【咲安価】京太郎奇怪綺譚:弐拾巻目【都市伝説】 (1000)

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・咲-saki-の安価スレです
・原作とは違う性格付け・設定付けをされたキャラが登場する可能性があります
・現実に実在する人物、団体とは一切関係がありません。ここ重要
・色んな意味で広い目で見てください
・何かおかしい事があればそれはフリーメイソンってやつの仕業なんだ


前スレ
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾玖巻目【都市伝説】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372674573/)

支援四天王の中でも最速の人が反映してくださっているWIKI
http://www55.atwiki.jp/kikaikitan/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373623690


さて、三年生回スタートですな




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                 | |':::|`,   .l;::j`,レ'::::/::::;j' ~♪
                  ``>. 、 _  /:::::::/:::::ソ
         __ ,-─、'/ノ;>--,;.し:/::;ん::::(、_

         <  \ ヾYv'~ ̄`(~;ト、)ヾ`iノ .ヽ
        iタ^} _ヽ__.ソ、             ゙l }
        ヽ, `i´  ゙^./ ヽ   |,  /    | |
          i `、  ,."  `、 ,ソ ./     \|.}         , -ー 、
          | ゝ〆    ヽ/  ' 、     ヾ、.         /     ゙i
        _,,r/~ハ     /    _>-‐─ヘノ}        |      `、
       {  ,l゙ { `    /|、  ,〆,,rー-─ー-\,,_      i      ヽ
       ヽ /ノ J   ,イ′l  / /     `'~    `ヽ、 l゙       \
        /"     ,  /  `ー|/, ″              `ゾ ヽ,、  、   ヽ.
          `ー-、ー</     ゙l                   ./     ヘ   ヽ,   .i
           ヽ         |            //    | ゙、 , _ _ ._ }
            `、        |       ー、,_/ /      |\\).ヽ,ヽ,Y j
            ヽ        |   /     \'_//    | ̄`ヽ`~~"
             \       _{  ./  ,   `ミゝ、/       |,-ー─\
               \,,,;:--:'''''" `、/ /  / ̄~`/       |     `ヽ



投下はっじめーるよー

始まりがあれば、終わりもある。


青春に始まりがあれば、終わりもある。

桜は咲けば、いつか散る。

出会いがあれば、別れもある。

入学があれば、卒業もある。


価値あるものが不変であることはない。


時間の流れと共に、全てが移り変わっていく。


永遠はない。この世にはない。たった一つを除いては。



それでも、そこに『価値がある』と言い続ける事が、変わる事を受け入れるという事。

変わっていくものと変わらぬものを眺めながら、変わっていく世界を喜べる事。

それはとても、素晴らしい事だ。



だが、終わらせてはいけない。

終わったものは、変わらない。

終わってしまったものは、この世で唯一認めてはならない永遠だ。

変わり果てたものを『価値がない』と、断じられるという事だ。

それは絶対に、許容されてはならない事。



人生の区切り……『卒業式』。

これも、変わっていく何かを祝い讃える祭典。

変わっていく、成長していく、歩んでいく者達への祝福のエール。




そして、今も。多くの子らが、変わって往くその一歩を踏み出そうとしていた。

陽光の差す調理室。

家庭科の授業か、調理部の活動でしか使われない女の戦場。

騒がしいか、誰も居ないか。常の日々なら両極端な人口比率のその場所に、今は二人だけしか存在しない。

片や窓に腰掛ける女性的な美少女、片や中性的な学ランを肩に掛けテーブルに腰掛ける少女。



セーラ「なーんか、あっという間の三年やった気がするなぁ」

竜華「せやね」



たった一言の応対で、伝わる意思。

二人は……いや、『三人』は。

この世界において高校進学と同時に出会った、唯一無二の親友同士である。

二人いるのに唯一無二ってどういうことやねん、と言われそうな気もするが。



セーラ「偶然同じクラスに関西出身の奴が三人居て」

竜華「そのまま、なんとなく仲良くなって」

セーラ「怜が倒れて」

竜華「せやけどなんでか、疎遠にはならなくて」

セーラ「結局、三年も続いちまうんやもんなぁ。腐れ縁も良いとこや」



二人は数日後、『一人』を残して卒業する。

それが二人の唯一の心残りであり、後悔であり、罪悪感であり、悲しみであり、悔恨であり、理不尽であった。


もしかしたら、それを嘆く未来もあったかもしれない。

もしかしたら、それに怒り狂う未来があったかもしれない。

もしかしたら、そもそも三人で生きてこの未来を迎える事もなかったかもしれない。

現実や運命と呼ばれるものに、心折られかけた事もある。


それでも、何故かこの二人の表情は。

ほんの少し、後ろ髪を引かれているような印象を受けながらも。



『託せる誰か』を知っているかのように、強い気持ちを内包していた。



セーラ「ま、揃って卒業できひんのはちょい悔しいけどな」

竜華「ない物ねだりしてもしゃーないやん」

笑い合う二人は、時間と関係無く形作られた絆、時間によって形作られた絆を思わせて。

離れ離れになろうと、疎遠になろうと、決して薄れることのない『友情』を感じさせる。



セーラ「忙しい数年間やった」

竜華「けど、楽しかった」

セーラ「せやな」



先の応対を反転させたような、たった一言で伝わる意思。

親しい人物の一言は、親しくない人物の講義一時間よりずっと雄弁だ。

それだけで、伝わるのだから。



「もうここしか探してない所無いな……しっつれいしまーす」



そんな二人、いや三人の関係にあっという間に混ざれた人間が居ると言った所で、誰が信じるのだろうか?

鮮烈に現れて、激的に関わって、平穏に終わらせる。

台風の後のように、陽の光を遮る雲を吹き飛ばして、三人の顔を晴らした人間が居たとして、それはまるでお伽噺の住人だ。

けれど、二人は。



京太郎「あ、居た居た」



どうしようもない絶望を、吹き晴らしてくれたその少年を。

一見そんな事をやらかしてくれたようには見えないその恩人の存在を、覚えている。

そしてきっと、何があっても忘れない。



京太郎「何してたんですか? 泉とかお二人の後輩とか、ずっと探してましたけど」



少年を見つけた少女は嬉しそうに背後に回り、バシンッ! と小気味のいい音を立て、背中をぶっ叩く。



京太郎「イデェッ!? なにすんですかっ!?」

セーラ「激励や激励! 元気出たやろ?」

京太郎「血も出そうな威力でしたけどね!」



あはは、と笑う竜華の声が、ただ一つ少年の痛みを和らげていた。

京太郎「後輩さん達、女子サッカー部も調理部もなんかお祝いやりたそうな感じでしたけど」

竜華「んー……後でええかな。今は」

セーラ「んじゃオレもー」

京太郎「後って、いつ行くんですか!?」

竜華「今でしょ、とは言わんからな」

京太郎「(チッ)」

セーラ「そういうんにノリ求めんなら、怜にやったりぃや」

京太郎「(打てば絶対に響く奴ってのもどうにもなぁ。予定調和のネタ振りも楽しいけど)」

セーラ「やれやれやな」



よっ、という掛け声と共に、少女は跳ねるように机から跳び降りる。

少年からすれば、分かっていた事でもある。

怜も含めた三人の中で、一番面倒見がよく後輩思い。

だからこそ慕われる、そんな江口セーラが後輩を「後回し」になんかするわけがないのだと。


が、彼女を見送ろうとその背中を眺めていた少年に、振り返ったセーラが一言告げる。



セーラ「先輩っぽいこと、してやった覚えはあんまあらへんけど」

セーラ「ま、頑張れ。オレは気の利いた事は言えんからそんだけや」

京太郎「セーラ先輩……」

セーラ「第一印象はそんな良くなかったけど、なんだかなんだ退屈せん奴やったで」



それは去りゆく先輩から、後輩への激励だった。

先程背中を叩いた時と、込められた想いは同じ。

そして、伝わった、伝えられた気持ちも同じ。



京太郎「(やっぱイケメンだよなぁ、この人)」



背中越しにひらひらと振られた手が、妙にサマになっている。

まるで彼女の周囲だけが、ハードボイルド漫画になったかのような格好良さがそこには在った。



セーラ「そんじゃな」

京太郎「あ、また明日」



イケメンだと、京太郎はただそう思った。

だからアンタ女子にしか告白されないんですよ、とも。



京太郎「(外見が男性的なわけでもおもちぺったんこでもないのに、『漢だ』とか思っちまうのは)」

京太郎「(性格が、掛け値なしにカッコイイって事なんだろうなぁ)」

扉の閉まる音が途絶えた後、気付けば窓際に居た少女は調理台の傍に居た。

此方を見つめる少年の目線も気にせずに、愛しさを込めて長く支えてくれた無機物の友人を撫で続ける。

窓から差す、陽の光に映える美少女。その整った美しさは、少し手違えれば陽光の方が見劣りしそうになるほどで。



竜華「……んー」

京太郎「やっぱ、思い入れとかありますか?」

竜華「あらん方がおかしいやん? 変なこと言うなぁ、あははっ」



この部屋にある物への彼女の愛着が、それを後押しする。

母が子にするように、妻が夫にするように。愛おしげな仕草というものは、女性の魅力を倍加させる。

今の彼女の物憂げな雰囲気がそこに加われば、尚更だ。

並みの男なら一瞬で魅了されてしまうだろう。


無言の二人。

長くはなくともほんの少しの間、二人の間に流れる時間。

それがなんとなく心地良いいと、二人の思考はシンクロしていた。。



竜華「怜の事、よろしゅうな」

京太郎「……はい」

竜華「セーラも多分、後で言いに来ると思うし」



これが今日の本題だと、彼は思った。

セーラと竜華が言いたかった事だと、二人の心残りなのだと思った。

セーラがさっさと退出したのは、言おうとして気恥ずかしくなったのもあるんだろうなと思った。

二人にとって、途方も無い願いと祈りが込められていると思った。

信頼して、預けてくれているのだと思った。

渡されたバトンだと思った。

三年もの間断ち切られずに保たれてきた、友情の形だと思った。



決して、無責任な気持ちで受け取ってはならないと。

落としてはならないと、ぞんざいに扱ってはならないと、託された想いだと。

少年は、そう思った。

渡されたバトンを噛み締める。

そんな少年を見て、少女は何かを思いついたようだ。


それはからかうようにも、ケジメのようにも、どちらにも見える一つの区切り。

少なくとも彼女は、ゲームのスイッチを押すような軽い気持ちで、一歩を踏み出した。



竜華「あー、あとな。あっちの窓見てみ?」

京太郎「はい? あっちに何かありまし―――」



窓際へと向けられる瞳。逸れる視線。顔の横に出来た死角。



そして―――頬に柔らかな感触。



少年が一瞬感じた体温と、その頬にかかる吐息。

少年が呆気に取られた次の一瞬には、彼女は手の届かぬ位置に離れていた。

それはまるで、『このルートではこれ以上はありません』と神が囁いているようで。



竜華「依頼料金前払い。ふふっ、前金だけ貰って逃走は無しやでー?」

京太郎「え、は?」

竜華「ほっぺたやけど乙女のファーストやし。言ってて恥ずかしゅうなってきたけど、価値はあるやろ」

竜華「『そっちのファースト』は怜が取ったらおもろいかもしれんなぁ」

京太郎「ん? ん? あれ?」



思考回路がショート寸前な少年を尻目に、少女は軽やかにその部屋を飛び出していく。

行く先は後輩達の待つ居場所。先のセーラと同じ理由。

彼女の中の物語が一つ、これで幕を閉じた。

何かが終わる事はないにしろ、きっと彼女の中では何かが変わっていくのだろう。

そして、きっと新しい何かが始まっていく。



竜華「うん、うちはもうこれでええ」

竜華「なんだかんだ、楽しかったなぁ」



だからあえて、こう表現しよう。

清水谷竜華は、今『卒業』した。

視点を移動しよう。

三年生は、何もあの二人だけではない。



菫「もう、卒業か」

やえ「そうねー」



小走やえ。
かつて生徒会の庶務の王者として君臨した、通称生徒会窓口の王者。
人に頼られ、人に内心を打ち明けさせる点に関しては随一の才を持つ、コミュ力カンスト王者。

弘世菫。
常に凛とした、歳相応でない落ち着きと常識を持つ少女。
周囲からの頼られっぷりでは、小走やえと肩を並べるほどの猛者。


そして、一年次の『宮永照』のクラスメイトでもある。

つまりその時からの、三年間に渡る付き合いだという事だ。


菫は目上の者には敬語で、それ以外には中性的な話し方で。

やえは普段は女言葉だが、後輩に対しては尊大な話し方をする。


互いにいつもと違う言葉遣いをすると『違和感ある』と言われる者同士、何か通づる所があるのかもしれない。



菫「結局、帰って来なかったな」

やえ「なんでか留学扱いになってたし、二年生にはなれるんじゃない? 書類上だけど」



二人の共通の話題は、二年前というか三年前に失踪した一人の友人。

心配する気も起きないような規格外の友人だが、それでも無関心にはならない程度に友情を感じている二人。

その内ひょっこりと帰ってくるような気もしているのだが、それでも気にしない、という選択肢が選べない。

それはきっと、この二人が『良い人』だからだろう。


そんな二人の頭を、後ろからペチンと叩く出席簿。

気配もなく後ろに立っていたのは、何の因果か二人が一年の時の副担任であった教師。

つまり、まだ照が居た時代の三人に教鞭をとっていた恩師の一人。



晴絵「ま、アンタ達が居なくなっても私がいるから照の件は安心しときなさい」

菫「赤土先生」

やえ「む、ちょっと頼りない気が……」

晴絵「おういい度胸してんな」

この学校の教師陣の中でも、彼女は比較的若い。

教育実習生や新任の先生を除けば、おそらく最も若い教師だろう。

とは言ってもベテラン教師を三年生に回すためや、三年間通じて一つの学年に同じ教師を回すためなどetc…。

そういった理由で、若手の教師が一年の担任や副担任に回される事は珍しくない。

ましてや生徒からの評判も高く優秀とくれば、さっさと経験を積んで欲しいというのが学校側の都合だろう。


かくして初めての副担任に緊張していた赤土晴絵が出会ったのが、やたら濃いあの三人だった、というわけである。


規格外が一人、可愛げがないのが一人、筆舌に尽くしがたい王者が一人の三人を、赤土晴絵は一生忘れる事はないだろう。



晴絵「ま、ちょっと浮く事があっても学校に来続けたくなるようにはしとくわよ」

晴絵「留年の後追撃の不登校なんて嫌だしね」

菫「……ありがとうございます」

ゆえ「輝いてるじゃん、ハルエ先生のくせに」

晴絵「やっぱいい度胸してるわアンタ」



だって彼女ら三人も、確かに彼女の教え子なのだから。

赤土晴絵も、弘世菫も、小走やえも。

宮永照が巻き込まれた事情を知らないし、これから先知る事もないだろう。

それでも、教師として。友人として。

一つの終わり、人生の区切り、卒業式を前にして。

『彼女』を想う気持ちがある。彼女に向ける気遣いがある。


それは宮永咲のような、宮永照と付き合いの長い者が聞けば涙を流していたかもしれない程の話で。


「良い教師」と「良い友人」からすれば、ごく普通の当たり前の事だった。



晴絵「若い先生が一年生の副担任って事で、あの時は慣れてなくて四苦八苦してたから」

晴絵「あんま良い先生やれてなかったよね。ゴメン、それは謝っとく」

晴絵「だからせめて、こっから先は少しはマシな先生として、アンタ達の友人の面倒見てくからさ」

晴絵「ちょっとフライングだけど……卒業、おめでとう」



しかし、彼女からすれば最初の副担任の経験は拙い失敗ばかりの思い出で。

加えて言えば、その頃の失敗だらけだった自分が上手くやれていたのは、生徒達の気遣いだということも分かっていて。

教え子の失踪もあり、自分にも何か出来たんじゃないかと思い悩み。

それを自分のせいではない、と割り切れるだけの大人の強さも持っていて。

二年経ち、立派に独り立ちした教師となった今でも腐ることなく抱えていた気持ちがあって。



その感謝と、祝福と、応援の気持ちを込めて。大人になろうとする二人へ、激励の言葉を送っていた。

顔を見合わせる教え子二人。

意外だったかな、と拍子抜けする教師一人。

目線を合わせた一瞬後、クスリと笑う子供二人。

何がおかしいのか、分かっていない大人一人。


向き合う、恩師と教え子二人。



菫「……ありがとうございます。でも、一つだけ」

やえ「ありがと。でも、一つだけ」



想いは、言葉にしなければ伝わらない。

今この瞬間まで、二人が晴絵の内心を知らなかったように。



菫「良い指導だったか、悪い指導だったか」

菫「それを決めるのは、貴女ではない」


やえ「良い先生だったか、悪い先生だったか」

やえ「それを決めるのも、アナタじゃない」



キチンと、大切な事は言葉にしなければならないと。

その時は、心を込めて言わなければならないと。



菫「貴女は、いい先生だったと思う」

やえ「少なくとも、私達二人はそう思ってる」


「「先生、今日までありがとうございました!」」



揃って頭を下げるこの二人は、ちゃんと知っている。



晴絵「……ちょ、やめてよ」

晴絵「教え子の卒業とか、アンタ達が初めてなんだから、なんつーか」

晴絵「卒業式まで我慢しようとしてたのに、ここで泣いちゃったらどうしてくれんのよ……!」



教師の目元が、スーツの袖口で隠される。

袖口が少し湿り、声は震えている。

背中を二人に向けていても、その耳の色からどんな表情をしているのかは明白だ。



そんな三人のやり取りを物陰から覗いていた事を、激しく後悔している少年が居て。



京太郎「……挨拶、明日にすっかな」



三人の居る場所にむけて駆けて行く赤いマフラーを尻目に、少年は反対の方向へと歩き出していた。

歩き出した先は、御用達の部室。

今の時間には、一・二年生は居ない。

彼の記憶が正しければ、今部室に居るのは二人だけだ。

一言で言えば怖い先輩と、一言で言えば賢い先輩。

京太郎が語る印象を一言でまとめるとそうなってしまうのは、まあ仕方が無い。



ゆみ「先生方への個人的な挨拶か。皆考えることは同じだな」

智葉「まだ挨拶回りも終わりきっていない私達が言うのも、どうかと思うが」

ゆみ「仕方ないだろう……まさか後輩達がこんなに別れを惜しんでくれるとは思わなかったんだ」

京太郎「モモの号泣凄かったですね。モモと同じ目的で来た俺が言うのもなんですけど」

ゆみ「モモの奴、絶対卒業式でも大泣きするぞ……?」

京太郎「ああ、超ありそう……」

智葉「だがこれでしばらく私も『姉御』呼びが無くなると思うと、少し寂しくなるな」

京太郎「嫌だったんじゃないんですか?」

智葉「その問いに対する私の返答が分かっているのにわざわざ聞き返すな。鬱陶しい」

京太郎「っとと、すみません」



二人は生徒会の中核メンバーであり、実務における二本柱だ。

煌が潤滑油、やえがコクピットだとするのなら、二人はフレームとエンジンに当たるだろう。

だからこそ京太郎も相当に世話になっており、勉強を見てもらったり事務を教わった事もある。

事実上、あんまり仕事をしない生徒会長の代理人がこの二人。


だからこそ、京太郎の背筋も自然と伸びる。



智葉「ああ、わざわざ言うまでもないことだが……しっかりやれよ」

京太郎「はい!」

ゆみ「本当に、君には色々と世話になった……礼を言う」

京太郎「いや、あの、俺は今日ここにお二人に礼を言いに来たんですけど」

ゆみ「ははは、私も今日ぐらいしか機会がなかったんだ。サイドの逆転は勘弁して欲しい」

智葉「今生の別れというわけでも無い。会おうと思えば、いつだって会えるだろう」

京太郎「(漢前……つか、本当に極道の娘じゃないのかこの人)」

ゆみ「ああ、色々世話になっていると言ってすぐにこういうのは、その、なんだが」

ゆみ「……モモの事なんだがな。あー、その」

京太郎「(……ホント、良い先輩だよなこの人。モモには人を見る目でもあんのかね)」

京太郎「ま、ダチとしてダラダラやって行きますよ。いつも通り、これまで通り」

ゆみ「……そうか、良かった。安心した」

ゆみ「正直な所、たった一つの心残りでな……すまないが、あいつを頼む」

京太郎「友人に頼むも何もないですよ。好きでつるんでるんですから、それだけです」

ゆみ「……ふふっ、ああ、そうだった。君はそういう奴だったな」



後輩の心配。思えば、この人はいつもそうだったと、少年は思う。

自分の為に我慢する事と他人の為に我慢する事の違いが分かり、他人の為のが漫画何にもならないと分かっている人。

それでいて、他人の為に自分のしたい事を我慢出来る大人。

モモが憧れた理由も心から理解できる、そんな先輩。



ゆみ「蒲原のやつも気にしていてな……私達二人が揃って卒業してしまうのもあって」

京太郎「蒲原先輩は実家継ぐ勉強のために専門学校でしたっけ?」

ゆみ「ああ。ギリギリまで迷ったらしいがな」

京太郎「つか、加治木さんといい留学する人やら早稲田やら慶應やらに行く人多すぎじゃないですかねうちの高校……」

京太郎「(一番納得行かないのは生徒会で一番偏差値高いのがやえ先輩だって事なんだが)」



偏差値では王者なのに、何故か成績を自慢しない小走やえ。

それ故に須賀京太郎が彼女の成績に気付いたのは、なんと先週の事であった。

その時の「ニワカは俺だった」という彼の独り言は、虚しく空に溶けていったらしい。

ゆみ「はは、君も来るか?」

京太郎「無理言わないで下さい。多分俺は大学行かないで家業継ぎますよ」

ゆみ「言ってみただけだが、フラレてしまったか。君が居れば大学も楽しそうだと思ったのだが」

京太郎「あ、あはは……」



目が本気ですよ、とは言えない京太郎。

実際無理である。受験勉強の時間に仕事以上の時間を割く気がないのが、最大の理由でもあるが。

毎日予習復習して憧和に教わり、ようやく上の下レベルの成績を維持する彼にとんだ無茶振りである。

死ぬ気でやればなんとかなるだろうが、彼はそもそも死ぬ気をここで使う気がない。



実家を継げる奴特有の、そのうち来る受験期の余裕ってやつである。

ちょっと違うかもしれないが、気にしない。



ゆみ「ヒッチコック曰く、『人を泣かせるのは容易だが、笑わせるのは難しい』」

ゆみ「モモに関して、難しい事を頼むのは少し気が引けるが……」

京太郎「確かに難しい事ですけど、俺にとっちゃやりがいのあるライフワークですよ」

京太郎「それに、モモもアレはアレで結構したたかな所ありますし」

京太郎「俺が一方的に助け続ける関係、なんてのはあり得ないんじゃないですかね」

ゆみ「……ああ、そうかもな」

ゆみ「ならば最後に、『頑張れ後輩』。とだけ言っておこう」

京太郎「押忍!」



賢い彼女も、やがて自身の進む道を固めていく。

その過程でちゃんとした思い出が作れた事、部に関して後悔せずに済んだ事。

それは目の前のやたら手のかかった後輩達のお陰であり、その感謝はもう伝えた。

だから、向けるのは激励。

これから頑張れよ、と、最後の声援を送る。



それが、数日後。

もう一人のやたら手のかかった後輩、東横桃子に対しても。

「アイツを頼む」「頑張れ」と、似たようなことを言っていた心配症な先輩の言葉だった。

辻垣内智葉は、『怖い先輩』である。

お人好しがやたら多い生徒会において、調子に乗って横柄に出る恐れ知らずというものは時々出てくるものなのだ。

そんな時、きっちり『オトシマエ』を付けてくれるのが彼女。

「あの人達に楯突くとヤバい」「生意気言えない先輩」「怖くて校則違反出来ない」


そんな風潮効果を生み出すために久がスカウトした、畏怖の人材である。


彼女と対等に話せる人物は、そう居ない。

実際暴力的でもなければ怖い人でもないのだが、京太郎曰く。


『遠慮せずバッサリ行く』人なのだ。



智葉「なんだ?」

京太郎「あー、いえ」

智葉「格好付けた後輩への別れの言葉でも期待したか? 生憎、私は用意していない」

京太郎「(おおう……この人らしいっちゃこの人らしいけど、バッサリだ)」

京太郎「(しかし、なんというか、こう)」

京太郎「寂しいとか、心残りがあるとかはないんですか?」

智葉「寂しい? 心残り?」



少女は呆れるように、一つ息を吐く。

馬鹿にするというより、情けない弟に向けるような視線だ。

面倒そうな気配はないが、一度で覚えろとそのオーラが語っている。



智葉「ならなんだ。『この時間が永遠に続けばいいのに』とでも言えというのか?」

智葉「馬鹿馬鹿しい。美しい時間が、永遠に続くわけがないだろう」

智葉「自分の人生を懸命に生きていない凡俗は、そういった言葉が好きそうだな」



抜き身の日本刀の様な言葉。

それは飾り気もなく、無駄もなく、鋭く強く美しく、完成された刃のようで。

誰かの甘え、誰かの未練、誰かの執着をバッサリと切り捨てる、彼女の生き方そのもの。



目線を向けられただけで、京太郎は喉元にドスを突き付けられているような錯覚を感じていた。

智葉「永遠に美しく、ではなく。最後まで美しく、だ」

智葉「永遠にこの素晴らしい時間を、じゃない」

智葉「最後までこの時間を素晴らしく、だ」

智葉「青春の延長を願うような奴は、例えその願いが叶った所で『満足』してそれを終わらせる事などない」

智葉「飽きて終わりだ。後には、何も残らん」



刃の一閃のような、美しさすら感じる鋭い生き方。

触れれば切れるようなその性情は、他人の無駄すら削ぎ落とすものだと少年は知っている。

……もう慣れた。悲しい事に、その裏にある気遣いに気付けるほど彼は慣れてしまっていたのだった。



智葉「人生も同じだ。凡俗は何事も一度で満足させて終わらせず、ダラダラとした延長の挙句の果てに飽きて終わらせる」

智葉「お前はどうだ? ここで一年お前を見てきたが、改めて聞こう」

智葉「お前は何かを満足させて、たった一度で価値ある終わりを迎えられる人間か?」

智葉「それとも不変の日々や心残りに拘り、何も残す事の出来ない凡俗か?」



鋭くも、先刻とは違う試すような視線。

語調がキツくなっているのも、話す内容が厳し目なのも、この肌で感じる威圧感も。

全て、一つの目的のため。

器用ではないが鋭く生きる先輩へ、生半可な返答は返せない。



京太郎「……さあ、自分じゃそこんとこ分かりませんし。その辺の判断は、友人達に任せてますよ」

智葉「……」

京太郎「でも」



京太郎「凡俗よりは少しはマシな人間になれるように、日々頑張ってます」



智葉「……60点だな」



何故なら、この心臓の弱い人なら既に止まっていそうな圧迫面接。

ぶっちゃけてしまえば、これは何も言葉を用意していなかった彼女の精一杯。

つまり、彼女なりの後輩への激励であったのである。わかりづらい。


付き合いのない後輩達に畏怖されるのも当然だ、と激励された後輩は思う。

嬉しかったのだが、その本音はひた隠しにして。



智葉「五年経ったらまた見に来てやる。その時までに、男を磨いておけ」



アンタ本当に極道の娘じゃないんだよな? と喉から出掛かった言葉を抑えこみ。


京太郎「……あの人、生まれる時代間違えてね……?」


二人の先輩が去った後、独りごちる少年が居た。

中央高校には屋上が存在する。

生徒会への申請こそ要るが、生徒に大人気の談話スポットだ。

その屋上の端、給水塔の上。

この学校で一番高い所に居座る少女と、そこへ繋がるハシゴを登る少年が居た。


特に打ち合わせていたわけでも、待ち合わせていたわけでもない。

ただ、互いに気付けばそこに居た。

それだけだ。



京太郎「ども」

久「あら、遅かったわね」

京太郎「待っててくれてたんですか?」

久「今来たとこ」

京太郎「『遅かったわね』発言の意味は!?」



『待った?』『今来たとこ』のテンプレのこれほどまでに空虚な使い方があっただろうか?

意識してテンプレをコケにする辺り、流石竹井久と言う他無い。

待たせたかと思った少年の心配事が、一つ転げ落ちていく。



……まあ、実際に待っていたかどうかは彼女しか知り得ない事実なのだが。

彼女が一時間以上ここで待って居たのだとしても、彼に知るよしはない。

それ知るのは、彼女だけだ。



京太郎「どうしたんですか、こんな所で」

久「流れ行く雲に、思いを馳せていたのよ……」

京太郎「どうしたんですか、こんな所で」

久「完全スルーは辛いからやめてくれないかしら」



一年。からかわれ続けて一年だ。

猿でも学ぶっつーの、とは彼の内心。

彼女の突飛な行動への対応を丸投げにされていた彼の一年が、彼を強くした!


……本人曰く、あまり嬉しくない成長である。

京太郎「(そういえば、この人の進路の話はトンと聞かなかったな……)」


雑談を重ねれば、この時期だ。

自然、興味と話題はそちらの方へ向く。

むしろ今日まで聞かなかった方がおかしい。話題を操作されていた気までしてくる始末である。

もっとも、その気持ちは少年にとっての「爆弾」の行方に興味すら示してなかった、という類の違和感なのだが。


いつ爆破するか知らない爆弾。自業自得とはいえこの瞬間、少年にとっての竹井久はそれだった。

ひどい話である。自業自得だが。

そして。



久「私ね、進路の事だけど」

京太郎「(どうすんだろ。なんでも選べるんだろうけどさ)」

久「旅に出る事にしたわ」

京太郎「それは流石に予想してなかった!!」



意図してなかったタイミングで爆弾はノータイムで起爆。

予想外の一撃に少年の冷静さは爆発四散!

トンデモ発言で場を騒然とさせるのは彼女の常套句だが、ここまでのトンデモは初めてだ。

冗談であってくれと思いつつ、冗談じゃないんだろうなーと嘆く竹井久のパシリな少年。

久「ま、趣味の一環よ。貴方の人助けと同じ」

京太郎「いや、それは流石に趣味って規模じゃ……」

久「なーに言ってるの。自分のやりたい事で自分の得にならない事はみーんな趣味よ?」

久「趣味なら全力を尽くすものでしょ? 貴方だってそうじゃない」

京太郎「……!?」

久「趣味に手を抜く人間なんて、居ないのは当然でしょっ」



ニッ、と口角を釣り上げる挑発的な笑み。

彼女はいつだって挑発的で、挑戦的だ。

他人に迎合せず、他人に合わせず、かと言って合わせられないでもなく。

型を学んだ上で型破りになる、そんなかつて誰からも慕われた生徒会長。

そうだ、と。そんな彼女からすればこの上なく彼女らしい進路ではないか、と。

少年は、少女の言葉に感化され、そう少しづつ思い始める。



京太郎「でもそんな、今時そんな先行きの見えない不確かな選択……!」

久「人生に確かなことなんてないわ。それだけが確かなことなのよ」



それが、彼女の生き方。

確実性、安全、王道を選ばず、『楽しそうな方』へと向かっていく。

楽しく思えるこの一瞬の刹那を愛する、どんな結末であろうと後悔だけはしない生き方だ。

そんな彼女の生き方は、他人を惹きつける背中、他人を率いる才の源泉。



久「好きな事で本気になれない奴って、一生本気になれない人だと思うの」

久「私はそういう奴があんまり好きじゃないし、そういう奴になりたくないと思ってる」

久「私はこれまでも、これからも、ずっと好きなように生きていくわ」

久「無論、本気でね?」



京太郎はかつて、『王様』みたいな人だと彼女に思った事がある。

クセのある人材を纏めるカリスマ、滅茶苦茶なのにいつの間にか慕っている魅力。

好き勝手生きたいという、誰の中にでもある願望を刺激する性格。

夢を見せ、青春を謳歌させ、明日のその先へと他人を連れて行く力。



京太郎「(……あー、これだよ)」

京太郎「(だからこの人に付いて行ったんだ。俺達は)」



寺生まれですら下僕として従えた。学校の怪談を統べる、王の資質。

京太郎「……平穏な人生とか、平凡な人生とか。しばらく縁が無さそうな感じですね」

久「平凡な人生なんてあるわけじゃない。それこそ都市伝説よ」

京太郎「へ?」



王は激的だ。激的に、平凡の対極な生き方を選ぶ。

元より常識的、という言葉の対局に居る少女である。都市伝説との相性はバッチリだ。

彼女と関われば、誰もが『平凡』では居られない。



久「どんな人生にだってドラマはあるわよ? 平凡な人生なんて、きっとどこにもないわ」

久「入学だって、卒業だって、就職だって、結婚だって。本気で妥協せず生きてる人間にとっては、全部特大のイベントよ?」

久「平凡な人生が欲しい……って言ってる人の欲しい人生って、つまる所妥協し続ける人生」

久「そういう人生って、人生の要所要所で妥協した結果山も谷もない事人生になったって事よ」

久「妥協はちょっとねー、性に合わないわ」



型破りに憧れる煌。
口にはしないが認めていた智葉。
常識外れな楽しさを期待したゆみ。
彼女が創り上げる学園の理想に、信を置いていたやえ。

いつからか、認めたくないほどに尊敬していた京太郎。


それが、前期の生徒会という集団であった。



久「それと同じで、青春も平穏じゃつまんないわ」

久「だって印象に残らないもの」



ニヤリと笑う彼女の心象風景は、きっととても楽しげに違いない。



久「無味乾燥や平穏無事なんて、大人になってから飽きるほど貪ってればいいだけの話」

久「一生忘れない青春の思い出ってのは、ツマンナイ日常の中から生まれてなんて来やしなんだから」



そうだ、これが生徒会長。これが、『竹井久』だ。



京太郎「流石、元会長」

久「当然」



戦いの場で人を集める理想のリーダーが京太郎であるのなら。

学校という場で、人を率いる至上のリーダーは、彼女である。



久「生徒会長とは立場を指すのではない。生き様を指すのよ!」



しかし貴女の場合それはどうなんだろう、と少年は思った。
貴方の真似しようとして潰れそうになった煌さんが居ますよー、とも。

良くも悪くもワンオフ、それが彼女である。

久「ま、煌とかが居るから大丈夫だとは思うけど。貴方も頑張ってね」

京太郎「あ、はい」

久「分かってると思うけど、物理的にって話よ?」

京太郎「……勿論。全力で」



言わんとする事は分かっている。

『トイレの花子さん』の守護。

この学校が持っていた、都市伝説への圧倒的アドバンテージ。

中央高校が「彼女の学校」でなくなってしまったその瞬間から、この学校は女王に守られた無敵の要塞ではなくなってしまう。

すなわち、これからは二つの意味で『先輩に頼らず自立しなければならない』のだ。


先輩の卒業だけではない。

卒業式とは、「後輩が先輩の庇護から卒業する」という意味もある。

だからこその『卒業式』なのだ。



久「貴方が目に見える部分を。あの子が目に見えない部分を」

久「二人で二人三脚で、ちゃんと力合わせて守って行きなさい」

久「貴方達、二人揃えば二人前以上なんだから」

京太郎「はい」

久「(ま、実はあんまり心配してないんだけどね)」



ワンマンの彼女には現行生徒会のトップも含めた横並び体制がちょっと理解出来ていないのだが、それでも心配はしていない。

一年間二人を見続けてきた信頼が、彼女が大切にしていたものを受け継ぐに足る後継者だと認めている。

……ならば後は、彼女が言うべきか言わざるべきか、悩んでいた一つの案件のみ。



久「後輩も心配するようななまっちょろいのばっかじゃないし」

久「私の残せたものは、ちゃんと確認できた」

久「あと残ってる心配事は、一つだけかな」

京太郎「? まだあったんですか?」



この後輩、どうしてやろうか。

少なくともすぐには無理だと、後に託す事も考える。

『これ』は、一年近くかけても改善すれど治っていない。

それが、竹井久の判断だった。



久「人間は、一番弱い所に『くる』ものよ」

久「最近はマシになってきたみたいだけど、どうにも貴方はその辺の意識が希薄なのよね」

京太郎「へ?」



久「ねえ、貴方」

久「借り物の理想に縛られてる、その自覚はある?」

京太郎「……え? いや、何を」


心臓の跳ねる、音がした。



久「『誰』の事を言ってるかは分かるわよね?」

久「次の返答も分かる。『借り物だけど、自分で素晴らしいと思った信念だ』でしょ?」

京太郎「わかってるんなら、わざわざ言わなくても……」



考えるまでもない。検討するまでもない。だから即答する。

だけどこの人の言ってる事は、いつだって大体正しいのだ。

真面目な顔している時は、特に。



久「黒い彼の事を知った私が、そんな誤魔化しでもうなぁなぁでやらせると思う?」

久「貴方の『ソレ』は、自分の心が致命傷になるまで、いくら傷を負っても止まれない。その結末には差異あれど」

久「そのやり方自体は間違ってないけれど、最後の最後で本当に大切なものを取りこぼす生き方よ?」

久「だって貴方、根本的な部分にある自分の気持を理解してないもの」

京太郎「……根本的な……気持ち……?」

久「だからね、一言で言うのなら」

久「少なくともそれで宮永姉をどうにかするのは永遠に無理よ。貴方所詮パチモンだもの」

京太郎「!?」



正しいと分かる。血流が過熱する。耳を傾ける。思考が凍結する。

耳に入っていくその言葉が、苦痛で苦痛で仕方が無い。

何か、この人は。俺も、俺の周囲の人も理解していないような『何か』の存在に、気付いている。



京太郎「あの、俺の一体どこが、いや、それよりも!」

久「今すぐ改善なんて無理でしょ。私がここで教えても無理」

京太郎「何故!」

久「貴方は自分で気付くべきよ。自分の問題に自分で気付いて、自分で改善する。それは当たり前の事」

久「情けない事言ってないで、悩んで悩んで悩みなさい。それが青春よ」

京太郎「……あのー、せめてきっかけだけでも……」



彼女のはいつもの様に激的で。けれど今日は、学校ではなく俺の心を揺らしていって。



久「夢」

京太郎「は?」

久「貴方が『自分の夢』でも語れるようになれば、その時点でもう解決してるわよ」



最初から最後まで、一貫してほとんど意味の分からない発言の嵐だった。

ただ、『自分の夢』という言葉だけが。

楔のように、胸の奥に刺さったまま抜けないでいた。

「じゃ、最後に」

「貴方の先輩として、貴方の友人として、元生徒会長として」

「最後の最後で貴方が間違えないように、呪いをかけてあげましょう」

「祝福とかは、私の性に合わないしね」




「『貴方が貴方をどうでもいい存在だと思っていても』」

「『周りの皆は、そうは思っていない』」

「これだけ、覚えておきなさい」




「そうすれば、この言葉は100人の内、最後の最後で一番大切なその1人を取りこぼしてしまいかねない貴方を」

「きっと助けてくれる」

「さて、行ってらっしゃい」




「(きっと、すぐに変われるわけじゃない)」

「(それに、直接的に変えてあげるのもきっと私じゃない)」

「(それでも、良いんじゃないかしら)」

「(後輩達の為の礎となるのって、なんだか今までした事のない『普通の先輩』っぽい事だし)」





「私には私の。貴方には、貴方の戦場が待ってるわ」

「卒業式が終わって、その次に会った時。貴方の夢を聞かせてちょうだい」

去る少年を見届けた後、久はたっぷりと屋上から見える夕日の光景を眺めて、それから帰路に着く。


屋上、階段、廊下。

やがて、生徒会室の前を通りかかった彼女は、そこに設置されたボックスに気付く。



「あら、懐かしい」

「赤い羽根募金なんて、こんな所でやってたのね。煌の発案かしら」



赤い羽根共同募金を示すマークと、赤い羽根のイラスト。

そして軽く振ってみれば分かる、あまりに少ない中身の無さ。

それがあまりに哀れに思えて、彼女は財布を開ける。



「小銭、ドバーっと入れちゃおうかしら」

「そういえば、赤い羽根って……」



昔呼んだ本の内容が、彼女の記憶から掘り起こされる。

そうだ、確か、『赤い羽根』の持つ意味は。



「勇気、善意、贈り物の象徴」

「昔々、武勲ではなく善行を重ねた騎士のみに与えられた、騎士の纏う赤い紋章」

「誰かの勇気と善意で、なにか良くないものが良いものへと変わったという出来事を示す証」

「見知らぬ誰かから見知らぬ誰かへの善意を表すシンボル。だったかしら」



ガチャチャチャチャ、というやかましい音と共に小銭が投下される。

それと同時に監視カメラで盗まれないように細工された、赤い羽根を一枚手に取る。

見知らぬ誰かへの善意の象徴。

勇気と善行の証。

彼女からすれば、苦笑するしか無い。



「……あの四人と出会って、力を貸して貰うようになって」

「須賀君は変わった。少しづつだけど、きっと前に進んでる」

「もしも『もう一人』、加わったら。そのほんの少しの変化で、踏み出せるかもしれないわね」

「踏み出せたら、あの子は何を選択するか……うん、楽しみね。なんか愉悦って来た!」

「ま、贅沢は言えないけど。その人が、彼に力を貸す『五人目』が」



赤い羽根を胸ポケットにしまい込み、彼女は今度こそ帰路に着く。

誰にも見えない景色を俯瞰し、それが良き終りを迎えることを願いながら。



「この『赤い羽根』みたいな人なら、最高なんだけど」



赤く輝く綺麗な羽を、流れる風に揺らしていた。

END.
第二十話前編:Thrice upon a Time/未来からのホットライン

START.
第二十話後編:The two Faces of Tomorrow/未来が見せた二つの顔

本日の投下はこれにて終了。前編も終了。お疲れ様でしたー

・・・やっべ前編通して安価出すの忘れてたアカン

後編は安価ラッシュになりそうです。意図的に後に回した一人を除いて三年生の話を処理できたからトントンということで・・・



赤い羽根というのは、元々は文中に書かれている通り騎士が外部に纏う紋章だったんですね

それでいて、無償の善意と善行で変わった、変われた何かの象徴でもあるわけです

赤い羽根の基本は「無償の善意」、あるいは「助けてもらったから助けるんだ」です



では、今夜はこれにて。指が走りまくったとはいえ密度をやたら増してた文章は大変申し訳無い

読みやすいように尽力しますです

では、お付き合い感謝感激雨霰。おやすみなさいませー

P4の菜々子んばんわ

P4一周目は義経とトランペッターさんが愛用でしたとも

リメイク版買ってないんですよねー。どうしたものか


あ、伝えていたと思っていたら勘違いでした。大変申し訳無い

20話と21話はワンセットです。HPなどは反映されますのでご安心を

時系列的には20話開始→21話開始→21話終了→20話終了の流れとなっています

ちなみに四章最終話が22話。23話から最終章です


>>46
誤字申し訳ない

>>75
ごめんね

>>79
おいアンタ!ふざけたこと言ってんじゃ・・・

>>84
アレはリスペクトであって直接的に関係はないですね。緑の羽根は砂漠の緑化運動等、青い羽根は海上レスキューボランティア等の支援基金です

>>106
アレは能力の一部を借りているだけなので格納とは別枠だったり
例えるとリザードンからかえんほうしゃを借りて使っている、みたいな感じです

>>111 >>112 >>113
(このスレでは)ないよ



http://i.imgur.com/LZc04Xf.jpg

北米版は何故一二三を「超高校級のデブ」と紹介したのか



次の話は数日後かと思ったか? 今日だよ!
というわけで今夜22:30からですが、後編投下しますー

そういえばネクサス時だと格納してない友人の能力も使える(能力の一部を借りられる?)のは何故なんだっけ
黒太郎のTTT闇と被るというかなんというか、凄い気になるんだけど

21話は20話の裏を描く形になるのか?

京太郎の在校生代表は来年かね

>>123
(言えない・・・うっかり>>115の20話と21話を逆に書いてたなんて言えない・・・!)

>>124
来年ですねー。今の二年生の卒業時、マホが入学するのと同時に



本日のテーマは触手プレイ

投下はっじめーるよー



                           '|'ー 、
                           ! .、ヽ                         _
                              !  ! l                        {. ..`'-、
                           l  ! |                     ヽ  .\

                     _______ ./  ,i′/                      ヽ  、 .ヽ
                _,, ー'''"´  _.    `゙''┐ /                         l  .ヽ `'、
  ,,..,,,,_.    .._..-'"´   ._,,,.. -'゛    .__,,,.././                          l  ヽ ヽ
  \  .`',, ‐″   _,,..-'"  _,,.. -‐''ブ´ ., ‐ /                               l,   l  ヽ
    ゙ /   ,, i‐'"゛` ,..-‐゙´   ./  、,/,/                                  l  l、  .ヽ
  ./    ../  .,..-'´     ./  ,/" ./                                    l  ! ヽ  .ヽ
 /   ./   ./.,/゛'、      ./  ./.r /                               ,..-‐'"゙゙´゙ll. |.  l. .ヽ
"  ./   / ,./  .L  l     /  ./ .l .!                  l \           /  ./  / !   .!
  /   /  l  l  ゙L   .!  ./ l゙ !                ヽ ヽ       ./ .,.-'〉. /   .!   !  .,
../|  /    l  !  l   |  .!  ′.|                 l 'i l     ./   /  r'"    │ l .,!  .ゝ
  / /      l .l゛  .l_______                   l. | │    /  ,/, /       l  l li
  ! /      l !.、 .く_          `゙゙'''ー ..,,_          │} .}   .l . / │ !          !  l.l|,
 .゙/       .! ! ヽ  i `゙゙''''―- ..,,,_           `゙''ー、、      . l.从 .l    !│ .| !ー───_" }  .! .!
  l       l   、  !  l      .゙i゙''ー 、,    .\  `''-、  .// l| /   ,、.!.′ .,! ! '';;_,゙,゙¨''''''ーl゙   | . l
 ,!       l  t│  | / .l  .| .、 !   `ゝ、   \   . \ ゛   ./  ./._,..!  |   l´゛  . ゙゙̄''' |  | .;|  !
 !       l  .!.l  ! / .|  ././  l゙   .,、 .\   ヽ  '-, .\ ./   `゙´  .l .l   .ヽ     │ ! |,!
.│      /   ,!|  .l./  .| ./ ./   l   / !   .\  .|,  .ヽ  .ヾ        l l、 'i  .ヽ.    .! / l゙,!  l,
│         !   ./   /   レ゙,′ .l   ! |   ./\ .!ヽ  ヽ  . l       ヽ !ヽ.l-、 \   .l / .!
: !         !  ./  ./  /  |   |   /  |  /  ,- .ヽ.l. \  ゙‐  .l,       ゙'/ .".l . \ .\. ,! / 「
. |      l   l   /  ./  .l   .,!   |  ! / ,r,!   ヽ  ゙‐    .l           ヽ .ヽ  l- ,! .l゙






怜「シュレッダーの猫ってあるやろ?」

京太郎「既にオチは見えたが構わん、続けろ」

怜「シュレッダーに猫を放り込むやんか」

玄「オチどころか血まで見えてない?」

怜「蓋を開けて見るまで、猫の生死は分から――」

京太郎「生命活動は静止しとるわ確実に」

玄「正視したくもない惨状だよ! ぜったい!」

怜「ここでキャッと悲鳴をあげたら女の子らしさアピールできると思うんや」

京太郎「かわいそうなキャットはどうすんだよ」



とうとうと言うべきか、ようやくと言うべきか。

翌日に卒業式を控えた夕焼け空の帰り道。並走する二つの自転車と、乗る三人。

何もおかしくはない。一人は荷台に乗って、サドルに座る少年の腰に抱きついているのだから。



京太郎「明日、卒業式か」

怜「すぐに新入生も来るけどなー。ま、ちょっとの間校舎が静かになりそうや」

玄「私も、もう一年残ってないんだよね……」

京太郎「その時は、俺達で盛大に送り出しますよ」

怜「せやな」

玄「あはは、ありがとっ」

玄「あ、京太郎君。おねーちゃんの事……」

京太郎「はいはい、分かってますとも。こっちでも文献漁ってみます」

玄「うん、お願い。貴方しか頼れないから」

京太郎「依頼とかでなくとも、俺だって知らない仲の人の事なら全力で調べますよっと」

怜「ん? 宥なんかあったん?」

京太郎「あー、そういえばお前も宥さんとは知らない仲じゃなかったか」



掻い摘みつつかつ分かりやすくなるように気を遣い、少年は相棒へと推論混じりにかの少女の事を話す。


この世界は色々と次元が混乱しております。

なので本来出会うはずのない人物達が出会っていたり、出会っていなかったり。

園城寺怜と松実宥の二人も、その本来有り得なかった友人関係の一つ。

怜が誇らしく昔話を語り、それを宥が微笑みながら聞くような、そんな関係。

友人関係とは、本来網の目のようなものだ。

一人の周りに多くの人間が集まったとして、その集まった人間間に絆が芽生えないなんて事はありえない。


なので当然、隠す事でもない。

他人間の友情を尊ぶのも、彼の仕事の内である。



怜「ほー」

怜「ほなうちなら、『命を削る忌避感がなくなった』『生命を削ってでも何かを為す力が欲しかった』」

怜「みたいな心情の変化かなぁ」

京太郎「かもな」

怜「んー、ほななんで宥だけなんやろ」

玄「? なんでって?」

怜「そら、大星も天江も姉帯も条件は同じやん?」

怜「弱体化は心境の変化による能力変化で共通しとるとして、違いはなんかあるんかなーと」

京太郎「んー」



松実宥と、他の人間の違い。



京太郎「もしかしたら、仮定だけど……本当の意味で過去の寂しさを乗り越えられてるのが、あの人だけなのかもな」

玄「本当の意味?」

怜「本当の意味、ってどういうことや?」

怜「悲しかったりする過去を乗り越えたって意味なら、そう飛び抜けて違いがあるとは思えんけど」

京太郎「その辺は語弊があるな。悲しいんじゃない、寂しいんだ」



並走する自転車は、差し掛かった十字路の信号前で停まる。

三人の行く道を塞ぎ止める赤い信号が、それぞれの視界の中でやけに煌めき映えている。



京太郎「悲しければ、人は泣く。そしてスッキリして、前に進める」

京太郎「けど、寂しさはそうは行かない」



泣いた所で、喚いた所で、八つ当たった所で、寂しさは埋まらない。

どんなに大きな力でも、力だけではその空虚は完全には埋まらない。



京太郎「めんどくせぇよなぁ、人間って」



結局、現在進行形で友人を選り好みしている淡も。
もう失われた家族は戻ってきやしない衣も。
心の傷が塞がりきっていない豊音も。


まだ、『これまで』を乗り越えられて居ないのだ。


しかし、結局の所それは時間の問題だろう。

淡は友人が作れれば、衣は今の家族と触れ合えば、豊音は会えなかった父親との交流時間で、改善していくのだろうから。



しかしそれを差っ引いても、宥の変化は速い。



京太郎「……なんだかんだ、それを埋めるのが一番難しいんだ」

京太郎「だからその『違い』、何となくそう思うってだけで俺にもさっぱり分からん」

玄「うーん……あっ」



そういった変化の理由に真っ先に気付くのは、やはり長い時間を共にする『家族』であり。



玄「夢が出来たんだって、おねーちゃん」

京太郎「―――」



それに最も大きな反応を示したのは、『夢』という単語が耳に刻み込まれていた彼である。



京太郎「……『夢』……?」

玄「うん、それで、頑張ってたの」

玄「こたつから離れないで、ずっと勉強してて……」

京太郎「いやそれは平常運転じゃね?」

玄「お布団にも行けず勉強しながらこたつで寝ちゃうのもしょっちゅうで……」

京太郎「いやだから平常運転だって」



妹視点からの贔屓目もあるが、確かに彼女の姉は頑張っていた。

変わろうとするかのように、何かになろうとするかのように。

彼女の姉が受かった大学は最高ランクとまで行かずとも、今年初めの成績から見れば奇跡に等しい快挙。

奇跡や覚醒のようなものでは決して勝ち取れない、そんな価値ある変化の証明。

ちなみに自宅から通える距離の大学である。



京太郎「……今のあの人、いくつあるんだろ」

玄「へ?」

京太郎「昔、照ちゃんが言ってたんですよ」

京太郎「『人間を構成する要素で生まれつき決まってる要素って、いくつあるんだろう』」

京太郎「『生まれなんて関係ないその人が勝ち取ってきた要素は、いくつあるんだろう』」

京太郎「『貴方は、いくつあるの?』って」

玄「……京太郎君は、おねーちゃんにはいくつあると思う?」

京太郎「さあ? でも、きっと」



京太郎「一つは増えてると思いますよ。それはきっと、掛け値なしに良い物で」

京太郎「それを増やしたのが、宥さんの夢なんでしょう」



こんなにも身近に、夢を持てた人がいる。

心の臓を弾ませながら、それを聞き出そうとする少年。

が。

ここまで発言せず、周囲をキョロキョロと見回していた怜が急に京太郎の手を取り――



怜「―――」

京太郎「―――」



一言もなく、アイコンタクト。

格納、そして同時に玄を抱きしめ後方に跳ぶ。



玄「はみゃっ!?」



異性に突然抱きしめられ顔を赤くする玄を意図して無視し、先程まで自分が居た場所へと視線を向ける。

そこには、コンクリートに深々と刺さる『触手』があった。


【『未来余地』により、奇襲を無効化】

怜『さーて、どう思う?』

京太郎「今晩のメシはスパゲッティにしようかね」

玄「の、呑気だね」

怜『クリームパスタでよろしゅう』

京太郎「食ってく気かてめえ」



顔がまだほんのり赤い玄。
油断せず、襲撃者を見据えながら抱きかかえるのをやめない少年。

そして。

『空の上』から彼らを見下ろす、襲撃者。



京太郎「……おいおい」



うねる触手を引き戻し、空に悠然と浮かんでいる悪夢。

本体に当たる部分が、纏わり付く無数の触手のせいで見えていない。

……いや、本体なんて「無い」のかもしれないが。

粘液が垂れているその触手の塊は何と比べても段違いにおぞましく、震える玄の肩の振動が京太郎の腕に伝わるほどだ。

肌色と灰色がまだらになって染め上げている体色は、誰に対しても非生物的な印象を与えている。

だがそれよりも、何よりも目に付くその特性は。



京太郎「空を、飛んでる……!?」

怜『空中触手プレイとはマニアックな』

京太郎「その発想が出るお前が女子高生とは思えねえよ」



何の支えもなく、何を噴出するでもなく、浮遊や滑空といった誤魔化しでもなく。

確固たる技能を以って、この空を己が物としているモンスター。

地を這い空から見下されている今の彼らの現状は、鳥に睨まれた蛙そのものだ。

空より降り注ぐ触手の雨。

それらを未来を見据えつつ、紙一重でかわしていく。

相手がまだ本気でないというのもあるが、それを差し引いても女の子を一人抱えて完全に回避するその技術は、既に極技の域にある。
互いの体の密着度は加速度的に上がっているが、そんな事を気にしている余裕は少年側にはない。

相手の攻撃が当たらない事と、相手に対して優勢である事はイコールで結ばれないからだ。



怜『アカン?』

京太郎「アカン、だな。制空権って言葉があるが」

京太郎「一昔前の基準で戦車が戦闘機に勝てますか? って話になる」

玄「え、えと、よく分かんないな」

京太郎「時間稼ぐから逃げて下さいってことですよ。さ、早く」



そして、玄は地面に優しく丁寧な手つきで降ろされる。

気付けば、そこは跳びのく直前まで三人が乗っていた自転車が倒れていた場所。

羞恥に煮えかけていた頭を冷やし、玄は慌てて自転車を起こす。



京太郎「そこの角を右に曲がって100m、そこにあるコンビニの所で左折して200m!」

京太郎「そこにある『三尋木萬物店』に匿ってもらって下さい! 俺の名前出して!」

玄「う、うん!」



走りだす彼女の背中に向けて奔る触手。

が、それらは未来に沿って振るわれた思い遣りにより、届かない。


軌道を逸らすだけのつもりが、何故か引きちぎれる幾多の触手。

コンクリートを貫く触手にしては予想外だが、此方に注意を向けてくれたのは少年にとってありがたい。

空を舞う存在に対して出来る足止めは、気を引きつつ彼女と反対方向に逃げる以外にないからだ。


改めて向き合い、此方に向けて確と敵意が向けられていることを確認する。

最古であれば、中国の故事にまでその存在が確認されているとされる存在。

シナイの山の神がこの世界を想像したとする神話、聖書の物語への反逆者。



京太郎「まさか、『創造神様』とはな」

京太郎「四文字とかにケンカ売るだけにしといてくれよ、『フライング・スパゲッティ・モンスター』」

【フライング・スパゲッティ・モンスター】



アメリカで目撃情報がいくつか上がっている、麺状の体を持つ化け物の都市伝説。

ではなく、世界の創世に関わっているとされ、クトゥルフ神話最大の邪神王『アザトース』と同一視される神。

……でもなく、神を否定する為に創り上げられたジョークのような存在。論理の上に存在する神そのもの。


世界で最も新しい神の一柱。


略称及び愛称はFSM。多くのグッズと信者を持つ、世界創造の主神に位置する神……らしい。

この邪神の事を語るには、まず『インテリジェント・デザイン説』の事から語らねばならない。



インテリジェント・デザイン説とは、「この世には科学も法則もあるがそれらは大いなる存在が形作ったのだろう」

という前提を以って世界の成り立ちを語る、そんな説である。

大いなる存在とは、崇められる『神』と呼ばれる存在であったり、そうでなかったりする。

つまり「ビッグバンも宇宙の拡張も地球の誕生も生物の進化も、全て神が誘導したものなのだ」という説なのである。



意外な事に、この説の信奉者には真摯な科学者や数学者も多い。

世界の真理、宇宙の法則、次元の真実。

それを求め研究し調べ続ける内に、ふと思ってしまったのだ。

「こんなにも美しい数式が」「こんなにも完璧な法則が」「こんなにも理不尽な理が」

「自然に生まれるなんて、ありえない」と。


世界の真理の一端に触れた者が、そこに『神』を見た。

そこに神の存在を盲信する者達が加わり、この説についての問題をややこしくした。

それがインテリジェント・デザイン説の発祥であり、信じられた理由の骨子の一つなのである。

しかし、それに異議を申し立てる者も当然存在する。


その者達によって生み出された「世界を創り上げた『神』」が、FSMだ。

簡潔に言ってしまえば、インテリジェント・デザイン説では基本的にFSMによって世界が創られたという事を否定出来ないのである。


この辺りはキリスト教の宗派争いに近い属性を持っている。

キリスト教を信じてはいても、そこから何を信じ、何を信じないかは個人の自由。

この創造神は、神を善性や倫理の象徴ではなく、神は固有の意思を持った存在だと押し付ける者達への痛烈な皮肉なのである。

その在り様や外見的特徴から、クトゥルーの神と勘違いされていた時期があるらしい。



ちなみにこの宗教のご利益や神の証明などはめちゃくちゃなようである程度の筋は通っているので、一見をオススメする。



今回のFSMは、日本で発見・通報され国外で有名になった「スパゲッティのような化け物」がモデル。

見間違いのようなよくある怪奇発見談に、外国の人間が「これFSMじゃね?」とこじつけたが故に産まれた怪物。

神性としての位階は最高位の創造神。神としては産まれた時から死んでいるようなものの、いまだに発見情報もある現役の怪物。

このモンスターの詳細を知らぬ者の中には、FSMを本気でUMAの類だと信じている者もいるという。



空を統べる創造神が、ただの怪物(モンスター)と成り果てた都市伝説。

第一に必要なのは、時間稼ぎ。



「(玄さんが逃げ切るまで、換算して『三ターン』。難しくはない)」



次に必要なのは、情報収集。



「(ここで能力を発動させられるだけ発動させて、情報を集める)」

「(それは、次に繋がるはずだ)」



最後に必要なのは、勝利。



「悪いな、俺負けず嫌いなんだ」



現状を確認。

おそらく暴走した発言型の末端か、現象型。

人体が変容するにしても、限度があるし名残がない。

よって中核に人が囚われているタイプでもない。

複雑な思考は不可能と予測。

よって、かなり単純な行動パターンと思われる。



「行くぜ、相棒」

『行こか、相棒』




【勝利条件1:三ターンの生存】

【勝利条件2:戦闘勝利】

【須賀京太郎】

HP:660

ATK:35
DEF:35

・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『TTT(光)』
The Templehero T。
寺生まれのTさん。この世のありとあらゆる理不尽の天敵。
絶望を絶つ者。どこかの誰かの希望の具現。
心を照らし、絆を紡ぎ、希望を繋ぐ者。
ヒーローシフト中、MAXHPを100減少させる事で以下の能力を使用可能。
・戦闘中、指定した技能を【封印】する。
・都市伝説による効果を指定。指定した効果を無効化する。
・自分のMAXHPの数値分、指定した人物のHPを回復する。

〈装備〉
E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15
DEF補正+15

E:『ジャイアントキリング』
効果:巨大な存在に対する戦闘論理。特定の都市伝説との戦闘時に判定値+10。

・『真・オモイヤリ』【聖遺物】
ATK補正+30
DEF補正+30
ヒーローシフト中、行動判定で勝利する事で何かしらの「奇跡」を行使する。

・『フクツ・ゼシキ』【靴】
自身のATK、DEFを+5、判定値を+3する。
【高鴨穏乃】を格納して経過したターン数、この補正は重ねがけされる。

・『シュクジュ』【盾】
ATK補正+5
DEF補正+20

・『カタキウチ 』【遠隔武装】
ATK補正+25

・『ハリコノトラ』【針】
自身のATKを0に減少させ、その減少させた分の数値をDEFに加える。

・『ヒトノワ』【遠隔武装】
効果発動宣言ターン、自身のHPを1まで減少させ減少させた分の数値をATKに加える。

〈アイテム〉
・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復

【フォームシフト対象者】


【園城寺怜】

ATK補正+30
DEF補正+30

・保有技能

『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。

『D&T』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。

・適正武器
全て



【高鴨穏乃】

HP補正+200
ATK補正+10
DEF補正+10

・保有技能

『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。

『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。

・適性武器
【長物】【靴】

【国広一】

ATK補正+40
DEF補正+80

・保有技能

『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。


・適正武器
【盾】【針】


【鶴田姫子】

ATK補正+60

・保有技能
『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。

『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。


・適性武器
【遠隔武装】

【ヒーローシフト後最終ステータス】


【須賀京太郎】

HP:912

ATK:98
DEF:98

・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『TTT(光)』
The Templehero T。
寺生まれのTさん。この世のありとあらゆる理不尽の天敵。
絶望を絶つ者。どこかの誰かの希望の具現。
心を照らし、絆を紡ぎ、希望を繋ぐ者。
ヒーローシフト中、MAXHPを100減少させる事で以下の能力を使用可能。
・戦闘中、指定した技能を【封印】する。
・都市伝説による効果を指定。指定した効果を無効化する。
・自分のMAXHPの数値分、指定した人物のHPを回復する。

〈装備〉
E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15
DEF補正+15

【最終ステータス】

【須賀京太郎/Nexus】

HP:1230

ATK:264
DEF:244


・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『????』
????

『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。

『ダブル&トリプル』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。

『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。

『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。

『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。

『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。

『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。


<装備>
E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15 DEF補正+15

〈アイテム〉
・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復

……あれ?もしかしてヒーローシフトで立体飛翔封じればボコれんじゃね?

>>164
素のステータスで不明な相手のATKとDEFを上回れる自信があるのなら
相手の技能が一つとは限らないのにそれに勝てる自身があるのなら
その確証のない賭けに、ルーベライズがない状態で挑めるのなら

そこに、ゲームオーバーか否かの賭けに命を投じれるのなら

どうぞ、ご自由に



【フォームシフト指定】


【対象者】


【園城寺怜】【高鴨穏乃】【国広一】【鶴田姫子】【ヒーローシフト】


【戦闘開始時、格納する人物・展開するシフトを選択して下さい】



>>172

>>170

降り注ぐ触手のライン。

点にも見えるが、確固としてそれは線である。

線を並べて、点とする爆撃。



京太郎「一さんっ!」

一『オーライッ』



急降下する直線の群れに対し、面の防御を重ねて迎え撃つ。

組み上げられた針の梁の上、展開された装甲が要塞を組み上げる。

コンクリートを砕く触手の一撃ですら、この壁を超える事は叶わない。

やがて弾かれた触手の一本が電柱に当たり、それがふとよそ見をした京太郎の目に留まる。



京太郎「……うげっ!?」



どしたの、と一が問う前に。



京太郎「と、」



京太郎「『溶けて』やがる……!?」



格納された一の視界にも、その惨状が映っていた。


強酸性の体液だ。見る限りでは、金属ですら腐食させる強力なそれ。

視界の先の電柱は、もはや一方向から押すだけでへし折れ倒れてしまうだろう。

あの触手は単純な破壊力だけではなく、そんな厄介な体液すら纏わせているようで。



触手が分泌すべきは媚薬なのだというのに、とんでもない話だ。



一『一発も、食らわずに!』

京太郎「はいっ!」




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>178


FSM判定
>>180

穏乃
オモイヤリ
防御

まぁ不屈不倒あるからありかもしれんね
ほい

穏乃オモイヤリ装備できないです。聖遺物扱いになってるので

トリ誤爆は仕方ないね、お気になさらず


再安価

>>185

攻撃 一 ハリコノトラ

【#kougekiFSM】


攻撃VS攻撃


8+6=14

4+0=4



『???』発動!


FSMの攻撃サイド確定!



150×2-440=0ダメージ!


ノーダメージ!

あ、やべえこれ2ヶ月前に作った調整前のステータスだ

すんません、ぬか喜びさせて申し訳ないですが少々お待ちを

【#kougekiFSM】


攻撃VS攻撃


8+6=14

4+0=4



『???』発動!


FSMの攻撃サイド確定!



150×2=300ダメージ!



京太郎&一残りHP:360

【判明ステータスが更新されました】


【フライング・スパゲッティ・モンスター】


HP:?


ATK:150
DEF:?


・保有技能

『悪来天畏』<<立体飛翔>>
人造の畏怖を内包した天の創造神。
悪意の空より来たりて、天に座すまま畏れを纏う。
??????????
<<立体飛翔>>に属する技能を持たない者との戦闘時、敵判定コンマがゾロ目でなかった場合発動。
自身の攻撃サイドを確定させ、ダメージ計算時敵DEFを0として扱う。

『■■■■■■』
??????????

ガッチリと構成が組み合わさった要塞。

それは普通の攻撃ならば、銃弾も斬撃をおも阻む盾。

たとえ空から槍が降ってこようと、それらを阻む無敵の壁だ


だが。


最悪なことに組み上げられた要塞の隙間から、その粘液が流れこんできている。


そして雨のように、降り注ぐ。



京太郎「ッ」

一『ごめん、これは無理!』



たまらず解除し、跳びのく少年。

瞬間、要塞の防御がなくなった事で殺到する触手。

数は無数。動きは縦横無尽。だというのに、絡まる気配が微塵もない。

滑らかに粘液で滑り、うねうねとしつつ人へと迫る、触腕の槍。



京太郎「じゃあ、こっちだな」



しかし、一瞬後に盾を再度組み上げる。

今度は要塞ではなく、密度を上げた立体操作の八つの花弁。

限定的とはいえど宙を舞い、触手のラッシュを防ぎきる。

何もなければ、このままずっと防ぎきれるだろう。



京太郎「……ぐっ……っ……」

一『しっかり、頑張って……!!』



ぶつかる度に飛び散る粘液の飛沫が、彼の身体にかかっていなければ。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>205


FSM判定
>>207

>>203

>>206
おっしい

【#FSMkougeki】


防御VS攻撃


8+4+10+10+3+6=41

8+6=14



『???』発動!


FSMの攻撃サイド確定!



150×2=300ダメージ!



京太郎&穏乃残りHP:260

あ、一応フクツ発動でステアップです。うっかりうっかり

京太郎「埒が明かねえ……穏乃っ!」

穏乃『あいよ!』


あの触手の届く距離。
つまり、跳躍力のある穏乃であれば、跳んで攻撃を届かせられる距離だ。

一転し、彼らは反転攻勢に出る。しかし……



京太郎「こいつ、ちょこまかと!」

穏乃『リアルでその台詞聞く日が来るとは思わなかった!』



捉えきれない。跳ぶ、しかし届かない。

夏に、宙を舞う蚊を仕留めきれずイライラした経験がないだろうか?

それと同じだ。



空と陸の間には、致命的なまでのアドバンテージの差が存在する。



前後左右上下の6の移動の選択肢。

転じて、斜めも加えた18の移動の選択肢。

重力の縛りから解き放たれた邪神の動きは、同じく空を飛び交う者でしか捕らえられないのだ。



京太郎「見失いかねないぞ、これじゃ……!!」

穏乃『速くは、速くはないんだけど!』



慣性など存在しないかのように、おぞましさを振りまきながら空を舞う。

捉えた、と思えば反転する。

ジグザグに、直角に、反転しての機動に減速が何一つ存在しない。

攻撃が、届かない。



京太郎「……参ったな」

京太郎「純粋に……『届かねえ』。この手が、届かない」



そして、もう飽きたと言わんばかりに……その邪神は、必殺の一撃の構えを取っていた。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>217


FSM判定
>>219

ネクサストリプル攻撃

ネクサス
トリプル
防御

FSMによる、決着の一撃

その一撃にFSMだけでなく、彼も賭けていた。


京太郎「ネクサス!」


迫り来る触手の壁、いや壁に錯覚するほどの触手の群れを見据える。

そして、姫子の鎖を展開。

かつてガタノゾーアにそうしたように、触手を鎖でまとめ、縛る。

そしてこの後、止まった本体を叩く。……そういう、思惑だった。



京太郎「(ネクサスの残り時間はもう10秒も無い! 急い――)」



それが成功していれば、何か変わったのだろうか?

否。飛べない豚がただの豚であるように、飛べなければ決して上がれないステージがある。

結局、今の彼がそうなっているように。



無数の触手に捕らわれ、縛り上げられていただろう。



京太郎「―――な、に?」



縛られたはずの触手はまるで菓子細工のように、ぷちんと千切れた。

まただ。力は特に加えていない。にも関わらず、縛られただけでいとも容易く千切れる触手。

プリンでも叩いているかのように、あっさりと切れてしまう。

これでは触手を捕らえても、本体の動きは一切制限されないだろう。



京太郎「ぐっ、アッ……ガッ……!!」



この触手は先端だけが硬くなっている、まるで槍のような構造。

触手が千切れれば、千切れた部分が硬くなる仕組みだ。

そして無限に伸長し、途切れる気配がない。

これではいくら千切っても、先端をかわし続けてもキリがない。

もしも勝とうとするのなら、いずれ先に此方の体力が尽きる計算。


そして数十本重なり、縛りあげれば……彼が全力を出しても、千切れない程度の強度になる。



京太郎「ギッ、……リ……リ……」


けれども。


京太郎「り、リザベーション……」


それで諦めるほど、彼は往生際が良くないのだ。


京太郎「バーストォ!!」

装甲で粘液にまみれた触手を遮断し、穏乃がくれたしぶとさで耐え。

怜の指示したタイミングで、『自分に巻きつけた鎖』を爆破。



命を賭けた、生きるための自爆。



吹き飛ぶ触手。

巻き上がる土煙。

世界を巻き込む閃光。



視界が晴れた頃には、FSMの触手が届く範囲に……たった一人の人間も、存在しなかった。




【#finishFSM】


防御VS攻撃


ネクサス発動!

HP全回復!


1+3+35+6=44

9+6=15



『???』発動!


FSMの攻撃サイド確定!



150×2=300ダメージ!



京太郎&穏乃残りHP:860



【三ターン経過】

【戦闘が終了します】

【判明ステータスが更新されました】


【フライング・スパゲッティ・モンスター】


HP:?


ATK:150
DEF:?


・保有技能

『悪来天畏』<<立体飛翔>>
人造の畏怖を内包した天の創造神。
悪意の空より来たりて、天に座すまま畏れを纏う。
??????????
<<立体飛翔>>に属する技能を持たない者との戦闘時、敵判定コンマがゾロ目でなかった場合発動。
自身の攻撃サイドを確定させ、ダメージ計算時敵DEFを0として扱う。

『■■■■■■』
??????????



行動パターン:攻撃→攻撃→必殺のループルーチン

【三尋木萬物店】




京太郎「だぁあああ、あっぶなかった!」

咏「お、いらっしゃいセンパイ。苦労してたっぽいね」

京太郎「やばかった、その内飛ぶ方法考えないととは全盛期健夜さん見てから思ってたけど、まさか一手遅れてたとは」

咏「ほい、濡れタオル。必要じゃないかな、知らんけど」

京太郎「あ、ありがと。咏ちゃん」

穏乃「いやー、参った参った。こっちの方が速いのに、建物とか障害物の有無で追いつかれそうだったし」



何とか逃げ切り、撒いたようだ。

地上と空の違いの一つに、最高速度を常に叩き出せるかどうかという点がある。

現代において、広範囲に渡り地上に建築物がない場所など存在しない。

曲がる度に減速を強いられる穏乃と、常に最高速度を維持するFSM。

これで逃げ切れたという時点で驚愕だ。地力の速度の差が出た、という事だろう。



穏乃「空飛ばれたら、手出しなんて出来ないじゃん!」

京太郎「ああ。なんか策練らないと、どうにもならんな」



タオルで京太郎の髪を拭きつつ、頭をひねる二人。

明日は卒業式。当然と言っては何だが、二人の脳裏に浮かぶのは『最悪の状況』。

それまでに、どれだけの対策が打てるか――と、思考に集中していた京太郎の腹に。



玄「よかったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

京太郎「はんむらびっ!」



砲弾のように突撃する松実玄。

抱きつくどさくさでおもちが当たっているが、彼には痛みで堪能する余裕が無い。

二重の意味で哀れなやつである。

時間稼ぎに徹するという、彼にしては気弱な発言。

いつだって無事を確信させる彼の、勝利を確信させない発言。

自分のために残ったんじゃないかという罪悪感。


彼女はしっかりものであっても、泣き虫だ。

ずっと泣いていた。ずっと待っていた。ずっと心配していたのだ。

泣いている彼女より、見ている方が辛いほどに。



玄「良かった、良かった」



そんな事、考えたり予測しなくても。

くしゃくしゃになったその顔を、涙で濡れた彼女の頬を、それを見せないように少年の胸に顔を押し付ける彼女の姿を見て。

理解出来ない奴は居ないだろう。

仰向けに押し倒される形となった少年の胸の中には、ほんの少しの罪悪感が生まれていた。


その罪悪感を誤魔化すのに半分、慰めようと思ったので半分。

自身の胸に顔を押し付けている、少女の髪を梳き頭を撫でる。



京太郎「……ほら、俺は無事ですよ」

穏乃「足だってありますよ、ホラホラ」

京太郎「足持ち上げんな立ち上がれねえんだよ」



まるでコントのような二人の掛け合い。

小突かれて舌を出す少女も、拳で小突く少年も。

どこか楽しそうで、玄を励まそうという気遣いが感じられる。

だからだろうか。



玄「……あははっ」



自然と、彼女が笑っていたのは。



咏「ラブコメなら外でやれ」



たしなめるように、からかうように接する店主。

しかしその語調は、彼女にしかわからないレベルで荒い。

もとより本心を隠すのが上手い彼女の事だ。広げた扇子で隠した口元とその気持ちは、誰に悟られるものでもない。



咏「ここに居るんなら、なんか買っていってくんないかな?」



羨ましい、なんて口にしなければ伝わらないのだ。

卒業生が恩師に抱く、感謝の気持ちのように。

【所持金】
¥38000



【現在保有アイテム】

・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復



【商品】

・秘薬『クレイジーダイヤモンド』
効果:HPを50回復
¥8000

・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復
¥20000

・カプセル『DCS』
効果:使用した戦闘中ATK+10、DEF+10
¥8000

・注射『ただのビタミン剤』
効果:任意のステータスを50上昇させる。
¥22000

・投網『スパイディ』
効果:使用した次のターン、相手の出す手が分かる
¥18000

・視鏡『爆砕点穴』
効果:現在戦闘中の相手の行動パターンを知る事が出来る
¥30000

穏乃「(咏ちゃん? センパイ?)」

京太郎「さて、何を買うか、それとも買わないか」

穏乃「(ま、いっか。どうでも)」



どうしますか?


>>239

爆砕点穴一丁

本日の投下はこれにて終了。皆さん、お疲れ様でしたー

明日が休みだったあの頃に戻ってみたい気もしますが気にせずワーキングです


あ、レス返すの忘れてましてごめんなさい>>116さん

とは言っても答えられないんですけどね! 最終章までお待ちください


あと咏ちゃんはやらん


では、今夜もこれにて。外国のヒーロー映画は>>1の中ではウォッチメンとダークナイト・リターンズのツートップ

お付き合い感謝。おやすみなさいませー

夢が云々って話をみると、どうしても555を思い出すな

京太郎「俺には夢が無い、けど、夢を守ることはできる!……ネクサス!」
みたいな

つまり
京太郎「やっと俺にも夢ができたんだ…」
とか言いながら灰になる最終回か…そうなるとその後みんなそれぞれの人生歩みだしつつ咏ちゃんだけずっと一人店で待ってそう

マスカレイド「俺もいるぜ」
マスカレイド「マスカレイド」
マスカレイド「お前だけに、いいカッコさせるかよ」
マスカレイド「マスカレイド・・・」
マスカレイド「フリーメイソンは、おまえだけじゃないんだぜ 」
マスカレイド「コーホー」
キン肉マン「みんな・・・」

マスカレイド「こ、これが友情パワーか」

>>285
確かにマスカレはごっこ遊びには苦労しなそうだなwww

マスカレなら二人組作ってーも怖くないな

>>287
首領「二人組作って―」

士栗「黒いお兄さーん」
黒太郎「まぁお前と組むわな」

淡「じゃあ私は宥さんと組むね」
宥「あったか~い」

マスカレイド「………」

これも全部マスカレイドって奴の仕業なんだ

>>290
むしろ
マスカレイド「これも全部須賀京太郎って奴の仕業なんですよ」
???「何だって!それは本当かい?!」

の方がしっくりくる

強くて怖い方のデルタは誰だろうな…
ヘタレは座ってろ

>>244
復活するまで暇だったから適当に編集してみた
http://i.imgur.com/bk5tK9X.png

(あれ?俺LIGHTWING欲しくなってる?)

寝落ち→アカン→鯖落ち→アカンのコンボはいじめでしょうか

犬夜叉を読み返していて読み返すタイプの漫画じゃないなと思いつつ
妖怪軍団→風穴→毒の蜂!→ちぃっ
のコンボに妙に共感したり。ナラク=サンしぶとすぎじゃないですかね

犬夜叉の火鼠の皮衣とか宥さん好きそう(小並感)
http://i.imgur.com/Vv8QkVO.jpg


今夜21:30開始予定


>>299
ファッ!?
すげえ!違和感まるでなし!

>>308
買おう(ニッコリ




アスカェ

犬夜叉は何回鉄砕牙をバージョンアップすれば気が済むねん




__                             ,.   -──-   .,
     `丶                       . : ´ : : : : : : : : : : : : : :`丶
____    ,                 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
      \   ',               ..: : : : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : :..
.       /∧  ′             / : / : : : /: : :|: : : : : : : : |: : : : : : : : : : :.                             __
─‐-    /∧ |             /: :.,' : : : : |: :./:|: : : : : : : : |: :\.: : : : : : : :.                          ,.   ´ ̄
    \  /| |         .: : : l: : : : : :|:./ |: : : : : : : : | : : : ',: : : : : : : :.                   //

.      ',   | |            : : : :.| : : : : _|」,..斗.: : : : : : :`ト .,_:_:| : : ',: : : : l                     / /
.      ', .′|         l: : : :.| : |: :/ l/ 八: : : : : |\| \:.「: : : ', : : :.|                  /  /
.        ∨  |           l: : : : | : |:/       \: : : :',     \:|: : }: : :|              /   /
        /   |        /|: : : : | : |′x==ミ  \ト、〉,ィ==ミ |/:l : : :|                /    /       ___
.       /     ',       ..: :.|.: : : :.| :∧/ {h//}       {h//}ハ |_: : |: : : !             /     /_,.  -‐  ¨´
      /     \   / : : l: : : : :∨ l{  Vrツ         Vrツ  |/∨:|: : :|:.        /       /´
.      {   _____>''´ : : : : l: : : : : :| ∧ , , ,         , , , /_,ノ:/: : : l :\    ,.  ´         /
             ̄>: : : : : : : : :|: : : : : :| / ̄ ̄\   ′    __,∠.._/: : : :|: : ` <_______       /
      \ / : : : : : : : : : : {: :| : : : | /     `¨ニ=-‐ ¨´      /: : : : :|: : : : : : : <⌒
         / : : : :/ : : : : : : :.Ⅵ : : : ∨  \  ̄´        //: : : : : : } : : : : : : : : : : `丶 /
.       //: : //: : : : : : :/´\: : : :',   \__,.  -‐  ¨´/: : : : : : : :∧ : : : : : : : : : : \: :\
    /´  ̄ //⌒ー─‐ 〈    \ : ', \          /: : : : :/: :/ .〉 : : : : : : : : : : : :\⌒
.      ⊂ニニヽ      / \    ',: }\ \       ,//: : : /: :/  /\: : : : : :\-─- : :\
.      ⊂ニニ/ ̄\   {_  \   |/: : :|   `¨¨¨¨¨´  |: : :/| :/  ̄      マ⌒\: : ',   \: :..
        く/⌒>'´ ̄ \` <⌒丶 レヘ: :|         |: : l :|/           }   \:|      \}
.            // ̄\  |==  \  \-┴─……─  .,_\| / /        .′     }
          〈\ ̄ }    /==         \            \厂       /
        \  ̄    /==            \            \      /




投下はっじめーるよー

早朝。

まだHRが始まるまでに少し時間があり、生徒達も全員登校していない時刻。

一年生のそのクラスにも当然、この時点で人影は四つしか存在していなかった。



京太郎「ふと、こんな法則を思い出した」

京太郎「『薄着の女の子は同性に人気が出る、厚着の女の子は異性に人気が出る』」

怜「一理あるな」

憧「そのバカ話は現実逃避? それとも性癖暴露?」

穏乃「どっちも非生産的だよねぇ」

京太郎「(俺が言いたかったのは後者じゃないけど後者なら生産的な話じゃねーの?)」



二月のとある事件から、心なしか憧と京太郎の距離は縮まった様に見える。

前を歩く、親しい相手への対人距離が元々無いに等しい穏乃。

横を歩く、京太郎相手にはそもそも距離感という概念すら無いのではと思わせる怜。

そんな三人を見守るように、後ろから少し離れて付いて行くのが憧だった。

しかし今は、そうではない……気がする。言葉では表し辛い距離なのだ。



憧「なんか私達の某知人を婉曲に指してるように感じたけど」

京太郎「ハハッ、まさか」

怜「でもあの人の大きいのはお好きでしょう?」

京太郎「それに関しては大変素晴らしいと思う」

穏乃「間抜けは見付かったようだね」

京太郎「…… ハッ 」



嘘だろ承太郎!

京太郎「さて、早朝から探索だな」

京太郎「……時間ねえんだけどさ」



卒業式開始まで、休み時間以上昼休み以下の時間しか無い。

少年は三人の冷めた生温い視線から逃れるように、教室外へとあてもなく駆け出した。



京太郎「一回……いや、ギリギリ二回だな。三回は無理だ」



【戦闘にて情報ピース二つ獲得済みです】



京太郎「地上から……いや地上からに限定せずとも、対空の策」

京太郎「もしくは情報を集めて、詳細なスペックさえ分かれば」

京太郎「あと一手。段違いのスペックってわけじゃないんだ」



必要なのは一つの情報、あるいは一つの必勝。

その『少し』を、誰かの力を借りて埋める。いつもの事だ。



京太郎「せめて、何か一つでいいから、あのスパゲッティ野郎を叩き落とす方法……」

【移動可能先】


・一年A組

人物:原村和(メイン)、宮永咲etc…

オカルトとは関係のない知識面からのアプローチ。


・一年B組

人物:新子憧(メイン)、高鴨穏乃、園城寺怜etc…

街に流れる噂の情報。


・生徒会室

人物:花田煌、二条泉、船久保浩子、原村和etc…

有用な情報、あるいはヒントの提示。


・園芸部温室

人物:松実宥(メイン)etc…

学外における情報、ほぼ確実にイベントが発生するヒント。
また、サポートアイテムの入手が可能。


・天文学部

人物:大星淡etc…

夜間の街の情報。都市伝説に関する有用なヒント。


・図書室

人物:天江衣、国広一、宮永咲etc…

都市伝説の種類に関して確定で一つ情報ピースを入手可能。


・事務所支部部室

人物:今まで登場した人物全て(メイン)、今まで登場した事の無い人物

全ての人物が居る可能性有り。何でも起きる可能性有り。何でも手に入る可能性有り。

【調査目的:スパゲッティ退治】

【情報ピース『フライング・スパゲッティ・モンスター』を保有】

【情報ピース『敵対都市伝説の特性』を保有】

【情報ピースを一つ集めて下さい】

【移動先指定可能回数:残り二回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>346

園芸部

【園芸部温室】




京太郎「あー、えっと、この度は」

宥「ふふっ」

京太郎「……あー、やっぱ飾り立てるのは性に合わないな」

京太郎「シンプルに。卒業、おめでとうございます!」

宥「うん、ありがとう」



宥「私ね、ちょっと見せたいものがあったから丁度良かったかな?」

京太郎「見せたいもの?」

宥「えいっ」

京太郎「うおっ!? 俺の首に突然ルーベライズが!?」

宥「いつでもどこでも、貴方にルーベライズを送れるし、ルーベライズの居場所も分かるようになったんだよ」

宥「最近色々あって、この力も応用が効くようになってきたの」

京太郎「へー……(神出鬼没の赤マントの転移特性の応用? つか、確実に変化してるな、能力……)」

京太郎「(推論は見事的中、か)」



京太郎「便利ですねー」

宥「でしょ?」

ついに距離すら超えてしまった宥姉の愛情

これはつまりいつでも京太郎に首輪かけておきたいという願望なのか?

京太郎「(どうするかな)」

京太郎「(卒業のお祝いを言いたかったのも本心だけど)」

京太郎「(……)」

京太郎「(今は、別に聞きたい事がある)」



宥「今は咲ちゃんは図書室に行ってるよ? 後で会いに行ってあげたらどうかな」

京太郎「あ、はい」

京太郎「(時間ねーんですけどね!)」

宥「ふふ……もうここにも、勉強をしに図書室に行くこともないんだと思うと、なんだか寂しいな」

京太郎「宥さん」

宥「一年前の私が、私じゃないみたい」

宥「一年前の私は、自分のために頑張ろうなんて思ったこと、無かったもの」

宥「受験勉強に必死になるなんて遠い世界の出来事だと思ってた」

宥「……ましてや、それで難しい学校に行けるなんて」

宥「なんだか、夢を見てるみたい」



京太郎「( 『夢』 )」

京太郎「(それが、宥さんを変えたっていうんなら――)」



京太郎「あの、聞いていいですか?」

京太郎「その」



京太郎「(もしかして、それを聞けば、俺は何か……)」



京太郎「貴女の、夢ってやつを」



宥「夢?」

宥「それはね、私は―――」




【フラグ成立:戦闘直前にイベント発生】

書き忘れですがアイテム欄にはちゃんと真ルベ追加されていますのでー



【調査目的:スパゲッティ退治】

【情報ピースを一つ集めて下さい】

【移動先指定可能回数:残り一回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>370

図書室

【図書室】



衣「……」

京太郎「……」

咲「あ、京ちゃん! ついさっきまで!」

京太郎「ああ、うん。皆まで言うな。ビーストの負けっぷりくらい明らかなことだ」



京太郎「図書室に、屋内の一階でもない部屋に傘を目印代わりにおいてく奴なんてアイツぐらいだろ……」



咲「これ、置いてったみたい。来たら京ちゃんに渡してって」

京太郎「ん? おお、サンキュ……本?」

京太郎「外国の本か? 英語は……得意科目ってわけでもないんだよな……」

衣「衣が読んでやろうか? この前の演劇の時の礼だ」

京太郎「マジか? 悪い、頼む」

アイテムといえば爆砕先生はきちんと購入されたのだろうか

衣「――――」

京太郎「――――?」

衣「――――!」

咲「(別に読む時に膝の上に乗せる必要はないと思うんだけどなぁ)」

咲「京ちゃんのロリコーン」

京太郎「張っ倒すぞベルリンの壁」

咲「お、お姉ちゃんよりはあるだろうしー」

京太郎「ねーよ。二つの意味で」

咲「……」




京太郎「しかし、これ……」

衣「うむ、そうだな」

咲「何だったの?」

京太郎「戦闘機とか、ヘリとか、輸送機とか」

京太郎「そういうのの戦闘ノウハウとか対策とか……そんな感じ?」

衣「うん、これは指南書に近い。それも空を飛ぶ者にだけ有意義な、な」

京太郎「対空対策も練れるし、当たりかもしれん」

咲「へー」

咲「私にも読ませてよ」

京太郎「お前英語の成績俺より悪かったじゃねえか」

咲「数学と国語は全部勝ってたよ!」

京太郎「数学は毎度接戦だろうが!」




衣「(どちらにせよ、衣が読むのは変わらないんだな)」

衣「(……ま、いっか)」

衣「(楽しいもん)」





【情報ピース『立体飛翔戦術』を入手しました】

【探索パート終了】

【情報ピース三つ。情報が完成しました!】

【第二十話の間、全ての判定にて判定値が+6されます!】

【情報ピース確定によりステータス完全開示】


【フライング・スパゲッティ・モンスター】


HP:230


ATK:150
DEF:50


・保有技能

『悪来天畏』<<立体飛翔>>
人造の畏怖を内包した天の創造神。
悪意の空より来たりて、天に座すまま畏れを纏う。
自身の判定コンマが奇数の時、自信の判定値を+7する。
自身の判定コンマがゾロ目だった時、自身の攻撃サイドを確定させそのターンのダメージを+66する。
<<立体飛翔>>に属する技能を持たない者との戦闘時、敵判定コンマがゾロ目でなかった場合発動。
自身の攻撃サイドを確定させ、ダメージ計算時敵DEFを0として扱う。

『対抗神話耐性』
何者かによって付加されている、この都市伝説のものではない特性。
後付けの悪夢。希望の天敵の産物。塗りたくられ重ねられた穢れ。
【対抗神話】属性を持つ者に倒された時、一度のみHPを全回復し復活する。

【一同、起立!】


マイクで拡声された、熊倉教頭先生の司会進行が聞こえる。

既に卒業式は始まっている。彼らが居ない事に気付く者が居ても、そこまで察しが良ければ事情も察してくれるだろう。

卒業式自体は、彼らが欠けてもつつがなく進行する。

そんな彼らがどこに居るのかと問えば、校門より少し離れたコンビニの上と言う他ない。。



怜「副会長が抜け出してきてええの?」

京太郎「良いんだよ、どうせ今日の俺は刺身のツマみたいな存在だし」



現状、卒業式の進行に問題があるとすれば。

空の彼方より迫り来る、麺をより合わせたようなスパゲッティの神の存在のみ。



京太郎「今日の主役は、あの人達だ」



止めて、かつ仕留めなければならない。

彼ら彼女らの門出を血に濡れた悪夢にしないためには、卒業式が終わる前にこの邪神を地に堕とさねばならない。

負けてはならない。通してはならない。彼の背後にあるのは、目に見える『未来』そのものだ。



京太郎「お前こそ良かったのか? 二人の門出、直接祝ってあげたかったんじゃないのか」

怜「ええんや」



目も向けず、ただ優しく手を握る彼の気遣いに。彼女は自身の格納で答える。



怜『あそこに居たら、泣いてまうかもしれんし』

怜『そないな事になったら、あの二人安心して行けへんやん?』

怜『最後に見せる、うちの姿は』



視界に映らぬ、門出の親友達の友情に。彼女は自信と覚悟で応える。



怜『二人が居なくなってもやっていけるって伝えられる、そんな背中がいい』

京太郎「……やれやれ」



そんな彼女の決意が、ほんの少しだけ彼を強くする。



京太郎「(無理ゲーくせぇが、気合入れるか)」

ふと、思った事がある。


あの秋の夜、私はどうして負けたのか。


あの時点で地力は互角。
一手手違えれば、きっとあの戦いの勝者は私だっただろう。

けれど、『そうはならなかった』。



なんでだろう?

それに何か理由があるのかな?



考える時間だけは、たくさんあった。

その内に、正しいかどうかは別として、私なりの結論に辿り着く。



「人生の勝ち負けに、本当の意味で偶然なんて無いのかも」



私がもし、あの夜に負けるべくして負けたのだとしたら。

偶然ではなく、必然の勝敗として膝を地についたのだとしたら。

敗者が敗れるべくして敗れた理屈が、そこにはあるはず。



自分の方が強く思えていても、負けたのであればきっと何かが劣っていたという事。



実力?運命?胆力?意思?気力?油断?慢心?執着?

……絆?

私の中に無くてあの人にあったもの、私の中にあってあの人になかったものであることは間違いなさそうだけど。



だとしたら。

私をとても素敵な理由で負かしてくれたあの人に、私は感謝するべきなのかもしれない。

一年の終わりと始まりの境界にあったあの日、疑問に思った事がある。


あの冬のあったかくない夜、何故多くの人が祈っていたのか。


何かが変わるわけでもないのに、何故祈ろうとしていたのか。

結果的にその祈りを束ねた力があの人の黄泉の淵から這い上がる力になったとか、そういう話は後で聞いて納得したけれど。

誰かの願い、祈りを叶えるからこそ青い薔薇なのだと後で知ったけど。

それでも、なんというか、馴染みのない感覚で。



なんでだろう?

それに何か理由があるのかな?



考える時間だけは、たくさんあった。

その内に、正しいかどうかは別として、私なりの結論に辿り着く。



「あれが、あの人達に出来る精一杯だったんだ」



例えば、被災した家族の無事を祈るように。
難病の手術の最中、手術室の前で祈るように。
本当にどうしようもなくなった人が、最後の最後で信じても居なかった神に祈るように。

誰だって、それしか自分に出来無い事がないのなら、祈るはずだ。

何もしない人よりは、ずっとマシだろう。



祈るだけ、頼るだけの人は論外だけど……きっとその祈りに込められた願いだけは、バカにしちゃいけないものだと思う。



祈る事は無駄じゃない。

それは無力な人に出来る、その人の精一杯……なんだと、思う。



……でも、私は祈れない。

祈れば、この両手が塞がってしまうから。

この両手は、もしも、この暖かさと思いが届くのなら―――




―――あの人に、差し伸べたい。

かつて、彼女が選んだ選択肢。

悪への加担は、確固たる罪である。

けれども、それを責める者は誰も居なかった。

むしろ彼女の刃にただ一人刺された少年が、誰よりも彼女の無実を主張した。



誰も、彼女を責めなかった。

『責めない』という事象が、かつての黒い彼がそうされていたのと同じように……

それがほんの少しだけ、彼女の胸の内を抉っていたとも知らずに。



自分を見つめなおすこと。

何に対しても真摯に向き合い、考え、これまでの自分を考えなおすこと。

それが彼女なりの、無意識下で自身に与えた罰だった。



罪があれば罰がある。

しかし、忘れてはならない。

罰を受けたから罪が許される、なんて事はありはしないのだ。

罰とは、罪の大きさをその人に自覚させるために在る。

罰の大きさ、それが己に与える痛みの大きさが、その人に自身の罪を受け止めさせるのだ。

たとえ罰を受けたとしても、罪を受け止められなければその人は何度も同じ罪を繰り返してしまうだろう。

……だから、もう彼女が同じ罪を重ねる事はない。



彼女を誰も責めなかった。

それでも、彼女は真摯にその罪を受け止めていた。

生温く優しい言葉を与えてくれる環境だけを甘受する事を、彼女は良しとしなかった。



いつだって、どこでだって、なんだってそうだ。



真の意味でその人を裁けるのは、その人自身の『良心』以外の何物でもない。

変わらないものなどない。

変わらない者など居ない。

変わらない物など、ありえない。


「あれ?」「どうしたの?」「あ、いやね。空席があったから」



だからこそ、彼女も変わっていく。

手を差し伸べられた。引っ張りあげてもらった。カラに篭っていた自分を、踏み出させてくれた。

そんな暖かな人達の笑顔を、彼女は今も胸に刻んでいる。


「そういえば」「あれ?」「松実さん、どこ行ったんだろ」



始まりがあれば、終わりもある。

価値あるものが不変であることはない。

時間の流れと共に、全てが移り変わっていく。

永遠はない。この世にはない。たった一つを除いては。

その一つを周囲に振りまこうとした少女が、今それを否定する。




「行っちゃうの、おねーちゃん?」

「……うん。あのね、上手く言えないけど、その」

「良いんだよ、おねーちゃん。自分への言い訳とか理由付けとか、そんなの考えなくても」

「玄ちゃん」

「そんなのおねーちゃんが好きな人には要らないし、嫌いな人は聞かないんだから」




「大切なのは、おねーちゃんが自分のしたいことを自分で知ってるってことだよ?」

「おねーちゃんは、どうしたいの?」




「……あったかかった」

「あの時、握ってくれた手は、あったかかったから」

「そのあったかかさを、返しに行くの」

「だから、行って来ます。玄ちゃん」




玄「……行ってらっしゃい、おねーちゃん」




それを『成長』と言わず、何と言うのだろうか?

【では、一同、起立!】


迫るタイムリミット。


京太郎「ッ」



竹井久が卒業証書を受け取り、壇上に上がるまでに彼の計算では一時間もかからないだろう。

聞こえてくるマイクに拡大された司会進行の声は、彼に情報と焦りの両方を与えている。

卒業生合唱→卒業証書授与となっている卒業式の流れは、既に生徒会室で彼の頭に叩きこまれている。



【仰げば 尊し 我が師の 恩】



本来、ここまで長時間持たせた事自体が奇跡だったのだ。

空戦という圧倒的アドバンテージ。それが彼らを追い詰める。

それでも未だ彼らが敗北せず、校門近くにすら邪神を近づけていないのは、不自然な程の敢闘だろう。



【教の 庭にも はや 幾年】



それはきっと、二人の石のように固い意思。

『絶対に』と何度も脳内で繰り返し、維持と覚悟だけで食らいつく。


京太郎「通すかよ。あの人達の、人生の一大イベントだぞ!」

怜『あの二人に、いい奴らやったあの二人に、良くしてくれた過去に報いるんは、これしかないんや……!』


それでも、届かない。

絶望的なまでに間に合わない。

迫り来るタイムリミットは、二人から余裕を失わせても冷静さだけは失わせない。



怜『(相棒! 他の三人に……)』

京太郎「(無理だ! フォームシフトしても今のあの三人じゃ打開できない!)」

京太郎「(他の誰かを遠隔格納するにしても、強すぎる奴と弱すぎる奴しか居ない!)」

京太郎「一か八か、低確率の相打ち狙いで姫子さんを―――」


そんな彼の手の上に、いつの間にか重ねられた手と、身体の傍に感じる体温。



「その必要はないよ」



彼の眼に映るのは、彼が守ろうとした、今は絶対にここに居るはずの無い彼女。



京太郎「――ん、な、どうして」

「……ふふっ」



優しげに、柔らかに。彼女の笑顔を見た少年は、ほんの少し前に彼女から聞いた彼女の『夢』の話を思い出していた。

彼女には、夢がある。




「『将来の事』」

「私、なんとなく玄ちゃんと一緒にうちの旅館を継いでいくのかな? って思ってたんだ」

「でもね、沢山考える事があって。沢山考えて。自分の事も考えるようになって」

「だから、気付いちゃったんだ」



「玄ちゃんは、私よりずっとずっとしっかりしてて、ちゃんとしてて」

「旅館を継ぐだけなら……たぶん、玄ちゃん一人で大丈夫なんだよ」

「でも私は、一人じゃダメだから」

「私は、いらない子なの」



「玄ちゃんと二人でやっていくのもいい」

「もしかしたら、クロちゃんが気を遣って私を支える選択を選ぶかもしれない」

「でも、それじゃダメ」

「今までと何も変わらない。楽な方に逃げてるだけの私のまま」



「私は、変わりたい」

「勉強して、大学に行って、ダメなままの私じゃない。『何かを勝ち取った』私になりたい」

「今の何も出来ない私じゃない、玄ちゃんと助け合える私に」

「私に手を差し伸べてくれた貴方に、今度は自分から手を差し伸べられる私に」

「まだ、未来は何にも見えなくて、不安だけど」



「それでも、私は。大好きな貴方達に」

「大切で、かけがえのない貴方達に」



「『貴方達に胸を張れる、自分になりたい』」



「それが、私の夢」

「どうすれば、どうしたらそうなれるかなんて分かんない」

「それでも、私が決めた、たった一つの夢なんだ」




松実宥には、夢がある。

この松実宥には夢があるッ!

それが何よりも、京太郎/夢のない自分には眩しくて。

借りたものでもなく、与えられたものでもない、彼女が自分自身の中から汲み上げた輝き。

時折彼が守りぬいた真っ直ぐに部活に打ち込む生徒の瞳の中に、片鱗が見えていた煌めき。

それを見て、少年は。



京太郎「俺の命を」



今の自分に足りないものが、『それ』であると自覚した。

FSMの伸ばした触手が、二人へと迫る。

数は無数。速度は風。硬度は鉄で粘液は酸。



京太郎「貴女に、預けて良いですか」



それでも二人は揺らがない。

彼女は、彼へと手を差し伸べる。

それはかつての日、分かり合った夜とは真逆の構図。



宥「きっと、何もかもが変わらずにはいられない」

宥「それでも……貴方なら、きっと悲しい終わりだけは止めてくれるって、信じてる」



そして、少年は―――その手を取った。



「――――――!?」



二人が一人になると同時に、吹き荒れる嵐。

吹き飛ばされる、全方位からの触手による包囲攻撃。


 サイクロン・エフェクト
『纏われる疾風』。


一の鰐の装甲のように、肉体外部へと展開される『赤いマフラー』と『赤いマント』。

吹きすさぶ風がマフラーとマントをなびかせ、その存在感を映えさせる。

口元を覆うマフラーはその表情を半ば覆い隠し、ただ一つ覗かせる鋭い眼光はナイフのように。

……そして。



宥『飛ぶよ』

京太郎「はい!」



そのマフラーは、彼の背部にてまるで一対の『赤い羽根』のように、大気と風と世界を捉え。


大空へと、飛び立った!

 



Theme from ULTRAMAN/空を切り裂く流星


http://www.youtube.com/watch?v=QytBxBkiBJk



【松実宥】



・保有技能

『コッキネウス・カペラ』<<立体飛翔>>
翼となった真紅の外套。勇気と決意、二対の両翼。
たとえ己の血を流すとしても、明日へと進む覚悟の証。
生き方だけは、自分で決めた。
敵判定コンマがゾロ目だった場合、ダメージ計算時に敵DEFを1/2にする。
<<立体飛翔>>に属する技能を持たない者との戦闘時、与えたダメージをもう一度与える事が出来る。

『カーディナル・クリムゾン』
蒼と対になる、鮮やかな真紅。
曇りなど無き柘榴石(ガーネット)、紅玉(ルビー)の如き映える意志。
守るべき、大切な人の為に流す赤。
武器補正を除いた自身のATKを二倍にする。
【松実宥】を格納中、武器を二つ装備できる。

・適性武器
全て



 

其は彼女の生きる意志。


殻にこもるための鎧を捨て、傷付きながらも前に進むと誓った証。

他人の血で汚れたマントを捨てて、己の血で染まった翼で羽ばたく覚悟。


赤い羽根とは、この国において誰もが知る、見知らぬ誰かへと送られる善意の象徴だ。



京太郎「すげえ、俺、飛んでる……」

宥『……空中浮宥?』

京太郎「……」

宥『……えぅ……』

京太郎「……ゆ、宥姉面白い事言うねえ」

宥『……』

京太郎「……」

宥『……あったかくない』

京太郎「(こいつ自分を棚に上げて……!?)」



そして、子供も大人も知っている。

赤いマント、赤いマフラー。

本来それは、恐れの象徴でも血塗れのシンボルでもなく。




ヒーローが必ず身に付ける、正義の味方の証なのだと。




京太郎「(比翼の翼、赤い羽。確かに……)」

京太郎「……羽根は一つだけじゃ、飛べねえもんな」

京太郎「よぅ、パスタ野郎。待たせたな……オレもようやく、飛べる」



平行に並ぶ両者の視線。

既に両者の関係はひっくり返り、勝敗の行方は誰にも分からない。

FSMにとって、眼前の敵は既に己の命を脅かす『敵』であり。

京太郎にとって、眼前の敵は既に一方的に甚振られる事無く戦える『敵』である。

赤い加護を纏った少年と、触手の塊が対峙する。



京太郎「さて。冷めてぬるぬるしてるだけのスパゲッティなんて食う気にならないんでな」

宥『さ、さよなら、です……!』

質問ー
以前ネクサス時は腕輪が武器扱いって言ってたけど、宥が加入したことでネクサス状態でも腕輪含めて武器二つ持つことって可能?

あ、書き間違い。「武器・防具補正を除いた自身のATKを二倍にする。」でした

最初は何も持ってないので、今回の戦闘の最初の行動やフォームシフトで彼女を指定する際は武器もちゃんと指定しないと素手になりますよー


【ステータスデータ】

>>157
>>158
>>159
>>162
>>386
>>432



>>444
・・・うーん、無しでお願いします。すぐに意味なくなると思いますし



ちょい作戦タイム兼休憩。再開は00:40にしましょうか

作戦に関係ないのに恐縮だが言わせてくれ

何でライトウイングネタ入れたしwwww

>>454
てへぺろ


では、再開です。引き続きネクスト・・・じゃなくて二人の飛行をお楽しみ下さい

空が、破裂する。

そんな錯覚が充満する空間が、今雲の上に在る。



「■■■■■――――!!」



雲を切り裂き、快晴を地上へともたらす少年少女。

『紅い流星』。

誰が見た所で、彼と彼女はそう称されるだろう。



京太郎「らァッ!!」

宥『えいっ』



雲を切り裂き、青空を見せ、夕暮れの紅を思わせる光。

彼らが纏う赤布が、一日の終わりに人を照らす光に見えて仕方が無い。



「――――――!」

京太郎「目障りか? そうか、俺も同感だ!」



浅葱の蒼、始まりの黎明。

山吹の金、煌めきの陽光。

真紅の赤、夕焼けの黄昏。

今、この瞬間。ここには、空の光の全てがある。



京太郎「せっかくなら、お前みたいなのに邪魔されずゆっくり空が見たいんでな」

宥『うん、そうだね』



今の彼らなら、戦闘機にすら勝利するだろう。

銃弾だって届かない。ミサイルだって当たらない。音速にだって捕まらない。

それだけの機動スペックを、相手を捉えるためと仕留めるためだけに使っている。



雲の上の、輝く流星。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>462


FSM判定
>>464


防御
オモイヤリ
カタキウチ

偶数こい偶数こい

【#Attackフスモ】


防御VS攻撃



6+3+6=15

0+4=4



京太郎×宥の攻撃サイド確定!


140×2-50+(15-4)=241ダメージ!


『対抗神話耐性』発動!

FSM残りHP:230

右、左、右、上、加速突撃しつつ螺旋状の機動で回避。

そして減速。ゼロ時間で速度をゼロに、ゼロ時間で速度をマックスに。

反転し、一瞬前まで自分達が居た場所を貫く触手をかわす。



京太郎「(すげえ……俺の思う通りに、考えた通りに飛べる)」

京太郎「(まるで鳥になったような……いや、鳥だってこんなに自由には飛べないはずだ)」

京太郎「(すげえ。すげえ、すげえ、すげえ! つか、やっべぇ!)」

京太郎「(今の俺、飛んでるってだけでこんなにも……興奮してやがる!)」



例えるのなら、彼らの今の機動は直線的な突撃に限定すれば野球の変化球のようなものだ。

もっとも、フィクションのものも含まれていれば、極端にも程がある性能である。


急上昇(ホップ)、急旋回(カーブ)、無減速旋回(スライダー)、回転旋回(スクリュー)、急接近機動(シュート)、鋭角機動(フォーク)。


そして今の二人を例えるのなら、不規則機動(ナックル)といった所だろうか。



宥『(……あったかい)』

宥『(京太郎くんの中、あったかかくて、気持ちいい)』

宥『(……ずっと、ここに居たいくらい……)』

宥『(でも今は、頑張らないと)』


互いに少しの興奮を覚えながらも、少年少女は空を舞う。

まるでそれは、重力という邪魔者から解き放たれた二人のデート。

もはや、こんな邪神になど追いつけはしない。



今この空で、この二人は誰よりも自由な命である。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>476


FSM判定
>>478

>>475

>>475

【#ATKFSM】


防御VS攻撃



2+3+6=11

6+5+7=18



フライング・スパゲッティ・モンスターの攻撃サイド確定!

150×2-80+(18-11)=227ダメージ!


京太郎×宥残りHP:433

単純に計算式に書き加えるの忘れてました、脳内計算式だけ正しくても意味ねーです自分

戦闘中にルベ作ってもらえればゾンビ兵になれるじゃないか
まぁ絵面的にひどいが

回転落下機動(ロムセヴァック)にて降り注ぐ触手を回避する。

幾つかが頬を掠めるが、それも仕方のない事だ。

松実宥の技能はバランスこそ取れているが、攻勢に偏りがちかつ本来あった回避に使うリソースまで使い切っている。


FSMが空を統べあらゆる刃を回避するのなら、彼女は空を舞いあらゆる刃を当てに行く。


奇しくも、この空で正反対の翼がぶつかり合う。

かくしてFSMは、忌々しくその紅き翼を見据えている。



京太郎「ぐっ……!」

宥『(これが、この人の戦い)』


けれど、その翼は、スパゲッティごときに興味を抱いては居なかった。



宥『(痛くて、苦しくて、怪我をする時もある)』

宥『(それでも歯を食いしばって、我慢してるのが伝わってくる)』

宥『(……)』


彼女が見ているのは、ずっと一人だけ。



宥『(そっか、こうやって、一番近い所で)』

宥『(この人が苦しまないように、全力を尽くす)』

宥『(それが……あの娘達四人が、これまで頑張って来たことなんだ)』



そして、京太郎の意思とは別に赤いマフラーが動き出す。

硬度は鉄。鋭さは刃。それはいとも容易く触手を切り裂き、風を掴んで姿勢を安定させる。



京太郎「ッ、ありがとうございます、宥さん」

宥『気にしないで。次に行こう』



宥『(自分の失敗のツケが、京太郎君に行くのは怖い)』

宥『(でも、今京太郎くんを守れる力があるのは、私だけだから)』

宥『だから』



だから、と。少女の覚悟が、更に彼らを加速させる。



京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>494


FSM判定
>>496

攻撃

偶数こい

雲の中、触手を背にして音よりも速く飛行する。

現在の速度は互いの同速。距離は詰まらず、広がらず。


Uの字を90°傾けたような機動で空中旋回。

その直後、地面に向けていた背を空に向け返す空中反転(インメルマンターン)。

FSMの懐へ飛び込むと同時に、眼前へとその触手が迫る!



宥『(皆の為に、なんて今まで考えた事も無かった私がね)』



それがおかしく思えて、彼女は場違いにも内心クスリと笑ってしまう。

額前10cmの所へと迫る触手の槍。

亜音速の戦闘世界において、コンマ一秒後には頭蓋を粉々に砕くであろう光景。



京太郎「ここで頭を狙うのは悪手だろ」

宥『(弱かった私を、ここで終わらせよう)』



しかし、当たりはしない。空中で全身ごと車輪のごとく後方縦回転。

地上であればバック宙。しかし空中で、この場面であるのなら。



宥『(皆の未来を、ここで終わらせないために!)』

京太郎「せいッ!」



頭蓋への一撃を回避しつつ、強烈な蹴りを叩きこむ機動となる!



京太郎「(隙が出来た!)」

京太郎「トドメだ! 宥さん!」

宥『うん!』



一騎当千。

今の彼らの『手数』を称するのなら、その四文字が相応しい。

今の彼らと互角の手数を発揮したければ、触手が千本は必要だ。


今現在、この邪神は数本の触手を巧みに操り攻め立てている。

動きを止めて本気の攻勢に出る際には、数十本の触手が動き回る。

後先考えずその気になれば、数百本同時制御も可能だろう。



けれど、そんな手数では届かない。

そして、そんな速さでは届かない。



この邪神の統べる空が、悪夢の来たる空の彼方であるのなら。

彼女の翼は、その向こう。その先に在る、明日へと向かう赤い羽根。

フィナーレとは斯く在るべし。喜劇だろうと悲劇だろうと、悪夢だろうと。


───たった一度の青春の、最後の思い出であろうとも


せめて、その終幕は華やかに。



少年の右腕に巻きついたマントが、巨大な拳を形作る。

そして決定的な隙を晒した本体へと赤いマフラーが巻き付き、強引に引き寄せる。

少年と繋がったまま、マフラーが敵を引き寄せればどうなるか。

その赤く巨大な拳は、何に振るわれるのか。

考えるまでもない。



赤き一撃は、邪神をそのおぞましさと共に葬った。



かくして、この日の悪夢は終わりを迎えたのである。




【#必殺スパゲッティ】


攻撃VS必殺



7+0+6+6=19

0+1+7=8



京太郎×宥の攻撃サイド確定!

140×2-50+(19-8)=241ダメージ!


FSM残りHP:0



戦闘に勝利しました!


少女は、卒業します

京太郎「……良かったんですか?」

宥「うん」



携帯で時間を確認した上で、少年は問う。

彼女の人生における大一番。それを自分の為に犠牲にしてしまった罪悪感が、彼の胸の内にはあった。

時刻はとうに、式典の終了時刻を過ぎている。



宥「自分が何をしたいのか、何が大切か。今の私は、ちゃんと分かってるから」



けれど、彼女の瞳は一点の曇りも後悔も見えやしない。

やりたい事とやるべき事が一致している、そんな『いい女』の顔だ。



京太郎「……そっすか」



彼らは学校へと歩き出す。

今の時間に学生が校外をうろついているのはいかにも変だし、それに、だ。

すぐ戻れば、まだ何かやり残したことが見つかるかもしれない。

挨拶だったり、別れだったり、青春の舞台を目に焼き付けることであったり。

まだ、『何か』があるかもしれないという淡い希望。

そんな無体な考えの中、校舎へと向かう二人の視界に写った光景は。




―――校門の向こう。グラウンドで、二人を待つ卒業したはずの三年生達だった。




「やっと来た」「待ちくたびれましたね、先生」「一年生が三年生をだまくらかせると思ってんのかバーカ」

そう、口々に飛び出す言葉が混ざり合い。何を言っているのかも聞き取れない音になっている。


それぞれ皆、『お見通しだ』『ありがとよ』『まったく』と言わんばかりの表情で。

三年生達が、後輩と一人の同級生が体を張っている事を知っていたのだと、京太郎に知らしめるには十分だった。



「ああ、この人達は自分よりも長く生きてる人達だったな」、と。

少年に強く感銘を与えるには、十分すぎるほどだった。

そして。



久「お疲れさん」

京太郎「……元生徒会長」

久「はい、これ。ここでやりましょ」

京太郎「これ……って、なんで貴方がこれを!? って、突拍子もないのはまさしく今更か……」



渡されたのは、卒業証書。

そこに書かれている卒業生の名は、『松実宥』となっていた。

三年生達が、一人も口を開いていない。

独り言も雑談もせず、少し前の卒業式に等しい静寂を保っている。



京太郎「卒業、おめでとうございます」



そして彼から、丁寧に、荘厳に、形式に則った形で渡される『卒業証書』。



宥「……あ」



三年生達が、彼らの行動を見逃しかつ参加までしている数人の先生方が。

彼らに声をかけた、元生徒会長が。そして三年生達の意思を汲んだ、京太郎が。

松実宥に贈る、彼女のためだけの卒業式。



それはきっと、彼女にとって何よりも嬉しい『卒業』で。

眼の前に居るその人/京太郎と、これからずっと肩を並べていける『自分』。

誰にだって胸を張れる、そんな『自分』に彼女がなれたという証明だった。



宥「あ……あ、ありが、ありがとうっ!」



彼女の感謝。

それを皮切りに、誰からというわけでもなく始まる拍手。いつの間にかその場に居る全員を巻き込んで、誰もが手を叩いていた。

まだ、彼女の夢見た『自分』にはなれていないけど。

それでも、涙を流しながらくしゃくしゃの顔で笑って「ありがとう」と言える彼女は。

何にだってなれるし、どこへだって行けるだろう。



やがて、役目を終えたような表情で校舎内へと戻っていく三年生達。

自分のクラスに戻り、最後のHRで別れを惜しむのだろう。


しかし、この学校に通っていた生徒達がそれだけで済ませるわけがない。



京太郎「え、ちょ、な、やめっ、やめてくださいよ!? なにやってんすか!?」



校舎へと帰る途中、『先輩達』は示し合わせたようにそれぞれのカタチで『後輩』へと激励を贈る。


髪をくしゃっと撫でたり。肩を叩いたり、背中を叩いたり、デコピンしたり。
「頑張れよ」「しっかりやれよ」「もげろ」「またな」
と、厳しかったり、優しかったり、暖かだったりする言葉も投げかけられる。

拳と拳を合わせたり、ハイタッチをしたり、軽く頭突されたりもしている。


そして、後輩が先輩の名を呼び、先輩は去って行く。

それは少年が全ての先輩の名前を覚えていたということであり、先輩達が可愛い後輩に何かしてやれることを模索した結果であり。



どうしようもないほどに、『別れ』を双方に刻みつけていた。

泣いていたのは、誰だったのか。

先輩か?後輩か? ……それとも、両方か?

流れた涙を拭って、「さようなら」という言葉を押し込んで、彼らは互いに『その言葉』を紡ぐ。



『ありがとう』。

それだけを。



桜舞う道で、彼ら彼女らが微笑んでいる。

もう一人を除き、別れは済ませた。

その最後の一人がひょいっと、巧みに京太郎の制服から第二ボタンを奪う。



久「これ」

久「記念に頂いていくわ。んじゃね」



ああ、変わらない。

今日みたいな日にも平常運転か、と肩の力が抜けてしまう。

変わらない笑顔だけど、その潤んだ瞳は初めて見たと、少年は思う。



霞んでいく視界。

何度拭っても、何度拭っても、視界がクリアになりやしない。

後から後から止めどなく溢れてくる液体が、邪魔で邪魔で仕方が無い。

去って行く先輩達の顔が、見えないじゃないか。

視界の端で、親友二人と抱き合ってる相棒がどんな顔しているのか、見えないじゃないか。

あの人の姿が、マフラーしか見えないじゃないか。



泣かないって、決めてたのに。

なんて情けない。男が二言とか最悪だ。



だからせめて、笑顔で。声を震わせず、ありったけの気持ちを込めて叫ぼう。

この世界の隅々まで聞かせてやるぐらいの気持ちで、感謝の気持ちを声の大きさで表して。

魂が震えるくらいに、叫ぼう。




京太郎「今まで……本当に、ありがとうございました!!」






第二十話・完

【次回予告】



「神代先輩が、実家に呼び戻される!?」



「マホ、お前……」

「(これは……照魔鏡!?)」



「都市伝説ってのにはカテゴリーがある」



「鏡、血、霊、水、呪。他にも色々と」

「鹿児島の人達は、カテゴリーとしては巫女。対抗神話の枠内だな」



「巫女というカテゴリーで、かつ蛇というカテゴリー」

「巫女なのに対抗神話じゃない、危険度で言えば最強クラスの都市伝説……!!」



「神頼み(物理)」



「いえす。だいたいそんな感じです」



「さて、行きますか! 小蒔さん!」

「ええ、行きましょう。旦那様!」

「(どうですかね)」

「(バレてないと思いますよ)」



「三位、一体ッ!!」




第二十一話前編:Uns et les Autres/愛と哀しみのボレロ

本日の投下はこれにて終了。お疲れ様でしたー

卒業生組も格納はいつでも可能。でも結構親しい相手じゃないと迷惑とか考えて京太郎が遠慮するかも

宥さんは作中で描写された通り装備次第では姫子以上の紙装甲になったりもする補正弱者。よく考えてお使いください

ライトウィングネタは2秒で本編採用を決めてました。出来が良かったので


次回は九月にこっちに来た組のお話。時系列的には20とそんな変わらないです

ちな22話が四章最終話。そして最終章に入ります


では、今夜はこれにて。レス返し等は明日明日

皆様、良い夢をー

乙乙

宥姉格納と聞いた瞬間描き始めてました
http://i.imgur.com/NOdU0pP.png
…リンク貼れてるかな?

カーディナルクリムゾンの元ネタが真紅の赫龍帝だとしたらやっぱり乳のでかさか…あれも過去の色々吹っ切れての進化だったな
しかしFSMのことパスタ野郎とか呼ぶからフライング「スパゲッティーニ、フェデリーニ、ヴァルミチェッリ、カペッリーニ、リングイネ、ブカティーニetc」モンスター色んなのがわらわら出てくるの想像してしまった

>>542
ポリフォニカかもよ?
あれもおっぱいおっぱいしてる

http://i.imgur.com/2ijrL2D.png

京太郎のフォームシフトで外見変化ってこれが初めてかな

それだけ人気が有るって事だよ
ところで最近話題にもならなくなったスマブラはもう黒歴史扱いなのですか?(小声)

乙っす
遂に来たかやばすぎる奴
宥格納できるんならルーベライズ砕けてもその瞬間に再生とかあるんですかね
さすがに戦闘とか危機感なくなるから乱用は無理っぽいけど

乙ヤデー

気づけばもう佳境か…

宥「かーでぃなるくりむぞんふるどらいぶっ」
宥「京太郎君は私のだよっ」
どっちでも可愛い(確信)
ビーストさんスフィンクスに勝ってただろ!いい加減にしろ!

ビーストさんよりもオトナノツゴウ(オールドラゴン)に救いを……登場回数ガタキリレベルじゃん

Light wing「打ち切られたけど話題に上げて貰えてるしまあいっか」

マイスター「……」

少年疾駆「……」

Dois Sol「……」

黒羽寧子んばんわ

ブリュンヒルデといいテラフォーマーズといいここしばらくヤンジャンが熱いですな。しかし、ガンツェ

あの子が反物質砲使った時は「ファッ!?」ってなったもんですが


それにしても、やだ・・・何この支援ラッシュ・・・


あ、明日閑話やります。ぼちぼち裏で色々暗躍してる謎の女さんの過去話とか

ここから五章終盤までの間に閑話で各キャラの過去話を入れてくつもりです

ただ、今日から月末まで忙しくなりそうなので投下ペース落ちそうです
ご了承下さい


それともう一つ。探索の時に書いてたと思ったらうっかり書き忘れ

宥さんのルーベライズ送信機能により毎話開始時にルーベライズが壊れていた場合、オートでルーベライズが補填されるようになりました

直接会いに行かなくても良くなりましたよー



>>354 >>357
「愛に距離はない」の格言に近いですな
もっと言ってしまえばルーベライズを「飛ばせるようになった」みたいな感じです

>>376
購入されましたけど>>1が書くの忘れてました。大変申し訳無い

>>418-420
謎の連携

>>490 >>552
ちょい厳しいですね。短期間に連続は本人の負担が大きいかと

>>536
はセ
ありがとうございます!支援感謝です!
でもそんなあせって書かれなくてもおkですよー、>>1は逃げませんのでー
支援はそれだけでありがたいですし

>>542
>>545
両方ですね。ちなみにコッキネウスはラテン語で「深紅」という意味で、現代においては花の鮮やかな赤色を示す言葉です
ググってみるときれいな花の画像が見れるかも

カペラとはこれまたラテン語で「外套」という意味。語源は貧しい人に自分の外套を切って分けてあげた聖人が、キリストにその外套を元に戻してもらったという伝説なのだとか
そこから転じて、「チャペル」という単語の語源にもなったそうです。チャペルウェディングとかそういうの
見返りを求めない善意のエピソードを持つ外套、って感じです


>>547
あらカッコイイ。ありがとうございます!
支援感謝です!外見変化は地味に一ちゃんも要所要所を守る装甲みたいなのを出してたりしますよー

>>549
黒歴史じゃないよ(震え声)
ただ問題が。スマブラで使うはずだったネタや展開をこっちで使いすぎて構成ガッタガタなんですよねー・・・
スマブラを年始に完結させてたら、こっちもまたぜんぜん違う作品になってたかも・・・むむむ

>>555
CG・・・予算・・・燃える教会・・・うっ、頭が




最近こういうのなくなってきたのが都市伝説ブームの衰退のようでちょっと悲しい自分

今回の都市伝説は誰が発現させたかって何処かに出てきてたっけ?

>>567
クウガは燃える教会のシーンで予算のほとんどを使い切ったっていう話はデマらしいっすよ

pixivに支援絵あったでー
ついでにこの支援ブームの再来に乗っておこう
http://i.imgur.com/C7AwhDz.jpg

あと二冊か……
http://i.imgur.com/Ta7GvKD.jpg

 



【閑話その14  アンブレイク・アンブレラ 】



 

40年。


あの日、痛みを理由に託されたものを全て放り投げた俺が、一度捨てたはずのものを拾い直した日。


俺のようで俺でない誰かに、決定的に敗北した日。


あの世界から旅立った日。


俺があの街を、最後にこの眼に刻みつけた日。


全てに別れを告げ、世界を渡る旅に出た日。


あの日から、俺の体感時間で40年の月日が経った。




不思議と摩耗した気はしない。

むしろ『最初の世界』の結末の方が、数ヶ月もなかったというのに摩耗していた気がする。




……あの日から。

守れた日も、守れなかった日もあった。

傷ついた日も、傷つけてしまった日もあった。

悔いた日も、惜しんだ日も、泣いた日もあった。

それでも、胸だけは張って生きてきた。




そんな俺が辿り着いた、この世界。


その世界は、戦乱の絶えない世界だった。

その世界は、随分と前から俺の故郷となる世界とは違う歴史を辿っているらしい。

人種も国も文化も土地も国名も概念も常識も、俺の故郷の世界から見ると随分と違う。

一言で言えば何もかもがゴチャゴチャで、パズルのピースを無理やり力尽くで組み立てたような気持ち悪さがあった。

もっとも世界移動をこなす度に世界の『ズレ』が大きくなっている事は自覚していたので、それはさほど驚く事じゃない。



戦乱が絶えないのはどの世界でも一緒だ。

ただ、その世界は21世紀初頭にして五度目の世界大戦を繰り広げていた時点で、戦乱の絶えない世界だったと称する他ない。


そして俺がその世界に辿り着いたその時には、ユーラシアの大部分を支配した国とそれ以外を支配した国。

なんとか連合だかなんとか機構だかと大層な名前を付けた二つの勢力が、まさに雌雄を決しようとしていた時だった。



戦闘機が空を、戦車が陸を、戦艦が海を通らない日はない。

人々は戦争がもたらす痛みも疲れも倦怠も忘れ、憎しみや怒りを抱えたままもう一歩も引けない状態に陥っていた。



誰も戦争をやめようとしない。

誰も戦争を止めようとしない。

誰も戦争を諌めようとしない。



その世界は、終わっていた。



いや、終わろうとしている世界だった。



誰もが薄々それを自覚していながら、誰もが「自分にはどうしようも出来ない」と自覚し、諦めている世界だった。



そんな世界の紛争地域に、俺は降り立った。

何か出来ると思っていたわけじゃない。

ただ偶然、開いた『世界の穴』がそこに繋がっていたというだけの話。

そこがこの世界で一番俺の力が振るえそうな場所だっていうんだから、なんとも皮肉なもんだ。



そもそも、人間一人の力じゃ世界は変えられない。

世界を変えるには、世界中の人間とまで言わずとも、多くの人間の『変革』が必要なのだ。

そして多くの人間を変えるためには、これまた多くの人間が要る。

キリスト教の信者だって、最初は数えるほどしか居なかったのと同じ事だ。

変えられた人間がまた多くの人間を変えていくような変革の連鎖がなければ、世界は変わらない。



だからこの終わりゆく世界に対して、俺が出来る事はない。



……そう思いつつ、何故か今地元の人間を戦火から守りながら食い扶持を稼ぐ生活を送っている。

適当なタイミングを計ってどこかの世界に移動するつもりが、タイミングを逃してズルズルとこの街のお世話になっている現状。

二つの勢力の狭間に位置するこの街は、何度もオセロの駒のように両者の勢力間を行ったり来たりしている。

取られたり、取り返されたり。かといって他に行く場所のない住民は、戦火に晒されながらもここで生きていく他ない。



この街は牢獄のようだと、誰かが言った。



「人道的支援(笑)」を両勢力が行なっているため、食うに困るわけではない。

病気で死ぬ事も、飢えて死ぬ事も、雨の寒さや日の暑さで死ぬ事もほとんどない。

それでも、銃弾の雨と焼夷弾の熱で人々の命がゴミのように失われていくこの街は。



この世界の歪みを、何よりも如実に表していた。

戦車も来る。戦闘機も来る。戦争が、毎日の様に来る。


そんな街でどちらの勢力に加担するわけでもなく、ただ命を守るという理念だけで俺は戦っていた。

いつしかこの街の俺の存在を知ったからか、この街へ来る軍事勢力も次第と少なくなってきた気がする。



こんな占領しても旨味のない街に戦力を浪費しても仕方が無い。

触らなければ敵対しない俺という戦力は放置しておくのが最良。

仲間に引きこむにしても軍事的なバランスで考えれば一個人では……という現実。

両勢力からすれば、そんな所だろうか?

もっとも、目障りだからという理由(推測だが)で忘れた頃にちょくちょく銃弾が飛んでくるのだから恐ろしい。



かくして、俺の盾の向ける先は大国から武装難民やら盗賊やらテロリストやらに変更された。

この紛争地域において被害が少なく、戦争に巻き込まれてもいないこの街はカモがネギしょってるような物なのだろう。

……休む暇もなく、また世界を移動するタイミングを逃した気がする。



いつしか周囲から、救い主だ何だと色々言われ始めた。

隣人として慕ってくれる人、宗教の教本片手に熱くなんかを語ってる人。

神様かなんかと勘違いしてるのか、崇めて来る人。

最初は険悪な仲だったけど、今は一緒に酒を飲んだりする人。

どう見てもツンデレですありがとうございましたな人。

何故か懐いてじゃれついてくる、こんな世界でもどんな世界でも変わらず希望満ちた子供達の瞳。




そんな中、俺にも俺以外の大人にも決して心を開かず、近寄ろうともしない子供が居た。

『気付いた』俺は、そんな少女に声をかける。

小学生ほどの年齢の彼女は、ありったけの嫌悪を込めて、俺に返答した。




「近寄らないで。大人はウソツキだから嫌い」

大人は嫌いだ。

大人は平気で嘘をつく。

大人は子供を簡単に騙せると思ってる。

傷つけても平気だと思ってる。

何も知らないから、何も気付かないと思ってる。

だから、大人は嫌いだ。



お父さんとお母さんは、私を売った。

この国じゃ、珍しい事でもない。

私が何も気付いてないと思って、泣く演技までしてた。

この国じゃ、珍しい事でもない。




ただ、きづいてしまったことで、わたしはひどくきずついた。




きっとお父さんもお母さんも傷付かなかったんだろう。

私が気付かなかったフリをしたおかげで、あの二人の心は守られた。



だから、大人は嫌いだ。



自分が傷付かないためなら平気で子供を傷付けられる大人が嫌いだ。

バレないと思っている嘘で、自分を守りながら他人を傷付ける大人が嫌いだ。

嘘を重ねる度に、自分の価値が削り取られていってる事にも気づいてないバカな大人が嫌いだ。



そして、目の前で私に話しかけてきてるこの老人みたいな、嘘つきの極地みたいな偽善者は。



「近寄らないで。大人はウソツキだから嫌い」



嫌いを通り越して、大嫌いだ。

身寄りが無くなってゴミを漁ってた私を拾って育てるような偽善者は、大嫌いだ。

ロリコンだと断定する。性的倒錯者とか最悪過ぎる偽善者は、大嫌いだ。

あったかいお風呂と食事と布団で懐柔しようなんてありきたりな偽善者は、大嫌いだ。



「やれやれ。面倒くさいガキンチョだよな、お前」



雨の日に家出した私を探して何時間も探しまわってずぶ濡れになりました、なんて偽装をしてる偽善者は、大嫌いだ。

二本持ってた傘を差し出して、私を飼いならそうとする偽善者は、大嫌いだ。

タオルでずぶ濡れの自分より先に、私を拭いて善人アピールする偽善者は、大嫌いだ。

面倒くさいなら何の得にもならない私なんて放っておけば良いのに、そうしない偽善者は、大嫌いだ。



「何やってんだお前」



近所の不良に殴られそうになってた私を助けるフリをしてる偽善者は、大嫌いだ。

きっと近くで出待ちしてたに違いない。最悪だ。偽善者は、大嫌いだ。

ずっと走り回って私を探してたように思える息切れはきっと偽装だ。卑劣だ。偽善者は、大嫌いだ。



「……お前の笑顔とか、初めて見たな」



夕食の時に私の顔をまじまじと見てるロリコンは最悪だ。最低だ。偽善者は、大嫌いだ。

私の恥を晒して愉しんでるに違いない。これだから偽善者は。偽善者は、大嫌いだ。

今までやり方も忘れてた笑い方を、思わず思い出してしまった自分に腹が立つ。コイツのせいだ。偽善者は、大嫌いだ。

「学があって損はないだろ。いつか独り立ちできるようにな」



勉強させられている。これだから大人は自分勝手だというのに。大人は、嫌いだ。

私がしたくもないと思っている勉強を、多くもない自由に出来る自分の時間を割いて行なっている。大人は、嫌いだ。

誰も頼んでないのに。そもそも、独り立ちとかなんだ。また勝手か。大人は、嫌いだ。

私を置いてどこかに旅立つ予定でもあるんだろうか。勝手過ぎる。だから大人は、嫌いだ。



「な、離してくれよ。ちゃんと戻ってくるからさ」

「今俺が行かないと、人が死ぬかもしれないんだ。行かなくちゃならない」



信じられると思うんだろうか。私が大人の言う事を、信じられるとでも思ってるんだろうか。だから大人は、嫌いだ。

私が嫌いって言う度に平気な顔をして内心で傷付いているこの大人は、嫌いだ。

嘘と同じ意味の行動を、他人を傷付けないために、自分が傷付く為に使うこの大人は、嫌いだ。

もしかしたもう帰ってこないかもしれない。そんな事で私を怯えさせるこの大人は、嫌いだ。



「……まいったな。じゃあ、約束しよう。約束は二つ、絶対に破らない約束だ」

「俺はお前に、絶対に嘘をつかない」

「俺はずっと、お前が大人になるまでずっと傍に居る」



そんな守れもしない約束をする大人は、嫌いだ。

絶対に破られるって分かってるのに、そんな私を頷かせる大人は、嫌いだ。

気安く私の頭を撫でる大人は、嫌いだ。

安らぐような笑顔を浮かべる大人は、嫌いだ。



「約束は守るさ……んじゃ、行ってくる」

「年上に敬語くらい使えって」



なんだか最近、見知らぬ人と付き合いが多くなったこの人。私の家族である。

最近は言葉遣いを矯正しろとうるさい。私の家族である。

器用じゃない私に敬語なんて定着させたら敬語しか喋れなくなるかもしれないのを分かって欲しい、私の家族である。



「じゃ、行ってくるな。家を守ってくれ」



最近は遠くの国にまで出向く事が多くなった人。私の家族である。

それだけ多くの人を助けてるって事なんだろう。自慢の、私の家族である。

あの日出会ってから数年も経っている、血よりも強い絆で結ばれた私の家族である。



「……テンプレ乙と言うべきか、目を覚ませというべきか」

「……『私大きくなったらおじいちゃんのお嫁さんになる』みたいな意味じゃねーの、それ」

「お前が変わってるのは分かってたが、ここまで変わってるとは思わんかった」



こっちの台詞だ、と思いつつこの名案に頷かない彼にため息しか出ない。この朴念仁、私の家族である。

実際に家族になれる方法があるというのに何故実行しないのだろうか。お馬鹿かもしれないが、私の家族である。

乙女の恥じらいやら憧れやらは私だって持っているが、そう悪くない選択に思える。けど何故か同意してこない、私の家族である。

はて、私くらいの年頃の娘は高く売れたはず。記憶の中の値段表から推測したニーズをぶっちぎる、私の家族である。



「はぁ……ま、この話はまた帰ってからな。行ってくる」



つくづく常識に縛られない男。私の家族である。

彼の過去や境遇はたくさん話してもらったけど、まだ全部聞いていたわけじゃない。謎の多い、私の家族である。

もう、義理とか拾ってもらったとかじゃない、本当の家族になりたい。そんな、私の家族である。

私はあの人が出かけている間、この『傘』を抱きしめて寝る。

あの人が初めて買ってくれた、あの人から始めてもらったプレゼント。

私の、大切な宝物。



「傘ってのは、いいよな」

「雨から、太陽から、人を守ってくれる」

「それでいて誰かに持ってくれる『誰か』、天気から守る『誰か』が居ないと存在価値がないんだ」

「そのシンプルな在り方に、ちょっと憧れる」

「人が居て、人がその生涯で見舞われる不運を『雨』に例えるなら」

「俺は、誰かを守る『傘』でありたい」


「善意ってそういうもんだと思うんだよな」

「皆で傘をさし合って、濡れないようにかばい合って、そうやって支えあっていけるなら」

「誰も濡れないし、誰もが他人の大切さってやつを肌で感じられるだろうしさ」



あの時の言葉が、まだ胸に沁みている。

あの時撫でられた感覚が、まだこの頭に残ってる。

あの時感じた思いが、まだこの心に残っている。



思い返すとそれだけで頬が熱くなる。

心臓がドキドキと、早鐘を打っている。


ゴロンゴロンと寝っ転がっても、まだ冷めない。

こんな姿はとてもじゃないけどあの人には見せられない。


決してジジ専じゃない。好きになった人がジジイだっただけだから!


ロリが好きになっただけと主張するロリコンと同類扱いするのはやめていただきたい。



あー、早く帰ってこないかなー……?



なんて思うと、不思議と私の表情はまた崩れていくのだった。

「いいのか? 須賀のジジイ」

「コラッ! またアンタは須賀さんにそんな話し方を……」

「いいさ別に。年食っても落ち着きのない俺には丁度いい」

「だってさ。へへっ、流石須賀のじーさんは話がわかる!」

「須賀さんが許しても私が許さないの! すみません須賀さん、毎度コイツが無礼を……」

「良いって、気にすんな。あと、二人の結婚式には俺も呼んでくれよ?」

「「だだだ誰がこんなヤツと!!」」

「(テンプレ乙)」



「年食ってもって、須賀のじーさんって歳いくつよ」

「そろそろ70だな」

「マジで!? ぜんっぜん見えねー!」

「この歳になって分かった事もある。『俺達みたいなの』は、何十歳になってもその気になれば戦闘力は保持できるんだな……」

「はい? えと、どういう事でしょうか」

「……すまん、気にするな。ちょっと思い出したことがあっただけだ」




「この作戦で、この世界は平和になるのかね」

「……出来なければ、ひと月と経たずに核戦争が始まります」

「成功すれば平和。失敗すれば地球は核戦争焼け野原でお偉いさんは宇宙へバイバイって博打なのさ、ジーサン」

「ああ、分かってる」

「ビビってんのか、ジーサン?」

「は、言ってろ」

「……ふふっ」



「なあ、須賀の爺。なんで俺達に手を貸すんだ?」

「? 言ってる意味が分からんな」


「だってよ、爺さんって別にオレらみたいなテロリストもどきの革命家なんてやってる意味ないだろ?」

「オレらは行き場のなくなった奴、今までどおり生きていけなくなった奴、今までの生活を捨てた奴」

「最初の理由こそ色々あるけど、結局『世界を変えたい』って思った奴らが集まったのがオレらだ」

「じーさんって不思議な力を持ってる、別の世界の人間なんだろ?」

「こんなめんどくっせぇ事に命なんて賭けずに、さっさと別の世界に行けばいいじゃん」



「……そうだな。最初はそう思っていた」

「けど、今はそう思ってない。それだけだ」

「女でも出来たか?」

「ちょっと! 失礼でしょ!」

「ん? ああ、そうかもな」


「えっ」

「えっ」


「いや、冗談で言ったつもりだったんだが……意外とヤることヤッてんだな、爺さん」

「あ、えっと……お盛んですね」


「多分お前らが想像してるようなのとは別だぞ。70前の男に何言ってやがる」




「……ま、それを除いてもな」

「嬉しかったんだよ。それに、自分が情けなくなった」

「この世界を諦めてない、この世界で諦めてない、そんなお前らに出会ってさ」

「年食って諦め癖が付いてたのかもな。イカンイカン」

「世界を守る事を諦めなかったお前らが、俺を呼んだ……そんな気がしたのさ。俺の勘だけど」


「面倒臭い理屈をぶっ飛ばせば、『お前らが良い奴だから助けたいと思った』、そんだけだ」

「命を懸ける理由としては、不服か?」



「……そんな事、ないですよ」

「へへっ、かっけぇじゃねえかジジイ」


「そうか。ま、それを抜きにしても『基本的な在り方』ってもんがあるしな」


「?」

「?」



「誰かが悪夢のような現実に、打ちのめされそうになった時」

「誰かの心の叫びに応え、手遅れになる前に辿り着く」

「ありとあらゆる逆境と、ありとあらゆる理不尽を跳ね除けて」

「悪夢を砕く、どこかの誰かが望んだ『私を助けてくれるヒーロー』そのもの」

「人の噂の上に立つ、絶望の天敵の名を俺は受け継いだ」





「それが、『寺生まれのTさん』ってもんさ」

大人は嫌いだ。

でも、あの人だけは特別扱いしてもいい。

そんな心地の良い微睡みの中に居た私を、空気の読めない大声が引き戻す。



「―――ちゃん! 良かった、ここに居てくれた!」



なんだろう?

この声、最近よくうちに来ていた大人の女の声だ。

よく一緒に来てた男と出来てるっぽくてうちの人に色目を使ってなかったから見逃してたけど、大人なんて皆一括り。

大人は、嫌いだ。

そんな嫌いな奴に昼寝を邪魔された事に腹が立って、一言文句を言ってやろうとした私は。



泣きそうな悲壮感、押し潰されそうな罪悪感、胸を裂くような後悔。

それらに耐えながら、私に『何か』を伝えようとする女の表情を見て。

「やめろ」「言うな」「聞かせるな」と言う間もなく。



「貴女の、家族の、須賀さんが―――」



だから、大人は嫌いなんだ。

聞きたくもないような事を、頼んでもないのに聞かせてきて。

そのくせ、そこに『嘘がない』って事が分かるから。



だから大人は、大嫌いだ。

……なんだろう。

この光景は、なんだろうか。

なんでこの人は、冷たくなってベッドに寝かされて、心電図は動いてなくて……



「須賀さんは、この世界を平和にしようと頑張ってて……」

「この世界が終わりそうになってたのを、必死で食い止めて……」

「でも最後に、罠にかかった私達の仲間を助けようと体を張って」

「……死んでいい人じゃ、無かったのに!」

「もう少しで、平和な世界を見せられたのに、見せたかったのに!」

「平和の為に、他人の為に死んでしまうなんて……そんな……!」



何を言ってるんだろうか。

この上なく、『この人らしい』死に方じゃないか。

誰かを庇って死ぬ。本当にこの人らしい。


命を張った理由もだいたい想像がつく。

この人のアンタ達や、街の人や、私を見る目。

その視線に込められた暖かな想いに気付けないほど、私は愚かなじゃない。


この人が命を懸けた気持ちを理解できないほど、私は薄い関係で家族になってたわけじゃない。



でも。
でも。
でも。
でも。
でも。
でも。
でも。
でも。



「約束、守るんじゃ、なかったの」



大人は嫌いだ。

だって、嘘つきだから。

大人は嫌いだ。

だって、嘘つきだから。



―――……まいったな。じゃあ、約束しよう。約束は二つ、絶対に破らない約束だ



「うそつき」



―――俺はお前に、絶対に嘘をつかない



「うそつき」



―――俺はずっと、お前が大人になるまでずっと傍に居る



「うそつき」



―――約束は守るさ……んじゃ、行ってくる



「うそつき」



嘘つき ウソツキ うそつき


大人は、ウソツキだ。


「帰ってくるって、言ったのに」


うそつき


「ずっと一緒に居てくれるって、言ったのに」


うそつき


「そう言って、行ったのに」


うそつき


───逝って、しまった。


「いったのに」




大人は嫌いだ。

だって、嘘つきだから。




「……うそつき……」

でも、私は忘れてた。

予想じゃなくて、この人に『期待』をすればどうなるのか。



「……心電図が!?」

「まさか、そんな……どういうこと!?」

「明華ちゃん、須賀さんが!」



やっぱり、私に男を見る目はあった。

嘘つきは嫌いだけど、この人だけは例外だって思った私は、間違っていなかった。



「……無くなよ、『明華』」

「無責任で、他人任せで、最低かもしれないけど」

「『約束』だけは、ちゃんと守るさ」



完全に尽きていたはずの、命の残量を振り絞って。

彼は世界に、『穴を開ける』。

今にも尽きそうな零れ落ちていく命を、意思一つで燃やし尽くしている。



「悪いな……『俺』。お前が俺じゃないってのは、分かってるけど」

「アイツが……望む……限り、は……」

「やくそ……く……まもっ……」



やがて、視界が流れていく。

どこに行くかは分からない。

けど、きっと、あの人が選んだ選択に、間違いはないと思いたい。



「明華ちゃん!? 須賀さん!?」



嫌いな大人の声を尻目に。

大好きな大人の想いを胸に。

残り少ない命の使い道を、あの人が私の為に使う事を選んでくれた嬉しさを抱えて。




私は、『新しい世界』に飛び出した。

はち切れそうな再会の喜びを、どう表したらいいのだろうか。

守られた約束へ、どれほど感謝すれば良かったのだろうか。

今まで与えられたものの価値を知ったこの感動を、どう表せばいいのだろうか。



「京さん、箸の持ち方がわかりません」

「またそれか! お前、なんか本当にチグハグだな……」



あの人に貰っていた『この世界の情報』。

勉強で身につけた知識、私の素の頭脳。

誰かの置き忘れた傘から微量に知識を吸収できる私の力もあって、なんだかんだ戸籍の偽造は楽だった。

あの人に認めてもらおうと、いつからかは忘れたけど、勉強だけは欠かさなかったから。



「年齢不詳かつ名前も、言語も、出身国もなんかチグハグだよなぁ、お前……」

「そうですか?」

「そうですよ」



私からすればこの世界の方がチグハグだ、と喉まで出かかった声を留める。

あの人から貰った物全てが、今の私を助けてくれている。

奇跡のような連続で、本当はあの人じゃないけれど、約束を守ってくれているあの人が目の前に居る。

それがたとえようもなく、嬉しくてたまらない。





あの日、変わり果て、そして元に戻る前の『あの人』を見た。

伸ばしかけた手を引っ込めるのに、かけたかった声を押し留めるのに、この世界に来てから一番苦労した。


変えて貰ったと言った、あの人の言葉と思い出を信じていたから。

変えてくれると、この世界に来てから見知った若々しいあの人を信じていたから。


だから、私はサポートに徹する。




叶うなら、あの人の傍に居たい。

……けど、まだ何も終わってない。

私はあの人の思い出話と一緒に聞かされた、『この世界の最後の脅威』の正体を知っている。

その恐ろしさと、それがもたらす災厄を知っている。

今のままでは、誰も彼もが死に絶えるしかない事を知っている。

……それが、『誰』に『何』を背負わせるかを知っている。



だから私は、影で暗躍する。

相手は反則。将棋で言えば、『駒を自作できる権利』を持っている。

ならば私は、あの人のために、『見えない駒』に徹するべきだ。

微笑みは感情を隠す仮面であり、女の魅力を映えさせる武器なんだと、あの人は言っていた。



「さーて」



今日も今日とて、私は私らしくある。



「今日も気楽に、適度に頑張りましょう」



最後の最後で、全てをひっくり返す一手を打つために。

終わり。閑話にしては長くなってしまった・・・ような気がしないでもない

黒太郎の外見は「70には見えない」とだけ言っておきます



>>568
スパゲッティは現象型です

>>573
あ、存じてますよー
いつもいつも分かりづらい文の書き方で申し訳ない

>>576
一斉攻撃チャンス!
支援ありがとうございますー、都市伝説終わったら次々回作はペルソナかもしれない
素敵な支援絵

>>581
ファッ!?
ど、どこでポチれますかねこれ!
支援絵感謝です、ありがとうございます!



最近の支援絵に>>1の方がビビる始末

明華ちゃんは敵のアンサーの存在を知ってるので、「雀明華は今何を考えている?」とかの問いに答えを出されないよう、目立たないように暗躍中です

乙乙

ここまで世界線が入り乱れるとは、すこやんはどこまで把握してるのやら
まあ義弟が自分の憧れの人と気づいてない人だからなぁ

あと明華は16話でどんな気持ちで黒太郎に向かってインド人を切ったんだろう

>>645
傘バスって「忘れた物」を送り届ける都市伝説だし
咏ちゃんの時にやってた待ち続ける女の話を考えると尽くす女率倍率ドン
この過去を考えると「京さんの周りに諦めの悪い人が集まるのはいつものこと」とかいう発言が凄く意味深に見える

第十九話京太郎「黒太郎がやられたようだな……」
謎の女さん「フフフ……奴は異世界四天王の中では最強……」
おやっさん「あいつらがそんなに強いとは考えてもなかったぞ……」

健夜「物語が広がらない!?」

穏乃「消化試合が目に見えてるね……」

>>668
\パネェ/
こういうの見ると自分も2話後半をさっさと作りたくなるな

>>681
(お、ゲーム支援ニキか?)

10年前に行ってフラグ建てに行こ!なっ!
あとのよりんにも!

毎度やる必要があるか分からんが>>1、また渋に新しい支援絵来てたよ

明日の投下が楽しみだ

刹活孔んばんわ

何故北斗は魔法の数字27といいプレイヤー側の進化が止まらないんですかねえ・・・?

今夜22:00より開始予定。無理やり作った時間をやりくりして投下してきます


>>762
のよりん回は次々回作に回されます

>>772
ありです、助かりますー


http://i.imgur.com/yncRrr4.jpg

こんなのあったなぁという思い出

今回の話21話は、時系列的には20話開始前から始まり20話の後に終わります

なので現在はまだ三年生は卒業しておりません



                        .,ヘ
                       / |

                           / .:
                     -=ミ/ /
               ,Y^V,.   /\゚ .  _
            __ /.:| .} ./   j゚  /
           乂__ .l〈〉Y  _ -= .:|  /
             ∨「...、V/r..¨....... j :|  }
              V:,....ヽ_j........../ .: / ヽ
       - 、     ヽ/,.........../\ _/,.ヘ  。 .
       |i⌒J       ∧二,.へ,.ノ /  >イ 「.T、____
    /Vー―┐、  _ __\≠ミソ"_≦⌒   |/| , ― = 、
    ノく|Y⌒Y | ト/ 。 j,.へ .  =、_ }     ,.x=|/| /_  -=。ミx、
   【ヽ ) TT |ノ   /。 ./。 ―=ミ、/j /)  |/|   ゚     ゚/,
    ト j .Y⌒Y!。  ゚/゚-= /。. 。 ゚ ・ / ./. /ソ   .,∧、  o   ゚  o /,
    ヽ  ゝ- ' {。  {。・ ゚ r=ミx゚/:f  / |r1     V∧ =ト j¨¨¨ > P!
     {乂_ ノ7。∧/|.:/ ゚ :  T_ j/  ,: Y     ∨∧ノ  / ̄¨ / ̄リ
    〔___ノ/  l゚_。| | 。_゚ .゚./.ノ ./、. \      `<三二ニ=-彡′
     「|.〕  /,   :i゚ 。| | 。 。 / ./ /  \ j        .
     f:|1   /,  i゚_。| |ー―.:Yー '..................../,         |
     「lj    /, .乂.j 乂゚_ j.」 ,:ヽ ̄/^ヽ 7/,      「/,
      :トリ     )” ¨¨ f \/   ∨   .V  /,      :| :リ
      ¨乂_. -     |、  ∧   ∧  / /,  Y    :| /



鎧武はスーツデザインどうなってんだ責任者ー!


投下はっじめーるよー

マホ「どうしよっか……」

士栗「どうしよって言われても、私じゃどうにも出来ないってば」



この街でも数ある喫茶店の中でも、特に人気のあるカフェテラスの一つ。

スナバはあってもスタバがねえんだよチクショウと嘆く鳥取が待ち望む喫茶店の名がそこには刻まれている。

やたら長い注文が行き交う中で、片や学生服・片やワンピースに上着を羽織った美少女二人は目立ちそうで目立たない。



士栗「おにーさんに相談するしかないでしょ。こういうのの専門家だし」

マホ「大丈夫かな? 私迷惑がられたりしないかな?」

士栗「いや、分かんないけど」

マホ「えぇ……?」

士栗「人生経験も何もあったもんじゃない私に、何期待してるのー」

士栗「ま、大丈夫だと思うけどね。勘だけど」

マホ「あ、それなら絶対に大丈夫そうだね」

士栗「えっ」



何やら悩み事のある様子の二人は、カフェでさり気なくキョロキョロと目線を動かしている。

このカフェに入った所を見たとある人物を探して、このカフェに入ったというのがこの二人の行動の真相だ。

士栗が可愛らしいグラサンと防止で変装しているのもその為。

有り体に言えば、マホの心配事の解決の為である。



士栗「……あ、居た居た。店の反対側だね」

マホ「わっ、あんなに遠い所よく見えるね」

士栗「じゃ、私先帰ってるから一人で頑張ってネー」

マホ「えっ」

京太郎「……」

初美「どうしましたー?」

京太郎「ああ、いえ、薄墨先輩でも普通に服着るんだなぁ、と……」

初美「どういう意味ですか」

京太郎「そんぐらい先輩のキッチリ着こなした制服姿は俺にとって衝撃だったんですよ」

初美「失礼極まりないですよ!」

春「ちょっとだけ同意」

初美「はるる!?」



先の少女二人とは反対側に位置するテーブルを占拠する三人。

金髪の少年と、やや日焼けしたロリじみた幼女と、色白でジト目の少女の三人。

彼らの目の前には少年が注文したコーヒーが三つ。

無論名前が無駄にややこしい奴で、田舎出の二人の要望を聞いて少年が注文したというのは想像に難くない。



京太郎「そういえば一さんも制服の時は普通だったっけ……」

京太郎「(私服センスと巫女服の着こなしがそれぞれ壊滅的なのか)」

初美「あんな露出狂の子と一緒にされるのはちょっと恥ずかしいんですけど」

京太郎「えっ」

春「えっ」

初美「えっ」

京太郎「(自覚なかったのか)」

春「えー」

初美「あ、あそこまで行ってませんよー!」

春「どんぐりの背を比べてどうするの?」

初美「はるるー!!」

京太郎「(ひでぇ世界だ)」

京太郎「で、要件はなんですか」

春「……んー」

京太郎「コーヒー飲むためだけに他校から放課後にわざわざこっち来たりしないでしょう、貴女達は」

初美「ん、話が早くて助かりますね」

京太郎「そんでもって、その要件は世間話とか神代先輩がシャーペン使えないとかそういう話でもない」

春「(まだ使えなかったんだ……)」

京太郎「俺に何かしらの依頼がある、と見たんですけど」

初美「おおぅ、本当に助かりますね。喋らなくて良いので楽です」



あっ・・・(察し)
などという冗談はおいておいて、三人の会話は本題に入る。

京太郎を電話で呼び出したのも、ここにこの二人がいるのも、全てはその本題の為。

それが今ここに居ない神代小蒔のためであるという事は、なんとなく京太郎にも察しがついていた。



小蒔「はるる」

春「ん。ま、ここからはだいたい私が説明する」

京太郎「滝見が? 珍しいな、お前がこういうことでやる気出すの」

春「やる気出してるわけじゃないけど……私の従姉妹の話もあるから、私が適任」

京太郎「従姉妹?」

春「それはひとまず置いておいて、姫様の事を本家の指示を受けた人が調査に来るんだって」

京太郎「調査?」

初美「期末試験みたいなものですかね? 姫様が成長しているかどうか、ここに留まる理由があるかどうか」

春「そういうのを、調べるって事」

京太郎「(めんどくさそうなしきたりの臭いがプンプンするな……)」

春「調査に来るのは限りなく中立に近い立ち位置に居る私の従姉妹。『戒能良子』女史」

京太郎「げっ」

春「誤魔化せなそう。色々と」

京太郎「いや、神代先輩だって成長……」

初美「目に見える部分、数値に直せる成果で姫様が成長した事なんてそれこそ胸ぐらいですよー」

京太郎「まだデカくなってんの!? って、そうじゃなくて!」

春「『心の成長』なんて数値化出来ると思う?」

京太郎「……そりゃ、そうだけどさ」

京太郎「……それでも、なんつーか」

京太郎「『そんな成長に価値はない』って言われてるみたいで、なんかな」

京太郎「あの人も必死で変わろうとしてて、それは力とかそういう面じゃなくて」

京太郎「今言われたような、精神面で何か変わろうとしてんのにさ」

京太郎「それ否定されてるみたいで、なんかいい気がしないっていうか……何笑ってんだよ」

春「別にー」

初美「お気になさらずー」

京太郎「そのニヤニヤがなんとなくイラッと来るんですがね」



母親が娘に出来たいい友達が娘のために怒ってくれてるような感情。

そんな感情に由来する生暖かい視線。

居心地の悪さを感じる少年。

そんな三人。



初美「それはそれでいいんですけどね」

初美「……最悪、姫様がこの街に在住すべきでないと判断された場合」



少女二人が嬉しく思ったのは、神代小蒔を大切に思っているから。

それは家族として、仲間として。

少年がやるせない怒りを吹きこぼれさせたのは、神代小蒔を大切に思っているから。

それは友人として、仲間として。


三人に共通するものは、とある一人に対する感情で。



京太郎「神代先輩が、実家に呼び戻される!?」



この現実に対する、立ち向かおうという戦意だった。

初美「姫様が帰りたいと思ってないというのは……まあ聞くまでもないですよね。楽しそうですしー」

春「でも、姫様はきっと沙汰が降りても本心を抑えて、我慢しちゃうと思うから」

京太郎「俺に協力しろ、と」

春「そんなカンジ」

初美「これが私達、『五人』からの依頼ですよー」



少年は思案する。

メリット。
実質自身には無し。街を守るための戦力としては有効。
街にはメリットが有る。

デメリット。
個人としての霧島との関係悪化。
政府側の人間・戒能良子との関係悪化。
展開がこじれた結果、自分だけの問題ではなくなる可能性。

どこを見てもリスクばかりで、明確なメリットなどどこにもない。


……それでも、考えただけで。理解しただけで。


答えなんて、決まりきっていた。

彼は考えずにこの結論を出せる高鴨穏乃でも、理性的な結論と両親の間で揺れる新子憧でもない。

だからこそ、いつだってその在り方は一貫している。


なので即答で返答しようとしたのだが、それを遮るように彼女らの発言に遮られてしまった様子。



初美「依頼としてはですねー、正式な依頼としての料金の他にもいろいろですよ」

春「成功したら姫様を依頼料として差し上げます。嘘だけど」

京太郎「なんでお前今意味もなく嘘ついたの?」

初美「はいはい、はるるはちょっと黙ってましょうねー」

初美「そうですね。私達と貴方が今までただの協力関係だったのを、私達が貴方を全面的にバックアップする形に変更します」

京太郎「……ん、来年以降とかどうなるんですかね」

春「来年は、卒業した二人の代わりに明星ちゃんと十曹ちゃんって子がこっちに進学してくる」

京太郎「マジで?」

初美「それから、これまで以上にそっちに合わせる形になりますねー」

初美「多少無茶なのでもどんとこいですよ!」




京太郎「(ぶっちゃけただでも首を縦に振りたいくらいだけど)」

京太郎「(……『あの未来』、がな。戦力が増えてくれるんなら、それに越したことはない)」

京太郎「(あんまり無償で協力しても、この人達いい人達だから逆に気に病むしなぁ)」

初美「後はそうですね、情報とか」

京太郎「情報?」

春「この街で良子姉さんの都市伝説の内容とか知ってるの、特例除けば私だけじゃないかな」

京太郎「!?」

初美「と、まあこんな感じに。私達も半人前なれど、都市伝説以外のオカルト知識は貴方の助けになるんじゃないですかねー」



少年は、再度思考する。



「(淡の一件で、一部都市伝説にはこの人達の技術が有効だってのは証明済みだ)」

「(特に神とか、邪神とか)」

「(過去の世界で出て来た、あの邪神達)」

「(もしも現代であいつらが再出現したら、って場合の対策は考えても考えても思いつかなかった)」

「(けど、もしもこの人達の力を借りる体制がより有効なものになったり)」

「(この人達の知識や技術を……例えば憧あたりが曲がりなりにも使えるようになれば)」

「(……どうにか、なるか?)」

「(少なくとも、準備期間があれば神とか邪神とかに類する奴にはそうそう負けねーよな……)」



見えてきた光明。

無償で友人として助けたい気持ちを堪え、少しだけ良心の行動に打算を混ぜる。



京太郎「分かりました。手伝いますよ」

初美「うんうん、君はそう言ってくれると信じてましたよー」

京太郎「依頼としてやるからには全力で望みます。絶対に成功させますよ」

初美「頼りになりますねー!」

春「うん、お願い」

京太郎「そんじゃまずは、概要だけでも対策の仮組みをここで―――」



やる気が湧いてきたような表情の少年。

ホッとしたように、一段落ついたという顔の幼女型少女。



怪しげな笑みを浮かべる滝見春の上がった口角に、その時二人が気付く事はなかった。

「うーん、また来てしまった」

「なんだかんだ、この街には縁があるんですかね」



駅を降りる女性。

気温の上がり始めた春先に、関東の気温も合わさってそのスーツ姿はやや暑そうにも見える。

女性本人は暑そうな素振りは一切見せずに、涼し気なポーカーフェイスを維持しているのだが。



「あら」

「ネコが喧嘩してますね、縄張り争いでしょうか」



透き通るような肌は白磁に例えられるそれ。

凡夫では到底及ばないスタイルや整った顔、人によってはモデルか女優かと間違えるだろう。

これで性格が少し抜けているというのだから、知人に無自覚な魔性の女扱いされても仕方が無い。

完璧超人は近寄りがたくとも、そこから少し抜けている人間は逆に魅力を倍増させるのだから。



「……」

「ま、一日一善ということで」

「……おやすみなさい」


彼女が周りを見渡し、近くに誰も居ない事を確認してから喧嘩する二匹の猫に向き直る。

そして右手を向け、深呼吸。

学生が戯れにするように、指をぱちんと鳴らす。

……すると、いかなる魔術か。



「……zzz……」

「zzz……」

「喧嘩するより寝るが良し。寝る子は育ちますからね」



喧嘩していた猫が、糸が切れたように『眠ってしまった』。

女性は二匹の内、負けそうになっていた方を抱えてその場を去る。



「さて、この子を飼ってくれるような奇特で良い人はどこかにいないものですかね……」



『戒能良子』。

この街に住む、大人に最も近い子供達とは因縁浅からぬ仲であり。

猫も見捨てられないような良心の塊である、子供に最も近い大人の一人である。

【『ぐっすり眠る』という言葉の由来は英語のグッドスリープから来ている】



カテゴリーとしてはデマに属する都市伝説。

発祥は定かではないが、21世紀に入ってからだとする説が強い。


ぐっすりは鎖国時代の日本で既に使われていた単語であり、その時点でこのデマは矛盾しているとされる。

ぐっすりとは擬態語の一種であり、「ぐったり」という単語から派生し「すっかり」「十分に」等の意味を持たせられたのだと考えられているらしい。



戒能良子の場合、発現型の都市伝説として発症。

『眠り』という概念を押し付ける能力として扱われる。

ぐっどすりーぷ、といった感じのこの都市伝説はそれそのものは貧弱ながら良子との相性が非常に良い。

不眠症であろうと睡眠の必要のない生物であろうと、問答無用で『眠らせる』。

限定的であれば非生物ですら眠らせる。


彼女はこの都市伝説と巫女の都市伝説の派生への該当により、実質的な二重発現であると言えるだろう。



人に安らぎを与える、『眠り』の都市伝説。

本日はここまで。誤字多いしミス多いし執筆スピード落ちてるしキリ良いしここまでなんです!

大変申し訳無い。即興スタイルは体調がモロに作品に出るのがダメですねー

かいのーさんは公務員の都市伝説使い。国家公務員試験余裕でしたタイプの人



短くて申し訳ない。プロローグ代わりということで勘弁を

では、明日も早いのでおやすみなさいませー

渋にMKD48のイラストがあって大草原不可避

ある日突然、学校の帰りに謎の男達の戦いを目撃してしまい、その男の片方に襲撃されて命を落としてしまう京太郎。

気が付けば傷は跡形もなく塞がっており、何だったんだと思いつつも帰宅。しかしそこでまた謎の男に襲撃されてしまう。

自宅の土蔵に逃げた京太郎はそこで運命の出会いをする。



「問おう、君がボクのマスターかい?」


「サーヴァント・バッター。契約によりここに推参した」



バッターと名乗り突然現れた男は襲撃してきた男を『マッパー』と呼び、その槍をバットで容易く捌き撃退する。

そしてそこに次に現れたのは彼のクラスメイトにして幼馴染の咲。

彼女はこの街で今起こっている『聖牌戦争』について語る。

聖牌戦争とは七騎の『サーヴァント』を召喚し戦わせ、勝ち残った者のみが願いを叶えられるゲームなのだと。

ちなみに咲は姉の食ってしまったプリンの件の怒りを沈めて欲しいのだとか。

サーヴァントはクラス別に分けられ、それぞれの名称は


『バッター』
『ハンマー』
『ナンジャー』

の三社会人クラスに

『マッパー』
『フリーター』
『レイヤー』
『ブロガー』

の四つを加えた七つ。



京太郎のサーヴァントは最優の『バッター』であり、咲のサーヴァントは最弱の『フリーター』であるという。

カクカクシカジカで『ナンジャー』を従えた照と対決することとなった京太郎。

ナンジャーが宝具を開放しその真名が『金本知憲』と知ったものの絶体絶命。

しかしここまで真名をひた隠しにしてきたバッターが宝具を開放する。



「なるほど。ここなら地上を巻き込まないし、都合がいい」



彼のバットが火を噴く。

因果律逆転による絶対命中のバットと目にも留まらぬ神速の足、意識の隙間を縫うその一撃はまさしく―――!!



宝具:『イキカケ・マシター』



バッターの真名は『鈴木一郎』。

サーヴァントの相性と格の差で、この夜の決着は付いたのであった。

色々あって森にさらわれた京太郎。

お兄ちゃん呼びしてくる眼前のロリマスターの名はネリー。

彼女は最強のサーヴァント『ハンマー』室伏広治を有する最強のマスターだ。



しかし追いついてきた咲と照とかつて無職のまま死んでいった者達の集合体であったフリーターの真の力、

そしてバッターの尽力によって倒されたのであった。



なんやかんやで襲撃してきた『ブロガー』東原亜希のデスブログ能力でバッターを奪われたり、

リングを媒介にして召喚された『レイヤー』長島☆自演乙☆雄一郎をタイマンで倒したり、

真名「草なぎ剛」を明らかにしたマッパーがフリーターと引き分けたりしていた。


だがなんやかんやで結構倒した。



しかしそこで現れるイレギュラーサーヴァント『アヴェンジャー』。

「阿部高和」を名乗るその男に「誰?」と悩む純情なマスター達。

正体不明にして絶対的な強さを誇る男。



ブロガーもハンマーも居ない今、最強のサーヴァントとしてアヴェンジャーが君臨するのだった。

ブロガーのマスターだった対木もこを加えて作戦会議。

この中で唯一の男マスターとしてバージンがかかっている京太郎も必死である。

宮永姉妹も必死である。

ネリーともこはそこそこであった。



意見も出尽くした京太郎は教会に向かう。

しかしそこで明かされる衝撃の事実!

教会の管理者「獅子原爽」はマッパーとアヴェンジャーのマスターであり、貴腐人であったのだ!

危うく3Pレイプレイの危機から脱出した京太郎。



アナルアヴァロンを犯される訳にはいかない。

飲み込まないよそのエクスカリバーは、という思いだけが彼をつき動かしていた。

アナルトリアにペンサイズのドラゴンを突っ込まれるなどあってはならないのだ!



そしてなんやかんやで勝った。以上。

京太郎は勝者としておもちの大きい女性とのフラグ建築能力向上を願ったが、聖杯は微妙に汚染されていたので正反対の方向で叶えられてしまった。


貧乳にしか縁がなくなった彼は未だにそれに気がついていないらしい。



かくして、この地における聖牌戦争は終着した―――




フェイト:咲 胸 ないと ~完~

・・・っていう夢を見たので誰かスレ立てしてくれませんかね


>>845
報告ありがとうございますです、みてきますー


では今日も元気に行って来ます

斎藤千和結婚か…

昨日の江戸のススメ見てたら江戸時代に士栗ちゃんが出没しててびっくりしたわ
何百年前の噂話が現代まで息づいてるなんて、日本はとんでもない国だというべきか、人間そんなに変わらないというべきか

ニコニコ百物語みたいに『ひきこさんVS口裂け女』とかに発展しないかな?
もちろん京太郎の取り合い的な感じで

引っ張り合わせよう(提案)

>>885
ただしタコスは除く

「春絵先生は食べないのか?」
「私は遠慮しとくわ」

誰だよ

明日本編続き投下しますー
最近忙しくて投下ペース落ち気味で申し訳ない。ラストまでのフローチャートは一応脳内で完成してて次回作の分までは完結してるのでエターの可能性はご心配なく

http://i.imgur.com/VkjmWD7.jpg
>>1に代わって宥さんがお詫びします

注文していたブルーアイズの例のアレが届いたんですが速攻魔法とかキサラとかぶっ壊れ性能過ぎませんかねこれ



>>872
あわあわと結婚したい
養いつつも甘えさせるか養われつつ甘えたい
そんな願望

>>876
口裂け女、花子さん、赤マントなどは日本の都市伝説達のトップ層ですから
世界的トップ層だとドッペルゲンガーとかが来るんですけどね

>>881
>>882
大岡裁き!?

>>886
た、タコスも裏では咲や和と仲良く・・・

>>890
>>891
赤木春恵さんという方がいらっしゃいましてですね



ジョナサン「ショ……ショックだッ! か……彼は僕の机の引き出しを勝手に開けて見ているッ!」

ジョナサン「それにもう2度とあの時計は戻らないような気がする 壊れるまでッ!」

ディオ「え? ああいや、そういうのじゃない。君の引き出しからなんか出てきたからさ」

ジョナサン「えっ?」

ドラえもん「やあ、僕ドラえもん!」

「「!?」」

ドラえもん「僕はジョナサン君、君の子孫のジョワシ・ジョースター君に頼まれて22世紀から君の未来を変えに来たんだ!」

ジョナサン「ぼ、僕の未来!?」

ドラえもん「君はこれから八年後、そこにいるディオに殺される!」

「「!?」」

ドラえもん「そして君の子孫は逃れられない戦いの宿命と短命の宿業を背負わされてしまうんだ!」

「「!?」」

ドラえもん「でもボクが来たからには大丈夫!つきっきりで君の未来を変えて見せるからね!」



第一章・ドラえもんジョナサンとふしぎ石仮面!
第二章・ドラえもんジョセフと柱の男達のひみつ!

という夢を見ました。おそらく創作する時間が取れないが故の禁断症状
子孫がドラえもん手に入れたらジョースター家の子孫はピンポイントでジョナサンに送ってくると思います


第一章のラストは勿論
「悪いなジョナサンッ!」
「この石仮面は、一人用なんだァッーーーー!!!」
から始まる決戦

断末魔は「このきたならしいタヌキがァッーーーー!!!」

次回作までプロット完成済みとは流石です

スマブラ(ボソッ

奇怪綺譚の完結はこのペースから計算してが大体1年くらいだから、
スマブラ、ゾイド、ペルソナ、デジモン、男女三人駄弁り場、扉の向こう側、その他黒歴史合わせると
約7年くらいはイッチのスレを楽しめるのか

鬼に笑われるかもしれんが次回作の概要だけでも教えて欲しいな

え、扉の向こう側って、ここの人なの?

マスカレ×3「もう抵抗しても無駄だ!」
京太郎「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」

>>1に支援絵が渋に来てたよと定時報告

あれ?りつべ市って関東設定だったよな?
ちょっと自信ない

安城鳴子んばんわ

あのアダ名は自殺レベル。コミカライズ妙に質いいですよねアレ

今夜21:30開始します



>>895
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

>>900
ひぎぃ

>>902
あんま先のこと話したり考えたりするとやる気がそっちに移るのが怖いんですけどねー
非安価6~8話構成の中編クウガ×咲を予定してます。あの雪山の決戦から十年後、小説版の三年前が舞台

>>903
はい

>>921
ありですー。毎度お世話になってます
ですね。大体千葉とか茨城辺りにあるんじゃないでしょうか



http://himarin.net/archives/7246225.html
痴漢とは一体何だったのか

残りのレス数見つつ次スレ立ててきます

京淡とか実に趣味がいいですな!



                  . . . .- ― -. . .,,
               ,,. :´ : : : : : : : : : : : : : : `: : ,,
             ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ

          / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : ヽ

         /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : : , :, : : : :ハ: : : :',
        /: / /: : : :/: : /: : : : : : : : : : : ハ: : : : : ',: : : ハ
       // / : /: : : :/:l: 〃 : : : : : : : : : :/ : : ! : : : : }: : //!ヽ
       {l/: : l: : : 斗イ: !: : : : : : : : メ:/|: : : :!: : : : : l/:/:! : \
      /;, {: : :l: : : N ハ: :|: : : : : : : / : :\:_:_:_! : : : : :l:/:/ト . : :\
    . //丶,: : :、: : |弍芝ミ: : : : : /:/ l:l : : :! !: : : : : !: :/::,' \: : :ヽ
    〃   〉: : :\:!  戔沁 : /イ .=芸ミx:| |: : : : : lイ//   ヽ : :ハ
    /     ,': : : : : イ 弋_ソV     {戔刈ミ : : : : /: /     \: ',
   ./     l: : : : : /| ,,,        弋_ ソ/ : : : :/ Y        ∧:.!
         l: : : : /八    '     ,,, /: : : : /イ       .   l }
         |/!: :/   \  、      /: : : :/: ヽ            l:}
         | .∨  ムイヽ    ,, イ: : : :/> : : \          〃
           / ,、----  ニl --/: 'イ |    \:ヽ         /
             //!    ハ ムイ.___|     ヽ}
             {:::|   /:::]    ―   ハ      /
           r‐ V⌒Y:::イ ム/    ヽ   ',
        .>-//::::イ"/  /      ハ  }
      / / / "  /    l       ハ   !
     / //イ  /     !         ,  !
   Y ,, " /:/   /        l           } '
   l  l  ,'::/   ,'      ,'          / ,
   l  ! .|:::l   ,'      'ノ       ./ /
   ,'  |  |:::',   .|       /       / /
   ! 人 !::::l、  .|     / /     ./ /
   |  |. Y:::::!_ヽ、!   _ ,| /     ./ ./
   .|  |  !:::::! T|   . /       / ,'
    !  | |:::::::! ! .|    /       /  .|
    !  | !:::::::| | !   '       /   |
    |  |  ,::::/  ,|  /      /     ',
    |  |  .V   ',.!.  /        /     \
    |  |      | /        /  .::    \
    |  |      |./      / ...::::::    /
   !  !      /       / /      仁、
    ヽ |     /      /       /ニニ ヽ
    ヽ|    y        イ   _=ニイニニニニニハ
     |   /       /  /ニニニニニニニニニ',
     /   〈       / /ニニニニニニニニニニニ,
    /ヽ  ∧      // ニニニニニニニニニニニニl
    ヽ|  ̄/ \ ___ / ニニニニニニニニニニニニニニ!
    ..|. 〈     /ニニニニニニニニニニニニニニニニj
    ..L  >  /ニニニニニニニニニニニニニニニニニ/



コツコツ進めてきますね

投下はっじめーるよー

京太郎「じゃ、また後で」

初美「はい、また後でー」

春「じゃあね」



ジトッとしつつも嫌味のない雰囲気と快活な雰囲気の少女。

並んで立つと実際の年齢と逆転して見られて困るとこぼす二人は、バスに乗って何処かへと消え去っていった。

カフェ近くのバス停に、少年少女二人を残して。



マホ「良かったんですか? 一緒に行かなくて」

京太郎「まああと数時間で戒能さん来るってんなら、あの人達正装として着替えないといけないだろうしな」

京太郎「一時間後に中央高校の部室で合流、ってのは互いに準備もあるし。必須なこった」



それは後に合流の約束をして、互いに出来うる限りの考案と準備を促すための過程。

彼女らは彼女らの住居に寄ってからでないといけないし、京太郎は真っ直ぐに母校に向かえばいい。

この方が合理的故に、ここで別れて後に合流しようとするのは理に適っている。

まあ最も、それだけが理由ではないのだが。



京太郎「それに、マホの話も出来る限り後回しにはしたくなかったしな」

マホ「……あ、ありがとうございますっ!」



例えば、いつの間にか『マホちゃん』から『マホ』に呼称が変わっている、少年の前の少女とか。

面倒見のいい先輩と、何やらが相談があるらしい後輩とか。

色々である。

京太郎「で、相談ってなんだ」

マホ「えっと、マホは大したことじゃないと思うんですけど、友達がですね」

京太郎「友達?」

マホ「は、はい。その友達が、『それはいくらなんでもヤバい』って」

京太郎「ヤバい、ねぇ……」



……その、『友達』という部分が。

彼の勘に、妙に引っかかっていた。

なんでもないはずの発言が、頭の片隅に引っかかる。

それはいつからか彼の内に芽生えた、『人の外の理』の知覚。

けれども。



―――その感覚を理性の判断の上に置けないほどに、彼の意志が強かった事が災いした。



かといって完全に無視したわけでもなく、まずは話を聞く事。

彼女の話を一通り聞いてから、それから改めて問い質してみようと、そう判断しただけの事。

それが意思と理性を本能の上に置く、魔物でない彼の生き方だけだったとしても。

それが次の瞬間には、精神的な衝撃で消え去ってしまうかすかな直観だとしても。



この瞬間が、未来の分岐点となった可能性の一つであった事は、誰にも否定出来はしない。



京太郎「実際どんな感じにヤバいんだ?」

マホ「あ、じゃあ実際にここでやってみますね」

京太郎「(ここで?やる? 一体、何――)」



だからこそ今この時、此処から先の物語のキーパーソンが舞台に上がる、そんな前哨の話をしよう。

少年は、正直舐めていた。

軽んじているつもりはなかった。真剣であり、真摯でもあった。全力でその相談に応じるつもりだった。


だが。その相談の内容を、あまりにも過小に見積もっていた。

無意識の内に、『どうにかなるだろう』という気持ちが微量ながら混じっていたのだ。

それは先程、ほんの僅かな直観に心引かれる余裕があったぐらいに。



そして、そんな余裕は、一瞬で消し飛ぶ事になる。




マホ「―――暴け」

京太郎「―――ん、な」



瞬間、彼女の背後に現れる鏡。

いや、彼女の背後だけではない。

京太郎の背後にも等しく出現し、彼の『本質』を映し出している。


『本質』、だ。


魂でもなく、精神でもなく、能力でもなく、肉体でもなく。

物質的な効能でも、精神的な効能でもない。

存在としての起源と軌跡を形作る、その生命を成す根幹である。



それは真理に至る、概念の上に座す規格外の知覚。

視覚化出来るほどに強く強く強く、世界を塗り潰し『流出』する理。



マホ「―――――」



『覗かれている』。

そんな感覚が、背筋を通して少年の脳に警告を走らせている。

魂も、精神も、肉体も。

意思も覚悟も信念も思想も記憶も関係も好きも嫌いも過去も未来も現在も。

自身を構成するありとあらゆる存在と概念が、最小単位のピースに腑分けられ『理解』されていく。



京太郎「……は?」



この瞬間、少年はようやく理解した。

『彼』があの夜、置き土産に置いていった言葉の意味を。

魔神を差し置いて、マスカレイドと、宮永照と、あの魔物達と同格に語られた存在。

それが並大抵の存在であるはずがなかったのだ、という事を。

彼女は微睡む猫ではなく、未だ目覚めぬ獅子であったのだという事実を。

そして。



一見平凡にしか見えない彼女の中に在る『モノ』の存在と、その規格外さを。



京太郎「しょ……『照魔鏡』……!?」



ましてや『それ』は、彼の信奉する『最強』の片鱗でもあったのだから。

【照魔鏡】



雲外鏡とも呼ばれる、鏡の神器。あるいは怪異の名称。

妖魔や怪物が何かに化けていた場合、その真実の姿を映し出すという。

また、人の悪性や魔性・本性を映し出す力も持つと言われている。

近年ではドラゴンクエストのラーの鏡の元ネタとして有名。



古来より鏡は三種の神器に数えられる通り、清浄なる神性の象徴だ。

しかしそれと同時に鏡の妖怪も古くから存在するなど、聖邪両極の属性を内包している。

鏡とは、そういうものなのだ。

鏡には善悪もなく、主義主張もなく、あるがままに現実のみを映し出す。



都市伝説においてもそうであり、鏡のカテゴリーの都市伝説は大派閥の一つでもある。

鏡から怪異が生まれることも、鏡が怪異を祓うこともある。

都市伝説においても、聖邪どちらかによることはないということである。



人間の本質を見抜く魔宝(まほ)。

照魔鏡に類する能力を持つ人間は、人を短い時間観察しただけでも潜在能力といった本来見抜けない部分を見透かす事が可能となるだろう。

人が自分の姿を見るには鏡を見なければならないように、鏡は覗くその人自身よりもその人自身の事を知っている。

鏡がその人自身の事を本質まで理解していなければ、その人自身を忠実に映し出すことなど出来ないからだ。

鏡は本質を見抜き、その姿を真似、鏡の面に映し出す。



鏡とは、本質を見ぬく事。その本質を真似る事。誰かを真似ない限り完全に中庸で在り続ける事。

この3つこそが鏡の本質である。



人の姿を映し出す、鏡の本懐を突き詰めた異質。

深淵を覗きこむ時、深淵もまた此方を覗いているという。

しかしながら一方的に覗きこむ彼女の『鏡』は、例えるのならマジックミラー。

本来覗いてはならない、あるいは親しい相手だけ曝け出し合わねばならない、そんな人の深淵を容易に覗きこむ。



マホ「……うーん? 死ぬ気でやって、TTTはあと使えるの七回だと思います。注意して下さい」

京太郎「……っ!?」



当然のように、周知の事実のように語る少女。

戦慄し、懐かしい感覚に目を見開く少年。


彼は彼女に、TTTの事は一切教えてない。
あえて教えることでもないし、教えた所で心配されるだけだからだ。

士栗との一件依頼、彼女には戦う姿も一切見せていないからステータスも分かるはずがない。
そもそも京太郎本人にすら、TTTをあと何度使えるかなど正確な所は分からないのだ。


つまり、数値化した場合の彼自身のステータス。

それを、完全に見抜かれた。


彼本人にも格ゲーのHPバーのように大雑把にしか分かっていなかったステータスを、RPGの明確な数値のように。

彼以上に深く正確に、かつ一瞬で何の予備動作も代償もなく、彼の事を『理解』したのだ。



マホ「『あの人』、そこに居たんですね。残滓ですけど」



眼を見て、見抜く。

語るまでもなく、少年の中に同居する『彼』の事。



マホ「……先輩って、いつでも揺らがないカッコイイ人だと思ってたんですけど」

マホ「なんというか、内心結構我慢してたんですね」

マホ「あはは、ちょっと可愛いなー、なんて」



付き合いなんて長くはないはずなのに、見抜く。

年度末に出会って以来時々会うだけの関係。
なのに何年も一緒に居た人間よりもずっとずっと深く、彼を理解している彼女。

彼を本に例えるとすれば、彼女はそこに記された一言一句を完全に暗記しているとさえ言えるだろう。

人によっては吐き気を通り越し、殺意すら芽生えてもおかしくない無自覚の蛮行。



もしも。

もしも、こうやって自分の『中身』を無遠慮に覗かれて平気な人間が居るとすれば。

そいつは聖人か、破綻者か、もしくは「慣れている」者だけだろう。

人の中身、『本質』を一目で見抜く。

誰しもが肚の内に内包する、誰にも見られたくない部分を暴く。


それは、人が犯してはならない神聖で大切な『何か』をひどく侮辱し、穢していて―――



マホ「あと、それから」

京太郎「オッケー、もういい。十分分かったから」

マホ「あ、そうですか?」

京太郎「……それと、その力は俺の前以外で使うの禁止な」

マホ「えええっ!? なんでですか!?」

京太郎「……あー、そいつはな」



――― それ使って、友達に気持ち悪いバケモノって突き放されて、傷ついてずっとそのままな

――― そんな女の子を、知ってるからだよ



京太郎「(なんて、言えねえよなぁ)」

京太郎「制御できるかわからない能力をバンバン使うのは危険だろ? しばらくは、な」

マホ「むむっ、確かにそうですね」



何も悪い事をしていないのに、結果的に最悪な事をしてしまう。

優しく純朴であるという事が、自分と周りの人を傷つけてしまう。

その果てには、誰一人として寄り添おうとしない、寄り添う必要のない孤独な少女が出来上がる。



そんな無慈悲な現実が存在する事を、彼は知っている。

―――照魔鏡(これ)は、そこまで難しい事をやってるわけじゃないの

―――私と同じ系統の都市伝説で今の私と同格の都市伝説持ちなら、誰でもできると思う

―――『映し出す』だけなら、見抜くだけなら難しくはない

―――京くんに対しても平気で使えるくらいなら、その内今の私より凄くなるかもね

―――そうそう、居ないとは思うけど




京太郎「(……『同格』? あの人と?)」



記憶を探り、この『照魔鏡』に関する記憶を洗い出す。

今朝の朝ごはんのメニューより鮮明に思い出せる、過ぎ去った鮮烈な日々の記憶だ。

何年経とうと色褪せる事はないが、それ故に思い違いであるという現実逃避の道が塞がれてしまっている。



京太郎「(系統に想像はつく……つくが……)」



問題は系統ではない。彼女が内包する『都市伝説の格』だ。

少年が今見る限りでは、都市伝説の正体が見破れていないにも関わらず推定魔物クラス。

境界線上の向こう側にいつだって行けるが、まだ行っていない。そんな状態だ。

扱い方を間違えれば最悪の事態にも、最強の敵にも、最優の味方にもなれるだろう。

『鏡』であるという事は、そういう事だ。



京太郎「(……こんな爆弾があったのか。確かにそう分かってれば別の事件の最中にもマホの事がちらついてたかもな)」



黒いアイツはは正しかったと、改めて見直した気分になる。

少年がもし早くからその危険性を認識していれば、生か死かのギリギリの場所でどう転がっていたかわからない。

心が、精神が、物事に割けるリソースは決まっている。

新子憧に言わせるのであれば、「しずでもないアンタにはそこまでぱっぱと完全に切り替えんのは無理」と言われただろう。

宮永咲に言わせるのであれば、「難しい事考えてない方が京ちゃんは上手く回る」と言われただろう。

つまりは、そういうこと。



奇しくも『無知』が、彼の命を護る盾となっていたのだ。

そして『無知』すら命を護る策謀に組み込んでいたのは、他でもない黒き残滓の彼。



京太郎「(やるじゃん)」

黒「(だろ? しかしこのタイミングでとはなー、俺の深謀遠慮が台無しだ)」

京太郎「(ま、後で全部キリキリ吐けよ)」

黒「(へいへい)」

黒「悪いが俺の事はアイツには黙っててくれな、居るだけ余計だと思うし」

マホ「……その言い方は、どうかと思いますよ。居なくて良い親なんて、それこそ居るわけ無いです」

黒「頼む」

マホ「……」

黒「……」

マホ「……はぁ……分かりました。またマホの心労が増えるんですね」

黒「その代わり、俺も君と同じ事してやるからよ」

マホ「!?」

京太郎「同じ事?」

黒「お前を助けるってことだよ言わせんな恥ずかしい」

京太郎「お、おう……?」

黒「ま、分かるよな?」

マホ「ひゃ、ひゃいっ!」

黒「よしよし、いい子だ」



この会話の本当の意味を理解出来ているのは三人の内二人だけ。お察しである。

京太郎の口を借り、同じ声色でややこしくも会話に混ざりこむ黒。

今は先の別件で時間がなく、緊急性のないマホの件に対しては後回しにせざるを得ない。

かといって、蔑ろにしているわけでもなく。
道の途中に少しそれれば良いだけという事で、彼女を自宅まで送っていく運びとなった。

卒業式間近の時期に加え、先の相談を鑑みればすぐに忙しくなることは分かりきっている事だ。

なので今日は一旦別れ、後日また、と言った形になるということで落ち着いた。


なんだかデートの約束を取り付けている光景にも見えるが、気のせいである。

待ち合わせ場所をマホが指定していることは気にしてはいけない。

気のせいである。



京太郎「都市伝説ってのには、カテゴリーがある」



『此方側』の資質があるのなら、最低限の知識があっても損にはならない。

なので道中はマホに対する軽い講義の時間である。

元々興味があったからか、マホの食いつきと覚えは非常に良いようだ。



京太郎「鏡、血、霊、水、呪。他にも色々と」

京太郎「鹿児島の人達は、カテゴリーとしては巫女。対抗神話の枠内だな」



厳密には『対抗神話を支える者』の総称としてあるのが、『巫女』という対抗神話だ。

霧島のごちゃまぜな在り方もあって、尼も覡もイタコも祝も『巫女』の内である。

とんでもない話だ。

しかし、だからこそ手法も形式も選ばない退魔として在る事が出来る。


それが彼女らの強さ、という事なのだろう。

京太郎「マホ。お前のは十中八九『鏡』の系統だ」

マホ「『鏡』……」



鏡は無色。

鏡は高い霊格の象徴であり、だからこそ都市伝説の中でも一角を占めるほど恐怖を集める大将であることも必然であると言える。


夜、鏡に映った自分の顔に驚いた事はないだろうか?
何かが動いたと思ったら、それが鏡に映った自分の姿だった事は?
鏡の向こう側の自分の瞳の中に映っている、自分の姿に数秒魅入られた事は?


『鏡』とは、そういうものなのだ。

そして都市伝説の鏡は、水鏡に映る顔が歪んでしまうように、人に害を為す歪みである場合が多い。

そして有名なものも多い。

些細なものであっても特徴を見逃さず、調べ上げれば都市伝説の特定自体は余裕だろう。

……だが、しかし。



京太郎「(まあ、それにしてはなんか引っかかるんだよな)」



何か、引っかかる。

直観ではなく、彼の理性が違和感の存在を訴えている。

今の彼の考えに対する、小さくとも決定的な認識のズレ。

それが喉に刺さった小骨のように、思考を辿り着くべき答えへと近づける。



京太郎「(なんだ? この違和感、というか)」

京太郎「( 『間違ってないのに間違ってる』みたいな、そんな……)」



不透明な疑問。

しかし自身の中に黒い解答用紙が居るので後で聞けばいいか、と思考を切り替える。

懸命だ。かつ正答である。

家まで送ってそれっきり護衛などの検討をしないのも、今日知った『無知』という作戦があるが故である。

黒が彼女に関して頭をずっと捻ってきたのなら、手を打っていると見るべきだ。

今日まで彼女に関して何かしろと、直接的に何か言われたことはないのだから。



ならば今マホを気遣うのは正答ではない。

向き合うべき本当の案件は、他にある



京太郎「……さて、今回の依頼を解決しに行くとしますかね」

初美「では第一回、『戒能良子対策会議』はじめますよー!」

春「おー」

豊音「おー!」

シロ「……おー」

エイスリン「オー!」

塞「おー」

胡桃「おー!」

京太郎「なんか増えてる!?」

初美「事情を話したらなんと人情厚い事にお手伝いを申し出てくださいましてー」

京太郎「眼が玩具を見つけた時の小学生みたいになってんですけど数人」

巴「入学準備も終わったから暇なんだってさ」

京太郎「やっぱ遊び半分じゃねーか!」

小蒔「あ、あはは……」

霞「はいはい、皆さん注目。時間もそこまでないし、はじめるわよー?」



お前ら九月にはめっちゃ仲悪かったよな? というのも今は昔。
受験生としてノット都会人として様々な情報を交換しながら至った三月現在。

彼女らの絆パワーはかつての逃走がどこいったレベルのものになっていたのであった。

当然、受験も入学準備も終えた暇人が集う場所として京太郎の生活圏は必然大人気である。


暇人が求めるものはなんだろうか?

答えは当然、『暇潰し』である。

加えて言うのなら、見ていて楽しい何かである。



初美「……で、行きましょう!」

京太郎「他に方法があるはずです! 反対!」

初美「多数決! 皆さん挙手っ!」


バババッ


初美「可決! 多数決の原理により拒否は不可能です!」

京太郎「クソッ、なんて時代だ!!」

京太郎「(いや、待てよ……まさかっ!?)」



ふと、多数派の横暴に現実逃避しかけた京太郎。

その一瞬の現実逃避が、薄墨初美と滝見春の悪だくみの正体を暴いたのだった!


永水メンバー+京太郎だけでは絶対に過半数が取れない。2:4の差はひっくり返せないのだ。

よって、彼女らが提案するであろう辱めのような選択肢は実質不可能である。

しかし、そこに自分たちに味方する多数派(5人)が現れれば、比率は逆転し7:4となる。



つまりは、最初から仕組まれた敗北だったのだ。ロリと黒糖が笑っている。なんてこったい。

ひでぇマッチポンプではあるが終わってから気付いても後の祭りというやつである。

京太郎「……」

小蒔「……」

京太郎「……よ、よろしくお願いします」

小蒔「こ、此方こそ」



見合いか! と遠くから聞こえた気がするが気のせいだろう。

提案として上がって来たのは、なんと『恋人が出来たので帰れません作戦』。

なんでも霧島の元締めの一人である霞の祖母はロマンチストらしく、恋だの愛だのにほだされやすいらしいのだ。

他の上役の者達も井戸端会議のおばちゃんのノリでその手の話に弱いらしい。

実際、十数年前にこの街でその主張で長期滞在を許された女性が居たのだとか。



つまりは須賀京太郎が、神代小蒔の恋人として振る舞い納得させる。

要点を抑えれば、そんなラブコメのような作戦となるということだ。

反対、京太郎1、永水1、宮守1。
賛成、永水2、宮守4。
どうでもいい、永水2。

よって作戦は可決されました。


今は部室で二人っきりで見合っている、そんなシチュエーションである。



京太郎「えーと、どうしますか」

小蒔「えと、女性関係は百戦錬磨百人喰いと噂される京太郎さんにお任せします」

京太郎「えっ」

小蒔「えっ」

京太郎「え、なにそれは」

小蒔「違うんですか?」

京太郎「都市伝説ですら無いデマなんですが!」

小蒔「竹井さんが、そう……」

京太郎「(……あの人を卒業式で笑顔で見送れんのか? 俺……)」

小蒔「それにいっつも別の女の人連れてるじゃないですか」

京太郎「」



否定できねえ、と内心の言葉を押しとどめ、乾いた笑いが口から漏れている。

風評被害は、日頃の行いに起因するという一つの真理であった。



小蒔「ですので、『ぷれいぼーい』というのだと。はっちゃんが」

京太郎「(あ、元凶もう一人居やがった)」

京太郎「……」

小蒔「……」

京太郎「手とか、握ってみます?」

小蒔「あ、えっと、では、失礼して……」

京太郎「……」

小蒔「わ、なんだかゴツゴツしてて、潰れたマメとか一杯あって、力強い感じで」

小蒔「うまく言えないですけど、『男の人』って感じですね!」

京太郎「そっちも、なんか柔らかくて、白くて細くて、すべすべしてて」

京太郎「『女の子』って感じですね。なんか、守ってあげたくなる的な」

小蒔「……えぅ」

京太郎「どうしました?」

小蒔「えと、男の人の手とか、握ったの初めてで……何と言いますか」

小蒔「え、えへへ……なんだか、顔から火が出そうです」

京太郎「(……俺が恥ずかしくないとでも思ってんのかこの人)」

京太郎「演技とかするんですから、慣れて下さいよ?」

小蒔「が、頑張ります!」

京太郎「(何頑張るんだろうか)」




小蒔「き、キスとかするんでしょうか!」

京太郎「いえ、流石にそこまではしな」

小蒔「赤ちゃんできちゃったらどうしたらいいんでしょうか!?」

京太郎「おいこの人に誰も教えなかったのか性知識!」

小蒔「きゃ、キャベツ畑は見た事あってもコウノトリさんは見た事ないんです! どんな鳥さんなんでしょうか!」

京太郎「待て待て高校二年生ッ!」

小蒔「そ、そうしたら……あわわわ」

京太郎「足りない性知識で盛大に妄想しつつ顔赤らめてる!? なんて器用な!」

京太郎「駄目だ! なんかもう成功する気が微塵もなくなってきた!!」

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【咲安価】京太郎奇怪綺譚:XXI巻目【都市伝説】
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