エレン「…母さん」ユミル「」(112)

どうも、はじめましての人は初めまして

打ち切りって大体の構想を練ってから戻ってきました。

―???―

破壊された建物、彼方此方から立上る炎 人々が巨人から我先にと逃げ惑い、
悲鳴をあげながら喰われていく、辺りは正に地獄絵図だった。
巨人に破壊された家の下敷きとなり、身動きがと れない母を助けようするが
瓦礫をよって潰された母の体は、まるで壁と同化したようにビクともしない。

カルラ「エレン!逃げてっ!」

横目に己の体格の数十倍はある巨人が写る。
醜く口角を上げ、必死に逃げようとしている自分達を嘲笑うかのように此方に迫ってきていた。

エレン「逃げたいよ俺も!早く出てくれよっ!」

カルラ「母さんの足は瓦礫に潰されて…ここから 出られたとしても走れない…!…分かるだろ?」

エレン「俺が担いで逃げるよっ!」

涙を流しながら母の懇願を断る。分かっている。逃げなければ自分も死ぬのは分かっているのだ。
しかし、それでも母と別れたくはない。母と今生の別れにはしたくない。

カルラ「どうして、いつも母さんの言うことを聞かないのっ!」

カルラ「最後くらい言うことを聞いてよっ!」


エレン「嫌だっ!…嫌だ…」

巨人の足音と振動がゆっくりと迫ってくる。 だがそのとき、兵士の一人がエレンを担ぎ上げる

エレン「待って、母さんがまだいるんだ!助けてくれ!」

カルラ「エレン!」

エレン「母さん!母さん!」

巨人が夕日に照らされ、さらに大きな影がカルラを覆い尽くす。
カルラを潰していた瓦礫を、払うかのように退けてつかみ掛かった。

巨人「…」ニタァ

カルラ「エレン…生き延びるのよ」


巨人につまみ上げられ、涎を垂らした口へと運ばれていく
肉や骨の潰れる音、鮮血を撒き散らしながら絶命 した母の姿が写りこむ

エレン「ぁ…ああ…うわぁぁぁっ!!母さぁぁぁん!」

母を殺された絶望、悲しみ、怒り、様々な負の感情がぶつかり合い絶叫する。
同時に目の前の景色が暗く塗りつぶされ、消えていった。

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エレン「ハァ…ハァ…」

喉が渇く
激しい動悸を少しでも落ち着かせる為に肩で息をする。
暑くもないのに冷や汗でベッタリと染み付き気持ち悪い。

声を上げて同期を起こさなかった事だけが救いだと拳を握り締める

エレン(クソッ…またかよ…)

今まであの出来事を夢を見ることは無かったが
最近この夢を良く見る

エレン(……いい加減にしろよな)

最悪な気分な上に目が覚める。
それでも目を瞑り、無理矢理寝ようとするが
睡魔は来てくれない様だ

エレン(……)

―対人戦闘訓練中―

エレン「ッ!」

体を前面に倒し突進する要領で、ナイフに見立てた木剣をアニへと突き立てようとする

アニ「シッ!」

それに対しアニは、己の間合いへと入ってきた瞬間にローキックを放ち、エレンの突進を止める。

エレン「いっ!!」

苦痛に顔を歪める。
しかし、何度も続けてきた攻防だ。蹴りが当たる瞬間に当たる面をずらして致命的なダメージにはならなかった。


エレン「このっ!」

再度、木剣を突き立てる。
相手の体制が崩れている時…アニの蹴り足が戻る前に一気に突っ込んで決める…はずだった。

アニ「フッ!」

エレンの突きを体を横にして回避し、相手の勢いを利用して一気に背面を取る。
アニはその隙を見逃さず、蛇のようにエレンの首と腕に掴みかかった!

エレン(やばっ!)

そう思い、手を振り払おうとした瞬間にアニの強烈な足払いが足と地面とを切り離していた。
どさりと派手に地面に体を打ち、背中を打った痛みが己の負けを教えてくれる。


エレン「~~~っ!……アニ、もう一回だ!」

アニ「三回までだって言ったろ?今日はもうおしまいだ。」

エレン「くっ…もう一回だけ駄目か…?」

アニ「と言うかアンタいつもより攻めが単調すぎるよ」

アニ「目に隈もできてるし、まともに寝てないんじゃない?」


エレン「ちょっとな…でも問題ねえよ」

アニ「冗談じゃない。そういうのはアンタだけじゃなく私も怪我する原因なんだよ」

アニ「この機会に息抜きをする術も学んだら?」

エレン「そんな暇はねえよ。少しでも鍛えねえと…」

アニ「あっそ、じゃあ私以外の誰かと組みな」

此方を振り返らず、手を振りながら離れていく
とりあえず今日はもう付き合ってくれることはなさそうだ。

エレン「くそっ!……他の奴とでも組むか」

エレン「ん?…アイツは…」

対人格闘術は他の重要な科目とは違い評価の点数にならない。
故に成績上位の訓練兵は流す者が殆どだ。

ユミル(……ったく、こんな訓練にクソ真面目にやってる奴の気がしれねぇな)

目線の先には金髪の少女クリスタがミカサと組んで真面目に対人格闘術の訓練をしている。
…訓練と言うよりは遊ばれていると言ったほうが近いが

ユミル(意味のねぇ訓練で疲れるなんて馬鹿のすることだっつの)ハァ…

当のユミルはと言うと教官に目を付けられないように移動しながら上手くサボっていた。

ユミル(っと、教官がこっちに近づいてきやがったか)

教官の視界に入らない場所に移動しようとした時、後ろに気配を感じた。

キタ━(゚∀゚)━!!!


まってたよ。期待

エレン「よう」

ユミル「あぁ?…エレンか、何か用かよ?」

エレン「…クリスタと一緒にいないんだな。珍しい」

ユミル「こんな面倒な訓練の時にまであんなクソ真面目な奴と一緒にいる訳ねぇだろ。で、何の用だ?」

エレン「組む相手がいなくなったんだ。お前も暇そうだし一緒にやろうぜ」

ユミル「人の話聞いてたか?せっかく面倒な訓練をサボってるのにやる訳ねぇだろ」

ユミル「と言うかなんで私なんだよ。アニとかミカサとでも組んでろ」

エレン「アニはさっき断られちまったんだ。ミカサは…クリスタと組んでるだろ。」

だから頼むよっと言いたげに此方をジッと見つめてくる。

ユミル「あっそ、どっちにしろお前みたいな馬鹿の相手なんかパスだ。体がもたねえ。」

エレン「…そうかよ」スタスタ

ユミル(……何だアイツ?)

思った以上に早く食い下がった事に肩透かしをくらってしまう。

ユミル「ま、どうでもいい。…適当に流して終わらせるか」

?「何を流すと言うんだ?」

ユミル「決まってんだろ?この退屈な訓練だよ」クルッ

キース「ほう、どうやらこの訓練は貴様にとって退屈なようだな。…どれ退屈にならないよう
     貴様には特別に別な課題を与えよう」

ユミル「」

食堂とは厳しい訓練を終えた訓練兵にとって一日の憩いの場である。食事の時間には満員となり、決して上手いとは
言えない食事を喜ぶ声、訓練でうまく結果を残せず仲間に愚痴る声、時には仲間同士で意見がぶつかり喧騒が起こるのだ。

しかし、今はその食堂も消灯時間の間近になれば暗く静寂に保たれてる。
そんな時間に騒ぎ立てていればいつ訓練所名物の鬼教官が頭突きを食らわせに来るか分からないからだ。

そのような時間に珍しく歩く人影が一つあった。

ユミル(あー……ったく、あのハゲ教官め、こんな時間まで走らせやがって……)

別にサボっていたわけではない『ちょっと』訓練を流していだだけだと悪態を吐き今日は運悪く、教官に目を付けられてしまったと頭をガシガシと掻く。

ユミル(おかげでクリスタと食うどころか、メシ抜きになったじゃねえか)

ため息混じりに仲間が残していてくれた硬いパンを齧り、租借する

(…もう少しマシな飯は出ないもんかね……ん? )

ふと自分以外に気配を感じ、周りを見渡すとテーブルに突っ伏している仲間の姿があった。

ユミル(…あれはエレンか?)

エレン「……」

こんな時間に食堂で寝てるなんて馬鹿なんだろうか
それよりも何時も周りにいる保護者がエレンを放っといて何してるんだ?そう思いつつも近づく

ユミル(…なんでコイツこんな所で寝てるんだ? )

エレン「……」

何となく向かい側の席に座り、安らかに寝息を立ててる姿を呆れた表情で眺めながら残ったパンを口に放り込んだ

ユミル「ふぅ…今日も硬いパンをごちそうさんっ と…」

一息つき、改めてエレンの方を見るが、相変わらず安らかな寝息を立ている

ユミル(……コイツはどんだけ寝てんだよ)

一向に起きだす気配のない姿に眉を潜め、チラリ と壁にかかった時計に視線を移す
そろそろ教官が見回りに来る時間だ。

ユミル「ま、知ったことじゃねぇな」

ユミル「お前も教官に罰則を食らいな」ククク

良くて頭突き一発、明日額が腫れていたら笑ってやろうとそう呟いて踵を返す。

エレン「……母さん」ツー

ユミル「───っ!」

微かに紡がれた言葉、自分の足音に紛れて聞こえないほどの小さい声で呟かれた言葉のはずなのに
何故かはっきりと聞こえてしまった。思わず振り向き、エレンの方を見る。閉じた瞼が 僅かに濡れていた。

ユミル(…泣いてる…のか?)

エレン「…ぅぅ……」グスッ

今度は明確に嗚咽をもらす。嫌な夢でも見ているのだろうか

ユミル(ハッ…寝たまま泣けるなんて器用だな、おい)

シガンシナ区…
数年前に巨人の進撃にあった地区だ。
確かエレンはそこで育ったと言っていた。
実際に巨人を目撃した上で難民としてこちらに流れて来たなら唯ではすまない
本人は大したこと無いと言っていたが、壮絶な経験をしたという事は嫌でも想像がつく


ユミル「…だから何だってんだよ…」ボソッ

エレン「ぁ……ぅ…」グスッ

呟いた途端、片方の手が何かにすがる様に動いた
心なしか嗚咽も大きくなった気がする

ユミル(……)チッ

苛立ちが頂点に達して思い切り舌打ちをする。
教官に目を付けられた事といい、今日に限ってエレンがこんな所で寝ている事といい、今日は本当についてない日だ

ユミル「……」ストッ

エレンの隣に座り、ジッと見つめる。
いつも強気で絶対に諦めず、厳しい訓練をこなしている青年の顔はどこにもなく
迷子になった子供が必死に母を探している

そう…ユミルの目には写った

ユミル「……クソッ!」

本日何回目の舌打ちだろうか、喋らずにしてここまで腹立たたしい目の前の男は、自分を苛立たせる天才かもしれない

ユミル(…ったく、柄にもない事させやがって)

こう言うのはいつも周りにいる保護者の役目だろ。
そう呟き、エレンに対して何をするか考えた結果
叩き起こすのは気が引ける、しかし何もせずに待っていたら鬼教官に見つかる。

そう考え、エレンの頭を撫でる事にしたのだ。
出来るだけ優しく、割れ物を扱うかのように

ユミル(何やってんだかな私は…)ナデナデ

こんな事は所詮、意味のない自己満足だろう。
そう思い自分自身の行為に呆れていた。


ユミル(あぁ、もう面倒くせえ…!…)ガシガシ

もう片方の手で乱暴に頭を掻く
今日は運が悪くて、気分がおかしくなってるんだ
自分を苛立たせる目の前の男が悪いのだ

エレン「…ぅ……ん…」

ユミル「!」

いつの間にかに乾いた瞼をこすりながらエレンはゆっくりと体を起こす。

ユミル(ようやくお目覚めかよ、寝坊助野郎)

エレン「……ふぁ…」

まだまだ重たそうにうっすらと目を開けてこちらを見る

エレン「……」

ユミル「……」ギロッ

教官に見つかる前に起こしてやる所か
自分にこんな事をやらせたのだ。唯じゃすまさない
さて、何をやらせようか、どれだけコキを使ってやろうか…

そう考えた矢先に目の前の男は

エレン「…母さん?」

こんなすっとんきょうな事を言ってきやがった

ユミル「」

嫌な夢を見ていた。
いつもの夢だ。
どうにも、少しでも悪夢とやらは自分に休息を与えたくないらしい。

しかし、そんな夢でも飛び起きる気にはならなかった。


エレン(……暖けえ…)

誰かが頭を撫でている。
まるで太陽が包み込んでくれるかの様な感覚が頭にあったからだ。

エレン「…ぅ……ん…」

この手は知っている
自分を誉めてくれた時、叱られて拗ねていた時、落ち込んでいて励ましていてくれた時

そう、いつだって自分を受け入れてくれた感触だ。

エレン「……ふぁ…」

重たい瞼を無理矢理こじ開け、欠伸をかみ殺す
撫でている方に顔を向け体を起こして…

エレン「…母さん?」

そう…目の前の知り合いに呟いてしまった

ユミル「」

エレン「」

空気が凍る
ここまで適切に今の現状を表してくれる言葉はないだろう。

目の前の知り合いはピタリと固まってしまい、自分も何を言えばいいのか分からなくなっている。
無論、目は一瞬で覚めてしまった。

エレン「……」

ユミル「……プッ」

先に動いたのは知り合いだ。
自分の頭にあった手を口元まで持っていく

ユミル「ダハハハハハ!お前、母さんって、母さんって…!…何だよ!」ヒー

エレン「ぁ……え…」(な、何でユミルが…//)カアアアァ

自分は何を言ってるんだと一瞬で顔が青くなり、瞬く間に羞恥で耳まで熱くなる。

一方でユミルは腹を抱え、涙を浮かべながら笑い転げていた。

ユミル「私がお前の母さんな訳ねぇだろっての、エレンちゃんは実は甘えん坊なのかなー?」ゲラゲラ

エレン「なっ!、うるせぇ!ちょっと寝ぼけてただけだ!」

ユミル「だからって母さんはねーだろ…ダッハハハハハ」ヒー

エレン「ぐ…」

自分の失言だったのは事実だ。
言葉を詰まらせ、笑い転げるユミルを睨み付ける

ユミル「あー、笑った笑った、お前って面白い奴だったんだな」

エレン「…そうかよ」

涙を拭いながら、ようやく落ち着いたのであろう
軽く息を切らしながら、こちらを見てくる。

エレン「ってか、お前も人の頭をなでてんじゃねーよ!」

ユミル「強がんなってエレンちゃん、本当は撫でられたいんだろ?」ニヤニヤ

エレン「っ…そんな訳ねーだろ!」

目の前で手を揺らされ、先程の失言を改めて思いだし、顔を背ける。

ユミル「ま、何でもいいけどよ、明日の水汲み当番は私の代わりにお前がやれよ」

エレン「はぁ!?何で俺がやらなきゃ…むぐっ」

ユミル「静かにしろよ。消灯ギリギリなんだ教官に見つかったらどうするんだよ。」

理不尽な要求に思わず大声が出そうになった所で口を押さえられ、
シーっともう片方の手で口元に人差し指を当てて静かにしろとジェスチャーしてくる。

さっきまでのお前の笑い声はいいのかと目で抗議しながら振り払う

エレン「……」

ユミル「別にやらなくてもいいぜ?いい話の種ができた事だしな」ククク

エレン「なっ…お前…!…」

ユミル「そんなに怒るなよ、やってくれるならご褒美に撫でてやってもいいぜ?」

エレン「そんなご褒美なんかいる訳ねーだろ!」

ユミル「じゃ、無償で頼むわ」

エレン「…クソッ…分かったよ!」

逆立ちしても口じゃ敵わない。今まであまりユミルとは話した事はなかったが、この短いやり取りでその事がよく分かった

これ以上粘っても余計に馬鹿にされるだけだろう

ユミル「聞き分けのいい子は好きだぜ?エレンちゃん」ポンッ

エレン「ちゃん付けすんな!」

エレン(ああ、もう、何だって俺が明日水汲みをしなきゃいけないんだよ)

エレン(そりゃ、俺があんな所で寝てるのも悪いけどよ、あんなに笑うこともないだろ)

エレン(…あいつも人の頭を勝手に撫でやがって)ブツブツ

でも、と一呼吸置く。
撫でてくれた手は…柔らかくて優しかった

エレン「あいつの手、暖かったな」ボソッ

ミカサ「誰の手が暖かいの?」

エレン「うおっ!脅かすなよミカサ」

気配も無く突然後ろから声をかけられ驚く
名前を呟かなくて良かったと心底思った。

ミカサ「それはごめんなさい。驚かすつもりは無かった」

ミカサ「でもエレンもこんな時間までどうしたの?」

エレン「いや、食堂で寝ちまってな…」

ミカサ「エレン、そんな所で寝ててはダメ、体調を崩してしまう」

エレン「分かってるよ、ちょっと疲れが出ただけだ」

ミカサ「休むことも訓練の内、体を壊してしまったら元も子もない」

エレン「うるせぇな、分かってるって」

ミカサ「……」

相変わらずエレンの事を気遣うミカサから距離をとろうとする。


ミカサ「…それで」

ミカサ「誰の手が暖かかったの?」

エレン「…っ…別に誰でもいいだろ」

ミカサ「……」

エレン「……何だよ」

エレン「……何だよ」

ミカサ「…アニの事?」

エレン「いや、違う」

ミカサ「…じゃあ、誰?」

エレン「……っ」

先ほどの光景を改めて思い出す。
ユミルに撫でられていたこと、ユミルを母と呼んでしまったこと
その二つを思い出し再び顔が熱くなる

ミカサ「…エレン?」

エレン「だ、誰でもいいだろ!遅いしもう寝るぞ!」

ミカサ「あ……」

ユミル(あーあ、柄にもない事しちまったな)

ユミル(それにしてもあいつ…)

ユミル(ま、あいつにどう思われた所で関係ないか)


クリスタ「ユミル!」

クリスタ「今まで走らされてたんだよね?大丈夫?」

ユミル「クリスタ~、あいかわらず今日も可愛いな、私がいなくて寝れなかったか?」ダキッ

クリスタ「もう、心配してるのに!」

ユミル「心配いらねーよ、次はバレないようにサボるさ」

クリスタ「サボったら駄目だよ!ユミルは成績いいんだからで頑張れば上位10人にも…」

ユミル「評価に響く科目はそこそこ真面目にやるよ。」

ユミル「お前こそどうでもいい対人格闘術なんて適当に流せよ。ただでさえチビで体力ないんだから体もたねえぞ?」

クリスタ「それは…そうだけど、どんなことでも本気になれば楽しいから…」

どんなことでも本気で訓練をする…
クソ真面目にやってる姿だけは、エレンと一緒だな

…動機は全く違うが

ユミル「そうかよ…もうこの話題は終わりだ。」

ユミル「明日も早いんだし寝るぞ」テクテク

クリスタ「ま、まってよ。ユミル!」

エレン「…ふぁ」

エレン「はぁ…何で俺が」ブツブツ

起き慣れない時間に無理やり起きた為か、それとも最近の夢のせいか。顔を洗ったにも関わらず眠気が取れない。
ミカサの言う通り休むことも訓練だ。
昨日の食堂で寝てたこともそうだが、眠くてミスって訓練中に死んじゃいました何て悪い冗談だ。

エレン「とっとと終わらせるか…」

ふらふらと井戸から水を汲み上げようとした時にこちらに人影が向かってくるのが見えた。


クリスタ「…あれ、エレン?」

エレン「…ふぁ」

エレン「はぁ…何で俺が」ブツブツ

起き慣れない時間に無理やり起きた為か、それとも最近の夢のせいか。顔を洗ったにも関わらず眠気が取れない。
ミカサの言う通り休むことも訓練だ。
昨日の食堂で寝てたこともそうだが、眠くてミスって訓練中に死んじゃいました何て悪い冗談だ。

エレン「とっとと終わらせるか…」

ふらふらと井戸から水を汲み上げようとした時にこちらに人影が向かってくるのが見えた。


クリスタ「…あれ、エレン?」

期待

うわっ同じ内容を投下してしまいました

あと所処、内容を変えてますが、殆ど変えてない部分が多いので
そういうところは流して読んでもらえると助かります

エレン「ん、クリスタか、どうしたんだこんな朝早くに」

クリスタ「私は今日ユミルが疲れてるから代わりに水汲みをしようと思ったんだけど…」

クリスタ「どうしてエレンがしてるの?」

エレン「あ、ああ、えーと」

クリスタ「?」

突然の問いに言葉を詰まらせる。
脅されてやってます。と正直に答えてやってもいいんだが、主に昨日の出来事を根堀り葉堀り聞かれると困る

エレン「お、俺もクリスタと同じだ、昨日ユミルが疲れてたから代わってやるって言ってたんだよ」

クリスタ「!」

クリスタ「そうなんだ、ありがとう!」

エレン「…何でクリスタがお礼を言うんだよ?」

クリスタ「ユミルって本当は悪い人じゃないんだけど、誤解されやすいの」

エレン「……」

クリスタ「私も人の事言えないけど、親しく話す人とかあまりいないんだ。だからエレンみたいに気にかけてくれる人がいると嬉しいの!」

エレン「そうか…」

クリスタ「よかったらこれからもユミルをよろしくね」ニコッ

屈託の無い笑顔を向けられる。
同期達の会話で女神や天使と言われているが、なるほどこれがそうかと納得した。
同時に嘘を吐いた事への罪悪感も生まれる。

エレン「あ、ああ…」

クリスタ「じゃあ二人で水汲みを早く終わらせようか」

エレン「手伝ってくれてありがとな。」

クリスタ「ふふっ、こちらこそだよ。エレン」

~廊下~

ユミル「んで…二人で私の代わりに水汲みをやってくれたって訳か」

エレン「ああ…」

クリスタ「そうだよ。エレンってば力持ちだから助かっちゃった。」

エレン「俺もクリスタがいなきゃこんなに早くには終わらなかったからな。」

ユミル「流石、私のクリスタ、今度結婚しようか」ダキッ

クリスタ「も、もう、大げさだよ」

ユミルに肩を抱かれて、身じろぎシナガラ答えるクリスタ
軽く抵抗しながらも満更でもなさそうな様子にまるで姉妹ようだ。

クリスタ「ほら、エレンにもお礼を言わなきゃ駄目だよ!」

ユミル「分かってるってそれよりも今はクリスタだ」ナデナデ

エレン(こいつは相変わらずクリスタばっかだな…)

クリスタ「ちょ、ちょっと髪がグチャグチャになっちゃうよ!」

エレン「……」ジー

頭を撫でられ、一気に抵抗してユミルから離れる。
当のユミルは大げさに私の天使が離れちまったと言っている。

クリスタ「全く…もう、また梳かさなきゃ…」

ユミル「どうせ走り回ったりしたら意味ねぇだろ?今崩れても後で崩れても一緒だろ」

クリスタ「それはそうだけど、ユミルも女の子なんだから気を使いなよ!」

ユミル「そんな面倒な事やるわけねぇだろ。」

両手を上げで大げさに身振り手振りで理解できないと伝えてくる。
クリスタはその様子に頬を膨らませながらため息を吐く。

ユミル「それはさておきクリスタ、悪いんだが部屋からタオルを取ってきてもらえないか?」

クリスタ「え、うん、分かった」タッタッタ

チラリとエレンの方を見て目で合図をする。
クリスタは察したのか特に聞き返すこともなく離れていく。

ユミル「さてと…」

エレン「…なんだよ」

ユミル「まあ、約束だからな。あの事は言わないって事で、とりあえず礼は言わなくていいよな?」

エレン「別に構わねぇけどよ…」チラ

ユミル「あ?何だよ」

エレン「あ……その……」


ユミル「?」

エレン「……て…」

ユミル「は?聞こえねーよ、言いたい事があるならはっきり言え」イライラ

ジャンほどではないが思ったことをすぐにいう奴。
そういった印象だったため、言い難そうに言葉を詰まらせてる姿に多少のイラつきを感じた。

エレン「」カアアアァ

エレン「な、何でもねーよ!」ダッ

ユミル「……」





エレン「ハァ…ハァ…何やってんだ俺は」

エレン(危ねえ…俺はさっき何を言おうとしてんだよ!)

昨日、あれだけ笑われたんだ。次に撫でてくれ何て言ったら
笑われるどころじゃすまねぇぞ…

エレン(何て言われるか分かったもんじゃねぇ…)

しかし、昨日は失言をしてしまった事の恥ずかしさでよく見ていなかったが
細長い綺麗な手だった。まるでピアノ奏者のような手をしていた。

エレンきゅん( ^ω^)ペロペロ

エレン(ユミルの手…綺麗だったな…)

ライナー「よう、エレン。こんな朝っぱらから汗だくでどうした?」

エレン「!…ライナーか、ちょっと水汲みに行っててな」

ライナー「…今日はエレンが当番だったか?」

エレン「いや、ユミルの代わりにやってたんだ」

ライナー「ユミルの代わりに…?」

エレン「…ああ、頼まれたんだよ。」

ライナー「そうか、まあそろそろ朝飯の時間だ。早く食堂に行かねぇと席がなくなっちまう」

エレン「おぅ…」




ミカサ「おはよう」

アルミン「おはよう、エレン」

エレン「ああ、おはよう」

食堂に来るとアルミンとミカサが自分の分の席と食事を取っていてくれていた。
二人に軽く挨拶と礼を言って席に座る

エレン(…そういえば、さっき思わずユミルから逃げてきたけど…かなり不審だよな)

もしも席が空いておらず、探してる内にユミルと鉢合わせになったら気まずいかったなと
席を取っていてくれた二人に改めて感謝した。

エレン(ユミルは…ああ、大分席が離れているな)

周囲を確認し、自分の位置と結構離れていたことに少し安心する
いつも通りクリスタと一緒に食事を取ってるようで、別段変化は無いようだ。

アルミン「?…どうしたの」

エレン「あ、ああ、何でもねぇよ」

声をかけられ、慌ててユミルから目線を外す

ミカサ「…エレン、ちょっと昨日から様子がおかしい。体調が悪いようなら休んだほうが…」

エレン「別に体調が悪いわけじゃねぇよ」

ミカサ「本当に?最近疲れてるようで心配。何かあったら言って欲しい」

エレン「平気だって」

こういう風にキッパリと言わないと更に心配するからと思わず溜め息を吐く

アルミン「今朝は何処に行ってたの?」

エレン「ちょっと水汲みに行ってたんだよ」

アルミン「あれ?今日は確か…」

ミカサ「…ユミルが当番だったはず」

ライナーもだが、この二人は一々他人の当番を覚えているのだろう
別段後ろめたい事もある訳でもないが、追求されると面倒だ

エレン「頼まれただけだ。」

そう言い放ち、他に喋る事は何も無いというかのように、パンを乱暴に齧り取り租借する。
こうやって虫の居所が悪そうに見えれば変に追求もしてこないはず…

アルミン「そっか、エレンがユミルに頼まれるなんて珍しいね。」

長年の付き合いでアルミンは何となく雰囲気で言いたくないと察したのだろう。
そう言って食事を再開した。

ミカサ「……」

ミカサは何か言いたげにこちらを意味ありげな、じとっとした目で見ている。

エレン「何だよ」

ミカサ「……もしかして、昨日言ってた『手が暖かい』ってユミルの事?」

エレン「!?」

アルミン「えっ!」

忘れていた。昨日ミカサにボソッと思わず呟いてしまった事を
そして今日に限ってこんなにも察しがい良いミカサと昨日の自分の失言を呪った。

エレン「違ぇよ」

ミカサ「…本当に?」

エレン「……っ!」

エレン「しつけぇな、そうだって言ってんだろ!」

嘘を追及させる事を恐れたのか、ミカサが必要以上に干渉してくるのにイラついたのかつい語気が強まる

シュンと肩を落し、食事も食べ終わらないまま席を離れる
その様子に嘘を言ってしまったことによる罪悪感が出てくるが、言葉は出なかった。

アルミン「ちょ、ちょっとエレン!」

エレン「…何だよ」

アルミン「今の言い方はダメだよ!ミカサだって本気で心配してたんだし」

エレン「……」

アルミン「確かに言いたくない事をしつこく聞いたミカサも悪いけど、言い方ってのがあるだろ?」

アルミン「その…何があったかまでは言わなくてもいいからさ…」

エレン「…分かってる、近いうちに謝っておくさ」

アルミン「う、うん…」

今日はここまでにします。

ありがとうございました

待ってたよ!!
帰ってきてくれて本当にありがとう!!

乙乙待ってた

乙!まってるよ

投下します

訓練兵が教壇に向かって席に着き、ノートにペンを走らせる。
カリカリと一心不乱に訓練兵がペンを書き進める音と教官の声だけが辺りに響く



教官「であるからしてアンカーの射出角度は…」

エレン「……」カリカリ

ユミル「……」カリカリ



エレン(何で今日に限って、俺の隣にいるんだよ…)

エレン(しかも、クリスタとも一緒にいねえし…本当に何なんだよ)

先ほど喧嘩をしてしまった事もあり、アルミンとミカサとは別の席で座学を受けていたのだが
気がついたら隣にユミルがいる。

エレン「ハァ…」

ユミル「?…溜め息なんて吐いてどうした?」

エレン「何で今日に限ってお前が隣にいるんだと思ってな」

ユミル「そりゃ悪かったな。私だって好きでお前の隣にいる訳じゃねぇよ」

席が無かっただけだと視線をこちらに向けず、黙々とノートを書き続ける。
こっちは昨日や今朝の事もあって変に意識してしまってるのに、こいつは何にも感じてないのかと怪訝に眉を潜める

エレン(まあ、いいか。座学だから喋る事も無いだろうし。)

ユミル「………」

好!

教官「巨人に対する有効な戦術は…」

エレン(ふぁ……眠い…)

エレン(……あぁ、クソッ…)

最近の寝不足気味で頭と瞼がとても重い
夜に来るべき睡魔が昼間に来てしまい、大きな欠伸をしてしまう
睡魔に負けないよう、必死に目を擦ったり伸びをして抵抗するが…

エレン(でも…眠いな…)

徐々に体重を机に任せるように倒していき
突っ伏すように目を閉じる

来た

ユミル(また、こいつは)

ペンを動かす音が聞こえなくなったのに気がつき、ふと横を見てみると突っ伏して静かに寝息を立てていた。
なぜ今日に限ってこっちに来たと言っていたが、お前こそ何で自分が近くにいるときに限って寝てるんだと毒吐く

ユミル(いや、早起きさせたのは私だし半分は私が悪いのか?)

ユミル(……)

ユミル(…頼むからこの場でだけは寝ぼけるなよ)

別に寝られのは構わないし、ぶっちゃけどうでもいい
最悪なのは昨日のように自分の事を「母さん」呼ばわりされる事だ。
勿論、エレンが大いに恥をかくのだが、自分もそれに巻き込まれるのは勘弁だ。

エレン「……」

ユミル「……」

安らかな寝顔がまた腹が立つ。いや昨日のように泣かれても困るのだが…

ユミル(仕方ねえな…)

カンカンカンと時間を知らせる鐘の音が響き渡る。

教官「今日ここまで、近いうちにテストをされてもいいように各自自習をしておけ。」

エレン「はっ…」

鐘の音でハッと飛び起きる。
最悪だ。今日の訓練の殆どをふいにしてしまった。
唯でさえ座学はあまり得意ではないのにと頭を抱える。

エレン(マジかよ…やっちまった)


エレン「とりあえず、アルミンにでも聞くか…」

過ぎてしまったことは仕方ない、朝のことでまだミカサにも謝っていないから気まずいが
早いうちに聞かないと忘れてしまう

ユミル「ノート貸すか?」

エレン「…は?」

ふと横を見るとユミルが此方にノートを差し出してきている。
と言うかあまりにも予想外の言葉を聞いてしまって、素っ頓狂な声を出してしまった。

ユミル「だから特別にこの私が貸してやるって言ってんだよ。いらねえのか?」

エレン「…水汲みはもうやらねぇぞ」

ユミル「失礼な奴だな。ノートくらい只で貸してやるよ」

エレン「本当かよ…」

ユミル「ま、お前はアルミンに貸してもらえればいいだけだから必要ねえか」

エレン「…悪い、アルミン達とは今ちょっと気まずいんだ。よかったら貸してくれ」

ユミル「ったく最初から素直にそう言えばいいんだよ」

エレン「ああ、助かる」

エレン(マジで好意で貸してくれるつもりだったのか…悪いこと言っちまったな…)

ユミル「んで、朝も見てたけど何、喧嘩してたんだ?」

エレン「別に喧嘩してた訳じゃねぇよ」

エレン「その…最近寝れなくてな。アイツってば心配性で色々言ってくるんだよ」

ユミル「ふぅん…まあ、昨日も私に寝ぼけてきたしな」ニヤニヤ

エレン「おまっ…だから言いふらすなって!」

ユミル「言われたくないなら。私の前で寝ないようにしろっての」

エレン「……」

ユミル「まあ、それだけだ。ノートは次の座学の時までに返せよ」

エレン「おぅ…ありがとな」

良い

ベットに仰向けになりつつ、ぼんやりと天井を眺める
あの後、適当に食事も済ませて部屋に戻ってきたのだ。

ミカサにもその間に謝り、「別に気にしなくていい」と顔を背けて言われた。


エレン(後で機嫌を取らねぇとな…)

完全に拗ねている。
まあ、自分が原因だから仕方ないのだが、後で気をきかせてやらないと駄目だろう。

拗ねてるミカサ可愛い

ふと思い出したようにユミルから貸してもらったノートを手に取り、パラパラと開く
意外にも綺麗な字で分かりやすく纏められている内容に少し驚いた。


エレン(アイツって結構、勉強熱心なんだな)


普段の態度ではあまり考えられないが、このノートを見る限り
それなりに…いや、かなり真面目にやっているのだろう。

まあ、成績上位者なら当然かと納得する。

それにしても何故、昨日ユミルは自分の事を撫でていたのだろうか?
言っちゃ悪いがユミルは他人と言うかクリスタ以外には無関心なタイプだと思っている。
その後、水汲みをやらされたが…


エレン(からかうにしちゃ、随分と優しかった…気がする)


半分寝ている状態だったからあまり覚えていないが心地よかった
頭を撫でられる…なんて事はここしばらくやられていない。

そりゃそうだ、この歳になってそんな事やられるのは恥ずかしい
頼まれるほうも疑問に思うだろう。

エレン(でもアイツの場合は何て言うんだろうな。)


割と素直に身を任せられると言うか、頼れると思う
自分よりも歳が少し上だからだろうか、成績上位者だからだろうか
それとも、何だかんだ言って優しい一面を見たからだろうか?

そう考え首を振る

エレン(何考えてるんだ俺は…)


身を起こし、ノートを見る。


エレン(やっぱり、さっさと返したほうがいいよな…)

一応、次の座学のときまでに返してくれればいいと言っていたが、早めに返しといた方がいいだろう

さっさと食事を済ませたこともあって消灯時間までには、まだ余裕があるはずだ
そう思い、ベットから起き上がり部屋を出ていく。

今日はここまでです
ありがとうございました。

たぶん明日終わらせます

おつです!

乙乙

投下します

翌日

エレン「ふぁ…」

エレン(結局昨日、ノートを書くのが夢中であまり寝れなかった…)バシャバシャ

普段はあまり捗らない座学だが、それなりに捗ってしまった。
もちろん夢を見るからと睡眠を避けていたという事もあったが


そのお陰でいつも以上にくっきりと隈ができてしまっている。
洗面所で少しでも眠気が取れるようにと冷たい水で顔を洗う

エレン「やっぱり寝ないと疲れは取れねぇな…」

サシャ「おはようございますエレン、ってうわ、ひどい顔ですけど大丈夫ですか?」

エレン「具体的には?」

サシャ「すごい隈です。何か病人みたいですよ…」

エレン「あー、やっぱりか?最近あんま寝てねえからな…」

サシャ「寝れないんですか?」

エレン「んー、まあ、ちょっとな。昨日は勉強が捗っちまったんだ」

サシャ「そうなんですか?あまり無茶しないでくださいね。エレンは無理しがちなんですから。」

エレン「おぅ、ありがとなサシャ。でも他の奴に負けねえようにがんばねえと…」

サシャ「はぁ…エレンは相変わらずですね」

>>83
一行繋ぎ忘れたためこのレスはなかった事にしてください…

エレン「やっぱり寝ないと疲れは取れねぇな…」

サシャ「おはようございますエレン、ってうわ、ひどい顔ですけど大丈夫ですか?」

エレン「具体的には?」

サシャ「すごい隈です。何か病気な人みたいですよ…」

エレン「あー、やっぱりか?最近あんま寝てねえからな…」

サシャ「寝れないんですか?」

エレン「んー、まあ、ちょっとな。昨日は勉強が捗っちまったんだ」

サシャ「そうなんですか?あまり無茶しないでくださいね。エレンは無理しがちなんですから。」

エレン「おぅ、ありがとなサシャ。でも他の奴に負けねえようにがんばねえと…」

サシャ「はぁ…エレンはいつも通りですね」

エレン「どういう意味だよ。じゃ、俺は部屋に戻るわ」

ユミル「あ」

エレン「お」


エレン「おぅ、おはようユミル」

ユミル「おはようって、お前すげぇ顔だな」

エレン「サシャにも言われたな。隈が酷いんだろ?」

ユミル「いつもの悪人顔が病人みてぇな顔になってて怖い。つかキモい」

エレン「そこまで言うかよ!」

ユミル「いや、本当にどうしたんだよ。全く寝てねえだろそれ」

エレン「あー、昨日はノートを写したりでずっと勉強してたからな」

ユミル「次の座学のときまでに返せばいいって言ったろ。人の話聞いてたか?」

エレン「あんまり長く借りてるのも悪いって思ったんだよ。」

ユミル「それでまた寝ても貸さねぇぞ」

エレン「次は気をつけるけどよ。良かったまた貸してくんねえか?」

エレン「字が綺麗でノートも纏められてたし、見やすくて助かったからな。参考にしたいんだ。」

ユミル「何で私なんだよ。アルミンにでも貸してもらえばいいだろ」

エレン「お前の書き方の方が俺にとって分かりやすかったんだよ。」

そう言うとユミルは一つ溜め息を吐く

ユミル「…気が向いたらな」

エレン「そうか、ありがとな」

礼を言って、後ろを向いて部屋に戻ろうとするが…

ユミル「待て」

腕を引ったくるように掴まれ、体を向き直される。

エレン「ん、どうかしたか」

ユミル「今から私に付き合え」

エレン「はぁ?後じゃダメなのか?」

ユミル「いいから付き合え。私の用事に付き合えるんだから嬉しいだろ?」

エレン「なに考えてんだよ…」

ユミル「さあな、何考えてんだろうな」

来てたか

半ば強引に手を引かれて、連れて来られた先は微かに薬品の匂いがする医務室であった。
今の所、医務室には誰もいないらしく。
窓から入ってくる朝日が自分達を照らす。

エレン「何で医務室なんかに…」

ユミル「ほら、とっとと寝ろ。死に急ぎ野朗」


ユミルが奥に行き、カーテンを閉め室内に明かりが入らないようにする。


エレン「…これから寝たら訓練に間に合わないだろ」

ユミル「あ、お前今日は訓練休みな」

エレン「何でお前が決めるんだよ!」

ユミル「そんな状態でまともに動けるわけねえだろ。いいから言う事聞け。」

軽く押し飛ばされ、ベットに手をつける。
よく掃除されているであろう医務室のシーツは、サラサラといい手触りだ。

ユミル「早く横になれ。教官には適当に合わせといてやるからよ。」

エレン「うるせえな。余計なお世話だ!」

ユミル「……」


立ち上がって出口に向かおうとした瞬間に胸倉を掴まれて、吐息がかかりそうな距離まで引き寄せられる。
近距離で覗き込んだユミルの顔は普段より目つきを鋭くさせ、こちらを睨んでいた。
ユミルの思ってもいなかった行動に軽く怯む。


エレン「…何だよ」

ユミル「何だよじゃねえよ。お前、色んな奴に心配させて迷惑かけてるって分かってんのか?」

昨日のミカサ達の事を言ってるのだろう。思わず目を逸らす。

エレン「……」

ユミル「まあ、昨日は私も早起きさせちまったのが悪いんだけどよ」ガシガシ

ユミル「もう、ダズの時みたいな面倒はもう御免なんだよ。」

エレン「あ…」

いつだかの冬の山中訓練の時に全身が凍傷寸前になり、かなり危険な状態だったダズを思い出す。
確か、ダズが体調が優れないときに訓練に望んでそんな状態になり、
クリスタから細かい事は聞いないが。ユミルが助けたと言っていた。

エレン「…分かったよ。」

胸倉を掴んでいた手を取って、大人しくベットに座る。

ユミル「……」

エレン「……」

俯いたようにして此方に表情を見せずに座って横になる様子のない姿にユミルは眉を潜める。

エレン「最近、母さんが巨人に食われる夢を見るんだよ。」

ユミル「!…それは」

エレン「ああ、昔の事だ。」

ユミル「……」

エレン「情けねぇよな。あれだけジャンや他の奴らに啖呵切っときながら、夜もオチオチ寝れねぇんだ」

ユミル「それで、お前は私に何て言ってもらいたいんだ?」

エレン「……」

ユミル「馬鹿にして欲しいのか、それとも慰めて欲しいのか?」

ユミル「そういうのはミカサにでも頼め」

エレン「…そういう訳じゃねえよ」

ユミル「…もう、何でもいいからとっとと寝ろ。」

エレン「……」

その言葉を皮切りに横になり、布団を被る。
顔を上げ、舌打ちをしながら頭を掻くユミルが見えた。

ユミル「普通に寝付けるまではここにいてやるよ」

エレン「……」

ユミル「何だよ。その目は」

エレン「やっぱお前って、実は優しいだろ」

ユミル「………」

エレン「なんで嫌そうな顔するんだよ。」

ユミル「死に急ぎ野朗の頭の中は巨人じゃなくてお花畑だったか」

エレン「お前って一々素直じゃねえのな」

ユミル「鏡に向かって今の言葉繰り返してみろよ。お前には言われたくねぇ。」

少し前まではこういう風に軽口を叩けるようになるとは思ってもいなかった。
ちょっとした幸福感を感じながら小さく笑う。
そんな様子を見てユミルは目を三角にさせるが。

ユミル「いい加減に寝ろっての。私を朝食抜きにする気か?」

エレン「はいはい、分かったよ。俺のパン取っといてくれよな。」

ユミル「サシャに食われなかったらな。」

エレン「……なるべく頑張ってくれよな」

用意に自分のパンがサシャに食べられる絵が浮かぶと
苦笑いしながら目を閉じた。

エレン「……」

ユミル「……」

エレン「なあ…」

ユミル「……」

エレン「あの時みたいに頭撫でてくれよ。なんか安心するんだわ」

ユミル「…お前、色々と開き直ってるな」

エレン「お前のお陰でな」

ユミル「…どういう意味だ」

嫌々そうな声が聞こえつつも、すぐに頭に暖かい感触が広がる。

エレン「……」

ユミル「……」ナデナデ

エレン「…なあ」

ユミル「……今度は何だ?」ナデナデ

エレン「…おやすみ」

ユミル「……おやすみ」ナデナデ

これにて終わりです

ありがとうございました

乙乙


すごく良かった

乙(´<_` )

レスありがとうございます

あ、このssはこれで終了と言う意味です


ssがまた再開できたのも皆様の惜しむ声があってできたことだと思っています
私としてはエレンが恋愛感情なしにユミルに甘えるssを書きたかったんです。
ミカサだと対等で近すぎる関係なため意地もある。でもユミルは無意識に甘えられるみたいな

しかし、私の至らない所でミカサを貶める内容になってしまったのが一番後悔してる所です。
それ以外にも文章がつながらないなどかなり悩んでました…

しかし、無事に終わらせられて今はホッとしています。
改めてありがとうございました。

いいよいいよ!凄くいい!

ので

期待!

続けろやかす

乙乙
待ってたかいがあった

続けて下さい
続きを下さい

おはようございます

改めて惜しむ声があって恐縮です…
私としては打ち切る前の構想は確かにもうちょっと続いていましたが
自身の未熟さを痛感したため、この様にあっさりとした終わり方にしてみました。

続編は…まあ、書くか書かないか分かりませんね。
また、モチベーションや構想がキチンと練れたら書きたいとは思いますが…

ありがとうございました。

久々にほのぼのした


続編期待

良かった。できれば続編頼む

落ちないようにage

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