恵美「あなた何で日本語覚えたの」鈴乃「アニメとか」 (5)

※うどんさん型崩れとメタ注意


恵美「は?」

耳を疑ったが、非常に残念なことに聞き間違いではないようだった。

鈴乃「アニメだけではないぞ。マンガ、ゲーム、ラノベ、声優ラジオなども嗜んだ」

鈴乃「日本の誇るオタク文化とやら全般を学んできた。日本と言えばコレらしいからな」

真面目な顔だった。
それはもう冗談の余地のないクソ真面目な顔だった。

鈴乃「ちなみにエミリア、あなたは今期どのアニメに注目している? いや、当然私は全部見るが」

恵美「知らないわよぉぉぉぉぉ!!」

喫茶店の中だということを気にする余裕もなく、私は絶叫した。

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恵美「えぇとね、ちょっと、ちょっと待って」

頭を抱える。
おかしい、どういうことだ。

エンテ・イスラからやってきたクレスティア・ベル——もとい鎌月鈴乃。
彼女の時代がかった……というか変に形式張った口調と、
この暑いのに和服に革ジャンという謎のファッションの出処を聞いてみたら先ほどの答えだ。

鈴乃「残念ながら魔眼の類の能力は使えないのだがな。聖職者故、刃物は扱えないしな。こすぷれというやつだ」

もう彼女が何を言っているのか分からなかった。

恵美「あのね、あなた何で日本に来たんだっけ?」

鈴乃「魔王を倒し、勇者であるあなたをエンテ・イスラに連れ帰り、腐った教会を正すためだ」

恵美「そうよね? そうなのよね?」

少しほっとする。
いや、今のところ私にその気はないのだが、彼女がちゃんとした目的を持っているらしいのはありがたい——

鈴乃「しかしな、私の尊敬する聖職者曰く、暴力を振るって良い相手は悪魔共と異教徒共だけだと言うのだ」

鈴乃「今の魔王達は人間で、無宗教だろう? 果たして暴力を振るって良いものか……」

恵美「……多分、その人の言葉は信用しなくていいと思うわ」

真剣に腕を組んで悩む彼女は、おそらく性根が真面目なのだろう。
色々と目にするうちに何だか変な方向に染まってしまったらしい。
……この世界に来て時代劇にハマった私にも、この世界の娯楽の多様さ、クオリティの高さは分からないでもない。

鈴乃「しかし"魔王"という存在は、魔の王という字のとおり、まさに悪の権化であるはずだが」

鈴乃「彼らを見てるとどうもそんな雰囲気がまったく感じられず、戸惑っているところだ」

まあ、そこは遺憾ながら同意できる。
バイトに精を出す魔王を見ていると、こちらが深刻に構えるほうが馬鹿らしくなる。

鈴乃「だが昨今では魔王も学園生活を送ったり勇者と一緒に経済活動を行ったり、むしろ味方のほうが多いように思うな」

鈴乃「そもそも人間の敵が実は向こうの正義のために動いているというパターンは昔から珍しくない。ダオスとかな」

鈴乃「"魔王"の扱いにしてもクロノトリガーの時点で仲間になったりしているし、単に魔王を倒せば話が成立する黎明期と違い」

鈴乃「現代では捻りに捻ってオリジナリティを生み出さんとする作り手の苦労が……」

恵美「ごめん、分からない。何一つ分からない」

放っておけばいつまでも語り続けかねない彼女を遮る。

恵美「え、何? つまりあなたは、あいつらも実は良い奴だとか言いたいわけ?」

鈴乃「断定はしない。が、その可能性もあると思い今は観察している」

恵美「……言うまでもないけど、あいつらにどんなご大層な目的があろうと、エンテ・イスラに侵略したのは事実なのよ?」

何で私がこの子を説得するような形になっているんだろう。
自問自答しつつも、厳しい声で問い詰める。
そう、その目的は未だ不明だが、奴らは紛れもなく多くの人の命を奪った敵なのである。

鈴乃「うむ……それはそうなのだが」

彼女も表情を深刻なものに改めた。

鈴乃「ぶっちゃけた話、私も異端審問とか言って結構な数の人間を殺ってるし……あまり命の大切さ云々を語れないというか……」

うわぁ、本当にぶっちゃけた。

鈴乃「あなたの活躍で魔王がいなくなって、やっと世界が平和になって、この手を汚すこともなくなると思ったら」

鈴乃「平和になった途端に国同士で勢力争いを始めるし、教会の体質は相変わらずで勇者ブッ殺してこいとか言うし」

鈴乃「何かもう疲れて……そんなとき日本の文化に触れて癒されて」

鈴乃「魔王が無害なようなら、もうこっちに永住して安らかな余生を送ろうかなとか……」

テーブルに俯いて本当に疲れたように言う彼女だった。
余生て。

恵美「……その若さで何言ってるのあなた」

鈴乃「ふん、十七の小娘が。私はなー、もう結構な年なんだぞ。なのに独身だぞ。あと数年もしたら独神になれるぞ」

手にしたアイスコーヒーで酔っ払ったかのようにヤケクソじみた態度になる。

恵美「んな情報要らないわよ」

鈴乃「分かるか、気づいたら子供のヒーロー冴羽?や剣心やぬ〜べ〜の年に追いつき追い越す恐怖が。奴らあれで結構若いんだぞ」

恵美「だから要らないって言ってんのよそんな情報はぁぁぁ!」

この子……いや随分お年を召されてるようだが、この子は一体どこまで日本の文化を勉強したのだろうか。
さっきから私には未知の単語しか出てこなくて苛ついてきた。

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