俺「にゃーん」

兄「……」

俺「にー」

兄「………」

俺「にゃー」ｽﾘｽﾘ

兄「………」

俺「……」ｼﾞｰ

兄「ああもう！わかったよ、まったく…」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

俺「にゃー♪」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

俺「にゃーん」

兄「……」

俺「にー」

兄「………」

俺「にゃー」ｽﾘｽﾘ

兄「………」

俺「……」ｼﾞｰ

兄「ああもう！わかったよ、まったく…」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

俺「にゃー♪」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

兄「………」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹「にゃ♪」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

兄「………」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹「にゃー…」

妹「………」

妹「……ん…？」


兄「…お、戻ってきたか」

妹「…あれ、私…」

兄「…ああ」

妹「…そっか…また、猫化してたんだ…」

兄「…気分はどうだ？」

妹「あんまり良くない…」

兄「そうか…」

妹「………」

妹「……もう少し…」

兄「ん？」

妹「…もう少し撫でてくれたら…良くなるかも…」


兄「………しょうがないな…」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹「ん…」

「猫化病」
最近発見された病気の名前だ。
成人以下の女の子のみがかかると言われている、特殊な病気だ。

症状は人によって違う。暖かい場所ならところ構わず眠りだしたり、人にじゃれついたり、走り回ったり…といった感じに。

ただ、「猫化」した全ての人に共通する症状がある。一つ目は、猫の鳴きまねをすること。二つ目は、猫耳が生えるということだ。

この病気の原因は不明。
精神病の一種という説もあるが、猫耳が生えてしまっては精神病というカテゴリにはおさまらないだろう。
現代の科学では解明できない、まさに「奇病」と呼ぶのが相応しい病気だ。

兄「……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹「…もう…大丈夫」

兄「…そうか？」

妹「うん、ありがと」


兄「しかし、久しぶりだなぁ。猫化」

妹「しばらくなってなかったんだけど…」

兄「治ったかと思ってたんだけどな」

妹「んー、まだみたいだね」

妹「はぁ…またしばらく猫耳消えないのかぁ…」ﾋﾟｺﾋﾟｺ

兄「かわいいからいいじゃん」

妹「えっ」

兄「似合ってると思うぞ、猫耳」

妹「そっ、そう…かな…？」

兄「ああ」

妹「…なら、いい…かな…ｴﾍﾍ…」

兄「しかしなぁ…」

妹「なに？」

兄「なんで猫化の症状が、『俺に甘える』なんだろうな」

妹「な、なんでだろうねぇ…」
兄「ほかの人には目もくれず」
兄「俺のところに猛ダッシュだもんなぁ」

妹「………」

兄「他の人のところに行かれるよりはいいけど」

妹「そ、そうだね。お兄ちゃんでよかったよ」

兄「でも、学校を飛び出して俺の学校まで来ちゃうのは問題だなぁ…」

妹「うぅ…確かにそれは…」

妹「なんとか猫化をおさえられないかな…」

兄「うーん…」

兄「……」

兄「そうだ！猫化の前に猫化すればいいんじゃないか？」

妹「え？」

兄「ほら、ストレスが猫化につながるっていう説もあるし」

兄「なら、事前に猫化してストレスを解消しておけば…猫化は防げる！」

妹「ストレスで猫耳は生えないと思うんだけど…」

妹「それに、猫化ってやろうと思ってできるわけじゃ…」

兄「本当に猫化する必要はない」

兄「猫化みたいな行動をすればいいだけだ」

兄「それでストレスが解消されるかもしれないし」

妹「うーん…」

兄「試すだけ試してみよう」

妹「えー…」

兄「さあ」

妹「さあって言われても…」

妹「猫化中ってなにも覚えてないからよくわからないよ…」

兄「ああ…そうか」

兄「じゃあ俺が教えるから」

妹「う、うん」

兄「じゃあまずは、鳴き声」

兄「にゃあ！」

妹「………」

兄「妹、無言はやめてくれ。恥ずかしい」

兄「もう一度いくぞ」

兄「にゃあ！」

妹「に…にゃあ」

妹「………」

妹「……お兄ちゃん、これ…恥ずかしい…」

兄「大丈夫、いつものことだから」

妹「いつもなんだ…」

兄「で、鳴き声をあげた後、俺に擦り寄ってくる」

妹「………」

兄「にゃーんって」

妹「………」

兄「にゃーん」

妹「……に、にゃーん」

兄「そうそう」

兄「鳴き声にもいろいろあって」

兄「にゃーとか、にーとか、にゃんとか」

妹「………」

兄「で、俺に抱き着いてスリスリしてくる」

妹「えっ…ええええっ」

兄「…嘘は言ってないぞ？」

妹「そっそれはっ、毎回…そうなの？」
兄「毎回」

妹「………」

兄「妹…顔が赤いぞ」

兄「ほら、妹」

妹「………」

兄「………」

妹「…………」

妹「…に、にゃーん」ｷﾞｭ

兄「…よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹「………」