太公望「なっ、なんじゃあのバカデッカイ壁は!」 (77)

―ウォール・ローゼ:トロスト区、の外側―

太公望「眠りながら気の向くままに進んでいたら、全く見慣れぬ土地まで来てしまったのう……」

四不象「ご主人んー、あのデッカイ壁なんスかねー」

太公望「んーむ、魔家四将にぶっ壊された豊邑の城壁よりもデカイ壁だの」

四不象「なんか世界観が全く違う気がするんスけど……」

太公望「コラ、スープーそういうことを言うでない! 辻褄なんぞ儂らの話しにゃハナっからなかろう!」

四不象「す、すっげえ理屈ッス……」

太公望「よし! 一先ずあの門のような所に降りてみよう! なーに『ごめんください』と言えば開けてくれよう!」

―トロスト区・門前―

太公望「近くに来るとバカデカイのがよおくわかるのー」

四不象「どうせなら飛んで跳び越しちゃえばよかったんじゃないッスかー?」

太公望「人間界だのに必要以上にスープーの力を使うこともあるまい。
    もう封神計画も終わったんだ。こうしてのーんびり、玄関から入るのが本来の礼儀ってものよ」

四不象「そーなんすかねー。ご主人の考えはいつになってもわからないッスよ」

太公望「ごめーん!!! くださーい!!! ごめーんくださーい!!!」


駐屯兵「ん? 人の声……え? 何あれ、え? ちょっと部隊長!」ゴメンクダサーイ! ゴメンクダサーイ!

ハンネス「おう、どうした? え? 何だこの声?」ゴメンクダサーイ! ゴメンクダサーイ!

駐屯兵「あ、あの! 門の外に人と、なんか変な生き物がいるんですけど!」ゴメンクダサ、ゲホッゲホッ! ゴメンクダサーイ!

ハンネス「……ホントだ。……っていうかなんだあいつら!?」コラァ! サッサトアケンカアホンダラー!

伏羲覚醒前の太公望?

四不象「門開けてくれないっすねー」

太公望「ケッ! これだから最近の若いもんは! 排他的で心を開かない!
     全くずいぶんと余所者に冷たくなったもんじゃのう!」

四不象「門開けないだけでそこまで怒らなくても……」

ドシン……

太公望「仕方ない! スープー飛ぶぞ!」

ドシン……

四不象「さっきオイラの力は使わないって言ったばっかじゃないッスかぁー!」

ドシン

太公望「そんなもの知らん! 過去を語るな今を見ろスープーよ!」

四不象「なにカッコよく自分の愚行を肯定してるんスかっ!
     ……あれ? 上でなんか叫んでないッスか?」

ドシン、ドシン

太公望「愚行とはなんじゃ愚行とは! ……ん? 確かに、なんだ?
     『逃げろ逃げろ』と言っておるのか?」

ドシンドシン!

四不象「『逃げろー!』って言ってるッスね……」

太公望「そのようだのう」

四不象「……そういえば、さっきから聞こえるこの地鳴りはなんなんスかねー」クルッ

巨人「アー、アー、アアアアアアアアアアアアア!!!」ドシンドシンドシン!!!

四不象「……」

太公望「……」

巨人「アー、アー、アアアアアアアアアアアアア!!!」ドシンドシンドシン!!!

太公望・四不象「…………え゛っ?」

>>8
一応全部終わったあとのつもりなんだけど
あのあとって伏羲って名乗ってたっけ?あとスープーとは別れちゃったんだっけ?

駐屯兵「も、門を! 門を開けなきゃ!」

ハンネス「いや待て! 今開けたら巨人を入れることになっちまう!
      固定砲の準備をしろ! あの変なやつらを助けるんだ!」

駐屯兵「ま、間に合いません! あの変なやつらと巨人間もなく接触します!」

ハンネス「くそっ! なんて不便な兵器なんだ!
      仕方ねえ、俺が一旦立体機動で外に出るしかねえか!」

駐屯兵「は!? と、飛んだ!?」

ハンネス「そうだ俺が今から外に飛ぶ! お前らは待機してるんだ!」

駐屯兵「いや、そうじゃなくて……あの変なやつらが飛んでるんです!」

ハンネス「は? ……。……あ、本当だ。……は?」

太公望「あ、あれはまさか! ビーナス!?
     趙公明の部下、最強三姉妹にして常識を超えた食欲を持つ肥満体のビーナスかァ!?」

四不象「違うに決まってるッスよ! そんなこと言ったらどなたかご存知ないけど、
     あのおっきい人に失礼じゃないッスか!」

巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ドシンドシンドシン!!!

太公望「それもそうだのう……しかしなんだあのデカイ人間は! デカイのはこの壁だけじゃないのか!?」

四不象「いろいろ謎なことが多すぎるんで一先ずあの走ってくる人に聞いてみるッスか?」

巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ドシンドシンドシン!!!

太公望「……」

四不象「……」

巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ドシンドシンドシン!!!

太公望「あのデカイ人間にか!? あの素っ裸にか!? あの変な走り方で向かってくるやつにか!?」

四不象「無理無理無理ッス! 絶対絶対話し合いなんて出来る人じゃなさそうッスよー!」

巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ドシンドシンドシン!!!

太公望「仕方ない、飛ぶぞスープー!」

四不象「了解ッスー!」ヒュイーン!

巨人「アアアアアアア、アアアアアアアア……」

太公望「へっへーん! いくらお主がデカイといえどこの高さまで飛ばれたらとどくまい!
     カーッカッカッカッカッカ! 良い気味よのう! 見降ろされる気分はどうじゃデカイ人間めぇ!」

四不象「ご主人なんて失礼なこと言ってるんスか! あの人に怒られても知らないッスよ!」

巨人「アアアアアアア、アアアアアアアア……」

太公望「あんな変態なんぞ知ったこっちゃないわい! 話し合うならきちんと服を着るのが礼儀だろう!」

四不象「すみませんッスすみませんッス! どなたかは知りませんが、ご主人の非礼お詫びしますッス」スゥゥゥ……

太公望「あ、コラ、スープー。そんなに降りたらとどいちゃうであろ」

巨人「アアアアアアア、アアアアアアアア……アアアアアア!!!」ブンッ!

太公望「ごっふあああああああああああ!!!」ベチンッ!

四不象「ご主人んんんんんんんん!!!」

太公望「いっでえええええええ!!! いっでえええええええ!!!」ボタボタボタ!!

四不象「ご主人がはたかれたー! まるでハエを叩き落とすかのようにはたかれたー!」

太公望「コラアアアアアア! 誰がハエじゃダアホォ!」ブシュゥゥゥゥ!

ドシン……ドシン……

太公望「……えー」ッボタボタボタ!

巨人「アアアア、アアアアア」

太公望「……で、結局こいつはなんなのだ?」ボタボタボタ!

ヒュルルルルル、スタンッ!

ハンネス「こいつは巨人っつうんだ! お前らが何者かは知らねえが、
      ボサッと突っ立ってたらこいつに食われちまうぞ!」

巨人「アアアアアアア、アアアアアアアア」

太公望「え、えーなんじゃそりゃー……」ボタボタボタ……

スープーの一人称ってなんだったっけwwwwwwwww

申し訳ない

ハンネス「固定砲の準備は出来たかァ!!!」

駐屯兵「出来ましたァ!!!」

ハンネス「よし! 撃てえ!!!」

ドカンッ!

巨人「アアアア」ドカーン!

太公望「んなっ!? い、良いのか人に大砲なんぞぶつけて!
     儂をはたき落としたとはいえ」

四不象「ハエのようにッスね」

太公望「うるさいスープー! 人間ではないのか!?」

ハンネス「だからあいつは『巨人』! 俺たち人類を食う『敵』なんだよ!!!」

シュゥゥゥゥゥゥ……

巨人「……」

太公望「巨人……食う? 人類の、敵? あれぇ? 撃たれたところが……再、生?」

ブオンッ! ガシッ!

ハンネス「ぐあっ! ぐ、くそっ捕まっちまった!」

太公望「なんじゃそりゃあああああああああああ!!!」

四不象「ご主人! なんかわからないッスけど凄く危ない雰囲気ッス!」

太公望「どうやらそのようだのう! 飛ぶぞ!」

四不象「乗ってくださいッスー!」ヒュイーン

巨人「アアアアアアアアアア!!!」

ハンネス「く、くそお! ここまでか……」ミシミシミシ!

太公望「さっきはよくも「ハエのように」儂をはたき落としてくれたなあ!」

巨人「アアアアアア?」

太公望「これでも、くらえええい! 打神鞭!」ビュオッ!

ドカァッ!

巨人「アアアアアアアアアア!」ポロッ

ハンネス「うぐぉっ!」ドサッ

太公望「……ったく、人類の敵かなにか知らんが、
     儂は仙道なのだからそこらへん区別つけてほしいわい。近頃の若者は……」クドクド

四不象「ご主人、説教なんて年寄り臭いことやめてほしいッス……」

wiki開いて書いてるつもりなのに間違えまくってるな
ちょっと吊ってくる

ハンネス(な、なんだ!? あの変なやつが変なやつに乗って空飛んだかと思ったら、
      変なやつが変な棒で変な風起こして巨人の腕を薙ぎ払った!?)

太公望「ええい! 72にもなりゃ説教臭くもなるってもんじゃい!」

四不象「うわー、嫌なお爺さんの最もな例ッスー……」

ハンネス(……いや、今はそんなこと考えてる暇ねえ!
      なんだか知らないがコイツらに巨人を倒すのを頼むしかねえ!)

ハンネス「『うなじ』だ! 『うなじ』を攻撃するんだ!」

太公望「……は? うなじ?」

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ

四不象「また再生するッスよ!」

ハンネス「巨人たちの弱点はうなじなんだ! そこを攻撃すればやつらを倒せる!」

四不象「やるッスよご主人!」ヒュイーン

太公望「うーむ、このままこうしていてもあの兵士らしき者が言うように、
     本当に食べられてしまうかもしれんからのお……」

巨人「……アアアアアアアア!」ブンッ!

四不象「あぶねっ!」ヒュインッ

太公望「いくらデカクて素っ裸で人類の敵とはいえ、人の形の者を倒すのは忍びないが、
     やるしかないのかのお……。どうやら儂も敵と見なされたようじゃし」

巨人「アアアアアアアアアアア!」

四不象「後ろに回るッス!」ヒュイーン!

太公望「……どれ、下にいる男を助けるという名目でもやるとしよう! 疾ッ!!!」ビュオンッ!

ドッカァン!

巨人「……」ドッシャァァン!

ブシュウウウウウウウウウウ!

ハンネス「……や、やった!」

太公望「うなじを抉ったらそのまま全身が蒸気になって消滅しおった……巨人というのは一体なんなのだ?」

ハンネス「とりあえず今は壁の上に登ってくれ! ここにいたらまた巨人に襲われる!」

太公望「……ふむふむ、あの壁はこいつらの侵攻を防ぐためのものであったか」

四不象「あ、ボクの背中に乗って下さいッス! 一緒に上まで連れて行くッスよ!」

ハンネス「あ、ああ、ありがとう……(だからなんなんだよこの変な生き物は!?)」

太公望「……しかし巨大な壁だのう。これを人類が作ったとでもいうのか?」

四不象「ご主人……さっきっから何ブツブツ独り言言ってるんスかぁ?」

太公望「ひっひっひっひっひ、なんかいろいろと面白いことがありそうだのう」

四不象「なんで楽しそうなんスかぁ……」

…数時間後…―トロスト区―

太公望「……のう」

ハンネス「お前の言いたいことはわかる」

太公望「では教えてくれ」

ハンネス「あと少し待ってくれ」

太公望「嫌じゃああああああ!!! いつまでここで待たせるつもりじゃあああああ!!!
     腹減ったああああああああ!!! 眠いいいいいいいいいいいいい!!!」ジタバタジタバタ!

ハンネス(こ、こいつ、さっきまでグースカ寝てたくせにぃ……!)

四不象「あーあー、ご主人それじゃただの子供じゃないッスかー」

太公望「何を聞いても答えてくれん! これじゃ碌に話し相手にもならん!
     暇じゃ暇じゃ暇すぎて死ぬうううううううううう!!!」ジタバタジタバタ!

ハンネス(どこの誰だか知らねえ、しかも『壁の外』から来たやつに下手なこと言えねえんだよ……許してくれ)

四不象「もーそんな暴れてぇ、72歳が聞いて呆れるッスよおー」

太公望「……はあ。
    でもまあ、確かにこの土地のことを教えない気持ちもわかるがのう」

ハンネス「……」

太公望「そこまで頑なに口を閉ざす。それは『外』から来た儂らを、
     ひどく恐れ疑っているということの裏付けだしのう。仕方ない」

ハンネス「……」

四不象「ええっ! ボクたち怖がられてるんスか!?
     こんなにプリティで愛くるしい霊獣なのにぃ!?」ウルウル

ハンネス(いや怖いよ、お前が一番怖いよ。なんで喋れるんだよお前)

太公望「それだけあちら側、『この壁の外』にいる……巨人、だったかのう?
     それがこやつら人類の脅威ということだろう。ここまで煩い儂を無視し口を割らないのは」

ハンネス「……」

太公望「……よくできた兵士の証じゃ」

ハンネス「……(こいつら一体何者なんだ?)」

パカラッ! パカラッ! パカラッ!

四不象「あー! 向こうから人が来るッスよ! たくさん来るッスー!」

太公望「お偉い方でも呼んだのだろう。この待ち時間もその為だったか」

駐屯兵「ピクシス司令がお見えになりました!」

ハンネス「敬礼!」バッ!

駐屯兵一同「ハッ!」バッ!

ピクシス「皆、務め御苦労。
      ……話しは聞きました、あなたたちが『壁の外』から来た人たちですね?」

リコ「……」

イアン「……」

ミタビ「……」

太公望「いかにも。外で巨人というものに襲われていたところをそこの兵士に救われた」

四不象「さっきみたいに変なこと言わないで下さいよご主人んー」

太公望「ダアホッ! 儂だって話しのわかりそうなやつの分別はつくわい!」

リコ(……わ、儂?)

イアン(……な、なんだあの奇抜な服装は)

ミタビ(……っていうかなんだあの変な喋る生き物は)

ピクシス(人たちって言ってしまったが、明らかに片方は人ではないな……)

ハンネス「お前らが悪い奴じゃねえってことはなんとなくわかるが、それでも疑う人間はいる。
      下手な気は起こすなよ。大人しく司令に従っていれば悪いようにはならないはずだ」ボソボソ

太公望「わかっておるそんなこと。儂だって別にお主らが悪い奴とは思っとらん」ボソボソ

リコ(……どう見ても青年だよな。ずいぶん変な喋り方の青年だな)

ピクシス「儂はこのウォール・ローゼ南側領土を束ねる最高責任者、ドット・ピクシスという者です」

太公望「ほほう、ここはウォール・ローゼというのか。ずいぶんオシャレな名前だのう。
     いくら聞いても教えてくれない誰かさんとは大違いじゃのー」チラッ

ハンネス「ぐっ、コイツ……」

ピクシス「ハンネス部隊長もいたずらに自分の一存で口を開くことができなかったのです。お許しください」

太公望「あーよいのだよいのだ。儂らが警戒されていることもなんとなくわかる」

太公望「……お主ハンネスというのだな。名前くらいは教えてもよかったろう」ボソッ

ハンネス「悪かったな」ボソッ

ピクシス「よろしければ、あなたたちの素性を……。
      手荒な連行をしない為にも教えてはいただけないでしょうか?」

太公望「ピクシスといったか、そこまで堅くならないでくれ。
     警戒を解いてもらうためにも対等に話し合おうではないか」

ピクシス「……おほん。そうかそれは済まなかった。よければ君たちの素性を教えてほしい、
      信用はまだ出来んが話しのわかる『人間』だとさえわかれば、手荒なマネはせん」

太公望「それを聞いて安心した。そうやって正直に話してくれると儂も警戒をしないですむ」

リコ(な、なんでお爺ちゃん同士の会話みたいになってるんだ?)

太公望「儂は太公望、で、こっちのカバみたいな化け物が不四象だ」

不四象「ば、化け物なんてひどいッスよー!!!」

太公望「霊獣といったってなんのことかさっぱりわからんだろう! 少しは我慢せい!」

不四象「あ、あんまりッスぅぅぅ」ウルウル

ピクシス(タイコーボー? スープーシャン? レイジュー?)

ピクシス「それではタイコーボー、話せる限りで良い。そちらの情報を教えてはくれまいか?」

太公望「あとでお主らとこの土地、巨人について聞かせてくれよ?」

ピクシス「約束する」

太公望「うーむ、こちらの情報と言っても……」

ピクシス「なるべくは信用するように努めたい」

太公望「では……儂はここより遠く、遠くの周という国からやってきた」

ピクシス「?」

リコ「?」

イアン「?」

ハンネス「?」

不四象「全く意味がわかってないっぽいッスね」

太公望「だあああああ!! なんとなく予想はしてたわぁっ!!
     と・に・か・く! ここよりずっと遠い国から来たのー!」

ピクシス「お、おお、そうかそうか。ここよりずっと遠い国からか。
     (なんじゃ? この世界には他にもここのような場所があるのか?)」

太公望「儂は相棒のスープーに乗り、飛んでここまで来たんじゃ!」ヒョイッ

不四象「こうやってッスー!」スイーンスイーン

ピクシス・リコ・イアン・ミタビ(と、飛んだ!? なんだあの化け物!?)

太公望「で、先の巨人に襲われた時は、我が宝貝『打神鞭』でそいつを倒したのじゃ!」ビュオンッ!

ゴオオオオオオオオオオオオ!!!

ピクシス「な、なんと! 風が起きた!?」

太公望「この風をより一点に集中させることで、強力な疾風をぶつけた」

ピクシス「……そうなのか?」

ハンネス「はい、全て目撃しました。こいつに私は助けられたんです」

ピクシス「……」

ハンネス「……」

ピクシス「……そうか。わかった! タイコーボー!」

太公望「あいあい! どうだピクシス! 儂の疑いはなくなったか!?」スタンッ

ピクシス「がっはっはっはっは! そうだな儂はお前を無害な何者かと認めよう!」

太公望「それは良かった。歳も近いだろうしお主とは話しが合いそうだのう!」

リコ(……は? 今なんて言った?)

イアン(……歳も近い?)

四不象「ご主人それ逆に怪しさ倍増させてるッスよ……」

ピクシス「いやいや、スープーシャンとやら、大丈夫だ。タイコーボーからは、
      見えなくともその身に刻まれた時の長さ、深さが言動からわかる。儂なぞよりも深い時間の結晶がな」

不四象「え、えー? こんなグータラ道士にぃ?」

太公望「なっはっはっは! やはり見る目がいいやつはわかるんだのう!」

ピクシス「タイコーボー、お前の処遇が決まり落ち着いたら酒でも酌み交わそう」

太公望「いいのういいのう! その時は任せるのだ! 儂が仙術で水を酒に変えてやろう!」

リコ(……は? だからこの人さっきから何言ってるんだ?)

ピクシス「だっはっはっはっは! それは楽しみじゃ!」

ハンネス(なんで司令あんなに意気投合してんの?)

ピクシス「しかしまあ、儂がどんなにタイコーボーを安全だと認めようが、
      この壁の中に生きる人々がお主を認めるかどうかはわからん」

太公望「承知しておる。儂らの警戒が解けるまでは大人しくお主らの言うとおりにするつもりだ。
     (危なくなったらさっさとトンずらすりゃいいんだしのう!!!)」

ピクシス「……なので申し訳ないが、これからお主らは連行という形で、
      駐屯兵団に身柄を拘束させてもらうことになる」

太公望「問題ない、ピクシスも一人の兵士。それが仕事なのだから仕方ないと理解しておる」

ピクシス「すまんのう……話しが早くて助かるわい」

太公望「……おっ? そうじゃそうじゃ」

ピクシス「ん?」

不四象「……(なんか凄く嫌な予感がするッス!)」

太公望「より円滑に儂の疑いを晴らす為だ! コイツを人質、いやカバ質にしてくれて構わんぞ!」

不四象「ご主人んんんんんん!?(やっぱりいいいいいいい!!)」

リコ(あ……あのスープーシャンって生き物、少し可愛く見えてきた……)

ピクシス「……よいのか?」

太公望「だっはっはっはっは! そうでもしないと儂がいつ逃げ出すか不安であろう?
     儂『ら』自身のためにもここはこうして一旦バラバラにさせた方が良いだろう!」

不四象「ご主人あんまりッスううううううううううう!!」ウルウルウルル

リコ(スープーさん可愛い……)

太公望「コラ、スープー! 少しの間我慢するのだ! お前が大人しくカバ質となってくれれば、
     彼らも無意味に警戒することもなくなるのだからのう!」

不四象「ふえええええええええええええええええん!!!」ウルウルウル

リコ(抱きしめたい……もふもふしたい)

太公望「ということでピクシス! 話し合いは終了だ! 儂は大人しく連行されよう。
     その間スープーは牢なりなんなりにブチ込んでおいてくれ!」

ピクシス「……わ、わかった」

四不象(ひどいッスうううううううううううううううう!!!)

太公望(スープーめ! さっき儂のことを『ハエ』呼ばわりした仕返しじゃあ! ひえっへっへっへっへっへ!)

太公望(ゲス顔)(ひえーっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ!!!!)

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