勇者「な、なんだこのパーティーは」 (67)

波紋使い「呼吸が起こすエネルギーを見せてあげますよ」

拳法家「我が拳は全てを破壊する!」

博士「私の作る薬は完璧なのです」




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勇者「王様が酒場に行けば心強い味方がいるって言ってたけど心強すぎるだろ! もっと皆で成長していくものなんじゃないのか!?」

波紋使い「まぁまぁ、落ち着いてください。勇者様」ポン

勇者「あのさ波紋使い」

波紋使い「なんでしょう?」

勇者「君の手が触れてるところが溶け始めてるんだけど」

波紋使い「あ、すみません。あまり加減できなくて」

勇者「何だよ。触れたところが溶けるって。おかしすぎだろ」

拳法家「おい、うるさいぞ」スパ

勇者「あ、はい」

勇者「(せっかく新調した服がもう切れてしまった)」

拳法家「貴様が勇者か。勇者ならば勇者らしく胸を張っていろ。それだけで十分だ」

博士「あー、勇者さんよろしくお願いしますね。はい私の発明した回復薬です。効果はまだよくわからないですけど」

勇者「あ、えっととりあえず飲んでみるよ。実験は大事だ」ゴク

勇者「。れこよだな、わう」

博士「言葉でお願いします」

勇者「。かいなゃじるてっ喋とんゃち」

博士「めんどくさいでこれ飲んでください」

勇者「」ゴク

勇者「大丈夫か、これ」

勇者「とりあえず、俺達四人でパーティーを組んで魔王を倒す旅をするんだからこれからよろしくな」

波紋使い「はい! 頑張りましょう」

拳法家「ふん」

博士「頑張ってくださいね」

勇者「じゃ、じゃあ王様の城に行こうか」

王「おお! 勇者よ仲間とは巡り合えたか。うむ、それではこれを授ける」つ銅の剣

王「波紋使い。そなたにはこれを」つスーパーエイジャ

王「拳法家、貴殿にはこれじゃ」つワザマシン08、52、68、94

王「博士、勇者を支えてやってくれ」つスカウター

勇者「ありがたき幸せにございます」

勇者「(俺以外のプレゼント豪華じゃないか?)」

拳法家「必ず我らが魔王を倒し、この世を平和に導いてみせましょう」

波紋使い「私達は必ず生きて帰ってきます!」

博士「私は研究が進めば何でもいいですがね」

王「では、皆頼んだぞ。全人類のために!」

四人「はっ!」

城の外

勇者「(勢いに流されてしまったがやはり俺より確実に周りの方が強い。これはよくない)」

勇者「バタついて出来なかったから皆まずは自己紹介しようか」

勇者「俺は勇者。武器はこの剣だ。これから魔王を倒すまでよろしくな」

波紋使い「はい、えっと私は波紋使いです。武器はえっとこれです」ビリビリ

勇者「何そのビリビリしたの。それがさっき俺の服を溶かしたの?」

波紋使い「はい、そうです。これは波紋と言って主にゾンビ系、悪魔系に特に大きなダメージを与えることができます」

勇者「へぇ、そりゃ頼もしい」

波紋使い「そのかわりに呼吸が乱れたり、息ができなくなったりすると波紋が練れなくなって使えなくなります」

勇者「……なるほど」

拳法家「拳法家だ。武器は拳」

勇者「何か見せることはできますか」

拳法家「はぁぁ!!」つ○

勇者「すげえ! 何すかその球」

拳法家「これは気合玉。己の気合で練りこんだエネルギーを球状にして相手にぶつける」つ==○

壁「」ドシャーーーン

拳法家「ちなみに物質系と怪人系にこうかはばつぐんだ」

勇者「へえ、これからよろしくお願いします」

博士「私は博士。武器はこれだ」ドン

勇者「これは……ポンプ?」

ポンプ「ハジメマシテ、ポンプデス」

勇者「うお! 喋った」

博士「これは私の祖父が作ったものを私が改良したものだ。こうやって背負ってっと」

勇者「で?」

博士「ここを握って放水する」ブシャー

壁「」ドカーン

博士「水を圧縮して放出することでここまでの威力を引き出すことができるのさ」ドヤ

博士「もちろん水が切れれば使うことはできないが空気中から水を生成する能力をつけてあるので安心していい。あとマシン系と獣系にさらに強い力を発揮する」

勇者「す、すごいっすねえ」

博士「あと、このポンプ機能以外にホバー、ロケット、ジェットの三つがある。それは追々見せるとしよう」

勇者「じゃあ、旅を始めましょう」

三人「おー」

町人「お、勇者様が旅へいかれるぞ!」

周りの人々「わいわいがやがや」

波紋使い「すごいですね、そんなに期待されたら困りますよぉ」

勇者「魔王を倒せるのは俺たちだけだ。そりゃ期待も高まるさ」

拳法家「まあ悪い気はしない」

博士「ポンプ重い」

勇者「さぁ、旅の始まりだ!」

道中

勇者「モンスターがうようよいるもんだと思ってたらそこまでいないな」

波紋使い「そうですねえ。これじゃ経験値も稼げないですよ」

博士「モンスターを呼び寄せる方法がないわけでもない」

勇者「マジで!?」

博士「ああ、簡単な方法だ。モンスターに会いたくないと思えばいいのだ」

勇者「は?」

博士「勇者さんは今、『はやくモンスターぶった斬りてぇええ!!』とか思ってるのでしょう。それがダメ」

博士「モンスターに会いたいと思えば思うほどモンスターとのエンカウント率は下がり、会いたくない、早く次の街へ行きたいと思うほどわらわらとモンスターが湧き出てくる」

勇者「そんな俺らの気持ちでモンスターの動きが変わるわけないだろ」

博士「否定するなら一回やってみろ」

勇者「(モンスターに会いたくないなぁ。早く次の街に行きたい)」

波紋使い「勇者様、モンスターです!」

植物系モンスター×4

勇者「もう!?」

波紋使い「波紋!! ズームパンチ!」

モンスター「へぶっ!」シュー

拳法家「岩砕き!」

モンスター「がべっ!」マップタツ

博士「ポンプ!」ブシャー

モンスター「あばばばば!」フンサイ

勇者「はぁ!!」ズバッ

モンスター「いて」

モンスターは3ダメージをくらった。

波紋使い「……」

拳法家「……」

博士「……」

勇者「……ふん!」ドスッ

モンスター「ぶはっ」

経験値35を得た

勇者「さて、先に進もう」

拳法家「そうだな、それがいい」

勇者「(うおおおお!! モンスター来るなよ、来るなよ!)」

植物系モンスター×4

勇者「」

拳法家「ふ、俺に任せろ。気合玉!」

モンスターズ「ぶぎゃー」サラサラ~

拳法家「よし」

経験値57を得た

勇者はレベルが上がった

勇者「(よかった。これで少しは……)」

勇者「さあ次だ。日が出ているうちに次の街へ行くぞ」

勇者「(モンスター来んな。来るな)」

獣系モンスター×4

勇者「」

波紋使い「ズームパンチ!」

拳法家「岩砕き」

博士「ポンプ」

勇者「っく、うおらぁ!!」

モンスターズ「」

モンスター「?」キョロキョロ

勇者「……」ドス

モンスター「」

経験値59を得た

波紋使い「……」

波紋使い「あの、勇者様。さっきから手加減しすぎじゃないですか?」

勇者「え? ああ、モンスターといえども命までは取りたくないんだよ」

波紋使い「え、じゃああのモンスターは?」

勇者「み、峰打ちだ」

拳法家「うむ、確かに生きている」

波紋使い「すごい! 流石勇者様ですね!」

勇者「は、ははは! いや、それほどでもないよ」

勇者「(た、助かった)」

博士「そういえば勇者さんはレベルは?」

勇者「……え?」

博士「だからレベル」

勇者「えっと、皆は?」

波紋使い「47です」

拳法家「53だ」

博士「あ、私、一番低い。45」

勇者「……」

勇者「(これは、どういうことだ。普通レベルは1から皆同じくらいのペースで成長するんじゃないのか)」

勇者「(拳法家の53に至っては魔王一歩手前レベルじゃないか! どうなってんだよ)」

勇者「(あ、俺のレベル? さっき上がったから2だよ)」

勇者「えっと、一回転生して今はまだ2なんだー」ダラダラ

波紋使い「え、転生っていうことは一回レベル99まで到達したんですか?」

拳法家「その時の職業はなんだったんだ?」

博士「レベル99か。想像もつかん」

勇者「ええっと、職業はねえ……侍だよ」

拳法家「サムライ?」

勇者「そ、そう。東国の騎士のことでタイマンを得意とした義理堅い職業だよ」

波紋使い「へー、何かすごいですね」

博士「だが、東国ならどうやって極めたんだ?」

勇者「しゅ、修行だよ。勇者は強くなければいけないから! 勇者になるためにね」

博士「ほぉ」

勇者「(口から嘘が溢れていく。もう止められない)」

勇者「じゃあ張り切って進もう」

三人「おー」

波紋使い「それなら、もう見えてますよ」

拳法家「あれか」

勇者「じゃあ、急いで行こう」

植物系モンスター×4が現れた

勇者「ああもう!!」

勇者「そらあああ!!」

モンスターズ「」

波紋使い「おお! モンスターを一瞬で」

勇者「ほらはやく行こう!」

第二の街

勇者「活気に溢れ……てない街だな」

拳法家「それより何故誰ひとりとして外に出ていないんだ」

波紋使い「まだ、時間的には夕方ですよね? 家に帰るには早い気がしますけど」

博士「待て、この街は外と比べてやけに暗い。いや、暗すぎる」

勇者「確かにさっきまで見えてた太陽も見えないな」

波紋使い「うう、太陽がぁ」

拳法家「おい、あれを見ろ」

勇者「何だ? 月、なのか?」

博士「月はもっと輝いているはずだが」

波紋使い「太陽の光を受けないからじゃないですか?」

博士「確かに月は太陽の光で輝いてはいるが果たして日光を遮断することができるのか?」

拳法家「よほどの魔力をもった輩の仕業のようだな」

勇者「まずは情報収集をしよう。俺と波紋使い、拳法家と博士の二手に分かれて、俺たちは街の東側、拳法家たちは西側を。そして一時間後にまたここで待ち合わせだ」

拳法家「分かった。そういえば貴様、携帯は持っているか?」

勇者「あ、持ってるよ」

博士「確かにメールアドレスの交換はしておくべきだな」

波紋使い「そうですね。便利ですし」

勇者「……」ポチポチ

拳法家「……」ピコピコ

波紋使い「……」ポチポチ

博士「……」ピコピコ

勇者「……」ピロローン

拳法家「……」ピロン

波紋使い「……」ピロロン

博士「……」パフッ

勇者「じゃあ、行くか」

波紋使い「はい!」

拳法家「俺たちも行こう」

博士「そうだね」

勇者・波紋使い側

勇者「本当に誰もいないな」

波紋使い「ええ、何ていうか人が住んでいるかどうかも怪しいですよね」

勇者「うーん」

波紋使い「どこかの家を訪ねてみますか?」

勇者「そうしなきゃ情報も集まらなさそうだしな」

波紋使い「すみませーん」コンコン

二人「……」

勇者「いないのか?」

波紋使い「もういっかいやってみましょうか」

波紋使い「すみませーん」コンコン

二人「……」

波紋使い「あ、鍵がかかってないです」

勇者「入ってみよう」

波紋使い「はい」ギイイイ

勇者「……これは」

波紋使い「見事にもぬけの殻ですね」

勇者「ここが空家ということはないよな?」

波紋使い「隣の家を確認してきます」

勇者「頼む」

勇者「人がいた形跡がある。クローゼットの中は……」ガサ

勇者「これは、水の羽衣じゃないか。もらっていこう」

勇者「この壺は……」バリン

勇者「三ゴールドか。とりあえず貯金だ」

勇者「しかし、食器も食材もある。食材に至ってはまだ新鮮なものばかりだった。つい最近までいや、昨日まではここにいたかのようだ」

波紋使い「勇者様!」

勇者「どうした?!」

波紋使い「大変です! 隣の家に!」

勇者「ちょ、おま、落ち着け」

波紋使い「隣の家に吸血鬼が!」

勇者「吸血鬼ィ!?」

勇者「ちょ、そいつ野放し?」

波紋使い「えっと、私が扉を開けると吸血鬼が女性の血を吸ってて吸血鬼がこっちを見たら女性が砂になっちゃって、怖くて逃げてきちゃって、えっとえっと」

勇者「とりあえず、吸血鬼をぶっ倒す!」

吸血鬼「ほぉ、大した自信だな」コツコツ

吸血鬼「貴様が勇者か。全く勇者とは名ばかりのようだなぁ」

勇者「な、なんだとぅ」チャキ

吸血鬼「剣を使おうともそのどうしようもない構えで私を倒そうなど考えが甘いぞぉ!!」グワッ

勇者「は、早い!」

吸血鬼「貴様の血を吸い付くし世界を牛耳ってやるわ!」

波紋使い「そうはさせません! 波紋!」

波紋使い「波紋疾走!」

吸血鬼「ぐおおおおお!」

吸血鬼「何だこれは。体が不死身の体が溶ける」シュー

波紋使い「私と会ったのが運の尽きでしたね。私の波紋はゾンビ系を蘇らせることなく滅する技。静かに眠りなさい!」

吸血鬼「ぐあああああ! 俺が倒れても陛下は動じぬ。この街は動じぬ。貴様たちも……いずれこの街の……礎となる」サラサラ~

波紋使い「ふぅ、大丈夫ですか? 勇者様」

勇者「お、おう、俺は大丈夫だけど。波紋使いは?」

波紋使い「吸血鬼の攻撃でちょっと傷つきましたけど大丈夫ですよ」

勇者「すまない。俺が弱いばかりに」

波紋使い「大丈夫ですよ。これから強くなれば。それに勇者様は一度転生なされてるのですから絶対に大丈夫です」

勇者「(ああ、その設定忘れてたわ)」

勇者「で、今倒した吸血鬼が最後に言ってたことだけど、こいつ下っ端ぽいな」

波紋使い「ええ、恐らく住民たちの血を吸って強くなろうとしたのだと思います」

勇者「それで、誰もいなかったのか」

波紋使い「おそらく」

勇者「(こいつで下っ端とか最初からハードすぎるだろ。こいつがボスでいいじゃんか)」

波紋使い「どうしました?」

勇者「何でもない、先を急ごう」

拳法家・博士側

博士「おかしい」

拳法家「何がだ」

博士「ポンプの水が濁ってきてる。自動生成は止めているからここに入ってから水が濁ったということ以外はありえない。それにポンプの水はちゃんと濁らないように処理されるはずなのに」

拳法家「つまりその処理速度を追い越すスピードで腐食が進んでいるということか」

博士「馬鹿な。そんなことが」

博士「とりあえず、この水は捨てて自動生成モードにしておこう」

拳法家「水は民家からもらえばいいだろう」

博士「確かに。じゃあそこの家にもらおう」

博士「すみません」コンコン

二人「……」

住民「ど、どちらさまでしょうか?」

博士「あの、水をわけていただけませんか?」

住民「人間の方ですか?」

博士「? ええもちろん」

住民「外は危ない! 早く中へ!」

博士「え、ああ、すみません」

拳法家「いいのか?」

博士「あの、さっきの人間というのは?」ミズホキュウ

住民「ええ、半年前に。この街にやってきた吸血鬼が王城に住み着いていて、多くの住民が血を吸い尽くされてしまって……」

住民「彼らはとにかく強くこの街の兵団では歯が立たずあっと言う間に占拠されて、その翌日にはこの街から太陽が消えました」

博士「だから、こんなにも暗いのか」

住民「ええ、彼らが最初に来た時も夜中でしたから日光に弱いんだと思います」

拳法家「街から太陽を奪ったといえど、そんなことをどうやって」

住民「それはよくわかりません」

住民「ですが、それ以来私達住民は外へ出ることができず家に閉じこもって生活しています」

博士「……水が濁ったりはしなかったか?」

住民「水が? いえ、そんなことは」

博士「なるほど、この効果は外だけのようだな」

ポンプ「ハカセ、コノミズハナンスイデスガヨロシイノデスカ?」

博士「構わない、水が補給できれば今はいい」

ポンプ「ワカリマシタ」

博士「で、その吸血鬼に弱点はないのか?」

住民「ダメージは受けるようですが、すぐに再生するので再生する間もなく塵にするぐらいではないかと」

拳法家「そうか、中々いい情報だ」

博士「じゃあ水も補給できたし私達は行こう」

住民「外へ行かれるのか!? 危ない。やめたほうがいい」

拳法家「そうはいかない。私達は勇者様に仕える身。この街を救わなければいけない」

博士「私達が吸血鬼なんて追っ払ってやりますよ」

住民「か、かたじけない。頼みました」

拳法家「悪をはたらく輩は見過ごせん」

博士「それでは」

一時間後

勇者「あ、もう着いていたのか」

拳法家「ああ、住民に話を聞くことができた」

勇者「まだ生きている人がいたのか」

博士「どういうことだ?」

波紋使い「私達が訪ねた家は吸血鬼によって人が亡くなっていて」

拳法家「吸血鬼と戦ったのか!?」

波紋使い「はい、幸いにも下っ端のようで倒すことができました」

拳法家「何? 住民から攻撃しても再生すると聞いたが」

波紋使い「私の波紋はゾンビ系モンスターを再生させることなく溶かすことできますから、有利に戦えます」

拳法家「そうか。とりあえず無事でよかった」

博士「で、吸血鬼の特徴は?」

勇者「見た目はイメージ通りの歯が飛び出していてスーツだった。あと俺の血を吸って世界を牛耳るとか言ってたから人の血を吸うことでパワーアップできるんじゃないかと思う」

博士「なるほど、他には?」

勇者「さっき下っ端って言ったけどそれでも十分に動きが速かった。それで波紋使いも少し怪我をして……」

拳法家「これを使え。傷が治るはずだ」つ良い傷薬

波紋使い「ありがとうございます」プシュー

博士「私達も住民から話を聞いたけど、吸血鬼は日光が苦手らしい。苦手というのが当たると動きが鈍くなるレベルなのか、それとも即死レベルなのかはわからない」

拳法家「だから彼らはこの街から何らかの方法で日光を遮断しているようだ。それに住民は外に出ることを危惧していた。外は危険なのだろう。俺たちも油断しないほうがいい」

博士「それと、彼等吸血鬼はあの王城に住み着いているらしい」

勇者「どうする? 今日はもう休むか?」

波紋使い「そうしたいところですけど、宿屋も安全かどうか」

博士「それについては大丈夫だと思う」

勇者「え?」

博士「ポンプに見張りをさせればいい」

波紋使い「え、それは……」

ポンプ「ワタシハダイジョウブデス。ミナサンハオヤスミクダサイ」

勇者「そうか、なら頼むよポンプ」

拳法家「これを使え。傷が治るはずだ」つ良い傷薬

波紋使い「ありがとうございます」プシュー

博士「私達も住民から話を聞いたけど、吸血鬼は日光が苦手らしい。苦手というのが当たると動きが鈍くなるレベルなのか、それとも即死レベルなのかはわからない」

拳法家「だから彼らはこの街から何らかの方法で日光を遮断しているようだ。それに住民は外に出ることを危惧していた。外は危険なのだろう。俺たちも油断しないほうがいい」

博士「それと、彼等吸血鬼はあの王城に住み着いているらしい」

勇者「どうする? 今日はもう休むか?」

波紋使い「そうしたいところですけど、宿屋も安全かどうか」

博士「それについては大丈夫だと思う」

勇者「え?」

博士「ポンプに見張りをさせればいい」

波紋使い「え、それは……」

ポンプ「ワタシハダイジョウブデス。ミナサンハオヤスミクダサイ」

勇者「そうか、なら頼むよポンプ」

宿屋

勇者「じゃあ、二部屋お願いします」

宿主「はい、勇者様。この街のことをよろしくお願いします」

勇者「もちろんです」


勇者「はい、波紋使いと博士の部屋の分」

波紋使い「ありがとうございます」

勇者「じゃあ、また明日の朝」

博士「とは言っても外は暗いと思うけど」

拳法家「まぁ起きた時が昼過ぎということも考えられなくはない」

勇者「と、とにかく今日はおやすみ」

波紋使い「おやすみなさーい」

翌朝

勇者「さぁ、吸血鬼のいる王城へ行くぞ」

三人「おー」

宿主「では、いってらっしゃいませ」

ガチャ

吸血鬼A「貴様か、奴を倒したのは」

吸血鬼B「四人、我々で始末してくれる」

吸血鬼C「陛下への手土産だ」

吸血鬼D「それでは死ねい!」

勇者「いきなりかよ!」

拳法家「く、まずい」

博士「とりあえず応戦しかないでしょう。一人一体で」ザッ

波紋使い「分かりました!」ザッ

拳法家「健闘を祈る!」ザッ

勇者「(え、マジかよ)」ザッ

波紋使い&吸血鬼C

波紋使い「貴方も運が悪いですね、波紋を扱う私と当たるなんて」

吸血鬼C「ふん、どんな手段を使おうとも我々吸血鬼に勝つことはできぬわ!」

波紋使い「このタイプに得意な私が皆を助けに行かなければいけないのでささっと片付けさせてもらいますよ」

吸血鬼C「ならばやって見せろぉ!」

波紋使い「クラッカーヴォレイ!! それぇ!」ヒュン

吸血鬼C「そんな鉄の球に当たるバカがいるか!」ヒョイ

吸血鬼C「こちらからも行くぞ」シュン

吸血鬼C「うおらーーーー!!」ドゴッ

波紋使い「くっ、一撃が重い」

波紋使い「でも逃しませんよ」ガシ

波紋使い「はあああ! 波紋疾走」ビリビリビリ

吸血鬼C「ぐっ、これが波紋とやらか。陛下に報告を……」

波紋使い「そうはさせません! クラッカーヴォレイ!」

吸血鬼C「さっきの鉄球が!?」ドスッ

吸血鬼C「ぐ、私の勝ちはないか……ならば貴様ごと道連れにするまでよ!」

吸血鬼C「えやーーー!」

波紋使い「あ、さっきより速い!?」

吸血鬼C「貴様の血を吸ってやるわ」ガプ

波紋使い「あ、ああ、血が」

吸血鬼C「やはり若い女の血は旨い。そして貴様O型だな? とても旨い血だ」

吸血鬼C「そして私はさらに強くなる!」ムキムキ

波紋使い「そんな、き、傷も癒えていく」

吸血鬼C「貴様には死んでもらおう。ふはははは!」ドスッ

波紋使い「ぐあっ」

波紋使い「こんなところで負けられないのに」

吸血鬼C「んん~、まだ生きていたか。今度こそ死ね!」グアッ

波紋使い「んんん!!」ガシッ

波紋使い「緋色の波紋疾走!」ビリビリビリ

吸血鬼C「ぐああああああ!」シューー

波紋使い「はあはあはあ」

波紋使い「ゆ、勇者様のところへ行かないと」

吸血鬼C「ぐ、陛下に報告を……か、体が溶けている……ダメか」

波紋使い勝利

『道連れにするまでよ』を『貴様の血を吸うまでよ』に変えてほしい

拳法家&吸血鬼D

拳法家「岩砕き!」

吸血鬼D「はっ!」

拳法家「ぬぅ、お主やるな」

吸血鬼D「ふぅん、貴様はあの四人の中では一番強いようだな。いや、あの勇者は論外だから三人か」

拳法家「何を言うか。私はナンバー2。一番は勇者だ! 奴はいずれ強くなる。」

拳法家「ギガインパクトォオオオ!!」ドゴォォン

吸血鬼D「がっ!?」

拳法家「勇者を見くびった時点で貴様は負けている」

吸血鬼D「ば、馬鹿な。この俺がたった一撃で」

拳法家「お主は慢心しすぎだ。そして俺の、そして勇者の力量を誤った。それが敗因だ」スタスタ

吸血鬼D「く、くそおおおお!」

拳法家圧勝

吸血鬼D「人というものは残忍だな」

博士「なんで?」

吸血鬼D「男、まぁ一人は使い物にならなそうだったが男二人がいるにも関わらず、お前のような女をたった一人で戦わせるとは。お前が可哀想でならない」

博士「別にいいじゃん。それに一人一体って言ったのは私だし。それに可哀想なのはあんただよ。なんたってこの私に生け捕りにされて解剖されんだから」カチャ

吸血鬼D「何だぁ、その赤いレンズは。まさか紫外線ではなかろうな!?」

博士「へえ、日光に弱いというより紫外線がダメなんだね。まあこれは紫外線なんて出せないけど」ピピ

博士「戦闘力は二万五千か。他の奴らもこのくらいかな」

吸血鬼D「戦闘力ゥ? 何かはわからんが小細工などしても私には勝てんぞぉ!!」グワッ

吸血鬼D「惨めに死ねい!」

博士「ロケット」ドドーン

吸血鬼D「上に逃げたところで何も変わらんぞ。否、むしろお前には不利だ」

博士「あんたみたいなモンスターは知らないかもしれないけど今の人類は進化しているんだよ」

博士「科学の力を思い知れ! ポンプ!」

博士「たった一つの水の噴射の水圧で空を飛ぶ場合、地面への圧力は凄まじいことになる。それを君は受けきれるかな?」

吸血鬼D「あがっ」

博士「ふぅ、着地できてよかった」ストン

吸血鬼D「お前、私の体をこんな状態に……」

博士「だから生け捕りにするって言ったじゃん。このくらいにやっとかないと」

博士「私たちには吸血鬼の情報が少なすぎる。ちょっと君を実験台にさせてもらうよ。悪いね」

博士圧勝、実験開始

勇者&吸血鬼A

勇者「(おおい、まずいって。俺のレベルじゃ一撃だよぉ。呪文も使えないし、手元にあるのは銅の剣にさっき拾った水の羽衣と三ゴールド。三ゴールド渡してお引き取り願えないかな?)」

吸血鬼A「貴様、本当に勇者か?」

勇者「え?」

吸血鬼A「あの三人とは力量からして全く違うしどう見ても素人じゃない。確かに勇者としての素質はあるんだろうけど勇者としての実力が足りないでしょ。ゲームみたいにだんだん自分も味方も敵も強くなるわけじゃないんだぜ?」

勇者「……確かに」

吸血鬼A「どうするの? 負けたっつって帰るかい? まあそしたら俺達が世界を掌握しちゃうと思うけどね」

勇者「それはやだ」

吸血鬼A「じゃあどうする。俺と闘うか? やっても勝ち目はないと思うよ」

勇者「俺は負けない」

吸血鬼A「へえ、闘うんだ。でもその自信はどこから来るのさ」

勇者「理由は簡単だ。俺が勇者だから。勇者だから負けない!」

吸血鬼A「あのさぁ、さっきも言ったけどね、この世界はゲームじゃねえんだよぉ!!」ゴッ

勇者「あぐっ」ズザザ

吸血鬼「そんな弱っちい銅の剣でどうするの。俺を倒したいならせめてもっとマシな武器とか防具をつけてこいよ」

勇者「うおおおお!!」ズバッ

吸血鬼A「諦めない……って顔してるね。ほんとに人間ってのは分からないなぁ。そうしてそこまでウザイんだい?」

吸血鬼A「無駄なんだよ。俺をその剣で斬っても傷つくのは剣の方だ。そろそろわかろうよ。力の差を」

勇者「うう。うらあああああああ!」バキン

吸血鬼A「ほら、剣が折れちゃった。もう勝ち目はない。諦めて死にな」ボゴッ

勇者「あがっ」

吸血鬼A「それにしても俺はラッキーだったよ。多分B、C、Dは負けて死んでるだろうね。だけど僕は運良く君と当たって生き残れた。それに君の勇者の血も吸えるんだ。最高だよ」

勇者「はぁはぁ」

吸血鬼A「ほんとにありがとね。俺のところに来てくれて。確かに僕達はかなり死ににくいけど不死身ではないし、傷つけられるのは痛いからね」

吸血鬼A「じゃあ、勇者の血をもらおうかな」ガプ

勇者「うっ」グッタリ

吸血鬼A「うーん、まずいな。でも確実にレベルアップしている。これが勇者の血か。すごいねぇ」

吸血鬼A「君は陛下への手土産にするつもりだったけどこんな弱い奴は要らないね。ここで野垂れ死ぬがいいよ」

吸血鬼A「勇者パワーを試しに君の仲間を狩りにいくかぁ。じゃあバイバイ、勇者」

波紋使い「は、はぁはぁ、ゆ、勇者様はどこにいるのかな」

波紋使い「このあたりかな?」

波紋使い「……!?」

波紋使い「勇者様! 勇者様!? 勇者……さま」

勇者「……」

波紋使い「まだ生きてる。私が助けなきゃ」

波紋使い「さっきのいい傷薬ががまだ……」プシュー

勇者「……」

波紋使い「傷がほとんど回復しない。ダメだ、くじけちゃダメだ私。なんとかしなきゃ」

勇者「……」

波紋使い「よっと、勇者様ちょっと重いけど誰かがいるところまで行かなきゃ」ズルズル

波紋使い「あ、宝箱。もしかしたらこれに回復アイテムが!」ガチャ

波紋使い「なんだろう、これ。飴? とりあえず、毒見を」ペロ

波紋使い「!? これは! 力がみなぎります。いや、力の限界が上がったみたいな」

波紋使いはレベルが上がった 45→46

波紋使い「勇者様、これを。これを食べてください」

勇者「……」

波紋使い「もう!」オシツケ

勇者「……」パク

勇者「……ん」

勇者はレベルが上がった 2→3

勇者「ん、あれ、俺は吸血鬼に負けて……」

波紋使い「あ、大丈夫ですか、勇者様」

勇者「波紋使いか、ありがとう」

波紋使い「いえいえ、これが私の務めですから」

勇者「っていうか波紋使いの傷もすごいじゃないか! 俺は一人で歩けるから自分の身をいたわれ」

波紋使い「いえ、そういうわけには」

勇者「いくんだよ! 俺にとってはもうお前は失えない仲間だ。絶対にいなくならないでくれ!」

波紋使い「わ、分かりました///」

勇者「もうすぐで宿屋に着く。そこで治療してもらおう」

波紋使い「はい」

宿屋

宿主「ど、どうされた勇者様!?」

勇者「俺は後でいい。この娘を波紋使いを先に治療してやってくれ!」

宿主「わ、分かりました。すぐに医療班を呼びますので安静にしていてください。ささ、お部屋へ」

勇者「すまない」

波紋使い「はぁはぁ、勇者様、波紋がもう限界です」

勇者「悪いな。言っとくが下心はないからな!」ヒョイ

波紋使い「ひゃあ!?」

勇者「せい!」

波紋使い「おふ」

勇者「お前はもう寝ろ。お前は今回最大の戦力だ、俺みたいなカスを気遣うよりも今は吸血鬼を全滅させることを考えろ」

波紋使い「わ、わかりました。おやすみなさい」

勇者「(俺の考えが甘かった。魔王を倒すまでに強くなっていくものだって思ってたけど敵がだんだん強くなっていくわけじゃなくて最初から強い。確かに勇者になるっていうことは昔からわかってたことだ。それまでに修行をしなかった俺が悪い。俺は弱い。弱い俺なりにできることを考えるんだ)」

宿主「勇者様、医療班が到着しました。すぐに治療を」

勇者「俺はいい。この娘の治療を完璧に行ってくれ」

宿主「……しかし」

勇者「いいんだ! 今の俺は治療したところでまた傷ついて帰ってくる。ならばその分の薬を皆に回したほうがいい」

宿主「正気ですか!? 魔王を倒すことができるのは貴方だけなのですぞ」

勇者「いい」

宿主「……分かりました。医療班! 早急に波紋使い様の治療を!」

勇者「少し外に出る」

宿主「お気を付けて」

勇者「……」

拳法家「博士! 勇者は?」

博士「私が宿屋についた時にはもう出て行っていたよ」

拳法家「な、何故」

博士「自分の弱さを憂いたんじゃない? 十中八九彼の転生は嘘。彼は本当にレベル2、3あたり」

拳法家「ならば何故彼は魔王討伐に行こうと思ったのだ」

博士「これが原因だと思うよ」つゲーム機

拳法家「ゲーム?」

博士「そのゲームは勇者となり魔王を倒すというゲームだよ。ただ、現実と違うのは敵のレベルが少しずつ上がっていくということ。あと自分と仲間のレベルも敵を倒した分だけ上がっていく」

拳法家「これが現実でも通用すると思っていたということか」

博士「そうだろうね。吸血鬼にボコボコにされて仲間に助けたれて情けなくて仕方がないんだと思う」

拳法家「外の世界を知らぬが故に……か」

博士「この世界はゲームみたいに甘くないからね。敵の強さだって分からない、ヒントもなにもない。何より死んだら生き返れない」

拳法家「うむ、修羅場をくぐりぬけ強くなるもののみが魔王討伐の任につける。レベルが高い猛者もモンスターの攻撃で死ぬこともある」

博士「勇者にとってここが正念場だ。ここを乗り越えれないんじゃ魔王討伐なんて無理だよ」

拳法家「今は勇者を信じてここで待とう」

勇者「……どうすればいいんだよ。もう皆俺に失望してどっかに行っちゃってるだろうし、かと言って俺じゃ下っ端の吸血鬼も倒せない。俺ひとりでどうにかできるもんじゃない、けどそうしなきゃいけない状況下だ」

勇者「やろう、レベルが低くても、弱くても吸血鬼を殺るしかない」

勇者「銅の剣は折れ、服もボロボロ。頼れるのはこの拳だけ。最後に足掻いて一人でも道連れにしよう」

勇者「もう行こう」

宿屋

拳法家「遅いな」

博士「ダメ……か。私達だけでも乗り込む方がいいのかな?」

波紋使い「そうですね。私も完全に回復できましたし、もし、勇者様が単身王城に乗り込んだのだとしたら」

拳法家「それはまずいな。俺達も行こう」

博士「彼等吸血鬼は紫外線以外にこれといった弱点はなかった。そして私が倒した吸血鬼を調べたところ吸血した人間のパワーを吸い取ることができ、体力の回復、パワーアップができるっぽい。奴らに血を吸わせればもう私たちに勝ち目はないでしょうね」

博士「それと奴らを倒す方法は二つ。波紋使いの使う波紋で攻撃するのと彼等の体を再生不能にさせること。一度に大量のダメージが入れば彼等の体のメモリーは壊れて再生できなくなる。拳法家のギガインパクト、私のポンプのような莫大なエネルギーが必要だけどね」

波紋使い「勇者様はそのどれももち得ていない」

博士「ええ、だから彼が吸血鬼に勝てる可能性は万に一つもない。厳しいけど事実だ」

拳法家「なぜ、生き急いだのだ。勇者よ」

博士「もう着くよ。王城に」

拳法家「勇者の姿はない……が」

波紋使い「門が開いてるということは入ったっということですよね」

博士「まあその可能性が高いよね」

拳法家「俺たちもぐずぐずしてはおれん! 行くぞ」

波紋使い「はい!」

博士「うん」

拳法家「中はまだ綺麗だがやはり外よりも暗いな」

博士「ポンプのライトを付けても前がほとんど見えない」

波紋使い「そうですね……!?」

波紋使い「誰かいます!」

吸血鬼A「あれぇ、君たち、あのへっぽこ勇者の仲間だよね。勇者の仇打ちかい? やめといたほうがいいよ。絶対無駄だ。勇者の血を吸った僕に勝てるはずがない」

拳法家「き、貴様!」

吸血鬼A「次に君は『やってみないとわからんだろう』と怒鳴る」

拳法家「やってみらんとわからんだろう!!」

博士「ば、馬鹿な。人の思考を先読みし、言葉も一語一句違わずに当てるなんて」

吸血鬼A「だからさ、無駄なんだよ。君達は僕に勝てない。それに僕だって戦いたくない」

波紋使い「それでも私達は戦わなければいけないんです!」

波紋使い「ズームパンチ!」

吸血鬼A「当たらないよ。遅いもん。パンチっていうのはこうするんだ」ドスッ

吸血鬼A「どうだい? 僕のパンチは。重いだろう? 痛いだろう? これは全てあの勇者が持ち得た力だよ。でも奴は努力をしなさすぎた」

博士「くそ、こいつはさっきの奴らとは格が違う」ピッピ

博士「!? せ、戦闘力十万……」

博士「さっきの奴の四倍」

拳法家「気合玉!」

博士「やめろ! 拳法家!」

吸血鬼A「全く、てめえらウザイんだよ!」

拳法家「き、気合玉が消された!?」

波紋使い「山吹色の波紋疾走!」ドガッ

吸血鬼A「っぐ、熱い。これが波紋か。確かに俺たちにとっては大敵だな。ここで排除する」

吸血鬼A「死ね!」

??「や、めろぉ」

吸血鬼A「!? 誰だ。こいつらじゃねえ侵入者か?」

勇者「や、めろぉ。波紋使いにぶつけようとしているその手を下ろせ」

波紋使い「勇者様!」

拳法家「勇者!」

博士「勇者さん!」

勇者「……」

拳法家「な、なにがあった!? その傷はどうした!? 服ももうないようなものじゃないか」

博士「なぜ立っていられる。勇者さんはの体は既に限界を超えている!」

勇者「……」

勇者 レベル3→34

勇者「吸血鬼を一人殺った」

博士「勇者さんが一人で?」

勇者「ああ、城内で拾った毒針で一撃で仕留めようとしたけどミスってボコボコにされて二回目で成功したらここまでレベルアップした」

拳法家「だが、今の奴には俺達でも歯が立たない。どうする気だ?」

勇者「俺は勇者。勇者は誰にも負けず、ただ勝つ。それだけだ」

拳法家「勇者?」

勇者「正義は負けることを許されない。ドミニオン!」

吸血鬼「な、何だそれは!?」

勇者「お前に言うべきことはない。裁きを受けろ」

今日はここまでです

吸血鬼A「……このクソガキがぁ! ぶっ殺してやる!」

波紋使い「緋色の波紋疾走!」

吸血鬼A「っぐあぁあ! 体が溶ける。俺がこんなところでこんなガキどもに! くそがああああああ」シューー

勇者「……」フラフラ

拳法家「勇者!」

博士「勇者さん、何が起きたの? 服も体もボロボロにして」

勇者「商人の家に行って買ったど、毒針で吸血鬼を一人殺った。一回失敗したからボコボコにされたけど殺った瞬間に莫大な経験値が入ってきてここまでレベルアップした」

波紋使い「あの、さっきの影みたいなのはスタンド……ですか?」

勇者「あれは俺もよく分からない。多分もう出せないし何で出たのかも分からない」

拳法家「とにかく回復だ。これを飲め」つ回復の薬

勇者「ありがとう、拳法家」

博士「残りは奴らの言っていた陛下という奴だけだ。多分な」

波紋使い「ここまで来たらやるしかないですよね」

勇者「行こう、こんなところでつまづいてはいられない」

陛下「来たか、全く私の街をよくもまあ荒らしてくれたものだな」

勇者「ここはお前の街じゃない。人間の街だ。怪物にはお引き取り願おう」

陛下「何故、人間は我々人でないものを一方的に敵と決め付けるものなのだろうなぁ。我々怪物は種族が違えど共存しているというに」

勇者「お前たち怪物は皆、人間に被害を加えるからだ! 怯えて暮らす皆のためにお前を殺す!」

陛下「そう身構えるな。貴様はこの街を取り戻したいのか? それとも私を殺したいのか?」

勇者「そんなものどっちもに決まっている」

陛下「それは強欲というものだ。人間は土地も命も手に入れ、怪物には何も与えない。それは不公平ではないか」

勇者「何が不公平だ! お前達はそのくらい悪事をはたらいてきたんだ」

陛下「人間を喰らうことが悪事か。貴様、豚や牛の肉を食べたことはあるか?」

勇者「あるが、それがどうした」

陛下「それは私たちが人間を喰らうことと同じではないのか? それとも人間は豚や牛を食す度に命を奪ったことを一生悔いて過ごすのか?」

勇者「そ、それは」

陛下「私は人間を食うことに躊躇はない。だが、人間に食べられてもいいと思っている。それが対等というものだ。それが貴様ら愚かな人間は自分たちは多くの命を奪っておきながら、自分たちの命を奪われれば悪だと罵る」

勇者「くっ、黙れ!」ドゴ

陛下「効かんよ。人間の拳など。私はここに来た人間は全て追い返してきた。貴様等もそういう運命にある」

陛下「問おう、勇者。貴様にとって悪とは何だ。自分には都合が悪い悪人だが周りから見たときは善の人か。自分に都合が良い善人だが周りから見たときは悪の人か」

勇者「そんなもの決まっている。後者だ!」

陛下「果たして本当にそうかな?」

陛下「そういって理想ばかりを口に出来る貴様が私は羨ましい。だが、貴様には現実というものを教えなければならん」

陛下「後ろを見てみろ」

勇者「!?」フイッ

陛下「貴様は私と話していた時、私がここにいた、動いていなかったと思っていたのだろう。だが私は君と話しているときに既に君の仲間を拘束した」

陛下「おかしいと思わなかったのか。五人もいるのに私と貴様以外は一言も喋っていないことを」

陛下「さぁ、どうする? 貴様の命を差し出せば仲間を返してやろう。しかし私に剣を向けるなら貴様諸共殺す」

陛下「仲間だけでも帰らせるか、仲良く揃って死ぬか。二つに一つだ。どっちにしても貴様は死ぬ」

勇者「くっ……」

陛下「答えがでぬか。そりゃそうだ。自分が一番可愛いんだ。自分を投げ出せば仲間は助けられる……が自分も助かりたいよなぁ」

陛下「それが人間だ。どこまで誇り高い理想を持とうと最後は結局自分を守る。人のためになんか死ねるはずがない」

勇者「くっ」

陛下「さぁどうする。時間はいくらでもある。考えるがいい」

勇者「ぜ、前者だ。俺が死ぬ、だから仲間は開放してくれ」

陛下「最後くらい格好良く死にたいか。いいだろう。貴様の死は貴様の仲間に伝えよう」

陛下「では死ね」

勇者「」

陛下「さて、貴様らは開放してやろう。さっさとここから立ち去れ」

波紋使い「そ、そんな勇者様!」

拳法家「勇者!」

博士「くっ」

陛下「また、来ても同じことになるだけだ」

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