アンダルシア物語~プロローグ~(8)

星たちは、彼女のために戦っていた。

彼女の願いを叶えるために。

自分たちが楽編へと導かれるように。

これは、美しくも切ない、そして幸福なバッドエンディングの始まり。

アンダルシア物語~プロローグ~

アンダルシア。

それは彼女が描く、全ての人々のための極楽浄土。

アンダルシア。

それはすべての罪と罰が許される場所。

アンダルシア。

それは形なき物語のかけらたちが、永遠の命を与えられる場所。

アンダルシア。

それは彼女そのもの。

人々は、悪人は苦しめばいいと思っているわけではない。

全ての人々は彼らと同じくらい、あるいは、全てに差別なき幸福がほしい。

そのことを、彼女が知っていたから。

彼女がたった一つのものを世界に捧げるだけで、すべてが変わる。

それだけですべてが解決する。

すべての罪が許される。

形なきものが命を与えられる。

愛することも許される。泣くことすら許される。

「私こそが、新たな「メシア」になるんだ!!」

そんな中二病的な妄想。

でも、ワタシはこの妄想は素晴らしいと思う。

世界のためを思って語る妄想だから。

しかし、世界は彼女の慈悲を、愛を全て否定した。

「私こそが、新たな「メシア」になるんだ!!」

そんな中二病的な妄想。

でも、ワタシはこの妄想は素晴らしいと思う。

世界のためを思って語る妄想だから。

しかし、世界は彼女の慈悲を、愛を全て否定した。

与えるものはたった一つのものだけ。

それだけでいい。お金も、物資もいらない。

影響も、「世界を美しく改変する」というものだけ。

それだけなのに、彼女はそうするといっただけで、

周りは発狂し、すべてを台無しにする。

自ら楽園を作る手段を破壊する!!

「だめだよ」「頑張って」という偽善の名のもとに!!

彼女は誰よりも世界の行く末に頭を抱えていた。

だから、そのために、世界のために尽くそうとしたのに!!

彼らはそれらをすべて否定したのだ!!

なんて、愚かな、哀れな人間たちなのか。

ワタシは、それを己の汚れと引き換えに破壊しよう。

そしてその分、彼女を支えよう。

彼女がたった一つのものを捧げ、楽園へと変わるまで。

彼女の魂が、偽善によって波にさらわれないように。

キラキラした星たちが、偽善によって押しつぶされぬように。

この世界を守るために・・・・・。

この物語に終止符を打たせるために。

彼女が楽園へと変わるとき、星は昼間の空でも輝くようになるだろう。

彼女が楽園へと変わるとき、極悪人も善人へと浄化するだろう。

ワタシはその時まで、その星たちをかき集め、物語を紡ごう。

あるときは、無邪気で残酷なファンタジア。

あるときは、絶望しかない運命。

あるときは、笑いが弾けるコメディワールド。

あるときは、壮大な冒険ロマン。

それらの物語を生み出し続け、彼女の眷属を増やしていく。

彼女に愛された、なおかつ現実世界に干渉できる能力を発言させたものを、

私は「スターダスト」と呼ぼう。

美しい空想は周りに汚される。

だから少女は現実が大嫌い。

綺麗な洋服も、豪華なフレンチも、アクセサリーもいらない。

ただただ、私の空想で繰り広げられる物語を見られればそれだけで幸せ。

でも、みんながそこから引きずり下ろしてしまう。

だから、現実が大嫌い。

楽しいことなんてないもの。

あったとしても、踏み潰されてしまう。

暇さえあれば物語の続きをせがむ。

だから、お願い聞かせてよ。

素晴らしい、素晴らしい、物語を。

もう少しだけ聞いたら、あなたたちのためにこの命をあげるね。

そしたら、素敵なお庭で遊ばせてあげる。

だから、だから、もう少しだけ頑張って。

この世界で、物語とともに・・・・・・・。

「これは、彼女の死で終わる物語。」

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