アルミン「カタクリコX」 (63)

・進撃の巨人

アルミン達がカタクリコXを作るお話です

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アルミン「ついに完成した」

アルミン「カタクリコX・・・」

アルミン「これも君達の協力のお陰だよ」

アルミン「ありがとう」

???「それは僕達の台詞だよ アルミン」

?????「あぁ 独りでは決してたどり着くことはできなかった」

2人「「ありがとう」」

アルミン「ならこれは僕達の絆の成果だね」

3人「「マアベルス」」

アルミン「ふふっ 自分で付けたけど」

アルミン「この呼称は恥ずかしいね」



アルミン「思い返すと長かった・・・」




ーーー
ーーーーーー

ーー座学 一般教養

眼鏡教官「本日は性教育を行う」

 通常の日程とは異なる講義内容に訓練兵は若干戸惑う

 ある者は呆け またある者は恥ずかしそうに顔を伏せる

コニー「セーキョーイクってなんだ?」

サシャ「聞きなれない言葉ですね」

ミカサ「男女の体の仕組みの違いや」

ミカサ「子供の作り方の教育だろう」

 通常通りの平坦な口調でミカサは回答する

 他の訓練兵は彼女の言葉にやや落ち着きを取り戻す

ーーーー

 しかし 再び冷静さを揺さぶられることになる

サシャ「あぁ 交尾とか繁殖の話のようですね」

コニー「なんだよ わざわざやる必要があるのか?」

 知っていることが当然だと2人が言葉を発する

 再び訓練兵に動揺が広がる

眼鏡教官「ブラウスとスプリンガーは・・・なるほど」

眼鏡教官「しかし 人間の場合だと異なる事もあるので聴講を続けるように」

サシャコニ「「ハッ」」

眼鏡教官「では講義を始める」

ーーーー

眼鏡教官「ーーであるからして」

眼鏡教官「(今期の訓練兵は真面目に話を聴いているな)」

眼鏡教官「(おそらくはあの2人が原因だろう)」

サシャ「コニーの村でもそうでしたか」

コニー「あぁ 俺が精通したときは羊を一頭潰して村のみんなに振舞ったな」

コニー「サシャのところでもそうか?」

サシャ「大体同じですね 私が初潮を迎えたときにはブルートヴルストが振舞われました」

 通常の声の大きさで話をしている
 
 しかし教官からのお咎めはない

ーーーー

眼鏡教官「(彼らはすでに本講義の到達目標に届いている)」

眼鏡教官「(それだけに他の者達も気がついているのだろう)」

眼鏡教官「(講義が理解できない場合は ブラウスとスプリンガー以下だと)」

眼鏡教官「(はっ?いかんな 教官の私がこんなことを考えるなどと)」

眼鏡教官「(しかし 結果として理解してもらえればいい)」

ーーーー

眼鏡教官「以上で講義は終了だ 何か質問がある者はいるか?」

コニー「教官 人間にも発情期はありますか?」

眼鏡教官「良い質問だ」

眼鏡教官「答えは『一年中』だ」

眼鏡教官「身体的には」

眼鏡教官「女性ならおよそ1ヶ月に一度」

眼鏡教官「男性ならおよそ90分に一度」

眼鏡教官「さらに人間は学習によっても発情を覚える」

眼鏡教官「性的興奮を思い出すだけでも発情するようにできている」

コニー「羊とは違うんだな」

サシャ「馬とも違いますね」

ーーーー

眼鏡教官「今回の講義の目的は」

眼鏡教官「人的資源の損失を防ぐことにある」

眼鏡教官「およそ5年前まで 子を授かることによる脱落者が一定数存在した」

眼鏡教官「その場合 該当の訓練兵と相手の訓練兵の両方が開拓地に行くことになる」

眼鏡教官「成績上位者であろうともだ」

眼鏡教官「事態を重く見たシャーディス教官がシガンシナの医師に相談を持ちかけた」

眼鏡教官「その際に提供された教材を講義で使用している」

眼鏡教官「その効果はすぐに現れ」

眼鏡教官「この件に関する脱落が激減した」

ーーーー

眼鏡教官「今から話すことは教官としてではなく親の立場からのものだが」

眼鏡教官「諸君らの体は大人になっている」

眼鏡教官「異性が気になり 想い 恋焦がれることもあるだろう」

眼鏡教官「ほとばしる衝動にその身を焼き尽くすかもしれない」

眼鏡教官「しかし行為に及ぶのは訓練兵を卒業してからにして欲しい」

眼鏡教官「身重な体では開拓地での生存率が著しく低い」

眼鏡教官「知っている者もいるだろうが 環境が悪いためだ」

眼鏡教官「兵団所属になれば格段に環境が良くなる」

眼鏡教官「諸君らの親の代わりにはなれないがせめて言わせてくれ」



眼鏡教官「生きのびて欲しい」



眼鏡教官「む?時間が来たようだな」

眼鏡教官「本日の講義はここまでだ 解散」

一同「「ありがとうございました」」

ーー講義終了後

マルコ「大体知っていたけど新しい発見もあったな」

ジャン「なぁマルコ」

マルコ「なんだよ ジャン」

 マルコはジャンが何か茶化すのではないかと思いながら振り向く
 
ジャン「母親って 女ってすげぇな・・・」

 ジャンは目を赤くしてぽつりとこぼす

マルコ「・・・」

 予想外の状況にマルコは反応ができなかった

マルコ「あぁ」

 すこし時間がかかったが何とか首肯することができた

ーーーー

ベルトルト「家畜との相違もあったけど大体は同じだったね」

ベルトルト「どうしたのライナー?」

ライナー「結婚するまでは我慢してもらわないといけないな・・・」

ベルトルト「・・・」

ーーーー

ミーナ「ふぅ お母さんが教えてくれたことがほとんどだったな」

ミーナ「どうしたの アニ?」

アニ「・・・コウノトリ」

ミーナ「え?」

アニ「お父さん 私はコウノトリに運ばれてきたんじゃなかったの?」

ミーナ「・・・」

ーーーー

クリスタ「・・・」

ユミル「・・・」

ユミル「・・・戻るか」

クリスタ「・・・うん」

ーーーー

エレン「・・・つまらない講義だった」

ミカサ「エレン そんなことを言うべきではない」

ミカサ「最後の言葉は教官自身の言葉だったでしょう?」

エレン「まあな 教官の話だけはありがたかったな」

 とは言うものの エレンだけではなくミカサも飽き飽きした顔を隠せていなかった

アルミン「(周りの反応を観察していたけど)」

アルミン「(このことに関するみんなの程度は大体把握できたかな)」

アルミン「(想像力を掻きたてられるよ)」

アルミン「エレン 僕達も戻ろうよ」

 機知に富むアルミンは考えることを放棄しない

 そのため既知の講義からでさえ新しい事実にたどりつく

ーーーー

サシャ「ミカサ」

 真剣な顔をして声をかける

サシャ(今夜あたりお願いしますね)

サシャ(そろそろ我慢できません)

アルミン「・・・」


 アルミンは状況を認識し 組み立て 素晴らしい世界を夢想する

 リーリエが咲き乱れる世界に少女が二人・・・



ミカサ(わかった しかし私だけでは心もとないので)

ミカサ(アニにも手伝ってもらおう)

ーーーー

アルミン「・・・」



 一瞬の油断

 無限に続くかのような素晴らしい少女達の世界
 
 そのはずだった
 
 アルミンはミカサの言葉が聞こえてしまった
 
 アルミンはその意味を理解してしまった
 
 アルミンは都合の悪い現実を排除できなかった
 
 聡明な彼は現実から目をそらせなかった

 
 
 
アルミン「(アニか・・・)」


アルミン「(彼女は講義の内容を知らない様子だった)」

アルミン「(ならこの話は・・・料理の準備だろう)」

アルミン「(どうして僕は耳をふさげなかったんだ・・・)」

アルミン「(知ってしまっては・・・想像の純度が下がってしまう)」

エレン「どうしたよアルミン?」

アルミン「エレン 世界は残酷だね・・・」

エレン「そうか?」

エレン「終わったから戻ろうぜ」

ーー翌日 食堂

サシャ「みなさん!おやつですよ」

 顔を綻ばせた少女が大量の筒を持ってやってきた
 
 萌黄色をしたそれは細い竹であろう

サシャ「なんと今日のおやつは水ヨーカンですよ ヨーカン」

ミカサ「アズキが無かったので諦めていた」

ミカサ「しかし アニが白いんげんを使うことを提案してくれた」

サシャ「だから白いヨーカンなんですよ」

 アニは柔らかい表情で黙っている

サシャ「アニの肌みたいに透明感のある白ですよ~」

 誰もヨーカンやアズキが何かを理解していない
 
 しかし 3人の少女が素敵な時間を過ごしたであろうことは容易に想像できた

ーーーー

サシャ「さっそく一本いただきますね」

アニ「どうぞ」

ミカサ「サシャ それを食べるときは」

 ミカサが説明をするよりも早くサシャが動いた

サシャ「はむっ」

 サシャが細竹を咥える

サシャ「んっ」

 湿り気を含んだ音を出しながら吸い付く
 
 何度も何度も吸い付くが中身は出てこない

ーーーー

サシャ「なかなか出ませんね」

 なかなか出てこない事を悲しんでいるのか

 サシャは涙ぐむ

サシャ「あ!」

サシャ「舐めとればいいんですね」

 チロチロとやわらかな舌先が動く
 
サシャ「美味しいです」

 その場のほぼ全員がサシャに目を奪われた
 
 大部分の者たちはサシャの食べ方は違うのではないかと
 
 一部の者は熱のこもった視線を送っていた

ーーーー

 その中で異なる行動をとった人間が3人いた
 
アルミン「(この状況の本質は サシャじゃない!)」

 アルミンは周囲を見渡し状況を把握する
 
 そして 同様の行動をしている人間を2人発見することになる
 
3人「「・・・」」
 
 彼らは目配せをして食堂を後にした



ミカサ「サシャ 後ろの節に穴を開けると出てくる」

 時間が経過してミカサが説明を再開する
 
 心なしかその頬に朱を差していた

アニ「口を拭きなよ」

アニ「白いのが垂れてる・・・」フキフキ

 ミカサとは対照的にただ呆れたようにサシャの口を拭く

再開は2013年8月25日21:30です

テスト

ーー秘密の部屋

アルミン「まさかというか なるほどというか」

アルミン「君たちと同じ世界にいられるなんて」

アルミン「自分自身が誇らしいよ」

アルミン「マルコ」

マルコ「ふふっ」

アルミン「ベルトルト」

ベルトルト「やぁ」

ーーーー

ベルトルト「けど それは僕たちの台詞だ」

マルコ「いつの間にか君と同じ域に達していたんだね」

アルミン「二人が気づいてくれて頼もしいよ」

ベルトルト「ジャンは気がつかなかったのかな」

マルコ「ジャンはあれで純情なところがあるからね」

マルコ「ミカサが上気していたのをずっと見ていたよ」

ベルトルト「そうか ジャンほどの男なら現状を正しく認識していると思ったんだけど」

アルミン「いや 認識した上で『自分が』何をすべきかを判断したんだろう」

アルミン「彼は間違っていないよ」

ベルトルト「そうだね」

ーーーー

ベルトルト「その点マルコは流石だったね」

マルコ「うーん・・・」

マルコ「どうしても・・・実践のことを考えてしまうんだ」

マルコ「ミカサだと『エレン固定』につながってしまうからね」

マルコ「夢想の世界には関係ないのにな・・・」

ベルトルト「なるほど・・・つまりマルコは根っからの『現実主義者』なんだね」

マルコ「妄想する現実主義者か」

 3人が犯しそうに笑う

ーーーー

ベルトルト「けどアルミンがいなければ気がつかなかったかもしれないな」

マルコ「本当にね」

マルコ「講義中に何を見渡しているのかと思ったけど」

マルコ「まさか今日のあの瞬間につながるとは思わなかったよ」

アルミン「素晴らしい機会は突然だから」

アルミン「できる限り準備をしておかないとね」

ーーーー

アルミン「どの道 サシャにも感謝はしないとね」

ベルトルト「あぁ お陰で」

ベルトルト「『彼女に反応してしまった』女の子を見つけることができた」

マルコ「不意だったからね」

マルコ「彼女たち3人は本当に素晴らしい反応を見せてくれたよ」

マルコ「誰の話から始めようか」

ベルトルト「まずはミーナだね」

マルコ「うん」

マルコ「顔を真っ赤にしながらも」

マルコ「とても嬉しそうなな顔をしていた」

アルミン「つまり サシャの行動から連想される行為を理解している上に」

アルミン「淑女としてのあり方もしっかりと教育されていたんだろう」

ベルトルト「でなければ好奇と恥じらいの間で葛藤しているような表情は見せられないよ」

ーーーー

ベルトルト「つまりミーナは」

アルミン「『普通の女の子だ』」

アルミン「普通に笑って 普通に悩んで」

アルミン「時々怒ったり 悲しんだり」

アルミン「それだけに彼女から受け取ることができる」

アルミン「『夢想の翼』の大きさは素晴らしいよ」

マルコ「様々な条件と状況を想定できるよね」

ベルトルト「そうだね たとえば・・・」

~~~~~~

ミーナ「ローゼ巡りの旅もそろそろ終わりだね マルコ」

ミーナ「大変だったけど楽しかった」

ミーナ「もう少しで訓練兵団に戻るんだよね」

ミーナ「・・・」

ミーナ「ねぇ マルコ」

ミーナ「私の事好き?」



ミーナ「そうじゃなくて 女の子としてどうかってこと」



ミーナ「本当に?本当に本当?」

ミーナ「私もマルコのことが好き」



ミーナ「ねぇマルコ?」

 髪紐を解き自然と広がる黒髪

 その姿はいつもより大人びていた

ミーナ「お母さんに言われてるんだ」

ミーナ「お互いの事を好きになって」

ミーナ「お互いの事を知ってからって」

ミーナ「だからマルコ」



ミーナ「一緒にしよ?」

~~~~~~

ベルトルト「・・・こんな感じかな」

アルミン「・・・いいね 幼稚でもなく淫靡でもない」

アルミン「年相応の可憐さと少し背伸びした妖艶さがでているよ」

ベルトルト「あの表情を見せてくれたミーナに感謝だね」

マルコ「ミーナの可能性が見えた事もよかったけど」

マルコ「敢えてその相手を自分にしないという技術もあるのか」

ベルトルト「僕自身でも良かったんだけど」

ベルトルト「ミーナの相手にはマルコの方がしっくりきたんだ」

アルミン「そしてマルコに自分を投影するのか」

マルコ「流石だよベルトルト」

アルミン「・・・ベルトルトの話から他の可能性が見えたよ」

マルコ「聞かせてよ」

~~~~~~

ミーナ「おかえり アニ」

アニ「ただいま ミーナ」

ミーナ「デートはどうだった?」

アニ「別にそんなんじゃないよ」

ミーナ「休日に男の人と遊びにいったんだよ?」

アニ「・・・楽しかったよ」

ミーナ「そっか よかった」

ミーナ「けど心配だったんだ」

 アニの腰と背中に手を回し 耳元で囁く

ミーナ(アニが何かされてきたらどうしようかって)

ミーナ(アニってあんまりそういう事は知らないよね)

アニ「んっ・・・何の事?」

 体験したことのない感覚が背中を走る

 悪寒に似ているが心地よさが混じっている

ミーナ「私も経験はないけど・・・知らないより良いよね?」

ミーナ「だからアニ」



ミーナ「一緒にしよ?」


~~~~~~

アルミン「・・・こんな感じだろうか」

マルコ「いいね・・・」

ベルトルト「・・・投影する必要すらないのか」

マルコ「神の視点というやつだね」

アルミン「ベルトルトが新しい技術を教えてくれたからだよ」

ベルトルト「即興でそれを組み込めるなんて」

マルコ「まだまだアルミンには敵わないな」

アルミン「ふふっ ありがとう」

アルミン「次はクリスタだね」

ベルトルト「もちろん」

マルコ「あの子は最後に控えてもらおう」

ーーーー

アルミン「クリスタは」

アルミン「赤面しつつ 少し嫌そうな それでいて悲しそうな顔だった」

ベルトルト「あれは何でだったんだろうね」

マルコ「知っているけど興味がないってことなのかな」

ベルトルト「興味がないにしては嫌そうな顔だったね」

マルコ「悲しい表情にも説明はつかないか」

アルミン「そこで彼女自身について想像してみた」

~~~~~~

レンズ公爵「世継ぎができぬ」

レンズ公爵「妾で試そう」

レンズ公爵「ほっほっほ 可愛い娘に恵まれた」

レンズ公爵「この輝き『クリスタ』と名づけよう」

ーーしばらく後

レンズ公爵「む?妻よ よくやった」

レンズ夫人「貴方によく似た男の子ですよ」

~~~~~~

アルミン「こうして正妻との間に嫡男が生まれたため 妾腹のクリスタは疎まれ」

アルミン「逃げるようにして訓練兵団にやってきた」

アルミン「居場所がない悲しみを知ってるから皆に優しく」

アルミン「出自を知るがゆえにあの表情・・・」



アルミン「勝手な想像をしたけれど悲しくなってきたよ」

ベルトルト「あの慈愛に満ちた行動は」ポロポロ

マルコ「何も知らないからではなく 知っているからだというのか」ポロポロ

アルミン「あぁ まさに天使相手でも恥じることのない聖女だよ」

 3人はまるで祈りを捧げるかのように目を瞑る

ベルトルト「それはそうともう少し想像し易くしたいな」

2人「「うん」」

マルコ「追い出されているのに姓が同じなのは不自然だよ」

アルミン「そうだね」

アルミン「皆はクリスタのハンカチを見たことがある?」

マルコ「レース模様だったかな」

アルミン「彼女の姓は『レース』に決まった」

マルコ「あぁ 字面も似ているし変に凝るよりいいね」

ベルトルト「レースって何?」

マルコ「喫茶店の卓に掛けてある布の模様の事だよ」

ベルトルト「あぁ あれか」

アルミン「彼女の名は『カフェテリア』に決まった」

マルコ「ふふっ これも安直でいいね」

ベルトルト「カフェテリア・レースか」

マルコ「喫茶店で恋が始まりそうな名前だね」

アルミン「そして『カフェ』の秘密を知る一族の末裔なんだよ」

マルコ「不思議な魅力は『カフェ』の秘密によるものなのか」

ベルトルト「クリスタの出身地も知らないしね これくらい想像してもいいかも」

再開は2013年9月1日21:30です

test

ーーーー

アルミン「最後は」

3人「「ユミルだ」」

アルミン「ユミルがあれ程の逸材だったとは」

アルミン「本当に盲点だった」

マルコ「以前の講義の時でも退屈そうに眺めていたからね」

マルコ「既知だという事は想像に固くなかった」

ベルトルト「それに普段の言動も合わせると」

ベルトルト「ユミル『わざわざこんなことやらなくても 実際に見せりゃいいじゃねぇか』」

ベルトルト「この程度の事を考えているんだろうと思っていた」

アルミン「現実は随分違ったね」



マルコ「瞳を潤ませ頬を染め上げたユミル」

ベルトルト「反応してしまったことを恥じ入るように肩を震わせたユミル」

アルミン「助けを求めるかのようにクリスタの手を握ったユミル」

ーーーー

アルミン「普段の言動からの振れ幅を鑑みると」

アルミン「僕の想像力がいかに貧弱だったかと思い知らされるよ」

ベルトルト「そんなこと言わないでよアルミン」

ベルトルト「僕達の方が悲しい気持ちになるじゃないか」

マルコ「そうだよ 夢想するときはもっとこう」

マルコ「救われた気持ちで臨まないと」

アルミン「ごめん 2人とも」

アルミン「少し弱気になっていた」

アルミン「だからこそ 新しい世界を切り開いてくれたユミルに対する気持ちは」

アルミン「『恋愛』でもなく『情欲』でもなく」

アルミン「・・・『感謝』かな」

 然りと首肯する2人

 穏やかで満ち足りた空気が3人を包む

 先程までの熱い空気も爽やかに霧散した


マルコ「じゃあ ユミルの話を始めよう」

2人「「うん」」

~~~~~~

ーーベルトルトの故郷

ユミル「なぁベルトルさん」

ユミル「あんたも物好きだよな」

ユミル「念願だった故郷に私なんかを連れて帰るなんてな」



ユミル「はッ 嬉しいことを言ってくれるじゃないか」



ユミル「・・・」

ユミル「私は自分のためだけに生きようと決めていた」

ユミル「けど幸せになれるとは一度たりとも思っていなかった」

ユミル「それが何の因果か」

ユミル「新しい故郷を手に入れることができた」

ユミル「新しい姓を手に入れることができた」

ユミル「・・・帰る場所を手に入れることができた」

ユミル「なぁベルトルさん」



ユミル「あんたと一緒になれて」

ユミル「私は幸せだ」



ユミル「やめろよ 照れるじゃねぇか」



ユミル「あと・・・なんだ」

ユミル「随分待たせちまったけど」

ユミル「今夜・・・な?」



ユミル「浮かれすぎだ!バカ」



ユミル「けど・・・まぁあれだ」

ユミル「初めてだから・・・・」

ユミル「・・・優しくして欲しい」

~~~~~~

>>41 差し替え


マルコ「じゃあ ユミルの話を始めよう」

2人「「うん」」

~~~~~~

ーーベルトルトの故郷

ユミル「なぁベルトルさん」

ユミル「あんたも物好きだよな」

ユミル「念願だった故郷に私なんかを連れて帰るなんてな」



ユミル「はッ 嬉しいことを言ってくれるじゃないか」



ユミル「・・・」

ユミル「私は自分のためだけに生きようと決めていた」

ユミル「けど幸せになれるとは一度たりとも思っていなかった」

ユミル「それが何の因果か」

ユミル「新しい故郷を手に入れることができた」

ユミル「新しい姓を手に入れることができた」

ユミル「・・・帰る場所を手に入れることができた」

ユミル「なぁベルトルさん」



ユミル「あんたと一緒になれて」

ユミル「私は幸せだ」



ユミル「やめろよ 照れるじゃねぇか」



ユミル「あと・・・なんだ」

ユミル「随分待たせちまったけど」

ユミル「今夜・・・な?」



ユミル「浮かれすぎだ!バカ」



ユミル「けど・・・まぁあれだ」

ユミル「初めてだから・・・・」

ユミル「・・・優しくして欲しい」

~~~~~~

マルコ「・・・どうかな?」

ベルトルト「結婚した」

アルミン「気が早いよベルトルト」

マルコ「ユミルは蓮っ葉な態度をとるし 悪態もつくけど」

マルコ「品位や奥ゆかしさが裏に潜んでいるよね」

ベルトルト「そういえば」

ベルトルト「ユミルのパンの食べ方はクリスタ並みに綺麗だったな」

マルコ「それは意外だね」

ベルトルト「ああいった作法は取り繕えないから」

ベルトルト「むしろあの態度の方が演技なのか?」

アルミン「だとすると凄い事だよ」

アルミン「本当の自分を見せるのは伴侶だけだなんて」

ベルトルト「僕は果報者だ」

マルコ「気が早いよベルトルト」

ベルトルト「ごめん けど 夢想のユミルが素敵だったし」

ベルトルト「何故か僕まで格好良くなっていたから つい」

アルミン「何を言っているんだ 実際の二人もその通りじゃないか」

マルコ「そうだよ ユミルは大切なものために命をかけられそうだし」

アルミン「ベルトルトだって大切なもののために全人類を敵にまわせそうだからね」

ベルトルト「2人とも・・・」

マルコ「あとは単純に君達はスタイルがいいから夢想が捗った」

アルミン「そうだね 僕とユミルじゃちょっと絵にならないからね」

ベルトルト「何だよそれは」

三人は犯しそうに笑う

アルミン「けどユミルとベルトルトの会話ってこんな感じなんだね」

アルミン「聞いたことがなかったから新鮮だったよ」

ベルトルト「いや ユミルとはほとんど話したことはないな」

マルコ「僕も聞いたことはないね」

アルミン「・・・その条件下でこの話を創造したのか」

ベルトルト「流石だよマルコ」

アルミン「そしてユミルにはクリスタがいる」

マルコ「普段から仲良いよね」

アルミン「2人とも綺麗だと思うけど クリスタは可愛いし ユミルは格好良いと思うんだ」

マルコ「それには同意だな。今日の件でユミルの可愛い所は見つけられたけど」

マルコ「その体躯や振る舞いは格好良いが適当だよね」

ベルトルト「そうかな やっぱりユミルも可愛いと思うけどな」

マルコ「ふふっ 勿論2人とも可愛いよ」

アルミン「ただ 今必要なのは役割としての可愛さと格好良さだよ」

ベルトルト「そうだったね 今は新しい可能性の追求だった」

マルコ「やっぱりユミルがクリスタをエスコートする形なのかな」

ベルトルト「しっくりくるし 想像しやすいね」

アルミン「いや」

アルミン「ここはクリスタがユミルを誘う形にしたい」

マルコ「どういうこと?」

ベルトルト「普段の姿からは少し離れてしまわないかな?」

アルミン「僕たちが知っている彼女たちはあくまでも訓練中の姿だ」

アルミン「しかし」

アルミン「夜の帳が下りた後は?」

マルコ「・・・僕たちは知ることは出来ない」

ベルトルト「知らないということは・・・」

アルミン「そう」

アルミン「際限なく夢想の翼を広げられるということだよ」

マルコ「しまったな より精緻な夢想をしようとしたけど」

ベルトルト「代償として広がるはずだった可能性を淘汰してしまった」

ベルトルト「やっぱりアルミンには敵わないな」

アルミン「いや 君たちのお陰でここまでが広げることが出来たんだ」

アルミン「僕が口に出しただけで これは3人でたどり着いた場所だよ」

マルコ「嬉しいことを言ってくれるよ」

ベルトルト「なら僕たちは最高の仲間だね」

マルコ「もはや家族と言ってもいいんじゃないかな」

ベルトルト「いいね」

マルコ「何か僕たち自身の呼び方を決めたいな」

ベルトルト「アルミン 何かないかな」

アルミン「ふふっ そうだね」


アルミン「『マアベルス』なんてどうかな?」

ベルトルト「マアベルス?聞いたことがない言葉だね」

マルコ「一体どういう意味なのかな」

アルミン「造語だよ」

アルミン「僕たちの頭文字とそれに続く『ル』を重ねて」

ベルトルト「それでマアベルスか」

マルコ「驚くほど素晴らしい響きだよ」

アルミン「気に入ってくれてよかったよ」

 理解しあえる相手との出会い

 彼らはかけがえのない贈り物を手に入れた

アルミン「さぁ ユミルとクリスタの話を始めよう」

2人「「うん」」



 返事をしたのもつかの間 マルコとベルトルトは違和感を覚えた
 
 アルミンと自分たちの夢想には・・・微かだが隔たりがある
 
 その正体は何か?
 
 先にその正体に気が付いたのはマルコだった

 
 
 
マルコ「ねぇアルミン」


マルコ「君はリーリエを推すけど何か理由があるのかな」

 小さな疑問だった
 
 放置してもかまわない程の小さな疑問
 
 この件はベルトルトも同意見だった
 
 アルミン程の男が何故こんなにも偏った条件で夢想するのか
 
 通常の人間ならば見落とすほどの小さな違和感
 
 しかし 彼らもまたアルミンに匹敵する程の実力者だった

 
アルミン「う~ん」

 少し困った顔をする
 
アルミン「怖いんだよ 男が登場するのが」

マルコ「---ッ!!」

 その一言でマルコは察してしまう
 
 マルコは質問に失敗してしまったのだ
 
 挽回する言葉を探すが見つからない
 
 ベルトルトはマルコに視線で合図を送る
 
 それを察し マルコはひとつの言葉を選ぶ
 
 その言葉は

 
 
 
 『沈黙』

 
 
 
 マルコとベルトルトは雄弁な沈黙でアルミンを待つ

 
 話すことが出来ないならそれでも良い
 
 しかし 話してくれるなら全て聞こう

 
 
 
 
 その気持ちを汲み取ったアルミンが口を開く

アルミン「・・・つまらない昔話だよ?」

アルミン「昔々ある所に金髪の少年が居ました・・・」

 アルミンは金髪の少年の物語を続ける
 
ベルトルト「(・・・巨人に故郷を奪われ)」

マルコ「(王政府に家族を奪われ・・・)」

ベルトルト「(同じ逃げ延びた人間に自分自身すら奪われそうになっただと?)」

マルコ「(しかも自分の問題だと親友の2人にも話していないなんて・・・)」

2人「「(もう駄目だ)」」

アルミン「そしてその少年は常に睡眠不足で妄想ですら男を登場させられなくなりましたとさ」

アルミン「『終わらない』」

アルミン「・・・ただ守られるだけの弱虫な少年の話だよ」

アルミン「どうしたのさ 嗤える話だろ?」

アルミン「嗤ってよ」

アルミン「・・・なんで泣いているんだよ?」

アルミン「マルコ」

マルコ「・・・大切なものを奪われ続けて」

マルコ「それでもなお 泣きもせずに立ち向かっている勇気のある少年の代わりに だ」

アルミン「ベルトルト」

ベルトルト「泣くこともせず どうすれば同じ人間を作らずに済むか考え続けている」

ベルトルト「底無しに優しい少年の代わりに だ」

アルミン「そんなに格好良い話じゃなかっただろ・・・」

マルコ「いくらアルミンでも」

ベルトルト「その少年を辱めることは」

2人「「許さない」」

アルミン「なんだよ2人とも・・・」

アルミン「僕はどうすればいいんだよ」

マルコ「・・・君もその少年の代わりに泣けばいいよ」

アルミン「・・・じゃあそうするよ」

アルミン「その少年はきっと・・・」

アルミン「少年は・・・」

アルミン「僕は!」

アルミン「怖かったんだよおぉおお」ボロボロ

 3人はとても格好悪く泣き続けた
 
 そしてアルミンはそのまま眠ってしまった
 
 その顔には安堵が浮かんでいた

ーーーー

 しばらくして アルミンは眠りから覚める

アルミン「ふぅ すっきりした」

ベルトルト「随分と溜まってたんだろ?」

マルコ「それだけ出せばすっきりしただろ?」

アルミン「あぁ 気持ち良かったよ」

アルミン「そして閃いた」

マルコ「何?」

ベルトルト「ユミルとクリスタの話かな?」

アルミン「いや 話という間接的なものではなく」

アルミン「もっと直接的なものについてだ」

マルコ「それは一体?」

アルミン「端的に言うと『棒をしゃぶる』という行為は」

アルミン「彼女たちにとっては直接的な行為だけど 僕たちには間接的な行為だよね」

ベルトルト「そうだね」

ベルトルト「彼女たちにとっては『しゃぶること』自体が行為だけど」

ベルトルト「僕たちは『しゃぶられた棒』から連想しているだけだね」

アルミン「そうなんだよ じゃあ・・・」

アルミン「僕たちにとっての直接的な行為は?」

マルコ「う~ん」

マルコ「『棒を突っ込む』かな?」

アルミン「その通り!」

ベルトルト「なるほど」

マルコ「けど どうやってその道具を作るんだ?」

ベルトルト「棒とは違って簡単には出来ないと思うけど」


アルミン「それについては安心して欲しい」

アルミン「材料も製法も大体の見当は付いている」

アルミン「後は作って使うだけだよ」

アルミン「今とても頭が冴えているんだ」

アルミン「ここ数年は寝呆たままだったからね」

アルミン「君たちのお陰だよ」

アルミン「ありがとう」

 マルコもベルトルトも自惚れるような人間ではない
 
 事実アルミンに匹敵する夢想も出来るようになっていた
 
 そのため肩を並べられたと実感していた
 
 しかし アルミンは全力ではなかった
 
 自分たちの知らない世界を把握していた

 
 
 
 これが座学主席の力

 
 これがアルミン・アルレルトの全力

 
 
 
2人「(敵わないな・・・)」

 
 とは言え 平均を圧倒的に上回る彼らは
 
 アルミンに対して純粋な感銘を受けていた
 
アルミン「今日はここまでにしよう」

アルミン「この作戦の続きは後日だ」

アルミン「作戦名は そうだな・・・彼女たちの名前を拝借して」

アルミン「『カロ・クリ・ユ』」

アルミン「少し文字を替えて」

アルミン「『カタクリコ』作戦とする」

アルミン「これでいいかな?」

マルコ「異存はないよ」

ベルトルト「君の立案だきっと成功する」

アルミン「詳細はおって連絡する」

アルミン「必ず成功させよう」

2人「「応!」」

 3人の作戦が始まった



 カタクリコX
  ~マアベルスの挑戦~

ーー1週間後 調理室

アルミン「集まってもらったのは他でもない」

アルミン「以前話していた計画についてだ」

マルコ「カタクリコだね」

ベルトルト「楽しみにしていたよ」

ベルトルト「けど調理室でよかったのかな」

マルコ「工作室の方でやるものとばかり思っていたよ」

アルミン「それについては作りながら説明させてもらうよ」

アルミン「まずこれをすりおろして欲しい」

マルコ「これは・・・」

ベルトルト「芋だね」

アルミン「芋だよ」ゴリゴリ

マルコ「これがカタクリコと関係するの?」ゴリゴリ

アルミン「あぁ」

アルミン「すりおろした芋を布で包んで水の中で揉むんだ」

ベルトルト「それってもしかして」ゴリゴリ

アルミン「そうだよ 根っこの栄養を抽出する手段だよ」

ベルトルト「へぇ 芋でもできるんだ」

アルミン「あぁ 間違いない」

アルミン「マルコ 食事と体力の関連性の話をした事を覚えているかな」ゴリゴリ

マルコ「もちろん」

マルコ「あの時の結論だと 甘い物が体力の回復につながる話だったよね」ゴリゴリ

ベルトルト「へぇ そうなんだ」ゴリゴリ

アルミン「その後に給仕長の所に話を聞きに行ったんだよ」

アルミン「そうしたら」

ーーーーー
給仕長「芋でもパンでもよく噛むことね」
給仕長「しばらくすると甘くなるだろ?」
ーーーーー

ベルトルト「確かによく噛むと甘くなるね」

マルコ「そうだったのか あまり考えたことがなかったな」

アルミン「このことから仮説を立てた」

アルミン「芋も麦も」

アルミン「甘い物を甘くない形にして根や種に保存している」

マルコ「ふ~ん 成程」

マルコ「けど なんで今その話をするんだい?」

アルミン「植物の種類が違っても 同じ物を採取することができるんだ」

アルミン「つまり」

アルミン「芋からヨーカンの材料が手に入る」

ベルトルト「それってもしかして・・・」

アルミン「あぁ あの柔らかな素体がカタクリコXになるんだ」

マルコ「・・・あれに突き刺すのか」

 マルコとベルトルトは想像するのをためらった

 以前の談話だけでも夢想の世界は大きく広がった

 そこに現実が入ってくる・・・

 否

 現実に挿れると一体どうなってしまうのか?

 彼らの夢想の翼を持ってしても辿りつけない世界の存在

ベルトルト「マルコ 震えているけれど大丈夫かい?」

マルコ「武者震いだよ」

マルコ「そういうベルトルトこそ」

ベルトルト「僕もそうだよ」

 強がっている事は互いに理解している

 これから起こることが歴史を覆す規模の出来事であることも

 それでも

 逃げずに真正面から向きあう強さ

 そして

アルミン「2人とも固くなり過ぎだよ」

アルミン「カタクリコXに突き刺す時までとっておきなよ」

 歴史を覆そうとする最強の漢

 アルミンの小さな体が
 
 本当に

 本当に大きく見える

アルミン「絞り終えたものを確認してくれ」

マルコ「白濁してるね」

アルミン「皮を剥くと白濁液が手につくだろ?」

アルミン「それを取り出したんだ」

アルミン「そして少し時間を置くと・・・」

ベルトルト「(白濁が沈澱してきた)」

マルコ「(葡萄酒の澱みたいだ)」

アルミン「この沈澱が計画の要だ」

アルミン「名付けて」

マルコ「あぁ」

アルミン「沈粉だ!」

マルコ「澱粉だね!」

ベルトルト「え?どっち?」

マルコ「ごめん それは沈粉だ」

アルミン「ふふっ どっちでもいいんだよ」

アルミン「今回は沈粉と呼ぶよ」

アルミン「この上澄みを捨てて 火にかけると」

ベルトルト「すごい とろみがついて」

マルコ「固まった!?」

アルミン「これがカタクリコXの素体だよ」

アルミン「容器ごと水で冷やして・・・」


アルミン「さぁ触ってみてよ」

 ただ指で触っているだけにも関わらず

 彼らの脳髄に雷撃が叩き込まれた

マルコ「・・・このぬめり具合」

ベルトルト「・・・包み込むような圧迫感」

アルミン「生温かさも素晴らしいだろ?」

 しばらくの間3人は無言で素体を触る

 しかし

 ただ感触を堪能しているだけではない

 彼らは既に次の段階に進んでいる

 どのような弾力にするのか?

 穴の形はどうするか?

 温度は低めか高めか?

 最善の策を練り
 
 最高の未来を引き寄せる

ベルトルト「けど」

ベルトルト「食べ物を使うのは気が引けるな」

 この食糧難の時代が恨めしいと

 ベルトルトの顔に影がさす

アルミン「その点については安心して欲しい」

マルコ「なんで?」


アルミン「もう食べられない芋をもらってきた」

アルミン「給仕長に教えてもらったんだよ」

アルミン「皮が緑がかっていたり」

アルミン「芽が出てしまった芋には」

アルミン「毒が発生している」

アルミン「そうすると食べられないんだよ」

ベルトルト「じゃあこれは・・・」

アルミン「廃棄物の有効利用だね」

アルミン「そして」

アルミン「給仕長と交渉して廃棄芋を流してもらえることになった」

ベルトルト「凄いねアルミン」

マルコ「給仕長に何かお礼をしないといけないな」

アルミン「お礼にこれを渡してあるんんだ」

マルコ「何それ?」

アルミン「皮剥きの道具」

アルミン「皮の厚さだけ刃を出すんだ」

アルミン「誰でも同じ厚さで皮が剥けるよ」

ベルトルト「それって地味だけど」

ベルトルト「凄い発明じゃない?」

ーーーーーー
ーーー

マルコ「ベルトルト!自分の大きさに合わせた穴を作るべきだ!」

マルコ「その方が一体感があるだろう!」

ベルトルト「違うよマルコ!切れ目を入れて自分ので押し広げるべきだ!」

ベルトルト「その方が密着感があるだろう!」

 舌戦が繰り広げられる

アルミン「二人共落ち着いて」

マルコ「そうだね アルミン」

マルコ「すまない ベルトルト」

ベルトルト「こっちこそごめん 少し熱くなりすぎた」

ベルトルト「素体の透明感はどうかな?」

マルコ「白く濁らす事には賛成だよ」

アルミン「なんだと!?」

アルミン「高い透明感を実現させて」

アルミン「透視という新しい世界を切り開くべきなんだ!」

ベルトルト「そんなバカな!自分のものを見てどうするんだよ!」

マルコ「見えないことでよりよい夢想すべきだ!」

 互いを認め合っているからこそ

 全力で論じる事が出来る

ベルトルト「まるで兄弟喧嘩だよ」

マルコ「アルミン 何かうれしそうだね」

アルミン「僕には兄弟がいないからね」

アルミン「こんな風な喧嘩は初めてだ」

アルミン「それにもう家族もいない・・・」

マルコ「何を言っているんだよ 兄弟」

ベルトルト「僕達は『マアベルス』だろ?」

マルコ「自分で言ったことを覆さないでくれよ」

ベルトルト「そうだよ」

ベルトルト「僕達はーー血より固い絆で結ばれた」

ベルトルト「家族だ」

アルミン「マルコ・・・ベルトルト・・・」

マルコ「あぁ」

マルコ「血より固いカタクリコXだ」

ベルトルト「それは固いね」

アルミン「なんだよそれ」

3人は可笑しそうに笑う

ーーーー

アルミン「ついに完成した」

アルミン「カタクリコX・・・」

アルミン「これも君達の協力のお陰だよ」

アルミン「ありがとう」

マルコ「それは僕達の台詞だよ アルミン」

ベルトルト「あぁ 独りでは決してたどり着くことはできなかった」

2人「「ありがとう」」

アルミン「ならこれは僕達の絆の成果だね」

3人「「マアベルス」」

アルミン「ふふっ 自分で付けたけど」

アルミン「この呼称は恥ずかしいね」

マルコ「そんなことはないよ」

ベルトルト「あぁ 最高だよ」

アルミン「誰から行く?」

アルミン「僕は調理室を先に方付けるから」

ベルトルト「ならマルコからだね」

マルコ「あぁ僕からだ」

マルコ「僕は戦闘時間がちょっと長いからね」

マルコ「一番槍はマルコ・ボットがいただこう!」

アルミン「いいね 一番槍か」

ベルトルト「思う存分突き挿してきてよ」

マルコ「うん いってきます」
 
 マルコ特製のカタクリコXを携えて戦場に赴く

ーーーー

ベルトルト「行ってしまったね」

アルミン「ふふっ マルコが帰還するまでに掃除を終わらせようよ」

ベルトルト「あぁ 楽しみだね」

 バタン

 まさかの侵入者

 アルミンとベルトルトは全力で身構えてしまった

 カタクリコXの完成は彼らを油断させるのに

 十二分な出来事だった

アルミン「(しまった!完全に隙をつかれた・・・)」ドクンドクン

ベルトルト「(このままじゃ・・・カタクリコXが!)」ヒヤアセダラダラ

 意を決して振り返る二人

 そこに立つ人物は・・・

二人「「マルコ!」」

アルミン「驚かせないでよ・・・」

 安堵の表情を浮かべるアルミン

ベルトルト「なにか忘れ物?」

 マルコらしくないねとベルトルトは声をかける

 しかし

マルコ「ただいま」

 そこには 

 瞳に爛々とした炎を宿し

 艶やかな表情をした漢が立っていた

ベルトルト「なっ?何で!?」

ベルトルト「戻ってこれるわけがない」

ベルトルト「まだ・・・3分も経っていない!!」

アルミン「ベルトルト!早く心を立て直すんだ」

アルミン「ベルトルト!早くするんだ!!」

マルコ「そうだよベルトルト」

マルコ「現実は・・・」

マルコ「いつだって妄想を凌駕するものなんだ」

マルコ「今日がその時だったんだよ」

 燃えるような穏やかさ

 そんな矛盾を飲み込んだ漢

 その漢が言葉を紡ぐ

マルコ「さぁ 殿軍はアルミンに任せて・・・」

マルコ「行くんだ!ベルトルト!!」

ベルトルト「」ダッ

 ベルトルト特製のカタクリコXを抱え走り出す

 状況を把握しきれてはいなかったが

 それでも心の深いところで理解していた



 今日から歴史が始まると

ーーーー

アルミン「そんなに凄かったのかい?」

マルコ「あぁ しかし」

マルコ「僕の感想で君の感性を鈍らせたくはない」

マルコ「この戦いを終えてからにしよう」

アルミン「・・・うん」

 2人でベルトルトの帰りを待つ

 それは

 那由多に匹敵する時間を待つようだった

ーーーーーー
ーーー


ベルトルト「ただいま」

マルコ「おかえり」

アルミン「ベルトルトは普通の時間だったね?」

ベルトルト「二回だよ」

アルミン「え?」

ベルトルト「二回戦場を駆け抜けたんだよ」

アルミン「そんなバカな!いくら何でも早すぎる!!」

 慌てふためくアルミン

マルコ「アルミン」

マルコ「厳しい言い方だけど」

マルコ「僕達はこの戦場をくぐり抜けたんだ」

マルコ「君がいくら知恵を絞っても」

マルコ「この事実だけは動かない!」

ベルトルト「さぁ次は君の番だよ」

マルコ「盛大に締めくくってきてくれ」

アルミン「あっ あぁ!」

アルミン「いってきます!」

 アルミン特製のカタクリコXを戦場の友に

 アルミンは駆け出した!

ーーーー

アルミン「(ついに使うときがきた)」カチャカチャ

 ベルトを外し臨戦体制になるアルミン

アルミン「(夢想の翼も全力で広げてやる)」

アルミン「(行くぞ!)」

 意を決して アルミンは槍を突き挿す

アルミン「(こっ これはーー)」

ーーーーーー
ーーー


ーーーー

アルミン「・・・」バタン

マルベル「「・・・」」

 沈黙のアルミンを沈黙で迎える二人

アルミン「・・・つまらない昔話だよ?」

アルミン「昔々ある所に金髪の少年が居ました・・・」

アルミン「素晴らしい家族を手に入れた少年は」

アルミン「とうとう夢想の世界に男を登場させることができるようになりました」

アルミン「主人公は自分自身」

アルミン「夢想の自分が戦いを始める」

アルミン「まさにその時!」

アルミン「現実の自分が果てました・・・」

アルミン「結局のところ 妄想に男を登場させる必要はありませんでした」

アルミン「『今に続く』」

アルミン「どうしたのさ 笑える話だろ?」

アルミン「笑ってよ」

3人「「あっははははは」」

マルコ「入る前に出るなんて」

ベルトルト「何て頓知が効いた話なんだ!」

アルミン「本当にびっくりしたよ」

アルミン「まさかここまでの物だとは思わなかったよ」

マルコ「僕も早く感想を言いたかったんだ」

ベルトルト「まさに新しい世界を切り開いたね」

アルミン「あぁ まず僕から話していいかなーー」



3人は可笑しそうに

本当に可笑しそうに笑いつづけた
 


おしまい

これにて終了です

反応を下さった方々にたくさんの感謝を捧げます

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今回は食欲に並ぶ問題である

性欲の問題について考えて見ました

この世界では

正しい知識を得ることと

性交の代替手段を見つけることで

回避するようにしてみました



頭が良さそうな会話劇にしたかったのですが

書き手の程度が低くいため実現できませんでした

精進いたします

以上です

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