モバP「映画『戦え!マスターアツミン』……?」 (245)

・モバマスSS
・棟方愛海メイン
・一部キャラ崩壊などあり


それでは、よろしくお願いします。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376998834


P「俺のデスクの上に、一枚のDVDがある」


『戦え!マスターアツミン』


P「これは……」


『全てを揉み、全てを救え!』


P「このキャッチコピー……ギリギリアウトだな」


『すべての女性と出会い、揉むこと!?それがマスターアツミンの使命……。』


P「愛海がパッケージを飾ってる時点で嫌な予感しかしないが」


P「再生してみるか」


P「……流石に、全年齢対象作品だよな?」


―――――――――――――――――――――



――ぴんぽんぱんぽん……。あ、あの、これって効果音のCDとかなかったんですか……。



――えっと、その。この映画には次の表現が含まれていますけど……。



――未成年のキャストがバーにいる描写や、バーで働いている描写があります……。



――他にも、さ、作中の設定と実際の設定にはズレがあります……。



――また、一部、か、過激な描写があります……。



――え、過激ってなにかって?……とても、私の口からは……。



――その、これ以上はもりくぼは説明しきれないので……ほ、本編をご覧くださいぃ……。



[喫茶店]



――と、時は西暦201X年……。




美羽「ただいまーっ。愛海ちゃーん、戻ったよー」


愛海「おおっ、美羽ちゃんおかえりー。……美優さん、それでは失礼してっ!」


モミッ


愛海「んーと、美優さん。最近悩み事とか、ありません?」モミモミ


美優「え……愛海ちゃん、どうして?」




――これは……一人の、胸を揉むことに命を賭けた少女の戦い……ですけど。


――あの、やっぱり私、ナレーションは合わないと思うんですけど……。




愛海「ふーん、なるほどねぇー」モミモミ


美優「あっ、愛海ちゃ……!そ、そこは駄目……きゃっ、や、やめてっ!」


愛海「ぐへへ……素晴らしいねぇ……」モミモミ


美羽「愛海ちゃん!またセクハラしてる!」




――うう……帰っちゃだめですか……。はい、その、やるとは言ったんでがんばりますけど。




―――――――――――――――――――――


P「」



P「なんだこりゃ……開始早々アウトかと思ったぞ……」



♪~



P「ん?OPのこの曲って……」



♪突っ走れ



P「仮面ライダースト○ンガーだったかな?光と見たことあるぞ」



♪胸を揉め



P「」



♪ブラックババンを倒すまで


♪守るぞお山を 美少女の


♪かっともえるぜ 性技の心



ttp://www.youtube.com/watch?v=uOXAHvvxSBQ


♪見よ!必殺πタッチ!



P「そのままじゃねぇかよ」



♪師匠の命をかけてゆく


♪その名はその名は


♪性技のヒーロー


♪マスターアツミン



P「何なんだ、この替え歌……ん?」


―――――――――――――――――――――

マスターアツミンのうた


歌   水木○郎
作詞  棟方愛海

……

原曲  仮面ライダースト○ンガーのうた

―――――――――――――――――――――



「マスターアツミン・棟方愛海は自らすすんでベルトを装着してアイドルとなり」


「女性の平和な山脈を守るため、世界征服を狙う悪の組織を倒すべく」


「敢然と立ち上がった!」



P「」


P「マジかよ……似てると思ったら本当に水木の兄貴じゃねぇかよ……」


―――――――――――――――――――――


真奈美「全く騒がしいねぇ。どうしたんだい、美羽?」


美羽「あ、店長!愛海ちゃんが美優さんにセクハラしてます!」


真奈美「どれどれ」


愛海「――えー、美優さん。どこかこってる所は……」ギクシャク


美優「えっ……?そ、その……では、肩を……お願いします」ハァハァ


真奈美「愛海、どうして美優は息が切れているんだ」


愛海「えー、肩ですね。わかりましたー!」モミモミ



真奈美「……まあいい、いつものことだからな」


美羽「いいんですか」ヒソヒソ


真奈美「許してやってくれ。ちゃんとマッサージはしているからね」ヒソヒソ



愛海「……美優さん、恋の悩みですか?」ボソッ


美優「……っ!?」


愛海「肩の他にはどこかありますかー」モミモミ


美優「あっ、あのっ……きゃっ!」


―――――――――――――――――――――

P「何だこれ」




美優「ふふっ……少し、楽になりました。ありがと、愛海ちゃん」


愛海「いえいえー、あたしも楽し……ゲフン。店長のご友人ですから!」


真奈美「はははっ、愛海は腕だけは確かだからな。美優も気持ちよかっただろう?」


美優「え、ええ……。ちょっと、刺激的でしたけど」


美羽「でも愛海ちゃん、ちゃんとやらないと……」


真奈美「まあ、まあ。美羽、これはただの私の友人へのサービスだ。商売じゃない」


美羽「え?そうなんですか?」


真奈美「色々と問題が発生するしな。そもそもうちは喫茶店兼ショットバーだ」


美優「……マッサージも凄かったですけど、愛海ちゃん……心が読めるのかな、って」ボソッ


愛海「えへへ、あたしの自慢だからねっ!」ワキワキ


美羽「えーと……なんだかよく分かんないですけど、愛海ちゃんが好きでやってるってことですか?」


真奈美「そんな感じだ」



美羽(――私の名前は、矢口美羽。これでも大学生です)




真奈美「美羽、カップを洗っておいてくれないか」


美羽「はいっ、店長!」




美羽(店長の木場真奈美さんの喫茶店兼バーで住み込みのバイトをしています)




真奈美「ああ、美優。コーヒーでも飲んで行きたまえ。さあ座って座って」


美優「あら……じゃあ、お願いしようかしら」


楓「美優さん、美優さん。こっちの椅子に座っていいっすよ」サッ


美優「あら、楓さんも来てたのね……それじゃ、ご一緒しようかな……」



愛海「おおぅ……いいねぇ、圧巻だよ……」ニヤニヤ


楓「愛海ちゃん愛海ちゃん、美優さんのなら、お触りしてもいーっすよ。Eだけに」


美優「か、楓さん!?」


愛海「美優さんはCだけどね」


美優「えっ?」


楓「あー、惜しいですね。Cだけに、惜C……ふふっ」


愛海「……って、営業時間中は店長に怒られるんだった!えーと……お二人とも、注文は?」




美羽(この、女の子の胸が大好きな子は棟方愛海ちゃん。同じ学部でバイト仲間です)


美羽(愛海ちゃんは『女性の胸を揉めば心が読める』という不思議な特技を持っているそうです)


美羽(……まあ、愛海ちゃんなので。仕方がないです)


カランコロン……


真奈美「いらっしゃい。……おや、瞳子じゃないか」



美羽(愛海ちゃんと、店長と、店長のお友達さん達)



瞳子「こんにちは、真奈美。お茶しに来たわよ。あ、これはお土産。カウンターにでも飾ってくれるかしら」


真奈美「ほう、観葉植物……これはアスパラガスか。ありがとう。……好きな席に座ってくれ」



美羽(このお店での楽しい時間が、ずっと続くと思っていました。……今日までは)

とりあえず今日はこの辺で一旦区切ります。

それでは、また。

皆さんこんばんは。
今日もぼちぼち書いていきます。

それでは、よろしくお願いします。


――ほ、ほら。美羽ちゃんのナレーション入ったじゃないですか……。



――やっぱりもりくぼの必要ないじゃないですか……え、マイク入ってる?



――な、なんでマイク入ってるんですか……。いぢめじゃないですか……。



―――――――――――――――――――――


P「……明らかにナレーション、人選ミスだろ……。面白いけどさ」


―――――――――――――――――――――


真奈美「ふむ……。今日はこの辺で店じまいだな。二人とも、清掃を頼む」


美羽「はいっ!」


愛海「はいはーいっ!」


prrrr! prrrr!


真奈美「美羽、ちょっと取ってくれ。今、手が離せない」


美羽「わかりましたっ!」


ガチャッ


美羽「はいっ、喫茶――」


??『もしもし、真奈美さんですか?あ、あの、真奈美さんじゃなくてもいいです』


美羽「あの、もしもし?」


??『えっと……とにかく、会ってお話したいです!9時にお店に行くので待っててください!』


ガチャッツーツーツー


真奈美「美羽、何だったんだ?」


美羽「誰かはわかりませんでしたけど、舌っ足らずな女の子でした」


愛海「むむっ、青い果実……!」ピコーン


美羽「えっと、9時にお店に来るから待っててください、って言ってました!」


真奈美「ふむ……。誰かはわからんが、まあ待っていよう。今日はバーは休業だな」


prrrr! prrrr!


美羽「あっ、また電話ですっ!」


真奈美「ふむ。私が取るよ」ガチャッ


真奈美「もしもし。喫茶――ああ、早苗さんか。……すまない、今夜は予定が入ってしまってな」


真奈美「うむ。では、明日にでも頼むよ。それでは」


ガチャッ


愛海「店長、何だったの?」


真奈美「何でもないよ。早苗さんだ」


美羽「店長、点検終わりました!」


真奈美「うむ。上がっていいよ」


愛海「店長ー、何か隠してません?」


真奈美「何のことだ?私にはさっぱり――」


愛海「隙ありっ」モミッ


真奈美「こら、愛海」ヒョイッ


美羽「……店長、どうやって愛海ちゃんを指でつまみ上げてるんですか?」


真奈美「ん、これくらいトレーニングすれば誰だってできるさ。美羽もやってみるか?」


美羽「え、遠慮しますっ!」




愛海「店長ー。さっきの電話だね?」


真奈美「……君には隠し事できないな。揉ませなければいいのだが」ポイッ


愛海「えっへへー。誰が何を考えてるか、あたしは揉めばわかるからねっ!」スタンッ


美羽「えっと、セク……」


愛海「んー?なあに、美羽ちゃん?」モミッ


美羽「ひゃぁっ!?あ、愛海ちゃん!?」


愛海「うんうん、それはたしかに辛いよねぇ」モミモミ


―――――――――――――――――――――


P「……愛海、楽しかっただろうなぁ」ウンウン


P「合法的に胸が揉めるんだもんな、そりゃああんな顔になるよな」


コンコン


真奈美「むっ、さっきの電話の子か?」


愛海「おおっ、青い果実?甘酸っぱい魅惑の果実だよね!?」


真奈美「静かに。客人だ」コツンッ


愛海「痛っ!うぅ……店長がひどいー……」


美羽「えっと、お客さん待ってますよね。どうぞ!」ガチャッ






??「――えっと、あの……!」


??「おかあさんを助けてください!!」




真奈美「……うん?」


美由紀「えっと、やなせみゆき、9才です。真奈美さんのことは、おかあさんから」


真奈美「柳瀬……聞いたことがないな。君のお母さんの名前は?」


美由紀「……みゆきのおかあさん、『ナナ』っていうんです」


―――――――――――――――――――――


P「!?」ブーッ


―――――――――――――――――――――


真奈美「ナナ……菜々……っ!」


美羽「店長、心当たりがあるんですか?」


真奈美「美由紀、君のお母さん、旧姓は安部かな?」


美由紀「あっ!やっぱり、おかあさんのこと知ってる!」



愛海「店長のお友達?」


真奈美「ああ。といっても、娘がいたなんて聞いたことないぞ……美由紀、君のお父さんは?」


美由紀「……」フルフル


真奈美「そうか……。お母さん、何か言ってなかったかい?」


美由紀「わかりません……でも、おかあさん」




美由紀「これをずっと持ってて、って……」


愛海「……鍵?」


美由紀「よく分かんないけど、きっとおかあさんの大事なものだって思って……」


真奈美「ふむ……。何の鍵かはわからないが、大事に持っておきたまえ」


真奈美「美由紀。もし大丈夫なら、今日は泊まっていきなさい。一人じゃ不安だろう?」


美由紀「いいの……?」


真奈美「もちろんさ。……二人とも、美由紀を頼む。二人の部屋に泊めてあげてくれ」


美羽「はいっ!美由紀ちゃん、お部屋に行きましょうっ!」


愛海「はーい!うへへ、熟れていないさわやかな果実もいいねぇ……」


真奈美「わかっているね、愛海」


愛海「もちろんです」ヒヤアセダラー


美羽「お休みなさい、店長!」


愛海「店長おやすみーっ!」


美由紀「真奈美さん、ありがとうございますっ!」


真奈美「ああ、ゆっくりしてくれ」


バタンッ


真奈美「……ふむ」ピポパ


prrrr prrrr……


[愛海、美羽の部屋]



「うっうー!夜のニュースをお伝えしますっ!」

「アナウンサーの高槻やよいですっ!よろしくお願いします!」

「今日のキャッツ対カイザースの結果ですがーっ、まずはこちらのVTRを……」




愛海「ねぇねぇ美由紀ちゃん。美由紀ちゃんのお母さんってどんな人だったの?」


美羽「あ、それ私も気になってた!」


美由紀「えーとね、みゆきのおかあさん……」



美由紀「ずーっと、お仕事ばっかりだったの」



美由紀「だからたまにしか会えなかったけど……とっても優しくて」



美羽「そっか……」


美由紀「それでね、おかあさん、いなくなる前に言ってたの」



美由紀「『真奈美さんを頼って。真奈美さんなら助けてくれるから』って」



美羽「うーん……お母さん、どんなお仕事してたの?」


美由紀「わかんない……。あ、でもおかあさんの部屋にあったもの、持ってきたの!」


愛海「どれどれ……あっ、これお母さんの写真?」


美由紀「うんっ!大好きなおかあさんの写真だよ!」


愛海「ふむ……Eってとこかな。トランジスタグラマーだねぇ」グヘヘ


美羽「こらっ、愛海ちゃん!それどころじゃないよっ!これ、見て!」


愛海「どうしたの、美羽ちゃん……それ、もしかして手帳かな」


美羽「どうだろう……美由紀ちゃん、これお母さんの字?」


美由紀「うん!おかあさんの字だよ!」



美羽「ということは……」


愛海「本物だね。読んでいい、美由紀ちゃん?」



[喫茶店]



ザザザ……

「も、森久保乃々の……オールナイトはむーりぃー……」

「始まっちゃったんですけど、あの、帰っても……え、いえ、続けますけど……」

「というか、もりくぼはもうナレーションで出てるんですけど……。どうしてラジオまでやるんですか……あぅ……」




真奈美「やあ、呼び出して悪かったね。何か飲むかい、早苗さん」


早苗「ええ、じゃあお願いしようかな……それじゃあ、たまにはハイボールでも」


真奈美「ふむ、珍しいね」


早苗「そんな気分なのよ」



真奈美「お待たせ。……早苗さん、電話で言っていた、話したいことって何だい」


早苗「……真奈美ちゃん、菜々ちゃんって覚えてる?」


真奈美「っ!?」


早苗「菜々ちゃん、娘がいるのよね。美由紀ちゃんっていう9歳の子が」


真奈美「……それが、どうしたんだい」


早苗「美由紀ちゃん、捜索願出てるんだけど、居場所知らない?」


真奈美「……なあ、早苗さん。菜々は今、どうなんだ」


早苗「……菜々ちゃん、連絡が取れないのよ」


早苗「美由紀ちゃん、学校に来てないからって学校から連絡あってね」


真奈美「早苗さん、最近菜々を見かけたかい?」


早苗「もう十年近くは会ってないんじゃないかしら。娘がいたってのも最近知ったわ」


真奈美「……ああ、私もだよ」


早苗「それで、美由紀ちゃんはどこ?知ってるんでしょ?」


真奈美「……まあ、まあ。こっちからも聞きたいことはあるんだ、ちょっと待ってくれ」



真奈美「……菜々は、どこに務めていたか知らないかい?」


早苗「んーとね……池袋研究所、ってところの研究員だったみたい」


真奈美「池袋研究所……聞いたことがないな」


早苗「色々な会社に技術を売ってる所みたい。でもね」


早苗「そこの博士に聞いたら、入社したのはつい1年前なんだって。その前は誰も知らないみたい」


真奈美「ふむ……謎が深まるばかりだな。その研究所ではどうだったんだ」


早苗「特に揉め事も何もなかったそうよ。むしろ研究所のアイドルみたいな感じだったんだって」


真奈美「そうか。……昔から身長は小さくて、マスコットみたいだったからね」


早苗「それでなんだけど……美由紀ちゃんは」


真奈美「……もしも言ったら、どうするんだい」


早苗「保護するわよ。だって……あ、これは警察の極秘事項だから秘密なんだけど……」




早苗「美由紀ちゃん、追われてるの。誰に、とまではまだ分からないけれど」

今日はこの辺で区切ります。

それでは、また。

皆さんこんばんは。
本日もぼちぼち投下いたします。

それでは、よろしくお願いします。



[翌日 喫茶店]


愛海「おはよー店長っ!」


美羽「おはようございますっ!」


真奈美「おはよう二人とも。……美由紀は」


美由紀「ふぁぁ……おはよー……」


真奈美「うむ、おはよう美由紀。朝食は出来ているから、食べてしまってくれ」


美由紀「はーい……」



愛海「……ねぇ、美羽ちゃん」ヒソヒソ


美羽「どうしたの?」ヒソヒソ


愛海「ちょっと手伝ってほしいんだけど……」ヒソヒソ


美由紀「……?」モグモグ



愛海「ごちそうさまー!……店長ーっ!」ギュッ


真奈美「……?愛海、何をしているんだ」


愛海「いやー、なんとなく?」ギュウウ


美羽「……店長、私もっ!」ギュッ


真奈美「おいおい、二人とも……」


愛海「……」チラッ


美羽「……」チラッ


美由紀「……ま、真奈美さん」ジーッ


真奈美「なんだなんだ……美由紀もか。ほら、おいで」


美由紀「……」ギュッ


美由紀「……えへへ」ニコッ



美羽「愛海ちゃん、そろそろ1限だね。行こっか」


愛海「むぅ……素晴らしい、けど授業に行かなきゃね!行ってきまーすっ」


バタンッ


真奈美「やれやれ……何だったんだ」


美由紀「……真奈美さん?」ジーッ


真奈美「ああ、よしよし。……美由紀、大丈夫だからな」ナデナデ



美羽「愛海ちゃん、どうだったの?」


愛海「……んー、やっぱりお山は触らなきゃね。顔を埋めただけじゃわからなかったよ」


美羽「そっか……店長、どうしたんだろうね……」


愛海「……」


美羽「愛海ちゃん?」


愛海「あー、うん。そうだね」




愛海「ぼんやりとしか分からなかったけど……早苗さん、かな?」ボソッ



美羽「ただいま戻りましたーっ!」


愛海「店長お疲れ様ー」


真奈美「おや、うちのバイト君達が帰ってきたようだ」


愛海「あれ、店長、お友達さんですか――おぉ……大山脈だぁ……」ホワワワ


??「あぁん?何言ってんだ、こいつは」


早苗「こら、拓海ちゃん!そういうこと言わないの!」


拓海「ってもよ。早苗……先輩。アタシ達の胸見て大山脈とかおちょくってんだろ」


真奈美「ははは。彼女は悪い子ではないよ、拓海君」


―――――――――――――――――――――


P「異議あり」




早苗「そうよ拓海ちゃん。それに、愛海ちゃんのマッサージはよく効くわよ?」


拓海「効くっつってもよ……こいつ、ずっとアタシの胸ばっか見てんぞ?」


愛海「ふむ……大きさと形を兼ね備えた……まさにエベレスト……」ヨダレダラー


拓海「……何だこいつ」


美羽「あの、あんまり気にしないでください。愛海ちゃんはどうしようもないので」


愛海「早苗さんのK2と並んで……ああ、ヒマラヤはここにあったんだ……!」ダラー


拓海「……シメていいか?」




真奈美「こらっ」ペシッ


愛海「――はっ。拓海さん、マッサージやってく?」


早苗「そうよ、拓海ちゃんやってもらったら?」


拓海「アタシは別に――」


愛海「……へぇ……Hってところ?」モミッ


拓海「――っ!!?」


スパーン!




真奈美「さ、二人ともあっちの部屋に。……美羽、部屋に美由紀がいるから遊んでやってくれ」


美羽「はーいっ」


ドタドタドタ……バタンッ


真奈美「……さて、臨時休業かな」


早苗「ええ、そうね」




真奈美「早苗さん……美由紀をどうするつもりだい」




早苗「だから、こっちで保護するわよ」




早苗「……美由紀ちゃんを追ってる連中、かなりヤバそうな奴らみたいだからね」




[喫茶店:奥の部屋]


愛海「それじゃあ拓海さん、失礼っ!」モミッ


拓海「いやっ……ちょ、どこ触って……ぁんっ!」


愛海「うへへへ……流石はHカップ、早苗さんといいコンビだねぇ……」モミモミ


拓海「なんだよ……アタシだって好きでこんな胸……」


愛海「んー、拓海さん肩こってそうだね。他には――」




愛海「――拓海さん、その……"組織"って何?美由紀ちゃん追われてるの?」


拓海「……てめぇ、なんでそれを」


愛海「あっ、いや、その……」



[喫茶店:カウンター]


早苗「……最近、とりあえず警察内で"組織"って呼んでる連中がいるの」


真奈美「組織?」


早苗「奴らがなんて名乗ってるのかは知らないけど……こんなロゴを入れた服を着ているらしいわ」


真奈美「これは……鷲のマーク、か」


早苗「ええ。どこの製薬会社よ、ってね」


真奈美「鷲……鳥の王者か。強さの象徴みたいなものかな」


早苗「かもね。まだ不確定な情報だけど、破壊活動とか、テロ行為とかを行ったり、裏で糸引いてるみたいよ」


真奈美「それは……困ったな」




早苗「……そういえばあたし、内部情報バラしすぎよね。怒られちゃうわ」


真奈美「ははは、調査協力みたいなものさ。それに早苗さんも、私を信用してのことだろう?」


早苗「もちろんよ。元相棒を信用しないわけがないじゃない」


真奈美「……懐かしいな。だが、今じゃただの喫茶店とバーの店長さ」


早苗「あたしは真奈美ちゃんの腕を信じてるだけよ」


真奈美「……ありがたい事だよ、全く」



ドーン……



真奈美「外が騒がしいな……どうした早苗さん?」


早苗「今の……爆発音!?」


真奈美「そんなまさか……」



バンッ!!



拓海「早苗っ!!行くぞ!!」


早苗「拓海ちゃんこそ急ぎなさい!真奈美ちゃん、ごめんねっ!」


バタンッ!!


愛海「ああっ、待ってよ!……行っちゃった」


バンッ!


美羽「て、店長!今の音は何ですか!?愛海ちゃんですか!?」


美由紀「ええっ、本当?」


愛海「え、ひどくない?」


真奈美「……それより、三人ともここにいろ。店から出るんじゃないぞ!」


バタンッ!!ガチャッ!!



[喫茶店付近]


ヒャッハーッ!!

イーッ!!

イーッ!!


真奈美「……どういうことだ」


早苗「知らないわよ、こんな訳の分からない全身黒タイツ軍団」


真奈美「もっとも、どこかで見たことあるような、鷲のマークがタイツについているがな」


??「ヨーシ、みんなイケーっ♪もっともっと、ガンガンやっちゃオー!」


拓海「おい早苗、あいつ……」



??「ン?どうしたノ?」


部下「ナターリアさん、報告ですよ……」ゴニョゴニョ


ナターリア「ウン!ワカッタ!……エート、じゃあガンガンいこーゼ、だネっ♪」


「イーッ!!」ビシッ






    踊り子怪人   ナターリア




    「エヘヘッ、頑張るゾーッ!!」





ttp://i.imgur.com/XhHvpex.jpg




早苗「拓海ちゃん、あれがボスっぽいわね。行きましょう!」


真奈美「おい待て早苗さん!……やれやれ」




早苗「やあやあ、こんにちはっ。あなたがボスでいいのかな?」


ナターリア「ボス?ンー、ナターリアがボスなノ?」


部下「違います、ナターリアさんはボスではありませんよ」


ナターリア「ナルホドー。あれ、ボスって誰だっケ?」


部下「ボスは総帥です。ちなみにボクはカワイイ、ですけどね!」


ナターリア「ソッカ!ジャ、ナターリアはボスじゃナイヨ。サチコが言うんだから間違いナイ」


幸子「そういうことです。というか、何なんですかこの衣装!どうしてボクまで黒タイツなんですか!」


ナターリア「マスクかぶってないダケ、マシだと思うヨ?」



早苗「あんたの部下の言い方から、とりあえずここの指揮官なのは間違いなさそうね」


拓海「それに総帥がどうたらってこたぁ、組織の連中で間違いねぇみてぇだな」


ナターリア「エート、邪魔するノ?それジャ、ミンナ集合♪」



ズラーッ……



拓海「へへっ、数だけは一丁前じゃねぇか」


早苗「拓海ちゃん、油断しないでね!真奈美ちゃんは下がってていいわよ?」


真奈美「二人を置いてはおけないよ。乗りかかった船だ」



真奈美「覚悟してもらおう」




早苗「ふんっ、なんだか知らないけどあなたを倒せばいいんでしょ?」


ビュンッ


ヒョイッ


ナターリア「おおっト!怖いネ!サスガ警察官ダ」


早苗「へぇ、あんたもやるじゃない。ただのコスプレじゃないみたいねっ!」


ブンッ


パシッ


ナターリア「えへへー、ナターリアも特訓したんダヨ!」


早苗「なかなかの手練ね……!」


ナターリア「それジャ、ナターリアからいくヨ!」


ビュンッ


早苗「――っ!」ググッ


拓海「早苗ッ!!何なんだ、あいつ!?ありえねぇ速さだ……」


早苗「……強いわね。折れてないのが奇跡だわ」


ナターリア「すごいデショ!ナターリア強いんダゾ!」



――そ、その時、空から不思議な光が降りてきたんですけど……。




??「――待ちなさいっ!!」




ナターリア「アレは誰ダ?」




ダレダ?ダレダ?




ダレナンダー?




??「ふっふっふ……」


今日はこの辺で一区切り。

それでは、また。

皆さんこんばんは。
それでは今日ものんびりやっていきます。

それでは、よろしくお願いします。



??「とうっ!!」



ピョンッ



スタッ



??「――天が呼ぶ!地が呼ぶ!ファンが呼ぶ!悪を倒せとナナを呼ぶ!」





菜々「正義のアイドル、ラブリーナナでーすっ♪キャハッ♪」





早苗「」


拓海「」


真奈美「」


ナターリア「」


幸子「」


―――――――――――――――――――――


P「うわキツ」


早苗「菜々ちゃん……それは、ちょっと……」


真奈美「……ノーコメントでいいかな?」




菜々「はわわっ、ちょっと引かないでください!ほらほらっ、スクリーンの前の皆さんもっ!」


菜々「……ふーん、もういいですっ!これからナナのかっこいいシーン、お見せしちゃいますからっ!」





菜々「ムーンプリズム・ウサミンパワー!メルヘンチェーンジっ♪」カシャンッ


シュイイイイイン……!!


《宵闇より出でし満月の力よ!我が魂と共に汝に捧げん!》




菜々「キャハッ♪ラブリーナナの誕生ですっ!これ以上の悪行は、このナナが許しませんよっ♪」ブイッ




ナターリア「ムムム……エーイっ!ミンナ突撃~っ!!」


幸子「皆さん、行きますよ!!」ドドドドッ


菜々「へへっ、殺陣も一度やってみたかったんですよねっ。えいっ♪」


パシッ


菜々「まだまだ、行きますよーっ♪」


ヒョイッ


拓海「すげぇ……あの人数相手に圧倒してやがる……!」


菜々「えへへ、このラブリーナナ、容赦しませんよっ♪ラブリービームっ!!」ブイッ


キュイイイイイイン……!


真奈美「っ!!拓海君、早苗さん!伏せろッ!!」


ドドドドドドドドドドドドッ!


幸子「ふぎゃぁぁぁぁっ!!」チュドーン!!


菜々「ああ~っ、三人ともごめんなさいっ!巻き込むつもりはなかったんです~!!」



ナターリア「アアッ、ミンナやられちゃっタ……こうなったラ!」


菜々「……そう来なくちゃ、ですよ!それっ♪」


パシッ

ググッ


菜々「まだまだですっ!」


ストンッ


ナターリア「わわッ!」ヒョイッ


ドサッ




菜々「えへへ、それじゃあ行きますよーっ!光ちゃん直伝……!」カシャンッ



《さぁ、狩りの時間よ!》



ピョンッ



菜々「――ラブリーナナキーック♪」ドンッ



スタンッ



菜々「キャハッ♪ラブリーナナがいるかぎり、この世に悪は栄えませんよっ!」


ナターリア「うウ……やられタ……」


チュドーン!!



《――闇に飲まれよ!》


シュウウウン……


菜々「えへへ……ヒーローアイドルも楽しい……♪」




真奈美「君は……菜々だよな?」


菜々「へっ!?わわわっ、ち、違います!通りすがりのウサミン星人です!」


早苗「……美由紀ちゃん、心配してたわよ」


菜々「えっ……美由紀が、ここにいるんですか……っ!!」




拓海「おおっ、なんだなんだ、生きてたのか。とりあえず確保だ確保」ガシャン


ナターリア「へへっ……ナターリア、作戦成功ダヨ……ナンテ言うんだっケ、ヨードー作戦?」


拓海「あぁん、何いってんだ、ヨードー作戦って……早苗っ!店だっ!!」


拓海「美由紀ちゃんが危ねぇんだ、早くしろっ!!」



[喫茶店]


バンッ!!


真奈美「美由紀っ!」


拓海「真奈美さんっ、あれ見ろ!窓がっ!!」


早苗「逃げられた!?……愛海ちゃん!美羽ちゃん!大丈夫!?」



愛海「店長ぉ~……」グスン


美羽「ぐすっ……ごめんなさいぃ……」ポロポロ



真奈美「そうか……」ギュッ


早苗「……辛かったわね」ギュッ


美羽「う、うわぁぁぁぁん……!」ポロポロ


愛海「そっか……」ボソッ



菜々「そんな、まさか美由紀は……!?」




美羽「……店長たちが出て行った後、あそこの窓を突き破って変なきぐるみが二人入ってきたんです」グスン




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


きぐるみA「……うがーっ、出てこ―いッ!!」ガオー


きぐるみB「おお、美玲しゃん盛り上がっとーね!ウチも頑張らんとあかんね!」


美玲「う、ウチは言われて仕方なくだからなッ!……それより鈴帆、本当にここにいるのか?」


涼帆「ここにいるってボスが言っとったけん、間違いなか!」


美玲「そ、それなら……」







    きぐるみ怪人  ミレイ





    「が、がおーッ!ひっかくぞ!」






ttp://i.imgur.com/FztEzub.jpg








    地獄怪人    スズホ





    「あんぎゃおおおおおおっす!!!」






ttp://i.imgur.com/z0Afeil.jpg




美由紀「は……早く、逃げなきゃ……」


ガタンッ


美由紀「あっ!」


美玲「そっちだなッ!」


涼帆「くっくっくっ、うちに任せんしゃい!」


愛海「み、美由紀ちゃんっ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


愛海「てな訳で……。いや、あたし達も戦ったんだけど……揉むことすら出来なかったよ……」


菜々「えっ?」


ナターリア「ウンウン、作戦成功だネ。ナターリア偉いよネ」


真奈美「いいんだ、相手の作戦を読めなかった私も悪い。それに君達を危険にさらしてしまうとは」




―――――――――――――――――――――

P「涼帆、どうしてお前は地獄大使の格好をしているんだ……」

あ、本当だ。名前間違ってました。


訂正

涼帆→鈴帆

でお願いします。



早苗「……それより、今は情報整理と……尋問ね。拓海ちゃん!」


拓海「おう。さあ、教えてもらおうじゃねぇか」ゴロンッ


ナターリア「アー、ナターリアはナンにもしゃべらないヨー。知らないモーン」プイッ


真奈美「いや、大丈夫だよ。なあに、体を貸してくれるだけで構わんさ」



真奈美「なあ、愛海?」



愛海「……うへへへへへへ……あたしは今、とっても怒っているよ……!」ワキワキ


ナターリア「!?」ゾワッ


愛海「……美由紀ちゃんは今、どこにいるのかなー……?」ワキワキワキワキ


ナターリア「や、やダ……助け――」




愛海「――たっぷり、たっぷりと身体に聞こうじゃないか」ウマノリー















――ちょっとお見せするのは……むーりぃー……。


菜々「あの、これ大丈夫なんですよね……?」


―――――――――――――――――――――

P「……これ、全年齢向け作品だよな?」



ナターリア「」ビクンビクン



愛海「……美由紀ちゃんの場所、わかったよ」


菜々「本当ですか!?」


愛海「うん……でも、なんだかひっかかる……」


早苗「どういうこと?」


愛海「……ねぇ、場所を移さない?」


真奈美「……そうだな。早苗さん、どこか場所を取れないか」


早苗「……とりあえずここを出てから考えましょう」


拓海「早苗、こいつはどうする?」


早苗「あー、そうね。離してあげましょ」




拓海「……よかったのか?」


早苗「ええ。愛海ちゃんからしっかり圧力かけたから、流石にもう絡んでこないでしょ」


愛海「次はもっと念入りにやるぞ、って脅しておいたからね」


菜々「……愛海ちゃん、何者なんですか……」




真奈美「……美羽も、来るかい?」


美羽「……行きます。行かなきゃ、後悔しそうですから」


真奈美「君に来てもらわなければ困るのだが……愛海はどうする?」


愛海「あたしもだよ。……美由紀ちゃんが、心配だもん」


真奈美「……はぁ。私は二人を止めるべきなんだろうが……駄目な大人だな」


真奈美「私が二人を守ろう。だから、危ないことだけはするな」


愛海「はいっ!」



[愛海、美羽の部屋]


美羽「ねぇ、愛海ちゃん。どうするの?」


愛海「どうするって……言うしかないでしょ」




愛海「あー、どうしてこれを持ってきちゃったんだろうなぁ」


美羽「その鍵……菜々さんが、美由紀ちゃんに大事に持ってて、って言ってたんだもんね」


愛海「うん。だから、店長達が出て行った後に貸してもらったんだけど……」


美羽「どうしたの?」


愛海「美由紀ちゃんが狙われたのって、この鍵を持ってたからなのかな」


美羽「え?どういうこと?」


愛海「もしも、さっきのきぐるみ達の目的が、この鍵だったらさ。それに、菜々さん……」


美羽「……あっ!」


愛海「……とにかく、みんなに話そう。そうするしかないよ」


今日の更新はここまでですが、名前ミスがあったので訂正版を投下します。

鈴帆Pの皆さん、申し訳ありませんでした。

>>72訂正版



美羽「……店長たちが出て行った後、あそこの窓を突き破って変なきぐるみが二人入ってきたんです」グスン




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


きぐるみA「……うがーっ、出てこ―いッ!!」ガオー


きぐるみB「おお、美玲しゃん盛り上がっとーね!ウチも頑張らんとあかんね!」


美玲「う、ウチは言われて仕方なくだからなッ!……それより鈴帆、本当にここにいるのか?」


鈴帆「ここにいるってボスが言っとったけん、間違いなか!」


美玲「そ、それなら……」

>>76訂正版



美由紀「は……早く、逃げなきゃ……」


ガタンッ


美由紀「あっ!」


美玲「そっちだなッ!」


鈴帆「くっくっくっ、うちに任せんしゃい!」


愛海「み、美由紀ちゃんっ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


愛海「てな訳で……。いや、あたし達も戦ったんだけど……揉むことすら出来なかったよ……」


菜々「えっ?」


ナターリア「ウンウン、作戦成功だネ。ナターリア偉いよネ」


真奈美「いいんだ、相手の作戦を読めなかった私も悪い。それに君達を危険にさらしてしまうとは」




―――――――――――――――――――――

P「鈴帆、どうしてお前は地獄大使の格好をしているんだ……」

訂正は以上で終わりのはず……です。
次回からはミスがないよう気を付けます。

それでは、また。

こんにちは。
今日もぼちぼち投下します。

それでは、よろしくお願いします。



[Bar duca]


真奈美「……ほう、洒落た店だな」


早苗「ここはあたしの隠れ家みたいなとこだからね。盗聴とかの恐れはないわよ」


??「やれやれ……またかい、早苗さん」


早苗「こんばんは、あいちゃん。一部屋貸してくれない?」


あい「全く、ここはただのショットバーだ。早苗さんの好き勝手に使える場所じゃないんだぞ」


早苗「あはは、細かいことは許してよ。……今、ちょっと込み入ってるの」


早苗「……お願い。あいちゃんしか、頼れる人がいないの」


あい「……勝手に使ってくれ。どうせまた、危険な橋を渡っているんだろう?」


早苗「そんなのいつものことよ。ありがとう、あいちゃん」




美羽「おおー、すばーらしいバーですね」ヒソヒソ


愛海「んー、微妙かも」ヒソヒソ



真奈美「さて、愛海。さっきので何が分かったのか、教えてくれるか」


愛海「うん。……美由紀ちゃんのいる場所は……あ、早苗さん地図持ってる?」


愛海「……えーと、ここみたい」ビシッ


拓海「ここは……確か今は廃ビルじゃねぇか?」


早苗「そうね。数年前に廃墟になってるはずだわ」


菜々「そこに美由紀が、いるんですね」


愛海「んー、でも……」


真奈美「どうしたんだ、愛海?」



愛海「……ねぇ、菜々さん。あの人達って何者なの?」




菜々「……あの、早苗さんや真奈美ちゃんを襲った人達のことですね」



菜々「とりあえずあの人達の事を組織、と呼びますね」



菜々「組織……ナナは昔、そこにいたんです」







菜々「……高校を卒業して、ナナはすぐ結婚して……」



菜々「美由紀も生まれて、幸せな家庭がそこにはあったんです」



菜々「……途中までは。途中まではなんです」




菜々「あの人は、もういないんです。……美由紀が物心つく前ですから、とっても昔です」



菜々「……それから何年も経って、ナナはようやく突き止めたんです。どうしてあの人が死んだのか……」



菜々「あの人は――組織に、殺されたんです」







菜々「だから、ナナは組織に潜り込んだんです。あの人の妻なのも、全て隠して」



菜々「あの人、お友達には恵まれていまして。……池袋博士に、協力してもらっていたんです」



菜々「それで、上手く情報を集めながら、ずっと……」



菜々「ずっと!待っていたんですよ!あの人の……あの人の……!!」ポロポロ



―――――――――――――――――――――



P「……これ、感動的なシーンなんだよな?」



P「どうして菜々は俺とのツーショットの写真を握り締めているんだ――」



P「――おいちょっと待て」





菜々「……こほん。ごめんなさい、こんな話聞きたくないですよね」



菜々「……組織は、不思議な科学力を持っています。早苗さん、あの子と戦ってわかりましたよね?」



早苗「ええ。あの身体であんな力……有り得ないわよ」



菜々「簡単にいえば、一時的なパワーアップです。人間を越える力を身につけられます」



菜々「ナナ達はそうした人間を越えた人達を"怪人"と呼んでいます」



菜々「そうやって、組織は人間を超えた力を使って、数々の犯罪行為や破壊工作を行なっています」



菜々「そうした活動に、あの人は巻き込まれて……」



菜々「でも、もう大丈夫です。菜々にお任せください!」



拓海「任せろってもよ……どうやって戦うんだよ、力じゃ勝ち目がねぇんだろ?」



菜々「大丈夫です!ナナにはメルヘンチェンジャーがありますから!」



美羽「メルヘンチェンジャー?」




菜々「はいっ!池袋博士が作ってくれた、不思議な力を持つベルトです!」



菜々「このベルトで変身した姿を、ナナや池袋博士は"アイドル"と呼んでいます」



菜々「……私達の行いが、誰かに光を残せるように……」



真奈美「ふむ……先程の戦いからすると、そのベルトも肉体を強化させるのか」



菜々「そうです!この力で、ナナはずっと……戦ってきたんです――」



ギュッ



菜々「――愛海ちゃん……?」



愛海「菜々さん……大丈夫、あたし達がいるよ」



美羽「えーっと、きっと私でも、菜々さんの役に立つと思います!」



拓海「へへっ、何の役に立てるかはわかんねぇけど、協力するぜ!」



早苗「かっこいいねぇ、拓海ちゃん。あたしも同じ気持ちよ」



真奈美「美由紀の命が掛かっているんだ。勿論私も尽力するよ」



菜々「皆さん……!」




愛海「んー、トランジスタ……」モミモミ


菜々「あ、愛海ちゃん?」アタフタ


美羽「はっ、菜々さん!今剥がしますんでっ!」



拓海「しかしよぉ……どうして連中は美由紀ちゃんを連れてったんだ?」


真奈美「確かにそうだな。美由紀が襲われる理由が分からないよ」


菜々「それは……ナナが、あんなものを渡してしまったからです」


美羽「……それって、もしかして」



菜々「美由紀に渡した鍵……あれが、原因なんです」



早苗「鍵?」


愛海「うん。美由紀ちゃん、首から下げてたんだ」


菜々「……あの鍵そのものに、不思議な力があるんです」


菜々「詳しくは分からなかったんですが……あの鍵は組織にとって、大事なもの、みたいです」


菜々「……ナナが迂闊だったんです。美由紀のことが組織にバレていないって、思い込んだんです」


菜々「ナナのせいで……ナナのせいでッ!」


真奈美「落ち着け、菜々!」


早苗「いい、菜々ちゃん?今はどうやって美由紀ちゃんを助けるかよ」


菜々「はい……そうですよね。今ナナが悔やんでも、美由紀のためにならないですもんね」



愛海「ところで、菜々さん」


菜々「なんですか、愛海ちゃん?」



愛海「……あー、やっぱり何でもないよ」



菜々「?」


愛海「うん。何でもない」


真奈美「そうか?」


美羽「あ、愛海ちゃん……?」


愛海「えへへ。店長、あたしそろそろレポートとかやらないと……」


真奈美「……愛海?」


愛海「」チラッ


美羽「っ!店長、そろそろ私も……」


真奈美「なんだなんだ……まあいい。今日はもう遅いし解散とするか」



真奈美「さて……早苗さん、菜々を泊めてやってくれないか」


早苗「いいわよ。……真奈美ちゃんの家は場所が割れちゃってるからね」


菜々「いいんですか?ナナはホテルにでも……」


早苗「菜々ちゃんが一人でいたら、心配だからね」



拓海「愛海、美羽、お前らも気をつけろよ。顔見られてんだろ?」


美羽「……はい。ありがとうございます、拓海さん」


愛海「女性なら撃退できそうだけど……男性は流石に、ね」


拓海「……揉むのか?」


愛海「正当防衛にならないかなぁ」



[愛海、美羽の部屋]


真奈美「……何かあったら大声を出せ。すぐに助けるよ。では、おやすみ」


美羽「おやすみなさい、店長」


愛海「おやすみー」


バタンッ


美羽「……愛海ちゃん。鍵、どうするの」


愛海「……わからない」


美羽「愛海ちゃん?」


愛海「……鍵も、事件も、全部だよ」


美羽「どういうことなの?」


愛海「……どうして、ここに美由紀ちゃんがいるってわかったのかなって」


美羽「それは……確かにそうだね」


愛海「それと……鍵の話をしたら、菜々さんがどうなるか分からなかったから」


美羽「……そっか」




美羽「……私は、愛海ちゃんを信じるよ」


愛海「……ありがと。えへへ」


美羽「愛海ちゃん……?」


愛海「ただのスキンシップだよ」ピトッ


美羽「……ふふっ、いつもの愛海ちゃんだ」



美羽「あ、でも触らせないよ」パシッ


愛海「あっ、痛い痛いいたい」


美羽「店長に教えてもらったんです。痴漢の撃退方法」


愛海「あたしは痴漢じゃないよっ!!」




愛海「いいかい美羽ちゃん!」



愛海「あたしは揉むことに命を賭けているッ!!覚悟があるッ!!プライドがあるんだッ!!」




愛海「あんなただ触るだけの変態と一緒にしないでよ!!!」




愛海「私の揉みは愛だよ!愛しかない!!それがあたしを動かしているんだッ!!!」




美羽「……そうだね。でも駄目だよ?」グイッ






愛海「痛いっ、痛い!!ごめん美羽ちゃん、手を離して――あっ、駄目、だめっ、痛い痛いっ!!」




[喫茶店:カウンター]




ワーワー……


イタイ、ミウチャンヤメテー!


アツミチャンニハオシオキデスッ!




真奈美「……やれやれ。二人は今日も元気だな……」カラン……




真奈美「そうでなくては、私も気が滅入ってしまうからな。ふふっ」ゴクッ




真奈美「……おや、メールが来てたのか。気付かなかった」

今回は一旦ここまで。

それでは、また。

再開します。
今回もぼちぼちやっていきます。

それでは、よろしくお願いします。



[廃ビル]



??「ミレイ、スズホ、手筈はどうなっているの?」



鈴帆「ふぃーひひひっ!安心しんしゃい、――様!」



美玲「……美由紀って子、捕まえてきたぞ」



美由紀「んむー!んむー!!」ジタバタ



??「ふふっ……これで、計画が――あら?」



鈴帆「どうしたと、――様?」



??「……ない」



美玲「ないって……鍵がか?」



??「ふん……小癪な……!」






??「――いいわ、全ての鍵はナナですもの……。それまで、生かしておいてあげるわ」



美由紀「――!!」グスッ



美由紀「……んぅー……」グスングスン



美玲「……」ジーッ



美由紀「……?」ジーッ



美玲「……ッ!なんだよッ!」ガオーッ



美由紀「っ!!」ビクンッ



美玲「あッ……ご、ごめん。驚かせるつもりはなかったのに……」ナデナデ



美由紀「……?」



美由紀「……」ニコッ



美玲「なッ、なんだよッ!……どうしたんだよ、教えろよ」ベリベリ



美由紀「――ぷはぁ!ようやく喋れるよ……」



美由紀「……おねえさん、ほんとは優しいんだな、って」ニコッ



美玲「ば、バカかオマエッ!う、ウチが、や、やさ、やさしいなんて……」



美由紀「……えへへ。美由紀にはわかるもん」



美玲「フンッ。好きに言えよッ!……あ、――様に見つかっちゃまずいから、もっかいテープ貼るからな」



美玲「……ごめんな。ウチは、本当はオマエを捕まえたくなかったんだけど……」



美玲「……ごめんな」



[喫茶店]



真奈美「おはよう、二人とも」


美羽「おはようございますっ!」


愛海「おはよー、店長」


真奈美「ああ、そうだ。……しばらく店は閉めることにするよ。窓ガラスもあのままだしな」


愛海「はーい。……店長はこれからどうするつもりなの?」


真奈美「……ああ、私なりに探りはするが……何せ、今はただの店長だからな」


美羽「気を付けてくださいね?いくら店長でも心配です……」


真奈美「心配するな、美羽。私は大丈夫だから」



真奈美「ほら、講義に遅刻するぞ?急ぎたまえ」


愛海「……はーい」



[大学:講義室]


愛海「んー……やっぱり、何か引っかかる……」


美羽「どうしたの?」


愛海「いや、何でもないよ。……おっ、裕美ちゃんだ」



愛海「おはよー、裕美ちゃん」モミッ


裕美「ひゃぁあっ?!あ、愛海ちゃん!?」


愛海「んー、懐かしきこの立山連峰……」モミモミ


美羽「はい、愛海ちゃんストーップ」グイッ


愛海「ああっ、まだ足りない……」



裕美「……うん。愛海ちゃんも美羽ちゃんも、いつも通りでよかったよ」


美羽「それって……」


裕美「聞いたよ、二人の下宿先に強盗が入ったって」


愛海「強盗……うん。そうなの」


裕美「二人は大丈夫だったの?」


美羽「うん……なんとかね」


愛海「あたしはこの通りだよっ」ダキッ


裕美「……大丈夫そうだね」ハァ



裕美「でも、愛海ちゃん達のお店ってほんとうに大丈夫なのかなぁ」


美羽「どういうこと?」


裕美「だって、愛海ちゃんに美羽ちゃん、それと店長の木場さんでしょ?」


愛海「あー、女ばっかりってことかな」


裕美「うん。盗聴とか盗撮とか、そういうのの被害に遭いやすいって聞くし……」


美羽「それは大丈夫だよ、だって店長……愛海ちゃん?」



愛海「……!」ピコーン



愛海「――それだよ、裕美ちゃん!さすがは立山連峰!その胸の別山と浄土山は伊達じゃないね!」


美羽「……愛海ちゃん?」ギリギリギリ……


愛海「あっ、痛い痛い!やめて、関節が……!」



裕美「つまり、どういうことなの?」


愛海「裕美ちゃんのおかげ、ってことだよ!それじゃ、代返よろしく!」ダダダダッ


美羽「へっ、あ、愛海ちゃん!?……裕美ちゃん、私の分もお願い!」


裕美「う、うん……」


美羽「待ってよ、愛海ちゃん!!」



prrrr……prrrr……


愛海「あ、もしもし早苗さん?」


愛海「いやいや自首じゃないよ。ちょっとお話が……うん、そう」


愛海「それでね、お店まで来てほしいんだけど……え、本当?」


愛海「ありがと、早苗さん」


ピッ


美羽「今の、早苗さんだよね?どうしたの?」


愛海「とりあえず、お店まで帰ろう。……店長、いるかな?」



[喫茶店]


ガチャッ


愛海「……店長?」


シーン……


美羽「いないみたいだね……あれ、何だろ」ペラッ



『少々出かけている。夜には戻る 真奈美』



愛海「あちゃー……。店長にも話しておきたかったんだけどな……」



コンコン



愛海「んっと……あ、早苗さんだ。どうぞー」


ガチャッ


早苗「愛海ちゃん、それに美羽ちゃんまで。授業はどうしたの?」


美羽「えーと、そのー……えへへ」


愛海「それより早苗さん、ちょっと手伝ってほしいんだけど……」


早苗「?」



早苗「……そうね。コンセントとか変な置物辺りかしら」


愛海「ありがと。やっぱり早苗さんは頼れるなー」


早苗「何言ってんの、あたしはこういうの専門外よ。同僚から聞いた話だけ」



美羽「……変なのは、ないなぁ」


愛海「んー、これは……違うかな?」



早苗「……そういえば、観葉植物なんて置いてたのね。いつからかしら」


愛海「ちょっと前からだね……店長のお友達さんからのプレゼントだよ」


美羽「えーと、瞳子さん、でしたね。そういえばこれって、何の植物でしたっけ」


早苗「……アスパラガス、かな?」


美羽「アスパラガス?それって、野菜のですか?」


早苗「うん。あれをそのまま成長させたら、こんな風になるわよ」


愛海「……っ!」


美羽「――愛海ちゃん?」



[喫茶店:裏手]



愛海「……」ザクッザクッ



ダバー



美羽「愛海ちゃん……?」


早苗「……っ!まさか、ね」



ヒョイッ



愛海「早苗さん……これって」


早苗「ええ。ビンゴよ」


美羽「そんな……まさか」



愛海「盗聴器、だね」





グシャッ





美羽「そんな、そんなはずがないです!瞳子さんじゃないです!組織が、きっと組織が……」





早苗「……美羽ちゃん。これは憶測でしかないけれど……アスパラガスの花言葉、知ってる?」





美羽「……?」





早苗「『敵を除く』とか『私が勝つ』、ってところね」




美羽「そん……な……」ガクッ




愛海「……」


今日はここまで。

それでは、また。

こんばんは。
本日も更新していきます。

それでは、よろしくお願いします。



[喫茶店]


愛海「……早苗さん、もう一つだけ頼みがあるんだけど」


早苗「何かしら?」


愛海「池袋博士って人の研究所……場所、知ってるよね?」


美羽「……どうするの、愛海ちゃん」


愛海「……これを、その博士に渡すよ」



早苗「っ!?それって、菜々ちゃんの言ってた鍵!?」



愛海「……これをあたしが持ってるって言ったら、菜々さんはきっと無茶をすると思うんだ」


愛海「それに、きっと池袋博士ならこれについてなにか知ってると思うから」


早苗「そうね。狙いは鍵であって、美由紀ちゃんじゃないものね」


愛海「……そういえば菜々さんは?」


早苗「拓海ちゃんがついてるから、無茶はしないはずよ」


美羽「でも、美由紀ちゃんが……!」



愛海「早苗さん、急いで研究所に連れてって。その後美由紀ちゃんを助けよう」


早苗「……駄目よ。美由紀ちゃんが危ないわ」


愛海「この鍵を渡したら、きっと終わりなんだよ」


早苗「……美由紀ちゃん助けるためには、それが必要でしょ?」


美羽「ふ、二人とも落ち着いて……っ!?」


prrrr! prrrr!


美羽「で、電話……。取りますね」ガチャッ


美羽「はいもしもし、喫茶――」





??『――もしもし。そちらは木場真奈美女史の喫茶店かね』




美羽「……は、はいっ!店長は木場真奈美ですが……」


??『ふむ。事情は菜々君から聞いているよ。今すぐ私の研究所まで来るといい』


美羽「研究所……?あの、どちらさまで」


??『池袋研究所だ。急ぎたまえ』



ガチャッツーツー




早苗「……そういえば真奈美ちゃんは?」


美羽「出かけてるみたいで……」


早苗「……そっか」スッ


prrrr prrrr……


早苗「もしもし、真奈美ちゃん?今どこ?」


真奈美『どうした早苗さん?今は友人に呼ばれて、彼女の店に向かっている途中だが……』


早苗「友人って?」



真奈美『おいおい、どうしたんだ……瞳子の店だが、それがどうかしたか?』




早苗「!?」


真奈美『どうしたんだ早苗さん……話がつかめないぞ?』


早苗「いい、真奈美ちゃん!今すぐそこから――」



ガシャッ




早苗「……真奈美ちゃん!?どうしたの!?」



ザワザワ……


ヤメロ!ナニヲスル!



早苗「……まさかっ!」


愛海「早苗さん!店長どうしたの!?」


早苗「分からない、とにかくあたしは真奈美ちゃんのところに向かうから!」


美羽「わ、私達は――」


早苗「行きなさい!早く!」


愛海「……早苗さん、店長頼みます!」


美羽「あ、愛海ちゃん!?」


愛海「美羽ちゃん、行くよ!」


愛海「どこにって、研究所!!」



[個人タクシー:車中]


ブロロロロ……


美羽「愛海ちゃん、どうして私達は……」


美羽「だって、店長に何かあったかもしれないのに……」


愛海「……あたしにもわかんないよ。でも、きっとこうしなきゃいけない気がするんだ」




運転手「――お客さん、お急ぎですか?」



愛海「……はい?」


美羽「何ですか?」



運転手「いや、きっと大事な用事なのかなーって思いまして……」



愛海「……うん、すっごく大事」


美羽「はい。……どうしようもなく、大事です」



運転手「……それじゃあ、シートベルトはしっかりお願いしますっ!」



愛海「……?」


美羽「どういうことですか?」



運転手「……時間がないなら、間に合わせればいいんです」


運転手「――フルスロットルだよっ!!」


ギュオオオオオン!!


美羽「わわわっ!?」


愛海「ど、どうしたの!?」



運転手「時間に間に合わせるのも、ドライバーの勤めですから!アクセル全開っ!!」



[池袋研究所:正面入口前]


??「……んー、まだかなぁ。……あれは?」



ギュオオオオオオオン!!



??「わっ、タクシーがこっち突っ込んでくる!?」



キキーッ!!


ガチャッ



愛海「うへぇ……車酔いしたかも……」グッタリ


美羽「何だったんですか、さっきのタクシー……」グッタリ




??「おおーっ……!!」


??「……すごい!流石はクレイジータクシーだねっ!」



美羽「……えーと、あなたは?」


愛海「池袋博士に呼ばれてきたんだけど、ここでいいのかな?」


??「おおっ、いいタイミング、ご都合展開だね!さあどうぞどうぞーっ」


美羽「……?失礼します」



[池袋研究所:研究室]


コンコン


??「所長!連れてきましたーっ!」


ガチャッ


美羽「……失礼します」


愛海「えーと、あなたが池袋博士でいいんだよね?」


晶葉「ああ、私がこの研究所の所長、池袋晶葉だ。よろしく頼む。こっちは助手の三好だ」


紗南「三好紗南ですっ!よろしくねー」


晶葉「さて、早速だが……」


愛海「ちょっと待ってよ」


晶葉「ん?」


愛海「こっちも、聞きたいことがあるんだよね」



晶葉「……ああ、そのとおりさ。池袋研究所なんて名前は、ただのカモフラージュに過ぎん」


晶葉「この研究所の本来の目的は……組織の調査とそれに対抗しうる存在の確保、バックアップだ」


愛海「やっぱりね」


晶葉「組織を倒すことは金にはならん。私の趣味に等しい研究だが……いい部下に恵まれてね」


紗南「……私達だって、ヒーロー!の仲間になれるなら悪い気はしないからね、所長」


晶葉「といっても、メルヘンチェンジャーだって組織の技術の流用だ。倒すなんてまだ早いのが現状さ」


美羽「組織の技術ってどうやって……あ、もしかして」


愛海「菜々さん……だね」


晶葉「ああ……彼女には悪いことをしたな。本当は、あんな連中の中に混ざりたくなかっただろうに」



晶葉「さて、本題に戻ろう」


晶葉「……菜々君から連絡を受けてはいるんだが……現状を教えてくれないか」


美羽「というと?」


晶葉「組織に美由紀君が連れて行かれた。彼女がいるであろう場所は割れている」


愛海「うん、そうだね」


晶葉「それで、推測だが……菜々君はおそらくそこに乗り込もうとしている。合っているかな?」


美羽「……そうです」


晶葉「……ふむ。困ったな」


愛海「困った?」


晶葉「うむ。美由紀くんが鍵を持っていたのだろう?奴らの手に渡ってしまったからな、困りものだ」


愛海「……それが、実はね?」



晶葉「驚いたな……本物じゃないか!これで作業が再開できるぞ!おい、紗南!」


紗南「はーいっ、それじゃあ解析クエスト再開しまーす!」



晶葉「これで、メルヘンチェンジャーも最終アップデートだな」


愛海「……あれは、何なの?」


晶葉「……鍵か?あれはな」



晶葉「――超高濃度のエネルギー体、と言えばお分かりいただけるかな」



美羽「どういうことですか?」


晶葉「……組織が作り上げたものだからな。何で出来ているかなどは知らん」


晶葉「ただ、物理法則を無視したようは有り得ないほどのエネルギーを内部に有している」


愛海「……その力で、怪人達はおかしな力を手に入れてたのかな?」


晶葉「おそらく、そうだろう」



晶葉「しばらく鍵の研究を重ねていたんだが……ここの存在が組織に割れかけてな」


晶葉「どうするか悩んだ結果、菜々君が鍵を美由紀君に託したんだ」


美羽「だから、美由紀ちゃんは……」


晶葉「……鍵が手に入ったとはいえ喜んでいられないな。一刻も早く、美由紀君を助けなければ」


愛海「あたし達には、何かできないの?」


晶葉「すまないが……戦闘員はまだしも、怪人達の力は生身の人間にはどうこう出来るレベルではない」


美羽「そんな……」


晶葉「……菜々君と美由紀君の無事を、祈ってくれ。それと……」



晶葉「先程から菜々君と連絡が取れん。まさか、な」



[池袋研究所:正面入口前]



愛海「……」ピッ



prrrr prrrr……



愛海「……出ないや、菜々さん」ピッ



prrrr prrrr……



愛海「もしもし、拓海さん?」


拓海『おう、愛海か!すまねぇが今立て込んでるんだ、自首なら後にしてくれ!』


愛海「立て込んでる?どうしたの?」


拓海『目を離した隙に菜々さんがいなくなったんだ!きっと美由紀ちゃんを助けに行ったに違いねぇ!!』


愛海「……そっか。ありがと、拓海さん。あと自首じゃないよ」


拓海『もし見かけたら、菜々さん止めてくれ!頼んだぞ!』ピッ




愛海「……菜々さん、美由紀ちゃん助けに行ったってさ」


美羽「愛海ちゃん、どうするの」



愛海「……行こう。あたし達も美由紀ちゃんを助けに」



美羽「――どうして」





美羽「どうしてなの!?さっきの話聞いてたよね!?」



美羽「私達じゃ勝ち目がないんだよ!?愛海ちゃん死んじゃうかもしれないんだよ!?」



愛海「……美羽ちゃん」



美羽「私達じゃ……どうしようも、ないんだよ……」グスッ







愛海「……それでも、あたしは行くよ」



美羽「だから、どうして……!?」ポロポロ



愛海「……きっと今、あたしが手を伸ばさなかったら、あたしは死ぬほど後悔すると思うんだ」



愛海「それが嫌だから、手を伸ばすの……美由紀ちゃんと菜々さんを、助けたいから」





美羽「……愛海、ちゃん……」グスッ



美羽「……うん、わかった」



美羽「私は、愛海ちゃんを信じるって決めたんだもんね」





美羽「……行こう、愛海ちゃん。一緒に」




[廃ビル:正面入口前]



キキーッ


ガシャッ


拓海「……菜々さん……一人で行きやがって……」


拓海「……ん?」




愛海「あれ、拓海さん!」


拓海「おう、お前ら……まさか菜々さん助けに来たのか?」


美羽「……菜々さん、ここにいるんですよね」


拓海「多分な……それと、早苗にも連絡つかねぇんだ」


美羽「まさか……」


拓海「……木場の姉御はどうなんだ?大丈夫なのか?」





愛海「……もしかしたら二人とも、ここにいるんじゃないかな」






拓海「なんだか知らねぇが……それなら話が早ぇ。二人はここにいろ」


美羽「話が早いって……まさか」


拓海「おう。カチコミに行ってくる」




愛海「……あたし達も行くよ」


美羽「拓海さん、連れてってください」


拓海「あぁ?何言ってんだ、危ねぇから待ってろよ」


愛海「拓海さんが何を言っても、あたし達はついて行くからね」


美羽「お願いします!邪魔だけは、しませんから」



拓海「あー……。アンタ達のそういう目、苦手だな……」



拓海「無茶だけはすんなよ」



[廃ビル:内部]



拓海「お前ら、足元気をつけろよ。ガラス片や瓦礫で危ねぇからな」


美羽「はいっ。……それにしても、誰もいませんね」


愛海「あ、二人とも、あれ見て!」


拓海「……ん?」




美羽「……なんですか、あれ?」




拓海「あー、間違いねぇ。そのマークといい、奴らだな」


美羽「……なんですか、この倒れてる全身スーツの人達は?」


愛海「んー、男、男、男ばっかりじゃないか……!」


拓海「……」ペシッ


愛海「あいたっ」



美羽「その……組織、なんですよね、この人達」


拓海「ああ。どういうわけか伸されてるけどな」


愛海「……やっぱり、菜々さん?」


拓海「だろうな」






愛海「……あれ、もしかして菜々さん……?」




鈴帆「ぎゃはははははっ、楽しかっ!ウチもこんな戦いは初めてけんね!」


菜々「ううっ……強いですねー、でもまだまだですよーっ!!」




美羽「ああっ、あの時のきぐるみ……!!」


拓海「なんだあのコスプレ」



菜々「こうなったら……菜々、さらに変身ですっ!」カシャンッ


《封印されし衣を纏いて、神が如き力を授けん!》


菜々「メルヘンチェーンジっ!」


シュイイイイン!!


パァッ!!


菜々「えへへっ、この制服を着たからには、ナナは負けませんっ!」




鈴帆「ぶぇへへへへへっ、面白かっ!それでこそ戦いがいがあるけんね!」


菜々「ふんっ、そう言ってられるのも、今のうちです!」ビュンッ


ボスッ


鈴帆「ぎゃおおおっす、そのコスプレ姿はばり速かね!」


菜々「こっ、コスプレじゃないですっ!これはウサミン星の……って、そうじゃないです!」


ブンッ


ボスッ


鈴帆「そんな攻撃!ウチには効かんたいね!」


菜々「やっぱりナナのキックが効かないとは……困りましたね」



鈴帆「これがウチの強さたい!このきぐるみがある限り、ウチは無敵たい!」


菜々「むむむ……それならっ!!」カシャンッ!!




《現世と冥府の境界を裂き……審判の雷よ、悪を裁け!》




菜々「ハートウェーブ送信ーっ!ピリピリンッ!!」ブイッ



バチンッ!!



鈴帆「なっ、なんばしよっと……ぎゃおおおおおおおおお!!」ビリビリビリビリ!!


菜々「いい電撃でしょう。余裕の威力だ、アンペアが違いますよっ♪」


鈴帆「うごご……総帥様、万歳」バタッ




拓海「……えげつねぇ」


愛海「……ふむふむ……この上に美由紀ちゃんいるってさ」モミモミ


鈴帆「ぎゃおおおおおおっす……」プスプス……


拓海「おいこら」



菜々「……へっ?」



《――闇に飲まれよ!》


シュウウウン……


菜々「愛海ちゃんに拓海ちゃん、どうしてここに?」


愛海「あっ」


拓海「……おう、美羽もいるぞ」


美羽「へっ!?あ、はいっ!」


菜々「……早くここから出てください。危ないですから」



愛海「……それは、できないよ」


拓海「アタシは、アンタを止めなきゃならねぇからな」


美羽「……美由紀ちゃんを置いて……帰れませんっ!」



菜々「皆さん……!」



菜々「……一緒に行きましょう。何があっても、ナナが守ります」



[廃ビル:大広間]





菜々「……行きましょう。きっと、ここにいます」



愛海「……うん」




ガチャッ




美由紀「……おかあさんっ!?」



菜々「美由紀っ!!」



愛海「待って、菜々さん」



拓海「……そこにいんのは分かってんぞ、出てきやがれってんだ」



美玲「な、なんだよッ!」ガオーッ



愛海「……あの時のきぐるみのもう一人だね」





菜々「……美由紀を返しなさい」





美玲「……ッ!?」ゾワッ


菜々「さもないと、どうなるかわかってますよね?」ツカツカ


美玲「ま、待てッ!コイツはすぐに――」




菜々「――美由紀を返しなさい。今なら、許してあげますよ」


美玲「ひぃッ!?」ゾワッ









??「まあまあ、待ちなさい……ねぇ、ナナ?」




菜々「……ああ、あなたが私を追っていたんですね。あなたの部下を使って」


菜々「――服部瞳子」


瞳子「ふん。裏切り者がのこのことやってきたものね」


菜々「ようやく見つけましたよ。あなたに辿り着くまでに、何年と掛かったことか」


瞳子「古い友人の感動の再開、ってところかしら?」


菜々「まさか、瞳子だとは思いませんでした。それだけです」


瞳子「あら、せっかくの出会いに心動いてはくれないのね」


美羽「瞳子さん……」






     大幹部      トウコ





    「いいわ、全員始末してあげる!」






ttp://i.imgur.com/Ed0vtma.jpg





愛海「……ところで、店長と早苗さんはどこ?」


瞳子「ふふっ、あの二人は今頃仲良く寝てるんじゃないかしら」


愛海「……健全な意味で?」


瞳子「さあねぇ。でも目覚めたところで、脱出なんて不可能だけどね」


拓海「ふん……なるほどなぁ」


瞳子「ナナの古い友人だからって網を張ったけど、こんなに上手く引っかかるとはね」


美羽「そんな……店長と瞳子さんは、いいお友達だったんじゃないんですか!?」


瞳子「ふん……私がずっと抱いてきたこの思いが、アンタや真奈美に理解されちゃ堪らないわ!」




菜々「……美由紀を、返しなさい」


瞳子「ふん……まあ、交渉の余地くらいはあげようかしら」


瞳子「……鍵も持っていなかったし、その子に価値はないけどね」


菜々「なんですって!?」


美由紀「……知らない。鍵なんて持ってないもん」


瞳子「やってしまいなさい、ミレイ」


美玲「……え、そんな……」ボソッ


美玲「……ッ!!」ポチッ


美由紀「きゃあぁぁぁぁあっ!?」ビリビリビリ



菜々「美由紀っ!?」


瞳子「それで……鍵はどこにあるのかしら」


菜々「……っ」



菜々「……知らないわ、どうして、どうして鍵がないの……!?」


瞳子「あんたに聞いても無駄そうね、ナナ。さあ、もう一度聞くわ。鍵はどこ?」


美由紀「ふんっ……知らないもん」


瞳子「……ミレイ」


美玲「で、でもッ」


瞳子「貸しなさい」バッ



愛海「ちょっと待った!」




愛海「……ちょっと、失礼するね。今、鍵がどこにあるのか確かめるから」ピッ


菜々「愛海ちゃん……!?」



prrrr prrrr……


晶葉『もしもし、池袋だが』


愛海「あ、博士?今すぐ鍵持ってきてくれないかな」


晶葉『……はははっ、心配ご無用。今、そっちに向かっている』


晶葉『研究所の専属ドライバー付きだ。そろそろ到着するだろうから待っていたまえ』



愛海「ってな訳で、そろそろ……」



ギュオオオオオオオン!!



キキーッ!!



愛海「そ、そろそろ……」ヒヤアセダラー


美羽「なんだろう……すごく、ゾッとする」ガタガタガタ


拓海「……なんだなんだ、どういうこった?」



晶葉「待たせたな」


菜々「博士……!?どうして、ここに」


晶葉「追って説明する。待ちたまえ」


瞳子「あら、貴方がナナの協力者だったのね」


晶葉「君が組織の大幹部、服部瞳子か。話は聞いているぞ」


晶葉「まあ、そんなことはいい。鍵はここだ」キランッ




瞳子「さあ、こっちに渡しなさい。この子の命と交換よ」


菜々「……博士、鍵を私に」


晶葉「菜々君……」



瞳子「ふん、聞き分けはいいのね。ミレイ、受け取りなさい」


美玲「は、はいッ!」




菜々「はい、鍵。……あなた、優しいんですね」


美玲「な、何を言って……う、ウチは騙されないぞ」


菜々「さっき、美由紀に電流を流すの、ためらいましたよね」


美玲「うう……」


菜々「ふふっ♪……ありがとう。敵ながら、嬉しかったです」


菜々「組織にも……こんなやさしい子がいたんですね」




菜々「じゃあ、美由紀は返してもらいますね」


美由紀「おかあさん……!!おかあさん……!!」ポロポロ


菜々「よしよし、よく頑張ったね……」



美玲「……」




瞳子「何をしているの、ミレイ。鍵を早くこっちに……」




美玲「……嫌だ」




瞳子「あら?」




美玲「嫌だって言ってるんだッ!ウチにはこんなことできないッ!!」




菜々「美玲、ちゃん……」




瞳子「あら……やっぱり頭脳まで改造する必要があったようね。貴方はもう用済みよ」スチャッ




美玲「ひぃッ!!」




瞳子「……残念だけれど、次の怪人はうまくやってくれるでしょう」







瞳子「――死になさい、裏切り者っ!!」






















バンバンバンッ!!







今回はここまで。

それでは、また。

こんばんは。
本日も更新していきます。

それでは、よろしくお願いします。



美玲「あ……あ、あ……」






美玲「な、なんで、何で……」










美玲「なんで、アンタが……アンタが、ウチをかばってるんだよッ!!!」







菜々「……放っておけなかったから、ですよ」





菜々「えへへ、ナナ、頑張りましたよ……」





美由紀「おかあさんっ!!」




愛海「菜々さんっ!!」







美羽「そんな……っ」ガクッ




晶葉「……っ」




拓海「おい……おいっ!!……嘘、だろ……?」




美由紀「おかあさん!!あかあさんっ!?」



愛海「菜々さん!菜々さん!!しっかりしてよ!!」




菜々「えへへ……どうして、でしょうね……」



菜々「ナナ、何故だかとても、晴れやかな……気分です……」




愛海「ああっ、血が、血が止まらない……!」




菜々「……ねえ、愛海ちゃん……?」



菜々「ナナの代わりに、これを……」





愛海「……これ、メルヘンチェンジャー……」




菜々「ナナは……ちょっとだけ疲れちゃいました……えへへ」



菜々「体力持つのは……一時間……です、からね」



菜々「だから……愛海ちゃんに、お任せしちゃいます……」





美由紀「おかあさん……!だめだよ、死んじゃやだよ……!!」




菜々「美由紀……お母さんね、あなたのことが……」




菜々「だい……すき、だよ――」



美由紀「っ――」







愛海「嘘、そんな――」





















愛海「――菜々さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」


















瞳子「ふふっ……面白い。実に面白かったわ」



瞳子「でも……せっかくの茶番も、もう終わりでいいわね?」スッ



パチンッ



ゾロゾロゾロ……


美玲「なっ、オマエ達いつの間に……ッ!!」



拓海「チッ……何なんだよ、こんな時に!」



晶葉「くっ……愛海君!今すぐにメルヘンチェンジャーで変身を――」






愛海「――駄目だよ」




晶葉「愛海君……?」



愛海「だって、菜々さんが……っ!!」グスッ



愛海「どうして、こんなことになるの……っ!?」ポロポロ



晶葉「……菜々君は、君に未来を託したんだ」



晶葉「愛海君、君にしかできないんだよ!」



愛海「どうして博士はそんなことが言えるのっ!?」



愛海「菜々さんが……菜々さんは、もう……」






美羽「……!」



美羽「――愛海ちゃん」





パシンッ





愛海「……美羽、ちゃん……?」



美羽「……そんな弱気な愛海ちゃんなんて、見たくないよ」


美羽「そんなんじゃ菜々さん、きっと喜んでくれないよ!」



愛海「美羽ちゃん……」




美羽「ほら、愛海ちゃん。手を取ってよ。立ち上がってよ。みんなを助けようよ」


美羽「そうじゃないと、今手を伸ばさないと、死ぬほど後悔しちゃうんだよ」




美羽「――私達が、さ」





美由紀「美羽さん……」


晶葉「美羽君……!」


拓海「……へっ、かっこいいじゃねぇかよ」






愛海「……うん」




愛海「そうだね。あたしが、あたし達がこんなところで……立ち止まってなんかいられない!」






「だから、菜々さん。見ててね――」










カシャンッ







「――変身!」







シュイイイイイン……!!




《色欲に狂えし魔獣の血を、我が魂と共に汝へと解き放たん!》





愛海「……確か菜々さん、この姿をアイドルって呼んでたんだっけ」





愛海「性技の……あ、いや。正義のアイドル、マスターアツミン、参上」





愛海「――あたしに揉まれてみる?」











晶葉「……流石じゃないか。見てるかい、菜々君……」



晶葉「君の思いは、届いていたようだよ……」





晶葉「……どこかで変に解釈されたみたいだが……気にしないでおこう」

ウラタロス「!?」




瞳子「さあ、遊びは終わりよ。かかってきなさいっ!!」


愛海「ふふんっ!そっちこそ、揉まれる準備はできてるんだろうね?」





ワラワラ……



拓海「チッ!来るんじゃねぇてめぇら、ぶっ飛ばす!!」ブォンッ



晶葉「いかんっ、美由紀君、美羽君、はやくこっちに!」




愛海「みんな……」


美玲「あ、愛海!こっちは、ウチに任せろッ!!」


愛海「……信じていいんだね?」


美玲「これで……ウチを信じてくれッ!!おい、そこのオマエッ!!」ポイッ


晶葉「わわっ、いきなり投げるな!」パシッ


晶葉「むっ……これは!」




愛海「鍵……いいんだね?」


美玲「オマエのためじゃないぞ。……菜々のためだからなッ!!」


愛海「うん……わかったよ、美玲。博士、ちゃんと持っててね」


晶葉「ふん、任せておけ!」


愛海「へへっ、それじゃあたしは……」




愛海「あの九重連山でもいただこうかなっ!!」



瞳子「ふん……来なさい小娘、分からせてあげようじゃないの!!」




愛海「うひひひ……いくよーっ!!」ビュンッ


瞳子「甘いわっ!」パシッ


愛海「……っ!」シュッ



モミッ



瞳子「……きゃぁっ!?」パッ


愛海「……っ!!」ブオンッ!!



バシッ!!



瞳子「ふん……やはり並の人間よりは強いわね。少し舐めていたわ」


愛海「……そっか。でも、負けないよ!」






晶葉「……メルヘンチェンジャーによる身体強化を、もう使いこなそうとしている……」


晶葉「なんという逸材だ……攻撃手段はともかくとして」



愛海「そこだっ!!」ヒュンッ


瞳子(また……胸っ!?)グッ


愛海「……うひひひ」ピタッ


瞳子「しまっ……」



ドスンッ



愛海「残念、胸ばっかり狙うと思った?」


瞳子「この……!」チャキッ



愛海「あっ」







バンッ!!






拓海「――愛海ッ!!」



ガキンッ!!


愛海「……おおーっ、怖かったぁ」


瞳子「チッ……外したわ」


愛海「博士、このベルト凄いね!」


拓海「なんだよ……ヒヤヒヤさせやがって」ハァ


晶葉「ふふんっ、耐久テストはばっちりだからな!爆撃を受けても起動するぞ!」


瞳子「いいわ、次は外さない!!」ジャキッ


愛海「……って、わわっ!!博士、どうしたらいいの!?」


晶葉「安心しろ、ベルトのサイリウムを黒に変えるんだ!」



愛海「えーと、これだねっ!」カシャンッ





《我が眷属となりて、三千世界を征服せよ!》




シュイイイイン!!




晶葉「デビリッシュスタイルだ。上手く立ち回れ!」



愛海「おおーっ!槍もついてる……って、この姿で銃弾防げるの?」



晶葉「はっはっは、安心しろ。理論上大丈夫だ!」



愛海「……えっ?」



瞳子「なんだか知らないけど……そんなもので防げるかしら!?」



バンバンバンッ!!



愛海「……えいっ!!」バッ






シーン……




瞳子「どこに行ったの……!?」



愛海「へへん、ここだよっ!」モミモミッ



瞳子「!?」



瞳子(こいつ……いつの間に後ろに!?)



愛海「ふふふ……凄いでしょ?」バサッバサッ



晶葉「ふっふっふ……小悪魔の羽を使うとは流石じゃないか」



愛海「いやー、まさか本当に飛べるとはね」



晶葉「ああ、全くだ」




愛海「えいっ!!」ドスッ



瞳子「ぐっ……!!」パッ



カシャンッ……



晶葉「いいぞ、拳銃を落とした!」



愛海「それっ!」ブンッ



瞳子「……ふんっ!!」パシッ



愛海「おわっ……止められた!?」グググッ



瞳子「ふふふ……喰らいなさいっ!!」ガシッ



愛海「わっ!?」ヒョイッ



ドゴォ



愛海「ぐぅっ……!!」ズサー



美由紀「愛海さんっ!!」





愛海「これくらい……どうってことないよっ!」



瞳子「……来なさい!」






愛海「はぁっ!!」ブォンッ



ヒョイッ



瞳子「ふん、そんな攻撃っ!!」バシッ



ドゴォ



愛海「うっ……!」



瞳子「ふん……まだまだね」





美玲「愛海ッ……!やっぱりトウコ様には勝てないのかッ……!?」




晶葉「……格闘術のような動き……戦い慣れていない愛海君には不利なのか!?」


美羽「愛海ちゃんっ!!博士っ、なにかないんですかっ!?」





晶葉「うぅむ……アレしかないのか……いや、アレはテストプレイどころか調整さえ……」




美羽「……何かあるんですね?」




晶葉「あの鍵をメルヘンチェンジャーに差し込むことで、パワーアップを考えていたんだが……」




美羽「それですよ!貸してください!」バッ




晶葉「あっ!美羽君待ちたまえ、それは駄目だ!!」





美羽「愛海ちゃんっ、これをっ!!」ポイッ



愛海「美羽ちゃん!?……えっ、鍵!?」


瞳子「――ふふっ、隙だらけよ!!」ドスッ



愛海「うっ」バタッ





美羽「あ――」





瞳子「鍵は私のものよ、渡さないわっ!!」ダッ









愛海「……ああっ、それだけは……!」



美羽「そん、な……私の、私のせいで……?」



晶葉「……そんな、馬鹿なっ!?」



拓海「ちくしょうっ、どうにかなんねぇのか……!?」



美玲「うがーッ!どけよお前らッ!!どうして、ウチは何も守れないんだよッ……!!」



美由紀「お願いっ、みんなを助けて……っ!!」


















??「……ふむ。たまには正義の味方というのも悪くないな。昔を思い出すよ」







??「あら、復職する?……といっても、今のあたしの相棒は拓海ちゃんだけどね」













瞳子「――まさかっ!?」





パシッ





真奈美「この鍵がどれほど大事か検討はつかないが……君には渡せないよ、瞳子」




早苗「残念だったわね。あたしや真奈美ちゃんを不意打ちで捕まえて、いい気になってたんじゃないの?」




瞳子「そんな馬鹿な……どうやってあの部屋を抜けてきたの!?」






真奈美「ああ、それは……」



真奈美「それは……実にクレイジーだったな」ゾワッ



早苗「ちょっと、やめてよ。思い出しちゃったじゃない」ブルブル



美羽「……?」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


[廃ビル:とある部屋]


真奈美「ふむ……」


早苗「困ったわね。窓は塞がれているし、ドアはこちらからは鍵をいじれないみたい」


真奈美「参ったな、私達ではどうにもならん。おまけに、ドアの向こうは人海戦術ときている」


早苗「そうね……あれ、真奈美ちゃん何か聞こえない?」


真奈美「ん?」





ギュオオオオオオオン!!



キキーッ!!




早苗「とんでもない運転ね。こんな時じゃなきゃとっ捕まえるわよ」


真奈美「まるでモーゼだな。無理矢理人の海を割って入ってきたぞ」




ガシャンッ!!


早苗「わっ!?何よいきなり!」


真奈美「ドアの格子に何か引っかかったぞ」


早苗「……ワイヤーかしら、あれ。解けないようなくらい頑丈ね」



真奈美「おいおい……まさか」







ギュオオオオオオオン!!





真奈美「早苗さん、ドアから離れて伏せるんだ!」



早苗「言われなくてもっ!!」







ドゴォ!!








[個人タクシー:車内]



運転手「お怪我はありませんか?」



真奈美「大丈夫だよ。助かったが……とんでもない運転をするもんだな」



早苗「……ええ、見なかったことにしておくわよ。ところであなた達は?」



助手席の少女「へへっ、名乗るほどのものでは。池袋所長に頼まれて、ってところだね」



運転手「あたしも同じですっ!」



真奈美「そうか、感謝するよ。……しかし、よく場所がわかったな」



助手席の少女「んーとね、RPGのセオリー的にはここかなーって思っただけだよ!」



早苗「……?よく分かんないけど、ありがとね」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




真奈美「いいんだ、そんなことは。それよりこいつはどうしたらいい?」



愛海「店長っ!それをこっちに!」




瞳子「させるものですかっ!!」ビュンッ




早苗「――あら、あたしの事を忘れてないかなっ!!」パシッ


グイッ


瞳子「きゃっ!?」グルンッ


ドサッ


早苗「真奈美ちゃんっ!今よっ!!」



真奈美「愛海!受け取れっ!」ポーンッ




愛海「……ありがとう。店長、早苗さん」パシッ






瞳子「ぐっ……この……!!」






カシャンッ



愛海「それじゃ、行くよっ!!」






愛海「メルヘンチェンジッ!!」







《蒼の境界を越え、静寂たる時を撃砕せよ!》







シュイイイイイイン……!!







愛海「……えーと、博士」



晶葉「ああ。ハワイアンスタイルと名付けよう」



愛海「これ水着だよね」



晶葉「見た目はな」



愛海「水着だよね」



晶葉「……」



愛海「水着」



晶葉「ええい!いいから早く戦え!そうしたらわかる!!」





早苗「痴漢の次は露出かぁ……シメていいの?」


真奈美「私も加勢しようかな」


美羽「ま、待ってください!あれにはきっと訳が……!」


拓海「……すまん愛海、擁護のしようがねぇ……せめて自首してくれ」


美由紀「……愛海さん、大丈夫なのかなぁ」


美玲「愛海、オマエ、それはちょっと……いや、なんでもない。なんでもないからなッ!」


愛海「ああっ、何で美羽ちゃん以外みんな引いてるのっ!?私のせいじゃないよ!?」







瞳子「ふん……いいわ、どんな姿だろうと捻り潰してあげる!!」



愛海「あーもう、調子狂うなぁ……でも、行くよっ!!」





瞳子(どんな姿だろうと……私の敵ではないわっ!!)




瞳子「喰らいなさ









ビュンッ








スタッ









愛海「おお……九重連山……いやぁ、Aもいいねぇ。大きさじゃないんだよ。わかる?」モミモミッ




瞳子「!?」










晶葉「どうだ、クロックアップシステムというのはさぞ快適だろう!」


美羽「すごい……見えない速さで愛海ちゃんが揉んでる……」


拓海「……言葉だけ聞いてるととんでもねぇ変態だな」




瞳子「このっ!」ブンッ




愛海「こっちこっち~」ニヘラ




瞳子「ええい、ちょこまかと!!」ビシッ




愛海「……なら、こっちから!」ビュンッ




スタッ




愛海「……へへっ」




ドスッ



瞳子「……ぐぅっ!?」





愛海「へへんっ、どうよあたしの絶技!」





愛海「……っと、は、早すぎて身体が……」フラッ




晶葉「むっ、やはり負担が大きかったか……!?」





ギュッ



美羽「……危ないよ、愛海ちゃん」



愛海「美羽ちゃん……」



美羽「大丈夫。私達がついてますからっ!」







愛海「……へへっ、頼もしいね!」





愛海「それじゃあ……いくよっ!」カシャンッ




シュイイイイイン……!!




《色欲に狂えし魔獣の血を、我が魂と共に汝へと解き放たん!》





愛海「もう一回っ!」カシャンッ





《さぁ、狩りの時間よ!》







愛海「これが、あたし達の、全力だーっ!!」ゴゴゴゴッ……






瞳子「――ッ!!」





愛海「うぉぉぉぉーっ!!!」





ヒュンッ








モミッ









愛海「――マスターアツミンがいる限り、この世に悪とニセモノは栄えない。ってね」








瞳子「……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」







チュドーン!!










《――闇に飲まれよ!》








シュイイイイン……










愛海「……瞳子さん。色々、あったんだね」




瞳子「ふん、小娘が……知ったような口を……」




愛海「あたしにはよく、わかんないけど」




愛海「店長と話してみなよ。ねぇ、店長」




真奈美「……瞳子。私は、君を友人だと思っていたよ」


瞳子「……ふん……あんたはいっつも、そうやって……」


瞳子「私の気持ち、知らないくせに……劣等感、ばかりに飲み込まれた私の、気持ちなんて……」



真奈美「……昔の話だが。若い頃はなんだって出来るって思っていた馬鹿な少女がいたよ」


真奈美「……それが、警察になったものの、立てこもり犯に無謀にも突撃して、誰も救えなくて」


真奈美「絶望のあまり現実から逃げた馬鹿な奴がいたんだ。今じゃそいつは、冴えない喫茶店兼ショットバーの店長さ」



瞳子「だから、なによ……」


真奈美「……瞳子の気持ちを知ることはできない。でも」


真奈美「こんな私にだって、推し量って、思いやることくらいならできるかなって、思っただけさ」



瞳子「ふん……」




早苗「……いい雰囲気の中で悪いけど、とりあえず確保ね。あとは署で聞くから」




晶葉「……そうか。これで、全てが終わったんだな」


晶葉「ふふっ、菜々君。君が遺した光は、こうも眩しく輝いたよ……」



真奈美「あなたが、池袋博士かな」


晶葉「初めまして、木場真奈美女史、片桐早苗女史。菜々君から、話は聞いていたよ」





早苗「……ごめんね、菜々ちゃん」グスッ


早苗「ああもうっ、どうして、そんな満足したような顔してるのよ……」ポロポロ……



真奈美「……菜々、話は愛海達から聞いたよ」


真奈美「……駄目だな。君はどうしてそんなに……笑っているんだい」ホロリ




晶葉「菜々君……それに、――。どうして君達は、どうして私の盟友達は……」


晶葉「私を、置いていくんだい……」


晶葉「……また、寂しくなるな」




拓海「……その、美由紀ちゃん」


拓海「すまなかった。アタシ達も、菜々さん守ろうと頑張ったけど……アタシが、弱かったせいで……」


美由紀「ううん、いいの」


美由紀「拓海さんも、みゆきのために戦ってくれたんだもん」


美由紀「……おかあさんだって、喜んでるよ」




美玲「……」ソローリ


愛海「待ってよ、美玲」


美玲「ひゃッ!?な、なんだよッ!?」



愛海「……ありがとう。美玲がいなかったら、あたし達駄目だったと思うんだ」


美玲「……ふんッ。ウチは……ウチはただ、菜々のために……」


美由紀「あのっ!美玲さんっ!」ギュッ


美玲「……なんだよッ」


美由紀「その……ありがとう」


美玲「――っ!!」ボロボロ……



美玲「帰るッ!探すなよ、後つけるなよッ!!」ダダダダッ




美羽「……愛海ちゃん」



美羽「終わったんだね」



愛海「……うん。終わったんだ」




愛海「……あたし、もっと強くなりたい。みんなを守れるように、希望を救えるように」



愛海「あたしのこの両手からこぼれ落ちるのは、胸だけで十分だから」




美羽「愛海ちゃん……」



愛海「……帰ろうか」




愛海「――あたし達の、日常に」



美羽「うん――」

今日はここまで。
次回で完結予定です。

それでは、また。

>晶葉「どうだ、クロックアップシステムというのはさぞ快適だろう!」


カブト「」

皆さんこんばんは。
今回で最後の更新となります。

それでは、よろしくお願いします。




――それからお話がどうなったか、ですか……?



――も、もう少しだけ続くんで、もうしばらくお付き合い願いたいんですけど……。



――ついでにもりくぼは帰りたいんですけど……あ、ご、ごめんなさいぃ……。





「ククク……ハーッハッハッハ!!人に生まれし者共よ、我が覇道のための贄となれ!!」



「今こそ我が力を世に解き放ち、終焉の鐘を鳴らさん!!」



「待てーっ!魔王め、それ以上はこのアタシが許さないぞっ!」



「む……矮小なる存在よ、我が魔力に屈さんとは……しかし、貴様の努力など、小さき泡沫に過ぎん!!」



「……見くびってもらっちゃ、困るぜ!」



「――変身!」





「貴様……如何にしてその禁断の力を……何者!?」





「……へんっ、アタシか?」




「アタシは太陽の子、仮面ライダージョルノ!」





[喫茶店]




「この世に光がある限り、アタシは不滅だっ!!」




美羽「おはようございます、店長」


愛海「店長、おはよー」ボケーッ


真奈美「おや、二人ともおはよう」




「おのれ……ククク、面白い!恐怖の意味を知りなさい!」




美羽「……店長がテレビ見てるの、珍しいですね」


真奈美「ははは。たまには正義の味方というのも悪くないだけさ」


愛海「またまた~。この前は正義の味方だったじゃん、店長」




真奈美「そういえば、今日は休日なのに二人とも早いな。出かけるのか?」


美羽「はいっ!裕美ちゃんと三人でショッピングに行ってきます!」





[ショッピングモール]



美羽(あれから、数週間経ちました)



愛海「ひゃっほーいっ!おはよー、裕美ちゃんっ!」ワキワキ



裕美「おはよう、愛海ちゃんに美羽ちゃん。……えいっ」グイッ



愛海「あっ、痛い痛い。ごめんなさい」



裕美「もう……愛海ちゃんも相変わらずだね。私のって……その、そんなにいいの?」



愛海「うんっ!美しさと質を兼ね備えた――」



美羽(相変わらず愛海ちゃんはこんな調子です)



美羽(この前裕美ちゃんに店長直伝の痴漢撃退術を教えました。愛海ちゃんからの被害は三割減だそうです)




[喫茶店]



愛海「ただいまーっ!」


美羽「店長、ただいま帰りましたー!」


裕美「えーっと、お邪魔します」




真奈美「おや、お帰り。丁度いい、二人とも今すぐ動けるかな?」


愛海「はいっ!あ、裕美ちゃんはこっちこっち!」ササッ


裕美「うん、ありがと愛海ちゃん」



美優「あら……愛海ちゃんに美羽ちゃん、こんにちは」


楓「お客さんが多くて、バイトがいないとやバイト……ふふっ」


愛海「おおーっ、美優さんに楓さんだ!こんにちはーっ」ワキワキ


真奈美「こらっ、愛海」ヒョイッ




美羽(あの事件から数日して、喫茶店は営業を再開しました)


美羽(お客さんや店長のご友人が、以前みたいにいっぱい来てくれるので私達も大忙しです)




美羽(少し変わった点といえば)




ギュオオオオオオオン!!


キキーッ!!




カランコロン……


晶葉「……やあ、真奈美女史。お邪魔するよ」


紗南「こんにちはーっ!あ、美羽ちゃんだ。ここはWi-Fiもあるし快適でいいねー」


美羽(研究所の皆さん……主に池袋博士と紗南さんがよく来るようになりました)




晶葉「……ああ、美羽君。これを見てくれ」


美羽「設計図ですか……?へぇ、かっこいいですね」


晶葉「だろう?『小さな英雄』プロジェクトだ。私は組織対策のためには努力を惜しまないぞ」


紗南「まあ、行き詰まったから気晴らしに来たんだけどねー」



美羽(組織は、壊滅したわけではないそうです。でも、あれからほとんど話を聞きません)


美羽(そういえば、総帥って呼ばれている人は結局いませんでしたね)


美羽(……でも、きっと組織は、私達の街からはいなくなったのでしょう)



美羽(そうそう、ひとつだけあの事件から大きく変わったことがありました)



美由紀「ただいまーっ!」


真奈美「おかえり、美由紀」


美由紀「真奈美さん、見て!宿題全部終わったよっ!」バッ


真奈美「おお、凄いじゃないか。流石は美由紀だな」ナデナデ



美羽(美由紀ちゃんは、色々あってここに住んでいます)


美羽(頼れる親族もいなかったようで、いっそそれならと店長が決めました)


美羽(たまにお店も手伝います。美優さんや楓さんに人気です)



美羽(……いつからか、お店のカウンターには)


美羽(アスパラガスの観葉植物と、ふたつの写真立てが置いてあります)


美羽(写真立てのひとつは、私と愛海ちゃんと店長、それから美由紀ちゃんの四人の写真)


美羽(もうひとつは……私達を、美由紀ちゃんを見守っていてくれる、大切な人の写真が入っています)



[喫茶店:夜]


カランコロン……


愛海「いらっしゃいませー。あれ、早苗さん……お、お酒臭いよ?」


真奈美「おや……相当酔っているようだね」


早苗「まなみちゃーん……うぅ……聞いてよぉー!!」フラフラ


拓海「木場の姉御、すまねぇ。早苗がどうしてもって……」


真奈美「ははは、いいさ。どうせまた、早苗さんがトラブルを起こしたんだろう」


早苗「だってぇー、あれはあっちが悪いのにぃー……」


prrrr prrrr!


拓海「ん、アタシのか。すまねぇ、ちょっと出るぞ」




美羽(早苗さんと拓海さんは、あの事件の後処理やあの時の急な欠勤などで未だに事後処理が忙しそうです)


美羽(でも、以前よりお二人はよく来るようになりました。……基本的に、早苗さんの愚痴ですが)




拓海「もしもし……おう、東郷の姉御か。どうした……え、早苗の財布!?分かった、今すぐ取りに行く!」



美羽(あ、そういえば一度だけ、美玲ちゃんを見ました)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



美玲「~♪」テクテク


美羽「……もしかして、美玲ちゃんですか?」


美玲「ッ!?ち、違うッ!ウチは美玲じゃないッ!」


美羽「……あの!」


美玲「な、なんだよッ!?」


美羽「いつか、うちの喫茶店に来てください。サービスしますからっ!」


美玲「う、ウチはそういうのには釣られないぞッ!」


美羽「……美由紀ちゃんも、会いたがってましたよ」



美玲「うー……わかった。……別にオマエのためじゃないからな。あ、ちゃんとサービスしろよッ!!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



美羽(いつ来てくれるのか、楽しみです)



真奈美「……どうした、美羽君。そんなに物思いに耽って」


愛海「なになに、悩み事ー?」



美羽「――はっ。だ、大丈夫ですっ!それと愛海ちゃんには悩みがあっても相談しません!」


愛海「えー、ひどーい」


真奈美「はっはっは。仲がいいのは素敵なことだが、二人とも仕事を進めてくれ」


美羽「はいっ」


愛海「はーい」




愛海「店長!片付け終わりました!」


美羽「こっちも洗い物はばっちりです!」



真奈美「ふむ……では、少々早いがそろそろだな。美羽、表の掛け看板をひっくり返してくれ」


美羽「はーいっ」




ガチャッ




『喫茶店 MasterKey』




カランッ




『Bar MasterKey』






真奈美「それじゃ、今日も開店だ」






―――――――――――――――――――――



P「おぉ……ブラボー……ハラショー……」


P「いい話じゃないか……大まかに見ると」




♪~



P「えーと、これは……快傑ズ○ットのエンディングだっけか」


P「……まさか、だろうな。これも水木のアニキだし」






♪師匠はひとり 胸を揉む


♪師匠はひとり ゆくものさ


♪もえる願いに いのちをかけた


♪山のかなたに 72がある



♪愛か まことか ニセモノか


♪たたかいの道 山地獄


♪72があるのか しらないが


♪師匠はひとりで ゆくものさ


―――――――――――――――――――――

師匠はひとり道をゆく


歌   水木○郎
作詞  棟方愛海

……

原曲  男はひとり道をゆく

―――――――――――――――――――――


ttp://www.youtube.com/watch?v=nGjaxb5JcRs




        キャスト


棟方愛海/マスターアツミン      棟方愛海

矢口美羽                 矢口美羽

柳瀬美由紀                柳瀬美由紀

木場真奈美                木場真奈美

片桐早苗                 片桐早苗

向井拓海                 向井拓海

関裕美                   関裕美


ナナ/ラブリーナナ            安部菜々

池袋晶葉                    池袋晶葉

三好紗南                    三好紗南

タクシーの運転手              原田美世

バーの店主                  東郷あい

喫茶店の客A                 三船美優

喫茶店の客B                 高垣楓


手下A                       輿水幸子

踊り子怪人ナターリア           ナターリア

きぐるみ怪人ミレイ             早坂美玲

地獄怪人スズホ              上田鈴帆

大幹部トウコ                 服部瞳子



メルヘンチェンジャーの声/魔王 神崎蘭子

仮面ライダージョルノ           南条光


ニュースキャスター            高槻やよい(友情出演)

ナレーション/森久保乃々     森久保乃々


その他                    シンデレラガールズプロダクション

                          エキストラの皆様



        スタッフ



監督・脚本・選曲             南条光

撮影・脚本                 三好紗南

編集指示・道具作成         池袋晶葉

総合演出                 棟方愛海

装飾演出                 関裕美

衣装デザイン              神崎蘭子

衣装作成                上田鈴帆

メイク                    輿水幸子



監督補佐・指導            ……

撮影補佐・指導            ……

編集                    ……

音響                    ……

……

―――――――――――――――――――――


P「ああ、やっぱりプロの人達がサポートに入ってるのか。納得だ」




        スペシャルサンクス



            水木○郎


        765プロダクション




           制作



 「戦え!マスターアツミン」制作委員会


  シンデレラガールズプロダクション






―――――――――――――――――――――


P「いい作品だった」


光「だろっ、プロデューサー!」ヒョコッ


愛海「うひひひっ、あたしが主役なんだから当然だよー」ヒョコッ


P「おう、名監督に主演女優。お疲れ様」ワシャワシャ


光「えへへ。アタシ達、凄く頑張ったんだ!」


P「そうかそうか。でも、本当に済まなかったな。ほとんど制作に関われなくて」


光「仕方ないよ、プロデューサー多忙だったからな」


P「ああ、でも驚いたよ……。俺がほとんど手伝えなかったのに、よく完成させたな」


愛海「あたし達だけの力じゃないからね。ちひろさんや大人のみんなにも手伝ってもらって、上手くいったんだよ」


P「そうかそうか。流石だなぁ」



P「光が『同年代のみんなで映画を作りたい!』って言い出した時にはどうなるかと思ったよ」


光「みんな、なんだかんだで頑張ってくれたからな。助かったよ」


P「まさか、同い年だからって765プロの高槻さんにも出てもらうとはな」


愛海「予定が上手く合わなかったから、結局顔合わせも殆ど出来てないんだけどね」エヘヘ


P「まさか揉めなかったのが残念とは言わないよな?」


愛海「てへっ☆」


P「おいこら」




P「……でもどうして愛海が主人公なんだ?」


光「あはは……最初は、アタシが主演もやろうと思ったんだけどね」


愛海「さすがにそれはみんなで止めたよ。そしたら、いつのまにかあたしになってたの!」


光「誰かが冗談で『愛海がいいんじゃないか』って言ったら、そのまま脚本が出来上がっちゃったんだ」


P「そうなのか。愛海もよく頑張ったな……作中抑えきれてない所ばっかりだったけど」


愛海「カメラが回ってなければ揉み放題と聞いて」


P「はっはっは、おい待て愛海」


愛海「えへへ……楽しかったよ!」


P「おいおい……」



P「にしても、監督に脚本か。光もよく頑張ったな」


光「えへへ。……でも、脚本は全然だよ。紗南と共同だし、大人のみんなにも手伝ってもらったし」


愛海「で、あたしなりにアレがいい、コレやりたいってお願いして……」


光「そうやって脚本ができたんだ」


P「うんうん……ん?」


愛海「気にしない気にしない」



P「そういや、OPとEDはどうやって兄貴に歌ってもらったんだ?」


光「アタシがこの曲を使いたい、って言ったらちひろさんがなんとかしてくれたんだ」


愛海「で、あたしなりにアレンジを……」


P「……よく許可が出たなぁ」


光「おかげで兄貴にも会えたよ!サインも握手も……もう、こんなに嬉しいことはないぜっ!!」


P「……こっちとしては、胃が痛いよ。向こうの事務所からなにか言われないかとか……」




光「でも、なんだかもったいない気がするな。映画館で上映されるわけじゃないし……」


P「ああ、それなんだが……もしかしたら、上映されるかもしれないぞ」


光「ほ、本当か!?」


P「ああ、どうにか上映されるようにいろいろな会社に掛けあってみるよ」


P「こんないい作品を埋もれさせるのは、やっぱりもったいないだろ?」


愛海「やったね、光ちゃん!」


P「ああ、ただし少なくともPG-12だろうな。それと愛海の問題シーンはかなりカットかもしれん」


愛海「ええっ!?」


P「愛海をこういうキャラで売り出しているとはいえ……さすがに、派手にやりすぎだ」


P「もしかしたら兄貴の歌とかも、権利の関係で難しいかもしれないなぁ……」


光「むむむ……仕方ないかぁ」


愛海「よくない、よくないっ!カットは駄目だよっ!!」



愛海「って、こんなことしてる場合じゃないよ光ちゃん!」


光「おお、そうだった!プロデューサー、早く行くぞ!」


P「行くって、どこに?」


愛海「打ち上げだよ、やっぱりプロデューサーもいないとね!」


P「……俺、ほとんど制作に関われてないぞ?」


光「いいのいいの!プロデューサーがいなかったら、この映画だって出来なかったんだからな!」




光「それに、この映画のイチバンのスペシャルサンクスは……」



愛海「なんたって、プロデューサーだからねっ!」





P「そうか。……そりゃあ、どうも。プロデューサー冥利に尽きるってもんだ」


P「それじゃあ、行くか!」


光「おうっ!」


愛海「うんっ!」





おわり

コンセプトは
・14歳組で何かひとつの事をさせる
・愛海が主役でかっこいい?ポジション

で書いてました。

たまにはかっこいい師匠も、いいよね?


ということで、それではまた。
ありがとうございました。

最後に、画像を貼っておきます。
一度画像を貼った四人は、すみませんが割愛。

棟方愛海
ttp://i.imgur.com/3lesLcc.jpg

マスターアツミン マイティスタイル
ttp://i.imgur.com/PwMToDz.jpg

マスターアツミン デビリッシュスタイル
ttp://i.imgur.com/1xn6VCd.jpg

マスターアツミン ハワイアンスタイル
ttp://i.imgur.com/ezAfsqu.jpg

矢口美羽
ttp://i.imgur.com/hn2xLUk.jpg

木場真奈美
ttp://i.imgur.com/164aDh5.jpg

片桐早苗
ttp://i.imgur.com/vTXHcmC.jpg

向井拓海
ttp://i.imgur.com/yFnbVHZ.jpg

関裕美
ttp://i.imgur.com/61Ioayl.jpg


安部菜々
ttp://i.imgur.com/lTkFvdf.jpg

ラブリーナナ マイティスタイル
ttp://i.imgur.com/Q2znnYI.jpg

ラブリーナナ ガーリッシュスタイル
ttp://i.imgur.com/JQrvvDQ.jpg

池袋晶葉
ttp://i.imgur.com/gnIE9ym.jpg

三好紗南
ttp://i.imgur.com/uvJ1oJE.jpg

原田美世
ttp://i.imgur.com/PxuPddg.jpg

東郷あい
ttp://i.imgur.com/he7JdGG.jpg

三船美優
ttp://i.imgur.com/J0eM6gC.jpg

高垣楓
ttp://i.imgur.com/n0CDOOk.jpg

輿水幸子
ttp://i.imgur.com/mcD5oVv.jpg

神崎蘭子
ttp://i.imgur.com/RGGIoGO.jpg

南条光
ttp://i.imgur.com/hushzs9.jpg

高槻やよい
ttp://i.imgur.com/vifPBxF.jpg

森久保乃々
ttp://i.imgur.com/YZXM4Zn.jpg


これで全員分……のはずです。

それでは、また。
ありがとうございました。

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