「青春とは」 (52)



今日から俺は高校1年になった。
同じ公立高校に通うはずだった友達は皆受験に落ちた。

その落ちた中の1人に同じ小学校で、同じ塾に通ってて、遊ぶ時も大体一緒みたいな
いわゆる親友もいた。
そいつは滑り止めの私立高校にいった

俺はそのまま公立の高校へ行った



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1374214320

高校生活といえば青春。
青春といえば高校生活。

俺は待ちに待った高校生活にかなり期待していた

「同じクラスじゃん、よろしく」

話しかけて来たのは同じ中学の友達だった
一緒に受験にはいかなかったけど
3年の時に同じクラスで、何回か話したことがある
あまり目立つ奴じゃなかったけど、中々話しやすい良い奴だ

「おお、よろしく、知り合いが居て助かったよ!」

正直な気持ちだ。
まずは一人ぼっちにならずに済んだので少し安心した

高校にはもっとイケメン…とまではいかなくとも、少しはオシャレなやつがいるんじゃないか

そう思っていたが、どうやらそういう奴はいないらしい

周りの奴らは一言でいうなら「もっさり系」だった

「よろしく」
軽く後ろの席の奴に自己紹介した

「ああ、よろしく」

なんだか少しすかした感じがしたが、あまり気にしなかった
彼の名前は金田といった



他に周りにはどんな奴がいるのかと周りをみると、斜め後ろの席にスマホをいじってる奴がいた。

周りに馴染めないのか1人が好きなのか

話しかけて見ることにした

「そのスマホってAndroidだよね?」

「あ、そうだよ」

彼は石田と言った
笑顔が爽やかなイケメンだった。

HRも終わって俺は中学の友達と帰った

彼もそれなりに友達ができたと言っていた


次の日
クラスには早くもグループが出来上がっていた
といっても出席番号順に並んでる席の近い同士で固まっただけだが

グループには金田の後ろの席の川崎、金田、俺のいる列の一番後ろの席の小島だった

「わかった、ありがと
皆に言っておくね笑笑」

「あんま人に言いふらすなよ!ちょっと恥ずかしいから!笑」

彼女は今頃僕の好みのタイプを暴露しているのだろうか
明日から少し学校へ行くのが憂鬱になった

ふと、鈴木からもメールが来ていた事を思い出した
慌てて開くと、写真付きのメールの様だった
写真にはよくわからない生物の入れ物、少し破損しているようだった
豚?鹿?牛?魚?

「筆箱が怪我しちゃった(._.)」
筆箱だったらしい
というかどこに文房具を入れるんだろう

とりあえず「絆創膏貼っておけばきっと治るよ」と送っておいた

クラス会では最早大人数の合コンかなにかなのではというくらいの盛り上がりだった

戸田がとにかく騒いでいた
「俺さぁ!やっぱ高校入ったからにはこう…盛り上がって行きたいのよ!!!!」

酒でも飲んでるんじゃないかという勢いだった

周りの皆もとても楽しそうにはしゃいでいた

「お前らなに食う?俺はドリア」

「え?何お前ドリっちゃうの?」

「なにその動詞」

「何か最近そういうの多くね?パクる?みたいな」

「パクるは結構前からあるだろ」

こんな下らない会話をグダグダ続けた

皆が食事を終えてしばらくすると、2次会に行く事になった

「じゃあさ!これから2次会いくけど、来る人いる!?」

「俺いくよ」

「あ、俺も俺も」

男子は僕、石田、金田、川崎、戸田、小島のグループの他に男子が数名
女子は小野田、須坂、鈴木の他に佐伯、松岡、竹内など僕はまだ話した事の無い女子達も来る事になった

食事を終えた時刻が21時頃だったからか、2次会には思ったより人は集まらなかった


「おし!じゃあ2次会いこーぜ!」

戸田が元気良く叫ぶと小野田が言った

「カラオケだっけ?それにしては人数多すぎないかな?」

それもそうだった

「え、そう!?」

「まぁ俺らまだ高1だしな、そんな長くカラオケいられないし」

川崎、お前たまには考えるんだな

「じゃあ向こうに河原があるんだけどさ、そこでとりあえずダベろーぜ!」

小島は本当に遊ぶ場所を沢山知ってるなぁ

「あ、でも何する?」

佐伯が首を傾げながら言った

「あ、俺んちに花火あるよ」

「まだ早くね?」

「でも夜だしいいんじゃね」

「じゃあ家近いし取って来る」

石田、やると決めたら行動が早いなぁ

石田が自転車で花火を取りに行ってる間
僕達は塀に一列で腰掛けて、ひたすらボーッとしてた

「なぁ」

「なに?」

「なんかさ、こう意味もなくこうしてるのってなんかいいな」

「え?」

ポツポツと、金田が話していく

「中学の時はさ、毎日があっという間に時間が過ぎて行って、やらなきゃいけない事、やりたい事が沢山あったんだ」

「部活もあったし休みの日には友達とゲームに漫画、映画に遊園地、ああ、高速道路っぽい一本道を倒れるまでサイクリングした事もあったな」

「そんで受験勉強やって…あの頃は何をしても必死だった」

「なんだよ、結局何がいいたいんだよ」

「いや、何もしないってのもいいなぁって」


「ふーん」

それ以上は何も言えなかった
その時僕は人は…というとスケールが大きすぎる気がするが
皆は何かを必死にやってこそ、楽しい人生を送れるのだと思ってた
生きてる意味があるのだと思ってた

だからわからなかった、何もしない事がいい、という事が


「おーい、持ってきたよー」
石田が花火を持ってきた事で僕らのあいだに流れてた沈黙はなくなった

「待ってたぜー!」

「すごーい!こんなにあるの!?」

「私たちで使いきれるかなあ」

「打ち上げ花火とかロケット花火とかもあるぞ!」


結構遅い時間だったけど、かなり騒いだ
佐伯がねずみ花火に追い掛け回されたり、戸田がロケット花火を手に持って火傷しそうになったり


「すげー!これうん○花火って言うんだよな!?」

「なんかスナック菓子にこんなのなかったっけ」

「あれだろ、カールだろ」

「それそれ」

「俺もうカール食えねぇんだけど」

沢山あった手持ちの花火はあっという間になくなり、打ち上げ花火をしようと
戸田達が一生懸命チャッカマンをつけてるのを
はしゃぎすぎて疲れた僕は塀に寄りかかってぼんやり見ていた

「楽しかったね、花火」

「小野田さん」

「まぁまだ終わってないか、あはは」

「小野田さんはチャッカマンつけるの手伝わなくていいの?」

「私が行ったところでつくようになるわけじゃないでしょ」

彼女ははにかみながら言った

「それもそうだね」

僕も笑った


「・・・」

「・・・」



「私ね」

「ん?」

「戸田くんに告白されたの」

「・・・そうなんだ」



「まだ知り合ってそんなに経ってないのにね」

「人の恋愛なんて突然やってくるもんだよ〜
俺だって小学校の頃クラスの女の子に一目惚れしたことあるし」

冗談ぽく言った

「そういうもんなのかな」

「そうだよきっと、で返事はどうしたの?」

「断ったよ、まだお互いをしっかり知れていないから、これから仲良くなろうって」

「そうなんだ」

無難な答えだと思った
今にして思えば、彼女は戸田を突き放すような言い方はしなかったが、自分の意思をハッキリ伝えたのだ
あなたとは付き合えない、言葉にせずともハッキリと
戸田はおそらくこれからもチャンスがあると誤解するだろう
そして彼はこれからも振られ続けるんだろう

でも僕はその時、その言葉をそのままの意味で解釈していた


「どうして俺に話してくれたの?」

「なんとなく」

「なんとなく?」

「うん」

「そっか」

ちょうどその時、戸田が僕達を呼ぶ声が聞こえた

「行こう、打ち上げ花火は近くで見ないと」

「うん」

打ち上げ花火は、決して祭りで見るような壮大なものではなかったが
僕らを興奮させるには充分だった


それから戸田とは打ち上げがきっかけになり一緒にいることが増えた
僕たちのグループと一緒に昼飯を食うことも増えた


「小島、お前なにやってんの?」

「モンハン」

「持ってきてるならそう言えよ、ハンターランク9の俺が手伝ってやるのに」

「お前の助けなどいらぬ」

モンハンの話で盛り上がってると
戸田が話に入ってきた

「あ〜モンハンか!俺も一応持ってるんだよな〜」


「2ndGか、つい最近全部クエスト終わったばっかだわ」

さり気なく金田がドヤ顔をする

「へ〜すげーな!難しいよな〜アレ!」

「G級めっちゃ強いよな」

「俺途中のクエストでつまづいててさ〜!」

「飽きてきたら改造とかやるとめっちゃ楽しいぞ」

「へ〜、でも俺まだ全然終わってないからな〜!時間かかりそうだわ〜」

・・・どうやら戸田はみんなと一緒にモンハンをやりたいようだった
僕はみんなに提案してみた


「今度みんなで一狩りやっちゃう?」

「いいねぇ、どこでやる?」

「俺んちっしょ!」

「戸田ん家か、そういえば行ったことねーな」


その週の休日
小島、川崎、石田、金田と僕の6人で戸田の家に集まった

「・・・お前んちでかくね?」

「まぁあれだよ、うちの父ちゃんバイクとか趣味だからさ、車庫とかちょっとでかいし」

「ちょっとってレベルじゃねーよこれ、すげーな」

戸田の家は本当に大きかった
車庫には色々なタイプのバイク、外車っぽい車もあった

「いや〜久々だな!モンハンやんの」

「よし、早速なに行くよ」

「フルフルっしょ!」

「上位クエスト終わってねーのかよ!」


3人ずつで分かれてひたすら狩りをした
だが(小島いわく)この日がきっかけで
戸田は最低の高校生活を送ることになる

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom