パワプロ〜君といた日々〜 (14)

ぼくの名前は早川あおい...プロ五年目の投手だ
恋恋高校からロッテに入団、去年キャットハンズに移籍した

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今までスタミナ不足のせいか中継ぎがメインだったが5年もやってるせいか最近は先発も任されるようになってきた...
だが結果は...未だ勝利は無い...

監督「8回まで無失点か...早川!9回も行けるな?」
あおい「はい!」
ぼくはこの日プロ初めてと言っていいほど絶好調だった

-9回表 日本ハム 1番センター矢部 背番号〜
元パワフル高校の矢部くん...
矢部「打つでやんす!」
あおい「負けないよー!」
一球目をギリギリストライクの所に決める...

矢部「相変わらずコントロールはいいでやすんね!」苦笑いして素振りをする
あおい「...」
そして三振で仕留め二番打者をセカンドごろに仕留めた!
あと一人でプロ初完封だ!
〜三番DH 清本〜
今日は彼に4安打も許している...気を抜けない!

清本「同点にさせて貰う!」
と高々に構えるそして何かに包まれているような雰囲気を纏う...
清本君に何処を投げても打たれる...でも勝つしかないんだ!
第一球得意のシンカー内角高めに投げこんだ!
清本「甘い」ブンッ!!
カキーーーーーン!
打球はレフトポール際...のファール
あおい「...」
懐かしいな...あの頃を思い出す

あおいはレフトポール際を見ながら5年前を思い出した...

実況「さぁ!今年の甲子園!あかつき附属対恋恋高校!いよいよ9回に突入します!」
この日は39°何処の日本よりも一番甲子園の気温が高かったという...
猪狩守「さすがしぶといな...だがこの回で決めて貰うおぞ」
と猪狩君がマウンドを僕たち恋恋のベンチ睨みながらベンチへと戻って行く...
???「さあ!最終回だ!2点勝ってるからって油断するなよ!」
と僕らと円陣を組みながら優男は言う...
そうこの優男こそ、恋恋野球部を立ち上げ、ぼくの試合参加を認めさせ甲子園に導いてくれた彼は大杉聖太

監督「大杉君!ちょっと!」
マウンドに行こうとしたのに呼び止められる大杉君...少し焦った表情...
ベンチ裏
監督「左肩肩見せてくれる?」
大杉「...隠しても無駄みたいですね」
観念したかのように左肩を出す...
監督「!?あなた傷口が....」「いつから?」
大杉「大分前からです...でも投げさせてください!」

そう、彼はある日にぼくを庇って左肩に深い縫い傷を負ってしまっていた...
監督「怪我人を、あなたを出させる訳には行きません!!」
大杉「なっ...監督!出させて下さい!」
深々と頭を下げて
大杉「あおいと約束したんです、甲子園の優勝のボールを渡すってだから、だから...」
監督「ふっ...あなたと言う優男さんは...早川さん?彼に一言ないの?そこにいるんでしょ?」
大杉「は?///」
あおい「監督///大杉君?ぼくは君に出会えて良かったと思ってるんだ...野球の情熱を君がもう一度くれた...ぼくは、、、ぼくは、、、」
(君が好きだとは言えない...)
大杉「ふふっ、、、あおい?」
「さくっと済ませて勝ってくるわ!」
(ばか...)

彼の傷口は幼いころ作ったらしい
成長と共に塞がってきたものの地方大会から投げ抜いたリスクとして徐々に開いてきたみたいだ...
監督「この状態で試合したらあなた一緒野球が出来なくなるわよ!」
大杉「構いません」
監督「構いませんってあなた!」
大杉「このチームで0から野球を作って色々な経験をしてきて今、こうして甲子園の決勝の舞台で戦ってるんです」
「たとえ今日が最後の野球になったとしても俺は何処でだって笑って過ごせると思います...最高な面子に出会えたんですから...」
と監督もあきれ顔で負けを認めたかのように
監督「無理だと判断したら即早川さんに変わるわよ?」
大杉「はい!」いつもの優しい顏でベンチから飛び出す...が
ぼくの目の前まで歩いてくる
大杉「あおい?」
あおい「??」
大杉「勝ってるから」
あおい「うん!」

9回表
1.2番と凡打に抑えたが3番猪狩進に甘めのスライダーをセンターオーバーされ2死2塁
バッターは四番猪狩守...
猪狩守「早く終わらせてやる!」
構える猪狩守の威圧感に押されそうになる...
ビリビリと全身に震えを感じるが大杉は笑っていた...
大杉「勝つ」
ボールを強く握り振りかぶる...球場の空気が静寂になりミットの音が響いた...
ストライクー!
猪狩は空振りをし
「なんだ?こいつ、、、まだこんなボールを放るのか...」
続いて2球目スローカーブ
猪狩「ちっ!」
タイミングを外されファールに留まる
猪狩守「この僕がこんな球に食らいつくだけで精一杯だとはな...」
大杉「さすが猪狩守...今のは俺の中のイメージでは空振りさせたつもりだったんだけどな」
とキャッチーの返球を受け取ったその時...ズキズキと左肩に違和感を覚える初めていた...
こんな時に...指に感覚をなくなるのを感じていた...
大杉はベンチで手を合わせて応援しているあおいの顔を見る...
大杉「約束...守らないとな...」
そう思いながら三球目を投げた...
が!指に力が入らずすっぽ抜けの甘めの球が...
猪狩守「貰ったよ...」
カキーーーーーン!!!
大杉は打球の行方を見なかった...
痛恨の同点弾...

悔しがる恋恋ナイン
同点弾に喜ぶあかつきナイン...
大杉は左肩が千切れる思いで5番打者をセンターフライに打ち取った...
大杉「みんな、ごめん!大事な所で...」
捕手「あほ!心配すんな!この回でサヨナラといこうぜ!」
ナイン「そうだ!そうだ!」
はるか「大杉さん!お疲れ様です!ドリンクとタオルです」
大杉「ありがとうはるかちゃん...」
監督「大杉くん?三番まで回るけどバッティングは大事なの?」
大杉「打たれたぶん、サヨナラ狙います!」
あおい「左肩...大丈夫?」
大杉「...まあね笑」
笑って見せたけどもう使い物にならない...この回で終わらせないと

猪狩は149台のライジングショットを幾度なく使い1,2番と三振で仕留めた...

大杉「次は俺か...」とゆったりとバッターボックスと歩いて行く...
やけに視界が霞むな...
左肩の痛みにもう体までもが限界に近づいていたのだ...
猪狩進「大杉さん...もう体が...兄さん!!この人を打ち取ったら....」
猪狩守「ああ、勝ち目は我らあかつきにあるって事さ!!」
ライジングショット!
スパーーーン!!ストライク!!
147km
大杉(やべえ...いよいよボールも見えなくなってきちまったか...)

2球目も146kmのライジングショット...
だが大杉はバット振った...もうとっくにミットの中に入っているのに...
恋恋ナインは目から涙が流れていた...
監督「あのこ...もう...」
はるか「大杉さん...」
ナイン「キャプテン...」
猪狩守「君って奴は...ライバルとして相応しいよ...だが僕らは君を打ち取って3連覇させてもらうぞ!」
大杉は完全に気力をなくしかけていた...
あおいはそれを見ているのにも辛かった...
あおい「大杉くん!!約束守ってよね!」
!!!!約束...そうだ俺は約束したんだ、、、
このメンバーで甲子園を優勝するって、あおいにウィニングボールを渡すって!
ここで気力を失う訳にはいかない!!
大杉は全身に秘めていた物をバットに込めた...
猪狩守「死んだ魚の目はしていない...以前と...いやそれ以上気力に満ちているね」
あおい「大杉くん!」
ナイン「かましたれーー!」
猪狩進「兄さんここは一ky.....」
猪狩守「進、ここは全力ライジングショットだ!」
大きく振りかぶって猪狩守の今日1番のライジングショットを放つ!
球速は...今日MAXの152km!!!!!
大杉「負けてなるものか!!」
これが俺たちの恋恋野球部の全てだ!

カキーーーーーン!!!!!
ボールは高々にレフトスタンドに上がっていく...
球場の人は皆ボールを目に追っていく...
猪狩守は笑いながら完敗だと口を漏らす...
ボールはレフトポールに直撃しボールはレフトの前に転がった...

サヨナラホームランを決め恋恋野球の初甲子園初優勝を飾った...
大杉はダイヤモンドをゆったりとゆったりと走る...3塁まで来たところを猪狩守が声をかける...
猪狩守「君には今回負けたが次は負けない...お前に打たれないストレート...ライジングショットを超える物を投げてやる!!」
大杉「はは...マグレだよマグレ...」
猪狩守「ふん、凡人の君が言うんだマグレって事にしといてやる...レフト!ボールを投げろ!!」とレフトに指示をする
大杉「?」
猪狩守「君達、恋恋野球部のウィニングボールだ...」
大杉「ああ、、、」
ボールを受け取り大杉は恋恋ナインが待っているホームベースにゆったりと歩いて行くのであった...

なつかしいな...あの後校歌を歌って彼は病院に行ってお見舞いにいってウィニングボールをくれたんだっけ...
あのお礼してないな...卒業後連絡もとってないけど...今日...プロ初完封出来たらこのウィニングボールをプレゼントしよ...

実況「さあ、、、いよいよ大詰め!早川選手初完封になるか!それとも清本が同点弾を打って日本ハムの連勝に繋げるか!」第三球投げた!!

監督「今日は良く頑張ったな!お疲れ!解散!」
チームメイトA「お疲れ様ですーお先に失礼します!」
チームメイトB「お疲れ様です!!」
あおい「お疲れ様!」
チームメイトC「今日飲みにいくか?」
あおい「今日はぼくは先に帰ります!」
チームメイトがどんどんロッカールームから出ていく...
???「あおいー!おめでとうー!!」
と恋恋時代マネジャーだったはるか
あおい「はるかー!来てくれてたの?ありがとう!嬉しいな!」
はるか「私だけじゃないの...ふふ、大杉さんも来てたみたいだよ?」
....え?大杉くんが?
あおい「え?何処に何処に?」
はるか「球場の外で待たせているわ!あおい!いって来なよ!」
あおい「え...あ、うん!!ごめん!待ってて!」
急いで球場を飛び出した...

はあはあ...何処に大杉くんがいるんだろ?みあたらないよぉ...やっぱり帰っちゃったのかな?
ウィニングボール渡したかった...それと...伝えたい事...
残念そうに引き返そうとした所に...背が高くて少し痩せ細った優男の姿が...
あれは?大杉くん?

あおい「大杉くん!大杉くん!」
と信じられないくらい大きな声を出してしまって通行人の目に止まってしまった...///
大杉「よう!久しぶりだな笑元気にしてた?」
と相変わらずな口調でしゃべる
あおい「何言ってんだよ!5年ぶりだよ?大杉くんこそ元気だった?」
「最後に話したの卒業式じゃないか!」
大杉「そうだっけ?笑」と苦笑いして彼は言う
大杉「プロ初完封おめでとう!頑張ったなー!」
あおい「ありがとう!所で君は今何してるの?」
大杉「あ、俺?うーんと、イレブン大学を卒業して神楽坂グループに就職してるんだ」
あおい「へえーあの1%しか入れない名門に?....って事は野球やってるの?」
大杉「まあな、左肩はもう使えないって言われたけど投手の指導とかならやってんだ俺」
「今年入った新入社員めっちゃキレてる捕手でさー」
あおい「....」ぐす
大杉「え?おおおい!何泣いてんだよ!」
あおい「野球続けてたんだって...それが嬉しくて...野球出来ないって言われて楽天の1位指名も断って...退屈そうにしてた君を見るのが苦しかったんだ...」
そういうと余計涙が出て来て...
大杉「寂しい思いをしてたんだな、悪い」
「お前の気持ちにも気づいてやれなくて...お前がプロになって活躍してるの嬉しかったんだ!本当に!デビュー戦だって見に行ったんだぞ!」
あおい「!!な、なんで一言声かけてくれなかったんだよ!」
大杉「...情けなかったんだ...頑張って開幕1軍でスタート出来るように頑張ってんのに何もしてない自分がいるのを...怪我した時もういいやって思っててさ、大学適当に行って就職適当に決めて後の人生ゆったりと過ごそうと...でも、ふとお前の事が浮かんでさ...いつか会う時こんな俺は見せられないと思ってそこから必死にリハビリ、練習、勉強しっかりやって...神楽坂で野球出来るようになってやっとやっと顔向け出来るなって...だから」
あおい「ぷっははは、本当君はバカだよ...バカ!大バカヤローだよ!」
大杉「っな、」
あおい「でもそんな君をぼくは好きになっちゃったんだろうね...///」
大杉「えっ...」
あおい「はい!これぼくのプロ初完封ウィニングボール!甲子園初優勝のウィニングボールのお返し...」
大杉「あ、ありがとう...お返しとか...いいのに、あの時はただ約束したから果たしただけで...」
あおい「それじゃ.....して...」
大杉「えっ...??」
あおい「ぼくを...早川あおいを見守ってくれるって約束して?」
...........
大杉「嫌だね〜」
あおい「えっ...」
大杉「そんな約束とか守れるわけ無いだろ?お互い環境が違うんのに」
あおい「そ、そんな...本気だったのに...」
大杉「ああーもう、、、俺の言い方悪いっつーか...ん、ん、だから俺がそう言うの言わなきゃなの!だからな?お前の事が大好きだ、あの時から今も...これからも!ずっと俺のそばに居てくれないか?」
あおい「...はい」

fin

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