【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力か…」和「SOA」【安価 (886)

○このスレは京太郎を主人公とする18禁SSのスレです。

○某ヒロインと似たような事は言っていますが、学園都市とは関係ありません。

○安価スレに慣れる為の実験作でもあるので、たまに安価を出しますが、基本、どれを選んでもBADにはなりません。

○エロ描写は書き溜めしてから投下するので数日空く事もざらにあります。申し訳ありません。

○割りとご都合主義です。エロネタ書きたいから仕方ないね。

○イッチは風評被害や他スレネタがあまり好きではありません。このスレではご遠慮下さい。

○スレ立て初めてです。色々と不慣れな事に苛立たせるかもしれませんが、アドバイスをお願いします。

○第一話投下後に最初のヒロイン安価を出します。振るってご参加下さい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362581171

た、立っちゃった…これで逃げられない…
0時から投下しまする

ありがとうございます!
ついでにトリテスト。
これで大丈夫…だといいなあ。

きょ、京ちゃんだって運が良ければ一回くらいは和了れるから…(震え声)
後、最初のヒロインもとい犠牲者は和になります。
淫乱レズピンクじゃなく、大天使を目指しているので、それらを期待している方は申し訳ありません。
まぁ、すぐに淫乱堕天使になるんですけれどね!!!(ゲス顔)

おもち限定なん?

>>6
もう大平原組は大体、京ちゃんに攻略されてるから良いかなって…。
後、イッチはおもち派閥なんや…。

では、そろそろ投下しますー。

なんでズレてるんや…あわわ
上は>>7です





—この世の中にはオカルトと呼ばれる特殊な能力がある。

例えば、無名校であった清澄で大将を務め、同校を全国大会優勝へと導いた宮永咲の嶺上開花。
カンをすれば、必ず有効牌を引くその能力はジンクスでは説明し尽くす事が出来ない。

例えば、清澄に敗れはしたものの、長野が魔境と呼ばれるようになった一因でもある天江衣。
聴牌時に他家の和了を抑制し、必ず海底摸月を決めるその能力を運の良さと言う事は出来ないだろう。

例えば、かつて死の淵を覗きこんだ少女、園城寺怜が持つ未来視。
麻雀と言う競技に置いて、一巡先を捉えるそれは現代科学では到底、追いつくことの出来ない領域だ。

他にもドラゴンロードと呼ばれる松実玄や龍門渕透華など、確率の偏りなどではその一端も説明出来ない者たちが全国には数多く存在する。



そんな世界に住まう一人の少年。
彼の名前は須賀京太郎と言う。
無名校から一躍、強豪校へとのし上がった清澄高校麻雀部唯一の男子部員である。
とは言え、その実態はほぼ雑用。
大会に向けて特訓を重ねる女子部員たちを支え続け、地区大会予選でも一回戦で敗北した。
特に秀でた特徴はなく、精々が一年近い雑用で磨かれたスキルと身体能力があるだけの平々凡々な少年。
少なくとも同校の宮永咲のようなオカルト能力など無縁で、麻雀の実力も初心者に近いという有様である。

しかし、彼は全国を見た。
いや、それもただの全国ではない。
並み居る強豪たちを打ち倒し、そしてインターハイチャンプである宮永照を打ち破った仲間たちを誰よりも間近で見ていたのである。
輝く歓声、湧き上がる熱気、そして肌が震えるほどの逆転劇。
それらを間近で、けれど、誰よりも遠い場所で見ていた彼の中に一つの欲求が沸き上がってきた。

「あぁ…俺もあんな風になりたいな」と。



—もう一度、言おう。

彼は平凡な男子高校生であり、世に言うオカルト能力など持っていない。
特徴らしい特徴と言えば、雑用を続けていても苦にならない精神性と、おもちに対する強い情熱だけである。
だが…そこに未だ眠ったままのの潜在能力が加われば、一体、どうなるのか。
仲間たちの雑用を引き受け続けたが故に開花する事がなかった蕾が花開いた時、一体、どんな色を見せるのか。

それはまだ、誰にも分からない事である。




10/3(月)
〜京太郎〜

その日もいつも通りの流れだった。

授業が終わり、部活に行って、買い出しなどの雑用を済ませる。
その間、ずっと麻雀を打ち続けている女子部員に差し入れを済ませ、他校の情報収集を。
公式戦はもう終わったとは言え、この時期はまだまだ色んな場所で大会が行われているのだ。
それらのデータを部室の隅で置いてある机に纏めて処理するのが、今の俺の一番、大きな仕事である。

京太郎「(何せ、二連覇がかかってるからなぁ…)」

去年、名門風越を破り、全国へと出場した龍門渕。
そして、今年、風越と龍門渕を破り、全国で優勝に輝いた清澄。
そんな俺…いや、彼女たちに向けられる視線は期待が強く含まれるものだった。
最近は落ち着いたものの、咲や和なんかは雑誌の取材やら色々で引っ張りだこだったくらいである。

京太郎「(タコスはこういった細かい仕事にゃ向いてないし、染谷先輩は部長だからなぁ)」

全国優勝後、夢が叶って泣きじゃくる部長——いや、元部長である久先輩からバトンを託されたのは二年である染谷先輩だった。
まぁ、これは当然というか、これしかないと言うべきか。
色んな意味でアクの強いメンツを纏められるのは染谷先輩しかいないという判断は間違っていないと思う。
ただ、お陰で染谷先輩がこうした細かいデータ整理に関わる暇がなく、代わりに俺がやり始めたと言う訳だ。

京太郎「(最近はまた合宿を考えているみたいだし)」

何処になるかまでは聞いていないものの、近々、合宿をやる予定らしい。
全国優勝を果たした清澄との合宿だなんて何処も喉から手が出るほどしたいだろうし、正直、予想もつかなかった。
とは言え、元部長とは違って、常識人で普通な現部長の事である。
きっと堅実で部の強化に役立ちそうな場所にオファーを出しているのだろう。

京太郎「(まぁ、俺には関係ないか…)」

女子がメインの清澄が合宿する場所と言えば、勿論、女子の麻雀部だ。
その為、俺は前回の合宿は置いてけぼりにされ、一人寂しく部室を守っていたのである。
それに対して不満があるというほどじゃないが、今回も俺が蚊帳の外である事に間違いはないだろう。
俺にだって女ばかりの場所に男が一人混じって問題がないと思うほど馬鹿じゃないのだ。

京太郎「(それに合宿中は牌もいじれるだろ)」

清澄女子麻雀部には今、全国から視線が集まっているのだ。
それに負けないような麻雀をしようと今も頑張っている女子部員たちに水を差したくはない。
俺と彼女らの間には悲しいくらいの実力差があり、一緒に卓を囲んだところで時間の無駄になるだけだ。
それ故、ここ最近は卓に誘われても辞退し、他校の牌譜を集め、整理して見やすくするなどのサポートを続けている。
お陰で数ヶ月ほど麻雀牌に触れてはおらず、その感触が若干、恋しくなっていたところだ。
合宿中は思う存分、麻雀牌に触れて、英気を養おう。
そう思うと仲間はずれの合宿も割りと楽しみになってくるから不思議だ。
勿論、そうやって牌を触ったところで打つ相手はいないが、どうしてもワクワクする。


京太郎「(休日は偵察か整理ばっかだからなぁ)」

平日は部活かバイト。
休日は大会の偵察や傾向を纏める俺には雀荘に行く機会はあんまりない。
何度か染谷先輩の実家であるroof-topに寄らせて貰った事があるものの、ここ最近はさっぱりだ。
特にここ最近は新人戦や秋季大会が近いのもあって、牌譜の収集とチェックに気を抜けない。
清澄の一年は三人とも全国大会に出場経験もある化け物揃いとは言え、傾向と対策は必須だ。
特に長野は影で魔境とも呼ばれる激戦区であり、さらに言えば、清澄は一年生を中核に据えて全国大会で優勝した実績があるだから。
何時、何処で、全国クラスの雀士、或いは咲みたいなオカルト持ちと当たるか分からないのだから、データを揃えておくに越したことはない。
その中で自分なりに気になった部分に赤丸を引き、後で部員たちがそれを参照しやすくするのは大変だが、部室でひたすらネト麻を繰り返すよりは遥かに有意義な作業だ。

優希「あ゛〜!またラス引いちゃったじぇ…」
咲「優希ちゃんは後半の減速っぷりがホント、課題だね」
和「東風は恐ろしいくらいなんですけれど…」
まこ「わしとしては咲と和の方がよっぽど怖いんじゃがなぁ…」

そんな馬鹿な事を考えている間に、終わったらしく、和気あいあいとした声が聞こえてくる。
これが麻雀中はほぼ無言で牌を切る音しか聞こえないんだから、不思議だ。
一言声を漏らそうものなら射殺されてしまいそうな修羅場である。
主にその原因は全国大会で大きく成長した咲と和の二人なのだが…まぁ、それは余談か。
ともあれ、今は半荘を終えたあいつらに飲み物の一つでも差し入れしてやるべきだろう。

京太郎「よ。お疲れさん。どうだった?」
咲「あ、京ちゃん!」
優希「いつも通りそこの二人がワンツーだったじぇ…」
和「何度かひやりとしましたけれどね」
まこ「こっちはひやりしっぱなしじゃよ…」
京太郎「ははは…」

にこやかな二人と肩を落とす二人。
まったく対照的なそれに俺は結果を悟った。
勿論、染谷先輩もタコスも決して弱い訳じゃない。
寧ろ、全国に出た選手たちと互角に渡り合っていたのだから、同年代ではかなり強い方だ。
正直、俺が二人と戦えば、きっと箱割れ近くに追い込まれる事だろう。
そんな二人が肩を落とすくらいに咲と和のレベルが飛び抜けているというだけなのだ。


優希「悔しいから、次は犬が卓に入るじぇ!」
京太郎「八つ当たりする気満々じゃねぇか!!」
優希「当然だじぇ!須賀銀行はいつもニコニコ点棒払いだじょ!」
京太郎「このタコス娘め…好き勝手言いやがって」
優希「ふふーん!悔しければ、牌で語るが良いじょ!まぁ、京太郎に負けるはずなんかないけれど!」
京太郎「くっ…!落ち着け!あんな安っぽい挑発に乗るな!うおおおおおっ!」
まこ「相変わらず、仲が良いのぅ」
和「もうゆーきったら…」

京太郎「まぁ、冗談は置いといてだな。やめとくよ」

優希「え…?」

京太郎「まだ作業が終わった訳じゃないし、皆だって疲れてるだろ?」

まこ「まぁ…一服したい気持ちなのは確かじゃけれど…」

咲「わ、私はまだまだいけるよ!」

京太郎「良いから座ってろって。丁度、飲み物もなくなったみたいだから買ってくるよ。何が良い?」

優希「タコス!!」

咲「え、えっと…オレンジジュースが良いかなって」

京太郎「お前はそればっかだな…まぁ、了解。染谷せんぱ…部長は?」

まこ「わしは普通のお茶で構わんよ。何時もすまんなぁ爺さんや」

京太郎「それは言わないお約束じゃろ。んで、和は?」

和「……」

京太郎「和?」

和「あ…いえ、私もお茶で結構ですよ」

京太郎「…あぁ、分かった」

京太郎「んじゃ、ちょっと待っててくれ」バタン


京太郎「(何か最近、和がよそよそしいんだよなぁ…)」スタスタ

京太郎「(まぁ、おもちに目線を向けてるのは何度か注意されてるし…嫌われる要素はあるんだけど)」

京太郎「(それでも全国大会終わるまでは親しくもなく疎遠でもない普通な感じだったんだが…)」

京太郎「(何かあったか…いや…何もないよなぁ…?)」

京太郎「(そもそも最近、事務仕事ばっかでマトモに会話すらしてねぇぞ)」

京太郎「(俺がきっと何かやっちまったんだろうが…まったく思いつかない…)」

京太郎「(まぁ、よそよそしいと言っても部活仲間としては最低限接してくれてるんだが…凹むぜ…)」

京太郎「っと…やばい。自販機通り過ぎるところだった」

京太郎「(個人的には仲直りしたいんだが、どうやって切り出したもんかなぁ…)」チャリン

京太郎「(それに今は新人戦や秋季大会前の重要な時期だからこそ、皆ああやって必死に麻雀やってる訳だし)」ピッピッピ

京太郎「(和の牌譜を見る限り、メンタル面に何か問題が出てる訳じゃなさそうだ)」ガコガコンッ

京太郎「(それだったら下手に藪を突くよりは先送りにした方が良いのかもなぁ)」ヨイショット

京太郎「(俺が凹む程度で他にはあんまり害はないわけだし…公式戦に影響が出たら偉い事だ)」スタスタ

京太郎「(にしても…何か忘れてるような……)」

京太郎「あ…タコス忘れてた」

京太郎「すまん。遅くなった」

優希「遅いじぇ犬!私のタコスは!?」

京太郎「遅くなったのは九割近くお前のタコスの所為だっての、このタコス狂い」

優希「ふふーん♪このタコスの魅力が分からない犬の味覚が遅れてるんだじぇ」

京太郎「タコスが美味い事には同意するけど、お前のそれは行き過ぎなんだよ」ホラ

優希「わはーい!タコスータコスー!」

京太郎「ったく…で、三人とも、はい」

咲「ありがとう」

まこ「ありがとな」

和「…ありがとうございます」

京太郎「いえいえ。んじゃ、俺は整理に戻りますよ」

まこ「ちょっと待つんじゃ」

京太郎「?」

まこ「折角、こうして買い出しまでしてもらってるんじゃし、たまには打たんか?」

京太郎「いや…でも…」

まこ「遠慮せんでええ。データの整理はわしがやっておくから」

咲「私も…たまには京ちゃんと一緒に打ちたいな」

優希「犬がいると最下位じゃなくなるから私も賛成だじょ!」

和「…」

咲「…和ちゃん?」

和「あ、はい。私もたまには須賀君と打ちたいです」

まこ「それに…皆真剣に打ってて疲れておるんじゃしなぁ。そんなに酷い事にはなりはせんよ」

優希「箱割れ一歩手前で勘弁してやるじぇ!」

咲「大丈夫。今の京ちゃんなら飛ばなくて済むよ。…多分」

京太郎「ナチュラルにひでぇな!」

和「…」


京太郎「まぁ…そこまで言われて逃げるのも癪だな」

咲「と言う事は…?」

京太郎「この一カ月の間、お前らの牌譜と睨めっこし続けた俺の実力を見せてやんよ!」

優希「ふふん!タコスパワーがある以上、犬に負ける道理はないじぇ!」

咲「それに牌譜と睨めっこしたところで実力が上がる訳じゃないしね!!」

まこ「寧ろ、実力が下がってないか不安ですらあるんじゃよ」

京太郎「ポンコツ咲とタコスはともかく染谷先輩まで…」

まこ「ふふ…優希の台詞じゃないが、悔しかったら良い所を見せるんじゃな」

咲「っていうか私、ポンコツじゃないよ!」

京太郎「5分で団体からはぐれて、迷子になる奴は世間様一般じゃポンコツって言うんだよ」ホッペタウリウリ

咲「むぅぅ…」

和「…」

京太郎「ま、やらせてもらえるなら胸を貸してもらうつもりで行くぜ」

咲「やだ…もう京ちゃんったら」

優希「やっぱり犬は発情期だじぇ」

京太郎「そういう意味じゃねぇよ!つーか、お前らに貸すような胸はないだろ」

咲「むー京ちゃんの馬鹿!」ポカポカ

優希「おしおきだじょ!」ガジガジ

京太郎「い、痛い痛い!悪かったって!!」

まこ「こらこら、そうやって暴れると自動卓が痛むじゃろうが」

京太郎「俺が痛むのは気にしてくれないんっすね、染谷先輩…」

まこ「はは、別に胸の事をネタにされて、怒っとる訳じゃないんよ」

京太郎「誤解なのに…」

咲「普段からの行いが悪いからだよ、京ちゃん」

京太郎「風評被害もいいところだ畜生…」

和「…」



京太郎「くそ…!気を取り直して、麻雀やるぜ!絶対、目にもの見せてやるからな!」




咲「ロン」マンガン
和「ロンです」ハネマン
優希「ロンだじぇ!」サンバイマン




京太郎「」マッシロ


京太郎「酷い事にはならないとは一体…うごごご」

まこ「面前で役を作れるようになったとは言え、京太郎はまだ初心者じゃからなぁ…」

咲「京ちゃんはもうちょっと他家の流しを見たほうが良いと思う」

まこ「後は筋とかじゃな」

京太郎「その筋とかセオリーを遥か越えていくのがお前らじゃないですかーやだー!」シクシク

まこ「ま、まぁ…その辺りは…その追々?」

咲「セオリーを知らないで無茶苦茶に打っても振り込むだけだしね」

まこ「セオリーを知っているからこそ振り込む事もあるんじゃが…まぁ、それはそいつらに当たった運の無さを嘆くしかないの」

京太郎「その無茶苦茶な奴がかつてこの部に二人居て、現在進行形でまだ一人いるんですが…」

まこ「」メソラシ

京太郎「染谷せんぱああああい!?」


優希「ふふん!速攻が決まって久しぶりに一位になれたから気分が良いじぇ!」

優希「銀行になってくれた犬にはご褒美をやるじょ」

京太郎「嫌な予感しかしないんだけど…なんだよ?」

優希「明日の昼、私にタコスを差し入れする名誉をやる!」

京太郎「いらねぇよ!つーか、お前が食べたいだけだろ!?」

優希「まぁまぁ。そう言わずに!犬もそろそろタコスを作りたいはずだじぇ!」

京太郎「んな訳ないだろ!アレ朝作ろうとすると結構、早起きしないといけないんだからな!」

優希「犬は早起きなはずだじょ!新聞配達のお兄さんに吠えるくらい!」

京太郎「今の時期だと、まだ真っ暗な時間から起きろってかこら」ムニー

優希「い、いひゃい!いにゅのくしぇににゃまいきだじょ!」

和「…」


まこ「はいはい。じゃれるのはそこまでにしておくんじゃな。それよりもう一回、やらんか?」

京太郎「いや、交代しますよ。時間的にも次の一局がラストになりそうですし」

咲「えー…もう一回やろうよ、京ちゃん!麻雀って楽しいよ!」ニッコリ

京太郎「お前、それやって魔王呼ばわりされたの忘れたのかよ…」

京太郎「後、俺にも大事な仕事があるの。大人しく皆に遊んで貰っとけ」ナデナデ

咲「むー…また子ども扱いして…」ニヘラ

優希「そう言いながら、咲ちゃんの顔が緩んでるじょ…」ムー

まこ「何だかんだ言ってあれが二人なりの距離感なんじゃろうなぁ」

優希「むー…!こら、犬!咲ちゃん撫でてないでまた銀行やるじょ!」

優希「やられっぱなしで逃げるとか男のする事じゃないじぇ!」

京太郎「また飛ばす気満々の奴に挑発されてもなぁ」ハハッ

和「…」


まこ「まぁ、久しぶりに卓につけるんじゃし、もう一回やればどうじゃ?」

まこ「と言うか、わしがまだちょっと休憩したい」フゥ

京太郎「あー…染谷先輩のは目と頭を酷使しますもんね…」

まこ「ん。これまでは実力アップの為に頑張ってきたが、流石にちょっと…の」

まこ「これが手加減してどうにかなるような相手なら良いんじゃが…」チラッ

優希「?」

咲「?」

まこ「本気で挑んでも飛ばされかねん有望株ばっかりじゃからなぁ」

まこ「いや、部長としては嬉しい事なんじゃが…一局ごとに気が抜けんでの」ハハッ

京太郎「確かに…」

和「…」


まこ「まぁ、そんな訳でわしの代打ちを頼む。二人はまだやる気満々みたいじゃしな」

咲「麻雀って楽しいよ!」ニコニコ

優希「銀行早く来るんだじぇ!」シュッシュ

和「…」

京太郎「…」

まこ「…」

京太郎「初心者の俺にあの中にまた入れって言うんですか?」

まこ「ま、まぁ、今度は多分、大丈夫じゃよ。振り込まないようにすればワンチャンくらい…」

京太郎「ワンチャン来る前に飛ばされそうなんですけれど!?」

まこ「ま、麻雀は運に大きく左右される遊戯じゃから」メソラシ

京太郎「それは龍門渕の天江選手や咲みたいな魔物勢には通用しない言葉ですよね!」

優希「いぬぅ!早くー!」

咲「京ちゃんの言う魔物の実力見せてあげるね」ニコニコ

京太郎「あ、これ俺死んだわ」

和「…」

京太郎「く、くそ…!やってやる…!シ○ア少佐だって戦場で出世したんだ!俺だって…!」

まこ「すっごい死亡フラグな気がするのう…」

京太郎「立てても立てなくても結果は見えてますしね」ハァ

和「…っ」

京太郎「まぁ、とりあえずやりますか!今度こそ飛ばないようにするぜ!」



〜京太郎〜
とは言うものの、結果は散々だった。
勿論、相手が全国大会でも互角にやれる雀士たち…と言う事は無関係ではないのだろう。
だが、俺を相手にするのに皆は決して本気を出しちゃいない。
染谷先輩が入っていた時のようなピリついた空気もなく、和やかに牌を打つ。
時折、雑談を交わしながらのそれは、しかし、確実に俺を追い詰めていった。
それもこれも全て… ——

京太郎「(俺が弱いから…だな)」

牌譜整理をやるようになってから、うちの部員たちがどれだけ化け物じみた能力をしているかが良く分かるようになった。
それと同時に…自分が悲しくなるくらいに弱い事も。
恐らく、今の俺じゃ南場の優希にも勝つ事は出来ないだろう。

京太郎「(悔しいなぁ…)」

さっき早々に飛ばした事を悪く思っているのか、今度は俺を飛ばさないように、長く楽しめるようにしてくれている。
勿論、少し前であれば、俺はそれすら気付かなかっただろう。
だが、この一ヶ月、牌譜を睨めっこを続けた俺は三人の打ち筋と言うものが何となく見えてきているのだ。
それはまだ直撃を回避出来るようなレベルではないが、違和感くらいは感じ取る事が出来る。
そして一局、二局と積み重なったそれが俺に、手加減を越えた舐めプを理解させたのである。


京太郎「(勿論…そうやって長く楽しめるようにしてくれているのは有難い)」

さっきは牌の感触すら思い出せないくらい、あっという間に飛ばされたのだ。
それから比べれば、なぁなぁで楽しませてくれる皆の好意に感謝するべきなのだろう。
だけど…俺だって男なのだ。
そうやって目に見えて和了を見逃されて良い気がするはずがない。
正直なところ…さっさと飛ばして終わらせてくれた方が気が楽だと思うくらいだった。

京太郎「(ん…?)」

そんな事を思いながら、迎えたオーラス。
点数は元から1万マイナスで最下位、トップである和との差は約三万ほど。
これで逆転するには三倍満の直撃しかない。
そんなところで迎えた俺の牌は決して悪いものじゃなかった。
いや、寧ろ、満貫の聴牌近いその配牌は最高と言っても良いくらいだろう。

京太郎「(お、おぉ…これはもしかするともしかするんじゃないか…?)」

勿論、これを和了ったところでトップとの差は捲れない。
だが、俺は今までこのメンツで一度も和了を経験した事がないのだ。
聴牌までは言っても当たり牌を軒並み回避され、ツモも鳴きにてズラされてきたのである。
そんな和了が目前に近づく好配牌に俺は卓の下でぎゅっと握り拳を作った。


京太郎「(最後の最後でこんな良い牌が来てくれたんだ…絶対に和了ってやる…!)」

それで舐めプをしたことを後悔させてやる…!とまで大口を叩くつもりはない。
だが、俺だってこれくらいは出来るのだと皆に見せてやりたいのだ。
和了をわざわざ見逃さなければいけないような初心者はもう卒業したのだと胸を張ってやりたいのである。
その為にも…この満貫だけは絶対に完成させなければならない。
そう胸中で握り拳を作りながら、俺はすっと牌を切り続けた。

京太郎「(…来ない…また来ない…)」

だが、そうやって一巡、二巡と進んでも、俺の欲しい牌は来ない。
誰かの手で握られているのか、或いは俺の満貫を見通されているのか。
どちらにせよ…山がなくなっていく度に俺の心は萎え、諦観が顔を出す。
やっぱり俺なんかじゃ無理だったのか。
そう思ってため息を吐きたくなった瞬間、俺の視界にふるんと揺れる何かが見える。


京太郎「(相変わらず良いおもちしてるなぁ…)」

それは対面にいる和のおもちだ。
凛とした仕草で牌を切る度に柔らかで大きなそれがプルンと揺れる。
まるで男の視線を誘うようなそれから俺はそっと視線を逸らした。
これまでも何度かそうやっておもちを見つめて、女性陣にドン引きされているのである。
幾らすばらなおもちと言っても、周囲の好感度と引き換えには出来ない。
女ばかりの部室の中、たった一人だけの男子部員と言うのは中々に肩身が狭いものなのだ。

京太郎「(そういや…最初は和目当てに入ったんだったっけか)」

ここ最近、牌譜整理や麻雀を見たりするのが楽しくて忘れていたが、元々はそういう不純な動機だったのだ。
自分でも忘れかけていた感情に意識が向くのを感じながら、俺はそっとため息を吐く。
俺がどれだけ馬鹿でも、半年も経てばまったく脈が無い事くらい気づくのだ。
流石に嫌われている訳ではないにせよ、他の部員たちと比べて和の態度に構えるものがある。
勿論、その他の男に比べれば、多少、柔らかい態度を取って貰っているとは言え、それは好意の類ではない。
そう気づいた頃には麻雀が楽しくなっており、あんまり意識する事はなかった。

京太郎「(そのはず…なんだけれどなぁ…)」

しかし、こうやって対面でおもちをゆらゆらと揺らされると、ムクムクと俺の中で欲望が沸き上がってくる。
ここ最近、忙しくて日課の自家発電も出来なかった所為か、いけないと分かっていながらも、チラリとそっちに視線を向けてしまうのだ。
ある種、馬鹿正直な自分に胸中でため息を吐きながら、俺はツモ切りを繰り返す。


〜和〜

私は須賀君が苦手です。
いや…苦手…と言うより見ていられない…と言った方が正しいのでしょう。
勿論、こうして雑用を引き受けてくれる事に感謝はしていますし、申し訳ない気持ちもあります。
だけど、それ以上に…彼の態度が…強くなる事を諦めたような態度が気に障って仕方がないのでした。

和「(まだ始まってもいないのに…)」

インターミドルチャンプに輝いた私だって最初から今のような実力があった訳じゃありません。
何度も挫折しそうになりましたし、負けた事は数え切れないほどあります。
それでも、私は……ずっとずっと頑張って来ました。
一時期は麻雀そのものを賭けて父と対立した事だってあるのです。
そんな私にとって、ここ最近、雑用ばかりでネト麻すらしようとしない須賀君の態度が逃げているようにしか思えないのでした。

和「(須賀君なら…きっと強くなれるのに…)」

ほぼ初心者のままで挑んだ地区大会予選。
その牌譜を見せてもらいましたが、最初の頃に比べて上達の兆しが見えるものでした。
私達が片手間に教えたことを拙いながらも護ろうとしているその打ち筋に微笑ましいものを感じたくらいです。
しかし、今の彼はそこからまったく上達していません。
地区予選から既に数ヶ月が経過し、一年の終わりが見えてきた頃になっても…ずっとずっとあの頃のままなのです。


和「(それが…私たちの所為なのは分かっているんです)」

部長…いえ、竹井先輩は彼に私たちのサポートばかりをさせていました。
それはインターハイを見据えたが故の仕方がない事だったのでしょう。
全国を前にして初心者である須賀君に構っている暇も人員も、清澄にはなかったのですから。
それが彼の為にはならないと分かっていても、私たちはずっと彼に雑用をさせ続けていたのでした。
雑用がない時も殆ど構われる事はなく、一人部屋の隅でネト麻を繰り返す彼が何を思ったのかまでは分かりません。
ですが…そうやって蔑ろにされた経験が、彼に努力を諦めさせ、こうして雑用ばかりをさせているのでしょう。

和「(それがまるで私達を糾弾しているように思える…と言うのは些か自分勝手な思考なのでしょうね)」

そうは思いながらも、ネト麻すらしなくなった彼の態度に思う所があるのは事実です。
勿論、須賀君なりに私たちの役に立とうと思ってくれているのは感じるのですが…後ろ暗いものがある私にとってそれは胸を痛める事なのでした。
それは私だけではなく皆さんも同じのようで…こうして須賀君の事を雀卓へと誘っているのです。
しかし、彼はよっぽどの事がなければ、卓に入る事はなく…そしてそれが余計に私達を責めているように思えるのでした。

和「(本当…どうしたら良いんでしょう…)」


珍しく麻雀に参加してくれた彼の打ち筋は見え見え過ぎて悲しくなるくらいでした。
相変わらず上達の兆しはなく、停滞を続ける須賀君に何と言えば良いのか分かりません。
雑用を皆で分担しようとしても、須賀君の手際が見事過ぎてドンドンと仕事を取られていってしまうのです。
その雑用が終わっても麻雀に誘っても参加せず、一人隅の方で牌譜作成と整理を続ける彼。
私達が今まで何を言っても変わる事はなく、自分から輪を離れようとする須賀君をどうすれば良いのか分からないままでした。

和「(それとも…二年になればまた変わるんでしょうか…)」

インターハイで優勝した清澄麻雀部には来年、少なくない数の一年生が入ってくれる事でしょう。
男子部員だけで三人増えれば、もう一つの卓を作る事だって不可能ではありません。
一年生が増えれば、そちらに雑用を任せる事も増えるでしょう。
しかし、頑なに自分の仕事を譲ろうとしない須賀君が、変わるビジョンと言うのはどうしても思い浮かばず、私は人知れずそっと肩を落としました。

和「(…とりあえず…このオーラスを終わらせましょう)」

そう思いながら、思考を目の前の卓に戻せば、うなだれる須賀君の顔がありました。
配牌時にはあんなに威勢良く卓を見つめていたその顔には諦観の色が強く見えます。
他家の河から和了が不可能だと感じたのか、或いはツモすら諦めてしまったのか。
どちらかは分かりませんが…あんなにも分かりやすぎる聴牌 —— しかも、表情から察するにかなり高め —— には誰も振り込まないと思います。


和「(それとも振り込んであげた方が少しはやる気を取り戻してくれるでしょうか…)」

恐らく彼が待っている牌の内、1つは私が抱えているのです。
それを放銃すれば、彼は和了る事が出来るでしょう。
しかし、ついさっきまで須賀君は自棄にも近い状態でした。
それは…恐らく彼が咲やゆーきの微妙な手加減に感づいているからなのでしょう。
もし、私がここでわざと放銃すると、須賀君を余計に追い込んでしまうかもしれない。
そう思うと別の意味で危険牌を切れず、私は適当な役を作りつづけました。

和「(ん…)」

そんな私の胸に一瞬感じた刺すような視線。
それに再び須賀君の方へと視線を向ければ、そこには分かりやすいほどに目を逸らす彼の姿がありました。
ここ最近ではあまりありませんでしたが、また私の胸を見つめていたのでしょう。

和「(まったく…男の人って…)」

そうやって私の胸を見つめるのは別に須賀君だけの話ではありません。
道を歩いている時に男の人の視線を感じ、気持ち悪くなった事は一度や二度ではないのですから。
そんな醜い欲望を隠すつもりのない人に比べれば好感は持てますが、やっぱり胸を見られて良い気はしません。
幾ら部活の仲間と言っても、どうしても醜いという感情が出てくるのでした。


和「(でも…どうして今頃?)」

初期こそじぃっと見つめられた事が多々あれど、最近はそんな事は殆どないも同然だったのです。
少なくともここまではっきりと視線を感じた事は久しい事でした。
てっきり胸に対する興味を失ったのかと思っていたくらいです。
ですが、それが此処に来て唐突に復活するのは一体、どうしてなのでしょう。
まさか麻雀をしているから私のことが気になった…なんて事はないでしょうし…。

咲「和ちゃん?」
和「あ…すみません」

そんなことを考えている内に私の巡まで回ってきていたようです。
訝しげに尋ねる咲さんに一つ謝罪をしてから、私はそっと山から牌を取りました。
それを見つめながら考えこむのは、私にとって珍しい事でした。
秒数制限に追われるネト麻を続けていた私にとって長考をあまりしません。
けれど、私は引いたその牌をどうするか、決めあぐねていました。

和「(まず間違いなく…これは危険牌…)」

2枚目の危険牌。
それを私の手元に来たという事は須賀君のツモ和了りも塞いだという事でしょう。
けれど、私はそうやって彼の和了を防ぐ事が良い事なのか、悪い事なのか、まだ判断出来ていませんでした。
まるで彼の未来をその手に握っているようなプレッシャーにチラリと彼へと視線を向ければ、そこにはチラチラと私の胸を見る須賀君の姿がありました。
こっちが手加減している以上、真剣にやれだなんて口が裂けても言えませんが、その不真面目な態度はやっぱり気に入りません。
もうちょっと真面目にやって下さい!と怒鳴りつけてやりたいのが本音でした。


和「(とりあえず放銃はなしで…!?)」

ムカムカとする心が命ずるままに、適当な牌を切ろうとした瞬間、私は指に硬い感触が引っかかったのを感じました。
それと共に牌がゆっくりと倒れて、三人の視線がこちらへと向けられます。
まるで世界が泥のようになったようなスローモーションの中、私がそれが二枚抱えていた内の危険牌の一つであると悟りました。
瞬間、私の頭の中が困惑と疑問に染まり、思考が真っ白へと近づいていきます。
けれど、幾ら私の思考が固まったと言っても、時は止まらず…トンと言う柔らかい音と共にその牌は倒されきってしまったのでした。

京太郎「…」
咲「…」
優希「…」
和「…」

その後、私達の間に流れたのは気まずい空気であり、誰もが言葉を忘れたように黙っていました。
私の仕草から、それが初心者でも滅多にやらないようなチョンボだと気づいたのでしょう。
須賀君などは目に見えて狼狽し、どうすれば良いのか分からない顔をしていました。
まさか私が放銃するなんて思ってもみなかったその顔に私はそっと肩を落とします。
幾らあり得ないようなミスとは言え、これを帳消しにされる訳にはいきません。
大人しく彼のロンを受け入れようと箱へと手を伸ばした瞬間、私の目に彼が牌を倒す姿が映りました。

京太郎「ろ、ロン。えっと…満貫で8000だっけ?」

和「そうで…っっ!?」

まだ自信なさそうに点数を口にする彼を見た瞬間、私の胸が熱くなります。
まるでそこだけ風邪を引いたようなじっとりとした熱に私の言葉は途切れました。
代わりに私の喉へと沸き上がって来るのは火照りにも似た熱です。
思わずそこを抑えたくなるような熱はその裏側の背筋に到達し、ゾクゾクとした感覚を走らせました。

和「(な、何…これぇ…!?)」

まるで背筋に電流を流され、身体が冷えていくような感覚。
熱いのに冷たいと言うその何とも言えない矛盾した感覚は…肩が震えるくらいに激しいのに…とても気持ち良いものでした。
思わず身体を丸めてしまうほどのそれは肌で跳ね返るように、私の中を幾度も反響します。
そしてその度に私の肌をジンと熱くさせ、軽く汗を浮かばせるのでした。

和「はぁ…ぁっく…ぅぅ…」
咲「の、和ちゃん!?」
優希「だ、大丈夫!?」

そんな私に大事な友人である二人が話しかけてくれますが、それに答える余裕は私にはありませんでした。
喉までブルリと震わせる気持ち良さは、私から言葉を奪い取っていたのです。
私の口から出るのは吐息と何かを噛み殺したような声だけ。
それに心配したのか二人が身体に触れて…——


和「く…ぅぅんっ」

そうやって確かめるような二人の手つきさえ、今の私には強い刺激となって感じられました。
まるでそれが電極か何かのようにビリリとした感覚が走り、私の口から声が漏れるのです。
その声に二人が驚いたように手を離したくれた事が私にとって幸いだったのでしょう。
それ以上、触られていたら、私は声を押し殺すのも忘れて、はしたない声をあげてしまいそうだったのですから。

まこ「京太郎!」
京太郎「わ、分かってます!保健室ですよね!?」
和「(ちょ、ちょっと待っ…!)」

そこで冷静になった染谷先輩が須賀君に声を掛け、立ち上がった彼の手が私へと伸びました。
けれど、今の私の肌は信じられないほど敏感なのです。
微かに揺すられるような刺激にさえ、声をあげてしまうような異常な状態で、須賀君に抱き上げられたら一体、どうなってしまうのか。
自分自身でさえ分からず、恐怖で身体が冷えて、ブルリと震えてしまいます。
けれど、私に逃げ場などなく…私はその腕に抱きかかえられ、そっと持ち上げられるのでした。


和「ん…ふぁぁ…っ」
優希「い、犬!もうちょっと丁寧に運ぶんだじぇ!」
京太郎「わ、分かってる…!」

所謂、お姫様抱っこの形で抱き上げられた私の口から漏れる声にゆーきが心配した声を須賀君に向けました。
でも…ゆーき、そうじゃないんです。
私が声をあげたのは丁寧に抱き上げられていなかったからじゃなくって、触れられているからなんですよ。
ジンジンと火照るような身体を押され、刺激されているから…こんなはしたない声が出ちゃうんです。
でも、幾らゆーきが私の友人でも、無言でそれを察してくれるはずがありません。

京太郎「と、とりあえず行ってくるから!」
咲「私達もすぐ行くから…!和ちゃんの事、お願い…!」

それにもどかしさを感じる私を抱き上げながら、須賀君が廊下へと飛び出します。
既に日が落ちて誰もいない廊下を駆けるその顔はとても必死で、彼が私を心配してくれている事が良く分かりました。
でも、その心配の所為か、私の身体は、ガクガクと上下に揺れて、その度にビリリとした感覚が湧き上がるのです。
その度に押し殺した声をあげる私を連れて、須賀君は保健室にたどり着いたのでした。

京太郎「せ、先生!急患です!」

そう言って脚で乱暴に扉を開き、雪崩れ込んだ保健室には誰もいません。
それに須賀君に悪態を吐く姿が私にはとても新鮮に見えました。
ゆーきにどれだけムチャぶりをされても流していた彼とは思えないその狼狽した姿。
それを間近で見る私の上で須賀君がキョロキョロと辺りを見渡しました。


京太郎「と、とりあえず…ベッドに運ぶぞ…?」
和「ふぁい…」

確かめるような須賀君の言葉に何とか答えられたのは私の中で暴れていたあの感覚が治まってきたからなのでしょう。
あの振り込みから数分も経過した今、肌の敏感さも落ち着いていました。
少なくとも走りだした当初のように揺すられる度に、電流が走るような事はありません。
とは言え、まだまだその影響は残っているらしく、私の身体は気だるく、そして熱いままでした。
制服の中ではじっとりと脂汗をかき、荒い呼吸も止まりません。

和「あ…ぁ…」

そんな私の身体をゆっくりと保健室のベッドに横たえた須賀君の身体が、すっくと立ち上がりました。
私を抱えて走ってきたのにも関わらず、その顔には疲労はまったく見当たりません。
その代わり、今にも溢れそうな心配と焦りを見せる彼はポケットから携帯を取り出しながら、私の視線を向けました。

京太郎「俺は先生を探してくる。他の皆も部室の施錠が終わったらすぐ来るだろうから、少しの間だけ待っててくれ」

そう言って再び駆け出す須賀君はきっと他の皆に連絡してから校内を駆けまわる事になるのでしょう。
そんな彼に謝罪の言葉を紡ごうにも、その背中はあっという間に遠ざかり、保健室から飛び出して行きます。
人一人抱えて走ったばかりとは思えないその持久力と早さに関心と申し訳なさを感じながら、私はゆっくりと天井を見上げました。

和「はぁ…ふ…ぅ…」

そのまま一分もした頃には呼吸も大分、落ち着き、身体の熱も取れつつありました。
流石にまだジンジンとした感覚こそ残っているものの、触れられただけで声をあげるような感覚は影も形もありません。
それに安堵する一方で…冷静になった思考が疑問を沸き上がらせるのです。


和「(さっきのは…何だったんでしょう…?)」

須賀君に放銃してしまった瞬間に沸き上がってきた感覚。
それは痛みとも苦しみとも違う激しさと、身体から力が抜けていくような心地良さと合わせたような甘い響きであり、今まで感じた事のない、未知のものでした。
これまでの人生経験で感じてきたどんなものからも遠いそれはどれだけ頭を捻っても正体を捉える事が出来ません。

咲「和ちゃん、大丈夫!?」
優希「のどちゃあああああんっ!」
まこ「和の様態はどうですか!?」

瞬間、駆け込んできた三人に答えようと私はゆっくりと上体を起こしました。
まだ痺れるような感覚こそ残っていますが、ベッドから起き上がれないほどじゃありません。
それをこうして示そうと思ったのですが、それは三人にとって心配を掻き立てられるもののようでした。
泣きそうな顔で私の周りを囲むゆーきや咲、そして心配をめいいっぱい顔に浮かべる染谷先輩にそれを抑えられてしまいます。

まこ「保険の先生はどこじゃ?」

和「えっと…今はいないみたいで…須賀君が探しに行ってくれています」

優希「あの犬…さっさと見つけないとただじゃおかないじぇ…!」

咲「それより和ちゃんはもう大丈夫なの?」

和「えぇ。大丈夫ですよ。心配掛けて申し訳ありません」ペコリ

まこ「謝らんでええ。無事だっただけ有難いからの」

まこ「とは言え、さっきの原因は調べておくべきじゃろうし…一度、病院に行った方が良いかもしれん」

優希「面倒くさいとか言ったら首に縄を引っ掛けてでも連れて行くじぇ!」グスッ

和「ふふ…そんな事言いませんよ、ゆーきじゃないんですから」ナデナデ

優希「ふ…ふぇぇ…のどちゃんが無事で良かったじょぉ…」

咲「ホント…安心したよ…」グスッ

和「」クスッ

咲「な、なんで笑ってるのぉ…」

和「あ…ごめんなさい。泣くくらいに心配された事が…とても嬉しくて…」

まこ「二人共気が抜けたんじゃな。さっきまで慌てっぷりが凄かったしの」

咲「グスッ…染谷先輩だって部室の鍵の場所忘れるくらいテンパってた癖に…」

優希「結局、ポケットの中にあったじょ…」

まこ「わ、悪かった。悪かったからそれを持ち出すのはもう止めてくれ」

和「ふふ…っ」

まこ「ま、まぁ、何はともあれ、落ち着いたようで何よりじゃ」

咲「ただ、もうそろそろ日も落ちちゃうね…」

まこ「そうじゃな。和の安否も分かった事だし、今日はこの辺りで解散するとするかの」

咲「ですね。じゃあ、荷物纏めて来ます」

和「じゃあ、私も…」

優希「のどちゃんはまだ寝てないとダメだじぇ!」

咲「そうだよ。またあんな風になっちゃうかもしれないし」

優希「のどちゃんの荷物はこっちで纏めるから安心して待ってて欲しいじょ!」

まこ「それに京太郎がまだ先生を探しておるんじゃろ?ここで和がいなくなったらアイツも心配するしの」

まこ「後、和には親に連絡しておいて欲しいの。帰り道でまたさっきみたいになると命に関わるかもしれんし」

和「そうですね…」シュン


まこ「それじゃあ、もうちょっとの間、一人で待つんじゃよ」ガラガラ

咲「すぐ帰ってくるからね!」

優希「寂しくっても泣くんじゃないじょ」ガラガラ…ガシャン

和「泣きませんよ、まったく…」


和「…」

和「…さ、寂しくなんてありませんよ」

和「…一人で何を言っているんでしょう、私…」



とは言え、一人になったところで何かやる事はないというのが本音でした。
染谷先輩に言われた通り、両親にメールは送りましたが、それが返ってくるとはあまり思えません。
人並み程度には娘として愛されているつもりですが、両親の仕事はとても忙しいものなのです。
私が送ったそれもきっと仕事用のメールに埋もれて、見られる事はないのでしょう。
そう思いながらベッドに横たわった瞬間、浮かび上がるのはさっきの感覚でした。

和「あれは…一体…」

普段は決してしないようなミスで須賀君に振り込んだから身体がびっくりした。
そう思うのにはあの感覚は衝撃的過ぎ、そして心地良かったのです。
確かに動悸こそ激しくなっていましたが苦しさはまったくなく、寧ろ… ——


和「気持ち…良い…?」

ふと浮かんだその言葉に私は嫌な予感を感じました。
まるで底の見えない穴の縁に立っているような冷たい感覚。
全身が危機感を訴え、覗き込むのを止めろと叫ぶそれに…私は従いませんでした。
渋谷先輩が使うような経験に裏打ちされた予測はともかく、第六感なんていうオカルトを信じる訳にはいかないのです。
故に…私の指はゆっくりと『そこ』へと伸び続け、クチュリと言う粘着質な感触を脳へと伝えるのでした。

和「…嘘…でしょう…?」

それは私のスカートの中、それもショーツから聞こえてきたものでした。
べったりと何かで濡れたそれは、勿論、ついさっきまでなかったものです。
本当は今だってそんなものがあるだなんて信じたくはありません。
ですが、目の前でゆっくりと広げた指先に絡んでいる透明なそれは間違いなく…——

京太郎「和!!大丈夫か!?」ガラガラッ

和「きゃあ!?」



京太郎「せ、先生!早く和を!」

保険医「はいはい。落ち着いて。大丈夫だから」

京太郎「まだ見てないのにどうしてそういう事が言えるんですか!!」

保険医「だからって焦ったってどうしようもないでしょうに。それに人間ってのは意外と頑丈なものよ」

保険医「とりあえず私が出来る事はやるから、とっとと君は出て行きなさい」

保険医「それともお友達が脱いでる姿が見たい?」

京太郎「……」

保険医「……」

京太郎「で、出て行きます」

保険医「うん。気持ちは分かるけど、一瞬、迷ったのは見逃さないからね?」

京太郎「し、しかたないんや…!あんな素晴らしいおもちを見られるかもしれないと思ったら誰だって迷ってしまうんや…!」

保険医「分かってる。分かっているから、あんまりそれを口に出さない方が良いよ。普通に引いちゃうから」

京太郎「と、とりあえず先生!和のことをお願いします!」ガラガラ

保険医「はいはい。わかったから君はもうコレ以上ボロを出さない内に出て行きなさい」


保険医「さて…と」


保険医「原村さんの調子はどう?」

和「(はっ…アレを見られたかと思って頭の中が真っ白になってました…)」

和「あ…はい。特に今は問題ないです」

保険医「頭とかも痛くない?」

和「はい。大丈夫です」

保険医「りょーかい。んじゃ、熱を測っておこっか」

保険医「んで…ちょっと恥ずかしいかもだけど、聴診器も当てさせてね」

和「分かりました」


保険医「熱もなし…っと。倒れた時にも意識があったみたいだし…ちょっと私じゃ分かんないかなぁ」

和「そう…ですか」

保険医「ただ、聞いている限りだと尋常じゃない様子みたいだからちゃんとした機器がある場所で検査して貰った方が良いね」

保険医「特にCTスキャンは絶対にしてもらって。もしかしたら何か脳に問題があるのかもしれないし」

和「…分かりました」

保険医「後は…そうだなぁ…」

和「(女の先生…保険医って事はそういう事にも詳しいですよね…?)」

和「(で、でも…一体、アレの事をどうやって聞けば良いんでしょう…)」

和「(このタイミングで聞いたら…絶対にバレちゃいますよね…)」

和「(もし、そうなったら変態だって思われちゃうかも…)」

和「(う、うぅぅ…私はどうしたら……)」

保険医「どうかした?」

和「ひゃ!?い、いえ…何でもありません…」

京太郎「はぁ…やっちまった…」

京太郎「(テンパってたとは言え、あれはがっつきすぎだよなぁ…)」

京太郎「(ただでさえ、関係が微妙になってきてるのに、あれはねぇよ…)」

京太郎「はぁ…」

まこ「おや、京太郎」

京太郎「あぁ…染谷先輩。こっちは保険医の先生は見つけましたよ」

まこ「そうか。感謝するぞ、京太郎」

京太郎「いえ…」

優希「それで…何か原因は?」

京太郎「いや…まだ分かんねぇ。今、診察始まったところだし…」

咲「そもそも保健室の機材で分かるかどうかさえ不明だもんね…」

優希「いきなり苦しみ出したからの…」


まこ「としみじみしている時間はないんじゃ。京太郎、これを」

京太郎「…ってそりゃ和の鞄ですか?」

優希「そうだ。犬の分もここにあるじぇ」

京太郎「ありがとな、タコス。って…それじゃ今日は…」

咲「こんな事にもなったし、そろそろ暗くなるから解散するって」

まこ「ただ、和がちょっと不安での」

優希「また倒れるかもしれないと思うと心配だじぇ…」

まこ「親御さんに連絡しとくように言っておいたが、和の家は忙しい」

まこ「迎えに来れん可能性は少なくはないじゃろ」

まこ「もし、そうなったら京太郎には和を送って行って欲しいんじゃが…」

京太郎「え?」


京太郎「(さ、流石に和と二人っきりになるのは気まずい…)」

京太郎「さ、咲やタコスも一緒の方が良いんじゃないですか?」

咲「ごめんね、京ちゃん。今日、お父さんが帰ってくるの早いから、早めにご飯作らないといけないんだ…」

優希「私ものどちゃんと犬を二人っきりにはさせたくないけど、今日はちょっと外せない用事があるんだ…」

まこ「わしも今日は家の手伝いがあってな…」

京太郎「ま、まじですか…」

まこ「まぁ、京太郎なら送り狼にならんと信じとるから!」

優希「のどちゃんを襲ったら去勢するじょ、犬!」

咲「ご、ごめんね。でも、京ちゃんなら大丈夫って信じてるから!」

京太郎「いや、ちょっと待ってくれ。なんでそう言いながら俺に和の鞄まで渡すんだ?」

まこ「…皆、地味に時間が危ないんじゃ」

優希「という訳でちゃんとエスコートするんだじぇ」

咲「和ちゃんに謝っておいてね…それじゃ…!」

京太郎「お、おい!?」




京太郎「い…行っちまった…」


和「ふぅ…って…あ」

京太郎「あ」

和「…」

京太郎「…」

和「(え、ちょ…な、なんで須賀くんが此処にいるんですか!?ほ、他の皆は!?)」

和「(って言うかなんで須賀くんが私の鞄を持ってるんですか!?)」

京太郎「(や、やばい…な、何か言わなきゃ…!で、でも…何を言えば良いんだ…!?)」

京太郎・和「「あ、あの!」」

和「(…被っちゃいました…恥ずかしい…)」

京太郎「(被っちまった…あぁ…恥ずかしい…)」

和「(え、えっと…黙りこんじゃいましたけれど…話さないんでしょうか…?)」

京太郎「(黙っちまったけれど…これは俺が話題を振るのを待ってるのか…?)」

和「……」

京太郎「……」

和「(ど、どうすれば良いんでしょう…)」

京太郎「(ど、どうしろって言うんだよ…)」


京太郎「(とにかく、黙ってたって始まらないだろ…。何でも良いから打って出ないと…!)」

京太郎「そ、その…大丈夫なのか?」

和「え、えと…はい。ただ、病院には言っておいた方が良いと言われましたが…」

京太郎「そ、そっか。それじゃまだ安心は出来ないな」

和「え、えぇ。とりあえず帰った後にでもまた病院に行くつもりです」

京太郎「そ、そうだな。何かあったら大変だし、早いうちにいっといた方が周りも安心するしな」

和「そ、そうですね」

京太郎「……」

和「……」

和「(会話が続きません…)」

京太郎「(会話が続かねぇ…)」


和「そ、それより…運んでくださってありがとうございました」ペコリ

京太郎「あ、あぁ。まぁ、俺にはそれくらいしか出来ないし…」

京太郎「つか、結構、揺らしてしまって悪かったな。気持ち悪かっただろ」

和「い、いえ…大丈夫です。お陰で横になれて気も楽になりましたから」

京太郎「そ、そうか?それなら良いんだが…」

京太郎「今更だけど和を部室のベッドに運んで、先生を呼んだ方が良かったんじゃないかと思ってなぁ」

和「大丈夫ですよ。特に問題はありませんでしたし」

京太郎「いや…問題って言うか…」

和「?」

京太郎「(流石にここで好きでもない男に抱きかかえられるのは嫌だっただろ?なんて言うのは自意識過剰な話だよなぁ)」

京太郎「(その上、あてつけっぽく聞こえるし…ここは適当に誤魔化すのが無難か)」

京太郎「悪ぃ。何でもない」

和「???」

京太郎「あ、それと…これ。和の鞄」

和「あ、ありがとうございます。でも…どうしてこれを須賀君が?」

京太郎「他の連中は今日は用事があるらしくて早々に帰ったんだよ。んで、俺はこれを和に渡す係」

和「そうですか…ありがとうございます」

京太郎「どういたしまして。後…これはかなり言いづらい話なんだが…」

和「はい?」

京太郎「もし、親御さんの迎えがなかったら送っていけと渋谷先輩に言われた」

和「…え?」

和「(え…つ、つまり須賀君と一緒に帰れって事ですか渋谷先輩!?)」

和「(そ、そうやって心配して貰えるのは嬉しいんですが……)」チラッ

京太郎「あー…」

和・京太郎「(き…きまずい…)」


京太郎「とりあえず連絡は…」

和「しましたけれど…返事はまだ帰ってきてません…」

京太郎「そ、そうか…」

和「そ、そうです…」

京太郎「…」

和「…」

京太郎「(ここで黙り込むって事はやっぱり嫌なんだろうなぁ…)」

和「(ど、どど…どうしましょう!?お、男の人と二人きりで帰った事なんてありませんよ!?)」

京太郎「(でも、渋谷先輩に言われなくても…心配なのは確かだし…)」

京太郎「(俺の和了から急におかしくなったし…責任を感じるのも事実だ。なら…)」

京太郎「と、とりあえず!家までとは言わないけれど…途中までで良いから送らせてくれないか?」

京太郎「今の和を一人で帰すのは流石に心配なのは俺も同じだし」

和「わ、分かりました…じゃ、じゃあ…こっちです」


………

……





京太郎「…」スタスタ

和「…」スタスタ

京太郎「…」スタスタ

和「…」スタスタ

京太郎「…」スタスタ

和「…」スタスタ

京太郎「(…どうしよう…話すネタがまったくない…)」

和「(ど、どうしましょう…何を話したら良いのかまったく分かりません…)」

京太郎「(基本、こうやって和と二人きりになる事はなかったからなぁ…)」

和「(大体、間にゆーきや咲さんがいましたし…)」

京太郎「(咲やタコスなら考えなくても適当に話題が出てくるんだが…)」

和「(せ、せめて渋谷先輩が居ればまだ何とかなったんでしょうが…)」

京太郎「(和にどんな話を振れば良いのかまったく分かんねぇ…)」

和「(男の人ってどんな風に話せば良いんでしょう…う、うぅぅ)」

まこは渋谷しゃなくて染谷だよ

なんでワカメの名前が渋谷になってんだよおおおおおおおお
後、トリ外れてた、ごめん。
投下より先に修正するわ

染谷(そめや)
渋谷(しぶや)

OとIの打ち間違えか………

ごめんなさい。
修正箇所多すぎてここで訂正投下するとgdっちゃうんでこのまま行きます…。
これから先の部分はちゃんと治ってるんで安心して下さい。
いや、ホント、申し訳ないです…。


和「(そ、そもそも…私は須賀君にあんな醜態を見られてしまった訳で…)」カァ

和「(しかも…お、お姫様抱っこされて…間近であの時の顔を…)」

和「(わ、私がた…た…達しちゃった時の…顔を…須賀君に…っ)」

和「(お、思い返したら…凄い居たたまれなく…あう…)」マッカ



京太郎「(あー…和の顔が真っ赤になってる…)チラッ

京太郎「(麻雀やってる訳じゃないから、のどっちモードに入ってる訳じゃないだろうし…)」

京太郎「(多分、さっきの保健室での出来事を思い出してるんだろうなぁ…)」

京太郎「(あぁ…なんで俺はあの時、あんな事を言っちまったんだ…)」

京太郎「(テンパッて頭が働いてなかった…なんてのは言い訳にならないレベルの失態だよ…)」

和・京太郎「「はぁ…」」
和・京太郎「「!?」」ビクッ

和「(や、やっぱり須賀君は男の人ですし…私の変化に気づいていたんでしょうか)」

和「(男の人はえ、えぇ…えっちな本とか好きですし…)」

和「(なんで私の顔が…あんな風になったかくらい…分かるのかも…)」

和「(つ、つまり…さっきのため息は私が淫乱だと失望されたから…!?)」グルグル



京太郎「(い、今のため息は…や、やっぱりそうなんだな…)」

京太郎「(そりゃ…自分が倒れたっていうのにおもちの事を気にするような奴は軽蔑するよなぁ…)」

京太郎「(しかも、普段から色々と俺に対して抱えているものがあるみたいだし…)」

京太郎「(もう完全に愛想が尽きて、嫌われてしまったのかも…!?)」



和「ち、違うんです!私の話を聞いて下さい!」

京太郎「ち、違うんだ!俺の話を聞いてくれ!!」

せやせや!
気にしなさんな

続きかも〜ん

そして面白いで!






和・京太郎「……あれ?」






和「えっと…な、何が違うんですか?」

京太郎「い、いや…その…保健室であんな事を言っちゃったけれど、俺が和を心配してるのは嘘じゃなくてだな…」

和「…あんな事…ですか?」

和「(…指の間の愛液を隠すのに必死でまったく聞こえていなかったのですが…)」

京太郎「他の皆からメール貰って安心したところでちょっと口が滑っただけで…あ、アレだけが本心って訳じゃないんだ!!」

和「(…あ、何となく分かってきました…つまり…誤解だったんですね…)」

和「つまり…またおもちの事を言ってたんですね…」ジトー

京太郎「すまん…ほんっとうにすまん…!!」ペコリ

和「…」

京太郎「…」プルプル

和「…そこまで必死になって謝らなくても結構ですよ」

和「須賀君がそういう人だって言うのは分かってますから」

京太郎「(うっ…な、なんて冷ややかな目つきなんだ…)」

京太郎「(まぁ、そりゃ当然か…。男が苦手な和にあんな事言っちまったんだもんなぁ…)」

和「(まったく…これだから男の人は嫌いなんです…)」


京太郎「そ、それで…和は何が違うんだ?」

和「え…?」

京太郎「いや、和もさっき私の話を聞いてくれって…」

和「あ、あれは…その…」

和「(ど、どどど、どうしましょう!?)」

和「(誤解だって分かった以上、アレを口にする訳にはいきません…!)」

和「(へ、下手な事を言えばやぶ蛇になってしまう可能性が高いんですから…!)」

和「(だ、だけど、ここで下手に誤魔化すと…怪しまれかねません…!)」

和「(お、教えて下さいエトペン…私は一体、どうすれば…)」

和「…ハッ」ピコーン




和「み、道が…道が違うんです!!」

京太郎「あ、なるほど…」

和「(須賀君が単純で助かりました…)」



京太郎「(考え事してばっかりで和の制止を聞き逃してたんだな…)」

京太郎「すまん…悪かった」ペコリ

和「い、いえ…まだ修正は効きますし…大丈夫ですよ」

和「(そ、そんな風に謝られると正直、罪悪感が…)」

和「(いや…って言うか、これ…冷静に考えるとかなり不誠実ですよね…)」

和「(相手にだけ本心を語らせた上に謝らせて…しかも、自分だけ取り繕うなんて…)」

和「(だ、だけど…本当のことを言うだなんて絶対に出来ませんし…どうしたら…)」チラッ

京太郎「?」

和「(…須賀君はどうして嫌われるかもしれないって言うのに素直に言えるんですか…)」

和「(しかも、そんな風に…自分を陥れた人を真っ直ぐに見るなんて…)」ズキズキ

和「(お陰で良心の呵責が…こう胸にズシンって…)」ズキズキ


京太郎「(何かよくわからないが…いきなり和が俯きはじめた…)」

京太郎「(ま、また具合が悪くなって来たのか…?)」」

京太郎「その…和。大丈夫か?」

和「だ、大丈夫です。問題ありません」

京太郎「そ、そうか。でも、無茶はしないでくれよ」

和「は、はい…ありがとうございます」」

京太郎「(と言いつつ…辛そうなのは丸わかりなんだよなぁ…)」

京太郎「(かと言って、俺が勝手に背負ったりするのは色々と拙いし…)」

京太郎「(おもちの事しか頭にない奴を信用して、身体を預けてくれだなんて…口が裂けても言えねぇ…)」

京太郎「(はぁ…もうちょっと真面目に生きて来れば良かったぜ…)」



和「(私が思いっきり悪いのに、心配されちゃいました…)」

和「(うぅ…もう立つ瀬がありません…)」ズキズキ


京太郎「とりあえず…何処まで戻れば良いんだ?」

和「ふぇ…?」

京太郎「いや…道を間違えた訳だし、戻らないと…」

和「あ、あぁ…そうですね。で、でも大丈夫です。遠回りになりますが、ここからでも行けますから」

京太郎「そ、そうか…?でも、和の体調も心配だし、遠回りになるなら戻った方が…」

和「こ、ここまで来ちゃうと逆に戻る方が時間掛かっちゃうんですよ!」

京太郎「そっか…本当、悪いな」

和「(う、うぅ…謝らないでください…悪いのはこっちなんですから…)」

和「(しかも、嘘が嘘を呼んで何かこう無茶苦茶な感じに…)」

和「(矛盾が多すぎて、須賀君じゃなかったら気付かれかねないですよ…)」

和「(こ、こんな風になるはずじゃなかったのに…あの時の私の馬鹿…)」



京太郎「(あぁ…また俯いて辛そうに…)」

京太郎「(と言っても…俺に出来る事なんてまずないんだよなぁ…)」

京太郎「(ハギヨシさんは気遣いの極意は相手に信頼される事…って言ってたけど…まさにその通りだと思う…)」

京太郎「(信頼されてないってのは…出来る事が少なくて…辛いなぁ…)」



和「(せ、せめて話題を…何か須賀君に報いられるような話題を…!?)」

和「(でも、何時も「何時も雑用ありがとうございます」とかは嫌味っぽいし…)」

和「(それに、今の須賀君は下手な事を言うと余計、麻雀から離れそうで…)」

和「(でも…それに感謝しているのは確かで…怒りたい訳じゃなくって…)」

和「(い、言いたい事すら頭の中で纏まらなくて…はうぁ…ぁ)」

和「(こ、こんな事になるならもっと須賀君とコミュニケーションを取っておくべきでした…)」

京太郎「??」


………

……



和「(け、結局、無言のまま須賀君を家の近くまで案内してしまいました…)」

和「(こ、このままでは色々といけません…)」

和「(流石に彼を追い詰めるだけで何のフォローもせずに帰す訳には…)」

和「(で、でも…コレ以上、引き伸ばすためには彼を家に招くしか…)」

和「(お、男の人を家に…家に……)」カァ

和「……」チラッ

京太郎「ん…どうした?」

和「い、いえ…なんでもありません…」

和「(…須賀君なら…大丈夫ですよね…?)」

和「(今も歩く速度を大分緩めて私のことを気遣ってくれていますし…)」

和「(ちょっとどころじゃなくエッチですけれど…でも、それ以外は色々と頑張ってくれて…)」

和「(良い人だって事は…今までの事で十分、分かっているんです)」

和「(家にあげたところで変な誤解はするような人じゃありませんし…)」

和「(す、少しくらい…なら…別に…)」





和「あ、あの…っ!」

京太郎「ん?」

和「こ、ここ…わ、私の家です」

京太郎「そ、そっか。長々と着いて来て悪かったな」

京太郎「(やっばいなぁ…最後まで着いてきちまった…)」

京太郎「(てっきり途中までだと思ってたんだが…)」

京太郎「(意外と心細かったのか…或いは緊張でタイミングを見失ったのか…)」

京太郎「(どっちにしろ…もうちょっと気を配ってやれば良かったぜ…)」」

和「い、いえ…こ、こちらこそ、すみません…」

京太郎「??なんで和が謝るんだ?」

和「え、えっと…須賀君の貴重な時間を貰った訳ですし…」

和「(ま、まさか嘘を吐いて振り回しちゃったお詫びだなんて言えるはずがありませんし…)」

京太郎「気にするなよ。どうせ帰っても、ネト麻くらいしかする事ないんだから」

和「…え?」

京太郎「ん?」


和「ネト麻…やってるんですか?」

京太郎「あぁ…まぁ…あんま成績が良い訳じゃないけれど…」

京太郎「俺だって一応、清澄の部員だからな。後輩が入って来た時に恥ずかしくはないレベルにはなっときたいし…」

京太郎「それに俺が下手過ぎると皆も色々、言われかねないだろ?」

和「じ、じゃあ、なんで部室ではずっと雑用ばっかりやってるんですか…」

京太郎「そりゃあ、俺が皆の脚を引っ張る訳にはいかないだろ」

京太郎「インターハイ優勝後って事もあって期待も注目度も高いんだから」

京太郎「和たちなら大丈夫だと思うけれど、新人戦も控えてるしな」

和「…」

和「…」




和「はぁ」

京太郎「え…?」


和「(この人は…この人は本当に…!)」

和「(優しいのは分かりますけれど…気を遣いすぎなんですよ…!)」

和「(最早、遠慮と言うレベルを超えて、私達がいじめてるみたいになってるじゃないですか…)」

和「(…いえ…入部から雑用とネト麻ばかり…)」

和「(その上、合宿にも置いて行かれた彼がそう思うのも無理は無いのかもしれません…)」

和「(須賀君にとって…そうやって私達を優先する事が『当たり前』になってるんです…)」

和「(地区予選を超えて…インターハイに行ってから…ずっと…ずっと)」

和「(…こんな事なら…もっと早く向き合っていれば良かった…)」

和「(そうすれば…誰よりも働いてくれている須賀君にこんな事を言わせなくても済んだかもしれないのに…)」

和「(…いえ…今はそんな事よりも…)」



和「良いですか、須賀君」

京太郎「は、はい…」

和「そんな風に遠慮されて皆が嬉しいとでも思ってるんですか?」

京太郎「いや…でも…」

和「でも、じゃないです!まったく…」

和「そもそも秋季大会や新人戦は各校の調整みたいなものです」

和「勿論、次代を担う人たちが多く参戦するので、まったくスルーは出来ません」

和「でも、本番はあくまでも夏のインターハイであり、そこまで重視するべき目標じゃありません」

和「…それに…須賀君は今まで今までずっと雑用をやってくれていたじゃないですか」

和「そのことに対して…皆が心苦しく思ってないとでも思うんですか…?」

京太郎「あ…」


京太郎「(考えても見れば…染谷先輩だって何時も咲や和たちと本気で打ってるんだ)」

京太郎「(今更、疲れたなんて良いだすような人じゃない…)」

京太郎「(タコスは…まぁ、何時も通りだったにしても…挑発っぽい言い回しが多かったのは俺を卓につけたかったからか…)」

京太郎「(あの自己主張をあまりしない咲だって…何度も俺を誘ってくれてたんだ…)」

京太郎「(何かあるんじゃないかって思って然るべき…だったよなぁ…)」

京太郎「(和の言う通り…下手に遠慮してた所為で…逆に皆の迷惑になってたのか…)」




京太郎「…ごめん。まったく…そういう事を考えてなかった…」ペコリ

和「謝らないで下さい…悪いのは…須賀君に甘えていた私達なんですから」

和「だから…須賀君もちょっとくらい私達に甘えて下さい」

和「そうじゃないと…一方的に借りばっかり溜まっていくみたいで不愉快です」プイッ

和「須賀君はもうそれくらい、麻雀部に貢献してくれているんですから…」

京太郎「…そう…なのかな」

和「当たり前です!須賀君がいなかったら、咲さんも麻雀部に来てくれませんでしたし…」

和「それに須賀君が雑用全般を引き受けてくれたお陰で私たちはインターハイに集中する事が出来たんです」

和「それがなかったら…正直、あの激戦区を戦い抜けたとは思えません」

和「点棒みたいに見える形じゃないですけれど…須賀君はちゃんと私達を支えてくれていましたよ」ニコッ


京太郎「…ありがとうな、和」

和「それは…私の…いえ、私たちの台詞ですよ」

和「だから、もう遠慮しないで下さい」

和「折角、こうして仲間になれたのに…そんなの悲しいじゃないですか」

京太郎「はは…そうだな。その通りだ」

京太郎「今度からはちゃんと俺も卓に入る事にするよ」

京太郎「まぐれとは言え、インターミドルチャンプの和から満貫を和了れた訳だから自信もついた」

和「も、もう!…あ、アレは蒸し返さないで下さい!」カァ

京太郎「はは…悪い悪い。まぁ…元気になったみたいで良かったよ」

京太郎「さっきまで落ち込んでたみたいだから、安心した」

和「う…」


和「(って…須賀君の本心が知れて、すっかり忘れてましたけれど…)」

和「(そ、そもそも私が声を掛けたのは…彼にお茶の一つでも出したげる為であって…)」

和「(私が須賀君を傷つけてしまった償いそのものはまだ終わってないんですよね…)」

京太郎「んじゃ、そろそろ俺は行くよ」

和「ちょ、ちょっと待って下さい…!」

京太郎「どうした…?早く入らないと身体が冷えるぞ」

和「そ、それは須賀君も同じじゃないですか…」

和「そ、それに…折角、送ってきて貰った以上…何もせずに帰す訳にもいきません…」

和「だだだ…だ…だか…っ!だかりゃ…!わ、わらし…私の…」マッカ

京太郎「お、落ち着け、和。ほら、深呼吸深呼吸」

和「わ、私が焦っているとかオカルトあり得ません!」

京太郎「(あ、それはちゃんと言えるんだ…)」

和「だ、だから…わ、私の部屋に…き、来ません…か…!?」

京太郎「」






京太郎「え?」



………

……





京太郎「お、お邪魔しまーす…」

和「ど、どう…ぞ…」

和「(つ、ついにお、男の…男の人が私の家に…!)」

和「(ど、どうすれば…え、えっと…ま、まま…まずは…)」

和「しゅ、しゅりっぱをどうぞ!」

京太郎「お、おう。ありがとう」

和「(ま…また噛んじゃったぁ…恥ずかしい…)」カァ

京太郎「(しかし…一体、何がどうなってるんだ…)」スタスタ

京太郎「(体調悪い和を送って行ったら部屋にあがらせて貰えるようになったとか…)」

京太郎「(そんなオカルトあり得ないってレベルじゃねぇぞ…)」

京太郎「(これが咲辺りなら分からないでもないけれど…)」

京太郎「(つーか…これ夢じゃねぇの?マジ現実?)」

京太郎「(なんか現実感沸かなさすぎてふわふわしてんだけど…)」



和「こ、ここが…リビングです…」ガチャ

京太郎「そ、そうか…き、綺麗な部屋だな」

和「は…はい。一応…私が毎日、掃除してるんで」

京太郎「の、和はそういうのマメな方だもんな」

和「しゅ、習慣みたいなものです」

和「そ、それより…お茶淹れますね。ちょっと待ってて下さい」

京太郎「あ…ありがとうな」




京太郎(しかし、なんつーか…)」

京太郎「(和はこうしてキッチンに立つのが似合うなぁ…)」

京太郎「(これが咲なんかだと不安でそわそわするが…)」

京太郎「(和だとそうやって不安にならずに済む…)」

京太郎「(その上、なんか…和がキッチンで動く姿を後ろから見ると…)」

京太郎「(こう…新婚さんみたいな…?)」デヘヘ

京太郎「(い、いや…落ち着け。須賀京太郎)」

京太郎「(折角、箱入り娘の和が家にあげてくれたんだ)」

京太郎「(その信頼をムダにするような下衆顔は止めるべきだろう…)」

京太郎「(何時も以上にクールに…そして紳士に行く)」

京太郎「(それが今の俺に出来る最大の感謝だ…!)」ゴッ

和「(何かさっきから変な視線を感じるような…気のせいでしょうか…?)」


和「お、お待たせしました。こ、これお茶請けです…」

京太郎「ありがとうな」サワヤカスマイル

和「そ、それじゃあ…私、部屋で着替えてくるので…」

京太郎「おう。ゆっくりしてきてくれ」ニコー

和「…」

京太郎「どうしたんだ、和?」キラー

和「いえ…」

和「(何か…何時もの須賀君と違いすぎて、気持ち悪いくらいなんですけれど…)」

和「(実害はなさそうですから…別に構いませんよね…?)」

和「と、とりあえず…すぐ戻りますから待ってて下さいね」

京太郎「あぁ!」ジュピター



京太郎「(と…まぁ、爽やかに見送ったものの…だ)」

京太郎「(やっぱ見慣れない家に一人って言うのは居心地悪いよなぁ…)」

京太郎「(ましてや…相手はあの和)」

京太郎「(ザ・お嬢さんと言った風な和の家の中と思うと…)」

京太郎「(もうね。緊張で汗がやばいですよ)」

京太郎「(下手なところを見るのも不遜な気がして、さっきからキッチンしか見てねぇ…)」ズズッ

京太郎「…あ、お茶美味しい…」

京太郎「お茶請けも見る側に品の良いものだし…流石、和の家だぜ…」

和「お、お待たせしました。こ、これお茶請けです…」
京太郎「ありがとうな」サワヤカスマイル
和「そ、それじゃあ…私、部屋で着替えてくるので…」
京太郎「おう。ゆっくりしてきてくれ」ニコー
和「…」
京太郎「どうしたんだ、和?」キラー
和「いえ…」
和「(何か…何時もの須賀君と違いすぎて、気持ち悪いくらいなんですけれど…)」
和「(実害はなさそうですから…別に構いませんよね…?)」
和「と、とりあえず…すぐ戻りますから待ってて下さいね」
京太郎「あぁ!」ジュピター



京太郎「(と…まぁ、爽やかに見送ったものの…だ)」
京太郎「(やっぱ見慣れない家に一人って言うのは居心地悪いよなぁ…)」
京太郎「(ましてや…相手はあの和)」
京太郎「(ザ・お嬢さんと言った風な和の家の中と思うと…)」
京太郎「(もうね。緊張で汗がやばいですよ)」
京太郎「(下手なところを見るのも不遜な気がして、さっきからキッチンしか見てねぇ…)」ズズッ

京太郎「…あ、お茶美味しい…」
京太郎「お茶請けも一目で分かるくらい品の良いものだし…流石、和の家だぜ…」


和「(と、とりあえず…制服は脱いで…っと)」ヨイショ

和「(後、ショーツだけは変えておかないといけませんし…)」ゴソゴソ

和「(うぅ…やっぱりクロッチ部分がびしょびしょ…)」

和「(こんなの恥ずかしくて乾くまで脱衣所にもっていけません…)」カァ

和「(とりあえずこれは隠しておいて…服はどうしましょう…)」ゴソゴソ

和「(…何時もの…で良いですよね…?)」

和「(良い…はずなのに…)」




和「選びづらいのはどうしてなんでしょう…?」


和「お…お待たせしました」

京太郎「(あぁ…ようやく戻ってきてくれたか…)」

京太郎「(一人になってから既に十数分…)」

京太郎「(女の子の着替えが長いとは言え、正直、落ち着かなかったぜ…)」

京太郎「(また倒れているんじゃないかって心配になったくらいだからな…)」

京太郎「(だけど…ようやくそれから解放され…——)」クルッ

京太郎「ファ!?」

和「?」


和「え、えっと…何か?」

京太郎「い、いや…何かって…和…」

京太郎「(フリルが沢山ついた薄紅色のワンピースってのは良く分かる…!和は割りと少女趣味だからな…)」

京太郎「(未だにぬいぐるみ手放せないくらいだし…それは分かる。けど…!)」

京太郎「(なんで、谷間見せるように開いてるんだよおおおおおおお)」

京太郎「(つーか、アレは服として機能してないだろ絶対!!)」

京太郎「(上半身を結んでるのが、リボン一個しかねぇぞ!!)」」」

京太郎「(何かの拍子でリボンが解けたらバツンって弾けるぞアレ…!!)」

京太郎「(一応、オレンジのカーディガンっぽいの羽織ってるけど、前を殆ど止めてないから…)」

京太郎「(もう逆に前の肌面積が強調されて…もうね…もう…)」

京太郎「(誘ってるんじゃないかっていう馬鹿げた発想すら俺の中から出てくる訳ですよ!!)」



和「あ、あの…須賀君?」

京太郎「(勿論…俺にだって和が実はしっかりものに見えて天然系だって事は分かってるんだ…!)」

京太郎「(これだって私服であり、別に誘ってる訳じゃないのは分かってる…けど…!!)」

京太郎「(こんな素晴らしいおもちが目の前で零れそうになっているのを見て、冷静でいられるほど!!)」

京太郎「(京太郎の中の京太郎は理知的な奴やないんや…!違うんや…!!)」

京太郎「(だけど…自分の中の自分に負けてしまうとまた保健室の…いや、それ以上の悲惨な結果に…!)」

京太郎「(それに…こうして家にあげてくれた和の信頼を裏切りたくはない…!!)」

京太郎「(だから…!俺の中の俺よ…!今は大人しくしていてくれ…!)」

京太郎「(家に帰ったら幾らでも構ってやるから…今は…今だけは…)」

京太郎「(この素晴らしい…いや、恥ずかしい格好を和に止めるように言う勇気と理性に変わってくれ…!!!)」ギリッ







京太郎「い、良いと思うよ?」


和「そ、そうですか…」

和「これはお気に入りなんでそう言ってもらえると嬉しいです」ニコッ

京太郎「(の、和の無垢な視線が思いっきり突き刺さる…!)」

京太郎「(や、やめてくれ…!そんな目で見ないでくれ…!!)」

京太郎「(俺は欲望に魂を売ってしまった男なんだ…そんな風に見られる価値なんかないんだ…!!)」

京太郎「(俺は自分の保身と欲望の為に…和を…和を……うごごごごご)」

和「???」


和「と、とりあえず…準備は出来ましたし…私の部屋に来ませんか?」

京太郎「え…あ、あれ本気だったのか…?」

和「あ、あんな冗談言いませんよ…」カァ

京太郎「(う…か、可愛い…)」

京太郎「(ただ、男慣れしてないだけだって分かってるはずなのに誤解してしまいそうなほど可愛い…!)」

京太郎「(私服のとんでもさの中で輝く無垢のギャップが胸にクるほど可愛い…っ!!)」

京太郎「(もう…マジ反則だろ、これ…)」

和「あ、あの…須賀君…?」

京太郎「あ、あぁ。ごめん。分かった。着いて行くよ」

和「じ…じゃあ、お菓子やお茶は私が持ちますね」

京太郎「いや…でも…」

和「き、気にしないでください。須賀君はお客様な訳ですし」

京太郎「お客様なんて柄じゃないんだけれどなぁ…」

和「何時も須賀君はもてなしてばっかりなんですから、たまにはもてなされれば良いんですよ」

和「そうしたら自分に何が足りないのか見えてくるでしょう?」

京太郎「凄い言いくるめられている感があるんだが…」

和「気のせいです」キッパリ

京太郎「でも…」

和「気のせいです」


京太郎「…分かった。じゃあ、和に任せる」

和「はい。そ、それじゃ…行きましょうか」スタスタ

京太郎「お、おう…」スタスタ

和「あ…階段、あがりますね」

京太郎「わ、分かった…」

京太郎「(しかし…こうして階段を登ると思うのがだな…)」

京太郎「(やっぱり和の身体の素晴らしさだ…!)」

京太郎「(和は非の打ち所のないおもちの持ち主だが…お尻も実はかーなーりー凄い)」

京太郎「(こうしてワンピース越しに見える大きさはもう…垂涎モノだぜ…)」

京太郎「(それが手の届く位置でフリフリ揺れてると思うと…)」

京太郎「(おもちマイスターである俺の手が思わず伸びそうになるくらいだ…)」

京太郎「(くそ…和はなんて悩ましい身体の持ち主なんだ…!)」

和「??」

京太郎「(ハッいけないいけない…)」

京太郎「(ここで欲望に飲まれてガン見してちゃ、今までの二の舞だ…)」

京太郎「(ここはクールに、話題を振って意識をそちらに持っていくべきだな…)」

京太郎「と、ところでさ」

和「な、何でしょう?」

京太郎「部屋で何をするつもりなんだ?」

和「え、えっと…」

和「(ど、どうしましょう…別に言っても良いんですけれど…)」

和「(でも、ここで素直に言っちゃうとそこで話題が途切れちゃいますよね…)」

和「(そうなったらまた気まずくなるかもしれませんし…ここは…)」

和「ひ、秘密です」カァ

京太郎「え…?」


京太郎「(え…秘密って…もしかして口では言えない事をされるって事か…?)」

京太郎「(い、いいいいいや、待て。落ち着け!!)」

京太郎「(俺は今までそうやって勘違いをして、嫌われてきたじゃないか!!)」

京太郎「(ま、ましてや相手は和であり、しかも、ここは和の家なんだぞ!?)」

京太郎「(選択肢一つでバッドエンドが待っているシチェーションで早合点は禁物だ…!)」

京太郎「(こ、ここはウェットでナイスなジョークとして場を流すべき…!!)」

京太郎「そ、そうか。秘密かぁ」

和「え、えぇ。秘密です」

京太郎「ひ、秘密なら仕方がないな」

和「し、仕方がありませんよね…!」

京太郎「…」

和「…」



京太郎「(この状況でそんな小粋なジョークが言えたら俺はもうクラスの人気者だぜ…)」ズーン



和「(あ、あぁ!?な、なんでかは分からないけど、須賀君が落ち込んでいます…!?)」

和「(下手に誤魔化そうとしたのがいけなかったのでしょうか…)」

和「(で、でも…秘密と言ってしまった以上…言えませんし…)」

和「(そ、そうだ…!)」

和「か、代わりにヒントをあげます!」

京太郎「ヒント…?」

和「え、えぇ!それはとっても楽しくて、須賀君も喜んでくれると思います」

京太郎「悦ぶ…だと…!?」



ホワンホワン



和「ほら…京太郎君…だぁいすきなおっぱいで挟んであげますよぉ…♪」

和「ふふ…♪ピクピクって…硬くなっちゃってますね…♪とっても可愛い…♪」

和「そんなに私のおっぱいの中、気持ち良いんですか…?」

和「聞かなくても分かりますけれどね…♪とっても幸せそうで…蕩けた顔…♪」

和「だらしなくって…可愛くて仕方がないです…♪」

和「だから…私のおっぱいで一杯、可愛がってあげますね…きょうたろうくん…?」



京太郎「(な、なんて素晴らしいシチュエーション…!)」

京太郎「(我が妄想力にスタンディングオペレーションを送りたいくらいだ…!)」

京太郎「(が…ダメ…ッ!そんな未来は…無い…ッ!真っ暗…期待するだけ…無駄…ッ!)」

京太郎「(見るんだ…ッ!現実…ッ!和と一緒…ッ!それだけで…僥倖…ッ!幸せ…ッ!!)」

和「(何故か後ろからざわざわって音が聞こえる気がするのは何故なんでしょう…)」




和「っと…つ、着きましたよ。ここが私の部屋です」

京太郎「お、おぉ…確かに見慣れたペンギンマークの可愛らしいネームプレートが…」

和「う…い、いいじゃないですか…」

京太郎「はは。ごめん。悪いなんて言うつもりはなかったんだ。ただ、和らしいなって」

和「むぅ…まぁ、馬鹿にするつもりじゃなかったのなら良いです…」

和「その代わりにドアを開いてくれませんか?私は今、両手が塞がっていますし…」

京太郎「あ、そうだな。気が付かなくて悪い」ガシャ

和「ありがとうございます。で…では、狭いかもしれませんが、中へどうぞ」

京太郎「お、お邪魔しまーす」


京太郎「(なんて言うか…なんて言うか…)」

京太郎「(すっごい女の子の部屋って感じがするなぁ…)」

京太郎「(つか…空気まで何か甘い感じで…凄い場違いなところに来てしまった感がある…)」

京太郎「(そんな中、不自然なまでに存在感を放つ全自動麻雀卓…)」

京太郎「(うん。何かこういうちょっと抜けてる感が凄い和らしいや)」

和「えっと…それじゃあ…」カチャ

京太郎「(あれ…和が麻雀卓を弄って…)」

京太郎「何をするつもりなんだ?」」

和「特訓です」

京太郎「え?」

和「須賀君の特訓です」


京太郎「特訓って…麻雀のか?」

和「えぇ。今日は色々と迷惑を掛けてしまいましたし…」カチャカチャ

京太郎「いや…俺は特に気にしていないし…寧ろ、ゆっくり休んで欲しいくらいなんだが…」

和「今はもう大丈夫ですよ。そこまで集中してやるつもりもありませんし」

和「(それに…普通にしているよりも…牌を握っている時の方が冷静になれますから…)」

和「(流石に部屋に男の人と一緒に居るって言うのは色々とこう…恥ずかしいものがですね…)」

和「それにこのままじゃ須賀君は秋季大会でもあまりいい成績を残せません」

京太郎「うっ…す、すまん」

和「謝らないで下さい。悪いのは私たちの方なんですから」

和「でも、だからってこのまま何もしないのはあまりにも須賀君が割りを食い過ぎです」

和「だから、私から出来る限り、恩返しをさせてください」

京太郎「和…」

京太郎「分かった…でも、辛くなったらすぐに言ってくれよ」

京太郎「別に特訓なんて部室でも出来るんだしな」

京太郎「急いで今日やる必要はないし…俺の所為で和に辛い思いをさせたくないから」

和「えぇ。それは分かっています」

和「じゃあ…始めましょうか」


和「今日の対局を見て思ったのが、須賀君の打ち筋の問題ですね」

和「放銃する事そのものは少なくなって来ましたが、お陰で手を作るのが遅くなっているように感じます」

和「恐らく配牌の時点でベタ降りするかどうかを決めているんじゃないですか?」

京太郎「おっしゃる通りです…」

和「やっぱり…。いえ、それが悪いと言う訳じゃないんですよ」

和「ただ、それは放銃率を下げたり、箱割れするのを回避出来てもトップには立てない打ち方です」

和「それじゃあ何時まで経っても麻雀には勝てませんし、予選も突破出来ません」

和「ですが、牌効率への研究が進んだ今、満貫以上は決して珍しい手じゃなくなりました」

和「そんな環境で防御を疎かにするとあっさり飛びかねません」

和「ですから、その両方を鍛える為に今日の須賀君には攻撃的な牌の切り方を覚えて頂きます」

京太郎「攻撃的な牌の切り方…?」

和「えぇ。自分の欲しい牌を呼び出す切り方…と言っても良いかもしれませんね」

和「とりあえず須賀君は後ろを向いてくれますか?」

和「今から私が牌を弄りますから」カチャカチャ

京太郎「あ、あぁ。分かった」クルリ


和「はい。出来ましたよ」

京太郎「それで…何をすれば良いんだ?」

和「簡単です。そこの配牌を見て下さい」

京太郎「これか?…うーん…良くもなければ悪くもない配牌だな…」

京太郎「牌が絡めば平和が見える…くらいか」

和「それを使って役を変化させて、私から放銃させて下さい」

京太郎「え…?」

京太郎「い、いや…でも、これは和が準備したんだろ?」

京太郎「中身を知ってる和が放銃するはずないじゃないか」

和「大丈夫ですよ。やっている時は完全にデジタル打ちでやりますし」

和「大事なのは、自分の当たり牌が安全だと切り方、或いは手配変え方です」

和「それを分かってもらう為の特訓なのにズルなんかしませんよ」

和「ただ、最初は言われても良く分からないと思うんで二人ですけど実戦形式でやりましょう」

京太郎「そうだな…。俺は理論的なものはさっぱりだし」

京太郎「一度、身体で覚えてからの方が多分、理解しやすいと思う」

京太郎「しかし…」トン

和「何ですか?」トン

京太郎「そんなオカルトみたいな切り方って俺に出来るのかな…と思ってな」トン

京太郎「放銃率そのものは下がったけれど、攻撃に切り替えるとすぐにロン和了を食らっちまう」

京太郎「今日だってそれで一回飛んだ訳だしな」

和「大丈夫ですよ。ネト麻をやっていたのならば、少しは分かるはずです」トン

和「それに考え方そのものは決してオカルト染みたものじゃありません」

和「セオリーをしっかり抑えていれば、見えてくるはずのものですよ」

和「きっと今の須賀君ならそれに辿り着けるはずです」

京太郎「そこまで言われちゃ…出来ないなんて言えないよな…」

和「ふふ…♪頑張って下さいね。期待していますから」



京太郎「で…まぁ…流局…と」ズーン

和「大丈夫ですよ。まさか一回目から出来るとは思っていませんし」

和「正答は必ずこの中にありますし、試行錯誤を繰り返せば分かりますよ」

京太郎「でも…まったく見えて来なかったんだが…」

京太郎「って言うか…未だにどうすれば良いのかすらわからん…」

和「んー…そうですね」

和「では、須賀君に一つヒントをあげましょう」

京太郎「よっ。和先生!」

和「もう…っそんなんじゃないですっ」カァ

和「と、とにかくですね…!この山の中身は牌効率やその他が実現する形で組み上げられています」

和「つまり、逆説的に言うと…って事ですね」

京太郎「う、うーむ…分からん…」

和「流局になるごとにヒントをあげますから、少しずつやっていきましょう」

京太郎「そうだな。次も頼む」


………

……





京太郎「(同じ山から同じ牌を何度か引っ張ってきて…分かった事が一つある)」トン

京太郎「(一つ。和は基本的に俺の切り方によって牌の出し方を変えている)」

京太郎「(二つ。それが途中から明確に…鏡写しのように同じ切り方を繰り返す場所がある)」

京太郎「(三つ。そしてその和了牌はどうやら俺が握っているらしい)」

京太郎「(以上の事から導き出される答えは……)」

京太郎「(セオリー通りとセオリー崩し…両者をどう使い分けて…ブラフにするかと言う事…!)」

京太郎「(全国にいけるような雀士にとっては…たった一打に理由があって…たった一打が罠なんだ…)」

京太郎「(そう思うと…麻雀って恐ろしいな)」

京太郎「(今の和はセオリー通りの打ち方しかしないし…)」

京太郎「(何度も繰り返してその配牌がどんなものかも検討がついている)」

京太郎「(だけど、実戦じゃそんなものはあり得ないし、さらに言えば、和だけじゃない)」

京太郎「(その他にも二人…同じように俺を罠にはめようとしている奴らがいるんだ…)」

京太郎「(そんな中から和了を得るっていうのは…実はかなり難しい事なんじゃないだろうか…)」

京太郎「(だけど…)」チラッ

和「」トン

京太郎「(折角、和がここまでやってくれてるってのに収穫なしじゃ帰れねぇよな…)」トン

京太郎「(やるぞ…!絶対に自分の力で…正答にたどり着いてみせる…!)」ゴッ

すみません。また訂正をば…!!

………

……






京太郎「(同じ山から同じ牌を何度か引っ張ってきて…分かった事が幾つかある)」トン

京太郎「(一つ。和は基本的に俺の切り方によって牌の出し方を変えている)」

京太郎「(二つ。それが途中から明確に…鏡写しのように同じ切り方を繰り返す場所がある)」

京太郎「(三つ。そしてその和了牌はどうやら俺が握っているらしい)」

京太郎「(以上の事から導き出される答えは……)」

京太郎「(セオリー通りとセオリー崩し…両者をどう使い分けて…ブラフにするかと言う事…!)」

京太郎「(全国にいけるような雀士にとっては…たった一打に理由があって…たった一打が罠なんだ…)」

京太郎「(そう思うと…麻雀って恐ろしいな)」

京太郎「(今の和はセオリー通りの打ち方しかしないし…)」

京太郎「(何度も繰り返してその配牌がどんなものかも検討がついている)」

京太郎「(だけど、実戦じゃそんなものはあり得ないし、さらに言えば、和だけじゃない)」

京太郎「(その他にも二人…同じように俺を罠にはめようとしている奴らがいるんだ…)」

京太郎「(そんな中から和了を得るっていうのは…実はかなり難しい事なんじゃないだろうか…)」

京太郎「(だけど…)」チラッ

和「」トン

京太郎「(折角、和がここまでやってくれてるってのに収穫なしじゃ帰れねぇよな…)」トン

京太郎「(やるぞ…!絶対に自分の力で…正答にたどり着いてみせる…!)」ゴッ


和「(どうやら…思った以上にこの特訓は須賀君の思考を切り替えられたみたいですね)」

和「(最初は滅茶苦茶だった打牌が少しずつ落ち着いたものになっています)」

和「(攻撃的姿勢の須賀君に足りなかった『攻撃的思考』…)」

和「(それがこうして出される牌からしっかりと感じられますよ)」フフッ

和「(そう思うと…何だか嬉しいですね)」

和「(意外と…私は学校の先生とかに向いているんでしょうか?)」

和「(って…まだそんな事を考えるのは早いですよね)」

和「(でも…麻雀以外に道がある事は覚えておきましょう)」

和「(別にプロにならなくても…麻雀そのものは続けられるんですから)」

和「(阿知賀のレジェンドと呼ばれたあの人のように麻雀教室を開いても良いかもしれませんね)」

初心者の俺にとっては一石二鳥のスレ


………

……



京太郎「だー…ダメだぁ…」

和「でも、段々、惜しいところまで来ていますよ」

京太郎「あぁ。自分でも手応えのようなものは感じてるんだけれどなぁ…」

和「ちょっと頭が煮詰まってきているのかもしれませんね。休憩しましょうか」

京太郎「あー…頼む。頭の中、クラクラしてきた」

和「ふふ…でも、そうやって考えるのは良い傾向ですよ」

和「今までの須賀君にはそう言った思考があまり感じられなかったですから」

和「そうやって思考して一打を繰り返す姿勢も相手のプレッシャーになります」

和「少し卑怯かもしれませんが、それもまた相手から和了を奪う手法の一つかもしれませんね」

京太郎「なるほどー…」

京太郎「…いや、でも、そういう和は殆ど長考なしで打ってるじゃないか」

和「早打ちは早打ちで相手に心理的重圧を与えるものですよ」

和「それに私は配牌の時点で誰がどの牌を打って、何を引けば、どれを打牌するとか最初の時点で形になっています」

京太郎「なにそれこわい」

和「ふふ…これも慣れです。はい。お茶」

京太郎「ありがとな…」ズズ

京太郎「あ゛〜、お茶が美味い…お菓子も美味い」パクパク

和「もう…年寄り臭いですよ」クスッ

京太郎「まぁ、それだけ集中してたって事で許してくれ」

京太郎「しかし…やればやるほど壁の厚さを感じるぜ…」

京太郎「これがまだ和一人だからまだ手応えがあるけど、三人相手ってなると頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだ…」

和「でも、それが完璧に出来るようになったら須賀君は全国に行ってもおかしくはないレベルになりますよ」

京太郎「全国…かぁ」

和「??」


京太郎「いや…俺にとって全国ってこう…遥か遠いステージ過ぎて実感が沸かないんだよなぁ…」

京太郎「勿論、雑用としてだったけれど…俺はその片鱗を見たし…憧れているのは確かだ」

京太郎「でも、あの激戦の中をくぐり抜けられる自分っていうのがまったく想像出来ない」

京太郎「あそこで…あんな風に…和たちみたいに戦う…須賀京太郎の姿」

京太郎「勿論、まだまだ初心者な俺がそんなものを夢見る事すら間違っているんだろうけど…」

京太郎「どれだけ考えても…そんなビジョンが出てこないんだよなぁ…」

和「…」

和「…だったら、それを現実にしてやりましょう」

京太郎「え…?」

和「これから頑張って…少しずつその夢に近づいていけば良いんですよ」

和「須賀君はまだ一年で挑戦する機会は沢山あります」

和「それに…人のことを評価出来るほど私は偉くはありませんが…須賀君からは素質を感じます」

和「今年こそ…私たちの所為で結果は出せませんでしたが、来年からは違いますよ」

和「須賀君なら…きっといい成績を残せるはずです」ニコッ

京太郎「和…」

和「その為にも…まずは秋季大会や新人戦を見据えて頑張りましょう」

和「そこで結果を出せれば、少しずつビジョンもはっきりとしてくるでしょうし」

和「何より…須賀君は頑張った分を成果として出せる人だって信じていますから」

和「三年後にはきっと…全国が見える雀士になれますよ」

京太郎「そう…かな…?」

和「えぇ。絶対に」

和「私が約束します。必ず須賀君をそこまでいけるように育ててみせるって」ニコッ

役牌(自風場風三元牌)がドラなら鳴き速攻あるのみだね………


京太郎「あ…ありがとう…な」

京太郎「(あー…なんだろ…)」

京太郎「(俺なんかを和がここまで買ってくれているっていうのがすっげぇ嬉しい…)」

京太郎「(しかも…あの箱入り娘で男が苦手オーラ全開だった和が約束までして…)」

京太郎「(勿論…別に俺の事が好きとかそんなんじゃないんだろうけれど…)」

京太郎「(でも…そこまで俺の事を仲間として認めてくれてたってのはかなり涙腺にクる…)」

京太郎「(これは…和の約束を嘘にしないように頑張らないと…男が廃るぜ…!!)」

京太郎「…よし!休憩終了!!」

京太郎「和!準備を頼む!」

京太郎「今度こそ和から放銃させてみせるぜ…!」

和「ふふ…楽しみにしていますね」

京太郎「(と言ったものの…集中力が完全に切れてしまったぜ…)」トン

京太郎「(今までは和の部屋っていう適度な緊張感もあって長続きしてたんだが…)」

京太郎「(ぶっちゃけさっきのでその緊張の糸も切れた…!!)」

京太郎「(そうなるとですね…必然的に目の前のすばらなおもちが気になる訳ですよ…)」

京太郎「(ブラがつけられるのかすら疑問になるくらい露出度が高い服が気になって仕方がなくなる訳ですよ!!)」

京太郎「(くそう…集中しなきゃいけないのに…おもちが…おもちが…)」

京太郎「(うぐぐ…まさかこんなにおもちが憎くなるとは思いも寄らなかった…)」

こんな天使なのどっちを今から堕とすとか心が痛むわ

>>117
せやな………

ぎゃあ。ごめん。ちょっと訂正。

京太郎「あ…ありがとう…な」

京太郎「(あー…なんだろ…)」

京太郎「(俺なんかを和がここまで買ってくれているっていうのがすっげぇ嬉しい…)」

京太郎「(しかも…あの箱入り娘で男が苦手オーラ全開だった和が約束までして…)」

京太郎「(勿論…別に俺の事が好きとかそんなんじゃないんだろうけれど…)」

京太郎「(でも…そこまで俺の事を仲間として認めてくれてたってのはかなり涙腺にクる…)」

京太郎「(これは…和の約束を嘘にしないように頑張らないと…男が廃るぜ…!!)」

京太郎「…よし!休憩終了!!」

京太郎「和!準備を頼む!」

京太郎「今度こそ和から放銃させてみせるぜ…!」

和「ふふ…楽しみにしていますね」


京太郎「(と言ったものの…集中力が完全に切れてしまったぜ…)」トン

京太郎「(今までは和の部屋っていう適度な緊張感もあって長続きしてたんだが…)」

京太郎「(ぶっちゃけさっきのでその緊張の糸も切れた…!!)」

京太郎「(そうなるとですね…必然的に目の前のすばらなおもちが気になる訳ですよ…)」

京太郎「(ブラがつけられるのかすら疑問になるくらい露出度が高い服が気になって仕方がなくなる訳ですよ!!)」

京太郎「(くそう…集中しなきゃいけないのに…おもちが…おもちが…)」

京太郎「(うぐぐ…まさかこんなにおもちが憎くなるとは思いも寄らなかった…)」


和「(う…ま、また須賀君が私の胸を見てます…)」トン

和「(折角、あんな風に格好つけたのに…もう…締まらない人ですね…)」

和「(おもち好きだって言うのは知ってますけれど…折角の特訓中にそれはないと思います…)」

和「(はぁ…ちょっと格好良いな…と思ったのに…)」

和「(…何か腹が立つから、カーディガンの前を閉じちゃいましょう)」プチプチ




京太郎「(あ、あぁ!お、おもちがカーディガンに…!!)」トン

京太郎「(い、いや…待て…!寧ろ、特訓に集中すると言う意味じゃ有難い事だ…!)」

京太郎「(おもちのすばらな谷間は死んだ!もういない!!だけど、俺の!俺達の心の中で生き続ける!!)」

京太郎「(……生き続けちゃダメだろおおおおお)」

京太郎「(カーディガンをもちあげるおもちじゃなくて目の前の牌に集中しろよ俺!!)」

京太郎「(じゃないと、俺に約束してくれた和にも悪いし…何より格好悪すぎる…!)」

イッチ〜
sagaがsageになってるで〜


和「(…あれ?)」トン

京太郎「(燃えろ俺の理性…!俺の視線を冥王のどぱいから取り戻すんだ…!!)」トン

和「(これって…もしかして…)」トン

京太郎「(あぁ!ゴールド理性のアルデ○ランがやられた!!)」トン

和「(えっと…あれ…?嘘…でしょう…?)」トン

京太郎「(お、落ち着け…!須賀京太郎は狼狽えない…!)」トン

和「(これ…最適解を進んでるんですけれど…)」トン

京太郎「(のどかのおもちは世界一ィィィィィィィィ!!!!!)」トン

和「(な、何度見ても…間違いじゃないですよね…?)」トン

京太郎「(って、そうじゃない…!そうじゃないだろう俺ぇぇぇ!!)」トン

和「(え…?な、なんで私の胸を見てるのに…どんどん正解に近づいていくんですか…!?)」トン

あばば。saga指摘ありがとうございます。
このままエロシーンイカなくてほんと良かった…。







京太郎「(くそ…やっぱりダメだったのか…)」トン
京太郎「(健全な男子高校生の理性というシングルのトイレットペ—パーよりも薄いものじゃ…)」
京太郎「(思春期の欲望を抑える事なんて不可能だったのか…)」
京太郎「(すまない…和…折角、特訓を申し出てくれたのに…)」
京太郎「(俺はどうやら…ここまでみたいだ…)」
和「…ふぅ…」トン
京太郎「…あれ?え…それ…俺の…」
和「そうです。当たり牌です」
京太郎「え…な、なんで…?」
和「…自分の河を見てみればどうですか?」
京太郎「え…?あ……」


京太郎「(す…すげぇ…)」

京太郎「(こうして見ると…まったく無駄がない配牌だ…)」

京太郎「(要所要所で罠を築き、それでいてセオリーを崩しきっていない…)」

京太郎「(その上、和の打牌を読みきったかのように場を制している…)」

京太郎「(非の打ち所のないような…完璧な打牌…)」

京太郎「(微かに見えては来ていたけれど…本当にこれを俺がやったのか…?)」

京太郎「(しかも…あんなおもちに気を取られてばっかりだった状態の俺が…?)」

和「…早く宣言したらどうですか?」ムスー

京太郎「(あぁ!?でも、和は怒ってる!!)」

京太郎「(そりゃそうだろうなぁ…。俺の視線には気づいてたからカーディガンを閉じたんだろうし…)」

京太郎「(真剣にやってたのに出来なかった事を他に気を取られた状態の俺がやったんだから面白いはずがない…)」

京太郎「(後で…誠心誠意謝ろう…)」

京太郎「(でも、今は…とりあえず…)」




京太郎「ロン!タンヤオ、ピンフでドラなし!2000!」


〜和〜

その瞬間、嫌な予感がしました。
パタリと倒されていく牌の並び。
それが私の脳裏につい数時間前の出来事を蘇らせたのです。
しかし…私に起こったあの感覚と須賀君の手から倒される牌に何ら関係性はありません。
ですから、それはあくまで予感であるというだけで…決して根拠のない代物…… ——





— の…はずでした。



和「くぅっ♪」

まるで須賀君の宣言がキッカケであったかのように私の身体にビクンと電流が走ります。
部室で倒れそうな時にも起こった…あの何とも言えない感覚。
それに鳥肌を浮かべた身体がブルリと震えますが、私はそれを何とか堪える事に成功します。
似ているとは言っても…その感覚はあの時ほど大きなものではありませんでした。
またアレが起こったのだと一瞬、びっくりしましたのは確かですが、我慢出来ないほどではありません。
流石に満貫を食らった時ほど大きければ話は別でしょうが…一度、似たような経験をしているというのは大きなアドバンテージになってくれたのでしょう。

国麻は確か男女合同やろ?


京太郎「の、和!?」
和「だ、大丈夫…です…。何でもありません…から…」

それでも一瞬、声をあげてしまった私に須賀君が心配そうな声を紡ぎます。
それに強がりながら私は大きく深呼吸を繰り返し、身体を冷やそうとしました。
しかし、ピリつくような肌の感覚は中々、収まらず、まだ私の肌の内側でうぞうぞと蠢いています。
幾ら堪えられたと言っても、こればっかりは時間の経過を待つしかないのでしょう。
それに胸中でため息を吐きながら、私は須賀君の方へと視線を戻しました。

和「そ、それより…大体…分かりましたか…?」
京太郎「わ、分かったけれど…でも…本当に大丈夫なのか?顔も赤いし…息も荒いぞ」
和「う…」

勿論、そうやって心配されるのは嬉しい事です。
ですが、こうもはっきりと私の変化を口にされるとどうしても恥ずかしいと言う気持ちが出てくるのでした。
特に…相手は男の人である須賀君なのです。
もし、この変調の原因を突き止められてしまったら…私はもう生きていけません。
そう思っただけで私の顔にさらなる血液が集まり、集中しきった時のように顔が真っ赤になるのを感じます。

和「ほ、本当に大丈夫ですから…!」
京太郎「…分かった。でも、今日はもう止めにしようぜ。また明日、特訓してくれ」

胸中の羞恥心に突き動かされるように放った強がりの言葉。
けれど、須賀君はそれを簡単に見抜いてしまったのでしょう。
そっと私から視線を逸らし、牌の片付けを始めました。
それはきっと私の体調を慮っての事なのでしょう。
彼はちょっとスケベなだけで優しい人出あるというのは…これまでの少なくない付き合いの中で十分、分かっているのですから。
しかし…その一方でまるで須賀君に軽蔑されたように感じた私の手が…勝手に彼の腕へと延びるのでした。

和「ま、待って下さい…!せ、折角、出来たんですから…今度は復習しないと…」
京太郎「いや…でも…和…」
和「私は本当に大丈夫ですから…だから…お願い…します…」
京太郎「……」

縋るようなその言葉に須賀君はそっと黙りこみました。
恐らく彼も迷っているのでしょう。
折角、得た手応えを忘れない内に練習したい。
そう思うのはきっと当然の事なのですから。
特に須賀君は、あまり麻雀牌に触る機会がなく、一人で黙々とネト麻を続けていたのですから尚更でしょう。
それでも、こうして帰ろうとしてくれているのは…きっと彼が私のことを気遣ってくれているが故です。
それが嬉しいのは確かですが…そうやって遠慮して欲しくないのも偽りなき私の本音でした。

京太郎「どうして和がそんなに必死になるのかは分からないけれど…分かったよ」
京太郎「でも…次に同じような事が起こったら…俺は絶対にお前をベッドに寝かせて親御さんに連絡をさせるからな」

そんな私の気持ちが通じたのでしょう。
そっと肩を落としながらも、須賀君はそう言ってくれました。
それに一つ安堵しながら、私はほっと息を吐きます。
汚名を返上する機会を手放すか、手放さないかは私にとってそれほどまでに大きな問題だったのです。

和「(でも…二度目…いえ、三度目はありません…)」

須賀君が言っている事は非の打ち所のない正論であり、それを覆す事は出来ません。
もう一度、同じ事が起こったのだとしたら、それこそ大きな異変として私は病院に行くべきなのでしょう。
いえ…本当は今すぐにでも行くべきなのです。
そうでなくても…原因を突き止めようとするくらいはするべきでしょう。
しかし…私にとってそれは二重三重の意味で認めがたく、目を逸らしたい事でした。

和「(だって、あんな…オカルトみたいに…)」

数時間前と現在。
その二つの時間の間で湧き上がった似た感覚は…どちらも麻雀を契機にしているものなのです。
しかも、両方共、須賀君への放銃と言う条件を満たした瞬間に沸き起こっているのでした。
ですが…常識で考えれば、そんなオカルト、あるはずがありません。
咲さんたちが使うジンクスや確率の偏りよりも遥かにあり得ませんし、あっていいはずがないのです。


和「(でも…そうなるとアレは…)」

今も私の中で微かに残り香を漂わせる甘い感覚。
それは…恐らく快感と呼ばれるものなのでしょう。
私はこれまで自分を…その…えっと…な、慰めた事がないので確かな事は言えませんが…あ、愛液が漏れていた事からも…推察出来ます。
でも…私は触れられてもいないのに、感じてしまうようなはしたない女じゃありません。
アレは何かの間違いだったと…そう思い込みたいのが現実でした。

和「(でも…私の乳首…勃っちゃってます…)」

大きめのブラの中でピンと張った乳首の感覚。
普段、ブラの中で擦れても痛いだけのそこからはジンとした熱が伝わってきていました。
まるで私が感じていた事を突きつけるようなそれは…どうしても否定する事が出来ません。
微かに身動ぎするだけでジワッと染みこんでくる甘い感覚に私はそっと頭を振りました。

和「(ち、違います…!私はそんな女じゃありません…!!)」

しかし、そうなるとこれがオカルトか何かの影響だと認めざるを得なくなってしまいます。
でも…私はそうやってオカルトを否定してここまでやってきたのです。
それをここでひっくり返して、『麻雀には確率を越えたオカルトがある』だなんて認められるはずがないでしょう。
もし、認めてしまえば…それは原村和と言うアイデンティティが崩壊しかねないほどに大きな傷になるのです。
ですが、逆に自分が…触れられてもいないのにあんな風になってしまう女と言う事も認められません。
その事実はまさに壁となって、私の八方を塞ぎ…私は…どうしたら良いのか…まったく…分からなくて… ——。

点数によって変わる訳か
役満和了ったら死ぬんじゃ…


京太郎「あ、あの…和?」
和「え…?あ…っ!す、すみません…!」

そんな私が現実に意識を戻したのは心配そうに話しかける須賀君の声のお陰でした。
瞬間、私は彼の手を握り続けていた事を思い出し、そっとそれを手放すのです。
ですが、私の肌にはまだ須賀君の手の感触が残り、無性に胸をドキドキとさせるのでした。
そうやって男の人の手に触った事なんて殆どない私にとって、それは初めての経験だったのです。

和「(お、落ち着いて、和。ここで焦ったら何の意味もないんですよ…)」

折角、須賀君がチャンスをくれたというのに自分で潰してしまったら何の意味もありません。
そう自分に言い聞かせながら、私は山を崩し、次の準備を始めます。
しかし、どれだけ牌を触っていても、私の身体は熱いままで…ドキドキもなくなりません。
今までなら牌を握ればあっという間に集中出来るのに…まるでそれが出来ないのです。

和「(それに…お腹の中…熱い…)」

まるでそこだけ温度が違うようにグツグツと何かが煮えたぎるような感覚。
それでいてそこはドロリとしていて、とても不安定でした。
まるで安定する為に何かを情熱的に求め、欲しているような…何とも言えない居心地の悪さ。
それから目を逸らしながら、私はそっと唇を開きました。

和「じゃ、じゃあ、今度は私がアドバイスするので、違う山でやりましょう」
京太郎「そう…だな。そうしてくれると嬉しい」
京太郎「何となく分かって来てはいるんだけれど…絶対って訳じゃないしな」
和「えぇ。でも…打牌の変化を見る限り、大丈夫だと思いますけれどね」

そう言いながら始めた麻雀の講義に須賀君は必死になって耳を傾けてくれました。
そこにはさっきまでのように私の胸に気を奪われた姿はなく、また軽蔑した様子もありません。
信じていたとは言え、不安がない訳じゃなかった私はそれに内心、安堵の息を吐きました。
とは言え、まだまだ気を抜くことは出来ません。
こうやって牌を打つ間にまた何時、さっきの感覚が襲いかかってくるか分からないのですから。


京太郎「なるほど…大体、分かってきた。つまりここで一筒を出せば…」トン
和「そうですね。相手の意識は別の役に持っていかれる訳です」トン
和「下手に手を高くしても和了れなければ意味がありません」
和「和了る為に有効牌を流す事もまた駆け引きの中では必要となってきます」

そんな私の不安とは裏腹に、須賀君との特訓はスムーズに進みました。
肌のピリつきも完全になくなり、服と擦れてもまったく気にならなくなっています
それに安堵する一方で私の熱は少しずつ強くなっていました。
何かを求めているような、という印象は間違いではなかったらしく、物足りなさががふつふつと沸き上がってくるのです。

和「(欲しい…何かが欲しいのかは分からないけれど…何かが足らなくて…うぅ…)」

胸の奥底から湧き上がるその欲求に私はクッションの上で座った脚に力を込めました。
求めてばかりの自分に喝を入れるようなそれはあまり効果的とは言えません。
お腹の奥でざわつく感覚は決して消えず、大きくなっていく一方です。
寧ろ、そうやって意識すれば意識するほど私の中へと入り込み、思考を奪っていくように思えるくらいでした。

京太郎「っと…もうそろそろ良い時間だな」
和「あ…そうですね…」

そうやって答え合わせと練習を繰り返している内に、何時の間にか外は真っ暗になっていました。
時計を見ればもう七時前を指しているので、流石にコレ以上、須賀君を拘束するのは色々と拙いでしょう。
それに…さっきから欲しいと、私の中で何かが訴えるのはきっと…小腹が空いている所為なのです。
父も母も仕事で出かけている今、それを満たす為には自分で料理を作らなければいけませんし…ここらでお開きにするべきでしょう


和「(欲しい…)」


和「(そうです…それが一番…)」


和「(…欲しい)」


和「(須賀君もそうやって時間を口にするという事はお腹も空いているんでしょうし…)」


和「(欲しい…っ)」


和「(それに…またさっきのような事が起こりかねないのですから…下手にリスクを背負うべきじゃありません)」


和「(欲しい…っ!)」


和「(だから…ここで須賀君に言うべき言葉は)」





和「(欲しいの…っ!!)」


和「じゃあ、最後に成果を見せてくれますか?」

和「(え…私…何を言って…)」

京太郎「おう。任せてくれ!一発合格めざして頑張るぜ」

和「ふふ、じゃあ、一回で私から放銃が取れたら料理をご馳走しますよ」

京太郎「腹減ってるし有難いけど…良いのか?」

和「(待って…そ、そんな事になったら…)」

和「こんなに遅くまで須賀君を引き止めたのは私の所為ですし…」

和「それに最近、両親が忙しくて帰ってくるのが遅いんです」

和「一人分だけ作るのって結構、面倒なので…宜しかったら」

和「(そ、そんな風に須賀君をその気にさせたら…また…アレが…)」

京太郎「和の手料理なら何時でも歓迎だぜ!っし!頑張るか!)」クルリ


和「(せ、せめて…聴牌しにくい形にしましょう…)」カチャカチャ

和「(それだったら…流局して笑い話に出来るはず…)」カチャカチャ

和「(それに…須賀君の実力を見るという形でも悪くはありません…)」カチャカチャ

和「(折角、覚えてもらった須賀君には悪いですけれど…今は……)」カチャカチャ



和「(欲しいんです…っ!)」



和「っ!!」

和「(私は…何も…何も欲しくありりません…!)」カチャカチャ

和「(ただ、平穏に…この場が終われば良い…だけで…)」カチャカチャ

和「(何も…欲しくなんかないんです…)」カチャカチャ

和「(須賀君の事なんか…何も……))」カチャカチャ

和「(男の人なんて…汚くて…胸ばっかりで…そんな…人ばかりなんですから…)」カチャカチャ





京太郎「(さっきから和の様子が変だけれど…本当に大丈夫なのか…))」

京太郎「(でも、さっきから大丈夫って言って頑なに譲らないし…)」

京太郎「(親御さんが帰ってくるまで…は流石に拙いとしても飯を食うくらいまでは様子を見ておきたい)」

京太郎「(そういう意味じゃ…さっきのは渡りに船な提案だったんだし、役得でもあるんだが…)」

京太郎「(でも、俺が頷いた時の…何とも言えない顔が気になる…)」

京太郎「(まるで欲しいものが手に入ったような…純朴な笑み)」

京太郎「(そこに紅潮を混じらせたそれは…その…なんていうか…)」

京太郎「(いや…まぁ、和に限ってそんな事あり得ないか)」

京太郎「(色々あって一人になるのが不安なだけなんだろ)」

京太郎「(だから…誤解するなよ、須賀京太郎)」

京太郎「(ここで和の信頼を守りきってこその清澄男子部員だ)」


和「で、出来ました…よ」

京太郎「分かった。それじゃあ…」クルリ

京太郎「(な、なんという配牌…)」

京太郎「(最速で七対子の三向聴…ってところか…?)」

京太郎「(普段じゃベタ降りを選択するレベルだな…)」

京太郎「(でも…これは山から何まで和が整えてくれた一局なんだ)」

京太郎「(必ず…正答は何処かにある…)」

京太郎「(それも…恐らく難しい問題じゃない)」

京太郎「(まだ俺は和が引っ掛けを用意するようなレベルには達していないんだからな)」

京太郎「(つまり…さっき教えてくれた事を守れば…正解は見えるはずだ)」

京太郎「(なら…必ずそれを引き寄せて見せる…!)」

京太郎「(今度はあんなまぐれのような結果じゃなく…俺の意思で!)」ゴッ


和「(須賀君が凄いやる気を見せています…)」トン

和「(これが…殆ど和了る確率のない配牌だったとしったらどう思うでしょうか…)」

和「(やっぱり…軽蔑されますよね…嫌がられますよね…)」

和「(でも…私…やっぱり…さっきのは…怖いんです…)」

和「(気持ち…良い…快感であるのは確かなんですが…)」

和「(一度、受ける度に…私が私じゃなくなっちゃうような気がして…)」

和「(ごめんなさい、須賀君…許してくださいとは言いません…)」

和「(せめて…お詫びとして夕食は美味しいものにしますから…)」

和「(だから…今は…今だけはここで…躓いて下さい…!)」

和「(その分…また特訓しますから…)」

和「(だから…和了らないで下さい…!)」



京太郎「(お、おぉ…見事に有効牌が来ない…)」トン

京太郎「(これはアレか…?待ちを変更した方が良いって事なのか?)」

京太郎「(確かに、聴牌までの難しさを考えるに拘る必要はないよな…)」

京太郎「(手に来る牌の偏りも何となく感じるし…ここは…やっぱり入れ替えるか)」

京太郎「(この試験の合格条件は和了る事だし、ノミ手でも構わないんだから)」

京太郎「(ただ…入れ替え先はちゃんと考えておかないとな…)」

京太郎「(既に何巡かしている今、ここから先は切る牌を間違えたら聴牌すら難しくなる…)」

京太郎「(だから…今こそ教えてもらった期待値や牌効率を思い出すんだ…)」

京太郎「(そこにきっと…活路はある…!)」トン



和「(えっ!?な、なんでそれを打つんですか…!?)」トン

和「(それは七対子を作るのに必要な牌じゃ…)」

和「(まさか…手替え…!?)」

和「(先を知ってる私には勿論、それが最適解だと分かりますが…どうして!?)」

和「(い、いや…それよりも今は…この先に須賀君の所に来るであろう牌を計算して…)」

和「(出来るであろう最高の役は……!?)」

和「え…嘘…」

京太郎「?どうかしたか?」

和「い、いえ…何でもありません…」




和「(ち…清老頭…)」

和「(役満手じゃないですか…!!)」


和「(お、落ち着いて、和。あれはあくまで最適解を進んだ結果、作れる形…)」トン

和「(手配の殆どを入れ替えてようやくたどり着ける手です…)」

和「(こう言ってはなんですが…今の須賀君が出せるような答えじゃありません…)」

和「(それに…最悪、私が鳴く事で和了り牌をズラす事も出来るんですから)」

和「(それを思えば、まだ焦るような時期じゃありません…)」

和「(じっくりと須賀君の打牌を見定めて…牌を選んでいけば…)」

和「(必ず…回避出来る未来です)」

和「(今までも…私はそうしてきたでしょう?)」

和「(今回も同じ事をやるだけ…)」

和「(そう…それだけの簡単な…)」






京太郎「(やっぱり…一九牌が良く来るな…)」トン

京太郎「(恐らく、それ以外を和が抱えているような状態なんだろう…)」

京太郎「(こりゃ直撃を狙うのはちょっと難しい状況かもなぁ…)」

京太郎「(まぁ…それだったらツモ和了すれば良いだけの話だ)」

京太郎「(幸いにして…俺の手はもうそこそこ進んでいるし…狙えない訳じゃない)」

京太郎「(最後まで諦めずに…計算と観察を忘れるな…)」

京太郎「(たった一打のミスで崩れかねない場所に俺の成功があるかもしれないんだからな…!)」


和「(す、須賀君が崩れません…)」トン

和「(まるで先が分かっているように…どんどんと手を入れ替えていきます…)」

和「(これは…もしかして…もしかするのでしょうか…?)」

和「(なら…早めに鳴いておいた方が…でも…)」

和「(こんなに…必死になって私の教えを護っている姿を見ると…水を差すのも気が引けて…)」トン

和「(教えた側としては…最後の最後まで見ていたくなってしまうんです…)」

和「(それに…もし…須賀君が役満を和了った時に…どれだけ気持ち良くなれるんでしょう…)」

和「ハッ(わ、私は…何を考えて…!?)」

和「(そ、そんなオカルト…ありえるはずがないじゃないですか…!!)」

和「(それに…あれ以上のをもう一度、味わったら…)」

和「(私…今度こそおかしくなっちゃうかもしれません…)」


京太郎「(よし…!これで聴牌…!)」トン

京太郎「(後は和了牌を待つのみ…!!)」

和「(…結局、傍観している間に…須賀君は聴牌までいきました…)」

和「(正直、ここまでやるだなんてまったく思っていませんでした…)」

和「(だけど…それもここで終わり)」

和「(ここで私が鳴けば…ツモ牌が変わって)」

和「(須賀君の和了牌は私の手元に来るのです)」

和「(後はそれを流局まで手元に置いておけば、私の勝ち…)」

和「(さっきのように不可思議な現象が私を襲う事はまずないでしょう…)」

和「(そう…そのはずです…そのはず…なのに…)」

和「(なんで…たった一言…言葉を放つだけの事が出来ないんでしょう…)」

来ましたね………(黒い顔)

京太郎「(和の手が止まっちまった…)」

京太郎「(長考…?いや、和は途中で考えこむタイプじゃないし…そんな様子もない)」

京太郎「(寧ろ…悩んでいるような…そんな顔だ)」

京太郎「(もしかして…俺、ミスっちまったのかな…)」

京太郎「(でも…これまでミスったところでこんな風に悩んだところを見せはしなかったし…)」

京太郎「(本当…どうしちまったんだよ、和…)」


京太郎「(…あれから一分経っても…和が牌を引く様子はなかった)」

京太郎「(じっと捨て牌を眺めて、固まったままだ…)」

京太郎「(途中…何度か口を開こうとしていたけれど…何も言わない…)」

京太郎「(やっぱり…無理しているだけで体調が悪いのか…?)」

京太郎「(今の和は普通に見えるけれど…様子が変なのは確かなんだ)」

京太郎「(それなら…)」

京太郎「…和」

和「え…?」

京太郎「もう止めよう。俺もちょっと腹が減った」

和「え…いや…でも…」

京太郎「良いんだ。どうやら俺はミスっちまったみたいだし…」


和「そ、そんな事…」

和「(ようやく聴牌までこぎ着けたのにどうしてそんな事を言うんですか…)」

和「(いえ…私にだって…分かっているんです…)」

和「(また須賀君は私に気を使って…今度は私から仕掛けた勝負さえ捨てようとしてくれている…)」

和「(それなのに…私は何をやっているんでしょう…)」

和「(こんな…どっちつかずのまま…須賀君に迷惑を掛けてばっかりで…)」


和「(私は…私は…)」


和「大丈夫…です」

京太郎「いや…でも…」

和「大丈夫…ですから。ちゃんと最後まで…最後までやり遂げます」スッ

京太郎「あ…」

和「さぁ…次は須賀君の番ですよ」トン

京太郎「…分かった」

和「(次に…須賀君が引くのは和了り牌…)」

和「(その瞬間…私に変化が起これば…私は…)」

和「(いえ…そんなオカルト、あるはずがありません)」

和「(麻雀で人を達するだなんて…ありえるはずがないのです)」



和「(そんな訳…あるはずが…ある…はずが……)」ジュン




京太郎「〜〜〜っ!」スッ


京太郎「やった…!ツモ!清老頭!役満だ!」

(アカン)
先読みし過ぎた…?


〜和〜
和「あ…ふぁぁぁぁっ…っ♪」

瞬間、私のお腹の奥から沸き上がってきたのは信じられないほどの熱でした。
まるで鉄を溶かしたようなドロドロとしたそれが火山の噴火のように私の中を駆け上がっていきます。
私の内側を焦がすようなそれに私はぎゅっと両腕を抱え、耐えるように身を縮めました。
けれど、その効果は芳しいとは言えません。
力を入れた脚の先から自分を抱きしめるような肩まで。
全部が全部、気持ち良く…私の頭の中に快感を注ぎ込んでくるのです。

和「(あぁぁっ…来る…っ何か…来る…ぅっ♪)」

思わず脳が溺れてしまいそうなほどの快感。
けれど、それがあくまで前兆であるという事が何故か良く分かりました。
今の私が身震いするそれは…あくまでこれから来るものを迎え入れる為の準備に過ぎないのです。
その恐ろしさに私の心は震え、怯えました。
須賀君の前でこんな醜態を見せてしまうほど気持ち良いのに…これよりまだ先が本当にあるのです。
それも当然と言えるでしょう。

和「(ダメ…!来ないで…今…来ちゃったら…私…須賀君の前で…っ♪)」

恐怖で縮こまる私の心がそう叫びますが、身体はそれをまったく聞き入れてはくれませんでした。
身悶えしそうなほど熱い身体の奥から冷たいものがゆっくりと立ち上ってくるのです。
まるで冬の長野を彷彿とさせるような…冷たくて鋭い牙。
それが身体中に突き刺さるのを感じた瞬間、私は…もう自分が後戻り出来ない事を悟ったのです。


和「須賀君…っ見ないで…見ないで下さ…あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁ…っ♪」

最後に残った理性が口にそう叫ばせた瞬間、私の全身がゾワリと反転しました。
燃え上がるような熱から一気に身体が寒くなり、その中を電流が駆け抜けるのです。
ビリリしたそれはまるで蛇のように私の神経に絡みつき、全身をぎゅっと締め付けてきました。
けれど…それがまったく不快ではないのです。
恐ろしいほどに…それこそ寒気が走るほどに気持ち良く…私の頭の中を揺らしていました。
もう二度と冷静には戻さないと言うような…激しくも気持ち良いその波に…私は耐えられません。
半開きになった口からはしたない声をあげ、全身を痙攣させるのです。

和「(い、いや…っ何か出る…出ちゃいます…そんなの…嫌ぁ…っ♪)」

その根本たる私のお腹の奥。
そこから急激に排泄欲求が湧き上がり、私の脳を突くのです。
今すぐ解放しなきゃ破裂してしまいそうな強力な訴えに従い、下腹部にムズムズとした感覚が広がって行きました。
おしっことはまた違うそれを抑えようとしても…私の思考はもう快感に堪えるので一杯でろくに命令を下せません。
結果、私の秘所から突き破るようにして、何かが吹き出し、お気に入りのショーツと服にじわっと染みを広げていくのです。


和「ひ…ぃ…っぃ♪」

まるで身体が壊れたような…恥ずかしいにもほどがある排泄。
それに悲鳴のような声をあげながらも…私の身体は悦んでいます。
そうなることが素晴らしい事であるようなそれに私は困惑しました。
だって…私は賀君の目の前でこうしてはしたない姿を見せている事に…もう死んじゃいたいくらい恥ずかしいのです。
それなのに…身体はそれを受け入れ、寧ろ、もっともっととばかりに貪欲に訴えを広げていました。
恥ずかしいのに気持ち良いのか…或いは恥ずかしいのが気持ち良いのか。
快感に揺さぶられ、揺らぐ思考の中ではそれすらも曖昧になり、分からなくなっていくのです。
ただ一つ…確かな事は…今の私が信じられないほど気持ち良いという事だけ。
それに少しずつ思考までもが傾倒していくのを感じながら、私は声をあげて身悶えを繰り返します。

和「ひ…あぁぁっ♪あぁ…ぅ゛ぅぅ…っ♪」

全身が壊れてしまったような痙攣に合わせ、私の声も震えました。
けれど、それは何時までも続くものではありません。
十秒二十秒と経過する事に少しずつ収まっていくのです。
その代わり、私の身体に絡みつくのは信じられないほどの脱力感でした。
まるで神経が滅茶苦茶になっているように私の身体には力が入らず、動く気配すらありません。
時折、ピクンと気持ち良さに反応して跳ねる事だけが、私の四肢に許された事でした。


和「はひ…っ♪ひ…くぅ…っ」ビクン

何時の間にかカーペットの上に倒れ込んでいた私の口からヨダレがこぼれ落ちていました。
それが私の頬を濡らし、冷たい感触を広げますが、起き上がる気力も、口元を拭う体力も私にはありません。
痙攣こそ収まったと言っても、私の中で快感は残り続け、全身の神経に絡みついているのです。

京太郎「」ゴクッ

そんな私を心配そうに見下ろす須賀君はきっと途中で私の傍に近づいてくれたのでしょう。
しかし、私はそれを感じ取る余裕はなく、いつ頃、彼が傍に来てくれたのかも分かりません。
それに今の私にとって、そんな事はどうでも良い事なのです。
私にとって大事なのは…須賀君の視線が何時も以上にねばっこく…生唾を飲み込んでくれたという事なのですから。

和「(須賀君…興奮して…ますぅ…♪)」

はぁはぁと荒く息を吐き、倒れこんだ私を見つめるその表情。
それは勿論、心配を第一に見せるものでしたが、それに負けないくらいに興奮しているものでした。
今にも理性の手綱が千切れ、襲い掛かられそうな…ギリギリで切迫した姿に…私の胸もトクンと反応してしまうのです。
何時もならそんな風に見られるのなんて絶対嫌なはずなのに…何故か身体が喜ぶという訳が分からない状況。
それを信じたくない心が否定の言葉を放ちますが、未だ火照る肉の檻はそれとは関係なしにドンドンと昂っていくのです。


京太郎「の、和…その…大丈夫か…?」

そんな私に語りかける声は微かに震えていました。
まるで何かをぐっと堪えるようなその声は聞いているだけでも須賀君が辛い事が伝わってきます。
きっと彼は自分の興奮を抑え、冷静になろうとしてくれているのでしょう。
震えるほどに握りしめられた須賀君の拳もそれを私に示してくれていました。
けれど…それが決して芳しい訳ではないのもまた…彼の姿を見れば分かるのです。
制服の股間部分を持ち上げるほどに盛り上がった部分は私と同じように時折、ビクリと震えているのですから。
こうして見ているだけで熱が伝わってきそうなその逞しさに私は…——

和「(ほ…しい…ぃ♪)」

それはついさっきまで快感に流されて、思考の外へと押し流されていた欲求でした。
方向性も朧気で形にならない…もやもやとした…けれど、熱くて仕方がない欲望だったのです。
しかし、それが今、私の中ではっきりとした形と変わり、一点へと向けられていました。
それは…今も私の前で自己主張を続ける須賀君の…男性器です。
今にも制服から飛び出してしまいそうな逞しい男性器を…私はずっとずっと…求め続けていたのでした。

和「(欲しい…須賀君の…須賀君が欲しい…っ♪)」

朧気であった欲求が明確な目標を得ていく感覚に…私の胸はキュンと疼いてしまいます。
元々、その欲望はもやもやとしていた頃から私の思考に影響を与えるほど大きなものだったのです。
それが方向性を得て、形を伴った今、私に抗えるはずがありません。
寝転がったままのはしたない姿勢のまま、私はじっと須賀君の股間を見つめ続けてしまいます。

なんですよ…)」

私の大事な友達 —— さっきも私の為に涙を流してくれた咲さんは須賀君の事を想っているのです。
それは妹が兄に向けるものか、或いは異性に対するものかは分かりません。
しかし、それでも咲さんが彼の事を大事に想っている事に違いはありません。
そんな相手を欲望のままに求めるだなんて…人として最低の行いでしょう。
もし、それを踏み外せば、咲さんにだって…そして須賀君にだって二度と顔向け出来なくなってしまいます。

和「(それなのに…どうして…どうして…私の身体は…っ♪)」

須賀君が欲しい。
須賀君に抱きしめて欲しい。
須賀君にキスして欲しい。
須賀君に撫でて欲しい。
須賀君に弄んで欲しい。
須賀君に犯して欲しい。
須賀君に…須賀君に…須賀君に…須賀君に…ぃっ♥

和「に…逃げて…すが…く…♥」


最後の理性で振り絞るようにそう言った瞬間…
私の我慢は…プツリと途絶えてしまいました。


〜京太郎〜
京太郎「(な…何なんだよ…これ…!?)」

急にその身体を震えさせ、肌を赤く染めた和に俺は何も出来なかった。
苦しそうに悶えているはずなのに…震えているはずなのに…身体を強張らせているのに…。
恍惚とした表情を浮かべる和に手を差し伸べる事さえ出来なかったのである。
それは…伸ばした手が、そのまま彼女を押し倒すものになりかねなかったからだ。
勿論、俺には和の身に何が起こっているのかはまったく分からない。
しかし、それでも…目の前で瞳を蕩けさせ、嬌声をあげるような和は堪らなく扇情的だったのである。
まるで、俺の目の前で何度もイき続けているような和に…俺は興奮していたのだ。

京太郎「(男子高校生の性…なんて言い訳は出来ないよな…)」

結果、和が落ち着くまでろくに声も掛けられなかった自分。
それを悔やむ気持ちは多々あれど、今はそれに浸っている暇などない。
これまで出来なかった分、俺は和に償わなければいけないのだから。

京太郎「(それに…和は逃げろと言った…)」

「何処かへ行け」でもなく「出て行け」でもなく、「逃げろ」
まるでここに危険が迫っているような言葉を聞いて、尻を捲って逃げられるはずがない。
勿論、これから何が起こるかなんてまったくわからないし、混乱しているのも事実だ。
しかし、麻雀の実力こそなくても、俺はそこそこ雑用で身体を鍛えている。
さっきの失態を取り返す為にも、俺がここで和を護らなければいけない。
未だ興奮を続ける自分にそう言い聞かせながら、俺はそっとそこに屈みこんだ。


京太郎「とりあえず…ベッドに運んで良いか…?」
和「すが…く…んぅ♪」

尋ねた言葉に答えるのは意味を持たない呼びかけだった。
トロンと顔を緩ませながらのそれに俺の胸がズキリとした痛みを発する。
まるで愛しい相手を呼びかけるような甘い甘い声に思わず誤解してしまいそうになるのだ。
どれだけ自分に言い聞かせても、俺は普通の男子高校生であり、そういった事への興味は尽きない。
その上、気になっている女の子にこんな呼び方をされたら、『もしかしたら?』という言葉が脳裏に浮かんでしまうのだ。

京太郎「(落ち着け…!相手は和なんだぞ…!!)」

これがまだ部長…いや、久先輩辺りであれば、俺もまだ誤解に身を委ねる事が出来たかもしれない。
だが、相手は生粋の箱入り娘であり、男が苦手オーラ全開の原村和なのだ。
一時期はレズっぽささえ感じさせるほど男から距離を取っていた和が誘っているだなんてあり得ない。
ましてや…これまでイベントらしいイベントがなかった俺を好いているだなんて天地がひっくり返ってもあり得ないはずだ。
正直、国士無双13面待ちを連荘する方がまだ希望が持てるレベルである。

京太郎「(だけど…これじゃどうして良いか分からないな…)」

相手からマトモな返答が期待出来ない以上、俺はどうしたら良いのか分からない。
勿論、こうやってカーペットに横たわっている状態は決して良いとは言えない事を理解している。
だが…今の和に触れて良いのか、悪いのかさえ、当事者ではない俺には分からない。


京太郎「(参考に出来るのは…部室の時…)」

今の和と同じように突然、震えだし、身悶え始めた数時間前。
その時は焦りもあり、またすぐさま担ぎ上げた為にその顔をじっくり見る余裕はなかった。
けれど、朧気な記憶を掘り返せば、今と同じような顔をしていたような気がする。
ならば…元の和に戻る為にはきっとちゃんとした休養なのだろう。
その為に、今の俺がやらなければいけない事は… ——

京太郎「すまん。嫌だったら…後で土下座でも何でもするから…」
和「ひゃう…♪」

そう一言断ってから、俺はそっと和の身体を持ち上げた。
あの時とは違い、完全に脱力した身体の重さが、俺の両腕にずっしりとのしかかってくる。
けれど、そこでへこたれるような清澄の雑用なんて務まらない。
腰と脚にぐいっと力を入れながら、俺は和の身体をお姫様抱っこの形で抱き上げた。

和「ふぁ…ん…♪」
京太郎「(和は…嫌って訳じゃなさそうだな…)」

ふと不安になって覗きこんだ和の顔には幸せそうなものさえ浮かんでいる。
とりあえず今すぐ嫌がられたり、暴れられたりする心配はなさそうだ。
それに胸中で安堵の声を浮かばせた瞬間、俺は和の脚の方に回した腕が冷たいのに気づく。
それが和の服から伝わってきた液体の所為だと気づいた俺は胸中で首を傾げた。

ふぅ………
どうして戦争はなくらないんやろうな………


京太郎「(なんでこんなところ濡れてるんだ…?まさか…)」

あり得ない仮定である。
まったくあり得ない…俺の思い込みにも近い状況証拠が2.3あるだけの信じられない仮定ではあるが…。
さっきの和の発作が絶頂だった場合、これは潮か尿の可能性が高い。
そう思った瞬間、スカ趣味がない俺の脳裏がさっと冷めた。
とは言え、最早、抱き上げてしまった以上、後戻りは出来ない。
ここで和を手放すような下衆にはなりたくないし…出来るだけゆっくりと、負担をかけないように彼女をベッドへと運ぶべきだろう。

京太郎「よいしょ…と」

そう言って俺がピンク色のベッドに和を下ろしても、その顔は変わらないままだった。
いや、その視線だけがまるで熱を持っているように俺の顔へと注がれている。
まるでファンヒーターに照らされているような暖かい視線は俺に何を求めているのか。
それが分からないものの、何時までも和の身体を拘束している訳にはいかない。
とりあえず彼女の身体を完全に下ろしてから、落ち着くまで待つべきだろう。
そう判断した俺が和からそっと離れようとした瞬間、きゅっと何かに掴まれた。

和「待って…ください…♪」
京太郎「和…?」


これまで返事も出来なかった和からの突然のアクション。
それに思わず声を掛けたが、その顔はさっきと変わらないままだった。
相変わらず…熱に浮かされたような…トロンとした表情。
エロティックかつ扇情的なその顔に俺は思わず生唾を飲み込んでしまった。

和「いか…ないで…♪」
京太郎「…あぁ。何処にも行かない。和が元に戻るまで傍にいる」

きっと不安なのだろう。
俺へと縋るような言葉を紡ぐ和に俺は出来るだけ力強く頷いた。
そもそもこんな理解が出来ないシチュエーションに一番、困惑しているのは和の方なのである。
それなのに当事者ではない俺があたふたと情けない姿を見せる訳にはいかない。
ここはずっしりと構えて、和の拠り所になってやらなければいけないだろう。

和「ちが…もっと…ぉ♪」
京太郎「もっと…なんだ?」
和「もっと…傍に…っ♪」
京太郎「そ、傍って…」

離れる途中に和に呼び止められた所為で、俺の姿勢は和をベッドに下ろした途中なのである。
正直、密着していると言っても良いような状況だ。
それなのに、コレ以上、傍に寄れ、と言われても、どうすれば良いのか分からない。


和「来て…ぇぎゅぅって…してぇ♪」
京太郎「の、和…?」ゴクリ

最早、不安がっているを通り越して幼児帰りを起こしたような和の言葉。
それに生唾を飲み込んだ瞬間、俺の頭の中がカァっと熱くなった。
まるで行き過ぎた興奮が熱となって溢れたようなそれに一瞬、頭がクラリとする。
それに合わせて制服の中のムスコがピクリと跳ね、ジンとした熱を広げた。
疼くようなそれに腰が反応するのを感じながら、俺は大きく深呼吸をする。

京太郎「(お、落ち着け…須賀京太郎。ここで選択肢を間違ったらただの犯罪者だぞ…)」

勿論、和がそれを求めている以上、俺が自分を差し出す事に異論はない。
だが、その後で自分を律する事が出来るかどうかは、正直、自信がなかった。
和の身体の柔らかさに理性を失い、襲いかかってしまう自分と言うのはありありと想像出来てしまうのだから。
故に…俺は痛みを伴う二択を選ばなければいけない。
すなわち…和の頼みを断って鉄の意志を貫くか…誘惑に負けて敗色濃厚な戦いに参加するか。

京太郎「(いや…考えるまでもないか)」

勿論、和を抱きしめるというシチュエーションに惹かれる俺はいる。
と言うか、許されるなら思いっきりぎゅぅってしてやりたい。
甘えるような和を思いっきり甘やかして、その柔らかさを堪能したい。
けれど、それが現実になった時、自分の欲望に勝てる自信がないのだ。
ならば、ここは不用意に和を傷つけない為にも断るべきなのだろう。


和「すが…くぅ…ん…♪」
京太郎「(あ、これ無理だわ)」

そんな俺の意思がポキリと折れたのは甘い甘い声に呼ばれたからだった。
急かすような、求めるようなその声に俺はふらりと和の方へと近づく。
瞬間、ふわりと甘い匂いが立ち上り、俺の鼻孔を擽った。
さわやかな甘さではなく、何処かねっとりとしたその甘さは俺に食虫植物を連想させる。
しかし、最早、そんなイメージで俺が怯む事はなく、横たわった肢体をそっと抱き寄せた。

京太郎「(ふぉおおおお!!!!柔らかい…柔らかすぎるぞ原村和あああああぁ!!)」

瞬間、柔らかな肉が形を変えて、腕へと触れる感触に俺は内心で歓声をあげた。
今まで感じたどんな感触よりも素晴らしいそれに涙すら流れそうになる。
この感触だけで当分、オナネタには困らない。
そう思うほどの魅力的な感触に俺は心震わせた。

京太郎「(天国は…天国はここにあったんや…エデンは実在したんや…!!)」

感動と言う言葉では言い表す事の出来ないその震えのお陰なのだろう。
さっきまで心配したような欲望は俺の中にはなく、ただ、その柔らかさに熱い衝動を沸き上がらせるだけだった。
それに内心、安堵しながら、俺は自分が生まれてきた意味をここに見出し、おもち好きという嗜好を誇る。
まるで自分が生きてきた『軌跡』を全て肯定されているような『奇跡』に…俺は… ——


和「須賀君…♪」
京太郎「の、和…その…」
和「こんなんじゃ…だめ…ぇ♪」
京太郎「え?」

だが、俺に生まれてきた意味を与えてくれた女神様はそんなものじゃ物足りないらしい。
不満気に言葉を紡ぎながら、そっとその身体を持ち上げてくる。
まるで肩を抱き寄せた俺にしなだれかかるようなそれに俺はそれが現実かどうかさえ分からなくなった。
だって、そうだろう。
ついさっきまで真剣そのものな表情で俺に麻雀を教えてくれた仲間が、いきなり顔を真っ赤にして身悶えし始めただけでも現実的じゃない。
その上、今までどうにも壁を感じていた好きな子が、こうして俺へと迫ってきているのである。
まるで性差を意識しない子どものように無邪気で可愛らしいそれに俺の中の現実感が急速に薄れていくのも。

京太郎「(ちょ、ちょっとだけだけどむ、胸が…胸がふにょんってぇえええ!?)」

さっきのそれはあくまで和を横から抱き寄せようとした腕にかかって来た感触だ。
それが今、和から身を寄せてくれたお陰で俺の胸全体に押し付けられている。
柔らかなおもち…いや、おっぱいが形を変えて、広がっていく感覚。
それは勿論、硬いブラ越しではあったものの、すばらと言う言葉では物足りないくらいだ。
俺は今、ここで死んでも良い。
そう思えるほどの人生の絶頂期に、俺はどうして良いか分からず、四肢を硬直させた。


和「はぁ…ぁ♪須賀君…逞しい…です…♪」
京太郎「ちょ…の、和ぁ!?」

それでも満足出来ないと言うように和が自分から俺の身体に脚を絡めてくる。
それに驚いた声をあげる一方で全身から湧き上がる柔らかさに心が喝采をあげた。
今にもアンコールと叫びだしそうなそれは勿論、俺の本心である。
しかし、彼女いない歴=年齢の俺にとって、ここから先は文字通り未知の領域だ。
何を求められているのか、そして何をして良いのか。
一歩間違えれば犯罪者確定なシチュエーションの中、俺は頭の中が一杯になる。
何時までも答えが出ない迷宮に入り込んだような感覚に俺が視線を彷徨わせた瞬間、和の手がすっと俺の背中へと伸びた。

和「ダメ…もっと…もっとくっついて…傍に来て…ぇ♪」
京太郎「い、いや…でも、コレ以上って…」

既に脚を絡めるくらい情熱的に密着しているのだ。
この上、くっつこうとすると…それこそ服を脱いで裸になるくらいしかない。
だが、流石にそれは色々と拙いのだ。
いや、拙いと言うか…寧ろ、望むところなんだけれど…それが拙い。
そこまで進むとなると…流石に自制とか理性とかが働くような領域ではないのだから。
今だってこうやって我慢出来ているのが不思議なくらいなのに、服まで脱いでしまったら本当に和を襲いかねない。


和「私も…同じ気持ち…なんです…♥須賀君と同じ…堪らない…んですぅ…♪」
京太郎「うぁ…っ」

そう言って動き出した和が押し付けるのは下腹部だった。
ゆっくりと、けれど、確かな力で俺に密着し、身動ぎする。
自然、下腹部で盛り上がった俺のムスコは和の柔肉に圧迫され、何とも言えない心地良さを沸き上がらせる。
服越しでもはっきりと分かる肢体の柔らかさは彼女いない歴=年齢の童貞にはあまりにも過酷なご褒美なのだ。

京太郎「(同じ気持ちって…!?)」

その心地良さに千切れそうになっている理性の手綱を何とか維持しながら、俺は必死に考えを深める。
だが、こうしている間も染みこんでくるような心地良さに思考能力はドンドン奪われていくのだ。
それでも何とか犯罪者行きだけは免れようとあまり優秀とはいえない脳を搾るものの、答えらしい答えは出てこない。
それに焦りと困惑が急激に大きくなっていく俺の耳にそっと和が近づいた。

和「きょぉたろ…くぅん…♥」

— 瞬間、俺の中の何かがブツリと切れた。

>>164の最初きれてる?


京太郎「の、和ぁ!」
和「きゃぅ…っ♪」

自分の中で決して切れちゃいけないものがはじけ飛んでしまったからだろうか。
俺の身体はぐわりとベッドから起き上がり、和の肢体を再び寝具へと押し返した。
けれど、それは俺へと甘えようとした和を拒む為のものではない。
すぐさま俺の両手は彼女の衣服へと伸び、脱がそうとしているのだから。
それが分かっているのかいないのか、和は抵抗らしい抵抗を見せない。
いや、寧ろ、俺が服を脱がせやすいように身体を浮かせてくれていた。

京太郎「(和も…俺を受け入れてくれている…!俺を…!!)」

冷静に考えれば、それは決してあり得ないはずのシチュエーションであった。
けれど、俺は…理性の途切れてしまった俺は最早、止まる事が出来ない。
俺の中で霧のように希薄になった現実感もそれを助け、和から服を剥ぎ取っていく。
その度に瞳を濡らし、俺を誘うような和に…俺は… ——

折れるのはえーなおい

エロい(確信)
他のおもちキャラも見れるとか最高やね

お前ら和に迫られたら折れる以前に我慢しようとすらしないだろw

>>178
うぎゃああああ
痛恨のコピペミス…すまぬ…すまぬ…。
これはちょっと放置出来るミスじゃないから、もっかい投下しなおします…





和「(だ、ダメ…相手は…咲さんの想い人…なんですよ…)」

私の大事な友達 —— さっきも私の為に涙を流してくれた咲さんは須賀君の事を想っているのです。
それは妹が兄に向けるものか、或いは異性に対するものかは分かりません。
しかし、それでも咲さんが彼の事を大事に想っている事に違いはありません。
そんな相手を欲望のままに求めるだなんて…人として最低の行いでしょう。
もし、それを踏み外せば、咲さんにだって…そして須賀君にだって二度と顔向け出来なくなってしまいます。

和「(それなのに…どうして…どうして…私の身体は…っ♪)」

須賀君が欲しい。
須賀君に抱きしめて欲しい。
須賀君にキスして欲しい。
須賀君に撫でて欲しい。
須賀君に弄んで欲しい。
須賀君に犯して欲しい。
須賀君に…須賀君に…須賀君に…須賀君に…ぃっ♥

和「に…逃げて…すが…く…♥」


最後の理性で振り絞るようにそう言った瞬間…
私の我慢は…プツリと途絶えてしまいました。


後、俺ならここまで我慢する前に和を襲ってるよ!!!!
京ちゃんは頑張ったと思うよ!!!

>>183
自分は竜華と怜辺りだったら我慢出来ないな………

和?
関西は質がいいわ


京太郎「…綺麗だ…」

そうやって俺の手でほぼ全裸にされてしまった和の身体。
それは…控えめに言っても、美しいという言葉以外に見当たらない。
女性らしい柔らかなラインを描きながらも、大事なところはきゅっと締まっている。
肩は小柄なのに、その下のおもちはとてもふっくらとしていて、俺の両手でも収まりきるか不安なくらいだ。
それでいて、くびれたウェストラインは俺と同じだけの内臓が入っているのか心配になってしまいそうになる。
非の打ち所の見当たらない…女性としての完成形のような美しさ。
それが今、目の前に晒されているという実感に俺の欲望も屈し、ついついそんな言葉を漏らしてしまった。

和「〜っ♪」カァ

それに顔を赤くする一瞬、普段の和と似たような表情が見えた。
クールのようで恥ずかしがり屋な和らしいその姿に一瞬だけ俺の頭が冷える。
しかし、それはあくまで一瞬の事。
目の前に晒された肌色面積九割の身体を見て、ずっと冷静でいられるはずがない。
すぐさまその冷静さを明後日の方向へと投げ捨てた俺はそっと和のブラに手を掛け、そのまま背中へと腕を回す。

京太郎「(まるで…抱きしめようとしているみたいだな…)」

ふと浮かび上がったその想像に俺の顔にも熱が集まるのを感じながら、俺はブラを外す事に成功する。
そのままゆっくりとブラを引き剥がした瞬間、胸の谷間からむわっとした甘い香りを感じた。
まるで纏わりつくようなそれに息苦しさを感じながらも…俺の視線は和の胸に向けられ続けている。
今まで自家発電のお供として良く使っていた俺の知る中で最高のおもちが…すぐ手の届く場所にあるのだ。
それも当然だろう。


京太郎「(これが本当の…和のおもち…)」ゴクッ

その何とも感慨深い気持ちに浸る俺の前に晒された柔肉の山。
それはブラの中に押し込められていたのか、さっきよりも大きく見えた。
そして、ふるんと柔らかに揺れるその頂点には桜色の乳輪と乳首がある姿もまた。
紅潮気味の肌の中でも一段と赤く、俺の目を引き付ける乳輪はぷっくりと膨れ、乳首も張っている。
今にも母乳が垂れ落ちて来そうな魅力的な姿に俺はもう我慢する事が出来ない。
生唾を飲み込むと同時にそっと顔を近づけ、和のおっぱいにむしゃぶりついてしまうのだ。

京太郎「(す…吸い応えが…)」

記憶のある中で初めて口にする女性の乳首は思った以上に硬くしこっているものだった。
まるで勃起しかけているムスコを彷彿とさせるその感触に俺はすぐさま夢中になってしまう。
吸い応えが抜群に良く、ずっと吸い続けても飽きそうにないくらいだ。
その上、赤ん坊だった頃の本能を刺激されるのか、吸う度に安堵が湧き上がり、俺の身体から緊張を奪う。
それと負けないくらいに興奮が身体を熱くしているので眠気に誘われる事はない。
しかし、それがなければ今にも瞼が落ちそうなくらいに…それは心地良い感覚だった。

和「んんぅ…っ♪」

それに甘い声をあげながらも、和は抵抗しなかった。
微かに身動ぎこそするものの、それは決して俺を振り払おうとするものではなかったのである。
寧ろ、その動きは胸を俺に押し付けるようなものであり、自分から背筋を浮かしてさえいた。
確証こそないものの、恐らく気持ち悪い訳じゃないのだろう。
それに一つ安堵しながら、俺はそっともう一つの大きな乳房に手を向けた。


京太郎「(うぉぉ…これ…やばいだろ…)」

最早、ブラもなく守護者を失った魅力的な柔肉。
そこに触れた瞬間、おもちはすぐさま形を変え、俺の指を受け入れてくれた。
ぐっと指の間に柔肉が入り込むようなその柔らかさは正直、未知の領域である。
ブラと言う拘束具がなくなっただけでこれほどまでに感触も何もかも違うのか。
それに感心とも感動とも言えない気持ちを抱きながら、俺はゆっくりとそれを揉みしだき始める。

和「ん…あぁっ♪」

瞬間、和の口から嬌声が漏れ、俺の耳を突いた。
しかし、揉みしだき始めたと言っても、童貞である俺に加減など分かるはずがない。
和の胸を揉むその手はぎこちなく、手探りの色が強かった。
少なくとも、明らかに男慣れしていない和がこんな風に声をあげるはずがないだろう。
それに困惑こそ感じるものの、俺は深く考えこむ事はなかった。

京太郎「(そんな事考えてるのすら勿体ねぇ…)」

今の俺の手の中にあるのはおもちという俗称に負けない柔らかい感触なのだ。
その上、ぴったりと俺の手に吸い付いて離さず、何時までも俺の肌を暖めてくれる。
俺の貧弱な語彙ではきちんと言い表す事すら出来ないその魅力に俺は完全に囚われてしまっていた。
今は思考の全部を和を受け取るこの感触に向けたい。
俺の脳も心も、その欲望の上に一致していたのだ。


和「ふぁ…ぁ♪すが…く…ぅ♪」

それでも、和が俺を『京太郎』ではなく、何時ものように『須賀君』と呼んだのが少しだけショックだった。
何だかんだで俺はまだ和の事が好きであり…『京太郎』と呼ばれるような仲になりたかったのだろう。
その衝撃に身を委ねた俺の手が和のおもちの根本に到着する。
人並み以上に大きな胸を支えるそこは想像以上に逞しく、そして柔らかい。
差し込んだ手がおもちに押しつぶされ、埋まっていくくらいなのだから。

京太郎「(やばい…凄い暖かい…)」

きっと世の中にどれだけの男が居たとしても、その何とも言えない温もりと安堵感を知っているのは少数だろう。
そう思うと妙な優越感が胸を差し、俺の指を動かし始めた。
根本からそっと頂点に向かって、ゆっくりと揉み上げるような仕草。
大きな乳房全体をまんべんなく味わおうとするそれに和の身体がピクンと反応した。

和「ふぁぁっ♪」

それに一瞬、驚いたものの、和から漏れる声は甘いままであった。
どうやら調子に乗って、やりすぎたと言う訳ではないらしい。
それに安堵する一方で俺の指先は止まらず、和のおもちをこね続ける。
むにむにと遠慮無く手の中で転がす中で乳肉は少しずつ柔らかくなり、そして熱くなっていく。
まるで興奮に溶け始めたようなその柔らかい感覚に感動を覚えた瞬間、和の腕がそっと俺の背中へと回った。


和「す…須賀君…もっと…ぉ♪」
京太郎「(い、いや…もっとって言われても…)」

こうして和が受け入れてくれるどころか、自分から求めてくれるのは有難い。
俺は童貞であり、そう言った実戦経験は皆無であり、自分から察すると言うのは難しいのだから。
しかし、その一方で俺はAVとエロ本が友達であり、ろくな性知識を持っていない童貞なのだ。
ぶっちゃけ、どうやったら和をもっと気持ち良くしてあげられるかなんて考えもつかない。
流石にここでAVやエロ本の知識に頼ったりするほど俺は夢見がちじゃないのだ。

京太郎「(と、とりあえず…もっと…吸ってみる…か?)」ヂュルル
和「ひぅ…ぅ♪」

それでも手探りながらやって行こうと心に決めた俺はとりあえず和の乳首をより吸ってみる事にした。
さっきのようなお試しではなく、乳輪ごと吸い上げるような激しいバキューム。
それに和も満足したのか、声をあげて腕を固くする。
そんな和の強張りに俺の背中は押され、また和と強く密着してしまった。

和「ふ…ぅ…♪須賀君の…とっても熱いです…っ♪」

それは和の下腹部に再び押し付けられた俺のムスコの事を言っているのだろう。
実際、そこは和の身体に負けないくらいに熱く、そして滾っていた。
今にも暴発しそうな興奮がそこに溜まり、そして解放の時を待って蠢き続けている。
その熱は制服越しと下着越しでもはっきりと分かるのだろう。

京太郎「(の、和にそんな事言われるなんて…)」

そう言った和の顔はとても淫靡で…そして嬉しそうなものであった。
まるで自分に興奮してくれている事が何よりの幸せだと言うような…女性の…いや、メスの表情。
そこに何処か期待を混じらせるその表情は…堪らなく魅惑的だ。
見ているだけでチンポの先が疼いてしまうほどの表情に俺は鼓動を早くし、全身に興奮の熱を送る。

………
次のキャラは久かキャプテン福路さんかな………


和「もっと…須賀君…♥須賀君の…もっと…欲しい…っ♪」

その上、和にそんな事を言われて、欲望に従順なケダモノと化した俺が我慢出来る訳がない。
息苦しくなって続ける事が困難になったバキュームを一旦停止し、乳輪を口に含んだまま舌を動かす。
ペロペロと舌先で乳首を弾くようなそれに和が背筋を震わせてくれるのが分かった。

京太郎「(しかし…なんつーか…凄いエロいな…)」

勿論、エロい事をしているのだから、当然である。
これでエロくなかったら正直、凹んでいたところだ。
しかし、そう思う一方で目の前のあまりにもエロい和の姿に俺は呑まれそうになる。
乳首を舐めまわす俺の口からは唾液が滴り落ち、汗と混ざって、和の紅潮した肌に何とも言えない艶を与えていた。
感じている事を素直にアピールしてくれるその顔は特に赤く、荒い息と潤んだ瞳が何とも言えない色気を感じさせる。
その上、唾液で濡れたのか妖しい光を放つ真っ赤な唇からは嬌声が漏れ出し、俺の鼻孔をくすぐって来るのだ。
正直…見ているだけでもイキそうなくらい、今の和はエロい。
少なくとも…彼女に好意を寄せる俺にとっては。

京太郎「(でも…落ち着けよ…ここで暴発とか洒落になんねぇぞ…)」

和はそうやって失態を見せた俺を罵ったり、軽蔑するような子じゃない。
男が苦手ではあるものの、その性根はとても優しくて、俺に対しても打ち解けようとしている人なのだ。
しかし、それは俺が暴発するという恥ずかしいにも程がある姿を見せて、平静でいられると言う事を意味しない。
ここで射精してしまうと俺は一生、その十字架を黒歴史として背負い続けなければいけなくなるだろう。


京太郎「(そ、それだけは…う…っ…)」

絶対に嫌だ。
そう胸中で言葉を紡ごうとした瞬間、俺は自分の下腹部で何かが押し付けられているのを感じ取った。
その熱くも柔らかい感触に嫌なものを感じた俺はゆっくりと視線を下へと向ける。
胸の谷間から微かに見えたその場所には…和の引き締まったウェストしかない。
つまり…俺がさっき感じた刺激は…——

和「お返し…です…♪」
京太郎「(の、のどかああああああ!?)」

普段の和からは到底、考えられない淫らですばらな返礼。
それに困惑の声をあげる俺の身体にジンとした熱が広がっていく。
自分で扱いている時とはまた違う、小さな、けれど、はっきりとした快感。
それは和の胸を味わい、ギリギリの縁で立っている俺にとって大きすぎるものだった。
微かに余裕があったはずの心がじりじりと押され、絶頂へと近づけられていくのを自覚するくらいに。

和「須賀君も…辛い…ですよね…♪だから…♪」
京太郎「(う、嬉しいけど…嬉しいけど…でも…っ!)」

そうやって気を使ってくれるのは本当に嬉しいし、有り難い。
でも、正直、今の俺にとってはありがた迷惑なのだ。
それよりも素直に俺の愛撫を受けておいてくれるのが一番、良い。
しかし、それを口に出す訳も、余裕も俺にはなかった。
俺の口は今、和プリプリとした乳首を味わうのに必死なのである。
そこから離れる事を口が拒否している今、俺が自分の意思を和に伝える手段はない。


和「一緒に…須賀君も…一緒に…ね…っ♪」
京太郎「(う…うぅ…)」

『一緒に』。
そのフレーズに何とも背徳的な響きを感じた俺はブルリと背筋を震わせた。
まるで『これ以上』を望んでいるような和の声に俺の興奮は燃え上がり、意識を飲み込もうとする。
それを何とか堪える為にも俺は必死になって自分の意識を和のおもちへと向けようとした。
しかし、その結果は到底、芳しいとは言えず、和が腰を揺する度に俺の意識は下半身へと惹きつけられてしまう。

和「一緒に…気持ち良くなりましょう…っ♪私の…私で…いぃっぱい気持ち良く…なって…ぇっ♪」クチュクチュ

そんな俺の耳に届いたのは和の媚びるような声と…そして粘ついた水音だった。
まるで粘液を指で弄んでいるようなそれは確かに俺の下半身から聞こえてくる。
それは勿論、俺が出したものではなく、ショーツ一枚になった和から漏れだしたものなのだろう。
そう思った瞬間、俺の頭の中は真っ赤になり、胸の奥からフツフツと欲望が沸き上がってくるのだ。

和「ひぁんっ♪」

それを瀬戸際で目の前のおもちに向けた俺は再びジュルルと乳首に吸い付く。
もう片方の乳房を弄ぶ手もエスカレートし、指をぐっと埋め込むようになっていた。
さっきよりも遥かに強く、そして嗜虐的な刺激に和は背筋を浮かせ、肩を震わせる。
それに合わせて和の腰の動きが止まり、俺への刺激が弱まった。

>>193
マジか………!

それじゃ遠慮なく狙うで………!(ニヤリッ)

>>195
キャプテンのエロ見たいわ〜
あとクロチャーとか

というかみんな見たいです


京太郎「(作戦は一つ…!ヤられる前に…ヤるしかない…!!)」

ここで俺のプライドを護る為には、和を攻め続けるしかない。
興奮で鈍った思考がそう命令を下すのを聞きながら、俺は必死になって和を愛撫する。
指先の一本一本をまるで別の生き物のように個別に動かし、乳房に刺激を与えた。
勿論、吸い付いた乳首もそのままにはせず、引っ張るようにして右へ左へと顔を動かす。
まるで和の身体を貪ろうとしているような乱暴なそれに和は悦んでくれた。
嬌声を幾つも漏らすその身体からも力が少しずつ抜けていき、彼女が離れていく。

京太郎「(それが…残念なのは確かだが…!)」

今まで俺に絡みついていた魅惑的な女体。
それが離れていく寂しさは今の俺には到底、表現しきれないようなものだった。
けれど、その一方で俺は少しずつ勝利の確信を強めていく。
このまま行けば、和の前で醜態を晒さずに済む。

—— そう思った心が…俺の中で油断になったのだろう。


和「ひゃう…♪ず…るいです…よぉ♥」
京太郎「!?」

ほんの少し…ほんの少しだけ気を緩め、呼吸の為に吸い付きを止めた一瞬。
その一瞬で和の脚は俺へと絡みつき、再び密着してくる。
まるでタコか何かのようにねっとりと絡みつくそれは到底、身動ぎだけで振り払えるものではない。
その驚きと困惑に身体が硬直した瞬間、和の手がそっと二人の間に差し込まれ、俺の股間をゆっくりと撫で始めた。

和「須賀君…須賀…くぅん…♪」
京太郎「うあ…ぁ…っ」

和の熱い手は制服と下着越しでも気持ち良かった。
制服の持ち上がりを両手で包まれるようなそれは腰を押し付けられるよりも遥かにムスコにフィットしてくるのである。
また強弱も自在で、グイグイと力強く俺のチンポを圧迫してくれた。
勿論、それは決して強い刺激と言う訳ではなく、無理な姿勢の所為かぎこちなさも大きい。
だが、それでも和にムスコを撫でられていると思うとそれだけで興奮のボルテージは突き破りそうになる。
そしてそれを堪えようとした口が酸素を求め、反射的に和の乳首を離してしまった。

京太郎「(ま…ずい…!)」
和「あは…ぁ♪これが…須賀君の…須賀君の…ぉっ♪これが…これが…ぁ私の…中にぃ…♥」

胸中で焦りを浮かべる俺と陶酔混じりのうっとりとした声を紡ぐ和。
その対照的な様子に俺は何とか再び反撃の糸口を探ろうとする。
しかし、和の白魚のような指が動く度、俺のムスコは素直に反応し、頭まで快感を伝えてくるのだ。
お陰で再び乳首を口に含む事も出来ない俺の前で和が再び口を開く。


和「須賀君も…もう限界ですよね…♪欲しくて…堪らないですよね…っ♪」

俺に同意を求めようとする和の意図が一体、何なのか。
流石に今の俺ではそこまでは分からない。
しかし、和が求めている何かに俺の共感が必要だと言う事だけは、その必死さから伝わってきた。
なら…俺が下手に意地を張る必要はないんじゃないだろうか。
このまま和に身を委ねる事が和にとっても…そして俺にとっても一番、良い選択ではないのだろうか。
ふと浮かんで来たその言葉に俺は… ——

京太郎「はむぅっ」ジュルゥ
和「ひゃぁぁんっ♪」

それを振り払いながら再び吸い付いた俺に和が悲鳴のような声をあげる。
しかし、俺はそれに気を配っている余裕はなかった。
既に俺の意識はボロボロであり、今にも射精しそうな状態なのである。
正直、心だって敗北寸前であり、さっきだって今にも屈する所だったのだ。
それでもこうやって反撃に出たのは意地の一言でしかない。
和に早漏だと思われたくないという一念だけで俺は再び反撃に乗り出したのだ。

京太郎「(手を休める余裕は…まったくない…!)」

ともすれば、今にも負けてしまいそうなギリギリの状態。
ほんの少しの衝撃で危ういバランスの上に成り立っている意識が崩壊してしまいそうなほどだ。
それを防ぐ為には和を、さっき以上の技で攻め続けるしかない。
そう自分に言い聞かせながら、俺は上半身にぐっと力を入れた。


京太郎「(まずは…口だ…!)」

半ば、やけっぱちのような状態で再び口に含む事が出来た和の乳首。
それをただ吸っているだけじゃ、さっきみたいに隙を見てひっくり返されるのが関の山だろう。
そう思った俺の舌も動き出し、口の粘膜を押し付ける。
まるで口全体で乳首を愛撫するように吸い上げ、舐め転がし、引っ張って、弄んだ。
勿論、それだけじゃさっきみたいに呼吸のタイミングで逆襲されかねない。
だから…——

和「はひぃっ♪」

これまで俺の身体を支えていたもう一つの手を口で愛撫する左の乳房に触れさせた。
そのまま根本から愛撫するその動きに、最早、遠慮の二文字はない。
右のおもちを弄ぶのと同じように揉み、握り、震え、絞っていく。
まるで乳房の全てを味わおうとするようなそれに和の身体が震え、攻撃が緩んだ。

和「すが…くぅっ♪それ…ダメっ♪はげし…ぃぃっ♪」

そんな俺の下で和が震えながらも声を出す。
拒絶の意を伝えようとするそれは、しかし、艶と媚を強いものにしていた。
俺の誤解ではなければ、今の和はとても感じてくれているのだろう。
それをどうして拒絶しようとするのかは分からないが、最早、俺は立ち止まれない。
立ち止まった瞬間、和に反撃される可能性を思うと、到底、選ぶ事は出来ないのだ。

和「ダメ…っ♪ダメ…なんですぅっ♪そんなにおっぱい揉んで…吸ったらぁっ♥」
和「私…また来るっ♪来ちゃうぅっ♪」

瞬間、ブルリと震えた和の身体に俺は微かに躊躇を覚えた。
本当にこのままでも良いのか?
こうする事が本当に和の為になるのか?
そんな言葉が胸を突き、俺の思考をかき乱す。
しかし、衝動に身を任せた俺の身体は止まらない。
悲鳴のような和の震えを間近で感じながら、俺は和を責め立て、そして追い詰めていく

はやり 和 戒能プロ 姫様 という安価もありか……

怜は可変乳だし…それに竜華が怜ほったらかして男にうつつ抜かすのが想像出来ないんやな…





和「い…いやぁっ♪すがく…ぅぅぅぅぅんっっ♪」

その震えが最高潮に達した瞬間、和の身体がぎゅっと硬くなった。
まるで何かを堪えるようなそれに俺たちの身体が密着する。
瞬間、身体中から湧き上がる柔らかさとむせ返るような甘さに俺はガチリを歯を食いしばった。
そんな俺をぎゅっと抱きしめながら、和は身体を強張らせ、押し殺した声をあげ続ける。

和「ふぁ…ぁ…♪は…ひゅ…♪」

それが収まった頃には和の身体はだらりと力をなくし、ベッドへと横たわっていた。
その顔はとてもうっとりとしていて…気持ち良さそうなものである。
願望混じりの推察が正しければ…それはきっと和が絶頂した証なのだろう。
その四肢をベッドに横たえ、気だるげに呼吸を繰り返す様は、童貞である俺がそう思うほどに淫らで…そして美しいものだった。

京太郎「」ゴクッ

和は時折、身体をピクリと浮かせる以外、何の反応も示さない。
その瞳も胡乱で目の前にいる俺を見ているのかすら分からないくらいだった。
何処か夢見がちで色っぽいその表情に…俺は完全に魅入られてしまう。
この女を自分のものにしたい。
俺だけのものだって証を和に刻みたい。
その奥底まで征服し、服従させたい。
そんな自分勝手な欲望に突き動かされた俺は、ベッドへと押し倒した和の身体からそっと離れる。
そして、そのまま俺は制服のベルトに手を掛けるものの、興奮で震える俺の手は中々、思う通りには動かない。
それに焦りのような感情を抱く俺の手は、数十秒掛けて、ようやくベルトの留め具を外す事に成功した。

京太郎「はぁ…はぁ…!」

そこまで来るともう俺を阻むものは何もない。
乱暴な手つきでズボンごとパンツを脱ぎ捨て、ベッドの脇へと放り投げる。
瞬間、お互いの体温が篭った空気にムスコが晒され、ビクンとその身を震わせた。
まるでこれからする事に期待を滾らせるようなそれを感じながら、俺はそっと和のショーツに手を掛ける。


京太郎「い…良い…か…?」
和「はぁ…あ…ぁ♪」

和の肌を隠す最後の布切れ。
それを脱がしてしまうと俺はもう完全に自分を律する事が出来なくなるだろう。
その恐怖にヘタレた俺が和にそう尋ねた。
しかし、和はそれに答えず、ただ荒く胸を上下させるだけ。
それにもどかしさを感じた瞬間、和の腰が少し浮き上がり、俺が脱がせやすいようにしてくれた。

京太郎「〜〜〜っ!!」

その悦びと喜びは信じられないほど大きなものだった。
半ば諦めていた女の子に自分を受け入れてもらえた喜び。
そして、オスとして自分を求めてもらっている悦び。
その2つがぐちゃぐちゃにかき混ぜられた俺が勢い良く和のショーツを脱がせた。
そのままその両膝に手を掛け、そこをゆっくりと開けさせれば… ——

京太郎「う…うわ…」ゴクッ

微かに生えた桃色の茂み。
その下にあるふっくらとした盛り上がりからは透明な粘液が幾筋もこぼれ落ちていた。
まるでお漏らしか何かをしたようなその様はとても扇情的で、俺の興奮を擽る。
ただでさえ、ギリギリ一杯であった俺のムスコはその興奮に疼きを走らせ、早く目の前のメスを貪れと叫んだ。
その叫びを否定するものは最早、俺の中にはなく、俺は生唾を飲み込みながら、和へと再びのしかかっていく。

霞さんじゅうななさい


京太郎「(えっと…確か…)」

悪友たちから借りた無修正AVを思い出しながら、俺はゆっくりと盛り上がりを開いた。
瞬間、くぱぁと糸を引くような音と共に粘液がこぼれ出すのを感じる。
それに惹かれるように腰を近づけ、ムスコを突きつけた瞬間、俺の首筋に電流が走った。

京太郎「(ふ、触れただけなのに…すげぇ…)」

興奮と欲情に火照り、愛液を滴らせる和の粘膜。
そこに触れた瞬間、湧き上がった快感はこれまで感じたどんな快感とも一線を画するものだった。
柔らかく、じっとりと包み込むようなそれに俺の心は震える。
一体、ここに敏感な肉棒を突っ込んだら、どれほど気持ち良いのだろうか。
そんな好奇心すら湧き上がる中、俺は和の腰を掴み、ゆっくりと腰を近づけていく。

和「ひ…いぃぅっ♪」」
京太郎「あ…あぁ…!」

瞬間、俺に襲いかかってきたのは柔らかいものの、狭い肉の穴を強引に押し広げる感覚だった。
強引に入れなくはないけれど、かなり窮屈で狭苦しい。
だが、それがムスコにとっては気持ち良いようで、背筋が一気に冷え込んだ。
そこを快感が駆け上がっていく感覚に思わず声を漏らす俺の下で和もまた同じように喘いでいる。

京太郎「(大丈夫…なのか…?)」

勿論、童貞である俺には女性の性経験の有無を察する能力などない。
しかし、普段の和の様子や、この肉穴の硬さから察するに性経験が多い方だとは言えないだろう。
寧ろ、処女の方が近いと思えるような締め付けに俺の心に和を気遣う思考が生まれた。

正直竜華は相手に言ってしやすいからというかがいなくてもイケそう


京太郎「(本当は…優しくしてやりたいけれど…!)」

しかし、それは激流のような快感の中であっさりと沈んでいく。
これまで自分の手しか知らなかったムスコにとって、それはあまりにも大き過ぎる快感だった。
まだほんの少し…亀頭くらいまでしか入っていないのにも関わらず、腰がブルブルと震えているくらいである。
これからさらに…この狭く熱い肉穴の中に男根が入っていけばどうなるのか。
それを考えただけで俺の欲望がゴォッと燃え上がり、より強い快感を求めてしまう。

和「あ…っはぁっ♪」

そんな俺を受け止めてくれる和の中を肉棒がゴリゴリと掘り進む。
まだ不慣れな場所を強引に押し広げるそれに俺の中の征服感がメラメラと燃えた。
今、俺はあの原村和を、インターミドルチャンプであり、男子たちの憧れの的であるあの和を犯している。
腰が少しずつ進む度にその実感を強くしていく俺の中でドロドロとした熱が膨れ上がってきた。

京太郎「(拙い…!!)」

ムスコの付け根を熱くするようなそれは射精に対する欲求だ。
それを感じ取った瞬間、俺の心に焦りが浮かぶ。
何せ、俺は避妊具も何もつけてはおらず、和に大丈夫かも聞いていないのだ。
正直、膣内で射精するにはあまりにもリスクが高すぎるシチュエーションである。
しかし、今まで押さえてきた興奮を味方につけるその衝動は、最早、どうこう出来るものではなかった。
ぐぐぐとムスコの中を這い上がってくるそれは引き抜こうにも間に合わない。
それを確認した俺の腰が…和へと一気に突き進んだ。


和「んぐぅぅぅぅぅっ♪」

今まで以上に強引に和の中を押し広げようとするその動き。
それが何とか射精までの時間を稼ぎ、俺の腰を和の肌へと密着させた。
瞬間、亀頭に肉厚な何かが吸い付き、鈴口をぱっくりと咥え込む。
それに俺の腰がビクンと跳ねた瞬間、先端から凄まじい勢いで精液が飛び出した。

和「ひ…ぅ…ぅぅぅっ♪♪」

ビュルルと音を立てるような激しさと共に和の中へと注がれていく粘液。
その度に俺の身体は強い快感を感じ、尻の裏を冷たくする。
まるで氷を押し付けられたようなその冷たい快感に俺は下半身を強張らせながら何度も射精を繰り返した。
そして、それに合わせるようにして和も声もあげ、全身をブルリと震わせてくれる。
まるで俺の射精で絶頂しているようなそれに俺の胸は真っ赤に染まり、乱暴に和の腰を掴んだまま、一滴残らず中へと射精し尽くした。

京太郎「はぁ…はぁ…」

それが終わった頃には俺の身体に気怠い倦怠感がまとわりついていた。
まるで射精の快感を活力と引き換えに手に入れたようなそれに俺は大きく息を吐く。
その下にいる和は時折、ピクンと肩を震わせるだけで何も言わず…何もしない。
未だ俺のムスコを受け入れたまま、半ば呆然としている。

京太郎「(や、ややややややややっちまったああああああ!?)」

そんな和の姿を見た瞬間、俺の身体からさぁっと血の気が引いていく。
こうして和を襲ったのは色々と言い訳出来るかもしれないが、膣内射精だけは無理だ。
完全無欠にレイプであり、言い訳のしようもない最悪の所業である。
それを思っただけで一気に犯罪者になってしまったような転落感が俺を襲い、背筋が快感とは別の意味で冷たくなった。
射精によってあの内側から燃え上がりそうな興奮が冷めた俺にとって、その寒気が一番、大きく思考を揺さぶる。


京太郎「(と、とりあえず…抜かないと…!)」
和「や…ぁっ♪♪」

このままじっとしている暇があったら、俺は和に土下座をしなければいけない。
そう思った俺の腰が和の最奥から離れようとした瞬間、腰に何かが絡みついてくる。
柔らかくもねばついたそれに視線を向ければ、それは和の艶やかな御御足であった。
まるで俺を逃がすまいとするようなそれに俺が困惑を覚えた瞬間、俺の鼓膜に蕩けた和の声が届く。

和「もっと…もっとぉっ♪♪」
京太郎「の、和…?」
和「もっと…欲しいんです…っ♪須賀君が…もっと…欲しいの…ぉ♥」
京太郎「」ゴクッ

子ども染みた純粋で無垢な要求。
しかし、それを伝える声は艶が強く、そして甘いものだった。
聞くものが聞けば欲望混じりの誘惑であるとはっきりと分かるそれに俺は再び生唾を飲み込む。
一度は冷めたはずの身体に再び火が入り、不安と恐怖を熱で塗り替えていった。

和「須賀君のも…まだおっきいままです…ぅ♪」
京太郎「そ、それは…」

甘い和の言葉通り、俺のムスコはまったく萎える気配を見せていなかった。
まるでここが勝負どころだと言うように張り切れそうなサイズを保っている。
男子高校生の馬鹿げた性欲を体現するようなそれは俺に否定の言葉を鈍らせた。


和「私も…欲しいの…っ♪奥…疼いてぇっ♥まだまだ足りないって…っ♪」
和「お腹の奥…子宮が…ぁっ♪須賀君に突いて欲しいんです…っ♪」
京太郎「う…」

普段の和からは到底、想像も出来ないような淫らな言葉。
それはきっと恥も外聞も投げ捨てたくなるほど和が苦しんでいる証なのだろう。
だが…それに胸を痛めるよりも先に、俺の興奮が燃え上がっていく。
まるでさっきの勢いを取り戻さんとするようなそれに突き動かされ、俺の腰は和からゆっくりと離れていった。

和「く…ぅぅ♪ゾリゾリ…良い…ぃっ♥」

そんな俺の動きに甘く答えながら、和はピクンと腰を跳ねさせた。
それに合わせて微かに締まった反応から察するに、こんな微かな刺激でも細かくイッているのかもしれない。
そう思うと再び征服感が俺の胸を焦がし、もっともっと和をイかせたくなる。
イッて…イッて…イかせまくって…和の心まで手に入れたくなってしまうのだ。

京太郎「(勝手に膣内射精しておいて…迷惑な話だよな…でも…っ!)」

グルグルと腹の中で渦巻く熱が、俺の心を急かす。
それは俺の中に…確かにあった粘ついた欲望。
ずっと消える事はなく…奥底で燻り続けた衝動だ。
それに抗う事は考えられず、俺は腰を振るい続ける。
そんな俺に粘ついた媚肉は応え、少しずつ硬さが抜けていった。

はっちゃんや一ちゃんがさらしを巻いたら個性がなくなるだろ!!!



京太郎「和…大丈夫…か?」
和「はひ…ぃっ♪ちょっとだけ…ピリピリします…けど…ぉ♪」

一度、射精したからだろう。
まだ冷静さを残す俺の口から気遣う言葉が漏れ出た。
いや、それでも腰を止める事はなかった辺り、気遣いではなく、聞きたかっただけなのかもしれない。
和もまた快感を得ているという免罪符を、俺への肯定を。
そして、何より…大事な大事な少女が思いっきり乱れた言葉を。

和「それが…良いんです…っ♪痛いのも…良いのっ♪ビリリって私のお腹…震えてぇっ♥」
京太郎「〜〜っ!」

そんな俺の邪さに答えてくれる和の言葉は予想以上に淫らなものだった。
何処か舌足らずささえ感じさせるその訴えに、俺の身体が興奮でブルリと震える。
歪んだ支配感混じりのそれは俺の脳を焼き、ぐっと歯を食いしばらせた。
それでも何とか和を乱暴に扱う事だけは堪えながら、俺は何度か和の最奥を叩く。

和「んっくぅぅぅぅぅっ♥奥ぅっ♪奥ぅぅぅんっ♪」

その度に和が甘い声をあげ、ブルリと肩を震わせた。
俺の背中に回った脹脛まで震えている辺り、継続的にイッているのかもしれない。
それにまた一つ気を良くした俺は奥で細かく腰を揺らし、和の奥を突く。
それをぶじゅりと粘着質な音と共に受け止めてくれるのはきっと子宮口なのだろう。
女性として一番、大事な部分への入り口を抉る征服感に俺の心は充実感で一杯になった。

ともきー(小声)


和「はぁ…あぁっ♪そこぉっ♥そこはぁっ♪」
京太郎「ここが…良いのか…?和の…弱点なんだな…!」
和「はひぃっ♪そこ弱いんですっ♪そこ突かれるとビリビリ来るんですっ♪」
和「私…処女なのにぃっ♥奥を突かれて…また…ぁっ♪」
京太郎「(や…やっぱり…初めてだったのか…)」

熱に浮かされたような気だるげな訴えに俺の胸がドキリと跳ねた。
そうではないかと内心、期待していたとは言え、そうやってはっきり口にされるとやっぱり違う。
俺がもう二度と他の誰にも手に入れる事が出来ない和の初めてを手に入れた。
そう思うと何とも言えないむず痒さが俺の胸を突き、喜びを口に出したくなる。
反射的にそれを堪え、自らの内側へと抑え込んだ代わりに俺は小刻みに和の中を突き続けた。

和「あっ♪あぁっ♪あぁっ♪♪」

瞬間、肩を震わせる和の顔にうっとりとしたものが混じる。
興奮や満足感と共に浮かぶその表情は扇情的かつ美しいものだった。
まるで淫魔か何かのように淫らなそれに俺の意識がグイグイと引き込まれる。
もっと和のそんな顔が見たい。
もっともっと和を淫らにしたてあげたい。
そんな欲求が俺の中の征服欲と結びつき、嗜虐的な感覚を沸き上がらせる。

京太郎「(俺が和の初めてを奪ったんだ…!だったら…)」
京太郎「初めてなのに奥が感じる…とか…和は淫乱…なんだな…!」
和「ち、ちが…違い…ますっ♪わ、私は淫乱なんかじゃ…ぁっ♥」

その感覚に後押しされて出てくる言葉は最早、状況を勘違いしていると言っても良いくらいのものだった。
正直、それはキチンとした同意も得ず、半ばレイプに近い形で和を襲っている俺が決して言えた義理ではないだろう。
ましてや、ついさっきまで処女であり、まだまだ性的に不慣れな和に言って良い台詞ではない。
だが、そう思う一方で、和を俺の全てで染め上げたいという自分勝手な欲望はなくなってはくれなかった。


京太郎「そう言いながらも…俺をがっちりと挟み込…んで離さないじゃないか…!」
和「そ…れは…ぁ♪」
京太郎「それは…なん…なんだよ…!」
和「んくぅぅっ♪」

和の声に合わせて、密着した腰をグルリとグラインドさせる。
腰を押し付けたまま円を描くようなそれは和の弱点である子宮口を存分に虐めているのだろう。
すっと浮き上がった形の良い背筋がそれを教え、俺に安堵と満足感をもたらした。
衝動に任せて何やら偉そうな事を言っているが、俺はあくまで童貞の坊主なのである。
今のだってAVのモノマネに過ぎず、ちゃんと出来ているか不安であった。

京太郎「(でも…和はそんな俺でも感じてくれている…!)」

間違いなく拙いであろう俺の愛撫に声をあげ、そして感じてくれているであろう和の姿。
それが堪らなく愛おしくて…俺の胸から熱いものがこみ上げてくる。
それが何とも自分勝手なものであると自覚はしていても、止まらない。
そんな自分に胸中で自嘲を吐きながら、俺は和をもっと感じさせる為に口を開いた。

京太郎「それとも…ここで止めるか…?そうしたら淫乱じゃないって認めてやっても良いぜ」
和「〜〜〜っ♪♪」

勿論、ここで止めるつもりなど俺にはまったくない。
いや、そもそも止める事など出来ないのだ。
和の所為で再び火が点いた俺の身体は興奮に滾り、思ってもいない事を言わせるくらいなのだから。
こんなところで止めてしまったら正直、俺の方が気が狂いそうになってしまう。
それでも、こうして言えるのは恐怖か快感かは分からないものの、全身を震えさせた和が決して首を縦に振らないと分かっているからだ。


和「い、嫌…ですっ♪ここで止められるのなんて嫌ぁっ♪」
京太郎「と言っても…俺は一回、射精して満足したし…疲れたからなぁ…」

縋るようなその言葉に意地悪く返しながら、俺はそっと腰の動きを止めた。
瞬間、俺のムスコから信じられないほどの不満が飛び出し、早く快感を寄越せと急かしてくる。
これまでずっと何かしら動き続け、快楽を貪り続けた肉棒にとってそれは耐え難い苦痛なのだろう。
だが、それは和の方も同じだ。
唐突に止まった俺の動きに和は目を見開き、まるで絶望したような顔を見せる。
それに良心が痛むのを感じながらも、俺はそっと口を開いた。

京太郎「和が自分で認めてオネダリするんなら、動いてやっても良いぜ」
和「そ、そんなぁっ♪」

無情なその宣告に和が悲痛な声をあげる。
今にも世界が終わる事を聞いたようなその声に俺の中の嗜虐心が疼いた。
だが、コレ以上、和を責めるのはあまりにも酷だろう。
それに何より…——

京太郎「嘘でも良いんだ。一言認めたら…俺は和を気持ち良くしてやる。和が満足するまで…犯してやるよ」
和「ふぁ…ぁ♪」

そう甘く言い聞かせる声は事実上、俺のギブアップ宣言にも近かった。
和が決心するよりも先に我慢が効かなくなった俺の腰が今すぐ動けと叫んでいる。
それを何とか堪えながらの言葉に和の肩がブルリと震えた。
俺の拙い言葉責めでも感じているのか、或いは不安に震えているのか。
どちらかは分からないが…その幸せそうな吐息から察するに前者であると信じたい。


和「わ、私は…私は…ぁ♥」
京太郎「和は…何なんだ?」
和「い、淫乱女…ですっ♪須賀君のが欲しくて誘惑しちゃう…淫乱女なの♪」ブルリ

そこで和の全身が震え、背筋が再び浮き上がる。
それは今までも見た事がある反応だった。
しかし、それはさっきまでとは一線を画する…と思うのはきっと和の目が違うのだろう。
これまでは潤んでいても、しっかりと光っていた瞳が濁り、淀んでいく。
まるで何かに囚われ、変質していくそれに俺はとんでもない事をしてしまったような気さえした。
だが、今更、こんなところで引き返す訳にもいかない。
そう思う俺の前で和は震える唇をゆっくりと開き、言葉を紡ぎ出す。

和「だから…和の中を一杯、虐めて下さいっ♥須賀君のおっきくて逞しいので…和を犯してぇっ♥」
和「壊れるくらい奥を突いて…っ♥お腹の奥まで須賀君で満たして欲しいのお♥♥」
京太郎「ぐ…ぉぉ!」

被虐的な性質を前面に押し出した和の淫らな言葉。
それに身体が冷たい興奮を覚えた瞬間、俺の腰が再び動き出した。
和の言葉通り、奥を突こうとするそれに彼女の身体も悦び、愛液を滴らせる。
結合部からグチュグチュと音が鳴るくらいに潤んだその肉穴はさっきまでとは違う感触をムスコに与えていた。

京太郎「(もう…こんな柔らかく…!)」

まるでさっきの淫乱宣言で吹っ切れたように和のそこは絡みついてくる。
その上、その表面には肉襞が生え、ほんの少しの身動ぎでも声が出てしまいそうなくらい気持ち良い。
ついさっきまで硬すぎて意識する事はなかったそれに俺は急速に追い詰められ、意識が揺れる。
だが、それでも興奮が腰を止める事を許さず、真価を発揮しだした肉穴を何度も往復した。


京太郎「和…あ…!」
和「須賀君…っ♪すがく…ぅぅぅんっ♪」

そんな俺達の口からはもう言葉らしい言葉は出て来なかった。
ただ、お互いの名前を呼び、代わりに腰をぶつけあう。
まるで万の言葉よりも一の行動が重いと言うようなそれに俺たちは否応なく高まっていった。
そこにはもう自嘲など欠片もなく、俺はただ快楽を求めるだけのケダモノと化していたのである。

京太郎「(もっと…!もっと…激しく…!)」

胸に中で吠えるケダモノが命ずるままに俺の腰はドンドン激しくなっていく。
まるで一突き毎に本能を思い出しているようなそのストロークは最初からは想像出来ないくらいスムーズだった。
愛液の海を泳ぐように肉襞を押しのけ、ゴリゴリと媚肉を引っかきながら引き抜く。
勿論、それは和の膣内そのものが大分、慣れてきて柔らかくなっていると言うのもあるのだろう。
しかし、それでも俺が力加減を理解していなければ、流れるようにピストンを繰り返す事は出来ないだろう。

京太郎「(それが…震えるくらい気持ち良い…!)」

ラブジュースでぐちゃぐちゃになった膣内で抽送するのは恐ろしく気持ち良いものだった。
挿入している時は締まった柔肉を押し広げ、絡みついてくるそれを引き離しながら子宮口を目指す悦びが。
そして、引き抜く時にはカリ首で媚肉を引っ掛け、蹂躙する悦びが俺の腰を打つのだ。
その上、未だに細かくイッているらしい和の膣内は時折、不意打ち気味にキュと締り、まったく違う快感を俺に与えてくる。
正直、最初に射精していなければ、もう何度射精していてもおかしくないくらい…そこは気持ち良かった。


京太郎「(実際…今だって…)」

まるでタガが外れたように一心不乱に腰を振るう俺は既に絶頂してもおかしくないほどに昂ぶっていた。
ほんの少し脚を踏み外せば、そのまま一気に快楽の坩堝に落ちてしまいそうなギリギリの場所にいる。
それがどうして射精へと結びつかないのかまでは俺には分からないものの、俺が快感を求める姿勢は変わらない。
ただ、快感の果てを目指して俺のストロークは大きくなり、和の膣内から愛液を掻き出し始める。

和「あぁっ♪あ゛ぁぁっ♪♪」

ほぼ入口近くから子宮口を狙い撃ちにするような大きな抽送。
それに和が全身を震わせ、股間から何か熱い液体を吹き出した。
愛液とはまた違うそれは俺のワイシャツに降りかかり、染みを残していく。
しかし、俺にはもうそれが何なのかを考えている余裕すらない。
ただ、快楽を求めて和の媚肉を弄び、抉る。
それだけのケダモノと化した俺の中で唐突にドロリとした熱が持ち上がった。

和「んひぃ…ぃぃいっ♥」
京太郎「ぐ…ああぁ…!」

まるで瞬間移動か何かのように唐突に現れた射精への衝動。
それに身体がいち早く反応し、射精する為の態勢を整える。
特にその変化が著しいのは俺のムスコだろう。
今も尚、和の中を突いているそれはグンと一回り大きくなり、媚肉をさらに押し広げた。
しかし、それはその表面に通った快楽神経も広がり、俺が受け取る快感そのものも増す事を意味している。
特にカリ首から湧き上がるゾクゾクした感覚は気持ち良く、俺の口からはケダモノめいた声が漏れ出た。


和「須賀く…んっ♪須賀君…っ♪」

そんな俺の下で何度も俺の名前を呼ぶ和が何を言いたいのか分からない。
もっと気持ち良くして欲しいのか、或いは今の俺が乱暴過ぎて辛いのか。
もしくは俺が射精しそうになっている事を感じ取り、抜いて欲しいと言いたいのかもしれない。
だが、身体が射精への準備を始めた俺にはもうそんな気遣いなど出来るはずがなかった。
身体の内側で燃え上がる衝動をピストンの原動力にして大きく腰を引かせる。
しかし、ぐいっと弓なりになった俺の身体を和の脚は離さないままだった。
それに一つ安堵を感じながら、俺は体重を掛けるように和の肉穴を進み…そして子宮口を突く。

和「あ゛ふぁ…ぁああぁぁぁっ♪♪」

瞬間、限界だった亀頭から再び精液が溢れ、和の中を穢していく。
一度目と遜色ない勢いで始まったそれに和が震える声で応え、ぎゅっとシーツを握りしめた。
それに合わせるようにして和の媚肉は締まり、俺のムスコを愛撫する。
まるで射精が終わるまで逃さないと言うようなそれに俺の腰も震え、射精の悦びに震えた。

京太郎「(ま…だ…ぁ!)」

今にもジュルルと音が聞こえてきそうなくらい潤み、そして絡みついてくる肉穴。
そこに一滴残らず精液を搾り取ろうとする貪欲さすら感じる。
今、貪っているのは俺ではなく、和の方。
そんな想像すら湧き出るくらい嗜虐的なメスの締め付けに俺は何度も喘ぎ声をあげる。
それが収まった頃には俺の身体にはもう力が入らなくなり…カクンと和の身体へとのしかかってしまった。


京太郎「はぁ…はぁ…」
和「はひゅ…は…ふぃい…♪」

倦怠感の所為か、重い呼吸を繰り返す俺と満足気な息を吐く和。
それぞれまったく対照的なそれに何となく悔しいものを感じたものの、今の俺にどうにか出来ない。
俺に出来るのは…未だ満足しきっていないかのように勃起しっぱなしのムスコをどうするかと言う事を考えるくらいだろう。

京太郎「(或いは…出来るだけ早く和の上からどく方法…とかだな)」

こうやってのしかかっているとお互いの肌に浮かんだ脂汗がじっとりと肌に張り付いて何とも言えない感覚を広げる。
気持ち良いとも悪いとも言い切れないそれはそれだけ俺が下の和へと負担を掛けている証だ。
しかし、そう思っても痙攣を残す俺の脚は中々、自由には動かず、態勢を変える事が出来ない。
それに内心で一つため息を吐きながら、俺はしばし微睡みにも似た倦怠感に身を委ねる事にした。


〜和〜

和「(すご…かったです…♪)」

そう思う私の中に広がっていたのは喩えようもない充実感と多幸感でした。
まるで骨の髄まで楽しみ、幸せを実感するようなそれは私の胸にうっとりとした感覚を広げます。
未だに私の中で反響する余韻もそれを助け、私にとても幸せな時間をくれるのでした。

和「(ふふ…♥こんなに疲れた顔をして…♪)」

その余韻の原因をもたらし、私をこんなにも幸せにしてくれた張本人である須賀君。
彼が今、力尽きたように私へと倒れこみ、首元で大きな呼吸を繰り返していました。
それすらも今の私には幸福感の材料でしかありません。
勿論、須賀君ほど大きな男の人がのしかかって来られると重いと言う気持ちが真っ先に出てくるのでした。
しかし…そうやって密着すると須賀君の逞しさが全身から伝わってくるのです。
それが私に女としての悦びを伝え…そして優越感を齎していました。

もうそろそろ和の両親に和が出したメールで帰って来そうな予感………


和「(あぁ…♥こんなに逞しい人が…私に身を委ねてくれている…♪)」

須賀君の逞しさに被支配感を高める一方で、その逞しさが自らに屈した支配感を感じる私。
それは恐らく…平時であれば、はしたないと自嘲を紡ぐものなのでしょう。
しかし、今の私にはそのような思考はまったくありませんでした。
私はもうドロドロになった悦びと喜びに飲み込まれ、脳内から湧き上がる甘い感覚に屈していたのです。

和「(でも…須賀君が回復したら…またぁ…♥)」

こうやって私の中に倒れ込んで尚、須賀君の男性器は私の膣内に収まったままでした。
それは須賀君のものが未だ硬く、そして逞しいままである証なのです。
身体はこんなにも疲れているのに、私を悦ばせてくれる男の象徴だけは硬いまま。
それに次回への期待を滾らせる私の耳にブルルと言う振動音が届きました。

和「ん…」

その音に視線を向けるとそこにはベッドに投げ出された私の携帯がありました。
恐らく制服を脱いだ時に転げ落ちたまま、気付かなかったのでしょう。
ほんの数時間前の自分がどれだけテンパっていたか良く分かるそれに私はクスリと笑みを浮かべながら、そっと力を抜きました。
メールか電話かは分かりませんが、今の私は余韻に身を任せていたいのです。
原村和は大きくておっぱい好きな赤ちゃんを受け止めるので、手一杯なのですよ。


和「(でも…中々、諦めません…)」

どうやらその振動はメールではなく、電話だったらしく、一分ほど経過しても鳴り続けたままでした。
流石にそこまで鳴り続けられると、こちらとしても意識を向けざるを得ません。
折角、幸せで充実した余韻に水を差されたような気がしながら、私はそっと手を伸ばし、携帯を取ります。
そのままパカリと画面を開き、電話を掛けて来たのが誰かを知った時、私の頭はさぁっと冷え込みました。

和「す、すすすすすす須賀君!?」
京太郎「へ…?」
和「ち、ちょっと離れて下さい…!」
京太郎「うわっ!」

焦りのまま動いた身体が須賀君を私から引き離し、ベッドへと転げさせました。
それに驚きの声をあげる須賀君に悪いとは思いつつも、今は彼に構っている暇はありません。
何せ、携帯のディスプレイに浮かんでいたのは他の誰でもない…私の父だったのですから。


和「は、はい。もしもし…」
和父「和!?大丈夫か!!」
和「え、えぇ…大丈夫です」

いきなり心配そうな声を掛けてくれる父に私は震えながらそう応えました。
インターハイで戦い抜いたと言っても、流石にこのタイミングで父から連絡が来て、平静でいられるような鋼の心臓はしていません。
今も心臓はバクバク言って、鼓動の音が携帯に拾われないか心配なくらいでした。

和父「すまないな…次の裁判への打ち合わせが長引いて、プライベート用の携帯に気付けなかった…」
和「き、気にしないでください。ちゃんと…家に帰れて居ますから」

本当に迎えに来て欲しいのであれば、私は仕事用の携帯に電話をしたでしょうし、その辺りは気にしていません。
それでも何処か私の返事が取り繕うようなものになったのはついさっきまで私がしていた事が思い浮かんだからです。
流石にこうまで心配してくれている父に対して、「さっきまで男の子とエッチするくらい元気でした」なんて事は言えません。
その後ろ暗さが、私の返事をぎこちなくしたのです。

和父「そうか…それなら良かった。後、もう十分くらいで家へと帰れるから病院へ行く準備をしなさい」
和「じ…十分…ですか…?」
和父「あぁ。本当はさっきから連絡をしてたんだが…」

キョトンとした声で言う父の言葉に携帯のディスプレイを見れば、そこには着信履歴が幾つか残っていました。
どうやら父はこれまでも何度か私に連絡をし、繋がらなかったからこそ、あんなに心配してくれていたのでしょう。
それに一つ謎が解けた感覚に達成感を得る暇もなく、私の思考はすぅっと冷めていくのでした。

一巡先を見ただけや………


和「(こ、こここ…このままじゃ須賀くんと鉢合わせですし…な、何より…!)」

チラリと部屋の惨状を見れば、そこには脱ぎ散らかされた服があるのです。
その上、ベッドのシーツには私の破瓜の血が残り、自動卓も滅茶苦茶なままでした。
さらに言うなら、私も須賀君も汗だくで今すぐシャワーを浴びなければ父にも会えないような状況なのです。

和「す、すみません。実はさっきまで横になっていて…夕飯もまだ…」
和父「はは。気にするな。辛い時くらい食事の用意をしてくれなくて良いさ」

そう気軽に笑ってくれる父に私はふと名案が浮かびました。
それは父を騙すものではありますが、今の私にはそれを厭う余裕はありません。
それこそ、今の状況がバレてしまうと血の雨が振りかねないのですから。
それを防ぐ為ならば、私は幾らでも悪女になりましょう。
そう思いながら、私はそっと携帯の前で口を開くのです。

和「そ、それでしたら何処かでお弁当を買ってきてくれますか?後、飲み物も幾つか…」
和父「うん?そうだな…病院の診察時間にはまだ余裕があるし…分かった。何かリクエストはあるか?」
和「え、えっと…駅前のスーパーにあるスタミナ丼が良いかなって…」
和父「す、スタミナ丼…?」
和「じ、実は今日はお昼から調子が悪くって!あんまり食事が喉を通らなくて…えっと…」

女子高生らしからぬチョイスに驚きの声をあげる父に私は畳み掛けるようにそう言いました。
これが通れば、父が帰ってくるまでの時間に20分ほどの余裕が出来るはずです。
何せ、駅前のスーパーは父の帰宅路からは大きく遠回りしなければ、いけないのですから。
その為に無茶苦茶なものをリクエストしてしまいましたが、今はそれを後悔している暇はありません。


和父「まぁ…和が麻雀の事以外で我儘を言うのは珍しいからな。少し遠回りになるが買っていこう」
和「あ、ありがとうございます。では…!」

父の了承を聴きとった後、私は勢い良く通話を切り、携帯を投げ捨てました。
勿論、普段の私ならそんな真似はしませんが、今は文字通り一刻一秒を争うような緊急事態。
ほんの数秒の遅れでアウトになりかねない事を思えば、体裁など取り繕っている暇はありません。
そう自分に言い聞かせながら、私は何時の間にかベッドで正座している須賀君に向き直りました。

京太郎「えっと…和。さっきのってもしかして…」
和「…父です」
京太郎「ま、マジか…」
和「マジです」

頬を引き攣らせる須賀君も冷静になれたのでしょう。
未だその股ぐらでピンと反り返る男性器があることが気になりますが、今はそれを口にしている余裕はないのです。
大事なのは須賀君も私も「バレたら拙い」という共通認識を持ち、その為に協力出来るか否かと言う事だけ。


和「と、とりあえず須賀君は服を纏めて早く出て行った方が良いです」
京太郎「だ、だけど…」

そう言って逡巡を見せる須賀君も色々と言いたい事、やりたい事があるのでしょう。
それは興奮が冷え込んだその表情を見ればよく分かります。
しかし、それはここで最重要視されるべきじゃありません。
その意思を込めて首を振った私の前で須賀君がそっと肩を落としました。

京太郎「分かった。それじゃあ…後は頼む」
和「えぇ…」

少し気落ちしたような様子で服を纏めて出て行く須賀君。
それを見送ってから、私はゆっくりとベッドから立ち上がりました。
瞬間、股の間に何となく異物感を感じます。
痛みとはまた違った何とも言えない違和感に私の腰が垂れ下がった瞬間、私の奥からドロリと粘液がこぼれ落ちました。


和「う…」

肌を伝う不快感に視線を下に向ければ、そこにあったのは泡だった白濁液でした。
愛液ともまた違うその粘ついたそれが、ついさっきやってしまった事を私へと突きつけてくるのです。
ふっと一瞬、気が遠くなるような感覚の中、私は何とかその場に踏みとどまりました。

和「(色々思う所や感じるところはありますが…今は…)」

お互いの破滅を防ぐ為に証拠を隠滅しよう。
そう自分に言い聞かせながら、私は片付けに専念し始めます。
途中、何度か自分のしでかしてしまった事の大きさに手が止まりそうになりましたが、何とか物的証拠の始末には成功しました。
それに一つ安堵した瞬間、父が帰ってきて… ——

— それでようやく私の不可思議な一日は幕を閉じたのでした。

〜〜〜



〜京太郎〜

京太郎「(やばい…やばいなんてもんじゃないくらいやばい…)」

そう胸中で意味の分からない言葉を紡ぐ俺は自室の中にいた。
アレから廊下で服を来て、逃げ帰るように家へと帰った俺は、色々と心配されながら自室へと引きこもっている。
それは勿論、和にしてしまった事を悔い、両親の顔すら見たくなかったからだ。

京太郎「(レイプ、膣内射精、言葉責め…数え役満同然じゃねぇか…)」

勿論、俺にだって色々と言い訳はある。
どれも和が求めてくれたと思っていたからこそ、俺はあんなにも暴走したのだ。
しかし…それが決して俺の勝手な思い込みではないと誰が証明出来るだろうか。
そもそも、和があんな風になってしまう事自体があり得ない。
冷静となった今となっては、俺の思い込みという可能性の方がまだ信じられるくらいだ。

京太郎「(最後には手伝う事さえ拒否されて…)」

お互いの状況確認の為にも俺はあの場に残り、和の手伝いをしたかった。
しかし、それすらもやんわりと断られた…と言う事はきっと顔も見たくないという事なのだろう。
実際に俺はそれだけの事をしてしまったが故に、そんな和の対応は当然である。
ぶっちゃけすぐさま通報されなかった事が奇跡なくらいだ。


京太郎「(明日から…どんな顔をして会えば良いんだ…)」

それを思うと何とも腹の底が重くなり、何もやる気が起きなくなってしまう。
思わずため息が漏れる身体はベッドに横たわったまま動こうとしなかった。
日課であるネト麻に接続する気さえ起こらず、俺は悶々と明日からどう生きるべきかと言う哲学的なものを考え始めている。
しかし、俺の足りない頭では答えなど出るはずもなく、堂々巡りを繰り返すだけだった。

京太郎「(でも…麻雀かぁ…)」

その言葉と共に俺の脳裏で再生されるのは和の様子が変わった瞬間だった。
三度が三度とも…俺の和了宣言を皮切りにおかしくなっている。
状況証拠的には、俺か或いは和がおかしくなったのは、俺の和了宣言に何か関係している事は確かだろう。

京太郎「(だけど…そんな事ありえるか…?)」

俺は一観客という立場ではあったものの、全国と言う大舞台を見た。
その中には信じられないようなオカルト使いが沢山居て、俺に大きなショックを与えていたのを良く覚えている。
だが、まったく才能もなく、麻雀の実力もない俺に、ある日、ひょっこりとオカルトが生えるとは到底、思えない。
ましてや、能力の詳細こそ分かっていないものの、それは明らかに性的絶頂を伴うものだ。
最早、オカルトを超えてご都合主義の一種としか思えないそれが、自分の中にある。
その実感がどうしても持てず、俺はそっと小首を傾げた。


京太郎「(まぁ…オカルト関係なしに…やってしまったのは変わりがない)」

もし、俺に想像しているようなオカルトがあったにせよ、俺が和をレイプしたのは決して変わりがない事実だ。
今はそんな事に思考を使うよりは、どうやって和に償うかを考えるべきだろう。
とりあえず…土下座でも何でもして和から許しを得なければ、能力の詳細もへったくれもない。
下手をすれば人生の破滅が待ち受けているのだから。

京太郎「(何はともあれ…明日…だな)」

迷惑になるかもしれないが、昼休みでも和に会いに行こう。
それでまずは許してもらえるように謝罪を伝えるべきだ。
そう思った瞬間、俺の身体に微睡みが襲いかかり、瞼が重くなってくる。
胡乱なそれで時計を見れば、何時の間にか時刻は深夜の一時を回っていた。
どうやら、自分の中でそれなりに結論を出せた事で、眠気がやってきてくれたらしい。
やってしまった事を悩んでいたのにこうして眠くなれる自分の脳天気さに呆れるものの、
悶々としたまま一晩を明かし、頭がまわらない状態で和に会うよりはマシだ。
そう思いながら、俺はそっと布団を被り、枕元のリモコンで電気を消す。
そして、そのまま明日への不安を抱きながら、ゆっくりと眠りに落ちていったのだった。


………

……




結果から言えば、俺は和には会えなかった。
何故なら、その日から和は部活どころか学校にも来なくなったからである。
心配して咲やタコスがメールを送っても、大丈夫というだけでろくに返事もないらしい。
かと言って、見舞いに行く事も拒否されているそうだ。

京太郎「(どうすんだよ…これ…)」

それに落ち込み、麻雀にも集中出来ていない皆を見ながら、俺は一人、呆然とする。
俺は…きっと事態を軽く見過ぎていたのだ。
どんな結末になるとは言え、俺が罰を受ければ、他の皆は元通りになると…そう思い込んでいたのである。
けれど…現実は違った。
俺は断罪される事もなく、罰が俺だけに与えられる事もない。
ただ、自分のしでかした事の重大さに打ちのめされる日々に…俺は…俺は…… ——


………

……












System

原村和の屈服刻印がLv1になりました








フリゲのやつか

どこの
erotohoだ………

そんな訳でプロローグ兼第一話ようやく完結です。
二時間以上の長丁場お疲れ様でしたー。
そして色々とミス多くて本当、申し訳ないです…。

>>258
やべ
eroじゃなくてeraだった………

乙です〜
書き溜め凄過ぎだろ

安価待ち中………!

後、このスレのシステムですが、基本的にバッドエンドはありません。
と言うかハーレムエンド確定です。
俺がハーレム好きだからな!!!!
ただし、ハーレムと言っても、節操無く人数増えるタイプは苦手です。




なので、ヒロイン枠は残り二人なんや。すまんな(マジキチスマイル

あのeraと同じ感じで進むのかな?

個人的には今回みたいな和姦風な感じで色んなキャラを堕としたいけど

何が言いたいかって?
ははは。決まってるじゃないか。








己の欲望を手に争え(ニッコリ

なん……
やて………!

次の安価でときりゅーで確保せな!

ときりゅーは二枠扱い?

って2人だと…?

(並行世界設定じゃ)いかんのか?

あ、ちなみにぎゃくれいぽぉ気味なのはあってもれいぽぉ気味なのはありません。
あっても今回みたいに言葉責めでビクンビクンするくらいです。
また次回投下は書き溜めしてからじゃないと分かんない。
なので申し訳ありませんが未定とさせてください。

おつです〜

あと一つ言います

いいリズムの投稿やったで

PS
頑張ってな

調教進行形なら人数少ないのは納得
というか誰も彼もだと>>1が死ぬだろ

安心してくれ。俺はそこまで鬼畜じゃない。
ときりゅーは一枠
松実姉妹も一枠だ!
かたっぽだけが良いならそれでも構いませんが!!

二周目はまだ分かりません。
そもそもこれ安価スレ作る為の練習みたいなもんなんで…。
書きたいヒロインは沢山いるんで、やりたい気持ちはありますが、未定とさせてください。

ヒロイン決めはどうしよっか。
この時間だし、案を取って、今日の夜にでも多数決にした方が良いかな?
それとも今、ここでやった方が良いでしょうか?

>>283
一理ある

でも今回くらい2人一緒じゃなく1人だけで楽しみたい

安価出すときは出す知らせ出してな〜

(通常の安価スレの場合は事前に知らせは要らない(大抵は))

了解。それじゃあもう夜も遅いし、ここで決めますね。

単騎ありです。
セットでも良いってだけなので!!

狙う………!

失敗は許されない………!

SSSさん………!
私に力を………!

愛宕一家ありか?

じゃあいくぜよ












ヒロイン1>>310

ヒロイン2>>315

上重漫

洋榎(オンリー)

ときりゅー

ぎゃあ、ごめん間違った

しかし安価ミスのためリトライ

お前ら何処に隠れてたんだよwwwwwwww
ごめん。>>315だけ確定で次の安価出します

oh…ぬぐぐ…じゃあ、2つとも最安価させてください。
グダって申し訳ない…

ネキはおもちないだろ!いいかげんにしろ!
安価は美穂子さん

よっしゃ
今度こそ狙う………!

菫さん
力を………!

今度こそやるぞおおおおおお


ヒロイン1>>345

ヒロイン2>>350

上重漫

姫様

洋榎(オンリー)

ときりゅー

ときりゅー

美穂子

悲報
またときりゅー負ける

てか漫ちゃん強い………!

よく連続で取れるもんだな…
凄いわ

>>345の執念には脱帽せざるを得ない
という訳で漫ちゃんと姫様ですね。了解です。

鰻スナイパーには脱帽せざるをえない

後、>>345には迷惑を掛けたお詫びとして書いて欲しいものがあれば、小ネタでやりまするよ

というか何人かおもちが無い人がいるんですがそれは

キャラ選が微妙?
なら、俺が可愛く仕立て上げれば良いんだろう?

ときりゅー取れんかったし
スレでも建てようかな………

でもまだ構想あんまり出来てないし………

ここの>>1は格が違った
こんなエロい文書けるならいくらでも書きたいわ

>>345
あんさんには負けたで………

>>385
おう、あくしろよ

>>385
もし、スレ立てたら教えてね!
ときりゅーは俺も好きだから!!

>>397
え………
まだ構想練りまくってるのにですか………

さて、そんな訳で次回安価です。
ぶっちゃけどっちと先に接触するかで、展開そのものは(多分)変わりません。
と言う訳で>>410
姫様と漫ちゃんのどっちか選んでね

>>401
そないにマジにとらんでも……
期待しとるでーっちゅーこっちゃ

>>404
なんやそうゆう意味か〜

安価なら姫様

>>410
っておい

というわけで漫ちゃん確定です。頑張って書き溜めしてくるよ!!!

さて、その前に別に小ネタやっちゃってもええんやろ?(ニッコリ

おつやで〜………

さ〜て
ノート買ってきて構想練るか………!

一瞬選択肢に「のどっち」が入ってるように見えた(小並)

乙です

乙やで〜
久々にリアルタイムで凄い>>1に遭遇してしまったな

>>427
っと思ったけどノートあったし
ささっと練るか

小ネタ>> いいんやで(ニッコリ)

咲「和ちゃんって…酷いよね」
咲「私が京ちゃんの事知ってるよね?」
咲「それなのに…京ちゃんの事誘惑したんだ…」

和「んんっ♪」ブブブ

咲「あはぁ♪またイっちゃったんだ…」
咲「和ちゃんってホント、変態だよね…」
咲「ピンク髪は淫乱って言うけれど、その通りじゃない」

和「ひゅうぅっ♪」

咲「何を言いたいのかまったく分からないよ、和ちゃん」
咲「まぁ…ポールギャグ越しじゃ、ろくに言えないよね」
咲「淫乱な和ちゃんには相応しい姿だと思うけど」クスッ
咲「でも…まさか清純そうな和ちゃんがバイブでイキッパナシになるだなんて…」
咲「私…幻滅しちゃったな」
咲「ねぇ…






京ちゃんもそうでしょ?」



こら咲「さん」ですわ

京太郎「さ、咲…」

咲「京ちゃんはおもち好きだから、和ちゃんの事を気にしてたのは知ってたよ」
咲「でも…京ちゃんが見てたのは和ちゃんの偽りの姿なんだよ」
咲「ほら、見てよ。ベッドに縛られて身動き出来ないのに、もうあんなにイッて…」
咲「和ちゃんなんて所詮、その程度なんだよ」
咲「京ちゃんじゃなくてもイッちゃうような淫乱女なんだ」

京太郎「そ、それは…咲が…」

咲「私?私が何をしたの?」
咲「私はただ、京ちゃんに現実を教えてあげようと思っただけ」
咲「京ちゃんが騙されないように…助けてあげたんだよ?」
咲「それなのに…京ちゃんはそんな事言っちゃうんだ…」

京太郎「うあ…ぁ」

咲「ほら…京ちゃんだって和ちゃんの顔を見てこんなに興奮してる…」
咲「京ちゃんは仕方ないよね。だって、男の子だもん」
咲「だけど…あんな淫乱女に発情する必要はないんだよ」

こりゃ咲さんやな

軽く道筋を作りスレを建てそこから
構想を完成させるか………

咲「私が全部、教えてあげる」
咲「気持ち良い事全部…私がしてあげる」
咲「和ちゃんじゃなく…私が…」
咲「京ちゃんを世界で一番、愛してる…私が…エッチしてあげる…♥」

京太郎「や、止めろ、咲!自分をそんなモノみたいな扱い方をするんじゃない…!」

咲「…大事にして大好きな人をとられるくらいなら…私はモノで良いよ」
咲「『私』…ううん。『宮永咲』で京ちゃんが手に入るなら他に何もいらない」
咲「友達だって…麻雀だって…要らない」
咲「私には…京ちゃんだけあれば良い」

京太郎「さ、咲…」

咲さん………
自分を安く売るのだけはアカンで!

咲「ほら…見て…?」
咲「京ちゃんのおちんぽを扱いた所為で…私もうこんなに濡れちゃってるよ…♪」
咲「あんなバイブにでもイッちゃうような淫乱女じゃなくって…」
咲「京ちゃんの所為で…発情しちゃってるの…♥」
咲「だから…良いよね…?」
咲「京ちゃんの精液…全部びゅるびゅるって受け止めても…いいよね…?」
咲「危険日の…処女マンコで…京ちゃんの子ども作っても良いんだよね…?」

咲「ね…京ちゃん……っ♥」

よし。純愛やな(確信)
やっぱり即興は難しい…。
後、この程度じゃまだ咲さんじゃないと思うの。
ちょっと道を踏み外しちゃった咲ちゃんだよ!!

いや完全に咲さんです

ところで
スレ建てるとしたらとどこの高校を舞台にしたらええかな

>>448
いい加減しつこい。スレチだし、自分で考えろ

>>448
ときりゅーなら考えるまでもない気が

ときりゅーメインにしたいんだったらやっぱり千里山じゃないかな。

>>451
ですよね〜
すみませんでした………

>>452
せやなそうだったわ

咲「んほ、んっほー! おっほ、おっほほぉー! 京ちゃんのデカマラチンポミルク充填! 発射3秒前! 3・2・1! きょうちゅわ〜ん!」

和「ふぁ、ふああぁ〜ん! 出てる、出てるぅ!ぎもぢいい! ああぁん、ぎもぢいいよぉ!
妊娠しちゃうのにぃ、やははぁ〜ん!ぎ、ぎもぢいひぃ! にゃは、にゃははぁ〜ん!
孕んだ、孕んだぁ! 可愛いのどか妊娠したぁ!絶対したわぁ! 可愛いのに男の子供っ! は、孕んじゃうっ! いぐ、いぎまず!いぎまずっ!可愛い!すごい可愛いいのにっ!子宮で受精しちゃってっ!むおおおぉ〜ん!い、いぐぅうううううううぅぅぅ!!! 」

久「うっは、あっはぁ! 強烈、強烈ぅ! んおおぁ、オマンコきゅんきゅん、胸きゅんきゅん!
トキメキトキメキぃ! ああぁん、ご主人様にトキメキぃ! 」

タコス「タコスのことなんかより京太郎とオマ○コする方が大切に決まってるじぇ! 本当に使えない奴らだじぇ!! 」


こうですか!?わかりません><

淫乱なまこ先輩がみたい(大声)

>>466
淫乱ななまことか……せめて海牛ぐらいにしとけよ


〜京太郎〜

まこ「残念じゃが、和の事ばっかりにも構ってはいられない」

そう宣告する染谷先輩の顔は苦渋に満ちていた。
きっと染谷先輩…いや、部長だって本当はこんな事言いたくはないのだろう。
しかし、今年インターハイ優勝校を預かった身としてはどうしても言わざるを得ない。
それが分かるからだろう。
部長の重い言葉に咲や優希も何も言わず、麻雀卓につきながら項垂れていた。

京太郎「(もう…和が学校に来なくなって一週間もなるんだ。無理もねぇよ…)」

俺が過ちを犯してしまったあの日から既に一週間近く。
その間、俺達は手をつくしたものの、和が再び麻雀部に顔を見せる事はなかった。
勿論、染谷先輩だって和を大事な仲間だと思っているし、連れ戻したいと考えているのだろう。
しかし、大きな大会を2つ目前に控えた状態で、そうしていられる余裕と言うのはあまりなかった。

まこ「前々から言っていた通り、14日からの三連休を利用して合宿を行う」
咲「でも…」
まこ「分かっとる。わしじゃって和を置いてけぼりにしたくはない。けれど…もう合宿は決まっている事なんじゃ」

そう言って肩を落とす部長の顔は少し疲れて見えた。
既に決まっている日程と和の不登校。
その2つに最も苛まれたのは、この優しい部長なのだろう。
癖のある清澄麻雀部の中で誰よりも周りを見ているのは間違いなく部長なのだ。
こうやって咲たちに現実を突きつける事だって本当はしたくないだろう。

まこ「勿論、和にもその旨を連絡する。じゃが…」

そこで言い淀むのは和の返事がここ最近、急激に減った所為なのだろう。
最初はまだ俺達のメールにもちゃんと返信をしていた和だったが、今はそれも殆どない。
メールを見ているのかすら分からないのが現状だった。
それは別に俺達に対してだけではなく、真面目な和の不登校に焦った先生相手でも同じらし


咲「和ちゃん…」
優希「のどちゃん…」

それに我が部の誇るムードメーカー二人が沈んでいる。
それだけで部室の空気は暗くなり、どんよりとした重苦しい気持ちがのしかかってくる。
かつて全国を制覇した強豪校とは思えないその姿。
こうして二人が落ち込む原因を作った俺にとって、それは胸が軋む光景だった。

まこ「ただ…嬉しい話もあるぞ!」
京太郎「え?」

そんな空気を吹きとばそうとしたのだろう。
不自然なくらいに明るい声を出した部長がそっと俺の方へと視線を向けた。
まるで、これから言う事はお前に関係していると言わんばかりのその仕草に俺は内心、首を傾げる。
そもそも、これは麻雀部の合宿である前に、女子がメインとなるイベントなのだ。
合宿相手は女子麻雀部になるだろうし、それ故に俺は以前の合宿に完全ノータッチだった訳である。
今回もお留守番確定だと思っていた俺に向けられる染谷先輩の視線を不思議に思ってもおかしくはないだろう。

まこ「なんと!今回の合宿は京太郎も参加出来るんじゃ!」
京太郎「…え?」
咲「え?」
優希「…ふぇ?」

瞬間、嬉しそうに言った部長の言葉を俺は理解出来なかった。
それは他の二人も同じだったのだろう。
半ば、呆然とした顔で染谷先輩の顔を見ていた。
しかし、一秒二秒と経てば、脳が状況を理解し、実感が胸から湧き上がる。
ブルリと胸の内を震わせるそれに俺が何かを言おうとした瞬間、俺の耳に咲の声が届いた。

咲「ほ、本当ですか!?」
まこ「こんな悪趣味な嘘は吐かんわ。久じゃあるまいし」

強い喜びを感じさせるその声に、染谷先輩がにこやかに返した。
その言葉に若干、竹井先輩への歪んだ信頼が見えるのはさておき、どうやら本当らしい。
だけど、俺はそれをどうしても信じられなかった。
いや、染谷先輩がそんな悪趣味な嘘は吐かないと信じているし、きっと事実なのだろう。
だから、俺が信じられないのは、部長の人となりじゃなくって… ——


京太郎「い、いや、待って下さいよ!本当にそれ大丈夫なんですか?」

勿論、今の部長が、竹井先輩みたく無理無茶を押し通すようなタイプじゃない事は知っている。
染谷先輩はとても常識的で、理知的な人なのだから。
しかし、それでも俺が参加出来ると言う無茶な事を条件に、何かを要求された可能性はある。
もしかして俺一人の為に変な条件を飲まされたりしたんじゃないだろうか。

まこ「なあに、大丈夫じゃ。そもそも、これは相手校の要求でもあるしの」
京太郎「…は?」

そんな不安に突き動かされた俺の声に応えたのは、さらに信じられない言葉だった。
そもそも俺はネト麻でたまに勝てるようになった程度の実力しか無く、公式戦は予選敗退しかしていないのである。
そんな俺を要求 —— しかも、インターハイ優勝校である清澄と合宿できるようなハイレベル校が —— するとは思えない。

優希「のどちゃんや咲ちゃんならともかく、犬が指名!?」

それは優希も同じだったのだろう。
その言い方こそ、アレなものの、俺もまったく同じ気持ちだった。
寧ろ、指名されるべきは、インターハイでかなりの成績を残した和や咲じゃないのか。
それは本当に誤解や誤情報の類じゃないのか。
そう思うのは至極、真っ当な思考だろう。


まこ「正確には京太郎そのものを指名された訳じゃないんがな」
咲「え…?」
京太郎「うーん…」
優希「わ、分かんない…!答えをプリーズだじぇ」

そんな俺達から視線を逸らしながら言う部長の言葉に俺たちはさらに謎を深めた。
俺そのものを指名されているじゃないけれど、俺を要求されている。
その何とも微妙なニュアンスの違いに、俺達は首を傾げた。
考えれば考える程、分からなくなっていくようなそれにタコスが音を上げる。
幾らあまり考えこむのが好きなタイプじゃないと言っても、あんまりな思考放棄の速度。
それに染谷先輩が気まずそうな表情を浮かべながら、ゆっくりと口を開いた。

まこ「あ、相手校の要求は、そこそこ麻雀が打てるレベルの初心者じゃから…」
京太郎「うぐ…っ」
まこ「あ、あぁ!す、すまん!」

遠回しにまだ初心者の域を脱してはいないと言われている部長の言葉に思わず呻き声をあげてしまう。
それに染谷先輩が謝ってくれるものの、それほど気にしている訳じゃなかった。
そもそも、俺が初心者と言うのは誰よりも俺が知っている事であり、自業自得なのである。
俺が和の言う通り、ちゃんと麻雀そのものに向き合っていれば、染谷先輩にそんな事を言わせずに済んだのだ。

優希「なーんだ。犬が私より有名になったかと思って焦った…。損した気分だじぇ」
咲「だ、大丈夫だよ!京ちゃんは強くなってるもん!」
京太郎「…ありがとうな、咲。だが、タコスは許さん」グニー
優希「んぅぅにゃああ」

あんまりにもあんまりなセリフを吐く優希の頬を引っ張りながら、そっと肩を落とした。
染谷先輩のお陰で少しずつ、部内の空気が元の和やかなものへと戻りつつある。
しかし…それが空元気に近いという事を俺はふつふつと感じていた。
誰も彼も…努めて『何時もどおり』に振舞おうとしているが故の危ういバランス。
和と言う大事な仲間がいない事から目を背けるようなそれに俺の胸がまたズキリと傷んだ。


京太郎「でも…どうしてそんな要求を?」
まこ「まぁ、それはあっちに行ってのお楽しみじゃな」

それを無視しながらの言葉に染谷先輩がクスリと笑いながら応えた。
何だかんだ言って誰よりも辛いポジションに居る部長の久しぶりの表情。
そこに嘘偽りはなく、染谷先輩が久しぶりに心から笑ってくれた俺に伝えた。
どうやら…茶番のようなやり取りではあったものの、意味はあったらしい。
それに付き合ってくれた咲たちに心の中で感謝を告げながら、俺はゆっくりと優希の頬を手放した。

まこ「それより今の内に練習しておかないとの。わしも推薦した以上、あまり言えんが、一方的にやられるのは面白く無いじゃろ?」
京太郎「そう…ですね」

そんな俺の背を叩きながら、麻雀卓へと着いた染谷先輩に俺はしっかりと答える事が出来なかった。
そもそも、初心者を求めるような奇抜な要求をしてくるような学校なんてあまり多くはない。
秋季大会や新人戦を目前に控えた今の時期は何処だって実戦経験に飢えているのだから。
そんな中、こんな条件をつけるような高校を選んだのは…多分、俺の為なのだろう。
今度こそ俺を合宿に連れて行く為に、染谷先輩は骨を折り、こうした相手校を見つけてくれたに違いない。
それを思えば、染谷先輩への感謝の気持ちが沸き上がり、声が微かに震えてしまうのだ。

京太郎「(だけど…俺は…)」

その一方で俺はその合宿を心から楽しみにする事が出来なかった。
いや、それは勿論、俺だけではなく、他の皆も同じなのだろう。
大事な仲間である和の事が心配なのは、決して俺だけじゃないのだ。
しかし…俺は…ずっと黙っているままなのである。
和が不登校になってしまった原因が恐らく俺にあるという事を…言えないままなのだ。
それがどうしても胸のしこりとなって残り、自責を生み出す。
俺は…本当にこのまま合宿に行っても良いのか。
和を放っておいたまま…独りだけ楽しむような真似をして本当に良いんだろうか?
そんな悶々とした気持ちを抱えながらも、臆病な俺は何も出来ず…結局、そのまま合宿当日を迎えたのだった。


………

……






咲「ん〜」

優希「よぉやく着いたぁ…」

まこ「思ったより長かったの」

京太郎「電車で三時間ですからねー…」

京太郎「優希とか途中から落ち着かなくって、うずうずしてたからな」

優希「それは犬の方だじぇ!」

咲「あはは…私には二人共変わらないように見えたかな」

まこ「まぁ、五十歩百歩ってとこじゃろな」

京太郎「うぅ…タコスと同レベルだったなんて…ショックだ…」

優希「な、何をお!このいぬううう」

京太郎「うわっ!馬鹿!荷物持ったまま抱きつくな!!」

優希「ふっふーん♪犬の癖に生意気な事言うからだじぇ」


咲「…良いなぁ」

まこ「はは…本当にあの二人は兄妹みたいじゃのう」

咲「…兄妹…かぁ」

まこ「……」

まこ「ほら、そこの二人!何時までもじゃれあってないで出発するぞ」

まこ「ここからもうちょっと歩く必要があるんじゃからな」

優希「犬の所為で怒られちゃったじぇ…」

京太郎「どう考えてもお前の所為だろ」

京太郎「つーか、そろそろ離れろ。バランス崩れて歩きづらいだろ」

優希「犬の雑用パワーがあればなんとかなる!!」

京太郎「お前のタコスじゃないんだから、そんなパワーあるはずないだろ」

優希「いや…私には分かるじぇ…」

優希「犬の中で眠る雑用パワーが目覚めつつあるのを…!」

京太郎「例えあったにしても、そんな力は永遠に眠っといて欲しいぜ…」


咲「えっと…それで合宿先の温泉旅館って何処なんですか?」

まこ「ここから数十分ほど歩いた先じゃな」

優希「えー…だったら、タクシー拾おうじぇ」

優希「丁度、四人だから犬以外は皆乗れるじょ」

京太郎「まぁ、タコスの発言はさておいても…数十分はちょっと長いかもしれませんね」

京太郎「家には麻雀以外ポンコツな誰かさんがいますし」ジィ

咲「う…べ、別に私でも数十分くらい歩けるよ!」

京太郎「その大きなキャリーバッグ引っ張り続けてか?」

京太郎「乗り換えする為の移動でさえ、へばりそうになったのに?」

咲「こ、今回は大丈夫だもん」

咲「…た、多分…きっと…」

京太郎「…」

咲「…」





咲「だ、大丈夫だもん!」ムスッ

京太郎「(信じられねぇ…)」


京太郎「まぁ、そんな寸劇はさておいて…送迎バスとかないんですか?」

まこ「んーあると言えばあるんじゃが…」

まこ「相手校の送迎に全部、駆りだされちゃっているみたいでの」

優希「えーそんなのずるいじぇ!」

まこ「まぁ、その代わり、帰りはこちらを優先してもらえる事になっとる」

まこ「帰りの方が疲れておるし、そちらの方がええと思ってな」

まこ「それにこうして景色を楽しみながら歩くのも乙なものじゃよ」

咲「車じゃ景色が流れていくだけですしね」

優希「とは言え、この荷物を引っ張って数十分歩くのは咲ちゃんじゃないけど、ちょっと辛いじょ…」

京太郎「お前のその特大サイズのバッグの中には何が入ってるんだよ…いや、大体、予想はつくけど」

優希「勿論、タコスの材料だじぇ」

優希「旅館の料理も楽しみだけど、やっぱりタコスが一番!」

優希「だから、犬はまた私の為にタコスを作るんだじょ」

京太郎「厨房借りられるかなぁ…」

まこ「(あ、作るつもりはあるんじゃな)」

咲「(京ちゃん…何だかんだ言って優希ちゃんに優しすぎるよ…)」


………

……






京太郎「(と、まぁ歩いて十数分が経過したんですが)」ガラガラ

咲「はひぃ……は…うぅ…」ガラガラ

京太郎「(ある意味、予想した通りの展開になってるなぁ…)」

京太郎「(今にも車道に飛び出しそうなくらいフラフラしているし…)」

京太郎「(それでも言い出さないのは大丈夫って言った手前、意地を張ってるのか…)」

京太郎「(でも、まぁ、そろそろ限界だろうし…手を貸してやるべきかな)」

京太郎「咲」ガシッ

咲「え…あ…」

咲「…ごめんね。京ちゃん」

京太郎「気にすんな。最初からそのつもりだったし」ガラガラガラガラ

京太郎「つーか、無理しすぎだ。折角、俺がいるんだから、早めに言えよ」


咲「だって…京ちゃんにとって今回が初めての合宿な訳だし…」

咲「出来るだけ雑用みたいな真似はさせたくなかったんだもん…」

京太郎「…咲…」

京太郎「ありがとう。でも、遠慮はしなくて良いぞ。こういうのは適材適所なんだから」

京太郎「お前がこういうのに向いていない事くらい中学時代で嫌というほど知ってるさ」

京太郎「だから、今更、そんな事気にするなよ」

咲「京ちゃん…ありがとうね」

京太郎「その代わり、今度、レディースランチな」

咲「もう!ちょっと感動して損しちゃった!」ニコニコ

まこ「(そう言いながら、嬉しそうじゃの)」

まこ「まったく…分かりやすい娘じゃ」

優希「むぅ…」

まこ「まぁ、分かりやすいのはこっちも同じかの」

優希「?」


京太郎「にしても…この辺りってビルが多くてあんまり温泉っぽさを感じないですね」

まこ「まぁ、この辺りはまだ駅に近い方面じゃしな」

まこ「ここから山の方に行くとそれなりに大きな温泉街があるんじゃよ」

京太郎「うへぇ…って事はまだ歩くんですか…」

まこ「普段、文化系であんまり運動する事はないからの」

まこ「たまにはこれくらい動かんと太るじゃろ」

咲「…」オソルオソル

咲「…」プニッ

咲「」ガーン

咲「……ごめん。京ちゃん、やっぱりそれ持つよ」

京太郎「いや、無理するなって。今度こそ倒れるぞ」

咲「うぅ…」


京太郎「つーか、さっきからバス停が見えるんですけど…バスとかないんですか…?」

まこ「あるにはあるが、次のは一時間後じゃ」

まこ「もう先方は待たしておる訳じゃし、あんまりのんびりはしてられん」

京太郎「ですよねー…」

まこ「辛くなって来たのなら休憩するが…」

京太郎「いや、俺はまだ行けるんですけれど…」

咲「さ、坂道厳しいよぉ…」ゼー

優希「ざ、材料を詰め過ぎたじぇ…」ハー

京太郎「ポンコツが二人に増えました…」

まこ「あー…」

まこ「…ちょっと休憩するかの」

京太郎「んじゃ、そこのコンビニに寄りましょうか」


咲「はふぅ…生き返る…ぅ」

優希「坂道だと重さがずっしりくるじぇ…」

京太郎「優希はともかく、咲はちょっと運動不足がすぎるな…」

京太郎「ウォーキングで良いから日頃から何か運動をやり始めた方が良いぞ」

咲「えー…」

京太郎「えーってお前…」

咲「だって、最近、麻雀が忙しくてあんまり本が読めてないんだもん…」

咲「それなのにウォーキングとか始めたら、さらに本が読めなくなっちゃう…」

京太郎「いや…文学少女らしいセリフだけどさ」

京太郎「お前、このままじゃ運動不足一直線じゃねぇか」

京太郎「部活もインドア系だし…もうちょっと運動した方が良いって」

咲「う…でも…」

京太郎「でも、じゃない。俺が付き合ってやるからウォーキングから始めようぜ」

咲「き、京ちゃんが…?」

京太郎「お前だけに任せてたら三日坊主にすらならないのは分かりきってる話だしなぁ」

咲「それだったら…やる。頑張…る」

京太郎「うし。言ったな」

咲「あ、で、でも…」

京太郎「ん?」

咲「私…運動服ってジャージしか持ってないから…えっと…」

京太郎「…あぁ。買い物に付き合ってくれって事か?」

咲「う、うん!ついでに本も見たい!」

京太郎「分かった。んじゃ、合宿終わったらまた見に行こうか」


まこ「(多少、空元気感はあるが…あっちは青春じゃの)」

優希「むぅぅ…うぅぅ…」

まこ「(こっちもこっちで悶々としとるみたいじゃし)」

まこ「(部長としてはとっととどっちかに落ち着いてくれた方が有難いんじゃが…)」

まこ「(このままじゃどっちもまだ難しそうじゃなぁ…)」

まこ「(咲も優希もまだ妹みたいな視線でしか見られておらんし…)」

まこ「(一番、有利な和はそもそも京太郎の事をまったく意識しとらんしなぁ…)」

まこ「(にしても…和…か)」

まこ「(結局…来んかった…なぁ)」

まこ「(出来れば…皆で合宿に来たかったんじゃが…結局、返事もないままじゃ…)」

まこ「(そんなにわしは…部長として頼り甲斐がないかの…)」

まこ「(いかんいかん…弱気になったら終わりじゃな)」

まこ「(わしには久のような人をぐいぐいと引っ張る力がある訳じゃないが、せめて部員たちの前ではしゃんとしておかんと)」


京太郎「んじゃ…ちょっと飲み物でも買ってくるわ」

京太郎「咲や優希はまだ動けないだろうし、ついでに買ってくるけれど…何かリクエストあるか?」

咲「ありがとう。私はオレンジジュースが良いな」

優希「…りんごのいろはす」

まこ「それじゃわしは二人を見ておるし、お茶を頼む」

京太郎「了解。んじゃ、ちょっと待っててください」スタスタ



店員「ラッシャッセー」ピロロンピロロン



京太郎「(あー…ちょっと暖かい…)」

京太郎「(何だかんだでもう秋から冬になりかけてるし…身体が冷えてたんだな…)」

京太郎「(学生旅行じゃなく合宿だし、制服しか着れないって言うのも割りとクる…)」

京太郎「(こりゃリクエストされたものとはまた別に暖かい飲み物も買った方が良いか…?)」

京太郎「(ま…何はともあれ、先にリクエスト分を確保しなきゃ)」ガチャ


?「(合宿かぁ…)」

?「(昔は…そこそこ楽しみだったんやけどなぁ…)」

?「(末原先輩も…主将も…真瀬先輩もおらへんようになってもうて…)」

?「(これからはうちらの時代やって…主将は言うてくれたけど…)」

?「(正直…自信ない…)」

?「(一年にも…それなりに育て甲斐のある子はいる)」

?「(うちも絹恵も…まだ伸びしろはあるはずや)」

?「(だけど…勝てるんやろうか…)」

?「(あの清澄に…宮永咲に…)」

?「(末原先輩が…あんなにされた化け物相手に…一年後…うちらは勝てるんやろうか…)」

?「はぁ…」


?「(考えたってしゃあない言うのは分かっとる)」

?「(それでもこうして考えてしまうんは…合宿の所為なんやろうな…)」

?「(代行は…今回の合宿は清澄対策に必要や…って言ってたけれど…」

?「(結局、相手の名前までは秘密や言うて教えてくれんかった…)」

?「(勿論…中核である一年が、来年のインターハイでもまるまる残る清澄の対策をするのは間違いやない)」

?「(頭の中では…そんな事は分かっとるのに…)」

?「(清澄の名前が出ると…どうしても嫌になってしまう…)」

?「(今も…はよ戻らなあかんのに…コンビニで読みたくもない雑誌読んで…時間つぶしとる…)」

?「(末原先輩みたいに優しくて…頼り甲斐の先輩になりたかったはずなのに…)」

?「(うちは…何をやっとるんやろうか…)」

?「(このままやったら…あかんのは分かっとるのに…)」

?「…ふぅ…」」

?「(とりあえず…立ち読みは止めて…もう帰ろう)」スッ

?「(あんまり長く離れてると…部長を継いだ絹恵や代行にも迷惑がかかるし…)」スタスタ

?「(そろそろ戻らへんとヘタしたら相手との顔合わせが始まってるかもしれへん)」

?「(憂鬱やけど…飲み物だけ買って帰ろか…)」ガチャ













?・京太郎「「あれ?」」











?「(あ、あれ…清澄の制服やん…)」

?「(何でこんなとこに清澄の生徒がおるん!?)」

?「(その上、このタイミングでうちと同じところを開けようとしとるんや!?)」

?「(って…何かジロジロ、うちの顔を見てる…?)」

?「(な、何やの?な、何か変?寝癖とかついとる?)」

?「ハッ(も、もしかして、また知らん間におでこに落書きされとるん!?)」



京太郎「(この特徴的な髪飾りとおでこ…何処かで見た事があるような…)」

京太郎「(えーと…二回戦で初めて咲たちと当たった…姫松の…先鋒の人だったっけか)」

京太郎「(名前は…確か…上重漫)」

京太郎「(でも…なんでこんなところに?)」

京太郎「(姫松は大阪で…ここから結構遠いぞ?)」

京太郎「(それに制服姿…って事は…)」




漫・京太郎「「あ、あの!」」


漫「(か、被ってもうた…)」

漫「(や、やっぱり落書きされてたんやろうか…?)」

漫「(でも…もし、違ったら恥ずかしいし…)」

漫「(何時もそうやって落書きされとるって清澄に思われるのも癪や…)」

漫「(ここは…とりあえず相手の出方を見るべきやな…!)」




京太郎「(また…被っちまった…)」

京太郎「(とは言え、俺は同じ轍を二度も踏まないぜ…)」

京太郎「(ここで下手に何か言おうとするとまた被っちまう)」

京太郎「(つまり…ここは見…ッ。圧倒的待ちの構え…ッ)」

京太郎「(それこそが勝利への近道…ッ!栄光へのロード…ッ!!)」



京太郎「…」

漫「…」

京太郎「…」

漫「…」





漫「(な、何で何も言わへんの…?)」

京太郎「(な、何で何も言わないんだ…?)」







店員「(あそこの高校生いきなり見つめ合ってやがる…)」

店員「(くそ…リア充爆発しろ)」


漫「(あ、あかへん…すっごい気まずくなってきた…)」

漫「(自分から目を背けると負けた気がするからやらへんけど…)」

漫「(こんなにじぃっと見つめられるとやっぱ恥ずかしいやん…)」

漫「(え、えぇい!恥ずかしがってたらあかん!)」

漫「(女は度胸!男も度胸や!!)」

漫「(まずは軽くジャブから…さりげなーく…)」

漫「え、えっと…そ、その制服…清澄やんな?」

京太郎「えと、はい」

漫「って事は君も麻雀部?」

京太郎「い、一応…ですけど」

漫「そ、そうか」

京太郎「は、はい」

漫「…」

京太郎「…」


漫「(無理やって!無理やって!!)」

漫「(クラスメイトならともかく、相手は初対面の…しかも、清澄やで!?)」

漫「(にこやかににっこり笑って世間話なんてでけへんやん!!)」

漫「(そ、それに…何かこの男も態度が硬くて、どっつきにくい感じやし…)」

漫「(す、末原先輩…助けてぇ…)」




京太郎「(あ、やばい。盛大に選択肢を間違った感が…)」

京太郎「(下手に何か言わずに相手の用件を聞いてからにしようと思ったんだが…)」

京太郎「(は、話が途切れちまった…)」

京太郎「(ま、まずい…これが咲の事コミュ障だって笑えねぇ…)」

京太郎「(と、とにかく話題を…何とかして話を続けないと…)」

ふぉーりんらーう゛〜


京太郎「えっと…貴女は上重漫…さんで良いんですよね?」

漫「な、何でうちの名前…」

京太郎「一応、俺もインターハイにはいましたから」

京太郎「試合は全部、リアルタイムで見てましたし、牌譜の作成とかもやってたんで、覚えてます」

京太郎「それに…準決勝はまさに爆発としか表現しようがない凄い闘牌でした!」

漫「そ、そうなんや…」

漫「(なんや…ちょっと照れるな)」テレテレ

漫「(主将や末原先輩ならともかく…一回、ボロボロにされたうちの事を覚えててくれてるなんて)」

漫「(お世辞かもしれんけど…ちょっと嬉しいな)」

漫「ハッ(清澄に褒められて何喜んでんの自分!?)」

漫「(ちゃ、ちゃうやろ。ここは『嫌味か』くらい言って牽制するべきやろ!?)」

漫「(でも……)」

京太郎「」キラキラ

漫「(な、なんか純粋にこっちを尊敬してくれてるっぽい目を見て…そんな事言えへん…)」

漫「(う、うぅ…末原せんぱぁい…うちどうしたらええんですかぁ…)」


京太郎「えっと…それで上重さんは…合宿ですか?」

漫「え…そうやけど…何でそんな事聞くん?」

京太郎「あ、いや…実はですね。俺達もここで合宿な訳なんですが…相手の名前までは聞いてなくて」

漫「あー…だから、うちらと合宿するかどうかを聞きたかった、と」

京太郎「はい。もし、そうなら他の部員にもちゃんと挨拶させておきたいですし」

漫「そうか。君は意外と礼儀正しいんやな」

漫「ただ、悪いけど、うちも分からへん」

漫「うちの責任者である代行は面白がって色々やるタイプやからなぁ…」

漫「こっちの合宿相手も秘密にされてるままや」ハァ

京太郎「(…あぁ、何か凄い苦労してるオーラが伝わってくる…)」

京太郎「(多分、代行とか言う人はきっと久先輩みたいなタイプなんだろうなぁ…)」

ちょっとだけ投下とは何だったのだろうか


漫「まぁ…お互いこの時期にここで合宿ってなったらほぼ確定やろ」

漫「流石に県境を越えた先の温泉地でインターハイクラスの学校がばったりなんてありえへんし」

京太郎「そうでしょうね…」



京太郎「(だけど…それならどうして染谷先輩は秘密にしてたんだ…?)」

京太郎「(相手は共学の姫松だし…別に秘密にする必要はないだろ)」

京太郎「(勿論…久先輩だったら分からないでもないんだけれど…)」

京太郎「(もしかして…まだ何か俺達に見えていないものがあるのか?)」

京太郎「(…まぁ、考えても仕方がないか)」

京太郎「(仕掛け人が染谷先輩である以上、やばいことにはならないだろ)」

京太郎「(染谷先輩が黙っているって事はその方がメリットがあるって事だ)」



漫「(にしても…まさか代行の言ってた対策って本物相手にぶつける事やったんか…)」

漫「(いや…確かに対策するんなら、相手との経験が何よりものを言うんやろうけれど…)」

漫「(でも、それやったら一言くらい言ってもええんちゃうやろか…)」

漫「(いや…あの人にそういう事を期待する方が間違いやな…)」

漫「(指導者としての実力こそ確かやけれど…人を喰ったようなタイプやし…)」

漫「(今回も面白そうだから!ってだけで秘密にするのを決めたんやろうなぁ…)」ハァ


>>517
人類よこれが「ちょっとだけ」だ


京太郎「えっと…それで…さっき上重さんは何を言おうとしてたんですか?」

漫「(そ、そうやった…忘れてた…)」

漫「(ここに清澄がいる理由は何となく察しがついたけれど…)」

漫「(まださっきジロジロと見られてた件が終わっとらへん…)」

漫「(でも…はっきり見てた理由を聞くと角が立つやろうし…それに…)」チラッ

京太郎「?」

漫「(き、聞けへんって!やっぱり男の子相手にそんなん無理やって!)」

漫「(そんな自意識過剰みたいな真似、うちには絶対無理やって!!」

漫「(で、でも…もし、頭に落書きされてたら、恥ずかしいなんてもんちゃうし…)」

漫「(それに落書きされたまま…宮永咲の前に出るのも癪や…)」

漫「(こ、ここは出来るだけ直接的な言葉を避けて聞くべきちゃうやろか…)」

漫「え、えっと…やな」

漫「その…なんて言うか…こ、こういう事聞くの恥ずかしいんやけれど…」カァ

漫「う、うち…変ちゃうかな…?」ウワメヅカイ

京太郎「…え?」


京太郎「(お、落ち着け、須賀京太郎)」

京太郎「(いきなり童顔巨乳のお姉さんに上目遣いされた程度で狼狽えるんじゃない…!)」

京太郎「(今の俺に必要なのは地底湖の水のような落ち着いた心…!!)」

京太郎「(その曇りなき眼で上重さんの真意を見定めるんだ…!!)」



京太郎「……」




京太郎「……」



京太郎「(分っかる訳ねぇだろおおおおおおお!)」

京太郎「(というか、寧ろ誰か教えてくれよ!!)」

京太郎「(初対面の童顔巨乳美少女にそう言われる理由をさ!!)」

京太郎「(どんな偶然が重なれば、こんな状況に陥るんだよ!!)」

京太郎「(つーか、上目遣いする様が可愛いんだよおおおお)」

京太郎「(何処の小動物だよくそ!!!許されるなら正直、抱きしめたいわ!!)」




漫「え、えっと…あの…」

京太郎「ハッ(い、いけないいけない…思わず現実逃避するところだったぜ…)」

京太郎「(だけど…この場合のベストな選択は一体、何なんだ…?)」

京太郎「(分からん…そもそも質問の意図すらまったく分からん…)」

京太郎「(変と言われても…小動物っぽいロリ顔にどたぷん巨乳の組み合わせはやばいってくらいだ)」

京太郎「(間違いなく可愛い系美少女の領域にいる上重さんの一体、何が変だって言うのか)」

京太郎「(まったく分からん。分からんから…ここは…褒める…!)」

京太郎「えっと…上重さんはとても可愛いと思いますよ」

漫「…ふぇ?」キョトン

京太郎「…え?」

京太郎「(あれ…これってもしかして…ミスった…?)」


漫「…さっき真面目や言うたんは撤回するわ」

漫「意外とやり手なんやね、君」ジトー

漫「まさか出会って5分も経たへんうちに口説かれるとは思うとらへんかったわ」

京太郎「あ、いや…く、口説いてる訳じゃなくって!」

京太郎「へ、変な所は一つもないって言うのがちょっと空回ったっていうか!」

京太郎「でも、さっきのは本心じゃない訳じゃなくって…えっと…!」

京太郎「だ、だけど、不快だったら撤回しますよ!」

京太郎「も、勿論、上重さんが可愛くないって意味じゃなくって、ナンパじゃないって意味でですね!」シドロモドロ

漫「プッ…」

京太郎「え…?」

漫「あははは」

漫「ご、ごめん…。ま、まさかそこまで焦ってくれるとは…」

京太郎「あの…それって…」

漫「うん。冗談なんや。すまんな」ニッコリ

京太郎「……ぐふっ」


漫「はは。ごめんな。でも、君も悪いんやで」

漫「いきなりあんな口説き文句言われて、乗ってあげられるほどうちは人生経験豊富やないんや」」

漫「まぁ、悪い気はせんかったって事で許してな」ニッコリ

京太郎「いえ…寧ろ俺が悪かったです…」

京太郎「テンパって変な事言いました…すみません…」ズーン



漫「(…と、年上ぶってみたけれど…)」

漫「(いきなりの不意打ちやったからちょっとドキッとしたやん…)」

漫「(姫松は共学やけど…今まで麻雀一筋でそんな事言われた事なかったしなぁ…)」

漫「(デコが綺麗とか…そういう冗談交じりなんは結構あったけど…)」

漫「(真正面からこうやって可愛いって言われたのは…あんまないし…)」

漫「(まぁ…ちょっとだけ嬉しかったかな)」


京太郎「それで…結局、さっきのはどういう意図で言ってたんですか?」

漫「あー…えーと…それは…な」

漫「(まだ言うのは恥ずかしいけど…もうええか)」

漫「(こっちの言葉足らずでこの子に恥をかかせてもうた訳やしな…)」

漫「(こっちばっかり秘密を作るのはフェアじゃないし…素直そうな良い子やしな)」

漫「(変に言いふらしたりはせんやろ、多分)」

漫「あのな。…額に落書きとか…ない?」

京太郎「落書き?」

漫「うち…罰ゲームとかで良く落書きされんねん…」

京太郎「(あー…確かに広くて凄い書きやすそうな額だな…)」

京太郎「(よくよく見ると弄られやすそうな顔をしてるし…)」

京太郎「(やっぱり寝ている間とかに書かれたりしてるんだろうなぁ…)」

京太郎「いえ、無いですよ」

漫「ほ、ほんま!?」

京太郎「えぇ。本当です」

京太郎「それに気になるなら自分で鏡をチェックした方が多分、早いですよ」

漫「あ…」カァ


漫「て、テンパってたんやもん…しゃあないやん…」

京太郎「い、いや、別に悪いって訳じゃなくって…」

京太郎「言いづらそうにしていたんで聞いてよかったのかなって…」

漫「う…だって…君がじっと見てたから…気になってやな…」

京太郎「(あぁ…だから、俺に聞いてきたのか…)」

京太郎「(考えても見れば、凄い失礼な事やってしまったな…)」

京太郎「ジロジロ見てしまって、すみません…」

京太郎「俺は直接、上重選手に会った事はなかったんで自信がなくって…」シュン

漫「いや…ええよ。うちもちょっと自意識過剰やったし…」

漫「それに悪い意味で注目してたんやないんやったら、寧ろ嬉しいしな」

漫「有名税みたいなもんやって思っとくわ」ニコッ


漫「それはそうと…君の名前をまだ聞いとらへんよ?」

京太郎「あ、俺、清澄一年の須賀京太郎です」

漫「一年…って事は年下かぁ」ジィ

京太郎「…?」

京太郎「どうかしたんですか?」

漫「いや…須賀君とうちで何が違うんかな、と思ってなぁ」ハァ

京太郎「(あぁ…ちっちゃい事にコンプレックスがあるのか…)」

京太郎「(可愛らしいとは思うけれど…あんまり口にしないようにしよう)」

漫「ここ数年くらい…ミリ単位でも伸びへんし…うぐぐ」

京太郎「まぁ、身長は色々と難しいみたいですしね…」

京太郎「運動しないのも運動しすぎもいけませんし、カルシウムの取り過ぎも良くないそうです」

漫「適度な運動はしとるはずやし、牛乳だって飲む量を決めてるんやけどなぁ…」ハァ

漫「やっぱ遺伝なんかなぁ…うちの家系、基本的に小柄やし…うぅ…」

こんな純真な漫ちゃんがもうすぐ……

以上で書き溜め消化ー。

中核である三年が抜けて頑張ろうとしてるけど、上手くいってない。
勿論、後に爆発力を発揮して姫松の中核として成長するんだけど、
今はまだ優秀過ぎた先輩たちが抜けた事にどうして良いか分からない。
俺の中でIH直後の漫ちゃんはそんなイメージです。

というか遠慮無くイジイジする三年がいないと漫ちゃんの弄られキャラが活かせないよ!!
何かすっごい癖のない大阪弁キャラになっちゃったよ!!
ちっちゃいものコンプレックスは絶対あると思うよ!!

>>530
乙ー

自分のイメージぴたりで怖いわホント

これはあくまで>>1のイメージなので、
「ちょっとこれは違う!」とかあったら、遠慮なく言ってくださいなー。
と言うか今、投下してて、コンビニにいる理由、罰ゲームの方が良かったんじゃないかと思い始めた…(KONAMI)

ありがとうございます。
週末はちょっとあんまり書き溜め進められそうにないので、その間、異論がなかったらこのまま進めますね。
他にもこうした方が良いとかあれば、書き直しや軌道修正しますので、遠慮なく言ってくださいませ。
後、エロなくてごめんね!!
合宿中のアレコレを絞って書いても、もうちょっとエロは先になると思うんじゃよ。

>>555
2周目安価、一緒にがんばろうぜ!

>>506
> ?「(末原先輩が…あんなにされた化け物相手に…一年後…うちらは勝てるんやろうか…)」

恭子ちゃん何されちゃったんですかねェ……

>>559
>>288

週末は甥っ子が来るから書き溜め出来ないと言ったな?
アレは嘘だ。
そんな訳で今日の20時から投下します。
エロはないよ!!!


後、個別に返信出来ませんが何時も乙ありがとうございます。
正直、思った以上の反響で嬉しく思っております。
また二周目に関してですが…まだ終わりも見えていないので未定とさせてください。
ただ、二周目をやるとすれば、メインヒロイン(今回で言う和)から決めて、
メインヒロインと同じ所属校からのスタートになると思います。

安価スレは確かに周回する場合も多いけど、そんなん考えなくていいっすよ
>>1も他に書きたいもの出てくるかもしれんし、コンセプト変えてもいいんだし

どうせすぐ三周目ガーとかって言い出しそうだしな

まあ終わってから考えればいいよ

ここはキャップ好きが多いインターネッツですね。
かく言う私もキャップ好きでね…。
それはさておき、投下しますー。


漫「それはそうと…君の名前をまだ聞いとらへんよ?」

京太郎「あ、俺、清澄一年の須賀京太郎です」

漫「一年…って事は年下かぁ」ジィ

京太郎「…?」

京太郎「どうかしたんですか?」

漫「いや…須賀君とうちで何が違うんかな、と思ってなぁ」ハァ

漫「うちの方が年上なのに…二回り以上違うって…」

京太郎「(あぁ…ちっちゃい事にコンプレックスがあるのか…)」

京太郎「(可愛らしいとは思うけれど…あんまり口にしないようにしよう)」

漫「ここ数年くらい…ミリ単位でも伸びへんし…うぐぐ」

京太郎「まぁ、身長は色々と難しいみたいですしね…」

京太郎「運動しないのも運動しすぎもいけませんし、カルシウムの取り過ぎも良くないそうです」

漫「適度な運動はしとるはずやし、牛乳だって飲む量を決めてるんやけどなぁ…」ハァ

漫「やっぱ遺伝なんかなぁ…うちの家系、基本的に小柄やし…うぅ…」


京太郎「ま、まぁまぁ。それより…」

漫「うん?」

店員「ジィ」

客「ジィ」

京太郎「ごめんなさい…結構目立ってます」

漫「あ、あわわ…」

京太郎「と、とにかく、買うもの買って早く出ましょう」

漫「そ、そうやね。それじゃ…えっと…」ガチャ

京太郎「これとこれと…これっと」

漫「あ、うちはこれに…」スッ

京太郎「後はホットのコーナーで適当に熱い飲み物も…」


店員「アリャリャッシャー」

京太郎「(ふぅ…とりあえず気まずい空間からは脱出出来たな…)」

京太郎「(ただ…上重さんの方が…)」チラッ

漫「うぅ…」カチコチ

京太郎「(何かすっごい緊張してるのはどうしてなんだろ…)」

京太郎「(やっぱり注目浴びすぎた所為か…?)」

京太郎「(だとしたら…悪いことしてしまったなぁ…)」



漫「(な、流れで一緒に出ちゃったけど…)」

漫「(これって近くに清澄…しかも、宮永咲がいるって事やんな…?)」

漫「(末原先輩を止めた…あの魔王みたいな…打ち筋の…雀士)」

漫「(合宿ってことは…勿論、あの宮永咲とも打つんやろうな…)」

漫「(…うちは…大丈夫なんやろうか…)」

漫「(あの…宮永咲と戦って…うちは…)」


漫「(勿論…末原先輩の敵は討ちたい…)」

漫「(うちみたいな不安定な奴をレギュラーに推薦してくれた末原先輩に報いるには…もうそれしかないんやから)」

漫「(でも…その一方で…うちは…怖がっとる…)」

漫「(二回戦の敗戦を経て…より強くなった末原先輩でさえ一歩及ばなかった宮永咲に)」

漫「(うちみたいな…爆発するか分からへんような…奴が勝てるんやろうか…)」

漫「(いや…そもそも…末原先輩みたいに…ボロボロにされてしまうんやないやろうか…って)」



京太郎「(とは言え…ここで「はい、さようなら」って訳にはいかないよなぁ…)」

京太郎「(恐らく今回の合宿相手だろうし…このまま漫さんだけを行かせたら印象が悪くなる)」

京太郎「(例え、合宿相手じゃなくたって、ちゃんと挨拶をしておくに越したことはない)」

京太郎「(何やら考え込んでいる所に声を掛けるのは少し気が引けるけど…)」

京太郎「(一応、咲たちを待たしている訳だし、あんまりのんびりともしてられない)」



京太郎「あの…上重さん?」

漫「ひゃあ!?」


京太郎「あ…すみません」

漫「い、いや、大丈夫やで。こっちこそ驚いてごめんな」

漫「それで…須賀君は何の用や?」

京太郎「あぁ。その…すぐそこにうちの部長や部員がいるんで」

京太郎「良ければ挨拶して行かないですか?」

漫「う…」



漫「(あ、挨拶…やって…?)」

漫「(い、いや…一度、対戦している以上、見て見ぬふりして行くのも失礼な話やけど…)」

漫「(で、でも…まだ心の準備が出来てないって言うか…)」

漫「(そ、そもそも挨拶って何すればええの!?)」

漫「(今日こそ叩き潰してやる!とか言うべきなん?)」

漫「(そ、それともドラマチックに末原先輩の敵!とか言った方がええの?)」グルグル

京太郎「(何だか良く分からないけれど、凄いドツボにハマっている気がする…)」


京太郎「まぁ、一言、声を掛けてくれるだけで十分ですよ」

京太郎「それも気まずいって言うのなら、俺達が先に出発します」

京太郎「到着してもすぐ顔合わせとはならないでしょうし、俺達が荷物を置いてる間にでも滑り込めば大丈夫ですよ」

漫「(う…迷っとる間に気を遣われとる…)」

漫「(あ、あかんあかん…うちは先輩なんやで?)」

漫「(こうやって気を遣うべきは先輩であるうちの方やろ)」

漫「(それなのに…何時までもうじうじなんかしてられへん…!)」

漫「…るで」

京太郎「…え?」

漫「やるで…挨拶…!!」メラメラ

京太郎「(何か燃えてるけど…挨拶ってそんなたいそれたものだったっけ…)」

京太郎「(まぁ…気合が入ってるのは良い事なんだけれど…)」

京太郎「(なんというか…咲とはまた違った意味で目を離せない人だなぁ…)」


京太郎「じゃあ、こちらに」

漫「大丈夫…うちはやれる子や…」

漫「末原先輩だってそう言ってくれたやないか…」

漫「大丈夫…出来る…」ブツブツ

京太郎「(…本当に大丈夫かなぁ…)」




………

……







京太郎「おーい。帰ったぞー」

まこ「おう。おかえり。ちょっと遅かっ…あれ?」

漫「ど、どうも…」

優希「あ…姫松の…えっと…」

漫「上重漫です…その…よろしく」

咲「あれ?どうして姫松の人がここに?」

まこ「あっちゃあ…もうバレてしもうたのか…」

優希「ってことはもしかして…」

まこ「そうじゃ。今回の合宿相手は姫松じゃよ」

咲「姫松…あの…末原さんの…」

漫「…」


漫「(やっぱり…居た)」

漫「(こうして見てると…普通の女の子だけど…)」

漫「(誰よりも恐ろしくて…残酷な打ち方をする子…)」

漫「(本当は…宣戦布告の一つでもしたいけれど…)」

漫「(今の…今のうちじゃ…きっと…相手にもされない…)」

漫「(だから…今は…)」

漫「…よろしく。宮永さん」

咲「え、えっと…よろしくおねがいします」ペコリ

まこ「…」

まこ「まぁ、折角、こうして会えたのも縁じゃし…一緒に合宿場まで行かんか?」

まこ「どうせ後、5分くらいの距離じゃしの」

漫「そう…やね。うちもそろそろ帰らんと絹恵にどやされそうやし…」


京太郎「んじゃ、飲んだら出発しようぜ。ほら」

咲「京ちゃん、ありがとう」

優希「わーい!」

まこ「何時もすまんのう」

京太郎「それは言わないお約束じゃよ、まこさんや」

京太郎「んで、今日はちょっと風が冷たいし、ついでにホットも買ってきたぞ」

まこ「相変わらず気が効くの」

京太郎「はは。伊達に雑用やってませんからね」

まこ「気配りは雑用だけで身につくものじゃないと思うがの」

優希「つまり京太郎は根っからの雑用気質なんだじぇ」

京太郎「よし。折角買ってきたけど優希にはやらん」

優希「な、なんで!?褒めたのに!?」ガーン

咲「いや…アレは褒め言葉には聞こえないと思うよ」クス

漫「…」


漫「(普通だ…)」

漫「(これが本当に…私達を破った清澄?)」

漫「(本当に…あの化け物じみた力で押しつぶしてくるような…清澄なん?)」

漫「(何処にでもいる…普通の高校生やん…)」

漫「(それなのに…なんでうちらは負けたんやろ…)」

漫「(才能?それとも…能力?)」

漫「(末原先輩やったら…すぐ分かるんやろうけれど…)」

漫「(でも…今の、うちに分かるのは……)」

漫「(ただ…悔しいという事だけ…)」

漫「(なんでかは自分でも分からへん)」

漫「(多分、それがええことではないって事は感じる)」

漫「(でも…うちは…やっぱり…)」

京太郎「…」


京太郎「んじゃ、悪いけど、俺は上重さんと先に行くから」

漫「ふぇ?」

咲「え?」

優希「ぬ?」

まこ「お?」

京太郎「いやぁ、こんな素晴らしいおもちの持ち主に案内して貰えるなんて俺は光栄ですよ」キリッ

漫「え?えぇ!?」

咲「京ちゃん、またそんな事言って…」

優希「ていうか、上重さん困ってるじょ!」

まこ「…ふむ」

まこ「そうじゃな。その方がええかもしれん」

優希「え!?」

咲「そ、染谷先輩まで…」


まこ「まぁ、聞け。京太郎は二人分の荷物を運ぶ訳じゃし、出来るだけ早めに休ませてあげた方がええ」

まこ「それに上重さんも一人でコンビニに来てる訳じゃから、早めに戻った方がええじゃろうの」

咲「で、でも、京ちゃんと二人とか…そんなの…」

優希「上重さんを猛獣の檻に入れるようなものだじぇ…」

京太郎「お前らは俺を何だと思ってるんだ…」

咲「おもち好きの変態」

優希「女たらしの節操なし」

京太郎「お前らには後で話し合いが必要なようだな…!!」

咲「う…い、幾ら脅したって無駄だよ!!」

優希「京太郎の悪行は全部、お天道さまが見てるじぇ…!」

京太郎「まるで俺が犯罪者みたいな言い方をするのは止めてくれないか!?」

漫「え…えぇ…?」


まこ「まぁ、勿論、上重さんが了承してくれたら…の話なんじゃがな」チラッ

漫「え、えっと…」

漫「(ちょっと驚いたけど…渡りに船な提案なのは確かやなぁ…)」

漫「(ここに居ても…疎外感半端無いし…)」

漫「(それに…やっぱりうちは宮永咲と一緒にニコニコ楽しむ事なんてでけへん…)」

漫「(後…)」チラッ

京太郎「??」

漫「(…気を遣われてしもうたんやろうなぁ…)」

漫「(ちょっと間違った方向な遣い方ではあるけれど)」クスッ

漫「(でも…ここで意地を張っても…道化になった須賀君の面子を潰すだけや)」

漫「(…うん。考えるまででもないな)」

漫「うちは構わへんよ。丁度、ボディーガードも欲しかったところやし」ニコッ


京太郎「ほーら、見ろ!お前らと違って上重さんは見るべきところを見てくれてるんだよ!」

咲「う、上重さん!考えなおして!!」

優希「そ、そうだじぇ!京太郎と二人きりだなんて危険が過ぎるじょ!!」

京太郎「お、お前らなぁ…」

漫「ふふ…随分と信頼されとるみたいやね、須賀君」

京太郎「こんな信頼のされ方されたくないんですけれどね…」

まこ「まぁ、冗談の類じゃし、気にせんでええ」

まこ「おもちに目がないとは言え、京太郎はそこまで刹那的じゃないしの」

京太郎「う…染谷先輩まで…」

まこ「冗談じゃよ。まぁ…京太郎のその癖はどうにかした方がええと思っとるけれど」

まこ「(じゃないと…)」チラッ

咲「むー…」

優希「うぬぬ…」

まこ「(そろそろあっちが本格的に爆発しかねんしの…)」


京太郎「ま…話も纏まったところで行きますか」

まこ「うん。すまんが先に頼む」

まこ「こちらはもうちょっとしたら出発する事にするよ」

優希「ちょっとでも手を出したら承知しないじぇ!」

京太郎「ほんの5分ちょっとの道なのにまったく信頼されてないってのはどうなんだ…」

咲「逆の意味で信頼してるから、言ってるんだよ…」

まこ「京太郎のそれは筋金入りじゃしの」

京太郎「うぅ…くそ!こんな俺の評価がだだ下がりになるような場所にいられるか!!」

京太郎「俺は先に上重さんと合宿先に向かうぞ!!」スタスタ

漫「じゃ、じゃあ…また」

まこ「うむ。手間取らせて悪いが、案内を頼む」

漫「いえ…では…」スタスタ


………

……



京太郎「…格好悪いところ見せてすみません」

漫「いや…全然、格好悪くなんかあらへんよ」

漫「寧ろ…うちの方こそごめんな」

漫「気を遣ってもろうたみたいで…」

漫「うちの方が先輩やのに…」

京太郎「いえいえ。気なんて遣ってませんよ」

京太郎「おもちの大きな上重さんと二人きりになりたかっただけですって」

漫「そういやさっきから気になってたんやけど…」

漫「おもちって何なん?」

京太郎「あー…その…なんて言うかですね」

漫「うん」

京太郎「ぼ、母性の塊的な…さ、サムシングです」

漫「母性…?」


漫「………………」


漫「っ!?」カァ


漫「な…なんや、須賀君は巨乳好きなんか?」

京太郎「ま、まぁ…その俗称で言えばそうなるでしょうか…」

漫「で…うちもその範囲内やって事…?」

京太郎「範囲内どころかストライクです!」キリッ

漫「す、ストライクて…」カァ

京太郎「あ…いや、その…すみません」

京太郎「まぁ、そんな訳で下心全開の優しさなんで気にしないで下さいよ」

漫「なんや…結局、優しくしてくれとるんやん」クスッ

京太郎「あ…」


漫「…ごめんな。本当はこういうのうちがやらへんかったあかんのに…」

漫「情けない話やねんけど…これまでずっと…先輩に甘えてばっかりやったから…」

漫「あんまり…先輩らしさってのが分からへんねん…」

漫「うちと同じくインターハイに出た…もう一人の二年はちゃんとやっとるんやけど…」

漫「うちは…一年の頃からまったく進歩なくって…」

漫「目をかけてくれた先輩に報いられへんまま…先輩になってもうて…」

漫「(うち…会ったばかりの相手に何を愚痴っとるんやろ…)」

漫「(こんなん…聞かされても須賀君が困るだけやろうに…)」

漫「(でも…なんやろ…末原先輩にも格好悪ぅて言えへんかった所為か…)」

漫「(一度…口に出すとスラスラ次の言葉が出て…止まらへん…)」

京太郎「…」


京太郎「(上重さんの気持ちが…俺には良く分かる)」

京太郎「(俺だって…正直、実感が沸かないんだ)」

京太郎「(来年…後輩たちが入ってきて…自分が『先輩』に…指導する立場になるって事に対して)」

京太郎「(ちゃんと後輩にものを教えてやれる『先輩』になれるかどうかが不安で…苦しんでる)」

京太郎「(勿論…名門姫松を背負う二年の上重さんと…まだ気軽な一年の俺じゃその重荷は違うんだろ
う)」

京太郎「(そもそも俺の不安は漠然と近づきつつあるものに対してで…上重さんのそれは背中を追うものに対する不安だ)」

京太郎「(だけど…それでも…今の上重さんに必要な言葉は分かる)」

京太郎「(今の上重さんに必要なのは…肯定と妥協なんだ)」

京太郎「(上重さんが理想を追いかけようとしているのを止める為に…)」

京太郎「(今の自分でもちゃんと先輩になれるって背中を押す言葉が…必要なんだと俺は思う)」

京太郎「(だから…俺は…)」


京太郎「別に…無理して先輩になろうとしなくても良いんじゃないですかね」

漫「え…?」

京太郎「一年二年じゃ人間の質なんてそう変わりませんよ」

京太郎「一年先に生まれただけで何もかも受け止めて気を遣えってのは無茶な話ですって」

漫「でも…それやったら後輩がついて来たいと思えへんやん…」

京太郎「だったら、そう思わせれば良いんですよ」

漫「思わせるって…」

京太郎「何も後輩を労る事だけが先輩の仕事じゃないです」

京太郎「寧ろ、公式戦でぐいぐいと後輩を引っ張ってやるのが本来の仕事じゃないんですか」

漫「う…そう…かもしれへん…けど…」

漫「(今のうちには…宮永咲みたいな魔物たち戦って…正直、勝つ自信がない…)」

漫「(主将みたいに…能力持ちと真っ向から打ち合い出来るようになれるとは…到底、思えへん…)」


京太郎「それに上重さんは進歩がないって言ってますけれど…」

京太郎「一年の頃からちゃんと進歩していますよ」

漫「…え?」

京太郎「失礼かもしれませんが、インターハイで戦う時…一年の頃の牌譜も集めさせてもらいました」

京太郎「その頃に比べると今年は随分とミスが減って、打ち方も安定しています」

京太郎「上重さんの自覚がないだけでちゃんと進歩してるんですよ」

京太郎「だから…きっと大丈夫です」

京太郎「上重さんはちゃんとチームを引っ張っていくタイプの先輩になれますよ」

漫「そう…やろか?」

京太郎「えぇ。絶対に。俺が保証します」

京太郎「まぁ…ライバル校の雑用に保証されたからなんだって話なんですけれど」


漫「はは…なんや。敵に塩を送ってええんかいな」

漫「来年…うちらは必ずまた清澄の前に立ちふさがるで」

京太郎「その時はその時ですよ」

京太郎「それに…うちの一年たちだってまだまだ成長するはずです」

京太郎「上重さんがどれだけ強くなっても負けないって信じてますから」

漫「はは…なんや…随分と格好ええやないの」

京太郎「惚れました?」

漫「ふふ…今ので幻滅したからプラスマイナスゼロってところやね」

京太郎「そりゃ残念。上重さんの連絡先が欲しかったんですが…」

漫「そう簡単にはあげられへんよ。もうちょい精進してな」

京太郎「あらら…振られちゃいましたね」

漫「そうやで。うちは結構、身持ちが堅い方なんやから」クスッ


漫「でも…有難うな。少し…気が楽になったわ」

漫「自分らしくやって…先輩になれるかどうかはまだ分からへんけれど…」

漫「でも…そこまで焦らんでもええって気持ちになれた」

京太郎「それなら良かったです」

漫「本当に良かったかどうかは当分、先まで分からへんで」

漫「もしかしたら後々、後悔するかもしれへんしな」

京太郎「その時は咲たちに土下座でもして謝るだけですよ」

京太郎「謝るのは慣れてますからね」キリッ

漫「ふふ…そこは格好つけるところやないで」

漫「まぁ…さっきのやり取り見てたら須賀君の立ち位置がどんなもんか分かるけどな」

京太郎「うっ…そんなに雑用オーラ出てますか?」

漫「なんや雑用オーラって…」クスッ

漫「うちが言いたいのは…須賀君が皆に甘えられてるって事や」

漫「(それこそ…末原先輩を…うちの理想の姿を彷彿とさせるくらいに…)」

漫「(なーんて事は…流石に恥ずかしすぎて言えへんけどな…)」


漫「っと、そうこうしてる内に着いてもうたな」

京太郎「ここですか…結構大きいですね…」

漫「せやろ?うちもちょっと驚いたで」

漫「どうせ萎びた旅館や思うとったらそこそこ立派やし…」

漫「中には露天風呂やら家族風呂もあるみたいやで」

京太郎「それは楽しみですね」

漫「何や須賀君がそう言うとえらいふしだらな意味に聞こえるわぁ…」

京太郎「ちょ!?な、何でですか!?」

漫「さぁ、どういう事やろね♪」サッ

京太郎「う…な、何で胸を隠すんですか?」

漫「そりゃあ…エッチな目で見られたら敵わへんし?」

京太郎「ぐ…事実なだけに何とも言えない…!!」


京太郎「にしても…何か容赦なくなってません?」

漫「なんや、つれない事言うやないの」

漫「口説き口説かれた仲やっちゅうのに」クスッ

京太郎「う…そ、それは…まぁ」

京太郎「って言うか、上重さん、凄い嬉しそうですね…」

漫「姫松じゃうちは弄られ系やったからなぁ」

漫「こう他人を弄るって言うのは結構、面白いもんやね」ニコッ

京太郎「くぅ…う、上重さんまで暗黒面に…!!」

漫「ふふ…♪ごめんな、須賀君」

漫「君は悪ぅないねんんけど…弄りやすいのが悪いねん」

京太郎「くそ!なんて時代だ…!!」


漫「まぁ、先輩からの可愛がりや思うて受け取ってぇな」

京太郎「そういう意味で言ったんじゃないんですけれどね!」

漫「ええやん。須賀君、年下なんやし」

漫「それにこれから三日間は一緒な訳やで?」

漫「うちにとったら他の後輩たちと同じや」

京太郎「だったら、その可愛がり方を他の後輩にも分けてあげてくださいよ!」

漫「だって…こんな事、須賀君にしかでけへんもん…」ウワメヅカイ

京太郎「う…」

漫「ふふ…ちょっとドキッとした?」

京太郎「しましたよ…!畜生…!!」



京太郎「(まぁ…少しは吹っ切れたようで何よりかな)」

京太郎「(さっきよりも随分、表情が明るくなっているし…)」

京太郎「(俺の言った事は無駄じゃなかったと思える)」

京太郎「(容赦がなくなったのはアレだけど…きっとこれが本来の上重さんなんだろうな)」

漫「〜♪」


?「あら…ようこそいらっしゃいました」

?「清澄高校麻雀部の方ですね」

京太郎「あ…ども」

京太郎「(綺麗な人だなぁ…和服も良く似合ってるし)」

京太郎「(中居さんか何かかな?)」

?「もう既に姫松高校の方はお見えになっておられますよ」

?「それで…他の部員さんたちは…?」

京太郎「あぁ。今はちょっと途中のコンビニで休憩してまして…」

京太郎「もうすぐ追いつくと思います」

?「さようでございますか。それでは先にお客様だけご案内させて頂きますね」

京太郎「ありがとうございます」

漫「……」

漫「代行、何やってはるんですか」

京太郎「え?」


郁乃「もう…上重ちゃんってばネタばらし早すぎやで」ムゥ

漫「いや…んな事言われましてもですね」

漫「目の前でキャピキャピしてる代行ってのはちょっと痛々しすぎて…」

郁乃「…上重ちゃんには後でとっても素敵な罰ゲーム用意しとくわ」ニコッ

漫「な、何でですか!?」

郁乃「私の心は深く傷ついたんや。その分の憂さ晴らしはさせてもらわんと」

漫「お、横暴過ぎる…!!」

漫「って言うか、代行が何で中居さんの真似事みたいな事をしてるんですか!?」

漫「そもそも和服なんて着とらへんかったら、うちだってあんな事言いませんよ!」

郁乃「私…実は子どもの頃の夢は中居さんでなぁ…」

郁乃「それが叶うかもしれへんって思ったら居ても立ってもいられなくなって…」

漫「…代行…」








漫「絶対、それ嘘でしょ…」

郁乃「テヘペロ」


郁乃「まぁ、折角、全国優勝の清澄と会うんや」

郁乃「ちょっとくらい度肝を抜かしてやろうと思ってな」

漫「度肝を抜かすどころか、須賀君は普通に信じてましたけれどね…」

郁乃「それが心残りっちゃ心残りやね。まぁ、漫ちゃんは驚かせられたみたいやし、私は満足や」ニコ

漫「あ、あかん…この人…完全に手段と目的が入れ違っとる…」

郁乃「誰も驚かせられへんよりはええやろー」ドヤッ

漫「いや、そこ、どや顔する所やありませんって…」

漫「って言うか、もうちょっとでええんで…落ち着きを持って下さい」ハァ

郁乃「私の座右の銘は百回のレギュラーより一回のレジェンドやし…」

漫「それに付き合わされるこっちの身にもなってくださいよ!」

郁乃「あはは。上重ちゃんには感謝しとるで」

郁乃「最近は絹恵ちゃんも随分と逞しくなってなぁ…」


京太郎「えっと…」

漫「あ…放ったらかしでごめんな」

漫「大体…もう分かってると思うけど、そこの人は中居さんでもなんでもない」

漫「ただの姫松高校麻雀部の監督代行や」

郁乃「ただのってのは語弊があるやろー」

郁乃「ちゃんと美人で素敵なって形容詞をつけてくれへんとあかんよ」ニコッ

漫「…まぁ、見ての通り、ちょっとマイペース過ぎる人やけれど…」

漫「そない悪い人でもないから…うん…多分…きっと…だったらとっても嬉しいなって…」

郁乃「ふぅーん…私の言ってる事スルーの上にそんな事言うとか…上重ちゃんも偉くなったもんやねぇ…」

郁乃「これは罰ゲームとぉっても楽しみにしとかんとぉ」ニコヤカ

漫「う…」


漫「(い、いや…でも…先輩ぶってみた須賀君の前やし…)」

漫「(こ、ここで簡単にへこたれたら先輩としての威厳が…!!)」

漫「(罰ゲームは怖いけど…条件さえ満たせば問題ないんや…!)」

漫「(こ、ここは強気に…!先輩らしい態度で…!!)」

漫「そ、そんなん怖ぁないですから…(震え声)」

郁乃「ふふ…強がっちゃって…」

郁乃「その顔がどう歪むかと思うと今からでも楽しみやわぁ」ニッコリ

漫「ぴぃ!?」

京太郎「あー…えっと…部外者の俺が言うのもなんですが…」

京太郎「あんまり上重さんを虐めないであげてくださいね」

京太郎「(正直…立ち位置と言い、悩みと言い…あんまり他人とは思えないし…)」


漫「す、須賀君…」

郁乃「このタイミングでナイト様の登場とは羨ましい限りやで」

漫「なっ!?ない…」

京太郎「そんな洒落たもんじゃないんですけれどね」

京太郎「でも、まぁ、上重さんってほっとけない感じですし」

郁乃「結構、隙があるタイプやしねぇ…」

京太郎「それでいて、結構、自分ではしっかりものと思ってそうです」

郁乃「あぁ、それでコロッと変な男に騙されそうな…」

京太郎「取り返しの付かないところまでいかないと騙された事にも気付かなさそうな気さえします」

郁乃「騙された後でも、恨みきれなくて自分で自分を傷つけそうな未来が見えるわぁ…」

漫「ふ、二人してそんな…」

漫「そ、そもそも、須賀君とはさっき会ったばっかりやのに…風評被害もええところや…」

京太郎「さっきの仕返しですよ」ニヤリ

漫「ぬぐぐ…」


郁乃「って、さっき会ったばっかりなん?」

郁乃「随分と仲が良かったから、既に知り合ってるもんやと思ってたんやけど」

郁乃「…ハッまさか…これ?」コユビタテ

漫「ちゃ、ちゃいますって!」カァ

漫「そもそもさっき会ったばかりだって言うのに、なんでそうなるんですか!?」

郁乃「いやぁ…上重ちゃんがまた騙されてるのかと思って」

漫「ま、またってなんですかまたって…」

漫「そんなに言われるほど、うちは騙されてませんよ!」

郁乃「それにほら、何かあっちの方はチャラそうやん?」

郁乃「出会い頭に口説き文句を言ってくるような気配を感じるんやけど」

京太郎「は、はは…」

京太郎「(誤解とは言え、ほぼそれに近い事をしてしまったなんて言えねぇ…)」


漫「…そう言えば…」ジトー

京太郎「い、いや、違いますよ!?別に騙すつもりなんてないですからね!?」

漫「詐欺師は皆、そう言うんや…うちはこれまで騙され続けてそれを悟った」

京太郎「さっき騙されてないって言ってたじゃないですか!?」

漫「須賀君には何回も騙されてるんや…多分」

京太郎「多分って…」

京太郎「そもそも会ってから一時間も経ってないのに何を騙せって言うんですか…」

漫「男の人って息をするように嘘を吐くって聞くし…」

京太郎「それこそ騙されてますよ!?」

漫「でも、会って一時間も経ってないような人の事なんて信じられへんしー?」

京太郎「くそっ…取り付く島がまったくない…!」

漫「ふふん。先輩舐めたらあかんよ?」ニコ




郁乃「…ふーん…」

郁乃「これは…思ったより収穫があるかもしれんね…」


漫「え…?」

郁乃「何でもない。それより遊んでないで早く中に入った方がええよ」

郁乃「もう皆待っとるし、それにその荷物結構重いやろ」

郁乃「中居さんやない言うても案内くらいなら出来るし」

京太郎「そうですか。じゃあ、お願いします」

京太郎「あんまり姫松の方を待たせるのも失礼ですし」

京太郎「先に俺だけでも顔合わせしておいた方がそちらも気が楽でしょうし」

郁乃「そんな堅苦しく考えんでええよー」

郁乃「今回はただの大会前の調整試合みたいなもんやしな」ニコッ

漫「(その大会前の調整試合に一軍と一軍候補が引っ張り出されとる訳やねんけど…)」

漫「(それは流石に言わぬが花…と言うよりは暗黙の了解って奴なんやろうな…)」

漫「(清澄だってこの合宿が来年のインターハイを見据えているが故のものだって分かっとるやろうし…)」


京太郎「はは。まぁ、俺はまだ初心者ですしね」

京太郎「姫松の男子麻雀部の皆さんに胸を借りるつもりで頑張ります」

郁乃「え?」

漫「え?」

京太郎「…え?」

郁乃「こっちは男子なんておらへんよ?」

京太郎「……はい?」

漫「そもそも姫松の男子麻雀部は一応、全国六位やで?」

漫「それがこんな時期に女子がメインの学校と合宿するはずがないやん」

郁乃「今頃は別の学校と頑張っとるはずよ」

京太郎「…えっと…つまり…それは…」

郁乃「ハーレムやったらあかんの?」ニッコリ



京太郎「は…?い、いや…大丈夫なんですか!?

郁乃「ちゃんと君には君用の部屋があるから安心して」ニッコリ

京太郎「それは安心できる要素じゃないって言うか、寧ろそうじゃないと困るレベルなんですが」

郁乃「あ、それとも上重ちゃんと一緒の部屋が良かった?」

郁乃「幾らなんでもそれはあかんよー。監督代行としては見逃せへん」

郁乃「だから、私の目の届かないところで上重ちゃんを連れ込んであげるんやで」

京太郎「人の話を聞いて下さい!!」」

郁乃「まぁ、ええんちゃう?」

郁乃「お互い共学やし、男子に免疫ないって子もおらへんしなぁ」

郁乃「それに君がちゃんと気ぃつけとったら問題になんてならへんよ」

京太郎「そんな軽くて良いんですか…」

郁乃「全然、軽くなんてあらへんよ」

郁乃「もしかしたら、私の可愛い部員が君の毒牙にかかるかもしれへんとなったら夜しか眠れへん…」

京太郎「ちゃんと眠れてるんじゃないですか…」

郁乃「私、三食昼寝付きじゃないと本気出せへんから…」

京太郎「(あぁ、うん。薄々分かってたけど、ダメな人だこれ…)」


漫「まぁ、須賀君なら大丈夫やって」

漫「始めはちょっと構えられるかもしれへんけれど、すぐに人気者になれるはずや」

漫「うちが保証したる」

京太郎「う、上重さん…」

漫「うちでさえ弄れるくらい立場が弱いんや!」

漫「きっと皆の弄られ役として大人気になれるで!」ニッコリ

京太郎「くそ…!ちょっとでも感動してしまった俺が馬鹿だった…!」

漫「ふふっ…♪」

漫「まぁ、保証するのは嘘でも冗談でもないよ」

漫「須賀君ならすぐに皆の輪に入れるって思うとるし、問題を起こすとも思うとらへん」

漫「だから、気負わずに一緒にやろ?」

漫「折角、ここまで来たんやし、楽しまな損やって」

京太郎「……」


京太郎「そう…ですね」



漫「(…あれ?)」

漫「(何か…今、凄い…表情が落ち込んだような…)」

漫「(うち…もしかして今、地雷踏んだ?)」

漫「(え…いや…でも…別に普通の事やんな?)」

漫「(特に…何か気に触るような事を言ったとは思えへんし…)」

漫「(そ、それとも…い、弄り過ぎた…?)」

漫「(弄られ慣れしてるみたいやから、これくらいは普通やって思ったんやけれど…)」

漫「(もしかして…出会って一時間も経ってないのに馴れ馴れし過ぎたんやろか…)」

漫「(あ、あかん…そう思ったらすっごい申し訳ない気持ちに…)」

漫「(でも…ここで謝るのも変な話やし…そもそも理由が分からへんのに謝るのも失礼やと思うし)」グルグル

漫「(う…うぅ…末原先輩…うちどうしたらええんですかぁ…)」



京太郎「…とりあえず、俺、荷物置いてきますね」ガラガラガラガラ

漫「あ…」シュン


郁乃「うーん…一見明るそうに見えたけれど、男の子ってやっぱり色々あるんやね」

漫「なにしみじみと語っとるんですか…」

郁乃「上重ちゃんが語れへんくらい落ち込んどるから代わりにって思うて」

漫「…そんなサービス要りません…」

郁乃「つれないわぁ…まぁ、ええけど…」

郁乃「どの道、合宿中に誰よりもあの子と接する事になるんは上重ちゃんやろうしな」

漫「…そうですね」

漫「…私が一番、須賀くんと一緒に…」






漫「…え?」

漫「な、何を言うてはるんですか!?」

漫「幾ら仲良うなったって言うても、そんなベッタリするほど、うちは重い女とちゃいますって!」アセアセ


郁乃「私の見る限り、上重ちゃんは結構、重い子だと思うんやけど…まぁ、それはええか」

郁乃「話は単純や。これから上重ちゃんは三日間、あの子と一緒に打ちに打ち続けて貰うからやで」

漫「…初心者って言ってましたけれど…そんなに強いんですか、彼」

郁乃「いや、牌譜を見せてもろたけど、初心者から中級者になりかけって程度の腕やで」

郁乃「特にオカルトらしいオカルトもない普通の男子高校生や」

漫「…え?」

漫「そ、それやったらなんでうちと打たせようとするんですか」

漫「うちはこれでも姫松のレギュラーですよ!?」

漫「それとも…うちはそんなに信用出来ませんか…?」

漫「末原先輩抜きじゃ…やっぱりうちはあきませんか…?」

漫「そんな…相手と打ち続けを命じられるくらいに…ダメな選手ですか…?」


郁乃「…そんな事あらへんよ」

郁乃「寧ろ、逆や。私はこれからの姫松の戦力的な柱は絹恵ちゃんやなくて、上重ちゃんやと思うとる」

郁乃「宮永照は今年で引退。でも…まるで人外のような打ち方をする選手はまだまだ全国に五万とおる」

郁乃「そんな魔物たち相手と戦って勝機が見えるのは…今の姫松には上重ちゃんしかおらへん」

漫「だったら…どうして!?」

郁乃「それは…偏に上重ちゃんに安定性がないからや」

郁乃「能力頼りの打ち方で、中核になれるほど姫松は甘くない」

郁乃「誰にでも勝てる可能性のあるダークホースじゃ、精々、先鋒か次鋒起用が精一杯や」

郁乃「私が上重ちゃんに求めるのは…安定した戦い方が出来て…その上、誰にでも勝てるような切り札を持つエース」

郁乃「来年にはうちの中堅に座れるような…そんな選手になって欲しい」

郁乃「だから…癪かも知れへんけれど…能力に頼れないような格下相手と切磋琢磨」

郁乃「そうやってまずは着実に地力をつけていくのが、来年に向けた上重ちゃんの強化プランや」


漫「…」

郁乃「納得出来へん?」

漫「出来ません…そんなの…」



漫「(まるで須賀君を踏み台にするような代行の言葉も…)」

漫「(そうやって強くなって…主将の席を得る事も…)」

漫「(こうやって代行の言葉を聞いて尚…うちよりも絹恵の方が絶対に相応しいと思うとる…)」

漫「(でも…その一方でうちは…)」




漫「…期待には応えたい…そう思うてます」




漫「(うちに出来る先輩の姿を教えてくれた人が居たから…)」

漫「(末原先輩みたいな人が…うちを認めてくれたから…)」

漫「(だから…ちょっとだけ…やってみようと思う)」

漫「(それで…須賀君には迷惑を掛けるかもしれへんけど…でも…)」

漫「(うちは…このままではいられへん…)」

漫「(来年に向けて…末原先輩や主将たちの敵討ちの為に…)」

漫「(強くならへんかったらあかんのやから…)」




郁乃「…そっか」


郁乃「(やっぱり…ちょっと変わったかな…)」

郁乃「(ついさっき出かけるまではどっちつかずで迷ってばっかりやったけど…)」

郁乃「(今は、強制された前向きさではなく…自分の意志で前を向こうとし始めてる…)」

郁乃「(正直、今回の合宿で一番の不安要素は上重ちゃんを、やる気にされる事やったんやけど…)」

郁乃「(まさか、コンビニ行って帰ってくるだけで、こんな風になるとはなぁ…)」

郁乃「(何をやったのかは知らんけど…多分、あの男の子がやってくれたんやろうか…)」

郁乃「(もし、そうやとしたら…あの子、意外に拾い物なんかもしれへんね)」

郁乃「(今のうちに唾つけとくのもええかもなぁ…)」

郁乃「(まぁ…何はともあれ…)」




郁乃「いやぁ、恋の力って偉大って事やね」
漫「???」
漫「あ…」カァ

郁乃「(やっぱり…ちょっと変わったかな…)」

郁乃「(ついさっき出かけるまではどっちつかずで迷ってばっかりやったけど…)」

郁乃「(今は、強制された前向きさではなく…自分の意志で前を向こうとし始めてる…)」

郁乃「(正直、今回の合宿で一番の不安要素は上重ちゃんを、やる気にさせる事やったんやけど…)」

郁乃「(まさか、コンビニ行って帰ってくるだけで、こんな風になるとはなぁ…)」

郁乃「(何をやったのかは知らんけど…多分、あの男の子がやってくれたんやろうか…)」

郁乃「(もし、そうやとしたら…あの子、意外に拾い物なんかもしれへんね)」

郁乃「(今のうちに唾つけとくのもええかもなぁ…)」

郁乃「(まぁ…何はともあれ…)」




郁乃「いやぁ、恋の力って偉大って事やね」

漫「???」

漫「あ…」カァ


漫「い、いや、ちゃいますよ!?」

漫「別にうちと須賀君は本気でそんなんちゃいますからね!?」

郁乃「そんなんってなぁにー?」

漫「ぐっ…い、いや…まぁ…その…何て言うか…」

漫「艶っぽいものが入り混じるような関係やない言う事です」

郁乃「うーん…そうは見えないけどなぁ…」

漫「それは代行の目が節穴だからですよ」

漫「そもそも出会って一時間も経ってないのに惚れるとか、どれだけうちは惚れっぽいんですか」

郁乃「上重ちゃん、恋に時間も歳の差も関係ないんよ!」

漫「力説してるとこ悪いですけど…うちはそうは思いません」

漫「やっぱりお互いに何もかも知り尽くして、好きって気持ちを膨らませていくのが一番です!」

郁乃「うーん…そういうのが素敵って言うのは否定しないけれど…」

郁乃「恋って『高める』んやのうて、『堕ちる』ものなんよねぇ」

漫「???」

郁乃「あー…まだ上重ちゃんには分からないか…」

郁乃「まぁ…主義主張が恋って感情に対してどんだけ脆いかは多分、遠からず分かると思うよ」

漫「…色々、言ってますけれど…代行ってそんなに恋愛経験豊富なんですか?」ジトー



郁乃「…」

漫「…」



郁乃「上重ちゃんの今日の罰ゲームはとっても素敵で特別なものを用意しとくな」ニッコリ

漫「な、何でですかああああ!?」


〜京太郎〜
俺達が旅館について一時間ほど経った頃には、もう姫松麻雀部との顔合わせは殆ど終わっていた。
調整試合ついでと言った代行さん —— 確か名前は赤坂郁乃さん…だったっけ —— に偽りはなかったらしく、一部の選手しか連れてきてはいない。
お陰で奇異や好奇心、或いは警戒心まみれの目で見られる事は思ったよりも少なかった。
とは言っても、それはあくまで思ったよりというだけの話。
女だけの合宿の中、一人混じった男に対するそれは結構、遠慮がなかい。
肌を差すようなそれに内心、気圧される中、代行さんと部長から俺たちに指示が飛ばされた。
それぞれの弱点補強や長所を伸ばす為のそれは様々であり、中には本当に効果があるのかと思うようなものさえある。
そんな中、俺に伝えられたそれはある麻雀卓でひたすら打ち続け、少しでも経験を積むという真っ当なものだった。

京太郎「(まぁ…俺には実戦経験が壊滅的に不足しているからなぁ…)」

割りと広い宴会場に、雀卓が並べられた空間の中、俺はそっと胸中に言葉を浮かべる。
ほんの半年ほど前までルールすらもまともに知らなかった俺にとっては、一局一局が貴重な経験だ。
特にここ数ヶ月は牌にすら触れる事すらなかったのだから、尚更だろう。
そんな俺の経験不足を補おうとする指示はとても的確で、非の打ち所のないものである。
しかし、そう思う一方で何となく気が進まないものがあるのも否定しようがない事実だった。


漫「や、や…ぁ、さっきぶりやね」

そんな俺を迎えてくれたのは少しばかりぎこちなくなった上重さんだった。
どうやら上重さんも俺と同じ卓で打つように指示されたようで、既に席に座っている。
だけど、俺にはそんな目の前の光景がまるで信じられなかった。
何せ、相手はインターハイにてあの優希と二度戦い、二度目は互角以上に渡り合ったあの上重さんなのである。
ぶっちゃけ、麻雀歴一年未満の俺が太刀打ち出来るような相手じゃない。
このまま打ったところで飛ばされるのが目に見えているくらいだ。

京太郎「(まぁ…それなら何時もと同じか)」

そもそも、俺が普段から打っているのは全国レベルの雀士ばかりなのである。
それと比べて遜色ない打ち手と思えば、それほど緊張する気にはなれなかった。
寧ろ、逆にどうして上重さんがそんなに緊張しているかが俺の思考に混ざってくるくらいである。
もしかして、男と打つのが初めてで緊張しているのか。
そう思うと少し申し訳ない気がして、何かフォローをいれないといけない気になる。

京太郎「はは、こうして会えると運命かもしれないですね」
漫「う…運命…」カァ
京太郎「(あ…あれ…?)」

てっきりさっきみたいに弄られると思いきや、上重さんからの反撃はなかった。
ただ、俺の冗談を鵜呑みにするように顔を真っ赤にして、じっとその場に縮こまる。
元々、小柄な上重さんがそうやって小さくなろうとする姿はとても可愛らしく、だからこそ、俺は困惑した。
さっきまで俺を弄っていた事が嘘のような初心で可愛らしい反応。
それがさっきまで一緒だった上重さんとどうしても結びつかず、俺は首を傾げたのだ。


京太郎「え…と…大丈夫ですか?熱とかありません?」
漫「だ、大丈夫やで。うちはいつでも元気印や」

そんな俺が辿り着いたのは上重さんの体調が悪いというものだった。
しかし、それはぐっと握り拳を見せる上重さんに否定されてしまう。
俺の見る限り、上重さんは嘘が得意なタイプじゃないし、その仕草も嘘とは思えない。
しかし、だからこそ、俺の中の疑問は大きくなり、上重さんの変化が分からなくなってしまう。

漫「そ、その…代行にちょっと変な事言われただけやから…」
京太郎「あぁ…なるほど…」

俺の疑問に答えるような上重さんの言葉に俺は納得を浮かばせた。
確かにあのマイペースに人を引っ掻き回す赤坂さんは、そう言ったデリカシー的なものを重視しないタイプである。
特にそれが上重さんを前にすると、かなりのものになるのは二人のやり取りからも見て取れた。
きっと俺のいない間にからかわれ、それがまだ意識の中に残っているのだろう。
そう思うと一人にしない方が良かったか…とも思うが、あの時点の俺に何か出来たはずがない。

漫「意識なんてしてへん…意識なんてしてへん…意識なんてしてへんもん…」ブツブツ
京太郎「(丸聞こえなんだけど…聞こえてない事にしておこう…)」

ここで下手に突っ込んで、余計にギクシャクするのは避けたい。
それに意識するしないと言う問題は、割りと難しいのだ。
ホラー映画を見た後、それを忘れたくても忘れられないように、一度、脳にこべりついたものは意識するほどなくならない。
恐らく他人の俺が何を言っても、その結果は変わらないだろう。
いや、それどころか、寧ろ俺に話したと言う記憶と結びつき、忘れられなくなる可能性すらある。
故に、ここで俺が上重さん相手に向けるべきなのは根掘り葉掘り聞くお節介ではなく、聞きのがしてあげる優しさだ。


モブ1「あ、須賀君だー。よろしくね」
モブ2「よ、よろしく…」
京太郎「よろしくお願いします」

そうこうしている内に俺達の卓にもう二人の女の子がやってくる。
一人は快活で爽やかなタイプであり、興味はあっても俺に対しての敵意はない。
だが、もう一人は明らかに俺に対して構えており、怯えるような仕草を見せる事も少なくなかった。
男が苦手なのか、或いは自毛の金髪を恐れているのか分からないものの、やっぱりそうやって怯えられるのはちょっと悲しい。
二人共、貧乳ではあるものの、それなりの美少女であるから尚更である。

漫「…須賀君」
京太郎「え…なんですか?」
漫「スケベな顔しとるで」ジトー
京太郎「うぇ!?」

そんな俺を咎めるような言葉に、思わず驚きの声をあげてしまう。
おもち信者の俺としてはひんぬー二人は対象外であるものの、もしかして無意識的に値踏みしていたのか。
もし、そうだとしたら、俺は二人に土下座してでも謝らなければいけない。
そう思いながらも、初めての経験にどうして良いか分からず、俺はしどろもどろとなっていた。


漫「冗談や♪」
京太郎「や、止めて下さいよ…そういう心臓に悪いタイプの冗談は…」
漫「はは。ごめんな。でも、そんだけ驚いたって事は自分でも思う所はあるって事やろか?」
京太郎「の、ノーコメントとさせて下さい…」

悪戯っぽい上重さんの言葉は俺の本心を的確に突いていた。
けれど、それをここで認めるのは癪だし、何よりもモブ2さんに余計、構えられる結果になる。
実際、さっきの上重さんの言葉で俺の上家に座ったモブ2さんはそっと席を俺から離していたのだ。
見るからに警戒心全開のその様を、今日一日中見るとなると辛いが、こればっかりは時間が解決してくれる事を祈るしかない。

漫「…よし。行ける…この距離感や…」グッ

そんな俺の対面に座る上重さんはぐっと握り拳を作りながら、手応えを感じていた。
一体、何を思っているのかは知らないが、どうやらさっきのやり取りは上重さんの中で良いものだったらしい。
どうしてかはまったく分からないままだが、握り拳を作るその姿はさっきみたいに緊張してはいなかった。
親しい訳でもないが、知らない訳でもない上重さんのそんな姿に一つ安堵を覚えながら、俺は麻雀の準備を始める。

京太郎「(それにしても…割りと迂闊な人なんだろうか…上重さんって)」

何時もこんな感じだとしたら、きっと周囲の餌食になるだろう。
上重さんが普段、弄られていると言っていたのはきっと冗談でも何でもない。
俺だって何処か小動物めいた可愛さの中に迂闊さを見せる今の上重さんにちょっとした意地悪がしたくなるくらいなのだから。
それを何とか堪えたのは、俺自身が上重さんとの距離感を測りかねていると言うのも無関係じゃなかった。


京太郎「(共感はするし、分からないでもないけれど…やっぱり根本的な部分では他人だからなぁ…)」

勿論、それは決して上重さんを突き放した意味じゃない。
俺と似た悩みを抱えていると言っても、上重さんと俺では環境が違いすぎるのだ。
俺よりも遥かに大きく、そして苦しい悩みとプレッシャーを抱えている上重さんとまったく同じだなんて口が裂けても言えない。
だが、その一方で上重さんを知れば知るほど共感は大きくなり、まるで数年来の友人のような気安さで接しそうになってしまう。
その辺を誤解して、馴れ馴れしくし過ぎないようにしよう。
そう自分に戒めながら、俺はそっと山から牌を取っていった。

京太郎「(んで…この好配牌…と…)」

配牌の時点で混一色まで一向聴、しかも、既にドラも乗っているというものだ。
多分、他の誰でも間違いなく勝ちに行くべき配牌だろう。
俺だって、合宿最初の配牌でこれは、運命的なものを感じない訳じゃない。
是非ともこれを上がってこれからに弾みをつけたい。
そう思う気持ちだって確かに俺の中にはあった。

京太郎「(だけど…俺は…)」

ふと脳裏に浮かぶのは和との対局。
どれだけ思い返しても…俺が和了った瞬間、和はおかしくなっていった。
あり得ないとどれだけ自分に言い聞かせても…俺の見る限り、和の変化と俺の和了は無関係じゃない。
いや、寧ろ、タイミング的には原因だと言い切っても良いくらいだった。


京太郎「(そんな俺が…和了っても良いのか…?)」

故に俺の脳裏を支配する臆病とも妥協とも言えない言葉。
それはとても失礼なものなのだと俺自身も理解しており、普段から心の奥底に閉じ込めようとしているものだった。
しかし…こうして麻雀卓に着き、和了が見えてしまうと…どうしてもそんな言葉が浮かび上がってきてしまう。
かつて俺が咲たちにやられて…心の底から悔しがったのと同じ気持ちを味わわせる事だと分かっているのに…どうしても…俺は… ——

漫「須賀君…?」
京太郎「あ…すみません…」

そうやって考え込んでいる内に、どうやら俺の番が来ていたらしい。
それに一つ謝罪を返しながら、俺はそっと山から牌を取った。
出来れば、俺の悶々とした気持ちを加速させないでくれ、と祈りながら引いたそれは… ——

京太郎「っ…」

有効牌。
それも混一色の待ちを広げられる形で聴牌出来るものだった。
普通であれば、喉から手が出るほど欲しいそれに俺の手は止まる。
このままそれを取り込めば、恐らく早い内に俺はロンかツモ和了が出来るだろう。
和から教えてもらった牌効率もそれを強く推奨していた。


京太郎「(でも…その時…この卓の誰かが…和みたいにならないなんて誰が言える…?)」

怯えにも似たその言葉を否定するものは、少なくとも俺の胸中にはなかった。
結局…俺は和が来なくなったあの日からろくに和了る事すらなかったのだから。
咲や優希、そして染谷先輩たちも変になるかもしれないと思ったら…どうしても和了る事が出来なかったのだ。
結果、俺はどれだけ配牌が良くても役を崩し、逃げるような打ち方ばかりしてきたのである。

漫「…須賀君。もう時間過ぎてるよ」
京太郎「あ…」

上重さんに言われて気づいた頃にはもうかなりの時間が経っていたのだろう。
公式戦ではある程度、持ち時間と言うものが決められている為、長考はご法度だ。
それでも、普通は強化を目的とした合宿中にそんな指摘はしない。
それよりも一打一打を考えて、少しでも強くなる事を優先されるのだから。
例外はただ一つ。
あまりにも長考が過ぎて、他の参加者が不快になった時くらいだろう。

京太郎「…すみません」

実際、俺の上家と下家から向けられる視線はあまり好意的なものとは言えなかった。
誰だって女子ばかりの合宿に混ざった黒一点が唐突に考えこめば警戒するし、困惑するだろう。
俺に明確な心配を向けてくれながらも、声を掛けてくれた上重さんが貴重なのだ。
そう思いながら、俺はそっとツモった牌を手に取り、そのままトンと卓へと打つ。


京太郎「(…これで良いんだ…)」

それが何の解決にもなっていない逃げのものだと言う事は俺だって理解している。
しかし、ここで俺が何か問題を起こしてしまうと俺だけじゃなく、清澄まで謂れの無い非難を受ける可能性があるのだ。
それ避ける為であれば、俺がこの卓の全員に軽蔑されたとしても軽い問題である。

京太郎「(じゃあ…何のために俺はここに居るんだ…?)」

ふと胸中に浮かぶその疑問に俺は答える事が出来なかった。
和を追い詰め、麻雀を楽しむ事も出来ず、ただ、逃げ続ける俺。
染谷先輩の好意すら台無しにするそれに俺の胸がズキリと傷んだ。
けれど…他に俺が何か出来る事など思いつかないのが事実である。
まるで八方塞がりのようなそれに俺は胸中で重苦しいものを感じながら、ひたすらに逃げ続けた。




………

……







結果から言えば、その日の俺の通算成績は二位だった。
モブ2さんが回りに回って、満貫や跳満を連発したのである。
お陰でベタ降りに近い打ち方を続けていた俺の被害は少なく、逆に他の二人が大きく沈んだ形となった。
一度も和了すらせず、逃げている事が知られたくなくてノーテン罰符を支払い続けた結果にしてはそこそこの成果だろう。

京太郎「(それを誇れはしないだろうけれど…)」
京太郎「…ありがとうございました」
モブ2「…」
モブ1「…ありがとね」

自嘲と共に告げた言葉にモブ2さんは答えないまま、そそくさと去っていった。
モブ1さんの表情も硬いのは、恐らく俺が逃げ続けている事を見破られているからなのだろう。
流石に故意に和了まで見逃しているとまでは思われてはいないようだが、それでも嫌われるのには十分過ぎる。
数十回と打ち続けているのに、一度も勝負せずに逃げ続け、二位と言う結果だけをもぎ取っていった相手に良い気はしない。
ましてや、それが女子ばかりの合宿に混ざった異物であれば、尚更だろう。

漫「や。お疲れ様」
京太郎「はは…どもっす」

そんな俺に話しかけてきてくれる上重さんの表情は決して悪いものじゃなかった。
姫松と言う強豪の先鋒に立つような人なのだから、きっと俺の小細工にも気づいているだろう。
それでもこうして話しかけてきてくれるのは正直、有難かった。
あの麻雀卓の中で唯一、俺に対して好意的であった上重さんにまで見捨てられるのはかなりショックだっただろうから。


漫「にしても…一回も振り込んで貰えんかったなぁ…」

そう悔しげに言う上重さんは打点平均で言えば、間違いなくこの卓のトップだった。
しかし、その一方で放銃率も高く、モブ2さんにかなりの割合で振り込んでいる。
お陰でズルズルと順位が落ちていき、結果、通算成績で三位と言う結果になっていた。
それでも俺よりもよっぽど立派なのは確かだろう。

京太郎「かなり配牌が悪かったですし…勝負も出来ませんでしたから」
漫「まぁ、麻雀なんて運ゲーなんやからそんな事もあるわな」

大きく勝って、大きく負ける。
そんな格好良い麻雀を見せつづけた上重さんに嘘を吐くのは正直、辛い。
けれど、ここで正直になったところで何のメリットも無いのは事実だった。
清澄が余計な風評被害を受けたりしない為にも…俺は隠し続けなければいけない。
どれだけ後ろ暗くとも、それを誰かと共有する事なんて許されやしないのだから。

漫「だから、落ち込まないでな。まだ合宿初日なんやし、うちと一緒に頑張ろ」ニコッ
京太郎「そう…ですね」

そうは思いつつも、励ましの言葉をくれる上重さんにかなりクるのは事実だ。
モブさんたちのように軽蔑されるのならばともかく、こうやって純粋に心配してくれると良心の呵責が凄い。
思わず胸の奥を掻き毟りたくなるような衝動に声を詰まらせながらも、俺は何とか頷く事が出来た。


漫「それで…その…な」
京太郎「?」

そんな俺の前で顔を赤く染めながら、上重さんがそっと俯いた。
元々、小柄な身体がさらに小さく見えるその仕草に俺の胸がさらなる痛みを覚える。
それを心の奥底に押しこめる俺の前で上重さんが何度も俺と卓を交互に見つめた。
まるで言いたい事があるのに言えないようなその仕草に俺はじっと待ち続ける。

漫「えっと…姫松の罰ゲームって…知っとる…?」
京太郎「いえ…すみません」
漫「え、えぇよ!その…ローカルルールみたいなもんやから」

周囲でも最後の一局が終わり、殆どが自室へと戻り始めた頃。
ようやくポツリと漏らした上重さんの言葉は俺のまったく知らないものだった。
インターハイで姫松と戦うに当たって、牌譜作成や整理をしていたものの、罰ゲームと言う単語は聞いた事がない。
俺の知っている姫松の情報と言えば、強豪校であり、中堅にエースを置く伝統があるくらいだ。

漫「姫松では…練習の度に目標ってのが決められてな。それが達成出来へんと罰ゲームさせられんのよ…」
京太郎「あぁ、なるほど…」

ここでそれを持ち出すと言う事はつまり、今回にもそれが設定されていたのだろう。
そして、その内容までは知らないものの、俺が関係している事らしい。
そこまでは分かったものの、上重さんから次の言葉が出る事はなかった。
そのままもじもじと椅子の上で落ち着きの無さを発揮し、視線をあちこちに彷徨わせている。


京太郎「(どうやらかなり恥ずかしい事みたいだな…)」

そう察する事は出来るものの、俺から上重さんにどうアクションを起こして良いか分からない。
ここで下手に突っ込むと墓穴を掘りかねないし、何より俺にはまだ事の全容というものがまったく見えてこないのだ。
何となく察する事は出来るものの、それが違ったら恥ずかしいなんてレベルじゃない。
結果、俺から何かを語りかける事は出来ないまま、俺はじっと上重さんの言葉を待ち続ける。

漫「それで…うちの目標設定が通算成績で一位って奴でな…」
京太郎「そう…ですか」
漫「う、うん。それで…その…罰ゲームの方なんやけれど…」

会場に俺たちしかいなくなってから、ようやく上重さんがポツリと言葉を漏らし始める。
それは麻雀の目標としてはかなり厳しいものだろう。
俺はさておいても、モブ1さんもモブ2さんもかなりの実力者だった。
運が実力というものに大きく絡んでくる麻雀で、通算成績で一位と言うのはかなり難しい。
実際、インターハイに出るほどの実力を持つ上重さんが三位に落ちているのがその何よりの証拠だろう。

京太郎「(或いは…それだけやって然るべき…なのが姫松のレギュラーなのかもしれないけれど)」

麻雀は確かに運が実力に大きく反映される競技だ。
しかし、それは最上位の実力者たちには通用しない論理である。
運命をねじ曲げ、勝利を手繰り寄せ、周囲を引き倒す。
そんなオカルト染みた能力がこの世界には存在するのだから。
あのインターハイを勝ち抜いた清澄だって、似たような力の持ち主は複数いる。
それを考えれば、高すぎるその目標設定は寧ろ、期待の現れではないのかと思った。


— だが、次の瞬間、それが粉々に打ち砕かれた。

漫「す、須賀君との個人レッスンなんや…」
京太郎「…は?」
漫「だから…その…個人レッスン…」

そう言って言葉を絞り出すような上重さんの顔は気の毒になるくらい真っ赤なものだった。
けれど、俺はそれを何処か他人ごとのように見つめている。
俺にはまだ上重さんの言葉に理解が追いつかず、実感の欠片も湧いて来ないのだ。

漫「う、うちが決めたんとちゃうよ!?だ、代行がやれって…し、仕返しだって…」

何が起こっているのかすら分からず、呆然とするしかない俺が呆れていると勘違いしたのだろう。
大きく声を張り上げて訂正する上重さんの姿に少しだけ思考が追いついてきた。
どうやら、これは上重さんに対する嫌がらせ…と言うより弄りの一種なのだろう。
何の断りもなくその出汁にされるのはちょっとどうかと思うが、あの何処かぽわぽわした人がその辺を考慮するとはあまり思えない。
多分、『面白そう』という感情だけで人を巻き込んでくれたのだろうと言う事がありありと想像出来てしまった。

京太郎「(それに個人レッスンって言っても麻雀の事だろうし)」

顔を真っ赤にした上重さんの姿に思わずイケナイ事を連想してしまったが、ここで言うレッスンなんて麻雀の事しかあり得ない。
それなら初心者である俺は別に断らないだろうと、あの赤坂さんも思ったのだろう。
実際、俺にだって強くなりたい気持ちはあるし、姫松のレギュラーの人に教えてもらえるのであれば渡りに船だ。
打っている最中に色々、不安になる事はあるものの、俺は麻雀が好きだからこそ、この合宿にも着いてきたのだから。


京太郎「俺は大丈夫ですよ。寧ろ、嬉しいくらいです」
漫「うぅ…ごめんな、巻き込んで…」シュン
京太郎「(あぁ…これはちょっと重症だな…)」

俺の言葉も耳に入らない様子でシュンとした姿を見せる上重さんに俺はどうしたら良いか考え込んだ。
とは言え、俺と上重さんはまだ付き合いも浅く、別に友人でも何でもない。
あまり親しげな真似は出来ず、またどうしてあげられたら元気が出るのかと言う判断材料も少なかった。
結果、俺が選べるのは経験に裏打ちされたものでしかなく… ——

京太郎「何を言ってるんですか!?上重さんみたいな可愛い人に教えてもらえるなんて役得ですよ役得!」
漫「ひにゃ!?」
京太郎「…あれ?」

ダッと立ち上がり気味になりながらの言葉に上重さんが可愛らしい悲鳴をあげながら、顔を赤く染めた。
てっきりこの卓に着いた時みたいに嬉々としてこっちを弄ってくるものだと思いきや、そんな様子はない。
寧ろ、もじもじと指と指と絡ませて、初心な反応を見せていた。
そんな上重さんの姿に自分が初対面時と同じように『やってしまった』のを悟る。

漫「うー…い、今はダメ…それ反則やって」
京太郎「す、すみません…」
漫「い、いや…ええけど…うちに気ぃ遣ってくれたんは分かるし…」

どうやら俺は今一、場の空気というものを読み切れていなかったらしい。
そんな自分に自嘲を浮かばせながらゆっくりと席へと座り直せば、チラチラと上重さんが俺に視線をくれる。
まるで気にしないようにしているのに、どうしても視線がそっちに行くようなその反応に俺は首を傾げた。
そんな風に意識される理由など、またやってしまった俺には思いつかず、グルグルと取り留めのない思考が脳を過る。


漫「そ、それににしても…須賀君って意外とタラシ君なんやね。女の子の弱味に漬け込んで口説くとか…流石な手の速さやで」
京太郎「流石って…上重さんの中では俺はどんな奴なんですか…」
漫「初対面の女の子を口説く上に、弱味にも容赦なく、付け入るスケコマシ?」
京太郎「ぐっ…やっている事がやっている事だけに何も言えねぇ…」

結局、その思考は答えを出さないまま、元に戻った上重さんとの会話を楽しむ事にする。
決して確信がある訳ではないが、上重さんのそれは決して悪いものではないのだ。
それならば、一々、気にしてこの会話を途切れさせる必要はない。
上重さんが少しでも自責から逃れられたのであれば、それだけで俺が自分から弄られに行った甲斐があるのだから。

漫「そんな事ばっかりやってたら何時か刺されるで」
京太郎「そうなれるくらい女性と縁があれば、本望なんですけれどね…」

実際には雑用に半年を捧げており、青春の象徴でもある高校生活の始まりとしては中々に悲しいスタートダッシュをしていた。
勿論、それに対して後悔はしていないとは言え、もうちょっと何か甘酸っぱいイベントとかあれば良いのに、と思わなくはない。
折角の青春なのだ。
麻雀も恋も、どっちも全力で楽しみたいと思うのが男の性と言う奴である。

漫「なんや。清澄の黒一点でモテモテなんちゃうの?実は清澄は須賀君のハーレムとかそんな予想すらしてたんやけど」
京太郎「それ最早、スケコマシ通り越してただの外道じゃないですか…」

部活仲間に手を出すだけでは飽きたらず、ハーレムまで形成するとか刺される云々のレベルじゃない。
最早、天の代わりに人が罰を下しても許されるレベルだと思う。
ましてや俺は似たような立場ながらも、そんな色恋沙汰とはまったく無縁の生活を送っているのだ。
もし、そんな平行世界の俺がいるならば、全力でぶん殴っても許されるだろう。


京太郎「(和の件は…寧ろ事故みたいなものだろうしなぁ…)」

あれがお互い想い合った結果ならば、俺もこんな事は思わないだろう。
だが、アレは今でも何が作用したのかはっきりと分からないくらい不思議でありえない出来事なのだ。
それを色恋沙汰にカウントするのは正直な話、違和感を禁じ得ない。
それと同時に目を逸らしていた事実がズシンと胸にのしかかり、重苦しい感情が全身へと広がっていった。

漫「じゃあ、うちが彼女に立候補しても大丈夫?」
京太郎「…え?」

が、その瞬間、俺の思考が止まり、感情が塞き止められた
それと同時に沈黙が帳となって俺達へと降り、見つめ合ったまま停止する。
一体、上重さんが何を言っているのが分からず、俺は口をパクパクと魚のように開閉させた。
しかし、それも数十秒もすれば、少しずつ理解が追いつき、思考も回り出す。

京太郎「(上重さんが…彼女…?)」

つまり、あの素晴らしいおもちをこの手で味わったりしても許されると言う立場になれるという事だ。
コネコネして、チュッチュして、ベロンベロンしながら、パフパフしても良いのである。
その上、こんな童顔で可愛らしい人とイチャイチャする事が出来るのだとしたら断る理由なんてない。
寧ろ、俺の方から土下座してでも付き合ってくださいと言うべきだろう。

漫「…なんやまたやらしい顔をしとるんやけど…」ジトー
京太郎「ハッ…す、すみません…」

そんな俺の視線に気づいたのだろう。
胸元をそっと腕で覆いながらの、冷たく言う上重さんに俺は正気に戻る事が出来た。
幾ら予想外の一言であり、相手がかなりのおもちを持っているとは言え、流石にちょっとがっつき過ぎである。
こんな真似をしているから嫌われるのだと分かっていても、止められない男子高校生の性に俺はそっと胸中でため息を吐いた。


漫「そんながっつく子にうちはやれんなぁ…」ニッコリ
京太郎「うぅ…男の純情を弄ばれた…」

勝ち誇るような笑みを浮かべる上重さんにガックリと肩を落とすその言葉は決して冗談ではなかった。
勿論、冷静に考えれば、頭の出来がよろしくない俺にだって冗談だと気づく余地はあっただろう。
しかし、冷静さそのものを吹き飛ばすようなインパクトある言葉を上重さんは放ってきたのである。
恐らく百回試したところで、俺は必ずその言葉に引っかかり、今回のような醜態を晒す事だろう。

京太郎「(流石に…ちょっと今のは悔しいし…何より危なっかしい)」

勿論、それは俺が自分から弄られに行った結果だと言う事は理解している。
だが、かと言って、男子高校生の性を刺激するようなセリフは悔しいし、何より危険だ。
上重さんほどの美少女となれば、相手が変な誤解をして、事件に巻き込まれるかもしれないのだから。
ここは仕返しも兼ねて、それをちゃんと上重さんに思い知ってもらうべきだろう。
そんな事を考えながら、俺はそっと上重さんの顔を見つめた。

京太郎「…って言うか、がっつかなくなったら彼女になってくれるんですか?」
漫「うっ…そ、それは…」

まさかそう返されるとは思ってもみなかったのだろう。
言葉を詰まらせる上重さんの姿に俺は内心、笑みを浮かべた。
とは言え、ここで引いてあげるつもりはまったくない。
別に怒ったり恨んでいる訳ではないが、ここで止めてしまうと上重さんが男の脅威を知らぬまま終わってしまう。
それに…まぁ、思ったより可愛らしい反応をする上重さんにもうちょっと苛めたくなってしまっていた。


漫「そ、そう言うの生意気やで…こ、後輩の癖に…!」
京太郎「後輩の前に男ですから。それで…どうなんです?」キリッ

あくまでも冗談の一つとして躱そうとする上重さん。
しかし、俺はそれを許さず、グイグイと押し込んでいく。
勿論、普段はこんな真似しないし、出来ない。
俺の回りの女子たちは揃いも揃って、我が強く、また地位的にも上にいるのだから。
もし、そんな事やろうものならフルボッコにされて終了だろう。
しかし、上重さん相手なら、そんな心配は無い。
その上、『上重さんの為』という免罪符もあれば、俺の冗談が止まるはずがなかった。

京太郎「俺は男として見れません?そういう対象外ですか?」
漫「そ…それは…まだ分からんって言うか…」
京太郎「(そりゃそうだよなぁ)」

こうして気安く冗談が言える仲とは言え、俺と上重さんはまだ出会って一日も経っていないのだ。
そんな間柄でこうして男として迫っても色良い返事が貰えるはずがない。
寧ろ、ここで『見れる』と言われたら、ぶっちゃけ俺の方が困ってしまう。
俺はあくまで上重さんに男の脅威を教えるのが目的であって、本気で口説いてる訳じゃないのだ。
まぁ、そうなれば役得だと思うが、そんな展開があるとはまったく想定してない。

京太郎「じゃあ…何時になったら分かります?」
漫「い、何時って…」
京太郎「この合宿中、一緒にいれば、俺のことを好きになってくれますか?」
漫「ふぇ…えぇ!?」カァ

思わず席を立ち上がりそうな勢いで驚きの声をあげる上重さんに俺は自らの企みが成就していく実感を得た。
後は上重さんが何かしら反応をした後にネタばらしをすれば、それで俺の目的は達成される。
まぁ、後で多少、怒られたり、拗ねられたりするかもしれないが、理由が理由だけにそれが尾を引くことはあまりないだろう。
誠心誠意謝ればすぐとまでは言わなくとも、それほど時間が経たずに許してもらえるはずだ。


漫「……んばる」
京太郎「…え?」
漫「こ、告白なんてされたなんて初めてやし…ま、まだ分からんけど…でも…」
漫「う…うちなりに頑張って…答え…出す…から…その…」マッカ
京太郎「あれぇ…?」

俺にとって唯一の誤算があるとすれば、俺と同じテンパり方を、さらに激しく上重さんがしていた事だ。
照れる事はあっても、まさかこんな風に真剣な返事をくれるとはまったく思っていなかったのである。
しかし、全く想定をしていなくとも、何もアクションを起こさない訳にはいかない。
と言うか、このまま呆然としていると本格的に冗談の域を超えて、上重さんを傷つけかねないのだ。
俺はあくまで上重さんに教えたかっただけであり、別に傷つけたいと思ってこんな冗談を言っている訳じゃない。
それだけは防がなければいけないと、俺は立ち上がり、上重さんの視線を引き付ける。

京太郎「え、えっと…ドッキリ大成功〜…的な…その…」
漫「…」アゼン
京太郎「…」
漫「…」カァ
京太郎「…」

そのまま紡いだ俺の言葉に上重さんが唖然とした顔で俺を見る。
きっとさっきまでの俺のように何を言われているかの理解が及んでいないのだろう。
しかし、似たような経験のある俺には良く分かるが…二十秒ほど経てば、少しずつ混乱から復帰し、色々な事が分かってくるのだ。
実際、上重さんの顔はすっと紅潮が冷めた後、今度は羞恥に赤く染まり、そして頬を含ませて不機嫌さを現すものへと変わっていく。


漫「うち、今は須賀君の事本気で殴っても許される気がする」ムッスー
京太郎「すみません!ほんっとすみません!!」

苛立ちと悔しさを感じさせるその言葉に、俺はその場で勢い良く頭を下げた。
正直、ここまで本気にされるとは思っていなかったとは言え、俺が上重さんの気持ちを無駄にしてしまったのは事実である。
ここは言い訳よりも先に、土下座でも何でもして許しを請う事が最優先だ。

漫「乙女の純情弄んだ…」
京太郎「すみません…」
漫「初めての告白やったのに…」
京太郎「すみません…っ」
漫「ちょっと浮かれたうちが馬鹿みたいやんかああああ」
京太郎「すみません!な、何でもしますから!!」

堰を切ったように溢れだす上重さんの言葉に気圧されながら、俺はひたすら謝罪を繰り返す。
その甲斐あってか、少しずつ上重さんは落ち着きを取り戻し、溜飲を下げてくれた。
それでも尚、悔しさはなくならないのか、肩をフルフルと震わせているが、それだって最初の頃に比べれば遥かにマシだろう。
それに一つ安堵の吐息を漏らした俺の前で、上重さんがそっと唇を動かした。

漫「…ハーゲンダッツのキャラメル味」
京太郎「は、はい…!い、今すぐ!」
漫「別にええよ、後で…。これからご飯なんやし…」

そこでハァと大きなため息を吐く上重さんに俺は何を言えば良いのか分からない。
流石にここで言い訳を始めるのは不誠実過ぎるし、ましてや上重さんは未だその奥に不満が溜まっている状態なのだ。
謂わば、不発弾も同様であり、下手な刺激を加えるのは避けたい。
結果、俺は上重さんから話題を振ってくれるのを待つしかなく、そのまま無言の時が続いた。


漫「でも、ああいうのちょっとやり過ぎやで…」
京太郎「その…最初は上重さんに『そういった男のからかい方をしちゃダメだ』って教えるつもりだったんですが…」
京太郎「上重さんが可愛すぎて、途中から止まれなくって…エスカレートしてしまってですね…」
漫「ふぇ…?」

数分後、ようやく落ち着いたのか、ポツリと漏らすような上重さんに俺は必死に事情を説明した。
それでも許して貰えるとは到底、思ってはいなかったものの、一応、理由があった事は知っておいて欲しい。
そう思いながらの言葉は上重さんの可愛らしい声を引き出す事に成功した。
まるで予想外のところから追い打ちを食らったようなそれに俺が首を傾げた瞬間、上重さんの顔がまた赤く染まる。

漫「そ、そういうタラシなセリフ…今はあかんよ。禁止」カァ
京太郎「え…?」
漫「つ、次言うたら、ダッツの抹茶味も買うて来て貰うから」
京太郎「わ、分かりました…」

理由すら告げず、一方的に禁止だけする上重さんに気圧されながらも頷いた。
一応、バイトはしているとは言え、殆どが麻雀の教本の類やちょっとした差し入れなどで消えていくのである。
部活動でそう頻繁にバイト出来ないと言う環境もあって、出来るだけお金を無駄にはしたくない。
幾ら300ちょっとのアイスと言えど、積もれば結構な出費になるのだ。

漫「はぁ…もう…ホント…馬鹿みたいやん…」
京太郎「す、すみません…」
漫「謝らんでええよ。別にもう怒っとる訳やないし…ただ、自分にちょっと呆れとるだけ」

そこでもう一つため息を吐いた上重さんはぐっと大きく背伸びをして、ゆっくりと立ち上がった。
その足取りは決して軽いとは言えなかったが、さりとて落ち込んでいる様子もない。
とりあえず俺の見える範囲ではさっきの事を引きずってはいないようだ。
隠しているだけと言う可能性もあるので完全に安心は出来ないが、今すぐ暴発する嬉々は避けられたのだろう。


漫「とりあえず…もうそろそろご飯やし、一回ここで解散な」
京太郎「はい」
漫「その後は入浴タイムやし…それ終わったら須賀君の部屋行くから」
京太郎「はい…え?」

この後の予定を口にする上重さんに反射的に頷いた瞬間、俺はそれに疑問を覚えた。
一体、どうして上重さんが俺の部屋に来る必要があるのか。
あり得ないとは思うものの、さっきの諸々でフラグでも立ったのか。
それともさっきの仕返しをする為に俺をからかっているだけなのか。
そんな思考が頭の中をグルグルと回り続け、俺をその場に立ち止まらせる。

漫「ちょ、ち、違うで!そういう意味ちゃうから!!た、ただ…個人レッスンせぇへんかったらあかんし…」
京太郎「あ、あぁ、なるほど…」

そんな俺の思考を様子から読み取ったのだろうか。
顔を微かに紅潮させながら、付け加えられた上重さんの言葉に俺は納得の言葉を返した。
さっきのやり取りで忘れていたものの、まだ個人レッスンというものが残っているのである。
俺としては別にやらなくても良いと思うものの、根が真面目な上重さんにはそれは許せないのだろう。


京太郎「でも、それって拙くないですか…?」
漫「んな事言うても…この宴会場もこの後で使えるかどうか分からへんし…」
京太郎「かなり魔改造してますしね…」

遊戯室から麻雀卓をわざわざ運び込んでもらったというこの宴会場は完全に旅館側の好意で成り立っているものだ。
そんな場所をたった二人の練習の為に解放してくれとは言い難い。
明日も朝からここで麻雀を打ち続けると言う事もあり、旅館としては今のうちに掃除をしておきたいだろうから。
そして、それが麻雀卓があるが故に、普段より手間と時間が掛かると言うのは想像に難くない事だった。

漫「うちの部屋はもっとあかんやろ」
京太郎「そりゃ…まぁ、警戒心マックスで練習どころじゃないでしょうけど…」

上重さんは姫松のレギュラーと言っても、一室まるまるを与えられるような待遇じゃない。
その部屋の中には何人かの女子生徒がいて、それぞれが移動の疲れを癒そうとしているのだ。
そんな中、男が入っていくのは流石にちょっと気が引けるし、申し訳ない。
ある種、針のむしろのような場所に行きたくないと言うのは紛れもない本音であった。

漫「って事は消去法で須賀君の部屋しかないやん?」
京太郎「いや…遊戯室とかロビーのソファーとか色々あると思うんですが…」
漫「遊戯室もロビーも人多くてうるさくて集中でけへんやろ?」
京太郎「だからって男の部屋に来るのはどうだって気がしますよ!?」

この人はさっき俺が身を呈して教えようとした事をまったく分かっていないのか。
そんな事すら思わせる言葉をあっけらかんと言い放つ上重さんに、俺はそっと肩を落とした。
これが咲みたいに気心と距離感の知れた相手であれば、俺だってここまで抵抗はしない。
精々、変な噂の元にならないように気をつける程度だ。
しかし、相手は姫松のレギュラーであり、まだちゃんとした距離感を測り切れていない相手である。
さっきみたいに何がどう転ぶか分からない以上、俺の部屋に呼ぶと言うのはかなり危険な行為だ。


漫「別に須賀君がうちを襲わへんかったらええだけの話やろ?」
京太郎「いや…そうですけど…でも、俺が上重さんみたいなのがタイプだって分かってますよね?」
漫「そりゃ分かっとるよ。それに決して理性的ってタイプじゃない事もさっきの事でよぉぉぉっく分かっとる」
京太郎「う…」

やはりさっきの事を根に持っているのか、強調する上重さんの言葉に俺は言葉を詰まらせた。
勿論、自分でも自覚している事であるとは言え、そうやって言われるとやっぱりクるものがある。
それに胸を抑える俺の前で上重さんはニッコリと笑いながら、言葉を紡いだ。

漫「でも、須賀君は麻雀に真剣やん」
京太郎「…え?」
漫「あんなに悩んで、あんなに苦しんで、それでも麻雀をやれるくらい好きなんやろ?」
京太郎「それは…」

俺の逡巡を好意的に解釈してくれている上重さんに何を言えば良いのか分からなかった。
勿論、始めた動機こそ不純であれど、今の俺は麻雀が好きで、強くなりたいと思っているのは事実である。
だが、俺が悩んでいた原因はそんな前向きなものではないのだ。
もっと不純で臆病な…どうしようもない理由から俺は逃げ、少なくとも二人の人を不快にさせてしまったのである。


京太郎「(でも…それを言う勇気は俺にはない…)」

そもそも俺自身、どうやって説明すれば良いのか分からないし、確証もないのだ。
あるのはただ馬鹿げた予想を裏打ちする状況証拠だけであり、色々と自分で試した事さえない。
そんな推論にもなっていないような予想を信じて貰えるとは到底、思えず、運が良かったとしても引かれるだろう。
この数時間で上重さんに好意的なものを抱いている —— 勿論、人間的な意味で —— 俺にとって、それは選べない選択肢だった。

漫「それに…これくらいやらへんかったら須賀君に悪いしな」
京太郎「?」

そんな俺の前でポツリと呟かれたその言葉に俺は疑問を覚えた。
逃げ続け、姫松の人に迷惑をかけている俺ならばまだしも、どうして上重さんが俺に悪いと思うのか。
それがまったく分からない俺の前で上重さんがそっと頭を振った。

漫「いや、ごめんな。こっちの話や」
京太郎「…そうですか」

どうやら遠慮や気遣い以外に理由があるのは確かだが、それを俺に言うつもりはないらしい。
それでも気になる事は気になるが、無理矢理、聞き出そうとするのは主義に反する。
それに、何だかんだ言って俺と親しくしてくれている上重さんが秘密にするという事はそれだけ理由があるという事なのだろう。
それを変に勘ぐって、上重さんとの関係を悪いものにしたくはない。

漫「じゃ、また後でな」
京太郎「えぇ。…って、う、上重さん!?」

そんな事を考えている間に、上重さんはダッと逃げるように走りだし、俺の視界から消える。
その様に俺はさっきの話の流れを思い出したが、時既に遅かった。
俺の声は誰もいない宴会場の中で虚しく響くだけで、上重さんの背中に届いているかも怪しい。


京太郎「…やられたなぁ…」

ほんの一瞬、油断した隙を突かれて逃げ出されてしまった。
お陰でこの後の個人レッスンはなし崩し的に俺の部屋で行う事が決まってしまった訳である。
それを楽しみにする反面、不安が残るのは俺自身、自分の理性と言うものを信じきれていない所為だろう。
何だかんだ言って和の時もやらかしてしまった俺の信頼など、暴落した株券も同様である。

京太郎「(でも…まぁ…)」

まだリカバリーがまったく出来ない訳じゃない。
集合場所は確かに俺の部屋にはなってしまったが、まだ上重さんと説得できる余地は残っているのだから。
そう自分に言い聞かせながら、俺はそっと宴会場を後にする。
そのまま自室に向かう足取りは心なしか軽く、気分も浮かれたものになっていたのだった。

………

……







京太郎「(そこそこの規模を持つ旅館だけあって、食事はかなり美味かった)」

京太郎「(シーズンじゃないとは言え、こんな豪華な食事で部費が大丈夫なのか不安になったくらいだぜ…)」

京太郎「(そして、勿論、温泉は凄い気持ち良かった)」

京太郎「(露天風呂もすげぇ見晴らしが良くってついつい長湯してしまったくらいだ)」

京太郎「(お陰で秋の肌寒さに負けないくらい身体がポカポカしてるんだが…)」

京太郎「(なんつーか…何か忘れているような気がしてならない…)」

京太郎「(なんかこー…割りと重要な事だったような気だけはするんだが…)」

京太郎「(リラックスした脳が思い出すのを拒否しているというか、思考をそっちに持って行きたがらないと言うか)」

京太郎「(そんなムズムズした感覚なのに、部屋で一人伸びてると安らいで仕方がない)」

京太郎「(あー…気を抜いたら、このまま眠ってしまいそうだ…)」

京太郎「(でも、上重さん来るし…俺が起きてないと部屋に入れないしなぁ…)」ピクッ

京太郎「(ん…今、何か引っかかったような…なんだっけ…?)」




— コンコン



京太郎「(あ…ノックって事は…上重さんか…)」

京太郎「(何とか俺が寝る前に来てくれて助かった…)」

京太郎「よいしょっと…」ムクリ

京太郎「はーい。今開けますよっと…」トテトテ



— ガチャ



京太郎「おまたせしました」

漫「や。さっきぶりやね」

京太郎「お、おぉ…」

京太郎「(恐らくさっきお風呂からあがったばかりなのだろう)」

京太郎「(今にも湯気が立ち上りそうなくらい紅潮した肌が眩しい)」

京太郎「(その上、今の上重さんは真っ白な浴衣を着ていて…こうなんとも言えない色気が…)」

京太郎「(身体のラインを隠す浴衣を持ち上げるほど巨大なおもちの所為か)」

京太郎「(或いはこう…首元やうなじを露出させている所為か)」

京太郎「(俺の経験では原因までは分からないものの、その姿はまさしくすばらなものだった)」


漫「また何かやらしい視線を感じるわぁ」ジトー

京太郎「あ…すみません…」ペコリ

京太郎「い、いや、でも、上重さんも悪いんですよ!?」

京太郎「男の部屋に浴衣姿で来るなんて反則ですってば」

漫「なぁに?開き直るん?」

京太郎「いえ、ただ、裁判長に情状酌量の余地ありと思っていただきたいだけで…」

漫「ふふ。あかんで、そんなん」

漫「乙女の肌は治外法権で情状酌量なんか無関係なんやからな」

京太郎「なんという横暴…」

漫「それが嫌やったらそうやってジロジロ見るのをやめればええだけやって」

漫「尤も…須賀君には無理かもしれへんけれど」クスッ

京太郎「くぅ…お、俺だってやれば…」

漫「出来るん?」ギュ

京太郎「…」

漫「出来るん?」プルン

京太郎「すみません。無理です。だから、その胸を抱いて強調するポーズは止めて下さい」


漫「まぁ、折角の温泉言うたら浴衣の一つは着たいやん?」

漫「他の子もきゃあきゃあ言いながら浴衣着とったで」

京太郎「そう言われると凄い気になりますね」

漫「何?うちと一緒におるのに、他の子を気にするん?」

京太郎「そうしないと上重さんを襲ってしまいそうなくらい魅力的だって思って下さい」

漫「もう…軽く受け流す上に反撃までしてくるとか…何かどんどん口が上手くなってへん?」

京太郎「上重さんが俺の事からかうから、成長するしかないんですよ」

漫「悲しいわー。昔の初心な須賀君は何処に行ったんやろうか…」

京太郎「俺を染めたのは上重さんなんですから責任とって下さい」

漫「え…嫌やわそんなん」ヒキッ

京太郎「うわ、ここで素に戻るとか卑怯ですよ…」

漫「ふふん。卑怯で結構こけこっこーやで!」

京太郎「(それ高校生が言うセリフじゃないと思ったけれど、流石に言わないであげておこう)」


京太郎「んで、まぁ、流石に浴衣姿の上重さんと個室で二人っきりってのは我慢出来るか不安です」

京太郎「なので、俺としては別の所でやりたいんですけれど…」

漫「大丈夫やって。何とかなるって」

京太郎「何でそんな大らかなんですか。つーか、もっと男に対して警戒心持って下さいよ」

漫「警戒心くらい持っとるよ。ただ、本当に危ない人はそんな事言わへんって思っとるだけで」

漫「それにそっちこそ女の子に対して警戒せんといかんよ?」

漫「浴衣姿にハァハァしとるんは須賀君だけやないかもしれへんねんから」

京太郎「いや、ハァハァしてないですって」

京太郎「と言うか、それって…」

漫「うん。そっちの浴衣姿も似合うとるよ。何時も以上にイケメンさんやね」ニコッ

京太郎「う…」カァ

漫「ふふ…やっぱりこうやって素直に褒められるの慣れとうらへんな?」

漫「可愛ええ子やねー」クスクス

京太郎「くそ…何か凄い勝ち誇られてる…!!」

漫「実際、勝ってるんやもん」ドヤァ


漫「まぁ、そんなに言うなら場所を移してもええけれど」チラッ

京太郎「?」

漫「ほら、アレやってアレ」

京太郎「アレ…?」

漫「も、もう…焦らすんは卑怯やで…。ほら、お風呂上りに食べたくなるアレや」

京太郎「アレ……アレ……あっ」



京太郎「(あぁ…そうか。さっきから忘れてたものをようやく思い出した…)」

京太郎「(俺、上重さんにハーゲンダッツのキャラメル味を買ってくるって行ってたじゃないか…!)」

京太郎「(だけど…勿論、そんなもの買ってるはずがない…)」

京太郎「(ご馳走食べてお風呂入って…それからずっと部屋の中でゆっくりしてたんだから…!)」



漫「」チラッチラッ



京太郎「(あぁっ!でも、すっごい期待した目で上重さんが俺を見てる…!)」

京太郎「(こ、これはかなり言い出しにくい…)」


漫「…なぁ、もしかして…」

京太郎「恐らく大体、上重さんが予想されている通りだと愚考します」

漫「そっかー…そうかぁ…」

漫「うちが風呂あがりのフルーツ牛乳を飲むことなく、真っ先に会いに来たのに」

漫「何でもするって言ってた須賀君がそれをかんっぺきに忘れてるとはなぁ」

漫「これは教育やろなぁ」ニコニコ

京太郎「す、すみません!!」ドゲザー

京太郎「い、今からダッシュでパシって来ますんで!」

京太郎「抹茶味でも何でも追加で買ってきますから!!」

京太郎「ど、どうか平に!平にご容赦を!!」

漫「…」


漫「別にそこまでせんでええよ」

漫「期待してたのは確かやし、楽しみにもしてたけど」ジトー

京太郎「うっ…」

漫「でも、原因がうちにあったのも理解してるし、悪気があってやった訳ちゃうのも分かっとる」

漫「だから、男がそないな事で土下座なんてするんやない」

漫「そんな簡単に土下座しとったら安く見られるで」

京太郎「は、はい…」

漫「ほら…もう…本当に怒っとらへんし、顔をあげて立ち上がりぃな」

京太郎「あ、ありがうございます…」

漫「礼なんかええよ」

漫「その代わり、今日の会場は須賀君の部屋決定な」ニコッ

京太郎「ファッ!?」


漫「いやぁ、うちもそんな事しとうないねんけど…」

漫「やっぱり同じ失敗を二回繰り返さへん為には罰が必要やん?」ニッコリ

漫「偉い人も『痛くなければ覚えませぬ』って言ってた事やしな」

京太郎「い、いや…それ何か違うような…」

漫「何?」ニコッ

京太郎「いえ、すみません。何でもないです」

漫「そうやろ?」

漫「まさかお詫びの品を買ってくるのを忘れた須賀君に異論なんかあるはずないやんなぁ?」

京太郎「さ、サー!まったくありません。サー!」

漫「うんうん。物分りの良い後輩を持って、うちは幸せやで」

京太郎「いや、だから、俺は後輩じゃ…」

漫「うん?」ニコッ

京太郎「サー!なんでもありません!サー!」


漫「だから、これからするのは決して『KAWAIGARI』やないで?」

漫「うちが須賀君の事を大事な後輩やって思うとるが故の教育や」

漫「まぁ、ちょっと厳しいかもしれへんけれど、それは別にダッツの事忘れられてた恨みは関係ない」

漫「ただ、先輩としてちょっぴり厳しくする必要があると思ったからの…愛のムチや」

漫「それも賢い須賀君には分かるやんな?」ニッコリ

京太郎「も、勿論です!サー!」

漫「よしよし。それじゃあやろうか?」

漫「なぁに、最初はちょっと辛いかもしれへんけど、これも須賀君の為や」

漫「勿論、うちの面子を立てて耐え切ってくれるやんな?」ニコッ

京太郎「は…はい…頑張ります…」ガタガタ

漫「ん?うちが聞きたいのは頑張るなんて曖昧な言葉とちゃうで?」

京太郎「ぜ、絶対にやり遂げてみせます!!」

漫「それでこそ須賀君やね」ニコー


漫「それじゃあ、まずはこの教本からやってこうか」

漫「なに、ちょっと初心者には辛いかもしれへんけど、ちゃんとうちが教えるし、安心し」

漫「まぁ、口調がたまに厳しくなる時があるかもやけど、須賀君さえ頑張れば大丈夫や」ニッコリ

京太郎「は、はい…」カタカタ





漫「(…とやらせはしたものの…なんや…意外にできとるやん…)」

漫「(これ…末原先輩から貰ったもので…今のうちでも結構難しいのに…)」

漫「(これが本当に初心者…?本当に…合宿中に一度も和了れんで焼き鳥続きやった須賀君なんか…?)」

漫「(それとも…対局中は手加減してた…?)」

漫「(いや…そんなんはあり得へん)」

漫「(罰ゲームかかってたから…あんまり表情まで見る余裕なかったんやけど…)」

漫「(これまで接してきた中で須賀君はそんな不誠実な奴やないって分かっとる)」

漫「(あんな…宮永咲みたいな力を誇示するだけの舐めプなんてするような奴とちゃう)」

漫「(同じ清澄でも…須賀君は違う…違うんや…)」


京太郎「(あ、これ、のどっちゼミでやった問題だ!)」

京太郎「(なーんて冗談が浮かぶレベルでスルスル進むぜ…)」

京太郎「(ホント、和サマサマだな…)」

京太郎「(こうやって教本と睨めっこすると本当に大事な要点だけ抑えてくれていた事が分かる)」

京太郎「(アレで意外と面倒見も良いし、意外とプロ雀士とかじゃなくて、先生の方が向いてるのかもなぁ…)」

京太郎「(…いや…俺が和の事を考えている資格なんてない…か)」

京太郎「(和が合宿に参加しない理由なんて俺の所為以外のなにものでもだろうし…)」






漫「(何か良く分からんけど…いきなり落ち込み始めた…)」

漫「(何処か思いつめた表情をしとるし…やっぱり何かあるんやろうか…?)」

漫「(勿論…先輩として聞いた方がええんやろうけど…でもなぁ…)」

漫「(まだ会って一日しか経ってないうちが聞いてええような話なんやろうか…)」

漫「(個人的にはもう数年来の友人みたいな感覚で接してるけど…須賀君はそれが迷惑かも分からへんし…)」

漫「(う、うぅぅ…こういう時、末原先輩やったらどうするやろ…)」

京太郎「(そもそも…俺は…麻雀をやってて…本当に良いのか…?)」

京太郎「(今日の対局だって…人を不愉快にさせたばかりだった)」

京太郎「(上重さんは気にしていないみたいだけど…それでも俺の態度が不誠実なのは確かだろう)」

京太郎「(和了っても…和了らなくても相手に迷惑を掛けてしまう…)」

京太郎「(そんな俺が…麻雀を打つ資格が…楽しむ資格があるのだろうか…)」

京太郎「(いや…そうやって自問自答しなくたって分かってるんだ…)」

京太郎「(俺はもう麻雀をするべきじゃない…)」

京太郎「(今までみたいに…雑用で皆を支える事で満足するべきなんだ…)」

京太郎「(そうやって雑用ばかりで過ごすのも…悪い生活じゃない)」

京太郎「(二足草鞋を履くよりは…皆に貢献出来るんだから)」

京太郎「(そう…そのはずだ。そのはず…なのに…)」

京太郎「(…俺はやっぱり麻雀がしたい…)」

京太郎「(折角、楽しくなってきたばっかりなのに…やめたくなんかないんだ…)」


漫「(何か…どよどよしたオーラが増え始めとる…)」

漫「(それなのに…どうしてペンが止まらへんのや?)」

漫「(まるで頭と心でまったく別の事を考えられてるみたいにサラサラ書けとる…)」

漫「(思い返せば…対局中かてそうや)」

漫「(ひたすら逃げを打ったところで回数が増えれば、振り込む事だってある)」

漫「(何時も安牌や現物を抱えられる訳じゃないねんから)」

漫「(けれど、須賀君は…絶対に振り込まへんかった)」

漫「(逃げに気づいてから他の子たちも優先的に須賀君を狙い撃とうとしてたのに…)」

漫「(何処か集中出来ていない様子の須賀君はそれから逃げ切ってみせた)」

漫「(…だから…なんか?)」

漫「(須賀君はただの初心者じゃなくって何かもっとる子やから…代行はうちと打たせようとしたんやろか)」

漫「(まだ分からへん…分からへんけど…うちは…)」




漫「なぁ、須賀君。ちょっと休憩しよか」


京太郎「え…?いや…でも、まだ…」

漫「はは。ごめんな。うちが退屈やねん」

漫「思ったより後輩が優秀な所為で口出しでけへんし…」

京太郎「あー…すみません」

漫「だから、謝らんでええってば」

漫「それよりちょっとお話せえへん?」

京太郎「話…ですか?」

漫「そうそう。先輩との心温まるコミュニケーションや」

漫「しかも、相手は須賀君の好みのタイプなんやで。嬉しいやろ?」

京太郎「いや、嬉しいっちゃ嬉しいですけれど…」

漫「よし。それじゃあ、ちょっとお茶淹れてくるから待っててな」トテトテ



漫「と言う訳で第一回漫京交流大会ドンチャンドンチャンパフパフー」

京太郎「わ、ワーイ」

漫「なんや…ノリが悪いで」

京太郎「いや、いきなり過ぎて着いていけませんって」

漫「あかんなー須賀君」

漫「この程度の無茶ぶり程度で怯んでたら姫松じゃやってけへんよ」

京太郎「姫松ってどんな魔境なんですか…」

漫「どんなって…」

漫「…」

漫「ち、違うんです、先輩。べ、別に罰ゲームから逃げようとした訳じゃなくって…」

漫「だ、代行…それ油性ペン…油性はダメです…さ、流石に拙いですってば…」ガクガク

京太郎「う、上重さん落ち着いて!」

漫「ハッ」

漫「ま、まぁ…その…大変なところなんや…」メソラシ

京太郎「(弄られ系だし、結構、苦労してるんだろうなぁ…)」


漫「まぁ、それでもうちは楽しんどるよ」

漫「色々、大変な事もあるし、何時か仕返ししたるって心に決めとるけど」

京太郎「(何かそれで変な事やってさらに弄られる姿がありありと予想出来るのはどうしてなんだろうか…)」

漫「でも、うちは今の姫松の皆が大好きで…今度こそ優勝したいと思うとる」

京太郎「上重さん…」

漫「須賀君には…そういうのないん?」

京太郎「え…?」

漫「こう…思い入れって言うか意気込みって言うか…」

漫「うちだけこういうの語るの何か恥ずいやん」

京太郎「自分から自爆したんじゃないですか」

漫「そりゃそうやけど、先輩ってのは何時の時代も理不尽なもんなんやで」

漫「うちかて昔は…」

漫「な、なんで皆、絵の具持ってはるんですか…え…い、いや、アートじゃないですって」

漫「う、うちの額はキャンパスでもなんでもないですよ…って黒ねずみはやばい…やばいですから…」フルフル

京太郎「う、上重さん帰って来て下さい!」

漫「ハッ」


漫「ま、まぁ…それで話を戻すけど…何かないん?」

京太郎「……いや…ないですよ」

京太郎「(そもそも…俺がそういう事を考えるべきじゃないんだろうし…)」

京太郎「とりあえず、強くなるのに手一杯です」ハハッ

漫「(少しだけ表情が強張っとる…やっぱり無理しとるんやろか…)」

漫「(でも…コレ以上突っ込んで本当にええの?)」

漫「(もしかしたら…須賀君を傷つけるだけかもしれへんで…?)」

漫「(そもそも…こうやって隠すって時点で、うちが信頼されてないのがまるわかりやん)」

漫「(ここで突っ込んだかって痛い女になるだけや)」

漫「(それだったら…明日からまた適度な距離感を保つ為に笑って流すべきやろ)」

漫「(うちに出来る事はやった。やったんやから…もうええやん)」


漫「(…う)」

漫「(…違う)」

漫「(末原先輩やったら…そんな事言わへん)」

漫「(うちがどれだけ落ち込んでる時でも誰よりも早く手を差し伸べてくれた末原先輩やったら)」

漫「(後輩思いで優しい末原先輩やったら…ここは絶対に全ツッパや…!)」

漫「(勿論、うちは末原先輩ちゃうし…出来るとは思えへん…)」

漫「(でも、もううちは…須賀君のそれが作り笑いやって気づいたんや)」

漫「(気づいてしもうた以上…もう前みたいに気軽に笑って麻雀できへん)」

漫「(それやったら…まだ…痛い女になった方がマシや)」

漫「(リスクから逃げて…なぁなぁで済ませた果てに後悔なんてしとうない)

漫「(行くで、漫…!女は度胸や…二言はあらへん…!!)」


漫「じゃあ、何でそんな辛そうな顔しとるん?」

京太郎「え…?」

漫「さっきから見とったけど…到底、普通やなかったで」

京太郎「それは…ただ、問題が難しくて…」

漫「うちでも詰まるような問題をサラサラ解いて見せてるのに、難しいはずないやん」

漫「本当は何かあるんやろ?」

漫「旅の恥はかき捨てって言うし…ちょっと先輩に相談してみたらどうや?」

漫「うちやったら部外者やし…だからこそ、話せる事もあるやろ?」

京太郎「いや…でも…迷惑じゃ…」

漫「なに、後輩の面倒見るのも先輩の仕事やで」

漫「それに、須賀君はもううちの愚痴聞いてくれたやん」

京太郎「あ…」


漫「そのお返し…って言うか、お礼かな」

漫「実は…結構嬉しかったし…参考にもなったから…」

漫「その分を…須賀君に返したいんや」

漫「…あかんかな?やっぱ、迷惑?」

京太郎「(う…そうやって上目遣いになられると…)

京太郎「(浴衣から零れそうな大きなおもちが顔と一緒に視界に入って…)」

京太郎「(た、ただでさえ隣に座って意識しないのが精一杯だったのに…)」

京太郎「(温泉の匂いとは違う甘い体臭が俺の鼻孔を擽って…)」

京太郎「(お、落ち着けマイサン!!今はシリアスなんだ!!)」

京太郎「(後で幾らでも構ってやるから、落ち着いてくれ…!)」

漫「……」


漫「あの…須賀君?」

漫「うちの勘違いやったら悪いんやけど…」

漫「…なんかまた目がやらしい感じなんやで…」

京太郎「あ…ぅ…」

漫「…はぁ…うちは一応、真剣に言っとるのに…」

京太郎「す、すみません!でも、こればっかりは仕方ないというか!」

京太郎「上重さんみたいな魅力的な人が隣に座るとどうしても意識してしまってですね!!」

漫「今はそういうこと言うとこちゃうで」ジロッ

京太郎「は、はい…」フルフル

漫「はぁ…もうまったく…」

漫「まぁ…須賀君らしいっちゃらしいんやろうけど…」

漫「折角、決意したのに…締まらんわぁ…」ハァ


漫「罰として、須賀君の秘密全部しゃべる事な」

京太郎「え、えぇ!?」

漫「当然やろ。もうここまで来たら、うちの面子の問題でもあるもん」

漫「洗いざらい喋ってもらうまで今日は帰らへんで」

京太郎「帰らないってそれこそ問題じゃないですか!!」

漫「須賀君が全部、喋れば何の問題もあらへんよ」

漫「それに…さっき『迷惑』って言ったって事は…迷惑になるような何かしら抱えとるのは確かなんやろ」

京太郎「あ…」

漫「そんなん知って、はいさようなら、なんて出来へんて」

漫「ここまで来たら一蓮托生や」

漫「気になったうちが寝不足になったりせんように…全部、話してもらうからな」ニッコリ


京太郎「(あぁ、俺はこの人の事を誤解していたんだ…)」

京太郎「(この人は…俺と似てなんかいなかった)」

京太郎「(ただ、ちょっと躓いていただけで…本当はこうやって人を引っ張る事も出来る人だったんだ…)」

京太郎「(見くびっていた…なんて言うのは…かなり失礼な話なんだろうけれど…)」

京太郎「(でも…純粋に凄いと思った)」

京太郎「(それと同時に…こんな顔も出来るんだなって…引き込まれて…)」

漫「須賀君?」

京太郎「あ…すみません…」

京太郎「…分かりました。全部、話します」

京太郎「でも…これはあくまでも『冗談』として聞いて下さい」

京太郎「事実だと思わなくても信じなくても構いません」

京太郎「ただの与太話だと思ってくだされば…それだけで結構です」

漫「…うん。分かった」

漫「どうしてそんな事言うのか分からんけど…須賀君がそう言うんやったらそうするわ」

京太郎「…ありがとうございます」


京太郎「…俺が初心者って言うのは聞きました…?」

漫「うん。まぁ…代行からやけれど…」

京太郎「実際、その通りなんですよね。ついこの間まで雑用ばっかりでしたし」

漫「え…?」

京太郎「いや、ほら、うちはできたてホヤホヤの麻雀部でインターハイに出た訳じゃないですか」

京太郎「ぶっちゃけ部員数少なすぎて、俺が皆の分まで買い出しやらをしてたんです」

漫「いや…部員足りないのはそうかもしれへんけど…でも、全国出たって事は後援会の一つでも出来たやろ?」

漫「県大会まではともかく、それ以降は流石に後援会とかの仕事ちゃうん?」

漫「麻雀初心者の顧問とかでも全国出たら流石にノータッチって訳にはいかへんやろし…」

京太郎「いやぁ…予算は貰えましたけど、そういうのなかったですね」

京太郎「その辺は部長じゃないんで正直、分からないです」

京太郎「ただ、話の本筋として大事なのは…俺がついこの間まで殆ど牌を触った事がないって事です」


漫「…なにそれ?須賀君、もしかして清澄で虐められとるん?」

京太郎「あ、いや…そうじゃないんです。全国終わっても雑用やってたのは俺の意思でしたし」

京太郎「寧ろ、皆は俺に良くしてくれていましたよ」

京太郎「俺が臆病で逃げていただけでした。心配させてすみません」

漫「それやったらええねんけど…」

漫「(でも…幾ら初心者やからって黒一点一人で雑用押し付けられて、牌も触れなかったとか…)」

漫「(一番、麻雀楽しくなっていく時期にそれとか…良くめげんかったなぁ…須賀君…)」

京太郎「で…まぁ、卓に入っても一回も和了れなくってですね…」

漫「…あぁ、清澄は全国に出た部員以外には須賀君しかおらへんから…」

京太郎「そうです。実力的に恐ろしく離れてまして…ボッコボコにされてた訳です」

漫「(なんつーか…須賀君、清澄から出てった方がええんちゃうやろか…)」

漫「(あまりにも初心者に優しくない環境過ぎんで、清澄…)」

漫「(つーか、あの宮永咲は何やっとるん?)」

漫「(インターハイで舐めプするくらいの実力があるんやったら須賀君に和了らせてあげたらええやん)」イライラ



京太郎「で、つい最近、一回だけ和了れた訳です」

漫「お、おぉ…良かったやん!一矢報いたった訳やな!」

京太郎「え、えぇ。まぁ、それもまぐれと言うか相手のミスに助けられたみたいなもんなんですけど…」

京太郎「でも…初めてネト麻以外で和了れて…俺はすげぇ嬉しくて…」

京太郎「だけど…俺が和了った相手が…次の瞬間、様子がおかしくなったんです」

漫「おかしくってどんな風に…?」

京太郎「いや…その辺りは本人の名誉の為に伏せさせて下さい…」

京太郎「ただ…多分、その所為で一人、この合宿に来れませんでした…」

京太郎「俺が…取り返しのつかない事をしてしまったから…」

漫「…それは須賀君の所為って確定なん?」

京太郎「様子が変になったのは一度だけじゃありませんでした…」

京太郎「俺の知る限り三度…しかも、その三回とも…俺が和了った時で…」

漫「それは…相手に原因があったんちゃうか?」

京太郎「いえ…その日、和…相手は他の部員とも対局していて…」

京太郎「何度かロンやツモを受けていましたが…その様子は何時も通りでした…」

漫「…そっか…」


漫「(オカルトと断定するのはまだ早い…)」

漫「(だけど…ただの偶然と割り切るには状況証拠が揃い過ぎてる…)」

漫「(でも…相手をおかしくするオカルトなんて…本当にあり得るん?)」

漫「(うちは一応、全国区の雀士で…化け物どもと戦った事は何回もある)」

漫「(記憶に新しい中じゃ…あのマフラー娘もそうや)」

漫「(でも…うちの知るオカルトは、牌や場を支配するものやった)」

漫「(相手に…ダイレクトな影響を与えるようなオカルトなんて今まで見たことも聞いたこともない…)」

漫「(そもそも…そんなんが実在したとして…それはもうオカルトやなくて超能力の域や)」

漫「(正直言うて…信じられるはずがない)」

漫「(でも…)」チラッ

漫「(須賀君がそんな嘘を吐けるような男やない事は知っとる)」

漫「(少なくとも…須賀君はそれが『あるかも知れない』と心から思うとるんや…)」


漫「…須賀君。それは他の誰かにも試したん?」

京太郎「た、試せませんよ…こんなの…」

京太郎「また誰かおかしくなると思ったら…怖くて…」

漫「あぁ…そうやな。ごめんな。無神経やった…」

京太郎「いえ…当然だと思います…」





漫「(…須賀君は本当に怯えとる…)」

漫「(だから…ひたすら逃げを打つようなやり方をしとったんやな…)」

漫「(それもそうか…)」

漫「(もし、自分が和了ったら、誰かが変になると思ったら…和了れるはずない…)」

漫「(うちかて似たような立場やったら…試す気ぃすら起こらへん…)」

漫「(でも…それが結果的に須賀君を萎縮させて…そして迷わせとる…)」

漫「(時として、『ある』より『あるかも』の方が恐ろしいと言うけど…まさしくそれやな…)」

漫「(今の須賀君はドツボにハマって…どうしたらええか分からへん状態なんや…)」

漫「(時折、見せてた苦しそうな顔は…それが表に出て来とったんか…)」




漫「(それを解決する方法は簡単や)」

漫「(うちが人身御供になって、実際にあるかないかを試せばええ)」

漫「(でも…うちにその覚悟があるん?)」

漫「(勿論、うちは須賀君にそんな力があるなんて思わへん)」

漫「(須賀君は何処にでもいる…普通の男の子やねんから)」

漫「(だけど…その一方で…『もしかしたら』と思うとる自分もいる…)」

漫「(もし…須賀君が言ってる事が本当だったとしたら…うちは…)」

漫「…………」

漫「…せい!」パシーン

京太郎「!?」

京太郎「ちょ…上重さん何をやってるんですか!?」

漫「いやぁ…ちょっと自分に喝を入れるのにな」ハハッ


漫「(今更、何を迷うとるんや、上重漫)」

漫「(ここで『じゃあ、頑張ってな』とでも須賀君に言うつもりか…!?)」

漫「(自分から須賀君に聞き出しといて、突き放すような真似をするつもりなんか…!?)」

漫「(そないな格好悪い事…末原先輩やったらせえへん…!)」

漫「(うちは先輩や…!後輩を受け止めてやるのが仕事の一つやろ…!)」

漫「須賀君!」

京太郎「は、はい!」

漫「明日、うちから和了るんや」

京太郎「え…?い、いや、さっきの話聞いてましたか!?」

京太郎「冗談だとは言いましたけれど…でも…!」

漫「聞いとった。聞いとったからこそ、こう言うとる」

漫「うちは須賀君にそんなおかしな能力があるとは信じとらへん」

漫「でも、須賀君がその所為で苦しんどるんやったら…それを払拭せえへんかったらあかん」

漫「そない思いつめて尚、麻雀止められへんくらい好きなんやろ?」

京太郎「〜っ!」


京太郎「い、いや、でも…もしかしたら…」

漫「そんなもんはない!!」

漫「例えあったにしても、うちには絶対通用せん!」

京太郎「な、何でそんな風に言い切れるんですか…」

漫「根拠なんてあらへん!でも、絶対や!」

漫「絶対、うちが受け止めたる…!」

漫「だから、明日は絶対、逃げたらあかんで」

漫「ここで逃げたら…次は麻雀から逃げる事になる…」

漫「それは…嫌やろ?」

京太郎「で、でも…それじゃ…上重さんに迷惑が…!」

漫「先輩は後輩に迷惑を掛けられるもんやで」

漫「まぁ…逆もよぉある話やけれどな」ハハッ


漫「じゃ…今日はもう帰るわ」

京太郎「う、上重さん…」

漫「明日、本気の須賀君と打てるの楽しみにしとるで」

漫「だから…逃げんといてな」

漫「ここで逃げたら…次はダッツじゃ済ませへんで?」

京太郎「あ…」

漫「じゃ、おやすみ。また明日な」バタン

京太郎「……」

京太郎「俺は…どうしたら……」






………

……








【合宿一日目result】





          __
   __ . . .-‐: : : : : : : :.ヽ
   ヽ:_: : : : : : : : : : : : : : -、
   __':_: : : : :_=-‐''' '゙゙゙ ヘ: :.:、
   /: : :.:.:;" .,,      ';: :.l
    ̄'_: : :;' ___゙'   ,,=- l: :.l
   O( )::,'´ir':::ミ    ,,=ュ、.!: :|        うちが絶対に受け止めてみせるから…
  /::ィl´`ゝ弋;ノ   lr'::リi; :/        逃げたらあかんで

 く/::/:.:.:、_.  '''   '   ¨ /:!')
  ` ‐-'L:ヽ    o    ./:.:`!
    ___ -!> __   <ノノ_」
    /   |  ヽ, /ヽ,_
   l     |/\l /ヘ ヽ
  ノ \ }   \レ./  /!
 /     |     .X   Y




  ↓        ↑





: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i        上重さんに迷惑は掛けられない…
.: : 丶    \゙、        `> リ  `         でも…俺は……
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


以上で合宿一日目終了です。
二日目には皆大好きエロシーンに入れるよ!やったね!!!


乙〜

> 漫「(あんな…宮永咲みたいな力を誇示するだけの舐めプなんてするような奴とちゃう)」
インターハイの時咲ちゃんなにしてたんですかねぇ……

『エロシーンは最初にないって言ってたから僕は悪くない』
『あ、ついでに次の投下も多分、エロシーンには入れないよ』
『その代わり、この後の上重さんの方向性を決める安価があるから』
『上重さんファンの人は頑張って取って欲しいな』

>>690
ヒント:プラマイゼロ
後、使われることのない設定ですが、この世界は
二回戦でフルボッコにされた後、末原先輩覚醒。
次は敗退するものの、咲にプラマイ0を崩させる。
結果、決勝戦で咲の成績がボロボロに。
その後、皆の声援で咲が復活して逆転勝利。
という世界線の話です。

その安価が出るのは次の投下の時?

>>696
次の投下であり、日程もまだ未定です。
頑張って書き溜めて来るよ!!
週末にはまた投下出来るようがんばりまする。

乙でー
ここの代行見てたら代行を堕としたくなった
まあ可愛い漫が見れるからいいけど

ハッごめん。
ちょっと言葉が足らなかったですね。
他人の牌や能力に干渉ではなく、他人の身体そのものに影響を与える能力はないと言わせたかったのです。
そんな訳でちょい訂正。



漫「(オカルトと断定するのはまだ早い…)」

漫「(だけど…ただの偶然と割り切るには状況証拠が揃い過ぎてる…)」

漫「(でも…相手をおかしくするオカルトなんて…本当にあり得るん?)」

漫「(うちは一応、全国区の雀士で…化け物どもと戦った事は何回もある)」

漫「(記憶に新しい中じゃ…あのマフラー娘もそうや)」

漫「(でも…うちの知るオカルトは、牌や場を支配するものやった)」

漫「(麻雀の領域を超えて、相手にダイレクトな影響を与えるようなオカルトなんて今まで見たことも聞いたこともない…)」

漫「(そもそも…そんなんが実在したとして…それはもうオカルトやなくて超能力の域や)」

漫「(正直言うて…信じられるはずがない)」

漫「(でも…)」チラッ

漫「(須賀君がそんな嘘を吐けるような男やない事は知っとる)」

漫「(少なくとも…須賀君はそれが『あるかも知れない』と心から思うとるんや…)」

乙 
次を楽しみにしてます。
これr-18なしでもいけるなぁと思ったり思わなかったり。
それがメインなのだろうが、なんとなくそう感じました。

鬱じゃないエロを書いてくれるというのは
それだけでありがたいと思う今日この頃

>>574>>575
投下ギリギリになって気づいたので返信出来ませんでした…。
申し訳ありません…。
お二人ともありがとうございます。
二周目云々は終わってから考えさせて頂きますね。

>>701
代行は何をやらせても色んな意味で違和感がないというお方だと書いていて思いました。
スレ立てるんだったら期待させて貰います(ゲス顔)

>>707
あかんのや…ワイの表現力()じゃあ、エロなしで人を引きつけられるレベルにはならへんのや…。
後、エロ書くの大好きなんでエロは外せません(ゲス顔)

>>708
(鬱は)アカン。
このスレではそういうのはありません。
安心してお楽しみ下さい。

後、のどっちに関してですが、今のところ描写出来ません。
漫ちゃん調教後、もとい合宿終了までお待ちください。
ただ、このスレは鬱スレじゃないんで軟禁とかそういう展開ではないです。
和は自分の意志で学校に行ってないだけなので…。

また一日終了後のレザルトを試験的に導入してみましたが、如何でしょうか?
現時点のお互いの感情がもう少し可視化出来れば、と思ったのですが…。

分りやすくて良い(小並

上で代行堕としたいとか書いたけどイッチみたいなエロは書けないので無理(断言)

鬱は無いらしいけどこのまま漫ちゃんも堕としていってもまだ京ちゃんは牌を触ることは出来るんですかね…?

>>713
ワーイ ありがとうございます!
それじゃあこれからもやっていきますね!!
と言ったところで漫ちゃんのAAが一個しかない事に気づいた…。
誰か漫ちゃんのAA増やして下さい!小ネタ書きますから!!!

>>714
その辺は漫ちゃんマジヒロインなので大丈夫だと思います。
ある意味、次の投下が京太郎の底なので、後は上がっていくしかないよ!!
多分な!!!!

鰻「太陽拳ッ!!!」カッ




すまぬ


宥さんはとても寒がりだ。
夏でもマフラーは手放さないし、カイロも常備している。
そんな宥さんが最近、もう一つ、離さなくなったものがある。

宥「あったかぁい…♪」
京太郎「…」

ぎゅっと俺の胸に抱きつくその顔はとても幸せそうだった。
思わず俺の腕も宥さんの背中に回ってしまいそうなほどのそれに思わず俺の頬も綻ぶ。
勿論、真夏、しかも、クーラーも何もない部室でこうして抱きつかれて暑くないはずがない。
しかし、それも宥さんの笑顔と引き換えながら、余裕で我慢出来るものだ。

宥「きょぉたろぉくん…♥」
京太郎「はいはい。俺はここにいますよ」

甘えるような声で俺の名前を呼ぶ宥さんに答えながら、俺はそっと頭を撫でた。
俺より2つ年上とは言え、宥さんは意外と甘えん坊である。
妹に対してはしっかりしている面を見せるものの、こうして気を抜くとふにゃふにゃになってしまう。
そんな姿が可愛くて、そして大好きな俺にとって、それを見れるのは至福と言っても良い時間だった。

宥「えへぇ…♪ふにゃぁ…♪」
京太郎「…」

それと同時にそれは地獄のような戦いの時間でもある。
何せ、宥さんは厚着している上からでもはっきりと分かるようなスタイルの持ち主なのだ。
それが対面座位のような形で抱きついてきたら、誰だってウェイクアップしてしまう。
流石にスタンダップまでいかないように理性と自制心で押さえ込んでいるものの、それだって何時どうなるか分からない。
ある意味、果てのない闘いの日々。
だが、それも宥さんの笑顔を曇らせない為ならば、我慢出来る。

宥「京太郎君…もっと…引っ付きたいなぁ…って…♥」
京太郎「流石にそりゃ拙いですって…」

それでも時折、誘惑するように言われる宥さんの言葉には心が揺れてしまう。
俺の腕の中でそっと上目遣いを見せるその瞳は濡れて、暖かさの所為か頬まで紅潮しているのだから。
色気すら感じさせるその魅力的な表情には何度、生唾を飲み込んだか分からない。
しかし、宥さんが別に俺を誘惑している訳じゃないのは理解している。
ただ、寒がりであり、暖を求めているだけで、男として俺を欲してくれている訳じゃない
そもそもついこの間まで宥さんは男が苦手な人だったのだ。
それを思えば、ここで誤解してしまうのは破滅への一歩だろう。


宥「…むぅ」
京太郎「どうしたんです?」
宥「京太郎君が冷たい…」
京太郎「えぇ…」

寧ろ、夏の暑さにむしむしと蒸される俺の体温はそこそこ高いと思う。
宥さんと二人っきりになった時点で水をがぶのみしているので脱水症状にはならないと思うが、それでも汗がダラダラと流れ落ちるくらいだ。
汗でシャツが透けるくらい熱いのに、冷たいと言われたら正直、どうしたら良いのか分からない。

宥「もっと…熱くなろ…♥」
京太郎「お…おうふ…」

そう言って宥さんは俺の首にマフラーを巻いてくれた。
真っ赤なそれは勿論一人用で、こうして二人で巻くのには向いていない。
自然、俺達の顔は急接近し、今にもキスしそうなくらいになった。

京太郎「あ、あの…宥…さん…?」
宥「きょうたろぉくん…♥」

一体、どうしてそんな事をするのか。
そう尋ねる俺の前で宥さんはそっと瞳を閉じて、顎をあげる。
まるで何かを強請るようなそれに、俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
だが、急激にボロボロにされた俺の理性はそんなものでは冷えず、宥さんの甘い体臭とやわらかな感触を意識してしまう。
普段、意識の向こう側へと投げ捨てるそれに俺の身体も熱くなり…ついに我慢出来なくなってしまった。

京太郎「宥…さん…」

俺の呼びかけに宥さんは答えない。
ただ、じっと何かを待つようにして目を閉じるままだ。
そんな愛しい人の背中を両腕で捉えながら、俺はゆっくりと顔を近づける。
お互いの吐息がハァハァと振りかかるのも気にしないまま近づいたそれは最後まで止まらず… ——












(省略されました。続きを読むにはワッフルワッフルと書き込んで下さい)

宥姉ちゃんかわいいよちくしょおおおおおおおおおお!!!!!!!
後、漫ちゃんの弱点はヘソでも良いと思うな!!
>>719は許さない。絶対にだ。

お前らどんだけ潜んでたんだwwwwwwww
宥姉は男の人苦手だけど、フラグが立つとダダ甘なイメージ。
それこそ相手を堕落させる勢いで甘えて、甘やかしそう。
そして、絶対に愛が重い(断言)

後、宥姉の話がみたいなら安価取らないとね(ニッコリ
俺だって書きたいけど、あんまり本編から外れる訳にはいかないんだ…

二周目か新作になるかは分かりませんが、必ず京太郎スレは続けます。
その時、安価取って欲しいなってイッチはイッチは(ry)
あ、ちなみに1000はやりません。
理由は小ネタに割く時間は出来るだけ本編に回したいからです。
ただ、俺が何かミスした場合などはこの限りではありません。
全力で小ネタ書くよ!!

>>732 イッチコテ外れとるで
これはミスやろなぁ(ゲス顔)

.>>733
なん…やて…。
まぁ、明日には安価まで描き上げられそうだからいっか。
という訳で>>735の小ネタかきまする。
エロおっけーだけと鬱はダメよ。

おもちが増えた咲ちゃんを確かめる京太郎

了解。明日、投下前にちょろっと落とすよ!
ちなみに増えた量って大幅増?それとも1cmとかの微増?


咲「京ちゃん京ちゃん!!」

京太郎「なんだよ、咲。って、その手に持ってるのは何だ?」

咲「今日、身体測定だったでしょ?その結果!」

京太郎「へぇ…体重は増えてなかったのか?」

咲「う…さ、三キロだけ…」

咲「って違うよ!ほら!ここ見てよ!!」

京太郎「ん…?」

咲「ほら、バストのとこ!1cm増えてる!!」

咲「これでもうちんちくりん体型だなんて言わせないよ」ムフー

咲「私だってちゃんと成長してるんだもんね!」

京太郎「…」

咲「ふふん!日頃、私の事を馬鹿にしてきた京ちゃんはぐぅの音も出ないかな?」

京太郎「いや、所詮、1cmだろ?計測ミスかもしれないじゃん」

京太郎「もしくは脇に肉がついたとかさ」

咲「な…!そ、そんな事ないもん!」

京太郎「わっかんねぇぞ?三キロも体重増えてるんだから、肉がついててもおかしくないし」

咲「う…うぅぅ…」


咲「じ、じゃあ、京ちゃんの手で直接触って確かめてみれば良いじゃない!!」

咲「(ヘタレな京ちゃんだし…絶対にうんとは言わないはず…!)」

咲「(だけど、私には一応、証拠としてこの結果がある…!)」

咲「(この勝負…私の勝ちだ…!!)」

京太郎「あぁ。分かった」ズイッ

咲「え…?」

咲「ちょ、ちょっと!?京ちゃん何やってるの!?」

京太郎「何って…言われた通り、咲の胸をももうとしてるんだろ」

咲「う…い、いや…でも…」

京太郎「ほら、脱がないと分かんないだろ」

咲「ま、待って!な、何かおかしいよ!いつもの京ちゃんだったらもっと…」

京太郎「もっと…なんだよ?」

咲「もっと…こうヘタレで…弄られキャラで…」

京太郎「…あのなぁ」

京太郎「幾ら俺がヘタレって言っても、好きな子にそんな事言われて我慢出来るはずないだろ?」

咲「え…?」

咲「ふぇ…」カァ

咲「え、ええええええええええ!?」


咲「す、好きって…!?」

京太郎「本当は何時もずっとお前を見てた。中学の頃から好きだったんだ」

咲「き、京ちゃん…」

京太郎「だから…ダメ…か?」

咲「う…そんな…言い方卑怯だよ…」

咲「で、でも、ブラは外すけど…制服の上からだよ…?」

咲「ぜ、絶対に直接触っちゃダメだからね?」

京太郎「あぁ。分かってる」

咲「じゃあ…」イソイソプチッ

咲「ほ、ほら…外し…たよ…?」マッカ

京太郎「じゃあ、俺の膝の上に来るか?」

咲「え、えぇ!?」

京太郎「後ろからぎゅってしながらしたいんだ…」

咲「う…そ、それくらいなら…まぁ…」


咲「(う…ま、まさか…こんな事になるなんて…)」ストン

咲「(わ、私、重くないよね?三キロ太ったけど…まだピー台だから大丈夫だよね!?)」カァ

咲「(こ、こんな事になるならちゃんとダイエットしておけばよかったよぉ…)」

京太郎「じゃあ…触るぞ」フニッ

咲「ん…っ♪」

京太郎「なんだよ。色っぽい声だして…」

咲「だ、だって…いきなり…」

京太郎「ちゃんと前もって言ってるだろ」

咲「そ、それでも…誰かに胸を触られた事なんてなかったんだもん…」

京太郎「つまり…俺が始めての男って事か?」

咲「そ、そうだけど…言い方がなんかえっちぃよ…」

京太郎「男は皆えっちなんだぜ」

京太郎「その上、好きな子の胸を触ってたら、余計、えっちにもなるさ」

咲「う…そうかも…だけど…」

京太郎「つーか…思ったよりずっと揉み応えがあるのな…」

咲「ひ、人の事を何だと思ってるの…」

京太郎「可愛い可愛い俺の魔王さまだよ」ボソッ

咲「ふわぁ…♪」

咲「き…京ちゃん…」

京太郎「ん…?」ムニムニ

咲「な…なんか…変…」

京太郎「何が変なんだよ?ちゃんと言ってくれないとわかんないぞ」

咲「さ、さっき…囁かれてから…頭の中ぼぉっとして…」

咲「む、胸が熱くなって来てる…ぅ♪」

京太郎「そりゃ俺に揉まれてるから血行がよくなってるんだろ」

咲「そ、そんな感じの熱さじゃなくって…もっとこう…じぃんって…ぇ♪」

京太郎「うーん…分からねぇ…」ピンッ

咲「ひあぁっ♥」

京太郎「とりあえず…咲の乳首がもう勃ってるって事は分かるけどな」

咲「う、嘘ぉ…♪」

咲「(ま、まだ京ちゃんに胸を触られたばっかりなのに…ど、どうして…ぇ♪)」

咲「(一人でやってる時はもっと…時間が掛かってるのに…)」

咲「(それに…一人の時よりも…ずっとずっと…気持ち良い…っ♥)」

京太郎「…」


京太郎「なんだ、咲は発情してるのか?」

咲「はつ…じょぉ…?」

京太郎「俺に触られてエロい気分になってるんだろ?」

咲「う…ち、違う…もん…」

京太郎「何が違うんだよ。こんなに乳首勃起させてさ」スッ

咲「んくっ♪」

京太郎「ちょっと擦っただけでもそんな声あげてさ」

京太郎「その上、今のお前の顔、凄いぜ」

京太郎「顔が真っ赤になって…目も今にも泣き出しそうなくらい潤んでる」

京太郎「見てるだけで苛めたくなるようなすっごいエロい表情だ…」

咲「ん…ふぅ…っ♪」ゾクゾク

京太郎「こんなの魅せられて…服の上からなんて生殺しだよ…」

咲「や…き、京ちゃん…ダメぇ…♪」

咲「(ふ、服の上からでもこんな風になってるのに…)」

咲「(直接触られたりしたら…私、おかしくなっちゃう…♥)」

咲「(本当に発情して…京ちゃんにおねだりしちゃうよぉ…♪)」

京太郎「…そうか」スッ

咲「え…?」

京太郎「ダメならしょうがないな。我慢する事にするよ」

京太郎「ほら、咲。どいてくれ。後、後ろ向いてるからブラもちゃんとつけろよ」

咲「な…なんで…?」

京太郎「なんでって…仕方ないだろ?」

京太郎「このまま続けたら、俺は絶対、咲の事襲っちまう」

京太郎「それを咲が嫌だって言うんなら、ここで止めるしかないじゃないか」

京太郎「まぁ…咲がもっとしたいって言うんなら…俺はそれに従うけどな」

咲「あ…あぁぁ…」

咲「(これ…京ちゃん焦らしてるんだ…)」

咲「(私がもう…発情してるって思ってるから…)」

咲「(発情して…京ちゃんが欲しくて堪らないって分かってるから…)」

咲「(だから…そうやって私が堕ちるのを待って…焦らしてる…ぅ♥)」

咲「わ…私は…」

咲「(でも…私は京ちゃんの思い通りになんてならない…)」

咲「(き、キスもしてないのに…初体験なんて変だもん…)」

咲「(もっと…二人で愛を深め合ってから…ムードのある場所で……)」










咲「し…たい…♥」

咲「もっと…京ちゃんに触って欲しいの…♪」

咲「おっぱい触って…乳首クリクリって虐めて…っ♥」

咲「思いっきりもみくしゃにされて…気持ち良くして欲しい…っ♪」

京太郎「じゃあ、発情してるって認めるんだな?」

咲「う…うん…っ♪わ、私は…発情してます…ぅ♥」

咲「京ちゃんの手で…あっという間に発情して…えろえろになっちゃったの…っ♪」

咲「だから…京ちゃん…責任とってぇ…」

京太郎「任せろ…最高に気持ち良くしてやるよ」

京太郎「俺の大好きな…咲……」



咲「」ピリリリリリリ

咲「……」ピリリリリリリ

咲「……」カチャン

咲「……」スッ

咲「……」ヌチャア

咲「……」ネバァ

咲「……」カァァ









京太郎「よ、咲。おはよ」

咲「京ちゃんの馬鹿!えっち!変態!!おもち好き!ヘタレ!!大好き!!」ダッ

京太郎「へ…?は……?」

ID:DvHxTCOnoが望んでるのがこんなのかは分からないけど、とりあえず書いたよ!!
エロだと即興が捗るね!!
ラブコメはアキラメロン
それではおやすみ

じゃあ、投下するですよ。
だけど、何回も言うけどエロはないからな!ないんだからな!!(マジで)


〜京太郎〜

その日は朝から憂鬱だった。
勿論、食事も美味いし、朝風呂も気持ち良くって、さっぱりする。
その上、天気も良くって、その上、美少女雀士たちに囲まれていると思えば憂鬱になる方がどうかしているだろう。
だが、今の俺はそんな事がプラスに働かないくらいに気分が落ち込んでいた。

京太郎「(どうすりゃ良いんだろうなぁ…)」

上重さんが去ってからずっと考え込んでいる問い。
それは俺の心に深く食い込み、眠る事さえ許さなかった。
ずっと悶々とした気持ちを抱えて、天井を見つめ続けたのである。
しかし、それでも俺の中で答えは出ない。

京太郎「(あー…くそ…)」

そう悪態を吐くのは優柔不断な自分に対してだ。
どう転がるにせよ、決める事さえ出来ない自分が情けなくて仕方がない。
俺よりもよっぽど不安なはずの上重さんがとっとと覚悟を決めたのだから尚更だ。
別に自分が決断力があるとは思っていなかったが、まさか練習開始の5分前まで部屋に篭るほどだなんて考慮していない。

京太郎「(いっそ逃げるか…)」

勿論、それが何の解決にもならない方法だという事くらい俺にも理解出来ている。
いや、解決にならないどころか、清澄麻雀部の風評を悪くする行為だ。
そんな事をしてしまったら、俺は一生、咲たちに顔を合わせる事が出来なくなってしまう。
しかし、そう理解していても弱気で臆病な俺がそう耳元で囁き、居心地の悪さを作り出していた。


— トントン

京太郎「う…」

そんな俺の耳に届いた控えめなノック。
それが誰だか分からないものの、きっと俺を迎えに来た誰かだろう。
恐らくは上重さん、対抗馬として咲辺りか。
どちらにせよ、出る事に気が進まないのは事実だ。

京太郎「(でも…そうはいかないよな…)」

幾ら、うじうじと悩んでいるとは言え、そこまで情けない男にはなりたくない。
そう自分に喝を入れながら、俺は畳で寝転がった身体をゆっくりと起こした。
そのまま睡眠不足で気怠い身体を動かし、扉へと向かう。
そうして鍵を開けた先に居たのは、やっぱり上重さんだった。

漫「や。おはよ」
京太郎「おはようございます…」
漫「何や、その顔は。もしかして、眠れへんかったん?」
京太郎「まぁ…その…」

流石に一晩中うじうじと悩んでいましたとは言えず、俺はそっと視線を背けた。
それに制服姿の上重さんが心配そうな目を向けるが、深くは追求しない。
ある程度、推測は出来ているだろうその視線に居心地の悪さを感じるが、口に出されないのは有難かった。
誰だって好みの女性に自分の弱い部分を指摘されるのは良い気がしないものなのだから。

漫「うちはちゃんと寝たで」
漫「だから…大丈夫や」
京太郎「そう…ですか…」

何が大丈夫なのか、と聞く事は出来なかった。
俺と同じように上重さんもあまり突っ込まれたくはないのだろう。
それは微かに目元に浮かんだクマからも良く分かった。
眠れなかったのは俺だけじゃなく、上重さんもなのだろう。
それなのにこうして空元気を見せてくれる上重さんの好意を無駄にはしたくなかった。


漫「そない硬くならんでええやない。うちらはただ麻雀するだけやで」
京太郎「ですけど…」
漫「大丈夫やって。何とかなる。…な?」
京太郎「あ…」

そう言って、俺の手をそっと握った上重さんがゆっくりと引っ張っていってくれる。
それに俺は逆らう事が出来ず、スルリと部屋から連れだされてしまった。
その後ろでオートロック式の扉がガシャンと閉まるのを聞きながら、俺達は旅館の廊下を歩いて行く。
その間、お互いに会話はなく、ただ、無言で昨日の宴会場へと向かっていった。

漫「さ。着いたで」
京太郎「…はい」

上重さんが手放した時にはもう俺達は宴会場の入り口近くに居た。
そこから中を覗き見れば、殆どが集まっており、既に開始している卓もある。
昨日のリベンジに燃えているのか、どの卓も熱気が感じられるほど好戦的だ。
それに気圧されるように感じる俺の前で上重さんはスルスルと進み、俺たちが昨日座っていた卓へと移動する。

モブ1「おはよー。あれ?漫、寝不足?」
漫「そ、そんな訳ないやん。気のせいやって」
モブ2「でも…クマが…」
漫「こ、これはちょっと化粧失敗しただけやから…」
モブ1「なぁにぃ?漫が化粧?須賀君がいるからって、ちょっと色気づき過ぎやない?」」
モブ2「由々しき事態…代行に報告…」
漫「ちょ!?止めてぇや!絶対、あの人面白がって色々やってくるから!!」
京太郎「……」

既に卓についていた他の二人と楽しげに会話する中、俺は一人ぽつんと取り残される。
元々、俺以外の三人は同じ高校の同じ部活に属しているのだ。
仲が良いのは当然だし、微笑ましい。
しかし、その一方で恐ろしいほどの疎外感を感じるのは仕方のない事だろう。
仲の良い友人同士の中に一人異物として放り込まれれば、誰だってそう感じるはずだ


漫「ほ、ほら、須賀君も何か言ってぇや!」
京太郎「え?」
モブ1「…」
モブ2「…」

そんな俺に気を遣ってくれたのだろう。
だが、それは決してベターな提案ではなかった。
瞬間、場の雰囲気は硬直し、他の二人に緊張が走ったのだから。
今までの和やかな雰囲気から一転、ぎこちないそれに俺はどうして良いか分からなくなる。
それは他の二人も同じで、無言のまま時が流れていった。

郁乃「はーい、ちゅうもーく」

そんな俺達の助け舟になったのは何処か呑気な代行さんの言葉だった。
それに場の緊張がふっと緩み、視線が赤坂さんへと移動する。
とりあえず、ここでどうにかなる事は避けられたようだ。
そう安堵を感じながら、視線を代行さんへと向けた瞬間、二日目の説明が始まる。

郁乃「んじゃ、皆頑張ってねー」

数分後、あっさりしているようで要点を押さえた説明を終えて、赤坂さんがすっと引っ込んでいく。
そのまま部屋の隅に進んだ代行さんは紙の束を持ち、姫松のメンバーに配っていった。
恐らくアレに今日の目標と罰ゲームが書いてあるのだろう。
それはその紙を受け取った姫松の部員たちが見るからに嫌そうな顔をしている事からも分かった。
そのやり取りを見ていると、代行さんが不幸を配る死神のように思えなくもない。

京太郎「(きっとすっごい生き生きしてるんだろうなぁ…)」
漫「あれでちゃんと指導はしてくれるし…そこそこ優秀なんよ」

そう思った俺の思考が分かった訳ではないのだろう。
しかし、丁度良いタイミングで告げられたそのフォローの言葉に俺は思わず身を硬くしてしまった。
その緊張が伝わってしまったのか、上重さんの顔に悲しそうなものが浮かび、シュンと肩が落ちる。
まるで主人に怒られた小型犬のような落ち込んだ姿に俺の良心が痛み、重苦しい気持ちが強くなった。
だが、俺がそれに対して何か言うよりも先に上重さんが麻雀卓を操作し、俺達の前に牌が現れる。


漫「じゃあ…やろっか」

宣言するように言う上重さんに従うように俺たちの卓でも麻雀が始まる。
いつものようにそれぞれの牌を取り、集めていく。
だが、この卓には他の場所のように賑やかな会話と言うものはなかった。
かと言って、闘気が渦巻くような真剣さもなく、ただ単に機械的に麻雀が行われていると言う雰囲気である。
それもこれも全て俺が悪いと思えば、心も痛むが…正直、どうして良いか分からなかった。

京太郎「(勿論…この雰囲気を払拭するには俺が和了るのが一番だ…)」

そうすればモブさんたちも真剣になり、こんな白けた卓ではなくなるはずだ。
しかし、そうと分かっていても、俺にはそうする勇気がどうしても持てない。
漫さんにそうしろと言われたとは言え、怯えはまだ俺の中に残っているのだから。
しかし、それほどまでに俺に良くしてくれた漫さんに迷惑を掛ける事を思うと、どうしても気が進まない。

京太郎「(っ…!)」

そんな俺の命運を決める配牌。
それは決して悪くもなければ、良くもないものだった。
最初からドラを2つ所持しており、一盃口まで二向聴。
鳴けば一盃口はつかないが、ドラのお陰でそれなりの点数は望める。
真剣に牌を切っていけば、手痛いファーストアタックを取るのは不可能じゃない。

京太郎「(とりあえず…進めるだけ進めて行こう…)」トン

昨日であれば、いきなりそれを崩す方向へと行っただろう。
だが、今日の俺は未だどうするかを迷っているままだった。
和了るべきか…それとも和了らざるべきか。
こうして麻雀が始まった後でも悩み続ける自分にため息が漏れそうになるが、手を進めるのは悪い事じゃない。
そう牌を切って進めていった六巡目に俺が引いたのは… ——


京太郎「(三枚目のドラ…)」

ここまで来ると門前や一盃口に拘る必要はほぼない。
寧ろ、出来るだけ鳴いて早上がりを目指す形にするべきだ。
そう判断した俺はドラを抱え込み、一盃口を崩していく。
それが良かったのだろうか。
次巡、上家から出た牌は、俺の欲しいものだった。

京太郎「チー」
モブ1「え…!?」
モブ2「……」
漫「あ…」

反射的に鳴いた俺に対して、三者三様の反応が浮かんだ。
それも当然だろう。
昨日までひたすら逃げ回っていた俺が鳴きと言う形ではあれど、攻勢に出たのだから。
上家であるモブ1さんが驚きに身を固め、モブ2さんが呆然とするのも無理はない。
そんな中、ただ一人、嬉しそうな声をあげる上重さんに俺の胸は軋むような音を立てた。

京太郎「(まだ…和了ると決めた訳じゃないんです…)」

まるで俺が決心した事を我が事のように喜ぶような上重さんの表情。
だが、俺はそんな顔が見られるような決心などまるでしていないのだ。
手は進めているものの、未だ迷い、結論を先延ばしにしているだけ。
そんな俺にとって上重さんの表情は眩しすぎて、思わず目を背けたくなるほどだった。

京太郎「(本当…どうしたら良いんだ…)」

そう弱音を吐く俺の心とは裏腹に俺の手はどんどんと聴牌へと近づいていく。
三巡もした頃には見事な両面待ちを完成し、後は和了るだけの形となった。
それでも俺の中の決意は固まらない。
グルグルと吐き気にも似た迷いが胸中を渦巻き、気分が悪くなっていく。


漫「」トン
京太郎「っ…」

そんな俺の和了り牌は上重さんから出てしまった。
約束通りなら…ここで和了るべきなのだろう。
しかし、俺の手はぐっと牌を握りしめたまま、それを倒す事はなかった。
やっぱりどうしても脳裏に和の姿が浮かび…和了る事が出来ない。
そんな俺に上重さんがチラリと視線をくれるが、何も言わないまま麻雀は進んでいく。

モブ1「テンパイ」
モブ2「ノーテン」
漫「テンパイ」
京太郎「…ノーテンです」

結局、誰も和了る事はなく、流局になった瞬間、俺はほっとため息を吐いた。
とりあえずテンパイでなくなれば、まだ考える時間を得られると言う事なのだから。
先延ばしでしかないと理解していても、今の俺にはその時間が有難い。
今の重苦しい気持ちから少しでも解放されるなら先延ばしでも何でも良かった。

郁乃「あっれぇ…おかしいなぁ」
京太郎「っ!?」

瞬間、俺の背中からにゅっと伸びた手が俺の牌を崩した。
自然、晒される俺の牌に三人の視線が集まっていく。
一つは驚愕。
一つは呆れ。
そして最後の一つは… ——

郁乃「ちゃんとテンパイしてるやないの。見間違えたんかな?」
京太郎「う…」
郁乃「って言うか、これ上重ちゃんから和了れたんやない?」
郁乃「テンパるんは牌だけにして、頭は冷静にしとかなあかんで」

あくまで軽い様子でそう注意する代行さんはきっと場の雰囲気が致命的に読めない人なのだろう。
或いは、読んでいて、意図的にそれをぶっ壊そうとしているのか。
少なくとも、常人は見るからに剣呑な雰囲気が湧き上がる卓と接してそんな風には言えないだろう。
かくいう俺だって同じ真似をしろと言われても不可能だ。
絶対に御免被る。


郁乃「はい、これ。今日の皆の目標と罰ゲーム。後、私からのアドバイスも書いてるから」
郁乃「じゃ、頑張ってね〜」

そんな気軽な様子を最後まで崩す事なく、代行さんは去っていく。
その後姿を見ながら、俺の背中に脂汗がじっとりと浮かんでくるのを感じた。
その瞬間、モブ2さんが俺を冷たく見据え、一つため息を吐く。
まるで、心底呆れたと言うようなそれに胸の奥から吐き気が沸き上がってきた。

モブ2「…貴方、なんでここにいるの?」
京太郎「っ…」
漫「ちょ…言い過ぎやって!」
モブ2「でも…こんな不真面目な麻雀打たれても…意味ない…」
モブ1「…同感。私たちは一応、強くなる為にここにいるんやで」
モブ1「それをこんな…舐めプして楽しいん?」
漫「そ、そんな訳ないやん…」
モブ1「漫は黙ってて。うちらは須賀君に聞いとるんやから」

モブさんたちの言う言葉は間違いなく正論だ。
俺だって逆の立場であれば、同じ事を言いたくなるだろう。
いや…そうでなくたって、俺は俺自身の言葉で彼女たちに答えるべきだ。
しかし、俺の喉はまるで詰まったかのように言葉を発さず、何も言えない。
そんな俺を上重さんだけが庇ってくれるが、そんな彼女にも二人は冷たい視線を送った。

モブ1「清澄から男子部員が入るって聞いた時には期待したけど…まさかこんなんとはな…」
モブ2「…もう良い。さっさとやろう」
モブ2「この人に構っている時間が無駄」
モブ1「…そやね。どうせ内心、馬鹿にしとるんやろうし。天下の清澄言うんは随分と舐めプが好きみたいやからなぁ」
京太郎「…っ」

瞬間、モブ1さんの言葉が俺の胸の深いところを突いた。
それは俺だけじゃなく、咲の事も言っているのだろう。
俺たち清澄の部員は咲のそれは幼少の頃のトラウマが原因であり、仕方のない事だと理解している。
だが、それはあくまで事情を知る俺達の話だ。
咲個人を知らず、『魔王』というレッテルを張られた清澄麻雀部員しか知らない彼女らにとって、それは舐めプ以外の何者にも見えない。
それは俺だって理解しているし…納得もいく。
だけど…っ!!


京太郎「(アンタらに…咲の何が分かるんだよ…)」

雑誌なんかじゃまるで化け物か何かのように持ち上げられているけれど、本当のアイツはポンコツだ。
一人にしておいたら数分で迷うダメ文学少女なのである。
それでいて意外に気が強く、俺に意図しない反撃をしてくる事もしばしばだ。
そんな咲の事まで貶められるのは…正直、我慢が出来ない。
吐き気の中でもはっきりと浮かんだ怒りのままに、握りしめた拳が震えた。
しかし…それでも…俺は… ——

京太郎「…」

何も言えないまま、始まった2局目。
俺のところに来た牌は間違いなく好配牌と言えるものだった。
既に三暗刻が成立し、聴牌まで一向聴。
来る牌によっては待ちも広く取れ、トイトイとの複合も狙えなくはない。
立ち上がりとしてはかなり理想的なそれを俺は吐き気と共に迎えた。

京太郎「(手は…手は進めよう…)」

どうやら麻雀の神様と言う奴は随分と俺の事が嫌いらしい。
普段はこんな好配牌を滅多にくれないのに迷っている時に限って、こんなものをくれるのだから。
それとも…俺に和了れとでも言いたいのだろうか。
どちらにせよ、余計なお節介だと胸中で吐き捨てながら、俺は逃避するように牌を打つ。
胸中で渦巻く気持ちの悪さから逃げるように、繰り返されるそれも虚しく…四巡目で、俺はついに聴牌してしまった。





〜漫〜

今日は最初から須賀君の様子が変やった。
昨日のおかしかった時からさらに輪を掛けて悩んでいるその様子にうちの胸も傷む。
だからこそ、勇気を振り絞って手を掴んで見たんやけど、あんまり効果はなかったらしい。
周囲の微笑ましい視線にうちの顔が真っ赤になっていた事すら気づいているかすら怪しいくらいや。

漫「(ホント…世話のやける子やねんから…)」

しっかりしているようで、どこか抜けている。
そんな須賀君の姿に好意的なものを感じるものの、それを表に出す事は許されへんかった。。
何せ、今の卓の雰囲気は最悪に近く、一触即発と言っても過言ではないんやから。
それもこれも全部… ——

漫「(あの代行の所為…って言うのは少し厳しいかもしれへんけれど…)」

だけど、その所為で須賀君への疑惑がはっきりとした確信へと変わったのは事実だ。
元々、姫松は罰ゲームもあるって事で舐めプにはかなり厳しい。
特に今年はインターハイで宮永咲に舐めプされまくって憤慨した子は多かった。
うちだって正直、宮永咲の事は許せへんし、他の子たちの気持ちはよぉ分かる。

漫「(だけど…うちは…)」

もう既に須賀君の抱えとる事情を知っとる。
それが和了れなくなるようなトラウマレベルの代物であるという事もまた。
それを知って尚、須賀君に怒りを向けられるほど、うちは完璧な女やない。
だからこそ…須賀君もうちの振り込みに答えず、ノーテンと嘘を吐いたのだろう。

漫「(ちゃんと信頼されとったら…そんな事もないんやろうか…)」

これが末原先輩のようにちゃんとした女やったら、違うんやろうか。
そんな思考がうちの胸を突いて止まらへんかった。
勿論、出会って一日の相手にそれほどの信頼を求めるのは間違いなんやろう。
うちだって、頭の中ではそんな事良く分かっとる。
それでも…うちの感情はそれに着いてってくれへん。
今にも吐きそうなくらい顔色が悪くなってきた須賀君を追い込んだのはうちなんやって…そう思えて仕方がないんや。


漫「(須賀君…)」

どうしたら良いのか分からないまま迎えた2局目の8巡目。
うちが引いたのはかなり濃厚な危険牌やった。
須賀君の切る牌や速度から察するに、その手は暗刻系。
それもかなり聴牌に近い形のはず。
いや、須賀君がリーチを多用せん事を考えると既に聴牌しててもおかしくはないやろう。
実際、うちの握る牌にはあの危険牌独特のいやあなものが纏わりつき、それを打つなと勘が訴えていた。

漫「(普段ならこの勘に従うんやけれどな…)」

勝負どころでこの勘に救われた事は一度や二度やない。
だからこそ、うちの意識はその勘に従うべきやって警鐘を鳴らしていた。
けれど、今のうちは別に勝つ麻雀を目指しとる訳じゃない。
罰ゲームになったって構わへん。
うちの今日の目的は罰ゲーム回避の為に勝ち続ける事やなくて…須賀君のトラウマを払拭する事なんやから。
だからこそ、うちはそれをぎゅっと握り、卓へとトンと打ち出した。

京太郎「っ…!」
漫「(これやったんか…!)」

瞬間、須賀君の身体に緊張が走り、腕がピクンと反応する。
しかし、その腕は牌を倒す事はなく、沈黙を護り続けた。
どうやら、まだ決心する事はでけへんらしい。
いや…あれだけ言われて尚、和了らへんって事は最早、自分ではなんとも出来ない可能性だってあるやろう。
それやったら…うちが…うちがやるしかない。

漫「ま、待って、モブ2ちゃん」
モブ2「え?」

和了る気配のない須賀君を無視して、そっと山に手を出そうとしたモブ2ちゃんを止める。
それに二人が怪訝そうな目をうちにくれるけど、この程度で怯んでなんかられへん。
ちょっと失礼な話やけれど、今のうちの相手は二人とちゃうんやから。
うちが真正面から相対せえへんかったらあかんのは…未だ悩み続ける須賀君だけや。


漫「須賀君…うちはやったで」
京太郎「…」
漫「これ、当たり牌なんやろ?それやったら和了らなあかんやん。点差もないのに見逃しとかなしやで」
京太郎「…」

うちの言葉に須賀君は答えへんかった。
まるで自分の殻に閉じこもるように俯き、表情を暗くしている。
それでも尚、牌を手放さへんのは須賀君が麻雀に真摯な男やからや。
少なくとも…うちはそうやって信じとる。
だから… ——

漫「しっかりし!須賀京太郎!!」
京太郎「っ!」

瞬間、会場内に響き渡るうちの大声に周囲からの視線が向けられた。
怪訝そうなもの、驚いたもの、それとは違う嫉妬の色。
それらが遠慮なく向けられる感覚は決して気持ちええものやない。
けれど、だからってそれにうちが怯えとったら、須賀君はもう二度と麻雀がでけへんかもしれへん。
それを考えれば、こんなところで立ち止まってられるはずがなかった。

漫「うちは逃げへんかったで!ホンマは怖かったけど…それでもやったで!」
漫「それなのに須賀君は応えてくれへんの!?うちからも麻雀からも逃げるん!?」
京太郎「…俺は…」
漫「(反応があった…!)」

これまで無言を貫いていた須賀君からの反応。
それに内心、喜ぶものの、次の言葉は出てこうへん。
多分、まだ須賀君は迷っとるままなんやろう。
だけど…それでもうちの言葉は確かにその心に届いとる。
なら…ここで勝負せんで何時するんや…!!


漫「俺は…何?何が言いたいの?」

出来るだけ優しい声音で上家の須賀君に問いかけ、そっと手に触れる。
瞬間、うちの手に伝わってきたのは信じられないほどの冷たさやった。
まるで冷や汗をびっしょり掻いた後のようなそこは可哀想なくらい硬くなっている。
極度の緊張か、或いは別の何かか。
どちらにせよ、この場にいる誰よりも須賀君が苦しんどる事は確かや。

京太郎「麻雀…したいです…したいのに…まだ…」

振り絞るようなその声には万感が込められていた。
自分への情けなさとうちらに対する申し訳なさ。
麻雀への欲求と不安。
その他、色々な感情が混ざったそれは正直、読み切る事なんてでけへん。
それは…きっと須賀君も同じなんやろう。
半ば、青ざめるようなその表情には困惑も強く浮かび、まるで迷子の子どものような印象をうちに与えた。

京太郎「すみません…すみません…」」
漫「…だったら…うちが手伝ったる」

そのまま震える声で答える須賀君にうちはそっと席から立ち上がった。
普段であればマナー違反として真っ先に咎められるその行為。
しかし、今のうちはそれを禁忌と思う事はなく、そっと須賀君の背中に回った。
そこから覗きこむ須賀君の手は三暗刻とトイトイの複合型。
勿論、既に聴牌していて…うちの打ったそれで和了れるはずやった。

漫「行くで。宣言は須賀君がするんや」
京太郎「あ…」

そう伝えるだけ伝えて、うちはそっと須賀君の両手を包む。
うちよりも大きくて硬いその手は瞬間、怯えるように震えた。
でも、決して牌からは逃げず、うちの手を受け入れてくれる。
それに一つ笑みを浮かべてから、うちはそっと牌を倒した。


漫「ほら、宣言」
京太郎「いや…でも…」
モブ1「…良く分からへんけど…宣言せえへんかったら進めへんよ」
モブ2「チョンボじゃない。…倒しちゃったからにはそれがルール」

それでも尚、逡巡を見せる須賀君に他の二人も言葉を紡いでくれる。
これまでのやり取りで須賀君に何かしらの理由があると気づいてくれたんやろう。
その表情はさっきまでよりも柔らかく、穏やかなものやった。
そんな二人の表情を交互に見ながら、須賀君はそっと俯き、そして… ——















京太郎「ロン。三暗刻トイトイドラ3!!」





漫「っ…!」

瞬間、うちは身体を硬くし、来るかもしれない『何か』に備えた。
須賀君は詳しい内容こそ教えてくれなかったものの、その推測が正しければここでうちに何かが起こるはず。
だからこそ、身構え、注意し、怯え、不安になったうちの身体に… ——

漫「…あれ?」
京太郎「え?」

何も起こらなかった。
数十秒ほど経って、辺りを見渡し、腕や脚を回してみるものの、特に異常はない。
手のひらを見つめて首を傾げても特に何か変わった様子はあらへんかった。

京太郎「う、上重さん、大丈夫なんですか?ね、熱っぽいとかそういうのは…」
漫「あらへんよ。ごく普通の状態や」

そんなうちを心配して椅子から立ち上がった須賀君に軽く答える。
しかし、須賀君はそれが信じられないみたいで、心配そうな表情を変える事はなかった。
その表情に偽りはなく、須賀君が嘘を吐いているとは到底、信じられない。
だからこそ、これが例外なのか、或いは先の少女の件が異常なのかはまだ確定じゃないけれど… ——

京太郎「ほ、本当に本当ですか!?む、無理してるとか…」
漫「ううん。本当に大丈夫。気にしすぎやで、もう…」

でも、須賀君が原因と言う可能性は少しだけ減った。
それを伝えるうちの言葉に須賀君の表情が少しずつ綻んでいく。
心配そうなものから、信じられないものへ。
信じられないものから、嬉しさへ。
そして…最後には…その目尻からポロリと何かがこぼれ出す。


京太郎「俺…麻雀して良いんですか…」
漫「当たり前やないの…もう…」

それを隠そうとして須賀君が制服でそっと目元を抑えるけれど、溢れる涙は隠しきれへんかった。
そんな須賀君に一つ笑いながら、うちは胸元からそっとハンカチを取り出す。
それで溢れるものを一つ一つ拭い去りながら、うちの胸にも安堵が沸き上がってきた。
流石に泣き出すほど思い悩んでいた須賀君には及ばへんと言っても、うちだって不安やったんや。
それが解消されていく感覚に思わず軽口の一つでも叩きたくなるくらいに。

漫「須賀君は泣き虫やね」
京太郎「…ずみません…」
漫「ええよ。それより、ほら、少し屈んで。顔拭けへんから」

そんなうちの言葉に従って、須賀君がそっと膝を折る。
幾ら須賀君がうちよりも二回り以上大きいと言っても、屈めばうちの方が大きい。
丁度、首元辺りに頭が来るその姿に可愛いと思ったのは失礼な話か。
とは言え、うちより大きな男の子が、うちより小さくなっていると言うのは何となく優越感を感じる。
その心が命じるままに、思わず須賀君の頭を撫でてしまうくらいには。

漫「(なんや…ちょっと硬いなぁ…)」

男の髪になんて触れた事ないから比較でけへんけど、それはうちのものよりは遥かに硬かった。
ほんの少し肌に突き刺さるような感覚さえ感じるそれは凄く新鮮で…そして妙に気持ちええ。
わしゃわしゃとかき乱したくなるその硬さにうちは少しずつ惹かれ、もっと撫でたくなってしまう。

モブ1「えーと…何が起こっとるのかまだ分からへんけれど…」
モブ2「…大胆」
漫「…え?」

そんなうちがその手を止めたのはポツリと呟く二人の声が耳に入ったからだった。
そこでふと冷静になったうちは周囲から視線がじっと向けられているのに気づく。
それは勿論、ついさっきまではまったく気にならず、意識の外へと放り投げられていたものだ。
しかし、今のうちにとって、それは意識せんなんてまったく無理な話である。
そうやって視線を意識しないで済むような覚悟がうちの中にはもうあらへんのやから。


郁乃「なんや…もう二人はそんな深い仲になったんかぁ」
漫「ち、ちゃいますって!誤解ですってば!」
郁乃「誤解?衆人環視の中、二人の世界作っておいて何が誤解なん?」
漫「う…それは…」

面白がっている代行の言葉にうちはちゃんとした反論をする事がでけへんかった。
実際、周囲の視線を気にせずに須賀君だけに意識を向けていたのは事実なんやから。
けれど、深い仲と言われるとやっぱり反発めいたものを感じるのは否定でけへん。

漫「(う、うち…そんなチョロい女とちゃうもん…)」

まぁ…その…百歩譲って須賀君と仲がええのは認める。
須賀君がきっと他の清澄部員にも言わへんかった事を漏らしてくれたんやから。
それを否定するのは須賀君にとても失礼やろう。
しかし、かと言って、代行が言うような『深い仲』にはまだいってへん。
出会って一日ちょっとで惚れた腫れたの関係になるほど、うちはチョロい女とちゃう。

郁乃「上重ちゃんがチョロいんか…或いは須賀君の手が早いんか…」
漫「だ、だから、ちゃいますって!そんな仲じゃないんですって本当に!」
郁乃「その割には須賀君を撫でる手は止まってへんやん」
漫「え…?」

代行に言われて驚きながら、そっと視線を下へと向ける。
そこには代行の言う通り、未だ須賀君の金色の髪を撫で続けるうちの手があった。
そこだけ別の意思で動いているようなそれにうちは微かな違和感を覚える。
まるで身体が須賀君から離れる事を拒否しているような…そんななんとも言えない違和感にうちは …——


郁乃「泣いてる彼氏を慰めるなんて青春やねぇ…」
漫「だ、だから…!す、須賀君も何か言うてえや!」

しみじみと言うような代行にうちが何を言っても無駄だ。
そう判断したうちは須賀君に助けを求める。
けれど、須賀君は未だ感極まって腕で目元を隠しているままやった。
恐らく後数分はマトモに何か言えるような状態にはなれへんやろう。
そんな様が可愛らしいと思う反面、自分が窮地に立たされつつあるのを悟った。

郁乃「はいはい。それじゃあラブラブカップルは置いといて、皆、麻雀するでー」
郁乃「サプライズイベントで注目したくなる気持ちは分かるけど、これはあくまで合宿やねんからな」

手を叩いて、周囲を本来の路線へと戻そうとする代行は有難い。
けれど、どうしてそれをほんの数分前にしてくれなかったのか。
お陰でうちらに対する視線はカップルに向けるそれに近くなっている。
嫉妬や怒り、そして羨望混じりのそれは到底、居心地がええとは言われへん。

郁乃「あ、上重ちゃんの罰ゲームは須賀君との事、聞かせてもらう、に変更な♪」
漫「そ、そんなん横暴ですやん!?」
郁乃「嫌なら負けなければええんや。それじゃ、頑張ってな〜」

そう言ってヒラヒラと手を振りながら、去っていく代行にうちはそっと肩を落とした。
最後の最後まで人をからかっていくその様に悔しいながらも何時も引っかかってしまう自分がいる。
そんな自分自身に一つため息を吐きながら、うちは同卓の二人にそっと向き直った。

漫「あー…その…ごめんな。中断して」
モブ1「気にしてへんよ。面白いもんも見れたし」
モブ2「中々に刺激的だった…次回作の参考にしたい」
漫「せんといて!?」

こんな醜態をネタにされたら羞恥プレイを通し越して、お天道さまの下を歩けへん。
そんなうちの悲痛な叫びを聴き逃しながら、二人が次の準備を始めてくれる。
それに心の中でだけ感謝を紡ぎながら、うちはそっと須賀君の顔を覗きこんだ。


漫「…落ち着いた?」
京太郎「えぇ…すみません…」

そう言って、立ち上がる須賀君の目はまだ少し赤かった。
しかし、その顔にはもう濡れた後は残っておらず、顔つきもしっかりしとる。
どうやら色々な事が吹っ切れたみたい。
それをはっきりと感じさせる顔つきはまぁ…悪いもんやなかった。
元々の顔立ちが整っているのもあって…ちょっぴり…まぁ、格好良く見えたり…見えなかったり…。

京太郎「おまたせしてすみません。やりましょう」
モブ1「もう大丈夫なん?」
京太郎「えぇ。もう逃げたりなんかしません。ちゃんと全力で皆さんと…麻雀と向き合います」
モブ2「…安心」

きっぱりと告げる須賀君に二人もまた笑みを浮かべて応えた。
その様は何処かぎこちなさが残るものの、さっきまでのギクシャクとした雰囲気はない。
どうやら二人も須賀君の事を許してくれたみたいや。
それに胸中で安堵を浮かべながら、うちもまた椅子へと戻る。

モブ1「さて…それじゃあ協力して漫飛ばさへんとな」
漫「な、何で!?」
モブ2「馴れ初めが気になるのは私も同じ。協力する」
漫「ちょ…あ、あかんてそんなん!卑怯やで!!」
京太郎「お、それじゃあ俺は上重さんに協力しましょうか」
漫「須賀君も乗らへんでええって」
モブ2「タッグマッチ…面白い」
モブ1「ふふん。うちとモブ2ちゃんとの絆は急造カップルには負けへんで」
漫「だから、カップルちゃうってばああ!」

そうやって他人に弄られるのはあんまり好きやない。
美味しい立ち位置と思う事はあるけれど、弄られ続けってのは疲れるんやから。
でも…今はそれが悪ぅないと思えるんは…須賀君も一緒になって笑ってくれてるからやろう。
さっきまでの陰鬱な雰囲気を全て振りほどいて見せるその顔に…うちは… ——

漫「(あれ?)」

瞬間、トクンと跳ねる心臓の鼓動にうちはそっと首を傾げた。
まるで不整脈にでもなったかのような微かでジィンと続く胸の痛み。
けれど、それは決して嫌やなくって、うちの胸で反響していく。
今まで経験した事のないそれに違和感を覚えながら、うちは麻雀に没頭していった。





………

……






漫「勝………ったぁぁぁっ!」

そう言ってうちがガッツポーズを取ったのは、最終局を一位で終えられたからやった。
何が良かったのか、アレからひたすら回りまくったうちは通算成績一位で今日という日を終えられたのである。
それは勿論、うちが罰ゲームを回避したという証であり… ——

モブ1「くぅぅ…悔しい…!」
モブ2「昨日だったら勝ててた…」
漫「ふふん…!負け惜しみしか聞こえへんわぁ♪」

昨日の雪辱を最高の形で果たしたうちにとって、二人の悔しそうな声はとても心地ええ。
思わずその場で踊りだしたくなるくらいやけれど、流石にそんな煽るような真似はでけへん。
二人は同学年って事もあり、そこそこ仲のいい友達やねんから。
それでも抑えきれない喜びの表情を浮かべてしまうけれど、それはまぁ、仕方のない事やと思う。

モブ1「にしても…須賀君は昨日が嘘みたいな振り込みっぷりやったねぇ…」
京太郎「あ、あはは…」

モブ1ちゃんの声に渇いた笑いで答える須賀君の成績はボロボロやった。
何度かうちの満貫手以上に振り込み、箱割れも相次いだくらいやねんから。
通算成績は文句なしの四位であり、一人だけ沈んでいるに近い状態やった。

漫「(それでもその表情が明るいんは…ちゃんと勝負出来たからやねんな…)」

昨日までは勝負すら出来ず、逃げ回っていた須賀君。
その成績こそ二位やったけれど、それでもその表情は暗かった。
それに比べると今の須賀君はとても晴れやかでええ顔をしとる。
まるで男として一皮むけたみたいにキラキラと輝いてる…なんて言うのは流石に乙女チックが過ぎる話やろか。


モブ2「和了った数よりも振り込んだ数の方が多い。要練習」
京太郎「精進します…」

そんな須賀君を弄る二人の顔には最初のような身構えはない。
アレから昼休み、そして夕食を超えて今日だけで十時間近く顔を突き合わせとったんや。
蟠りの原因であった須賀君のトラウマが解消された今、仲良くなるのには十分過ぎる。
元々、須賀君が人懐っこい性格をしているのもあって、目に見えて打ち解けているのが分かった。

漫「はいはい。須賀君、あんまり虐めたらあかんよ」
モブ1「なぁに?漫ちゃん嫉妬しとるん?」
モブ2「束縛しすぎる女は嫌われる」
漫「ち、ちゃうわ!」

明らかにからかっているのが分かるとは言え、カップル扱いされるとやっぱり恥ずかしい。
まぁ…今まで敵意剥き出しだったのに調子が良いと思わなくはないけれど、それは嫉妬やない。
ちょっと…まぁ、面白くないだけであって、別に独占欲とかそんなんちゃう。

モブ1「須賀君が恐妻漫ちゃんに怒られたら可哀想やし、うちらはここで退散しよか」
モブ2「後は若いお二人でしっぽりぬふふ」
漫「何処のお見合いやねん…ていうかモブ2ちゃんは何言うとるん…」

そう言って立ち上がる二人に言うものの、二人がそれに答える気配はない。
モブ1ちゃんは今にも口笛吹きそうな顔で明後日を見とるし、モブ2ちゃんの表情は殆ど変わらへん。
割りと掴みどころのない友人二人のそんな姿にうちがそっと肩を落とした瞬間、二人が須賀君へと向き直った。

モブ1「後…色々と酷い事言ってごめんな。明日もよろしく!」
モブ2「ごめんなさい。…それじゃ」
京太郎「あ…」

そのまま振り返らずにスタスタと歩いて行く背中に須賀君は見送った。
何も言えず、そっと手を伸ばすその姿からは何か言いたいと言う気持ちが伝わってくる。
しかし、結局、須賀君は何も言えへんまま、二人の姿がそっと視界の向こうへと消え去った。


漫「あの二人も気恥ずかしいんや。許したげて」
京太郎「そんな…許すだなんて…悪いのは俺なんですから…」

そう肩を落とす須賀君に痛々しいものを感じるものの、それはトラウマを克服する前よりも遥かにマシやった。
自分を責めとるのは確かやけれど、それは顔色を悪くするほどのものではないんやろう。
それに安堵する一方で、何とかしてあげたいと思うんも事実やった。

漫「(でも…なぁ…)」

うちは須賀君が理由があってそうしたって事を知っとる。
けれど、それでも須賀君が悪いやなんて口が裂けても言えへんかった。
須賀君にもっと勇気があれば、こんな風に事態がこじれる事はあらへかったんやから。
勿論、だからって須賀君の事を悪いなんて言うつもりはあらへん。
かと言って、全肯定してあげられるほど、須賀君に問題がない訳でもなくって… ——

京太郎「それにしても、やっぱり上重さんは凄いですね!」
漫「そ、そうやろうか…」

そんな事を考えている内に須賀君が尊敬するような目でうちの事を見た。
最初の頃を彷彿とさせるようなキラキラと輝くその視線にこそばゆいもんを感じた。
けれど、それ以上に大きいのは嬉しいと言うプラスの感情。
こうやってハッキリ褒められるのに慣れてへん所為か、それはすぐにうちの胸に埋め尽くしてしまう。

京太郎「ガンガン凄い手で和了っていく様はまさにインターハイを彷彿とさせるくらいでしたよ」
漫「せ、せやかて…須賀君かてそんなうちから何回も和了をとってるやん」

通算成績で言えば、四位と言う結果になったものの、うちの放銃先は殆ど須賀君やった。
あまり大きな手に振り込む事はなかったので点差が縮まる事はなかったし、また須賀君を銀行にしとったんはうちだけやない。
他の二人相手にも結構振り込んでいたが故に、一人だけ大きく沈む形になってしもうた訳である。


漫「(でも…おかしいなぁ…)」

今日のうちは自分でも冴えすぎて怖いくらい冴えとった。
欲しい牌はほぼ確実に手に出来たし、須賀君以外に振り込んだ事なんて片手で数えるほどしかない。
それは偏に強敵相手と戦って研ぎ澄ました勘が働きに働きまくったからや。
けれど…それがどうしてか須賀君相手には働かへんかった。
いや、働いた事は働いたんやけれど…全部、裏目裏目に出てしまって、須賀君のロンを呼び込んでしもうとる。

京太郎「多分、運が良かったんですよ。実力的には大きく離れている訳ですし」
漫「そうやろか…」

勿論、須賀君とうちじゃまだそこそこの実力差がある。
決して勝てへんレベルやないけれど、そうそう負けへんレベルの実力差が。
しかし、まるでそれを埋めるようにしてうちは須賀君に振り込みまくっとった。
と言うか…ツモ和了以外の須賀君の和了は殆どうちの放銃なのである。
決して運の良さでは説明出来ないそれにうちはそっと小首を傾げた。

京太郎「でも、明日は負けませんよ!せめて一度くらいは一位を取ってみせます」
漫「ふふ…っ♪期待しとるで」

けれど、その疑問も笑顔で握り拳を作る須賀君を見ると消えていく。
それに須賀君には何のオカルトもないって分かったんや。
きっと気のせいやろう。

漫「さて、それじゃうちもお風呂入ってくるかなぁ…」

時計を見れば、もう十時前や。
特に就寝時間や消灯時間が決められとる訳やないとは言え、夜更かししすぎると明日に関わる。
明日は合宿最終日で…須賀君と打てる最後の日なんや。
今日みたいに目元にクマ作って、会うなんてみっともない真似はしとぅない。
まぁ…部屋に帰ったらきっと質問攻めで寝させてもらえるか分からへんけれど…な、何とかなるやろ多分。


京太郎「うす。俺もそうしますか」
漫「なんや、須賀君もうちと一緒にお風呂入るん?」
京太郎「上重さんが良いなら是非とも」
漫「うーん…うちはええけど他の子がなぁ。他の子からの許可を取ってからにしてぇや」

そんな不安も打てば響くと言うような須賀君とのやり取りで消えていく。
この二日間で耐性を得た須賀君はよっぽどの事がない限り、ブレないし、焦らない。
それどころか、こうやってノッて来て、隙あらばうちを弄り返そうとする。
そんな成長が寂しい反面、とても嬉しいのはうちらの立ち位置が確立しつつあるからやろう。
ちょっと色々あって時間が掛かったものの、うちらはようやく自分たちらしい関係を手に入れる事が出来たんや。

京太郎「でも、上重さんが入り口で言ってましたけど…家族風呂って選択肢もあるんですよね」
漫「う…そ、そう来たかぁ…」
京太郎「今から予約取りに行けば大丈夫ですよ、きっと」キリッ

確かに三連休と言っても見る限り宿泊客は少ないし、家族風呂の予約も取れてもおかしゅうない。
一部の温泉地では親子じゃないと入れへんみたいやけど、さらっと見たパンフではそんな指定はなかった。
きっとうちと須賀君でも予約は取れるし、貸してもらえるやろう。
そう思うと何故か無性に胸の奥が熱くなり、クラリとしそうになった。

漫「で、でも、うち水着持っとらへん…」
京太郎「貸出のサービスとかもありますって」
漫「う…せ、せやけど…その…は、恥ずかしいやん…」カァ
京太郎「…」

それを正直に口にするのは正直、癪や。
けれど、ここでノってしまうとなし崩し的に一緒にお風呂って事になるかもしれへん。
それにうちはここまで傾いた盤面で須賀君に一矢報いられるほど、鉄面皮でも経験豊富でもない。
それだったらここは恥ずかしいけれども…敗北宣言をして流すのが一番なんやろう。


漫「な、何なん?急に黙りこんで…」
京太郎「いや、すみません。すっごいぐっと来てました」
漫「ぐっ…?」
京太郎「上重さんが可愛かったって事ですよ」
漫「んなっ」カァ

さっきとは別の意味で顔が赤くなるのを感じるうちの前で須賀君がニコニコと笑っている。
何処か悪戯っぽいその表情にうちはまたからかわれた事を知った。
しかし、それだけではない…と思うんは、須賀君の頬も少し赤くなっとるからやろう。
からかっている素振りを見せつつも、うちの事を本気で可愛いと思うてくれとるんは事実なんかもしれへん。
そう思うと妙に嬉しくて、唇を尖らせようとするうちの頬が緩んだ。

漫「ホント、たらしやわぁ…」
京太郎「上重さんに鍛えられましたから」
漫「女をこますやり方なんて教えたつもりはないねんけどなぁ…」
京太郎「じゃあ、上重さんがあんまりにも魅力的だから、本能的に覚えたんですよ」
漫「つまり…本能的な須賀君はこれからうちをお持ち帰りしようと?」
京太郎「勿論、そのつもりですよ」
漫「ふぇ…?」

てっきり冗談だと思っていたやりとり。
その最中、急に真面目な顔になった須賀君がうちの手をそっと掴んだ。
瞬間、硬くて大きなその手の感触にうちの胸がドキンと跳ねてまう。
朝には自分から手をとって引っ張っていったものの、こうやって相手から掴まれるとまた違った。
包むのではなく、包まれるそれに安堵とも安心とも言えない暖かさを感じて、うちは呆然と須賀君を見上げる。


京太郎「今日も俺の部屋に来るんですよね?」
漫「え…い、いや…でも…今日は…別に罰ゲームあらへんし…」
漫「そ、それに…幾らなんでも二日連続は拙いやろ?お互い噂が立っとる身の上やし…」
京太郎「そんなの初日で全部、吹っ飛んじゃいましたよ」
漫「(ま、マジ顔やあああああ!?)」

言い訳を並べ立てるうちの言葉にも須賀君は真剣な表情を崩さへん。
いや、それどころかずいっと迫るように乗り出し、うちを逃がすまいとしている。
そのなんとも言えない居心地の悪さとドキドキ感に頭が揺れ、どうしたら良いのか分からなくなってしもうた。

京太郎「ね…上重さんも好きでしょう?」
漫「い、いや…き、嫌いやあらへんけど…で、でも…もうちょい時間が欲しいって言うか…」

須賀君に好意的なものを感じとるのは事実やし、決して嫌いやあらへん。
嫌いやったら、自分の身を犠牲にしてまで須賀君の潔白を証明してやろうなんて思わへんもん。
うちはそんな聖人やないし、ごくごく普通の女子高生や。
けれど、それが異性の情交じるものかと言われたら、正直、断言は出来へん。
も、勿論、うちは二日で惚れるほど軽い女ちゃうし、須賀君とは仲のええ友人って今の立ち位置が心地ええと思とる。
でも…自分の中にそんな感情が絶対にないとは…正直… ——

漫「(だ、だって…須賀君…色々とほっとけへんもん…)」

優しくて、気遣い上手で、でも…巨乳好きを公言するくらいエッチでヘタレ。
そんな何処にでもいる男子高校生を一度でも意識した事がないかと言えば…答えは否やった。
冗談のようなやり取りを含めれば、ドキリとさせられた回数は両手の指や足りひんくらい。
それを口に出すのは癪で、絶対に認めたくないけれど…まぁ…その…うん。
そう言う…事…なんかもしれへんとは…自分でもちょっとは… ——


漫「(だ、だったら…ここで答えへんかったらあかんやん…)」

そうは思うものの、自分の中でまだ答えの出てないものを口に出すなんて出来へん。
自分で吐いた言葉に責任取れへんのは、須賀君にも自分にも不誠実な話や。
けれど、折角、こうして迫ってくれているのに何もしないで良いのかという気持ちもあって…うちの中でグルングルンと回る。
そんなうちの前で須賀君は真剣そうな表情のまま、ゆっくりとうちの腕を顔の前に持ってきた。
まるで今にもうちの手にキスしそうなくらい近いそれにうちの胸がまた反応してしもうた瞬間… ——

京太郎「じゃあ、風呂あがりにしますか。…ハーゲンダッツ」
漫「へ?」

なんで風呂あがり?
ま、まさかエッチな事するん?
あ、あかんて…まだ流石にそれは早いって。
って…何でダッツなん?
ま、まさかアイスクリームプレイとかそういう奴…?
そんな食べ物を粗末にするような事…い、いや…でも…須賀君の汗が混じったダッツはちょっと気になるって言うか…。
や…や、ちゃうで!?
そういうエッチな意味やのうて…こ、好奇心的な意味で…!!

京太郎「…」
漫「…」
京太郎「…」ニヤッ
漫「…」カァァァ

そんな言葉が脳裏に浮かぶうちの前で須賀君が勝ち誇ったようにニヤリと笑った。
瞬間、うちはからかわれた事を理解し、怒りと悔しさに顔が真っ赤に染まっていく。
そのまま須賀君に握られた手をプルプルと震わせるものの、須賀君の表情は変わらへん。
うちの怒りなんてまったく大した事ないと言わんばかりのそれにうちの中でブツリと何かが切れた。


漫「す、須賀君のあほおおおおおお!!!おたんこなす!ヘタレ!!巨乳好き!!!」
京太郎「ちょ!う、上重さん!!」
漫「乙女の純情弄ぶのもええかげんにしてや!もう!もう!!!」

叫ぶようなうちの声にまだ会場に残っていた面々から視線が向けられる。
しかし、それらはうちに対しては同情的で、そして須賀君に対して敵意を孕むものやった。
それも当然やろう。
ついさっきまで仲良さげに話しとった男女がいきなり喧嘩し始めたんやから。
その上、女であるうちが一方的に須賀君を糾弾していれば、女ばかりの集団としては男に敵意が向くのが普通や。
そうまだ何処か冷静な頭が理解しながらも、うちの怒りは止まらへん。

漫「うー…うー…」
京太郎「あ、あの…上重さん…」
漫「…親しげに呼ばんといて」
京太郎「ぐっ…」

刺のある声でそう言うものの、須賀君の傍から離れへん辺り、うちも素直やない。
多分、怒ってはおるんやろうけれど…本気じゃないんやろう。
本気で怒っとるなら須賀君に握られた手やって振り払っているはずや。
それもしないって事は…多分、うちは照れ隠しみたいな怒り方をしとるだけなんやろう。

漫「ツーン」
京太郎「えっと…すみません。狼狽える上重さんがあんまりにも可愛くって…」
漫「ツーン」

とは言え、易々と須賀君を許すつもりなんかあらへん。
うちの純情を弄んだのは事実やし、恥をかかされた事は忘れらへんのやから。
もうちょっと反省して貰わなうちの面子が立たへんし…それに何より癪や。
思いっきり良いように弄ばれた分、幾らか言質を取るまで拗ねるのを止めるつもりはなかった。


漫「ツーン」
京太郎「調子に乗った事は謝ります。俺がホント、悪かったです。軽率でした!」
漫「ツーン」
京太郎「お、お詫びに何でもやります!上重さんの命令なら何でも!」
漫「…」
京太郎「だ、だから、機嫌直して貰えませんか…?」
漫「(うーん…)」

周囲の刺すような視線に耐えかねてか、須賀君の口から殊勝な言葉が飛び出る。
しかし、怒っとるのは確かやけれど、何でもするとまで言われると気が引けた。
そこまで反省されると本気で怒っていた訳じゃない身としては、逆に申し訳なくなってしまうんや。
とは言え、それをはっきり口に出すとまた須賀君を調子づかせるみたいで面白うない。

漫「…何でもするんやな?」
京太郎「は、はい。俺に出来る事なら何でも!」

確認するように言ったうちの言葉に須賀君の顔が綻んだ。
それは多分、ようやく反応らしい反応を貰えたからなんやろう。
しかし…その様がようやく主人に構って貰えた大型犬を彷彿とさせるのはうちだけやろうか。
愛嬌と力強さ、そして優しさが同居するその姿は…何となくゴールデンレトリバーっぽく見える気がしてならへん。

漫「(そうやな…よし)」
漫「じゃあ、須賀君は今から犬な」
京太郎「…は?」
「」ガタッ
漫「??」

そう言った瞬間、須賀君が訳が分からないような顔をして、遠くの方で誰かが立ち上がる気配がする。
須賀君の大きな身体で視界が遮られて分からないものの、まぁ、今はそれに構っている余裕はない。
ここで一気に畳み掛けて須賀君に有無を言わさず、条件を飲ませなければいけへんのやから。


漫「合宿終わるまでうちに絶対服従。ええな?」
京太郎「い、いや…」
漫「返事はわんやで♪」
京太郎「わ、わん…」

気圧されるように『返事』を口にする須賀君にうちは内心、ガッツポーズを取った。
さっきの醜態は痛くて仕方がないものだが、こうして須賀君を犬扱い出来る事で相殺や。
その上、合宿中に言う事を聴かせるオプションまで呑ませたんやから、文句のつけどころのない大戦果ってトコやろう。
それに大きく調子づいたうちはそっと須賀君の手を払い、その頭を撫でてあげた。
まるで誰が上で誰が下なのかを教えるようなその仕草に、うちの背筋はゾクゾクと寒気に似た何かを這い上がらせる。

漫「ふふ…♪ちゃんと言う事聞いてたらご褒美あげるかもしれへんよ」
京太郎「ご、ご褒美ですか…」ゴクッ
漫「何?またエッチなの想像しとるん?」

まるで痴女か悪女のようなセリフに須賀君が生唾を飲み込む音がうちにははっきりと聞こえた。
それに頬が綻ぶのを感じながら、うちはそっと尋ねる。
勿論、そうやって期待させるのが目的なんやねんから、それは白々しいにも程がある言葉や。
とは言え、須賀くんには効果抜群やったみたいで、その顔に羞恥の色が強く浮かんだ。

漫「犬扱いやのに期待するとか…須賀君はエッチなだけやなくって変態なんやねぇ♪」
京太郎「し、仕方ないじゃないですか。男なら誰だって期待しますよ!」
漫「そうやろうか…須賀君だけちゃうん?」

恥ずかしそうに反論する言葉も勿論、聞き入れない。
だって、今のうちは須賀君のご主人様やねんもん。
うちの手のひらで転がされるだけの『オモチャ』の言葉なんか真剣に受け入れる必要なんかない。
どれだけ正論だと思っていても、それはそのまま須賀君を詰る言葉へと変える。


「上重先輩凄い…」
「漫さん…あ、あんな顔もするんや…」
「ぐぬぬ…京太郎め…」
「京ちゃん…不潔だよぉ…」
漫「あー…」

瞬間、湧き上がった周囲の声にうちはちょっとだけ冷静に戻った。
須賀君を侍らせる権利を手に入れた事で浮かれすぎて忘れていたが、ここは衆人環視の中なんや。
そんな中、あんなやり取りをしていれば、そりゃ注目を集めるやろう。
それをようやく思い出したうちの顔が羞恥に赤くなり、何であんな事をしたのかという後悔が胸の底から湧き上がる。

漫「と、とりあえず!うちはお風呂行ってくるから!!」
京太郎「わ、分かりました。じゃあ、俺は外で待ってますね」
漫「な、何でなん!?」
京太郎「え…い、いや…だって、俺は犬ですし…」

混乱するうちの言葉に須賀君がまた予想外な言葉をくれる。
それに驚きながら声をあげれば、須賀君はなんともまぁ尤もな言葉を返してくれた。
確かにこのタイミングで行き先まで告げたら、そりゃあ待っていろと言う意味に取られてもおかしゅうない。
さっきまではさっきまでだっただけにうちが完全に墓穴を掘ったようなものやろう。

漫「そ、そういうのええから!…とりあえずハウスな!ハウス!!」
京太郎「は、はい…」

そんな自分の失敗が恥ずかしくて、照れ隠しに手で『しっし』とばかりに払ったのがいけなかったんやろう。
須賀君は目に見えて気落ちした様子で、そっと肩を落とした。
まるでシュンと言う擬音すら聞こえてきそうなそれに良心がズキリと痛み…そして胸の奥から何かが沸き上がってくる。
何処かドロドロとしたそれから目を背けるようにして、うちはそっと立ち上がった。

漫「あ、後で行くから…ちゃんとダッツ用意しといてや」
京太郎「あ…はいっ」パァ
漫「う…そ、それじゃまた!」

まるでご主人様に構われた大型犬のようなその嬉しそうな表情にドロドロとした何かが強くなる。
未だ自分の中で定義出来ないそれに、うちは逃げるようにその場から立ち去ろうとした。
そんなうちに周囲から様々な視線が送られるものの、それを一々、分析するほどの余裕はない。
ドキドキとうるさいくらい跳ねる鼓動とお腹の奥で渦巻くような何かを抑えるので精一杯で… ——

— だからこそ、うちはその正体に気づくのが遅れて…事態は取り返しのつかない方向へと転がっていった。





………

……





漫「あー…ええ湯やったんやけれどなぁ…」

そうポツリと呟くうちの周りには誰もおらんかった。
温泉で質問攻めにされたうちは洗うだけ洗って、とっとと上がり、こうして一人、歩いている訳や。
正直、衆人環視の元で色々やってしもうた自業自得やと分かっとるんやけれど、理不尽なものを感じてしまう。

漫「(まぁ…後で入りなおせばええ話か)」

温泉をかなり売りとして出している所為か、この旅館の露天風呂は深夜でも開いとる。
明日は朝から昼間で麻雀打って、その後、自由行動やから、その時にでも入り納めをするのもええやろう。
或いは須賀君の部屋に寄った後でも… ——

漫「(う…何なんやろ…もう…)」

須賀君の事を思い浮かべた瞬間、胸がトクンと跳ねて、お腹の奥が苦しくなる。
苦痛とも痛みとも違うそれを表すのに一番、相応しい言葉は『渇き』や。
まるで何かを欲しているのに、それが決して充足しない不満がグルグルと渦巻いとる。
須賀君と離れてから加速度的に大きくなっているそれにうちが何度、気を取られたか分からへんくらいや。

漫「(100%嫌なものやない…ってのは分かるんやけどなぁ…)」

寧ろ、それは自分でも理解出来ない大きな欲求であり、それが充足した時に幸福感に包まれる事が何となく分かる。
けれど、うちの身体が何を求めてるのか、まったく分からへんままやった。
お腹が空いてるのかと思って、お菓子もジュースも飲んだけれど、まったく満たされへんままや。
それでいてジリジリと爆弾の導火線が少しずつ焼けていくように焦りばかりが大きくなっていくんやから手に負えへん。
それが悔しくて一つため息を吐くものの、状況がまったく改善される事はなかった。


漫「(でも…須賀君…かぁ)」

そう胸中で呟いた瞬間、身体がジィンと熱くなる。
マトモに湯船に浸かれへんかったうちの身体を芯から温めるようなそれはとても心地ええものやった。
思わず脚を止めて反芻してしまうくらいのそれにそっとため息が漏れる。
けれど、それはさっきのものとは違い、何処か艶っぽいものやった。

漫「(欲しいな…)」
漫「えっ!?」

瞬間、自分の中で浮かんだ言葉に思わず驚きの声をあげてしまう。
それに周囲から怪訝そうな視線が集まり、うちの顔が羞恥に染まった。
けれど、それでも、さっき、心の中に浮かんだ形ある欲求は消えてはくれへん。
まるでうちの胸の中にこべりついてしまったように、ジンジンとそこを疼かせる。

漫「(ほ、欲しいって…何がやな…)」

再び歩き出して胸中で紡ぐその言葉は自分でも白々しいと思うほどやった。
幾らうちがそう言った経験がないと言うても…こうしてはっきりと言葉になると目を背けてられへん。
けれど、うちにとって、それは絶対に認めたくないものやった。
だからこそ、うちはそれを振り切るように脚を早め、半ば駆け出すように進み… ——

漫「あ…」

そして、気づいた時には須賀君の部屋の前にいた。
まるで自分の身体そのものが須賀君を求めているようなそれにうちは頭を振る。
ブルブルと水気を飛ばすようなそれでも、うちの中に浮かんだドロドロとした欲求はなくならへん。
寧ろ、こうやって扉と向かい合っているだけで、少しずつうちの中を侵食し、溶かしていく。
その何とも言えない不快感と快感にうちが自分を守るように肩を抱いた。


京太郎「あれ?上重さん?」
漫「っ!!」

瞬間、後ろから聞こえた声にうちは弾かれたように振り返った。
そこに居たのは昨日と同じく浴衣姿になった須賀君で、身体から湯気が立ち上っている。
ついさっきお風呂からあがった事が一目で分かるその姿に、うちの目は惹きつけられた。
雑用で鍛えられたのか、その身体は意外なほど引き締まっているのが浴衣の上からでも目に見えて分かる。
特にうちの目を引くのは浴衣から覗く硬そうな胸板や。
赤く茹だり、まるで興奮しているみたいなそこはとても美味しそうで…今にもむしゃぶりつきたく… ——

漫「(う、うちは何考えとるん!?)」

昨日はそんな事まったく考えなかった。
確かに思ったより浴衣が似合っているな、とは思っていたけれど、それだけや。
そんな踏み込み過ぎなくらい踏み込んだ事なんて欠片も考えてへん。
だけど…今のうちはまるで痴女みたいな事ばっかり浮かんどる。
そんな自分に軽蔑する感情すら感じるが、それでどうにかなるようなレベルはとうに超えとった。

漫「(う、嘘や…うち…うち…)」

そんなうちの中でメラメラと燃えるような何かが湧いてくる。
肌を内側からチリチリと焦がすようなそれは紛れもなく興奮や。
それと同時に…自分でも信じがたい事やけれど…ムラムラしとる…。
まるで須賀君の事が欲しくて堪らないみたいに…うちは…欲情してるんや。


漫「(あぁ…そっか…うちは…須賀君が…ぁ♪)」

自分でも半ば予想しておったその事実。
それがはっきりと言葉になった瞬間、うちの中の『何か』にビシリと亀裂が入った。
まるで自分を形成する中でとても大事なものが壊れそうになっているようなその恐怖にうちはその場に蹲る。

漫「はぁ…っ♪」
京太郎「ちょ…大丈夫ですか!?」
漫「(あ…あかん…来たら…あかん…っ)」

まるで膝から崩れ落ちるようなうちに須賀君が駆け寄ってくれる。
けれど、うちはそれに本能的な強い恐怖を感じた。
内心、嬉しく思っとるのに、何でそんなものを思うのか、自分でも分からへん。
でも…今だけはあかん。
他の時はええけれど…今、触れられたら…きっとうちは…うちは……ぁ♥

漫「ひ…ぅぅ…っ♪」

しかし、そんな祈りも届かず、須賀君の手が今にも崩れそうなうちの肩を支える。
そして…瞬間、うちの中が爆発したような熱気が湧き上がり、身体を熱くした。
今までのうちを形作っていた何もかもを焼きつくし、ドロドロにして新しく作りなおすそれに…うちは悦びすら感じていた。
まるで今から生まれ変わる自分が素晴らしいものであるようなそれに…ビシリとひび割れていた『何か』が崩れ…跡形もなくなっていく。

京太郎「う、上重さん!?」

そんなうちの顔を覗き込みながら、心配そうな表情を見せる須賀君。
その胸に抱き寄せられるような姿勢はとても安心して、そして気持ちええ。
だけど…今のうちはもうそんなものじゃ、我慢でけへんかった。
うちは…もっと…もっと……ぉ♥











※これ以降の漫ちゃんの性癖を決める大事な安価です。


1.もっと甘えたいと思った。
2.もっといじめたいと思った。



>>830

お前らそんなに押せ押せ漫ちゃんみたくないのか!!!
OK!そんなに言うなら小ネタで書いてやんよおおおお!!!
冗談はさておき、了解。
それでは今日はこれで投下終了です。
お疲れ様でした。

お前ら…よし。待ってろ。
今から2を選ばなかった事を後悔させるような小ネタ書いてやんよ!!(シュッシュ)
あ、ちなみに本編とはまったく関係ありません。



漫「須賀君ってイケメンやんな」

京太郎「何ですか。いきなり」

漫「いや、顔見てたらふとそんな事思うて」

京太郎「嬉しいですけど、その割にはモテた事ないんですよねぇ…」

漫「こうがっつきすぎなんちゃう?」

漫「未だにうち相手でもおっぱい見とるしなぁ」ニヤッ

京太郎「し、仕方ないじゃないですか」

京太郎「実際、こればっかりは男の性なんです」

漫「須賀くんのは行き過ぎやと思うけど…かなり露骨やし」

京太郎「うっ…」

漫「もうちょっと紳士的に行けば、モテると思うよ」

漫「そや。経験積めばええんちゃう?」

京太郎「んな経験つませてもらえるような相手居ませんって」

漫「うちがおるやん」

京太郎「…え?」

漫「うちが色々と経験させてあげんで?」

京太郎「は、はぁ!?」

漫「あ、勿論、振りやで振り」

漫「流石に練習で色々と初めてを捧げるつもりはあらへんし」

漫「まぁ、須賀君が本気なんやったら考えてもええねんけれど?」チラッ

京太郎「(あ、またこれ挑発してるな…)」

京太郎「(こういうの止めた方が良いって言ってるのに…もう)」

京太郎「(仕方ない、ちょっと付き合ってまた怯えてもらうか…)」

京太郎「良いですよ。じゃあ…何からさせてもらえるんです?」

漫「せやねぇ…」


漫「まずは恋人同士の定番である恋人つなぎやろ!」

京太郎「まぁ、それくらいなら…」

漫「はい。じゃあ、これ」スッ

京太郎「それじゃお手を拝借しますよ、お姫様」ギュッ

漫「ふふん。ちゃうで」

漫「今のうちは女王様や」ドヤァ

京太郎「女王って柄には見えないですけどね」

漫「あー言うたなぁ!」

漫「まぁ…それよりどう?」

京太郎「んー…いや、特には」

京太郎「別にまったく女子と接触ない訳じゃないですし…」

京太郎「(咲の手はもう何回も引っ張ってたりしなぁ…)」

漫「ふむ…そうかぁ…」

漫「じゃあ、次やね、次」


京太郎「次って何するんです?」

漫「そんなんキスに決まってるやん?」

京太郎「は?」

漫「あ、勿論、振りやって振り」

京太郎「い、いや、振りでも不味いでしょそれは!?」

漫「大丈夫大丈夫。雰囲気味わうだけやから」ズイッ

京太郎「ちょ…ちょ!?近いですってば!」

漫「そりゃキスするんやから当たり前やん?」

漫「ほら、ええから目ぇ閉じて」

漫「うちに任せたら大丈夫…やから…ね?」

京太郎「う…う……」パチリ




京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……?」

京太郎「……」チラッ

漫「やっほ」

京太郎「……」

漫「……」

京太郎「からかったんですね?」

漫「うん♪」ニコー

京太郎「」イラッ

京太郎「あぁ!もう!今日という今日は許しませんから」ドサッ

漫「きゃん♪」

漫「もう…乱暴やで、須賀君」

漫「女の子は弱いんやからもうちょっと丁寧に扱わんと」

京太郎「ふふ…そんな事言ってられるのも今のうちですよ」

京太郎「もう俺はキレました。バーニングです」

漫「へぇ…それじゃ何するん?」

京太郎「勿論、さっき貰えなかったキスをするんですよ」ズイッ

漫「ふぅーん」

京太郎「…信じてないですね」

漫「そりゃ今までの須賀君見てたらなぁ…」

漫「どうせ途中でヘタレるのは目に見えとる話やし?」

京太郎「む…そ、そんな事ないですよ!」

漫「じゃあ、御託はええからさっさとすればええんちゃう?」

京太郎「う…う…」オソルオソル

京太郎「し、しますよ?本当にしますよ?」

漫「うん…したらええやん?」

漫「うちのファースト・キス乱暴に奪ったらどう?」

京太郎「ぅ……」

京太郎「……」

漫「……」

京太郎「……」

漫「…まだ?」

京太郎「いや…・その…」

漫「…もう…」グイッ

京太郎「おわっ」チュッ

漫「…あは…してもうたなぁ…:

京太郎「あ、あわわわ…」

京太郎「し、してもうたじゃないですよ!?」

漫「だって、須賀君がやらへんねんからしゃあないやん」

京太郎「出来る訳ないじゃないですか!」

漫「だから、須賀君はヘタレやねん」

漫「女の唇くらい自分の手で奪わへんかったらあかんで」

京太郎「い、いや…ですけど…」

漫「それにうちを恥ずかしがらせたいんやったら、こんなもんじゃ足りひん」

京太郎「え…?」

漫「」スルッ

京太郎「ちょ!?な、何で脱いでるんですか!?」メカクシ

漫「だって、須賀君、うちに仕返ししたいんやろ?」

漫「それやったらこれくらいやらへんかったらあかんって」

漫「流石のうちでも処女を奪われたら動揺すると思うで」

京太郎「い、いや、それもう冗談の域を超えてるじゃないですか!?」

漫「冗談?なにを言うとるん?うちは須賀君の事からかっとるだけやで」

漫「でも…こんな事してたら…須賀君に襲われてもしゃあないやろなぁ…」チラッ

京太郎「う…」

漫「さぁ…須賀君がどうするん?」

漫「うちの事…からかってくれる?」

漫「それとも…本気で抱いてくれる?」

漫「うちはどっちでもええで…♥」

漫「どの道…本気にさせるつもりやしな♥」









発情タイプ:エロお姉さん

2だとこんな感じになる予定だった。
エロ?安価選ばなかったのが悪い!!

うぎゃあ、途中送信!
それじゃあ、今日はTさん応援してから寝まする。

また酉外れてた俺ェ…
お詫びに投下後、余ってたら小ネタやりまする
では投下ー



漫「はぁ…っ♪」
京太郎「ちょ…大丈夫ですか!?」
漫「(あ…あかん…来たら…あかん…っ)」

まるで膝から崩れ落ちるようなうちに須賀君が駆け寄ってくれる。
けれど、うちはそれに本能的な強い恐怖を感じた。
内心、嬉しく思っとるのに、何でそんなものを思うのか、自分でも分からへん。
でも…今だけはあかん。
他の時はええけれど…今、触れられたら…きっとうちは…うちは……ぁ♥

漫「ひ…ぅぅ…っ♪」

しかし、そんな祈りも届かず、須賀君の手が今にも崩れそうなうちの肩を支える。
そして…瞬間、うちの中が爆発したような熱気が湧き上がり、身体を熱くした。
今までのうちを形作っていた何もかもを焼きつくし、ドロドロにして新しく作りなおすそれに…うちは悦びすら感じていた。
まるで今から生まれ変わる自分が素晴らしいものであるようなそれに…ビシリとひび割れていた『何か』が崩れ…跡形もなくなっていく。

京太郎「う、上重さん!?」

そんなうちの顔を覗き込みながら、心配そうな表情を見せる須賀君。
その胸に抱き寄せられるような姿勢はとても安心して、そして気持ちええ。
だけど…今のうちはもうそんなものじゃ、我慢でけへんかった。
うちは…もっと…もっと……ぉ♥

漫「(もっと…甘えたい…っ♥)」ギュゥ

そんな考えが滲みでたかのようにうちの手が須賀君の浴衣を掴んだ。
自然、須賀君の浴衣が歪み、崩れてしまう。
それを間近で見てしまったうちの胸がドキリと反応し、お腹の奥に熱を灯した。
渇き続け、不満を訴えていた下腹部で蠢くようなそれにうちは何時の間にかそっと唇を開いていた。


漫「須賀君…」
京太郎「な、何です?」
漫「抱っこ…して…♥」
漫「(う…うちは何を言うとるん…?)」

流石にこの年にもなって抱っこはない。
しかも、相手は年下の男の子なのだ。
これまで少なからず先輩ぶってきたうちが言って良いセリフやない。
けれど、それでもうちの口から訂正や冗談の文字が飛び出さへんかった。
寧ろ、強請るようにして須賀君を見上げ、彼の反応を待っとる。

京太郎「わ、分かりました」
漫「ふぁぁ…♪」

そんなうちに須賀君が何を思ったのかは分からへん。
だけど、須賀君は多少、迷いながらもうちを抱き上げてくれた。
お姫様抱っこの形で抱き上げられたその姿勢と須賀君の逞しさにうちの胸がジィンと揺れる。
何処かうっとりとした心地の混ざるそれにうちは甘く声をあげながら、身を委ねた。

漫「(暖かいわぁ…♥)」

大地から切り離され、重力と言う感覚も胡乱になった独特の浮遊感。
それに包まれるうちを抱き上げる逞しい身体はお風呂上りな所為かとても暖かかった。
思わず肩の力が抜けていくその熱を求めて、うちは自分から須賀君の胸に頭を預けてしまう。
まるで恋人同士のようなその甘い仕草に須賀君は何も言わへん。
顔を真っ赤にして何かを堪えるような表情を見せるだけやった。

漫「(ふふ…♪可愛えぇなぁ…♥)」
京太郎「で…上重さんの部屋に行けば良いんですか?」
漫「…嫌やぁ…♪」

勿論、普通に考えればこのままうちの部屋に連れて行って貰うのが一番なんやろう。
でも、そんな事したら、周囲にからかわれて、この甘い時間が終わってまう。
そんなん絶対に嫌や。
折角、こんな心地ええのに…それを取り上げられるのは我慢ならへん。


京太郎「じゃあ、どうしたら…」
漫「須賀君の部屋に連れてって…♥」
京太郎「え…!?」

とは言え、他の場所も人の目がある以上、須賀君に存分に甘えられへん。
唯一の例外はこの合宿の中で個室を貰っとる須賀君の部屋だけや。
なら、そこを選ばない理由なんてあらへん。
昨日の様子を見るに須賀君がうちを襲う事はまずないやろうし…それに襲われた所で… ——

京太郎「良いんですか?」
漫「ええも悪いもあらへんよ…♪最初からそのつもりやったし…♪」
京太郎「いや、でも体調とか…」
漫「大丈夫…♪」

心配の色を見せる須賀君を押し切りながら、うちはそっと彼の首に手を回した。
瞬間、私の胸がぎゅっと押しつぶされ、ジンと中を震わせる。
まるでおっぱいの中を熱するようなそれにうちの口から吐息が漏れた。
『はぁぁ』と間延びしたそれが須賀君の肌に降りかかり、その肌がビクンと反応する。
まるで気持ち良かったかのようなそれにうちがクスリと笑った瞬間、須賀君がゆっくりと歩きはじめた。

京太郎「じゃ…鍵開けますんで…」
漫「ん…♥」

そう言って、膝を折った須賀君の太ももにうちのお尻が当たる。
胸板とはまた違った硬いその感触が何処か気持ち良く、そして甘美に思えた。
でも、それはあくまで一瞬の事。
そうやってうちの身体を脚で支えている間に、須賀君は鍵を取り出して、部屋の扉を開いた。
そのまま立ち上がって、扉を開く須賀君と共にうちは部屋の中に入っていく。

漫「お邪魔します…♪」
京太郎「はい。どうぞ、お姫様」
漫「えへ…お姫様…かぁ…♥」

うちを抱き上げながらの須賀君の軽口に胸の奥が熱くなった。
勿論、うちだってそれがただの軽口であり、本気で言っている訳やないことくらい分かっとる。
けれど、女の子は誰だって、お姫様に憧れとるものなんや。
それをこうしてお姫様抱っこされながら口にされて喜ばへんはずがない。
かく言ううちだって頬が蕩けたように緩み、何処か間抜けな笑い声が口から漏れるくらいやった。


京太郎「じゃ…何処に座ります?」
漫「須賀君の上…ぇ♪」
京太郎「え、えぇ…」

そんな、うちの主張に須賀君は頬を引き攣らせて答える。
でも、今のうちにはそれがちょっぴり不満や。
今のうちはお姫様なんやもん。
須賀君だけの大事な大事なお姫様なんや。
それが上に座りたいと言っているのに拒否するなんてあかへん。

漫「何?…あかんの…?」
京太郎「いや…ダメじゃないですけど…でも拙くないですか?」
漫「?」

確認するような須賀君の言葉にうちはそっと小首を傾げた。
一体、須賀君が何を懸念しているのか、うちにはまったく分からへん。
ちょっと須賀君の膝の上に乗るだけで、何か拙い事でもあるんやろうか。
それに須賀君は合宿中はうちに絶対服従を誓った身。
ちょっとしたデメリットくらいやったら飲み込むべきや。

漫「拙くないもん…。それに須賀君はうちの犬なんやで…?」
京太郎「いや、分かってますけど…」

それをそのまま口にしても須賀君の迷いは晴れへんみたいやった。
かと言って、何で迷っているのか口にせえへんまま、何とも情けない姿を見せる。
それが何となく面白くなくて、うちの頬はカエルみたいに膨らんだ。
顔全体で拗ねている事をアピールするようなそれに須賀君はようやく諦めたのか、そっと肩を落とす。

京太郎「分かりましたよ…でも、後で文句言わないで下さいよ…」
漫「ふふ…♪物分かりのええ須賀君は好きやで…♥」
京太郎「そりゃ光栄ですよ。でも、出来ればそういう条件なしで好きって言って欲しかったです」

そりゃうちだってそう言いたいけれど…でも、まだ色々と分からへん。
こうやって須賀君に甘えるんは胸の中がポカポカして気持ちええけど、それが恋とはまだ決まってへんのやから。
それなのに、まだ好きとか愛してるとかを言うほど不誠実な事はない。
だから…もうちょっとでええから、待って欲しい。
そんな気持ちを込めて、押し付けた胸に須賀君がうちから目を逸らし、明後日の方向を見つめた。
その頬が真っ赤になっとる辺り、また照れとるんやろう。
何だかんだ言って、うちの胸の感触と好きと言う言葉は須賀君の動揺を誘っているみたいや。


京太郎「と、とりあえず…一回、下ろしますからね」
漫「えー…」
京太郎「仕方ないじゃないですか。このままじゃハーゲンダッツ出せないですし」
漫「え…?あるん?」

須賀君に甘える事で頭が一杯で、ハーゲンダッツを要求していた事を思いっきり忘れとった。
普段やったらありえへんそんな自分の姿にうちの胸は違和感を訴える。
けれど、それは忘れていたが故の望外の喜びに押し流され、うちの中からあっという間に消えていった。

京太郎「お詫びとお礼も兼ねて、ちゃんと買って来ましたよ」
漫「味は?」
京太郎「キャラメルと抹茶ですよ」
漫「えへ…ぇ♪ちゃんと分かっとるやん…♪」
京太郎「まぁ、昨日のお詫びと今日のお礼も兼ねてですし」

そう言ってぎこちない笑みを浮かべるのは須賀君が昨日の失態を覚えとるからなんやろう。
とは言え、うちは昨日もそれほど怒ってる訳やあらへんかった。
ましてや今日までその怒りが持続しているはずがなく、そんな風に自分を責められると逆に困ってしまう。
だが、こうして要求した側のうちが須賀君に何を言えばええのかまったく分からへん。
結果、うちは少し考えてから、時計の針を進める事にした。

漫「じゃあ…早く準備して…♪」
京太郎「はいはい。それじゃ…一回、ここで下ろしますよ」
漫「…ちゃんと迎えに来てくれるやんな…?」
京太郎「勿論。須賀京太郎は約束を破る男じゃありません」

何処か冗談めかしたそのセリフにうちの頬も綻んだ。
勿論、昨日、うちとの約束をすっぱり忘れていた辺り、それは信用ならへん言葉なんやろう。
でも、須賀君が直々にこうして保証してくれたって事が今のうちにはとても安心出来た。
それは須賀君に抱かれている事の安堵感には及ばないものの、ちょっとくらい離れても平気やと思うくらいには大きい。

漫「しゃあないなぁ…♥」

そう言いながら、うちの手はそっと須賀君から離れた。
そんなうちの身体をゆっくりとテーブル前の椅子に座らせてから、須賀君は備え付けの冷蔵庫へと歩いて行く。
その後姿を見ながら、うちは背もたれに身を委ね、抱かれた余韻に意識を向けた。


漫「(あんな大きな人に…うちは甘えて…)」

こうして座っていると余計、大きく見えるその背中。
否応にも須賀君が男である事を感じさせるそれにうちのお腹がジュンと潤んだ。
ドロリとした粘ついた何かが身体の中を這うのを感じながらも、うちはそれを抑える気にはなれへん。
寧ろ、静かな興奮で彩られた心はそれを求め、うちの身体を熱くさせる。
そんな自分を驚くほど冷静に受け止めながら、うちは須賀君が帰ってきてくれるのを待ち続けた。

京太郎「はい。お待たせしました」
漫「もう…寂しかったで…♥」
京太郎「ごめんな、ハニー。でも、この別離は君の為だったんだ。許してくれ」
漫「んふぅ…♥」

うちの言葉を冗談やと思ったんやろう。
テーブルに2つのカップを並べて、うちの隣に座った須賀君が芝居めいた言葉を紡いだ。
でも、それさえも今のうちには心地良く、満足気な息を吐いてしもうた。
とは言え、それは須賀君にはまったく気付かれとらへんかったみたいで、彼は何食わぬ顔でダッツの準備をしてくれている。
それが何となく面白ぉないうちはそっと腕を広げ、須賀君へと飛びかかった。

京太郎「ちょ…!?上重さん…!?」
漫「んー♪須賀君ポカポカや…♪」

今にも須賀君が床へと押し倒されそうな姿勢になるのも構わず、うちはスリスリと胸板に頭をすり寄せる。
まるで犬が主人に甘えようとしながらも、マーキングするようなその仕草。
それに須賀くんの身体が一瞬、硬くなり、身構えたのが分かった。
でも、それが分かったところで、うちが須賀君に甘えるのを止められるはずがない。
寧ろ、甘える事で須賀君の緊張を解こうとするように全身で須賀君に絡みつき、密着しようとする。

京太郎「う、上重…さん…?」
漫「これでピッタリ…♥」

お互いを真正面から見つめ合い、腰同士が密着するギリギリの姿勢。
それにさっきよりも強い安堵を感じるうちの前で、須賀君がカチコチになっとった。
最早、身構えという言葉では表現しきれないそれにうちはそっと小首を傾げる。
しかし、固まった須賀君は口をパクパクと開閉するだけで何も言う事はなかった。


漫「ほら…早く食べさせてくれへんと…ダッツが溶けるやん…♪」
京太郎「あ…そ、そう…ですね」

とは言え、あんまりそうやって須賀君の反応を待っているとダッツが溶けてしまう。
ただでさえ、お互いお風呂上りで体温が高く、溶けやすい環境が整っているんや。
あんまり急かしてあげるのも可哀想やけれど、このまま須賀君が帰ってくるのは待ってられへん。
そう思って放った言葉に須賀君の目に力が戻り、キャラメル味のダッツから蓋を剥がす。
それを見たうちは須賀君に向かって小さく口を開け、その喉を震わせた。

漫「あーん♪」
京太郎「…え?」
漫「あーん♪」

そんなうちの前で呆然とした表情を見せる須賀君にうちはもう一度、自己主張を放った。
それにようやくうちが求めている事に気づいたんやろう。
須賀君はアイスとうちを交互に見ながら、信じられへんような顔をした。
でも、ここで須賀君に譲ってあげる理由はあらへん。

京太郎「た、食べさせろって事ですか…?」

確かめるように呟く須賀君の言葉にうちは小さく頷いた。
それを数秒ほど見つめた後、須賀君の肩はそっと落ち、その手に備え付けの白いスプーンを取る。
そのままもう片方の手で持ったダッツの表面にそっと這わせ、キャラメルソースの掛かったそれを丸め取っていく。

京太郎「…」
漫「あーん…♪んふふ…♪」

それを無言でうちの口の中へと運ぶ須賀君からダッツを受け取りながら、うちの頬は緩んだ。
興奮かお風呂上りな所為か、うちの体温は高く、ダッツはすぐさま口の中で蕩け、甘い液体へと変わる。
それを口の中で転がしながら、うっとりとした心地が強くなるのを感じるのはきっとダッツが美味しいからやない。
多分…いや、間違いなく…須賀君がうちにアイスを食べさせてくれているからなんやろう。


漫「ちゃんと食べさせる時に『あーん』って言わへんかったらあかんやん…♥」
京太郎「い、いや…そんなバカップルっぽい事、ハードルが高いですって」

それでも感じた微かな不満を口にすれば、須賀君が狼狽した様子で口にする。
確かに言われてみれば、これはカップル —— それも周囲の迷惑を考えないレベルの熱々カップル —— がやる行為やろう。
でも、どうしてそれがハードルが高いと言われるんかがうちには分からへんかった。
ここにはうちと須賀君の二人しかおらへんし、誰かに見られる心配はない。
ましてや、今のうちは須賀君のご主人様も同然で、殆ど何でも命令出来る立場にあるんや。
それでも、こうして嫌がると言う事は…もしかして… ——

漫「…須賀君はうちの事嫌いなん…?」
京太郎「い、いや、大好きですよ!恩人だって思ってます!」

微かに震えたうちの声に須賀君は驚いた様子で返した。
まるでそう言われるとは思っていなかったようなその様子に嘘は見当たらへん。
それに不安が蕩け、安堵へと変わっていくのを感じながら、うちはそっと頬を膨らませた。

漫「じゃあ…何でなん?」
京太郎「い、いや…だって…恥ずかしいじゃないですか…」
漫「恥ずかしくなんてあらへんやん…二人っきりやで?」
京太郎「い、いや…そうなんですけど…だからこそ、自分の中で何かが危ないっていうか…」

うちの言葉に目を背けるようにして言う須賀君の言葉は要領を得んものやった。
まるで結論を口にする事さえ恥ずかしいと言うようなそれにうちはそっと首を傾げる。
とは言え、そうやって首を傾げたところで、須賀君が恥ずかしがっている理由なんか分からへん。
それやったら、大事なダッツの続きを食べさせてもらうのが一番やろう。

漫「分からへんけど…あーんしたら許してあげんで…♪」
京太郎「う…わ、分かりました。それじゃ…その…僭越ながら…あーん」
漫「あーん…♥」

そうやって須賀君に『あーん』と言って貰いながら食べさせてもらうダッツは最高に美味しかった。
さっきよりも遥かに口の中が甘く、思わず目元が蕩けそうになってしまうくらいや。
舌だけでなく、心だけでも味わうようなそれにうちはすぐさま夢中になった。
あっという間に溶けて、液体に戻っていく事にさえ我慢出来なくなったうちはすぐさま口を開き、もっともっとと催促する。


京太郎「はい。あーん…」
漫「あーんぅ♥」

そうして、須賀君が食べさせてくれる毎にこの人が自分を受け止めてくれる人だと分かっていく。
うちを甘えさせて…蕩けさせて…幸せにしてくれる人やって感じていくんや。
まるで身体の内側から甘くして…ドロドロに溶かしていくようなそれにうちの身体は溺れていった。
でも…それを嫌がったり、悲しんだりするような『上重漫』は、うちのなかにはおらへん。
寧ろ、心の中で鳴くように喜びながら、堕ちていく感覚を楽しんでさえいた。

京太郎「あ…」
漫「ん…♪」

それが途切れたのは須賀君の持ったスプーンから溶けかけたダッツが溢れ、うちの谷間に落ちた時や。
瞬間、須賀君が顔を申し訳なさそうにし、うちは肌にしみ込むような冷えた感触に声をあげる。
それにさえ顔を赤くした須賀君に一つ笑みを浮かべながら、うちはそっとテーブルの上のおしぼりに手を伸ばした。
もう既に冷たくなり、湿気の殆どを残していないそれを須賀君に手渡し、うちはそっと口を開く。

漫「拭いて…♪
京太郎「え…えっぇ!?」

うちの言葉に須賀君の顔がさらに赤くなり、身体がビクンと跳ねた。
瞬間、カップの縁から溶けたアイスが溢れ、またうちの胸の谷間に落ちる。
そのまま体温でべったりとした液体に変わっていくそれを見て、須賀君の顔はハッとした。

京太郎「す、すみません!で、でも…さ、流石にそれは…」
漫「須賀君はうちの何なの?」
京太郎「い、犬です…」
漫「じゃあ…分かるやんな…?」
漫「は、はい…」

うちだって本当はこんな有無を言わさないようなセリフは言いとうない。
でも、今のうちは須賀君に甘えたくって仕方がない女なんや。
そんな風にしたのは須賀君なんやから…責任とって貰わへんかったら困る。
須賀君があんなに美味しいダッツを食べさせたから…うちはもう須賀君に依存しっぱなしなんや。

京太郎「じゃ…じゃあ…やりますからね…?」
漫「うん…♪」

そんな須賀君がおしぼり近づけるその手は微かに震えていた。
まるで一歩間違えれば爆発すると思っているような緊張さえ感じるそれにうちはまた分からへんようになる。
でも、まぁ、今の須賀君はちゃんとやろうとしてくれているみたいやし、あんまり深く考える必要はない。
そう思考を打ち切りながら、うちはゆっくりと這い寄るような須賀君の手をじっと見つめた。


漫「んんっ♪」
京太郎「す、すすすみません!」

数秒後、ようやくうちの浴衣に触れたその感触に思わず声をあげてしもうた。
微かに上ずったそれは何処か色っぽく、そしてそれ以上に切ない。
まるで濡れ場を演じる女優のような声にうちの顔から笑みが溢れる。
自分でそんな声が出せると言う事が今のうちにとって誇らしく、そしてまた嬉しい事やから。

漫「ええよ…だから…ほら…続き…♥」
京太郎「は…はい…」

そんな新しいうちを発見させてくれた男の子はガチガチに緊張しとるままやった。
その手でうちの胸をさわりと触れてくれるのはええんやけれど、やっぱり気になってしまう。
折角、須賀君の大好きなおっぱいやねんから、もうちょっと楽しんで欲しい。
けれど、須賀君が緊張している理由がうちには分からず、どう言えばええのか分からへんままやった。

京太郎「あ、あの…つかぬ事をお聞きしますが…」
漫「んん…♪何…?」

うちがそうやって迷っている間に須賀君の手は休まず動き続ける。
けれど、何処かぎこちないそれは決して効率的とは言えず、うちの胸にはまだ半分以上、白濁した液体が残ったままやった。
それが喉に来るような甘ったるい匂いを撒き散らす中での言葉をうちは促す。
そんな姿を見ながらも、十秒ほど逡巡した須賀君は決心したように口を開いた。

京太郎「何か…ブラの感触がないっぽいんですけど…?」
漫「あぁ…だって、お風呂上りやもん…♥」

胸のない子には羨ましがられるかもしれへんけど、おっぱいが大きいって言うのは色々な苦労がある。
特にお風呂上りなんかはブラを着けると下乳部分や谷間なんかが蒸れて、かゆくなるんや。
普段から汗が溜まる部分は血行の流れがよくなるのもあって、とても敏感になる。
それが妙に不快なうちはお風呂上りにブラは着けへん派やった。


漫「何や…♥ノーブラやから緊張しとったん…?」
京太郎「い、いや…それもあるけど、それだけじゃないって言うか!それがトドメって言うか!」

狼狽した様子で首を振る須賀君はまさに混乱していると言う言葉が相応しいものやった。
確かに男の子にとって、お風呂上りにブラは着けへんっていうのはカルチャーショックなんかもしれへん。
でも、須賀くんの様子はそれだけじゃなさそうで、うちの疑問を広げる。
最早、目を背けられへんほど大きくなったそれにうちは耐えられず、自分の浴衣にそっと手を伸ばした。

漫「じゃあ…浴衣の中も拭いてみる?」
京太郎「ちょ、ちょ!?」

そのままはらりと胸元をずらし、谷間を強調するようなポーズに須賀君は驚いて目を瞑った。
まるで目の前の光景を見たくないと言わんばかりのそれにうちの顔がむっとする。
どうして須賀君がそんなに緊張しとるのか確かめる意味もあるにせよ、折角うちが肌を晒しとるのにその反応は悔しい。
ここは何時もみたいにじっと見るところやろうと拗ねるうちの前で、須賀君は自分の腕で目元を覆った。

京太郎「それもう冗談じゃ済まないですって!俺が負けで良いですから止めて下さい!」
漫「(あぁ…なんや…そういう事なんか…♪)」

今にも泣き出しそうなくらい追い詰められた須賀君の言葉にうちはようやく二人の間にある誤解に気づいた。
それがあるからこそ、うちは須賀君の事が理解出来ひんで、須賀君はあんなに緊張しとったんや。
分かっても見れば、至極当然で、そしてだからこそ根強い誤解。
それに一つ胸中でため息を吐いてから、うちはそっと須賀君の手を取った。

漫「冗談やあらへんよ…♥」
京太郎「え…?」

それをそのまま浴衣の内側 —— うちの心臓の上にそっと当てた瞬間、須賀君の顔が信じられないような色を見せる。
何処か呆然と、けれど、心地よさそうなそれはおっぱい好きな須賀君らしい表情やろう。
ここに来て変に紳士ぶろうとする須賀君ではなく、等身大の彼の姿が見えた気がして、うちの顔が緩む。
そして、そんな顔にある緩んだ口元を動かして、うちはゆっくりと須賀君の前で囁くんや。

漫「ほら…分かる?うち…すっごいドキドキしとるん…♥」
京太郎「あ、あう…あう…」

うちの言葉が聞こえているのか、いないのか。
須賀君はパクパクと口を開閉してわけの分からない声を紡いだ。
だが、声ではあっても、決して言葉にはならないそれとは裏腹に須賀君の手はうちの胸を揉んでいる。
それはまだ表面を確かめるような軽いタッチではあるものの、身体がうちを求めとるのは事実なんやろう。
実際、うちの下腹部にさっきから硬くて熱い何かが触れて、じんわりとうちの中を暖かくしていた。
須賀くんの興奮を健気に伝えようとするようなそれにうちの中のドロドロは強くなり、ゾクゾクとした感覚が背筋を駆け抜ける。

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