小鳥「プロデューサーさんのコスプレ推しが結構ウザい」 (65)

書き溜めてます

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プロデューサー宅

小鳥「えへへ……プロデューサーさん、今日も良かったですよ」

P「そ、そうですか……そりゃまぁ…どうも////」

小鳥「なにいまさら顔赤くしてるんですか? あんなことしといてぇ」

P「やっぱり恥ずかしいじゃないですか」

小鳥「ふふっ、なぁんだか思春期の男の子みたいですね」

P「思春期……か」


P「小鳥さん」

小鳥「はい?」

P「…………」

小鳥「……どうしました?」

P「いや……あの……ちょっと引くようなこと言ってもいいですか?」

小鳥「引くようなこと?」

P「はい」

小鳥「ど、どうぞ」

P「コスプレ……しませんか?」

小鳥「へ? コスプレ?」

P「はい」

小鳥「えっと……それって………」

小鳥「あっ! 事務服を着たままで……ってこと?」

P「いえ、違います」

小鳥「ってことは……普通にコスプレをするんですか?」

P「えぇ」

小鳥「で、その格好のまま…セッ……そういう行為を?」

P「そうです」

小鳥「…………」

P「やっぱり引きますよね」

小鳥「そ、そんなことないです!」

小鳥「同人誌をたくさん持ってるような人間が、そんなことで引いたりはしませんよ」

P「あっ、そうか……」

小鳥「でもコスプレなんてやですよぉ」

P「えー? 引かないんでしょ?」

小鳥「実際にやるのとでは話が違うじゃないですか」

P「絶対可愛いと思うんだけどなぁ」

小鳥「そ、そう言っていただけるのは嬉しいですけど……コスプレはいやです」

P「そんなぁ」

小鳥「ちなみにコスプレって……何かのキャラ? それとも……」

P「制服です」

小鳥「何の制服ですか?」

P「それはもちろん女子高生の」

小鳥「あぁ……なおさら嫌ですね」

P「えーどうしてですか?」

小鳥「…………わかってるくせに」

P「???」

小鳥「それにしても……どうして制服なんですか?」

P「これには非常に悲しい過去がありまして……」

小鳥「過去……?」

P「今じゃ言えない秘密じゃないけど、出来ることなら言いたくないんですが……」

小鳥(だったら言わなきゃいいのに)

P「ご承知のとおり、俺にとって小鳥さんが初めての女性です」

小鳥「私もプロデューサーさんが……」

P「つまり寂しい青春時代を過ごしたというわけですね」

小鳥「そうなりますね」

P「他の生徒がイチャコラしてて、それを横目に舌打ち一つ……ってな具合に」

小鳥「ちょいちょい分かりにくいネタを挟まないでください」

P「俺には、ときめきのメモリアルなんてこれっぽっちも無いんです」

小鳥「…………」

P「つまりどういうことかと言いますと」

小鳥「…………」

P「制服を着た女の子とイチャイチャしたかったわけですよ、若かりし俺は」

小鳥「それが叶わず、憧れをこじらせた結果が……制服フェチということですか?」

P「幸いにも、女子高生に対する憧れにシフトせず、その着衣に対するものへと発展したので」

P「女子高生をどうこうしたいとかいう、危険思考を抱くには至りませんでしたけど」

小鳥「へぇーそれはよかったですねー」

P「っとまぁ、これが制服にこだわる理由です」

小鳥「だから私に着て欲しい……その格好でイチャイチャしたい……と?」

P「はい」

小鳥「う〜〜ん」

P「やっぱり厳しいですか?」

小鳥「いや、私もね? プロデューサーさんと青春をやり直したいって気持ちは同じですよ?」

P「それなら……」

小鳥「だからって私が制服を着るのは……なんかチガくないですか?」

小鳥さんの中の人はときメモ4のヒロインだったじゃないか!
もっと!もっと!


支援

P「なにがチガウんですか?」

小鳥「私はもう20代……後半です」

P「はい」

小鳥「そんな私が制服を着たって……着せられてる感バリバリじゃないですか」

P「ですから、着衣に対する憧れと言ったではないですか」

小鳥「それって制服着てたら誰でもいいってことでしょ?」

P「いや……それは違いますよ」

小鳥「どう違うんです? 私じゃなくてもいいってことですよ」

小鳥「それこそ、そーいうお店に行けば……」

P「それが嫌だから、こーして小鳥さんに頼んでるんじゃないですか」

小鳥「でも私が着たら、絶対『何かチガウなぁ』って言いますって」

小鳥「『出来心で娘の制服を着てみた母親みたいだ』って言いますよ!」

P「そんなこと言いませんし、それはそれでアリじゃないですか!」

小鳥「えっ……」

小鳥(私も大概だけど……プロデューサーさんもちょっと変わってるわね)

小鳥「と、とにかく! 保留にさせてください」

P「……わかりました」

小鳥「それで……ちょっと聞きたいんですけど」

P「えぇ、どうぞ」

小鳥「制服って……もう持ってるんですか?」

P「いえ、コスプレ衣装って生地がチャチじゃないですか。 だから迷ってるんです」

小鳥「確かに………でもセシールとかならそれっぽいの売ってますよ」

P「……よく知ってますね」

小鳥「えっ? い、いや別に興味本位で調べたりとか……してませんよ」

P「そういうことにしときましょう」

小鳥「あとは……セーラー服かブレザーかだと、どっち?」

P「ウチの高校はブレザーでしたので、必然的にそちらです」

小鳥「…………」

小鳥(私のときもブレザーだったわね……そういえば)

P「もしかして、持ってたりします? 制服」

小鳥「へ?」

P「昔着てたヤツを……」

小鳥「それは……お家に電話してみないと分かんないですけど……」

P「そうですか……」

小鳥「それにサイズだって……まぁ身長とかはそんなに変わらないかな」

P「体型は変わったんじゃないです?」

小鳥「……どーいう意味ですか?」

P「いや、他意は無いですよ」

小鳥「ホントですかぁ?」

P「え、えぇ」

小鳥「っていうか、ちょっと待ってくださいよ! まだ保留ですからね?」

P「分かってますよ。 無理やり着せるのは嫌ですから」

小鳥「申し訳ないですけど、少し考えさせてください」

P「もちろんです」

——————
————
——

小鳥「——ってことがあったんですけど……どう思います?」

律子「いつぞやもそうですけど……その話を私にするってどうよ……」

小鳥「だって律子さんしか相談できる人が居ないんですもの……」

律子「される方の身にもなってくださいよ」

小鳥「いいじゃないですかぁ切実なんですよぉ〜」

律子「切実も何も、小鳥さんはどうしたいんですか?」

小鳥「私もプロデューサーさんと同じで、暗い青春時代を送りましたから……」

小鳥「プロデューサーさんの気持ちはよーく分かるんです」

律子「だったらコスプレしてあげたらいいじゃないですか」

小鳥「でも、こんな年でしょ? だから……」

律子「恥ずかしい?」

小鳥「そんなとこです」

小鳥さんの同人推しが結構ウザいの続き?

律子「でもプロデューサーだって恥ずかしかったんじゃないですか?」

小鳥「私にコスプレを頼むのが?」

律子「えぇ……もしかしたら、嫌われるかもしれないとまで思っていたかも」

小鳥「そのくらいで嫌ったりなんかしませんよ」

律子「自分の趣味を人に晒すというのは、結構勇気がいるんですよ」

律子「それでもなお打ち明けてくれたのは、小鳥さんを信頼してるからこそ! でしょ?」

小鳥「……そうですね」

律子「ですからその勇気と信頼に応えてあげましょうよ」

小鳥「うん……まぁ、そうしようかしら……」

律子「よしよし」

小鳥「でも私だって勇気いるんですよ? 中年増の女がコスプレなんて……ねぇ」

律子「何言ってるんですか、そんなことありませんよ」

小鳥「そ、そう?」

律子「そうですよ」

律子(もうイロイロと手遅れですから……)

律子「それで? 衣装はもうあるんですか?」

小鳥「うぅん、まだなの」

律子「どうするんです?」

小鳥「もしかしたら実家にあるかもしれないから……」

律子「おっ、いいですね。 本物だったらプロデューサー喜びますよきっと」

小鳥「そうね」

律子「ちょっと連絡してみたらどうです? お家に」

小鳥「え? 今から?」

律子「えぇ」

小鳥「今しなくていいですよー」

律子「いえいえ、早いほうがいいですって絶対」

小鳥「とか言って、律子さんが気になるだけでしょ?」

律子「……認めましょう、そのとおりです」

小鳥「…………」

小鳥「分かりました、やってみます」

>>12
一応はそうです

小鳥「…………」

律子「…………」

小鳥「……あっ、もしもし? お母さん?」

小鳥「うん……ゴメンね急に」

小鳥「うぅん仕事中……ちょっと聞きたいことがあって……」

小鳥「あの……私の高校のときの制服って………ないわよね?」


小鳥「…………あるんだ」

律子(…………あるんだ)


小鳥「え? いつでも着れる……?」

小鳥「ち、違う違う! 私が着るんじゃなくて……」

小鳥「ほら、アイドルの衣装の参考に……しようかなぁって」

小鳥「……うん……そう…………うん」

律子(流石に使用目的は言えないか……まぁ当然ね)

小鳥「……え?」

小鳥「い、いや……それは……その………」

小鳥「ちょ、ちょっと忙しいからもう切るねっ!」

ピッ

小鳥「……ふぅ」


律子「最後のほう、何て言われてたんですか?」

小鳥「『アンタ例のプロデューサーとはどうなったの?』ですって」

律子「あぁ、なるほど」

小鳥「『プロポーズは?』とか『孫の顔が……』とか言われる前に切ってやったわ」

律子「心配してらっしゃるんですよ、きっと」

小鳥「うん……それは分かってるんですけど……」

律子「まぁまぁ、いずれそういう報告もできるんでしょ?」

小鳥「だといいけど……どうかしらね」

律子「大丈夫ですって! 二人ほどお似合いなカップルはいませんよ」

律子(片や同人趣味で、片やコスプレ趣味だもの……)

律子「それじゃ、取りに行くことにしたんですね?」

小鳥「えぇ、もう決心がついたわ」

律子「…………あっ」

小鳥「ど、どうしました?」

律子「イイこと思いつきました」

小鳥(なんだろう……すごく嫌な予感がする……)

律子「ちょっとお耳を拝借……」

小鳥「はいはい」

律子「明日の朝………が…………後に…………」

小鳥「…………」

律子「……から…………ておいて…………」

小鳥「えぇ〜!? ムリですよぉ〜」

律子「大丈夫ですって……ね?」

小鳥「………………わ、わかりました」

小鳥「でもどうだろうなぁ……」

律子「何がですか?」

小鳥「一応お家で試着してみますけど……サイズ面が不安で……」

律子「あぁそうですね、主に胴まわりが……」

小鳥「胴まわりぃ!?」

律子「じょ、冗談ですよ!」

小鳥「せめて胸囲って言ってくれませんかねぇ」

律子「そうそう、それが言いたかったんです」

小鳥「律子さん? あんまり大人をからかっちゃダメよ?」

律子「す、すみません」

小鳥「ふふっ、冗談ですよ」

律子「あはは……なぁんだ………」

律子(目がマジなんですけど……)

小鳥「なにはともあれ……相談に乗ってくれてありがとう、律子さん」

律子「大したことしてませんけどね」

小鳥「うぅん……この前だって相談に乗ってくれたし」

律子「っていうか、そうしないと仕事してくれないじゃないですか」

小鳥「え?」

律子「遠い目をして『はぁ……』とか溜息付くばかりで」

小鳥「私……今、そんな感じでした?」

律子「自覚無かったんですか?」

小鳥「まったく」

律子「わざとかと思ってました」

小鳥「そんな構ってちゃんみたいなことしませんよぉ」

律子「まぁいいです。 無事解決したんですから、仕事してくださいね」

小鳥「あっ、もう3時ですよ! 休憩しましょう休憩!」

律子「……おい」

————
——

春香「コスプレ……ですか?」

P「あぁ」

春香「それって……小鳥さんがコスプレをした状態で……す、するんですか?」

P「うん……どう思う?」

春香「普通アイドルにそんな話しますぅ?」

P「ほ、ほら! 時間的なこともあってさ、春香ぐらいしか話せる人居ないんだよ」

春香「いつかもそんなこと言ってましたよね」

P「そうだっけ?」

春香「それで? 小鳥さんは何て?」

P「保留だってさ」

春香「それなら……簡単なことですよ。 結論が出るまで待つしかないです」

P「……やっぱり?」

春香「はい」

春香「だって無理やり着せるわけにいかないじゃないですか」

P「そうだな……」

春香「ちなみに何のコスプレですか?」

P「制服だよ制服。 女子高生の」

春香「制服? 何か理由があるんですか?」

P「小鳥さんにも言ったんだけど……簡単に言うと、制服フェチなわけだ」

春香「そんなに胸を張って言うようなことじゃないです……」

P「サーセン」

春香「フェチ……ですか」

春香(だから私が制服で事務所に行ったとき、ちょっと様子がおかしかったんだ)

P「どうした?」

春香「い、いえ……なんでも」


春香「とりあえず待つことです。 その間、ゼッタイこの話題に触れちゃダメですよ」

P「わかってるよ」

春香「これから事務所に戻るんですから、小鳥さんと会いますよね?」

P「99パーセント会うだろうな」

春香「多分その時、小鳥さんは気まずそうにしてるはずです」

P「うん」

春香「ですから、プロデューサーさんは何食わぬ顔で接してあげてください」

春香「『コスプレの話なんて知らないよ?』って感じで……」

P「つまりは変なプレッシャーを与えないようにしろってことだろ?」

春香「そうです! 仮にあとで断られても、小鳥さんを責めないでください」

P「もちろんだ。 まぁ流石に事務所でこの話はしないだろうけど」

春香「そうですね……律子さんに『仕事しろ!』って怒られちゃいますよ」

P「とはいえ、もう夕方。 サラリーマンだったら帰っていい時間だけど」

春香「でもプロデューサーさん定時で帰ったことないんでしょ?」

P「……まぁな。 『5時から男』なんてのはありえない話さ」

春香「なんですかそれ?」

P「いや、知らないならいい」

————
——

ガチャ

P「ただいま戻りまし……うわっ!」

小鳥「きゃっ!」

P「あービックリしたぁー」

P(いきなり飛び出してくるから、ぶつかるかと思った)

春香「わぷっ!」

P「おっと!」

春香「もぅプロデューサーさん! 急に立ち止まらないでくださいよぉ〜」

P「ムチャ言うなって」

春香「あー鼻が痛い……ってあれ? 小鳥さん?」

小鳥「お、おかえりなさい春香ちゃん」

春香「ただいまです!」

P「そういう小鳥さんは、もうお帰りですか?」

小鳥「え、えぇ……ちょっと用事が………」

小鳥「帰る前に……コーヒー淹れますね」

P「あっ大丈夫ですよ。 それより用事の方を優先してください」

小鳥「でも……」

律子「小鳥さん、コーヒーは私が淹れますから」

P「なんだ律子、いたのか」

律子「いちゃ悪いですか?」

P「いやいや、そういう意味でなくて」

律子「ったく……恋は盲目ってのは本当なのね。 ねぇ春香?」

春香(私も気付かなかった……なんて言えない……)

律子「どうしたの?」

春香「な、なんでもないです!」

P「……なんにもな〜いなんにもな〜い」

小鳥「まったくなんにもな〜い」

律子・春香「「なんですかそれ?」」

P「いや、知らないならいい」

律子「ほらほら小鳥さん、早く帰らないと」

小鳥「あっはい! それじゃ……お先です!」



P「…………階段を駆け下りていったぞ」

春香「随分慌ててましたね」

P「なぁ律子、小鳥さんの用事って何なんだ?」

律子「さぁ……聞いてないですけど」

春香「プロデューサーさんこそ、何も知らないんですか?」

P「うん」

春香「ま、まさか……浮気?」

P「えっマジ!?」

律子「あのねぇ……小鳥さんがそんなことするわけないでしょ?」

P「そ、そうだよな! するわけないだろ春香」

春香「……そうですね」


P・春香・律子『あっはっはっはっはー』

P「用事だって、大したことじゃないよ」

律子(フッ……そうかしら?)

P「そうだ、春香も今日は帰るか?」

春香「え? 明日の打ち合わせとかいいんですか?」

P「予定の変更はないから、明日は今日と同じくらいの時間に来てくれたらいい」

春香「分かりました」

P「そいじゃ、お疲れさん」

春香「お疲れ様でした! 律子さんも!」

律子「おつかれさま」


P「……ふぅ」

律子「さて、ブラックでしたっけ? コーヒー」

P「あぁ、悪いな。 ブラックはブラックだけど……」

律子「アメリカン……ですね?」

P「イエス」

翌日

春香「おっはようございまーす!」

P「おはよう春香」

春香「小鳥さんと律子さんも、おはようございます」

律子「うん、元気でよろしい」

小鳥「……おはよう春香ちゃん」

春香「あれ? 小鳥さん、どうかしたんですか?」

小鳥「え? な、なにが……?」

春香「いえ……なんとなくいつもと違うかなぁーって」

小鳥「そ、そんなことないんじゃないかしら? ねぇ律子さん?」

律子「そんなことなくもないと思いますけど……」

小鳥「ちょ、ちょっと!」

律子「あはは、冗談です」

小鳥「もう……」

P「おーい春香、そろそろ行くぞ」

春香「あっはーい」

小鳥「あ、あの……プロデューサーさん?」

P「はい?」

小鳥「今日は夕方まで帰ってこないんですよね?」

P「えぇ、そうなると思います」

小鳥「そうですか……わかりました」

小鳥「…………」

P・春香(小鳥さん、もしかして……寂しいのかな)

小鳥「な、なんですか?」

P「いえ……」

律子「お二人とも、早く行かないと」

P「おっとそうだった!」

春香「行ってきまーす」

小鳥「…………」

律子「行きましたね」

小鳥「えぇ……行ってしまいました」

律子「さて! ではさっそく……」

小鳥「…………」

律子「あれ?」


小鳥「あの……ホントにやるんですか?」

律子「当たり前でしょ。 何の為に昨日早く帰ったんですか?」

小鳥「でも誰か来たら……」

律子「来客なんて滅多にないし、アイドルになら見られても平気でしょ?」

小鳥「平気じゃないですよぉ」

律子「うーん」

小鳥「……仕事が手に付かなくなるかもしれないですし」

律子「分かりました。 じゃあ夕方なら良いでしょ?」

小鳥「ま、まぁ夕方なら……まだ………」

律子「よし決まりですね」

————
——

春香「絶対何かありますって、小鳥さん」

P「だからその何かってのはなんだよ」

春香「それは分かんないですけど、なんとなくそんな感じなんです」

P「随分とあいまいだな」

春香「大体、私よりプロデューサーさんが気付かないといけないんですよ?」

P「どうして?」

春香「どうしてって……恋人でしょ?」

P「…………」

春香「むしろ、プロデューサーさん以外に誰が気付くんですか?」


P「……となればだ、気付かないといけない俺が気付いていないということはだよ?」

P「春香が言うような“何か”が存在しないってことだ」

春香「それって単にプロデューサーさんが鈍感なだけじゃ……」

P「ぐぬぬ……」

P「とにかく、俺にはいつも通りの小鳥さんにしか見えなかった」

春香「そうかなぁ……」

P「まぁまぁいいじゃないか」

春香「でも……」

P「ほら、もうすぐ収録始まるから、とりあえず忘れなさい」

春香「プロデューサーさんは考えててくださいよ」

P「わかったわかった」

春香「何か取り返しのつかないことにならなきゃいいですけど……」

P「心配しなくても大丈夫だよ、多分」

春香「うーん……」

『そろそろお願いしまーす』

P「ほら来たぞ」

春香「あっはーい! それじゃ、行ってきますね!」

P「がんばれよ」

春香「もちろん!」

『天海春香ちゃんでーす』

春香『どうもこんにちはー!』

P「…………」

P(収録時にケロッとしてるってのは……流石はプロだな)

P(しかし、小鳥さんの様子がおかしかった……か)

P(俺には普段と変わらないように見えたけどな……)

P「…………」

P(何か取り返しのつかないこと………?)

P「…………」

P「もしかして……」

P(俺がコスプレしてくれ、なんて言ったから……)

P(別れようって…………)

P「…………まさかな」

P「そんなはずないよな……?」


P「ないですよね? 小鳥さん……」

春香「……どうでした?」

P「あぁ、うん……まぁよかったんじゃないか?」

春香「もう! ちゃんと見てくれてたんですか?」

P「……正直あんまり」

春香「どうせ小鳥さんのことばっかり考えてたんでしょー」

P「そうしろと言ったのは春香だろ」

春香(……そうだったっけ?)


春香「それで、何か分かったんですか? 小鳥さんのこと」

P「いや、相変わらずだ」

春香「そうですか……」

P「変なことにならなきゃいいけど……」

春香「この話を振ったのが私だから、あんまり言えないですけど……」

春香「そんなに気にしなくていいと思いますよ」

P「そうか?」

春香「はい」

春香「私も分かんないですし、プロデューサーさんも分かんない……」

春香「考えて分かんないのなら、考えないほうがいいです」

P「まぁな」

春香「その方が精神的にもいいんじゃないかと……」

P「確かにそうかもしれないな」

春香「でしょう? なんとかなりますって」

P「いやしかし……」

春香「ほら、難しい顔しなくていいですから、笑って笑って!」

P「あ、あはは……」

春香「もう……これじゃ立場が逆じゃないですか」

P「いやぁ面目ない」

春香「さ、次の仕事に行くんでしょ? 早くしないと」

P「あぁそうだったな!」

春香「しっかりしてくださいよ?」

P「わかってるよ」

————
——

P「お疲れさん、今日もよく頑張ったな」

春香「えへへ……ありがとうございます」

P「もう事務所に戻るけど……お腹空いてたりしないか?」

春香「大丈夫ですよ。 それより早く戻りましょう」

P「そうか……でも、飲み物ぐらいは奢るよ」

春香「いいですって」

P「遠慮しなくてもいいんだぞ?」

春香「いつも奢ってもらってばかりですから」

P「そうだっけ?」

春香「そうですよ」

P「いつものことなら、尚のこと遠慮はいらないじゃないか」

春香「いいからいいから、早く行きましょう」

P「あ、おーい」

事務所

律子「もう帰ってくるんじゃないですか? あの二人」

小鳥「えっもうそんな時間?」

律子「そろそろ準備したほうがいいと思いますよ」

小鳥「…………はぁ」

律子「なんですか溜息なんて」

小鳥「やっぱり……やめた方がいいんじゃないかしら?」

律子「もう決まったことです! 」

小鳥「で、でも……」

律子「そんなに心配しなくても平気ですって。 女は度胸! ですよ?」

小鳥「そうですけどぉ」

律子「プロデューサーさん喜んでくれますって絶対」

小鳥「…………わかりました」

律子「会議室使っていいですから」

小鳥「はい」


ガチャ

小鳥(あっ来た!)


P「ただいま戻りま……し………た?」

小鳥「お、お帰りなさい」

春香「わぷっ!」

P「…………」

春香「もぅプロデューサーさん! 急に立ち止まらないでって………あれ?」

小鳥「…………」

P「小鳥さん……その格好……」

小鳥「え、えと……制服です」

P「……ですよね」

小鳥「…………」

P「…………」

春香(ど、どーいうこと?)

律子「さーて、帰るわよ春香」

春香「えぇ!?」

律子「何よ?」

春香「いや……別に……」

律子「プロデューサー? 明日、春香は?」

P「へ? なに?」

律子「だから、春香は明日どうしたらいいんですか?」

P「あっ……えぇっと、明日はレッスンだけだから……その時間に遅れないようだけ頼む」

律子「ですって……春香、わかった?」

春香「は、はい」

律子「それじゃ、私と春香はこれで」

春香「お、おつかれさまでした」

P「…………」

小鳥「……また明日ね」


バタン


小鳥「…………」

P「そ、それって……本物ですか?」

小鳥「えぇ、私が高校時代に着てたものです」

P「そうですか……」

小鳥「…………」

P「あの……」

小鳥「は、はい?」

P「いえ………」

小鳥「分かってますよ……変ですよね、やっぱり」

P「そんなことないです! すっごく似合ってますよ!」

小鳥「そ、そうですか?」

P「……いや、本当ですよ? お世辞抜きで」

小鳥「お気遣いどうも……」

小鳥「あの……プロデューサーさん、今日は?」

P「今日ですか? もう帰ろうかと思ってますけど」

小鳥「そうですか……だったら、行きましょう」

P「えっ……あ、そうか! 今日は俺んちに来る日でしたね」

小鳥「はい」

P「でも……その格好で家まで?」

小鳥「…………ぁ」

小鳥(帰るときのこと考えてなかった……)

P「着替えます?」

小鳥「で、でも……アレですよね。 制服の子とイチャイチャしたかったんですよね?」

P「それはまぁ、そうですけど」

小鳥「だから、その……いっしょに帰りましょう」

P「えっと、いいんですか?」

小鳥「ちょっと恥ずかしいですけど、頑張ります」

小鳥「あ、でも……援助交際とかに間違われちゃいますかね?」

P「それは大丈夫だと思いますけど」

小鳥「むっ……ちょっと、どーいう意味ですか?」

P「は?」

小鳥「私がオバサンだからって言いたいんですか?」

P「いや、違いますよ! ほら、アレですよアレ!」

小鳥「どれですか?」

P「えーっと……あのぅ……き、兄妹に見えるって言いたかったんです!」

小鳥「……ホントですかぁ?」

P「本当ですよ。 やだなぁ〜」

小鳥「う〜ん」

P「さ、さぁ行きましょう!」

小鳥「なんだかなぁ〜」

P「…………」

小鳥「…………」

P「…………」

小鳥「な、なんですかコッチばっかり見て……しっかり前を向いて歩いてください」

P「いや……かわいいなぁ〜と思って」

小鳥「も、もう………ばか」

P「女子高生がこんな服着てたら……そりゃ変質者も出ますよね」

小鳥「本物には手を出さないでくださいよ?」

P「分かってますよ。 小鳥さんで我慢します」

小鳥「我慢だなんて……妥協してるみたいに……」

P「なに言ってるんですか。 俺は小鳥さんだけしか見てませんよ」

小鳥「んなっ!?」

P「どうしたんですか? 鯉みたいに口をパクパクして」

小鳥「さらっと恥ずかしいこと言うの禁止です!」

P(俺なんか言ったっけ……?)

P「そういえば、鞄もあるんですね」

小鳥「えぇ、母が残してたみたいで」

小鳥「制服着てるのに鞄だけいつものだと……変でしょ?」

P「お母さんグッジョブ!」

小鳥(お母さん……か)

P「どうかしました?」

小鳥「あの……義はつきますか?」

P「ギ? なんですかそれ?」

小鳥「い、いえ……お気になさらず」

P「ぎ、ぎ、ぎ………うーん」

小鳥「考えなくていいですってば!」

P「あっはい」

小鳥「さ、早く行きましょー!」

P「あっ、待ってくださいよー」

小鳥「うふふっ、敬語はダメですよ」

P「……さて、無事に着きましたね」

小鳥「職質されることもなく」

P「流石にそれはないでしょ」

小鳥「でも、ものすごく怪しいですよ私たち」

P「そうですかね?」

小鳥「そうですよ」


P「まぁいいや……早く中に入りま……」

小鳥「あっ、ちょっと待って!」

P「なんですか?」

小鳥「私が先に入ってますから、いいって言ったら来てください」

P「え? でもなんで……」

小鳥「いいから!」

P「わ、わかりました」

P(一体何なんだろう……?)

P「…………」

小鳥「いいですよー」

P「はいはい」


ガチャ


P「……っと」

小鳥「お帰りなさい……お、お兄……ちゃん」

P「」


小鳥「あれ?」

P「い、今なんと……?」

小鳥「だから……お帰りなさい、お兄ちゃん!」

P「……すばらしい!」

小鳥「そ、そう?」

P「ちょっと俺、もう一回出ますから! 次はセンパイでよろしく!」

小鳥「え? あっ、ちょっと!」


バタン


P「いきますよー?」

小鳥「は、はい」


ガチャ


P「ただいまー」

小鳥「お、お帰りなさい……センパイ」

P「うん、いいですね……」

小鳥「…………」


P「次はセンセで」

小鳥「えっ……まだするんですか?」

P「先生じゃなくて、センセですからね!」

小鳥「はい、どうぞー」


ガチャ


P「ふぅ」

小鳥「お帰りなさい、セーンセ」

P「おぉ……この背中がむず痒くなる感覚は実にいいものだ」

小鳥「…………」

P「いやーどれもすばらしい!」

小鳥「…………」


P「えーっと次は……」

小鳥「もう! いい加減にしてください!」

P「あっ、待って小鳥さん。 ちょっと向こう向いてください」

小鳥「えっ? こ、こう……?」

P「そのままそのまま…………よっと」

小鳥「うひゃぁ!?」

小鳥「ちょ、ちょっとなにやってるんですかぁ!?」

P「ほぉ……これがスカートめくりかぁー」

小鳥「や、やぁ……恥ずかしい」

P「なに恥ずかしがってるんですか?」

小鳥「だ、だってぇ」

P「制服に似合わず、大人っぽい下着っていうギャップが実に素晴らしい」

小鳥「うぅ……恥ずかしくて死にそう」

P「うーんでもやっぱり……パンツってのはチラッと見えるからいいんだな」

P「うん! パンモロよりパンチラだ!」

小鳥「いいから早くスカートを下ろしてくださいぃ〜」

P「え? 脱がすんですか?」

小鳥「違いますよ! めくってるのを下ろしてって言ってるんです!」

P「あぁそういうことですか」

小鳥「んもうっ!」

P「…………」

小鳥「えと……もう………するんですか?」

P「まぁ……そのつもりですけど」

小鳥「わ、わかりました」


P「…………」

小鳥「………んっ」

P「な、なんだか……イケナイことしてるみたいです」

小鳥「そ、それは……なりきり度が足りないからですよ」

P「なりきり度?」

小鳥「私は女子高生で、プロデューサーさんは学年がひとつ上の男の子……」

小鳥「そう考えれば普通でしょう?」

P「えぇまぁ」

小鳥「私も無理は承知で、それでも頑張ってなりきりますから」

P「でも、どうして俺の方が学年が上なんですか?」

小鳥「い、いいじゃないですか別にそれくらい!」

小鳥「私たちは今高校生で、二人は付き合ってるんです」

P「はい」

小鳥「それで……都合のいいことに、ご両親が旅行で居ないわけですよ」

P「だから初めて泊まりにきた……ということですね?」

小鳥「そう」

P「でもなんか……同人誌でそんなのありませんでした?」

小鳥「……余計なことは考えない」

P「すんません」

小鳥「それで、二人はドギマギしながら帰ってきて……」

P「帰ってきて……」

小鳥「今に至る」

P「…………」

小鳥「どうですか? なりきり度が高まってきました?」

P「うん、まぁ……」

小鳥「大事なのはイメージを維持し続けることです。 では、続けますよ?」

小鳥「…………」

P「…………」

小鳥「え、えと……わたし……ハジメテなんです」

P「…………」

小鳥「だから……そのぅ………」

小鳥「優しくしてくださいね、センパイ」


P「……こ、小鳥さん」

小鳥「あーダメですよ」

P「えっ?」

小鳥「貴方は今、プロデューサーじゃなくてセンパイなんですから」

P「は、はぁ」

小鳥「ですから……私のことは小鳥って呼んでください」


P「こ、小鳥……」

小鳥「センパイ……」

——————
————
——

小鳥「あぁ〜あ、プロデューサーさんと高校時代に会いたかったなぁ」

P「あはは……そうですね」

小鳥「二人で青春を謳歌したかったです」

P「まぁまぁ、過ぎた日のことを嘆いたってしょうがないですよ」

小鳥「それはそうですけど……」

P「青春なんて、これから謳歌すればいいじゃないですか」

小鳥「えっ?」

P「早くに出会えなかった分、ずっと一緒にいればいいんです」

P「一生かけて、青春の穴埋めをしますから」

P(なかなか良いこと言うなぁー俺も)

小鳥「…………」


小鳥「あ、穴埋めだなんて……いやらしい」

P「うそーん」

P「さぁ次はどんな格好でしましょうか?」

小鳥「…………なんですって?」

P「だから、どんなコスプレをしますか? スク水? メイド?」

小鳥「いやいやいや……私はもう………」

P「待てよ……小鳥さんの最大の魅力は、なんといってもグンバツの脚!」

P「その美脚を活かすには……チャイナ服しかないっ!!」

小鳥「ちょ、ちょっと!」

P「問題は服の色と……スリットの長さだな」

小鳥「プロデューサーさ〜ん?」

P「短すぎるのもダメだし、長すぎるとイヤラシさだけが際立ってしまう」

小鳥「いい加減に……」

P「あくまでも上品なエロスでなくては……」

小鳥「いい加減に………しなさい!!」

P「いでっ! 何ですか!? チョップはないでしょチョップは!」

小鳥「ったくもう……」

小鳥「もうコスプレなんてしませんからねっ!」

P「えーどうして?」

小鳥「どうしてって……もういいじゃないですか」

P「そんなぁ〜もったいなーい」

小鳥「なんといわれようと、ダメなものはダメです!」

P「だったら、せめてチャイルドスモックだけでも………」

小鳥「チャイルドスモックぅぅ?」

P「ほら、幼稚園児の格好ですよ」

小鳥「幼稚園児って……い、一番ダメですよそんなの!」

P「一番ダメなんですか!?」

小鳥「いやだって……アイドルの子達の年齢ならまだ分かりますけど……」

小鳥「私だったら、保母さんとかになるのが普通じゃないですか!」

P「何をおっしゃいますか! 成人女性にチャイルドスモックはポピュラーですよ!」

小鳥「どの世界のポピュラーですか……」

P「視覚的に可愛いってのはもちろんですけど……」

小鳥「…………」

P「そこに『この年でこんな格好……恥ずかしいわ』っていう羞恥心が加わってですね」

P「なんとも名状しがたい魅力が、身体中から醸し出されるわけですよ!」

小鳥「…………」

P「体操服でも同じような効果がありますけど……やっぱりここは園児服でしょ!」

小鳥「いや……あの………」

P「よし! そうと決まれば……」

小鳥「ちょっ、なに勝手に話進めてるんですか! 私は着ませんからね!」

P「往生際が悪いですねぇ」

小鳥「だって……」

P「もう次で最後にしますから……多分」

小鳥「やですよぉ〜」

P「そうですか………」

小鳥「…………」

P「はぁ〜あ、見てみたかったなぁ……残念だなー」

小鳥「…………」

P「ぜっったい可愛いんだけどなぁ……残念だなー」

小鳥「…………」

P「小鳥さんの新たな魅力が見つかると思ったのになぁ……残念だなー」

小鳥「…………」

P「美人で可愛くてエロい小鳥さんに、ロリ要素が加わったら最強なのになぁ……残念だなー」

小鳥「…………」


P「はぁ……残念だなー」

小鳥「そ、そんなに……」

P「え?」

小鳥「そんなに着て欲しい……ですか?」

P「えぇ、そりゃーもう!」

小鳥「そう……」

小鳥「じゃあ……着てあげてもいいかなぁ………」

P「えっマジですか!? ぃやったー!!」

小鳥「…………そのかわり、最後ですよ?」

P「それは……」

小鳥「やっぱり止めよ」

P「あー嘘です嘘です! 次で最後!」

小鳥(こんなに必死なプロデューサーさん初めて見た……)

P「さっそく衣装を……あっそうだ! 絆創膏も要るな……」

小鳥「…………」

P「えーっとまず、上と下で最低でも三枚は必要だろ? あとは膝に一枚……」

P「そうだ! カミソリも準備しておかないと!」

小鳥「…………はぁ」




小鳥(もうやだこんなプロデューサー……もうやだこんな恋人……)

END

お粗末さまでした

おつー


園児服は真美にも着せたい



そこはPもコスプレすべきだろ

乙 ブレザーもいいけど、やっぱり小鳥さんは事務員制服が最高だと思うんだ

>>63
完全に同意
あの絶対領域はやばすぎる

乙乙

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