ジャン「…憲兵団に入って内地で暮らすためです」(106)

--現在公開可能な注意事項--

 ※捏造有り
 ※ジャン、ミーナ、トーマスが幼馴染の設定
 ※完結しないかもしれない

--847 入団式--

キース「貴様!何者だ!?」

ミーナ「トロスト区出身、ミーナ・カロライナです!」ピンッ

キース「違う!貴様は豚小屋出身家畜以下だ!」

ミーナ「ヒィッ!?豚小屋出身家畜以下です!」ビクッ

ジャン(うわぁ…ミーナの奴、可哀想だな…)

キース「オイ、貴様…貴様は何者だ!?」

シガンシナクシュッシン アルミン・アルレルトデス!

ジャン(名前にバカもクソもあるかってんだ…つーか、名付け親が誰かなんてどうでもいいことだろ?)

ジャン(…チッ、こっちにきやがったか…ついてねぇなぁ)

キース「貴様は何者だ!?」

ジャン「トロスト区出身!ジャン・キルシュタインです!」ビシッ

キース「貴様は何をしにここへ来た!?」

ジャン「…憲兵団に入って内地で暮らすためです」

キース「そうか…ふんっ!」ゴチンッ

ジャン「っ!?」

キース「オイ!誰が座ってもいいと言った!こんな所でへこたれている者が憲兵団などになれるものか!」

ジャン(痛ってぇ…殺す気かあのハゲ!)フラッ

--食堂--

ジャン(くそっ…まだ頭がくらくらしやがる…)

オオオオオオー

ジャン(なんだ?さっきからうるせぇな…ん、あいつは確か…)

エレン「巨人なんてな…実際、大したことなんてねぇな」

エレン「オレ達が立体起動装置を使いこなせるようになればあんなの敵じゃない!」

エレン「調査兵団に入って…この世から巨人を駆逐してやる!そして…」

ジャン「オイオイ正気か?今お前、調査兵団に入るって言ったのか?」

エレン「!あぁ…そうだが…!」

エレン「お前は確か…憲兵団に入って楽したいんだっけ?」

ジャン(楽がしたい…ねぇ…)

ジャン「オレは正直者なんでね…心底怯えながらも勇敢気取ってやがる奴よりよっぽどさわやかだと思うがな」ニヤリ

エレン「そ、そりゃ、オレのことか?」

ジャン「あーすまない…正直なのはオレの悪いクセだ。気ぃ悪くさせるつもりもないんだ」

カンカンカン

ジャン「あんたの考えを否定したいんじゃない…どう生きようと人の勝手だと思うからな」

ジャン(そうだ…どう生きようが…俺の勝手だろ…?)

エレン「もうわかったよ、オレも喧嘩腰だったな」

ジャン「あぁ、これで手打ちにしよう」スッ

エレン「はいよ」ポンッ

ミカサ「…」スッ

ジャン「!な…なぁ、アンタ…!」

ミカサ「?」

ジャン「あ…あぁ、…えっと…」

ジャン(似ている…あの時の子に…)

ジャン「見慣れない顔立ちだと思ってな…つい…」

ミカサ「…」

ジャン「すまない…」

ジャン(つやがあって…毛先までまっすぐ伸びている…いいなぁ…)

ジャン「とてもきれいな黒髪だ…」

ミカサ「どうも」スタスタスタ

エレン「いや?喧嘩になんかなってねぇよ」

ミカサ「少し目を離すとすぐ、こうなる…」

エレン「またそれか…そんなことよりお前…この髪、長すぎはしねぇか?立体機動の訓練で事故になるかもしれんぞ」

ミカサ「うん、わかった。切ろう。でも…どの辺りまで切るべきだと思う?」

ジャン「…」

ジャン(…やべぇ…視界が霞んでやがる……)フラッ

ズリィイイイイイイ

コニー「いッ!オ…オイ!お前、何、人の服で手ぇ拭いてんだ!?何拭ったんだお前…!?」

ジャン「人との…信頼だ…」サーッ

ジャン(…思わず転びそうになったとか言えねぇ)

ミーナ「ジャン!」

ジャン「ん?なんだ…豚小屋出身家畜以下か…」

ミーナ「ちょっとそれ言わないでよ!まだ気にしてんだから!」グスッ

ジャン「悪い、悪い…で、何の用だ?晩飯も終わったしそろそろ行かねぇといけないんだが…」

ミーナ「ごめん、久しぶりだったから、声かけたくて…大丈夫?顔色が悪そうだけど…」

ジャン「あぁ…これは何でもねぇ…気にすんな」

ミーナ「そう…じゃあ、私はこれで。またね!」

ジャン「おう、またな」

--立体機動適性判断後 男子寮--

コニー「コツだって?悪ぃけど、俺…天才だから…感じろとしか言えん」

ジャン「俺は逆に教えてほしい…あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ…」ニヤリ

エレン「お…お前ら…人が頭下げて頼んでるのに…」

ジャン(頭下げて頼んでる…ねぇ…)

マルコ「まぁまぁ…コニーとジャンの他にも上手いって言われてたのはあっちにいる二人だよ」

マルコ「名前は確か―――――」

ジャン「お前…マルコだっけ?」

マルコ「あぁ、そうだが…君は確か入団式に内地に行きたいって言ってた…」

ジャン「あぁ、ジャン・キルシュタインだ。お前も憲兵団目指してんだろ?これからよろしく頼むぜ?」

マルコ「こちらこそ…でもさっきのは感心しないな…コツぐらい教えてあげてもよかっただろ?」

ジャン「さすがは王のために憲兵団を目指すだけはある…だったらお前が教えてやればよかったんじゃねぇか?」

マルコ「俺はほかの人に教えるほど上手じゃないからね…」

ジャン「そうか…?お前もなかなかセンス良かったけどな」

マルコ「あ、ありがとう」

ジャン「まぁ、お前にだったら教えてやってもいいかもな」

マルコ「うん…その時はよろしく頼むよ」

--立体機動適性判断 再試験--

エレン(これがオレの武器だ!)ギシッギシッ

エレン「ああ!」グルン

キース「!降ろせ」

エレン「ま…まだ…!オレは!」バタバタ

キース「早く降ろせ」

エレン「オレは…」

キース「ワグナー、イェーガーとベルトの装備の交換をしろ」

トーマス「ハッ!」

エレン(な…何で!?できたぞ…急に…)

エレン「これは…一体…」

キース「装備の欠陥だ。貴様が使用していたベルトの金具が破損していた」

ジャン(まぁ…あそこが壊れていてできるわけがねぇよな…チッ、つまらねぇ…)

トーマス「おい、ジャン!」

ジャン「トーマスか…お前も久しぶりだな」

トーマス「お前も?ミーナにはもう会ったのか」

ジャン「あぁ、入団式の日にな…それにしてもお前も災難だったな…あんな奴とベルトを交換させられて」

トーマス「仕方ないことだろ?教官も言ってたじゃないか、点検個所から漏れていたんだから」

ジャン「そうか…?調査兵団に入るって言うなら不測の事態にでも備えるべきなんじゃないのか?」ニヤリ

トーマス「!まさかお前…お前が…?」

ジャン「オレもそこまで腐ってねぇよ…ただ…あのまま開拓地に戻ってくれたらとは思ったけどな」

トーマス「お前…なんでそこまで…エレンのことを…」

ジャン「まぁ、昔みたいに仲良くやろうぜ」

トーマス「…」

ジャン「じゃあな」スタスタスタ

--対人格闘訓練後 食堂--

ジャン「そんなときは一瞬だけ強めに吹かせばいい…そうやって慣性を利用したほうが消費は少なくすむ」

ジャン「まぁ…誰にでもできるってわけじゃねぇんだろうが…」

ミーナ「私にもできるかな?」

ジャン「さぁな…さっきも言ったがこればっかりはセンスの問題だからよ」

トーマス「お前にできるんなら俺にもできそうだな」

ジャン「勝手に言ってろ…でもあんまりオレが立体機動が上手いからって言いふらすんじゃねぇぞ」

ジャン「競争相手が増えちまうからな」

エレン「オイ…ジャン…お前…おかしいと思わねぇのか?」

ジャン「何だエレン?」

エレン「巨人から遠ざかりたいために巨人殺しの技術を磨くって仕組みをよ…」

ジャン「…まぁ…そうかもしれんがけどそれが現実なんだから甘んじる他ねぇな…オレのためにもこの愚作は維持されるべきだ」

ジャン(そう…オレのためにも…)

エレン「…」

ジャン「…」

エレン「このクズ野郎が!」

ジャン(…何も知らねぇくせに)ブチッ

ジャン「才能ねぇからってひがむんじゃねぇよ!」

ミーナ「また始まった!」オロオロ

トーマス「またかよ…よくやるな…あの二人…」

エレン「だから!どうやって巨人に勝つって言うんだよ!できる奴ばっかが内地に引きこもりやがって…」

ジャン「オレに言われてもしらねぇよ…つーか」

ミカサ「…ふぅ」

ジャン(こいつは…こいつらは…)

ジャン「ふざけんなよ、てめぇ!」ガシュッ

エレン「ハァ!?」

エレン「…この野郎…そんなに強く引っ張ったら服が破けちゃうだろうが!」グググ

ジャン「服なんてどうでもいいだろうが!うらやましい!」

エレン「何言ってんだ?お前、いい加減にしねぇと…!」

エレン「…」

エレン(技術を行使してこの場を収める)ダン

ジャン「いってぇな…!てめぇ!何しやがった!?」ガバッ

エレン「今の技はな、お前がちんたらやってる間に痛い目に遭って学んだ格闘術だ」

エレン「楽して感情任せに生きるのが現実だって?お前…それでも…」

エレン「兵士かよ」

ジャン(俺が楽して生きてるだぁ…?そもそも俺は兵士になんかなりたくなかったってんだ)

ジャン「兵士がなんだって?」グググ

キース「今しがた大きな音が聞こえたが…誰か説明してもらおうか…」ギィイイイ

ミカサ「サシャが放屁した音です」スッ

サシャ「えっ!?」

キース「また貴様か…少しは慎みを覚えろ」ギィイイイ

エレン「危なかったな、ジャン…つまんねぇケンカで憲兵団を逃すところだった」

ジャン(まったくだ…オレは何をしてるんだ…?だが…)

ジャン「しかし…困ったな…このままじゃ収まりがつかねぇ」プルプル

ジャン「けどオレはこの施設でやるわけにもいかねぇ…」

エレン「いい解決法がある。公然と取っ組み合える時間ならあるだろ?」

エレン「お前の調子が整うのを待ってもいいぜ」

ミーナ「ジャン!頭を打ったみたいだけど大丈夫!?」

ジャン「あぁ…軽くめまいはしてるが大したことねぇ…」クラッ

トーマス「それを大丈夫だとは言わないよ」

ジャン「トーマス…次の訓練から真面目に取り組む…相手をしてくれ」

トーマス「はぁ!?まさか本気でエレンとやるつもりか!?やめとけ!」

ミーナ「そうだよ!ジャンは喧嘩が強くないでしょ!無理はよくないよ!」

ジャン「うるせぇ…ここまでコケにされたんだ…俺にだって意地はある…それに…」

ジャン「あいつだけは…許せねぇんだ…」

とりあえずここまで


この二人がジャンの幼馴染みとか新鮮だなw

>>21さん、確か三人ともトロスト区の出身だったので思いつきました

少しですが再開します

--対人格闘訓練--

エレン「なぁ?アニ…ジャンの奴…流しているように見えるか?」

アニ「…見えないけど…何も立派な兵士になりたいわけじゃない…あんたに一泡吹かすためだ」

エレン「だろうな…でも…本気で技術を覚えようとしている」


ジャン「ハァ…ハァ…くそっ!」ゼェゼェ

ジャン(真剣に取り組むのがここまで疲れるとは…馬鹿な挑発に乗っちまったものだな…)

トーマス「ジャン…やっぱりやめよう…この時間は流したほうがいい…お前のためにも」

ジャン「いや、続けてくれ…」ゼェゼェ

ジャン(他の訓練の体力残ってるかな…)ゼェゼェ

--兵站行進--

アルミン「ハ…く…くそっ…」ゼェゼェ

ライナー(貸せ、アルミン!このままじゃ不合格だぞ)ヒョイ

アルミン(そ、そんなことしたら、ライナーまで不合格に…)

ライナー(バレねぇように尽くせ…!俺の気が変わらんうちにな!)

アルミン「お荷物なんか…死んでもごめんだ」ガッ

ライナー(な!?おい!?)

アルミン「はぁ…はぁ…」タッタッタッ

ジャン(アルミン!?くそっ!もうそんなにも後退しちまってたのか!やべぇ…ペースを上げねぇと…)ゼェゼェ

ジャン(くっ…死にそうだ…アルミンの野郎…根性だけはあるな…)ゼェゼェ

--立体機動訓練--

ジャン(クソッ…またアニとベルトルトか…)ヒュン

ジャン(斬撃の深さじゃ敵わねぇか…こうなりゃ…先に巨人を見つけて点数稼ぐしかねぇ)

ジャン「憲兵団になるのはこのオレだ!」ゴォオオオオオ

キース(ジャン・キルシュタイン…立体起動装置の理解が深く、その性能を引き出す術に長けている)

キース(現状を認識する能力も持っているが抜き身過ぎる性格が軋轢を生みやすい)

ジャン(今度こそオレが…!?)

ジャン(コニー!あの野郎…)

コニー(あいつの後を追って正解だった…ありがとよ、ジャン!)ニヤリ

サシャ「…」ズバッ

コニー「なっ…サシャ!」

サシャ「やったー!」ビョーン

ジャン(どいつもこいつも邪魔ばっかりしやがって…俺にはこれしかないってのに…)

ジャン「くそ!お前らついて来んじゃねぇよ!」

--立体機動訓練終了後--

ジャン「汚ねぇぞ、お前ら…俺が先に目標見つけたのに…」

サシャ「汚い?意外とぬるいことを言いますね、ジャン…獲物を奪うのに作法が必要ですか?」

コニー「そうだ、取られたお前が悪い」

ジャン「ちっ…狩猟で食ってきた奴らの理屈はわからん」

ジャン(なんせ、こちとらずっと引きこもってたんだからな…やべぇ…疲れたな…)フラッ

エレン「なるほどな…つまりお前は根っからの指揮役なんだよ」

マルコ「え?」

エレン「適役だと思うぞ?そういう効率的な考えとか、よく気が回るところとか…」

エレン「俺ならお前が指揮する班に入りたいね」

サシャ「私もマルコの班がいいです。生き残れそうな気がします」

マルコ「そ…そうかな…」

ジャン「トロスト区の襲撃想定訓練の班か?それならオレもマルコにあやかりたいな」

ジャン「間違っても死に急ぎ野郎の班には入れられたくないな…10秒も生きていられる気がしねぇ…」

エレン「それは誰のこと言ってんだ?」

ジャン「心当たりがあったらそれで当たってるよ」

ジャン(…本当にこいつとだけは嫌だな…生きた心地がしねぇ…)ギリッ

ジャン「あぁ…疲れた…」

マルコ「…僕はジャンのほうが指揮役に向いていると思うな」

ジャン「オレが?冗談だろ?なんでそう思ったんだ?」

マルコ「怒らずに聞いてほしいんだけど…ジャンは―――――」

--食堂--

ジャン「ふあぁ~…今日も疲れた…」ジワッ

ジャン(はぁ…このままだと死ぬんじゃね…?)ゲッソリ

ミーナ「お疲れ!」

トーマス「最近調子がいいみたいじゃないか…これなら憲兵団にも行けそうだな」

ジャン「いや、まだまだだ…このままだといつはじき出されるかもわからねぇ…」

ジャン「オレは絶対に内地に行く…!」グッ

ミーナ「すごいね…ジャンは…」

ジャン「そういえば聞いたぞ…お前ら34班なんだってな…可哀想に…」

トーマス「どうしてだい?」

ジャン「そりゃ…お前、あれだろ…死に急ぎ野郎が班長だからだよ」

ミーナ「そこまで目の敵にしなくてもいいんじゃない?」

トーマス「そうそう、それにエレンのほうが成績が上だから大丈夫だろ」

ジャン「チッ…ふざけやがって…もういい寝る」ゴソゴソ

トーマス「すねるなよ…」

ミーナ「?薬?…ジャン…大丈夫なの?」

ジャン「あ?ただの睡眠薬だよ…最近眠れなくてな…」ゴクン

ジャン「それでも明日も訓練なんだ…しっかりと寝ておかないとな」

ミーナ「…そう…本当に無理はしないでね?」

ジャン「無理なんかして死んでたまるかってんだ…んじゃ、そろそろ行くか…」ガタッ

ミーナ「うん、またね…」

ジャン「…お前ら」

ミーナ「?」

トーマス「なんだ、ジャン?」

ジャン「…死ぬんじゃねぇぞ」

トーマス「当たり前だろ?縁起が悪いこと言うなよ」

ミーナ「うん、大丈夫だよ」

ジャン「そうか…じゃあな…」スタスタスタ

ジャン(本当に…死ぬなよ…)

--850 解散式の夜--

ミーナ「6番で卒業おめでとう!ジャン!」

トーマス「いーよなお前らは10番以内に入れてよ!どーせ憲兵団に入るんだろ?」ニヤリ

ジャン「はぁ?当たり前だろ…何のために10番内を目指したと思ってるんだ」ニヤリ

ミーナ「…」

マルコ「俺も憲兵団にするよ…王の近くで仕事ができるなんて…光栄だ!」

ジャン「まだお利口さんやってるのかマルコ…」ガシッ

マルコ「ぶっ!」

ジャン「言えよ本音を…内地に行けるからだろ?」

ジャン「やっとこのクッソ息苦しい最前線の街から脱出出来るからだ!」

ジャン(あぁ…やっとだ…これでオレは…)

ジャン「内地での安全で快適な暮らしがオレ達を待ってっからだろうが!」

ジャン(ようやくここまで来たんだな…)

アルミン「や…やめなよ!ジャン!」

マルコ「お前…恥をしれよ!少なくとも俺は…」

ジャン「あ~すまん…俺が悪かった…お前は優等生だったな」

ジャン(マルコ…お前は本気で王に仕えようとしてるのか…すごいな…だがな…)

ジャン「しかしお前らならどうする?」

ジャン「俺達が内地に住める機会なんてそうそうないぜ!?」

ジャン「それでも人類の砦とかいう美名のためにここに残るのか?」

ジャン(知っておくべきだ…内地に行きたい理由の大半が巨人との戦闘を避けることだということを…)

ジャン(ほら…周りを見てみろよみんな賛成してるじゃねぇか…)

ジャン「だよなぁ…みんな内地に行きたいよな…」

ジャン「で…お前らは?」

ベルトルト「僕は憲兵団を志願者するよ」

アニ「私も憲兵団を志願するけど…あんたと一緒だと思われたくないわ」

ジャン(オレと一緒だと思われたくない…か…そりゃあこっちのセリフだ…)

エレン「…なぁ、お前内地が快適とか言ってるがこの街も5年前までは内地にだったんだぞ」

エレン「ジャン…内地に行かなくてもお前の脳内は快適だと思うぞ?」

ジャン(相変わらずむかつくやつだ…内地に行かなくても快適だぁ?それじゃあ意味がねぇんだよ…)

ジャン(そりゃあてめぇは調査兵団に行くから関係ねぇんだろうが…)

ジャン(オレがお前のことがわからないのと同様…お前にオレの何がわかる…?なぁ…エレン・イェーガー)

エレン「…めんどくせぇ」

ジャン「…そこだけは同感だな」

―――――バキィッ

ジャン「げほっ…げほっ…がはぁっ!」ゼェゼェ

ミーナ「ジャン、大丈夫!?」

トーマス「無理するなよ…お前がエレンに勝てるわけないだろ?」

ジャン「ああ!?うるせぇな!やってみねぇとわからねぇだろ!?…げほっ!」ゼェゼェ

トーマス「やってみた結果がこれなんだけどな…」

ミーナ「本当に無茶しないでよ…せっかく内地に行けるんだから…」

ジャン「はぁ…はぁ…そうだったな…すまない…ごほっ!」ゼェゼェ

ジャン「…頭を冷やしたい…一人にしてくれるか…?」ゼェゼェ

ミーナ「…」

トーマス「行こう、ミーナ」

ミーナ「…うん」

ジャン(オレとしたことが…またやっちまった…)

ジャン(別にオレが内地に行くことについて不満を持っているやつがいることは知ってるが…)

ジャン(エレン…お前にだけは否定される覚えはねぇ…)

ジャン(やばいな…あいつのことだとどうしても頭に血が上っちまう…)

ジャン(ミーナ…トーマス…お前らはどこに所属するつもりなんだ…?)

ジャン(オレがどうこう言うつもりはねぇが…調査兵団はやめといたほうがいい…)

ジャン(…そういえばミーナの奴…まだあの時のこと覚えてんのかな……)

ジャン(…だとしたら俺と一緒に内地に行こうとでもいえばいいのか?)

ジャン(ふぅ…結構落ち着いたな…あいつらに会ってから寝るとするか…)

ジャン(さてと…どこにいるんだ…?)スタスタスタ

ミーナ「トーマス…話って何?」

ジャン(お、いたいた…なんだ?何やら大事な話をしているみたいだが…?)

トーマス「今日で訓練は終わって…明日…所属兵科を決めるだろ?」

ミーナ「…うん」

トーマス「だから…お前に俺の気持ちを伝えたくてな…」

ミーナ「…」

トーマス「ミーナ!俺はお前が好きだ!付き合ってほしい!」

ミーナ「…ごめんなさい…トーマスのことは嫌いじゃないの…でも」

ミーナ「他に…好きな人がいるから…」

トーマス「…やっぱりか…所属兵科…どこにするかだけ聞いていいか?」

ミーナ「私は…調査兵団にする…」

トーマス「…そうか」

ジャン(…聞かなかったことにしよう)スタスタスタ

とりあえずここまで

オリジナルが少ししか挟めなくて申し訳ないです

再開します

--解散式の翌日 壁上--

エレン「はぁ…!?調査兵団にするって?」

エレン「コニー…お前9番だろ!?前は憲兵団に入るって…」

コニー「憲兵団がいいに決まってるだろ…けどよ…」

ミーナ「エレンの昨日の演説が効いたんだってさ」

エレン「演説ってほどじゃねぇよ。俺はあいつに自分の言いたいことを言っただけだ」

コニー「イ…イヤ!!俺は…アレだ…。ジャンと同じ兵団に入りたくねぇだけだ!」

トーマス(ジャンと同じ兵団か…行きたくても行けないやつはいるのにな…)

エレン「…調査兵団に入る説明になってねぇよ」

コニー「うっ…うるせぇ!!自分で決めたんだよ!」

トーマス「そう照れるなよ。やるべきことは分かっていても踏ん切りがつかないこともあるさ」

トーマス「それにお前だけじゃ…」

サシャ「あのぅ皆さん…上官の食料庫からお肉盗って来ました」

エレン「な…!?サシャ…お前独房にぶち込まれたいのか…?」

トーマス「お前…本当にバカなんだな」

コニー「バカって怖えぇ…」

サシャ「後で…皆さんで分けましょう。スライスしてパンに挟んで…」

コニー「戻してこい」

ミーナ「そーだよ。土地が減ってから肉なんてすごく貴重になったんだから」

サシャ「大丈夫ですよ。土地を奪還すればまた…牛も羊も増えますから」

トーマス「なるほどな。ウォール・マリアを奪還する前祝いに頂こうってわけか」

トーマス「食ったからには腹括るしか無いもんな!!」

トーマス(そうだ…腹括るしかねぇ…俺は…調査兵団に入って…)

エレン「トーマス…」

ミーナ「わ…私も食べるから取っといてよ!!」

ミーナ(これで…もう…後戻りはできない)

ミーナ「作業に戻ろう!お昼までまだ時間があるからね!」

エレン(…人類の反撃はここからだ!)

―――――ドゴォン

--ウォール・ローゼの壁崩壊後 本部--

ジャン「なんで今日なんだ…!?明日から内地にいけたっつーのに!」

マルコ「落ち着け!ジャン!」

ジャン(落ち着けだと!?こんな状況で落ち着いてなんかいられるか!)

ジャン(内地に行く前に巨人に食われて死ぬだと!?くそっ!ついてねぇなぁ!)


ミーナ「…」

トーマス「…いいのか?何も言わなくて……」

ミーナ「うん…行こう…エレン達が待ってる…」

--トロスト区--

アルミン「…」

エレン「なぁ…アルミン…この初陣で活躍しとけばオレ達は新兵にして…スピード昇格間違いなしなんじゃないか?」

アルミン「…エレン…あぁ…間違いない!」グッ

ミーナ「言っとくけど二人とも…今期の調査兵団志願者はいっぱいいるんだからね!」

トーマス「さっきはエレンに遅れを取ったけど今回はまけないぜ!!」

トーマス「誰が巨人を多く狩れるか勝負だ!!」

エレン「言ったなトーマス!数をちょろまかすなよ!!」

エレン「よし!行くぞ!!」ダッ

ミーナ「…」

トーマス(…ミーナ)

エレン「あれは…!?俺達中衛まで前衛に駆り出されている!?」

ミーナ「巨人がもうあんなに…」

トーマス「何やってんだ!普段威張り散らしている前衛の先輩方は…」

エレン「まだ殆ど時間が経ってないのに…」

トーマス「前衛部隊が総崩れじゃないか」

アルミン(決して楽観視していたわけじゃないけど…これはあまりにも)

エレン「奇行種だ!避けろッ!」バッ

エレン「…全員無事か!?」

アルミン「い、いや…トーマスが…!」

エレン「!」

トーマス「うっ…!?うっ…!」

ミーナ「トーマス!」

トーマス「うわぁ…クッ…クソ!」グスッ

トーマス(俺は…ここで死ぬのか…いやだ…誓ったはずだ…俺は…!)

トーマス「…ミーナ」ボソッ

奇行種「ごくんっ」

ミーナ「そんな…」

エレン「ま…待ちやがれ!」ギュィイイイイン

アルミン「やめるんだ!単騎行動は…エレン!」

エレン「下にももう一体…うっ!?」ズザァアアア

アルミン「そんな…エレンが…」

ミーナ「こっちにも巨人が…うっ!?」ドンッ

巨人「…」グイッ

ミーナ(あ…食べられるんだ…私…トーマスも…食べられた…)

ミーナ(…調査兵団に入って…外の世界に行って…そして……)


ジャン『お前ら…死ぬんじゃねぇぞ…』


ミーナ「ごめんね…ジャン…」ボソッ

―――――プツンッ

--補給所付近--

ジャン(おいおい…冗談はよしてくれよ…)

アルミン「トーマス・ワグナー…ナック・ティアス…ミリウス・ゼルムスキー…ミーナ・カロライナ…エレン・イェーガー」

アルミン「以上5名は自分の使命を全うし…壮絶な戦死を遂げました…」

ジャン(嘘…だろ…?ミーナとトーマスが死んだ…?)

ジャン(解散式の後…最後に会ったのはあの時か…やっぱり…声…かけとけばよかったな…)

ジャン(いや…確か本部でこっちを見ていた気がする…あの時にだって…くそっ!)

ジャン(おい…エレン…どういうことだよ…お前は俺よりも成績が良かったはずだろ…)

ジャン(お前は何をしていたんだ…どうしてこうなるんだ…説明してくれよ…なぁ…)

ミカサ「私は強い…あなたたちより強い…すごく強い!」

ジャン(…ミカサ?)

ミカサ「ので…私は補給所に群がる巨人を倒すことができる…たとえ一人でも…」

ミカサ「あなたたちは弱いばかりか…臆病で…腰抜けだ…」

ミカサ「残念だ…非常に残念だ…そこで指をくわえて見てればいい…くわえて見ていろ!」ギュィイイイイン

ジャン「…残念なのは…お前の言語力だ」

ジャン(本当に…強いんだな…お前らは…それなのに…オレは…)

ジャン「てめぇのせいだぞ…エレン!」

ジャン「おい!お前ら!オレ達は仲間一人に戦わせると教わったか!?このままだと本当の腰抜けになっちまうぞ!」

ジャン(結局ミカサまでガス切れ…もう無理だ…)

ジャン(俺は仲間が食われているのを見ることしかできないのか…)

ジャン(…いや…今なら…今ならまだ死を無駄にせずに済む…!)

ジャン「今だ!!巨人が少しでもあそこに集中しているスキに本部へ突っ込め!!」

ジャン「今しかねえ!どのみちガスがなくなれば終わりだ!!」

ジャン「全員で突っ込め!!」ギュィイイイイン

巨人「…」ガシッ

ジャン(しまった…足を…!)

マルコ「ジャン!」

ジャン「オラァ!」ズバッ

ジャン(オレはこんなところで止まってる場合じゃないんだ…!)パラパラ

マルコ(?今ジャンが何か落としたように見えたけど…?)

--補給所--

―――――パリィン

ジャン「…何人たどり着いた…?」

ジャン「仲間の死を利用して…」

ジャン「俺の合図で…何人…死んだ?」

ジャン「お…お前ら…補給の班だよな?」

ジャン(ふざけやがって…どいつもこいつも自分勝手にやりやがって…)

マルコ「よせ!ジャン!」

ジャン「こいつらだ!俺たちを見捨てやがったのは!てめえらのせいで余計に人が死んでんだぞ!」

―――――ドゴォン

巨人「…」ニタァ

ジャン(人が集中し過ぎた…)

ジャン(普通だ…これが現実ってもんだろうな…)

ジャン(オレは夢か幻でも見ようとしていたのか?オレは知っていたはずだ…現実ってやつを…)

ジャン(普通に考えれば簡単にわかる…こんなでけぇやつに勝てないってことぐらい…)

ジャン(…オレも…ここで死ぬのか……)

巨人「」メコォ

ジャン(…何が…起こってる…?巨人が…巨人を…殴った…?)

--補給所奪還作戦後--

ジャン(巨人を助けるだぁ…?今はそんなことよりもここを立ち去ることのほうが先決だ)

ジャン(確かに巨人が巨人を襲うのは先例がないが…そのことでさらなる犠牲があってもおかしくねぇ…)

アルミン「あれは…トーマスを食べた奇行種だ!」

ジャン(!?トーマスを食ったやつだと!?)

ジャン(どこだ…どいつがそうなんだ…!?)ギョロギョロ

奇行種「…」ニタァ

ジャン(!あいつか…あいつがトーマスを…!)ググッ

ジャン「」クラッ

ジャン(…どうして…どうしてこんな時に…うっ!体が上手く動かせない……)フラフラ

奇行種「」バキッ ドゴォン

ジャン(…どうしてあの巨人は…オレにはできなかったのに……)

ジャン「…おい…何を助けるって…?」

--巨人掃討作戦後 死体回収作業--

ジャン(そんな…嘘だろ…嘘だと言ってくれよ…お前まで…)

ジャン「…オイ…お前…マルコ…か…?」

死体記録係「訓練兵、彼の名前が分かるのか?」

ジャン「…」

死体記録係「…」

ジャン「見ないと思ったら…でも…お前に限って…ありえない…マルコ…何があった?」

ジャン「だ…誰か…誰か…マルコの最期を見た人は…」

死体記録係「訓練兵…彼の名前は?…知っていたら早く答えなさい」

ジャン「…」

死体記録係「…わかるか…訓練兵」

死体記録係「岩で穴を塞いでから…もう二日が経っている…それなのにまだ死体の回収が済んでない」

死体記録係「このままでは伝染病が蔓延する恐れがある…二次災害は阻止しなくてはならない」

死体記録係「仲間の死を嘆く時間はまだ無いんだよ…わかったか?」

ジャン「…」

死体記録係「…」

ジャン「…104期…訓練兵団所属…19班班長…マルコ…ボット…」

死体記録係「…」カリカリ

ジャン「…」

死体記録係「マルコか…名前が分かってよかった…作業を続けよう」

ジャン「…」

ジャン(…?なんか持ってる…なんだ…?これは…!?オレが…巨人に足をつかまれたときに落とした…)

たぶん今日はここまで、明日また来ます。右目が痛い…。

次からは捏造が多くなるので注意です。

--予告--

ジャン母「ジャン!あんた!自分の部屋ちゃんと掃除したの!?」

ジャン「ババァ!!ノックしろよッ!!」

「突然の来訪者」…苛まれる思春期の呪い…

ジャンの壮絶な過去が明らかに!!

日付でIDが変わった>>1です。

書き込みをくださった方、ありがとうございます。

正直誰も見ていないんじゃないかと思って心が折れそうでした。

それでは再開、一気に最後までいきます。

--844 シガンシナ区--

ジャン父「すみません、イェーガー先生はこちらでしょうか?」

グリシャ「そうですが…あなたは?」

ジャン父「私はトロスト区から来たキルシュタインというものです」

グリシャ「トロスト区ですか…」

ジャン父「先生に診てほしい人がいるんです…どうか…」



ジャン父「私の息子を…ジャンを…診ていただけないでしょうか…?」

ジャン「…」

グリシャ「申し訳ない…私はシガンシナ区の者しか診ないのでね…」

グリシャ「まぁ…要請があれば内地にも診に行きますが…」

グリシャ「それ以外の患者にはお引き取りしていただいています」

ジャン父「何故ですか!?あなたはこの壁の中でも腕がたつということで訪れたのに…!」

ジャン父「私の息子は…奇病を患っているんです…あなたにしか頼めないんです!…だから……」

ジャン「…」

グリシャ「そうですか…ほぅ…これはまた珍しい…」

ジャン父「お願いします…!息子を助けてやってください…!」ドゲザ

グリシャ「私がシガンシナ区の患者のみを診ているのは私が直々にデータを採取できるからだ」

グリシャ「この前打った薬によって体にどのような影響があるのか…」

グリシャ「巨人と人間との違いはいったい何なのか…」

ジャン父「巨人…?いったい何の話です…?」

グリシャ「私の研究は人類の勝利の一歩とならなければならない…」

グリシャ「だからあなた達にかまっている暇などない…私にはデータが必要なのだ…」ググッ

ジャン父「!?」ゾワッ

グリシャ「トロスト区など…私の目が届かないところで勝手に変化があっては困る」

グリシャ「話は以上です、お引き取りください」

ジャン父「ま…待ってください…まだ…」

グリシャ「安心してください、息子さんは今すぐにでも処置する必要はありませんよ」

グリシャ「まぁ…そんなに長く生きることはできませんが…その間に治療法が確立されるのを祈ってみては?」

ジャン父「そんな…」

グリシャ「私もいろいろと忙しいのでね」

グリシャ「エレン、ついてきなさい…診療に行く」

エレン「…」

ジャン(なんだこいつ…?こっちを見やがって…目つき悪ぃな…)

グリシャ「エレン、聞いているのか?」

エレン「…うん…わかった」

ジャン「…」

ジャン父「うっ…くそっ…」ポロポロ

--帰り道--

ジャン父「…」ザッザッ

ジャン「…」ザッザッ

ジャン父「…すまなかったな」ザッザッ

ジャン「…いいよ別に…期待なんかしてなかったし……」ザッザッ

ジャン父「…そうか…うっ」グスッ

ジャン「…ん?何だあれ?」ユビサシ

ジャン父「何だ…あれは…!?」

ジャン(男三人で小さな女の子ひとり抱えてる…)

ジャン(…きれいな黒髪だ)

ジャン父「…ジャン…しばらくここでおとなしくしていなさい」

ジャン「…あいつらは何なんだ?」

ジャン父「見たところ…人攫いってところだろうか…憲兵団を呼んでくる」

ジャン「だったらオレも行く」

ジャン父「ジャン…お前は体が弱いんだ…無理をさせたくない」

ジャン「…」

ジャン父「俺が戻ってくるまでここで休みながら待っててくれ」

ジャン(…足手まといか……)

ジャン(…暇だな…いや…あの光景を見て俺は何のんきなことを考えている…?)

ジャン(大人三人…オレに力があれば…いや…それも違うな…)

ジャン(そもそも複数の人間に対してひとりで挑むことが間違ってるのか…)

ジャン(親父の判断は正しい…あそこでもしあの女の子を助けるために飛び込んだら…)

ジャン(…あれ…オレがいるから…オレが足手まといになってるからか……)

ジャン(もう結構立つな…やっぱり遠いのかな…ん…何か聞こえる…?)

グリシャ「アッカ―マン夫人を殺しただと!?」ヒソヒソ

人攫い「すまない先生…仲間が動揺してやっちまったんだ」ヒソヒソ

グリシャ「くそっ!これでは純血の東洋人が手に入らないではないか!」ヒソヒソ

グリシャ「東洋人の可能性は未知数だというのに…貴重な実験サンプルが!」ヒソヒソ

人攫い「そっ…それで…報酬はどうなるんだ…?」ヒソヒソ

グリシャ「今はそれどころではない…どうするか…そうだ!」ヒソヒソ

人攫い「どうしました?」ヒソヒソ

グリシャ「ミカサならまだ半分血を受け継いでいる…計画変更だがこれしかない」ヒソヒソ

グリシャ「そうだな…君たちに払えるのは成功報酬の半分だ」ヒソヒソ

人払い「ありがとうございます…先生」ヒソヒソ

ジャン(暗くてよく見えねぇが…こいつらが犯人か…)

ジャン(ん?二手に分かれるのか…)

ジャン(すまねぇ…親父…オレはこいつの後をつける…)スタスタ

ジャン(…?こんなところに小屋があるのか…?)

ジャン(なるほど…中に二人…見張りが一人か…)パキッ

ジャン「!」

人攫い「誰だ!?」

ジャン(しまった!小枝を踏んだ音が…早くここからにげねぇと!)ダッ

人攫い「そっちか!?」ダッ

ジャン「はぁ…はぁ…くっ!」ダダダダダ

ジャン(くそっ!やべぇ!このままだと追いつかれる…!)ダダダダダ

人攫い「待ちやがれっ!」ダダダダダ

ジャン(殺される!)ダダダダダ

ジャン(どこか…どこか隠れる場所は…)ダダダダダ

―――――ガシッ

ジャン(しまった…つかまった…)

ジャン父「ジャン…静かにしなさい…気づかれる…」ヒソヒソ

ジャン(親父!?…助かった…)ハァハァ

人攫い「オイ!コラァ!どこ行った!?ぶっ殺すぞっ!?」

ジャン父「このまま隠れてやり過ごそう…」ヒソヒソ

人攫い「チッ…ん?あれは憲兵団!?なんでこんなところに!?」

人攫い「急いで戻って場所を移さねぇと…くそっ!」ダッ

ジャン父「…行ったか……」

ジャン「はぁ…はぁ…」ゼェゼェ

ジャン父「まったく無理をして…」

ジャン「…すまん」ゼェゼェ

ジャン父「疲れただろ…あとは憲兵団に任せて帰ろう…」

ジャン「…わかった」

ジャン(…あの女の子…綺麗だったな…大丈夫だったんだろうか…)

―――――ギィイイイ

エレン「死んじゃえよ…クソ野郎…!」ズバッ

--トロスト区--

ジャン「…」ボーッ

トーマス「よう、ジャン!何一人で黄昏てるんだ?」

ミーナ「どうだった?シガンシナ区のお医者さん?」

ジャン「トーマス…ミーナ…あぁ…だめだったよ」

ミーナ「…そう」シュン

トーマス「お前が落ち込んでどうするんだよ…」

トーマス「そうだ…ジャン!」

ジャン「なんだ?」

トーマス「チェスやろうぜ…今日こそお前に勝つ!」

ジャン「チェスねぇ…兵士にならないなら意味ねぇのにな」

トーマス「お前、それは強さからくる優越感か?」

ジャン「そんなんじゃねぇよ…いいぜ、受けて立つ」

トーマス「そうこなくっちゃな」ニヤリ

ミーナ「だったらトーマスの後は私ね!」

ジャン「二人で作戦会議してもいいんだぜ…ひねりつぶしてやる」ニヤリ

トーマス「言ったなこの野郎!」

ミーナ「トーマス!こうなったら意地でも勝つよ!」

ジャン「かかってこい」

ミーナ「…あれ」

トーマス「…参りました」

ジャン「なんか悪いな…オレの得意分野につき合わせちまって…」

ミーナ「そんなことないよ!」

トーマス「あぁ…それに、天狗になってる奴ほど倒し甲斐があるってもんだ」

ジャン「そうか…ありがとな…」

トーマス「うしっ!もう一戦やろうぜ!」

ミーナ「だめだよ…これ以上はジャンが疲れちゃうよ」

ジャン「いいんだ、ミーナ…今日はなぜか調子がいい」

ジャン「むしろお前らが帰りたいっつても帰らせねぇぞ?」ニヤリ

ミーナ「むぅ…もう怒った!私たちが勝つまでやめないもん!」

トーマス「オレも元からそのつもりだ!」

ジャン「よし、続けようぜ」

--キルシュタイン家--

ジャン(今日は楽しかったな…あいつらは本当にいいやつだ…)

ジャン父「ジャン、ちょっといいか?」

ジャン「何だ?」

ジャン父「母さんと相談したんだが…」

ジャン母「…」



ジャン父「お前を…兵士に志願させることにした…」

ジャン「!?」

ジャン「はぁ!?ちょっと待ってくれよ!どういうことだ!」

ジャン父「今すぐとは言わない…それまでにお前にはやってもらうことがある」

ジャン「オレが兵士になんてなれるわけねぇだろ!?」

ジャン父「これは決定事項だ…すまんな」

ジャン母「ジャン…部屋…掃除しておきなさい…」

ジャン(オレが兵士だと…ふざけんなよ!)

--翌日 ジャンの部屋--

ジャン(立体機動装置…これのおかげで人類は巨人に立ち向かう手段を得た…か…)ペラペラ

ジャン(…オレは今…何をしてるんだろうな……)

ジャン(こんなの覚えたところで何になるっていうんだ…)

ジャン(オレが兵士になったら間違いなく死ぬ…つまり…)

ジャン(そういうことか…オレに死ねっていうことかよ…)

ジャン(そうだよな…病弱な俺のために今まで迷惑かけちまったもんな…)

ジャン(もういい…もう…疲れた…)

ジャン(だったら…いっそ…今…ここで…)

ジャン(そういえばこの辺にナイフがあったな…これだ…)ゴソゴソ

ジャン(手首でも切ればいいのかな…痛いかな…楽な死に方ってあるのかな…)

ジャン(訓練で死んだり巨人に食われるよりかはましか…よし…やるか…)

ジャン「これで…!」スッ

ジャン母「ジャン!あんた!自分の部屋ちゃんと掃除したの!?」ガチャッ

ジャン「ババァ!!ノックしろよッ!!」ビクッ

ミーナ「ひっ!?」ビクッ

ジャン「ミ…ミーナ?」

ミーナ「…ジャン…何もってるの…?」

ジャン「あっ」

ジャン母「!?ジャン!ナイフなんて持って何するつもりだったんだい!?」パシンッ

ジャン「うぅ…痛ってぇ…何すんだよ…」ヒリヒリ

ジャン母「なんでこんなことしようとしたの!?」

ジャン「うっせぇな!お前らがオレを兵士にしようとしたからだろうが!」

ミーナ「え…ジャン…兵士になるの…?」

ジャン「あぁ、そうだ!オレを殺すために兵士として送り出すらしい!」

ジャン母「あんたを殺すため!?馬鹿言わないでよ!むしろ逆…」

ジャン「上位10番以内に入って憲兵団になれば内地に行けるって言いたいのか!?」

ジャン「そうだよなぁ!内地にはいろいろなものが充実してる!オレの病気だって治るかもしれねぇ!」

ジャン「だがよ!そんなのは無理だ!オレの体じゃ上位どころかそのまま途中でのたれ死ぬのが目に浮かぶ!」

ジャン「だったらよ…このまま楽に死なせてくれ…」ポロポロ

ジャン母「馬鹿だとは思っていたけどここまで馬鹿だったとは…」ハァ

ジャン母「ジャン!私も父さんも最初から無理そうだったらそんなことは言わない」

ジャン母「私たちはアンタならできると思ったから言ったんだ」

ジャン母「確かに訓練はきついかもしれない…でもあいにくあんたみたいのでも有利になれるんだ」

ジャン母「巨人殺しの技術を廃れさせないために立体機動の成績は大きな点数になる」

ジャン母「逆にあんたの苦手そうな対人格闘術の点数は少ない」

ジャン母「実にあんた向きな制度じゃないか…これを利用しなくてどうするんだい?」

ジャン母「それでも無理だっていうんならしょうがない…でもね…」

ジャン母「最初から諦めても何もいいことはないんだよ…もう少し頭を冷やして考えなさい…」

ジャン母「私からはこれだけ…ミーナちゃん、ちょっと出かけてくるから、ジャンのこと任せるわね」ガチャッ

ジャン「…」

ミーナ「…ジャン…おばさん泣いてたよ…?」

ジャン「あぁ…オレが泣かせた…」

ミーナ「…私…ジャンが兵士になって死んでほしくない」

ジャン「…」

ミーナ「…でも…それ以上に…もし…ジャンの病気が治って…ジャンが長く生きられるなら」

ミーナ「私はそっちのほうがいいかな…?」

ジャン「…すまんな…お前にまで気を使わせちまって……」

ミーナ「…うん」

ジャン「変な空気になっちまったな…なんか用があったんだろ?なんだ?」

ミーナ「えっと…やっぱり今度にするね」

ジャン「気になるじゃねぇか…言えよ」

ミーナ「…ちょっと外に行かない?」

ジャン「本当に良かったのか?トーマスも誘わなくって」

ミーナ「う…うん!それとも…私と二人なのは嫌?」

ジャン「そういうわけじゃねぇけどよ…」

ミーナ「だったらいいの!今は私のことだけ考えて!」

ジャン「なんかその言い方だと私のことを好きになって…って聞こえるぞ?」ニヤニヤ

ミーナ「なっ!?///」カァアアアアア

ジャン「えっ!?」

ミーナ「なんで言っちゃうの!?雰囲気も何もないじゃん!」

ジャン「はぁ!?まじで!?嘘だろ!?」オロオロ

ミーナ「もういい!開き直った!ジャン!私と付き合って!」

ジャン「開き直るなよ!」

ミーナ「それで?どうなの!」

ジャン「…」

ジャン「…悪いな」

ミーナ「…そう」ジワァ

ジャン「いや…お前が嫌いなわけじゃないんだ…ただ…」

ミーナ「…」

ジャン「ただ…オレがいつ死ぬかわからないから…」

ミーナ「…ったら……」ボソッ

ジャン「?なんて言った?」

ミーナ「だったら病気を治してよ!兵士になって…憲兵団に入って…」

ミーナ「内地で病気を治してきてよっ!」

ジャン「…」

ミーナ「私だって…ジャンがいきなり死んじゃうのは嫌だもん…ジャンとの時間は長いほうがいいに決まってる」グスッ

ジャン「…悪い…しばらくお前らとは会えそうにないわ……」

ミーナ「そんなっ!?」

ジャン「その代り…」

ジャン「約束する…憲兵団に入って内地に行くと」

ミーナ「ジャン…」

ジャン「だったらまずは覚えることがたくさんある…立体起動装置とか…」

ジャン「軽く体を鍛えないともいけないしな…」

ミーナ「うんっ!頑張ってね!」ポロポロ

ジャン(だからミーナ…そのときはお前も―――――)

--850 調査兵団 兵舎--

エレン「…ってことは憲兵団に行ったのはアニとマルコとジャンだけで…」

エレン「あとは皆…駐屯兵かそれ以外ってことか…」

ジャン「マルコは死んだ」

エレン「ジャン…!?なんでお前がここに…って…え…?」

エレン「今…今なんて言った?マルコが?死んだ…って…言ったのか?」

ジャン「誰しも劇的に死ねるってわけでもないらしいぜ…どんな最期だったかもわかんねぇよ…」

ジャン「立体起動装置も付けてねぇし…あいつは誰も見てないところで人知れず死んだんだ」

ジャン(ミーナ…トーマス…お前らはどんな最期だったんだ…)

ジャン(今…オレの前に…人類の英雄ってやつがいる…)

ジャン(目の前の仲間すら救えなかった奴が英雄だぞ…笑えねぇ冗談だよ…)

ジャン(なぁ…お前らはどう思う…エレン…お前は…どう思っているんだ…?)

ジャン「オレ達と人類の命がこれに懸かっている…このために…」

ジャン「オレ達はマルコのように知らないうちに死ぬんだろうな」

ミカサ「ジャン…今ここでエレンを追い詰めることにいったい何の意義があるの?」

ジャン「あのなミカサ…誰しもお前みたいになぁ…エレンのために無償で死ねるわけじゃないんだぜ?」

ジャン「知っておくべきだ…エレンとオレ達も…オレ達がなんのために命を使うのかをな」

ジャン「じゃねぇといざというときは迷っちまうよ」

ジャン「オレ達はエレンに見返りを求めている…きっちり値踏みさせてくれよ…自分の命に見合うのかどうかをな…」

ジャン「だから…エレン…お前…本当に…頼むぞ?」

ジャン(本当に…本当に…)ググッ

コニー「それにしてもさっきのジャン…やばかったな…」

サシャ「えぇ…説得力がありました」

ミカサ「…」

アルミン「いや…ジャンにはわからないんだ…今…エレンがどれほど追いつめられているのかを…」

アルミン「いきなり巨人だと言われ…英雄扱いされたと思ったら殺されそうになって…」

アルミン「今だって…身柄を拘束されているんだ…!」

ミカサ「アルミン…」

アルミン「確かにジャンは間違ってはいない…でも…それが正しいとは限らないんだ…」

アルミン「僕…ちょっとジャンと話してくる」タッタッタッ

アルミン(ジャンは…!あそこか…)

ジャン「マルコ…」

アルミン(ん?様子がおかしい…少し待ってからにしようかな)

ジャン「お前…オレが病気だったこと知ってたのか…いや…知らないはずだ…」

ジャン「なんで…こんなもん…握ってたんだよ…」

アルミン(病気…?何の話なんだ…?手に持ってるのは…薬か…)

ジャン「偶然拾ったのか…それとも探したのか…そりゃ馬鹿だろう…」

ジャン「予備なんていくらでも持ってるっていうのによぉ…」

ジャン「…」ゴクン

ジャン「うぇ…苦い…」ポロポロ

ジャン「ミーナ…トーマス…」ポロポロ

アルミン(!)ドクン


アルミン『(なんで…なんで…僕は…仲間が食われてる光景を…眺めているんだ…)』


アルミン(どうして…あのとき…僕の体は…動かなかったんだ…)ヘタッ

ジャン「すまない…お前たちは…オレのことを…」ポロポロ

--解散式の夜--

トーマス「…所属兵科…どこにするかだけ聞いていいか?」

ミーナ「私は…調査兵団にする…」

トーマス「…そうか」

ジャン(調査兵団だと!?何考えてるんだ!?)

ミーナ「…ジャンの病気ってさ…とても珍しいじゃない?」

ジャン(!ミーナ…何を…)

トーマス「あぁ…だから内地に行って治すんだろ?」

ミーナ「もし…さ…内地にも治療法がなかったら…どうなるんだろう…」

トーマス「は?それってどういう…」

ミーナ「もしかしたら…壁内には治療法がないのかもしれないってこと…」

トーマス「まさかお前!そのために調査兵団を!?」

ミーナ「…うん」

トーマス「…そうか」

トーマス「…だったら俺にも協力させてくれ」

ミーナ「トーマス?」

トーマス「お前がその治療法とやらを見つけるまで…オレにお前を守らせてくれ…」

ミーナ「そんな!?あなたまで調査兵団に来る必要はないわよ!?」

トーマス「確かに俺は弱いからすぐ死んじまうかもしれねぇな…」

トーマス「だけど今期にはエレンがいるんだ…あいつがいたら外の世界にだって行ける気がするんだ」

トーマス「だから…」

ミーナ「うん…二人でジャンの病気の治療法見つけようね!」

トーマス「おう!」

ジャン(お前ら…!)ポロポロ

--第57回壁外遠征 門前--

ジャン(アルミンから聞いたぞ…本当に10秒で死にやがって…情けねぇ奴らだな…)

ジャン(外の世界に行って俺の病気について調べるんじゃなかったのか…ったく…)

ジャン(結局オレが調査兵団なんかに入る羽目になっちまったじゃねぇかよ…)

ジャン(でもまぁ…安心しろよ…お前らの死は俺が無駄にさせねぇ…マルコ…お前もだ…)

ジャン(この先…どんだけ人が死んだとしても…オレの体が朽ち果てないうちは…)



ジャン「オレがすべて背負ってやる!!」ググッ



ジャン「…憲兵団に入って内地で暮らすためです」完

--現在公開可能な補足--

 ※ジャンは壁内の中でも珍しい病気を患っていた
 ※ジャンの病気はすぐに死ぬものではないが長く生きることは望めない
 ※ジャンは病気のせいで虚弱体質だった
 ※ジャンが睡眠薬と言っていたのは嘘
 ※ジャンはミカサに対して恋愛感情を持っていない、健康に対するあこがれ程度
 ※ジャンがエレンを嫌っていたのはエレンが健康優良児であるのとグリシャを恨んでいたため
 ※グリシャはシガンシナ区を大きな研究施設に見立てていた
 ※エレンはジャンのことを覚えていない

>>1です。見てくれた人いるかな?

始めのほうはジャンが病気であることの伏線を入れたつもりでしたが表現が下手で申し訳ありません。

補足を踏まえたうえで読み直していただけると少しは分かりやすいと思います。

過去作「ジャン×ベルトルト?」も読んでいただけると嬉しいです。(糖度高め注意!)

途中で書き込みをくださった方、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

それではノシ

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