魔女「果ても無き世界の果てならば」(889)



 この果てもなき世界の果てならば。


 これは僕がまだ人間で、魔法使いだった頃の話。


 私の、生きる理由――。



 僕は、孤独だった。


 魔術に傾倒した少女なんて、村からすれば不気味なだけ。


 いつ魔物に襲われるかもわからない辺境の村は、そんな異端の少女を許容してくれる場所である筈もない事は感じていた。

 それでも、今まで虐げられずに暮らせていたのは偏に、 私が本物の魔法使いであるからだろう。

 何もないところから火を起こし、死霊と戯れ、風を呼び、水を生み出す。


 単純に恐れていたんだろう。





村長「魔法使いよ、その力で勇者達の力となってやってくれ」


 そう、これは厄介払いだ。


魔法使い「僕に何ができるかは分からないけど、それで良いなら」



 勇者が、僕の一番嫌いなタイプの人間だという事にはすぐ気づいた。

 なんの努力もなく、自然界に存在する全ての精霊に寵愛され、あまつさえ人にはけして与する事のないと言われている高潔たる雷の精霊の加護を受ける。

 それに……。


勇者「よろしくな! これからは共に旅をする仲間だ。 一緒にがんばろう」

 独善的で思慮に欠け、無遠慮に人の境界線を踏み越えてくる。

魔法使い「僕に期待するだけ無駄だよ? 僕には君のような崇高な使命感もなければ、それを実行に移すだけの実力もない」

 はっきり言って鬱陶しい。


僧侶「まぁ、そう言わずに頑張りましょう? 私達はきっと貴女の力が必要で、主が巡り合わせて下さったのですし」


魔法使い「君の宗教を否定するつもりは無いけど、君の宗教を僕に強要しないでくれないかな? 生憎だけど、僕は君の所の神様の羊になった覚えはない」


 この育ちの良さそうな僧侶も苦手だ。


 この世のすべてを慈愛という色眼鏡を通してしか見れない、迷いのない迷える子羊。

 なによりも気に入らないのは、法衣を着ていてなお主張する女性の象徴だ。

 歩くだけで上下に揺れるなんて目障りで仕方がない。



戦士「気に入らんな。 何をそう斜に構えて見ねばならんのだ?」

 この戦士とかいう筋骨隆々の男も嫌いだ。

 戦いでしか生きる事のできない野蛮人の癖に、妙に悟ったような目をしている。

 血と死の臭いがこびりついているこの男は、はっきり言って不気味だ。



 この面子でこれから長い旅をするのかと思うと、気が重い。

 そんな僕の気持ちを代弁するかのように空は、相変わらずの分厚い鈍色の雲に覆われていた。



勇者「この先の森にオークの群れが住み着いて村に被害がでているんだ」

戦士「次の目的地は森を通り抜けねば辿り着けん」

僧侶「苦しむ村人達を助ける為、私たちの目的を遂げる為、どうかお力を貸して下さい」

 勇者一行は、魔王に詳しい妖精の村に行きたいらしい。

 そのついでに森のオークを退治したいが、森は深く、森に詳しい者が居なければ迷ってしまう。


魔法使い「分かった。 ただ、注意した方が良いよ? 特に僧侶。 オークは暴力と性欲の赴くままに活動をする事を己の唯一の戒律としている種族だ」

僧侶「それはいったいどういう……」


魔法使い「要するに、君のその豊かな胸は彼らの性欲を刺激するに値するということだよ。」


魔法使い「だから、せいぜい気をつけることだ。 彼らの男性器は僕たちの腕より太いらしいし、犯されたりしたら気が狂ってしまうよ?」

僧侶「……ご忠告感謝します。 お互い気をつけましょう」


 腹立たしい。

 僕の胸が、一般的なものより少し、ほんの少し控えめな事を遠まわしに馬鹿にされている気がする。

今回の更新は以上になります。

塔の魔女の過去譚?

( ・ω・)っ④"

>>10
そうです。


 深い森が続く中、僕達は歩いた。

勇者「さて、どこにいるのかね」

魔女「探しているのは妖精? それともオーク?」

勇者「そりゃ勿論オークだよ」

魔法使い「へぇ……」


 やはり思慮に欠ける。

 道案内として僕が居るなら村に義理立てしてオークを倒す必要もないだろうに。


僧侶「どこに居るのでしょうね」

 うるさい巨乳。

戦士「」

 なんか喋れば?

勇者「でも魔法使いって村思いだよな!」

魔法使い「はぁ?」

 何を言っているのだろう?

勇者「普通オーク討伐なんて怖くて着いて来ないだろ? よっぽと村が心配なんだよな~」

僧侶「ご安心下さい。 勇者様はやる時はやるお人ですから」


 駄目だ。 思考回路から何から何まで全く合わないや。


魔法使い「良いかい? 僕は村から厄介者とし……んぐぅ?」

戦士「静かにしろ……何か居るぞ」

 戦士のゴツゴツと節榑立った手のひらに口を塞がれる。

 他人に触れられた事がここまで不快だった事はない。

勇者「オーク、だな」

 勇者は背にある長剣を引き抜き辺りを警戒する。

戦士「さて、仕事の時間か」

 戦士は身の丈を越す戦斧を構えた。

僧侶「また、殺めなくてはならないのですね」

 黙れ巨乳。

魔女「まぁ、君たちのお手並み拝見といこうか」


オーク「ブゥモォォォ」


戦士「来たか」


 戦士が鋭い踏み込みで群れに突撃した。

魔女「速いっ!?」

戦士「ぬんっ」

 突撃の勢いをそのまま戦斧に乗せて横薙ぎに振るう。

オーク「ブィイィイイ」

 風を引きちぎる剛音が戦斧の威力を誇示しているようだ。

 戦斧が届く範囲に、命が存在する事を許さない刃の暴風が吹き荒れていた。


魔女「あれはちょっと格が違いすぎるね」

 こんな辺境の魔物程度じゃ相手になりはしないだろう。

勇者「~~」

 刃に巻き込まれぬようにか、勇者は遠くから援護に回っている。

 小さく、けして高位の精霊ではないが確かにそれは雷の魔法だった。


僧侶「あ、えと」

 何もせずオタオタと狼狽える僧侶。 胸だけでなく、動きにも無駄ばかりなんて使えない人間だ。

勇者「うぉおおりゃりゃりゃ!」
 勇者が別の群れに突撃した。

 長剣に振り回される程未熟ではないが、戦士とは雲泥の差だ。

 足りない技術を、魔法を纏わせる剣技で補ってはいる辺り器用ではあるらしい。

戦士「飛び込みすぎだ!」

勇者「大丈夫! これぐらいならイケるさ」


 戦闘ですら楽観的なのか。


 軽い失望を感じるが、戦力としてはこのパーティーは及第点だ。
 むしろ、戦力だけで考えるのならば、戦士ひとりでお釣りがくる。

魔法使い「じゃあ、そろそろ僕も」

 オークの群れに氷の魔法をお見舞いする。

戦士「ほう」

勇者「うおっ!?」

僧侶「凄い」

 オークの群れを一掃するには充分すぎる高位の魔法だ。

魔法使い「中々やるんだね」

戦士「そちらもな」

勇者「すごい奴だな! びっくりしたぜ魔法使い」

僧侶「お強いのですね」

 まぁ、褒められて悪い気はしないさ。

 素直に喜んでなんてやんないけどね。


魔法使い「オークの群は多分この奥の遺跡で暮らしている」


勇者「よし!いこうか!」

魔法使い「行くならどうぞお一人で」

勇者「へ?」

戦士「なにか問題が? 正直な話、戦力なら俺と魔法使いで充分だろう」


魔女「殲滅するだけならね」

僧侶「さらわれた人達、ですね」

魔女「ご名答。 十中八九は死んでるか精神的に壊れてるかだとは思うけどね」

 オークにアレをぶち込まれて正気なんて余程の精神力がなければ無理だ。


勇者「助けなきゃな!」

魔法使いと魔女の視点がわかりにくいよーな…

どっちがどっちかわからんで

単純に書き込みミスです。

今回も視点が変わる際には前もって報告します。

そうでない場合、基本的には魔法使い視点となります

ちょと更新。

魔法使い「さて、今回の作戦だけど、二手に分かれようと思う。 救出班と殲滅班だ」

勇者「どう分ける?」


魔法使い「簡単に火力で分けるべきだと僕は考える」

魔法使い「戦士と僕がオークを殲滅、僧侶と勇者が救出だ」


 正直、勇者や僧侶と組むよりは喋らない戦士の方がマシだ。

僧侶「待って下さい」

魔法使い「?」


僧侶「私は魔法使いさんと私が救出班に回るべきと考えます」


 この巨乳は何をいっているんだろうか?

 無駄なのは胸の脂肪だけにしてほしい。



戦士「俺もそれに賛成だ」


魔法使い「?」

勇者「?」

戦士「被害者の女性に男性が接するのがまずいっていう事、それと戦力の均等化が目的だろう」

勇者「なるほど」

僧侶「そういうわけで、魔法使いさん、よろしくお願いします」


 はぁ、最悪だ。 無駄乳のお守りなんて気が重い。



―オークの住みか―


魔法使い「じゃあ先に行って騒いでてくれ、僕と僧侶はその隙に救出する」

勇者「おう! 僧侶は頼んだ」

戦士「……」


 二人が遺跡に入って行く。

 隣には無駄な脂肪を胸に貼り付けた天然女。

魔法使い「自分の身はできる限り自分で守ってね。 僕だって本来は単体で戦闘をこなす部類じゃないんだから」

僧侶「はい、お互い気をつけて行きましょう」


 あーあ、憂鬱だ。

今回の更新は以上となります

魔法使いは随分僧侶の胸を敵視してるなw



 先遣隊である勇者と戦士が遺跡に入っていく。


僧侶「」

魔法使い「」

僧侶「」

魔法使い「」

 空気が重い……。


僧侶「あの」

魔法使い「なに?」

僧侶「貴女はなぜ戦えるのですか?」

 何を言ってるんだこの乳袋は。
魔法使い「はぁ?」

僧侶「私は命を奪うことが恐ろしいのです」

 なんだ、宗教の勧誘か。


魔法使い「やらなきゃやられるならやるしか無いじゃないか」

僧侶「その通りだとは思いますが……。 果たして私には他の命を奪ってまで」

魔法使い「それは知らない。 貴女の所の神様にでも聞いてみれば?」

僧侶「……」


魔法使い「時間だ、そろそろいこうか」

僧侶「はい……」


 難しいことを考えるね。 自分の価値なんて。

 僕の価値、か。


―遺跡内部―

魔法使い「ねぇ」

僧侶「は、はい?」

魔法使い「離れてくれないかな? 歩きづらくて仕方がないんだけど」

 僕よりも身長も年齢も上なのになんで僕の腕にすがりついて歩くのだろう。

 胸を押しつけられている気がしてとんでもなく不愉快なんだけど。

僧侶「魔法使いさんは私が守りますよ!」

魔法使い「いや、何を言ってるの?」

僧侶「オークは凶悪な魔物でしたし、いくら魔法使いさんが優秀な魔術師でもまだまだ子供じゃないですか」

魔法使い「それはどーも。 でもその必要は無いから離れてくれないかな?」

僧侶「あと、私暗いところが苦手でして……」

 やはり、この人と組むのは失敗だったな。

魔法使い「ん?」

僧侶「どうしました?」

魔物「キーっ!」

僧侶「ひゃああぁぁあぁ」

 現れたのは、丸いからだにコウモリの羽をつけたような魔物。

 もちろん悲鳴をあげるほどの魔物じゃない。

魔法使い「えいっ」

 手にした杖で殴る。 魔法を使うまでもない。

魔物「キュー……」

僧侶「~」

魔法使い「何してるの?」

僧侶「回復です。 悪い子じゃないみたいなので」

魔法使い「馬鹿なの?」

僧侶「かもしれませんね」

 この人は教会からでないで毎日お祈りだけしていれば良いんじゃないか?




魔法使い「この辺、臭うね」


僧侶「生臭いような、嫌な臭いです」

 遺跡の奥、オークの貯蔵庫なのだろう。 

僧侶「なんの臭いなんでしょうか?」

魔法使い「腐った血肉とオークの精液じゃないか」

 その言葉聞いた瞬間嫌悪を露わにして眉間に皺を寄せる乳女。

僧侶「なんだか気分が優れなくなってきそうです」

 はん、ざまぁみろ。

今回の更新は以上となります

もう乳女呼ばわりかw

なんだ宗教の勧誘かにワロタ

割と大量に更新します



 遺跡の深部はいやな臭いだが、幸いな事にオークの陰は見えなかった。

魔法使い「さて、多分この奥にさらわれた人達は居るんじゃないかな?」

僧侶「えぇ、早く助けて差し上げましょう」

 どーせみたら情けない悲鳴をあげるんだろうな。 


 石造りの扉に手をかけてそんな事を思う。

 食い散らかされた死体と苦痛と恐怖で精神崩壊した人間が無造作に転がる部屋なんて僕でも見たくない。


 案外扉はすんなりと開く。


魔法使い「……酷いね」

 眼前に広がった光景は予想よりも酷い物だった。

 血と精液が床に溜まり、その中で原型をとどめていない死体、内臓、骨、肉片が転がっている。

 そんな中にうつろな目をした女性たちが力なくうずくまっていた。

魔法使い「……」

 オークに衛生観念を期待してはいなかったけど、この性欲と食欲を満たす為の部屋の不潔さに、足を踏み入れることすら戸惑う。

 どーせこの乳女も、そうなんだろう、きっと自分が汚れるのを嫌う人種だ。

僧侶「大丈夫ですか!?」

 そう、思ったんだけど。


僧侶「~~~~」

 この乳女、いや、僧侶は純白の法衣が汚れる事になんの躊躇いも示さなかった。

 腐った血と肉片と精液の溜まった部屋に、なんの躊躇もなく駆け込むと、女性達に寄り添い回復の魔法をかけている。

魔法使い「ふーん」

 口だけではない、のか。

僧侶「私たちがもう少し早ければ、すいません……」

 助けた人間にまず謝罪するなんて。

魔法使い「お人好しだね」

 あらかたの人間に回復魔法をかけると、僧侶は一人ずつになにやら励ましとも謝罪ともとれる言葉をかけていた。

魔法使い「それも大事かもしれないけど……」

僧侶「?」

 この部屋は臭すぎるから、水洗いしなきゃ。



魔法使い「~~」

僧侶「きゃっ」


 出したのは攻撃にすら使えないような水を生み出すだけの呪文。
魔法使い「どうかな? 少しはましになったんじゃないかい」


 一応、血まみれのままなんて嫌だろうし。


僧侶「魔法使いさ~ん……先に何をするか言って下さい。 ビチョビチョになったんですけど」


魔法使い「あぁ、すまなかった」

 確かにビチョビチョだ。 服が張り付いて更に体のラインが強調されている。

魔法使い「軽い仕返しのつもりが見事なカウンターだよ……」

僧侶「へ?」


魔法使い「なんでもない、それよりあの人たちに毛布なり外套なりを渡してあげなくて良いの?」

僧侶「そうですね!」

 私も外套を脱ぎ、渡したいところだけど……

僧侶「サイズが合いませんね……」

 うるさい、そのうち女性的な身体付きになる予定なんだ。

更新wktk
( ・ω・)っ④



 処理を終え、焚き火をして勇者達を待つことにして一刻程経つ。

魔法使い「遅いね」

僧侶「まさか……」


魔法使い「戦士がいる時点でそれはないよ」

 竜種が纏めて三体位いたなら別だけど。


魔法使い「でも、確かに待つだけでは暇な事は確かだ」


僧侶「さらわれた人達は疲労で寝てしまってますから、動くわけにもいきませんし」


 まぁ、その通りなんだけど。


魔法使い「とりあえず、部屋の外に魔物が居ないか警戒するくらいは必要じゃないかな?」

 まず、この空気に耐えられない。

更新乙
応援してるよー


僧侶「確かにそうですね」


 なのに何でついてくるかなこの乳女は。

魔法使い「いや、二人で部屋をでる必要は無かったんじゃないかな?」

僧侶「いやぁ~魔法使いさん、ひとりじゃ心細いかと思いまして」

 どれだけ臆病なんだろうこの人……。

魔法使い「確かにこんな場所にひとりは心細いかもしれないけ」

僧侶「危ない!」

 僧侶に突き飛ばされる。

魔法使い「!?」

僧侶「きゃあっ」

 僕が居た所には、太い腕に掴まれた僧侶の姿。 それと。

魔法使い「オーガ!?」

 オークとは段違いに強力な魔物が僧侶を捕まえていた。


 くそ、油断した――。

僧侶「ぐぅ……お怪我は、ありませんでしたか?」

 どこまでお人好しなんだこの乳袋は…

魔法使い「~~…駄目だ」

 僧侶を巻き込まずにオーガを止める事の出来る魔法がない。
魔法使い「待て!」

 杖で思い切り叩く。

オーガ「グルルルルッ!!」

 オーガが雄叫びを上げる。 杖が効いたとは思えない。

オーク「ブモモモ」

オーク「ブィイイイ」

魔法使い「オークの群!?」


 仕方なくオークとの交戦になるが、こんな事をしている間にどんどんオーガは遺跡の奥に消えていく。

 何でこんな時には悲鳴をあげないんだよ、あのお人好しめ。



魔法使い「~~~~」

 悪いけど速攻で片付けさせて貰うからね。


 魔力の残量を考えずに高位の呪文を連発する。


 一体一体は大したこと無いくせに数だけは多いからやっかいな奴らだ。


魔法使い「はぁ、はぁ、片付いた」


 まずい、時間がかかりすぎた。
 手には折れた杖、魔力は枯渇寸前だった。



魔法使い「さて、この状態でオーガを単騎撃破するのか……」

 正直な所、分が悪い。

 亜人種の中ではそれなりに強い部類だ。 一発で仕留める事のできる魔法でなければこっちが危ない。

魔法使い「戦士と勇者を待ってから確実性を……いや」

 脳裏に乱暴された僧侶が過ぎり、自分の言葉を否定する。

魔法使い「見たくないしね」

 僕は、山高帽を被り直すと遺跡の奥に走った。


 じめじめと湿った遺跡の奥は居心地が悪くて仕方がない。

魔法使い「僧侶ー!」

 返事がない。 既に返事ができないような状態なのかとも思うが、考えたくはなかった。

魔法使い「無駄にでっかいのを二つもつけているから」

 遺跡の再深部、祭壇のようなところに僧侶は居た。

魔法使い「僧侶! 無事!?」
 見たところ外傷はない。

 間に合った、のかな?

僧侶「魔法使いさん!? 駄目、逃げて!!」

魔法使い「え?」


オーガ「グルルルルッ」

オーガ「グアァアアア」


 最悪だ。 オーガが群で居るなんて。


僧侶「私なら大丈夫ですから、早く!」


 僧侶は今まで聞いたことがないくらいに強い口調で叫んだ。

 今僕が逃げたら自分がどんな目に遭うか分からないくらい馬鹿なのだろうか?

 いや、違うだろう。

 きっと僕の心配をしての言葉だ。

 まったく、どれだけ他人に優しいんだか……。

魔法使い「気に入らない!」


僧侶「へ?」

 気に入らない奴だ、私がこんな図体ばかりの魔物にいいようにやられるとでも?

魔法使い「僕がコイツ等をさっさと片づけるから大人しくそこで待ってて!!」


 折れた杖? 問題ない。

 魔力がない? 一発打てればそれで良い。

魔法使い「~~~~!」

 全身の魔力をかき集める。 足りない分は気合いで補う。


魔法使い「~~~~!」


 折れた杖をかざし、放つのは亡者を使役する魔法。

 直接魂を刈り取り死の淵へ誘う忌むべき業。


魔法使い「さぁ、思う存分食い荒らせ」


オーガ「ギァアァアア」

オーガ「グゥエェェ」


 流石に怨みを持った対象に使えば良く効くらしい。

 オーガの群を一層する為には充分な威力だった。




僧侶「……」


 僧侶と、さらわれた人達の元へと向かう。

 僕の勘違いでなければ、空気が重いのは湿度が高いというだけではないだろう。

 一体何を怒っているのか見当もつかない。

今回の更新は以上となります。

今までまとめでしかssを見たことなかったけど「あなたが塔の魔女?」を見てから飛んで来たわw       
応援してる!!

割と初っ端から大盤振る舞いな魔法使い良いな
乙乙ー

更新乙
まとめから飛んできた

同じくまとめから
塔の魔女の本スレ覗いて慌てて飛んできたわw
応援してる!

まとめから意外と多いんだなw

支援

前作を見て下さった方、わざわざまとめからきて下さった方、ありがとうございます。

更新します。



魔法使い「ねぇ、僕の勘違いでなければ君は怒っているよね?」


僧侶「……いえ」


 本当に面倒な奴だ。 

 明らかに怒っているじゃないか。

魔法使い「まぁいいや、怒っていないというならその態度の理由が知りたいんだけど」

 僧侶はちらりと横目でこちらを見た。

 どんなに不機嫌でも、大きくて垂れがちなその目元のせいでいまいち迫力にかけていると思う。


僧侶「……なぜ、逃げてくれなかったのですか?」


 怒られた幼子のような、それでいて幼子を窘める母のような雰囲気だ。


魔法使い「逃げなかったらどうなってたか分かった上で言ってるの?」


僧侶「……」

 僧侶は答えずに俯いた。 


 しばらくの間、薄暗い遺跡の中を無言で歩く。

  やっぱり人と接するのは苦手だよ。 どうすればよいのかさっぱりわかんないや。


僧侶「これは、私の我が儘です」
魔法使い「え?」

 僧侶が呟く。

僧侶「私のせいで誰かが傷つくのが、どうしようもなく嫌なのです……」

魔法使い「傷一つ、つけられちゃい無いけど……ん?」

 僧侶は泣いていた。

 僕よりも年上の人がこんな泣き方をするなんて想定外で、どうすればよいかさっぱりだ。


魔法使い「あー、なんて言うかその、ごめん?」

 とりあえず謝ろう、うん。

 何が悪いのかはわかんないけど……。


僧侶「ん……でもソレだけじゃないんです」

魔法使い「まだあるの?」

僧侶「……死者を冒涜するような魔法を使わないで下さい」


 なんとも神の子羊らしい言い分だことで。

魔法使い「はいはい、善処するよ」

 でも分かってないね。


魔法使い「彼らはオーガに恨みをもって成仏できずにいたんだよ? それを晴らす手伝いをしてあげただけさ」


 優しいだけじゃなんにもならない事なんて、引きこもっていた僕にでも分かることなのにね。

今回の更新は以上となります。

>>61
『逃げなかったら』じゃなくて『逃げたら』でいいのかな?

更新乙

夏か…
支援

更新乙乙!

支援

マジあなたの書く物語が大好きだ

塔の魔女以外にも書いてたら教えてくれませんか?

>>70

ここでは

さらり、ふわり、ゆらゆら

(タイトルに句読点をつけていたかどうかは忘れました)

阿部さん「世界はそこまで汚かぁないぜ?」幼女「ほんと?」
という二つの短編を書いています。

あとは、更新を止めてしまいましたが、自サイトにて長編を書いていますが、SSではなく小説の形態での作品ですので期待に添った物かは分かりかねます。

更新します。



僧侶「ん……でもソレだけじゃないんです」

魔法使い「まだあるの?」

僧侶「……死者を冒涜するような魔法を使わないで下さい」


 なんとも神の子羊らしい言い分だことで。

魔法使い「はいはい、善処するよ」

 でも分かってないね。


魔法使い「彼らはオーガに恨みをもって成仏できずにいたんだよ? それを晴らす手伝いをしてあげただけさ」


 優しいだけじゃなんにもならない事なんて、引きこもっていた僕にでも分かることなのにね。


戦士「ふむ、無事なようだな」

勇者「無事、なのか?」

 被害者達の所に戻ってから程なく、二人は戻ってきた。

 無傷な戦士とは対照的に傷だらけな勇者。

魔法使い「割と無事だよ」

僧侶「えぇ、少なくとも傷ついたりはしていません」

 周りの心配をしている勇者が多分一番の重傷だ。

僧侶「~~」

 僧侶が勇者に回復の呪文をかける。

戦士「まさかオークの群にオーガの群まで混じっているなんてな」

魔法使い「あなたにはなんの障害にもならなかったでしょ」

 この男はオーガとは格が違いすぎる。

 例えオーガが束になって彼に襲いかかったとしても、その戦斧の餌食なった数多くの者達の末席に加わるだけだ。


戦士「今回は勇者の手柄だ」


魔法使い「どういう事?」


僧侶「勇者さんたら、回復を施したらすぐに寝てしまいましたわ。 あれ程憔悴するなんて、いったい何があったのです?」

 戦士と話していると、勇者に回復を施した僧侶が戻ってきた。


戦士「群のボスだったオーガの変異種と一騎打ちをしたくらいだ」

 戦士の話によると、この混成群による一連の騒動は一体の強力なオーガの変異種によって引き起こされた事らしい。

魔法使い「あなたなら労せず倒せたんじゃ?」

 勇者の実力でオーガの特殊な個体を相手にしたのなら、五体満足のあの状態でも御の字だろう。 よくやったといっても良いくらいだ。

 しかし、目の前にいるこの無骨な戦士なら何の問題もなく倒せる筈である。

 なぜ?

戦士「俺は終わった人間で、アイツはこれからの人間だ」

 戦士がぽつりと呟く。

戦士「それに、あんたが思ってるよりアイツは強い」

僧侶「えぇ、そして彼ならばきっと誰よりも強くなれる筈です」

 わからない……。

魔法使い「僕には君達がよく分かんないよ」

 なんだか居心地が悪いや。
 この人達を見てるとどうにも胸がもやもやとスッキリしないし。

 こんな時どうすればいいんだろう?

 僕には、分からないよ……。

支援!



―――――――――――――

―――――――

魔女「これが最初かな」


 魔女は苦笑いを浮かべて言いました。

 塔の窓からは夕日が射し込んでいて、安楽椅子に腰掛けた魔女の顔は優しそうに見えます。

少年「話を聞くと、魔女はなんだか子供っぽいね」

 友達を作るのが下手な子供みたい。 と言いそうになりましたが、これは言いませんし、言えません。

 言ったら怒られちゃいますからね。


魔女「そりゃあ、その頃の僕は花も恥じらうお年頃の可憐な少女だからね、子供らしさがあって然るべきさ」

 そうです。 今の魔女は見た目こそ僕と同じくらいですが、僕のお爺さんの、そのまたお爺さんと同じくらい昔から生きているんです。 本当ならしわくちゃどころじゃないですもの。


魔女「なんだか失礼な事を考えていないかい?」


少年「ううん、僕はそんな事考えてないよ?」

 えぇ、神様に誓います。

 神様なんて居るか居ないか分からないから誓った所で問題は無いですよね?

 嘘は嫌いなんだけど、しょうがないですよね。


少年「それより、そんな魔女がどうして仲良くなれたの?」

魔女「そんな、というのも酷い言い方だ」

 魔女が栗鼠みたいに頬を膨らませてます。 最近気づいたのですが、本気で怒ると、頬は膨らまずに眉間に皺が寄ります。
魔女「まぁいいか」

 やっぱりね。

魔女「仲が良かった、と言われると疑問だけど、彼らを認めることができたのはその後の事さ」


少年「?」

魔女「妖精の村にみんなと行った時に、色々とあったんだ」

 魔女はまた、苦笑いを浮かべました。

 すこし、嬉しそうでした。

―――――――

――――――――――――

今回の更新は以上となります。

まさかの少年!
更新乙乙ー!

俺も魔女と暮らしたいなぁ...

過去より大切なのは今だ。

つまり、魔法使いじゃなくて魔女と少年のイチャラブを・・・

>>84
うっせ
過去編なんだから
それを大人しく見てろや!

>>85
ここでケンカっぽいこと(口調)は止めてください。
水を指す>>84のような発言も控えるべきです。

何をどのように書くかは書き手さんで、私たちはそれを楽しみに待っているんですから。

大人しく待っとこうぜ。
支援

支援(・ω・)

お待たせいたしました。更新しようと思います。

現代編?続編?は最後の話になりますので、それまで気長に各キャラのSSにお付き合い下されば幸いです。



―――――――

――――――――――――


 深い森を歩く。

 まるで深緑の海の底をさまよっているようだと思い、空を見上げた。


 木々の隙間からは微かに鈍色の空が見える。

魔法使い「はぁ、憂鬱だ」

 手頃な木の根に腰掛けるとため息が漏れた。


 いっそこの胸に詰まっている正体不明の靄を一緒に吐き出せたらどれだけ良かった事か。

 勇者たちと離れれば治るかとも思ったのに、結局は変わらない。
 せっかく適当に理由を考えて別行動をとるようにしたというのにこれじゃあ意味がないよ。


魔女「そろそろ行かなくちゃな」

 待たせたところで変わらないし、仕方ない。

 深い森の中をまた歩き出す。


 あぁ、憂鬱だ……。



 結局胸の靄をどうする事もできないまま妖精の村の入り口までたどり着く。


 薄暗い不気味な森の一角に四季の花が咲き乱れている不可思議な場所だ。 迷わないように地図まで書いて渡したというのに。


僧侶「お久しぶりです、ね?」

魔法使い「何で無駄乳以外居ないのさっ!?」

僧侶「無駄乳!?」

 あ、口が滑っちゃった。

 僕とした事が失敗失敗。

魔法使い「え? 君の胸部の脂肪には有意義な使い道があるのかい? 乳牛なのかい?」

 もうめんどくさいからいいや、素で接しちゃおう。

 どーせ僧侶だし。


僧侶「グスン、酷いです」

魔法使い「あぁ~……、なんていうかごめん?」

 またその大きな垂れ目を潤ませる僧侶。

 子供? ねぇ、子供なの? この人は子供なの?

 おっぱい大きいんだからもっとしっかりしてよ。


魔法使い「勇者と戦士はどこ?」

僧侶「いやぁ~その……迷子?」
魔法使い「はぁ!?」


 僧侶のわかりにくい説明によると、なかなか来ない僕を探しに勇者が、そんな勇者が戻って来ないのを心配して戦士が探しに行ったっきり戻ってこないらしい。

 いわゆるアレだ。 あれ、ど忘れしちゃった。

僧侶「ミイラ取りがミイラになるって奴ですねっていひゃい、いひゃい」

 自慢げな僧侶の顔が腹立たしいので頬をつねってみた。

 柔らかい感触は癖になる。

 今度からちょくちょく抓るようにしよう。

今回の更新は以上になります。

魔女のキャラが少し違うのは、年相応だからです。

待ってた。更新乙
魔法使いのキャラも魔女の若かりし頃と考えると、笑えるなw

魔女って何年たっても容姿が変わらないんでしょ?
これは何年前の話なんだろう

>>97
「あなたが塔の~」で魔女が、勇者・魔王が生存していた時代を、だいたい二百年前だと言っていたから、二世紀ほど前だと思われ

この頃から二百年全く見た目が変わらないとすると、この魔法使いさんは12~15歳の捻くれたお嬢さんか……
かわええ

>>98
そうか……thx


書き溜の際、タイトルが長いので、「はてはて」と略しています。

日付が変わる頃更新します

楽しみだ(・ω・)

まとめから来るのは勝手だがコテハンつけんなよ

>>103
糞コテだたな。
すまん(;ω;)

きもちわるい

>>105
なんでいちいち荒そうとするん?

つまんね

夏休みだから頭のお粗末なクソガキが湧いてるんだろ

おガキ様は無視して大人しく待ってようぜ

このスレ荒されるの嫌だからsageないか?

>>110
忘れてくれ。
支援

更新しようと思ってたのですが、寝てしまいました。

更新します。



 僧侶の頬に赤い痕ができた頃、戦士と勇者は帰ってきた。

勇者「なんだ、随分と仲良くなれたみたいだな」

戦士「あぁ、そうみたいだな」

 何を言ってるんだ?

僧侶「うふふん、魔法使いちゃんと仲良くですって」


 いつの間にかちゃん付けで呼んでるよこの乳袋。


 でもまぁ、こんなに他人と話したのは久々だし。

魔法使い「ん、まぁ、うん」

勇者「え!?」

戦士「お!?」

僧侶「へ!?」


 驚き過ぎじゃないか?

 まるで人がひねくれ者みたいじゃないか。 失礼だな。


僧侶「魔法使いちゃん!」

魔法使い「うわ!?」

 隣にいた僧侶が抱きついてくる。

 顔面全体が埋もれる程豊かな胸部の感触。

 感触自体が心地よいのが非常に腹立たしい。

 だから。

魔法使い「ふん!!」

 その脂肪の塊を全力で横から叩く。

僧侶「きゃっ」

 何という手応え。 危うく手首を負傷するとこだった。

 前言撤回。

 やっぱり僕はコイツが嫌いだ。

 なのに、どうしてか頬が緩んでいくのを感じてしまう。

 よくわかんないや。



―――――――――――――

―――――――――


魔女「とまぁ、僧侶とは少し打ち解けたんだろうな」

 遠くを見つめ、懐かしそうに目を細める魔女。

 寂しそうですが、幸せそうでもあります。

少年「僧侶さんは良い人なんだろうね」

 魔女の言葉から優しさが滲んでいますし、きっと良い人なんでしょう。

魔女「あれは、馬鹿っていうんだ」


 それより気になったことがあります。

 魔女って、胸の大きさを気にしているのかな?

 聞いたらひどい目に遭いそうですし、聞きませんけど。



少年「でも勇者と戦士とはまだ打ち解けてないよね?」

 安楽椅子の揺れが止まりました。

魔女「勇者とはその後打ち解けたよ。 彼も言うなれば馬鹿、かな?」


 魔女の頬がゆるんでます。

 なんだか不愉快……。

 いや、嫉妬なんてしてません。

魔女「妖精の村で、勇者の能力を開花させる為の修行をしたんだ」

魔女「あの時は大変だったんだよ?」

 うん、嫉妬なんてしてないです。 ほんとです。

―――――――――――
――――――――――――――

今回の更新は以上となります

更新乙!
魔法使いちゃん可愛いなあ

更新乙!
少年よ、聞け聞くんだ!

乳袋とか辛辣すぎるw

更新します。 一つ一つのエピソードを詳しく描写した方がよいでしょうか?


―――――――――――
――――――――――――――


 なんでこんな事になってしまったのだろうか……

勇者「浮かない顔すんなって! なんとかなるさ」

 現在、僕はこの脳天気な勇者と二人で妖精の祠にいる。

 妖精の王が、勇者の魂を呼び起こして真の力を目覚めさせるとかなんとか。


 その試練には魔に通ずる者が同伴しなければならないらしく、僕もついて行かなければならなくなった。

 それはまだいい。


 ただ、聞いてない。


ゴーレムの群れ「グゴゴゴ」


魔法使い「なる訳ないだろ!」


 神代の時代の兵器の群に囲まれるなんて。

 あーもう! 馬鹿じゃないの?
勇者「任せろ、魔法使いに怪我なんかさせないからな」


 どこからこの自信が出てくるんだろう。

 とりあえず向こうから攻撃してくることはないみたいだし、ゆっくりと作戦を練る時間は……


勇者「うおおおりゃああ」


 駄目だ、この人は本気で馬鹿らしい。 僧侶並の馬鹿だ。


勇者「~~」

 小さな閃光の呪文をゴーレムの顔面に向け放つ。

 それと同時に、低い姿勢から足を狙った一閃。

 自分より強大な物と戦う事に慣れているようだ。

 そう感じ取れる程、その動きは滑らかで自然だった。

ゴーレム「グゴー」

勇者「ふぎゃっ」

 あ、蹴られた。

 んー格好悪い。

ゴーレム「グゴー」

勇者「待って、いったんタイムで」

ゴーレム「グゴー?」


 ゴーレムは理解したようで、その場で停止。

 勇者が戻ってきた。


勇者「アイツ堅すぎるんだけど!?」

魔法使い「君も馬鹿なの?」

勇者「え?」

魔法使い「あのゴーレムは神代の時代の遺物だ。 魔法に対する耐性と物理耐性はそこらの魔物なんかと比べものにならない」

勇者「うん、それから?」

魔法使い「魂のない自立駆動兵器だから、僕の魔法で即死させる事もできない」


勇者「ずいぶん詳しいんだな」

魔法使い「まぁね」

勇者「魔法使いと一緒でよかった」

 随分とまぁ、まっすぐ笑う人間だ。


魔法使い「よしてよ、なんの役にも立ってないんだし」


勇者「アレの正体が分かっただけでも十分過ぎるさ、それに」


 今では見ることのできなくなった青空のような紺碧の髪をガシガシと掻きながら勇者は続ける。


勇者「誰かと一緒の方が頑張れるんだよな、きっと」


 うわー恥ずかしいことを言う人だな。


魔法使い「せいぜい頑張りなよ。 僕は魔法が効かない相手にはなんの役にも立たないし」


 役に立てたとしても何かをする気にはならないけどね。

 それこそ、勇者なんだから一人で何とかするでしょ?


勇者「あぁ、任せとけって!」


 勇者は自信たっぷりな笑みを浮かべると親指を立てる。


 はてさて、どれくらいでどうにもならないって気づくやら。


数時間後――――。

勇者「うおおおりゃああ」


魔法使い「まだやってるの?」


 勇者は先程から色々な事を試してはいるが、結局無駄に終わっている。

勇者「諦めてたら何もできないからな」

魔法使い「諦めが肝心とも言うよ?」


 諦めの悪い奴だな。

勇者「俺の敵は諦めと絶望だ! うおおお」

 懲りない奴……。


 座り心地の悪い祠の湿っぽい地面に座り込み勇者を眺める。


ゴーレム「グゴー」

勇者「剣じゃ駄目だしなぁ」


 けして業物とは言えない大量生産の長剣でゴーレムに傷が付いたらそれこそ奇跡だ。

 達人が業物の得物を使っても傷がつくかも怪しいんだもの。

勇者「んじゃ次はこれだ」

 勇者が構えを変えた。


 勇者は、最上段に剣を構えると精神を集中するように目を瞑る。

勇者「ふん!」

 地面を蹴り上げ、一気に距離を詰めると振りかぶった剣をゴーレムの頭上に振り下ろす。

 それは、金属を切り裂く為に編み出された剣技。


 普通なら刃が通らぬ堅牢な表皮を持つ魔物さえ切り裂く剛剣。


ゴーレム「グゴー」

 金属同士の衝突音が祠の中に響く。


魔法使い「うわっ!?」

 勇者とゴーレムの間に火花が散り、金属の塊が僕のすぐ脇に突き刺さった。

 金属は、折れた長剣の切っ先だ。

 僕に何か恨みでもあるのだろうか?

魔法使い「いつから目的がゴーレムじゃなくて僕を倒す事に変わったんだい?」


勇者「すまん!」



 これじゃいつまで経ってもゴーレムを倒すなんて無理だね。

 はぁ、お風呂にでも入ってゆっくりと眠りたいや。

>>121
ssの雰囲気が変わらない程度にお願いしたい

今回の更新は以上となります。
作品に出てくる魔法、技は全てドラ○エに出てくるものです。

更新します



勇者「剣も折れたし、よし! 殴るか」

 腕を振り回しながらゴーレムに向かっていく勇者。

 剣の次は骨でも折るつもりらしい。

魔法使い「それはやめといた方が良いと思うよ? 怪我するだけだし」


 ほんとに諦め悪い奴だ。


勇者「あ~やっぱり?」

魔法使い「じゃあどうするの?」

勇者「~~。 食らえ」


 勇者が呪文を唱える。

 放たれたのは小さな雷の魔法。

魔法使い「聞く訳ないじゃな……い?」

ゴーレム「グゴゴゴ? グゴー?」

 ゴーレムが明らかに反応を示している。

 効いた?


勇者「どんなもんだ!」

ゴーレム「グ……グゴァアァァァ」

魔法使い「まずい!?」



 雷に当たったゴーレムが咆哮を上げた。

 どうやら敵と認識されたらしい。


 ゴーレムの単眼が眩い閃光を放った瞬間、その視線上に有った物が蒸発した。


魔法使い「勇者!?」


勇者「大丈夫だ!! そっちは!?」
 間一髪、閃光を避けた勇者。

 数秒前まで勇者が立っていた場所は溶けたバターのように滑らかに抉られていた。


ゴーレム「グゴァアァァァ」


 数秒に一発の間隔で閃光を撃つゴーレム。

 周りのゴーレムもそれに呼応するように単眼を紅く光らせて勇者に敵意を向け始める。


勇者「~~」

 勇者は閃光を器用に避け続けながら雷の呪文を放つが、如何せん火力不足。 ゴーレムには微々たる損傷しか与えられない。


魔法使い「雷は効くのか……」

 勇者にしか力を貸すことがないと言われている雷の精霊はゴーレムも想定外らしい。

 嫉妬が胸の中で首を擡げる。

 僕なら、もっと上手くできるのに……


勇者「あぶねー!!」

 勇者に突き飛ばされる。

 危なかった。 僕の居た場所に閃光が走る。

魔法使い「助かったよ」

勇者「任せろって言ったろ? まぁちょっと待ってろよ。 片付けてくるから」

 虚勢? いや、この目は本気だ。

 ひたすら真っ直ぐな輝きを湛えたその瞳の前では、諦めや絶望さえ逃げ出してしまいそうだとさえ思ってしまう。

魔法使い「仕方ない、手を貸してあげよう」


 少しだけ、彼に興味がでた。

今回の更新は以上となります。

ゴーレムが本気だしたか...
魔女の策に期待を寄せよう

ちょっと更新。



魔法使い「さて、堅牢な表面に加えて高い魔法耐性、正攻法じゃまず無理だよ。 だから君の魔法を使う」

勇者「火力が足りないぞ?」

魔法使い「僕が魔力と術式を担当するよ、君はただ雷の精霊を使役してくれればそれでいい」


 ゴーレムの閃光を避けながら説明する。

勇者「やっぱり魔法使いは頼りになるな~」

 感心したように僕を見つめる勇者。

 あんまりみないで欲しい。


勇者「時間もないし、サクッとやっちまおう」


 ゴーレムの閃光の間隔の間を縫って魔力を練る。

勇者「~~」

 勇者の手を握る。

 パパ以外の男性の手を握るのは初めてだと気付き、一瞬戸惑う。

勇者「~~」

 まぁいいか。

 誰か手を握ったのは久しぶりだ。

 思ったよりも大きくて、ゴツゴツと逞しい手だった。


魔法使い「~~~~」

 勇者の魔力の流れを調整しつつ、僕の魔力を上乗せして火力を底上げする。

 更に上位の精霊を使役する為の呪文を駆使、魔法自体を高位の物に書き換える。

勇者「おぉ?」

魔法使い「集中して! 格上の精霊、しかも雷の精霊相手にしてるんだ、油断すると精神ごと灼かれるよ」


ゴーレム「グゴァアァァァ」


 感づいたゴーレム達が一斉に僕たちに紅い単眼を向ける。

勇者・魔法使い「「~~~~!!」」

 空気中の至る所で放電が起こる。

 雷雲がゴーレム達の頭上に出現。

 数瞬の後、それは空気を震わせる轟音を響かせてゴーレムを呑み込んだ。


 見る者の魂を灼き尽くす気高き雷。

 勇者のみに与する自然界で最も鋭き刃を持つ精霊の一撃。


 それがゴーレムの堅牢な外皮を貫き内部を焼き尽くす。


勇者「すげぇ……」


魔法使い「これが本来の威力なんだ。 それより」


 ゴーレムの残骸が転がる祠の奥、台座の向こうの扉がひとりでに開いた。

勇者「ん?」

魔法使い「いつまで手を握っているのかな?」

勇者「お、悪い悪い」


 離された手を見つめる。

 悪い気は、しなかった。



 祠の奥にあったのは妖精の村に伝わる宝剣だった。

 淡い光を放つ神秘的な剣を自慢げに背に負って歩く勇者をぼんやりと眺めながら歩く。

勇者「あぁ、そういやごめんな」

魔法使い「?」


勇者「任せろって大口叩いた割に俺一人じゃ何も出来なかった」


魔法使い「あぁ、別に気にしなくて良いよ。 だって」


勇者「?」

魔法使い「仲間なんでしょ?」

 うん。 まぁ。




勇者「魔法使い!」


魔法使い「!!」

 え、あ、ちょ?

 勇者に抱きしめられた?

魔法使い「~!!」

勇者「熱っ!?」

 やっぱり嫌いだ!!

―――――――――――――
―――――――――

―――――――――――
――――――――


魔女「とまぁこんな感じかな。 少年?」


 断言します。

 僕は勇者って人が嫌いです。

少年「へぇ~」

 はい。 嫉妬です。 それがなにか?

 魔女が嬉しそうな顔で勇者の話をするのはどうにも胸が疼きます。

少年「魔女は勇者って人の事好きだったの?」


魔女「ん~どうだろうね?」

 魔女が唇を少しだけ歪める笑い方をして言いました。


 多分僕の感情を理解した上で、意地悪をしているんでしょうね。



魔女「僕より僧侶が勇者に対してはご執心だったみたいだよ? 二人の出会いは聞いてないからわからないけど、それなりに特別な物だったらしい」


少年「勇者は僧侶と結ばれたの? あ、でも建国話では異国の姫と国を作ったって」


魔女「うん、残念ながら実らなかったんだ。 色々あったのさ」


 余計に勇者が憎らしくなりました。

――――――――――――
――――――――――――――

今回の更新は以上となります。

魔法使いの、パパ発言にちょっと笑ったw

更新乙です

少年の反応がいちいち可愛いな
つ④

支援

更新します。

更新キター!


――――――――――――
――――――――――――――


 僕たちの力が足りないばかりに。


 僕の魔法は一つとして通用しなかった。


 僧侶は意識を手放すその時まで、回復を施し続けていた。


 戦士の戦斧が音を立てて砕ける。


 最後には、ただ独りで魔王の前に立ちはだかり、剣を振るう勇者。

 魔王は戯れとでも言うように、それをあしらい、致命の傷を与えないように弄んだ。


魔女「悔しいよぉ……」


 なにも出来ない無力な自分が憎らしい。


 魔王城の玉座の間で悔し涙を零す。


 なぜ僕には力がない?

 なぜ僕には何も守れない?

 僧侶のような癒やしの力も。

 戦士のように身を挺して仲間を庇うことも。


 なぜ。

 僕には何もできないの?


 漆黒の雷が、玉座を包む。

 断末魔の叫びをあげることもなく、僕は意識を手放した。



勇者「魔法使い、無事か?」

 どうやら生きているらしい。


魔法使い「ここは?」


 見渡すと自分が簡素な小屋に寝かされている事がわかった。

 隣には僧侶が小さな寝息を立てている。

魔法使い「みんな無事らし……戦士の姿が無いけど?」


勇者「アイツは外で見張りしてる。 一番重傷の筈なのにな」


 まぁ、彼に何かあるというのは想像出来ないけど。


魔法使い「それよりここは?」


勇者「わからん、移動魔法を使って逃げようとしたんだけど」

魔法使い「失敗したと」

勇者「面目ない」


 あの状況でなんとかなるだけでも奇跡だ。 褒められてこそ、責められる謂われはない。

魔法使い「普段の努力不足だね。 魔法を蔑ろにするから、こうなるんじゃないか?」

 だと言うのに口から零れるのは悪態だ。 つくづく自分の性格に問題があると思い知る。

勇者「それだけ言えるなら元気って事だな」

 なんで、こんな事を言われても真っ直ぐ笑えるんだろう。

 馬鹿だよ……。


勇者「なぁ」

 不意に勇者が真剣な顔になる。
 僕よりちょっと長く生きているだけだというのに、こういう顔をすると驚くほど大人びて見える。


勇者「俺……みんなを守れなかった」


 返す言葉がなかった。


 今までどんな状況でも屈託なく笑う男だったとは思えない顔だ。
 泣き出していないのが不思議だと思う。


勇者「魔王が近くにいると思ったら、俺……我慢できなかった」


 俯いて、ポツリと呟く。

勇者「俺が弱いから……」

魔法使い「弱いのは君だけじゃないだろ……。 僕だって」

勇者「俺は勇者だ!! お前たちみたいに、あ……」

 勇者の言葉を聞いて、うまく言葉が出なかった。

 一緒に旅をしてきたのに。

 短い間だけど苦楽をともにしてきたじゃないか。

 素直にはなれなかったけど、僕は、僕たちは仲間じゃなかったの?

 言葉がでない代わりに、そんな感情の塊が瞳から溢れ出た。
勇者「……ごめん」

 勇者はそんな僕の顔を見ると「頭を冷やしてくる」とだけ言って、小屋から出て行った。


 まさか、勇者がそのまま姿を消すなんて、思わなかった。


僧侶「魔法使いちゃん?」


 数時間後、僧侶が起きた。

魔法使い「ちゃんはやめてよ」

 振り向きたくない。

 今僕は情けない顔をしてる。
僧侶「止めません。 今の貴女は、傷ついてしまった年下の女の子ですから」

魔法使い「何を言ってるの?」

 なるべく普段通りの声を心がけたつもりだったけど、声は震えていた。


僧侶「泣き顔を私に見られたくないなら、そのままでも良いですよ」

 そう言って、僧侶は僕を後ろから抱きしめた。

 甘く優しい香りがした。

 暖かくて、柔らかかった。


僧侶「大丈夫、皆さん貴女の仲間です。 勿論、勇者様も」


魔法使い「僕……が、もっと…つよ、強かったら、勇者にあんな顔させなくてよかったのに」


僧侶「うん、それから?」

魔法使い「僕が……強かったら…勇者は仲間だって……思ってくれたのかな?」

僧侶「貴女は貴女のままで良いのですよ? 勇者様は責任を感じておられるのです。 貴女と同じように自分の無力を嘆いているのです」

魔法使い「でも……」


僧侶「はい、心とは時には自分の言う事を聞いてくれないものです」


魔法使い「でも…」

僧侶「気が済むまでお泣き下さい。 そして、勇者様の頬でもひっぱたきに行きましょう。 もっと、仲間を頼れって」


 こんな時に優しくするとか卑怯だよ……。

今回の更新は以上となりはす。

更新乙乙!

更新乙ぅ

すいません、ひとつ貼り忘れてました。


――――――――――――――
――――――――――


少年「へぇ」

 魔女を泣かせた? え? なに?

魔女「少年、顔が怖いよ?」

 えぇ、怒ってますもん。

 今なら魔女に教わった魔法をすべて使いこなせる気がします。


魔女「まだまだ、未熟だね。 感情の高ぶりで魔力を不安定にするなんて」


少年「え? 何のこと?」


魔女「この僕の一番弟子たる少年がこれでは僕の品格まで疑われてしまうよ」


 安楽椅子から降りて、僕を見上げる魔女。 いつの間にか魔女の方が身長が低くなってます。

 そうですよね。 ここで魔法使いの修行を始めて二年は経ちましたし。

魔女「まったく、図体ばかり大きくなってもやっぱりまだまだ君は子供だな」


少年「まぁ魔女から見ればね」


魔女「はいはい、さて、続きを話すよ、ん」


 魔女は空になったティーカップを僕に渡します。

 さて、魔女の好きな茶葉はお話が終わるまで持つのでしょうか?

―――――――――――――
――――――――

今度こそ以上になります。

ちなみに今後

勇者

戦士

僧侶

少年

の順でSSをやろうと思っています。

そうか、少年は魔法使いに...
頑張れ少年!

前作から一気に読んだ

面白い乙乙

面白いなぁ・・・

ホント面白いなぁ・・・

>>176
同士よ(・ω・)っ

少し更新します。


―――――――――――――
――――――――




 小屋を出ると、青空が見えた。

戦士「驚くとは思った」



 魔王がこの世界に現れてから、空には鈍色の分厚い雲に覆われていたから。


 まるで、世界の果てにでも来たような気持ちになる。


僧侶「美しいですね」


魔女「あぁ、綺麗だ」


 いったいここは、どこなんだろうか。


戦士「聞いたことがある、魔王の力が及ばぬ国があると」


 戦士曰わく、その国では強力な魔力を持つ王族が民と国を守護している為に、魔王の力が及ばないらしい。

魔法使い「へぇ、眉唾ものの話だけど」

僧侶「この澄んだ空をみると信じざるを得ないですね」


 ところで、勇者はどこに行ったんだろう?


魔法使い「戦士、勇者は?」


 外で見張りをしていたなら、きっと見ている筈だ。


戦士「ん? アイツは山の方へ向かったぞ」


僧侶「いつ戻ってくるとか言ってましたか?」


戦士「いや、アイツは戻らんつもりだろう」


 何言ってんだこの脳筋は。


戦士「自分を見失うのも仕方ないさ。 勇者だのなんだの言われてはいるが、実際のアイツはまだガキに毛が生えたようなもんだからな」


僧侶「追いましょう!」


魔法使い「賛成だ」

戦士「アイツが答えを見つける時間は与えてやるべきだ。 追うのは良いが、ゆっくり行くぞ」


 余裕で達観したような態度の戦士に少し腹が立つ。


 なんでも知ってるような顔しちゃってさ……。




 澄み渡る空が木々の間から覗く。

 耳には小動物の鳴き声、川のせせらぎ。


 こんな時でなければ、ゆっくりと散策したいものだ。


僧侶「なんとも、心地良いですね」

魔法使い「うん、そうだね」


戦士「かつては世界中がこうだった」


 勇者、君はこの世界を見てどんな事を思う?

更新は以上となります。

別行動の勇者は、次回作の勇者のSSでどんな事があったか書くつもりです。

(・ω・)っ④

更新します。


 結局、その日勇者に追いつくことは出来なかった。


 空には、銀色の月がぼんやりと浮かんでいる。


魔法使い「この辺には魔物も居ないんだね」

僧侶「えぇ、この付近は清浄な空気に包まれているようです」


 野営をしている川辺で、僧侶と空を見上げて話す。

 月の光に反射したその長い銀髪を見て、素直に美しいと思った。


僧侶「あの月を今、勇者様は一人で見上げているのでしょうか」


魔法使い「案外新しい仲間を見つけていたりしてね」

僧侶「杖で殴ります」

魔法使い「はは、手伝うよ」


 旅にでてから、そんなに長い時間が経った訳では無いのに、僧侶とこうして自然に話せている自分に時々関心する。

 あのまま村に居たらきっと、よぼよぼで人間嫌いの魔女にでもなっていただろうから。


僧侶「戦士さん、遅いですね」


魔法使い「食料を集めてくるとは言ってたけど」

 そう言えば、戦士は戦斧を折られたから、小さなナイフしか持っていないけどどうするのだろう?

戦士「すまない、待たせたな」

 そんな事を考えていると、戦士が戻ってきた。

僧侶「あぁ、なんて事……」

 持ってきたのは、なんとも立派な牡鹿だ。

 比較的大柄な戦士よりも更に二周りは大きい。

 あの小さなナイフで、どうやったら巨大な牡鹿を仕留める事が出来るのだろう?



 戦士が手際よく牡鹿を肉にしていく。

 案外料理上手だったりするのだろうか?


戦士「森からの頂き物だ。 必要な分以外は森に返してくる」

 今日食べる部分以外を持って森へと消えていく戦士。


 彼独自の考え方なのだろうが、この考えは嫌いではなかった。

 あの牡鹿の魂と肉体はまた、森を巡り、森の一部になるのだと考えればそれも供養だと思う。


 焚き火にかけられた鍋を見ながら、心の中で戦士の考え方に賛同していると、戦士が戻ってきた。
 焚き火に温められた鍋の中身はシチューらしい。


 戦士お手製の料理は初めて食べるな。

 割と楽しみだ。




 全身が危険信号を送っていた。

 生命に害を為すソレをこれ以上摂取するなと消化器系の内臓が講義の声を上げている。


 これは。

 ――――マズい。



戦士「?」

 流石は剛の者、といったところか。

 人という種の味覚を的確に攻めてくる、この恐るべきシチューを咀嚼し、嚥下するという行為で完全に支配するなんて。



僧侶「おぉ、主よ。 これもまた我々子羊に対する試練なのですね」

 僧侶は痛苦に顔を歪めながらこの、人類の天敵たるシチューに挑んでいる。


 僕の器に盛られている分だけで、大国と渡り合えるようなこの兵器を口に運ぶ。

 口に運ぶたびに、後頭部を鈍器で殴られるような衝撃に襲われながらもなんとか感触を目指す。


 勇者め……これを食べずに済むとは運のいい奴だ。

今回の更新は以上となります。

今回は250くらいかと

更新乙乙!
話が進むのは嬉しいけど、だんだん終わりに近づいてるってのが判るとなんか複雑だ

更新します。



 二日後、勇者に追いついた。


 人の居ない、美しい廃街で。


僧侶「ここは?」

戦士「人の気配はしないな」


 確かに人はおろか、生き物の気配すらしない。

 ただ、空気中に存在する魔力が濃い。

魔法使い「あ、勇者」


 おかしい。

 勇者の気配はしなかったのに。

勇者「あぁ、心配かけた」


 彼の魂の形が、より洗練されたものになっているような感じがした。



僧侶「無事なら何よりです、が……その方はどなたですか?」


魔法使い「え?」


 驚いた。

少女「私かー? 私はこの国の姫だぞ」


 勇者の横にいたのは、艶やかな黒髪の少女だった。


戦士「おまえ、本当に人か?」


 戦士が腰のナイフを構える。

 戦士の言う事はもっともだ。


 魂、魔力の波長、肉体。

 どれをとっても人のソレとは違う。

 まるで、存在している世界が一段ずれているような、ソコにいるのに触れられないような。


少女「勿論人だとも。 なぁ勇者?」


勇者「ん? あぁ、コイツは人だよ」

 ずいぶん親しげだね。 人がどんな気持ちで居たかもしらないで

僧侶「……」

 無言の僧侶が勇者の前まで歩く。

 振りかぶられた両手。

 響く快音。

戦士「良い切れだな」

魔法使い「うわ、痛そう」

僧侶「私が、私達がどのような気持ちで勇者様を追っていたかおわかりですか!?」

 ふん、いい気味だ。

 人を不安にさせておきながらそっちは女とイチャついてるんだからね。

 僕だって殴りたいくらいだよ。



――――――――――――
――――――――

魔女「この時の少女が今の王国の祖となる人間だ」


少年「なんなのその人は?」

 ぽっと現れて勇者を奪われた僧侶が可哀想です。


魔女「彼女が選ばれたのには理由があるんだ」

少年「それって?」

魔女「ん」

 魔女は催促するように空のティーカップを差し出しました。

 このペースだと、そろそろ茶葉がなくなります。

―――――――――――
―――――――――――――

今回の更新は以上となります。

更新乙!

ハァァァァァヽ(`Д´)ノヨォォォォォ!

支援!!

支援支援!

いつまでも待ちますぜ

支援玉殺砲ーーーー     (゚Д゚)σー④④④④④④

作者さん大丈夫かな?
ゆっくりで良いから完走がんばってなー
支援

更新します



少女「勇者は呪いを受けていたぞ? 気がつかなかったのか?」

 時間が止まってしまったような荘厳な玉座で聞いたその言葉は、余りにも衝撃的だった。



 戦士が勇者を連れ出してから数時間が経つ。


 明らかに様子が変わった勇者の事が気になり、この少女に真相を訪ねたのだが、返ってきた言葉は聞きたくない事実だった。

僧侶「私は神に仕える身、その呪いを解けるやもしれません」

少女「無理だな。 おまえが世界から全ての悲しみをなくす事ができる程の力があれば別だけど」


 私と同じ程度の年齢に見えるというのに、この少女の雰囲気はまるで、老練たる賢者を思わせる。

魔法使い「随分と詳しいね。 さっきははぐらかされたけど、いったい君は何者なんだい?」

 目の前で玉座の上で胡座をかく少女の正体が気になって仕方がない。

少女「そりゃあ詳しいさ。 アレは家の一族だしな」


僧侶「どういう事です?」

少女「今、外の世界で暴れ回ってる奴な、アレは元はうちの兄貴なんだ」

 つくづく色々と予想外な少女だ。

 これが物語ならば、僕は読むのを止めている。

 こんな話の中核人物の癖に登場が遅すぎやしないかい?



僧侶「そんな事は今聞かされた所でどうしようもありませんし、私には興味がありません。 勇者の呪いについて詳しく教えて下さい」

 確かにそうかもしれない。

 賢くはないと思っていたけれど、見直さなきゃ。

少女「おぉ、ソレもそうだな。 勇者にかけられたのは短命、種絶、恐慌の呪いだ。 すぐには命を奪わない癖に、生命としての本質を奪う厭らしい呪いだよ」


 勇者の気配が変わったのはそのせいか。

 いや、でも呪いのように禍々しい気配ではなかった。

 むしろ、神聖ささえ感じるものだった。

魔法使い「君は勇者に何かした?」


 考えられる理由はコイツくらいか。


少女「ん、特にしちゃいないぞ。 彼が紛れもなく勇者だったというだけだ。 彼は、自分で切り開いたのさ」


僧侶「…………」


魔法使い「この都はなぜ人がいないの?」


少女「みーんな殺された、魔王?にな」


魔法使い「なぜ君は生きている?」

少女「この国で一番臆病だったからだな」


魔法使い「なぜ君の兄が魔王に?」

少女「魔術の本質に触れたから」


 魔術の根元にある物に触れてしまったら人間では居られなくなると噂で聞いたことがある。


魔法使い「魔王が人為的なものなら何故勇者が生まれる?」


 おとぎ話を丸ごと信じるわけではないけど、魔王も勇者ももっと特別なものではないのだろうか?

今回の更新は異常になります。

みす。以上となります。

放置申し訳ありませんでした。
支援ありがとうございました。

来た!ヾ( ゚∀゚)ノ
更新乙!

この程度放置とは言えんよ

待つぞ。

>>216
当然だ。

支援支援!

支援!

続き待ってます(..)

>>220
更新きたかと思ったじゃないか
!!!
続き...続き... |ω・`)

>>220
更新きたかと思ったじゃないか
!!!
続き...続き... |ω・`)

ミスった...連投スマソ (´・ω・`)

お待たせしました。 更新します。


少女「勇者とは、誰しもなれる物なんだよ? 逆もまた然り」

少女「幾千、幾万の絶望を踏破し、諦観を斬り伏せたその先に立つ物を結果、勇者と呼ぶ」

魔法使い「納得いかないよ」


 ならばなぜ、勇者は雷の精霊の寵愛を受けることが出来るのか?


少女「それは単に彼の人柄を精霊が気に入ったんだろう」


 そんな理屈で納得なんかできない。


少女「抗わず、流されず、全てを受け入れる事が出来る」


 魔法を使う為の基本的な心構えだ。

魔法使い「それが勇者だと」

少女「そーいうことだな」



 そうこうしている内に、勇者達は帰ってきた。


 二人は剣を交えていたのだろう。

 どちらもボロボロだ。


戦士「迷いは、無いようだな」


勇者「やっぱり強いな、どうしてもかなわない」

 どうやら、二人は闘っていたようだ。

 戦士が笑った顔を初めてみた気がした。

 何があったか分からないけど羨ましいね。

 でも、まだ何も解決してない。
 魔王を倒すことも。 勇者の呪いを解く事も。


少女「悩んでいるんだな、魔術の僕よ」

 深夜、少女に呼び出された。

 品のある調度品に囲まれた少女の私室。

 革張りのソファに身を預けた少女の顔は燭台の明かりに照らされ仄かに赤みを帯びていた。

とりあえずここまでです。

更新 乙(..)
支援

ゆっくりでいいさ、続きがあるだけ嬉しいから

支援支援

お待たせ致しました。

更新します。




魔法使い「なんでもお見通しみたいなその態度は腹立たしいんだけど」


少女「君ほどじゃあない」


 少女はニコリともしない。

少女「今のままじゃあ君たちは魔王に勝てない、違う?」


魔法使い「やってみなければわからない……といいたい所だけと」
少女「流石、君は聡明だな」


 少女がにやりと笑った。


少女「戦士、彼は戦闘力だけならなんの問題はないね。 問題なのはむしろ、彼に見合う武具が無いことくらいだ」

 知ってる。

少女「僧侶の回復能力は素晴らしいよ。 信心からではない純然たる慈愛の心がそれを産み出してるんだろう」

 知ってる。

少女「勇者も、もう大丈夫だろう。 彼の迷いはもうないからね」
 知ってる。

少女「魔法使い、君はただの人間が到達できうる最高峰の場所に居るだろう、だが、君には足りないものがある」

魔法使い「知ってる! だけど、どうすればいいっていうのさ!?」

 燭台の明かりの中、不敵に笑う少女。

少女「すべて私が解決してやろう、ただし……」



 翌朝、玉座に皆を集めて少女は話を始めた。


少女「魔王は私の一族からでたものだ。 責任をとる為にも僅かながら助力をさせてくれ」


 少女はそう言って頭を下げた。

 女狐め。

 昨夜の条件が頭を過ぎる。

 
 ――全て済んだ後でいい、勇者を私にくれ。 私と、これからの世界の為に。


少女「まずは、戦士。 これを使ってくれ」

 少女が、戦士に白金に輝く戦斧を渡す。

 淡く全体が光っている。 目視できる程に、濃密な魔力が込められている戦斧。
 神代の武具でも無ければこんな業物は存在しないだろう。

 これほどの業物を所有していること事態が驚きだが、それを簡単に譲ってしまうことにも驚きだ。

少女「次は僧侶、君にはこれを」

 少女が僧侶に渡したのは同じく神錆びた銀色の大杖。

僧侶「これは?」

少女「君の所の聖人さんが使っていた杖らしい。 君が奇跡を起こす依代にはこれ以上ない逸品だと私は考える」

 この城にはいったいどれだけの物が在るのだろうか?

 どれも国の象徴として崇められても良い程の逸品だった。


少女「勇者、君にはもう何も必要はないね。 その強き心で、長らく続いた夜を切り裂き、世界に新しき朝を呼んでくれ」


 少女が満ち足りた笑みを浮かべて勇者に声をかけた。

 勇者は照れくさそうに笑い返すと、「おう」と短く返事をする。

少女「後は、魔法使い、君なんだが……」

 僕の番か……。


少女「君を正真正銘の魔法使いにしてあげよう」


 望むところだ。

 少女の手招きに応じ、先の見えない地下への階段に向かう。

 冷たい空気が満ちている階段を下りながら、案外小心者な自分に気が付いた。

とりあえず今回の更新は以上となります。

更新乙!


さて、そろそろ簡潔に向けて話を動かしていこうかと思います。

僕っこが好きになった理由は蒼星石です。


さて、そろそろ完結に向けて話を動かしていこうかと思います。

僕っこが好きになった理由は蒼星石です。


 階段を降りると石造りの書庫だった。

少女「君は私の正体を知りたがっていたな?」


魔法使い「あぁ、君の高慢な態度を維持するにはよっぽどの事がある筈だと僕は思ってる」


少女「酷い言われようだな」


魔法使い「自覚はあるさ」


 冷たい石造りの書庫の中に少女の足音だけが微かに響く。


少女「私、私達一族が、魔法というものを見つけたと言ったら?」

 突拍子もない事を言い出した。
 確かに魔法の発祥については明記されているような書物もなかったけど。

 だからといってハイそうですかと信じられる訳もない。


魔法使い「証拠は?」


少女「証拠に値するか分からないが、君に禁忌を犯す機会を与えよう」


 その言葉を聞いて、長らく静まっていた知的探求心が首を擡げる。
魔法使い「君を少しだけ好きになったよ」


少女「そいつは光栄だ」



魔法使い「なる程」


 術式は理解した。 ただ、使用する魔力が馬鹿げてる。


魔法使い「机上の空論と何ら変わらないね」

 こんな量の魔力を有しているのは、それこそ世界の始まりから生きているような古龍種か、信仰の対象になるような高位の精霊くらいだろう。


少女「使えるさ、全ては心ひとつ。 抗わず、流されず、全てを受け入れる。 魔術を用いる人間の基本だよ?」

魔法使い「精神論で何とかなる量じゃないだろう。 僕の魔力を限界まで溜め込んでも半分にも満たない」


少女「それは君が自分の事を理解していないからだ」


 少女が僕を見据える。 その瞳は夕闇のような深紫色だった。


少女「魂という魔力の塊から漏れ出た上澄みだけを使っているから足りないのだよ」


少女「更に、その気になれば周囲に満ちる魔力だって使う事が出来る筈さ」


 場の空気の重さが変わったような錯覚に陥る。


 目の前に居るこの少女は一体‘何’だ?

少女「私は」


少女「魔女、だよ」

今回の更新は以上となります。
蒼星石可愛いです。

更新乙です!

>>240-241
それは大事なことだな

乙です

転職しました。

更新します。



 魔女。

 魔法使いとは似て非なる存在。
 例えば、魔法使いが泳ぎが得意な人間だとすると、魔女は大海を泳ぐ魚。

 走るのが得意な人間が魔法使いだとすれば、魔女は荒野を駆け抜ける駿馬だ。

 ソレほどの根本的な違いがある。

 人の身では到達出来ない魔の真髄を極めんとする種。

 そして、空想上の存在。

 

少女「信じられないかい? 当然だよね」


 少女は夕闇よりも濃い紫の瞳を愉快そうに細める。

少女「うん、君達が最初に感じた通り種族的な意味合いでは人間とは少し違う」


 少女は指先から淡く輝く紫色の光を発して空中に文字を書く。


 走り書きで読み辛いが、人間、化け物、心、等の文字が綴られている。

少女「けれど勇者曰わくそんな物は些細な事らしい」

 空中に浮かんだ‘心’という単語が‘人間’と‘化け物’という単語の間を行ったり来たりしている。

少女「大事なのは、‘コレ’がどこにあるかさ」


 少女の指の動きに応じて‘心’という単語が‘人間’という単語の下で止まる。

魔法使い「だから人間だと」


少女「私はそう思って無いけどね。 勇者が『誰かの苦しみを考えてそんな顔するのなんて化け物には無理だ』って言ってくれてね」

 少しはにかむような少女は確かに寓話に出てくる老獪な魔女になんかは見えなかった。


少女「なにも君に魔女になれと行ってる訳ではないぞ?」

魔法使い「君の話は要領を得ない事が多すぎる。 結局僕にどうしろって?」


 魔力が足りないのに魔法を教えてもらった所で、どうしようもないだろう。

少女「魔力が足りないんじゃなくて、使い方が分からないだけなんだろう?」

魔法使い「!?」

 後頭部に手を回され、強引に顔を引き寄せられる。


少女「教えてあげる。 じゃあ、一段上っちゃおうか?」

魔法使い「んぅ!?」

 見開いた瞳のすぐ近くには目蓋を閉じた少女の顔があった。



 唇に触れる柔らかい感触。

 え? え? もしかしなくてもコレって口づけ? 接吻? キス? チュウ? 口吸い?

 パパとママ以外とした事無かったのに?

 混乱した頭をどうにか整理しようとした瞬間、唇に鋭い痛みが走る。

 視界が歪む。

 意識が薄れていく。

 ただ、それは少女も同様なのか、力の抜けた身体がのしかかってくる。

 少女に押し倒されるような形で倒れ込む。

 いまだに離れない唇の感触だけがやけにはっきりと感じたところで、僕は意識を手放した。

今回の更新は以上になります。

歓喜


物語が最後に向かう転換期のきっかけはキス。

話を書く上でのこだわりです。
けして百合が好きな訳ではありません。

ストーリーの進行状、仕方ないのです。

けして百合が好きな訳ではありません。

更新します。



 「ここは?」


 目が覚めると、白い靄がどこまでも続く場所にいた。


少女「やぁ、ご機嫌は如何かね?」

 「やぁ、痴女。 いきなり同性に唇を奪われて喜んでいるように見えるかい? 見えるならその紫色の瞳の代わりに硝子玉でも填める事をお勧めするよ」


少女「酷い言われようだな。 気取ってるようで案外にうぶだね。 初めてだったのかい?」


 馬鹿にされているようで腹が立つ。 けど図星だ。


 「それは君の下衆な妄想に判断を委ねるよ」


 それよりもここはどこなんだろうか?

 ミルク色の濃い靄の所為で、全く見当もつかない。


 「いったい何のつもりかな? 先程の、その、キ、ス……といい、このよく分からない場所といい」


少女「好みだったから」


 「はぁ!?」


少女「冗談だ。 君に着いて来るにはあの方法しかないからだよ」

 「だから、ここはどこかって聞いてる」

 本当にコイツとの会話は要領を得ない。 わざとなんだろうか?

少女「もう一つの世界。 内なる世界。 魔術の根源たる魂の源泉」

少女「簡単に言えば君の精神世界だ。 よく感じてごらんよ? その証拠に君はもうこの世界に溶けてしまっている」

 言われてみて初めて気がついた。

 確かに身体の感覚がない。 この場に居るのにこの場に居ないような不思議な感覚だ。

とりあえずここまでです。

大事な事だから二回言ったんだよな

更新ないかなーと覗いてみたらめくるめく百合ワールドに俺歓喜

しえ

きてた うっほほ
しえーん

しえーん

支援!

しえん

とうとう一月たったか・・・

作者さん大丈夫だろうか

しえん

支援


放置して申し訳ありませんでした。

近いうちに更新予定です。

絶対に完走するので最後までお付き合いいただければ幸いです。

来てくれてよかった...
ゆっくりでいいから完走頑張って!

おお、よかった!
いつまでも待ってるから頑張って!

作家さんのリアルを優先して貰うことが高いクオリティを維持する唯一の手段。

約二ヶ月も経っているのにお前らは待っていたとは…くぅ、泣ける話だぜ

あなたの作品マジ大好きだぜ!
急がなくていいから待ってますよ


大変お待たせしているようで申し訳ありません。

正月過ぎから更新しますので今後も支援よろしくお願いします。

待ってます

もう一度『あなたが塔の魔女?』からを読み直して待っときます(^^)/

支援

書く書く詐欺

応援してます

少し更新します

 少女に触れようとして手を伸ばす。

 しかし、少女に手が触れる事はなかった。 代わりにそよ風が少女の髪を揺らす。

 さわった感覚はあるのに実体がない。

少女「君は今この世界そのものだ。 しっかりと自分をイメージしないとこの世界に個として存在することすらできないよ?」

 なる程。

魔法使い「こういう事か」

 自分自身を想像して創造するのが思ったより難しい。

少女「さすが希代の魔法使い、想像力が違うね。でも」

魔法使い「なに?」

少女「少し胸部に脂肪を付け過ぎているんじゃないかい?」

 うん、一度こいつは死ねばいい。





少女「ここからが本番だ。 自分の中の最深部に向かうよ」


魔法使い「どうやって?」

少女「君の世界だ、君しかわからないよ」

 少女の言う事は正しい。 

だが、分からないから訪ねたという事を少しは考えて欲しい。


少女「なんだ、不服そうだね」

魔法使い「そりゃあね、こうなれば手当たり次第かい?」


見渡す限りの乳白色の霧の中で、いったい何が見つかるのかは、分からないけど。

なるべく更新できるようがんばります

前回が待たせまくったのに短かったから連休明けに長編くるよな?

塔の魔女でない貴方の話を読みましたが、凄く心にじーんときました。
支援

素敵な物語をありがとう! 頑張ってください …支援

支援は分かったからやたらと上げないでくれ。
更新きたかと勘違いするだろ!

↑支援

>>298
目についたら更新したのか確認しろよ!
お前の手間省くのに、他の方に手間かけさせんじゃねーよ

いやそうじゃなくて「期待した俺のこの気持ちをどこへ持ってけば」みたいなことだろ

期待した気持ちは違うものにぶっかけて作者様が来るまで我慢しましょう

更新します。



 靄の中をひたすらに歩く。

 もう何時間も歩いているような気もするし、まだ30分も歩いていないような気もする。

 どこまで行ってもこの乳白色の靄がとぎれない為に辟易した頃。
少女「待ちなよ」

 呼び止める声が聞こえた。

 振り返ると、少女はまっすぐ僕を見つめている。

 何もかも見通すような不愉快な深紫色の瞳だった。


少女「君は随分と物事を難しく考える」

 少女は言葉を続けた。

 まるで幼子をあやすかのような口調は、瞳以上に不愉快だ。

 なのにすんなりと入ってくる。
少女「この靄は君の迷いの象徴だよ。 君は自らの心の中で迷子になっている」

魔法使い「そんな事は」

 そんな事はない。

 そう否定したいのに、出来なかった。


少女「自分の心に嘘はつけない、この靄は君の迷いそのものだ」


 心当たりが在りすぎて、原因すら分からないや。


魔法使い「ああ、きっとそうなんだろうね」

 なぜだか、それをすんなりと認めることができた。

少女「一歩前進だね」

 この少女のしたり顔は気にくわないのは相変わらずだけど。

できれば明日も更新したいと思います。

がんばれ支援

ありがとうございます! 病が楽になりました またよろしくお願いします


 歩いているうちに何となくわかってきた。

 僕が向かっている先が正しい方向だと。

 理由は無いけど確信できた。


 徐々に濃くなっていく霧。

 その出所は意外なものだった。

魔法使い「これは、僕の村?」

少女「みたいだね」

 なんだか、拍子抜けしてしまう。 片田舎の寂れた村。

 僕の心の奥がこうなっているなんて。



「おい!わたちのむらになんのよう!」

 声を聞いて振り返る。

魔法使い「あーそうきたか」

少女「くっくっく、これはまた可愛らしいな」

 視線の先には幼女。

 肩に届くかどうかの濃い金髪。
 生意気そうな瞳。

幼女「なによ!」

 これ、僕の小さい頃だよ……。

少なくてごめんなさい

小さい頃は僕じゃなかったんだね


魔女の幼少期を知った少年の反応が楽しみだww

きちんと読んでるよ
やっぱり面白いね

塔の魔女読んできましたー
今から読みます

また冬眠かよ
次は春?夏?

少し更新します。





少女「君の迷いはどうやら幼児期の出来事のようだね」


魔法使い「良く覚えてないんだよね小さい頃って」


幼女「むつかしそうなはなし、きらい! あんたたちなんなのよ!」

 これはなんていうか、うん


魔法使い「えいっ」

幼女「ふぎゅ!?」

 恥をばらまいているみたいですごく恥ずかしい。 デコピンで黙らそう、うん。

幼女「うわぁ~~ん、ぱぱぁっ!!」


 行っちゃったよ……。


少女「追わないのかい?」

魔法使い「追わなきゃ駄目、かな?」


魔法使い「はぁ」

 やっぱり僕の家だよなぁ。

 こらえきれずにため息をつく。
少女「なぁ魔法使い。 君の父上と母上はどんな人なんだい?」

 家の前で立ち止まる。

魔法使い「ん~実はよく覚えてないんだよね」

少女「ご息災ではない、と?」


 遠慮なく聞くね。


魔法使い「ママは死んじゃったみたい。 パパは物心ついた頃には居なかったしなぁ」

少女「君も知らない過去か」

魔法使い「そーいうこと」

 ほんとはパパの事はぼんやり覚えてるんだ。

 眼鏡をかけた優しげな人だった。

仕事の都合上どうしても更新が少なくなりますが、頑張るのでお付き合い頂ければと思います。

おおつ

7×で見て飛んできた
今から見てくる

塔の魔女をまとめで読んで今北
続き期待

同じ人がいっぱいいるな

7×から来たんだろう

更新します



少女「案外簡素な住まいだな」

魔法使い「豪華絢爛は趣味でもないしね」

 手入れもそこそこな小さな一軒家の前で、少しの間それを眺める。

 壁や柵に絡んだ蔦は最近まで僕が住んでいた家に比べると幾分か少ない。

 よく見ると少し新しい。

 覚えていないのにこんなにも鮮明に再現されているのが不思議に思える。


少女「記憶というのは無くならない、思い出し方を忘れるだけだ」

魔法使い「御高説どうも、だけど人の心を見透かすような真似はやめてくれない?」


 なんでもお見通しみたいで嫌な奴だ。 魔女って皆こうなんだろうか?


少女「じゃあいこうか、間違いなく目指す先はあの家の奥だよ」

魔法使い「はいはい」

 気が乗らないなぁ。

魔法使い「お邪魔します、かな?」

少女「思い出でも君の家だし、ただいま、じゃないかな?」

 簡素な扉は案外に簡単にひらいた。

幼女「はいってこないで!」

 やっぱり居るよね。


魔法使い「どうしても行かなきゃならないんだ」

幼女「だめ!」

魔法使い「なぜ?」

幼女「きずつくから!」

 あたりの様子がおかしい。

 今までは簡素ながらも素敵な我が家、の筈だったんだけど。


少女「記憶、魂の根元に至らんとする者を試す門」

 仰々しい門以外には何もない空間。


幼女「主、貴女の意志で閉ざされた記憶を見るおつもりか」

 幼女も雰囲気が変わる。

 というか見た目も変わっている。

 背格好こそ昔の僕と同じだけど、白銀の甲冑に突撃槍をもった姿は騎士そのものだ。

少女「よっぽど思い出したくない過去みたいだね」

 少女が心配そうな顔をした。

 珍しいこともあるものだ。

魔法使い「見なきゃならないからね」

 幼女が風切り音を鳴らし突撃槍を向ける。

幼女「なれば覚悟をお示し下さい」

魔法使い「上等だよ」

 自分に向き合うには良い機会だ。

今回の更新は以上となります。

おお少ないけど乙

ここを乗り越えての魔女だったのか
メンタル強いのね

胸熱!! 頑張ってね!

更新きてたか乙

更新します



 幼女が鋭い踏み込みから突撃槍を振るう。

魔法使い「~~」

 視界を奪う閃光の魔法。

 距離を取り、体勢を立て直す。
 肉弾戦はゴメンだ、とりあえずは相手の戦闘能力を奪うことができればそれで――。


幼女「そんな消極的な考えだと」

 ゆうに間合いの三倍はあったであろう距離を一瞬で詰められる。

 まずいっ!!

幼女「死ぬぞ? 我が主」


 眼前には貫く事に特化した円錐の槍の切っ先。


魔法使い「っ~~!!」


 とっさに撃ったのは下位の氷魔法。

 起死回生の一手。 とはいかず、僅かにその切っ先をずらす事で精一杯だ。

幼女「小癪!」

魔法使い「あぐぁっ」

 弾かれた切っ先の軌道を強引に変え、打ち据えられる。

幼女「立つが良い、主よ。 立ち上がる強さを持たぬ者は何も掴む事などできないぞ」

 見た目が幼少期の僕の癖に。

魔法使い「偉そうに! 僕の幼い頃なら大人しく花の冠でも作って遊んでろ!」

 したたかに打ち据えられた後頭部の痛みを堪えつつ、杖の先に魔力を込める。

魔法使い「~~~~!!」

 放つのは今の自分が使える最大級の氷の呪文。 周囲を氷棺で覆い尽くす不可避の一撃。

魔法使い「どうだ。 効いただろう?」

幼女「そうでもないな」

魔法使い「なっ!?」

 氷の欠片が舞う。

 その欠片を纏いながら突撃槍が迫る。

 まずい、かわせないっ。

魔法使い「あ……あぁ」

 悪い冗談だ。

 僕の腹部に――。

少女「魔法使いっ!?」

 突撃槍が突き刺さっているなんて。

とりあえず以上になります。

昔の自分の方が強いとか・・・ドンマイ・・・

主に氷魔法が得意だったのかね

更新します。



 痛い――。

 明らかに致命傷だ。 臓腑は確実にグチャグチャになっているだろうし、こう冷静に思考できるのも後数秒だろう。


 僕は、何をしているんだ?

 孤独に村で過ごしていればこんな最後は遂げなかった?

 僅かに残る思い出に縋りながら、ただただ時に身を任せていれば。

 違う。

 違うっ!!

魔法使い「まだ、彼らに何一つ返してない」


 暖かな気持ちも、孤独ではない夜も、僕に居場所をくれたみんなに僕は何も返せてはいない。

 自分に負けてなんか居られない。 僧侶が悲しむ、戦士が責任を感じる。 それに。

 勇者の笑顔が曇っちゃう。

魔法使い「ここは僕の世界なんだろう? 詰まるところ、すべては心一つだ」

幼女「ほう、上出来だ主」

魔法使い「~~~~~~~~~っ」

幼女「ふむ」

 少女の説明の内で説明された禁忌の魔法、原初の三つ。

 その内の一つ。

 馬鹿げた量の魔力と、それを針の穴を通す程の精密な魔力操作によって発現する魔法。

 世界創造の名を冠した極大爆発魔法。

魔法使い「~~~~~僕は」


魔法使い「抗わず、されどけして流されず、総てを受け入れるよ」


 手のひらから魔力が溢れる。

 宙に小さな黒点が浮かぶ。

 成功だ。

 黒点は周囲の魔力を吸収し圧縮し、臨界点を超えて、轟音と共にその魔力を爆発させた。


 視界が白む。

 何も見えない。


「ママは死んじゃうの?」

「必ずパパが助けてみせる。 愛した人一人救えるなら、喜んでこの命すら捧げよう」

「パパもげんきじゃなきゃ、めー!」



「くそ、くそ、なにが魔法使いだ、結局僕は愛した人一人救えない」

「パパ……」

「パパは、駄目な奴だな」




「そうだ、死んだなら蘇らせればいい。 簡単な事だ、なぜ気づかなかったんだ、あは、あははは」

「パパ、おかおがこわいよ」

「なぁ娘、そこの魔導書には有効な術はあったか?」

「ないの、でもみて、あたしも魔法できるようになったよ!」
「そうか、その調子で色々な魔法を学べ。 ママを甦らせよう」




「パパ、言いづらいけど、その、死んだ人は蘇ったりは」

「~~!」

「きゃあ」

「いいか、良く聞け娘、それは貴様がまだまだ未熟だからそう思うだけだ」

「痛いよ、やめて、打たないでパパ!」

「従僕になれ。 敬虔なる魔術と知的探求心の従僕だ。 大気中の至る所に居る精霊たちの、夕闇に潜む禍々しき者達の、彼岸と此岸を行き来する亡霊達の、魔術という禁忌をそれを知り得る為に人である事を辞めろ、お前は古今東西総ての魔法を修めろ」

「そうしたら……」

「なんだ!」

(優しいパパに戻ってくれますか?)


「パパ、僕の担当していた魔導書は総て終わったよ」

「随分早いな」

「普通だよ」

「なんだ、その目は、お前は俺を馬鹿にしてるんだろう! ありもしない魔法を追い求めた愚かな男だと嘲笑っているんだろう!」

「違う、そんな事ないよ」

「うるさい! ~~!」

「やめて、~~~~」


「うぐぁっ」

「パパ、だいじょ」


「もう嫌だ、あはは、あははははは、娘ちゃん、パパはママを探しに行ってくるよあは、あははは」


「パパ、行かないでパパ!」


「僕、一人ぼっちになっちゃうよ……」

「一人ぼっちは、寂しいよパパ……」





「朝だ、あれ? パパ、どこに行ったの? あぁ、僕にお留守番を頼んで旅に出たんだった」

「帰ってきた時には立派な魔法使いになってなきゃ」



魔法使い「僕が忘れたかった記憶……これが、僕の記憶」




少女「お帰り」

 気がついたら開いた扉の中で僕は泣きながらうずくまっていた。


 こんなにも魔法に拘りがあったのはこんな過去があったからなんだ。

幼女「後悔、しているか? 我が主」

魔法使い「胸にぽっかりと穴が空いたみたいだ」

少女「……」

 あぁ、少し前ならきっと僕の心は砕けていたかもしれない。

魔法使い「少女、君のいいたい事は何となく理解したよ」

幼女「魂の扉は開かれた。 存分に魔力を振るわれよ」

魔法使い「さぁ、戻ろう、勇者達にも報告しなきゃ」

 今は大丈夫だ。 一人じゃないから。


 霧はもうなかった。


今回の更新は以上です。

ダディェ…

少年が亡くなった時
魔女もダディみたいになりそう

ダディじゃなくて、パパです。
ほんの少しの遠慮とたっぷりの愛情をこめて呼んで下さい。

更新します。


 重い。

 唇に何か柔らかい物が当たってる?

魔法使い「んぅ……ん!?」

少女「やぁ、おはよう」


 あーそう言えばそうだった。

魔法使い「~」

 怪我をさせないように注意しつつ爆発の呪文をつかう。

少女「うおっ!?」

 吹き飛ぶ少女、衝撃に震える地下室。

魔法使い「威力が上がった?」

少女「げほ、げほ。 やれやれ、乙女の唇は命よりも重いらしいね」

 無傷か、残念。


勇者「終わったのか?」

 広間に戻ると日が暮れていた。

魔法使い「どれくらいの時間がたったの?」

戦士「日が暮れる程度だ」


 思ったより時間はかかっていないらしい。

勇者「成果は?」

 勇者が笑いかけてくれる。

 おかしい、なんだか恥ずかしい。

魔法使い「ぼ、僕が失敗するとでも?」

 勇者だけじゃない、戦士の顔さえまともに見れない。

 山高帽を深く被り直して深呼吸、おーけい、落ち着こう。


魔法使い「所で僧侶は?」

勇者「あぁ、あいつなら――」

 広間の扉が勢いよく開く。

僧侶「魔法使いちゃん!」

 間の抜けた声に振り向くと見慣れた肉の塊が二つ、眼前に迫ってきた。

魔法使い「そおいっ!」

 抱きしめられたら確実に窒息する。 やられる前にやってやる。
僧侶「ひゃあ」

 双丘を横から全力で叩く。

 相変わらず手首にかかる負担は凄いが、コツを掴んだ僕の手首を壊す程ではない。

魔法使い「その脂肪の塊は不愉快なんだ、僕に押し付けないでくれ」

僧侶「んもう、再会のハグですよ? お帰りなさい、魔法使いちゃん」

魔法使い「うん、ただいま」

 全員揃った事を祝して、その夜は宴だった。

少女「大した物は出せないがそれでも当方の出来る最大の物を用意した」

魔法使い「まるで君が料理したみたいじゃないか」

 テーブルの上には所狭しと料理が並んでいる。

僧侶「少女さんも頑張っていましたし、私も頑張りましたよ?」

 僧侶が殆ど作ってた気がするんだけどなぁ。

少女「そういう君こそ、一体なにを作ったんだい?」

魔法使い「僕はそれよりも大切な事を任せられていたんでね」

 そう、どうにかして料理に参加したがる戦士の気を逸らすという大仕事だ。 けして僕が料理できないという証拠にはならない。

 まぁ、料理なんて作ったことはないけど。



 食事はまぁ、美味しかった。

 いつの間にか追加された料理の内に戦士特製のパイが混じっていたけど。

 それを食べた勇者が噴水みたいになってたけど。


 まぁ、楽しかった。


魔法使い「頬が熱いや、お酒なんて飲むもんじゃないね」

 広間から繋がるテラスで一人空を見上げる。

 満天の星は今にも降ってきそうだ。


僧侶「お邪魔ですか?」

魔法使い「僧侶、いや、そろそろ寂しくなってきたとこだよ」

 あれ? 僧侶が目を丸くしている。 変な事言ったかな?

僧侶「反則ですね、可愛すぎますよ、それ?」

 色白の彼女の頬にもほんのりと朱がさしている。

 少し肌寒いテラスで手すりに寄りかかると僧侶は困ったように視線を泳がせた。

魔法使い「話し辛いことでもあるのかい?」

僧侶「えーうー、あー……はい」

 僧侶は俯くと小さな声で呟いた。

僧侶「あの……その……好き、なんです」


魔法使い「へ?」


今回の更新は以上になります。

おつおつ
魔法使い復活ッ!魔法使い復活ッ!魔法使い復活ッ!

百合か?百合なんか?

これは少年が教会に乗り込むフラグだな

冷静に考えると勇者…ゲフンゲフン



 本日二度目だ、おーけい、落ち着こう。 僕はクールな魔法使い。 魔法使いは動じない。

魔法使い「えーとそれは、愛の告白なのかい?」

僧侶「……そんな、愛だなんて、その、えーと」

僧侶「はい」

 ど、ど、どうしよう。

 私、いや、僕告白なんて初めてされたんだけど、でも同性だし、でもあーと。

僧侶「勇者様を、お慕いしています」


魔法使い「え、あ、そーだよね」
 びっくりさせないでよこの乳袋。




魔法使い「そっか」

僧侶「伝えなくばこの想いに胸が張り裂けてしまいそうで」

 僧侶が弱々しく笑う。

 なんて声をかけて良いか分からない。

僧侶「でも、知ってるんです」

魔法使い「え?」

僧侶「少女さんとの契約、それに気付いているんです、私では彼の後ろをついていく事はできても、隣に並んで歩く事は出来ないと」

 返す言葉がない。


僧侶「だからこの話はここでお仕舞いです」

僧侶「ただ――」

 顔を上げた僧侶は泣いていた。

僧侶「初めての気持ちですし、誰にも知られぬまま朽ちて行くには惜しくて」

 懸命に笑みを繕うように口角を上げている。

魔法使い「よし」

 手に持ってきた果実酒の瓶を飲み干す。

魔法使い「いこうか僧侶」

 腹割って話そうか。 あの鈍感勇者と。


今回の更新は以上です。

魔法使いも僧侶もペロペロしたいなぁ


少年「いいよ、なら戦争だね」

>>376の所為で地球に氷河期が訪れる

ごめんなさい



少しだけ更新





僧侶「待って下さい、魔法使いちゃん!!」


 身体強化の魔法を使い無理矢理僧侶を引きずって行く。

 どんな理由があれ、僧侶だけ諦めるのは納得いかない。


少女「どこに行くつもりなんだい?」

 勇者の部屋の近くまで行くと少女に呼び止められた。

魔法使い「勇者のところだ!!」


少女「ふむふむ、それは興味深い」

 少女の瞳の紫が一段濃くなったように感じた。


僧侶「だから待って下さいと言ってるじゃないですか」

魔法使い「あーもう、僕が納得行かないんだ」

少女「無理強いは良くないよ? どうしても行くというなら――」

 少女の指が淡く光り、空中に文字を描く。 描かれた文字は。


【戦争】

少女「戦もやむなし。 だ」


魔法使い「は、上等」

とりあえずこれだけです

女の争いほど怖いモノはない

しえん

しえん

支援

携帯が急に壊れて二通フルに使った書き貯めがぶっ飛びました。

シリーズの構想もぶっ飛びました。

遅筆に磨きがかかってしまいますが何とかお付き合い下さるのならば幸いです。
まことに申し訳ありません。

>>390
待ってる! 正座して待ってます! 自分のペースで良いですからね!

さあ、懺悔の時間だよ

俺も何回もやったことある
挫けず頑張れ

>>390は本当に作者なのか・・・?
もしそうならご愁傷様過ぎる

わたしまーつーわ、いつまでもまーつーわ

待ってるよ!④

いつまででもまってます待ってます

えーと……。
ただでさえ不定期更新、少量書き込みなのにトラブルなんてのがくると作家としての資質は無いんだろう
ラノベ作家に求められるのは多作&速筆
今の状態でこれほど更新できないならば書籍化なんか絶対に無理

釣られクマー

書籍化とかいってっけど、投稿って所詮趣味の範囲だろ?
気長に待てよ。

書籍化レベルってかバックアップもとってないんだから社会人として失格だな
それを解らない>>401もその程度

重要なものならバックアップをするのは当然だが、趣味でやってたようなもんなら仕方ないだろ

「今の○○」って言い回しがすごく気になる。
魔女が言うのは解るんだが、他の人も使うのはなぜだろう

>>402
バックアップ云々込でお前らに言われる筋合いは無いって言ってるんだよ。
提供されるものに対して俺らは対価を支払ってんのか?
タダのものに品質とか更新頻度の早さ等のいちゃもんつけること自体がおかしいだろうがよ。



書籍化するなんていつ言ってたの?

まあ落ち着けよ
批判なんて聞いてても書き込んでても嫌だろ
ゆっくり続きを待とうぜ

>>405
ネット掲示板もメディアに公開しているのにかわりはない

>>405
それと、お前はかなり乱暴な書き込みしてるぞ
リアルじゃ底辺でストレス溜まる生活してるんだろうが、ネットでも同じように下を向き何ら発言をするな
それがお前の生きざまだぞ

>>407
その通りだわ。
大人げなかった。
皆さんにスレ荒らしてしまったこと詫びます。
すいませんでした。

>>410
お前はそうやって謝りながら下向いて生きろ
いつものことだ、難しくないだろ?

>>409
どうした?ストレス溜まってんのか?

もうお前ら他所でやれよ
他の奴らもスルーで頼む

ついつい、新しいのないか見に来てしまう

↑わかる。
1日2回は来てしまう。

まーだかな

大ファンです!頑張ってください^ ^

ご迷惑おかけしました。

いきなり書籍化という単語が出てきてどきどきしちゃいましたね。

これからはバックアップを取るようにしておきたいと思います。

誰か一人でも楽しいと思っていただけている以上、いくら趣味であれそれ相応の責任を持つべきであると痛感いたしました。

更新します。

待ってたで!



 月明かりの中庭で少女と向かい合う。


魔法使い「まさか君とこういう形で向き合うことになるなんてね」
 逆光で少女の顔は見えない。


僧侶「どうか落ち着いて下さい」

少女「ふぅー」


 少女が深い溜め息を吐く。

少女「キスした仲じゃないか、お手柔らかに頼むよ?」


 確実に笑っている。 顔は見えないし、声の調子も静かだけれども不思議とわかった。


魔法使い「いつまでその余裕が持つかな?」

 身体を巡る魔力が細部まではっきりと感じ取れる。

 今までに無いほど鋭敏な感覚だ。 これがあの時の成果ならば、過去に向き合うだけの価値はあったのだろう。

少女「どうしたの? こないのかい?」

魔法使い「泣きっ面を拝むまで、僕はやめないからね? ~~~」

 指先に魔力を込めて少女を見据える。

 怪我をさせたい訳じゃない。 行動不能にできればいい。

 使うのは炎。 想像し創造するのは炎の牢獄、少女に触れない程度の距離を全方周囲取り囲む。

 荒ぶる炎の精霊を完全に意のままの形にする事なんて今まではできなかった。

 今ならばその気になれば炎で文章を宙に書く事さえ容易だ。



少女「くっふっふ、完全に一段高みに到達したようだね。 人の中では君を凌駕する魔法使いを捜すのはさぞ苦労しそうだ」


魔法使い「降参かい?」


 元を正せば売られた喧嘩を買っただけの下らない意地の張り合いだ。

 自分の成長も把握できたし頃合いだろう。

少女「才能という蕾が花開き、咲き誇る、美しい光景だ」


 一瞬、身体を巡る魔力に違和感を感じる。

少女「ただ――」

 少女が炎の格子に迷いなく歩み寄る。


 なんだ、なにが起こっている?

少女「私は魔女――。 だ」


 少女が笑った。 空にぽっかりと浮かぶ月のよう口を歪めて。

  少女は炎の中に手を躊躇なく入れていく。

 まるで霧の中にでも手を突き入れるように簡単に。

 格子状だった炎はまるで彼女にじゃれつくかのように彼女の身体を這い回り最終的には小さな音を立てて消えてしまった。
魔法使い「ッ!?」

 全身を鷲掴みにされたような不快感。

 まるで自分の魔力すべてに茨の蔓を這わされているようだ。

少女「随分と素直な魔力だね、どう流れているか丸裸だよ? だからこんなに簡単に」


魔法使い「くぅ……」

少女「操作を奪われる」

 気合いを入れろ、魔法は気持ち一つなんだ。 したり顔の少女に一発入れてやる。



少女「あーあ、無駄だよ、他の魔女なら何とかなったかもしれないけど、残念ながら私の徒名は空虚――。」



 僕の魔力が……消え、た?


少女「森羅万象総てを虚無と帰す【空虚の魔女】だ。 君の魔力は辺りに散ってしまったんじゃないか?」


 その夜空よりも濃い、艶のある黒髪をかきあげる少女はやはり魔女だ。

 人の身では到達し得ぬ純然たる魔の結晶。

少女「楽しい夜会は始まったばかりだ、さぁ年頃の娘達のように色恋話で大いに盛り上がろうじゃないか。 所謂、‘がぁるずとぉく’って奴を、ね?」

 こんなガールズトークがあってたまるか。

 良いように馬鹿にされたばっかじゃ僕のプライドもなにもあったもんじゃない。


魔法使い「~~」

少女「このままなら無理だね、何回やっても君の魔力は丸見えなんだから」

 ならどうする?

 魔力の流れを知られないようにする?

 いや、それは無理だ。 やり方に検討すらつかない。

 じゃあ魔力を使わない?

 殴りかかるなんてスマートじゃない、却下だ。

少女「どうしたんだい? 難しい顔してるけど」

魔法使い「生憎なんだけど、ガールズトークをするような友達が今まで居なかったからね、~~ッ!」

 魔力の流れが見えも対応出来ないくらいの早さなら?

 放ったのは僕が扱う魔術の中でもっとも速さのある閃光の魔法だ。


少女「速さだけじゃどうにもならないよ」

 光球は少女に近づくにつれ、毛糸の塊が解けるように散らばっていく。



少女「さて、降参かい?」

 冗談はよしてよね。

魔法使い「まだガールズトークを始めたばかりじゃないか」

 僧侶の気持ちも、少女の真意も分からない。

少女「盛り上がるようなネタはまだあるんだろうね?」


魔法使い「興奮して眠れなくなるようなとっておきの話をしてあげるよ」

 やれるだけのことは、しておかなきゃね。

今回の更新は以上となります。


プロットが無くなったので構成を思い出しながらの作業の為時間がかかりました。

一度書きためてるときに幻の宇宙ロボットものになりかけたのは内緒です。

SS再開やったー
「頑張ってください!」応援コマンド、作者やる気に1d6+感情値(3)=攻撃値、作者抵抗値(ものぐさ)は7
超えることで今回の投稿分達成率を40%上昇
コロコロコロ・・・5!
攻撃値合計8で抵抗値7を超えたので成功

>一度書きためてるときに幻の宇宙ロボットものになりかけたのは内緒です。

何があったし

作者さん乙!

大ファンです*

おお来てた
続きも楽しみに待ってるよー

魔女の霊圧が・・・消えた?

でも、あのトラブルが起きたということは、もう構想はできてるという事。
ならば、自分にできる事は支援だ。しえぇぇえええんん

書き終わるまで支援し続ける!!

幻の宇宙ロボット物も見てみたい
本編あって、余裕があったらちょろっと書いてよwww

あって→終わって

つい来てしまうなー。


それにしてもここってこんなレス臭かったっけか

きてたか④

しえーん

また半月放置か

書き終わるまで④

二桁の連勤させる職場なんかふぁっくですね。
お待たせいたしました。更新します。

 さて、次の策を練ろうか。


 正攻法でも奇襲でも通じないなら絡め手で墜とすだけ、だ。

僧侶「争いは……て、聞こえてませんね。 発端は私なのに」

魔法使い「~~」

 先ずは閃光の魔法を撃つ。

少女「ふふ、諦めが悪いね」

 有効範囲から僅かに外れた所で発動。

魔法使い「~~」

少女「目眩ましかい?」

 ……その通りだよ。

 狙いは後方。

 熱線の魔法で噴水を狙う。

 蒸発する噴水の水、飛散する瓦礫。

魔法使い「さて、あと数手、気づかなければ詰みだよ?」

少女「何をしようと魔法じゃ私には勝てないぞ?」



 よし、気づいていないな。

 視界は既にほぼ無いに等しい。

 僕の狙いは一つ。

 頭上だ――。

少女「ん?」

魔法使い「~~~」


 水蒸気を頭上で凍らせて、ただ落とすだけ。


 魔力は凍らせた時点で解く。
魔法使い「林檎が木から落ちるのは魔法ではないからね」


少女「……やるね」


 氷の塊が少女の上に落ちた。


魔法使い「これぐらいじゃ、ダメかな」

少女「危うく本の栞になるところだったよ」

 彼女は間一髪の所で氷塊を避けていた。

 どうも思考の端に引っかかる違和感。

 ものは試し、だね。

魔法使い「~」

 地面に向け爆発の魔法を放つ。
 爆発の際に大小様々な土塊などが飛び散る。 それを避ける少女。

 違和感は徐々に膨らんでゆく。


少女「一体君は何が狙いなんだい? 私を砂だらけにした所でどうしようもないだろう」


魔法使い「~」

 次は土塊を地面から創造して攻撃する。

少女「だから無駄だと言ってる」

 魔法は、少女の前でただの土に戻される。


 ――違和感は確信に変わっていく。

魔法使い「君、魔法が使えないんじゃないか?」


少女「……ふふん」


少女「根拠は?」

魔法使い「君自身は、一度も魔法を使ってない」


 魔力を介した攻撃はすべて無効化する癖に、視界を塞がれても魔法を使わずに対応していた。

 更に言えば、だ。

魔法使い「君自体の魔力に干渉された時、酷く弱々しかった。 下級魔法が発動する程の量すらないほどに」


少女「なる程、流石だね。 確かに私自身の魔力量は今や、一般人の三分の一も無いだろう」

 少女が笑う。 満たされているように。

魔法使い「なぜ?」

少女「愛故に、かな? 場所を移そうか」



 少女の私室に通される。

 品の良い調度品に囲まれた私室はどうにも居心地が悪い。

少女「僧侶、君も勇者が好きなんだね?」


僧侶「……はい」


少女「即答しないんだね」


 暫くの沈黙。 

少女「私は彼の事を愛している」

 沈黙を破ったのは少女だった。


 少女「あぁ、こんな気持ちは初めてだ。 もしかしたら昔々彼と私の魂は一つだったのかもしれない」

 胸に手を当てて微笑む少女。 こんな顔も出来るんだ。

 優しく笑みを浮かべたその表情は幸せそうに満たされているようでもあり、それでいて切なそうでもある。


少女「彼がいない私は不完全だとさえ思う」

 恋愛経験のない僕でも解る。
 少女のこの表情は人を本当に愛している時の顔だ。


少女「こんなにも、こんなにも勇者が愛おしい。 細胞の一つ一つが、私が私である為に必要な全てが、彼を愛おしいと叫んでいる」


 少女の声は最初、淡々としていたものだったが、徐々に感情の籠もった震え声に変わる。

少女「彼と居ると春の優しい木漏れ日に包まれるようであり、彼の一挙一動は真夏の太陽のように私の心を焦がす。 彼と一時でも離れれば、秋の夕暮れのような寂しさでどうにかなりそうになり、真冬の雪のようにしんしんと想いだけが積もっていく」

少女「勇者は、私にとって世界と同義なんだ」


 少女の独白のようなものが終わると、また私室は静寂に包まれた。

魔法使い「それと、君の魔力が少ない理由が繋がらないんだけど」

僧侶「私には分かりました。 勇者の呪い、ですね」

 僧侶が俯きながら話す。

少女「聖職者にはわかってしまうんだね。 その通りだ」

今回の更新は以上になります。
沢山の支援、感謝です。

よっしゃきてたああああああああああ!乙です!

乙乙!

追い付いた
続きに期待

更新します。

どうやらお隣の魔女の長編が完結されたみたいで、羨ましい限りです。

こちらもなるべく早く完結出来るように頑張りたいと思います。


僧侶「高次元の呪いの解呪にはそれ相応の代償を払わなくてはなりません。 世界を灼き尽くす程の怨恨を込めた魔王からの呪い。 解呪に払う代償は筆舌にし難いものでありましょう」
 僧侶は肩を震わせながら言った。

 燭台の火が微かに揺らめいて小さな音を立てる。


僧侶「ただ、そんな呪いですら解呪できた貴女が羨ましくて仕方がないのです」


魔法使い「……」


少女「解呪、か。 出来たら良かったんだけどね」

 少女はじっと自分の手のひらを見つめる。

少女「僕の持てる全てを捧げても彼の呪いを緩和する程度が精一杯だったよ」

 少女は、自嘲気味に笑みを浮かべたまま遠くを見つめた。


僧侶「……」


 重苦しい空気の中、夜の色が深みを増していく。

 息苦しさを覚える程の無音が、どれほど続いただろうか。

僧侶「私は、神に仕える身です。 信仰を生涯の伴侶とする事に何の迷いもありませんでした」


 僧侶が口を開く。

僧侶「戦う術は持たずとも、この世界を救う為の力となれるのであれば喜んでこの身を捧げる覚悟で勇者の旅の供となったのです」


魔法使い「僧侶?」


僧侶「今でもその気持ちは変わりません――でも」



僧侶「夢みてしまったのです。魔王を倒したその先、平和となった世界で私と共に在ってくれないか、と」


 僧侶はそこまで言うと部屋から出て行ってしまった。



 早朝。

 僧侶の姿は無かった。


魔法使い「勇者、心当たりは?」

勇者「俺だって知りたいさ」

戦士「探しに行かなくてはな、勇者」

 戦士の目は厳しさと優しさが同居している不思議な眼差しだった。

 父親みたいだ。



少女「私……か…」

 珍しくうなだれるような態度の少女。

魔法使い「その通りだね」

 励ましたりはしないけど。


魔法使い「ただ、事実をねじ曲げてまで相手を気遣った所で蟠りが無くなる訳じゃないし」

少女「……」

魔法使い「僧侶は僕にとっては、たいせ……あー、アレだ、一応仲間だしね。 この機会で何とかするのはちょうど良いんじゃないかな」

少女「すまないな」

魔法使い「気にしなくて良いさ、ほんのお礼だ」

 少女だって悪い奴じゃあない訳だし。


魔法使い「~~」

 指先に魔力の塊を作り上げると、勇者の後頭部目掛けて飛ばす。

勇者「ぬぁっ!?」

 顔面から転ぶ勇者。

 は、この鈍感。 お前がハッキリしてりゃ、こうならなかったんだ。


勇者「なにするんだよ!?」

魔法使い「手が滑った」

 勇者は割と怒っている。

 怒りたいのはこっちだ。


戦士「む」

 戦士が勇者の後ろで高く右手を振り上げた。

勇者「んな訳あるっ、ん痛ってぇ」

 鈍い音が響く。

 振りかぶられた戦士の拳が、勇者のボリュームのある勇者の蒼髪に包まれた頭に振り下ろされた。

勇者「っ~~!? いきなり拳骨するとかどーいうつもりだよ!?」


戦士「それくらいで済んだと思ってるとこの後辛いぞ?」


 この戦士はどこまで気づいているんだろうか?

 相変わらず良く分かんない奴だ。


少女「……マズいな」

勇者「?」

魔法使い「なにが?」

戦士「確かにまずいかもな、急いで僧侶を捜すぞ」

勇者「どーいうことだ!?」

少女「私の結界内に、なんだか良くないものが紛れ込んだみたいだ」


 次から次って、あーもう!

 僧侶の所の神様が僧侶を泣かせたから怒ってるんじゃないか?

今回の更新は以上になります。

このシリーズの構想を練っていた時、文章に直してるときに聴いている曲はいつも

:元ちとせ:語り継ぐこと

です。

乙!
最高だZ!

更新おつ!

おつおつ!!

更新します。

タイトルに‘世界’がついたSSと言えばや、ファンタジーや魔女のSSと言えば、>>1と言われるようになりたいですねー。




―――――――――――――――――――――――――

少年「なんだか大変そうだね」


 好きな人が居るって幸せな事だとばかり思ってたんですが。

 安楽椅子に揺られている魔女を見てそんな事を考えます。

魔女「あぁ、少しばかり大変だったね。 古今東西、色恋沙汰は苦労するのが世の常だ」

 魔女にもそんな時があったんでしょうか?


少年「好きな人に好きだと伝えるのってそんなに大変かなぁ?」

 魔女は前髪を指でいじりながら少し考え込んでいます。

 やっぱり魔女が何かを考えている姿は様になりますね。


魔女「好き、の種類によるんじゃあないかな?」

少年「僕は魔女が好きだよ?」

 えぇ、僕にとって魔女イコール世界の全てと言っても過言でないくらいに。

魔女「……っ」

 なにやら魔女が今度は山高帽子を深く被り直していました。

 いったいどーしたんでしょうね?


魔女「人の好意は受け取る方も大変だね。 直球なら尚更だ」

 魔女は寂しそうに笑いました。
 濃い蜂蜜色をした癖っ毛が、塔の窓から差し込む西日に照らされて優しい色をしています。


魔女「相手の事を想えばこそ、伝えないという形にもなるんだろうね。 今ならば分かるよ」

 僕には分かりません。

 人間って難しいですね。 僕も、難しいんですかね?


魔女「難しいさ、普通よりよっぽどね」

 人の心の声に応答しないでよね、恥ずかしいじゃないか。

少年「それより、その後は?」


魔女「そう急かさないでくれないかな?」



だって、気になるし。


魔女「人の好意は受け取る方も大変だね。 直球なら尚更だ」

 魔女は寂しそうに笑いました。
 濃い蜂蜜色をした癖っ毛が、塔の窓から差し込む西日に照らされて優しい色をしています。

魔女「相手の事を想えばこそ、伝えないという形にもなるんだろうね。 今ならば分かるよ」
僕には分かりません。

 人間って難しいですね。 僕も、難しいんですかね?


魔女「難しいさ、普通よりよっぽどね」

 人の心の声に応答しないでよね、恥ずかしいじゃないか。

少年「それより、その後は?」


魔女「そう急かさないでくれないかな?」



だって、気になるし。

>>478 ミス、気にしないで下さい。

今回の更新は以上となります。

少量の更新で申し訳在りません。

>>474
酷い妄想だこと。
こんだけ遅筆だと内容すら吟味の価値がない。

おつ
楽しみにしてるから少しづつでも進めてくれるのはありがたい

別に面白いし、書くの上手だと思うけど
あんま調子乗ると叩かれるから自重しといたほうがいいお

もしかして○○の人?

みたいなレスがついた時にひそかにニヤニヤしとけばオールオッケー

長く続けると変なの湧くな

楽しみなので頑張ってください


確かに亀進行なのは否定できないな
だけど亀進行なスレにここまでついて来てる>>480のツンデレかわいい

更新乙!
遅くてもいいんで頑張って!

おつおつおつ!!!

支援

これ、去年の8月から続いてるのか。 8ヶ月で応援コメとか込みで500いってないってメチャクチャ遅筆だな… 今まで張り付いて待ってたけど、いつかまとめサイトにあがるまでは来ないことにするよ…

一話一年掛ける作者だって居るんですよ!

こんなに亀でノロマになぜか沸き出す信者の擁護w
実は作者の自作自演ww

>>497
臭過ぎワロタ

俺は淡々と支援するぜ
読みだいからな

>>490から>>492まで、どのコメにも突っ込みどころがあるんだが


みんな外国人?

面白いな支援

前のも読んでるけど、流れも綺麗だし、感情で走り過ぎてもいないし、言いたい事も解るし、特に日本語もおかしくないし(ss見てると日本語が滅茶苦茶なの多いよね)、安心して読める
また見に来る

>>484
わかる
辛辣な言葉投げかけながら、実は反応待ってる>>480はツンデレかわいい
きっと本音では「もうちょっと早ければ……まあ、内容はわるくないんだし……とにかく、待ちきれないんだからね!」ってカンジ
もしくは、「構って欲しいのに素直になれなくて」ってパターンか……それもかわいい
これでとんがった反応返してきたら、もうヤバい

お待たせして申し訳ございません。

遅筆等の叱咤、内容に対してのお褒めの言葉、ありがとうございます。

最近やっと、職場での繁忙期も終わり、約一ヶ月ぶりの休みを得ることができました。

遅筆の謝罪をすると共に、今後、遅れを取り戻すことができるような更新スピードを心掛けたいと思いますので、もうしばらくこの駄文にお付き合い下さいますようお願いいたします。

更新します。


――――――――――――――――――――――――



少女「私の結界に進入するなんて普通の魔物じゃ考えられないね」

 少女の表情は険しい。

魔法使い「君は魔法を仕えないんじゃないの?」

少女「儀式系の大掛かりな物は、一度発動させておけば維持するのには対して魔力は使わないからね」

 ただ、と少女が言葉を続けた。

少女「ただの人間では魔力の操作が難しいから出来ないだけさ」


 試しに、と術式と理論を聞いてみて後悔する。

 こんなもの常にしていたら、他に何もできやしない。


魔法使い「やっぱり規格外だね」

少女「何事も慣れ、さ」

 こんなものに順応するにはやっぱり人間辞めなきゃ無理だろう。

戦士「さて、手分けして現状解決を図るか」

魔法使い「戦力を考えれば、少女以外で魔物の討伐に向かうのが良策かと思うんだけど」

少女「魔物を関知できる私と戦士で討伐、勇者は僧侶の探索、魔法使いは勇者の補助だ」

 ……。


魔法使い「いいのかい?」

少女「さぁね、後で後悔するかもしれない」


 少女は既に歩き出していた戦士を小走りで追いかける。


 そして、ある程度進んだところで振り返り言葉を付け足す。

少女「今後悔したままだと夜もおちおち寝れやしないからね」


魔法使い「なかなか男前だね」

少女「こんな美少女に使う言葉じゃあないな。 そっちは頼んだよ」

 さて、鈍感な勇者を連れて迷える仔羊を保護しに行こうかね。



 鬱蒼と茂る木々の中を勇者と歩く。

勇者「……僧侶」

 勇者は険しい顔をして道を切り開く。

 いくら鈍感な彼でも気づいたのだろうか?

勇者「なぁ、魔法使い」

魔法使い「ん?」

 勇者は真剣な顔をして僕に問いを投げかけてきた。

 彼は言った。

勇者「僧侶が何故居なくなったか、心当たりはないか? ほら、お前がその、胸を強く叩きすぎ……」

 僕は手に持っている杖を思い切り振り抜いた。


 手加減は一切無しだ。

 霊樹を切り出した大杖は勇者の側頭部を的確に捉えると小気味良い音を立てた。

 空っぽの頭だからね。 良い音が鳴るはずだ。


魔法使い「殴った理由は僕の口からは説明しないよ? 僧侶を見つけたら僧侶にでも聞けば良い」


 このうすらトンカチのとーへんぼくめ。


勇者「理由か……むぅ、わからん、けど」

 勇者は頭をさすりながら立ち上がる。

 おかしな事を言ったら、今度は魔力を込めた一撃をお見舞いしてやる。

勇者「僧侶は頭の良い奴だし、性格だって聖女さんみたいに優しい奴だ、たぶん俺が悪いんだろうから、謝らにゃならんよな」


 分かってるんだか分かってないんだか。



 僧侶の魂の波長を探る。

 そう遠くないところに居るみたいだ。

 ぼんやりと方角まで感知できる。 

 ただ、急いだ方がよいかもしれない。

 進む先には、確かに感じ取れる程の障気が渦巻いていた。


 歩みを進める毎に肌に粘着質の不快な感覚が纏わりつく。

 感知能力があがったからこその弊害だ。

勇者「僧侶ー!!」

 その点、前を歩くこの朴念仁はそんな物を気にも止めていないようだ。

 元気に森林伐採を行いながら道を突き進んでいる。

 こんな所まで鈍感らしい。


魔法使い「近いね」

 このペースで行けば、そうかからないうちに、僧侶を見つけることができるだろう。

 障気の発生源も近い所を鑑みれば、先に戦士と少女が僧侶を見つけているかもしれない。

 そんな事を考えているうちに森の開けた場所にでた。


勇者「僧……侶?」


 あぁ、なんて事だ。

勇者「大丈夫なのか!?」

 駆け寄る勇者。

僧侶「来ちゃ、駄目…で…す」

 涙を流している僧侶。

 駄目だ――。

 そう叫ぼうとした時には既に、鮮血が舞っていた。



 目の前の光景を信じたくはなかった。

 目を伏せその場でしゃがみこみ、悪い夢であると言い聞かせたい程に。

今回の更新は以上になります。

近いうちにまた更新したいと思います。

更新おつ!

乙~ 
作者さんの作品好きだけど、無理はしないで。自分のペースで進めてください

乙乙!!

少し更新します。




戦士「遅かった……か」


勇者「戦……士?」

魔法使い「あ……あぁ、なんで」


 僧侶と勇者の間に戦士が立ちふさがっている。

 再開を邪魔している無粋な行為。 なら良かったのに。

 彼の鍛え上げられた頑強な岩山のような肉体には、今にも折れてしまいそうなか細い指先が突き刺さっている。

 目を疑った。

 いっそ僕の二つの瞳が壊れてしまっていたならば。

 そう思って、何度瞳を懲らそうとも、映し出す光景は変わらない。


 あの僧侶が、戦士の腹部に手刀を突き立てている光景。

戦士「ぐはっ!!」

 戦士の巨体が宙を舞う。

 僧侶はまるで、幼子が戯れにぬいぐるみを放るように、無造作に戦士を投げ捨てた。

魔法使い「あぁ……うぁ」

 嗚咽にも近い、言葉にならない悲鳴が吐息と共に漏れる。

 嫌だよ……。 こんなの見たくないよぉ……。

僧侶「うぁぁあああぁぁぁあああッッ!!」

 僧侶が金切り声をあげる。

 悲しみや怒りが入り交じった慟哭。

 耳を塞ぎたい。  聞きたくない。

 僧侶のこんな声は嫌だ。

 痛いよ、心が張り裂けそうだよ。




勇者「僧侶っ!?」

 勇者が僧侶の肩を掴む。


 普段なら勇者に肩を掴まれたら、赤面して俯くのに。


僧侶「嫌ぁ……」


 僧侶が勇者の手を振り払う。

 勇者はぼろ切れのように吹き飛ぶ。


魔法使い「僧侶!!」

 思わず指先に魔力を込め、僧侶に狙いをつけた。



勇者「待て、魔法使い…」

また更新します。

なんと……

おちんちんとかおっぱーいとか下ネタマジキチをたまーに書きたくなる衝動に襲われますね!

やったら話破綻しちゃうんでしませんが

更新します。


 勇者の声で思いとどまる。


勇者「……駄目だろ、仲間同士でこ……んなのは」


 勇者は打ち所が悪かったのか、ふらつきながらも立ち上がる。


勇者「だって見て見ろよ、僧侶の顔を……」



 幽鬼のように立ち尽くす僧侶。

 純白の法衣を返り血で染め、空を仰ぐ僧侶。


 彼女は――。


魔法使い「なんて顔で泣いてるんだよ君は……」


 喋る度にころころと表情を変える君が……。


 まるで仮面みたいな無表情で、ただ涙だけを流している。


魔法使い「どうしちゃったんだよ……君にそんな顔をして欲しくないよ……」


 見たくないよ、そんな顔。


僧侶「あぁ……あ」

 僧侶が僕に向けて手を振りかざす。

魔法使い「んぅ……あ、ぐぅ」
 喉が見えない手に絞められているみたいに苦しい。

 視界が歪む。

 苦しさで涙が滲んできた。

 いや、苦しさだけじゃないや。

 僧侶、君がつらそうな姿は見たくないよ。

 仲間だから。

 大切な、誰にも代え難い仲間だから。

 誰かの為に流す涙はこんなにも胸を痛ませるのか。

 そんな事を考えている内にどんどんと意識は薄れていく。


魔法使い「ごめんね」

 結局僕は誰にも救えないのかな……。

魔法使い「ごめんね」

 いくら強くなれても、魔法を覚えても。

魔法使い「ごめ……んね」

 パパを救えなくて泣いていた子供の頃と変わらないじゃないか……。

魔法使い「……め……んね」






 違う……。


魔法使い「救ってみせるよ、今度は」

 心に誓いを立てる。

 無力を原因にして諦めるのはもうまっぴらだ。

今回の更新は以上になります。おっぱい。

それは弟子がきっとヤってくれるはずだ

おい「やる」の字ちげえぞ!まあ相思相愛なんて次元のレベルじゃないし、下世話だが少年と魔女はやることやってそうだが・・・


なんにせよ乙!更新待ってたよ!

短かっ!

おつおつ

面白い
支援

紫煙

割と大量に更新します。



勇者「ふりゃあッ!!」


 勇者が僧侶と僕の間の空間に向け、剣を振るう。

僧侶「……く」

 喉を締め付ける感覚が解けた。

 その隙に距離をとる。


魔法使い「あぐぁ……げほっ」

 新鮮な酸素が肺に流れ込む。

 薄れていた意識は徐々に鮮明になっていく。

魔法使い「はぁ、はぁ。 勇者、見えたの?」

 僕を襲っていた不可視の腕。

 勇者は見えていたのだろうか?



勇者「いや、見えたっていうか、感じた?っていうか」

 なる程ね。


 存在はする訳だ。

 なら――。

魔法使い「僧侶に当てないように周りを攻撃しまくれば」


魔法使い「~~」

 大気中の水分を集め、研ぎ澄まし幾つもの杭を作り出す。

魔法使い「意味はあるんじゃないか?」


 一斉にその杭を撃ち出す。

 少しでも操作を誤れば僧侶に傷を負わせてしまう、が。

僧侶「ガアァッ!」

 風切り音を立てて飛翔する氷杭が僧侶の髪を掠める。

 問題ないね、絶対に当てないから。

勇者「手応えは?」


少女「ないんじゃないか?」


魔法使い「え?」

 いつの間に現れたんだこの女狐。


魔法使い「いつから居たんだい?」

 確かに手応えはなかったけれど。

少女「今し方着いたところさ」

 どうやら戦士とは別行動をしていたらしい。

魔法使い「で? 聡明な、それはそれは聡明な空虚の魔女様なら、僧侶がどんな状況なのか勿論ご説明いただけるんだよね?」


少女「君にそんなに褒められるとは光栄だな」

 皮肉だよ、本当に嫌らしい性格だ。

 ただ、こいつが来たってだけで妙な安心感があるのも事実だ。

 腹立たしいことに、この黒髪の魔女は僕の信頼に当たる程の実力を有している。


少女「まぁ、聡明で可憐で儚げな私は僧侶に起きた事態も理解しているし対策も練ってきた」

 本当に腹立たしいことに、だけどね。

魔法使い「で、方法は?」

 少女は少し悩みながら、口を開いた。

少女「命をかけて、成功するかしないかわからない方法と、安全かつ最小限の被害で確実に成功する方法があるけどどっちにする?」

 少女は無表情だ。

 視界の端に先程から映っている勇者が吹き飛ばされて宙を舞っていた。 通算五回目だ。


勇者「話し込んでいるのもいーけど、早く何とかしないと俺がやばいって……ぐほぉっ!?」

 六回目。 今気づいたけれど、彼は異様に受け身がうまい。

 恋愛に対しても受け身だからかな。 取りあえず死なない程度に痛めつけられちまえ。



少女「まぁそう急がないで、まずは今僧侶に起きている現象なんだけど」


 少女が無表情に言葉を紡ぐ。

少女「かなり高位の精霊に憑かれた状態だ」

魔法使い「精霊?」


少女「精霊と言っても、邪悪さから封印されていた類の奴が魔王に追従して復活したのさ」

 僧侶もやっかいな物に憑かれたね。


少女「で、それだけ力のある精霊、便宜上邪精とでも呼ぼうか。 だからこそ結界をすり抜けてここまできた」


魔法使い「そこにふらふらしてた僧侶が居たから取り憑いたってことか、でもおかしいね、僧侶は神の洗礼を受けている身だ。 そういった類に対しては耐性がある筈じゃ?」

少女「……それは」

 少女が若草色の外套の端を握り締め、小さく洩らした声は震えていた。

少女「私の所為……だと思う……」

 なんとなく、僧侶が邪精に魅入られた理由が分かってしまった。


少女「邪精は……人の負の感情を糧にするんだ……」


少女「……勇者に対しての想いを閉じ込めようとして……生まれた嫉妬、後悔」


 軽率だった。

 昨夜の出来事が原因なら僕にも責任がある。

 安易に僧侶の心に踏み込んだから。


魔法使い「でも、あのまま吐き出さずに涙を我慢したままの僧侶なんて嫌だよ」

 我ながら自分勝手な理由だと思う。

魔法使い「だから、さっさと治して謝って、僧侶は勇者に話して全部すっきりしよう」

少女「ずいぶん前向きになったね」


魔法使い「後ろ向きじゃあ未来は見えないよ、過去なら十分見たしね」

少女「違いない」


魔法使い「で? さっき言ってた二通りの方法って?」


少女「君の意志を尊重するのであれば、方法は一つしかないよ?」

 なる程、一つは現状を打開するにあたって最悪の方法な訳だ。

少女「じゃあまずは、そこに転がっている二人を回復してあげなきゃね」


戦士「すまん」

勇者「助かるよ」

 僧侶に聞いていた回復魔法の原理を自分なりに解釈して発動を試みる。

魔法使い「~~」

 あまり時間はない。

 そこに立ち尽くしている僧侶がいつまた攻撃してくるかもわからない。 それに、早く僧侶を助けなくちゃ、戻ってこれなくなる。



勇者「痛ぅッ!?」

戦士「ぬおっ!?」


 ん? 何か失敗したかな?


 二人が活きの良い魚みたいに跳ね回ってる。


少女「肉体再生には激痛が伴うからね、僧侶は痛みを和らげる魔法と回復魔法を同時にこなしていたから大丈夫だったんだろうけど」

 僧侶って割と凄かったんだ。




 勇者と戦士の回復も済んだ。
 さぁ助けようか。

勇者「いくぞぉっ!!」

戦士「むっ!!」


 戦士と勇者が僧侶の元へ駆けていく。

少女「来る、勇者の方向に触手、足元から二本、正面から三本」

勇者「おう」

 勇者は剣を下段に構え振り抜く。

僧侶「あぁあぁっっ!!」

 勇者が不可視の触手を切り裂き、更に前進。


 接近された僧侶が二人を薙ぎ払うように右手を振るう。

戦士「重いな」

 戦士がそれを受け止める。

 一撃を受け止めた戦士の、踏みしめた大地が陥没する程の威力。

 僧侶の動きが止まる。

 次の瞬間、僧侶の身体が一瞬浮いたかと思うと、戦士によって組み伏せられていた。


少女「第一段階は成功だ、魔法使い、君の出番だよ」

 さて、次は僕の役割を果たそうか。


 少女の練った策。

 魔力に対して鋭敏な感覚を持つ少女が全体の指揮を執り、勇者が不可視の触手に対応。

 触手を封じ距離を詰め、体術、身体能力に優れた戦士が、僧侶の直接攻撃に対応し、無力化する。
 隙を作り出した所で、僕の出番。

魔法使い「僧侶に憑いた精霊と交渉、場合によっては隷属し、使役する術式を叩き込む、か。 無茶を言うよ、全く」

 やるしか、無いけどね。


 腕を掴まれ、押さえ込まれた僧侶の前に立つ。

少女「勇者、気を抜かないでくれよ、僧侶の触手はまだ来るぞ」

勇者「任せろ、魔法使いにも、戦士にも、お前にも、勿論僧侶にも」

 勇者の剣が、大型の猛禽類の滑空を思わせる風切り音を立て、翻る。

勇者「おぉぉッ!!」

 疾風の如き剣技。

 隼の名を冠する超高速の剣が迫る触手を次々と斬り伏せていく。


 頼もしい。

 きっと彼ならば、僕に触手を触れさせすらせず守り抜いてくれるであろう。

 そんな、安心感さえ覚える。



 僧侶の額に指で触れる。

 ふれた箇所が火傷したのかと錯覚する程、攻撃的な魔力に渦巻いている。


魔法使い「~~~~~~~~」


 優しさの固まりみたいな僧侶の事だ。 きっと、苦しんでいる。


魔法使い「~~~~」

 気を抜けば逆に引きずり込まれそうな程の魔力の奔流。

 こちらの言葉に耳すら傾けない邪精。


 さぞかし高位の力を持つ精霊なのであろう、それこそ、異教では神と崇められる程の。

魔法使い「~~~~」

 でも、だからどうした?


 魔力の奔流を辿り、邪精の本体を探す。


 身を灼き尽くす程の怨嗟の声が頭に響いてくる。


魔法使い「世界の何もかもが憎くて、恨めしくて、仕方がないみたいだね」

 交渉には応じないか。

 なら、実力行使だ。

僧侶「うぅぁあああぁぁぁっっ!!!!」

 僧侶の顔で、僧侶の声でそんな声を出すな、そんな顔をするな!!


魔法使い「世界の何もかもを愛して、慈しんでいる、優しすぎる馬鹿な奴なんだ、僧侶は」


 邪精を探していた僕の魔力が本体に触れる。

魔法使い「お前なんかには不釣り合いだ、今すぐ僧侶の身体から出ていけぇっ!!」


 強引に引きずり出そうと魔力を更に込める。


少女「まずいっ!?」

 今までとは比べ物にならない程の魔力の激流が僧侶から迸る。


魔法使い「うわっ!?」

 風の大槌で殴られたような衝撃。

 踏ん張ってはみた物の、吹き飛ばされてしまう。

 それをみた戦士が手を伸ばす。

勇者「危ねぇっ!!」

 勇者が吹き飛ばされた僕と、地面との衝突の際に緩衝材の役割を果たそうとしてくれた戦士を受け止めてくれた。


魔法使い「あ……あぁ」

 僧侶が。


少女「魔力の触手が視認できる程の濃度に……完全に相手の力量を見誤ってしまったみたいだ、みんな、すまない」


戦士「厄介な事になってきやがったな」


 僧侶がこちらを見た。


 諦めと絶望に伏した表情で彼女は言った。

僧侶「お願い……みないで」



,

 触手が僧侶を包み込む。


 絡み合い、混じり合い、粘性の水音を立てながら、別の形に成っていく。

勇者「お……おい、どーいう事なんだよこれ?」


戦士「なんと禍しき……」

 形成されていく、肉色の大樹。

 その頂には出来の良い胸像のように、僧侶の胸から上が露出している。


 そして、僧侶が笑った。

 まるで天使のような笑み。

魔法使い「僧……侶?」

僧侶「……」

 もう一度、僧侶が笑う。 いや、嗤う。

僧侶「~~、~」

 悪魔のような笑みを浮かべて彼女は言った。

 呪文に使われている高位精霊言語で。

 聞き取れた言葉は。

 まるで何かお願いするみたいな軽い口調で。

――じゃあ、みんな死んでね?――

 止めてよ、僧侶の顔と声で……。

今回の更新は以上になります。
僕は、巨乳で、むっちりとしたお尻が好きです。

>>554
そっちに魔法使いが助走をつけて走って行ったぞ

>>554が少年のセリフの代弁だったなら、二人まとめて地獄を見るな・・・・

また更新します。

今月中に終わらせる!

おっぱい!



 肉色の大樹の枝が、螺旋状に絡まり、その先端に魔力の塊が形成されていく。


僧侶「~~~~~~~~ぎゃは、アハはハハハは」

 僧侶の声で下品な笑い声をあげるなよ。

 心はまだ折れていないんだ、まだやれるんだ。

 なのに、立ち上がれない。

 なぜか、視界が歪む。

 もう戻せない。 そんな不安がよぎる。


僧侶「~~~~。 シネ」

 枝先から絶望的な威力を持った魔力の塊が放たれた。



 ゆっくりと、しかし回避できないほどの大きさの閃光。

 せめて、戻せないなら一緒に。
 少女から聞いた三つの禁術の一つ。

魔法使い「~~~~~~っ」

 魂に宿る魔力を一滴残さず使い切る事で全てを破壊する禁術。

魔法使い「せめて、一緒に逝ってあげ……きゃっ!?」

 頭に鈍い衝撃。

勇者「そんな事しなくたって良い」

 僕の魔法を妨害したのは勇者。

 閃光を真っ直ぐ見据えて。

 最上段に剣を構え、僕の前に立っている。


勇者「誰一人だって救いもらさねぇぞ、俺は」


 あぁ、この男はこんな時まで。

 だからこそ、勇者なんだろうな。

 幾千、幾万の諦観や絶望を斬り伏せ、その先を見据え続ける。


勇者「本当は、やりたかねぇけど。 僧侶、痛かったらごめんな」

 勇者の剣が軋むような音をたてて淡い光を纏う。


少女「待て!! 今ソレを使っては魔王が――」


勇者「何とかするから心配すんな」



 勇者はそう言って、剣を振るった。


 閃光を切り裂いて、肉色の大樹に真っ直ぐに飛ぶ一刃。

少女「馬鹿者が!!」


 彼が使った剣技。

 伝承にのみある記され、実在しないと言われた幻の剣技。

 勇者のみが使えると言われ、悪しき物を切り裂く聖なる一刃。

 その名を形容する物はなく、その剣技はただ――。

 <強き一裂き>

 そう呼ばれていた。


 それは、肉色の大樹に触れるやいなや、金属の共振音に似た、澄んだ音をたてて消えた。


 呆気ない幕切れだった。

 大樹は枝先から光の花びらとなって消えていく。

 全て消えるとそこには意識を失った僧侶が倒れていた。

今回の更新はおっぱいになります。

おつぱい

おっぱい

乙ぱい

>>563
おつ!おっぱい

これは乙ぱい

本編との温度差が酷いですね。

わっふるわっふる

ちょっと更新します。

もうちょいで終わります。

おっぱい




 今すぐ駆けつけたい。

 地に伏した僧侶を抱きしめたい。

 謝りたい、叱りたい。

 でもそれは――。


魔法使い「君の役目だ、勇者」


勇者「あぁ、分かってる」




 勇者が僧侶の下へ駆け寄っていく。


少女「まったく、彼は後先という物をもう少し考えるべきだ」


戦士「あの技にはそこまでの代償があるのか?」


少女「とびきり大きい代償だ、ほかに方法が無かったから仕方ないかもしれないが……」

 こちらでは不満げな顔をした少女と、深刻な顔をした戦士が話し込んでいる。


 僕は。

 何だか居心地が悪いので、その辺をふらつく事にした。



魔法使い「結局僕はまた何にもできなかったな」

 居心地の悪さの正体は自己嫌悪。

 仲間を助ける為に張り切ったは良いけど、結局失敗したのと変わらない。


 勇者の‘アレ’も、少女の反応からすると、大きな代償を必要としたのだろう。

 僕に邪精をどうにかできる力があれば使わなくて良かった物なのに……。


 ある程度歩くと、大きな樹木があった。

 木の幹に寄りかかると、枝の合間から蒼い空が見える。

魔法使い「僧侶に謝らなきゃな」
 そんな事を考えている内に、段々と微睡んでいく。

 色々あったしな。 駄目だ、疲れてうまく考えられないや。


 「起きて? 風邪引いちゃうよ?」


 優しげな声が聞こえる。


 どうやら結構寝ちゃったみたいだ。


 この声は……。

魔法使い「僧侶?」


僧侶「えへへ、おはようございます」


 なんか可愛い生き物がこっちを見て照れ笑いしてるや。

僧侶「みんななんか優しすぎて居づらくてね、逃げてきちゃった」

 何だか落ち着きがないな。

 いや、落ち着きがないのはいつも通りか?


僧侶「魔法使いちゃんなら、叱ってくれるよね。 馬鹿だって、考えなしの性悪女だって」


 成る程、罪悪感でみんなと居れない訳ね。


魔法使い「やれやれ、仕方ないな」


 右手に力を込めて振りかぶる。

僧侶「っ」

 身をすくめる僧侶。 その頭上に手刀を打ち下ろす。

僧侶「……痛いです」

魔法使い「割と本気でチョップしたからね」

 こっちの手も痛い。 石頭め。


魔法使い「次は僕にビンタなりなんなりしてくれ、僕の所為で……」


僧侶「なんのことか分かりませんが……」

 両手を広げて僧侶が近づいてくる。

魔法使い「きゃっ!?」


 僧侶に抱きしめられた。


魔法使い「何?」


僧侶「失恋……しちゃってるんですよ? 私」


 だからって僕の胸に顔を押しつけなくたって……。

 小さいから抱き心地も、なんて頭に過ぎったので腹が立ったからもう一発チョップをお見舞いする。

僧侶「ふぎゅ!?」

魔法使い「まぁ、勇者はきっと今回の事を理解はしてないから」


 たちの悪い魔物に襲われた程度の認識だろう。

僧侶「違うんです」

 吐く息は震えていた。


僧侶「先日、少女さんは勇者様は世界と同義だと仰っていました。 邪精に飲み込まれた意識の中、私にとって勇者様とは何なのか、考えました」


 僧侶立ち上がりあたりを見渡しながら言葉を続ける。

僧侶「勇者様は世界と同義です」
僧侶は穏やかな笑みで言った。


僧侶「私は、この世界が堪らなく愛おしいです。 魔法使いちゃんや、戦士さん、少女さんが居て、様々な命芽吹くこの世界が。 そして、勇者様が命を懸けて護ろうとしているこの世界が、大好きです」

 夕陽の中、慈しむような微笑み。

 僧侶の宗教の、運命を司る天使を思わせる。

 運命を受け入れた者を祝福し、運命に抗う者を守護する慈愛の天使。


僧侶「私は、この世界を愛し続けます。 それが、私の勇者様へ対する気持ちの結論です」


魔法使い「強いね」


 優しさはこうも人を強くするんだね。





――――――――――――――――――――――――――

今回の更新は以上になります。
次回は本編と塔の魔女と少年の日常、どちらにしようか悩みます。

おっぱい。

おつ!日常に1票。

たまには日常がみたいかな

日常に一票!
少年と魔女のいちゃラブが見たい

ん~、本編、というより回想がもう少しで終わるというなら先に終わらせてその後少年とのイチャラブでもいいと思うよ

次の話よりも今の話をさっさと書け

少し更新します。おっぱい。



―――――――――――――――――――――――――


少年「…………」


魔女「ん……? どうしたんだい」


 気付いていないのなら、言う必要は無いですよね。


 安楽椅子に身体を預けた魔女が、今にも泣き出しそうだなんて。


少年「いや、なんでもないよ」

魔女「自分でも、よくここまで覚えて居るもんだと感心するよ」

 塔の窓から射す夕陽が魔女を柔らかく包んでいます。

 僧侶が照らされていた、ていう夕陽もこんな夕陽だったのでしょうか。


魔女「さて、僕の思い出話もそろそろ終わりだね」


少年「魔女、ごめん」

 きっと、この思い出は魔女の一番奥に、大切に、傷つかないように、風化しないようにしまっていたんでしょうから。


魔女「少年、君が何を謝っているかはだいたい分かる、でも良いんだ」

 魔女は立ち上がり僕を見ます。

 魔女の、夜空みたいに深い紫色の瞳には僕が写っています。

魔女「ほら、君の瞳に僕が写っている」

魔女「僕は君の一部だ、君が僕の一部であるように」


魔女「すべてを分かち合う事に謝罪も謝礼も存在しなくて良いだろう?」

 魔女の声は、優しくて。

魔女「さぁ、長い長い思い出話もそろそろ終わりだ」



少年「うん」

――――――――――――――――――――



 僧侶の出来事から数日がたったある日。


 それは、突然だった。


 頭上に広がる美しい青空が、塗りつぶされていくみたいに鈍色の雲に覆われていく。


少女「本気みたいだね。 兄さん……いや、魔王」


 あっという間に青空は消え失せた。

 鈍色の空を仰いで呟いた少女の顔は、その空を映したかのように暗く曇っている。


戦士「これで、長かった俺達の終わるな」

 戦士は巨大な白金の戦斧を背負うと城を出ていく。

勇者「待てよ、独りで行くつもりか?」

 勇者の問いに、戦士は応えない。


少女「戦士、君なら気づいていると思うんだが?」

 少女は不満げに言った。


戦士「だからこそ、だ」

 外の気配に気づいた。 まだ遠い、街の外だけど。


魔法使い「大体八百体くらい? 竜種も何体か居るみたいだね」


 魔王の配下の魔物だろう。

城を落とす為、勇者を殺す為、既存兵力の中でも強力な個体を引き連れて本気で僕たちを駆逐しに来たんだ。

魔法使い「上等だ。 城にたどり着く前に魔王ごと消し炭にしてやる」

少女「その中に魔王が居るならね」

 確かに、抜きん出た魔力の個体は感じられない。


戦士「そー言う事だ。 アレは恐らく捨て駒、殺し切れれば良し、殺しきれずとも俺達が疲弊しきった所で楽々叩く算段だ」


勇者「あれくらいみんなで戦えばすぐに……ぐはっ」


 勇者の鳩尾に戦士の拳がめり込む。

戦士「勇者を、頼む」

 戦士はもう振り返らない。

魔法使い「死ぬ気なの?」


戦士「死ぬ気は無い、お前達がこの場から離れたら適当に合流させてもらうつもりだ。 だがもしも合流せずとも、気にせず魔王を討て」

 戦士が扉に手をかけた。



僧侶「~~~~、~~~~、~~~~」

 僧侶が詠唱を始める。


 鮮やかな七色の光が戦士を包んだ。


僧侶「振り向かずとも、良いです。 言葉だけでも聞いていってください」


戦士「……」


僧侶「今貴方にかけた呪文は、今私ができ得る全ての補助魔法です。 、大地を砕く魔獣の牙からも、鉄をも溶かす竜種の息吹からも貴方を護り、比類無き堅固なゴーレムの外皮さえも薄衣となす膂力を与える、戦女神の祝福です」


僧侶「ただ、どれだけの祝福であろうと神の与えた命を増やす理など存在しません、だから、どうか……」

 戦士の背にそっと僧侶が触れた。


僧侶「どうか死なないで戦士さん」

 戦士は何も答えず、扉から出て行った。

今回の更新は以上となります。
次回、おっぱい無双。

おつおつ!

乙π

π

ぱいおつ!
次回予告が素敵です




―――――――――――――――――――


 扉を背にして改めて実感する。

 この背にあるのはいつの間にか大切な物になっていたのだと。



 意味の無くなってしまった人生にもう一度意味を持たせてくれたかけがえの無いものだと。


 命を増やす理など無いと、僧侶は言っていたな。


 俺は……。

 この旅でもう一度、命を貰ったんだ。

 死人同然だった俺に。

 戦う意味をくれた。


戦士「貰った命だ、無駄にはせん、が。 使うに値する場面だ」

言い忘れた、更新します。おっぱい。


 街の外に辿り着く。

 眼前にはオーガを主に、高位の悪魔、巨人、竜種まで居る。


 地響きを立て近づいて来る人外の群れ。

 背筋が灼け付く。 同時に冷や汗が頬を伝う。


 相手に不足は無い。

 余計な思考が薄れ、研ぎ澄まされていく。

戦士「オオォォォォァァッッ!!」


 オーガの群れに飛び込む。

 それと同時に戦斧で薙払う。

 刃先に確かな手応えを感じ間合いの中にいる魔物を両断。

 その勢いを殺さぬようにもう一度。

 オーガの群れを引き裂きながら、目指すはこの群を指揮している高位の悪魔、竜種の居る最後尾を目指す。


戦士「どけぇっ!!」

 俺の最後の仕事には上等すぎるな。


 何時間斬り続けた?

 分厚い雲の所為で正確な時間は分からないが、それでもそれなりの時間はたっているはずだ。

 さすがに一筋縄では行かない。

 だが、身体が軽い、力が漲ってくる。

 僧侶の呪文がここまでとは予想外だ。

戦士「これならば、殺しきれるぞ」

 群れがバラけて来た。

 オーガは粗方片づいたか。

悪魔「ギャハハハハ~~~~」


 まずい――。


戦士「ぬぐぅぅっ」

 悪魔の放ったの漆黒の稲妻。

 後頭部を鈍器で殴られた時に似た衝撃。

 全身を駆け巡る激痛。

巨人群「グギャギャ」

 膝をついた所で止めを刺しに巨人の群れが殺到する。

 なめるな、デカ物どもが。

 戦斧を持つ手に力を込める。

戦士「オオォッッ!!」

 片手で戦斧を振り上げ、飛びかかってきた巨人を両断。

 更に開いた手で左方向から迫るオーガを殴りつける。

 右方向から迫る巨人には、蹴りをお見舞いしてやる。

 体勢を立て直し、悪魔を見据えて戦斧を構え直す。

戦士「楽しいなぁ、おい」



 群も残りは三分の一程度だ。


悪魔「アハ、ギャヒヒ~~~~」


戦士「二度も喰らうかよ」

 地を灼く稲妻を走り抜け回避。 地面に戦斧を擦らせながら魔力を込める。

 戦斧の刃が蒼く揺らめく。

 髑髏が、天魔が、嘲笑う。 

悪魔「~~~!?」

戦士「遅ぇ、どうした? 笑えよ」

 天高く戦斧を振り上げる。


戦士「ふんッッ」

悪魔「ギャヒャ」


 刃と共に振り下ろされた蒼焔の髑髏が悪魔を喰い千切る。


オーガ群「ガガギャギャ」


戦士「次に死にたい奴は何奴だ、殺してやるから、かかってこい」

 統率していた悪魔を殺した事によりそれより下位の、群の主軸が蜘蛛の子を散らしたように逃げ出していく。



戦士「口程にも無いぞ化け者共が……そう簡単に人間は負けん」

 木々を根こそぎへし折る程の豪風。


 深紅の巨影。

 真打ちが来た。

竜種「強き者だな、人間」


 鼓膜がビリビリと震える。


 本能が告げる。

絶対的な上位種。 捕食者と、被捕食者。

 魂が震える。

 眼前に居るこの紅蓮の鱗を持つ竜種は、それこそ神代から生きる最高位の竜種だ。

 神に喧嘩を売る種族のてっぺんだ。


戦士「滾るな、竜殺しは戦士職の最高の名誉だ」



竜種「ほう、強き者よ。 我と相対してなおその心を滾らせるか」

 天地を呑むその巨大な口から煉獄の炎が漏れ出している。


竜種「ならば、他の者は無粋だな」

 竜種はその巨大を翻し上昇。

 太陽が降ってきたかと錯覚する程の熱量。


竜種「これで、この場に主と我の二体のみだ。 神すら討ち漏らした我が首標」

 辺りは焼け野原。 魔物の残党は骨すら残っていない。



竜種「見事討ち取って末代までの誉としてみせよッッ」


戦士「されば、いざ参るッッ」


今回の更新は以上になります。

次回、真・おっぱい無双 猛将伝

乙ぱい!
まさかの戦士視点。これは後々の勇者パーティー視点の戦士の話とはまた違う予定なんだよね?

おつ!おっぱい!
がんがれ!戦士!死んだらアカンよ?

更新しますおっぱい

戦士視点の物語はまた別なのでお待ち下さい。


――――――――――――――――――――――――


 遠くの方で地響きが聞こえる。

 凄い勢いで敵の数が減っていくのが感じ取れる。


魔法使い「本当に、強いね」

 魔法も使えない筈の彼が。

 地を埋め尽くす大群を戦斧一本で駆逐していく。


勇者「納得いかない」

 勇者は浮かない顔をしていた。

 誰よりも仲間想いの勇者だ。

 気持ちは分かる。


少女「そうする他、どんな方法をとったとしても、魔王に対して不利になるんだ。 仕方のない事だ……」

勇者「んなもん知るかっ!! 戦士一人の犠牲を良しにして、それで……それで!!」


 ………。

 勇者と戦士はどんな出会いで、どんな絆があったかは分からないけど、それでも、勇者にとって掛け替えのない支えであったように思う。

 それこそ、年の離れた兄や、父のように。



 そんな勇者に、なんて言ってあげれる?

 僕だって、できるのであれば今すぐ戦士の下に駆けつけたい。

僧侶「つまり――。 勇者様は戦士さんを信用できないのですね? 約束を果たすこともできない弱き人だと。 そうおっしゃるのですね?」


 今まで押し黙っていた僧侶が言った。


勇者「違……」

僧侶「違いません。 私は戦士さんを信じています。 どんな強大な敵であろうと、その戦斧で切り裂く強き人だと」

 今まで聞いたことの無い凛とした僧侶の声。


勇者「俺だって……信じてるさ」

僧侶「ならば、やる事は戦士を心配して幼子のように喚く事ですか?」

勇者「……違う」

僧侶「では、今すぐに戦士の元へ駆けつけて、加勢することですか?」

勇者「違うっ」

僧侶「では勇者様、貴方が為すべき事は、何ですか?」

 俯いたまま、勇者は小さく答えた。


勇者「……魔王を……倒す事だ」


僧侶「正解です。 付け足すのであれば、全員無事で、です」

 勇者が顔を上げる。


勇者「ありがとう、僧侶」


 僧侶はにっこりと笑う。


僧侶「その言葉が聞けて嬉しいです。 では、私はここで」


勇者「なんだって?」


  僧侶が目線を廃屋の一つを見据えた。



僧侶「居るんでしょう? 不浄の王」


 廃屋の陰が濃くなっていく。
 そして、その闇の中からそれは現れた。

 死霊を統べる不浄の王。

 漆黒の外套に呪われた宝具を身に纏った骸骨。

少女「リッチ……実在してたんだ」


 この世の理を外れ、夜を従える亡霊達の王。


 攻撃を受け付ける事はなく、その身じろぎ一つで町一つを呪殺しうる化け物。



勇者「おっるぁああっ!!」

 勇者が放たれた矢のように疾駆し、リッチに斬撃を加える。


リッチ「~~」

 リッチが聞き取れない程の言語を圧縮した高速詠唱を行う。


 影にリッチが沈む。

僧侶「神聖魔法でなければリッチには通じません」


 辺りの影から次々にリッチが出てくる。

僧侶「貴方達を護りながら戦う余裕などありません。 足手まといです」


 僧侶が大杖を構えて言った。

僧侶「どうか先に行って下さい」

 僧侶の目には決意の炎が灯っている。

勇者「必ず、また合うからな」

魔法使い「……約束だ」


 見直したよ。


僧侶「魔法使いちゃん、終わったらちゅーして下さいね」


 いくらでもしてあげる。 なんなら舌を入れてやる。

魔法使い「無事に帰ってきたらね」

――――――――――――――――――――――

今回の更新はいじょうなおっぱい

次回。 真・おっぱい無双 エンパイヤーズ

ぷるんぷるん

おつ!
がんばれ!おっぱい娘!

ちゅーとか舌入れるとかなんて百合百合しいんだ・・・・いいぞもっとやれください

乙ぱい!

また更新します。

百合なんか好きじゃないです。
おっぱいが好きです。



――――――――――――――――――――――

 ちょっと、カッコつけすぎちゃいましたね。


リッチ「~~~~」

 うわーいっぱい居ますね。


 見渡す限りの陰という陰からリッチが出てますよ。


 一斉に呪いですか。

僧侶「~~~~」

 効きません、打ち消します。




リッチ「~~~~」


 次は死霊を操るんですね。

 最低です。 眠る者を起こし、無理矢理使役するなんて。


僧侶「~~~~」


 杖に力を込めます。

 主よ、どうか私に力をお貸し下さい。

 見える範囲総てを包み込む癒やしの魔法。

僧侶「こんな事を、しなくても良いのですよ。 主の元に帰り、安らかに眠りなさい」


リッチ「~~~~!」


 効いているようですね。



 役に立てて良かった。

 私は私の出来る事をする。

 リッチを倒して、勇者様に褒めてもらって、魔法使いちゃんにちゅーしちゃいましょう!


僧侶「恋に破れた女は強いんですよ?」


リッチ「~~~~~~~~~~~~」

 背筋に酷い悪寒。

 急に周囲の気温が下がって行くようです。

僧侶「~~~~~~~~~~~~」


 主よ、お守り下さい。


 すべてを呑み込むように地面に影が広がっていきます。


 影からは大量に骸の騎士や腐乱した竜種など、まるで地獄のようです。


僧侶「~~~~」

 穢れし命に浄化の裁きを。

 主よ、導きたまえ。

 天空より十字の光を呼ぶ、私達神に仕える者の持つ唯一の攻撃魔法。

 その光に熱は無く、音は無く。
 ただ粛々と裁きを与える。

リッチ「~~~~」

僧侶「貴方が本体ですね」

リッチ「ガアアアアアアアッッ」

 リッチの躯が広がっていきます。

 触手を蠢かせ、巨大な体躯をゆらゆらと揺らす不浄の王。

 神様、私に彼の者を倒す御力を貸し与え下さい。

 仲間を護る為の力を!!


―――――――――――――――――――――

今回の更新は以上になります。
一番好きなキャラは戦士、次点で僧侶です。

おっぱい

ご苦労さん
やればできるじゃないか

おつかれさま!

乙!おっぱい!
無理しないでね!

やはり貧乳の魔法使い=魔女では>>636の期待には応えられないのか・・・・

乙ぱい!

おっぱい!好きだぜ!

更新します。


―――――――――――――――――――――


魔法使い「さて、なんだかんだ言って戦力が順調に削られている訳だけど」


 勇者と僕で魔王を倒すなんてかなりの無茶だ。


勇者「あぁ、二人で戦うのはあのとき以来だな」


魔法使い「あー、ゴーレムの群の時だね。 君に殺されかけたのをよく覚えてるよ」

 折れた剣がすぐ近くに飛んで来た時は死ぬかと思ったよ。


勇者「あん時上手く行ったんだ。 今回だって上手く行くさ」

 何となく上手く行く気がして来た。

 土壇場で開き直れる強靭な精神力が羨ましいね。


少女「随分な余裕だ。 相手は人外を統べる魔の王だぞ?」


勇者「その為の勇者だからな」


少女「ふ、頼もしいな。 結婚してくれ」

魔法使い「っ!?」


勇者「じょ、じょじょ冗談にしても驚くからやめろよ!」


少女「冗談で求婚なんか出来んよ」


 なんだこれ。

 僧侶と戦士が必死に戦ってるときになんだこれ。


勇者「そー言うのは!! 全部!!終わったら言ってくれよ!!」


少女「よし、これで、死ねないな」


 少女は満面の笑みだ。


 黒髪を揺らして上機嫌に歩く少女と、満更でもない様子の勇者。


 と、無粋な奴が木陰に居るね。

 「~~~~」

魔法使い「危ないっ!!」

勇者「うぉっ!?」

少女「きゃっ!?」


 間一髪二人を突き飛ばした所で、そこを境界に強力な結界が張られた。



魔法使い「閉じ込められた、みたいだね」


魔人「よく気付いたわね」


 木陰から現れたのは、かなり高位の魔族だ。

 人間の雌に近い上半身に、腰骨から蝙蝠に良く似た二対四枚の翼を生やしたその姿は人間には無い妖艶さを持っている。


魔法使い「まったく、僕まで単独で戦わなきゃ駄目なのか」


 悪いけど、巨乳には容赦しない、が僕の座右の銘だからね。



魔法使い「その無駄な肉削ぎ落として服を着やすくしてあげるよ」

魔人「んふ、そーいうアナタは随分と服が着やすそうね?」

魔法使い「そりゃどーも」


 杖に力を込める。 込めすぎて杖が爆発しそうだよ。

 勿論冷静だ。 うん、冷静沈着に――。


魔法使い「ぶっ飛ばしてやるからなこの無駄乳がぁぁっ!!」


 滾るね、どうも。



―――――――――――――――――――


今回の更新は以上になります。

次回 ちっぱい祭りだ、ヒャッホイ!

ちっばい!ちっぱい!

ちっぱいは正義!

おっぱい!おつ!

ちっぱい!ちっぱい!乙ちっぱい!

いいじゃないちっぱいでも、少年には好評よ

ええい、でかぱいはまだか

乙乙

更新します。

少年「大きいおっぱいは好きです。 でも、魔女の方が好きです」




魔人「貧乳の嫉妬は見苦しいわよ?」


 負けられない戦いがここにあるよ。 みんな、僕に力を貸してくれ……。

魔法使い「~~~~」

 最初から全力だ。


 杖を伝い魔力を放出。


魔法使い「~~~~」

 放出された魔力は林檎程度の大きさの黒点になり辺りの魔力を吸収、圧縮し始める。


 始まりの名を冠した爆裂魔法。

 これならば――。


魔人「ぜぇ~んぜん、だ・め。 おやつにだってならないわぁ」

 え?

 コイツは何をしてる?


 黒点を手にとって、口に入れた?

魔人「御馳走様、人間にしては多い魔力ね。 で、次は? お代わりを頂戴?」


 化け物め。 規格外は乳だけにしてよね。



魔法使い「流石に無駄な脂肪を蓄えてあるだけあって大喰らいだね。 今すぐお代わりをあげるよ」

 ならば、手数で攻める。


魔法使い「~~、~~、~~、」

 まずは、氷杭を魔人目掛けて飛ばす。


魔人「あら? もうデザートなの?」

 喰われるのは想定内。

 次に閃熱の魔法を放つ。

 形の無い物はどう対応する?


魔人「これは食べられないわね、私って猫舌だしぃ」


 予想通り。

二対四枚の翼で閃熱をやり過ごしている。

 そして、視界が塞がっている今なら。



魔法使い「これならどうする?」

魔人「成る程、考えたわね」


 大地を隆起させ、二枚の壁で魔人を挟み込んだ。


 頑強な巨人種ですら本の栞みたいになる威力で閉じたんだ。


 無傷と言う事はないだろう。


魔人「そう思うでしょ? 残念でした」


 想定外。

 翼の身じろぎ一つで止めるなんて……。

 これは、少しまずいかもね

――――――――――――――――――――――


今回の更新は以上となります。
次回、みんな大好き雄っぱい。

次は戦士か・・・

雄っぱいは好きじゃないな……


雄っぱいは書いていて一番楽しいです。豪傑ぺろぺろ。

更新します。


――――――――――――――――――――――



竜種「感嘆に値するぞ強き者よ」

 そいつはどうも。

 神に等しいと謂われる竜種にお褒め預かるとは光栄だ。

竜種「我が尾と片翼を切り落とすなど人の身を越ゆる強さぞ」

戦士「待ってろ、次はその太い首斬り落としてやる」

 虚勢だ。 尻尾一本に翼一枚を切り落とした代償が、全身の火傷に肋骨数本、浅くはない裂傷が多数、内臓にも損傷がある。

 僧侶の加護が無ければ数回死んでいるな。


竜種「それは楽しみだ。 さぁ興じよう。 長い長い生涯だが、貴殿程血を滾らせたのは居ないぞ人間」


 生ける神話にここまで褒められるたぁ腕も磨いてみるもんだな。



 滾る。

 悲鳴を上げる肉体に鞭を打ち、竜種を見つめる。

 猛る。

 満身創痍の肉体に反して、頬が弛むのが分かる。 堪らなくこの時間が楽しい。

 ああ、どうしようもなく――。

戦士「ウオオォォォォォオオオッッ!!」

 哮る!!

戦士「いくぞ竜種ぅッッ!!」

 全身の力を総動員して得物を振り上げ竜種に突撃した。



 何千、何万、と繰り返した技だ。

 竜種を、並ぶ者無き絶対強者を屠る為に連綿と継がれ、研鑽されてきた武技。

竜種「ガァァアッッ!!」

 雄牛ほども有る鋭い爪が迫る。

 駄目だ、ここからじゃあ。

 彼奴の命には届かない。

 身を屈め、更に疾駆する。

 ざりっ、という肉の削げる音が背中から聞こえる。

 避けきれず、背中の肉が削がれたようだ。

 瞬間、血が噴出、激痛が身体を巡る。

 だからどうした。

 骨を斬らせずに届く程、奴の骨は容易くない。


竜種「くかか、愉悦、愉悦。 身を惜しまずに迫るか。 強き者よ」

 両手に更に力を込める。

 これならば届く。


戦士「っるぅぁぁぁあぁぁああっっ!!」

 振り上げた刃が、竜種の頑強な首に食い込む。

竜種「むぅあっ!!」

 技を放った後、完全に死に体の身体に竜種の拳が叩き込まれた。

また更新します。

更新します。

雄っぱい



 破城槌を食らったに等しい衝撃に身体が蹂躙される。


 空中を二度錐揉みした所で、地面に激突。

戦士「あと三寸で命に届いたぞ」

 全身から力が漏れていく。

 先に命に届いたの奴の一撃だった……か。

竜種「~~~~」

 大気が揺れる。

 奴の口からは聞き取れない程圧縮された精霊言語による高速詠唱によって呪文が紡がれていた。



 仰向けになった目線の先には一段低い黒雲。

 鳴動し、その中心からは高熱が発せられている。

 黒雲の周囲には待ちきれないように燐が幾つも舞いだした。


 頭の片隅にあった埃を被った伝承が頭を過ぎる。


 神に戦いを挑んだ竜種が使ったという原初の火。

 たった七回で世界を灰燼と帰した星を灼く焔。

竜種「さらばだ、強き者よ。 これから先、幾星霜過ぎようとも、貴殿の強さを越える者に合間見える事は叶わぬだろう」


 竜種は詠唱を終え、術の発動を待っている。

 黒雲から発せられた高熱に、僅かに焼け残っていた草木が煙を上げ始めた。


戦士「翼を斬られ、飛べもしないなら貴様も道連れだ」

 死ぬるのならば、せめて殺す。

竜種「如何なる炎だろうと我を灼く事など出来ぬよ。 焔が焔を灼く事など無いように」

 
戦士「そうか。 じゃあやはり首を斬り落としてやる」

 僅かだが、策はある。

竜種「人の身でこの焔を耐えるのは不可能だ。 竜にでもなるつもりか?」


戦士「さぁて、な」

 黒雲が唸りを上げ、赤く染まっていく。


 間に合うか?

 身体を起こし、走り出した数瞬の後、炎が降り注いだ。



竜種「良き時間を過ごしたぞ、強き者よ。 貴殿が切り落としたその翼と尾を墓標とするが良い」


 ……。


 ……。

 ……ざけた事言ってんじゃねーぞ……。


戦士「墓標なんざ得物一本立てときゃ他にはいらねーよ」

 まだ生きている。 手は付いているし足も付いている。

戦士「さぁ、続けようか」


 見事に何も無くなった平原で竜種と向き合う。

 世界に果てなんざないかと思ったが、コイツを見て世界の果てだと言われたら納得してしまう。

 あたり一面灰になっちまって、まるで雪原だ。



竜種「どうやって生き延びた?」

戦士「わかんねーか? そのでっけえ羽の下に隠れたんだよ」


 危うく蒸し焼きになる所だったがな。


竜種「何とも……いや、素晴らしいな、人という種は」


戦士「棄てたもんじゃないだろ?」


 舞い上げられた灰がゆっくりと落ちてくる。

 場違いだが、故郷の冬を思いだした。

 雪以外に何もなく、ひたすらに厳しく、それ故に美しい北の果ての小さな村。

 畑を耕す事も出来なければ、狩る動物も少ない。

 村の特産は北の国特有の恵まれた体躯を生かした傭兵業くらいの寂れた村。

竜種「どうした? 先程までの獣の如き闘志が嘘のようだぞ?」


戦士「感傷に浸るくらいの時間はくれても良いだろう? お前さんみたいに長くは生きちゃ居ないが、それでも生きてりゃ色々あんだよ」

 今は亡き妻と仲間の名前を小さく呟いた。

 コイツを倒したら、褒めてくれるか? 良くやったと言ってくれるか?

竜種「まるであの小僧みたいな事を言うのだな。 魔王だと大袈裟な名を名乗っていた泣き虫の小僧と」

 魔王か……。

 残酷な世界だ。 世界を拒絶したくなるのも分からんこともない。

 ただ、残酷なだけでは無く、途方もなく美しいのもこの世界だと俺は思う。

戦士「竜種よ、名を聞いておこう。 この戦いの末、討った、もしくは討たれた相手の名を知らねば後悔する」

竜種「~~~~。 古の言葉で、最も紅き炎という意味だ」

 名は体を著す、か。

戦士「良き名だな」

 もう一度小さく妻の名を呟く。

戦士「まだ往けんよな、あいつ等を見届けるまでは」


 全身に力を込める。

 出来てあと一発が限度だな。

竜種「そろそろ、終わるか。 強き者よ」

戦士「あぁ、ありがとう。 良い時間だった」


 竜種は身構えた。

 突進だろう。

 誇り高き竜族の最後の一撃だ。
 こちらも全身全霊を込めた一撃で迎え討とうか。


 最上段に構えた戦斧。

 後は振り下ろすだけだ。

 迫る竜種。

 迎え撃つは魔人の如きと冠された刃。

 それでも足りず人で討てぬならば、それすら超えよう。

 魔人を超え、魔神を超えた、すべてを斬滅する大いなる魔神と化して戦斧を振るおう。

 極限まで研ぎ澄ませ。

 見据えた先、武の到達点。

 振り下ろした刃。

 神の宿る手と賞されれる戦士職の極みへ、今――。

今回の更新は以上となります。

次回、みんな大好き聖なるおっぱい。

おつ!

これは良い雄っぱい

がんばれ!雄っぱい!期待してる

雄っぱい


更新しますよ。

みんな大好きおっきなおっぱい。



――――――――――――――――――――――――


僧侶「さて、どうしたものでしょうか?」


 目の前のリッチは生半可な魔法では落とせませんし。


リッチ「キャギャギャギャ」


 迫り来る触手。

僧侶「~~~~」

 結界を張りそれを無効化します。

 互いの攻撃は届かないので持久戦でしょうか?



 リッチは仄暗い眼孔で私を見下ろしています。

 希望を呑み込む深遠の闇。 底知れぬ絶望を体現したかのような深い色。

僧侶「きゃっ!?」


 急に現れたリッチの触手を避けきれずに頬を掠って行きます。

僧侶「これは……」

 リッチの触手に触れた瞬間、彼の心象風景のようなものが頭の中に流れ込んできました。


 何もない丘の上で一人佇み、血の涙を流す男性。



僧侶「不浄の王よ、貴方の身に何があったのでしょう。 喜びも悲しみもない死者の丘の頂で、その眼孔で何を眺めているのですか?」



 昔、神学校の講義で聞いたことがあります。

 遥か昔、誰よりも人の世を愛した優しき王が、世界から悲しみや憎しみを無くそうとしたその果てに。

 悲しみ、憎しみに呑まれ絶望し、その身に受けた絶望を振り撒く化け物と化してしまった。

 それがリッチだと。

 故にその魂に喜びは無く。

 故にその魂に悲しみも無く。

 故に、自我さえもない。

 世界を蝕もうとする呪いその物と成り果てた悲しき災禍。


僧侶「伝承が事実ならば私は貴方を尊敬します。 ですが」

 不規則に揺れるリッチに大杖を向けます。

僧侶「それと同時に軽蔑します」
 私の信念の先にあるものが絶望と後悔で終わる物であってたまるものですか。


僧侶「悲しみに呑まれても尚も光を信じ続けるのが……」

 私の大好きな人が。

僧侶「明日を信じ希望を抱こうと笑うことが出来るのが人間です」
 命を懸けて守ろうとしている世界が。

僧侶「何よりも人を愛したのであれば、なぜ人が持つ心を信じる事を諦めたのですかっ」

 絶望で終わるはずがない!!


 人は弱く倒れやすいのは知っています。 でも。

僧侶「人は諦めぬ限り立ち上がる事が出来ます。 立ち上がる事を諦めた貴方が世を呪うのは間違っています」

 そして、諦めてしまった者を救うのが私達神に仕える者の使命です。

僧侶「不浄の王よ。 貴方の事も救いましょう」


 もう一度、大杖を持つ手に力を込める。

 私のやるべき事は決まった。


 勇者様が行く道の末、可能性の一つであるかもしれないこの不浄の王をこのまま終わらせてしまう事なんて出来ません。

リッチ「ガガギグガグゲゲ」


僧侶「~~~~」

 結界を張ります。

僧侶「~~~~~~~~」

 詠唱を始めます。

 呪文ではなく、省略されていない元来の形での詠唱。

 それは世界へ対する愛の謳。

 生けとし生ける者全てを愛する、生命の賛歌。


リッチ「キィアアァァアアアアアア」

 私の張った結界がリッチの魔法によって浸食されていきます。

 詠唱が終わるまでは持たないかもしれませんね。

 でも、詠唱を止める訳には行きません。

僧侶「~~~~~~~~~~~~」


 結界は今にも破れてしまいそうです。

僧侶「~~~~~~~~~~~~」

 音を立て、結界は崩れました。
僧侶「~~~~~~~~~~~~」

リッチ「アアアアアアアア」

 迫り来る触手。

僧侶「~~~~~~~~!!」

 詠唱が、終わりました。


 触手の回避は間に合いませんね。

 あーあ、魔法使いちゃんのちゅーはお預けかな。

 
 リッチに暖かな光が降り注ぐのを見届けて瞼を閉じます。

僧侶「ありがとう……みんな、大好きですよ」


 この果ても無き世界の果てで、このような満ち足りた気持ちで。

 終わるのであれば、それも悪くはないですね

――――――――――――――――――――――

今回の更新は以上になります。
次はちっぱい

一位 僧侶

二位 魔人

三位 トロルクイーン

欄外

戦士見習い

魔女 魔法使い

さて、なんのランクでしょう

なんなんだ……?
まな板レベルならば逆だもんな

懐の深さ(ぶつ
おやこんな時間に誰だろう

カップの大きさ…?
とりあえず、おつ!!

何のランクだろー わからないや(棒)

おつ!聖おっぱいを粗末にしたら許しませんよ!

    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 ちっぱい!ちっぱい!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J


    _ _

   ( ゚∀゚ )  !?
   し  J
   |   |   

   し ⌒J



    _  ∩
  (;゚∀゚)彡 ちっぱい!おっぱい!ちっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J

・・・・ガチで何のランクか分からんぞ。魔人はともかくトロルクイーンが僧侶よりも下だと・・・?

カップ数はトップとアンダーの差なんです。

僧侶はとっても華奢なんです。
あとはおわかりですよね?

大きさだけではカップ数は伸びないという事ですね

更新します。


――――――――――――――――――――――




魔人「もう終わりなの?」



魔法使い「っはぁ、はぁ」


 痛い。 苦しい。

 致命傷には至らないが傷を多く負ってしまった。


魔法使い「まだまだこれからだよ」

 あまり長引かせたくはない。

 僧侶も戦士も勇者も一人で戦うには相手が悪すぎる。

 僕が助けるんだ。


魔人「威勢が良いのねぇ。 でももう飽きちゃったわ。 終わりにしても良いかしら?」


 魔法は効かないし、肉弾戦で何とかなる程甘くはない。


 どうする?

 どうすれば――。

魔人「じゃ、バイバイ。 私の仕事は貴方をここに隔離する事だから」


魔法使い「え?」


 こいつは何を言っている?


魔人「直接命を奪うなんて下品だし、そこまでする程の報酬もないしね。 この結界、貴方じゃ絶対に破れないけど、三日もすれば消えるから」

魔法使い「ちょっ、待っ……」

魔人「それじゃ、もしかしたらまた会いましょ?」


 そういうと、魔人の姿は跡形もなく消えていた。


 助かった?

 違う。 現状は好転している訳じゃない。


 早くここから出なくては。


魔法使い「~~~~」


 ありったけの魔力を込めて結界に干渉する。

 少女に結界の理論だけでも聞いていたのがこんな所で役に立った。


 結界は対魔術特化の物だ。

 強力な物理攻撃なら破る事も可能だろう。


魔法使い「ふんっ!!」

 杖で思い切り結界を叩いてみたが、手応えはない。


魔法使い「肝心な所で無力だな、僕は」

 自分が情けなくて泣き出したい気分だ。


 それでも杖で結界を叩き続ける。

魔法使い「壊れてよっ!!」

 手のひらから血が滲んで杖を伝い地面に痕を付ける。

 こんな時、戦士か勇者が居てくれたら。

魔法使い「こんな時まで他力本願か。 僕は仲間なのに……何か役に立つ事も出来ずに」

 戦士も僧侶も命を懸けているのに。

 一際大きい力の波長が結界越しだと言うのに分かった。

 これは、戦士だ。

 相対したもう一つは何だろう? 竜種に似ているが馬鹿げた力だ。

 2つの力が徐々に消えていく。

 嘘だ、戦士が負ける筈ない。


 もう一度強く揺らぐと、戦士の気配が消えた。

 感じ取れない程弱ってしまったのか、もしくは――。

魔法使い「大丈夫、きっと戦士は生きている。 竜種を倒して疲れきって気を失っただけ。 早く回復してあげなきゃ」

 杖を持つ手は既に感覚が無い。
魔法使い「あぁ……」


 嫌な予感がして僧侶の気配を探してみた。

 酷く弱々しいが確かにある。

 どうやらリッチを倒せたみたいだ。


魔法使い「はは、早く出てチューしてあげなきゃね」

 だから、だからっ!!

魔法使い「まだ逝くな、逝かないでよ」

 僧侶の気配が途切れた。



 最悪の事態が頭に張り付いている。

 大丈夫。 でも、もしかしたら。

 頭の中でぐるぐると同じ事を考え続けている。


魔法使い「早く早く早く早くっ!!」

 壊れろ! こんな所でゆっくりしてる暇なんて……。


 勇者の気配の近くに酷く禍々しい魂の波長が一つ。

 こんな気配は、僕は一つしか知らない。

魔法使い「……魔王」


 駄目だ、こんな事している場合じゃない。

 三人が危機に瀕してる。

 僕が出来ることは――。


 身体中に残った魔力をかき集める。


 発動させるべき魔法は、三つの禁術の内の最後の一つ。


 混沌の名を冠した魔法だ。


魔法使い「~~~~~~」

 通常は予測不能のこの魔法を、魔力によって無理矢理望む効果を呼び込む。

 呪文がむなしく鳴り響いた。
 失敗だ。

魔法使い「~~~~~」

 諦めてたまるか。 

 もしかしたら死ぬかもしれない。

 成功しても、人の理から外れるてしまうだろう。

魔法使い「~~~~~」


 だからどうした。

 今何も出来ないなら。

 仲間を助ける事が出来るのならば。


魔法使い「こんな命くれてやる!!」




 頭上から光の束が降り注ぐ。


 細胞の一つ一つが灼かれているかのような激痛が駆け巡る。

 視界が白く染まる。

 ………………。

 …………。

 ……。






魔法使い「ガゥァァアアアァァァァッッ!!」

 全身を這いずる激痛を堪えながら叫ぶ。

 身体が造り変わっていく。

 大地を踏みしめる巨躯。

 白き竜鱗は何者をも寄せ付けぬ鉄壁の盾。

 力が満ち溢れてくる。

 僕の身体は今、巨大な竜種と化した。

 命を賭して、白き龍神をその身に降ろす魔法。

 混沌の魔法の効果の中でも最も危険なものだ。

 人に戻れる保証もない。

 確実なのは。

 この結界を破る力を見に宿せるという事だけだ。


魔法使い「ガゥアアアアアアアアアッッ!!」

 強く大地を踏みしめて、結界へ向けて突進する。

 少しの抵抗の後、砕け散る結界。

 空を見上げる。

 翼を広げ羽ばたく。

 みんな。 あと少しだけ待っていて。
 
――――――――――――――――――――――――――

今回の更新は以上になります。

ちなみにド○ゴラムではありません。 パ○プンテです。


次回 ちっぱい無双

更新乙!
ちっぱい期待!!

ちっぱい!!がんばれ!みんなを助けて!

乙でした!おっぱい!

頑張るちっぱい応援します

更新乙です!
ちっぱい! ちっぱい!

ちっぱい!ちっぱい!

月が変わってまだ終わってないのかよ

ちっぱいはまだか!

楽しみにしてますので更新頑張ってくださいね!

無理だったー。

更新します。



――――――――――――――――――――――


 見えた。

 一面真っ白になった平原に横たわる巨竜の影に、戦士の姿。


魔法使い「ガゥ!!」

 しまった。 言葉が喋れない。
戦士「ちょっと見ないうちに随分デカくなったみたいだな」

 さすが戦士。 一目で僕だと分かるんだ。


戦士「役目は果たした。 少しゆっくりしてから合流させてくれ」

 戦士は生きているのが奇跡な程の重傷だ。

 
戦士「この目では大して役には立てんだろうしな」

 目?


戦士「失明はしてないが、ぼんやりとしか見えん。 まぁ、竜種の頂に居るような相手だったんだ。 視力くらいで何とかなるならおつりがくる」


 戦士は紅蓮の竜種の亡骸をぼんやりと見つめて呟いた。


戦士「僧侶もやばそうだが、死んじゃ居ないみたいだ。 俺が見に行く、さっきの借りも返さにゃならんしな」


 戦士は熱で形が変わってしまった戦斧を背負うと歩き出した。


戦士「俺や僧侶より今お前を必要としてる奴が居るだろう? 向かってやれ。 そして、全部終わらせてこい」

 うん。 ありがとう。


 翼をもう一度強く羽ばたかせ飛翔する。

 僕は僕の出来る事をしよう。


 ………………

 …………

 ……

 飛び去っていく白い竜を見送り、ゆっくりと息を吐く。

 長かったこの旅も、そろそろ終わりに近い。

 旅の切っ掛けは、おかしな二人組に声をかけられたんだったか。
『そこのおっさん、辛そうだな!! どうしたんだ』

『すみませんいきなり、でも何か辛い事を抱え込んでいるのではありませんか? 貴方の瞳はとても深い悲しみの色をしています』


 まさか、ここまで一緒に来る事になるなんてな。


『僕に何ができるかは分からないけど、それで良いなら』

 捻くれ者の小娘もその後仲間に加わったんだったな。

 最初はただの小娘かと思っていたが。

戦士「いつの間にかデカくなったな、どいつもこいつもこれからが楽しみだ」

 悲鳴をあげる身体と、ほとんど役に立たない目に鞭を入れ、僧侶の所へ向かう。


戦士「上手くやれよ」

 頬が緩む。

 そういえば、最後に笑ったのはいつだったかな?


―――――――――――――――――――――――――――




 ついに二人になったか。

 戦士は、きっと無事だ。

 僧侶は、泣いてなきゃ良いな。
 魔法使いは、無茶してなきゃ良いけど。


少女「なぁ……勇者」

 後ろを歩く少女に呼び止められる。

勇者「ん?」

 振り向くと、少女は怒ってるような、心配してるような、なんだかよく分からん顔でこっちを見つめていた。


少女「身体は……大丈夫なのか? お前、あの時使っちゃっただろう?」

 普段とは随分違う態度に戸惑う。 むしろこれが素なのか?


勇者「あー、特に心配すんな。 あれくらい何の問題もないぜ」

 みんな頑張ってるのに俺だけへばってなんかいられないしな。

少女「‘あの技’は、今の身体じゃ使えて一発なんだ。 例え魔王でも使ったらいけないからな」

 僧侶助ける時に使っちゃったもんなー。

 んー、でもまぁ。

勇者「きっと大丈夫だ」


 強くあろう。 と思う。

 勇者だから。 じゃあない。

 みんなの笑顔を曇らせたくないから。 

 勇者なんて柄じゃあないな。 世界を救う、なんてつもりじゃなかったんだ。

 誰にも握り返されない手に、手を差し出してただけだったんだ。
 必死に伸ばした手が、誰かに手を差し伸べて欲しくて伸ばした手が。

 誰にも握り返されないのは辛いから。 

勇者「もちろん、お前の手も離さないぞ?」

少女「いきなり何?」


勇者「気にすんな」



 そろそろ本命も来たようだしな。


 木々がざわめく。

 命ある者全てを否定するような凍てつく波動が辺りを包む。

勇者「よぉ、久しぶりだな」

 背にある剣に手をかけ、滾る気を抑えながら目の前の男を見据えた。

魔王「まだ生きていたのか。 しぶとい奴だな」


 魔王は精巧な彫刻のように表情一つ変えない。


少女「兄……様」


 存在とは真逆。 髪の一本一本からつま先に致るまで、一切の汚れのないような純白のその身をゆっくりと揺らしながら近づいてくる。


 魔王が一歩近づく度に、その分だけ死が近付いてくる気がしているのは錯覚だと信じたい。
魔王「まぁいい、死ね」

 魔王の手から宵闇を束ねた出来たかの如き漆黒の剣が現れた。

勇者「は、上等だぁぁッッ!!」


 一気に剣を抜き放ち魔王に切りかかる。

魔王「ふん」

 簡単にいなされる。

 こっちは両手、そっちは片手だって言うのにな。

魔王「片手の方が、やりやすいのでな。 ~~」

 魔王の手の平から氷杭が数本飛んでくる。


勇者「うぉっ!?」

 髪の毛が切れて舞った。 ぎりぎり避けれたが、禿げたらどーすんだ畜生。

勇者「今度はこっちの番だぜ?」
 腕に力を込める。 剣に込めるのは隼の如き、鋭く速き二撃。

魔王「くぅっ!!」

 ち、防ぎやがったか。

 ならごり押しだ。

勇者「オォォォッラァッ!!」

 戦士直伝の乱舞技。 剣の勢いを殺さずに二の太刀三の太刀へと繋ぎ続ける。

 隼程の速さは無いが体力の続く限りは切り続けることが出来る。

魔王「剣の勝負ならば多少分が悪い。~~~」

 呪文なんか唱えさせるかよ。

 このまま押し切って……。

魔王「一度しか言わないぞ?」

 魔王が一瞬、悲しげな笑みを浮かべた気がした。

魔王「少女、巻き込みたくはないから離れていてくれ」


 今なんて言った?



少女「え?」

魔王「~~~~。 消えろ」


 しまっ――


 大地を砕き稲妻が天へ伸びていく。


勇者「やるなぁ、おい」


 死ぬかと思ったぜ。


 まぁ、死んでなんかやらんけどな。

――――――――――――――――――――――――


今回の更新は以上になります。

さて!やっとこさ最後の戦いまで書けました。

もうちょいで終わりです。

聖おっぱい出てないけど大丈夫だよな?

更新乙! 終わるのが寂しいぞ…

おつぱい

更新しますよー。

あと4~5回の更新でおわるかぁ。



 近い。

 逃げ出してしまいたくなる程の禍々しい気配。

 絶望と諦観の象徴。


 見下ろした先にソレは居た。



魔法使い「ガゥアアアアアアアアアッッ!!」

 恐怖を振り払え。

 僕は強い。 僕は戦える。 僕は負けない。

 翼に力を込める。

 天高く飛翔した後、魔王に向け急降下。

 その身を降り注ぐ流星と化し、突撃した。

勇者「新手かっ!?」

少女「違う、この魔力は……」
 説明は後だ。 今はコイツを倒す事が先決。

魔王「~~~~」

 障壁? 

 無駄だっ!!

魔法使い「ウゥアアアアアアアアアッッ!!」

 魔王を捉えた。

 鼻先の角に軽い衝撃。


魔王「むぅっ!?」

 突進が直撃した魔王は広場を超え、森の奥まで吹き飛んでいった。


勇者「魔法……使い?」


少女「使ったんだね、その魔法」

 二人が僕を見つめる。

魔法使い「ガル……」

 勇者は傷だらけだ。 少女には傷らしきものは見当たらない。

 勇者は彼女を守りながら戦っていたのだろうか?

 まったく、こんな時まで随分と余裕がある事で。


魔法使い「ガゥア」

 それにしても言葉が通じないのは困ったな。

 一瞬、森の奥が光った気がした。

勇者「あぶねぇっ!!」

 え……身体に穴が空いている?
魔法使い「ガフッ……」

 身体の数カ所が、森の奥から伸びた深紫の光束に貫かれていた。
 身体から力が抜けていく。

勇者「あの野郎、遠くからなぶるつもりか」

 勇者が森の方へ駆け出していく。

魔法使い「……まって」

 このままじゃ意識が……。

少女「まったく、大事な所で決まらないね君って奴は」

魔法使い「自覚はあるよ……、て喋れてる?」

 手もあるし、足もある。

少女「竜を維持するだけの魔力が無くなったんだろう」

魔法使い「……せっかく強くなれたのに」

 竜の方が勇者の助けになれたのに。

少女「あれ以上行くと人に戻れなくなるんだ。 この機会に戻れたのは運が良いよ」

 人に戻れなくたって良かったのに……。

少女「そう不満そうな顔しないでくれ。 人を止めるなんてそう簡単にするもんじゃない」

 まぁ良い、人だろうと竜だろうとやる事は変わらない。

少女「申し訳ないけど、私も連れていってくれないか? 私はどうやら見届けなくてはならないらしい」

魔法使い「仕方ないね」

今回の更新は以上になります。

あぁードラクエ7やりたい。

もしくはFFTでも可。

更新おっぱい!乙!


もう少しで一年経っちまうな・・・
終わりなんて寂しいな

寂しいね(´・ω・`)

いや、コイツ(作者)のことだから完結まで暫くかかる
一年とかかかるんじゃね?


一年かからないように気を付けるわ


更新します。




魔法使い「勇者!」


 勇者はすぐに見つかった。

魔王「どうした、威勢ばかりで実力の伴わぬは虚しいだけだぞ」

勇者「黙れっ」


 二つの影が付いては離れを繰り返す。

 実力は互角。


 森の深くで、世界の片隅で、世界の命運をかけた戦いは行われていた。



少女「……」


 少女は何も言わずそれを見続けている。

魔法使い「今加勢すればたぶん倒せる。 加勢しに行っても良いかい?」

少女「何故私にそれを聞くのかな?」

 少女は二人から目を逸らさずに言った。

魔法使い「聞かずに魔王を倒したら君が泣いてしまいそうだからね」

少女「腐っても兄貴だからね。 この感情をどう表して良いか分からないよ」

魔法使い「まぁ、君がどんな返事でも僕は魔王を倒すけど。 恨むなら僕一人にしてよね」

 少女の兄と聞いてから心に決めていたんだ。  魔王の首を跳ねるのは、僕か戦士の仕事だって。

 勇者や僧侶は、やるには優しすぎるからね。


少女「恨みはしないさ……たぶん泣くだろうがな」

 少女はまだ目を離さない。

 兄の姿を目に焼き付けているのだと思う。

少女「無事魔王を倒せた暁には、私は肉親は愚か同じ民すら居ない独りぼっちになるからな」
 少女は力なく笑う。

魔法使い「そっか……」


少女「さて、そろそろお願いしようかな」


魔法使い「もう良いの?」

少女「……あぁ」

 目を瞑り大きく息を吸い込む少女。

 その肩は僅かに震えていた。



少女「今は無き我が国の姫としてお願い申しあげます。 旅の魔法使い様、どうか我が祖国を討ち滅ぼした悪虐非道の魔王を退治して下さいませ」



 風になびく艶やかな黒髪の合間から、力強い深紫の瞳が見つめていた。



魔法使い「任せて」



魔法使い「~~~~~~~~~~~~」


 魔力を杖に込める。

 一撃に全魔力を込める。

魔法使い「勇者、ちゃんと避けてね?」




 杖の周囲から漏れ出した魔力が極光となり揺らめく。



 発動に必要な魔力が溜まった。


少女「はは、中々に凄いじゃないか……」


 杖から魔力が溢れ出る。



 溢れ出した魔力は、光の洪水と化して魔王を飲み込んでいった。


今回の更新は以上になります。

乙ん
終わりは近いか……感慨深いもんだ

乙。いよいよ魔女の過去話は終了間近か・・・・

つっても作者の当初の構想どおりなら、この話が終わってもまだ続編が二つ三つあるわけだし。のんびり気長に待たせてらうさ

なかなか更新しないから終わんないよ

乙でつ

あり?
まだ更新せんの?



更新します。





魔法使い「あー……キツい、動けない」

 全身の倦怠感が酷い。

 全神経を集中させなきゃ指先すら動かせない程だ。



少女「案外簡単に終わってしまったな……」

 少女は目を細めて遠くを見ている。

 彼女の表情から感情を推し量る事は出来ない。


勇者「やっぱり魔法使いは凄いな……」

 薙払われた木々の合間から勇者が出てきた。


少女「……兄さ、いや、魔王は?」

勇者「んーそこで伸びている。 多分不相応な魔力で全身ガタ来てるから長くはない……話すなら今だ」

 止めを刺さない甘さに呆れつつもほっとした。 勇者にはそうあって欲しいと思っていたから。

少女「……行ってくるよ」

 少女が、倒れた魔王に歩み寄る。

 無粋かもしれないが、少し離れた場所で見守る事にした。



――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――


少女「兄……さん」

 目の前に居るのはあの時と変わらない姿の兄さんだった。


魔王「少女か……。 また、泣かせてしまったな」

 表情は変わらない。

少女「なんで……こんな事」


 物静かだった兄が、国を滅ぼし、世界を終わらせる程の凶行に走った理由が私にはどれだけ考えでも浮かばなかった。

 禁忌に触れた事で暴走してしまったのだとしても……。

 何故兄が禁忌を求めたのかが分からないのだ。

魔王「泣かせないように、こうした筈だったのにな……つくづく駄目な兄だ」


少女「答えてよっ!!」

 仰向けに倒れた兄が手を伸ばす。

魔王「これからは、笑って生きてくれ」

 頬に指先が触れた。

少女「兄さ――」

 崩れ落ちていく指先。

 徐々に兄は紫に光る粒子になって崩れていく。

少女「貴方は……馬鹿だよ……」

 目の前に居るのは国を滅ぼし、世界を闇へ落とそうとした魔王だ。

 だというのに涙が止まらない。

魔王「……何を泣いている?」

 粒子化が止まり、兄が訪ねた。

 なんという奇跡だろうか。

少女「兄さん……よか」

魔法使い「離れろ少女っ!!」

 兄さんが離れていく?

 違う、突き飛ばされたんだ。

 誰に?

 魔法使いに。

 何故?


魔法使い「ぅああぁぁぁッッ!!」
 魔法使いの悲鳴。

 粒子化して欠損した兄の手から噴出するどす黒い‘何’か。


 どうやら、この世界の何処かにおわす運命を司る神様はどうにも悲劇が好きらしい。

少女「こんなのって……こんなのって酷すぎるよぉ……」

 誰でも良い……。

 もう、終わらせてくれ。

勇者「少女、二つ程先に謝る、すまん」

 兄だったモノと私の間に立つ勇者。

少女「え?」

勇者「俺はお前の兄さんを殺す。 恨んでくれて構わない。 もう一つはあの技、使うぜ」

 勇者が剣を掲げる。

 彼の技は勇者としての力を使う。

 あの技は元来は勇者という比い希なる生命力があってなせる技であり、魔王の呪いを受けた彼には一発が限度の技だ。

そして彼は僧侶を助ける際に一度使っている。

 最悪、その場で絶命してしまうかもしれない。

 もし死ななかったとしても、大きく寿命を削られてしまうだろう。

勇者「心配すんな、家族が居なくなるお前を一人にはしねぇから」
 そんな根拠は無い癖に……。
 そんな真っ直ぐな笑顔を向けられたら信じてしまうじゃないか……。

少女「すべて終わったら……私の家族になってくれ。 ならば許す」

勇者「……分かった。 んじゃ未来の旦那さんの為に笑顔で待っといてくれ」

 うん、お前なら。

 きっと。



――――――――――――――――――――


 少女は無事だろうか?

 無我夢中で助けたけれど、僕は生きているのかな?


 『憎い』

『悔しい』

『妬ましい』

魔法使い「うぐぁッッ!!」

 頭が割れる。 僕の中に、何か違う意志が流れ込んでくる


 『消えろ』

 『滅びてしまえ』

魔法使い「こっれは……いった……い?」



 『何故彼女が……』

 『……妻がなんで死ななくてはならなかったんだ』

 『娘を返せッッ!!』



 上下左右も分からない。 どこまでが自分かも分からない深闇。

 痛い、苦しい、悲しい、寂しい。


『ああああああああああッッ!!』


『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』

 これは……負の感情?

 『こんな世界……無くなってしまえば良い』

 そうか……。

 これは、深遠だ。

 魔術の根底、全ての精神が帰る魂の坩堝。

 世界中の負の感情の集合体。

 魔王の触れてしまった魔術の到達点だ。




魔法使い「駄目だ……呑み込まれる」

 世界と自分の境目が保てなくなる。


魔法使い「憎い……」


 嫌だ……こん……な感情に呑まれ……たくなんかな、いよ……。

 『なら君はここに来るべきでは無いよ』


 誰?


 『君には仲間が居るんだろう?』


 『僕には出来なかったけど……君なら出来るさ。 妹の涙を止めてやってくれ』


 君は……。

今回の更新は以上になります。

平日の深夜に更新…
おつかれさまです!

おつ!ドキドキだね!

数字はカウントダウンかな。乙

更新します



魔法使い「絶対に呑まれてたまるか……。 確かに世界は、悲しみに溢れてる。 でも、きっと……」

魔法使い「勇者が、みんなが護ろうとしている世界が滅びるべきなんて間違ってるッッ!!」


 冷え切った身体に暖かい物が触れる。

 それはまるで手を引いてくれているようだ。

 『大丈夫』

 『世界は美しい』

 『ありがとう』

 『護りたい』

 これは、世界の根底……誰かを愛する優しい気持ちの集合体だ。

 暖かい。

 優しい声。

 力強い声。

「戻ってこい」

 意識が緩やかに微睡んでいく。

 極寒の闇の中に、優しい光が灯る。

 それは、徐々に明るく、力強くこの世界を照らしていく。

勇者「戻ってこい、魔法使い」


 光が全てを包み込む。

 余りの明るさに思わず目を瞑る。

勇者「……大丈……夫か?」

魔法使い「勇……者?」


 目を開けると、そこには勇者がたっていた。


僧侶「大丈夫ですか?」

 僧侶も居る。


戦士「無事……なようだな」


戦士も居る。


勇者「さぁ……最、後の仕……上げだ……」


 勇者、君はボロボロじゃないか……。

 空には全てを呑み込むような極黒の塊が浮いていた。

 ソレは、聞くだけで心臓を鷲掴みにされたような恐ろしい声で叫ぶ。


魔王「なに故……もがき生きるのか……我こそは全てを滅ぼすもの……全ての命をわが生贄とし絶望で世界を覆いつくしてやろう……滅びこそわが喜び……死にゆくものこそ美しい……」


 絶望が形を為し、全てを終わらせようと胎動を始めた。

 今にも空を、大地を喰らい尽くそうと無尽蔵に触手を伸ばし、顎を広げている。

魔王「さあわが腕の中で息絶えるがよい」

勇者「勝手に言ってろよ」

 魔王の言葉を遮る力強い声。

 既にその身体は動く事さえ奇跡だというのに。

 勇者は臆さずに、凛として言い放った。


少女「もう止めろ勇者、死んじゃうだろ」


 勇者は不敵に笑う。

勇者「俺は死なねーって、みんなが居るしな」

戦士「どうするつもりだ?」

勇者「魔法使い、ゴーレムと戦った時の奴、できるか?」


 なる程。

魔法使い「任せてくれ」


 できるできないじゃあないよ。

 やるしかないんだろう?


魔法使い「柄にもなく、燃えちゃうね」

 勇者と手を繋ぐ。

 空いた方の手は戦士の手を握る。

 勇者は空いた手を僧侶と繋ぐ。

勇者「細かい事は相変わらず苦手だからさ、俺は全力でやるだけだ」

魔法使い「任せてくれ、必ず決めてみせる」

僧侶「魔法使いちゃんは魔力の操作に集中してください。 私は最後の一滴まで魔力を絞り出します」

戦士「何があっても俺が気を保つ、勇者は御雷の精霊との交渉に集中してろ」

勇者「ありがとうな」

 手を強く握りしめられる。

 僕も、強く握り返す。

魔王「滅べ。 我に刃向かう愚かなる人間よ」

勇者「いっくぞぉぉぉぉぉォオオッラアァアアアッッ!!」

 不思議な事に、不安や恐れは微塵もなかった。

 在るとすれば、満ち足りた幸福感。

 僕……私はこの人たちに出会えて幸せだった。

 人って、こんなにも暖かいんだったね。

 頭上に広がっている鈍色の分厚い雲に穴が空き、光が漏れだしていく。

 光が漏れていく。

 雲の合間から紫電が疾走る。

魔王「憎いぃぃ……憎いぃぃぁあああああああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!」


 天と地を結ぶ神聖なる御雷の柱が、魔王を包み込んだ。


 魔王の声が虚空へと消えていく。


 これで、僕達の長いようで短かった旅は終わりを迎えた。


魔法使い「……」

勇者「終わった……みたいだな」


 僕達は、空を見上げていた。



 世界を包んでいた、絶望の象徴だった鈍色の分厚い雲。

 それが晴れていく。

 陽光は、世界の果て隅々にまで優しく降り注いだ。

戦士「美しいな……」

僧侶「まるで勇者様の髪みたい、綺麗で、何処までも透き通るような蒼ですね……」


 あぁ、世界は美しいね。

 この空の下。

 人は、喜んだり、悲しんだり、憎んだり、愛したりして生きていくんだと思うと、世界を堪らなく愛おしく感じるよ。


少女「僧侶の手前……我慢しようと思ったのだが、我慢できそうもないな」

勇者「ん? ってうわっ!?」

 仰向けで空を見上げている勇者に少女は飛び込んだ。


少女「勇者……ありがとう……ありがと……う、うわぁぁああんっ!!」

 少女は勇者の胸板に顔を押し付けて幼子のように声を上げて泣いている。

勇者「お、おい!?」


少女「出会ってくれてありがとう……手を差し……伸べ……れてありがと……ぐすっ……にい……ひっく……あり……とう」

 嗚咽混じりの感謝は最後には聞き取れないくらいに少女は泣きじゃくる。

勇者「うん……うん」

 勇者は最初こそ戸惑っていたものの、優しく少女の頭を撫でながら彼女に相槌をうっていた。


僧侶「……」

 その光景を少し悲しそうな顔で僧侶は眺める。


 やれやれ。

魔法使い「そういえば」

僧侶「?」

 僧侶の前に立ち、触れるか触れないか程度に唇を重ねた。

 生意気なことにこの乳袋は背が高い。 ので、めいいっぱい背伸びをしなくてはならないのが非常に不愉快だ。

僧侶「え? え?」

魔法使い「約束したでしょ?」


 昔ママが言ってた気がする。

 大切な人が出来たらキスをしなさいって。 それが人なんだって。


 大切な人……うん。 みんな大切な仲間だし。

 戦士は背伸びした所で届かないし、大人の男の人にキスするのはやっぱり怖いから。

 勇者は……まぁ、うん。

 こういった事に疎い僕でもそれはまずいって事くらいは分かる。

僧侶「優しいですね……魔法使いちゃんは。 私に気を使ってくれたんですよね」

魔法使い「さて、どうだろうね?」

 そんなやり取りをしている内に少女が正気に戻ったらしい。


 表情は普段通りだけど目も耳も真っ赤になっている。

魔法使い「これは珍しい事もあったもんだ。 鉄面皮の君がまるで乙女だよ?」

少女「……るさいな、まったく。 私とした事が、油断したよ。 今にも顔から火が出そうだ」

 少女は下をそっぽを向いてしまった。

少女「でも、これですっきりした。 思い残す事は何も無いな」

 え?



少女「みんな、世界を頼んだよ? 僧侶は勇者を頼む」


魔法使い「どういう事?」

 終わったんじゃないの?


少女「最後の仕事をしなくちゃね。 私は私の責任を果たさなくちゃ」


 生温かい風が通り抜けた。

 嫌な予感がして、振り向く。


魔法使い「本当にしぶとい奴だね。 感嘆に値するよ」


 魔王が居た場には、小さな魂の断片が幾つも集まりだしていた。


魔王片「あ゛あ゛あ゛あ゛」



少女「勇者の力じゃあ滅ぼし切れなかったみたいだ……思った以上にこの世界には悲しみが多いらしいね」

 世界を雲で覆い尽くし、各地で魔物を蔓延らせたのは、少しでも悲しみを殖やす為か。

魔法使い「抜け目ない奴だ」

少女「だから、せめて封印するんだ。 この先世界に災いを齎さないように」


 少女には魔力なんて無い筈……もしかして。

魔法使い「少女、君もしかして」

少女「やっぱり君は鋭いね。 嫌になるよ」


 呆れ顔のような、泣き顔のような顔で少女は笑う。

少女「あぁ、魔力の変わりに魂その物を代償に魔王には眠って貰うよ、永遠にね」


 駄目だ……、最後の最後でこんな終わり方。

勇者「そんなんさせねえよ……俺が叩き斬って終わりに……ぐぁっ!!」

 勇者は無理矢理力を使った所為でも限界だった。

 そこに魔王の力の残滓を浴び、動く事すら出来ない。

 僧侶と戦士も同じ様に重症だ。

僧侶「少……女さん、認めませんよ……こんな終わ……り方」


戦士「くそ、動け……動け」


少女「そんな心配してくれるなんて嬉しくなっちゃうよ。 やっぱり世界を終わらせる訳にはいかない。 魔王にはここで終わって貰わなきゃ」


 させない。

少女「~~~~」

 させないっ。

魔法使い「君の役目、僕が引き受ける」

 させないっ!!


 少女の術式に割り込む。

 彼女の封印術は、僧侶探索の時に聞いた結界の術式とほぼ同じだった。


 聞いた時は理解するのがやっとだというのに、今は手に取るようにわかる。


少女「私の術式に介入……もしかして……」


 周囲に流れる魔力の流れの機微が無意識に流れ込む。

 今なら何だってできてしまいそうだ。

少女「やめろっ!! 君はさっき深遠に触れたのだろう。 アレに触れて、複雑な術式なんて、人では無くなってしまうぞ」


 なる程ね。

魔法使い「魔女にでもなるとでも?」

少女「人の身から魔女になるって事は、終わる事の無い呪いを受けるような物なんだぞ!?」


 そんなに恐ろしい物なんだ。


 でもまぁ、別に良いか。

魔法使い「僕の事なら気にしないで良い。 僕が人間を止める事で、君が助かる、勇者と結ばれる、何を迷う必要があるんだい?」

少女「この馬鹿ッッ!!」

 背中が灼けるように痛い。

魔法使い「~~~~」

 きっと辛いんだろうな。

 でも、きっと後悔はしないさ。

魔法使い「~~~~」

 背中の痛みが収まると同時に、封印術は発動した。


今回の更新は以上になります。
おっぱい

乙!
おっぱい

乙!おっぱい!泣けるじゃないか…

おつ
たまに忘れるがこれ只の過去編なんだよな
すげーわ

熱いな……熱いよ……
魔法使い……

更新します



『我を封じるか……小娘……』


『ならばせめて貴様には呪いをくれてやる』


『永劫に苦しめ……貴様には死すらも生温い……』


『光ある限り闇もまた在る……いつの日か再び闇から何者かが現れよう……だがその時貴様は一人……仲間は年老いて生きてはいまい……くはは』



『あは……あはは……あははははははッッ!!』


――――――――――――――――――――――




少女「おい、生きているか大馬鹿者」


魔法使い「あ、あぁ、うん。 生きている……のか?」


 どうやら無事、魔王を封じることができたらしい。


僧侶「魔法使いちゃん……その瞳は……」

 全身を蝕む這うような痛み。

 コレが呪い?


少女「君は……そうか、君はもう人でなないんだな。 その夕闇のように深い紫の瞳……君は、魔女になってしまったんだね」

 そうか、僕は魔女になったのか……。

勇者「……ごめん、俺が力不足なばっかりに……」

魔法使い「謝ることはないよ。 これは僕が選んだ道だ。 後悔も反省も微塵もないさ」


 そう、何の後悔もない。

 この胸にある喪失感だって気のせいさ。

少女「背を、見せてくれないか?」

 少女が言った。


魔法使い「流石にみんなの前で脱ぐ訳には行かないからね。 場所を移してもらうよ?」

 灼け付くような痛み。

 背には一面紋様が刻まれているらしい。

少女「この背の紋様は魔女の証だ。 さらに君の場合は魔王の呪いの刻印までもが刻み込まれている」

魔法使い「ふーん」

 興味はあまり無いや。

少女「残酷な事を言っても良いかい?」

 少女はひりひりと痛む背に指を這わせながら呟く。

少女「君にかけられた呪いは、対象の時を奪う物なんだ。 君の身体が時を刻む事はもう、二度と無いだろう……」

 そっか。

 少女は跪いて僕を見上げる。

少女「私を恨んでくれ、君の未来を奪い、永劫に続く苦しみを与えてしまったんだ。 殺されたって文句は――」

 やれやれ、恨んでないというのに律儀な事だ。

魔法使い「気にしないでくれ、この身ならば僕は思う存分魔術の研究をできる。 本来僕はそうして生きるつもりだったんだ、お礼を言いたいくらいだよ」
 うん、問題なんて無い。

少女「強いな……君は」

魔法使い「おかげさまでね」

少女「うん、戻ろうかみんなの元へ」


勇者「これから皆はどうするんだ?」

 廃城の広間でこれからの事を話し合う。

戦士「さぁな、元より流浪の身だ。 また旅にでも出るさ。 今度はゆっくりと世界を見て回ろうと思っている」

 戦士は手にした杯を眺めながら答えた。

僧侶「私は、一度神殿へ帰ります。 それが私の生きる場所ですから」

勇者「そうか……」

戦士「お前はどうするつもりだ? 国に帰れば……いや、この世界のどこに行こうと英雄として迎え入れられるだろう?」


勇者「俺か? ここに住むよ。 英雄なんて柄じゃあないし、この辺で土でもいじりながら暮らすつもりだ」

少女「魔法使い……君は?」


魔法使い「んー、僕は……」


僧侶「私と一緒に来ませんか?」

 僧侶は垂れた大きな目で僕を見る。

魔法使い「遠慮しておこう。 信心もないしね。 何より君と居るといつか襲われそうだし」


 神様には祈るつもりもない。

戦士「ならば俺と世界を見て回るか? お前は……なんだが娘を思い出してな、正直放っておけないんだ」

 戦士はたぶん気を使ってくれたんだろう。


魔法使い「いや、それも遠慮しておこう。 君の娘にも失礼だし、僕のパ、お父さんにも悪いし」


 パパって言いそうになっちゃったよ、危ない危ない。


勇者「じゃあ、俺と土いじりだな」

魔法使い「ソレが一番嫌だ。 労働は嫌いだし、なにより君と少女の愛の巣にいたら頭が悪くなりそうだ。 眠る度に隣の部屋の嬌声に悩まされるのも嫌だしね」

勇者「ば……おま、なっ!?」

少女「週三くらいで我慢するぞ?」


勇者「ば……おま、なっ、なっ、なぁ!?」


僧侶「不潔です」

戦士「ふ……若いな」


 僕は弱虫だから、君達とは一緒に居れそうもないよ。


 みんなの最期を見届けた後一人生き続けるなんて僕には耐えられそうに無いからね。


魔法使い「僕は……そうだな、魔王を封じた所に小屋でもたてて世界を眺め続けようかな」



 私が生き続ける理由はそこに在るしね。

 
少女「そういえば、私達魔女は新しい同胞に徒名を贈るのが習わしだ。 そうだな……君はひんにゅ」

魔法使い「~~」

少女「甘いっ! いくら魔女になろうと私に魔力操作は勝てまい、ふっふっふ」

 ごんっ。

 うん、良い音だ。

少女「杖でぶったな!? 卑怯だぞ貧乳の魔女!!」

 コイツまだ言うか。

魔法使い「たいして変わらないだろおっ!?」

少女「お前よりはあるもんな、私は普通だ」

僧侶「どちらも可愛らしくて良いじゃないですか、大きくても肩は凝るし良い事なんて……」
魔法使い「うるさい乳袋っ!」


少女「その無駄乳をもいでやろうかっ!?」

 あーもう、楽しいなあ。


少女「で? 君は結局どういった徒名なら満足してくれるんだい?」


魔法使い「小屋建てて暮らすつもりだから小屋の魔女とかで良いよもう」

 適当? 気にしないさ。


少女「威厳も何も無いじゃないか!?」

僧侶「そうですよ! やっぱり私の「ふわふわの魔女」が可愛らしくて最高ですっ!!」

魔法使い「馬鹿丸出しじゃないかそんな徒名!!」

戦士「ならばやはり俺の「金髪之杖鬼」が……」

魔法使い「どう聞いてもそれは豪傑の戦場での二つ名でしょ!?」

勇者「じゃあ俺の「栗鼠の魔女」とか……ほら、魔法使いって栗鼠っぽいし」

魔法使い「初耳だよ!?」

少女「なら私の「破弦の魔女」なら良いじゃないか!」

魔法使い「格好付けすぎててムズムズする、却下」


少女「じゃあせめて、小屋じゃなくて、塔を建ててくれないか? 今の君ならちょちょいのさっと魔法で造れるだろう!?」

魔法使い「まぁ、ソレくらいなら妥協しても良いかな?」


少女「じゃあ、君の徒名は今この時より「塔の魔女」だ」

 塔の魔女、か。 うん、まぁ悪くないかな。

塔の魔女「うん、じゃあ塔でも建てて偏屈魔女として生きるとするよ」


――――――――――――――――――――


 そうして、僕は塔の魔女になった。

 塔での生活は割と快適だ。
 最上部に部屋を作って、安楽椅子をこさえた。


 ある日。
 今日は、勇者と少女が訪ねてきた。

 どうやら勇者達も家が完成したようだ。

 「次は子供?」と訪ねると「任せておけ」と少女は言っていた。 恥じらいを持つべきだ。


 ある日。
 今日は、本をたくさん用意した。

 これだけの量が有れば当分は退屈しなくて良い。


 ある日。
 今日は、勇者の住む辺りに小さな市が開かれると言うので見に行ってみた。

 少女のお腹が大きい。

 からかうと、少女に「宝物だ」と満面の笑みで返されたので、とりあえず勇者を叩いた。 そんなに強く叩いていないのに大袈裟に痛がらないで欲しい。

 月日は止まる事なく、流れ続けた――。

今回の更新は以上になります。
思ったより長くなってしまいましたが、もう少しだけお付き合い下されば幸いです。

もうすぐ・・・終わりか・・・
寂しいな

魔法使いは不老になっただけであって、不死ではないってこと?

>>820

魔女の状態をざっくり説明すると、先という物がない状態、強制的な現状維持です。

なので老いや死は存在せず、風邪も引きません。

髪を伸ばす事も、短くする事もできません。

因みに

魔女としての能力

魔法が凄い。

魔王の呪い

不老不死っぽい何か

となっています。ただの魔女は何か特別な魔法やら何やらを使わなければ普通に生きて普通に死にます。


ほかにも詳しく聞きたい事が有れば物語の終了後にお答えします。

また更新します。

面白かったー

少し魔女の心のなかを考えたら泣きそうになった

乙!愉しかったけど…寂しいよ


更新します。


次で最後。 今までありがとうございました。


 ある日。
 勇者は正式に国を建てた。

 切れ者だった少女が色々と企てたらしい。 近隣諸国との関係は比較的良好だ。

 ある日。
 戦士が遊びに来た。 随分と老けている。 女の子を一人連れていた。 彼は守る物を見つけたと笑っていた。


 ある日。
 僧侶が訪ねてきた。 教会ではかなりの地位らしい。 自由に動けなくて息が詰まると愚痴っていた。


 ある日。
 勇者が死んだ。

 僕が、殺した。

 魔王の呪いが原因だったらしい。最後には年齢とは思えない程老けていた。 恐慌の呪いが進行する前に殺して欲しかったそうだ。



 泣いたのは数年ぶりだ。

 少女は「ありがとう」と言って泣き崩れていた。

 娘はまだ理解できる程の年齢ではない所為か勇者と少女の間を行き来している。


 ある日。
 勇者の国と、僧侶の教会のある国で戦争が起きた。

 教会と国が腐敗していたからだろう。

 でも、全面衝突した平原では死者は一人しか居なかったらしい。

 亡くなったのは僧侶。


 僧侶は、その命と引き換えに戦場の全ての命を救ったんだ。

 僧侶らしいね。 教会は腐敗した上層部を切り捨てて、僧侶を新たなる成人として祀るらしい。

 勇者の国ではそれを国教として採用した。 決めたのは勇者と少女の娘だ。

 最後まで馬鹿だよ……。

 こんなに胸が痛くなるなんて……。 僕の心はまだ凍てついてはいなかったみたいだ。


 ある日。
 戦士の連れていた娘が訪ねてきた。

 戦士が死んだらしい。

 娘は泣いていた。 己の力不足を恨んでいた。

 戦士も幸せだっただろうと思う。 彼の崇高なる武人の魂はきっとこの娘を通じて連綿と受け継がれていく事だろう。




 ついに……ひとりになってしまった。








 もう、泣かなくて済む。 そう言い聞かせながら泣いた。







魔女・・・・



 ある日。
今日は勇者達のの記念祝典らしい。
 魔王討伐百周年記念らしく、様々な国が式典を開いている。
 あれから百年も経っていたのか。

 僕だけ除け者にされて居るみたいで悔しいね。

 果ても無き世界の果てには、死せる魂が安らぐ楽園が在るという。

 彼らはそこに居るのだろうか?

 少女は、今度は勇者を僧侶に譲ってあげても良いのじゃないかな?

 そんな事を考えて笑ってしまう。

 そういえば、旅をしていた頃に勇者に「寂しそうな笑顔」って言われたな。


 昔を懐かしむ。


 大丈夫。 涙は流さない。


 ある日。
 近くに村ができて居た。

 僕の事を恐れてか、塔には一向に近づいてこなかった。

 そういえば、僕の故郷の村はまだあるのだろうか?

 魔法で見てみようかと考えた。

 けれど、いつかは無くなってしまうだろう。

 これ以上思い出は増やさない方が良い。


 これ以上過去に縋ると思い出に溺れて沈んでしまいそうだから。



 ある日。
 王国の四代目の戴冠式典に出る事になった。 この娘は髪が少女に良く似た黒髪だった。








 ある日。
 ふと昔の夢を見た。
 覚めなければ良かったのに。
 泣いていたのだろうか? 枕が濡れていた。

 泣いてなんか居られない。 これは僕が選んだ道なのだから。



 ある日。
 うたた寝してしまった。


 微睡みの中、懐かしい声が聞こえて起こされた気がした。

 思わず辺りを見渡す。

 「勇者? 僧侶? 戦士? 少女?」

 居る訳も無いのに必死に呼びかけている自分に気が付くと、滑稽さに思わず自嘲する。

 僕は、こんなにも弱かったのだろうか?


 百年以上昔の事を昨日のように思い出しては幼子のように狼狽える。

 今日は良くない日だ。

 でも、一瞬でも幸せな気持ちになれた。

 彼らの夢を視たのも数十年ぶりだ……

たまには、許してもらえるよね?



 ある日。
 今日も本を読んで過ごす。

 遠くの国では戦争が始まったらしい。 愚かな事だ。

 勇者達が愛した世界だと言うのに、人間というのは争わなければ生きていけないのだろうか?

 こんな事を考えて、自分が人間ではない事を実感した。


 ある日。
 今日も本を読んで過ごす。
 村で疫病が流行っていたらしい。

 言ってくれれば、薬くらいは用意してあげても……いや、彼等の世界に僕は介入する訳には行かないな。

 僕は、この世界の片隅で、魔王の墓守りをしながら見守ろう。

 この果ても無き世界の行く末を。

ああ、ここでか



 もう何年経ったのだろう。

 そろそろ二百年程度の月日が流れたのかな。



 やはり、少し寂しいな。



 でも、この終わりの無い命では、人と関わった所で悲しいだけだ……。

 そう、思っていた。




 そんなある日の朝だった。



 塔の中に誰かが入って来たのがわかる。


 足音は一人。 多分まだ子供だろう。


 どうやって追い返そうか?


 でも、久しぶりに誰かと会うのかと思うと、少しだけ胸が高鳴った。



 そっと、部屋の扉が開いた。







少年「あなたが塔の魔女?」











魔女「いかにも……僕が悪名高い塔の魔女だよ」


 この果ても無き世界の果てならば――。

 もしかしたら。











魔女「果ても無き世界の果てならば」



完。

乙!一年近く続いた魔女の過去話も遂に完結か・・・>>1にお疲れ様と言いたい。

仲間が誰もいなくなった魔女にとって、少年は本当に救いだったんだなあ・・・

以上で

魔女「果ても無き世界の果てならば」

終了となります。

感想、質問等ございましたらできる限り答えたいと思います。

放置、遅筆がちにもかかわらず最後まで付き合って下さった方、本当にありがとうございました。

乙!
あなたの作品のせいで何度寝不足になりかけたか
大好きなSSだよ
タイトルセンスも好きだ いろいろ良いな!

遂に完結ですか
作者さんお疲れ様です!

面白かったよ!!
乙!!

おつおつ
面白くてずっと読んでたぜ
で、サイトってどこよ?

話を聞き終えた少年が気になる

面白かったぜ
過去作も読んでくるか

長い間お疲れさま

本当に面白く楽しませてもらったよ

ありがとう

乙!
続編も楽しみにしてるよ

お疲れ様!!
ずっと前作、関係作読ませて貰いました!

凄く魔女の切なさが伝わってきました
泣けました

続編待ってます!



蛇足1


魔女「とまぁこんな所かな」


少年「……ぐすっ……ひっく」


 魔女の過去は、あの時見てきたから知ってはいました。

 でも、魔女の気持ちまで見た訳ではないです。

魔女「そんな泣かないでくれ……涙は人を弱くするよ?」


 魔女は強いですね。 でも、弱くたって良いじゃないですか……。

少年「魔女……僕は何があっても君の側にいるよ。 絶対に離れたりしない」

魔女「……ありがとう。 でも君は君の生きる道を見つけるべきだ。 君を縛り付ける気はないよ」



魔女「ふふ……期待はしないでおくよ」

少年「ねぇ、魔女」

魔女「ん?」

少年「出会ってくれて、ありがとう」


魔女「どういたしまして。 こちらこそ」


 魔女の笑顔を絶対に守りたい。


 僕は誓う。
 神様なんて居るか居ないか分からないものじゃなくて、 僕自身にかけて誓いを立てる。



少年「それと魔女、僕はね」

魔女「なんだい?」


少年「僕は小さくても良いと思うよ」


 最後まで気にしてたみたいだし。


魔女「~~」


少年「え? ちょ? 魔女? それは……」


魔女「うん、お仕置き」


 痛いのは嫌です。

嫌だってばっ!?


 うわあー。

終わり



ちなみに、次の話は勇者と少女の話の予定です。


次作

勇者「この美しき世界で」少女「生きていこうか」

ご期待下さい。



たくさんの乙ありがとうございました。

逆鱗に触れてはいけないとあれほど……

微乳乙!

まな板おつ! 最後笑えて良かった

蛇足1ってことは2~を期待していいだな?

それよりある日の話をしてもらう方が。

あと4、5年は楽しめそうだ

おつかれさまでした!
毎日、楽しみにしてたのに終わってしまうと…
次回作も期待!

調べてみたら少年の修行編があったんだな

>>849


http://33.xmbs.jp/wwwarasimawww/?guid=on

小説のコーナーに色々あります。


ある日。

は、各キャラのその後のSSにリンクしています。

蛇足は気が向けば書きたいと思います。

>>866
ありがとう
色々学んでくるわ

長い間お疲れ様です
最後まで楽しませていただきました
ありがとうございました

楽しかったよ
ありがとう



他の言葉が出て来ないや……とにかく乙です!

泣けた、、お疲れ様でした!

浮上

乙 ありがとう


次回作は、ここで誘導してくれたりすんの?

既に立ってる

ありがとう
探してくるわ

もう次回作まで行ってるのか

タイトルなにー?

続編

勇者「この美しき世界で」少女「生きていこうか」

更に他のタイトル知りたきゃサイト見に行きゃ全部ある。

更にギャグの番外もある

ギャグはチワワで探せばある。

キャラ崩壊気味なので閲覧注意。

チワワってつながりあるの?

>>884

塔の魔女シリーズと同じ世界観です。

少年「安価で魔女と魔法の修行をする」

の時代で、上記のタイトルに出てきた衛兵、チワワ、ハムスターなどが隠しダンジョンを攻略するという内容です。

塔の魔女シリーズの登場人物も出てくることがあり、ちょこちょこ本編で記述の無い設定などの説明もあります。

ただ、全体的に極度にギャグに傾いているので、本編の雰囲気を気に入って下さって居るのであれば、閲覧は注意です。

>>582
の話は結局どうなったの?

>>886

>>886

今は果て果ての続編として

勇者「この美しき世界で」少女「生きていこうか」

というスレを建てています。

また、塔の魔女と同じ世界観で
衛兵、チワワ、ハムスター「また隠しダンジョン攻略かよ……」
というギャグも書いております。

面白かったです

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