高垣楓「なんてことない」 (38)



ウィーン


「いらっしゃいませー」


楓「……ふぅ」
http://i.imgur.com/S6hpaK9.jpg
http://i.imgur.com/PglGTZp.jpg


楓(今日は忙しかったから……晩ご飯はコンビニのお弁当で済ませちゃおうかな)

楓(…! 遠出だったからお弁当で済ませる。…)

楓「ぷふっ」プルプル


「?」


楓「考えてみたらべつに今日は遠出ではなかったわ」


「??」


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>>1
もうこの時点で楓さん面白い。
期待してますっ☆



ブツブツ


楓(飲み物は緑茶にします。お寿司ですし)

楓(みーとミートソース……)

楓(面倒だからカップ麺でどう?)

楓(……お寿司ですし!)

楓「……、ぴんと来ないなぁ…」ウーン


(ひとりごとの多いお客さんだなあ)イラッシャイマセー


楓「!」ピコーン

楓(そうだ、せっかくだしお酒を……ちょこっとだけ……お猪口でちょこっと……ふふっ…)トトト…


(でも歩き方が可愛い。大人っぽい雰囲気なのに……)


楓(プロデューサーさん、まだ事務所にいるかな……。一緒に付き合ってくれるかしら。おつまみと、お酒を少しと……)

楓(あ、そう言えばお金は…)パカ

楓「…………あら」


ちゃりーん



・・・・・



比奈「…」
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柚「……」
http://i.imgur.com/NtMpafM.jpg


P「?」カタカタ

P(二人してなんだか真剣な目を…。め、珍しく真面目な話かな)

柚「比奈サン」

比奈「はいっス」

柚「このお弁当、カレーのルーをご飯の方に流しちゃうべきかな。それともご飯をルーの方につけちゃうべきかな」

比奈「難しい問題っスね」

P(うっわすごいどうでもよかった)カタカタ…


比奈「こう…つけながら食べると、ルーを先に食べ切っちゃう可能性が」

柚「あるね」コクコク

比奈「かと言ってばさっとかけちゃうのもなんだか」

柚「汚いよね」ウンウン

比奈「うーん」

柚「うーん」

P(初めからカレーにしなきゃよかったじゃないか)カタカタ

比奈(それを言ったらおしまいでスよ)

P(言ってないよ?)


P(相変わらず俺の心の声は筒抜けなのか……)

比奈(プロデューサーは嘘がつけないっスからねぇ)クスクス

P(もうこれそういう問題じゃないよ)

柚「?」

柚「むー。なんとなくアタシが仲間外れな感じがするよ」

P「仲間外れもなにも」

柚「アタシとは遊びだったの!?」

P「なっ――俺はお前とのことを遊びだなんて思ったことは一度もない!」

柚「ふぇっ」

比奈(天然のカウンターっスね)


柚「……」アウ

柚「そ、そか。ならいーんだけど」

P「よくないだろ。たしかにお前こそ、初めはなんか面白そうってくらいのノリで俺について来たのかもしれないが」

比奈「その言い方だとまるで柚が○ッチっスね」

柚「ちょちょ、アタシはそんなんじゃないよぅ」

P「いまはもういろいろ分かって、努力もして、真剣に取り組んでるだろ?」

柚「ま、まあね? 好き嫌いとかも分かったし、お弁当もたまーに作ったりしてるし?」テヘテヘ

比奈(柚は乙女っスねー)

P「でも…そうだよな。俺たちにはまだまだ先があるよな!」

柚「!? ちょ、そ、それはちょっと気が早いんじゃないカナー!?」アワー!

比奈「で、いつまでやってんでスか」



ペチ


柚「ふぎゃ」

比奈「ちょっとプロデューサーの心を読んでただけっス。仲間外れなんてことはないっスよ」ナデナデ

P(ちょっと?)

柚「そっかー」

P(納得するのかよ)オイ

柚「でも羨ましいかも…」

P(羨むようなことじゃないって)

比奈「じゃあ柚にも教えてあげるっスよ」

P「教えられるもんなのかよ!」

柚「ホント!?」ワーイ

P「やめてくださいまじで」


比奈「こう、プロデューサーのことを強く想ってでスね」ムム

P(無視かよ)

柚「う、うん。Pサンのことをね」ニュニュ

P(なにこれ恥ずい)

柚「へへっ。それならいつもやってるから得意だよ!」ニパー

P(なにそれ恥ずい)

柚(ふへへ。恥ずかしがるPサンってちょっと可愛いカモ!)

P(なんだよそれ)

柚(てへ?)

P(てか)

柚(ン?)

P「できてるし」

柚「あっほんとだっ」


比奈「ね。簡単でしょ」フヒヒ

柚「うんっ。意外とできたっ」ニパー

P「そんな当たり前に人の心を読まないでくれ……」ゲッソリ

柚「ふへへっ。ごめんねー」ナデナデ

P「許すもんか。俺の平穏を返せ」グス

比奈「…」クス

比奈「べつに簡単でもないっスけどね」

P「え?」


比奈「なんて言うか、簡単は簡単っスけど」

比奈「柚も言っていた通り、柚はいつもプロデューサーのことを考えてたから、できただけっスよ」

P「……」

柚「あう、えと」

柚「ま、まあね。…お恥ずかしながら」

P「…ぷ」

P「なんだそれ」ハハ

柚「なんだろー」ヘヘ

比奈「ふふ」

柚ちゃんマジ天使


P「まあ…うん」

P「そっか。そういうことなら、まあ、いいや」

比奈「あ、いいんでスね」

P「うん。それだけの信頼関係が築けたんだって思うことにするよ」

比奈「なるほどっス」

柚「Pサン信じてるよ!」ペカー

P「ありがとう」




P「しかしそうなると比奈はいつも俺のことを考えて――」

比奈「ノーコメントで」

P「ははは。いまなら俺も比奈の心が読める気がぐべごべんなさい」ダラダラ

比奈「ふんっ」

柚「比奈サン可愛いなー」ニパニパ

比奈「あーどーも」ハア


P「ほら。早く食べないとお弁当冷えちゃうぞ」

柚「はーい♪」

比奈「はーい」

P「…」フゥ

P「さて、俺もさっさと残りの仕事を――」クルッ


楓「……」チビチビ

P「」ビクッ

楓「?」

楓「あ、こんばんは」ペコ

P「こ、こんばんは」

楓「はい」ニコ

P「…」…ハハ

P(って、なんだこれ)


P「あの、楓さんはいつからそこに?」

楓「へ? ああえっと……“二人してなんだか真剣な目を…。”辺りから…」カナ…

P「け、けっこう前ですね」

楓「そうですか?」

P「そうで…」ハッ

P(というか楓さんにまで心読まれてんじゃん俺!)ガーン

楓「??」チビチビ


P(……しばらく立ち直れない気がする)ズーン

楓「ど、どうかしましたか?」

P「…いえ、べつに…… ?」

P「あの、楓さん、それ」

楓「はい?」チビチビ

楓「あっこれですか? ふふっそうでした、これはですね」ガサガサ

P「?」


こと


P「……」

楓「…」フフーン

楓「おにぎりと、おにころしです」

P「なに当たり前のように事務所で酒飲んでんですか」ペチ

楓「にゃん」


楓「いたいです……」サスサス

P「反省してください。まったくもう」

楓「だって」

P「?」

楓「プロデューサーさん、まだお忙しそうでしたし……。お邪魔するのもって、思ったので」シューン

P「……気を遣ってくれたんですね」

楓「い、いちおうは」

P「一応は」クス


P(“誘わない”という気の遣い方は、なんとも楓さんらしいですが)

楓「?」


ヒョイ


P「というかもしかして」

P「さっきの駄洒落のためにこれにしたんですか?」

楓「あ、はい。それもあります」

楓「他のお弁当でもいろいろ考えてみたんですけれど、しっくり来なくて…」

楓「いまのが一番、プロデューサーさんが笑ってくれるかなって、思ったんですけど」

P「……まあ、シンプルなのはいいと思います」

楓「本当ですか?」パァッ

P(可愛い)


P「無理に事務所に戻って来ることもなかったのに」

楓「えー」

P(えーって)

楓「面白いことはだれか言う相手がいるから楽しいんですよ?」

P「…なるほど」

楓「はい」ニコ

P「まあさっきの駄洒落が面白かったかどうかはさておき」

楓「あれ? さっき褒めてくれましたよね?」

P(そうすると、最初から事務所には戻って来るつもりだったのか、楓さん)

P(それはなんというか、)

楓「?? プロデューサーさん、なんだか嬉しそうですけど……やっぱり実は面白かったんじゃないですか?」フフフ…

P「それはないです」

楓「(´・ω・`)」ソンナヒテイシナクテモ…



こと


P「楓さんでもこんな安酒を飲むんですね」

楓「プロデューサーさんも飲むんですか?」

P「金がなかったころは飲んでましたね。いまでも嫌いじゃないですけど」

楓「意外とくせになったり」

P「そうそう」

楓「ふふ。それにさっきの話もそうですけど」

P「ええ」

楓「だれと一緒に飲むかとか。さっきまでは三人のやり取りを肴に飲んでましたけど」

P「はい」

楓「それでとってもお酒がおいしくなりました」

P「分かります」

楓「はい」


楓「まあ、お財布に小銭しかなかったのもあるんですけど…」テヘ

P「だろうと思いました」クス

P(なのにだじゃれのためにおつまみじゃなくておにぎりを買って来る楓さんはさすがです)

楓「??」


楓「というわけで、はい」コト

P「え?」

楓「もしお仕事が一段落ついたなら、でいいですけど。一緒に飲みましょう?」

P「……、ありがとうございます」

楓「いえ」

P(いい人だ)


仁奈「仁奈もお腹が空きやがりましたよ!」ガオーッ
http://i.imgur.com/5FAOhOT.jpg


比奈「はいはい。お弁当が買って来てあるっスよー」ガサ

柚「ふふーん。カレーはもう柚のものなのだ♪」カパッ

比奈「大人気ないっスね…。えと、のり弁とチキン南蛮だと、仁奈ちゃんはどっちがいいっスか?」

仁奈「仁奈はどっちでもいいですよ。おねーさんが先に選んでくだせー」ドゾー

比奈「ふふ、仁奈ちゃんはいい子っスねー。何多見さんちの子とは違って」ナデナデ

柚「あれっ、そ、それってアタシのことかな?」

仁奈「それほどでもねーですよ!」ニパッ


柚「ほ、ほら仁奈チャン! アタシのカレー、ちょっと分けてあげるよ!」

比奈「必死でスね」

柚「あ、アタシだってお姉さんだもん!」フフーン

仁奈「いらねーです」

柚「えっ」ズガーン

仁奈「かれーのは苦手でごぜーます」シュン…

比奈「いいんスよー。無理して食べることはないっス。あんな意地悪なおねーさんの言うことを聞くこともないっス」ナデナデ

柚「うえーん! 比奈サンがいじめるよぅ!」

比奈「あははは」


P「?」チビ


よたよた


どたっ


P「うお」

柚「聞いてよPサーン……比奈サン、比奈サンがね…」グス

P「お、おう」

柚「?」

楓「……」プルプル…

柚「楓サンはどうしてぷるぷるしてるのカナ?」

P「さあ。なにか面白いことでもあったんだろ」


カレーハカレーデスヨ!


楓「ブフッ」

P「はしたないですよ楓さん」

柚「??」ハテ


柚「二人はなにしてるの?」

P「ちょっとお酒を」

柚「ほうほう。大人の世界ですな」

P「まあな」ハハ

P「お前たちのやり取りを肴にさせてもらってるよ」

柚「!? ぴ、Pサン、アタシを食べちゃうの!? だ、だからまだ早いってばぁ……//」キャー

P「食べねえよ。なんの話だ」

柚「あれっ」


P「お前たちのことを見て楽しんでるよってこと」

柚「あ、なるほど」ポン

柚「…、でもそれってちょっと失礼な気がするよ?」

P「気のせいだろ」

柚「気のせいかな。そうかもっ」テヘヘ

P(単純だな)


柚「へへっ。でもそれならよかった」

P「ん?」

柚「二人は一緒じゃないのかなって。でもそんなことないね。一緒だね」

P「…おう」

柚「うん!」ニパー

柚「じゃーお弁当の続き、食べてくる!」パタパタ

P「はいはい」

柚「Pサンがアタシを食べるのはまた今度ねっ」

P「だから食べねえって」

柚「ふへへ♪」テヘペロー

P「……ったく」ハア



楓「柚ちゃん、いい子ですね」

P「そうですね。まあうちの事務所にはいい子しかいませんけど」

楓「ふふ。プロデューサーさん、それってなんだか親バカですよ」ニコニコ

P「普通ですよ」

楓「そうですか?」クスクス



比奈(そういう楓さんはそんな親バカの奥さんみたいでスけどね)クス

柚「食べるぞー」オー

仁奈「おー!」デ、ゴゼーマス!



わいわい


ちびちび


楓「…今日は」

楓「本当にお酒のおいしい日ですね」

P「そうですね」

楓「こんななんてことのない一日が幸せですね」

P「幸せですね」

オチもなにもないですが、これで終わりです
楽しかったです。お読み頂きありがとうございました、途中のレスにも感謝です

乙ですっ☆
なんとなくだけど、カレー冷めちゃうんじゃないかとヒヤヒヤした。

平和だなあ

楓さんかわいいなぁ

おつー

おつん
比奈さんかわいい

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