少女「損をしてはいけない街」 (345)

ガサゴソ
ギィィィ
少年「……父さん?母さん?こんな真夜中に出かけるの?」


父「あ、ああ。起きてたのか。少しだけ出かけてくるよ」


母「留守番よろしくね……」


少年「うん。行ってらっしゃい」バタン


少年「……もう少し寝よう」




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チュンチュン

少年「ん……朝か……学校に行く準備をしないと」


ドンドン!

??「おい!中にいるのは分かってんだ!とっとと出てこい!」


少年「え?」

ガチャ

少年「ど、どなたですか?」


??「ん?なんだボウズ、両親はどうした」


少年「夜中に用事があるって出かけて行きましたけど……」


??「何ィ!?ふざけた真似しやがって!」ガンッ


少年「ひっ……!?」

??「……さっき出かけたって言ったな。お前はついていかなかったのか」


少年「る、留守番よろしくねって言われたので……」


??「マジかよ……あいつら子供一人残して自分たちだけで夜逃げしたのか……」


少年「……夜逃げ?」


??「ああ、そうだよ。俺は所謂借金の取り立て屋だ。つまりどういうことか分かるなボウズ」


少年「そんな!父さんと母さんが借金なんて……」


取り立て「お前にとっちゃショックかもしれないが事実だ。あいつらは夫婦そろってギャンブル癖があってな。

それで負けても懲りもせずウチに借金してまでも通い詰める程のギャンブル狂いだったんだ」

取り立て「んで、最近大金を借りたと思ったら返済がやたら滞っている。そろそろ我慢の限界だって上が取り立ててこいって

指示を俺に出したわけ」


少年「……」


取り立て「そしてお前の両親がいない以上、借金はボウズ、お前に払ってもらう必要がある」


少年「そ、そんな!」


取り立て「この家を差し押さえたとして、そこから差し引いて考えてもざっと1000万程返済してもらわなきゃならん」

少年「1000万なんてどうしたら……」


取り立て「……なあボウズ。成り金の街、って聞いたことあるか?」


少年「え?」


取り立て「そこではな。どんな人間であっても金を稼ぐことが許される。

簡単なことではないだろうがお前のような小僧だって大金を稼ぐチャンスが与えられるんだ」


少年「成り金の街……」


取り立て「1カ月、そこで金を稼げ、最低100万だ。それができれば利子はチャラにしてやる」


少年「できなかった場合は……」


取り立て「お前を奴隷として売らせてもらう」

ブロロロロ

取り立て「着いたぞ」


少年「ここが……成り金の街……?」ガチャ


取り立て「ああ、そうだ」


少年「まるで城壁みたいだ。中に街が?」


取り立て「ああ、そこそこ大きい街らしいが……」


少年「……」


取り立て「怖くなったか?」


少年「いえ、僕が借金を返せば父さんと母さんは戻ってくるはずです。

ですから怖がってなんていられません」


取り立て「ふん……まあいい、受付は入って直ぐだ」

スタスタ

ピタッ

少年「……ありがとうございました」


取り立て「あ?」


少年「その気なら僕を最初から奴隷にすることもできたんでしょう?

それでもチャンスを与えてくれた。だから」


取り立て「……ちっ、俺から一つアドバイスしてやるよ」


少年「え?」


取り立て「あまり人間なんて信用するもんじゃねぇ。疑ってナンボだ。それだけだよ」バタン

ブロロロ……




コツコツ

少年「これが受付か……人間じゃなくて電子パネルで制御してるみたいだけど」


電子音声「ようこそいらっしゃいました。街の内部へお向かいになる方はパネルをタッチしてください」


ピッ


電子音声「認証しました。このまま奥へお進みください」ウィーン


少年「随分長い廊下みたいだ……奥が見えないな」

コツコツ

コツコツ

少年「鞄と……モニター?行き止まりみたいだけど……」


少年「えーと……『この街で生活を送る上で必要となると思われる現金10万を支給します。

手元にある鞄をお確かめください』か」ガサゴソ


少年「ホントに10万だ……続きは……『この10万を資本にお金を稼ぐ、食事をする、賭博をする、何をするにも

貴方の自由です。しかし、この街のルールとして1日の始まりの時に持っている現金の総合計の半分以上を失ってはいけません。

他にもいくつかのルールがございますので鞄の中に同梱してある書類をご確認ください』」

ゴゴゴゴゴ……


少年「な、なに?」


少年「……壁だと思ったら此処が出口だったのか」

 

少年「よ……よし!行くぞ!」


少年「っ眩し……」

ワイワイ

ガヤガヤ

少年「……凄い。僕の住んでた街より全然進んでる……」ボー


少年「……はっ!ぼーっとしてる場合じゃない。とりあえず宿を探すといいって取り立てのおじさんが言ってたし宿を探そう」

と言うところであまり進んでませんが寝落ちます。また夜に続きをスローペースですが投下していきますのでお暇な方はよければお付き合いください

1です、遅筆ですがぼちぼち書いていきます。そして何故か凄く期待されてるみたいで凄い縮こまってますが期待に添えるよう頑張ります

少年「向いに宿屋が何件かあるみたいだ。いくつか回って安い所を……」


金庫商a「おいそこの兄ちゃん!」


金庫商b「兄ちゃんこっちだこっち!」


少年(道の両端にいる金庫商らしき人に呼びとめられたけど右の金庫商と左の金庫商のどっちに行こうか)


少年(……とりあえず右の金庫商の方に向かってみよう)

少年「呼びましたか?」


金庫商a「おう!こっちに来るなんて中々見込みあるじゃねぇか!」バシバシ


少年「は、はい」


金庫商a「兄ちゃんこの街に来て直ぐだろ」


少年「その通りですけど……」


金庫商a「じゃあ話が早ぇ!あっちの金庫商の金庫の値段が見えるか?」


少年「え?んーと……4万?」


金庫商a「そうだ。ところが!今だけ大サービスでウチなら2万で金庫を売ってやろう!」


少年「金庫をですか?」


金庫商a「おう、この街で金庫は超がつくほど重要だ。盗まれたり紛失しないように所持金を安全に保管しておくためにも金庫はあって損はないぞー。なんせ半分失うだけでアウトだからな」

少年「確かに……それじゃ折角だしその金庫を——」

少女「待った」


少年「え?」

金庫商a「げっ……」


少女「その金庫商と向いの金庫商はグル。それにその金庫を買う必要はない」

そういえば更新ペースについて言い忘れてたのですが、一応は1日に最低でも1レス5行以上を10レスを目標にやっていきます。その場その場で書いていっているのでどれくらいの長さで終わるかはまだ決まってませんが20日付近には終わらせる予定です

少女「それにしてもまだこんな事してるなんて思ってなかった」


金庫商「へへ……ごめんね少女ちゃん」


少女「悪いと思うならまっとうな商売をして。君、ついてきて」スタスタ


少年「え?う、うん」


少年(女の子……?僕と同じくらいかな)

少女「此処」ガチャ


少年「うん」


少年(女の子が住んでるにしては結構質素というか……必要最低限の物しか見当たらない。

家族で住んでるって雰囲気ではない気がする。

気になるのは存在感が半端じゃない部屋の一角を陣取ってるパソコン類だけど)


少女「とりあえず適当に座って、この街のルールを簡単に教える」

少年「ルールってこの鞄の中に入ってる紙に書いてあるっていう?」


少女「そう、普通に読んでも理解するには難しい。だから理解しやすいよう掻い摘んで私が説明する。構わない?」


少年「う、うん。良いけど……」


少年(同じくらいの年の子に説明を受けるってのもそれはそれで悔しい物があるな)

少女「細かいことに関しては省くけど重要な部分を述べるなら


・街に入った時、10万の現金を渡される。

・街から出る時、10万の現金を返却する。

・街の中で犯罪行為を行った場合、所持する財産を全て没収し、街の外に追放となる。

・街の中で所持する現金が、日が始まった時点での現金の総合計額の半分以下と
なったとき、その者は半分以下となった瞬間に金銭を支払った相手の所有物扱いとなり、
それまで持っていた財産を全て渡さなければならない。

・所有物となった者はあらゆる権利を持たない。


ということ。分かった?」

少年「犯罪行為を行った場合ってことは……」


少女「そう、つまりこの街で所持金を盗まれることはない」


少年「だから金庫は必要ないってあの時言ってたんだね」


少女「そう言うこと。実際全く必要ではないわけではないけど今の貴方には必要ない」


少年「分かった。助けてくれてありがとう」


少女「別にいい。でもあそこで私がたまたま近くにいなかったら騙されていたし、私の事も疑いもしないでついてきた。私がまた君を騙そうとしていたらどうするつもり?」

少年「じゃあ僕の事を騙すの?」


少女「そんなつもりはないけど」


少年「なら大丈夫」


少女「……君はもう少し人を疑うことを知るべき」


少年「人を疑って生きていたら、息苦しいんじゃないかな。なら信じて損をする方が僕には合ってる」

少女「……甘い。よくそんな精神でこの街に来たと思う」


少年「どういうこと?」


少女「この街の事、知ってる?」


少年「成り金の街って呼ばれてる事と、誰にでもお金を稼ぐチャンスが与えられるってことは聞いたけど……」


少女「成り金の街と一部で呼ばれてるのも本当だし、誰にでもお金を稼ぐチャンスが与えられる事も間違いじゃない。でも」

少女「成り金の街はあくまで一部での別称、本当の名前は違う」


少年「本当の名前?」


少女「そう、本当の名前は」


少女「損をしてはいけない街」

一応これで10レスです(多分
まだ暫くは起きてるので何か意見があったら書いていただければレス返します

タイトルコール来たー!
続きが気になりすぎて仕方ない

>>31 スローペースで申し訳ないですがそう言っていただけるとやる気がヌッと出てきます

ある程度内容が頭の中で固まってきたので今日の夜は多目に投下したいと思いつつ今日は寝ます。
もしかしたら昼に来れるかもしれないので、もし来れたら少しだけ続きを投下します。

すいません。少し用事ができたので続きはおそらく夜中若しくは明日になります。0時付近にまたどうなるかを書きこみます

今日の夜中は厳しそうです。明日の夜20レス分します。申し訳ない・・・

街から出る時、20万以上持ってないと街の所有物になるんだろうか
まぁ、最悪犯罪行為して出ればいいんだろうけど

所有物になったら所有者殺せばいいだけだもんな
追放は権利じゃなくてルールなんだし

少し疑問点が出てきたようなので現時点で話せる範囲で答えておきます。

>>43 街から出るときは10万だけでいいです。後々に話でも出てくる予定ですが街に対する金銭の移動はルールの対象外なので

>>44 所有者を殺せばいいというのはあながち間違いではないですが、基本的にこの街では犯罪を実行しようとしても成就しません。そして所有物扱いになった場合は追放されないですがどちらにしても犯罪行為は行えません。これについても後に話に出てくる予定です。

少年「損をしてはいけない街……」


少女「さっきのルールの中に半分以上の現金を失ってはいけない、ってあったのは覚えてる?」


少年「うん」


少女「所有物、つまり物扱いになるってこと。人権なんて存在しないし、人間としても扱われない。どう扱おうが所有者の勝手ということ」


少年「それはつまり……奴隷みたいな」


少女「そう、それが近い。ただ相手がそれなりに善良な人間ならまだ希望はある。財産を全て失うだけで街を追い出されるだけだから」

少年「え?でも相手が良い人なら街の中でまた暮らしていけるんじゃ」


少女「残念ながらそうはいかない。この街は物扱いになった人間が住むには苛酷すぎる」


少年「どういうこと?」


少女「あらゆる権利が存在しない。つまりどんなこともできなくなるということ。病院の治療を受けることもできない、物を買うこともできない、あらゆる契約ができない、金銭を持つことができない」


少年「そんな……」


少女「それに街から追い出された後も生きてどこかに落ち着くことも難しい」


少年「近くの街に行っても駄目なの?」


少女「まず街に行ったとして無一文の状態で人並みの生活を送るのは難しいと思う、そもそも一番近くにある街が未だに内部への連絡手段すら見つかっていない半球の街だから」


少年(半球の街……確か街が半球のドームに覆われていて、周りの何処を探しても入口が見当たらない。ダストシュートらしい穴くらいしか見つかっていないっていう街だったかな)


少女「それより、君みたいな男の子が一人でどうしてこの街に?」


少年(僕と年なんてそう変わらないのだろうに子供扱いされた)


少年「僕がこの街に来たのは……」

——————

————

——

——

————

——————

少年「それで1カ月で100万稼がないといけなくなって……」


少女「100万、それがどれだけ大きな額か分かってる?と聞くのは無粋だと思うから言わない」


少年「うん」


少女「君が借金を返す手助けをする」


少年「え?」


少女「私が君に一カ月で100万、稼がせる」

少年「……できるの?」


少女「その目は信じていない目」


少年(そりゃ同い年の娘に言われても)


少女「大丈夫、これでも私はこの街でもかなりのお金持ち」


少年「えっ」


少女「これを見て」


少年「PC?えっと、街の総所持資産ランク?」


少女「そう、それの9位」


少年「9位、少女、現時点総資産2億。少女って……」


少女「私のこと」

少年「……よろしくお願いします」


少女「うん」コクリ


少年「そういえば自己紹介してなかったね。僕は少年」


少女「今見たから知ってると思うけど、私は少女」


少年「借金返済の手伝い、よろしくね」スッ


少女「任せて」ガシッ

少女「さて、まず1カ月で100万稼ぐにはどうするのが一番早いか」


少年「普通に働いていたんじゃ間にあわないよね」


少女「そう、それにこの街では基本的に働いてもそんなにお金が入らない」


少年「そうなの?」


少女「特にこの街は基本的に物価が変動しないから」


少年「物価が変動しない?」

少女「基本的な生活必需品は街が用意することになってる。物を売れるのはランクが50位までの誰かに認められてる人しか店を持つことができない」


少年「物は街が供給してるってことでいいかな」


少女「どこからかはわからないけど供給される。おそらく街と繋がってる業者が各地にいるんだと思う」


少年「なるほど、それで売る価格は街が決めてるってこと?」


少女「その通り、それで此処からが重要。この街に於いて最もマイナーなお金の稼ぎ方」


少年「……それは?」ゴクリ


少女「街の電子ネットワークを用いた投資ゲームとカジノ」


少年「へ?」

少女「街が用意した架空の会社のデータを元に、どの会社が成長するかを予想する。1日に一度自分のお金を賭けて参加できる」


少年「そんなのでお金が手に入るの?」


少女「そう、でも簡単じゃない。日によって違うけど少なくとも50以上の会社の中から1つを選ぶことになる。その中で選択した場合利益になるのは3つくらい」


少年「3/50の確率……」


少女「ただ、勿論ある程度予想する方法はある。一定時間ごとに情報が更新されていくから基本的にはそれを見て一つの会社を選ぶ」


少年「ある程度ってことは確実じゃないんだね」


少女「最も成長した会社を選んだ場合に一番利率が高い、とはいかないのが難しい所」

少女「所謂株は勿論株を購入した時点から考えて後に株を購入した所が成長すればする程利益がでる。ただこのゲームは最も成長した会社から下に二つの会社が一番の利率になる。この3番目を予想するのが難しい」


少年「その3つの会社を選んだ時の利率はどうなるの?」


少女「レートも街の何人がどれだけお金を賭けたかによるけど、基本的には大体1番が1.1倍、2番が1.5倍、3番が2倍周辺」


少年「そんなに利率が高いわけではないんだね……」


少女「このゲームを稼ぎ頭にしている人は多い、それなりの情報が出るころには選択肢が6,7位に絞れてる事も少なくないから」

少女「情報が出ていく程利率が下がる。最初は大体最高20倍位から始まる」


少年「それでも2倍くらいまでに落ち着くんだ」


少女「それなりに慎重にならないといけないケースがあるということ」


少年「慎重にならないといけない要因が何かあるってこと?」


少女「もし、その選んだ会社が壊滅的なまでに成長しなかった。つまり倒産なんかをした場合、その壊滅度具合でマイナスの倍率がかかる」


少年「マイナスの倍率?」

少女「これのせいで何人かは所持金の半分を失うこともある。……今までの最悪のケースだとマイナス21倍」


少年「マイナス21倍!?」


少女「……滅多にあることではない。通常ならせいぜいマイナス5倍程」


少年「それでも5倍か……」


少女「安心していい、少なくとも私が見ていればそんなことにはならない」

少女「そしてこの投資ゲームで所持金が半分になってしまった場合の措置」


少年「そっか、街に払うわけだからこの場合街の所有物になっちゃうの?」


少女「違う、ここがこの街の本質になる」


少女「このゲームで所持金の半分を失った場合、その会社を選ぶに至った過程で情報を得た相手の所有物になる」


少年「情報を得た相手……?」


少女「この投資ゲーム、街のAIが管理していて情報は街から提供される。ただ、それだけじゃない」


少女「街の住民が選択するにあたっての情報を提供できる」

少年「つまり、自分はこの会社がこういう理由で成長すると思うって情報を発信できるってこと?」


少女「そういうこと。面倒なのはこの情報は悪意と善意を判断するのが難しいということ」


少年「悪意と善意」


少女「情報に悪意があり、その情報を元に会社を選んだ街の住民が多いほど、情報の発信者はその会社に賭けられた資産の何割かを手に入れられる」


少年「……騙すってこと?」


少女「そう、善意の場合、その情報を元に選んだ街の住民が多いほど、情報の発信者は3位までの会社を選んだ場合の利率が上がる」


少年「そっちの方が誰も損をしないしいいんじゃ……」

少女「よく考えて、善意の場合、得をする人間が多くなるということは全体の利率が下がることになる」


少年「そうか……まさか!」


少女「悪意を持って情報を誘導したときの利益は善意の比じゃないということ」


少年「……」


少女「人間の善意なんて利益が絡めば簡単に心変わりする」

少女「お金を稼ぐっていうのはそういうこと」


少年「それでも」グッ


少女「?」


少年「僕は、人には利益を越えた善意があるって信じてるよ」


少女「……そう。この流れで言うのもなんだけど」


少年「うん?」


少女「私を信じて、私は君にこの街で損をさせない」


少年「勿論」

少女「……それでもやっぱり」


少女「君はもう少し、人を疑うことを知るべき、かもしれない」


少年「今度は断言しないんだね」


少女「まあ、君のそれはもう天性だと思うことにする」


少年「うん」

少年「そういえばもうひとつカジノ、って言ってたよね」


少女「やめておいたほうがいい」


少年「え?」


少女「確かにカジノはやる人がやれば稼ぎやすいし、実際カジノで稼いでいる人もいる。最高の利率だと一度で36倍にできたりもする。でも、やめておいたほうがいい」


少年「どういうこと?」


少女「……ここから先は、君が100万稼げたら話す」

少年「分かった。とりあえず100万稼ぐのに専念すればいいんだね」


少女「そういうことにしておいてほしい」


少年「まず何をすればいいかな?」


少女「私がゲームで会社を選ぶのを見ていてほしい」ピッ


少年「その端末は?」


少女「街のありとあらゆる場所に置いてある物。これに触れると人物認証されてお金を預ける、ゲームの会社を選ぶ、情報を見る、カジノに参加する、他にもいろんな機能がある」

少女「最初は50の会社を見て、いろんな情報が更新されていくのが分かる?」


少年「他の街に進出、新入社員500人、支店3店舗目……」


少女「それが街から出る情報、そして」


少女「こっちが街の住人の情報」


少年「凄い数があるね」


少女「匿名だから騙されても誰に騙されたか分からないのもあって、分母が多い。人気の情報はランキングに上がる」

少女「これを考慮するかしないかは自分で判断する。そして50の会社の画面に戻る」


少年「いよいよだね」


少女「今はもう夕方近いから倍率的には多分、最高2.5倍位。そしてこの50の会社から」ピッ


少女「この30社を選択肢の外に置く」


少年「え?」

恐らくこれで20レス、説明ばかりで話が進んでいないことに気づき一人頭を抱えておりますが……
今日も夜にまた来れると思います。それにしても花粉症が辛い……今年はまだ花粉症にかかってなかったので余裕とか思っていた時期が私にもありましたが、そんなことはなかった。皆さんくれぐれも花粉にはお気を付けください……

何でこの街が存在するのか全くわからない
街の中でしかお金動かないし、最初に貸したお金が返ってくるとも限らないし

ライアーゲーム的なバックボーンがいるとか?
システムの構造上胴元の利益が無いんだよね
そうなると金持ちの道楽というのがしっくり来る
もしくはこの街が国家とかのもっと大きい範囲でみると損失を考えても利益がでるとか?

何らかの実験場なのかね

>>68 >>69 この辺りについては恐らく話の中で言及することがないので書きますと実際その通りです。元々は金持ちの道楽から始まった街です。
お金が街の中でしか動かないようにも見えますが、実際は外に流れるお金も存在します。たとえば、街の住民の食糧等は街が用意しているわけですから、外の商人から定期的に買っているものもあるということです。
勿論、このままでは街の予算等は消費される一方なので、外からお金を街に入れている手段、というのも存在するわけです。ここについては終盤で出てくる予定

>>70 鋭い……元々はこの街は実験場として作られたものです

少女が肩入れする理由は「単に金の臭いがするから」という単純な理由だと思うけど

少年は「ダークホース」みたいなやつだから

>>73 少女が少年に対して肩入れをする理由はおいおい出てきますが、ダークホースみたいというのはある意味近いです

説明してくれるのはありがたいがあまりネタバレになるようなレスは控えて欲しい…

すまんそうでもなかったな

>>75 >>76 実際自分でもどこまで答えていい範囲なのかたまに分からなくなる時があるので、そういった所があったら申し訳ない

とりあえずすごく面白そうだから好きに書いてほしい

>>79 ありがとうございます。ここから先いくつかご都合主義展開があるので人を選ぶかもしれませんがとりあえずは自分の思うまま書いてみます

少年「それには何か理由があるの?この会社とか結構賭けてる人も多いけど」


少女「ある。ただこれに関してはまだ言えない」


少年「ノルマを達成できたら、ってこと?」


少女「そういうこと」


少年「分かったよ。それでこの20社の中から一つを選ぶんだよね」

少女「もうある程度予想はできてる。今までの経験からならこの会社が2番目若しくは3番目に来るはず」ピッ


少女「できるならこういう2番か3番に来るであろう会社を見つけるのが望ましい」


少年「いくら賭けるの?」


少女「自信があるときは私は50万、微妙なときは20万ほど」


少年「改めて聞くと凄い額だね……」


少女「貴方の元手が10万、つまり一度に賭けられる金額が5万未満ということになる。この金額では流石に心許無い」

少女「私が3番以内に入るであろう会社を教えてそれに賭けるのが一番効率が良い。でもそれは君の為にならない、だから10日で君がまともに予想ができるようになるまで技術を叩きこむ」


少年「できるの?」


少女「できる、じゃない。やる。できなかったら所詮そこまで」


少年「……うん!」


少女「ただ今日は疲れているだろうし明日から、今日は買い物に付き合ってもらう」

サイコパスみたいな感じかな?
期待

少年(少女ちゃんと街を回った。どうやら少女ちゃんは街の人達から好かれているらしく、いろんな場所で声をかけられた)


少年「少女ちゃんはたくさんの人に好かれてるんだね」


少女「好かれてる……だったらいいけど」


少年(複雑そうな表情を浮かべてるけど……この話は止めておいた方がいいのかもしれない)


少年「そういえば暫く泊まろうと思ったら宿ってどれくらいするの?」


少女「宿?必要ない、ここに住めばいい」


少年「へ?」

世界観的にはCに近い気がするな

少年「いいの?一応僕男だけど」


少女「君に私を襲う度胸があるとも思えないしそもそも犯罪は行えない」


少年「そうだったね……その犯罪は行えないって、未然に防ぐ手段でもあるの?」


少女「この街はAIによって管理されているということは話した筈」


少年「うん」


少女「街のありとあらゆる場所に端末があるのは、住民を監視するためでもある」



少女「街のシステムは私達の意識を読み取り、犯罪を起こそうとした瞬間にその行為を止める」


少年「だから未遂に終わるってこと?」


少女「そう」


少年「実際どうなるの?」


少女「……それに関しては見る機会も近いうちにあると思う」


少年「?」

少年(それから少女ちゃんに夕食を振舞ってもらった。残り物のカレーと言ってたけど中々美味しい、どうやら手際が良いところをみると一人暮らしして長いみたい)


少女「明日から早速レクチャーを始める。だから今日はもう寝た方がいい」


少年「こんなに早く?」


少女「ゲームは日が変わって0時から更新される。だから早めに5時には起きてそこから昼までみっちり」


少年「早めに寝るよ……」

少年(あの日から数日後、朝から晩までひたすら少女ちゃんの技術を叩きこまれた)


少女「思ったよりも飲み込みがいいし今日は休みにする。その代わりおつかいを頼みたい」


少年(とのことだ。そろそろ一人で街を歩けるように、という配慮らしい)


少年「次は……青果屋さんか」


少年(確かこの裏路地を抜けると近道になった筈だ)

少年(何もない裏路地の途中に深く帽子を被った男の人が立っている。何してるんだろう)


??「ヘイ!そこな少年!」


少年「はい?」


賭博師「オレは賭博師、この街のしがない一ギャンブラーだ」


少年「はあ」


賭博師「オレと一つ、賭けをしよう」

少年「賭けですか」


賭博師「ああ、今から3回コイントスをする。それを少年が裏か表かを当てる。当てた回数が多いほど賞品が豪華になるぜ!」


少年「賞品って?」


賭博師「情報だ」


少年「僕の知りたい情報を賭博師さんが知ってると」


賭博師「そういうことだな」


少年「たとえば?」


賭博師「少女ちゃんがカジノについて言葉を濁した理由とか50ある会社の内、一瞬で20まで絞った方法についてとか」


少年「な、なんでそれを知ってるの?」


賭博師「はっはっは、ギャンブルは情報が命だからな」


少年「……いいよ、その賭け乗った」

>>84 サイコパス見てないので詳しいことは分かりませんが恐らくそこまでダークでもないような気もします
>>86 Cというのが分からないので似ているかどうかは分かりませんが、一応世界観的にはSFとファンタジーを足して2で割ったイメージです

というわけで10レス、大体此処で中盤に入るくらい。NIPはレスがないまま終わることもよくあると聞いたので割とそれを覚悟してましたが、個人的にはレスがあるのが凄く嬉しいです。今日も夜から深夜にかけて出没します。それでは

この世界は親の借金を子供が背負わされるのか。
ひどい世の中だな。

とりあえず法事がひと段落したので少し不定期にはなりますがゆっくり書いていきます。10レスできるか微妙ですし明日は恐らく来れませんが・・・

>>101 普通に人身売買も存在しますし奴隷なんかもいます。基本的にどこかに統治されているわけではなく街単位での法がありますので場所による、といった感じになります

賭博師「よーし、じゃあまず一回目」ピンッ

パシッ

賭博師「表か裏、どっちだ?」


少年「うーん、裏かな」


賭博師「……正解、二回目」ピンッ

パシッ

少年「裏」


賭博師「また当たりか、やるなぁ。ラスト」ピンッ

パシッ

少年「多分……表」


賭博師「まさか……全部当てるとは少し予想外だぜ……」

少年「いや、なんとなくで選んだからまさか僕も全部当たるとは思わなかったんだけど……」


賭博師「まあいい。さっき挙げた情報を教えてやろう」


少年「……それなんだけど」


賭博師「ん?」


少年「実は元々当てても当てなくても教えるつもりだったんじゃない?」


賭博師「! ……中々鋭いな。人を信じる事しか知らないただの坊っちゃんだと思ってたが」

少年「それに当てさせる気が無いならイカサマでどうにでもできるだろうし……」


賭博師「んー、そこは違うな少年」


少年「?」


賭博師「イカサマってのはな。ここぞ、という自分が負けることができない勝負で始めて使う意味が出てくる物なんだ」


賭博師「それに、イカサマは勝つためにやるんじゃない。負けねぇ為にやるんだよ」

賭博師「とまあいらんことまで喋ってしまったが情報提供と」


少年「あ、それなんだけど」


賭博師「なんだ」


少年「少女ちゃんが教えてくれる、って言ったことについてはいいや」


賭博師「これまたなぜ?」


少年「目標が達成できたら教えてくれる、って言ってたから。まだ目標達成してないし聞いちゃったらズルになっちゃうかなーって」

賭博師「まあ、少年がそういうなら黙っておこう」



賭博師「ただ代わりに、そうだな……時間的にそろそろか、ついてこい。少年の疑問を一つ解消してやろう」


少年「うん……?」


——————

賭博師「此処だ」


少年「何てことない普通の商店街に見えるけど?」


賭博師「暫く見てるといい」

少年「うん」


ザッ……ザッ……


少年(黒いスーツを着た人数人と太ったいかにも金持ちって感じの中年の男が商店街をゆっくり歩いてきてる?)


??「ここの商店街は俺様がわざわざ作ることを許可してやったんだ。立派なもんだろう?」


黒服「へぇ!流石はボスですぜ!」


ボス「はっはっは!そうだろうそうだろう!」


少年「……」


賭博師「あれがこの街のランク1位のボスだ。カジノの経営もしてる」


少年「……これを僕に見せたかったの?」


少年(ボスと呼ばれた男の後ろには首輪をつけられた女の人がワインが入ったグラスを持たされている。顔にも生気がないし見ていて気分が良いものじゃない)



ボス「おい、ワインをよこせ」


女性「は、はい……」カタカタ

ポロッ

パリーン

女「あ……ああ……」


ボス「チッ……使えん奴め」



賭博師「そろそろだ。よく見てろよ……お前くらいの年じゃ少々キツイかもしれないが」


少年「え?」



男「うおおおおおおお!死ねええええええ!」ダダダダッ


ボス「ふん、バカが」


ピッ

あ、そこまででもないかもですが一応グロ注意

バシュッ

男「ああああああああああああ!手があああああああ!」


女「男さぁん!」



少年「なっ……なにこれ!?」


賭博師「これがこの街で犯罪を起こせないという本当の理由だな。凶器を持って突っ込もうとすると凶器を持っている手ごと吹き飛ばすんだ」


少年「それにしたって……惨すぎる」


賭博師「昔はここまでじゃなかったのにあいつがランク1位になってから突然こうなったのさ」



ボス「ああ、どこの塵がバカなことをしたのかと思ったらこの前私が優しく手を差し伸べてやった男ではないか」


男「ぐああっ……優しく手を差し伸べただと……お前がしたのは彼女に偽の情報をつかませて俺を騙したことだろうが……!」

ボス「ああっ、すまない。当時は本当にあの会社が3位になると思っていたのだよ……身を呈して情報を買った彼女にも悪いことをしたよ。ハッハッハ!」


女「男さん……ごめんなさい……」



賭博師「相変わらずのゲス野郎だぜ」



ボス「ふむ、丁度いいな。私は慈悲深いからこの女ともども追放にしてやろう!感謝したまえよ」ウィーン

ガシッ

男「ぐっ……くそっ!じ、地獄に落ちろ!金の亡者めがぁぁぁ!」

女「嫌!嫌ぁぁ……」



少年「機械が二人を……」


賭博師「分かったか?この街の本当の姿が」

少年「確かに、でもやることは変わらないよ」


賭博師「どういうことだ?」


少年「僕は少女ちゃんを信じて前に進むだけ、今はそれ以外は考えない」


賭博師「どうしてそこまであの娘を信じられるんだ?」


少年「私を信じて、って言われたからかな」


賭博師「……なるほどな」

賭博師「ボスは……行ったか。もう路地から出てもOKだ」


少年「うん。あ、そうだ!青果屋さんに行かないと……」


賭博師「ん?青果屋ならこっちだな」

——————

賭博師「この道を通ると結構色々な場所に行けて便利だから覚えておくといい」


少年「あ、ホントだ。ありがとう。ごめんくださーい!」


青果屋「はいはい、おや?少年君に賭博師の兄さんじゃないか、少女ちゃんのお使いかい?」


少年「うん、何かいいのあるかな?」


青果屋「うーん……お、そういえばついさっき珍しくね。新しい果物が二つ入ったんだけど折角だからどうだい?」


賭博師「そいつは本当に珍しいな」


青果屋「おう、これとこれなんだが」

賭博師「……なんか片方凄ぇ毒々しい色してるけど食べられるのか?」


青果屋「そこは大丈夫だと思うんだけどねぇ……食べ物は入るときにチェックが入るし。一応聞くけどどっちがいい?」


少年「うーん、こっちにします」ビシッ


賭博師「おいおい……ホントにそのヤバそうな方でいいのか?」


少年「うん、なんとなくこっちがいいかなーってだけなんだけどね」


青果屋「そうかい?じゃあはい」


賭博師「ああ、じゃあ俺もう片方の方買うよ」

と言ったところで今日は終了です。今日の夜は来れないと思うので明日の夜から今までのように更新できるかはわかりませんがぼちぼち書いていきます

犯罪という表現が曖昧だね

>>123 この世界での犯罪の基準は曖昧ですが、基本的には殺人、傷害、窃盗、恐喝あたりが主です。詐欺に関してはあまり考えられていません

賭博師「そういやそれしか買ってねーけど一個でよかったのか?」


少年「僕も少女ちゃんもそんなに食べないから果物一個くらいがちょうどいいんだよね」


賭博師「なるほどな」シャリッ


賭博師「うわっ酸っぱ!まだ熟してないなこりゃ……」


少年「やっぱりこっちで正解だったかも……ってまだ食べてないから分かんないけど」

———

少年「これで全部かな……ところでどうしてついて来るの?」


賭博師「んー?いや、単に少女ちゃんが弟子をとったって言うからどんな奴か気になっただけだよ。後少女ちゃんに用もあるし」


少年「で、弟子?まあ間違いではないか……」


賭博師「今まで少女ちゃんが弟子をとったとかそんな話はなかったからな。それでちょっと気になったってわけ」


少年「今までそんな話がなかった?」

賭博師「ああ、基本少女ちゃんは一人でなんでもやるし、誰かと組むことはしない。ゲームだって今まで全部独学でやってきてるしな」


少年「あれ全部独学なんだ……」ガチャ


少女「おかえり……賭博師さん?」


賭博師「よう少女ちゃん。例の事で報告だ」


少女「分かった。少年君、少し待っててほしい」


少年「いいよ、その間端末使うね」

少年「こっちか? ……いや、こっちかな。このパターンは一昨日もあったし」


賭博師「捗ってるか?」


少年「話は終わったみたいだね。そこそこかな」


少女「今全部で40万、この調子なら1カ月も必要ない」


賭博師「へえ、ホントに素質あるのかもな」


少女「最初は大変だった……ある情報全部を信じようとしてた位」


少年「今はちゃんと見極め方も教えてもらってそんなことはなくなったけどね……」

賭博師「まあそれなりに応援してるからさ、頑張れよ」


少年「うん、ありがとう」


少女「そろそろお昼にしようと思うけど、賭博師さんも食べていく?」


賭博師「お、いいねぇ。折角だしご一緒させてもらおうかな」


少年「あ、じゃあ手伝うよ」

少女「おまちどうさま」コトッ


賭博師「お、悪いな」


少年「あの果物外観はあんなだったけど中身は結構普通だったよ」


賭博師「マジか」モグモグ

賭博師「普通に美味い……こっちが正解だったらしいな」


少女「あの見た目だと普通買おうとは思わない」


少年「ホントになんとなくだったんだけどね」

少年(それから期限の日まで、毎日少女ちゃんにレクチャーしてもらいながらゲームに勤しんだ)


少年(必死に打ち込んだかいあってか、無事に100万どころか150万も稼ぐことができた)


少女「おめでとう。よく頑張ったと思う」


少年「うん、これも少女ちゃんのおかげだよ」


少女「私は手伝いをしただけ、ここまで稼ぐことができたのは君が頑張ったから」


少年「そう言われると照れるね……」

少年「あれ?でも150万じゃ100万払った時点で半分切っちゃうよね」


少女「安心していい、君みたいに借金を外にいる相手に返さないといけない場合の街の外へのお金の移動は対象外になる」


少女「100万払った場合は現時点で残っている50万が1日時点での所持金になるから25万まで使えるように更新される」


少年「なるほど、そんなルールもあるんだね」


少女「入ってきたときに相手の方も手続きしている筈だから、端末から振り込みができる。やってみるといい」

少年「……これで完了、確かに残高が50万になっても大丈夫みたいだ」


少女「うん、じゃあ約束を果たす」


少年「カジノやあの時の方法についてとかの事だよね」


少女「そう、まずは50から20に絞った方法」


少女「突拍子もない話だし、現実味もないことだけど本当の事」

少女「私は21以上の選択肢を20に絞ることができる」


少年「……?」


少女「そういう異能があると解釈してくれていい。例えばゲームの事もそう。50社という選択肢から正解である可能性がある20社まで選択肢を絞る、ということ」


少年「だから人気がある会社でも違う、って断言できたってことかな」


少女「そういうこと。あまり現実味がないから信じなくてもいいけど」

と言うところで今日の所は一旦終わりです。ここですね、私は少しご都合主義と言ったところですが。嫌だなー、って思う人がいたらごめんなさい。明日の夜また続きを投下します


俺は昔サンデーで連載されてた「魔王」の能力を思い出した
ネタバレになるから詳しい話はしないけど……

>>136 懐かしいですね。魔王、私も見てました。この話に出てくる能力は割とそれに近しい物があります。

えっ超能力的な感じなの

>>138 賛否あると思いますがそんな感じです。一応考えなしに出しているわけではないのですが、頭の中ではどうしても必要になってくる事柄なので……

少年「信じるよ、嘘つく意味もなさそうだしね」


少女「……なんとなくそう言うんじゃないかとは思ってた」


少年「とりあえずはそういう能力みたいなのがあるってことだよね」


少女「まあ、そう。私も頭の中でなんとなく、ってレベルだから最初は気づかなかった」


少年「そっか、いつごろからってのがあったの?」

少女「……ここからの話は、カジノについての話も含んでる」


少年「?」


少女「私がどうしてこの街で一人、十分なお金を持っているにも関わらず暮らしているのか」


少年「普通はある程度のお金が稼げると他の街に行く人が多いんだっけ」


少女「今のこの街はランク1位のボスが利権を殆ど独占してる。だから出ていく人が多い」

少年「ボス……」


少女「前に賭博師さんにある程度の話は聞いた。ボスを襲った人が追放される現場を見たって」


少年「うん、ああいうことはよくあるの?」


少女「数週間に一回は新しく街に来た人たちがああなることが多い」


少女「それもこれもボスが自分が利益を得る為なら人を平気で裏切るような人間だから」


少女「私も3年前まではこの街で家族と暮らしていた」

少女「両親と兄と私、4人でそれなりに充実した毎日を送っていた。父さんはこの街でもかなりの財産を持っていて、当時ランク2位」


少女「ゲームでお金を稼ぐ上でも街の人に無償で情報を教えたり、困っていた時は相談に乗ったり、それなりに評判は良くて」


少女「そしてボスは当時、私の父とビジネスパートナー」


少年「え?」


少女「カジノを経営していたのは私の父、そしてボスは父のカジノの経営を手伝っていた」

少女「そしてある日、ボスがある情報を持ってきた。この会社は3位になるに違いない、私も5000万程入れた。と」


少女「父さんは勿論その話を信じた。それなりの金額をかけて、結果」


少女「私が前言った-21倍の倍率、見事な程に騙された父さんは半分以上のお金を失った」


少女「……君には言ってなかったけど、この街で家族の所持金は統合される」


少年「! それって……」


少女「当然、私達家族の所持金は全員半分を切り、あの男の所有物扱いになった」

少年「あれ?でも今少女ちゃんは……」


少女「そう、本来なら私も所有物になっている。ただ、君に話してなかったルールの中に

・一部例外として、街の中での所持する金額の総合計の順位が10位までの者は総合計額が半分になった場合、残っている資本を指定した人物に譲渡できる

というものがある」


少年「そうか!それで少女ちゃんのお父さんは……」


少女「私に、残っていた1億ほどを譲渡して父さん、母さん、兄さんはあの男の場所に連れて行かれた」


少女「自分の家族に残っていた金額を譲渡した場合、その一人だけ残金半分以下を免れる。というのはルールには書かれていない。多分、父も賭けだったんだと思う」

少女「……父の経営していたカジノはボスが経営するようになった。それなりに人気はあるけど、あの男は勝負にでた客相手にイカサマをする」


少年「だからカジノは駄目だって言ったんだ」


少女「そう、賭博師さんはそこを見極められるからカジノでも相当稼ぐことができてる。イカサマばかりすると客が減るから勝負をするときを狙って賭ける、らしい」


少女「そして私がいつ能力を使えるようになったかだけど」

少女「多分、これも確証はないからあくまで恐らくだけど、父さんがボスに騙された次の日、変な男が私の所に来た」


少年「変な男?」


少女「3年前だしそこまで詳しくは覚えてないけど……確か『親父さんはあんなことになっちまったが、人間は誰かを信じていかねぇと生きてけねぇぞ』とかそんなことを言ってた気がする」


少年「へえ……?」


少女「それだけ言っていなくなったけど。あれ以来その人には会ってない。ただ、私がなんとなく能力を使えるようになったのはそれくらいの筈」

少女「……皆あの男に連れ去られた後、一人お金を持ってるだけで何をしたらいいか分からなかった」


少女「とりあえず当時安かったこの家を買って、一人ゲームの勉強をして、父の代わりになるようにとたくさんの人の相談に乗ったり、そんな事をした」


少年「賭博師さんともその時に知り合ったの?」


少女「賭博師さんは父さんがカジノを経営していた時のお得意様だった。父さんと個人的な付き合いもあったし、私と兄さんもよく遊んでもらったりしていた」


少女「これが大体話してなかったことの全部」

少年「この街に留まってるのは家族を取り戻すためってこと?」


少女「……そう解釈してくれていい」


少年「話してくれてありがとう」


少女「礼を言われるようなことでもない」


少年「それでも、僕をそれなりに信頼してくれたってことだよね」


少女「! ……そう、かも、しれない?」


少年「はは、なんで疑問形なの」

少年(あんな話をしてからまた数日、あれからも少しずつ少女ちゃんにレクチャーしてもらいながら毎日を過ごしている)


少女「ん……」


少年「どうしたの?」


少女「私の予想ではどちらかが3位になる。ただ、珍しく絞る要因がない。少年君はどっちだと思う?」


少年「うーん、こっちじゃないかな。特に理由はないけど」


少女「ふふ、ならこっちにする」ピッ


少年「え?そんなのでよかったの?」


少女「構わない、どうせ悩んでも変わらない」

と、今日はこのくらいですね。20日には終わると思ってましたが全然終わってません、はい。
ここで大体中盤の後の方なので、もう少しかかるかな……

コンコン

???「少女ちゃん!いるかい!」


ガチャ


少女「どうしたの?」


優男「ああ少女ちゃん!実は相談に乗ってほしいことがあるんだ!」


少年「少女ちゃん、ホントに頼りにされてるんだなぁ」

————

少女「結婚指輪?」


優男「そうなんだ。もう結構なお金が貯まったしそろそろこの街を彼女と出ていこうと思ってるんだけど……」


少年「その前にプロポーズしよう、ってことだね」


優男「うん、それで指輪をどっちにしようか悩んでるんだよ」


少女「このダイヤの指輪とクローバーの形をした指輪?」

優男「折角だし奮発してダイヤにしようか、それとも飾らずにこっちのクローバーの指輪にしようか悩んでて……少女ちゃんならいいアドバイスをくれるかなって思って相談に来たんだ」


少女「ん……こういうことには疎いから……少年君はどう?」


少年「うーん、僕もいまいちこういうことには詳しくないけど……なんとなくこっちのクローバーじゃないかなって」


優男「そうかい? ……そうだね。こんなところで見栄を張る必要もないか、こっちのクローバーにしてみるよ!」


少年「うん、頑張ってね!」


少女「上手くいく事を祈ってる」


優男「ありがとう!明日報告に来るよ!」

少女「……敬語使わないのに慣れた?」


少年「まあここに来てもう一カ月だからね」


少女「敬語なんて使ってたらいいカモ、だから直させた」


少年「街の外に出たら困るかなぁ」


少女「……少年君は」


少年「うん?」

少女「借金を返済し終えたら、この街から出ていく?」


少年「そうだね……借金が無くなったって分かったら、父さんも母さんも戻ってくるかもしれないし」


少女「……そう」


少年「どうかした?」


少女「なんでも、ない」

少年(翌日、昼ごろに優男さんが家を訪ねてきた)


優男「ありがとう!君たちのおかげでプロポーズ成功したんだ!」


少女「クローバーが正解だった?」


優男「うん!彼女、昔四葉のクローバーを集めるのが好きだったらしくて凄く気に入ってくれたんだ!」


少年「よかったね!」


優男「少女ちゃんにも長い間世話になっちゃったけど、これで最後かと思うと寂しいなぁ」

少女「確かに、この街は一度出ると入るのは難しい。出て行ったらもう会えないかもしれない」


優男「僕達もあの男がこの街の牛耳ってなければずっと住んでたんだろうけど……」


少女「ボスの資本は圧倒的、5位までの人達はボスに媚を売ってるような人しかいない」


優男「そうだね……それじゃ、僕は行くね。彼女を待たせてるし」


少年「お幸せに!」


少女「お元気で」


優男「ありがとう!君たちのことは忘れないよ!」

少年「行っちゃったね」


少女「今のこの街は永住しづらい。あの男の存在がそうさせている」


少年「変わんないのかな」


少女「難しいと思う」


少年「そうか……あ、そういえば昨日の結果ってまだ見てなかったよね」

少年「……当たってたみたい。時間もそれなりに早かったし結構稼げてる」


少女「この調子なら残りも半年行かずに返せる」


少年「頑張らないと」


少女「……うん」


少年(この時、僕は思ってもいなかったんだ……こうして二人で過ごせる日々がこの日で終わりを迎える事を)

少年(次の日、血相を変えた賭博師さんが訪ねてきたのが始まりだった)

バンッ!

賭博師「少女ちゃん!大変だ!」


少女「そんなに慌てて……まさか」


賭博師「ああ……ボスの奴、ついにやる気だ!」


少女「くっ……!」ダッ


少年「少女ちゃん!?」


賭博師「おい!今行ったってどうにも……行っちまったか」

これで今日の分は終わりです、随分遅くなってしまいました。ですが此処で漸く終盤突入。
30日までは・・・かからないと思いますが、それくらいになってしまうやも。生温かい目で見守っていただけると幸いです。

————
少女「っ……!」バンッ!


ボス「おや?少女ちゃんじゃないか!久しぶりだねー元気にしてたかな?」


少女「っ御託はいい。今すぐそれを止めて」


ボス「いやーそうは言われてもね。新しい店を作るためにはこの"元君たち家族の家"が邪魔なのだよ」


少女「お前のせいなのに良く言う……!」


ボス「私のせい?ふふ、何を言ってるのだね?あれは不慮の事故だよ、事故」

少女「自分も賭けたなんて言いつつ全くお金を賭けてなかった癖にどの口がそう言える!」


ボス「普段は無表情な貴女がそんな顔をするなんて相当なようだな。おお怖い」


少女「黙れ……!」ギリッ


ボス「……いいだろう。この取り壊し工事、中止しても構わない」


少女「何……!?」

ボス「それどころか君に売ってあげてもいい」


少女「……いくら?」


ボス「そうだな、土地も良い場所にあるし、工事も取り掛かる途中でキャンセルしないといけない……1億1千万でどうだね!」


少女「なっ!ふざけないで!」


ボス「んー?大真面目だが?ああ、一応言っておくが今すぐ決めてくれたまえよ。私も忙しいのでな」

少女(……私の現時点での総計が2億と少し、まず間違いなく半分を切ってしまう……)


少女(いつか、こうなる時が来るかもしれないとは思っていた。未練なんて……)


少女「……少年君、ごめんなさい」ボソッ


少女「分かった。その値段で家を買う」


ボス「ほほう、いいだろう!商談成立だ!」


少女(さようなら……私の只一人の——

————

少年「少女ちゃんの住んでた家……?」


賭博師「ああ、街の中心部の方にあるんだが、今はボスが所有してる。それで取り壊しが行われるって聞いてな。少女ちゃんに伝えに来たんだが」


少年「そっか、家がないといつか家族が戻ってきたときに困るもんね」


賭博師「……そうか、少年にはまだ話してなかったのか」


少年「どういうこと?」

賭博師「もう、少女ちゃんの家族は……いない」


少年「え?」


賭博師「親父さんは奴に限界までこき使われたせいで死んじまった。それを追って母親も自殺。少女ちゃんの兄貴は暫くして奴隷として売られた……」


少年「そんな!」


賭博師「少女ちゃんはどうしてもあの家を取り戻したかったらしい、唯一家族の思い出が残ってる場所だからな」

少年「じゃあ少女ちゃんは家の解体を止めに?」


賭博師「あの男に何を言っても無駄だとは思うが……」


少年「無茶なことはしないよね……?」


賭博師「まさか、少女ちゃんだぜ?無茶なことは——」ピーッ!ピーッ!


少年「端末が鳴ってる?」

少年「えっと」ピッ

少年「『少女 様より、9000000 と 現在所有している物全ての譲渡 と メッセージ があります』?」


賭博師「9千万の譲渡だと!?」


少年「少女ちゃんが全部で持ってるお金って2億だったよね……どうして急に?」


賭博師「いや……そういうことか……」


賭博師「少女ちゃんは……恐らく、1億1千万で家を買ったんだ……」

少年「そ、そんな!それじゃ」

少年「少女ちゃんは……」


賭博師「ああ、恐らくはあの野郎の……」


少年「い、いや!でもまだそうと決まったわけじゃない!メッセージを見てみれば……!」ピッ


少女の声「……まず先に、少年君、賭博師さん、ごめんなさい」

少女の声「単刀直入に言えば、私はあの家を自分の総所持金の半分以上のお金で買った」


少年「そんな……」


少女の声「私はあの男の物になる。でも、残りの9千万と家は少年君に渡す事ができた」


少女の声「そのお金で残りの借金を返済してくれれば嬉しい。残りも随分余るだろうから暫くお金には困らないはず」


少女の声「家は……街から出るときに邪魔かもしれないけど、自分の信頼できる人に渡してほしい。賭博師さんでもいい」

少女の声「最後に、少年君、君は私が家族を失くしてから唯一心から信じる事が出来た最初で最後の人。ほんの1カ月と少しだったけど、楽しかった。そして、賭博師さん、あんなに良くしてくれたのに、私は貴方を信じる事が出来なかった」


少女の声「もしかして同情で良くしてくれてるんじゃないか、内心ではうっとおしいと思ってるんじゃないかという疑念が、どうしても晴らしきれなかった。本当にごめんなさい……」


少女の声「でも、友人らしい友人もいないまま過ごしてきた中で友人と呼べるのは貴方だけ、私に今まで付き合ってくれて、ありがとう」


少女の声「……そろそろ時間、これで最後、さよなら、幸せにね」ブツッ


賭博師「バカが……うっとおしいなんて一度も思っちゃいねぇよ……」


少年「……」

良い感じにクライマックスに近づいてまいりました。今まで見せ場という見せ場がなかった少年君ですがそろそろ活躍する時が来るといいですね。
というわけでまた夜に

————

少女「……」


ボス「それにしても可愛い顔をしているな。あいつの娘とは思えん程だ」


少女「……悪趣味、こんな牢屋まで用意して」


ボス「そうかね?私は趣があって良いと思うが」


少女「反吐が出る」

ボス「フン、威勢のいいことだ。その表情を滅茶苦茶にするのが楽しみで仕方ない。ハッハッハ!」


少女「……くっ」


ボス「見ているがいい、今月が終わるころには私の資本は100億に到達する。そうなった時、改めてこの街の住民達に支配者が誰か分かるようお前を使って実演するのだからな!」


ボス「ああそうだ!今度カジノに連れて行ってあげよう!君はカジノに来た事が無かっただろう?私の自慢のカジノを見れば少しは気分も良くなるだろう!首輪はつけさせてもらうがね!」


少女「……」

少女(後悔はしていない)


少女(ただ……心のどこかで誰か、助けてくれるんじゃないかと考えてる私もいる)


少女(……あの男に蹂躙されるくらいなら死んだ方がマシ、でも)


少女(嫌だ、まだ、死にたく、ない)


少女「助けて……誰か……」

————

賭博師「……」グビグビ


バーの親父「ねえ、賭博師のお兄さん、最近飲みすぎなんじゃないの?」


賭博師「まだ飲み足りねぇくらいだよ……」グビグビ


賭博師(少女ちゃんがあの男の物になったあの日以来、毎日酒に入り浸って)


賭博師(一体オレは、何がしたいんだろう……)

賭博師(聞いた話じゃ、今月の終わりにボスが少女ちゃんを見せしめにするとかの話もあるが)


賭博師(何もする気が起きない。オレは本当にどうしちまったんだろうか)


バーの親父「そろそろ止めておきな?酒もこんなに飲んでると毒になるわよ」


賭博師「……ああ、そうかも——」バンッ!

カツカツ

少年「……賭博師さん、話があるんだ」

賭博師「んあ?悪いが今は何もする気になれないんだ。今度にしてくれ……」


少年「少女ちゃんを助けたい」


賭博師「……今なんつった?」


少年「少女ちゃんを助けたいんだ」


賭博師「……無理だ。この街のルールがある限り、あの娘を助ける事は出来ねぇよ」

少年「出来るさ。信じる者は救われるんだ」


賭博師「ふん、信じる者がすくわれるのは足元だけだ。少なくともこの街ではな」


少年「救うんだよ。僕たちで、少女ちゃんを」


賭博師「……ガキが自分の理想だけで綺麗事言ってんじゃねぇ!」ヒュッ


ガシャーン!


少年「ぐっ……」ポタ……ポタ……


バーの親父「ちょ、ちょっと!賭博師さん!子供に何してんの!だ、大丈夫?今救急箱持ってくるわね!」

賭博師「分かったらとっとと失せろ!」


少年「救える……僕たちなら……必ず!」ジッ


賭博師「うっ……なんだその目は……」


賭博師(こいつ……本気で救えると思ってるのか?相手はこの数年1位から動いていない不動の王だぞ?)


賭博師(資本の差でもゆうに99億近く……出来るわけが……)


少年「自分の力を信じなきゃ、人を救うなんて出来ない」


賭博師「!」


少年「僕には、僕たちにはその力がある!だから、協力してくれ!」


賭博師(こいつの目……本気だ……本気で救えると思っている目だ!)

賭博師「……勝負だ」


少年「え?」


賭博師「お前と始めて会った時、やったようにコイントスを3回する。全部当てれば俺はお前に協力しよう」


賭博師(こんな勝負受けるわけがない。そうだろう?いくらなんでも不確実だ。余程じゃなけりゃ……)


少年「分かった。それでいい」


賭博師「な……に……!?」

賭博師「お前……!正気か!?」


少年「僕は正気だ。絶対に勝つ自信がある」


賭博師(この目……マジだな)


バーの親父「ハァハァ……救急箱持ってきたわよ……って何なのこの空気」


賭博師「親父、酔い覚ましの水をくれ」


バーの親父「もぅ!親父って呼ばないでって何度も言ってるじゃない!」コポコポ


バーの親父「はい、お水。真剣なのね?」


賭博師「ああ、酔っ払ってちゃ相手に悪い」グイッ


少年「……さあ、始めよう」

賭博師「一回目だ」ピンッ

パシッ

賭博師「どっちだ……?」


賭博師(こんな勝負を受けたってことは何か勝算があるのか?)


少年「……裏だね」


賭博師「……! 正解だぜ」


賭博師(特に何かをした様子はないが……)

賭博師「……二回目」ピンッ

パシッ

賭博師「表か、裏か」


少年「表だ」


賭博師「……当たりだ」


賭博師(マジかよ、迷いもしてない。目が揺らいでいない!)


賭博師(だが俺は言ったぜ……?勝負だとな)

少年君がやっとカッコよく書けたかなとか思いつつ、今日の分は終了です。もう少し進めたい所ですがそろそろ眠気が……
30日には終わるように予定しております。1週間近くありますが、よければ最後までお付き合いいただければ幸いです。

あ、今更気づきましたが>>197 の賭博師の一人称が俺になってますが一応正しくはオレです。一応訂正を

賭博師「ラストだ!」ピンッ

バシッ


賭博師「表か裏か……どっちだ?」


賭博師(やたらツキがいいのか、からくりがあるのか知らないが今まで通りなら当たらねぇ)


賭博師(手の中にコインはないからな!)


少年「……」

少年「僕は賭博師さんという人を信じてるから」


賭博師「?」


少年「コインは表でも裏でもない……でしょ?」


賭博師「! ……参った。正解だ」スッ


賭博師「見ての通り、手の中にコインはない」

少年「協力、してくれる?」


賭博師「ああ、約束は守る。ただ、何故分かったんだ?何かからくりでもあったのか?」


少年「うーん、表裏を当てる事に関してはそうかもしれないけど、最後のは違うよ」


賭博師「どういうことだ?」


少年「前に言ってたでしょ?イカサマをするのは絶対に負けられない時だって。最初に勝負、って言ってたくらいだしね」

賭博師「……はは、参ったな。完敗だよ」


バーの親父「……ねえ、そろそろこの子の手当てしてあげてもいいかしら」


少年「……自覚した途端に痛みと血が」ドクドク


賭博師「す、すまん!頭に血が上ってたんだ。親父さん!手当を頼む!」


バーの親父「任せて頂戴!……ってだから親父さん言うなや!」

少女ちゃんにも特殊能力があるように少年にも特殊な才能でもあるのかな?
2択なら絶対に外さないとか。

バーの親父「あとはこれを貼って……これで大丈夫ね」


少年「ありがとう」


賭博師「本当にすまん」


少年「いいよいいよ、気にしなくても」


賭博師「悪いな……それにしてもコインの表裏を当てたあれはどういうトリックを使ったんだ?」

>>206
魔王のじゅんやの劣化版か……

少年「そうだね。僕も最近まで気づかなかったんだけど、少女ちゃんみたいな能力があったみたいなんだ」


賭博師「少女ちゃんの異能のことか?」


少年「うん、よく思い出してみたらこの街に来てからどっちにしようかな、っていうのを外した事がないみたいでね」


賭博師「それは……2択の正解が分かるってことか?」


少年「そうそう、多分そういうことなんだと思う」

>>206 というわけで正解です! >>208 そうですね。大体あれの劣化版のさらに劣化版のような感じです。

賭博師「驚いたな。少女ちゃんみたいなのがまだいたとは」


バーの親父「それって結構凄い力なんじゃない?」


少年「うーん、それが便利なんだろうけど結構制約があるみたいで……」


賭博師「制約?」


少年「例えば、少しでも3択以上の要素が絡んじゃうと正解じゃなくなったりするんだよ」


賭博師「限りなく2択に近い3択でも失敗するってことか」


少年「そんな感じかな。あくまで2択だった場合、どちらが正解になるかってのがわかるだけみたいだね」

少年「流石にサイコロが爆発したりとかそんなのまでは3択とかに考えなくていいらしいけど」


賭博師「なるほどな……まさかそれを使ってってことか?」


少年「その通り、ただ、成功させるには僕、賭博師さん、少女ちゃん、それにバーのマスターさんのような街の住民の人達の協力が必要だ」


バーの親父「あ、アタシ?」


賭博師「よし、話を聞こう」


少年「少女ちゃんが行ってしまったあの日の事だけど」


————

——

——

————

少年(少女ちゃんを助けるにはどうすればいい?)


少年(この街のルールは絶対……しかも機械が管理してる、だからルールについて変えるのは多分無理だ)


少年(とりあえず少女ちゃんを所有しているっていうボス、って人について調べてみよう)カタカタ


少年(……街の人の評判はよくないみたいだ。匿名だからか皆言いたい放題だし)


少年(カジノを経営している、ってのは少女ちゃんも言ってたけど、これ端末からでも参加ができるのか)

少年(……とりあえず直接会いに行ってみよう。良心があるなら少女ちゃんを解放してくれるかもしれない)


少年(……商店街のあれを見ている以上、期待はできないかもしれないけど人だから、もしかしたらがあるかもしれない)


少年「そうと決まれば早速出かけよう。ここからだと少し時間がかかるかもしれないし」


少年(……少女ちゃんだけを置いて僕だけのうのうと暮らすなんてできない)


少年(絶対に助ける!)

少年「ここがボスの家か、随分大きいけど」


少年(基本的にお金持ちの人でもそんなに家の大きさは変わらない、家を建てるには色々面倒な手続きや結構なお金がいるはずだしやっぱり1位は伊達じゃないな)


少年「よし!」ピンポーン


ボスの声「んん?今日は来客の予定はないはずだがどなたかね?」


少年「少女ちゃんを返してくれないか」


ボスの声「……いきなり誰かと思えば少女のヒモの少年とやらか。お前と話す時間はない、帰れ」


少年「貴方にも人の心があるなら少女ちゃんを解放しようとは思わないかな」


ボスの声「ハッハッハ!面白い事を言うガキだ。いいか、教えてやる。人間らしい人間ってのはな、私の事を言うのだ」

ボスの声「金の為に裏切り、金を下々から搾取し、金で私腹を肥やす……これほど人間らしい人のありかたは存在しないと思わんかね!」


少年「……貴方の言いたい事は分かった。何を言っても無駄だということも」


ボスの声「フン、貴様に何ができる?今月の終わりにはあの娘を糧に私はこの街の支配権を手に入れる!お前のような甘っちょろいガキに何かできるとは思えんがな!ハッハッハ!」ブツッ


少年「……人は、欲の為だけに生きてるんじゃないんだ」


少年(とにかく、今はここに居ても意味はない。一度帰って何か手段を講じないと)

少年「……ん?」ヒョイッ


少年「これは……コインか」


少年(一番価値が大した事のない物だけど誰かが落としたのかな)


少年(あそこで小さな男の子が何かを探しているように見えるけど……)


少年「君の探している物はこれ?」


男の子「あ!ボクのコイン!ありがとー!お兄ちゃん!」

限界が来そうです。今日はここまでです。今思うと三点リーダー使いすぎな気もします。読みづらかったらすいません。
ではまた夜に

少年「これを探してたの?」


男の子「うん!おじーちゃんがね!お金は価値が低い物でも大切にしないと駄目だよーって言ってたから探してたの!」


少年「なるほど……この街では珍しい考え方だけど僕は好きだよ。そういうの」


老紳士「ふぉっふぉっ、そう言って頂けると嬉しいですな」


男の子「あ!おじーちゃん!」


少年「貴方がこの子のお爺さん?」


老紳士「左様、老紳士と申します」

少年「老紳士さん?どこかで聞いたような……」


男の子「おじーちゃんはね!昔この街で一番のお金持ちだったんだよ!」


少年「あっ!そうか、少女ちゃんが前に言ってた元ランク1位の!」


老紳士「昔の話ですがな。今では大したお金も残っておらず家族とひっそり暮らしておる隠居の老いぼれじゃよ」


老紳士「君は少年君だね、色々話は聞いているよ。少女ちゃんは酷な事になってしまったが」


少年「……いや、まだ終わってない」


老紳士「ふむ……?」

少年「終わらせない、何としても助けるんだ」


老紳士「なるほど、良い目だ。ヒントになるかは分からないが一つ良いことを教えてあげよう。少女ちゃんを取り戻すために役立つかもしれない」


少年「良いことって?」


老紳士「ボスが経営しているカジノ。あれは全ての利益がボスの懐に行くようになっていてね。その代わりカジノで当てた場合のお金はボスの資本から引かれるんだ」


少年「それって!」


老紳士「昔はそんなことなかったんじゃが。少女ちゃんのお父さんは立派にカジノを経営していて、余った利益は街に還元してくれていた。私の手伝いなんかもしながら街を良くしようと頑張っていてくれたよ」


老紳士「しかし、今の街は違う。皆ボスに逆らえない、独裁の地盤が固まってきている。今何かが起きてしまえば取り返しのつかないことになるかもしれない。街のルール自体を変える必要がある」

少年「街のルールを変える……?」


老紳士「うむ、ランク1位には街のシステムをある程度変更できる権限が与えられる。今犯罪に対する防衛策が過剰なのもボスが変更した点かの、他には所有物になるというルールもそうじゃ」


少年「前は違ったってこと?」


老紳士「所有物になるというルールは存在しなかった。あれは恐らく正確にはその人物を家や家具なんかと同一として扱うようにするという事の応用じゃ、ボスが1位になった時にルールを変更したと思われる」


老紳士「当時少女ちゃんが助かったのはそのルール変更のラグに助けられたのじゃろうな」

男の子「おじーちゃん!そろそろ帰らないとママに怒られちゃうよ?」


老紳士「おお!そうだそうだ!というわけでそろそろ行くが、私の家は少女ちゃんの前の家の隣にある。何か相談があったら訪ねてくるといい、出来うる限り力になるよ」


少年「うん!貴重な話をありがとう!」


少年(道筋が見えてきたかもしれない、カジノか……)


少年(あと一つ、何かないかな?)

少年「……」ピッ ピッ


少年(ボスのカジノの最大倍率は36倍、ルーレットのストレートアップベットだ)


少年(でも流石にこれをアテにするのは分が悪そうかな……)


バンッ


取立「あらよっと邪魔するぜ」


少年「貴方は……取立さん!?」

取立「よぉ坊主、順調そう、とは言い難い状況みたいだな」


少年「どうしてここに……」


取立「ん?あー、そうだな。報告が一つと助言が一つ、お前に届けに来たんだよ」


取立「まずは報告だ。お前の今の両親だが、息子が借金を返そうと頑張ってるぞーって言いに行ったんだよ」


少年「うん」


取立「そしたらな、じゃあ借金はあの子に任せて私達は幸せに暮らす。だってよ」


少年「……」

取立「ありゃマジもんのクズだな、お前も救われないね、あんなのに拾われてさ。だったら拾わなけりゃよかったのによ」


少年「……仕方ないよ。それでも今まで育てて来てくれたんだから」


取立「こんなことになってもまだあいつらを憎まないのか?」


少年「憎んだって何にもならないからね。僕が頑張れば二人幸せになるならそれはそれで良い事なんじゃないかなーって思うんだ」


取立「ま、そうでなきゃな。それでこそ俺が選んだ奴ってもんだ」


少年「?」

取立「それじゃお待ちかねの助言だ。お前が今まで街で経験したことを思い出してみろ。そこにヒントが眠ってるぜ」


少年「今まで経験したこと……」


取立「何かを選んだ事に注目してみろ」


少年(選んだこと……?最初は金庫商さんのどちらに話しかけるかだったかな。他は賭博師さんとのコイントスの賭けとか、果物をどっちにするかとか、ゲームのこととか、指輪の事とか……)


少年「どっちにするか……?」

少年「いままでどっちかを選ぶときに外していない……?」


少年「少女ちゃんみたいな能力が僕にもあったってことか!」


取立「まあそうだな。んで?その力を何に使う?」


少年「……」


少年(考えろ、この力を用いて出来る事はなんだ?)

少年(ルーレット?そうか!ルーレットなら赤か黒の二択だ。これを使えば……)


少年(……いや、ルーレットには確か0もあった筈、そう上手くはいかない)


取立「あー、それなんだけどな。基本的に二択だったらなんでもいいんだよ」


少年「え?」


取立「ぶっちゃけ考え方の問題だからさ、その力って。1/2じゃないと使えないわけじゃないんだぜ」

少年「1/2じゃないと使えないわけじゃない……」


少年(今までの事を全部思い出せ!きっと何か道があるはずだ!)


少年(ボスのカジノの当たりはボスの資本から引かれる、端末を使っての参加もできる。ただここぞの勝負の時にはイカサマをするらしい)


少年「……そういえばこの街でカジノに全額賭けた時ってその時点で駄目なのかな?」


取立「良い着眼点だ。その場合は結果が分かるまで保留ってことになるらしい。全額賭けても当てさえすりゃ大丈夫みたいだな。普通そんなことをするやつは早々いないらしいが」

少年「そうか……なら」


少年「いや、でも少女ちゃんの能力が使えないと……」


取立「ああ、その少女って娘な、今月末にボスに連れられてカジノに来るらしいぞ」


少年「え?」


取立「俺ができる最後のお節介だ。その少女ちゃんに何をすればいいか伝えておいてやるよ」


少年「で、できるの?」


取立「まあそうだな。紙を渡すくらいなら」


少年「じゃあ」カキカキ


少年「これを少女ちゃんに渡してもらえるかな」


取立「おうよ、任せな」カサ


少年「……結局取立さんは何者なの?」


取立「んー、それには答えられないが」ガチャ


取立「全ての街の平和を祈る男、だぜ」バタン

少年「……よし、今は取立さんを信じるしかない。僕が出来る事は」


少年「いろんな人を訪ねることだよね!」ガチャ


バタン


——

————

少年「と、色々な事があったんだけど」


賭博師「つまりカジノで何かしようってことか?」


少年「そう、僕が考えた作戦はこうだ」


少年「——————」


賭博師「……正気か?下手すりゃお前もあいつの物になるぞ」


バーの親父「アタシも少女ちゃんにはお世話になってるし協力するのは構わないけど……それだけの人がこの街にいるかしら」


少年「できる!僕は人が欲の為だけに生きているわけじゃないと信じてるから!」

その場その場で書いてるせいで色々修正したい所も出てきたりしたんですがこのままごり押します。
ただ能力についての所はちょっと修正しないと駄目かなー……何はともあれ今日はこれくらいで、また夜に

支倉凍砂のWEEみたいだな

>>245 お、知ってる人がいるとは、実際やりたいとは思ってもプレイしたことがないので内容がどうかはわからないんですが「損をしてはいけない」、というのはそこから取ってると言えるかもしれません。このタイトルにしようと思ったのがWEEのイメージ曲を聴いてる時だったので

————

少女(……今日で何日が経っただろう)


少女(日も差し込まないこの場所じゃ、時間間隔も分からない)


取立「よー、生きてるかー」


少女「貴方は……あの時の」


取立「お、覚えててくれてんだな。忘れられてると思ったぜ」

取立「あの坊主から届けもんだ」カサ


少女「これは……!」


取立「あいつはまだ諦めてないぜ」


少女「……本当に、馬鹿。自分だけでも外に出られるだろうに」


取立「そんなこと言ってる割には顔は嬉しそうだな」


少女「う、うるさい!」

取立「ま、俺が手出しできるのはここまでだ。後は頑張れよ」


少女「結局貴方は何者?」


取立「んー、少年にも同じことを聞かれたが、ただの全部の街の平和を祈る男だよ」


取立「ああ、あとその能力ホントはもう失ってる筈なんだが、当時俺もヒネてた時期だったしおまけで残しといてやるよ。じゃあな」コツコツ


少女(あの人は謎のままだけど、私も思考停止で折り紙ばかり折っているわけにはいかなくなった)カサ


少女(私の命、少年君に預ける……!)

————

少年(遂にこの日が来た!今日を逃すと恐らく少女ちゃんは……)


少年「そうならないためにも、絶対に助ける!」


ガチャ


賭博師「準備はできたか?」


少年「うん、後は実行するだけだね」


賭博師「……本当にいいのか?少なくとも3つは不確定要素が混じるぞ」


少年「大丈夫、皆の力があればなんだってできる」


少年「さあ、行こう!」

すいません、今日は短いですがこのへんで、来れたのも偶然みたいなものだったので。
来月までには終わらせられると思うのでもうすこしお付き合いください

バーの親父「来たわね」


少年「うん」


賭博師「あったか?無線の通信機」


バーの親父「ええ、随分昔の物だからせいぜい10m位が限度だけど十分だと思うわ」


少年「大丈夫だね。片方は僕が持っておくよ」

少年「最終確認だ。作戦はこう、まず少女ちゃんがルーレットの出る可能性のある数字を割り出して、0が出る可能性の低くない時どちらの色の数の方が多いかをマスターにどうにか伝える。この時少女ちゃんは恐らく誰が伝える相手か分からないはずだから、まず僕と一緒に少女ちゃんにメッセージを伝える相手だとアピールしに行くよ」


少年「次に0が出る可能性が高い時が来たら、出る可能性が高い色に賭博師さんがあたかも勝負に出たようにベットする。そうすれば相手がイカサマをして0が出る確率を1/20から最高1/2まで引き上げられるからね」


少年「相手に出来るのは赤に入れるか黒に入れるかを投げ入れる時に選ぶ事だけだ。そうしたら僕が0に入るかを能力で確かめる。駄目だった場合はそのゲームは捨てて、次へ」


バーの親父「賭博師の兄さんの所持金は足りるのかしら?」


少年「こればっかりはやってみないと分からない。さっき言ってた不確定要素の一つだね」


賭博師「大丈夫だ。計算した限りでは尽きる前になんとかなる筈だからな」

少年「賭博師さんの所持金が尽きる前に0が出る時が来たら、投げ入れた後僕が持っている所持金を全て0にストレートアップベットをする。それを合図に協力すると言ってくれた街の住人の人達が一斉に0にベットしてくれるから」


少年「それでボスの所持している総合計額の半分を削れれば、僕たちの勝ちだ」


バーの親父「協力してくれる街の住民は何人くらいなのかしら」


少年「出来るだけ頑張ったんだけど……今50人くらいかな」


賭博師「少年の所持金が9000万、これが36倍になると考えると一人100万賭けてくれないと足りないぞ」

少年「こればかりは街の人達を信じるしかないかな。できるだけ広めてほしいとは皆に言ったけど」


賭博師「……まあ今更引く事はできねぇな」


バーの親父「ねぇ。思ったんだけどルーレットで2倍にしていくのを何回かするのじゃ駄目なのかしら」


少年「それだと少女ちゃんがどうなるかわからない。逆上されて少女ちゃんに何をされても止めようがないからね」


賭博師「それ故に一回で仕留めないといけないってことだな」

少年「準備はいい?」


賭博師「おう」


バーの親父「ええ」


少年「行くよ……!」ギィ


少年(僕の……始めての戦いだ!)

今回も短いですがここまでです。キリがいいので・・・
今日と明日(もしかしたら明後日)の夜で多分最後まで持っていけると思います。ではまた夜に

少年「まだ……ボスと少女ちゃんは来てないみたいだね」バタン


賭博師「ああ、好都合だ。俺は先にルーレットの様子を見てくる、少年と親父さんはその場所へ」


バーの親父「……もう突っ込むのも疲れたわ。OKよ」


少年「うん」


少年「僕はボスに顔を知られてるからね。覚えてないかもしれないけど……念の為マスターの影に隠れるからボスが視線を逸らしたら教えて」


バーの親父「分かったわ。それにしても少女ちゃんはどうやってアタシに数字を伝えるつもりかしら。こううるさくちゃ声は聞こえないし、聞こえるまでの声を出したらまず間違いなくボスに気づかれるわよ?」

少年「うーん、そこは大丈夫じゃないかな」


バーの親父「どうして?」


少年「少女ちゃんって折り紙が趣味なんだよね」


バーの親父「へぇ、意外かもしれないわ」


少年「うん、それでいつも折り紙を結構な枚数持ち歩いているんだよ。この街は娯楽が少ないし、だから多分紙飛行機か何かでこっちに渡してくれるんじゃないかな」


バーの親父「此処からならボスが居座りそうな場所にそう遠くないし確かに紙飛行機ならバレにくいかもしれないわね」

ギィィィィ


少年「来た……!」



ボス「ハッハッハ!見てくれたまえこの豪華な内装と素晴らしいカジノを!君のお父上がやっていた頃より立派になっただろう?ん?」


少女「……悪趣味」ジャラ



バーの親父「首輪だなんてホント良い趣味してるわあの親父……」


少年「少女ちゃんも僕らを探してくれる筈だ。ボスが見ていない時を計らってアピールしよう」

ボス「ふむ、今日はカードの所が良い感じだな」


少女「……」チラ



少年「こっちを見た!」フリフリ



少女「!」



バーの親父「気づいてくれたみたいね」


少年「ボスにも気づかれてないね。よし、じゃあ僕は賭博師さんの方に行くよ。連絡よろしくね」


バーの親父「任せて頂戴」

少年「賭博師さん」タッタッ


賭博師「お、少女ちゃんとコンタクトはできたか」


少年「うん、あとはあっちに任せよう。連絡が来たら作戦開始だ」


賭博師「いよいよか」


少年(やるんだ!)

すいません。昨日の夜急用ができてしまい中途半端なところで区切ってしまいました。
明日も微妙なところなので今日の夜で書ける所まで書いてみます。

バーの親父の声「ザザ……聞こえるかしら。少女ちゃんから紙が来たわ。最初は黒の方が多く出るみたい」


少年「OK。賭博師さん、黒だ」


賭博師「おう、黒に100万だ」


ディーラー「はっ?は、はい」


ディーラー「他の方、よろしいですか?では」シュッ


少年「……駄目だね。赤だ」

少年(できればボスに気づかれないまま事を終えたいけど……)


賭博師「ちっ、駄目か」


ディーラー「赤の30番、賭け金の回収と配当を行います」ピッ


少年「怪しまれないように0が出ないときは普通にやってもらっていいかな?」


賭博師「あいよ」

バーの親父の声「ザ……少女ちゃんから指示無しよ。今回は0は出ないわ」


少年「了解。賭博師さん、おまかせするよ」


賭博師「おう、任せろ。そうだな……奇数に15万だ」


客「俺は赤に20万」


ディーラー「はい、よろしいですか?では」シュッ

ディーラー「……黒の15番です。賭け金の回収と配当を行います」


賭博師「よし」


少年「流石賭博師ってだけはあるね」


賭博師「当たり前だ。何年これだけで稼いできたと思ってる」


少年「なんとかリカバリーもしていきながら0が来るまで待とう」

————

ディーラー「赤の9番です。賭け金の回収と配当を行います」


賭博師「マズイな、そろそろオレの残金が危うい」


少年「後何回位が限界?」


賭博師「あと5回ってところか」


少年「そろそろ出ても良い頃だと思うんだけど……」

少女(……来た、今回はあるかもしれない)


少女(届け!)スッ


ボス「ん? ……おい、何をしている!」


少女「しまっ……!?」



バーの親父「来たわね……あれは!」


バーの親父「少年君!聞こえる!?少女ちゃんがマズイわ!」

少年「何だって!?」

少年(少女ちゃんがボスに連れて行かれそうになってる!)


バーの親父「いい?これが恐らく最後のチャンスよ。出る可能性が高いのは……赤!」


少年「賭博師さん!赤だ!」


賭博師「ああ!赤に200万だ!」


ディーラー「は、はい。他、よろしいですか?では」シュッ!

少年「頼む……!今回はどうだ……?」


少年(……駄目だ!0じゃない!)


少年(どうする!もう少女ちゃんの力は使えないけど今回を逃すと少女ちゃんがどうなるかわからない!)


少年(……信じるんだ。救うと。この力はそのためにある!ここで少女ちゃんを救う!)


ディーラー「ベットを閉め切りますがよろしいですか?」


少年「……9千万」


ディーラー「は?」


少年「0に、9千万ベットだ!」

ボス「ルーレットの所にいるあのガキ……!そうか、お前たち組んでいたな!」


少女「……」


ボス「フン、そんなことは今更どうでもいい。見てみろ。0に全財産を賭けたぞ。馬鹿な奴め。自暴自棄になったみたいだな!これでお前たち二人仲良く晒し物にできるなぁ!ハーッハッハッハ!」



少年「僕の力で出した答えじゃ、0じゃない」


賭博師「な、何!?大丈夫なのか!?」


少年「僕自信が変わる時、なんとなくじゃない。出ると信じるんだ!0が出る事を疑わない!」


少年「僕がこの街を、少女ちゃんを、救う!」

コロコロ カタン

ディーラー「……」


少年「……」


賭博師「……結果はどうなったんだ?」


ディーラー「ゼ、0です」


少年「!」


ディーラー「0番、は、賭け金の回収と配当を行います!」


賭博師「や、やったじゃねぇか!」



ボス「バ、バカな……ありえん……き、貴様!何をしたあああああ!」ブン


少女「っ……!」グッ


ピーピー!

ガシッ


ボス「な、何をする!離せ!」


機械「現在、貴方は少年様の所有下にあります。行為は認められません」


ボス「何をバカな!奴の配当は32億の筈だ!」

ボス「私の100億の半分には……!」


少年「それは違う」


ボス「き、貴様!」


少年「僕の32億じゃ確かに貴方の100億の半分には届かない。でも、街の人達も賭けたんだよ、0にね」


ボス「な、なんだと……?」


少年「皆、少女ちゃんを助けるために手を貸してくれたんだ」

————

——

少年「お願いします!少女ちゃんを助けるために力を貸してほしいんだ!」


老紳士「……ふむ、話は分かったよ。しかし、それははたして私達にメリットはあるのかな?」


少年「!」


老紳士「この街の住民は皆したたかだ。下手を打てば大金を失うかもしれないというのに協力してくれる人たちはいると思うかい?」


少年「……信じてほしいんだ。僕を」


老紳士「……」


少年「僕は街の皆を信じる!だから僕の事を信じてほしい!」


老紳士「……成程ね。良いだろう。甘くなったと思われるかもしれないが手を貸してあげよう、必ず、助けるんだよ?」


少年「勿論!」


老紳士(言っている事は無茶苦茶だが、何故かこの子には人を信じさせる力があるように思えるね。君なら、きっとあの子を助けられる)

優男「……少女ちゃんがボスに?」


少年「うん、助けるために力を貸してほしいんだ」


優男「……君にも少女ちゃんにもお世話になったからね!分かった!お金はそんなにあるわけじゃないけど君に託すよ!」


少年「ありがとう!」


——

金庫商a「力を貸してほしいと言われてもなぁ……」


金庫商b「要するに金だろう?俺たちもそんなに余裕があるわけじゃないんだよ。少女ちゃんには確かに世話になったけどさ」


少年「お願いします!僕にできることならなんだってする!だから少女ちゃんを助けるのに力を貸してください!」


金庫商a(こいつ……一度は騙されそうになった相手にここまで必死に)


金庫商a「……いいか、俺はお前の為に金を渡すんじゃねぇぞ。あくまで少女ちゃんの為だ」


金庫商b「お、おい?いいのか?」


金庫商a「少女ちゃんがいなけりゃ俺たちはまだここにいたかわかんねぇんだ。だったら賭けてみるのもありだろうよ」


金庫商b「仕方ねぇな。お前がそこまで言うんだったら、話を聞いてやるよ」


——

少年「だから残り、貴方を倒すのに必要だった5000万……街の皆の力さ」


ボス「こんなガキ共に……!私の、私の全財産が!私の街が!」


賭博師「お前の街じゃねぇよ」


バーの親父「街の皆の街なんだから、ごうつくオヤジは引っ込んでなさい!」


少女「少年君……!」ギュッ


少年「大丈夫?怪我はない?」


少女「こ、怖かった……もう、皆に会えないと……!」


少年「……うん、もう大丈夫だよ。僕が君を守るから」

ボス「うおおおおおおお!離せえええええええ!私が王だ!私が王なのだぞ!」


少年「貴方をどうこうしようとは思わない。ただ、この街に居ていいとも思えない。この街に二度と近寄らなければ何も言わないよ」


ウィーン


ボス「くそっ!くそぉぉぉぉぉぉ……」


少年「……終わった」


少女「……うん」


賭博師「終わったな」


バーの親父「終わったわね」

バーの親父「今日は祝杯ね!私の奢りでパーティを開きましょうか!」


賭博師「お、太っ腹じゃねぇか」


バーの親父「こんなめでたい日よ?これくらいはしなきゃ女がすたるってもんよ!準備しておくから夜にウチの店に来て頂戴ね!」タッタッ


少年「はは……いまいち実感は湧かないけど」


少女「少年君が、この街を救ったの」


賭博師「おう、もっと胸張っていいんだぜ!」バシッ


少年「あいたた! ……さて、これから大変になるね」


少女「これから、どうする?」

少年「街に戻ろうにも父さんも母さんもあっちはあっちで幸せそうだし。折角だからこの街に住もうかなぁ」


少女「!」


少年「街のルールを変えて、皆が幸せになれるような街にしてみせるよ」


少女「うん」


賭博師「最初の方は忙しいだろうな。まだボスの取り巻き達は残ってるわけだし」


少年「そうだね。でも皆で力を合わせていけば、きっと乗り越えられるよ」

賭博師「ああ、そうだな。 ……って思うあたりオレもお前に毒されちまったのかねぇ」


少女「ふふ……」


少年「このまま少女ちゃんの家に厄介になってもいられないし家も探さなくちゃ」


少女「……む」


少年「ん?」


少女「私の事、守ってくれるって」


少年「え?うん。そうだけど……」


少女「だったら」ギュッ


少年「え?え?」


少女「ずっと傍に」


少年「あ、う」プシュー


賭博師「なんだ、照れてんのか。お前も男だねー」

少女「私の前の家もある。そこに住めばいい」


少年「で、でもあそこは少女ちゃんの思い出の場所なんでしょ?他人の僕が入ってもいいの?」


少女「他人じゃなければいいの?」


少年「え」


少女「家族に……なる?」


少年「う……うん?」


賭博師「ヒュー!逆プロポーズとは少女ちゃんも大胆になったなおい!」


少年「ぷ、ぷろぽ!?」


少女「ずっと一緒」ピトッ


ヒューヒュー!


客a「いいぞー!熱いねー!」


客b「この街の救世主の結婚式はいつだ!派手に祝ってやるぞ!」


客c「浮気すんなよー!少女ちゃんを嫁にするんだからなー!」



少年「うう……」


賭博師「はっは!顔真っ赤だぞ!」

少年「しょ、少女ちゃん!」


少女「?」


少年「……ぜ、絶対に幸せにするから!」


少女「……うんっ」


ヒュー!


賭博師「……オレもそろそろ彼女が欲しいなー」


少年(これが)


少年(僕の、今までで一番長い、2カ月の話)




『損をしてはいけない街』 了

2日かかると思いましたが終わりました。20日もの間見てくださった皆さまお疲れ様です。
後日談もありますのでHTML化依頼はまだしないつもりです。後日談については明日の夜に投下予定ですので、もうすこしお付き合いいただければと思います。

少年(あれから数日後、街のルールを変えるにあたって、協力してくれた街の住民やいろんな人の意見を取り入れた)


少年(まず、人の所有物化の廃止、財産没収の廃止。街の投資ゲームに関しては良くできてると思うのでそのままにしておいた。人の命に関わらないならいい物だと思うからね)


少年(そして一つ、ある意味ボスの遺産と言ってもいいかもしれないんだけど……)


賭博師「……どうするんだ?この途方もない額の金は」


少年「うーん、どうしようかな……」


少年(そう、どうやらボスは昔のネットワークを使って富豪仲間にこの街自体を競馬場のようにしていたらしい)


少年(どの街の住民が半分の金額を割るか、この一カ月でランキング変動がどうなるか)


少年(当たり前のようにボスが今まで不動の一位だったせいかボスに大金を賭けていた人も多かったらしい)


少年(そこで僕が繰り上がってしまったせいでランキングの予想に大きく狂いが出て富豪達が賭けた大金が街に入ったままの状態だ)


少年(勿論僕が一位の今、このネットワークは遮断させてもらった。相手がいくらお金持ちでも街のシステムが生きている限りは手出しできないしね)


少年「とりあえず帰って少女ちゃんとも話合ってみるよ」


賭博師「ああ、それがいい。出来たてのカップルは見てて楽しいなぁおい」


少年「も、もう!」


少年(少女ちゃんとの結婚の話は、とりあえず保留中だ)


少年(流石に僕たちはまだ若すぎるし、僕も少女ちゃんも前住んでた街じゃ結婚できない年齢だし……言いかえればこの街では出来ちゃうんだけど)


少年(とりあえずは落ち着いたらまた話をしようと言ってある。一応まだ出会って2カ月ちょっとしか経ってないんだけどなぁ。どうなるかわからないもんだねホント)

ガチャ

少年「ただいまー」


少女「おかえり」


少年(僕はあれから少女ちゃんの家族が住んでいた家に一緒に住んでいる。もう家族みたいなものだから、ということらしい)


少年(端末は少し調子が悪いので街の機械がその内修理してくれるみたいだ。それ以外は荷物を運んで掃除するだけで簡単に引っ越しは済んだ。因みに前の家は優男さんと彼女さんが住んでいたりする。なんでもボスが居なくなって街の雰囲気も良くなったのでここに住むことを再考しているらしい)


少年「ああそうそう、賭博師さんと端末をチェックしててこんなことが分かったんだけど……」

少女「……ふむ、それだけのお金だと確かに使い道に困る」


少年「街の為にどうにか使えるといいんだけどね」


少女「うん」スリスリ


少年「……あの」


少女「うん」


少年「どうして僕の背中に頭をこすりつけてるのかな?」


少女「良い匂いがするから」


少年(この少女ちゃんの変わりようも凄い。いや可愛いから良いんだけどね)


少年(というかむしろ元々がこっちなのかも)

少年「そういえば」


少女「うん?」


少年「最初僕を鍛えてくれるって言ったり泊めてくれたりしたのはどうしてなの?」


少女「……最初はこの街の事を良く知らない癖に何を甘ったれた事を言ってるんだろうって思った」


少年「うっ」


少女「ただ、人を信じるって言ったのが気になって、私には出来なかったことだから」


少年「うん……」


少女「一緒に過ごしているうちに本当に人を信じてる、ってのが分かってから、少しずつ惹かれていった?」


少年「なんで疑問形?」


少女「私もよく分からない。ふふっ」

少年「この街に来てからいろんな事があったなぁ……」


少年「ん?この街に来てから?」


少年「そっか……!僕みたいな人もいるんだよね……!」


少女「何かいいアイデアが思い浮かんだ?」


少年「うん、ただこれは街の皆の協力がいるかな……でも」


少女「私達なら問題ない」


少年「だね!」


————

————

青年(仕事を失くし、残った金はたったの10万。彼女にはもう用済みと捨てられ、ここからどうすればいいんだと思った矢先)


青年(損をしてはいけない街の存在を知った。俺ももしかしたらここで再起できるかもしれないと)


青年「鬼が出るか、蛇が出るか……」


ガコン

ウィーン……

ワイワイ

ガヤガヤ

青年(なんだ?思ってたより随分明るい街だな)


青年(聞いた話じゃ皆疑心暗鬼になりながら暮らしているって聞いてたのに)


青年(これなら俺もやれるかもしれない!)


————

青年(終わった……十万全部すっちまった……)トボトボ


青年(どうして俺はギャンブルが苦手な事を忘れていたんだろう……現実逃避したかったのか……)


青年(もうどうしようもない……絶望だ)


金庫商a「おい、そこの兄ちゃん」


青年「はい……?」


金庫商b「かーっ!若いモンが何辛気臭い顔して歩いてやがる!」


青年「もう……いいんです……ほっといてください」


金庫商a「……ふー、このやり取りも何度目だか、ほれ」ピラッ


青年「この紙は?」


金庫商b「行きゃわかる。とりあえずそこにいきな」

カランカラン

青年「ここは……?バー?」


バーの親父「あらぁーいらっしゃい。始めての方かしら、こちらの席にいらっしゃーい」ウフン


青年「は、はぁ……」


青年(一体何がどうなってるんだ?)


青年「あの、とりあえず此処に行けって言われたんですけど」


バーの親父「まあそうね。とりあえず」ドン


バーの親父「これでも食べて元気出しなさいよ」


青年「え?あの、お金は……」


バーの親父「あーあー分かってる分かってるわ。どうせ一攫千金を夢見てこの街に来たのはいいけど失敗して人生のどん底を味わってるとかそんな感じでしょ?」


青年「な、なんでそれが?」


バーの親父「そんなもん顔見りゃ一発よ。この街でそんな顔してるのはそんな客くらいだわ」

バーの親父「ちょっとそれでも食べて待っててくれる?」

ガチャ

バーの親父「あーもしもし少女ちゃん?そうそうマスターだけど、少年君連れて来てくれないかしら?うん、そうそういつもの。うんうん、はーいじゃあ待ってるわね」


青年「……?」モグモグ


青年(何これすげぇ美味い)モグモグ


青年(こんなに温かい料理を食べたの何年ぶりだったろう)


青年(毎日粉骨砕身して働いて、彼女にも尽くしてきたのに)グスッ


バーの親父「あーもうほら涙で折角のイケメンが台無しよ、ほらハンカチ」


青年「す、すいません」グシグシ


カランカラン


少女「こんにちは」


少年「どうも、その人がそう?」


青年(男の子と女の子?このマスターが呼んだのか?)


少年「始めまして、僕は少年、こっちは少女ちゃん」


少女「始めまして」


青年「あ、ああ……」

バーの親父「一応こんなでもこの街のトップよ」


青年「は!?」


少年「未だに実感は湧かないんだけどね……はは」


少女「私は良くやっていると思う」


バーの親父「そうよー、この街が明るくなったのも少年君のおかげなんだからもっと胸を張りなさいな」


青年(こんな子供が?なんの冗談だ?)

少年「で、大体の予想で話していくので間違ってたら指摘してね」


青年「え?あ、ああ」


少年「まず、どこかの街から逆転を夢見てこの街に来た」


青年「そうだ」


少年「一攫千金を夢見たのはいいけれども全ての残金を使い切ってしまった」


青年「ぐ……間違いじゃない」


少年「これからどうしようか全く思いつかない」


青年「……そうだ」


少年「そういう人も結構いるんだよ。この街を見て気づいた事って何かないかな?」


青年「この街に来て……皆明るい表情してることくらいか?」


少年「そう言ってもらえると僕もこれまで頑張ったかいがあったかな。そう、この街は訪れた人たちに損をさせない為にあるんだ」


青年「損をさせない?」


少年「うん。で、よかったらこの街で一緒に働かないかな?」

青年「え?」


少年「この街で、僕たちと、街の皆と一緒に訪れた人皆に来てよかった!損をしなかった!そんな街にする手伝いをしてほしいんだ!」


青年「俺みたいなのでもいいのか?」


少女「むしろ貴方みたいな人達は結構いる。今は皆毎日笑顔で暮らしてる」


少年「訪れた人には勿論貴方みたいな人も含まれるんだ!絶対に損はさせないから僕達と一緒にこの街で暮らさない?」


青年(なんだ?この子たちの妙に安心する言葉は)


青年(この子たちは俺みたいな男でも救ってくれるって言うのか?)


青年「……ああ、俺でよければ、是非」


少年「よし、決まりだね!それじゃまずは!」


バーの親父「アンタの就任記念パーティでもやりましょうか」


青年「は?」

少年「とりあえず仕事はまた今度説明するから暫くはこの街をめいっぱい楽しんでよ!」


少女「娯楽施設もたくさんある。貴方は暫く全部フリー」


青年「い、いいのか?」


少年「訪れた人に楽しんでもらうにはまずは自分が楽しまなきゃね」


青年(本当にこの人たちは俺に楽しんでもらおうとしてくれているのか)


青年「損をしてはいけない街って言うからてっきりもっと暗い雰囲気の所なのかと思ってたけど……」


少女「それは前の名前」


青年「え?」


少年「今のこの街の名前は」


少年・少女「『損をすることのない街』!」



「損をしてはいけない街」

アフター

「損をすることのない街」  了

これで後日談含め終了です。少し過ぎてしまい4月に突入してしまいましたが皆さま本当にお疲れ様でした。
やはり書き溜めがないだけあり更新速度は亀でしたが楽しんでいただけましたら幸いです。


ごく小さい範囲での共産主義はそれなりに成功するからそんな感じなのかな

>>324 一応は共産主義ではなく資本主義です。共産主義に近い感じではありますが

街の生活必需品などの物価は基本的に安いままです。ですが、賃金に関しては一定の基準を設けたわけですね。ここらへんは話の中に出て来てないですが、職人の手がかかるもの、作中だと金庫商が一番分かりやすいかな。等の売る物はチェックが入るわけです。この値段なら皆が損をしない、そんな感じの値段ならOKサインを出すわけですね

少女ちゃんの牢屋に捕まってる時のトイレ事情だけでも教えてください
きになって夜も眠れないんです

折角なので



助手「そんな物が一体何の役にたつんです」

博士「私の役にたつのさ」

————

助手「友達?いませんよ、言いよってくる女性ならいますが」

博士「私に喧嘩を売ってるのか君は」

————

助手「はっ、そのナリで一体何を言ってるんですかね」

博士「おい、君より私は5つ年上なのを忘れていないだろうな」

————

博士「私は空が見たいんだ」

助手「お手伝いしますよ。最後まで、僕は貴女の助手ですから」


次回

博士「未だ果ての見える街」

>>326 少女ちゃんのトイレ事情ですが、一応トイレっぽいものはあります。牢屋と言っても一応はボスの所有物になった人たちの収容所なので、少女ちゃんの家族もこの牢屋にいました。
でも、恥じらいながら牢屋でトイレをする少女ちゃんも凄くいいと思いますいやなんでもありません

果たして実現するのかエイプリルフールなのかは皆さんのご想像にお任せするということで

残念ながらそこまでの描写力が私にないので脳内保管でお願いします……
とりあえず今日はこれで。明日の夜にHTML化依頼をかけるつもりですのでそれまでに何かあったら書きこんでいただければ出来うる限り返すつもりです
それでは乙です

明日の夜というか今日の夜でした、それだけ訂正を

トイレの裏設定を聞いて支援SS書きたくなったのですが
やっぱりダメですよね

面白かったが、ボスとの対決での作戦と勝てた理由が全く解らん。
何で賭博師さんは金尽きる寸前まで賭けてたん?

>>340 賭博師さんの金が尽きる、というのは半分ギリギリまでということです。賭博師さんがそこまでした理由は少女ちゃんを助けたかった、自分に勝負で勝った少年に全てを賭けていた、というのがあります。

何故勝負に勝てたか、これについては少し説明し辛いです。もう午後なので言ってしまいますが続編への伏線っぽい何かです。

>>336 支援SSはそう言って頂けると嬉しいですが内容が内容なので……

0か、それ以外かの二択
これかと思ってたは

>>342 ここも作中では触れていないので補足、少年の能力と少女の能力はリンクしています。
選択肢が2択でかつ1/20以内の確率ならば能力の精度が上がります。
逆にそれ以外の場合、1/21以上の確率だと使うたびに少年君の心が荒んでいきます。なのでもしあの場に少女ちゃんが居なかった場合実際に作戦は失敗しているわけだったりします。
少年君はこの事実にうっすらとですが気づいています。その選択肢とそれ以外で投資ゲームをやった場合、結果は分かりますが自分という人物が変わっていってしまう事に気づいて、少女ちゃんの力が必要と判断したわけですね。

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