エレン「くちく!」ジャン「?」(90)





ジャン(何だアイツ…)

キース「……いい目だ。貴様は何の為に訓練兵に志願した」

エレン「くちく!」

ジャン(おいおい、何だその答えは…あのハゲ教官に頭突き食らうぞ)

キース「ほぅ…母の仇を討ち、自由を手にする…言葉だけは立派だな。しかし言うだけならば誰にでも言えるぞ」

ジャン「!」

エレン「くちく!!」キッ

キース「……そうか…ならば貴様のその言葉に偽りが無いか見定めさせてもらうぞ。弁が立つだけでは訓練兵など務まらん」

エレン「くちく!」

キース「ふ…」(グリシャよ、いい息子を持ったな)





ジャン「……え…?」

…え…?




訓練兵団初日~夜~



ジャン「俺は憲兵団に何としても入って快適な生活をしてやるぜ」

エレン「……」

ジャン「あん?何だよお前…」(こいつ確か昼間の)

エレン「くちく!!」ギンッ

ジャン「お、おう…おう?」

エレン「く~くち!くちく!!」ガルルル

ジャン「お前何言って…」



アルミン「駄目だよエレン!!」


エレン「くちく!」

アルミン「もう、まだそんな事言って…」

ジャン「?」

ミカサ「エレン?」

ジャン(う、美しい)ドキッ

ミカサ「また喧嘩なの?そうやっていつもエレンは相手を怒らせて…」

エレン「くちく!!」

ミカサ「そんなつもりじゃ…」シュン

アルミン「えれ~ん?」

エレン「く…」


アルミン「ミカサは君が心配なんだよ?」

エレン「くち…」

アルミン「うん、確かにね。でもミカサの気持ちもわかってあげなきゃ」

エレン「…く、くちく…」

ミカサ「ううん、私こそごめんなさい」


ジャン「」

アルミン「ジャン…って言ったかな。ゴメンね嫌な思いさせちゃって」

ジャン「お、おう」

エレン「くちく…く、くちく」

ジャン「……え?」

アルミン「ふふふ、偉いねエレン。そうだよ、君の言うとおり安全で安定した生活を求めるのだって立派な動機なんだから」

ジャン「!?」








ジャン「ん?……ん?」


こんな感じで進んでいきます。

若干エレンは弁が立ちます。

書き溜めは無いので亀のように進んでいきます。

それではまた。

流石ミカサとアルミンだなよく言ってる事が分かってるな

なんか可愛いな

お…おう

弁が…立つ……?

なあ!エレンが何言ってんのかわかんねえのは俺が馬鹿だからじゃないよな!?

>>13
くちく!

初対面で意味がわかってる教官すげぇ

弁が立つってなんだっけ...



~立体機動適正試験のお時間~


エレン「くぅ~~~」プラーン

アルミン「OH…」

ミカサ「エレンェ…」

キース(まぁ…)

ジャン(ひゃっひゃっひゃ、だっせぇ~~~wwww)

キース「何てザマだイェーガー!!ふざけているのか貴様!!」

ジャン(あ~りゃりゃ、こりゃ開拓地行き決定だなアイツ)

エレン「くーー!!くち!!」アワアワ

キース「何?金具が壊れているのではないかだと?」

ジャン(ちょ…)



キース「貴様…苦し紛れに…」

エレン「くちく~!!」ブランヌブランヌ

キース「金具がぐらぐらする…?ふむ、そこまで食い下がるなら確認してみるか」



~小一時間後~




エレン「くち~~!!」ムフー

キース「本当に破損していたとはな…検査項目に追加しておかねかればな」

エレン「!」フンス

アルミン「どうだ、って言いたそうだね」

ライナー「だな」

ミカサ「違う。僕はミカサちゃんの側から離れずに済んだとエレンは…」

エレン「くちくッ!!」ドヤァ

ミカサ「そ、そんな…」

アルミン「どんまい」ポン

ジャン「何言ってやがるんだろうな、あの駆逐馬鹿は…なぁ、マルコ」

マルコ「本当だよね。自立の時は今来たれり!だなんて、面白いねエレンって」




ジャン「!!」





~対人格闘技のお時間~



エレン「」チングリガエシ

アニ「やれやれ、これでもういいだろ…」

エレン「くちく!!」

アニ「く…え?何?」

エレン「くちく!!」キラキラ

アニ「ちょ、え、なんて」

エレン「くち?」キョトン

アニ「???」オロオロ

何言ってるか分からんけど知的な言い回しでワロタ


ライナー「ははは、エレン。アニが困ってるだろ」

アニ「あ、ライナー」ホッ

ライナー「よっぽどアニの技が気に入ったみたいなだな。誰に教わったのか興味津々みたいだぞ」

アニ「……ん?」

エレン「くちく!!」

ライナー「確かに、これなら体格差をカバーできるな」フム

アニ「ん?ん?」

エレン「くちく!」

ライナー「すまん、すまん、別にお前が小さいとは言ってないさ」

エレン「くちく」フンス




アニ「ん?ん?んん?」

今日の投下が終わりなどと私は一言も言っていない、ので謝らない、ごめん。
これで本当に今日の投下は終わりです。
それほど長くはなりません。それではまた。

アニもエレンの言ってること分からないのか

乙乙期待

困ってるジャンとアニかわいいな
期待

駆逐・・・くちく・・・

ひらがなにするだけでこの柔らかい印象・・・日本語ってすごいな。

クリスタをくちくちすると聞いて

おっ、前にエレンが小人になる奴書いた人かな
支援



~朝ごはんのお時間~



アニ(味の無いパンと、さ湯みたいなスープ…ま、無いだけマシか)


アニ(……ん?あいつ等…)




ライナー「…」ズーン

ベルトルト「…」ズーン

アニ「ちょっと」ボソッ

ライナー「……おう、アニか」

ベルトルト「おはよう…」

アニ「どうしたのさ。朝から辛気臭い。ウドの大木が揃って」

ライナー「ん、ああ悪い。ちょっと昨日な」

ベルトルト「うん。エレンとね…」

アニ「エレン?エレンっていうと……」


エレン『くちく!!』ドヤァ



アニ「あの、駆逐馬鹿?」

ライナー「駆逐馬鹿か…ははは、確かにな。だが、アイツがそうなるのも無理はない。何せアイツの母親は…アイツの前で」

ベルトルト「うん、僕が壊した壁の破片のせいで…」

ライベル「「ハァ…」」ズズーーン

アニ(えっと、えっと、えっと)オロオロ


エレン「くちく!!」


アニ「!!」

ライナー「エレン!」ドキッ

ベルトルト「ど、どうしたの」アセアセ

エレン「くち~く?くちく?」

ライナー「そ、そんな訳じゃねーよ。ちょっと今朝から腹が痛くてよ」

ベルトルト「そうそう。ライナーったら拾い食いするもんだから。僕まで無理矢理つき合わせるから…ね、そういう話をしてたんだよねアニ」

アニ「え?あ、ああ…」


エレン「くちくwww」

ライナー「サシャかよって。そいつは失礼だろ…俺に」

ベルトルト「ちょ」プッ

エレン「くちく…くちく」

ライナー「エレン…お前」

ベルトルト「君は…」

アニ(全然わかんない…)

エレン「くちく」ニカッ



パタパタパタ~

きたー
筆者はsage抜いていいと思うよ
注目して貰えるし

ベルトルト「行っちゃったね…」

ライナー「言いたい事だけ言ってな…」

アニ(言いたい事言ってったんだ…)ワカンナイ

ライナー「ざまぁ無いな。加害者の俺達がよ」

ベルトルト「そうだね…本当、そうだね」

ライナー「行こうぜベルトルト。あそこまで発破かけられちゃあヘコんだままじゃいられねぇだろ」

ベルトルト「僕なんかベベンベンベベンなんて名前間違えられちゃったよ」



ライナー「だったら、今日の訓練でリベンジだな」

ベルトルト「ああ」

ライナー「じゃあなアニ。俺達も行くわ」

ベルトルト「心配かけてごめんね」



タタタタ…




アニ「」ポツーン



~乗馬のお時間~


エレン「くちく!」

クリスタ「エレン。焦りすぎちゃだめ。お馬さんは賢いから騎手の感情がすぐに伝わっちゃうんだから」

ユミル「よせよせ、この馬鹿。口を開けば『駆逐、駆逐』って馬鹿の一つ覚えみたいによ。とっとと突っ走って落っこちちまえば良いんだ」

エレン「くちく!!」ムッ

ユミル「ははは、そらみろ。なぁ我が天使クリスタ。こいつ頭沸いてんじゃ…」

クリスタ「そうなの。その子…バイクルっていうの。その子が走りたそうにうずうずしてたから早く走らせてあげたかったのね」

ユミル「…ん?」



バイクル『天使のお嬢さん、そちらのそばかすのお嬢さんに言っておいてくれ。俺と若を発情期の駄馬と同じだと思わないでくれ、とな』

エレン「くちく!!」

クリスタ「そっか、凄いねエレンは。もうちゃんとお馬さんの気持ちがわかってあげてるんだ。だったら、止めない。でもね、まだ馬に乗り始めたばかりで危険だから今日は私と一緒に訓練しよう」

ユミル「ん?ん?」



エレン「くちく…」

バイクル『すまねぇ、天使のお嬢さん…俺が不甲斐無いばかりに』

クリスタ「いいよエレン謝らなくても。その代わり今度は対人格闘術の時教えてね」

エレン「くちく!!」マカセロ

バイクル『ははは、借りっぱなしは性に合わないとは流石は若だ』

クリスタ「ふふふ。じゃあ始めようか」





ユミル「」ポツーン




~お昼休み~



エレン「くちく!」

コニー「へへへ、エレンらしいぜ」

サシャ「でも怖くないですか?」

エレン「くちく!!」

サシャ「そ、そこまでの覚悟なんて…コニーももっと見習った方が良いですよ?」

コニー「んだと?食ってばっかの芋女には言われたくねーぞ!」

サシャ「芋女って言わないでくださいよ!」

エレン「くちく~くちくくちく」

コニー「やっぱエレンもそう思ったか」

サシャ「な、ヒドイですエレン!!女の子に向かって太っただなんて」



クチクー
ウフフフエレンタラー
イッタナ~エレン~



ジャン「俺にはアイツの言ってる事が何一つわからねぇ…」

マルコ「ジャン…そんな事言うもんじゃないよ」

アルミン「いや、ジャンの言う事も一理ある。きっとジャンにはエレンが自分と同じ言葉を話してるとさえ思えないんだよね」

ジャン「!!わ、わかってたのか」

アルミン「そりゃあね。わかりやすすぎるもの、ジャンもエレンも」

ジャン「そうなんだよ、まったく理解できねーんだ…「ジャンとエレンの価値観は対極にあるものね」ファッ!?」

アルミン「安定を求めて内地での暮らしを求めるジャンにとって外にばかり目を向けるエレンは死に急ぎ野郎以外の何者でもない。エレンが何を思って壁の外の世界を求めるのかなんて、理解出来なくて当然さ」

マルコ「……」ウンウン

ジャン(エエェェェーーー………)


ジャン(壁の外とか初耳なんですけど……ってマルコ頷いてるし。『わかるけどそればかりはねぇ~』みたいな顔して頷いてるんですけど。え?え?)


エレン「くちく~~!!」ブンブン

アルミン「あ、エレンが呼んでるね」クスッ

マルコ「コニーとサシャがまたおかしな事言い出したみたいだね」フフフ






ジャン「」ポツーン


~通信簿~


ジャン「や~くにた~たな~い、プライドなんて~♪クライ~ビ~タリそ~~きずつけ~…」テクテク


ジャン「ん?」ピタ



『キースの赤まるチェック』



ジャン(こ、こいつは…教官の…訓令兵の評価メモじゃねーか!?)


……

………

…………

……………


ジャン「…あの駆逐野郎の評価も載ってるんだよな…」ペラペラ


●エレン・イェーガー
特別な才能っていうのは無いんだけど、凄く頑張ってる良い子。
努力、友情、勝利って凄く大事。うん。ホント凄く大事。


ジャン(軽ーい!!教官とても軽ーい!!えぇ~何このふわっふわなの。ジャンプの編集者でももう少しマシな事言うだろぉぉ…)


……あと人一倍高い目的意識と弁舌の才能もある。演説させたら結構いい感じだと思う。



ジャン「弁……舌?」









ジャン「………うん。……うん…」




ジャン「あ、俺の評価も載ってる」



●ジャン・キルシュタイン
アップテンポを中心に如何なる曲をも歌いこなすバツグンの歌唱力は歴代訓練兵の中でもトップクラス。しかるべき訓練を積めば武道館も夢じゃないと思う。

ps.あと立体機動もイケてる。







ジャン(殆ど兵士関係無ぇぇーーーーーーー!!!!)

速報とは仕様が違ってフィルターがないからsaga入れなくても大丈夫だぞ

今日の投下は以上です。
クリスタの馬の名前はウォルターです。
進撃SSはこれが初めてですので、何か期待させてしまっていたら申し訳ないです。
あげの方が良いと言われたので、次回からあげてみます。
文字が青か緑かの違いしかわからないのですが。
それでは。

わかりました。>>46ご指摘ありがとうございます。


エレンかわいい


バイクルかっけえw

面白いよ!

確かにジャンの人は歌が上手い

何かこのエレンは二頭身くらいしか想像つかない。

そういえば二頭身エレンのSSって前にあったな

保守


~お休み~


アルミン「皆で出かけるなんて久しぶりだね」

エレン「く!」

ミカサ「エレン、アルミン、はしゃぎすぎないで、転んでしまう」

エレン「くちく!」

アルミン「そうだよミカサ。いつまでも僕らを子供扱いしないでよ」

エレン「くち!」

アルミン「バザーみたいだね、行ってみよう」


タタタタタ


マルコ「微笑ましいね」フフフ

ミカサ「二人ともまだまだ子供」フフフ

ジャン「やれやれ、バザー如きではしゃいでよ」


ジャン(ひゃっはー!!ミカサと休日に出かけられるなんてよ。駆逐野郎にくっついていた甲斐があったってもんだぜ!!)



エレントアルミンジャネーカ
クチー!
ホントダー


マルコ「ん?エレン達誰と話してるんだろう?兵団の制服を着てるようだけど」

ミカサ「あれは…」




アルミン「ハンネスさん!」

エレン「くち!」

ハンネス「ハハハ、久しぶりだな」


ミカサ「お久しぶりです、ハンネスさん」

ハンネス「やっぱりミカサも一緒だったか。そっちは同期か?」

アルミン「うん、そうだよ。マルコ、ジャン、こちら駐屯兵団の」

エレン「くちー」

ハンネス「おいおい、飲んだくれはないだろ。トロスト区の部隊長をやってるハンネスだ」

マルコ「失礼いたしました!訓令兵団所属マルコ・ボットです!!」バッ

ジャン「同じく訓令兵団所属、ジャン・キルシュタインです!!」バッ

エレン「くちく!」バッ

アルミン「何でエレンまで敬礼するの」ププッ

ミカサ(可愛い…)


ハンネス「休日なんだからそこまでかしこまらないでくれ。お前らこいつらの事よろしくしてやってくれ」

マルコ「ハッ」

ハンネス「だから、固いって」



ジャン『おい、アルミン…この人が例の…』ボソボソ

アルミン『うん、僕らが小さい頃からお世話になってる人だよ』ボソボソ

ジャン『部隊長が顔見知りとかすげーな』ボソボソ

アルミン『あははは、昔はそうでもなかったんだけどね』ボソボソ



ハンネス「エレンもちっとは大きくなったか?」ヒョイ

エレン「くちく!!」フンス

ハンネス「おお、でっかくなったでっかくなった」



ジャン「抱き上げられてんぞ…」

アルミン「うん、本当変わらないなハンネスさん」

ジャン「あれ昔からかよ…」



ミカサ「エレン、向こうで面白そうなものが売ってる」クイクイ

エレン「く!?」パァッ

マルコ「あんまりお金遣い過ぎちゃ駄目だからね?」ナデナデ

エレン「く!」キリッ

マルコ「本当にわかってるかい?」

ミカサ「大丈夫マルコ。エレンのお小遣い袋は私がきちんと預かっている。さぁ行こうエレン」


マルコ「人買いには気をつけるんだよ~」

ハンネス「その様子だと相変わらずアイツは危なっかしいみたいだな」

マルコ「……その何ていうかまっすぐ過ぎるところがありまして」

ジャン「死に急ぎ野郎なんて呼ばれていますね」

マルコ「ちょっとジャン!」

ジャン「調査兵団に入って巨人を駆逐するなんて言ってる(らしい)んだから仕方がないだろ」

ハンネス「そうか……アイツ……だとしたらそれは俺のせいかもしれないな。アイツの母親を助けてやれなかった俺の…」

アルミン「そんな、そんな事ないよハンネスさん!」

ハンネス「いやいいんだ、アルミン。俺のせいでカルラが…それもエレンの目の前で…」

ジャン「……ッ!まさか、その時のショックが原因でアイツの言葉遣いは…」

ハンネス「?そこは昔から特に変わってないが?」

ジャン「………そっすか……」




ハンネス「なぁ、マルコにジャンと言ったか?」

マルコ「ハッ」

ジャン「ハッ」

ハンネス「アルミンとミカサ、それにエレンは俺にとっちゃ子供みたいなものだ」

アルミン「ハンネスさん…」

ハンネス「特にエレンの奴はな……ほんとに小さい頃から知ってる。俺にガキがいなかったせいか余計にな。だから、これからも出来れば仲良くしてやってくれないか?」

マルコ「勿論です!」

ジャン「……わかりました」

ハンネス「ありがとうな」フッ



クーークーー!!!
エレン、ハシャイデハマタコロブ


マルコ「あははは、エレンが手を振ってる。」フリフリ

ジャン「チッ…馬鹿みたいに笑いやがって」フッ


クチクーーーー!!!


アルミン「あは、エレンてばハンネスさんも呼んでる」

ハンネス「こんな街中でデカイ声で人の名前をよ……まったく」


エレン「くちくーーーーー!!!!」ブンブンブンブン


ハンネス「……………」













ハンネス(養子にしよう…)

以上で本日の投下を終わります。

掘りたい(掘れた)

おつおつ



やっぱりエレンは2頭身なん?

正直俺がハンネスさんの立場でも養子にしたいわ
何言ってんのかわかんないけど

>>67
2頭身じゃない。ちゅるやさんくらいはある。

待ってる

まだですか


窓の外から覗く鉛色の雲が沈みがちの心を一層重くする。
またかとジャン・キルシュタインはうんざりした。
毎年こうだ。毎年今日という日の空はこんな色をしている。
使用人が用意していた食事を口にする。スープと焼きたてのパンにハムとオムレツ。
妻はまだ眠っているようだ。最後に食事を共にしたのはいつだろうかと記憶を巡らせるがすぐには思い出せない。
仕事にばかりかまけている夫に妻はとうに愛想を尽かしているのだろう。
特別その事を悲しいとも思わない。数種類の野菜と鶏がらで煮つめたスープは一口啜るだけで滋養が多分に含まれていることがわかる。
パンに切れ目を入れハムを挟んでやる。焼きたての柔らかなパンと肉厚なハムを頬張る。
しかし、ジャンはそれを美味しいと心から思う事が出来ない。
訓練兵だった頃に毎日友人と愚痴りながら食べていた味の無いスープとぱさぱさと固いパン。
それらとは比べ物にならない食事をしている。それが『憲兵団団長』という肩書きに与えられる恩恵でもある。しかし、何故だろうあの時の食事の方がずっと美味しかったと、ここ数年は特にそう思うのだ。
疲れているな。自嘲の笑みが零れる。
過去を懐かしく、輝いて見えるのはそれだけ今に疲れているからだ。
それに感傷的にもなっている。それは『今日』だから。



使用人が用意した仕立ての良いコートに袖を通す。
夕食はいらない事を使用人に伝えるとジャンは傘を手に家を後にした。




待ち合わせ場所に選んだのは人通りの少ない公園。
オブジェの一つに腰掛け煙草を吹かしていると馴染みの深い声がした。

「随分待たせちゃったかな」

スラリとした長身の美男子。
年齢的に美男子などと呼ぶのは相応しくはないのだろうが、年不相応の若々しさを誇る目の前の男には美男子という呼称が良く似合う。
半ばまで吸った煙草をブーツの踵で踏み潰すと立ち上がる。

「いや、今さっき来たところだ」

「そうかい」

ジャンの足元にある3本の吸殻をちらりと見遣るだけで男は微笑む。

高級な絹糸のように光沢を放つ金色の髪は短く刈りこまれ、白い肌と整った顔立ちと相まって清潔感に溢れる。
身に纏うものが軍服でなければ物語に登場する王子様か何かだと思ってしまいそうだ。
若い女性兵士
いつの間にか少し見上げる格好になってしまった身長差に歯噛みしたのは何年前の頃だったろうか。

「物騒だぞアルミン、護衛も付けずに」

「大丈夫、周辺に配置してるから。もっとも、わかりやすい動きを見せてくれた方が色々やりやすいんだけどね」

思わず周りを見渡す。気付かなかった。
穏やかな笑みを絶やさない目の前の男の抜け目の無さは変わらない。


目的の場所へと向かいながら空を仰ぎ見る。
灰色は増々色濃くなっている。

「最近はめっきり暗殺が減っちゃってね」

「残念そうに言うな」

「切れるカードはあるに越したことはないさ」

捕まった暗殺者がどのような目に遭うのか、それによって得た情報でどれ程の敵対者が悲惨な末路を辿った事か。


「否定は出来ねぇな」

アルミン・アルレルトの苛烈なまでの組織浄化によって生じた空席にジャンは今座っているのだ。

「そういや、今度生まれるんだって?二人目だったか?」

「ああ、運が良いことに女の子さ」

「奥さんは元気か?」

「今は実家に戻ってるよ」

向こうの父親は今頃大喜びだろうね、とアルミンが感情の読めない笑みを浮かべる。
前の妻とは子宝に恵まれなかった。離婚した理由と恐らく無関係ではないだろう。
アルミンが十以上も年の離れた女性と再婚したのは三年前。相手は調査兵団のスポンサーである豪商の一人娘だ。
完全な政略結婚だ。彼に相当入れあげ、父親に頼み込んで強引に結婚の話をねじ込んだと聞いたが、
アルミンがそれをあっさりと承諾した事に彼と付き合いの長い104期生は当時随分と驚いたものだ。

ジャンを除いて。

「調査兵団が強固になっていくのは悪くない事だ」

「手に入れた情報を元に壁外調査の範囲は広がって行っている。けれども壁外調査の規模に応じて損害の規模は増加する一方だ」

資金はいくらあっても足りない。
本来どこの兵団よりも資金を必要としているのが調査兵団だ。
手段を選んでいる場合ではない。取り得る手段の全てを講じる必要がある。
巨人を駆逐し、外の世界の謎を解明する。その為の調査兵団であり、その維持を心血注いで行う使命が調査兵団団長という職務に就く人間に課せられた使命だ。

「死んでいった仲間達の為にもな」

「卑怯な言い回しだね」

アルミンは吐き捨てるように呟く。
卑怯な手段、非情な手段を講じる事を死んだ仲間を持ち出して正当化している。


「でも、そうやってでも俺達は変えていかなきゃいけねぇだろ……それが生きてる奴等の義務だ。生き残った俺達の義務だ」

目的の場所に辿りつく。
石碑の群れ。戦没者の墓場。
打ち立てられた墓碑を一つ一つ目にしていく。
一体どれだけが空っぽの墓碑なのだろうか。
一体どれだけが身元の確かな遺骨が眠っているのだろうか。


「降ってきたな」

石畳に雫が落ちる。ジャンとアルミンは手にしていた傘をさす。

「やっぱり降ってきたね…」

「毎年こうだ。空が泣いてるみてぇだ」

「詩人だねジャンは。恥ずかしくないかい?」

「うるせぇ、俺も今しまったと思ってるんだ……」

墓場の奥に進むにつれて無言になっていく二人。
訓練兵団を卒業してから二十年。104期生は数える程しか生き残ってはいない。

「やっぱり先に来ていたか」

とある墓碑の前に立ち、傘も差さずに雨に打たれるがままに立つ青年。
少年時代と異なり適度に筋肉がついた肉体、見違えるほどに伸びた背。
当時よりも髪が短くなったアルミンとは正反対に、肩まで伸び放題の黒髪。
俯いているせいで黒髪に隠れた端整な頬からは幾重にも雫が伝い流れていく。
首元に巻かれた赤いマフラーは痛み、擦り切れ既にマフラーというよりも布切れと呼ぶに相応しいものと成り果てていた。
青年は縋るようにマフラーに口元を埋める。
痛々しさと煩わしさにジャンは小さく舌打ちをする。

「風邪引くよ?」

親友である青年に傘をさしてやりながらアルミンは労わるように優しく語り掛ける。

「何てざまだよ調査兵団の兵長ともあろう者が」

ジャンは短く吐き捨てる。こんな辛気臭い顔で立たれては『彼女』もおちおち眠ってはいられないだろう。

「そんな顔をさせる為にミカサは命を張った訳じゃないだろ」

「ジャン!」

青年の肩が微かに震える。


「俺はずっとミカサを見てた。だからわかる、アイツは、アイツは……幸せだったんだ」

瞳を閉じれば今でもはっきりと瞼の裏に浮かぶ黒髪の美しい想い人。
決して自分に向けられているわけではない、そうわかっていても見惚れずにはいられなかった笑み。
表情の乏しい彼女の笑顔の理由が、目の前でずぶ濡れになっている情けない男との婚約だと知ったのはその翌日だった。

「うん、僕もそう思うよ。ミカサは本当に幸せで…だから最後も笑顔だったんだよエレン」

例え、結ばれたのがわずかな月日であったとしても。

僅か二十年の人生であってもミカサは幸せだった、だから笑いながら逝くことができたのだ。
エレンの傍で、エレンに抱かれ、エレンの為に命を使いきる事が出来たのだから。

墓碑に刻まれた名を、『ミカサ・イェーガー』の名をエレンはそっと指でなぞる。
嘗て彼女の髪を指で梳いてやった時のように柔らかな手つきで。
親友の震える肩を見つめながらアルミンもまた静かに眠るもう一人の親友を偲ぶ。
やがてエレンは納得したように顔を上げる。
その顔は先程までの打ちひしがれた情けないガキのものではない、その身に人類の希望を背負い、己の夢と使命を胸に抱いた兵士の顔だった。

「さてと、戻るか。俺達にはまだまだやらないといけない事があるんだからな」

エレンは不敵な笑みを浮かべる。


「くちく!!」

「!?」









ジャン「……夢か…」チラッ


エレン「くーくー……くちくー」スヤスヤ


ジャン「ですよね……」ズーン

以上で投下を終わります。

無駄に気合入った夢でワロタ

文体違いすぎてビビったw乙

これ姿は普通のエレンなんだっけ?

なんかシリアス始まったと思ったら夢オチだった

>>1と別人だと思ったジャン…

誤爆かと思ったわ

ワロタwww
乙!

すっげーワロタw
誤爆と信じて疑ってなかった、すまん。
夢の方のシチュでも読んでみたいわ。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年11月15日 (金) 18:27:06   ID: Z77AMTM3

このハンネスさん優しいなー
涙出てきた…

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