井村雪菜「落ち着いてくださいよぉ」 (20)

申し訳ないのですが、いつものあの人ではありません。
思いついちゃったので、せっちゃんさんでいきます。

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雪菜「言いたい事が言えない……変わりたいのに変われない」

雪菜「とにかく変わりたいって田舎から出てきたのに……うまくいかない。虚しい、苦しい」

モバP「ほう、それは良くないなァ」

雪菜「!?」


雪菜「だ、誰ですか、貴方!?」

モバP「おっといけない。始めまして、ワタクシ、こういうものです」

雪菜「アイドルプロダクションの……プロデューサーさん?」

モバP「まあ、話を聞いてくださいよ。あそこの喫茶店で……コーヒー一杯ただで飲めるくらいの気持ちでいいからさ?」

雪菜「は、はあ……そこまでいうなら」


モバP「ほうほう、小物集めに……メイクが趣味。それはいい! メイクは魔法です、女性を輝かせる!」

雪菜「ええ、私お化粧大好きなんです! あの……アイドルになれば、もっと可愛くなれますか?」

モバP「ハッキリ言いましょう。わかりません」

雪菜「ええええ!? そこでハッキリ、なれるよ、って言わないんですか!?」

モバP「ええ、お陰で私はスカウトの成功率が事務所の中で最下位です」

雪菜「は、はぁ……」


モバP「雪菜さん、夢を叶えるのに一番大切なことはなんだと思いますか?」

雪菜「え? えーと……努力と……根性?」

モバP「正解です。でもそれだけじゃない」

雪菜「じゃ、じゃあ本当の正解は?」

モバP「そりゃあもう、たくさんです。一つずつ挙げて行ったら日が暮れてしまいますよ」

雪菜「……一番大切なものじゃ、なかったんですか? それなのに一つじゃない?」

モバP「ええ、その通り」


モバP「アイドルとしての活動には、本当に沢山の事象が絡みます。それこそ、運だって必要不可欠な要素です」

モバP「でも……それもこれも、まずスタートラインに立たなければ、絶対になれない」

雪菜「スタート……ラインに……」

モバP「そうです! 勇気を出して希望を持って、進まねばはじまらない」

雪菜「でも……私は今までうまくいったことが……」

モバP「そんな過去は捨てましょう」

雪菜「これからも、うまくいくかどうかわからないですし……」

モバP「それこそ、未来を祈るしかありません」


モバP「新しい事を始めるのに、不安になるのはわかります」

モバP「事実、今あなたのファンは……目の前にいる私だけ。まだ一人だけだ」

雪菜「あら……プロデューサーさんは、私のファンになってくれたんですか?」クスッ

モバP「それはもう! そうでなければ、貴方をスカウトなんてしません!」

モバP「もし、この手を取ってくれるなら……貴方を精一杯サポートし、励まし、アイドルへの道を示してあげましょう」

モバP「どうですか? 貴方の夢で……輝かしい光を、操ってはみませんか?」

雪菜「……少し……考えさせて下さい」

――その日の夜

雪菜(あの後プロデューサーさんと別れて、家に帰った後……私は悩み抜いた)

雪菜(不安な独りきりの夜……寂しさと恐ろしさが襲ってくる)

雪菜「アイドル……確かに憧れを感じる世界だ……でも……」

雪菜「もし、失敗したら……? 怖くて一歩踏み出せない……」

雪菜「……でも……スタートラインに立たないと……何も始まらない……」

雪菜「何もせず、ここで待つの?」

雪菜「……よし、決めた!」

――次の日

モバP「来てくれましたか、素晴らしい! 貴方は勇気ある人だ!」

雪菜「はい……私! 変わりたいんです! だから……よろしくお願いします!」

モバP「こちらこそ、よろしくお願いします! ……そうですね、貴方が好きな言葉で言うならば!」

モバP「輝くメイクを! 魔法のメイクを! 君にしてあげましょう!」

――それから

雪菜(トレーニング、苦しい! く……やっぱり、夢を叶えるのは大変だ……!)

雪菜(どんなに頑張っても、うまくいかない……レッスンが進まない時もある……)

雪菜(なりたい自分になれない……悲しい……)

雪菜(マイナス思考が、止まらない……やっぱり私に、アイドルは無理だったの……?)


雪菜「やっぱり……私には無理だったんでしょうか……」

モバP「ふむ……だいぶネガティブですね」

モバP「……雪菜さん。まだ貴方に、ちょっとでも諦めきれない気持ちはありますか?」

雪菜「それは……! あります。変わりたいと、思っていますから」

モバP「結構。ならば、私に付いて来て下さい」

――ライブ会場

雪菜「これは……」

モバP「ちょうど、貴方の先輩に当たるアイドル達のライブです」

モバP「今は一人のお客として、見てみてください」

雪菜「……はい……」


――ライブ後

モバP「さて、どうでしたか雪菜さん」

雪菜「……すごかったです……」

モバP「そうですね……彼女らは、とてもとても煌びやかだ」

モバP「専属のメイクさんもついています。その技術、凄いものでしょう? キメ細やか肌、チェリーなリップ、とろけるようなキュートな瞳……」

雪菜「煌めくネイル、髪を飾って、綺麗に仕上がっていた……だけど……」

モバP「だけど?」

雪菜「それは素晴らしかったけど……それは、決定打じゃない」


雪菜「なんというか……彼女らが、本当に楽しそうに、皆を楽しませたいと、伝わってきた……」

モバP「そう! その通りなんです!」

モバP「メイクは魔法ですが……それは、あくまで外見だけです」

モバP「自らが楽しみ、人々を楽しませる……それは心の内から出てくるもの」

モバP「その両方が合わさって……本当の魔法のメイクになるんです」

雪菜「魔法のメイク……そうか……そうですよね……」

雪菜「プロデューサーさん、私……まだ諦めません。スポットライトを浴びて……私を、皆を輝かせたい!」

モバP「ええ! それでいいのです! それが分かったなら大丈夫です、貴方は変われます! 強くなれます!」


――さらに数ヵ月後

雪菜(アレから地道にトレーニングと仕事を続け、やっと私も舞台に立つ事ができた……)

モバP「やあ、雪菜さん! 準備は万端のようですね!」

雪菜「あ、プロデューサーさん! はい……今日はメイクのノリ、いいんです♪ ホラ、目元のパールとか……小悪魔ウェーブとか!」

モバP「うーむ……確かに素晴らしい! シルクのような肌、艶やかなリップ、果実のような甘い匂い……とても綺麗に仕上がっています! 思わず抱きしめたくなるほどです!」

雪菜「だ、だき!?!?」


モバP「おっといけない……私が抱きしめたらセクハラでした」

雪菜「あ、あはは……」

モバP「雪菜さん、貴方が抱きしめるべきは……あの舞台のスポットライト、そしてファンの皆さんの声援です」

雪菜「ええ……プロデューサーさん、私……アイドルの世界を目指してよかったです!」

モバP「それは何より! でも、これは終わりではありませんよ」

雪菜「わかってます! この舞台を……次のステージも! 私の全てを込めてきます!」

モバP「ええ……さあ、幕が上がります! いってきなさい、雪菜さん!」

雪菜「はい! 今度は、私が皆に……魔法のメイクをしてあげます!」



                              終わり


元ネタ:jealkbの「makemagic」です。
http://www.youtube.com/watch?v=fMqMbGgPkmw


……なんでこの歌詞で、遊戯王の映画の主題歌になったんでしょうね?
そんなわけで雪菜さん、お誕生日おめでとうございます。

オゾンより下なら問題ないー

せっちゃん単品とか初めてかも

おっつおっつ、せつなァ!

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