マスオ「人心を操る能力か・・・」 (20)

お義父さんが死んでも磯野家の財産はサザエとカツヲとワカメで分割かよ
ケッ、やってらんねぇ
今までどれだけ俺が感情を押し殺してきたか、わかってねぇんだよ、磯野家のボケどもはよっ!

マ「お義父さん!」

波「あ、マスオ君。同じ電車だったのか」

マ「どうです、途中で一杯やっていきませんか?」

波「うぅ~ん・・・いや、今日はまっすぐ帰ろうじゃないか」

マ(オレノ言ウ事ヲ聞ケ・・・)

波「・・・そ、そうじゃな、ちょっとひっかけていこうか、マスオ君」

マ「さ、お義父さん、もう一杯・・・」

波「うっ・・・ととっ・・・ぐびぐび」

マ「ところでお義父さん・・・」

波「ん?なんだね、マスオ君」

マ「いつまでも同居させてもらっては悪いんじゃないかなぁと思いまして・・・」

波「なにをいっとるんじゃ?わしは迷惑じゃないぞ?」

マ「いや、自分も一国一城の主になりたいなぁと」

波「・・・マイホームが欲しいのかね?」

マ「・・・はい」

マ(オ前ノ家ヲ俺ニヨコセ!)

波「・・・マ、マスオ君・・・ちょっと重要な話がしたいんだが・・・」

波「ということでだ、ワシにもしものことがあっても名義をマスオ君のもにしておけば安心じゃろ?」

マ「で、でもお義父さん、家は長男であるカツヲ君に」

波「いや、いいんだ。カツヲは自分の力で自分の生活の場を持てるようになってもらわんとな」

マ「しかし・・・」

波「今度、知り合いの弁護士のところに一緒に相談に行こうじゃないか」

マ「お義父さん・・・」

波「マスター、お勘定」

数か月後

マ(不動産も生命保険の受取人もオレの名義に・・・クククッ)

マ(あとは・・・用済みなったあのジジイを・・・)

サ「あなた、なにニヤニヤしてんのよ、気持ち悪いわね」

マ「いやぁ、何でもないよサザエ・・・ただ・・・」

サ「ただ?」

マ「ちょっと思い出し笑いをしてただけだよ・・・」

波「次の電車は・・・もう来るか」

マ「お義父さん!」

波「おっ、マスオ君」

マ「今日は早く終わったんですか?」

波「あぁ・・・マスオ君も早いじゃないか」

マ「えぇ、報告書が早く片付きまして」

波「よかったじゃないか・・・そろそろ電車も来るし」

波「どうだね、帰りがけにちょっと一杯やっていこうじゃないか?」

マ「いいですねぇ」

波「おっ、電車が来たようだな」

マ「ただいま」

サ「おかえりなさい・・・あなた、飲んできたの?」

マ「う、うん・・・アナゴ君がしつこく誘ってきて・・・」

サ「まったく、しょうがないわね」

マ「お義父さんはもう帰ってるかい?」

サ「まだよ・・・きっと父さんもどこかで引っかかってるんじゃない?」

マ「ハハハ・・・」

舟「それにしてもお父さん遅いわね」

サ「どこで飲んでるのかしら?」

マ「・・・駅の辺り探してきましょうか?」

舟「いいですよ、マスオさん。子供じゃないんですから」

ジリリリーーンジリリリーーン・・・

サ「あ、電話。きっとお父さんからよ。電話に出て来るわ」


「磯野さんのおたくですか?こちらは旭ヶ丘総合病院ですが・・・実はですね・・・」




ガチャァン!

舟「?どうしたんだい、サザエ」

「・・・午後11時30分ごろ、世田谷区旭ヶ丘3丁目付近の○×川で男性がうつ伏せに浮かんでいるのを通行人が・・・」
「119番通報しましたが2時間後、病院で死亡が確認されました」
「死亡した男性は付近に住む磯野波平さん・・・男性からアルコールの反応が・・・」
「警察は磯野さんが酔って川に転落した可能性があるとし、捜査を進めています」




波「酔ったわい・・・しかし暑いな…子供のころ、夏になるとよく近くの川で泳いだもんだよ」

マ「お義父さん・・・」

波「なんだね、マスオ君」

マ(子供ノ頃ヲ思イ出シテ・・・泳イデ下サイ・・・ホラ、夏ナンダカラ・・・)


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