友「ダイビングやってみてー! 男、協力しろよー!」(107)

男「別にいいがなんで俺なんだ?」

友「え? だってお前やっているんだろ?」

男「ん? ……あーそういう事か。いいぞ」

男「長期休み中に土日に行く必要は無いな。来週の水木あたりでいいか?」

友「なんだっていいぞー」

女「あれ? 二人してどっか旅行?」

男「友が海行きたいって」

女「お、いいね。あたしも行きたい!」

男「んじゃ三人で。ちょっと民宿とれるか確認してみる」

友「そもそも何処に行くんだ?」

男「伊豆でいいだろ。電車とバスで行くぞ」

女「男の伊豆というとあそこかー……うわぁ楽しみだ!」

友「知ってんの?」

女「去年連れて行ってもらった」

友「な! 二人で?! というか何時も思うがよく一緒に来るよな」

友「しかも相部屋だし」

女「大丈夫! いつも手元に剃刀の刃を置いてあるから!」

友「信用0だと……」

男「民宿取れたな。のんびり行くのと急いで行くのどっちがいい?」

友「大急ぎがいいな。というか車でいかないのか?」

男「こっからどんだけ距離あると思っているんだ。しかも下手すりゃ9時には満車だぞ」

女「去年も車多かったよねー」

男「……よし夜行列車取れたぞ」

友「夜行か……」

男「これで10時には現地に着けるぞ」

男「物はある程度向こうで借りるとして」

男「持参するものとして、一泊する準備。海に対する準備は水着」

男「水着はぴっちりしているやつだ」

友「うん?」

男「エクササイズとかで使うような感じ。ほら、ハーフパンツみたいな」

友「ああ、なるほど!」

女「にしてもいきなりあそこはハードじゃない?」

男「こいつ運動はしているからなぁ。慣れてきたら潜りたがるだろうし多少スパルタでもいいだろ」

期待

当日
男「時間も時間だし、基本的には夜行列車じゃ寝ているか静かにしてろ」

男「東京以降は普通の新幹線だからな。そこらで少しずつ説明していく」

友「あいよ。やー楽しみだな」

女「天気もいいし、絶好だね」

男「ここ最近は海況もいいようだしな。あ、潮が早いらしいから気をつけないとな」

友「なぁに、体力には自信があるから平気だぜ!」

男「そういう奴が流されて監視船のお世話になるんだよ」

新幹線内
男「こっから熱海まで行って、そっから鈍行で伊豆まで向かう」

女「約二時間あるからまったり説明できるねー」

友「ばっちこーい!」

男「まあ熱海の乗換、10分も無いからちょっと忙しいけどな」

友「え……それ大丈夫なのか?」

男「そこまで広くないから俺の後をついて来てくれれば大丈夫だ」

男「今時期、この時間ならそこまで混んでないしな」

男「んじゃーどっから説明するかなぁ。まずは基礎知識からいくか」

友「宜しくお願いします。先生」

男「スキューバダイビングじゃないからあまり突っ込まずに……うーん」

友「え?」

男「ん?」

女「どうしたの?」

友「スキューバじゃないの?」

男「え?」

男「は? え? だってお前、俺がしているのって言ったろ」

友「え? お前がしてるのってスキューバじゃないの? タンク背負わないの?」

女「あちゃー……」

男「あー……しまった。完全に考えが入れ違いになっていたのか」

男「結論を言うと、お前の望んでいるのはやらない。というか予約とってないし無理」

友「はーー!? つーかじゃあお前何やってんの? ダイビング趣味じゃないの?」

男「まずはそこから説明していくか……」

男「海に入って泳ぎつつ楽しむ的なのだと、三つに分けられるんだ」

男「まずはシュノーケリング。ゴーグルとシュノーケルを使う」

友「リゾート地の浜辺だとよくあるやつだよな」

男「基本的にはこれで海面を遊泳したり磯近辺で遊ぶ」

女「人によっては更に浮き輪も使ってぷかぷか遊ぶよね」

友「普通に浮かんでいられるんじゃないのか?」

男「子供だったり女性だったりが使っているが、無くても十分浮かんでいられる。まあ泳ぐの苦手な人にって事だ」

男「次にスキンダイビング。装備はシュノーケリングと同じだ」

男「これは潜って水中を遊泳する事で、ぶっちゃけ素潜りだと思えば良い」

男「俺がやっているのはこれだ」

友「素潜りなら素潜りって言えよ……」

男「本来の意味での素潜りは伝統的な漁業として考えていたからな……正直悪かった」

友「でもそれだとつまらなさそうだな……」

女「あたしはそんな潜れる訳じゃないけど、海面から見る限り凄い楽しそうだよ」

男「今日行くところは凄い良い立地だからな。5,6m潜れるだけでスキューバダイビングみたいな環境になるんだよ」

男「で、最後にスキューバダイビング。スクーバダイビングとも言われるな」

男「こっちはお前の想像通り、ウェットスーツ着込んでタンクやらBCDやらを装備する」

友「そっちがしたかったのになー」チラッ

男「ま、潜る上での基礎知識把握しておけば、体験ダイビングでもスムーズに進められるいいだろ」

女「無理やりポジティブな話にもっていったね」

男「基礎知識あるとほんとスムーズなんだよ」

男「さて、種類の説明はしたし基礎知識から始めるか」

男「飛行機に乗ったりエレベーターに乗ったりすると耳がキーンってなるだろ」

友「体と外の空気圧の所為だろ」

男「そう、その差によって鼓膜が圧迫される為に起こる」

男「水深0mで1気圧の圧力で空気の体積が1。水深10mで2気圧で空気の体積が2分の1」

男「今のお前には不要な知識だから端折るな」

友(こいつ最後まで説明しそうになったな)

女(突っ込んだところまで説明しそうになってた)

男「鼻はマスクで覆われているが、耳は剥き出しになる為、どうしてもこの水圧の影響を受けるんだ」

男「その時に必要なのが圧平衡といって早い話耳抜きというやつだ」

男「やり方としては1つにつばを飲み込む」

男「2つに顎を動かす。俺にはこれがよく分からない」

友「分らないのか」

女「試してるの見た事あるけど、凄い面白い動きだった」

男「できなかったんだよ」

男「3つ、耳の近くの筋肉でどうにかする」

友「アバウト的過ぎるだろうそれ」

男「最近、4mぐらいの深さまで行くとちょっとだけできるようなったんだ」

男「耳っていうか鼻の奥、鼻腔を閉じるような感じで力むとだな」

友「余計分らんわ」

女「慣れれば分るんだろうけど、あたしもそこまで潜る事ないからなぁ」

男「多分顎を云々と同じ事なのかもしれないけどな。で4つ鼻詰まんで、鼻で息を吐く」

友「息吐けなくね?」

男「そりゃあな。その時に耳に空気が送られるんだ」

男「鼻を詰まんで口を閉じてやってみろ」

友「……」プシッ

友「おお、なんか耳が鳴った」

男「10mぐらいまでは1m毎にやるぐらい良いらしい」

男「因みにこれは耳に圧迫感があったらすぐやる事。痛みだしたら一旦少し浮上する事」

女「痛みが出だした状態だと、耳抜きじゃ水圧そのものに勝てなくなっちゃってるんだって」

友「ほーなるほど」

男「水圧に関してはこんな感じだな」

男「海に潜る際には当然ながら準備運動をする事」

男「後、魚介類に触れない事取らない事。後は海に入る時は一人では入らない事」

友「お前よく一人で海行くよな……」

男「相方がいたら俺も苦労しないさ……」

男「因みに一人でってのはスキューバダイビングでも同様」

男「お前の場合、必ずインストラクター付きになるから気にする事はないが」

友「お前はスキューバはやらないのか?」

男「金かかるしライセンスも時間と金かかるし……結局装備はレンタルだし揃えてもエアー代かかるし」ブツブツ

女「因みに体験ダイビングだと1万とかかかるからねー」

友「マジか……」

男「その点スキンダイビングは装備さえ自前で揃えれば後はかからないからな」

女「嘘だけどね」

友「嘘なのかよ?!」

男「適当なもの買うとすぐ壊れるんだよ……」

友「あー……なるほどな」

男「次にクラゲに刺された場合について。患部を素手で触らない事」

男「ティッシュやタオルでクラゲの触手を取り除く事」

男「次に消毒液をかける事。消毒用アルコールでも可。なければ乾いた熱い砂をかける」

男「この時すりこむようにすると症状悪化する可能性あるから気をつけろ」

友「ふむふむ」

女「なるほどなるほど」

男「おい女、お前説明しただろ」

男「えー次に海水や酢で洗う事。真水は避ける事。触手が残っていると余計に毒を出すらしい」

男「で、軟膏を塗る。多分ステロイド入っているのが一番いいのかな」

友「ふーん?」

男「最後に氷やら水で患部を冷やす。以上クラゲに刺された時の対処法だ」

友「な、長いな……」

男「因みにある程度整備された海水浴場だと、そこの人達が対処してくれたりする」

友「今までの説明はなんだったんだ……」

男「海に入る以上身につけておけって事」

男「後はなんだろうな……モラルを守る事。ゴミをポイ捨てしないだとか珊瑚に触れないとか」

友「あ、そうだ。日焼け止めってこいうので」バシッ

女「わーはたいた」

友「お、お前……いきなりなんだよ」

男「そういう日焼け止めは許さん。微々たる物だろうと無駄に水質汚染に繋がる」

友「えぇぇ……じゃあどうするんだよ」

男「向こうでウェットなりラッシュガードなり借りる。顔や頭は知らん!」

友「えーー?!」

女「男的にはクラゲ予防のオイルとかってどうなの? あれも日焼け止めの効果あるよね」

男「どうなんだろうなあれ。海専用だしあれなら問題無いと信じたい」

友「因みにそのラッシュガードってなに……?」

男「ウェットスーツの下位互換みたいなもんだな」

男「上下に別れていたり、半袖ハーフパンツからロングまで」

男「薄い分ウェットスーツより持ち運びが楽だが、当然ながら冷たさ対する力は低い」

女「因みに男が持っているのもラッシュガードなんだよ」

男「ロングパンツが丁度良い丈が無いから、ちょっと長めなのを買ったらちょっとだぶだぶで」

男「それが膝の裏を擦る所為で酷い目にあった……」

友「時々、お前って凄い馬鹿だよな」

男「後は実地訓練かな」

女「早く着かないかなぁ」

友「やっぱ暑いんだろうな」

男「そりゃあなぁ……だからこそ今日は気持ち良いだろうなぁ」

男「これが天候と水温に恵まれなさ過ぎると、ラッシュガードだけだと一時間毎に小休憩が必要になったり……」

男「あ、後は細かい装備の説明もしておくか。今日行く所は岩場だからマリンシューズという」

男「海用の靴が必須。後は足ヒレのフィンだな。これ脱げたのに気付かないと確実に無くすから注意」

友「レンタルでそれはやりたくねーな」

男「後はウェイト。文字通り重りだ。ま、こいつは借りなくてもいいな」

楽しそうだなー、夏だし、いいなー

ウェットも使わないのに重り要ること有るのか?

友「重りって必要なのか? それに普通の格好で着ける奴いんの?」

男「流石にウェットやラッシュ着てるさ。というか行く浜が岩場だらけだから、基本どちらかを着るのが普通」

男「んで、シュノーケリングはあれだがスキンダイビングでなら使う。ただどう潜るかにもよるかな」

男「自身の潜水能力より浅めの所で潜って遊ぶなら有りだろうな」

女「男は結構ぐいぐい深いところまで行くよね」

男「俺が重り付けてたら多分浮上する時に死ぬかなぁ……」

友「どんだけ限界に挑戦してんだよ……」

男「いやお前、潜ると本当にすごいぞ。世界が変わる。そして苦しくなって海面を仰いだ時の絶望感」

友「なあ……お前そんな潜り方を一人で海に行ってやっているのか?」

伊豆
女「うーー!」

男「やーー!」

男女「たーーー!」

友「すんげーテンション上がってるな……」

男「この天気だしな」ジリジリ

女「暑ーーい! 海気持ち良さそーー!」

男「とりあえず友は女と一緒にスーツ借りたりなんか色々してきて」

友「そこは女に丸投げかよ」

男「自前のがある所為で借りないから逆に分らない」

友「準備できたぞー!」

男「邪魔な荷物は民宿に預けてきた。持っていく物は必要な物だけだ」

友「パラソルとかないのか?」

女「いやー人多すぎてパラソルは怒られるよ。基本はシートかサンシェードだね」

男「俺もお前も海に入り浸りになるだろうから、女自身が日傘使えば良いだけだしな」

男「因みにここは陸路で行ける浜もあるが、今から向かうのは渡し舟で行けるところな」

友「秘境っぽいな!」

女「場所的な雰囲気だけならね」

男「だけならな」

友「人多っ! そしてすげー絶壁に囲まれてる!」

男「平日時でもこれだもんな」

女「見渡す限りサンシェードばっかりだね」

友「どうやって休むんだこれ」

男「渡し舟は5分くらいでやってくるから、いざとなったら港に戻って海の家で食べたりだな」

友「はー……なんか面倒だな」

男「俺達は基本シート敷かずに。壁面の岩場当たりに荷物を置こう」

友「女の子いるのにそれでいいのか……?」

女「いやー流石にこの状況だと贅沢言わないよ。どうせ地面も石だらけだから、結局大変だしね」

渡しだと一人拒否られねえか?

たのしそう

友「つーか荷物とか大丈夫か……?」

男「一時間ほど飯を食いに戻ったが何も盗られてなかったな」

男「あ、そもそも千円ちょっと小銭入れていた袋が見える状態で潜っていたが、それすら盗られていなかった」

友「無用心過ぎだろ!」

女「でもそういう話が無いのが不思議な所なんだよね、ここ」

男「まさかこの透明のパックが手付かずであった時は、自分の間抜けさとここの窃盗率の低さに驚いた」

友「今回俺達もいるんだから変な事しないでくれよー……」

男「フィンを使うからアキレス腱はよーく延ばしておくように」

友「よっしゃあ!」グッグッ

男「さてこれより実地訓練に入る」

友「いよっしゃぁ! どんと来い!」

男「糞を垂れる前と後ろにsirを付けろ!」

友「sir! sir!」

女「テンション鰻上りだねー」

友「なんだかんだですげー楽しみだからなー!」

男「俺も早く潜りたい!」

男「んじゃあまずはシュノーケルとゴーグルをセット」

男「ゴーグルを頭に止めるゴムにシュノーケルがついていると思う」

男「こいつをゴーグルをつけた時に左に来るように」

友「こんな感じか」ピチッ

男「その状態でシュノーケル咥えて問題は無いか?」

友「コホー……コホー……おう、OKだ! これでいよいよ海入りだな!」

女「ところがどっこい」

男「そうは問屋が卸しません」

友「うえっ?!」

男「普通の浜ならいざ知れず、ここは見て通り岩場だらけ。それにちょっと進めばすぐに足も届かない環境だ」

男「その為、ゴーグルやシュノーケルに水が入った時の対処ができるようになっておかないと困る」

友「なるほど……って、そんなん外せばいいだろ」

女「ここ、渡し舟や遊覧船が通るから時折波が高くなるよ」

男「岩場にへばり付いてもいいが、波によっては軽くポチャンといく」

男「お前は浮いていられるだろうが、そのタイミングで高波で前後不覚になる事だってありえる」

男「何よりそれが足を攣った状態だったらどうだ? 浮いていられるか?」

友「俺……海を甘く見ていた」

男「実地訓練まだまだいくぞー」

男「まずは一番活用するだろうシュノーケルクリアーだ」

男「当然ながらシュノーケル上部に海水がくれば、浸水して口の方まできてしまう」

友「ど、どうすりゃあいいんだ?」

男「息を思いっきり吐く」

友「……え?」

男「息を思いっきり吐く」

友「超原始的過ぎだろ!」

女「おっと友、甘く見ちゃいけないよ!」

女「ついつい海底を見がちになって頭を水平にしていると、ちょっと高い波が来ただけでトプンといくよ!」

友「なるほど……だから活用頻度高いのか」

女「それと合わせて前見てないから人にぶつかる……」

男「俺も一時間に2,3回体当たりされるよ」

友「何というぶつかられ体質!」

男「いや避けてるよ。子供も多いからある程度周囲確認しているし」

友「ップゥ!」ブシュゥ

男「シュノーケルクリアーよし」

女「次はいよいよあれだね……」

男「あれだな」

友「なにそのタメ。こえーよ」

男「次はマスククリアーだ。ゴーグルに海水が入った際に抜くというものだ」

友「マスク?」

男「分りやすくゴーグルとは言っていたが、シュノーケリングやダイビング用品としてはマスクと呼ぶんだ」

男「さてマスククリアーの仕方だが、マスク上部を押さえ鼻で息を吐く」

友「また原始的だな……鼻息の勢いでやるのか」

男「いや……んーなんて説明すればいいかな」

女「理科の実験だね。水上置換って覚えてる? マスクをビーカーに見立てて考えると分りやすいよ」

友「……あ、なるほど。そういう事か」

男「潜って見ていてくれ。俺が手本を見せる。ってほどのもんでもないが」ザブン

友「では講師のお手並み拝見」ザブン

女「暇だしあたしも見てよーっと」ザブン

男「……」ザァ

友(うおっゴーグルの中全部海水に)

男「ふーー」コポポ


男「こんなところだ」ザバァ

友「地味だ」ザバァ

女「地味だね」ザバァ

男「それは俺に言われても……まあいい。友、実際にやってみろ」

友「マスククリアー習得完了!」

友「けど目一杯海水入ると顔についた海水が目に入って痛いんだが……」

男「そこはぎゅっと目を瞑って海水を払ってから開けるしかないかな」

男「もしかしたらちゃんとしたやり方あるのかもしれないが、俺も講習受けている訳じゃないからな」

友「我流かよ……」

男「ある程度はネットなりで一般的な方法は学んでいるがな」

女「基本はこのくらいかな?」

男「後は泳ぐ時は足を伸ばしてゆっくりとバタ足ぐらいかな」

男「相方、ダイビング用語ではバディだな。バディがいる場合フィンをつける場合、相手の肩に捕まってやるものだ」

男「後はちょっとした岩場があればそこに座ってつけるってのも手だな」

友「それお前の体験談だろ」

男「まあな」

女「男、肩貸してー」

友「俺も俺もー」

男「俺は止まり木か何かか?」

男「よーし全ての準備OK! いっくぞぉぉ!」ザザン

友「おおーー!」ザバァン

女「おーーー!」ザァァン

男「一先ずはあの岩場を越えたあたりでまったりと慣れようか」

友「おう! うおぉぉ、全身浸かってみて分るが、水が冷たすぎず気持ち良い!」

女「温くはないけど冷たくもない! 最高ーっ!」

男(でもこれ、3,4mあたり潜ると急に冷たくなって更に気持ち良いんだよなぁ)

男「因みに言い忘れたが」ジャブジャブ

友「ちょ、この状況で?」ジャババ

男「向かって右から左に潮の流れがある。潮の満ち引きによるものだが、この場所だとこれを下り潮という」ジャブジャブ

友「講釈はいいから要点はよ!」ジャババ

男「ここ数日この下り潮が早いらしい。左に行けば行くほど流れが急だから絶対に行かないように」ジャブジャブ

女「そう言えばそんな事言っていたね」ヂャプヂャプ

友「俺、体力に自身あるけど?」ジャバジャバ

男「海では過信を捨てろ。無理に戻ろうと強く蹴り続ければ足も攣りやすくなる」

友「それ、お前が言うか?」

一時間後 岩場
友「やーすげーな。浜つっても石だらけだけどさ。あそこで膝下ぐらいの深さでも青い魚いるから驚いたが……」

友「ちょっと深いところいくだけですげーのなんの! 黄色と黒の縞で上になんか紐みたいのついてんのとかさあ!」

女「エンゼルフィッシュだね。そういえばあたし生で見るの初めてかも」

男「俺も砂地で見るのは初めてだな。大抵は岩場で他の魚に追い回されているか、岩の下やちょっと深い壁面で見かけるな」

友「追い回されているのかよ……可哀想だな」

男「健気で可愛い奴だよ」

友「小さい魚ばかりなのか?」

男「大きいのもいるがもうちょい沖合いじゃないと見れないかな」

友「なんかちっさい魚の群れもいたな」

男「俺も魚に詳しくは無いが、タカベって魚らしい。海況とか船の運航状況の報せ載せてるブログで見たな」

女「すっごい可愛かったねー」

友「にしてもなんでこんな熱帯魚が多いんだ?」

男「黒潮に乗って来るんだとさ。冬場の水温で死ぬから死滅回遊魚って言われるそうだ」

友「ほー」

男「幸か不幸かお陰でこんな大賑わいなわけだ」

友「慣れてきたし潜ってみてー!」

男「流石、スポーツマン」

女「基礎体力が違うね」

男「よし、では潜る時の呼吸法だ」

男「まずはやってはいけない呼吸法、ハイパーベンチだ」

男「素早く呼吸する事により脳が酸素が多いと勘違いするという方法だ」

友「息が苦しくないって錯覚しているのか?」

男「その通り。言わば過呼吸の逆バージョンだな」

友「慣れてきたし潜ってみてー!」

男「流石、スポーツマン」

女「基礎体力が違うね」

男「よし、では潜る時の呼吸法だ」

男「まずはやってはいけない呼吸法、ハイパーベンチだ」

男「素早く呼吸する事により脳が酸素が多いと勘違いするという方法だ」

友「息が苦しくないって錯覚しているのか?」

男「その通り。潜水中に意識失ったりする恐れがあるんだ。言わば過呼吸の逆バージョンだな」

男「で正しい呼吸法だ」

男「潜る前に大きく息を吐いて新鮮な空気を肺いっぱいに取り入れる」

男「で、2~3回深呼吸して最後に大きく息を吸い込むんだ」

男「慣れるとだいぶ長く潜れるぞ」

女「あたしは習得できなかった!」

友「……」ハーー スー- ハー スー ハー

男「俺も年中潜っている訳じゃないから、上手くできない時もあるな」

友「……」スーー ハーー ザプン

男「あ……」

女「どうしたの?」

男「シュノーケル使ってできるだけ肺を深い所に沈めた方が、水圧の関係で多くの空気をが吸えるんだが」

友「ぶひゃああ!」ザバァン

男「お?」

女「うわ?!」

友「ぐおおぉぉ耳ぃ……」

男「耳抜きし忘れたな」

友「……あんな痛くなるのか」

男「無理すると耳を悪くするだろうから気をつけろよ」

友(……)スィー

友(やっべ、潜水超楽しい)スィーー

男(……)フヨフヨ

友(うおっ!)ゴボ

友(あいつ逆さになってなにやってんの?!)スィー

男(……?)

男(……)ツイツイ

友(? 岩の下にこんなに魚がいるのか!)

友(……)スィー

友(やっべ、潜水超楽しい)スィーー

男(……)フヨフヨ

友(うおっ!)ゴボ

友(あいつ逆さになってなにやってんの?!)スィー

男(……?)

男(……)ツイツイ

友(? 岩の下にこんなに魚がいるのか!)

男「……ぷは」ザパ

友「……ぶはぁっ!」ザバァ

女「あ、お帰りー」チャプチャプ

友「いくらなんでもあれはないだろ」

男「捕まる場所が無かったからな」

女「なにしてたの?」

友「逆さになって泳いでいた」

女「あーまたやってたんだ」

友「またなのかよ!」

勉強になります、はい

男「分っていないなー。ここは海だ。無重力とまではいかないが自由に動ける」

男「これを最大限楽しまないで何が海か。何がスキンダイビングか」

友「そうかよ……」

男「お前もだいぶ潜っていられるようになったし、潜り方も説明しておくか」

友「それ先に教えるもんじゃねーの……?」

男「ある程度耳抜きに慣れてないと難しいからな」

女「あ、あのカッコイイやつか」

友「なんだと?! カッコイイのか?!」

男「まあできたら格好良いよな。ちゃんとできたらな」

男「この潜り方は……」グーー

友「……」

女「……」

男「海の家で説明するか」

友「地上で潜水方法説明すんのかよ……」

女「でもお腹空いたよね」

男「一旦戻ろうか」

渡し舟
男「ふーー」ドドドド

友「いやー相変わらず気持ち良いなーおい」ザザァン

女「揺れるからちょっと怖いけど楽しいよね」

友「そういや海に入るのに一人は駄目だ、て言っていたが船とか乗船拒否られねえの?」

男「全ての場所が大丈夫とは言わないが、ここは訪れる人間が多いからな」

男「分母がでかければ当然、そういう人も出る。からなのだろうな」

男「一人で海に行く場合、乗船チケットの販売所で氏名住所実家の連絡先を書かされる」

男「これを本人が取り消し線を書く事で、安否確認としているよ」

友「そりゃまた面倒だな」

男「一人分のチケット買う時に、知り合いは来るのかって聞かれるからな」

女「面倒だからいる、て答えている人いそうだね」

男「いるかもしれないが書いて当然の事なんだよな」

友「一人で来た故の義務ってところか」

男「最大の義務は違うがな」

女「最大の?」

男「何人で来ようと事故無く無事に帰る事だ」

友「なるほど、と思いかけたがお前は自分の行動をだな」

海の家
男「ここの飯はなんでも美味いぞー」

女「あたしカレー!」

友「結構色々あるんだな……カツ丼で」

男「俺は焼肉丼で」

女「でも席空いていてよかったね」

友「後一席だけだな」

男「時間帯が時間帯だからな。これだと料理もだいぶ後だし説明するか」

男「その名もヘッドファースト潜行だ!」

友「なにその格好良い響き!」

男「これは名前の通り頭から潜水するスタイルで、ぶっちゃけ逆立ち状態になる」

友「お前があの時逆さになっていたのって」

男「潜水からその場に留まっただけだ」

女「岩の下覗く時便利そうだよね」

男「いや……そんなやり方しているのは俺ぐらいかもしれないんだが」

穫る方やってりゃ当たり前にやるよね

男「先に言っておくと、逆さになると耳抜きがしにくくなるから」

男「上手くできなかったら無理せずに少し上昇しろよ」

友「あんな痛いのは懲り懲りだからな」

男「潜る前に耳抜きしておくのも一つの手だ。やり方だが行動を区切っていくとだな」

男「1、体を水平の状態にする。2、腰を90度に曲げて頭を下にする」

男「3、その体勢のまま足を垂直に立てる。つま先が空に向く感じだな」

男「4、そのまま沈んでいく。5、フィンまで水中に沈んだらキックして潜る。以上だ」

友「待て、何ゆえ沈むか」

女「あたしもこれ初めて聞いたから教えて欲しいな」

男「海面から出た足の重みで沈むんだ。まあ初めのうちはフィンまで沈むの難しいから」

男「その時は手で水を掻いて潜る。沈む前にキックすると失敗するからな」

友「なるほどなー……すげえな。出来たらカッコイイわ」

男「因みに似た潜行でジャックナイフ潜行ってのもある。俺には違いが分からない」

友「……さいですか」

男「いや動画見ていると何がどうに違うのかよく分らないんだって」

男「……」モグモグ

女「……」パクパク

友「……」ガツガツ

友「くそ、クソうめぇ!」

女「でしょー」

友「というか男の焼肉丼が予想以上に焼肉丼なんだが」

男「肉も結構厚みがあって初見は驚いたもんだ」

友「腹ごしらえもしたしまた潜るぜぇい」

男「さっきも言ったように耳抜きしづらいから注意な」

女「途中でうろうろしている間に浮かんで来た事あったよね」

男「潜る、耳抜きできず上昇、潜る、耳抜きできずってもたもたしてたら息がもたなかった」

友「そういうもんなのか?」

男「やっぱり無駄な動きがあると酸素を消費するよ。一分ももってなかったな、あれ」

友「無駄な動きをなくし、スムーズに潜水……」

男「無理だから初めは無駄に動け」

友「そのアドバイスは正しいのか……?」

友(……)プシップシッ

友(ぐおお、より潜れるようになったけどすぐ耳がぁ)プシップシッ

男(……)スィー

友(あの野郎、得意げに!)プシッ

男(……)クル スィー

友(海面向いて泳ぎだした?)

男(……)カポ コポ コポ

友(おお、息を輪にするアレ! 全部できてねぇ!)



男「……ぶはぁ!」ザバァン

友「……ふはぁ! んだよあれ、超ガッカリだぞ!」ザバァァ

女「見てなかったんだけど何してたの?」

男「バブルリング練習してた。息を輪にして吐き出しやつ」

女「あれってどうやるの?」

男「波が水の動きが少ない所で水面と平行になるよう唇を向ける」

男「頬が膨らむ程度に息を溜めて、ポッと空気を吐き出しすぐ口を閉じる」

友「よく分んね。そんなんでできるのか?」

男「一度だけ成功した。本来はもっと波の無い海や深いプールでやるべきなんだが」

女「そんな練習場所ないよね」

男「そういう事だ……できるようになりたいな」

男「で、お前のほうはどうだ?」

友「中々難しいがだんだん分ってきた気がする」

男「じゃあしばらくはこの辺で練習か?」

友「おう! そういえば珊瑚っぽいの見たんだがあれマジ?」

女「ここは伊豆でも数少ない珊瑚のある場所だからねー」

男「昔はもっと群生していたが台風でやられてしまったらしくてな」

男「くそ……見られないのが悔やまれる」

友「本気で悔しがっているよこいつ……」

今年ライセンスとった自分が通りますよ
先週は土肥と井田で(スキンで)潜った
土肥ではシマダイがつきまとってきて体突っつかれたりしてえらく可愛かったです
個人的にタイムリーで期待
(ちなみの自分のダイビングはカサゴ釣るのが目的の半分だから鯖の身餌と釣り針は常備、伊勢海老貝類はとらないよ?逮捕されたくないし)

漁協が許可出してるところも僅かながら有るけどな
ほぼ獲る目的でしか行かんが入れるところかなり限られるんだよな

男「そろそろいい時間か」

女「3時半だねー」

友「なんかあるのか?」

男「渡し舟は4時半に終わりだ。帰宅ラッシュに揉まれる前に上がるぞ」

友「ぐおおお、名残惜しいなぁ!」

男「一応明日もあるんだ。とっとと行かないとシャワーが順番待ちになってもしらないぞ」

友「そんなにか?」

男「いや、俺は何時も早めに動くから分からないが、あるんじゃないか? この人数だと」

女「あたしは温水の方いくねー」

男「水シャワーでいいよな?」

友「おうよ! ってここって海の家じゃ……」

男「ここの屋上で水シャワー借りられるんだよ。勿論有料だが」

友「ほうほう」

男「あ、返すのどうするんかな……軽くでもいいから水で洗ってからそれ持っていけよ」

友「おーう」

民宿
友「やー楽しいな。シュノーケル甘く見ていたわ」

男「シュノーケリングな。しかもどちらかと言わずともスキンダイブだったろ」

女「明日はどうするのー?」

男「ここって滅茶苦茶バスの本数少ないんだよなぁ」

友「と言うと?」

男「駅直行は正午に一本だったか」

男「後はー……2時から5時くらいまで1時間に一本、乗換で駅に向かうぐらいだ」

男「明日がっつり遊んでぐったりイライラ帰るか、そこそこ遊んでいそいそすぱっと帰るか」

友「なにその候補」

男「1時くらいに上がって水着乾かしつつ飯食いつつ3時のバスに乗ると」

男「下田から東京まで直通の特急に乗れる」

友「それ逃すと……?」

男「んー? バスの時間考えると特急は間に合わなかったと思うぞ」

女「因みに3時のバスで帰るとなんと!」

男「なんとなんと!」

友「お? なんか良い事あるのか?!」

女「駅でもれなく20分待ち!」

男「土産買うのもダッシュだ!」

友「それ道が渋滞してたらアウトじゃね?!」

女「去年そうだったよねー」

男「予め人数とか考えて売り場に行ったら1分即決」

友「酷い選定だ。ってあの伊豆土産か!」

男「焦りに焦って特急券を窓口を買おうとした時、『特急まで』って言ったな」

女「東京までって言いたかったとは分らなかったなぁあれ」

友「とりあえず20分コースで……」

男「言い方が如何わしいな」

友「つーか伊豆土産って何がいいんだろ。特産ってなんだ?」

男「農産物と魚介類だろうな」

女「温泉もあるからある意味温泉饅頭も特産かなぁ?」

友「なんか菓子類の特産ってないのか?! 新潟なら米使ったなにかとかさぁ」

男「瀬戸内海ならタコ煎餅とかあるらしいが、こっちはどうなんだろうな」

女「干物買って帰れば?」

友「家族土産かよ!」

男「どの道選んでいる時間はないって」

友「土産買うのもさ、旅行の楽しみでねーの?」

女「気持ちは分るけどギリギリまで泳ぎたいとなるとそれもねー……」

男「お前だってぎりぎりまで潜りたいだろ」

友「そりゃあ……まあ」

男「明日も天気が良い、ラッシュもある程度乾かすのに一時間も要らないだろうから」

女「やっぱ1時くらい?」

男「だな」

男「さて夕食な訳だが」

友「おお! さざえがある!」

女「秋頃になると伊勢海老が獲れるらしいよー」

友「秋って潜れるの?」

男「水温的には潜れるが渡し舟は9月末で終わりだな」

友「へー……やっぱ水温はギリギリかぁ」

男「水だから冷め辛いんだ。だいたい二ヶ月の差でみるそうだ。ま、陸の気温は冷えるから」

男「天候次第じゃ、7月でさえラッシュガードだけだと小休憩挟まないと寒くてやってられないからな」

友「海水的には9月がベストぐらいなのか?」

男「ベストではないがそれなりに潜れるそうだ。土日はやっぱり混むらしいが」

男「あと魚影が濃くなるらしい。季節的にウェットスーツが増えるからダイビングスポットぽくなるらしいぞ」

友「へーほー……9月かー来たいなー」カチカチ

女「お、カメラ」

男「そういえば防水カメラ買っていたんだな」

友「おうよ!」

男「買っちゃった、んだな」

友「何その反応」

男「現実を突きつけると簡単に壊れる」

友「なに?!」

男「というか防水カメラの水深○mは防水性を保障するものじゃありません!!」

友「なんだってーー!!」

女「凄い話だよね、それ」

男「この蟹の味噌汁、ちょっと潮がきついな……あおさの味噌汁みたいな潮香る方が好」ズズ

友「おい、何一人で素に戻ってんだ。もっと教えろよ」

男「例えば水深10mとか書いてあっても、5,6mを潜りまくってると」

男「バッテリーやSDのところの蓋、防水パッキンが逝きます」

友「水圧に耐えられないのかよ……」

女「でも実際潜ってみるとすごい力が加わってるのって分るよねー」

男「因みに蓋の周りに埃や髪の毛が挟まるだけで浸水もする」

友「うおおおお! もう開けたくねええぇぇ!」

男「因みにメンドイン」

友「中国……だと」

男「ペンタックスのGWシリーズはインドネシアだ」

女「そういえば今年、男は持ってこなかったね」

男「三回ダメにして懲りた」

友「なに……? 水中カメラってどうしたらいいの?」

男「所謂情強だと高性能コンデジor一眼にマリンハウジングという防水のケースを使うそうだ」

男「ISOやらシャッター速度弄れないと海中撮影は至難だからな。普通のコンデジじゃまともに撮れない」

友「ぐ……防水カメラの水中モードこそ利点なのに」

男(それも大きい画面で見ると大抵ピンボケ、ブレまくりだがあえて言うまい……)

友「せめて明日はもちますように」パンパン

女「お刺身おいしー」

男「食わないんなら貰っちまうぞー」ヒョイ

友「あ、こらてめえ!」

男「まーなんだ。そうやって人は勉強するものだって授業料だと思えばいい」

友「あ、でも俺、五年保障で買ったから安泰じゃね?」

男「メーカーによってはそこは消耗品扱いで有償になる場合がある」

男「あと、裏蓋のところって数年に一度は取り替えないといけないらしい。まあ消耗品という所以だな」

友「うおおおおおお!!」

友「はーーー! 美味かったぁ!」

男「これ、片付けてくるな」ガチャガチャ

女「うん、お願いねー」

友「にしても……周囲に何も無いとなると夜はどうするんだ?」

女「海に行くのに寝不足は禁物だよ。9時とかには寝てるかなー」

友「早!」

女「ゆっくり体を休めた方がいいし。無理しても後でしっぺ返しになるからねぇ」

男「ただいま」

女「おかえりー」

友「おう。そういえばお前が言っていたライセンスとかなんか特典あるのか?」

男「うん? ああCカードな。ダイバーとしての認定証みたいなものだ」

男「外国だとこれが無いとダイビングできないって決まりがあったりする」

友「おお……なんか厳格そうだな」

男「法律で定められている訳ではないが、ダイバーなら持ってる物、として浸透しているな」

男「俺も詳しくは知らないが……持っていると水深20mぐらいまで潜っていいとか」

男「体験ダイビング以外で、まあダイバーだな」

男「が、ここに潜ってみたいっていう場合はダイビングショップ側は」

男「Cカードから適切かを判断するんだとか。逆に言えば無認定者は体験ダイビングのみって事だ」

女「あ、そうなんだ」

男「ちょっとした洞窟になっているような所だと、上のランクじゃないと潜れないんじゃないかな」

友「結構大変なんだなぁ」

男「国内でも危ない所は多いからな」

友「危険っていうと?」

男「例えばダウンカレントがあるところとかだな」

女「ダウンカレント?」

男「今日遊んでいて、岩場近くは水の流れが急じゃなかったか?」

友「んー? まあそうだな」

男「海面から顔を出した岩場、波が寄せると岩場は海中になる」

男「その波が引く時、岩場が邪魔となる分の海水が岩場を超えて流れようとする」

友「それで限定的に流れが強くなるのか!」

男「実際の意味合いは違うんだけどな」

友「え?」

男「他にも要因や発生理由はあるがそんな感じで捉えておけばいい」

男「これがもっと巨大な……海底の地面が急に崖のようになるドロップオフだったりすると」

男「波ではなく潮の満ち引きによって強い流れになるんだ」

友「それに引きこまれると……死ぬのか?」

男「勢いにもよるが、対処次第だろうな。スキューバダイビングだと浮力が調節できるから」

男「それをめいいっぱいにしたり、岩場に捕まって流れが収まるのを待ったり」

女「聞くだけ恐ろしい話だよね……」

男「岩場で遊んだ時に、魚がぐいぐい引っ張られて岩場の向こうに流れていったのを見た時はぞっとしたな」

男「後は沖縄本島北部の海中に洞窟があるらしい。ケイブダイビングって言われるそうだ」

友「そこもすごそうだな」

男「どんなもんかは知らないが、浮力を調節して浮き沈みしないように、とは必須だろうし」

男「俺達が想像するレベルよりも難しいんだろうな。という所でランクが分かれているんだ」

女「そういえばライセンスのランクの話だったね」

友「ダウンカレントとかいうので頭がいっぱいになりそうだったぜ……」

男「他にも珊瑚礁によって引き起こされるリーフカレントとか……まあ色々あるな」

男「まあ、シュノーケリング程度の範疇なら満潮、干潮の潮の流れとかを」

男「気にかけるぐらいになるかな。ここ数日だと下り潮が早くて監視船のお世話になる人が」

男「後を絶たないって話だからな。流されたら慌てない焦らないが鉄則だからな?」

友「おう、そもそも流されないよう気をつけるぜ」

女「潜っていると結構、場所が分からなくなりやすいもんね」

男「明日は岩場の向こう側……遊覧船の通る水道に行こう」

男「常に周りをチェック。遊泳禁止海域に近寄らない、エンジンを聞こえたら落ち着いて周囲をチェック」

友「おう! またよく分らない単語が聞こえた気がするぜ!」

男「水道ってのは両側が陸地になって狭くなっているところな」

男「因みに外洋に面しているから、時たま大物も来たりするポイントで水深も深い」

男「更にここの北東はさっき言った海中の崖、ドロップオフになっていて超楽しい!」

友「なんで今日そこまで行かなかったんだ!」

男「だってお前、移動する気配なかったし」

女「ずーっと同じ場所で潜りっぱなしだったもんね」

男「ここのドロップオフは最大で20m近くあるとか」

友「すげー……さっきのライセンスギリギリの深度か」

男「まあ説明はこれぐらいでそろそろ休むか」

女「明日に備えないとだね」

友「俺、寝られるかな……」

男「平気そうに見えても結構疲れるもんだからな。あんだけ潜ってりゃすぐ寝られるさ」

男「んじゃあお休み」ゴロン

友「おう、お休み」ノソ

女「お休みー。この線から入ってきたら剃刀だから」

友(さらっと凄い事言われた気がする)

一番最初に取るやつで18mだな
自分は23くらいもぐっちゃってるがw
下田はキンメがうまいよなー
3月に友人と踊り子で行ったが特急ほぼ満席だったな(目的は釣り)
踊り子は乗り心地悪いのよね、古いから
スーパービューがいいのだが小田原とならないのがね

『本日の渡し舟は運行します』ピンポーン

友「う、あ……?」

女「あ、おはよー」

『乗船チケットの販売は……』

友「……男は?」ボー

女「顔洗ってるよ。友も洗ったら?」

友「……この放送なに?」

男「そのまんま渡し舟とかの放送だよ」

男「人数いるし朝食取りにいこう」

友「お、飯食ったらすぐ海か!」

男「船は8時半からだ」

友「おう……」

女「車で徹夜で来てる人達もいるからね」

男「初めの2,30分は待ちぼうけになりそうだな」

友「だけどいち早く行きたいんだが……」

男「どうせそんな場所とらないし、少しくらいゆっくりしていこう」

男「さて準備ができたしいくか」

友「荷物どうするんだ?」

男「お前らがスーツ借りているところで、ロッカー借りれるらしいからそこだな」

女「一先ず、着替えてくるね」

男「乗船券売っている所で会おうか」

友「おーう」


男「さて今日はより潜る方向でいくが」

男「向こうの岩場のドロップオフを潜るぞ」

友「ドロップオフって……おいおい、ダウンカレントってのがあるんじゃないのか?」

男「ここは中、上級者のスキンダイバーのスポットだが」

男「ダウンカレントに嵌ったって話は聞かないからな。恐らくダウンカレントが発生しないんだろう」

女「男が潜ってるのを見ているけど、そういう事はなさそうだね」

男「むしろあったらここに居ない」

女「あたしはここでぷかぷかやってるねー」

男「じゃあ監視員は女で。まあそこまで潜れないしな」

男「物足りなかったからもう少し北側で潜ってみるといいぞ」

友「どう違うんだ?」

男「こっちは外洋側で大物がいたりする」

男「北側は小さい熱帯魚が多い。壁面に結構いるぞ」

友「ほうほう」

男「まあ例えってだけでどっちにでも大物も小さい熱帯魚もいるけどな」

友「どっちだよ」

男「結構深くまで行くと魚影が濃いんだとさ」

友「俺でもいけるか?」

男「俺より深く潜れないとダメだな」

女「無理して溺れるように上がってきても困るしね」

男「そういうわけで無理せずそっちで潜ってみるのもいいだろうな」

女「あたしとしては北側の方が楽しいしね」

友「ぷはぁっ!」ザバァ

女「どう?」

友「やーこっちも凄いわ」

友「というか男どこ行った?」

女「なんか向こう側に行くって」

友「この向こうもドロップオフなのか?」

女「違ったと思うけどなんかダイビングっぽい地形で面白そうだったよ」

友「おっしゃあ行ってみるぜ!」

男「ふぅ……」ザバァ

友「お、いたいた」

女「やっほー」

男「なんだ、二人とも来たのか」

友「なんかこっちが面白いって話らしいからな」

男「水深が5,6mはあるが底まで行くと面白い地形でさ」

女「いかにもって感じだよね」

男「V字の岩場の間を遊泳するとか凄いスキューバダイビングみたいで楽しいぞ」

友「……」ザポン

友「」プカー

男「だから5,6mはあるって行ったのに……」

女「まあ……溺れなくてよかったよね」

友「おーいああ、ああうおおえうーあ」コホー

男「シュノーケル外して顔上げて話せ」

友「お前どうやってあんな潜ってんだ!」

男「お前なぁ……潜れる人は簡単に二桁いくんだぞ……」

男「肺を鍛える。無理せずに潜るぐらいかなぁ」

男「慣れてくれば余計な酸素使わずに潜れるようになるだろうし」

男「続けると呼吸法も上手くなるらしいからな」

友「一日にしてならずって事か」

女「そりゃーそうだよね」

男「少しずつでも上達はしていくからな。焦らない事だ」

友「早く深くまで潜りてーなー」

男「そろそろいい時間だな。上がるぞー」

友「ええ?! もうか?」

女「バスに遅れると困るしね」ザブザブ

男「置いてくぞー」ザバザバ

友「ちょ、待って、置いてかないでくれー!」ザババ


男「荷物良し」

女「レンタル品確認!」

友「ゴミ無し!」

男「おーし、船の発着所にいくぞ」

バス
女「しゅっぱーつ」ブロロロ

友「あー……疲れた。が、楽しかった!」

男「そりゃ良かったな。疲れるのはこれからだが」

友「え?」

男「行きと違って昼間の移動だからな。人の数も段違いだ」

女「でも東京まで直通だから楽だよね」

男「まあな」

友「また来たいな」

男「決まりだな」

女「どうかしたのー?」

男「9月も来てみたいと思っていたが丁度いい。連行だ」

女「あ、あたしパス」

友「えそりゃあいいが夜行列車とかって」

男「勿論無い!」

男「ひいこら行って電車を乗り継ぐか、車でひいこら行って運転して行くかだな!」

友「やっぱキャンセ」

男「行く日決めておくからなー! ちょっと海水冷たいけど平気だって!」ハハハ


   友「ダイビングやってみてー! 男、協力しろよー!」 終

乙!!

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