モバP「この後……」ちひろ「飲みのお誘いね、わかるわ」 (20)

P「……ちょっと似過ぎでしょ」カタカタ

ちひろ「ふふっ、ありがとうございます」カタカタ

P「それで、どうでしょう?」カタカタ

ちひろ「勿論OKですよ」カタカタ

P「よし」カタカタ

ちひろ「……そういえば今日はCoお姉さま方が暇してるんじゃないですか?」カタカタ

P「誘いませんよ。相手はアイドルですし」カタカタ

P「男とサシ飲みするのは抵抗ありますか?」カタカタ

ちひろ「試したんですよ。プロデューサーさんの目的を」カタカタ

P「ちひろさんとサシ飲み希望です。裏なんてありませんからね」カタカタ

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ちひろ「分かりました。そういうことならお付き合いします」カタカタ

ちひろ「よし、お仕事終わりっ」

P「あれ、予想以上に早い……!」カタカタ

ちひろ「飲みですよ飲み。仕事なんてすぐ終わらせたいじゃないですか」

P「あー……もうちょっと待ってください。すみません、誘っておいて」カタカタ

ちひろ「いいですよ。女性はお出かけの準備には手間が掛かるものですから」

ちひろ「ただ、あんまり遅いとCo酒飲み勢を呼びますからね」

P「ちょ、ちょっと待ってそれは勘弁してくださいって……!」カタカタ

ちひろ「そんなにあの人達と飲みたくないんですか?」

P「別に、そういう訳じゃ……」

ちひろ「じゃあ……私と2人が良い、とか?」

P「ぎくぎくっ」

ちひろ「ふふっ、わざとらしいですよ。私はそんな面白い反応はしませんからね」

P「……よし、気合入りました。すぐ終わらせます」カタカタ

ちひろ「それじゃ、待ってますね」

P「はい」カタカタ


ちひろ(……よく分からないなぁ)

ちひろ(結局上手くはぐらかされた気がする。敢えて下手なリアクションをとってみた、とか)

ちひろ(勿論、私だってプロデューサーさんと2人で飲むのは好きだけど……)

P「お待たせしました」

ちひろ「それじゃ、行きましょうか。店の予約をしておきましたから」

P「ちひろさんチョイスの店ですね。楽しみです」

ちひろ「あんまり期待するのは無しですよ?」

ちひろ「実は以前、楓さんと一緒に飲みに行った事がある場所なんですけどね」

P「それもしかして俺も知ってる店かもしれませんね」

P「俺も前に楓さんとサシ飲みしたことありますし」

ちひろ「それは、ちょっと残念ですね……3人の穴場かぁ」

P「今度一緒に探してみましょうか。楓さんは色んな場所を網羅してますけどね」

P「2人の秘密ってことで」

ちひろ「はい」

——


ちひろ「ここです」

P「なるほど、俺は入った事無い店ですね」

ちひろ「小さいですけど、美味しいですよ。中の雰囲気も結構明るいです」


店員「いらっしゃいませ……あ、毎度」

ちひろ「こんばんは。2人で」

店員「……彼氏さんですか?」

ちひろ「さて、どうでしょうね」

店員「ふふ、ではこちらへどうぞ」

店員「ご注文はお決まりですか?」

ちひろ「生2つ、枝豆、シーザーサラダで」

店員「かしこまりました」


P「……知り合いですか?」

ちひろ「知り合いって訳じゃないですよ。ただの顔なじみです」

ちひろ「楓さんと2人で飲んでる時に、ちょっと仲良くなりまして」

P「あぁ、どちらか狙われてるんですね」

P「美人が2人で飲んでたら、そりゃ声を掛けたくもなります」

ちひろ「またまた、楓さんはともかく……」

P「ちひろさんも相当です」

ちひろ「……怒ってます? あぁいや、妬いてるんですか?」

P「ノーコメント。お酒が入ったらお答えしますから」

店員「お待たせしました。生2つ、枝豆、シーザーサラダです」

P「早いですね」

店員「それがウリです」

ちひろ「刺身の盛り合わせと、タコのから揚げを」

店員「かしこまりました」


P「それじゃ乾杯しましょう」

ちひろ「乾杯っ」カキンッ

P「乾杯」カキンッ

ちひろ「ささ、ぶっちゃけて下さい。妬いてたんですか?」コク

P「早いですって」ゴクゴク

ちひろ「むむ……じゃあもう少し飲んだら聞きますから、答えて下さいね」

P「でも、良い店だってのは分かりました」

P「飲むのは、楽しくなくちゃいけませんからね。店員も大事です」

ちひろ「でしょう?」

P「さて、今日も飲みましょうかね」

P「一回ちひろさんの酔った状態を見てみたいんですけどね」

ちひろ「潰れない自信はありますよ。少なくともプロデューサーさんよりは」

P「そうですか。是非トコトン飲み明かしたいところですが……」

ちひろ「明日に響いても困りますからね」

店員「お待たせしました。刺身の盛り合わせ、タコのから揚げになります」


ちひろ「それじゃ、早速レモンをかけておきました」ギュウッ

P「どうも」

ちひろ「実はこれ、楓さんの真似なんですよ」

P「またあの人は……ちょっとフリーダム過ぎるな……」

ちひろ「まぁまぁ。プロデューサーさんはレモンかけた方が好きですよね?」

P「それはそうですけど……」

P「真似と言えば、さっきの川島さんのモノマネ上手かったですね」

ちひろ「モノマネって、茄子ちゃんの得意技の一つらしくて。教えて貰ったんですよ」

P「茄子ですか……そういえば趣味は隠し芸でしたね」

P「初めてプロフィールを見た時はちょっと驚きました」

ちひろ「ギャグも使いますしね。精度はイマイチですけど」

P「……ぶっちゃけますと、事務所のギャグ使いは皆、アレな出来ですよね」

ちひろ「まぁスベリ芸ってやつです」ゴク

P「なるほど」パクパク

ちひろ「色気の無い話は止めましょうか」

P「?」

ちひろ「凛ちゃんとの付き合い、長いですよね」

ちひろ「どうなんです? 老夫婦みたいな雰囲気になってきたと思うんですが」

P「凛は卯月と未央と同時にですよ?」

ちひろ「話を逸らそうとしても無駄ですよ」ゴク

ちひろ「凛ちゃん、本当にプロデューサーさんと一緒に居るのが当然みたくなってますよね」

ちひろ「年は若いですけど、大人な雰囲気も持ってますし」

ちひろ「正直、物凄くレベルの高い女性だと思ってます。魅力的だと感じたことはありませんか?」

ちひろ「……聞いてます?」

P「はい。いや、実際凛は凄いと思いますよ。オールラウンダーですね」

P「ですが……」

ちひろ「……ふむ、店員さーん」

店員「お待たせしました。ご注文をお伺いします」

ちひろ「生2つ、牛ロースステーキ、ポテトサラダで」

店員「かしこまりました」


P「……もう少し、アルコールが欲しいです」

ちひろ「なるほど。ちょっと深い話になりそうですね」

P「いや、大した事は無いんですよ? ただ、ですね……」

ちひろ「ほら、そうやって言いよどむ……」

P「はは……しかし、牛ロースステーキって……」

ちひろ「美味くてオススメですよ。お肉好きでしょう?」

P「そりゃどうも……」

店員「お待たせしました。生2つ、ポテトサラダです」

ちひろ「ありがとうございます」


P「……」ゴク

ちひろ「……」ゴク

P「ちょ、ちょっと急に黙らないで下さいよ」

ちひろ「いえいえ、話し易い雰囲気を演出しようかなと……」

P「むしろ躊躇いますって……」

ちひろ「そんなものですか?」モグモグ

P「ちひろさんって、遠慮をあんまりしないタイプですよね。だから気にならないんですか……」

ちひろ「……素を出すのは、プロデューサーさんの前だけですよ」

P「嬉しいことを言ってくれますね」ゴク

ちひろ「2人で飲んでるんですよ? そちらも遠慮は要りませんからね」

ちひろ「それに大人ですから、愚痴を聞くのは慣れてます」

P「そうですか……」

P「……凛のことは信頼してますよ。仕事の面では問題無いです」

P「凛って、俺の最初に関わったアイドルじゃないですか?」

P「その時の俺って相当緊張してたんですよね。壁を作って、必要以上の干渉は避けようって、固く決めてたんです」

P「凛もなんていうかドライで。まぁ結果としてスタートダッシュは成功しましたけど」

P「それをまだ引き摺ってる情けない男が、俺です」

ちひろ「……へぇ」

P「バレンタインの仕事の凛、覚えてますか?」

ちひろ「可愛い系の衣装着てましたよね。仕事はちゃんとこなすのに、常時照れっ放しだったらしいですね」

P「はい。その時にチョコ貰ったんですよ。罰ゲームか何か知りませんけど、卯月と未央が嗾けたみたいで」

P「顔真っ赤にして、チョコ渡されて……その時にようやくですよ。渋谷凛っていう女の子に、初めて出逢いました」

P「……他のアイドル達の事を悪く言えませんね。俺もガキです」

ちひろ「つまり、仕事仲間が可愛い女の子だったもんだから、恥ずかしくて仕事がやりにくいなー、と」

P「言い方が悪過ぎます……」

ちひろ「分かり易く噛み砕いただけですよ」パク

P「まぁ、なんというか初期の頃のクールな仮面が大分剥がれてきてましてね」

P「ここは、結構ハンドルの微調整が大事かなと思います、ってことで」


店員「おまたせしました。牛ロースステーキです」


ちひろ「んー美味しそう……」

P「ホントですね」

ちひろ「はい、あーんしてください」ズイッ

P「ちょ、自分で食べられますから……///」

ちひろ「……あぁ、女性嫌いなんでしたっけ?」

P「誤解を招く言い方はやめて下さいって。女性は好きですよ」

ちひろ「『女好き』も相当誤解を招く言い方だと思いますけどね」

P「くっ……」ゴクゴク

P「店員さーん! 生1つ!」ダンッ!

P「……まったく」

ちひろ「ふふっ、なるほどなるほど。面白いですねプロデューサーさん」

P「勘違いしないで欲しいんですけど、別にアイドルの前でこんな態度をとってる訳じゃないですからね」

ちひろ「勿論ですよ、そうじゃなきゃ私も困りますから」

ちひろ「さ、どんどんこんな話で行きましょう」

P「えーまだ続けるんですか……」

ちひろ「凛ちゃん繋がりで、私の中でこれだと思うアイドルが居るんですよね」

ちひろ「この子の事は、是非聞いておきたいんですよ」

P「どちら様で?」

ちひろ「加蓮ちゃんです」

P「加蓮、ですか……」

ちひろ「アニバーサリーパーティーの時は笑っちゃいました。ホント、大事に育ててますよね」

P「……アイツは、いちいち大切にするんですよね」パク

P「病院暮らしは昔の事、って言ってますけど……いつか居なくなりそうで怖いんです」

ちひろ「それは、確かに分かります……」

P「トライアドプリムスの仕事も、加蓮の希望だったんですよね。ユニットもやってみたいって」

P「で、ちょっと案を組んでみたんですよ。まぁプロデューサーとしてどうかなと……」

ちひろ「そんなことないですよ。千川ちひろとしても、事務員としても応援したいと思います」

P「実際人気が出たのは嬉しいですけどね。加蓮含め、あの3人の能力は非常に高いと思いますし」

ちひろ「そういえばプロデューサーさん、加蓮ちゃんがウチに来てから煙草止めましたよね?」

P「正解です。1つは加蓮の身体の為。もう1つは加蓮を売り出す際のイメージに合わなかったからですね」

ちひろ「トライアドプリムスは今後どうします?」

P「アイツらはまだまだ上に行けます。ガンガン売り込んでいきますよ」

ちひろ「なるほど、決意表明を頂いたところで真面目な話は終わりです」

ちひろ「何にせよ。加蓮ちゃんがとっても大事、ってことですね。わかるわ」

P「だからやめて下さいって、似過ぎで怖いです……」

ちひろ「ふふっ。この間のウエディングドレス姿、相当グッと来たんじゃないですか?」

ちひろ「そのまま持って帰りたくなりませんでしたか?」

P「アレには泣きそうになりましたね。父親の心境ってこんな感じか、と」

ちひろ「むー反応が薄い……」

P「……アイツは、多分担当アイドルの中で一番恋愛対象として見れないと思いますから」

ちひろ「それ、加蓮ちゃんには絶対言わないで下さいね」

P「……えぇ、勿論分かってますよ」

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