千早「暇なのよ」美希「眠いの…」 (48)


千早「美希、美希…起きてちょうだい」

美希「んー…人が気持ちよく寝ているのに起こすのは誰なの?」

千早「美希、寝ている場合ではないわ、大変よ」

美希「あれ、千早さん…?おはようなの」

千早「おはよう美希、せっかく寝ていたのにごめんなさい、一大事なのよ」

美希「千早さんすっごく真面目な顔しているの…一体何があったの?」

千早「美希、私はとても暇をしているわ」

美希「……」

千早「……」

美希「…えっ?」

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千早「聞こえなかったのかしら美希、私は暇をしていると言ったのよ」

美希「そ、そうなんだ…」

千早「えぇ、そうなのよ」

美希「……」

千早「……」

美希「え、えぇっと…それで?」

千早「それで、とは一体どういうことかしら?」

美希「え…いや、千早さんは用事があったからミキを起こしたんだよね?」

千早「いえ、別に用なんて無いわよ?」

美希「えぇぇー」


千早「そうね、特に用事なんて何も無いけれど」

美希「…ミキ、もういっかい寝てもいいかな?」

千早「えぇ、構わないわよ」

美希「構わないんだ」

千早「いいわよ、暇であることを伝えたかっただけだから」

美希「それだけのためにミキは起こされたの?」

千早「些細なことだわ、気にしたら負けよ?」

美希「ミキにとっちゃ些細でも何でもないの」

千早「まぁそんなことはさて置き、安心してゆっくりお眠りなさい」

美希「何だかよく分からないけど…それじゃあお言葉に甘えることにするの」


千早「美希?眠ったかしら?」

美希「んー…むにゃむにゃ、おにぎりおいしいのぉ」

千早「よし」

美希「Zzzz...」

千早「美希、寝ている場合ではないわ、起きてちょうだい」

美希「んんっ…千早さん、またなの…?」

千早「大変よ美希、早く起きなさい」

美希「だから千早さん、今度は一体どうしたの?」

千早「美希っ、起きてちょうだい、お願いだから目を覚まして」

美希「うん、ミキもう起きてるからね?」


千早「美希、目を覚まして!こんなところで眠ってはダメよっ!」

美希「千早さん、ミキとっくに起きてるから…聞こえてるよね?」

千早「美希っ!目を開けて美希ぃぃぃっ!」

美希「……」

千早「あら美希、起きていたのね、おはよう」

美希「うん、おはようなの、それで今度は一体何の用なの?」

千早「ごめんなさい何でもないわ、どうやら気のせいだったようね」

美希「えぇぇ…」

千早「何度も悪かったわね、今度こそゆっくりお眠りなさい」

美希「さすがにこの状況でもう寝ようとは思えないの」


千早「さぁ、おやすみなさい美希」

美希「いや、だからね千早さん」

千早「あら、眠らないのかしら?絶好のお昼寝日和だというのに」

美希「千早さん」

千早「そうだわ、だったら私が子守唄を歌ってあげましょう」

美希「千早さん、ミキそんなの頼んでないの」

千早「ふふっ、そんなに私の子守唄が聞きたいの?ミキってば小さい子供みたいね」

美希「おかしいな、ミキの話が全然通じないの、何だか壁に向かって話しかけてる気分なの」

千早「誰が壁よっ!誰がっ!」

美希「なんでそこだけ反応するの」


千早「それはそうと、美希はもう寝ないのかしら?」

美希「もうそんな気分じゃなくなったの」

千早「あなたはだんだん眠くなーる」

美希「千早さん」

千早「だんだん、だんだん眠くなーる」

美希「ミキの話が全然通じないの、面倒くさいの」

千早「そろそろ眠くなってきたのではないかしら?」

美希「分かったの、寝るの、少しだけ眠ることにするの」

千早「それがいいわ、安心してぐっすりお眠りなさい」

美希「それなら…今度こそお休みなさいなの」


千早「…美希、ちゃんと眠ったかしら?」

美希「……」

千早「よし」

美希「……」

千早「美希、一大事よ、早く起きてちょうだい」

美希「起きているの、やっぱりこうなると思っていたの」

千早「あら、起きていたの」

美希「絶対こうなると思って試しに寝たフリしてみたら案の定だったの」

千早「この私を出し抜くとは中々やるじゃない美希、褒めてあげるわ」

美希「う、うん…ありがとうなの…っていうか千早さん、さっきから何がしたいの?」


千早「何がしたいかと聞かれれば…そうね」

美希「っていうかミキの返事が無いって確認するなり『よし』って言ったよね?おかしいよね?」

千早「幾三!」

美希「えっ?」

千早「吉といえば幾三さんよ、美希」

美希「う、うん…そうだね、よく分からないけど」

千早「……」

美希「えっ、ミキはこの流れをどう処理すればいいの?」

千早「そこは美希の腕の見せ所よ、さぁっ!」

美希「無茶振りにも程があるってミキ思うな」


千早「それで、美希はもう眠る気は無いのかしら?」

美希「ミキがこの状況でYESって答えると思う?」

千早「日本人は本質的にNOと言えないらしいわよ」

美希「じゃあYES…いやいや、危うく流されるところだったの」

千早「ちっ」

美希「千早さん、アイドルが舌打ちはちょっとナシかなってミキは思うの」

千早「これは舌打ちじゃないわ、時限爆弾のタイマーの音よ」

美希「意味が分からないの」

千早「ちっちっちっちっちっ……どかーん!」

美希「すっごく絡みづらいの…」


千早「では美希は今日はもうお昼寝はしないのかしら?」

美希「うん、もうミキお昼寝しないの」

千早「あなたはだんだん眠くなーる」

美希「ならねえの」

千早「ラリホー!」

美希「効かねえの、いい加減諦めるの」

千早「そう…残念だわ、今度は寝ている美希にイタズラしようと思ったのだけれど」

美希「もう絶対眠らないの」

千早「ちなみにイタズラの内容はシンプルに額に『肉』と書くつもりだったのだけれど、どうかしら?」

美希「どうもこうも無いの」


千早「第二案はおにぎり好きにちなんで額に『米』だったのだけれど、どう思う?」

美希「だから何でミキに意見を求めるの?」

千早「ちなみに第三案は」

美希「もういいの、うんざりなの」

千早「…ふふっ」

美希「あれ、なんで今ミキの顔見て笑われたの?」

千早「ごめんなさい、美希の顔にヒゲの落書きをしているところを想像したら、おかしくなってしまって」

美希「勝手に変な想像して人を笑い者にしちゃ、ヤっ」

千早「額に『肉』、ヒゲ面で太い眉毛…完璧だわ、非の打ち所が無いじゃない」

美希「当分の間、千早さんの前では居眠りはよそうと思うの」


千早「さっきも言ったけれど、私は今とても暇をしているのよ」

美希「そうなんだ」

千早「えぇ、そうよ」

美希「……」

千早「……」

美希「ひょっとして千早さんは、ミキに暇つぶしの相手をして欲しいってことなのかな?」

千早「ふふっ」

美希「あれ、何かミキ笑われるようなこと言った?今度は何?」

千早「星井だけに『欲しい』だなんて、美希それ最高よ…ふふっ、おかしいわ」

美希「自分の苗字をこんなにも恨めしく思ったのは初めてなの」


千早「それにしても美希ってば、急にダジャレを言い出すなんて一体どうしたの?」

美希「別にミキはダジャレを言ったつもりはないの」

千早「ひょっとしてアレなのかしら?今から美希のダジャレ連発ショーが開催されるのかしら?」

美希「しないの」

千早「楽しみだわ、一体どんなダジャレが飛び出すのかしら」

美希「千早さん、お願いだからミキの話を聞いて」

千早「さぁ、さぁっ!早く美希」

美希「だからミキ、そんなのしないって言ってるよね?」

千早「えっ…しないの?」

美希「さっきから何回もそう言ってるの」


千早「と言いつつ実はー?」

美希「しないってば」

千早「というのはフェイントでやっぱりー?」

美希「やらねえの」

千早「とか何とか言っちゃいながらも本当のところはー?」

美希「しつこいの、ホントにしつこいの」

千早「なんでやねんっ!」

美希「ミキの頭の中が今、まさに『なんでやねん』でいっぱいなの」

千早「美希、散々期待させておいてそういうのはちょっとひどいんじゃないかしら?」

美希「ミキ、千早さんにイラってする日がくるとは思わなかったの」


千早「ちょっとばかり話が脱線してしまったわね」

美希「主に脱線させたのは千早さ」

千早「美希が突然ダジャレなんて言い出すからよ、まったく困ったものだわ」

美希「えぇぇー…」

千早「話を戻しましょう、それで私は今とても暇をしているのだけれど」

美希「うん、だから千早さんはミキに暇つぶしの相手をして欲しいってことなのかな?」

千早「ふふっ、美希ってばまた」

美希「千早さん、もういいから、もう勘弁して欲しいの」

千早「冷たいわね、もう少し乗ってくれてもいいんじゃないのかしら?」

美希「千早さんってこんなに面倒くさい人だったっけ」


千早「そんなわけで私はミキに暇つぶしの相手をして欲しいのよ」

美希「それならそうと最初から言って欲しかったの」

千早「あら、何を言っているのかしら?さっきから何度も何度も言っているじゃない」

美希「えっ?ミキ、一度も千早さんにそんなこと言われた覚えないんだけど」

千早「覚えがないのかしら?あんなに何度も言ったのに」

美希「一切覚えが無いの」

千早「おかしいわね、何度も心の中で叫んでいたのだけれど」

美希「……」

千早「美希には私の心の叫びは届かなかったようね、とても残念だわ」

美希「そんなの届くわけねえの…っていうか千早さん、一つ質問してもいいかな?」


千早「あら、何かしら?」

美希「千早さん…どうして今日、事務所にいるの?」

千早「……」

美希「…あれ、何で黙るの?ミキ何か変なこと言った?」

千早「随分な台詞ね…私が事務所にいてはいけないのかしら?」

美希「いや、別にそういうつもりで言ったわけじゃ」

千早「そうよね、こんな暗くて無愛想なのがいたら事務所の空気が悪くなるものね」

美希「千早さん、ミキそんなこと一言も言ってないの」

千早「こんな歌バカが事務所にいては話一つも盛り上がらないわよね」

美希「だからミキの話を聞いて」


千早「ごめんなさい、分かっているのよ…でもね、私にはここしか居場所が無いのよ」

美希「何だか雪歩よりネガティブになっちゃってるの」

千早「こ、こんなひんそーでちんちくりんな私なんて…」

美希「あっ、何かイヤな予感がするの」

千早「って誰がちんちくりんなのよ!」

美希「やっぱりこうなると思ったの」

千早「美希…いえ、星井さん、いくら何でも言いすぎじゃないかしら?」

美希「星井さん!?だからミキ一言もそんなこと」

千早「穴掘って埋めるわよ?」

美希「ちょっと目がマジで恐いの、落ち着いて千早さん!」


千早「……美希」

美希「は、はいなの」

千早「山に埋められるか、海に沈められるか、どっちがいい?」

美希「何なのその二択は」

千早「好きな方を選びなさい…選択肢と逆のやつを実行してあげるわ」

美希「ひどいの、悪趣味なの」

千早「さぁ、早くお選びなさいな」

美希「ミキが悪かったの、千早さん、謝るからミキを許して!」

千早「だが断る」

美希「そんなのってないの!」


千早「全く、発言には気をつけてほしいものだわ」

美希「本気で恐かったの…それで千早さん、確か今日はオフだったはずだよね?」

千早「そうだったんだけど、実はオフだということを失念してしまっていてね」

美希「あっ、そうなんだ」

千早「それでまぁ、ついうっかり事務所に来てしまったわけなのだけれど」

美希「ふーん」

千早「そのまま帰るのも何だし、折角だから事務所でゆっくりしていこうかと思ってね」

美希「あーその気持ち分かるの、ここって何だか居心地いいもんね」

千早「それと、どうせだからプロデューサーの机にイタズラでもしようかと」

美希「ちょっと今不穏な台詞が聞こえた気がするの」


千早「ちなみにイタズラの内容は机の引き出しにこっそり婚姻届を」

美希「それはイタズラにしちゃちょっと重すぎるって思うな」

千早「もちろん名前は音無さんで」

美希「より一層重くなっちゃったの」

千早「そして引き出しの中には他にも謎のボタンを」

美希「謎のボタン?」

千早「押すと恒例のあの音声が流れるわ、『デデーン』といった具合にね」

美希「あぁ、笑ってはいけない○○的なアレのことかな?」

千早「デデーン、星井アウトぉー」

美希「なんでなの」


千早「というわけで美希には罰ゲームを受けてもらうわ」

美希「理不尽なの、ありえないの」

千早「罰ゲームは真にタイキックをしてもらいましょう」

美希「それはちょっと本気でシャレにならないレベルの罰ゲームなの」

千早「標的はプロデューサーで」

美希「ミキ、もうどうツッコんだらいいのか分からないの」

千早「私もついでに釘バットで叩こうと思うのだけれど、どうかしら?」

美希「だからどうもこうも無いの」

千早「でもこれではプロデューサー的にはご褒美になってしまうから罰ゲームにならないわね」

美希「千早さんが何を言っているのかミキにはさっぱりなの」


千早「それにしても、スケジュールを失念するだなんて、とんだドジを踏んだものだわ」

美希「千早さんにしては珍しいの」

千早「千早さんだって人間だもの、ついついうっかりしてドジっちゃうこともあるわ」

美希「ふーん、例えば?」

千早「何もないところで転んでみたり」

美希「えっ」

千早「あるいは何もないところで転んでみたり!転んだり!」

美希「何でそんなに強調するの?千早さんは春香のことが嫌いなの?」

千早「そんなはずないじゃない、私と春香は親友よ」

美希「とても親友に対する言葉じゃないってミキは思うな」


千早「まあ、とにかく私らしくないミスをしたものね」

美希「まったくなの」

千早「笑いたければ別に笑ってもいいのよ?」

美希「ミキ、別にそんなことで千早さんを笑ったりしないの」

千早「いいのよ、別に遠慮せずに笑ってくれても」

美希「いや、だから」

千早「笑えよ、星井」

美希「あ、あははっ…千早さんってば、ドジなの」

千早「あら、何がおかしいというのかしら?心外だわ」

美希「あはは…もうヤなの、この千早さん」

おっ残念な千早さんがきてる!


千早「美希に笑われたわ…とても悲しい」

美希「うん、笑えって言ったのは千早さんだよね?」

千早「それはそうだけど…まさか本当に笑われるとは思っていなかったもの」

美希「そんなこと言われてもミキ、困るな」

千早「あー傷ついたなー?ちーちゃん傷ついたなー?」

美希「……」

千早「ちーちゃんショックだなー?ちらっ、ちらっ」

美希「え、えっと…千早さん、ごめんなの」

千早「なーんちゃって、気にしてないわよ、ふふっ」

美希「ミキ、そろそろ心が折れそうなの」


千早「それはそうと美希だって、今日はお仕事まで随分時間があるじゃない?」

美希「うん、実はミキもスケジュール勘違いしちゃって」

千早「あら、そうだったの」

美希「それで早く来すぎちゃったの、ミキも千早さんのこと笑えないね」

千早「そうね…ははっ、ふふふっ」

美希「千早さん?」

千早「くすっ、くすくすっ…美希ってばスケジュールを間違えるだなんてドジね、おかしいわ」

美希「……」

千早「あははっ、ふふっ…ふふふふっ…はぁ、笑いすぎて苦しいわ」

美希「ミキ、今日の千早さんなら呼び捨てにしても許される気がするの」


千早「そういえば、今更だけど事務所には誰もいないのね」

美希「みんな出払っちゃってるの、小鳥も必要な物があるからってお買い物に行っちゃったし」

千早「ということは私が来るまで美希は事務所に一人でいたということ?」

美希「うん、一人でお留守番してたの」

千早「本当に一人だったのかしら…?」

美希「えっ?」

千早「ほら、そこの柱からこっちを覗いているあの影は何なのかしら…」

美希「や、やめてよ千早さん…冗談でもそんなこと言っちゃヤなの」

千早「おばけだぞーっ、がおーっ」

美希「お化けは間違っても『がおーっ』だなんて言わないんじゃないかな」


千早「それで美希は、音無さんが不在の間事務所で留守番していたというわけなのね」

美希「うん、ホントはお仕事の時間までお外をブラブラしててもよかったんだけどね」

千早「音無さんの為に事務所で留守番という選択肢を取ったわけね」

美希「そういうことなの」

千早「そう、えらいわね」

美希「えへへ…千早さんに褒められたの」

千早「えらいわ、そしてエロいわね」

美希「……」

千早「エロいわね」

美希「うん、わざわざ2回言わなくてもいいの」


千早「音無さんもいないという事であれば、これはチャンスだわ」

美希「イヤな予感しかしないの」

千早「音無さんのおやつのお煎餅を拝借するチャンスよ」

美希「最近小鳥がお煎餅の減りが早い気がするって言ってたけど、犯人は千早さんだったのかぁ」

千早「音無さんってば、亜美や真美とかを真っ先に疑ってたわよね」

美希「まあ、当然の流れだって思うけど今回に限っては二人が可哀想だったの」

千早「とんだ濡れ衣よね、ヒドイわ」

美希「全部千早さんのせいだけどね」

千早「残念ながら、真犯人は他にいたというのに」

美希「だから犯人は千早さんなんだよね」


千早「犯人は、あなたよっ!」

美希「いや、千早さんだから」

千早「ふふっ、よくぞ見破ったわね」

美希「見破ったも何もさっき自分で暴露してたの」

千早「真犯人は、私ですっ!」

美希「うん、知ってるから」

千早「な、なんだってー!?」

美希「……」

千早「ぐすっ…け、刑事さん…私が、私がやりました…」

美希「何なのこの流れ、ミキにはついていけないの」


千早「ちなみに音無さんから無断で拝借したお煎餅は全て…」

美希「すべて?」

千早「粉々に砕いたわ」

美希「なんでなの…っていうか食べ物粗末にしたら怒られるよ?」

千早「その点なら心配ないわ」

美希「何がどう心配ないの?」

千早「お煎餅は全て、プロデューサーに処理してもらっているから」

美希「えぇぇぇ…」

千早「笑顔で『プロデューサー、よかったらこれどうぞ♪』といった感じで渡せば簡単に受け取ってくれるわ」

美希「ミキ、こんなにもドス黒い笑顔見たことないの」


千早「プロデューサーもちょっと困ったような顔をしながら、何だかんだで受け取ってくれるのよ」

美希「そりゃ担当アイドルから笑顔で差し出されたら受け取らざるを得ないの」

千早「ふふっ…あのちょっと無理やり作ったような笑顔のプロデューサー、とてもかわいいわ」

美希「悪趣味極まりねえの」

千早「よく言うじゃない、好きな人ほどイジメたくなるって」

美希「愛情の裏返しとしてはちょっとやりすぎなんじゃないかなってミキは思うの」

千早「そのくらい好きってことよ…そう、それこそ高槻さんの次くらいにっ!」

美希「結局そこに行き着くんだね」

千早「高槻さんかわいいわ!たかつきさーん!たっかつっきすわぁーんっ!」

美希「この点に関してだけはブレないよね、千早さん」


千早「せっかくだから音無さんの机にもイタズラをしておきましょう」

美希「何がせっかくだから、なのか分からないの」

千早「ちなみに美希だったらどんなイタズラを思いつくかしら?」

美希「何でミキに振るの…んー、ありがちだけど引き出しに作り物のカエルとか?」

千早「それだとインパクトに欠けるわね…どうせなら本物を入れましょう」

美希「えっ、千早さん本物のカエルなんて持ってるの?」

千早「持っているわけないじゃない」

美希「だよね、持ってたらビックリするとこだったの」

千早「というわけで美希、今からカエルを捕ってきてちょうだい、田んぼまで」

美希「行くわけねえの」


千早「よし、面白いイタズラを思いついたわ」

美希「一応聞いておくの」

千早「音無さんの持っている消しゴムの角を全て使っておいてやるのよ」

美希「何だかよく分からないイタズラなの」

千早「あら、これは個人的にはとても悪質だと思うのだけれど」

美希「そういうものなの?」

千早「あとは『消しゴムの角はいただいた!怪盗、星井美希!』の書置きも残して、っと」

美希「ミキ的にはそれが一番悪質だって思うな」

千早「あら、名前は『怪盗あふぅ』の方が良かったかしら?」

美希「そういう問題じゃないの」

いつもに増して飛ばしてんなww


千早「ふはははっ!怪盗あふぅ、参上!」

美希「勝手に変なキャラ、作らないでほしいの」

千早「今日も元気にチャリで高速道路を爆走します」

美希「ダサイの、そして迷惑極まりないの」

千早「世界中のおにぎりは全ていただくわ」

美希「あっ、それはちょっとアリかも」

千早「そしてそのおにぎりを」

美希「おにぎりを?」

千早「四条さんが食べます」

美希「そんなのってないの!」


千早「ところで美希」

美希「はいなの」

千早「そろそろ出発しなければ時間的に厳しいのではないかしら?」

美希「ん?…あーっ、もうこんな時間なの、行かなきゃ」

千早「でも、まだ音無さん帰ってきてないわよ?」

美希「むぅー…小鳥、ミキが出るまでには戻るって言っていたのに」

千早「これは困ったわね」

美希「千早さん、悪いんだけどミキの代わりに留守番しててもらっていいかな?」

千早「イヤよ…事務所に一人ぼっちにされたら、私とても寂しいわ」

美希「普段だったらカワイイって思えるはずなのに今日に限ってはイラってくるの」


千早「美希ぃー、行かないでー、一人にしないでぇー」

美希「もう千早さんワガママ言わないで、ミキ行かなきゃいけないの」

千早「どうしても?」

美希「どうしてもなの」

千早「私がこんなにも暇を持て余しているというのに?」

美希「知ったこっちゃねえの」

千早「仕事なんてサボっちゃいなさいよ」

美希「千早さんとは思えない台詞が飛び出たの」

千早「うぅ…だ、ダメ?」

美希「どんなに甘えた声を出しても今日の千早さんに限っては全部裏目なの」


千早「ならば行くがいいわ、千早さんを見捨てて行くがいいさ」

美希「言われなくても行くの…ん、あれ?扉が開かないの」

千早「ふふっ、こんなこともあろうかと扉には鍵を掛けておいたのよ」

美希「……」

千早「どうかしら美希、私の用意したこの完璧なトラップは?さぁ行けるものなら行くがいいわ」

美希「ねえ千早さん」

千早「何かしら?」

美希「内側にいるんだからこんなの普通に開くの」

千早「なんということ、私としたことがこんな盲点に気付かないだなんて…」

美希「えっと…ミキ、ホントにもう行くからね?留守番ちゃんとお願いね?」


千早「本当に行ってしまうの?」

美希「うん、大事なお仕事だから」

千早「そう…」

美希「ええっと…それじゃあ行ってくるの」

千早「待てぇいっ!」

美希「もう千早さん、お願いだからミキを行かせてほしいの」

千早「とか何とか言いつつ一人ぼっちの千早さんを心配して中々事務所を出ようとしない」

美希「行ってきまーす、なの」

千早「ちょっと美希、せめて最後まで言わせてくれないかしら?」

美希「めんどいの、もうヤなの、一刻も早くこの場から逃げ出したいの」


————
———

春香「ただいま戻りましたー!」

千早「春香、お帰りなさい」

春香「あれー、千早ちゃんじゃない!今日オフじゃなかったっけ?」

千早「そうなんだけどね、実は春香とお話したくて来ちゃったのよ」

春香「えぇっ!?そ、そうなんだ…えへへっ、嬉しいな」

千早「というのは嘘で本当はスケジュールを間違えて来てしまったのよ」

春香「あっ、そうだったんだ…千早ちゃんがそんなミスするなんて珍しいね」

千早「まったくだわ、我ながら何をしているのって感じよね」

春香「なんだー、そういうことかー…春香さん喜んで損しちゃったよ」

千早「でも春香とお話したいから戻るのを待っていたのは本当よ?」


春香「えぇー、本当にぃー?怪しいなぁー」

千早「そんな風に言うのなら、私は帰るわよ?」

春香「あぁん、待ってよ千早ちゃーん!悪かったってばー!」

千早「ふふっ、冗談よ春香」

春香「もぉー、千早ちゃんのイジワルー!」

千早「そんな感じで今回もやっぱり最後はこうなってしまうわけなのだけれど」

春香「うん、千早ちゃんのこの謎のひとり言にも最近慣れてきちゃったかな」

千早「美希とのお喋りはそうね…あの子は独特のペースがあるからまた違う趣があって良かったわ」

春香「千早ちゃーん?もうそろそろいいよねー?春香さんとお喋りしようよー」

千早「それでは次の暇つぶしの相手は誰になるのか…今からとても楽しみだわ」





おわり

またしても暇つぶしで書かせていただきました、ありがとうございました!

こんな時間でも見ていてくれる方がいて嬉しい限りです


この面倒くさい千早好きだから初遭遇出来て嬉しかったぜ

乙乙
千早さんには、やっぱり春香さんが一番合うね!
次回もまってます!

つまらん…よって糞スレ

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