方は同時に複数の魔法を操ることが可能じゃ。更にMPは万を優に超えておる。そして――」

狐妖女「そこから繰り出される此方の魔法の『 無 呼 吸 連 打 』」ゴゥッ

狐妖女「分かるかの?つまり『ずっと此方のた~ん』――故に守る必要など皆無なのじゃ」ボゥッ

スペックwww

この妖女フラグぶっ立ててやがる

レイを相手に飛び道具で封殺できるとか

トキが壊れてる事ぐらいしかしらないんだがレイはバグ昇竜以外に弾抜けでもあるの?

00ガンダム思い出した

3段ジャンプしてからバリア貼って飛燕流舞うっててもいいのよ

勇者「わめいてないでさっさとかかってこい」クイクイ

―プッツゥン

狐妖女「 …… お 主 は ! 何 が あ っ て も ! 絶 対 に 黒 焦 げ に し て や る の じ ゃ ー ! 」

狐妖女「――右手に『メラミ』!」ゴゥッ
狐妖女「――左手に『メラミ』!」ゴゥッ

狐妖女「尽きることのない此方の爆炎を喰らうがよいっ!!」ゴォォォォ…

ッゴッバオン!!

狐妖女「魔法無呼吸連打『グミ撃ちメラミ』じゃっ」

ッボゥ!ボボボボボボボボボボボボ――
ッゴゥ!ボボボボボボボボボボボボ――

狐妖女「此方の炎のお味はどうじゃ勇者よ!!ホッホッホ!!」キュドッ キュドッ―



勇者「――どこを見ているっ!」

―― 空中 ↓B

狐妖女「い、いつの間に上に――」

ゲシッ
狐妖女「ぶにゃぁっ、いっ、痛いっ!何をするのじゃぁ!」

―― 空中 ↓B x 4

勇者「どこを見ていどこを見ていどこを見ていどこを見ているっ!」ゲシッゲシッゲシッゲシッ

狐妖女「このっ……痛っ、いい加減に、あ痛っ、しろぶみゃぁっ!?」

狐妖女(ぐぬぬ……!じゃが逃げ場のない空中に跳んだのは悪手じゃっ!)

狐妖女(広範囲魔法でお主のいる空間ごと焼き尽くしてくれるっ!)ヒィン―

勇者「――!」

狐妖女「――『ベギラマ』!!」ゴッ―

―― 空中 ←←

―フォンッ

狐妖女「なっ、なんじゃとっ!?」

―ッバオンッ!!

勇者「…………」スタッ

狐妖女「お、お主……」フルフル

狐妖女「い、今空中を……!空中を『走り』おったな!」ゴォッ

勇者「…………」

空中ダッシュなんて常識だろ

ダカダカ

今の世の中ペルソナが使えるだけの高校生達でも空中走れるもんな

――――

女戦士「……今の見たかよ魔法使い」ザシュッ

魔法使い「……ええ、この目でハッキリと」ゴキンッ

僧侶「うわぁぁぁぁぁんっ!!」ダダダダッ ブオォォォォォッ!

女戦士「カクゲーって空も走れるのかよ……」ギィンッ

魔法使い「浮遊系の魔法詠唱でもないし、興味深いわ」パシッ ブンッ

――――

狐妖女「何じゃ?一体お主は何者なんじゃ?無傷で此方の親衛隊を倒し尽くし、見たこともない炎の魔法を駆使し、さらには空中を走りだすっ!」

狐妖女「本当に何者なのじゃ?そもそもお主は人間ではないのかっ!?」

勇者「…………」タンッ

狐妖女(『空中での疾走』――浮いたまま自由自在に動いていた訳ではなかったのぅ)

狐妖女(恐らく跳躍中は1回、ないしは2回しか使えない限定的な風魔法か、浮遊魔法じゃろうな)

狐妖女(――詠唱の素振りさえなかったのは、さしもの此方も驚いたがのぅ)

狐妖女(……要は戦えるフィールドが地面だけでなく空間まで広がっただけの話じゃ)

狐妖女(即攻撃、火力に転ずるものでなければ、此方が警戒するまでもない。……問題はそう、種族じゃ)

勇者「…………」

狐妖女「……そうか、喋らぬか……ならばっ、無理矢理喋らせるまでじゃっ!」

狐妖女「――右手に『ベギラマ』!」ゴゴゥッ
狐妖女「――左手に『ベギラマ』!」ゴゴゥッ

狐妖女「さっきの無呼吸連打を上回る爆炎じゃ!単体や1グループなどとまどろっこしい事は言わん!すべ――」

「こっちがパーティーってことの忘れてないかしら?」
「片付いたから助太刀に来たぜ勇者ー!」

魔法使い「――『メラ』!」ゴォッ…バオンッ!

―― →強斬

女戦士「オォオオオォオォォオォオォォォッ!!」ッッッブンッ!


狐妖女「~~ッ!ええいっ!小賢しいっ!小娘と雌猿の相手など『しっぽ』で充分じゃぁっ!」ゴォォォォ…

―― 地上 ←←

女戦士「!」カカッ
魔法使い「!」カカッ

狐妖女「―― 一の尾から『ベギラマ』!」ゴゴゥッ

ッゴッバ!ボボゥッ!―ゴォオォオォ…

女戦士「熱っ……!げ、床の石が溶けて溶岩みてぇになってやがる!」サッ

魔法使い「腐っても魔妖女ね。こんなの触れたら黒焦げどころか……通り越して液体か気体になっちゃうわ」サッ

女戦士「……にしても」チラッ

タンッ

 タンッ

―― 空中 ↓/←+C

――『南斗狂鶴翔舞』――

勇者「フゥゥゥゥ・・・!」

魔妖女「ぐぬぬぅ!今度はバリアじゃとっ!?」

―― 空中 ↓\→+B

勇者「飛燕流舞!」ビシュッ

魔妖女「何じゃっ!?かっ、かまいたち!?あの高さから……う、美し――はぐぁっ!?」ザシュッ

勇者「飛燕流舞!」ビシュッ

魔妖女「う、美しい――みぎゃぁっ!?」ザシュシュ


女戦士「……マジで底が知れねぇぜカクゲー。空中で跳ねるとか一体何食えば出来るようになるんだよ」サッ ―ボボゥッ!

妖星の妖女……

魔妖女ノリ良いなww

ノリいいというか反応までカクゲーに取り込まれて強制されてる感じじゃね?

これ闘劇2012のビデオだったらペルソナつかえるなw

というかRPG側が格ゲー側に勝てる方法が思い付かん

そもそも防御とガードの性能がなぁ……

ガード無効の貫通ビームで薙ぎ払おうぜ

強制敗北イベントでも起こせば…

射撃ならグレイズできるんじゃね

今北斗キャラインストールしてるから・・・

妖女ちゃんはいつバウンドするんです?

魔妖女「ハッ!?……く、屈辱じゃぁ……!」ゴォォォォ…

魔妖女「此方が、此方が弄ばれるなどぉ……!」ゴゴゴゴゴ…

魔妖女「あってはならんのじゃぁぁぁぁ!!!!」ブワッ

『一』ゴゥッ! 『ニ』ゴゥッ! 『三』ゴゥッ!
『四』ゴゥッ! 『五』ゴゥッ! 『六』ゴゥッ!
『七』ゴゥッ! 『八』ゴゥッ! 『九』ゴゥッ!

魔妖女「ふーっ!ふーっ!ふーーーーーっ!」ギラギラ

勇者「!」

魔法使い「クソババァのしっぽに……!」

魔法使い「……ええ。炎が灯ったわ。全部で9つの尾――九尾ね」

魔妖女「んもぅっ!今度は本当に本当に本っ~~~~~~~当に容赦せんのじゃっ!」

魔妖女「今度は此方の両の腕で行う無呼吸連打のっ……上の上っ!」

魔妖女「此方の持つ炎系最強呪文『メラゾーマ』!」

魔妖女「それを――此方の9つの尾を加え――計11箇所の同時詠唱、高速詠唱魔法の乱打っ!!」

魔妖女「――その名も『九尾爆炎弾《テイル・フレア・ボムズ》』+『二手爆炎弾《グミ撃ちメガ盛り》』じゃっ!」

ゴクリ
魔法使い「メラゾーマの高速連射……ですって……!?」ツツー

女戦士「なぁヤバそうなのは分かるんだけどよ。どれ位やばいんだ?」

魔法使い「……そうね。さっき石が溶けたでしょ?」

魔法使い「あれよりもっと熱くて取り返しつかなそうなヤツが、この部屋――いえ、ひょっとしたらこの遺跡全体に広がる感じかもね」

女戦士「……超ヤバいじゃん」
魔法使い「……超ヤバいわね」

僧侶「そ、それ、は……ハァハァ、ヤバ、いで、すね、ハァハァ……」ハァハァ

女戦士「お、マラソン終わったのか?」

僧侶「ええ、振り、向い、っら酸、欠で倒れ、うぷっ、たっ、豚さ、ん、がたく、さんいっ…ので」ゼェゼェ

魔法使い「一回お水飲んで落ち着きなさい」

僧侶「んふーっ!んふーっ!」グビグビ ガブガブ

僧侶「――っぱぁーーー!それで今どんな状況ですか?」

女戦士「勇者が相手の動向を伺ってたら、マジギレしてガチモードのスイッチ入れちゃった」

僧侶「なるほど。魔妖女さんのガチモードの魔法はどれくらいヤバいんですか?」

女戦士「もう何か、アレだよ、超ヤバいってレベルじゃないくらいの超ヤバイレベルだよ」

僧侶「分かりました。つまり今までにない最大のピンチってことですね」

魔法使い「……何でそれで通じるのか、興味深いわ」ブツブツ

カカッ ボボボボゥッ! キュドドドドドッ―
カカッ スコシハヤルヨウダナ…

魔法使い「時間がない。皆、聞いて」

魔法使い「これからパーティープレイで魔妖女に仕掛ける!……予定だったけど」

魔法使い「今の我々は明らかにお荷物。魔妖女とまともに当たるなんて無理な話」

魔法使い「だから後方支援として勇者をサポートしていく形にする」

女戦士「……悔しいが、今のあたしの力じゃどうにもならねぇからな」

魔法使い「私とあんたは前線に寄れるところまで行って、援護攻撃を」

魔法使い「あの威力の魔法だから、基本避け優先で。万が一避けきれなかった時は【ガード】して」

魔法使い「かなりの【削り】か【状態異常】を覚悟しなきゃならないから……気をつけて」

魔法使い「……僧侶さん」

僧侶「は、はいっ」

魔法使い「残念だけど、あなたは後ろに控えておいてもらえるかしら?その……――」

僧侶「――攻撃も、まともな回復もできない僧侶が前線近くにいても邪魔になるから……ですね?」

魔法使い「…………うん。その、ごめん」

僧侶「…………いえっ!とんでもないですっ!勇者さま、女戦士さん、魔法使いさん、皆さんの無事をここで祈っていますからっ!」フンッ

――――

魔妖女「これほどの魔法のみだれうちじゃというに……まだ避けおるかぁッッ!!」ゴァッ

タンッ
 タンッ

――『南斗狂鶴翔舞』――

勇者「フゥゥゥゥ・・・!」

―フォン

スタッ

魔妖女「――『九尾爆炎弾《テイル・フレア・ボムズ》』からの『二手爆炎弾《グミ撃ちメガ盛り》』!!」

ゴッバオッッキュドドドドドドドドドドドド―

勇者(必殺の魔法の連撃……だが怒りに我を忘れ、乱雑に撃っている)

勇者(何もない空間――真空地帯もある。低姿勢技で避けつつ、【牽制】と【飛び道具】で削っていけばこのまま――)

―キュドッ―

勇者(!? その方向はマズイッ!!)タッ―



僧侶「……ええとお薬と、それから湿布とかを――」

ゴォォォォ―
僧侶「……へ?」クルッ

勇者(間に合う……いや間に合わせるッ!)

僧侶「……あっ、うっ!――」ギュゥ


カッ―ゴッバオンッゴオオォオォオオオォォォォッ!!!!

勇者「ガッ……!なんて、威力……!」ブスブス

僧侶「ゆ、ゆ、ゆっ、勇者さんっ!!」ヘタリ

勇者「僧侶さん……!早くッ……離れてッ……!くれッ……!」ジジッ ボワッ

僧侶「……で、でもでも、ち、治療を――」

勇者「離れろッ!!!」

僧侶「ひっ!?」

勇者「……このままだとッ……2人ともダメージをッ……!だからッ……早くッ……!」ボッボボゥ

僧侶「……うっ……!ご、ごめんなさいっ!」ダッ


魔妖女「ホホ!ホッホォ!ついに!ついについについに!捉えたぞぉ……!勇~者よっ♪ホホ、そーれぃ!」ゴォォォォ…

キュドドドドドドドドドドドド!!

魔妖女「ホホ、気持ちいいのぅ堪らんのぅ♪お主への鬱憤が溜まっている分、快感も一塩じゃ♪」ゴォォォォ…

キュドドドドドドド―

勇者「ぐっ……!」ガガガガガ――

魔妖女「……ふむぅ、此方のメラゾーマの連弾をまともに受けよるか。もう驚きもせんが大したものよのぅ」

魔妖女「神の加護、宝具による結界……あるいは人ではならざる――我らに極めて近い種族なのか。もうどうでもいいがのぅ」ホホ

魔妖女「お主の頑強さや身の軽さのこなしには、流石の此方も舌を巻いた。脱帽じゃ」

魔妖女「……じゃがこうなってはお主の勝ちは万に一つ、那由多の一つもない」

魔妖女「勇者の白鳥の如き華麗な動きは、此方の無呼吸連打によって地面に縫い止められたのじゃ」

魔妖女「最早お主には反撃は愚か、指一本たりとも動かす隙も与えぬ」

勇者「ぐぅっ……!」ガガガガガ――

魔妖女「それにのぅ……物事には限り――必ず限界があるのじゃ」

魔妖女「此方が如何に高貴であろうとMPは無限ではない。それはお主の体力しかり、じゃ」

魔妖女「見える、見えるぞ勇者よ。お主の美しい体躯に刻まれるだめぇじがしっかりとのぅ♪」ホホ

勇者「――ァァッ!」ガガガガガ――

魔妖女「あぁ……嗚呼、なんと唆る表情をするのじゃ。頬が火照って堪らぬ……お主はやはりイイ男じゃ……」ゾクゾクッ

――――

僧侶「……ぅ……ぅう……」グス

女戦士「クソッ!あの狐ババァめ!」

魔法使い「あの爆炎の嵐の中じゃ……私たちは援護どころか助け出すことさえ――」

女戦士「じゃぁ勇者を見捨てろって言うのかよっ!」

魔法使い「落ち着きなさい!あのまま私たちが無策に近付いても無駄死にするだけって言ってるのよ!」

女戦士「何か……!何かねぇのかよ!お前頭いいんだろ?こういう時に頭使わなくていつ使うんだよ!」

魔法使い「考えてるわよ!全力で!私だって……私だってこのままじゃ借りを――」

ッゴッバオンッ!ッキュドドドドドドド―

僧侶「!」
女戦士「!」
魔法使い「!」

僧侶「…………」グス

女戦士「……ババァの魔法の【ガード硬直】がヒドすぎて【ジャンプ】や【バクステ】で逃げられる隙間もない」

魔法使い「……【無敵時間】がある『昇竜拳』などの【必殺技】を使おうにも、無敵が切れた瞬間に無数のメラゾーマをまともに喰らう事になる」

僧侶「……勇者……さん……」ブルブル

――――

魔法使い「…………」ジーッ

女戦士「何か、何か手は……」

魔法使い「シーッ!静かにして!」ジーッ

女戦士「お、おう。何かアイディアでも――」

魔法使い「……やっぱりおかしいわ」ジーッ

僧侶「……何がですか?」

魔法使い「最初勘違いかと思ったけれど……やっぱり……」ブツブツ

女戦士「何だよ!早く言えよ!」

魔法使い「……私の見間違えでなければ――」

僧侶「…………」
女戦士「…………」

魔法使い「――勇者のMPが増えてる」

女戦士「……はぁ?」

僧侶「勇者さんの、MPが増え……てる、ですか?」

魔法使い「ええ。それも確実に以前よりね。今も上昇しているわ」

女戦士「あいつのMPって1かもしくは1未満とかだろ?それが何で今更……」

魔法使い「分からない。回復薬を飲んだわけでもなく、種を食べてMP上限を増やしたのではない。とすれば……」

僧侶「カクゲーの『何か』によってMPの回復が起こっている、そういうことですか?」

魔法使い「ええ。MPが何だと言われてしまえばそこまでだけど……ゴメン。でもこれは関係ない話かもね」

女戦士「……いや、魔法使い。どうやらそうでも無さそうだぜ」ジーッ

魔法使い「え?」

女戦士「あの勇者の【ガード】、時折あいつの全身が光るのに気付いたか?」

――――

勇者「くっ……!」ガガカ ガガ

――――

魔法使い「! 白く光った。光が一瞬にして全身に……!」

女戦士「で、多分なんだが……今、勇者のMPを見てくれないか」

魔法使い「……なんてことなの……僅かではあるけど、MPが増えてるわ……!」

女戦士「うん、やっぱりそうか」

魔法使い「やっぱり、って……あなた何か知ってるの?」

女戦士「知ってるって程じゃないんだが……。前にあたしが【ガード】のイメージ稽古を受けたの、覚えてるか?」

魔法使い「……ああ。あのボコボコにされてた時のヤツね。覚えてるわよ」

女戦士「あの時、最後の勇者の一撃を防いだガード……まぁ偶々防げただけなんだが」

女戦士「その【ガード】が特別な【ガード】だったらしい」

僧侶「……特別な、【ガード】?」

女戦士「何でも攻撃をギリギリまで引き付けて【ガード】すると、直前ガード――【直ガ】ってのになるんだと」

女戦士「【直ガ】は【ガード硬直】を減らせるスンゴい【ガード】で、『げぇじ』とかも少しだけ貯まるとか何とか」

魔法使い「げ、げぇじ?」

女戦士「それが何なのかは知らないし、あん時は【ガード】が出来て小躍りしてたから気にならなかったけどよ」

女戦士「今の魔法使いの話を合わせると、その『げぇじ』ってのがMPの事なんじゃないのか?」

魔法使い「……確かにそうだとすると話の辻褄が合うわ。今MPが増え続けてるのも、【直ガ】で『げぇじ』貯めをしているからと考えれば説明がつくし」


僧侶「……でも、もしそうだとして――」

僧侶「――もしそうだとしたら、勇者さんは、MPを貯めて何を為さるつもりなんでしょう」

魔法使い「……【必殺技】はそもそもMPを使用しない――いえ、そもそもMPを必要としない」

僧侶「……ええ。だとしたら、勇者さんが今MPを貯めているのは一体何の為に……」

全部完璧にガードしてんのかよwww

ウメハラかよ

これが世界か……

直ガだと削りも無いよな

あれ、これ今星いくつ減ってんだろ

超必来るか!?

死兆星見せれば即死ビーム出せるからゲージ溜める必要すらなさそうな

那由多の一つって……?
こういう時、「刹那もない」って言わない?

那由多に一つってのは、1/10^10^10……に一つも勝つ確率がないって事じゃね?

なるほどそういう表現か、俺がバカだった

そんなに小さくねぇよ・・・
那由多に一つなら1/10^60程度だろ とマジレス

慣用表現だから数学的厳密性とは無縁だけれど

那由多でバトルってたらアンデルセンのセリフのアレかと……

俺もアンデルセンかと・・・

アーカード「ガードしなかったら死んだ」

おもしろいね

更新待ってる

――――

キュドドドドドドド―

狐妖女(…………)

狐妖女(此方の無呼吸連打に隙はない。更にMPもまだまだたっぷり残っておる)

狐妖女(勇者のHPも3割――多目に見積もっても4割じゃろう)

狐妖女(そうじゃ。例えまともにメラゾーマを当てなくとも……確実にこのまま削り切り、憐れ勇者は黒焦げなのじゃ)

狐妖女(……深く考えるまでもなく、此方が圧倒的に有利なのじゃ)

狐妖女(…………)


勇者「ぐっ……!くっ……!」カ ガカ ガカ


狐妖女(じゃと言うのに、何なのじゃ勇者のあの瞳は)

狐妖女(絶望、憂い、諦め――そう言ったネガティブな意思を微塵も感じぬ)

狐妖女(むしろ、むしろあの瞳は、あの瞳からは……こんな状況になってもなお、戦う意思を感じられるのじゃ!)

狐妖女(何故じゃ。何故そんな……ハッ!?)

狐妖女(まさかこの期に及んであやつは――)

――――

僧侶「勝とうとしています」

女戦士・魔法使い「え?」

僧侶「勇者さんは勝とうとしている、そう言ったんです」

女戦士「……あの状況からか?」

僧侶「ええ、あの状況からです」

魔法使い「……僧侶さんは何故そう思うの?」

僧侶「わたしはいつも弱くて、皆さんに助けてもらってばっかりです……」

僧侶「その中で、勇者さんから学んだ――いえ、教えてくれた言葉があるんです」

僧侶「『投げない』、『捨てゲーしない』、『やり込みは裏切らない』、そして――」

僧侶「――『折れない心』です」

魔法使い「折れない、心?」

僧侶「『強大な敵に会い、完膚なき程に叩きのめされても、折れない心があるなら戦える』」

僧侶「『心が折れない限り、人は――俺は――俺たちは、戦い続けることができる』と……」

僧侶「だから勇者さんは倒れません。勝つために、今勇者さんはありとあらゆる手を模索しているはずです」

女戦士「……………」ジーッ


勇者「ハッ……!ガァッ……!」カ ガカ カ カ
ズ…


女戦士「!」

女戦士「みんな勇者を見てくれ!」

僧侶「……! ゆ、勇者さんっ!」

魔法使い「……! あ、ありえない!そんな事可能なの!?」

女戦士「見りゃ分かる。つまり可能なんだろうよ!」

魔法使い「勇者が……!狐妖女のいる方へ『近づける』なんて……!」

――――

キュドドドドドドド―

狐妖女(! ありえぬッ!)

狐妖女(離れるならまだしも、此方の方へ寄ってくるじゃとぉッ!?)

狐妖女(此方へ近づけば近づく程に、魔弾幕の密度と激しさが増すだけじゃ。本当に何を考えておるのだこの男子はッ!?)

狐妖女(――まさか死ぬ為に……いや!ありえぬッ!あの瞳は!こうなってもなおッ、此方を倒そうとする意思を持つ瞳ッ!)

――――

キュドドドドドドド―
カ ガカ カ カ カ ガカ カ カ―
ズズッ…

僧侶「…………」ゴクリ

女戦士「可能な限り全ての魔法を【ガード硬直】の少ない【直ガ】で防ぎ――」

魔法使い「何フレームあるかないかの隙間を見て、歩みを少しずつ進める」

女戦士「……当然前進するには【ガード】は解かなきゃならない」

魔法使い「つまり、数フレームの間、まともに喰らえば蒸発必死の必殺火炎魔法を目の前に、無防備な姿で歩く、と」ツツー

僧侶「…………」ガクガクブルブル

女戦士「狂気の沙汰ってレベルじゃねぇぞ。触れたら即死亡なのに、一瞬とは言えガードを解いて歩くなんてよ……!」ゾクリ

魔法使い「……その狂気、魔妖女も気づいているみたいね」

――――

キュドドドドドドド―

狐妖女(も、最早ッ!き、気のせいではないッ!此奴確実に此方の方へ近付いて来ておるッ!)

狐妖女(あの此方の無呼吸連打の合間を縫うようにして……!)

狐妖女(バケモノ……化け物じゃ……命を失う事をまるで厭わぬ、恐ろしい化け物じゃ……)

狐妖女(その早さは遅々とはしてはおるが、万が一ということもあり得るしのぅ。更に此方の無呼吸11連打をより完全にするべく――)

狐妖女(此方がほんの少し、後ろへ下がる。それだけで良いはずじゃ。そう、後は圧倒的に此方が勝つだけじゃ……)

狐妖女「ほっ!」フワッ

――――

勇者「!」カ カ カ カ カ

――――

僧侶「狐さん後ろに飛びました!」

女戦士「相変わらず炎撒き散らしたままかよ!チクショウ!」

魔法使い「……いえ、勇者はコレを待っていたのよ!」

魔法使い「MPは450を超えてる。『何か』の為に貯めたのよ」

魔法使い「そしてそれを『解き放つ』のなら、今しかないっ!」

――――

勇者(今まで一番大きい『隙間』だ。……そして足りている、何もかも)

勇者「シャォォォォォォ……!!」ギチチッ
―タンッ


勇者「覚悟っ!」ピキーン!



―― 地上 ↓\→↓\→+A ――



 ―― レ イ 究 極 奥 義 ――



――『 南 斗 凄 気 網 波 』――
   ナ ン ト セ イ キ モ ウ ハ




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

歩かれるとバクステしたくなっちゃう

Negative Warning
って表示が絶対に出てる筈

ジャスガ続けてても出たっけ?

MP450とかゲージ4本半ありそう・・・

テレッテーでひん剥けるんだっけ?

>>795
それ原作再現なんで
あとテーレッテーな

続きはよっ!!

支援

ケルナグール的なRPGな話かこれは

また懐かしいものをwww

今こそ格闘もののRPG作れば売れるんじゃね?
ケルナグールみたいなやついいじゃん
ついでにシューティングのRPGも作ればいいのに

おっと頭脳戦艦ガルの悪口はそこまでだ

レガイア伝説とか良かった

僧侶(えっ……って、わわっ!?え、どこですかここ!?)

女戦士(なっ、何だ!?急に辺りが暗く……てか真っ暗じゃねぇか!)

魔法使い(これは……まるで闇の中に私たちが浮いているようね)


僧侶(あれれ?勇者さんの動きが止まってます)

女戦士(クソッ、体が動かねぇ。……いや待てよ、これは――)

魔法使い(――感覚がどこまでも研ぎ澄まされて、まるで時が止まったように感じているのね)


僧侶(ふわー……魔妖女さんも空中で凍ったみたいに止まってます)

女戦士(ほーん、これが貯めに貯めたMPの片鱗って訳か)

魔法使い(これが、これがカクゲーの世界。勇者の到達している境地……)


僧侶(……勇者さんはやっぱりカッコいいなぁ)

女戦士(まぁ、これで終わりってこたぁないわな。何が起こるか楽しみだぜ)

魔法使い(MP450から繰り出される必殺技……一体何が飛び出すのかしら)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

勇者「切り裂けっ!」

ズァァッ ビシュシュシュシュシュ―

狐妖女「なッ!?」

狐妖女(は、早いっ!先程見たかまいたちの比ではないのじゃ!腕の先端がまるで見えぬっ!)

狐妖女(超速度の腕から放たれる無数の真空の刃――恐ろしい男じゃ、まだこんな技を隠し持っていたとはのぅ……)

狐妖女(――じゃが!)

狐妖女(幾ら超速度で数があろうと、お主の目の前にあるのは此方の奥技、『九尾爆炎弾』と『二手爆炎弾』による超連射のメラゾーマじゃ)

狐妖女(想像を絶する光と高熱を放つ、此方のすぺしゃるな超威力の火炎系究極魔法!)

狐妖女(例え1つや2つかまいたちで掻き消したところで何の用も成さぬ。……此方に刃が届かなければお主の負けじゃ)

狐妖女(……これまでじゃな勇者)

狐妖女(さぁ!此方の炎の牙に屠られるがよいっ!)

―― ゴァッ

―― ビシュッ

カッ…!

結界外のやつも動かずにみてるだけ状態にしてしまうの
テーレッテーは聞こえるのかしら

―― フッ

狐妖女(バっ……バカなっ!?)

狐妖女(こ、此方の……此方の……ぷらちなぷれみあむな超威力のメラゾーマが……!)

狐妖女(かっ、かまいたちと相殺ッ!?)

―― フッ フッ

狐妖女(ありえぬ……メラゾーマと……あの小さなかまいたち一つが同じ威力じゃと……ッ!)

狐妖女(一体どういう技の構造を――いっ、いかんッ!)

狐妖女(もしそうならば……そうならば此方のメラゾーマの数が圧倒的に足りぬ!)

狐妖女(此方のメラゾーマを相殺できる威力を持った、かまいたちが此方に届いてしまったら……)ゾゾッ

狐妖女(ああ、ああ……、駄目じゃ……間に合わぬ……あれよりも更に強力な魔法を撃つには遅すぎ――)

ビシュシュシュシュシュ!!

狐妖女(グッ、ガっ、あッ――)

狐妖女「に"ょわ"あ"あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

― ッドシャァ…

K.O.

さすが勇者(梅)

???「にょわ~☆」

紙装甲だなww

勇者「これぞ南斗聖拳の真髄っ」キュポッ グビグビ

 ウ ィ ー ン
― W I N ―

  レ ェ イ
― R E I ―


僧侶「…………」

女戦士「…………」

魔法使い「……今の――」

女戦士「ぃよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」グッ
僧侶「やったぁぁぁぁぁっ!」ピョンッ

女戦士「あンの野郎素手で四天王の一角落としやがった!しかもタイマンでだ!」

僧侶「流石です勇者さん!すごいですっ!強くてカッコ良いですっ!」

狐妖女「」

プシュー

魔妖女「」


魔法使い「……え?」

魔妖女「……ぅ……ぁ……」ピクピク


魔法使い「!」

魔法使い「下がって皆!まだ魔妖女は生きてるわ!」

女戦士「なッ、渋てぇクソババァめ……!」チキッ

僧侶「あわわわわわ!」


勇者「いや魔法使い、もう大丈夫だ」

魔法使い「大丈夫って何がよ!まだ変身とか超回復残してたら大変な事に――」

勇者「心配ない。ラウンドは取った。本人の回復力次第だが、しばらくはろくに戦えないだろう」

女戦士「……回復力?しばらく戦えない?」

僧侶「ど、どういう事でしょう勇者さん……」


勇者「……む?」

勇者「…………」

勇者「……ああ」ポンッ

勇者「まだ皆には伝えてなかったな。カクゲーは――」

――――

魔法使い「…………」

女戦士「…………」

魔法使い「……豚だらけね」

女戦士「……ああ」

魔法使い「……縛るの、大変だったわね」

女戦士「……縄も足りなかったしな。カーテンとか絨毯で簀巻きにしたりして……まあ、大変だったな」

魔法使い「…………」

女戦士「…………」

魔法使い「……私、あの豚とあの豚の頚椎、確実に破壊したはずなんだけど」

女戦士「……あたしはあっちの豚とこっちの豚の頸動脈をきっちり斬った記憶があるな」

魔法使い「血、出てたわよね」

女戦士「そっちもそっちでやたら鈍い音してたよな」

魔法使い「……で、何でこいつら生きてるワケ?」

女戦士「……まぁ、さっき勇者が言ってた通りじゃねぇのか?」

僧侶「ええと、何でしたっけ。カクゲーは究極の波動拳とかなんとか……」

女戦士「究極の昇竜拳じゃなかったか?ナンか傷つけるの良しとしないとかナンとか……」

魔法使い「……活人拳、ね。それじゃどっちも傷つける気満々じゃない」

女戦士「あぁ、ソレだ。あたしの故郷にもそんな道場あった気がするな。人を活かす剣だとかそんなのがよ」

魔法使い「……でも、それって武の精神的な話でしょ?」

女戦士「ああ。心と体を育てる……まぁ、ガキの時分にゃ丁度いい稽古だな」

魔法使い「その活人剣の流派で、相手をメッタ打ちにしたら――相手は生きてたりする?」

女戦士「そもそもメッタ打ちなんざしねぇが……まぁ死ぬ。鈍器だろうと刃物だろうと、メッタ打ちにすりゃぁ当然だ」

魔法使い「そうよね。メッタ打ちにすりゃ死ぬものよね」

女戦士「…………」

魔法使い「……この豚共は死ぬどころか傷一つ負ってないし、服に血痕すらないのよ?」

僧侶「えぇと、つまり、そのっ……た、戦う前まで戻されたのでしょうか?」

魔法使い「……そう、なのかしら……」ガシガシ

女戦士「まぁいいんじゃねぇのか?首を取ってわざわざ持ってくより、歩いて貰った方が手間かからないしな」ハハッ

魔法使い「……うー、駄目だ……何か感覚が麻痺してきて段々分からなくなってきたわ……」ガシガシ

時の砂………!

格ゲーだもんな、破れた服がround2!とか始まったら直ってるもんな

面白いなこのSS

ぜ、絶命奥義…

真っ二つにしたって生き返るのが格ゲー…

メッサツゴウショウリュウ

格ゲーだからどんなピンチでも諦めない
格ゲーだから殺さない
格ゲーだから女でも殴る(これは一工夫してたけど)

バトル系のめんどくさくなりがちな点を簡単に解決しているな

格ゲーだからパンモロ平気も加えたいところだ

ブレイブルーだと見えないけどな

格ゲーだから100回地面に弾んでも辛うじて大丈夫

しえん!

発想が良いね
面白いので支援

――――

魔妖女「ぁぅ……駄目じゃ……此方は攻め専門で……受けはちと……ぅぅ……」ビクビク

勇者「……む?」

魔妖女「ふわぁッ!?………………なっ、何じゃ夢か……」

勇者「目が覚めたようだな」

魔妖女「……うむ……ヒドい夢じゃった……」ショボショボ

勇者「そうか」

魔妖女「…………」ボー…

勇者「…………」


魔妖女「ッにょわぁぁ!」

勇者「どうした?」スッ

魔妖女「ヒっ、ヒィィッ!?こっ、こっちに来るでな――ひにゃあああああぁぁぁぁぁ!!」

魔妖女「――あふぅ」カクン

魔妖女「」ブクブク…

勇者「…………」

僧侶「勇者さん触れもせずに魔妖女さん倒しちゃいました……」

女戦士「ハハッ。カクゲーの【奥技】をまともに食らったんだ。トラウマにもなるだろうよ。ざまぁみろってんだ」

魔法使い「いい気味よ。でも色々聞きたいこともあるから、寝てもらってても困るのよね……」

女戦士「任せな。あたしにいい考えがある」

魔法使い「…………」

女戦士「何だその目は。まぁ見てなって」グルグル

女戦士「活を入れるっつってな。こう、この辺りをこんな角度で押し込むと、気をやってても目が覚めるのさ」ヒュッ ヒュッ

魔法使い「へぇ、あなたそんな器用な事できたのね」

女戦士「心得のあるおっさんに習ったんだよ。ほいじゃまぁ――」

女戦士「――うおりゃぁぁぁぁぁッッ!」ブンッ

ボグッ

魔妖女「ぎにゃぁぁぁぁぁ!なっ、何事じゃぁ!?」バッ

女戦士「おお、すげぇ。初めてやったけどうまくいったな」

僧侶「え、えぇー……」

魔法使い「……あたしが気絶してもそのまま放っておいてね女戦士」

キタカ!
Σ====④

――――

魔妖女「こ、此方をどうするつもりじゃ」ガタガタ

女戦士「首を斬る」チキッ

魔妖女「ひっ」ビクッ

魔法使い「コラコラ、斬らないわよ」

魔妖女「……ふぅ」ホッ

魔法使い「洗いざらい吐いてもらってからじゃないと困るわ」

魔妖女「ひぃぃっ!」ビクビクッ

僧侶「……お二人とも何だか生き生きしてますね」

勇者「……ああ」

魔法使い「まぁ半分は冗談だけど」

魔妖女「は、半分!?」

魔法使い「そうね、まず手始めに……あなたが魔王軍で担っていた役割と部下の情報」

魔法使い「潜入させているスパイ全員のリスト。それから――」

魔法使い「――財宝と古文書をあるだけいただこうかしら?」ニマァ

今更だが、格ゲーってことはザッパとかアナカリス?的な存在にもなれるのかな

そうなるとアメコミヒーローにもなれそうで怖い

世紀末バスケ出来るんだし大概はいけるだろ
CPU専用とかは怪しいが

当然触手のような攻撃も可能なんだろうな(期待)

勇者は魔王を倒すために旅してるの?
「俺より強い奴に会いに行く」為じゃないの?

>>835
最初の数レス読み返してこい

もう半年以上前なのか……

支援、好き

間違いだったらすまないが、もしかして 友の女体化 もこの人の作品?

>>836
お前アホだろ

>>838
女体化はしらないけど、寒いときはお兄ちゃんになんてろってのとか、お前はコブラッとかは書いてたと記憶してる

>>839

>>839

>>839
赤くしときますね^^

続き早く書けよ

これは面白い

続きまだ?

ゲージをためてるんだろ、少し待とうぜ
wktk

ひょっとしてお金入れないと続き書いてくれないとか!?

INSERT COIN
なのか!?

now loading...

そういえばネオジオCDのNow Loadingは人知を超える長さだったな

ひょっとしてもう書かないつもりなのか?
そりゃねえだろ……

2ちゃんねるのとあるスレにスレ住人みんなから「もう書くな出て行け」って
言われてるのにまだやめないアホの荒らしがいるんだが
ここはその逆だな
みんなが「面白い!続き書いて!」って言ってるのにもう書いてくれないなんて……
こんなもんなんだろうな…世の中なんて……

まだ二週間も経ってないのに、諦めるの早すぎだろ
人によっては、一月ぐらい空くんだから気長に待とうや

別のを先週書いてたから失踪してるわけじゃないよ
ついでにこの>>1はゆっくりだから気長に待つしかないわ

別のってどこのスレ?

>>855
その別のを書いてた人とこのスレの>>1が同じ人だってなんでわかるの?

>>856
幼馴染「おまえはコブラッ!」~とかそんな感じの
なんか落ちてる
朝まで生きてた

>>857
寒いときはお兄ちゃんに限るとかそんなSS書いてたときにこれも書いてるって自分で晒してたから

>>858
その別のやつとカクゲーとどっちが面白い?

自分で探して読むくらいの努力しろよks

もう落ちてるんだろ?

だから探せって言われてんだろROMってろ

お兄ちゃんSSとかってあんまり好きくないから探す気なんかおこらないもの

見つけても読まないし

じゃあ読むなよwwww
マジで無駄な話するなよお前ら
スレが埋まったらどうすんだ

臭いやつは黙ってNG入れとけ

ご無沙汰してます
このスレで完結させようと試みましたが、無理ゲーでした
なので話がキリの良いところまで進んだら次スレを立てます
>>900越えたら誘導入れるまでレス控えて貰えると助かります

遅くて本当にすまん

おk把握
ちゃんと完結させてくれるなら気長でも問題ないさ

――――

魔法使い「……ふぅ、まぁこんなところね」

魔妖女「うぅ……喋りすぎで喉が痛いのじゃ……」

女戦士「結構あやふやなところ多かったけどよ、それでいいのか?」

魔法使い「概略を掴めるだけでも、大分違うわよ。実務は現場にいる部下に任せてたんでしょうし」

魔妖女「……此方は……これからどうなるのじゃ?」

女戦士「……斬首かな?」

魔妖女「ひっ……!」

魔法使い「まずは砂漠の街で色々聞かれるんじゃないかしら」

魔法使い「あなたが犯してきた悪事とか、魔王軍の情勢とか……まぁ私と変わらないわね」

女戦士「まぁ、方法はもっと乱暴だろうがな」

魔法使い「最終的には王都に護送されるか、あるいは領民と領主の怒りが収まらなければ――」

―クイッ

女戦士「広場で頭と胴体がさようなら、ってとこだろ」

魔妖女「……うぅ」

魔妖女「……た、頼む勇者!」

勇者「む?」

魔妖女「も、もう二度と悪事は働かぬ!金輪際人にも危害を加えぬし、魔王様に仕えるのもやめる!」

魔妖女「じゃから……じゃから此方を、此方を見逃してくれまいか!」

勇者「…………」

魔法使い「そ――」

女戦士「寝言言ってんじゃねぇぞクソババァ」

女戦士「さんざあたし達を殺そうとしておいて、今度ぁ自分の命は惜しいだぁ?調子が良いにも程があるぜ」ケッ

魔妖女「う……」

女戦士「殺してるならな、殺されても文句が言えねぇんだよ」

僧侶「女戦士さん……」

女戦士「それにテメェは四天王の一角背負ってるんだ。むしろ死に際はでんと構えて然るべきだろうが」

女戦士「みっともなく命乞いをする行為が、お前を慕っている部下の目にどう映るのか――考えてものを言えよ」

魔妖女「……うぅ……ひっく……ぐす……」

勇者「…………」

――――

「勇者様がっ!勇者様がお帰りになられたぞー!」

「おぉ……あのお方が……。何と凛々しいお顔つきなのじゃ」

「そう、そうなんだよ!あの人達が俺達を助けてくれたんだ!命の恩人なんだ!」

「聞いた話じゃ、ここらの街道の魔物を一掃したのも勇者一行らしいぜ」

「それなら俺も聞いたな。金を積まれた訳でも、依頼でもないのに片っ端から退治してくれたとかなんとか……」

「っへぇ!それじゃまるで伝説の勇者みてぇじゃねぇか!こちとら自分の事だけで精一杯だってのに……ありがたやありがたや……」


僧侶「……えへへ」

魔法使い「……急にどうしたの?」

僧侶「ハッ……!街の皆さんが勇者さんの事褒めちぎってるのが嬉しくてつい顔がっ」

女戦士「だらしない顔の僧侶がいたら、勇者の株が落ちるかもな」

僧侶「そ、そんなっ!?わたし、これ以上勇者さんに迷惑をかける訳には――」ワタワタ

女戦士「冗談だよ。凱旋だぜ?誰もそんなの気にしないって。ほらスマイルスマイル、ピースしとけピース」ブイブイ

魔法使い「……株を落としてるのはむしろあなたよ……」

勇者「…………」

ブヒィ… トボトボ… ズズッ ズズッ…

―ゾロゾロ

「……オークマンにブラウニーにスライムナイト、捕虜にしちゃ随分と多くねぇか?元はどれだけいたんだありゃ」

「それがよ、信じられねぇかもしれねぇが……勇者様が全員生け捕りにしたらしいんだこれが」

「ハァァッ!?こ、こいつら全員を……生け捕りだって!?」

「……四天王の一人と部下をまとめて相手して……そんな余裕あるのかよ……」ゴクリ


魔妖女「……うぅ……ぅ……」グスッ

―ジャラ…ジャラ…


「……あれが噂の魔妖女か」

「催眠の魔法で色んな奴を骨抜きにしちゃぁ密偵に仕立てあげてたって話だぜ」

「それに人の生き血が大好物だって話だ。だから今回街の奴を攫ったのも……」

「そ、それ本当なの!?じゃぁうちの旦那も勇者様が助けてくれなかったらもしかして――」

「見てくれは良くたって魔族なんて皆そんなもんさ。野蛮で狡猾で……まぁとにかくクズなんだよ」

「ケッ、鎖に繋がれていいザマだぜまったくよ」ペッ

支援age

>>873
無駄な書き込みすんなよ
スレが埋まったらどうすんだ

>>867
こう言ってるし、ちょっとならいいんじゃないの?

>>875
無駄な書き込みするなと言ったばかりだろうが

>>876
掲示板なのに書き込みしたらダメとか、バカじゃね
雑談されたくなかったら、そもそもこんな所やめて他所で書くだろ

無駄に埋めるなって事だろ…(´Д`)

>>873の支援アゲはスレが700番台に突入して落ちそうだったから上げただけの事

それに対して無駄レスとか言っちゃうレスがまず無駄レス
そのレスにあててのレスもハッキリ言って無駄レス
そのレスに(ry

内容に関しての雑談をするとかならともかく
これ以上スレを埋めただの埋めてないだのの不毛なレスで埋めるのはやめないか?
>>1が区切り良くかけるように当面は700番台くらいまでスレが落ちたらアゲとけば良いのよ、把握したかな?
分かったら二度と他人にこんな臭い説明をさせないようレスには気をつけような

文句(或いは意見)が有る人がもしいたらここじゃなく酒場なり休憩所なりで話してな
勿論どこのスレから来たかとかは書かないでね荒れるから、以上うるさいのは>>1の投下まで消えます

いや>>1来てもそのままROMってろよ

>>874>>879みたいな勘違い自治体厨くんが一番害悪

>>865
おい聞いてんのか?
お前に言ってんだぞ

正直>>1以外全員害悪

それで続きはまだ?

>>883
そう思ってるなら掲示板は向いてない
小説サイトにでも行ってろ

――――

使者「ささ、どうぞこちらへ。あなた方のお帰りを皆心待ちにしておりました」

領主「民のみならず街まで危機から救っていただけるとは……あなた方には本当に感謝してもしきれませぬ」

領主「ささやかではありますが祝いの席を設けさせていただきました」

女戦士「さ、酒が……あ、あんなに……!」

僧侶「ご、ごちそうが……テーブルから溢れそうです……!」

魔法使い「フフ、悪く無いわね」


勇者「……領主様、二三伺いたい事があります」

領主「何でしょう勇者殿?」

勇者「今回の魔妖女の一件、犠牲になった方はどれほどいたのでしょうか?」

領主「そうですな。攫われていた民は多少衰弱してるとは言え、皆無事に戻ってきておりますし――」

領主「精々が偵察に行かせた兵士がケガを負った位でしょう」

勇者「…………」

領主「これも皆、勇者殿、そして皆様のお力あってのもの」

領主「もし我々が攻め込んでいたならば……人質の命は愚か、勝つ事すら危うかったでしょう」

――――

使者「ここの位置で喋っていただければ、風の呪文で遠くまで声が届く仕組みになっております」

勇者「ありがとうございます」

領主「…………」

――――

ザワザワ…

「もうちょっと前へ詰めろおっさん!そっちののっぽはしゃがめ!全然見えないだろうが――」

「勇者様、一体どんなお話をされるのかしらねぇ。武勇伝とか、やっぱり激励の――」

「さっきは人がすごくて見る事すらできなかったからな。今度はこの特等席で勇者様の演説を――」

――――

ジャラ…

魔妖女「こ、此方をこの高やぐらに連れてくると言うことは……つ、つまり……!」ガクガク

女戦士「黙って歩け」

僧侶「魔法使いさん、な、何が始まるんでしょう?」

魔法使い「…………」

ミス。抜けました。

――――

使者「ささ、どうぞこちらへ。あなた方のお帰りを皆心待ちにしておりました」

領主「民のみならず街まで危機から救っていただけるとは……あなた方には本当に感謝してもしきれませぬ」

領主「ささやかではありますが祝いの席を設けさせていただきました」

女戦士「さ、酒が……あ、あんなに……!」

僧侶「ご、ごちそうが……テーブルから溢れそうです……!」

魔法使い「フフ、悪く無いわね」

勇者「……領主様、二三伺いたい事があります」

領主「何でしょう勇者殿?」

勇者「今回の魔妖女の一件、犠牲になった方はどれほどいたのでしょうか?」

領主「そうですな。攫われていた民は多少衰弱してるとは言え、皆無事に戻ってきておりますし――」

領主「精々が偵察に行かせた兵士がケガを負った位でしょう」

勇者「…………」

領主「これも皆、勇者殿、そして皆様のお力あってのもの」

領主「もし我々が攻め込んでいたならば……人質の命は愚か、勝つ事すら危うかったでしょう」

勇者「……領主様にお願いがあるのですが――」

領主「はい、それはもう何なりと。して、それはどのような――」

――――――
――――
――


女戦士「で、何故あたしらは広場まで連れてこられたんだ?」グビグビ

僧侶「ふぁんふぇふぉふゅぅひゃふぁばっ――ぶふっ!?げほっえ”ぇっほっ!?」ボロボロ

魔法使い「ハァ……あんた達、飲み物と食い物位置いて来なさいよ」

女戦士「飲める時に飲んでおくんだよ。一寸先は闇ってな。……んで?」

魔法使い「勇者が伝えたい事があるらしいの。……領主様を含めたここの街すべての人達に――」

僧侶「ッぶはっ!ゆ、勇者さんの演説が聞けるんですか!?」

女戦士「っへぇ。でもよ、あいつそんな柄だったか?」

魔法使い「……人の話は最後まで聞きなさいよ。街の人達に加えて――」ビッ

魔法使い「――魔妖女とその部下達にも、って話よ」

僧侶 「……え?」
女戦士「……あ?」

――――

使者「ここの位置で喋っていただければ、風の呪文で遠くまで声が届く仕組みになっております」

勇者「ありがとうございます」

領主「…………」

――――

ザワザワ…

「もうちょっと前へ詰めろおっさん!そっちののっぽはしゃがめ!全然見えないだろうが――」

「勇者様、一体どんなお話をされるのかしらねぇ。武勇伝とか、やっぱり激励の――」

「さっきは人がすごくて見る事すらできなかったからな。今度はこの特等席で勇者様の演説を――」

――――

ジャラ…

魔妖女「こ、此方をこの高やぐらに連れてくると言うことは……つ、つまり……!」ガクガク

女戦士「黙って歩け」

僧侶「魔法使いさん、な、何が始まるんでしょう?」

魔法使い「…………」

「……おい。勇者様の近くにいるのってよ……」

「女戦士さんか?いやーいい体してるよなぁ。腹筋が堪らなく――」

「バカ。その左だ左」

「……魔妖女じゃねぇか。何であんなところにいるんだ?」

「……こいつぁひょっとすると……アレかもしれねぇな」クイッ

「ああ、なるほどな。確かにコレかもしれねぇな」クイッ

――――

勇者「…………」

勇者『 街の皆さんに頼みたい事があります 』

ザワザワ…

「――勇者様が……頼み事だって?」

勇者(……女戦士、鎖を)

女戦士(ん?……おう。ほらよ)

ジャラ…

魔妖女「ひっ……こ、此方はこんな場所で……くっ……」

勇者「……魔妖女、もう少し近くへ」

魔妖女「うぅ……」ズズ…

勇者「…………」グッ

―バギンッ

魔妖女「…………ん?」

「…………」

女戦士・僧侶・魔法使い「…………」

領主・使者「…………」


勇者『 ――どうか、魔妖女を許していただきたいのです 』

女戦士「ばッ――」

僧侶「ええっ!?――」

魔法使い「勇者っ!?――」

使者「ゆ、勇者様!?な、なな、何という――」

領主「…………」

ドヨドヨ…

流石勇者

支援あげ

遅すぎ

べつに週刊連載とかしてるわけじゃないんだから大人しく待てよ

週刊連載にしてくれ
お金払うから

「――お、おい。今勇者様が、何かトンデモねぇ事言ったような……お、俺の空耳か?」

「いや、俺も聞こえたぞ。魔妖女を許してもらいたいって――」

「――どういうこった……てっきり俺ぁ公開処刑か何かだと」

ザワザワ…

女戦士「ッんの大バカ野郎!あたしらに相談もよこさねぇでいきなり何やらかしてんだ!」ガァッ

僧侶「き、きっと勇者さんの事だから何かふ、深い考えが……何か考えがあるんですよね魔法使いさん!?」アワワワ

魔法使い「何を思って勇者が言ったのかなんて分からない。……でも確実にこの流れはマズいわ」ガジガジ

使者「領主様!よろしいのですか!?魔王に仕える四天王に情けをかけるなどと――おぉ神よ……」

領主「…………」


――――――
――――
――


領主『……勇者殿、それは本気で言っておられるのか』

勇者『はい。魔妖女を罰し、処刑するのではなく――』

勇者『――魔妖女を許し、味方につけるのです』

領主『……魔妖女は古より連綿と続く狐妖の末裔、生粋の魔の眷属ですぞ?』

領主『それに仮にも一度は勇者殿の命を狙った身。……何故そのような事を』

勇者『……拳を合わせた私だからこそ分かる事もあります』

勇者『それに戦いの後、私に助けを求めた魔妖女の瞳には……強い自責と後悔の念が見て取れました』

勇者『反省を促し、正しい道を示せば心強い味方になる事でしょう』

領主『……うぅむ』

領主『各地に潜入している魔妖女の部下達を寝返らせ、逆スパイとして働かせる……』

領主『確かに、勇者殿の仰る通り魔王軍に対する有効打になりうるかもしませんな』

領主『――ただし、それは魔妖女が本当の意味で我々の味方であれば、の話です』

領主『魔王に対する忠誠を捨て、魔妖女が改心したのか。それを確認できない限りは私としても、いえ、何より民が許さないでしょう』

領主『我が領地で起きた件故、砂漠の街の法にて裁けはしますが……いくら私の裁量とて限度がある。……民を蔑ろにしては国は成り立ちませぬ』

勇者『…………』

勇者『……では、どうか。私に街の方達に説得の機会を与えていただけませんでしょうか』

領主『勇者殿……』

勇者『何卒、私に機会を』バッ

おつつ


――
――――
――――――

領主「…………」


勇者『 魔王に仕える事を辞め、改心すると魔妖女は誓いました 』

勇者「……そうだな魔妖女?」

魔妖女「あ、う、うむ、確かに、そうは、言ったの……じゃが……」チラリ


ドヨドヨ… ザワザワ…

「――確かに今勇者様が――」

「――まさか勇者様が魔妖女に操られて――」

「――人外ったって見た目はイイ女だからよ。やっぱり――」

ザワザワ… ドヨドヨ…


魔妖女「……の、のう勇者――」クイクイ

勇者『 ですから、どうか魔妖女を許していただきたい。そして―― 』

――――

女戦士「クソッ!これ以上見ちゃいらんねぇッ!殴ってでも止めてくるッ!」ズカズカ

ガシッ

僧侶「ま、待って!待ってください女戦士さん!」ズルズル

女戦士「なッ!?ちょ、邪魔だ!離せ!何故止めるんだ僧侶!」

魔法使い「……そうよ僧侶さん。今は何としても勇者を止める必要があるわ」

僧侶「で、でもでも!」

魔法使い「街の人達の勇者を見る目つきを見なさい」

僧侶「う……」

魔法使い「混乱もしているし、それと共に疑念も多少抱き始めてる。……下手したら私達もまとめて逆賊扱いになるかもしれない」

僧侶「……でも」グッ

僧侶「でも、もし本当に魔妖女さんが悔い――そして改め、これからの行いを正そうとしているのなら……」

僧侶「それを、ちゃんと分かっていて、勇者さんが今あそこに立っているのなら……!」

僧侶「最後まで聞き届けるべきじゃないかって、そのっ、うまく言えないけどっ、最後のチャンスなんじゃないかって……わたしっ、そう思うんですっ!」

女戦士「だぁっ!そんな綺麗事じゃぁ片付けられねぇから!止めるってあたしは言ってんだよ!」

――――

ドヨドヨ…

「――どけ!どいてくれっ!道を空けてくれっ!」

勇者「……む?」

ズイッ

「……勇者様、俺ぁそこで小せぇ店開いてる商人ってもんだ」

勇者「…………」

商人「2ヶ月程前にな、俺のカミさんがそこの魔妖女に攫われたんだ」ビッ

魔妖女「うっ……」

商人「カミさん助けようにも――俺ァ商いしかできねぇ役立たずで……ここの兵士は街を守るのに手一杯だ」

商人「だから領主様は俺達に代わって、通りかかる勇者証持った奴らに頭下げて頼んでくれたんだ。礼金も宝物も弾むからってよ」

商人「……でも誰も首を縦に振りゃしねぇ。そりゃそうだ。勇者証持ってたって、あいつら別に勇者でもなんでもねぇんだ」

商人「金になったって死んじまえばそれで終わりだ。……別にそれを悪く言うつもりはねぇ。同じ立場だったら俺だってそうするさ」

商人「……だから正直俺ァもうあきらめてたんだ」

商人「ガキにもそう言い聞かせてよ、何とかカミさん無しでやっていこうってよ……そう、心に決めたとこだったんだよ」

商人「――でもあんたは違った!」

商人「報酬のそろばん弾くどころか、そいつを二つ返事で引き受けて、そんで、そんで――」

商人「勇者様は、あんたはうちのカミさんを……!大事な大事なカミさんを俺の家に連れ戻してくれたんだ!」

商人「俺のカミさんだけじゃねぇ!この街の攫われちまった奴らを全員五体満足で返してくれたんだ!」

商人「あんたは感謝してもしきれねぇ大恩人なんだよ!」

――――

ザワザワ…

「――そうだわ。わたし達の恩人である事には変わりない――」

「――私のところの娘も勇者様に助けていただいたんだから――」

商人「だから勇者様、俺たちに……素直に、真っ直ぐに感謝させてくれねぇかな……」

勇者『 ……真っ直ぐ? 』

商人「……ああ。これ以上勇者様が魔妖女の肩持っちまうとよ、色々と良からぬ事を思う連中が出てくるはずだ」

商人「――だからもうよ、そんな血も涙もないような奴に、情けなんかかけないで欲しいんだよ」

商人「そうすりゃ皆手放しで勇者様を――」


勇者『 ――それは出来ない 』

いいおとこやでえ

さてどうなる

保守age

おつ

女体化の方は落ちちゃったみたいね…残念

勇者『 人質は無事戻り、魔妖女は降伏し、心を入れ替えると誓った 』

勇者『 償う意志があるのなら、それが贖える罪ならば…… 』

勇者『 機会を与え、改心の道を歩ませるのが道理ではないだろうか? 』

商人「……ッ」

勇者『 奪われたから奪い返す。痛みを受けたから相手に痛みを与える 』

勇者『 終わらぬ恨みの連鎖は……やがてお互いを滅ぼす 』

勇者『 【かぶせ】に【かぶせ】ても永遠に決着は付かない 』


商人「……確かにあんた言う通りかもしれねぇ。それが、正しい行いなのかもしれないさ」

商人「もしこの女が『人』だったら俺も納得したかもしれねぇ」

商人「――だがこいつは四天王で!人をかどわかす魔妖女だ!」

商人「嘘をついてないって証が何処にある?俺たちを襲わないって証はどこにある?」

商人「こいつが改心したと嘘を付き、俺達を襲わないって保証はどこにあるんだ!?」

商人「あんた達が去った後に襲われたら俺たちは一溜りもねぇんだよ!」

ザワザワ… ドヨドヨ…

勇者『 ………… 』

話の展開が丁寧だなあ

――――

魔妖女(何なのじゃ……?一体何故なのじゃ……?)

魔妖女(……此方は確かに心を改めると勇者に言いはした。じゃが――)

魔妖女(此方は、此方は死にとうない一心で……命乞いをしたに過ぎぬ)

魔妖女(……その此方に対して何故勇者はここまでするのじゃ?)

魔妖女(何故己の立場を危ぶめてまで此方を庇うのじゃ?)

魔妖女(種族すら違う、一度はお主を殺そうとした此方を……何故そこまで信じられるのじゃ?)

魔妖女(分からぬ……此方にはまったくもって理解できぬが……)

魔妖女(…………)

魔妖女(勇者のあの瞳――限りなく真っ直ぐなその眼差し……)

魔妖女(それを思うと、胸を鷲掴みされたかのように苦しくなる……これは……)

魔妖女(何なのじゃ……?この胸を満たすこの気持ちを、温かさを……勇者――お主は見透かしておるのか?)

魔妖女(勇者……)

魔妖女(此方は……)

魔妖女(此方は……此方は……ッ!)

――――

魔妖女「……そうじゃ」

魔妖女「此方は魔妖女。高貴にして崇高な魔の眷属。誰もが羨む美貌と魔力を欲しいままにする――魔妖女なのじゃ」

勇者「……む?」

魔妖女「勇者よ。その場所を貸してはくれまいかの」

勇者「…………」スッ

魔妖女「……礼を言うぞ勇者。お主の此方に対する働き、決して無駄にはせぬ」

魔妖女「例えここで命尽きたとしても――お主から受けただけの恩は返すつもりじゃ」

勇者「……魔妖女?」

――――

「――な、なんだ?魔妖女が前に出てきたぞ……」

「……命乞いか?この期に及んで浅ましい――」

――――

―バッ

魔妖女『 聞こえるか砂漠の街の民よ!此方は魔妖女!高貴にして崇高なる魔の眷属じゃ! 』

更新キター

勇者△

続きを待ってる

魔妖女『 此方は勇者に敗れ、二度と悪事を働かぬと確かに誓った! 』

魔妖女『 じゃが此方は昨日まで魔王軍に身を置き、魔王の臣下であった身―― 』

魔妖女『 そこの男が言うた通り……信ずる価値などないと断ぜられても、詮無き話じゃ 』

魔妖女『 ――じゃが安心せぃ砂漠の街の民よ。もう此方を信ずる必要もない 』

魔妖女『 お主らが望むのであれば、此方はこの身を差し出そう。斬るなり焼くなり、好きにするがいい! 』

ザワザワ… ドヨドヨ… ザワザワ… ドヨドヨ…

勇者「早まるな魔妖女、それでは――」

魔妖女「良いのじゃ勇者。……これで良い」

魔妖女「此方は助かりたいあまりに、命より大切なものを投げ出すところじゃった」

魔妖女「……どうあっても此方は大将、頭じゃ。あの者達を導いてここまで来た尊い魔妖女さまなのじゃ」

魔妖女「ならば死に際がみっともなくて良い道理などない。死ぬなら堂々と優美に、じゃ」

勇者「魔妖女……」

魔妖女「その覚悟をくれたのは他でもないお主と……いやお主だけじゃ。重ねて礼を言うぞ勇者よ」

魔妖女「それに肝心要はここからじゃ。……最後まで此方を見届けよ勇者」

勇者「…………」

魔妖女『 ――此方はもうどうなっても構わぬが……此方の命が尽きる前にやらねばならぬ事がある 』

魔妖女『 偽か正かも分からぬ命乞いを信じ、此方に情をかけた勇者に―― 』

魔妖女『 同じ分――いや!それ以上の恩を返したいのじゃ! 』

バッ

魔妖女『 故に!此方の奥技を以って、勇者の誠意に此方は応えよう! 』

魔妖女『 お主らに未来永劫の安寧を与え、其れを此方の礼としよう! 』

――――

オークマン「ブ、ブヒッ!?ま、まさか魔妖女様はアレを使うおつもりじゃ……!」

ブラウニー「魔妖女様ッ!それを使っては体がッ!早まってはいけませーん!うわぁぁん!」

――――

魔妖女『 ……此方の、忠実なる僕たちよ…… 』グッ

魔妖女『 ……よォく目に焼き付けておくのじゃ。お前たちを従えていた魔妖女は……最後まで美しく、高貴であったと! 』

魔妖女『 街の者も皆見ておくが良い!魔王軍随一の魔導師と呼ばれた此方の秘儀中の秘儀を! 』

―バォッ

狐妖女『 ――はぁぁぁぁぁぁ……! 』ゴゴゴゴゴ…

――――

「ひッ……!?ば、化け物!狐の化け物だ!」

「クソッ!やっぱり口だけかよ!魔物ってのはどこまでもいっても――」

―ビュオォォォォォォォ!!

「なっ、何だ!?風が急に……!」

「風だけじゃねぇぞ。空の様子が何だか妙な具合に……!」

――――

領主「……乾いた風が四方八方から。もしや――」

―ザッ

兵士「申し上げます!東の方角!距離にして約2km!巨大な砂嵐が発生しました!」

領主「……やはりか。しかし妙であるな。前兆の報告などまったく受けてはおらぬが」

兵士「いえ、それが突然湧くようにして現れまして――」

ザッ

兵士2「もっ、申し上げます!す、砂嵐が……!巨大な砂嵐が西に発生しました!」

領主「……何!?」

支援あげ

うーん、仲間にはならんのかな?

?

支援

他のやつの続きもみたい

続きキニナル

マダー?

兵士2「きょ、距離にして約2km――報告によれば先程の砂嵐と合わせて真っ直ぐこちらへ向かっております!」

領主「何と折の悪い……ッ!速やかに民を屋内へ避難させよ!足の遅き者は――」

ザッ
兵士3「申し上げますッ!先程の2つの砂嵐に加えて大きな砂嵐が北に発生しましたッ!進路は――」

兵士4「申し上げますっ!南と南東、それぞれに砂嵐が発生しましたっ!地平線が霞む程のかつてない――」

兵士5「もも、申し上げます!南西、北東に――」

――――

使者「あ、あぁ、ありえませぬぞ……ッ!同時に砂嵐が8つも生まれ、そのどれもが街に向かっているなどと……!」

使者「か、風向きや季節!何もかもがチグハグで理屈に合いませぬ!な、何かの間違いだ……きっとそうに違いない……アァ……」フラフラ

領主「……………」

領主「……もしや」

ポンッ

女戦士「領主様の考えてる通りだろうよ。偶然じゃぁないさ」

領主「ではやはりこの砂嵐は……」

女戦士「少々賑やかになるからよ。そっちのふらふらしてんのと一緒に離れてて貰えるか領主様」

女戦士「……とっちめなきゃならねぇ奴が2人もいるんでな」パキポキッ

――――

―ヒュオッ

勇者(!)

―― 地上(当て身) ↓/←+A

――『北斗破流掌』――

勇者「激流では勝てぬ……」ビシッ

女戦士「ぐッ!……速ぇな。見てから間に合うのかよッ!」ズシャァ

魔法使い「――『メラ』!」ゴォッ―

勇者「む!」バッ

―― →↓\+B

――『北斗無想流舞』――

ナギッ

―― 地上(飛び道具に対して) ↓/←+C

――『北斗流弧陣』――

勇者「激流に身を任せる」スッ

ピィン―ゴォッ―

魔法使い「! ――『メラ』!」ゴォッ―

―ッバォン! ―ッバォン!

魔法使い「相殺できたって事は……マホカンタと同じ性質かしら」


勇者「……女戦士、魔法使い」

女戦士「……もういい。ここまでだ」

魔法使い「あれを見なさい勇者」

――――

狐妖女『 ――あぁぁぁぁぁぁ……ッ! 』ゴゴゴゴゴ…

――――

魔法使い「魔力に煌めく八つの尾。そしてこの街に迫る八つの砂嵐……」

魔法使い「魔妖女と戦ったあなたなら分かるはずよ。あの砂嵐を操っているのが一体誰なのか」

勇者「…………」

女戦士「いいか勇者。お前は魔妖女を信じ、そして裏切られたんだ」

女戦士「素直にそれを認めろ。そしてそこをどくんだ。もう魔妖女をかばう理由もないだろう?」

おお…気になる引きが続くなぁ

続きが気になって仕事がてにつきません

勇者「…………」

勇者「……私は――」グッ

勇者「――私は、魔妖女を信じる」スッ


魔法使い「……そう」

女戦士「こんな状況になっても、認めねぇか」

魔法使い「魔妖女が言葉通りに恩返しをして、街は安泰。……まだそんな『かもしれない』を信じているの?」

勇者「…………」

女戦士「けどな。あたしらにその危険を冒す権利なんざないんだ」

魔法使い「あなたがバカな真似をやめないというならば――」

女戦士「力づくでもお前を止めて、魔妖女を討つぜ」

―ザッ

魔法使い「街の人達の為、私の為、そして――」

―チキッ

女戦士「お前の為にな」

―ヒュォォォォォ…

勇者「…………」

女戦士「…………」ググッ

魔法使い「…………」ユラァ…

『 まっ、待ってくださいっ!! 』

勇者「!」

女戦士「……下がってろ僧侶。話は終わったはずだ」

僧侶「終わってません!お願いですから、わたしの話を聞いてください!」

魔法使い「時間がないの。これ以上魔妖女の呪文に時間を与えれば本当に取り返しのつかない事に――」

僧侶「違うんです!聞いてください!魔妖女さんはまだ……!『まだ』呪文を唱えていないんです……!」


女戦士「……な、に?」

僧侶「魔力を溜め、闘気を高めてはいても……!呪文を唱えてはいないんです!」

僧侶「でっ、ですから今の砂嵐と魔妖女さんは無関係なんですっ!」

女戦士「何……だと?おい魔法使い、そうなのか?」

魔法使い「…………」

はよぅしてくれぇ!

ずっと待ってるで

魔法使い「僧侶さん、『まだ』ではなく、『既に』だったらどうかしら?」

僧侶「……え?」

魔法使い「前もって唱えた呪文が、魔妖女の何かをきっかけに発動したとしたらどうかしら?」

僧侶「でも、その、それは――」

―メラァ

狐妖女『 その通りじゃ 』ボゥッ

僧侶「魔、魔妖女さん……?」

狐妖女『 あの砂嵐は、此方が放った極大真空呪文《バギクロス》 』

狐妖女『 触れる物すべてを切り裂く真空の刃――人でも魔物でも、それこそ街でさえ千々に吹き飛ぶ代物じゃ……それを計八つ 』

狐妖女『 そこの黒帽子の言う通り……此方の合図か、あるいは此方に危機が及んだ場合に発動するように呪文を組んでおいたのじゃ 』

魔法使い「……やっぱりね」

魔法使い「陣を眼前で構えながらも街を長期間攻めなかったのは、正確な地理の情報を得、街を破壊するのに充分な呪文を用意する為―― 』

魔法使い「違うかしら?」

狐妖女『 違わぬの。流通の要所を潰し、魔王軍に更なる有利を築く為にはそれが一番確実じゃったからの 』

狐妖女『 本来は砂漠の街の要人を攫った上で魅惑《チャーム》をかけ、手駒とするまでが此方の計画での 』

狐妖女『 お主らのせいでそれも成らず……挙句の果てには勇者に大敗を喫し、この有り様じゃ 』

狐妖女『 あのバギクロスは、失態を演じた此方を滅し、同時に魔王軍を勝利に近づける為の此方の最後の策―― 』


狐妖女『 ――……のはずじゃった 』

女戦士「……あ?」

狐妖女『 今は違う、と言っておる。じゃから此方はこれからあのバギクロスを止めるのじゃ 』

魔法使い「何ですって!?一度発動した呪文を止められるわけが……!」

狐妖女『 出来る。同等か、それ以上の呪文をぶつければ良い話じゃ 』

―メラァ

狐妖女『 この通り準備は万端整った。後は此方の奥技を撃つまで 』

狐妖女『 ……のぅ黒帽子。……仮に此方を今倒したとしても、バギクロスは止まらぬ 』

狐妖女『 そしてお主にはあの呪文を止める程の力はない。勇者とてそれは変わらぬじゃろう 』

魔法使い「だからあんたを信じろとでも?更なる破壊をもたらすかもしれないあなたを……野放しにしろとでも言うの?」

狐妖女『 ……言うべき事は言うた。後はお主らの好きにせい。どの道この技の途中、此方は隙だらけじゃしの 』―ゴォッ

女戦士「魔法使いッッ!」

魔法使い「……ッ!」ギリッ

スッ

狐妖女『 右の腕より『メラゾーマ』…… 』メラァ

スッ

狐妖女『 左の腕より『ベギラゴン』…… 』ゴォッ

フワリ

狐妖女『 一の尾より『レゴール』 』ビシッ


狐妖女『 ――合体!! 』バチッ


狐妖女『 閃熱大炎ッッ、岩石獣化ッッ……『メゾラゴール』!!! 』カッ―

ゴオォォオォォオォォオ―



勇者「む……!」

女戦士「チッ……!」

僧侶「きゃぁっ!」

魔法使い「くっ!合体魔法……!?まだこんな奥の手を……!」

また気になるところで…!

―ギャカッ

魔法使い「炎の嵐が、八つに裂けて……!」

僧侶「砂嵐に向かっていきますっ!」

女戦士「あんなに上空だってのに、なんて熱さだ……」

勇者「…………」

狐妖女『 ――大焼成ッッ! 』

―ピキッ

―ッバオォォォォン―

――ッ ――――ッ

魔法使い「……大魔法と大魔法の対消滅?こんなのってまるで……古典や神話の世界の話じゃない……」

女戦士「! みんな見ろ!」

僧侶「炎の壁に遮られて……砂嵐が止まってます!?」


…オォオオォ

勇者「……何だ?」

…オォオォオオォォ …ゥオォオオォォォ

勇者「……声?」

―ビシッ パキキッ

―ズズ…

ガシッ

女戦士「おいおいおいおい……」

僧侶「ななななっ!?」

魔法使い「巨大な石の……腕!?」

―ズズ…

ガシッ

―ウオオオオオオオオオオオォォォ!!

ズズズズズズズ…

勇者「……石の、巨人?」

女戦士「ありゃぁゴーレムじゃねぇか!」

僧侶「ええっ!?ゴーレムさんってもっとその、小さいって程じゃないですけど、この位のっ」ワタワタ

魔法使い「……私たちの知っているゴーレムは確かにその通りね。こんな、外壁を悠々と超すサイズなんて聞いた事ないわ……」ゴクッ

女戦士「さっきまであんなクソデケェ奴いなかったろうが!どうやってあたし達に感付かれずに……」ハッ

女戦士「……まさかっ!」

魔法使い「……ええ。恐らく、そうなんでしょうね」

魔法使い「これこそが魔妖女の本当の狙い。合体魔法による超級の魔物召喚。媒体はあの砂嵐。なら当然、召喚した数も――」

―ウオオオォオオォォオオオォォォ!! ―ウオオオォオオオオォオオォォォ!! ―ウオオオオォオオオォオオォォォ!! ―ウオオオォォオオオオオオォォォ!!

―ウオオオオォォォォオオオォォォ!! ―ウオオオォォォオオオオオォォォ!! ―ウオオオオォォオオオオォォォン!!

魔法使い「――八つ。それも四方八方から。……逃げ場は、ないわ」

勇者「……すごい雄叫びだ」

――――

「――ば、化け物……」

「……ひぃっ!?じょじょ冗談じゃねぇぞ!お、俺は逃げる――」

「――逃げるったってどこに逃げれば……」

――――

魔法使い「……私の判断ミス、ね」スッ

女戦士「……気にすんな。乗ったあたしもあたしだ」チキッ

狐妖女『 ――此方の新たな僕よ!ゴーレム共よ!此方がそなたらの主、魔妖女じゃ! 』

狐妖女『 生まれたばかりのそなたらに……新たな命を与える! 』

―『ウオオオオオオオオオオオォォォ!!』

魔法使い「――ッ!」タッ
女戦士「――っ!」ダッ

魔法使い(――術者を叩けば、統制が取れた動きは出来なくなるはず)
女戦士(それからあのゴーレムを食い止める。……それしか手はない!)


狐妖女『 ――まずは全員仲良く回れ右じゃぁっ! 』ビシッ

魔法使い「…………」ピタッ
女戦士「…………」ピタッ

魔法使い「――って!?」
女戦士「――なにィ!?」

―『ウオオオオオオオオオオオォォォ!!』

―ズズンッ ズズンッ

狐妖女『 八方へ睨みを利かすのじゃ!ありとあらゆる攻撃はその鉄壁の体躯で受け!街へ害為す者はその拳で粉砕せよ! 』

狐妖女『 そなたらの新たな命は『砂漠の街の守護』ッッ!例え塵芥の一つになったとしても……守る事をやめるのはこの魔妖女が許さんのじゃぁッッ! 』バァァン

―『ウオオオオオオオオオオオォォォ!!』

ザワザワ…

「……お、おい。聞いたかよ、今の……」

「聞くには聞いたが……それこそ信じられるかよ!四天王だぞ?魔妖女だぞ!?」

「でもよ。砂嵐も無くなって、あの巨人みたいな魔物も動く気配もねぇし……」

ザワザワ…

狐妖女『…………』フワリ

―シュォォォォン…

魔妖女「……フゥ」ストッ

魔妖女「これで……これで良い。此方の為すべき事は……うっ」グラリ

勇者「魔妖女っ!」ガシッ

魔妖女「おお、勇者か。どうじゃ、此方の見事なゴーレム錬成術は?」フフン

勇者「……見事だ。門外漢の私でも分かる程にな」

魔妖女「そうじゃろうそうじゃろう。本来は固定された地形に対する範囲魔法でな。移動する対象となると――あぐっ!」ギクンッ

勇者「魔妖女、無理をするな。今は休――」

魔妖女「そうもいかんのじゃ勇者よ。……此方にはもう時間がない」ヨロリ

勇者「……時間が?」

魔妖女「この姿を保っていられるのももう限界なのじゃ」

魔妖女「此方にとって魔力とは生命力そのもの。その魔力も先程の合体魔法で底をついた。……分かるかの?」

勇者「魔妖女……」

魔妖女「最後の頼みを聞いてくれぬか勇者」

勇者「…………」

魔妖女「この街の領主をここへ連れて来て欲しいのじゃ」

勇者「……領主様を?」

魔妖女「此方の最後の我儘を叶えられるかは……領主にかかっておるからの」

勇者「……分かった」

魔妖女「礼を言うぞ勇者。何から何まで、本当に」

魔妖女「……お主は最後まで此方を信じてくれた。誰しも疑って当然の此方を、最後まで」

勇者「…………」

魔妖女「こほん。つまり……ありがとう――なのじゃ///」

勇者「魔妖女……」

デレた、のか……?

どうか救いを...

これはよいデレ…助かってほしいが

……チビ……狐…?

まだわからん。例えばまだ戦闘中とか・・・

――――

ザワザワ…

「あれは……領主さま!」

「領主さまと魔妖女が向き合って……一体何が始まるんだ?」

ザワザワ…


領主『 ……それで、用とは何か、魔妖女よ 』

魔妖女『 ………… 』スッ

…ズザッ

魔妖女『 ………… 』ペコリ


ザワザワ…!

「ま、ま、魔妖女が……膝をついて、頭を……!」

「四天王の一角が、ど、どど土下座!?」

ザワザワ…!

魔妖女『 砂漠の街に、そして街の民に対する数々の無礼――この魔妖女が深くお詫び申し上げます 』

領主『 ………… 』

魔妖女『 最も、このようにお詫びしたとて、此方の罪が消える訳ではありませぬが…… 』

領主『 ……あの砂嵐はお主が仕掛けたものか? 』

魔妖女『 魔王直々の命によって此方が唱えたもの。……相違ありませぬ。 』

領主『 ……あの巨大な石の傀儡は何か? 』

魔妖女『 此方の魔法によって生を受けた魔法生物でございます 』

魔妖女『 術者の意に従い、例え半身を失おうと己の使命を全うする、此方の忠実な僕――この街を未来永劫守るようにと命を授けております 』

領主『 ……砂嵐を止め、石の傀儡へと変えた理由は何か? 』

魔妖女『 せめてもの領主様と民への罪滅ぼし、そして―― 』チラリ

魔妖女『 ――恩に報いる為でございます 』

領主『 ……では、それをお主の保身や魔王軍の為の虚言ではなく、真と証するに足るものはあるか? 』

ザワザワ…

魔妖女『 ……何も、ありませぬ 』

ザワザワ…!

領主『 ……ふむ 』

魔妖女『 元より助かろうと言う意志はありませぬ領主様。……此方は砂漠の街の裁きを受ける所存にございます 』

領主『 ………… 』

魔妖女『 勇者に敗れ、力を失った此方とて魔王軍の将の一人である事は変わらず…… 』

魔妖女『 また凶行を起こした身がのうのうと生を受けていては……道理が通りませぬ 』

領主『 では、お主は死罪を自ら進んで受けると? 』

魔妖女『 はい。……ですが、その…… 』

領主『 ……何か? 』

魔妖女『 非礼を承知を申し上げます 』

魔妖女『 せめてこの世を去る前に、叶えて欲しい願いが二つございます 』

領主『 ……それは何か? 』

魔妖女『 一つは部下達の死罪を……此方の命と引き換えに赦していただきたいのです 』


オークマン「ブヒッ!?……まっ、魔妖女様!そんなっ、俺たちの為に……!」

ブラウニー「おいら達の事なんてどうでもいいんです魔妖女様ーー!!」


領主『 ……もう一つは何か? 』

魔妖女『 ……領主様は領主であると同時に、教会の大司教であられると聞き及んでおります 』

領主『 ……? 確かにそうだが…… 』


魔妖女『 ……領主様に、婚姻を、結んでいただきたいのです 』

領主『 ……何? 』

魔妖女『 死罪を受け、御霊となるその前に、此方とある方の婚姻を結んでいただきたいのです…… 』

ザワザワ…

領主『 ……そ、それは誰か? 』

魔妖女『 ……その、ゆ、勇者殿と……こ、婚姻を結んでいたきたいのです…… 』


女戦士「――んがっ!?」

魔法使い「――ぶほっ!!」

僧侶「……………………………………………………へ?」


―スクッ

魔妖女『 もし此方がこの世を去るならば……此方は、此方は……!』

魔妖女『 ――勇者殿の妻として――死にたいのですっ! 』ドンッ

―シーン


『………………………………』


『――ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!?』

ザワザワ…! ドヨドヨ…! ザワザワ…! ドヨドヨ…!


領主「な、何と……!」

女戦士「」

魔法使い「」

僧侶「」

オークマン・ブラウニー・スライムナイト「」

魔妖女「~~~~~ッ!」フルフル



勇者「…………む?」


――つづく

良い所で…

とりあえずここで一区切り
少し書き溜めたら次スレ立てます
誘導分の1レス分は残して貰えると助かります

いつも遅くてごめんなさい
レス、励みになってます
いない時、保守ありがとうございました

展開がぶっぱ気味ですが、まだ続きます

狐っ娘の改心からの嫁入りとは分かってらっしゃる
後は魔力を使い果たした魔妖女の姿が大人なのか幼女なのか、それが問題だ

続きに期待して待ってる

狐娘幼女とか俺得乙

あんまり展開の予想とか書き込みたくないんだけど
…なんか某作品の結婚式のシーンが頭をよぎって不安すぎる

幼女になるとかふざけんな
何のためのナイスバディだよ

あれ?俺、いつからロリババアだと錯覚してた?

或いはロリ巨乳という可能性もなきにしもあらず?

絶対待ってる

まさかの土下座から求婚ぶっぱw
この勇者だと反応の予想がつかんのう

気長に待ってますぜ乙

ロリババア()とか要らんからマジで

ロリは結構です

【意味】 狐の嫁入りとは、日が照っているのに、雨がぱらぱら降ること。日照り雨。天気雨。

【狐の嫁入りの解説】
【注釈】 狐の嫁入りは、夜に遠くの山野で、狐火と呼ばれる無数の灯火が一列に並んでいる様子を、狐が嫁入りする行列の提灯に見立てて呼んだもの。
天気雨が降るときには狐の嫁入りがあるという俗言から、日が照っているのに雨がぱらぱらと降ることを「狐の嫁入り」と言うようになった。

雨どころか砂嵐でしたね

ところで最近の勇者の活躍
カクゲーっぽいことやってないじゃん
書くの遅いからそうなるんだぜ

ちゃんと魔妖女戦で格ゲーしてたろ
世紀末を核ゲーと呼んでいいのかはおいて
会話の所も格ゲー要素入れろって言うなら話は別だけども

ちげーよ
もう1ヶ月もカクゲーやってないって言ってるんだよ

ほしゅ

ほしゅ

ほほしゅ

ほす

新スレ立てました

勇者「古代魔法『カクゲー』」
勇者「古代魔法『カクゲー』」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1387127276/)

カクゲー分増々で頑張りたいです

乙です

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