むりやり小説ゲーム 三番館 (1000)

このスレでは
作家さんが要所要所キーワードとなる部分を空白にして小説を書き、
その空白をレス番指定された人が埋めていって小説を完成させるという
読者参加型小説ゲームを行っています。
(例)
   18 名前: 作家さん 投稿日: 2011/11/01(火) 00:00:00
      主人公「よし、朝ご飯に>>20を食べよう」

   19 名前: 参加者 投稿日: 2011/11/01(火) 00:00:08
      シュールストレミング

   20 名前: 参加者 投稿日: 2011/11/01(火) 00:00:10
      ダイヤ

   21 名前: 作家さん 投稿日: 2011/11/01(火) 00:02:40
      主人公「硬いよ…」

と言う感じで書き込んでいきましょい!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369746012

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377339742

まとめ
http://www.geocities.jp/neetgundam/matome/
http://www.geocities.jp/yardoramatome/
http://www.geocities.jp/qxybb760/top.html
http://muriyari.web.fc2.com/
http://muriyari4th.rash.jp/site/

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/computer/32524/

○募集○
・まとめサイトの人が持っていない過去ログをupしてくれる人
・他にまとめサイトを作ってくれる人
・過去の作品をまとめてくれる人
・作家さん。要するに書き手。 ←NEW

【タイムスケジュール】
http://kmix.dabits.net/ts/
(その時に予約されているスケジュールが書かれています)
※予約・確認にはタイムスケジュールスクリプトをご利用ください。(予約は随時受付中)
※開始時間より2時間前には予約するようにしてください。
※押す可能性が多々あるので、かなり長めに時間指定しておいてください
※予約する際は、前後の予定を考慮し、1人あたり2時間は確保できるようにして下さい。
※様々な都合で時間を指定出来ない作者さんもいらっしゃるので、 譲りあったりなどのご協力もお願い致します。

▼ファミレスは戦場 つづき

 俺の目の前に過去の景色がフラッシュバックする。

 ラテンのノリで陽気に接客をする渡。
 楽しそうに語らう客と渡。

 違う。違うんだ。ここの空気はそんなんじゃいけない!
 もっと殺伐としていなきゃいけないんだ!

カルロス「食らえ、秘奥義! 流血旋風斬」

 背中の刀を引き抜くと、渡の背中をバッサリと斬り付ける。

渡「ぎゃーーーーーーーっ!!」

 俺の刃を受けた渡は背中から赤い噴水を吹き上げながら、その場に倒れる。
 それはその脇を通り抜け、客の前に立った。

カルロス「いらっしゃいませお客様。貴様の実力をたっぷりと楽しませてもらうぞっ!」

客「それならば……」

 目の前で、同僚を切り伏せた自分に対する客の反応は……>>4

SHINOBI

カルロス「いらっしゃいませお客様。貴様の実力をたっぷりと楽しませてもらうぞっ!」

客「それならば……」

 目の前で、同僚を切り伏せた自分に対する客の反応は……SHINOBI!

 ゆっくりと両手を重ねたかと思うと、突然煙を噴き上げて目の前から消える。

客「ばかめっ、客が常に目の前からやってくると思うなよっ!」
カルロス「くっ、ど、どこに行ったっ!? 俺がかならず席まで案内してやるっ!」

 左右を見渡すが、さっきの客は見えない。
 僅かな気配を感じて上を見ると、上段から振り下ろされるかかとがっ!

カルロス「甘いっ!」

 俺の身体は自然と動き出し、>>6

かかとを口で受け止めた

前のスレはここに依頼済み?

■ HTML化依頼スレッド Part10
■ HTML化依頼スレッド Part10 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374577218/)

>>7
まだです。そういえば、そういうのもありましたね。

(リアルタイムで考えるのでだいたい10分に1回の書き込みになります)←希望

カルロス「甘いっ!」

 俺の身体は自然と動き出し、かかとを口で受け止めた。

カルロス「ふがっ!」
客「な、なにっ!?」
カルロス「ふほふぇーどふぉふぉうふぇひふぇ、ふぉのふぉふぇふぉふぁふぉふぇふふぉふぉふぉーふぁふぁ?」

 俺は客を見上げると、そこには……近所で有名な女子高の制服が目に入ってきた。
 まずは白いソックス。そして、よく鍛えられた太股。
 そしてスカートである。
 かかと落としが必殺であると自負していたのか、彼女のスカートの中身は……白だ。

客「きゃああぁぁぁぁっ!」

 彼女は身体が床に付く直前に両手を付くと、そのまま身体をひねり、浴びせ蹴りを繰り出してきた。
 あまりのことに不意を突かれた俺は防御が間に合わず、そのままなぎ倒される。
 宙に体が浮かび、壁にたたきつけられる。
 だが、膝を付くわけにはいかない。

客「なんとぶしつけな……おぬし、それでも店員か?」
カルロス「いい蹴りだ。ますますお席へと案内したくなったぜ」
客「もちろん禁煙だろうな?」
カルロス「その言葉、同意を見た。店長ーーっ! >>11まーーーす!」

今日は直帰し

カルロス「いい蹴りだ。ますますお席へと案内したくなったぜ」
客「もちろん禁煙だろうな?」
カルロス「その言葉、同意を見た。店長ーーっ! 今日は直帰しまーーーす!」

 店の奥に構えている店長に声をかけると、獣のような咆哮が聞こえてきた。

客「ま、待て待てっ! いきなり帰るとは何事じゃっ! 帰さぬぞっ! わらわは決して帰さぬぞ。パンツまで見られておるのだからな。このままでは見せ損じゃ」
カルロス「お譲ちゃん、ここは女子どもが来る場所じゃねぇ。ここはもっと殺伐としてなきゃいけな──」
客「うるせぇ、さっさと席に案内……せぃっ! まだ直帰はさせぬ」

 見事なまでの正拳付きに俺の身体はくの字に曲がる。
 呼吸が止まりそうになり、目が剥き出てしまう。

渡「な、なんだ……どうしてお前がいつになく本気で俺の接客を妨害してくると思ったら……そういうことだったのか……」
客「 ? 」
渡「お前達……>>14だったんだな?」

許婚

渡「お前達……許婚だったんだな?」

 渡は少し照れたような表情を浮かべ、そっと顔をそむけた。

客「ち、違うぞ! わらわらはこのようなぶしつけな男と、そ、そのような関係ではない!」
カルロス「そうだ。俺はただ、こいつを客として扱っただけで……」
渡「いや、隠さなくてもいい。ここファイティングジャストミートレストラン……女の子がこの店に来ること自体、珍しいんだ……」

 渡はさきほど俺に切られた背中を見せつつ、厨房へと戻っていった。

客「ちがうのじゃ……が、もういいわ。早く席に案内せい」
カルロス「こっちだ。ついてこい」

 店内の中央には、大きなレスリングマットがあり、その上では>>16が行われていた。
 その脇を通り、俺は一つの席に案内する。
 女子高生を席に座らせると、鉄板で出来たメニューを渡した。

国別異種格闘技対抗戦勝った国は一定期間無料で食べ放題。

 店内の中央には、大きなレスリングマットがあり、その上では国別異種格闘技対抗戦勝った国は一定期間無料で食べ放題。 が行われていた。
 その様子を女子高生は楽しそうに見つめる。
 マットの上では店長がアメリカ代表を相手に無双していた。
 無双している男はタイガーマスク。この世で最も相手にしてはいけない男だ。

タイガー「これで貴様の料理を終了だ。最後の味付けは塩がいい。サマーソルトだっ!」

 客の表情がすこし真面目になる。
 まるで次戦うのは私だ、と言わんばかりだ。

カルロス「やめておけ。あの人に、この世の常識は通じない。それより、こちらの席に座るといい」

 俺は一つの席に案内する。
 女子高生を席に座らせると、鉄板で出来たメニューを渡した。
 そして俺は走る!
 クリスタルで出来たコップを手に取ると、テーブルに向かって投げつける。

カルロス「まずはお冷だっ! 受け取れぇっ!!」

 轟音を立ててコップが彼女の目の前を飛んでいく。
 彼女は小さく笑うとコップを>>18

バリバリボリボリと食べてしまった。

カルロス「まずはお冷だっ! 受け取れぇっ!!」

 轟音を立ててコップが彼女の目の前を飛んでいく。
 彼女は小さく笑うとコップをバリバリボリボリと食べてしまった。

客「ふん。この程度ではわらわの腹は満たされぬ。そこの店員よ、わたしはトラ肉のステーキを所望するぞ」
カルロス「お客さま、そのようなメニューはございませんが」
客「そこにいるだろう? 立派なトラが」

 指を向けた先には我らが店長、タイガーマスクがいた。

タイガー「可憐なお嬢さんよ。このリングに上がったら男も女も関係ない。ヤるかヤられるかしかないぞ? その覚悟ができているのか?」
客「当然じゃ。わらわはそのためにここに来たのじゃからな」
カルロス「な、何が目的だっ!? ハッまさか、貴様、ライバル店からの刺客かっ!?」
客「今更気付いても遅いわっ! わらわの目的はただ一つ、>>20のみじゃ!」

この店を傘下におくこと

カルロス「な、何が目的だっ!? ハッまさか、貴様、ライバル店からの刺客かっ!?」
客「今更気付いても遅いわっ! わらわの目的はただ一つ、この店を傘下におくことのみじゃ!」

 客は高く飛び上がる!
 周囲の皆は高く飛び上がった少女を見つめる。

カルロス「っ!?」

 ガッシャーーーンッ!
 その瞬間、彼女は店の照明に派手に頭をぶつけていた。

客「ぎゃっ……」
タイガー「くぬっ……照明がやられたっ! なんというイヤガラセ。貴様、よくもやってくれたな!」
客「それはこちらのセリフじゃ。汚い罠にハメおってっ……」
タイガー「その怪我ではまともに戦えまい……カルロスよ。>>22だ」
カルロス「イエッサーーッ!」
客「な、なんじゃとっ!?」

水着対決に変更

タイガー「その怪我ではまともに戦えまい……カルロスよ。水着対決に変更だ」
カルロス「イエッサーーッ!」
客「な、なんじゃとっ!?」

 突然の提案に驚く客。

カルロス「さあ、水着に着替えるんだ。……着替えられるものならな。クックックッ」
客「……水着対決とは何をするのだ」
カルロス「そのままだ。相手の水着を破壊する対決だ」

 勝つ為には相手の水着を破壊すればいい。相手が勝つ為には男の股間を見なければならないという屈辱。
 さすがはタイガーマスク。相手にリスクのみを押し付ける、恐ろしいほどに頭の回る男だ。まさに外道。

客「そ、そのような勝負、引き受けられるわけがないっ! ……くそっ……今回は、貸しにしておいてやるっ! メニューの変更だ」
カルロス「帰らないのっ!?」
客「ふん。当たり前じゃ。見せ損と言ったであろう。お前に>>24してもらうのじゃ」

王侯貴族にするようなサービスを

カルロス「帰らないのっ!?」
客「ふん。当たり前じゃ。見せ損と言ったであろう。お前に王侯貴族にするようなサービスをしてもらうのじゃ」
カルロス「かしこまりました。お客様。すぐさま、ご用意いたします」

 店を傘下におさめようとしていても、客は客だ。俺は彼女の要望に応えなくてはならない。

カルロス「オーダーはいりまーーーすっ!」
渡「ウーーーーースッ!」
カルロス「キングダムセット、お1つーー!」
渡「かしこまりました、お嬢様! 皆者、頭が高い!」

 キングダムセットのオーダーが入った瞬間、店内のBGMがバロック式のものへと変わる。
 赤い絨毯がばっと空を舞うと、一本の道が作られ、その上を銀で作られた食器運びが走る。

カルロス「お待たせいたしました。お嬢様……こちら、ステーキとなります」

 俺は鉄板プレートを提供した。
 店内で最高級の厚切り肉を、熱したプレートの上に置いただけの、衛生法なんぞ知ったことか大腸菌は貴様が倒せ調理法で作られたステーキだ。
 肉汁が乱れ飛ぶ!

客「あづっーーーっ!」

 飛び散った油が少女の顔を直撃した。

客「これだ、これこそがわらわが求めていたものじゃ!」

 少女は大変満足した!(?)

カルロス「ふっ……客が求めているものを提供する……これこそが客と俺達のいつまでも終わらない戦いってヤツなのかも知れないな」
客「…………まとめが雑じゃのう」

 こうして、今日も俺達は戦い続ける! ここはファミレス……客と店員がガチなバトルを繰り広げる……一つの戦場だ。

今日、予約取ってたの忘れてて、思い出したが15分前で、何にも考えまとめず、やった結果がこれだよ!
……ほんとすまんかったです。

来週はもう少しまともになるよう、今から考えます。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

【08/22 (木) 15:54時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

ないぽ。。(´・ω・`)

ヴィヴィが私の手をぎゅっと握り、初めてではないかと思えるくらい、真っ直ぐな視線を向けてくる。
つい気恥ずかしくなった私は、顔を背けた。するとヴィヴィは……その隙をついてサブミッションを極め、解いてほしければ連れて行けと言った。
間接を極められた私は、何度もギブアップを連呼し、結局彼女を受け容れる事になってしまう。

『旅団拠点 よしのや地下室』

「という訳で、魔法使いのヴィヴィ・ブリリアントでっす! 特技は勿論魔法! 後はぁ……とぅっ!!」

「きゃぁ! ヴィヴィ、なんでパンツ脱がせるのよ!!」

「という、脱衣魔法も得意かもぉ!」

「どこが魔法よ、物理よ!!」

「くすくす、面白い人達が加わったわね」

「ったく……大丈夫かよ、この旅団」

「でも、フィアって娘、かなり凄腕なのでしょう、ディムッド」

「……ああ、認めたくないが、あの小娘、剣の腕はともかく……動き、そして魔翌力が飛び抜けている。
 アリシア、お前もうかうかしていられないぞ?」

「私は良いのよぉ。ふふ、だって、基本は回復魔法なのだから」

アリシアと紹介された女性と、ディムッドが何やら話を交わす中、私はヴィヴィを追い掛け回す羽目となる。
脱がされたパンツを手に、楽しそうに駆け回るヴィヴィを捕まえようと必死になる中、妹のシリルがその光景を目にするのである。

「……お姉ちゃんが、遠くに行っちゃう」

勇者捜索旅団、その旅団には武器も、金も、人手もまだ足りない。旅立つ事になるとしても、まだ先の話である。
しかしそれはそんな遠い日ではないのかもしれない。そして、私もまた、兄を捜す為の第一歩を踏み始めるのである――。


―――― つづきます

という訳で、いきなりですがこの物語のタイトルを>>74にお願いしちゃいます。

そういえば新鯖なんですねこれ↓

パンツが脱げない魔法を知りたい

って訳で、タイトルも決まり、皆様お付き合いありがとうございましたなのです。

タイトルからして基本コメディ方向……なのかな、分からないです。
更に言えば基本おぱんつ物語になる方向なのですね。分からないです。

【09/08 (日) 00:11時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

09/08 (日)
  21:30~/ ◆MOON69mNOA氏 - パンツが脱げない魔法を知りたい 第二話

という訳でべっちょり。

えー、久々にテレビで野球を観戦していましたが、若いっていいですね!

昔に、いつか野球モノでも、とか思っちゃいましたけど、やっぱ難しいなぁって断念したのを思い出しました。
出来ない事はないけれど、結構筋書きを固めちゃう感じで安価の意味が薄いなって思ったりで。

という訳でもう暫くお待ち下さい……。

~~簡潔気味な登場人物~~

【フィア・エーミット】
本編主人公で、兄を捜す為に勇者捜索旅団に加入する。魔法と剣を得意としますが……。

【ヴィヴィ・ブリリアント】
主人公の幼馴染で、魔法に長ける変態少女。主人公の胸とお尻が大好物。パンツ大好き。

【シリル・エーミット】
主人公の妹。姉想いであるが一途過ぎておかしな事をするタイプ。お米大好き。

【メリエッタ・リードリッヒ】
オズワルド王国の若き女王。しかし実質年齢十四歳の為まだまだお子様気分。

【ディムッド・ベンティック】
勇者捜索旅団の長であり、よしのや店長。戦士としても一流の腕を持つ青年。

【アリシア・メイリス】
回復魔法にも長ける鈍器使い。癖毛を気にしている。直毛大好き。

【アルク・グレアム】
勇者と呼ばれる少年であるが、現在は行方不明である。

【ゲオルグ・エーミット】
主人公の兄であり、勇者と共に行方不明となった銀髪の青年。

―――― パンツが脱げない魔法を知りたい 第二話

牛丼チェーン店、本店のよしのや。そこは以前有名焼肉店としてオズワルド城下町を賑わせた店であったが、
突如起きた出来事により、牛丼屋としての展開を余儀なくされ、店長ディムッドはチェーン展開を行おうと踏み切る。

しかし、突如の出来事と、牛丼という言葉に庶民達が付いて行けず、値段は格段に下がり手を出しやすくなったものの、
高級焼肉店がどうして、という声が強まり、逆に不信感を招く事態となり、旅団の団長でもあるディムッドはここ数日、頭を悩ませる事になる。

その数日の間も、旅団拡張の件で皆、動き始めてはいたものの、人数はいまだ四人。
人数拡張に資金調達、そして武器防具、資材や道具の確保に奔走するには、人数も足りず、経験不足な人間もおり、
やはり旅団の出発は遠退き、順調とは言えない状態に陥っているのである。


『オズワルド城下町 よしのや地下室』

ディムッドが地下室で塞ぎこむように頭を抱えて数十分、いよいよ具合でも悪いのではないかと、書類を纏めていたアリシアが声を掛ける。
すると彼は、俯き頭を抱えた状態のまま、小さくこう漏らした。

「……金が、足りん」

「お金ねぇ……。こればかりは、ディムッドに頼るしかないわね」

「分かっている。だが、ジョジョ園の頃は貴族から贔屓にされており、順調だった。
 その頃の蓄えも一部は残っているのだが、まさかあの暴走により金庫ごと書き換えられているとは思わなかったんだ」

「魔翌力の暴走、通常ならば破壊行為に繋がる行為だけれど、まさかの書き換えだものね」

「あり得ん、金すら消してしまうなんて。……そう思うだろう、フィア・エーミット」

我が妹の行為ではあるが、確かにディムッドの言うように、本来ならばありえない行動。
女王メリエッタが焼肉を独占し、自分が食べられない為の精神的衝撃が彼女の暴走を招いたのだ。

我が妹の事でもあり、この時、私はもうこう答えるしか無かったのだ。

「……>>84

臓器を売ろう

「……臓器を売ろう」

「誰が、その臓器を売り捌くんだ? 更に言えば、この国では臓器売買は法律の下、禁止されている」

「フィアちゃんって、時々凄い発言をするわよねぇ」

「そ、そうですか? えへへ……」

「アリシア、小娘を甘やかすのはよせ。こいつは煽てると調子に乗るタイプだ」

「私は別に甘やかしたり煽てたつもりはないのだけれど……、うん」

「で、ディムッドの臓器売買はしないの?」

「フィア、お前は真面目に人数確保について考えを纏めろ。……未だに一人として捕まえられていないんだぞ」

「しょうがないじゃない! だって、ヴィヴィがしつこく追い掛け回して、失敗するパターンばっかりなんだから」

「人の責任にしているが、お前自身も手応えが実質皆無なのではないのか?」

「うぐ……、わ、分かってる! 今日中に何とかするわよ、もう!!」

臓器密売、冗談のつもりで言ったそれが切欠となったのか、私とディムッドは軽い口論を交わす事になる。
その場から逃れるようにしては、裏口から地上に出た私は、はぁと溜息を漏らすのだった。

「確かに、ここ数日全然収穫はナシ。……女王の助力もあれど、皆、闇の軍勢に怯えている……」

そう、声を掛けるまでは順調なのだ。しかし、旅団の話をした途端、冒険者達も顔色を変えていく。
それは敵地に乗り込むような行為でもあり、最終的に生存率はゼロに近いと判断されているのだろう、
皆、やっぱり良いというような様子で去っていくのである。それをヴィヴィがしつこく追い回す為……。

今では、城下町を徘徊する>>87の二人組み、と恐れられていた。

牛丼屋

今では、城下町を徘徊する牛丼屋の二人組み、と恐れられていた。

「ど、どうにも私達が経営の邪魔にもなって、旅団の資金が貯まらない状態のような気もするけれど、うん、そんな事は無いわ!
 でも、今日中に仲間を確保するって息巻いちゃったし、どうしよう……」

悪循環である。資金は何とかなるであろうと自信を見せていたディムッドも、牛丼屋よしのやが軌道に乗らなければどうしようもない。
そして、旅団メンバーも少ない為、実質行動に制限が掛かってしまう。

最低でも十人、とディムッドは人数を考え、資金、そして物資が揃った時に行動を開始すると計画していたが、
それは数日で前途多難を極めそうな状態であり、その原因の大半は……恐らく、私。

「……どうしよう、シリルもずっと宿に残すわけにもいかないし。でも一人で村には帰りたくないって言い張るし……あぁ、もう!!」

私がよしのやを裏口から出た後、アテも無くぶらぶらと城下町を彷徨っていると、どうやら裏路地に迷い込んだらしい。
オズワルド城下町の端から端まで徒歩で歩くと、二時間近くは掛かってしまうその広さ。まだまだ、私には分からない道も多かった。

「薄暗いわね、この辺り……。それに、死んだ目をした商人がちょこちょこと……」

商人、大体は国から許可を得て露店を行っていたりするものだが、この辺りはどうやら不法に出店している様だった。
それら不法行為を行う商人達を、横目で眺めてみるのだが、どれもこれも顔は土気色、瞳には覇気を感じられない。

「気味が悪いわね、この辺り……。さっさと抜けちゃおっと」

ゆったりした歩みから一転、小走り気味に進んでしまう。その雰囲気を始めて味わったせいだろう。
純粋に怖くなった私の視界には、最早道しか見えていなかった。そうして急いていたせいであろう、一人の子供とぶつかってしまう。

「きゃっ! ……あ、危ないじゃない!!」

「うっさいなぁ、そっちからぶつかって来たくせに!!」

子供、と呼ぶには少々無礼であったろう。しかし、身なりも、格好も少年にしか見えないそれは、
甲高い声で私に文句を言い放っては、走り去ってしまうのである。

その少女と呼ぶべき存在とぶつかり、彼女が落としていったのだろう。足元には>>90が落ちていた。

空腹で倒れている魔物使い

その少女と呼ぶべき存在とぶつかり、彼女が落としていったのだろう。足元には空腹で倒れている魔物使いが落ちていた。
人が人を落とすという前代未聞の出来事。しかし、彼女が落としたのは小人と呼ぶべき存在であり、落としても当然の小ささである。

とはいえ、小人なんて存在するのか、これ、生きているのかと突いてみると、それはぴくっと身を震わせた。

「んもぉ、何するでありますか!」

「んなっ、喋った!?」

「そりゃ~喋るであります。だって人間ですもの、えっへん!」

「……にん、げん? この大きさで?」

「立派な人間です、ちゃんと臓器だってあるし、密売行為だって行えるのであります! えっへん!!」

「いやでも、臓器売買って禁止されているんじゃ……」

「しかし、実質この辺りではよく取引されるのであります」

「……だから、気味が悪いって思っちゃったんだ。……本当にこんな事実があるなんて」

「アナタ、もしかしてこの城下町の人間じゃないでありますか? こんな事、周知の事実であります」

「え? どういう事なの?」

彼女の名はアスタルテ。魔物使いと自負しているが、妖精のような大きさの小人である。
その彼女は言う。城下町の貧富の差、そして、闇の軍勢が闊歩し、その影響が経済にも勿論影響し、
次第にその差は更に拡大される事となり、とうとう臓器を密売しようと考える子供すら現れた、という事なのだそうだ。

「……あちしを拾ってくれたご主人様は超貧乏中の貧乏、超~~~~貧乏な少女なのであります……」

「それで、この裏路地でアスタルテを売ろうと?」

「そ、それは違うであります! あちしのご主人、サナ様は、此処で>>92を売ろうと決意したのであります……」

竜原石

「そ、それは違うであります! あちしのご主人、サナ様は、此処で竜原石を売ろうと決意したのであります……」

「竜原石? そ、それって、ファイ○ーエムブレムで言うところの、神竜石や火竜石に属する石の事!?」

「あ、いや、そのファ○ヤーなんたらってのは知らないでありますが、竜と心を通わせる魔法石の原石でありますよ」

「それって、凄い高いんじゃないの!? 竜族って、もう古の存在みたいな話も聞くから、使い道は無さそうだけど……」

「本当にそう思うでありますか? 竜族が本当に滅亡していると思うでありますか?」

「……そうじゃ、ないんだ?」

「ふふん、実を言うとサナ様は竜ぞげふんげふん、おっとこれは言ってはいけない決まりなのでありました!」

「もう半分くらい言いかけたじゃない……。それで、ご主人様の家は?」

「ほえ、どうしてそんな事をお尋ねになりますか? ま、まさか、竜族と知ったサナ様を売買に持ちかけようと言うのでありますね!?
 人身売買しようという魂胆でありますね!? い、いけないであります! あちしが止めるのであります!!」

「って、小人が私を止めれるわけ無いでしょぉ?」

「……ならば見るが良いのです、あちしの本当の姿を。とぉっ!!」

魔物使い、それは、魔物を生き物と見立て、交流を深めようとする存在の事を指す。
決して、掌から魔物を生み出したり、魔物を召喚する訳でもない。それは、魔物を家族のように大事にしたいと願う、命の尊さを訴える存在。
それらは、様々な手段で魔物と交流を深めようと試み、一部はその技により、様々な魔物と話が出来たりするという。

「ふっふっふ、驚きやがりましたか、あちしは家に伝わる技、変身術を備えているのであります! 劣化チェ○シーみたいなものであります!!」

「その○ェルシーがよく分からないけど、変身って……人間が小人になっていたっていうの?」

「そうであります。サナ様も、その方が運びやすいと言って……失礼な話であります。ぷんぷん」

どう見ても子供にしか見えないそれが、さっきまでの小人とは到底思えず、何となく頬を突いてみると……、
彼女は頬を突かれて、>>96という仕草を見せるのであった。

激痛にのたうち回る

どう見ても子供にしか見えないそれが、さっきまでの小人とは到底思えず、何となく頬を突いてみると……、
彼女は頬を突かれて、激痛にのたうち回るという仕草を見せるのであった。

『オズワルド城下町 裏道 サナ宅前』

「ぷんすか、ぷんすか!」

「も、もう、怒らないでよ。自前の薬草を塗ってあげたじゃない」

「でも怒って当然なのであります! 防御力0のあちしは、Lv20になっても防御力0!
 クラスチェンジもなく、永遠にコマンドーなのでありますよ!? 頬を突かれても打たれたレベルじゃ済まないのであります!!」

「どうしてもFE基準で話すんだ……」

「最初に振ったのはアナタであります! ぷんすか!!」

「それで、此処が神竜チ○ちゃんの家?」

「違うであります! サナ様の家であります!! 思いつきで考えた設定や名前が似てるからって、引っ張らないで欲しいであります!!」

「二文字しか合ってないってレベルだけどね……。それじゃ、お邪魔しま~すっと」

素直に言えば、私の家よりも狭く、小汚い。馬小屋じゃないのかと思えるくらい、そこは汚れていて薄暗かった。
ランプが普及し、庶民の家に渡るようになっていると言うのにも関わらず、蝋燭すらそこには無い。
そして、太陽の光が差し込まない立地な為、馬小屋以下ではないのかと思えてしまう。

「少し、臭うわね……」

「あちし、まだおしっこはしてないであります」

「は? 何を言ってるの?」

「おトイレも丸出しでありますから、臭いは仕方が無いのでありますよ」

そして、臭いの原因は単に、トイレも個室として隔てられていない為であり、その部分には藁が敷き詰められている。
最早動物の暮らしじゃないかと愕然とする私だったが、アスタルテは平気そうに私に水を差し出すのだった。

「大丈夫であります、飲み水として加工してありますから。……サナ様、何処まで走っていっちゃったのでありましょう」

この二人、どちらも不憫すぎると感じた私は、そのカップとも言えない器に入っていた水を眺め、ついこんな事を口走っていた。

「……良かったら、私と一緒に……>>102

成り上がらない?

「……良かったら、私と一緒に……成り上がらない?」

「なりあがり、でありますか?」

「もしかすると、将来貴族になれて、裕福な暮らしが送れるかもしれない。ううん、私と一緒に来てくれるなら、
 直ぐにでも今以上の暮らしは用意できるわ。……どうかな?」

「……何をさせようと言うのでありますか?」

「旅をするの。……勇者アルクを捜索する旅に」

「旅、でありますか……!?」

アスタルテの瞳が一瞬輝いた。私はそれを見逃さず、追撃しようと仲間に誘う言葉を選ぼうとした。
しかし彼女は直ぐに顔を伏せ、自分を思い留まらせようとするように、言うのである。

「でも、ダメであります……。あちしも、サナ様も、この城下町で隠れて暮らすように過ごしてきたのであります。
 あちしも、サナ様も、これ以上の暮らしはそこまで望んではいないのであります。ただ、平和に、のんびり暮らせれば……」

「……アナタ達の過去に何があったのかは、私にも分からないし、聞きたいけれど、無理して聞き出そうとは思わない。
 けれど、トイレすら満足に出来ず、水だってこんな濁り水で……、このままじゃ、病気で死んでしまうわ!」

「それでも良いのであります。だって、あちしは、サナ様と此処まで来れて、満足なのであります。
 もう二度と、紫煙には包まれたくないのであります……。あんな地獄、見たくない!!」

「紫煙……それって……」

「あちし達は、紫煙に包まれた南方大陸から逃げてきたのでありますよ……」

彼女は、ただそれだけを言うと、口を閉ざして顔を伏せてしまう。
そうして塞ぎこんだ彼女に、掛ける言葉は最早見つからない。このまま出て行くほうが無難なのだろう。
席を立つ。それだけで私の座っていた椅子が壊れてしまった。それだけ老朽化しているのを、何度も利用してきた証拠である。

これなら、まだ旅団として旅をする方が絶対マシに違いない。こんな場所でじっとしていては、ただ腐ってしまうだけ。
そう思ってしまうのは私だけなのだろうか。分からないと、最後に塞ぎこむアスタルテを見つめてしまう。

「……無理言って、ごめんなさい」

その精一杯を言葉にして、扉を開いて家を去ろうとした時である。>>106

扉が鉄のように重くなった

その精一杯を言葉にして、扉を開いて家を去ろうとした時である。扉が鉄のように重くなった
開かない、こんなにくたびれて壊れそうな扉だと言うのに、力を入れてもそれは開いてくれない。
ならば蹴飛ばす? そんな事は出来ない。ではどうしようと、私が扉と格闘している最中であった。

「……アスタルテ、今だよ、奇襲を!!」

「そ、その声、サナ様でありますか!?」

「そうだよ! だから早く、この盗人に奇襲を!!」

「あのぉ、サナ様、あちし、変身技能しか持たない身でありますので、防御0に攻撃1、実質ゴミ以下の存在であります。
 ……何も出来ないでありますよ?」

「し、しまったぁ! アスタルテの戦闘能力が皆無なのを忘れていたッ! な、なら、この私がッ!!」

何だろうこれは、突然のコントに呆然とする私であったが、次の瞬間、扉が勢い良く開かれ、それに額を打ち付ける羽目となってしまう。
流石にちょっと痛いと、おでこを擦りつつもその張本人を見れば、やはり先程ぶつかって来た少女が、怒りを露にしていた。

「こ、こんな何も無い家に、何を盗みに来たって言うんだ! ま、まさか、竜原石が狙いで!?」

「え、えっと……、アスタルテ、事情を説明してくれない?」

「あ、あちしがですか!? んーでも、難しいと思うであります。サナ様、お怒りになると周りが見えなくなるでありますから」

「竜原石が狙いの盗人、そしてアスタルテまでをも誑かし、弄ぶ罪人……。
 もう許さない、この私が何があろうとも、竜原石を、そしてアスタルテを守り抜くッ!!」

「……確かに、思い切り勘違いしてくれてる挙句、周りを見てくれていないわね……」

呆れた私は、ただサナと呼ばれた少女を眺めるしかなかった。しかしそれは油断に繋がった。
気付けば直ぐ傍まで接近され、喉元を掴まれてしまう。その動きの早さに追いつけなかったのもあるが、何よりこの握力に屈しそうになる。

「一つ、良い事を教えてあげるよ。私、こう見えても竜族のハーフなんだ。だから……ステータスは運以外20だよ!!」

「ぐ、うぅ………が、ぁ……!!」

「そのまま、窒息して死ぬといいよ……罪人!!」

「ま、待つのでありますよ~サナ様ぁ!!」

サナの右手が、喉元に食い込んでくる。たった数秒で最早気を失いそうになる私を救おうと、アスタルテがサナを止めようと動き出す。
そうして、彼女がサナの右腕にしがみついた瞬間、>>109

サナが小さくなってしまった!

サナの右手が、喉元に食い込んでくる。たった数秒で最早気を失いそうになる私を救おうと、アスタルテがサナを止めようと動き出す。
そうして、彼女がサナの右腕にしがみついた瞬間、サナが小さくなってしまった!

はて、と、解放された私は喉元を擦りながら、何が起こったのかと、見下ろす。
すると、脛をぽかぽかと殴りつけるかわいらしい小人が存在していた。サナだ。

「くぅ~このぉ~、急に巨大化しやがって、それでも竜族のハーフの私は負けないんだからなぁ!!」

「……ねぇ、アスタルテ、アナタの仕業?」

「あわわわ、あちしの能力はあくまで自身の変化でありまして、このような事は初めてでありまして……」

「このっ、このっ、こうなったらぁ……脛直撃コースの必殺、後ろ回し蹴りッ!!」

「って、ちょ、それ痛ッ、す、脛ばっかりいじめないでよっ!!」

―― それから数十分後、サナもようやく私の事情を聞いては、この家に居た事を納得する事になる。
まさか、自身の運の無さ、そしておっちょこちょいスキルが発動して、小人化していたアスタルテを落としてしまい、
挙句に私を罪人扱いした事を何度も詫びてくるのだが、小人サイズのせいなのか、それは余りにも可愛らしくて仕方が無い。

「……カワイイ」

「な、何をジロジロ見てるんだよ、か、カワイイだなんて!!」

「だって、可愛いんだもん。サナ、もうずっと小人化していれば?」

「そ、それは困る! アスタルテを護ろうと決めたのに、こんな小さくてステータスが1になってしまっては、ソルジャークラスさえ倒せないじゃないか!」

「そうでありますよ、サナ様には元に戻ってもらわないと……。でもどうすれば、元に戻れるでありますか……」

「うぅん……そうだ、ちょっと、こういう奇怪現象に詳しい知り合いが居るの。私について来てくれない?」

「「奇怪現象に詳しい人?」」

『オズワルド城下町 ヴィヴィ邸』

彼女は貴族である父、ネイディと共にこの豪邸に住んでいる。そして、この家は代々魔法に長け、それを永きに渡り国に伝えてきた歴史のある家でもあった。
その長女として生まれたヴィヴィは、歴代で随一の魔翌力を宿し、そしてそれを奮っては家に貢献をしてきたのである。

そんな彼女なら、この奇怪現象について分かるかもしれないと思ったのだが……、ヴィヴィは、物珍しそうにサナを弄ぶだけであった。

「で、どうなの? ヴィヴィなら分かると思って連れて来たのだけど」

「元に戻す方法だっけ? んー、それなら、>>112

スライムと添い寝する

「元に戻す方法だっけ? んー、それなら、スライムと添い寝するとかどう?」

「あのねヴィヴィ、そんな事で元に戻ったら苦労しないわよ」

「分からないよぉ? そいえば、ミィコ、何処行ったの?」

「シリルと一緒。私の借りてる宿でお留守番の筈だけど」

「それじゃ、そこへ連れて行ってみよ? ほぉら、サナちゃん、おいでおいで~」

「お、おいでおいで、って、ペットじゃないんだ、私はッ!!」

「はうぅ、サナ様が不憫であちし、見ていられないであります……」

『オズワルド城下町 宿屋』

シリルは、そこで暇そうにスライムのミィコと話を交わしていた様子だった。
ベッドに寝転がり、ミィコを時折ぷにぷにと指先で転がして遊んでおり、ミィコも転がされているのにも関わらず、まんざらでもなさそうな顔である。

そこへ、私やヴィヴィ、そして見知らぬ少女に小人がやって来ては、彼女も飛び起きるようにして驚くのは無理もない。

「わ、わわ、お、お姉ちゃん!? って、知らない人まで居るし……こ、この人、小さッ!!」

「え、えと、初めましてであります。アスタルテと言うのであります!」

「で、この小さい娘はサナちゃんね」

「サナちゃん? お姉ちゃん、もしかしてこの人も魔族の類……?」

「ちっがーう、私はこう見えても立派な竜族だ! ハーフだけど……!」

「みぃ、みぃ!!」

サナが魔族と勘違いされ、怒った表情をしては竜族のハーフだと胸を張った途端である。
スライムのミィコが突然ぴょんぴょんと跳ねてはサナへ突撃するように向かってくる。
小人が珍しかったのか、同じようなサイズで仲間だと思ったのか、ミィコは今では頬ずりするようにサナと接触しているのである。

「ほらぁ、割と上手くいきそうな雰囲気でしょ? でしょ?」

「ヴィヴィ、本当にこんな事でサナが元に戻るって言うの?」

「大丈夫大丈夫! 後は添い寝させるだけ、フフフフフ」

ミィコは早速なのか、サナを粘液で包みベッドへ運ぼうとする。いよいよ添い寝が始まるのだと思って見ていたのだが……>>115

サナがおしっこしたい、もう出そうと呟いた

ミィコは早速なのか、サナを粘液で包みベッドへ運ぼうとする。いよいよ添い寝が始まるのだと思って見ていたのだが……、
サナがおしっこしたい、もう出そうと呟いた。そして、彼女は私達の前で醜態を晒す羽目となるのだが……。

「ミィコ……おしっこ、飲んでない?」

「シリルにも、そう見える……? ……吸収するように飲んでるように見えるわね」

「こ、これは、まさかの竜族の尿によって、スライムがドラゴンスライムに変化するフラグ!?」

「ヴィヴィもつまんない事言ってないで……って、飲み込んだ後、粘液にして飛ばしたわね」

「あわわ、なんだかおしっこ不味くて、吐いたようにも見えたのであります……」

「うえぇぇぇん、アスタルテにしか見せた事が無かったのに、無かったのにぃ!!」

号泣するサナの直ぐ傍に、粘液が塊のようになっては残っているのである。
ほんの少し臭いがするが、透明に近いその粘液に、何となく触れてみた途端、
それは弾けるように割れては、小さな雫となってベッドの染みとなっては消えていく。

そうして、その粘液を浴びたサナが、何故か元通りとなり、この件は無事解決した事になるのだが……。

『オズワルド城下町 よしのや地下室』

ディムッドはまた頭を抱えてしまっていた。私が今日中に仲間を見つけ出すと宣言し、帰ってきた途端、
彼は「どうせ誰も見つからなかったんだろう、ざまぁみろ!!」と嘲笑ってはいたのだが……。

「……なんで、子供なんだ」

「こ、子供じゃない! こう見えても竜族のハーフで、ステータスは運以外20なんだ!」

「あ、あちしも子供みたいなものでありますが、変身出来たりする万能少女でありますよ!」

「……もっとこう、屈強な戦士や、騎士を連れてきて欲しかったのだが……。
 そして俺はあえて言う。時代は20カンストではない、職業によって数値が変わる時代だ!!」

「「な、なんだってぇぇ!!」」

彼女達……サナやアスタルテが、どうして仲間になろうと決意してくれたのか。
それはサナが元に戻り、そして私が改めて仲間に誘おうと言葉を掛けた時である。

その場に居た妹のシリルが、こう言ったのだ。「>>118」と。

わたしが求人広告を出すわ

その場に居た妹のシリルが、こう言ったのだ。「わたしが求人広告を出すわ」と。
何故シリルが介入しようとするのだろう、疑問に思い追求した。すると彼女は案外あっさりとぼろを出す。

「……お姉ちゃんと離れ離れになるなんて、嫌だもん。だから、この旅団に入るって、ディムッドさんと相談したの。
 ディムッドさん、怖い顔で私を睨んだけど、負けなかった! そしたら、困った顔で頷いてくれて……」

「ディムッド……、あの、バカ……!!」

「それに、もう知り合いにはなったけれど、こんな私と歳が変わらない娘を誘うのはいけないよ、お姉ちゃん。
 私がきちんと求人を出して、仲間を募集するから……ね?」

「……子供扱いしたな!?」

「ふぇ?」

「オマエッ、私を子供扱いしたなと言っている! 私は背が低いだけで、竜族の中では成人の分類に入るんだぞ!
 十四年しか生きていないからって、馬鹿にするな!!」

「あぅぅ、サナ様が暴走しちゃったであります。……でも、あちしも本音は旅に出てみたいであります。
 もう一度、あの大陸に、家に……戻れたらって……」

「という訳で、そこの女が旅団に加わるというのなら、私も加入しようじゃないか! ま、負けたくないからな!!」

サナの小さなプライド、そしてアスタルテの再び故郷の地に足を踏み入れたいという願望。
それが二人の戦力加入となり、ディムッドに紹介する流れとなったのだが、彼はやはり暗い顔をしたままである。

「こう見えても戦力になる! そ、それに……毎日、パンが食べられるって聞いた! だから、私とアスタルテを加入させて欲しい!」

「と、言われてもなぁ……。竜族に、変身技能? 訳わかんね」

「ならディムッド、実際にサナと対決してみない? 組み手って事で……にやり」

サナの実力は折り紙つき、もとい、私が直に殺されそうになった程である。
よしのやの裏口から近場の広場へ向かい、サナの実力をディムッドに分からせたほうが早いと考えた私は、その様子を眺めていた。
サナの俊敏な動き、そして大地を割る程の威力を持つ拳に、ディムッドも驚かされはいたのだが……。

「……ヴィヴィ、私は夢を見ているの? ディムッドが、サナと互角に見えるんだけど」

「んー、それ以上じゃない? ディムッド、攻撃を全て受け流しているし」

突き、蹴り、どれも半端無い威力であるというのにも関わらず、それを受け止め、尚且つ涼しい顔をするディムッド。
正直、彼が此処までの実力者だと思っていなかった私は、>>120という気持ちを抱いてしまう。

これは八百長

突き、蹴り、どれも半端無い威力であるというのにも関わらず、それを受け止め、尚且つ涼しい顔をするディムッド。
正直、彼が此処までの実力者だと思っていなかった私は、これは八百長という気持ちを抱いてしまう。

「そ、そうよ、これは八百長! 信じられない、あんな男が、あれ程強いだなんて!」

「アレ、フィアって聞いた事無い? オズワルドの最後の砦って言われるくらい、実力者なんだよ? あの人」

「……そ、そなの?」

いやいや、それでも八百長だと言い張っている間にも、組み手は終了、サナは呼吸を乱し、悔しそうにディムッドを見据えていた。
一方ディムッドは、手首を回しやはり涼しい顔をしたまま、私に向かって言うのである。

「確かに強い、動きも俊敏だしパワーもある。つうか、普通の人間じゃないってーのは分かった。
 が、粗い。何もかもが未熟だ。……まぁ、使えん事はないだろうが」

「じゃあ、加入を認めてくれるのね? 賭けは私の勝ちね!?」

「って、賭けって何だ!? お前と賭けをした覚えは無いッ!!」

「今日中に私が仲間を連れてくるっていう約束は果たしたわ。報酬を得るのは当然よね!!」

「な、なんて厚かましい女だ……。ヴィヴィ、お前はフィアの友人だろう、なんとか言ってやってくれ!」

「えー、それは無理かなー。だってフィア、こういうがめつい女だもん」

「ぐ……、女王の推挙さえ無ければ、こんな女、即刻解雇だと言うのに……!」

「さぁ、早く報酬、さっさと報酬!!」

―― 夜、まさか本当に報酬を用意してくれるとは思いもよらなかった私は、それを前にしてディムッドに問いかける。
これは何、と。彼はよしのやの建て直しを計ろうと、帳簿を眺めながらこう言った。

「ああ、お前が欲しがっていた報酬の>>123だ」

メイド衣装一式

「ああ、お前が欲しがっていた報酬のメイド衣装一式だ」

「はぁ!? 何時、私がメイド衣装なんて欲しがったって言うの!?」

「本音は欲しかったんだろう? そして、旅団の為によしのやで働き、資金を蓄えてくれるって算段なのだろう?
 いやぁ、俺は嬉しいよ。仲間を連れてきて、報酬を強請って驚いたが、旅団の為に動いてくれてるなんて気付けず……俺が馬鹿だったよ」

「ちょ、アンタ何を言ってるのよ! いい加減にして! 正当な報酬を得る権利が私にある筈よ!!」

「正当な報酬だと思うが?」

「こ、こんなの不当よ!!」

「ならば捨てるか。……旅団もこのまま旅立てず、勇者捜索は完全に打ち切り。となれば、お前の兄を捜す手段も無く。
 永遠に行方不明のまま帰らぬ人か。お前の兄ゲオルグは、あの世でさぞ嘆くだろうな」

「お、お兄ちゃんは死んでない! ……いいわよ、そ、そこまで言うのなら……やってやるわよ!!」

「じゃ、この書類にサインを」

「サインくらい簡単よ! メイド服を着て、資金を集めればいいんでしょう!? こ、こんなの簡単なんだから!!」

その書類が、雇用に関係する書類だと思わずサインをした私は、今、よしのやでウェイトレスをやっている。
メイド服を着た少女が牛丼屋で働いているという噂は広まり、だからといって客足が伸びたかと言えば、そうでもなく……。

今日は店長面であるディムッドは、私が美人で無いからいけないと、不服そうに言うのだった。

「な、ななななな! わ、私が美人じゃないからって、なんで私のせいなのよ!!」

「だってなぁ、お前胸小さいし、スタイルも背が低いからそこまで良くないしなぁ。銀髪が珍しく、ウケると思ったんだが」

「胸って、す、スタイルって、あ、アンタ、何処を見て言ってるのよ!!」

「ぺちゃパイに、寸胴スタイル」

「……………………ブチッ」

気がつけば、よしのやは……>>126となっていた。

ラーメン次郎

~~個人的感想付き登場人物紹介~~

【フィア・エーミット】
本編主人公で、兄を捜す為に勇者捜索旅団に加入する。*:将来死ぬんじゃないかなこの人。

【ヴィヴィ・ブリリアント】
主人公の幼馴染で、魔法に長ける変態少女。主人公の胸とお尻が大好物。*:ちょっとパッとしませんので頑張ってください。

【シリル・エーミット】
主人公の妹。姉想いであるが一途過ぎておかしな事をするタイプ。*:気付けば只の爆発系天才タイプの一人に。

【メリエッタ・リードリッヒ】
オズワルド王国の若き女王。しかし実質年齢十四歳の為まだまだお子様気分。*:物語のムードメーカーになってしまいました。

【ディムッド・ベンティック】
勇者捜索旅団の長であり、よしのや店長。戦士としても一流の腕を持つ青年。*:野郎はどうでもいいのです。

【アリシア・メイリス】
回復魔法にも長ける鈍器使い。癖毛を気にしている。直毛大好き。*:特技はヒールウインド(物理)だそうです。

【サナ・バーンウェル】
竜族のハーフの少女。粗野な所があり食欲旺盛。でも神経細いそんなタイプ。*:チョイ役のつもりだったのでさっぱり。

【アスタルテ・オステル】
魔物使いを目指す少女。特技は変身特に小人化。サナには非常に甘かったり。*:安価の流れで出すとき、妖精と悩んだりしたのであります。

【アルク・グレアム】
勇者と呼ばれる少年であるが、現在は行方不明である。*:アンタの出番はまだまだ先なんで。

【ゲオルグ・エーミット】
主人公の兄であり、勇者と共に行方不明となった銀髪の青年。*:上に同じ。

【おっぱい仮面】
別名オルセオ・フェンディ。とある出来事から変態の道を突き進むようになった元冒険者。

そうして、エリスに連れられ恐る恐る工房を覗いてみると……そこには、白鳥のコスプレをした男性三人組が居たのである。

「ね、ねぇ、エリス。……アレ、何?」

「アレがこの武具屋の主でもあるスワン三兄弟ですよ。こんにちは~、スワンさん!」

「ちょ、は、話しかけて大丈夫なの、これ!!」

「「ムッ、この声は……」」

エリスの声に、白鳥のコスプレをした三人組は同時に反応、そして、同時に振り返るのである。
気味が悪いと思ったその一連の行動にも、エリスは怯まずむしろほんわか笑顔で迎えるのだった。

「「やはりエリス・フェンディ嬢ではないですか。ご無沙汰ですぞぉっ!?」」

「あ、あはは……最近、色々来れる暇が無くって……」

「「ふむふむ、ふむふむふむ。……さては、男が出来て忙しいのでしょうか!?」」

「お、男って……わ、私には、そんな人ぉ……」

「「ふむふむ、やはりエリス嬢はこう恥らう姿が素晴らしい! で、この隣に居るガサツそうな娘は一体?」」

「え、えと、勇者捜索旅団の団員さんで、フィアさん、なんだけどぉ……」

「……ガサツで悪かったわね」

「「ぬわっ!? こ、この眼差し……これは人を殺める眼光! 名付けて、殺眼の持ち主!!」」

「だーれが、人殺しですって……?」

「「ひぎぃ、こ、これ以上僕達を見ないでくんなましっ!! なんでもしますからぁぁぁぁ!!」」

新たな変態、これは類は友を呼んだと言うべきだろうか。そんな類にまさかの人殺しの眼をしていると言われ、
気分は当然良くない中、何でもするという言葉を聞き取った私は、自分専用の特注の剣が欲しいとお願いしてみる事に。

しかしこの時、城下町が慌しくなり、不穏な噂が広まっている事をまだ私は知らなかったのだ――。


―――― つづきます

という訳で、時間も時間なので切り上げます。
ちょっぴり、というか結構過疎にさせてしまってるのは、いやはやどうしたものでしょう。

自分にゃ活気を取り戻すのは無理ってことで投げたいところですが、投げられる人がいない!
にっちもさっちもいかないって事で、お付き合いありがとうございましたー。


【09/15 (日) 00:11時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

09/15 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - パンツが脱げない魔法はないので第四話 『故郷壊滅してもパンツが危ない』


とりあえずパンツ力が足りない。……何の話なんだろうこれべっちょり。

ぼちぼち時間と言う事で、最近余り数がこなせませんが、お付き合い頂けると恐縮であります。

登場人物はまさかの>>138代用で。面倒くさいわけじゃないんだからね!?

ではもう暫くお待ち下さい……。

――――― パンツが脱げない魔法を知りたい 第四話

元冒険者であり、今では生活の為、己の為、そして自分の姓を継いでくれた拾い子の娘の為、
変態的な仮面を被り、そして新しい道を切り開いたオルセオ・フェンディ。

その男と出会い、その男と協力してはパイ投げという行為により、旅団長ディムッドを本来の道へ戻すフィア・エーミット。
そして、彼や、彼の義理の娘であるエリスの紹介により、新しく武具店を構えた噂の場所へ訪れる。

しかしそこは、スワン三兄弟と呼ばれるこれまた変態の巣窟であり、頭を痛めるフィアであったのだが……。


『オズワルド城下町 裏通り スワン三兄弟の店』

最近のオズワルド城下町は少々慌しい。妙な噂が流れている事を聞いた私は、簡単ながらも調査を行う事になった。
それは、旅団長であるディムッド・ベンティックからの指示でもあり、女王メリエッタ・リードリッヒからの依頼という事にもなる。

王宮の者達も独自で調査を進める中、私達が調査なんて行っても目新しい発見はないだろう。
所詮、噂話を聞きつけ、出元を辿るのが精一杯。素人が行動しても、大した成果は当然見出せない。

「ふむ、ふむふむ。……ふぅん」

「あのねヴィヴィ、さっきの町人の話、ちゃんと聞いていた?」

「ちゃんと聞いてたよ? 要するに、山脈側に紫煙が確認されたって話だよね?」

「ま、まぁ……そうなんだけど」

「この付近で紫煙が見られる事自体稀。だけど、それが確認された……。つまり……ふむふむ……ふむっ!?」

「さっきから、そのふむふむ言うのは何なのよ」

「独自に推理してみたんだけどさぁ、これってもしかして……>>174の予兆だったッリ!?」

救世主降臨

「独自に推理してみたんだけどさぁ、これってもしかして……救世主降臨の予兆だったり!?」

「あのね、紫煙を吸った存在は全て化物のように変化して、暴れ狂う悪魔に成り果てるの。それがどうして救世主に繋がるの?」

「でもでも、この辺りじゃ余り確認されなかった事象だよ!? もしかしたら、普通の紫煙じゃないのかも!」

紫煙、霧のような、煙のような、その空気中を漂う濁り煙は、どうやって発生しているのかきちんと確認はされていない。
ただ、その煙を吸い込んでしまったり、帯びてしまった存在は、たちまち凶暴化したり、身体に異常を起こし変化を起こしてしまう。

それは人間だけではない、動物でも、魔物も、等しく狂い成り果ててしまう。
その煙は、恐らく南方から漂っているのではないかという話も有れば、局所的に起こる場合もある為、何者かが煙を操っているという説もあった。

「それでフィアったら、今日もスワン三兄弟の店に行くの?」

「うん。新しい武器を用意してくれるって約束を取り付けたから」

「でも、その今帯剣しているのって、お兄さん譲りじゃないの?」

「まぁ、そうなんだけど……、いよいよ古くなってきちゃったから」

私達は、噂話をかき集め、一段落した所で共にスワン三兄弟の店を訪れる事になっていた。
しかしこれに、ヴィヴィは余り乗り気では無かった。理由はただ、武具店を訪れるくらいなら演劇を見ているほうが楽しいからだろう。
それに、彼女は魔法使い。武器なんて彼女には無縁と言ってもいい存在なのかもしれない。

「うーん、私はどうしよっかなぁ……」

「ヴィヴィ、無理について来なくていいんだから。後で拠点で落ち合えばいいじゃない」

「でもでも~。……ぶっちゃけ暇だし~。一応旅団の出立計画は進んでるから、暇を潰せるのも時間の問題なんだけど」

彼女の言うとおり、ディムッドがいよいよ旅団を出立させようと、勇者が最初に向かった方角を調べ、
その後の計画を練りに練っている最中である。その為の支度金も、随分かき集めてきたそうだ。

いよいよ、オズワルドを離れる時が近い。そう思うと、少々の寂しさと、妙な期待感が渦巻いていた。

そんな妙な感覚を抱きつつも、スワン三兄弟の工房を訪れてみると、彼等は日課の>>176を行っているのである。

古来から伝わるという全裸での武器の神への祈り

そんな妙な感覚を抱きつつも、スワン三兄弟の工房を訪れてみると、彼等は日課の古来から伝わるという全裸での武器の神への祈りを行っているのである。
工房の真ん中に焚き木を集め、火を点けては、その周囲を妙な唸りと共に踊り狂いつつ、祈りを捧げる妙な儀式。

そんな物で、本当に良い武具が生み出されるものかと疑問を持っていた私だったが、
この工房を訪れるようになり、彼等の凄さが垣間見れる瞬間があった。

「うげ、な、何、コレ……」

「古来から伝わる儀式で、武器の神に祈りを捧げているらしいわ」

「うぇー、神様って、しかも何で半裸なの?」

「これから全裸になるのよ、この人達」

「……フィアさぁ、最近変な男の人と一緒に居る事増えたよね。……そういう素質でもあるの?」

「な、何言ってるのよ! あの人達、見た目も変態だし、行動も正直変態で気持ち悪いっていうのはあるけど!
 あるけど……、実際、この短剣を見てみて」

「どれどれぇ~……、わ、鉄製だよねこれ!? なのに凄いぴかぴかしてる……!!」

「切れ味も鋭いの。流石にこれを見せられた時驚いたわ。それに、エリスが操ってる斧も、この人達が用意した業物なのよ?」

「んーと、リンゴを兎の形にしちゃう使えない技を持つ女の子、だよね?」

「ふぇ……わ、私、つ、使えない……の……!?」

「うげっ、噂をすればなんとやら!?」

工房で儀式を眺めては、ヴィヴィの話に気を取られすぎたらしい。背後には普通にエリスが来店しているのである。
彼女はすっかり旅団メンバーとなり、武具の管理及び調達を命じられる事になる。彼女は今日も私と同様、工房を訪れていた。

「うぅ、ぐす……私、使えない子……」

「ま、まぁまぁ、使えないなんて事無いから。あんな大斧、片手だけで振り回せてるアナタ、十分凄いから!」

「ほんと、ですかぁ……?」

上目遣いで私を見つめてくるエリスに、それまで気まずそうに押し黙っていたヴィヴィであったが、
私達がそうして騒いでしまっていたからだろうか、スワン三兄弟が儀式を途中で止め、こちらに凄みを利かせては言ったのだ。

「少し黙っていてくれ。これでは、儀式が失敗して大変な事になってしまう。そう、それは>>178

これから毎日最低一回は何らかの形で武器による怪我をする

ひぃぃ、安価も付かないので中止に致しますん。
というか打ち切りにした方がいいかな。うんそうしよう。

とりあえず、次回から短編に切り替えてみようかなーと思います。

oh...中止って書き込む前に安価ついてたりでふえぇぇ。
なんかごめんなさいごめんなさい。

【09/21 (土) 21:55時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

09/22 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - なんかたんぺーん

そろそろ引退の頃合なのかしら。

……彼女達とは、最初の頃、友人として接していたじゃないか。どうして忘れてしまっていたのだろう。
それなのに、ある日突然私達が狂わされた出来事があったのだ。それは……超能力発現薬(制作者不明)大特価セールというものである。

何だろう、と、私達四人は互いに見つめあい、目だけで確認していた。
これは危ない物じゃないのか。なのにこんなのが、路上でセールを行われているのだ。
その際に、この路上で店を開く男の妙な笑みを思い出す。あの笑みは、もしかすると……。

「ね、買ってみない? 千円って異様に安いし、おまけに残り四個だけだし」

「わ、私はいいや……」

「どうしてよ莉緒。いつも脳内メルヘンで、超能力が使えたらなぁとか言ってるじゃない」

「い、いや、それはその……、使えないわけじゃないんだけど……ぼそ」

「え? 何か言った? とにかく、皆で買ってみましょ、ね?」

風霧零音のその興味を示した笑顔に押し負けた形になった私達は、その小瓶の液体を購入。
千円の出費は割りと大きいのに、と嘆くのだが、それを暫く私は口にはしなかった。

しかし、風霧零音は、テレキネシスのような能力を身につけ、葉月恵菜はテレポートのような能力を、そして曽我部アキは分子分解という能力を、
それぞれ身につける事になり、彼女達は普通の人間じゃなくなった。それが、増長と驕りを呼んだのだ。

「はぁ!? 男子達、覗き見していたのは知ってるのよ。……死にたいの?」

「私の瞬間移動は、飛べない場所なんてない。……女子の盗んだ下着を返さないのなら……」

「おーほほほ、イジメとはみっともないですわね。……そんなクズなんて、分子レベルに帰しなさい」

彼女達は恐喝紛いの正義的行動を取り始めたのである。それを、友達である私は止めたかったのだ。
だけど、あのクスリを飲んだ途端、私の空間圧縮の能力は膨大に膨れ上がり、そして自我すら保てなくなっていく――。

―― 忘れていた、いや、忘却させられた? 分からない。
けれど、あのクスリが切欠となり、私達四人はバラバラとなり、私はひたすらに最強を目指し、思うように世界を操ってきた。
つまらなかった。世界最強なんて、目指すもの。なってしまっては、最早残る時間は空虚なものだとすら、感じられていた。

けど、今は違う。今こうしてまた、四人で友達となり、わいわいと騒げる日々が嬉しい。

私には、取るべき道が大きく二つあるだろう。一つは、黒幕を炙り出し、思惑が何だったのか尋ねるという選択。
もう一つは、このままこの世界に残り、四人で幸せに過ごす道。

……私は、>>214という選択を選んだのだ。

4人で仲良く黒幕ブッ飛ばすのもアリじゃね

……私は、4人で仲良く黒幕ブッ飛ばすのもアリじゃね、という選択を選んだのだ。

ある日、私達は友達となった四人を集めることになる。私を好いてくれる彼女達は、二つ返事で頷いてくれた。
そうして集められた彼女達は、何の話があるのだろうと、皆真っ直ぐに私を見つめてくる。

「……随分昔の話、最初にループする前、私は皆を止めたくって、この能力を使ったんだ。
 その頃は、私も大人しくて、ちっぽけな存在で、振り回されるような性格だったんだけど……クスリを飲んでから、変わってしまった」

「クスリ? クスリって何?」

「皆、覚えていないかもしれない。でも、私達は最初から友達だったの。……普通に友達だった。
 だけど、皆、クスリを飲んで能力を得て、変わってしまった。だから……今回で、元に戻れて……それを思い出して、私は嬉しかった」

「……クスリで、能力を……」

「だけど、このまま私達四人、仲良く過ごすのも良いと思ったんだ。でも……それじゃダメなんじゃないかって。
 ううん、違う、あの時仲の良かった私達の仲を引き裂いたクスリ、そしてあの露店商、その人が許せないんだと思う」

「復讐すると……言うんですの……?」

「ううん……、そうじゃない。でも、どうしてこんな事をしたのか、気になって仕方が無くって」

皆、それぞれ記憶を辿るような面持ちで私の話を聞いてくれた。それだけでも十分なのかもしれない。
私達が元々どうだったのか、それを思い出してくれるだけでも良かったのかもしれない。

だけど、悔しい。そして仲を引き裂いたあの露店商の思惑を突き止めたい。
それを、今の私達なら出来るんじゃないか、そう思っていたのだ。

「だから……お願い、今まで私は零音ちゃんや恵菜ちゃん、そしてアキちゃんに酷い事をしてきたのは分かってる!
 だけど、今ハッキリ思い出せて、私がどういう存在だったのか思い出せて……、知りたくなったの。だから、皆の、力を……貸して、ください……!!」

最後の方は涙声となってしまっていたのだろう、思うように言葉を紡げず、それでも伝えたかった。力を借りたいと、本気で願ったんだ――。


―― 黒幕なのか、ただの実験台にされたのか、それは分からない。
だけど、この選択が私達を再び奈落の底へ突き落とす結果になるのかもしれない。それでも、私達は、知ろうと動き出した。
だが、この時私は、狭い世界で動き回っていた事に気付き、何度も絶望することになるのだが……それは、また別のお話。


―――― おわり

なんという強引な俺たちの冒険はこれからだパターン。
とはいえ時間も時間なので、続けるかどうかは次回の安価に持ち越しで、一先ず終わります。

暫くは安価でこういった形を取ろうと思っております。
何より、人が増えて作家が増えてくれれば良いのですが。存続させるのも厳しそう。

ともあれ、お付き合い頂いてありがとうございましたなのです。

【09/23 (月) 00:26時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

09/28 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 安価次第でおっそーいっ!

べっちょりしてう゛っ

そうしてデータとして出来上がったのが、ザ・レイパーという魔法少女であった。
れいふ。♪と連呼するヤツには相応しいのかもしれないが、能力的には破壊衝動に駆られるタイプ。
暴力的な精神魔法を得意とし、精神攻撃を仕掛け、じわじわと心を折っていく魔法少女である。

(ねぇ……アンタ、変な魔法少女生み出すのが得意ね)

「ま、まぁ良いんじゃないかな? データは既に一旦注入してある。あとはアイツの心を折る方法だが……」

(レイプしてあげたら? あ、でも私の身体は使わないでよ!? 気持ち悪いし!!)

「私だってイヤよそんなの!!」

(あー……、マジでなり切っちゃってキモいわー……)

そうして、リスティとどうやってオジサンの心を折ろうか四苦八苦していると、リンが悲鳴に近い声を発した。
あのオジサンに肩を掴まれている。最早変態的な眼差しでリンを眺めるその男は、アッチの世界へ飛んで行ってしまいそうな勢いだ。

(メンタル指数上昇中……120、125、131、不味いわ、この方法だと逆効果ね)

「レイプするのも、されるのもつまり意味がないって事か……!」

(ならば別の意味で絶望を与えてあげるのが一番よ)

「別の意味で……そ、そうか! おい、オジサン!!」

私が声を発すると、オジサンはびくっと肩を震わせてはこちらに振り向いた。
リンに指示し、空間圧縮―― エリアデリーターでオジサン毎消すのも簡単だ。だが、もっと良い方法がある。

それは……>>246

「俺の中身は、男だ」

それは……「俺の中身は、男だ」
宣言することであった。見た目は女の子、しかし中身は男。しかも中年のオジサンそのものである。
それを告げても、瞬時にそれを理解する事は不可能だった。しかしそれを信じさせるのも、魔法少女としての力であろう。

「非なる幻想の真実―― アメイジング・リアリティッ!!」

「おうふっ!? な、ななななな……なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

「私の、いや、俺の魔翌力を現状では全消費するも、相手に真実を突きつけられる幻想魔法! それが、アメイジング・リアリティ!!」

(これって、只真実っぽい幻想を見せてるだけなのよねぇ……。しかも名前はアレだし。
 どうせならクッキングドリームのほうが良かったわ)

「どっちもどっちでしょ! っと……、リスティに構ってる暇はないわ。さぁ……これが真実よ!!」

「ぐふぅぉぉぉ……、お、オッサンに、オッサンにワシが、ワシガァァァァ!!」

(どうやら、アンタの以前の姿に犯されてる妄想を見せられているようね)

「結局レイプに繋がるとか……なんだかなぁ。。で、メンタル指数は?」

(見事にゼロよ。心臓に両手を突っ込んで!!)

「押し付けるだけだろ!? そんなエグいのやってられっかよ!!」

(もしもーし、メイちゃーん、見事にオッサンに戻ってるわよー)


そうして涎を垂らしつつも、中年の男は魔法少女―― ザ・レイパーと化してしまうのである。
一人ずつ、策を用いれば魔法少女化させるのも無理ではない。が、何故魔法少女を集める必要があるのか、
そして、後何人、いや、何十人と魔法少女化させれば良いのか。私は問うた。そして、絶句した。

(全人類に決まってるじゃない。当然よ、そんな事。……それが、ゲームクリアに繋がるんだから)


―――― つづくかも しれない

えー、時間が時間なので、明日に繋げ……なくてもいいかなぁ、なんて感じで終わります。
とりあえず明日また安価を投げて、どうするか決める形に致します。
というのも、途中安価が付かなくなってやっぱ止めた方が良いかな、とか考えちゃった次第でありまして。

ではでは、お付き合い頂きありがとうございましたです。


ミステリーとか出来れば良いんですけど、ダメダメなんですよねぇ。とほほ。

【09/29 (日) 00:19時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

09/29 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 今度こそ安価次第で……

えとえと、ちょっと早いですが先にどちらにしようか、安価振っちゃいます。

1:昨日のつづき……? みたいな

2:ちょっぴり原点回帰で心機一転的に 何か新しいの

どちらか>>252お願いします。

2

はい、2って事で……もう少しビジュアル的にも見やすくしながら頑張りたいと思います。
ではでは、もう暫くお待ち下さい……。

やっぱりSSっぽい書き方の方がいいかな~なんて。


 春、夏と季節が過ぎる。皆それぞれの時間を、それぞれなりに過ごしているのかもしれない。
そして、この世界でどれだけの人が、その時間を有意義だと感じてこれただろうか。

 ふと、パソコンのモニターに触れる。最近のモニターは、タッチパネル形式で便利となった。
携帯だって、スマホとなってどんどん便利となっていく。それだけではない、人の暮らしは徐々に変わっていっている。

女の子「ん……あぁ……そ、そこは、だめぇ……!!」

 画面の中で女の子が下着姿となっては喘いでいるのを、私はただ何か別の物を見るような目で見てしまっていた。
別世界のそんな物語。最初こそ、こういった存在に触れた時は、胸が爆発しそうなくらいにドキドキしたものだけど。

女の子「だ、だからぁ……やっ、ぱ、パンツ脱がしちゃ、やぁっ!!」

 羨ましいとも思っていた。だけど、所詮は別世界。私がそこへ介入できるわけでもなく。
ただ、主人公やヒロインのように輝いて、有意義で、幸せになりたい、そんな気持ちを憧れに変えて、それを遊んでいた筈だ。

女の子「だ、だからぁ……イヤだって言ってるでしょぉぉぉっ!!」 べしっ!

 恋 「……そこで殴るかな、フツー」

 冷めた目でそういった類のモノを見るようになったのは、何時ごろからだろう。
人生に諦めすら感じ出したくらいからだろうか。まだ若い筈なのに、まだこれからだと言える筈なのに、どこか絶望的。

女の子「イヤイヤって何度も言ったのに、強引に迫るからじゃん! バカッ!!」

 恋 「あー、コレクソゲー確定っと……。そっ閉じそっ閉じ」

 何かが違う。もっとこう、煌びやかで夢憧れるようで、でもどこかおしとやかで不思議で、
そして弾けるようで、精液も弾けてアソコも弾けてしまうようなエロゲーは無いものなのだろうか。

 そして数日後、私は行動に移すのである。
無ければ自分で作ればいいじゃない、そんな精神が急に働いたのは、>>255が影響したからであろう。

世界中の人々の夢をかなえ、悪夢へと立ち向かう、人々の生み出した恐怖の反対の存在
妖怪や霊と対になる者
しかしそれらの類に同じく、確定的な存在ではない
間違いは無く、あらゆる意味で「正義」

 そして数日後、私は行動に移すのである。
無ければ自分で作ればいいじゃない、そんな精神が急に働いたのは、とある文面が影響したからであろう。


――世界中の人々の夢をかなえ、悪夢へと立ち向かう、人々の生み出した恐怖の反対の存在
妖怪や霊と対になる者
しかしそれらの類に同じく、確定的な存在ではない
間違いは無く、あらゆる意味で「正義」――


 恋 「ぐふ、ぐふふふふ……!」

 生徒会に提出するべき書類は既に用意は出来ていた。後はこれを投書用の目安箱に放り込むだけ。
たった一人から始める同好会だけれど、メンバーもこれからゆっくり集めていけばいい。

 そうだ、私は此処から有意義な時間を歩み始める。まだ一人だけれど、これから皆で、この女子高で、
私と皆の有意義な時間を、この想いをぶつけながら……注ぐのだ。

 恋 「エロゲー製作部……大丈夫、絶対上手く行く……ぐふっ」


 ――数日後、早々にその結果は訪れた。
掲示板に張り出されたそれは、私を絶望の淵に再び叩き落すことになる。

 『エロゲー製作部の設立は認めず』

 恋 「な……な、ななな、何故だぁぁぁぁぁ!!!」

 生徒会に認められないのなら、部ではなく同好会から始めるしかない。私はそう簡単には折れない。
何せ、私の頭の中にはあらゆるエロゲーの知識がある……と思われる。なので、こんな対応をされたとしても、動揺なんてしないのだ。

 恋 「ふっ、正義を理解できない生徒会なる不確かな悪意に満ちた存在には……手を借りんッ!!」

?? 「……>>258

金儲かるよ

 恋 「ふっ、正義を理解できない生徒会なる不確かな悪意に満ちた存在には……手を借りんッ!!」

?? 「……金儲かるよ」

 恋 「き、貴様は…………その、だ、だだだ、誰ですか!?」

?? 「貴女のやろうとしている事、儲かるかもよって教えてあげたの。どこの誰でもないわ。あえて言うのなら……妖精?」

 恋 「酷杉学園女子高の制服を着た……よ、妖精?」

妖精 「そう、私は恋の妖精。春を告げ、夏を謳い、秋を想い……冬は来るなって四季を告げる妖精!
     あなたと同じ名前の妖精なの。……覚えておいてね」

 恋 「は、はぁ……」

妖精 「それじゃ、グッバイ、エロゲー厨の女子高生さん」


 妖精はひらひらとスカートを揺らして去っていく。が、今時スキップして去るなんて何処まで痛々しい存在だろう。
うん、あれは普通の人じゃない。妖精よりも痛いナニかだと思っておくしかない。

 恋 「でも、お金が儲かる、か」

 お金が目的ではないけれど、確かにエロゲーを自主制作となればお金は必要だろう。
そして何より、技術が必要だ。イラスト、CG、文章、スクリプト、音楽、そして……歌に声。
ああ、やはり私が一人で出来る行為だとは思えない。仲間を、同士を集う必要がやはりある。

 恋 「け、けど……、人と話すの、苦手……だし……」

小夜 「……中庭で何してるの」

 恋 「ふぇっ!? さ、小夜!?」

小夜 「なんか一人挙動不審なの見つけちゃったから、話しかけちゃったよ」

 彼女の名前は小島小夜。小さいけれどクールで気配りの出来るそんな娘であり、その容姿はボーイッシュで女子からの人気も高い。
そんな彼女と友達になれたのは、彼女から声を掛けてきてくれたから。そして私の友達は……この娘だけだったりする。

 ちなみに、彼女は……>>260の特技を持っていたりする、変な娘なのは私くらいにしか知られていない。

正義

 ちなみに、彼女は……正義の特技を持っていたりする、変な娘なのは私くらいにしか知られていない。
つまりジャスティス。正義を愛するヒーローになりたいなんて想いを抱く、私と共に変態な娘なのである。

小夜 「で、中庭で何をしていたの」

 恋 「あ、あのね……笑わない?」

小夜 「んー、約束は出来ないかも。だって恋、あんた割とおかしいし」

 恋 「割とって……。と、とにかく! 実は……」 ゴニョゴニョ

小夜 「ふん、ふんふんふん。……エロゲー作るとか、無理でしょ」

 恋 「そそそ、そんな事ないしっ!? 私が本気を出せば余裕だし!? ぐふっ!!」

小夜 「本性の笑みが駄々漏れだけど。……じゃあ恋は何が出来るの?」

 恋 「そ、それは、ええとぉ……お絵描きとか!!」

小夜 「じゃあちょっと描いてみて。鉛筆と紙、用意してあげるから」 パタパタ

 恋 「あ、いや、その……って、教室に行っちゃった……」


 私には何もスキルがない。ただ、浪費する側の人間であった。
こんな時、人生僅か十六年しか生きていないながらも悔いるのだ。もっと幼い頃から、アレとか、アレをしてくれば良かったと。
気がつけば小夜が戻り、鉛筆と紙を持たされ、何か絵を描いてみてと言われ……過去を悔やみながらもヒロインを描いてみるのだ。

小夜 「……これ、ヒロイン? どう見ても>>266にしか見えないんだけど」

時計が変みたい。テステス。今の時間は21:30分

小夜 「……これ、ヒロイン? どう見ても時計が変みたい。テステス。今の時間は21:30分にしか見えないんだけど」

 恋 「なんか江○2:50みたいな言われ方されたっ!?」

小夜 「要するに絵はダメ、じゃあ他に何が出来るの?」

 恋 「……シナリオライターに、私はなるっ!!」

小夜 「それじゃ、正義のヒーローモノを簡単にプロットにしてみて。私が聞いていてあげるから」

 恋 「正義のヒーローモノ!? ……○面ライダーとか、○○戦隊とか?」

小夜 「別にそういうのに捉われなくてもいいんだけど、でも、正義とそして格好良さをアピールして欲しいかな」

 恋 「うーんと、それじゃ……こういうのは、どうかな?」


 ――闇に堕ちた勇者、正義が何か、何が正しいのか分からなくなった女の子。
しかし、彼女は突然現代という世界に現れる。その彼女は、現代という世界で、謎の生物と戦いながら男の子を守るのだ。
彼女が傷つきながらも必死で戦い、そして次第に男の子と恋に落ちて……正義とは何なのか、それを見出そうとするのである。

 恋 「……っていうのは、どう!?」

小夜 「……先ずさぁ、何で突然現代に来ちゃうの?」

 恋 「ふぁっ!? そ、それは……どうしてだろう?」

小夜 「恋愛を絡めるのはこの際良いけど……設定が良く分からないし、ついでに言えば正義を恋愛から見出すなんて邪道!!」

 恋 「え、邪道なの?」

小夜 「そう、正義のヒーローとはやはり、>>274であるべきっ!!」

孤独であり、悪堕ち

小夜 「そう、正義のヒーローとはやはり、孤独であり、悪堕ちであるべきっ!!」

 恋 「最初に悪堕ちさせたじゃん」

小夜 「そこをじ~~~~っくり語りかけてくれないとつまらないじゃない」

 恋 「そ、それ、エロゲーにもならないんじゃ……」

小夜 「じゃあエロゲー製作なんてやめて、ラノベ製作に切り替えるというはどう?」

 恋 「ダメ! それじゃダメ!! エロゲーじゃないとダメッ!!」

小夜 「そこまでエロゲーに拘る理由は……何故?」

 恋 「それは、ええと……あの時のドキドキを思い出す為、みたいな?」

小夜 「どの時だし……。って、そろそろ良い時間だし、教室に戻らないと。恋も五時間目遅れるよ」

 恋 「……手伝って」 ボソ

小夜 「……え、何だって?」

 恋 「ッ!? 今難聴のフリをしたッ!?」

小夜 「ふふ、ラノベの主人公で正義の心を持つ主人公は、難聴でもあるの」


 ――五時間目、英語。教科書をぼーっと眺めながら私は小夜の方を向き思う。
彼女を同好会メンバーにするのは難しそう。それならば、新しい人を誘う必要がやはりある。

 特に、スキルを持っている人。先ずは……>>277を持つ人から探してみよう!

スーパーハカー

 特に、スキルを持っている人。先ずは……スーパーハカーのスキルを持つ人から探してみよう!

 って、別にハッカーとしての技術に秀でている必要性はあるのだろうか。でも、パソコンに詳しそうだし、機械に強そう。
そういった人が一人でも居てくれれば心強いのである。そんな訳で私がやって来たのは……。

~~ パソコン部 ~~

 恋 「ここなら、私の同士が見つかるかも! ぐふ、ぐふふふッ!」

 恋 「……って、そうだ、知らない人と話をして交渉をしないとだから……」

 恋 「って思うと、緊張して吐き気が……お、おぇぇぇ……」

ガラッ

?? 「……部室の前で嘔吐禁止」

ガラッ

 恋 「い、今……幻が見えて、幻に嘔吐禁止って言われたような……おえぇぇぇ……」

ガラッ

?? 「はい、バケツ」

ガラッ

 恋 「……バケツ、貰っちゃった……まだ吐いていないのに……」


 こ、これからどうしよう! とりあえず吐く? それとも……>>279

がんばって飲む

 こ、これからどうしよう! とりあえず吐く? それとも……いや、部室の前で嘔吐禁止とか言われたし、ここは頑張って飲もう!
そう意気込んだものは良いものの……、出たものは最早どうしようもなく、バケツを抱え、これを飲むのかと思うと、流石に再び酸っぱいものが込み上げる。

 恋 「うえぇぇ……こ、これを飲むって……、自分で出したモノとはいえ、気持ち悪い……」

 恋 「でも、決めたし! 先ずはここで度胸を付けて、そして交渉を頑張らないと!!」

 恋 「よ、よし……、決めた! エロゲーの為に、私の正義の為に、のののののののののの」

ガラッ

?? 「のののの煩い」

?? 「って……飲むの?」

 恋 「ののののののみままままままま」

?? 「飲むの?」 ジー

 恋 「のののののみままままますんっ!!」

?? 「のみますん、それは呪われた呪文」

 恋 「……呪文って呪われてるから呪文じゃないんですかねぇ……」

?? 「そう切り返してくるとは……アナタ」 スッ

 恋 「……ふぇっ!?」

?? 「嘔吐物を飲もうとする度胸、そしてその卑屈だけど真っ直ぐな眼差し。そして……呪文を唱えられるステキキャラ」

?? 「そんなアナタが気に入った。だから……>>281

ぼくと魔法少女契約しない?

?? 「そんなアナタが気に入った。だから……ぼくと魔法少女契約しない?」

 恋 「ま、まさかのボクっ娘ッ!? しかも魔法少女契約!? あなた、まさか……!!」

?? 「そう、今は人の姿をしているけれど……本当の姿は、QBげふんげふん、ではなく……魔女」

 恋 「は? 魔女?」

?? 「魔法少女は魔女となる事で、本来の能力――スペルワードを取り戻すことが出来る」

?? 「つまり、魔法少女こそ全ての始まりであり、全ての理……。そう、アナタも魔法少女から始めるべき」

 恋 「……あ、そういうの、結構なんで……」

?? 「……そもそも、どうして見ず知らずのアナタが、ボクの所属する部室に?」

 恋 「はっ!? ほ、本題を忘れてた!!」

 恋 「その、実は……ごにょごにょ」

?? 「スーパーハッカーを……? くす、くすくす」

 恋 「な、ななななな何がおかしいんでしゅか!?」

?? 「そもそも、そんなスキルを持つ娘を捜して、何をしようとしていたのか……それをボクは知りたい」

 恋 「そ、そんなの……エロゲー作るために決まってるじゃないですかぁっ!!」


 私は言った。大きく叫んだその声は、廊下にさぞ響き渡ったであろう。周囲を歩いていた人は完全に足を止め、
私を奇特な生物だというような視線を向けてくるのである。それも当然、嘔吐したバケツを抱えて、そんな謎会話をした挙句、
エロゲー作る為に決まっていると大声で叫んでしまった為なのだ。

 そんな切羽詰った状況を打破してくれたのは、この自称魔女の金髪少女。彼女は私をこの窮地から救うべく、>>283

壁を破壊し、アナザーワールドへと連れ去っていった

 そんな切羽詰った状況を打破してくれたのは、この自称魔女の金髪少女。彼女は私をこの窮地から救うべく、
壁を破壊し、アナザーワールドへと連れ去っていった。

 そこは薄暗いながらも、狭いながらも、別世界のような異様な光景だった。
髑髏が多数飾られてあり、床に魔方陣、そして天井には禍々しい血痕。タロットカードのようなそれが、数枚ナイフにより刺さっている。
そんな不思議な空間に連れ込まれた私は、彼女から手を放し、身体の震えを抑えようと必死となっていた。

?? 「ようこそ、私の固有結界世界、アナザーワールドへ……」

 恋 「こ、こここ、固有結界ッ!?」

?? 「そう怖がらないで。ボクが居れば大丈夫……。優しくしてあげる」

 恋 「い、いいいいえええ、ままま、間に合ってますんで!!」

?? 「……マニアっているとは、驚いた……。益々見込みがある魔法少女……」 スッ

 恋 「ひっ!? ほっぺた触って……何を……」

?? 「契約の誓いに、ボクからのキスを――」


 そこは要するに部室。パソコン部の部室は、まるで彼女の部屋のように扱われているだけ。
頭の中では分かっていたのだが、人見知りの激しい私は小動物のように震えるしかなく、
そんな私を見て、益々気に入ったのだろうか、彼女は私の頬にキスをしようとするのだ。

 でも、まるでエロゲーの導入部みたいじゃない。こんな始まりも、アリなのかもしれない。
そう思った時、私の本性は滲み出していくのである。

 恋 「ぐふ、ぐふふふふふぅ」

?? 「ッ!? 契約する前に、悪魔によって汚された!?」

 恋 「ぐふ、初エロゲーのようなトキメキ、……こ、これよ、これよぉぉぉうほおおっっ!!」

?? 「くっ、彼女は危険……ボクの>>286で鎮めるしかない……!!」

おまんぽ

?? 「くっ、彼女は危険……ボクのおまんぽで鎮めるしかない……!!」

?? 「説明しよう、おまんぽとは、おちんぽとおまんこさんを合体させた禁呪であり、つまり合体中のアレを模型にしたモノ」

?? 「これを彼女の顔に押し付けてっと……」 クイッ

 恋 「うほおぉぉぉ、おほぉぉぉぉ、ドキドキ、ドキドキするよぉぉぉ……って、顔に何かが……」

ぐにゅっ

 恋 「な、なななな、なに、これ……!?」

?? 「おまんぽ。アナタもよく目にしているアレとアレの合体模型」

 恋 「ひぃっ!? な、生々しくて気持ち悪いッ!?」

?? 「そんな様子でエロゲーを作ろうとしていたなんて……ふ、笑止」

?? 「とはいえ、元に戻ったようで何より……」 ナデナデ」

 恋 「……そ、そういえば私、急に何かイケナイ妄想をし始めていたような!?」

?? 「おまんぽさんのお陰で元に戻れたの。……感謝すべき」

 恋 「……生々しいよぉ……!」


 ――私よりの上級生の二年生、滝川 詩乃。それが彼女の名だった。
その名は何となく聞いたことがある。奇特だけど、理系に強く、常にその成績はトップクラスを保っていると。
そして、部室に引篭もり、魔女の研究を行っていると噂で聞いたことがあったのだ。

詩乃 「それで……ボクにエロゲー製作の手伝いを?」

 恋 「はいっ! せ、先輩に……エロゲーのスクリプトを組んでほしくて……! お願い、出来ませんか……?」

詩乃 「>>289

でもスクリプトとかわからないし

詩乃 「でもスクリプトとかわからないし」

 恋 「ぶはぁっ!? わ、分からないッ!?」

詩乃 「ハッキングも得意だし、OSを改竄も出来るし、エロゲーの知識はあるけれど、スクリプトとかマジイミフ」

 恋 「で、でも、ハッキングも出来るのなら、スクリプトだって……!!」

詩乃 「協力は出来ない。何故なら、分からないものは、分からないから」

 恋 「そ、そんなぁ……! そ、そこを、何とか!!」

詩乃 「……歌なら、得意」

 恋 「……歌?」

詩乃 「わ~~~たぁぁぁ~~しぃぃ~~のはぁぁぁぁとぉぉぉはぁぁぁぁぁぁ!!」

ピシッ!

 恋 「え? か、壁に、ヒビが入ったっ!?」

詩乃 「まじかぁぁぁ~~~るぅぅぅ~~~まぁぁぁぁじかぁぁぁ~~るぅぅ~~!!」

ビキビキッ!

 恋 「ぶ、部室が崩れそう!? 詩乃先輩、歌を、やめて下さいぃぃぃ!!」


――――――――

詩乃 「……ボクの歌、ステキだったでしょう?」 ドヤァ

 恋 「……彼女の歌を聴きすぎて頭がおかしく……」

詩乃 「褒めないで、ボクの歌は人の心を惑わせる力があるから」

 恋 「この人……誘うべきなのかどうなのか……>>291

歌禁止。お経のみ可とする。

 恋 「この人……誘うべきなのかどうなのか……」

 恋 「歌禁止。お経のみ可とする方向で……入って貰おう!」

 恋 「という訳で……お願いできませんか?」 ペコリ

詩乃 「歌禁止は厳しい条件。でも、呪文を唱えてもいいのなら……ぶつぶつ」

 恋 「お経を呪文と勘違いしてる……!? でも結果オーライ……!?」

詩乃 「でも、一つ問題があるの。……ボクはパソコン部の部長、だから掛け持ちは基本禁止されている行為……」

詩乃 「だから、ボクは協力するとなれば、パソコン部を畳まなければならない……」

詩乃 「でもそれは、ちょっと……かなり……すぅぅっごく……寂しいかも……」

 恋 「え、ええと、では……どうすれば……?」

詩乃 「だから、ボクは非公式で参加する事にするし、毎回同好会に顔を出せないかもしれない。それでも構わないのなら」

 恋 「は、はい!! それでも構いません! エロゲーさえ作れれば、私は何でも!!」

詩乃 「その何でもという台詞、覚えておくから」


―― そうして、一人目の同士を集う事が出来た私は、嘔吐したり、おまんぽというエグいものを押し付けられたりしつつも、
無理して勧誘を頑張ってみて良かったと、嬉々としてしまっていた。
まさかの時代遅れのスキップルンルン。そんな足取りで廊下を鼻歌交じりに通っていると……。

?? 「うふふふ、昼休みとは違って、ご機嫌なのね~」

 恋 「そ、その声は……妖精!?」

妖精 「お金儲けの準備が進んでいるって感じかしらね?」

 恋 「……エロゲーはお金儲けの為に作るんじゃありません。エロゲーは>>293なんです!!」

人生の真理

 恋 「……エロゲーはお金儲けの為に作るんじゃありません。エロゲーは人生の真理なんです!!」

妖精 「ふふ、言うわね。でも……人生の真理でお腹は膨れないのよ!?」

 恋 「!? そ、それは……」

妖精 「それに、資金がなければ、外注だって出来ないし、社員を養うことも出来ない。……備品だって揃わないわね」

 恋 「あ、いえ、会社を設立する訳じゃないんで」

妖精 「そう、お金は大事、お金は全て、お金こそ真理!!」

 恋 「あ、人の話聞かない人だこれ」

妖精 「よ~く考えよぉ~お金は大事だよ~って歌もあるくらいなのよ?」

 恋 「……詩乃先輩よりも歌は上手……圧倒的に上手……!!」

妖精 「……詩乃って、まさか、滝川さんを誘ったの?」

 恋 「はい、余り顔は出せないかもしれないけど、同好会に参加してくれるって……」

妖精 「ふぅん、あの詩乃が……。ちなみに、どうやって誘ったのか教えてくれる?」

 恋 「ええっと、先ずは部室に着いて、それで……吐きまして」 クドクド

妖精 「……おまけに嘔吐物を飲もうと……?」 ゾッ

 恋 「その後、エロゲーを作りたいって大声で叫んじゃって、キモイみたいな視線で周囲の生徒に見られて……」 クドクド

妖精 「わ、分かったわ! 全て分かったから!! もう言わないでもいいのよ……」

 恋 「その後……キスされそうになって、ぐふ、ぐふふふふふぅ」

妖精 (この娘……私の想像以上だわ……。だけど、一人にさせたら暴走してキモ過ぎる……。こうなれば私が>>296してあげるしかないわ)

骨盤矯正

妖精 (この娘……私の想像以上だわ……。だけど、一人にさせたら暴走してキモ過ぎる……。こうなれば私が骨盤矯正してあげるしかないわ)

 恋 「ほっぺた触られて、誓いのキスをって迫られて――」

妖精 「妄想中ごめんなさいね~。てぇぇぇぇぃいっ!!」 グイッ

 恋 「そしてそしてぐへぇぇぇぇぇぇぇッ!!」 グキッ

妖精 「骨盤の矯正は終わり。……どう? 楽になれたでしょう?」

 恋 「あひぃ……ち、違う意味で楽にあひぃ……」

妖精 「……少しやり過ぎたかしら」


―― 酷杉学園女子高 保健室

妖精 「ごめんなさい、まさか強引な矯正で腰を痛めてしまうなんて……」

 恋 「い、いえ、良いんです……。済んだことですし、暫く寝ていれば良くなっていくって保険医の人も」

妖精 「ふふ、アナタ、割と素直に会話出来るじゃない」

 恋 「え? あ……そういえば……」

瑞希 「私はアナタの一つ先輩の、橘 瑞希。……よろしくね、恋ちゃん」

 恋 「って、あの、そういえば……どうして私の名を、先輩は知っていたんですか!?」

瑞希 「ふふふ、それはねぇ……>>298

不動産屋専門の名簿屋から取り寄せた

瑞希 「ふふふ、それはねぇ……不動産屋専門の名簿屋から取り寄せたの」

 恋 (こ、この先輩黒髪できれいな人だけど、ヤバイ人ッ!?)

瑞希 「そもそも、アナタと私の出会いは……アナタが入学した日に遡って――」

 恋 (うわ、面倒くさくて長い回想が入りそう……。回想が多いエロゲーってつまらないんだよね)

瑞希 「アナタがおどおどしながら、周囲を確認して、一人で居ようとして、入学式の体育館の隅っこに居たのを偶然見つけたのよね」

 恋 (それって、アニメもゲームも一緒かも。回想だけの物語って……。でも必要な場合もあるし……)

瑞希 「そうして、入学式も終わって、逃げるようにアナタは去っていくものだから、気になっちゃって」

 恋 (うん、やっぱりお話は大事! 回想は適度に、回想は適度に……!!)

瑞希 「そこから、アナタの事しか見えなくなっちゃったのよねぇ……ふふふ」

 恋 「そ、そうですね! 回想は大事ですよね! でも程ほどにしないとですね!!」

瑞希 「……はい? 何の話?」

 恋 「あ、いえ……なんでもないです……」

瑞希 「そういえば、恋ちゃんってエロゲーを作りたいんでしょう? どうしてそう思ったのか、聞かせてくれる?」

 恋 「えっ? あ、はい……良いですけど……」


―――― 一時間後

 恋 「そもそもエロゲーって人生の真理って言うか、人生そのものっていうか、ぐへへへぇ」

瑞希 (回想は程ほどにとか言っておきながら自分を語れば一時間以上!? この娘……>>300

独裁者

瑞希 (回想は程ほどにとか言っておきながら自分を語れば一時間以上!? この娘……独裁者に向いてるわね)

 恋 「ってぇ、先輩、聞いてますぅ?」

瑞希 「え、えぇ、聞いてるわ、お金の妖精はちゃんと聞いてるわよ!?」

 恋 「アレ、先輩って四季を謳う妖精じゃ?」

瑞希 「妖精は色々と顔を持ち合わせているものよ? うふふ」

瑞希 (この娘、普通にしていれば可愛いんだけどなぁ……ぷにぷにだし……) ぷにぃ

 恋 「ふぇ、ふぇんぱい、頬、つふぇらなひでくらひゃい……」

 恋 (うぅ、妖精間違えで怒らせて頬を抓られちゃったよ……。この手の話題はよそう……)


 ―― そうして、話題も一通り落ち着き、一瞬ながらも静寂が訪れる。
外からは放課後という事もあって、部活動を行う生徒の掛け声が聞こえてくる。
夕暮れの光で照らされる瑞希先輩は、妖精のように美しく、そんな顔が……一瞬で台無しになっていく。

瑞希 「そのエロゲー同好会……、お金は儲かるわ。上手く行けば……」
 
 恋 「は、はぁ……どうして急にお金の話に……?」

瑞希 「そして、私は恋ちゃんが好き。小動物みたいで可愛いのに、独裁者のような一面を持つ恋ちゃんが好き!」

 恋 「なんだか褒められてるような気がしない!!」

瑞希 「それに詩乃も協力するのなら……ふふ、これも運命ね。私もその同好会に――」

 恋 「あ、いえ、お金は稼ぐつもりはあんまりないんで……」

瑞希 「ッ!? し、仕方ないわね、それならお金は諦めて……恋ちゃんを>>302する為に同好会に参加するわ!」

地元ローカルアイドル

瑞希 「ッ!? し、仕方ないわね、それならお金は諦めて……恋ちゃんを地元ローカルアイドルにする為に同好会に参加するわ!」

 恋 「アイドルの敷居が余りにも低いッ!?」

瑞希 「大丈夫、お姉さんに全て……お、ま、か、せ、よ?」

 恋 (うぅ、綺麗だけど変すぎるこの先輩を同好会に入れようか……。でも、詩乃先輩と知り合いみたいだし……)

 恋 (それに、人は多いほうが絶対に良いし……よしっ!)

 恋 「そ、それじゃ……お願い、出来ますか?」

瑞希 「ええ、恋ちゃんの為に私、お掃除頑張るわね」

 恋 「……お、そうじ?」

瑞希 「だって、それくらいにしか妖精の私には出来ないから、うふふ」

 恋 (うっわー……この先輩基本使えねぇ……)


 ―― そうして瑞希先輩と別れ、腰を支えながら家に戻った私は、
一気に同好会のメンバーが二人も増えて、どちらも微妙に使えないながらも、幸先は良いと微笑んでしまっていた。

 恋 「えへへへ、メンバーが一気に二人も増えたよ!!」

 恋 「やったね恋ちゃん!! 仲間が増えるよ!!」

 恋 「っていけないいけない、これは処女喪失及び絶望フラグだった……。よーし、早速エロゲ製作の為にエロゲ研究だぁぁぁ!!」

 ―― 翌日 酷杉学園女子高 一年二組教室

 恋 (うわぁ……エロゲやり過ぎて寝不足だなんて小夜ちゃんにしか言えない……眠い……)

小夜 「……クマが、酷いんだけど、あんた」

 恋 (だめ、眠くて……目の前に居る人に思わず>>305しちゃうくらい眠い……)

無想転生

 恋 (だめ、眠くて……目の前に居る人に思わず無想転生しちゃうくらい眠い……)

?? 「きゃぁぁっ! 無想転生されて制服が脱がされるぅぅぅ!!」

小夜 「ちょ、ちょっと、恋!? ……相沢さんに何してるの」

 恋 「ふぇ……小夜ちゃんに無想転生という名の脱衣術を掛けてるだけだけど……」

小夜 「い、いや……それ、私じゃなくって、相沢さんに……だけど」

美樹 「ひぃぃ、や、やめてくださいぃぃ……!!」

 恋 「ひっ!? ごごごごごごごごごごごごご」

美樹 「ッ!? こ、怖いッ!?」

小夜 「……謝ろうとして極度の人見知りが邪魔をして、逆効果に……」

 恋 「ごごごごごごごごごごおぉっ!!」

美樹 「いやぁぁぁっっっ!!」

小夜 「……相沢さん、もう逃げちゃったから、無理して謝ろうとしなくていいんじゃ」

 恋 「ッ!? も、もういないのねっ!? ふう……良かったぁ……」

小夜 「でも、後でちゃんと謝らないと……いくら女子高とはいえ、制服脱がせて純白を見られちゃねぇ……」

 恋 「純白は邪道だと思いますッ!」 キリッ

小夜 「あんた、全く悪気を感じないところは割りと大物だと思うよ……」


 ―― 同じクラスの相沢美樹。彼女は確か私と同じで余り出しゃばらないタイプだった筈。
大人しいけれど、でも人付き合いは私よりも上手くて、私よりも社交的。だからこそ、友達も多い、そんなタイプ。

 そんな彼女に、私は無想転生してしまった為に謝らなければならない。しかしどうやって謝ろう……>>309

シャイニング土下座

 そんな彼女に、私は無想転生してしまった為に謝らなければならない。しかしどうやって謝ろう……。
そうだ、シャイニング土下座だ。大人しいからこそ、活発的な所をアピールしつつも、謝れば許して貰える筈!

 幸い、下校時刻となったその教室には、私と相沢美樹しか居なかった。
小夜は用事があるからと、早々に下校していったが、ラノベの新刊である正義モノに夢中なので頼りにならない。
そうなれば、私がシャイニング土下座で一人謝るしかない。寝惚けていたとはいえ、悪い事は悪い事なのだから。

美樹 (早く、早くあの人から逃れないと……って、睨まれてるよぉ……)

 恋 (何とか、何とか、今日中に……シャイニング土下座ッ!!) ジトー

美樹 (どどど、どうしよう……。確か、狩野恋さんって名前だよね、あの人……)

 恋 (シャイニング土下座シャイニング土下座シャイニング土下座……ッ!!) ジトー

美樹 (逃げなきゃ! 何か凄い嫌な予感がするし……、早くまいだーりんに会いたいしッ!)

 恋 (顔を背けた!? ……頬が赤い!? も、もしかして、こ、これって……!?)

 恋 (わ、私に脱衣させられて惚れちゃったフラグ!? おほっ、なんていうエロゲっぽい展開!? ……私、女だけど)

 恋 「でも、最近は百合モノも多いし……悪くは無いのかも……げへへぇ」

美樹 (ひぃっ!? 私を見て百合とか言ってる!? こ、この人まさかレズッ!? に、逃げなきゃ!!)

 
 相沢さんは突然立ち上がり、不自然なように鞄を抱え、そうして走り出す。
今日を逃せば余計に謝りづらくなると、ここが勝負だと勇気を振り絞った私は、彼女を追いかける。

 恋 (今日を逃せば余計に話し掛けづらいッ! 何とか彼女に追いついてシャイニング土下座を!!) ドドドドッ

美樹 (いやぁぁぁぁ、追いかけてくるよぉぉぉ! 顔が怖い、気持ち悪いし怖いよぉぉぉっ!!) ダダダダッ

 恋 (も、もう直ぐ追いつける!? もう直ぐシャイニング土下座ッ!!) ドドドドッ

美樹 (い、いやっ、追いつかれるッ!?) ダダダダッ

 相沢さんに追いついた。手を伸ばし、肩を掴もうとした。そして次の瞬間……>>312

彼女のボディガードに投げられた。

 相沢さんに追いついた。手を伸ばし、肩を掴もうとした。そして次の瞬間……彼女のボディガードに投げられた。
ふわっと身体が浮いて、地に叩きつけられる。そして再び腰を強打した私は……。

護衛 「お嬢様、大丈夫で御座いますか?」

美樹 「は、はい……何とか、無事ですぅ……って!?」

 恋 「ぐほぉぇぇぇぇっ、腰が、腰がぁぁぁぁぁ!!」

護衛 「これは……軽く投げたつもりでしたが、相手は腰を痛めていたようで……」

美樹 「……連れて行きなさい」

護衛 「自宅にですか!? しかしそれは……! 彼女はお嬢様を狙ったお方で……!!」

美樹 「連れて行きなさいと言いました。相沢美樹の言葉ですよ」

護衛 「失礼しました……。では、彼女を車に乗せますので……これで」

 恋 「ぐほぉぉぉぇぇっぇぇえっ!!」

美樹 「気持ち悪い人ですけど、悪い事をしてしまいましたぁ……。ちゃんと謝らないと……しゅん」


 ―― あれ、何で私は車に乗せられているんだろう。何で黒服の人に手錠を掛けられているんだろう。
助手席には相沢さんが乗せられている。けど、腰の痛みの影響か、私は悶絶するしかなく……。


 恋 「おごぉぉぉ、おごぉぉぉぉっ!!」

護衛 「猿轡、噛ませますか?」

美樹 「…………」

 恋 「おごぉぉぉぉぉぉっ!!」

美樹 (腰を強打して、おごおご喘いで、アヘ顔までなって……、不憫で堪らない……。それもコレも、私のせい)

美樹 (ごめんなさい、狩野さん。後できちんとお詫び致します。だから今だけは……猿轡と、>>315を許してください)

マッサージ椅子

美樹 (ごめんなさい、狩野さん。後できちんとお詫び致します。だから今だけは……猿轡と、マッサージ椅子を許してください)

美樹 「猿轡と、マッサージ椅子の用意を」

護衛 「ま、マッサージ椅子なんて……今車の中には……」

美樹 「ならばアナタがマッサージ椅子代わりになれば良いでしょう?」

護衛 「お、お嬢様の命とあらば……!」

 恋 「もごもごもごもごもご」

護衛 (うわぁ……この女、かなりキモい……こんなのにマッサージ椅子をしなきゃならないなんて)

護衛 (しかし、お嬢様の命、お嬢様の命ならば……!!)

 恋 「もごもごもごもごぉぉぉっ!!」

護衛 (アヘって白目がキモイッ!? こ、これは……無理だ……ッ!!」

 恋 「もごぉ……ふひぃ……っ!!」

美樹 (あのボディガードの所沢さんが、あそこまで躊躇するなんて……。狩野さんが可愛いから……?)

美樹 (あ、でもそうなのかも。アヘ顔だけれど、狩野さん、じっとしてる時は凄く可愛い顔してるし……)

 恋 「ふひっ、ふひぃっ……!!」

美樹 (……羨ましいなぁ。アヘっても可愛い女の子だなんて……)


 ―― 夜 相沢美樹邸

 恋 「な、なんじゃこりゃぁぁぁっ!?」

 恋 (腰の痛みで悶えて、訳が分からなかったけど……治療を受けてスッキリした途端……)

 恋 (私、豪邸に居るよ! プールもあるし、ヘリポートまである豪邸だよ!! これは……>>317のチャンスかも!?)

メイドスキルを手に入れる

 恋 (私、豪邸に居るよ! プールもあるし、ヘリポートまである豪邸だよ!! これは……メイドスキルを手に入れるチャンスかも!?)

 恋 「メイドぉ……メイドはどこじゃぁぁぁ……げへへへぇっ!!」

美樹 「あ、あの、狩野さん……! ……って、ゾンビみたいに部屋をうろついてる……!?」

 恋 「げへへへぇぇ……メイド、メイド……って居たぁぁぁぁぁぁ!!」

美樹 「ひぃっ!? ち、違います、私はメイドじゃないんですぅぅ!!」

 恋 「って、あ、あああ、相沢、ささささ」

美樹 「……あ、あの、今日はそのぉ……」

 恋 (謝らなきゃ、夢想転生して脱衣させた事を謝らなきゃ!!)

美樹 (謝らなきゃ……、私のボディガードが腰を強打させた事、謝らなきゃっ!)

二人 「「あ、あのっ!!」」

二人 「「…………っ」」

二人 「「あ、あのぉっ!!」」

二人 「「…………」」


 何度も謝ろうとした。けど、極度の人見知りが邪魔をしているのか、彼女と掛け声のように何度も呼び合ってしまっている。
これでは話が出来ないと、唸りつつも相沢さんを見れば、彼女もまた何かを私に告げたいのか、もじもじとしたような顔をしている。

 この人、お嬢様なんだろうか。……それに、仕草が可愛い。私とは別人だ。別人だから仕方ないのだけど。
それでも、住む世界が違う人なんだと感じ取れてしまう。だからこそ、余計に謝りづらくなってしまった。

美樹 「……あの」

 恋 「……はい」

美樹 「……お詫びの品は、>>320でいいですか……?」

山奥の別荘

美樹 「……お詫びの品は、山奥の別荘でいいですか……?」

 恋 「……あわび? 別荘? ももももも、もしかして!!」

美樹 「ち、違います! 何でそこで卑猥な話になるんですかぁ……もう。お詫びです、お詫びぃ」

 恋 「……お詫び……って何?」

美樹 「私のボディガードがアナタを傷つけてしまいまして、それで腰を……。元々痛めていたようですし」

 恋 「あ、そ、そういえば……瑞希先輩の骨盤矯正で腰を痛めてたんだった……」

美樹 「お詫びは、山奥の別荘でいいでしょうか。そんなのじゃ足りませんかぁ!?」

 恋 「ちょ、ちょっと待って!! 別荘をくれるって言うの……?」

美樹 「そ、そうです! それで許して貰えるのなら、私は、私はぁ……」 グスン

 恋 (涙目で訴えかけられて、謝られて、謝罪の品が別荘!? こ、これは千載一遇のチャンス、だけど……)

 恋 (ううん、そういうのはダメ。そもそも、私が悪いんだ。私が相沢さんを執拗に追いかけなければ……)

 恋 (謝らなきゃいけないのは……。……私だ……!)

 恋 「……相沢さん!!」

美樹 「ふぁ、ふぁいっ!!」

 恋 「……私が悪いの。私が……だから、だから……シャイニング土下座ぁぁぁぁっ!!」 げしっ

美樹 「ぶふぁぁぁっ!!」

護衛 「い、今の音は何の音ですか、お嬢様!! って、お嬢様がシャイニングウィザードを掛けられて倒れていらっしゃる!?」

護衛 「き、貴様、お嬢様になんて事をぉぉぉ!!」

 恋 「……ごめんなさいでしたっ!!」

護衛 (いきなりの武藤技の挙句、今度は土下座!? 訳が分からなさ過ぎる……)

美樹 (うぅぅ、膝蹴り痛いけど、今度は土下座……これは、きっと、狩野さんは>>322を求めているんだ……!)

ベジータ

美樹 (うぅぅ、膝蹴り痛いけど、今度は土下座……これは、きっと、狩野さんはベジータを求めているんだ……!)

美樹 (……狩野さんの為だもん、よしっ!)

美樹 「よく言うぜ狩野ット……! この俺様にシャイニングウィザードを仕掛けるなんてよぉ……!」

 恋 「ひぃっ!? お、怒っていらっしゃる!?」

護衛 「お嬢様! この輩は私めが!!」

美樹 「いい、下がれ」

護衛 「で、ですが!!」

美樹 「ナッパは下がれと言っている!!」

護衛 (……な、ナッパ? ハゲていないのに……ナッパ?) シュン

美樹 「クックック、狩野ット……、この俺様の戦闘力は18000だ……!!」

 恋 「……は、はぁ」

 恋 (うわ、どうしよう……いきなりDBの話を振られてるよ……!? しかも野菜王子になりきってる!?」

 恋 (……こうなれば……私もやるしかない……! それで許されるのならば……!!)

 恋 「……ミキータァ……オメェ強ぇなぁ! オラびっくりしたっぞ!!」

美樹 「ほう……、この俺様のギャリック砲が怖くないって言うのか……!!」

 恋 「オラのかめはめ波だって負けちゃいねぇっ!!」

護衛 (どうしよう……カオス過ぎて、最早付いていけん……)


 ―― そうして、相沢美樹とドラゴンボールごっこを始めて一時間、すっかり打ち解けてしまった私は、
彼女をいつしか美樹と呼ぶようになり、彼女もまた、私の事を名前で呼んでくれるように、友達となったのだ。

 ただ、彼女の愛しのダーリンが、実は二次元の存在でしかもベジータなのはここだけの秘密であるのだが……。
翌日、そんな事があったと小夜に言いふらした結果>>325

病院を薦められた

 ただ、彼女の愛しのダーリンが、実は二次元の存在でしかもベジータなのはここだけの秘密であるのだが……。
翌日、そんな事があったと小夜に言いふらした結果、病院を薦められた。
そして、運悪くなのか、私に話しかけようと、美樹までその場に居合わせていた為……。

美樹 「ふぇぇぇ、あの事は私達だけの秘密だって言ったのにぃ!」 グスン

 恋 「え、み、美樹ちゃん、な、泣かないで! つ、つい口が滑って!!」

美樹 「ふぇぇぇん、恋ちゃんがぁ、狩野ットがぁ、私を虐めるよぉ、ふえぇぇん!!」

 恋 「美樹ちゃん落ち着いて! 虐めていないから! また今度、DBごっこしようね?」

美樹 「……ほんと? また、私……ベジータ様に、愛しのダーリンになっていいの?」

 恋 「う、うん! なってもいいから! また私も狩野ットやるから!!」

美樹 「恋ちゃん!」 だきっ!

 恋 (冗談で言っただけなのに、なんか抱きつかれて、どうしよう……)

小夜 (……あの恋が人付き合い良くなって、しかもお嬢様に抱きつかれてデレ顔を見せている……)

小夜 (このままじゃ、私の立場が危ういわ……)

小夜 (こうなれば……ごくり)

美樹 「そうだ! 今日の放課後、一緒にアキバ行きませんかぁ!? アキバっ!」

 恋 「あ、いや、今日はその、ちょっと……用事が」

小夜 「そうね、恋は忙しい。何せ、エロゲー作るので必死だから」

 恋 「ちょ、ちょっと、小夜!?」

小夜 「そして、この私も忙しいのよね。……ふふ」

 恋 (なんで私の肩に肘を乗せてくるの……?)

美樹 (こ、これは……挑発!? 明らかに挑発! 顔は笑ってるけど、瞳は笑っていない……!
     そういう事なのね、可愛い恋ちゃんを横取りされたくない、小島小夜の挑発なんだわ……!)

美樹 (それなら、私だって……>>327を恋ちゃんにするんだからっ!)

近所の駅の名前

美樹 (それなら、私だって……近所の駅の名前を恋ちゃんにするんだからっ!)

美樹 「それなら、今の酷杉学園女子高前って駅名を、恋ちゃん駅にしちゃうんだからぁ!!」

 恋 (……意味が……)

小夜 (分からない……!?)

美樹 「…………ふふ」

小夜 (しかもドヤ顔気味。……だからって、恋が私から離れるのは避けたい。は、恥ずかしいけど……言うしかない……!)

小夜 「意味が分からないけれど、残念ながら、私と恋は繋がっているのよ、エロゲー同好会という集いで!」

美樹 「え、えろげーどうこうかい?」

美樹 (……わ、分からない! けど、負けちゃダメ! エロゲーが良く分からないけど、私も、私もッ!!)

美樹 「……えと、あの、ううん……私がそのエロゲー同好会、買い取りますぅっ!!」

 恋 「か、買い取る……?」

美樹 「そして、恋ちゃんとそのエロゲーで、遊んだり作ったり? するんです!!」

 恋 「……美樹ちゃんっ!!」 だきっ

美樹 「きゃっ、恋ちゃん!?」

美樹 (ふっ……小島小夜、恋ちゃんは私に靡いたんです、さっさと尻尾を巻いて逃げ――)

小夜 「……恋、わ、私は……恋の事を……ずっと……」

小夜 「だから……私と一緒にエロゲー、作りましょう……?」

 恋 「えっ……小夜も参加してくれるの……!? 小夜ぉっ!!」 だきっ

美樹 「ぐぬぬぬぬぬぬっ!」

小夜 「ぐぬぬぬぬぬぬっ!」

 恋 (あ、あれ、なんか引っ張り合いに進展して、引っ張られてるんだけど……)

 恋 (でも……何だか楽しい。凄く……楽しいっ!)


 ―― エロゲー同好会にはまだ部室がない。なので、一旦ファミレスで集まり、顔合わせしようという事になった。
放課後、そうして皆が集まることになるのだが……何故か話題は>>329になってしまうのである。

ふぁみれすのメニューを大食いして賞金ゲット

 ―― エロゲー同好会にはまだ部室がない。なので、一旦ファミレスで集まり、顔合わせしようという事になった。
放課後、そうして皆が集まることになるのだが……何故か話題はふぁみれすのメニューを大食いして賞金ゲットになってしまうのである。

 お金に煩い先輩、橘瑞希。彼女がお金の話題を持ち出し、滝川詩乃が面倒くさそうながらも話に乗り掛かる。
すると、相沢美樹がそんな事しなくてもお金なら自分が沢山出せると言い張り、瑞希先輩が瞳を輝かせてしまうのだが……。

瑞希 「やっぱり、自分で稼いだお金は格別なのよ。だから……大食い対決ぅ!」

詩乃 「ボクは見てるだけで……ぽちぽちっと」

瑞希 「詩乃もスマホなんて弄ってないで参加するのよ。食べないから小さいの」

詩乃 「うぅ……、瑞希が居るなんて想定外……」

小夜 「でもどうして大食い対決で賞金なんて……」

美樹 「たかが一万円、大した金額じゃないのに……」

瑞希 「それでも、皆で部費を稼いでこそなのよ。それに一万円をそんな風に言う人は嫌いだわ」

美樹 「あうぅ……ごめんなさいですぅ」

瑞希 「ほら、部長の恋ちゃんも、黙っていないで、賞金ゲットだぜって言わなきゃ」

 恋 「え、でもなんで……部長? 同好会だから……会長とかでは?」

瑞希 「あら、五人揃っているんだから、部に昇格出来るわよ。……しないの?」

 恋 「でも、エロゲー部って申請して却下されてるし……」

瑞希 「まぁ、名前が名前だから、このままじゃ不味いわ。だから……」


 ―― 一万円は五人で協力してもゲットは出来なかったけど、部費を集めようという事で、初めて私達の部は活動を行った。
嬉しかった、楽しかった。一人ぼっちで遠い世界を見つめるようなその輪が、今此処に存在する。
その中に居れるだけで楽しくて、時間が過ぎるのも楽しくて、そして……。

 私達の部……パソコン部を吸収する形になったエロゲー同好会もとい芸夢製作部は、こうして出発するのだった。


~~~~ 芸夢製作部活動日誌 前編 おしまい

久々にリアルタイムにSS風にしたので、色々と失敗しちゃいましたが終わります。
これまた久々に日常系コメディのつもりなのですが、この方が安価取りやすいかな~なんて。

中編、そして後編があるかは安価次第ですが、暫くはこの方が読みやすいかな? って事で、こんな風に切り替えようと思います。
ともあれ皆様、お付き合いありがとうございましたー。

雑談の話かな、昔から忌み嫌われてる感じですが、そこまででもないような。
寧ろ最近だと加速する事も無いから、勢い付いたように見えて詐欺が出来るかも?

それに雑談が安価になって捻りながら突っ込むのも慣れちゃってるので気にはなりません。
昔はもっとふっつーに妙なのがいっぱいありましたし。

だからそこまで気にされなくても良いよーな、と思うのですが……個人的な意見なので流しちゃってくださいまし。

お久しぶりです。前に書いたのは、多少覚えていますけど、PCがぶっ壊れて過去ログが消えてしまいました。

なので信長シリーズも、鉄道模型の世界も、今回は書けません。新作になります。

っても何も考えてませんでした。

ここはやり方はみんな知ってると思うので、いちいち貼りません。

それではもう少々お待ちください。

介護士物語

こんにちは。わたしは介護士駆け出し一年生。今年専門学校を卒業したばかりなのだ。

そして、すんなり特別養護老人ホームに就職しました。至らないところは多いけど、一生懸命がんばるぞ!

ところで、わたしの行く、老人ホームの名前は、『>>339



レスがつかないのでもうひとつの候補から

『平成ドラキュラアワー』

一人の紳士が、回転椅子を回してこちら側を向き、うやうやしく礼をして語り始めた。
撫で付けられたオールバックの髪型、血の気の失せた青白い顔、そして時折見せる白く輝く犬歯。
彼は有名なドラキュラ伯爵だった。

ドラキュラ「我こそは2000年の眠りから覚めたドラキュラ一族の末裔である。さて今宵も処女を求めて夜の街を彷徨うか」

スケベなのではなく、ドラキュラ家は代々、処女の生き血を吸うことになっている。
貞操観念の薄れた現代なら、生存不能だろう。

ドラキュラ「そんなわけで、不本意だが>>340も吸うことにしておる」

どうも私のせいで駄目みたいですね。今回はこれでお開きにします。

また機会があればお会いしましょう。さようなら~。

タイムスケジュール予定はないようです。


スレ民 「5-3無理ゲークソ運ゲー!! 開発斜め上杉!!」

提督  「クククク、スレ民がアップデートでうろたえておる……。なんて下らない連中だ……!」

提督  「だが、この私は愚行はせん! 今日も3-2-1で響たんを70歳まで愛でるのであーる!!」

 響  「真っ赤で激おこなのに出撃とは……解せない」

提督  「フゥハハハハァー!! 真っ赤になろうが潜水ウォールで今日も出撃じゃぁぁぁ!!」

伊58一号「提督指定の(スクール)水着がぁ~」

伊58二号「提督指定の(ry」

伊58三号「提督しry」


今日も我が鎮守府は平和です。分かる人は分かるかもですが、こんな事しかしてないせいで、資材が4万も溜まっちゃったり。
取引とか実装で売れたりしないかなー。うん、艦これ話題でごめんなさい。
しかしなんでこんなに流行ったのでしょう、不思議なのであります。

ともあれ、ぼちぼち時間って事なので、もう暫くお待ち下さい。

~~とりあえず登場人物紹介~~

【狩野 恋】(他称:絶対領域『近寄りたくないオーラ』を纏う女)
エロゲーの為に同好会を設立した主人公。過度な人見知り+過度な緊張=嘔吐しちゃうクセ(?)を持ちます。

【小島 小夜】(自称:正義を掲げる英雄)
主人公の親友。孤立したりおろおろする主人公を見て興奮する系女子。正直には話せない恥ずかしがり屋さん。

【滝川 詩乃】(自称:魔法少女を愛する魔女)
主人公達の先輩であり、元パソコン部所属。ハッキングは出来てもスクリプトは組めない残念系女子。

【橘 瑞希】(自称:四季を告げる妖精)
主人公達の先輩であり、詩乃の友人。主人公を見かけては追い回すストーキング系女子。のんびりなようでツンデレさん。

【相沢 美樹】(他称:大人しくて初々しいお嬢様)
主人公のクラスメイト。アニメオタクな傾向にあり、主人公を我が物にしたい野心家系女子。実は意外としっかり者。

~~~~ 芸夢製作部活動日誌 中編


 芸夢製作部として、十月中頃に同好会が生まれ変わった頃には、酷杉学園女子高等学校は、一大イベントを迎える事になる。
十月末日に行われる学園祭、それは、唯一男子との交流が行われるともいう事もあり、女子達は大張り切りなのである。
だが、問題はそこではなく、学園祭まであと二週間を切っている、という事にあった――。


 恋 「一大事だよ、これはッ!!」 ドンッ

小夜 「開口一番、いきなり机ドンとか、どうしたの?」

 恋 「どうしたもこうしたもないよ!? 学園祭が、酷杉カーニバルが始まるんだよ!?」

瑞希 「そうですねぇ、そんな時期ですもんねぇ……」

 恋 「瑞希先輩ものんびり紅茶なんて啜ってる場合じゃないですよぉ!?」

詩乃 「……学園祭なんて、有象無象が行う下らない宴。……やはり魔女の晩餐会のほうが」

 恋 「だ、だからそうじゃなくってぇぇぇぇ!!」

美樹 「あ、あれだよね、恋ちゃんが言いたいのはきっと……、出展物がないって事なんじゃ……」

 恋 「そう、それ!! 芸夢製作部として、ゲームを、エロゲーを作らずしてここ数日、部室でまったり三昧!!」

 恋 「それじゃダメ……それだけじゃ、ダメなんだよぉぉぉぉぉぉっっ!!」

小夜 「だからって、今からゲームとか、普通に考えると無理でしょう。それに……まだエロゲー諦めていないの?」

 恋 「諦めたらそこで試合終了なんだよぉ!?」 ガシッ

小夜 「わ、分かったから首根っこ掴んで説得しようとするのは止めて……」 グッタリ


瑞希 (確かに、一応ゲーム製作の為に集まった訳だし、何かしたいって恋ちゃんの気持ちは分かるわ……)

瑞希 (だけど……こうして集まった私達に出来る事は、>>346くらい……!)

お化け屋敷かバンド

瑞希 (確かに、一応ゲーム製作の為に集まった訳だし、何かしたいって恋ちゃんの気持ちは分かるわ……)

瑞希 (だけど……こうして集まった私達に出来る事は、お化け屋敷かバンドくらい……!)

瑞希 (お化け屋敷ならば、私の妖精スキルが生かせるし、五人も居れば何とかなるかもしれないわ)

瑞希 (そしてバンドは…………絶対に無理ね。私も笛くらいしか吹けないし……)

 恋 「ねぇ、小夜ぉ、何とかしてよぉ……うるうる」

小夜 「くっ!? うるうる涙目攻撃!? 恋、貴女中々に卑怯な手を使うわね……!?」

美樹 「でも、確かに何か作れればって……あうぅ」

詩乃 「今からゲーム製作とか不可能……ではないけど、ノープラン」

瑞希 「ここはやはり……お化け屋敷を!」

 恋 「ねぇ、小夜ぉ、さ~~よぉ~~!」

小夜 「な、何か考えてみるから、揺らさないで、揺らさないで!」

美樹 「あう、あうぅ……」

詩乃 「…………」

瑞希 「誰も……聞いてくれていない……ッ!?」


 そうして、暫くの間は出し物をどうするか、或いは辞退して今年は学園祭を素直に楽しむか。
そういったやり取りが部員の中で交わされる事になるのだが、橘瑞希はじっと発言の機会を伺っていた。

 今、彼女の頭の中には、お化け屋敷或いはバンド活動しか一切無く、そうして彼女がようやく声を大にしてその提案を掲げた結果……。


 恋 「という訳で、今年の出し物は>>348になりましたぁ~!」 

二人羽織

 恋 「という訳で、今年の出し物は二人羽織になりましたぁ~!」 

 恋 「納得い゛か゛な゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛!!」

小夜 「仕方ないでしょ? 詩乃先輩の提案で、多数決で決まったわけだし」

瑞希 「お化け屋敷は……バンド活動は……」

詩乃 「お化け屋敷は恋が嘔吐してゲロ塗れ屋敷になるだけ」

美樹 「それにバンドは……夢見すぎって言うかぁ……」

瑞希 「私も納得い゛か゛な゛い゛い゛ぃ゛!!」

詩乃 「瑞希は大人しく四季でも告げてたらいい……」

 恋 「で、二人羽織って……エロゲーを作るのかなっ!?」

小夜 「だから、そんなの間に合わないって……」

詩乃 「まぁ……○クールとか、そういった類を利用して簡単にゲームを作るのなら出来なくは……もごっ!?」

小夜 「先輩、今回は二人羽織でいきましょう、ねぇ?」 ニヤリ

詩乃 「んぐ、んぐ……」 コクコク


 そうして、学園祭に向けての出し物が決まる事になったのだが、私は納得行かないと最後まで抗議。
何故か瑞希先輩も同調して、バンドやお化け屋敷こそが青春と語り出したのだが、結果的に決断は覆らなかったのである。

 それでも私は最後まで諦めない。折角部まで昇格できたのだ、せめて製作段階だけでも形として出したい。
勿論内容はエロゲーであり……、エロゲーなんだけれど……。


 恋 「ぐぬぬぬぬ……」

 恋 「エロゲーといっても、意外と幅広いんだよね、種類が……。抜きゲーとか、泣きゲーとか……」

 恋 「ううん、ブレちゃダメだ! 私が作りたいエロゲーは、>>350しかないんだから!!」

脱衣格闘

 恋 「ううん、ブレちゃダメだ! 私が作りたいエロゲーは、脱衣格闘しかないんだから!!」

 恋 「そう……抜きゲーとして男性を悦ばせる且つ、ストーリー性を損なわず、土台がしっかりした脱衣格闘系のエロゲー!!」

 恋 「これが実現すれば……、エロゲー業界で旋風が巻き起こる筈!!」

 恋 「ぐへ、ぐへへへぇぇぇ……」


  ―― 翌日、酷杉学園元パソコン部室 現芸夢製作部室

 恋 「かきかき、かきかき……ぐへ、ぐへへへぇ……」

美樹 「恋ちゃん、今日授業中もずっとノートに色々書いてたよね……」

美樹 「何を書いているの……って、こ、これってぇ!?」

 恋 「ぐへ、ぐへへへぇぇぇ……・」

美樹 「全て、ミミズ書き……、まるで訳が分からない……!!」

美樹 (でも、この気色悪いようで実はモテ可愛い笑顔の状態の恋ちゃんが、こんな訳の分からない内容を必死に書いている訳が無い!!)

美樹 (つまりこれは暗号!? そうなんだ……、私に、気持ちを届けようとしてくれている恋ちゃんからの暗号!!)

美樹 「う、うん! 私、頑張って解くから、待ってて恋ちゃんっ!」

詩乃 「アホが二人居る……」

 ガラッ

小夜 「ただいま戻ったわ。二人羽織の衣装デザインを……って」

恋+美樹「うへへへぇ~~」

小夜 「アホが二人居る……」

瑞希 「あら小夜、お帰りなさい。へぇ……二人羽織の衣装、>>352に決めたのね?」

全裸……

瑞希 「あら小夜、お帰りなさい。へぇ……二人羽織の衣装、全裸に決めたのね?」

瑞希 「……全裸?」

小夜 「衣装デザインを任せられても、二人羽織で衣装とか困ってしまいまして。いっそ全てを脱ぎ捨てればと」

瑞希 「いろんな意味でアウトだわ、これ」

詩乃 「ここにもアホが居た……」

小夜 「アホアホ言ってますけど、詩乃先輩ならどうなんですか? 全裸以外に何かアイデア、あるんですか!?」

詩乃 「ボクは魔法少女的な衣装なら何でも良い」

小夜 「また曖昧な発言を……」

瑞希 「やはりここは予定を変更して、お化け屋敷かバンド活動を!!」

小夜 「却下です」

詩乃 「却下で」

瑞希 「ふえぇん……泣いちゃうゾ?」

小夜 「ええどうぞ、泣いてください」

詩乃 「今すぐ鳴いて、雌の声で鳴いて」

瑞希 「それ、意味が微妙に違わないっ!?」

 恋 「……そうか、雌豚……それだぁっ!!」

瑞希 「へっ!? な、何が……それなの?」

 恋 「二人羽織エロゲーですよぉ! これでコンセプトは固まったぁっ!!」

小夜 (この娘、まだエロゲー製作を諦めていない……!? こうなれば、>>355で諦めさせるしかないわね)

校長先生に直訴

小夜 (この娘、まだエロゲー製作を諦めていない……!? こうなれば、校長先生に直訴して諦めさせるしかないわね)

小夜 (そう、エロゲーを諦めて、また私と二人だけでのんびり正義を語ったり、ヒーローに憧れたりすればいい……)

小夜 (恋を真人間にするのは……この私だ……!)


 ―― 同日夕刻 校長室

小夜 「という訳なのです。ひそひそ」

校長 「ほうほう、なるほどのう……ひそひそ」

小夜 「でありましてひそひそ、彼女を止めるべく部の活動停止命令をひそひそ」

校長 「……二人しかおらんのに、ひそひそ話をする意味はあるのかのう?」

小夜 「盗聴を仕掛けられている可能性も微レ存の為ひそひそ」

校長 「そんな物騒な事をする生徒なんぞ、この学校におらんわい」

校長 「しかしそのえろげぇとは、女の子或いは幼女レベルの年齢の娘が全裸でセックス行為をするものと?」

小夜 「はい、その通り。幼女設定なのに年齢を偽って冒頭で登場人物は全て十八歳と偽る始末」

校長 「確かに、それは学校として、宜しくはないのう……」

校長 「しかし個人的には……見てみたいモノじゃな、十八歳幼女の裸体を!!」

小夜 「……アンタの趣味は聞いていないわ。それより、停止命令を下して頂けるのかしら?」


校長 「ぐぬぬ、こうも凄まれては、ワシも動かぬわけにはいかんの……。ならば、芸夢製作部は、今回の学園祭までの期間は>>357としよう」

臨時風紀取締り係

校長 「ぐぬぬ、こうも凄まれては、ワシも動かぬわけにはいかんの……。ならば、芸夢製作部は、今回の学園祭までの期間は臨時風紀取締り係としよう」

小夜 「それは……要するに学園祭には参加せず、風紀活動に励めという訳ですか?」

校長 「別に参加は構わん。が、風紀を乱すような活動は許さないとする」

校長 「そして、他の生徒達の模範となるよう、風紀を乱すものを注意し、取り締まる活動を行ってもらおう」

小夜 「……は、はぁ……」

小夜 (な、なんだか余計にややこしい事になった気がするわ……)


 ―― 同日夕刻 芸夢製作部室

美樹 「はっ!? 恋ちゃんに釣られて夢の中を漂っていたような気がする!!」

詩乃 「美樹、おはよう」

美樹 「わ、わわ、おはようございますぅ……て、もう下校時刻ですね」

美樹 「小夜さんは先に帰られたんでしょうかぁ」

瑞希 「彼女、何かを思いついたように部室を飛び出していったけど、帰ってこないのよ~」

詩乃 「まあ、ボク達もそろそろ時間だし、お暇するつもり」

瑞希 「小夜には、先に帰ったって言っておいて~。ちゃおっ」

美樹 「うぅ~、恋ちゃんはまだ夢の中だし、先輩達は先に帰っちゃうし……」

 恋 「うへ、うへへへぇぇぇ~~……」

美樹 「ん、今って恋ちゃんと二人きり、しかも密室……! これは、>>360するチャンスぅ!?」

二人で一本のポッキーを食べる

美樹 「ん、今って恋ちゃんと二人きり、しかも密室……! これは、二人で一本のポッキーを食べるチャンスぅ!?」

美樹 「何故か幸運にもポッキーなら鞄の中に!」 がさごそ

美樹 「そしてポッキーを一本取り出し、先に恋ちゃんに……ごくり」

 恋 「うへ、うへ、うへへへぇ……」

美樹 「恋ちゃぁん、これ、食べるぅ?」

 恋 「うへうへうへ~~~っ!!」

美樹 「し、舌を伸ばしてきたっ!? しかも、舐めるように口に含んで……ごくり」

美樹 「あ、後は私が端っこを食べていって、恋ちゃんのあの涎塗れの唇に……!!」

 恋 「れろれろぉ……ぬふ、ぬふふぅ」

美樹 「んぐ、んぐ……もうふぐ、もうひゅぐぅっ!?」

 ガラッ

小夜 「はぁ……面倒な事になったわ……って」

美樹 「もうひゅ……ひゅんんんっ!?」

 恋 「れろれろれろれろぉ……にゅふふふぅ」

小夜 「こ、これは、一体……!?」

小夜 (面倒事を増やして帰ってきてしまったと、渋々報告すべきところなのだけれど……)

小夜 (ポッキーの先端を舐め回して変態顔の恋、そしてその端っこを食べていって舌を噛んで痛がる美樹)

小夜 (これは一体……、つまり、私に>>362しろという事……!?)

盗撮

小夜 (これは一体……、つまり、私に盗撮しろという事……!?)

小夜 (携帯カメラを使えばそんな事は容易いけれど、恋を美樹に取られてしまう気がするわ)

小夜 (だけど、美樹を今後恐喝する為の材料ともなり得る……ならば……!) コソコソ

美樹 「んんんんぅぅぅ……」

美樹 (舌を噛んで痛いよぉ……、それに、後ちょっとの所であのお邪魔虫……!)

美樹 (こんな時、野菜王子様ならば、消し飛べぇって光線を放ってしまいそうだけど、私にはそんな事ぉ……!!)

美樹 (って、物陰に隠れて携帯片手にこっちを凝視してる……。……何事?) ジィー

小夜 (くっ、こっちを見られてる!? って、入ってきていきなり物陰に隠れてガン見してれば当然ね)

小夜 (だけど、この戦いは退けないわ。さぁ、貴女はチャンスなのよ、破廉恥な行為に走りなさい。そしてカメラに収まりなさい!)

小夜 (そしてそして、破廉恥行為を恐喝材料に……そして、あわよくば恋を真人間にするチャンスに……!!) ジィー

 恋 「れろれろれろぉ……ん、なんかチョコの味がするぅ……このせーえき……」

 恋 「……って、二人とも何してるの……?」

 恋 (物陰に隠れて携帯片手に隙を伺う小夜、そしてそれに戸惑いながらも対峙しようとする美樹ちゃん)

 恋 (……これって、エロゲーに使えるかも!?)

 恋 「フフフフ……フフフフファァァハハハハァァァァァッ!!」

二人 「ッ!?」


 恋 「思いついたよ……、今回のエロゲーの見せ場、それは>>365! 二人のお陰で思いついちゃったっ!!」

露出狂になる伝染病

 恋 「思いついたよ……、今回のエロゲーの見せ場、それは露出狂になる伝染病! 二人のお陰で思いついちゃったっ!!」

小夜 「……はぁ?」

美樹 「でんせんびょー?」

 恋 「えっとね、一から話すとぉ……くどくど、くどくど」


 私が今構想を練り上げているそれを、二人に話せばきっと賛同してくれると思っていた。
そして、二人羽織なんてつまらない事をしていないで、エロゲー作りに協力してくれる、そう思っていた。
だが、その後小夜から聞かされる事実に、私は肩を落とし、愕然としてしまうのである。


小夜 「その話なんだけど、さっき校長からのお達しで――」

美樹 「そ、そんな、私達、出し物も出来ないんですかぁ?」

小夜 「そういう訳じゃないわ。けど、風紀を乱す行為は不可と、念を押された形になるから……」

 恋 「エロゲー、作れないの……?」

小夜 「そうね。だからもう私と二人、ラノベの世界に引篭もりましょう?」

 恋 「……やだ」

小夜 「……恋」

 恋 「絶対、エロゲー作るんだもん。じゃないと……私は、私は……!!」

小夜 「その気持ちだけでこの同好会を部に昇格した、貴女の努力は認めるわ。けど……」

小夜 「無理よ、貴女には」

 恋 「……ッ!!」


 折角、今回のエロゲーの見せ場まで思いついたのに、露出狂伝染病を操る黒幕との脱衣格闘を考えたのに、
入学初期からの唯一の友人であったと思っていた少女に、私は否定された。


 恋 「……てやる……!」

小夜 「……えっ?」

 恋 「……>>368てやるぅぅぅっ!!」

昔のアメリカの鼠と猫の追いかけっこアニメが如く鈍器で殴りとばし

 恋 「……昔のアメリカの鼠と猫の追いかけっこアニメが如く鈍器で殴りとばしてやるぅぅぅっ!!」

小夜 「また微妙なところを引き合いに出して来たっ!?」

 恋 「うらぁぁぁぁぁっ、覚悟ぉぉぉぉっ!!」

小夜 「わ、わわ、待ちなさい恋、私は貴女の事を思って……きゃっ!!」

 恋 「待たないし、手にしたモップは離さないっ! 応援してくれるって言ってくれたクセに!!」

小夜 「だけど、貴女……恋ったら、何も続いた事ないじゃない!!」

小夜 「遊んでばっかで、製作……作るなんて行為、真面目にやった事ないじゃない!!」

小夜 「そんな貴女に……ゲームが、エロゲーが最後まで作れると思っているのっ!?」

 恋 「それでも、それでも私はぁっ、モップで、小夜を殴り飛ばすぅぅぅっ!!」

美樹 「は、はわわわぁ……どどど、どうしよう……」

美樹 (恋ちゃん、キレると割と勇敢で格好良くなっちゃうんだ……)

美樹 (そこにも痺れて憧れちゃうぅっ!!) キュンキュン


 ―― 夜更け、狩野家、リビング

 母 「恋ったら、夕食も食べないでずっと部屋に篭って……まさか、また引篭もりが発症したのかしら」

 母 「愛、ちょっと様子を見に行ってあげて」

 愛 「え~っ!? 今BLゲーに夢中なのにっ!」

 母 「……あぁっ!?」

 愛 「……はいはい、呼びに行きますよーだ……」

 愛 「はぁ、なんで私がぁ……。早くBLゲーの夏陽君ときゅんきゅんしたいのに」

 愛 「お姉ちゃーん、ご飯食べないとお母さん、暴走族の頃に戻っちゃうって~」 ドンドン


 愛 「ん……部屋の中から>>371の声がする……?」

子泣きじじい

 愛 「ん……部屋の中から子泣きじじいの声がする……?」

 恋 「おごごごごぉ……おごごごごぉぉぉっ……!」

 愛 (こ、この泣き声が子泣きじじいかどうか知らないけれど……)

 愛 「お姉ちゃん、ちょっと入るよぉ~?」 ガチャッ

 恋 「おごごごごごごごごごぉぉぉぉっ!!」

 愛 「瞬きせずに涙を流しておごおご言ってる……マジキモ……」

 愛 「こんなのが私の姉だなんて、ほんと終わってる……」

 愛 「でも、一応こんなのでも人間だし、私の姉だし……」

 愛 「……お姉ちゃん、またイジメでも受けたの?」

 恋 「おごごごぉ~~」 フルフル

 愛 「おごおご言ってちゃ話にならないでしょ? 日本語でわかりやす~く、教えて?」

 恋 「ぐす……え、えと……くどくど」


 ―― 一時間後。


 愛 (うっわー、無駄に話長かったけど、要するに親友に応援して貰えなくて辛いって話なだけじゃん)

 愛 (面倒くさいけど……>>374と言って姉を慰めるとしますか)

青の洞門は一人で坊主が掘ったのよという逸話

 愛 (面倒くさいけど……青の洞門は一人で坊主が掘ったのよという逸話と言って姉を慰めるとしますか)

 愛 「……という訳でね」

 恋 「ぐすん……何の話かてんで分かんない……」

 愛 「お姉ちゃんの頭脳じゃ、青の洞門すら知らなかったかぁ~!」

 恋 「……でも、言いたい事は伝わったよ……」

 愛 「え、何がどう伝わったのか一応教えて?」

 恋 「一人でも……洞穴は掘れるんだよね!?」

 愛 「あ、いやその、諸説はあるらしいんだけどぉ」

 恋 「……一人でも、エロゲーは作れる!!」

 愛 「え、どうしてそうなった」

 恋 「ありがとう愛! 持つべきものはやっぱり妹だよぉぉぉぉ!!」 ブンブン

 愛 「ちょ、両手を握って振り回さないでぇぇぇ!!」


 妹に慰められ、そして私は改めて気持ちを固めるのである。出来る、出来ないはこの際別だ。
これ以上、鳥籠の中に留まるのはもうイヤだと決めたこの気持ちを、抑えつけられない。
例え小夜が、皆が協力してなくても、私は一人エロゲーを製作する道をもう諦めない。


 ―― 翌日、酷杉学園女子高 芸夢製作部室


 恋 「とは決めたものの~……、何もスキルを持っていない私だけじゃ、ダメだぁぁ~~……」

 恋 「それでも、ゲームのコンセプトくらいは私が作らないと……!!」

 恋 「ええっとぉ、ここまで纏まってるのは、脱衣格闘、露出狂の伝染病、そして……雌豚。
    なんかこれじゃ凄い抜きゲー臭がするから……>>376も混ぜちゃおう!」

会社経営シュミレーション要素

 恋 「ええっとぉ、ここまで纏まってるのは、脱衣格闘、露出狂の伝染病、そして……雌豚。
    なんかこれじゃ凄い抜きゲー臭がするから……会社経営シュミレーション要素も混ぜちゃおう!」

 恋 「……脱衣格闘系会社経営しみゅれぇしょん? あれ、あれれ??」

 ガラッ

美樹 「少し遅くなりましたぁ~。って、あれ、恋ちゃんだけ?」

 恋 「あ、うん。まだ他の皆は来てないみたい」

美樹 「小夜ちゃんは今日は来ないかもしれないね……」

 恋 「確かに今日、視線も合わせてくれなかったし……美樹ちゃんが居ないと、今日は本当にぼっちだった……」 ぎゅっ

美樹 「恋ちゃん……」

美樹 (恋ちゃんに手を握られて……、子犬のような顔をされて……)

美樹 (あぁ、彼女を滅茶苦茶にしたい願望にぃぃ~~) ウットリ

 恋 「それでね、今日はねって……美樹ちゃん、聞いてくれてるぅ?」

美樹 「はっ!? いけない、私ったらつい、ふしだらな妄想を……!!」

 恋 「妄想もいいけどぉ、それより聞いてよぉ。……脱衣格闘系会社経営シミュレーションって、どう思う?」

美樹 「……はい?」

美樹 (どうしよう、脱衣格闘はまだ理解できるし、会社経営シミュレーションも理解は出来るけど……)

美樹 (なんでその二つを混ぜるのッ!? そこが理解出来ないよぉぉ……)

美樹 (ここは大人しく、>>378と答えるのが正解かも……)

典型的な駄目発想

美樹 (ここは大人しく、典型的な駄目発想と答えるのが正解かも……)

美樹 「という訳で、典型的にダメダメな発想! だと思うけどぉ……」

 恋 「や、やっぱりこの二つは相容れない存在なのか……!」

美樹 「ジャンルに関しては絞るべきだと思うんだぁ……。脱衣格闘なら、脱衣格闘で、とか……」

 恋 「美樹ちゃんなら、どっちが好き?」

美樹 「私は……野菜王子様が格闘するほうが……うっとり」

 恋 「いやいやいや、ベジータさんが脱衣しながら格闘していくエロゲーとか私が嫌ですしおすし」

美樹 「ええっ!? なんでぇ……いいと思うのにぃ」 しゅん

 恋 「そこでしゅんとしない! と、とりあえず新しいコンセプトを考えよぉ~!」

 ガラッ

詩乃 「遅くなった……って、また下らない話を」

 恋 「詩乃先輩、こんにちは! 下らなくないです、大事なコンセプトです!」

詩乃 「……会社経営シミュと、脱衣格闘ね……」

 恋 「詩乃先輩、この際ズバッと決めちゃってください! 私達の作るエロゲーのジャンルは……!!」


詩乃 「面倒くさいから>>381で」

せっくすばとる

詩乃 「面倒くさいからせっくすばとるで」

 恋 「ちょちょちょ、直球的ぃっ!?」

美樹 「せ、せっくす……ばとる……」 てれっ

詩乃 「正直、今頃コンセプト決めとか、百パーセント学園祭には間に合わない」

詩乃 「だから、瑞希とある程度こちらでコンセプトを固めてあるの。これがそのプラン」

 恋 「これって……わわ、なんか凄い設計的な図面とか載って……」

詩乃 「3Dバトル物にする。脱衣格闘の要素を入れても良いし、これが嫌ならシミュレーション方面で話を進めても良い。そうでしょ、瑞希」

 ガラッ

瑞希 「そうねぇ~、まぁ、文章は今回私が担当するわ~。って、3D格闘物なら余り出番はないかもしれないけれど」

 恋 「……あの、あの……これを、二人で……?」

瑞希 「ちょっと、詩乃の家で二人で考えてみよう~って話になってね」

詩乃 「そうしたら、案外あっさりプランは出来上がったから」

詩乃 「だから、後は製作に移行するだけ。演算ソフトやその他必要な物も大体揃っている」

瑞希 「問題は……キャラデザインね。……私達、絵心ゼロだから」

 恋 「……任せて、任せてくださいっ!!」

詩乃 「……大丈夫?」

 恋 「私が、私がキャラクターデザインの全てを手掛けますッ!!」


 ―― そうして数日後。

 私が考えたキャラデザインは……幼稚園児にも理解出来ないくらいの物体であった。
学園祭では恐らく仕上げるのは不可能。ならば二人羽織でこんなゲームを作っていると、製作段階を披露すれば良い。
そして、モデリングの段階まで来ているのだが、私が受け持ったキャラデザインが一切仕上がらないで、現在計画は頓挫している。


 恋 「小夜なら……、あの娘なら良いアイデア出してくれそうだけど……」

 恋 「ケンカしてから、小夜とは疎遠で……」

 恋 「仲直り、したいなぁ……。そうだ、>>385ってメールを送ってみよう!」

ぺろぺろしてあげるよ!

 恋 「仲直り、したいなぁ……。そうだ、ぺろぺろしてあげるよ!ってメールを送ってみよう!」

 恋 「ぽちぽちっと、送信っとなっ!」

 ―― 三秒後。

  『本当!? 直ぐに家に行くわ、今すぐ行くわ!!』

 恋 「……返信はやっ! って、しかもこれから家に来るッ!?」

 恋 「マジ意味分かんないんだけど……、小夜が家に来るのって久しぶりかも……」

 恋 「あの時は、エロゲオタだってバレないように、ソフトを隠していたけれど……」

 恋 「今は無理に片付けなくても良いかなぁ……。あ、でも脱ぎ散らかした下着くらいは片付けないと……」


 ―― 十分後。

小夜 「はぁ、はぁ、はぁ……恋、来たわよ……!!」

 恋 「……小夜の家から私の家って、普通に歩いて三十分は掛かるよね……?」

小夜 「自転車で、超ダッシュで……はぁ、はぁっ!」

 恋 「え、えと……オレンジジュースでも、飲む……?」


 小夜の想定外な行動。それは、私を避けていると思っていた彼女が、メール一つで私の家に殴りこんで来たこと。
しかも、自転車で大慌てでやって来た彼女は、部屋着そのままでやって来たらしい。
ボーダーシャツははだけ、ショートパンツもまた、ちょっぴりずれ落ちているのである。

 恋 (こうして見ると、小夜って胸はあんまりだけど、スタイル良いし……)

 恋 (犯し甲斐はあるのよねぇ……) じぃー

小夜 (い、いざ慌てて恋の家に来たものの……何を話して良いのか……。しかも睨まれてるし……!)

小夜 (こうなれば……>>387を話題にするしかない……!)

法律

小夜 (こうなれば……法律を話題にするしかない……!)

小夜 「れ、恋!? 言っておくけど、幼女をぺろぺろするのは法律違反なのよ……!?」

 恋 「は、はぁ……」

 恋 (い、いきなり法律の話!? しかも、幼女を出して来た!?)

 恋 (ははぁん、さては……アグ○スの危険性を訴えているんだね!)

 恋 「だ、大丈夫だよ小夜。私、法律違反とか出来る人間じゃないもん!」

小夜 「そ、そうよね。で、でも……風紀を乱す行為も法律違反よ!?」

 恋 「え、どうしてそう繋げた」

小夜 「……そ、その、私をぺろぺろするのは構わない、いくらでもすればいいわ!」

小夜 「だけど……、今作っているエロゲからは、手を引きなさい……」

 恋 「……どうして?」

小夜 「校長の話はもう知っているでしょう? もし、そんな事がバレたら……最悪、停学の事態だって有り得るわ」

小夜 「それに……、どうしてエロゲで変わろうとしているのか、それが私には分からない……」

 恋 「……そ、か」

小夜 「……恋?」

小夜 (ま、また言い過ぎたのかしら。私は、どうして私はいつも……って、恋ったら立ち上がって何かを探してる……)

 恋 「……このエロゲーね、私が変わろうって切欠をくれたゲームの一つなんだ」

小夜 (こ、このエロゲーは……>>390!?)

えっち双六

小夜 (こ、このエロゲーは……えっち双六!?)

小夜 「た、確かこれって……、エッチする為に双六する事になったサバイバルゲームって話で……」

 恋 「そして、双六のマスがDeathを踏んだとき、その人は死を迎える実はただの抜きゲーじゃなかった詐欺ゲー」

 恋 「でも、エッチする為にサイコロを振っていた主人公は、実はその双六が欲望を叶える物だと知って……」

 恋 「それを用いてサバイバルゲームを仕組んだ黒幕に挑んでいくって物語……」

 恋 「その過程……、ただハーレムを目指すだけの欲望を抱いていた主人公が変わる過程を見て……私は変わろうと思ったの」

小夜 「……その切欠の一つが、これ?」

 恋 「他にも、~少子化防止! 抜け抜けアソコで射精しろ!~とか、~孕ませ卵子、痴獄の青春~とか」

小夜 「……基本的に抜きゲー属性があったのね、恋って」

 恋 「でも、ぜーんぶ予想外でさぁ、でも意外と引き込まれちゃって、最後なんてハラハラして!」

 恋 「ドキドキが止まらない、そんなゲームが作りたい! でも、肌と肌を重ね合わせ、分かり合う瞬間は堪らないッ!」

 恋 「それに、男の子なら勃起させて当然なのがやっぱりエロゲーだよっ!!」

小夜 「最後はもう意味分からないけど……、要するにエロ要素もあって、感動したり、ドキドキしたり、すぅっとしたり……」

小夜 「そんな感情を持ってもらえたらって思うゲームを、貴女は作りたいと……」

 恋 「うんうん、さっすが小夜ッ、私の事分かってくれてるっ!!」

小夜 「……処女の貴女がそんなの、作れるの?」

 恋 「ッ!? そ、それは、そそそ、その……」

小夜 「そういう経験、私は必要だと思うわ」

小夜 (もう彼女は止められない。こうなれば、いっそ既成事実で恋を我が物にっ!)


 恋 「……笑わないでね。……実は、もう>>392で処女、卒業してるっぽいんだ……」

小夜 「ふぁっ!?」

蒸発した養子の義兄(同い年)

 恋 「……笑わないでね。……実は、もう蒸発した養子の義兄(同い年)で処女、卒業してるっぽいんだ……」

小夜 「ふぁっ!?」

小夜 (よよよ、養子!? そんな話一切聞いたことないんだけどッ!?)

 恋 「それは、暑い夏の日で――」


 私がまだ小学生で、四年生だった頃の話。
その二年程前から、その男の子は我が家で暮らす事になった。
父が連れてきたその男の子は、私と同い年で、そして殆ど笑わない白い肌を持ち合わせた子だった。


少年 「……今日も、お外で遊ぶの?」

 恋 「うん! 一成は外は嫌なの?」

一成 「……やだ、外暑いし……家でいいよ」

 恋 「しょうがないなぁ……。じゃあ、お外はやめるね!」


 この頃は、私もまだ活発で、ほんの少し回りの女の子と比べれば、胸も育ち、マセていた。
一成が可愛くて弟みたいだと思い、時折彼を男の子なんだと認識し、どきっと胸を高鳴らせる時もある。
だが彼は二年の歳月を経てもやはり色白で、どこかひ弱な少年であった。


一成 「このげーむも飽きたね」

 恋 「すーぱーへりおでしょ? じゃあへよへよやろう?」

一成 「いいよ、どうせ恋が勝っちゃうもん」

 恋 「じゃあ、何が良いのよぉ! ……そうだ、大人のアソビ、しよっか?」

一成 「大人の、アソビ……?」

 恋 「そうだよ、実は……>>394をするんだって、大人の本に書いてたの!」

ブラックジャック

 恋 「そうだよ、実は……ブラックジャックをするんだって、大人の本に書いてたの!」

一成 「それって……アニメとか、漫画の話? それともカードの方?」

 恋 「トランプだと思うでしょ? ……ふふん、実は手塚さんの方なのだ!!」

一成 「ブラックジャックごっこって訳か……。ままごとなんて僕は嫌だよ」

 恋 「だから、普通のおままごとじゃないの。オトナの、おままごとだよ?」

一成 「オトナの……おままごと……?」


 一成の喉が鳴り、彼の瞳が一瞬たりとも輝いたのを私は見逃さなかった。
暑い夏の日、ワンピースを着ていた私。そして、Tシャツに短パンというラフな格好をしていた一成。
私がそのワンピースを脱ぎ捨て、彼に囁くように言うと、彼は益々頬を赤らめさせる。


一成 「お、おい! なんで、脱ぐんだよ……」

 恋 「だって、オトナのおままごとだもん。それに、先生に診察されるのなら、脱がないと!」

一成 「診察って言っても、脱ぐ必要はないじゃん!?」

 恋 「ふふ、一成、かわいい……」

一成 「うっさい! ……で、どうすればいいんだよ」

 恋 「んー、どうすればいいんだろう? えーと、おっぱいを……揉むんだったかなぁ?」

一成 「こ、これを……揉むのか……?」 ムニュ

 恋 「やん、一成ったら手つきがくすぐったいっ!」

一成 「って言われても、僕にはどうすれば……。そうだ、診察なんだから先ずは心臓の鼓動を聞かないと!」


 彼がそうして、私の晒された左胸に耳を押し当ててくる。そうして私の鼓動を彼が静かに聞く中、
何故か私の中で、不思議な気持ちが昂ぶり出すのである。こんな可愛い弟みたいな子を……>>397にしたいって。

かわいいペットに、かつ、いずれ首輪をかみ切る獣

 彼がそうして、私の晒された左胸に耳を押し当ててくる。そうして私の鼓動を彼が静かに聞く中、
何故か私の中で、不思議な気持ちが昂ぶり出すのである。こんな可愛い弟みたいな子を……かわいいペットに、かつ、いずれ首輪をかみ切る獣にしたいって。
それは一種の調教、しかし、既に火種が発火するような形で燃え上がった私は、彼をペットのように扱うようになって言った。

 そうして、数日後……ちょっとした出来事が起こる。


一成 「恋、恋……はぁ、はぁ……!」

一成 (アイツの裸を思い出すだけで、おちんちんが大きくなって……触ったら気持ちよくて……)


 私は眺めていた。一成が一人部屋に閉じこもり、良くない行為をしているのは知っていた。
それが世間的に言う所の[田島「チ○コ破裂するっ!」]なのは、まだ当時の私には分からなかったものの、自分を慰める行為なんだと認識してしまっていた。
その行為をこっそり眺め、彼が次第にペットとして、私の飼い犬として堕ちていく様を見て、楽しくて、嬉しくて仕方がなく……。


 恋 「なぁ~に、してるのかなぁ……」

一成 「れ、恋っ!? な、なにって、そ、その!!」

 恋 「……それって、気持ちイイんでしょ? 前に私がさすさすしたら、気持ち良さそうだったもん」

一成 「違う! そんなこと……じゃなくって……」

 恋 「……教えて、私にだけ、素直な気持ち。そして……誰のことを考えて、さすさすしてたのかってコトを」


 その私自身の言葉が、更に私を昂ぶらせてしまう。更に彼を服従させたい、そんな気持ちが性的な行為に繋がり、強まっていく。
もう止まらない、次第に私の手は彼のペニスに伸びていき、それを妙に熱くなったその部分に押し当ててみたい気持ちが強まってしまう。


 恋 「これって、せっくすって言うみたい。これを、ここに挿れるんだって」

一成 「や、やめようよ、そんなの刺しちゃうなんて!」

 恋 「やめない。これで私もオトナになって、一成をペットにしちゃうんだからぁ――ッ!!」


 しかし、無理にねじ込もうとした痛み、そしてほんのり、薄らと血がその部分から流れてきた事により、私も正気に戻るように青褪める。
一成もまた、どうしようと何度も言葉にしては、身体を震わせ……、その時から、一成との距離は開いていき……。

 彼は、翌年に居なくなった。理由は分からないし、捜索依頼を出したにも関わらず、彼の安否を掴めないまま年月は経て……。
それが切欠で私は根暗となっていき、中学生ではとうとうイジメを受けるようになり、私は引篭もるようになっていった。

 すべては、その時の過ちから始まった。けど、今ではもうその出来事は、>>399という風に処理していたのだ。

いずれ取る予定の純文学新人賞用のネタ

 すべては、その時の過ちから始まった。けど、今ではもうその出来事は、いずれ取る予定の純文学新人賞用のネタという風に処理していたのだ。
しかし私には文才が無く……、いや、諦めがただ早いのかもしれない。次第にそれは、ゲーム……しかもエロゲーに逃げ込む形になっていく。


 恋 「って事があってね……あは、あはははっ!」

 恋 (い、今思い出すととんでもない事してるなぁ……。これこそ、エロゲっぽいのかも……!)

小夜 「そ、そうなの、そんな事が……」

小夜 (どどど、どうしよう、割と本気でショックが強くて、掛ける言葉が見つからないわ!)

小夜 (けど、話を聞いていればまだ最後まで貫通していないみたいだし!? それに処女膜は再生するって言うし!?)

小夜 (それにそれに、恋は処女膜から声を出しているわ、だから……!!)

 恋 「だ、だから、私がその、処女じゃないかもーって言う話でね……」

小夜 「いいえ、貴女は処女、紛れも無く処女よ!!」

 恋 「ななな、なんだってぇぇぇぇ!?」

小夜 「理由は声!! 貴女は処女膜から声を出しているから!! だから、大丈夫!!」

 恋 「い、意味分かんないけど……ありがとう?」

小夜 「……けど、私より経験者だなんて、私が納得いかないわっ!!」

小夜 「だから恋、私と経験しましょう!? さぁ、私と一緒に非処女にぃぃぃ!!」 ガタッ

 恋 「え、ちょ、待っ……いやぁぁ~~~!!」


 ―― それから数時間後、何とか貞操は守れたながらも、私が必死に拒めば小夜は随分落ち込んだ。
まさか、私に本気に気持ちを寄せているのだろうかと、私も暫くは悩んだりもしたのだが、
暫くすれば普段の私として、そして普段の小夜として接していた。

小夜 「……そうよね、やっぱり、私が少し間違っていたのかも」

 恋 「どうしたの、突然」

小夜 「決めたわ、やっぱり私、恋を応援する。……そして、恋に正々堂々とペットとして見て貰うんだから!!」

 恋 (ま、まだズレてるけど……、大丈夫かなぁ、小夜……)


 ―― 翌日 酷杉学園女子高 芸夢製作部室。

小夜 「という訳で、今日から私が今回のエロゲーの指揮を執る事になったので、宜しくお願いするわ!!」

美樹 (ひ、久々に部室に顔を出したと思えば、急に仕切り出しましたぁ……。ウザ過ぎて>>402したいくらい……)

口からトランプ出

美樹 (ひ、久々に部室に顔を出したと思えば、急に仕切り出しましたぁ……。ウザ過ぎて口からトランプ出したいくらい……)

美樹 (試しにトランプ突っ込んでみよう……ふぇぇ、入らないよぉ……!)

小夜 「そういう訳で、キャラクターデザインは私と恋、二人で、二人っきりで考えるから任せておきなさい」

詩乃 「ほー、でも明日、明後日までに考えてくれないと、色々間に合わないから」

瑞希 「そうね~、いい加減バトルモーション作成も飽きてきたし……妖精演舞ぅ~~ひらひらぁ~」

詩乃 「今それを披露しなくてもいいから……」

美樹 (ふぅ……、何だか皆盛り上がってきてるし、恋ちゃんは必死でノートに何か書き記しているし……)

 恋 「ぐぬぬぬぬぅ~~、もう少し、もう少しで閃きそうなのにぃぃ……ぐぬぬぬぅ!!」

美樹 (私、お邪魔かも……。少し外の空気を吸ってこよう……)


 ―― 同時刻 芸夢製作部室外


美樹 「はぁ……、私も何か頑張らないといけないのに……」

美樹 「小島小夜、彼女さえ居なければぁ……ぐぬぬぅ~」

?? 「あ、あの……、此処って、芸夢製作部の部室、ですよね……」

美樹 「ふぇ? は、はいっ、そ、そうですけどぉ……! ……どなた様ですかぁ?」

?? 「いえ、分かれば良いんです。それじゃっ!!」

美樹 「……走って逃げちゃった。色白で金髪で、見た事は無かったけれど……可愛い娘だったなぁ」


?? (あそこが芸夢製作部の部室……そして、狩野恋が同好会から持ち上げたというエロゲー製作所……)

?? (……ううん、臆病になるな、僕はこの為に転校して、姿を見せようって決めたんだから……!)

?? (今度こそ、正々堂々と謝って、そして……キミのようになりたかったと、そしてなれたんだと告げるんだ……!!)


~~~~ 芸夢製作部活動日誌 後編へつづく

そろそろ更に人も居なくなる時間! って事で今日は一先ず終わりますー。
また明日、良ければお付き合いくださいませ~。その後の予定は安価次第って事で~。

ともあれ、お付き合いありがとうございましたー。


【10/06 (日) 00:46時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/06 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 芸夢製作部活動日誌 後編


追伸:伊58一番艦が轟沈しました。とほほ。

えーと、そろそろ時間って事で……。
もう暫くお待ち下さい。



昨日頑張りすぎたのか一日中肩が張ってキツイんですがあぁぁ。

~~いらないかもしれない登場人物紹介~~

【狩野 恋】(他称:絶対領域『近寄りたくないオーラ』を纏う女)
エロゲーの為に同好会を設立した主人公。過度な人見知り+過度な緊張=嘔吐しちゃうクセ(?)を持ちます。

【小島 小夜】(自称:正義を掲げる英雄)
主人公の親友。孤立したりおろおろする主人公を見て興奮する系女子。正直には話せない恥ずかしがり屋さん。

【滝川 詩乃】(自称:魔法少女を愛する魔女)
主人公達の先輩であり、元パソコン部所属。ハッキングは出来てもスクリプトは組めない残念系女子。

【橘 瑞希】(自称:四季を告げる妖精)
主人公達の先輩であり、詩乃の友人。主人公を見かけては追い回すストーキング系女子。のんびりなようでツンデレさん。

【相沢 美樹】(他称:大人しくて初々しいお嬢様)
主人公のクラスメイト。アニメオタクな傾向にあり、主人公を我が物にしたい野心家系女子。実は意外としっかり者。

【高峰 一美】(自称:男の娘? いやいや女ですし)
酷杉学園女子高へ転入してきた金髪娘。ただし男の娘なので取り扱い注意。色々出来ちゃう万能野郎。

【狩野 愛】(自称:BL愛の伝道師)
主人公の一歳年下の妹。主人公を無駄に明るくしたような性格だが、変態度は同等。

~~~~ 芸夢製作部活動日誌 後編


 学園祭まで後四日、二人羽織によるゲーム製作披露会もいよいよという事で、
先輩達は気合が入っているのか、昼休みまで部室に顔を出すようになり、作業を続けている。
一方、親友である小夜もまた、デザインを手掛けたのだからと、細部まで監修しようと意気込んでいた。

 だが、役割を持てない私や、美樹ちゃんはどうしてもフォローに徹する羽目となり、
今日もお茶汲み、明日もお茶汲み時々ゴミ捨て買出しという時間がやって来ると思うと、憂鬱でもあった。

 しかしこの数日前から、隣のクラスが妙に盛り上がり、騒がしい事に私も流石に気付いてしまう。


女子A「きゃぁぁぁっ! こ、こっちを見てくれたわ!!」

女子B「え、ちょ、ちょっと、わ、私も見て欲しい、あの可憐な眼差しに見られたいぃぃぃ!!」

女子C「もう学園祭になんか手が付かないわ! あぁ、もう、抱きついて抱きつかれたいぃぃ!!」

 恋 「……なんか、今日も隣のクラス騒がしいね……」

美樹 「だよねぇ……、昼休みや放課後って、なんだか最近ずっとあの調子みたいだしぃ」

 恋 「小夜は先に部室の方へ行っちゃったし、気になるといえば気になるけれど……」

美樹 「部室と反対方向だから、どうにも行きづらいよね……あうぅ」

 恋 「そうなの、それが問題! でも、私一人で行っても挙動不審に陥って最悪……」

美樹 「私もちょっと、隣のクラスを覗きに行くなんてはしたない行動……きゃ~~」


 そんな調子で、私も美樹ちゃんも隣のクラスの様子を覗きたくても覗けない。
ではどんな騒ぎになっているのかと、誰かに尋ねる勇気も私には無く、美樹ちゃんは尋ねてもどうしてと答えられるのが怖いらしい。


 恋 「という訳で、私達は今日もゆっくり、ゆ~~っくり部室へ行きましょう~!」

美樹 「お~、ですよぉ~!」

?? 「……じと~~~」

 恋 「ん? な、なんだか凄い睨まれているような……。こ、こんな時は>>411をすればいいんだっけ!?」

視姦系の妄想

 恋 「ん? な、なんだか凄い睨まれているような……。こ、こんな時は視姦系の妄想をすればいいんだっけ!?」

 恋 「視姦……、視姦んぅ……はぅっ!? そういえば視線だけで女性を淫靡にするという魅惑の能力が出るエロゲーがあったような!!」

美樹 「は、はぁ……。って、あら、あれは……」

 恋 「はぁ、はぁ、なんだか……身体が火照ってぇ……」 くねくね

?? 「…………」 スッ

美樹 「あれれ、行っちゃった……というより、逃げちゃった? あうぅ?」

 恋 「だ、だめぇ、そこ、じっと見つめられたらぁ……腰がくねくねしちゃうのぉ!!」 くねくね

美樹 「…………うわぁ」

美樹 (こういう時の恋ちゃんは基本そっとしておいた方が無難な事を学んだ私なのですぅ)

美樹 「という訳で恋ちゃん、先に部室へ行ってきますぅ~」 トテトテ

 恋 「はうぅぅん、そ、そんな、ガン見はらめぇぇぇぇぇっ!!」

 恋 「…………」

 恋 「ッ!? 美樹ちゃんが居ないし、遠巻きに見てる女子生徒の数人が痛い眼差しを向けていらっしゃる!?」

 恋 「ま、不味い……、余りにもショックなのと、見られすぎてる緊張で吐き気が……トイレトイレ!!」


 上がり症、挙句に対人恐怖症に因るコミュニケーション不足、それら全ては中学生の時に引き起こす事になる。
それまでは、まだ幾分明るい子供で、それなりに世渡り上手でもあった類だ。しかしそれも、五年生くらいから変わっていってしまった。


 恋 「早くトイレに行かないと、最悪口から漏れ、漏れぇぇぇぇ―― はうっ!!」

?? 「い、痛っ……! ちょ、ちょっとアナタねぇ!!」

 恋 「ごごごごごご、ごめっめめめ……うっぷ」

?? 「ま、まさか……アナタ、口から>>415を出すつもり!?」

愛液

?? 「ま、まさか……アナタ、口から愛液を出すつもり!?」

 恋 「そ、それはそれで便利だなっ! って、も、ももも、漏れちゃうぅぅ!!」

?? 「そ、そこの個室に! 私も背中擦ってあげるから!!」

 恋 「ぴーがががががががぁぁ」

?? 「ど、どんな嘔吐の仕方をするんだか……」

?? (……彼女が変わった、と言うのは薄々気付いていたけれど)

?? (姿形はそこまで変化ないのに……、何だろう、キモイ女の子オーラを感じる……)

?? (どうして、こんな風になったんだろう……)

 恋 「……ふぅぅ、危ない所であった……はっ!!」

?? 「あ。……こんにちは」

 恋 「ここここ、こにちんこ!!」

 恋 (ひぃぃぃ、なんか見知らぬ金髪が傍に居るぅぅ!! 金髪ツインテおまけに黒ニーソとか典型的過ぎッ!?)

 恋 (ていうか、微妙に見覚えがあるようでないようで……って、青い瞳とか外人過ぎて見覚えある訳なっしんっ!!)

?? 「……やっぱり、分からない?」

 恋 「分かりますん分かりますん!! 外人サンこにちんこ!!」

?? 「……この眼の事なら、カラコンなんだけど」

 恋 「ぶはぁっ!! そ、それは申し訳、申し訳……ござる」

?? 「アハハハ、ほーんと酷い変わりっぷりだね恋ったら。私の事……いや、僕の事、本当に分からないようだから教えてあげる。僕はねぇ……」


一美 「女の子として生まれ変わった一成だよ」

 恋 「またまたそんなぁ~~……>>418!?」

それなんてエロゲ

 恋 「またまたそんなぁ~~……それなんてエロゲ!?」

一美 「エロゲじゃなくって、現実だから。もう今は一人の女の子として生きているんだ」

 恋 「いやいやいやいや、意味わかんないですしおすし! というか……あの、一成なの……?」

一美 「うん。今は高峰一美って名乗って、この学校に転校してきたんだ」

 恋 「……どうして、そんな格好に……?」

一美 「……恋に、なりたかったから」

 恋 「っ!? ……あは、あはははは、そ、そういう事かぁ……あはははっ!!」

一美 「うんうん、そういう事なんだ。あはは」

 恋 (そっかそっかぁ、私って金髪ツインテールに見えちゃうくらいなんだぁ。……全ッ然、似てないんですけど)

一美 (この様子……誤解しているようで、凄い疑っている、昔からある恋の目が泳ぐクセ……!)

一美 (私をただの女装趣味として誤解しているに違いない……。それならっ!!)

一美 「……女の子になった証明、見てくれないかな?」

 恋 「ぶはぁっ!! それなんてエロゲ!?」

一美 「だから現実」

 恋 「さささ、触るって……まままま、まさか!!」


一美 「……>>420を触って、確かめてくれてもいいんだよ……///」

喉ぼとけ

一美 「……喉ぼとけを触って、確かめてくれてもいいんだよ……///」

 恋 「……照れるところ?」

一美 「そ、そりゃ乙女の喉仏を触られるって、ちょっと……恥ずかしいんだもん」

 恋 (……こうして妙に照れてる仕草、言われなきゃ分からない……。男の娘だなんて……!)

 恋 (それくらい、私より女子してるし、何より……圧倒的に可愛い……)

 恋 (なんだか凄い敗北感が……うぅぅ)

一美 「あ、あれ……。……触らないの?」

 恋 「今、絶賛消えてなくなりたい状態なので。……って、喉仏触って分かるの?」

一美 「一応、男性の方が発達するものだからね」

 恋 「へぇ、そうなんだぁ……」 すりすり

一美 「や、やだよ、なんだか手つきがいやらしい……っ」

 恋 「でも、触った感じ、よく分からないなぁ……」 すりすり

一美 「う、ぅぅぅ……、も、もういいよね? な、なんだか妙に恥ずかしい気分に……!」

 恋 「……うん、一成だね」

一美 「え? 何故そこで急にどうして?」

 恋 「照れ屋なのに見栄っ張り。だけど本当は素直になりたいそんな男の子。それが一成だったもん!」

一美 「う、うぅぅ……。……言っておくけど、正体はバラさないでよ? 本当に今は女の子として暮らしてるんだから」

 恋 「はいはーい、分かりました分かりました!」


 恋 (クックック……、いざとなれば恐喝して>>422をする駒が揃ったわっ!!)

強姦

 恋 (クックック……、いざとなれば恐喝して強姦をする駒が揃ったわっ!!)

 恋 (やだぁ~私ったらぁ、強姦だなんてぇ~。和姦なのにぃ~きゃっ!)

 恋 「キヒヒヒイヒヒィィィ……!!」

一美 (……恋から下衆い臭いが漂ってる……。……そういう意味では荒んじゃったカンジかな)

一美 (だけど、そんな恋を元に戻すのも、そして彼女に幸せになって貰うのも私の贖罪!)

一美 (頑張らないと……! その為には……!!)


 ―― 酷杉学園女子高 芸夢製作部室前


 恋 「という訳で私は薄ら笑みを浮かべて部室に一人来てしまった! つもりでいたんだけど……」

一美 「ふぅん、ここが恋の頑張ってる部活動の部室なんだ?」

 恋 「……なんで一成が居るんですかぁぁぁっ!?」

一美 「だから、一美ってちゃんと名前で呼んでよねっ、バカッ!!」

 恋 「そこでまさかの古臭いツンデレキャラを持ち出したぁっ!?」

一美 「何でそんな妙なテンションで突っ込んでくるの……」

 ガラッ

小夜 「恋、ちょっとうるさ……い……?」

一美 「……こんにちは」 にこり

小夜 「こ、こんにちは……」

小夜 (な、何よこの金髪ツインテール。というか今時ツインテ? 時代遅れも甚だしいッ! ……でも、似合ってる……)

小夜 (いや、そうじゃなくって! なんでこんな見知らぬ女が、恋と一緒に!? これは……>>424をするしかないようね)

誘導尋問

小夜 (いや、そうじゃなくって! なんでこんな見知らぬ女が、恋と一緒に!? これは……誘導尋問をするしかないようね)

小夜 「尋ねるわ、恋とはどういう関係?」

一美 「……? 普通に幼馴染、みたいな?」

 恋 「あわわ、小夜、ちょっとぉ!」

小夜 「恋は黙ってて!!」

 恋 「ひぃん……しゅん」

小夜 「幼馴染で、昔からの付き合い? それにしては、恋から一切名前を聞いた事がないけれど、貴女お名前は?」

一美 「高峰一美、恋とは同い年だよ」

小夜 「で、何時から、何時までのお付き合いだったの?」

一美 「そ、それは……」

一美 (どうしてこんな質問を……! これじゃまるで、誘導尋問ならぬ直球尋問っ!?)

一美 (疑われている? そして……、恋ってもしかして過去に何かあって、こんな性格に……?)

一美 (私があの事件で罪の意識を持つようになり、狩野家を去って……。……恋、何があったんだろう……)

小夜 「……答えられないのかしら?」

一美 「……分かったよ、私の負け。……ほら、ちょっとココ、触ってみて」

小夜 「の、喉仏……? なんでそんな所を触らせるの?」

一美 「触れば分かるよ」 にこり

小夜 (誘導尋問を仕掛けようとして喉仏を触る羽目になった理由が分からないわ)

小夜 (でも、触った感じ……、割と普通より小さいのよね……。だから何って感じだわ)


小夜 (けど……喉仏触ると……>>426って気持ちが昂ぶっちゃうのはどうして……!?)

私の前世は猫

小夜 (けど……喉仏触ると……私の前世は猫って気持ちが昂ぶっちゃうのはどうして……!?)

一美 「さぁ、これで分かったでしょ? 私は、いや……実は僕は――」

小夜 「そうね、よ~く、分かったわ」

一美 「どきっ!」

小夜 「……私が前世は猫だったっていう事がねっ!!」 ドヤッ

一美 「……はぁ?」

一美 (この娘、クールで利口そうにも見えるけど……割とアホかも)


 そんな調子で部室の前で騒げば、次第に皆が気になっては様子を見に来るのは必然であり、
直ぐに狩野一成こと、高峰一美という少女がこの学校に転入してきたという事実は皆に知られる事になる。
美樹ちゃんに限っては、どうやら彼女の顔を知っていた様子で、「あぁっ!」と驚いていた。


詩乃 「……それで、この部に入部を?」

一美 「はい、そう決めました」 にこり

詩乃 「……じぃぃぃ~~」

一美 「……あの、何か?」

詩乃 「ボクの金髪は地毛。しかし貴女は染色。……ボクの勝ち」

一美 「た、確かに髪はナチュラルには染めてるつもり、だけど……」


詩乃 「高峰一美、何故か男の娘臭がする貴女のこの部での役割は……>>429で決定」

ヌードモデル

詩乃 「高峰一美、何故か男の娘臭がする貴女のこの部での役割は……ヌードモデルで決定」

一美 「ぬ、ぬぅどもでるっ!?」

詩乃 「……にやり」

瑞希 「詩乃ったら、随分一美ちゃんを虐めちゃってぇ……」

 恋 「なんか異様な絡みっぷりですよね。詩乃さんって、あんな風に絡んできたの、あんまり見ないような……」

瑞希 「ライバルだと認識されたみたい。まぁ、私達は楽しく頑張りましょう~」

 恋 「は、はぁ……」


 そうして、新たに高峰一美を加えた私達の部は六人となる。そして、この際に一人でも人手が増えたのは僥倖。
そう思っては居たのだが、翌日また妙な出来事になってしまうのである。


 恋 「……ほうかご~、ほうかごぉ~~!」

美樹 「放課後だよぉ~放課後ぉ~」

小夜 「……最近この二人、妙に似てきてるような気がする……。そしてこっちは……」

一美 「ぬぅどもでる、ぬぅどもでる……うぐぐぐ」

小夜 「脱ぐのが相当嫌みたいね。……綺麗な肌をしているのに」

一美 「だ、だって……脱いだら……ついてるのが……」

小夜 「ツイてる?」

一美 「ななな、なんでもないよ、なんでも!!」


 ―― 芸夢製作部室。そこで私達四人を待ちうけていたのは……厳密に言えば、一美を待ち受けていたのは、詩乃先輩のしつこい要求。
どうしても脱がせたい様子の詩乃先輩は、妙に鼻息が荒く、流石の私でもこれは引くわ、と思えるほどであった。


詩乃 「さぁ、ヌードモデルとなってくれる時間だから。急いで脱いで。はよ、はよぉ」

一美 「だ、だから、その、それはお断りでありましてっ!!」

詩乃 「……脱げないのなら、>>432

退部

詩乃 「……脱げないのなら、退部で」

一美 「そんな決定権が貴様にあるのかぁー!!」

詩乃 「いいでしょう、小夜」

小夜 「……少し酷過ぎるような」

 恋 「そ、そうですよ詩乃先輩! い、いくらなんでもそれは……!」

詩乃 「じゃあ今日のところは恋が脱いで」

 恋 「げぇっ!! わわわわわ、わたすがっ!?」

詩乃 「一美を庇うのでしょう。それなら、恋が脱ぐべきだと思うけれど」

 恋 「ぐぬぬぬぬ……!!」

 恋 (くぅぅ、しまった、今日に限ってお風呂サボっては、下着も替えてないなんて言えない!!)

 恋 (多分凄いシミ付いてそうだし……、何より臭うかも……。無駄毛もあったらどうしよう!?)

 恋 「あわわわわ、わわわわわぁぁぁ……」

詩乃 「……退部で」

小夜 「……分かったわ。今日のところは私が脱ぎます」

詩乃 「小夜? ……無理をしなくてもいいのだけど」

小夜 「私の身体が、3D立体化されるのは少々恥ずかしいですが、後日一美に脱いでもらうという事で今日は我慢します」

詩乃 (……ふぅん)

一美 (……私のせいで、恋が妙なショックを受けてるし、小夜ちゃんが脱ぐ羽目に……)


一美 (このままでいいのか私っ! 脱ぐなら今しかない、今しか……。どうしよう!!>>434

「全員脱げや」

一美 (このままでいいのか私っ! 脱ぐなら今しかない、今しか……。どうしよう!! ……そうだ)

一美 「……全員脱げや」

 恋 「……ふぇ?」

美樹 「ふぇぇぇ!?」

一美 「私が一人とか、小夜ちゃんが一人脱ぐとか、意味が分からないよ。……じゃあ皆で一緒に脱げばいいと思うんだ」

詩乃 「……へぇ、面白い娘」

瑞希 「まぁまぁ、それじゃ皆で下着お披露目大会といきましょぉ~!」

小夜 「一応部室のカギは掛けました」

瑞希 「小夜ちゃん、仕事はやーい。……さぁ、恋ちゃぁん?」

 恋 「びくっ!!」

 恋 (マズイマズイマズイ、まさか全員脱ぐ羽目になるなんて!)

 恋 (一美も何考えてるのよ、それじゃ男の娘ですってバラしちゃうようなモンじゃない!)

 恋 (……もしかして、バラすつもりであの発言を……!?)

 恋 (で、でも私まで巻き込むなんてぇぇぇ、下着替えてなかったのにぃぃ、パンツ見せたくないよぉぉ!!)

瑞希 「れ、恋……ちゃん?」

 恋 「あばばばばばばばば」

瑞希 「詩乃、恋ちゃんは今回許してあげて。いいでしょう?」

詩乃 「恐らく一日パンツを替えていない、お風呂にも入っていない等々の理由から察した。それで構わない」

 恋 「…………シンデモ、イイデスカ」

瑞希 「まぁまぁ、恋ちゃん落ち着いて。ほら、恋ちゃんも小夜ちゃんみたいなの、穿いたら?」

 恋 「……うぉぅっ!? 小夜のクセにちょっと際どい黒っ!?」

小夜 「いつも大体黒なんだけど……。黒好きだし……ダークヒーローって感じで……ふ、ふふふ」


一美 (よし、ここまではとりあえず私の予定通り! 後は……男の娘だとバレないように>>436という手段を取ろう……)

脚の間に挟む

一美 (よし、ここまではとりあえず私の予定通り! 後は……男の娘だとバレないように脚の間に挟むという手段を取ろう……)

一美 (強引だけどやるしかない! んしょ、んしょっと……) ぎゅっ

一美 (うぅぅ……小さすぎて上手く挟めないぃぃ……)

 恋 「うほぉっ! 美樹ちゃんその下着のレース、かわいいっ!」

美樹 「え、ほ、ほんと……かなぁ? えへ、えへへへ」

 恋 「で、詩乃先輩は……縞パンって……」

詩乃 「随分と失礼な発言。縞パンこそエロゲにとって基本」

瑞希 「私のはどうかなぁ~うふふっ」

 恋 「……ふっつーに、白ですね」

瑞希 「シルク製なのにコメントが淡白っ!?」

 恋 「そして……あそこで内股気味に脱いでる一美は……」

一美 「んんぅぅ~~~っ!!」

詩乃 「……ふぅん」

瑞希 「詩乃って、実は分かってるんでしょ? 私も今分かっちゃったけど」

詩乃 「イジワルし過ぎた?」

瑞希 「悪い癖だと分かってるんでしょう? でも、これはこれで面白いわねぇ~」

一美 「んんんぅぅぅ~~~っ!!」

一美 (だ、だめだ、小さくて上手く挟めない! っていうか、陰嚢が邪魔で……!) ぐりっ

一美 「ぎょわぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 恋 「一美っ!? 急にしゃがみこんで大丈夫!?」


 恋 (多分一美は……ううん、一成は戦っている……! そう、>>439と戦っているんだ……!!)

自分の中の男

 恋 (多分一美は……ううん、一成は戦っている……! そう、自分の中の男と戦っているんだ……!!)

 恋 (私も応援してあげないと……! 一成は、一美に生まれ変わって、最後の自分と戦っているんだからっ!!)

 恋 「が、頑張って、頑張って、一美ッ!!」

一美 (アソコが痛い……、ぐりってしちゃって、お腹にまで響いちゃう……!)

一美 (けど、何故か分からないけど恋に応援されてる、凄い一生懸命に応援してくれてるっ!!)

一美 (……もう、言うしかない。そして、認めてもらうしかないッ!!) ガタッ

小夜 「きゅ、急に立ち上がったわね……って、あれ?」

美樹 「なんか、お腹、ううん……股間が盛り上がって……あれ?」

詩乃 「そのもっこりは、何?」

一美 「…………ッ!!」 ボソッ

詩乃 「聞こえないわ」

一美 「……お、ちんちん、です……。……ごめんなさいっ!!」

一美 「私、いや、僕は実は男の娘で、でも、本当に女の子になりたい気持ちで、それでこんな格好で!!」

一美 「けど、心は、気持ちだけでも本当に女の子のつもりで、だから、だからっ!!」

詩乃 「……貴女の隠し事は分かった。ボクも、ならば素性を明かさないといけない」

一美 「え、ま、まさか詩乃さんも、実は……?」

詩乃 「そう、実はボク……魔女だから」

一美 「……は?」

一美 (私の一大決心が、なんか下らないギャグで潰されたぁっ!?)


一美 (ここは大人しく、>>441と言っておくべきかもしれない……)

魔女なら魔法でなんとかしてください

一美 (ここは大人しく、魔女なら魔法でなんとかしてくださいと言っておくべきかもしれない……)

一美 「それじゃ、私を魔法で女の子にして下さい」

詩乃 「ッ!?」

詩乃 (この娘……想像以上に出来る……。これは、大物フラグ……!)

詩乃 (私の力でこの娘を魔法少女にするのは簡単……! 所詮仮初だけれど)

詩乃 (しかし、それでも彼女は根本から女の子にと要求する……ぐぬぬぬ)

一美 「……先輩?」

詩乃 「ぐぬぬぬぬぬ」

瑞希 「あらあら、詩乃ったら大人しく魔法なんて使えませんって言えばいいのに」

詩乃 「黙って妖精モドキ」

瑞希 「違うわよぉっ、私は本当に妖精なのよ~ふふふふぅ~!」

一美 「この二人……割とイカれてやがる……!!」


 ―― 暫くして、一先ずの落ち着きを取り戻した皆は、改めて高峰一美に視線を向けて疑問を持つ。
それは勿論、どうして女の子になりたいなんて思ったのか、であった。
そして彼女は、渋々ながらも自分の過去を語り出すのだが……。


一美 「そういう訳で、私は……恋に、あの太陽のように眩しくて向日葵のように可愛らしい娘に憧れて……」

詩乃 「これが……太陽?」

瑞希 「これが……向日葵?」

 恋 「えへ、えへへへへへへっ!!」

小夜 「……貴女、本来はなんて名前だったの?」

一美 「……一成、だよ」

小夜 「ッ!? 貴女が……貴女が、恋を……恋を追い込んだ最低最悪の下衆だったのねっ!!」

一美 「そ、それ、どういう……!!」

小夜 「歯を食いしばりなさい!! これから私は貴女を>>443で殴らなければならないわ!!」

真綿

小夜 「歯を食いしばりなさい!! これから私は貴女を真綿で殴らなければならないわ!!」

一美 「わ、割とショボい!? で、でも何でっ!?」

小夜 「それは……自分に胸でも当てて聞いてみなさいッ!!」 ぽかっ

一美 「ひゃふんっ!」

小夜 「恋は、貴女が失踪して、そしてその時から色々辛い目に遭って!!」 ぽかっ

小夜 「それで……自分が悪いんだって追い込んで……!」 ぽかっ

小夜 「それでっ! 次第に他人に心が開けないようになっていってっ!」 ぽかっ

小夜 「それで、それでぇっ!! 等々人間として生きていられない状態にまで陥ったんじゃないっ!」 ぽかっ

 ぽかぽかぽかぽかっ!

一美 「…………」

一美 (真綿で殴られても正直、全然痛くない……)

一美 (だけど、小夜ちゃんは恋の過去を、私の知らない過去を知っていて、それで恋の代わりに怒ってる……)

一美 (それに、私のせいで、恋をこんな風に追い込んだなんて……)

一美 (あんな変態的な行為をして、そして勝手に去って……。……けど、それ以上に私は、恋に重い物を押し付けてしまったんだ……)

小夜 「なんとか、なんとか言いなさいよぉぉっ!!」 ぽかぽかっ

一美 「…………」


 止められなかった。小夜の気迫も凄まじく、そしてその内容もまた、私にとっては吐き出したい言葉でもあったのかもしれない。
それを代弁した小夜を止められず、何より一美の間に割って入る事も出来ず。そして私は嘆く。


 恋 (……見てるだけ。ただ、聞いて見てるだけ)

 恋 (自分の事なのに、自分が撒いた種を回収出来ず、ただ甘えて見てるだけ)

 恋 (動くのが怖い、脚が震えてる。なんて意気地が無いんだろう。……でも、私は変わろうと決意した)


 恋 (だから、今、この場を収めるのは>>447という方法しかない事も、私には分かるッ!!)

校内をダッシュしてストレス発散

 恋 (だから、今、この場を収めるのは校内をダッシュしてストレス発散という方法しかない事も、私には分かるッ!!)

 恋 「……二人とも、今から私がする事を、じっと見てて。そして、記憶に焼き付けてっ!!」 ぬぎぬぎ

一美 「って、なんで恋が脱いでるのさ!」

小夜 「それに……ちょっと臭う、気が」

 恋 「だってお風呂に入ってないし、下着だって替えてない。だからほら、シミまで付いちゃってる」

 恋 「女の子らしくないって思うかもしれない。……人間としてもダメなのかもしれない。ううん、ダメなのって分かってる!!」

 恋 「でも、……走ってくるから、見てて。そして二人とも感じて! 私がたった今、生まれ変わる姿を!!」

一美 「は、走る?」

小夜 「何で走って……って、廊下へ飛び出してった!?」

一美 「……追おう、小夜ちゃん!」

小夜 「そうね、あんな汚い下着姿で走り回ったら、とんでもない汚点となるわ。それまでに捕まえないと!!」

詩乃 「……面白くなってきた」

瑞希 「……ふふ、青春よねぇ~」


 校内をひたすらに駆け回る。無我夢中で、他人の視線すら最早どうでも良くなっていた。
自分を脱ぎ捨て、全てを見られるような感覚に酔う暇も無く、変わるんだという一心でとにかく走り回った。
それがストレス発散になるのかも分からない。だけど、切欠になればいい。


女子A「ちょ、ちょっと、今のって……下着よね?」

女子B「や、やだ、なんか臭う……、素で臭い!?」

女子C「さっきの走っていった娘、まさか>>449しながら走ってる!?」

波紋呼吸

女子C「さっきの走っていった娘、まさか波紋呼吸しながら走ってる!?」

 恋 「……すぅぅぅ……はぁぁぁぁ……」

女子A「そ、それって……まさか延々と駆け回れる能力!?」

女子B「違うといえば違うけれど、合っている気がしないでもないよねー」

女子C「でもそれと臭いと関係が……さては、口臭!?」

女子達「「そういうの、女子としてどうなのかなー」」


 まさか自分の臭い、主に口臭が酷いとか話されているなんて当然気付かず、
ただただ校内を駆け回る事一時間、全く疲れを知らない状態の私は、それでもまだ走りたいと意気揚々であった。
しかし流石に、校内全体に知れ渡っては先生にまで知られた状態で、疾走を続けるのは難しかった。


先生A「こぉらぁぁあ、そこの生徒、なんで下着姿で走り回ってるぅぅ!!」

先生B「ほんとザマス、って、無視して屋上へ逃げたザマス!!」

先生C「他の先生も呼んで、屋上を封鎖するようにします!!」

一美 「……なんか、凄いマズイ事になってない?」

小夜 「マズイなんてモノじゃない、このままだと……停学モノよ」

一美 「ど、どうするのさ、そんな事になったら!」

小夜 「元を言えば貴女が……いえ、もういいわ。……きっと私のせいだもの」

小夜 「私が、真綿で貴女を殴らなければ、恋はこんな暴挙に出なかったわ……」

一美 「……そんな事ないよ。とにかく、今は恋を止めないと!!


 恋 「屋上、まで……来ちゃった……」

 恋 「……全力で走って、風を浴びて……気持ちいい……」

先生達「こぉらぁぁぁ、屋上の扉を開けなさいッ!!」 ドンドン

 恋 「……逃げられないよぉ! 助けて、だれかぁ!!」


 恋 「あ、そうだ。ココは屋上。逃げられないなら>>451しちゃおう」

自殺

 恋 「あ、そうだ。ココは屋上。逃げられないなら自殺しちゃおう」

 恋 「……うん、もう、戻れない。戻れないなら進むだけ。……その道に逝くだけ」


 手すりが異様に冷たく感じた。その冷ややかな感覚を味わった途端、吹き抜ける風が異様に冷たく感じ出す。
頬から汗が流れ落ちる。下着も、汗を吸い取ってしまったせいか、ひんやりとしてしまっていた。
冷たい、そして、見下ろすその地面が余りにも遠く深く、そして凍えた世界に見えてしまう。


 恋 「エロゲなら、こういう時割りと本当に飛び降りたりするけれど……」

 恋 「……この世界は現実。不思議な事が起こって、助かったりなんてありはしない」

 恋 「怖い……凄く怖い……。けど、もう、後戻りは出来ないよ……」


 手すりを跨いでみる。その瞬間強い風が吹き、バランスを崩してしまう。
それがいけなかった。それは飛び降りるようによろめいては、手すりにしがみ付く形になってしまう。


 恋 「……ッ! こ、こんな事ってぇ……!!」

 恋 (両手の力を緩めれば、落ちる……。死んでしまう……。ぐちゃって、私が潰れちゃう!!)

 恋 (死ぬしかないって思った……。けど、やっぱり……死にたくない……!!)


 両手が次第にだるくなっていき、少しでも意識を放せば真っ逆さまに落ちてしまう。それが更に恐怖を呼んでしまう。
屋上の扉は私がロックした為開かない。それは、合鍵でも外せない。何故なら、それは鉄パイプで扉を固定してしまったからだ。

 助けは来ない。このまま落ちてしまうしかない。でも最後に、皆の顔を思い浮かべてしまう。
美樹ちゃんや詩乃先輩、瑞希先輩は、私が無理を言って部に入ってくれた仲間だ。
そして、小夜は私の我侭を聞いて、私に協力してくれた。そして、一美だって私の傍に戻ってきてくれたのだ。

 恋 「そうだ……これからって言う時に……やっぱり」

 恋 「死にたく……ないよ……!」


 落ちるって、こんな感覚なんだ。絶望の後に待っていたのは無。もう、考えるのを止めてしまっていた。
すぅっと落ちていっているのに、もう怖くない。いいや、何も感じられず、何も想えない。
ただ、最後に思い浮かべたのは、部の、私の友達となってくれた皆の笑顔で――。


 ―― 数日後。

 学園祭が開かれる事になったのだが、芸夢製作部は一連の事件後、>>453となっている。

英雄的存在

 学園祭が開かれる事になったのだが、芸夢製作部は一連の事件後、英雄的存在となっている。
狩野恋と呼ばれる少女が下着姿で一時間以上も校内を全力で駆け回り、そして屋上に立て篭もり。
挙句に、飛び降りを慣行。それは自殺とも一部では囁かれていたようだが、今では一切そんな噂は無く……。

 この件は、我々新聞部でも追求出来ない異様な出来事であり、不可思議である。
しかし、結果的に黒猫が助かったのは事実であり、狩野恋及びそのメンバーは英雄として酷杉学園女子高に君臨する事となる――。


 恋 「だってさぁ~、あははっ」

小夜 「だってさぁ~じゃない! 結局二人羽織によるゲーム発表会は出来なくなったのよ?」

 恋 「でも、部は何とか存続を許されたんでしょう?」

小夜 「そうだけれど……校長を説得するには骨が折れたわ」

 恋 「前から思っていたんだけど、小夜ってどうして校長と仲が良いの?」

小夜 「うぐっ……。それは、二期があれば語ってあげなくもないわ」

 恋 「二期ってアニメじゃないんだし、あはは!」

小夜 「……ったく」


小夜 (飛び降りようとしている恋を見かけた時は、流石に肝を冷やしたけれど……)

小夜 (有り得ないわ。布一枚だけ部員の皆で広げて、そして助かるなんて)

小夜 (波紋呼吸していたって噂もあったけれど。それに、詩乃先輩や瑞希先輩はなんか落ち着いていたし)

小夜 (そして、恋が飛び降りてきた傍の木に黒猫が居て、下りられなくて困っていたそれを掴んで逃すなんて)

小夜 (あの二人、こうなる事を予見していたんじゃ……。いやいや、まさかね)

 恋 「どうしたの小夜ぉ、怖い顔してだんまりで」

小夜 「……恋、もしかして貴女ってちょっとした能力者だったりしない?」


 恋 「あははは、またまた~~。……実は、>>457

実は悪魔だった一美が助けにきていた

 恋 「あははは、またまた~~。……実は、実は悪魔だった一美が助けにきていたり」

小夜 「面白い冗談だわ」

 恋 「そう、一美は実は悪魔界でもAランクの上位悪魔だったのだー!!」

小夜 「……ってエロゲでも作りたい訳?」

 恋 「……思うんだ、エロゲは大好き。私に切欠を与えてくれたから」

 恋 「でも、この世界も割りとエロゲーだよねって!!」

小夜 「この私でも、ちょっと意味が分からないわね……。それより、待ち合わせ時刻は過ぎているけれど」

 恋 「んー、遅いなぁ……って、来た来た!!」

 愛 「お待たせー、お姉ちゃんっ!! それに小夜さんもこんにちは!!」

小夜 「え、ええ、こんにちは」

小夜 (変ね、ちょっと前までこの妹ちゃん、人前で恋の事をお姉ちゃんと呼ばなかったのに)

 愛 「お姉ちゃん、何処回ってくれるの?」

 恋 「そうだなぁ……、私の部の出し物は中止になっちゃったからぁ……」

小夜 (恋も、数日で随分変わってしまった。……もし、もしも、能力や不思議が本当にあって、それで恋がこうして居られるのなら……)

小夜 「ふ、ふふふふ、面白い、面白いわ世界ッッ!! ならば私が世界の闇を暴いてみせるわ!!」

 恋 「……小夜が壊れた。ってことで、皆に先に妹を紹介しないとね! 愛、行こう!?」

 愛 「ちょ、ちょっと待ってよお姉ちゃん!!」


 ―― 酷杉学園女子高等学校学園祭。通称酷杉カーニバルは、今年も盛大に行われていた。
グラウンドには一杯の露店、そして中央の特設会場では、軽音部が活動を行っている。
それらを通り過ぎ、皆の待ち合わせ場所に行くと、皆は妙な事を行って暇を潰しているのだった。

 
 愛 (……あれが、お姉ちゃん達の部の人達? なんか>>460しているんだけど……)

カバディ

 愛 (……あれが、お姉ちゃん達の部の人達? なんかカバディしているんだけど……)

詩乃 「カバディカバディカバディ」

瑞希 「か~ばでぃ~っ!!」

美樹 「ふえぇぇ、脚が痛くなってきましたぁ~」

一美 「ぜ、絶対変だよ、これ絶対変だよっ!?」

 恋 「みんなっ、妹を連れてきたよぉ!!」

 愛 (……うん、ちょっとこれは無理!)

 恋 「ほら、愛、自己紹介! ……って、どうしたの、ちょっと引いてる?」

 愛 「引くでしょフツー!! っていうか……お姉ちゃんも変わりすぎてちょっと気持ち悪いって思ってるくらいなのに」

 恋 「えぇ、そうかな? 私は……私だよ?」 にこり

 愛 (いや、だからその笑顔が地味に怖いんだってばぁ……)

小夜 (愛ちゃんは割りと普通なのね。やはり変なのは恋を中心とした皆……?)

小夜 (……疑い過ぎなのかしら、私)

黒猫 「……この世界は表裏一体。そして貴女の考えもまた、ある意味では正しい……」

小夜 「……って、今誰か喋った!?」

黒猫 「みゃぁ」

小夜 「なんだ、ブラブラじゃない。……そうよね、猫が喋る訳が……。……なんだか疲れてきたわ」

 恋 「ほぉら、早く自己紹介するの!」

 愛 「あうぅ……えと、妹の狩野愛、です……」


 そうして、私が妹を紹介すると皆は近くで小物を見るように彼女に迫り、じっと眺めるのだが、
ふと小夜の様子が変だと気付いた私は、彼女の方へ振り向いた。小夜は黒猫のブラブラを抱えて、何か妙に疲れた顔をしているのである。

 折角の学園祭なのだから、もう少し元気を出して貰おうと、私は……>>462

模擬店のから揚げその他を買いあさって出した。

 折角の学園祭なのだから、もう少し元気を出して貰おうと、私は……模擬店のから揚げその他を買いあさって出した。
戸惑う小夜に、私は微笑みかける。そんなつまらない顔をしていたら、今日は台無しになるよって。


小夜 (恋の気持ちはちょっと分かるけど、なんで揚げ物だらけ?)

小夜 (でも、こうしてズレているのも恋らしいし……。……やっぱり考え過ぎね、私)

 恋 「ほぉら、小夜も一緒に学園祭、楽しも?」

小夜 「ええ、そうするわ。……って、最近恋がエロゲーのヒロインに見えてきたんだけど」

 恋 「ま~じでっ!? やったね私! もう直ぐフラグが立ってエッチな目に……きゃぁぁ~~~っ!!」

小夜 「……根本ではやっぱり変わってないわね、この娘」

詩乃 「貴女も妙な事を考えてないで、恋に従えばいい」

瑞希 「そうですよぉ~、折角の酷杉カーニバルですものぉ~」

小夜 「妖精と魔女に言われても……」

詩乃 「私を魔女と認めるとは、貴女割と優秀」

瑞希 「ふふふ、四季を告げる妖精として私も認めてくれるのね?」

小夜 「そういう意味で言ったんじゃないんですけどね」

美樹 「どうしたんですかぁ、皆さんで話し込んで」

一美 「ほら、恋ったら愛を引っ張って先に行っちゃったよ?」

 恋 「えへへへへへぇ~、どんどん行くよぉぉぉ~~!」

 愛 「だ、だから、引っ張らないでってばぁ!!」


小夜 (そうだ……。妙な事があったから、不思議な事がこの世界にあるなんて、どうでもいいじゃない)

小夜 (こうして、皆で集まって、恋も以前より明るくなって……、私はそれだけで満足なのだから)

小夜 (だから今は、恋と、皆と一緒に学園祭、楽しもう……!)

小夜 「……私も、今行くわ!」


~~~~ 芸夢製作部活動日誌 後編  おしまい

えー、という訳で三部作のつもりで以上で終わりますー。
次回は安価で何か考えたいと思います。

割と安価次第で[ピーーー]気で居た……なんてのは秘密です。
ともあれ、皆様ありがとうございましたー。

あーもうsaga無しだとぴーになるのがめんどっちいいい

【10/07 (月) 00:17時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/12 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 安価次第で新しい短編もの。或いはまさかの二期


ネタが基本ないのです。そして響ちゃん68歳でもう直ぐ別府ちゃんにぐへへへ。

えー、唐突で申し訳ないのですが、安価で今回どっちにするか決めましょうーって事で、
どちらか一つお選び下さい。>>469

1:芸夢製作部活動日誌 二年生編  ※まぁ安定はすると思います。多分

2:いいや新しくなんかすべき      ※何も考えていないんで、何か付け添えて下さい。

2

幻のきれいな蝶を求めてみたいな冒険ロマンがいいです。

な、何か添えてって言ったじゃないですかやだー!

一応>>469さんに権利はありますけれど、>>471に乗っかっていいのかな。
でも冒険モノで短編で纏めるの難しいよね! ちょっと色々混ぜていけたらと思います。


ふと思ったんですけど、この板ってオリジナル物の人気ってあんまりないんですかねぇ?


 一人の少女が草原を駆け回っている。その姿を、もう一人の少年が面倒そうな面持ちで眺めている。
そよ風が靡く中、髪を揺らし草原を駆け回る少女は、少年に手を上げて声を掛ける。

彩菜 「ほぉら、遊ぼうよぉ~!!」

良人 「やーだよ、面倒くさいもん」

彩菜 「なんでよぉ、ほら、ちょうちょがいっぱいだよ? 一緒にあそぼ!?」

良人 「だからそれが面倒くさいんだってば!」

 男の子はやはりその誘いを断り、ただ雲が流れるだけの空を眺めていた。
それに不貞腐れた女の子は、ぷいと彼から視線を外し、蝶だけを眺めるのだ。

良人 「…………はぁ」

 男の子は親に叱られて、そうして逃げるようにこの場所へ来た。すると、馴染みの一人である夏川彩菜が居たのである。
彼女は彼が来る事を期待してこの場所に先回りしていたものの、白石良人が遊んでくれないからと、一人拗ねてしまう。

彩菜 「いいもん、一人で遊ぶから……」

彩菜 (せっかく、一緒にあそぼって思ってたのに……。あそびたいなぁ……)

彩菜 (でも、りょうくん、今日も何かあったみたいだし……怒られちゃったのかな?)

 蝶を追い掛け回すのにも飽きた彩菜は、ふと良人の方へ振り返るのだが、彼女の淡い期待はやはり薄れていってしまう。
遊んでくれない。そんな想いが次第に彼女の中で燻り、次第にそれは事件を起こす事になる。

彩菜 「あ、あれって……!」

彩菜 (見た事の無いちょうちょ……! これを捕まえれば、りょうくんももしかしたら……!)

 彼女のその行動が、>>475という扉を開いてしまうのである。

魔界開放

 彼女のその行動が、魔界開放という扉を開いてしまうのである。
悪魔の世界、または邪悪な世界、例えるならばいくらでも言い様があるであろう、別次元の存在。
それは、蝶を追いかけていった彩菜毎飲み込んでいってしまうのである。

良人 「……い、今のって……!」

良人 (嘘だろ、いきなり扉みたいなのが出てきて、蝶と一緒に彩菜を飲み込んだ!?)

良人 「と、とにかく……、親に、知らせないと……!!」

 しかし、その扉の吸引力は某掃除機をも遥かに凌ぎ、辺りの枯れ草毎少年すら飲み込もうとする。
その開いた扉から覗くブラックホールのような空間に、良人は恐れ慄き、逃れようとするのだが……。

良人 (だ、ダメだ、飲み込まれるッ!!)

良人 (も、もう……ダメ、だぁ……!!)


 ―― そこは、死後の世界ではないのか。少年は呟いた。死んだらきっとこんな場所に来るんじゃないのかと。
ただそこが、俗に言う魔界と呼ばれる場所とは、当時思い知らなかった少年は、少女とはぐれ、そして孤立する。

良人 「……お腹、空いたな……」

良人 (死んでもお腹が空くなんて、凄いや。……って暢気に構えてる場合じゃないのかも)

良人 (彩菜は……アイツは、何処へ行ったんだ……?)


良人 (って、なんか近くの花畑で、>>477してる女の子がいる……)

死神鎌で草刈り

良人 (って、なんか近くの花畑で、死神鎌で草刈りしてる女の子がいる……)

良人 (でもなんであの鎌が死神の鎌だって分かるんだろ、俺)

女の子 「ふんふふ~んふんふん~……ふんっ、ふんっっ!!)

良人 (う、うわ、金髪で綺麗な女の子だと思ったら、いきなり鎌をぶん回し始めた!?)

良人 (ヤバイ、逃げないと……。じゃないと、死んだのにまた殺されて……あれ、それでどうなるんだろ)

良人 (いいから逃げないと……) ザッ

女の子 「……気配?」

良人 (し、しまった! 雑草の音で気付かれた!? って、五メートルくらい離れてるのに分かるのか!?)

女の子 「……ふんふん」

良人 (あわわわ、近づいてくる、こっちに寄って来るぅぅ……!!)

女の子「……ふぅん、迷い人なんだ。それにしてもちっこいわね」

良人 (あわわわ、なんか分からない言葉で話しかけてきて……って、あれ、言葉が分かる?)

女の子 「というか、そこまで怖がる事ないでしょ? あ、でも迷い人なら……この鎌が怖かったりするのかしら」

女の子 「とりあえず、アナタ困ってるんでしょ? 見た感じ……お腹を空かせてるわね?」

良人 「へ!? そそそ、そんな事ないよ!!」 ぐぅぅ~

女の子 「なぁんだ、やっぱりお腹を空かせてるんじゃない。……死神特製の>>481、食べる?」

幼女の処女膜ごはん

女の子 「なぁんだ、やっぱりお腹を空かせてるんじゃない。……死神特製の幼女の処女膜ごはん、食べる?」

良人 「断っておくけど、一応俺、小学三年生の設定なんだけど」

女の子 「随分メタ発言してくれるわね。で、食べるの? 食べないの?」

良人 「で、それってどんな食べ物で……?」

女の子 「……ふっ、その処女膜とは、実は私のよっ!! それを和え物にしてみたの。これが今日のランチ」

良人 (よ、よく分からないけど、そんなの食べちゃダメだ……食べちゃ)

良人 (でも、出された箱に入ってる食べ物、どう見てもケチャップと春巻きの皮を混ぜたように見える……)

良人 (一口くらいなら……いいかな……)

女の子 「ほぉら、食べるのか食べないのか、どっちなのよ!」

良人 「わ、分かった、食べる、食べるよ……」 パクッ

女の子 「……食べたわね?」

女の子 (これでこの迷い人と私の契約は成った)

女の子 (後は私の血と膜が彼の中で広がり、そして支配するのを待つだけ……)

女の子 (フフフフ、ついに、ついに私にも僕が出来るのよ、ついにペットが出来るんだわっ!!)

良人 「……食べたけど、に、苦いね、これ」

女の子 (あ、あれあれ!? おかしいわ、私の血と膜を啜った者は大抵>>483になるハズなのに!)

幽霊

女の子 (あ、あれあれ!? おかしいわ、私の血と膜を啜った者は大抵幽霊になるハズなのに!)

女の子 (これじゃ、折角の幽霊ペット化計画が台無しじゃない! ……まぁ出会ったのも偶然なのだけど) ジロジロ

良人 「あ、あの、なんで俺の事じろじろ見るのさ……」

女の子 (この迷い人、もしかしたら普通の迷い人じゃない……? 現からやって来た低レベルの俗人のクセに?)

女の子 (……少し、様子を見たほうが良いかもしれないわね。誰にも知られないよう匿える場所と言えば……)

女の子 「ちょっと案内したい場所があるの。付いていらっしゃい」


 少年、白石良人はそうして、金髪少女に連れられる事になる。右も左も分からない彼は、彼女に従う他無かったのだ。
しかし所詮はまだまだ子供、少し歩けば直ぐ疲れたと嘆く年頃。急に岩山を昇らされては当然喚くのである。

良人 「ちょ、ちょっとぉ、もう疲れたよぉ!!」

女の子 「何を言っているのよ迷い人。って、アナタ確か名前はリョウトだっけ?」

良人 「そ、そうだよ。というか休ませてよぉ!」

アリン 「ちなみに私の名はアリン。アリン・ル・ブラリュエール・ワードルード・三世よ」

良人 「……ありんるーぶらさんせい?」

アリン 「アリンでいいから!! し、死神だから何代目かを名乗る必要があるだけなのよ!!」

良人 「しにがみ、かぁ……。で、しにがみってなに?」

アリン 「そ、そんな事も知らないの!? 死神と言ったら現でも有名な話でしょう!?」


アリン 「そう、死神とは>>486を行う職業の者を指すのよ?」

罪人をカマキリに変える仕事

アリン 「そう、死神とは罪人をカマキリに変える仕事を行う職業の者を指すのよ?」

良人 「なんでカマキリ? ちなみにメタ発言すると、昆虫ニガテだから余り物語に出したくないとか言ってるんだけど」

アリン 「そんな事で怯んでるようじゃ、とても私の存在を書ききれないわね! 愚民にも程があるわ!!」

良人 「で、なんでカマキリ?」

アリン 「……私の趣味……じゃなくて、可愛いからよ!?」

良人 「どっちも同じような意味だよね、それ」

アリン 「と、とにかく! もう少しで到着するんだから、頑張って歩きなさい!!」

良人 「でも、疲れたよぉ。アリンはふわふわ浮いてるから疲れないだけだろぉ!?」

アリン 「こう見えても浮くのは意外と疲れるのよ。死神である私だからこそラクラクなだけね。フフン」

良人 (見た目はどう見ても同い年かちょっと上くらいの子なのに……)

良人 (妙にオトナぶって……なんかムカつくなぁ……)

良人 (でも、とりあえず彼女に従わないと、どうすればいいのかさっぱり分からないし……)

良人 (そもそも、迷い人ってなんだろう。俺、死んだハズなのに……)


 そうして、荒れた岩肌をひたすら歩き、崖のような場所を登り、ぐうの音を上げる少年にアリンは様々な言葉を掛けては目的地へと導く。
その場所は、その岩山の頂上にあった。古城と思われるような場所だが、人が住まうには広すぎる敷地を誇る城でもあった。

アリン 「着いたわ! 私の別荘!!」

良人 「で、どうして俺をこんなトコに連れ込んだの……?」

アリン 「リョウト、アナタは普通の迷い人じゃないのかもしれない。だから一先ずここに隠れてて貰うの」

アリン (ついでに、>>489とかして実験してみるんだけどね。にしし)

異世界のものを食べさせたり

アリン (ついでに、異世界のものを食べさせたりとかして実験してみるんだけどね。にしし)

アリン (この魔界とは違う世界の……昆虫がいいわ! 昆虫を普通に料理して食べさせましょう)

アリン (そうと決まれば行動! ただ、面倒なのはわざわざ面倒を見ないといけないコトよねぇ……)

アリン (でも仕方ないわ。もしかするとこの迷い人は、私にとって重大な片腕になるかもしれないのだから) フフフ

良人 「……なんか、ぶつぶつ言って一人で笑ってる……」

良人 「俺、どうなるんだろう……。死んでも辛い思いをするのはやだなぁ……」



 ―― 蝶。現の者はニジイロチョウとも呼んでいるそれは、この世界では死を呼ぶ蝶とも呼ばれている。
その事を知った少女は、この世界でもその蝶が存在することを喜び、そして少年を想うのだ。

 その少女は、海原に居た。海原に浮かぶ箱舟、それに乗り、隣に並ぶ男の話を聞いている。
少女はその話をある程度は頭に入れて、ある程度は聞き流し、時折少年のことを思い浮かべるのだ。

ヴェルド「今回の作戦は、我々の住まう世界の核心に迫るものでもある」

ヴェルド「その為に今回の調査隊を編成した。だが、そうなったのも一年前、キミが我々の住まう都に現れたからだ」

彩菜 「…………」

ヴェルド「キミには力がある。我々をまるで庇ってくれるかのような、何もかもを打ち消す不思議な光。それを放つことが出来るのはキミだけである」

ヴェルド「……しかしとんでもないチート能力だ。キミはそれを本当に何処で身につけたのか」

彩菜 「……良人ぉ……」

ヴェルド「……人の話、聞いてくれていないな?」


 魔界と呼ばれた世界の核心、そこへ夏川彩菜と、そして甲冑を纏った騎士とも呼べる風貌の男、
そしてその部下達と共に向かう事になったのは、彼女が不思議な力を見せたのと、そしてニジイロチョウという名を口にした出来事にあった。


ヴェルド(伝承に依れば……、迷い人が聖女となりし日、蝶が羽ばたき、そしてこの世に世界を照らすだろうとされている)

ヴェルド(私の予感が的中するのならば、彼女こそ聖女。そして彼女の存在がこの世界の闇である>>491を払拭してくれるであろう)

アリン

ヴェルド(私の予感が的中するのならば、彼女こそ聖女。そして彼女の存在がこの世界の闇であるアリンを払拭してくれるであろう)

ヴェルド(この世界、リィンベルが開拓されていないのは、全て死神のせい……)

彩菜 「……あの、ヴェルドさん」

ヴェルド「……どうしたのかな、サナ」

彩菜 「……良人の声が聞こえるんです。……あっちの方角から」

ヴェルド「ではそちらに舵を取ろう。……地図では未開拓な場所であったが、どのような邪が潜んでいるか……」


 この世界に少年、そして少女が舞い降りて一年が過ぎた。その一年は短いようで、それでいてやはり長く、
良人は随分髪が伸びた為、古城に住まう数百匹の一匹のカマキリによって、髪の手入れを頼んでいるのであった。

良人 「うん、うん、上手いじゃないか、マンティス一号」

カマキリ「ぴきー、ぴきー!!」

良人 「え、それ程でもないって? ハハハ、よく言うよ!」

良人 (でもカマキリって、ぴきーって鳴かないよなぁ。……でもなんで言葉が分かるようになったんだろう。

良人 (それもこれも、全てアリンのゲテモノ料理のせいなのかもしれない……)

アリン 「……何よぉ、人の顔じろじろと見て。……もしかして、欲情してるの!?」

良人 (アリンもアリンで、カマキリ帝国なんて作っちゃってるし、下の存在を昆虫に変えるんだーとか言ってるしで……)

アリン 「し、仕方ないわね、いくら迷い人とはいえ、欲情はするものだし、わ、私がその、処理を……」

良人 (……どうすれば俺、元の世界に帰れるんだろうなぁ)

アリン 「そ、それじゃ……わ、私から脱ぐから……わ、私のを見て、アナタもしなさい!?」

良人 「……あれ、アリンったらどうしてドレス脱いで>>493とかしてるの?」

近接戦闘用武装

良人 「……あれ、アリンったらどうしてドレス脱いで近接戦闘用武装とかしてるの?」

アリン 「魔装と呼びなさい! ……性処理はまた今度にしましょう」

良人 「せ、せーしょり?」

アリン 「私達の邪魔をする存在が何十、いや、何百と敷居を跨いできたわ」

アリン 「害虫は駆除しないと。……死神の領域を侵す下の存在は、カマキリ以下の存在に変えてしまわないとね」

良人 「ちょ、ちょっと待って! それって……」

アリン 「リョウトはここで待っていて。直ぐに帰ってくるから。……その後、性処理してあげるわね」

良人 「だ、だからせーしょりって何……って、行っちゃったし」

良人 「仕方ない、マンティス達と遊んでおこう……。おいでー、マンティス一号から五百号~」


 死神の領域。荒廃した土地。しかしそこに住まう下の存在は多く、大体は死神の奴隷として扱われる存在。
そして、死神の存在もまた一人だけでは無く、数人存在するのだが、アリンにはそういった奴隷は持たない。
だが、その力だけは他の死神達をも遥かに凌ぐ彼女が、何故奴隷や部下を持てないのか。それは昆虫好きが祟っていた。

アリン 「大体、何で昆虫好きな死神がゲテモノ扱いされなきゃならないのよ」

アリン 「……って事で、他の死神は一先ず静観するつもりみたいね。……なんで私だけが一人気張らないといけないんだか」

アリン 「でも、リョウトは渡さない。誰にも……絶対に……!!」


 アリンがその領域を侵した存在の真上に辿り着いたのは数刻後の事であった。世界を照らす光は消え、闇が包んでいる。
それを、下の存在と呼ばれる人間達が、篝火によってアリンの存在を確認するのである。

ヴェルド「……最悪な結果かもしれん。いきなり死神と……。それを統べる最高位の死神と出くわすとは」

彩菜 「……あれが、死神?」

ヴェルド「ああ、そうだ。……第一陣、詠唱構え! ……全て打ちつくし、灰と化せ!!」

 ヴェルドの号令により第一陣と呼ばれる魔導師達が揃って陣の前列に並び、遠距離用の魔法の詠唱に入る。
それを上空で見下ろすアリンは、僅かに微笑んで思うのだ。


アリン (あの下の存在を……カマキリ以下の>>496に変えて、リョウトに食べて貰いましょう)

ちりめんじゃこ

アリン (あの下の存在を……カマキリ以下のちりめんじゃこに変えて、リョウトに食べて貰いましょう)

アリン 「そうと決まれば……腕が鳴るわねッ!!」


 アリンの一撃、それは鎌を振るう訳でもなく、ただ闇を覆った手を薙ぎ払うようにしては、雨のように降り注ぐ。
それを帯びた者は途端、ちりめんじゃこと化し、ただの人間と死神との圧倒的過ぎる差をヴェルドに知らしめるのだった。

ヴェルド(あ、あり得ん! 闇を纏うとは聞いていたが、それを雨のように降らせ……)

ヴェルド(それを浴びれば途端、ちりめんじゃこに化すだと!?)

ヴェルド「ぐぅ……やはり、世界の闇は我々では暴けんという事かッ!!」

彩菜 「ヴェルドさん、他の生き残った人達を後退させて下さい」

ヴェルド「しかし、サナ。いくら聖女とはいえ、キミ一人だけではとても……!」

彩菜 「私には力があります。……ニジイロチョウを見つけ出す為にも、どうか今は……」

ヴェルド「う、うむ……。全軍、一時後退せよ!!」

彩菜 (私はこの世界に迷い込む際、蝶を掴み取った……)

彩菜 (そのせいで、魔界と呼ばれる異界の門が開き、私は迷い込んでしまった……)

彩菜 (その蝶を掴み取ったせいなのか、私には打ち消す光、なんて力が備わった……)

彩菜 (その力と……ニジイロチョウ、どう繋がるのか分からないけれど……)

アリン 「……一人、女が前に……って、子供ね」

アリン (でも妙だわ。あの娘だけ妙に輝きを放っていて……、見ていると、気持ちが悪い……!)

彩菜 「必ず……必ず、良クンのトコロへ、帰るんだからぁぁぁ!!」

アリン (なっ、いきなり光を放って……!? これでは、私が>>501となってしまう!)

ただの人

アリン (なっ、いきなり光を放って……!? これでは、私がただの人となってしまう!)

アリン (あの光は危険……あの女も危険……! でも、今はこの光から逃れないと……!!)

ヴェルド「む……、死神が退いたのか!?」

彩菜 「……みたいです」

ヴェルド「しかし、アレほどの強い光を放ち、キミの身体は大丈夫なのか?」

彩菜 「い、今の所は……はぁ、はぁ、大丈夫、です……」

ヴェルド「顔色が随分悪いようだが。……今回はどうやら退くしかないようだな」

彩菜 「で、でも、この先に進めば、もしかすればニジイロチョウが……!」

ヴェルド「伝承、所詮掴めぬものに無理を推す必要は無い。部隊を再編の後、またこの地に乗り込めば良いだけ」

彩菜 「そ、そんな……」

ヴェルド「全軍、撤退。この地を離れるぞ!!」


 ―― 古城。そこでアリンは随分と疲労し、浮くことすら容易な事では無くなってしまっていた。
魔装、それも光によって剥げた形になり、ほぼ半裸の状態で彼女は自分を待つ人の場所へと戻っていく。

良人 「アハハハ、もう、マンティス達ったら、ヘンなトコいじったらだめだよ!」

アリン 「ひ、人が死ぬ思いをして帰ってきたと思えば、リョウトがカマキリと>>503してる!?」

ジェンガ

アリン 「ひ、人が死ぬ思いをして帰ってきたと思えば、リョウトがカマキリとジェンガしてる!?」

良人 「ほらぁ、ヘンなトコ弄るからジェンガが崩れちゃったじゃないかぁ」

カマキリ「ぴきぃ……」

アリン 「リョウト……アナタねぇ……!」

良人 「あれ、アリン、帰ってきて……って、どうしたの、その身体!!」

アリン 「ちょっと、不意を突かれて……ね」

良人 「あちこちぼろぼろじゃないか! 火傷のようなキズもあるし!!」

アリン 「だ、大丈夫よ、これくらい……。死神の自然治癒力、舐めちゃいけないわ……痛っ」

良人 「だ、ダメだよ。ほら……横になって。……この服も脱がせた方がいいのかな?」

アリン 「え、ぬ、脱がせるって!?」

良人 「だってボロボロだし、ベッドでその格好じゃ寝苦しくない?」

アリン 「そそそ、それは、そうなんだけど……!!」

アリン (脱がされる? リョウトに!?)

アリン (そ、そう思うだけで胸が熱くって、妙に……身体が疼いて……なに、これ……)

良人 「それじゃ、脱がせるよ? 痛かったら言って」

アリン (りょ、リョウトに触れられるだけで……やだ、私……>>506したくなっちゃうよぉ!)

コサックダンス

アリン (りょ、リョウトに触れられるだけで……やだ、私……コサックダンスしたくなっちゃうよぉ!)

良人 「……突然起き上がって、どうしたの?」

アリン 「……ふっはっふっはっ!」

良人 「……なんで踊ってるの?」

アリン 「踊らないといけない気がしたの!!」

アリン (な、なんか違うような……。で、でも、妙に胸が痛くて、踊らないとやってられないくらいで……)

アリン (と、とにかく……こうして踊ってれば、この妙な感覚も……)

良人 「……全裸で踊ってたら、風邪ひいちゃうよ?」

アリン (やっぱり恥ずかしいっ!?)


 そうして、また歳月が流れ過ぎる事になる。古城ではカマキリが更に増殖し、マンティス千号までが闊歩するようになっていた。
それだけでは飽き足らず、アリンが良人を楽しませる為に次々と昆虫を持ち込んでくるのだが、
別の死神がとある情報を彼女達に教える為に、古城を訪れた際、その奇妙な光景に絶句するのであった。


ゼーレ 「……昆虫だらけ?」

ゼーレ (死神の全てを凌ぐ存在、アリン。でもその中がこうもゲテモノ好き)

ゼーレ 「これでは当然、人気も出る訳がない……」

アリン 「ず、随分な言い草ねゼーレ・フォン・ウェンツベルグ!!」

ゼーレ 「折角、アナタに頼まれた情報を調べていたというのにその言い草は酷い」

アリン 「……ニジイロチョウの噂、分かったの?」

ゼーレ 「ニジイロチョウ、私達の中では死を呼ぶ蝶とも呼ばれる、死神に類する存在。それ……実は>>509

ドラゴンボールのシェンロン的存在

ゼーレ 「ニジイロチョウ、私達の中では死を呼ぶ蝶とも呼ばれる、死神に類する存在。それ……実はドラゴンボールのシェンロン的存在」

アリン 「ちょっと意味が分からないんだけど。というか現の話はやめなさい!」

ゼーレ 「へぇ。……アリンはどうやらあの迷い人に夢中の様子で」

アリン 「う、うるさいわね! アイツとはもう付き合いも長いし、弟みたいで可愛がってるだけで……!」

ゼーレ 「それを元の世界に戻してあげる方法、それがニジイロチョウかもしれない。……と言って頭を下げてきたのはアナタ」

ゼーレ 「他の死神に無駄に関わろうとしなかったアナタが、どうして私にそんな話を持ち込んだか分からなかった。けど」

ゼーレ 「……これは、面白い話……くすくす」

アリン 「だ、だからぁ! ……で、実際何な訳?」

ゼーレ 「そもそも、死を呼ぶ蝶の存在は、古の言い伝えにしか残っていないってレベルの存在」

ゼーレ 「ただ、それを掴み取った存在は……、ひとつ、願いを叶える事が出来る」

アリン 「……うーん、ゼーレ、アナタがちょっと考えて。私にはさっぱりだわ!」

ゼーレ 「要するに……、迷い人は、蝶を掴んでこの世界に来たかった。と考えるのが妥当……」

アリン 「でも、リョウトは扉に吸い込まれてって言っていたわ。……あと、もう一人この世界に同時期に迷い込んだ存在が居る筈なの」

ゼーレ 「それなら、下々の築く国で聖女をしているハズ。……既に一度この地に乗り込んできた、あの光を放つ化物がそう」

アリン 「……この話、リョウトには黙っていてね。お願い」


ゼーレ (彼女の要求を呑むのは簡単。だけどただ素直に受け容れるんじゃ面白くない……)

ゼーレ (だからここは、>>512を交換条件として持ちかけてみよう)

現の世界への我々の移住

ゼーレ (だからここは、現の世界への我々の移住を交換条件として持ちかけてみよう)

ゼーレ 「という訳でここは一つ」

アリン 「何がという訳よ! 現へ私達が移住!? 何で!?」

ゼーレ 「この世界に歪が生まれだしたのは、二年前。……そう、迷い人が二人送り込まれたその時から」

ゼーレ 「あちこちで天災が起こり、大地は割れ、一部は海が干上がり、そして私の統べる土地も……完全に枯れた」

アリン 「ゼーレが統べていた土地って、緑が随分豊かだった筈だけど……。それが、枯れた?」

ゼーレ 「最早その土地は放棄して、私は今流浪の死神……。……ちょっとこれカッコいいかも」

アリン 「そういうどうでもいい格好付けはいいから。……じゃあ、それもこれも、リョウト達のせいで……?」

ゼーレ 「でもそれも、所謂運命なのかもしれない。……だから、私達がいっそ現で暮らすの」

アリン 「……私は、その取引に応じるのは……」

ゼーレ 「ならば、壊れた世界でリョウトという存在と一緒に暮らせばいい。……私は探すから」

アリン 「……ニジイロチョウを?」

ゼーレ 「死神の大地と呼ばれる広大なこの辺りに、それも近くに居るんじゃないかって私は思うから」

アリン 「……ま、待ちなさいよ!」

 アリンは逡巡していた。ゼーレの言う話が本当ならば、この世界は終焉を迎え出したという事になる。
ならば、自分達が生きる為には現への移住、ゼーレの話は割と的を得ているのではないか。
しかし、そんな事が出来るのか。そして何より、リョウトとの古城暮らしが終わりを告げるのではないか。アリンは不安で仕方が無かった。

 それでも、ゼーレの肩を掴んでは放さないアリンは、暫く戸惑った後に答えた。

アリン 「……分かった。私も探す。ニジイロチョウを」

ゼーレ 「……そう言ってくれると思ってた。ティルも従ってくれるって」

アリン 「ティル? アナタと双璧を成す死神のあの子も? で、彼女は今何処に?」

ゼーレ 「リョウトを見てみたいって、古城の中に。……今頃二人で>>515しているかもしれない」

ケーキ入刀

ゼーレ 「リョウトを見てみたいって、古城の中に。……今頃二人でケーキ入刀しているかもしれない」

アリン 「ま、まさかの結婚式!? ……させないっ!」

ゼーレ 「あ、魔装モードに。……本気過ぎて笑える……くすくす」


良人 「……あ、あのぉ、ティルさん?」

ティル 「にしし、ウエディングケーキ、オッケー! 純白のドレスもオッケー!!」

良人 「……これは、一体……」

ティル 「うん? 結婚式するんだよー。ケッコンシキ! それくらい知ってるよね?」

良人 「そ、それくらいは知ってるけれど……。何で結婚?」

ティル 「だってそれは……リョウトがイケメンだかぁ……やん、言わないでよぉ、えっち!」

良人 「い、意味が分かんない……!!」

アリン 「ちょっと待てやぁぁぁぁぁぁ!!

ティル 「ちっ、もう少しでケーキ入刀だったのに! ……しかも魔装モードで登場とは」

アリン 「私の力、そしてこの死神の鎌……受けたらアナタでも、流石に痛いわよ?」

ティル 「はいはい、だからってティルものんびりアリンに一番を譲ってた訳じゃないんだよ!」

ティル 「そう、あれは血も涙も枯れるほどのくまちゃんとの修行の日々。クマー一号から千号まで、痛い思いをさせて……」

アリン 「そんな話はどうでも良い!! リョウトから離れなさい!!」

良人 「ま、まぁまぁ、二人ともケンカはやめよう、ね?」

アリン 「リョウトは黙ってて!!」

ティル 「仕方ないなぁ。……ティルも魔装モードになって本気出しちゃうかぁ」


ティル 「ちなみにの二枚の鎌の刃、そして瘴気。これに触れると死神でも>>517しちゃんだよ……ククク」

腰痛が完治

ティル 「ちなみにの二枚の鎌の刃、そして瘴気。これに触れると死神でも腰痛が完治しちゃんだよ……ククク」

アリン 「……しょぼっ」

ティル 「しょぼくないもん!! 凄いんだもん!! ……ついでに血も出ます」

アリン 「全く相変わらず良く分かんない死神よね、アナタって」

ティル 「……割とティルも自分でそう思うのであります」

良人 「そ、それで、この騒ぎは一体……」

アリン 「ティル、ゼーレ、そして私とリョウト。四人で旅に出るのよ! そうと分かったら支度して!」

良人 「た、旅ぃ!? なんでいきなり!?」

アリン 「……ちょっと、探しモノをね」


 ―― 第二次侵攻作戦、ヴェルドが率いるその部隊は、今回も死神の大陸に易々と侵入することは出来た。
しかしその場から、夏川彩菜の姿は消え、ヴェルド達もまた彼女の捜索に回ることになる。

ヴェルド「こんな時に、聖女は勝手に……何処へ行った……!」

兵士A 「でも、この森、妙ですね。死神の瘴気を帯びて枯れているというよりは……」

ヴェルド「うむ。これではまるで、木々が腐って溶けているように見える……」

ヴェルド(各地でこのような現象が見受けられるのも、死神の影響なのか、或いは……)

兵士B 「ほ、報告します! 聖女らしき存在をかの方向で確認したと伝聞が!!」


ヴェルド「……あの方角は、噂では死神でも足を踏み入れない地とされているが、噂が真実ならば……)

ヴェルド(あの地には……>>520が住まうとされている筈)

蝶の魔女

ヴェルド(あの地には……蝶の魔女が住まうとされている筈)

ヴェルド(この世界、この大地、そして死神や人々を生み出した神の如き存在……)

兵士A 「どうしたのですか、ヴェルド様」

ヴェルド「……聖女捜索は打ち切りとする。全軍に伝えよ」

兵士B 「し、しかし! 聖女様を失えば、我々は死神に対抗する力が完全に失われた事に……」

ヴェルド「諦めた訳ではないよ。……この先は私が一人赴こう」

兵士A 「で、ですがそれは危険では……!」

ヴェルド「国に、私の家族に伝えてくれ。私は勇敢に戦って、死んだとな――」


 ―― 不可侵の地、それは死神の大地の中央に位置し、それはまるで死神にその土地を守らせるように作られた場所。
そして、死神達もまたその場所に訪れることも無く、踏み入ることも無く、そして少しでもその場に足を踏み入れることさえ、禁忌とされていた。
その地は然程広くも無く、かといって迷い込んだら最期とも云われる場所。そこへ、夏川彩菜ともう一人の騎士は足を踏み入れる。

彩菜 「……本当に、軍を勝手に抜け出して大丈夫なの、エリス」

エリス 「大丈夫かと言われれば、当然罰せられます。ですけど……リョウトという存在を想うサナを見ていると……」

エリス 「私の心すら締め付けられて、辛いのです。……だからかなり無理をしましたが」

彩菜 「いいえ、ありがとうエリス。……私の側用人だなんて立場になって、辛い思いをしたんじゃ」

エリス 「第一次侵攻作戦。それが失敗に終わり、サナの存在を聞いた私がそのような大任……と思いましたが」

エリス 「今ではサナの事を知れて、そしてサナと共に行動できて、私は武人として誇りに思います」

彩菜 「でも、武人と言う割には魔法の方が得意なんだよね?」

エリス 「ま、まぁ……それは……」

 その地に足を踏み入れることは容易であった。彩菜もエリスと名乗る騎士も、その蝶の魔女が住まう土地を進んでいく。
しかし中腹に向かうにつれて、次第にエリスの足取りが重くなる。それを、彩菜が庇うように彼女を支えていた。

彩菜 (ここの空気……凄い濁り。これでは毒そのもの……)

彩菜 (……私達の世界にある空気に似てる……。……そう、あの>>523の臭いだ……)

生乾きの洗濯物

彩菜 (……私達の世界にある空気に似てる……。……そう、あの生乾きの洗濯物の臭いだ……)

エリス 「すいません、私がサナを護らないといけないのに……この有様で……」

彩菜 「仕方ないよエリス。……だって、普通に生乾き臭さが凄いもん……」

彩菜 (エリス・フォルンロード。騎士として抜擢された若き才女。けれど、魔法に長けたお姉さんのような存在)

彩菜 (そんな人でも、やっぱりこの臭い……キツいんだ……)

彩菜 (かくいう私もリアルな臭い過ぎて……って、先のほうで光が……?)

エリス 「ど、どうしましたサナ。ぼうっと何かを眺めているようですが……」

彩菜 「行こう、エリス! ……洗濯物を見つけちゃった!」

エリス 「せ、洗濯物!? って、何の話ですか!? って、待ってください~!」

彩菜 (何かが光った。洗濯物かどうかは知らないけれど……)

彩菜 (あの光、ニジイロチョウの放った光に似ている。ううん、そのもの……!!)

彩菜 (待っていて良クン、私、必ずもとの世界に戻るから!!)


 ―― 蝶の魔女。それは普通に家を建てて、普通に周りの自然に囲まれて暮らしている、傍から見れば普通の人間そのもの。
何百年と生き永らえている筈なのに、幼子のような姿なのは不老不死という理由からであった。
そんな彼女も、蝶に魅入られた存在であり、最早そのような事はどうでも良いと、暢気に洗濯物を乾かせている。

魔女 「……ぷはぁ、今日も一万枚の洗濯が終わったのだ!」

魔女 「……さて、次は>>526を洗ってやろうかのう、にっしっし」

着ぐるみ

魔女 「……さて、次は着ぐるみを洗ってやろうかのう、にっしっし」

魔女 「りらっくま~りらっくま~。今洗ってあげるからの~にっしししし」

魔女 (……気配がまた増えて、七つ……。やれやれ、洗濯日和だというのに)

魔女 (うち二つが近い……。ガーディアンを配置しているのにも関わらず、直ぐ傍まで来ている……)

 魔女は着ぐるみの一つを取り、それを纏おうかどうするかと思案する。どうせならば、着ぐるみで持て成したいと考えていた。
しかし優柔不断な魔女は、やはり他の着ぐるみが良いのだろうかと、迷い果てることになる。

 それが、夏川彩菜と堂々と面することになり、魔女は舌打ちしつつも彼女を見ては、成る程と頷いた。

エリス 「ま、まさか、この者が伝承による蝶の魔女……!?」

彩菜 「ニジイロチョウ……。少なくとも、この人が知っている筈、なんだけど……」

彩菜 「何でリラックマとコリラックマの着ぐるみを持っているの……!?」

魔女 「成る程成る程、現の者……しかも、触れし者か。成る程のう」

彩菜 「な、何が成る程なんですか! そ、それより……ニジイロチョウがこの辺りに生息してるって噂は……」

魔女 「飼っているが何か?」

彩菜 「そ、それなら、ニジイロチョウに触らせてください! そして私は元の世界に……!!」

魔女 「……無駄だの。理由は簡単、既にそなたの願いをニジイロチョウは叶えてしまっている。……人の願いは一つのみ」

魔女 「二つ願いを叶える事は、あの蝶は行わん。だからこそ、私もまた、こうして洗濯物を干す毎日……」

彩菜 「……そんな……」

魔女 「私もな、戻りたいと思った時があった。そしてニジイロチョウを捕まえて、籠に閉じ込めた」

魔女 「……だが、触れても何も起こらなかったのだ。……ちなみにその時のニジイロチョウは年月を経て、>>528となったがの」

変身ヒーロー

魔女 「……だが、触れても何も起こらなかったのだ。……ちなみにその時のニジイロチョウは年月を経て、変身ヒーローとなったがの」

彩菜 「……なんで、変身ヒーローに?」

魔女 「その答え、間も無く分かるようだの。……ほら、ガーディアンを打ち倒してやって来てしまった」

アリン 「はぁ、はぁ……こ、こんな場所があったなんて……!」

ゼーレ 「私達の死闘が描写されない理由が納得いかない。けど……」

ティル 「続きはWebで! とか言ってる場合じゃないよね……」

アリン 「聖女が、どうして魔女と……!」

魔女 「あれが、ニジイロチョウが更に化けた姿だの」

彩菜 「……死神が、ニジイロチョウそのもの……?」

魔女 「そして、最後の一匹もまた、籠から抜け出し死神と呼ばれる存在になろうとしておる……」

アリン 「……私達除け者で話が進んでる!?」

ゼーレ 「尺の都合、時間の都合とはいえ、腑に落ちない」

ティル 「ゼーレぇ、そのメタ発言不味いと思うんだぁ」

魔女 「……そして、現の者。そなたの望みが叶うかもしれない、最後の希望がそこにおる」

彩菜 「…………どうして、ココに……この世界に……良クンが……」

良人 「……夏川、彩菜……」


 白石良人。二年前、夏川彩菜が開いた扉により、この異界に迷い込んだ存在。
しかし、彼もまたこの世界に毒されてしまっていた。アリンと長い日々を過ごし、彼女の事を次第に忘れ去ろうとしていた。
だからこそ、良人が彩菜を改めて目にした時、彼はこう思ってしまったのだ。

良人 (……夏川彩菜、昔から一緒だった幼馴染。けど、今はもう……>>531

カマキリ軍団の方がいい!

良人 (……夏川彩菜、昔から一緒だった幼馴染。けど、今はもう……カマキリ軍団の方がいい!)

良人 (ゼーレもティルもクセがあるけど、良い子だし、アリンはずっと俺の面倒を見てくれた……。カマキリ関連ばっかだったけど)

良人 (だから……彩菜の顔が見れない……。だけど、今はそれ所じゃない)

魔女 「……ほう、私に、いや、ニジイロチョウに用か」

良人 「この世界がどうなっているのか、話を聞いたんです。……だから、俺は――」

魔女 「―― ほう……。面白い、人の願いは一つまで。そなたのその願い、ニジイロチョウは受け容れてくれるだろうて」

魔女 「しかしそれは……いや、現にニジイロチョウが現れ、人を攫った時点で最早……」

魔女 「白石良人と言ったか、子供よ。……そなたの選択、現を洗濯する事になろうて。フフフフフ」

良人 「な、なんか上手い事言ってるつもりでドヤ顔してる!?」

良人 「けど、このニジイロチョウに触れて、願えば……俺も、彩菜も、そしてこの世界も……。……アリンも」

良人 「皆……救われるッ!!」


 ―― それから暫くして。現代には本来ならば有り得ない出来事が、当たり前のように存在するようになっている。
異界の統合、それはあらゆるモノ全てを統合する結果となり、人が当たり前のように空を飛んで通学する光景が見受けられた。
車に乗るものも居れば、電車に乗る者も存在するが、空を飛んでいく者も居れば、転移する者まで存在する……。

 超常現象と呼ばれたそれが、当たり前のように存在する社会が形成されたのも、白石良人の願いの結果であった。

アリン 「早く、急がないと学校、遅れちゃう!!」

良人 「ちょっと待ってよアリン! 今行くから!!」

良人 (あれから、真っ白になって、俺達は現代に戻ることが出来た……)

良人 (しかし、不思議とアリンと暮らすのが当たり前の毎日になっていた……)

良人 (ちなみに、俺とアリンの関係は……>>533って感じだったりする)

許婚

良人 (ちなみに、俺とアリンの関係は……許婚って感じだったりする)

良人 (嬉しいようで、恥ずかしいけれど、まだ俺達は小学六年生になったばかり)

アリン 「は~やぁ~くぅ! 置いていくわよ!?」

ゼーレ 「集合場所の良人家に今到着なう。早く学校」

ティル 「そうだよぉ、ティル、ヴェルド先生に立たされるの怖いんだけどぉ!」

良人 (ゼーレも、ティルも、アリンの親友としてこの世界に普通に溶け込んでいる)

良人 (アリンの話じゃ、他の人達も普通に溶け込んでいるらしい。担任のヴェルド先生がそうだったりする)

良人 (けど……夏川彩菜だけは、変わってしまった)

良人 (もう、俺とアイツの関係は、幼馴染から……ただの他人ってくらいにまで……)


エリス 「……あのぉ、学校さぼって大丈夫なのですか?」

彩菜 「うん、いいんだ。……私の事を捨てた男の子が通う学校なんて、滅びればいいのに」

魔女 「やれ、物騒だのう。……私としても、学校なんてつまらないから行きたくないのだがの」

彩菜 「鈴音ちゃんはちゃんと学校行かないとだよ? 三百八十歳だろうとしても、小学五年生なんだから」

鈴音 「いやじゃ~、学校なんていやじゃ~! あと私の名を真名で呼ぶでない!」

彩菜 「あはは。いいじゃ~ん別にぃ~! す~ずねちゃん!」 だきっ

鈴音 「ぬわぁぁ、抱きつくな、抱きつくでないぃぃっ!!」


鈴音 (私の願い、それはあの異界を築き、長として永遠に統べる事)

鈴音 (しかし今回で分かった事がある。ニジイロチョウの願いは永遠ではないという事。そうして出来上がった世界は滅ぶ事)

鈴音 (いずれこの世界滅びよう。それは遠い先か、近い内か。……そして、白石良人は夏川彩菜を否定した)

鈴音 (……その歪が既に生まれては、手が伸び始めておる……)

鈴音 (今日も彩菜の為にも、洗濯してやる必要がありそうだのう)

彩菜 「どうしたの鈴音ちゃん、ぼ~っとしちゃって」

鈴音 「な、なんでもないぞ!? 決して彩菜の為に洗濯しようかなーって思ってたわけではない!」

彩菜 「何それ、ヘンなのぉ~、あはは」


 この結果は、新たに歪を生み、そしてその歪は亀裂になろうと動き出す。
否定された夏川彩菜、その彼女を中心に、この統合された世界は再び動乱へと導かれ、そして彼等は再びニジイロチョウを現で探す事となる――。


~~~~ 俺達の冒険は ひとまずおしまい

なんて強引な! って思いながらも強引に終わらせてみたのですが、
ハッキリ言って訳分かんないですよね~カマキリですよね~ごめんなさい。

素直にやるより捻て混ぜてってやるんじゃなかった。続きがあるとすれば、続けろと言われればって感じです。
ともあれこんなのにお付き合いありがとうございましたー。


明日は素直に1をやろうかなって。というかこれを普通に安価無しでやろうかとも思ったのですが、
オリジ物はなんか駄目そうなのでぐぬぬであります。パロディじゃないとやっぱり厳しいのかぁ……。

【10/13 (日) 00:57時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/13 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - ぶっちゃけ考えさせてくださいっ!


きんいろモザイクならパロ書けそう。こんごうモザイクとして……!
そんな我が鎮守府の金剛さんが90歳を迎えました。褒めて褒めて~べっちょり。

唐突ですが、平日二時間だけやるよーって言ったら安価取ってもらえるものなのでしょーか。
平日っすからねー難しいっすよねー厳しいっすよねー。

とはいえ出来ても十時過ぎだしなーかー辛いわー。


転職したいとか思いつつ、もう暫くお待ち下さい。やっぱりネタが浮かばなかったので、暫く>>536の通りになります。ごめんなさい。

~~第二期用登場人物紹介~~

【狩野 恋】(かのう れん)
本編主人公で芸夢製作部の部長。相変わらず人見知りだったり緊張しやすい体質ですが、今ではある一件で学内でも有名人。

【小島 小夜】(こじま さよ)
主人公の親友。相変わらず主人公を寝取りたい系女子。部内でも副部長を務める病んでるクーデレ系。

【滝川 詩乃】(たきがわ しの)
主人公達の先輩の一人であり芸夢製作部員。自称魔女は相変わらずなボクっ子。ハッキングが得意です。

【橘 瑞希】(たちばな みずき)
主人公達の先輩の一人であり、詩乃の友人。主人公を愛でるのが大好きな自称妖精。ほんわか系女子。

【相沢 美樹】(あいざわ みき)
主人公のクラスメイト。アニヲタで野菜王子と主人公を愛するちょっぴり臆病な女子。小夜をライバル視しています。

【高峰 一美】(たかみね かずみ)
主人公を追って一年時に転入してきた男の娘。今では寧ろ主人公の下僕気味に。まだちゃんと付いてます。

【狩野 愛】(かのう あい)
主人公の一歳年下の妹。主人公と同じ高校に進学し、クラスを纏める委員長となり張り切っちゃう系。

【乾 姫菜】(いぬい きな)
主人公達の後輩の一人。ひょんな事で芸夢製作部に入部する羽目となった被害者一号。デレ過ぎるツン系。

【穴吹 乃亜】(あなぶき のあ)
主人公達の後輩の一人。やはりひょんな事で芸夢製作部に入部する被害者二号。能天気過ぎてイタイ系。


 ―― 春、桜も散っては緑が深まる頃合となり、比較的穏やかな気候に恵まれた私立酷杉学園女子高等学校。
生徒達の中では、夏前にやって来る体育祭の話題も徐々に出る中、一つの教室では三人の女子が、一つの画面を眺めていた。

 その画面の中では、一昔前に流行したブルマという布地を穿いた女子高生達が映っている。
それは、私立酷杉学園がまだ女子高として別れておらず、共学校として名を馳せていた時代の映像でもあった。


 恋 「うぼぉぁぁぁ……ナマ、ナマブルマだよ、ナマァァァ!!」

乃亜 「ナマは分かりましたけどぉ、恋先輩、ナマナマ言い過ぎぃ!」

姫菜 「はぁ、なんで私がこんな映像を検証しないといけないのよ……」

 恋 「姫菜ちゃんもそう言わないで。本来ならば、新入生であり、新入部員である一年生の仕事なのに」

 恋 「部長である私が手伝ってるんだからぁ。……感謝しなさいよねっ! びしぃ!!」

姫菜 「指差して自分でびしぃ、とか痛いと思わないんですか?」

乃亜 「だって、恋先輩だしぃ。こういう痛いキャラもツボってカンジじゃん!?」

姫菜 「……はぁ、まったく。それより、他の先輩達は何処へ行ったんです?」

 恋 「んーとね、現地調査!」

乃亜 「げんち……」

姫菜 「ちょうさぁ?」


 ―― 私立酷杉学園女子も、ブルマから短パンに切り替わり、そしてその変化自体を皆素直に受け入れ、
それが当たり前となった中、この学園のグラウンドで体操着にブルマ姿の、他人から見れば異様とも取れる姿をした女子達が居た。


小夜 「……で、何故ブルマ姿に?」

詩乃 「答えは簡単。……すべては>>544から始まっているのだから」

流行語大賞ゲット

詩乃 「答えは簡単。……すべては流行語大賞ゲットから始まっているのだから」

小夜 「それは……ゲットしたって意味合いに取れますけども」

瑞希 「取りたいなぁ~ってお話、だよねぇ~!」

詩乃 「……我々芸夢製作部の方針は、学園祭が終わり、そして数ヶ月に渡り話し合い、そして決まった」

詩乃 「それは……、芸夢って名前になっているのに、どうしてエロゲばかりに夢中にならなければならないのか、というもの」

詩乃 「確かに、大筋はエロゲー製作で構わない。けど、時には魔法の勉強も大事であり……」

瑞希 「妖精のお勉強も大事よね~。ってカンジで流行語大賞も狙っちゃうのよ」

小夜 「……馬鹿馬鹿しくてついていけないわ……」

美樹 「あ、あのぉ、小夜ちゃぁん」

小夜 「……やっと来たのね美樹。……美樹のは、白ブルマなの?」

詩乃 「紺、赤、白、黒、四つを今回用意してみた」

一美 「……で、何で私だけ制服のままなんですかねぇ」

詩乃 「付いてるし」

小夜 「ブルマにもっこりは厳禁なんだって」


瑞希 「まぁ、折角だから男の娘である一美ちゃんには、今回>>546をして貰う事になってるの~」

天使のコスプレ

瑞希 「まぁ、折角だから男の娘である一美ちゃんには、今回天使のコスプレをして貰う事になってるの~」

一美 「あのぉ、一応言っておくけれど、私男の娘ってなってるけど、心は女だから。女のつもりなんだよ!?」

小夜 「でも付いてるじゃない」

一美 「ぐぬぬぬぬ!」

瑞希 「ほらほら、小夜ちゃんも一美ちゃんイジめていないで、このコスプレの着替え、手伝ってあげて?」

小夜 「わ、私がっ?」

一美 「こ、こんなの一人で着れますてt、瑞希先輩!」

瑞希 「でもね、結構このコスプレ、背中にベルトの留め金があったりで着づらいから……。あそこの更衣室使っていいみたいだし」


 三年生になった橘瑞希がそう指差す教室は、共用の更衣室として使用出来るスペースとなっていた。
グラウンドの方角からその場所を眺め、そして交互に顔を見合わせる小島小夜、そして高峰一美は、渋々その指示に従うのである。


小夜 「……はぁ、私って部を纏める重大な役割である、副部長の筈なんだけど」

小夜 「どうしてこうも、雑用を押し付けられちゃうのかしらね」

一美 「なんで私に愚痴るんだよ。……それより、こっち留め辛いから、抑えてくれない?」

小夜 「分かったわ。……それにしても」 ゴクリ

小夜 (綺麗な背中、してる……。それに肌も白くてすべすべで)

小夜 (……>>549したくなっちゃうわね)

お灸

小夜 (……お灸したくなっちゃうわね)

小夜 「という訳でぽちっと」

一美 「ひゃうっ!? 何するのさ!?」

小夜 「余りにも綺麗ですべすべで白い柔肌ってカンジの背中だったから……お灸を」

一美 「お灸!? って、熱いんじゃないの、あれって!」

小夜 「貼り型だし、お灸の効果があるパッチタイプよ。安心しなさい」

一美 「って、そんなの今貼る必要ないじゃんか!」

小夜 「ちょっとした悪戯心よ、それくらい大目に見なさい」

小夜 「っと、こんなカンジで……ふむ、ふむふむ、確かに天使みたいね」

一美 「……あんまり、ジロジロ見られると……」

小夜 「育っていない、もとい育たない胸が強調されていい感じよ」

一美 「ちくしょう! グレてやるっ!!」

小夜 (素直に綺麗って言ってあげても良いんだけど……、それだとつまらないしね)

小夜 「という訳で行きましょう、ムービー録るって言っていたし」

一美 「そういえば恋って、何で一年生と編集作業してるんだろ?」


小夜 「表向きは一年生のお手伝いなのだけど、本音は>>553ね」

お茶会

小夜 「表向きは一年生のお手伝いなのだけど、本音はお茶会ね」

小夜 「恋がそういった作業に全く向いていないのは、一美もご存知でしょう?」

一美 「それはそうだけど、ブルマとか好んで穿きそうだと思ってたのに」

小夜 「それは違うわ、アレは眺める側の人間よ。眺めてイケない事をするタイプの人間」

小夜 「後、あえて言うならば……二人も出来た後輩が可愛いのね」

一美 「あぁ、なるほどなー」


 ―― 芸夢製作部室

 恋 「ぶわっくしょん!!」

姫菜 「うわ、鼻水がこっちに飛んできたっ!?」

乃亜 「うわー、恋せんぱーい、ばっちぃんだー」

 恋 「だ、誰かに噂されている気がして、鼻がむずむずするよぉ」

 恋 (うぅー、後輩に鼻水垂らす情けなくて気持ち悪い先輩だって思われちゃうよぉ!)

 恋 (なんとか挽回して、お茶会に持ち込んで私はステキな先輩だよ大作戦を実行しないと!!)

姫菜 「それより乃亜、喉渇かない? ジュース買って来て?」

乃亜 「はぁ!? なんで乃亜がぁ!?」

姫菜 「このまえ教科書忘れたって、貸してあげたでしょ? ……借りは返しなさい?」

乃亜 「ぐぬぬぬぬぅ!」

 恋 (お茶会ちゃーんすっ! ……ククク、この時の為に用意しておいたすぺっしゃるなドリンク)


 恋 (飲めば>>555になっちゃうかもしれないけど、所詮はかもしれない程度で問題なっしん!)

女王様

 恋 (飲めば女王様になっちゃうかもしれないけど、所詮はかもしれない程度で問題なっしん!)

 恋 (そして、先輩ってこんな美味しいドリンク作れるんだぁ~ってあっぴるまで出来ちゃう!!)

 恋 「ぐへ、ぐへへへぇ……」

姫菜 「な、なんか嫌な予感がしないでもないから、やっぱり私が買いに行くわ」

乃亜 「う、うん、乃亜も一緒に行くよー……」

 恋 「ちょちょちょちょ、ちょっと待ってぃとぉぉっ!!」

姫菜 「っ!?」

乃亜 「待ってぃと、ってなんだろ……」

 恋 「こ、こここに、すすすすぺっさーるなドリンクがぁぁー!!」

姫菜 「ペットボトル? って、こ、この真っ黒な液体……」

乃亜 「黒ウーロン茶……じゃ、ないよねー……」

 恋 「甘くて美味しくてとろけるオリジナルドリンク! どどど、どうかな? の、飲んでみない!?」 ハァハァ

乃亜 (……恋先輩の顔がヤバイ……かなりイッちゃってる感じ……) ヒソヒソ

姫菜 (乃亜、ここはアナタが毒見しなさい! 教科書貸してあげたでしょ!?) ヒソヒソ

乃亜 (だ、だから何で乃亜がそんな目にぃ! 流石にこれはヤバイってば) ヒソヒソ

 恋 「はぁ、はぁ……ど、どうかな? 飲みたくならないかなっ!?」


姫菜 (こうなったら……)

乃亜 (二人で>>558するしかない……!)

倍返し

姫菜 (こうなったら……)

乃亜 (二人で倍返しするしかない……!)

 恋 「ど、どうかな? 飲みたくなったでしょぉ!?」 ハァハァ

姫菜 「唐突ですが恋先輩の行為に今は甘えることは出来ません」

乃亜 「出来ませんです!」

 恋 「ななな、なんですとぉっ!?」

 恋 (なんで、なんで? 折角朝五時起きで作ってきたのに!? エロゲし過ぎて寝ていないとも言うけど!)

 恋 (それでも、エロゲで学んだ知識の一つ、すぺっしゃるなドリンク大作戦は女子が男子を落とす常勝手段!)

 恋 (何故それが成功しないっ! さ、さては、相手が女子だからかぁぁぁ!!)

 恋 「……しょぼぉぉぉぉ~~~ん」

姫菜 (自分でしょぼーんって口に出したっ!?)

乃亜 (と、とにかく、今は倍返し作戦でこの黒くて濁った液体から逃げないとっ!)

姫菜 「そ、そう落ち込まないで恋先輩。ここは何時も良くしてくれる先輩に、そのね」

姫菜 「お、お礼をね……その、するつもりは全くなくってぇ!」

乃亜 (そ、そこで全く無くてとか言ってどうするんだよぉ、姫菜ぁ!!)

 恋 「しょぼぼぼぉ~ん……」

姫菜 「全くないって訳じゃなくもなくてぇ! えっと、あれ、あれ?」

乃亜 「……面倒くさい性格してるよね、姫菜って」

乃亜 「要するに、日ごろの感謝も篭めて、先輩にお礼をしたいんだぁ!」

 恋 「……お、れい?」

姫菜 「そ、そうそう! だからそのドリンクは、恋先輩が飲むべきだと思うんですよ! うんうん!!」

 恋 「……みんなぁ……! ありがとぉ……!!」

 恋 「じゃあ、よく分からないけどこれ、私が先に頂いちゃうねっ!」 ゴクゴク


 ―― 数分後……

 恋 「……女王様って、>>560する事を言うのかしらねぇ?」

ムチでしばき回す

 恋 「……女王様って、ムチでしばき回す事を言うのかしらねぇ?」

姫菜 「な、なんで部室に鞭があるのよっ!!」

 恋 「SMグッズなんて普通に置いてるのはぁ、知ってるでしょぉ? ひひっ!」

乃亜 「お礼の倍返し作戦……!」

姫菜 「大失敗……なんてモノじゃないわっ!」

 恋 「おーっと、逃さないよぉ……。そこの扉、実は私が思念を飛ばすと自動でカギが掛かる仕組みだからぁ」

 恋 「そう、私の能力(チカラ)からは逃れられないんだぁ。……大人しく、打たれてぇ?」 ピシィッ

乃亜 「うるるるる、姫菜ぁ……助けてぇ!」

姫菜 「むむむ、無理よ! だって恋先輩、す、スイッチ入っちゃってるもん!!」

乃亜 「姫菜ぁ……。……一緒に堕ちよう?」

姫菜 「な、なんで堕ちよう、って振ってくるのよ!? 隷属なんてイヤぁぁぁぁぁ!!」

 ガラッ

 愛 「……お姉ちゃん、バカやってないで、下校時間過ぎてるから帰るよー」

 恋 「うふふ、うふふふふふ、ふわ~~はははははぁぁぁ!!」


 愛 「お姉ちゃんが暴走してる。こう言う時は>>562が手っ取り早いっと……」

ラブレターの朗読

 愛 「お姉ちゃんが暴走してる。こう言う時はラブレターの朗読が手っ取り早いっと……」

 愛 「拝啓、愛しの殿方様へ。こうしてお手紙を差し出す無礼を先ずどうか許してください。私は狩野恋と申す者であり――」

 恋 「ふわぁぁぁっはっはっは……へっ!?」

 愛 「拙者実は能力者でもあり、そして心に武士を宿す者でもあり、その由来は実はかつでの戦国時代の赤備えの武者である――」

 恋 「わ、わわわわわわわぁぁぁぁっっ!!」

 愛 「そして不束者でもあるわたくしめに、愛の飴と鞭を頂戴したく存じ上げ候で次第――」

 恋 「いやっぁぁぁぁぁっ、やめてぇぇぇぇぇっっ!!」

 愛 「分かったら下校時刻過ぎたから、帰るの」 ズリズリ

 恋 「ひぃぃぃん……引っ張られるぅ……姫菜ちゃぁん、乃亜ちゃぁん、た゛す゛け゛て゛ぇ゛ぇ゛っ!!」 ズリズリ


姫菜 「……妹様の登場で難は去ったわ」

乃亜 「去ったねー。……いやぁ、今回も危なかったねぇー」

姫菜 「はぁ、全く。なんで私達こんな部に居るんだか」

乃亜 「乃亜は割と普通に楽しいけどー?」

姫菜 「……嫌いじゃないけど、ノリに付いていけないっていうか……。というかそもそも……」

乃亜 「はいはい、そういうの言いっこなーし! 私達も先輩達に一言言って、帰ろう?」

姫菜 「そうね、そうしよっか」


姫菜 (そう、私達がどうしてこの芸夢製作部に入る事になったのか……)

乃亜 (すべては、恋先輩と、そして……>>564のせい……)

担任教師の冗談

乃亜 (すべては、恋先輩と、そして……担任教師の冗談のせい……)


 ―― 三週間前。穴吹乃亜はその明るい性格で、高校に入っても直ぐに友人を作ることが出来た。
そして、日々が過ぎるにつれて、彼女は一年A組の中心的人物となっていく。そんな彼女が、部活動に誘われることも少なくなく……。

女子A 「穴吹さん、私と一緒にバスケで全国目指そうよ!」

女子B 「そういえば中学でバスケットボールしてたんだっけ? 上手いの?」

乃亜 「うーん、いつもベンチだったかな! だから上手くはないんだー」

女子A 「でも穴吹さん、足も速いし跳躍も得意だし、凄く綺麗なレイアップしてたし!」

女子B 「あ、見た見た。しかもクラスの皆をドリブルでごぼう抜き! 凄かったねー!」

乃亜 「で、でも今はほんとへたっぴだからぁ、あはは」


 そして、彼女の中学時代の話を聞いた女子バスケ部の生徒は、バスケットボール部に誘おうと必死となっていた。
しかし乃亜の内心はうんざりとしていた。実際、彼女は運動神経に長け、何となく入ったバスケ部でもエースとして名を連ねている。
だが、人間関係のしがらみがあり、それに疲れてしまった彼女は、中学三年からバスケの練習に顔を出さなくなる。


乃亜 (もう、そういうのいいんだ。この学校ではのんびり帰宅部で過ごすつもりだし)

女子A 「あ、先生が来た、席に戻らないと!」

乃亜 (だからもう、普通に友達作って、普通に勉強して、普通に大学に進学……それでいい)

担任 「―― 穴吹、聞こえているのか穴吹。席に戻らないととんでもない事になるぞー」


担任 「例えばそう……、>>567とかなぁ。がっはっは」

罰ゲームとしてあみだくじで入部先決定

担任 「例えばそう……、罰ゲームとしてあみだくじで入部先決定とかなぁ。がっはっは」

担任 「という訳でお前はこのクジを引く権利をやろう!」

乃亜 「え、な、なんであみだくじ……? それ、絶対なんですか?」

担任 「我がクラスは全員部活動に励んで貰わないとな! 俺が困るしな! がっはっは」


 ―― その日の放課後。


乃亜 「ま、まさか噂の芸夢製作部に決まるとか……」

乃亜 「本気でイヤだったら、他の部を検討してもいいって先生は言っていたけど……」

乃亜 「噂だと、確か……全裸で部長が校舎爆走したり、屋上から飛び降りたり、ついでに黒猫助けたり……」

乃亜 「その後も、クリスマスイブ爆破騒動とか、やっぱり年末に全裸激走事件とか聞いたけど……」

乃亜 「……狩野恋、その人がどういう人か、次第かなぁ……」


 芸夢製作部室。そこはこの日は随分静かな様子であり、穴吹乃亜はその中に入るべきかどうかと、足を止めていた。
その姿を一人の女子生徒が見つけてしまう事になる。


姫菜 (私のクラスの担任に、この部とか私向きとか言われて、様子だけって思って来たけれど……」

姫菜 (あそこのちんちくりんな子、同じ一年生かな。……話しかけてみようかな)

姫菜 (でも、私……割とケンカを売っちゃうタイプみたいだし、いきなり話しかけたら……うぅぅ~~)

乃亜 (……なんか乃亜の事を見ながらもじもじしてる一年生が居る……)


乃亜 (彼女に芸夢製作部の事を聞いてみようかな。それとも……>>569

志望の動機を聞いてみる

乃亜 (彼女に芸夢製作部の事を聞いてみようかな。それとも……そうだ、志望の動機を聞いてみよう)

乃亜 「ねぇねぇ、そこの子ー!」

姫菜 「っ!? ななな、何よっ!?」

姫菜 (い、いきなり話しかけられた!? な、馴れ馴れしいったらありゃしないっ!)

姫菜 (でも、この子も芸夢製作部に興味があるようだし……ちょっとくらい、話をするだけなら)

乃亜 「ねぇー、この部に入るつもりなのー?」

姫菜 「は、入るつもりはないわ! ただ、ちょっと様子を見に来ただけで……!」

姫菜 「そういうアンタはどうなの!? 入るつもりなんでしょう!?」

乃亜 「いやぁ、それがね、乃亜の担任があみだクジで決めちゃってさぁ、入るか入らないか様子を見に来たんだけど」

姫菜 (わ、私のクラスと一緒!? ……この学校、担任がもう酷すぎだわ!)

姫菜 (進学する高校、間違えたかなぁ。……はぁ)

乃亜 「で、えーと、お名前なんだっけ?」

姫菜 「B組、乾姫菜よ」

乃亜 「姫菜って言うんだ? ふぅーん、それで志望の動機は?」

姫菜 「志望の動機って、別にその、私の担任が勝手に……って、アンタこそ先に名乗りなさいよっ!」

乃亜 「乃亜は乃亜だよー。穴吹乃亜。それにしても……」

乃亜 「姫菜も担任に決められたんだぁ。……ふぅん」

姫菜 (勝手に名前で呼び捨てなんて、凄く馴れ馴れしいちんちくりんね!)

姫菜 (けど……クラスで上手くやれてない私としては、ちょっと……嬉しいかも)


乃亜 「それよりこの部員募集のポスター見てよー。>>571とか笑っちゃうよねー!」

姫菜 (割とイイ、とかちょっと思ってたのに……!?)

自衛隊募集のパロディ

乃亜 「それよりこの部員募集のポスター見てよー。自衛隊募集のパロディとか笑っちゃうよねー!」

姫菜 (割とイイ、とかちょっと思ってたのに……!?)

乃亜 「萌え燃えな就職先、とかどうなのさーあはははっ」

姫菜 (カッコイイ、とか思っちゃった……! やっぱり私って厨二なんだ……)

乃亜 「……アレ? 何で落ち込んでるのー?」

姫菜 「お、落ち込んでなんかない! だ、ダサくて笑い堪えてただけだしっ!」

 恋 「……じとー……」

乃亜 「うん、やっぱナイなぁ、この部は。これならバスケ部入る方が百倍マシそうー」

姫菜 「アンタ、バスケが得意なの?」

乃亜 「得意じゃないけど、出来る方ではあるのかな……。余り気は乗らないんだけど」

 恋 「じとぉぉー……」

乃亜 「ていうかさぁ……何か気配を感じない?」

姫菜 「気配? ぷ、くすくす、厨二病でも発症したの?」

乃亜 「ちゅーにびょう? よく分かんないけど、背後から見られてるような――」

 恋 「……ばぁっ!!」

姫菜 「ひぃぃぃぃっ!?」


乃亜 (うわ、姫菜って子、背後から驚かされて、驚きすぎて>>573しちゃってる……)

バク宙

乃亜 (うわ、姫菜って子、背後から驚かされて、驚きすぎてバク宙しちゃってる……)

乃亜 (反射神経なら乃亜より上……? むぅ~)

姫菜 「あ、あ、アンタ、誰よっ! いきなり背後から驚かせて!!」

 恋 「にしし~、ごめんね、私のステルススキル、グランドマスタークラスで!」

乃亜 「すてるす……ぐらんどますたぁ?」

姫菜 (この新手のちんちくりん、見た目はほんわかしてるのに、ステルススキルがグランドマスタークラス……!?)

姫菜 (想像以上に……出来る……ッ!)

乃亜 「でー、アナタハダレナンデスカー」

 恋 「棒読み!? こほん、わ、わわわ、私はじじじっつはー!」

姫菜 (ここで挙動不審な口調。これは……私達の油断を誘うつもりね!?)

姫菜 「……分かっているわ、アンタがすべての黒幕だって事はッ!」

 恋 「ほへっ? 黒幕? や、やだなぁ、私は……」

姫菜 「分かっているの。……アンタ、実は能力者(アウトサイダー)なんでしょう!?」

 恋 「あ、あうと……」

乃亜 「さいだーって、飲み物?」

姫菜 「隠密による暗殺行為が得意で、主に二刀を扱うタイプの暗殺者。その仕事振りは鮮やか過ぎて痕跡すら残さない……」

姫菜 「素直に告げなさい、アンタの所属を! さもないと、私も能力を使うわ!!」

 恋 「……どんな能力?」


姫菜 「そ、それはっ! その……>>576よっ!!」

殺意を物質化する

姫菜 「そ、それはっ! その……殺意を物質化する能力、マーダーマテリアルよっ!!」

 恋 「うぉっ、なんかそれっぽいっ!!」

姫菜 「フン! 退くなら今のうちね。さもないとアンタは一瞬で私の殺意によって――」

 恋 「じゃ、ちょっと私も本気出しちゃうね!」

姫菜 「―― って、い、何時の間に背後にっ!?」

 恋 「この物語が……ただの日常系だと思ったら大間違いっ。実は唐突なバトル物だという事を――」

 恋 「―― 思い知らせてあげるよっ!」

姫菜 (背後から手刀ッ!? よ、避けきれないっ!? それでもマーダーマテリアルでっ!!)


乃亜 「……なんかメタ発言しながら突き合ってる……。でもこれって、フツーにケンカなんじゃ……」

乃亜 「でも動きがなんか早すぎて見えなかったりするのは気のせいかなー」

乃亜 「とーもーかーくー。ケンカはやめましょうよー、ケンカはー!」

姫菜 「マテリアル、ディフェンスモードッ! 周囲にシールドを展開ッ!!」

 恋 「それならっ、その黒っぽいシールドを潜り抜けるッ!!」

姫菜 「無駄よっ、私のディフェンスモードはオールレンジバリア、これを破るには突破しかないのよっ!」

 恋 「それでも、この一点突破・零式には破れる物なしっ!!」

乃亜 「だーかーらー、よく分かんないお遊びはその辺で――」 ぼごっ!

 恋 「あ、一点突破・零式が暴発して別の一年生の子に……」

姫菜 「顔面直撃で拳を受けちゃったわね……」

乃亜 「~~~~~~~っ!!」


乃亜 (キレた……久々にキレて屋上に連れて行く気すらしない……)

乃亜 (仕方ない……、乃亜を怒らせた罪は重いんだ……。彼女達を>>579にしてやる……っ!)

くさや漬け

乃亜 (仕方ない……、乃亜を怒らせた罪は重いんだ……。彼女達をくさや漬けにしてやる……っ!)

乃亜 「……く、くくっ、くくくっ! ……これ、なぁんだ?」

姫菜 「そ、それは!? あ、アンタまさかっ!!」

 恋 「くさやのアウトサイダーっ!?」

乃亜 「なんかそれ凄い格好悪いけど……、二人ともくさや漬けにしてやるぅぅぅっ!!」

姫菜 「なっ! ステップが早すぎて見切れない!!」

 恋 「まるでフェイクを掛けられているようで……く、来る、こっちに来るぅぅぅ!!」

二人 「「ぎぃぃやぁぁぁぁぁっっ!!」」


 ―― 芸夢製作部の部長である狩野恋。彼女はその二人が一年生で、新入部員になってくれるんじゃないかと、期待を膨らませていた。
しかし、三人共々くさや漬けとなり。漂う異臭も尋常じゃなく、泣く泣く女子トイレに駆け込み、臭いを落とす作業を行うのだった。

 恋 (二人とも、私達の部室の前に居た……。間違いなく、芸夢製作部に興味がある筈!)

乃亜 (はぁ、なんでくさや漬けなんかに……。って、乃亜のせいか……はぁ)

姫菜 (この二人とも能力者だなんて、この学校を甘く見ていたわ……。って今はそれどころじゃないけど)

三人 「「臭いが落ちないぃぃっ!!」」

 恋 「んでんで、どうして二人とも芸夢製作部の部室にいたのぉ? 入部希望者?」

姫菜 「そ、それは、ええと……」

乃亜 「なんていうか、うんとー……」

 恋 「ふむふむ、なるほどなるほど。二人とも、エロゲーに興味があるんだねっ!?」

乃亜 「え、えろ、げぇ?」

姫菜 (え、エロゲーって、まさかあのエロゲーっ!? 人生や文学を生み出したアレっ!?)


 恋 「嬉しいなぁ。二人とも入部してくれたら、私、>>582しちゃうかも!!」

世界を手に

 恋 「嬉しいなぁ。二人とも入部してくれたら、私、世界を手にしちゃうかも!!」

姫菜 「あの、いくらなんでもそれは無いでしょ……」

 恋 「そんな事ないもん! 私の能力の一つ、絶対的支配を用いれば!!」

姫菜 「そんなギ○ス的能力、危険すぎるわ!!」

乃亜 (なんか話は良く分かんないけど……)

姫菜 (不思議と……この人に、夢中になってる……?)

 恋 「あ、そうだ、自己紹介忘れてたっ! ええっと、こう見えて、一応芸夢製作部の部長をしております、狩野恋と申しまして御座いましてぇ……」

姫菜 (でも……この人……)

乃亜 (基本が根本的にヘン過ぎる……)


 ―― 五月初め、ブルマ姿となった部員の四名が走ったり跳んだりするムービーを編集する作業に回された一年生、乾姫菜。
彼女は部室で一人先に到着しては、パソコンを用いてムービーを眺め、どう編集するかを思案する。
しかし、この部に入部した際を思い出してしまい、手が完全に止まり、彼女の顔は微妙に引き攣っていた。

姫菜 「あは、あは、あはは……」

姫菜 (今思えば、担任に無理矢理部に入部しろーって脅されて、適当に選んだのがココで……)

姫菜 (で、何で私がブルマ女子の映像を編集しなきゃならないの!?)

姫菜 (訳が分からないわよ、この部は!! 全く、もう!!)

 ガラッ!

乃亜 「あれー、姫菜、もう来てたんだー。早いねー、頑張ってるねー」

姫菜 「が、頑張ってなんかないわ!! 仕方なくやらされてるだけじゃない!!」

乃亜 「その割には作業が随分進んでないー?」


乃亜 (素直じゃないけど、割とこの部を楽しんでるのは姫菜なんだよねー)

乃亜 (そんな姫菜も可愛いんだよねー。作業に夢中だし、背後から>>586しちゃおう)

椅子を引き倒す

乃亜 (そんな姫菜も可愛いんだよねー。作業に夢中だし、背後から椅子を引き倒しちゃおう)

乃亜 (という訳でこっそり、こっそり……ずいっとなっ!)

姫菜 「ひゃふんっ!?」

乃亜 (うわー、面白い鳴き方してお尻から転んだ……、ぷ、くすくす)

姫菜 「……マーダー・マテリアル……展開ッ!!」

乃亜 「ふぇっ!? あれ、なんか回りにナイフのような鋭利なものがいっぱい漂っているような!?」

姫菜 「私の殺意に溺れて地獄に堕ちろッ!!」

乃亜 「ひょえぇぇぇっ!? な、なんか飛んできて、攻撃してくるよぉぉっ!?」


 ―― 数分後、散乱した芸夢製作部室内。

姫菜 「……まったく、悪ふざけするから」

乃亜 「というかぁ、どうするのー。部室っ!!」

姫菜 「乃亜が一人で片付ければいいと思うけど。私はムービー編集作業で忙しいから」

乃亜 「えぇぇっ!? そんなの無理だよー!!」

姫菜 「煩いわねっ、アンタが椅子を引くから―― って、あれ?」

乃亜 「んー、どうしたのさー、急にパソコンのモニターに顔を近づけちゃって」

乃亜 「ま、まさか、モニターにキスして三次元入りするとかっ!?」

姫菜 「ち、違うわよ! そうじゃなくって……!」

姫菜 「ねぇ、ここの映像、先輩達四人ともブルマ姿で走っているんだけど、その遠くのフェンスのところ……」


姫菜 「……これ、恐らく……>>589だわ……!」

部員全員のドッペルゲンガー

姫菜 「……これ、恐らく……部員全員のドッペルゲンガーだわ……!」

乃亜 「いやいや、これ只の影じゃん! まぁ、よーく、よぉぉぉく見ればぁ……そう見えなくもないような?」

姫菜 「というか、この二つの影……、私とアンタよ、乃亜」

乃亜 「いやいや、乃亜がこんなにちんちくりんな訳がないじゃんー!」

姫菜 「悪いけど、恋先輩と同レベルのちんちくりんよ?」

乃亜 「そ、そんなぁっ!」

 ガラッ

詩乃 「……あら、一年生コンビ」

姫菜 「あ、詩乃先輩! ……これ、見てもらえますか?」

詩乃 「……ボクのブルマ姿、もしかして惚れた?」

姫菜 「い、いや、そうじゃなくってですね……」

姫菜 (この滝川詩乃先輩。恋先輩と同レベルのちんちくりん三号。でも金髪で美少女ってカンジで可愛くて、羨ましい先輩)

姫菜 (でも、なんか絡みづらいのよね……。なんて言うか、見透かしてるカンジ……)

乃亜 「せんぱーい、なんか姫菜がぁ、この影をドッペルゲンガーだって言い張るんですけどぉー」

詩乃 「……間違いないわ。ドッペルゲンガーね。……ついにこの時が来てしまった」

姫菜 「は、はぁ。この時って?」

詩乃 「芸夢製作部員の全員を魔法少女にする計画、名付けて、魔法少女化計画……!」

姫菜 「い、いや、詩乃先輩、まんまなんですけど」


詩乃 「その計画とは、部員の一人一人に、>>591という儀式を行うことで達成される……」

裸足でカタツムリを踏む

詩乃 「その計画とは、部員の一人一人に、裸足でカタツムリを踏むという儀式を行うことで達成される……」

姫菜 (地味に……!)

乃亜 (嫌過ぎるッ……!!)

詩乃 「という訳で、ボクはカタツムリを採集しなくてはならなくなったので、早退」

姫菜 「え、でも、今手掛けてるエロゲー製作は!?」

乃亜 「新プロジェクト第一弾、ブルマ娘萌えゲーのぶるまっ娘・カオスブレイクはどうするんですー?」

詩乃 「そんなのまた今度。……これから来る瑞希にやらせておいて。それじゃ」 ガラッ

姫菜 「……行っちゃったし」

乃亜 「うーん、今日の部活どうするのかなー。またお菓子食べて駄弁る会になるのかなー」

姫菜 「そ、そうはさせないわ! 私がムービー編集して、使える部分をピックアップ、そしてアニメ映像化するんだから!」

乃亜 「うわー、無駄に気合入ってるー。やる気ないとか言ってた癖にー」

姫菜 「違うわよっ! これは仕方なくやってるだけなんだからねっ!?」

ガラッ

瑞希 「なぁにが、仕方なくなのかなぁ~?」

姫菜 「わ、瑞希先輩っ!? ……詩乃先輩の予言通り」

瑞希 「詩乃がどうかしたのかなぁ?」

乃亜 「詩乃先輩なら、カタツムリを採集するって、帰っちゃいましたー」

瑞希 「……なんですって」


瑞希 (魔法少女化計画を詩乃はとうとう実行に移したっ!?)

瑞希 (これでは私の妖精少女計画が破綻してしまう! ……こうなれば、私も儀式の為に>>594を集めないと)

蛾のりんぷん

瑞希 (これでは私の妖精少女計画が破綻してしまう! ……こうなれば、私も儀式の為に蛾のりんぷんを集めないと)

瑞希 「という訳で、私も先に戻るわね~。蛾の鱗粉集めにいかないとぉ~」

瑞希 「それじゃ、小夜や恋にはよろしく言っておいてね~!」 ガラッ

姫菜 「な、なんで……」

乃亜 「蛾の鱗粉……」


 ―― それから暫くして、二年生組が次々に部室にやってくる事になる。
そうして総勢六人となり、結局一番の頑張りを見せるのが乾姫菜であり、その隣で小島小夜が画像のチェックを行っていた。

小夜 「ふぅん、それで瑞希先輩と詩乃先輩は先に帰ったと……」

姫菜 「そうなんですよ、全くもう。ぶるまっ娘カオスブレイクはどうするんだって話です」

小夜 「口では色々と言っているけれど、今もこうして頑張ってくれてる姫菜のお陰で、もしかすると形になるかもしれないわね、これ」

姫菜 「そんな、小夜先輩にそう言って貰えると、私……」

小夜 「あら、照れているの? らしくないわね」

姫菜 「て、照れてなんていませんっ! あ、小夜先輩もこのムービー、チェックしますか?」

小夜 「私はいいわ。それよりも……」


乃亜 「あはははは、恋先輩ってまたそんな訳の分からない事をやらかしたんですかぁー」

 恋 「あは、あはは……」

美樹 「凄かったんだよ……? 恋ちゃん、授業中にいきなり>>597とかするから、先生もびっくりして……」

妄想垂れ流し

美樹 「凄かったんだよ……? 恋ちゃん、授業中にいきなり妄想垂れ流しとかするから、先生もびっくりして……」

乃亜 「そういえば美樹先輩と恋先輩、また同じクラスになったんでしたっけー」

美樹 「うん。恋ちゃんと離れるの嫌だったから、嬉しくって……///」

乃亜 「で、どんな妄想垂れ流してたんですかー、恋先輩って」

美樹 「うんとねー、これからペルソナ4ごっこが始まるんだって、その為の対抗策が自身のペルソナだーって!」

乃亜 「あー、あのスロット化までしちゃったヤツですね」

一美 「ていうかさ、恋。……普通に寝てたでしょう」

 恋 「ぎくっ! ……た、確かに、夢で色々見たような気がするぅ……」

一美 「ただでさえ、テストの点悪いのに。……もう直ぐ中間だよ?」

 恋 「っ!? 中間テスト。……それは劣等種を振るい落とす、紙切れによる選別という余りにも恐ろしいイベント……!!」

美樹 「でもでも、恋ちゃん妄想で満点取ったどー! とか言ってたよね……!」

 恋 「そうだ、夢の通りならば私も満点取れるかも!? 学園主席……ぐへ、ぐへへへぇ……」


小夜 「ってカンジで、皆お菓子食べて駄弁ってるだけ。……姫菜は頑張ってくれてるわ」

姫菜 「小夜お姉様……///」

小夜 「それにしても……、冗談抜きで真面目に考える必要があるわね」

姫菜 「何を考えるって言うんです?」

小夜 「今回のエロゲーのプロットよ。担当は恋なんだけど……」

 恋 「ぐへ、ぐへへへぇぇ……主席、主席ぃ……」

小夜 「あの調子だし、役に立たないわ。だから今回……>>599に任せてみようと思うの」

最近遅めの変声期でちょっとずつ宮野真守ボイスになってきた一美

小夜 「あの調子だし、役に立たないわ。だから今回……最近遅めの変声期でちょっとずつ宮野真守ボイスになってきた一美に任せてみようと思うの」

一美 「よ、呼んだ? って、変声期っていきなり何よ!?」

小夜 「……アナタ、声がここ最近ずっとヘンよ。声変わりじゃない?」

一美 「そ、そんな事ないしっ! 声変わりなんて終わってこの美声だし! らんらんるぅ~~~」

小夜 「ええ、やっぱりヘンなアナタに一任するわ。来週の主人公はアナタよ」

一美 「なんか凄いブン投げ方をしてきたっ!? し、仕方ないなぁ……、私がやってあげるかぁ」

姫菜 「わ、割とまんざらじゃない様子……!」

一美 「で、何をすればいいのかな、私は」

小夜 「今回のエロゲーのプロットを考えて頂戴。ついでにシナリオ丸々考えてくれてもいいわね」

一美 「…………私の担当、音だよね?」

小夜 「恋があの調子だし、掛け持って?」

一美 「そ、そんなぁ!!」


 ―― 数日後、夜更け。過疎市内 不座気川付近。

 そこに一人の少女が何かを探し回り、そして見つけ出してはビニール袋に詰め込んでいる。
滝川詩乃。三年生となり、やはり変わらず自分の事を魔女と信じ、行動に移す少女。
そんな彼女は、カタツムリが有る程度溜まり、いよいよ計画を実行に移すべきだと考えた。

 だが、その際に背後からすぅっと伸びる人影に、彼女はまだ気付かない。

詩乃 「……これだけあれば、儀式には十分」

詩乃 「明日から早速魔法少女化計画を―― 誰ッ!?」

?? 「……コンニチハ、モウヒトリノワタシ」

詩乃 「……もう一人の、私……!」

 数刻後、その場には、カタツムリの残骸だけが転がっていたという――。


~~~~芸夢製作部活動日誌 二年生編 つづく

割と本気でドッペルゲンガーさんを使ってみようということで、以上で終わります。
とは言いつつも、やはりいつもの何も考えずに突っ走っちゃう系だとは思います。……何かを間違えたような。

ともあれ、お付き合いありがとうございましたー。


【10/14 (月) 00:18時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/19 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 二年生編 第二話


分かる人には分かる話、夕立改二のさいっこ~にステキなパーティーボイスが残念すぎてべっちょり。

~~凄くどうでもいい今日のMy鎮守府

夕立 「ソロモンの悪夢となった私も居るのに」

別府 「ヴェールヌイこと響もいるのに」

雪風 「最高の運を持つ私も居るというのに」

提督 「なんで3-2クリアでけへんのやぁぁぁあふぎゃぁぁぁっ!!」

島風 「皆もうクリアしてるよ? おっそーい!!」

舞風 「それじゃ、女神とダンスするってのはどう?」

 ――3000円投入後。

提督 「……戦略的敗北が四回だと。女神三つ使用だと……!」

島風 「タービン周りも整備した~い!」

提督 「お前がぼこぼこ被弾するからだろうがぁぁぁ!! 一週間風呂抜きだ!!」

島風 「おぅ゛っ!」


って感じで今日も平和です。分かる人向けですいません。
私の島風さんは大破状態で単艦放置中であります。とんだゲスプレイであります。……はぁくそげー!

って訳で、登場人物なんたらは>>542で代用させてください。
それではもう暫くお待ち下さい。……3000円がぁぁぁ。

~~~~芸夢製作部活動日誌 二年生編 第二話


 五月に入り、いよいよ中間テストという恐怖に慄く酷杉学園女子高等学校の生徒達。
基本的にこの女学校は、一部を除いて平均的に点数が悪く、今年こそ学力向上をという事で、教師陣は張り切っている様子であり、
今回の試験もまた熱を入れている様子で、赤点を取ろう者が居れば、長い期間の放課後居残りが確定してしまう様相であった。


 恋 「あれ~、今日も詩乃先輩、居ないんだぁ?」

小夜 「そうみたいね。瑞希先輩の姿が少し寂しげに見えるわ」

瑞希 「あれれぇ? そんなつもりはないんだけどね~」

 恋 「いや、明らかに顔に出てますしおすし。なんというか……心どこにあらず?」

瑞希 「ここにあらず、でしょう?」

 恋 「そうそう、そんな感じで! ……詩乃先輩を見なくなって一週間かぁ」

瑞希 「連絡は入れているんだけど、流石に向こうから学校にも連絡が入っていないらしくって」

小夜 「……何かの事件に巻き込まれた可能性があると?」

瑞希 「……断定はしないけれど」


 ―― 放課後、芸夢製作部室に先に集まった三人は、滝川詩乃の様子を話し合っていたのだが、
橘瑞希も彼女からの連絡が一切無く、流石に不安そうにする面持ちであり、部室の雰囲気は異様に暗い。

 滝川詩乃、自称魔女と呼ぶ彼女が居なくなったのは、カタツムリ採集に出掛けてしまった後であった。
まさかカタツムリに拉致されたのでは、という憶測も飛び交ったのだが、流石に馬鹿臭いと最終的に一蹴。
そうして、いよいよ彼女の自宅に訪れてみようという話し合いに発展するのである。


瑞希 「そういう訳で詩乃の家に私、寄ろうと思うのだけど……」

 恋 「おぉ、詩乃先輩の家! ちょっと見てみたいかも!?」

小夜 「確か結構遠いんでしたっけ。そして家は……>>605に住んでいると」

高級住宅街

小夜 「確か結構遠いんでしたっけ。そして家は……高級住宅街に住んでいると」

瑞希 「あの子の家も割りとお金持ちらしくてねぇ……」

 恋 「お、お嬢様だったのかっ!! ボクっ娘お嬢様……ぐへへへぇぇ」

小夜 「恋、涎が垂れているわよ」

 恋 「おっといけない」 ごしごし

瑞希 「他の皆はまだ来ていないけれど、遅くなるのかしら~」

小夜 「美樹は先生に呼ばれているらしくて、遅くなると聞いています」

 恋 「一美ちゃんはどうしても外せない用事があるって~」

瑞希 「後は一年生コンビの姫菜ちゃんと乃亜ちゃんね。今日は来るかしら?」

 恋 「じゃあ、ちょっとセクハラ的なメールをびびびって送ってみまぁっす!」

小夜 「電波なセクハラメールとかマジ恐怖そのものね」


 橘瑞希の頭の中には、どうせお見舞いに行くのならばたくさん居た方が良いのでは無いか、という心遣いがあった。
しかし、滝川詩乃の家に向かい、実際に彼女に会えるかどうかは分からない。それもまた感じてしまう。
皆で押しかけていって迷惑になる可能性もあれば、無駄足を踏む恐れもあると、彼女は躊躇ってしまう。


瑞希 「ねぇ、やはり私一人で行こうと思うのだけど」

 恋 「えぇぇっ!? 皆で一緒に行きましょうよぉ~! ねぇ、小夜」

小夜 「まぁ、そうなのだけど。……それならば、私は部室に残って一年生を待ち、部活する事にすればどう?」

瑞希 「じゃあ、恋ちゃんだけ連れて行こうかしらね?」

 恋 「ほぇ、何で?」


 ―― 滝川詩乃の家に向かうには、電車を乗り継がなければならない。
過疎市内にある一番の大きさと賑わいを見せる過疎駅で、橘瑞希に付き添う形で行動を共にする恋は思う。


 恋 (絶対皆で行った方が、詩乃先輩も喜ぶと思うんだけどなぁ……)

 恋 (でもまてよ? も、もしかしたら瑞希先輩は実は私と二人っきりでデートしたかったとか!?)

 恋 (だだだ、だったらどうしよう!? ……>>607の用意をしておこう……!)

地球の歩き方(書籍)

 恋 (だだだ、だったらどうしよう!? ……地球の歩き方(書籍)の用意をしておこう……!)

瑞希 「あら、どうしたの~? 恋ちゃんが読書だなんて、珍しいわね~」

 恋 「そそそ、そんな事ないですよっ!? こう見えても私割りと読書家で、割と速読家でもあるのですっ!!」

瑞希 「へぇ、速読まで出来ちゃうんだぁ~。……やって見せて?」

 恋 「はひっ!? そそそ、それは……。……って、やって見せるものではないような」

瑞希 「それもそうねぇ~。で、地球の歩き方って……旅歩きでもしたいの~?」

 恋 「そそ、そうなんですよっ! いやぁ、ブラジルとかアルゼンチンとかエクアドルとか行ってみたいなぁって!!」

瑞希 (何で全て南米に偏ってるのかしらね~……。ふふ、見ていて面白いわ)

  『間も無く、電車がホームに参りますので――』

瑞希 「あら、そろそろね。此処から一時間掛かるから、二人で一緒にその本、読みましょうっか?」

 恋 「ふふふ、二人で本っ!?」

 恋 (二人で本を読む!? 二人で読書!? ちょっと意味が分からないっ!?)

 恋 (い、いや、意味は分からなくも無いけど、本はフツー一人で読むものだと思うし……)

 恋 (もしかして、二人で文字を音読しあって、互いに距離を縮めていって……)

 恋 (そして顔が近づいて、お喋りな口ねって言われて唇を塞がれるエロゲー的展開ッ!?)

瑞希 「あら、どうしたの? お顔、真っ赤よ?」

 恋 「そ、そそそのっ、二人で読書と言うのはちょっとアレなので……いっそ>>610しましょう!」

合体

 恋 「そ、そそそのっ、二人で読書と言うのはちょっとアレなので……いっそ合体しましょう!」

瑞希 「……合体ぃ?」


 電車は、この日は比較的席が空いており、人もそこまで多くは無く、立っている人は割合少ない車内の様子であった。
しかし、その車内の大半の人間が、橘瑞希、そして恋に視線を向けてしまう。
その視線を向けた人間の殆どが思うのである。こいつら、アホなのではないかと。


 恋 「えへへへぇ~~……」 ホンワリ

瑞希 「あ、あはははぁ……」

瑞希 (……想定外ッ!! まさに想定外ッ!!)

瑞希 (妖精であるこの私が、恋ちゃんを全く見抜けなかったわ~!)

瑞希 (まさか……合体=膝の上に座るだなんて。これは……とてつもなく恥ずかしいッ!!)

 恋 「えへへ~、瑞希先輩の膝の上、ふかふか~」

瑞希 (しかも甘えん坊モードまで搭載されているなんて露知らずっ!)

瑞希 (更に恋ちゃんのお尻の弾力まで味わえて一石二鳥……! しかし、だがしかし……!!)

乗客 「…………」 ジー

瑞希 (後五十分ちょっと、これは……地獄……圧倒的地獄……ッ!!)


 ―― 高級住宅街、金餅杉通り


瑞希 「ぜぇ、ぜぇ……はぁ、はぁ……」

 恋 「あれ、瑞希先輩……疲れている様子だけど、大丈夫ですかぁ?」

瑞希 「ぜ、全然、大丈夫よ~……」

瑞希 (乗客に視姦された気分で、精神的に参っているなんて言えないわね……)

瑞希 (でも、恋ちゃんがちょっと困惑気味だわ。>>613して誤魔化そうかしら~)

喫茶店で休憩

瑞希 (でも、恋ちゃんがちょっと困惑気味だわ。喫茶店で休憩して誤魔化そうかしら~)

瑞希 「という訳で、あそこに見える喫茶店に行きましょう~」

 恋 「喫茶店っ!? で、でもでも、私お金がないっす、手持ちがないっすよぉ!」

瑞希 「仕方ないわね~。お茶くらいならご馳走するわよぉ?」

 恋 「ほんとっ!? やったっ!!」

瑞希 (今度はまた両手を広げて喜んで。……本当に妹みたいで可愛いわ……)


 ―― 駅前 喫茶店『ちーたいむ』

瑞希 (ここも懐かしいわね……)

 恋 「うっほ~~っ! チョコパフェ、ジャンボパフェッ!!」

瑞希 (詩乃と初めて出会った場所。そして、仲良くなった場所。……しかし……)

 恋 「もふ、もふもふっ! う……ううぅぅ」

瑞希 (私、お茶くらいなら奢るって言ったけれど……)

瑞希 (まさかパフェを二つも頼まれるとは思っていなかったわ……。恋ちゃん、割とあざとい子)

 恋 「うぅ……んまぁぁぁぁぁいっ!! 瑞希先輩も一口どうですかっ、どうですかっ!?」

瑞希 「え、ええ、でも私はちょっと遠慮しておくわね~」

 恋 「えー、こんなに美味しいのにぃ……」

瑞希 「それよりね、此処って私と詩乃が初めて出会って仲良くなった場所でもあるのよ~」

 恋 「はむはむ、はふぅ! ふぇ、そうなんですか?」


瑞希 「あの頃の詩乃って、まだ高校一年生だったんだけど……、何ていうか、>>615って印象のする子だったのよ」

不思議

瑞希 「あの頃の詩乃って、まだ高校一年生だったんだけど……、何ていうか、不思議って印象のする子だったのよ」

 恋 「瑞希先輩も自分の事妖精って言うしで、割りと不思議キャラだと思うんだけどなぁ」

瑞希 「それ、褒めてるのかしらぁ?」

 恋 「ほ、褒めてるつもりで……あ、あれ? なんでお怒りになっていらっしゃって?」

瑞希 「こほん、まぁ良いわ~。それでね――」


 ―― 一年前。駅前の喫茶店『ちーたいむ』


瑞希 (うぅん、友達と待ち合わせで此処に来たけれど、早く着き過ぎてしまったわね~)

瑞希 (この喫茶店で時間を潰して、此処で集合って事にすればいいかしらね~)

瑞希 (携帯でメールを送って……と)

詩乃 「…………」

瑞希 (あら、向かいの席に座ってる金髪の子、私と同じ酷杉学園の制服……)

瑞希 (同じ一年生なのかしら~。……ちょっと気になるわ。なんだか不思議って感じで……)

詩乃 「人間を魔法少女にする方法とは先ず魔翌力を持たないと思い込んでいる人間に、魔翌力の存在を感知させてあげる事で」 ブツブツ

瑞希 (ふ、不思議ってレベルを超えて、ちょっと……かなりヘンかもしれないけれど)

瑞希 (見た目は……何だかお人形さんみたい)

詩乃 「そうして魔女であるボクが切欠を与える事によるうんたらかんたら」 ブツブツ

瑞希 (……でも、間違いなく中身は変な子ね。って、あれ?)


瑞希 (あの子、私に気付いて視線を合わせて……>>618してくる……っ!?)

ラブサインを送信

瑞希 (あの子、私に気付いて視線を合わせて……ラブサインを送信してくる……っ!?)

瑞希 (ハートマークを作って……そのハートを人差し指で貫く意味がちょっと分からないけれど)

瑞希 (話しかけてみようかしら。同じ学校に通うよしみだしね~)

瑞希 「こんにちは」 ニッコリ

詩乃 「……チッ」 ムスー

瑞希 「あ、あれ? もしかして、話しかけてはいけなかったのかしら~」

詩乃 「サインの意味が分かっていない。落第レベル」

瑞希 「さ、さっきの……ラブサイン?」

詩乃 「そこまで理解しているのならば、何故そこでボクの掌を取って口付けをしないのか分からない」

詩乃 (……ちょっと、ドキドキする)

詩乃 (ちらちら見られてるのが気になったから、思い切ってしまったけれど)

詩乃 (まさか、話しかけられてしまうなんて。……ドキドキ)

瑞希 「う~~~ん……。ごめんなさいね、私、妖精だからぁ~」

詩乃 「……妖精?」

詩乃 (……同じ学校に通う人だからって思ったけれど……、この人、もしかして変?)

詩乃 「……妖精って、⑧な妖精の事を言う?」

瑞希 「失礼ね~! 私は馬鹿でも阿呆でもないわよ~っ!?」 むー

詩乃 (……でも、この子、面白いかも……)



瑞希 「って感じでね、最初に出会って不思議な話をして、仲良くなっていったのよ~」

 恋 (……私はこのエピソードについて、>>620と突っ込むべきなのかもしれない)

同人ゲームレベル

 恋 (……私はこのエピソードについて、同人ゲームレベルと突っ込むべきなのかもしれない)

 恋 「という訳で、そのエピソードは同人ゲームレベルと確定致しましたっ! びしぃ!!」

瑞希 「な、何も自分でびしぃって指差して言わなくても……」

瑞希 「じゃあ、どんな感じなら恋ちゃんの思い描くレベルになるのかしら~?」

 恋 「ふふっ、良くぞ聞いてくれました! 私ならばですね……」


―― 妄想編 喫茶店『ちーたいむ』

瑞希 「ど、どうしよう~、喫茶店に駆け込んだのは良いけれど、おトイレに誰か入ってるわ……」

瑞希 「ま、まだ我慢出来なくも無いけれど……、こうしてトイレの個室の前に立って待つのはちょっと気が引けるわね~……」

?? 「ん……ぅ……ぁ、あぁ……」

瑞希 「……あれ、トイレの中から声がする……? あのぉ、大丈夫でしょうかぁ~」 ドンドン」

?? 「ひゃうっ、き、聞かれていた……!? ……とにかく入って!!」

瑞希 「ひゃんっ!? な、ななな、なんですかぁ~!?」

詩乃 「……私のココを見て、アナタ、どう思う?」

瑞希 「凄く……濡れています……じゃなくってぇ~!!」

詩乃 「……一緒に、キモチ良くなろ……?」

瑞希 「やだ、この子可愛くて私……濡れちゃう、漏らしちゃうっ!!」


 恋 「って感じです! どうですかぁ!? 割と自信作なんだけどっ!」

瑞希 (…………何も言えない)

 恋 「あれ? 黙り込んで考えちゃうくらい感動しちゃいました? いやぁ、これぞエロゲーじゃないですかぁ!」

瑞希 (どうしようかしら、流石にイタイって言ってあげるべき……って、あら?)


?? 「お客様、店内で卑猥な発言を多数繰り返し、他のお客様がご迷惑になります。よって、>>623

奥の個室でもっとその話をkwwsk

?? 「お客様、店内で卑猥な発言を多数繰り返し、他のお客様がご迷惑になります。よって、奥の個室でもっとその話をkwwwwsk」

 恋 「はうっ!? な、なんだか連行されちゃうんですけどぉ!? 瑞希先輩ぃぃ、助けてぇぇぇ!!」

瑞希 「あはは……、勝手にパフェ頼んじゃうし、勝手に変態妄想を語っちゃう恋ちゃんには、丁度いいかもね~」

 恋 「っ!? ほんわか雰囲気で妖精のように能天気な瑞希先輩が、ちょっぴりお怒りになっていらっしゃる!? あ~~~れぇ~~~!!」


 騒がしいちんちくりんが消え、橘瑞希は一人紅茶をのんびり啜るのであった。
もう少し落ち着いたら彼女を直接迎えにいって、そして滝川詩乃の家に出向いてみよう、そう思っていた。
しかし彼女は、片隅で揺れる金髪の存在に気付いてしまう。捜し求めている人そのものであった。


瑞希 「……詩乃ッ!!」

詩乃 「…………」

瑞希 「ど、どうしたの……、その制服、この喫茶店、ちーたいむの制服よね?」

詩乃 「…………」 コクリ

瑞希 「……アルバイト、していたの?」

詩乃 「……そう」

瑞希 「それなら、連絡くらいしてくれても……。私、本当に心配していたのよ……!?」

詩乃 「……ごめんなさい、私、忙しいから」

瑞希 「ちょ、ちょっと!? 詩乃っ!?」

瑞希 (奥のほうへ引っ込んで行っちゃった……。あの様子だと、私達に気付いていたみたいだけど)

瑞希 (なんだか様子がヘンにも感じたような……。……何より、私って言っていたし)


瑞希 (気になるわねぇ……。ともあれ、彼女が見つかったのならば、次の作戦は>>625でいきましょう~)

ABCD包囲網

瑞希 (気になるわねぇ……。ともあれ、彼女が見つかったのならば、次の作戦はABCD包囲網でいきましょう~)

瑞希 (ABCD包囲網作戦となれば、人が後二人は欲しいわね~。……いっそ三人呼んじゃうってのも)

瑞希 (という訳で、小夜ちゃんに連絡を~っと)

瑞希 (小夜ちゃんダメだったぁ……。ならば、あの一年生コンビに頼るしかないわね~)


 ―― 夜八時過ぎ 喫茶店『ちーたいむ』


瑞希 「いらっしゃ~い、待っていたのよ~!」

姫菜 「突然瑞希先輩から呼び出されるものだから、びっくりしました」

乃亜 「ほんとほんとー、乃亜、オレンジジュース飲みたい!」

瑞希 「ええ、ドリンクくらいなら好きに頼んで良いわよ~。どこかのバカはパフェ頼んじゃったけど」

姫菜 「確か、恋先輩と一緒だったんですよね? ……その彼女は何処へ?」

瑞希 「それが何だか戻ってこないのよね~。そろそろ恋ちゃんを先に迎えに行くべきかしら」

乃亜 「ふむふむ~。それじゃ、乃亜達は詩乃先輩が店から一人抜け出さないように、一先ず見張りだねっ!」

姫菜 「そうね。それじゃ瑞希先輩、私達はこの席で店内の様子を見ていますので」

瑞希 「お願いね~。さてさて、恋ちゃんは今頃どうなっているのかしら~」


 恋 「あひ、あひぃ……はふぅん……」

 恋 (お説教から三時間、私は何故何故未だに喫茶店の事務室でお説教されているのでしょぉ~~!!)

店員 「だからですねぇ、他のお客様の事を思うとそもそも濡れちゃう感じちゃうなんて言葉はですねぇ!」

 恋 (いい加減この店員もメンドイなぁ……。って、あれ? 詩乃先輩らしき人がこっそり>>627しようとしてる……?)

撮影

 恋 (いい加減この店員もメンドイなぁ……。って、あれ? 詩乃先輩らしき人がこっそり撮影しようとしてる……?)

 恋 (事務室から扉をこっそり開いて、瑞希先輩が居る方向を撮影……かなぁ? でも何で?)

店員 「そもそも、お客様と交わりを持つなんてはしたない! 羨ましい! とにかくですねっ!!」

 恋 「……詩乃せんぱーい!!」

店員 「とにかく破廉恥なのはイケナイと……へ?」

詩乃 「ッ!?」 ササッ

 恋 「あ、逃げた!! 追いかけないと!!」

店員 「アナタ、詩乃ちゃんとお知り合いなの?」

 恋 「へ? そうですけどー。……それが何か?」

店員 「……実はね――」


詩乃 「はぁ、はぁ、はぁ……。慌てて、トイレに逃げ込んだけれど」

詩乃 「これでは余計に逃げ道が無くなってしまう……」

詩乃 「どうしてこの喫茶店は、従業員用の通用口がないのだろう……」

詩乃 「アルバイトまでバレてしまった。けどまだそれは想定の内。でも、撮影の理由だけはバレないようにしないと」


詩乃 「そう、全ては……>>629の為……」

ゲームのネタ作り

詩乃 「そう、全ては……ゲームのネタ作りの為……」


 ―― 一週間前、私こと滝川詩乃と名を受けた存在は、もう一人の私と出くわす事になる。
それは、私の描く魔法少女化計画の一環で、川原でカタツムリを探し求めていた時であった。


 影 「……アナタはワタシ、ワタシはアナタ」

詩乃 「もう一人の……ボク?」

 影 「そう、私はアナタで、アナタは私」

詩乃 「……そして一つになってペルソナを呼び出す系?」

 影 「……くす」

詩乃 「……同じ容姿で、同じ声で、そんな風に笑われると、気味が悪い」

 影 「ごめんなさい、少し試してみたかったの。こちらの滝川詩乃という存在が、どんな存在なのかを」

詩乃 「話が見えない。……こちらの世界? どんな存在?」

 影 「既に大体は気づいている筈。ドッペルゲンガーそのものだと思える存在が、こうして目の前に居る事をね」

詩乃 「……でも、あり得ない事」

 影 「そのあり得ない事が、とある日に突然目撃できるようになった。そんな切欠があった筈だよ」

詩乃 「それは……。……恋が、屋上から飛び降りたあの日」

 影 「そう。その日から、Aという世界に居る私は、こうしてZの世界に居るアナタに遭遇できたというコト。つまり、あの日からそれは歪んだってコト」

詩乃 「……それで、どうしてこんな日に、こうしてボクに会いに来たの?」


 影 「ゲームを作るの。今年、また行われる酷杉学園祭。通称酷杉カーニバル。まさに酷すぎる内容の学園祭で……」

 影 「ゲームを完成させて発表する。そうしないと……世界は……>>633

みんなが神様になってしまう

 影 「ゲームを完成させて発表する。そうしないと……世界は……みんなが神様になってしまう」

詩乃 「……下らない」

 影 「本当だよ。私の居る世界、例えるならAの世界は私は魔女、そして小夜は正義のヒーローで……」

 影 「瑞希は妖精だし、恋は何と神様、ハ○ヒそのもの。平野○状態だね」

詩乃 「……ふざけた世界」

 影 「そのふざけた世界とも、他の……例えるならBやC等の世界とも、あの日、微妙に歪んでチャンネルが重なってしまった」

 影 「そうして、こちらも歪んでしまった訳。問題は……このZの世界がどうしてチャンネルを合わせられたかって訳だけど」

 影 「そんな事、Aの世界の恋でも不可能なコト。……だからこうして、こんな形で私はアナタに会いにきた」

 影 「部員の中で一番理解してくれそうなのは、アナタしかいないから」

詩乃 「その話をとりあえず納得したとして。……何故ゲームに繋がるのか理解出来ない」

 影 「Aの世界の美樹が、超能力で予知をしてくれたんだ。……それに依ると……」

詩乃 「Aの世界なんでもアリ過ぎ」

 影 「こちらの世界が日々を送って、ゲームをもし一つも完成させないなんてコトになると……」

 影 「先ず、生徒会からの解散要求を呑むハメになる。そして、部員は散り散りバラバラ」

 影 「そして、Zの世界にいる不特定因子である恋が、精神不安定な状態に再び戻り、また屋上から飛び降りる結果になるんだ」

詩乃 「またあの子飛び降りるっていうの……。面倒」

 影 「そして飛び降りて彼女が死ぬ結果、連なる世界は更に歪んでしまい……、なんと最後は皆、神様化して大変な事にぃぃ~。って言っていたかな」

詩乃 「訳が分からないけど……。ゲームなら何でもイイってコト?」


 影 「そうだね。あえて言うならば……>>636

電気を使うヤツ

 影 「そうだね。あえて言うならば……電気を使うヤツ」

詩乃 「ゲームは電気を使うと思うけれど」

 影 「ピ○チュウが出てくるゲームとかいいかな?」

詩乃 「個人的意見を垣間見えるのは気のせい?」

 影 「ま、そんな訳で……これ以上の説明は面倒だし、とりあえずリンクしよっか?」


 ―― あの日から、ボクは使命感のような物が心の中で生まれてしまっている。
そうして、自分の事を私と呼ぶようになったのは、単に動揺が未だに消えない為、表に出てしまう訳で。
その呼び方も、そして魔女も、所詮は自分の中でのキャラ作りに過ぎない。

 その筈だったのだ。


詩乃 「……魔女の能力とか言っていたけど」

詩乃 「試してみよう。……トイレの電球から、電気を逆流させて停電に持ち込んで……」

詩乃 「その隙に……とりあえず逃げよう……」


 ―― 喫茶店『ちーたいむ』では、急な停電により突然皆騒がしくなる。当然の事であった。
店長以下、店員たちも慌しく駆け回り、ブレーカーは無事かどうかと確認作業に向かっている。
その隙を狙い、私はトイレから脱出、天外へ逃げ出すのだった。が……。


?? 「一人でエロゲのネタを仕入れるなんて……」

?? 「そんな格好良いこと、させないよ?」


 読まれていた。気付かれていたと、動揺を見せまいとその者と対峙する。
ちんちくりんであった。彼女が部を築き、そして彼女が原因で私は本当に魔女のような能力を得てしまった。
それは嬉しい事かといえば、悲しい事かもしれない。しかし、いずれその能力が必要になるだろうと、彼女は私にキスをしてリンクを行った。


 恋 「……店員さんから聞いたんだ。詩乃先輩、アルバイトを始めた原因はゲームのネタを仕入れるためって」

 恋 「その為に働かせてほしいって、頼み込んだって聞いたけど……。それじゃ、辻褄は合わないと思うんだ」

 恋 「……本当は、詩乃先輩が姿を消していた理由は、>>638なんじゃないかって。そう思ったんだ」

かくし芸の練習

 恋 「……本当は、詩乃先輩が姿を消していた理由は、かくし芸の練習なんじゃないかって。そう思ったんだ」

詩乃 「……かくし芸?」

詩乃 (この子、カンが良いと思ったらやっぱり普通にズレている……)

詩乃 (だけど、彼女がこの場に居るという事は……)

瑞希 「ふふ、水臭いわね~、かくし芸の為に喫茶店でアルバイトだなんて~」

姫菜 「って、本当にかくし芸の為に喫茶店でアルバイトしてるとは思わないんだけど」

乃亜 「うーん、でも皆を驚かせたいからーって話なら分からなくもないかもー?」

瑞希 「さぁ、このABCD包囲網をどうやって突破するのかしらね~」

詩乃 (四方を固められた形……。今なら正直、突破するのはとっても容易)

詩乃 (だけど、皆を傷つける結果になる……。だけど、話を明かしても……)

詩乃 (結果的に無理にゲーム作りをさせる事になり、皆に苦痛を強いるんじゃ……)

詩乃 (本来ならば、上手くボクが誘導して、学園祭までにゲームを、と思った……。でも……)

瑞希 「さぁ~、だんまりしてないで……何か、話して?」

詩乃 「……ボクが魔女になりたかった理由、教えてあげる」

 恋 「ま、まさかのどうでも良い話キタっ!?」

詩乃 「どうでも良いとか失礼だけれど。……ボクが魔女になりたかった理由は――」


 切欠は簡単だった。両親の不仲からそれは始まった。今では高級マンションに一人暮らしのボクだったが、
両親がまだ仲が良く、そして三人で暮らしていた頃は、まだ平凡で家賃も安いマンションに居たのである。

 しかしある日、父がこの不安定な現代で、出世コースに道を合わせる事になる。
それに伴い、母もまた大きな仕事の話を受け、それが成功し、会社にとって欠かせない存在となった。

 家庭での時間が取れなくなると途端、両親は不仲になった。原因は色々あれど、ストレスが殆どだったのかもしれない。
そこで私は、アニメを見てしまった。そう、魔女の能力を持つ動物が、魔法少女を生み出すアニメだった。

 それを見た私は感動し、魔女になれば両親の不仲も解決し、私自身……>>640のように生きられるのではないかと思い始めていた。

ハッピーエンドの決まった主人公

 それを見た私は感動し、魔女になれば両親の不仲も解決し、私自身……ハッピーエンドの決まった主人公のように生きられるのではないかと思い始めていた。
サクセスストーリーに乗りたかっただけなのだ。だが、自分は魔女という思い込みは、思った以上に強まってしまう。

女子A 「聞いた? 放課後教室で一人儀式とかしてるんですってー」

女子B 「うわ、こわっ! マジ引いちゃうんですけど」

女子C 「あの子と関わっちゃダメだよ、ただでさえ薄暗いんだから」

 中学生の頃なんて、最早イジメにも発展しかねない程、陰口を散々に叩かれてきたものである。
それでも、恋ほど世渡りが下手で、他人に対して人見知りもしなかった。だからこそ、イジメ問題にまでは発展しなかったのである。

 それでも、随分と寂しい思いをしてきたつもりではいた。家に戻れば両親は居ない。
学校に居ても話してくれる人は居らず、次第に独り言が増えていく始末。孤独だと思いもした。けど、それでも思い込みが自分を奮い立たせていた。

 そうして、酷杉学園女子高等学校に進学し、私は―― ボクは、彼女に出会う事になる。
橘瑞希。おっとりしているようで、意外としっかりしていて、そして友達も多く、人気者な彼女。

 彼女が喫茶店でボクをじっと見つめてきた時は驚き戸惑い、妙な独り言を漏らしてしまったりもした。
それでも暴走してサインを送ってみれば、彼女は人懐っこく話しかけてきてくれた。ボクを救ってくれた……恩人なのだ。


詩乃 「だからボクは、瑞希に感謝しているし、部を、そして仲間として迎えてくれた恋にも感謝してる」

瑞希 「……い、いきなりな話でびっくりするわね~、もう」

 恋 「そうやって感傷に浸らせて、上手く誤魔化す作戦かーっ!」

詩乃 「違うよ。ボクは……やっぱり、皆と一緒にゲームを作りたいって、思ったんだ」


 そうだ、ボクは一人じゃない。今はこうして、ボクを誘ってくれる仲間が居る。
だからこそ、ボクはもう一人の自分から聞いた、ある程度の話だけを皆にする事に決めた。
全てを話さないのは、混乱を招く恐れもあったのと……、他の影達の為でもある。


詩乃 (けど、自宅に皆を招いたのは失敗だった……)

詩乃 (恋が私の部屋で>>642を見つけて、大暴走している……)

男物パンツ

詩乃 (恋が私の部屋で男物パンツを見つけて、大暴走している……)

 恋 「うほぉ~~~、男物パンツ! しかもボクサーパンツと来たもんだ!!」

 恋 「黒のこれ、シルク生地使ってるのかなぁ、すべすべしてる! すべすべ!!」

 恋 「この高級ベッドで、男物パンツが一枚! これは……まさに事後!!」

瑞希 「……ねぇ詩乃、本当に事後だったりするの~?」

詩乃 「そんなまさか。これは所詮資料に過ぎないモノであって……」

姫菜 「それにしても、広くて綺麗なお部屋。……意外とピンク、好きなんですね」

乃亜 「こっちにはぬいぐるみがいっぱいあるー! イラックマとかシラックマとかツラレクマとか!!」

詩乃 「人の部屋これ以上物色しないで。お願いだから――」

 恋 「うほぉ~~、このベッドふかふかしすぎて、ギシギシ言ってるゥゥゥ!!」

 恋 「ここで私がアンアン喘ぐと……? まさにギシアン成立!? 男物パンツ被っちゃうぅぅ!!」

瑞希 「あらあら、恋ちゃん、ついにパンツを被り出しちゃったわ。……本当にある意味変態ね~」

乃亜 「わー、このぬいぐるみ、プレミアぬいぐるみだよー! 姫菜、見てみてよー!!」

姫菜 「本当だわ! これ……百万するプレミアモノじゃない! おまけにピンク色」

姫菜 「詩乃先輩ぃ、本当に何だかんだでピンク、好きなんですねぇ?」 ニヤリ

詩乃 「こ、これ以上……ボクの……」

 恋 「うっほほ~~~い!!」

姫菜 「好きですねぇ~にやにや」

詩乃 「……私の部屋を勝手に荒らさないでぇぇぇっっ!!」


 こうして、ボクこと私は意外と乙女なんだという事が露見した日から翌日のこと。
今度は瑞希が突然の欠席となり、私に心配を掛けるコトになる。恐らく影絡みだろう。
しかし彼女達は、私達に危害を加える為に現れた訳じゃない。自分達の、そして私達の世界を守る為に現れたようなものだ。

 しかし、今回に限ってはそう事は簡単ではなかったのである――。


 ―― 芸夢製作部室。そこで皆、驚きを隠せない様子で沈黙することとなる。
何故なら、橘瑞希はこの日、>>645となったからであった。

赤点で追試

 ―― 芸夢製作部室。そこで皆、驚きを隠せない様子で沈黙することとなる。
何故なら、橘瑞希はこの日、赤点で追試となったからであった。
成績優秀で、赤点そのものと呼べる存在の恋に、勉強を教えることもあった彼女が、追試である。


姫菜 「瑞希先輩、追試でショックを受けて休んだって事なんですかね……」

乃亜 「というか、一日目でいきなり採点とか、先生達気合入りすぎー」

一美 「おまけに、一日目からその日の結果を発表ときたもんだし、こんなの初めてじゃないの?」

小夜 「そうね、去年はこんな事一切なかったわ。それにしても……」

美樹 「どうしちゃったんでしょう……、瑞希先輩……。無断欠席だなんてぇ……」

 恋 「これは……事件の臭いっ!!」

詩乃 「多分大丈夫だから。最悪、ボクに任せておいて」

 恋 「あれ? まだボク口調続けてるんですかぁ? 乙女なのにぃ?」

詩乃 「……ボクはボクだから! これ以上変なコトを言うと、超電力砲(エレクトリック・キャノン)でぶっ飛ばすかもしれない」

 恋 「なんだか電磁砲っぽい!? ……って、またまたどうして電力?」

詩乃 「それは……。……実際ボクは魔女だから」

 恋 「またまた詩乃先輩ぃ~、気持ちの悪いご冗談を~~!!」


 恋 「はひ、はひぃぃん……」 プスプス

詩乃 「魔女もとい、エレメンタルマスターであるボクに出来ない事はないから」

詩乃 (それでも、瑞希が欠席した理由は恐らく影。でも……何だか気になる……)

詩乃 (今晩辺り、この能力を用いて、彼女を捜し出してみよう……)

小夜 (……本当に電気を放ったように見えたけれど……)

小夜 (……気のせいじゃなければ、私ももしかしたら正義の力である、>>647が手に入るかもっ!?)

分子分解

小夜 (……気のせいじゃなければ、私ももしかしたら正義の力である、分子分解が手に入るかもっ!?)

小夜 (でも、それはそれで強すぎるような? 正義のヒーローならばやはり変身してからの……)

小夜 (なぁんて、ありえないわね。今のもきっと気のせい。恋が黒焦げなのもきっと気のせいよ)


 ―― 夜 酷杉学園女子高等学校 校門前

小夜 「あの後、私だけが呼び出しを受けて、カンニング疑惑を掛けられるなんて……」

小夜 「歴史で90点を取った私がそんなにおかしかったのしかしら。いつもあんな物なのだけど」

小夜 「お陰で私だけ帰るのが遅くなってしまったわ。恋とも一緒に帰れなかったし……」

小夜 「恋……ぐす、私、恋が居ないとダメだよぉ……」

小夜 「……なんて、つまらない事やっていないで、さっさと帰りましょう……」

?? 「恋~、わたしぃ~恋が居ないとぉ~ダメだよぉ~~」

?? 「本音よね、それ。くすくす」

小夜 「……誰、アナタ」

小夜 (……似ている。ううん、違う。瓜二つ……。私そのもの……!)

 影 「こんばんわ、こちらの世界の小島小夜さん。そして……弱虫さん」

小夜 「ッ! ……私が弱虫ですって?」

 影 「あら、違うのかしら。わたしぃ~恋が居ないとダメだよぉ~とかって、本気で泣けちゃうアナタ」


 影 「そして、>>651とかあったら直ぐ泣いちゃうアナタ。それはただの弱虫さんよね」

タマネギ

 影 「そして、タマネギとかあったら直ぐ泣いちゃうアナタ。それはただの弱虫さんよね」

小夜 「タマネギは仕方ないと思うのだけど。催涙性物質が含まれている訳だし」

 影 「そんな事ないのよ。我慢できる人はいっぱい居る。出来ない人はただの弱虫さんよ」

小夜 「そんなのウソよ! タマネギ舐めないで!」

 影 「ふふ、そうして直ぐにムキになっちゃうのだから世話ないわよね。だから弱虫さんなのよ」

小夜 「私を煽りに煽ったアナタは、何しに私の前に現れたの?」

 影 「そうね。あえて言うならば、力を貸しに来たってトコロなのだけれど」

 影 「こちらの世界のアナタ、つまり私を見て失望したわ。……弱虫に貸す力なんて、ないわねって」

小夜 「……何が言いたいのよ」

 影 「そうイラつかないで。とはいえ、私もこんな事を言っている暇も無いのよね」

 影 「別のあの子が、暴走しちゃって、本人を食べちゃう勢いだから……。気持ちは少し分かるけれど」

小夜 「何の話?」

 影 「端的に話すと、世界は人類皆神様となり、壊れる。それを防ぐ為にやってきたのが私達。とはいえ、意識だけの存在なのだけど」

 影 「けどこれ、何か裏があるんじゃないかって睨んでいるのよ。まぁそれはともかく――」

 影 「アナタ、私とキスしなさい。それによって救われる命もあるのよ」

小夜 「何を募金みたいにキスを強請るの。馬鹿なんじゃないかしら」

 影 「冗談抜きで……、橘瑞希、そして下手をすれば滝川詩乃の命も危ういわ」


 影 「だって彼女、橘瑞希を飲み込んで、妖精の能力で>>654している最中なのだもの」

見たものをコピー

 影 「だって彼女、橘瑞希を飲み込んで、妖精の能力で見たものをコピーしている最中なのだもの」

小夜 「……見たものをコピーって、物質を具現化しているの?」

 影 「物分りが良くて助かるわ。その物質を分解するチカラを、貸してあげると言っているのよ」

小夜 「だからって、そんな話信じられるわけがないでしょう!?」


 同じ姿を持った人間、実際にはそれは人の形をした精神体。それがそんな風に語りかけてくるのを、恐れない訳が無い。
自分と同じというだけでも恐怖を感じるのだが、その人格は私よりもどちらかと言えば攻撃的。
その為か挑発を繰り返し、その気にさせるのが彼女の常套手段なのだろう。嫌いではないが、好んだ事もなかった。


 影 「話が分かったのなら、後はキスをするだけ」

小夜 「……こんなの、ノーカウントでしょう? そうでしょう?」

 影 「あら、こちらの私はまだ恋とキスすらしていないの? 私はもう既に――」

小夜 「っ!? まままま、まさか、恋と、あんな事やこんな事、くんずほぐれつな事を!?」

 影 「さぁ、どうかしら。ふふ……。まぁそれよりも――」


 話を信じる、信じない。どちらかと言えば後者だった。しかし、実際に奇妙な出来事に遭遇してしまったせいだろうか。
それとも、私自身ライトノベル等の影響を受けて、妙に正義を愛するヒーローに焦がれるせいであろうか。
寧ろ信じてみるしかないのでは、という選択を受け容れてしまう。


小夜 「ん――」

 影 「…………おしまい。私の役割は大体終わったわ」

小夜 「これで、終わり? なんだか実体の無い、妙な空気に触れたような気がしたけれど」

 影 「そんなモノなのよ、この世界の影である私達はね。ともあれ、これでリンクは終了よ」

 影 「恐らく橘瑞希は、>>658に居るわ。私達の世界の瑞希は、チョット危険なのよ。……止めて欲しい」

超能力発現薬(制作者不明)を売る燕尾服の男と一緒

 影 「恐らく橘瑞希は、超能力発現薬(制作者不明)を売る燕尾服の男と一緒に居るわ。私達の世界の瑞希は、チョット危険なのよ。……止めて欲しい」

小夜 「超能力? 燕尾服? って、待ちなさいッ!!」

小夜 「―― 言うだけ言って、押し付けるだけ押し付けて、勝手に消えて……!」

小夜 「何て勝手な子なの、アレ!」


 それもまた、もう一人の私であり、それは可能性でもあった。
私も少し道を歩み違えば、あんな性格で挑発的な態度を取る傲慢娘だったのかもしれない。
そう思うと笑えてしまう。妙な笑みを浮かべてしまう私であったのだが、託されたソレは、居場所が分からなければどうしようもなく。


小夜 「そう言えば、滝川詩乃……って名前を出していたけれど。詩乃先輩なら何か知っている?」

小夜 「電気を操っていたような気もするし……。……試しに連絡を取ってみよう……」

小夜 「繋がるかしら……」

詩乃 『はい、もしもし……』

小夜 「詩乃先輩っ!? あの、ちょっと聞きたい事が!!」

詩乃 『……出来れば急いで。こちらもいよいよ窮地だから』

小夜 「窮地? どういう事ですか、それって!!」

詩乃 『これは想定を大いに外していた……。もしかしたら、ボクはもうダメかもしれない』

小夜 「それより居場所を! 先輩、今ドコに――!」

詩乃 『それより聞いて。……橘瑞希は、彼女であって彼女ではない』

詩乃 『どうしてこうなったかは分からない。けど……』


詩乃 『……彼女に出会ったら、>>661して。それが彼女を救う手段だと思う……から……』

鼻毛を抜くなり

詩乃 『……彼女に出会ったら、鼻毛を抜くなりして。それが彼女を救う手段だと思う……から……』

小夜 「詩乃先輩!! それより今何処に―― って、こんな時に電波が!」

 ツー、ツー、ツー

小夜 「……電話が切れた……。もう繋がらなくなっているし……」

小夜 「手掛かりが……まるでない……! でも、瑞希先輩は物質をコピーしているらしいし」

小夜 「奇妙な出来事が起こっている箇所がないか、手掛かりを……」

小夜 「って、いくらなんでも捜索地域が広すぎるわよぉぉ!!」


 この事を誰かに相談しようか。とはいえ、話が出来る人が誰にも居ない事に気付く。
一年生達に負担を掛けても仕方が無いし、鼻で笑われるだけ。それでいて、美樹は臆病なところがあるし、逆に不安だ。
じゃあ、恋は……。うん、一切頼りにならない。寧ろ何のネタだと笑われるだろう。


小夜 「ならば、一美は……高峰一美なら、話になるんじゃないかしら」

小夜 「とりあえず連絡を―― って、留守番電話とか、こんな時に!!」

小夜 「ならばメールを送って、返事を待ってっと……。……暫く自宅待機になりそうねこれは」


 ―― 翌日 小島小夜宅。


小夜 「くわっ!!」 ガバッ

小夜 「……不覚。眠ってしまったわ。……それより携帯、メールの返事!!」

小夜 「って、返事なしとか、一美も使えないわね。これだから男の娘は」


小夜 「さてどうしたものかしら。……学校には出るとして、一先ず……>>663するのが先決ね」

頼れる保健教師に相談

小夜 「さてどうしたものかしら。……学校には出るとして、一先ず……頼れる保健教師に相談するのが先決ね」

小夜 「まぁ、頼れるって噂の範疇だけど、あの男、イケメン過ぎて寧ろ怪しいみたいな……。って、それはどうでも良いわね」

小夜 「それより支度支度っと。後、時間を合わせて恋と一緒に登校しないと! はぁ、忙しいわ!」


―― 通学路。恋は酷杉学園女子高から家が比較的近い為、徒歩でやって来る。
大体は妹の愛ちゃんと一緒なのだが、今朝はどうやら一人きりらしい。その背中は小さくて、寂しそうにも見えた。
だからこそ、少しだけ声を高翌揚させては彼女に話しかけ、いつもの笑顔に包まれて学校へ向かうのだ。


鳥羽 「……ふむ、なるほどねぇ。小島さんは一つ上の先輩、橘さんが心配だと」

小夜 「ええ、まぁ。おかしな話ですが、もしかすると行方不明ではないかと心配で」

鳥羽 「橘さんは、今朝見かけたよ。今日も試験日なんだから、小島さんものんびりしていちゃいけない」

鳥羽 「うっかり赤点なんて取ってごらん、その日で追試を受けさせられちゃうからねぇ」


 保険教師の鳥羽先生は、白衣を着て、柔和な態度で私に接してくれた。これもまた人気の秘密なのだろう。
誰隔たり無く柔和な態度で、生徒を安心させる術を持っている。だからこそ好かないというのもあった。
しかし、彼の嫌味を一つでも言ってみよう。すると途端、他の女子生徒から嫌味を叩かれる事になる。

 女子社会は複雑だ。なんて下らない事を思いつつも、三年生の教室、橘瑞希が属するクラスへ足を運ぶ。
そして言葉を詰まらせた。彼女は普通に登校してきており、その笑顔は変わらない。


小夜 「なのに……いつもと変わらないのに、なんで……」

小夜 「こんなに、悪寒するんだろう。こんなに震えてしまうんだろう」

瑞希 「ふふ、もう、カナちゃんったらぁ~、うふふ」


 彼女は私に気付かず、クラスメイトと普通に接していた。それも、いつもの彼女らしく。
しかしその表情は確かに笑っていなかった。その冷徹な眼差しは、時折こちらに向けられていたことにも気付かず――。


~~~~ つづきます

ぼちぼち時間ということで、切り上げたいと思いますー。

なんか突っ走ってみたらとんでもない事になってたり、失敗が多かったり、散々でありましたが、
こんなのに付き合って頂き感謝感激なのであります。
ちなみにどうでもいい話、詩乃ちゃんの乙女設定は元々無かったです。突如閃いた的な……。

実はボクとか打つの面倒くさいんだよぉぉぉ!!クセで打っちゃうんだよぉぉぉ!! はいごめんなさい。


それではでは、今日もオツキアイアリガトウゴザイマシター

【10/20 (日) 00:29時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/20 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 芸夢製作部活動日誌 二年生編 第三話 『氷の⑧妖精大ハッスルの巻』


今日より酷くなるかもしれない。睡眠不足的な意味でべっちょり。……これからまた色々ありましてたはー。

ふえぇぇ、寝不足でふらふらするよぉ~~
途中で寝たらごめんなさい。流石にそんな事はないと思うけれど……。

登場人物紹介とかはやっぱりまたまた>>542で代用しちゃったりで、もう暫くお待ちください。

尚、今日の鎮守府日記はありません。遠征しかしてないもん! という訳で変わりにコレを置いていきますね。
http://muriyari4th.rash.jp/mngupload/src/mngup39.jpg     ※画像はイメージうんたらかんたら。

落書きから発展した一年生コンビさん。……元気があれば描き直したいです。
え、それより主人公とかが先だって? それも元気があれば(ry

>>668
一番初期の絵と今の絵を比較できない?
物凄く上手くなってたら、描き方教えて。

>>669
ふえぇ、PC自体が変わった時に纏めて捨てちゃったよぉぉ……。
あぷろだに古いのは残ってるけど、然程変わってないと思いますん。そもそも練習しない子だし!

だから教えられることがにゃにもないのです。

~~~~ 芸夢製作部活動日誌 二年生編 第三話


小夜 「……あの様子、絶対におかしいわ」 ガクガク

 恋 「……ほえぇ」

小夜 「多分、いいえ、恐らく、というよりも十中八九、あの先輩は今は普通じゃない……!」 ブルブル

 恋 「で、お昼休みから私の教室の片隅でガクブルしてどうしちゃったの?」

小夜 「聞いて恋! 実はかくかくしかじかで――」

 恋 「……ぷっ」

小夜 「……ぇ」

 恋 「あははははっ、瑞希先輩が怖くて恐ろしい? あははははっ!」

 恋 「だってあの瑞希先輩だよぉ? 脳内お花畑で、妖精が飛び交ってるようなほんわかな先輩なのに」

 恋 「人殺しを平気で行う殺意を感じただなんてぇ~あはははっ!」

小夜 「そこまでは言っていないけれど。というかさり気無く脳内お花畑とか酷い事を言ってるわね」

小夜 「でも、事実そう思ったのよ。……それに」

 恋 「……それに?」 ジー

小夜 「……なんでもないわ」


 彼女を巻き込みたくないと、私は素直にそう思ってしまった。しかしある意味では既に巻き込まれているとも言えよう。
そんな愛しいような、でも時折面倒くさいような、そんな彼女は相変わらず能天気な有様で。
彼女は知らないのだ。先日の夜、何処で何が起こったかという事を。

 そんな私は彼女と本来昼食を摂る予定でもあったのだが、軽い挨拶を済ませて本来の用事に出向こうと歩き出す。
すると恋が不思議そうな顔をして私に言ったのだ。


 恋 「あれ、いつもならここでお弁当広げるよね? ……このままだと、私……昼食抜き゛ぃ゛ぃ゛!!」

小夜 「……ごめんなさい、それより一美を探さなくちゃならなくって」

 恋 「私を見捨てるというのでづがぁぁぁぁ~~、人殺しぃぃぃ~~~!!」


小夜 (仕方ない、恋には昼食である>>673を与えるとしましょう)

トロロイモ

小夜 (仕方ない、恋には昼食であるゴキブリピラフを与えるとしましょう)

 コトン

 恋 「……何この仕打ち、私に[ピーーー]と?」

小夜 「思ったのよ。私は今まで恋の為にお弁当を作ってきたりしていたわ。時々食堂で自腹割いてランチだけれど」

小夜 「でも、今思えば食費は常に私持ちなのよね」

小夜 「つまりどういう事か分かるかしら?」

 恋 「だって、貴重なお小遣いはエロゲーに……!」

小夜 「私は甘やかせ過ぎたわ。だからこれを完食出来れば、私はまた普段通りにお弁当を作ってきてあげる」

小夜 「だけどそれが出来なければ、恋、アナタは自分でお弁当を作ることになるのよ!!」

 恋 「な、なんだってーーーっ!!」

小夜 (たまたまお弁当箱の蓋にゴキブリの死骸がくっついていたなんて言えないわね)

小夜 (……先日きちんと洗わず確認もせずで、お弁当作ってきちゃったのだからね。仕方ないのよ)

小夜 「それじゃ、私は用事があるから行くとするわ。恋……頑張って」

 恋 「さぁぁぁ~~よぉぉぉ~~~……ふえぇぇん」


 ゴキブリの件はちょっとした事故だ。それに、相沢美樹が恋をきっと救ってくれるだろう。
二年となり、彼女達は同じクラスとなり更に仲が深まっている。羨ましい限りなのだが、今日に限ってはそんな事は言っていられない。
その足で私は直接一美の居るクラスへ乗り込み、彼女を呼びつけるのである。


一美 「ん、小夜じゃん。どうかした?」

小夜 「実はかくかくしかじかで……。……信じてもらえるかしら」

一美 「かくかくしかじかで略されても訳分かんないだけど!?」

小夜 「そこは察しなさい、尺の都合よ!!」

一美 「ふぅ~ん、ある日突然どっぺるさんが現れて、すご~い能力を与えてくれて」

一美 「そして同じ出来事があったと思われる瑞希先輩の様子がおかしいと。ソレを信じろと」


一美 「……ぶっちゃけ、>>676

>>674
ゴキブリの佃煮をちりばめた
ピラフってのがあるんですよ。

安価下

一美 「……ぶっちゃけ、わけわからん」

小夜 「そこは分かりなさいよ」

一美 「訳分からないに決まってるじゃんか! 大体何? 分子分解? 物質コピー? ぷぷぷ、笑えて来たっ!」

小夜 「……アナタの股間に付いている貧相な物質、分解してもいいのよ?」

一美 「あ、いや、それは割りと大事なモノなので……」

小夜 「身も心も女の子、と言う割にはそういう部分、無駄に取っておこうとするのね?」

一美 「だって、もし万が一無くなっちゃって、血がドバーッとかなったら怖いじゃんか!」

小夜 「それもそうね。……まぁ、実際見せてあげるのが一番ね。アナタのツインテールの髪留め、一つ寄越しなさい」

一美 「えー、これ、大事なシュシュだしぃ」

小夜 「いいから寄越せ」 ビシッ

一美 「あぅんっ! だ、大事なシュシュ一号がぁ!!」

小夜 「…………フッ」


 実を言うと、この能力を実際に試すのは初めてでもあった。しかし実際、あのもう一人の私の存在から受け継いだとも言えるそれは、
恐らく私の中で眠っている筈だと、シュシュを握り締めて思う。

 そもそも、この能力を扱う場合どうするべきなのか。それすら知らない私の手の中では、シュシュが粉のように溶けたかと思えば、霧散してしまっていた。


一美 「わ、わぁぁぁぁぁあっ! 私の大事なシュシュ一号ぅぅぅぅぅ!!」

小夜 「……驚いたわ。変な感覚だったけど、まるで当たり前のように分子の羅列が頭の中に過ぎって……」

一美 「どうしてくれるんだよ! これ、何気に二千円もしたシュシュなんだぞぉぉ!!」


小夜 「……悪かったわ。じゃあお詫びに>>681をするから許して頂戴」

あなたの黒歴史を消す

小夜 「……悪かったわ。じゃあお詫びにあなたの黒歴史を消すをするから許して頂戴」

一美 「流石に私の黒歴史……ていうか、男として生まれたコト自体黒歴史なんだけど?」

小夜 「じゃあアナタを消すわ」

一美 「お詫び以前の問題じゃん! あぁぁぁ、もうっ!!」

小夜 「……お願い、相談に乗ってくれる人なんて、もう一美くらいしか居ないのよ」

一美 「……分かった分かった、信じるから。というか実際見せられちゃ仕方ないもんね」

小夜 「厳密に言えば、アナタは二度こういった出来事を目撃してるのよ。一度目は、恋が黒焦げになったアレ」

一美 「あれ、スタンガンじゃなかったんだ……? じゃあ詩乃先輩も……?」

小夜 「そう、そして瑞希先輩も同様。だけど、彼女の場合イレギュラーが発生した、と言えばいいのかしら」

一美 「具体的には?」

小夜 「……今の瑞希先輩は、もしかするともう一人の自分に操られている可能性があるわ」

一美 「ふぅん、なるほどね……。まぁ善は急げって言うし、私もちょっと瑞希先輩の様子、見に行ってみようかな?」

小夜 「それじゃあ、先に瑞希先輩の教室へ行ってくれない? 私は少し様子を見たいトコロがあるから」

一美 「何か用事?」

小夜 「彼女がちゃぁんと、ゴキブリピラフを食べてくれているかどうかの確認よ。フフフフ」

一美 (……時折こういう風に凄い黒いオーラを発するの、マジ怖いから止めて欲しいなぁ)


 そうして私が再び恋の居る教室へ戻り、彼女がきちんと私の用意したゴキブリピラフなお弁当を食べてくれたかと言えば……>>683

すっかりゴキブリの味覚にはまっていた。

 そうして私が再び恋の居る教室へ戻り、彼女がきちんと私の用意したゴキブリピラフなお弁当を食べてくれたかと言えば……、
すっかりゴキブリの味覚にはまっていた。そんな彼女の姿を見て、私は涙してしまう。

小夜 (……そんな、まさかアレを食べてるだなんて……!)

 恋 「むしゃむしゃむしゃむしゃ、はふぅっ!!」

美樹 「れ、恋ちゃぁん、流石にそれは……ねぇ、やめようよ、お腹壊しちゃうよぉ?」

 恋 「でも、でも、小夜が作ってくれたお弁当だし、それに……!」

 恋 (今日一円もお金持ってきてないし、食堂行けないし!!)

 恋 (それに美樹ちゃんに頼るのはなんか本当に気が引けちゃうんだよね。お嬢様過ぎて)

 恋 「だから、私にはこれで十分だよ! むしゃむしゃむしゃぁ!」

美樹 「ふえぇぇ。恋ちゃぁん……」

小夜 (私のお弁当だからって、あんなに頑張って食べてくれている……!)

小夜 (ごめんなさい恋。私が悪かったわ。アナタを試すような真似をした私をどうか許して)

小夜 (そして……、これからはもっと豪華なお弁当を作ると約束するわ……!)


 感涙だった。恋があそこまで私の事を想ってくれていただなんて。これで彼女の正妻は私に決まりだと確信し、
彼女に言葉を掛けずにその場を離れるのである。

 何より、涙を流している最中で今彼女に話しかけたら、寧ろ気味悪がられそうで。
そっとその場を離れて、私は今朝同様、再び瑞希先輩の教室へ向かうことになる。


一美 「あ、来た! ねぇ、ちょっとちょっと!!」

小夜 「な、何よ、いきなり……グスン」

一美 「……なんで泣いてるの? もしかして失恋?」

小夜 「寧ろその逆ね。正妻はやはり私なのよ。フフフ……グスン」

一美 「笑ったり泣いたり忙しいなぁ。って、そんなのはどうでも良くって。アレ見て!!」


一美 「瑞希先輩が……>>686してるんだけど……」

光速を超えて

一美 「瑞希先輩が……光速を超えてるんだけど……」

小夜 「……はい?」

一美 「追試を昼休みに受けているみたいなんだけど。その場で一瞬で終わらせちゃって……!」

小夜 「追試って、別の教室でそれぞれ行われる予定ではなかったかしら」

一美 「それが良く分からないんだけどさぁ……」


 確かに高峰一美が言うとおり、彼女は既に採点が終わった答案を見てにっこり顔をしていた。
その様子を廊下側から隠れて盗み見ているのだが、追試が終わった途端、他の女子生徒に囲まれて彼女の姿が見えなくなる。


一美 「瑞希先輩って、物質をコピーする能力なんでしょ?」

小夜 「その筈よ……そう聞いたもの」

一美 「なのに高速どころか光速! 見えなかったんだよ、鉛筆の動きが!!」

小夜 「たまたまじゃないの?」

一美 「うーん、やっぱりここは直接話をした方が良くない?」

小夜 「……でも、昨晩の詩乃先輩のやり取りを思い返すと……」

小夜 「詩乃先輩を襲った人物は、恐らく瑞希先輩よ」

一美 「で、その詩乃先輩は未だに連絡取れず?」

小夜 「ある意味再び行方不明中ね。折角戻ってきたと思ったのに」

一美 「うーん……。こう言う時、私にも能力があればなぁ」

小夜 「例えば実は悪魔だったという一年生編のフラグ回収とか?」


一美 「そんなのより>>689がいい!」

分身

一美 「そんなのより分身がいい!」

小夜 「実は悪魔で分身体質。アナタも大変ね」

一美 「何故悪魔設定はそのままにっ!?」

小夜 「あら、案外サキュバス辺りの生まれ変わりで良いじゃない」

一美 「あ、それもそっかー。ふ、ふふ、サキュバスかぁ……ぐふふ」

小夜 「まぁそれでも、私の分子分解……モレキュラー・ブレイカーの方が上ね」

一美 「何その直訳過ぎるだっさい名前」

小夜 「あら、イイじゃない。正義のヒーローみたいで。……後は変身できたらなぁ」 ウットリ

一美 (この子も微妙にズレてるんだよなぁ……)

小夜 「ともあれ、このままじゃ話が進まないわ。一美、策を」

一美 「それ本来アンタの役割でしょうが! うーん……それじゃ、一人になった所を狙って――」


 現在、酷杉学園は試験週間の為、普段よりも比較的早い時間で放課後となる。
そして、大体の部活は自粛し、静かな時間が訪れる。そんな中、私は瑞希先輩を尾行する。

 既に罠は張っている。後は一美が彼女を上手く部室前に誘導してくれるだけである。
きちんと誘導しているかどうか、そして彼女の様子はどうかと、尾行しつつ逐一確認するのであった。


小夜 「今のところは順調ね。後は……」

一美 「それでね、先輩、美味しいケーキのお店見つけちゃったんだぁ」

瑞希 「あらあら、うふふ~」

小夜 「……それでも気のせいかしら、私の存在、既にバレているような気がするわ」


小夜 「だけど、部室前にまで来れば……、>>691の罠が発動で私達のターン!」

大型地雷

小夜 「だけど、部室前にまで来れば……、大型地雷の罠が発動で私達のターン!」

小夜 「え、何故女子高生が大型地雷なんて用意できたかって?」

小夜 「そんなのむりやりご都合主義に決まっているわ。さぁ……もう直ぐよ、もう直ぐ、フフフ」

一美 「でもケーキはやっぱりモンブランだと思うんだ! 先輩はどっち派です?」

瑞希 「そうねぇ……私は、大型で埋め込み型で、地雷みたいなチーズスフレがいいわね~」

一美 「どきっ!」

一美 (……地雷のこと、バレてるっぽいっ!) アタフタ

小夜 (ええい、こんな時に手振り身振りでジェスチャーするんじゃないわよっ!) アタフタ

瑞希 「あらあら、どうしたのかしら~?」

一美 「い、いえっ、なんでもないっす、なんでもっ!!」

一美 (どうするのさぁ、地雷のコト、バレちゃってるって! というか巻き込まれたら私も即死じゃん!?) アタフタ

小夜 (アナタの屍はキチンと拾ってあげるわ。それでも安心して誘導しなさい!) アタフタ

瑞希 「あらあら、なんだかダンスを踊ってるみたいで楽しそうねぇ~」

一美 「ぎくっ! そ、そうですね! いやぁ、今日はダンスを踊りたい気分なんだぁ~あはは~」


瑞希 「それじゃ、芸夢製作部の部室に入る前に……一美ちゃんに>>693してもらおうかしらぁ」

どじょうすくいを踊る

瑞希 「それじゃ、芸夢製作部の部室に入る前に……一美ちゃんにどじょうすくいを踊ってもらおうかしらぁ」

瑞希 「部室前で、ね? ふふふっ」

一美 「ふぇっ!? ななななな、なんでぇ部室前なんですかねぇっ!?」

瑞希 「うーん、そうねぇ……何となくかしらねぇ?」

一美 (……もうだめぽ! 計画中止を我は望むッ!!) アタフタ

小夜 (大丈夫よ、所詮は脅し程度の大型地雷、身体は吹っ飛ぶかもしれないけど命に支障はないわ!) アタフタ

一美 (何それもう意味分かんないんだけどぉ!? あぁもう、こうなりゃ――)


 大型地雷といっても、実際学校を爆破してはとんでもない問題になるし、本気で一美の命も危うい訳で。
用意したのは地雷タイプであり、それが発動すると爆発音が鳴り、仕掛けていた網が部室側から飛び出す仕組みであった。
それに掛かれば、幾ら光速で動こうとも一瞬の隙が生まれる筈、そう思っていたのだが。


小夜 (あ~あ、一美が見事に網に掛かっちゃったわね)

小夜 (仕方ない……。……直接話を聞くとしましょうか……)

小夜 「……こんにちは、瑞希先輩」

瑞希 「うふふふ、今朝から今日は随分私にお熱なのね、小夜ちゃん」

小夜 (やっぱり私の気配を察知されていたっ!? バレバレだった!?)

小夜 「……いきなり質問、いいですか?」

瑞希 「昨晩ならぁ、私ぃ、お散歩していたかしらねぇ~うふふ」

小夜 (聞きたい事をいきなり読まれて返されたッ!?)

小夜 「こほん。……詩乃先輩と出会いませんでした?」

瑞希 「詩乃ぉ? うぅ~ん、どうだったかしらねぇ~。うふふ」


瑞希 「あぁ、そうそう、思い出したわぁ。……彼女なら、>>695

かたつむりとして転生するでしょう

瑞希 「あぁ、そうそう、思い出したわぁ。……彼女なら、かたつむりとして転生するでしょう」

小夜 「っ!? ……詩乃先輩を、殺したと……!?」

瑞希 「ふふふふふ、あはははははっ!!」

瑞希 「血塗れだったわね。腕を貫かれ、足を刺され、身動きできずに……」

瑞希 「私の名だけを呼んで、ひたすら呼んで、最後はお腹を貫かれて絶命したわ!!」

瑞希 「アハハハハハハッッッッ!!」


 詩乃先輩はやはり死んだ? 信じられなかった。頭が真っ白となってしまう。
彼女にとって、そして詩乃先輩にとって、どちらも親友と呼べる存在ではなかったのだろうか。
だからこそ、詩乃先輩が妙な暴走を起こした際、一番に心配したのは瑞希先輩だし、何より……。

瑞希 「アハハハハ、アハハハハハッッ!!」

 詩乃先輩を連れ戻してきたのは、恋や彼女じゃないか。
真っ白だった感情が、次第に炎が灯ったように昂ぶっていく。素直に私は悔しかったのかもしれない。
親友に殺された詩乃先輩を想うと、彼女はどんな思いで目を閉じたのだろうと。


瑞希 「……それで、アナタは私をどうするのかしらねぇ?」

小夜 「……場合によっては、分解します。跡形もなく」

瑞希 「出来るのかしら?」


 怖い筈なのに、震えて脚が動かない筈なのに、闘志だけが昂ぶっていく。
そして、私は詩乃先輩に言われていたある事を思い出す。

詩乃 『……彼女に出会ったら、鼻毛を抜くなりして。それが彼女を救う手段だと思う……から……』

 詩乃先輩は、昨晩話を終える前、こんな事を言っていた。
それが彼女を救う手段? ならばと、私の手はいつしか鼻先へ、指先を鼻の穴に突っ込んでいく。


瑞希 「……な、何をしているのかしら!?」

小夜 「鼻毛を抜くんです」

瑞希 「>>697!!」

なぜ、それを!

瑞希 「なぜ、それを!!!」

小夜 「詩乃先輩は、最後まで瑞希先輩の事を想ってくれていました」

小夜 「そして、アナタを救う手段に繋がると教えてくれました」

小夜 「それに……、アナタは今先ほど、理不尽な事を言っていると気付いたわ」

瑞希 「……どういう、事……かしらね」

小夜 「詩乃先輩と電話していたんですよ、私」

小夜 「けれどアナタは言いました。手も足も動かないまま、お腹を貫かれて彼女は絶命したと」

小夜 「何故そんな詩乃先輩は私と通話が出来たのでしょう。……答えは簡単よ」

小夜 「アナタは嘘を吐いている! 詩乃先輩はまだきっと生きているわ!!」

瑞希 「ッ!? ……だ、だからって、彼女はもう」

小夜 「さぁ、瑞希先輩。……戻って来て下さい、私達のところへ。そして、詩乃先輩のところへ」 プチッ

小夜 (鼻毛を抜くのって、ちょっと痛いわね……)

瑞希 「やめてっ! そんな汚いのを押し付けないで! こ、来ないでッ!!」

小夜 「光速で逃げればいいんじゃないですか? フフ」

瑞希 「だ、ダメ、それ以上寄られたら、汚すぎて私、私ぃ!!」

小夜 (汚い汚い連呼されて結構傷つくのだけど。……それでも、私は逃げないッ!)


 私が一歩歩み寄れば、瑞希先輩は一歩後退する。それが繰り返され、ついに彼女は壁際まで追い詰められる。
光速で逃げれば良いのにとも思ったのだが、どうやら彼女のコピー能力の何かが、鉛筆を光速で走らせただけなのだと推測する。
ならば彼女は恐らく怖くない。最悪、分子分解でどうにか切り抜けられるだろう。

 と、思っていた。

瑞希 「ダメェェェ、それ以上寄られたら、私、私ぃぃぃ!!」

小夜 「……えっ!?」


小夜 「わ、私の鼻毛を大量にコピーしたっ!? しかも鼻毛がふわふわ浮いて……!!」

小夜 「不味い、このままじゃ私の鼻毛のコピーにハリネズミのようにされて殺されてしまう! どうすれば……!!>>699

このドラム型バッグを盾にするか

小夜 「不味い、このままじゃ私の鼻毛のコピーにハリネズミのようにされて殺されてしまう! どうすれば……!!」

小夜 「このドラム型バッグを盾にするしかっ!」


 何故その場に落ちているのか分からなかった。まるで盾になって下さいというような有り様で転がっていたそれを用い、
一瞬で飛んできたそれから、身を防ぐことは出来た。しかし完全ではない。

 脛、膝、腕や頬を掠め取り、制服が破れ、微かに血が滲んでいる。
ドラム形バッグには見事に私の鼻毛がコピーされたそれが無数に突き刺さっていた。


瑞希 「いやぁぁぁあっ、近づけないでぇぇぇっ!!」

小夜 「も、もう近づけて居ないのに、何故こんなに……!」

小夜 (もしかして、彼女……瑞希先輩自体が潔癖症の類?)

小夜 (でも、もしそうなら既に私も皆も気付いてもおかしくない、それくらい異常な具合……)

小夜 (もしかすると、瑞希先輩を取り込んだもう一人の彼女が、極度の潔癖症……?)

小夜 (何にせよ、鼻毛死なんてイヤ。絶対にイヤ!! 死んでも化けて出れないくらいの恥ずかしさだわ!)

小夜 (こうなれば、もう突貫するしかない……。このドラム型バッグを盾にして!)

瑞希 「いやぁぁぁ、鼻毛も、脛毛も、腋毛も、アソコの毛もいやぁぁぁぁっ!!」

小夜 「こ、今度は鼻毛が刺さったドラム型バッグをコピーしたっ!?」


一美 (私が網に掛かってる間に、なんかとんでもない事になってる……)

一美 (こう言う時は大人しく、>>701するのが一番だよね)

恋との幼少時代を回想して現実逃避

一美 (こう言う時は大人しく、恋との幼少時代を回想して現実逃避するのが一番だよね)

一美 (そう言えば……。何故私は……ううん、僕は……)

一美 (恋から……あの場所から逃げたんだろう……)


 鼻毛が刺さったドラム型バッグが次々空間から生まれるように現れては、それが一瞬でこちらに突っ込んでくる。
それが繰り返され、次第に手に持っていたドラム型バッグでは防ぎきれず、その衝撃も凄まじく……。


小夜 「ぐぅ、ぁぁっ!!」

小夜 (お腹が、痛い……。足も痛いし……、ま、また飛んできたッ!?)

小夜 「うぐぅぅっ!!」

小夜 (ダメ、このままじゃ耐えられない……。そもそも、なんでこのドラム型バッグ、空っぽなのにこんなに重いの!?)

小夜 (まさか……、ドラム型バッグに、大量に私の鼻毛が詰め込まれているんじゃ……!?)

小夜 「ぐ、あぁぁっ!!」

瑞希 「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ……ふ、ふふふ、はははははっ!!」

小夜 「このままじゃ、死因はやっぱり自分の鼻毛となってしまう。……イヤ、恋に笑われて、バカにされてしまう!)

瑞希 「私に、この瑞希様に鼻毛なんて下らないモノ見せるから、そうなんだよぉぉっ!!」

小夜 「ぐ、あぁぁっ!!」

小夜 (イヤだ、笑われても、バカにされるのも。それよりも……恋に会えなくなるのが、イヤだ!!)


 立ち上がる。最早疲労で、痛みで震える脚に鞭打ち、それでも想いだけで立ち上がる。
鼻毛死を避ける為に。そして何よりも、大好きな恋に会えなくなるのが辛いから。絶対に生き残ってみせると、意思表示のつもりだった。
しかし現実は容赦なく。トドメといわんばかりの量のドラム型バッグが、ぐいっと鋭くなっては刃のように変化する。


瑞希 「これくらいの芸当ならば、私でも出来ちゃうのよねぇ。うふふふぅ……」

瑞希 「……さぁ、死んで頂戴ッ! 死んであの世で鼻毛を一生抜いてろォォォッッ!!」

小夜 (……これまで、かな……)


 目を閉じた。もうダメだと。私の死因は自分の鼻毛により鼻毛死。悲しいなんてモノじゃない。
後悔だけがひたすら残る結果。……になる筈だったのに。私は何故か呼吸し、立てているのが不思議で仕方が無い。

 目を開けば、そこには一美が私を庇うように立っており、彼女は飛んできたドラム型バッグが刃となったのを……>>704

ガソリンかけて燃やした

 目を開けば、そこには一美が私を庇うように立っており、彼女は飛んできたドラム型バッグが刃となったのを……、
ガソリンかけて燃やしたのだ。そんな一瞬の出来事をどうやってと、私は思う。


小夜 (そもそも、ガソリンなんて何処にあったの!?)

小夜 (というか、ガソリンなの!? そもそもどうやって燃やしたの!?)

小夜 (……そもそも、一美の背に生えてる、黒い羽根は……一体何?)

一美 「……小夜、私があの刃を全て燃やすから」

一美 「アナタは突っ込んで、鼻毛を彼女に押し当てるんだ」

小夜 「は、鼻毛を!? 何故!?」

一美 「気付いてるでしょ、それくらい。……あの影は、髪の毛以外の毛が恐らく苦手」

一美 「そんな苦手を身体に押し当てられたら、逃げ出したくもなるじゃん」

小夜 「……ふふ、ふふふふ、あははははっ!!」

一美 「何が可笑しいんだよ」

小夜 「いいえ、何でもないわ。……今日の一美、少し格好良いわよ?」

一美 「……ありがと。―― それじゃ」

小夜 「私の鼻毛で……反撃と行こうじゃないッ!!」


 そこから先は一瞬だった。それだけ、一美が信じられない能力を発揮した、としか言いようが無い。
ソレは最早悪魔そのもので。いいや、悪魔なんてレベルじゃない。……それはもう、悪魔を統べる王のような振る舞いで刃と化したバッグは燃やされる。


一美 「無駄、無駄ァァァッ!!」

瑞希 「な、何でよ、何で私のコピーが通じないのっ!? しかも、あの子のガソリンらしきものもコピー出来ないッ!!」

一美 「当たり前だよ! だってそれは……実はガソリンじゃなく、>>707だからねっ!!」

俺の血

一美 「当たり前だよ! だってそれは……実はガソリンじゃなく、俺の血だからねっ!!」

一美 「さぁ、燃えろッ! 我が身に滾っていた魔を継ぐ血よ!!」

瑞希 「そ、そそ、そんな、そんな……ッ!!」

小夜 「……目の前の大を見すぎて、小であった私の接近を許したアナタの負けよ」

瑞希 「ッ!? い、何時の間にッ!?」

小夜 「気を取られ過ぎたわね。コレでも陸上部にスカウトが来るくらい、足が速いんだから」

小夜 「……喰らいなさい。私の鼻毛を……!」 ピトッ

瑞希 「ひ、ひぃっ!? ひぎぎぎぎぃぃぃっっ!!」

小夜 (一美に比べて私の決め台詞、格好悪い……くすん)

瑞希 「ぎぃぃぃやぁぁぁアァァァッッッッ!!」


 まるで生気が抜かれるように、瑞希先輩の肉体はがくりと崩れ落ちた。
鼻毛だけでこの効力、どれだけ髪の毛以外の毛を毛嫌いしているのか、末恐ろしくなってしまう。
そうして、ふらりとよろめくように彼女の身体から抜け出した影は、やはり瑞希先輩と瓜二つであった。


 影 「ぐ、ぅぅぁぁぁぁぁ……毛、イヤ、イヤダァァァァッ!!」

小夜 「……もう終わりよ、もう一人の瑞希先輩。いいえ、別世界の橘瑞希ッ!」

 影 「……フ、フフ。アハハハッ!」

一美 「何がおかしいんだか、コイツは。……もう、消しちゃう?」

小夜 「待って。……少し話をしたいのだけど、良いでしょう? さもないと私の鼻毛だけじゃない、腋毛も押し付けるわよ?」

一美 「伸ばしてるのッ!?」

小夜 「うるさい黙れ。……話をしてくれれば、もう居なくなってもいいのだから。……どう?」


 影 「……>>709

どうやったって…この世界もまた…あの人たちでも駄目だったのに…私たちや貴方たちじゃどうにもできない

 影 「……どうやったって…この世界もまた…あの人たちでも駄目だったのに…私たちや貴方たちじゃどうにもできない」

小夜 「……何を言っているの?」

 影 「どうせ壊れるのなら、いっそ私が壊してやろうって……、う、ぅぅ……ひっく……!」

小夜 「何の話なのか、一から説明して」

 影 「……ふ、ふふ、あはは……」

一美 「こ、こいつっ! 瑞希先輩に近づいて……!」

小夜 「待って。……大人しくしていましょう」


 影、でもまたそれは橘瑞希そのもの。だが、別世界の彼女は幾分感情が幼いのかもしれない。
子供のように嗚咽しながらも、意識が朦朧としている様子の瑞希先輩の顔に手を当てた。


 影 「……ごめんね、ごめんねぇ……、私、極度の体毛アレルギーだし、あの時体毛を見せ付けられて、アナタに能力を与える筈が……!」

 影 「逆に乗り移って、酷い目に遭わせて……!」

小夜 (……潔癖症じゃなく、体毛アレルギー!?)

一美 (しかも髪の毛は体毛じゃないってかっ!?)

 影 「……でも安心してね。お友達、ううん、恋人の詩乃は、生きているから」

小夜 (さり気無く恋人発言ッ!?)

一美 (向こうの世界の瑞希先輩と詩乃先輩には一体何がぁぁぁ!?)

 影 「もう、余り時間がない……。今度はきちんと、言われた通り、アナタに託します」

 影 「それでも……絶対神化計画、そして滅びの末路はどう足掻いても――」


 ―― 翌日、昼休み。


 恋 「……今回も出番あんまりないんですけどー」 ムスー

小夜 「心配しないで。まだまだ暫く出番が無いから」

 恋 「何ですとッ!?」 クワッ

小夜 「ちなみに今日のお昼は、>>712のお弁当よ」

高級ステーキ

小夜 「ちなみに今日のお昼は、高級ステーキのお弁当よ」

 恋 「えーっ!? 高級ゴキブリお弁当じゃないのぉ?」 プンプン

小夜 (……お、おかしいわね、何でゴキブリを強請るのかしら!?)

 恋 「まぁ、ご馳走じゃないけど仕方ないなぁ、頑張って食べてあげましょうッ!」

小夜 「しかもなんか偉そう!? ……私、頑張って作ったのよ? なんで、なんでぇ!?)

 恋 「はむはむ、はふっ。……うん、これも美味しいねっ!」

小夜 (でも、この笑顔……守りたい。この恋そのものを……)

小夜 (だけど……ゴキブリに負けた私の愛情とは一体……くすん)

 恋 「それより気になっていたんだけど。……なんで絆創膏がいっぱいなの?」

小夜 「そ、それはねっ!? ……ふっ、正義の味方は辛いのよ?」

 恋 「うわ出た、久々の正義気取りの惚気話!!」

小夜 「実はうんたんかんたんしんたんみんたんで――」

 恋 「かんたんしんたんみんたんってなんだよぉぉぉ!!」


美樹 「……二人とも、楽しそう」

美樹 (でも、あの二人に割り込む勇気も、度胸も私にはない……)

美樹 (……だから、小夜ちゃんが来たときは私はいつも見守りながら、>>714する事にしているの)

ヘディングの練習。

美樹 (……だから、小夜ちゃんが来たときは私はいつも見守りながら、ヘディングの練習する事にしているの)

女子A 「うわ、相沢さんがまたヘディングの練習を始めてる!!」

女子B 「アレって、鎌って欲しいってコトだよねー。……でも無理っしょ」

女子C 「だって黒板に向かってヘディングリフティングとか……ちょっと曲芸すぎて……」

美樹 「えいっ、えいっ!!」

 恋 「ステーキうまうま、うまうまぁぁぁあっ!!」

小夜 「何だかんだでいつもの恋ね。ふふ」

美樹 「…………」

美樹 (小夜ちゃんも大事な友達。分かってる。そして恋ちゃんは愛する人)

美樹 (その想いは野菜王子様以上。もう夜だって眠れないくらい)

美樹 (だけど……今は小夜ちゃんが、ちょっとだけ憎いかも……)


 ―― 放課後、誰も居なくなった教室に彼女は居た。
厳密には少年と呼ぶべき存在は、もう一人の自分と対話を続けているのである。

 影 「ていうかさー、マジウケルっていうかーきゃはっ!」

一美 「……なんて言うか、別世界の私が本当に女で、しかもギャル系っていうのは……マジキツイわー……」

 影 「何がチョーキツイって? ゲロっちゃいなよぉーきゃはっ!」

一美 「げ、げろって……」

 影 「あーんでんで、何だっけェ? 思い出したっ! 分身の能力、要る?」

一美 「……悪魔として目覚めちゃったんで」

 影 「あー、アレね。魔王化ね。まー安心しなって。アレになったら気性が荒くなるだけだからさー。……で、要る?」

一美 「い、一応……」

 影 「んじゃーぶちゅううううっ!!」

一美 (こんなもう一人の私、イヤ過ぎるぅぅぅ!)


 影 「あ、そうそう、最後に一つだけー。マジウケル話なんだけどぉ。……敵、動いたよ。>>718を消すつもりみたい」

恋のエロ妄想

 影 「あ、そうそう、最後に一つだけー。マジウケル話なんだけどぉ。……敵、動いたよ。恋のエロ妄想を消すつもりみたい」

一美 「ッ!? そんな事をしたら、恋は……彼女は……」

 影 「自我が崩壊するかもー、だったらウケルー! ……マジ、ううん、冗談抜きで防ぎなさい」

 影 「アナタのその能力、複製を意味するわ。自分を分身させるだけじゃない、単純な分子構造のモノなら複製出来る」

 影 「だからといって固有結界を敷いて、某身体は剣で出来ている―― なんて言ったらマジウケルー!」

一美 「……割と普通に喋れるかと思ったら、やっぱりズレていた!?」

 影 「ま、後は全て任せるわ。……こっちの瑞希先輩が無茶をしてごめんなさいね」

 影 「だけど分かってあげて。……私達でも、あの人たちでも、敵わなかった。それだけ相手は絶大」

 影 「……託す形になってしまったのは申し訳ないけれど。……後はまーテキトーに頑張ればー? きゃはっ!!」

一美 「言うだけ言って、勝手に消えて……うぅぅ、何か凄い切なくなってきた……」

一美 「だけど、さっきのもう一人の私が言ったことが本当ならば……。……よしっ!!」


 ―― 夜、相沢邸。

 私こと相沢美樹の家は、豪華らしい。その辺りは正直良く分からない。
生まれてこの方恵まれている方だとは思っていた。望めば与えられ、そして望めないものはない。
それくらいに私は裕福で、不自由ない生活を送っていたのは間違いない。

 だけど、求めても望めない未来が待っている。そう気付くと、凄く胸が切なくて、キツイ。


美樹 「……はぁ。今日、美樹ちゃんも恋ちゃんの家にお泊りかぁ」

美樹 「何故か小夜ちゃんもお泊りするって言っていたし……。瑞希先輩は詩乃先輩の居場所が分かったからとか」

美樹 「なんか、私だけ……置いてけぼり……」

所沢 「……お嬢様、物思いに耽っている最中で申し訳ないのですが」

三沢 「……家で野菜王子の抱き枕を抱いて、独り言を言いながら更に>>721をするのはお止め下さい」

株の売買

三沢 「……家で野菜王子の抱き枕を抱いて、独り言を言いながら更に株の売買をするのはお止め下さい」

美樹 「黙りなさい、私を誰だと思って話をしていると言うのッ!?」

美樹 「全く、大体貴方達護衛が私に奉仕する立場じゃないでしょう!? 弁えなさい!!」

所沢 「し、しかしお嬢様……!」

三沢 「今は生憎、日比香さんは買い物へ出かけておりまして……」

美樹 「黙りなさい、大体貴方達は選ばれし護衛、相沢家が誇るツイン沢の沢戦隊なのよ?」

美樹 「その精鋭の二人が揃いも揃って私に奉仕等と……。するべき事をなさい!」

所沢 (なんか今宵のお嬢様……酷く機嫌を損ねていらっしゃる……)

三沢 (日比香さん、早く戻ってきてくれぇぇぇぇっ!!)

所沢 (それ、死亡フラグ立ったぞ?)

美樹 「大体! 三沢って何? ツイン沢ならば二沢に改名すべきでしょう!?」

美樹 「それに護衛ならば黒服でサングラスなんて何百年前のボディガードなのでしょう!?」

三沢 (所沢ぁ、助けてくれぇ……!)

所沢 (すまん三沢。俺には……フリーザ化したお嬢様に敵う戦闘力を持ち合わせていない……!)

美樹 「聞いているの三沢ッ!!」

三沢 「はひぃんっ!!」

 バァンッ

日比香 「騒がしいと思えば……またお嬢様の我侭が始まったのね」

日比香 「ほらほら、お嬢様。大丈夫ですよ。……きっと、お嬢様の想いは実りますから」

日比香 (こうしてあやしておけば、お嬢様はけろっと機嫌を直し、株の売買から>>724を行うのが日課なのよね)

カブ料理

日比香 (こうしてあやしておけば、お嬢様はけろっと機嫌を直し、株の売買からカブ料理を行うのが日課なのよね)

美樹 「さぁ、日比香さん! 今日もカブ料理をいっぱい作るわよぉ~!!」

日比香 (ほらね。ほんと扱いやすいお嬢様。……でも)

美樹 「それより日比香さん。お買い物と言う割には……随分早かったですね。本当にお買い物していたのかしら?」

日比香 (カンが良いのか、彼女は鋭い……。だから、適当に買った株は常にプラスに転じ、相沢財閥を更に拡大させている……)

美樹 「ま、そんなコトどうでもいいわね! 日比香さん、参りましょう?」

日比香 「そうですねお嬢様。……今日はどのようなカブ料理を?」

美樹 「煮物に挑戦してみようかなって思っちゃって。ふふ、煮物も作れる女はデキるって聞きましたから」

日比香 (しかし……外のお嬢様と内のお嬢様、どうしてこうも変わってしまうのか、ほんと不思議だわ)

美樹 「デキる女かぁ……ふふ、ふふふふ、ぐふふふふ」

日比香 「お、お嬢様、妄想が膨らみすぎて涎が垂れています」

美樹 「おっといけません。私としたことがはしたない……自重致しますわ」


 ―― 翌日、翌々日、日常はあっという間に過ぎていく。
最近では小夜ちゃんが、そして一美ちゃんが変わりばんこにお泊りをしているらしい。なんてけしからん人達だろう。
こうなれば私もお泊り宣言するっきゃない。そう思っていた。しかし……。


 恋 「ほえ? どしたの美樹ちゃん?」

美樹 「そそそそ、そのぉ……あのぉ……」

 恋 「なんか凄いどもってるんだけど……だいじょぶ?」

美樹 (恋ちゃんだって、初めての人にはいつもこうじゃないのぉ……!)

美樹 (だけど、だけど言えない、勇気が足りない。度胸も足りない。どうしよぅ……)


美樹 (あ、そうだ。こんな時日比香さんから、>>727をすれば良いって聞いてきたんだったわ)

手のひらに龍を四つ合わせた漢字を三回書く

美樹 (あ、そうだ。こんな時日比香さんから、手のひらに龍を四つ合わせた漢字を三回書くをすれば良いって聞いてきたんだったわ)

美樹 (でも、七つじゃなくていいのかなぁ……。七つじゃないと、お願い事は叶わないようなぁ) カキカキ

 恋 「…………?」

美樹 (それに、三回じゃなくて七回書いた方が良いんじゃないかなぁ……) カキカキ

 恋 (うっわ……どうしよう。目の前で急に黙り込んだと思ったら……)

 恋 (掌に文字を書き出しちゃったよ……どうしよう……)

 恋 (でも待てよ。これって、美樹ちゃんならではの愛の告白ではっ!?)

 恋 (そんなぁ、私達女同士だしぃ、でも百合ううんレズだってアリアリちょーアリだよねぇっ!)

 恋 (……って、私そんなキャラじゃないしっ!? レズとかマジ興味ないしっ!? ……なんか最近変だなぁ、私)

美樹 「…………」 カキカキ

 恋 「うへへへぇ……はっ!? うへへぇ……」

小夜 「何なのこの二人。……無言で通じ合っているっていうの……?」

小夜 (無言で通じ合える二人……!? 正妻となった私にまだ立ち塞がるのは相沢美樹!)

小夜 (一見大人しいキャラで、でも芯は意外としっかりしているその理由を私は知っているわ!)

小夜 (という訳で、ちょっと……彼女の本性を恋にみせてあげたいなーなんて。……そんな悪戯してみようかしら)

美樹 「…………」 カキカキ

小夜 「……おっとー、あんな所に護衛の方々がぁー」

美樹 「てちっ!? ……また所沢と三沢ね。本当に心配性なのだから、もう」

美樹 「所沢、三沢、二人とも私の事は心配しなくて良いのだから、時間となれば車を回して頂戴!!」

美樹 「……はへっ? あれれぇ……?」


 恋 「い、いい、今のは一体……!?」

 恋 (急に美樹ちゃんがキリっとして鋭いお嬢様キャラに!? これはまさか……私に>>730

シャイニング土下座

 恋 (急に美樹ちゃんがキリっとして鋭いお嬢様キャラに!? これはまさか……私にシャイニング土下座しろと!?)

 恋 (まさかのカムバック・シャイニング土下座だよぉ。……でも、あの時は本当にドキドキしたなぁ)

 恋 (でも、今はこうして美樹ちゃんと仲良くなれて……。時折一線を踏み越えそうでもあるんだけど)

 恋 「……ねぇ、美樹ちゃん」

美樹 「は、はぃぃっ!!」

美樹 (どうしよぅ……、恋ちゃんに私の普段の姿をみせちゃったよぉ……)

美樹 (恥ずかしい……それにはしたないって思われそうで……うるうる)

 恋 「……今日、ウチに泊まりに来ない?」

 恋 「最近なんか知らないけど、小夜も一美も変わりばんこに泊まりに来るんだけど」

 恋 「それなら偶には美樹ちゃんもー……って……」

美樹 「うるうるうるうる」

 恋 「……な、泣くほど、イヤ?」

美樹 「ふるふるふるふる」

 恋 (な、なんか……子犬みたい……)


 ―― お泊り、お泊り、嬉しいな。
どんなパジャマを持ち込もう。でも、流石にドラゴンボールな寝間着は持っていけない。
だからといって、ひらひらした服も私には合わないと思う。やはりここはシンプルイズベスト!


 恋 「……で、選んだパジャマが……>>733ですか……」

ゴシックロリータ

 恋 「……で、選んだパジャマが……ゴシックロリータですか……」

美樹 「へ、ヘン……かなぁ……」

 恋 「ぜ、全然ヘンじゃないよっ!? 凄いお似合いだよっ!? だって美樹ちゃん可愛いし!!」

美樹 「か、かぁいい……だなんてぇ……///」

 恋 (美樹ちゃんとお泊りなんて初めてだけど……。しつこく小夜が私もってせがんで来たのを断って尚お釣りが来る……)

 恋 (この照れてる美樹ちゃんの可愛さ……文字じゃ伝えられないぃぃっ!!)

美樹 (所沢や三沢、そして日比香さんに黙って家を抜け出してきたけれど……)

美樹 (可愛いって言って貰えて凄く嬉しい……。無理して抜け出してきて良かった……!)

 恋 (それより……なんて話題を切り出せば……。妙な空気になっちゃってるような?)

美樹 (あうぅ~、嬉しすぎてなんて話せば良いか分からないよぉ……)

二人 「……あ、あのっ!!」

二人 「…………ど、どうぞ!?」

 恋 (予想通り会話が進まないパターンがきたぁぁぁぁっ! ……どうしよ)

美樹 (恋ちゃんと被って上手く話が出来ないよぉ。……ど、ドキドキして止まらないぃ……)


 沈黙。時計の針の音だけがただただ聞こえてくる。折角恋ちゃんと二人きりになれたのに。
だけどお話できない。次第にその沈黙が辛くなり、苦しくなる。だからこそ余計に話を切り出したいのに、上手く行かない。

 しかしそれは、彼女の机の上にある一つの紙の山に目が留める事になる。


美樹 「ねぇ、これって……ゲームのプロット?」

 恋 「あ、そうそう! この前、一美と小夜が泊まりに来たときに、一気に仕上げたんだぁ!」

美樹 「へぇ……ちゃんと頑張ってるんだぁ……」

 恋 「……美樹ちゃん?」

美樹 「……羨ましいな、一美ちゃんも、小夜ちゃんも。特技があって、そしてそれを生かせて」

美樹 「私には……何もないよ……何一つ……」


 恋 「そそそ、そんなコトないよ!? 美樹ちゃんだって>>736が得意じゃない!!」

松葉相撲

 恋 「そそそ、そんなコトないよ!? 美樹ちゃんだって松葉相撲が得意じゃない!!」

美樹 「……え? で、でもそんな事じゃ、二人には到底敵わない……」

 恋 「……私なんて、もっと何も無いんだよ?」

美樹 「恋ちゃん……?」

 恋 「私だって、ホントに何も出来ない。だけど、こうして芸夢製作部を立ち上げることが出来た」

 恋 「それって……みんなのお陰じゃないかなって思うんだ」

 恋 「みんな、そして……美樹ちゃんが居てくれたから、芸夢製作部は出来たんだよ?」

美樹 「……恋、ちゃん……ふぇぇぇん……!」

 恋 「ど、どうして泣くの!? どうして!?」

美樹 「だって、ひっく、嬉しいからぁ……。私を認めてくれて、嬉しいからぁ……!」


 彼女の家は、本当にエッチなゲームで溢れ返っていた。そのパッケージは私じゃ直視出来ないくらい。
だけど、暗い雰囲気を変えようと、そんなゲームを起動させた恋ちゃんは、更に続けるのだ。


 恋 「この子、可愛いでしょう? ぐへへへぇ……ちんまい女子高生らぶりぃ!!」

美樹 「でもこの子、なんだかいじらしいね……」

 恋 「それがいいのですっ! 元気だけど健気で一途で応援するちんまい女子高生らぶりぃ!!」

美樹 「……恋ちゃんも、割と元気だよね。ふふ」

 恋 「ほえ、そうかな? ……それも、みんなのお陰だよ」

美樹 「恋ちゃん……」

 恋 「美樹ちゃん……」


?? (……本来ならば居ない筈の人間が一人、そしてその人物と顔を近づけ合って……)

?? (まさか、キスを交わそうと言うのか……!? そうはさせん……!! >>739で妨害するしかあるまい……!!)

クラッカー

?? (まさか、キスを交わそうと言うのか……!? そうはさせん……!! クラッカーで妨害するしかあるまい……!!)

 パァンッ!!

二人 「ひぃっ!?」

 恋 「い、今の音って、クラッカーだよね……っ!?」

美樹 「窓の外から聞こえたようなぁ……」

 恋 「でも、今は誰も居ない……。何だったんだろう……」

美樹 「それより、さっきのゲーム、続きはしないのかなぁ……?」

 恋 「……でもこの後ちんまい女子高生のエロエロシーンに突入ですけど大丈夫?」

美樹 「え、えろえろっ!? そそそ、そんな恋ちゃんとえろえろだなんて、わ、私、下着の準備がぁ……!」

 恋 「……最近の美樹ちゃん、誰かに似てきたね……」


 ―― その女は舌打ちし、今宵は大人しく身を引く事にした。
彼女は携帯を通じ、仲間と連絡を取り合っていた。彼女は電話の相手に何故計画を中断したのか問い詰められることになる。


日比香 「……そうね、あえて言うのなら、最後の一晩くらいはって思った……ってところかしら?」

?? 『やれやれ、全くもー、しっかりしてよねー』

日比香 「分かっている。明日必ず計画は実行しよう。約束はする」

?? 『結果も出してくれないと困るんだけどー?』

日比香 「ええ、勿論。……十分期待してくれて結構よ」

?? 『後、念のためあの子も準備させてるから。失敗したら……脳みそばーんだからねー』

日比香 「あら、怖い怖い。でも大丈夫。くす……。このクスリさえあれば……」

 
 園田日比香。彼女は小瓶を取り出し、その中で揺らぐ液体を見つめて、妖艶な笑みを浮かべる。
計画は実行する。それは約束した。だがしかし、お仲間とも呼ぶべきかどうか、そんな程度の縁の相手に結果を残すつもりは無い。


日比香 (お嬢様を誘惑するクソ女……、エロ妄想だけじゃなく、命ごと削り取ってくれるわ……フフフフッ)



~~~~ つづきます

お、思ったより展開が速くて疲れたぁ~って感じで終わります。
最早日常モノの名残が一切ありません。新キャラ続々じゃないですかやだー!

ともあれ、お付き合いありがとうございましたー!


【10/21 (月) 00:32時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/26 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 芸夢製作部活動日誌 二年生編 第四話 『眠り姫、目覚めのドS嬢』


色塗り前はどうしてたんだろう、思い出さなきゃべっちょり。

ちょっと予定より長くて30分遅くなります。ごめんなさい。

ひぎぃ、予定より遅れてごめんなさい。今日新しく新調したキーボードが打ちづらくて打ちづらくて。
まだ慣れていないのでちょっぴり普段より遅い時があるかもしれません。

今回のどうでもいい話、映画を見てきたんです。何故かまどマギじゃなくて中二病をwwwwwwww
アニメ映画見るのって子供の頃以来でしたけど、今のアニメ映画って、音周り凄いんですねぇ……ふぎぃってなってました。
おかげで艦これ遠征にすら出せてません。でこもり頑張ってたからいいんです。二期はよwwwwwwwwはよwwwwwwww


今日も>>542に頑張って貰うという訳で、もう暫くお待ち下さい……。


最後に滅茶苦茶ですがべっちょり。
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~~~ 芸夢製作部活動日誌 二年生編 第四話


 病室、そこでは二人の少女が居り、一人はベッドで身体を起こし、一人は林檎の皮を器用な手つきで剥いている。
林檎の皮を一切のミスもなく綺麗に剥いていく少女に見惚れる中、ベッドの上に居る少女は言葉を掛ける。


詩乃 「……上手」

瑞希 「そうかしら、割とこれくらい常識なのよ~?」

詩乃 「ぅ、常識……なの?」

瑞希 「そうなのよ~。ふふ。それで、他に欲しい物はない?」

詩乃 「……急に優しくなりすぎて、気持ちが悪い」

瑞希 「だって、もう一人の私に身体を操られて、殺めはしなかったけれど……」

瑞希 「拉致監禁、そして身体は痣だらけ。後に彼女の記憶と能力を引き継いだから、見つけられたけど……」

詩乃 「大丈夫、慣れてるから」

瑞希 「そんな訳ないでしょう!? ……本当にごめんなさい。だから、私……何でもするわ!」

詩乃 「……それじゃ、魔法少女に(ry」

瑞希 「それは却下~♪」

詩乃 「……いじわる」

瑞希 「それ以外のお願いならきっと頑張れるから~。ね?」

詩乃 「そう言えば、最近の部活の様子はどう?」

瑞希 「それがねぇ……ちょっと様子が変なのよね~」

瑞希 「今日も小夜ちゃんや一美ちゃんを押し退けて、美樹ちゃんと恋ちゃん、お泊りらしいのよ~」


瑞希 「これって、>>746の予感がしないかしら~?」

NTR

瑞希 「これって、NTRの予感がしないかしら~?」

詩乃 「それはどういうカップリングの予定でのNTRなの」

瑞希 「ん~とぉ、この写真に写ってる右上の金髪ちゃんが一美ちゃんらしいでしょ~?」

詩乃 「さり気無く説明付けるの忘れてたのでボク達を使うのはやめて欲しい」

瑞希 「まぁこの娘はきっと論外~ぽいっ。それで、真ん中が小夜ちゃんでしょぉ? ……ピンチね」

詩乃 「で、茶髪の美樹に奪われるパターン。……どうでもいいけど、ボク達が居ないのは何故?」

瑞希 「次回頑張れたら詩乃ちゃんらしいわよ~。良かったわね~。……はぁ」

詩乃 「……何故溜息を」

瑞希 「私、余り興味がないらしくって~。まあ下手だからどうでもいいわね~! ってそんな事はどうでも良くて、NTRの話よね~!」

詩乃 「まぁ、その……これで涙を拭いて」

瑞希 「ありがと……ぶぴゅぅ~~!」

詩乃 「……ボクのパンダハンカチ、鼻水塗れに……」

瑞希 「ともあれ~、ちょっとメールでも打ってみるわ~。今何してるのかしら~っと」 ポチポチ

詩乃 「誰に送ったの?」

瑞希 「あえて美樹ちゃんの方へ~。……早速返信が来たわ~!」


 『今ですかぁ? 今、恋ちゃんと>>748していますぅ~♪』

買い物

 『今ですかぁ? 今、恋ちゃんと買い物していますぅ~♪』

瑞希 「割と普通だったわぁ。……面白くないわねぇ」

詩乃 「瑞希は一体何を期待しているのか……」

瑞希 「そんなの決まっているでしょう? 寝取り寝取られ愛憎劇よぉ? うふふ」

詩乃 「アナタ、ちょっと性格変わって腹黒くなったね。……それで、瑞希自体は彼女を寝取られてもいいわけ?」

瑞希 「私はぁ、三角関係、四角関係から割り込んで既成事実を作るタイプだからぁ~」

詩乃 「ホントに地味に性格悪くなっている……」


 ―― 午後六時を過ぎようとする頃、あぶれた少女達が部室で自棄酒ならぬ自棄茶を行っていた。
それに付き合わされている一年生二人は、最早手が付けられないと、静観するしかなかった。


小夜 「ぷはぁぁ~~っ、麦茶がうめぇっ!!」

一美 「黒烏龍茶もうまいぞぉぉ~~!!」

姫菜 「……あのぉ、念のため言っておきますけど、もう下校時刻過ぎてます……」

乃亜 「もうそろそろ帰りたいんだけどー……」

小夜 「うるっさぁぁぁぁぃ!! ったくっ、あの恋の急にデレデレした態度!!」

一美 「挙句に、美樹ちゃんも調子に乗っちゃって! 全くぅぅぅもうっ!!」

乃亜 「あのー、おうちにー……」

二人 「うるさいと言ってんだろごるぁぁぁぁあっ!!」

乃亜 「ひ、ひぎぃっっっ!?」


姫菜 「乃亜、こう言う時は大人しく静観静観。……後、暇つぶしに>>751でもしない?

ダウジング

姫菜 「乃亜、こう言う時は大人しく静観静観。……後、暇つぶしにダウジングでもしない?」

乃亜 「おぉー、お宝発掘っ!? そして財宝二人で山分けっ!?」

姫菜 「ただの暇つぶしよ。ちなみに対象は部室って事で」

小夜 「大体ねぇ……恋はねぇ……ひっく、お人好しな所もあるクセに、臆病すぎでぇ……」

一美 「分かる分かるぅ、っていうかぁ、最近の恋も調子に乗りすぎっていうかー……ひっく」

姫菜 (なんでお茶であんなに酔っ払いな会話が出来るのか……)

小夜 「でも、人懐っこい部分も出てきて余計に可愛くなってぇ……うふふふふふひっく」

一美 「分かる分かるぅ、昔から根はあんなカンジだってぇあははははひっく」

乃亜 (地味にお酒臭いのは気のせいだろうかー……。で、ダウジングロッド、見つかった?)

姫菜 (見つかったわ。さぁ早速お宝探し―― 早速ヒットよ!?)

乃亜 (えっ、マジー!? どこ、どこどこ!? 諭吉さんが大量に眠ってる場所はいずこー!?)

小夜 「そもそもさぁ……私達、話し合って恋を護ろうって話になったじゃないのぉ…・ひっく」

一美 「なのに無能力者、レベル0、ただのお嬢様属性の美樹ちゃんなんかがぁぁぁ……ひっく」

小夜 「なんでなのよぉぉおうるぁぁぁぁっ!!」


姫菜 (それにしてもあの二人、ちょっと煩いわね……。乃亜、こっちこっち!)

乃亜 (あれ、ココって誰も使っていない部室のロッカーじゃん? でも何でココに反応が?)

姫菜 (開けてみれば分かるわきっと。……どれどれ……) ガチャ


姫菜 「……>>754があるんですけど……」

世界崩壊スイッチ

姫菜 「……世界崩壊スイッチがあるんですけど……」

乃亜 「こういうのは押すのが定番っしょー? ぽちっとな!!」

姫菜 「あ、あれ!? なんだか一気に景色が真っ白に――」

乃亜 「ふぇっ!? な、ななな、何これぇぇぇ――っ」


 ―― 世界は崩壊した。ゲームオーバー!!

 続ける?  Yes

        
         No
   
        >強くてこんてぃにゅー



 恋 「うぅぅ~ん、いっぱいお買い物したね!?」

美樹 「そうだねぇ……えへ、楽しいねっ!」

 恋 「でもでも、こんなに野菜ばかり買い込んで何を作るの?」

美樹 「えっとね~……、私が考えているのはぁ……あ、あれ?」 クラッ

 恋 「美樹ちゃん!? だ、大丈夫? 顔が真っ青になってるけど!」

美樹 「おかしいな……、さっきまで凄い元気だったんだけど、急に気分が悪くなって……」

美樹 「吐き気がして……あ、あれ……眩暈、まで……」

 恋 「美樹ちゃん!? しっかりして! もうすぐ私の家に着くから! そうしたら薬もあるし、横にもなれるし!」

 恋 「で、でも、救急車のほうが良いのかなっ!? ど、どどど、どうすれぶぁぁぁ!?」

美樹 「だ、大丈夫……だから。少し、休めばきっと……」


美樹 (今一瞬、何かが……とても大きな何かが一気に崩れ落ちたような気がした……気のせい?)

美樹 (そして、この気持ちの悪さ……。……>>756が絡んでる気がする……)

カタストロフ

美樹 (そして、この気持ちの悪さ……。……カタストロフが絡んでる気がする……)

美樹 (何かが分かりそうで分からない……。でもそれを、恋ちゃんは何も感じて居なさそう)

美樹 (私だけ? 他の皆は……大丈夫なのかなぁ……)


 ―― 突如、その異変を感じてしまった私は、ふらふらと路地の傍で屈みこんでいた。
恋ちゃんが必死に声を掛けて励ましてくれる中、私は意識を違う方へ飛ばそうと、勝手に試みていた気がする。
そうして、何かが掴めそうで掴めない。もやの中を進んで、結局空気を掴んだだけの結果を得た、そんな感覚。

 気味が悪かった。一言で言えば、この世界がリセットされたような感覚。
私や恋ちゃん、そして今も横を通り過ぎていく疲れた顔のサラリーマンや、買い物袋を下げた主婦のおばさん。
それらは存在こそ消えていないながらも、今私を支えてくれている電柱は、一度死んで、また一瞬で生まれ変わった。

 そんな感覚が何故かしたのだ。


 恋 「……やっと家に着いたけど、美樹ちゃん、本当にもう大丈夫?」

美樹 「え、うん……もう平気かもぉ」

 恋 「家に連絡とか……したほうが……」

美樹 「だめ! 絶対にだめ!! ……連れ戻されちゃう、日比香さんに」

 恋 「日比香さん?」

美樹 「園田日比香さん。私の家に仕えてくれてるメイド長さんで、まだ二十歳代なのにてきぱきと仕事をしてくれる……」

美樹 「凄くて、でも怖い人。……あの人、私……ちょっとだけ苦手で……」

 恋 「そうなんだ?」

美樹 「家ではそのぉ……あのぉ……気丈に振舞っちゃうみたいなトコロ、あるんだけどぉ……」

美樹 「そのお陰で今まで何とかやってこれた感じで……。だけど、お外で二人きりで居ると……」

美樹 「胃がキリキリするくらい疲れちゃうみたいなぁ……」

 恋 「なるほどなるほどぉ。……大変なんだね」


 恋 「分かったよ美樹ちゃん! 色々お疲れみたいだし、今日は私が>>759してあげちゃう!」

お代官様

 恋 「分かったよ美樹ちゃん! 色々お疲れみたいだし、今日は私がお代官様してあげちゃう!」

美樹 「……おだいかんさま?」


 ―― 午後七時過ぎ。恋の部屋。


 恋 「良いであろう、良いであろう!?」

美樹 「……このアソビはいったい……」

 恋 「もう! ノリが悪いなぁ。でもお疲れだから仕方が無いのかな?」

 恋 「だから、そこのベッドに横になって、全て私に任せてくれれば良いよ……?」

美樹 「あ、……ぅん」


 言われた通りに私は彼女の何時も用いているベッドの上で横になる。
純白に水玉なシーツの上に転がる形になった私に、覆い被さるように恋ちゃんが乗っては、また妙な台詞を口走る。


 恋 「おなご、良い身体つきをしておるのう……じゅるり」

美樹 「あ、あのぉ……恋、ちゃん……?」

 恋 「うぇひひっ、見事な柔肌じゃわ。ワシのイチモツも滾るであろうなぁ……うぇひひ」

美樹 「い、いいいいちもつぅ!?」


 狩野恋、彼女はスイッチが入るといつもこうだと言う事を、改めて認識する羽目となる。
そのスイッチが入るようになった切欠は、彼女が自殺しようとして本当に飛び降りてしまったあの日以来だろう。
あの時から、何かがズレ始めていた。そして彼女自体も、あの時を境に行動的で、積極的で。


 恋 「先ずはその鬱陶しい制服を脱がしてやろうではないかぁ。さぁ、踊れ踊れぇぃ!!」

美樹 「寝転がってるのに、踊れるわけ……あふぅんっ!」

 恋 「ふぅおほほほっ!! 服を脱がした次は>>761じゃぁぁぁっ!!」

乾布摩擦

 恋 「ふぅおほほほっ!! 服を脱がした次は乾布摩擦じゃぁぁぁっ!!」

美樹 「な、なんで乾布摩擦をぉ!?」

 恋 「疲れておるのじゃろう!? ならば当然身体を温める必要があるじゃろうて!!」

美樹 「えぇぇ……」

美樹 (強引だったけど、そこでまたズレちゃうのが恋ちゃんの良い所で、悪い所……)

美樹 (……でも、私を案じてくれての行動ならば……嬉しい、かなぁ……)

 恋 「どうじゃ、どうじゃぁっ! ふぅおほほほおっ! ふぅおほほほおっ!!」

美樹 (でも……笑い方がキチガイ染みてるからちょっと怖い……)


 彼女は素直に私を気遣ってくれている。ただ照れくさくて妙なスイッチを入れないと、こんな事が出来ないからではないか。
気付けば上半身を曝け出す形になっていたけれど、胸元を見られようが、恋ちゃんならば構わない。
それよりも、もっと親密に、もっと彼女と近くに寄り添って、そして絡みとり、放したくない。

 そんな気持ちが私の中で次第に芽生え始めた。気付けば、恋ちゃんの腕を取り、彼女の目をじっと見つめてしまっていた。


 恋 「ふぅおほほっ―― はへっ!?」

美樹 「……恋ちゃん。……顔が、近いよ……?」

 恋 「そ、そうだね!? 近いね!? あははははは……。……口、臭いかも」

美樹 「ううん、臭くないよ。最近は恋ちゃん、ちゃんとケアしてるの、知っているもん」

 恋 「そ、そうだっけ!? あはっ、あははははっ! そうだったっけぇ~!!


 恋 (以前、口が臭いらしいと噂になってから、密かにやっていて、誰にも話していない……)

 恋 (なのになんで、小夜にも教えていない事実……、口腔ケアの事を知っているの!?)

 恋 (これはもしかして……>>764!?)

寝てる間にチュウ

 恋 (これはもしかして……寝てる間にチュウして合図!?)

 恋 (といっても、私別に百合属性がある訳でもない筈で…・うぅぅぅ~~ん)

美樹 「恋ちゃん……。もう少し顔をくっつけると……」

 恋 「え、えっと!? そ、そうだ! お野菜!!」 サッ

美樹 (気付かれた!? も、もうちょっとだったのにぃ……)

 恋 (危ない危ない、寝てる間じゃなくて起きてる間にしたら、余計にマズかった! よしよしっ!)

 恋 「お野菜! ……で、何作ろう?」

美樹 「そうだなぁ……うぅんと……野菜たっぷりのミネストローネとか、どうかなぁ?」

 恋 「みねすとろぉね? なにそれおいしいの?」

美樹 「きっと美味しいよ? 多分きっと、気に入ってくれると思うなぁ……」

 恋 「じゃあ、一緒にお料理してみよっか! 今日お母さん帰ってこないし!!」

美樹 「そ、そうなんだぁ。へぇ……」

美樹 (さり気無くフラグ立てに入ってきた!? 恋ちゃん、やっぱり意識してる……?)

美樹 (そして今晩、もしかして私と……ついに私と……)

美樹 「うふ、うふふふふふふふぅ……」

 恋 (……涎垂らして何を妄想しているんだろう……)

美樹 (えへへへへ、今晩、彼女と、とうとう一つに……)


美樹 (でも気のせいかなぁ。……さっきから、何だか見られてる気がするから、念のため>>767をしておこうかなぁ)

部屋の68個のカメラ機動

美樹 (でも気のせいかなぁ。……さっきから、何だか見られてる気がするから、念のため部屋の68個の小型カメラ機動ロボを起動しておこうかなぁ)

美樹 (説明しよう! 小型カメラ機動ロボとは、相沢財閥の科学部門が開発したプロジェクトの一つであり!)

美樹 (小型、蚊程度の大きさの自律機動ロボットがカメラを通して盗撮してくれる優れものであーる! ……らしいですぅ)

美樹 (とりあえずそれをスイッチオンにしてぇ……。ふぇぇ、どうやって監視しよぉ!?)

 恋 「な、何だか美樹ちゃん、さっきから一人でぶつぶつ言ってるような……」


 ―― 午後八時過ぎ。恋の自宅裏。


日比香 「お嬢様、今日も勝手に抜け出して……。所沢も三沢もお嬢様には甘すぎる……」

日比香 「しかし、今晩決行しないと、上が煩いものだし……」

日比香 「夜更け、二人とも寝静まった頃合を見計らい、狩野恋を……」

?? 「……とまぁ、下っ端さんはすぅっごく、甘いコトを言っちゃってるわーけで」

日比香 「……アナタは必要ないわ。帰って下さらない?」

椎衣 「いやですわよ、おほほ。……アンタを監視するのがこの私の役目なんでね」

椎衣 「面倒くさくて反吐が出そうだけど、仕方ないから監視していてあげるって言ってんだけど?」

日比香 「……ちっ」


日比香 (渡会 椎衣と名乗っていた彼女、脳みそを弾け飛ばせる程度の能力者とは聞いているけれど……)

日比香 (こいつは邪魔だわ。>>770をして早々にご退場して頂かないと)

エロ調教

日比香 (こいつは邪魔だわ。エロ調教をして早々にご退場して頂かないと)

日比香 「という訳でお子様はもう寝る時間なのよお嬢さん。眠れないのなら、コレを飲むと良いかもね?」

椎衣 「……とかいいつつ、睡眠薬を出すバカが居ると聞いて」

椎衣 「はぁ、マジやってらんねっていうかー。もう面倒くさいから乗り込んでアレ、殺してきていい?」

日比香 「アレ? ……とは誰の事かしら?」

椎衣 「決まってるじゃん、あの邪魔者。茶髪のロングのアレだよ。アレだけ消して、狩野恋の妄想だけを何とかしてきて」

椎衣 「アンタの夢追憶……ナイトメアだっけ? それで何とか出来るんじゃん?」

日比香 「っ!? お嬢様……いや、あの存在は消せないわ。それに……」

椎衣 「じゃあ、その隠し持ってる拳銃は誰に使うつもりでいたのかなぁ?」

椎衣 「さり気無く狩野恋を殺害しようと思っていたのなら……いやいや、私が居て正解だったよ、ほんと」

日比香 (……どうやってエロ調教してくれよう……)

椎衣 「大体、依頼内容は狩野恋の妄想を奪う、と言う話であって……殺害が目的じゃない」

日比香 (……パンツでも盗んであげようかしらね)

椎衣 「それに、狩野恋を殺害したら最後、……って、アンタ何を考えてるんだ?」

日比香 「いえね、アナタの今日のパンツの色は何かしらね~って」

椎衣 「ぱぱぱぱぱぱぱぱぱ……ぱんつっ!?」

日比香 「……急に慌てちゃって、所詮はお子様ね」


日比香 (どうやら、思っていた以上にウブな様子で……。それなら、>>772でエロ調教も容易い……)

アイアンメイデン

日比香 (どうやら、思っていた以上にウブな様子で……。それなら、アイアンメイデンでエロ調教も容易い……)

日比香 「ふふ、アナタ、今日のパンツの色は――」

椎衣 「ははははは、穿いてない! んなもん穿いてないしっ!!」

日比香 「……え?」

椎衣 「……え?」

椎衣 「いや、待った! 今のナシ! ちょーーーーナシでっ!! ほっほほほ、ほんとはははは」

日比香 「そこに、物置があるでしょう? あそこでパンツ穿いてきなさい」

日比香 「ほら、これが替えのパンツよ。急いで着替えてきなさい」

椎衣 「オバサン、なんでパンツの替えなんて持ってんの?」

日比香 「お、おばさん……!? こ、こほん! ……ほら、急がないと作戦行動に支障が出ちゃうかもしれないわ」

椎衣 「そ、そうだった! そ、それじゃ、急いで穿いてくるから! ちょっと待ってろッ!!」 サッ

日比香 「しめしめ……、あの物置、安物だけどアイアンメイデン代わりには丁度良いっていうか……」

日比香 「カギを差しっ放しの物置って、一体何を入れてるのかしらねぇ……」 カチャリ

椎衣 「あ、あれ? 今何か音がしなかったか!? あれ、あれれ!?」 ゴンゴン

椎衣 「ちょ、ちょっと!? おい!! 開かないんだけど、これぇぇぇ!!」 ガシガシ

日比香 「アナタにはちょっとその中で大人しくしていて貰うわ。そうそう、アイアンメイデン代わりなんだから、少しは怖がらせてあげないとね?」


椎衣 「そんなもん要らない!! こ、この物置、>>776でいっぱいで既に怖いんだぁぁぁぁっ!!」

曼荼羅

椎衣 「そんなもん要らない!! こ、この物置、曼荼羅でいっぱいで既に怖いんだぁぁぁぁっ!!」

日比香 「曼荼羅とはまた妙ね。でも放り込まれた場所がまさかの曼荼羅だらけだったら、確かにゾッとするかもしれないわ」

椎衣 「あーーーもう! アイツ、何で家の物置にこんなの置いてるんだよぉぉ!!」

椎衣 「明日会ったら激おこカム着火ファイヤーしてやるぅぅ!! ……ふえっぇぇぇぇえん」

日比香 「あら、泣き出しちゃったわね。ちょろいちょろい……。……ま、それよりもっと――」

日比香 (何とか狩野恋だけを殺害して、お嬢様を魔の手から解放してあげなくては……ね)



 ―― 自律機動盗撮兵器、通称盗撮ちゃんが録った映像は、スマホの方へ送ってくれる事を思い出した私は、
恋ちゃんと晩御飯を一緒しながらも、その映像をチェック。そしてその妙な姿を捉えた映像を眺めた私は恐怖で震えてしまっている。

 間違いない、黙って抜け出した事に気付き、ヤツが……園田日比香が迎えに……。
いや、私を家に強制的に連行する為にやって来ている……。既に、この家の所在を知られ、裏庭の物置の方で何かをしている様子だ。


美樹 「ね、ねぇ、恋ちゃん……」

 恋 「どしたの? それにしてもミネストローネ、凄く美味しくてびっくりだよ! こんな時愛も居れば良かったのに」

美樹 「そそそ、それよりも……ね? そのぉ……」

 恋 「ふぇ、顔が真っ青だよ? も、もしかして……また気持ちが悪くなった!?」

美樹 「ち、違うの! そ、その……二人で、ココから逃げよう……?」

 恋 「へ? 逃げる? 何で?」

美樹 (そ、そりゃ、何でって聞かれるのが普通だよね……!?)


美樹 (だからって正直には言えないし。……そうだ、>>778が居るから逃げようって言えばいいんだ……!)

ゴキブリのでっかいやつ

美樹 (だからって正直には言えないし。……そうだ、ゴキブリのでっかいやつが居るから逃げようって言えばいいんだ……!)

美樹 「そ、そのっ! すっごく大きくてちょー巨大なゴキブリが出てきてっ……!」

 恋 「……すっごく大きくてちょー巨大なゴキブリ?」

 恋 (ちょっと分からないけど、要するに凄い巨大なゴキブリってコトかなぁ?)

 恋 「……それ、逆に見てみたい気がするぅ」

美樹 「ふぇっ!? ななな、なんでぇ……!?」

 恋 「小夜が前に作ってくれたゴキブリご飯を思い出して……じゅるり」

美樹 「ま、まさかのあのお弁当を思い出すフラグにっ!?」

美樹 (あの日から恋ちゃん、ゴキブリをまさか食べている……!?)

美樹 (さ、流石にそれは止めないと……って、違う! そうじゃなくってぇ……!)

 恋 「よぉ~し、食べられるくらいのゴキブリさんなら、た~べちゃう~ぞぉ~!」

美樹 「って、ゴキブリ捜しに出かけちゃった!? 恋ちゃん、そうじゃないのぉ……!!」

美樹 (ど、どうしよう。……リビングに一人ぼっちになっちゃった……。日比香さんに連れ戻されるぅぅ……)

?? 「……こんばんわ、お嬢様」

美樹 「ひぃぃぃぃえぇぇぇぇぇえぇっっっ!!」

?? 「……どうしましょう、気絶されてしまいましたわ」


?? 「仕方ないですわね、とりあえず……>>780しておきましょう」

往復びんた

?? 「仕方ないですわね、とりあえず……往復びんたしておきましょう」

 バシィ バシィ!

やだ途中で送信しちゃった/// 

?? 「仕方ないですわね、とりあえず……往復びんたしておきましょう」

 バシィ バシィ!

美樹 「はぅっ、はぅぅっ! いやぁ、家に帰るのはいやぁ……!」

?? 「まだ起きませんわねぇ。それなら……!!」

 バシバシバシバシバシィ!!

美樹 「い、い゛た゛い゛い゛た゛い゛ぃ゛ぃ゛!!」 ガバッ

?? 「ようやく起きてくださいましたわね」

美樹 「ふぇっ!? な、なんだか頬が凄く痛いよぉ……ぐすん」

美樹 「……って、アナタ、どちら様ですか?」

?? 「……このわたくしを見てもまだそう仰るなんて……」

?? 「とんだ間抜けですわね、こちらの世界のわたくしは」

美樹 「……はっ! そう言えば私に瓜二つ!? なぁんだ……夢なんだぁ……むにゃむにゃ」

 影 「ちょ、ちょっと!? このわたくしが目の前に居ると言うのに、再び床で寝ようとしているだなんて!!」

 影 「こちらの世界のお父様は、一体どういう教育を……。って、やはり疎遠なままなのかしらね」

 影 「と~~にかく~~、起きなさぁ~~~い!! バシバシッ!!

美樹 「ふえぇぇ、痛いですぅ、寝かせて下さいよぉ!! ぷんぷん!!」

 影 「……自分でぷんぷんとか言うもう一人のわたくしなんて、見たくありませんでしたわ」

 影 「ともあれ……こうして私がアナタの前に姿を見せた理由、分かりますわね?」


美樹 「はて……? あ、もしかしてぇ……>>784?」

どっきり番組

美樹 「はて……? あ、もしかしてぇ……どっきり番組?」

 影 「呆れ果ててモノが言えませんわね……」

美樹 「だってぇ、私と似ているだけで根は違う感じですよぉ。……釣り目だし」

 影 「まぁ、本来の私はそもそも、こうなるべき存在だったのですわよ?」

 影 「だけど、幼少の頃父との口論で……いえ、ある種の虐待でしたわね」

 影 「あれを克服できなかった私は、アナタのように未熟なまま。……そういう運命もあるのですわ」

美樹 「……なんで、その事を……」

 影 「だって、わたくしは、アナタそのものなのですから。違うのは……世界だけ」

 影 「そういう事で、急を要すると思いますわ。……わたくしとキス、なさい」

美樹 「ききき、きすぅっ!?」

 影 「わたくしはあくまで影の存在。所詮肉体を持たない存在なのですわ。だからこそ、これから起こることをアナタは知る必要がある」

 影 「だから急ぐと言っていますの。……さぁ、目を閉じなさい」

美樹 「い、いやですぅ! 私は、最初のキスの相手は恋ちゃんと――」

 影 「言っておきますけれど、彼女はわたくしやアナタの存在、つまり相沢美樹は好きにはなりませんわよ」

美樹 「……え……」


 影 「彼女は……ほぼ間違いない確率で>>787となる、絶対的予測が成り立っていますわ」

出家して尼になる

 影 「彼女は……ほぼ間違いない確率で出家して尼となる、絶対的予測が成り立っていますわ」

美樹 「ほぼ間違いないと言っておいて絶対的予測……? どういう事ですかぁ……!」

 影 「一例を挙げるとすれば、わたくしの能力、絶対的予測……アブソリュート・ビジョンでは見えない未来があった」

 影 「それが……わたくしがこうしてやって来た理由でもありますわ」

 影 「……そう、それは悲惨な未来。……カタストロフが起こした厄災」

美樹 「……その言葉、どこかで……ううん、何でか残ってる……」

 影 「とにかく、わたくしとキスをすれば済む話ですわ! 急ぎなさい、時間が過ぎれば更に恋が死ぬ予測が高まりますわ!」

美樹 「ふえぇぇ……そ、そんな……のぉ……!!」


 ―― キス、それは肉体を持たない存在と。それは空気に触れる程度の感覚だけで。
実際に自分の指で唇に触れてみても、感触がこうして分かるというのに。それでも彼女とのキスの感覚は分からなかった。
ただ、何かを流し込まれたような感覚で。それは、次第に身体中に染み渡るように広がっていく。


美樹 「……何、これ……」

 影 「それがわたくしの能力ですわ。……まだ遠い先を予測するのはまだ難しいでしょうけど」

 影 「直ぐ先の、一日くらいまでなら今のアナタでも予測が成り立つ筈ですわ」

美樹 「勝手に、頭の中でぐるぐるって動いて、イメージが浮かび上がって……」

美樹 「恋ちゃんが……なんで、日比香さんに……撃たれるの……!?」

 影 「……時間だわ。その答えは自分で見つけなさい。そして最後に――」


 彼女は言った。霧散しそうになる直前、私に語りかけるように。
最悪の未来から、どうか私達を、皆を、世界を助けてと。意味が分からなかった。
だけど重い言葉で、そして前の私ならそんな事を言われてもと思って居ただろう。今は違う。


美樹 「行かなきゃ。……恋ちゃんは自室で必死にゴキブリ探しをしていて、そして途中で>>789に夢中になっている筈……!」

突発的ハロウィンごっこ

美樹 「行かなきゃ。……恋ちゃんは自室で必死にゴキブリ探しをしていて、そして途中で突発的ハロウィンごっこに夢中になっている筈……!」

美樹 「恋ちゃんの押入れ、なんでもあるんだなぁ……。じゃなくってぇ!」

美樹 「二十秒後……日比香さんが窓から乗り込んでくる……。止めないと……!!」


 ―― 恋ちゃんの部屋に慌てて駆けつけれたのは十秒後。リビングから急いで階段を駆け上がり、
そうして扉を開いた時、恋ちゃんはかぼちゃのお面を付けてこちらに振り返っていた。
しかし予測は変わらない。それでも今が機会と日比香さんが乗り込んでくるのは変わらない。


美樹 「恋ちゃん、隠れて!!」

 恋 「ふえっ、い、いきなり隠れてって……!?」

美樹 「お願い!! お願いだからぁ……!!」


 しかしその問答の間、彼女はこの場に姿を現してしまう。それと同時に、私の姿を確認し、予測が変わる。
次に弾き出した答えは……。……それでも彼女は、私の目の前で恋ちゃんを殺害する、というものであった。


 恋 「うぉぁっ!? 何事ッ!?」

日比香 「……お嬢様……」

美樹 「……日比香さん……」

 恋 「ちょ、ちょま、な、何なの、何なのぉ!?」


 この予測に打つ手があるとすれば、一つしかない。そう私は考え、恋ちゃんの前に立つ。
彼女を庇うように前に出た私に、動揺する日比香さん。彼女は構えた拳銃の矛先を僅かに揺らせ始めた。


日比香 「……何の真似ですか、お嬢様」

美樹 「……日比香さん、恋ちゃんを殺すつもりで来たのでしょう?」

日比香 「ッ!? ……何故、その事を……」

美樹 「……知っていた、とは言えません。けれど、彼女を殺す事は、私が許しません!」

美樹 「それでも殺すというのならば、先ず私から排除しなさい。……それまで、私は退きませんッ!!」


日比香 「……そう、それなら……>>791

無視

日比香 「……そう、それなら……無視しましょう」

日比香 「何も、私は彼女を[ピーーー]以外の危害の加え方もあるのですからね……」

美樹 (……なに? 予測が変わっていく……。恋ちゃんが壊れていく……!!)

美樹 (これって、もしかして超能力的な……、私と同種の……!?)

美樹 (ナイトメア……って……何故、日比香さんが……!! それに……!?)

日比香 「さぁ、お眠りなさい子羊さん、この私の目を見たが最後――」

美樹 「恋ちゃん、見ちゃダメッ!!」

 恋 「はへ…………ぇ…………」

美樹 「恋ちゃんっ!!」

美樹 (この後……私は……頭から血を噴出させて死んで行く……!?)

美樹 (その先は…………世界が、壊れていく…………)


 次第に頭が真っ白になっていった。本当にそんな事が起きるのか、本当に私は死ぬのかと。
しかし、絶対的予測が見せた未来は、その通りに段階を踏んでいく。
この後、中学生と思われる少女が怒りを露にしながらこの場に姿を見せるのだ。


椎衣 「あぁぁ、もう!! 漏らしちゃったじゃないか、オバサンのせいで!!」

椎衣 「って、あれ……カタつけちゃったんだ?」

日比香 「予定が少々狂ってね。……言われた通り、彼女はもう悪夢の中よ」

 恋 「……やだ、やだ…………」

椎衣 「ふぅん、随分とキツい悪夢に魘されてるみたいだけど。……意外と強力なんだね」

椎衣 「まぁでも、一応の目的は果たしたんだから。……後は邪魔者を排除するしかないと」

日比香 「ッ!? お嬢様、その者から離れて――」


 中学生と思われる女の子が、掌を差し出す。それをぐいって掴むだけで、私の頭蓋は破壊されるであろう。
そして、脳髄から液体を噴出させて、私は脳死する。それが見えているからこそ、尚更の恐怖を感じてしまう。
たった一瞬で終わるのに、その一瞬が凄く長くて、そして……。


 気付けば、>>793となっていた。

お祭り騒ぎ

 気付けば、そこはある種のお祭り騒ぎとなっていた。
私の能力は、所詮周りの出来事から予測できる範囲でしか成り立たない。しかし成り立てば、99%以上の確率で起こりえる。
だが、私が認識できていない何かが切欠となれば、途端それはがらんと変わるコトもあり、それがこうして私の生存に結びついている。


日比香 「なっ!? 拳銃が……消えた……!?」

椎衣 「お、おまけに……何この金髪、黒い羽根なんか付けちゃって……!」

小夜 「なんとなぁく、自棄になって様子を見に来れば……」

一美 「まさかまさかの、襲撃だなんてね。……美樹ちゃんは大丈夫だった?」

美樹 「私よりも! それよりも恋ちゃんが……!!」

 恋 「ひぐ、うっぐ……いやぁぁぁ……う、ぁあぁ……!!」

小夜 「……何をしたの、彼女に!」

椎衣 「フン、誰がそんな問いに答えるかってーの!!」

日比香 「……相手も能力者。しかもどのような能力か分からない以上は、迂闊には――」

椎衣 「そんなの、私の加重変圧……トランスフォースでぶっ潰してあげるよっ!!」


 予測が見えた。でもそれは最悪の結果ではなかった。
次第にそれが当たり前のように目の前で繰り広げられる。だがしかし、二人の能力というモノは私の認識をまた超えていた。
中学生の娘が操るそれには、多少のラグがある。念を篭める必要でもあるのだろう、一瞬で放つものではなく。

 しかし、小夜ちゃんや一美ちゃんは、それらを一瞬で起こしてしまう。そうする事が出来てしまう。


椎衣 「て、手が、手がぁぁぁぁっっ!!」

一美 「安心しなさい、軽い火傷程度で済む炎だからね」

小夜 「そして私はアナタの背後を取った。……アナタの身体を消す事も容易いわ」

椎衣 「ぐ、ぅぅ……。……園田! 全員にアレを!!」

日比香 「…………」

椎衣 「なんで、何で黙ってるんだ、園田ァ!!」


 そして、日比香さんの能力は条件でもあるのだろう、一人に一度それを放てば暫くは操れない様子。
だからこそ、黙して俯き、敗北を悟った彼女は静かに両手を上げるのだった。

 しかし、私にはその先の、恋ちゃんが悪夢に魘され、このままだと>>796となってしまう未来が見えていた。

幸せ

 しかし、私にはその先の、恋ちゃんが悪夢に魘され、このままだと幸せとなってしまう未来が見えていた。
幸せそうな顔だ。しかしそれは、もう生きているとは言えない。ただ、気が狂い精神が壊れ、悪夢すら悪夢と感じれなくなった結果だ。
小夜ちゃんと一美ちゃんが、大人しくなった二人を縛り上げる中、私は日比香さんに問う。


美樹 「日比香さん。……彼女を何とか出来ませんか?」

日比香 「狩野恋を、ですか……。……死んでもお断りすると言ったら?」

美樹 「私は日比香さんを一生恨みます。下手をすれば……殺してしまうかも」

日比香 「やだ、怖い怖い。……なんだかお嬢様もたった一日で変わりましたね。いいえ、数分の間で、と言うべきかしら」

日比香 「悪夢を解除させる、まぁ……出来なくもありません。しかし、本当に良いのです?」

日比香 「お嬢様も恐らくですが、何かしらの能力を持っている。そして、それは結果を見る事が出来る。そうではないですか?」

美樹 「…………」

日比香 「お嬢様、私は狩野恋を殺害……いや、壊すだけで十分だったのでしょう。それで狩野恋という悪夢から覚めてほしかった」

日比香 「それでいて、彼女を殺害しても、お嬢様は憎悪するだけ。……それでお嬢様が変わるのなら良かったのです」

美樹 「……私が望んでいるものと、日比香さんの望んでいるものに違いがあるのは分かりました」

美樹 「しかし、幸福を願うって、相手を傷つけないと駄目なモノではないでしょう。……そう言って下さい」

美樹 「さもなければ、私がこの場で……日比香さんの前で、舌を噛んで死んでしまうかも」

日比香 「……やれやれ、多少は変わられたと思いますが、根はやはりお嬢様そのもの」

日比香 「所詮は我侭なままなのですね。……そして、それを何だかんだで許し続けたのも私の罪でしょう」


 ―― 事態は思わぬ方向に進んでいる。まさか、彼女の周りにこれ程の能力者が集っているとは。
とはいえ、どの面子も私はハッキリと覚えているし、それまで能力の兆候を見せた事は一切無かった。
爪を噛み、歯軋りしそうになる程悔しいが、今回はやむを得まいと、我が家に足を踏み入れる。


 愛 「……お姉ちゃん、どうしたの? って、み、皆さんおそろいで……あはは」

椎衣 「んー、んぅぅぅぅ!!」 バタバタ

 愛 「あ、あれ……椎衣ちゃん、どうしてこんな所に!? 小夜さん、一美さん、どうしたんですか、これって!!」


 私がこうして知らないフリをして、実は親友だったと渡会椎衣を解放させる手はずであった。
しかし、私の思惑は妙な方向に外れ……>>798という展開になっていく。

教師集合

 私がこうして知らないフリをして、実は親友だったと渡会椎衣を解放させる手はずであった。
しかし、私の思惑は妙な方向に外れ……教師集合という展開になっていく。


?? 「ふぅむ、このような結果を招くとはね」

?? 「いやいや、分かっていたコトじゃないですか。ねぇ?」

?? 「かといって、全員を消すとなると、少々の手間ですかな」

?? 「いえ、そんな事はありません。死体をどうするかも、答えは簡単でしょう」


 誰が誰だか分からない。一人は養護教諭だと分かるが、他の人達も教師なのだろうか。
家庭訪問に四人も一斉に訪れるなんて事はあり得ない。どう考えても異様な事態であった。

 しかし、一人だけ、その養護教諭だけ何となく見覚えがあった私は、口を開く。


 愛 「も、もしかして……鳥羽先生、ですか……?」

鳥羽 「狩野……愛くん、だったね。キミはいつも健康のようで。一度も保健室に顔を見せた事はないね?」

 愛 「あ、はい……その、今日はどういった用事で……」

小夜 「……先ほどの会話、一体どういう意味ですか、先生方」

鳥羽 「私が今回、代表して意見を述べよう。他の先生方も宜しいですね?」


 教師陣と思われる皆が一様に頷く。そして彼は言った。それはある種の取引でもあった。


 ―― 翌日、私は姉の部屋に居た。彼女を元の姉に戻したかっただけなのだ。
私が面倒を見ないといけない、ダメ過ぎて、ダメダメで、とにかくダメな人間にしたかった。
そうして、椎衣と協力して、園田さんの話を椎衣が仕入れてきた為、彼女に協力を求めた。

 園田さんの事情は、相沢家と関係しているのは薄々感じていた為、私はそれを交渉条件にした。
しかし、実際に私と言う存在と関係を持っていたという事に気づいた園田さんは、意外と驚いていた様子であった。


 愛 「お姉ちゃん。……私が病んでいるのかなぁ……?」

 愛 (……お姉ちゃんは私だけのモノ。……そう、密かに思うようになったのは……)

 愛 (……>>800の時からだ……)

世界が終わった

 愛 (……世界が終わった時からだ……)


 実は、この世界は一度死んでいる。いや、厳密に言えば二度死んでいる筈なのだ。
一度目はお姉ちゃんが屋上から飛び降りて、そして性格が明るくなっていったその時だ。
二度目はごく最近。しかし強力な補正力が働いて、世界を再びまるまる元に戻してしまった。

 それは、カタストロフ以上の力が働いている。その事を聞かされたのは、ある存在からの話であった。


 愛 「……今日は学校をお休みします。はい、ちょっと姉の容態が悪くって。いつもすいません」

 愛 「ふぅ、こうして言い訳してズル休みも、結構気分が引けちゃうんだよ?」

 愛 「ねぇ、もう一人の私」

 影 「そうだね、もう一人の私」

 愛 「ところでもう一人の私。思うんだけど、どうしてアナタは私に能力を委譲しても、消えないの?」

 影 「そもそも、消えようとは思っていないから、かな? イレギュラーな存在なのかもしれないけど」

 愛 「ふぅん。じゃあ、他の人達はやっぱり、能力を委譲させて消えちゃったんだ。壊れた世界に戻っちゃったんだ」

 影 「厳密に言えば、私も、そして他の人達も……死んでるんだけどね」

 愛 「ヘンなの。世界が壊れたり、元に戻ったり。そしてそれを救えーとか言ったり」

 愛 「でも、私は協力しないよ? お姉ちゃんさえ私の傍に居れば良いんだから」

 影 「はいはい、それは何回も聞いたから。……で、これからどうするの?」

 愛 「そこが問題かなぁ。……でも、やっぱりお姉ちゃんの親友達は、相当邪魔かも」

 愛 「だから、先ずは小夜さん。……小島小夜を潰すよ」 ピコピコ

 影 「おやおや、誰に電話を掛けてるのかなー?」


 私には仲間が居る。能力保持者として、秘密裏に仲を取り持っているもう一人の存在が。
渡会椎衣は使えない娘だったけれど、後輩のあの子なら、中学三年生になったあの子ならば、きっと力になってくれる筈。

 度会椎衣、そして神栖川鳴歌。二人が能力を得た切欠は、とある薬らしい。
その薬を二人に無償で手渡したのは、私の担任の先生である白鳥咲。

 その薬を開発したという彼女が、そしてその先に暗い陰が存在する事に、私達はまだ気付けないで居る――。


――― つづきます

なんなんですかこれはーとか思いつつだらだら続けたら更に酷い事になってきた感じがして、
ギャグを挟む余地が無いと気付き、そしてALT+WでJaneさんは送信しちゃう事に気づいて色々がっくりな感じで終わります。

次こそ明るく激しく……できるかなぁ。
って訳で、こんなのにお付き合い下さりありがとうございましたー。


【10/26 (土) 23:57時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

10/27 (日)
  21:00~/ミント ◆MINTG/yggg氏 - 300年後へようこそ 1話目「平和な世界へようこそ」


とりあえずべっちょり。

大丈夫! 進化したらちょっと変化が!!

ぽけもんほしいなぁ……。でもDS持ってないし……という訳で明日は久々に新しい人!

始めまして~。別スレでは別なコテでやってましたがここではこれでやらせていただきます~。

ジャンル:ファンタジー

【魔王歴1500年】
??「うわああああああ!!」

世界が魔族に支配された時代…。人間の住む街の外を出れば
様々な魔物が欲望のままに暴れ回っていた。

??「やっぱ無理だあああああああ!!」

一人の青年が逃げ回る。彼はリオン。魔王討伐を目指す自称勇者だ。
…だが、まだ中途半端な彼は少し強くなったのを気を良くしてか
少し強い相手に挑み、逆に襲われていた。
Lvにすれば約12程度。やっと初級攻撃呪文が使えるようになった程度である。
一方相手の魔物はこの一帯のボス。中級の冒険者でも倒せるか分からない程の実力を持っていた。

リオン「う…うわああああ!!助けてくれぇええええ!!」

彼が叫んだその時だった。突然リオンの体が光り…魔物の拳が振り下ろされた瞬間…
微粒子となって消えた…。

魔物「…グルル!?」

魔物は一瞬驚いた様子を見せたが、姿も匂いも消えたと判断した魔物は
立ち去って行ったのだった。

【300年後】
??「もしもーし?」

リオンがいたのは実に300年後の世界だった。
気を失い、川辺で倒れているところを一人の女性に拾われていたのだが…

??「起きませんわね…。参りましたわ…」

とりあえず女性はリオンの体をさするのを辞めた。
そして改めてリオンの体を見直してみる。

??「コスプレ…ですわよね…。どう見ても」

鎧を着こんでいるリオンを見てそう呟く。どうやらこの時代は
鎧を必要としない時代のようだ。
そして何度叩いても、揺さぶっても目覚めないリオンを見て呆れ果てた。
すると>>810

小鳥たちがやってきた

すっかり呆れ果てる女性…。するとそこに小鳥たちがやってくる。

??「あら、今日も来たのですわね」

女性に懐いているのか…、数羽の小鳥が彼女の前に止まる。
そして倒れている鎧の人物をチラチラと視線を向ける。

??「なぜか倒れてましたの…。死んではいないようなのですが…」

女性がそう呟くが小鳥たちはあまり理解していないようだった。
むしろ彼女が差し出すパンくずに興味津々のようだった。

??「まぁカラスでもない限り、死体には興味ありませんわね」

女性もそう呟きながらパンくずを小鳥たちの前に撒き始める。

??「しかし、どうしましょう…。もうすぐ授業が始まる時間ですのに…」

時間を気にしつつも倒れている鎧の人物を見て女性は困る。そして>>812

記者をしてる兄に連絡

??「仕方ありませんわね…」

彼女はそう言ってポケットから何かを取り出す。四角で小型の板のようなものだが…
それを耳に当てる。

??「アルガンお兄様、今時間よろしくて?」
兄「レイニアか…。どうしたんだい?」

彼女の名はレイニア。見た目は人間の令嬢のようだがれっきとした魔物である。
この世界は魔王が滅んで200年後の世界。現在は共存歴200年と呼ばれ、
人間と魔族が共存して生きているのだ。ちなみに彼女とその兄は元魔王城の門番をやっていた
ガーゴイルという種族である。

レイニア「鎧を着たコスプレ…?というのでしょうか?そんな人が倒れてまして…」
アルガン「コスプレかい…。それより息はあるのか?」
レイニア「まだ息はあるみたいですわ…。それよりわたくし…これから授業がありまして…」
アルガン「分かった。すぐ向かうよ」

そしてレイニアは通信を終える。ちなみにこれは魔法の力を有効活用して生み出した通信機の一つ。
人間の技術力と魔族の魔翌力の合わさった結晶の一つである。

数分後、レイニアの兄アルガンが大空を羽ばたき、レイニアのもとへやってくる。
そして倒れている人物の状態を調べてみると>>814

世にも珍しい臓器が逆についてる人間(心臓が右とか)

アルガン「調べてみた結果、臓器が逆についてる人間だった」
レイニア「まぁ珍しい。…わりとどうでもいいわけですけど」

とりあえず人間だということはわかったようだ。

アルガン「しかし最も奇妙なのはこの人間の着ているものだな」
レイニア「戦士のコスプレでしょうか?」
アルガン「いや、ここまで本格的なコスプレはあるかどうか…
      むしろ、本物の鎧と剣のような気もするんだ」

アルガンがそう言ってパラパラと本をめくる。するとそこには人間が装備していた
剣と同じものが描かれていた。

アルガン「これは…300年程前の鋼の剣だな」
レイニア「一般的な人間兵の剣…。それも初級用みたいですわ」
アルガン「鎧に至ってもそうだ。どちらかといえば駆け出し冒険者用に数百年前に市販されていた
      安いものさ」
レイニア「つまり彼は…300年前の人間ということですか?」
アルガン「そうとしか考えられないね。…でもどうしてそんな過去の人間が…」

300年前…つまり人間と魔族の争いの時代…。彼がこんな恰好をしているというのも納得できる。
では…どうして300年の時を超えてこの時代に…?新たな謎が生まれた瞬間である。

レイニア「とりあえずどうします?…その、この方…起きないんですけど」
アルガン「>>817

人工呼吸で良いんじゃね?

アルガン「水を飲んでいる可能性があるから…人工呼吸でいいんじゃないの?」
レイニア「人口呼吸ですか…」
アルガン「口合わせをして息を吹きかける。」

アルガンが説明をするとレイニアは顔が赤くなってゆく。

レイニア「く…口を合わせるって…そんな…男同士で…」
アルガン「君はどうしてそういう発想しかできないんだ?」
レイニア「だって…その…わたくし…は、初めてですし…」

レイニアがもじもじしながらそう呟く。その様子にアルガンもある程度は察していたようだが…

アルガン「全く…それじゃ俺が…」
レイニア「お…お願いしますわ!!」

アルガンは妹に頼まれ、鎧の男を仰向けにさせ、ゆっくりと口を合わせる。
そして静かに息を吹き込むと>>820

トランペットのような音がした

静かに息を吹き込むと何故かトランペットのような音が…

アルガン「…彼の器官はどうなっているんだ?」
レイニア「かなり貴重な人種みたいですし…」
アルガン「しかし息が流れたのは間違いない。」
レイニア「管楽器のような音が聞こえた気がしたのですが…」

そして数分後…過去の人間は目覚めたのだった。男同士の人工呼吸を目の当たりにした
レイニアは終始顔を赤く染め上げていた。

リオン「あの…助けてくれたことには感謝しますが…」
アルガン「それはいいんだ。それより君…今何年だい?」
リオン「おかしなことを聞くんですね…。あ、あれですか?記憶喪失とか疑ってますね?」
アルガン「あー、そうだ。そんな感じだ」

適当にあしらいながらアルガンは聞いてみる。すると予想通りの答えが戻ってきたのだ。

リオン「そりゃ魔王歴1500年でしょ。」
レイニア「お兄様…やはり…」
アルガン「あぁ…間違いない。…この人間、300年前の人間だ!」

記者の魂が燃え出し、スクープとなりそうなことを聞き出し始めるアルガン。

リオン「なんだよ!300年前って…!?」
レイニア「今は共存歴200年…。魔王が死んで200年後の世界なのですわ
      つまりあなたは…魔王が死ぬ100年程前から来たことになりますの。」
リオン「なんだと!?」

衝撃の事実を突き付けられた勇者初心者のレオン。さらに二人から様々なことを聞かされた結果>>822

急にハイになった

リオン「つまり、魔王が死んで人間と魔族が共存してて…平和の世界ってことだな?」
レイニア「そういうことですわ。技術も発展してますしいい時代ですわよ?」

この時代の構成を聞いたリオンはその瞬間まとっていた鎧を脱ぎだす。
そしてアンダーウェア姿となった彼は…

リオン「争いがない世界…最高だあああああ!!」

急にハイになった。人間も魔族もやはり争いは嫌だ。
彼も争いという呪縛から解放され喜んでいるのだろう。

アルガン「急に元気になったな、この勇者は…」
レイニア「無理もありませんわ。300年前は血で血を洗う時代…
      私たちも門番として嫌々人間を排除していたわけですし…」
アルガン「いや、君は割とノリノリだったけどね」
レイニア「あら、そうでしたっけ?ウフフ…」

とりあえず勇者の男は無事だったようなのでアルガンが一度引き取り、
自宅へと連れ帰る。

リオン「これが300年後の家かぁ…」

割と興味津々だったようだ。見たこともない家の形、見たこともない家具など…
彼にとって新しいものばかりだからだ。

アルガン「とりあえず役所へ行くのは明日でいいか…。」
リオン「しかしすごいな…。魔族ってこんないいとこ住んでたのか…」
アルガン「魔王城勤務特権さ。人間で言うと王族みたいなもんさ」

アルガンが自慢げに自宅のことを説明し、リオンの前に食事を並べていると>>824

肉がひとつもなかったことにリオンが気づく

リオン「美味そうな飯だな…あ、でもなんで肉がないんだ?」
アルガン「我らはガーゴイルだからな。普段から肉は食わん。
      だからとりあえずガーゴイルと人間が共通で食べられるものを用意した。」
リオン「へぇ…でもガーゴイルは野菜食うんだ」
アルガン「割とな。」

二人が会話をしながら食事をする。ちなみに人間や魔族を食すことは法律で禁止されており
俗にいう牛や豚などの家畜なら許されているとう極めて当たり前のルールもあるようだ。

アルガン「それで一番気になるのは…君はどうしてこの時代に来たんだ?」
リオン「それがだな、草原の主に喧嘩を売って…殺されそうになった瞬間に
    突然何かが光った気がしてな…」
アルガン「草原の主…。あぁオーク共のボスか…」

アルガンもなんとなくは理解しているようだった。リオンを襲ったのは
オークのボス、ハイオーク。Lvにして20くらいの強敵でLv12のリオンには
まず勝てる相手ではない。

アルガン「なんでまたハイオークに挑んだんだ…。君は馬鹿か?」
リオン「いやぁ…見た目動き遅めだから余裕かと思ったんだよ。
    あともう一つ…>>826

お金持ちなのが魅力だった

リオン「あともう一つ…お金持ちなのが魅力だったんだ…」
アルガン「あぁ…ハイオークは金持ってるからなぁ…」

これが原因でたくさんの冒険者が命を失っているということ…
あまり自覚していないのだろうか。とアルガンは思っていた。

リオン「しかしなんで助かったんだろうなぁ…」
アルガン「そればかりは謎だな…。あと気になることがあったのだが…」

アルガンが説明する。リオンのタイムスリップにより過去の改変が変わってしまったのではないか?
ということだ。しかし彼はハイオークに殺されるところこの時代に飛んできた。
つまり歴史には何の変化も起きていないということだ。

リオン「うっわ…マジかぁ…」
アルガン「君はどちらにしても死ぬか、この世界に飛ばされるかで
      存在が消えることになっていたんだ。よかったなぁ。」
リオン「うう…よく考えるとほんと命拾いしたよ…」

そして1時間後、妹のレイニアが帰ってくると>>828

アポカリプスが起きた

そしてレイニアが帰ってきた。…先ほどと比べると何か様子がおかしい。

レイニア「お兄様!大変ですわ!!」
アルガン「どうした!?」

そしてレイニアが窓際に誘い、外を見せる。すると雲が怪しく渦巻き、雷鳴が鳴り響いている。

アルガン「なんだ、天変地異か!?」

そう思ったその時だった。雷鳴と同じく大きな声が響き渡る。

??「時は来た…!!世界は終わりを迎えるのです!!」

どこから聞こえるのだろうか…だが、数秒後…はっきりとそれが分かるように…

??「私は絶対神の使い!この世界を終わらせるためにやってきました…
    さぁ、地上の愚かな者たちよ…懺悔なさい!!」

空には白い羽をはやした女性の姿があった。そして右手には経典らしきもの…
左手には拡声器が握られていた。

レイニア「あのでかい声…拡声器でやってたのですか…」

神の使い「人間たちよ…そして魔族たちよ…我の…我の…
      あー!!もう!!ちょっと雷止めてくれないかな!?」

アルガン「しかも雷は演出用か…」

神の使いは一体何をしに来たのか…するとそれは神の使い本人から答えが出てきたようだ。

神の使い「我らの目的は…下々の生物の絶滅…そして>>830

仏教信者の改宗

神の使い「そして…仏教信者の改宗を!!」

神の使いが叫ぶ。するとその瞬間…!地上から何者かが現れ神の使いに襲い掛かる。

神の使い「何をするのです!?私は神の…」
??「あのさぁ…全種族滅ぼして信者の改宗とか…どんな意味があるのさ?」

レイニア「あ…あれは…」
アルガン「知ってるのか…」

神の使いに襲い掛かった人物…それは背中に巨大な翼をもった魔族の一人だった。

レイニア「…知り合いというか、クラスメイトというか…一応…リオンさんも知ってる方で…」
リオン「俺が…?なんで?」
レイニア「実は彼女…すべての悪を断ち切る聖剣を守護していたドラゴンでして…」
リオン「あ、聞いたことあるぞ…聖なる泉で真の勇者を待ち続けるっていう………マジか?」

そしてドラゴンの少女は勢いよく神の使いを掴むと地上へと落下してゆく。
神の使いの断末魔が聞こえた様な気もした。

とりあえずレイニアは知り合いのドラゴンの少女のもとに向かうとそこに神の使いもいた。

神の使い「なんですか?あなたたちは…!?私は神の使いで世界を…
       とにかくその汚れた手を放しなさい!!」

神の使いが拡声器を持って騒ぎ立てると>>832

>>830
ピンポイントだな

神の使い「ピンポイントで狙ってあげますのでその手を放しなさい!!」
ドラゴンの少女「おっ、神罰か?神罰を落とすのか?じゃ一緒に裁かれようか!」
神の使い「やめてーーー!!」
ドラゴンの少女「それじゃそのふざけた演出をやめてもらおうか」

その後、ドラゴンの少女ことセリアの力により、神の使いは捕縛された。

セリア「さて…世界を終わらせるといったわけだが…」
神の使い「世界は終わるべきなのです…これは神が…」
セリア「一応さぁ…私もかれこれ数百年神に頼まれて聖剣守ってるわけなのだが」
神の使い「なんと…同族でしたか!!」

セリアはドラゴンではあるがどちらかといえば聖竜で、神の意志を受け継ぐ存在でもある。

セリア「馬鹿か…!!大体神が世界滅ぼすとか今初めて知ったんだが!?」
神の使い「それは本当なのです…これは神からの…」
セリア「…」

セリアが黙り込む。この神の使いが嘘を言っているのか…
それともこれは本当なのか…。

修羅場状態のセリアのもとにレイニアが向かうと>>835

拡声器が爆発した

その時だった。神の使いの手にあった拡声器が爆発。彼女を巻き込んだのだ。

神の使い「神は…怒っています…。世界は…戦乱であれと…」

爆発に巻き込まれた神の使いはそう告げるとゆっくりと姿を消す。
そして数秒後には辺りには何もなかったかのように静けさを取り戻し
空が晴れてゆく。

レイニア「セリア。これはいったい…」
セリア「レイニアか…。私にもわからない。神が我らを排除しようとしているということか…。」
レイニア「今度の相手は神…というわけですか…」
セリア「あまり望みたくはないけどね…。」

二人の足元には神の使いの持っていた拡声器の残骸…そして神の経典が落ちていたのだった。

続きます

初めてやってみましたがさすがむりやり小説…難易度が高いようです。
もう少しタイピング速度とか出せればいいなぁと思いつつ
次回もできたらと思います

おつかれですん

まだ誰か居るのかな? 久々に突発とかしてみたいなーとか思っちゃったり。

とかいいつつ、予定が空いた時の突発だって大歓迎なのですあっぴる。

拡声器爆発の人が居たので爆発モノで何か始めてみます。
ちょっぴり不謹慎?な一時間、だらだらお楽しみください。

安価取ろうと見てたけど書き込みボタンを押せないヘタレさが判明したのです。とほほ。


 例えば、突然目の前で人が爆発炎上、木っ端微塵とまではいかないが、生々しい具合で半壊していたらどうするだろう。
考えるのを拒否するか、それとも、気が狂って笑い続けるか。人それぞれ反応があるかもしれない。
だが自分はその例えのどちらに属するかを考える。もし、目の前で人が爆発したら……。

「……それってさ、誰が爆発するかにもよるんじゃない?」

 同じ話題に参加していたC子ちゃんが口を挟む。それに気付き私もハッとする。
それもそうだ、もし目の前で爆発した人間が、ただの見知らぬ他人ならば、ショックは勿論受けるだろうが、
果たして涙を流すであろうか。いや、私は恐らく涙を流さないタイプなのではないだろうか。

「例えばさー、親友が目の前でどかーんってなったら、そりゃぁ……ね?」

 C子ちゃんの言い分も尤もだ。爆発したその人物が例えば親友、或いは家族だったらどうする。
私ならばどうなるだろう、どうするだろう、イメージをしてみるのである。
例えば母親、お母さんが目の前で爆発したら、私は……立ち直れないほどのショックを受け、自暴自棄になるか……精神が壊れるか。

 では、親友ならばどうだろう。……B美ちゃんやC子ちゃんをふと眺めてみる。
二人とも私の親友ではあるのだけど、じゃあ目の前で死んだら……母親程の衝撃を受けるだろうか。
そんな風に考えてしまった私は、恐らく酷い人間なのだろう。それでも、天秤に掛けてしまう。

「ていうかさー、なんでこんな暗い話題なワケ?」

「んー、もし世界が爆発したら私達どうなるのかなーって」

「うーわ、厨二が出たわー。爆ぜろリアル!!」

「やめぃ! それでそれで、A菜はどう思う? 目の前で他人が爆発したら」

「上手く言えないよ、そんなの……」


「だよねー、じゃあA菜……爆発してみる?」

 ちょっと意味が分からなかった。ちょっとどころじゃない、かなり意味が分からない。
だが、親友である筈の二人とも顔つきが変わったようにも見えて、何だかとても怖くなって。

 だからつい、>>845してしまったのだ。

リア充爆発

 だからつい、「リア充爆発」してしまったのだ。
宣言。それは事件。そして、それは私達がこうして語り合う学び舎すら、半壊レベルにまで吹き飛ばしてしまった。

「あー、こうなるのかぁ。こりゃ……うん、寧ろ逆になんとも思えないね」

 C子ちゃんが呆然としつつ、B美ちゃんは暫く沈黙のまま席を立ち、半壊した校舎の部分を俯瞰で見る。
風がすぅっと流れ込み、その風に砕け散った粒子や破片が舞っていたのだろう。つい咳き込んでしまう私。

「けほ、けほっ!」

「……とまぁ、B美さぁ、どうするのさ。こんな話題持ちかけちゃってさぁ」

「いいじゃない。私達は殺人を犯したわけじゃない。厳密に言えば、A菜は殺人を犯したのかもしれないけれど、
 実際には法で裁くことは出来ない、異常とも言える出来事なんだから」

「でも知っていたんだろう? こういう風に宣言しちゃうと、爆発しちゃうってさぁ」

「何故か爆発だけなのよね。でも、それって凄く、とても強力な武器……」

「B美、何か良くない事考えていない?」

 遠くから救急車のサイレンが多数聞こえてくる。ヘリコプターが空を舞う姿も目撃できた。
事はそれ程大きな出来事と発展し、そして人々は次第に爆発する恐怖に慄く事になる……。


「って言うカンジになると思うのよ!」

 そして舞台は再び変わる。B美が目を輝かせて語っているその阿呆臭い厨二的物語に、私とC子は絶句してしまっていた。
その微妙な空気を変えようと、C子が今度はこんな風に語るのだ。

「いやいや、A菜イジメだぞそれは! 私ならそうだなぁ……近い内に人じゃなくて、>>847が爆発すると思うな!」

レンジの中のタマゴ

「いやいや、A菜イジメだぞそれは! 私ならそうだなぁ……近い内に人じゃなくて、レンジの中のタマゴが爆発すると思うな!」


<ぽんっ!>

「おい、やっべぇ、実習室で煙が出てるらしいぞ!?」

「うへぇ、マジで!? 火事になるんじゃね? 午後の授業無くなるかもな!?」

 廊下がなにやら騒がしい。どうやら男子生徒が話題に出したそれが、一瞬で皆に広まったらしい。
火事。爆発事故からの火の連鎖。それはあっという間に生徒達に知れ渡り、全校生徒が途端慌て出す。
それだけで昼休みは大騒ぎ。勿論私も、B美もC子も例外じゃなく。

「に、逃げよう!?」

「あ、あぁ……。って、どうしたんだよB美」

「先に逃げて。……気配がするの。邪悪の……いいえ、もっと深い深い闇の気配ってちょっと髪引っ張らないで!!」

「火事なんだぞB美! ほら、A菜も!!」

「あ、う、うん! ……手、引っ張ってくれてありがと……」

「A菜……。……どうせなら、両手でキミを抱きかかえて逃げてあげるよ」

「あ、あれ? 髪を引っ張っていた手が……って、私は放置っ!?」

「厨二は不要! ……A菜、私と一緒に……生き残ろう」

「あぁ、C子ちゃん。いいえ、C子様ぁぁ……!」


「なにその妄想、A菜独り占めとかぶっちゃけどうなの?」

「たはは、面目ない……。っていうか、そんな風にしか妄想できないってーの!」

「それじゃ、シメはA菜にお願いしましょ? ……A菜なら、何を爆発させたい?」

「え、え? 爆発するって事象が起きるのではなくって……爆発させたい何かを言うの……?」

「そうよ。ちょっとズルイかもしれないけど、A菜って結構ストレス溜め込んでるタイプだと思うし、
 どうせならそういった妄想で、ストレス発散するのも良いかもしれないわよ?」

 B美ちゃんが怪しくそう微笑んだ。何故だかそれが、イケナイ誘いだと思えてしまい、
隣に居たC子ちゃんもまんざらではなく、迷った私は……>>849を爆発させた。

教頭のヅラ

 B美ちゃんが怪しくそう微笑んだ。何故だかそれが、イケナイ誘いだと思えてしまい、
隣に居たC子ちゃんもまんざらではなく、迷った私は……教頭のヅラを爆発させた。

 数日後その話を知る事になるのだが、教頭先生は、頭部に火傷を負ったが命に支障は無かったらしく、
念のためと数週間入院生活を送り、彼は無事職場へ舞い戻ってくる事になる。
しかし彼は、二度とカツラを愛用しようと思わず、マープ増毛法に駆け込んだという噂もちらほらと。

「ねぇ、教えてよぉー、A菜ぁ」

「そうよA菜、アナタだけ何も言わないなんて、それこそズルイわよ!?」

「ふふ、爆発だなんて不謹慎な発想は良くないよ? ほら、後一分でお昼休み、終わっちゃう」

「ったくもう……」

 C子ちゃんは唇を尖らせて自分の席に戻っていく。しかし私の前に座っていたB美ちゃんは、
その席が自分の居場所である為、また先程の話題を蒸し返そうとするのだ。

「ねぇ、もし……ううん、気のせいだったらいいんだけど……」

「どうしたの、B美ちゃん」

「B美、という存在が爆発したら、A菜は悲しんでくれる?」

「ふふ、どうだろう? ……うそうそ、勿論悲しいよ?」

「そ、……何となく聞いてみたくなったの。それだけ」

 皆、イケナイ子だなぁと、私は微笑む。
しかしその後、教頭先生の事件を聞き、二人との距離は徐々に離れていく事にもなる。
もしかすると、なんて彼女達も思ったのかもしれないが、私自身彼女達と次第に距離を遠ざけていった。


「という悲しくなるお話が浮かんじゃった……」

「A菜、教頭先生がヅラだって……本当なの?」

「だったら、確かめに行ってみよう! 教頭先生がヅラなのかどうかを!!」

 ここからは、妄想じゃなく本当のお話。私達が教頭先生がカツラかどうか確認しに行くと、>>851

次最後にしますー↓

 ここからは、妄想じゃなく本当のお話。私達が教頭先生がカツラかどうか確認しに行くと、
教頭先生は鼻を穿りながら喉の調子が悪いのか、何度も唸っては首を傾げている姿を目撃して終わるのだ。

 そう、世界は変わらない。同じ日々を繰り返すのだ。平凡ならば平凡な日常を。
同じ事の繰り返し。そうして世界は成り立つ。それは何度シミュレートしても、同じ結果を導き出す事になる。
その筈なのに、では変わる世界とはどういうものか。それは、爆発させれば果たして見られるモノなのか。

 不可能だ。例えば平行世界が多数存在するとしても、私はその別世界に身を委ねる術が無い。
じゃあ、この世界を爆発させればどうだろう? 私という存在も、爆発して消えてしまうかもしれないし、
例え生き残っていても一人じゃ到底生きていけない。どちらにしても死を選ぶだけである。所詮は仮の話だが。

「……もし、違う私が居て、違う日々を過ごしていて、世界が変わっていたら……」

「何をブツブツと言っているの? ……大丈夫?」

「うん、大丈夫大丈夫! ちょっと妄想してただけで……」

「A菜の妄想っていつもメルヘンチックよね。今度は白馬の王子様が爆発したとか?」

「やめてよー! お馬さんを殺さないで!」

「王子様は死んでも良かったのね……」

 つまらない日常かもしれない。当たり前で、同じような出来事の繰り返しの日常かもしれない。
だけどこうして爆発という事象だけで無駄に話が出来る、それもちょっぴり楽しいじゃない。

 そう、これは本当のお話。だけどそれは、この世界での本当のお話で。
世界が変わっていて、違う日々を過ごしている私がもし居たとすれば、それは……。

「……コワレタんダ、爆発シテ、何モカも……」

「……薬の影響で、こんな事に……!」

「ダカラ、全テヲ爆発サセテ破壊シテ……全テヲ消シ去ルンダッ!!」


 教頭先生のカツラだけを爆発させただけじゃ飽きたらず、リア充すら付近から爆発させて消し去り、
次第に狂気という病に悩まされ出した私は、親友すら爆死させてしまい、そして等々壊れてしまう。

 なぁんて、そんなおかしな世界も、存在するのかもしれない。


――― 安奈ちゃんの爆発衝動日記  おわり

そろそろ皆さんおねむーな時間なので、むりやり打ち切りにしちゃいました。
メル欄のは何よって? 本編第六話くらいではい。

安奈じゃなくて安菜ちゃんですねハイ。まぁそんなのはどうでもいいとして、
拡声器爆発さんも他の人も、お付き合いありがとうございましたー!


【10/27 (日) 01:10時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

11/02 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 芸夢製作部活動日誌 二年生編 第五話 『いい加減ゲーム作ろうよ!』

安価の発想力も欲しいなぁ。ミントさんは日曜日かな? べっちょり。

やめて死にたくなるぅ!

すいません、15分ほど遅れますー。

時間より少し遅くなりましてすいません。べ、別に画像の準備していた訳じゃないんだからねっ!?
http://muriyari4th.rash.jp/mngupload/src/mngup41.jpg 
ちょっぴり時期遅れですが、はろうぃーんなのです。ちな詩乃さんと瑞希さんの模様。

次回からそんなに描く暇ないかもで。だって艦これイベントがぁぁぁぁ!!
E-4キツイよぉぉ武蔵欲しいよぉ! 取れなきゃ引退覚悟の諭吉も二枚用意したんだっ!!

ブラゲーに課金ってちょっとアレですよねぇ……。ともあれ、もう暫くお待ちください……。

~~凄いぐちゃぐちゃになった登場人物紹介……~~ 

【狩野 恋】(かのう れん)『能力:全知有能 ・あらゆる事柄を操作及び実行できます。だがスキル性なのでショボイ』
本編主人公で芸夢製作部の部長。最近どうにも出番が薄かった人。これ主人公じゃないよね?

【小島 小夜】(こじま さよ)『能力:分子分解 ・対象を分子レベルで分解します。だが近接用』
主人公の親友。相変わらず主人公を寝取りたい系女子。部内でも副部長を務める病んでるクーデレ系。

【滝川 詩乃】(たきがわ しの)『能力:元素形成 ・火や雷といった元素を抽出、形成。だがビリビリばっかり』
主人公達の先輩の一人であり芸夢製作部員。自称魔女は相変わらずなボクっ子。ハッキングが得意です。

【橘 瑞希】(たちばな みずき)『能力:物質転写 ・あらゆるモノや事象、能力をコピー出来ます。便利だなぁ』
主人公達の先輩の一人であり、詩乃の友人。主人公を愛でるのが大好きな自称妖精。ほんわか系女子。

【相沢 美樹】(あいざわ みき)『能力:絶対的予測 ・未来を周囲の状況から予測、導きます。便利だなぁ』
主人公のクラスメイト。アニヲタで野菜王子と主人公を愛するちょっぴり臆病な女子。小夜をライバル視しています。

【高峰 一美】(たかみね かずみ)『能力:偽物複製+魔王化 ・あらゆる存在を無限に複製、ただし複製なので劣化気味』
主人公を追って一年時に転入してきた男の娘。今では寧ろ主人公の下僕気味に。まだちゃんと付いてます。

【狩野 愛】(かのう あい)『能力:妄想顕現 ・己の妄想を現実のモノとする能力。ただし意外としょぼい』
主人公の一歳年下の妹。主人公と同じ高校に進学し、クラスを纏める委員長となり張り切っちゃう系。

【乾 姫菜】(いぬい きな)『能力:殺意具現化 ・己の殺意を具現化、対象を攻撃出来ます。おっそろしぃ!』
主人公達の後輩の一人。ひょんな事で芸夢製作部に入部する羽目となった被害者一号。デレ過ぎるツン系。

【穴吹 乃亜】(あなぶき のあ)『能力:加速変換 ・己や動く対象を加速させちゃう! これで遅刻対策はばっちり!』
主人公達の後輩の一人。やはりひょんな事で芸夢製作部に入部する被害者二号。能天気過ぎてイタイ系。

【園田 日々香】(そのだ ひびか)『能力:潜在悪夢 ・人の中に眠る潜在的なこわ~い夢を見せます。やだこわい』
相沢家に仕えるメイド。普段からしっかりしているようで詰めの甘い人。お嬢様の事は大好きな様子。

【渡会 椎衣】(わたらい しい)『能力:加重変圧 ・圧力操作でとんでもないパワーを発揮したり。暴力的ぃ!』
公立痛杉中学校三年生。好戦的なようで意外と臆病且つ怖がりさん。お薬覚醒組みの一人。

【神栖川 鳴歌】(かみすがわ なりか)『能力:言霊現象 ・言葉を奏でればその通りに。但し限り有り。何これ欲しい』
公立痛杉中学校三年生。冷静なようでこちらもまたまた怖がりさん。お薬覚醒組みの一人。

【鳥羽 修介】(とば しゅうすけ)
酷杉学園女子高等学校の養護教諭。誰にも優しいイケメンなので大人気。相談役としても大人気な様子。

【白鳥 咲】
公立痛杉中学校教諭。お薬を仕込んだ張本人。普段はお姉さんのようなお人のようです。

~~~~ 芸夢製作部活動日誌 二年生編 第五話


 中間試験の結果は、一先ずのところ何とかなったと表すとして、いよいよ梅雨入りの季節となった。
今日もどうやら雨模様でじっとりとした空気に、どんよりとした雲が浮かび、小雨がぱらぱらと降る中、窓の外を眺めていた。
グラウンドも、雨模様という事で殆どの部活が行われておらず、とても静かだった。

 そんな静かな放課後、静かな部室、静かにコーヒーを啜り、ちょっぴり悦に浸りつつも黒猫のブラブラを抱きかかえるのだ。


 恋 「……今日も二人きり、だねぇ……」

ブラ 「……にゃぁご」

 恋 「最近ずっと二人きりだねぇ……」

ブラ 「にゃぁ、にゃぁ」


 黒猫のブラブラ、それは以前私が屋上から飛び降り、危うく自殺しかけた出来事があった。
その際に無意識で助けたのがその猫で、落下の最中に木の上から飛び降りれなくなったそれを助け、私は一躍有名人。
それまで変態的な汚名を着せられていたが、その事件からどうやら私の評価は急上昇。


 恋 「それにしてもさぁ……。何で皆急に来なくなっちゃったんだろうね?」

ブラ 「にゃぁご」

 恋 「皆が余り顔を見せなくなって早一週間。……ゲーム作れないんですけどぉ!?」

 恋 「このままじゃ、エロゲーがぁ! 学園祭までに間に合うのっ!? あぁぁぁぁぅぅぅ~~!!」

ブラ 「…………」


 私の自殺未遂事件もとい、屋上から猫を助けた武勇伝から約半年。
私自身はまだそこまで生まれ変われていないながらも、以前とは違う自分となっている事に薄々気付いていた。
それは言葉では表現が難しい。あえて言うなら、生まれ変わったような感覚に近いのかもしれない。

 とはいえ、元が酷すぎた為に、やはり中々生まれ変われた、とは言い難く……。


 恋 「……暇だなぁ……」

ブラ 「……>>863

フギャー

 恋 「……暇だなぁ……」

ブラ 「……フギャー」

 恋 「ひぎゃっ! 引っ掻いてきたぁ!」

 恋 「痛たたた……、顔に見事に切り傷がぁ。……よくも私の顔に傷をぉっ!!」

ブラ 「……みゃぁ~ご」

 恋 「……って、今日は何時もみたいに喋らないんだね」


 元が酷すぎた私が生まれ変わったとすれば、切欠はやはりあの自殺行為な出来事だろう。
そして、その際に助けた黒猫の言葉が聞けるようになったのは、その出来事から暫くしてからの事だった。
その猫は、誰も居ない、私だけとなった時だけに言葉を聞かせてくれる事があるのだが、どうにも気まぐれであり……。

 そして、他人が付近に居るようならば、突然猫語に戻ってしまう不思議な生物でもあった。
そしてその出来事は、私達だけの秘密として共有しているのである。


 恋 「はぁ~、ブラも喋ってくれないし、暇だなぁ……」

小夜 「ブラが喋る訳ないでしょう?」

 恋 「ぬわっ!? さ、小夜、何時の間に!!」

小夜 「割とさっきから居たのだけど。猫に引っ掻かれてからね」

 恋 「そ、そうなんだ……だからブラが引っ掻いてきたり暴れたんだ……」

小夜 「その猫、飼わないコトになった筈だけど。……まだ部室に入り込んでくるの?」

 恋 「あ、あはは。なんだかつい懐かれちゃったみたいでぇ~なはははっ!」

小夜 「去年の冬、飼育禁止と生徒会から通達があったハズよ。まぁ、ちょっとくらいなら問題ないだろうけど」

 恋 「それより……なんで皆、最近部活しに来ないの? ……何か知ってるよね?」

小夜 「え、えぇと、それはね……!?」


小夜 (取引……あの日、鳥羽先生に雰囲気に圧されて頷いた内容は、>>866だった。それが理由とは言えないわ……)

世界を終わらせるなら、ね(ニヤァ

小夜 (取引……あの日、鳥羽先生に雰囲気に圧されて頷いた内容は、世界を終わらせるなら、ね(ニヤァ)だった。それが理由とは言えないわ……)

小夜 (あのニヤァって笑み、冗談抜きで悪寒がしたわ。気色悪いマッドサイエンティスト的な笑みで……」

小夜 (世界を終わらせたくないのなら、暫く部活動も休止、そして事を暫く見守れと言われたのよね)

小夜 (それを皆で協議した結果……、恋には悪いけれど、私達はちょっぴりバカンス気分を味わってるなんて……言える筈がないわっ!)


小夜 「うぅぅ~~ああぁぁぁぅぅ~~~!!」 ガシガシ

 恋 「と、突然ロッカーに頭を打ち付けて、ど、どうしちゃったの小夜ぉ!」

小夜 「はぁ、はぁ、はぁ……。恋、ごめんなさい、私は、私は……!」

 恋 「ど、どうしたの小夜! 何か……悩み事? ……私で良ければ、その、話くらいは……」

小夜 「……恋、私の為にそんな悲しい顔をしてくれて……」

小夜 (でも、これ以上恋に黙っているのも辛い! でもどうすれば!!)

小夜 (恋に隠れてカラオケ行ったり、ラノベを楽しんだり、遊園地に他の部員と行っていたとか言える訳ないしっ!?)

小夜 「うぅぅ~~~ああぁぁぅぅ~~~!!」 ゲシゲシ

 恋 「ちょ、ちょま、私の頭に頭を打ち付けて来ないでよぉぉ!!」


 小島小夜、私の親友で大事な人の一人。しかし最近の彼女はどうにも彼女らしくなく、
見ていて飽きないというか、それくらい妙な行動を起こしたりとおかしな事をする日々が続いていた。
しかしそれが今日極まり、私に向かって頭突きの応酬である。流石におかしいと感じた私は言った。


 恋 「……ねぇ小夜。本当は何かがあったんでしょう? 教えてよ、親友でしょ!?」

小夜 「…………」

 恋 「ねぇ、小夜ってばぁ!!」

小夜 「……実は、>>871

例のアレが

小夜 「……実は、例のアレが……」

 恋 「例の、アレ……? ま、まさかっ!!」

 恋 (小夜の例のアレって、いつものアレって事だから……)

 恋 (私の中では小夜=正義の味方厨ってイメージな訳で、その影響でラノベばかり読んでる訳で……)

 恋 「つまりっ! 今日も小学生相手に変態行為を!? そしてとうとうお巡りさんに通報されたとか!!」

小夜 「……私って、恋にとってその程度の存在だったのね」 ウルッ

 恋 「え、あ、違うの? あっれぇ……?」

小夜 「もういいわっ! 恋なんて、大嫌いっ!!」 ガラッ

 恋 「……出ていっちゃったし。うぅん、何だか気になるけど……、小夜だし大丈夫かな」

 恋 「さぁて、暇つぶしにエロマインスイーパーでもしようかなぁ~っと」


 部室にこうして、誰かが訪れてくることはまだ珍しいわけじゃない。ただ、活動する時間は明らかに減った。
今では一年生コンビが訪れた際に、少しでも作業を進めようかと促す程度である。
その取り纏めでもあった小夜がこの調子では、どうにも作業も捗らず、結局最近は遊び呆けてばかりであった。


 恋 「ふわぁぁ……エロマインのエロ画像も見飽きたなぁ……。……このポーズ、真似してみようかな?」

 恋 「えーと、先ずは下着だけになって……パンツを少し下ろしつつ、見せないように屈んでみて……」

 ガラッ

 恋 「そうしてそうして、お尻をこう……突き出す?」


美樹 (恋ちゃんの様子を見に来ただけだったけど……パンツ脱いでお尻をこちらに突き出してるっ!?」

美樹 (これって、>>873チャンスじゃないのかなぁ……かなぁ!?)

例のアレ

美樹 (これって、例のアレのチャンスじゃないのかなぁ……かなぁ!?)

美樹 「ごくり……。れ、恋ちゃん、あのね……!?」

 恋 「ッ!? み、みみみミキハウスちゃん!?」

美樹 (焦りすぎて等々ブランド名に進化してしまった私だけど)

美樹 (誘われてる、間違いなく……例のアレに誘われてるよぉ、私っ!)

美樹 (思い切って……言っちゃおう!!)


 数分後、恥ずかしい姿を晒してしまった私は自粛気味で小さく椅子に座るのである。
しかし美樹ちゃんは妙ににこにこ笑顔で私にゴシックロリータの衣装を着せていくのであった。
何故にゴスロリなのかと尋ねれば、着替えたいけど着替えがないからお尻を突き出していたんじゃ、と意味不明なコメントを頂いたのである。


美樹 「それじゃぁ……最後にヘッドドレス型のヘアバンドを装着してぇ……出来上がりぃ!」

 恋 「……あ、あれ、何だか……いつもの私じゃないみたいな」

美樹 「うん、お似合いだよぉ……可愛いよぉ……うっとり」

美樹 「暫く恋ちゃんの為にゴスロリ衣装を探し回った甲斐があったよぉ……!」

 恋 「それが美樹ちゃんが部活に余り顔を出さなかった理由?」

美樹 「え、あ、その……。えと、本当はチョット色々と……」

美樹 (事情があったとはいえ、こんな理由じゃ恋ちゃんに嫌われちゃう……!?)

美樹 (何とかしないと、何とかぁ……ってどうすればいいのぉ!?)

 恋 「……小夜もね、あんまり部活に顔を出さないんだ。……部活の話を振ると避けられるし」

 恋 「美樹ちゃんもそうだよね。一美も何だか私を避けてる感じがするし、詩乃先輩や瑞希先輩も……」

美樹 「恋ちゃん、それは違うよっ!? えぇと、その……上手く言えないけど」


美樹 (不味いなぁ……このままじゃ恋ちゃんがグレちゃう予測が見えちゃった……。夜露死苦とか言ってるしぃ……!)

美樹 (それを防ぐ為には、例のアレ、>>876を実行するしかないよぉ!)

お灸

美樹 (それを防ぐ為には、例のアレ、お灸を実行するしかないよぉ!)

美樹 「という訳でお灸を用意してみましたぁ~! 裸になって横になってね?」

 恋 「折角ゴスロリ衣装を着せてきたと思えば、今度は全裸になれとですかっ!?」

 恋 (やっぱり美樹ちゃんも様子がヘン。……怯えてるっていうか、なんて言うか……)

 恋 (私、何かしたのかなぁ……。こんな時、そう言えば悩み相談を受けてくれるって人が……)


 まさかの上半身裸からのお灸でのリラックス効果を受けた影響なのか、私は美樹ちゃんが去った後、思い立ってとある場所へやって来た。
しかし、基本的に他人に関わらないように生きてきた影響だろう、未だに職員室に訪れる際でも脚が震えだす。
なのに今回は保健室という事で、尚更脚の震えが止まらない。ドキドキして、胃が咽返りそうになる。

 それでも、このままじゃ何だか埒が明かないと感じた私は、思い切って扉をノックする。


鳥羽 「ん、空いてますよ。どうぞ」

 恋 「……し、しししっ、失礼、します……・」

鳥羽 「おやまぁ、これはこれは珍しい。……君からこうしてやって来たのは初めてだろうね」

 恋 「……以前は、その、どうも……」

鳥羽 「君は集団行動が苦手なタイプなのだろうね、よく倒れて運ばれたりとかしたからね。顔はちゃんと覚えているよ」

 恋 「……それで、そ、そのぉ……あのぉ」

鳥羽 「お悩み相談、と言ったところかな? ……どうぞ、何でも言ってくれるといい」


 先生は微笑んでいた。その微笑みは、我が校の色んな女子生徒を救って来たに違いない。
その為か、学校内の評判も上々で、彼に相談すれば成功間違いない、なんてジンクスすら生まれている。
とはいえ、主に相談として持ち掛けられるのは恋愛相談事であるらしい。


鳥羽 「まさか、狩野君。……恋愛相談かな?」

 恋 「ち、違いますっ! そ、そんな下劣な相談事じゃありませんっ!!」

鳥羽 「下劣と来たか。いやいや、別に恥ずかしい事でもなんでも無いと思うけどね?」

 恋 「そうじゃなくて、その、友達関係というか……」


鳥羽 「ふむふむ、話を聞くと要するに……ハブられてる訳だね? ならば、>>878するといい」

牛の刻参り

鳥羽 「ふむふむ、話を聞くと要するに……ハブられてる訳だね? ならば、牛の刻参りするといい」

 恋 「失礼ですが……丑じゃなくって、牛?」

鳥羽 「何故牛の刻参りと言われているか、それはこの町にある神社……牛臭神社という名に起因していてね」

 恋 「そ、その牛臭そうな神社聞いた事ないんですけど!?」

鳥羽 「丑の刻、そこを訪れると……牛神様がその悩みを解消してくれるという」

鳥羽 「まぁ、迷信だろうけどね。けど神社があるのは本当だよ。何なら地図に起こしてみようか」


 そう言って鳥羽先生は一枚のメモを私に差し出すのである。そこには酷杉学園女子高から徒歩二十分くらい掛かるであろう場所。
そこにバツ印が付けられ、その場所が牛臭神社と呼ばれる場所になっているらしい。
思えば、放課後はいつも部室に居て、部活が無い日は家に直帰していた私は、ちょっとした冒険心を擽られる事になる。


鳥羽 「あぁ、でも一つだけ忠告させて貰おう。くれぐれも――」

 恋 「……わ、分かりました! や、やってみます! ありがとうございましたっ!!」

鳥羽 「あぁ、またいつでも来てくれたまえ。……いつでもね」


 彼に地図を貰い、悩みを解消できる一つの方法を授かった私は、もう一度部室に誰も来ていないかと中を覗くことに。
すると、一年生コンビがパソコンのモニターに向かってなにやら話を交わしている姿が見えたのだ。
しかし、モニターには以前ブルマ映像として録画した映像を停止させ、それについて話を交わしている様子だった。


姫菜 「確かに、本当にこれが現れたわ……。私のトコロにも」

乃亜 「やっぱりー? でさでさ、小夜先輩とかに聞いてみたんだけど、他言無用だって言われてー!」

姫菜 「……世界が滅亡とか、スケールでかすぎの割には、世界を救うには私達がゲームを完成させるのが必須条件って……」

乃亜 「でも、何で今は部活、休止にしてるんだっけー?」

姫菜 「取引だそうよ。どうしてそうなったのかも教えてもらったけれど……。それにしても、腑に落ちないっていうか」


 扉一枚で遮断はされていた。でも、話の内容は何となく理解出来ないようで、理解出来てしまっていた。
部員達のドッペルゲンガーが映像に残っているという話は確かに聞いた。でも嘘くさい話だとは思っていた。
しかし、話を盗み聞いて察するに、それに出くわしていないのは私だけのようであり……。

 彼女達に事情を聞こうか、或いはいっそドッペルゲンガーなんて存在を捜しにいってみようか、悩んだ私は……>>880

ドッペルゲンガーについて調べる

 彼女達に事情を聞こうか、或いはいっそドッペルゲンガーなんて存在を捜しにいってみようか、悩んだ私は、
ドッペルゲンガーについて調べる為、行動に移すのだった。とはいえ、情報として入手したのは、盗み聞いた一年生コンビの会話だけ。
彼女達もどうやらその存在が目の前に現れた事に随分と驚いていた様子である。


 恋 「……小夜も、美樹ちゃんも、一美も……そして、詩乃先輩や瑞希先輩も、きっと関わってる」

 恋 「そして、私だけその存在を目撃したことが無い……。きっと、それが関係してるハズ」

 恋 「あの映像の中には、薄らと確かに私の影のような子も居たし、それもおそらくきっと……」

 恋 「って、何処捜せばいいのかわからないじゃなぁぁぁい!! うがぁぁぁぁっ!!」


 その後、日が暮れるまで随分と走り回ったような気がする。もう一人の自分が居るかもしれない、
そのような存在が町の中を徘徊しているかもしれない。学校からの近場である盛り場や、商店街、
駅を跨いで行った事の無い場所まで足を伸ばしてみたものの、手掛かりは一切掴めなかった。


 恋 「はぁ、はぁ、はぁ……って、もう午後八時……」

 恋 「うわ、愛からメールで遅くなりすぎるなら夕飯抜きだって言われてるし」

 恋 「もうちょっとしたら帰るから、夕飯抜きは許してぇぇ~てへぺろっと返信……」

 恋 「って、ここ何処ぉ!? 来たことないから道が分からないよぉぉぉおっ!!」


 どこの子供だって突っ込まれるだろう。しかしこれが私としか言いようが無く。
見境が無くなれば見知らぬ土地に入っては、見事に迷子になってしまう幼稚園児レベルなのが私であった。
とはいえ、これでも現役のJKなのだ。JKらしく、スマホでも使って地図検索をと、ボタンを押した際であった。


 恋 「あれ、この付近って……鳥羽先生が言っていた……」


 牛臭神社、その場所を地図に起こしてもらい、スマホで表示された地図と照らし合わせてみる。
するとどうだろう、見事にそれは酷似しているではないか。あえて違う点を述べれば、スマホに表示された地図には、
牛臭神社とは名前が書かれておらず、地図記号である神社マークだけが表示されているのである。


 恋 「地図記号きちんと覚えてる私、割と偉いっ、すごいっ!!」

 恋 「とはいえ、あっちの街頭の無い暗がりを進んだ場所に神社があって……」

 恋 「……行ってみようかな」


 牛臭神社、牛の刻参り。実際には時間は随分早い到着となったのだが、その場で暫く時間を潰せば良いなんて考えてしまっていた。
だが、それがいけなかったのだろう。気付けば……>>882

飛び交う牛の生首に囲まれた

 牛臭神社、牛の刻参り。実際には時間は随分早い到着となったのだが、その場で暫く時間を潰せば良いなんて考えてしまっていた。
だが、それがいけなかったのだろう。気付けば……飛び交う牛の生首に囲まれた。

 怨霊、或いは亡霊なのか。この神社は本当に牛が奉られているのか。
そして、鳥羽先生の「くれぐれも、間違った時間に行ってはならない」という言葉を台無しにした私がいけなかったのか。


 恋 「ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇっっ!?」

 恋 「な、なに、これ……。う、牛……が、い……ぱい……」


 これが人の霊であれば、もっと驚きの声を発していたかもしれない。しかしそれも唐突に目の前に揺らめくように現れ、
私を逃さないよう囲んでしまえば随分と迫力が増し、いよいよ私も立っていられなくなってしまう。
牛の生首が揺らめき、囲い、踊るように円を描き舞っている。その状況から、神社から逃れる事すら脳裏に浮かぶことすらなく。


 恋 「い、やぁ……こ、こわい、怖い……怖い怖い怖い……!!」

 恋 「祟られる、丑の刻以外の時に来ちゃったから、祟られちゃうんだ……!!」


 最早、目を閉じて自然とそれが消え失せてくれるのを待つしかなかった。
目を閉じ、願い、そして念じて口に出す。消えろと。何度も言葉にして繰り返す。

 それからどれくらい時間が過ぎたのだろう。実際には一日くらい過ぎたのではないかと思ったくらい長い時間は、
たったの十分程度であり、改めて取り出したスマホの時刻表示は、20:51となって……電池が切れるのだ。


 恋 「……なんで、さっきの生首消えたんだろう。……帰っていった?」

 恋 「ど、何処に帰っていったって言うの? ……神社の、中?」


?? 「……>>885に帰ったんだよ」

焼肉屋

?? 「……焼肉屋に帰ったんだよ」

 恋 「げぇぇぇぇぇっっ、牛ぃぃっっ!!」

 影 「失礼だなぁ、美少女に向かって牛呼ばわりとか酷くない?」

 影 「これ、丑飼神社の名物、もーもーくんのお面。一つ五百円もするんだって」

 恋 「……って、誰? どど、どちら様ですかっ!?」

 影 「うわ、これは酷い。……そりゃまぁ、私って超絶美少女だし、こんなにキモイ喋り方はしないし」

 影 「挙句におどおどして今にも嘔吐しそうな爬虫類とは全く違うように見えるけれど」

 恋 「爬虫類は言いすぎィ!!」

 影 「……ともあれ、アナタも私も、本質は同じ。……アナタが捜していたソノモノよ」

 恋 「……え、えと、何処をどう突っ込めば良いのか……」


 髪は随分と長く、トリートメントもきちんとしているのであろう。月明かりで光ってすら見える程の艶。
それを靡かせ、釣り目気味な彼女はぼんやりとはしているが、ハッキリと目に映っていた。
ただ言えることがあるとすれば、ちょっとメイクが濃いのではないか。こんなの私じゃないと言いたいところであったのだが。


 影 「さぁてね、ここで一つ問題。何故生首の皆さんがアナタを囲っていたのでしょう?」

 恋 「……さ、さぁ……」

 影 「実はこれには秘密があってね。そう、それは……>>887

あなたの髪の毛に牛のえさがついてた

 影 「実はこれには秘密があってね。そう、それは……あなたの髪の毛に牛のえさがついてたから」

 影 「汚くしてるのね。本質は超絶美少女で彼氏の十、二十は持っている私が言うのもなんだけど」

 影 「本気で別人レベルというか、別人であって欲しかったわ。本気で引いちゃったもん」

 恋 「さっきからビッチ臭い台詞を何度も何度も……! って、牛のえさなんか付いてないし!!」

 影 「……というか、付けられたんじゃないのかな? どこかの誰かに」

 恋 「え、えと、そんな事は恐らく一度も無かった筈……」

 恋 (部室で牛なんて飼っていないし、そもそも牛に関わることなんて一切していないし……)

 恋 「うん、一切関わっていない! あえて言うなら、搾乳プレイはゲームに盛り込みたいかなって!!」

 影 「その発現もかなりドン引きレベルなのだけど、牛の生首を生み出したのはアナタそのものの影響よ」

 影 「つまり、私とはキスする必要が一切無いわけ。……最初から持ってるんだもの」

 恋 「き、ききききすぅ!? アンタと私が、ききききすぅぅぅ!!?」


 その存在から話を聞く限り、一年生コンビが話をしていた内容とそのもので、間違いないのだろう。
しかし信じられない。平行世界とか別世界とかよく分からないが、そのような物が数え切れないほど存在しており、
その一つ、潰えた世界からこの存在はやって来たと言うのだから、私は耳を何度も穿り返す。


 影 「まぁ、その調子で皆、キスをして能力をプレゼントしていった~って訳」

 影 「もしかすると、そうして私達の居た世界が元に戻るかもしれない、なんて思ってね」

 影 「でもまぁ、肉体は滅んでると思うから、元には戻れないかもしれないんだけど」

 恋 「あ、あの……さっきから滅茶苦茶言ってるけど、要するに……」

 恋 「私が、私達がゲームを製作して、完成させたら……世界は救われるの?」


 影 「それは必須条件の一つ。でもそれだけじゃ当然どうにもならないの。……そう、もう一つの条件は>>889

あなたが出家して尼になること

 影 「それは必須条件の一つ。でもそれだけじゃ当然どうにもならないの。……そう、もう一つの条件はあなたが出家して尼になること」

 影 「ちなみに、尼になる運命は避けられないんだけどね。その時が来れば恐らく分かるでしょう」

 恋 「って、やだよ!! 名前を出したら殺される的な尼さんになんてなりたくないしっ! 坊主もやだ!!」

 恋 「私は、私は……ゲームクリエイターになるんだぁぁぁぁ!!!」

 影 「あーあ、その欲望で世界が壊れちゃうー、滅亡しちゃって無に帰しちゃうなー」

 影 「まぁ、坊主にしなくても務まるわよ、きっとね。言い方を変えればプリーストになるんだから」

 恋 「似ているようでなんか違うような……ぐぬぬ」

 影 「聖職者として世界を救うか、それとも闇に堕ちるか、或いは性げほんげほん。ともあれ――」

 影 「アナタが成す事は簡単よ。ゲームを完成させる事! そして、聖職者できれば尼さんになること!!」

 影 「そうすれば、いずれ世界は纏まるわ。補正力が働いてね……」

 恋 「……はぁ。よく分からないけれど……」

 恋 「……キスは、しなくてもいいんだよね?」

 影 「……もしかして、したいの?」

 恋 「そ、そういう訳じゃ! ええと、あの、その……!」

 恋 (キスの相手、初めてじゃないけど……、もう一人の自分と味わってみたいって思ったのは、ヘンなのかなぁ)


 影 「うーん……そうね。それじゃ試しにしてみましょうか」

 影 「だけど、私とキスすると、恐らく……>>892

学校中にばれて噂になるわよ。

 影 「だけど、私とキスすると、恐らく……学校中にばれて噂になるわよ」

 恋 「……にゃんで?」

 影 「……それはね――」


 女は恋をすると変わるという。私に恋と名前を付けた母から、どうしてそんな名前をつけたのかと尋ねてみた事がある。
すると母はこう言った。「女は恋をして、愛を知って変わることが出来る生き物よ」と。

 それこそ、生まれ変わったように自分でも思うだろう。そして、他人からも変わったと見られるであろう。
恋をして輝いている時間は、他人の目に映るほど眩く、そして生き生きとしたものであり――。


 恋 「おはよう、みんな!!」

女子A 「あ、おはよう……」

女子B 「い、今のって狩野だよね? ……挨拶なんてした事あったっけ」

女子A 「ううん、いつも私達の方から……。っていうか、いつもの狩野さんじゃないような」

女子C 「この臭い……くんくん、この臭いは……香水ッ!!」

女子A 「な、なんだってぇっ!?」

女子B 「……まさか、狩野さんって……男でも出来たんじゃ……!?」


 そして噂は広まり、曲解される事になる。それはたった数時間で、私には付き合っている人が居るだろうと、
そして、キスも済ませ、既に体験済みのビッチの仲間入りまで果たしたことになってしまった。

 あの時私の影が言った事は、こういう事だったのだ。
そして、その変化をいち早く嗅ぎ取った小夜は、私に駆け寄り何度もこう言うのだ。


小夜 「誰と寝たの!? 女!? それとも、ま、まさか男とっ!? 何処の誰よソイツは!!」

 恋 「だからぁ、違うってばぁ! ……キスは、したけど」

小夜 「>>895

ガリッ(舌を噛む音)

小夜 「ガリッ(舌を噛む音)」

小夜 「……ひふぁい!! ひふぁいよぉ!!」

 恋 「そ、そりゃ舌を噛んだら痛いに決まってるじゃない! って、血まで出てきちゃってるし!!」

 恋 「保健室へ行こう!? 私が連れて行ってあげるから!!」

小夜 「ふぁ、ふぁー……ふぁー……」

小夜 (舌が痛くてマトモに話せないわ。噛み千切っていたら死んでいたわねこれは)

小夜 (でも、今の恋は……天使に見えるけれど、まるで別人。もしかして……)


―― 酷杉学園 保健室

 今日も鳥羽先生とのお悩み相談がお目当てなのだろう、多数女子生徒が駆けつけていた。
しかしこちらも一大事、その生徒達を掻き分けるようにしては、保健室へ押し入るのだった。


 恋 「鳥羽先生、小夜が、小島小夜が、舌を噛んで出血して!!」

鳥羽 「おやまぁ、小島君がねぇ。……珍しい事があるもんだね」

小夜 「……ふいまふぇん」

鳥羽 「舌を見せてみて。どれどれ……結構深く噛んじゃったみたいだね。傷が少々深い」

鳥羽 「とはいえ、応急処置くらいなら問題ないだろう。さてさて……」


 小夜は時折不安そうにこちらを見るのだが、私は微笑み返すことくらいしか出来ない。
だが、それが出来るようになっただけでも随分な進歩であった。そして、自分が生まれ変わったように変化したと、気付くのだ。
あの時のもう一人の私との出会いは、私そのものすら変えてしまった。それくらいに濃くて、深い口付けで――。


鳥羽 「まだ痛むかい?」

小夜 「いえ、その……ふぁんとか」

鳥羽 「昼食は控えた方がいいかもしれない。染みるだろうしね。後、飲み物も水だけにしたほうが良いね」

小夜 「ありふぁほーほざいまひふぁ……」


 鳥羽先生はちらっと私のほうを伺う。まるで何か話がしたいような様子で。
それに応じるか、それとも小夜を優先するか悩んだ私は、>>898を取る事にした。

パワ-シ-ドを破壊するという行動

 鳥羽先生はちらっと私のほうを伺う。まるで何か話がしたいような様子で。
それに応じるか、それとも小夜を優先するか悩んだ私は、パワ-シ-ドを破壊するという行動を取る事にした。

 それは種、それは人にある意味害を齎すモノ。そしてそれは、存在してはならないモノ。
すべての切欠は私にあった。私が屋上から飛び降りた日、私が住まう世界は、他の平行世界とリンクしてしまう。
それだけで済めば良かった話だが、別世界では当たり前に行われていた出来事が、この世界ではありえない事として行われる。

 私が元々持ちえていたそれもまた、本来ならばありえない事なのだ。


 恋 「パワーシード、その種を栽培する施設があると聞いたけれど……」

 恋 「小夜に黙って来ちゃったのは、悪い事をしたのかも」

 恋 「だけど、全て私の責任だとすれば、私が落とし前を着けるのは当たり前」


 でもどうして、ゲームを作れば世界が元通りになるのだろう。
どうして根源を断たなくても、世界は救われるのだろう。
そして、彼女の言っていた、絶対に敵わない相手。彼等でも倒せなかった相手というのは……誰のことだろう。


 恋 「それにしても、大きな施設だなぁ……。勝手に入り込んじゃったけど」

 恋 「セキュリティ解除も簡単に出来ちゃうし、全知有能だっけ? えーと、すきるますたー? どうでもいいけど便利だねーこれ!」

 恋 「この調子で深部まで潜入っと……。……人の気配がしないのは、どうしてだろう」


 研究所と思われるその施設は、人の気配が一切感じられないくらいに静かであった。
しかし全く気配がないとは言い切れず、耳を澄ませてみれば、微かだがなにやら音が聞こえてくる。
足音。そして、侵入者である私に向かって少しずつ歩み迫っている様子であった。


 恋 「聴覚を増して物音を聞いてみたけれど……、今の段階だとこんなレベルで限界かぁ」

 恋 「けど、相手が迫ってくるとすれば、やっぱりここは……>>902がお決まりだよね!」

ラスボス

 恋 「けど、相手が迫ってくるとすれば、やっぱりここは……ラスボスがお決まりだよね!」

 恋 「って、撤退か撃退かって話じゃなくて、ラスボスがやって来るって予見しちゃったよ! ……って、マズイような」

 恋 「アレ、足音が二人分に増えた? ……でも――」


 私が、この手で、この能力でカタを着けるんだ。そう決めた以上、最早撤退の二文字は無くなっていた。
最深部にある栽培されているであろうその施設を破壊するまでは、逃げないと。

 しかし、この時恐怖すら克服した選択が、私を後悔させる。
どうして私自身が影響して世界を繋げてしまったのか。そもそも、本当に私が影響したのか。
ただの媒体に過ぎなかったのではないかと。そこに居たのは、最早絶対神として名乗れる存在である――。


―― 同日、午後十九時過ぎ。


 愛 「今日が決行日だから。予定を忘れてなんて居ないでしょ?」

鳴歌 「大丈夫、今日だけはきちんと覚えてました」

 愛 「さすが、頼れる後輩だねー。誰かさんとは大違い」

鳴歌 「それほどでも。とはいえ、椎衣に少しキツく当たりすぎだと思われます」

 愛 「あれくらいきちんと叱らないと、あの子反省すらしてくれないし」

 愛 「それに、敵は小島小夜やその仲間だけじゃない。……鳥羽修介と他の教師陣も恐らく敵」

鳴歌 「その根拠は?」

 愛 「……教えてくれるの、もう一人の私がね」

鳴歌 「理解し難いですが、先輩のいう事ですので、理解しております」

 愛 「ちなみに……白鳥先生は何も言ってこないの?」

鳴歌 「彼女……白鳥咲は、最近>>906に夢中の様子なので」

バックギャモン

鳴歌 「彼女……白鳥咲は、最近バックギャモンに夢中の様子なので」

 愛 「何故にバックギャモン。……麻雀じゃなくて良かったけどー」

鳴歌 「突然麻雀漫画になって、主人公は―― となりかねないからですか?」

 愛 「それにでっかい胸をした天才が現れたりとかで、突然奈良に舞台が移ったりでさぁ大変!」

 愛 「じゃなくてー! ……三十分後に、駅前に」

鳴歌 「椎衣は本当に連れて行かなくても?」

 愛 「能力バレしてる以上、奇襲には向かないでしょ? それに今頃小島小夜は――」


 そう、今頃小島小夜は一人カラオケに夢中の筈なのだ。
部活動を休止するよう鳥羽という男から取引を持ちかけられた際、全く関係ないフリをしてその場に居合わせた。
そうして取引が成立し、部活動にも励めないようになった彼女達は、各々行動を取っていることを知る。


 愛 「でも不思議。何故あんな取引を持ちかけたのかなー」

 愛 「……ま、関係ないよね。お姉ちゃんさえ、私の傍に居てくれれば」

 愛 「それを奪う存在も、何もかも消すと決めたんだから」


 私は薬の力によって能力に目覚めた訳ではない。それは、隣に今も居座る己の影から授かったモノ。
しかしその影は未だに漂う形で存在しており、私としても上手く利用させて貰っているのだが――。


 影 「ぴー、がががが」

 愛 「謎の電波受信で時折意味不明な事を言うのがネックなのよねー」

 影 「がががが―― 電波受信完了。えーと、小島小夜は例のカラオケボックスで熱唱中ー」


 影 「後、あなたの大事なお姉さん、>>908となりましたー。終了っ!」

水晶像

 影 「後、あなたの大事なお姉さん、水晶像となりましたー。終了っ!」

 愛 「またつまらない冗談をー。……本当に?」

 影 「電波はウソつかなーい! でも結構外れるんだよーこれが!」

 愛 「……ま、とりあえず予定通り実行っと。でも、確かにお姉ちゃんの帰宅が遅いし、メールだけ打っておこうかな?」


 既に駅前には、見知った顔が星空を眺めて棒立ち状態となっていた。
ベレー帽を被り、白貴重のフリルワンピースを着た少女を見て思う。そろそろ夏も近い、と。


 愛 「お待たせー、鳴ちゃん!」

鳴歌 「それ程待っていません。厳密に言えば三十分と一分と三十七秒」

 愛 「それ、待ってるっていうか、早く着きすぎっていうか」

鳴歌 「初めてのお仕事なので、緊張してるせいです」

 愛 「お仕事ねぇ……。というか、椎衣は白鳥先生経由で色々仕事を貰ってたらしいけど?」

鳴歌 「私はまだへっぽこなので、そういった話は一切貰えませんでした」

 愛 「そんな事ないと思うけどね。だって、ナイフって言えばナイフを出せるんでしょ?」

鳴歌 「のようなモノを、です。言葉に命を宿して具現化させるようなもので」

 愛 「それで十分じゃない。……それで、私を本当に助けてくれる?」

鳴歌 「勿論、先輩の為なら水の中火の中」

 愛 「それ逆だし言いづらいだけでしょ……。ま、ともあれ――」


 歩みながら進んでいたせいだろう、気がつけばというくらいに早く目的地に到着する。
余り人の寄り付かない路地に存在するそのカラオケボックス、一人カラオケに優しい料金のせいだろう。
ヒトカラ族が多数押し寄せている事で有名となっている。その中に私と鳴歌は入っていく。


店員 「らっしゃーせー! 何名様ですか?」

 愛 「あの、待ち合わせなので。行ってもいいですか?」

店員 「あー、どうぞどうぞー!」

鳴歌 「見事にスルー。さすが先輩。私ならそうはいかない」

 愛 「いや、別に褒められる事じゃないし……」


 そうして、小島小夜をとある一室で確認。彼女の様子はというと……>>910

ブレイクダンス中

バンギャのように頭を振りまくっていた。

 そうして、小島小夜をとある一室で確認。彼女の様子はというと……ブレイクダンス中。
ハッキリ行ってキモイ。時折お姉ちゃんの名前を発し、愛してるなんて叫んでいるから尚更キモイ。
テーブルはジュースのグラスが転げ、中身がテーブルを覆っており、お菓子は散らばりで散々であった。


鳴歌 「……愛先輩。……確認があります」

 愛 「な、何よ。ちょっと今ドン引きしてるトコロだから、短めに」

鳴歌 「本当にあのキモ、いえ、女性を消す、つまり……[ピーーー]のですか?」

 愛 「そのつもりよ。最悪、障害を負わせるレベルまでに持ち込むつもり」

 愛 「そうでもなれば、自分はこんな姿だからと、お姉ちゃんを諦めてくれるでしょう」

鳴歌 「そんなものでしょうか。そして、そんな簡単に済むでしょうか」

 愛 「済むの。……鳴ちゃん、お願い」

鳴歌 「……停電して」


 彼女の言葉が奏でられて暫く、突然このカラオケボックスの電気系統はシャットアウトされる事になる。
暗闇となり、辺りからざわめきが聞こえる中、小島小夜も突然暗くなっては様子が変わったのだろう。
だが、己が狙われるとは思っていないのか、「ふぉへは恋が会いにひふぇふれはほよー!」と訳の分からない事を叫んでいる。

 思えば、幼少の頃から姉の事を好いていたのかもしれない。あのだめだめで、へたれで、どうしようもない姉を。
その姉を我が物にしたいが為に私は今動いている。それに後悔は今は無い――。


 愛 「突入するよ! 鳴ちゃん、いい!?」

鳴歌 「では今回の武器は>>912で突入します」

 愛 「突入するよ! 鳴ちゃん、いい!?」

鳴歌 「では今回の武器はパワ-シ-ドガンで突入します」

 愛 「何それ、良く分からないけれど、対象を殺害出来るのね!?」

鳴歌 「恐らく。尚、言霊再使用には少々の時間が必要で――」

 愛 「いいから行くよ!!」 バタン


 真っ暗だったからだろう、扉が開き、まだ暗闇に目が慣れていない小島小夜に、鳴歌が狙いを定めるのは容易かった。
しかし彼女が生み出したその武器は、私がきちんと確認すべき代物でもあった。
強制的移行、本来ならば私達にとって起こってはいけないハズのそれが、目の前で行われてしまう。


 愛 「……ウソ、でしょ」

鳴歌 「建物自体が、消えて……」

小夜 「……はぁ、はぁ、はぁ……う、ぅ……あぁぁぁぁっっ!!」

 愛 「不味いっ、力が暴走してる!! 離れないと!!」

鳴歌 「……先輩、責任は取ります。私のせいで、彼女を……」

 愛 「いいから逃げて!! アレ、人だって消せる能力よ!! だから早く逃げ――」

鳴歌 「言霊、対象を縛り付ける鎖。言霊、命を刈り取る鎌。言霊、対象を制する疾さ――」


 それは、用いれば用いるほど本来ならば命を削るような行為。それが、自然と受け継がれたのではなく、
薬で強制的に発現させているのなら尚更の話であり。そして、責任を取ろうとした彼女は、私の為に命を使おうとして――。


 ―― 遡ること一年前、その日から彼女は私に尽くしてくれるようになる。


~~~ つづきます

えーと、とりあえず時間も時間なので以上で終わり……って訳分からんっ!
本筋のエロゲーム製作はいつになるのやら。いや、やれない事はないのですが……。

ともあれ、お付き合いありがとうございましたー。

次回の主役はこのメンヘラ妹となります。
http://muriyari4th.rash.jp/mngupload/src/mngup42.jpg


【11/03 (日) 00:21時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

11/03 (日)
  21:00~/ミント ◆MINTG/yggg氏 - 300年後へようこそ 2話目「平和じゃない世界へようこそ」
11/08 (金)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 休みが取れたので芸夢製作部活動日誌第六話  『第二位相と体育祭』 


もうちょっとバランス整えないとなぁ。あと艦これ猫るんですがーーーべっちょり

( ノ゚Д゚)こんばんわ。気づいたら21時になってたので始めさせていただきますww


【登場人物】
勇者リオン(種族:人間 性別:男 )
‐魔王を倒すために旅立ったはずなのだが、なぜか300年後の世界へと飛ばされてしまった。
今と昔の常識が違いすぎて混乱している様子。Lvは12とまだまだ駆け出しの冒険者。

レイニア・アルトワール(種族:ガーゴイル 性別:女)
‐石像に命が宿った種族で、元魔王城で門番として勤務していた。
成績優秀で、誰にも優しい性格。Lv80くらいの中ボスクラス。

アルガン・アルトワール(種族:ガーゴイル 性別:男)
‐レイニアの兄。記者として行動している。
強さは妹と同等だが、昔は妹の方が残虐だったらしい。

セリア(種族:聖龍 性別:女)
‐過去に聖剣の守護者として君臨していたドラゴン。
レイニアの親友で天界との繋がりもある模様。

【前回までのあらすじ】
勇者リオンが300年前の世界から現れる。
その世界は魔王が存在せず、人間と魔族が共に生きる世界だった。
平和な世界にこれて浮かれる勇者リオンだが、突如天界が地上へ
武力介入を開始した。

【共存歴200年】
アルガンが仕事行ったため、リオンはレイニアと共にある場所へと赴く。
そこはレイニアの家よりも遥に大きな『城』と呼ばれる場所だった。

リオン「城…!?何故こんなとこに!?」
レイニア「天界からの攻撃や過去からきたあなたのことについて…
     色々と話しておきたい人物がおりますの。」
リオン「はぁ…、しかしこんな大きな城に住むのって…レイニアよりも上級の魔族とか?」
レイニア「そうですわね…。彼女の場合は…魔王が死んだ後に『出世』したタイプですわね」

レイニアが答える。昔は力がすべての実力社会だったが今では別な能力でも出世できる。
リオンは改めてこの時代のギャップというものを感じた。
そして二人が城へと入るとそこにはメイド服を着た女性が立っていた。

レイニア「久しぶりですわね。マミさん」
マミ「お待ちしておりました、レイニア様。そちらの殿方は…?」
レイニア「勇者リオン。300年前から来た例の勇者ですわ」

表情を一つも変えずに会話するメイド。よく見ると彼女の額と右目は包帯で覆われており
左腕にも包帯が巻いてあった。

リオン「あの…なんか顔色とか悪そうなんですが…」
レイニア「何を言ってますの?マミさんはマミィというアンデッドですわ。」
リオン「あぁ、だから包帯を…ってアンデッドだと!?」
マミ「リオン様は…アンデッドを見るのは初めての方でしたか?」
リオン「一応…そこまで肌が綺麗なアンデッドを見るのは初めてです…はい…」
マミ「ふむ…まぁ昔と比べると防腐剤も進化しております故、普通の人間と見比べても
   わからないかもしれませんね」

目の前のメイドの正体を知り、驚くリオン。そして二人は目的の部屋へ案内されると>>920

床に生えていたキノコに挨拶した。

そして二人は案内された部屋に入るとそこはとても大きな客間だった。

マミ「現在お嬢様をお連れします。」
レイニア「お嬢様?ここの管理者はツェペリ様じゃありませんこと?」
マミ「ツェペリ旦那様は引退なされました。吸血鬼とはいえ永遠ではないのです。」
レイニア「そういえばもうそんな歳らしいですわね」

そしてマミは表情一つ変えず、軽くお辞儀をして出て行った。

リオン「しかし…なんて広い場所だ…。これが魔王城だった場所だったりするのか?」
レイニア「いいえ、ここは元魔族の砦の一つですわね。魔王が死んで売りに出たのを
      ツェペリという吸血鬼が買ったのですわ」
リオン「はぁ…でもツェペリって人?…は引退して今は娘が引き継いてでいる…と」
レイニア「まぁ…娘といっても血ノ繋がりはないですわ。他種族ですし」
リオン「そうなのか…魔族ってわからんなぁ…」

とりあえず二人が真ん中に用意されていた椅子に座ろうとすると視界にあるものが入る
どう見てもキノコである。

レイニア「あらあら、随分と立派なキノコですわね」
リオン「ってか大丈夫なのか…。色といい大きさといい…」
レイニア「どうせ、彼女の趣味でしょうけど…とりあえず頭を下げておきましょう。」
リオン「わからん…本当に魔族はわからん…」

とりあえず二人は床に生えているきのこに挨拶し、ソファに腰掛ける。

リオン「なんていうか…300年後の建物は随分変わってるんだな…
    やっぱ家具はなんでも魔翌力で動くのか?」
レイニア「そうですわね。人間の技術力もあってかかなり便利になりましたわ。」

改めてリオンにこの時代の技術を語るレイニア。すると>>922

何故か座ったままの姿勢でジャンプした

レイニアがこの時代の技術を話していると二人の体が浮き上がる。
座った姿勢のまま宙に浮く二人。驚く表情を見せるリオンとあまり表情を変えないレイニア。
そして…ソファの下から一人の女性が現れた。

??「ふふふ、ひっかかりましたの…」
リオン「な…ソファの下から女の子が…」
レイニア「…」

背中の翼を広げ宙に浮くレイニアは慣れていたような感じだった。

レイニア「…何度も同じ手を受けると思いまして?…リヴィ?」
リヴィ「あはは…さすがレイニアですの。折角レイニアすらも浮き上がるくらいの装置を開発しましたのに…」
レイニア「全く…」

そして二人が着地するとソファの中から少女は姿を現した。
その姿はまさに人間そのものだった。

リヴィ「初めましてですの。私はリヴィと申しますの。」
リオン「はぁ…よろしくお願いします。…ってか人間の方もいたんですね…」
リヴィ「人間…?あぁ、私はリビングデッドという元人間のゾンビなんですの。
    でも体が腐っているわけでも傷だらけでもないんですの。」

表情をコロコロ変えて自己紹介をするアンデッド。それにリオンはやはり驚きを隠せなかったようだ。

レイニア「そういえばツェペリ様が引退したみたいですが…何か原因が?」
リヴィ「お祖父様は吸血鬼なんですが、血を飲み飽きて>>925を飲み続けた結果…>>926

口から出血

リヴィ「お祖父様は吸血鬼なんですが、血を飲み飽きて代わりにお酒を飲み続けた結果…口から出血しまして…」
リオン「そりゃ飲みすぎだ!」
リヴィ「今は法律で人間の生き血を無許可で飲んではいけないというルールがありますの…
    だからお祖父様は自棄酒を嗜むように…」
レイニア「まぁ人間魔族共存法は従うしかないわけですし…。」
リヴィ「折角人工的に血液を作る技術まで生み出したというのに…。」

しかし今となっては手遅れで、現在は輸血パックで生命を繋ぐ。そんな生活になっているらしい。
とりあえず世間話はここまでとし、本題に入ることになった。

リヴィ「神の使いが世界を滅ぼす…。それは我が組織のネットワークでもすでに把握済みですの。
     セリルちゃんが止めてくれなかったらきっともっと大変なことになってたと思いますの」
レイニア「そうですわね…このまま滅ぼされていたかもしれないですわ」
リヴィ「一応あの壊れた拡声器のデータは採取して見た結果なのですが、
    やはり地上では出回らない物質で作られていたことが確認されましたの。
    なのであれは地上の魔族のイタズラではないということですの」
レイニア「ふむぅ…。」

二人の魔族が真剣に語る中、全く状況が掴めない過去に人間リオン。
その様子に気付いたのか、リヴィが語りかける。

リヴィ「リオンさんには少し難しい話でした?」
リオン「はぁ…すいません。」
リヴィ「無理もございませんの。まだ慣れてないはずですの。
    それよりお食事はいかがですの?レイニアちゃんのところじゃ
    お肉は出ないはずですし…」
レイニア「食しませんからね。肉は…」

リオンはとりあえずうなづく。そしてりヴィは笑顔で呼び鈴を鳴らすと>>930

キノコが回転して空を飛びどこかへ消えていった。

呼び鈴を鳴らすと部屋の隅に置いてあったキノコが空を飛び、どこかへ消えていった。

リヴィ「あらぁ?」
リオン「あれ…モンスターじゃないのか!?」
リヴィ「あんなもの、置いた記憶がないんですけど…」
レイニア「鈴の音を嫌っている感じですわね…」
リオン「なんだったんだあれ…」
リヴィ「まぁいなくなったわけですし、お食事にしますの」

リヴィが再び呼び鈴を鳴らすと使用人たちが揃って料理を運んでくる。
まるですでに準備していた。そんな感じだ。

リヴィ「リオンさんには肉料理を中心に用意しましたの。どれも1級品ですの」
リオン「失礼なことを聞きますけど…これ…牛ですよね?」
リヴィ「リオンさんはミノタウロスのほうがよかったんですの?」
リオン「いあいあ、失礼しました。」
リヴィ「レイニアちゃんはベジタリアンですからね。旬の野菜を用意させていただきましたの」
レイニア「助かりますわ。」
リヴィ「さぁ、とりあえずいただきますの。」

リヴィの合図とともに食事が始まる。ちなみに食事中のにリヴィがリオンにあるものを渡した。
小さくて四角い黒い板状のものである。

リオン「これってレイニアがもってた…」
リヴィ「携帯電話ですの。魔翌力を用いて遠くの人とお話ができる便利なアイテムですの」
リオン「こんな黒い板で・・・か?」
リヴィ「グルテット社最新モデルですの。これはお友達の印に差し上げますの。」
リオン「あぁ・・・ありがとう。」

とりあえず最新機器の一つを貰い、満足そうなリオンは食事をしながらそれを眺めていた。
すると突然部屋に着信音が鳴り響く。リヴィの携帯電話のようだ

リヴィ「ちょっと失礼しますの。もしもし、どうかいたしましたの?
    ふむふむ・・・>>932

スパイ!

リヴィ「ふむふむ・・・スパイが現れた!…了解しましたの。」

リヴィは携帯のスイッチを切ると隣に置いてあったカバンか何かを取り出す。
それは携帯よりも大きい黒い板状のものだった。

リヴィ「少々お仕事が入ってしまいましたの。…お二人はお食事なさっててくださいの!」
レイニア「大変ですわね…」
リヴィ「はいですの…」

そしてリヴィが部屋を出ていった。そして同時にメイド服の女性が入ってくる。

マミ「お嬢様に言われてお二人の護衛を任されました。」
リオン「なんて早さ…」
マミ「お嬢様のネットワークの速さと広さはかなりものです。ちなみに、先ほど飛んでいった
   キノコ状のものはここに」

マミがそう言うと背負っていたものを下ろす。そこにはかなり元気を失っている先ほどのキノコの姿があった。

レイニア「…スパイって言ってたけど。まさかこれが…?」
リオン「ただのキノコにしか見えないってか…これリヴィさんの趣味じゃないのか?」
マミ「お嬢様は変な趣味をたくさん持っておりますが…キノコの栽培は聞いたことありません。
   それにこれはキノコではありません。」

マミがそう言うとキノコらしきものを手刀でたたきつぶす。すると中には電子基板らしきものが…

レイニア「さしづめ、盗聴器っていったとこですわね。レコーダー内蔵の」
マミ「賊はこれを回収するために侵入したと思われます。」
リオン「盗聴…?わからん…なんだこれ…。」

事情がイマイチ把握できていないリオン。そしてマミは例のキノコらしきものを
どんどん解体していくと>>934

いつの間にかマミが二人になっていた

そして解体した結果…

マミ「ふむ…どうやらどの物質もこの世界のものでした。」
マミ?「適合率は100%…天界のものではなかったようです。」

何者かは不明だが少なくとも天界からのスパイではなかったようだ。
だが…ここでリオンとレイニアが動きを止める。

レイニア「あの…マミさん?」
マミ「どうなされました?」
リオン「いや、隣…」

驚いた二人がマミのとなりにいる、もう一人のマミを指差す。
表情一つ変えずにマミは指を指されたもう一人のマミを見る。

マミ「おや、私がもう一人。」
マミ?「あら、どういうことでしょう?」

表情一つ変えないメイド二人が見つめ合う。

マミ「おかしいですね。確か私は一人っ子だったはず…。生前はどうか分かりませんが」
マミ?「もしかしたら生き別れの妹の可能性もあるかもしれません。」
マミ「ふむ…確かに…」
マミ?「生前の記憶が無いというのは辛いものですね」

なんだこの人…。突然もう一人の自分が現れたというのに何故ここまで落ち着いていられる?
彼女を知るレイニアも呆れ果てているようだ。

マミ「申し訳ございませんが…その頭の包帯、取っていただけます?」

唯一違うのは包帯の巻き方だった。本物のマミは右目を隠すように包帯を巻いているが
偽物と思われるものは左目を隠すように巻いている。
さらにマミの左腕にも包帯が巻いているが、偽物は右。つまり逆なのである。

マミ?「余り人様に見せるようなものではございませんが…」
マミ「私もおなじです。しかし、何故逆に巻いているか…不思議で仕方ないのです。」

突如現れた偽物はとりあえず頭に巻いてある包帯を取ってみる。すると>>936

そして包帯を取ってみるとそこにあったのは魚の肌と不気味な瞳だった。

マミ「やはりあなたは偽物のようです。それも…かなり粗悪な…」
マミ?「そのようですね。ですが、あなたはどうなのですか!?」

偽物は本物のマミの包帯を引きちぎる。するとそこにあったのは違う色に輝く
人型の瞳があった。俗に言うオッドアイ。普段見せている方は赤だが
隠していたほうが金色に輝いている。

マミ「これはですね…魔王の力を宿した瞳。そして左腕には魔獣を封印しているのです。」
リオン「まじか!?…なんだこのアンデッド!?」
レイニア「本気になさらないの。…マミさんそういう設定好きだから…」
リオン「設定…?」
レイニア「種族はマミィ。だけど包帯を見て何かに勘付いたようでして…
      あ、ちなみにリヴィは体は腐ってないけど…心は完全に腐った女子ですわ」
リオン「腐った女子…」
レイニア「いい趣味をしておりますわ。…二人共」

マミ「ふふ、さすがレイニアさま。良くご存知で」
偽物「ぐっ…データが足りなかったか…・。しかし魔王の力まで持っているとは…
    そこまでは真似できない…」
リオン「あ、偽物が本気になってる」
マミ「さて、あなたは見る限りマーマンのようですが…」
偽物「あぁ、そうだ!!」
マミ「他種族和平条約が施工されたこの時代だというのに…一体何の御用です?
   アポもなしに」
偽物「>>940

近々地上は全て海に沈むと天界の偉い人に言われたから邪魔になりそうなところはこっそり潰しとこうと

偽物「近々地上は全て海に沈むと天界の偉い人に言われたから邪魔になりそうなところはこっそり潰しとこうと」
マミ「なるほど…魚脳はここまで来ていましたか」
マーマン「お前らの主が経営するグルテットカンパニーはこの世界全てを把握するほどの
      巨大企業!!いずれ海にもやってくるのだろう?」
マミ「なるほど、さすが海底人。深いとこに住んでいるけど脳は浅はかとは…」
マーマン「貴様…!!」
マミ「それで、あなたは天界の偉い人とやらの言葉を鵜呑みにしたのですね。
   地上波いずれ…海に沈むと言われて」

マミが睨む。初めて表情を変えた。リオンは息を飲んだ。

マミ「聞いているのです。…マーマン偉い人の言うことなら…すんなり聞いてしまうのですか?」
マーマン「それは…」
マミ「ふん…所詮は魚です。レイニア様、リオン様。私もやることが出来ました。」
レイニア「いや、待ってください。…そのマーマンから天界の話がでました。
      是非、聞かせて貰いませんと」

レイニアが提案すると、マミが空気を読んだのかそこにリヴィを呼び出した。
数分後、リヴィが現れる。

リヴィ「天界とコンタクトを取った魔族がいると聞いて」
マミ「そのマーマンです。…どうやって侵入したかは不明ですが」
マーマン「出たな、グルテット社総裁!!」
リヴィ「一応…元魔王城門番の方もいますので…正直に答えたほうが身の為ですの」
マーマン「ま…魔王城門番だと…すると…あれか…。現れた勇者を全て血染めにしたという…」
リオン「お前、そんなことしてたのか…」
レイニア「む…昔の話ですわ…!」

3体の上級魔族。そして一人の勇者に囲まれたマーマンは完全に戦意を喪失しているようだ。
そして笑顔のリヴィが口を開く。

リヴィ「教えてくださいの。私の会社危険視させた天界の偉い人のことを…」
マーマン「>>942

それは……がはっ!?

マーマン「わかった…。教える…だから命だけは…!」
リヴィ「ええ、情報を提供すれば命だけは保証いたしますの。」
マミ「それどころか、地上でも海底でも安心して過ごせるよう保険の方もさしあげます。」

そう言ってマミは羊皮紙の契約書を取り出す。
ちなみに中には海辺の一等地の住所まで書かれている。

マーマン「そ…それはだな……がはっ!?」

名前を言おうとした瞬間だった。突如マーマンの体を突き刺すように光が降り注ぐ。
そこにいた全員が驚いた様子だった。
そして…光が消えたとき、そこにマーマンの姿はなかった。
…いや、あったというべきだろうか。肉片が散らばっているのだ。

リヴィ「どうやら監視しているようですの…。」
レイニア「天界は魔族をも利用する…ということですか。」
マミ「この方の弔いは私が…。それよりどうなさいました?顔色が悪いようですが」

マミが向けた先はリオンだった。人間の…Lv12程度の勇者は魔物の死骸を見て
すっかり怯んでしまった。

リオン「だって…遠くからこうグサッて…」
リヴィ「私たちが落ち着いているのが不思議だとおもってるんですの?」
リオン「だって…こんな落ち着いて…」
リヴィ「表情に…出していないだけですの…!」
レイニア「私もですわ。…天界のやり方は少し疑問がありますわ」

二人は怒りを隠しているようだ。それも必死で…。
とりあえず今回分かったことは天は魔族をも利用し、地上を滅ぼそうとすることだった。


【天界】
雲の上の世界で天使や神が住まう世界。そこでは綺麗な器に乗った果実を齧る
天使たちの姿があった。

天使兵「どうやらあの低級魔族は失敗だったらしいな」
天使兵「あぁ、使えんやつよのう、魔族とは」

酒をカッくらい、果実で喉を潤す天使たちの横を通り過ぎる一人の姿があった。
それこそセリアだった。彼女は地上に侵攻してきた神の使いを薙ぎ払い、
疑問を感じて天界までやってきたようだ。そして神の元へとやってくる。

セリア「神よ…。」
神「聖龍セリアか…、聖剣を持って地上へと降りたお前がどうしてここへ?」
セリア「魔王は死に、地上は平和となった。しかし何故…何故地上を攻撃するのです!?」
神「…理由か?それを聞きにわざとここまで来たのか?」
セリア「答えてもらおう!」
神「>>944

平和であれば人は満ち足りる。満ち足りれば人は神にすがらない。それでは神は存在できない
人は平和を望むが、平和を手に入れてはいかんのだ

神「平和であれば人は満ち足りる。満ち足りれば人は神にすがらない。」

神は告げる。そしてセリアは怒りに満ちた表情で神を睨んでいた。

神「しかしそれでは神は存在できない。人は平和を望むが、手に入れてはいけないのだ」
セリア「貴様…!!人間は永遠に戦い続けろと言うのか!!」

セリアが牙を見せて叫ぶ。だが、側近の天使兵に捕まってしまう。

天使兵「動くな…!!この…!!」
セリア「離せ…!!この神の人形どもが!!」
神「お前も分かるはずだ…天界の龍ならば…」
セリア「それじゃ…私に聖剣をあずけたのも…」
神「人間が滅んだらなんの意味もない。…だから力を与えただけに過ぎない」
セリア「貴様ぁ!!私を利用していたのか!!何百年も…何前年も…!!」

セリアが怒る。そしてその本性が現れそうになった時だった。
セリアの脳天から電撃が降ってくる。

セリア「ぐああああああっ・・!!」

電撃を一気に浴び、断末魔と共に動かなくなるセリア。感電し、気を失ったようだ。

神「牢に入れておくのだ。少し考えれば改めてくれるだろう」

天使兵たちに運ばれるセリアを見届けた神は、何かを企む表情で果実を口にするのだった。

続く

とりあえず今回はこれで…書く速度が欲しいです。
あと書いてて思ったけど魔王倒された後ってことは
ゲームで言うなら隠しダンジョンあたりなはず…。

えー、最近へたっぴな絵を毎回用意していたのですが、今回そんなものはありません!
理由? 艦これで忙しい!重巡と航巡のレベリングででででで。塗り用の線画は用意してるんですけどねぇ……そんなの上げても仕方ないし。
にしても、泳ぐ18禁はゲットしたんですけど、はっちゃんの道が険しい……。はい、分からない人はこんな話をしてごめんなさい!

という訳で、いつものは>>861で代用で、
もしかすると1000行く可能性が微レ存なので、980以降になれば新スレ用意してみます。

という訳でもう暫くお待ちください。

~~~ 芸夢製作部活動日誌 第六話


 少女は、いつも孤独のように見えた。あえて周りと距離を取っているようにも見えた。
度々、学校内の屋上で、一人寂しそうにしている姿を見かけるものの、下級生なのだろう、声を掛けても嫌がられそう。
そんな思いで、顔は何度か見ていたし、その姿も何度か視認はしていたものの、名前は未だに知らなかった。


 愛 「あ、あの子……」

 愛 (今日も屋上来てるんだ。……偶には一人でのんびり過ごそうってココに来たけれど)

 愛 (話し掛けて……ううん、でもやっぱり嫌がるよね、普通は)


 大体いつも放課後、彼女はその場に姿を見せる。といっても毎日ではなく、度々という頻度であった。
やはり今日もその背は寂しそうにも見えるのだが、それもまた錯覚なのかもしれないと、自分に言い聞かせる。
しかしどうしても、その小さな背が気になってしまう。だからこそ、私はつい声を発しようとした。

 その時、何かの悪戯なのだろう。風が強く吹き付けて、ぐるりと校舎の屋上に渦を巻くように吹いていき、
その結果、私は男子ならばラッキーなのであろう出来事を目撃し、そして何故か睨まれる。


鳴歌 「…………」

 愛 「あは、あはは~。ど、どうもぉ~~!」

鳴歌 「……見ました、か?」

 愛 「あ、いやぁ~そのぉ~~あのぉ~~……真っ白、だったね?」


鳴歌 「>>951!!」

わたしの宿題の話ですか

鳴歌 「わたしの宿題の話ですか!!」

 愛 「え、あ、いやぁ~……パンツの話じゃなくって?」

鳴歌 「あなたのパンツは、桃色で所謂縞パンというやつでした」

 愛 「あはは~そう、そうだよね~……じゃなくって!」

鳴歌 「宿題の話はやめろと言いましたッ! ……あぁっぁあぅぅぅ~~……」

 愛 「……は、はは」

 愛 (な、なんだろうこの子。……ちょっと、いや、かなりヘン?)


 この頃……一年前の私は、まだ姉の面倒を見たり、それでいてそれなりに中学生時代を楽しんでいたり、
そして将来は姉と一緒の学校へ進学して、姉の面倒をたっぷり見るんだと意気込んだりもしていた。
その気持ちを姉には見せず、面倒くさそうには接するものの、姉とのそんな関係をやはり楽しんでいた頃だった。


 愛 「とりあえず、鞄からぽろりしたノート……受け取って?」

鳴歌 「ッ!? 見ましたね、真っ白で埋め尽くされた純白をあなたは見てしまったのですね?」

鳴歌 「見られた以上は仕方がありません。責任を取って貰う必要があると思います」

 愛 「……せき、にん?」


鳴歌 「そうですね……、折角なので>>954をお願いしてみます」

サングラスの常用

鳴歌 「そうですね……、折角なのでサングラスの常用をお願いしてみます」

 愛 「何故にサングラス……。……しかも常用」

鳴歌 「私の大事で恥ずかしくてみっともないノートを見てしまった以上、それくらいはして下さいとお願いしてみます」

 愛 「は、はぁ……。……もし、掛けなかったら?」

鳴歌 「桃色の縞パン、つまりこの画像を……クス」

 愛 「まさかの脅迫ッ!? くぅ~~~っ!!」

 愛 「……わ、分かった、何時の間にそんな画像を携帯で撮ったかは知らないけれど、今回は屈する事にして……」

 愛 「学校で携帯を持ち歩くのは禁止されているハズ。……私も黙っててあげるから、その画像、消してね?」

鳴歌 「……元を正せば私のノートをチラ見したのがいけないのですが、仕方がありません」

鳴歌 「でもサングラス姿は見てみたいかもです。楽しみにしていますね?」

 愛 「はいはい、もう……やればいいんでしょー……」


 変な娘に話し掛けてしまったかな、と、ちょっぴり後悔するのである。
何故かノートを見られるほうが恥ずかしいと口にしたその少女は、私に暫くの間サングラスを常用する事を要求。
とはいえ、授業中にまでサングラスをする訳にもいかないし、先生に見つかれば内申点的にも不味いので……。


 愛 「なんで休み時間にこっそりサングラス掛けないといけないんだか」

鳴歌 「本当に頑張ってサングラスを掛けてる先輩の姿、きちんと確認しました」

 愛 「で、なんで空いてる時間は常に付け回されているのだか」

鳴歌 「そんなこと、先輩がきちんとサングラスを掛けるという約束を守れる人か、見定めていたのです」

 愛 「それより、宿題はどうだったの? 大丈夫だったの?」


鳴歌 「そ、それは……>>956

カラスがくわえて持ち去ったことに

鳴歌 「そ、それは……カラスがくわえて持ち去ったことに」

 愛 「要するに忘れていって、そのまま知らない振りをしたって事だねー」

鳴歌 「いいえ、カラスがいけないのです。カラスさえこの世から居なくなれば……ッ!」

 愛 「そこまで言うか。それで……私はいつまでサングラスを着用すれば?」

鳴歌 「そうですね、せめて来週までというのはどうです?」

 愛 「ていうかー、今日までにしない? 結構恥ずかしいし、その……先生達にバレそうっていうか」

鳴歌 「なるほど、先輩は周りの評価を落としたくない、常に高翌嶺の花として、女王として君臨したいと?」

 愛 「い、いや、女王って意味分かんないけど……」

鳴歌 「少し先輩の事を調べさせて貰いまして。文武両道、面倒見も良く、人懐っこい部分もあり、女子、そして男子からも大人気」

鳴歌 「それでいて飾らない、ステキで憧れる先輩ナンバーワンに輝くのが、狩野愛という人物」

鳴歌 「尚、姉がろくでもなく、反面教師として妹は頑張っているという噂も手に入れましたが」

 愛 「お、お姉ちゃんの事はどうでもいいでしょう!?」

鳴歌 「しかし接してみて思ったことは、割と自分を評価し、地位を確立させては不動にする為の計算もしており……」

鳴歌 「結構ちゃっかりしていて、後これは推測ですが……かなりのヤキモチ焼きだと思われます」

 愛 「人の事勝手に詮索すんなー!!」


鳴歌 (でも、私みたいな存在の約束を無理してでも守ってくれる優しさ……)

鳴歌 (この先輩になら……私……>>958

家法の落ち武者の鎧をあげてもいい!

鳴歌 (この先輩になら……私……家法の落ち武者の鎧をあげてもいい!)

鳴歌 (うん? 家宝じゃないかって? いいえ合っています。何故なら……)


 愛 「んで……なんで私、神栖川さんの家に連れられているのでしょう?」

 愛 「それにしても武家っぽいお屋敷なんだねー。……広くて凄いっていうか」

鳴歌 「それ程でもありません。それに、ただ広いだけの屋敷です」

 愛 「でも中庭は凄いし、何故か池が噴水状態で鯉が踊ってるし、とりあえず凄いんじゃないかなーって」

鳴歌 「それよりも、先輩に受け取って欲しい家法があります」

 愛 「へっ!? 家宝!? か、家宝って所謂代々伝わる……!?」

鳴歌 「はい、その通りです。それを先輩に譲り継いで欲しいと思ったのです」

 愛 「譲り継ぐッ!? 家宝を、私がッ!? ってててて、そんなのマズイような!?」

鳴歌 「先輩は優しいお方です。私なんかの無理難題をきちんと守ってくれた親切な人です」

 愛 (サングラスの件なのかな。……それって優しいと言うのかなぁ?)

鳴歌 「そんな先輩だからこそ、見て貰い、継いで貰いたいって思いました」

 愛 「は、はは、そうなんだ……」

 愛 (どうしよう。家宝だなんて……しかも凄いお屋敷の家宝でしょ? 絶対に凄い高価だよ……!!)


鳴歌 「……という訳で、これが家法、落ち武者の鎧です」

 愛 「……って、これ、巻物に>>961って家法が書かれてるだけじゃん!?」

挨拶はポルトガル語

鳴歌 「……という訳で、これが家法、落ち武者の鎧です」

 愛 「……って、これ、巻物に挨拶はポルトガル語って家法が書かれてるだけじゃん!?」

 愛 「コレのどこが落ち武者の鎧ッ!? ていうか、お宝じゃ……?」

鳴歌 「私は一切家宝とは言っておりません。家法とずっとお伝えしていただけです」

 愛 「で……、全く意味分からないけど、私に挨拶はポルトガル語を継げと?」

鳴歌 「先輩ならばきっと……って思ったのです」

 愛 「ご免こうむって問題、ないよね?」

鳴歌 「私は先輩の優しさに打たれ、それでこの家法をお見せしようと、継いで貰おうと決めたのに」

鳴歌 「この仕打ちは余りにも酷く、それでいて嘆かわしい次第! 涙ちょちょぎれなのであります」

 愛 「というか、ウソ泣きしてるだけだし、それに……私に一度でもポルトガル語で挨拶してくれた?」

鳴歌 「そういえばそうでした。愛先輩、ぐーてんもーげんです」

 愛 「それドイツ語!!」

鳴歌 「……私、知らないんです! ポルトガル語で挨拶に使える言葉が!!」

鳴歌 「という訳で、スマホでグーグル先生に問い合わせてみますので、暫くお待ちを」

 愛 「あの、ぶっちゃけどうでもいいから。後、こんなの継がないから、ね?」


 彼女はぶっちゃけ、変な子という認識が正しかった。但しお嬢様なのだろうと思わせる家系なのも間違いなく。
ただ、彼女は勉学も疎く、スポーツもお世辞に励んでいるとは言えない、ちょっぴり駄目な学生の分類に属する。

 そんな彼女と、こうして接する機会が増えていくのだが……、彼女が他の友達と一緒に居る姿を一度も見たことが無く、
ある日、試しにそんな話を彼女に振ってみたのである。すると……。


鳴歌 「私に友達が居ないと言うのですか、愛先輩は」

 愛 「……だって、大体いつも屋上に居るし、それに……誰かと一緒に居るところを見たことがないし」


鳴歌 「それは……>>963

鳴歌 「それは……物理的に近いか遠いかなど大して意味は無い」

 愛 「う、うん? それって?」

鳴歌 「友達とは近しい存在を指しているのならば、意味は無いという事です」

 愛 「……つまり、居ないんだ」

鳴歌 「失礼です先輩。……先輩が居るじゃないですか」 ボソッ


 彼女は、俯いて、振り絞るように声を出してそう言った。
それは、本当に耳を澄まさないと聞こえないくらいで、遠くから部活動の掛け声が響き、
その言葉を一瞬でかき消してしまうのだが、彼女の様子、そして彼女の口の動き、そして微かに聞こえたか細い声。

 それだけで私は、何て言ったのかを察し、そして気付けば彼女の手を握り締めていた。


 愛 「……私が、もしかして初めて?」

鳴歌 「そ、そういう……訳じゃ、ないです……が」

 愛 「まぁ、それはどうでもいいのかも。……こうして、手を繋いでみて、近くに寄ってみて」

 愛 「それでも、意味は無いとか思えちゃう?」

鳴歌 「……そんな事、ないです……」

 愛 「ふふ、それじゃー今日も一緒に帰っちゃう?」

鳴歌 「でも、先輩、最近ずっと私と一緒で、他のお友達とはいいのですか?」

 愛 「うん、だって、私が居なければ鳴ちゃんって、ぼっちだし」

鳴歌 「なり、ちゃん……って……///」


 彼女がその時顔を真っ赤にして、最早何を話しても頷くだけのマシーンと化して、
それがとても可愛くて、どうして彼女に友達が居ないのだろうと、不思議に感じ出していた。

 それを、この当時はさん付けで呼んでいた下級生、度会椎衣に調べさせたところ、>>966

実は一度死んでいて感情がないらしい

 それを、この当時はさん付けで呼んでいた下級生、度会椎衣に調べさせたところ、実は一度死んでいて感情がないらしい。
またまたご冗談を、と私は彼女の前で盛大に笑ってしまった。

 度会椎衣。私の一つ年下の娘で、鳴歌とも同級生となる少女。やや挑発的で好戦的な所がウリでもありネックなのだが、
素直なところもあり、照れ屋でもあり、見過ごせないところもあって、可愛らしい下級生。
そんな彼女とは、学級委員会でよく顔を合わせることがあり、それで親しくなったのだが……。


 愛 「鳴ちゃんが一度死んでるって、あはははは!!」

椎衣 「何さ、折角人が一生懸命ネタをかき集めてきたのにー」

 愛 「悪いけど渡会さん。鳴ちゃんはちゃんと怒るし、ちゃんと恥ずかしがったりするし、ちゃんと生きてるよ?」

椎衣 「でもさー、噂ってあるじゃんか! 確かにそう聞いたんだよ、近所に住んでる人がそう言ってたし」

 愛 「またまた、そんな不思議なお話~ある訳ないじゃん~!」

椎衣 「もう、先輩が信じてくれないんなら、こんな話嗅ぎ回るんじゃなかったなぁ……ったく」

 愛 「ごめんごめん、渡会さん。でも色々調べてくれて、ありがとう」

椎衣 「ぅ……そうやって笑顔でお礼を言われると、その……」

 愛 (……ちょろいなぁ、ホント)


 彼女には、もう少しきちんと調べて貰うとして、私は鳴ちゃんに会いに行こう。
放課後にそう思った私は、足早に二年生の教室が並ぶ廊下へ躍り出る。
廊下を歩いていた生徒達が私を見て、軽く会釈する。私もそれなりに知名度があるんだと認識する瞬間だった。

 そうして、ちょっぴり悦に浸りながらも神栖川鳴歌が居る教室を訪れると……>>969

隅っこに謎の空間が

 そうして、ちょっぴり悦に浸りながらも神栖川鳴歌が居る教室を訪れると……隅っこに謎の空間が。
ブラックホール? なんていうか真っ黒? と、首を傾げその方を見る私。


 愛 (……なんか、空間が歪んでる系? うん、謎の空間だね)

 愛 (そして、鳴ちゃんの居る場所を包んでいるようなカンジ)

 愛 (……こんなの、屋上で彼女が佇んでいる時は感じた事ないのになぁ)


 不思議というか、奇妙というか、上手く言葉に出来ない。ただ、他のクラスメイト達の雰囲気とは明らかに違う、
彼女は独自の空間を生み出し、その場に独り、何事も無いような顔で過ごしているのだ。
コレは最早、彼女にお友達が居ないのは彼女のせいだとも言いづらく……。


 愛 「なーり、ちゃんっ!」

鳴歌 「びくっ! せ、先輩……?」

 愛 「一緒に帰る?」

鳴歌 「い、いきなり教室に現れないで下さい。心臓が止まったらどう責任を取ってくれるですか」

 愛 「う、うぅん、その時は……心臓マッサージくらいなら頑張ってあげるかも?」

鳴歌 「あ、それ、ちょっとされてみたいです」

 愛 「まぁまぁ、とりあえず教室出て、どこか寄り道でもしようっか?」

 愛 (……私が話しかけた途端、空間……雰囲気が変わった?)

 愛 (もしかして、彼女が言っていた物理的に近いか遠いかって話……こういう事、なのかな)


 それから、また幾日と過ぎていく。私と鳴歌との距離も変わらず、次第に冬が訪れようとする。
姉が屋上から飛び降り騒ぎを起こした日から、二ヶ月は過ぎただろう。姉も妙に変わり出し、最近ではお洒落をするようになっていた。


 恋 「ねぇねぇ、このリボンとか髪にくっつけたら、似合うかな?」

 愛 「最近のお姉ちゃん、妙にマセてる……。何でもいいんじゃない?」

 恋 「ふえぇ、愛に突き放されたぁ……しくしく」

 愛 「それより、お姉ちゃんはこの子、どう思う? 鳴歌って言うんだけど」

 恋 「スマホで画像だけ見せられても困るんだけど……。……この子、>>972

首筋に歯型が!

 恋 「スマホで画像だけ見せられても困るんだけど……。……この子、首筋に歯型が!」

 恋 「ひぃぃぃ、こ、これ、呪いの画像だよぉぉ~~ひぃぃ!」

 愛 「あ、ごめん。この歯型、私のかも」

 恋 「……愛って、吸血鬼なんだ? ……それともただの変態ッ!?」

 愛 「あー、これはちょっと、色々とぉ……。って、お姉ちゃんはもう直ぐクリスマスパーティに出かける時間じゃない?」

 恋 「そ、そうだった! 忘れてたよぉ……。えと、エチケット袋はバッチリだし、何の問題もないよね!!」

 愛 「エチケット袋は持って行くくせに、ハンカチを忘れてちゃ意味なくない? 後、財布もちゃんと持ったよね?」

 恋 「フン、財布くらい肌身離さず持ち歩くに決まってるじゃん。何せ……」

 恋 「エロゲキャラのテレホンカードがいっぱいなんだからぁっ!! ドヤァッ!!」

 愛 「……お願いだからそれ、ばら撒いて帰ってこないでね。ばら撒いたら二度と帰ってこなくていいからね」

 恋 「ひぃぃ、妹が冷たいよぉ……。あ、それと、一つこの子で気になったんだけどね」


 姉に言われたら、彼女も随分落ち込むに違いない。だからこそ、私はあえて伏せる事にした。
一枚目、それは私と鳴歌と一緒に映っている画像。歯型が首筋にある画像である。
だが二枚目は彼女が一人佇んでいる時に隠し撮りした画像。だがそれに、姉は言う。

 「目が死んでるね」って、姉も一時期はそうだったじゃないか。その一時期はとても長いものでもあったけど。


鳴歌 「12月23日……クリスマスイヴイヴってそんな日に……」

鳴歌 「私と一緒に居て……楽しいんですか、先輩は」

 愛 「ぼっちな鳴ちゃんは私が居ないとダメでしょ? そうそう、今日は渡会さんも呼んでるから」

鳴歌 「……渡会さん、ですか」

 愛 (……あの子に、鳴ちゃんとお友達になってって頼んでみたけど、何故か近寄れないとか言われちゃったっけ)

 愛 (でも、今日はきっと大丈夫でしょ。三人で……>>974に遊びに出かけよう!)

クッキー鉱山

 愛 (でも、今日はきっと大丈夫でしょ。三人で……クッキー鉱山に遊びに出かけよう!)


 クッキー鉱山。とはいえ、本当に鉱山という訳では無く、クッキー工場を一般に開放、
クッキーの製作工程から、販売まで。そしてあらゆるクッキーを製作し、披露している企業の集いでもあった。
しっとりしたクッキーから、パリッと香ばしいクッキーまで、いろんな種類のそれが集うその場所は、ちょっとした女子の人気スポットである。


椎衣 「むほぉ~、クッキーが、山のように!!」

 愛 「ふふん、グーグル先生に問い合わせてみたところ、今日は感謝デーなんだって!」

椎衣 「さっすが愛先輩ッ! キッチリ調べてくるそこに痺れる憧れるゥゥ!!」

 愛 「……渡会さん、こうして三人一緒なら、鳴ちゃんにも話しかけられるでしょ?」

椎衣 「……うぅん、でも……神栖川さんって、ぶっちゃけ……」

椎衣 「死人にしか見えないっていうか……」

鳴歌 「先輩、二人で何をひそひそ話を?」

 愛 「あは、あはは、なんでもないよぉ~、ね、渡会さん!」

椎衣 「え、あ、うん。何でもないかな……」


 鳴歌は不思議そうな顔をして、私に視線を向ける。こうして感情をちゃんと見せてくれるのに、
姉は目が死んでると言うし、渡会さんは死人にしか見えないとか言うしで、酷い話だと思う。

 では逆に、どうして私には彼女が普通に見えるのか。生きている人間として見れているのか。
そんな疑問がふと浮かんだりしたのだが、クッキー鉱山を巡っているとそんな疑問も吹っ飛んでしまって……。


椎衣 「やばっ、このバタークッキーお持ち帰りし放題っ!? 先輩、手伝って下さいよぉ!」

 愛 「渡会さんが敬語で話す時って、都合の良い時だけだよね」

椎衣 「だって持ち帰り放題なんだよっ!? 持って帰らないと二千円、大損じゃん!!」

 愛 「で、鳴ちゃんは楽しんでくれてる?」


鳴歌 「……>>976

甘いもの苦手

鳴歌 「……甘いもの苦手」

 愛 「あ、あれ、そうだっけ。言われてみれば甘い物食べてる姿、見たこと無いかも……」

鳴歌 「味のしないのが好み……なのです」

 愛 「う、うぅん、それじゃ……違うところに行く?」

鳴歌 「……いえ、先輩に私、付いて行きますから」

椎衣 「愛せんぱーい! あそこに牛乳に溺れろクッキーが食べ放題って場所がー!!」

 愛 「もう、渡会さんったら随分はしゃいで一人で駆け回るんだから」

 愛 「直ぐ行くからちょっと待っててー!!」

鳴歌 「…………」


 渡会さんが一人であちこち駆け回るものだから、私もそれを追いかける形になって。
そして気付けば、鳴歌は姿を消していて。それに気付いたのも遅く、既にクッキー鉱山には彼女の姿は見当たらなかった。

 夜となり、姉も帰宅が遅いという事で、この日は渡会さんと二人でファミレスにより、食事を摂る事になる。


 愛 「鳴ちゃん、携帯に連絡しても繋がらないなぁ」

椎衣 「……そんなに、気になるんだ? そいつの事」

 愛 「そいつって言い方は可哀想じゃない?」

椎衣 「……だって、ねぇ……。……凄い、遠いんだよ、あの子って」

椎衣 「死人みたいってのは言いすぎかもしれない。けど、遠すぎるって感じて、それで……感情の無い人形みたいって思えて」

 愛 「……感情の無い、人形……」


 私が彼女を屋上で見かけた際、そんな事は殆ど感じた事は無かった。
ただ、静かに屋上から景色を見下ろす姿は、夕陽に照らされて綺麗で、それでいて……。


 愛 (寂しそうって感じた。人形のように見えて……。……人形……)

 愛 (……今、彼女を独りにしてはいけない気がする。今頃あの子はきっと……>>979

便秘

 愛 (……今、彼女を独りにしてはいけない気がする。今頃あの子はきっと……便秘に苦しんでる……!)

 愛 「ごめん、渡会さん。用事が出来たから、帰るね!!」

椎衣 「へっ!? ちょ、ちょっと待って! ここのファミレスの会計は―― って、行っちゃった」

椎衣 「ぬわぁぁぁっ、私が頼みすぎて二千円を越えてるぅぅぅ!? ……どうしよ……」


―― 夜、神栖川邸。

 此処へは、彼女の案内により何度か訪れている。しかし、誰かが居た気配は一度もしなかった。
厳密に言えば、鳴歌以外の人の気配を感じたことが一切無かったのだ。なのに、屋敷は綺麗にされている。
それに不思議を感じた事もあったのだが、彼女の両親は今どこで何をしているのだろう、とそちらを疑問に思ったりもした。

 そして、屋敷に勝手に侵入しては、彼女以外の人の気配を感じて身構えてしまうのだ。


老人 「…………ふむ」

 愛 「…………てへっ」

老人 「泥棒、というには少々可愛すぎる女子ですな」

 愛 「…………でしょ?」

老人 「ともあれ、警察に通報っと……ぽちぽちっと」

 愛 「つ、通報だけはやめて、やめてくださいぃぃっ!!」

老人 「……ぽちぽちしたのじゃが、どうにも扱いがわからんわい、携帯っつうのは」

老人 「という訳で、通報はせんよ。……で、何用じゃな?」

 愛 「……鳴歌さん、神栖川鳴歌さんはご帰宅じゃないですか? 便秘で苦しんでいませんか!?」

老人 「…………」


老人 「あの娘はな……>>981

わしが育てた(星野仙一)

老人 「あの娘はな……わしが育てた(星野仙一)

 愛 「ま、まさかの中日、阪神を経ての楽天監督の!?」

老人 「そうじゃ、わしが千一じゃ。……名前が似てるだけじゃの」

 愛 「……すっごい、どうでもいい……。でも、わしが育てたって?」

千一 「……というのもおこがましい話じゃが、彼女はの……」


 彼女は、一度死んでいる。厳密には一度、心臓を止めている。
彼女は病で幼い頃から入院する日々を過ごし、そして私と出会う前に一度、本当に息を引き取っているらしい。

 それまでの彼女は、どちらかと言えば控えめで、物怖じするようなタイプであったそうで、
大人しく、口数も多くはなかったが、良く笑う女の子でもあったようなのだ。

 だが、それも両親が他界した影響で、次第に塞ぎこんでいく。
そして、塞ぎこんでいく内に生きる気力を失っていったのか、彼女は病に蝕まれ、そして……。


千一 「一度、息を引き取ったんじゃ。じゃがその翌日……」

千一 「奇跡なんじゃろなぁ。突然息を吹き返しおった」

 愛 「……本当に、一度……死んでいたなんて」

千一 「具体的には分からんのでな。なにせわしは彼女の世話役だった身」

千一 「深くまでは知る事は出来なかったものの、鳴歌様が息を吹き返した後からは、もう……」

千一 「それはまるで別人のようで。わしと接するときも赤の他人のようで。まるで遠い場所に行き、戻ってこないままのようでのう」

 愛 「……そんな事が……あったんですか……」

千一 「じゃが、鳴歌様は、キミ……狩野愛クンの事を話するときは、生き生きとしておった」

千一 「鳴歌様を変えられるのはキミしかおらん。……頼まれてはくれないかの」


 頼まれても、どうすればいいのか分からない。
だけど、彼女を放っておけない。千一さんと別れた私は、あの場所に必ず彼女が居ると確信し、ひた走る。
そして学校の屋上の扉を開き、彼女の名を思い切って叫んだのだ。

 愛 「……鳴歌ッ!!」

鳴歌 「…………先輩」

 愛 「私と、一緒に……これからも、>>984しようっ!!」

あ、新スレそろそろ立てたほうがいいかな。いってきまーす↓

先にぽいっちょ

むりやり小説ゲーム 四番館
むりやり小説ゲーム 四番館 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384005528/)

 愛 「私と、一緒に……これからも、変なことしようっ!!」

鳴歌 「へ、へんな……こと、ですか?」

 愛 「色んなお話、変なお話でもいい! 色んな場所へ行って、変なことをしてもいい!!」

 愛 「これからも、いっぱい私と変なことをして行こう、ね!?」

鳴歌 「あの、その……私にも流石に意味が分からないのですが」

 愛 「……千一さんから、お話聞いたんだ」

鳴歌 「……納得しました。私の秘密、明かされたんですね」

鳴歌 「そして、先輩もまた……私を遠い存在だと見ていた……」

 愛 「そうじゃないよ! ……こんなに近くに居るじゃない」

鳴歌 「……手、冷たいです、先輩……」


 私の手は冷え切っていたのかもしれない。あちこち駆け回り、そして千一さんと出会い、
静かで普段使われていない屋敷であの話を交わしていたのだから、身体は相当冷えているだろう。
それでも、彼女の手を握って実感することがある。彼女は生きている。だからこそ、温かいと。


 愛 「……鳴ちゃんの手って、すべすべで、温かいね……」

鳴歌 「あ、あの、先輩!?」

鳴歌 (今日の、ううん、今の先輩は絶対にヘンです。私の手を取って、顔にすりすりしてきて……)

鳴歌 (いくらあの話を聞いて、同情しているとはいえ、先輩はかなりヘンになってるんです)


鳴歌 (だからこそ、先輩に>>988と言うべきなのかもしれないです……)

近いです、近すぎです

鳴歌 (だからこそ、先輩に近いです、近すぎですと言うべきなのかもしれないです……)

鳴歌 (けど、言えない……。先輩の手、凄く冷たくて、そして……不思議と温かくて)

鳴歌 (……冷え切っていたのは、私の方なのかもしれないです……)


 暫くの時間、鳴歌の手を握り、顔に近づけすりすりとする行為は続き、
彼女も俯いたままじっと耐えてくれていたのだが、それもとうとう痺れを切らした具合に言われてしまう。
相当顔を近づけあっていたらしい。彼女と視線が合い、そして鳴歌の方から視線を逸らしてしまうのだが……。


 愛 「……くす」

鳴歌 「な、何ですか、いきなり……」

 愛 「なんだか、変な事しちゃったなぁって」

鳴歌 「そうです、ヘンです先輩。……ヘン、です」

 愛 「でも言っておくね。私、そっちの気は無いから」

鳴歌 「いきなり突き放してきた!? ……その気とか、私も、その」

 愛 「けど、偶にはこういうのも、イイかなぁって!」

鳴歌 「とか言いながら抱きついてこないで下さい! ……先輩……」

 愛 「んふふふぅ~、鳴ちゃんって、やっぱり温かいね~」

鳴歌 「……そう、ですか……」 ポリポリ


 鳴歌は頭を掻くようにして、必死に表情を悟られないよう誤魔化しているつもりだったが、
顔はやっぱり真っ赤で、彼女はやっぱり生きているんだと実感して、それが嬉しくて。
また抱きしめる力が強まってしまう。そうして、私はこの日、鳴歌と二人でイヴとなる24日を迎えたのだ――。


 ―― そう、それは私と彼女が出会ってどうして友情を培ってきたか。そんな話だ。
彼女は一度死んでいる。けど、今はこうして、距離も関係ない世界に戻ってきて、私の傍に居て。

 だけど、再び離れようとしている。彼女がどうして言霊なんて能力を得たのか。
思えば全て、あの女教師のせいじゃないか。だけど、今はそんな事もどうでも良く――。


 愛 「やめてっ!! それ以上能力を使ったら、鳴ちゃんが、死んじゃうッ!!」

鳴歌 「…………行きます……ッ!!」


 しかし、私の目論見なんて、所詮は無力で。
相手に、未来を読める能力者が居たのだ。突然>>990という攻撃を仕掛けられ、視界が真っ白となっていく。

尻を撫でる

 しかし、私の目論見なんて、所詮は無力で。
相手に、未来を読める能力者が居たのだ。突然尻を撫でるという攻撃を仕掛けられ、視界が真っ白となっていく。

 なんで私が尻を撫でられているのだろう。撫でているのは私と同級生の女の子、穴吹乃亜。
そして、鳴歌と小島小夜の間に、異様に黒い、それは殺意と思われるような巨大な刃が突き刺さっていた。


乃亜 「ふぅ、間に合ったねー! 危機一髪みたいなカンジ!?」

姫菜 「ったく、美樹先輩の予測が当たっていたから良かったものの、だいぶ無茶しましたよ、詩乃先輩」

詩乃 「お陰で、間に合ったのだから問題なし……」

姫菜 「ちょっとは問題に思ってくださいッ! はぁ、髪がぐちゃぐちゃぁ」

乃亜 「ふふふ、乃亜の能力に掛かれば人二人にスピードを与えるなんて造作もない事なのだぁ! わっはっは!!」

詩乃 「それより、小夜の様子がおかしい……。……小夜、大丈夫……!?」


 私の目論みはそうして読まれ、完全に敗北を喫する形になったのだろう。
姉を想う気持ちが歪んだのは果たして何時からか。……思えば、この変な能力を得た時からではないか。

 妄想が現実となる能力。姉と色んな妄想をしてきた私にとって、妄想するなんて事はとても簡単な話。
しかし、私に与えられたそれは、小規模と呼べるようなモノで、大掛かりな出来事を起こす事は出来ない。

 だけど、この状況を覆す出来事くらいならば生み出せるのではないか。


 愛 (まだ……まだ、負けた訳じゃない……! 鳴歌が無事だったから、良かったけど)

 愛 (次は私の番! ……この状況を覆す妄想をするなら、>>993しかないっ!!)

19ちゃんの魚雷で貫かれる  とか言いながらこっそり埋め↓

謎の秘薬で大乱交

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